第82回帝国議会　衆議院　企業整備資金措置法案外二件委員会　第2号　昭和18年6月17日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  昭和十八年六月十七日（木曜日）午前九時十一分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　木暮武太夫君
  　　理事　池本甚四郎君　理事　黒澤酉藏君
  　　理事　中西敏憲君　理事　片山一男君
  　　理事　鶴惣市君　理事　野田武夫君
  　　　　内池久五郎君　　卯尾田毅太郎君
  　　　　上田孝吉君　　　小山倉之助君
  　　　　大口喜六君　　　大倉三郎君
  　　　　加藤鐐五郎君　　　川島正次郎君
  　　　　川副隆君　　　川俣清音君
  　　　　勝正憲君　　　柏原幸一君
  　　　　九鬼紋七君　　　小山邦太郎君
  　　　　阪本勝君　　　澤田利吉君
  　　　　田中亮一君　　　田邊七六君
  　　　　田部朋之君　　　瀧澤七郎君
  　　　　豐田豐吉君　　　中井一夫君
  　　　　永野護君　　　藤本捨助君
  　　　　船田中君　　　増田義一君
  　　　　三木武夫君　　　山田順策君
  　　　　渡邊善十郎君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　厚生大臣　小泉親彦君
  　　　　　　　　遞信大臣　寺島健君
  　　　　　　　　大藏大臣　賀屋興宣君
  　　　　　　　　商工大臣　岸信介君
  　　　　　　　　鐵道大臣　八田嘉明君
  　　　　　　　大東亞大臣　青木一男君
  　　　　　　　　農林大臣　山崎達之輔君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　企畫院調査官　平井豊一君
  　　　　　　　　内務次官　唐澤俊樹君
  　　　　　　　　大藏次官　谷口恒二君
  　　　　　大藏省總務局長　迫水久常君
  　　　　　大藏省主計局長　植木庚子郎君
  　　　　　大藏省主税局長　松隈秀雄君
  　　　大藏省國民貯蓄局長　氏家武君
  　　　　　大藏省資金局長　松田令輔君
  　　　　　大藏省理財局長　田中豐君
  　　　　　大藏省銀行局長　山際正道君
  　　　　　　　大藏書記官　野田卯一君
  　　　　　　　　陸軍中將　吉積正雄君
  　　　　　　　　海軍少將　保科善四郎君
  　　　　　　　　農林次官　石黒武重君
  　　　　　農林省總務局長　重政誠之君
  　　　　　農林省食品局長　田中啓一君
  　　　　　　　　商工次官　椎名悦三郎君
  　　　　　商工省總務局長　神田暹君
  　　　　　商工省企業局長　豐田雅孝君
  　　　　　商工省金屬局長　津田廣君
  　　　　　商工省機械局長　佐藤筌太郎君
  　　　　　金屬囘收本部長　難波經一君
  　　　　　　　海務院長官　松木益吉君
  　　　　　　　　鐵道次官　長崎惣之助君
  　　　　　　　　　鐵道監　佐藤榮作君
  　　　　　　　　　鐵道監　堀木鎌三君
  　　　　　　　　厚生次官　武井群嗣君
  　　　　　厚生省勤勞局長　持永義夫君
  　　　　━━━━━━━━━━━━━
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　企業整備資金措置法案（政府提出）
  　昭和十八年法律第九號中改正法律案（昭和十八年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する件）（政府提出）
  　國民更生金庫法中改正法律案（政府提出）

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• 001・木暮武太夫

  ○木暮委員長　是ヨリ企業整備資金措置法
  案昭和十八年法律第九號中改正法律案、
  國民更生金庫法中改正法律案ノ委員會ヲ開
  會致シマス、本委員會ニ付託サレマシタ法
  案ハ只今申上ゲマシタ三件デゴザイマスル
  ガ、一括シテ議題ニシテ審議ヲ致シタイト
  存ジマス、御異議ハゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=1

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• 002・木暮武太夫

  ○木暮委員長　御異議ナキモノトシテ一括
  シテ審議ヲ進メタイト存ジマス、審議ニ入
  リマス前ニ申上ゲテ置キマスガ、大臣ノ出
  ラレヌ省ニ於キマシテハ政府委員ノ方ガ必
  ズ御出席ニナツテ居ルコトデゴザイマスカ
  ラ、政府委員ノ方ノ御答辯デ宜シイ場合ニ
  於キマシテハ、大臣ノ御出席ノナイ省ニ對
  シテモ適當ニ御質問ヲ願ツテモ宜シイト思
  ヒマス、御承知ノ通リ極メテ短カイ時間ヲ
  質問者ノ方ニ御割當申上ゲル無理ナ進ミ方
  デゴザイマスノデ、御諒承願ヒマシテ、御
  質問竝ニ大臣及ビ政府委員カラノ答辯モ、
  極メテ簡潔ニ要點ダケヲ御述べ下サイマシ
  テ、議事ノ圓滿ナル進行ニ資シテ戴キタイ
  ト云フコトヲ特ニ委員長カラ改メテ申上ゲ
  テ置キマス、ソレデハ小山倉之助君

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• 003・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　私ハ先ヅ第一ニ御質問申
  上ゲタイノデアリマスガ、第一種工業部門
  ノ整備ノ結果生ジマスル所ノ勞力ヲ、大體
  操業スルト豫定シテ居ツタ工場ニ全部收容
  シ得ルカドウカ、是ハ甚ダ奇態ナ御質問ノ
  ヤウニ考ヘラレルカモ分リマセヌガ、科、
  玆デ一二ノ實例ヲ擧ゲテ政府ノ御所見ヲ質
  シタイト思フノデアリマス、第一種工業部
  門ニ於テ整理ヲ遂行サレマスル際ニモ、相當
  ノ勞力ガ玆ニ生レテ來ルデアラウト思フノ
  デアリマス、資材ハ別ト致シマシテ、勞務
  モ其ノ方面ニ轉用スル、斯ウ云フノデアリ
  マスガ、大體ノ目標ハ五大產業デアラウト
  思フノデアリマス、私ハ最近五大產業ヲ實
  地踏査ヲ致シタノデアリマスガ、石炭ニセ
  ヨ、或ハ鐵鋼業ニセヨ、造船ニセヨ、殆ド
  勞力ノ點ニ於キマシテハソンナニ不足ヲ見
  テ居ルヤウナ樣子ハナイノデアリマス、例
  ヘバ石炭坑夫ニ於テ朝鮮人ヲ內地人ニ換ヘ
  ルトカ、勤勞勞務者ヲ此ノ度供出サレタ勞
  務ニ換ヘルトカ、斯ウ云フコトハ考ヘ得ル
  ノデアリマスガ、今日ノ實情カラ見マスル
  ト、其ノ各工場ニ於テ、或ハ鑛山ニ於テ、
  原料不足ノ爲ニ動カナイ部分ガアル、動カ
  シ得ナイ部分ガアル、是ハ一ツノ「ネツク」ニ
  ナツテ居リマス、造船工場ニ於テハ働カウ
  トシテモ器具ガナイ、道具ガナイ、勞力ガ
  アツテモ動カス方法ガナイ、住ムニ家ガナ
  イ、通勤スルニ交通機關ガ完備シテナイ、
  自轉車デ行カウト思ツテモ自轉車モナケレ
  バ、修繕スル資材モナイ、靴モ少イ、下駄
  モナイ、斯ウ云フ狀態デアリマシテ、或ル
  工場ニ勞務ヲ供出シテ其處デ轉用シヨウト
  シテモ、果シテ之ヲ受入レル準備アリヤ否
  ヤ、今日ノ狀態ニ於キマシテハサウ云フ有
  樣デアリマスカラ、今直チニ勞務ヲ供出シ
  ヨウト致シマシテモ、ソレヲ受入レル力ア
  リヤ否ヤ、其ノ設備アリヤ否ヤ、斯ウ云フ
  點ニ付テ疑問ヲ懷クノデアリマスガ、是ガ
  爲ニ整備ヲスルンダ、是ガ爲ニ資材ヲ供出
  スルンダ、是ガ爲ニ勞力ヲ換ヘルノダ、斯
  ウ云フコトデアリマスカラ、此ノ度ノ企業
  整備ニ付キマシテハ最モ尊イ意味ガアル、
  洵ニ是ハ斷行シナケレバナラヌト考ヘルノ
  デアリマスガ、現狀ニ於テ稍〓私ハ斯樣ナ感
  ジヲスルノデアリマス、今日ハ寧ロ熟練職
  工ノ一人々々ノ能力ヲ上ゲル、各工場ノ合
  理化ヲ圖ル、能率ヲ上ゲルコトヲ圖ラナケ
  レバナラヌノデアツテ、ソコニ素人ノ分ガ
  大勢入ツタカラト云ウテ、受入レテモ仕樣
  ガナイ、或ハ其ノ工場ノ能率ヲ低下サセル
  ト云フ虞モアル、併シ素人ノ職工トシテヂ
  ヤナクシテ、素人ノ勞務者トシテモ或ハ炭
  鑛方面ニ向ケルコトモ出來ルデアリマセ
  ウ、森林伐採ノ方面ニモ大分勞力ガ足リナ
  イカラ、其ノ方ニモ向ケ得ルデアリマセウ、
  或ハ港灣ノ荷役ノヤウナモノニモ向ケ得ル
  デアリマセウ、或ハ特ニ歸農ヲ勸誘シテ食
  糧增產ノ爲ニ努力セシムルト云フヤウナコ
  トモ考へ得ルノデアリマスガ、五大產業
  ト云フモノヲ限ツテ見マスル場合ニハ左樣
  ナ感ジヲスルノデアリマシテ、此ノ勞務供
  出ノ問題ハ所謂勞務ノ再配置ト云フ問題ヂ
  ヤナクシテ、失業救濟ト云フ方面ニ重點ヲ
  置クコトノ巳ムヲ得ナイヤウナ羽目ニ陷ラ
  ヌデアラウカドウカ、斯ウ云フコトヲ考へ
  ルノデアリマスガ、私ノ考ヘガ間違ツテ居
  リマスカドウデアリマスカ、一ツ御所見ヲ
  伺ヒタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=3

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• 004・岸信介

  ○岸國務大臣　今囘ノ企業整備ニ伴ヒマシ
  テ、勞務ノ問題ニ付テノ御質問デゴザイマ
  スルガ、御話ノ如ク此ノ勞務ノ問題ハ、實際ノ
  取扱ヒト致シマシテハ色々ナ困難ナ問題ヲ
  含ンデ居ルノデアリマス、唯本年ノ勞務動
  員計畫ニ於キマシテハ、御承知ノ如ク全體
  ノ必要トスル勞務ノ給源ト致シマシテ、企
  業整備ニ依ツテ此ノ方面ヨリ供出シテ貰フ
  勞務ト云フモノヲ相當多數ニ見込ンデ居ル
  ノデアリマス、其ノ多數ノ勞務ガ出マスノ
  ハ、言フマデモナク第一種工業部門カラ澤
  山ニ是ガ出ルノデアリマス、是ガ振リ向ケ
  ラレル方面ハ、主トシテ御話ガアリマシタ
  重點產業、其ノ他國家ガ特ニ緊要トスル部
  面デアリマシテ、是等ノ方面ニ於テ需要ス
  ル所ノ量ト、企業整備ニ依ツテ第一種工業
  部門等カラ出テ參ルト豫想シテ居リマスル
  勞務者ノ數ト云フモノニ付キマシテハ、勿
  論色々出テ參リマスル勞務ノ中ニモ、不適
  格ナモノモアリマセウシ、又家庭ノ事情其
  ノ他色々ナ周邊ノ事情カラ、直チニ國家ノ
  希望シテ居ル如ク、重要方面ニ於テ新タニ
  其ノ方面ニ再配置スルト云フコトノ困難ナ
  モノモアラウカト思フノデアリマス、隨ヒマ
  シテ勞務動員計畫デ豫定シテ居ル數ヨリモ、
  或ル程度數ノ多イモノガ此ノ企業整備カラ
  出テ來ルト云フコトガ豫想サレテ居ル譯デ
  アリマス、而シテ之ヲ再配置スルニ付キマ
  シテハ、今御話ガアリマシタ通リ、各工場、或
  ハ事業場等ノ實情カラ見マシテ、當然之ヲ再
  配置スルノニ必要ナ準備、其ノ他施設ヲ講ゼナ
  ケレバナラナイ部分モ少クナカラウト思ヒ
  マス、例ヘバ御話ガアリマシタ勞務者住宅ノ
  問題デアルトカ、或ハ事業場、工場等ニ於
  ケル設備、或ハ資材等ノ釣合ヲ取ル問題デ
  アルトカ、其ノ他色々ナ問題ガ之ニ關聯シ
  テアルト思ヒマス、從來ヤツテ參リマシタ
  企業整備カラ出テ來テ居ル所ノ勞務等ガ、ド
  ウ云フ風ニナツテ行ツテ居ルカト云フコト
  ヲ調ベテ見マシテモ、今御指摘ニナリマシ
  タヤウナ色々ナ困難ヲ克服シテ、之ニ對ス
  ル調整ヲ加ヘテ、計畫的ニ十分ナ準備ヲ整
  ヘテ配置ヲシテ行カナイト、十分ナ效果ガ
  得ラレナイト云フコトハ當然デアリマス、
  今囘ノ企業整備ニ當リマシテハ、第一種工業
  部門等ニ付キマシテハ、利用スル設備ノ上カ
  ラ申シマシテモ、又配當スベキ勞務者ノ點カ
  ラ申シマシテモ、出來ルダケ綜合的ニ計畫的
  ニ之ヲ立テ、同時ニ此ノ方面ニ再配置スルコ
  トニ付テハ、必要ナ基本的ナ訓練等モ行ツテ、
  ソレカラ又勞務者ノ住宅其ノ他ノ問題ニ關
  シマシテモ、出來得ル限リ之ヲ計畫的ニ、
  綜合的ニ準備ヲ整ヘテ、サウシテ再配置ヲ
  シテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居リマス、隨ヒ
  マシテ今御疑問トサレ、又御懸念サレテ居
  ル事柄ハ、企業整備カラ生ズル勞務配置ノ
  問題ニ付テノ極メテ要點ニ觸レテ居ル問題
  デアリマシテ、私共モ十分ニ其ノ點ヲ考慮
  シテ各般ノ措置ヲ講ジ、從來ノヤウナ無計
  畫ナ、又無準備ナコトニナラナイヤウニ、
  綜合的計畫ヲ立テ十分ナル準備ヲシテ此ノ
  再配置ヲ致シマシテ、以テ此ノ企業整備カ
  ラ生ズル勞務ノ有效ナ活用ヲ考ヘテ參リタ
  イト思ツテ居リマス、尙ホ各工場、事業場
  等ニ於ケル熟練工、又其ノ各勞務者ノ個人當
  リノ能率ノ增進、企業ノ合理化、之ニ依ツ
  テ生產性ヲ〓揚スルト云フ考ヘハ、是ハ洵
  ニ必要ナコトデアリマシテ、政府ニ於キマシ
  テモ今囘ノ企業整備ノ第二種工業部門、
  主トシテ生產增强要素、戰力ニ直接關係アル
  重點產業等ヲ目標トシテ居ルノデアリマス
  ガ、此ノ方面ニ於キマシテハサウ云フ點ニ特
  ニ力ヲ入レテ參リタイト思ツテ居リマス、從
  來ノ配給業者其ノ他ノ轉廢シタ實績等ニ鑑ミ
  テ見マシテモ、適當ナル訓練ト準備ヲ致シテ
  參リマスト、是等ノ方面カラ出テ來ル所謂轉業
  戰士ノ人々ノ、新シイ工場、事業場ニ於ケル
  能率ト云フモノハ、二三箇月ニシテ相當優秀
  ナ成績ヲ示シテ居ル例ガ少クナイノデアリ
  マシテ、是等ノ點モ十分考ヘテ、各般ノ方
  面カラ準備ト計畫トヲ立テテ之ヲ行ツテ參リ
  タイ、ソレニ依ツテ今御懸念ニナツテ居ル
  ヤウナ事柄ヲ克服シテ參リタイト考ヘテ居
  リマス

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• 005・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　私ハ時間ノ關係上是カラ
  ノ質問ハ頗ル簡單ニ致シマスカラ、御答へ
  モ亦簡單ニ願ツテ結構デアリマス、第一ニ石
  炭ノ增產ヲ圖ラナケレバナラヌノデアリマ
  スガ、其ノ石炭ガ今日ハ山元ニ積上ゲラレ、
  港ニモ貯炭ガ多ク、山元ノ生產ヲ制約スル、
  斯ウ云フ現狀ニアリマスノハ、或ハ坑木ガ
  足ラナイ「ケーブル」ガ足ラナイ「ワイヤ·ロ
  ープ」ガ足ラナイ、今日「ケーブル」「ワイ
  ヤ·ロープ」ノ如キハ實ニ石炭山ニ於テ命取
  リト言ハレテ居ル、サウ云フモノノ供給ガ
  足ラナイノデアリマスガ、第一種工業部門
  ノ整備ニ依ツテ、是等ノ不足ヲ全部充實ス
  ルト云フ御考デアリマスカドウデアリマス
  カ、是ハ石炭ニ關シタ問題デアリマスガ、
  例ヘバ荷役上必要ナモノハ、或ハ「シート」ト
  カ、帆布トカ「ワイヤ·ロープ」「マニラ·
  ロープ」機械油、炭車用「グリセリン」斯ウ云
  フモノガ又荷役ノ能率ヲ下ゲテ居ルノデア
  リマス、第一種部門ノ整備ニ依ツテ是等ノ資
  材ヲ充實シ、荷役ヲ完全ニセシメ、而シテ
  鑛山ノ能率ヲ擧ゲルト云フ方ニ向ケラレル
  ノデアリマスカ、ドウデアリマスカ、此ノ
  點ヲ簡單ニ御答ヘ願ヒタイノデアリマス

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• 006・岸信介

  ○岸國務大臣　第一種工業部門ノ整備ニ依
  ツテ出テ參リマス、資材等ハ、緊要方面ニ之
  ヲ轉活用スル積リデアリマシテ、今御話ノ
  如ク石炭ノ問題ヲ考ヘテ見マスト、石炭ノ
  方面ニ利用シ得ルモノニ付キマシテハ、之
  ヲ轉活用スル積リデアリマス、尙ホ石炭鑛
  業ニ付キマシテハ、御話ノヤウナ點ガアリ
  マスノデ、此ノ前ノ議會ニ於テ協贊ヲ經マ
  シテ、石炭鑛業ニ付テ整備ノ事柄ヲ特別ニ
  行ツテ居リマス、能率ノ惡イ又將來性ノナ
  イ山等ヲ整備シテ、其處ニアル設備ヲ、有
  望ナ又實際生產增强ノ力ノアル所ニ再配
  置スルト云フ方策ヲ決定シマシテ、今着々
  實行致シテ居リマス、石炭山ニ於キマシ
  テハ石炭山ノ整理カラ生ズル設備等ヲ利用
  スル部分ガ相當多カラウト思フ、併シナガ
  ラ第一種工業部門ノ整備、石炭山ノ整理カ
  ラ出テ來ル資材ヲ、必要ナ山ニ利用スルト致
  シマシテモ、尙ホヤハリ資材ハ十分デナイト
  思ヒマス、ソレダケデ大丈夫ト云フコトハ
  申上ゲラレナイト思ヒマス、隨ヒマシテ石
  炭山等ニ於キマシテ吾々ガ常ニ要望シ、又大
  イニ努力シテ貰ツテ居ル事柄ハ、從來ノ考
  ヘ方カラ云フト、斯ウ云フモノガ要ルノダ
  ト云フ場合ニ於キマシテモ、現場ニ於テ色
  色ナ創意工夫ヲシテ貰ツテ、其ノ資材ニ代
  ル他ノ代用ノモノデ賄フ、或ハソレナクシ
  テヤツテ行ク、色々其ノ方面ニ於テ工夫創
  意ガ働イテ居リマシテ、又之ヲ働カシテ貰
  ハナケレバ、戰時下ノ必要ナ石炭增產ガ十
  分ニ達成サレナイト思ヒマスケレドモ、兎
  ニ角今申シマシタヤウナ方法ニ依リマシテ、
  其ノ一部ハ必要ナ方面ニ轉活用サレル、斯
  ウ思ヒマス

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• 007・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　五大產業ノ中ノ造船ノ問
  題ニ移リマス、御承知ノ通リ、今日程船舶ノ
  必要ヲ感ジテ居ル時代ハナイノデアリマス
  ガ、其ノ計畫ガ動モスレバ豫想ニ反シテ居
  ルト云フノハ要スルニ計畫ト實行ガ伴ハ
  ナイ、斯ウ云フ點ニ存スルノデアリマスカ
  ラ、其ノ點ニ、又殊ニ資材ノ轉用ニ重點ヲ置
  カレルデアラウト信ズルノデアリマス、ソ
  コデ此ノ度ノ企業整備ニ付キマシテハ立地
  的條件ヲ加味シテ戴キタイ、斯樣ニ考ヘル
  ノデアリマス、北海道ニ於キマシテモ船體
  ハ出來タガ副資材ガナイ、艤裝品ガナイ、七
  割程度出來タガ、アトノ三割ガ出來ナ
  イ、併シ一部出來ナクトモ、船ノ竣工ハ出
  來ナイノデアリマスカラ、七割出來タ
  カラト云ツテ、ソレガ直チニ完成スルト
  ハ今日ノ狀態デハ見ラレナイノデアリマス、
  ドウシテモ之ヲ完成シナケレバナラヌ、
  然ルニ北海道ニ於キマシテハ輪西ノ製
  鐵所ガアルガ、其ノ隣リニハ日本製鋼所
  ガアル、函館ニハ函館「ドツク」會社ガア
  ル、併シナガラ銑鐵、鋼材共ニ輪西ガ供給シ
  得ルノニ、輪西ノ銑鐵ハ今日ハ鹽基性用デ
  アリマシテ、普通鋼ヲ作ツテ居ルニ過ギナ
  イ却ツテ之ヲ大阪地方ニ輸送シテ居ルト
  云フ狀態デアリマス、酸性鋼用ノ低燐銑ハ
  之ヲ却ツテ內地カラ得ナケレバナラヌ、斯
  ウ云フコトハ他ニ大ナル原因ガアルト云フ
  コトハ存ジテ居リマスガ、之ヲ立地的ニ計
  畫スルナラバ、北海道ノ鐵ハ北海道ノ製鋼
  所ニ依ツテ利用サレル、斯ウ云フコトハ考
  ヘ得ルノデアリマス、隨テ「エンジン」ノ如
  キモ北海道ノ造船ニ對シテハ北海道デ造ツ
  タモノヲ成ルベク使フ、艤裝品モ、副資材モ
  同樣デアリマス、或ハ殊ニ軍需、土木ノ如キ
  ハ盛ンニ起ツテ居リマスガ、「セメント」ガ
  足リナイ、其ノ「セメント」ハ一律一體ニ石
  炭ノ規正ヲシテ居ル、北海道デ石炭ガ足リ
  ナイ爲ニ「セメント」ノ增產ガ出來ナイナラ
  バ其處ハ增シテ差支ナイ、八戶ニアレダ
  ケノ大キナ「セメント」工場ガアルナラバ其
  ノ工場ニ石炭ノ規正ヲセズシテ、函館カラ
  或ハ室蘭カラ石炭ヲ持ツテ來レバ「セメン
  ト」ノ增產ガ出來ル、然ルニ一割減ラシタ
  カラト云ツテ、全國一律ニ一割減ラシテシマ
  ウ、サウシテ「セメント」ノ增產ヲ妨ゲテ居ル
  ト云フヤウナ實情ガ多イノデアリマス、是
  ハ立地條件ヲ考ヘナイノト、燃料ノアル所
  ニ仕事ヲサス、工業ヲ興ス、サウ云フコト
  ヲ考ヘナイ、是ハ劃一的ノ統制デアリマシ
  テ、左樣ナコトハ當然改メテ行カナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマス、隨テ此ノ造船
  部面ニモアリマスレバ、其ノ他ノ工業部面
  ニモアル、此ノ整理統合ハヤハリ立地條件、
  其ノ土地ノ燃料、其ノ他輸送ノ關係ト云フ
  ヤウナコトヲ考ヘテ、實際ニ卽シタ整備ヲ
  一ツヤツテ戴キタイ、斯樣ニ考ヘルノデア
  リマス、之ニ御異議アル筈ハナイノデアリ
  マスガ、唯御異議ナイト云フダケデハイカ
  又、其ノ實行方法ヲドウスルカ、其ノ實情
  ニ副フヤウニ、今日ハ戰爭ヲシテ居ルノデ
  アリマスルカラ、戰爭ヲシテ居ルト云フ氣
  分デ一ツヤツテ戴キタイト思フノデアリマ
  ス、簡單ナル御囘答ヲ願ヒタイノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=7

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• 008・岸信介

  ○岸國務大臣　御話ノ如ク工業ノ立地ト云
  フコトヲ考ヘルコトハ非常ニ必要ナノデア
  リマスガ、特ニ今日ノ狀況ニ於キマシテハ
  輸送ノ關係ガ御指摘ノ如ク非常ナ問題ニナ
  ツテ居ル譯デアリマス、從來モ工場ヲ置キ
  マス場合ニ於テハ立地條件ト云フコトハ勿
  論考ヘテ工場ガ置カレタノデアリマス、其
  ノ場合ノ立地條件ヲ支配スル一番大キイモ
  ノハ何カト言フト、算盤ガ一番都合ガ好イト
  云フコトデアツタノデアリマスガ、今日ノ
  立地條件ハ輸送ノ關係、又國防ノ關係ト云
  フモノガ非常ナ重點ヲナシテ居ルノデアリ
  マシテ、企業者ノ立場カラ言フト、必ズシ
  モ算盤ノ上カラ云ヘバ非常ニ儲カル所デナ
  イトシマシテモ、輸送力ヲ非常ニ「セーブ」
  スル、若クハ國防上ノ見地カラ是ハ非常ニ
  宜イト云フヤウナ點ガ大事ナノデアリマス、
  今回ノ企業整備ニ於キマシテモ、操業工場、
  保有工場、操業ノ程度、保有取得ト云フヤウ
  ナ問題ニ付キマシテハ十分今申シマシタ輸
  送ノ關係、ソレカラ國防ノ關係ヲ考ヘテ、
  其ノ點ニ重點ヲ置イタ立地條件ヲ滿タスヤ
  ウニヤツテ參リタイ、斯ウ思ツテ居リマス、
  御話ノコトハ正ニ誰モ異論ハナイコトデア
  リマスガ、ソレデ之ヲ實行スル部面ニ付キ
  マシテハドウスルカト云フ御尋ネデアリマ
  ス、元ハ今御話ノアリマシタヤウニ、動トモ
  スルト全國劃一ノ統制ヲ執ツテ居ツタ弊ガ
  アリマスガ、最近ニ於キマシテハ私共モ、例
  ヘバ「セメント」ノ例ガ擧リマシタガ「セメ
  ント」ニ付キマシテモ操業工場ト云フモノ
  ハ地方的ニ分散シテ流サセル、サウシテ而
  モ石炭ノ關係ガ「セメント」ノ生產ヲ規正シ
  居ル譯デアリマスカラ、石炭ノ輸送ノ宜イ
  所ノモノニ付キマシテハ、假令設備トシテ
  ハ必ズシモ優秀デナクテモ、其處ハ「フル」ニ
  働カセル、今御話ガアリマシタヤウニ、北海
  道等ニ付キマシテハ、「セメント」ニ付テ
  ハ全部ノ能力ヲ擧ゲテ働カセテ居リマ
  ス、之ニ反シテ設備ガ良クテモ非常ニ遠
  方カラ石炭ヲ持ツテ來ナケレバナラヌト
  云フ地方ニアル所ノ「セメント」工場ハ、
  石炭ノ輸送ノ關係カラ操業ヲ短縮スルコ
  トヲ餘儀ナクサシテ居ル、今後ノ企業整備
  ニ付テ操業工場ノ操業又ハ轉用等ニ付キマ
  シテハ、十分ニ今御話ノコトヲ考ヘテ參リ
  タイ、造船ノ問題ニ付キマシテモ御話ノ如
  ク其ノ點ヲ考ヘルコトハ非常ニ必要デアル
  ト思ヒマス、唯是ハ甚ダ遺憾ナコトデアリ
  マスガ、從來ノ日本ノ工業ノ立地ト云フコ
  トガ、サウ云フコトヲ重ク置イテサレテ居
  ラナカツタト云フ爲ニ、其ノ移リ變リノ度
  ニ於キマシテハ、御指摘ノ如キ色々ナ不合
  理ナ點ガアルト思ヒマス、是ハ方面々々ニ
  於テ實情ニ卽シテ、出來得ル限リ急速ニ之
  ヲ是正シテ行クト云フヤウニ、政府トシテ
  力ヲ擧ゲテ參リタイト思ヒマス

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• 009・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　更ニ一寸方面ガ變リマス
  ガ、統制會社、統制團體ノ整備ハ、今囘ノ
  企業整備ト併行シテ斷行セラルル御意思ガ
  アルカドウカト云フコトヲ伺ヒタイノデア
  リマス、實ハ統制會社、統制團體ノ、或ルモ
  ノニ付テハ、一億一心ノ協力態勢ニ於テ却
  ツテ國民ノ心持ヲ暗クスル、摩擦ヲ生ズル、
  斯ウ云フヤウナ働キヲナス部分モアリマス
  コトハ皆樣御承知ノ通リデアリマス、「トン
  ネル」會社ガアリ、不勞所得ヲ得テ居ル、遊
  ンデ食ツテ居ル、斯ウ云フ部分モ相當ニ多
  イノデアリマス、サウ云フ方面ニハ徴用モ
  整理モ行ハレナイ、斯ウ云フコトデアツテ
  ハ洵ニ遺憾至極デアリマシテ、今日ノ情勢
  ニ於キマシテハ默過スベカラザルモノガア
  リマスカラ、統制會社、產業團體ト云フモ
  ノニ對シマシテモ、此ノ際企業整備ヲ斷行
  セラレテ、相當ノ勞務ヲ供出サセルト云フ
  コトハ、國民トノ摩擦ヲ避ケル-政府ノ
  考ヘガ、國民ニ徹底シナイノハ、其ノ中間
  團體ガ禍ヒヲスルト云フコトモ多イノデア
  リマスカラ、此ノ點ヲ一ツ御斷行願ヒタイト
  思フノデアリマスガ、如何デゴザイマセウ

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• 010・岸信介

  ○岸國務大臣　私共モ御意見全然同感デア
  リマシテ、企業整備ト竝行致シマシテ、又
  企業整備ノ一部ト致シマシテ、從來アリマス
  所ノ統制會社、各種ノ統制團體等ニ付テ、
  根本的ナ再檢討ヲ目下致シテ居リマス、是
  等ノ機關ハ、言フマデモナク此ノ戰時經濟
  運用ノ上ニ於キマシテ、重要資材、原料等
  ノ配給ヲ、國家計畫ニ卽シテ必要ナ方面ニ
  必要ナ資材ヲ迅速ニ、圓滑ニ、且ツ低廉ニ
  配給スルト云フノガ其ノ使命デアリマス、
  然ルニモ拘ラズ、實際ノ機構ガ其ノ目的ヲ
  十分ニ達シテ居ルカドウカト云フノニ付キ
  マシテハ相當疑ヒノアル、又其ノ目的ニ反
  シテ居ルモノサヘアル事柄ガアルノデアリ
  マシテ、是等ニ付キマシテハ根本的ニ再檢
  討致シマシテ、出來ルダケ簡素ナ形デ、而
  モ今申シマシタヤウナ使命ヲ十分ニ果スヤ
  ウニ之ヲ改善スベキコトハ當然デアリマス、
  隨ヒマシテ此ノ企業整備ノ一環トシテ、是
  等ノモノノ整備モ行ツテ行ク、斯ウ云フ積
  リデアリマス

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• 011・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　更ニ御尋ネ申上ゲタイノ
  デアリマス、政府ハ此ノ度金屬ノ囘收ヲ斷
  行ヲスルノデアリマスガ、其ノ囘收量ト見
  合ヒマシテ、之ニ順應スル輸送計畫ガオア
  リニナルカドウカ、斯ウ云フ點デアリマス、
  從來ハ小規模ノ企業整備ガ行ハレマシテ、
  相當鐵材其ノ外ノ資材ガ囘收セラレテ居ツ
  タノニ拘ラズ、之ニ輸送ガ伴ハナカツタト
  云フ事實ハ見逃スコトガ出來ナイノデアリ
  マス、勿論海運カラ陸運ニ變リマシタノデ、
  元々陸運ヲ以テ主トシテ居ツタ鐵道ガ、ド
  ンナニ改良致シマシテモ不可抗力カラ生ズ
  ルモノモアツタデアリマセウシ、擴充ノ十
  分ナラザル點カラ起ツタコトモアリマセ
  ウ、是ハ單ニ囘收本部ダケノ責任トハ申上
  ゲラレナイノデアリマスガ、兎角日本ノ今
  マデノヤリ方ハ、商工省ハ商工省トシテ鐵
  ノ囘收ハ熱心ニヤル、併シナガラ其ノ輸送
  關係ニ付テハ外ノ役所ノ關係デアルカラ連
  絡ガ執レナイ、斯ウ云フコトガ禍ヒヲナシ
  テ居ルノデアリマス、今マデ小規模ノ整備
  ニ於テサヘモ足並ガ揃ハナカツタト云フ憾
  ミガナイデハナイノデアリマスルガ、斯樣
  ナ大規模ナ整備ヲ行ツテ、而モ戰爭ニ役立
  タセヨウト云フ場合ニハ、足並ガ揃ハヌカ
  ラトカ、其ノ計畫ハ實行ガ出來ナイトカ云
  フヤウナコトデハ國民ニ對シテモ申譯ガナ
  イノデアリマシテ、私共ハ此處デドウシテモ、
  此ノ囘收量ト輸送計畫ト云フモノヲ睨ミ合
  ハシテ、是ガ非デモ之ヲ斷行スルト云フ御計
  畫ガ欲シイ、其ノ實行力ガ欲シイノデアリマ
  ス、ソレニ付テハ實行ノ機關ガ此處ニナケレ
  バナラヌ、サウ云フ點ニ付キマシテハ、私
  ハマダ實ハ色々ナ疑問ヲ生ゼザルヲ得ナイ
  點ガアルノデアリマス、過般「ドイツ」ノ軍
  需相「シユペーア」ノ言ハレル所ニ依ルト、
  爆彈下ニ於テ相當驚クベキ軍需品ノ生產ガ
  出來タト誇ツテ居ルノデアリマスガ、我ガ
  國ノ如キ空襲モナイ斯ウ云フ國柄ニ於テ、
  其ノ生產力ガ伴ハナイト云フヤウナコトデ
  ハ、洵ニ是ハ申譯ノナイコトデアルト存ズル
  ノデアリマシテ、此ノ點ニ特ニ御留意ヲ願
  ヒタイト思フノデアリマス、是ハ是非鐵道
  省其ノ外各省ノ完全ナル連絡ヲ執ツテ、サ
  ウシテ斷行セラレンコトヲ要望セザルヲ得
  ナイノデアリマス、詳シイコトヲ申上ゲタ
  イノデアリマスガ、時間ガアリマセヌカラ
  要點ダケヲ御尋ネ申上ゲタイノデアリマス

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• 012・岸信介

  ○岸國務大臣　金屬囘收ニ付キマシテ、其
  ノ囘收計畫ト輸送計畫ト云フモノガチヤン
  ト「マツチ」致シマシテ、而モ輸送ガ現實ニ囘
  收ニ伴ツテ迅速ニ行ハレルト云フコトガ最
  モ必要デアリマス、從來之ニ圓滑ニ行カナ
  カツタ部面ガアルト云フ事柄ハ、御指摘ノ
  通リ私共モ非常ニ遺憾トスルモノガ少クナ
  カツタノデアリマス、其ノ一ツハ輸送力ガ
  全體トシテ缺乏シテ居ルト云フコトカラ來
  ルノガ何ト申シマシテモ根本デアリマス、
  併シモウ一ツハ輸送計畫ト云フモノヲ中央
  ニ於テ綜合的ニ立テテ、而モ之ヲ綜合的ニ
  推進スル所ノ計畫性ヲ缺イテ居ツタト云フ、
  憾ミガ確カニアツタト思フノデアリマス、
  實際ニ輸送ノ關係ハ、金屬囘收會社カラ日本
  通運、更ニ鐵道省若シクハ船舶業者ニ賴ム
  ト云フノデアリマシテ、ソレ〓〓自分ノ受
  持ツテ居ルコトダケニハ責任ヲ持ツテ居リ
  マスガ、ソレカラ先ハ外ノ機關ノ責任ダト
  云フコトデ、其ノ間ヲ綜合シ、連絡シ、而
  モ計畫的ニズツト一聯ニ行ハシムルト云フ
  中央ノ計畫性ヲ缺イテ居ツタノデアリマス、
  今年三月カラ商工省ニ金屬囘收本部ト云フ
  モノヲ置キマシテ、是ガ中央ニ於テ囘收ス
  ベキ物件ノ決定、是ノ評價、是ノ囘收竝ニ
  輸送ト云フモノニ付テ一元的ニ計畫ヲ立
  テマシテ、而モ是ノ計畫ノ推進ト實行ニ當ル
  ト云フ建前ヲ執ツテ居リマスノデ、從來ノ
  ヤウナ輸送上ノ色々ナ思ハシクナイ事態ハ
  相當ニ改善セラレルト思ヒマス、併シナガ
  ラ根本ニ於テ輸送力其ノモノガ戰時下ニ於
  テ非常ニ窮屈ニナツテ居リマスノデ、餘程
  ノ努力ヲ致シテ參ラナケレバナラヌト思ヒ
  マス、併シ此ノ金屬囘收本部ガ中心トナリ
  マシテ、鐵道省、遞信省等ハ勿論ノコト、
  民間ノ各機關トモ玆ニ一元的ニ統制ヲシテ
  參リマシテ、本年ノ囘收計畫ハ囘收ト輸送
  計畫ト常ニ相應セシメルヤウニ計畫ヲ立テ
  テ居リマス、是カラハ其ノ實行ヲ計畫通リ
  推進シテ行クト云フ所ニアルト思ヒマス、
  十分其ノ點ハ考ヘテ實行シテ參ル積リデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=12

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• 013・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　此ノ點ニ付キマシテ囘收
  本部ノ機能ト云フモノガドレダケ强イノデ
  アルカ、是ハ又後ノ機會ニ御示シヲ願ヒタ
  イノデアリマスガ、實ハ私ハ斯ウ云フコト
  ヲ惧レテ居ルノデアリマス、ドノ工業、ド
  ノ工場ヲ轉用スベキカ、ドノ工業ヲ保有ス
  ベキカ、ドレヲ廢止スベキカ、ドレヲ操業
  スベキカ、是ハ實ニ大キナ問題デアリマシ
  テ、此ノ見解ニ依ツテハ相當議論ヲ鬪ハス
  ベキ問題デアラウト思フノデアリマス、請
  託トカ、懇請トカ、運動トカ云フコトニ動
  カサレルコトハナイト信ジマスガ、眞ニ愛
  國的ノ意見ヲ立テテ、サウシテ之ヲ相固執
  スル場合ニハ、相當ニ私ハ議論ガ起リ得ル
  問題ガ多イト思フノデアリマス、併シナガ
  ラ今日ハ議論ヲ以テ時間ヲ空費スベキ場合
  デハアリマセヌ、サウ云フ裁斷ヲ此ノ囘收
  本部ガナシ得ル權能ヲ持ツテ居ルカドウデ
  アリマスカ、最後ノ判斷、裁決スベキ權能
  ヲ持ツテ居ルカドウカ、伺ヒタイト思ヒ·マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=13

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• 014・岸信介

  ○岸國務大臣　最後ノ決定ハ、各省所管ニ
  於キマシテ商工大臣ガ之ヲ決定スル積リデ
  アリマス、而シテ此ノ決定ノ內容ヲ作ルモ
  ノト致シマシテ、今御話ノヤウナ操業、轉
  用、保有、廢止等ヲ決メマスニ付キマシテ
  ハ、最モ密接ナ關係ヲ持ツテ居リマスル各
  省ガ委員會ヲ作リマシテ、殊ニ轉用ヲ中心
  トシテノ委員會ガ出來マシテ、此處デ具體
  的ノ問題ヲ審議致シマシテ、サウシテ各省
  大臣ガ責任ヲ持ツテ決メテ行クト云フコト
  ニナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=14

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• 015・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　私ハ此ノ際軍當局ノ御意
  見ヲ御伺ヒ致シタイノデアリマス、軍關係
  ノ工場ノ綜合的生產計畫ヲ樹立シテ、當該企
  業ノ生產性ヲ最高度ニ昂揚セラレンコトヲ
  私共ハ希望スルノデアリマスガ、其ノ方途
  ニ付キマシテ御說明ヲ願ハレレバ結構ト存
  ズルノデアリマス、何故斯樣ナコトヲ申上
  ゲルカト申シマスト、今囘ノ企業整備ハ要
  スルニ戰力ノ增强ガ主デアリマシテ、所謂
  企業整備ノ第一種部門ヲ整理致シマスノモ、
  總テ第二種部門ニ於ケル工業ノ擴充增强ヲ
  圖ラウト云フ趣旨ニ外ナラナイト存ズルノ
  デアリマス、要スルニ戰力ヲ增强シヨウト
  云フノデアリマス、此ノ戰力增强ノ、殊ニ
  武器、軍器等ノ製造ニ當ラレマスル所ノ軍
  工場、軍監督工場、是ガ主トナリマシテ、
  其ノ下ニアリマスル協力工場、其ノ協力工
  場ノ中ニモ第一次ノモノガアリ、第二次ノ
  モリガアリ、第三次ノモノガアリ、或ハ殆
  ド其ノ存在ヲ認ムルコトノ出來ナイ弱小工
  場モアルデアリマセウガ、要スルニ軍關係
  ノ是等ノ工場ガ、渾然一體其ノ生產力ヲ極
  度ニ發揮シテ戴キタイト云フコトガ、是ガ
  國民ノ大イナル要望デアリマス、勿論從來
  トモ綜合生產計畫ヲ遂行スル爲ニ全力ヲ傾
  注セラレテ居リマスルト云フコトハ、私共
  ノ深ク信ズル所デアリマス、唯今囘ノヤウ
  ナ設備ノ轉用、保有、或ハ廢止ト云フヤウ
  ナ非常ニ大規模ノ整理ヲ、軍管理工場ヲ中
  心ト致シマシテドウ云フ風ニ綜合的ニ、最
  高度ノ能率ヲ發揮スルヤウ御運營ニナラレ
  ルカ、卽チ各軍需工場ノ相互ノ連絡ヲ圖ラ
  V、生產條件ヲ有機的ニ整備ヲナシ、協力
  態勢ニ付テハ系列ヲ合理化シマシテ、積極
  的綜合調整ヲ行ハシメテ、飛躍的ノ生產增
  强ヲ圖ラレルコトニ萬遺憾ナキヲ期セラレ
  テ居ルトハ存ジマスガ、御差支ヘノナイ程度
  ニ於キマシテ、國民ノ軍備ニ對スル信賴ノ
  度ヲ更ニ深カラシムルト云フ意味カラモ、
  是等ノ點ニ付キマシテ御說明ヲ伺フコトガ
  出來マスレバ幸ヒト存ジマス

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• 016・吉積正雄

  ○吉積政府委員　御答へ致シマス、具體的
  ノコトニ付キマシテハドノ工場ヲドウスル
  カト云フ程ニハマダ行ツテ居リマセヌ、唯
  陸軍ト致シマシテハ、何處ニドノ程度ノモ
  ノガ欲シイト云フ希望ハ持ツテ居リマス、
  其ノ内容ヲ細カク此ノ席上デ申上ゲル譯ニ
  ハ行キマセヌガ、結局軍需資材ニ於キマシ
  テモ、尤モ重點ト見テ居ルモノニ重點的ニ
  之ヲ持ウテ行キタイト云ラ風ニ老ヘテ居リ
  マック、但シ往々吾々ガ耳ニ致シマスルヤウ
  ニ、設備若シクハ勞務ノ轉用ト云フ場合ニ
  於キマシテ、人ガ餘ツテ居ルデハナイカト
  云フヤウナコトヲ能ク聞キマスガ、是ハ私
  ノ方ハ十分ニ少數ノ人間デ最大ノ能力ヲ現
  ハスト云フ方向ニ持ツテ行キタイト考ヘテ
  居リマス、先程御話ガアリマシタヤウニ、
  若干ノ物ヲ缺イテ居ル關係上、其ノ缺ヲ補
  フ爲ニ、只今理想的ノ人員以上ノモノヲ獲
  得シナケレバナラヌト云フ事情モ起リ得ル
  ト云フコトヲ考ヘテ居リマス

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• 017・保科善四郎

  ○保科政府委員　大體今陸軍カラ御返答ガ
  アツタト大同小異デアリマスガ、海軍ト致
  シマシテハ前々カラ海軍關係工場ノ協力工
  場ソレカラ下請工場アタリニ至ルマデ、
  系列的ニ、縦斷的ニ全部關係ヲシマシテ、
  サウシテ工合ノ惡イ所ヲ增强スルト云フヤ
  ウナ、企業整備ニ關聯シテ、サウ云フヤウ
  ナ調査ヲヤリマス、ソレニ從ヒマシテ今囘
  行ハレマス企業整備ニ依ツテ出來テ來ルモ
  ノヲ、最モ重點的ニ使ハウ、斯ウ云フヤウ
  ニ考ヘテ居リマス、サウシテ今マデノ海軍
  關係ノ工場ニ入ツテ來マス物ヲ、如何ニシ
  テ最モ完全的ニ、理想的ニ持ツテ來ルカト云
  フコトヲ〓究シテ、モウ既ニ大體ノ成案ヲ
  持ツテ居リマス、ソレカラ海軍自體ノ工場
  ト致シマシテハ、此ノ機會ニ於テ十分ニ戰力
  ヲ增强スルヤウニ持ツテ行カナクテハイケ
  マセヌノデ、旣ニ數年前カラ海軍デハ能率
  增進ト云フコトヲ非常ニヤカマシク言ヒマ
  シテ、部外ノ團體等モ利用シテ相當徹底的
  ニヤツテ居リマス、着々非常ナ成果ヲ擧ゲ
  テ居ルモノデゴザイマス、海軍自體ノ工廠
  アタリニモソレヲ實行中デアリマス、モウ
  一ツ考ヘテ居リマスコトハ、全體トシテ企
  業整備ニ依ツテ生レルモノヲ利用スル上ニ
  於キマシテ、他ノ產業部面トノ關係ヲ充分
  ニ考ヘテ、全體トシテノ能力ヲ擧ゲルコト
  ヲ注意シテ、調査〓究ノ上實現スルヤウニ
  考ヘテ居リマス、尙ホ丁度好イ機會デスカ
  ラ御願ヒシテ置キタイト思ヒマスノハド
  ウシテモ此ノ企業整備ヲ戰力增强ニ最モ
  早ク、最モ有效ニ、最モ高率ニ利用シナク
  テハイケナイノデアリマスガ、之ニ對シマ
  シテハ本當ニ國民ガ此ノ現時局ヲ眞劍ニ認
  識サレマシテ、心カラ協力スルコトニ依ツ
  テ初メテ此ノ實效ガ擧ガル、サウ云フヤウ
  ニ吾々ハ信ジテ居リマス、此ノ點ニ付テハ
  此ノ機會ニ於テ充分ニ御協力ヲ御願ヒシタ
  イ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=17

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• 018・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　御說明ヲ伺ヒマシテ大體
  了解致シマシタ、最後ニ一點御伺ヒ致シタ
  イノデアリマスガ、先程申上ゲタ五大產業
  ノ外ニ、兵器ヲ造リマスニ付キマシテモ、
  或ハ再生產ヲスルニ付キマシテモ、機械ガ
  絕對ニ必要デアリマスガ、近來工作機械ノ
  不足ヲ〓ゲテ居ルト云フコトヲ聞イテ居リ
  マス、此ノ方面ニ付テ相當ノ御努力ヲ願ヒ
  タイ、併シナガラ一方ニ於テハ工作機械ノ
  買占ヲ行ツテ居ルト云フヤウナコトモ聞イ
  テ居リマス、サウ云フモノハ政府ニ於テ相
  當ノ御處置ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
  更ニ又曩ニハ重要產業設備營團、今日ハ交
  易營團、其ノ方ニ移ツタデアリマヤウガ、
  サウ云フ工作機械ナンカハドン〓〓公開ス
  ルナリ、或ハ「リスト」ヲ作ツテ之ヲ業者ニ
  配付スルナリシテ、之ヲ十分轉用出來ルヤ
  ウナ手段ヲ講ゼラレタラドウカト思フノデ
  アリマス、又此ノ度、整理セラルベキ或ハ轉
  用或ハ廢止ト云フヤウナ工場モ、若シ其
  ノ中ニ活用ノ出來ルヤウナモノガアレバ廣
  ク業界ニ知ラシメテ、之ヲ活用スルヤウニ
  向ケタラドウカト私ハ思フノデアリマスガ、
  商工大臣ノ御所見ハ如何ナモノデゴザイマ
  セウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=18

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• 019・岸信介

  ○岸國務大臣　我ガ國ノ工作機械ノ現狀ハ、
  日本ノ工作機械工業ノ發達ノ歷史ガ比較的
  新シイノデアリマシテ、實ハ甚ダ遺憾ナコ
  トデアリマスガ、重要工作機械ガ自給出來
  ルヤウニ至リマシタノハ極ク最近ノコトデ
  アリマス、隨ヒマシテ戰力ノ增强ヲ急速ニ
  要スル現事態カラ申シマシテ、工作機械ノ
  部門ニ對シマシテ更ニ一層ノ努力ヲシテ、
  生產力ノ擴充、其ノ生產ノ增强竝ニ技術ノ
  向上ヲ圖ラナケレバナラヌ部分ガ大イニア
  ルノデアリマス、商工省トシマシテモ、特
  ニ此ノ點ニ付キマシテハ力ヲ用ヒテ居ル次
  第デアリマス、今囘ノ企業整備ニ伴ヒマシ
  テ出テ參リマスル休廢止工場等ノ工作機械
  ノ利用ニ付キマシテハ、御話ノ如ク十分是
  ハ利用致シテ參ル積リデアリマス、決シテ
  利用サルベキ機械ヲ「スクラップ」トシテ捨
  テテシマフト云フヤウナ考ヘハ持ツテ居リ
  マセヌ、工作機械ノ利用スベキモノハ悉ク
  他ノ方面ニ轉活用スル考ヘデアリマス、御
  話ノ如クサウ云フ點ニ付テハ十分心ヲ用ヒ
  テヤツテ行ク積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=19

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• 020・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　私ハ時間ニナリマシタカ
  ラ、大藏大臣ニ對スル質問ヲ保留致シマシ
  テ是デ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=20

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• 021・木暮武太夫

  ○木暮委員長　宜シウゴザイマス-船田
  君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=21

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• 022・船田中

  ○船田委員　私ハ第三種工業部門、配給機
  構、小賣業整備等ニ付テ質問ヲ致ス積リデ
  アリマシタガ、只今小山君ノ質問ヲ伺ヒマ
  スト、マダ企業整備ニ付テノ觀念、方針或
  ハ其ノ方法等ニ付テノ政府ノ御所見ガハツ
  キリ現ハレテ居ラヌヤウデアリマスカラ、
  先ヅ最初ニ總括的ノ問題ニ付テ二、三御伺
  ヒヲ致シタイト思ヒマス
  今度ノ企業整備ガ極メテ大規模ニ行ハレ
  ル、而モソレハ總テ戰力增强ト云フコトヲ
  目標トシテ居ラレルノデアリマスガ、一面)
  企業整備ノ對象トナル企業體カラ云ヘバ、
  又財界カラ云ヘバ極メテ大キナ影響ヲ受ケ
  ルモノデアリマスルカラ、此ノ企業整備ノ
  根本方針及ビ企業整備ノ實施方法等ニ付キ
  マシテ、政府ヲ代表セラレテ商工大臣カラ
  具體的ニ、出來ルダケ詳細ニ御說明ヲ願ヒ
  タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=22

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• 023・岸信介

  ○岸國務大臣　今囘ノ企業整備ハ旣ニ政府
  ガ要綱ヲ發表致シテ居リマシテ、其ノ要綱
  ニモ明カデアリマス通リ、戰力ヲ增强スル
  爲ノ企業整備デアリマシテ、唯從來動トモ
  スルト考ヘラレテ居リマシタ如ク、原料、
  材料等ガ段々戰時下ニ於テ窮屈ニナル、隨
  テ從來ノ如ク事業ヤ商賣ヲ續ケテ行クコト
  ガ出來ナイカラ、之ヲ整理スル意味ニ於テ
  企業整備ヲスルノダト云フヤウナ考ヘトハ
  趣キヲ異ニシマシテ、日本ノ產業力ト云フ
  モノヲ總動員シテ、時局ノ要請スル戰力增
  强ノ一點ニ集中セシメルト云フ點ニアルト
  思フノデアリマス、隨ヒマシテ從來動トモ
  スルト企業整備ノ對象トナルノハ、所謂平
  和產業ニ限ラレテ居リマシタガ、今囘ノ企
  業整備ニ於キマシテハ、所謂第二種工業部
  門、卽チ戰力ニ直接關係アル部門ニ於ケル
  整備ニ非常ナ重點ガ置カレテ居リマス、
  方第一種工業部門等カラ出テ參リマスル所
  ノ休廢止スル設備機械等ノモノヲ、出來得
  ル限リ此ノ第二種工業部門ニ於テ轉活用シ
  テ行ク、又第二種工業部門ニ於テ緊急ニ生
  產增强ヲ擧ゲテ行ク爲ニ相當ナ勞務者ヲ必
  要トスル、其ノ勞務者ノ重要ナル給源ノ一
  ツトシテ、第一種工業部門ノ此ノ整備カラ
  出テ參リマス所ノ人ヲ以テ之ニ充テル、是
  等ノ設備、人等ガ第二種工業部門ニ轉活用
  サレマシテ、而モソレガ十分ナ效率ヲ發揮
  スルヤウニ、第二種工業部門ノ內容カラ、
  技術カラ、組織等ニ付テノ全面的ナ整備ヲ行
  ツテ參ルト云フ事柄ガ、今度ノ企業整備ノ
  核心ヲナシテ居ルノデアリマス、隨ヒマシ
  テ此ノ問題ハ唯單ニ其ノ當該企業ヲ管理シ
  テ居ル役所ノ責任ニ於テ行フト云フコトデ
  ハナクシテ、政府全體ノ問題ト致シマシテ
  此ノ方針ガ決定セラレ、是ガ推進セラマシ
  テ、而モ各省ノ分擔ニ於テ、其ノ全體計畫
  ノ一部トシテ之ヲ推進實行スルト云フコト
  ガ其ノ中心ヲナシテ居ルモノデアリマス、
  而モ時局ノ此ノ狀況カラ見マシテ、是等ノ
  整備ハ最モ急速ニ、迅速果敢ニ行ハナケレ
  バナラヌ、而モ船田委員ノ御擧ゲニナリマ
  シタ通リ、相當廣範圍ニ於テ是ガ行ハレマ
  ス爲ニ、財界等ニ對スル影響モ相當重大デ
  アル、時局ノ要請ハ之ヲ急速果敢ニ行ハナ
  ケレバナラヌガ、而モ出來得ル限リ財界ニ
  不定動搖ヲ與ヘナイヤウニ、圓滑ニ是ガ推進
  セラレナケレバナラナイト云フコトヲ考ヘ
  テ見マスルト、一方ニ於テハ此ノ問題ガ政
  府ノ期待シテ居ル如ク出來ル爲ニハ、非常
  ニ强イ政治力ヲ以テ是ガ推進ヲセラレテ行
  カナケレバナラナイ、此ノ政治力ト云フモ
  ノハ、勿論政府ニ此ノ中心ガアルコトハ言
  フヲ俟タナイノデアリマスガ、先程モ御話
  ガアリマシタ通リ、此ノ時局ノ要請ニ於テ
  之ヲヤルト云フコトノ絕對的ナ必要ニ付キ
  マシテ、國民全體ガ十分ニ理解シテ之ニ
  協力スルト云フコトガ、之ヲ實現スル上ニ
  於テ最モ大事ナコトデアルト思ハレルノデ
  アリマス、其ノ意味ニ於キマシテ、政府ト
  致シマシテハ根本ノ方針ヲ決定シ、是ノ具體
  的ナ內容ヲ議會ヲ通ジマシテ國民ニモ出來
  ルダケ理解セシメタイト云フ點ヲ、最モ重
  要視シテ居ル譯デアリマス、今囘ノ企業整
  備ハ、今申シマシタヤウナ必要ト目標ヲ以
  テ行ハレルノデアリマスカラ、工業部門ノ
  ミナラズ、配給部門等ノ全面ニ亙ル譯デア
  リマシテ、工業部門ニ付キマシテハ、第
  種工業部門、是ハ本年ノ物動計畫或ハ勞務
  動員計畫、或ハ生產擴充計畫等ニ旣ニ豫定
  サレテ居リマス所ノ勞務ノ供出デアルト
  カ、或ハ設備ノ轉用トカ、或ハ金屬ノ囘收
  ト云フモノニ付キマシテ、特ニ貢獻スルコ
  トノ多イ部門デアリマス、是等ノ部門ニ付
  キマシテハ、ソレ〓〓操業工場、保有工場、
  轉用工場、廢止工場ノ四ツノ部門ニ別ケマ
  シテ、操業工場ニ於テハ、戰爭遂行竝ニ戰
  時下ニ於ケル國民生活ノ最小限度ヲ確保ス
  ルダケノモノヲ生產スルニ必要ナ操業ヲ行
  ツテ行ク、保有工場ニ於キマシテハ、戰時
  下ニ於ケル災害、又將來ノ需給ノ變動、大
  東亞共榮圈ヘノ移駐等ヲ頭ニ置キマシテ一
  定量ヲ保有シ、又轉用工場ニ付キマシテハ、
  最モ國家ガ緊要トスル部門ニ、出來得ル限
  リ設備等ヲ轉用シテ殘リノモノヲ廢止致シ
  マシテ、是カラ必要ナ金屬類ノ囘收等ヲ行
  フト云フ考ヘデアリマス、又第二種工業部
  門ハ今申シマシタ通リ、戰力ノ中心ヲナス
  モノトシテ、其ノ生產增强ヲ圖ルコトガ必
  要ナノデアリマス、生產性ノ昂揚ニ付キマ
  シテハ、先程來申シマシタ如ク、企業ノ內
  部ニ亙リ又設備能力等ニ付キ實際ノ能率ノ
  上ニ於キマシテ、之ヲ向上セシメルニ必
  要ナ縱斷的ナ系列デアルトカ、或ハ工場內
  部ノ管理ノ問題デアルトカ、或ハ技術ノ向
  上ノ問題デアルトカ、勞務ノ管理ノ問題等
  ニ付キマシテ、各段ノ改善ヲ加ヘテ參ル積リ
  デアリマス、更ニ是等ノ何レニモ屬シナイ
  第三種ノ工業部門ニ付キマシテモ、戰時下
  原材料ノ配給等ノ窮屈ニナル關係上、當然
  是ガ整備ヲ行ツテ行カナケレバナラナイ
  ノデアリマスガ、是等ニ付キマシテハ大體
  從來行ツテ來マシタヤウナ方針ニ基イテ、
  政府トシテハ適當ナ指導勸奬ノ下ニ其ノ整
  備ヲ進メテ行ク積リデアリマス、又配給機
  構ノ部門ニ付キマシテハ、先刻來御話ガア
  リマシタ通リ、中間ノ配給機構ニ付キマシ
  テハ、從來アリマス所ノ統制機構等ニ根本
  的ナ再檢討ヲ加ヘテ改善ヲシテ參リマスト
  共ニ、末端配給機構タル小賣等ノ整備ニ付キ
  マシテハ、是レ亦從來行ツテ來テ居リマス方
  針ニ基イテ之ヲ進メテ行ク考ヘデアリマス、
  斯ク致シマシテ全體ヲ通ジテ國家ノ諸計畫
  ノ遂行ニ資スルト同時ニ、戰力ノ增强ノ目
  的ヲ達シテ參リタイ、何レノ場合ヲ問ハズ
  是等ノモノヲ通ジマシテ特ニ强調致シテ
  置キタイ事柄ハ、先刻來申シマシス通リ此
  ノ企業整備ハ戰力增强ヲ目標トシ實績ヲ
  擧ゲナケレバナラヌ問題デアリマスカラ、
  之ヲ通ジテ國民全體ノ士氣〓揚ニ付テハ
  格段ノ努力ヲ致シテ行カナケレバナラヌノ
  デアリマス、從來企業整備ト言ヘバ、動モ
  スルト消極的ナ一種ノ暗イ氣持ガ流レテ居
  ツタコトハ之ヲ否ムコトガ出來ナイト
  思フノデアリマシテ、是等ニ付キマシテハ
  近時各方面ノ御努力ニ依リマシテ、吾々モ
  口ヲ極メテ此ノ企業整備ト云フモノハ、國
  家ノ要請ニ從ツテ企業方面ニ新タニ御奉公
  スルノデアルト云フ、積極的ナ氣持ヲ起サ
  シメルコトニ努力ヲ致シテ居リマスガ、マ
  ダ十分ノ所マデ行ツテ居ラナイト思フノデ
  アリマス、今囘ノ企業整備ヲ通ジマシテ、國民
  全體ガサウ云フ風ナ消極的ナ氣持ヲ持ツト
  云フコトデハ、戰力增强ノ上ニ甚ダ面白カ
  ラヌト思フノデアリマシテ、此ノ企業整備
  ヲ通ジテ國民ノ必勝ノ信念、又此ノ企業整備
  ヲ通ジテ、國民ハ何レモ戰力增强ニ直接最
  モ重要ナ御奉公ヲスルノダト云フ、積極的
  ナ、進ンデ之ニ御奉公挺身スデト云フ氣持
  ヲ起サシメルヤウニ指導シテ參リ、又國家
  ノ諸施設モサウ云フ氣持ヲ起サシメルヤウ
  ニ總テ行ツテ行カナケレバナラナイ、卽チ
  色々ナ施設ガ講ゼラレテ居リマスケレド
  モ、ソレガ徹底ヲシナイト云フ憾ミガアル
  ト、國民ハ何トロデ申シテモ十分ニ積極的
  ナ氣持ハ起ラヌ、又手續其ノ他ガ非常ニ煩
  瑣デアツテ、實際ノ事務ノ處理ニ付テ敏速
  ニ行カヌト云フヤウナ事柄モ、非常ニ
  暗イ氣持ヲ起サシメルコトデアリマシテ、
  是等ノ點ニ付キマシテモ特ニ政府トシテ
  ハ、今囘ノ企業整備ニ付テハ意ヲ用ヒテ居
  ル所デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=23

