1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年十月二十六日(火曜日)午後二時四分開議
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議事日程 第一號
昭和十八年十月二十六日
午後二時開議
第一 全院委員長の選擧
第二 常任委員の選擧
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致シマス、
去ル二日盛厚王、成子內親王、兩殿下御結婚
納采ノ儀ヲ行ハセラレタルニ付、同日、議
長ハ議院ヲ代表致シマシテ參內シ、次イデ
大宮御所ニ參入シ、又東久邇宮邸ニ參殿致
シ、何レモ御祝詞ヲ言上致シマシタ、又去
ル十三日御結婚ニ付、同日議長ハ議院ヲ代
表致シマシテ參內シ、天皇陛下皇后陛下
皇太后陛下ニ御祝詞ヲ言上致シマシタ、
次イデ東久邇宮邸ニ參殿致シ、御祝詞ヲ言
上致シマシタ、其ノ他第八十二囘議會閉會
後ニ於ケル諸般ノ事項報〓ハ、御異議ガナ
ケレバ、朗讀ヲ省略致シタイト存ジマス、
御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス
昭和十八年十月二十六日
左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サル
モ參照ノタメ玆ニ載錄ス
第八十二囘議會閉會後ニ於ケル事
項報告
前囘議會ニ於ケル本院ノ議決ニ係ル議員佐
藤三吉君ニ對スル弔辭ハ去ル六月十九日之
ヲ贈レリ
去ル六月二十四日陸軍省ヨリ前囘議會ニ於
ケル陸海軍ニ對スル本院ノ感謝決議ニ對シ
左ノ謝辭アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
防衞總司令官
今般貴院滿場一致ヲ以テ寄セラレタル熱
誠御懇篤ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議ニ接シ
感激ニ堪ヘズ御稜威ノ下將兵一同戮力協
心至誠敢圖國土ノ防衞ヲ完ウシ以テ全國
民總意ノ御激勵ニ應ヘンコトヲ期ス玆ニ
深厚ナル謝意ヲ表ス
東部軍司令官
今般懇篤熱誠ナル決議ヲ恭ウシ寔ニ感激
ニ堪ヘズ玆ニ軍將兵一同ニ代リ深甚ナル
謝意ヲ表ス戰局ノ前途愈々多難ナルノ秋
御稜威ノ下戮力協心至誠奉公以テ重責完
遂ニ邁進センコトヲ期ス
中部軍司令官
第八十二囘帝國議會ニ於テ御鄭重ナル感
謝竝ニ敬意ヲ表セラレ茲ニ中部軍將兵ヲ
代表シ深厚ナル感謝ノ意ヲ表ス將兵一同
御稜威ノ下愈々鞏固ナル團結ヲ以テ一意
聖戰目的完遂ニ邁進センコトヲ期ス
西部軍司令官
第八十二囘帝國議會開會劈頭全會一致ノ
熱誠眞摯ナル決議文ヲ寄セラレ感激ニ堪
ヘズ將兵一同士氣益々昂揚シ誓テ國民ノ
期待ニ副ハンコトヲ期ス右謹ミテ謝意ヲ
表ス
北部軍司令官
今般第八十二囘帝國議會開會ニ方リ陸軍
將兵竝ニ戰歿將士ニ對シ熱誠眞摯ナル感
謝敬弔ノ意ヲ寄セラレ寔ニ感激ニ堪ヘズ
謹ミテ滿腔ノ謝意ヲ表ス軍ハ御稜威ノ下
將兵一同戮力協心愈々團結ヲ鞏固ニシ益
益北邊防衞ノ鐵壁ヲ固メ以テ御期待ニ副
ハンコトヲ期ス
朝鮮軍司令官
今般軍ニ寄セラレタル感謝決議ヲ承リ誠
ニ感謝感激ノ至リニ堪へズ將兵一同愈〓、
粉骨碎身誓ツテ聖慮ヲ安ンジ奉リ以テ御
期待ニ副ハンコトヲ期ス茲ニ將兵一同ヲ
代表シ深甚ナル感謝ノ意ヲ表ス
臺灣軍司令官
御熱誠ナル感謝竝ニ鄭重ナル敬弔決議ヲ
戴キ感激ニ堪ヘズ臺灣軍將兵一同ニ代リ
厚ク御禮申上グ
關東軍司令官
今般帝國議會開會劈頭ニ於テ熱誠溢ルル
感謝並ニ敬弔ノ決議ヲ辱フシ誠ニ感激ニ
堪ヘズ玆ニ部下一同ヲ代表シ深厚ナル謝
意ヲ表ス將兵一同志氣益々軒昂誓ツテ忠
誠ヲ擢ンデ以テ銃後ノ御期待ニ副ハンコ
トヲ期ス
支那派遣軍總司令官
第八十二囘帝國議會開會劈頭感謝竝ニ敬
弔ノ決議ヲ賜ハリ感激ノ至リニ堪ヘズ一
億一體トナリ國難克服ニ蹶起スル秋支那
派遣軍將兵一同愈々奮勵努力大東亞戰爭
完遂ニ挺身シ以テ聖慮ヲ安ンジ奉リ併セ
テ銃後各位ノ熱意ニ應ヘンコトヲ期ス
香港占領地總督
第八十二囘帝國議會開會劈頭熱誠溢ルル
感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ辱フシ誠ニ感激ニ
堪ヘズ茲ニ謹ミテ深甚ナル謝意ヲ表ス
南方方面陸軍最高指揮官
今次議會開會ニ當リ御懇篤ナル感謝決議
ニ接シ誠ニ感激ニ堪ヘズ南方軍ハ御稜威
ノ下愈々一致協力飽ク迄宿敵米英擊滅ノ
一途ニ邁進シ以テ全國民ノ要望ニ應ヘン
コトヲ期ス
比島方面陸軍最高指揮官
第八十二囘帝國議會開會ニ際シ院議ヲ以
テ陸軍將兵竝ニ戰歿將士ニ對シ鄭重ナル
感謝竝ニ敬弔ノ決議文ヲ辱フシ感激ノ至
リニ堪ヘズ玆ニ深厚ナル謝意ヲ表ス將兵
一同益々奮勵聖戰ノ目的完遂ニ邁進以テ
銃後ノ御期待ニ副ハンコトヲ期ス
正四位伯爵渡邊昭君
去ル六月二十四日伯爵議員補關選擧ニ當選
セラル
去ル六月二十五日海軍省ヨリ前囘議會ニ於
ケル陸海軍ニ對スル本院ノ感謝決議ニ對シ
左ノ謝電アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
聯合艦隊司令長官
貴族院ノ御懇篤ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議
ニ接シ感激ノ至ニ堪ヘズ聯合艦隊將兵ハ
常ニ聖旨ヲ奉戴シ必勝ノ信念ノ下士氣愈
奮ヒ倍々勇戰奮鬪敵ヲ擊滅シ以テ戰爭目
的ノ完遂ヲ期シアリ茲ニ聯合艦隊ヲ代表
シ衷心感謝ノ意ヲ表ス
支那方面艦隊司令長官
貴族院ノ鄭重ナル感謝竝ニ弔慰ノ決議ニ
接シ感激措ク能ハズ御稜威ノ下艦隊將兵
一同士氣旺盛必勝ヲ期シテ愈々粉骨碎身
シ以テ護國ノ大任ヲ完ウセン事ヲ期シア
リ茲ニ艦隊將兵ヲ代表シ深厚ナル謝意ヲ
表ス
正二位動一等侯爵大久保利武君
去ル七月十三日薨去セラル依テ十四日弔辭
ヲ贈レリ
正四位動二等岡田文次君
去ル七月二十三日卒去セラル依テ二十四日
弔辭ヲ贈レリ
去ル八月一日緬甸國獨立ニ付外務次官ニ對
シ同國內閣總理大臣ニ對スル左ノ祝意ヲ表
スル電報發送方ヲ依賴セリ
友邦緬甸國多年ノ宿望ヲ達シテ獨立ノ光
