1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十八年二月十九日(金曜日)午前十時四分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十一號
昭和十八年二月十九日
午前十時開議
第一 戰時行政特例法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 許可認可等臨時措置法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 教育基金特別會計法外二十三法律の廢止に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 日本證券取引所法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 市街地信用組合法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 外貨債處理法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調整法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 特殊財産資金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 義務教育費國庫負擔法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=0
-
001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔小野寺書記官朗讀〕
一昨十七日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
北海道鐵道株式會社所屬鐵道外十一鐵道
買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
多獅島鐵道株式會社所屬新義州南市間鐵
道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
請願文書表(第四囘報牛ロ)
昨十八日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
農業保險法中改正法律案可決報告書
食糧管理特別會計法中改正法律案可決報
〓書
農業保險ノ保險料國庫負擔金等ノ交付及
分擔等ニ關スル法律案可決報〓書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
戰時行政特例法案
〓育認可等臨時措置法案
〓育基金特別會計法外二十三法律ノ廢止
ニ關スル法律案
日本證劵取引所法案
市街地信用組合法案
外貨債處理法案
爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調
整法案
特殊財產資金特別會計法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=1
-
002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、請暇ノ件ニ付御諮リヲ致シ
Wマり、岡喜七郞君、病氣ニ付八日間、請暇
ノ申出ガゴザイマシタ、許可ヲ致シテ御異
議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=2
-
003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=3
-
004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 昨十八日、正三
位動二等功五級千田嘉平君薨去セラレマシ
タ、誠ニ哀悼ノ至リニ堪へマセヌ、就キマ
シテハ、弔辭ヲ贈リタイト存ジマス、御異
議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=4
-
005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=5
-
006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第一、戰時
行政特例法案、日程第二、許可認可等臨時
措置法案、日程第三、〓育基金特別會計法
外二十三法律ノ廢止ニ關スル法聿案、政府
提出、衆議院送付、第一讀會、是等ノ三案
ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ハゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=6
-
007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、東條內閣總理大臣
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
戰時行政特例法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
戰時行政特例法案
戰時行政特例法
大東亞戰爭ニ際シ生產力擴充其ノ他綜合
國力ノ擴充運用ノ爲特ニ必要アルトキハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ左ニ揭グル措置ヲ
爲スコトヲ得
一法律ニ依ル人又ハ法人ノ行爲ニ對ス
ル禁止又ハ制限ノ全部又ハ一部ヲ解除
スルコト
二法律ニ依リ監督又ハ命令、處分其ノ
他ノ行爲ヲ爲ス甲ノ行政廳又ハ官吏ノ
職權ヲ乙ノ行政廳又ハ官吏ヲシテ行ハ
シムルコト
前項第二號ノ場合ニ於テハ甲ノ行政廳又
ハ官吏ノ職權ニ係ル罰則ノ適用ニ付テハ
乙ノ行政廳又ハ官吏ハ之ヲ甲ノ行政廳又
ハ官吏ト看做ス
前項ニ定ムルモノノ外第一項ノ規定實施
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
許可認可等臨時措置法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
許可認可等臨時措置法案
許可認可等臨時措置法
大東亞戰爭ニ際シ行政簡素化ノ爲必要ア
ルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ法律ニ依
リ許可、認可、免許、特許、承認、檢査、
協議、屆出、報〓等ヲ要スル事項ニ付左
ニ揭グル措置ヲ爲スコトヲ得
一許可、認可、免許、特許、承認、檢
査協議、屆出、報告等ヲ要セザルコ
トトスルコト
二許可、認可、免許、特許、承認、檢
査協議等ヲ要セズ屆出、報〓等ヲ以
テ足ルモノトスルコト
三許可、認可、免許、特許、承認、檢
査等ノ申請アリ又ハ協議アリタルトキ
一定期間ノ經過ニ依リ許可、認可、免
許、特許、承認、檢査等アリ又ハ協議
調ヒタルモノト看做スコト
四甲法令ニ依ル許可、認可、免許、特
許承認、檢査、協議、屆出、報告等
アリタルトキ乙法律ニ依ル許可、認可、
免許、特許、承認、檢査、協議、屆出、
報〓等アリタルモノト看做スコト
五許可、認可、免許、特許、承認、檢
査等ヲ爲シ又ハ屆出、報〓等ヲ受クル
甲ノ行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ乙ノ行政
廳又ハ官吏ヲシテ行ハシムルコト
六前各號ニ揭グルモノノ外手續又ハ處
理ノ簡捷化ノ爲ノ必要ナル措置
前項第五號ノ場合ニ於テハ甲ノ行政廳又
ハ官吏ノ職權ニ係ル罰則ノ適用ニ付テハ
乙ノ行政廳又ハ官吏ハ之ヲ甲ノ行政廳又
ハ官吏ト看做ス
前項ニ定ムルモノノ外第一項ノ規定實施
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〓育基金特別會計法外二十三法律ノ廢
止ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〓育基金特別會計法外二十三法律ノ廢
止ニ關スル法律案
第一條左ノ法律ハ之ヲ廢止ス但シ昭和
十七年度分ニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
〓育基金特別會計法
〓育改善及農村振興基金特別會計法
職員健康保險特別會計法
對支文化事業特別會計法
昭和十年法律第五號
昭和十三年法律第九號
第二條左ノ法律ハ之ヲ廢止ス
昭和十一年法律第三十七號
昭和二年法律第四十一號
明治三十八年法律第三十五號
土地賃貸價格調査法
土地賃貸價格調査委員會法
土地賃貸價格改訂法
明治二十八年法律第二十二號
明治三十四年法律第三十九號
昭和二年法律第五十六號
農工銀行補助法
絲價安定融資補償法
絲價安定融資擔保生絲買收法
絲價安定融資損失善後處理法
輸出資金及輸出品製造資金融通損失
補償法
明治三十二年法律第五十三號
大正五年法律第十六號
航路統制法
東北振興電力株式會社法
附則
第三條本法中第一條及第四條乃至第六
條ノ規定ハ昭和十八年四月一日ヨリ之
ヲ施行シ其ノ他ノ規定ハ公布ノ日ヨリ
之ヲ施行ス
第四條〓育基金特別會計ニ屬スル基
金、〓育改善及農村振興基金特別會計
ニ屬スル基金竝ニ對支文化事業特別會
計ニ屬スル資金及權利義務ハ之ヲ一般
會計ニ歸屬セシム
昭和十七年度對支文化事業特別會計歲
出豫算ニ於ケル車業費ノ支出殘額ハ之
ヲ一般會計ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第五條職員健康保險特別會計ニ屬スル
積立金ハ之ヲ健康保險特別會計ニ歸屬
セシム
職員健康保險特別會計ニ屬スル收入及
支出ノ未濟額ハ之ヲ健康保險特別會計
ノ收入及支出ノ未濟額トス
第六條健康保險特別會計法中左ノ通改
正ス
第三條ヲ削リ第四條ヲ第三條トシ第五
條ヲ第四條トス
第六條中「大藏省預金部ニ之ヲ預入ル
ルコトヲ得」ヲ「之ヲ大藏省預金部ニ預
入ルベシ」ニ改メ同條ヲ第五條トス
第七條ヲ第六條トス
第七條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ
保有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之
ヲ運用スルコトヲ得
第九條中「收入支出及積立金ノ運用ニ
關スル規定」ヲ「收入支出ニ關スル規
程」三六人
第七條第二條ノ規定施行前ニ輸出資金
及輸出品製造資金融通損失補償法第一
條ノ契約ニ基キ銀行(商工組合中央金
庫ヲ含ム)ガ融通シタル資金ニ關シテ
ハ舊法ハ第二條ノ規定施行後ト雖モ仍
其ノ效力ヲ有ス
第八條第二條ノ規定施行前ニ爲シタル
行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ舊法
ハ同條ノ規定施行後ト雖モ仍其ノ效力
ヲタム
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=7
-
008・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今議題トナリ
マシタ戰時行政特例法案及ビ許可認可等臨
時措置法案ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ御說
明致シマス、先ヅ戰時行政特例法案ニ付キマ
シテ御說明致シマス、今ヤ戰局ハ正ニ重大デ
アリマス、帝國ガ能ク此ノ重大局面ヲ突破致
シマシテ、此ノ戰ヲ戰ヒ拔キ、勝チ拔キ、以テ
聖戰ノ目的ヲ達成スル爲ニハ、國家總力ヲ
高度ニ結集シ、一面ニ於テ、一億一心、盡
忠報國ノ精神ヲ昂揚致シマスルト共ニ、他
面ニ於キマシテ、必要生產力ノ增强ニ一層
ノ努力ヲ致シ、以テ戰力增强ニ驀進セネバ
ナラヌト存ズルノデアリマス、顧ミマスル
ニ支那事變以來、强化ノ一途ヲ辿ッテ參リマ
シタル國民活動ニ對シマスル統制的制限ハ、
必ズシモ重複煩雜ノ弊ナシトハ言ヒ難イノ
デアリマス、之ガ爲ニ却テ生產力ノ增强、其
ノ他國家總力ノ發揮ガ阻碍セラルヽノ結果
ヲ招來シテ居ル場合モ少シトシナイト存ズ
ルノデアリマス、言フ迄モナク統制ニ依ル制
限ノ目的ト致シマスル所ハ、制限其ノモノ
ニアラズシテ、眞ニ必要ナル事項ニ國力ヲ集
中シ、而シテ最大ノ效率ヲ擧ゲムトスルニ
在ルノデアリマス、卽チ今日ニ於キマシテ
ハ、一方諸般ノ統制ノ强化ハ必要ナルコト
デアリマスルガ、一面、戰爭遂行ニ眞ニ必要
ナル生產部門ニ對シマシテハ、出來得ル限
リ畫一的制限ニ依ル障碍ヲ排除致シマシテ、
之ニ對シテ彈力アル指導監督ヲ行ヒ、最高
能率ヲ發揮セシメ、而シテ以テ時局ノ要求
ヲ充足スルノ要アリト信ズルノデアリマス、
尙又戰時ニ於キマシテ特別ノ事情ノ存シマ
スル場合ニハ、平時ナラバ其ノ禁止制限ガ
必要ナリト認メラルヽ事項ト雖モ、特例的
措置ト致シマシテ、之ヲ行フコトヲ容認シ、
或ハ積極的ニ國家的要求トシテ之ヲ行ハシ
メ、以テ國家總力ノ最高度發揮ニ遺憾ナキ
ヲ期スルノ要アリト信ズルノデアリマス、
次ニ又行政事務ガ、其ノ性質ニ從ヒマシ
テ、數箇ノ行政廳ニ所管セラレ、從ッテ指導
監督ガ複雜多岐トナリ、之ガ爲ニ生產事業
其ノ他國民活動ニ障碍ヲ與ヘツヽアル場合
モ少シトシナイノデアリマス、從ヒマシテ
指導監督機構ヲ能フル限リ單純一元化シ、
行政廳ノ指導監督ヲ簡素而モ强力ナラシメ
マスルト共ニ、國家ノ要請スル所及ビ國民
ノ依據スベキ所ヲ簡明直截ナラシメマシテ、
國家總力發揮ニ萬全ヲ期スルノ要アリト考
フルノデアリマス、仍テ政府ハ、生產力ノ
飛躍的擴充强化、其ノ他各般ニ亙リマスル
所ノ綜合國力ノ擴充發揮ノ具體的要求ニ應
ジマスル爲ニ、戰時特別立法ヲ立案致シマ
シタ次第デアリマス、卽チ本法案ノ骨子ハ、
勅令ヲ以チマシテ、第一ハ、法律ニ依ル
人又ハ法人ノ行爲ニ對スル禁止又ハ制限ノ
全部又ハ一部ヲ解除シ、第二ハ、法律ニ依
リ監督又ハ命令、處分其ノ他ノ行爲ヲ爲ス
行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ、他ノ行政廳又ハ
官吏ヲシテ行ハシムルコトヲ得ルコトト爲
サムトスルモノデアリマス、尙今囘政府ハ
特ニ戰時行政職權特例ナル勅令ノ御制定ヲ
奏請致シマシテ、現時局下絕對ニ必要ナル
鐵鋼、石炭、輕金屬、船舶、航空機等ノ重
要軍需物資ノ生產增强ニ關シマシテ、內閣
總理大臣ニ於テ、各省大臣ニ對シ、必要ナ
ル指示ヲ爲シ得ルノ途ヲ拓キ、戰時行政ノ
强力ナル推進統一體制ヲ整備致シマスルト
共ニ、時宜ニ應ジテ、右生產ニ關係アル各
省其ノ他行政官廳及官吏ノ職權ヲ調整シ、
以テ指導監督ノ單純一元化ヲ圖ルコトヲ期
シテ居ル次第デアリマス、以上述べマシタ
ル如ク、本法案ハ、許可認可等臨時措置法
案及ビ先ニ申述べマシタル戰時行政職權
特例案ト相呼應シ、又他ノ行政上ノ措置
ト相俟チマシテ、現時局下各種法的制約ノ
强化及指導監督機構ノ錯雜ヨリ來ル餘弊ヲ
除去シ、國民總員ノ進取而モ潑刺タル自主
的積極的活動ヲ仲暢セシメ、生產力ノ飛躍
的擴充、其ノ他戰力强化ニ資スル所大ナル
モノアリト信ズルノデアリマス、次ニ許可
認可等臨時措置法案ニ付キマシテ御說明ヲ
致シマス、政府ハ、大東亞戰爭ノ完遂、大
東亞建設ノ完成ノ爲ニハ、行政ノ簡素强力
化ヲ徵底的ニ斷行致シマスルコトガ、是非
共必要ト考ヘマシテ、曩ニ行政機構ノ改編
及職員定員ノ減少ヲ實施致シマスルト共ニ、
行政事務其ノモノニ付キマシテモ、出來
得ル限リ簡素化ヲ圖ッテ參ッタノデアリマス、
而シテ從來、各種法制ニ基ク許可、認可等
ヲ要スル事項ガ多數ニ上リ、且重複併存致
シテ居ルコトハ、行政事務ヲ複雜煩瑣ナラ
シメ、延イテハ或ハ生產力擴充ヲ阻害シ、
或ハ國民生活ヲ窮屈ナラシメ、國民公私ノ
敏速潤達ナル活動ヲ妨グル結果ヲ齎シテ居
ル主ナル原因ノ一ヲ成シテ居ルノデアリマ
ス、此ノ實情ニ鑑ミマシテ、政府ハ今日迄、
勅令以下ノ命令又ハ行政的措置ニ依リマ
シテ、機會アル每ニ之ガ簡素化ヲ圖ッテ參ッ
タノデアリマスルガ、此ノ際更ニ之ヲ全面
的而モ徹底的ニ整理スルヲ必要ト認メテ居
ルノデアリマス、之ガ爲ニハ法律ヲ要スル
事項モ少クナイト考ヘラレマスノデ、本法
案ヲ提出シ、之ニ基キ許可、認可等ヲ要シ
マスル事項ニ付テ、勅令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ整理シ、屆出等ヲ以テ許可、認可等ニ換
ヘ、處分行政廳等ヲ變更シ、其ノ他許可、
認可等ノ手續、又ハ處理ノ簡捷化ヲ爲シ得
ルノ途ヲ拓カムトシテ居ル次第デアリマス、
何卒御審議ノ上速カニ協贊アラムコトヲ切
望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=8
-
009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 森山政府委員
〔政府委員森山銳一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=9
-
010・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナッ
テ居リマスル〓育基金特別會計法外二十三
法律ノ廢止ニ關スル法律案ニ付キマシテ、
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、近時法律
ノ數ガ非常ニ多數ニ上ッテ參リマシテ、行政
事務ノ處理モ、勢ヒ複雜煩瑣ニナッテ居ル
次第デゴザイマスルガ、是等多數ノ法律ノ
中ニハ、或ハ時勢ノ變遷ニ伴ヒマシテ、制
定當時ノ事情ニ變化ヲ來シ、旣ニ現在ニ於
テハ、其ノ存置ノ理由ノ比較的薄弱ニナッ
タヤウナモノモアリ、或ハ又其ノ法律ニ依ッ
テ企圖セラレタ所ノ當初ノ目的ガ殆ド達
成セラレテ、最早之ヲ存續セシメテ置ク必
要ノ少クナッタモノモアリ、其ノ他各種事情
ノ變化ニ依リマシテ、現狀ノ下デハ其ノ存
置ノ理由ノ乏シクナッタ法律モ相當アルノ