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• 024・船田中

  ○船田委員　只今ノ御說明デ大體〓要ハ分
  ツタノデアリマスガ、今度ノ企業整備ガ只
  今商工大臣ノ御說明ノ如クニ、總テ戰力增
  强ト云フコトヲ目標ニシテヤル以上ニ於キ
  マシテハ、從來手ヲ着ケマシタモノニ付テ
  モ更ニ之ヲ再檢討ヲ致シマシテ、戰力增强
  ノ觀點カラ徹底的ニ之ヲヤルト云フ必要ガ
  アルト思フノデアリマスガ、動モスレバ其
  ノヤリ方ニ於テ徹底ヲ缺ク爲ニ、不測ノ不
  安ヲ生ズルト云フコトガ往々ニシテアリ勝
  ナノデアリマス
  ソコデ次ニ御伺ヒ致シタイコトハ、第一
  部門ノ工業ニ屬スルモノト、第三工業部門
  ニ屬スルモノトノ分界ノ基準デアリマスガ、
  第一種工業部門ト云フモノニ如何ナル工
  業ヲ具體的ニ豫想セラレテ居ルカ、又第三
  種工業部門ト云フモノニ如何ナルモノヲ豫
  想セラレテ居ルカ、其ノ區分ノ基準及ビ其
  ノ分界、又第一種ニ付テ如何ナル具體的ノ
  方策ヲ御立テニナツテ居ルカ、又第三種ニ
  付テハ之ヲ如何ニシテ整備サレル御積リデ
  アルカ、其ノ具體的ノ方針等ニ付テ承リタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=24

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• 025・岸信介

  ○岸國務大臣　第一種工業部門及ビ第三種
  工業部門ノ區分ノ標準デアリマスガ、是
  必ズシモ明確ナ區分ガアルトハ申セナイノ
  デアリマシテ、大體今考ヘテ居リマスル區
  分ノ標準ハ、先程申上ゲマシタ通リ勞務ノ
  供出、又設備ノ轉用、金屬ノ囘收ト云フコト
  ニ關シテ、相當是等ノモノヲ出シ得ルヤウ
  ナ工業部門ヲ第一種工業部門ト致シマシ
  テ、サウ云フコトニ付テ大シタ力ニナラナ
  イ工業部門ヲ第三種工業部門トシテ選定
  ヲ致シテ居ルノデアリマス、一應私共ハサ
  ウ云フ基準ノ下ニ具體的ニ各種ノ產業ヲ當
  ツテ、一應ノ標準ヲ決メテ居リマスガ、實
  際實行ヲ致シテ參リマス途上ニ於キマシテ、
  是ハ多少ノ變更修正モ起ツテ來ルト思フノ
  デアリマス、又今申上ゲマシタヤウナ基準
  デ決メテ參リマス上ニ於キマシテモ、必ズ
  
  シモソレガ合理的ト申シマスカ、決定的ニ
  決メ難イ部分モアリマス、卽チ比較的中小
  企業ノ多イヤウナ事業ハ、比較的ニ第三種
  工業部門ノ方ニ行ツテ居ルノデアリマシテ、
  大キナ企業ノ形ヲ取ツテ居ルモノハ第一種
  工業部門ニ多イノデアリマス、併シ各種ノ
  產業ヲ見マスルト、全部ガ中小企業ノ形デ
  行ハレテ居ルト云フ譯デモナシ、其ノ中ニ
  極ク少數デハアルガ、大キナ形デ行ハレテ
  居ルモノモアルシ、大體ハ大企業デ行ハレ
  テ居ルケレドモ、中小企業ノ部分モ相當ア
  ル、所ガ產業ノ種類デ第一種工業部門ト指定
  致シマスト、其ノ中ニハ大キイノモ小サイ
  ノモ一緒ニ入ル、大キイ所デハ勞力ヤ設備
  ヤ、或ハ金屬等ニ付テ相當ノモノヲ供出シ
  得ルケレドモ、中小ノ、若シクハ家庭工業
  的ノ部分ニ於テハ出セナイ、併シ或ル工業
  ヲ第一種工業部門トシテ整備スルト、全體
  ヲ一ツノ整備計畫ニ依ツテ行ツテ行クト云
  フ必要ガ生ズル結果、多少其ノ點ニ於キマ
  シテハ、實際問題トシテ正確ニ申シマスト
  均衡ヲ失スルヤウナ嫌ヒガ起ツテ來ナイト
  モ限ラナイノデアリマス、隨テ實際ノ整備
  方法、具體的ノ整備計畫ヲ立テル上ニ於キ
  マシテ、是等ハ十分調整シテ參ラナケレバ
  ナラナイト思フノデアリマス、先程第一種
  工業部門ハ、四ツノ部門ニ分ケテ整備スル
  ト云フコトヲ申シマシタガ、此ノ操業工
  場保有工場、轉用工場、廢止工場ニドノ
  工場ガ屬スルカト云フコトヲ決メル標準
  ハ、中々難カシイノデアリマス、特ニ今申
  上ゲマシタ通リ、轉用トカ或ハ勞務ノ供出
  デアルトカ、或ハ屑鐵ノ供出ト云フコトハ、
  相當ナ整備量ヲ期待致シマス關係上、必ズ
  シモ當該工業部門ニ於ケル最モ能率ノ良
  イ、最モ設備ノ良イモノガ操業工場ト指
  定セラレ、其ノ次ノモノガ保有工場、其ノ
  次ノモノガ轉用工場、其ノ次ノモノガ廢止
  工場ト云フヤウナ、機械的ナ順序ニ依ラナ
  イ部分ガアルトモ考ヘル、特ニ又此ノ戰時
  下ニ於ケル狀況カラ申シマスト立地關
  係-空襲其ノ他國防ノ見地カラノ立地、又
  輸送ノ上カラノ立地ト云フモノガ相當重要
  ナ要素ヲナスコトヲ考ヘテ見マスト、單二十一
  所謂生產能率ヲ中心トシテ是等ノモノヲ具
  體的ニ決メル譯ニハイカナイト思フノデア
  リマス、或ル工業部門ニ於キマシテハ、其
  ノ工業ダケカラ考ヘルト寧ロ能率ノ良イ
  工場ヲ轉用工場トシテ利用スルトカ、或
  廢止スル、又其ノ工業部門ダケカラ見ルト、
  能率ノ餘リ良クナイ家庭工業ヤ中小工業ノ
  部門ヲ、操業工場トシテ指定シテ行クト云
  フヤウナコトモ起ツテ參ラウト思ヒマス、
  從來ノ如キ機械的ナ方法デ之ヲヤツテ行ク
  コトハ避ケテ參リタイ、ト同時ニ、第一種
  工業部門ハ今申シマシタヤウナ部門デアリ
  マスノデ、是カラ此ノ整備ガ急速ニ行ハレ
  ナイト、國家ノ諸計畫ノ實行ノ上ニモ齟齬
  ヲ來シ、戰力增强上ニモ支障ヲ來スノデア
  リマスカラ、私共ハ出來得ル限リ强權ノ發
  動ハ避ケル積リデアリマスガ、第一種工業
  部門ニ關シマシテハ迅速ニ行ツテ行ク爲
  ニ、必要アレバ企業整備令、金屬囘收令、
  其ノ他勞務調整令等ノ法令ノ發動モ、或ル
  場合ニハ要スレバ行フコトモ已ムヲ得ナイ
  ダラウト思ヒマス、併シ第三種工業部門ニ
  付キマシテハサウ云フ强權ノ發動ハ避ケマ
  シテ、主トシテ政府ノ指導幹旋勸奬ニ依ツ
  テ決メテ參リタイト考へテ居リマス、尙ホ
  此ノ整備ノ具體的方針ヲ決定スルニ付キマ
  シーハ、或ル種ノ工業ニ付キマシテハ中央
  ニ於テ決メル、又或ル種ノ工業ニ付テハ地
  方廳ガ專ラ之ヲ決メル、或ル種ノモノハ地
  方廳ト本省トガ連絡ヲシテ決メルト云フ風
  ニ、分擔ヲ以テ進メテ參リタイ、卽チ主ト
  シテ中小企業ノ多イヤウナモノハ、地方廳
  ノ發言權ヲ大キク見ルコトガ、實情ニ適シ、
  又此ノ整備ヲ圓滑ニ施行スル所以デアルト
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=25

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• 026・船田中

  ○船田委員　第一種ニ豫定シテ居ル工業ノ
  具體的ナ種類、又第三種ニ於テ豫定シテ居
  ラレル業種ニ付テ、〓要デ宜シウゴザイマ
  スカラ御說明願ヒタイト思ヒマス

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• 027・岸信介

  ○岸國務大臣　具體的ニ申上ゲルコトハ色
  色ナ關係ガアリマスノデ此處デハ差控ヘタ
  イト思ヒマスガ、纖維工業ノ相當ナ部分ハ
  此ノ第一種工業部門ト考ヘテ居リマス、又
  食糧品ノ工業ノ或ルモノデアルトカ、又金
  屬化學工業ニ於テモ之ニ考ヘテ居ルモノ
  モアリマスガ、主トシテ纖維工業、其ノ他
  所謂從來比較的平和產業ト云フ言葉デ呼バ
  レテ居ツタ部門ヲ主トシテ之ニ考ヘテ居リ
  マイク第三種工業部門モヤハリ平和產業ト
  云フモノデアリマスガ、今申シマシタ基準
  カラ申シマシテ、金屬モ勞力モ餘リ出ナイ
  ト云フヤウナモノデアリマスカラ、日用品、
  雜貨的ナ雜工業的ナモノヲ第三種工業ト考
  ヘテ居リマス

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• 028・船田中

  ○船田委員　其ノ第三種工業、卽チ日用品、
  雜貨ト云ツタヤウナモノノ生產ハ、是ハ國
  民生活ノ確保ト云フ觀點カラ申シマシテ相
  當重要性ガアルト存ジマス、隨テ第三種工
  業部門ノ整備ニ付キマシテハ國民生活ノ
  確保ト云フコトヲ目途ト致シマシテ、計畫
  生產ヲヤツテ行クコトガ必要デハナイカト存
  ジマスガ、其ノ國民生活確保ヲ目途トシテ
  計畫生產ヲヤル、サウシテソレヲ必要ナル
  程度ノ工業力ヲ維持スル、斯ウ云フコトガ
  結局企業整備ノ目標基準ニナルノデハナイ
  カト思フノデアリマス、是ハ政府ノ指導勸
  奬ニ依ツテ整備ヲスルト云フノデアリマス
  ガ、唯ソレダケデハ極メテ不明確デアツテ、
  業界ニ非常ナ不安ヲ生ジ、又動搖ヲ來スト
  云フヤウナコトガナイトモ限ラヌト思フノ
  デアリマス、其ノ整備ノ基準限界、ソレ等
  ニ付テハ政府ハドウ御考ヘニナツテ居リマ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=28

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• 029・岸信介

  ○岸國務大臣　此ノ企業整備ノ全體ヲ通ジ
  マシテ、戰時國民生活ノ最小限度ヲ確保ス
  ルト云フコトハ、總テノ工業-第一種工
  業部門、第三種工業部門ヲ問ハズ、是ガ一
  ツノ大キナ基準ニ相成ツテ居リマス、隨ヒ
  マシテ第三種工業部門ノ整備ニ付キマシテ
  モ、政府ノ指導勸奬ニ依ツテ主トシテヤル
  ト云フコトヲ申上ゲマシタガ、其ノ各工業
  ノ具體的ノ整備ニ付キマシテハ、ヤハリ
  政府ノ方ニ於キマシテ基準ヲ示シ、之ヲ指
  導シテ參ル必要ガアラウト思ヒマス、此ノ
  基準ヲ設定スルニ付キマシテハ、御話ノ
  通リ戰時國民生活ノ確保ト云フコトヲ重要
  ナ根基ト致シマシテ、之ニ對スル原材料等
  ノ供給ノ方面ノコトヲ見比ベマシテ、サウ
  シテ國民ノ戰時下ニ於ケル必要ノモノハ必
  ズ確保スルト云フ爲ニ、是等ノ資材原料ヲ
  使ツテ生產ヲシテ行クノニハ、ドウ云フ風
  ナ生產ヲヤツタラ宜イカ、今御話ノ通リ
  計畫生產ノ方法ニ之ヲ導イテ、而モ出來得
  ル限リ資材等ヲ節約シテ、而モ國民ノ生活需
  要ニ充テテ行クト云フコトヲ睨ミ合ハセテ、
  具體的ナ整備方針ヲ決定スル必要ガアラウ
  ト思ヒマス、是等ニ付キマシテハ政府ノ方
  カラ其ノ基準ヲ示シテ之ヲ指導シテ參ル積
  リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=29

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• 030・船田中

  ○船田委員　尙ホ、第一種、第三種ヲ通ジ
  マシテ、企業整備ニ對シテ其ノ對象トナル
  ベキ企業ノ設備、又ハ資產等ノ評價ノ適正
  ヲ期スルト云フコトハ、是ハ企業整備ノ實
  行上極メテ肝要ナコトデアリ、又之ニ依リ
  マシテ業界ノ不安ヲ一掃スルコトモ出來ル
  ト存ズルノデアリマスガ、其ノ設備又ハ資
  產等ノ評價ノ適正ヲ期スルト云フコトノ爲
  ニ、官民カラ成ル、學識經驗者ヲ以テ組織
  スル委員會、例ヘバ資產評價委員會ト云フ
  ガ如キモノヲ設クルコトガ適當デハナイカ
  ト存ジマスガ、政府ノ御所見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=30

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• 031・岸信介

  ○岸國務大臣　其ノ點ニ關シマシテハ、從
  來トモ實ハ更生金庫及ビ產業設備營團ガ引
  取リマスル設備等ノ評價ニ付テ、其ノ適正
  ヲ期スル爲ニ、官制ニ依リマシテソレノ
  評價委員會ヲ、更生金庫ニ付キマシテモ、
  產業設備營團ニ付キマシテモ作ツテ居リマ
  シテ、其ノ運用ニ依ツテ評價基準ヲ決メテ、
  其ノ適正ヲ圖ツテ參ツテ居ルノデアリマス、
  併シナガラ今囘ノ企業整備ガ更ニ規模ニ於
  キマシテ、內容ニ於キマシテ、從來ノモノト
  ハ格段ノ擴大ヲ見テ居リマス、隨テ之ニ關
  シテ、動ク所ノ資金ノ量モ非常ニ大キナモ
  ノヲ豫想サレルノデアリマス、隨ヒマシテ
  一面ニ於テハ此ノ企業整備ガ急速圓滑ニ行
  ハレル爲ニハ、敏速ニ是ガ評價等ガ決定サ
  レル必要ガアリマスガ、同時ニ一面ニ於テ
  ハ公正ニ行ハレナケレバナラヌ、其ノ公正
  ニ行ハレルニ付テハ企業整備ニ掛カル人々
  ニ不測ノ損害ヲ與ヘルトカ、是等ニ非常ナ
  不滿ヲ與ヘルヤウナモノデモイケマセヌシ、
  同時ニ國家ノ非常ニ大キナ負擔ニナリ、不
  必要ナ負擔ニナリ、若シクハ之ニ關シテ不
  當ナ支出ガ行ハレテモイケナイノデアリ
  でい、兩方面カラ見テ公正ナ評價ガ決定
  サレル必要ガアラウト思フノデアリマス、
  隨ヒマシテ御話ノ如ク此ノ評價ノ基準等ヲ
  決メマス爲ニ、官民カラ成ル所ノ有力ナ委
  員會ヲ設ケテ、是ノ審議ニ依ツテ斯ウ云フ
  モノヲ決メテ行クト云フコトハ最モ適切デ
  アラウト思ヒマス、今囘提案致シテ居リマ
  スル企業整備資金措置法案ノ中ニモ、其ノ
  趣旨ニ於キマシテ規定ヲ設ケテ居リマシテ、
  政府ニ於キマジテモ御趣旨ノ如キ委員會ヲ
  置イテ運用シテ參ル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=31

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• 032・船田中

  ○船田委員　尙ホ總括的ノ問題デアリマス
  ガ、第一種第三種兩部門ヲ通ジマシテノ
  問題デゴザイマスガ、政府ノ直接御扱
  ヒニナル分ト、地方廳ヲシテ扱ハシメル分
  トガアリマス、ソレハ企業ノ規模ノ大小
  ト云フヤウナコトニ依ツテ決メルノカ、又
  ハ業種ニ依ツテ其ノ分界ヲ決メラレルノカ、
  其ノ分界ノ大體ノ標準ヲ伺ヒタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=32

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• 033・岸信介

  ○岸國務大臣　大體業種ニ依ツテ決メル積
  リデアリマス、卽チ主トシテ當該工業ガ中
  小企業的ナ經營デ行ハレテ居ル、又地方的
  ナ色彩ヲ多分ニ持ツテ居ルト云フ風ナ工業
  ノ種類ハ地方廳ニ任ス、サウデナクシテ主
  トシテ全國的ナ意味ヲ持ツテ居リ、大規模
  經營ヲ主體トシテ行ハレテ居ルヤウナ部門
  ハ專ラ中央ニ於テ決定スル、此ノ兩者ヲ含
  ムヤウナ工業部門ニ付キマシテハ、地方廳
  及ビ中央ト云フモノガ緊密ナ連繫ヲ保ツテ
  之ヲ進メテ行クト云フ風ニ、各種ノ工業ニ
  付キマシテ大體ノ標準ヲ定メテ、具體的ニ
  此ノ工業ト此ノ工業ハ地方ニ任ス、此ノ工
  業ハ中央デヤルト云フ風ニ、工業ノ種類デ、
  具體的ニハ決定シテ行ク積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=33

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• 034・船田中

  ○船田委員　此ノ場合ニ於キマシテ地方的
  若シクハ小規模ナモノハ地方廳ニオ任セニ
  ナルト云フコトデアリマスガ、是ハ往々ニ
  シテ地方ニ任セマスト、地方ガ勝手ニオヤ
  リニナル、又各府縣ノ間ニ於テ非常ナ不權
  衡ヲ來スト云フコトガ、從來ノ例ニ依ルト
  非常ニ多イノデアリマスガ、ソレ等ニ付テ
  左樣ナ缺陷ノ生ジナイヤウナ何等カノ御用
  意ガアルノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=34

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• 035・岸信介

  ○岸國務大臣　地方ニ任スモノニ付キマシ
  テモ、根本方針ハ中央ニ於テ指示致シマシ
  テ、之ニ基イテ地方ノ事情ニ卽シテ地方廳
  ヲシテ行ハシメル積リデアリマス、唯地方
  地方ニ於キマシテ特殊ノ事情ガアリマスノ
  デ、畫一的ニ之ヲ行ツテ行クコトハ適當デ
  ナイト云フ見地カラ參ツテ居ル譯デアリマ
  スガ、併シナガラ又同時ニ今御指摘ニナリ
  マシタ如ク、地方ニ於テ餘リニ取扱ヒガ違
  フ、略〓同ジヤウナ事情デアルニモ拘ラズ、
  地方ニ依ツテ取扱ヒガ二、三ニナツテ居ル
  ト云フ爲ニ、色々ナ問題ヲ惹起シテ居ル從
  來ノ實情ニモ鑑ミマシテ、是等ノ關係ノ調
  整指導等ニ付キマシテハ、中央ニ於テ十分
  ナル連結ト又指導トヲヤツテ行ク積リデア
  リマス

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• 036・船田中

  ○船田委員　モウ一ツ總括的ノ問題トシテ
  御伺ヒヲシテ置キタイコトハ、今度ノ此ノ
  大キナ劃期的ナ企業整備ヲ附シマスルノニ、
  勿論其ノ中樞ノ企畫ヲ附シマスルノハ企畫
  院ガゴザイマスルシ、是ガ實施ニ當リマシ
  テハ各省ソレ〓〓ノ部局ガアルノデアリマ
  スガ、之ヲ更ニ强力ニ、而モ迅速ニ推進ス
  ルト云フコトノ爲ニハ、其ノ頭腦トナルベ
  キ官廳ノ中樞機構ノ整備ト云フコトガ極メ
  テ必要デアリ、又ソレニ依リマシテ企業整
  備ノ圓滿且ツ迅速ナル遂行ガ出來ルカト存
  ジマスガ、其ノ企業整備ニ關スル中樞機構
  ノ整備擴充ト云フコトニ付テ、或ハ何等カ
  ノ新シキ官廳ヲ作ルトカ、若クハ新シキ其
  ノ他ノ機構ヲ整備スルト云フヤウナ御意思
  ガアリマスカ、ソレニ付テ御考ヘヲ伺ヒタ
  イ

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• 037・岸信介

  ○岸國務大臣　今囘ノ企業整備ノ問題ハ、
  先程申上ゲマシタ通リ國家ノ最モ緊要ナル
  重要政策トシテ決定シ、之ヲ行ツテ行ク、
  又其ノ實行ニ當リマシテハ出來得ル限リ全
  體ノ綜合性ト有機性、計畫性ヲ常ニ保持シ
  テ、而モ强力ニ、迅速ニ之ヲ實行シテ行ク
  必要ガアルノデアリマス、政府トシマシテ
  ハ特ニ是ガ爲ニ特別ノ機關ヲ作ツテ之ニ當
  ルト云フ意思ハ、持ツテ居リマセヌガ、從
  來カラアリマスル所ノ企畫院ノ此ノ方面ニ
  關スル機能ヲ一層强化致シマシテ、各省ガ
  是ト緊密ナル關係ヲ取リマシテ、十分ニ綜
  合性、企畫性ヲ保持シテ參ル積リデアリマ
  ス、而モ此ノ決マリマシタ綜合計畫ニ基キ
  マシテ、各省ハソレ〓〓ノ責任ニ於テ其ノ
  根本方針ノ線ニ沿ウテ、迅速果敢ニ之ヲ實
  行シテ行クト云フ考ヘデアリマシテ、特上
  是ガ爲ニ別箇ノ新シイ機關ヲ作ルト云フヤ
  ウナ意圖ハ持ツテ居リマセヌ

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• 038・船田中

  ○船田委員　此ノ企業整備ヲ圓滑ニ且ツ迅
  速ニ行ツテ行キマスルガ爲ニハ、先程ノ海
  軍政府委員ノ御話ノ如クニ、官民ノ眞ノ協
  力一致ガ必要デアルト存ジマス、政府ハ曩
  ニ重要產業ニ付キマシテハ各種ノ統制會ヲ
  設ケラレ、又金融方面ニ於キマシテモ、金
  融統制會ガ整備セラレ、又地方經濟ニ付キ
  マシテハ、最近ニ商工經濟會法ニ基ク商工
  經濟會ガ、各道府縣ニ整備セラルルコトニ
  ナツテ居リマス、其ノ他澤山ノ經濟機構ガ
  整備サレテ居ル譯デアリマスルガ、ソレ等
  ノ諸機關ヲ如何ニ活用サレルカト云フコト
  ハ、結局企業整備ニ付テ最モ實行上效果的
  ナモノデアルト存ズルノデアリマス、ソレ
  等ニ付テノ御方針、御用意ハ如何デアリマ
  スカ

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• 039・岸信介

  ○岸國務大臣　御質問ノ如ク、此ノ企業整
  備ヲ最モ有力ニ、而モ圓滑ニ、迅速ニ行ヒマ
  ス爲ニハ、各種ノ民間機構ヲ活用シテ參ル
  コトガ何ヨリモ最モ必要ナコトト思ヒマス、
  各業種ニ關スル整備計畫ヲ立テルニ付キマ
  シテハ、統制會ノアリマスル工業部門ニ於
  キマシテハ其ノ統制會ノ意見等モ十分ニ
  之ヲ參酌シテ、此ノ計畫ヲ決定スル積リデ
  アリマス、ト同時ニ地方廳ニ於テ處理サレ
  ルヤウナ工業部門ニ付キマシテハ、地方ニ
  出來マスル商工經濟會ニ全面的ナ參畫ヲシ
  テ貰ヒマシテ、其ノ計畫ノ樹立ニ當ル必要
  ガアラウト思ヒマス、更ニ之ヲ實行スルニ
  當リマシテハ、先程モ申シマシタ通リ、政
  府ハ已ムヲ得ナケレバ必要部面ニ於キマシ
  テハ、强權ノ發動モ辭セナイト云フコトヲ
  申上ゲマシタガ、出來ルダケサウ云フコト
  ハ避ケタイノデアリマシテ、國民、更ニ其
  ノ當該產業部門ノ心カラナル積極的ノ協力
  ニ依リマシテ、是ガ實行サレルト云フコト
  ガ望マシイノデアリマスカラ、實行ノ部面
  ニ當リマシテモ、統制會又ハ地方商工經濟
  會ガ中央ノ政府又ハ地方廳ト常ニ表裏一體
  トナツテ、是ガ實施上協力サレルト云フコ
  トニ付キマシテモ、最モ强ク協力ヲ期待致
  シテ居ルノデアリマス、サウ云フ風ニ各機
  關ヲ活用致シテ參ル積リデアリマス

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• 040・船田中

  ○船田委員　次ニ配給機構ノ整備ニ關シマ
  シテ御伺ヒシタイト思ヒマス、原材料、資
  材及ビ製品ノ配給部門ノ整備ニ付キマシテ
  ハ、旣ニ一應整備ヲ終ツタ感ガアルノデア
  リマスガ、先程小山委員ノ御質問ノ中ニモ
  アリマシタヤウニ、其ノ間ノ中間組織ガ餘
  リニ複雜多岐ニ分レテ、隨テ手數料ガ高ク
  ナルトカ、配給ガ却テ不圓滑ニナルトカ云
  フヤウナ場合ガ必ズシモナキニシモアラズ
  デアリマス、是等ノ配給機構、殊ニ原材料
  及ビ資材、製品ノ配給機構ニ付キマシテ、
  之ヲ更ニ合理化スル必要ガアルカト存ジマ
  スガ、是等ニ付テ今後整備ニ當リマシテノ
  具體的ナ御方針ヲ一ツ御聽キシタイト思ヒ
  マス

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• 041・岸信介

  ○岸國務大臣　原材料、資材、製品等ノ配
  給機構ハ從來一應形ガ出來テ居ルノデアリ
  マスガ、先程モ申述ベマシタ通リ、眞ニ其
  ノ作ラレタ使命ヲ十分ニ果シテ居ルカドウ
  カト云フト中々サウデナイ部門ガ少クナ
  イノデアリマス、私共ハ特ニ之ヲ次ノ二點
  ニ主體ヲ置イテ改善ヲシテ參リタイト考ヘ
  テ居リマス、其ノ第一點ハ、扱フ所ノ物ヲ
  其ノ配給機構ガ完全ニ持ツ、把握スルト云
  フコトデアリマス、先程モ一寸御質問ニア
  リマシタガ、所謂「トンネル」會社ト稱セラ
  レル如キ、帳簿ダケデ括ルノデアツテ、其ノ自
  身ノ動キハ全然別個ノ動キヲシテ居ルト云フ
  ヤウナ配給會社ト云フモノハ、配給會社ノ眞
  ノ使命ヲ達シ得ナイノデアリマシテ、結局澤山
  ノ機關ガ出來タト云フニ過ギナクテ、事實上
  ノ物ノ動キト云フモノヲ把握致シテ居リマセ
  ヌカラ、必要ナ部面ニ必要ナ時期ニ物ガ行
  ツテ居ラナイ、又其ノ流レテ居ラナイノガ
  ドウ云フ原因デアルカ、何處ニ何ガアルカ
  ト云フコトガ其ノ機構デ分ラナイト云フヤ
  ウナコトガ少クナイノデアリマシテ、必要
  ナ配給機構ト云フモノハ、必ズ其ノ自分ノ
  取扱フ所ノ物ヲ現實ニ把握致シマシテ、此
  ノ流レニ付テハ常時ドウ云フ狀況カト云フ
  コトガハツキリ分ツテ居リ、之ヲ改善スル
  コトガ、其ノモノノ力デ直グ出來ルト云フ
  風ニ持ツテ行カナケレバイケナイノデ、所
  謂トンネル」會社ノヤウナモノハ之ヲ改善
  スル必要ガアルト思ツテ居リマス、ほど
  ツハ中間ニサウ云フモノガ出來夕爲ニ中間
  ノ手數料等ガ非常ニ高クナリ、色々不必要
  ナ經費ガ其ノ間ニ支辨サレテ、是ガ結局消
  費者又ハ生產者ノ負擔ニナツテ居ルト云フ
  部分ガ少クナイノデアリマシテ、之ヲ合
  理的ニ出來ルダケ此ノ中間ノ經費ト云フ
  モノヲ省イテ行クト云フコトニ致シタイ、
  此ノ意味カラ申シマシテ、橫ノ關係カラ見
  マスルト、非常ニ小サク物ヲ分ケテ會社ガ
  澤山出來テ居ルト云フモノハ、或ル程度
  ニ橫ニ集メルコトモ可能デアリマス、又
  縱ノ關係カラ二階、三階ノヤウナ狀況ニナツ
  テ居ルノヲ一階建ニ直シ得ルモノモ少クナ
  カラウト思ヒマス、何レニ致シマシテモ、此
  ノ二ツノ狙ヒヲ以テ是等ノ機構ヲ根本的ニ
  檢討シテ、今申シマシタヤウナ點ニ於テ遺
  憾ノナイ合理的ナ機構ニ改善シテ行キタ
  イ、斯ウ思ツテ居リマス

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• 042・船田中

  ○船田委員　只今御示シノ御方針ハ洵ニ御
  尤モデアリマス、是非是ハ御實行ヲ御願ヒ
  致シタイト存ジマス
  次ニ小賣業ノ整備ニ付キマシテ一、二御
  伺ヒヲ致シタイト存ジマス、第一次ノ整備
  ハ既ニ本年ノ三月三十一日ヲ以テ一應終了
  致シマシタガ、此ノ實績ニ徵シマスルト、消
  費者ノ利便若シクハ店舗ノ配置ト云フヤウナ
  點カラ見マシテ、必ズシモ滿足スベキモノ
  デハナイヤウニ存ズルノデアリマス、今後
  此ノ整備ニ當リマシテハ、消費者機構トノ緊
  密ナ連繫、綜合的配給組織ノ確立等、配給機
  構ノ合理化ヲ目途ト致シマシテ、之ヲ實施スル
  必要ガアルト存ジマスルガ、尙ホ都市ニ於ケル
  商店街ト云フモノノ存在ハ相當重要性ヲ持
  ツテ居ルノデアリマシテ、是ハ市民生活ニ取ツ
  テハ單ニ配給上便宜デアルト云フバカリデ
  ナクシテ、一種ノ市民ノ潤ヒトモナルノデ
  アリマシテ、ソレ等ノ點ヲ考慮致シマシテ、此
  ノ商店街ノ機構ヲ維持シ、更ニ其ノ機能ヲ發揮
  セシムルト云フコトニ付テ、相當ナ御考慮
  ガアツテ然ルベキモノト存ジマスルガ、其
  ノ小賣業ノ整備ニ付テノ具體的ノ御方針及
  ビ商店街ニ付テノ御考へヲ伺ヒタイト思ヒ
  マス

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• 043・岸信介

  ○岸國務大臣　小賣業ノ整備ニ付キマシテ
  ハ、昨年ノ四月デアツタト思ヒマスガ、其
  ノ整備方針要綱ヲ相當詳細ニ亙ツテ閣議決
  定致シマシテ、當時發表致シタノデアリマ
  ス、其ノ方針ニ基イテ第一次指定ノ業種ニ
  付テノ整備ヲ行ツテ參ツタノデアリマス、
  今後ニ於キマシテモ大體其ノ方針ヲ踏襲シ
  テ參ル積リデアリマス、唯御話ノ通リ消費
  者ノ消費生活ノ利便、又消費者ノ組織ト十
  分有機的ナ關聯ヲ以テ、配給機構ノ合理化
  ヲ頭ニ置イテ整備シテ行カナケレバナラナ
  イト云フ事柄モ、御說ト全然同感デアリマ
  シテ、昨年ノ方針ニモ其ノコトヲ明カニ致
  シテ居リマス、特ニサウ云フ必要ノ多イモ
  ノハ、此ノ小賣業ノ中ニ於キマシテモ、吾
  吾ノ日常生活ニ特別ナ深イ關係ヲ持ツテ居
  リマスル所ノ衣食住ノモノ、特ニ〓糧等ニ
  付キマシテハ、其ノ點ガ餘程重要ナ部面ト
  シテ此ノ配給機構ノ整備ニ付テハ考ヘナケ
  レバナラヌ問題デアラウト思ヒマス、何レ
  ニ致シマシテモ、此ノ整備サレタ後ニ於ケ
  ル配給機構ト云フモノガ、國民生活ノ消費
  上十分ニ利便ヲ與ヘルヤウニ合理的ナ形ニ
  直シテ行カナケレバナラナイコトハ當然デ
  アラウト思ヒマス
  尙ホ商店街ノ問題ハ、御話ノ通リ是ハ色々
  ナ意味ニ於キマシテ、都市生活上一般國民
  ガ之ヲ利用致シマシテ便宜ヲ感ズル所ノモ
  ノデアリマスノデ、是等ニ付キマシテハ、從
  來アルモノヲ成ルベク適當ニ存置シテ參リ、
  又企業整備等ニ依ツテ、或ル場合ニ於テ
  ハ商店街ノ一部ガ齒ガ拔ケタヤウナ形ニナ
  ルコトモアラウカト思ヒマス、是等ニ付テ
  ハ他ノ方面デ存置サレルモノヲ以テ成ルベ
  ク補ウテ行ツテ、適當ナ商店街トシテ一般國
  民ノ便益ニ資スルヤウニ之ヲ持ツテ行ク
  ト云フヤウナ考慮モ必要デアラウカト思ヒ
  マス、何レニ致シマシテモ、是等ノ問題ニ付
  キマシテハ、大體ノ基準ガ昨年決定致シテ
  居リマシテ、旣ニ第一次整備等ニ付キマシ
  テ業者竝ニ國民ニモ或ル程度ハ理解ガ行ツ
  テ居ルト思ヒマスガ、尙ホソレヲ十分ニ徹
  底サセテ參リタイト考ヘテ居リマス

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• 044・船田中

  ○船田委員　次ニ工場勞務者向ノ物資ノ配
  給、或ハ新興工業地域ニ對スル物資ノ配給、是
  等ニ付キマシテハ或ハ購買會ヲ利用スルト云フ
  ヤウナコトモ御考ヘノヤウニ伺ツテ居リマス
  ガ、是ハ一方ニ於テ小賣業ヲ整備シナガラ、
  方ニ於テ購買會或ハ產業報國會ト云フヤウ
  ナ名前ニ於テ其ノ間ニ產業組合等ノ關係者
  ガ續々進出ヲシテ來ルト云フコトデアレバ、
  洵ニ是ハ片手落ノコトニナルノデアリマス、
  今更商業工業若シクハ農業ト云フヤウ
  ナモノガオ互ニ對立スルト云フコトハアリ
  得ベカラザルコトデアリマスケレドモ、一
  方ニ先祖重代ノ職業ヲ整理サレル、又一方
  勞務者ノ多數集國スル所、サウ云フヤウナ
  新興地域ニ對シテハ物資ノ配給ヲ相當豐富
  ニシナケレバナラヌ、其ノ間ノ調整、調和ハ
  相當問題デアラウト存ジマス、其ノ新興工
  業地域等ニ對スル配給ノ機構ト云フモノニ
  付テ如何ナル御處置ヲナサルノデアリマス
  カ、又ソレ等ニ對シテハ相當實績ノ異同ト
  云フコトモ認メナケレバナラナイト存ジマ
  スルガ、ソレ等ニ付テノ御方針ヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=44

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• 045・岸信介

  ○岸國務大臣　小賣業ノ整備ニ關聯致シマ
  シテ產業組合トノ調整ノ問題ニ付キマシテ
  ハ、御話シノ如ク一面小賣業ガ整備サレル、
  其ノ部面ニ直チニ生產者等ヲ主體トシテ居
  ル所ノ產業組合ガ進出スルト云フヤウナ事
  柄ハ、此ノ戰時下ニ於テ望マシクナイト云
  フ考ヘカラ、此ノ兩者ノ調整ニ付キマシテ
  ハ、去ル議會ニ於キマシテモ農林大臣及ビ
  商工大臣ニ各方面カラ御質問ガアリマシテ、
  戰時下ニ於テサウ云フ事態ヲ生ゼシメナイ
  ヤウニ、大體現在ノ狀況ヲ保持スルコトニ
  兩省ノ方針ヲ一定致シマシテ進ンデ居ル譯
  デアリマス、唯此ノ新興都市、新設工場附近
  ノ工員ニ對シテ生活必需品ヲ配給スル機構
  トシテ、御指摘ノ如ク購買會ノ問題ガアリ
  マシテ、之ヲドウ扱フカト云フ、問題ニ付
  キマシテハ、目下政府ニ於テ考究シテ居
  ル所デアリマス、旣ニ鑛山ニ付キマシテ
  ハ鑛山ノ購買會ト云フモノノ利用ニ付
  キマシテ、取扱方針ヲ昨年モ指示致シテ居
  リマス、ト申シマスノハ鑛山ハ御承知ノ通
  リ一般ノ都市、一般ノ生產消費ノ關係カラ
  離レタ、非常ニ交通ノ不便ナ所ニアリマス、
  又其ノ鑛山ニ於ケル生活ト云フモノガ一種
  特別ナ生活態樣ヲ持ツテ居ルト云フ關係カ
  ラ、鑛山デ働イテ居ル人々ノ爲ニ生活必需
  品ヲ配給スル機構トシテ購買會ガ設置サレ
  テ居ルモノガ澤山アリマスシ、又此ノ購買
  會ヲ利用スル事柄ハ最モ適切ナル方策デア
  リマスノデ、取敢ヘズ鑛山關係ニ於キマシ
  テハ此ノ購買會ノ利用ニ付テ指示ヲ致シテ
  居ルノデアリマス、所ガ都市ニ於ケル工場
  デ働イテ居ル工員等ニ對スル生活必需品ノ
  配給ノ問題ニ付キマシテモ同樣ニ購買會利
  用ノ議論ガアルノデアリマス、所ガ是ハ中
  中一般的ニ論ジマスト難カシイ問題デアリ
  マシテ、一方色々ナ生活必需品ノ配給ハ都
  市ニ於テハ地域的ニ町內會、隣組等ヲ通ジ
  テ行ハレテ居ル、而モソコニ職域別ノ配給
  機構ト云フ購買會ガ入ツテ參リマスト、此
  ノ兩者ヲドウ云フ風ニ調整スルカ、相當ニ
  難カシイ問題ニナル、東京ノ工場ニ働イ
  テ居ル人ヲ見マスト、晝ハ工場デ働イテ居
  ル特殊ノモノデアリマスガ、歸ツテ行ケバ
  生活ハ一般市民トシテ山ノ手トカ、色々ナ
  所ニ分散シテ生活シテ居ル、此ノ間ニ於テ
  配給ノ機構、組織ガ違ツテ居ルモノガ混ル
  コトハ色々ナ意味ニ於テ都市生活上適當
  デナイモノガアルノデアリマス、之ニ反シ
  テ新タニ工場ガ野ツ原ニ出來ル、ソコニ工
  員ノ住宅等ガ集團的ニ出來テ居ル、是ノ日
  用品ノ配給ト云フ問題ニナツテ來マスト、
  先程申述ベタ鑛山ノ生活ノ如ク、ヤハリソ
  コノ工場ノ生活ト歸ツテカラノ生活ト云フ
  モノガ一體的ナ關係デ特別ナ生活態樣ニナ
  ル部面ガ少クナカラウト思フ、是等ニ付テ
  モ相當購買會ヲ利用セシメルコトニ付テ考
  ヘテ宜シイノデハナイカ、隨ヒマシテソレ
  等ノ點ヲ考慮シテ、目下關係方面ト政府部
  內ニ於テ考究ヲ致シテ居リマシテ、近ク方
  針ヲ決定スル積リデアリマス、何レニ致シ
  マシテモ、先程御指摘ニナリマシタヤウナ
  商人ノ整理ニ依ル所ノ氣持ヲ著シク斯ウ
  云フモノノ爲ニ蹂ミ躪ルト云フヤウナコ
  トガ起ツテハ相成ラヌト思ヒマス、是等
  ノ調整モ頭ニ置イテ考ヘナケレバナラ
  又、又購買會ヲ利用セシメマスニ付キマシ
  テモ、從來アツタ所ノ商人等ヲ此ノ購買
  會ノ實際ノ職員、其ノ他配給ノ事務ニ當
  ラス者トシテ活用スルト云フコトモ十分
  考ヘテ見ル必要ガアラウト思ヒマス、是等
  ノ調整ニ付テハ今申上ゲマス通リ十分考ヘ
  テ、政府トシテ此ノ新設工場附近ノ購買會
  利用ノ問題ヲ愼重ニ審議シテ、近ク決定スル
  積リデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=45

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• 046・船田中

  ○船田委員　商工大臣ハ御急ギデアリマス
  カラ、極ク簡單ニ商工大臣ニ對スル質問ヲ致シ
  テ、私ノ商工大臣ニ對スル質問ハ終リタイト思
  ヒマス
  ソレハ只今ノ小賣業整備ニ付テデアリマス
  ガ、第一次ノ整備ノモノト、第二次ニ整備サレ
  ルモノトノ間ニ非常ナ違ヒガアツテハ氣ノ毒デア
  ル、隨テ第二次整備ノ方ニ付キマシテ政府カラ
  出ス更生資金ニ付テハ、是ハ問題アリマセヌガ、
  實績補償ニ充テル共助金ノ問題ニ付キマシテ
  ハ、殘存業者ノ負擔能力ト云フヤウナ點カラ
  考ヘマシテ、段々是ハ金額モ減ツテ來ル、卽
  チ第二次整備ニ當リマスル小賣業者ハ、第
  一次整備ノ場合ニ比較シテ不利益ナ地位ニ
  立ツト云フヤウナコトニナルカト思フノデ
  アリマスガ、出來ルダケサウ云フコトノナ
  イヤウニ、更生金庫等ニ於テ貸出ヲスル場
  合ニ、他ノ資產評價等ニ於テ之ヲ十分考慮
  シテ戴ク必要ガアルノデハナイカ
  ソレカラモウ一ツハ自發的ノ轉廢業者
  ニ對シテ政府ハ相當便宜ヲ與ヘ、或ハ更生
  金庫ノ利用、若シクハ生活援護資金ヲ給與
  スルトカ、ソレ等ニ付テノ適當ナル處置ヲ講
  ズル必要ガアルト思ヒマスガ、其ノ點ニ付
  テノ御方針ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=46

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• 047・岸信介

  ○岸國務大臣　共助金ノ問題ニ付キマシテ、
  從來ノ轉廢業ノ場合ニ受ケタ共助金ト、今
  後受ケル共助金トノ關係ニ於テ成ルベク差異
  ノナイヤウニト云フ御考ヘハ、此ノ間ニ非
  常ニ權衡ヲ失スルコトガ適當デナイコトハ
  一應御尤モデアルト思フノデアリマス、出
  來ルナラバ成ルベク權衡ヲ失シナイヤウニ
  持ツテ參リタイト思ツテ居リマス、併シナ
  ガラ特ニ權衡ヲ失スル上ニ於テ一番惡イ事
  柄ハ、早ク政府ノ方針ナリ、指示ニ從ツテ
  轉廢業シタ者ヨリモ、遲クマデ殘ツテ居ツ
  タ者ノ方ガ非常ニ良イノダト云フ結果ニ相
  成ルコトダト思フノデアリマス、權衡ヲ失
  スル場合ニ於キマシテモ是ガ非常ニ惡イ、
  或ハ初メニヤツタ方ガ幾ラカ良クテ、後カ
  ラノ方ガ幾ラカ惡イト云フコトノ方ノ權衡
  ヲ失スルコトモ望マシイコトデハアリマセ
  ヌケレドモ、ドチラカト云フト、其ノ逆ニ
  ナツタ場合ニ比スルト其ノ及ボス所ガ比較的
  少イノデハナイカト思ヒマス、唯實績補償
  ノ共助金ニ付テ見マスト、從來ニ於テモ各
  業種、各業態ニ於キマシテ、又地方ニ依リ
  マシテ一樣デハナイノデアリマス、同ジ率
  デ同ジヤウニ行ハレテハ居ラナイノデアリ
  やっく、實際殘存スル所ノ業者ノ負擔能力ニ
  應ジテ是ガ決定セラレルコトガ根本デアリ
  マシテ、隨テ必ズシモ各地、各業種一樣デ
  ナイト云フ實情カラ申シマシテモ、又現在
  直面シテ居ル事態、將來ノ見透シト云フヤ
  ウナモノノ前途ヲ考ヘテ見マシテモ、殘存
  業者ガ非常ニ多クノ實績共助ヲナシ得ル力
  ト云フモノハ、各業種ヲ通ジテ全般的ニナ
  クナツテ來テ居ルダラウト思ヒマス、更生
  金庫ノ建前ハ、今ノ實績共助金ノ貸付ニ付
  テハ無利子デ貸付ケルコトニナツテ居リマ
  スガ、元金ハ一定ノ償還計畫デ返サナケレ
  バナラナイ建前ニナツテ居リマス、又政府
  ト致シマシテモ、實績補償金ノ交付ニ付テ
  ハ殘存業者ノ負擔能力ヲ考慮シテ其ノ額ヲ決
  定スル、又負擔能力ノナイニモ拘ラズ之ヲ出
  スト云フ事柄ハ之ヲ認メナイ、又將來値段
  ヲ上ゲテ此ノ實績共助金ヲ銷却スルト云フ
  ヤウナ虞ノアル場合ニモ此ノ共助金ヲ認メ
  ナイト云フ風ナコトヲ大體考ヘテ居ルノデ
  アリマス、隨ヒマシテ此ノ更生金庫ノ利用ニ
  依ツテ、負擔能力ノナイ者ガ前ノ釣合上同
  ジヤウナ共助金ヲ出スヤウニシテ行クト云
  フコトハ、實際問題トシテサウ云フ風ニ取
  扱フ譯ニハ參ルマイト思フ、併シナガラ色
  色ノ事情ヲ考慮致シマシテ、非常ナ急變ヲ
  スルト云フコトハ何レニシテモ望マシイコ
  トデハアリマセヌノデ、成ルベク權衡ヲ失シ
  ナイヤウナ方向ニ指導シテ參ル積リデアリ
  マス
  次ニ自發的ニ轉廢業スル者ニ付キマシテ
  モ、今囘ノ小賣業整備ノ方針ノ一ツトシマ
  シテ、自發的ナ轉廢業者ニ付キマシテモ、
  是ガ一定ノ條件ヲ備ヘルナラバ、政府ノ指
  示指導ニ依ツテ計畫的ニ轉廢業シタ者ト同
  樣ニ、共助金若シクハ國民更生金庫ニ依ル
  資產ノ引取ノ方法ヲ講ズルト云フコトヲ決
  メテ居ルノデアリマシテ、之ニ付キマシテ
  ハ地方長官等ノ承認ヲ得レバサウ云フ取扱
  ニシテ參ル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=47

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• 048・船田中

  ○船田委員　商工大臣ニ對スル質問ハ是デ
  宜シウゴザイマスガ、引續イテ內務省ノ政
  府委員ニ極メテ簡單ニ伺ヒタイト思ヒマ
  ス、ソレハ內務省所管ニ於ケル企業整備ヲ
  如何ニオヤリニナルカト云フコトデアリマ
  ス、其ノ例トシテハ遊興的ナ接客業ニ付
  テ、之ヲ如何ニ整備サレル御方針デアル
  カ、其ノ整備ノ御方針ヲ伺ヒタイノデアリ
  マス
  モウ一ツハ先程モ御話ガアリマシタヤウ
  ニ、工業ノ整備ニ連レテ保有工場若クハ廢
  止工場ト云フモノガ地方ニ相當澤山出來マ
  ス、其ノ結果ト致シマシテ、地方財政ニ少
  カラヌ影響ガアルコトト存ジマス、其ノ地
  方財政ニ及ボス影響ニ對シテ如何ナル措置
  ヲ講ゼラレル御用意ガアルカ、此二點ダケ
  ヲ内務省ノ政府委員ニ御伺ヒ致シマス

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• 049・唐澤俊樹

  ○唐澤政府委員　接客業者ニ對スル整備ノ
  問題デアリマスガ、內務省ト致シマシテハ、
  從來トモ大體是等ノ業者ニ對シマシテモ整
  備ノ方針ヲ以テ臨ンデ參ツテ居リマス、殊
  ニ「カフエー」「バー」或ハ麻雀屋トカ、周旋
  業ト云フヤウナ種類ノモノハ、大體他ノ小
  賣業ト同一ノ方針ヲ以テ之ニ臨ンデ居リマ
  ス、其ノ他ノ接客業ニ付キマシテモ、程度
  ノ差コソアリマスガ、他ノ小賣業ト同樣整
  備ノ方針ヲ採ツテ參ツタノデアリマス、又
  此ノ方針ト別ニ、是等ノ業者ハ色々ナ制約
  ヲ受ケテ居ルノデアリマス、勞務調整令ニ依
  ツテ女子ノ雇入ニ付テ幾多ノ制限ガアリ、
  又具體ノ間題トシテハ米、味噌、酒類等ノ
  配給ニシテモ從來ヨリ非常ナ制限ヲ受ケテ
  居リマス、尙ホ社會一般ノ自肅自戒モアル
  結果デアリマセウガ、段々ト整備セラレマ
  シテ、明確ナ數字ハ今記憶致シマセヌガ、
  昭和十二年頃ト比較致シマスト、約二割五
  分位減少シテ居リマス、併シ時局一層緊迫
  ヲ加ヘマシタ今日、從來ヨリハ更ニモウ少
  シ進ンダ整備ノ方針ヲ以テ之ニ臨ミタイト
  考ヘテ居ルノデアリマシテ、今度ノ追加豫
  算中ニモ相當額共助金ニ對スル補助豫算ヲ
  計上シテ居ルヤウナ次第デアリマス
  次ニ地方財政ノ問題デアリマスガ、御尋
  ネノ通リ廢休止ノ事業ノ方面ヨリシテ地方
  稅ニ於テ、相當多額ノ減少ヲ見ルダラウト
  思ヒマス、事業ニ依リマシテハ或ハ全然課
  稅スルコトノ出來ナイヤウナ種類ノ事業ニ
  轉換スルモノモアリマセウシ、或ハ又官營
  事業ニナルモノモアルコトト思ヒマシテ、
  是等ハ稅源其ノモノヲ失フコトデアリマス
  カラ、地方稅ニ付キマシテハ內務當局トシ
  テ歲入缺陷ニ付テ今日ヨリ相當心配ヲ致シ
  テ居リマス、尙ホ歲入缺陷ノ外ニ、轉廢業
  者ノ世話ヲ致スニ付キマシテモ國庫ヨリモ
  相當額ノ補助金ハ出シマスケレドモ、色々
  具體ノ世話ヲスル爲ニハ、歲出ノ方面ニ於
  テヤハリ相當ノ負擔ニ相成ルカト存ジマス、
  是等歲入歲出兩方面ヨリシマスル缺陷ヲ如
  何ニシテ補塡スルカ、取敢ズノ問題ト致シ
  マシテハ短期債デモ許スコトニ致シマシテ、
  之ヲ賄ツテ行キタイト思ツテ居リマスルガ、
  根本的ニハ或ハ地方分與稅ノ增額ヲ御願ヒ
  致シマスルトカ、又其ノ配付ノ方法等ニ付
  テ工夫ヲ致シマスルカ、又新タニ交付金制
  度デモ起シマスルカ、是等ハ目下〓究中デ
  アリマスルガ、相當根本的ノ對策ヲ講ジマ
  セヌケレバ、地方、殊ニ特殊府縣ノ財政ハ
  相當窮迫スルト考ヘテ居リマス

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• 050・船田中

  ○船田委員　ソレデ宜シウゴザイマス

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• 051・木暮武太夫

  ○木暮委員長　上田孝吉君

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• 052・上田孝吉

  ○上田委員　私ハ企業整備ノ中更生金庫ニ
  關スル問題ニ限リマシテ商工大臣ニ短時間
  ノ御質問ヲ申上ゲ、アト勞務ニ關スル質疑
  ハ午後厚生大臣ガ御見エニナツタ時ニ保留
  シテ質疑サシテ戴キタイト思ヒマス
  厚生金庫ノ問題ニ付テモ只今船田委員カ
  ラ既ニ二、三御觸レニナツテ居ルノデアリ
  マシテ、サウ云フ點ニ付テモ出來ルダケ之
  ヲ省略シテ、重複ヲ避ケルコトニ致シマス、
  此ノ度ノ企業整備ニ付キマシテハ、洵ニ戰
  力增强ノ爲ニ企業整備ガ行ハレテ行クト云
  フコトノ必要デアルコトハ申スマデモナイ
  ノデアリマス
  〔發言スル者アリ〕

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• 053・木暮武太夫

  ○木暮委員長　傍聽ノ人ハ靜カニシテ下サ
  イ

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• 054・上田孝吉

  ○上田委員　更生金庫法中改正法律案モ提
  案サレテ居リマシテ、其ノ要旨ニ依リマス
  ト資本金ヲ五千万圓增額スルト云フコトニ
  ナツテ居ルノデアリマスガ、商工大臣ハ昨
  日更生金庫法中改正法律案提案ノ理由說明
  中ニモ仰シヤツテ居ル通リニ、今囘ノ企
  業整備ノ政府施設ノ中ニ於テ更生金庫ハ
  中心ヲナスモノデアルト云フコトヲ申サ
  レテ居ルノデアリマス、ソレ程ノ中心ヲ
  ナス更生金庫デアリ、且ツ戰力增强ノ爲
  ニ徹底的ニ所謂大袈裟ニヤラレル場合ニ
  於テノ資本金ノ增加トシテ、果シテ五千
  万圓デ賄ヘルカドウカ、モウ少シ資金ノ增
  加ヲ多クセナケレバ規模ガ小サ過ギルノデ
  ハナイカ、勿論債劵ノ發行デアルトカ、或
  ハ政府ノ補償デアルトカ、之ヲ補フベキ方
  法ハ他ニモアリマスルケレドモ、併シナガ
  ラ更生金庫ト云フモノヲ今囘ノ企業整備ニ
  於テ政府施設ノ中心トシテ利用サレルト云
  フ場合ニハ、ヤハリ其ノ資本金ガ根本ヲナ
  スコトハ申スマデモナイノデアリマス、是
  ダケノ大キナ企業整備ヲヤラレルノニ、五
  千万圓ノ僅カノ增資デ賄ヘルカドウカト云
  フコトヲ承リタイノデアリマス

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• 055・岸信介

  ○岸國務大臣　今囘ノ企業整備ニ於キマシ
  テ更生金庫ヲ利用セラレル部分ハ相當大キ
  ナ部分デアリマシテ、此ノ方面ニ於テ新シ
  ク約二十億前後ノ金ガ更生金庫ヲ通ジテ出
  サレルモノヂヤナイカト云フコトヲ豫想致
  シテ居リマス、此ノ金ヲドウ云フ風ニシテ
  調達スルカト云フ問題デアリマスガ、從來
  ノヤリ方デ見マスルト、更生金庫ガ更生金
  庫ノ資本金、及ビ此ノ資本金ヲ基礎トシテ
  法律ニ許サレテ居ル所ノ更生債劵ノ發行ニ
  依リマシテ、金ヲ集メルト云フ方法ニ限定
  ヲサレテ居ツタ譯デアリマスガ、今囘ノ此
  ノ企業整備ニ當リマシテハ、放出サレル金
  ニ付キマシテ特ニ新シイ構想ガ用ヒラレテ
  居リマス、所謂政府其ノ他債務者ノ特別ノ
  借入金ノ形デ之ヲ決濟スル、若シクハ金ノ
  融通ヲ考ヘルト云フ方法ガ立テラレテ居ル
  ノデアリマス、是ハ是カラ放出サレル所ノ金
  ガ成ベク浮動購買力化セヌト云フコトヲ狙ツ
  テノ處置デアリマス、隨ヒマシテ今後是ガ幾
  ラニナリ、サウ云フ新シイ支拂方法ニ依ル
  モノガドレダケデアリ、是デナクシテ從來
  ノ方法ニ依ルモノガドレダケデアルト云フ
  コトヲハツキリ豫想スルト云フコトハ、是
  ハ今日デハ勿論困難デアリマス、併シナガ
  ラ斯ウ云フ新シイ決濟方法ガ認メラレマシ
  テ、之ニ依ツテ相當額ノモノガ更生金庫ノ
  特別ノ借入金ノ形ニ於テ、或ハ政府ノ特別
  ノ借入金ノ形ニ於キマシテ支拂ハレルト云
  フコトヲ豫想シテ考ヘテ見マスルト、今囘
  ノ五千万圓ノ增資、之ニ依ツテ新シク其ノ
  十五倍ノ起債能力ガ加ハツテ來ル譯デアリ
  マス、是等ヲ考ヘテ見マスルト、大體今次
  ノ企業整備ニ伴ツテ更生金庫ヲ通ジテ出ル
  ベキ資金ノ賄ヒハ付クト云フ見透シノ下ニ
  五千万圓トシタノデアリマス

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• 056・上田孝吉

  ○上田委員　新シキ資金ノ貸出方法ニサレ
  ルノデ五千万圓デ賄ヘルト云フ御趣旨ハ了
  承致シマシタガ、ソレナラバ現金デ渡ス線
  ヲ何處デ引クカ、所謂少額ノモノハ現金デ
  渡ス場合モアル、ソレカラ借金拂ヒヲシナ
  ケレバナラヌヤウナモノデ現金デ渡サナケ
  レバナラヌモノモアルト思フノデアリマス
  ガ、ソレハ何處ノ省カ知リマセヌガ、何レ
  許可カ認可ノ手續ヲサレテ、サウシテ現金
  ハ幾ラ、アトハ此ノ決濟方法ヲ執ルト云フ
  債務處理ノ方法デヤラレルノダラウト思フ
  ノデアリマスガ、其ノ取扱ノ省ガ何處デ現
  金デ渡スノト、債務證書デ渡スノトヲサレ
  ルカ、又現金デ渡ス區別、線ノ引キ方ヲ金
  額デ御決メニナルカ、使途ノ如何ニ依ツテ
  區別サレルノデアルカ、金額デ區別サレル
  ノデアルカト云フコトヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=56

