1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○日本證券取引所法案
○市街地信用組合法案
○外貨債處理法案
○特殊財産資金特別會計法案
―――――――――――――――――――――発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/0
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001・会議録情報2
委員氏名
委員長 男爵 深尾隆太郎君
副委員長 子爵 秋元春朝君
侯爵 中山輔親君
侯爵 四條隆徳君
伯爵 柳澤保承君
子爵 大岡忠綱君
子爵 舟橋清賢君
河井彌八君
下村宏君
男爵 前田勇君
長谷川赳夫君
村瀬直養君
男爵 水谷川忠麿君
瀧川儀作君
下出民義君
岩田宙造君
奥主一郎君
上野喜左衞門君
田中都吉君
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昭和十八年二月二十日（土曜日）午前十時七分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/1
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002・深尾隆太郎
○委員長(男爵深尾隆太郞君) 是ヨリ開會
致シマス、本委員會ニ付託サレマシタ日本
證劵取引所法案外三件ニ付テ、政府當局ノ
御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/2
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003・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 本委員會ニ付託
ニ相成リマシタ日本證劵取引所法案外三件
ニ付キマシテ、其ノ提出ノ理由ヲ說明致シ
マス、先ヅ日本證劵取引所法案ニ付御說明
申上ゲマス、國家經濟ノ機構ノ中ニアリマ
シテ、有價證劵取引所ニ課セラレマシタル
使命ハ、有價證劵就中株式ノ取引ニ付キマ
シテ、其ノ中核的機關タル地位ニ任ジ、過
當ナル投機取引ヲ排除致シマシテ、公正ナ
ル價格ヲ形成シ、且之ガ安定ニ任ジマスル
ト共ニ、其ノ流通ヲ圓滑ナラシムルコトニ
依リマシテ、資金動員ノ適正ヲ期シ、生產
擴充資金ノ供給竝ニ國民貯蓄ノ保護ニ萬全
ヲ圖ルコトニ存スルモノト信ジマス、然ル
ニ我ガ國ニ於ケル取引所ノ現狀ヲ顧ミマス
ルニ、其ノ制度ノ基礎ヲ成スモノハ、明治
二十六年ノ制定ニ係ル取引所法デアリマシ
テ、同法ハ制定以來數次ノ改正ヲ經タノデ
アリマスルガ、其ノ主要部分ハ大體舊態ヲ
維持シテ居リ、今日ニ於キマシテハ時宜ニ
適セザルモノ尠シトシナイノデアリマス、
就中同法ニ基ク取引所ノ性格、組織、機構
等ハ著シク時局ノ要請ニ副ハザルモノガア
