1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十四日(水曜日)午後一時四十分開議
出席委員左の如し
委員長 横川重次君
理事 佐久間渡君 理事 坂東幸太郎君
青木精一君 新井堯爾君
内池久五郎君 植村武一君
大島寅吉君 加藤俊夫君
南條徳男君 小浦總平君
藤本捨助君 鈴木忠吉君
高野孫左衞門君 高畠龜太郎君
羽田武嗣郎君 田中好君
出席國務大臣左の如し
鐵道大臣 八田嘉明君
出席政府委員左の如し
鐵道次官 長崎惣之助君
鐵道監 佐藤榮作君
鐵道監 堀木鎌三君
鐵道監 小林紫朗君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
内務技師 岩澤忠恭君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
自動車交通事業法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=0
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001・横川重次
○橫川委員長 是ヨリ開會致シマス、質疑
ヲ續行致シマス-藤本捨助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=1
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002・藤本捨助
○藤本委員 先ヅ委員長ニ御願ヒ致シタイ
ノデアリマスガ、私藥事法案委員會ニ出テ
居リマシテ、折角ノ同僚各位ノ御質疑ヲ、
悉ク拜聽致スコトヲ得マセヌデシタノデ、
或ハダブルカモ知レマセヌガ、其ノ際ハ御
注意ヲ御願ヒシタイト思ヒマス、ソレカラ
此ノ委員會ヲ拜借致シマシテ、鐵道「フロ
パー」ノ方面ニモ若干觸レマスケレドモ、其
ノコトモ豫メ御許シヲ願ヒタイト思ヒマス
申スマデモナク戰爭經濟ハ、金ノ經濟デ
ナク物ノ經濟デアリマス、併シ此ノ物ハ輸
送力ニ依リテ初メテ物タリ得ルノデアリマ
ス、大東亞戰爭勃發致シマシテ以來、赫々タ
ル皇軍ノ戰果ニ依リマシテ、我ガ國ハ所謂
持タザル國カラ持ツタ國ニナツタノデアリ
マス、大東亞共榮圈內部ニ於キマシテハ、
物ニ不足致シテ居ラヌカラデアリマス、併シ
此ノ物ノ存在ヲ利用ニ、生產ヲ消費ニ置ク
モノハ輸送力デアリマス、然ルニ只今我ガ
國ハ此ノ輸送力ニ不足ヲ致シテ居リマシテ
折角ノ物ガ物タリ得ナイト云フヤウナ事態
ニ置カレテ居ルノデアリマス、戰時下戰力
增强ノ急務ナル今日、生產增强ヲ阻ム逆條
件モ茲ニアルノデアリマシテ、又斯ルガ故
ニ刻下喫緊ノ要務ト致シマシテ、劃期的ニ
輸送力ヲ增强セナケレバナラヌト云フ要請
モアルノデアリマス、私ハ斯樣ナ觀點カラ
致シマシテ、二三ノ問題ニ付キ鐵道大臣ニ
御伺ヒ致シタイト思ヒマス、其ノ一ツハ我
ガ國ノ交通網、其ノ重要ナ一環デアリマス
鐵道網、ソレハ制度ト言ヒ、或ハ效率ト言
ヒ、實ニ世界ニ冠タルモノガアルノデアリ
マシテ、一タビ國境ヲ越エテ物質文明ヲ誇
ル英米ノ地ニ至ツテ、彼此比較檢討致シマ
シタ際ニハ、特ニ此ノ感ヲ深ク致シマス、
併シ我ガ國ノ鐵道網ノ多クハ、所謂自由主
義經濟ノ華カナリシ當時ニ出來テ居リマス
ルノデ、其ノ運營ノ根本方針ニ付キマシテ
モ、其ノ重點ヲ收支ノ均衡、或ハ採算ノ有
利化ト云フヤウナ點ニ置カレテ居タノデア
リマス、國鐵ト雖モ此ノ點ハ否ミ得ナイト
思フノデアリマス、隨ヒマシテ、アラズモ
ガナノ重複輸送、交錯輸送、或ハ不平均輸
送ト云フヤウナ輸送上ノ好マシカラヌコト
モ、現ニ見テ居ルノデアリマス、又我ガ國
ノ交通網ハ鐵道ト言ハズ、道路ト言ハズ、
港灣ト言ハズ、國防或ハ政治、經濟、文化
等凡ユル觀點カラ考慮サレテ施設致サレテ
居リマスケレドモ、此ノ振古未曾有ノ大東
亞戰爭ヲ豫見致シテ施設シタモノデゴザイ
マセヌ、隨ヒマシテ、人ト物ノ大動員ニ際
シマシテ、之ヲ急激ニ、大量的ニ輸送スル
要請ニ卽應シナイト云フ憾ミナシトシナイ
ノデアリマス、或ハ又超生產力增强ノ急務
ノ要請スル經濟地理、或ハ產業立地ノ觀點
カラ致シマシテ、我ガ國ノ鐵道網ハ必ズシ
モ之ニ適應致シテ居ラナイト云フコトモ考
ヘラレマス、況ンヤ我ガ國ハ大東亞戰爭ヲ
完遂スル爲ニ、或ハ大東亞共榮圈ヲ建設致
ス爲ニ、其ノ核心ヲナシテ居リマスル關係
上、我ガ國ノ交通網ハ鐵道ニ限ラズ、大東亞
共榮圈內ニ於ケル交通網ト緊密ナル連繫協
調ヲ致サナケレバナリマセヌガ、併シ固ヨ
リ斯ウ云フ基本關係ヲ豫定シテ後ノ施設デ
ナイコトハ申スマデモゴザイマセヌ、私ハ
斯樣ナ見地カラ致シマシテ、先ヅ御尋ネ致
シタイト存ジマスコトハ、我ガ國ノ鐵道事
業ノ運營ノ根本方針ニ付テデアリマス、卽
チ自由經濟ノ華カナ當時ニ行ハレマシタヤ
ウナ收支ノ均衡トカ、或ハ採算ノ有利化ト
云フヤウナ考ヘ方ヲ一擲致シマシテ、戰時
卽應ノ新タナル構想工夫ヲ以テヤラレルベ
キダト思フノデアリマス、先ヅ此ノ點ニ付
テ大臣ノ御答辯ヲ煩シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=2
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003・八田嘉明
○八田國務大臣 只今御話ノ如ク、戰力增
强ト輸送力ト云フ問題ガ、極メテ重要ナル問
題デアルコトハ御話ノ通リデアリマス、御
質問ニ關聯シテ御述ベニナリマシタ點ニ付
キマシテモ、大體御同感ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス、唯一ツ申上ゲタイコトハ我ガ
國ノ鐵道ハ、御承知ノ通リ明治五年ニ當時ノ
政府ガ又其ノ政府ノ要路者ガ、御一新ニ際
會致シマシテ、封建政治ニ替ツテ明治ノ新
政ヲ迎ヘル際ニ於キマシテ、當時思想モ國
內ニ於テ必ズシモ統一サレテ居ラナイ、又山
間僻地ニ於キマシテハ、文化其ノ他必ズシ
モ一樣デナイ、玆ニ當時ノ政府ハ何ヲ以テ
人心ノ安定ヲ圖ルカ、ソレニ付テ考ヘラレ
タ其ノ第一ノ點ガ、卽チ我ガ國ニ鐵道ヲ敷
設スルコトガ急務デアルト言ツテ、明治二
年ノ暮ニ既ニ廟議ニ於テ鐵道幹線ノ敷設ヲ
決定サレタノデアリマス、今日吾々鐵道ニ
關係アル者カラ考ヘマスト、其考ヘ方ノ適
切ト云フコトヨリモ非常ニ雄大デアツテ、
其ノ點ハ今日私共ガ大東亞ノ鐵道交通全體
ヲ考ヘマスヨリハ、尙ホ當時ニ於テ我ガ國
ノ幹線ヲ、國有トシテ敷設シヨウトシタ先
覺者ノ意氣ノ旺ンナル、洵ニ敬服セザルヲ
得ナイノデアリマス、私ハ此ノ點ニ考ヘマ
シテ、我ガ國ノ鐵道ハ「アメリカ」ヤ其ノ
他ノ、所謂自由企業トシテ發達シタ國ノモ
ノトハ、全然違フト云フコトヲ確信シテ居
ルノデアリマス、卽チ我ガ國ハ最初カラ國
策遂行ノ機關トシテ、國有鐵道トシテ發達
シタノデアリマス、其ノ後御承知ノ通リ、
或ハ日本鐵道ノヤウナモノガ、岩倉公等
ニ依ツテ計畫サレマシタガ、是モヤハリ國
家的見地カラ敷設サレタモノデアツテ、決
シテ營利ヲ目的トシテ出來タモノデナイコ
トハ當時ノ岩倉公ノ記錄ニ依ツテモ明カ
ナ所デアリマス、其ノ他產業鐵道其ノ他ガ
明治ノ中年カラ發達シテ參リマシタガ、中
ニハ電車會社ト云フヤウナモノデ所謂企
業-營利ヲ目的トシタモノガナイ譯デモア
リマセヌガ、大體ニ於テ我ガ國ノ鐵道ハ、
其ノ官私何レヲ問ハズ國家的見地カラ發達
シタノガ、大體ノ出發點デアルト思ツテ
居ルノデアリマス、併シナガラ其ノ後ニ於
テ、民營ガ色々ナ形ニ於テ現ハレテ參リマ
シタノデ、御承知ノ通リ鐵道ダケハ國有デ
行カナケレバナラヌ、他ノ產業ハ別デアル
ケレドモ、鐵道ダケハ是ハ軍事上カラ言ツ
テモ、或ハ政治上カラ言ツテモ、國有デナ
ケレバナラヌト云フコトヲ論ゼラレマシテ、
ソレヲ實現スベク早クモ明治ノ二十年前頃
カラ論ゼラレマシテ、ソレガ爲ニハ度々內
閣ノ更迭モアツタト云フヤウナ歴史ヲ經テ、
明治三十九年ニソレガ議會ヲ通過シテ、鐵
道國有法ナル法律ガ制定セラレマシテ、原
則トシテ我ガ國ノ鐵道ハ國有ナリト云フコ
トガ、不動ノ國策トシテ決定サレタノデア
リマス、デアリマスカラ、今日私共ノ考ヘ方
ハ、我ガ國ノ鐵道ハ國有デアル、鐵道國有
法ノ第一條ニハ「一般運送ノ用ニ供スル鐵道
ハ總テ國ノ所有トス」トアツテ、其ノ但書ニ
「但シ一地方ノ交通ヲ目的トスル鐵道ハ此ノ
限ニ在ラス」ト云フコトガアリマシテ、是ガ
我ガ國ノ鐵道ノ原則デアリマス、隨ヒマシテ
今囘買收法案ヲ御審議願ヒマシタ際ニモ述
ベタノデスガ、我ガ國ノ鐵道ハ國有ガ本體ナ
ノデアリマス、唯初メハ一地方ノ鐵道トシ
テ始マルモノモアリマスガ、軈テ是ガ成長
致シマシテ、一般ノ交通ノ用ニ供セラレルヤ
ウニ相成リマシタ場合ニハ是ハ議論ナシ
ニ國有トサルベキモノデアルト云フ觀點カ
ラ、御說明ヲ申上ゲテ居ルヤウナ次第デア
リマス、但シ政府ノ財政上ノ關係ヤラ、地方
ノ希望カラ致シマシテ、適當ナル企業ガゴ
ザイマスレバ、一般交通ノ用ニ供スル性質
ト認メラレルモノ言ヘ換ヘレバ鐵道敷設
法ニ定メラレテ居ル線路デモ、之ヲ地方鐵
道トシテ認可ハ致シマスガ、是ハ軈テ時機
ガ到リマスレバ、國有鐵道トスルト云フ考
ヘ方ヲ以テ免許サレテ居ルモノト考ヘルノ
デアリマス、隨ヒマシテ私ハ只今御尋ネ
ノ第一デアリマス根本方針ハ何カト云フコ
トニ付キマシテノ前提トシテ、其ノコトヲ
申上ゲルノデアリマス、卽チ根本方針ハ少
シモ變ツテ居ラナイト云フコトヲ申スノデ
アリマス、我ガ國ノ鐵道ハ、殊ニ國有鐵道
ハ我ガ國ノ鐵道ノ中樞機關デアリマスカラ、
何處マデモ我ガ國ノ國策ト共ニ終始シ發展
スル、卽チ國運ト共ニ伸暢スルモノデアル
ト考ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ根
本方針ハ國策ノ示ス所ニ依ルノデアリマス、
ソレデハ具體的ニドウ云フ變化ガ生ズルカ
ト云ヘバ、只今申シマシタ通リ、吾々國民
ガ期待シテ已マナカツタ所ノ大東亞共榮圈
ノ建設ガ眼ノ前ニ展開シタ、是ハ一ニ皇軍
ノ忠勇果敢ナル結果デアリマスルガ、此ノ
喜バシキ、將來ノ非常ニ輝イタル時ニ當リ
マシテ、私共交通人トシテ考ヘナケレバナ
ラヌコトハ、ドウ致シマシテモ、凡ユル施
策ガ大キクハ大東亞共榮圈建設ノ見地カラ
總テ出發スル、隨ヒマシテ國內ニ於ケル鐵
道ノ施設ト云フモノモ、此ノ大東亞共榮圈
建設ト云フ此ノ大ナル國策ニ向ツテ、其ノ
使命ヲ達成シ得ル交通機關トシテ、何處マ
デモ之ヲ整備シ、又運營シナケレバナラヌ、
整備ト運營ハ必ズ一致シテ居ルモノト思フ、
計畫ガ立ツ以上ハ、其ノ計畫ト運營ハ-
運營ヲ考ヘマシテ計畫スルモノデアルガ故
ニ、計畫ハ卽チ運營デアルト考ヘテ居リマ
ス、左樣ニナルベキモノデアルト思ヒマス、
隨ヒマシテ支那事變以前、滿洲事變當時カ
ラ既ニ今日ノ大東亞建設ノ一步ハ踏ミ出サ
レテ居ツタト思ヒマス、滿洲國ノ建國ト共
ニ一步踏ミ出シ、更ニ支那事變ト共ニ二步、
三步ヲ踏ミ出サレテ居ルト思フノデアリマ
ス、今ヤ大東亞共榮圈建設ノ眞ノ戰爭ノ遂
行ト共ニ、建設ノ全面的步武ハ進メラレツ
ツアルト考ヘルノデアリマス、我ガ國有鐵
道而シテ我ガ國ノ鐵道ハ左樣ナル情勢ノ
下ニ、過チナク國策的輸送ヲ遂行スルコト
ニ向ツテ、凡ユル施策ヲ講ジ、凡ユル實行
ヲ致シテ參ルト云フコトニ相成ルト思フノ
デアリマス、御承知ノ通リ昨年十月六日ニ、
閣議ニ於テ決定發表セラレマシタル戰時陸
運非常體制ノ確立ハ、此ノ見地カラ致シマ
シテ大東亞戰爭ヲ勝チ拔ク爲ニハ、斯ク斯
クノコトヲ鐵道トシテハヤラナケレバナラ
又、陸上輸送機關ハ綜合シテ、此ノ非常時
ニ對シテノ完全ナル使命ヲ遂行致サナケレ
バナラヌト云フコトカラ、アノ方針ガ決定
セラレタト思フノデアリマス、其ノ內容ヲ
ナスモノハ是ハ私カラ申上ゲルマデモナ
ク能ク御承知ノ通リ、我ガ國ノ交通ハ海ヲ
主トシタモノデアルコトハ、地形上當然ノ
コトデアリマス、四方海デアリマスカラ、
海デ運ビ得ルモノナラバ、出來ルダケ海デ
運ブト云フ方針デ、我ガ國ノ交通ハ進ンデ
居ル、已ムヲ得ナイモノハ陸上デ動ク、サ
ウ云フ觀點カラ致シマシテ、只今御話ノ中
ニアリマシタ通リ、我ガ國ノ陸上ニ關スル
施設ト云フモノハ、私ハ甚ダ不十分デアツタ
ト思フ、而モ鐵道、殊ニ國有鐵道ノ如キハ、
平生ニ於テモ非常ナ無理ヲ致シテ居リマス、
卽チ荷ガ非常ニ掛カツテ居ル、デアリマス
カライザト云フ場合ニハ中々餘裕ガナイ、
例ヘバ車輛ニ致シマシテモ「ソ」聯邊リデ行キ
マスレバ平生カラ我ガ國ノ一「キロメート
ル」ナラ一「キロメートル」ノ輸送量ニ比シ
マシテ、非常ナ澤山ナ車輛ヲ持ツテ居ツ
テ、平生餘裕綽々トシテ居リマスカラ、イ
ザト云フ場合ニハ相當鐵道ノ輸送力ガアリ
マスケレドモ、日本ノ如キハ海陸自然ノ成
立チカラ、出來ルダケ海ニ力ヲ入レテ居ル關
係上、鐵道ハ私共ガ期待シタヨリカ、甚ダ
過重ニナツテ居ルノデアリマス、私共ハ斯
ウ云フ意味カラ、將來ニ向ツテ十分ナル陸
ノ施設ヲ、平生ニ於テ怠ツテハナラヌ、斯
ウ云フコトヲ痛切ニ感ジテ居ルノデアリマ
え、纒メテ申上ゲレバ、根本方針ニ於テハ、
我ガ國ノ鐵道ハ明治初年以來少シモ變リナ
シ、而シテ其ノ具體方策ニ付キマシテハ、
其ノ時々ノ國策ニ依ツテ違フノデアリマス
ルガ、今日マデモ國策ニ副ウテ參ツテ居ル、
參ツテ居ルノデアリマスルガ、遺憾ナガラ
只今申シタヤウナ譯デ、是ガ十分ナルモノ
トハ考ヘラレマセヌ、今後ハ大東亞共榮圈建
設ノ爲ニ、國內竝ニ國外ニ向ツテノ十分ナ
ル連繫、而シテ海陸一致シテ此ノ重要ナル
目的ヲ達成シナケレバナラヌト考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=3
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004・藤本捨助
○藤本委員 只今極メテ御懇篤ナル御答辯
ヲ戴キマシテ、感謝ニ堪ヘマセヌ、仰セニ
モゴザイマシタヤウニ、鐵道ト云ハズ交通