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• 057・岸信介

  ○岸國務大臣　御質問ノ點ニ關シマシテ
  ハ此ノ臨時措置法ノ施行ノ勅令等ニ於キ
  マシテ規定セラルベキモノデアルト思ヒマ
  スガ、今考ヘテ居ル政府ノ考ヘ方ト致シマ
  シテハ、ドレダケノ金額ニスルカト云フコ
  トハ色々ナコトデ〓究シテ見ナケレバナラ
  ヌト思ヒマスガ、一定額ノモノハ取敢ズ現
  金デ與ヘルト云フ措置ヲ講ジテ行キタイ積
  リデ居リマス、更ニソレ以上ノモノデアリ
  マシテモ、今御話ノアリマシタヤウニ、生活
  費ノ上ニ於テ必要デアルトカ、或ハ借金ヲ
  支拂フ爲ニ必要デアルトカ、或ハ緊要ナル
  事業等ニ投資ヲスル爲ニ金ニ直ス必要ガア
  ルトカ云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、之
  ヲ政府ニ於テハ認可シテ、出來ルダケ迅速
  ニ簡易ニ金ニ換ハルト云フ方法ヲ講ズル積
  リデアリマス、隨ヒマシテ大體今考ヘテ居
  ル構想ト致シマシテハ、一定金額ハ取敢ズ
  現金デ渡ス、ソレ以上ノモノニ付キマシテ
  ハ一定ノ目的、使用ノ用途ヲ限定シテ、之
  ニ付テハ簡易ナ方法デ現金ニ換ヘル途ヲ認
  メル、斯ウ云フ風ニ施行規則等ヲ制定シタ
  イト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=57

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• 058・上田孝吉

  ○上田委員　大體御趣旨ハ分リマシタガ、
  ソコデ政府ガソレヲ御決メニナルノハ、商
  工省ガ御決メニナルノカ、大藏省ガ御決
  メニナルノカ、何處ガソレヲ御決メニナ
  ルカト云フコトヲ御聽キシタイ、尙ホ引
  續キ、此ノ決濟方法ノ問題ガ出マシタカラ
  御聽キシマス、此ノ決濟方法ハ債務證書
  ニ依ツテ轉廢業者ノ選擇ニ一任スルコト
  ニナツテ居ル譯デアリマスガ、更生金庫ト云
  フ建前カラ考ヘルト、其ノ金庫ノ運營ヲ統
  一スル點カラ、更生金庫ノ特殊借入金或ハ更
  生金庫ノ特殊預金、特殊信託所謂更生金庫
  ニ關スルモノニ限定シテ債務證書ニシタ方
  ガ、更生金庫ヲ中心トシタル決濟方法カラ
  考ヘレバ、統一ガ取レテ洵ニ宜イヤウニ思
  ハレル、尤モ轉廢業者ノ便利カラ言ヘバ、
  其ノ選擇ノ範圍、種類ヲ廣範圍ニシテ置イ
  タ方ガ宜イヤウニ思ハレマスケレドモ、併
  シナガラ恐ラクヤハリ中小ノ企業者、商業
  者ハ更生金庫ヲ利用スルコトガ何ト云ツテ
  モ一番多イ、隨テ更生金庫ノ運營ガ統一サ
  レルコトガ非常ニ必要デアルト思フノデア
  リマス、ソコデ更生金庫ノ特殊借入金デア
  ルトカ、特殊信託デアルトカ云フヤウナモ
  ノノ間ニ於ケル選擇ト云フヤウニサレル考
  ヘハナイカドウカ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=58

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• 059・岸信介

  ○岸國務大臣　最初ノ何處デ認可スルカト
  云フ問題ニ付キマシテハ、政府ニ於テヤル
  ト云フ考ヘデアリマシテ、今何處ノ省デド
  ウ云フ事業ヲドウスルト云フ考ヘ方ヲ具體
  的ニ申上ゲルコトハ困難デアルト思ツテ居
  リマス、ト申シマスノハ、各省各別ニ之ヲヤ
  リマス事柄ハ、全體ノ金融、殊ニ是カラ生ズ
  ル所ノ浮動購買力ノ防止ト云フ觀點カラ見
  テ適當デアリマセヌシ、サウカト言ツテ大
  藏省デ唯單ニヤルト申シマシテモ、各省ノ
  色々ナ實情ニ卽シタ意見ト云フモノヲ十分
  聽カナケレバ是ハイカナイノデアリマシテ、
  是等ニ付キマシテハ十分此ノ法ノ趣旨ガ達
  セラレルヤウニ此ノ認可ト云フモノガ運用サ
  レテ行ク而モ其ノ手續ガ非常ニ複雜デアリ、
  ヤヤコシイ爲ニ遲レルト云フコトノナイヤ
  ウニ將來ヤツテ參リタイ、斯ウ思ツテ居リマス
  ソレカラ特殊ノ支拂方法ガ幾ツカ玆ニ
  揭ゲテアリマシテ、債務者ノ選擇ニ依
  ツテ之ヲ行フト云フコトニ相成ツテ居ル、御
  趣旨ノ如ク此ノ轉廢業者ハ、更生金庫ヲ中心
  ノ機關トシテ利用スルコトガ多イノデアリ
  マス、隨テ之ニ成ルベク統一シタ方ガ宜イ
  デハナイカト云フ御趣旨モ御尤モナ點ガア
  ルト思ヒマスガ、同時ニ斯ウ云フ新シイ一
  ツノ支拂方法デアリマスノデ、其ノ間ニ於テ
  ハ債權者ノ方ノ好ミニ依ツテドレデモ選擇出
  來ルト云フユトリヲ持ツテ置クコトノ方ガド
  レカ一ツニ限定スルト云フコトヨリモ餘程
  感ジニユトリガアリ、同時ニ色々債權者ノ都合
  ニ依リマシテ、利子其ノ他ノ點ニ於キマシテ
  モ多少ノ差ガアリマスシ、又取引銀行等ノ
  關係モアリマセウシ、色々ナ點ブ考ヘテ見
  マシテ、大體更生金庫ヲ利用スル人ハ政府ノ
  特別借入金、或ハ更生金庫ノ特別借入金、
  或ハ取引銀行等ノ特殊預金ニスルカ、又
  產業設備營團ヲ利用スルモノハ、更生金庫ノ
  外ニ產業設備營團ガ入ル、大體此ノ三ツ位ノ
  方法ヲ事實問題トシテハ選擇スルコトニナル
  ト思ヒマスガヤハリ法律ノ建前カラ言フト成
  ルベク債權者ノ選擇ニ依ツテドレニモ依レル
  ト云フユトリヲ與ヘテ置クコトガ適當デアル
  ト思ヒマス、併シ實際運用シテ行ツテ見ル
  下、今ノ御話ノ御趣旨ノ如ク、利用スルモ
  ノハ自然更生金庫ニ集ツテ來ルト云フ傾向
  モ出テ參リマセウシ、又サウ云フコトニナ
  ルコトハ私共望マシイト思ヒマスガ、サウ
  云フヤウニ强ク指導シテ行クコトハ此ノ際
  ハ却テ適當デナカラウト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=59

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• 060・上田孝吉

  ○上田委員　先程船田委員ノ質疑ニ出マシ
  タノデスガ、企業整備ノ對象トナル企業ノ
  設備及ビ資產ノ評價ニ付テ適正公正ヲ期ス
  ル爲ニ、官民ノ學識經驗者ヲ以テ委員會ヲ
  組織スル、是ハ洵ニ結構ナコトダト思フノ
  デアリマスガ、從來更生金庫ニ付テハ商工
  省モ指導者モ非常ニ勉强シテヤツテ戴イテ
  居リマスケレドモ、其ノ手續ニ多少暇取ル
  ト云フ非難ノ聲ガ相當アツタ、是ハ勿論更
  生金庫ノミガ負フベキ責任デナイノハ分ツ
  テ居ルノデアリマシテ、或ハ各府縣ノ再編
  成協議會、或ハ委員會、サウ云フモノガ寧ロ
  手續ガ暇取ツテ居ルノデアツテ、更生金庫ノ
  手ニ渡ツテカラノ時間ハサウ掛ルモノデナ
  イコトハ重々分ツテ居リマスケレドモ、併
  シ大體カラ申シマシテ、ヤハリ手取ノ金ガ
  非常ニ遲レルト云フヤウナコトデ、相當サ
  ウ云フ非難ノ聲ガ出テ居ル、所ガ今度ハ更
  ニ企業整備ヲ非常ニ大袈裟ニヤツテ、サウ
  シテ斯ウ云フ委員會ヲ設ケラレルト云フコ
  トデアリマスカラ、委員會ヲ設ケラレルノ
  -ハ形式上カラ言ツテ洵ニ整ツタヤリ方デ大
  贊成デアリマスガ、ソコデ所謂敏活ニ出來
  ルカドウカト云フ問題ガ起ラザルヲ得ナイ
  ト思フノデアリマス、敏活ニ處理スルト云
  フ點ニ付テ、委員會ヲ設置サレルト云フコ
  トト關聯シテ特殊ノ工夫ガアラレルカドウ
  カト云フコトヲ承ツテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=60

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• 061・岸信介

  ○岸國務大臣　御話ノ如ク、此ノ轉廢業問
  題ヲ處理シテ行ク上ニ於キマシテハ、特
  資產ノ引取ヤ共、助金等ノ關係ガ敏活ニ行ク
  コトガ最モ必要デアルト思フ、更生金庫ニ
  付キマシテモ從來色々ナ御批評ガアツタノ
  デアリマスガ、近時著シク改善セラレテ居
  リマシテ、私共ノ見テ居ル所ニ於キマシテ
  モ、又世間デ言ウテ居リマス所ニ於キマシ
  テモ、以前ノ如キ是ガ敏活ヲ缺クト云フ非
  難ハ殆ドナイヤウナ狀況ニナツテ居ルト思
  ヒマス、從來ソレガ行ハレタト云フコトハ
  色々ナ原因ガアリマスガ、一ツハ其ノ評價
  基準ト云フモノガハツキリシナカツタ、又
  其ノ評價基準ニ於テノ取扱ガハツキリシナ
  カツタト云フヤウナ點ガアツタノデアリマ
  ス、小賣業ニ付キマシテハ御承知ノ通リノ
  評價基準ガ決メラレテ居リマシテ、運用ノ
  仕方ニ付キマシテモ迅速簡易ニ行ハレルヤ
  リ方ガハツキリ致シテ參ツタノデ居リマ
  ス、今日私共ノ承ツテ居ル所ニ依ルト、轉
  廢業者ノ施設ヲ引當トシテノ所謂更生資金ノ
  貸出ト云フヤウナ問題ニ付キマシテハ、手
  續ガ遲レルトカ、或ハ之ニ關スル色々ナ問
  題ハ、小賣ニ關シマシテハ殆ドナイヤウ
  デアリマス、ソレカラ中小工業ノ方ノ問題
  ニ付キマシテハ、マダサウ云フ風ナ小賣ノ
  如ク簡易ニ行カナイ點ガアリマスノデ、
  其ノ施設ノ評價ノ基準ニ付キマシテ、
  小賣ト同樣簡易明確ニ行ク基準、標準
  ヲ〓究致シテ居リマス、特別ノ專門家ニ御願
  ヒシマシテ、大體近ク成案ヲ得ル狀況ニ
  マデ進ンデ居リマスノデ、是亦非常ニ簡
  便ニ參ルト思ヒマス、今後更生金庫及ビ產
  業設備營團ガ資產ノ引取等ノ場合ノ評價ヲ
  審議スル爲ニ、有力ナル官民ヲ網羅シテ居
  ル所ノ委員會ヲ作ル、是ハ今次ノ整備ノ重
  要性ニ鑑ミマシテ正ニ當然デアリマスガ、
  是ガ運用付キマシテ、今御指摘ニナリマシタ
  ヤウニ迅速ニ此ノ轉廢業者ノ要望ニ副フヤウ
  ニ、之ヲ運用シテ行カナケレバナラナイコ
  トハ言フヲ俟タナイ、隨ヒマシテ小サイ問題
  ヲ一々此ノ委員會ニ掛ケテ決メルト云フコ
  トハ、是ハ勿論私ハ適當デナイト思ヒマス、
  委員會ニ於キマシテハ、各業種ニ亙リマシ
  テ基準ヲ決定シテ貰フ、ソレカラ更ニ特ニ
  異例ニ屬スルヤウナモノニ付キマシテハ、
  個々ノ問題ニ付テ或ハ委員會ノ御意見ヲ聽カ
  ナケレバナラナイト云フコトハ當然デアリ
  マセウガ、一般的ノ問題ニ付キマシテハ基
  準ヲ此ノ委員會デ決メテ貰ヒマシテ、サウ
  シテ其ノ基準內ニ於テ行政官廳ナリ、更生
  金庫ガ具體的ノ評價ヲ決定シテ行クト云フ
  風ニ運用致シマスレバ、十分公正ニシテ且
  ツ迅速ニ此ノ問題ガ處理サレル、斯ウ考へ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=61

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• 062・上田孝吉

  ○上田委員　最後ニモウ一ツダケ御伺ヒシテ
  置キタイト思ヒマス、其ノ前ニ運營ノ問題ニ關
  聯シテ更生金庫ノ支所ノ問題デスガ、是ハ今
  五箇所アル外ハ他ノ金融機關ヲ利用シテ居ラ
  レルノデアリマスガ、是程企業整備ノ戰力增
  强ニ關スル大キナ仕事ヲヤル金庫トシテ全
  國五箇所ダケノ支所デハ、ヤハリ敏活ニ仕
  事ヲスル上ニ於テ支障ヲ來スコトガ多イノ
  デハナイカ、他ノ金融機關ヲ利用サレマス
  下、特ニ所謂銀行家根性ト云フヤウナモノ
  ガヤハリ出マス、申スマデモナク更生金庫
  ノ特殊使命ト、ソレカラ普通ノ銀行ト云フ
  モノトハ、全然其ノ性質ヲ異ニ致シテ居ル
  ノデアリマスルカラ、成ルベクナラバ更生金
  庫ハ更生金庫ノ全國組織立ツタル一本ノ機
  關デアツテ戴キタイト思フノデアリマス、
  併シ創業〓々一時ニサウモ行カヌ點ガアラ
  ウト思ツテ居ツタノデアリマスガ、最早今
  日ノヤウニ企業整備ガ徹底的ニヤラレル場
  合ニ於テ五箇所ノ支所デハ迚モ足リナイノ
  デハナイカ、全國的ニ尙ホ支所ヲ殖ヤサレ
  ル御考ヘガアルカドウカ、尙ホ最後ニモウ
  一ツ伺ヒタイノハ、先程船田君ノ質疑ニモ
  出テ居ツタノデアリマスガ、殘存者ノ負擔
  スル共助金ノ問題デアリマス、之ニ對シマ
  シテハ先程大臣カラ御答辯ガアツテ、勿論
  實績補償ニ付テハ前ニ補償サレタル者ヨリ
  モ後ニナル者ノ方ガ步ガ宜イト云フコトガ
  アツテハイケナイ、幾分步ガ惡クナツテモ、
  段々殘存業者ノ營業自體モ果シテ豫定計畫
  通リニ行ケルカドウカ分ラヌノデアルカラ、
  減ル虞レモナイトハ言へヌト云フ意味ノ御
  答辯モアツタノデアリマスガ、勿論後ニ企
  業整備サレ、轉廢業スル者ガ、前ヨリモ步
  ガ宜クナルト云フコトガ斷ジテアツテハナ
  ラヌト思ヒマス、ヤハリ企業整備デアル以
  上ハ、大體一貫シタ方針ト云フモノガ必要
  デアルト思フノデアリマス、ソコデ此ノ殘
  存業者ノ負擔スル共助金ノ結成ニ付テハ、
  ヤハリ損失補償ト云フモノガナイガ不備デ
  ハナイカ、是ハヤハリ國庫ノ補助金ニ依ル
  ベキモノデハナイカト云フ風ニ思ハレルノ
  デゴザイマスガ、之ニ對スル御意見ハドウ
  デアルカ御伺ヒシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=62

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• 063・岸信介

  ○岸國務大臣　御質問ノ第一點ノ更生金庫
  ノ支所ノ問題デアリマスガ、是ハ從來カラ
  モ其ノ方針デ進ンデ居ルノデアリマスガ、
  段々此ノ仕事ガ大キクナツテ來、其ノ使命
  ガ重要ニナツテ參リマスニ連レテ、漸次支
  所ヲ殖ヤシテ行クコトガ必要デアリ、又サ
  ウ云フ方針デ進ンデ參リタイト思ツテ居リ
  マス、唯同時ニ人ノ問題等カラ考ヘマシテ、
  中々急速ニサウ云フコトヲヤル譯ニモ參ラ
  ナイ點ガアリマスノデ、從來利用シテ居ツ
  ク、又御手傳ヒ願ツテ居ル金融機關等ニ於
  テモ、十分御協力ヲ願ハナケレバナラヌト
  思フノデアリマス、同時ニ是等ノ金融機關
  等ニ於テ更生金庫ノ仕事ヲ扱ハレルノニ付
  キマシテモ、從來トハ餘程此ノ更生金庫ノ
  特別ノ使命ガ、是等ノ人々ニモ十分段々徹
  底シテ參ツテ居リマスガ、更ニ是等ノ支所
  ニナラナクテモ、是等ノ機構ノ御手傳ヒヲ
  願ハナケレバナラヌ部門ニ於キマシテモ、
  今囘ノ企業整備ノ趣旨竝ニ之ヲ運用シテ行
  ク心構ヘナリ、方針ナリト云フモノニ付キ
  マシテハ、十分徹底スルヤウニ努力シテ參
  リタイト存ジマス
  次ニ實績共助金ノ國庫補助ノ問題デアリマ
  スガ、今日ニ於テハ私共マダサウ云フ事柄ヲ考
  ヘテ居リマセヌ、同業者ガ實績共助金ヲ出ス
  事物ハ、所謂同業共助ノ美風カラ出テ居ルコ
  トデアリマシテ、私ハ殘存業者ニ其ノ力ガアレバ
  是ハ當然ヤルコトガ非常ニ望マシイト思フ、併
  シナガラ本來政府ハ此ノ轉廢業者ノ設備等ノ
  財產ヲ見返リトシテ更生金庫ヲシテ更生資
  金ノ貸出シヲサシテ居リマスガ、此ノ場合
  ニ於キマシテ營業權的ナ價値ト云フモノヲ
  相當見込ンデ、之ヲ引取ルヤウナ建前ニナ
  ツテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ其ノ意
  味ニ於テ實績補償ト云フモノノ或ル部分
  ハ、此ノ更生金庫ガ引取ル場合ニ於ケル中
  ニ見込ンデアル、サウシテソレニ對シテハ
  國家ガ補償シテ居ル譯デアリマス、ソコデ
  此ノ同業者ノ自治的共助ト云フコトハ、飽
  クマデ同業者ノ實際ノ力ト云フモノヲ基礎
  ニ置イテ考ヘテ行クコトガ最モ望マシイ、
  初メカラ損失ニナルノデ、國家ガソレヲ負
  擔スルノダト云フヤウナ氣持ヲ起サシムル
  事柄ハ、私ハ同業共助ノ美風ヲ保持スル意
  味カラ言ツテモ餘リ適當デナイ、從來ノ實例
  カラ見マスト、迚モ返濟ナドモムヅカシイ
  ノデハナイカ、又實際ニサウ云フモノヲ貸
  出スニ付テ、色々更生金庫トノ間ニイザコ
  ザノアツタヤウナコトモアリマスガ、初メ
  カラ此ノ實績補償ノ共助金ヲ出ス、同業者
  ガ十分自分達ノ實力ノ及ブ限リ同業共助ノ
  意味デヤルノダト云フ感ジガ初メカラナイ
  ヤウナ、アトハ返サナイデモ宜イノデ、是ハ
  更生金庫ガ出シテ吳レル金デアルト云ラナ
  ヤウ氣持デスラアルヤウナ、サウ云フ實例
  モアルノデアリマス、是ハ私ハヤハリ業者
  ニ十分實績補償ト云フモノハ自分達ノ實力
  デ廢メテ行ク人ニ對シテ、同業共助ノ意味
  カラヤルノダト云フ觀念ヲ確立シテ貰ヒタ
  イ、之ニ反シテ生活援護ノ意味ノ共助金
  ハ御承知ノ通リ必要ガアレバ全部政府ガ
  負擔スルト云フ性格ヲハツキリシテ居ルノ
  デアリマス、サウ云フ意味ニ於テ今日此ノ
  實績補償ト云フ意味ノ自治的共助金ト云フ
  モノニ對シテ、更生金庫ガ出シタモノヲ國
  庫ガ最後ノ補償ヲスルト云フ考ヘハ、今日
  ノ所ハ持ツテ居リマセヌ

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• 064・木暮武太夫

  ○木暮委員長　宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=64

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• 065・上田孝吉

  ○上田委員　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=65

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• 066・木暮武太夫

  ○木暮委員長　アナタノハ午後ノ厚生大臣
  ニ對スル勞務關係ノ質問ヲ保留シテ置ク譯
  デスネ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=66

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• 067・上田孝吉

  ○上田委員　サウデス

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• 068・木暮武太夫

  ○木暮委員長　加藤鐐五郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=68

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• 069・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　私ハ此ノ場合極ク簡單ニ
  今囘ノ企業整備ト生絲ヲ除ク纖維工業ノ關
  係ニ付キマシテ、極ク大綱ノコトヲ御尋ネ
  致シ、又纖維工業ノ全體ニ關聯致シマスル
  衣料問題ニ付テ二、三御尋ネシテ見タイト
  思フノデアリマス、今囘ノ整備ノ對象ガ纖
  維工業ニアルコトハ、是ハ屢〓伺ツテ居ルノ
  デアリマスガ、唯ドノ程度マデ現存設備ヲ
  整備サレルノデアルカ、數字ノ細カイコト
  ヲ伺ヒタイト云フノデハアリマセヌガ、極
  ク大略何割ト申シマスカ、ドノ程度整備サ
  レルノデアルカト云フコトヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=69

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• 070・岸信介

  ○岸國務大臣　纖維工業ニ付キマシテモ、
  色々業種ニ依リマシテ必ズシモ纖維工業全
  般ガ一樣ノ標準デモ行カナイノデアリマ
  ス、或ル部面ニ於キマシテハ操業ノ分ガ比
  較的多ク、休廢止スル部分ガ比較的少イ、
  或ル部分ニ於テハ逆デアルトカ云フヤウナ
  關係ガアリマシテ、色々業種ニ依ツテ違ヒ
  マスガ、極ク大雜把ニ申シマスト、綿「スフ」
  紡績ヤ「スフ」專紡、梳毛紡績ト云フヤウナ
  比較的大工業デヤツテ居ル綿「スフ」、毛ト
  云フヤウナモノノ操業ノ狀況ハ、大體四割
  前後ハ操業シテ行ク見込デアリマス、サウ
  シテ三割乃至四割位ヲ保有シマシテ、アト
  ノ二割前後ノモノヲ轉業又ハ廢止スルト云
  フ考ヘデ居リマス、アトノ織物ノ業態等ニ付
  テハ四割乃至五割位ヲ操業シテ、二割程度
  位ヲ保有シ、アト四割程度轉業又ハ廢止ス
  ルト云フ大體ノ標準デ居リマス

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• 071・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　只今大體御說明ヲ御願ヒ
  致シマシテ分リマシタガ、今カラ豫斷ハ出
  來ナイカモ知レマセヌガ、戰局ノ進展ニ依
  リマシテ、今ヲ第一ト假定スレバ、第二第
  三ト云フヤウナ整備モアリ得ルト思ヒマス
  ガ、左樣ニ覺悟シテ宜シウゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=71

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• 072・岸信介

  ○岸國務大臣　從來纖維工業ニ付キマシテ
  モ御承知ノ通リ屢〓、戰局ノ段階ニ應ジテ整備
  ヲシテ參ツタノデアリマスガ、今囘ノ整備
  ハ初頭ニモ申述べマシタ通リ、國內ノ凡ユ
  ル產業力ト云フモノヲ總動員シテ戰力增强
  ニ集中スルト云フ考ヘ方ヲ致シテ、相當徹底
  的ナ整備方法ヲ考ヘテ居ルノデアリマス、
  遠イ將來ノコトハ非常ニ事情ガ激變スレバ
  イザ知ラズ、私共ハ一應現在ノ所此ノ整備ガ
  完了スレバ續イテ第二、第三ノ整備ト云フモ
  ノガ來ルノダト云フヤウナ氣持デ以テ實ハ
  此ノ整備案ヲ立テテ居ラナイノデアリマス、
  勿論全國ノ色々ナ各種ノ事情ト云フモノハ、
  吾々ガ今日豫想シナイヤウナ事態ガ起ツテ
  參リマスレバ、國全體ガ又違フ考へ方ヲ
  シナケレバナラヌ必要モアラウカト思ヒマ
  スガ、現在ノ所日本ノ產業力ト云フモノハ戰
  力ノ增强又國民生活ノ必要限度ヲ確保スル、
  此ノ兩點カラ見テ此ノ整備ガ完了スレバ、
  大體ノ戰時體制ト云フモノガ完成スル、斯
  ウ云フ見込ヲシテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=72

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• 073・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　只今ノ御答辯ニ依リマス
  ト、戰局ノ進捗ガ非常ニ相違シテ來レバ兎
  ニ角デアルガ、此ノ場合デアレバ先ヅ此ノ
  程度デ宜イト云フヤウニ承ツタノデアリマ
  スガ、然ラバ只今ノ整備サレタ、詰リ殘存
  ノ部類ニ於ケル所ノ生產能力ト云フモノハ、
  國民生活ノ最小限度ノモノデアルカドウカ、
  斯ウ云フコトデゴザイマス、モウ少シ言葉
  ヲ換ヘテ申シマスレバ、纖維工業ト云フト
  何デモ平和產業ノヤウニ心得テ居リマシタ
  ガ、今デハ餘程觀點ガ違ヒマシテ、或ハ將
  兵ノ衣料、或ハ鑛山工場ノ作業服、或ハ國
  民生活ノ最小限度ノ衣料ト云フモノハドウ
  シテモ戰爭遂行ノ上ニ、寧ロ軍需トモ見ル
  ベキモノデアルト思ヒマスガ、然ラバ是デ
  最小限度ガ總テニ於テ維持サレルモノト斯
  ウ御考ヘニナルノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=73

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• 074・岸信介

  ○岸國務大臣　御話ノ通リ戰前ノ所謂平和
  產業ト漠然考ヘラレテ居ツタ時代ノ纖維工
  業ト、今日ノ纖維工業トガ、內容ニ於テモ
  非常ニ變ツテ居ルコトハ今御指摘ニナツタ
  通リデアリマス、今日ノ纖維工業、例ヘバ
  綿紡績ナラ綿紡績ト云フモノノ動キヲ考へ
  テ見マスト、從來非常ニ大キナ部分ハ輸出
  用ニ充テラレテ居ツタ譯デアリマスガ、サ
  ウ云フ部分ト云フモノハ全然ナクナツテ居
  ル、サウシテ國內ニ於ケル一般民需ト云フ
  モノモ非常ニ制約サレテ居リマシテ、此ノ
  生產スルモノハ軍需ト、ソレカラ戰爭遂行
  ノ爲ニ絕對ニ必要ナ物ヲ東亞共榮圈內ニ或
  ル程度出サナケレバナラヌ、或ハ戰爭遂行
  上必要ナ物、治安ノ維持ノ爲ニドウシテモ必
  要ダト云フヤウナ最モ緊要ナ物、是等ノ輸
  出用ノ物、國內ニ於テハ主トシテ生產擴充
  用、鑛山、工場、農村等ニ於ケル作業衣、
  又作業ニ必要ナ地下足袋、軍手等ノ如キ物、
  ソレカラ次ノ時代ノ國民ノ爲ニ必要ナ乳幼
  兒若クハ姙產婦等ノ保護ノ爲ニ必要ナ物デ
  アルトカ、或ハ學童等ニ絕對ニ必要ナ物ト
  云フヤウニ、實ハ限ラレテ居リマシテ、更
  ニ國民生活ノ必要ト云フコトヲ考ヘマスト、
  一般國民モ何カ幾ラカヤハリ斯ウ云フモノ
  ニアリ付ケルト云フコトガ考ヘラレルト思
  ヒマスガ、併シナガラ斯ウ云フ衣料問題等
  ニ付テノ國民ノ戰時生活ノ最低限度ト云フ
  モノハ中々難カシイノデアリマシテ、今申
  シマシタヤウナ點ノ絕對必要量ヲ確保スル
  コトハ、是ハドウシテモヤツテ行カナケレ
  バナラヌ、其ノ他ニ一般國民ガ自然消耗シ
  テ行ク所ノモノヲ補ツテ行クノニドレダケ
  ノモノガ必要カト云フコトハ、實ハ非常ニ
  難カシイ部分デアリマス、是ハ特ニ國民ノ
  志氣、國民ノ心構ヘト非常ナ密接ナ關係ガ
  アリマスノデ、私ハ將來日本ガ此ノ戰爭ニ
  勝チ拔クガ爲ニハ、一般國民ハ衣料ニ付テ
  ハ從來ノ持合セデ以テ戰爭ニ勝チ抜クマデ
  ハ濟マシテ行クト云フ心構ヘデ、新シイモ
  ノハ新調シナイト云フ一ツノ計畫ラハツキ
  リシテ進ンデ行ツテ貰ヒタイト思ヒマス
  ガ、今ノ整備ノ問題カラ申シマスト、操業
  工場ト云フモノハ大體之ニ供給出來ル資
  材、原料等ハ七〇%ノ操業率ヲ基礎ニ纖維工
  業ニ於テハ考ヘテ行ク積リデアリマス、
  隨テ現實ノ生產量ト云フモノハ、整備ス
  ルカラ生產量ガ減ルトカ、整備シナケレ
  バ生產量ガ多イト云フノデハナクテ、生
  產量自體ハ原材料デ制限ヲサレテ居ルノ
  デアリマス、或ハ棉花ノ供給ニ於テ、或ハ
  生絲ノ供給力ニ於キマシテモ、或ハ化學
  纖維ニ付テハ石炭ノ供給力ト鹽ノ供給力カ
  ラ決マツテ來ルノデアリマス、之ヲ操業工
  場ニ集中シテ生產ヲスル、現在ノ所デハ全
  體ノ操業率ト云フモノハ、纖維工業ト違ヒ
  マスケレドモ、極ク大雜把ニ言ヒマシテ、
  殆ド二割トカ三割ノ操業ヲシテ居ルヤウナ
  狀況デアリマス、併シ先程ノヤウナ集中シ
  テ操業工場ヲ操業致シマスト、操業工場ハ
  七〇%程度ノ操業率ヲ操業スル狀態ニナル
  ノデアリマス、其ノ他ノ工場デ一定量ヲ保
  有シテ居ル保有工場ハ、將來ノコトヲ色々
  考ヘテ居ルノデアリマシテ、或ハ空襲其ノ
  他ノ災害ノ場合ヲ考ヘル必要モアリマセウ
  シ、或ハ東亞共榮圈ニ進出サスベキモノヲ
  考ヘテ置ク必要モアリマセウシ、又將來原
  材料等ノ關係、又ハ需要供給ノ關係ノ變動
  ニ應ジテ、或ル程度ノ彈力性ハアリマスケ
  レドモ、更ニソレ以上ノ彈力性ヲ持タセル
  ト云フ意味デ、一應七〇%程度ノモノヲ保
  有シテ、其ノ他ノモノヲ廢休シテ轉用又ハ
  轉化スル、斯ウ云フ考ヘ方デ居ル譯デアリ
  マス、此ノ衣料等ノ國民生活ノ最低限度ノ
  確保ト云フコトニ付キマシテハ、先ヅ今申
  シマシタ軍需生產擴充用ノモノ、戰爭遂行
  上絕對ニ必要ナモノ、又乳幼兒、姙產婦等ノ
  關係ニ於テドウシテモ要ルモノ、是ハ是ガ
  非デモ確保スル、其ノ他ノ一般民需ノモノ
  ニ付キマシテハ、先程申上ゲマシタ如ク、
  國民全體ガ衣料生活ニ付テ更ニ從來ノ考ヘ
  方ヲ改メテ、戰時下ニ於ケル衣料生活ト云
  フモノノ考ヘ方ヲ決メテ、アリ合セデ濟マ
  スト云フヤウナ考ヘ方デ進ンデ行ツテ貰フ
  必要ガアラウ、斯ウ思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=74

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• 075・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　私ハ今囘ノ整備ガ實行サ
  レル上ニ於キマシテハ、或ハ今ノ生產力ガ
  非常ニ減退スルモノデナカラウカト心配致
  シテ居リマシタガ、只今ノ御說明ヲ聽キマ
  シテ、頗ル安堵致シタ者デゴザイマスルガ、
  唯只今大臣ノ御答辯中ニ南方共榮圈ニ於ケ
  ル衣料對策モ考ヘテ居ルト云フ御話デアリ
  マシテ、洵ニ意ヲ强ウ致シタ譯デゴザイマ
  ス、御承知ノ如ク南方方面ニ於テノ衣料ハ、
  統治ノ上ニ於キマシテモ、凡ユル上ニ於テ
  モ、彼等ガ之ヲ得ザル場合ニ於キマシテハ、
  色々ノ點ニ於テ我ガ國ノ上ニ統治上、宣
  撫上不利益ヲ來スノデアラウト思フノデア
  リマス、此ノ場合私ハ南方共榮圈ヲ含ム衣
  料對策ニ付テ、具體的ニ細カイコトヲ聽ク譯
  デハゴザイマセヌガ、相當具體的ニ何カ着
  手サレツツアルヤ、私共ノ聞ク所ニ依リマ
  スト從來南方方面デハ綿布ヲ輸入シテ居ツ
  タ、其ノ輸入ノ主ナルモノハ日本デアリ、
  次イデ下リマシテ米英デアツタノデアリマ
  スガ、何レモ只今ハ杜絕トハ申シマセヌガ、
  從來ニ比シマスレバ少クナツタト云フコト
  ハ、爭フベカラザル事實デアリマシテ、唯
  是ガ今マデノ「ストック」ニ依ツテ兎ニ角一
  時凌ギヲシテ來テ居レルト云フ狀態デアリ
  マスガ、是ハ我ガ國ノ衣料政策ノ上ニ於キ
  マシテモ南方共榮圈ノ問題ヲ考ヘネバナ
  ラヌノデアリマス、只今色々御考ヘニナツ
  テ居ルヤウデアリマスルガ、何カ極ク大マ
  カナコトデ宜シイノデスガ、具體的ニドン
  ナコトヲオヤリニナツテ居ルカト云フコト
  ヲ此ノ場合表示シテ戴ケレバ幸ヒデアリマ
  ス

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• 076・岸信介

  ○岸國務大臣　東亞共榮圈內ニ於ケル衣料ノ
  問題ニ付キマシテハ、御話ノ如ク從來ノ英
  米等カラ輸入シテ居ツタノヲ日本ガ全部代
  ツテヤルト云フ事柄ハ、今日ノ狀況ガ許サ
  ナイコトハ已ムヲ得ナイト思ヒマス、併シ
  ナガラ此ノ問題ハ統治ノ上カラ申シマシテ
  モ、戰爭遂行ノ上カラ申シマシテモ、緊急
  ナ重要ナ問題デアリマスノデ、政府ト致シ
  マシテハ年々ノ物動計畫ノ上ニ一定量ノ衣
  料ノ量ヲ確保シテ、之ヲ大東亞共榮圈內ニ
  割當テ輸出ヲ致シテ居リマス、本年ハ衣料ノ
  全體カラ申シマスト、大體昨年ヨリモ日本
  ノ全體ハ苦シクナツテ居ルノデアリマス
  ガ、併シナガラ出ス量ニ付キマシテハ大體
  昨年ト同樣ノ量ヲ輸出スル考ヘノ下ニ計畫
  ヲ立テル、是ダケデハ勿論足ラナイノデア
  リマス、隨テ國內ニ於ケル休廢止サレル工
  場ヲ向フニ移駐スル計畫ヲ立テマシテ、既ニ
  紡績ニ付キマシテハ一定ノ錘數ノモノノ移
  駐計畫ヲ決定シマシテ、之ヲ佛印、「タイ」、
  「フィリッビン」「ジヤワ」等ニソレ〓〓割當
  テマシテ、目下移駐ノコトガ着々進行致シ
  テ居リマス、更ニ此ノ紡績ト關聯致シマシ
  テ、織機ノ移駐ニ付キマシテモ一定量ノモ
  ノヲヤハリ向フニ移シテ、向フニアル所ノ
  原料ヲ加工シ、之ヲ織物ニマデシテ、向フ
  ノ住民ノ衣料ノ缺乏ヲ補ツテ行クト云フ考
  ヘヲ進メテ居リマス、尙ホ中華民國ニ對
  スル關係ニ於キマシテハ御承知ノ通リ從來
  ノ在華紡績ト云フモノガアリマシテ、相當
  ナ錘數ノモノガ働イテ居ルノデアリマス、
  是ガ戰爭ノ爲等ニ於テ一部破壞シタ部分モ
  アリマスシ、之ノ補給、補充ト云フヤウナ
  點モ考ヘラレテ居リマスルガ、全體ト致シ
  マシテ今申シマシタヤウナ旣ニ一部移駐ノ
  事柄ヲ實行致シテ居リマスシ、更ニ今回ノ
  整備ニ於テ保有サレルモノノ中第二次、第
  三次ノ移駐ヲ實行シテ參リタイ、斯ウ思ツ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=76

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• 077・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　南方共榮圈ノ衣料ノ問題
  ハ極メテ重大ナモノデアリマスガ、是ガ只
  今サウ云フ計畫ノ下ニ着々具現シツツアル
  ト云フノハ喜ブベキコトデアリマシテ、ド
  ウカ其ノ問題ハ眞劍ニ將來モ御討究ニ相成
  リマシテ、統治ノ上ニ商工省ノ宜キ御配慮、
  ヲ願ヒタイト思ヒマス
  ソコデモウ一ツ次ニ御伺ヒ致シタイト思
  ヒマスルコトハ、原料デアル棉花ノ輸入ノ見
  込ガ本年ハドウデアルカト云フコトデアリ
  マーク、假令色々ノ設備ガアリマシテモ原料
  ガナケレバ如何トモスル譯ニ參ラヌノデア
  リマシテ、纖維ト申シマシテモ羊毛ハ最早
  只今ノ所デハ致シ方ガナシ、殊ニ「インドㄴ
  或ハ米國ノ棉ノ如キハ今ノヤウナ狀態デア
  リマス、唯私共ガ賴ミト致シマスルノハ北
  支ノ棉花デアリマスガ、北支ノ棉花ハ私共
  ハ聊カ不安ノ情ナキ能ハズデアリマス、私
  モ此ノ頃サウ云フ實情ヲ視テ參ツタノデア
  リマス、數字ヲドハ申シマセヌガ、兎ニ角
  安心ヲ致シテ居ルト云フ譯合ニハ參ラヌノ
  デアリマスルガ、之ニ對シマシテドウ云フ
  對策ヲ御執リニナツテ居ルカ、又ドンナヤ
  ウナ御見込デアルカ、私ノ見タ所ガ違ヘバ
  洵ニ國家ノ爲ニ仕合セデアリマスルガ、ド
  ンナ風ナ狀態ニナツテ居ルカト云フコト
  ヲ、是ハ寧ロ大東亞大臣ニ伺ツタ方ガ宜カ
  ラウトモ思ヒマスルガ、若シドウシタラ是
  ガ多ク我ガ國ニ入ル、多ク栽培スルト云フ
  ヤウナ點ニ付テ、時間ガアリマセヌノデ、
  極ク簡單デ宜シウゴザイマス、御所見ヲ承
  レレバ幸ヒデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=77

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• 078・青木一男

  ○青木國務大臣　仰セノ如ク棉花ノ供給地
  ト致シマシテハ、北支ニ最モ多クヲ期待シテ
  居ルノデアリマス、今御述べノ如ク北支棉
  花ノ現狀ハ必ズシモ樂觀ヲ許サナイト考ヘ
  テ居リマス、昨年ノ出來タ綿ノ收買ニ付キ
  マシテモ、今年ノ一月頃カラ收買ノ狀況ガ
  餘リ思ハシクナイヤウナ狀況ガアリマシタ
  ノデ、四月頃カラ綿布其ノ他ノ見返リ物資
  ヲ供給シテ此ノ收買ニ努メテ居リマス、最
  近ハ相當狀況ガ能クナツテ來タヤウデアリ
  マスガ、何ト致シマシテモ北支ノ棉花ノ栽
  培集荷ヲ效果アラシメルニ一番大キナ問
  題ハ、食糧ノ問題ヲ解決シテヤルト云フコ
  トガ根本デアルヤウデアリマス、本年度ノ
  作付反別等モ若干減ルヤウデアリマスガ、
  是モ問題ハ〓糧ノ不足、又食糧價格ノ騰貴
  ニ原因ガ多クハアルヤウデアリマス、此ノ
  問題ヲ併セテ解決シテヤル必要ガアルト思
  ヒマス、ソレカラ治安ノ囘復其ノ他ニ依リ
  マシテ、我ガ方ノ手ニ棉花ノ入ルヤウナ地
  域ヲ擴ゲルト同時ニ、此ノ收買機構ヲ合理
  化シ、作付ノ增加ト相俟ツテ、出來タモノ
  ガ十分コチラノ手ニ入ツテ來ルヤウナ機構
  モ必要デアルト思ヒマスルノデ、是等ノ點
  ニ付キマシテハ棉業ノ統制總會ト云フモノ
  ヲ北支ニ作リマシテ、支那側ト合作シテ作
  付カラ集荷マデ一貫シタ統制機構ヲ作リ、
  又更ニソレヲ地域ニ分ケテ、責任ヲ以テ其ノ
  成績ヲ上ゲルヤウナ分擔制ヲ今講ジツツア
  ルノデアリマス、將來出來ルダケ我ガ方ノ
  此ノ大事ナ資源ノ確保ニ努メタイト考ヘテ
  居ル次第デアリマス、唯其ノ場合ニ四月以
  降實行シマシタヤウナ綿布、煙草、a c
  チ」、砂糖、罐詰ト云フヤウナ見返リ物資
  ヲ或ル程度供給スルト云フコトモ、今後ド
  ウシテモ努メナクテハナラヌコトデアラウ
  ト考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=78

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• 079・加藤鐐五郎

  ○加藤(鐐)委員　私ハ此ノ場合、是ハ祕密
  會デアリマセヌケレドモ、モウ少シ具體的
  ニ私ノ見タル所ヲ申述ベテ御所見ヲ承リタ
  イト思ヒマスルガ、時間モアリマセヌ此ノ
  場合デアリマス、或ハ時間ガ許シマスレバ
  適當ナ機會ニ於テ伺ヒタイト思ヒマスルガ、
  只今大東亞大臣モ、私モ稍、、不安デアルト、
  斯ウ申シタノデアリマスルガ、是ハサウ簡
  單ニ片付ケ得ラルル問題デナイト思ヒマス、
  殊ニ只今食糧ノ問題デアルトカ、其ノ他色
  色ノモノヲ之ニ供給シテヤレバ何トカナル
  ト云フヤウナ意味ノ御話デアリマスルガ、
  サウ簡單ニハ參ラヌノデアリマシテ、頗ル
  寒心ニ値スルモノガアルノデアリマス、價
  格ノ問題モ御承知ノ通リ雜穀ヲ作リマスノ
  ト、此ノ棉花ヲ作リマスノトデハ五分ノ一ノ
  狀態デアリマシテ、今年ノ實情ハ私ハ餘程御
  努力ヲ願ヒタイト思ヒマス、殊ニ日支外交ノ
  轉換ニ依リマシテ、日本ハ頗ル寛大ナル態
  度ヲ執リ、向フニ總テヲ與ヘタノデアリマ
  シテ、參戰ニ依ツテ吾々ガ得ル所ハ斯ウ云
  フ物資ヲ日本ニ與ヘルヤウニ努力スルコト
  デアルノデアリマス、故ニ私ハ大東亞大臣
  ガ此ノ點ニ於テ殊ニ一段ノ御努力ヲ願ヒマ
  シテ、假令色々ノ設備ガアリマシテモ、棉花
  ガナクバ何モ出來ヌコトデアリマス、一層
  ノ御努力ヲ私ハ願ヒタイ、適當ノ機會ガア
  リマスレバ、具體的ナコトモ伺ヒタイト思
  ヒマスガ、兎ニ角〓括的ニ申シマスレバ、
  一層ノ御努力ヲ願ツテ是ガ相當計畫ニ近キ
  數字ヲ獲得スルヤウニ願ヒタイト云フコト
  ヲ申添ヘテ置キマス
  ソレカラ最後ニ是ハ只今商工大臣ガ日本
  ニハ色々着物ガアル、其ノ着物ヲ何トカシ
  テヤレバ、衣料ニハ相當缺乏セヌデアラウ
  ト云フヤウナ意味ノ御話ガアリマシタガ、
  私モサウ思ヒマス、詰リ退藏衣料ノ更生ト
  申シマスガ、是ガアル、其ノ退藏衣料ノ更
  生ニ付テト、ソレカラモウ一ツ行過ギト申
  シマスルカ、是ハ言葉ガ少シ惡イノデアリ
  マスガ、行過ギノ揃ヒノ衣服ヲ作ルト云フ
  コトデ、頗ル大事ナ衣料ヲ是ガ爲ニ消費シ
  テシマフノデアリマスガ故ニ、何カ此ノ抑
  止ノ方法ガアリマシタナラバ、一ツ御考ヘ
  ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、私ガ之ヲ
  申シマスノハ、原棉ノ期待ガサウ拂ヘヌト
  云フ時ニ當リマシテハ、此ノ退藏ノ衣料デ
  何トカ處置シテ行カナケレバナラヌト思ヒ
  マス、此ノ點ニ於テハ日本ノ中產階級以上
  ニ於キマシテハ、殊ニ女子ナドハ幾ラモ簞
  笥ノ餌ニナツテ居ルノデアリマシテ、簞笥
  ノ肥ニナツテ居ルト申シマスガ、之ヲ政府
  ノ何處デアリマシタカ、色々御考ヘニナリ
  マシテ、一昨日ノ新聞ナドヲ見マシテモ、
  國民服ノ色彩ヲ緩和シテ、色モ柄モ好ミ勝
  手次第ト云フコトデ、閣議デ戰時衣生活簡
  素化實施要綱ト云フモノガ決定サレテ、國
  民服及ビ婦人標準服ガ出來タ、背廣デモ宜
  イカラソレヲ破レルマデ着ロ、國民服モ色
  モ何デモ宜シイト云フヤウナコトヲ御公示
  ニ相成ツタノデアリマス、私ハ洵ニ結構ナ
  コトダト思フノデアリマスガ、殊ニ私ガ思
  ヒマスコトハ、大政翼贊會ノ實踐運動ニ於
  テ、常會デ揃ヒノモンペヲ造ルコトヲ廢メ
  マセウト云フ宣傳ヲシテ居ルナドト云フコ
  トハ、是ハ洵ニ效果大デアリ有效デアリア
  ス故ニ、一層政府ニ於テモ御努力ヲ願ヒタ
  イト思ヒマス、唯茲デ如何ニモ小サイ問題
  ノヤウデゴザイマスガ、此ノ頃聞ク所ニ依
  リマスト、縫絲ガ足ラヌ、更生衣服ヲ造ル
  ニモ縫絲ガ足ラス、縫糸トハ何ゾヤト言へ
  バ縫フ糸デアリマシテ、衣料切符ヲ見マ
  スト一人ニ付テ十匁宛アルサウデアリマス
  ガ、衣服ヲ縫ヒ換ヘルニハアレダケデハ足
  ラヌサウデアリマス、斯ウ云フ小サイ問題
  ヲ商工大臣ニ彼此レ申スノデハアリマセヌ
  ガ、果シテ然リトスレバ、此ノ縫絲ニ將來
  配慮ヲ致サナケレバ、如何ニ更生衣服ヲ造
  レ、退藏衣服ヲ斯ウセヨト云ツテモ出來ナ
  イノデ、是ハ篤ト御考へ願ヒタイト思フノ
  デアリマス
  モウ一ツ私ガ今行キ過ギト申シマシタ
  ノハ言葉ガ惡イノデゴザイマスガ、餘リ
  ニ揃ヒノ衣服ヲ作ルト云フコトガアルノ
  デ、是ガ爲ニ衣料ヲ使フコトハ夥シイモノ
  ガアラウト思ヒマス、過去ノコトハ私ハ中
  シマセヌガ、現ニ此ノ頃私關西地方ヘ參リ
  マシテ遭遇シタ實話ヲ申上ゲテ御參考ニ供
  シテ、私ノ質問ヲ終リタイト思ヒマス、此
  ノ頃關西ノ方へ參リマシタ時ニ、恰モ訓練
  警戒警報ノ時デアリマシテ、旅デ「ゲート
  ル」ヲ卷イテ步キマセナンダノデ、外ヘ行
  ツテモ「ゲートル」ヲ卷カヌ者ニハ物ヲ賣ラ
  ヌ、洵ニ緊張シタルコトデアリマシテ、是
  ハ宜イノデアリマスガ、又或ル都市ヘ參リ
  マスト、中折帽ヲ被ツテ步キマシタラ、交
  番ノ前ニ立タサレタ、此ノ緊張シタル訓練
  警戒警報ノ時ニ戰鬪〓ヲ被ラズニ道ヲ步ク
  トハ何事ダト云ツテ立タセラレタ、私ハ立
  タセラレナカツタガ、殆ド全部立タセラレ
  タト云フ有樣デアリマス、私ハ警防團其ノ
  他ノ諸君ガ戰爭共ノモノノ如ク緊張シテ居
  ラレル、其ノ氣分ニ對シマシテハ心ヨリ大
  イニ敬意ヲ表シナケレバナラヌ、私自身モ
  戰鬪帽ヲ買ツテ被リマシタ、是ハサウシナ
  ケレバナラナイト思ヒマスガ、一面斯ウ云
  フ衣料ヲ消費スルト云フ側カラ見マスレ
  バ、鐵兜ガアレバ彈除ケノ效果ガアルノデ
  アリマスガ、中折帽デアレバ之ヲ利用スル
  ト云フコトヲ考ヘタラドウカ、「ゲートル」
  ハ最早町ヲ何處ヲ搜シテモナイト云フ有樣
  デアリマスガ、私ハ決シテ此ノ緊張シタル
  氣分ヲ彼此レ言フ譯デハナイ、是ハ大イニ
  敬意ヲ表シテ、吾々モ緊張シナケレバナラ
  ナイガ、此ノ衣料ヲ無駄ニ使ハス、サウシ
  テ衣料國策ノ上ヨリシテ、ソレヲ何トカ變
  更シテ利用スルト云フ風ニ一ツ御考ヘヲ願ツ
  タナラバドウカ、折角斯ウ云フコトヲ閣議デ
  御決定ニ相成リマシテ、宣傳サレテ居ル時デ
  アリマスガ故ニ、私ハ斯ウ云フコトニ對シテ
  自分ノ實例ヲ申上ゲ、又多クノ人ノ批評モ
  申述ベテ、衣料國策ノ上ニ參考ニ供シテ戴
  キタイト思ヒマスガ、何カ御所見デモ得レ
  バ幸ヒト思ヒマス、私ノ質問ハ是デ終リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=79

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• 080・岸信介

  ○岸國務大臣　御話ノ事柄ハ私共モ全然同
  感デアリマス、今御讀ミニナツタ政府ガ最
  近衣料ノ簡素化ニ關スル方針ヲ閣議デ決定
  シテ發表致シテ居リマスノモ、全ク御趣旨
  ト同ジデ、出來ル限リ在來アル所ノモノヲ
  利用シ、活用シテ濟マス、國民服ニ付キマ
  シテモ色合デアルトカ、地質ヲ問ハナイト
  云フ風ニ言ツテ居リマス、其ノ他總テノ指
  導ニ付キマシテモ、出來得ル限リ有合セノ
  モノヲ活用シテ濟マセテ行クヤウニ進ンデ
  參リタイト思フノデアリマス、又色々ナ會
  合等ニ付キマシテモ政府部內ノ中合セトシ
  マシテハ、服裝ニ付テハドウ云フ服裝デナ
  ケレバナラヌト云フコトハ大體止メヨウ、
  何デモ見苦シクナイ恰好デアレバ宜イ、從
  來「モーニング」デナケレバイカヌトカ、或ハ
  國民服デ儀禮章ヲ着ケルト云フ事柄ヲ要件
  トシテ居ツタヤウナ會合デアツテモ、出來
  ルグケ服裝ハ自由ニシテ見苦シカラス恰好
  デアレバ差支ヘナイト云フヤウニヤツテ
  行カウト云フ考ヘデ指導致シテ居リマスノ
  デ、各方面モ此ノ趣旨ニ副ウテ御協力ヲ願
  ヒタイト思ヒマス、又衣料ノ更生ニ付キマ
  シテ縫絲ノ御話ガアリマシタガ、是ハ私共
  モ實ハ聞イテ居ル所デアリマス、昨年アノ
  切符ヲ決メマス時ニ實ハアレヲ特ニ小切符
  ノ中ニ入レマシタノハ實際縫絲ガ足リマセ
  ヌデ、一部ノ人ノ所ニ偏在シテ却ツテ實際
  ノ人ハ困ルト云フノデ、少クトモ各人ニ一
  定量ハ行キ渡ルヤウニアノ小切符ヲ作ツタ
  ノデアリマス、更ニ衣料ノ更生ノ爲ニ縫絲
  ガ要ルト云フ事柄モ考ヘマシテ、是等ニ付
  テノ方法モ色々考究致シテ居リマスガ、國
  民ノ有合セノ着物ノ更生ト云フコトニハ出來
  ルダケ政府ノ方カラモ協力シテ行ク、サウ
  シテサウ云フ機運ヲ釀成シ進メテ行ク、斯
  ウ云フ風ニ進ンデ參リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=80

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• 081・木暮武太夫

  ○木暮委員長　只今ヨリ祕密會ニ入リマス、
  議員、政府委員以外ノ方ノ御退場ヲ願ヒマ
  ス
  〔午後零時十三分祕密會ニ入ル〕
  〔午後零時四十五分祕密會ヲ終ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=81

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• 082・木暮武太夫

  ○木暮委員長　祕密會ハ終リタル旨ヲ述べ
  午後一時迄休憩スル旨ヲ宣告ス
  午後零時四十六分休憩
  午後一時十三分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=82

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• 083・木暮武太夫

  ○木暮委員長　休憩前ニ引續キ會議ヲ開キ
  マス-上田孝吉君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=83

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• 084・上田孝吉

  ○上田委員　私ハ企業整備ニ伴フ勞務ノ關
  係ニ付キマシテ、厚生大臣ニ御質問致シタ
  イト思ヒマス、今囘ノ整備ハ旣ニ政府ガ聲明
  サレ、又昨日ノ總理大臣ノ御演說ニモアリ
  マシタヤウニ、戰力增强ニ必要ナル徹底的
  ナ企業整備ヲスル、隨テ其ノ反面ニ於テ相
  當ナ勞務ノ供出ヲ計畫サレテ居リマスコト
  ハ明カナ事實デアリマス、ソコデ勞務ノ供
  出ニ付テノ再配置ヲドウ云フ風ニ大臣ハ御
  考ヘニナツテ居ルカ、又過去ニ於ケル企業整
  備ニ依ル勞務ノ供出ガドウ云フ程度デアツ
  タカ、又其ノ配置ハドウ云フ工合デアツタ
  カ、今日此ノ一大變リ目ニ際シマシテ、過
  去ニ於ケル勞務配置ヲ改善スル必要ノアル
  モノガ多々アルト存ズルノデアリマス、改
  善ノ主ナル點ハドウ云フ點デアルカト云フ
  コトヲ數字ニ亙ツテ差支ヘナイモノハ御
  示シ願ヒタイ、但シ祕密會等ニ依ラナケレ
  バ御示シノ出來ナイモノハ、數字ヲ省イテ
  下サツテ宜シイト思ヒマス、先ヅ總括的ニ
  ソレヲ初メニ承ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=84

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• 085・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　只今御尋ネノ第一點ノ今
  囘ノ企業整備ニ伴ヒマスル所謂勞務ノ配置
  轉換ノ、計畫策定ニ關スル御尋ネニ付キマ
  シテ御答ヘヲ申上ゲマス、此ノ配置轉換ノ
  計畫ヲ策定致シマスルニ付キマシテハ、其
  ノ轉換ノ適否ヲ考案致シマスル主要ナルモ
  ノト致シマシテ、今囘ノ整備ノ對象ガ第一
  ニ工業部門、生產部門デアリマスル關係カ
  ラ、從來ノ技能、技術、或ハ經驗ト云フヤ
  ウナモノヲ重ク取リマシテ、是ガ轉換先ニ
  於テ直チニ從來ヨリ以上ニ其ノ生產能力ヲ
  發揮シ得マスルヤウニ、出來レバ職員モ勤
  勞者モ一體トナツテ轉換ガ出來ルヤウニ計
  畫ヲ樹テ、而モ其ノ轉換ノ爲ニハ當然勞務
  者ノ家庭ノ事情、或ハ轉換ニ伴ヒマシテハ
  出來ルダケ其ノ地域ノ需給關係ニ鑑ミ、出
  來ルダケ移動ヲ少範圍ニ限局致シタイト考ヘ
  テ居ル次第デアリマスガ、併シヤハリ移動
  モ行ハレル譯ニナリマスルノデ、若シ轉業
  ヲシナケレバナラナイナラバ、其ノ先ノ住
  宅ノ施設ガ完全シテ居ルカ否カ、又住宅ノ
  利用、旣設建築物等ノ活用、又新タナル寄
  宿舍、或ハ其ノ他ノ新設ト云フヤウナコト
  トドウ關係ヲ持ツダラウカ、或ハ運輸ノ關
  係モアリマス、更ニ其ノ人ノ轉換後ニ於ケ
  ル處遇、身分、地位或ハ收入、色々ノ點カ
  ラ勘案致シマシテ、是等ノモノヲ其ノ計畫
  ノ重要ナ要綱ト致ス考へデアリマシテ、之
  ニ對シマシテハ勿論各業種ニ付キマシテ配
  置轉換計畫ヲ策定シテ行ク譯デゴザイマス
  ルガ、此ノ際只今申上ゲマシタヤウナコト
  ニ關シマシテハ、各業種ノ統制會、或ハ產
  業團體等ノ參畫ヲ求メマシテ、ソコニ實情
  ニ卽シタ一ツノ轉換計畫ヲ策定シテ、其ノ
  計畫ニ從ツテ只今申シマシタヤウニ轉換ヲ
  進メテ行ク、以テ此ノ企業整備ノ狙ヒデア
  ル急速ニ戰力ヲ增强スルト云フコトガ、如實
  ニ行ハレルヤウニ進メテ行キタイト考ヘテ
  居ル次第デアリマス、而シテ過去ノ轉換ニ
  關シマシテハ、金鑛山等ノ問題ニ付キマシ
  テハ只今申上ゲマシタヤウナ、卽チ今囘
  ノ企業整備ノ狙ツテ居リマスル轉換計畫樹
  立ノ要綱ト殆ド同ジ狙ヒヲ以チマシテ、金
  鑛山ノ配置轉換ヲ鑛山開發會社等ト一緒ニ
  ナリマシテ策定ヲ致シ、之ニ依リマシテ配
  置轉換計畫ヲ致シタ次第デアリマス、幸ヒ
  ニシテ同ジ企業ノ中ノモノガ相當ゴザイマ
  ス、是等ハ同一企業內ニ於テ移動ガ出來マ
  シタノデ、從業員、職員一體トナツテ轉換
  スルヤウナコトガ出來マシタガ、之ニ對
  シマシテモ將來改善ノ主ナル點ハ何ダト
  云フ御尋ネデゴザイマシタガ、過去ノ事
  績ニ鑑ミマシテモ、暖イ所カラ寒イ所ニ
  同ジ企業界ノ中デ轉換ヲ致シマシタ團體
  ガゴザイマス、是ハ南九州カラ岐阜縣ヘ
  出タノデアリマスガ、是ガ土地ガ物資ノ割
  合ニ餘裕ノアル海岸地帶デ、食糧モ良カツ
  タソレニ又溫カイ爲ニ着物等ニ對シテモ
  餘リ考慮ノ要ラナカツタモノガ、岐阜縣ヘ
  出マシテ、今ノヤウニ生活事情ガ非常ニ變
  ツテ來タト云フヤウナコトノ爲ニ、偶〓ソ
  レノ中ニ居リマシタ或ル勞務者ノ中ニ色々
  誤解ノ點ガ生ジマシテ、是ガ爲ニ勞務管理
  上ニ不愉快ナ出來事ガ發生シタト云フヤウ
  ナコトモアリマスノデ、斯ウ云フ點ニ關シ
  マシテハ十分ニ此ノ策定ヲ致シマスル時ニ
  能ク勘案スルコトハ勿論、此ノ配置轉換後
  ニ當リマシテモ、此ノ點ニ付テ十分ニ注意
  ヲ加ヘテ參リタイト考ヘテ居ル次第デアリ
  やく、而シテ全鑛山ニ於キマシテハ洵ニ
  此ノ配置轉換ガ順調ニ參ツタノデアリマス
  ルガ、ソレデモ實際離散防止ヲ致サウト云
  フ目的ノ爲ニ手ヲ打チマシタノハ、卽チ指
  定工場デゴザイマセヌデシタモノヲ、指定
  工場ニ致シマシタノハ二月ノ末デゴザイマ
  シタガ、是ガ愈〓轉換ヲ致シマシタノハ四月
  ニナツテ居リマス、此ノ期間ヲ出來ルダケ
  短クスルト云フコトガ望マシイコトデアリ
  マスガ、先ヅ過去ノ實績ニ於キマシテハサ
  ウ云フヤウナ風デゴザイマス、而シテ此ノ
  轉換ハ非常ニ工合好ク參リマシテ、今日ノ
  所デハ一万數千ノ配置轉換ヲ要スル從業員
  ノ中デ、大體一万千近クハ既ニ轉換ヲ終了
  シテ居ルヤウナ次第デゴザイマスルシ、又
  住宅等ノ設備ガ、金山等ハ相當良クアリマ
  シタガ、色々長イ間ノ生活ノ關係カラ家族
  ノ移轉ハマダ一万ニハ達シテ居リマセヌ
  ガ、旣ニ一万ニ近イ相當多クノ家族ガ移動
  ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリマス、同樣
  ニ過去ニ於キマスル炭山ノ方ニ於キマシテ
  ハ、鑛山統制會ガ參畫致シマシテ、同樣ノ
  配置轉換計畫ヲ樹立致シ、同樣ナ意味ノ考
  慮ヲ致シタ次第デアリマスルガ、是ハ時期
  ガソレヨリ遲ウゴザイマスルノデ、其ノ數
  字等ニ至リマシテハマダ金山ノヤウニハ參
  ツテ居リマセヌ、而シテ小サイ、殊ニ半農
  半鑛ト云フヤウナ性質ヲ持ツテ居リマシタ
  小鑛山等ノモノニ對シマシテハ、今後色々
  ノ措置ヲ要スルト考ヘテ居ルヤウナ次第デ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=85