ルノデアリマシテ、斯カル制度ノ下ニ於キ
マシテ取引所ニ於ケル取引ノ實際ハ、動モ
スレバ過當ナル投機取引ニ走ラムトシ、株
價モ時ニ或ハ暴騰シ、或ハ暴落致シマシテ、
兎角不安定ナル狀態ニ陷リ勝チナノデアリ
マス、株價ノ斯カル激動ハ徒ニ資金ノ需給
ヲ混亂ニ陷ルヽノミナラズ、其ノ暴騰ハ他
日些細ナル事由ニ依ル暴落ノ素因ヲ成シ、
殊ニ戰時下ニ於テ兎モスレバ起リ勝チナ換
物的思想ヲ刺戟致シマシテ、延テハ惡性「イ
ンフレーション」的傾向ヲ助長スル結果トナ
リ、又其ノ暴落モ株式ニ依ル生產擴充資金
ノ調達ヲ困難ナラシメ、國民ノ貯蓄心ヲ沮
喪セシムル等、戰時下國民經濟ノ圓滑ナル
運行ニ重大ナル支障トナルコトヲ虞ルヽ次
第デアリマス、加之萬一國民中多數ノ者ガ
株價ノ騰落ニ因ル投機利得ノ獲得ニ專念シ、
堅實ナル勤勞精神ヲ忘却スルガ如キ風潮ヲ
生ジマシタナラバ、思想的ニモ戰時下國民
生活上ノ由々シキ問題デアルト存ジマス、
斯カル次第デアリマスルノデ、政府ニ於キ
マシテハ、從來公正ナル株價ノ形成竝ニ其
ノ安定ノ爲各般ノ措置ヲ講ジ、取引所關係
者ノ協力モアリマシテ、或程度效果ヲ收メ
テ參ッタノデアリマスルガ、何分ニモ前ニ
申上ゲマシタヤウナ現行ノ制度ノ下ニ於キ
マシテハ、取引所ヲシテ其ノ果スベキ使命
ヲ完遂セシメ、資金政策上萬全ノ效果ヲ擧
グルコトハ至難ト認メラレルノデアリマシ
テ、殊ニ決戰體制下ノ今日、之ヲ現狀ノ儘
放置致シマスコトハ、財政金融ノ圓滑ナル
運用ヲ期スル上ニ於テ支障少シトシナイノ
デアリマス、以上ノ如キ事情ヲ考慮シ、殊ニ
今後大東亞戰爭ノ完遂ノ爲ニ愈〓資金動員
ノ徹底ヲ期スバキ折柄、此ノ際有價證劵取
引所制度ノ根本的改正ヲ實行致スコトニ致
シタ次第デアリマシテ、是ガ爲現在ノ各取
引所ヲ統合致シマシテ、新タニ日本證劵取
引所ヲ設立シ、之ヲ專ラ公共的見地ニ於テ
國策ニ協力スル機關トシテ運營セシメ、有
價證劵ノ取引機構ノ整備刷新ヲ圖ルコトニ
致シタノデアリマス、偶〓本年九月以降各
取引所ノ營業免許期間ガ滿了致シマスコト
モ、本改革ヲ實施スル機會デアルト存ズル
次第デアリマス、是ヨリ日本證劵取引所法
案ノ內容ニ付キマシテ主要ナル點ヲ說明致
シマス、先ヅ第一點トシテ、日本證劵取引
所ハ國家經濟ノ適切ナル運營ニ資スル爲、
有價證劵ノ公正ナル價格ヲ形成シ、之ヲ安
定セシムルト共、有價證劵ノ流通ヲ圓滑
ナラシムルコトヲ以テ其ノ使命トスルノデ
アリマシテ、其ノ組織ニ付キマシテハ、現行
制度ニ於ケル取引所ノ組織ガ會員組織又ハ
株式組織ノ何レカトナッテ居リ、現存ノモ
ノハ總テ株式會社デアリマスモノヲ改メマ
シテ、新取引所ノ使命ヲ完遂セシムルニ相
應シキ公共的性格ノ濃厚ナル特殊法人トス
ルコトトシタノデアリマス、而シテ新取引所
所ノ資本金ハ之ヲ二億圓トシ、政府ニ於テ
モ最高五千萬圓ノ範圍內ニ於テ相當額ヲ之
ニ出資スルコトト致シマシタ、尙新取引所
ノ役員及職員ニ關シマシテモ、取引所ノ使
命竝ニ性格ニ顧ミマシテ、其ノ役員ハ政府