機關ハ、所謂公益機關デアリマシテ、何時ノ
時代ニ於キマシテモ、或ハ如何ナル主義ガ經
濟上行ハレマシテモ、鐵道ハ常ニ公益機關
トシテ國策遂行ノ動脈デアルト云フ點ニ於
テハ、只今御示シノ通リデアリマス、私モ
國鐵ニ付テコノ事ヲ能ク了承致シテ居リマ
ス、只今此ノ點ニ付キマシテ、非常ニ御力說
ヲ下サイマシタコトハ洵ニ結構ニ存ジマス、
就キマシテ御伺ヒ致シタイト存ジマスガ、
從來鐵道ノ改良建設ハ、益金ヲ以テヤツテ居ラ
レタト云フコトヲ承知致シテ居リマスガ、
是モ一ツノ行キ方デアリマセウ、併シ今仰
セノ如ク、鐵道ガ國策機關デアリ、而シテ
國策ハ時代ニ依ツテ緩急ノ變遷モ致シマス
ガ、殊ニ只今ハ決戰段階ニ入リマシテ、今
年、來年ハ我ガ國ノ危急存亡ヲ決スル年デ
アリマス、隨ヒマシテ國鐵ノ改良建設ニ付
キマシテハ、敢テ益金ヲ待ツノ要ヲ見ナイ、
否益金ハ次第ニ細ルダラウト思ハレマスル
ニ反シ、改良建設ノ强化ハ益〓加重致シテ
參リマセウ、隨ヒマシテ玆ニ目下焦眉ノ急
務タル交通力ノ增强ニ對シマシテハ益金
ヲ俟タズ特ニ戰時卽應ノ他ノ構想、或ハ工
夫ヲ以テ對處スベキデアラウト思フノデア
リマス、例ヘバ公債ヲ增發スルトカ、借入
金ヲスルトカ、或ハ又戰費財源トシテノ繰
入レヲ止メルノモ、一ツノ手デアリマセウ
ガ、兎モ角モ特別ニ、且又急イデ措置致ス
ベキデアラウト思ヒマスノデ、此ノ點ニ付
テ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=4
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005・八田嘉明
○八田國務大臣 御話ノ點ハ全ク其ノヤウ
ニ存ジテ居リマス、御承知ノ通リ鐵道ノ
會計法ニ於テ示シテ居リマスヤウニ、建設
改良ノ經費ハ、益金ヲ以テ之ヲ支辨スルト
アツテ、其ノ不足ノアル場合ニ於テ公債若
シクハ借入金ヲ以テ、之ニ充當スルト云フ
コトガ原則ニナツテ居ルノデアリマス、隨
ヒマシテ過去ヲ振返ツテ見マスルト、到底
今日マデ此ノ改良建設ガ、益金デ間ニ合ツ
タコトハ實ハナイノデアリマシテ、何時モ
何ガシノカノ、大小ハ違ヒマスルケレドモ
公債金ニ依ツテ、其ノ不足ヲ補ツテ居ルノ
デアリマス、今日幾ラニナリマスカ五十數
億ニナリマスルト、國有鐵道ノ總投資資本、
投資額ト申シマスカ、資本ノ約半分近クガ
借入資本デアル、半分ガ所謂益金カラ投下
サレタ民間デ普通謂フ所ノ社內保留ノモノ
デアルト思ヒマス、サウ云フ譯デアリマシ
テ、相當額、卽チ投資ノ半分、併シ投資ト
云フモノハ大體ニ於テ改良建設ニ依ツテ、
成立ツテ居ルモノデアリマスルカラ之ヲ申
セバ大體國有鐵道ノ改良建設ノ經費ト云フ
モノハ半分位ガ益金ニ依リ、半分ガ公債、
卽チ借入金ニ依ツテ居ルト申シテ宜イト考
ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ今御話
ノ通リニナツテ居ルノデアリマス、唯國有
鐵道トシテハ、一方ニ於テハ收支ヲ構ハズ
ニ、場合ニ依リマシテハ、大イニ仕事ヲ致
サナケレバナラヌト云フノデアリマスルガ、
又平生リ於テハソレダケノ經濟的ノ餘裕ヲ
※
持ツテ居ル、是ハ官業デハアリマスルケレ
ドモ、ヤハリ其ノ經濟ハ特別會計トシテ、
出來得ベクンバ一ツノ企業ノ原則ニ基イテ
致スコトガ然ルベシトナシテ是ガ特別會
計ニナツテ居ルト考へルノデアリマス、隨
ヒマシテ私共ハ平生ニ於テモ、ソレガ合理
的デアリマスナラバ、ヤハリ相當ノ益金ヲ
擧ゲルヤウニ考ヘルノガ、當リ前ダト思ヒ
W 2 ,併シナガラ決シテ國策ノ示ス所ニ違
ツタ所ノ營業方針ハ執レナイト思フ、是ハ
併シ決シテ所謂自由主義デモナケレバ、營
業萬能主義デモナイノデアリマシテ、モウ
國策其ノモノガ、サウデアルト私ハ考ヘテ
居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=5
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006・藤本捨助
○藤本委員 鐵道ノ改良建設ニ付キマシテ、
公債、借入金其ノ他超非常的手段ヲ以テ致
スコトノ急務ナルコト今日ヨリ甚ダシキハ
ナイト思ヒマス、ドウゾ此ノ點ニ付テ一段
ノ御努力ヲ願ヒタイト思ヒマス
次ニ先程御示シ下サイマシタ御趣旨カ
ラ、第二ニ御尋ネ致スノデアリマスガ、假
ニ鐵道收入ガ赤字デアラウガ、併シ鐵道ノ
運營ガ國策ニ副フ、卽チ低物價政策ニ寄與
スル、或ハ生產增强ニ寄與スル、或ハ又國
民ノ生活安定確保ニ寄與スルナラバ、縱シ
ンバ赤字デアリマシテモ、運賃ノ値上ノ理
由ニハナラナイト云フコトモ考ヘラレマス、
更ニ最近御始メニナル原產地輸送ニ付キマ
シテモ、是ハ元々赤字覺悟デアルカラ、縱
シンバ赤字デアリマシテモ、運賃引上ゲノ
理由ハ成立タヌト思フノデアリマス、然ル
ニ最近巷間ニ傳ハツテ居ル聲デアリマシテ、
御當局ノ御考ヘデアルカドウカハ別デアリ
マスガ、一般的ニ運賃ヲ引上ゲルト云フヤ
ウナ聲ガアルノデアリマス、曩ニ人或ハ物
ノ運賃ヲ上ゲラレマシタガ、アレハ私ハ寧
ロ財政收入ヲ得ルト云フヨリモ、不急不要
ノ旅行、或ハ物ノ輸送ヲ抑制スルト云フ點
ニヨリ重要ナ意味ガアツタト思ヒマス、斯
樣ナコトカラ、今一般的ナ運賃ヲ上ゲルト
云フコトハイケナイ、端的ニサウ私ハ考ヘ
マス、更ニ又海上輸送ヲ陸運ニ轉換致シテ
居リマスガ、ソレニ付キマシテハ若干上ゲ
ルト云フコトデアルナラバ、是ハ其ノ理由
ガ成立ツト思フノデアリマスケレドモ、是
トテモ只今御示シノ如ク、國策機關デアル
ト云フヤウナ觀點カラ致シマスルナラバ、上
ゲルベキデナイト信ズルノデアリマス、卽
チ收支ノ均衡ト云フコトハ、今ヤ問題デナ
イノデアリマシテ、鐵道ヲ如何ニセバ國策
遂行ニ最モ寄與スルカ、低物價政策或ハ國
民ノ生活ノ安定、或ハ生產力ノ增强ト云フ
コトニ、最高度ニ寄與スルト云フコトガ、
鐵道ノ大ナル狙ヒデアルト云フコトハ今
御示シノ通リデアリマスルカラ一般運賃ハ
勿論ノコト、原產地輸送モ海上ヨリ陸運ニ
轉嫁シタモノニ付キマシテモ上ゲルベキデ
ハナイ、ト私ハ信ズルノデアリマス、此ノ
點ニ付キマシテ大臣ノ御答辯ヲ御願ヒシタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=6
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007・八田嘉明
○八田國務大臣 運賃ニ付キマシテモ、大
體御考ヘノ通リ考ヘテ居リマス、運賃ニ付
キマシテ一應私共ノ考ヘテ居ルコトヲ申上
ゲタイト思ヒマスガ、是ハ先頃別ノ委員會
カナンカデ述ベタノデアリマスルガ、モウ
一度簡單ニ申上ゲタイト思ヒマス、我ガ國
ノ鐵道ハ大體ニ於テ先程申シマシタ通リ海
運詰リ重イ遠距離ノ嵩高ノ物ハ出來ルダ
ケ海ニ依ツテ居リマスルカラ、陸上ノ機關、
鐵道ノ如キハ大體ニ於テ旅客ノ交通ガ他ノ
國ニ比シテ割合ノ多イコトハ御承知ノ通リ
デアリマス、只今ドウナツテ居ルカ、大體
五割五分位ガ旅客收入デアリマシテ、四割五
分位ガ貨物收入デアリマス、滿洲ニ致シマ
シテモ、或ハ其ノ他ノ大陸國ニ致シマシテ
モ、ソレハ貨物收入ノ方ガ遙カニ多イノデ
アリマス、然ルニ日本ノ鐵道ハ、島國デア
ルト云フ關係カラ致シマシテ、旅客ノ方ガ
多イノデアリマス、言換へレバ貨物ハ其ノ已
ムヲ得ザルモノノミガ國內ヲ動イテ居ル、
斯ウ申シテ宜イカト思フノデアリマス、隨
ヒマシテ過去ニ於ケル運賃ノ大體ノ立テ方
ト云フモノハ、其ノ貨物旅客ト云フモノヲ主
ニシテ、其ノ實績カラ計算シ、又ソレヲ理
論的ニ負擔力ヲ考ヘテ、ソレ〓〓ノ運賃竝
ニ勞銀等ノ等級ガ決ツテ居ル譯デアリマス
ルガ、最近支那事變以來、申スマデモナク
大體ニ於テ貨物ノ方デハ生產力擴充計畫物
資及ビ國民ノ生活必需品ノ物資ガ增加シマ
シテ、他ノ貨物ノ動キト云フモノガ抑制サ
レテ參ツテ居リマス、所ガ是モ御承知ノ通
リ一般運賃率カラ、是等ノ生產擴充物資及
ビ國民生活必需品ト云フモノハ特定割引ヲ
致シテ居ル譯デアリマシテ、段々國策ニ副
ウテ運營ヲシテ行ケバ運營ヲシテ行ク程割
引率ノ高イモノガ貨物トシテ殖エ、他ノ物
ハ是ガ減少シテ參ルト云フコトカラ、貨物
ニ於キマシテハ鐵道省ガ當初運賃率ヲ決定
致シマスル時ノ考ヘカラ致シマスルト、收
入ノ方ガ減ツテ支出ガ多クナル、斯ウ云フ
傾向ニアル譯デアリマス、詰リ純益率ガ減
ツテ參ルコトハ當然ノコトデアリマス、又
旅客ノ運賃ニ致シマシテモ、御承知ノ通リ
定期ノ運賃率ハ低イノデアリマス、殆ド實
費ヲ切ツテ居ルモノモ多イ位デアリマス、
所ガヤハリ時局ハ段々近距離ノ定期ノ動キ
ガ多クナリマシテ、一般ノ旅客ハ抑制サレ
ル、是ニ於テモ旅客運賃收入ニ比シテ經費
ハ增大スル、斯ウ云フコトニ相成ルノデア
リマス、隨ヒマシテ昭和十五年ニ國有鐵道
ニ於テ詳細ナル實費計算ヲ致シマシタル
所實費ガ旅客ニ於テハ收入ノ一ニ對シテ
約〇·六三、ソレカラ貨物ハ收入一ニ對シ
テ支出ノ方ガ一·〇七ト云フヤウナ、詰リ
赤字ニナツテ居ル譯デアリマス、旅客ノ方
ハ黑字デアリマスルケレドモ、貨物ノ方ハ
赤字デアリマス、昭和十六年度ノ調ベニ依
リマスルト、ソレガ一步前進致シマシテ、
旅客ノ方ハ一ニ對シテ〇·六五、貨物ノ方
ハ一ニ對シテ一·二〇、二割餘計實費ノ方ガ
掛ツテ居ル、斯ウ云フコトニナツテ居リマ
ス、之ヲ合ハセマシテ平均致シマスト、約
〇·八五、マア一割幾ラ位シカ餘裕ガナイ
ト云フノガ十六年度ノ實績デアリマス、
今日ハ尙ホソレガ前進シテ居ルノデアリマ
スカラ、大體ドウナツテ居ルカト云フコト
ガ御想像ガ付クト思フノデアリマス、而シ
テ貨物ノ方ガ段々殖エテ、旅客ノ方ガ減ツ
テ參リマスカラ、益〓赤字ニ近イ方ヘ進行シ
ツツアルト云フコトニナル、隨ヒマシテ之
ヲ理論的ニ申シマスレバ、當然貨物運賃ハ
上ゲテ宜シイノデアル、上ゲルベキ域ニ達
シテ居ル、旅客運賃ニ付テハ前ニ或ル程度
サウ云フ意味カラ上ゲタノデアリマス、其
ノ上ゲタ所ノ目的ハ、只今御述べニナリマ
シタヤウニ所謂消費抑制、詰リ購買力ノ抑
制一ツニハ國家財政ニ寄與スルト云フ目
的カラアノコトハ決マツタノデアリマス、
貨物運賃ニ付キマシテハ、是ハ今一口ニ言
ヘバ無駄ナモノハモウ殆ンド抑制サレテ居
リマスカラ、旅客運賃トハ違ツテ、消費抑
制ト申シマスカ、購買力抑制ト云フ方ハ、
ドチラカト云フトモウ效果ガ少ナイト思フ、
之ヲ上ゲルトスレバ、一ニ國家財政ト云ヒ
マスカ、或ハ鐵道ノ財政ト申シマスカ、其
ノ健全性ノ爲ニヤルト云フコトニナル、然
ルニ昨年旅客運賃ヲ改正スル時ニ於キマシ
テモ、貨物運賃ニ付テモ問題デアツタケレ
ドモ、ソレガ所謂政府ノ時局下ニ於ケル物
價政策ト云フ見地カラ致シマシテ之ヲ上ゲ
ナカツタノデアリマス、御承知ノ通リ旅客
運賃ダケデ、貨物運賃ハ多少ノ調整ハ致シ
マシタケレドモ、上ゲテハ居ラヌノデアリ
マス、今囘モ既ニ其ノ時ヨリハ鐵道ノ財政
トシテハ、旅客ノ點ヲ見マシテモ、貨物ノ
點ヲ見マシテモ、非常ニ其ノ點カラ言ヘバ
前進致シテ居ル譯デアリマス、今後暫ク前
進スルデアラウト思フノデアリマス、併シ
ナガラ昨年モサウ云フ風ニシテ貨物運賃ニ
手ヲ着ケナカツタト云フヤウナ意味ニ於キ
マシテ、今囘ノ豫算ニ於キマシテモ、私ノ
方カラ言ヘバ非常ナ急激ナ公債ニ依存シテ
居リマスルケレドモ、詰リ言換ヘレバ昨年
ニ比シテ一億數千圓ノ公債ガ增シマシタケ
レドモ、併シナガラ尙且ツ運賃ハ上ゲナイ
デ行クト云フコトニ今ナツテ居ルノデアリ
マー、併シナガラ運賃其ノモノハ鐵道財政
カラ言ヘバ當然上ゲテ宜シイ域ニ達シテ居
ルト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、私ハ
御話ノ如ク運賃ト云フモノハ、鐵道省トシテ
ハ貨物運賃ヲ事變前カラ上ゲナイノミナラ
ズ、却テ昭和十四年ノ十月ニハ國ノ戰時ノ要
請ニ應ジマシテ、石炭其ノ他生產擴充ノ重
要物資及ビ、農村漁村カラ出マス所ノ國民生
活必需品ニ對シマシテハ非常ナ割引ヲ致シテ
た
居リマス、恐ラク三千萬圓位ニナルト思ヒ
マス、其ノ當時三千萬圓デアリマスカラ、今日
ノ數量ニ付テ見タラバ非常ナ額デアリマス、
左樣ニ他ノ物價ト云フモノハ事變前カラ多
少ナガラ上ツテ居リマスガ、茲ニ一ツ我ガ
國有鐵道ノ運賃ダケハ少シモ變ラヌト云フ
ヨリモ、昭和十四年ニ於テソレダケノ特定
運賃割引ヲ特ニ强化シタ譯デアリマス、ソ
レデアリマスカラ、理論的ニ申セバ、當然是
ハ議論ナシデアリマス、今日石炭ノ價格デ
アルトカ、或ハ鐵ノ價格デアルトカ云フモ
ノガ、所謂物價政策、其ノ生產ノ「コスト」ト
云フモノト關係致シマシテ、色々議會ニ於
テモ議論ニナツテ居ルノデアリマス、併シ
ソレニハ理由ガアルデアリマセウ、是ハ補
助金トカ云フヤウナ方法ニ依ツテヤツテ居
ルノデアリマスカラ、國有鐵道ハ國營デア
リマスカラ、其ノ政府ノ補助ト云フ意味ヲ
以チマシテ、公債ヲ發行シテ、其ノ公債ノ
利子ハ鐵道ノ財政ニ於テノ負擔ト致シマシ
テ進ンデ居ル譯デアリマス、併シナガラ理
論的ニ言ヘバ、當然他ノ何モノヨリモ鐵道
ガ一番安クナツテ居ルノダト云フコトヲ申
述べテ居ル次第デアリマス、此ノ點ハ能ク
御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=7
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008・横川重次
○橫川委員長 藤本君ニ申上ゲマスガ、企
畫院ノ第二部長ガ見エラレテ居リマスカラ、
其ノ御積リデドウゾ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=8
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009・藤本捨助
○藤本委員 鐵道ノ公益機關、國策機關ト
シテノ目的發揮ノ爲ニ大臣ノ眞摯ナル又非
常ナ御努力ニ對シマシテハ敬意ヲ表シマス、