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• 086・木暮武太夫

  ○木暮委員長　新聞記者ノ方ニ一寸申上ゲ
  マスガ、今大臣ノ御發言中、南九州カラ岐
  阜ヘ移ツタ勞務者デ騒ギガ少シアツタヤウ
  ダト云フコトハ、是ハ新聞ニ書カヌヤウニ
  御願ヒシテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=86

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• 087・上田孝吉

  ○上田委員　只今ノ御說明デ大體諒承致シ
  マシタガ、丁度茲ニ住宅問題ガ出マシタカ
  ラ、實ハ住宅問題ハ後デ聽ク積リデアリマ
  シタガ、序ニ御聽キ致シマス、住宅ハ勿
  論住宅營團デヤツテ居ルノデアラウト思ヒ
  マスガ、是ガ斯ノ如キ急速ナル企業整備ノ
  勞務者ニ對スル住宅トシテ、臨機急激ナル
  增加ヲ圖リ得ル準備ガ出來テ居ルカドウ
  カ、勿論營團ノ方々ハ一生懸命ヤツテ居ラ
  レルノデアラウシ、資材モ不足シテ居ル際
  デハアリマスルノデ、其ノ邊ノ事情ハ萬々分
  ツテハ居リマスシ、又御推察モ致スノデアリ
  マスケレドモ、ヤハリ非常ニ粗末ナ住宅ガ
  相當ニ多イヤウナコトモ聞イテ居リマス、
  又竣功サレル期間ガ相當ニ遲レテ居ルヤウ
  ナ點モ漏聞クノデアリマスガ、今囘大企業
  整備ニ際シテハ、サウ云フコトノナイヤウ
  ニ、住宅問題ガ相伴ウテ行クコトガ出來ル
  カドウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=87

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• 088・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　只今御話ノゴザイマシタ
  通リ、緊急ニ配置轉換ヲ行ヒマスノデ、住
  宅問題ハ非常ニ大キナ問題デアルト存ジマ
  ス、是ガ能率ヲ直チニ發揮シテ、貰フト云フ
  上カラ見マシテ、極メテ緊急ナ問題デアリマ
  スノデ、今囘只今申上ゲマシタヤウニ配置
  轉換ヲ策定致シマス時ニ、轉換先ノ住宅ニ
  付キマシテハ、大キナ計畫樹立ノ一要綱トシ
  テ取下ゲル次第デゴザイマスノデ、受入先
  ニ於ケル既設ノ建物ト云フヤウナモノハ出
  來ルダケ利用スル、寄宿舍、舍宅、曾テノ勞
  務者ノ住宅デ使ヘルヤウナモノ、寺院ト云
  フヤウナモノハ出來ルダケ之ヲ活用シテ、
  サウシテ行ク者ガ住宅難ト云フコトノ爲ニ
  勤勞力ヲ十分ニ發揮出來ナイト云フヤウナ
  コトノナイヤウニ手ヲ打ツテ、而シテ後ニ
  轉換シテ行クト云フヤウナコトモ考ヘテ居
  ル次第デゴザイマスガ、尙ホソレダケデハ
  心許ナイ點モゴザイマスノデ、本年ノ物動
  計畫ノ中ニ此ノ企業整備ニ伴フ所ノ勞務者
  ノ住宅トシテ、相當量ノ普通鋼材及ビ木材
  ヲ計上シテ居ルヤウナ次第デアリマス、ニ兩々
  相俟チマシテ住宅間題ヲ解決シテ行ク、
  斯ウ考ヘテ居ルヤウナ次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=88

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• 089・上田孝吉

  ○上田委員　ドウカ住宅ノ問題ハ只今ノ御
  說明ノヤウニ、獨リ新築ノミナラズ、凡ユ
  ル設備ヲ利用シテ、此ノ大企業整備ニ對シ
  テ御運ビ願ヒタイト思フノデアリマス、ソ
  コデ住宅問題ト最モ密接ナ關係ガアリ、又
  勞務ノ配置轉換ニモ關係ノアリマス家庭勞
  務竝ニ家庭工業ノ問題デアリマス、今囘ノ
  此ノ大企業整備ニ當リマシテ、家庭勞務ノ
  配置轉換ニ付テノ計畫及ビ其ノ見積リト云
  フヤウナモノニ對シテハ、ドウ云フヤウニ
  御考ヘニナツテ居ルカト云フコトト、
  同時ニ所謂授產場ノ問題デアリマス、家庭
  勞務ハ一面カラ申シマスト、ヤハリ授產場
  ガ最モ大キナ關係ヲ持ツノデアリマスガ、
  此ノ授產場ハ大體六大都市初メ都會ニハ相
  一當ニ設備ガ出來テ居リマスケレドモ、然ラ
  ザル所ニ於テハ、未ダ至ラザルモノガ相當ニ
  多イト思フノデアリマス、然ルニ今日ノ此ノ
  大企業整備ニ依ル勞務ノ配置轉換ヲヤル場合
  ニ於テノ家庭勞務ヲ考へタ場合ニ於テハ、
  都會ニノミ重點ヲ置ク譯ニ行カナイコトハ
  申スマデモナイノデアリマスカラ、ソコデ
  此ノ家庭勞務ノ活用ト相俟ツテ授產場ト云
  フモノノ都會以外ニ對シテノ增設計畫ヲド
  ウ云フヤウニ御考ヘニナツテ居ルカドウ
  カ、又從來半額ガ國庫負擔ニナツテ居タト
  思フノデアリマスガ、是ガ大增設ヲシヨウ
  ト考ヘルニ付テハ、全額ヲ國庫負擔ニスル
  ト云フ御考ヘガアルカドウカト云フコトヲ
  御伺ヒシタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=89

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• 090・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　只今ノ上田君ノ家庭勞務
  ノ活用ガ最モ必要デアルト云フ仰セ、洵
  御同感至極デゴザイマシテ、此ノ際敢テ企
  業整備ニ拘ハリマセヌガ、大イニ家庭勞務
  ヲ活用致シマシテ、此ノ軍需方面ノ中ノ輕
  作業ト云フヤウナモノノ上ニ大キナ貢獻ヲ
  致サセタイト云フコトヲ考ヘテ居ル次第デ
  アリマス、隨テ授產場モ過去ニ於キマシ
  テ全國二百數十箇所ノ授產場ガゴザイマシ
  タガ、今囘之ヲ只今ノ御指摘ノ通リ都會ニ偏
  セズ、各地ニ之ヲ普ク產業整備ノ立地的條
  件ト睨ミ合セマシテ、之ヲ大イニ擴充シ、
  從來ノ約倍數ニスル豫定ニナツテ居リマ
  ス、卽チ合ハセマシテ約六百箇所位ニナル
  豫定ニナツテ居リマス、之ニ對シマスル豫
  算的措置ノ問題デアリマスルガ、今囘ハ半
  額ノ國庫補助ト云フコトニナリマシテ、經
  費ヲ計上致シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=90

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• 091・上田孝吉

  ○上田委員　是ハ半額デ既ニ御決メニナツ
  テ居レバ已ムヲ得ヌノデアリマスガ、私共
  ノ理想カラ言ヘバ、是ハヤハリ全額負擔ガ
  適當デハナイカト云フ風ニ思ヒマスカラ、
  特ニ其ノ點ハ御考慮ノ中ニ御入レヲ願ツテ
  置キタイト存ズルノデアリマス
  ツコデ次ニ企業整備令ノ勞務供出デ問題
  ガ出テ來マスノハ、壯年者ハ勿論問題ハ
  アリマセヌ、何處デモ歡迎スルノデアリマ
  スカラ結構デアリマスガ、所謂四十歲以
  上ノ者ト、更ニ五十歲以上ノ者ト、此ノ二
  種類ダト思ツテ居リマス、例ヘバ重工業
  等ノ工場デ聽キマシテモ、四十歲以上ニ
  ナルト、ドウモ或ル年月鍊成ヲ致シ
  マシテモ熟練工ニハナラナイ、或ハド
  ウモ仕事ノ能率ガ惡イト云フヤウナコト
  デ、相當毛嫌ヒサレル口モアルヤニ聽ク
  ノデアリマスガ、勿論ソレハ壯年者ノヤウ
  ニハ行カナイ點モアリマセウケレドモ、併
  シナガラ適當ニ之ヲ訓練シ、又配置ヲ致シ
  マスナラバ、四十歲以上五十歲位マデノ者
  ハ十分使フ途ガ勞務ニ於テアルト思フノデ
  アリマス、此ノ四十歲以上五十歲マデノ勞
  務ノ活用ノ御方針ハドウナツテ居ルカ、更
  ニ四十歲臺ヨリハ面倒デアリマスガ、五十
  歲臺、所謂六十歲位マデノ勞務ノ活用ハド
  ウナツテ居ルカ、特ニ之ヲ申シマスノハ、
  企業整備ニ依ル轉廢業者ニハ四十歲以上、
  或ハ特ニ五十歲以上ト云フモノガ相當多イ
  ノデアリマシテ、壯年者ハ或ハ應召、徵用
  其ノ他從業員トシテ、又轉廢業シテ居ルノ
  デアリマスカラ、斯ウ云フ四十歲臺、五十
  歲臺ノ者ガ多イノデアリマス、ダカラ企業
  整備カラ出テ來ル勞務ノ供出ト云フコトニ
  付テハ、此ノ二ツノ臺ノ勞務ヲドウ云フ風
  ニ活用スルカト云フコトガ非常ニ大キナ影
  響ガアルト思フノデアリマスガ、之ニ對ス
  ル政府ノ御所見ハ如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=91

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• 092・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　御言葉ノ通リ四十歲以
  上、或ハ五十歲ト云フヤウナ年齡級ノ人
  ニ對シマシテハ、過去ニ於テ、モウ其ノ
  年ニナツテカラハ生產ニ從事サセルノハ
  遲過ギルト云フヤウナ聲モゴザイマシ
  タガ、色々ノ鍊成施設ニ於ケル結果ニ鑑
  ミマスルト、四十歲、五十歲ハマダ〓〓
  立派ナモノデアルト云フ喜バシキ結
  果ヲ得テ居リマスノデ、此ノ年齡級
  ノ方ヲ何處マデモ生產方面ニ活用スルト
  云フコトノ御意見、全ク御同感ナノデゴザ
  イマス、併シナガラヤハリ年ハ年デゴザイ
  マシテ、ドウシテモ年齢ノ都合上工合ノ宜
  クナイ、鍊成ヲ受ケテモドウモソコマデ行
  キ得ナイ人ハ、是ハ當然生ズルノデアリマ
  マシテ、此ノ人達ニ對シマシテハ何處マデ
  モ一ツノ共同勤勞施設ト云フモノヲ利用
  シ、或ハ家庭勞務トシテ働カセルト云フヤ
  ウニシ、更ニ是等ノ人ヲ適當ナル國家ノ要
  請致シテ居リマスル生產方面ノ關聯職ニ就
  職ヲ斡旋スルト云フコトノ爲ニ、玆ニ十分
  準備ヲ進メテ居ルヤウナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=92

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• 093・上田孝吉

  ○上田委員　モウ少シ此ノ問題ハ詳細ニ御
  聽キシタイノデスガ、段々時間ガ詰リマス
  カラ其ノ邊ニシテ置キマス
  次ニ國民勤勞訓練所ノ點デアリマスガ、
  私共ハ此ノ國民勤勞訓練所ガ今日ノ勞務ノ
  上ニ於テ非常ナ役割ヲシテ居ルト云フコト
  デ、此ノ施設ヲ盛ラレマシタコトニ付テ
  ハ、心カラ贊意ヲ表シテ居ルノデアリマ
  ス、實際私共見學シテ參リマシテモ、アノ
  今マデ何モ勤勞ニ從事シテ居ラナカツタ者
  ガ、僅カ一箇月ヤソコラデアソコマデ立派
  ニ仕立テラレルカト云フコトニ付テハ、全
  ク頭ガ下ルヤウナ氣ガスルノデアリマス、
  ソコデ企業整備ニ依ル勞務ニ付テハ、ドウ
  シテモ國民勤勞訓練所ヲ一遍通ス必要ガア
  ルト思フノデアリマス、唯遺憾ナガラ今マ
  デハ此ノ訓練所ガ僅カニ二箇所シカナカツ
  ク、ソレガ又二箇所殖エルコトニナツテ、
  更ニモウ一箇所ダケ何デモ今年御設ケニナ
  ルノデ、現在動イテ居ルノハ二箇所デアル
  ガ、御計畫ニナツテ居ルモノヲ入レルト五
  箇所ト云フコトデアルラシイノデアリマス
  ガ、私ハソレデモマダ今ノ大企業整備ノ觀
  點カラ言ヒマスト、勤勞訓練所ガ遙カニ足
  リナイト云フ感ジガ致スノデアリマス、併
  シナガラ色々ノ設備ヤ、事務ノ都合デサウ
  急速ニ殖ヤスコトガ出來ナイト云フコトモ、
  是モ亦事情御尤モノ點モアラウト思フノデ
  アリマスカラ、ソコデ勤勞訓練所ガドウシ
  テモ足リナイ部分ニ付テハ、受入レル工場
  ニ於テ勤勞訓練所ニ代ルダケノ訓練ノ施設
  ヲサセルノガ一番適當デアルト考ヘルノデ
  アリマス、隨テ此ノ受入工場ニ付テハ、厚
  生省トシテハドウ云フヤウナ指令ヲ御下シ
  ニナツテ、國民勤勞訓練所ヲ經テ來ナイ轉
  廢業者ノ訓練ヲヤラシテ居ラレルカ、又將
  來ドウ云フ風ニ受入工場ニ對シテヤラセル
  御方針デアルカト云フコトヲ承リタイノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=93

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• 094・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　國民勤勞訓練所ガ生產面
  ニ非常ニ役立ツテ居リマスコトハ、洵ニ御
  同慶ノ至リニ存ズル次第デアリマス、今日
  二箇所アリマシタ外ニ今御心配ヲ戴キマシ
  タアトノ二箇所モ六月ノ多分十八日カラ開
  所スルヤウニナリマシテ、更ニ今囘豫算
  上ニ計上致シテ居リマスル一ツノ訓練所ガ
  出來マスレバ、全國ニ丁度是デ五箇所ニナ
  リマシテ、一年ニ五万人ト云フコトニナリ
  マス、勿論御說ノ通リ、之ヲ以テ全部ヤル
  コトハ出來マセヌ、殊ニ今囘ノ企業整備ニ
  依ル多數ノ人達ニ對シマシテハ、補助的ニ
  只今補導所ガ全國ニ數百箇所ゴザイマシ
  テ、是ガヤハリ一年ノ補導〓育ノ能力ガ二
  万七、八千ノ能力ヲ持ツテ居リマスノデ、之
  ヲヤハリ利用致シタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘ
  テ居リマス、併シナガラ更ニ今囘ノ企業整
  備ノ對象ガ第一ガ生產部門デゴザイマシ
  テ、從來ノ如キ所謂中小商工業ノ轉廢業者
  トハ少シク質ガ變ツテ居ルト云フ實ニ良
  イ所ガアリマスノデ、アノ時ノアノ狀態ニ
  對處スルガ如ク、勤勞訓練所ノ非常ニ澤山
  ノモノガ今要リ、而モ、受入工場ガ直チニ
  ソレト同ジヤウナ施設ヲシナケレバナラヌ
  ト云フ面モ亦多少アルト考ヘマスガ、サリ
  ナガラ此ノ就職前ニ產業報國會、或ハ商業
  報國會デ鍊成ヲナスコトハ勿論、更ニ受入
  工場ニ於キマシテ適當ナル鍊成ヲシナケレ
  バ、受入工場ガ十分ノ生產能力ヲ擧ゲ得ナ
  イヤウナモノガアルト致シマスルナラバ、
  現在ヤハリ特殊ノ工場ニ於テ、工場自體ニ
  於テ一月位ノ訓練施設ヲ致シテ居リマスル
  ヤウナ方法ヲモ併セ考慮スルト云フ風ニ指
  導ヲ致シテ行キタイ、斯ウ云ン風ニ考ヘマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=94

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• 095・上田孝吉

  ○上田委員　次ニ此ノ從業員ノ勞務ニ付テ
  ハ、集團强制的ニヤラスト云フコトガ政府
  ノ方針トシテ現ハレテ居リマスルガ、洵
  私共ハ集團的ニヤラレルト云フ點ニ付テハ
  贊成致シマス、ソコデ勿論此ノ度ノ企業整
  備ハ極ク數量ハ少イノデアリマスルケレド
  モ、尙ヤハリ第一次ノ小賣業整備以外ノ業
  主ガ整備サレルノデアリマスカラ、出テ來
  ルノデアリマス、所謂業主、自分ガ商賣ヲ
  ヤツテ居ルト云フ業主ノ勞務ト云フモノヲ
  ドウ云フヤウニ活用サレル御方針デアル
  カ、是ハ從業者側ノ勞務活用トハ少シ又趣
  キヲ異ニスルノデアリマスカラ、其ノ方針
  ヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=95

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• 096・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　業主ニ付キマシテモ、若シ
  此ノ業主ノ中デ勤勞者トシテ重要產業部面
  ニ働キ得ル、又サウ云フ希望ヲ持ツ人達ガ
  アリマスレバ、是ハ從業者ト同ジヤウニシ
  テ一〓ニ配置ヲ致シテ行クト云フ風ナ計畫
  ヲ立テテ行キタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居
  リマスルガ、ドウシテモサウデナイ人達ニ
  對シマシテハ、是ハ別箇ニ、ヤハリ先程ノ
  鍊成ト云フヤウナコトト關聯ヲ致シマシ
  テ、措置ヲ致シテ行キタイ、斯ウ云フ風ニ
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=96

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• 097・上田孝吉

  ○上田委員　更ニ承リタイノハ今囘ノ此ノ
  企業整備ニ依ツテ尙更出テ來ル現象ト思フ
  ノデアリマスルガ、相當ノ轉廢業資金ヲ受
  ケル、隨テマア年モ四十カ五十ニモナツ
  テ居ルカラ、暫クハ居食ヒシテ居ラウト云
  フ者ガ出來ル虞ガアルデアリマス、過去ニ
  於テモ都會等ニ於テハ遺憾ナガラサウ云フ
  面モナイトハ言ヘナカツタノデアリマス、
  大キナ商賣ヲシテ居ル問屋ト云フヤウナモ
  ノヲヤツテ居ル者ニハ、サウ云フ面ガ絕對
  ナカツタトハ言ヒ兼ネヌ點モアルト思フノ
  デアリマスルガ、ソコデ斯ウ云フヤウナ所謂
  資金ヲ持ツテ居食ヒヲスルト云フヤウナ者
  ヲ防止スル方法ニ付テハ、何カ御考ヘニナ
  ツテ居ルカドウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=97

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• 098・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　今囘ノ企業整備デ離職ヲ
  致シマスルコトナリマシタル者ハ、離職中
  ノ生活援護資金ガ支給サレルノデアリマス
  ルガ、ソレヲ貰ツテ遊ンデ居ルト云フヤウ
  ナコトガアリマシテハ、トンデモナイコト
  ニナリマスノデ、是等ノ人ハ、只今考ヘテ
  居リマスルノハ、產業報國會等ニ於キマシ
  テ、此ノ離職者達ヲ十分掌握ヲ致シテ終ヒ
  マシテ、時局重要產業ノ方面ニ此ノ人達ヲ
  轉換スルニ必要ナル精神訓練、又身體鍊成
  ヲ行ヒタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマ
  ス、而シテ其ノ鍊成ヲ終ヘマシタ者ヲ或ル
  人數ヅツヲ、假ニ之ヲ勤勞小隊ト言ツテ居リ
  マスガ、サウ云フヤウナ組織ヲ考ヘマシテ、
  此ノ組織ニ依リマシテ、適當ニ此ノ人達ヲ
  工場、事業場ニ進ンデ移動シテ行ク、變ツ
  テ行クト云フ風ニスルヤウニ、何處マデモ
  指導ヲシ、鍊成ヲ致シテ行キタイ、斯ウ云
  フ風ニ思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=98

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• 099・上田孝吉

  ○上田委員　モウ一二點····此ノ度ノ企業
  整備ニ付テ、工業ノ面ニ付テハ第一種、第二
  種第三種ノ部門ニ分タレテ整備ヲサレマ
  スルコトハ、政府ノ發表サレタ通リデアリ
  マス、ソコデ之ヲ三種類ニ分ケルト云フコ
  トニ付テハ、勞務ノ面ガ多分ニ含マレテ居
  ルコトハ、是モ申スマデモナイノデアリマ
  ス、ソコデ此ノ第一種、第二種、第三種ニ
  工業部門ヲ分ケル省ハ、何處ガ御分ケニナ
  ルカ、所謂厚生省ガ御分ケニナルノカ、商工
  省ガ御分ケニナルノカ、何處ガ一體御分ケニ
  ナルノカ、又各省ガドウ云フヤウナ御協議
  ノ下ニ御分ケニナルカト云フコトヲ承リタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=99

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• 100・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　是ハ其ノ主管事項ニ依リ
  マシテ、主管省ガ各〓考ヘテ參ルコトデアリ
  マスガ、今囘ノ企業整備ハ、唯勞務ヲ供出
  スル、或ハ金屬ヲ囘收スル、工場設備ヲ轉
  用スルト云フ一々ノ物ノ面カラ、人ノ面カ
  ラダケ見ルト云フヤウナコトデナクシテ、
  是等ノ總テヲ有機的一體トシテ、整備ノ對
  象トシテ考ヘテ行クト云フヤウナコトニナ
  ツテ居リマスノデ、各省トノ間ノ協議會ト
  云フヤウナモノニ依リマシテ、各省ニ企畫
  院等ガ入リマシテ、之ヲ定メテ行ク次第デ
  アリマス、其ノ上デ其ノ企業整備ノ計畫ガ出
  來又ソレニ卽シマシテ勤勞ノ配置轉換計
  畫ヲ策定シテ行クト云フ譯デゴザイマス、
  其ノ面ハ厚生省ガヤル、斯ウ云フ風ニナル
  次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=100

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• 101・上田孝吉

  ○上田委員　各省ニ企畫院モ入リマシテ協議
  シテヤラレルト云フ今大臣ノ御答辯デアル
  ガ、勿論サウデナケレバナラヌト思ヒマス
  ガ、今政府デサウ云フ風ニ各省ガ御寄リニ
  ナツテ御協議ヲナサル機關ト申シマスカ、
  サウ云フヤウナ組織ガ確定サレテ居ルノカ
  ドウカ、サウ云フヤウニ各省ガ協議シテヤ
  ル積リダト云フ程度デアルカ、ドウ云フヤ
  ウナ機關、ドウ云フヤウナ組織ヲ御作リニ
  ナツテ御決メニナルト云フコトガ御決マリ
  ニナツテ居ルカドウカト云フコトヲ承リ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=101

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• 102・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　企業整備ハ突如トシテ起リ
  マシタ問題デゴザイマセヌノデ、昨年ノ夏
  頃カラ戰局ノ推移ニ鑑ミマシテ、又前議會
  ニ於テ總理ガハツキリ申上ゲテ居リマスル
  通リニ、段々考ヘテ參リマシタ關係上、今
  日マデニ於テ生產擴充委員會ガゴザイマシ
  テ、此ノ生產擴充委員會ニ於テ是等ノ面ガ
  取上ゲラレ、各省ハ所謂資金、人物總
  テノ面カラ綜合的ニ此ノ企業整備ノ目的タ
  ル直接戰力ノ增强集約ト云フコトニ都合ノ
  好イヤウニ整備スル案ヲ〓究シツツアツタ
  次第デアリマシテ、之ニ依リマシテ今囘第
  一種、第二種、第三種ト云フヤウナ分ヶ方
  ヲ致シタノデアリマスガ、是ハ要スルニ國
  家的ニ見マシテ、高能率ノモノガ何處マデ
  モ國家ノ生產ヲ增加擴充スルヤウニスル、
  又低能率ノモノハ當然其ノ企業ガ休廢止サ
  レル、統合ヲスル爲ニ必要ナモノハ統合ス
  ルト云フヤウナコトニナツテ參リマスガ、
  是ハ只今申上ゲマシタヤウナ生產擴充委員
  會デ行ヒ、今後ニ於キマシテハ、此ノ中ニ
  特殊ノ協議會ガ又設置セラレ、此ノ協議會
  ニ於テ決定サレルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=102

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• 103・上田孝吉

  ○上田委員　モウ時間ガゴザイマセヌノ
  デ、最後ニモウ一點ダケ申上ゲテ止メマ
  ス、次ニ勞務者ニ對スル生活援護費或ハ離
  業手當ト云フヤウナモノノ支給ノ手續デア
  リマスガ、是ハ今マデ多クハ產業報國會ノ
  手ヲ經テ居ツタノデハナイカトモ思ハレル
  ノデアリマス、是ハ商業者ノ面ニ付テハ商
  業報國會ヲモヤハリ之ニ携ハラスコトガ適
  當デハナイカト思フノデアリマスガ、御所
  見ハドウデアルカト云フコトヲ承リタイ
  今一ツ最後ニ承リタイコトハ、是等轉廢業
  ニ依ル勞務者ニ對スル保健衞生ノ設備デア
  リマス、病氣ヲシタトカ云フヤウナ場合ノ
  病院トカ、其ノ他ノ設備ニ付テハ、住宅問
  題ト相俟チマシテ、醫者ナリ、藥ナリト云
  フヤウナモノヲドウ云フ風ニ配置サレル御
  考ヘヲ持ツテ居ラレルカト云フコトヲ承リ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=103

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• 104・小泉親彦

  ○小泉國務大臣　生活援護ノ援護費ノ支給
  ノ補助ヲ致シマスノハ、生產部門ノ方面カ
  ラ出マシタモノニ對シマシテハ產業報國
  會、配給部門ノ方カラ出マシタモノ、商業報
  國會、斯ウ云フ考ヘデ居リマス
  ソレカラ住宅等ト關聯致シマシテ、受入工
  場ニ於ケル將來ノ厚生施設ノ問題ニ對スル
  御尋ネデゴザイマスガ、是ハ從來ノ平和產
  業方面ニアリマシタ企業ニ於キマシテハ、
  厚生施設ハ重工業方面ヨリ非常ニ進ンデ居
  リマシタノデ、斯ウ云フモノハ出來ルダケ
  活用、擴充ヲ致シテ行キタイト考ヘテ居リ
  マス
  又生產部門デ今日勤勞者ノ健康ニ最モ問
  題ニナツテ居リマスル結核ノ問題ヲ考ヘ合セ
  マシテ、日本醫療團ノ結核對策、又弱キ人
  ノ保健ノ爲ノ健民修鍊施設ト云フヤウナモ
  ノモ、斯ウ云フ重要產業方面ニ重點ヲ指向
  シテ、施設シ行クト云フコトデ進ミツツゴ
  ザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=104

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• 105・上田孝吉

  ○上田委員　マダ私ノ質問ハゴザイマスケ
  レドモ時間ガ參リマシタカラ是デ質問ヲ打
  切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=105

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• 106・木暮武太夫

  ○木暮委員長　大藏大臣ガオ見エニナリマ
  シタカラ午前中保留シテゴザイマシタ質問
  竝ニ大藏大臣ニ對スル質問ヲ始メマス-
  小山倉之助君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=106

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• 107・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　大藏大臣ニ對スル質問ニ
  入リマス前ニ、臨時租稅措置法中改正法律
  案ニ付キマシテハ、唯一寸一讀シタダケデ
  ハ難解ノ點ガ多イノデアリマス、之ニ付キ
  マシテハ主稅局長カラ審査ノ際ニ御說明ガ
  アツタヤウデアリマスガ、アノ御說明ヲ更
  ニ敷衍ヲ致シマシテ、書類デ以テ御出シヲ
  願ツテ、之ヲ速記錄ニ揭載スルコトヲ委員
  長ニ於テ御計ヒヲ願ヒタイノデアリマス、
  此處デ又御說明ヲ伺ヒマスト餘リニ時間ヲ
  取リマスカラ、方樣ニ御取計ヒヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス、宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=107

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• 108・木暮武太夫

  ○木暮委員長　小山サン今議題ニナツテ居
  ル企業整備資金措置法案ノ中ニアリマスル
  企業整備ニ關スル減免稅ノコトニ付テハ、
  餘リ長クナルカラ書類ヲ提出シテ速記錄ニ
  出スノデスネ-承知致シマシタ、宜シウ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=108

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• 109・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　大藏大臣ニ對シテ御伺ヒヲ
  致シタイノデアリマスガ、本法案ニ於キマ
  シテハ大體ノ資金ヲ封鎖スル、惡性する
  フレーション」ヲ防止スル爲ニハ全ク機宜
  ノ處置デアリマシテ、是レ以外ニハナイト
  存ジマス、唯其ノ中解放スベキ契機ト致シ
  マシテ、租稅トカ、或ハ退職資金トカ、或
  ハ債務ノ辨濟、緊急ナル產業ニ對スル投資
  ハ之ヲ許可スル、斯ウ云フ趣旨デアリマス
  ガ、第一ニ御尋ネ致シタイノハ債務ノ辨濟
  ノ點デアリマス、今日ノ事業ハ大體ニ於テ
  ハ債務ニ依ツテ〓ツテ居ルノデアリマス、
  其ノ債務ハドウ云フ種類ノモノヲ解放ナサ
  ルノカ、特ニ金融機關カラ借リテ居ル金ガ
  多イヤウデアリマスガ、此ノ金融機關カラ
  借リテ居ル債務ハ殆ド無條件ニ全部解放ス
  ルト云フノカ、此ノ點ヲ先ヅ御伺ヒ致シタ
  イノデアリマス

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• 110・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ御尋ネノ點、金融
  機關カラノ債務ハ、只今ノ所殆ド私ハ無條
  件ニ解放シテ轉換セシメテ宜シイ、斯ウ思
  ツテ居リマス

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• 111・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　全ク適當ナ處置ト思フノ
  デアリマス、是ガ封鎖サレマスト、金融市
  場金融機關ノ一時ノ停滯ヲ來ス虞ガアル
  ノデアリマスガ、左樣ナ御取計ヒガアレバ
  金融市場ニモ、金融機關ニモ支障ナク切拔
  ケ得ルト思フ、第二ノ點ハ、緊要ナル產業ニ
  付テハ其ノ投資ヲ認メラレル、斯樣ナコトデ
  アリマスガ、其ノ整備ニ付キマシテハ或ハ
  地方廳ニ於テ整備ノ委任ヲ受ケタモノモア
  ル、中央ニ於テ整備セラレル點モアル、斯樣
  ナ場合ニ如何ナル產業ガ緊急デアルカ、如何
  ナル產業ガ時局ニ適シタモノデアルカ、投
  資ヲ許可シテ宜イモノデアルカト云フコト
  ハ何人ガ判斷スルノデアリマスカ、或ハ地
  方廳ノ許可ヲ得テ中央政府ニ申請スルノ
  カ、或ハ地方長官ノ許可ヲ得ル必要ガア
  ルノカ、左樣ニ致シマスレバ迅速果敢ニ處
  理スルト云フコトハ、或ハ手續ナドノ爲ニ
  遲滯ヲ生ズルヤウナコトガナカラウカ、ド
  チラカト申シマスルト、資金ガ空廻リスル
  ヨリモ、ヤハリ事業ト共ニ動イテ行ツタ方
  ガ宜シイ、斯樣ニ私ハ考ヘルノデアリマシ
  テ、整備ヲ致シマス場合ニハ、成ベク合併
  サルベキ或ハ、統合サルベキ會社ノ株ヲ持タ
  セルト云フヤウナコトヲ致シマスレバ、其
  ノ金ハ空〓リニナラヌ、時局ニ貢獻スル、
  唯封鎖サレテ居ツタダケデハ何等ノ役ヲナ
  サヌノデアリマスカラ、斯樣ナ取計ヒノ必
  要上ト存ジマスガ、其ノ處理或ハ處置如何
  ガ投資家ヲシテ非常ナ煩雜ナ手續ニ煩ハサ
  レルト云フヤウナコトデ圓滑ヲ缺ク虞ガア
  リマスカラ、此ノ點ニ付テ大臣ノ御所見ヲ
  伺ヒタイノデアリマス

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• 112・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　其ノ點ハ中々重要ナ問題
  デゴザイマシテ、債務ノ辨濟ト云フ場合トハ
  餘程趣キヲ變ヘテ掛ラナケレバナリマセ
  ヌ、現在今囘ノ方法ニ依ル資金ノ封鎖ヲ致シ
  マセヌ場合ニ於キマシテモ、新規ノ事業ヲ
  起シマスコトハ非常ニ制限ヲ致シテ居リマ
  ス、殆ド今デハ少額ノモノデモ資金調整法
  ノ認可ヲ得ナケレバナラヌヤウニナツテ居
  リマス、其ノ理由ハ今長ク申上ゲル必要モ
  ナイト思ヒマスガ、是ハ單ニ金ノ面デハア
  リマセヌ、只今ノヤウニ凡ユル原材料、動
  力、勞力ト云フモノヲ戰爭ニ貢獻ヲスル程度ノ
  高イモノニ集中スル必要ガアル、卽チ反面然
  ラザルモノハ原料、資材、動力、勞力ト云フモ
  ノヲ使ツテハナラヌ、ソチラヘ使ヘバ戰力增
  强ノ方ニ必要ナモノガ減ルノデアリマスカラ、
  ソレガ資金調整法ノ主要ナル眼目デアリマ
  ス、隨ヒマシテ其ノ點ハ、、封鎖サレタルモノ
  ト雖モ、封鎖サレザル資金ト雖モ新投資ハ
  嚴重ナル制限ヲ受ケル、詰リ戰力增强ニ集
  中スル爲デアリマシテ、隨ヒマシテ資金調
  整法等ノ認可ノアリマス事業デアリマセヌ
  ケレバ新投資ハ認メ難イ、ソレガアルモノ
  ナラ喜ンデ應ズルコトガ必要デアラウト思
  フ、一方制限ヲ致スト共ニ、一方必要ナ事
  業ニハ必ズ資金ヲ廻ハスト云フ必要ガアリ
  マスカラ、卽チ喜ンデ資金調整法ノ認可ノ
  アルヤウナ事業ニハ解放致スコトニナルノ
  デアリマズ、併シソレハ原則論デアリマシ
  テ、第二ニハサウ云フ事業ニ甲モ乙モ丙
  モ-是ハ封鎖サレタルモノモ封鎖サレザ
  ルモノモ、アルモノヲ皆ガヤリタイト申シ
  マス場合ニハ、ソレハ只今ハ國家ノ原料、
  材料、勞力ト云フモノヲ計畫的ニ按配致シマ
  スカラ、必要ナ事業ト雖モ程度ガアリマ
  ス、例ヘバ今其ノ事業ニ一億圓ノ資本ヲ增
  加スル必要ガアル場合ニハ、一億圓缺ケテ
  モ困ルガ、ソレ以上投資シテモ無用ノ資材
  勞力ヲ使ハナケレバナラヌ、其ノ一億ノ必
  要ガアル場合ニハ、偶≧或ル一人ノミガ一
  億解放シテ貰ツテ、ソコニ投資スレバ宜イ
  ト云フ場合ニハ問題ハナイガ、ソレニ甲乙
  丙皆投資ヲ希望スル場合ニハ、適當ナ按配ヲ
  シナケレバナラヌ、隨テ此ノ場合ニハドウシ
  テモ中央ノ機關デ裁決シナケレバナラヌ、
  是ハ今ノ他ノ新規投資モ同樣デゴザイマ
  ス、隨ヒマシテ率直ニ申上ゲマシテ、斯カ
  ル投資ノ場合ニハ、債務ノ辨濟ノ如ク一目
  瞭然ニ右カラ左ニハ行カスト思ヒマス、是
  ハ今申上ゲマシタ事態カラ當然已ムヲ得マ
  セヌ、併シナガラ、資金調整法等ノ意味カ
  ラ致シマシテモ非常ニ急速ニ運ブコトニ努
  メテ居リマシテ、段々ソレガ實現致シテ居
  リマスルカラ、其ノ意味ニ於テ迅速ニ參ル
  コト勿論デアリマス、又新規事業ニ付テ大
  キナモノハサウデアリマスガ、小サイモノ
  ハアラウト思ヒマスルガ、是ハ只今デモ凡
  ユル動力、資材、原料ヲ戰力ニ集中スル爲
  ニ色々配給部門ヤ、中小工業部門ヲ整備シ
  ナケレバナラヌ事態デアリマスカラ、ドシド
  シサウ云フモノヲ新規事業トシテ認メルト
  云フコトハ、詰リ緊要產業デナイ方ニナリ
  マスカラ、極ク輕微ナモノヲ斯カル會社ガ
  投資スルヤウナコトハ殆ド起ラナイ、皆資
  金調整法ニ掛カルヤウナ仕事バカリデアル
  ト思ヒマス、併シ實情ガ會社ナドデナイモ
  ノデアリマシタナラバ、是ハ一定ノ基準デ
  モ作リマシテ、小サイモノハ地方廳ニ委セ
  マストカ、何トカト云フコトニシタイト思
  ヒマス、尙ホ是ハ〓究ヲ要シマス、ソレヲ
  濫リニヤリマスト、一遍企業整備ヲヤラレ
  テ、又モウ一遍企業整備ヲシナケレバナラ
  ヌヤウナモノヲ拵ヘルコトニナリマスカ
  ラ、是ハ餘程注意ヲ要スルト思ヒマス、ソ
  レカラ第三ハ既ニ出來テ居リマスル會社ノ
  株ヲ買フト云フヤウナ場合デアリマスル
  ガ、此ノ意味ニ於テ私ハ他ノ意味ノ會社ノ
  統合等ト同ジ判斷デ參リタイト思ヒマス、
  現金化ヲ避ケテ寧ロ株ヲ貰フ、併シ株ヲ貰
  フ爲ニハ自分ノ持ツテ居リマスル政府借入
  金等ノ債權ヲ一部處分シナケレバイケマセ
  ヌ、例ヘバ五百万圓持ツテ居リマシテ、二百
  万圓他ノ良イ會社ノ株ナドヲ買フコトガ適
  當ナリト云フ判斷デアリマスレバ、債務證
  書ヲ分割シマシテ、二百万圓ヲ片一方ノ會
  社ニ渡シ、ソレデ以テ株ヲ貰フ、斯ウ云フ
  處置ニモ行クト思ヒマス、大體此ノ面ガ今
  ノ資金化スル方デ一番考慮ヲ加ヘナケレバ
  ナラヌ面デアリマシテ、手續ノ簡易化ト云
  フコトモ無論十分ニ考ヘマスルガ、同時ニ
  判斷ヲ誤リマシテ、又整備シナケレバナラ
  ヌ事業ガ出來ナイヤウニ注意ヲスル必要ガ
  アルノデアリマスカラ、其ノ認可ニハヤハ
  リ愼重ナ考慮ガ要ル部面デアラウト存ジマ
  ス

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• 113・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　只今大藏大臣ノ御說明ニ
  依リマシテ大體ノ構想ガ明カニサレタコト
  ヲ喜ビトスルモノデアリマス、唯私ハ斯ウ
  云フ點ニ付テ御留意ヲ願ヒタイト思ヒマス
  ノハ、既ニ第一種部門ニ於テ企業ノ整備ヲ
  斷行致シマシテ、其ノ資材ノ供出ト勞力ノ供
  出ハ、必ズシモ戰力增强ノ爲ニ-五大產
  業其ノ他ノ重要產業ニ於テハ資材ノ點ハ足
  リナイデアリマセウ、併シナガラ勞力ノ點
  ニ於テハ私ハ必ズシモ足リナイト言ヘルカ
  ドウカト云フ疑ヒヲ持ツノデアリマス、ソレ
  ハ詰リ熟練工ノ問題デアリマス、熟練工ハ
  足リナイガ、所謂素人ノ勞働者ト云フモノ
  ハ或ハ此ノ重點產業ニ吸收スルコトガ出來
  ルカドウカト云フコトニ私ハ疑ヒヲ差挾ン
  デ商工大臣ニ御尋ネヲ致シタノデアリマス、
  併シナガラ此ノ處理モ付クデアリマセウ、
  併シナガラ今日ノ最モ重大ナル問題ハ軍需
  工業ヲドウシテ發達サセルカ、戰爭資材ヲ
  ドウシテ迅速且ツ多量ニ供給スルカト云フ
  コトニナリマスルト、大體第一工業ノ部門ニ
  於テノ整理デ私ハ先ヅ一段落付クノデハナ
  イカ、其ノ他ヲ除キマシテハ、私ハソンナ
  大量ノモノガ出ナイ、デアルカラ、根本政
  策ト致シマシテハ、製鐵ノ增產ヲ圖ルナラ
  バ、「スクラップ」ヲ用ヒズシテ、ヤハリ一
  貫作業デ持ツテ行ク計畫ヲ立テテ行カナケ
  レバナラヌ、是ガ爲ニハ船ガ必要デアリマ
  セウ、輸送力ヲ大イニ完全ニスルト云フコ
  トガ必要デアリマス、一方ニ於テ既存ノ資
  材ヲ利用スルコトモ考ヘナケレバナラヌガ、
  同時ニ一貫作業デ新シク產ムコトニ非常ニ
  努力ヲシナケレバナラヌ、若シ其ノ努力ヲス
  ルニ船ガ出來テ居ナケレバ、此ノ造船ノ方
  ニ集中シナケレバナラヌノデアリマシテ、斯
  ウ云フ點ニ付テハ午前ニモ御質問申上ゲマ
  シタガ、マア協力シテドコマデモ是ガ實ヲ
  擧ゲテ行ク、玆デ戰力ノ增强ノ爲ニ大體ノ
  計畫ガ立ツタナラバ、第三種部門ノ如キ
  ハ自然ニ物資ノ不足カラ、或ハ商賣ノ量
  モ減ツテ來ル、工業ニ對スル資材モ滅ツテ
  來ルト云フヤウナコトデ、是ハ自然ニ整理
  サレルモノデアリマスカラ、自然ニ整理サ
  レル場合ニ於テ之ヲ受入レルダケノ準備ハ
  國家ニ於テシテ置カナケレバナリマセヌ
  ガ、第一部門ニ於ケル整理ヲ計畫的ニナス
  ガ如ク第三部門ニ於テモナスナラバ、第
  部門ニ於テ既ニ非常ニ多忙ヲ極メル官吏諸
  君ガ、非常ニ多忙ヲ極メル、又事業ニ當ツ
  テ居ル人モ非常ニ多忙ヲ極メル、其ノ上ニ
  今直チニ必要ヂヤナイヤウナモノヲ同時ニ
  之ヲ行ツテ行クト云フコトハ、徒ラニ煩瑣
  ヲ生ジ、ソレダケノ效果ガ擧ラナイノヂヤ
  ナイカ、漸ヲ追ウテヤツテ宜シイノヂヤナ
  イカ、併シ私共ガ事前審議ニ於キマシテ
  ハ、此ノ整備サルル金ノ動キハ三十五億ト
  云フヤウナ數字ヨリモ遙カニ多カツタノデ
  アリマスガ、大藏大臣ガソレヲ三十五億ニ
  大體ニ於テ制約ヲサレタト云フコトハ、私
  ハソコニ深イ慮リガアツタト、斯樣ニ考ヘ
  ルノデアリマス、勿論其ノ準備ハ致サナケ
  レバナリマセヌ、併シナガラ同時ニ之ヲ行
  ツテ宜イカドウカト云フコトニ付キマシ
  テ、私ハ多少ノ御考慮ヲ願ヒタイノデアリ
  マス、斯ウ云フ觀點カラ第一今決戰ヲスル
  シノ其ノ決戰資材ヲ間ニ合ハセルニハ如
  何ナル手段モ講ジナケレバナラヌガ、第二
  次第三次ノ問題ニ付テハ日本ハ單ニ今日
  ノ日本ノ國民ヲ賄フバカリデハナイ、東亞
  共榮圈內ニ於ケル賄ヒモシテ行カナケレバ
  ナラヌ、其ノ資材ノ供給モシテ行カチケレ
  バナラヌ、其ノ生產ノ增强モシナケレバナ
  ラヌト云フ大使命ヲ持ツテ居ルノデアリマ
  スカラ、第三部門位ニ對シテハ多少ノ考慮
  ヲ拂ツテ、サウ云フ方面ノ發達ヲ圖リ、助長
  ヲ圖ルト云フ方ニ向ケラルルノモ宜イヂヤ
  ナイカ、戰爭ノ方面ニ全力ヲ注グコトハ勿
  論デアリマス、併シナガラ今日ノ日本ハ戰
  爭ノ外ニ、尙ホ同時ニ間接、直接ノ影響ノ
  アル東亞共榮圈ノ建設モシテ行カナケレバ
  ナラヌノデアリマスカラ、サウ云フ方面ニ
  ユトリヲ執ラレタ方ガ宜シイデハナイカト
  云フ私ハ愚見ヲ持ツテ居ルノデアリマス
  ガ、之ニ對シテ若シ御所見ヲ伺フコトヲ得
  マスレバ洵ニ幸ヒトスル所デアリマス

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• 114・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ御質問ハ整備全體
  ノ計畫及ビ進行ニ付キマシテ重要ナル點デ
  アラウト思フノデアリマス、今囘ノ企業整
  備ガ國家緊要ナル產業ニ工場建設物等ヲ轉
  用シ、或ハ資材ヲ供出シ、勞務ヲ供出スル
  ト云フ點ガ重要ナル目的デアルノデアリマ
  シテ、其ノ點カラ考ヘマスルト、只今ノ御
  說ノアリマシタヤウニ第一種、第二種工業
  整備ニ依リマシテ工場ノ轉用、資材ノ供出
  ト云フ面ハ相當ニ多分ニ目的ヲ達スルノデ
  アリマス、隨ヒマシテ第一種、第二種ニ重
  點ヲ置キマシテ、是ハ何處マデモ急速ニ實
  行シナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、今
  御述ベニナリマシタ御趣旨モ同樣デアラウ
  ト思フノデ「アリマス、第三種及ビ商業部
  面、所謂配給部面ニ於キマシテハ、資材等
  ノ供出ガ第一種、第二種ニ於ケルガ如ク重
  要ナル結果ハ生マナイノデアリマス、併シ
  ナガラ勞務ニ付キマシテハ第一種、第二種
  ガケデハ不十分デアリマシテ、第三種ヤ配
  給部面ニモ勞務ノ供出ニハ相當及バナケレ
  バナラヌモノト存ズルノデアリマス、併シ
  ナガラ第三種及ビ配給部面ガ原料、材料ノ
  配給等モ減リマス結果、左樣ナモノガ從來
  ノ規模デアリマシテハ十分ノ活動ガ出來ナ
  イ、ソレダケノ設備ヤ人ガソレニ從事スル
  必要ガナイ、隨テ之ヲ轉用シナケレバナラ
  スト云フ稍〓結果的理由ガ相當ニアルト思
  ヒマスカラ、御說ノ如ク是ハ第一種、第二
  種ノ如ク非常ニ急速ニ、碎ケテ申セバ何デ
  モ彼デモヤルト云フコトハ餘程考ヘモノデ
  アラウカト存ズルノデアリマス、隨ヒマシ
  テ今囘企業整備ニ對シマシテ議會デ御審議
  ヲ願ツテ居リマス豫算外國庫ノ負擔ニ屬ス
  ル契約、或ハ豫算ノ上ニ現ハレテ居リマス
  數字ハ、政府ノ計畫致シテ居リマス、第一
  種第二種ハ全部之ヲ實行スル、出來レバ
  年度內ヲ待タナイデ本年內ニデモ早ク實行
  スル、併シ第三種ノ工業部門、又配給部門
  ニ於キマシテハ、私共御說ノヤウニ必ズシ
  モ直グ全部ノ實現ヲ致スト云フコトハ、
  必要性ト適當性カラ見テ考ヘモノノ點
  ガアルト思ヒマス、今囘ノ數字ハ、大
  體サウ云フモノノ半分ガ實現シタ場合ニ
  應ジ得ル計算ノ基礎ノ下ニ數字ガ盛ツテ
  アル譯デアリマス、隨ヒマシテ配給部門及
  ビ第三種部門ハ稍〓第一種、第二種ヨリ
  ハ整理ノ進行ガ結果的ニ見マシテモ先ニ延
  ビルデアラウト思ハレマスシ、又其ノ整理
  ガ完了スル爲ニハ次ノ議會ナドニ於テ、モ
  ウ少シ御協賛ヲ得ナケレバナラヌ數字ガ出
  ルト云フコトニナラウト思ヒマス、大體御說
  ニ餘程合致シタ方法デ計畫致シテ居リマス
  ソレカラ共榮圈其ノ他ノ問題デアリマ
  スガ、是モ洵ニ御尤ナ問題デアリマス、但
  シ現在ニ於キマシテハ纖維工業ナドニ致シ
  マシテモ、製造工場部門ガ完成致シマシテ
  モ、原料關係カラ見マシテ、サウ近イ將來
  ニ全面的ニ是ガ操業スルト云フコトハ、希
  望ハ致シマシテモ實現シナイ面モ相當ニア
  ラウト思ヒマス、隨ヒマシテ將來ノ遠イコト
  ヲ考ヘマシテ、其ノ場合ニ必要ナモノハ皆
  置イテオクト云フ譯ニモ參ラヌダラウト思
  ヒマス、現在又資材等ノ急ヲ要スルモノガ
  アリマスカラ······ソレナラバサウ云フコト
  ハ全然考ヘナイカト申セバ、サウハ參リマセ
  ヌノデ、相當共榮圈內ニ於ケル必要性ト云
  フコトモ考ヘ、又是ハ午前中ニモ說明ガア
  ツタト思ヒマスガ、其ノ外ノ豫備的ノコト
  モ考ヘマシテ、目前ニ操業スルモノ以外ハ
  全部之ヲ潰シテシマフト云フ方法ハ採リマ
  セヌ、廢休止スルモノアリ、又操業セシム
  ルモノアリ、其ノ間ニ設備ハ當業者ガ保有
  シ、必要ガアレバ產業設備營團等ガ買取ツ
  テ將來ノ爲ニ設備ヲ保有スル、斯ウ云フ風
  ナ大體三ツノ考ヘ方ニ分レテ參リマス、相
  當ナ程度ニ御考ヘノ點ヲ考慮シマシテ廢休
  止ノ數量ガ算出サレテ居ル、斯ウ云フコト
  ニ相成ツテ居リマス

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• 115・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　第四點ニ御尋ネ致シマス
  ガ、貯蓄目標ハ二百七十億トナツテ居リマシ
  タ、是亦已ムヲ得ナイコトデアルト存ジマ
  スルガ、企業整備ノ結果、國民ノ相當ノ部分
  ノ所得ガ減ルノヂヤナイカ、所得ガ減ツタ
  ナラバ、言フマデモナク能力ハ又減殺サレル
  ノデハナイカ、此ノ目標ヲ御變へニナル御
  考ヘガナイカドウカト云フ點デアリマス、
  實ハ是ハ內務當局ニモ御伺ヒ致シタイノデ
  アリマスガ、此ノ點ヲ御考慮願ヒタイノデ
  アリマス、近來隣組ト云フモノハ隣保相助
  ノ組織カラ出發シタト言ツテ居リマスガ、此
  ノ色々ナ割當ヤ物ノ配給ト云フ方面カラオ
  互ヒニ家庭ノ內情ノ發キ合ヒデアリマス、サ
  ウシテ或ルモノヲ要求スル、其ノモノノ要
  求ニ應ジナケレバ今度ハ竹箆返シヲヤラ
  ウ、變ニ乘ジテ相助ケ合フト云フ考ヘデハ
  ナクシテ、變ニ乘ジ玆テデ何カ敵打デモ
  ヤツテヤラウト云フヤウナ考ヘモナ
  イノデハナイノデアリマシテ、隣保相助
  ニアラズシテ、寧ロ爭ヒノ溫床トナツテ居
  ルヤウナ形ガアルノデアリマシテ、
  是ガ大分貯蓄割當ト云フモノニ深刻ナ
  影響ヲシナイデモアリマセヌ、併シナガ
  ラ國家ノ爲ニサウ云フ小サナ問題ヲ採上ゲ
  ル意味合デハアリマセヌガ、是ハ內務當局
  ニ於テハ常會ト云フモノノ組織ヲ餘程御考
  ヘニナラナケレバナラナイデハナイカ、却
  テ變ニ乘ジテ危險ヲ感ズルト云フヤウナ場
  合モナイノデハナイノデアリマシテ、是ハ
  私ハ相當各方面カラ取調ベタ問題デアリマ
  スカラ、能ク御考慮ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス、先ヅ大藏大臣ニ其ノ貯蓄目標ヲ御變更
  ニナル御考ヘガアルカドウカト云フコトノ
  御囘答ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 116・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　結論ヲ先ニ申上ゲマスル
  ト二百七十億ト云フ貯蓄增加ノ目標額ハ
  變更ヲ致ス考ヘヲ持ツテ居リマセヌノデア
  リマス、今囘ノ企業整備ニ當リマシテ、中
  小商工業等ノ所謂事業主、又大工業其ノ他
  ニ致シマシテモ從業者ガ一時離職ヲ致ス、又再
  就職ヲ致シマシテモ當分ノ間收入ガ減ル、
  斯ウ云フ面ハ確カニアルト思ヒマス、併シ
  ナガラ現在ハ各方面人ガ不足デアリマシ
  テ-サウ云フ言葉ヨリモ、勝チ拔ク爲ニ
  ハ誰モ彼モ皆根限リ働キマシテモ必要ナ生
  產力ニ追付カヌヤウナ狀態デアリマスカ
  ラ、皆徒食ヲスルコトハ許サレナイ狀況デ
  アリマス、一部面ニ於キマシテハ收入ガ減
  ル場合ガアリマスガ、又考ヘマスレバ他ノ
  部面ハ今ヨリモ多クノ勞力ヲ需要シマシ
  テ、多クノ能率ヲ擧ゲマシテ、賃金ノ如
  キモ水準ハ決マツテ居リマスルガ、一人々々
  ノ勞務者ノ收入ヲ限定スルナドト云フ考ヘ
  ハナイ、單位當リノ生產量ニ對スル賃金ノ
  上リマスコトハ經濟上困ルコトデアリマス
  ルガ、多クノ能率ヲ擧ゲテ、少イ者デ多量
  ノ物ヲ生產シタ場合ハ、個人當リノ收入ハド
  シドシ增シテモ宜イ譯デアリマス、大分色々報
  奬制度ナドモ考ヘマシテ、其ノ面ニ行ツテ居ルノ
  デアリマス、ソレデアリマスルカラ、全體的ニ
  國民ノ所得ガ是デ減ルト云フコトハナイト
  思ヒマス、殊ニ是ハ所謂積極的整備デアリ
  マシテ、整備サレル事業ヲ考ヘマスレバ、
  ソコデ所得ガ減ルヤウデアリマスルガ、是
  レ皆他ノ軍需品、兵器、彈藥、其ノ他ノ原
  料資材、サウ云フモノノ增强ノ爲ニナルコ
  トデアリマスルノデ、其ノ面ニ於キマシテ
  ハ收入ガ殖エルコトデアリマス、國家資金
  計畫ヲ立テマス際ニハ、大體此ノ面ハ織込
  シデ考ヘテアルノデアリマス、全體的ニ所
  得ガ減リマシテ、其ノ結果貯蓄目標ヲ變ヘ
  ルト云フ必要ハナイト思フノデアリマス、
  唯斯ウ云フ面ガアリマス、今囘ノサウ云フ
  整備ノ爲ニ仕事ヲ廢メル方面ニ於キマシテ
  ハ、其處ニ從事致シテ居リマスル職員等ニ
  於キマシテ、退職手當、退職資金ナドヲ貰
  フ場合ガアリマス、是ハ正確ナ金額ハ分リ
  マセヌガ、事ニ依ルト數億ニモナラウカト
  思フノデアリマス、又大體今御審議ヲ願ツ
  テ居リマスル法律デ所謂資金封鎖ト云フコ
  トヲ致シマスルガ、少額ノモノナドデハヤハ
  リ現金ガ出ル、一件當リハ少クテモ全部之
  ヲ合セテ見マスト、ヤハリ中々ノ金ニナリ
  マス、ソレ等ハ平時ナラバ、失業シタラバ
  細君ニ小賣屋デモ始メサシテ家計ノ補ヒヲ
  シテ、又働キロヲ探スト云フノガ普通デア
  リマスガ、今囘ハサウ云フコトヲヤツテハ
  困ルノデアリマス、サウ云フ店ナドハ整理
  シタイ時デアリマスカラ、皆勤勞ヲ主トス
  ル方ニ向ツテ貰ハナケレバナラヌ、サウス
  ルト從來ノ失業問題ナドノ起リマス場合ヨ
  リモ、每日ノ暮シノ金ハ要リマスガ、纏マ
  ツタ金ノ要ルコトハ少イト云フコトニナリ
  やく、ソレガ纏マツタ金ガ入ツタ爲ニ、株
  ニ手ヲ出シテ困ツテ居ル細君ノ投書ガ續々
  參リマシテ、大藏省ナドハ少シ株式市場ヲ
  取締ツテ吳レ、財產ガ折角何千圓モ入ツテ
  モ少シモ殘ラナイト云フヤウナ投書ガ來ル
  譯デアリマス、斯ウ云フ場合ヲ相當貯蓄ニ
  向ハセナケレバナラヌ、今働イテ儲ケタ金
  デモ貯蓄シナケレバナラヌ時ニ、資本ガ現
  金ニ變ツタノヲ、ツイ金ガアルト云フノデ
  使ツテシマウト云フコトガアリマシテハ、
  當人ノ爲ニモ宜クナイノデアリマスカラ、
  サウ云フ意味デ、普通ノ貯蓄トハ違ヒマス
  ガ、ソレニ似タ形デ、ヤハリサウ云フコト
  ガアリマス時ニハ、地方廳ナドデハ十分注
  意シテ貰ヒマシテ、サウ云フ面ニ付テハ特
  ニ貯金ナリ、公債消化ナリニ努メテ行クト
  云フコトヲ考ヘナケレバナラヌト思ツテ居
  リマス