デゴザイマシテ、是等ノ法律ヲ此ノ際整理
致シマスレバ、煩雜ナ行政ヲ簡素化スルノ
ニ役立ツコトト存ゼラレルノデアリマス、
仍テ此ノ趣旨ニ依リマシテ、政府ニ於キマ
シテハ、今囘現下ノ狀況ニ鑑ミマシテ、存
置ノ理由ノ乏シキモノト認メラレマスル所
ノ〓育基金特別會計法外一一十三法律ヲ廢止
スルコトト致シマシテ、之ガ爲必要ナル法
律案ヲ提出致シタ次第デゴザイマス、何卒
御審議ノ上速カニ御協ヲ與ヘラレムコト
ヲ希望スル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=10
-
011・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
戰時行政特例法案外二件ノ特別委員ノ數ヲ
十五名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長ニ一任
スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=11
-
012・今城定昌
○子爵今城定政君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=12
-
013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=13
-
014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
戰時行政特例法案外二件特別委員
侯爵西〓從德君侯爵淺野長武君
伯爵溝口直亮君子爵谷儀一君
子爵織田信恒君織田萬君
男爵赤松範一君塚本〓治君
伍堂卓雄君男爵山中秀二郞君
男爵近藤滋彌君山岡萬之助君
瀧正雄君竹下豐次君
野田六左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=14
-
015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第四、日本
證劵取引所法案、日程第五、市街地信用組
合法案、日程第六、外貨債處理法案、日程
第七、爲替交易調整特別會計設置等爲替交
易調整法案、日程第八、特殊財產資金特別
會計法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會是等ノ五案ヲ一括シテ議題ト爲スコト
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=15
-
016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、賀屋大藏大臣
日本證劵取引所法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本證劵取引所法案
日本證劵取引所法
第一章總則
第一條日本證劵取引所ハ國家經濟ノ適
切ナル運營ニ資スル爲有價證劵ノ公正
ナル價格ノ形成及價格ノ安定ニ任ジ且
有價證劵ノ流通ヲ圓滑ナラシムルコト
ヲ以テ目的トス
日本證劵取引所ハ法人トス
第二條日本證劵取引所ハ主タル事務所
ヲ東京市ニ置ク
日本證劵取引所ハ主務大臣ノ認可ヲ受
ケ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スル
コトヲ得
第三條日本證劵取引所ノ資本金ハ二億
圓トシ之ヲ四百萬口ニ分チ一口ノ出資
金額ヲ五十圓トス但シ資本金ハ主務大
臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第四條日本證劵取引所ハ出資ニ對シ出
資證劵ヲ發行ス
出資證劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第五條政府ハ五千萬圓ヲ限リ日本證劵
取引所ニ出資スルコトヲ得
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヨハント
第六條日本證劵取引所ノ出資者ノ責任
ハ其ノ出資額ヲ限度トス
出資者ハ日本證劵取引所ニ拂込ムベキ
出資額ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコ
トヲ得ズ
第七條出資者ハ定款ノ定ムル所ニ依リ
其ノ持分ヲ讓渡スルコトヲ得
第八條拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ日
本證劵取引所ガ一月以上ノ相當ノ期間
ヲ定メ拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ
出資者ガ拂込ヲ爲サザルトキハ日本證
劵取引所ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ
出資者ノ持分ヲ處分スルコトヲ得
日本證劵取引所ハ持分ノ處分ニ依リテ
得タル金額ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ
定ムル違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ
從前ノ出資者ニ拂戾スベシ
持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納
金額ニ滿タザル場合ニ於テハ日本證劵
取引所ハ從前ノ出資者ニ對シ不足額ノ
辨濟ヲ請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ日本證劵取引所ガ損害
賠償及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求
ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間內ニ拂込ヲ爲サ
ザルトキハ日本證劵取引所ハ其ノ出資
者ニ對シ二週間以內ニ出資證劵ヲ日本
證券取引所ニ提出スベキ旨ヲ通知スベ
シ此ノ場合ニ於テ提出ナキ出資證劵ハ
其ノ效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ日本證劵取引所ハ
遲滯ナク失效シタル出資證劵ノ番號竝
ニ其ノ出資者ノ氏名及住所ヲ公〓スベ
第九條日本證券取引所ハ定款ヲ以テ左
ノ事項ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額、出資及資產ニ關スル事
項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七會計ニ關スル事項
八公〓ノ方法
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十條日本證券取引所ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ登記ヲ爲スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十一條日本證劵取引所ニ付解散ヲ必
要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其
ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ
定ム
第十二條日本證劵取引所ニ非ザル者ハ
日本證劵取引所又ハ之ニ類似スル名稱
ヲ用フルコトヲ得ズ
第十三條民法第四十四條、第五十條、
第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第一項ノ規定ハ日本
證劵取引所ニ之ヲ準用ス
第二章職員
第十四條日本證劵取引所ニ役員トシテ
總裁一人、副總裁二人、理事五人以上、
監事二人以上及評議員若干人ヲ置ク
第十五條總裁ハ日本證劵取引所ヲ代表
シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本證
劵取引所ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ日本
證劵取引所ノ業務ヲ掌理シ總裁事故ア
ルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノ
トキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本證劵
取引所ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シ
テ日本證劵取引所ノ業務ヲ掌理シ總裁
及副總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキ
ハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ日本證券取引所ノ業務ヲ監査ス■
評議員ハ日本證劵取引所ノ業務ニ關ス
ル重要事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ
總裁ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
總裁ハ主務大臣ノ定ムル事項ニ付テハ
評議員ニ諮問スベシ
第十六條總裁、副總裁、理事、監事及
評議員ハ政府之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ四年、監
事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十七條總裁ハ從タル事務所ノ業務ニ
關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ
爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコ
トヲ得
第十八條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職
業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣
ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十九條日本證劵取引所ノ總裁、副總
裁、理事、監事及使用人竝ニ命令ヲ以テ
定ムル者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問
ハズ有價證劵ヲ賣買取引スル市場(以
下有價證劵市場ト稱ス)ニ於ケル賣
買取引ノ委託ヲ爲シ又ハ取引員トノ間
ニ資金ノ供與、損益ノ分配其ノ他取引
員ノ營業ニ付特別ノ利害關係ヲ有スル
コトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
取引員ノ株式ヲ所有スルハ此ノ限ニ在
ラズ
第二十條日本證劵取引所ノ職員ハ之ヲ
法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做
ス
前項ノ職員ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三章業務
第二十一條日本證劵取引所ハ左ノ業務
ショウ
-有價證劵市場ノ開設
二賣出ノ爲ニスル有價證劵ノ引受又
ハ買入、引受ケ又ハ買入レタル有價
證劵ノ賣出及有價證劵ノ募集又ハ賣
出ノ取扱
三前二號ノ業務ニ附帶スル業務
日本證劵取引所ハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ前項ノ業務ノ外日本證劵取引所
ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコ
トヲ得
第二十二條主務大臣ハ有價證劵ノ價格
ノ安定ノ爲必要アリト認ムルトキハ日
本證劵取引所ヲシテ第一一十七條第一項
ノ規定ニ拘ラズ有價證劵市場ニ於ケル
賣買取引ヲ爲サシメ又ハ賣皆取引ノ委
託ヲ爲サシムルコトヲ得
日本證劵取引所ヲシテ前項ノ用定ニ依
リ有價證劵市場ニ於ケル賣冒而ジント
其ノ委託ヲ爲サシムルニ付必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章有價證劵市場
第二十三條有價證劵市場ハ日本證劵取
引所ニ限リ之ヲ開設スルコトヲ得
何人ト雖モ有價證券市場ニ類似ノ施設
ヲ爲シ又ハ其ノ施設ニ依リ取引ヲ爲ス
コトヲ得ズ
第二十四條日本證劵取引所ハ有價證劵
市場ヲ開設シ又ハ之ヲ閉鎖セントスル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ市場每ニ
主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ日
本證券取引所ニ對シ有價證劵市場ヲ開
設シ又ハ之ヲ閉鎖スベキコトヲ命ズル
コトヲ得
第二十五條日本證劵取引所ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ有價證劵市場ニ於ケル立
會ノ全部又ハ一部ノ停止ヲ爲スコトヲ
得
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ日
本證劵取引所ニ對シ有價證劵市場ニ於
ケル立會ノ全部又ハ一部ヲ停止スベキ
コトヲ命ズルコトヲ得
第二十六條日本證劵取引所ハ有價證劵
市場ニ於ケル取引物件トシテ上場セン
トスル有價證劵ノ銘柄ニ付命令ノ定ム
ル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
上場ヲ廢止セントスル有價證劵ノ銘柄
ニ付亦同ジ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ日
本證劵取引所ニ對シ有價證劵ノ銘柄ヲ
指定シ有價證劵市場ニ於ケル取引物件
トシテ之ヲ上場シ又ハ之ガ上場ヲ廢止
スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第五章取引員
第二十七條有價證券市場ニ於ケル賣買
取引ハ取引員ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
取引員タラントスル者ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
第二十八條取引員タル資格ヲ有スル者
ハ資本金額ガ勅令ヲ以テ定ムル額以上
ノ株式會社ニシテ其ノ資本ノ半額以上
及議決權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國
法人ニ屬スルモノニ限ル
本法ニ依リ取引員ノ免許ヲ取消サレ取
消ノ後五年ヲ經過セザル株式會社又ハ
株式會社ニシテ其ノ取締役若ハ監査役
中左ノ各號ノ一ニ該當スル者アルモノ
ハ取引員タル資格ヲ有セズ
一帝國臣民ニ非ザル者
二破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三本法ニ依リ罰金以上ノ刑ニ處セラ
レ又ハ他ノ法令ニ依リ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行
ヲ受クルコトナキニ至リタル後五年
ヲ經過セザル者
第二十九條取引員ノ資本ノ半額以上又
ハ議決權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國
法人ニ屬セザルニ至リタルトキハ主務
大臣ハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
取引員ノ取締役又ハ監査役中前條第二
項各號ノ一ニ該當スル者アルニ至リタ
ルトキハ取引員ハ其ノ取締役又ハ監査
役ヲ解任スベシ
前項ノ場合ニ於テ取引員ガ一月以内ニ
其ノ取締役又ハ監査役ヲ解任セザルト
キハ主務大臣ハ其ノ免許ヲ取消スコト
ヲ得
第三十條取引員ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ日本證券取引所ニ營業保證金ヲ納付
スベシ
第三十一條取引員ハ左ノ場合ニ於テハ
命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
一商號ヲ變更セントスルトキ
二資本金額ヲ變更セントスルトキ
三支店其ノ他ノ本店以外ノ營業所ニ
於テ有價證劵市場ニ於ケル賣買取引
ノ取扱ヲ爲シ又ハ有價證劵市場ニ於
ケル賣買取引ノ取扱ヲ爲ス代理店ヲ
設置セントスルトキ
四本店其ノ他有價證劵市場ニ於ケル
賣買取引ノ取扱ヲ爲ス營業所ノ位置
ヲ變更セントスルトキ
第三十二條取引員ハ有價證劵引受業法
ニ依リ有價證劵引受業ヲ營ミ又ハ有價
證劵業取締法ニ依リ有價證劵業ヲ營ム
場合ヲ除クノ外他ノ業務ヲ營マントス
ルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十三條取引員ハ其ノ資本ノ總額ニ
達スル迄ハ每決算期ノ利益ノ十分ノ
以上ヲ準備金トシテ積立ツベシ
第三十四條取引員ハ主務大臣ノ定ムル
所ニ依リ每營業年度ニ業務報告書ヲ作
成シ每營業年度經過後一一月以内ニ之ヲ
主務大臣ニ提出スベシ
第三十五條取引員ハ每營業年度ニ主務
大臣ノ定ムル所ニ依リ貸借對照表ヲ公
告スベシ
第三十六條主務大臣ハ有價證劵ノ公正
ナル價格ノ形成若ハ價格ノ安定ノ爲又
ハ有價證劵ノ流通ヲ圓滑ナラシムル爲
必要アリト認ムルトキハ取引員ニ對シ
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ニ關シ
必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十七條主務大臣ハ必要アリト認ム
ルトキハ取引員ヨリ其ノ業務及財產ノ
狀況ニ關シ報〓ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲ
シテ其ノ營業所其ノ他必要ナル場所ニ
臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他
ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢
檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ
示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十八條取引員ガ法令若ハ法令ニ基
キテ爲ス主務大臣ノ命令若ハ處分ニ違
反シ又ハ公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタ
ルトキハ主務大臣ハ其ノ營業ノ停止若
ハ取締役監査役ノ解任ヲ命ジ又ハ其ノ
免許ヲ取消スコトヲ得
第三十九條主務大臣ハ取引員ノ業務又
ハ財產ノ狀況ニ依リ必要アリト認ムル
トキハ其ノ營業ノ停止其ノ他必要ナル
事項ヲ命ズルコトヲ得
主務大臣ハ前項ノ規定ニ依リ營業ノ停
止ヲ命ゼラレタル取引員ニ對シ必要ア
リト認ムルトキハ其ノ免許ヲ取消スコ
トヲ得
第四十條日本證劵取引所ハ有價證劵ノ
公正ナル價格ノ形成若ハ價格ノ安定ノ
爲又ハ有價證劵ノ流通ヲ圓滑ナラシム
ル爲必要アリト認ムルトキハ主務大臣
ノ認可ヲ受ケ取引員ニ對シ有價證劵市
場ニ於ケル賣買取引ニ關シ必要ナル指
示ヲ爲スコトヲ得
第四十一條日本證劵取引所ハ有價證劵
市場ノ秩序ヲ保持スル爲必要アリト認
ムルトキハ業務規程ノ定ムル所ニ依リ
取引員ニ對シ有價證劵市場ニ於ケル賣
買取引ノ差止ヲ爲シ、其ノ營業ノ停止
ヲ命ジ又ハ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第四十二條日本證劵取引所ハ必要アリ
ト認ムルトキハ取引員ヨリ其ノ業務及
財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ徵スルコトヲ
得
第四十三條取引員營業ヲ廢止シタル後
ト雖モ有價證劵市場ニ於ケル賣買取引
ノ結了ノ目的ノ範圍內ニ於テハ其ノ結
了ニ至ル迄、監督ノ目的ノ範圍內ニ於
テハ有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ
結了後一月ヲ經過スル迄仍其ノ營業ヲ
廢止セザルモノト看做ス取引員解散シ
又ハ其ノ免許ガ取消サレタル後亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ取引員ノ業務ヲ行フ
者ナキトキハ日本證劵取引所ハ業務規
程ノ定ムル所ニ依リ他ノ取引員ヲシテ
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ結了
ノ爲必要ナル業務ヲ行ハシムルコトヲ
得
第四十四條取引員ハ第二十八條第一一項
各號ノ一ニ該當スル者ヲ其ノ支配人其
ノ他命令ヲ以テ定ムル使用人ト爲スコ
トヲ得ズ
第四十五條何人ト雖モ有價證劵市場ニ
於ケル賣買取引ノ委託ノ代理、媒介又
ハ取次ヲ營業ト爲スコトヲ得ズ但シ取
引員ガ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ爲シ
又ハ取引員ノ代理店主ガ當該取引員ニ
對スル有價證劵市場ニ於ケル賣買取引
ノ委託ノ媒介ヲ爲スハ此ノ限ニ在ラズ
第六章賣買取引
第四十六條有價證劵市場ニ於ケル賣買
取引ハ實物取引及〓算取引ノ二種トス
實物取引ニ在リテハ差金ノ授受ニ依リ
其ノ決濟ヲ爲スコトヲ得ズ
有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ期限
ハ勅令ヲ以テ定ムル期間ヲ超ユルコト
ヲ得ズ
第四十七條日本證劵取引所ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ有價證劵市場ニ於テ行フ
賣買取引ノ種類ニ付主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
ジ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ日
本證劵取引所ニ對シ有價證劵市場ニ於
テ行フ賣買取引ノ種類ニ付必要ナル事
項ヲ命ズルコトヲ得
第四十八條日本證劵取引所ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ有
價證劵市場ニ於ケル賣買取引ニ付取引
員ヲシテ賣買證據金及賣買手數料ヲ納
付セシムルコトヲ得
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ日
本證劵取引所ニ對シ賣買證據金又ハ賣
買手數料ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズル
コトヲ得
第四十九條取引員ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ有價證劵市
場ニ於ケル賣買取引ノ受託ニ付委託證
據金及委託手數料ヲ徵スルコトヲ得
取引員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ有價證
劵市場ニ於ケル賣買取引ノ受託ニ關シ
受託契約準則ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ取
引員ニ對シ委託證據金、委託手數料又
ハ受託契約準則ニ關シ必要ナル事項ヲ
命ズルコトヲ得
第五十條有價證劵市場ニ於ケル賣買取
引ニ關スル受渡其ノ他ノ決濟ハ日本證
劵取引所之ヲ管理ス
前項ノ受渡其ノ他ノ決濟ハ業務規程ノ
定ムル所ニ依リ日本證劵取引所ヲ經テ
之ヲ爲スベシ
第五十一條日本證劵取引所ハ取引員ニ
シテ有價證劵市場ニ於ケル賣買取引ニ
關シ其ノ責任ヲ履行セザルモノアルト
キハ業務規程ノ定ムル所ニ依リ其ノ取
引員ノ有價證劵市場ニ於ケル一切ノ賣
買取引ヲ處理スベシ
第五十二條前條ノ場合ニ於テ同條ノ取
引員以外ノ取引員ニ付生ズル損害ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ日本證劵取引所之
ガ賠償ノ責ニ任ズ
日本證劵取引所ハ前項ノ規定ニ依リ損
害ヲ賠償シタルトキハ前條ノ取引員ニ
對シ其ノ賠償シタル金額及之ニ要シタ
ル費用ニ付求償權ヲ有ス
第五十三條日本證劵取引所ハ前條第二
項ノ求償權其ノ他有價證劵市場ニ於ケ
ル賣買取引ニ關シ取引員ニ對シ有スル
債權ニ關シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
取引員ノ賣買證據金及營業保證金ニ付
他ノ債權者ニ先チ辨濟ヲ受クルノ權利
ヲ有ス
取引員ニ對シ有價證劵市場ニ於ケル賣
買取引ノ委託ヲ爲シタル者ハ當該委託
契約ニ基キテ生ズル債權ニ關シ其ノ取
引員ノ賣買證據金及營業保證金ニ付他
ノ債權者ニ先チ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ
有ス
第一項ノ規定ニ依ル優先權ハ前項ノ規
定ニ依ル優先權ニ對シ優先ノ效力ヲ有
ス
第五十四條取引員ハ委託ヲ受ケタル有
價證劵市場ニ於ケル賣買取引ニ付有價
證劵市場ニ於テ其ノ賣付、買付又ハ受
渡ヲ爲サズシテ之ヲ爲シタルト同一又
ハ類似ノ計算ヲ以テ委託者ニ對シ其ノ
決濟ヲ爲スコトヲ得ズ
第五十五條日本證劵取引所ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ有價證券市場ニ於ケル公
定相場ヲ決定シ之ヲ公示スベシ
日本證劵取引所ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ有價證劵市場ニ於ケル各取引員ノ賣
買高ヲ公示スベシ
第七章會計及補助
第五十六條日本證劵取引所ノ事業年度
ハ四月ヨリ翌年三月迄トス
第五十七條日本證劵取引所ハ主務大臣
ノ定ムル所ニ依リ設立ノ時及每事業年
度ニ財產目錄、貸借對照表及損益計算
書ヲ作成シ設立後及每事業年度經過後
二月以內ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ承認
ヲ受クベシ
第五十八條日本證劵取引所ハ左ノ方法
ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スル
コトヲ得ズ
一國債、地方債其ノ他主務大臣ノ認
可ヲ受ケタル有價證劵ノ取得
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金
第五十九條日本證劵取引所借入金ヲ爲
サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受
クハン
第六十條日本證劵取引所剩餘金ノ處分
ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第六十一條日本證劵取引所ハ主務大臣
ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ニ剩餘金
ノ十分ノ一以內ヲ準備金トシテ積立ツ
ベシ
第六十二條日本證劵取引所ノ每事業年
度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政
府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ
年百分ノ五ノ割合ニ達セザルトキ剩
餘金額ナキトキ及損失ヲ生ジタルトキ
ヲ含ム)ハ政府ハ之ニ達セシムベキ金
額ヲ補給スベシ
每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘
金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ超過スル
トキハ其ノ超過金額ハ先ヅ之ヲ前項ノ
規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
前條ノ準備金中損失ノ塡補又ハ配當準
備ノ爲積立テタル金額及第六十六條ノ
規定ニ依リ積立テタル金額ハ後事業年
度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金
ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ剩餘
金ト看做ス
第六十三條日本證劵取引所ハ每事業年
度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額前
條第二項ノ規定ニ依リ償還ニ充ツベキ
金額アルトキハ之ヲ控除シタル殘額ト
ス以下同ジ)ガ政府以外ノ出資者ノ拂
込出資金額ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ
超過セザルトキハ政府ノ出資ニ對シ剩
餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
日本證劵取引所ハ每事業年度ニ於ケル配
當シ得ベキ剩餘金額ガ拂込出資金額ニ
對シ年百分ノ五ノ割合ニ達セザル場合ニ
於テ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額
ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ超過スルト
キハ其ノ超過金額ヲ政府ニ配當スベシ
第六十四條日本證劵取引所ノ每事業年
度ニ於ケル剩餘金ノ配當ハ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スル
コトヲ得ズ
第六十五條日本證劵取引所ハ每事業年
度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ拂
込出資金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超過スルトキハ其ノ超過金額ノ四分ノ
三ヲ每事業年度經過後二月以內ニ政府
ニ納付スベシ
第六十六條日本證券取引所ハ每事業年
度ニ於テ前五條ノ規定ニ依リ剩餘金ノ
處分ヲ爲シタル後仍殘餘アルトキハ主
務大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ準備金ト
シテ積立ツベシ
第六十七條日本證券取引所ハ主務大臣
ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ノ事業ノ
〓況ヲ公〓スベシ
第六十八條日本證劵取引所ガ第二十一
條第一項第二號ノ規定ニ依リ有價證劵
ヲ買入ルル場合ニ於ケル有價證劵ノ移
轉ニ付テハ有價證劵移轉稅ヲ課セズ
第六十九條日本證劵取引所ガ第六十二
條第一項ノ規定ニ依リ受クル補給金ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ法人稅法ニ依ル
所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得
稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算
入セズ
第八章監督
第七十條日本證劵取引所ハ主務大臣之
ヲ監督ス
第七十一條主務大臣ハ日本證劵取引所
ノ目的達成上特ニ必要アリト認ムルト
キハ日本證劵取引所ニ對シ必要ナル業
務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他
必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第七十二條日本證劵取引所ハ業務開始
ノ際業務規程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
第七十三條主務大臣ハ日本證劵取引所
ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必
要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコト
ヲ得
第七十四條主務大臣ハ日本證劵取引所
監理官ヲ置キ日本證券取引所ノ業務ヲ
監視セシム
第七十五條日本證券取引所監理官ハ何
時ニテモ日本證劵取引所ノ業務及財產
ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
日本證劵取引所監理官ハ何時ニテモ日
本證劵取引所ニ命ジ業務及財產ノ狀況
ヲ報〓セシムルコトヲ得
日本證劵取引所監理官ハ日本證劵取引
所ノ諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ述ブル
コトヲ得
第七十六條日本證劵取引所ノ役員ガ法
令、定款若ハ法令ニ基キテ爲ス七務大
臣ノ命令若ハ處分ニ違反シ又ハ公益ヲ
害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ
之ヲ解任スルコトヲ得
第九章雜則
第七十七條本法ニ依リ主務大臣ノ行フ
ベキ職權ノ一部ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ之ヲ日本證劵取引所ヲシテ行ハシム
ルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ必要ナル經費ハ日本
證劵取引所ノ負擔トス
第七十八條日本證劵取引所ハ必要アリ
ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
有價證券市場ニ於ケル取引物件トシテ
上場セラルル有價證劵ヲ發行シタル會
社ヨリ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ
徵スルコトヲ得
第七十九條有價證劵市場ニ於ケル賣買
取引ノ方法其ノ他本法ノ施行ニ關スル
重要事項ニ付主務大臣ノ諮問ニ應ズル
爲右價證劵取引委員會ヲ置ク
有價證券取引委員會ノ組織及權限ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十條本法ニ規定スルモノノ外有價
證劵市場、取引員、取引員ノ代理店及
使用人竝ニ有價證劵市場ニ於ケル賣買
取引ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十章罰則
第八十一條有價證劵市場ニ於ケル相場
ノ變動ヲ圖ル目的ヲ以テ虛僞ノ風說ヲ
流布シ、僞計ヲ用ヒ又ハ暴行若ハ脅迫
ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十二條有價證劵市場ニ類似ノ施設
ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五
千圓以下ノ罰金ニ處ス
有價證劵市場ニ類似ノ施設ニ依リ取引
ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ一年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰
金ニ處ス
一有價證劵市場ニ於ケル相場ヲ僞リ
テ公示シタル者
二公示若ハ頒布ノ目的ヲ以テ虛僞ノ
相場ヲ記載シタル文書ヲ作成シ又ハ
之ヲ頒布シタル者
第八十四條有價證劵市場ニ依ラズシテ
有價證劵市場ニ於ケル相場ニ依リ差金
ノ授受ヲ目的トスル行爲ヲ爲シタル者
ハ一年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰
金ニ處ス但シ刑法第百八十六條ノ規定
ノ適用ヲ妨ゲズ
第八十五條第十九條ノ規定ニ違反シ有
價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ委託ヲ
爲シ又ハ取引員トノ間ニ其ノ營業ニ付
特別ノ利害關係ヲ生ズルコトヲ目的ト
スル行爲ヲ爲シタル者ハ五千圓以下ノ
罰金ニ處ス