榮ヲ獲ラル洵ニ慶賀ニ勝ヘズ玆ニ貴族院
ヲ代表シテ深厚ナル祝意ヲ致シ併セテ國
運ノ興隆ト大東亞共榮圈ノ確立ニ一意邁
進セラレンコトヲ望ム
貴族院議長伯爵松平賴壽
去ル八月六日緬甸國獨立ニ付發送シタル祝
電ニ對シバーモウ同國內閣總理大臣ヨリ
左ノ謝電ヲ受領セリ
緬甸國獨立宣言ニ際シ祝電ヲ辱ウシ感謝
ス緬甸國ハ獨立國トシテ日本ノ指導ノ下
ニ大東亞共榮圈ノ赫々タル將來ノ爲全力
ヲ擧ケテ貢獻セムコトヲ期ス
正三位勳二等柴田善三郞君
去ル八月二十五日薨去セラル依デ二十六日
弔辭ヲ贈レリ
從四位侯爵大久保利謙君
去ル九月一日襲爵仰付ケラレタルニ依リ貴
族院議員ニ就職セラル
正三位勳一等永田秀次郞君
去ル九月十七日薨去セラル依テ二十一日弔
辭ヲ贈レリ
正三位勳二等鈴木貞一君
從三位勳一等寺島健君
正四位勳三等李家軫鎬君
去ル八日貴族院令第一條第四號ニ依リ貴族
院議員ニ任セラル
去ル十四日フイリピン共和國獨立ニ付外務
次官ニ對シ同國大統領ニ對スル左ノ祝意ヲ
表スル電報發送方ヲ依賴セリ
フイリピン共和國新ニ獨立ヲ宣言シ其ノ
宿望ヲ達成セラル洵ニ慶賀ニ勝ヘズ玆ニ
貴族院ヲ代表シテ深厚ナル祝意ヲ致シ併
セテ大東亞共榮圈ノ一環トシテ國運ノ隆
昌ニ一意邁進セラレムコトヲ祈ル
貴族院議長伯爵松平賴壽
正三位勳一等小野塚喜平次君
去ル二十日願ニ依リ貴族院議員ヲ免セラル
去ル二十一日フイリピン共和國獨立ニ付發
送シタル祝電ニ對シホセ、ピー、ラウレル
同國大統領ヨリ左ノ謝電ヲ受領セリ
フイリピン獨立竝フイリピン共和國樹立
ニ際シ閣下ヨリ賜ハリタル御祝詞ニ對シ
深謝シ玆ニ御好意ニ對シ敬意ヲ表ス
昨二十五日本院成立ノ旨ヲ政府及衆議院ニ
通知セリ
同日衆議院ヨリ同院成立ノ旨ノ通牒ヲ受領
セリ
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第八十三囘帝
國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ
受領セリ
政府委員
內閣書記官長星野直樹君
法制局長官森山銳一君
法制局參事官佐藤基君
同入江俊郞君
同佐藤達夫君
企書院次長安倍源基君
企畫院部長梶原茂嘉君
同柏原兵太郞君
原鼎三君
同同
堀田健男君
同渡邉渡君
企畫院調査官平井豊一君
情報局總裁天羽英二君
情報局次長村田五郞君
情報局情報官堀公一君
同橋本政實君
同武藤富男君
技術院總裁子爵井上匡四郞君
技術院次長和田小六君
技術院參技官本多靜雄君
特許局長官中村幸八君
外務省所管事務政府委員
外務次官松本俊一君
外務省政務局長上村伸一君
外務省調査局長山田芳太郞君
内務省所管事務政府委員
內務次官唐澤俊樹君
內務省地方局長新居善太郞君
內務省警保局長町村金五君
內務省國土局長宮村才一郞君
內務省防空局長上田誠一君
內務省管理局長竹內德治君
内務書記官小林千秋君
朝鮮總督府政務總監田中武雄君
朝鮮總督府財務局長水田直昌君
臺灣總督府總務長官齋藤樹君
臺灣總督府財務局長高橋衞君
大藏省所管事務政府委員
大藏次官谷口恒二君
大藏省總務局長迫水久常君
大藏省主計局長植木庚子郞君
大藏省主稅局長松隈秀雄君
大藏省理財局長田中豐君
大藏省銀行局長山際正道君
專賣局長官木內四郞君
大藏書記官前田克已君
同窪谷直光君
陸軍省所管事務政府委員
陸軍次官冨永恭次君
陸軍法務中將大山文雄君
陸軍主計中將栗橋保正君
陸軍中將吉積正雄君
陸軍少將佐藤賢了君
同那須義雄君
陸軍大佐二宮義〓君
海軍省所管事務政府委員
海軍次官澤本賴雄君
海軍中將岡敬純君
海軍主計中將山本丑之助君
海軍少將保科善四郞君
海軍大佐矢牧章君
海軍主計大佐山沖芳市君
司法省所管事務政府委員
司法次官大森洪太君
司法省民事局長齋藤直一君
司法省刑事局長池田克君
文部省所管事務政府委員
文部次官菊池豊三郞君
文部省總務局長藤野惠君
文部省專門〓育局長永井浩君
農林省所管事務政府委員
農林次官石黑武重君
農林省總務局長重政誠之君
農林書記官笹山茂太郞君
〓糧管理局長官湯河元威君
商工省所管事務政府委員
商工省總務局長椎名悅三郞君
商工省企業局長豐田雅孝君
商工省金屬局長高嶺明達君
商工省化學局長津田廣君
商工省機械局長美濃部洋次君
商工省纖維局長山口喬君
商工省交易局長山本茂君
商工書記官赤間文三君
燃料局長官菱沼勇君
物價局長官西川浩君
金屬囘收本部長難波經一君
遞信省所管事務政府委員
遞信次官小松茂君
遞信省總務局長小林武治君
遞信省電氣局長塩原時三郞君
海務院長官妹尾知之君
海務院次長安田丈助君
海務院部長新谷寅三郞君
鐵道省所管事務政府委員
鐵道次官長崎惣之助君
鐵道監平山孝君
同佐藤榮作君
同堀木鎌三君
同三浦義男君
厚生省所管事務政府委員
厚生次官武井群嗣君
厚生省勤勞局長中村敬之進君
厚生書記官靑柳一郞君
大東亞省所管事務政府委員
大東亞次官山本熊一君
大東亞省總務局長竹內新平君
大東亞省滿洲事務局長今吉敏雄君
大東亞省支那事務局長字佐美珍彥君
大東亞省南方事務局長水野伊太郞君
大東亞書記官華山親義君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、本日開院式ニ於キマシテ賜
リマシタ勅語ニ對シマスル奉答書案ヲ、
議長ニ於テ起草致シマシタカラ、玆ニ朗讀
シテ御諮リヲ致シマス
貴族院議長臣松平賴壽誠恐誠惶謹テ
叡聖文武天皇陛下ニ上奏ス
爰ニ第八十三囘帝國議會開院ノ盛典ヲ
行ハセラレ優渥ナル
勅語ヲ賜フ恭ク惟ルニ外征ノ皇師ハ萬難
ヲ排シテ隨處ニ勇戰奮鬪愈〓其ノ威武
ヲ發揚セリ而シテ大東亞ノ建設日ヲ逐
ヒテ進ムヲ見ル寔ニ
陛下ノ威德ニ賴ルニ非ラスンハ焉ソ是ノ
如キヲ得ムヤ然リト雖モ今ヤ時局洵ニ
重大ナリ
陛下深ク軫念アラセラレ億兆一心更ニ總
力ヲ發揮シ以テ敵國ノ非望ヲ破碎シ速
ニ征戰ノ目的ヲ達成セムコトヲ宣ハセ
給フ
聖慮ノ深遠ナル洵ニ感激ニ勝ヘス臣等
謹テ
叡旨ヲ奉體シ愼重審議協賛ノ任ヲ竭シ
以テ
皇猷ヲ贊襄セムコトヲ期ス臣頗籌恐懼ノ至
ニ任ヘス謹テ奉答ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 只今朗讀致シマ