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• 117・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　最後ニ二點アリマスガ、
  此ノ二點ヲ一括シテ御質問申上ゲマス、只
  今大藏大臣ノ御說明ニ依リマシテ、所得ガ
  減ラヌ、サウ致シマスト、大體租稅收入モ
  〓觀シテ減額ニナラヌ、斯ウ御覽ニナルカ
  ドウカ、ソレカラモウ一ツハ地方ニ於テ企
  業整備ノ結果、或ハ地租ノ附加稅、家屋稅ノ附
  加稅、營業稅ノ附加稅ト云フモノハウント減ル
  場合ガアリマス、其ノ一局部ガ整理サレ、
  鑛山ガ整理サレ、工場ガ整理サレ、ソコニ
  商店街ガアツタ場合、其ノ商店街デハ土地
  ノ値段ガ下リ地租モ上ラナイ、附加稅モ課ケ
  ラレナイト云フコトカラ、或ハ警察費ノ負擔
  デアルトカ、〓育費ノ負擔デアルトカ、サ
  ウ云フ負擔金ガ減ズルノミナラズ、租稅其
  ノモノモ減ツテ參リマスノデ、或ハ其ノ地
  方ニ於テ財源ガ失ハレマス結果、分與稅ノ
  增額ヲ以テ補塡スルト云フ地方モアルヤウ
  ニ思ハレマス、此ノ度ノヤウナ大規模ナ整
  備ヲ致シマシタ場合ニ、果シテ還付稅デア
  ル所ノ地租、家屋稅、營業稅ニ影響ナキヤ
  否ヤ、又配付稅ノ面ニ於キマシテ所得稅、
  法人稅、入場稅、殊ニ遊興飮食稅ニ付キマ
  シテハ、大膽ナル整備ガ行ハレルト云フコ
  トガ豫想サレマスト、其ノ方面ニ於ケル稅
  收、殊ニ配付稅ニ於キマシテ相當ナ額ヲ占
  メマシタ遊興飮食稅ト云フヤウナモノモ減
  ルノデアリマスカラ、サウ云フモノハドウ
  云フヤウニ塡補セラレルカ、是ガ爲ニ配付
  ノ額ニ考慮ヲ加ヘルト同時ニ、或ハ租稅ノ
  根本ニ一部改正ヲ行フ必要ガ起ツテ來ルカ
  ドウカ、斯樣ナコトヲ豫想シテ居ラレマス
  カ如何デアリマスカ、此ノ二點ヲ一括シテ
  御答ヘヲ願ヒタイノデアリマス

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• 118・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　全體的ニ國民ノ生產能力
  ノ分量ハ殖エル一方デアリマス、國民所得
  ハ本年モ豫定ヨリ減ラズ、昭和十九年度ニ
  參リマスレバ十八年度ヨリ一層增加スルト
  存ジテ居ルノデアリマス、併シナガラ今囘
  ノハ所謂整備ノ局ニ當ツテ事業ヲ廢休止致
  シ、或ハ其ノ結果從來ノ事業カラ離レマス
  ル人、サウ云フ企業會社ヤ個人ナドニ取リ
  マシテハ、相當減免ノ處置ヲ高イ程度ニ致
  ス案ニナツテ居リマス、ヤツテ見マスト或
  ハ相當減收ニナルカモ知ラヌト思ヒマス、
  ト申シマスルノハ會社ナドニモ配當ナドガ
  急ニ減リマセヌヤウニ、アノ法案デモ色々
  方法ヲ講ジテ居ルノデアリマスガ、其ノ一
  ツハ減免稅デアリマス、是等モ時價デ評價
  シマシタ場合、帳簿價格ヨリ遙カニ高イト
  云フ場合ニハ何等減免ノ必要モナク十分ニヤ
  レル會社モ今ハ中々多イノデアリマス、
  方ニ減免ノ必要ガアル會社モアルト思ヒマ
  ス、是等ガドノ位ノ割合デ出マスルカ、是
  ハ一ツヤツテ見ナイト分ラヌ節ガアリマス、
  個人デモ左樣デアリマシテ、非常ニ所得ガ
  減ツテ、普通ナラ十九年度ニ於テ減免サレ
  ルモノデアルガ、今囘考ヘナケレバナラヌ
  ト云フノガドノ位出マスカ、或ハサウ云フ
  面デ本年ノ稅收入ガ減ジ、又本年ヲ基準
  トシタ明年ノ稅收入ガ減ズル場面モ考ヘラ
  レマス、一方又本年ニ於キマシテハ一方ノ
  會社ガ整理セラレ、ソコニ配當サレタ原料
  ガ殘存會社ノ方ニ餘計參リマス結果、殘存
  會社ガ今マデハ二割カ三割シカ操業シナカ
  ツタノニ七割モ操業スルト云フ關係デ收益
  ガ增加致シ、明年度ノ稅收入ハ增スト云フ
  面モアラウカト思ヒマス、是等ハヤツテ見
  ナイト分ラナイコトデアリマス、無論影響
  ガナイトハ申セマセヌガ、將來ノコトニ付
  キマシテハ何樣企業體系ガ相當ニ變ルコト
  デアリマス、何等經濟組織ノ變革ヲ意味ス
  ルモノデハアリマセヌガ、結果トシマシテ
  相當程度中小工業ガ減ルトカ色々ナ場面ガ
  アリマスルカラ、是等ガ稅ノ上ニドウ云フ
  影響ヲ及ボスカ、稅收入。ニドウ云フ影響ヲ
  及ボスカ、進ンデ稅制上考ヘナケレバナラ
  ヌ點ハ何カ、是ハ確ニ〓究問題デアラウト
  思ヒマス、戰時ノコトデアリマスルカラ增
  稅ニ付テハ常ニ〓究ヲ續ケテ居リマスガ、
  今後モ事態ノ進行ヲ見マシテ其ノ點ヲ〓究
  致シテ參リタイ、斯樣ニ思ヒマス、斯樣ニ
  申上ゲマシテ國家全體、政府ト致シマシテハ
  歲入ガ餘リハ減ラヌト致シマシテモ、地方
  財政ニナリマスト又別デアラウト思ヒマス、
  或ル所ハ增シマスガ、非常ニ整備サレルモ
  ノガ多クシテ、或ハ大規模ニシテ、操業サレ
  ル方ガ少イ、斯ウ云フ地方ガアルト思ヒ
  マス、現ニ色々內部デ相談シテ見マシテ
  モ、或ル縣ノ如キハ是ハ非常ナ地方財政ノ
  影響ガアル、稅收ガ減ルダラウ、サウ云
  フ縣ガアル、或ル縣ハ是ハ相當整備サレ
  ルケレドモ、又時局產業ガドン〓〓殖エテ
  行クノデ餘リ其ノ影響ハナイ、影響ハ餘リ
  考ヘヌデモ宜イト云フヤウニ、當局者ガ十
  分樂觀ヲシテ居ルヤウナ所モアリマス、サ
  ウ云フ風ニ全體トシマシテハ大シタコトガ
  アリマセヌデモ、地方デハ其ノ地方財政ニ
  對シテ相當ナ處置ヲ執ラナケレバナラヌコ
  トガ起ルデアラウト思ヒマス、ソレハドノ
  程度ニ或ル事業ガ整備サレルカ、操業サレ
  ル方面ハドウナルカ、影響ガドノ程度ニ來
  ルカト云フコトヲ勘案シタ結果處置致シタ
  イト思ヒマス、又直グ歲入缺陷ヲ生ズルト
  云フコトガアリマスレバ、是ハ應分ニ一時
  地方借入金ヲ致シマシテモ凌ゲル譯デアリ
  マス、狀態ガ分リマシタ後ニ、地方稅ノ分
  與稅ノ配當ヲ適當ニ致シマスルトカ、色々
  方法ガアラウト思ヒマス、何ニ致シマシテ
  モ國家的ノ必要カラ起ツタ地方稅ノ影響デ
  アリマスカラ、其ノ點ニ付キマシテハ遺漏
  ナク施策ヲ致シテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居
  リマス

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• 119・小山倉之助

  ○小山(倉)委員　私ノ質問ハ是デ打切リマ
  ス

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• 120・木暮武太夫

  ○木暮委員長　永野委員

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• 121・永野護

  ○永野委員　私ハ只今小山委員カラ御質問
  ニナリマシタ點ニ觸レタ點ガゴザイマシタ
  カラ、ソレヲ先ヅ以テ伺ヒタイト思フノデ
  ゴザイマス、ソレハ旣設備ヲ賣リマシタ金
  ノ中デ、金融機關カラ融通ヲ受ケテ居ル部
  分ハ、殆ド無條件ニ解放スルト云フ政府ノ
  御方針ヲ承ツタノデアリマスガ、此ノ金額
  ハ會社經營ノ大體ノ現狀ニ照シテ見マスト、
  相當ニ大キナ金額ニナルノデハナイカト思
  フノデアリマス、殊ニ此ノ買上ノ目的ニナ
  リマス所ノ工場建造物、其ノ他所謂興業費勘
  定ニ屬シマスモノハ、貸付金ノ中デモ原則
  トシテ長期ノ貸付金ニナリ、銀行ノ懷ロ工
  合カラ申シマスルト、可ナリ窮屈ナ資金運用
  ノ根源トナツテ居ル部分デアリマスカラ、
  是ガ一朝ニシテ皆資金化スルト云フコトガ
  アリマスルト、金融機關ノ懷ロ工合カラ申
  シマスト、公債消化ノ爲ニ非常ニ樂ニナルト
  思フノデアリマス、是ハ一面銀行經營ノ上カ
  ラ言ヒマスト非常ニオ目出タイコトデアリ
  マスガ、國家全體ノ公債消化ノ計畫ノ上カ
  ラ申シマスト、國民貯蓄ノ蓄積カラ消化サ
  レルベキ公債ガ、此ノ不意ニ舞込ンデ參リ
  マシタ資金ニ依ツテ簡單ニ消化サレルト云
  フヤウナ結果ニナリ、國家全體ノ公債政策
  ノ上ニ影響ヲ及ボスノデハナイカト云フコ
  トヲ懸念スル譯デアリマスガ、政府ハ此ノ
  計畫ヲ御立テニナリマスル時ニ、各事業會
  社ノ設備其ノ他ノ所謂興業費勘定ニ屬スル
  モノヲ、擔保トシテ借リテ居リマスル貸付
  金ノ總額ヲ御〓究ニナリ、ドノ位ガ卽時解放
  ヲ要スル資金デアルト云フ風ニ御考ヘニナ
  リ、ソレト公債消化政策トヲドウ云フ風ニ睨
  ミ合ハセラレタカト云フコトヲ伺ヒタイノ
  デアリマス

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• 122・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　洵ニ御尤モナ御尋ネデアリ
  マス、私共ノ方デハ斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リ
  マス、ソレハ殆ド全部今無條件ニ解放シテ宜
  シイ、何億ニナツテモ私ハ構ハヌト思ツテ
  居ルノデアリマス、又金融面ニハソレデ移
  動ヲ起サセナイ方策デ參リタイ、斯ウ云フ
  考ヘノ下ニ進ンデ居ルノデアリマス、ト申
  シマスルノハ、其ノ際ニ金ヲ返ス企業家側
  ニ於キマシテハ、何デ返スカト申シマスル
  ト、是ハ政府特殊借入金、產業設備營團特
  殊借入金、戰時金融金庫特殊借入金及ビ特
  殊預金、此ノ四ツノ種類ノドレカデアラウ
  ト思ヒマス、實際問題ト致シマシテ大體此
  ノ四ツノ種類ニ屬スルモノデアリマス、假
  ニ戰時金融金庫貸付證書ニ依ル特殊借入金
  債劵五百万圓ヲ或ル會社ガ受ケルコトニナ
  ツタト致シマス、其ノ結果二百万圓ダケ從
  來ノ借入金ヲ銀行ニ返スト云フコトニナリ
  マスルト、實際ノ手續ハ債務證書ノ分割ヲ請
  求シマシテ二百万圓ト二一百万圓ニ分ケ、其
  ノ二百万圓ヲ銀行ニ渡シテソレデ債務ノ償
  還ガ出來タ、斯ウ云フ風ナ運ビニナリマス、
  其ノ銀行ガ二百万圓デ買取ル譯デアリマ
  ス、銀行ニソレダケ金ガ出來マスルガ、ソ
  レハ結局戰時金融金庫特殊借入金證書ナン
  デアリマス、隨テソレダケハ國債消化ノ瘤
  トナツテソレダケ銀行ガ持ツコトトナリマ
  ス、何トナレバ、其ノ資金ハ國家全體ノ經
  濟カラ申シマスト、所謂瘤デアリマス、二
  百七十億資金ヲ集メマシテ二百億餘リ國債
  消化ニ充テ、六十數億ヲ產業資金ニ充テル
  以外ニ、ソレダケノ金ガ入ツテ來ル、ソレ
  ダケノ金ヲソレデ保有シテ居ルト云フコト
  ニ相成リマス、ソレヲ資金化スルコトヲ銀
  行ニ認メルカ否カハ全體ノ金融政策デアリ
  マシテ、詰リ他ノ方カラ資金蓄積ガ餘計出
  來テ來レバ、ソレヲ現金化スルコトヲ銀行
  ニ認メマスガ、是ハ全ク政府及ビ日本銀行
  ノ金融操作ニ屬シマス、原則トシテハ認メ
  マセヌ、ソレデアリマスカラ、ソレダケハ
  餘計ニ持ツコトニナリマス、ソレデ他ノ資
  金面ノ移動ヲシナイ、ソレガ爲ニ國債消化
  ノ部分ハ減ラナイト云フコトニナリマス、
  ソレカラ尙ホ其ノ先ニ參リマスト、ソレガ
  他ノ金融統制部面カラ參リマシテ、國債保
  有ノ金融機關每ノ割當其ノ他ノ問題ガアリ
  マス、是ハ金融機關每ノ資金ノ蓄積狀況
  ト、次ニハ其ノ金融機關ノ預金、其ノ他資
  金「コスト」カラシテ、利廻リノ違フ國債證券
  ナリ、社債證劵ナリヲ幾ラ持タセルカ、
  面カラ見レバ、是ハ抱合ハセ消化ノヤウナ
  モノデアリマス、其ノ觀點カラ債務證書ヲ
  銀行ハ二百万圓引受ケタガ、百万圓ハ現金
  化シテ他ノモノヲ持タセヨウトカ、或、
  其ノ儘ニシテ置カウト云フヤウナコト
  ハ、是ハ全體ノ金融操作カラ、今ノ資金
  「コスト」カラ、銀行ノ營業收益ノ面ト、
  全體ノ蓄積ノ面ニ對シテ、ドウ云フ風ニ
  割當テテ持タセヨウカト云フヤウナ觀點
  カラ決メル譯デアリマス、サウ云フコト
  デ、大體金融統制會等ヲ通ジマシテ、統制
  施策ヲ致シテ參リマスカラ、其ノ爲ニ二百
  七十億ノ消化スベキモノヲ、今ノ債務證書
  カラ來タ方デ消化シテ、ソレガ緩クナルト
  云フヤウナ變調ハ起ササヌ、斯ウ云フ統制
  方針デ參リタイト存ジテ居ルノデアリマス

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• 123・永野護

  ○永野委員　此ノ度ノ企業整備ハ最モ徹底
  的ナ綜合計畫ニ基クモノデアルト云フ御話
  デアリマスガ、然ラバ此ノ計畫實施ノ曉ニ、
  整備ニ依ツテ浮ビ出ル所ノ生產設備ニ轉用
  シ得ル土地、建物其ノ他ノ建造物、又ハ機
  械器具等ノ設備、或ハ保有シテ居リマス原
  料其ノ他ノ資材、又ソレ等ノ整備工場カ
  ラ生ズル勞務者、其ノ勞務者ノ內容トシテ
  男工、女工、或ハ壯年工、少年工ノ比率、サ
  ウ云フ者ノ大體ノ數量ノ御調査、ガ伺ヘマ
  スレバ仕合セト思ヒマス

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• 124・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　是ハ實ハ大藏省ダケデ申
  シマスト、色々ノ資金計畫ヲ立テマスル基
  礎トシテ或ル程度ニ承知シテ居ルコトデア
  リマスガ、併シソレハ厚生省側ナリ、商工
  省側ナリカラ御答辯ヲ願ヒマスルコトガ適
  當カト思ヒマスルシ、又內容ニ依リマシテ
  ハ戰力增强ニ關スル生產力其ノモノニモ
  ナル譯デアリマシテ、或ハ十分ニ御答辯ヲ
  政シ兼ネル點ガアルカト存ジマスガ、今出
  來得ルダケノ御答辯ヲ、政府委員ノ方カラ
  申上ゲマス

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• 125・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　全體ノ數字ニ付キマシテ
  ハ一寸斯樣ナ席デハ申上ゲ兼ネルト思ヒマ
  スノデ、大體ノ比率ノ程度デ一ツ御諒解ヲ
  願ヒタイト思フノデアリマス、一番問題ニ
  ナツテ居リマス第一種工業部門、是ガ卽チ
  第二種工業部門デアル戰力增强上最モ緊要
  トスル方面ニ轉用サレル部門デアリマスガ、
  其ノ轉用ノ程度ニ付キマシテ、其ノ一例ヲ
  申上ゲテ御諒解ニ供シタイト存ジマス、第一
  種工業部門ニ屬スル業種ニ付キマシテハ
  整備セラルベキ工場建物ノ一部或ハ其ノ大
  部分ヲ轉用シ得ルモノガ多イノデアリマシ
  テ、就中工場建屋ノ大部分ヲ轉用シ得ル業
  種ト致シマシテハ、綿「スフ」紡績或ハ「ス
  フ」專紡、梳毛紡績デアリマス、斯フ云ツタ
  ヤウナ纖維部門ノ比較的大規模ニ行ハレテ
  居ル事業部門ガ考ヘラレテ居リマス、大體
  私共ノ見當ト致シマシテハ、整理サレル部
  門、廢休止サレル部面ノ大體三〇%內外ガ、
  重要ナル工業部門ニ轉用サレルノデハナイ
  カト云フ見當ヲ付ケテ居リマス、之ニハ設
  備建屋、ソレカラ仕掛品デアルトカ、サウ
  云ツタヤウナモノヲ含ンデ色々アリマセウ
  ト思ヒマスガ、是ハ業種ニ依リマシテ一樣
  デナイノデアリマス、ソレデ例ヘバ綿「ス
  フ」工業ノ如キハ、轉用ト致シマシテモ、マ
  サカ紡機ヲ轉用スル譯ニイカヌ、ドウシテモ
  轉用スルモノト致シマジテハ、工場建屋ガ
  主ナモノデアリマス、次イデ「ボイラー」デ
  アルトカ、或ハソレニ附隨スル「チユーブ」
  類デアルトカ云ツタヤウナモノデアリマシ
  テ、其ノ工業ノ中心部分ヲ成シテ居ル紡機
  ノ轉用ト云フコトハ考ヘラレヌノデアリ
  そうく、然ルニ他ノ部門、例ヘバ人絹工場、
  斯ウ云ツタモノニ付キマシテハ、餘程其ノ
  中心部門ニ關シマシテモ轉用シ得ル部面ガ
  出テ來ルカト思フノデアリマス、業種業態
  ニ依リマシテ各種各樣デアリマシテ、
  ソレヲ集計シテ幾ラ〓〓ト云フヤウ
  ナ仕譯ハマダシテ居リマセヌ、若シ大體
  ノ見當デモ調ベテ欲シイト云フ御要求
  ガアリマスレバ出來ルダケ調査シテ見マス
  ソレカラ人ノ問題デアリマスガ、是ハ大體
  ノ數字ヲ持ツテ居リマスガ、斯樣ナ機會ニ
  於テハマダ發表シテ居リマセヌシ、又適當デ
  ナイト云フ風ニ考ヘラレマスノデ、他ノ機
  會ニ申上ゲタイト思ヒマス

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• 126・永野護

  ○永野委員　私ガ今ノ數字ヲ伺ヒタイト申
  シマシタ所以ノモノハ一一ツノ理由ガアルノ
  デアリマス、一ツハ此ノ厖大ナル豫算ヲ果
  シテ旨ク實行出來ルカドウカ、此ノ可能性
  ヲ判斷致シマス爲ニ、具體的ニ申シマスレ
  バ、此ノ企業整備ニ依ツテ動ク機械器具、原
  料其ノ他ノ物資ノ總「トン」數ガ全體デドノ位
  ナ數量ニナルカ、又勞務者ニ付テハ現地ニ於
  テ其ノ儘デ使ヒ得ル數字ハドノ位デアルカ、
  或ハ他ニ移スベキ人數ハドノ位ニナルカ、
  殊ニ單身動ケル者ハ簡單デアリマスガ、家
  族連レデ動ク者モアルノデアリマスカラ、輸
  送其ノ他ノ關係カラ見マシテ、サウデダニ
  今日デモ手一杯ノ輸送設備デハ、是ダケ新
  タナル荷物乘客ノ增加致シマスコトハ、或
  ハ數字ニ依ツテハ實行不可能デハナイカ、
  卽チ此ノ豫算ノ運用ガ實行不十分ニナルノ
  デハナイカト云フコトヲ懸念致シマシタカ
  ラ、大體ドノ位ノ數量ガ動クモノデアリマ
  スカト云フコトヲ知リタカツタノデアリマ
  ス、次ハ是等ノ供出物件ヲ船舶飛行機ノ如
  キ、直接戰爭遂行上必要ナル武器ノ生產デ
  アルトカ、或ハ國民ノ最低生活ヲ保障スル
  ニ必要ナ食糧ノ增產デアルトカ、或ハ製鐵
  原料トシテ缺クコトノ出來ナイ屑鐵ノ供出
  デアルトカ、ソレ等ノモノニ配分致シマス
  基準、順序、ソレヲ勘考致シマス上ニ、供出物
  資ノ大體ノ數量ガ吾々ノ判斷資料トシテ欲シ
  カツタノデアリマス、此ノ二ツノ意味デ私
  ハ今セメテ大體ノ數字デモ伺ヒタカツタノ
  デアリマスケレドモ、御答辯ガ得ラレナイ
  ト云フコトデハ致シ方アリマセヌカラ、次
  ノ質問ニ移リタイト思ヒマス、唯私ハ政府
  御當局ノオ內輪ニ於テハ、ドウカ此ノ厖大
  ナル計畫ガ支障ナク完成致シマスルヤウニ
  此ノ點ニ付キ十二分ノ御打合セヲナサラン
  コトヲ希望致シテ置キマス

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• 127・木暮武太夫

  ○木暮委員長　永野君ニ申上ゲマスガ、今
  ノ御質問ニ關シマシテハ、厚生省ノ方モ居
  ラヌヤウデスカラ、商工省、厚生省デ打合
  セテ戴キマシテ、祕密會デヤルナラバ發表
  シテモ宜シイト云フ御話合デモ出來マシタ
  ナラバ、質問打切ト云ヒマスカ、質問ガ終
  了致シマシタ後デ、短カイ祕密會ヲ開イテ
  聽イテモ宜イト思ヒマスガ、政府ノ打合セ
  ニ委シテ置キタイト思ヒマスカラ、ドウ
  ソ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=127

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• 128・永野護

  ○永野委員　サウ願ヒマス、次ニ是等ノ供
  出サレマシタ轉用工場ヲ、ドウ云フ方法デ
  以テ、ソレヲ必要ト致シマスル方ノ工場ガ
  買受ケルカ、其ノ具體的ナ方法ヲ伺ヒタイ
  ノデアリマス、ト申シマスノハ、今日マデ
  行ハレテ居リマス實情ニ鑑ミマスルト、勿
  論增產ノ不必要ナ工場ガ新シイ工場ヲ買フ
  コトヲ政府ニ於テ御認メニナラヌコトハ當
  然デアリマスケレドモ、增產ヲ必要トスル
  會社ノ中デモ其ノ必要ノ程度ニ大イニ差ガ
  アルノデアリマス、所ガ其ノ經營者ノ手腕
  ト申シマスルカ、外交的ノ力ノ差ト申シマ
  スカ、有能ナル經營者ノ居リマスル所デハ、
  傍目カラ見マシテモ、必要以上ニ工場ヲ買
  込ム所モアリマスシ、其ノ經營者ガホンノ
  技術家出身ノ如キ人デアリマシテ、外交的
  手腕ニ十分デナイヤウナ人ノ所ハ、兎角適
  當ナ工場ヲ取リ損ネテ間誤々々シテ居ル實
  情ガ多々アルノデアリマス、今度大規模ニ
  之ヲオヤリニナル時ニ、果シテ此ノ點ニ政
  府ハ如何ナル關心ヲ持ツテ居リマスカ、更
  ニ又價格ノ點ニ於テモ、當事者間バカリニ
  御任セニナル積リデアリマスカ、或ハ其ノ
  間ニ何等カ政府ノ指示權行使ノ餘地ヲ御殘
  シニナル御積リデアリマスカ、此ノ二點ヲ
  伺ヒタイノデアリマス

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• 129・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　緊要工業方面デ、例ヘバ
  纖維工場ノヤウナモノニシマシテモ、自分
  ノ使用ニ適スルト考ヘテ、之ヲ競合シテ奪
  ヒ合ヒシテ買フト云フヤウナ現象ガ既ニ現
  ハレテ居ルノデアリマス、其ノ中ニハ必ズ
  シモ國家ガ最モ必要トスル方面ニ活用
  スルト云フ場合ニ該當シナイコトガアリ
  マスノデ、是等ノ點ハ速カニ調整シナケレ
  バナラヌト云フ風ニ考ヘテ居リマシテ、
  旣ニ政府各關係省ノ諒解ノ下ニ、主トシテ
  商工省ニ關聯ノアル工場ガ多イノデアリ
  マスカラ、轉用委員會ヲ商工省ニ設置致シ
  マシテ、ソレ等ノ轉用ノ問題ガ混亂シナイ
  ヤウニ之ヲ調整スル積リデアリマス、旣
  着手シテ居ルヤウナ次第デアリマスカラ、將
  來此ノ機構ヲ益〓强化致シマシテ、適正ナル
  轉用ニ誤リナキヲ期シタイト思ヒマス、又
  價格ノ問題等ニ付キマシテハ、主ナモノニ
  付キマシテハ旣ニ評價基準ガ定マツテ居リ
  マス、ソレデ其ノ評價基準ニ照シマシテ、
  具體的ニドウ云フ風ニ決定スルカニ付キマ
  シテハ、是ハ商工省ノ所管局ニ於テ決メテ
  居リマス、是ノ基準ニ付キマシテモ大體大
  藏當局ト十分ナル御相談ヲ遂ゲマシテ、大
  體ノ目ボシイ產業ニ付キマシテハ旣ニ基準
  ガ定マツテ居リマスノデ、ソレノ適用ニ付
  キマシテモ十分遺憾ナキヲ期シタイト思ヒ
  マン、聞ク所ニ依リマスト、競合スル結果、
  其ノ基準價格ヲ超エタ値段デ取引ガ行ハレ
  テ居ルト云フヤウナコトモ聞クノデアリマ
  スガ、ソレハ要スルニ轉用ヲ自由ニ任シテ置
  クト云フコトカラ生ズル弊害ナノデアリマ
  ス、隨テ轉用ノ問題、之ニ附帶シテ價格ノ問
  題此ノ二ツヲ一本ニシテ握ツテシマフト
  云フ目途ノ下ニ、此ノ問題ヲ處理シナケレ
  バナラヌト云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=129

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• 130・永野護

  ○永野委員　序ニ今ノ問題ニ付テ關聯シテ
  伺ヒマスガ、斯ウ云フ轉用計畫ノ立案デゴ
  ザイマストカ、或ハ轉出物資ヲ一括シテ處
  分スルト云フヤウナ方法、其ノ他評價ノ問
  題デアリマストカ、現金支拂ノ必要性ノ判
  斷ト云フヤウナコトニ付キマシテ統制會
  ヲ御利用ニナル御計畫ハゴザイマセヌデセ
  ウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=130

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• 131・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　私共ノ方ト致シマシテ
  ハ、大體統制會ノ意向ヲ徵シマシテ、サウ
  シテ實際上誤リナキヲ期シテ居リマス、旣
  ニ第一次指定ニ依ツテ出來テ居リマスモノ
  ト、第二次指定ニ依ツテ出來マシタ統制會ト
  デハ、同ジ統制會デモ、色々其ノ準備ナリ、
  總テノ機構機能ガ違ヒマス、餘リ出來上ツ
  タバカリノ統制會ニ何モカモ持ツテ行ツ
  テ、サウシテ先ヅ先ニヤラナケレバナラヌ
  ト云フヤウナ、仕事ノ手順ニ餘リ混亂ヲ與ヘ
  テモイカヌト云フヤウナ場合モアリマス、
  併シナガラ何レニ致シマシテモ、根本ノ趣
  旨ナリ重要ナ部分ニ付キマシテハ、の統制會
  ノ意向ヲソレ〓〓ノ統制會ニ付キマシテ、
  適當ナ方法ニ依ツテ徵シテ有力ナル參考ト
  致シテ居ル次第デアリマス

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• 132・永野護

  ○永野委員　私ノ私見ニ依リマスルト、今
  ノヤウナ諸點ニ於キマシテハ、其ノ業種別
  ノ統制會ノ意見ヲ重要視サレルコトガ、此
  ノ運用ヲ圓滑ニスル上ニ於テ最モ必要デア
  ルト信ジマスルカラ、何分ノ御考慮ヲ願ヒ
  タイト思フノデアリマス
  次ニ此ノ厖大ナル企業整備ヲ實行致シマ
  スルコトガ、一般財界ニ如何ナル影響ヲ與
  ヘルカト云フ點ニ付テ大藏大臣ノ御所見ヲ
  伺ヒタイノデアリマスケレドモ、特ニ株價
  トノ關係ニ付テ一、二伺ツテ見タイノデアリ
  マス、今日此ノ企業整備ガ發表サレマシテ
  モ、比較的證劵市場ハ平穩デアリマス、ソ
  レハ、從來平和產業ガ軍需產業ニ其ノ工場
  其ノ他ノ設備ヲ賣却シテ居リマスガ、其ノ
  取引ガ割合ニ會社ニ有利ニ處分サレマシタ
  爲ニ、平和產業ガ軍需產業ニ轉換スルト云
  フコトハ、一種ノ强氣ノ材料ニスラナツテ
  居ルノデアリマス、併シナガラ其ノ運用ノ
  結果非常ニ不安ナ分子モ一面ニアリマスル
  ガ爲ニ、强氣ト弱氣ガ交錯シテ一種ノ不安
  定狀態ニアルト云フノガ現在ノ實情デハナ
  イカト思フノデアリマス、私ハ、成タケ財
  界ニ大キナ變動ヲ與ヘルコトナシニ、此ノ
  整備ノ運用ヲシタイト思ヒマスルノデ、
  取敢ズ、ドノ程度ノ會社ガ今度ノ企業整備
  ニ依ツテ、所謂開店休業ノ休廢止ヲスル會
  社ニナルト云フ御見込デアリマスカ、サウ
  シテ今日配當ヲシテ居リマスル會社ガ、將來
  其ノ配當ヲ持續シ得ル或ル程度ノ御配慮ガ
  願ヘルモノデアリマスカドウデスカ、是六、
  可ナリ財界ニ大キナ波紋ヲ及ボス問題デア
  リマスルカラ、其ノ御答辯ハ公開ノ席上デ
  ハ難カシイコトデアリマスレバ、祕密會ニ
  シテ御答辯ヲ願ツテモ宜シイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=132

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• 133・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今囘ノ企業整備ガ大規模
  ナモノデアリマシテ、其ノ影響ガ大キイト
  云フコトハ、一般的ニ申シマシテ御話ノ通リデ
  アルト思ヒマス、非常ナ戰力ノ增强ヲ致シ
  タイト云フ見地デアリマスノデ一方デ減リ
  一方デ殖エル、ツマリ平和態勢ノ或ル部分ガ
  殘ツテ居ツタモノガ純戰爭態勢ニナル譯デ
  アリマス、影響ハ相當多イノデアリマスルガ、大
  體金融市場、株價方面ニ付キマシテハ既ニ幾
  多ノ施設ガ制度トシテモ出來テ居リマス
  シ、又大體ノ指導ト申シマスルカ、豫メ斯
  ウ云フコトヲ行ヒマスル結果ガドウナルカ
  ト云フコトニ付キマシテモ、餘リ極端ニナ
  リマセヌヤウナ豫備的意識ガ大體釀成サレ
  テ居ルノデアリマス、株價ガ何等カノ事由
  ニ依リマシテ、特ニ戰爭中デアリマスカラ、
  其ノ事態ノ影響ガドノ程度ニ行クカト云フ
  コトニ付キマシテハ、俗ニ申ス神經過敏ニ
  ナルコトガ多イノデアリマス、又政府側ニ
  於キマシテモ、作戰其ノ他軍事上カラ、或
  ル事態ガ將來國家ノ戰局ニドウ云フ程度、
  ドウ云フ質ノ關係ガアルカ、延イテ經濟關
  係ニハドウカト云フヤウナコトハ、中々是
  ハ率直ニ外部ニ發表シニクイ場合ガ多イト
  云フコトハ申上ゲルマデモナイノデアリマ
  ス、隨ヒマシテ共同證劵ナド、只今申上ゲ
  タノハ寧ロ下落場面デアリマスルガ、是等
  ノ作用ニ依リマシテ有力ナル下値ノ調節ガ
  出來ルト云フコトノ安心ハ、只今デハ既ニ
  常識トナツテ居ル、其ノ安心ハ一方ニ付イ
  テ居リマス、ソレカラ又一方ニハ、大體株
  價ノ上昇ハ所謂「インフレ」景氣、換物運動
  ノ面カラノ上昇理由ガ相當ニアルノデアリ
  マスルガ、是ハ各種ノ對策ニ依リマシテ、
  所謂惡性「インフレ」ト云フモノガ戰時ノ經
  濟秩序維持ニ非常ニ有害デアル、稍〓極端
  ニ行ケバ致命的破綻的ナモノデアルト云フ
  見地、又經濟界ニ於キマシテハ、秩序ガ立
  ツテ居レバコソ其ノ上ニ於テ生產ノ增加ト
  云フ車ノ運轉ガ出來ル譯デアリマス、此ノ
  見地ニ於キマシテハ、申上ゲルマデモナク
  相當ナ處置ガ執ラレテ居リマシテ、殊ニ今
  囘ノ日本證券取引所ノ設立、アノ法律等ニ依
  リマシテ殆ンド制度トシマシテハ惡性ヘイ
  ンフレ」、其ノ先驅ヲナス換物運動等ガ爆
  發スベキ場面ハ防ガレテ居ルノデアリマス、
  又昨年カラ株價ノ不健全ナル高騰ノ因子ト
  シテハ、只今御述ベニナリマシタ所謂解散
  價値見越ニ依ル株價ノ暴騰ガ一ツデアリマ
  ス、尙ホモウ一ツハ今囘ノ企業整備ニモ關
  係ガナイトハ言ヘマセヌ、必要產業ノ方ハ
  資本ノ增加ガアル譯デアリマス、是等ノ場
  合ニ於ケル「プレミアム」ヲ生ズベキ會社ノ
  增資ハ、全部舊株主ニ割當テラレルノダト云
  フ考ヘノ下ニ於ケル株價ノ〓進ト云フモノ
  ハ、增資新株ノ割當ノ方法ニ付テ公正ナ方針
  ヲ執ルコトヲ發表ヲ致シ、又解散見越ノ株
  價ノ暴騰ニ付キマシテハ、今囘御審議ヲ願
  ツテ居ルト同樣ナ思想ヲ政府ガ持チ、必要
  ナ對策ヲスルト云フコトハ、豫メ關係者ニハ
  常識トシテ行渡ツテ居ルヤウニモナツテ居
  リマスノデ、御話ノ如ク大ナル變動ヲ見ズ、
  寧ロ平時カラ考ヘレバ驚ク程無感覺ナルガ
  如キ現象ニ先日來モナツテ居ル譯デアリマ
  ス、此ノ點ハ將來モ安心デゴザイマス、又
  一般財界ニ付キマシテモ、金融界ナドハ將
  來ニ於テ何等惡影響ハ受ケナイ、仕事ハ非
  常ニ繁忙ニナリマスルガ、所謂金融界ニ於
  ケル影響ト云フヤウナモノハナク、共ニ極
  メテ平靜ニ推移致ス積リデアリマスシ、又
  ソレニ努力ヲ致スノデアリマス
  殘ル御質問ハ、此ノ企業ヲ廢休止致シマ
  シタ會社ガ殘存致シマシタ場合ノ株價ノ問題
  デアリマス、此ノ點ニ付キマシテハ、如何
  ナル會社ガドウナルカト云フコトニ付キマ
  シテハ相當豫想サレル會社モアリマスルガ、
  是ハ只今申上ゲルコトハ適當デナイト思ヒ
  マス、併シ色々ノ實例ヲ假想シテ當ツテ見
  マスルニ、堅實ナル資產ノ評價ヲ致シテ居
  リマスルモノハ、〓ネ非常ニ有利ナル狀態
  ニ於テ設備ノ買收ガ行ハレマス結果、而モ
  ソレハ非常ニ帳簿價格ヨリ利益ガ出マスガ、
  今囘ノ稅法上ノ措置ニ於キマシテ、斯カル
  利益ニ直チニ課稅ハ致シマセヌ、國トシテ
  ノ資產評價ハ元ノ儘デ認メマス、左樣致シ
  マス結果、配當ニ惡影響ヲ及ボスコトハ非
  常ニ少イヤウニ存ジマス、而モ斯カル會社
  ノ中ニハ現在相當高率ナ配當ヲ致シテ居リ
  マシテ、當然減配ヲシナケレバナラヌ立場
  ニアルモノガ相當アルノデアリマス、隨テ
  企業整備ノ結果、從前ト配當ガ同ジデアル
  ト云フコトハ申セヌカモ知レマセヌガ、堅
  實ナル會社ニハサウ惡イ影響ヲ與ヘナイモ
  ノガ相當多イト存ジテ居リマス、併シ影響
  ヲ受ケルモノモ相當アリマセウカラ、租稅
  ノ減免等ノ措置ニ於キマシテ、今一時ニ帳
  簿價格以上ニ殖エマス利益ハ之ヲ表ニ出サ
  ズ、資產評價ハ假令百万圓ノ設備ヲ二百万
  圓デ賣ルコトガ出來マシテモ、殘存會社ハ
  ヤハリ其ノ債務證書ハ百万圓ト評價シテ
  置イテ宜シイト云フヤウナ措置モ取リマ
  スシ、又法人稅ノ減免等モ考ヘマスシ、
  純然タル債權ノ保有會社ニナリマシタ場
  合ニハ、商法上ノ法定積立金ヲナスベキ必
  要モ、其ノ際ニハ殆ドナイト言ツテ宜シイト
  思ヒマス、何トナレバ政府又ハ政府自ラ債
  主デアリ、政府ガ保證シテ居リマス確實ナ
  有價證劵ヲ持ツテ居ルノデ、積立金ノ必要
  スラナイト考ヘマス、又サウ云フ場合ニハ
  之ヲ免除スルコトモ致シマスノデ急激ニ配
  當ガ大イニ變化スルコトガナイヤウナ種々
  ナル手段ヲ執ツテ參リマス、斯ウ云フコト
  ニ依リマシテ、又經理上特例ヲ認メルト云
  フヤウナ條文モアリマス
  是ハ具體的ノ事例ヲ一ツ申上ゲレバ、一時
  ニ退職資金ヲ澤山出シテ、ソレヲ一時ニ其ノ儘
  損失ニ計上致サセテハ、是カラ先ニハ退職資
  金ガナイ、一時ニ此ノ期ダケ配當ガ減ルト云フ
  コトニナリマスガ、斯カルモノハ今囘偶然ノ理由
  ニ依ツテ一時ニ多額ノ退職資金ヲ出シマス
  カラ、之ヲ數期ニ按分シテ整理スルト云フ
  ヤウナ經理ノ方法ヲ認メタイト云フノデ、
  其ノ根據トナル條文モ入レテアル次第デア
  リマス、御說ノ如ク努メテ急激ナル變化ヲ
  避ケ、又大體是ハ避ケ得ルモノナリト考へ
  テ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=133

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• 134・木暮武太夫

  ○木暮委員長　一寸永野君ニ申上ゲマスガ、
  アナタノ只今ノ御質問ノ中ニ、休廢止スル
  會社ノ割合ハドウカト云フ點ガアリマシタ
  ガ、ソレハ商工省ノ側トシテハ斯ウ云フ公
  開ノ席デハ一寸申上ゲラレナイ、斯ウ云フ
  御返事デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=134

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• 135・永野護

  ○永野委員　時間ガゴザイマセヌノデ、極
  メテ簡單ニ伺ヒマスカラ、簡單ナ御答辯デ
  宜シウゴザイマス、企業整備資金措置法ノ
  三條ト四條ノ範圍ヲ伺ヒタイノデアリマス
  ガ、第三條ノ所謂政府ガ土地建物其ノ他ヲ
  買受ケマシテ、政府特殊借入金トシマス場
  合ノコトデアリマスガ、是ハ旣ニ豫算ニ計
  上致サレタ部分ニ付キマシテモ、ヤハリ遡
  ツテ此ノ適用ガアルノデゴザイマスカ、又
  陸海軍ガ色々ナ動產其ノ他ヲ買取リマシタ
  場合モ、同ジク第三條ノ適用ガアルト解釋
  シテ宜シウゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=135

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• 136・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　第三條ノ、大體立法ノ趣旨
  ハ、政府ガ新タニ工場ヲ建設スベク民間ノ
  請負業者等ニ註文致シマシテヤルナウナ場
  合ニハ、是ハ現金支拂ヲ要スルコトガアル
  ノデアリマス、ソンナ場合ニハ適用ノナイ
  ノハ當然デアリマスガ、今デハヤハリ企業
  整備ノヤウナ意味合デ、民間ニサウ云フモ
  ノヲ新タニ註文シテ建テサセルト云フヨリ
  モ、現在アル、戰力關係カラ言ヘバ不要不
  急ナ工場ヲ買收シテ、政府ノ官有工場ニ增
  强シタラ宜イ、斯ウ云フ場合ガアリマス、
  サウ云フ場合ニハ是ハ恰モ民間ニ於テ或ル
  企業ノ工場ヲ、他ノ戰力增强ニ必要ナル企
  業ニ賣ラシムル場合ト同ジデアリマスカラ、
  サウ云フ場合ニハヤハリ公平論ト申シマス
  カ、其ノ立場カラ言ツテモ、資金其ノ他ノ
  立場カラ言ツテモ、ヤハリ是ハ政府ガ買フ
  場合ナラバ現金ダ、民間ノ場合ナラバ現金
  デナイト云フノモ工合ガ惡イカラ、斯ウ云
  フ途ヲ開ケテ置クコトガ實際上必要デハナ
  イカト云フノデ出來マシタ、是ハ殆ド普通
  豫算デハアリマセヌ、陸海軍等ニ於テ工場
  ナドヲ買フ場合ニ起ルコトデアリマス、左
  樣ニ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=136

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• 137・永野護

  ○永野委員　第四條ニ付キマシテハ、此ノ
  度ノ日本證劵會社設立ニ依ツテ、其ノ運用
  上生ジマスル所ノ證劵會社ノ統合ト云フヤ
  ウナ場合ガ、此ノ四條ノ中ニ含ムデアリマ
  セウカ、又近頃各地ノ溫泉宿デアリマスト
  カ、或ハ料理屋ノ如キ設備ガ、徴用工ノ宿
  舍デアリマストカ、或ハ鍊成道場ノ用ニ買
  上ゲラレルコトガゴザイマスガ、サウ云フ
  場合モ此ノ四條ノ中ニ含ムモノト解釋スベ
  キデセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=137

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• 138・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　四條ハ、日本證劵モ本法
  施行ノ以後ニ掛リマスレバ理論的ニハ含ム
  カモ知レ、マセヌ、併シアレハ御承知ノ
  ヤウニ舊各取引所ニ、新取引所ノ出資證劵
  ヲ交付スルコトニナツテ居リマス、詰リ
  此ノ法律ノ全體ハ、會社ノ合併統合ガアリ
  マスル場合ニハ、株劵ヲ渡スト云フコトヲ
  立法ノ主眼ト致シテ居リマシテ、サウデ
  ナイ場合ニ所謂現金ヲ出シテ買收等ヲ防グ
  譯デアリマス、ソレデアリマスカラ法
  律ノ精神ニ適ツテ居リマスカラ、〓究
  致シマシテ、形式上此ノ命令デ除ク必
  要ガアレバ除キマスルガ、是ハ或ハ六
  月中ニ出來マスカラ、本法施行前ニ濟ンデ
  シマフカモ知レマセヌ、性質ハサウ云フ譯
  デアリマス、ソレカラ今ノ料理屋其ノ他接
  客業等ノ整備モ今度ハアル譯デアリマス、
  サウナリマスト之ニ入ルコトニナリマス、
  大體本法ノ適用ノ範圍ハ斯ウ云フ範圍ニ致
  ス積リデアリマス、旣存設備等ニ依ル企業
  設備ノ增强、企業ノ整理又ハ企業ノ統合ノ
  爲ニ經濟統制ヲ目的トスル法令、法令ニ基
  ク命令又ハ行政官廳ノ指導若シクハ斡旋ニ
  依リ行ハレ、又ハ經濟統制ヲ目的トスル法
  令ニ基ク認可許可ヲ受ケテ行ハレタル場
  合、此ノ範圍ニ致ス積リデアリマス、詰リ
  積極的ニ企業整備令等ニ於キマシテ命令ガ
  アツタ場合、又當事者ガ自發的ニドン
  ヤラレマシテ、命令ハ出サズソレデ行ツタ
  場合、ソレカラ行政官廳ガ指導斡旋致シマ
  シタ場合ニハ勿論デアリマス、併シ指導幹
  旋ヲ俟タズドン〓〓民間デヤラレマスコト
  ガ必要デアリマス、サウ云フ場合ニ、例へ
  バ船舶ノ合同等ガアリマスト、是ハ經濟統
  制ヲ自的トスル法令-資金調整法等ノ認
  許ガアリマシタ場合、是等ニ於キマシテハ
  此ノ範圍ハ、詰リ一ツノ企業ノ設備ガ轉用
  サレテ增强サレタリ、又サウ云フ目的デ整
  理サレタリ、又ハ企業ノ統合ガアリマスル
  場合ニ適用スル、斯ウ云フコトデアリマス、
  之ヲ別ノ形カラ申シマスルト、今ノ行政官
  廳ノ指示ナドト云フコトハ別ニ紙ノ上ニ書
  イテ居リマセヌケレドモ、國民更生金庫ト
  カ產業設備營團トカ、斯カル目的ヲ公的ニ
  果ス機關ガ扱ヒマスモノハ、勿論此ノ法律
  ノ適用ニ入リマス、左樣ニ御承知ヲ願ヒタ
  イト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=138

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• 139・永野護

  ○永野委員　只今證劵會社ノ統合ノコトヲ
  申シ·マシタガ、私ノ申シ樣ガ惡カツタノカ
  モ知レマセヌガ、私ハ地方取引所ノコトヲ
  申シタノデハゴザイマセヌ、日本證劵會社
  ノ設立ニ伴ヒマシテ、各地ノ證劵取引店ガ
  統合サレル場合ノコトヲ伺ツタノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=139

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• 140・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　本法ニ入リマス、ソレデ
  施策ノ主タル目的ハ株式交付ニ依ツテ合併
  スルコトヲ望ンデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=140

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• 141・永野護

  ○永野委員　モウ一點ダケ伺ヒタイ、本法
  ニハ多數「命令ノ定ムル所ニ依リ」ト云フノデ
  勅令ニ讓ツテアル部分ガ澤山アルノデアリ
  マスガ、其ノ中特ニ吾々ノ伺ヒタイト思フ
  點、卽チ此ノ特殊決濟ヲ免除スル特例、又
  ハ會社ノ解散ヲ認ムル場合、或ハ信託會社
  ニ會社ノ管理ヲ命ズル場合、サウ云フヤウ
  ナ場合ニ於キマスル勅令案ノ內容ニ付テ簡
  單ナ御說明ガ願ヘレバ仕合セト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=141

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• 142・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　一寸政府委員ヨリ申上ゲ
  タイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=142

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• 143・迫水久常

  ○迫水政府委員　御尋ネニナリマシタノ
  ハ恐ラクドウ云フ場合ニ特殊決濟方法ニ
  依ラザルコトヲ認可スルカトカ、或ハ解散ヲ
  認メルカ、信託ヲ命ズルカ、サウ云フ場合
  ノコトデアラウト思ヒマスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=143

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• 144・永野護

  ○永野委員　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=144

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• 145・迫水久常

  ○迫水政府委員　勅令ニサウ云フ場合ヲ一
  一列擧シテ揭ゲルカドウカト云フコトニ付
  テハ、目下〓究ヲ致シテ居ルノデアリマス
  ルガ、恐ラク如何ナル場合ニ於テ信託ヲス
  ベキコトヲ命ズルカトカ、解散ヲ認可スルカ
  トカ云フコトヲ、具體的ニ列擧スルコトニ
  ナラナイノデハナイカト思ノデアリマス、
  抽象的ニ揭ゲルコトニ止マルノデハナイカ
  ト存ジマス、隨ヒマシテ大體斯ウ云フヤウ
  ナ場合ニハ特殊決濟ノ免除ヲスル方針デアル
  トカ、解散ヲ認メル方針デアルトカ云フ具體
  的ノコトヲ、只今御說明ヲ若シ必要ナラバ
  申上ゲタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=145

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• 146・永野護

  ○永野委員　願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=146

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• 147・迫水久常

  ○迫水政府委員　大體特殊決濟方法ニ依ラ
  ナイデ、現金ヲ以テ交付シテモ宜シイト云
  フヤウナコトハ、原則トシテ許可ヲ行ハナイ
  方針デアリマス、ソレハ別ナ條文デアリマス
  所ノ第十二條カ或ハ第十四條-卽チ第十
  二條ノ期限前償還ニ關シマスル規定、或
  第十四條ノ金融市場ニ於ケル現金化ニ關シ
  マスル所ノ規定等ノ問題ニ移シマシテ、卽
  チ原則トシマシテハ先ヅ一遍資金ヲ封鎖シ
  マシテ、ソレヲ必要ニ應ジテ簡易迅速ニ現
  金化スルト云フ方針ヲ執リタイト思ツテ居
  ルノデアリマス、隨ヒマシテ第一ノ特殊決
  濟ノ免除ヲスル場合ハドウ云フ場合カト云
  フコトニ付テハ左樣御承知ヲ願ヒタイト存
  ジマス
  尙ホ次ニ解散ヲ認メマスル場合ハ、是一
  殘餘財產ガ餘リナクテ、解散セシメテモ浮動
  購買力ヲ生ズル虞ノ餘リナイト云フヤウナ
  場合ニ之ヲ考ヘテ居ルノデゴザイマス、信
  託ヲ命ズル場合ハ、法律ニハ資産ノ大部分ガ有
  價證劵又ハ債劵ニナル場合ト云フコトヲ
  書イテ居リマスルガ、其ノ大部分ト云フコ
  トハ先ヅ資產ノ記帳價格ニ於キマシテ、資
  產ノ三分ノ二以上位マデ有價證劵又ハ債劵ト
  ナツタヤウナ場合ヲ一應申シテ居ルノデア
  リマス、併シ其ノ會社ガ債劵、有價證劵ヲ
  保有スルコトデナク、其ノ他ノ事業モ經營
  ヲ致シテ居リマスルヤウナ場合ニハ、尙ホ
  細々ナガラヤツテ居リマスルヤウナ場合ニ
  ハ、必ズシモ信託會社ニ委託スルコトガ適當
  デハゴザイマセヌ、隨ヒマシテ信託會社ニ
  信託ヲスベキコトヲ命ジマスル場合ハ、
  ソレ等ノコトガナクテ、卽チ信託會社ガソレ
  ヲ引受ケマシテモ十分ニ事務ヲコナシテ行
  ケルト云フ見透シノ立ツタ場合、サウ云フ
  時ニ信託ヲ命ズル、斯ウ云フヤウニ御了
  解ヲ願ヘレバ結構デアルト思ヒマス

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• 148・永野護

  ○永野委員　私ノ質問ハ是デ終了致シマシ
  タ

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• 149・木暮武太夫

  ○木暮委員長　川俣〓音君

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• 150・川俣清音

  ○川俣委員　第一ニ、機械關係統制會ノ統一
  ニ關シテ御尋ネ致シタイト存ジマス、現在ノ機
  械關係ノ統制會ハ產業機械統制會、精密機
  械統制會、電氣機械統制會、車輛統制會、自
  動車統制會ノ五ツノ統制會ニ分レテ居ルト思フ
  ノデアリマスガ、此ノ統制會ノ統一ノ必要ガア
  ルノデハナカラウカト考ヘルノデアリマス、ソ
  レハ今般ノ生產機構ノ整備ノ必要カラ見マシ
  テ、又綜合生產力ヲ〓揚スル上カラ見マシ
  テ、之ヲ一ツ乃至二ツニ統合スル必要ガア
  ルノデハナカラウカ、斯ウ云フ點デアリマ
  ス、例ヘテ申シマスレバ「タービン」ノ如キ
  八御承知ノ通リ是ハ產業機械統制會ガ取
  扱フ場合ト、電氣機械統制會ガ取扱フ場合
  ト二ツアルノデアリマシテ、電動機トシテ
  取扱フ場合ハ、產業機械統制會ニ是ガ所屬
  スル、或ハ發電用ニ使フ場合ハ之ヲ電氣機
  械統制會ガ取扱フト云フ風ニ、同ジ一ツノ
  「タービン」デアリマシテモ、使用ノ方面カ
  ラ之ヲ統制會ヲ分ケテ居ルト云フ場合モア
  リマスシ、又甲ノ統制會ニ所屬シテ居ル會
  員ガ造ル場合ハ、^乙ノ統制會ノ「メンバー」
  ノ仕事ヲシナガラモ、甲ノ統制會ノ「メン
  バー」デアル爲ニ、甲ノ統制會ニ所屬シナケレ
  バナラナイト云フ場合モアルノデアリマシ
  テ、物ノ面カラ分ケテ行クカ、或ハ使用ノ
  面カラ分ケテ行クカト云フコトニ依リマシ
  テ、取扱ニ付テ明確デナイ點ガ多々アルト
  思フノデアリマス、殊ニ產業機械デアルカ、
  精密機械デアルカ、或ハ電氣機械デアルカ
  ト云フコトニ付テノ區分ハ中々付ケ難イ點
  ガ多々アルト思フ、寧ロサウ云フモノハ一
  貫的ニ機械ノ綜合生產ヲナスコトガ今日必
  要デハナカラウカト考ヘルノデアリマス、
  隨テ機械關係ノ統制會ハ精密機械統制會、
  產業機械統制會、電氣機械統制會等ハ之ヲ
  一本ニスル、或ハ車輛デアルトカ自動車ト
  云フヤウナモノハ、特ニ違フト致シマスレ
  バ之ヲ二本ニスルコトニ依ツテ、統制スベ
  キデハナカラウカト考ヘマスガ、此ノ點ニ
  關スル商工省當局ノ御答辯ヲ煩ハシタイト
  思ヒマス

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• 151・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　御話ノ如ク只今機械部門
  ニ付キマシテハ、五ツノ統制會ガ併存シテ
  居ル狀況デアリマス、機械ノ部門ニ付キマ
  シテ、統制會ヲ構成スル際ニ實ハ二ツノ意
  見ガアリマシテ、是ハ一ツニスベキモノデ
  アル、或ハ又數本ニスベキモノデアル、數本
  ニスベキモノデアルト言ヒマシテモ、之ヲ
  三ツニスルガ宜イトカ、或ハ現在ノ五ツヨ
  リモ更ニ數ヲ殖ヤシテ七ツノ部門ニ區別ス
  ルガ宜イトカ、其ノ他色々議論ガアツタノ
  デアリマスガ、何分ニモ今日ノ機械工業
  ノ狀況ハ發達ノ過程デアリマシテ、尙ホ其
  ノ機械全體ヲ眺メテ見マスト、別ニ專門化
  シテ居ラヌ中小ノ企業家モ相當ニ多イト云
  フコトデ、之ヲ直チニ一本ニ纒メルト云フ
  コトハ實際上非常ナ困難ナ問題ニ逢着シ
  タノデアリマス、ソレデ各種ノ方面カラ〓
  究致シマシタ結果、只今ノ五部門ニ分ケタ
  譯デアリマス、ソレデ分ケテ見マスト、御
  話ノヤウニ一ツノ部品、完成品ガ、其ノ用
  途ニ依ツテ、或ハ產業機械ニ屬スルトカ、
  或ハ又動力機械ノ方ニ屬スルトカ云フコト
  モアリマスシ、ソレカラ又大「メイカー」ナ
  ンカハ、綜合的ニ各種ノ機械ヲ造ツテ居
  ルソレガ又其ノ大「メイカー」ニ取リマシ
  テハ最モ都合ノ好イ方法ナノデアリマスガ、
  ソレガ五ツノ部門ニ統制會ガ分レテ居ル爲
  ニ、重複シテ加入シナケレバナラヌト云フ
  ヤウナ不都合ガ起ツテ參テ居ルノデアリマ
  ス、併シナガラ大體ニ於キマシテ、大部分
  ノ範圍ニ付キマシテハ、割合ニ明確ニ區分
  サレル部分ガ相當アリマスノデ、同一ノ業
  者ガ二ツ以上ノ統制會カラ、重複シテ各種
  ノ指令、指揮ヲ受ケルト云フヤウナ混亂ハ、
  大部分ニ付キマシテハナイノデアリマス、
  只今仰セラレタヤウナモノハ、何レカト云
  ヘバ極ク少數ノ事例ニ過ギナイト云フ狀況
  デアルノデアリマス、併シナガラ少數ノ事
  例デアリマシテモ、ソレヲ其ノ儘放置スル
  ト云フヤウナ考ヘ方デハナイノデアリマシ
  テ、左樣ナ點ニ付キマシテハ、成ベク各統
  制會ノ間ノ緊密ナル連繫ヲ圖リマシテ、區々
  ニコツ工場、同ジ業者ニ種々ノ違ツタ拘
  束ヲ加ヘルト云フコトノナイヤウニ配慮シ
  テ居ル次第デアリマス、併シ何レニ致シマ
  シテモ、日本ノ今日ノ戰爭段階ニ處スル機
  械工業全般ノ問題トシテハ、色々共通ノ重
  要ナル問題ガアルノデアリマス、機械技術
  ノ問題、或ハ技術者ノ問題、或ハ職工、高
  級職工ノ訓練指導ノ問題デアリマストカ
  或ハ所要資材ノ配分ノ問題デアリマストカ、
  相當全機械部門ニ當ル重要ナ問題ガアルノ
  デアリマシテ、ソレ等ノ問題ヲ處理スル爲
  ニ、取敢ズ五ツノ統制會ノ間ニ協議會ヲ
  作リマシテ、其ノ協議會ニ於テ種々重要ナ
  ル問題ニ付テ協議シテ、其ノ協議ノ結果ニ
  依ツテソレ〓〓統制會ガ處理シテ居ルヤウ
  ナ狀況デアリマス、是トテモ必ズシモ百「バ
  セント」ニ完全ナル機構トハ申シ得ナイ
  ダラウト思ヒマス、出來得ル限リ簡素化シ、
  而モ强化スル趣旨ニ於テ、將來御話ノヤウ
  ナ點ニ付キマシテハ、有力ナル參考トシテ
  〓究シテ見タイト考ヘテ居ル次第デアリマ
  ス