第八十六條第三十一條第三號ノ規定ニ
違反シ認可ヲ受ケズシテ支店其ノ他ノ
本店以外ノ營業所ニ於テ有價證劵市場
ニ於ケル賣買取引ノ取扱ヲ爲シ若ハ有
價證劵市場ニ於ケル賣買取引ノ取扱ヲ
爲ス代理店ヲ設置シタル者又ハ第四十
五條ノ規定ニ違反シタル者ハ五千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第八十七條當該官吏、有價證劵取引委
員會ノ會長委員幹事若ハ第二十條ニ規
定スル日本證劵取引所ノ職員又ハ其ノ
職ニ在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ
關シ知得タル法人又ハ人ノ業務上ノ祕
密ヲ漏洩シ又ハ〓用シタルトキハ三千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第三十一條第一號、第二號又ハ第
四號ノ規定ニ依リ認可ヲ受クベキ事
項ヲ認可ヲ受ケズシテ爲シタル者
二第三十二條ノ規定ニ違反シ認可ヲ
受ケズシテ他ノ業務ヲ營ミタル者
三第三十三條ノ規定ニ違反シ準備金
ヲ積立テザル者
四第三十四條ノ規定ニ依ル業務報告
書ノ提出ヲ爲サズ又ハ之ニ記載スベ
キ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ
爲シタル者
五第三十五條ノ規定ニ違反シ公告ヲ
爲サズ又ハ不正ノ公〓ヲ爲シタル者
六第三十六條又ハ第三十九條第一項
ノ規定ニ依ル主務大臣ノ命令ニ違反
シタル者
七第三十七條第一項又ハ第四十二條
ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ又ハ虛僞
ノ報告ヲ爲シタル者
八第三十七條第一項ノ規定ニ依ル臨
檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル
者
第八十九條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第八十二
條乃至第八十四條、第八十六條又ハ前
條第一號乃至第七號ノ違反行爲ヲ爲シ
タルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指
揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免
ルルコトヲ得ズ
第九十條第八十二條乃至第八十四條、
第八十六條及第八十八條第一號乃至第
七號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理
事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルト
キハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ
營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス
ル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九十一條前二條ノ場合ニ於テハ懲役
ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
第九十二條左ノ場合ニ於テハ日本證劵
取引所ノ總裁、副總裁、理事、監事又ハ
第十七條ノ規定ニ依ル代理人ヲ千圓以
下ノ過料ニ處ス
一本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其
ノ認可ヲ受ケザルトキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ行ヒタル
トキ
三第五十八條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
四主務大臣ノ命令又ハ處分ニ違反シ
タルトキ
五第七十五條第一項又ハ第二項ノ規
定ニ依ル日本證劵取引所監理官ノ檢
査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ
命ズル報告ヲ爲サザルトキ
第九十三條左ノ場合ニ於テハ前條ニ揭
グル者ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
二第五十七條ノ規定ニ依ル書類ヲ作
成セザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ
事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲
シタルトキ又ハ其ノ書類ニ付主務大
臣ノ承認ヲ受ケザルトキ
第九十四條第十二條ノ規定ニ違反シ日
本證劵取引所又ハ之ニ類似スル名稱ヲ
用ヒタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第九十五條本法施行ノ期日ハ各條ニ付
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十六條取引所法ニ依ル取引所ニシ
テ本條ノ規定施行ノ際現ニ存スルモノ
(以下舊取引所ト稱ス)ハ第九十七條乃
至第百六條ノ規定ニ依リ日本證劵取引
所ト爲ルモノトス
第九十七條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ
日本證劵取引所ノ設立ニ關スル事務ヲ
處理セシム
第九十八條前條ノ規定ニ依ル設立委員
ノ任命アリタル後ハ舊取引所ノ業務ヲ
執行スル役員ハ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ舊取引所ノ常務ニ屬セザ
ル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
舊取引所ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ株劵
ノ名義書換ヲ停止スベシ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ舊
取引所ニ對シ賣買取引ノ制限其ノ他必
要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第九十九條設立委員ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ舊取引所ノ株式ニ對シ日本證劵
取引所ノ出資ノ引當ヲ爲シ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ
主務大臣前項ノ認可ヲ爲サントスルト
キハ取引所資產評價委員會ノ議ヲ經ベ
シ
取引所資產評價委員會ノ組織及權限ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百條前條第一項ノ認可アリタルトキ
ハ設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ
第百一條前條ノ認可アリタルトキハ設
立委員ハ總出資ヨリ政府ノ引受ケタル
出資及舊取引所ノ株式ニ引當テタル出
資ヲ控除シタル殘餘ノ出資ニ付出資者
ヲ募集スベシ
第百二條設立委員ハ前條ノ募集ヲ終リ
タルトキハ出資申込書ヲ主務大臣ニ提
出シ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員
ハ遲滯ナク舊取引所ノ株式ニ引當テタ
ル出資以外ノ出資ニ付拂込ヲ爲サシム
ベシ
第百三條前條第二項ノ拂込完了シタル
トキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ
日本證劵取引所總裁ニ引渡スベシ
日本證劵取引所總裁ハ前項ノ事務ノ引
渡ヲ受ケタルトキハ主タル事務所ノ所
在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
日本證劵取引所ハ前項ノ登記ヲ爲スニ
因リテ成立ス
第百四條日本證劵取引所ノ成立ニ因リ
舊取引所ハ之ニ吸收セラルルモノトシ
舊取引所ノ權利義務ハ日本證劵取引所
ニ於テ之ヲ承繼ス
第百五條舊取引所ノ株式ヲ目的トスル
質權ハ第九十九條第一項ノ規定ニ依リ
其ノ株式ニ對シ引當テラレタル出資ノ
持分又ハ同項ノ規定ニ基キテ發スル勅
令ニ依リ交付セラレタル金錢アルトキ
ハ其ノ金錢ノ上ニ存在ス
第百六條本法ニ規定スルモノノ外日本
證劵取引所ノ設立ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百七條日本證劵取引所ガ第百四條ノ
規定ニ依リ承繼シタル不動產ニ關スル
權利ノ取得ニ付登記ヲ受クル場合ニ於
テハ其ノ登錄稅ノ額ハ不動產ノ價格ノ
千分ノ三トス但シ登〓稅法ニ依リ算出
シタル登錄稅ノ額ガ本條ノ規定ニ依リ
算出シタル稅額ヨリ少キトキハ其ノ額
· 氏族)
第百四條ノ規定ニ依ル舊取引所ヨリ日
本證劵取引所へノ有價證劵ノ移轉ニ付
テハ有價證劵移轉稅ヲ課セズ
第百八條取引所法ハ有價證劵ニ關シテ
ハ之ヲ適用セズ
前項ノ規定施行前ニ爲シタル舊取引所
ニ於ケル有價證劵ノ賣買取引ニ關シ必
要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ規定施行前有價證劵ニ關スル
行爲ニシテ取引所法ノ罰則ヲ適用スベ
カリシモノニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第百九條日本證劵取引所成立ノ際現ニ
舊取引所ノ有價證劵ヲ賣買取引スル取
引員タル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日
本證劵取引所成立ノ日ヨリ三年ヲ限リ
第二十七條第二項ノ規定ニ依リ免許ヲ
受ケタル取引員ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ同項ノ取引員ガ取引
所法第十四條ノ規定ニ依リ舊取引所ニ
納付シタル身元保證金ノ處置ニ關シテ
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ取引員ニシテ會社ニ非ザルモ
ノガ第二十八條第二項各號ノ一ニ該當
スルニ至リタルトキハ主務大臣ハ其ノ
免許ヲ取消スコトヲ得
第一項ノ取引員ガ第三十二條ノ規定施
行ノ際現ニ有價證劵引受業法ニ依リ有
價證劵引受業ヲ營ミ又ハ有價證券業取
締法ニ依リ有價證劵業ヲ營ム場合ヲ除
クノ外他ノ業務ヲ營ム者ナルトキハ其
ノ業務ニ關シテハ同條ノ規定施行ノ日
ヨリ六月ヲ限リ同條ノ規定ニ依リ認可
ヲ受ケタルモノト看做ス
第四十三條ノ規定ハ第一項ノ取引員ガ
死亡シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百十條取引所法ニ依リ取引員ノ免許
ヲ取消サレ又ハ除名セラレタル會社ハ
第二十八條第二項ノ規定ノ適用ニ付テ
ハ之ヲ本法ニ依リ免許ヲ取消サレタル
者ト看做ス
取引所法ニ依リ罰金以上ノ刑ニ處セラ
レタル者ハ第二十八條第二項、第二十
九條第二項及前條第三項ノ規定ノ適用
ニ付テハ之ヲ本法ニ依リ罰金以上ノ刑
ニ處セラレタル者ト看做ス
第二十八條第二項及第二十九條第二項
ノ規定ハ株式會社ニシテ其ノ取締役又ハ
監査役中本法ニ依リ取引員ノ免許ヲ取
消サレ又ハ取引所法ニ依リ取引員ノ免
許ヲ取消サレ若ハ除名セラレ取消又ハ
除名ノ後五年ヲ經過セザル者アルモノ
ニ之ヲ準用ス
取引員ハ取引所法ニ依リ罰金以上ノ刑
ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ
受クルコトナキニ至リタル後五年ヲ經
過セザル者及本法ニ依リ取引員ノ免許
ヲ取消サレ又ハ取引所法ニ依リ取引員
ノ免許ヲ取消サレ若ハ除名セラレ取消
又ハ除名ノ後五年ヲ經過セザル者ヲ其
ノ支配人其ノ他命令ヲ以テ定ムル使用
人ト爲スコトヲ得ズ
第百十一條第十二條ノ規定施行ノ際現
ニ日本證劵取引所又ハ之ニ類似スル名
稱ヲ用フル者ハ同條ノ規定施行ノ日ヨ
リ六月以內ニ其ノ名稱ヲ變更スベシ
第九十四條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ
同項ニ揭グル者ニ適用セズ
第百十二條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「日本銀行、」ノ下ニ
「日本證劵取引所、」ヲ、「日本銀行法、」
ノ下ニ「日本證劵取引所法、」ヲ加フ
第百十三條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第四號ノ三ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四ノ四日本證劵取引所ノ發スル出
資證劵
第百十四條有價證劵業取締法中左ノ通
改正ス
第一條第一項中「及戰時金融金庫」ヲ
「、戰時金融金庫及日本證劵取引所」ニ
改ム
市街地信用組合法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
市街地信用組合法案
市街地信用組合法
第一章總則
第一條市街地信用組合ハ組合員ノ產業
又ハ經濟ニ必要ナル金融事業ヲ行フコ
トヲ目的トス
市街地信用組合ハ法人トス
第二條市街地信用組合ハ其ノ名稱中ニ
信用組合ナル文字ヲ用フルコトヲ要ス
市街地信用組合ニ非ザルモノハ產業組
合法ニ依ル信用組合ヲ除クノ外其ノ名
稱中ニ信用組合タルコトヲ示スベキ文
字ヲ用フルコトヲ得ズ
產業組合法第四條第二項ノ規定ハ市街
地信用組合ニハ之ヲ適用セズ
第三條市街地信用組合ニハ所得稅、法
人稅及營業稅ヲ課セズ
第四條本法ニ基キテ發スル勅令ニ依リ
登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ
之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第五條本法ニ用定スルモノノ外市街地
信用組合ノ登記ニ關シ必要ナル事明ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條民法第四十四條第一項及第五十
條ノ規定ハ市街地信用組合ニ之ヲ準用
ス
第二章設立
第七條市街地信用組合ヲ設立セントス
ル者ハ其ノ設立ニ付主務大臣ノ認可ヲ
受クルコトヲ要ス
前項ノ認可ヲ受ケントスル者ハ申請書
ニ定款及業務方法ヲ記載シタル書面ヲ
添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スルコトヲ
要ス
第八條定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ設立
者之ニ署名捺印スルコトヲ要ス
-目的
二名稱
三地區
四事務所ノ所在地
五役員及會議ニ關スル事項
六組合員ニ關スル事項
七出資ニ關スル事項
八業務及其ノ執行ニ關スル事項
九會計ニ關スル事項
十存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタ
ルトキハ其ノ時期又ハ事由
十一公〓ノ方法
第九條第七條第一項ノ認可アリタルト
キハ組合長、理事及監事ノ全員ハ設立
ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
市街地信用組合ハ設立ノ登記ヲ爲スニ
因リテ成立ス
第三章機關
第十條市街地信用組合ニ組合長一人、
理事二人以上及監事一人以上ヲ置ク
第十一條組合長ハ市街地信用組合ヲ代
表シ其ノ業務ヲ總理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ市街地信
用組合ヲ代表シ組合長ヲ輔佐シテ市街
地信用組合ノ業務ヲ掌理シ組合長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ組合長缺
員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ市街地信用組合ノ業務ヲ監査ス
第十二條組合長、理事及監事ハ總會ノ
決議ヲ以テ之ヲ選任ス但シ市街地信用
組合設立ノ當時ノ組合長、理事及監事
ハ定款ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ要ス
組合長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任
期ハ二年トス但シ定款ニ別段ノ定アル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
組合長、理事及監事ハ其ノ任期中ト雖
モ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコト
ヲ得
第一項及前項ノ決議ハ總組合員ノ半數
以上出席シ其ノ議決權ノ三分ノ二以上
ヲ以テ之ヲ爲ス
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ第二十二條
ニ於テ準用スル民法第六十六條ノ規定
ニ依リ議決權ナキ組合員ハ之ヲ總組合
員ノ員數ニ算入セズ
第一項ノ規定ニ依ル組合長及理事ノ選
任竝ニ第三項ノ規定ニ依ル組合長及理
事ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ
非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十三條組合長ハ定款及總會ノ決議錄
ヲ各事務所ニ、組合員名簿ヲ主タル事
務所ニ備置クコトヲ要ス
前項ノ組合員名簿ニハ左ノ事項ヲ記載
スルコトヲ要ス
ー各組合員ノ氏名及住所
二各組合員ノ出資口數
三各組合員ノ拂込ミタル金額
組合員及市街地信用組合ノ債權者ハ第
一項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコト
ヲ得
第十四條組合長ハ定款ノ定ムル所ニ依
リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁
判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有
スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十五條組合長及理事ハ監事ノ承認ヲ
得タルトキニ限リ自己又ハ第三者ノ爲
ニ市街地信用組合ト取引ヲ爲スコトヲ
得此ノ場合ニ於テハ民法第百八條ノ規
定ヲ適用セズ
第十六條市街地信用組合ガ組合長若ハ
理事ニ對シ又ハ組合長若ハ理事ガ市街
地信用組合ニ對シ訴ヲ提起スル場合ニ
於テハ其ノ訴ニ付テハ監事市街地信用
組合ヲ代表ス但シ總會ハ他人ヲシテ之
ヲ代表セシムルコトヲ得
第十七條監事ハ組合長、理事、第十四
條ノ規定ニ依ル代理人又ハ市街地信用
組合ノ事務員ヲ兼ヌルコトヲ得ズ
第十八條組合長、理事又ハ監事ガ其ノ
任務ヲ怠リタルトキハ其ノ組合長、理
事又ハ監事ハ市街地信用組合ニ對シ連
帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
組合長、理事又ハ監事ガ法令又ハ定款
ニ違反スル行爲ヲ爲シタルトキハ總會
ノ決議ニ依リタル場合ト雖モ其ノ組合
長、理事又ハ監事ハ第三者ニ對シ連帶
シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第十九條組合長ハ每事業年度一囘通常
總會ヲ招集スルコトヲ要ス
組合長必要アリト認ムルトキハ何時ニ
テモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第二十條組合員ハ總組合員五分ノ一以
上ノ同意ヲ得テ會議ノ目的タル事項及
招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ組合長
ニ提出シテ總會ノ招集ヲ請求スルコト
ヲ得
前項ノ請求アリタル後一一週間以內ニ組
合長ガ正當ノ事由ナクシテ總會招集ノ
手續ヲ爲サザルトキハ請求ヲ爲シタル
組合員ハ主務大臣ノ許可ヲ得テ其ノ招
集ヲ爲スコトヲ得
第二十一條總會ノ決議ハ本法又ハ定款
ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席シ
タル組合員ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之
ヲ爲ス
組合員ハ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行
使フルコトヲ得
第二十二條民法第六十二條、第六十四
條、第六十五條第一項及第六十六條ノ
規定ハ市街地信用組合ニ之ヲ準用ス
第二十三條市街地信用組合ハ定款ノ定
ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ
設クルコトヲ得
總會ニ關スル規定ハ前項ノ總代會ニ之
ヲ準用ス但シ總代會ニ於テハ出資一口
ノ金額ノ減少、解散、合併及事業全部
ノ讓渡ノ決議ヲ爲スコトヲ得ズ
第四章組合員
第二十四條組合員ハ市街地居住者其ノ
他之ニ準ズペキ者ニシテ勅令ヲ以テ定
ムルモノニ限ル
法人ハ勅令ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ
外市街地信用組合ノ組合員ト爲ルコト
ヲ得ズ
第二十五條組合員ハ出資一口以上ヲ有
スルコトヲ要ス
組合員ノ有スベキ出資口數ハ五十口ヲ
超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル
トキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加
スルコトヲ得
出資一口ノ金額ハ均一ナルコトヲ要ス
第二十六條組合員ノ責任ハ其ノ出資額
ヲ限度トス
組合員ハ其ノ拂込ムベキ出資額ニ付相
殺ヲ以テ市街地信用組合ニ對抗スルコ
トヲ得ズ
第二十七條組合員ハ市街地信用組合ノ
承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ヲ讓渡ス
コトヲ得ズ
第二十八條市街地信用組合ハ組合員ノ
持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテル
ヲ受クルコトヲ得ズ但シ市街地信用組
合ノ權利ノ實行ニ當リ其ノ目的ヲ達ス
ル爲必要ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
市街地信用組合前項但書ノ規定ニ依リ
組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的
トシテ之ヲ受ケタル場合ニ於テハ相當
ノ時期ニ之ヲ處分スルコトヲ要ス
第二十九條本法ニ規定スルモノノ外組
合員ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五章業務
第三十條市街地信用組合ハ左ノ業務ヲ
行フ
一組合員ニ對スル資金ノ貸付
二組合員ノ爲ニスル手形ノ割引
三組合員ノ貯金又ハ定期積金ノ受入
四前各號ノ業務ニ附隨スル業務
市街地信用組合ハ前項ノ業務ノ外公共
團體、營利ヲ目的トセザル法人其ノ他
命令ヲ以テ定ムル者ノ貯金若ハ定期積
金ノ受入ヲ爲シ又ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ他ノ法人ノ業務ノ取扱ヲ爲スコト
ヲ得
第三十一條市街地信用組合ハ左ノ方法
ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スル
コトヲ得ズ
銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル金融
機關ヘノ預金又ハ金錢信託
二大藏省預金部ヘノ預金又ハ郵便貯
金
三國債其ノ他主務大臣ノ認可ヲ受ケ
タル有價證劵ノ取得
第三十二條主務大臣ハ市街地信用組合
ノ行フ資金ノ吸收及運用ニ關シ必要ナ
ル命令ヲ爲スコトヲ得
第六章會計
第三十三條市街地信用組合ノ事業年度
ハ四月ヨリ翌年三月迄トス但シ定款ヲ
以テ四月ヨリ九月迄及十月ヨリ翌年三
月迄ト爲スコトヲ得
第三十四條組合長ハ通常總會ノ會日ヨ
リ一週間前ニ財產目錄、貸借對照表、
事業報告書、損益計算書及剩餘金處分
案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所
ニ備置クコトヲ要ス
組合員及市街地信用組合ノ債權者ハ前
項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ
得
第三十五條組合長ハ前條第一項ニ揭グ
ル書類及監事ノ意見書ヲ通常總會ニ提
出シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第三十六條市街地信用組合ハ出資總額
ニ相當スル金額ニ達スル迄ハ每事業年
度ノ剩餘金ノ四分ノ一以上ヲ準備金ト
シテ積立ツルコトヲ要ス
前項ノ準備金ハ出資ノ缺損ノ塡補ニ充
ツル場合ヲ除クノ外之ヲ使用スルコト
ヲ得ズ
第三十七條本法ニ規定スルモノノ外市
街地信用組合ノ剩餘金ノ處分其ノ他經
理ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第七章定款ノ變更
第三十八條定款ノ變更ヲ爲スニハ總會
ノ決議アルコトヲ要ス
第十二條第四項乃至第六項ノ規定ハ前
項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十九條市街地信用組合ガ出資一口
ノ金額ノ減少ノ決議ヲ爲シタルトキハ
其ノ決議ノ日ヨリ二週間以内ニ財產目
錄及貸借對照表ヲ作成スルコトヲ要ス
市街地信用組合ハ前項ノ期間內ニ其ノ
債權者ニ對シ異議アラバ一定ノ期間內
ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公〓シ且貯金者及
定期積金者以外ノ知レタル債權者ニハ
各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ其
ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
第四十條債權者ガ前條第二項ノ期間內
ニ異議ヲ述べザリシトキハ出資一口ノ
金額ノ減少ヲ承認シタルモノト看做ス
債權者ガ異議ヲ述ベタルトキハ市街地
信用組合ハ辨濟ヲ爲シ若ハ相當ノ擔保
ヲ供シ又ハ債權者ニ辨濟ヲ受ケシムル
コトヲ目的トシテ信託會社若ハ信託業
務ヲ營ム銀行ニ相當ノ財產ヲ信託スル
コトヲ要ス
第八章解散
第四十一條市街地信用組合ハ左ノ事由
ニ因リテ解散ス
存立時期ノ滿了其ノ他定款ニ定メ
タル事由ノ發生
二總會ノ決議
三合併
四組合員ガ一人ト爲リタルコト
五破產
六事業全部ノ讓渡
七主務大臣ノ解散ノ處分
第四十二條市街地信用組合ハ總會ノ決
議ヲ以テ他ノ市街地信用組合ト合併ヲ
爲シ又ハ命令ヲ以テ定ムル金融機關ニ
對シ事業全部ノ讓渡ヲ爲スコトヲ得
第十二條第四項ノ規定ハ前項ノ決議ニ
之ヲ準用ス
第四十三條總會ノ決議ニ因ル解散、合
併及事業全部ノ讓渡ハ主務大臣ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十四條市街地信用組合ガ事業全部
ノ讓渡ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク其ノ
旨ヲ公〓スルコトヲ要ス
前項ノ公〓アリタルトキハ事業全部ノ
讓渡ヲ爲シタル市街地信用組合ノ第三
十條第一項第一號ノ規定ニ依ル貸付金
ノ債務者ニ對シ民法第四百六十七條ノ
規定ニ依ル確定日附アル證書ヲ以テス
ル通知アリタルモノト看做ス此ノ場合
ニ於テハ其ノ公〓ノ日附ヲ以テ確定日
附トス
第四十五條第三十九條及第四十條ノ規
定ハ市街地信用組合ノ合併及事業全部
ノ讓渡ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十六條本法ニ規定スルモノノ外市
街地信用組合ノ解散、合併及〓算ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九章監督
第四十七條市街地信用組合ハ事業年度
每ニ業務報告書ヲ作成シテ之ヲ主務大
臣ニ提出スルコトヲ要ス
第四十八條市街地信用組合業務方法ヲ
變更セントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クルコトヲ要ス
第四十九條主務大臣市街地信用組合ノ
目的達成上必要アリト認ムルトキハ市
街地信用組合ニ對シ業務方法ヲ制限シ
又ハ定款若ハ業務方法ノ變更其ノ他必
要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第五十條主務大臣ハ市街地信用組合ニ
對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲
サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナ
ル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十一條市街地信用組合ノ業務若ハ
財產ノ狀況ニ依リ其ノ業務ノ繼續ヲ困
難ナリト認ムルトキ又ハ市街地信用組
合ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳ノ
命令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スルノ虞
アルトキハ主務大臣ハ左ノ處分ヲ爲ス
コトヲ得
一總會ノ決議ノ取消
二組合長、理事又ハ監事ノ解任
三業務ノ停止
四解散
第五十二條組合長又ハ理事ノ缺ケタル
爲損害ヲ生ズルノ虞アルトキハ主務大
臣ハ假ニ之ヲ選任スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ選任セラレタル組合
長又ハ理事ハ主務大臣之ヲ解任スル迄
其ノ職務ヲ行フ
第十章雜則
第五十三條主務大臣ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ地方長官ヲシテ本法ニ定ムル職
權ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十四條市街地信用組合ハ信用組合
聯合會ノ所屬組合ト爲ルコトヲ得
第十一章罰則
第五十五條市街地信用組合ノ組合長、
理事監事又ハ第十四條ノ規定ニ依ル
代理人何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ
市街地信用組合ノ業務ノ範圍外ニ於テ
貸付若ハ手形ノ割引ヲ爲シ又ハ投機取
引ノ爲ニ組合財產ヲ處分シタルトキハ
二年以下ノ徵役又ハ三千圓以下ノ罰金
二匹八
前項ノ規定ハ刑法ニ正條アル場合ニハ
之ヲ適用セズ
第五十六條市街地信用組合ノ組合長、
理事、監事、第十四條ノ規定ニ依ル代
理人又ハ〓算人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ
收受シ、要求シ又ハ約束シタルトキハ
二年以下ノ徵役ニ處ス因テ不正ノ行爲
ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキ
ハ五年以下ノ徵役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第五十七條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ約束
ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五
百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第五十八條第五十六條第一項ニ揭グル
者ハ左ノ場合ニ於テハ千圓以下ノ過料
ニ處ス
-本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其
ノ認可ヲ受ケザルトキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ行ヒタル
トキ
三第三十一條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
四第三十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違
反シ資金ノ吸收又ハ運用ヲ爲シタル
トキ
五第五十條ノ規定ニ依ル報〓ヲ爲サ
ズ若ハ虛僞ノ報〓ヲ爲シタルトキ、同
條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ
忌避シタルトキ又ハ同條ノ規定ニ依
ル命令若ハ處分ニ違反シタルトキ
第五十九條第五十六條第一項ニ揭グル
者ハ左ノ場合ニ於テハ五百圓以下ノ過
料ニ處ス
-本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ違反シ登記若ハ公〓ヲ爲スコトヲ
怠リ又ハ不正ノ登記若ハ公〓ヲ爲シ
タルトキ
二總會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ
事實ヲ隱蔽シタルトキ
三第十三條又ハ第三十四條ノ規定ニ
違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ
書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若
ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正
當ノ事由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタ
ルトキ
四本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ違反シ書類ノ提出ヲ爲スコトヲ怠
リ又ハ記載スベキ事項ヲ記載セズ若
ハ不正ノ記載ヲ爲シタル書類ヲ提出
シタルトキ
五第三十六條ノ規定ニ違反シテ準備
金ヲ積立テズ又ハ之ヲ使用シタルト
キ
六第三十七條ノ規定ニ依ル經理ニ關
スル命令ニ違反シタルトキ
七第三十九條又ハ第四十條(第四十
五條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ
規定ニ違反シテ出資一口ノ金額ヲ減
少シ、合併ヲ爲シ又ハ事業全部ノ讓
渡ヲ爲シタルトキ
第六十條第二條第二項ノ規定ニ違反シ
タル者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處
ス
附則
第六十一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六十二條本法施行ノ際現ニ存スル產
業組合法第一條第四項ノ規定ニ依リ手
形ノ割引又ハ貯金ノ取扱ヲ爲ス產業組
合ハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依ル市
街地信用組合ト爲リタルモノトス
前項ノ場合ニ於ケル定款、業務方法ノ
設定、登記其ノ他ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル市
街地信用組合ノ成立ニ付テハ之ヲ適用
セズ
第六十三條本法施行ノ際現ニ存スル產
業組合法ニ依ル信用事業ヲ行フ產業組
合又ハ其ノ合併ニ因リテ設立シタル產
業組合ニシテ第二十四條第一項ニ定ム
ル者ヲ以テ組織セラルルモノ(同法第
一條第四項ノ規定ニ依リ手形ノ割引又
ハ貯金ノ取扱ヲ爲ス產業組合ヲ除ク)
ハ同法第二十八條ノ規定ニ依ル總會ノ
決議ヲ以テ市街地信用組合ト爲ルコト
ヲ得
前項ノ決議アリタルトキハ同項ノ產業