運賃ハ上ゲルベキ狀態デアルケレドモ上
ゲナイトノ御方針ハ各般ノ要請ニ鑑ミ洵ニ
戰時下ニ於テ妥當ナル御措置ダト思ヒマス、
次ニ御尋ネシタイコトハ原產地輸送ハ赤字
デモ尙ホ續ケルカト云フコトデアリマス、
是ハ今ノ御說明カラ諒承致セルノデアリマ
スガ、原產地輸送ハ非常ニ採算ヲ度外視シ
テヤルノデアリマスカラ、極メテ必要デア
リマスガ、國鐵ハ別ト致シマシテ、他ニ必
要ナ場合ガ隨分アリマシテモ、國鐵以外ノ
モノニ於キマシテハ之ヲ期待シ得マセヌ、
併シ原產地輸送ノ必要ハ今隨分アルノデア
リマスノデ、先般同僚議員カラ自家用自動
車云々ノ話モ出タノデアリマスガ、現實ニ
ソレヲ御許シニナルト國鐵ノ原產地輸送ト
同樣ニ、玆ニモ亦赤字ガ出ル、採算ヲ度外
視セネバナラヌ、ソコデ此ノ場合ニ對シテ、
ドノヤウニ國家ハ御措置ニナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=9
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010・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 原產地輸送ニ付キマ
シテハ、仰セノ如ク赤字ヲ覺悟ノ前デ乘出
ス積リデ居リマス、唯之ニ付キマシテハ
省ノ採算ト云フ意味デハナクテ、一般ノ民
營トノ關係モ十分考慮シナケレバナラナイト
思ツテ居リマス、民營ノ運賃ノ方ト十分權
衡ナリ調和ナリヲ圖ツテ行ク必要ガアルノ
デアリマス、隨ヒマシテ其ノ點ハ御諒承置
キ願ヒタイト思ヒマス、自家用ニ付キマシ
テ補助ヲスルカト云フ御話デアリマシタガ、
之ニ付キマシテハ別ニ補助ノ方法ハ考慮シ
テ居ラナイノデアリマス、恐ラク民營ヲ本
則トシテ輸送力ヲ强化シテ參ルト云フ此ノ
建前カラ、民營ニ付キマシテモ、輸送力ノ
增强方策ガ、省ハ勿論ノコト、地方廳或ハ
組合ト云フ方デ考慮致シマスノデ、極端ナ
採算ヲ度外視シテノ自家用ト云フコトハ餘
リ考ヘラレナイ譯デアリマス、尙ホ自家用
其ノモノニ付テノ輸送力ハ、過日モ申上ゲ
マシタ如ク、必ズシモ非常ニ成績ヲ擧ゲル
トモ考ヘラレナイノデアリマス、其ノ邊ニ
付キマシテハ自家用ノ運用ト云フヨリモ、
一般民營ノ自動車ノ運用效率ヲ上ゲテ行ク、
而モ尙ホ民營ノ自動車ダケデハ輸送ノ確保上
相當危險ガ感ゼラレル、斯ウ云フヤウナモノ
ニ付テトカ、或ハ特殊ナ構造ヲ必要トスル
モノニ付キマシテ自家用ヲ許スノデゴザイ
マシテ、此ノ點ハ補助ト云フコトデハナ
クテ、自家用ヲ使ハナケレバナラナイ、本
體ノ事業其ノモノノ爲ニ運用上ノ犠牲ハ其
ノ事業自身ガ負擔スベキモノデハナイカ、
斯樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=10
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011・藤本捨助
○藤本委員 次ニ重點物資ノ輸送ニ、限リ
アル輸送力ヲヨリ多ク割用スル必要ガアリ
マスガ、サウナリマスト、重點物資ニ補助
或ハ協力スル物資ノ輸送ニ對シテ、輸送力
ノ穴ガ明クト云フコトニナリハシナイカト
云フ憂ヒヲ持ツテ居ルノデアリマス、此ノ
點ニ付キマシテ、大臣ハドウ云フ御措置ヲ
ナサイマスカ、御尋ネ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=11
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012・八田嘉明
○八田國務大臣 只今ノ御尋ネハ、或ル定
メラレタル重要ナル物資ニ極力輸送力ヲ振
向ケルト、他ノモノガ抑制サレル、ソレニ
付テハドウ云フ處置ヲ執ルカト云フ御尋ネ
ダト思ヒマス、此ノ點ガ實ハ吾々ノ非常ニ
苦心シテ居ル點デアリマス、何ト申シマシ
テモ輸送力ニハ限リガアル譯デアリマス、
所ガ今日ノ人ト物トノ動キト云フモノハ限
リナキモノデアリマスカラ、之ヲ如何ニ受
大レテ調節シテ行クカト云フコトガ今日ノ
輸送ノ一番ノ重點ノ問題デアラウト思ヒマ
ス、特ニ問題トナリマスノハ、平生ニ於テ
用意シナカツタモノ、言ヒ換ヘレバ當然海
デ運バレテ居ツタ性質ノモノガ陸ニ上ツテ
來タモノニ對シテ、之ヲドウ處置スルカ、
之ニ付キマシテハ、サウ云フ用意ガ平生ナ
イノデアリマスカラ、取扱ノ、詰リ荷役ノ
施設ト云フモノモ決シテサウ云フ風ニハ出
來テ居ラヌ、港ノ入口モ、連絡スル所ノ施
設モサウナツテ居ラヌ、機械力モサウナツ
テ居ラヌ、謂ハバ表口カラ始終入ツテ居ツ
タモノガ、裏口カラ入ツテ來ル、斯ウ云フ
ヤウナ關係、卽チ輸送ノ量ガ非常ニ急激ニ
殖エテ參ルト同時ニ、輸送其ノモノガ陸上
ニ於テ非常ナ變化ヲ來シタト云フ所ニ非常
ナ惱ミガアル譯デアリマス、ソコデサウ云
フ許サレル或ル一定限度ノ輸送力ヲ以チマ
シテ、重點的ニ重要物資ニ力ヲ入レマスト、
當然他ノモノガ抑制サレル、ソコデ何ト申
シマシテモ、第一ニ抑制サレルモノガ旅客
輸送ダト思ヒマス、ソレハ先程申述ベタ通
リ我ガ國ノ鐵道ガ、ドチラカト申セバ旅
客輸送ニ力ガ入ツテ居ツタノデアリマスカ
ラ、其ノ點ニ色々ノ施設ガアリマスカラ、
ソコデ第一ニ出來ルダケ壓縮スル、而シテ
其ノ餘力ヲ貨物輸送ニ向ケル、ソレカラ又
貨物輸送ノ中デモ所謂戰ニ勝ツト云フ點カ
ラ見マシテ、比較的順序ノ遲イモノハ、希
望スル所デハアリマセヌガ、其ノ抑制度ヲ
强クシテ行ク、斯ウ云フヤウナ觀點カラ致
シマシテ、御承知ノ通リ四半期每ノ輸送計
畫ヲ立テマシテ、其ノ計畫ニ載ツテ居ルモノ
〓石炭、其ノ他工業物資、重要物資ト
云フモノヲ約十數品目、ソレカラ米麥其ノ
他國民食糧品及ビ肥料トカ飼料トカ云フヤ
ウナ物資ヲ合セマシテ三十三品デアリマシ
タカ、サウ云フモノヲ輸送上ノ計畫物資ト
シテ、輸送ヲ要求スル方、輸送ヲ擔當スル
方ノ部面ノモノガ官民一〓ニ協議ヲ致シマ
シテ、玆ニ鐵道輸送協議會ナルモノヲ中央
ニ設ケ、地方ニハ地方輸送協議會ヲ設ケマ
シテ、四半期每、又月每ノ計畫ヲ十分ニ豫
メ狙ヒマシテ、ドノ地點カラドノ地點ニ向
ツテドウ云フ物資ガ何時ドウ云フ風ニ運バ
ルベキカト云フコトヲ、戰力ノ增强ト云フ
見地カラ之ヲ策定致シマシテ、ソレニ基イ
テ總テノ數字ガ決マツテ出ル譯デアリマス、
隨ヒマシテ重點物資ニ對シマシテハ重點輸
送ニナリ、比較的重點ノ薄イモノハ其ノ次
ニナリ、最モ輕イモノハ殆ド影ヲ沒スルト
云フコトニ相成ルノデアリマス、サウ云フ
風ニ今日進ンデ居リマシテ、是ガ爲ニハ鐵
道省ハ勿論、農林、商工其ノ他ノ物資配給生
產ニ關スル方面ノ官廳竝ニ民間ノ統制會、
其ノ他統制會ト同ジヤウナ性質ノ團體等ガ
集マリマシテ、十分ニ練ツテ、先ヅ持ツテ居
ル所ノ輸送力ヲ要求スル所ノ輸送ニ、困難
デハアルガ我慢シテ貰ヒ得ル程度ニ之ヲ調
整シテ居ルノデアリマス、唯茲ニ恐ラク御
尋ネニナラントシテ居ラレルノハ、其ノ計
畫ニ載ラナイモノデ、俄カニドウシテモ輸
送シナケレバナラヌト云フモノガ起ツテ來
ル場合ガ相當アル、此ノ場合ニ其ノ計畫ヲ
急ニ變更シテ、ソコニ挿入シテ行クト云フ
コトハ中々容易デナイ、併シナガラ私共ハ
ソレニ付キマシテモ出來ルダケ臨機ノ處置
ヲ執ルベキノダト思ヒマス、ナゼカナレバ、
是ガ唯重要物資、生活必需品ト云フ方面カ
ラノミ計畫サレテ、少シモ餘裕ガナクナツ
タ場合ニハ、今度ハ國民生活ノ生業ノ方面
カラ申シマスルト、中々又困ル點ガ出ルト
思ヒマス、例ヘバ大分縣ノ竹ヲ岐阜ナリ名
古屋ノ方面ニ送ルト云フコトハ、ヤハリア
ア云フ名古屋、岐阜方面ノ竹ヲ材料ニシテ
生活ヲ營ンデ居ル人々ニハ竹其ノモノガ
重要物資デナイガ故ニソレヲ全面的ニ抑ヘ
ルト云フコトハ出來ナイ、或ハ九州ニ南瓜
ガ出來ル、之ヲ海ヲ越シテコチラニ運ブト
云フコトノ爲ニ、若シ南瓜ト云フモノガ直
チニ生活必需品ノ所謂重點デナイカラトシ
テ抑ヘマシタナラバ、又生產スル方面ノ農
業者トシテ甚ダ困ル、是ニ於テモウ今日デ
ハ輸送ハ單ナル輸送デハナク、生產其ノモ
ノデアルト私ハ考ヘテ居リマス、卽チ過去
ニ於テハ生產ト消費ノ間、或ハ生產ト配給
ト云フモノノ間ノ輸送ト云フ一ツノ部分デ
アリマシタガ、今日ハ切離シテハ考ヘラレ
ナイ、デアリマスカラ輸送ノ面カラ見マシ
テ、生產ニ對シテモ註文ヲ付ケ、配給ニ對
シテモ註文ヲ付ケ、消費ニ對シテモ註文ヲ
付ケナケレバナラヌコトニナツテ居ルト思
ヒマス、斯クシテ生產ト輸送ト配給消費ト
云フモノハ、丁度縱絲ニ橫絲ガ筬ニ依ツテ
織出サレテ、ソコニ立派ナ圖案ガ織出サレ
テ來ルト云フ工合デナイトイカント考ヘル、
ソコデ私共ハ今及バズナガラ鐵道ノ見地カ
ラ努力ヲ致シテ居ルノデアリマス、此ノ鐵
道輸送協議會モ、其ノ一ツノ現ハレデアル
ト考ヘテ居ルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=12
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013・藤本捨助
○藤本委員 只今輸送卽生產ト云フコトヲ
拜聽致シマシタガ、先程輸送卽物ト云フコ
トヲ申シマシタ私ハ、表現ハ違ヒマスケレ
ドモ非常ニ欣快ニ堪ヘナイノデアリマス、
偖テ今モ御示シニゴザイマシタヤウニ、重
點物資ノ輸送ニ力ヲ入レル、併シナガナ其
ノ爲ニ他ノ方面ニ穴ガアク、ソレヲ如何ニ
シテモ克服致サナケレバ、折角ノ重點物資
ノ輸送、或ハ重點產業ノ增强ト云フコトガ
最高度ノ效率ヲ發揮シ得ナイ、或ハ遊休ト
カ未働ニ終ルヤモ知レナイト云フコトニナ
リマスノデ、重點物資ノ輸送或ハ協力物資
ノ輸送、或ハ國民生活必需品物資ノ輸送ト
云フコトニ付キマシテ御苦心ノ程ハ重々拜
察致シ、御努力ニ對シテハ敬意ヲ表シマス
ガ、尙ホ今後トモ御努力ヲ願ヒタイト思ヒ
マス
次ニ今マデ承リマシタ點カラモ考ヘラレ
マスガ、改良建設ノ急務カラシマシテ、或
ハ運賃ノ點ニ付テ今後生產增强ノ急務ニ鑑
ミマシテ、益〓旅客輸送ヲ抑ヘル必要ガア
ルノデアリマスガ、併シ今御示シガゴザイ
マシタヤウニ、是ハ鐵道收入ノ大宗デアリ
マン、卽チ其ノ收支關係ハ、收入百ニ對シ
テ支出六十五デアリマス、之ヲ抑ヘル、而
シテ收入百ニ對シテ經費百二十五ノ貨物輸
送ニ重點ヲ置ク、而モ此ノ傾向ハ今後益〓增
强致サレマスノデ、玆ニ益〓鐵道ノ收入ハ
赤字ニナリマス
ソコデ御尋ネ致シタイコトハ、鐵道ノ經
理ノ問題ニ付テデアリマス、卽チ此ノ赤字
鐵道財政ヲ如何ニシテ御經理ニ相成リマス
カ、今マデノヤウナ考ヘトハ別ニ戰時卽應
ノ經理方針、或ハ經理方法ガナクテハナラ
ヌト存ジマス、又ソレガ當然デアルノデア
リマス、國鐵ガ如何ニ國策的、公益機關デゴ
ザイマシテモ、赤字ハ好ム所デアリマセ
又、併シ已ムヲ得ナイモノデアル、隨ヒマ
シテ之ニ對スル經理ト云フモノハ特ニ考
慮致スベキデアラウト思ヒマス、此ノ御方
針或ハ御方途ニ付テ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=13
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014・八田嘉明
○八田國務大臣 鐵道運營ノ根本方針ニ付
テハ先程モ御質問ガアリ、又一應御答ヘ申
上ゲタ譯デアリマスガ、其ノ根本方針ニ
反セザル限リニ於キマシテハ、鐵道ノ經理
上ノ問題ニ付キマシテハ今日ノ際、所謂戰
時的ナ合理的ナ運營ヲ致シテ行カナケレバ
ナラナイト考ヘマス、合理的經理ハ平生ニ
於テモ勿論考ヘナケレバナリマセヌガ、斯
ノ如キ場合ニ於キマシテハ特ニ眼ヲ戰時眼
ニ轉換致シマシテ、何事モ戰ヒニ勝ツト云
フ目玉ヲ以チマシテ、總テノ物及ビ人ノ經
理ヲ考ヘナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、
隨ヒマシテ例ヘバ施設ニ付テ申シマスルト、
斯ク〓〓ノ資材ヲ以テ斯ノ如キ施設ヲシ
テ置ク方ガ結局長イ眼デ見レバ得策デアル
ト云フモノデモ、今日極ク數年間ニ間ニ合
ヒ得ルモノヲ以テ設計ヲシ、又施設ヲシテ
行ク、又運營ヲシテ行ク、斯ウ云フ風ニ施
設ニ付テハ考ヘテ居リマス、隨テ物ニ付テ
モ左樣デアリマスシ、人ニ付テモ左樣デア
リマス、ソコデ問題ハ、然ラバドウシテヤ
ツテ行クカト云フコトニナリマスト、ソレ
ハ何ト申シマシテモ運營ハ人ニアリトハ申
シナガラ、鐵道ノ如ク二十四時間ブツ通シ
ニ運轉致シテ居リマスル斯ウ云フ事業ニ於
キマシテハ、組織ト云フモノガ極メテ大切
デアルト思ヒマス、夜デモ晝デモ過チナク
事務ガ運營シ、又營業サレ、列車ガ運轉シ
テ行ク、斯ウ云フコトニナラナケレバナラ
ヌト思ヒマス、隨ヒマシテ組織ト云フ點ニ
付キマシテハ私共ハ非常ニ注意ヲ拂ツテ居
ルノデアリマス、昨年所謂行政簡素化ニ依
リマスル所ノ政府ノ方針ニ基キマシテ、鐵
道省ト致シマシテモ此ノ組織ヲ思ヒ切リ合
理化シ、簡素化シタ積リデアリマス、是ガ
爲ニハ本省デ申シマスレバ、十部局アリマ
シタモノヲ六局ニ之ヲ減少致シマシタ、又
地方ノ局ニ於テモ、事務所ニ於テモ、皆同
樣ニ組織ヲ簡易化致シマシテ、之ニ依リ中
央ニ於テ約三割、地方官廳ニ於テ二割、第
一線ノ現業ニ於テ一割減員シマシテ、約五
万人餘リノ定員ヲ減少致シタ譯デアリマス、
全體ノ一割何分ニ當ル、鐵道現業トシテハ
中々容易デナイ所ノ定員ノ減少ヲ行ツタ、
ソレガ爲ニハドウシテモ組織ノ簡易化、サ
ウシテ出來ルダケソレニ對シマシテ人員ヲ
減少シ、物ヲ節約シ、隨テ例ヘバ經理會計
ノ規則ニ致シマシテモ、之ヲ出來ルダケ部
內ニ於テ簡易化スルノミナラズ、一般國民
ニ對シマシテノ手續ヲ最モ簡捷化スルコト
ニ努メテ居リマス、斯樣ニ組織ト、人ト、物
ノ節約等カラ現ハレル所ノ鐵道ノ經理上ニ
互ル數字ハ、相當ノ數字ガ現ハレテ參ツテ
居ルノデアリマス、唯之ニ逆ニナリマスモ
ノハ、何ト申シマシテモ物價其ノモノガ自然
ニ上ツテ居リマス、ソレカラ色々附帶ノ經
費ガ增シテ居リマスシ、人ノ給與モ增シテ