之ヲ任免シ、役員竝ニ使用人ハ之ヲ公務員
ト看做シ、又職員ガ有價證劵市場ニ於ケル
賣買取引ニ關與スルコトヲ禁止スル等、必要
ナル規定ヲ設ケタノデアリマス、第二點ト
シテ、新取引所ノ業務ニ付テ申上ゲマス、
先ヅ取引所本來ノ業務タル有價證劵市場ノ
開設デアリマスルガ、之ニ關シマシテハ市
場ノ開設、閉鎖竝ニ管理ニ關スル政府ノ權
限ヲ充實スルト共ニ、有價證劵ノ上場ニ關
スル制度ヲ一層整備スルコトト致シマシタ、
右ノ外新取引所ノ業務トシテ有價證劵ノ引
受、賣出、募集ノ取扱等ノ如キ新業務ヲモ
加ヘルコトト致シマシテ、有價證劵ノ發行、
流通ノ圓滑化ニモ寄與セシムルコトトシタ
ノデアリマスガ、更ニ政府ハ必要ニ應ジ、新
取引所ヲシテ有價證劵ノ價格ノ安定ノ爲
ニ必要ナル賣買操作ヲ行ハシムルコトヲ得
ルコトトシタノデアリマス、現在此ノ種ノ
業務ヲ擔當スル機關ト致シマシテハ、戰時
金融金庫ガアリ、政府指導ノ下ニ隨時市場
ニ出動シ、相當效果ヲ擧ゲテ居ルノデアリ
マスガ、事態ニ應ジ敏速ニ機宜ノ措置ヲ執
ル爲ニハ、新取引所ヲシテ自ラ直接行ハシ
ムルコトノ必要ナル場合モアリマスノデ、
其ノ途ヲ開クコトト致シタノデアリマス、
尙是等ノ業務ハ、何レモ株式ヲ主タル對象
トスルモノデアリマスルガ、國債、地方債、
社債等ノ確定利付證劵ニ付キマシテモ、大
體從來通リ取扱ハシムルコトトシ、之ガ取
引市場モ必要ナ場所ニ存置スル方針デアリ
マス、第三點トシマシテ、取引員ニ付テ申
上ゲマス、有價證劵市場ニ於ケル賣買取
引ハ、政府ノ免許ヲ受ケタ取引員ニ限
リ之ヲ行フコトヲ得ルノデアリマスガ、
取引員タリ得ル資格ハ、之ヲ勅令ノ定ム
ル金額以上ノ資本金ヲ有スル株式會社ニ
シテ、且一定ノ缺格條件ニ該當セザル
者ニ限定スルコトト致シマシタ、又取
引員ノ營業、會計經理等ニ關シ規定ヲ整備シ、
一定ノ場合ニ於ケル取引員ニ對スル營業停
止權、免許取消權等政府ノ監督權ヲ充實致
シマスルト共ニ、取引所ノ取引員ニ對スル
監督權モ强化スルコトト致シマシタ、是等
ハ何レモ取引員ノ資質ノ向上、取引ノ公正、
委託者ノ保護等ニ資スルノ見地ニ出ヅルモ
ノデアリマス、更ニ政府又ハ新取引所ハ、
有價證劵ノ價格ノ公正及ビ安定竝ニ其ノ流
通ノ圓滑化ノ爲必要ニ應ジ取引員ニ對シ、
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ニ關シ命令
又ハ指示ヲ爲シ得ルコトト致シマシテ、取
引員ノ指導上萬全ヲ期スルコトト致シマシ
タ、此ノ外取引員ノ使用人ニ關シマシテモ
一定ノ缺格條件ヲ定メマスルト共ニ、法律
ノ委任ニ基ク命令ニ依リマシテ、之ガ取締
其ノ他ニ關シ適當ナル措置ヲ講ズルコトト
致シタノデアリマス、第四點トシマシテ、
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ハ、現行法
ト同樣ニ實物取引及ビ〓算取引ノ二種トス
ルノデアリマスガ、取引ノ期限其ノ他賣買
取引方法ノ詳細ハ命令ヲ以テ定ムルコトト