組合ノ理事ハ定款ヲ作成シ、業務方法
ヲ設定シ其ノ他市街地信用組合ト爲ル
ニ付必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認
可ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ認可アリタルトキハ同項ノ定款
ヲ以テ定メタル市街地信用組合ノ組合
長、理事及監事ノ全員ハ設立ノ登記ヲ
爲スコトヲ要ス
市街地信用組合ハ設立ノ登記ヲ爲スニ
因リテ成立ス
第六十四條第六十二條第一項又ハ前條
第四項ノ規定ニ依ル市街地信用組合ノ
成立ニ因リ當該產業組合ハ之ニ吸收セ
ラルルモノトシ當該產業組合ノ權利義
務ハ市街地信用組合ニ於テ之ヲ承繼ス
第六十五條第六十二條第一項又ハ第六
十三條第四項ノ規定ニ依リ產業組合ガ
市街地信用組合ト爲リタルトキハ其ノ
產業組合ノ組合員ノ出資ハ當該市街地
信用組合ニ對スル出資ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ產業組合ニ對スル出
資ノ持分ノ上ニ存在スル質權ハ市街地
信用組合ニ對スル出資ノ持分ノ上ニ存
在ス
第六十六條第六十二條第一項又ハ第六
十三條第四項ノ場合ニ於テ市街地信用
組合ト爲リタル產業組合ガ無限責任又
ハ保證責任ノ組合ナルトキハ當該市街
地信用組合成立ノ際ニ於ケル組合員ハ
當該市街地信用組合成立前ニ生ジタル
當該產業組合ノ債務ニ付テハ產業組合
法第二條第二項ノ規定ニ依ル責任ヲ免
ルルコトナシ
前項ノ責任ハ同項ノ市街地信用組合成
立後二年以内ニ請求又ハ請求ノ豫〓ヲ
爲サザル債權者ニ對シテハ當該市街地
信用組合成立後二年ヲ經過シタルトキ
消滅ス
第六十七條第六十二條第一項ノ場合ニ
於テ市街地信用組合ト爲リタル產業組
合ガ有限責任又ハ保證責任ノ組合ナル
トキハ當該市街地信用組合成立ノ際ニ
於ケル理事ハ當該市街地信用組合成立
前ニ生ジタル當該產業組合ノ產業組合
法第一條第四項ノ規定ニ依ル貯金ニ關
スル債務ニ付テハ同法第四十六條ノ三
第一項ノ規定ニ依ル責任ヲ免ルルコト
ナシ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第六十八條本法ニ規定スルモノノ外第
六十三條第一項ノ產業組合ガ市街地信
用組合ト爲ルニ付必要ナル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第六十九條第六十二條第一項又ハ第六
十三條第四項ノ規定ニ依リ產業組合ガ
市街地信用組合ト爲リタルトキハ特別
法人稅法ノ適用ニ關シテハ產業組合ハ
之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法
人ト看做シ市街地信用組合ハ之ヲ合併
ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ト看做
ス
市街地信用組合ガ第六十四條ノ規定ニ
依リ產業組合ヨリ承繼シタル財產ニ付
テハ特別法人稅法ニ依ル剩餘金ノ計算
上之ヲ益金ニ算入セズ
第七十條市街地信用組合ガ第六十四條
ノ規定ニ依リ承繼シタル不動產ニ關ス
ル權利ノ取得ニ付登記ヲ受クル場合ニ
於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ不動產ノ價格
ノ千分ノ三トス但シ登錄稅法ニ依リ算
出シタル登錄稅ノ額ガ本條ノ規定ニ依
リ算出シタル稅額ヨリ少キトキハ其ノ
額ニ依ル
第七十一條所得稅法中左ノ通改正ス
第十一條第一項第五號中「產業組合貯
金」ノ下ニ「、市街地信用組合貯金」ヲ加
フ
第二十一條第三項中「產業組合貯金」ノ
下ニ「、市街地信用組合貯金」ヲ、一座
業組合」ノ下ニ「、市街地信用組合」ヲ加
フ
第七十二條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「商工組合中央金庫」
ノ上ニ「市街地信用組合、」ヲ、「商工組
合中央金庫法」ノ上ニ「市街地信用組合
法、」ヲ加フ
第七十三條印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項第十一號ノ次ニ左ノ一號
ヲ加フ
十一ノ二市街地信用組合ノ發スル
貯金證書
第五條第六號ノ六ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ七市街地信用組合ノ發スル出
資證劵、貯金通帳、積金通帳
又ハ積金證書
同條第九號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
九ノ三市街地信用組合ノ發スル貯
金證書ニシテ其ノ記載金高十
圓未滿ノモノ
第七十四條特別法人稅法中左ノ通改正
ス
第二條第二號ノ前ニ左ノ一號ヲ加フ
一ノ三市街地信用組合
第七十五條庶民金庫法中左ノ通改正ス
第三條中「產業組合法第一條第四項ノ規
定ニ依リ手形ノ割引又ハ貯金ノ取扱ヲ爲
ス信用組合」ヲ「市街地信用組合」ニ改ム
第十七條ノ二中「無盡會社」ノ下ニ「又
ハ市街地信用組合」ヲ加フ
第七十六條商工組合中央金庫法中左ノ
通改正ス
第三條第一項及第二項中「又ハ銀行」
ヲ「、銀行又ハ市街地信用組合」ニ改ム
第七十七條國民貯蓄組合法中左ノ通改
正ス
第一條第三號及第二條第一項第四號中
「產業組合」ノ下ニ「、市街地信用組合」
ヲ加フ
第四條第一項中「產業組合貯金」ノ下
ニ「、市街地信用組合貯金」ヲ加フ
第七十八條產業組合中央金庫法中左ノ
通改正ス
第五條中「產業組合」ノ下ニ「、市街地信
用組合」ヲ加フ
第十三條第一號乃至第四號、第六號及
第七號中「所屬產業組合」ノ下ニ「、所屬
市街地信用組合」ヲ、同條第五號中「產
業組合」ノ下ニ「、市街地信用組合」ヲ加フ
第七十九條產業組合中央金庫特別融通
及損失補償法中左ノ通改正ス
第一條中「又ハ所屬信用組合」ヲ「、所屬
信用組合又ハ所屬市街地信用組合」ニ改
ム
外貨債處理法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
外貨債處理案法
外貨債處理法
第一條本法ニ於テ外貨債トハ米貨又ハ
英貨ヲ以テ表示スル國債、地方債及社
債竝ニ邦貨ヲ以テ表示スルモ確定換算
率ニ依リ英貨ヲ以テ支拂ヲ爲スベキ特
約アル地方債ニシテ命令ヲ以テ定ムル
モノヲ謂フ
第二條外貨債ノ發行者(外貨債ノ元利
支拂義務ヲ承繼シタル者アルトキハ當
該承繼者トス以下同ジ)ハ原契約ニ拘
ラズ命令ヲ以テ定ムル者ノ所有スル外
貨債ニ代ヘテ邦貨ヲ以テ表示スル國
債、地方債又ハ社債(以下邦貨債ト稱
ス)ヲ發行シ當該外貨債ト借換フベシ
前項ノ借換ニ付テハ當該外貨債ノ所有
者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス此ノ場合ニ
於テ當該所有者ガ命令ヲ以テ定ムル本
邦人ニシテ其ノ意思ヲ確ムルコト能ハ
ザルモノナルトキハ借換ヲ承諾シタル
モノト看做ス
第一項ノ場合ニ於テ邦貨債ノ最小額面
金額ニ滿タザル端數アルトキハ其ノ端
數ハ金錢ヲ以テ之ヲ支拂フベシ
第一項ノ規定ニ依ル外貨債ノ借換アリ
タルトキハ當該外貨債ヲ目的トスル質
權ハ同項ノ規定ニ依リ發行スル邦貨債
又ハ前項ノ規定ニ依リ支拂フ金錢ノ上
ニ存在ス
第三條前條第一項ノ規定ニ依リ借換ヘ
ラルル外貨債ノ價格其ノ他ノ外貨債ノ
借換ニ關スル條件ハ本法ニ規定スルモ
ノヲ除クノ外外貨債處理委員會ノ議ヲ
經テ政府之ヲ定ム
政府前項ノ事項ヲ定メタルトキハ之ヲ
告示ス
外貨債處理委員會ノ組織及權限ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第四條第二條第一項ノ規定ニ依リ借換
ヘラレタル外貨債ノ證劵ハ之ヲ無效トス
第二條第一項ノ規定ニ依リ借換ヘラレ
タル外貨債ノ利札ニシテ本法施行後最
初ニ利拂期日ノ到來スルモノハ借換ノ
後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有シ本法施行後
最初ニ到來スル利拂期日後ニ利拂期日
ノ到來スルモノハ之ヲ無效トス
前二項ノ規定ニ依リ無效ト爲リタル外
貨債ノ諮券及利札ハ當該外貨債ノ發行
者之ヲ公示スベシ但シ當該外貨債ノ發
行者ニ於テ毀却シタルモノニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
第五條第二條第一項ノ規定ニ依リ發行
スル邦貨債ノ利子ハ同項ノ規定ニ依リ
借換ヘラルル外貨債ノ本法施行後最初
ニ到來スル利拂期日ニ於テ支拂ハルベ
キ利子ノ計算期間ノ最終日ノ翌日以後
ノ期間ニ付之ヲ附スベシ
第六條外貨債タル地方債又ハ社債ノ發
行者ガ第二條第一項ノ規定ニ依リ借換
ヲ爲ス場合ニ於テハ政府ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ當該借換ニ因リ生ジタル損
失ヲ補償ス
前項ノ規定ニ依リ政府ノ補償スベキ損
失ヲ決定スル基準ハ外貨債處理委員會
ノ議ヲ經テ政府之ヲ定ム
第七條前條第一項ノ規定ニ依ル補償金
ハ國債證劵ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
コルビ
政府ハ第一項ノ規定ニ依リ交付スル爲
必要ナル額ヲ限度トシ國債ヲ發行スル
コトヲ得
第八條政府ハ外貨債タル地方債又ハ社
債ノ發行者ヲシテ其ノ發行シタル外貨
債タル地方債若ハ社債又ハ元利支拂義
務ヲ承繼シタル外貨債タル社債ニシテ
其ノ所有スルモノヲ原契約ニ拘ラズ命
令ノ定ムル所ニ依リ消却セシムルコト
ヲ得
第四條第一項及第三項ノ規定ハ前項ノ
規定ニ依ル消却アリタル場合ニ之ヲ準
用ス
第九條政府ハ外貨債タル地方債又ハ社
債ニシテ第二條第一項ノ規定ニ依リ借
換ヘラルルモノ以外ノモノニ付命令ノ
定ムル所ニ依リ其ノ元利支拂義務ヲ承
繼ス
前項ノ場合ニ於テハ元利支拂義務ヲ除
クノ外営該地方債又ハ社債ノ物上擔保
其ノ他ノ原契約ノ效力ハ消滅スルモノ
トス
第十條前條第一項ノ場合ニ於テハ當該
地方債又ハ社債ノ發行者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ承繼ノ對價ヲ政府ニ納付ス
ベシ
前項ノ規定ニ依リ當該發行者ノ納付ス
ベキ對價ヲ決定スル基準ハ外貨債處理
委員會ノ議ヲ經テ政府之ヲ定ム
第十一條前條第一項ノ規定ニ依ル納付
金ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該發行者
ノ發行スル地方債證劵又ハ社債證劵ヲ
以テ之ヲ納付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ納付スル地方債證劵
又ハ社債證劵ノ納付價格ハ時價ヲ參酌
シテ大藏大臣之ヲ定ム
第十二條第六條第一項ノ規定ニ依リ損
失ノ補償ヲ受クルト共ニ第十條第一項
ノ規定ニ依リ對價ノ納付ヲ爲スベキ者
ニ付テハ第六條第一項又ハ第十條第一
項ノ規定ニ拘ラズ補償金額ガ納付金額
ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ニ相當ス
ル金額ヲ政府ヨリ交付シ納付金額ガ補
償金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ニ
相當スル全額ヲ政府ニ納付セシム
第七條又ハ前條ノ規定ハ前項ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第十三條政府ハ必要アリト認ムルトキ
ハ第二條第一項又ハ第十一條第一項
(前條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含
ム以下同ジ)ノ規定ニ依リ發行スル社
債ノ元利支拂ニ付保證ヲ爲スコトヲ得
第十四條外貨債タル社債ノ發行者ハ他
ノ法令ニ規定スル制限ヲ超エテ第二條
第一項又ハ第十一條第一項ノ規定ニ依
リ社債ヲ發行スルコトヲ得
商法第二百九十六條、第二百九十八條
及第三百一條ノ規定ハ前項ノ社債ニハ
之ヲ適用セズ
第十五條外貨債タル地方債又ハ社債ノ
發行者ハ第二條第一項ノ規定ニ依ル外
貨債ノ借換、第八條第一項ノ規定ニ依
ル外貨債ノ消却竝ニ第十一條第一項ノ
規定ニ依ル地方債及社債ノ發行ニ付テ
ハ他ノ法令ニ依ル許可又ハ認可ヲ受ク
ルコトヲ要セズ
第十六條本法ニ規定スルモノノ外外貨
債ノ處理ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ
以テ之ヲ定ム
第十七條名古屋市ハ命令ヲ以テ定ムル
者ノ所有スル名古屋市五分利附英貨八
十萬磅公債ヲ原契約ニ拘ラズ邦貨ヲ以
テ償還スベシ
第二條第二項、第三條第一項及第二項、
第四條第一項及第三項、第六條乃至第
十二條、第十五條竝ニ前條ノ規定ハ前
項ノ公債ニ之ヲ準用ス
第十八條外貨債及前條第一項ノ公債ノ
利札ニシテ之ニ付外國爲替管理法又ハ
敵產管理法ニ基ク命令ニ依リ支拂アリ
タルモノハ之ヲ無效トス
第四條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之
ヲ準用ス
第十九條外貨債タル社債ノ發行者ガ第
二條第一項又ハ第十一條第一項ノ規定
ニ依リ發行スル社債ニ付登記ヲ受クル
場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ登錄稅ノ額ハ拂込金額ノ千分ノ一ト
ス
第二十條政府ハ必要アリト認ムルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ報〓ヲ徵シ又
ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢
シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシム
ルコトヲ得
第二十一條前條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲
サズ若ハ虛僞ノ報告ヲ爲シ又ハ本法ニ
基キテ發スル命令ニ依リ提出スル書類
ニ虚僞ノ記載ヲ爲シタル者ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
前條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ拒ミ、妨
ゲ又ハ忌避シタル者亦前項ニ同ジ
第二十二條法人又ハ人ノ代理人、使用
人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ
業務ニ關シ前條第一項ノ違反行爲ヲ爲
シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
前條第一項ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナル
トキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業
務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁
治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之
ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一
ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ
限ニ在ラズ
第二十三條本法ノ罰則ハ國、道府縣、
市町村其ノ他之ニ準ズベキモノニハ之
ヲ適用セズ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
爲替交易調整特別會計設置等爲替交易
調整法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
爲替交易調整特別會計設置等爲替交易
調整法案
爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調
整法
第一章爲替交易調整特別會計
第一條爲替交易調整ニ關スル會計ハ之
ヲ特別トシ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ
充ツ
第二條本會計ニ於テハ價格差益納付
金、爲替差益納付金、寄附金、一般會
計ヨリノ受入金、借入金及附屬雜收入
ヲ以テ其ノ歲入トシ價格差損補償金、
爲替差損補償金、借入金ノ償還金及利
子、一時借入金ノ利子、事務取扱費其
ノ他ノ諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第三條本會計ニ於テ價格差損補償金及
爲替差損補償金ヲ支辨スル爲必要アル
トキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ借入
金ヲ爲スコトヲ得
第四條本會計ニ於テ決算上剩餘ヲ生ジ
タルトキハ之ヲ翌年度ノ歲入ニ繰入ルベシ
第五條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ルベシ
第六條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足
アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借
入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ハ當該年
度內ニ之ヲ返還スベシ
第七條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調整シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第八條本會計ノ每年度歲出豫算ニ於ケ
ル支出殘額ハ遞次之ヲ翌年度ニ繰越シ
使用スルコトヲ得
第九條本會計ノ收入支出ニ關スル規秤