居リマス、ソコデ私共ハ十分ナル努力ヲ致
シマセヌケレバ、只今申シタヤウナコトニ
依ツテノミデハ、鐵道ノ戰時下ニ於ケル經
理ト云フモノガ合理的ニ、吾々ガ期待スル
ガ如クニ中々行カヌト考ヘマシテ、其ノ點
ニ付キマシテハ今後十分努力ヲ致シタイト
考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=14
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015・藤本捨助
○藤本委員 鐵道會計ノ赤字ニ付テハ、私
ハソレヲ戰時下ニ於ケル鐵道ノ名譽ノ負傷
ダト思ツテ居リマス、隨ヒマシテ此ノ赤字
ヲ克服スル經理ノ問題ト致シマシテハヽ固
ヨリ鐵道ノ機構竝ニ運營ニ付キマシテ極力合
理化或ハ合理的ノ運營ヲ期待致ス、或ハ要
望致スト云フコトハ當然デアリマスガ、併
シ必ズシモ機構ヲ縮小シ、或ハ人ヲ減ラス
ト云フヤウナコトハ、私共ハ要望致シマセ
又、否、寧ロ能率ヲ擧ゲル必要ノ爲ニハ、
機構ヲ更ニ擴大シテモ宜シイ、增强致シテ
モ宜シイ、或ハ鐵道職員ノ俸給ハ慥カ平均
六十五圓ト聞イテ居リマスガ、隨ヒマシテ
是等ニ付キマシテモ、增俸ナリ或ハ平當ナ
リ色々ノ方途ヲ講ジマシテ、能率ヲ上ゲ得
ル樣ニスルコトガ急務中ノ急務デアラウト
思フノデアリマス、仍テ經理ノ問題ニ付キ
マシテハ更ニ、他ノ方面ノ御考慮モ煩ハシ
タイト思フノデアリマス
次ニ第二問ニ移リマス、此ノ間ニ企畫院
御當局ニ御質問ヲ致シタイト思ヒマス、其
ノ第一ハ皇國ヲ核心トスル大東亞ノ綜合
的有機的交通體制ニ付テデアリマス、我
ガ國ノ交通網ハ鐵道、道路、港灣等々ハ申
スニ及バズ、其ノ他一切ガ國防、政治、經
濟、文化等凡ユル角度ノ考察カラ施設致サ
レテ居リマスコトハ申スマデモナイノデア
リマス、併シ過去ニ於ケル我ガ國ノ交通網
ハ、我ガ國ノ本土ヲ主トシテ對象ニシテ居
ツタト考ヘラレマス、過去ノ我ガ國ナラバ
或ハ是デ宜カツタカモ知レマセヌガ、滿洲
事變以來我ガ國ノ生命線ハ滿洲ニ進展致シ
テ居リマス、或ハ支那事變以來ハ支那ニ、
大東亞戰爭勃發以來ハ皇軍ノ赫々タル戰果
ニ依リマシテ大東亞共榮圈全般ニ進展致シ
テ居リマス、而モ此ノ地域ハ過去ニ於テ
戰爭ガ行ハレ、現ニ又戰爭ガ行ハレテ居ル
ノデアリマスルカラ、此ノ大東亞共榮圈內
ニ於ケル交通網ハ、鐵道網ト云ハズ、道路
網ト云ハズ、航空網ト云ハズ、航路網ト
云ハズ、絕對ニ戰爭ノ要請ニ卽應スルヤウ
ニ形成スルト云フコトガ最モ必要デアリマ
ス、又戰爭卽建設ト云フ點カラ考ヘマスル
サラバ、此ノ大東亞ノ交通網ハ政治ニ、經
濟ニ、文化ニ卽應シナケレバナラヌノデア
リマス、加之、此ノ大東亞戰爭ヲ勝拔ク爲
二、或ハ大東亞共榮圈ヲ建設スル爲ニ、我
ガ國ハ大陸ヘ、海洋圈ヘ、人ト物ヲ大動員
スル源泉デアリ、又大東亞共榮圈建設ノ核
心デアリマスカラ、我ガ國ノ交通網ハ、卽
チ此ノ大東亞共榮圈內ニ於ケル交通網ト緊密
ナル連繫協力ヲ保持致サナケレバナラヌト
信ズルノデアリマス、ソコデ大東亞戰爭ヲ勝拔
キ、共榮圈ノ建設ヲ致ス爲ニ、皇國ヲ中心ト
スル所ノ有機的、綜合的交通體制ガ必要デ
アラウト信ズルノデアリマス、此ノ點ニ對
スル當局ノ御意見ヲ承リタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=15
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016・柏原幸一
○柏原政府委員 御尋ネノ問題ニ付キマシ
テ、昨年ノ五月四日ノ大東亞建設審議會第
二囘總會ニ於キマシテ、內閣總理大臣カラ
大東亞ノ交通ニ關スル具體的方策如何、斯
ウ云フ御諮問ガアツタノデアリマス、其ノ
御諮問ニ對シマシテ委員會カラ御答申ガゴ
ザイマシテ、政府ニ於キマシテハ極メテ適
切ナルモノト致シマシテ、七月一日ニ採擇決
定致シタノデゴザイマス、一應其ノ方針ヲ
御說明申上ゲマスルト、大東亞交通基本政
策ハ、大陸ト海洋ト島嶼ニ依リ構成セラル
ル大東亞圈ヲ開拓致シマシテ、皇國ヲ核心
トシテ是ガ有機的結合ヲ圖リ、國防力ヲ充
實スルト共ニ、物資ノ交流ヲ確保シ、產業
ノ建設ヲ促進セシメ、以テ大東亞戰爭ヲ完
遂シ、大東亞ノ根幹ヲ强化シ、進ンデ世界
新秩序建設ニ於ケル皇國ノ主動的地位ヲ確
立スルヲ主眼トスルコトト致シマシテ、是
ガ爲ニ大體四ツノ方針ヲ立テテ居ルノデア
リマス、先ヅ第一ニ、交通ニ關スル施策ハ、
大東亞國土計畫ノ見地ニ立チ、綜合的ニ之
ヲ實施スルコト、二、交通施設ハ戰力ヘノ轉
換ヲ考慮スルト共ニ、國防力ノ充實竝ニ物
資ノ交流ヲ確保シ得ル如ク諸般ノ施策ニ先
行シテ之ヲ整備スルコト、三、交通各部門
ノ機能特性ニ應ジ、是ガ綜合的能率ヲ最高
度ニ發揮セシムル如ク輸送ノ計畫化ヲ圖ル
コト、四交通要員ハ之ヲ計畫的ニ養成增
强シ、必要ナル豫備員ヲ保有スルコト、五、
輸送ノ合理化ヲ圖リ、輸送能率ノ向上ヲ
期シ得ル如ク產業ノ配分ニ付キ考慮スルコ
ト、六、大東亞ニ於ケル交通體制確立ノ爲
メ交通ニ關スル行政機構ヲ整備强化シ、且
ツ交通ニ關スル綜合調査〓究機關ヲ設置ス
ルコト、其ノ外色々食糧其ノ他ニ付キマシ
テ御答申ガアツタノデアリマス、今日此ノ
方針ニ基キマシテ、大東亞ノ交通政策ヲ實
施致シテ居ルヤウナ次第デゴザイマスルガ、
御案內ノ通リニ、今戰爭中デゴザイマシテ、
平時ト違ヒマシテ是等ノ大方針ガ逐次迅速
ニ實施サレルト云フコトハ、實際論ト致シ
マシテ大變困難デゴザイマシテ、殊ニ今日
南方諸地域ニ於キマシテハ軍ノ管制下ニゴ
ザイマシテ、將來戰爭中ニ於キマシテモ、
勿論此ノ方針ニ基キマシテ施策スベキモノ
ハサレルダラウト存ジマスガ、此ノ大方針
ガ本格的ニ實施サレルノハ、恐ラクモツト
先ノ戰後デナカラウカト存ズル次第デゴザ
イマス、併シ今日ト雖モ、此ノ方針ニ基キ
マシテ實施シ得ル範圍ニ於キマシテハ實施
致シテ居リマス、斯ウ云フ風ニ承知致シテ
居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=16
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017・藤本捨助
○藤本委員 今根本方針ヲ御示シ戴キ、而
シテ其ノ方針ノ實施ニ當リマシテハ、今戰
爭中ダカラト云フ御言葉ガアリ、併シ全然
ヤツテ居ラヌノデハナイト云フコトヲ御申
添ヘニナリマシタガ、私ハ戰爭中ダカラコ
ソ此ノ交通網ノ擴充强化ト云フコトガ必要
デアラウト思フノデアリマス、御承知ノ通
リ、、近代戰爭ハ「スピード」ノ戰爭ト言ハレテ
居リマス、機動力ノ如何ニ依リマシテ、軍
ノ勝敗ハ決マルト云フコトサヘモ考ヘラレ
ルノデアリマス、固ヨリ第一線ハ自動車輸
送デアリマセウガ、自動車輸送ヲスルニハ
其ノ後方ニ鐵道輸送ガ必要デアリマスカラ、
戰爭下デアルカラト云フコトハ私ハ承服出
來ナイノデアリマシテ、資材モ、危險モ、
治安モ、勞力モ、色々問題ハアリマセウガ、
特ニ戰爭下デアルカラ御努力ヲ仰ギタイノ
デアリマス、尙ホ併シ出來ルダケノコトハ
ヤツテ居ルト斯ウ仰シヤルカラ、是レ以上
申シマセヌガ、私ハ重ネテ要望致シマス、
卽チ戰爭中デアルカラコソ特ニ御盡力ヲ仰
ギタイト云フコトヲ申上ゲテ置キマス、何
カ御答辯ヲ戴ケマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=17
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018・柏原幸一
○柏原政府委員 モウ少シ具體的ニ承ツタ
ナラバ結構ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=18
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019・藤本捨助
○藤本委員 具體的ニト申シマスト、或ハ
陸ニ海ニ色々計畫ガアル、ソレハ存ジテ居
リマスガ、要ハ是等ノ計畫ガ唯「ペーパー·
プラン」ニ終ツテハナラヌト思ヒマス
ソコデ次ニ御尋ネ致シマス、此ノ計畫ヲ、
或ハ此ノ方針ヲ具體化スルト云フコトハ
結局物ニ依存シテ居ルノデアリマス、固ヨ
リ技術、勞力、資金等ノ問題モアリマスガ
私ハ先ヅ物ニ付テ御尋ネ致シマス、物動ヲ、
戰局ノ進展ニ對シマシテ豫メ之ヲ洞察シ、
而シテ國內及ビ大東亞共榮圈內ニ於ケル物
ノ生產、輸送等ヲ見合ヒマシテ、樹立スル
ト云フコトハ容易ナコトデアリマセヌ、其
ノ御努力ハ多ト致シマス、併シ我ガ國ノ物
動ハ、今マデハ所謂素材物動デアリマシテ、
製品物動デナイノデアリマス、隨ヒマシテ
切符ハ來ルガ、物ハ來ヌ、主要物資ハ來ル
ガ、其ノ補助的物資ハ來ナイ、自動車ニ例
ヲ採ツテ言ヒマスレバ、新車ノ要スル物資
ハ生產擴充資材ニ入ツテ居ルガ、部分品ノ
物資ハサウデナイト云フノデアリマシテ、
折角主要物資ガ、其ノ效率ヲ發揮シマセヌ、
或ハ未動トカ遊休トカニナラザルヲ得ナ
イ、斯ウ云フ所ニ問題ガアルト思フノデア
リマス、此ノ問題ヲ解決シマスト今承リマ
シタ方針ガ事實トシテ現ハレル、斯ウ私ハ
考ヘマス、ソコデ私ハ此ノ際今申シマシタ
ヤウニ、我ガ國ノ物動ヲ資材物動ヨリ製品
物動ニ變ヘル、固ヨリ資材物動モ大イニヤ
ラナケレバナリマセヌガ、是ト見合ツテ製
品物動ヲ立テルコトガ必要デアルト思フノ
デアリマス
次ニ製品ニ付キマシテモ戰時規格ガ必要
デハナイカト思ヒマス、御承知ノ通リ「ドイ
ツ」ニハ「ヒットラー」機關車ト云フノガ出來
マシタ、ソレハ大體今マデノ資材ヲ三分ノ一
ニ減ラス、ソレダケ減リマスカラ鐵板ガ薄
〃、隨テ細工ガ簡單ニナリ、早ク出來ル、
今ハ耐久力ノ問題モアリマセウケレドモ、
耐久力ニ付テハ今年或ハ來年、此處數年ノ
間ノ耐久力サヘアレバ結構デアルト思ヒマ
ス、隨テ船ノ例ヲ採リマスレバ、例ヘバ三「ミ
リ」ニ造ツテ居ル鐵板ヲ一「ミリ」半ニスルナ
ラバ一艘ノ資材デ船ガ二艘出來マス、若シ
一「ミリ」デ行クナラバ一艘ノ資材ヲ以テ三
艘出來ル、サウ云フヤウニスルヨリ外、資材
ヲ多量ニ造出補給スル途ハナイト思ヒマス、
生產增强モ洵ニ懸命ニヤツテ居リマスケレ
ドモ、思フヤウニ行カナイ、隨ヒマシテ此
ノ戰力增强、生產擴充ノ飛躍的ノ要請ニ應ヘ
マスタメニハ其ノ資材ハ凡ユル製品ニ付
テ戰時規格ヲ立テル、サウシテ資材ヲソコ
ニ「セーブ」スル、サウシテ量ヲ增スト云フ以
外ニ私ハ方法ハナイデハナイカト思ヒマス、
此ノ點ニ付キマシテ色々御盡力ヲ仰イデ居
ルコトハ存ジテ居リマスガ、今後尙ホ更ニ
御盡力ヲ仰ギタイト思ヒマス、此ノ點ニ付
テ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=19
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020・柏原幸一
○柏原政府委員 實ハ餘計ナコトデアリマ
スガ、私一年半程前マデ鐵道省ニ居リマシ
テ、十數年鐵道生活ヲヤリマシタ、其ノ意
味ニ於キマシテ交通ノ問題ニ付キマシテハ皆
樣同樣、或ハヨリ以上ニ私ハ理解シテ居ル
ト思ヒマス、殊ニ今日私ガ擔當シテ居リマ
ス生產擴充、物動計畫、此ノ觀點カラ特ニ
如實ニ痛感シテ居ル譯デアリマス、殊ニ今
日輸送ノ問題ガ色々ト起ツテ來マスルシ、
今日程海陸ノ輸送ノ重要性ヲ感ゼラレタコ
トハ未ダ曾テナイノデハナカラウカト考へ
テ居ルノデアリマス、政府ニ於キマシテハ
此ノ觀點ニ立チマシテ、一定ノ資材ヲ以テ
致シマシテ、出來ルダケ之ヲ有效ニ配分シ
活用スルニハ、勿論時局柄直接戰力增强ノ
方面ニ相當ノ力ヲ殺ガレルト云フコトハ御
想像付クト思ヒマスガ、更ニ其ノ基礎ヲ培
養スル生產擴充或ハ物動供給力增强、頁ノ
其ノ基礎ヲナシマス交通輸送力ノ增强、是
等ノ點ヲ十分勘案致シマシテ、一定ノ供給
力ヲ綜合的ニ最モ有效ニ活用スル、斯ウ云
フ觀點ノ下ニ今日マデ計畫ヲ立テテ來タノ
デアリマス、ソレニ付キマシテハ船舶ニ
付キマシテモ御案内ノ通リ時局柄最重點的
ニヤツテ居リマス、又航空機アタリニ付テ
モ單ニ政策バカリデナク、「アルミニウム」其
ノ他ノ大增產ニ今大童ニナツテ居ル譯デゴ
ザイマス、又陸上關係ノ鐵道若シクハ自動
車ノ問題ニ付キマシテ、先程モ鐵道大臣カ
ラ色々ト御說明ガゴザイマシタ、殊ニ昨年
ノ十月以來戰時陸運非常態勢ガ確立サレマ
シテ、從來海運ニ依ツテ居リマシタ沿岸貨
物ハ擧ゲテ鐵道デ御引受ケニナリマシタ、
勿論今日全部ハ引受ケテ居ラレル所マデ
行ツテ居リマセヌガ、出來ルダケ急速ニ之
ヲ御引受ケニナルベク施設其ノ他ノ整備ヲ
ヤツテ居ラレルノデゴザイマス、之ニ伴ヒ
マシテ獨リ鐵道バカリデナク、其ノ鐵道モ
獨リ日本本土ダケデナク、日鮮滿支ニ亙リ
マシテ陸運轉嫁ヲ强行シテ行ク關係上、吾
吾ト致シマシテモ關係官廳ト能ク協議致シ
マシテ、時局柄十分デナイ供給力ヲ以テ致
シマシテモ、出來ルダケ此ノ方面ニ資材其
ノ他ニ付テ供給力ヲ增シタイト考ヘテ居ル
ノデアリマス、今偶〓物動計畫ナリ、生產
力擴充計畫作案中デゴザイマスノデハツキリ
シタコトハ申上ゲラレマセヌガ、出來ルダ
ケ御期待ニ副ヒタイト考ヘテ居リマス、單
ニ鐵道ダケヲ强化致シマシテモ强化ノ目的
ヲ達シ得ナイノデアリマシテ、其ノ兩端ノ
小運送力ヲソレニ副フヤウニ强化シテ行カ
ナケレバナラナイ、此ノ觀點ニ立チマシテ
自動車其ノ他ノ小運送ニ付キマシテモ之ニ
副フヤウニ施策致シテ行キタイト考ヘテ居
ルノデアリマス、尙ホ交通ノ問題ニ關聯致
シマシテ、物動ノ根本問題ニ付テ色々ト御
質問ガアツタヤウデアリマスガ、先ヅ第一
ニ素材物動ト製品物動トノ關係デアリマス、
日本ノ物動ハ素材物動デアツテ製品物動デ
ナイ、其ノ爲ニ色々遺憾ナ點ガアルト云フ
コトヲ聞キマス、又吾々モ痛感致シテ居リ
マス、併シ實際ハ必ズシモサウバカリ言ヘ
ナイヤウナ場合モ相當アルノデアリマス、
尙ホ理想ハ製品物動ニ進ム·ベキモノデアリ
マスガ、ソコニ一度ニ持ツテ行クト云フコ