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• 152・川俣清音

  ○川俣委員　更ニ御尋ネ致シタイノデアリ
  マスガ、殊ニ第二種工業部門ト致シマシテ
  考ヘラレテ居リマスル系列ノ整備ト云フ條
  項ヲ政府デハ擧ゲテ居リマスガ、此ノ系列
  ノ整備ト云フモノハ、所謂末端工場ダケヲ
  考ヘテ居ルノデアリマスカ、或ハ軍ノ機密
  工場及ビ管理工場、或ハ監督工場、指定工場、
  商工省ノ協力工場ト云フ全面的ナ系列整
  備ヲ御考ヘニナツテ居ラレルノデアリマス
  カ、此ノ點ヲ企畫院ノ方ニ御尋ネ致シマス

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• 153・木暮武太夫

  ○木暮委員長　今企畫院ノ方ハオイデニナ
  ラヌヤウデスガ·····

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• 154・川俣清音

  ○川俣委員　ソレデハソレハ後ニ〓シマシ
  テ、商工省カラ伺ヒタイ、卽チ系列ノ整備强
  化、生產機能ノ刷新向上ト云フコトヲ此ノ度ノ
  企業整備ノ目標ニシテ居ラレルノデアリマス
  ガ、此ノ系列ノ整備强化ト云フコトハ、軍
  ノ管理工場及ビ機密工場ヲモ含ムモノデア
  ルカドウカ

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• 155・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　勿論企業整備ノ趣旨ハ、
  全面的ナ系列ヲ包含スルト云フ建前デアル
  ノデアリマス、唯ソレハ各省ニ關係ガアリ
  マシ、殊ニ陸海軍部ニ關係ガゴザイマス、
  ソレガ又作戰統帥ノ上ニモ相當重要ナル影
  響ヲ及ボスコトデアリマスノデ、ソレ等ノ
  問題ニ支障ヲ與ヘナイヤウニ、關係省ト十
  分緊密ナル連絡協力ノ下ニ行ツテ行カナケ
  レバナラヌ問題デアルト思ヒマス

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• 156・川俣清音

  ○川俣委員　私ノ御尋ネシタノハ、企業系
  列ノ整備强化ト云フノハ、軍ノ管理工場モ
  含マレテ居ツテノ整備デアルカドウカト云
  フ點デアリマス、入ツテ居ルノカ、入ツテ
  イナイノカ御尋ネシタイ

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• 157・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　軍管理工場ノ中ニモ、直
  接兵器ヲ造ツテ居ル、或ハ兵器ノ部分品ヲ
  造ツテ居ルト云フヤウナ工場デアリマシテ、
  殆ド軍關係ノモノダケト云フモノト、又軍
  民需兩方面ニ亙ツテ造ツテ居ルモノトアル
  ノデアリマス、ソレデ其ノ後者ノ點ニ付キ
  マシテハ、是ハ勿論其ノ企業系列ノ範圍內
  トシテ之ヲ包含シテ居ル、斯樣ニ御諒承ヲ
  願ヒタイ

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• 158・川俣清音

  ○川俣委員　私更ニ御尋ネシタイト思ヒマ
  ス、第二種工業部門ノ整備ニ於テハ、熱、
  問題ハ寧ロ發註者ノ關係ヲ整備スル所ガ此
  ノ第二種工業部門ノ生產能力ヲ發揮スル要
  點ニナルト思フノデアリマス、私共最近翼
  政會等ノ造船ノ關係デ各地方ヲ廻ツテ來ラ
  レタ人ノ話ヲ聽イテ見マルテモ、燒玉ノ如
  キハ、海務院、海軍省或ハ商工省、統制會
  ト云フヤウナ所デ殺到シテ奪ヒ合フ狀態ガ、
  非常ニ生產ヲ阻碍スル一ツノ原因ニナツテ居
  ルト思フノデアリマス、是ハ其ノ何レモ造船
  ノ燒玉「エンヂン」ヲ必要トサレル點ハ認メ
  ルノデアリマスガ、之ヲ奪ヒ合フコトニ依
  ツテ各〓、何物ヲモ得ラレナイ結果ニナルナ
  ラバ、其ノ目的ハ達成セラレナイ結果ニ相
  成ルト思フノデアリマス、隨テ系列ヲ整備
  スルト云フ目標ヲ立テテ居ラレルノデアリ
  マスカラ、斯カルコトガ行ハレナイヤウナ
  方式ヲ採ラレナケレバナラヌト思フガ、其
  ノ方式ヲ採ル場合ニ於テ、軍ノ機密ニ關ス
  ル或ハ軍ノ需要デアルト云フコトデ、下
  請工場ヲ各〓奪ヒ合フコトニナレバ、其ノ能
  率ガ阻碍サレルコトハ火ヲ〓ルヨリモ明カ
  デアリマス、今日ノ情勢ニ於テ、下請工場
  ヲ奪ヒ合フコトガ、能率ヲ低下シテ居ル最
  モ大キナ原因ニナツテ居ルト思フノデアリ
  そうく、ソコデ是等下請工場ノ整備ニ當ツテ
  ハ、何レモ緊要ナル部分ヲ取扱ツテ居ル下
  請工場ニ付テハ、何レニ從屬スルモノデア
  ルカト云フコトヲ明確ニ決メテ參ラナケレ
  バ、其ノ生產能率ヲ阻碍スルモノデアルト
  考ヘルノデアリマスガ、之ニ對スル企畫院
  ノ御方針ヲ御洩ラシ願ヒタイト思ヒマス

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• 159・平井豊一

  ○平井政府委員　ソレデハ今ノ御質問ニ御
  答へ致シマス、企業系列ノ整備强化ニ付テ
  ハ先般閣議決定ノ通リ、六月一日發表サ
  レタ要旨ニアリマスヤウニ、別途企畫トナ
  ツテ居リマスノデ、今關係省ト企畫院ト連
  絡中デアリマスカラ、只今具體的ノコトヲ
  御說明出來ナイノヲ御諒承願ヒタイト思ヒ
  マス、〓究ノ準備ノ程度デ御披露申上ゲル
  ト、陸海軍ノ絕大ナル御協力ニ依リマシ
  テ、本年二月カラ三月ノ兩月ニ掛ケテ陸海
  軍ノ直接發註工場、協力工場、下請工場ヲ
  全國ニ亙ツテ「リスト」ヲ出シテ戴イテ、陸
  海軍ヲ突合ハセ、商工省ノ立場カラ見ラレ
  タ「リスト」モ戴キマシテ、目下統計局ヲ動
  員シテ、大體此ノ「リスト」ガ纒マリマシテ、
  議會デモ終リマシタナラバ、直グ關係省ノ
  者ハ其ノ「リスト」ト首引キシテ、今御質問
  ニナリマシタヤウナ最末端ノ下ノ工場ニマ
  デ及ボシマシテ系列ヲ組立テル積リデ居リ
  マス、各方面ノ御意見、今ノ御質問ノ御意
  向モ十分了承致シマシタノデ、今後、〓究
  シ、立派ナ案ヲ作ルヤウニ努力シタイト思
  ツテ居リマス

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• 160・川俣清音

  ○川俣委員　只今ノ御答辯デ各省連絡シテ
  綜合調整ヲ行フト云フコトデアリマスカラ
  ソレデ了承致スノデアリマスガ、更ニ末端
  工場ノ整備ニ付キマシテ現在商工省デ執ツ
  テ居ラレマスルノハ、定常工場、或ハ專屬
  工場、或ハ外註工場ト云フヤウナ名前ニ於
  テ今日取扱ツテ居ラレマスガ、是等ノ系列
  整備ニ當リマシテハ定常ヲ主トサレルカ、
  專屬ヲ主トサレルカ、或ハ外註ヲ主トスル
  モノモアルデアリマセウガ、大體ハ是等ノ
  定常、專屬、外註工場ノ整備ノ主體ヲドチ
  ラニ向ケテ行ク方針デアルカ、其ノ方針ヲ
  明示シテ戴キタイト思ヒマス

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• 161・佐藤筌太郎

  ○佐藤(筌)政府委員　私カラ御答ヘ致シマ
  ス、只今ノ御質問ノ協力工場、之ニハ專屬
  ト定常、更ニ外註トゴザイマスガ、目標
  ト致シマシテハ親工場ニ專屬スルモノヲ育
  成强化シテ行クノガ最モ宜イノデゴザイマ
  シテ、其ノ方向ニ進メテ居ルノデゴザイマ
  ス、併シ中ニハ一工場ガ一ツノ親ダケデナ
  シニ、二ツ以上ノ親工場ニ對シテ協力シテ
  居ル工場モアリマス、是等モ二工場或ハ三
  工場ニ定常セシメルト云フコトハ、過渡的
  ニハ已ムヲ得ナイ方法ダラウト考ヘテ居リ
  やく、又外註工場ト致シマシテハ、是ハ大
  體品種別工業組合員ノ工場ガ外註工場デア
  リマシテ、ソレハ大體完成部品ノ專門工場
  トシテ育成サレテ居ルノデゴザイマス、此
  ノ外註工場ト協力工場、是ハ別個ニ育成强
  化シテ行ク考ヘデ進ンデ居ルノデゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=161

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• 162・川俣清音

  ○川俣委員　更ニ御尋ネ致シマス、業種別ニ
  工業組合ヲ整備シテ行ク方針デアルカ、殊
  ニ末端工場ノ整備デアリマスガ、府縣工聯
  ノ强化ヲ圖ツテ生產能率ヲ增强シヨウトス
  ルノデアリマスルカ、或ハ業種別組合ヲ强化
  シテ其ノ指導育成ニ當ラウトスルノデアリ
  マスルカ、此ノ點ニ付テモ御伺ヒ致シタイ
  ト思ヒマス

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• 163・佐藤筌太郎

  ○佐藤(筌)政府委員　只今ノ御質問ノ府縣
  工聯ヲ中心トスルカ、品種別ヲ中心トスル
  カト云フ點デゴザイマスガ、府縣工聯ハ新
  タニ制定サレマシタ商工組合法ノ施行ニ伴
  ヒマシテ、之ヲ內容的ニ組織ヲ强化致シマ
  シテ、特ニ府縣工聯傘下ノ組合員ハ一般產
  業竝ニ國民生活ニ必要ナ機械器具ノ生產ヲ
  擔當シテ居ル部面デアリマスルノデ、此ノ
  國民生活ノ最低限度維持ニ支障ヲ來サナイ
  ヤウニ、府縣工聯ノ組織强化ヲシテ行ク考
  ヘデゴザイマス、品種別ハ別ニ設ケテアリ
  マスノデ、品種別ハ品種別トシテ强化シテ
  行ク考ヘデ進ンデ居ルノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=163

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• 164・川俣清音

  ○川俣委員　更ニ御尋ネ致シマスガ、先程
  來問題ニナリマシタ轉用工場ノ中味ノ問題
  ハ是モ非常ニ議論ノ多イコトダラウト思
  ヒマスケレドモ、私ハ第一種工業部門ノ轉
  用サレマス工場ノ設備ニ要スル機械ノ中味
  ノ問題ニ付テハ御尋ネ致シマセヌガ、假令
  轉用工場ニ中味ノ機械ガ入ツタト致シマシ
  テモ、恐ラクソレニ協力スベキ下請工場ト
  云フモノガ必要ニ相成ルト思フノデアリマ
  ス、此ノ場合下請工場ヲ新設スルノデアリ
  マセウカ、或ハ既設ノ下請工場ヲ利用サレ
  ヨハハ活用サレヨウトスルノデアリマセウ
  カ、此ノ點ヲ御尋ネ致シタイノデアリマス、
  ナゼカト申シマスルト、旣設ノ下請工場デ
  アリマスレバ、モウ既ニ先程御話ノヤウニ
  親ガ定マツテ居リマス、親ガ定マツテ居ル
  下請工場ヲ更ニ轉用工場ガ奪ヒ合フト云
  フコトニナリマスレバ、是亦子工場ノ奪
  ヒ合ヒガ生產ノ阻害ニナリマシテ、決シテ
  新シキ轉用工場ノ生產能率ヲ高メルコトニ
  ハナラヌト思フ、若シ轉用工場ノ生產能率
  ガ高マリマスナラバ、旣設ノ親工場ノ生產
  能率ガ低下スルト云フコトニナリマスカラ、
  新シク下請工場ヲ作ル豫定デアリマスカ、
  或ハ既設ノ下請工場ヲ利用サレルノデアリ
  マスカ、或ハ府縣工聯ノ末端ノ、下請工場
  トシテハ今マデ働イテ居ラナイケレドモ、
  類似ノ工場ヲ下請工場トシテ活用スルノデ
  アリマセウカ、其ノ點ヲ御說明願ヒタイト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=164

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• 165・佐藤筌太郎

  ○佐藤(筌)政府委員　只今ノ御質問ハ、轉
  用工場ガ活潑ニ動キ出シタ場合ニ協力工場
  ヲ新タニ作ルカ、既存ノ工場カラ選擇活用
  スルカト云フ御質問デゴザイマスガ、新タ
  ニ作ルト申シマシテモ相當困難ガゴザイマ
  スノデ、出來得ル限リ旣存工場ヲ活用シテ
  行クト云フ方ガヨリ效果的デアルト考ヘテ
  居リマス、隨ヒマシテ何處カラ選擇スルカ
  ト云フコトニナリマスレバ、大體ハ府縣工
  聯傘下ノ機械製造工業組合、此ノ傘下組合
  員ノ中カラ選擇スルコトニナルダラウト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=165

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• 166・川俣清音

  ○川俣委員　更ニ私ハ御尋ネ致シマス、殊
  ニ重要工場ノ資材節約ニ關シテ如何ナル指
  導方針ヲ執ツテ居ラレマスルカ、此ノ點ニ
  付テ軍及ビ商工省ノ見解ヲ御說明願ヒタイ
  ト思ヒマス、特ニ私ガ斯ウ云フコトヲ御尋
  ネ致シマスルノハ、質的向上ヲ圖ツテ戰力
  ヲ强化スルコトガ必要デアルコトハ私モ認
  メマスルケレドモ、今量ノ確保モ必要デア
  ラウト思フノデアリマス、量ノ確保ニ力ヲ
  入レテ參リマスレバ、質ノ低下モ時ニハ巳
  ムヲ得ナイコトモ起ルノデハナカラウカ、
  質ノ向上勿論必要デアリマセウ、併シナガ
  ラ事態ガ非常ニ急迫ニナツテ參リマスルト、
  是ハヤハリ量ノ方ニ於テモ相當量ヲ殖ヤシ
  テ、直接戰力ヲ高メテ行カナケレバナラヌ
  コトモ亦考ヘラレルノデアリマスルカラ、
  鐵其ノ他ノ主要資材ガ非常ニ豐富ナ時代ニ
  考ヘラレタ設計-家屋ノ設計カラ、或ハ
  機械ノ設計カラ、總テノ設計ガ鐵ノ非常ニ
  豐富ナ時代ノ設計ト、鐵ガ非常ニ窮迫致シマ
  シテ、又其ノ他ノ主要資材ガ窮迫シテ囘收
  ヲ行ツテ居リマスル今日トハ、其ノ設計ノ
  方法ヲ變ヘテ參ラナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、之ヲ變ヘテサウシテ生產ノ一
  割デモ二割デモ增强ヲ圖ツテ參ラナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマシテ、所謂戰時設
  計ヲモ今日執ル必要ガアルノデハナカラウ
  カト思ヒマスルガ、之ニ對スル所見ヲ伺ヒ
  タイ、是ハ企畫院及ビ商工省及ビ軍カラ御
  伺ヒ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=166

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• 167・平井豊一

  ○平井政府委員　企畫院トシテ最近、殊
  今年ノ一月デアリマスガ、生產增强委員會
  デ決メマシテ、閣議ノ御決定ヲ經テ各省デ
  ヤツテ居リマスコトハ規格ノ低下、是ハ陸
  海軍モ其ノ中ニ入ツテ戴キマシテ、凡ユル
  部門ニ於ケル規格ノ低下ト云フコトヲヤツ
  テ居リマス、デアリマスノデ、今ノ御趣旨
  ノ線ニ副ウテ居ルノデアリマス、ソレカラ
  モウ一ツノ問題ハ、此ノ際ノ重要部面、就
  中軍需、重工業方面デ何カ餘ツテ居ルモノ
  ガアルカラ、ソレヲ集約的ニ使フコトヲシ
  テ、然ル後若シクハソレト一〓ニ擴充ヲシ
  テ行クト云フコトガ必要ヂヤナイカト云フ
  意味ノ御質問ノヤウニ取レマシタガ、或
  違ツテ居ルカモ分リマセヌ、サウデアリマ
  シタナラバ、實情ヲ申上ゲマスト、今度ノ
  企業整備ニ於キマシテハ、勿論現在ノ重點
  部面ニ於ケル集約的使用ハ致シマス、勿論
  ソレト同時若シクハソレ以上ニ擴充ヲ要ス
  ル部面ガアル-モウ說明シナクテモ、船
  ヲ造リマストカ、飛行機ヲ造リマストカ、
  今マデ鐵砲ヲ造ツテ居ツタ工場デハ間ニ合
  ハヌノデアリマス、ドウシテモ玆ニ設備、
  工場ノ轉用、勞務ノ轉用ト云フコトガ起ツ
  テ來ル譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=167

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• 168・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　只今ノ御質問ニ關シマシ
  テ商工省ノ方カラモ申上ゲテ見タイト思ヒ
  そう、モウ旣ニ平井調査官カラ御答ヘガア
  リマシタカラ重複ニナリマスガ、資材節約ノ
  趣旨カラ、最近マデ規格行政ガ商工省ノ所管
  ニアツタノデアリマスガ、先般機構改正ニ
  依リマシテ技術院ノ傘下ニ收メラレタノデ
  アリマス、此ノ規格行政ガ商工省ニゴザイ
  マシタ當時、既ニ戰時規格、卽チ量ヲ上ゲ
  ル爲ニ多少質ヲ低下スル、從來平時ノ要求
  ニ從ツテ相當吟味シタ企畫ノ下ニ造ラレテ
  居ツタノデアリマスガ、今日ニ於テハ質ヨリ
  モ寧ロ量ト云フヤウナ場合モ相當アルノデ
  アツテ、當分ノ間ニ合フナラバ、耐久年數ハ
  多少減ツテモ宜イヂヤナイカト云フヤウナ
  コトカラ、重要品種ニ亙リマシテ、所謂臨時
  日本標準規格ヲ制定致シマシテ、是ガ施行ニ
  付キマシテハ、主ナル需要官廳ノ協議折衝
  ニ依ツテ、此ノ戰時規格ヲ逐次採用シテ居
  ルト云フ狀況デアリマシテ、內閣ノ方ニ
  移管サレマシテモ、從來ノ方針トハ依然少
  シモ異ナラナイ、寧ロ其ノ「ライン」ニ副ツ
  テ益〓事ガ處理サレテ居ルヤウナ次第デア
  リマス、其ノ點ヲ一寸申上ゲマス
  尙ホ重要工場ノ資材節約ノ問題ニ關シマ
  シント、勿論今日ノ時局デアリマスカラ、
  ドノ工場ト雖モ資材ガアリ餘ツテ困ルト云
  フヤウナ所ハナイ譯デアリマス、デアリマス
  カラ、是ハ相對的ナ問題デアル、他ト比較
  シテ、又今日ノ時局ニ比較シテ、比較的多イ
  カ少イカト云フコトナノデアリマス、是等
  ノ點ニ付キマシテハ、既ニ昨年商工省所管
  ノ機關デアル物資管理營團ヲシテ工場、事業
  場其ノ他在庫品等ニ付キマシテ詳シク調査
  致シマシテ、差當リノ用ニ間ニ合フ分量以
  上ニ付キマシテハ、之ヲ囘收シテ大切ナ資
  材「ストック」ト致シマシテ、急ノ間ニ合ハ
  ナイ方面、或ハ最モ緊要トスル方面ニ之ヲ
  活用スルト云フ態勢ヲ執ツテ着々其ノ效果
  ヲ擧ゲテ居ル譯デアリマス、更ニ昨年ト本
  年トデハ情勢ノ著シイ變化ヲ見テ居リマス、
  更ニ今日ノ時局ニ鑑ミマシテ、比較的餘剩
  資材ノアル向キニ付テハ之ヲ徵發シテ、ヨ
  リ緊要ナ、ヨリ緊急ナル需要ニ差向ケタイ
  ト云フ考ヘノ下ニ、陸海軍其ノ他關係省ト
  完全ナル了解ヲ遂ゲマシテ、主トシテ工場、
  事業場ヲ對象トシテ、資材ノ狀況ヲ調ベルト
  云フコトニ相成ツテ居リマス、此ノ結果ニ
  基キマシテ更ニ凸凹ヲ調整シ、ソレニ依ツ
  テ生ジタル節約シ得ル部分ニ付キマシテハ
  今日ノ時局下最モ緊切凱切ナル方面ニソレ
  ヲ活用スルト云フコトヲヤリタイト思ツテ、
  只今實行ニ着手シテ居ル次第デアリマス
  ソレカラ資材節約ノ問題ニ付キマシテモ
  ウ一ツ御參考マデニ申上ゲテ置キタイノハ
  所謂原單位計算、原價計算ハ貨幣ノ價値ノ
  問題、一ツノ物ヲ造ルノニ原價ガ幾ラ掛ツ
  タカ、幾ラ金ガ要ツタカト云フ點デアリマ
  スガ、原單位計算ハ更ニ進ンデ、貨幣ノ量
  ニ換算シマセヌデ、一ツノ單位ノ物ヲ生產
  スルノニ延人員ガ幾ラ掛ツタカ、ドレダケ
  ノ動力、ドレダケノ燃料ヲ使ツタカ、ドレ
  ダケノ主要材料、副材料ヲ使ツタカ、其ノ
  最モ合理的ナ計算ヲ致シマシテ、ソレヲ「ス
  タンダード」ノ原單位ト致シマシテ、ソレ
  ヨリモ後レテ居ル生產者ガアリマスレバ、
  其ノ標準ニ早ク追付クヤウニ之ヲ鞭撻督勵
  スル、又其ノ標準ノ原單位ヨリモヨリ以上
  ノ生產能率ヲ上ゲタモノニ對シテハ、國家
  トシテ相當ナ報奬ヲナスト云フコトニシテ、
  眞ニ生產ソレ自身ニ專念沒頭シ得ルヤウナ
  制度ノ確立ヲ目指シテ、只今折角準備中デ
  アルノデアリマスガ、是ハ卽チ一面ニ於キ
  マシテハ資材ノ有效活用、節約ト云フ問題
  ニ非常ナ基礎的ナ基準ヲ玆ニ與ヘルコトニ
  ナルノデアリマシテ、時節ニ鑑ミマシテ、
  此ノ方面モ折角急イデ制度ノ實施化ニ專念
  シテ居ルト云フコトヲ此ノ際御諒解ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=168

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• 169・川俣清音

  ○川俣委員　私ノ御尋ネシタノハ、直接戰力
  ノ增强ノ上ニ必要ナ爲ニ節約ヲ迫ツタノデ
  アリマシテ、餘分ニ軍ガ持ツテ居ルカラソ
  レヲ民需ニ廻ハシテ宜イ、斯ウ云フ意味
  デ申上ゲタノデハナイ、寧ロ重要工場ノ「ド
  アー」アタリニ立派ナモノヲ使ツテ居ル、ソ
  レヲ寧ロ戰力方面ニ向ケタ方ガ宜イ、早ク
  言ヘバサウ云フ意味デ申上ゲタノデアリマ
  シテ、或ハ便所ナドデモ、今デハソンナニ立
  派ナモノヲ造ルヨリモ直接戰力ノ方ニ十分
  ナ資材ヲ向ケテ行キタイ、斯ウ云フ考ヘカラ
  申上ゲタノデアリマス、尙ホ此ノ點ニ付テ
  ハ中小工場デアリマシテモ、工場規則ノ取締
  トカ、電氣工作物ノ取締トカ、機關ノ取締ト
  云フコトデ、急速ニ生產增强ヲ圖リタイト云
  フノニ拘ラズ、サウ云フ取締規則ノ爲ニ生
  產增强ヲ妨ゲテ居ル部分モアリマスノデ、
  斯ウ云フ點ニ付テモ資材節約ノ考ヘ方ヲ十
  分織込ム必要ガアルト思フノデアリマス
  次ニ御尋ネ致シタイノハ、企業整備後ノ
  殘存操業工場、是ハ殊ニ第一種工業部門ニ
  屬スルモノダト思ヒマスガ、企業整備
  後ノ殘存操業工場ニ對シテハ、規模ノ大
  小ニ依リ原料、資材、勞力ノ配給ヲ一定量
  ダケハ之ヲ確保シテ行クベキデアルト
  云フ翼政會等ノ希望ガアルノデアリマス
  ガ、私モ同樣ナ考ヘヲ持ツノデアリマス、
  殊ニ現在軍需、或ハ官需、民需ト云フ風ニ
  言葉デ私ハ分レテ居ルコトヲ、寧ロ遺憾ニ
  思ツテ居ルノデアリマシテ、今日ノ場合ニ
  於キマシテハ、凡ユル物資、戰爭ニ不必要
  ナル物資ト云フモノハサウ澤山生產サレテ
  居ナイト思フ、直接間接ヲ問ハズ、殆ド戰
  爭ノ爲ニ使ハレテ居ル物資デアラウト思
  フ、隨テ是等ノ物資ハ私ハ寧ロ國需デア
  ル、斯ウ見テ國ノ需要ノ中デ直接戰力ニ必
  要ナモノヲ幾ラ、是ガ今ノ軍需デアラウト思
  フ、或ハ直接之ニ幾ラト云フ風ニ寧ロ全體
  ヲ國需トシテ、民需デアルトカ、官需デア
  ルトカ、軍需デアルトカ云フヤウナ言葉ハ
  此ノ際ハ止メテ、國需トシテ見テ國民ニハ
  ドノ程度ヤルカ、或ハ戰力ニハドノ位向ケ
  テ行クカ、直接戰力ニハ幾ラ、直接國民ニ
  ハ幾ラ、斯ウ云フ風ニ寧ロ國需ト云フ考ヘ
  方デ、總テノ物資ヲ割振リスル必要ガアル
  ノデハナイカ、勿論戰爭ノ段階ニ依リマシ
  テ、國民ニ向ケテ行ク分ガ減ルコトハ當然
  デアラウト思フ、或ハ戰力ニ向ケテ行ク部
  分ガ多クナラウトモ、國需ノ中デ按配
  シテ行ク、斯ウ云フ考ヘ方ヲシテ行カ
  ナケレバナラヌノヂヤナカラウカト思
  フ、サウデナケレバ軍需ヲヤツテ居レバ仕
  事ガ成立ツノデアル、民需デアレバ商賣ガ
  ナクナルト云フコトデ、右往左往シテ居ツ
  テハ、寧ロ生產能率ヲ減退シテ行クモノデ
  アルト思フ、軍需デアルナラバト云フコト
  デ、ハツキリ軍需トモ何トモ分ラヌヤウナ
  下請工場ヲヤツテ居ル人モアル、斯ウ云フ
  點モ國ノ需要ト云フモノハ是ダケデアルト
  云フコトヲ明確ニ企畫院デ立テテ居ラレル
  ノデアリマスカラ、國需トシテ總テノ配置
  計畫ヲサレルト同時ニ、總テノ物資ノ配給、
  副資材ノ配給マデ含メテ、現在ハ主要材料
  ダケヲ上カラ下ヘ流シテ居ラレマスケレド
  モ、副資材マデ上カラ下ヘ流シテ來ナケレ
  バナラヌノヂヤナカラウカト思フ、殊ニ今
  度ノ整備ハ整備スルト云フコトガ目的デハ
  ナクシテ、如何ニ物ヲ流シテ目的ノ所へ到
  達セシムルカト云フコトデアラウト思フ、
  私ハ此ノ物ヲ生產シテ行ク目的ヘ到達サセ
  ルト云フコトガ、今日ノ整備ノ目標デアラ
  ウト思フ、物ヲ減ラシテ行クノデハナクシ
  テ、其ノ目標ノ生產物ヲ如何ニ早ク完成セシム
  ルカ、物ヲ流シテ如何ニ早ク物ヲ作リ上ゲル
  カ、斯ウ云フ所ニアルト思フ、隨テソレニ
  必要ナ方途ト云フモノハ總テ是ハ考ヘテ行
  カナケレバナラヌト思フ、今マデハ恰好ヲ
  宜クシテ居ツテ、恰好ハ作ルケレドモ、ソ
  レニ脈ガ通ジテ居ナイ、瀕死ノ重傷ダト云フ
  ノデ輸血スル場合ニ、「エー」型、「ビー」型、
  「シー」型「オー」型ナドガアル譯デセウ
  ガ、整備スルニシテモ、脈ガアツテ取付イタ
  ナラバ直グソレガ活潑ニ動クヤウナ有機的
  ナ考ヘ方ヲ持ツテ行カナケレバナラヌ、
  ツノ生產物ガ生レテ來ル、ソシテゾレガ何
  處ニ行クカト云フコトノ總テ物ノ流レト云
  フモノガ出來テ居ナケレバナラヌト思フ、
  其ノ物ノ流レガズタ〓〓ニ切ツテアレバ、是
  ハ結局ニ於テ生產ノ減退ヲ來スコトニナル
  ト思フノデアリマスカラ、是等ノ點ニ付テ
  ハ十分ナ御考ヘガオアリノコトトハ思ヒマス
  ケレドモ、尙ホ一應此ノ點ニ付テノ御所見
  ヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=169

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• 170・平井豊一

  ○平井政府委員　企畫院ト致シマシテハ、
  昭和十九年度物資動員計晝ノ要領ノ作案ニ
  漸ク着手シテ居リマス、今御質問ニナリマ
  シタヤウナ點ヲ十分ニ考慮致シマシテ、特
  ニ物動ノ數箇年ノ實績ヲ持チ、又經驗ニ依
  リマシテ、惡イ所ト良イ所ガ能ク分リマシ
  タノデ、從來ノ素材物動カラ一步進ンデ、
  製品物動ニ向フベキカ、又ハ軍需、官需、
  民需ト云フ風ニ物資ヲ羊羮ヲ切ツタヤウニ
  分ケテ行クヤウナヤリ方デ、果シテ此ノ際
  ノ生產工業ニ役立ツカト云フヤウナ點ヲ考
  慮致シマシテ考ヘルヤウニ致シタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=170

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• 171・川俣清音

  ○川俣委員　マダ私ノ質問ハ殘ツテ居リマ
  スケレドモ、時間ガ參リマシタカラ、一應
  是デ終ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=171

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• 172・木暮武太夫

  ○木暮委員長　次ニ小山邦太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=172

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• 173・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　私ハ主トシテ農林省關係
  ニ屬スル企業整備ノ問題ヲ對象トシテ、農
  林大臣ニ御尋ネヲ申上ゲタイト思ヒマス、
  第一ニ農林省ニ關係スルモノハ、大方第一
  種工業部門ト、第三種工業部門ニ屬スルト
  存ズルノデアリマスガ、大體第一種、第二
  種第三種ト云フ風ニ三ツニ分ケタ〓念的
  ナモノハ承知シテ居リマスケレドモ、其ノ中
  農林省ニ屬スルモノノ中、第一種ガ果シテ如
  何ナル種類ノ事業デアルカ、第三種ハドウ云
  フ業種デアルカ、而シテソレニ對スル整備ノ
  凡ソノ割合ト申シマスカ、程度ト申シマスカ、
  サウ云フコトガ一向分ツテ居リマセヌ、勿論
  或ル種ノ事業ニ依リマシテハ戰力ノ推定ノ基
  礎トナツテ祕密ヲ要スル點モアルデアラウ
  ト存ジマスルシ、又漫然之ヲ發表スルコトニ
  依ツテ、今次整備ノ事業トシテ關係ノナイ
  モノニマデ徒ラナル動搖ヲ起スガ如キコト
  ハ避ケナケレバナラヌト存ズルノデアリマ
  スガ、苟クモ是ダケノ厖大ナ豫算ヲ以テ徹
  底的ニ企業整備ニ當ラウトスル場合ニ、國
  民モ亦此ノ際ハ喜ンデ自分ノ持合セテ居ル
  所ノ資材ナリ、勞力ナリ、工場ナリガ國家
  緊要ノ仕事ニ對シテ轉用出來ルト云フナラ
  バ、進ンデ協力シヨウト覺悟ヲ定メテ居ル場
  合、又議會ヲ御開キニナツタノモ、軈テ是等
  ノ仕事ヲ徹底セシメル上ニ國民ノ協力ヲ求
  メントセラルルノ意圖ニ出ラレタコトデア
  ラウト存ジマスルカラ、差支ヘノナイ限リ
  御話ニナルガ宜イト思フノデアリマス、大
  體第一種ニ屬スルモノトシテハ纖維、製粉、
  製糖、或ハ〓凉飮料等ノコトハ略〓分ツテ居
  リマスガ、ドウモ奧齒ニ物ガ挾マツタヤウ
  デ、絕對祕密ニ屬スルモノナラバ別物デア
  リマスガ、出來ルダケハ進ンデ御話下サイ
  マシテ、欣然協力シ得ルヤウニ、其ノ點ハ
  苦勞人デ居ラレル山崎農林大臣デアラレマ
  スルノデ、率直ナ御話ヲ承リ得ルコトト思
  ヒマス、商工大臣ニ於カレテモ旣ニ或ル程
  度ノ御發表ハアツタノデアリマスカラ、此
  ノ際其ノ輪郭ヲ摑ミ得ルヤウニ御配慮ヲ願
  ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=173

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• 174・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　農林省所管ノ第一種工業
  ニ屬シマスルモノハ、業種トシテ十二種類ア
  ルノデアリマス、大體申上ゲマス、只今ア
  ナタノ御話ニモアリマシタ製粉、〓凉飮料、
  菓子、壜罐詰、精製糖、水飴-纖維關係ハ
  大體生絲デアリマスガ、三種アリマス、ソ
  レカラ油脂、アトハ味ノ素トカ、萄葡糖デ
  アルトカ極ク僅カナモノデ種類ハ十二種デ
  アリマスガ、特ニ御諒解ヲ願ツテ置キタイ
  ト思ヒマスノハ農林省關係ハ例ヘバ製粉ト
  一口デ言ヒマシテモ、或ハ油脂ト云ツテモ、
  非常ニ開キガ大キイ譯デス、小サイモノモ
  アリ、相當大規模ノ組織ニナツテ居ルノモ
  アリ、隨テ業種トシテハ第一種ニ屬シテ居
  リマシテモ、其ノ中ノ大部分ハ實際ノ扱ヒ
  トシテハ第三種トシテ扱ハナケレバナラヌ
  ノガ多イト思ヒマス、此ノ點ダケハ特ニ御
  諒解ヲ願ツテ置キタイト思ヒマス、第一種
  ニ入ツテ居ルカラ全部第一種ノ流儀デ、强權
  ヲ以テデモ行カウト云フヤウナ建前ニハ行
  カヌモノガ相當アル、寧ロ實際ハ第三種ト
  シテ扱ハナケレバナラヌモノガ非常ニ多イ、
  斯ウ云フコトダケハ特ニ御諒解ヲ願ツテ置
  キマス、一應是ダケ申上ゲマス

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• 175・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　御話ニ依リマシテ業種別
  ニ對スル大體輪郭ヲ摑ミ得テ滿足デアリマス
  ガ、是等ニ對シテ其ノ整備ノ程度ヲ御差支
  ヘアリマセヌデシタラ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=175

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• 176・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　只今政府委員カラ聞キマ
  スト、其ノ程度ニ付キマシテハ企畫院カラ祕密
  會等ノ形ニ於テ御話ヲ申上ゲルト云フコトニ
  ナツテ居ルサウデアリマス、唯先程申シマ
  シタコトト關聯シテ一言申上ゲタ方ガ
  宜カラウト思ヒマスノハ、先刻申シマシタ
  ヤウナ農林省所管ノ特殊ノ事情ガアリマス
  ノデ、例ヘバ豫算ノ計畫ヲ立テルニシマシ
  テモ、本當ニ第一種トシテ取扱ツテ行カナ
  ケレバナラヌヤウナモノニ付テハ、個々ノ
  工場ニ就テ其ノ保有スベキモノ、存續スベ
  キモノ、或ハ轉用ト云ツタヤウナ、一應ノ調
  ベハ出來テ居ルノデアリマスガ、併シナガ
  ラ實際ハ三種トシテ扱フ外ナイヤウナ小サ
  ナモノニ付テハ、或ル推定數デ實ハ豫算ヲ
  組ンデ居ルノデアリマシテ、是ハ到底個々
  ノ工場ニ就テ一々具體的ニ案ヲ作ルト云フ
  譯ニハ參リマセヌカラ、是ハ全ク第三種ト
  同ジヤウナ建前デ推定數デ豫算ハ考ヘテ居
  リマス、ソレダケ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=176

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• 177・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　何レ程度ニ付キマシテハ
  祕密會等デ御話ガアルト云フコトデアリマ
  スガ、恐ラク祕密會ニ於キマシテモ、サウ細
  カナコトハ御說明サレルマデニナツテ居ラ
  ヌト御察シ致シマス、仍テ此ノ際希望トシ
  テ申上ゲマスガ、是等ノ企業整備ニ當リマ
  シテ徹底ヲ期シ、之ヲ其ノ方法程度ヲ妥當
  ニ導ク爲ニハソレハ兎角議會中ダケハ吾
  吾ノ意見ヲ申上ゲル機會モアルノデアリマ
  スルガ、議會ガ終ヘ、豫算ガ決ツテシマフ
  ト、後ハ御役人ノ一手デドウニデモ、行クノ
  ダト云フヤウナコトデ、過去ニ於テハ動モ
  スレバ役人ノ獨善ニ陷ルト云フ傾向ガナイ
  デハナカツタ、此ノ際コソ國民ノ眞ニ協力
  デ行カナケレバナラヌ場合デアリマスルカラ、
  是等ノ整備ニ當ツテ、其ノ程度方法ハ民間
  ノ其ノ種ノ團體及ビ團體ノ代表ダケデナ
  ク、他ノ第三者デ有識達見ノ士ヲ加ヘテヤ
  ツテ戴キタイ、ドウモ團體ダケデハ物足リ
  ナイ、從來ノ團體ノ代表ト云フモノハ動
  モスレバ大キナ事業方面ヲ代表スル場合ガ
  多クアツテ、小サナ方ハ取殘サレル嫌ヒガ
  ナカツタデハアリマセヌ、此ノ點モ御留意
  ノ上適當ナル機關ヲ、御作リ願ヒタイ、是
  ガ第三ノ質問デアリマス、其ノ點如何デゴ
  ザイマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=177

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• 178・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　只今小山サンノ御言葉ハ
  御尤モデアリマシテ、之ヲ實行致シテ參リ
  マス上ニハ十分實情ニ卽應シマシテ、餘リ
  ギゴチナク行カナイヤウニ努メテ參リタイ
  ト思ヒマス、隨テ愈〓、實行ノ計畫ヲ立テマ
  ス場合ニハソレ〓〓協議會ト云ヒマスカ、
  或ハ委員會ト云ツタヤウナ、關係者ナリ、
  或ハ其ノ他ノ方々ノ御意見モ十分伺フヤウ
  ナ仕組ヲ考ヘテ參リタイト思ヒマス、特上
  其ノ場合ニ只今ノ御言葉ニアリマシタガ、
  ヤハリアナタノ仰シヤルヤウナ嫌ヒガアル
  ノデアリマシテ、私ハ能ク役所ノ方々ニ其
  ノ點御注意ヲシテ、役所ニ來テ話ヲサレル
  人ト、役所ナドニハ中々來レナイ人ノ側ノ
  聲ヲ聽クコトニ餘程留意ヲシテ置イテ戴カ
  ヌト、唯關係者ガ斯ウ云ツタト云フダケデ
  判斷スルト、ドウカスルト實情ニ遠ザカル
  ソコハ斯ウ云フ問題ヲ取扱フ場合ニハ餘程
  注意ヲシテ貰ヒタイト云フコトヲ、常ニ役
  人諸君ニハ實ハ御願ヒヲシテ居ルヤウナコ
  トデアリマシテ、其ノ邊ニハ出來ルダケノ
  注意ヲシテ參リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=178

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• 179・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　大臣ノ御答辯ニ依ツテ滿
  足デゴザイマス、ドウゾサウ云フ風ニ御實
  行願ヒタイ、第四ハ是ハ一般企業整備ニ對
  スル政府ノ方針トモ申スベキコトデアリマ
  シテ、大體其ノヤウニ伺ツテ居リマスガ、
  是レ亦農林省ニ於キマシテモ此ノ度ノ企
  業整備ニ當リマシテハ、其ノ動搖、影響ノ
  範圍ヲ成ベク必要範圍ニ止メテ、徒ラニ全
  面的ナ動搖ヲ起サナイ、ソレニハ卽チ此ノ
  度拔取整備ト云フコトデ行クトノ話デアリ
  そう、金屬、資材、勞務ノ供出量及ビ工場
  ノ轉用價値アルモノヲ第一義ニシテ、從來
  ノヤウニ斯ウ云フ機會ニ唯漫然ト業者全體
  ヲ打ツテ一丸トスルヤウナ資本的、物理的
  結合デ、聊カモ其ノ業者ノ間ニ血ガ通ハナ
  イ、資本ハ集マツタケレドモ、精神ガ副ハ
  ナイ爲メ生產力ハ低下スルト云フヤウナコ
  トハ、嚴ニ戒シムベキデアラウト存ジマス、是
  等ニ付テハ他ノ大臣カラモ大體其ノヤウナ御
  答辯ガアツタコトヲ伺ツタノデアリマスガ、
  此ノ際農林省トシテモ、其ノ方針デ居ラル
  ルコトト存ジマスガ、如何デアリマスカ
  時間ガアリマセヌノデ續イテソレニ關
  聯シテ申上ゲマスガ、サウシマスト其ノ
  整備後ハドウスルカ、卽チ、整備後殘リ
  マシタ所謂殘存工場ニ對シマシテロハ、
  是亦規模ノ大小ニ拘ラズ、極メテ公平ニ
  物資、勞力及ビ原料等ヲ配給シテ、生產
  ニ精進セシムベキデアル、今日徹底的ナル
  整備ヲ行ヒマシタ後ハ、日本ニ殘ル總テノ
  產業ハ皆廣イ意味ノ軍需產業デアル、曾テ
  ハ平和產業ト思ツタモノモ、先刻加藤同僚
  カラモ御話ガアツタ通リ、衣料ニ關スルモノ
  デモ軍需ニ屬スル、ソレナクシテハ國民ガ
  最低限度ノ生活ヲ保障シ得ナイト云フコト
  ニナルト、總テガ戰力增强ノ上ニ必要ナコ
  トニナルノデアリマスカラ、殘ツタモノモ
  其ノ事業ヲ通ジテ〓快ク國家ヘノ協力ニ邁進
  シ得ルト云フヤウニスベキデアツテ、ヤハリ
  其ノ取扱ヲ小サイモノデモ何デモ、殘ツタ
  モノニハ公平ニ資材ナリ、勞力ナリ、動力
  ナリヲ配給シテ貰ヒタイト思ヒマスガ、當
  局ノ御意見果シテ如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=179

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• 180・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　前段ハ他ノ大臣ガ言ハレ
  タト仰シヤルコトト同樣ノ考ヘヲ持ツテ居
  リマス、後段ノ御希望ハ至極御尤モデアル
  ト拜承致シマシタ

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• 181・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　第六ニ今度政府ノ指示
  若シクハ勸誘、奬勵ニ依ラナイデ、卽チ整
  備ノ對象ニナツテ居ラナイ事業デ、業者ガ
  自ラ時局ニ目覺メテ、其ノ仕事ヲ廢シテ、
  更ニ國家有用ノ方面へ轉向シタイト云フ自
  發的轉業者ニ對シマシテハ、企業整備ノ對象
  トナリタル人ト同樣ニ政府ノ共助金交付及
  ビ更生金庫ノ利用等ノ特別ナル便宜ヲ圖ツ
  テ戴キタイト思ヒマスガ、之ニ對シテハ如
  何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=181

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• 182・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　其ノ點ハ當然考慮ニ入ツ
  テ居リマス、希望ニ依リマシテ整備ヲシタ
  イト云フノデアレバ、共助金其ノ他ニ付キ
  マシテハ、相當ノ措置ヲ執ルコトニ致シテ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=182

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• 183・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　第七ニ今日ハ企業許可ハ
  或ル程度マデ徹底致シテ居リマスガ、尙ホ
  企業許可ヲ受ケズシテ自由ニ仕事ヲシテ居
  ル部面モアリマス、サウ云フモノハ組合モ
  結成ガ出來マセヌ爲ニ、整備ヲ行ハウトシテ
  モ中々ヤリニクイ點ガアル、而モ其ノ方面
  ハ相當ニ勞力ノ遊ンデ居ルトハ言ヒマセヌ
  ガ、自由ニ働イテ居ルノデ、整備ヲ徹底セ
  シムルニ是ガ妨ゲニナルヤウナモノモアリ
  マスノデ、此ノ際企業整備ノ徹底ヲ期スル
  爲ニ、成ベク企業許可令ヲ擴張シテ、是ノ
  漏レルコトノナイヤウニスルコトガ願ハシ
  イト思ヒマスガ、如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=183

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• 184・重政誠之

  ○重政政府委員　便宜私カラ申上ゲマス、
  御承知ノヤウニ企業ノ許可ハ業種ヲ指定致
  シテ、之ヲ施行致シテ居リマスカラ、企業
  許可ヲ要セザルモノニ付キマシテハ、企業
  許可令ノ適用ヲ受ケナイコトニナツテ居リ
  やく、ソレヲ只今御指摘ニナツタノデアラ
  ウト考ヘマス、ソレ等ノ點ハ今後ニ於キマ
  シテ十分調査ヲ致シマシテ、漸次其ノ適用
  ノ範圍ヲ擴大致シマシテ、御希望ニ出來ル
  ダケ副フヤウニ致シタイト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=184

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• 185・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　御答ヘニ依リマシテ必要
  ニ應ジテハ更ニ今日マデ企業許可令ニ屬セ
  ザル部門マデモソレヲ擴張シテ行クト云フ
  御意思デアルコトニ承知致シマス
  次ニ個々ノ問題ニ付テ伺ヒマス、先程伺
  ヒマシタ十二種類ノ中、製粉ガ入ツテ居ル
  ヤウデアリマスガ、先刻モ大臣ノ御話ノ中
  ニ一口ニ製粉ト言ツテモ大規模ノモノモア
  レバ、小規模ノモノモアルト云フコトデア
  リマス、私ハ特ニ此ノ際ハ農村ノ小型製粉
  機ニ依ル所ノ製粉事業ト云フモノガ、地方
  ニ相當散在シテ居ル、而モ是ハ地方ニ一層
  其ノ普及ヲ求メテ居ル實情デアリマス、ナ
  ゼナレバ農村ニ於テ米麥ヲ盛ンニ作ツテ、
  其ノ作リ上ゲマシタル麥ヲ自家消費ニ移シ
  タイ、サウシテ一方勞力ハ非常ニ足リナイ、
  ダカラ賣ツテ又買ヒニ出掛ケルヨリハ、其
  ノ最寄々々デ之ヲ處分シテ、殘餘ノモノハ
  之ヲ供出ヲスルト云フコトニシタイト云フ
  希望ガ、農村ニ於テハ中々熱心ニ起ツテ居
  ルノデアリマス、然ルニ整備等ノ關係カラ
  カ、近時此ノ許可ヲ本當ニ已ムヲ得ザル最
  小限度ニ留メテ、小型製粉機ノ設置ヲ成ベク
  許可シナイト云フ方針デアルヤニ伺ツテ
  居ルノデアリマスガ、今日ニ於キマシテハ
  食糧增產ノ上カラモ農民ニ一層ノ樂シミヲ
  持タセ、又資材ノ供出ノ上カラ申シマシテモ
  大規模ナ製粉事業ノ方ニ若シ遊休ナモノガ
  アレバ之ヲ整備スルコトニ依ツテ、現下ニ
  於ケル金屬囘收ノ目的ヲ達スルコトトナル、
  又大規模ナモノト申シマシテモ、唯整理バ
  カリスレバ宜シイト云フノデナイト思フノ
  ハ今日食糧事情ガ容易ナラザル狀態ニナツ
  テ參リマシテ、從來口ニセザル程ノ種類ノ
  植物デモ或ハ粉ニシ、或ハ玉ニシテ之ヲ口
  ニシナケレバナラヌト云フヤウナ狀態デア
  リマスノデ、大規模ナ製粉遊休工場ヲ整備
  スル場合ニモ、是等ノ事情ヲ勘案シテ或ル
  程度ノ保有量ハ必要デ、サウ云フ方面ニ利
  用ノ途ヲ開イテ置クコトガ大事デハナイカ
  ト存ズルノデアリマスガ、當局ノ御所見ハ
  如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=185

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• 186・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　製粉業ノ整備ノヤリ方ニ
  付テノ御質問デアリマスガ、大體ノ御趣旨
  ハ私共ノ考ヘト大シタ距離ハナイト思ヒマ
  ス、總ジテ農林省關係ハ食糧關係ノ工場デ
  アリマスノデ、整備ノヤリ方ニ付キマシテモ
  消費ノ側ノ關係ヲ相當考へテ行カナケレバナ
  ラヌ、斯ウ私ハ思ツテ居ルノデアリマス、
  殊ニ只今御指摘ノ製粉業ノ如キハ全クアナ
  タノ御話ノ通リ片田舎ニ製粉工場ガアルガ
  爲ニ、農家ハ自家用ノ小麥モ挽ケル、ソレ
  ガ唯整理々々デナクナシテシマヘバ、遠方
  マデ持ツテ行カナケレバ麥粉ガ挽ケヌト云
  フコトニナル、是ハドウシテモ避ケナケレ
  バナラヌノデ、此ノ整理ノヤリ工合ニ付キ
  マシテハ、餘程地方ノ實情ト、又當業者ノ
  意嚮等モ十分參酌シマシテ、サウシテソコ
  ニ餘リ不適正ニナラヌヤウニ注意ヲ致シテ
  參リタイ、此ノコトハ特ニ事務當局ニモ私
  ハ申シテ居ルコトナノデアリマス、ソレカ
  ラ大工業ニ致シマシテモ、ヤハリ只今御話
  ノヤウニ食糧增產等ノ關係モアリマシテ、
  其ノ邊モヤハリ十分頭ニ置イテ掛ルコトガ
  必要デアリマスカラ、是ガ運用ニ付キマシ
  テハ相當注意ヲ拂ツテ、具體的ニ決定ヲヤ
  ツテ參リタイト思ヒマス、ソレカラ小型製
  粉業ノ增設ト云フヤウナ問題デアリマスガ、
  是ハ今度ノ整備ニ際シマシテハ、地方ニ於
  ケル配置ノ工合等モ十分考慮シマシテ、サ
  ウシテ消費者ノ便否ト云フコトト睨ミ合セ
  マシテ、善處致シテ行クノ外ハナイカト考
  ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=186

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• 187・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　次ニ農機具製造業、ソレ
  カラ肥料製造業、是ハ企業整備ノ對象ニナ
  ツテ居リマスカ、如何デスカ、此ノ點ハ特
  ニ希望ヲ述ベテ御力ヲ願ヒタイト思フノデ
  アリマスガ、農機具ハ百姓ニ對シマシテハ
  殆ド軍人ノ武器ト同樣ナモノデアツテ、而
  モ今日盛ニ食糧增產ニ全力ヲ傾ケナケレバ
  ナラヌ時ニ、此ノ武器ガ不足シテ居ルヤウ
  ナコトデハ迚モイカヌ、幸ヒニシテ整備ノ
  對象ニナツテ居ラナケレバ結構デスガ、對
  象ニナラナイドコロデハナイ、寧ロ此ノ際
  ドウシテモ私ハ積極的ニ此ノ方面ノ增產ニ
  御力ヲ願ハナケレバナラナイト云フ現狀ニ
  アルコトヲ愬ヘタイ、ナゼナラバ其ノ農機
  具ハ現在デハ一般產業ト同樣ノ取扱ヲ受ケ
  テ居ル爲ニ、其ノ製造額ハ段々減リマシテ、
  需要ノ二割位シカナイ、同時ニ又新シク製
  造スル爲ニ要スル燃料ガ足リナクナル、餘
  リ聲ヲ大キクシタクハナイノデアリマスガ、
  燃料ノ配給ノ不足カラ修繕サヘモ思フヤウ
  ニ行カナイト云フコトモアツテ、此頃モ幸
  ヒニ農林省ノ御力デソレ等ノ一部不足ハ之
  ヲ補ツタノデアリマシタガ、兎ニ角需要ノ
  二割位デハ迚モイカヌ、ソンナ狀態デアリマ
  スカラ、有力ナル農機具製造業者ハ整備ノ
  對象ニナラウガナルマイガ、最早前途ヲ悲
  觀致シマシテ、サウシテ他ノ時局產業ノ方
  ニ自分ノ持合セテ居ル技術ヲ利用シヨウト
  シテドン〓〓廢業シテシマフ、殘ル者ハ極
  メテ劣勢ナル者デアル、サウスルト武器ハ
  益〓惡クナル、其ノ上ニ量ハ愈〓減少スル、
  良イ武器ノ製造者ハ何處カヘ行ツテシマフ、
  是デハトテモイカヌ、ドウ云フ譯デ斯ウナ
  ルカ、是ハ農林省、商工省ノ共管ニアル、
  爲ニ、ドウモ連絡ガ巧ク執レナイト言ツテ
  ハ濟ミマセヌケレドモ、他ニ忙シイコトガ
  アルカラデアリマセウガ、ソレデ斯ウ云フ
  コトニナル、同僚ノ黑澤君ノ如キハ先年來、
  軍ニ兵器廠ガアルガ如ク、農ニ農器廠ガナ
  ケレバナラヌト强調シテ居ラレ、吾等モ亦
  尠カラズ共鳴シテ居ルモノデアツテ、殊ニ今
  日ノ如ク勞力ノ不足シテ居ル場合、必ズシ
  モ大規模農具デナクテ、小規模デモ、極メ
  テ洗鍊サレタモノガ〓究發明サレテ、サウ
  シテ此ノ不足ナル勞力ヲ機具ノ利用ニ依ツ
  テ補ハナケレバナラヌト思ツテ居ルノニ、ソ
  レ等ノ優秀ナ者ハ段々外ヘ行ツテシマフト
  云フヤウナ現狀デハ甚ダ困ツタコトダ、
  私ハ先般滿洲ノ方ニ參リマシタガ、幸ヒ
  ニモ滿洲デハ食糧增產ニ非常ナ力ヲ盡シ
  テ吳レテ居ル、滿洲政府モ亦之ニ全力ヲ
  傾ケテ居ル、併シナガラ殘念ナコトニハ
  此處モ農機具ガ非常ニ不足ダ、ドノ方面
  ニ於キマシテモ斯ウ云フ狀態デハ、聲耳
  如何ニ大ニシテモ中々ニ滿洲、內地共ニ
  惱ム勞力ノ不足ヲ處辨スルコトハ容易デナ
  イ、此ノ點既ニ申上ゲルマデモナイコトデ
  アリマスガ、特ニ御留意ヲ戴キマシテ、整
  備ノ對象ドコロカ、增產ノ方ニ御力ヲ頂戴
  致シタイト思フガ、大臣ノ御所見如何、併
  セテ肥料ニ付キマシテモ御尋ネシマスガ、
  硫安ハ幸ヒニ軍ノ方面ノ御力ニモ依リマシ
  テ、電力ノ融通等デ、不十分ナガラモ
  先ヅ〓〓我慢スルノ外ハナイガ過燐酸ノ如
  キハ遺憾ナガラ原料ガナイノデ、是ハ設備
  ガ遊休ニナツテ居ルト思ヒマス、是等ハド
  ウ云フ風ニ御處理ナサイマスカ伺ツテ置キ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=187

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• 188・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　農機具ノ問題ト肥料ノ問
  題ハ、食糧增產ノ一番急所ニ觸レル問題デ
  アリマシテ、非常ニ苦慮致シテ居ル問題デ
  アリマス、農具ハ只今御話ノヤウナ狀
  況デアリマシテ、是ガ生產ヲ確保スル上ニ
  ハ、一ツ是ハ農林省モ商工省モ之ニ力ヲ入一
  レテ行カナケレバナラヌ、斯ウ考ヘテ居ル
  ノデアリマシテ、商工大臣モ先刻豫算總會
  デ其ノコトニ付テノ御言明ガアツタヤウデ
  アリマスガ、是ハ唯商工省ガドウ、農林省
  ガドウト云フ以上ニ、農林省自體トシテモ餘
  程考ヘナケレバナラヌ點ガ殘ツテ居ルト思
  フノデアリマス、此ノ間モ關係ノ諸君ニ御
  話シタコトデアリマスガ、農林省自體トシ
  テ殆ド農具ノ改良ト云フコトニ付テハ餘リ
  深イ〓究ナリ、施設ガ大體今マデ缺ケテ居
  ル、是デハイカヌヂヤナイカ、是ハ〓育ノ
  方カラ言ヘバ、例ヘバ農科大學デモ農機具
  ニ付テノ〓究ト云フモノハ、御承知ノヤウ
  ニ餘リナイ、農林省ノ技術面ニ於テモソレ
  ハ採上ゲラレナクテ、唯民間ノ自然ノ發達
  ヲ採入レ、之ヲ奬勵シテ行ツテ居ルト云フ
  ダケノ程度デアリマスガ、ソレデハドウモ
  イカヌヂヤナイカ、何等カ一ツ施設ヲ工夫
  スルコトガ必要ヂヤナイカト云フコトヲ先
  般モ係リノ諸君ニモ御話シタヤウナコトデ
  アリマス、ソレハ恒久的ノコトデアリマス
  ケレドモ、現實ノ當面ノ問題トシテ、資材
  ノ關係デアルトカ云フヤウナコトデ、相當
  馬力ヲ掛ケヌト申譯ガナイコトニナルト心
  得テ居リマス、隨テ企業整備等ニ付キマシ
  テハ、其ノ精神ヲ十分頭ニ置イテ臨マナケ
  レバナラヌコトハ當然ノコトデアリマス
  ソレカラ肥料ノ關係デアリマスガ、是一
  實ハ率直ニ現狀ヲ申上ゲレバ、甚ダ心配ナ
  狀況デアリマス、何トカ一ツ今推定サレテ
  居ル生產量ヲモウ少シ引上ゲル方法ハナイ
  カ、今考ヘラレテ居ル生產量ハ、實ハ前年
  度ヨリモ若干ノ減少ヲ來ス情勢ニアルノデ
  アリマス、是デハ甚ダ困ルノデ、私ハ一ツ
  各工場々々ニ就テ計畫ヲ考ヘテ見テ吳レヌ
  カ、例ヘバ大牟田ノ東洋高壓ナラ東洋高壓
  デ能力ハドノ位ノ餘裕ガアルカ、ソコヘ大
  牟田ノ三池ノ石炭ヲドノ位殖ヤセバ東洋高
  壓ノ能力ハドノ位殖エル、字部ノ工場デ宇
  部ノ炭ヲドノ位殖ヤセバ能力ハドウナルト
  云フヤウニ、一ツ具體的ニ工場々々ニ就
  テ、假令千「トン」デモ、五百「トン」デモ出
  來ルダケ、之ヲ蹴リ出シテ行ク工夫ヲシナ
  ケレバナラヌヂヤナイカ、斯ウ言ツテ只今
  折角サウ云フ調ベヲシテ貰ツテ居ルノデア
  リマス、現狀ハ遺憾ヲガラ甚ダ私共ガ心配
  ヲスル狀況ニアリマス、之ニ付キマシテ更
  ニ政府トシテモ、又特ニ農林省トシテ
  モ種々努力ヲシナケレバナラヌト考ヘテ
  居ルノデアリマス、ソレカラ企業整備ノ
  關係ハ、無論一般ノ肥料ハ第一種ニモ、第
  三種ニモ入ツテ居リマセヌ、唯肥料ノ中
  ノ、材料ノ關係デ、現在ノ設備ニ遊休ノ面
  ノ餘リニ多過ギルヤウナ一、二ノモノニ付
  キマシテハ、一應第三種ノ中デ入ツテ居リマ
  スケレドモ、是ハ又需給關係、其ノ他ノ實
  情ニ卽シマシテ取捨ハ出來ル譯デアリマシ
  テ第一種ミタヤウナ扱ヒハ肥料ニ付テハ無論
  ナイ譯デアリマス、ソレダケ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=188