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章差益金ノ納付及差損金ノ
補償
第十條交易營團ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ交易上生ズル價格差益ヲ價格差益納
付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十一條命令ヲ以テ定ムル交易關係者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定
ムル物資ノ交易上生ズル價格差益ヲ價
格差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十二條政府ハ命令ヲ以テ定ムル交易
關係者ニ對シ命令ヲ以テ定ムル物資ノ
交易上生ズル價格差損ヲ補償スル爲價
格差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ價格
差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ
經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之
ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ價格差損ヲ決定スル基準ハ政
府之ヲ定ム
第十三條外國爲替管理法(關東州外國
爲替管理令及昭和十六年勅令第十號ニ
於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第三條
ノ規定ニ依ル命令ニ依リ交易上ノ價格
差ヲ調整スル爲外國爲替ノ賣却又ハ買
入ヲ行ヒタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ之ニ依リ得タル爲替差益ヲ爲替差益
納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十四條政府ハ前條ニ規定スル者ニ對
シ外國爲替管理法第三條ノ規定ニ依ル
命令ニ依リ交易上ノ價格差ヲ調整スル
爲行ヒタル外國爲替ノ賣却又ハ買入ニ
依リ蒙リタル爲替差損ヲ補償スル爲爲
替差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ爲替
差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ
經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之
ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ爲替差損ヲ決定スル基準ハ政
府之ヲ定ム
第十五條政府ハ爲替交易調整ヲ目的ト
スル金錢ノ寄附ヲ受クルコトヲ得
第十六條交易營團、第十一條若ハ第十
二條ノ命令ヲ以テ定ムル交易關係者又
ハ第十三條ニ規定スル者ガ第十二條、
第十四條若ハ交易營團法第三十五條ノ
規定ニ依リ收入シ若ハ收入スベキ補償
金額又ハ第十條、第十一條若ハ第十三
條ノ規定ニ依リ支出シ若ハ支出スベキ
納付金額ハ所得稅法ニ依ル所得、法人
稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益
及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算ニ付
之ヲ當該差損又ハ差益ヲ生ジタル年又
ハ專業年度ノ收入金額若ハ益金又ハ必
要ノ經費若ハ損金ニ算入ス
第十七條第十條、第十一條又ハ第十三
條ノ規定ニ依リ納付セシムベキ金額ノ
徴收ニ關シテハ國稅徵收法ヲ準用ス
第十八條政府ハ必要アルトキハ交易營
團、第十一條若ハ第十二條ノ命令ヲ以テ
定ムル交易關係者又ハ第十三條ニ規定
スル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ報
告ヲ徵シ、帳簿書類ノ備付ヲ命ジ、帳
簿書類ノ記載方ヲ指定シ又ハ當該官吏
ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢シ交易營
團、第十一條若ハ第十二條ノ命令ヲ以
テ定ムル交易關係者又ハ第十三條ニ規
定スル者ノ收支狀況若ハ帳簿書類其ノ
他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十九條前條ノ規定ニ基キテ發スル命
令又ハ當該命令ニ依ル政府ノ命ニ違反
シ報〓ヲ爲サズ、虚僞ノ報〓ヲ爲シ、
帳簿書類ノ備付ヲ爲サズ、之ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ、之ニ虚僞ノ記載
ヲ爲シ、之ノ記載方ノ指定ニ從ハズ、
收支狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ
檢査ヲ拒ミ又ハ帳簿書類ノ隱蔽不實ノ
申立其ノ他ノ方法ニ依リ檢査ヲ妨ゲタ
ル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十條第十七條中國稅徵收法トアル
ハ朝鮮ニ在リテハ國稅徵收令トシ臺灣
ニ在リテハ臺灣國稅徵收規則トシ關東
州ニ在リテハ明治四十年勅令第五十六
號ニ於テ準用スル國稅徵收法トシ南洋
群島ニ在リテハ大正十一年勅令第三百
五十六號ニ於テ依ルコトヲ定メタル國
稅徵收法トス
附則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ交易營團ニ關スル規定施行ノ期日
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
特殊財產資金特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥
貴議院議長伯爵松平賴壽殿
特殊財產資金特別會計法案
特殊財產資金特別會計法
第一條特殊財產資金ヲ置キ其ノ歲入歲
出ハ一般ノ會計ト區分シ特別會計ヲ設
置ス
第條本會計ニ於テハ別ニ法律ヲ以テ
定ムル時期迄ノ每期間ヲ以テ一會計年
度トス
第三條政府ハ勅令ノ定ムル金額ヲ限リ
漸次一般會計ヨリ本資金ニ繰入ルルモ
ノトス
第四條本資金ニ不足ヲ生ジタルトキハ
借入金ヲ爲シ之ヲ補足スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル借入金ニ代ヘ國庫餘
裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
第五條沒收シタル敵產ハ戰利品及捕獲
審檢令第二十八條ノ規定ニ依リ國ノ所
得ト爲リタル物件ニシテ陸軍大臣又ハ
海軍大臣ニ於テ軍事上必要アリト認ム
ルモノヲ除クノ外之ヲ本資金ニ組入ル
ベシ
第六條本資金ハ之ヲ帝國ノ管理スル敵
產(敵產管理法ニ依ル敵產管理人ノ管
理スル敵產ヲ含ム以下同ジ)又ハ勅令
ノ定ムルモノニ運用スルコトヲ得
第七條本資金ハ特ニ必要アル場合ニ限
リ豫算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ使用スル
コトヲ得但シ第三條ノ規定ニ依リ一般
會計ヨリ繰入レタル金額及第四條ノ規
定ニ依リ借入金ヲ以テ補足シタル金額
ノ合計額ニ相當スル分ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ本資金ヲ使用セント
スルトキハ其ノ金額ヲ一般會計ノ歲入
ニ繰入レ同會計ノ歲出トシテ拂出スベ
第八條本會計ニ於テハ運用上ノ諸收入
金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ前
條ノ規定ニ依ル一般會計ヘノ繰入金、
管理費、一時借入金ノ利子、附屬諸費
及運用上ノ損失金ヲ以テ其ノ歲出トス
第九條本資金ニ屬スル財產ニシテ滅失
シ又ハ價格ノ減損ヲ生ジタルモノアル
トキハ本會計ノ決算上生ジタル剩餘又
ハ資金ヲ以テ之ヲ償却スベシ
第十條本會計ニ於テ決算上剩餘ヲ生ジ
タルトキハ前條ノ償却ニ充テ殘餘アル
トキハ之ヲ資金ニ繰入ルベシ
本會計ニ於テ決算上不足ヲ生ジタルト
キハ資金ヨリ之ヲ補足スベシ
第十一條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘
裕アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入
ルベシ
第十二條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不
足アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時
借入金ヲ爲シ又ハ國庫餘裕金ヲ繰替使
用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金又ハ繰替
金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スベシ
第十三條本會計ノ收入支出ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條資金ノ運用トシテ帝國ノ管理
スル敵產ヲ買入レタル場合ノ代金タル
現金及帝國ノ管理スル敵產タル現金ハ
政府ニ於テ之ヲ保管スルコトヲ得
前項ノ保管金ノ運用ニ關スル歲入歳出
ハ本會計ニ所屬セシム
保答金規則第一條ノ規定ハ第一項ノ保
管金ニ付テハ之ヲ適用セズ
第十五條國有財產法ハ本資金ニ屬スル
財產ニ付テハ之ヲ適用セズ本資金ニ屬
スル財產ノ取扱ニ關シテハ勅令ノ定ム
ル所ニ依ル
第十六條本資金ニ屬スル財產ハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ之ヲ讓與スルコトヲ得
第九條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ讓與
ヲ爲シタル場合ニ之ヲ準用ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臨時特殊財產取扱令ニ依リ一般會計ノ所
屬ト爲リタル財產ニシテ本法施行ノ際現
ニ存スルモノハ之ヲ本資金ニ組入ルベ
シ
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=16
-
017・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ日本證劵取引所法案外四件ニ付キマ
シテ、提案ノ理由ヲ說明致シマス、先ヅ日
本證劵取引所法案ニ付キマシテ說明申上ゲ
マス、大東亞戰爭ノ完遂ニ對處致シマシテ、
物的戰力增强ノ基礎要件タルベキ經濟秩序
ヲ確保シ、資金動員ノ適正、生產擴充資金
ノ供給竝ニ國民貯蓄ノ保護ニ萬全ヲ期スル
爲有價證劵ニ付キマシテ、其ノ價格ヲ公
正ナラシメ且之ヲ安定セシムルト共ニ、其
ノ流通ヲ圓滑ナラシメマスコトハ、極メテ
緊要ノコトニ屬スルモノト信ジマス、然ル
ニ有價證劵就中株式ノ取引ニ付キマシテ、
其ノ中核的機關タル地位ニ在ル有價證劵取
引所ノ制度ハ、明治二十六年ノ制定ニ係リ
マスル取引所法ニ其ノ基礎ヲ置イテ居ルノ
デアリマス、同法ニ付キマシテハ、制定以
來數次ニ亙リ改正ヲ加ヘラレタノデハアリ
マスルガ、其ノ主要ナ部分ハ大體舊態ヲ維
持シテ居ルノデアリマシテ、之ニ基ク取引
所ノ性格、組織、機構等ハ、時局ノ要請ニ
副ハザルモノガ尠シトシナイノデアリマス、
現行制度ノ下ニ於キマシテ、取引ノ實狀ハ
動モスレバ適當ナル投機ニ流レ、株價モ不
安定ナル狀態ニ陷リ勝チデアリマス、斯カ
ル事態ニ對處致シマシテ、從來政府ニ於キ
マシテハ、株價ノ安定ヲ期スル爲ニ各般ノ
施策ヲ講ジテ參リ、取引所關係者ノ協力
モアリマシテ、或程度ノ效果ハ擧ゲテ居ル
ノデアリマスルガ、現行ノ制度ノ下ニ於キ
マシテハ、取引所ガ政府ノ方針ニ完全ニ順
應シマシテ過當ナル投機取引ヲ排除シ、價
格ノ公正安定ヲ期シ、且其ノ流通ヲ圓滑ナ
ラシメ、以テ遺憾ナク其ノ眞使命ヲ果スト
云フコトハ至難ト認メラレルノデアリマス、
殊ニ決戰體制下ニ在リマシテ、之ヲ現狀ノ
儘放置致シマスレバ、資金政策ノ圓滑ナル
運用ヲ期スル上ニ於テ相當支障ガアルト考
ヘラレルノデアリマス、以上ノ如キ事情ヲ
考慮致シマシテ、此ノ際有價證劵取引所ノ
制度ヲ根本的ニ改正スルコトト致シタ次第
デアリマシテ、之ガ爲ニ、現存ノ各取引所ヲ
統合シマシテ新タニ日本證劵取引所ヲ設立
致シ、之ヲ專ラ國策ニ協力スル機關トシテ
運營致シタイト考フル次第デアリマス、是
ヨリ日本證券取引所法案ノ內容ニ付キマシ
テ、主要ナル點ヲ申上ゲマス、先ヅ日本證
劵取引所ハ、國家經濟ノ適切ナル運營ニ資ス
ル爲、有價證劵ノ公正ナル價格ヲ形成シ之
ヲ安定セシムルト共ニ、有價證劵ノ流通ヲ
圓滑ナラシムルコトヲ以テ、其ノ使命トス
ルモノデアリマス、其ノ組織ハ、此ノ使命
ヲ完遂セシムルニ相應シキ公共的性格ノ濃
厚ナル特殊法人ト致シマシテ、其ノ必要ト
スル資本金二億圓中、政府ニ於テ最高五千
萬圓ノ範圍內ニ於テ相當額ヲ出資スルコト
ト致シテアリマス、斯カル新取引所ノ使命
竝ニ性格ニ顧ミマシテ、其ノ役員及職員ニ
關シテモ任免、地位、責任等ニ關シテ必要
ナル規定ヲ設ケタノデアリマス、次ニ新取
引所ノ業務ト致シマシテハ、取引所本來ノ
業務トシテ有價證劵市場ヲ門設シ之ヲ管理
スル外、有價證劵ノ引受、賣出、募集ノ取
扱等ノ如キ新業務ヲモ加フルコトト致シマ
シテ、有價證劵ノ發行、流通ヲ圓滑ナラシ
ムルコトニ資スルコトト致シタノデアリマ
スガ、更ニ政府ハ、特ニ必要アル場合ニ於
テハ、新取引所ヲシテ有價證劵ノ價格ノ安
定ノ爲ニスル賣買ヲモ行ハシムルコトヲ得
ルコトト致シタノデアリマス、次ニ有價證劵
市場ニ於ケル賣買取引ハ、政府ノ免許ヲ受
ケタル取引員ニ限リ之ヲ行フコトヲ得ルノ
デアリマスルガ、其ノ資格ハ、取引員ノ資質
ノ向上、取引ノ公正、委託者ノ保護等ノ見
地ヨリ、之ヲ一定金額以上ノ資本金ヲ有ス
ル株式會社ニ限定スルコトト致シ、取引員ノ
營業、會計經理等ニ關シ制度ヲ整備シマシ
テ、又政府竝ニ新取引所ノ取引員ニ對スル監
督權モ一層强化スルコトト致シタノデアリマ
ス、尙取引員ノ使用人ニ關シマシテモ、其ノ
指導取締上適當ナル措置ヲ講ジ得ルコトト
致シタノデアリマス、次ニ有價證劵市場ニ於
ケル賣買取引ハ、從來ト同樣實物取引及〓
算取引ノ二種トスルノデアリマスガ、取引ノ
期限其ノ他賣買取引方法ノ詳細ニ付キマシ
テハ、本法ニ依リ設ケラレマス有價證劵取引
委員會ニモ諮問ヲ致シタル上決定スルコト
ト致シ、之ヲ命令ニ委任スルコトトナッテ居
ルノデアリマス、右ノ外、上場物件、證據金
等ニ關スル制度ヲ整備致シマスト共ニ、賣
買取引ニ關スル取引所ノ責任ヲ加重シ、取引
員ガ其ノ責任ヲ履行セザル場合ニ生ズル損
害ニ付キマシテハ、取引所ニ於テ賠償ノ責
ニ任ゼシムル等、有價證劵市場ニ於ケル賣
買取引ノ公正確實ヲ期シクノデアリマス、
次ニ日本證券取引所ノ公共的使命竝ニ其ノ
性格、地位ニモ顧ミマシテ、政府ハ民間ノ
出資者ニ對シ年五分ノ配當ヲ保證致シマス
ト共ニ、其ノ最高配當率ヲ年六分ニ制限致
シマシテ、新取引所ノ經營上遺憾ナキヲ期
シマスト共ニ、剩餘金額ガ一定限度ヲ超ユ
ルトキハ、其ノ超過金額ノ相當大ナル部分
ヲ政府ニ納付セシムルコトト致シタノデア
リマス、尙新取引所ハ、他ノ類似ノ特殊法
人ト同樣ニ政府ノ高度ノ監督ニ服セシムルノ
デアリマスガ、他面、政府ハ本法ニ依リ、
政府ノ行フベキ職權ノ一部ヲ新取引所ニ代
行セシムル途ヲモ開イテ居ルノデアリマス、
斯クシテ新取引所ガ政府ノ方針ニ完全ニ順
應致シマシテ、其ノ使命ノ完遂ニ邁進スル
コトヲ期待致シテ居リマス、最後ニ新取引
所ノ設立ニ伴フ經過的ノ問題ト致シマシテ、
先ヅ現存ノ有價證劵取引所ハ、法律ノ規
定ニ依リ、之ヲ新取引所トナルモノト致シ、
舊取引所ノ一切ノ權利義務ハ、總テ新取引
所ニ於テ承繼スルコトト致シテアリマス、
其ノ際、舊取引所ノ株式ニ對シマシテハ、設
立委員ニ於テ新取引所ノ出資證劵ノ引當ヲ
行ヒ、政府ノ認可ヲ受ケシムルノデアリマ
スガ、引當ノ決定ハ、取引所資產評價委員
會ノ議ヲ經ルコトト致シ、引當ノ公正ヲ期
シテ居ルノデアリマス、其ノ他新取引所ニ
於ケル取引員タリ得ル資格ガ、一定金額以
上ノ株式會社ニ限ラルヽコトニ關聯シマシ
テ、過渡的ニ、三年ノ猶豫期間中ハ現在ノ
取引員ハ、取引員タルコトヲ認ムルコトト
致シテアリマス、本法案ノ內容ノ主ナル點
ハ以上申述ベマシタ通リデアリマスルガ、本
法案ノ實施ニ依リマシテ資金統制ノ機構ハ
一層整備セラルヽコトトナリ、新取引所ガ
眞ニ有價證劵、就中株式ノ流通機構ノ中核
的機關トシテ强力ニ其ノ機能ヲ果スコトニ
依リマシテ、大東亞戰下喫緊ナル綜合戰力
ノ增强上缺クベカラザル資金政策ノ完遂ニ
寄與スル所少クナイモノト信ジテ居ルノデ
アリマス、次ニ市街地信用組合法案ニ付
說明致シマス、本法律案ノ趣旨ハ、今般農
林業團體統合關係法律ノ制定ニ伴ヒマシテ、
市街地ニ於テ金融事業ヲ行フ產業組合、卽
チ從來市街地信用組合或ハ準市街地信用組
合ト通稱セラレテ居リマシタモノヲ、單行
法ヲ以テ規定シ、中小商工業者、勤勞者、其
ノ他ノ都市ニ於ケル一般庶民ノ金融機關ト
シマシテ、戰時下ニ於ケル庶民金融ノ疏通
竝ニ國民貯蓄ノ增强ノ爲、十分其ノ機能ヲ
發揮セシメムトスルモノデアリマス、現行
ノ產業組合法ニ基ク產業組合ハ、其ノ組織
ニ於テハ組合員ノ相互協同體タル共通ノ性
質ヲ具有シテ居リマスルガ、其ノ行フ事業
ノ內容ニ於キマシテハ各種ノモノガ併存シ
テ居ル狀態デアリマシテ、其ノ中最モ大部
分ヲ占ムルモノハ農村ニ於ケル農業團體的
性質ヲ有スルモノデアリ、之ニ次ギマシテ
ハ市街地ニ於ケル庶民金融機關タルノ性
質ヲ有スルモノデアリマス、而シテ是等各
種ノ性質ヲ有スルモノニ對シ、適切ナル指
導統制ヲ行ヒ、十分ナル活動ヲ遂ゲシムル
ガ爲ニハ、之ヲソレ〓〓ノ特質ニ應ジテ規
律スルコトガ適當ト認メラレマスルノデ、
玆ニ所謂市街地信用組合竝ニ準市街地信用
組合ニ付、市街地信用組合法ト申ス單獨法