トモ如何カト考ヘラレマスノデ、漸ヲ逐ウ
テ出來ルダケ早ク持ツテ行クト云フ風ニ考
ヘテ居リマスガ、取敢ズ吾々ガヨク專門的
ニ限定品種ト云ツテ居リマス厚板或ハ鋼管、
鋼索、斯ウ云フモノカラ製品物動ニ進ンデ
行キタイト考ヘテ居リマス、多分是ハ自動
車ノ問題ヲ頭ニ置イテ御尋ネニナツタノデ
ハナイカト思ヒマスガ、自動車ノ生產ハ計
畫產業デアツテ、其ノ計畫產業ニ自動車ノ
部分品ガ取上ゲラレテ居ナイ、此ノ點ニ關
スル御質問ト思ヒマス、洵ニ御尤モナ御意
見ト思ヒマス、今日此ノ問題ハ眞面目ニ取
上ゲナクテハナラナイダラウト云フコトデ
今檢討中デゴザイマス、ソレカラ時局柄限
ラレタ資材ヲ以テ出來ルダケ生產確保ノ目
的ヲ達スル意味ニ於キマシテ、出來ルダケ
資材ヲ節約スルト云フ要請下ニアルノデア
リマシテ、此ノ一助ト致シマシテ、從來モ
規格ノ統一ニ付テ色々〓究モサレテ居リマ
スガ、最近特ニ戰時規格ヲ急速ニ設定致シ
タイト思ヒマシテ、少クモ一割或ハ二割三
割色々製品ニ付テ甲乙ガアルト思ヒマス
ガ、相當大幅ニ資材ノ節約ヲ圖リ、同時ニ
大量生產ノ目的ヲ達シタイト考ヘマシテ、
ソ、レ〓〓陸海軍ヲ初メトシ、實施官廳ハ今
日マデ規格ノ統一或ハ簡易化ニ付テドウ云
フ手ヲ打ツテ來タカ實績調査ヲヤツテ居リ
マシテ、出來ルダケ最近ノ機會ニ此ノ問題
ヲ徹底的ニ取上ゲタイト思ツテ居リマス、
殊ニ此ノ機會ニ御報告致シマスガ、鐵道省
ハ餘リ宣傳サレマセヌケレドモ、此ノ方面
ニ相當積極的徹底的ニヤツテ居ラレルコト
ヲ私企畫院ニ入ツテ知リマシテ大變嬉シク
思ツテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=20
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021・藤本捨助
○藤本委員 今重要ナル御答辯ヲ戴キマシタ、
尙ホソレニ付テ一言致シタイト思ヒマス
ガ、生產ハ色々ノ그プロセス」ヲ經ルノデ
アリマス、此ノ「プロセス」ガ全部遺憾ナク
完結スルコトニ於テ生產ガ出來ルノデアリ
マス、此ノコトハ鐵道ノ例ヲ取リマスナラ
バ、鐵道ニ於テ隘路ト云フコトヲ申シマス、
鎖ノ强サハ最モ弱イ一環ノ鎖ノ强サニ依ツ
テ其ノ價値ガ決マルト言ハレマスガ、鐵道
ニ於キマシテ鐵道輸送、自動車輸送或ハ船
舶輸送、港灣荷役等、此ノ一聯ノ「リレーㄴ
式ノ輸送ヲ完結シテ、初メテ生產ヨリ需要
又ハ消費ニ行クノデアリマスガ、其ノ中ノ
何處カ弱イ所、詰リ隘路デアリマス、卽チ
鐵道デ謂フ所ノ線路、容量ノ弱イ所デ輸送
全體ノ價値ガ止揚サレルト云フコトニナル
ノデアリマスガ、此ノコトハヤハリ生產ニ
於テモ言ヘルノデアリマス、主要物資ハア
ルケレドモ、ソレニ協力シ、又ハ補助スル
物資ガナイ、ココデ折角ノ物動モ、或ハ主
要物資モ先刻申シタヤウニ效率ヲ發揮シ得
ナイ、斯ウ云フ意味デ日本ノ物動ハ素材物
動モ亦ヤラナケレバナラヌガ、是ト睨ミ合
ハセテ製品物動ガ必要デアル、更ニ資材ガ
何トシテモ窮屈ナノデアリマスカラ、限ラ
レタ資材ヲ以テ出來ルダケ多クノモノヲ造
ルニハ戰時規格ガ絕對ニ必要デアル、而シ
テ只今一割、二割、三割節約ト云フ戰時規
格ノ立テ方ヲヤルノダト云フ御答辯ヲ得マ
シタカラ、私ハ其ノ御努力ヲ多ト致シマシ
テ是レ以上申シマセヌガ、特ニ此ノ點ニ付
テ御努力ヲ仰ギタイト思ヒマス、尙ホ色々
アリマスガ、企畫院ニ對シマシテハ私ハ此ノ
二ツデ止メテ置キタイト思ヒマス
次ニハ鐵道大臣ニ第二ノ御尋ネヲ致シタイ
ト思ヒマス、先刻モ申シマシタヤウニ、皇國
ヲ核心トシタ交通體制ノコトデアリマスガ、ソ
レハ今マデノ所デハ、大東亞戰爭或ハ大東亞
共榮圈建設ト云フコトヲ豫見シタモノデナ
カツタ、更ニ又大陸或ハ海洋圈ニ於ケル交通
網トノ連絡協調ト云フコトニ付テモ亦豫見
シタモノデナカツタト云フ觀點カラ致シマ
シテ、旣設ノ建設改良工事ニ付テ再檢討ヲ
施シテ、國內的使命ニ間然スルコトノナイヤ
ウニ致シマスト同時ニ、大陸ニ於ケル交通
網トノ連繫協力、サウシテ綜合的、有機的
效力ヲ發揮スルト云フ必要ガ劃期的ニ出テ
來タト思ヒマスルノデ、此ノ點ニ付キマシ
テ先ヅ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=21
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022・八田嘉明
○八田國務大臣 大東亞共榮圈建設ガ實現
致シマスルニ付テハ、國內ノ交通整備ニ付キ
マシテモ、其ノ觀點カラ再檢討シ、隨テ施
設ノ上ニ於テモ建設、改良共ニ違ツテ來ル
ト云フコトハ、原則的ニ申シ得ルコトト思
ヒマス、昨年ノ議會ニ於キマシテモ私ハ一
應其ノ點ニ付テ申述ベタノデアリマス、爾
來鐵道省ト致シマシテモ、自ラ經營致シテ
居ル所ノ國有鐵道ニ付キ、又監督指導シテ
居ル他ノ交通機關ニ付キマシテモ、其ノ方
針ヲ以テ進ンデ居ルノデゴザイマス、唯文
字デ申シマスレバ、大東亞共榮圈ニ依
リマシテ昨日ト今日トガ非常ニ變ツタト云
フコトヲ言ヒ得ルノデアリマス、實際問題
トシテハ旣ニ滿洲事變以來我ガ國ノ交通機
關ハ一方ニ於テハ大陸トハ密接ナル交通
上ノ連繫ヲ圖ルベク、大陸交通ノ點ニ付テ
ハ十分ナル腹案ヲ持チマシテ、其ノ後進ン
デ居ルコトハ御承知ノ通リデアリマス、卽
チ日滿支ノ交通懇談會、或ハ其ノ要員ノ懇
談會、或ハ資材ノ懇談會等、日滿支一體ト
ナリマシテ、總テノコトヲ實ハ旣ニ大東亞
戰爭以前ニ於テヤツテ居ルノデアリマス、
問題ハ南ノ方、大陸ノ遠イ方面或ハ又島ヲ
ナシテ居リマスル方面デアリマスルガ、之
ニ付テハ軍政下デ行ハレテ居リマスノデ、
鐵道省トシテハ、凡ユル人ト物トヲ以テ之
ニ付テ協力ヲシナケレバナラヌコトニ相成
ツテ居ルノデアリマス、結局問題ハ何處ガ
特別ニ違ツタカ、斯ウ申シマスルト、南ノ
方カラノ海上輸送ガ非常ニ多クナルト思ヒ
マス、ソレト我ガ國ノ陸上交通機關トノ連
繫言ヒ換ヘレバ港ニ於ケル所ノ海陸一貫
ノ荷役輸送、斯ウ云フ點ニ於テ、今日足
ラザルモノヲ、先程御話ノ隘路ノナイヤウ
二、之ヲモツト〓〓太クシテ肉ヲ付ケテ行
カナケレバナラヌ、斯ウ云フ所ニ努力ヲ致
シマスレバ、ソレガ大體ニ於テ大東亞共榮
圈ノ建設ヲ考ヘタ場合ト考ヘナカツタ場合
トデ、ソコニ大キナ違ヒガアルノデハナイ
カト思ヒマス、大陸方面ニ付テハ勿論、我
ガ國ト大陸方面トハ一貫的輸送ノ施設經營
ニ付テ更ニ一段ノ努力ヲ致セバ宜シイ、斯
ウ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=22
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023・藤本捨助
○藤本委員 尙ホ重點物資、軍需產業ニ關
係ノナイ物資ヲ輸送スル鐵道ヲ撤去シテ、
之ヲ重點產業物資ノ輸送ニ轉用スルト云フ
コト、或ハ繼續事業ヲ再檢討致シテ整理斷
行スルト云フコト、或ハ幹線ノ複線化、或
ハ幹線ハ敵機空襲ノ目標ニナリ、狙ハレル
デアリマセウガ、其ノ場合ニドウスルカ、
代行線ヲドウスルカト云フヤウナコトニ付テ御
尋ネシタイノデアリマスガ、是ハ旣ニ同僚
議員カラ御尋ネニナラレタヤウデアリマス
カラ、之ニハ觸レマセヌ
次ニ「スピード·アツプ」ト云フコトガ非
常ニ必要デアラウト思ヒマスガ、是ハ今ノ
程度デ經濟速度ト云ヒマスカ、是ガ最高ノ
モノデアツテ如何トモ出來ヌモノデアリマ
スカ、ソレヲ一ツ御說明ヲ煩ハシタイト思
ヒマス
次ニ貨物輸送ガ非常ニ重要ナ問題デアリ
マスノデ、之ニ付テ御尋ネ致シマス、現行
ニ於テハ大體三四「キロ」ニ一ツノ驛ヲ置キ
マシテ、ソコヘ貨車ガ着イテ少量ヅツノ荷
物ヲ積ミ、或ハ卸シテ居リマス、是ガ爲ニ
荷主ニハ非常ニ宜イカモ知レマセヌガ、汽
車ノ「スピード」ガ足ガ遲クナリ、更ニ小サ
イ驛ナガラモ驛員ヲ置キ、荷役勞務者ヲ置
カナケレバナラヌト云フコトデアリマスノ
デ、私ノ愚見ヲ申シマスナラバ、三四「キ
ロ」デナシニ五十「キロ」位ニ集約シテ、ソコ
ニ貨物ヲ積卸シスル驛ヲ一ツ設ケル、但シ
ソコニハ完全ナル荷役設備ヲ置ク、サウシ
テ其ノ整理シマシタ區間ハ之ヲ自動車輸送
ニ轉換スルト云フヤウニ致シマスルナラバ、
貨物列車ノ運行ノ「スピード」ヲ增スト同時
ニ、小サイ驛每ニ置イテアツタ人、逸 約
ノ節約ニモナルト考へマスノデ、斯ウ云ツ
タ點ニ付テ何カ御考ヘガアルカドウカ、承
リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=23
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024・八田嘉明
○八田國務大臣 速度ノ問題ニ付テ御尋ネ
ガアリマシタガ、我ガ國ノ鐵道ハ御承知ノ
通リ地形上非常ニ曲線ガ多ク、又勾配ガキ
ツイモノデアリマスカラ、建設費ニ非常ナ
人ト物トヲ投ジマスレバ、勿論其ノ地勢ヲ
克服シテ相當ノ速度、言ヒ換ヘレバ歐米等
ニ於テ實現シテ居ルヤウナ速度ガ出來ルト
思フノデアリマスルガ、併シ先程モ申シマ
シタ通リ大體ガ海ヲ以テ環ラサレテ居ル國
デアリマスルノデ、サウ陸上ノ施設ニ物ヲ
或ハ人ヲ費ヤスコトガ今日マデ許サレテ居
ラナカツタ爲ニ、今日出來テ居リマスル鐵道
ノ施設ハ、ドチラカト申セバ速度ト云フコ
トハ餘リ考ヘナイデ出來テ居ル、實用向キ
ニ出來テ居ル、サウ遠イ距離ヲ走ル譯デモナ
イノデアリマスルカラ、サウ云フコトニナ
ツテ居リマシタ、併シナガラ段々時代ノ要
求ニ伴ヒマシテ、比較的面積ノ小サナ日本
ノ國內ニ於キマシテモ、相當速力ガ要望サ
レタ、其ノ點ハ寧ロ旅客列車ニ要望サレテ
來タノデアリマス、殊ニ大陸トノ交通ガ益≧
繁頻ニナツテ參リマスニ連レテ、旅客輸送
ニ於テ速力ガ世間カラ要求サレ、玆ニ現ハ
レタモノガ御承知ノ東京下ノ關間ノ廣軌ノ
新線デアリマス、是ハ廣軌ニ致シマスレバ
相當速度ガ出シ得ル、殊ニ廣軌ノ新幹線ノ
設計ハ曲線ニ於キマシテモ相當ノ半徑デア
リマス、例ヘバ二「キロ」トカ、二「キロ」半
トカ云フヤウナ極ク緩ヤカナ曲線デアリマ
ス、或ハ勾配ニシテモ千分ノ十-百分ノ
一ヲ越サナイト云フヤウナ程度ニナツテ居
リマスカラ、斯ノ如キ線路ガ出來上リマシ
タ上ニ於キマシテハ、ソレガ旅客列車デア
ラウガ、貨物列車デアラウガ、相當ノ速度
ガ出シ得ルト思ヒマス、恐ラク平均百「キ
ロ」位ノ運行速度ニ計算サレテ居ルト思ヒ
やく、併シナガラ機關車トシテノ速度ハ百
數十「キロ」或ハ二百「キロ」近クモ出シ得ル
モノデナケレバナラヌ、滿洲邊リノ極ク早
イモノハ機關車デ百三十「キロ」位ノ速度ト
思ヒマス、デアリマスカラ、日本ノ平均速
度ヲ百「キロ」位マデニ上ゲ得ルト思フノデ
アリマス、但シ私共ハ新幹線モ今日ニ至リ
マシテハヤハリ貨物輸送ヲ極力主トシテ行
クベキモノダ、之ニ依リマシテ廣軌ヲ利用
シテ參リ、サウシテ貨車ノ構造ニ付キ、又
機關車ノ牽引力ヲ適當ニ致シマスルナラ
バ、相當ノ輸送力ヲ廣軌新幹線ニ依ツテナ
シ得ルト思ヒマス、先程我ガ國國有鐵道ノ
戰時規格ト云フ御話ガアリマシタガ、昨年
來鐵道省ハ車輛及ビ機關車ニ對シマシテ、
貨物機關車ニ對シマシテ本當ノ戰時機關ヲ
設計致シマシテ、近クソレガ具體化サレル
モノト思ツテ居リマス、例ヘバ自重-自
分ノ車ノ目方ハ殆ド變リマセヌ、一割乃至
一割五分增スコトニ依ツテ、積載荷重ノ方
ハ或ハ五割乃至二倍ト云フヤウニナリマス、
御承知ノ通リ我ガ國ノ停車場ノ側線ノ長サ
ト云フモノハ比較的ニ短イノデアリマス、
デアリマスカラソレニ抑制サレマシテ餘リ
長イ列車ハ引ケナイノデアリマス、機關車
ノ牽引力ニ依リマスト、例ヘバ一番大キイ
ノハ四百六十「メートル」五百「メートル」ト
云フヤウナモノデアリマスガ、幾ラ引張ル
力ノ强イ機關車ガ出來テモ、列車ノ長サト
云フモノガ大體抑制サレテシマフモノデス
カラ、一「メートル」ナラ一「メートル」當リ
ノ積載力ヲ增ス外ハナイ、ソコデ私ハ當分
印、「スピード」ト云フコトヨリハ、如何
ニシテ同ジ長サノ列車ニ依ツテ餘計ナ貨物
ヲ輸送スルカト云フ方へ力ヲ入レルベキダ
ト實ハ考ヘテ居リマシテ、其ノ方向ニ專
門ノ人ガ努力サレテ居ルヤウナ次第デアリ
マス、ソレカラ是ハ政府委員カラ答ヘテ戴
キマスガ、驛ニ貨物ヲ集中シテ後ハ自動車
ニ依ツタラ宜イデハナイカ、ソレハ確ニ考
フベキコトダト思フノデス、只今御審議ヲ
願ツテ居リマスル自動車ノ案ト併行致シマ
シテ、豫算ノ中ニ省營貨物自動車ノ擴充案
ガアルノデアリマスガ、其ノ一ツノ目的ハ
大都市附近ニ於ケル所ノ近距離輸送ハ、旣
ニ鐵道ノ貨物トナツグモノヲ終端或ハ發驛
方面ニ於テ之ヲ貨物自動車ニ代行サセヤウ
ト云フノデアリマシテ、只今ノ御話ト一致
スルモノト思ヒマス、是ハ將來ニ於テ考ヘ
ナケレバナラヌト思ヒマス、今日ハ自動車
ガ如何ニモ少ナイ爲ニ直チニ實行スル譯ニ
ハ行キマセヌガ、將來ニ於テ考ヘルベキモ
ノダト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=24
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025・堀木鎌三
○堀木政府委員 大體大臣カラ御說明ガア
リマシタガ「スピード·アップ」ト云フコト
ヲ主眼ニナサレマスヨリハ、輸送力ノ增加ト
云フコトガ主眼デアラウト思ヒマス、其ノ
點ニ付キマシテハ必ズシモ一律ニ行カナイ
ノデアリマス、ソコデ線路ノ狀態、機關車
ノ狀態、其ノ他總テノ關係ヲ十分吾々トシ
テハ勘案致シマシテ、如何ニシタラ輸送力
ヲ一番增スコトガ出來ルカト云フコトニ最
モ力ヲ入レナケレバナラナイ、ソレニ關聯
シテ御述べニナリマシタ通過驛ノ殖エルト
云フコトハ確カニ輸送力ガ多クナルト思ヒ
マス、唯日本ノ國ノヤウニ實際驛間ノ距離ガ
非常ニ短過ギル所デハ、其ノ爲ニ能率ガ下ル
ト云フ實情ハ澤山アリマス、殊ニ御說ノヤ
ウナ問題ハ大都市附近ニ於キマシテハ、集
約的ニ一ツノ大キナ貨物驛ヲ作ツテ、サウ