シタ奉答書案ニ、御同意ノ諸君ノ起立ヲ願
ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 總員起立デアリ
マス、仍テ全會一致ヲ以テ奉答書案ハ可決
ヲ致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=5
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006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ議事日程
ニ移リマス、日程第一、全院委員長ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=6
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007・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
全院委員長ノ選擧ハ、此ノ際、成規ノ手續
ヲ省略シテ、前會ノ全院委員長デ在ラレマ
シタ公爵德川固順君ヲ、全院委員長ニ推ス
コトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=7
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008・明石元長
○男爵明石元長君 戶澤子爵ノ動議ニ贊成
ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、乃チ公爵德川圀順君全院委員長ニ
決定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=10
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011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二、常任
委員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=11
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012・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
常任委員ノ選擧モ、此ノ際、成規ノ手續ヲ
省略シ、總テ前會ト同一ノ常任委員ヲ推ス
コトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=12
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013・明石元長
○男爵明石元長君 戶澤子爵ノ動議ニ贊成
ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=13
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014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=14
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015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、就キマシテハ、第五部選出決算委
員小野塚喜平次君議員辭職ニ付、第六部選
出請願委員柴田善三郞君薨去ニ付、各〓、員員
ヲ生ジテ居リマスカラ、第五部、第六部ニ
於テ其ノ補關選擧ヲ行ハレムコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=15
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016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 內閣總理大臣ヨ
リ發言ヲ求メラレテ居リマス、此ノ際許可
ヲ致シマス、東條内閣理總大臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=16
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017・東條英機
○國務大臣(真條英機君) 本日開院式ニ當
リマシテハ特ニ優渥ナル勅語ヲ賜リ、誠ニ
恐懼感激ニ堪ヘヌ次第デアリマス、私ハ諸
君ト共ニ、謹ンデ聖旨ヲ奉體シ、全力ヲ擧
ゲテ決戰下重大ナル職責ノ遂行ニ當リ、速
カニ戰爭目的ヲ達成シ、以テ聖慮ヲ安ンジ
奉ラムコトヲ深ク期スルモノデアリマス、
大東亞戰爭勃發以來將ニ二年ニ垂ントシ、
皇軍將兵ハ有ラユル困難ヲ克服シテ、御稜威
ノ下、敵ノ執拗ナル反攻ヲ擊摧シ、戰果
ヲ擴大致シテ居ルノデアリマス、私ハ諸君
ト共ニ、皇軍將兵ノ善謀勇戰ト、言語ニ絕
シマスル勞苦トニ對シマシテ、心カラ感謝
ノ意ヲ表スルモノデアリマス、而シテ此ノ
機會ニ於キマシテ、私ハ又諸君ト共ニ、護
國ノ華ト散ラレタル勇士ニ對シ謹ンデ敬弔
ノ誠ヲ捧ゲ、戰傷病將兵ノ速カナル再起奉
公ノ日ヲ祈念シ更ニ遺族ノ方々ニ對シマシ
テ、衷心カラ同情ノ意ヲ披瀝スルモノデアリマ
ス、一方銃後ニ於キマシテ、國民諸君ハ、或ハ
其ノ子或ハ其ノ兄弟ヲ前線ニ送リツヽ專ラ
力ヲ戰力ノ增强ニ傾倒シ、將兵ヲシテ何等後
顧ノ憂ナクシテ縱橫ニ其ノ戰力ヲ發揮セシ
メムコトヲ、唯是レ努メテ來ラレテ居ルノ
デアリマス、此ノ間ニ於キマスル國民諸君ノ
擧ゲラレタル功績ト、又嘗メラレタル勞苦
ノ如何ニ大ナルカニ思ヲ致シマシテ、私ハ
玆ニ諸君ト共ニ、國民諸君ニ對シ深甚ナル
謝意ヲ表スルモノデアリマス、現下ノ戰局
ヲ大觀致シマスルニ、〓戰ニ慘敗ヲ喫セル
敵米英ハ、帝國ヲ中核トスル大東亞ニ於キ