致シタノデアリマス、是等ノ點ニ付キマシテハ、
本法ノ施行ニ關スル重要事項トシテ、本法ニ
依リ設置セラル、有價證劵取引委員會ニモ諮
問ノ上決定致シタイト存ジマス、右ノ外證據
金及手數料ニ關スル政府ノ認可權、命令權
ヲ整備致シマスト共ニ、賣買取引ノ受渡其ノ
他ノ決濟ハ取引所之ヲ管理スベキコトヲ明
定シ、又賣買取引ニ關スル取引所ノ責任ヲ加
重致シマシテ、取引員ガ責任ヲ履行セザル
場合ニ生ズル損害ニ付キマシテハ、取引所
ヲシテ賠償ノ責ニ任ゼシムルコトトスル等、
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ公正確
實ヲ期シタ次第デアリマス、第五點トシテ、
日本證劵取引所ヲ公共的性格ノ濃厚ナル法
人トスルコトニ照應致シマシテ、政府ハ民
間出資者ニ對シ年五分ノ配當保證ヲ行フト
共ニ、其ノ最高配當率ハ之ヲ年六分ニ制限
致シマシテ、從來ノ取引所經營ニ於ケルガ
如キ營利本位ノ經營ヲ排除セシムルコトト
致シマシタ、又新取引所ノ特殊ナル地位ニ
顧ミマシテ、取引所特別稅ハ之ヲ免除致シ
マスルト共ニ、新取引所ニ於テ配當シ得べ
キ剩餘金額ガ拂込出資金額ニ對シ年六分ヲ
超ユルトキハ、其ノ超過金額ノ四分ノ三ヲ
政府ニ納付セシムルコトト致シタノデアリ
マス、第六點トシテ、新取引所ニ對スル政
府ノ監督ハ、公共的性格ヲ有スル特殊法人
ノ一般ノ例ト同樣ニ相當强度ノモノトシ、
其ノ公共的使命ノ達成ニ遺憾ナガラシムル
コトトシタノデアリマス、尙政府ハ本法ニ
依リ政府ノ行フベキ職權中、新取引所ヲシ
テ行ハシムルヲ適當トスルモノニ付キマシ
テ、之ヲ新取引所ニ代行セシムル途ヲモ開
クコトトシ、新取引所ガ眞ニ政府ノ方針ニ
順應シテ其ノ使命ノ完遂ニ邁進スルコトヲ
期シタノデアリマス、第七點トシテ、本法
ノ違反行爲等ニ對スル罰則ニ付キマシテモ、
新制度ノ確立ニ照應致シマシテ、必要チル
整備强化ヲ行フコトト致シタノデアリマス、
最後ニ本法案ノ中ニハ、新取引所ノ設立ニ
伴フ經過的ナ問題ノ處理ニ關シ規定シテ居
ルノデアリマスルガ、其ノ重ナル點ヲ申上
ゲマスト、先ヅ現在內地ニ存スル取引所ノ
數ハ十一デアリマスルガ、是等ノ取引所ハ
總テ新取引所ノ設立ト共ニ、法律ノ規定ス
ル所ニ依リ新取引所トナルモノトシ、舊取
引所ノ一切ノ權利義務ハ總テ新取引所ニ於
テ承繼スルノデアリマス、其ノ際舊取引所
ノ株式ニ對シマシテハ設立委員ニ於テ、勅
令ノ定ムル所ニ依リ且政府ノ認可ヲ受ケ、
新取引所ノ出資證劵ノ引當ヲ行フノデアリ
マスルガ、此ノ引當ノ決定ハ取引所資產評價
委員會ノ議ヲ經ベキコトトシ、引當ノ公正
ヲ期シタノデアリマス、次ニ新制度ノ下ニ
於ケル取引員ノ資格ハ、一定金額以上ノ株式
會社ニ限ルコトハ前ニ申述ベタ通リデアリ
マスルガ、現在ノ取引員ハ個人ガ大部分デ
アル實情ニモ顧ミマシテ、過渡的措置ト致
シマシテ三年ノ猶豫期間ヲ設ケ、此ノ期間
中ハ現在ノ取引員ハ個人デモ、又法定ノ資