シテ個々ノ驛ヲ成ベク廢止シテ、其ノ間ノ
小運送ハ自動車運輸ニ依ル、是ハ大消費都
市ニ於キマシテハ理想的ナヤリ方デアリマス、
外國デハ隨分サウ言ツタ例ヲ見テ居リマス、
集約的ナ、集中的ナ貨物驛ヲ持ツ、中心驛ヲ
持ツ、サウシテ其處カラハ或ハ地下デ運ブ、
或ハ自動車ニ依テ運ブト云フヤウナ色々
ナ方法ガ織込マレテ居リマス、從來ハ山元
或ハ生產地カラ港マデ運ンデ居ツタガ、ソ
レダケノ役目デハ足リマセヌデ、直接其ノ
物ヲ大消費地ニ持ツテ來ル、ソレガ軍需生
產其ノ他重要物資ノ生產ノ原材料デアルト
カ云フヤウナモノハ、從來デシタラ港マデ
ハ船デ運ビ、港デ鐵道ガ受取ツテ居ツタガ、
大消費地帶ニ於テハ船デ持ツテ來テ、ソレ
ヲ鐵道デ持ツテ來ルト云フヤウナ場合ニハ、
ドウシテモ一ツ鐵道ノ輸送力カラ考ヘマシ
テモ、サウ云ツタヤウナ思想ヲ織込ンダ
ヤリ方ヲヤラナケレバ間ニ合ハナイト考ヘ
テ、折角準備ヲシテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=25
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026・横川重次
○橫川委員長 一寸速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=26
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027・藤本捨助
○藤本委員 次ニ自動車ニ付テ御尋ネ致シ
やく、自動車ノ運營ニ付キマシテ先般來承
ツタノデアリマスガ、現有施設ヲ最高度ニ
運營シテ效率ヲ擧ゲルト云フ方針ノヤウデ
アリマスガ、洵ニ結構デアリマス、併シ戰
時ニ於キマシテハ「オーストリア」ノ軍事評
論家「ポソニー」ガ大體動員兵力十二名ニ一
臺要ル、其ノ消耗ハ年ニ一臺デアルト云フコ
トヲ申シテ居リマスガ、作戰ノ進展ニ連レ
マシテ、或ハ又共榮圈建設ノ進捗ニ伴ヒマ
シテ、自動車ニ對スル需要ハ實ニ激增致シ
マス、之ヲ充足スル方法ト致シマシテハ、
自動車ノ製造會社工場カラ直接買入レルト
云フコトト、モウ一ツハ徵發デアリマス、
若シ劃期的ナ激增スル軍需ニ工場カラ買入
レルコトヲ以テ卽應シ得ルナラバ宜イノデ
アリマスガ、卽應シナイト民需ノ方ヘ徵發
トシテ食込ンデ行ク、サウスルト折角ノ現
有勢力ハ維持スルコトガ出來ナイ、其ノ事
ガ銃後ノ生產力擴充ニ要スル輸送力ヲ非常
ニ壓縮スルコトニナリマス、此ノ事ニ對シ
テ御當局ハ一體ドウ云フ御考ヘガアルカ、
先ヅ御伺ヒ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=27
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028・八田嘉明
○八田國務大臣 御話ノ如ク何ト申シマシ
テモ增備ガ第一ダト思ヒマス、併シナガラ
今日戰爭中デアリマスルガ故ニ、私共ノ期待
シテ居ルダケノモノヲソコニ增備スルト云
フコトハ是亦當然困難ナ問題デアリマス、
隨ヒマシテ一方ニ於キマシテハ出來ルダケ
多クノ增備ヲ致スコトハ勿論デアリマスガ、
何ト申シマシテモ現在我ガ國ニアル所謂現
存シテ居ル貨物自動車ノ能率ヲ上ゲルコト、
其ノ能率ヲ上ゲルト云フコトハ二ツニナル
ト思ヒマス、一ツハ現在休車シテ居ルモノ
ガ相當アルガ、此ノ休車シテ居ルモノヲ休
車シナイデ活動サセルヤウニスル、ソレニ
ハ資材ト燃料ト云フ問題ニナルト思ヒマス、
更ニ又其ノ働キ出シタモノヲ今日ヨリモヨ
リ以上ニ有效ニ運用スル、ソレニハ統合サ
セテ資材ナリ人ナリガ有無相通ズルヤウニ
スル、少イ所ノ資材或ハ燃料ヲ以テ最モ輸
送力ヲ萬遍ナク出シ得ルト云フヤウナ組
織卽チ其ノ一ツハ統合デアリ、一ツハ組
合ノ强化デアリマスガ、ソレデ斯ウ云フ御
審議ヲ願ツテ居ルヤウナ譯デアリマス、大
體サウデアリマスガ、尙ホ修繕ヲスル、今
日デハ中々修繕ト云フコトガ巧ク參リマセ
ヌノデ自然休車モ多イ、豫備車モ多イ、此
ノ修繕ト云フコトニ對シテ鐵道省トシテハ
力ヲ入レタイ、ソレニハ省營ノ自動車ニ對
シテ修理ノ工場ヲ作リマスガ、更ニソレハ
民營ニモ十分ニ利用シ得ルヤウナ方法ニシ
テ行カナケレバナラヌト思フノデアリマス、斯
樣ニ致シマシテ先ヅ現有設備ヲ最モ有效ニ
働カセル方法如何ト云フコトガ、私共ノ先
ヅ考ヘルコトデアル、次ニ若シクハ同時ニ
增備、サウシテ將來ニ向ツテノ體制ヲ整ヘ
テ行クコトガ、何ヨリモ大切ナコトデアル
ト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=28
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029・藤本捨助
○藤本委員 增備ニ付キマシテ先立ツモノ
ハ資材デアリマス、ソレニ付キマシテ先程
申シマシタ戰時規格ノ御採擇ト云フコトガ
極メテ必要ニナル、ソレハ獨リ資材ヲ節約
スルノミナラズ、先程大臣ノ御話ニナリマ
シタ所謂「デッド·ウェイト」ヲ減殺致シマス、斯
樣ナ資材ノ節約、更ニ「デッド·ウェイト」ヲ減
ラスト云フ意味カラデモ、是非トモ資材ニ
付テノ戰時規格ト云フモノヲ確立シテ戴キ
タイ、而モ急速且徹底的御〓究ノ結果ヤツ
テ戴キタイト云フコトヲ要望致ス次第デア
リマス、尙ホ第二ト致シマシテハ物動ノ順
位ヲ例ヘバ自動車ニ付テ申シマスナラバ、
製作ト修繕ノ順位ヲドウシテモ高メル、私
ノ考ヘヲ以テ言フナラバ、之ヲ軍需品扱ヒ
ニスルト云フノデナクテハ、此ノ自動車ノ
增備或ハ遊休自動車ヲ實働セシムルト云フ
コトハ出來マセヌ、隨ヒマシテ只今申シマ
シタヤウニ物動順位ヲ變更スルト云フコト
ニ對シテ、是非トモ御努力ヲ願ハナケレバ
ナラヌト思フノデアリマスガ、ドウ云フヤ
ウナ御成算デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=29
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030・八田嘉明
○八田國務大臣 此ノ物動ト車輛ノ問題ニ
付キマシテハ、御話ノ如ク私共モ考ヘテ居
リマシテ、今後一段ト努力ヲ致シタイト考
ヘテ居リマス、自動車ノ戰時規格、是ハ鐵
道省トシテハ御答ヘシニクイノデアリマス
ガ、何カ政府委員カラ御答ヘ致スコトニ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=30
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031・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 只今ノ御話ハ御尤モ
ナ御話デゴザイマシテ、幾分カ遲レテ居ルカ
ノ感ガナイデモナイノデアリマスガ、過日
來此ノ委員會デ大臣カラ一寸御說明ガアリ
マシタ如ク、自動車技術委員會ト云フモノガ
最近誕生致シマシタ、其ノ委員會ニ於テ此ノ
問題ヲ積極的ニ取上ゲルコトニナツテ居リ
マシテ、技術委員會其ノモノハズツト以前
ニモアル譯ナノデアリマス、最近ト申シマ
スノハ最近內容ガ整備サレ、機構ガ整ツテ
關係各省ノ積極的協力ガ得ラレルヤウニナ
ツタト云フコトデゴザイマス、此ノ委員會
デ今ノ戰時規格ヲ積極的ニ取上ゲルト云フ
コトニナツテ行ク、尙又既ニ御承知ノコト
ト思ヒマスガ、極ク僅カナ取扱上ノ問題ト
シテ、變ヘ得ルコトナラ、例ヘバ在來ノ表
記積載「トン」數ノ如キモノガ警察取締ノ關
係カ何カデ、從來嚴格ニ申シテ居ツタモノ
ヲ、表記「トン」數ヲ變ヘマシテ、在來ノ車デ
相當ノ積載量ヲ認メルコトニナリマシタ、
是アタリモ取扱上ノ所謂戰時規格ノ一ツニ
該當スルカト考ヘテ居リマス、尙ホ先程來
大臣カラ御話ガアリマシタノデ補足スル程
ノコトモナイノデアリマスガ、自動車ノ部
分品ノ確保ナリ新車ノ確保ニ付キマシテハ、
今後トモ一層努力致ス積リデ居リマス、尙ホ
計畫的ナル事柄ニ付キマシテハ、モツト積
極的ニ、先程企畫院カラ說明致シマシタ如
キ點ニ付キマシテモ、尙ホ鐵道省自身トシ
テ企畫院ト十分連絡ヲ取ル積リデ居リマス、
尙ホ先程民間自動車ガ軍需ノ資源トシテ役
立ツコトガ非常ニ大キイノデハナイカ、其
ノ保有量ヲ增加スルコトガ最モ緊要ダ、斯
ウ云フ御說ガ出テ居ツタノデアリマス、此ノ
問題ニ付キマシテハ、其ノ內容ヲ詳シク申
上ゲルコトハ其ノ自由ヲ持タナイノデゴザ
イマスルガ、戰爭ノ始リマシタ當初ニ於キマ
シテ、國內ノ貨物自動車ガ軍用ニ徵發サレタ
サウシテソレガ非常ナ效果ヲ示シテ居ルト
云フ事實ハ御承知ノコトダト存ジマス、戰
前ニ於キマシテハ自動車ノ保有量、殊ニ新
車ノ保有量ヲ增加スルト云フ意味ニ於キマ
シテ、鐵道省、陸軍共ニ特殊ノ政策ヲ執ツ
テ居ツタ譯デアリマス、今囘法律ノ中改正
ヲ致シマス補助ノ問題自身ニ於キマシテ
モ、在來ハ御承知ノ如ク新車ノ保有補助ノ
意味デ金ヲ出シテ居ツタノデゴザイマス、
是アタリハ御指摘ニナリマシタ如キ自動車
ノ特別使途ヲ考慮致シマシテ、鐵道省自身
ガ其ノ點ニ積極的ニ補助ヲシテ參ツテ居ル
斯ウ云フコトデゴザイマスシ、戰爭ガ始リ
マシテ、其ノ點ハ或ル程度ノ效果ヲ擧ゲテ
參ツタノデゴザイマス、併シ其ノ後長期ニ
亙ルニ從ヒマシテ、新車ノ補給ハ必ズシモ
思フニ任セナイノデアリマス、隨ヒマシテ
今日ニ於キマシテハ、現在ノ民有車輛ヲ以
チマシテ國内ノ輸送ヲ確保シテ行クト云フ
コトニナラザルヲ得ナイノデアリマス、最
近ノ新車ノ割當數量カラ見マシテ、國內ノ
自動車ガ直接軍ノ用途ノ目的トシテ考ヘル
ト云フコトヨリモ、國內輸送ノ方ニ重點ヲ
置イテ現有車輛ヲ考ヘテ行ク、軍自身ハ年
年出來テ參ル新車自身ヲ以テ軍用ニ充テテ
行ク、ト云フノガ今日ノ實情デアラウト私
ハ考ヘテ居リマス、隨ヒマシテ最近ノ新車
割當量ガ、民間ニ對シテ幾分カヅツ其ノ需
要量ニ對シテノ割當量ノ少イト云フヤウナ
間ノ事情等ヲ御賢察願ヘレバ、今ノ點ハ御
諒承願ヘルカト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=31
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032・藤本捨助
○藤本委員 其ノ次ニ平時ニ於ケル交通機
關ハ、戰時ニハ之ヲ武器ト化スト云フコト
ガ理想デアラネバナラヌト思ヒマス、新車
ノ製作ニ付キマシテ、其ノ性能或ハ規格ニ
於テモ左樣ナ御用意ガ要ルト思フノデアリ
マスガ、之ニ對シテ御用意ガアレバ承リタ
イノデアリマス、併シ是ハ御答ヘニナリニ
クイカトモ思ヒマスカラ、ソレハドウデ
Werre
其ノ次ニ我ガ國ノ自動車輸送ノ效率ヲ高
度ニ發揮セシメル爲ニハ、「ディーゼル·エ
ンジン」化スルコトガ非常ニ必要デナイカ
ト思ヒマス、鐵道省ノ原產地輸送ハ「ディー
ゼル」デオヤリニナルヤウデアリマスガ、
ソレ以外ニモ「ディーゼル」化スル、隨ヒマ
シテソレニ適應スル機關車或ハ設備ヲ要ス
ルノデアリマスガ、ソレニ對シテ政府ハド
ウ云フヤウナ御措置ヲナサイマスルカ、承
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=32
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033・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 只今ノ自動車ノ特別
性能ト云フコトニ付テノ御尋ネデゴザイマ
シタガ、此ノ點ニ付キマシテハ十分平素カ
ラソレ〓〓ノ關係省ト緊密ナル意見ノ交換
ガ遂ゲラレテ居ルノデアリマシテ、詳シイ
コトハ申上ゲラレマセヌガ、御安心ヲ願ヘ
ルカト存ジマス、殊ニ今後自動車技術委員
會ガ積極的ニ活動スルコトニナツテ參リマ
スレバ、尙ホ其ノ點ハ一層ハツキリシテ參
ルダラウト考ヘマス、燃料自身ヲ「ディーゼ
ル」ニ換ヘル、斯ウ云フヤウナ御意見ダト思
フノデアリマスガ、今囘ノ原產地輸送ノモ
ノニ付キマシテハ、仰セノ如ク「ディーゼル」
車ヲ使ツテ見タイ、左樣ニ考ヘテ居リマス、
此ノ點ハ何ヲ申シマシテモ燃料ノ關係モ
ゴザイマスシ、又車ガ比較的大キク、餘リ
使ヒ慣レテ居ラナイノデゴザイマスノデ、
省自身ガ一ツ使ツテ見マシテ、サウシテソ
レヲ一般ノ民間ニモ御奬メシタイ、斯ウ云
フヤウナ氣持ヲ多分ニ持ツテ居ルノデゴザ
イマス、色々理論的ニハ此ノ「ディーゼル」
車ガ運營上有利ダト云フコトハ言ヘルノデ
ゴザイマスガ、實際ニ之ヲ實用化致シマス
爲ニハ、其ノ車ノ走リマス道路ナリ、或
荷物ノ種類ヤ、色々考ヘテ見ナケレバナラ
ヌ點ガアルノデアリマス、殊ニ運轉者或ハ
技術員等ニ致シマシテモ、不慣レノ部分ガ
非常ニ多イト思ヒマス、隨ヒマシテ急速ニ
理論的ニ考ヘマス通リニ實行ニ移スト云フ
コトハ、是ハ中々出來ニクイカト思ヒマス
ガ、一應有利ダト思ハレテ居リマスノデ、
今囘ノ省營ノ原產地輸送ニ先ヅ使ツテ見ヨ
ウ、サウシテ自動車工業自身ニ付キマシテ
モ、此ノ意味ニ於テ積極的ニ援助シテ行キ
タイ、斯樣ナ方針デ今日參ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=33
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034・藤本捨助
○藤本委員 次ニ燃料政策ニ付テ御尋ネ致
シタイト思ヒマス、我ガ國ノ自動車ハ從
來発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=34
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035・横川重次
○横川委員長 燃料ニ關シテハ祕密會ノ折
ニ相當ニ說明セラレタノデアリマスガ、是
ハヤハリアナタノ御尋ネノ趣旨ガ何處ニア
ルカ知リマセヌガ、結局祕密會デナケレバ