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• 189・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　次ニ味噌ト醤油ニ付テ御
  尋ネ致シマス、從來ハ大都會ヲ控ヘテノ千葉
  縣ノ野田ノ如キ或ハ酒ニ對スル灘ノ如キ大量
  生產ニヨリテ、優秀ナ、技術者モ亦生產
  費ノ低下ヲ圖リ得タノデ、ソコニ非常ニ大
  規模ナ生產者ノ存在ト云フモノノ意義ガア
  リマシタ、併シナガラ今日ハ輸送力ガ非常
  ニ足リナクナツテ來テ、居ル又勞力ノ點ニ於
  テモ、寧ロ極メテ小サナモノガ最寄々々-
  村々トマデハ行カナクトモ、地方々々ニ分
  散シテ居リマス場合ニハ、却テ此ノ輸送力
  ノ緩和トモナリ、勞力ノ利用ト云フ點カラ
  申シマシテモ、農閑期ヲ利用シテ特別專門
  ナ勞働者ヲ持タナクトモ、千石位ノ釀造ハ
  容易ニ出來ルノデアリマス、況ンヤ百石ヤ
  二百石ハ極メテ容易デアリマス、若シ是等
  ノ事業ガ整備ノ對象トナツタ場合ニ、サウ
  云フ小サナモノヲ整備致シマスルト、却テ
  輸送ノ上ニ混亂ヲ來シ、容器ニ不足ヲ訴ヘ
  而モ其ノ休止シマシタ工場ハ軍需工場ニ
  モ何モナラヌ、勞務ハ農閑期ヲ利用シテヤ
  ルノデアリマスカラ、是モ亦何物モ得ル所
  ガナイ、斯カルコトヲ考ヘマスト、是等ノ事
  業ニ對シマシテハ特殊ナ御考慮ヲ煩ハシタ
  イ、サウスルト勢ヒ大工場ノ整備ト云フコ
  トニナル、大工場ノ整備ニ對シマシテハ斯
  カル場合ニ是コソ相當國家ガ面倒ヲ見テ、
  何モ大キイモノダカラ整備シダラ宜イダラ
  ウト云フヤウナ簡單ナ無慈悲ナ考ヘデナ
  シニ、喜ンデ國家ノ要請ニ應ジ得ルヤウ
  ニ、特別ナル御配慮ヲ願ヒナガラ、此ノ釀造
  界ノ整備ニ付御考慮ヲ拂ツテ戴キタイト云
  フ考ヘヲ持ツテ居リマスガ、御意見ヲ伺ヒ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=189

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• 190・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　申スマデモナク味噌醤油
  ハ必需品トシテ非常ニ大切デアリマスカラ、
  是ガ企業ノ整備ニ付キマシテハ、只今御話
  ノヤウナ點ニ格段ノ注意ヲ拂フ積リデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=190

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• 191・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　今度纖維ニ付テ御尋ネ致
  シマス、纖維ノ中生絲若クハ短纖維ニ屬ス
  ルモノデアリマスガ、是ハ曩ニ一ツノ計畫
  ガアツテ、此ノ整備ハ新タニ設立サレマシ
  タル大キナ會社自體ニ於テ之ヲ整備スルト
  云フ建前デ出發ヲサレタノデアリマスルガ、其
  ノ後創立月餘ニ及ンデ居ルノデアリマスケ
  レドモ、創立當時ノ事業計畫ノ內容ニ多少無
  理ガアツタモノカ、マダ運營ニ至ラナイノハ
  甚ダ遺憾デアリマス
  併シナガラ此ノ根本ニ於テハ私ハ多少意
  見ヲ異ニスルモノデハアリマスケレドモ、最
  早出來タ以上ハ速カニ不當ナ所ハ妥當ニ直
  シ、修正スベキ所ハ是正シテ一日モ早ク運營
  ニ入ルヤウニ希望スルモノデアリマス、然
  ルニ最近此ノ會社ニ一度加入シタ者デ脫退
  ヲ希望スル者ガ少シヅツ出テ參ツタヤウニ
  聞キ及ンデ居ルノデアリマス、之ニ對シマ
  シテハ政府ハ如何ルナ態度ヲ執ツテ臨マレ
  ルカ、固ヨリ此ノ會社ハ特別ナル國家意思
  ニ基イテ出來マシタ國策會社デハナクシ
  テ、事業整理ノ便宜上又長纖維、短纖維ノ
  操絲ノ都合ヲ圖リマシテ、圓滑ニサセル爲
  ニ目論ミタル大ナル商事會社ノ一ツニ過ギ
  マセヌ、隨テ之ニハ當時大臣モ次官モ、明
  カニ其目的ト性質トヲ說明セラレ自然ニ入
  ツテモ宜シ、入ラナクモ宜シ、入ラナイカ
  ラト云ツテ二重ノ取扱ハセヌト云フコトガ
  ハツキリト致サレタノデアリマシタ然ルニ
  殘念ナガラ大臣次官ノ意圖スル所ガ其ノ儘
  傳ハラナイデ、中央地方ニ於ケル事務當局
  ガ其ノ會社設立ニ忠實ノ餘リカ、熱心ノ餘
  リカ、却テ國策會社ニアラザルモノヲ國策
  會社デアルカノ如ク言ヒ觸ラシ、若シクハ
  聞エ、サウシテ之ニ入ラナケレバ大臣ガ何
  ト言ハウガ、次官ガ何ト言ハウガ、結局資
  材ノ配給ハ吾々ノ手デヤルノダ、隨テ官吏
  ノ力ガ非常ニ强イ今日デアルカラ是ニ恐レ
  ヲナシテ心ナラズモ多クノ者ガ入ル、ソレ
  等ノ人ガ今日初メテ其ノ後ニ於テノ實際ノ
  事情ヲ承知シテ、是ハ困ツタコトダガ、寧
  ロ與ヘラレタ割當原料ヲ土臺ニシテ養蠶家
  ト直接連絡ヲ執ツテ、其ノ事業ヲ通ジテノ、
  職域御奉公ヲシタイト云ツテ脫退ヲ希望シ
  テ居ルヤウデアリマスルカラ、是等ハ當然
  强制シタリ、足留メヲ無理ニス可キモノデ
  ハナイト思フノデアリマスルガ、如何デア
  リマスカ、是等ノ人々カラ言ツテ來ル所ヲ
  聽クトアアデモナイ、斯ウデモナイト言フ中
  ニ、前カラ逃ゲテ入社セザリシモノハ宜イガ、
  一旦入ツテ逃ゲル者ニハ割當シナイト云フ
  コトデ、又恐レヲ感ジサセテ居リマス、是
  モ最近伺フ所ニ依ルト、次官ノ御骨折デ近
  ク何ヤラ決定スルトノコトデアリマスガ、
  斯カル重大ナルコトハ業者ノ非常ナル不安
  動搖ヲ起シテ居ルコトデアリマスカラ、安
  心ノ行ク爲ニソレ等ノ割當ハ、脫退致シタ
  者ニ對シテモ、其前年ヲ基礎トシテ割合ヲ
  立テ直接ニ生絲ノ生產割當ヲ與ヘルト云フ
  コトニハツキリシタ御答ヘヲ伺ヒタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=191

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• 192・山崎達之輔

  ○山崎國務大臣　製絲ノ大合同ニ依ル整理
  ト申シマセウカ、ソレハ前ノ農林大臣ガ計
  畫セラレマシテ、相當程度マデ井野君ノ手
  ニ依リ進行致シテ居ツタノデアリマスルガ、
  途中デ私ガ代リマシタ、其ノ前カラデアリ
  マスガ、多少事務的ノ問題ニ付キマシテ關
  係官廳ノ間ニ議ノ熟セザル點ガアリマシテ、
  ソレ等ヲ種々折衝致シテ居リマシタガ、政
  府部內ノ關係各省ノ話ハ大體纒マリガ付イ
  タノデアリマス、ソコデ愈〓會社ノ仕事ヲ正
  式ニ步ミヲ進メル、斯ウ云フ只今ノ段取ニ
  ナツテ居リマスガ、小山君ノ仰セノ通リ最
  初カラ之ヲ强制シテ行クト云フ建前ニハナ
  ツテ居ラヌノデアリマシテ、其ノ建前ハ今
  日ニ於テモ變更ハナイ考ヘデアリマスガ、
  此ノ問題ハ主トシテ農林次官ニ折衝モシテ
  貰ヒ、彼此レ御骨折ヲ願ツテ居リマスカラ、
  私ヨリモ寧ロ次官カラ御話ヲ申上ゲマシタ
  方ガ却テ正確デアルカト思ヒマスノデ、左
  樣御諒承ヲ願ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=192

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• 193・石黒武重

  ○石黑政府委員　只今小山サンノ御話ノ通
  リ、或ハ大體御諒解ニナツテ居リマス通リ
  ニ取扱ツテ參ルコトハ御承知ノ通リデアリ
  マス、ソレデ極メテ近イ時期ニ於キマシテ、
  ソレ等ノ點ヲ明カニスルヤウナ機會ヲ得タ
  イト考ヘテ居リマス極メテ近イ內ニ明カニ
  シタイト思ツテ居リマス、只今御質問ノ點
  ニ付キマシテハ、以上御答へ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=193

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• 194・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　具體的ニハ、脫退シタ者
  ニハ生產割當ヲシナイト云フヤウニ聞イテ
  居リマスガ、近クナサルノデアリマスカ、
  如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=194

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• 195・石黒武重

  ○石黑政府委員　勿論致シマス

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• 196・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　次ニ御尋ネ申シタイノハ、
  此ノ會社ニ加入致シマシタ者ノ其ノ工場ノ
  廢止ニ對シマシテハ、旣ニ特殊ナル共助金
  ト云フモノヲ特殊ナ整備法トシテ受ケテ居
  ルノダカラ、其ノ廢止工場ノ評價、利用ニ
  付テハ更生金庫ハ之ヲ利用シナイ、利用ス
  ル場合デモ、旣ニ共助金ヲ得テ居ルカラ、
  暖簾料ヲ加味シタル計算ノ下ニ之ヲ利用ス
  ルト云フコトハシナイト云フコトヲ商工省
  方面カラハ伺ツテ居ルノデアリマスガ、其
  ノ點ハ如何デアリマセウカ

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• 197・石黒武重

  ○石黑政府委員　大體御話シノ通リ、現實
  ノ物自體ノ價格ヲ以テ轉用スルコトニ致シ
  マハ

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• 198・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　次ニ會社內ニアル工場デ
  アツテ、狀況ノ推移ニ依ツテ國家ノ要請ス
  ル工場トナリ、ソレガ廢止若シクハ轉用ス
  ルト云フヤウナ場合ニハ、ソレハ其ノ特別ナ
  ル會社ニ依ル共助金ヲ受ケテ居ラナイノデ
  アルカラ、是ハ此ノ度國ノ計畫致シマシタ
  整備ノ要綱ニ依ツテ整理サレルモノデアラ
  ウト思ヒマスガ

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• 199・石黒武重

  ○石黑政府委員　大體左樣ニ吾々モ考ヘテ
  居リマス

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• 200・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　尙ホ是ハ一ツノ會社ノコ
  トバカリ言フヤウデアリマスガ、此ノ會社
  ハ整備ノ上ニ重大ナ關係ガアリマスノデ、
  多少拔ケル人ガアリマシテモ、造ルモノハ
  旣ニ造ツタノデアリマスカラ、出來ルダケ
  力ヲ加ヘ、運營ノ出來ルヤウニ願ヒタイト
  思フコトハ、最早入ツタ者ノ中デ、完全轉業
  ヲ覺悟シテシマツテ入ツタ者ガアリマス、
  是ガ出來ナイヤウニナルト、ソレ等ノ人ハ
  非常ニ困ツテシマフ、而モソレ等ハ大〓小
  サナモノデアル、小規模經營ノ人デアリマ
  ス、是等ノ人ニ對シテ思ハザル損害ヲ掛ケ
  テ、業界ニ由々シキ問題ヲ引起スヤウニナ
  ラヌトモ分リマセヌ、出來ルダケ之、ニハ御
  力ヲ願ツテ、速カニ運營ニナルヤウニ御願
  ヒ致シタイト思ヒマス、是ハ希望デアリマ
  ス
  次ニ引續キ御尋ネ致シマスガ、統制會社
  及ビ關係產業團體ニ付テデアリマスガ、是
  ハ同僚ノ間カラモ既ニ御質問申上ゲマシタ
  ガ、此ノ度ノヤウナ企業整備ガ行ハレマシ
  テ、業界ハ著シク整備サレタニモ拘ラズ、
  依然トシテ統制會社若シクハ產業團體ガ、
  從來ノ規模ト形態トヲ其ノ儘殘シテ居ルト
  云フコトハ、是ハドウモ考ヘモノデアツテ、
  十分之ニ對シテモ事務ノ簡素化ヲ圖ツテ、
  此ノ方面ニ餘ツテ居ル勞力ヲモツト有效ナ
  方面ニ使フコトガ、人手ノ足リナイ今日非
  常ニ必要デハナイカ、斯ウ考ヘルノデアリ
  マス、之ニ對シマシテハ政府ヨリ既ニ同感
  ノ意見ガアリマシタノデ御尋ネヲ致シマセ
  ヌガ、私ノ御尋ネシタイト云フノハ、唯簡
  素化ト云フヤウナコトヨリハ、業種ニ依リ
  マシテハ、統制會社モアレバ、ソレト稍〓同
  ジヤウナコトヲスル產業團體モアル、是等
  ハドチラカヲ廢止シテ、一方ニ片寄セル方
  ガ宜カラウ、例ヘバ蠶絲業ニ付テ考ヘテ見
  マスルト、蠶絲統制會社ハ創立後日ハ淺イ
  ガ、仕事ハ漸次板ニツイテ來タノデ、仕事
  ハ大數ノ統制會社ノ中デハ先ヅ能クヤツテ
  居ル方デアラウト思ヒマス、サウスレバ之
  ヲ一段强化スルコトニ依ツテ、計畫生產モ
  此ノ統制會社ノ指導下ニスツカリ出來テ居
  ル、生產ノ統制モ確實ニ出來テ居ルカラ、
  今度ハ生絲ノ配給事務ダケヤツテ居ル事業
  團體ノ仕事ヲ統制會社ニ受持タシメルコト
  トスルコト、是等ノコトハ當然計畫生產、
  卽チ生產ヲ致シテ居リマスル統制會社ガ、
  出來上ツタモノヲモ統制會社ガ買受ケルノダ
  カラ、原料ノ割當モ統制會社ニ行ハシメルト
  云フヤウナコトニ依ツテ一ツノ團體ハ整備
  ガ出來テ、ソコニ居リマス有爲ノ人材ハ悉
  ク擧ゲテ他ノ軍需產業ニモ何ニモ行ケル譯
  デアリマス、之ヲ行フノニハ固ヨリ法制上、
  勅令事項等ノ改正モ必要デアルヤニ伺ツテ
  居ルノデアリマス、是等ノ點ニ付テ政府ハ
  十分ノ御考慮ヲ拂ハレ、吾々ノ希望ヲ達ス
  ルヤウニ御配慮ヲ願ヒ得ルモノカドウカ、
  御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=200

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• 201・石黒武重

  ○石黑政府委員　只今御話ノ點ニ付キマシ
  テハ、先程ノ御話ノ通リ法令等ノ關係モア
  リマスガ、適宜變へマシテ、大體私共考ヘ
  テ居リマスノハ、生絲ノ生產割當ノ如キモ
  ノハ、或ハ都合ニ依リマシタラ政府自ラ致
  スカモ知レマセヌガ、政府自ラ又ハ統制會
  等デヤリ得ルヤウニスルコトガ、適當デハナ
  イカト、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=201

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• 202・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　アト二ツデ終リマス、〓
  涼飮料ニ付キマシテ、此ノ中「サイダー」극
  ムネ」ト色々アリマスガ、「カルピス」ニ付
  テデアリマス、兎角「カルピス」ナドハアツ
  テモナクテモ宜イヤウニ考ヘラレルノデア
  リマスガ、實際ハ相當榮養價値ガ。アルバカ
  リデナク、「バター」ヲ造ツタ場合ノ殘液デ
  出來テ居ルトノコトデアリマス、サウシマ
  スト是等ノ「バター」ノ原料デアル牛乳ハ、
  乳牛ガ今日榮養ノ問題カラ申シマシテモ、
  漸次其ノ頭數ヲ增スヤウニ計畫サレテ居ル
  譯デアリマス、其ノ乳牛ガ段々增ス、サウ
  シタ結果ハ牛乳ガ多クナル、夏ハ幾ラ多ク
  テモ足ラナイガ、冬ハ餘ル、餘ツタ牛乳ヲ
  以テ「バター」ヲ造ル、「バター」ノ殘液デア
  ル「カルピス」ノ製造ヲ縮小スルヤウナコト
  ガアレバ、勢ヒ今度「バター」ノ生產費ガ高
  マルト云フヤウナコトニモ相成リマスノ
  デ、整備ニ當リマシテハ-是ハ一例ニ過
  ギマセヌガ-及ボス影響ヲ各方面御考慮
  ノ上十分遺憾ナキヤウニ御配慮ヲ頂戴シタ
  イ、是ハ一例ヲ申上ゲテ御尋ネ致シタイ
  今一ツ序ニ申上ゲマスガ、企業整備ト云
  フヤウナコトヲ機會ニ、斯ウ云フ時ニ便乘
  致シマシテ、必ズシモ爲サズトモ濟ムベキ仕
  事ヲ敢テ致シタガル癖ガアル、例ヘバ是モ牛
  乳ニ關係ヲ持チマスガ、農村ニ於ケル畜產
  組合ガ今度農業團體ニ統合シタ、之ヲ機會
  ニ從來ハ其ノ農村デ使ヒマシタ牛乳ノ餘リ
  ハ、畜產組合カラ其ノ地方ノ市街地ニアル
  牛乳ノ配給、搾乳ヲシテ居ル業者ノ組合ニ
  一手ニ剩餘牛乳ヲ賣渡シマシテ、ソレヲ配
  給致シテ居ツタ次第デアリマス、然ルニ中
  間ノソレ等ノ手數ヲ省イテ、自ラノ團體ノ
  事業ニ之ヲ移シタイト云フコトカラ、サウ
  云フ計畫ガ一、二地方ニハ頭ヲ持上ゲテ來
  タヤウデアリマス、是ハ必ズシモ惡イコト
  トハ思ヒマセヌガ、現實ノ農村ハ農村自身
  ニ於テ既ニ當面ノ責任デアリ、本來ノ使命
  デアル米麥ノ增產ニ猫ノ手モ借リタイト云フ
  ヤウナ時、徒ラニ理念ニ動カサレテ、團體
  事務ヲ扱ツテ居ル者、若シクハ之ヲ指導ス
  ル縣廳アタリノ役人ガ新シキ計畫ヲ立テ
  テ、一方ニハ手ノ不足ヲ愬ヘテ居ルノニ、
  手ノ多ク要ルヤウナ仕事ヲ計畫シテ居ル、
  而モ其ノ配給ハ從來ノ配給業者ニ任セレバ
  圓滑ニ行クノニ、新シイコトヲヤル爲ニ折
  角ノ牛乳ヲ腐ラセルト云フヤウナコトモナ
  イデハナイノデアリマス、便乘ニ依ル是等
  ノ企業整備ハ此ノ際固ク愼マナケレバナラ
  ナイト思フノデアリマスガ、其ノ邊ニ對ス
  ル御意見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=202

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• 203・田中啓一

  ○田中(啓)政府委員　前段ノ「カルピス」ノ
  話ハ、實ハ他ノ用途ニハ向ケラレナイヤウナ
  モノデ「カルピス」ヲ造ツテ居ルト云フ實情
  モゴザイマスノデ、御話ノヤウナ點ハ十分
  ニ能ク實情ヲ調査致シマシテ、トツクリ調
  ベタ上デ今後進ンデ參リタイト思ヒマス
  ソレカラ整備ノアル際ニ誰カガ理念ヲ持
  出シテ、便乘的ニ色々ノコトヲ計畫スルト
  云フヤウナ點ハ、是亦兎角アリ勝チナコト
  デアリマスガ、今度ノ整備ハサウ云フヤウ
  ナ點ハ十分ニ戒心ヲ加へテヤツテ行キタ
  イ、隨ヒマシテ上カラ畫一的ニヤツテ行ク
  ヤウナコトハ無論イカヌト思ヒマスガ、サ
  リトテ下ノ方デ餘リ便乘的ニ色々ナコトヲ
  始メルコトニ付キマシテモ十分ニ注意ヲ加
  ヘテ行ク積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=203

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• 204・小山邦太郎

  ○小山(邦)委員　私ノ質問ハ是デ打切リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=204

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• 205・木暮武太夫

  ○木暮委員長　次ハ藤本君ノ鐵道、遞信兩
  大臣ニ對スル質問ヲ許シマス-藤本捨助
  君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=205

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• 206・藤本捨助

  ○藤本委員　綜合戰力殊ニ直接戰力增强ノ
  爲ニ、又只今審議中ノ企業整備ヲ近ク現實
  ニ急速果敢ニ實現致ス爲ニモ海陸輸送力ノ
  確保ガ喫緊ノ要務デアルコトハ申スマデモ
  ナイコトデアリマス、其ノ方途ト致シマシ
  テ先ヅ第一ニ現有ノ設備ノ效率ヲ最高度ニ
  發揮スル、第二ニソレデ足ラナイ場合ハ更
  ニ新タニ設備ヲ急速ニ增備シ、又擴充强化
  スル、第三ニ海陸一貫ノ輸送計畫ヲ樹立シ
  テ、其ノ實施ニ間然スル所ナカラシメルコ
  トガ必要デアルコトモ論ヲ俟タナイノデア
  リマス、玆デ鐵道大臣ニ先ヅ御尋ネ致シタ
  イト存ジマスルノハ、昨年ノ秋以來御實施
  ニナツテ居リマスル戰時陸運非常體制ノ中
  ニ今申シ述ベマシタヤウナ要件ガドノ程度
  ニ具現サレテ居ルカ、更ニ本年ニナリマシ
  テ特ニ飛躍的ニ激增致シテ居リマスル輸送
  需要量ヲドノ程度ニ處理致シテ居ルカト云
  フコトニ付テデアリマス、御所見ヲ拜承致
  シタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=206

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• 207・八田嘉明

  ○八田國務大臣　只今御話ノアリマシタル
  如ク、昨年ノ十月ニ政府ニ於キマシテ戰時
  陸運非常體制ノ確立ニ關シマスル方針ヲ決
  定致シマシテ、爾來鐵道省ハ總テノ施策ガ
  此ノ方針ノ一途ニ出テ居ルコトハ只今御
  話ノアリマシタ通リデアリマスガ、其ノ要
  旨トスル所ハ、前議會ニ於テモ申上ゲマシ
  タガ、又旣ニ御承知ノ如ク、一言ニシテ申
  セバ、今日ノ戰爭ノ進展ニ伴ヒマシテ、如
  何ニ船腹ガ增シテモ尙且ツ足リルト云フコ
  トハナイ、其ノ狀況ニ於キマシテ大陸竝ニ
  國內ノ沿岸ニ關スル限リ、此ノ從來海上ニ
  於テ輸送セラレマシタ所ノ石炭、其ノ他ノ
  重要物資ヲ能フ限リ鐵道等ニ移シマシテ、
  ソレニ依ツテ得マシタ所ノ船腹ヲドウシテ
  モ船デナケレバ運ビ得ナイ方面ノ戰時下ノ
  輸送ニ充テルト云フコトデアリマス、御承
  知ノ通リ我ガ國ハ四周海デアル地形上、從
  來陸上ノ交通機關、殊ニ鐵道ハ其ノ長年ノ
  歷史カラ致シマシテ、甚ダシク整備サレテ
  居ラヌノデアリマス、卽チ出來ルダケ地形
  ヲ利用シテ、重量ノアル崇高ナ、而モ遠距
  離輸送ハ、從來數十年ニ亙ツテ是ガ海上沿
  岸輸送ノ分野ニ屬シテ居リマスシ、陸上ニ
  於キマシテハ其ノ殘リノ部分ノ國內ニ制限
  セラレテ居リマスル物、主トシテ雜貨等ノ
  輸送、殊ニ重量品ニ致シマシテモ海カラ參
  リマシタ物、又海ニ出ル物ノ僅カナ距離ノ
  中繼輸送ヲ鐵道ニ於テ取扱ツテ居ルノデア
  リマス、隨ヒマシテ斯ノ如キ長イ間ノ歷史、
  而シテ此ノ海陸分野ニ合フヤウニ施設ガ出
  來テ居リマス、ソレヲ此ノ際俄ニ海上ノ沿
  岸貨物ヲ陸上ノ鐵道ニ移スト云フコトハ、
  是レ決シテ容易ノ業デナイコトハ御承知ノ
  通リデアリマス、併シナガラ戰爭ニ勝ツ爲
  ニハドウシテモ此ノコトハ決行サレナケレ
  バナリマセヌノデ、昨年來鐵道省ト致シマ
  シテハ、鐵道、軌道、自動車、總テ打ツテ
  一體ト致シマシテ、出來ルダケ海上貨物ノ
  陸運轉換ト云フコトニ努メテ參ツテ居ルノ
  デアリマスルガ、之ニ付キマシテ只今御尋
  ネノ點ノ、海陸綜合ノ力ヲ遺憾ナク發揮ス
  ルト云フ點ニ付キマシテハ、過去ニ於テ長
  イ間海ハ海、陸ハ陸、僅カニ港ニ於テ接觸
  致シマシタ其ノ港ノ點ニ於キマシテモ甚ダ
  不完備ナモノデアリ、而モ海ト陸トハ餘リ
  有機的ニ關係ナシニ、ソレ〓〓輸送ヲ需用
  スル人ノ任意ノ撰擇ニ依ツテ今日マデ參ツ
  タノデアリマスカラ、甚ダ綜合力ハ發揮サ
  レテ居ラナカツタト申サナケレバナラヌノ
  デアリマス、昨年以來只今申シマシタ海ノ
  貨物ヲ出來ルダケ陸上ニ移シ變ヘル、卽チ
  協力スルト云フコトニ依リマシテ、相竝ン
  デ海ト陸トガ一段ト協力スル姿ニナツタト
  思ヒマス、尙ホ又縱ノ連絡卽チ港ニ於ケル
  海陸ノ連繫ノ點ニ付キマシテハ、是亦今日
  必ズシモ完全トハ申セマセヌ、マダ多クノ
  改善スベキ點ガアルコトヲ遺憾ト致シマスルガ、
  併シナガラ數年前ノコトト比ベマスト、非
  常ニ改善サレテ居ルト考ヘルノデアリマス、
  斯樣ナ意味ニ於キマシテ只今御話ノ海陸協
  力如何ニ付キマシテハ、昨年ノ陸運非常體
  制以降ニ於キマシテ、其ノ以前トハ比較ニ
  ナラナイ程、其ノ性格ニ於テ當然ノコトデ
  アリマスルケレドモ、海陸輸送ナルモノハ
  一段ト協力體制ガ强化サレ、又協力ナシニハ
  只今ノ海運ノ陸運轉換ト云フコトハ絕對不
  可能デアリマス、尙ホ今後ニ於キマシテ遞
  信省、鐵道省其ノ他輸送ニ關係致シマスル
  者ハ一段ト協力致シマシテ、目下ノ戰爭ヲ
  勝チ拔ク爲ノ輸送ノ完遂ヲ期シタイト考へ
  テ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=207

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• 208・藤本捨助

  ○藤本委員　只今ノ御答辯ニ依リマシテ大
  體推察スルコトガ出來ルノデアリマスガ、
  輸送力ニ輸送需要ガ「オーバー」致シマスカ
  ラ、ソコニ必然的ニ不急不要ノモノトシテ
  輸送上取殘サレルモノガアルダラウト思ヒ
  W.I.ソレハ一體ドンナモノカ、更ニ不
  急不要ノモノバカリデアルカ、或ハソレヨリ
  外ニマダアルカ、アルトスレバドウ云フモ
  ノカ、而モ取殘サレタモノヲ其ノ儘ニ置ク
  ナラバ直接戰力ノ增强ニハ姑ク措クト致シ
  マシテ、綜合戰力ノ增强ニ支障ヲ來スヤウ
  ナ點ガアルノデハナイカ、アルトスレバソ
  レニ對シテ如何ナル對策ヲ執ルカト云フコ
  トニ付テ御說明ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=208

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• 209・八田嘉明

  ○八田國務大臣　只今ノ御尋ネハ數字デ申
  上ゲルトハツキリスルノデアリマスガ、其
  ノ點申上ゲルコトガ許サレマセヌノデ、極
  ク大略デ御許シ願ヒタイト思ヒマス、昨年
  ノ所謂陸運非常體制確立ノ方針ガ決定致シ
  マシテ、十一月カラ其ノ線ニ向ツテ進ンデ
  參リマシタ、其ノ時ト其ノ後數箇月ノ間ト
  ヲ比較致シマスト、ソコニ戰爭ノ進展ト云フ
  コトモゴザイマスガ、併シナガラ其ノ當時
  豫想致シマシタヨリモ尙且ツ國內ノ輸送ハ
  非常ニ多イノデアリマス、海上ヨリノ轉移
  物資モ相當ノ量ニ上リ、又申スマデモナク國
  內資源ノ開發ガ非常ニ必要ニナツテ參リマ
  シタノデ、新タニ生レタ所ノ當然ノ陸上輸
  送ト云フモノモ殖エテ居ル、其ノ數量ヲ犬體
  昨年度ノモノト比較致シマスト、凡ソ十八
  年度ニ於テ是カラ豫想致シマスル一年ノ量
  ハ、十七年度ノ實績ノ約七割增位ニハナル、
  需要ハソレヨリモツトアルノデアリマスガ、
  各官廳、各統制會、其ノ他從來ノ荷主方面
  カラノ要望ヲ集メマスト、其ノ位ニ相成ル
  ノデアリマス、所ガ施設ノ方ハ僅カノ間ノ
  轉換デアリマスルカラ、假令資材ガアリマ
  シテモ中々許サレナイ、併シナガラ其ノ程
  度ハ恐ラク煎ジ詰メマシテ三割位ハドンナ
  コトヲシテモ切捨テナケレバナラヌト考ヘ
  ルノデアリマス、所ガ切捨テ得ナイ所ノ分
  量ガ相當アル、軍事輸送或ハ特ニ重要ナル
  物資竝ニ主要食糧品等ノ輸送ニ付キマシテ
  ハ是ハ加減スルコトガ出來ナイ、要求スル
  計畫ダケノモノハドウシテモ運バナケレバ
  ナラナイ、サウスルト、ソレニ依ツテ殘ル
  所ノ他ノ一般物資竝ニ旅客輸送ノ面ニドウ
  シテモ響イテ參ル、其ノ一般物資ダケニ付
  テ見マスト、約六割位之ヲ切落サナケレバ
  ナラヌ、併シナガラ今日申スマデモナク如
  何ナル物資デアリマシテモ、如何ナル輸送
  デアリマシテモ、戰爭ニ關係ノナイモノハ
  ナイト申シテモ差支ヘナイ狀況デアリマス、
  隨テ之ヲ少シデモ壓縮スルト云フコトハ容
  易デナイ、ソコデ巳ムヲ得ズ旅客ノ面ヲ非常
  ナ程度ニ於テ壓縮シツツアルノガ今日ノ狀況
  デアリマス、貨物ノ點ニ於キマシテモヤハ
  リ相當ノ壓縮ヲ見ナケレバナラヌト云フノ
  ガ今日ノ狀況デアリマシテ、之ニ對シマシテ
  ハ色々ト施策致シマシテ、今囘企業整備ト
  同ジ意味ニ於キマシテ、鐵道ノ施設ヲヨリ
  重要ナル方面へ囘收轉用セントスルノモ、
  此ノ點カラ生ジテ居ル已ムヲ得ナイ事實デ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=209

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• 210・藤本捨助

  ○藤本委員　優先輸送、或ハ重點輸送ニ依
  リマシテ、只今ノ御話ノヤウナコトハ必然
  的ニ已ムヲ得ナイノデアリマス、之ニ付キ
  マシテモウ少シ御尋ネ致シタイノデゴザイ
  マスガ、時間ガゴザイマセヌカラ略シマシ
  テ、モウ一ツ鐵道ニ付テ御尋ネ致シタイト
  思ヒマス、ソレハ今囘ノ企業整備ニ依リマ
  シテ廢休止サレル工場ガ東西ニ多々アルデ
  アラウト思ヒマス、其ノ會社ガ引込ンデ居
  ル所ノ引込線、之ヲ轉活用スル更ニ轉活
  用ナシ得ナイモノハ之ヲ撤收シテ「スクラッ
  プ」ニスルト云フヤウナコトガ必要デアラウ
  ト思ヒマスガ、之ニ對シテ如何ナル御對策
  ガアルカト云フコトヲ御尋ネ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=210

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• 211・八田嘉明

  ○八田國務大臣　今囘ノ所謂企業整備ニ於
  キマシテハ施設或ハ資材、其ノ他色々ノモ
  ノガ移動スルコトニ相成ルト思フノデアリ
  マスガ、其ノ或ルモノハ囘收サレテ屑化サ
  レ、或ルモノハ囘收サレテ轉用サレルト云
  フヤウナモノガアルト思ヒマス、今ノ御
  尋ネハ鐵道ノ面ニ於キマシテノコトダト
  考ヘマスカラ、其ノ部面ダケヲ申上ゲマ
  スト、今囘ノ企業整備ニ依ツテ其ノ結果、
  或ハ現在アリマスル所ノ引込線ガ要ラナク
  ナルモノモアルカト思ヒマスガ、ソレハ只
  今ノ所私ノ手許ニハ分ツテ居リマセヌ、併
  シナガラ其ノ他ノ所謂鐵道運輸ト云フ方面
  カラ見マシテモ、資材ノ轉用活用ト云フ方
  面カラ、ヨリ必要度ノ薄イモノヲヨリ必要
  度ノ高イ方面へ移スモノノ中ニハ專用線モ、
  引込線モアルノデアリマス、左樣御承知ヲ
  願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=211

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• 212・藤本捨助

  ○藤本委員　近ク廢休止サレマスル工場ノ
  引込線ハ相當多數ニアルト思ヒマス、尙ホ
  一ツ御善處ヲ願ヒマス
  次ニ自動車運送ニ付テ御伺ヒ申上ゲマス、
  御承知ノ如ク地場運送ノ機構ガ餘リニモ脆
  弱デアリマスノデ、時局下要請サレル使命
  ノ達成ニ遺憾ナ點ガ多イト思ヒマス、依ツ
  テ更ニ之ヲ强化致シ而シテ、之ヲ小運送ト協
  力セシメテ運送上ニ於ケル協力態勢ヲ確立
  スルノ要ガアルト思フノデアリマス
  次ニ遊休事未働ノ自動車、之ニハ「バス」モ
  アリマセウシ、貨物自動車モアリマセウガ、此ノ
  中ニハ稼働ノ可能ナルモノガアリマス、ソ
  レハ稼働セシメ、更ニ稼働性ノナイモノ
  ハ之ヲ解體致シマシテ、「スクラツプ」、化
  スルコトガ必要デアラウト思ヒマス、是等ニ
  付キマシテ如何樣ナ御措置ヲ御執リニナラレ
  マスカ、第三ニ燃料及ビ機械油ノ問題デア
  リマス、第四ト致シマシテ貨物自動車輸送
  力ノ補强ト致シマシテ、細カイコトデアリ
  マスケレドモ、荷牛馬車等ノ輸送力ヲ總動
  員致スト云フコトガ必要デアラウカト思フ
  ノデアリマス、以上ノ點ニ付キマシテ御考
  ヘヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=212

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• 213・八田嘉明

  ○八田國務大臣　地場運送ニ關スル自動車
  ノ現在ノ整備ノ狀況ニ於キマシテハ御話ノ如
  ク漸ク此處マデノ形ニ參ツタノデアリマス
  ガ、今後ニ於キマシテ一層此ノ點ニ付キマ
  シテハ改善ヲ加ヘ、眞ノ自動車輸送力ヲ發
  揮シ得ルヤウニ努メナケレバナラヌト考ヘ
  テ居リマス、自動車ノ現在遊休致シテ居リ
  マスルモノノ中ニハ燃料ノ關係カラ生ジテ
  居リマスルモノト、自動車ノ車體自體ノ色々
  ナ關係、或ハ部分品等ノ關係、色々トア
  リマスルガ、ソレハ先頃政府ニ於キマシテ其
  ノ所謂遊休自動車ハ「トラック」モ「バス」モ、或
  ハ普通ノ乘用車モ之ヲ一括致シマシテ產業
  設備營團、或ハ更生金庫ト云フヤウナ方面
  ノ力ニ依リマシテ之ヲ囘收致シ、其ノ中ノ
  再生シ得ルモノハ自動車生產ノ方面ノ會社
  ニ依リマシテ是ガ再生產サレ、或ハ其ノ役
  立ツ所ノ部分品ハ之ヲ現在活動シテ居リマ
  スル方面ノ部分品トシテ役立タセ、更ニ屑
  化セザルヲ得ナイモノハ屑化サレルト云フ
  コトニナリマシテ、相當ノ數ガ決定致シマ
  シテ、現ニソレハ進行中デ、地方廳ニ於キ
  マシテソレ〓〓手配中デアルト承知致シテ
  居リマス、尙又貨物輸送ニ付キマシテ荷馬
  車、其ノ他ノ所謂輸送機關、小運送機關ニ
  付キマシテハ、今日洵ニ大切ナ問題デアリマ
  ス、然ルニ拘ラズ從來此ノ方面ニ對シ政府
  ト致シマシテモ力ヲ致シテ居ラナイ點ガ多々
  アルト思ヒマス、併シ是ハ唯鐵道省トカ、
  內務省ト云フダケデハ參ラナイノデアリマ
  シテ、或ハ馬匹ノ問題、或ハ色々ノ問題ガ
  ゴザイマスルノデ、是ハ政府ニ於キマシテ
  今後一層速カニ體制ヲ整ヘル必要ガアルト
  これは
  考ヘルノデアリマス、是ガ爲ニハ鐵道省ト
  致シマシテハ關係方面ト一段ノ御協力ヲ申
  シタイト存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=213

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• 214・藤本捨助

  ○藤本委員　次ニ遞信大臣ニ御尋ネ致シ
  やく、先ヅ乙種造船ニ付テデアリマス、其
  ノ第一ハ標準船型デアリマスガ、昨年度ノ
  造船率ガ進捗致サナカツタ重大ナル理由ト
  シテ標準型ヲ採用シテ以來朝令暮改デア
  ツタト云フノデアリマス、故ニ今後ハ愼重
  ニ御決定ナサルコトガ必要デアルト思フノ
  デアリマス、ソレカラ十八年度ノ標準型ハ
  所謂箱型デアリマシテ、主トシテ直材ヲ使
  用致スノデアリマス、隨テ曲材ノ使用ハ僅カ
  ニ、二百五十「トン」型ニ於テ三·八%、二百「ト
  ン」型ニ於テ三·一%、百「トン」型ニ於テ四·七
  %程度デアリマス、是ハ結局十七年度型ニ於
  キマシテ曲材ノ入手ガ困難デアツタニ因ル
  ノデアリマセウ、私ハ此處デ箱型船ノ航海
  上ニ於ケル能率ノ問題ニハ觸レマセヌガ、
  併シ十七年度ノ型ヲ曲材入手ニ困難ヲ感ジ
  テ變ヘタトスルナラバ、ソレト同樣ナコト
  ガ十八年度ノ型ニ於テモ言ヘルノデハナイ
  カ、卽チ今度ハ直材ガ入手困難デアルト云
  フコトニナリハシナイカト思フノデアリマ
  ス、更ニ直材ヲ使ヒマスナラバ玆ニ「ブラッ
  ケット」ノ必要ガアリマスガ、ソレニ對
  シテ御用意ガアルカドウカ、以上御伺ヒ致
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=214

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• 215・寺島健

  ○寺島國務大臣　只今藤本委員ノ御尋ネニ
  ナリマシタル木造船ノ標準型ニ付テデアリ
  マスガ、十七年度ノ註文ノモノヲ朝令暮改
  シタトハ考ヘテ居リマセヌ、十七年度ニ於
  キマシテハ所謂繼續船ト申シマシテ、船主
  ガ隨意ニ註文シタモノガ隨分アリマシタ、
  是ハ種類モ色々異ツテ居リマシタノデ、標
  準型トシテハ一定ノモノヲ規定致シタノデ
  アリマス、ソレハ今御說ノアリマスル通リ
  五種類ニ分ケテ、其ノ各〓ガ大體ニ於キマ
  シテ曲材ヲ使ツテ居ル型デアリマス、是一
  方面ニ依ツテ何處ヘデモ行ケルト云フ趣意
  カラ、北海道ハ深イ足ノモノ、丸イモノ、
  又瀨戶內等ハ吃水ガ淺クテモ宜イト云フノ
  デアリマスガ、今日ノ計畫輸送デハ一地點
  ヨリ一地點ト云フヤウニ專門的ニ使フヨリ
  外ニハ動カセナイト云フノデハ困リマスノ
  デ、何レノ方面ニモ行ケルト云フヤウニ致
  シタノガ第一次ノ標準型デゴザイマス、ソ
  レハ十七年度ニ變ヘテ居リマセヌ、十八年
  度ニナリマシテ仰セノ通リ曲材ガ出來ニク
  イト云フコトガ段々考へラレテ來マシタノ
  ト、木造船モ多量ニ生產致シマスルカラ、
  木材モ成ルベク少ク使ツテ需要ニ間ニ合フ
  ヤウニ、又工數-人工ヲ掛ケルコトヲ少
  クシテ、サウシテ早ク生產致シタイト云フ
  コトカラ〓究ヲ進メマシタ結果、丁度鋼鐵
  船ニ於キマシテモ直線型ノ船ヲ造ルコトニ
  ナリマシタト同樣ニ、是ハ二割五分バカリ
  工數ガ減ルノデアリマス、結局早ク出來マ
  ス、サウシテ資材モ少クテ宜イ、斯ウ云フ
  所カラ直線材ヲ使ツテ行クコトヲ第二次ノ
  計畫トシテ標準型ヲ定メタノデアリマスル
  ガ、固ヨリ第三ニ御尋ネニナリマシタ之ニ
  對シテハ「ブラッケット」ニ鐵材ガ要ル、今日
  鐵ノ入手ガ困難ナルガ爲ニ幾多ノ遲延ヲ來
  スヤウナ場合ガアルノデアルカラ、是ノミ
  ニ依レト言ツタノデハゴザイマセヌノデア
  リマス、曲材ガ得ラレナイ場合ニ、又多量
  生產スルガ爲ニハ、之ヲ多量ニ早ク、資材
  ヲ少クスルト云フ意味カラ、此ノ第二次ノ
  標準型ニ依ルベキデアル、併シナガラ十八
  年度ノ製作ニ於テ曲材ヲ得ラレルナラバ第
  一次ノ型ニ依テ造ツテ行クコトガ鐵材ヲ食
  フコトガ少イノデアリマス、又此ノ强度ニ
  於キマシテモ相似タリ寄ツタリノモノデア
  リマスカラ、之ヲ施行シテ、要スルニ地方
  ノ狀況ニ應ジ、其ノ時ノ資材ノ狀況ニ應ジテ、
  彼此兩建デ進ンデ行クベキデアルト云フ考
  ヘデヤツテ居ル次第デアリマス
  〔委員長退席、野田委員長代理者着席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=215

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• 216・藤本捨助

  ○藤本委員　第二ニ資材對策デアリマスガ、
  造船案ハ典型的ナ綜合的工業デアリマスノ
  デ、多數ノ工業ノ成果ニ俟ツノデゴザイマ
  スガ、最近資材ガ非常ニ窮屈デアリ、隨テ
  其ノ配給ガ非常ニ不圓滑デアルノミナラズ、
  跛行的デアリマス、之ニ對シマシテ如何ナ
  ル措置ヲ講ズベキカト云フコトハ甚ダ問題
  デアリマスガ、其ノ第一ト致シマシテ、私
  ハ物動計畫ヲ今マデノ如キ素材物動ヨリ製
  品物動ニ進展セシメ、サウシテ主資材ト副
  資材トノ間ニ間然スル所ナカラシメルト云
  フコトガ一ツデアルト思ヒマス、隨ヒマシテ
  第二ト致シマシテ主資材ト副資材トノ間ニ
  ㄱリンク」制ヲヤツタラドウカト思フノデア
  リマス、第三ト致シマシテハ各造船所ノ持
  ツテ居ル資材ニ付キ之ヲ登錄シテ共同管理
  スル、更ニ各造船所ガ持ツテ居マス所ノ
  資材ヲ出シ合ツテ彼此融通スルト云フヤウ
  ナコトガ極メテ必要デアルコトヲ痛感スル
  ノデアリマス、ソレカラ更ニ資材ノ對策ト
  致シマシテ次ニ代用品ヲドウシテモ使ハナ
  ケレバナラナイヤウナ時期ニナツタト思
  ヒマスガ、法規上ソレガ出來ナイト云フヤ
  ウナ點モゴザイマスノデ、ソレヲ修正致シ
  マシテ、造船技術上差支ヘナイ程度ニ於テ代
  用品ヲ使用セシムルコトハ如何デアリマス
  カ、又遊休未働ノ資材ガ相當マダ商人ノ手
  ニアリマス、ソレヲドウシテ出スカト云フ
  コトニ付キマシテ御考慮願ヒタイノデアリ
  マスガ、前世界大戰ニ於キマシテ「ドイツ」ハ
  現在アル資材ノ費用、更ニ之ニ代替物ヲ以
  テスル場合ノ經費及ビ戰後再裝備致ス場合
  ノ經費ヲ考慮シテ居リマス、サウ云ツタ親
  心ヲ以テ臨ミマスレバ、此ノ決戰下デアリマ
  スルカラ、死藏或ハ偏在シテ居ル資材ガ出テ
  來ルノデハナイカト思ビマス、以上ノ點ニ
  付キマシテ御考ヘヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=216

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• 217・寺島健

  ○寺島國務大臣　只今ノ御質問、又御意見
  ノアリマシタ三點ニ付テハ、全ク藤本サン
  ノ御意見ト同ジヤウナ考ヘヲ持ツテ進ンデ
  居リマス、從來物動ニ於テハ主要ナモノハ
  決マリマスガ、斯ウ云フ副資材ニ付テハマ
  ダ殊更ニ此ノ點ガ十分ニ均衡ガ取レテ居ラ
  ヌ、而モ全體的ニ入手ガ不圓滑デアリ、不
  均衡デアルト云フ所ニ、綜合的工業デアル
  木造船ガ、大體ハ出來タケレドモ、或ル一
  品、二品出來ナイカラ本當ノ航海ガ出來ナ
  イト云フ點ガアルノデ、此ノ點ヲ善處致シ
  マシテ、之ニ對シテ能ク均衡ノ取レルヤウ
  ニ、又是ガ一括的註文ヲ行フ等ノ措置ヲ執
  リマシテ、此ノ點ヲ速カニ是正シテ行キタ
  イト存ジテ居リマス
  第二ノ資材ノ融通デアリマス、此ノ點ハ
  鋼造船ニ於テ既ニ實行シテ居ル次第デアリ
  マシテ、木造船ニ於テモ此ノ點ハ十分考慮
  致サナケレバナラヌ點デアリマス、地方ノ
  各府縣ニ於ケル木造船ノ組合等ニ於テ、之
  ヲ十分ニ行ヒ、又官ガ之ヲ行ヒ易イヤウニ
  手續ノ緩和等ヲ行ヒマシテヤルコトニシテ
  居リマスガ、此ノ點未ダ十分ニ〓ニ就イテ
  居リマセヌ、之ヲ速カニ軌道ニ乘セルベク努
  力中デゴザイマス
  第三ニ代用品ノコトヲ御尋ネニナリマシ
  タガ、是亦御同感デアリマシテ、今日既ニ
  代用品又旣定ノ艤裝品等モ簡易化スルコト
  ニ依ツテ、之ニ支障ヲ來サナイヤウナ手段
  ヲ執ツテ居ル次第デアリマス
  次ニ遊休未働ノ資材ヲ活用シタラドウ
  カ、洵ニ仰セノ通リデアリマシテ、私モ其
  ノ點ニ付キマシテ、如何ナルモノガ遊休未
  働デアルカト云フコトノ調ベハ、全國ニ亙
  リマスト斯ウ云フ特殊ナ事業デアリマス
  爲ニ、地方廳ニ聽キ合ハセマシテモ、中々
  早急ナル調ベハ出來マセヌカラ、種々努力
  ヲ致シマシタ結果、例ヘバ今日碇ガ足ラヌ
  トカ、色々ノ金物ガ足ラヌト云フモノニ付
  キマシテ、是等ノ相當ノモノガ遊休未働デ
  アルコトガ分リマシタ、又古品ガアル、斯
  クノ如キモノハ船ガ動ケナクナツテ居ルノ
  ニ碇ヲ三挺モ四挺モ持ツテ居ル、斯ウ云フ
  モノヲ以テ新船ニ振當テテモ差支ヘナイノ
  デアリマス、先程御說ノヤウナ點ニ付キマ
  シテ既ニ相當ノ整理ヲ行ヒマシテ、速力ニ
  之ヲ未到達ノ所ニ配給ノ出來ルヤウニ命令
  致シタ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=217

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• 218・藤本捨助

  ○藤本委員　是モヤハリ資材對策ノ一環デ
  アリマスガ、修繕竝ニ其ノ修繕ニ要スル資
  材ノ確保ガ必要デアルト思フノデアリマス、
  私先般中國地方ノ重要產業ヲ見テ參ツタノデ
  アリマスガ、修繕ノ爲ニ繫船ヲシテ居ルモ
  ノガ隨分ゴザイマス、更ニ又一艘ノ新造船
  ニ要スル資材ガアリマスレバ、數艘或ハ其
  ノ何倍カノ修繕ガ出來ルノダト云フコトニ
  考ヘ付キマスナラバ、此ノ際新タニ造ルト
  云フコトモ必要デアリマスケレドモ、修繕
  ニ計畫性ヲ與ヘテ、ソレニ必要ナ資材ヲ確
  保スルト云フコトガ極メテ緊要デアルト存
  ジマス、之ニ對シマスル大臣ノ御考ヘヲ承
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=218

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• 219・寺島健

  ○寺島國務大臣　船舶ノ修繕ヲ能ク實施シ
  ナケレバナラヌト云フ御意見ハ全ク御同感
  デアリマス、船ガ修繕出來ナイ爲ニ動ケナ
  イト云フヤウナコトガアリマスレバ、今日
  輸送ノ點ヨリ見テ、新造船ヲ造ルヨリモ
  尙ホ一層重大ナ問題デアラウト考ヘマス、
  併シ木造船ニ付キマシテハ、今日大體ニ於
  テ急設ノ造船所デモ、造船力ノ約三分ノ一
  ハ修繕ニ充テル、三分ノ二ノ力ヲ以テ新造
  船ヲ造ルト云フ目標ヲ立テマシテ、修繕ニ
  モ計畫性ヲ持タセ、計畫的修繕ヲ既ニ始メ
  テ居ルノデアリマス、併シ是ハ仰セノ通リ
  場所ニ依リマシテハ多數アリマシテ、通
  ニ之ヲ片付ケルト云フコトハ出來難イ狀況
  ニゴザイマスルガ、御趣意ノ通リ修繕ニ重
  キヲ置キ、急設造船所ノ造船力ノ約三分ノ
  一ヲ修繕ニ、三分ノ二ヲ新造ニト云フ計畫ヲ
  以テ是等ノ割當ヲ致シテ進ンデ居ル次第デ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=219

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• 220・藤本捨助

  ○藤本委員　只今ノ仰セニゴザイマシタガ、
  實ハ三分ノ一ノ修繕ニ充テテアル資材ニ付
  キマシテモ、全然御話ノ如クナツテ居リマ
  セヌ、浮作事ニ於キマシテモ、或ハ上架作
  事ニ於キマシテモ、修繕資材ハ全然ゴザイ
  マセヌ、デスカラ今後修繕ノ必要性ヲ痛感
  致サレテ居ル大臣ニ於キマシテ、特ニ御善
  處ヲ仰ギタイト思ヒマス
  次ニ船員ノ養成デアリマスガ、船ガ出來
  マシテモ船員ガ之ニ「マッチ」致サナケレバ、
  現實フ輸送力トハナリマセヌ、船舶職員法
  ニ依リマスト、船員ニハ海技免狀ガ要ル、
  ソレニハ試驗ガアル、而シテ其ノ試驗ガ三
  十七種アリマシテ、非常ニ複雜多岐デアリ
  マス
  〔野田委員長代理退席、委員長着席〕
  此ノ際之ヲ何トカ簡素化致スト云フコトガ
  ーリ、更ニ又海技免狀ヲ得マシテモ、現實
  ニ船ヲ操ルト云フコトニ付キマシテハ、小
  型船ニナレバナル程困難デアリマシテ、餘
  程ノ體驗ヲ要スルト云フコトデアリマス、
  以上ニ對スル遞信大臣ノ御考ヘヲ承リタイ
  ト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=220

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• 221・寺島健

  ○寺島國務大臣　只今船員ノ問題ニ御觸レ
  下サツタノデアリマスガ、仰セノ通リ船ガ
  出來テモ船員ガナケレバ動ケマセヌ、其ノ
  船員ノ點ニ付キマシテハ、計畫造船ニ適合
  スベク募集及ビ養成ノ方途ヲ講ジテ居ルノ
  デアリマス、併シナガラ今御述ベニナリマ
  シタ如ク、小型船ノ乘組員ニ對シマスル試
  驗ニ付テハ、之ヲ極メテ簡素ニシテ、實際
  船ヲ運行スルニ必要ナダケノ試驗、所謂筆
  答的、或ハ學問的試驗ハ省略スルコトニ致
  シタイト存ジテ居リマス、尙ホ又一般ノ海
  員免狀ヲ持チマシテモ、小型船ニハ實習ノ
  經驗ガナイトイカヌノデアリマス、此ノ實
  習ヲ得サセル爲ニ、各團體、船舶運營會、
  其ノ他ノ機關ヲ利用致シマシテ、講習ヲ行
  ヒ、或ハ速成ヲ行ツテ、是等船舶ノ乘組員
  ニ實際上ノ經驗ヲ與ヘルコトニ致シテ行キ
  タイト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=221

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• 222・藤本捨助

  ○藤本委員　木造船ノ統制ハ鋼造船ト同樣
  ナ統制會ニ於テ運營サレテ居リマスガ、鋼
  造船トハ性格モ規模モ非常ニ違ヒマスノデ、
  木造船ニ關スル限リ其ノ統制會ヲ別個ニ獨
  立サシテハ如何カト思フノデアリマス、ソ
  レカラ木造船ノ會社ヲ調査シマシタル所、
  非常ニ其ノ規模ガ脆弱デゴザイマシテ、是
  デハ決シテ能率モ上ラヌシ、經營ノ合理化
  モ出來ナイ、資材ノ節約、技術ノ向上、福
  利施設ノ設置ト云フヤウナコトニ付キマシ
  テハ到底望ミ得ナイ、各縣ニ於キマシテ相當
  統制致シテ居リマスルガ、之ヲ再統制トデ
  モ言ヒマスカ、機構ヲモツト更ニ擴大强化
  スルト云フコトガ必要デハナイカト思フノ
  デアリマス、是等ノ點ニ付テ御尋ネ致シタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=222

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• 223・寺島健

  ○寺島國務大臣　木造船ノコトハ鋼造船ト
  造リ方モ非常ニ異ナル、仍テ造船、統制會ノ一
  會員デアリマスル木造船ノ聯合會ヲ獨立サ
  レタラドウカト云フ御意見デアリマス、此
  ノ點ハ色々考究ヲ致シテ居リマス、併シ今
  日ニ於キマシテモ造船統制會ノ一部門トナ
  ツテ居ル譯デハナイノデアリマシテ、木造
  船ノ聯合會ト云フモノガアリ、各地方ノ木造
  船製造組合ノ聯合ノ事務ヲ中央デ行ツテ居
  ルノデアリマス、又一括註文等ヲ是デ行ツ
  テ居リマスノデ、殆ド獨立ニ近イモノヲ持
  ツテ居リマスルガ、之ヲ全然切離スト云フコ
  トニ付キマシテハ、非常ナル考究ヲ要スル
  ノデアリマス、船體其ノモノハ切離シテモ
  宜イノデアリマス、併シナガラ之ニ要スル
  「ディゼル」若シクハ燒玉ノ機關及ビ金物類、
  或ハ航海用具等ハ、鋼造船ニ用ヒテ居ルモ
  ノト相通ジテ居リマス、又ソレヲ製作スル
  所モ分野ヲ定メテ居リマスガ、兩種ノモノ
  ヲ一箇所デ造ツテ居ル所モアルノデアリマ
  ス、此ノ點カラ見マスト、今日ノ程度ニ於
  キマシテハ全然獨立ナル機關トスルコトハ
  考ヘモノデアリマス、大體船體ノ方ハ獨立
  シテ造レル譯デアリマス、ソレト關聯ヲ持
  ツテ行キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=223

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• 224・藤本捨助

  ○藤本委員　機帆船ノ運賃ニ付テ御尋ネシ
  タイト思ヒマス、機帆船ガ海運上重要ナモ
  ノデアルコトハ申スマデモアリマセヌガ、
  未ダ其ノ運賃ガ公定サレテ居リマセヌ隨
  テ、機帆船ノ運營ハ御承知ノ通リ所謂指示運
  賃、或ハ認可運賃デヤツテ居リマスガ、兩
  者ノ間ニ運賃率ニ於キマシテ、更ニ其ノ附
  帶條件ニ於キマシテ非常ニ相違ガアリマス、
  又手續上モ甚ダ厄介デアリマスノデ、此ノ
  際一ツ機帆船ノ運賃ヲ公定ナサレテハ如何
  デアリマスカ、其ノ公定ニ際シマシテハ能
  ク御調査ノ上デ、適切ニ原價計算ヲ算出致
  シ、ソレニ依ルベキデアルト思フ者デアリ
  マスガ、之ニ對スル大臣ノ御考ヘヲ伺ヒタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=224

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• 225・寺島健

  ○寺島國務大臣　仰セノ通リ機帆船ノ運賃
  ハ昭和十四年ノ所謂停止令ニ依リマシテ、
  其ノ儘トナツテ居リマス、併シナガラ此ノ
  後運航ノ諸費用ガ殖エ、燃料モ高クナルト云
  フヤウナ點カラ、昭和十七年ニ於キマシテ、
  石炭其ノ他ノ重要物資ハ低物價政策上影響
  スル所多イノデ、是ハ別トシテ、其ノ他ノ雜
  貨等ニ付キマシテハ、認可等ノ手續ニ依リ、
  總テ若干ノ引上ヲ致シテ居リマス、唯地區的
  ニ又是ガ相違ガゴザイマスルガ、各〓若干ノ引
  上ヲ致シタノデアリマス、併シ今囘ノ木造
  船ノ製造ニ依リマシテ設備營團ガ註文主ト
  ナリ之ヲ船主ノ方ニ讓渡ス次第デアリマ
  ス、此ノ場合ニ於キマシテ原價計算ノ方法
  ニ依ツテ賣渡シ船價ヲ一定致スコトニナ
  リ、近ク其ノ成案ガ出來ルコトニナツテ居リ
  マス、隨テ之ニ依ツテ機帆船ノ運賃モ基準
  ガ出來テ來マス、サウシテ運營會ノ使用ニ屬ス
  ルモノハ、一切運賃ハ低物價政策上、此ノ
  重要物資ハ上ゲナイコトニ致シマスルカラ、
  ソコニ差額ガ出來ルモノハ運營會ノ負擔ト
  シ、結局國家ガ負擔スル次第デアリマシテ、
  運營會ニ屬セザルモノニ付キマシテハ、去
  ル八十一議會ニ於テ御協贊ヲ得マシタル如
  ク、石炭輸送ノ奬勵金、或ハ補助金ト云フ
  ヤウナ制度ニ依ツテ之ヲ補塡シテ行キタイ
  ト考ヘテ居リマス