本金額ニ滿タナイ會社デモ、其ノ儘取引員タ
ルコトヲ認ムルコトト致シマシタ、右ノ外舊取
引所ニ於ケル賣買取引ノ決濟、其ノ他經過的
ナ問題ノ處理ニ付キマシテ必要ナル規定ヲ
設ケタノデアリマス、本法案ノ大要ハ以上
申述ベタ通リデアリマスルガ、之ニ依リマ
シテ新取引所ハ、眞ニ有價證劵、就中株式
ノ流通機構ノ中核的機關トシテ遺憾ナク其
ノ機能ヲ發揮シ、大東亞戰下資金政策ノ完
遂ニ寄與スル所尠クテイト信ジマス、次ヘ
市街地信用組合法案ニ付キマシテ御說明致
シマス、本法律案ハ今般農林業團體統合關
係法律ノ制定ニ伴ヒマシテ、市街地ニ於テ
金融事業ヲ行フ產業組合、卽チ從前市街地
信用組合、或ハ準市街地信用組合ト通稱セ
ラレテ居リマシタモノヲ產業組合ヨリ分離
シ、中小商工業者、勤勞者其ノ他ノ都市ニ
於ケル一般庶民ノ金融機關クラシメムトス
ルモノデアリマシテ、其ノ主眼トスル所ハ、
是等市街地信用組合等ヲ單行法ヲ以テ規律
スルコトニ依リ、其ノ庶民金融機關タルノ
特質機能ヲ益〓助長發達セシメムトスル點ニ
アリマス、現行產業組合法ニ基ク產業組合
ハ其ノ行フ事業ノ種類等ヨリ見ル時ハ、
各種ノ性質ノモノヲ包含シテ居リマシテ、
或ハ農業團體タルノ性質ノ濃厚ナルモノア
リ、或ハ所謂市街地信用組合ノ如キ純然タ
ル金融機關アリ、其ノ他所謂消費組合、醫
療組合、組合製絲等特殊ノ事業ヲ目的トス
ル團體等ガ併存シテ居ル狀態デアリマシテ、
其ノ共通ノ性質トシテハ所謂組合組織ヲ具
有スルト云フ點ノミデアリマス、斯クノ如
キ各種ノ組合ヲ抱括シテ一ノ產業組合法ノ
下ニ置クコトハ、是等組合ヲシテ各〓其ノ所
ヲ得シメ、其ノ特質ニ應ジ、十分ナル活動
ヲ遂行セシムル所以ニ非ザルコトハ豫テヨ
リ感ゼラレテ參ッタ所デアリマス、卽チ農業
團體法ノ制定ト併セ、玆ニ新タニ市街地信
用組合法ヲ制定シ、一ハ以テ農林業團體ノ
統合ヲ圖リ、一ハ以テ市街地信用組合等ノ
整備充實ヲ期セムトスル次第デアリマシテ、
時局下一般庶民ノ生活ノ安定ノ爲、必要ナ
ル庶民金融ノ重要ナル一環タル役割ヲ果サ
シメルト共ニ、國民貯蓄增强ノ一翼タラシ
メムトスルモノデアリマス、本法ニ依ル市
街地信用組合ハ、組合員ノ相互協同體タル
點ニ於テハ產業組合ト同樣ノ性質ヲ具有ス
ルモノデアリマスガ、其ノ現行產業組合法
ト異ル主ナル點ヲ申上ゲマスルト、凡ソ次
ノ如クデアリマス、第一ニ、組合ノ責任組
織ハ、從來ハ無限責任、保證責任、有限責任
ノ三種類ヲ認メタノデアリマスルガ、之ヲ
有限責任ノミニ限ッタコトデアリマス、第二
ニ、定款ノ外新タニ業務方法ナルモノヲ設
定セシメ、之ニ依リ貯金、貸付金ノ利率其
ノ他ノ條件等ヲ統一的ニ監督シ、場合ニ依
リマシテハ主務大臣ガ業務方法ヲ制限シ、
又ハ變更ヲ命ズルコトヲ得ルモノトシタコ
トデアリマス、第三ニ、組合ノ業務上ノ餘
裕金ノ運用方法ヲ法律上明定シマスルト共
ニ、主務大臣ハ資金ノ吸收及運用ニ關シ必
要ナル命令ヲ爲シ得ルコトト致シマシテ、
組合ノ資產內容ノ健全性ヲ維持スルト同時