マスル人的結束ト、其ノ豐富ナル資源ノ戰
力化トニ依リマシテ、帝國ノ戰力ガ急速ニ
擴充シツヽアル事實ニ直面シ、愕然トシテ
帝國ニ一大反擊ヲ加ヘ、以テ速カニ帝國ヲ
壓倒セムコトヲ決意スルニ至ッタノデアリマ
ス、斯クテ敵米英ハ、有ラユル危險ヲ冒シ、
手段ヲ選バズシテ反攻ノ擧ニ出デ、戰鬪ハ
日ニ〓〓熾烈ノ度ヲ加ヘテ居ルノデアリマ
ス、而シテ彼等ガ猪突猛進ヲ敢テシツヽア
ル此ノ機ニ乘ジ、帝國ハ彼等ニ猛擊ヲ加へ
テ敵ノ戰力ヲ破碎シ、勝利ヘノ途ヲ確保セ
ムトシテ居ルノデアリマス、此ノ緊迫セル
情勢ニ對處シ、我々國民ノ果スベキ責務ハ
唯一途ニ戰力ヲ急速ニ增强スルニ在ルノデ
アリマス、敵米英ニ痛擊ヲ加フベキ必勝ノ
戰力ヲ、最モ敏速ニ而モ開斷ナク整備シテ、
以テ遺憾ナク前線ノ要求ヲ充足スルニ在ル
ノデアリマス、此ノ責務タルヤ、決シテ生
マ易シイモノデハナイノデアリマス、從來
ノ考へ方、從來ノ行キ方デハ、到底爲シ遂
ゲ得ナイモノデアリマス、一億國民悉クガ、
眞ニ一切ノ惰性ヲ抛擲シ、一切ノ行キ懸リ
ヲ棄テ、渾身ノ力ヲ傾倒シテコソ、初メテ
果シ得ルモノデアリマス、而モ戰局ノ推移
ハ、我々ニ寸刻ノ猶豫ヲモ與ヘテ居ナイノ
デアリマス、曩ニ政府ガ現情勢下ニ於ケル
國政運營要綱ヲ決定致シマシタル所以ハ、
實ニ玆ニ存スルノデアリマス、而シテ今囘
議會ノ召集ヲ奏請致シマシテ、時局ニ關シ
マシテ緊急ナル諸議案ノ御審議ヲ願フコト
ト致シマシタ所以ノモノモ、實ニ茲ニ存ス
ルノデアリマス、政府ノ今囘行ハムトスル
國政運營刷新ノ眼目ト致シマスル所ハ、統
帥ト國務トノ關係ヲ愈〓緊密化シテ、雄渾活潑
ナル戰爭指導ノ遂行ヲ圖リ、又戰爭完遂ノ
一翼トシテ、機敏發刺タル對外施策ヲ行フ
ト共ニ、是等ニ卽應シテ國內諸般ノ態勢ヲ
劃期的ニ强化セムトスルニ在ルノデアリマ
ス、而シテ國內態勢强化ノ目標ト致シマス
ル所ハ、官民ヲ擧ゲテ不屈不撓ノ、軍需生
產ノ急速增强、特ニ航空戰力ノ躍進的擴充
ヲ圖リ、之ヲ中心トシテ帝國ノ決勝態勢ヲ徹
底的ニ强化セムトスルニ在ルノデアリマス、今
コソ一億國民悉クガ、總員戰鬪配置ニ就キ、
官民一人々々ガ、新シク生レ變ッタ氣魄ヲ以
テ、文字通リ完勝ノ一點ニ總力ヲ集注シナケ
レバナラヌ秋デアリマス、此ノ信念ノ下ニ、政
府ト致シマシテハ決心ヲ新タニシ、從來ノ官
廳ノ傳統、行キ懸リ等ニ一切拘泥スルコトナ
ク、苟モ必要ナル施策ハ思ヒ切ッテ强力ニ之
ヲ斷行スルコトニ決意シタノデアリマス、
國內態勢强化ノ具體的方策ニ付キマシテハ、
屢次之ヲ發表致シテ參リマシタガ、其ノ重
點トスル所ハ、行政運營ノ決戰化、國民動
員ノ擴大及國內防衛態勢ノ强化ニ在ルノデ
アリマス、而シテ是等ノ方途實行ノ基本的
措置トシテ、政府ト致シマシテハ、愈長
心ノ作興ヲ圖ルト共ニ、國論統一ノ爲ニハ
萬全ノ處置ニ出ヅベキハ勿論ノコトデアリ
マス、以上ノ趣旨ニ基キ、政府ハ急速ニ國
內態勢强化方策ノ實行ニ著手致シタノデア
リマス、政府ハ先ヅ行政運營ノ決戰化方策
ト致シマシテ、農商省、軍需省、運輸通信
省ノ設置ヲ始メト致シマシテ、行政機構ノ
整備ヲ行ヒ、再ビ其ノ職員ノ大幅縮減ヲ圖
リ、又官廳事務ノ刷新ヲ圖リマスルト共ニ、
豫算ヲ徹底的ニ單純化スルコトニ方針ヲ決
定致シタノデアリマス、國民動員ノ擴大ニ
付キマシテハ、學生等ニ對シマスル一般徵
集猶豫ノ停止及徵集徵用ノ範圍擴大普遍化
等ニ對スル措置ヲ急速ニ進メ、又之ニ關聯
ヲ致シマシテ〓育ニ關スル戰時非常ノ措置、
ヲ定メタノデアリマス、國內防衞態勢ノ强
化ニ付キマシテハ、國內防衞行政ノ統一的
運營ヲ期シマシテ、新タニ防空總本部ヲ設
置スルコトトシ、更ニ帝都及重要都市ニ於
ケル人員、施設ヲ疎開スル方針ヲ定メタノ
デアリマス、今ヤ國內態勢ノ徹底强化ガ、
最モ迅速ニ最モ力强ク實行セラルヽヤ否ヤ
ハ、正ニ大東亞戰爭ノ成否ラ決スベキモノ
ト考ヘルノデアリマス、此ノ見地ニ基キマ
シテ、政府ト致シマシテハ、旣ニ決定セル
事項ノ今後ノ運營ニ付キマシテモ、又新タ
ニ著手スベキ幾多ノ事項ニ付キマシテモ、
飽ク迄モ强靱異斷ナル態度ヲ以テ臨ミ、必
ズ之ガ成果ヲ擧ゲ、以テ作戰上ノ要求ヲ充
足セムコトヲ固ク期シテ居ル次第デアリマ
ス、未曾有ノ重大戰局下、政府ハ愈〓、國民
諸君ノ心カラナル協力ヲ切望シテ巳マナイ
モノデアリマス、帝國ガ自存白衞ノ爲、已
ムニ已マレズシテ立上リ一切ノ障碍ヲ破碎
シテ速カニ禍根ヲ芟除シ、以テ大東亞ヲ解
放セムトスル此ノ正義ノ大戰爭ニ於テ、究
極ノ勝利ノ我レニ歸スベキコトハ我等ノ信
ジテ疑ハザル所デアリマス、而モ開戰以來
ノ作戰ノ經緯ニ鑑ミ、又現實大東亞ニ於ケ
ル情勢竝ニ彼我攻防ノ大勢ヲ達觀致シマス
ルーム名、我等ハ愈〓、必勝ノ信念ヲ堅クスルモ
ノデアリマス、況ヤ戰局ノ現段階ヲ轉機
トシテ、一億官民悉ク戰闘配置ニ就キ、愈〓
決意ヲ新タニシテ、一切ヲ大君ノ御爲ニ捧
ゲマツリ、眞ニ總力ヲ米英擊摧ノ一點ニ集
注スルコトトナル以上、我等ノ前途ニハ唯
勝利アルノミデアリマス、飜ッテ歐洲ノ形勢
ヲ見マスルニ、「イタリー」ニ於ケル「バド
リオ」一派ノ恥ヲ知ラザル裏切行爲ハ、我
等ノ誠ニ遺憾トスル所デアリマス、併シナ
ガラ彼等ノ此ノ行爲ハ、徒ニ「イタリー」國
民ヲシテ歸趨ニ迷ハシメ、塗炭ノ苦シミニ
陷ラシムルノ結果ヲ招來セルニ過ギナイノ
デアリマシテ、之ニ由リ樞軸國ノ必勝ノ態
勢ニハ微動ダモスル所ハナイノデアリマス、
而シテ「ヒトラー」總統ノ機敏適切ナル處置
ニ依リマシテ、今ヤ「ムッソリーニ」統帥ハ再
ビ同志ノ「イタリー」人ヲ糾合シテ政府ヲ樹
立シ、日獨兩國ト愈〓、力ヲ戮セテ依然米英
ノ擊摧ニ邁進スルニ到ッタノデアリマス、
日獨兩國ハ直チニ新政府ヲ承認致シタノデ
アリマスルガ、私ハ衷心ヨリ「ムッソリーニ」
統帥ノ再起ヲ慶祝スルト共ニ、今後ノ健闘
ヲ祈ツテ已マナイモノデアリマス、今ヤ「ド
イツ」ハ歐洲戰局ノ新局面ニ處シ、異常ナル
決意ノ下ニ周到ニシテ大規模ナル國內總動
員ヲ敢行シ、歐洲ニ於ケル確乎タル態勢ニ
立ッテ新タニ縱橫ノ作戰ニ出デムトシテ居
ルノデアリマス、帝國ハ、盟邦「ドイツ」ガ
此ノ新作戰ニ於テ軈テ所期ノ戰果ヲ收メ、
帝國ト相携ヘテ米英ヲ屈服セシムル日ノ近