御滿足ノ行ク答辯ハ出來ナイノデハナイカ
ト思ヒマス、デスカラ其ノ意味デ坂東君ノ
關係ノ祕密會ガ開カレルト云フ、其ノ際ニ
一ツ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=35
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036・藤本捨助
○藤本委員 ソレデハ次ニ道路問題ニ付テ
御伺ヒ致シマス、我ガ國ノ道路ハ府縣道以
上デ慥カ十六万「キロ」ダト思ヒマス、市町
村道程度以上ノ道路ヲ加ヘマスト、百數十
万「キロ」アルカト思ヒマス、斯ウ云フヤウ
ニ道路ハアリマスガ、多クハ自然道ニ近イ
モノガアルノデアリマシテ、近代交通機關
ノ自動車ノ道路トシテハ頗ル不備デアリマス、
鋪裝ナンカシテアルノハ僅カニ五千六百「キ
ロㄴ位デアリマシテ、府縣道以上ノ道路ノ
慥カ四%ニ足ラナイト思ツテ居リマス、是デ
ハ自動車ノ輸送力ノ增强ノ急務ナ今日洵ニ
遺憾ニ堪ヘナイノデアリマス、丁度此ノコ
トハ汽車ニ「レール」ガナイト云フヤウナ感ジ
モ致スノデアリマス、ソレデ今後ドウシテ
モ道路政策ニ付テ非常ナ御努力ヲ願ハナケ
レバナラヌノデアリマス、併シ今日我ガ國
ノ道路ガ斯クノ如キ狀態ニアルト云フコト
ニ付テハ、色々ナ事情ガアツタト思ヒマス、
從來道路事業ト云フモノハ地方ヲ振興スル
トカ、失業者ヲ救濟スルトカ云フヤウナ意
味デヤラレ、或ハ政治的ナ意味ト云ヒマス
カ、國費ヲ地方ニ均霑セシメル、或ハ地方ノ
發達ヲ平等ニスルト云フ意味デアツタカモ
知レマセヌガ、道路ハ非常ニ總花的ニ繼續
的事業ニ依ツテ行ハレテ居リマス、ソシテ
限ラレタ資材或ハ勞力其ノ他ヲ以テ、地方
カラ地方ニ分散致シタ關係上、其ノ規模タ
ルヤ非常ニ小サイ、ソレカラ竣工ガ非常ニ
長ク掛ル、斯ウ云フコトニナツテ居ルノガ
我ガ國ノ道路或ハ港灣ノ實態デハナイカト
思ヒマス、實ハ御示シ下サツタ資料ニ依リ
マシテモ、大體昭和十一年位カラ起工シテ
昭和二十五年六年頃竣工スルト云フ道路ガ
アルノデアリマス、港灣ニ付キマシテモサ
ウデアリマス、斯ウ云フコトカラ我ガ國ニ
於テハ資材ヲ餘計無駄ニシテ居ルノデハナ
イト思フノデアリマシテ、此ノ戰時下ニ於テ
ハ此ノ繼續工事ヲ斷乎整理シ、斷乎之ヲ改
メナケレバナラヌコトデアルト思ヒマス、
ソコデ私ハ此ノ繼續事業ヲ再檢討致シテ、
斷乎之ヲ整理シテ、ソレニ依ツテ生ズル資
材、設備、技術、勞力ヲ重點的ニ最モ今要
請セラレテ居ル面ニ集中スル、サウシテ數
多クデナクテモ宜シイ、重點的ニ必要ナル
モノヲ早急ニ竣成サセ、戰力增强ニ用ヒル
ト云フコトガ必要デアラウト思フノデアリ
マスガ、斯ウ云フ點ニ付キマシテ政府ハド
ウ云フ考ヘヲ持ツテ居リマスカ、御尋ネ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=36
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037・岩澤忠恭
○岩澤說明員 道路ノ改良ノ現場ニ付テハ、
御說ノ通リ非常ニ遲々トシテ居リマシテ、
自動車ノ發達以來特ニソレガ目立ツテ居ル
ノデアリマスガ、御存ジノ通リ我ガ國ノ道
路ト云フモノハ、道路計畫ト云フモノガ漸
ク大正八年ノ道路法發布以來初メテ軌道ニ
乘ツタト云フ狀態デゴザイマス、ソレデ其
ノ後政府ニ於キマシテハ幹線道路-縣道
以上ノ幹線道路ニ對シテハ補助的ナ政策デ
全部改良ヲシタノデアリマスケレドモ、現
ニ大正九年ニ於キマシテ二億八千四十九万
圓ノ五箇年計畫ヲ立テマシタケレドモ、其
ノ後國家ノ財政ノ都合ニ依リマシテ、補助
モ五百万圓トカ、甚シイ年ニハ百万圓ヲ超
エヌト云フヤウナ年モアリマシテ、サウシ
テ關東大震災以後ニ於テ飛躍的ニ自動車交
通ガ發達シテ、其ノ當時ニ於ケル道路タル
ヤ、殆ド泥海ダト云フヤウニ非難サレタヤ
ウナ時代モアリマシタケレドモ、其ノ後着
着ト道路改良ヲヤツタノデアリマスケレド
モ、尙ホ交通ノ飛躍ニハ及バズシテ今日ノ
現狀トナツテ居ルノデアリマス、御存ジノ
通リニ、道路等ノ改良ト云フモノハ、其ノ
上ヲ走ル交通機關ト不可分ノ問題デアリマ
シテ、結局現在デ申シマスレバ、自動車ガ
發達スレバ、ソレニ對應スルヤウナ道路ノ
構造、或ハ總テノ道路施設ガ「マツチ」シテ行
カナケレバナラヌ、斯ウ云フ狀態デアリマスケ
レドモ、現在ノ狀況カラ見ルト、交通機關
ノ方ガ一步先ンジテ、我ガ國ノ道路ハ非常
ニ後レテ居ルト云フ現狀デアリマス、就キ
マシテハ政府ニ於キマシテ、補助政策ダケ
ニ依レバ百年河〓ヲ待ツヤウニ、何時マデ
モ道路ノ改良ハ出來ナイカラ、國道ニ付テ
ハ國直營デヤルト云フ政策ヲ執リマシタノ
ガ昭和十一年デアリマシタ、其ノ後最初ノ
年ハ五、六線ニ付キマシテ此ノ繼續事業ヲ
認メラレタノデアリマスガ、段々大藏省ノ
方ニ於キマシテモ此ノ繼續事業ヲ認メテ行
キ、今日ニ於テハ三十數箇所ト云フコトニ
ナリマシテ、今着々ヤツテハ居リマスケレ
ドモ、斯ウ云フ國家財政ノ都合上、當初ノ
計畫通リニ此ノ事業ヲ遂行スルコトハ出來
マセヌ、是ハ吾々道路行政ヲ預カツテ居ル
者ト致シマシテハ、非常ニ遺憾トスル所デ
ゴザイマス、ソレデ今御說ノ通リニ繼續事
業ノモノヲモツト重點的ニ整理シテ比較的
閑散ナ所ノモノハ犠牲ニシテヤレバ宜イヂヤ
ナイカ、斯ウ云フ御說ノヤウニ承ツテ居ル
ノデアリマスガ、此ノ點ハ內務省ノ道路ノ
豫算ヲ御覽ニナレバ、其ノ御氣持ノ所ハハ
ツキリ少クトモ十八年度カラソレガ出テ居
ル筈デアリマス、例ヘバ資材ノ要ルヤウナ「ト
ンネル」ノ工事トカ、比較的交通ガ閑散デ、
此ノ戰時下ニ於テ先ヅ交通ノ面カラ見テモ
少々位遷延シテモ、後年度ニ讓ツテモ宜イ
ト云ツタ個所ヲ選ビマシテ、ソレヲ來年
度カラハ休止シタヤウナ狀態デアリマス、
サウ云フ風ニ休止ヲ致シマシテ、出來ルダ
ケ軍事的或ハ產業的ノ開發ニ寄與スル路線
ニ集中シテ居ル、斯ウ云フ狀態デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=37
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038・藤本捨助
○藤本委員 今御說明ヲ承ツタノデアリマ
スガ、私モ內務省ノ豫算其ノ他ヲ見マシテ
申シタノデアリマスガ、尙且ツ繼續工事ト
シテ昭和二十五年、二十六年ニナツテ居ルノ
ガアルノデ申シタノデアリマスガ、御答辯
ヲ得マシテ洵ニ結構デアリマシタ、尙ホ一
ツ附加ヘタイト思ヒマスガ、道路ノ政策ニ
付テハドウゾ今後ハ總花主義ヲ御執リニナ
ラヌヤウニ、更ニ自動車ノ重要性ガ今日程認
識サレテ居ラナカツタ點モアリマセウガ、
併シ今ヤ自動車ノ輸送力ノ增强ガ非常ニ要
請サレマシテ、交通政策ノ重要ナ一環トナ
ツテ參リマシタ際デアリマスカラ、其ノ「レー
ルニ當ル道路ニ付テハ、特ニ御盡力御配
慮ヲ戴キタイト思ヒマス
次ニ自動車ノ事業組合聯合會ノ機能ニ付
テデアリマスガ、法文ニ御記シニナツタダ
ケデハドウモハツキリ致シマセヌ、是デ自
動車ノ計畫輸送ナンカガ出來ルノカ、地方
ニ事業組合ガ置カレマスガ、是ハ今マデモ
サウデアリ、又今後モサウデアラウト思フ
ガ、確カニ「ブロツク」爭ヒヲスルニ違ヒナ
イ、例ヲ擧ゲルマデモナイガ、或ル縣ニハ
自動車ガ餘ツテ居ル、ソレガ他ノ縣ニ貸セ
ナイ、他ノ縣ニハ輸送出來ナイデ物資ガ腐
ツテ居ルト云フヤウナ事態ニ置カレテ居ル
モノガ多々アリマス、斯樣ナ事態ヲ一體ド
ウスルカ、ソレニハドウシテモ聯合會ト云
フモノニ對シマシテ、相當ノ權能ヲ與ヘル
ト云フコトガ必要デアリマスガ、政府ハド
ウ云フヤウナ權限ヲ委讓サレルノデアリマ
スカ、御尋ネ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=38
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039・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 御尤モナ御質問デゴ
ザイマス、御承知ノ如ク今囘ノ改正ニ當リ
マシテ、主務大臣ガ自動車ノ免許其ノ他事
業計畫ニ關スル權限ヲ集中シテヤルコトニ
ナツタノデゴザイマス、此ノ結果ハ國內ニ
於キマスル各府縣相互間ノ需給ノ狀況ニ付
キマシテモ、主務大臣自身ガ積極的ニ自己
ノ權限ニ基イテソレヲ檢討シテ行クト云フ
機會ガ與ヘラレルコトニナラウト思ヒマス、
今後ニ於キマシテハ各府縣「ブロック」ト申シ
マスカ、府縣單位ニ物事ガ考ヘラレルノデナ
クテ、全國的ニ物ヲ見、輸送ノ關係ヲ見テ
行ク、其ノ爲ニ必要ガアリマスナラバ、旣
ニ御承知ノ如ク整備シテ居リマス總動員法
ニ基ク陸運統制令モアルコトデアリマスシ、
又全國的ナ機關ト致シマシテハ、只今御指
摘ニナリマシタ聯合會自身ニ依リマシテ、
色々各組合相互間ノ調節ヲ圖ルコトモ出來
ルノデアリマス、此ノ點デハ勿論今後ノ運
用ニ俟タナケレバナラナイノデゴザイマス
ガ、今ノ御心配ノ點ハ是非トモ解決致シタ
イ考ヘ方デ、今囘ノヤウナ聯合會ノ組織ノ
强化ナリ、或ハ免許其ノ他ノ基本的權限ヲ
主務大臣ニ統一スルト云フヤウナコトニ致
シタ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=39
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040・藤本捨助
○藤本委員 最後ニ一ツ御尋ネ致シタイト
思ヒマス、交通機關ノ非常ナ重要性ニ鑑ミ
マシテ、私ハ交通機關ノ行政機構ヲ一元化ス
ル必要ガアルト思フノデアリマス、其ノ理由
ト致シマシテ交通機關ノ綜合的、有機的一
貫性ニ依ル計畫ヲ樹立スル爲メ、第二ニハ交
通各部門ノ協力ヲ確保スル爲メ、第三ト致
シマシテ交通機關例ヘバ陸運ト海運、或ハ
陸運ニ致シマシテモ、鐵道ト自動車、或ハ
自動車ニ致シマシテモ小運送ト地場ト云フ
ヤウナモノノ輸送分野ヲ確立スルト云フ意
味カラ致シマシテ、第四ニハ計畫輸送ヲ實
現致ス上ニ於キマシテ、或ハ資材トカ勞力
等ヲ適正ニ配給致ス爲ニ、ドウシテモ是ハ
國內的ニ考ヘマシテモ、交通行政ノ機構ヲ
一元化スルト云フ必要ガアリマスノミナラ
ズ、更ニ大東亞共榮圈、卽チ大陸圏、海洋圏
交通機關ト國內交通機關トノ連絡協力、而シ
※
テ其ノ能率ヲ最高度ニ發揮スルト云フ意味
カラ致シマシテモ、交通機關ノ行政ヲ一元
化スルト云フコトガ非常ナ急務ガアルト思
400-0012
フノデアリマスガ、之ニ對シマシテハ旣ニ御
當局ニ於カレマシテハ、政策ハ一元化スル
もと
ガ機構ハ變ヘナイト云フヤウナ御方針デア
リマスノデ、唯私ハ其ノ必要ノ非常ニ痛感サ
レル所以ノミヲ申上ゲテ置キマス、併シ尙
ホ御尋ネ致シタイコトハ、此ノ交通機關ノ
使命ト云フモノハ、戰力增强ニ最モ重要ナ
ル關係ヲ有シマスノデ、近ク總理大臣ニ委
な
任サレマス所ノ戰時行政特例ニ依ル指示權ノ
發動ヲ私共ハイノ一番ニ向ケラルベキモノ
ハ此ノ交通機關ヂヤナイカトモ考ヘルノデ
アリマス、而シテ是ハ今ヤ目焦ニ迫ツテ居
リマス、當局ニ於カレマシテハ之ニ對シテ
如何ナル御用意ガアルカ、承ツテ置キタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=40
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041・八田嘉明
○八田國務大臣 昔カラ交通機關ガ縱ニ一
貫性ヲ持チ、横ニ亦協力性ヲ持ツト云フコ
トハ、是ハ交通機關ノ當然ノコトデアラウ
ト思ヒマス、卽チ輸送ト云フ面カラ見マ
スト、輸送ト云フモノニ若シ目ガアツタ
トシマスナラバ、ソレガ海デアラウガ陸デ
アラウガ、自動車デアラウガ、「レール」ガ
アラウガナカラウガ、サウ云フコトハ問題
デナイノデアリマシテ、要スルニ物ガ速カ
ニ、的確ニ、其ノ所要ノ地ニ發着スレバ、
ソレガ理想ナノデアリマス、隨ヒマシテ出
來得レバ行政的ニモ-政策ハ勿論一元的
デアリ、而モ行政機構モ一元化サレルコト
ガ私ハ理想トシテ一番望マシイコトダト思
ヒマス、是ガ小規模ノモノデアリマスルト、
私ハ何時デモ出來ルノデハナイカト思ヒマ
スガ、詰リ運輸機關ガ各、サウ大シタ大キナ
モノデナケレバ、可能ナ譯デハナイカ、例
ヘバ或ル港ナラ港ニ於テ、或ル交通機關ヲ
一ツニスル、或ル町ノ交通機關ヲ一元化ス
ルト云フコトハ可能ダト思フノデアリマス
ガ、非常ニ大キナ海ノ交通機關、陸ノ交通
機關、或ハ更ニ中ニハ空ノ交通機關モ、他
ノ交通機關ト一〓ニスルト云フコトニ付テ、
昔カラ此ノ交通行政一元化ト云フコトハ凡
ユル方面デ、凡ユル議論ガアリ、〓究シ盡
サレタト思フノデアリマス、所ガ今日マデ
ソレガ度々論ゼラレナガラ、遂ニサウナツ
テ居リマセヌ所ニ、ヤハリ是ガ相當サウシ
ナイデモ間ニ合フノデハナイカト云フコト
ガ一ツト、ソレカラ相當難カシイ問題ダト
云フコトト、此ノ二ツノ理由ガアルノデハ
ナイカト思ヒマス、現ニ我ガ國デハ海運ト
陸運トハ別々ノ交通行政機關ノ下ニアリマ
スケレドモ、併シナガラ是ハ內閣ナラ內閣
ト云フ全體カラ見マスト、ソレハ唯一ツノ
分課ニ過ギナイノデアリマス、若シ茲ニ交
通省ト云フヤウテモノヲ一ツ作ツテ、海陸ヲ
一體ニシタ或ル行政廳ガ出來タトシマシテモ、
恐ラク其ノ中ハ、少クトモ現業機關ニ關ス
ル限リハ、海上機關ト陸上機關トニ分レル
ノデハナカラウカ、サウナレバヤハリ分課
ト云フ點ニ於テハ變リガナイ、寧ロ長イ歷
史デサウ發達シテ來タモノナラバ、其ノ政
策ヲ一元化シテ、內閣ニ於テシツカリヤツ
テ行ク、此ノ輸送ト云フモノハ先程來御話
ノ交換セラレマシタヤウニ、輸送ダケデハア
リマセヌ、凡ユル國內ノ國家活動、國民ノ經
濟活動ニ關係ノアルモノデアリマスルカラ、
唯輸送ダケガ綜合的ニ一元化サレタト云フ
行政的機構ダケデハマダイケナイノデ、イヤ
デモ所謂交通動員計畫ヲヤリ、更ニ海ノ計