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• 226・藤本捨助

  ○藤本委員　次ニ燃料ノコトニ付テ御尋ネ
  致シタイト思ヒマスガ、是ハ廣島縣デアリ
  マシタカ、四月十二日現在デ繋船致シテ居
  リマス船舶ガ、石炭船ニ於テ四十三隻、一般
  貨物船ニ於テ百十二隻、而モ其ノ最モ大ナ
  ル理由ガ燃料不足デアリマス、斯ウ云フ點
  カラ考ヘマシテ、現在アル船デサヘモ燃料
  不足デ動カナイ、ソレニモ拘ラズ計畫造船
  デ船腹ヲ增加シテモ何ニナルカ、船ハ出來
  ルケレドモ、就航シ得ナイトスルナラバ、
  是ハ現實ノ輸送力トハナラナイ、茲ニ惱ミ
  ガ隨分アルノデアリマス、ココデ私ハ燃料、
  卽チ現在ノ重油ノハ配給量ハドウナツテ居ル
  ノカ、暫クシタラソレガ何トカ好轉スルノ
  カ、次ニ機械油、潤滑油デアリマスガ、是
  トテモ問題デアリマシテ、洵ニ深憂致シテ
  居ルモノデアリマス、私ハ委員長ニ御願ヒ
  致シマスガ、一ツ政府部內ニ於テ能ク打合
  ヲ願ツテ、祕密會デモ御開キニナリ篤ト御
  示シ願ヒタイト思ヒマス、是ガ分ラナケレ
  バ船ヲ幾ラ造ツタツテ就航出來ナイノデア
  リマス、或ハ今度ノ企業整備ニモ輸送力ガ
  要請サレテ居リマスガ、ソレニモ關係ガア
  リマス、再言致シマスガ、資材勞力等ノ不
  足ノ際ニ當リマシテ、油不足ノ爲ニ動ケヌ
  船ヲ造ツテモ仕樣ガナイノデアリマス、
  何トシテモ油ヲ確保セネバナリマセヌ、ド
  ウゾ政府部內デ打合ナサレマシテ、是ハ祕
  密會ニ於テ御話ヲ願ヒタイト思フノデアリ
  マス
  次ニ油ノ流シ方ハ現在物ヲ對象ニシテ居
  リマス、例ヘバ例ヲ宮崎縣ニ執リマスト、
  宮崎縣ノ木材ニ幾ラト云フ風ニ油ヲ流シテ
  居リマス、併シ是ガ船ト「マッチ」シナイト
  死藏トナリマス、ソコデ石油販賣取締規則
  ヲ修正シナケレバナリマセヌ、他縣ノ船ガ
  宮崎縣ニ行ツテ油ヲ求メルコトガ出來ナイ
  カラデアリマス、是ガ今船舶ノ燃料確保ヲ
  阻止スル癌ニナツテ居ル。カラ、ドウシテモ
  之ヲ修正スルノ要ガアリマス、更ニ石油ノ
  消費ヲ非常ニ節約シタ者ニ對シテハ之ヲ褒
  賞スル制度ヲ設テハ如何デアリマスカ、例
  ヘバ機帆船ナンカニナリマスト、船長ノ頭
  一ツデ經濟速力デ航行スルノト、非經濟速
  力デ走ルノトデハ非常ニ油ノ消費量ガ違
  フ、ソレカラ燃料緩和トシテ帆ヲ張ルトカ、
  或ハ潮流ヲ利用スルト云フコトデ油ノ節約
  ガ非常ニ出來ルノデアリマス、故ニドウゾ
  一ツ油ノ使用ヲ節約シタ者ハ之ヲ褒賞スル
  ト云フ制度ヲ御立テニナツタラドウカト考
  ヘルノデアリマス
  最後ニ港灣施設デアリマスガ、日本ノ港
  灣施設ハ大型船舶ニ對スル施設デアリマシ
  テ、小型木造船ニ對シテノ施設デハゴザイ
  マセヌ、從ヒマシテ今後澤山木造船ガ出來
  マシタ際ニ之ヲドウスルカト云フコトデア
  リマス、更ニ此ノ港灣行政ガ極メテ複雜多
  岐デアリマシテ、其ノ能率ガ上ツテ居リマセ
  ヌカラ、今後速急ニ是ガ御善處ヲ仰ギタイ
  ト思フノデアリマス、以上御答辯ヲ煩ハシ
  タイノデアリマス

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• 227・寺島健

  ○寺島國務大臣　只今油ノ點ニ付テ御指摘
  ニナリマシタガ、此ノ點ハ吾々モ甚深ノ注意ヲ
  拂ツテ居ルノデアリマス、十八年度ニ於キマ
  シテハ南方ノ油ノ產出モ殖エ、又特ニ汽船ヲ
  油船ニ變ヘタリ、又油輸送船ヲ鋼造船ニ於
  テ計畫的ニ生產ヲヤツテ居リマシテ、着々
  進行シツツアルノデアリマス、其ノ外中間
  輸送トシテノ特殊ナル曳船ニ依ル油ノ輸送
  ト云フコトモ考ヘテ居ルノデアリマシテ、
  是等ヲ勘案致シマシテ、一應物動上輸送計
  畫ニ適合スベク配給ヲ得ラレルヤウニナツ
  テ居リマス、併シナガラ御承知ノ通リノ今
  日ノ雄渾ナル作戰ヲ致ス爲ニハ、色々ノ變
  化ガソコニ行ハレテ參リマス上ニ、海上輸
  送中ニ於ケル海難事故ト云フモノモ時ニ免
  レナイノデアリマス、隨テ現今ニ於キマシ
  テハ、御說ノ如ク油ノ不足ニ依ツテ繫船ヲ
  致シテ居ルモノモ若干アルノデアリマス、
  併シナガラ是ハ全ク何人ト雖モ確言シテド
  ウト云フコトハ言ヘマセヌガ、計畫ハ大體
  木造船ノ計畫ニ適合スル如ク配給サレル豫
  定ニナツテ居リマス、併シナガラ御說ノ通
  リ實際問題トシテ是ヨリ殖エルヨリモ減
  ル場合、或ハ或ル月ニ依ツテハ著シク是ガ
  減少スルヤウナコトニナシトセナイノデア
  リマス、就キマシテハ代用燃料ヲ以テ燒玉
  「エンジン」ヲ動カス、過日私モ現狀ヲ見マ
  シタ、東京ニ於テ試運轉シマシタガ、可能
  ナリト云フ解決ヲ得マシタ、ソレカラ松ノ
  樹脂油ヲ以テモ動カシ得マス、朝鮮ニ於テ
  モ十八年度ニ於テハ之ヲ多量ニ造リマス、
  斯樣ナ代用燃料ヲ考ヘル外今御話ノアリマ
  シタ如ク、假令機力デ走ツテ居リマシテモ
  風ノ都合ノ好イ時ハ帆ヲ上ゲテ補助トスル、
  是ガ今日缺ケテ居ル、又極端ニ行ケバ、燃
  料ガ缺乏シタ時ハ帆デ走ルト云フ位ノ決意
  ヲ持ツ、又友曳ト云フモノヲヤリマス、又
  油ノ少イ時ニハ全速力ガ假ニ八「ノット」乃
  至十「ノット」デアリマスモノヲ五「ノット」ニ
  下ゲマスレバ、油ガ三分ノ一モ要ラナイ、馬
  力ハ速力ニ對シテ三乘比ニナル、速力ヲ倍ニ
  上ゲレバ八倍ノ馬力ヲ要スルノデアリマス、
  速力ヲ落セバ輸送力ガ落チルト云フケレド
  モ、唯手ヲ拱ネテ二隻アル時ニ一隻シカ動
  カナイ、ソンナコトハ業者ノ生活ニモ係ハ
  ル、又輸送力ノ全體トシテモ速力ガ若干減
  ツテモ總テノ船ガ動クト云フコトガ最モ理
  想デアリマスノデ、凡ユル手段ヲ講ジテソ
  レニ善處シテ參リタイト考ヘテ居ル次第デ
  アリマス

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• 228・藤本捨助

  ○藤本委員　私ノ質問ハ是デ濟ミマシタ

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• 229・木暮武太夫

  ○木暮委員長　藤本サン、只今委員長ニ賴
  ムト云フ油ノ話ガアリマシタガ、此ノ委員
  會ハ御承知ノ通リ企業整備ヲ中心トシテ居
  ル委員會デ、企業整備ニ付テノ祕密會デ御
  話ヲ伺フコトニナリマスト、適當デナイカト
  思ヒマスカラ、ドウゾ宜シク御諒承願ヒマ
  ス-次ニ瀧澤七郞サン

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• 230・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　五、六點商工省ニ御伺ヒシ、
  一點厚生省ニ御伺ヒ致シマス、此ノ度空前
  ノ企業整備ガ行ハレルコトニナリマシタ、
  サウシテ生產ノ增强ガ圖ラレル、洵ニ結構
  デアリマスガ、私ハ私ノ關係シテ居リマズ
  事柄ニ付テ念ノ爲ニ御伺ヒヲ致シ、且ツハ
  事務的ニ見テ生產增强ニ資スル、此ノ點ニ付
  テ御所見ヲ承リタイト思ヒマス、五大產業
  ノ基礎ヲ成ス鑄物工業ニ關シマシテハ、其
  ノ取扱ガ五大產業ヨリモ劣ツタ取扱ヲ受ケ
  テ居リマスカラ、職工ノ雇入ニ付キマシテ
  モ之ヲ補充スル途ガアリマセヌ爲ニ鑄物ガ
  出來ナイト云フ苦情ヲ受ケテ居ルヤウナ次
  第デアリマス、之ヲドウカ他ノ重要產業ト
  同一ニ御取扱ヒ下サルヤウニ御願ヒヲ致シ
  タイト思フノデアリマス
  ソレトモウ一ツハ迅速ニ生產ヲスル場合
  ニハ勞力ヲ伴ウテ資材竝ニ副資材ヲ一貫的
  ニ供給シテ戴キタイ、現狀ニ於キマシテハ
  主要資材タル銑鐵、鋼鐵ハアリマシテモ、ソ
  レニ伴フ「コトクス」ノ配給ガ非常ニ不圓滑
  デアルノデアリマスガ、サウ云フコトニ對
  シテ是正ヲシテ戴キタイト思フノデアリマ
  ス、此ノ二點ヲ伺ヒマス

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• 231・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　御答ヘ致シマス、五重點
  產業ニ勞務、資材、其ノ他ノ生產施設ガ集
  中スル結果、兎角他ノ產業方面ガ手薄ニナル
  ト云フヤウナ不平ノ御叱リガ時々アルノデ
  アリマス、併シナガラヤハリ重點產業ハ重
  點產業デ、ソレト同ジヤウニ、皆何モカ
  モ-ト言フト語弊ガアリマスガ、時局的
  ニ意義アルモノヲ片ツ端カラ五重點產業ト
  同ジヤウニ取扱フト云フコトニナルト、所
  謂重點ト云フモノガ必ズシモ重點デナイト
  云フコトデ、ソコニ平均サレテイマスカラ、ヤ
  ハリ重點ト云フモノハ本當ニ其ノ焦點トシ
  テ、サウシテ之ニ關聯スル產業ハ之ニ準ジ
  テ取扱フト云フコトニシナケレバナラヌト
  思ツテ居リマス、只今重點產業ト同樣ニ取
  扱ヘト云フ御話デアリマシタガ、私ハ御質
  問ノ內容ヲ更ニ敷衍シマシテ、重點產業以
  外ノ所謂重要產業、斯ウ云フ意味ニ實ハモ
  ウ一ツ解釋シテ御話ヲ申上ゲテ見タイト思
  フノデアリマス、恐ラク御質問ノ御趣旨モ
  ソコニアルト私ハ想像致シマシテ申上ゲマ
  ス、重要產業ニ付キマシテハ所謂重要產業
  團體令ガ適用サレマシテ、各重要產業部門
  ニ統制會ノ設立ヲ見テ居ルノデアリマス、
  只今ノ所二十種ヲ一時超エテ居ルカト思ヒ
  マスガ、鑄物工業ニ付テ斯樣ナ取扱ヲスル
  必要ガアルカナイカト云フコトヲ考ヘマス
  ノニ、只今ノ所ハ鑄物工業ヲ取上ゲテ之ニ
  統制會制度ヲ當嵌メルト云フ所存ハ政府ト
  シテハ持ツテ居リマセヌ、併シナガラ總テ
  ノ機械工業、重工業ノ基礎トシテ極メテ重
  要ナ素材ヲ提供シツツアル鑄物產業ニ付キ
  マシテハ政府ト致シマシテモ十分ナ認識ヲ
  持ツテ居ルノデアリマス、隨テ重要機械事
  業法ノ指定事業ニ指定スルカドウカト云フ
  ヤウナ問題ニ付キマシテモ之ヲ取上ゲマシ
  テ目下愼重ニ考究中デアリマス
  其ノ次ニ、主要資材ノミナラズ、副資材、
  殊ニ鑄物業ニ最モ必要ナ「コークス」ノ供給、
  斯ウ云ツタヤウナモノニ付テハモウ少シ一
  元的ニ配給ノ途ヲ講ジタラドウカト云フ御
  話デアリマス、是ハ御尤モデアリマスガ、
  何分ニモ鑄物用ノ「コークス」ニ付キマシテハ
  大部分ガ小口ノ需要ニ分レテ居ル爲ニ、輸
  送上其ノ他ノ便宜カラ致シマシテ、之ヲ中
  央配給カラ除イテ地方配給トシテ居ルノデ
  アリマズ、不圓滑ニナツテ居ル點ニ付キマ
  シテハ之ヲ放置スル考へハ勿論ナイノデア
  リマシテ、關係方面トモ十分ニ連絡ヲ取リ
  マシテ、改善策ニ付テ善處致シタイト考ヘ
  テ居リマス

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• 232・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　次ニ午前中モ各官廳ノ連絡
  ヲ圓滑ニシテ戴キタイト云フ御質問ガ
  アリマシタガ、私ハ此ノ點ニ付テ、特
  ニ企畫院モイラツシヤルコトデアリマ
  スカラ、ドウカモウ一層御盡力ヲ戴キ
  タイト思フ事柄ハ、今年造船一本槍ト云
  フコトニナツテ參リマシテ、鑄物關係ニ於
  キマシテハ、指定委員會ニ於テ內燃機ノ工
  場ノ指定ヲ致シマシタ、其ノ指定ニ當ツテ
  ハ直接ノ關係廳デアル海務院其ノ他カラ
  モ御出掛ケニナリマシテ、御相談ヲ願ツタ
  ノデアリマス、サウシテ是ガ決定セラレタ
  ノハ三月ノ二十五日デアリマス、サウシテ
  其ノ指定ニ關シマシテハ、全國ニ之ヲ振向ケ
  テ、全國的ニ分散ヲシテ仕事ヲスルト云フ
  コトデ、指定ハ行ハレタノデアリマスルガ、
  偖テ三月ノ二十五日ヲ過ギマシテ此ノ方面
  ヨリ御註文セラレタノハ、地方ノ者デモ、
  ソレヲ引受ケルベク相談ヲシテ居ツタ其ノ
  人達ニハサシモ註文ガ出ナイデ、重要產業
  地デアル大阪ト川口ノ二箇所ニ集メラレテ
  御註文ニナツタヤウデアリマスカラ、今マ
  デ指定セラレテ、ソレヲヤルベク考ヘテ居
  ツタ地方ノ人ハ手ヲ拱イテ居リ、更ニサウ
  デナイ川口或ハ大阪、此ノ二大產業地ニ於
  キマシテハ、非常ニ繁忙ヲ來シマシテ、他
  ノ重要ナル工作機械ナリ、產業機械ナリハ
  打棄テテモ、之ヲヤラナケレバナラナイト
  云フヤウナ風ニナツタノデアリマス、其ノ
  當時商工省デ御考ヘニナツテイラツシヤツ
  タヤウナコトノ結果ニハナラナイデ、宣ニ
  私共ト致シマシテモ、果シテソレガ間ニ合
  フカ間ニ合ハナイカト云フコトヲ心配シ、是
  ハ御當局ニ於テモ御心配セラレテ居ル事柄
  デアリマス、斯樣ナコトハ官廳間ノ連絡
  ガ缺カレタ結果デハナカラウカト云フヤウ
  ニ考ヘラレマス、其ノ點ニ付テ、特ニ將來
  トモ企畫院ニ於カレマシテハソレ等ノ間ヲ
  調整セラレテ、左樣ナコトノナイヤウニ、
  最初ノ計畫、商工省ナラ商工省デ計畫サレ
  ルヤウナ工合ニ、一本ニ行クト云フコトガ
  滿足ニ增產ヲスル所以デアラウト私ハ考ヘ
  ル、是ハ特ニ企畫院ヨリノ御考ヘヲ伺ヒタ
  イノデアリマス
  次ニ私ハ尙ホ御願ヒヲ申上ゲマス、事務
  的ニ見テ斯ウ云フ風ニシテ戴キマシタナラ
  バ生產增强ニ勞力ヲ供出スルコトガ出來ヤ
  シナイカト思ハレル點ヲ申上ゲマス、ソレ
  ハ先程商工次官ヨリ御說明ガアリマシタ中
  ニ、原單位ト云フ御話ガアリマシタ、ソレ
  ハ專ラ金錢ノコトニ關スル原單位デアルト
  承リマシタ、私ハ此ノ原單位ト云フ御計算
  ヲ、進ンデ物ノ量ノ上カラ見テ之ヲ是非御〓
  究ヲ戴キ、サウシテソレヲ定メテ戴キタイ、
  ソレハ今日例ヘバ旋盤ノ標準型ガ商工省ハ出
  來タ、サウスレバ其ノ旋盤ハ、六尺旋盤ハ銑鐵
  ガ何「キロ」、」鋼鋼ガ何「キロ」、、非鐵金屬ガ何
  「キロ」ト云フ風ニ總テノ資材ノ原單位ガ出テ
  參ルノデアリマス、私共ガ假ニ旋盤一臺ヲ註
  文スル時ニ、今日デハ非常ニ手數ヲ要スル譯
  デアリマス、例ヘバ其ノ一臺ノモノヲ註文ス
  ルトシテモ、細カイ數字ヲ五枚先ヅ第一書
  カナケレバナラナイヤウニナツテ居リマ
  ス、ソレヲ其ノ見タ人ガ査定セラルルノデ
  アリマスルガ、之ヲ商工省ニ於テ此ノ原單位
  量ヲ御決メニナツテアリマスレバ、六尺旋
  盤ハドレダケノ資材ガ要ルノダ、十尺旋盤
  ハドレダケノ資材ガ要ルノダ、「ボール」盤
  ハドレダケノ量ガ要ルノダト云フコトガア
  ンドゥ斯ウ云フ細カイ數字ヲ出サナイデ、
  統制會ニハ、今期工作機ノ爲ニハ銑鐵何「ト
  ン」、鐵鋼何「トン」割當テルト云フヤウナ風
  ニナツテ居レバ、註文ヲスル人ハ細カク一
  一書イテ出サナクテ、商工省デ只今御考ヘ
  ニナツテイラツシヤルソレヲ、物ノ方ニ御考
  ヘヲ戴イテ、ソレ等ノモノヲ拵ヘテ戴イタ
  ナラバ、買入レル人ハ此ノ調査手數ヲ省キ、
  又各方面ニ於テソレ/〓其ノ手數ヲ減ラ
  スコトガ出來テ參ルヤウニ私ハ思フノデア
  リマス、私ガ假ニ旋盤ヲ一臺買フト致シマ
  スレバ、先ヅ最初ニ三通ノ書類ヲ作リ、更
  ニ次ニ三通ノ書類ヲ作ル、ソレカラ致シマ
  シテ、丁度七ツノ所デ御取扱ヒニナツテ居
  ル書類ガ約五十枚ニ達スルヤウナコトニナ
  ツテ居リマスガ、是ハ商工省ノ御考ヘヲ一
  ツ確立ヲシテ置イテ戴キマシテ、吾々機體
  業者ナドガ買入レル所ノ原單位量ヲ決メテ
  置イテ戴ケバ、其ノ機械ヲ拵ヘルニハ何ガ
  ドレダケ要ルノダト云フコトガ分ルカラ、ソ
  レハ書カナクテモ宜イト云フコトニナリハ
  シナイカ、斯樣ニ思ハレマス、例ヘバ只今統
  制會ガ出來テ參リマスガ、其ノ統制會ニ於
  キマシテモ、直接商賣ヲシナイ所ニナリマ
  スト、ドウモ色々ナコトガドウシテモヤハ
  リ官廳流ニナツテ參リマス、オ役所ガ官廳
  流デ、民間ノ方ガ官廳流、サウ云フコトニ
  ナルト云フト、オ役所ノ官廳流ヨリ民間ノ
  官廳流ノ方ガ寧ロヤカマシイヤウナ風ナコ
  トガアツテ、ソレガ爲ニヨク屋上屋ヲ架ス
  ルナドト言ハレルヤウニナル場合ナドモゴ
  ザイマス、ドウカ此ノ點ヲ是非事務的ニ見
  テ御願ヒ出來マスレバ、私ハ此ノ方面カラ
  ノ勞力ノ供出ハ頗ル多イモノデアルト存ジ
  やく、以上二點ヲ御伺ヒ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=232

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• 233・平井豊一

  ○平井政府委員　內燃機ノ發註ヲ企畫院デ
  調整致シマスニ付キマシテハ、實情ヲ調べ
  マシテ適切ニ處置致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=233

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• 234・椎名悦三郎

  ○椎名政府委員　原單位計算ヲ實行スレバ
  勞務節約ニナル、御尤モデアリマス、私ハ
  原單位計算ト云フモノニ對スル說明ヲ、金
  ヲ本位ニシテ計算スルノダト云フヤウニ說
  明シタヤウニ拜聽シタノデアリマスガ、實
  ハアベコベデアリマシテ、原價計算ト云フ
  ノハ單位ノ生產要素ヲ金デ表ハス、ソレカ
  ラ原單位計算ハソレヲ物デ表ハス、原單位
  計算ト云フ所マデ實ハ進マナケレバナラヌ
  ト云フコトデ、着々其ノ制度ノ確立ニ手順
  ヲ進メテ居ル、斯ウ申上ゲタノデアリマス、
  ソレデ標準機械ニ付キマシテハ、所要資材
  原料ニ付キマシテ、旣ニ統制會デ所謂原單
  位ナルモノハ計算サレテ居ルノデアリマス、
  發註官廳及ビ發註サレル統制團體ニ現ニ送
  付濟ミデアリマシテ、近ク是ガ着々實施サ
  レルコトト存ジマス、大體御希望ノ點ガ今
  後ニ於テ達成サレルモノト期待シテ居リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=234

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• 235・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　時間ガナイサウデスカラ、ア
  ト三、四ノ點ニ付テ簡單ニ御伺ヒ致シタイト
  思ヒマス、此ノ法案ガ通過致シマスレバ、
  此ノ整備ヲサレル時期ハ何時頃カラデアリ
  マスカ、御伺ヒヲ致シマス
  ソレカラ各地方廳ト協力シテ致サレルコ
  トト思フノデアリマスケレドモ、之ヲ一ツ
  ドウカ徹底シテ地方廳ニ整備ノ實際化ヲ圖
  ツテ戴クヤウニ御願ヒヲ致シタイ、ソレハ
  例ヘバ川口ニ於キマシテ、アレダケノ工場
  地帶ニ「スプリング」ヲ製造シテ居ル小サナ
  工場ガ一軒アリマシタ、年產額ハ三万圓足
  ラズダサウデアリマスケレドモ、是ハアノ
  川口ノサウ云フモノヲ利用シテ居ル者ノ爲
  ニハ、產額ハ僅カデアルケレドモ、非常ニ必
  要ナルモノデアツタ、是ガ整備ニ依ツテ廢メ
  サセラレタカラ非常ニ其ノ生產工場ハ困ツ
  テ居ル、又モウ一ツノ例ハ川口ニ「ケレ
  ン」-型持、中子持、是ノ販賣所ガアリマス、
  然ルニ僅カバカリノモノデアルカラト云フ
  ノデ、之ヲ廢業ヲセシメラレマシタ爲ニ、今
  度ハアノ大キナ川口ノ鑄物業者ガワザ〓〓
  僅カナモノヲ買入レルノニ大阪マデ出掛ケ
  テ行カナケレバナラヌト云フヤウナ事情ガ
  アル譯デアリマスカラ、整備ハ小サイモノ
  ハ何デモ集メテシマフト云フヤウナ風ニ今
  マデハナツテ居リマスガ、今後ノ整備ニ當
  リマシテハ、此ノ點ニ十分御留意ヲ戴キマ
  シテ、小サイカラト申シマシテモ、是ガ全
  產業ノ上ニ必要ナモノデアリ、便宜ナモノ
  デアルナラバソレヲオ殘シ下サルヤウナ風
  ニ、御整備ノ方法ヲ執ツテ戴キタイト思フ
  ノデアリマス
  ソレカラモウ一點ハ、同一業態ノモノ、
  卽チ、同一ト申シマシテモ鑄物工場ナドノ
  整備ニ於テハ、鑄物ト云フ上カラ參リマス
  レバ、「ストーブ」ヲ拵ヘテ居ル鑄物工モ鑄
  物エデアリマス、重要產業ノ工作機械其ノ
  他ヲ拵ヘテ居ル者モ鑄物工ト云フ上カラ言
  ヘバ同一デアリマスケレドモ、之ヲ整備ノ
  場合ニハ、私共ハ大キナ工場ダカラト言ウ
  テモ自ラ趣キノ違ツテ居ル工場ヘハ之ヲ向ケ
  ラレナイデ、今マデ執リ來ツテ居ツタ所ノ
  業務ノ鑄物ノ方へ〓シテ戴キタイト斯樣ニ
  御願ヒヲ致シタイノデアリマス、同ジ鑄物
  エト申シテモ全然違ツテ參ル譯デアリ
  マスカラ、此ノ點ヲドウゾ御留意ヲ御願ヒ
  シタイト思ヒマス
  ソレカラ前ニ申スコトデアリマシタガ、
  モウ一點ハ、四年前ニ商工省ニ於テハ全產
  業ノ後繼者ヲ養成スル爲ニ、全國ニ約二十
  箇所ノ工員養成所ヲ御設ケニナリマシタ、
  其ノ後工員養成ハ他ノ方面ニ廻ツタヤウデ
  アリマスケレドモ、私ハドウカ此ノ工員ノ
  養成ト云フコトニ付テ、モウ一層ノ御留意
  ヲ戴キタイト云フコトヲ御願ヒヲ致シタイト
  思ヒマス、此ノ點ダケ御伺ヒ致シマシテ、
  更ニ私ハ厚生省ニ質問ヲ致シタイト思ヒマ
  ス

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• 236・平井豊一

  ○平井政府委員　實施ノ時期ニ付キマシテ
  御答ヘ致シマス、各省ニ於キマシテハ直グ
  ニデモ整備ニ著手出來マスヤウニ準備ノ出
  來テ居リマスモノガ大部分デアリマスガ、
  是ノ實行ヲ直接擔當致シマスノハ地方長官
  デアリマスノデ、ソコヘ各省カラ政府ノ仕
  事ガ殺到致シマシテハ、結局實際效果ノア
  ルヤウナ、今第二ノ御質問ニアリマシタヤ
  ウナ整備ガ出來マセヌノデ、本法案ノ成立ヲ
  見マシタナラバ、地方長官トモ連絡致シマ
  シテ、仕事ノ段取ヲ決メテ行クコトニ豫定
  ヲシテ居リマス、隨ヒマシテ今囘ノ整備ノ
  一ツノ重點デアリマス第一種工業部門ニ於
  キマシテモ、特ニ金屬類ノ囘收ト云フ點カ
  ラ急ガナケレバナラヌノデアリマスガ、地
  方長官ノ實行上ノ能力ト言フト語弊ガアリ
  マスガ、實際ノ仕事ノ出來ルヤウニスル點
  カラ、二、三ノ段階ヲ置ク必要ガアルト思
  ツテ居リマス、何レニ致シマシテモ年內ニ
  ハ片付ケナケレバナラヌト思ツテ居リマス
  カラ、其ノ積リデ實施ノ時期ヲ今後決メテ
  行ク豫定デ居リマス
  ソレカラ次ノ實際ノ整備ノ實施ヲ特ニ地
  方廳デヤリマスモノヲ、官民一緒ニ、而モ
  適切ニ手落チナクヤルト云フコトニ付キマ
  シテハ、政府ト致シマシテモ大イニ着意シ
  テ居ル所デアリマシテ、現在各府縣ニアリ
  マス中小工業再編成協議會、若シクハ之ヲ
  改組致シマシタヤウナ機構ヲ以チマシテ、
  其ノ土地々々ニ於テ軍官民總協力デ、勿論統
  制會トカ業者團體等ハ十二分ニ働イテ戴
  ク、又之ヲ大キク致シマシテハ翼贊政治會、
  大政翼贊會ノ御協力モ得マシテ、適切ナ處
  理ヲスルコトニ致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=236

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• 237・佐藤筌太郎

  ○佐藤(筌)政府委員　只今鑄物工場關係ノ
  特殊ノ必要品ヲ造ツテ居ルモノノ整備、或
  ハ特殊ノ鑄物工場、是等ノ整備ニ付テ十分
  考慮スベキデアルト云フ御意見デゴザイマ
  スガ、全ク御同感デゴザイマス、之ニ付キ
  マシテハ最モ實情ノ能ク分ツテ居リマス各
  地方廳竝ニ業界ノ意見ヲ十分ニ參酌致シマ
  シテ、適切ナル整備ヲ進メテ行キタイ、斯
  樣ニ考ヘテ居リマス、ソレカラ鑄物工場ガ
  整備サレマシタ場合ノ鑄物工ノ轉業ニ付テ
  ノ御所見モ出テ居リマシタガ、是モ當然鑄
  物工ハ少イノデアリマシテ、斯樣ナ專門技
  術ヲ持ツテ居ル者ハ、何處マデモ鑄物工場
  ニ行ツテ働クベキハ當然デアルト思ヒマス
  ガ、サウ云フ風ニ吾々モ處置スル考ヘデア
  リマス、尙ホ養成所ノ問題デゴザイマスガ、
  是ハ機械工養成所ノ問題ト考ヘマス、他省
  ノ所管ニナツタヤウナ御所見ノヤウニ伺ハ
  レタノデアリマスガ、現在ト雖モ商工省ノ
  直轄ノ國立機械技術員養成所三箇所、若シ
  クハ公立、縣立ナドノ訓育所ガ全國約四十
  箇所バカリ現存致シテ居リマス、是等ニ對
  シマシテハ年々補助金ヲ現在尙ホ補給致シ
  テ居リマシテ、更ニ實際ノ訓育指導ニ付キ
  マシテハ、國立ノ三指導所長ヲシテ其ノ區域
  內ノ訓育所ノ實際指導ニ當ラシテ居リマス
  ノデ、決シテ所管外デモナク、又力ヲ入レテ
  居ラナイ譯デモアリマセヌノデ、現在ノ所
  斯樣ニ進メテ居ルヤウナ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=237

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• 238・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　尙ホ是ハ商工省デモ御聽取ヲ
  戴ケレバ結構デアリマス、外ノコトデモア
  リマセヌガ、勞力ノ供出ノ爲ニ斯ウ云フ大規
  模ナ整備ガ行ハレテ參ルノデアリマスガ、
  此ノ勞力ヲ適當ニ勞働セシムル方策ヲ厚生
  省ニ於テハ御考ヘヲ戴キタイト思フノデア
  リマス、ソレハ今現ニサウデアリマス、私
  共ハ今年ノ麥ノ減作ト云フ御話ヲ聽イテ、
  尙ホ米ノ配給ヲ增シテ戴キタイト云フコト
  ハ申サレマセヌ場合デアリマスケレドモ、
  只今工場ニ於ケル所ノ勞務者ノ働キハ、大
  抵午前六時ニ朝飯ヲ食ベナケレバ、七時若
  シクハ七時半ニ間ニ合ヒマセヌ、朝六時若
  シクハ六時半マデニ食事ヲ終ツテ、サウシ
  テ工場ヘ參リマシテオ晝、ソレカラ今ハモ
  ウオ八ツニ何モヤルモノガアリマセヌカラ、
  ソレデ五時マデ働キマス、五時ニナツテ
  ドウカ働イテ貰ヒタイ、セメテ二時間カ三
  時間働イテ貰ヒタイ、餘程郊外デアリマシ
  テモ、八時マデナラバ歸ルニ宜シウゴザイマ
  スケレドモ、旣ニ朝ハ其ノ時間ニハ朝飯ヲ
  食べ、晝飯ハ十二時ニ食ベテ居ルノデ、八
  時マデハ實際問題トシテ働ケナイノデス、
  ソレデスカラ是ダケノ大規模ノコトヲシテ
  勞力ヲ供出セラレマシテモ、働イテ居ル工場
  ヘ行ツテ-今日デハ工場法モ撤廢セラレマ
  シタ、ソレカラ賃金ノコトニ關シテモ主要
  產業ニ於テハ解放セラレテ居ル譯デアリマ
  スケレドモ、如何ニ賃金ヲ增スコトヲ致シ
  マシテモ、如何ニ勞働者ヲ餘分ニ名簿ノ上
  デ頭ヲ揃ヘマシテモ、夕方カラ夜業ヲシテ
  八時頃マデ働ク間ニ、セメテ薩摩芋ノ一本
  デモ、馬鈴薯ノ二ツデモ與へテ戴カナケレ
  バ、折角斯ウ云フヤウナコトヲシテ勞力ヲ供
  出シマシテモ、其ノ勞動力ハ寧ロ低下ヲシ
  テ、原價ハ益〓上ルバカリデアルト云フヤウ
  ニ私ニハ考ヘラレテ、實ハ工場ニ於テノ午
  後五時カラ八時マデノ働キ方ニ付テ非常ニ
  惱ミヲシテ居ルノハ、私共組合員バカリデ
  ナク、世間一般ダラウト思ヒマスガ、此ノ點
  ニ關シテ厚生省ニ於カレマシテハ、何トカ
  サウ云フ夜業ヲスル者達ニ對スル特別ナ配
  給ノ御方法、是ハ米デナクテモ何デモ宜シ
  イ譯デアリマス、オ米デアレバ尙ホ宜シイ
  ノデアリマスガ、私ハ之ヲシテ戴カナケレ
  バ到底生產ノ增强ハ困難ヲ免レナイト思フ
  ノデアリマス
  尙ホモウ一點申上ゲマスガ、同ジ軍需ノ工
  場デアリマシテモ、大キナ工場デアルト所
  謂管理工場デアリ、又指定工場デアリ、色々
  アリマス、其ノ場合ニ產報ト致シマシテ
  ハ、例ヘバ昨年ノ暮ニ於テハ軍需工場ノ大
  キナ工場ハオ酒ガ何合行ツタ、オ餅ガ何升
  行ツタ、斯ウ云ツタ特配ヲ受ケル、產報カ
  ラ或ハ其ノ他カラモ參リマセウ、サウ致シ
  マスト同ジ軍需品バカリヤツテ居リマシテ
  モ、少サイ工場デアルガ爲ニ指定工場ニナ
  ツテ居ラナイ所ヘハオ酒ガ行カナイ、其ノ
  餅ガ行カナイ、斯ウ云フ場合ニ於テ非常ニ
  不平ヲ申シテ居ル、其ノ不平ヲ私ハ此ノ頃
  聞イタノデスガ、若シサウ云フ場合ガアル
  ナラバ、オ酒ヲ指定工場へ五合ヤラレル場
  合ハ、此ノ小サイ工場ニハ假令一合デモ宜
  イ、又オ餅ヲ五合ヲヤラレルナラバ此處ヘハ
  一合デモ宜イカラ、ソレヲ公平ニ配ツテ戴
  キタイト云フコトガ產報會アタリノ支部ノ
  申出デアリマス、此ノ點ヲ御考ヘヲ戴キタ
  イ
  モウ一點申上ゲマスコトハ、或ル工場デ
  靑年隊ノ服ガ必要ダ、入場セシメタケレド
  モ着物ガナイカラドウモ困ル、ソコデ商工
  省ナラ商工省ヘ御願ヒヲシタ、又方々關係
  スル所ヘ御賴ミニナツタ所ガ、三箇所カラ
  二百枚ヅツ來タト云フコトガアツタノデア
  リマス、是ハ昨年ノコトデアリマス、サウ
  スルト返シモサレナイ、後デ困ルカラ貰ツ
  テ置ケト云フヤウナコトガアリマシタカラ、
  是等ニ付テモ特殊配給ト云フモノヲドウカ
  一ツヘ御纒メ下サツテ、必要ナモノニ分ケ
  テ戴クヤウニシテ戴ケレバ結構デ、是ハ厚
  生省カラ御所見ヲ伺ヒタイト思フノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=238

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• 239・武井群嗣

  ○武井政府委員　只今工場ノ實際ノ御經驗
  カラ、食糧其ノ他作業用品、乃至ハ嗜好品
  等ノ配給ニ付キマシテノ御話ヲ承ツタノデ
  アリマスガ、第一點ノ食糧ノ不足ト云フ點
  ニ付キマシテハ、是ハ多クノ部面ニ於キマ
  シテ左樣ナコトヲ耳ニ致シ、又私共モ決シ
  テ十分デハナイト思フテ居リマス、唯一面
  現下ノ食糧事情ガ窮屈ナ狀態ニナツテ居リ급
  マスルノデ、到底十分ニ參ルコトハ出來ヌ
  ト思ツテ居リマス、併シナガラ生產增强ニ
  專念シテ居リマス者ニ、空腹ヲ甚ダシク感
  ジサセテ仕事ヲサセルト云フコトハ無理デ
  アリマスノデ、出來ル限リ此ノ勤勞ノ作業
  ノ狀態ニ應ジテ、配給增加等モ農林省ト交
  涉ノ上、又農林省ガ特別ノ配慮ヲ以テヤツ
  テ下サツテ居ル譯デアリマシテ、今色々ト
  御話モゴザイマシタガ、尙ホソレ等ノ點モ
  十分承リマシテ、農林省トノ間ニ篤ト協議
  ヲ遂ゲタイト思ツテ居リマス、而シテ〓糧
  ノ外ニ、段々暑クナリマスト、色々ト〓凉
  劑等モ配給スル必要ガアリマス、又脚氣ノ
  防止等ノ爲ニ「ヴィタミン」劑ヲ供給スルコ
  トモ必要デアリマスノデ、是等ノ點ニ付キ
  マシテハ、今年度ノ夏ニ對シマシテハ一層
  是等ノ量ヲ殖ヤスコトニ致シマシテ、十分デ
  ハゴザイマセヌケレドモ、出來ル限リノ方
  途ヲ講ジテ居ル譯デアリマス、此ノ點ヲ申
  シ添ヘテ置キマス
  第二點ノ、色々ノ配給ガ場所ニ依リ、
  又業種ニ依リ工場ニ依ツテ違フト云フ點
  デアリマスガ、先般私大阪ヘ參リマシタ
  時ニ同樣ナコトヲ承ツテ居リマシタ、段々
  聽イテ見マスト、或ルモノニ付キマシ
  テハ產報カラ來ル、或ルモノハ統制會カ
  ラ配給スルト云フヤウナコトデ、配給スル
  場所ガ區々デアリマスル爲ニ、工場ヲ隣ニ
  シテ居リナガラ不公平ナコトモアルト云フ
  ヤウナコトデアリマス、ソコデ是ハ豫ネ〓〓
  左樣ナコトモアリマシテ、今年ノ一月二十
  日ノ閣議決定ニ於キマシテ、工場ニ於ケル
  生活必需品、或ハ作業用品等ハ產報ヲ通
  ジ、又物ニ依リマシテハ工場、鑛山ニ於ケ
  ル購買會ヲ活用シテヤルト云フコトニ決メ
  ラレタ譯デアリマス、其ノ線ニ沿ビマシテ
  商工省、農林省トモ既ニ打合セモ致シテ居
  ル譯デアリマスノデ、今後ニ於キマシテハ
  左樣ナコトハナクナルデアラウト思ツテ居
  リマス、速カニナクサウト思ツテ居リマス
  第三ノ、今度ハアベコベニ一ツノ物ヲ三
  方面カラ貰ツタト云フヤウナコトハ珍シイ
  例ト思ヒマスガ、斯樣ナコトモ今申上ゲマ
  シタ產報ト購買會ノ活用ト云フ此ノ方針ガ
  確立致シマスレバ、必ズナクナルモノト思
  ツテ居リマス、併シナガラ斯樣ナコトガ末
  端マデ徹底致シマスノハ相當時日モ要スル
  コトデアリマスカラ、絕エズ氣ヲ付ケマシ
  テ、左樣ナコトノナイヤウニ致サウト存ジ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=239

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• 240・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=240

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• 241・木暮武太夫

  ○木暮委員長　中井君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=241

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• 242・中井一夫

  ○中井(一)委員　私ノ質問ハ極メテ簡單デ
  アリマス、本法ノ第三十四條ニハ「本法ヲ
  朝鮮又ハ臺灣ニ施行スル場合ニ於テ必要ア
  ルトキハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ
  得」斯ウ規定シテアリマス、隨テ本法ガ所
  謂外地ニ施行サレルト云フ問題ニ付テ御伺
  ヒヲシテ置キタイト思フノデアリマス、本
  法ヲ臺灣、朝鮮ニ施行サレル御積リナンデ
  アリマスカ、是ハ特別ニ置イテオクト云フ
  御積リナンデアリマスカ、其ノ御所見ヲ承
  リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=242

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• 243・迫水久常

  ○迫水政府委員　朝鮮、臺灣ニハ本法ヲ施
  行致シマセヌカ致シマスカト云フコトハ
  マダ決定ヲ致シテ居リマセヌ、唯施行致シ
  マシタ場合ニハ、勅令ヲ以テ法律ノ內容ニ
  變ツタ定メヲナスコトガ出來ルト云フ權限
  ヲ豫メ用意シテ置ク爲ニ入レタ條文デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=243

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• 244・中井一夫

  ○中井(一)委員　若シ御施行ニナラヌノナ
  ラバ、私ノ質問ハ是レ以上進メル必要ハナ
  イノデアリマスガ、「施行スル場合ニ於テ」
  トアリマスカラ、或ハ御施行ニナルカモ知
  レヌト思ヒマスノデ、更ニ御伺ヒヲ致スノ
  デアリマス、最近戰爭進行ノ狀態ヨリ、朝
  鮮ハ大陸ニ於ケル我ガ國ノ基地、臺灣ハ南
  方ニ對スル我ガ國ノ基地デアリ、而モ其ノ
  外地ニ住居ヲ致シテ居リマスル者ヲ見マス
  ルト、朝鮮ハ全體デ二千四百万デ、內地人
  ハ僅カ七十万人シカ居リマセヌ、臺灣ハ六
  百三十五万、其ノ內內地人ハ僅カ三十五万
  人シカ居リマセヌ、而モ是等ノ民族ノ種々
  ナル動キ、精神的、物質的色々ナ動キヨリ
  痛感致シマスルコトハ、一人デモ多クノ我
  ガ同胞ガ是等ノ土地ニ居ツテ貰ヒタイト云
  フコトデアリマス、其ノ精神ハ滿洲ニ向ケ
  マシテ、年々大切ナル吾々兄弟ヲ開拓移民トシ
  テ送ツテ居ラレルト云フコトニ於テモ明カ
  ニナツテ居リマスガ、其ノ精神ハ此ノ際一層
  朝鮮竝ニ臺灣ニ於テ必要デアルコトヲ痛感
  致スノデアリマス、隨テ是等七十万竝ニ三
  十五万ノ同胞ハドンナコトガアリマシテ
  モ、之ヲ擁護シテ是等ノ地ニ置イテオク、
  更ニ進ンデハ此ノ際一人デモ多クノ同
  胞ヲ是等ノ土地ニ殖ヤスト云フ政策コソ、
  最モ緊急必要ナル方策デナケレバナラヌト
  私ハ信ズルノデアリマス、然ル所此ノ法案
  ニ付テ段々政府ノ御所見ヲ承リマスルト、
  洵ニ時局ノ上カラ已ムヲ得ザル所デハアリ
  マスガ、結局ハ事業ナリ、施設ナリヲ差出
  サセテ現金ハヤラヌト云フコトニスルノガ
  原則ト承知致シマスノデ、其ノ效果大デア
  ルト同時ニ、又其ノ影響モ甚大ナルモノガア
  ルデアラウト思フノデアリマス、隨テ外地
  ヲ內地竝ニ御扱ヒニナリ、所謂一律一體ニ
  オヤリニナリマスナラバ、七十万ト三十五
  万ノ此ノ同胞ノ上ニ非常ナル悲シムベキ結
  果ヲ來ス虞ガアルト思フノデアリマス、就
  キマシテハ、其ノ點如何ナル程度ニ於テ御
  留意ニナツテ居ルカ、其ノ用意ノ程ヲ承ツ
  テ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=244

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• 245・迫水久常

  ○迫水政府委員　御質問ノ點ハ實ハ內務省
  ノ所管デゴザイマシテ、內務省ト各外地ノ
  當局ト先達來、私モ其ノ會議ニ參加致シマ
  シタガ、〓究ヲ致シテ居ル點デアリマス、
  只今中井サンノ仰シヤイマシタヤウナ點ヲ
  內務當局竝ニ各外地當局ハ專ラ心配ヲ致シ
  テ居リマシテ、隨テ假ニ實行致シマス場合
  ニ於キマシテモ、所謂特殊決濟方法ノドウ
  云フモノヲ適用シタラ宜イカト云フヤウナ
  點ヲ目下〓究致シテ居ルノデアリマス、中
  井サンノ御質問ノ要點ハヨク內務省ノ當局
  竝ニ外地當局ニ傳ヘマシテ、誤リナキヲ期
  シタイト存ジテ居リマスシ、其ノ用意ノ爲
  ニ實ハ三十四條ノ「勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ
  爲スコトヲ得」ト云フ規定ヲ入レタ次第デ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=245

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• 246・中井一夫

  ○中井(一)委員　更ニモウ一點、此ノ法案
  ハ、例ヘバ支那トカ、上海トカ、「マライ」、
  昭南等、サウ云フ所ニ在リマス內地人所有
  ノ工場、施設、事業、サウ云フモノニモ及
  ブノデゴザイマスカドウカ、承リタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=246

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• 247・迫水久常

  ○迫水政府委員　ソレハ及ビマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=247

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• 248・中井一夫

  ○中井(一)委員　次ニ大東亞省ノ御方ニ承
  リタイノデアリマスガ、是等ノ土地ニ於キ
  マシテ、所謂統制規則ヲ御出シニナツテ居
  ルノデゴザイマスガ、アレハドウ云フ根據
  デ、何處カラ御出シニナツテ居ルノデアリ
  マスカ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=248

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• 249・木暮武太夫

  ○木暮委員長　今大東亞省ノ方ハドナタモ
  オイデニナリマセヌノデ、企畫院ノ方カ
  ラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=249

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• 250・平井豊一

  ○平井政府委員　御質問ノ御要旨ガ能ク分
  リマセヌガ、ドウ云フ規則デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=250

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• 251・中井一夫

  ○中井(一)委員　例ヘバ上海ニ於キマシテ
  內地人ガ利益ヲ幾ラ以上取ツテハナラヌト
  カ、內地ニアルヤウナ統制法ト云フカ、規
  則ノヤウナモノヲ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=251

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• 252・平井豊一

  ○平井政府委員　ソレハ領事館令以上ノモ
  ノハ出テ居ラヌ筈デアリマス、ダカラ法規
  ノ實際ト、アノ邊デ言ハレルコトトハ必ズ
  シモ一致シテ居ラヌカモ知レマセヌ、指導
  デヤツテ居ルモノモアルカモ分リマセヌ、
  法規ト致シマシテハ領事館令デ、サウ大袈
  裟ナコトハ決マラナイモノダト思ツテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=252

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• 253・中井一夫

  ○中井(一)委員　オ係リノ方ガオイデニナ
  ラヌヤウデスカラ此ノ點ハ止メマシテ、更
  ニ御伺ヒ致シマス、先程皆樣ノ質問應答ニ
  依リマシテ、此ノ法案ヲ實施スルニ當ツテ
  ハ是非國民ノ協力ガナクテハナラヌ、サウ
  デナクテハ巧グ行カヌノダト云フコトニ付
  キマシテハ、能ク了解ガ出來タノデアリマ
  ス、唯其ノ根本ニ付キマシテ同僚議員カラ
  モ政府ノ御所見ヲ段々問ハレタノデアリマ
  スガ、然ラバ其ノ諒解ヲ求ムルト云ヒマス
  カ、國民ヲ納得セシメルト云ヒマスカ、國
  民ガ進ンデ此ノ政府ノ劃期的ナ企圖ニ協力
  ヲシテ行カウト云フ心持ヲ起サスト云フ、
  此ノ空氣ヲ作リ上ゲル具體的方策、之ニ付
  テノ政府ノ御所見ヲ承ルコトガ出來ナカツ
  タノデアリマス、唯偶≧此ノ度御出シニナ
  リマシタ豫算案ヲ見マスルト、大藏省ノ企
  業整備ニ關スル經費ト云フ所ニ、大政翼贊
  會補助ニ要スル經費ノ增加二百三十万圓ガ
  お
  計上サレテ居ルノデアリマス、或ハ此ノ中
  ニハ產報、商報等ノ費用等モ含マレテ居ル
  ノデハナイカ、同時ニ此ノ企業整備ヲヤル
  ニ付テ、國民ノ心持ヲサウ云フ方面ニ持ツ
  テ行カウ、協力ヲスルコトガ出來ルヤウニ
  持ツテ行カウト云フヤウナ手段ニ使フ爲
  ニ、此ノ費用ヲ追加サレテ居ルノデハナイ
  カト考ヘラレルノデア。リマスガ、此ノ點ハ
  如何デアリマセウカ、若シ然リトスレバ其
  ノ具體的ナル御計畫、然ラズトスレバ其ノ
  他此ノ大切ナル問題解決ノ具體的方策ヲ、
  此ノ際最後ニ明カニシテ置イテ戴キタイノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=253

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• 254・武井群嗣

  ○武井政府委員　只今ノ御尋ネニアリマシ
  タ大藏省所管ノ二百三十万圓ト云フ金ニ付
  テ、關聯シテノ御尋ネデアリマスノデ、私
  共存ジテ居リマスルコトヲ申上ゲタイト思
  ヒマス、主トシテ此ノ金ハ產報ニ二百万圓、
  ソレカラ商報ニ三十万圓ト云フ補助ノ割
  合ニナツテ居リマス、ソコデ何ニ使フカト
  云フコトハ先程御話ガアリマシタヤウニ、專
  ラ今囘ノ企業整備ガ國民ノ自發的協力ニ俟
  タナケレバナラヌト云フコトハ仰セノ通リ
  デアリマシテ、產報ト致シマシテモ此ノ擔
  當スル部門ハ-主トシテ此ノ企業整備ニ
  依ツテ轉業致シマス勤勞者ノ方面ニ關シ
  テ、協力ヲ求メルコトニ致シタ譯デアリマ
  ス、卽チ此ノ企業整備ニ依ツテ相當多數ノ
  勤勞者ガ動クコトニナリマス、ソレガ政府
  ト致シマシテハ最後ノ寶刀ト致シマシテ、
  勞務調整令乃至ハ徵用令ノ發動モ考ヘテハ
  居リマスガ、左樣ナコトデナシニ、時局ニ
  處シテ進ンデ轉向スル、場所ヲ變ヘル、住
  所ヲ變ヘルト云フコトヲヤツテ貰ハナケレ
  バナラヌ、ソレニ付テハ能ク此ノ事ヲ理解
  シテ貰ハナケレバナラヌト云フ意味ニ於キ
  マシテ、此ノ際ニ大政翼贊會、就中其ノ傘
  下ニアリマス產業報國會及ビ商業報國會ニ
  其ノ仕事ヲヤツテ貰フ、サウシテ大キナ國
  民運動ナドモ起シテ、此ノ仕事ヲ圓滑ニヤ
  ツテ貰ハウト云フコトデアリマス、而シテ
  產報ニ對シテ二百万圓、商報ニ對シテ三十
  万圓ト云フモノハ非常ニ差ガアルヤウデア
  リマスガ、御承知ノ通リ今囘動ク所ノ勤勞
  者ハ、大部分ガ工場部門ニ屬スルモノデ、ア
  リマス、卽チ產業報國會ニナツテ居ル譯デ
  アリマスノデ、此ノ產報ニ對スル金額ガ多
  イノデアリマス、而シテ此ノ二百万圓ノ內
  容ハト申シマスト、先程申上ゲマシタヤウ
  ナ國民運動ニ使フ金、ソレカラ生活ノ援護
  等ヲ實地ニ行フニ當リマシテハ、產報ノ職
  員ノ動員等モ行ヒ、一人々々ヲシテ不安ナ
  カラシメルヤウナ措置ヲ講ゼシメナケレバ
  ナラヌ關係ガゴザイマスノデ、ソレ等ニ要
  スル事務費、ソレカラ又場所ヲ變ヘルコト
  ノ出來ル年齡、健康其ノ他ノ關係デ職ヲ失
  フト云フヤウナ者ニ對シマシテハ、所謂授
  產ノ仕事等モ致サナケレバナリマセヌ、ソ
  レカラ又愈〓場場ヲ變ヘルマデニ於キマシ
  テ、訓練、鍊成、〓養等ヲ致サナケレバナ
  リマセヌ、是等ノ事モ主トシテ產報ニ賴マ
  ウト云フコトニナリマシタノデ、是等ニ要
  スル費用ガ產報ヘノ補助費トシテ計上サレ
  テ居ル譯デアリマス、商業報國會ニ對スル
  三十万圓ハ大體配給部門、就中小賣部門ノ
  者ニ付テ同樣ナコトヲスル譯デアリマスノ
  デ、費用モ少イト云フコトニナツテ居ルト
  承知致シテ居リマス

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• 255・中井一夫

  ○中井(一)委員　此ノ經費ニ關スル御說明
  ハ大體了承致シマシタ、唯併シ私共心配
  致シマスコトハ、此ノ法案ノ實施ト云フコ
  トハ實ニ重大ナル結果ヲ各方面ニ起スモ
  ノト信ズルノデアリマス、下手ナ考ヘ、難
  カシイ理窟バカリデ、迚モ之ヲ實行スルコト
  ハ出來ナイト存ジマス、其ノ意味ニ於テ同
  僚諸君ガ度々申サレタ如ク、是ハ政府モ餘
  程ノ御決心ヲ以テオヤリニナラナケレバナ
  ラヌト思フノデアリマス、大臣ガ御出席ニ
  ナツテ居リマセヌカラ、私ノ質問ハ是レ以
  上致シマセヌ、之ヲ以テ終リマス

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• 256・木暮武太夫

  ○木暮委員長　ソレデハ是カラ祕密會ヲ開
  キマス、議員竝ニ政府委員ダケ御殘リ下ス
  ツテ、外ノ方ノ御退場ヲ願ヒマス
  〔午後六時四十六分祕密會ニ入ル〕
  〔午後七時十一分祕密會ヲ終ル〕

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• 257・木暮武太夫

  ○木暮委員長　祕密會ハ終リタル旨ヲ述べ
  暫時休憩スル旨ヲ宣告ス
  午後七時十二分休憩
  午後八時三十四分開議

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• 258・木暮武太夫

  ○木暮委員長　休憩前ニ引續イテ會議ヲ開
  キマス、是ヨリ本委員會ニ付託サレマシタ
  企業整備資金措置法案、昭和十八年法律第
  九號中改正法律案、國民更生金庫法中改正
  法律案ノ三案ヲ一括議題トシテ討論ニ付シ
  マス-野田武夫君

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• 259・野田武夫

  ○野田(武)委員　私ハ企業整備資金措置法
  案、昭和十八年法律第九號中改正法律案、
  國民更生金庫法中改正法律案ノ三案ニ付キ
  翼賛政治會ヲ代表致シマシテ、贊成ノ意ヲ
  表シマス、卽チ本案ノ實體ハ決戰下ノ現段
  階ニ對處シテ、從來ノ企業整備ヲ更ニ徹底
  シテ國民ノ悉クヲシテ直接戰力增强ニ寄與
  セシメントスルモノデアリマシテ、其ノ趣
  旨ニ於テハ全ク贊意ヲ表スル者デアリマス、
  併シナガラ是ハ所謂產業ノ再編成ニ基ク產
  業動員計畫デアリマシテ、產業界ハ固ヨリ
  經濟界ニ及ボス影響極メテ大ナルモノガア
  リマス、又一面今日國民ノ戰時生活ノ確保
  ハ絕對的ナモノデアリマスガ、本案ハ又國
  民生活ニ重大ナル關聯ヲ持ツテ居ルモノデ
  アリマスカラ、是ガ圓滑ナル遂行ヲ期スル
  二、ドウシテモ國民ノ强キ協力ニ俟タネ
  バナリマセヌ、隨テ政府ハ本案ノ實施ニ當
  ツテハ愼重ナル態度ヲ持シテ、所期ノ目的
  ニ副フヤウ萬全ノ考慮ヲ拂ハレンコトヲ要
  望致シマシテ、贊意ヲ表スルモノデアリマ
  ス

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• 260・木暮武太夫

  ○木暮委員長　討論ハ終局致シマシタ、是
  ヨリ三案ノ採決ヲ致シマス、各案トモ原案
  ニ贊成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  〔總員起立〕

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• 261・木暮武太夫

  ○木暮委員長　起立總員、仍テ各案ハ何レ
  モ原案ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)
  是ニテ散會致シマス
  午後八時三十六分散會
  〔小山(倉)委員ノ發言ニ關スル參照〕

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• 262・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　企業ノ合同、整理ノ場合
  ニ付テハ既ニ臨時租稅措置法ニ依リ租稅上
  各種ノ減免措置ヲ講ジテ居ルノデアリマシ
  テ、今囘ノ企業整備ニ付テモ其ノ適用ヲ見
  ル譯デアリマスガ、從來ノ規定ヲ以テハ十
  分ナラズト認メラレマスノデ必要ナル改正
  ヲ行フコトト致シマシタ
  卽チ、政府特殊借入金ノ利子ニ付テハ、
  其ノ性質ニ顧ミ分類所得稅ハ百分ノ九ノ稅
  率ニ依リ、綜合所得稅ハ其ノ利子額ノ十分
  ノ四ヲ控除シタルモノヲ以テ總所得トスル
  コトトシ、法人稅ニ付テハ其ノ利子額ノ十
  分ノ七ヲ控除シテ課稅スルコトトシ、又金
  融機關ガ政府特殊借入金ヲ擔保トシテ貸付
  タル場合ニ於テハ其ノ利子額ノ十分ノ七
  ヲ所得金額ヨリ控除シ課稅スルコトト致シ
  マシタ、尤モ此ノ場合ニ於テハ擔保ニ供シ
  タ政府特殊借入金ノ利子ニ付テハ十分ノ七
  ノ控除ハ認メナイノデアリマス
  次ニ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止又ハ休止
  シタル法人ニ付キマシテハ事業ノ廢止又ハ
  休止前ノ平常利益ニ對シ廢止又ハ休止後ノ
  利益ノ減少程度、竝ニ事業ノ廢止又ハ休止
  ニ因リ受クル補償金ノ額等ヲ考慮シ、法人
  稅營業稅又ハ臨時利得稅等ヲ輕減スルコ
  トト致シタノデアリマス
  次ニ事業ヲ廢止又ハ休止シタ法人ニ付テ
  ハ、配當ノ急激ニ減少スル場合モ豫想セラ
  レマスノデ、斯ル場合ニ於テ法人ガ資產ノ
  評價換ヲ爲シタル場合ノ益金ニ付テハ、當
  該事業年度ニ於テ課稅セザルコトト致シタ
  ノデアリマス
  最後ニ第一條ノ十八及第一條ノ二十八ヲ
  改正シ、改正前ニ於テハ此等ノ適用ヲ受ク
  ル場合ハ國、府縣、國民更生金庫、產業設備
  營團及事業ノ統制上設立セラレタル法人
  等ニ出資又ハ讓渡シタル場合ニ限ツテ居ツ
  タノデアリマスガ、今囘ハ出資又ハ讓渡先
  ノ如何ヲ問ハザルコトトシ、又第一條ノ十
  八ハ從來出資若ハ讓渡ニ對シ與ヘラレタル
  有價證劵ニ限リ本條ヲ適用シタノデアリマ
  スガ、有價證劵ノ外特殊預金、政府特殊借
  入金、戰時金融金庫特殊借入金等ニ付テモ
  本條ヲ適用スルコトニ改正シタノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008210432X00219430617&spkNum=262