カラムコトヲ期待シ、之ヲ確信スルモノデ
アリマス、一方大東亞ノ情勢ヲ見マスルニ、
多年米英ノ野望ニ塗炭ノ苦シミヲ重ネテ來
マシタ大東亞ノ諸國家諸民族ヲ、宿敵米英
ノ桎梏ヨリ解放セムトスル大事業ハ、極メ
テ賢實ナル步ミヲ以テ著々トシテ其ノ基礎
ヲ築キ上ゲテ居ルノデアリマス、曩ニ「ビ
ルマ」ハ獨立シ、今又「フイリッピン」共和國
ノ獨立ヲ見ルニ到ッタノデアリマス、帝國ガ
國際信義ノ上ニ立ッテ約束セル所ハ、常ニ必
ズ現實ノ姿トナッテ顯レテ居ルノデアリマ
ス、是レ實ニ八紘爲宇ノ肇國ノ大理想ノ顯現
ニ外ナラズ、帝國ノ最モ本懷トスル所デアリマ
ス、今ヤ滿洲國ニ於キマシテハ、畏クモ皇帝陛
下御躬カラ率先御垂範遊バサレ、國民上下
一致、力强キ躍進ノ步ヲ進メ、帝國トノ交誼日
ニ敦キヲ加ヘ、帝國ニ對スル物心兩面ニ互ル
協力誠ニ大ナルモノガアルノデアリマス、
玆ニ帝國ハ、滿洲國ノ渝ラザル協力ニ感謝
致シマスルト共ニ、其ノ健全ナル發展ニ更
ニ一段ノ力ヲ致サムコトヲ固ク期スルモノ
デアリマス、中華民國ニ付キマシテハ、本
年初頭以來、帝國ガ既定ノ方針ニ從ヒ、租
界ノ還付ヲ始メ幾多ノ案件ノ具體的措置ヲ
急速ニ進メテ居リマスルコトハ、御承知ノ
通リデアリマス、而シテ日華基本條約ノ根
本的ナル改訂ニ付キマシテモ、近ク之ガ具
體化ヲ見ルノ運ビニ到ッテ居ルノデアリマ
ス、先般汪主席兼行政院院長來朝セラレ、
私ハ膝ヲ交ヘテ、日華兩國ノ共同戰爭遂行
ノ方途ニ付、忌憚ナキ意見ノ交換ヲ行ヒ、
完全ナル意見ノ一致ヲ見ルニ至ッタノデア
リマス、汪主席以下中國ノ官民ガ、愈〓帝國
ノ眞意ニ共鳴シ、中國人ノ中國ノ理想達成
ノ爲、將又大東亞十億民衆ノ解放ノ爲邁進
セムトセル烈々タル氣魄ニ對シマシテハ、
私ハ更メテ茲ニ衷心ヨリ敬意ヲ表スルモノ
デアリマス、此ノ秋ニ當リ、兄弟尙牆ニ相
鬩ギ、中國更生ノ雄圖ニ參與シ得ズ、延イ
テハ大東亞民族共同ノ大事業ニ行ヲ共ニシ
得ザル重慶政權下ノ民衆ニ對シマシテハ、
私ハ誠ニ同情ノ念ニ堪ヘザルモノガアルノ
デアリマス、「タイ」國ニ付キマシテハ、先
般北部「マライ」ノ四州及ビ「シヤン」ノ二
州ヲ、「タイ」國ノ領土ニ編入スルノ措置ヲ
了シタノデアリマス、今ヤ日「タイ」兩國フ
關係ハ日ニ〓〓敦キヲ加ヘ、「タイ國ノ帝
國ニ對スル協力ニ對シマシテハ、帝國ノ深
ク感謝スル所デアリマス、而シテ帝國ト致
シマシテハ、此ノ上共「タイ」國ノ興隆ノ爲
全幅ノ力ヲ致サムコトヲ深ク期シテ居ル次
第デアリマス、「ビルマ」國ハ去ル八月一日、
目出度クモ獨立致シタノデアリマス、嘗嘗
英國ノ野望ノ爲空シク其ノ生命ヲ奪ハレタ
ル「ビルマ」ハ、英國ノ重ナル壓制ニ呻吟ス
ルコト多年、而モ大東亞戰爭勃發スルヤ蹶
然トシテ起チ上リ、帝國ニ全幅ノ協力ヲ寄
セテ參ッタノデアリマス、而シテ今ヤ「ビル
マ」民衆ノ多年ノ宿望ハ達セラレ、其ノ獨
立ハ玆ニ實現致シタノデアリマス、私ハ諸
君ト共ニ此ノ機會ニ更メテ「ビルマ」國ノ獨
立ヲ祝シ、今後ノ潑刺タル發展ヲ祈ルト共
ニ、「ビルマ」國ガ大東亞防衞ノ第一線ニ於
テ愈〓、國國ト相携ヘテ健鬪ヲ續ケラレムコト
ヲ切望シテ已マヌ次第デアリマス、而シテ
帝國ト致シマシテハ、今後益〓「ビルマ」國
ノ興隆ノ爲更ニ協力援助ノ勞ヲ致サムコト
ヲ固ク期スルモノデアリマス、去ル十月十
四日、我々ハ「フイリッピン」共和國獨立ノ目
出度キ日ヲ迎ヘタノデアリマス、茲ニ「フイ
リッピン」ハ四百年ニ亙ル他民族ノ支配ヨリ
脫シ、特ニ最近四十年ニ及ブ米國ノ欺瞞ト
壓制下ヨリ解放セラルヽニ到ッタノデアリマ
ス。今ヤ千八百萬ノ比島民衆ハ、「ラウレ
ル」大統領ノ逞シキ結率ノ下ニ、比島人ノ
比島ヲ建設スルト共ニ、帝國ト相結ンデ大
東亞戰爭ノ完遂竝ニ道義ニ基ク大東亞ノ建
設ニ大イニ寄與セムトシテ居ルノデアリマ
ス、帝國ハ、「フイリッピン」國民ノ此ノ大事業
ガ順調ニ進展セムコトヲ祈念スルト共ニ、
其ノ完成ノ爲有ラユル協力ヲ致サムコトヲ茲
ニ更メテ深ク斯スル次第デアリマス、最終一
私ハ本議場ニ於テ「マライ」、「スアトラ」、
ジヤワ」、「ボルネオ」、「セレベス」等ニ於
ケル原住民ノ民度ニ應ズル政治參與ニ關シ
マシテ聲明スル所ガアッタノデアリマスル
ガ、爾來之ガ具體的措置ハ、極メテ順調ニ
進メラレテ來タノデアリマス、而シテ是等民
衆ハ、大東亞戰爭完遂ノ爲、帝國ニ對シ愈、
協力ノ實ヲ發揮致シテ居ルノデアリマス、
此ノ機會ニ於テ私ハ更メテ是等民衆ニ對シ、
心カラ感謝ノ意ヲ表スルト共ニ、其ノ福祉
增進ノ爲、此ノ上共更ニ一段ノ力ヲ致サム
トスルモノナルコトヲ更メテ表明スルモノ
デアリマス、萬邦ヲシテ各、〓其ノ所ヲ得シ
メ、兆民ヲシテ悉ク其ノ堵ニ安ンゼシムル
我ガ肇國ノ大理想ハ、以上申述ベマシタル
如ク、步一步實現セラレテ居ルノデアリマ
ス、多年米英蘭ノ蹂躙ニ委セ、其ノ搾取ニ
苦シンデ居リマシタル東亞ハ、今ヤ大東亞
ノ爲ノ大東亞トナリ、道義ニ基ク新シキ世
界建設ノ先驅トシテ、力强ク發足致シテ居
ルノデアリマス、飜ッテ「インド」四億ノ民
衆ハ、依然トシテ英國ノ彈壓ノ下ニ、又最
近ニ於テハ米國ノ野望モ加リ、言語ニ絕ス
ル苦惱ヲ續ケテ居ルノデアリマス、今ヤ英
國ノ虐政ト米英軍ノ暴戾トハ、彼等ト「イ
ンド」民衆トノ軋轢乖離ヲ愈〓、激化セシメ、
深刻ナル社會混亂ヲ惹起シ、其ノ結果遂ニ「イ
ンド」ニ於ケル空前ノ饑饉ヲ持チ來ラスニ至ッ
タノデアリマス、而モ其ノ慘狀ハ、日ニ月ニ惡化
ノ度ヲ加ヘテ居リマスルコトハ、米英ノ自ラ認
メテ居ル所デアリマス、斯クテ「インド」ニ
於テハ志アル者ハ悉ク牢獄ニ投ゼラレ、無
辜ノ民衆ハ總テ餓ヱニ泣ク、是レ正ニ世界
ノ悲劇デアリ、人類共同ノ痛恨事デアリ、
我々ノ斷ジテ放置シ得ザル所デアリマス、
此ノ秋ニ當リ「インド」ノ志士「スバス·チヤ
ンドラ·ボース」氏ノ下ニ、憂國ノ「イン
ド」人ハ、祖國解放ノ爲ニ結束シテ起チ
上リ、去ル十月二十一日、「インド」假政
府ノ樹立ヲ見ルニ到ッタノデアリマス、玆ニ
於キマシテ乎、帝國ハ直チニ、二十三日、
同政府承認ノ意思ヲ表明致シタノデアリマ
シテ、今後帝國ハ、同政府ヲ飽ク迄モ支援
シ、「インド」ノ獨立ト解放ノ爲ニハ、有ラ