ニ、國家的要請ニ卽應セシムルノ途ヲ開イ
タコトデアリマス、第四ニ、組合長、理事
ノ選任及解任ヲ以テ主務大臣ノ認可ヲ要ス
ルモノトシ、且是等ノ役員トナル者ハ必ズ
シモ組合員ニ限ラザルコトト致シマシテ、不
適當ナル役員ノ存在ヲ防グト共ニ、有能適
切ナル役員ヲ員外者ヨリ選ブコトヲ得ルモ
ノトシタコトデアリマス、而シテ第五ニ、
組合ノ事業全部ノ讓渡ニ付キ規定ヲ設ケ、
又組合ノ合併ニ關シマシテハ簡易迅速ニ之
ヲ實行シ得ル方法ヲ規定シ、以テ組合ノ整
備統合ヲ促進セシムルコトトシタコトデア
リマス、次ニ外貨債處理法案ニ付キマシテ
說明致シマス、本法案ハ、本邦ノ米貨債及
英貨債ニ付キマシテ、當面必要ナル措置ヲ
執ラムトスルモノデアリマス、抑〓本邦ノ米
貨債及英貨債ハ、其ノ未償還現在額ヲ大東
亞戰爭勃發前ノ爲替相場タル一「ドル」ニ付
四圓二十五錢、一「ポンド」ニ付十六圓八十
四錢ヲ以テ換算致シマスルト、總額約二十
七億圓ニ上リ、其ノ內ノ約半額ハ本邦人ノ
所有ニ屬シテ居リマシテ、他ノ半額ハ外國
人ガ所有致シテ居リ、而シテ其ノ大部分ハ
敵國人ノ所有スルモノト考ヘラレルノデア
リマス、米英貨債ハ斯クノ如ク多額ニ上ツテ
居リマスルノデ、之ガ處理ハ發行者タル政
府、地方團體及國策會社ニ取リマシテモ、
本邦人所有者ニ取リマシテモ、又對外關係
ニ付キマシテモ重大ナ問題ナノデアリマス、
而シテ米英貨債ハ大東亞戰爭勃發ノ結果、
債務ノ本旨ニ從フ辨濟ノ途ガ杜絕致シマシ
テ、戰時中支拂停止トナルノ已ムナキニ至ツ
タノデアリマスルガ、本邦人及ビ友好國人
ノ所有スルモノニ付キマシテハ、其ノ所有
者ノ蒙ルベキ打擊ヲ避クル爲、開戰直後應
急措置ト致シマシテ、取敢ズ一「ドル」ニ付
四圓二十五錢、一「ポンド」ニ付十六圓八十
四錢ノ換算率ニ依リ、外國爲替管理法ニ基
ク命令ヲ以テ、直接邦貨ニ依ル利拂ヲ爲サ
シムルコトト致シタノデアリマス、他方敵
國人ノ所有スルモノニ付キマシテハ、敵產
管理法第二條ニ基ク命令ヲ以テ、右ト同樣
ノ換算率ニ依リ其ノ利子ヲ特殊財產管理勘
定ニ拂込マシムルコトト致シタノデアリマ
ス、併シナガラ右ハ全ク經過的ノ措置デア
リマシテ、米英貨債ニ付キマシテハ當面ノ
處置ト致シマシテモ、此ノ外幾多ノ問題ガ
殘サレテ居ルノデアリマス、其ノ一ハ、右
ノ措置ハ取敢ズノ應急措置トシテ已ムヲ得
ナイ所ナノデアリマスルガ、發行者ト致シ
マシテハ、戰爭ノ結果從來ノ如ク減債基金
ノ運用ニ依リ元金ヲ減ズルコトガ出來ナク
ナリマシタノデ、此ノ儘デハ極メテ高利ナ
ル利拂ヲ每期定額ニテ繼續セネバナラナイ
コトトナリ、此ノ點ニ付何等カノ解決ヲ致
サネバナラヌコトデアリマス、而シテ其ノ
二ハ、本邦人間ニ多額ナル敵性通貨建ノ債
權、債務ヲ存シマスル結果、此ノ大戰爭下ニ
於キマシテ、敵性通貨ノ換算率ニ付本邦人
間ニ利害ノ關心ヲ有スルコトハ面白クアリ
マセヌノデ、此ノ際米英貨債ニ關スル關心
事ヲ民間ヨリ取除クコトガ望マシイコトデ
アリマス、其ノ三ハ、地方債及社債ノ敵國