畫ヲヤリ、陸ノ計畫ヲヤリ、自動車ノ計畫
ヲ立テ、鐵道ノ計畫ヲ立テルト云フ風ニ分レ
テ參リマス、人間ノ身體ガ何處マデ行ツテ
モ切離セナイヤウニ、ヤハリ切離セナイノ
デハナイカ、サウスレバ寧ロ茲マデ發達シ
テ來タ歷史ノ下ニ一應機構ヲ整備シツツ、
其ノ政策ニ於テハ勿論、其ノ行政ノ運營ニ
於キマシテ出來ルダケ緊密ナ連絡ヲ保ツテ
行クト云フコトガ一番宜イノデハナイカト
私ハ考ヘルノデアリマス、斯樣ニ考ヘマ
スルト、行政特權ニ依リマス所ノ總理
大臣ノ指示權ト云フモノモ、特ニアレニハ
輸送ト云フモノガ現ハレテ居リマセヌ、此
ノ輸送ト云フモノハ海ナラ海、陸ナラ陸ガ
協力シテヤル、モウ今日ハ實ハ陸運非常體
制ト云フモノヲ機會ト致シマシテ、海陸ノ
區別ハナイ、昔ノ分野ノ如キモノハナクナ
ツテ居ルト思ヒマス、既ニ事實横ニモ縱ニ
モ一環ニナツテ居ルノデハナイカ、唯港邊
リニ於テ一貫性ノ足リナイ所ガマダアルノ
デアリマス、是ハ今後努力シナケレバナラ
ナイノデアリマスガ、旣ニ橫ニ於テハ相當
協力性ガ出來テ居ルノデハナイカト考ヘル
〓ノデアリマス、ソコデ指示權ト云フモノハ
此ノ場合ニ私ハ起リ得ルト思ヒマス、ケレ
ドモアノ特權ノ上ニ現ハレテ居ラヌノハ
此ノ資材トカ、資金トカ、勞力トカ云フモ
ノハソレ自體ガ一ツ〓〓離レテ直グニ役
ニ立ツモノデアル、詰リ人ハ一箇ノ人トシ
テ何處ヘ行ツテモ働ケル、資金モ其ノ儘切
離サレテ行ク譯デアリマス、ソレカラ資材
モサウデアリマス、所ガ輸送ト云フモノハ
一方ニ於テ行政ヲ一元化シナケレバナラ
又、少クトモ政策ハ一元化サレナケレバナ
ラヌ、運營モ一元化サレルト云フコトヲ世ノ
中ノ人々ガ度々主張スル觀點カラ見マシテ
モ、私ハ交通機關、輸送ト云フモノハ所謂
綜合運輸ノ最モ强イモノデアル、之ヲ切離
シテ一部的輸送ト云フモノハ中々出來ナイ、
デアリマスカラ指示權ト云フモノハ私ハ何
ニデモアルト思フ、五ツナラ五ツノ重要物
資ニ對シテ輸送ガ必要ナラ、之ヲ輸送シロ、
輸送スベシト云フ指示ガ出マスレバ、其ノ
行政官廳ハ其ノ通リ其ノ物ヲ輸送シナケレ
バナラヌト云フコトニナリマスケレドモ、
是ガ委讓ト云フコトヲ認メラレテ居リマセ
ヌノハソコカラ來テ居ルト思フノデアリ
マス、詰リ行政ノ職權ヲ分轄スルト云フコ
トヲ考ヘテ居ラヌノハ、ソコカラ出テ居ル
ト私ハ考ヘテ居リマス、ソコデ先程申上ゲ
タト思ヒマスガ、要スルニ如何ナル重點物
資モ段々順ヲ追ヒマシテ計畫輸送ヲヤル、
サウシテ行キマスカラ、當然指示スベキヤ
ウナモノハ超重要產業ニ對スル輸送デ、是
ハ超重要的ニ輸送ノ中ニ計畫的ニ織込マレ
ル筈デアリマス、所ガ右ノ計畫ト違ツタ、
豫想ニ反シタモノガ起ツタ場合ニ、ソコニ
指示ヲサレマスレバ、直チニ他ヲ排除シテ、
ソレヲ先ニ輸送スル、斯ウ云フコトニナリ
マス、其ノ場合ニ於キマシテモ輸送ハ輸送
トシテ私ハ立派ニ行ケルモノト考ヘテ居ル
ヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=41
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042・藤本捨助
○藤本委員 今色々御說明ヲ戴イタノデゴ
ザイマスガ、此ノ指示權ノ範圍ニ付キマシ
テハ-五大產業其ノ他デアリマスルガ、併
シ輸送ハ先程ノ仰セニモアリマシタヤウニ、
結局生產デアル、ソコデ五大產業ノ生產增
强ヲ確保スル爲ニハ特定產業ノ外之ヲ補
助シ、協力スル非常ニ廣範圍ノ產業ニモ發
動ヲ要スルノデハナイカト云フコトカラシ
マシテ、更ニ又、私ハ算ヘタノデアリマス
ガ、港灣行政ニ付キマシテハ九ツノ官廳ガ
關與致シテ居リマス、ソレカラ自動車ニ付
キマシテモ六ツノ官廳ガ關與シテ居ル、斯
ウ云フコトデハ到底其ノ效率ヲ急速ニ上ゲ
ルコトハ出來ヌノデアリマス、今仰セノ中
ニモ政策ノ一元化ノミナラズ、行政機構ノ
一元化ニ付キマシテモ其ノ必要アルヤニ受
取レルノデアリマスガ、而モソレガ色々ナ
ならぬり
事情ノ關係上出來ヌト云フナラバ、指示權
ヲ以テ致スノガ近道ダ、又サウ云フコトガ
アリ得ル、又アリ得ベキダト存ジテ御尋ネ
シタノデアリマスガ、最後ニ尙ホ附加ヘマ
ス、機構ニ付テハ機構イヂリヲセヌト云フ
コトハ承ツテ居リマスケレドモ、機構ヲ適
正ニスルト云フコトガ效率ヲ上ゲル上ニ非
常ニ必要デアリマス、當局ニ於テモ其ノ必
要ヲ御認メニナツテ居ルヤニ伺フノデアリ
マスカラ、此ノ機構イヂリヲナサラヌニシ
テモ、現行ノ機構ヲ以テ最モ效率ヲ上ゲル
コトニ對シテドウゾ特ニ御配慮ヲ戴キタイ
ト思ヒマス、甚ダ長時間ニ亙リマシテ恐縮
致シマス、是デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=42
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043・八田嘉明
○八田國務大臣 今ノ御述ベニナリマシタ
御意見ニ付キマシテハ能ク拜聽致シテ居リ
マス、指示權ハ多分私ノ申上ゲタコトデ違
ツテハ居ラヌト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=43
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044・藤本捨助
○藤本委員 結構デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=44
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045・横川重次
○橫川委員長 坂東君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=45
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046・坂東幸太郎
○坂東委員 先程企畫院ノ第二部長ノ大東
亞交通審議會ノ答申案ヲ聽イテ居リマスル
ト云フト、航空輸送ト云フコトハナカツタ
ヤウデゴザイマスガ如何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=46
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047・八田嘉明
○八田國務大臣 大東亞ノ交通政策ノ基本
方針ニ對シマシテ、大東亞建設審議會ニ於
テ〓究シマシタ答申ニハ、總テ含ンデ居リ
マシ、交通、通信、航空、凡ユルモノヲ含
ンデ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=47
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048・坂東幸太郎
○坂東委員 一寸微細ナコトヲ伺ヒマスガ、
貨物自動車ガ燃料等ノ關係デ輸送力ガ減退
スル、ソレヲ補フモノハ牛車、馬車、サウ
云フモノガ一ツノ交通機關デアル、ソレニ
對シテ鐵道省ハ關心ヲ持チ、或ハ關係ヲ持
ツテ居ルノデアリマスカ、ソレヲ御伺ヒシ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=48
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049・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 御說ノ點御尤モデア
リマシテ、獨リ自動車ダケデナク、馬車、「ガ
ソリン」車、荷車、荷牛馬車、更ニ川艀、筏
流シ或ハ川流シ、是等ノ部分ニ付キマシテ
モ、斯ウ云フ時期ニナツテ參リマスト、積
極的ニ增强ノ方法ヲ講ジナケレバナラヌ、
又相互間ニ有機的ノ連繫ノ方法ヲ執リマシ
テ、綜合能力ノ發揮ヲ期サナケレバナラナ
イ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、一例ヲ取ツテ
申上ゲマスレバ、木材ノ輸送等ニ付キマシ
テモ、色々貨物自動車ノ輸送ヲ要求サレル
向キモ多イノデアリマス、是等ニ付キマシ
テモ貨物自動車ノ最モ效率ヲ上ゲル能率ノ
良イ範圍ニ其ノ輸送ヲ止メテ、ソレ以外ニ
對シテハ川デ川流シヲスルトカ、或ハ荷馬
車ノ協力ヲ求メルトカ、斯ウ云フヤウナコ
トヲ致シマシテ、全體ノ能力ヲ上ゲルヤウ
ニ致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、唯此
ノ事業自身ノ內容ニ付キマシテハ、是ハ中
中調ベモ行屆キ兼ネル節モ多イノデゴザイ
マスガ、一應私共ノ手許ニモ十六年ノ半バ
又十七年ノ六月、是等ノ時期ニ付キマシテ、
ソレ〓〓關係機關ヲ通ジテ調査致シ、ソレ
等ノ對策モ一應講ジテ居ルノデアリマス、
斯クノ如ク是等ノモノハ主務省自身デ色々
整備計畫ヲ立テルト云フコトヨリモ、地方
的ナ問題デアリマスルノデ、地方長官ヲシ
テ整備增强ニ積極的ニ當ラスト云フヤウナ
方法ヲ執ツテ居ルノデアリマス、既ニ御承
知ノ企業許可令ノ中ニ、是等ノ業務ノ中デ
企業許可ノ對象ニ指定シタモノガ相當アル
ノデゴザイマス、サウシテ此ノ企業許可令
ニ基イテノ許可ノ對象ト致シテ、色々取締
ヲスルト同時ニ、各業種ニ付キマシテ組合ヲ
シ結成サシテ、サウシテ組合ヲ通ジテ輸送
力ノ增强ナリ、設備ノ確保ナリ、更ニ又馬
等ニ付キマシテハ輓馬ノ保有或ハ其ノ馬糧
ノ確保等色々ノ手配ヲ致シテ居ルヤウナ次
第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=49
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050・坂東幸太郎
○坂東委員 鐵道省ノ是等補助機關ニ對ス
ル職權ノ及ブ範圍ハドウ云フ點マデデアリ
マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=50
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051・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 勿論陸運ニ付キマシ
テハ、全部鐵道大臣ガ主務大臣デアリマス
ノデ、其ノ交通ニ關スル主務大臣トシテノ
廣汎ナル權限ヲ持ツテ居リマス、唯今申上
ゲマスノハ、各地方廳ヲ、場合ニ依リマス
ト、下級官廳或ハ單獨ノ官廳トシテ直接是
ガ指導監督ニ當ラシテ居ルト云フ譯ノモノ
デゴザイマシテ、勿論各地方廳ニ自由ニ委
シテ居ル、斯樣ナモノデハナイノデアリマ
ス、鐵道省カラ主務大臣ト致シマシテ是等
ノ整備ニ付キマシテモ、色々指示シ、或
適切ナル通牒ヲ發スル、斯樣ナ處置ヲ執ツ
テ居ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=51
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052・坂東幸太郎
○坂本委員 斯カル場合ニハ、牛車トカ馬
車トカハ大事ナ交通機關デスカラ、現在御
承知ノ通リ東京府下デ約八、九千頭ノ馬ガ居
リ、役牛モ居ルガ、飼料ノ缺乏ノ爲ニ輸送
力ガナクナリツツアル、之ヲ確保スルニハ、
飼料ト云フコトニ付テモ鐵道省ハ關心ヲ持
ツテ、何等カノ便宜ヲ與ヘルト云フコトガ
必要ニナツテ來ルデハナイカト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=52
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053・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 御說ノ通リデアリマ
ス、都市デ最モ馬ノ澤山居リマスノハ大阪
デアリマス、大阪ハ御承知ノ如ク馬車ガ相
當數アリマスシ、又輸送上非常ナ力ヲ現ハ
シテ居ルノデアリマス、之ニ付テノ馬糧ノ
確保ニ付キマシテハ、勿論農林省自身ガヤ
ツテ居リマスガ、是ガ輸送ニ付キマシテ國
鐵デ積極的ニ努力シテ居ルト云フ實情ニア
リマスシ、尙ホ此ノ小運送全體ノ問題ト致
シマシテ、輸送自身ヲ擔當シテ居ル鐵道省
ト致シマシテハ馬糧ノ動キモ能ク分ルコ
トデアリマシテ、農林省トノ連絡モ比較的
取リ易イ立場ニ居リマスルカラ、斯ウ云フ
點ニ付キマシテ十分措置致ス考ヘ方デハア
リマスガ、併シナガラ中々馬糧ノ生產自身
ト云フコトガ思ハシク參ラナイ現狀ニアリ
マス、此ノ點ニ付キマシテハ、農林省自身ガ
積極的ニ色々計畫ヲ樹立シ、折角入リマシ
タ馬糧ガ今度ハ輸送上困ツテ居ル、ソレデ
其ノ輸送ヲ鐵道省ニ賴ミ込ンデ來テ居ルト
云フ風ナ實情ニアル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=53
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054・坂東幸太郎
○坂東委員 モウ他ノ同僚諸君ガ巨細ニ質
問ヲ致シタノデスカラ、私ノ質問ハ是デ終
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=54
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055・横川重次
○橫川委員長 是ニテ大體質疑ハ終了致シ
マシタ、本日ハ是ニテ散會致シマス、明日
午後一時カラ委員會ヲ開會致シマス
午後四時二十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113207X01019430224&spkNum=55
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