ユル力ヲ致サムトノ決意ヲ、本議場ヲ通ジ
中外ニ聲明シ得マスルコトハ、私ノ誠ニ欣
ビトスル所デアリマス、蓋シ「インド」ノ完
全ナル獨立ト自由ト、而シテ「インド」四億
民衆ノ永遠ノ繁榮コソハ、帝國ノ衷心ヨリ
念願スル所デアリマス、而モ此ノ帝國ノ目
指ス所ハ、大東亞全民族ノ心カラナル協力
ヲ得ルハ勿論、更ニ全世界ノ人士ノ志ヲ得
ルモノナルコトヲ、私ハ信ジテ疑ハナイモ
ノデアリマス、而シテ私ハ、此ノ澎湃タル
「インド」解放ノ機運ト逞マシキ大東亞民族
ノ協力トハ、必ズヤ「インド」ニ其ノ獨立ト
自由ト繁榮トヲ齎ス日ノ遠カラザルコトヲ
確信スルモノデアリマス、以上、重大戰局
ニ臨ム政府ノ所信ヲ披瀝致シタノデアリマ
スルガ、ドウカ諸君ニ於カレマシテハ、政
府ノ決意ヲ篤ト了解セラレ此ノ上トモ愈心
カラナル所ノ協力ヲ賜リマスルト共ニ、今
囘政府提出ノ豫算案、法律案ニ付キマシテ、
何卒御審議ノ上速力ニ協賛ヲ與ヘラレムコ
トヲ切望スル次第デアリマス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 陸軍大臣及海軍
大臣ヨリ、戰況ニ關シ發言ヲ求メラレテ居
リマスルカラ、是ヨリ許可ヲ致シマス、東
條陸軍大臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=18
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019・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 前囘本議場ニ於
キマシテ報告致シマシタ以後ニ於キマスル
作戰一般ノ推移ニ付キマシテハ、大本營發
表ニ依リ御承知ノ如ク、今ヤ敵ノ本格的總
反攻ヲ邀ヘマシテ、各方面共ニ戰況愈〓激
烈ト相成ッテ居ルノデアリマス、以下其ノ狀
況ニ付キマシテ報告致シタイト存ジマス、
第一ニ北東方面ニ付テ申上ゲマス、「アッツ」
島ニ於ケル山崎部隊ノ壯烈鬼神ヲ泣カシム
ル戰鬪ニ付キマシテハ、前囘本議場ニ於キ
マシテ詳細御說明致シタ次第デアリマスルガ、
「キスカ」島ニ在リマシタ部隊ハ、自主的ニ
撤退セシムルコトニ決セラレ、七月二十九
日、何等敵ノ妨害ヲ受クルコトナク、一兵
ヲモ剩サズ撤退シ、新任務ニ就カシメラレ
テ居リマス、敵ノ制空制海權下、斯クノ如
キ行動ガ成功致シマシタル所以ノモノハ、
御稜威ノ下、海軍ノ決死的協力ト山崎部隊
英靈ノ加護トニ依ルモノデアリマシテ、米
軍ガ、我ガ「キスカ』部隊ノ撤退後、全ク之
ヲ察知スルコトナク、約二週間餘ニ亙リ依
然トシテ「キスカ」島ニ對シ相次イデ爆擊、
銃砲擊ヲ加ヘ、八月十五日ニ至リマシテ漸
ク同島ニ上陸シマシタルコトハ、敵側ノ公
式發表ニ依リ明カデアリマス、「キスカ」部
隊撤退後、幌筵島ニ對シ敵機ガ來襲致シマ
シタコトハ、其ノ都度大本營ヨリ發表セラ
レタ通リデアリマスルガ、敵ノ來襲延機數
ハ約三十機デアリマス、之ニ對シ我ガ方ハ、
其ノ約半數ヲ擊墜シ、其ノ殘リノ少クモ三
分ノ一ニ損傷ヲ與ヘ、米國自ラ極メテ高價
ナル試ミデアッタコトヲ認メテ居ルノデア
リマス、第二ニ「ニューギニア」、「ソロモン」
方面ノ狀況ニ付テ申上ゲマス、「ニューギニ
ア」方面ニ於キマシテハ、我ガ一部隊ガ本
春以來「サラモア」南方地區ニ於テ優勢ナル
敵ト相對シテ居ッタノデアリマスルガ、六月
三十日ニ至リ、敵ノ一部隊ハ「サラモア」東
南方地區ニ上陸シ來リ、我ガ先遣部隊ハ寡
兵克ク勇戰奮鬪、之ヲ拒止致シテ居ッタノ
デアリマス、然ルニ敵ハ更ニ九月四日及同
二十二日、ソレ〓〓「ラエ」及「フインシハー
フェン」附近ニ有力ナル一部隊ヲ上陸セシメ
マシタガ、此ノ方面我ガ陸海航空部隊ハ、
相協力シテ之ヲ攻擊致シマスルト共ニ、各
方面ノ我ガ地上部隊亦渾然一體トナリ、目
下「フインシハーフェン」方面ノ敵ヲ攻擊激
戰中デアリマス、先程入手致シマシタル情
報ニ依リマスルト、敵ノ遺棄屍體約二千、
鹵獲火砲十四門、銃器多數ノ戰果ヲ擧ゲテ
居リマス、尙「サラモア」及「ラエ」附近ニ於
テ勇戰中デアリマシタ我ガ部隊ハ、敵ニ大打
擊ヲ與ヘ、十月中旬「ラエ」北方地區ニ集結
ヲ完了、又「マダン」南方地區ノ我ガ部隊ハ、
「ラム」河上流右岸地區ニ進出セル敵ト、十
月上旬以來交戰中デアリマス、「ニユーギ
ニア」及「ソロモン」方面ニ於キマスル敵航空
勢力ハ、第一線機約千二百機、後方約千八
百機デアリマシテ、敵ノ戰法ハ、先ヅ其ノ優勢
ナル航空兵力ヲ以テ確實ニ制空シ得タル地
點ニ上陸シ、飛行基地ヲ急速ニ設置シ、更
ニ之ヲ根據トシテ制空範圍ヲ擴大シツヽ
一步々々作戰ヲ進メテ來テ居ルノデアリマス、
而モ敵ハ上陸後、我ガ地上部隊ノ勇戰ヲ恐
レテ、其ノ地上兵力ヲ以テスル力攻ヲ避ケ、
專ラ兵力ヲ增强スル一方、其ノ優勢ナル航
空及艦艇ヲ以テ我ガ後方補給ノ遮斷ヲ行ヒ、
我ガ地上第一線戰力ノ低下ヲ待ッテ攻勢ヲ
執ルヲ例ト致シテ居リマス、之ニ對シマシ
テ陸軍航空部隊ハ、海軍航空部隊ト協力シ、
或ハ遠ク敵航空基地ヲ攻撃シ、或ハ近ク直
接地上部隊ノ戰鬪ニ協力スルト共ニ、我ガ
後方根據地及輸送船團ノ掩護ニ任ズル等、
連續不斷ノ戰鬪ヲ致シテ居リマス、最近ニ
於ケル航空戰鬪ノ戰果統計ヲ見マシテモ、
我ガ損害一機ニ對シ、敵ハ常ニ數倍ヲ擊墜
破セラレテ居ルノデアリマス、而シテ我ガ
航空部隊將兵ノ敢鬪ト其ノ戰技ノ卓越トハ、
常ニ局部ノ戰鬪ニ於テ赫々タル戰果ヲ收メ
テ居ルノデアリマス、而シテ我ガ地上部隊
亦不屈不撓、有ラユル困難ヲ克服シ、常
ニ寡ヲ以テ衆ニ當リ、皇軍ノ本領ヲ遺憾ナ
ク發揮致シテ居ルノデアリマス、六月以降
ㄱニューギニヤ」方面ニ於テ敵ニ與ヘマシタ
ル損害ハ、擊墜破セル敵飛行機約五百、擊
沈破セル敵艦艇十八隻、輸送船約四十隻、
舟艇約五十隻以上、地上戰鬪ニヨリ敵ニ與
ヘタル損害ハ、少クモ一萬二千名ヲ超エ、
鹵獲火砲、銃器多數デアリマス、申ス迄モ
ナク此ノ方面ノ作戰ハ、炎熱瘴癘、不毛ノ
地域ニ於テ行ハレテ居ルノデアリマシテ、
彼我共ニ「マラリヤ」、「デング」熱、其ノ他
幾多ノ惡疫ヲ征服シナケレバナラナイバカ
リデナク、現地物資ハ殆ド皆無ニ近ク、補