人所有分ニ付キマシテモ、國債ノソレニ付
キマシテモ、一括シテ其ノ債務ヲ不確定狀
態ニ置キ、其ノ將來ノ處理ヲ擧ゲテ政府ノ
手ニ集中スルヤウニ措置致スコトガ適當デ
アルト考ヘラレルコトデアリマス、而シテ
以上ノ問題ヲ解決致シマスニハ、大要次ノ
五點ニ付綜合的ニ考慮スル必要ガアルノデ
アリマス、卽チ先ヅ第一ニハ、發行者ハ如
何ナル負擔ヲ爲スヲ正當トスルカト云フコ
トデアリマス、第二ニハ、本邦人及友好國
人所有者ノ利益ハ、如何ナル程度ニ之ヲ保
護スルヲ正當トスルカト云フコトデアリマ
ス、第三ニハ、對米貨、對英貨換算率ハ、
之ヲ如何ニ定ムルヲ適當トスルカト云フコ
トデアリマス、第四ニハ、友好國人及敵國
人所有分ニ付キマシテハ、對外關係ニ及ス
影響ヲ愼重ニ考慮スベキコトデアリマス、第
五ニハ、國庫ニ及ス利害關係ハ之ヲ如何ニ
考フベキカト云フコトデアリマス、右ノ諸點
ハ相互相牴觸致スノデアリマスルガ、之ガ調
整ニ付考慮致シマシタル結果、第一ニ、本
邦人及友好國人ノ所有スル米英貨債ハ所有
者ノ希望ニ依リ、適正ナル價格ヲ以テ之ヲ
邦貨債ニ借換ヘ、第二ニ、借換ニ因リ地方
債又ハ社債ノ發行者ニ損失ヲ生ズル場合ニ
ハ政府ニ於テ之ヲ補償シ、第三ニ、地方債又
ハ社債ノ借換ヘラレザル部分ニ付テハ、其ノ
元利支拂義務ヲ政府ニ於テ承繼シ、第四ニ
右ノ場合ニ於テハ其ノ承繼ノ對價ヲ政府ニ
納付セシムルコトト致シマシテ、以テ發行
者ノ負擔ヲ適正化致シマスト共ニ、本邦人
及友好國人所有者ノ打擊ヲ囘避致シマシテ、
經濟界ヘノ惡影響ヲ避ケ、次ニ對米貨、對
英貨換算率ノ定メ方ニ對スル煩累ヲ除キマ
スルト共ニ、民間ヨリ敵性通貨ニ關スル關
心事ヲ取除キ、而シテ外貨債タル國債デアッ
テ、借換ヘラレナイデ殘存致シテ居ルモノ
竝ニ地方債及社債デアッテ、政府ニ承繼セラ:
レテ外貨債タル國債トナッタモノニ付キマ
シテハ、爾後元利支拂ヲ停止シ、之ニ關ス
ル處理ヲ總テ政府ニ於テ致スヤウニスルコ
トガ最モ適當デアルト認メタノデアリマス
ルガ、是ガ爲ニハ特別ノ立法措置ヲ必要ト
致シマスルノデ、本法律案ヲ提出致シマシ
タ次第デアリマス、次ニ特別財產資金特別
會計法案ニ付御說明申上ゲマス、帝國ガ
大陸及南方ノ作戰地域ニ於テ沒收又ハ其ノ
管理下ニ收メマシタ敵產ヲ有效ニ活用シ、
生產ノ擴充及軍事上ノ用途ニ役立タシメ、
以テ我ガ戰力ノ增强ヲ圖リマスルト共ニ、
之ヲ綜合的ニ運營シ、我ガ戰時財政力ノ充
實ニ資シマスルコトハ刻下ノ急務デアリマ
ス、而シテ右目的達成ノ爲ニハ特別ノ資金
ヲ設置致シマシテ、沒收セル敵產ニ付キマ
シテハ、戰利品等ニシテ軍事上必要ナルモノ
ヲ除キ、之ヲ資金ニ歸屬セシムルコトト致
シ、又管理スル敵產ニ付キマシテハ、資金ノ
運用トシテ之ヲ買取リ、資金ニ屬スル財產
トスルノ措置ヲ講ジマシテ、敵產ノ統一運
營ヲ圖ルノヲ最モ適當ト存ゼラルヽノデア
リマス、仍テ之ガ特別ノ資金ト致シマシテ
特殊財產資金ヲ設ケ、其ノ歲入歲出ハ之ヲ
一般ノ會計ト區分經理スルノヲ適當ト認メ