ヲ制定シマシテ、其ノ整備發達ヲ圖ラムト
スル次第デアリマス、斯クスルコトニ依リ
マシテ、是等市街地信用組合等ヲシテ、
其ノ資金ノ吸收及ビ運用ノ適切ヲ期シ、以
テ庶民金融機關タルノ機能ヲ十分ニ發揮セ
シメマスルト共ニ、時局下國民貯蓄增强ノ
達成ニ遺憾ナカラシムルコトヲ得ル次第デ
アリマス、次ニ外貨債處理法案ニ付キマシ
テ說明致シマス、本邦ノ米貨債及ビ英貨
債ニ付キマシテハ、大東亞戰爭ノ結果、債
務ノ本旨ニ從フ辨濟ノ途ガ、杜絕致シタノ
デアリマシテ、之ガ元利拂ニ付キマシテ特
別ノ措置ヲ要スルコトトナッタノデアリマ
スルガ、米英貨債ハ其ノ未償還現在額ガ相
當多額ニ上ッテ居リマスル上ニ、本邦人ノ所
有致シテ居リマスルモノモ亦甚ダ多額ニ上ッ
テ居リマスルノデ、之ガ處理ハ、發行者タル
政府、地方團體又ハ會社ニ取リマシテモ、
本邦人ノ所有者ニ取リマシテモ、亦對外關
係ニ付キマシテモ、重大ナル關係ガ存スル
ノデアリマス、政府ト致シマシテハ、開戰
直後、取敢ズ外國爲替管理法ニ基ク命令ニ
依リマシテ、外貨債ニ關シ邦貨ヲ以テ利子
ノ支拂ヲナサシムルト共ニ、敵國人ノ所有
シテ居ル外貨債ノ利子ニ付キマシテハ、敵
產管理法ニ基ク命令ニ依リマシテ、之ヲ特
殊財產管理勘定ニ拂込マシムルヤウ措置致
シテ參ッタノデアリマス、併シナガラ是ハ
取敢ズノ應急措置デアリマシテ、此ノ儘ニ
放置致シマスルコトハ種々不都合ノ點ガア
ルノデアリマスノデ、之ガ處理ニ付キマシ
テ新タニ法律ヲ制定スルノ必要ヲ認メタノ
デアリマス、仍テ本法律案ヲ提出致シタ次
第デアリマス、玆ニ法律案ノ內容ノ要旨ヲ
申述ベタイト思ヒマス、第一ニ、本邦人及
ビ友好國人ノ所有スル米英貨債ハ、所有者
ノ希望ニ依リ適正ナル價格ヲ以テ之ヲ邦貨
債ニ借換ヘルコトニ致シマス、第二ニ、借換
ニ依リ地方債又ハ社債ノ發行者ニ損失ヲ生
ジマスル場合ニハ、政府ニ於テ之ヲ補償ス
ルコトニ致シマス、第三ニ、地方債又ハ社債ノ借
換ヘラレザル部分ニ付キマシテハ、其ノ元利支
拂義務ヲ政府ニ於テ繼承スルコトト致シマス、
第四ニ、右ノ場合ニ於テハ其ノ承繼ノ對價
ヲ政府ニ納付セシムルモノデアリマス、是
等ガ主要ナル點デアリマシテ、ソレニ關聯
ヲシマシテ必要ナル規定ガ設ケラレテ居ル
ノデアリマス、而シテ借換ヘラレズシテ終
リマシタ外貨債ニ付キマシテハ、爾後、外
國爲替管理法ニ基ク命令ニ依ル利子ノ支拂
モ、敵產管理法ニ基ク命令ニ依ル特殊財產
管理勘定ヘノ利子ノ拂込モ、共ニ之ヲ致サ
ナイト云フ方針デアリマス、次ニ爲替交易調整
特別會計設置等爲替交易調整法案ニ付キマ
シテ說明ヲ致シマス、現下ノ情勢ニ顧ミ、我ガ
國ノ綜合國防經濟力ノ確立發展ヲ基調トス
ル交易計畫ヲ樹立シ、之ガ實行ヲ確保スル
コトハ、戰爭完遂上最モ緊要ノコトデアリ
マス、而シテ計畫交易ノ實行ヲ確保致シマ
ス爲ニハ、特ニ圈內各地域ニ於ケル交易物
資ノ價格差ヲ調整シ、以テ物資交易上ノ障
碍ヲ除去致スコトガ緊要デアリマシテ、此
ノコトハ我ガ國ヲ中心トスル爲替政策及物
價政策ノ遂行ニ資スル所モ極メテ大ナルモ
ノガアルノデアリマス、政府ハ、物資ノ交
易ヨリ生ズル一切ノ價格上及ビ爲替上ノ差
益差損ハ、之ヲ國ニ歸屬セシムルコトト
致シ、從來ノ交易價格調整ニ關スル財政上
及ビ爲替政策上ノ措置等ヲ統合シマシテ、
之ガ一體的運營ヲ一層强化致シマスルト共
ニ、價格差調整ニ關スル收支ヲ綜合經理致
シ、以テ調整資金ノ效率的ナル配分使用ヲ
圖リマスル爲ニ、特別會計ヲ設置スルヲ適
當ト認メタノデアリマス、是レ本法律案
ヲ提出ヲ致シマスル理由デゴザイマス、次
ニ特殊財產資金特別會計法案ニ付說明致シ
マス、帝國ガ大東亞戰爭ニ依リ、大陸及南
方ノ作戰地域ニ於テ沒收又ハ其ノ管理下ニ
收メマシタ敵產ハ、相當巨額ニ上ル現狀デ
アリマス、之ガ統一運營ヲ圖リ、以テ戰力
ノ增强等ニ役立タシムルコトハ、時局下喫
緊ノ要務ナリト存ゼラレルノデアリマス、而
シテ之ガ統一運營ヲ行フ爲ニハ、是等財產
ヲ我ガ國有ニ屬セシメルコトガ必要デアリ
マシテ、其ノ爲ニ特別ノ資金ヲ設置致スコ
トト致シタノデアリマス、而シテ其ノ資金
ノ歲入歲出ハ、之ヲ一般ノ會計ト區分經理
スルコトガ、最モ適當ナル方法ト存ゼラル
ルノデアリマスルカラ、此ノ爲ニ特別會計
ヲ設置スルノ必要ガアリマスルノデ、本法
律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、以
上五件ノ法律案ニ付キマシテハ、何卒御審
議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希
望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=17
-
018・子爵戸澤正己君
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
日本證劵取引所法案、市街地信用組合法案、
外貨債處理法案、特殊財產資金特別會計法
案ノ特別委員ノ數ヲ十九名トシ、其ノ委員
ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シ
やく、而シテ爲替交易調整特別會計設置等
爲替交易調整法案ハ、石油專賣法案外二件
ノ特別委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ提
出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=18
-
019・子爵今城定政君
○子爵今城定政君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=19
-
020・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=20
-
021・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、日本證劵取引所法案外三件ノ特別
委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔高山書記官朗讀〕
日本證劵取引所法案外三件特別委員
候爵中山輔親君侯爵四條隆德君
伯爵柳澤保承君子爵秋元春朝君
子爵大岡忠綱君子爵舟橋〓賢君
河井彌八君下村宏君
男爵前田勇君長谷川赳夫君
村瀨直養君男爵深尾隆太郞君
男爵水谷川忠麿君瀧川儀作君
下出民義君岩田宙造君
奧主一郞君上野喜左衞門君
田中都吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=21
-
022・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第九、公立
學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律
案内、日程第十、義務〓育費國庫負擔法中改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
ノ續、委員長報告、是等ノ兩案ヲ一括シテ
議題ト爲スコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=22
-
023・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長山本伯爵
左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改
正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十八年二月十六日
委員長伯爵山本〓
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
義務〓育費國庫負擔法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十八年二月十六日
委員長伯爵山本〓
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵山本〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=23
-
024・伯爵山本〓君
○伯爵山本〓君 只今上程サレマシタ公立
學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案
及義務〓育費國庫負擔法中改正法律案ノ二
法案ヲ付託セラレマシタ特別委員會ニ於ケ
ル審議ノ經過竝ニ結果ニ付テ御報〓申上ゲ
マス、特別委員會ハ、二月十一日、委員長
及副委員長ノ互選ヲ行ヒマシテ、引續キ會
議ヲ開キマシタ、先ヅ最初ニ、文部大臣ヨ
リ提案ノ理由ニ付テ詳細ナル說明ヲ聽取致
シマシタ、次イデ十三日及十六日ト前後三
囘ニ亙リ會議ヲ開キマツテ、質疑應答ヲ重
ネ、愼重審議ヲ致シタノデアリマス、今其
ノ法案ノ大要ヲ申上ゲマスト、第一ノ公立
學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案
ハ、今囘師範學校ヲ官立學校トナス爲、同
法中ノ師範學校ニ關スル部分ヲ削除スルノ必
要ヲ生ジマシタコトト、中學校令、高等女
學校令及實業學校令ヲ廢止シテ、中等學校
令ヲ制定スルコトトナリ、從ッテ同法中學
校ノ名稱ヲ變更スルノ必要ヲ生ジマシタ
爲〓〓關係條項ヲ整理セムトスルモノデアリ
マス、第二ノ義務〓育費國庫負擔法中改正
法律案ハ、國民學校職員ニ對スル諸給與ノ
中、俸給ニ付テハ旣ニ其ノ半額ヲ國庫負擔
トナッテ居ルノデアリマスガ、更ニ此ノ半
額定率負擔ヲ年功加俸、特別加俸、賞與、
死亡賜金及赴任旅費ニ迄及ボサムトスルモ
ノデアリマシテ、年功加俸、特別加俸ハ是
迄道府縣支辨デアリマシテ、國庫ハ國民學
校〓育費國庫補助法ニ依リ每年豫算ノ定ム
ル金額ノ補助ヲナシテ來タノデアリマス
ガ、今囘之ヲ負擔法中ニ加へ、俸給同樣其
ノ半額ヲ國庫ガ負擔セムトスルモノデアリ
マス、又賞與及死亡賜金ハ從來市町村費支
辨デアリ、赴任旅費ハ道府縣費支辨デアッ
タノデアリマスガ、之ヲ一括負擔法中ニ加
ハーフ國庫ガ其ノ半額ヲ負擔セムトスルモ
ノデアリマス、以上ノ二法案ニ對スル質疑
應答ノ主ナルモノヲ申上ゲマスト、國民學
校〓員俸給ノ半額ハ國庫負擔トナルガ、將
來全額ヲ國庫ヨリ負擔スル意思アリヤ、ト
云フ問ニ對シマシテ、其ノ點考慮中ナルモ
未ダ決定スルニ至ラナイト云フ答辯デア
リマシタ、又師範學校ガ官立トナレバ、
從來ノ府縣費ガ國庫負擔トナル故、今迄
ノ府縣費ガ浮クコトニナルガ、之ニ對スル
ブ
所見如何、ト云フ問ニ對シマシテ、從來ノ府
縣ニ充テテ居タコトニ付テハ、色々事情モ
アリ、能ク調査〓究ノ上適宜之ヲ處置シ、
都合ニ依リテハ各府縣ノ〓育費ニ充當スレ
バ最モ好都合デアルト考ヘラルヽ、ト云フ
答辯デアリマシタ、又明治時代初期ノ〓育
ハ智育偏重デ、ソレカラ近時科學主義ガ重
要視セラレテ居ルガ、總テヲ科學一點張リ
デ進ムノハドウカト思フ、此ノ科學ノ振興
ニ伴ッテ德育ノ涵養ガ最モ必要デアルコトヲ
痛切ニ感ズルノデアルガ、戰時下闇取引ナ
ド世上ニ行ハルヽバカリデナク、國民學校、
中等學校等ノ職員中ニモ如何ハシキ人々ガ
アルコトヲ耳ニスルガ、要スルニ物價調節
ニシテモ、生產擴充ニシテモ、一ニ國民ノ
道德心ニ依ル以外ニ途ハナイト思フガ、當
局ノ所見如何ト云フ問ニ對シマシテ、道德
ノ點ニ對スル〓育法ハ、何レノ面ニモ偏重
セヌヤウ、智育、體育ト竝行シテ行クコト
ガ〓育ノ根本方針デアル、ソレバカリデナ
ク、同時ニ又〓育ヲ擔當スル者ノ德育ガ根
本問題デアッテ、自ラ範ヲ垂レ、學生ト一心
同體トナルノ必要ガアルカラ、今囘ノ師範
學校ノ改正モ要スルニ此ノ點ニ重點ヲ置イ
タ次第デアル、トノ答辯デアリマシタ、又
寄宿制度ニスルト言フガ、多數收容スルノ
カ、少數ヅヽ分割シテ收容ヲ爲スノカ、元
來寄宿制度ニモ色々ノ弊害ガアル、卽チ寄
宿生徒ノ數ガ多過ギルコトト、學科ヲ擔任
スル所ノ〓員ガ舍監トナリタル場合、〓員
ハ十時間學科ヲ擔當スルトキニハ十時間ノ
準備時間ヲ必要トスル、其ノ爲ニ學科擔任
ト舍監トノ兼任ハ困難トナリ、勢ヒ體操、
圖畫等ノ〓員ガ舍監トナルト生徒ニ對シテ
權威ガナク、折角ノ計畫モ其ノ效果薄シト
思フガ如何、ト云フ問ニ對シマシテ、差當
リ全部收容スル迄ノ準備ガ出來テ居ラナイ、
又多數ヲ同時ニ收容スルカ、少數ヅヽ收容
スルカハ目下〓究中デアルガ、專任ノ舍監
ヲ置キタイト考ヘテ居ルト云フ答デアリマ
シタ、今囘ノ官立師範學校卒業ノ〓員ノ初
任給ハ七十五圓ト云フガ、從來ノ〓員ニ比
較シテ非常ニ差ガ多イ、此ノ點ハ相當問題
ヲ殘スト考ヘルガ如何、ト云フ問ニ對シマ
シテ、前年ノ卒業生ヨリ再〓育ヲ施シ、又
其ノ前年ト云フ風ニ再〓育ヲナシ、年數ノ
多キ者ハ加俸ガアルカラ大差ハナイト思フ
成ルベク平均スルヤウ取計ラフ考デアルト
云フ答辯デアリマシタ、又軍政下外地ニ派
遣スル〓員ノ現狀待遇如何ト云フ質問ニ對
シマシテ、地域ノ事情モソレ〓〓異ルガ故
ニ、軍ノ要求ニ依ッテ派遣シテ居ルガ、主
ニ日本語ヲ〓授スル者ヲ派遣シテ居ル、其
ノ待遇ハ、高等官ノ資格アル者ハ司政官ト
シ、他ハ軍屬又ハ通譯デアッテ、俸給モ內地ノ
約三倍ヲ支給サレルト云フ答デアリマシタ、
又官立ノ師範學校ニ男子部ト女子部ガ合同
シテ行クノハ如何、ト云フ問ニ對シマシテ、
ソレハ師範〓育ヲ統一スル爲デアッテ學校
長ノ下ニ、男子部長ト女子部長ヲ置イテ、
校長ガ之ヲ統一スルノデアルト云フ答デア
リマシタ、又私立學校ノ經營困難トナルガ
政府ハ之ニ對シ如何ニ考ヘルカト云フ質問
ニ對シ、私立學校ニ付テハ將來根本的ノ改
革ヲナスベク考慮中デアルガ、未ダ其ノ具
體的問題ニ付テハ言ヘナイガ、近ク助成ノ
方法ヲ講ジタイト思ッテ居ルト云フ答辯デ
アリマシタ、又高等〓育ヲ受ケタ學生ノ體
格ガ一般ヨリ低下シテ居ルト云フ此ノ事實
ニ鑑ミ、學生ノ榮養ハ重大ナル問題デアル、
東部軍司令部ハ此ノ點ニ付警告ヲ發シテ居
ル有樣デアルガ、政府ハ此ノ學生ノ體位低
下ノ事實ニ鑑ミ、學生ニ對スル米ノ配給對
策ヲ考慮サルヽヤト云フ質問ニ對シマシテ、
此ノ點ニ付テハ農林、厚生兩省ト交渉シテ
居ルガ、只今ノ所大學ノ食堂ダケデモ十分
ニ晝食ヲ取ルコトガ出來ルヤウニシタイト
考ヘテ居ル、ト云フ答デアリマシタ、其ノ
他戰時下ノ學生ノ思想動向、或ハ內地ニ在
ル外國ノ留學生問題、宗〓ニ對スル問題及
ビ戰死者ノ未亡人、短期講習ヲ受ケタル〓
員ノ待遇問題、又軍人遺家族ノ子女ニ對ス
ル學校ニ於ケル待遇、及ビ外地派遣ノ〓員
ノ交替、或ハ女學校ニ於ケル情操〓育、其
ノ他各種ノ質疑應答ガアリマシタガ、是等
ハ速記錄ニ付テ御承知ヲ願ヒタト存ジマス、
斯クシテ質問ヲ終リ、討論ニ移リマシタ處、
別ニ發言モナク、採決ノ結果、兩案共政府ノ
原案通リ可決スベキモノト決定ヲ致シマシ
タ、右御報〓申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=24
-
025・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、兩案ノ採決ヲ致シマス、兩案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=25
-
026・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=26
-
027・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=27
-
028・子爵梅園篤彥君
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=28
-
029・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=29
-
030・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=30
-
031・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、兩案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=31
-
032・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=32
-
033・子爵西大路言光君
○子爵西大路言光君 直チニ兩案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=33
-
034・子爵梅園篤彥君
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=34
-
035・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=35
-
036・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=36
-
037・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第三讀會
ヲ開キマス、兩案全部、第二讀會ノ決議通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=37
-
038・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次會ノ議事日程ハ、決定次第彙報
ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午前十時五十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X01119430219&spkNum=38
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。