給ハ悉ク追送ニ依ラネバナラスノデアリマ
ス、從ヒマシテ我ガ第一線將兵ノ勞苦ハ想
像ニ餘リアル所デアリマスルガ、〓ノ苦惱
亦極メテ大デアリマシテ、俘虜ノ言其ノ他
ヲ綜合致シマシテモ、敵第一線將兵ハ生活
ニ惱ミ、惡疫患者ノ外、精神病患者サヘ續
出シ、長期間第一線ニ從軍シ得ナイモノノ
如ク、敵ノ損害、特ニ人的損耗ハ極メテ大
ナルモノガアルノデアリマス、「ソロモンㄴ
方面一般ノ情況ニ付キマシテハ、後刻海軍
大臣ヨリ報〓セラルヽコトト存ジマス、第
三ニ南方方面ニ付テ申上ゲマス、「ビルマ」
正面ニ於キマスル所ノ航空作戰逐次激化ノ
傾向ニアリマスコトニ付キマシテハ、旣
御承知ノコトト存ジマスルガ、六月以後雨
季ニ入リマシテモ、敵機ノ來襲ハ大ナル變
化ヲ示サズ、每月ノ來襲延機數ハ約一千機
ノ多キヲ數ヘ、九月ニ入リマスルヤ、更之
千六百機ニ增加シ、終始激烈ナル戰鬪ヲ繼
續シテ居ル次第デアリマス、此ノ方面ニ於
ケル敵航空勢力ハ、第一線機約一千機内外
ト判斷サレマスルガ、其ノ戰法ハ、主トシ
テ我ガ後方補給遮斷ニ重點ヲ置クト共ニ、
後方攪亂ノ目的ヲ以テ屢〓市街地ノ盲爆ヲ
行ッテ居リマス、我ガ陸軍航空部隊ハ「ビル
マ」、佛印、「タイ」、「マライ」ノ極メテ廣
汎ナル地域ニ亙リ、寡兵克ク常時不斷ノ防
空ニ任ジ、又「ベンガル」灣、或ハ「スマト
ラ」、「ジヤワ」島南方海上ノ全域ニ亙リマ
シテ哨戒任務ニ服シ、又機ヲ見テ西北濠洲
方面ノ攻擊ニ任ジテ居ル次第デアリマス、又
我ガ軍ハ雲南省方面ノ重慶軍ニ對シ、其ノ意
表ニ出デ、十月中旬突如進攻ヲ起シマシタガ、
敵ノ有力ナル一部隊ヲ怒江正面ニ包圍シテ、
重慶直系軍ニ大打撃ヲ與ヘ、目下尙戰鬪續
行中デアリマス、「ビルマ」ノ反攻ハ、敵ガ屢〓呼
號シテ居ル所デアリマシテ、今ヤ其ノ兆候ガ
逐次濃化シツヽアリマスルガ、軍ハ愈〓此此方
面ノ防衞態勢ヲ强化シ、滿ヲ持シテ次期作
戰ニ備ヘテ居ルノデアリマス、其ノ他南方
全般ニ於ケル治安ノ良況ニアリマスルコトハ
御同慶ニ堪ヘヌ所デアリマス、第四ニ支那、
滿洲方面及內地ノ狀況ニ付テ申上ゲマス、在
支敵空軍ハ、米支合計約三、四百機ト判斷セ
ラレマスガ、中核ヲ成スモノハ有力ナル長距
離爆擊機ヲ有スル米軍デアリマシテ、我ガ
本土攻撃ヲ企圖シツヽアリマスルコトハ申
ス迄モナイコトデアリマス、軍ハ、七月以來重
慶、衡州、零陵、建甌、寶慶、桂林、昆明等、相
次イデ敵策動ノ根據地ヲ攻撃シ、之ニ大打
擊ヲ與へ、其ノ企圖ヲ破碎シ、以テ我ガ本
土防衞ノ第一線ヲ形成シテ居ルノデアリマ
スルガ、今後尙一瞬ノ倫安ヲ容サザル狀況デ
アリマス、七月下旬以後、此ノ方面ノ我ガ
航空戰果ハ、擊墜破歒機約百二十四機、擊
沈破船舶十八隻、軍事施設ノ破壞多數、我
ガ損害約四十機デアリマス、支那ニ於ケル
地上作戰ハ、各方面共不斷ノ討伐ヲ實施中
デアリマスルガ、敵ノ戰意ハ、重慶フ呼號
ニ反シ逐次低下シ、我ガ對支施策ノ進捗ト
相俟ッテ、俘虜若シクハ歸順者ノ數ハ頗ル增
加シテ居ルノデアリマシテ、軍ハ愈〓潑刺タ
ル對敵壓迫ヲ繼續シ、以テ敵ノ戰意破碎ニ
邁進シテ居ル次第デアリマス、滿洲方面ニ
於キマシテハ靜謐ヲ保ッテ居リマシテ、其
ノ護リ磐石デアリマスルコトハ從來ト變化
ナイ所デアリマス、次ニ各方面ヨリスル我
ガ本土ノ攻撃ニ對シマシテハ前述ノ如ク
各方面第一線ニ於キマシテ、敵ヲ積極的ニ
制壓シ、又備ヲ整ヘマシテ、我ガ本土ノ防
衞ニ當ッテ居リマスルト共ニ、內地ニ在リマ
スル防衞部隊亦日夜ヲ分カタズ警戒ニ任ジ
テ居リマスルコトハ、皆樣ノ常ニ御覽ノ
通リデアリマシテ、本土防衞ノ完璧ヲ期シ、
一意其ノ任務ニ邁進シテ居ル次第デアリマ
ス、第五ニ南方占領地ニ於キマスル軍政ノ
狀況ニ付說明ヲ致シマス、短時日デハアリ
マスルガ、先般私ガ視察致シマシタル結果
ニ依リマシテモ、南方占領地ノ軍政ハ引續
キ順調ナル進展ヲ續ケテ居リマシテ、特
治下諸民族ハ我ガ相次グ公明正大ナル施策
ニ浴シ、克ク帝國ノ眞意ヲ解シテ、嬉々ト
シテ各〓、其ノ分ニ應ジテ大東亞戰爭ノ完遂
ニ協力致シテ居リマス、卽チ「ジヤワ」、「ス
マトラ」等ニ於キマシテハ原住民ノ防衞
義勇軍志望者相續キ、各種產業ノ復〓開
發木造船ノ建造ニ於キマシテモ、進ンデ
積極的ニ事業ニ從事シ、又治安ガ極メテ良
好ニ保タレアルコト等、何レモ此ノ原住民
ノ心ヨリノ協力ヲ如實ニ示スモノト考ヘテ
居リマス、而シテ現下ニ於キマスル軍政ハ、
決戰卽應ノ態勢整備ヲ重點ト致シマシテ、
特ニ警備機構ノ强化、交通通信ノ整備、重
要生產施設ニ對スル防空設備ノ改善、現地
自給力ノ强化等ニ意ヲ用ヒテ施策中デアリ
マシテ、現地自給力强化ニ關シマシテハ、
兵器ノ修理、兵器材料ノ現地自給モ、其ノ
範圍ヲ擴大シテ居リマスルノミチラズ、逐
次製鐵、伸鐵、「セメント」製造施設ノ建設
移駐等ヲ實行シツヽアリマスルノデ、生活必
需物資生產施設ノ建設ト相俟ッテ、現地ノ自
給力ハ一段ト向上シ來ルモノト確信致シテ居
リマス、以上各方面ノ戰況竝ニ占領地軍政
ニ付テ御說明致シタノデアリマスルガ、之ヲ
要シマスルニ、各方面ノ狀況ヲ通ジ今日最
モ緊要ナルモノハ、航空戰力ノ增强デアリ、
制空權ノ擴大デアリマス、御承知ノ如ク、現
下戰局ノ歸趨ハ、制空權ノ掌握如何ニ依ル
コト絕大デアリマスルガ、特ニ東亞ニ於ケル
地勢ノ特質、就中我ガ當面スル現戰況ハ、此
ノ關係ヲ如實ニ示シテ居ルノデアリマス、
既ニ申述ベマシタル如ク、我ガ航空部隊ハ
常ニ局部ノ戰術的戰鬪ニ於キマツテハ有利
ナル戰果ヲ得テ居ルノデアリ、且又我ハ有
利ナル航空戰略態勢ヲ保持シテ居ルノデア
リマシテ、更ニ之ガ戰力戰强ヲ圖ルコトニ
依リ、必勝ノ道ハ自ラ明カナノデアリマス、
軍ト致シマシテハ、愈〓皇國獨得ノ戰法ヲ
〓究致シマスルト共ニ、量ニ於テモ有ラユ
ル工夫ヲ凝ラシ、兩々相俟ッテ米英航空勢
力ノ擊滅ヲ期シテ居ル次第デアリマス、各
位ニ於カレマシテモ、航空戰力ノ劃期的增
强ニ關シマシテ、此ノ上共全幅ノ御協力ヲ
切望致ス次第デアリマス、戰局ノ前途ニ
ハ、固ヨリ幾多ノ困難ヲ豫想セラレマスル
ガ、我ノ苦痛ニ更ニモ增シテ敵ノ苦痛ノ大
ナルコトヲ銘肝シ、陸軍ト致シマシテハ、
御稜威ノ下、密ニ海軍ト協力シ、愈〓必勝ノ