タノデアリマスルガ、是ガ爲ニハ特別會計
ヲ設置スルノ必要ガアリマスルノデ、本法律案
ヲ提出致シマシタル次第デアリマス、以上四
件ノ法律案ニ付キマシテハ、何卒御審議ノ上
御贊成ヲ御願ヒ申上グル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/3
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004・秋元春朝
○子爵秋元春朝君 參考書類ヲ御願ヒ致シ
タイト實ハ思ッテ居ルノデスガ、衆議院ノ速
記錄ヲチヨット拜見シマスト、色々御出シ
ニナッテ居ルヤウデスガ、衆議院ニ御出シ
ニナッタモノ全部ヲ此ノ委員會ニモ御出シ
ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレカラ尙參考書
類トシテ御出シ出來ナイモノデモ、サウ云フ
ノモアラウト多分思ヒマスガ、是ハ又委員
長ニ御願ヲシテ、或機會ニ速記ヲ止メテナリ
トモ御說明ヲ願ヒタイ、斯ウ云フコトヲ御
願ヒ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/4
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005・深尾隆太郎
○委員長(男爵深尾隆太郞君) 此ノ際御諮
ヲ致シマスガ、只今御話ノ參考資料ノコト
モアリマスシ、又此處ニ配付サレテ居ル參
考資料モアリ、之ヲ御一讀ノ時間モ必要力
ト思ヒマスカラ、本日ハ此ノ程度デ散會ヲ
致シマシテ、月曜日ニ本會議ガナケレバ月
曜日ノ午前十時カラ、本會議ガアリマスレ
バ午後一時半カラ次ノ會ヲ開キタイト思ヒ
マスガ、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/5
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006・深尾隆太郎
○委員長(男爵深尾隆太郞君) ソレヂヤ左
樣ニ取計ラヒマス、今日ハ是デ散會致シマ
ス
午前十時三十九分散會
出席者左ノ如シ
委員長男爵深尾隆太郞君
副委員長子爵秋元春朝君
委員
侯爵中山輔親君
侯爵四條隆德君
伯爵柳澤保承君
子爵大岡忠綱君
子爵舟橋〓賢君
河井彌八君
下村宏君
男爵前田勇君
長谷川赳夫君
村瀨直養君
男爵水谷川忠麿君
瀧川儀作君
下出民義君
岩田宙造君
奧主一郞君
上野喜左衞門君
田中都吉君
政府委員
大藏次官谷口恒二君
大藏省理財局長田中豐君
大藏省外資局長原口武夫君
大藏省銀行局長山際正道君
大藏書記官森永貞一郞君
同阪田泰二君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008102858X00119430220/6
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