信念ヲ堅持シ、必勝ノ施策ヲ盡シ、現戰局
ニ對應シツヘ、將來ノ積極作戰ノ準備ニ邁
進セムコトヲ期スルモノデアリマス、終リ
ニ臨ミ、各戰場ニ於テ戰及セラレマシタル
幾多ノ尊キ英靈ニ對シ、謹ンデ敬弔ノ誠ヲ
捧ゲマスルト共ニ、其フ御遺族ニ對シマシ
テ深ク御同情ヲ申上ゲ、又常ニ熱誠渝ラザ
ル國民各位ノ御後援ニ對シ、厚ク御禮ヲ申
上グル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=19
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020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 嶋田海軍大臣
〔國務大臣嶋田繁太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=20
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021・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 本年六月、本
議場ニ於テ說明致シマシタ以後ニ於ケル海
軍作戰ノ〓要ニ付テ申上ゲマス、大東亞戰
爭開始以來、精銳ナル我ガ陸海軍部隊ガ、
西太平洋及印度洋ニ亙ッテ築キ上ゲマシタ
帝國ノ優位ナル戰略態勢ハ、引續イテ强化
セラレ、全域ニ亙ル我ガ軍不斷ノ果敢ナル
作戰ニ依リマシテ、隨處ニ敵ヲ擊摧シテ居
リマスガ、敵モ亦各方面ヨリ相次イデ執拗
ナル反擊ニ出デ、戰局ハ全般ニ於テ熾烈ナ
ル決戰ノ樣相ヲ示シ、戰機極メテ重大デア
リ、帝國海軍部隊ハ御稜威ノ下、陸軍部
隊トノ緊密ナル協同ヲ以チマシテ、廣大ナ
ル戰域ニ亙リ、旺盛ナル攻撃精神ヲ以テ、
敵兵力ノ捕捉殲滅ニ努メテ居リマス、此ノ
期間ニ於ケル主ナル作戰ヲ大別致シマシテ、
印度洋方面、北太平洋方面、南太平洋方面
ノ順序ニ之ガ大要ヲ說明致シマス、先ヅ印
度洋方面ニ於キマシテハ、陸軍部隊ノ〓
ルマ」方面ノ作戰ニモ呼應シ、占領地周邊ノ
備ヘヲ益〓固ムルト共ニ、潜水艦及ビ航空機
ヲ以テ、進ンデ敵ノ後方ヲ攻擊攪亂シ遠ク
「アフリカ」東岸ニ亙リ、所要海域ノ制御ニ
任ジテ居リ、又近ク十月十二日、我ガ航空
部隊ハ長驅「セイロン」島及印度東岸「マド
ラス」ヲ急襲シ、船舶及ビ軍事施設ヲ爆碎
致シマシタ、更ニ濠洲西北岸方面ニ對シマシテ
ハ、有力ナル航空部隊ヲ以テ、屢「ポ〓ト·
ダーウイン」、「ブロックスクリーク」及「ド
ライスデール」等、敵大型機ノ巢窟タル要地
ニ大規模ナル空襲ヲ加ヘ、敵機合セテ五十
九機ヲ擊墜擊破シマシタ外、軍事施設ニ多
大ノ損害ヲ與ヘマシタ、是等ノ攻撃ニ於キ
マシテハ、敵ノ警戒モ極メテ嚴重デアリマ
シテ、到ル處壯烈ナル空中戰ヲ展開シ、中
ニハ攻擊目標ニ到ル途上、敵機トノ交戰ニ
依リ片舷機ノミトナリ尙克ク豫定ノ攻擊ヲ
續行シ、見事ニ目的ヲ達成シテ長途歸還シ
タモノモアリマス、次ニ北太平洋方面ニ於
キマシテハ、曩ニ「アッツ」島ニ於ケル、壯烈
ナル戰鬪ガアリ、將兵ノ士氣愈〓振ヒ、引
續キ彼我活潑ナル作戰ガ行ハレマシタガ、
キスカ」島守備ノ帝國陸海軍部隊ハ、七月
下旬、全ク敵ノ意表ヲ衝イテ全兵力ヲ撤收
シ、何等敵ノ妨害ヲ受クルコトナク新任務ニ
就キマシタ、九月十二日、敵飛行機ハ北千
島ニ來襲致シマシタガ、精銳ナル我ガ陸海
軍部隊ハ之ヲ邀擊シテ忽チ其ノ大半ヲ擊墜
シ、次イデ十月十四日、我ガ海軍航空部隊
ハ、長驅「アッツ」島ヲ急襲シテ敵軍事施設ヲ
ヲ爆破炎上セシメ、斯クシテ帝國北方ノ護
ハ嚴トシテ確保セラレテ居リマス、轉ジテ南
太平洋方面ニ於キマシテハ、引續キ激烈ナ
ル戰鬪ガ行ハレ、特ニ彼我航空戰ハ極メテ
熾烈デアリマシテ、六月十六日「ルンガ」沖
航空戰ノ如キ、我ガ海軍航空部隊ハ勇猛ナ
ル戰鬪ニ依リマシテ、敵輸送船七隻ヲ屠リ、
敵ノ反攻準備ニ大ナル打撃ヲ與ヘタノデア
リマスルガ、敵ハ益〓兵力ヲ增派シ、六月末
日ヨリ「ソロモン」群島及「ニューギニア」ニ
於テ、逐次反擊ヲ進メテ參リマシテ、茲ニ
彼我ノ有力部隊至近ニ對峙シ、一層苛烈ナ
ル戰鬪ヲ交ユルコトトナッタノデアリマス、
卽チ六月三十日、敵有力部隊、「ソロモン」
群島中部ノ「レンドバ」島ニ對シ、次イデ
七月五日、「ニューヂョーヂア」島ニ對シ、ソ
レ〓〓上陸シテ參リマシタ、爾來同方面ハ
陸海空ニ亙ル壯烈ナル戰場トナリ、帝國海
軍部隊ハ、陸軍部隊ト極メテ緊密ナル協力
ノ下ニ、晝夜連續、此ノ敵ニ果敢ナル攻擊
ヲ反覆スルト共ニ、敵艦艇、飛行機及輸送
船ニ大ナル打撃ヲ與ヘマシタ、此ノ間、我
ガ陸軍部隊及海軍陸戰部隊ハ、前人未踏ノ
密林ヲ戰場トシ、惡疫ヲ克服シ、連日多數
敵機ノ空爆下ニ於テ、終始勇戰奮鬪、隨處
ニ果敢ナル攻擊ヲ加ヘテ、敵上陸部隊ヲ擊
碎シ、又海軍航空部隊之ニ呼應シテ優勢ナ
ル敵ノ空襲ヲ反擊シ、其ノ上空警戒、地上
砲火ヲ冒シテ、敵艦船及揚陸地點ノ政擊竝
ニ敵航空部隊ノ制壓ニ努メ、更ニ進ンデ敵
ノ後方基地竝ニ遠ク「バニコロ」島、「フナフ
千歳「カントン」島方面敵補給基地ニ痛
爆ヲ加ヘマシタ、又此ノ間、我ガ水雷戰隊ハ
附近海面ニ於キマシテ屢、敵ノ有力ナル海上
部隊ヲ强襲シ、「クラ」灣夜戰、「コロンバンガ
ラ」島沖夜戰ヲ始メ、相次グ海戰ニ於キマシテ
敵巡洋艦及驅逐艦各六隻ヲ擊沈シ、輸送船
其ノ他ノ艦艇五隻ヲ擊沈破致シテ居リマス、
是等ノ損害ニ苦慮シタ敵ハ、七月中旬以後
益〓同方面兵力ノ增强ニ努メ、八月十五日
ニハ有力ナル部隊ヲ以テ「ベララベラ」島ニ
上陸シマシタノデ、海軍部隊ハ直チニ之ニ
反覆猛擊ヲ加ヘ、敵ノ艦船、飛行機ニ甚
大ナル損害ヲ與ヘタノデアリマス、斯クテ
「ニューヂョーヂア」方面ノ戰場ハ、彼我部隊互
ニ交錯シテ愈〓激烈ヲ加へ、我ガ軍ノ勇戰奮
鬪ニ依リ敵ノ損害ハ誠ニ甚大ナルモノガア
リマシタガ、十月初旬ニ至リ此ノ方面ノ我
ガ部隊ハ之ヲ集結スルコトトナリ、殆ド敵
ノ妨害ヲ受クルコトナク、ソレ〓〓之ヲ附
近ノ基地ニ撤收致シマシタ、「ニューギニア」
東部方面ニ於キマシテモ、戰鬪ハ同樣ニ苛
烈ヲ極メ、彼我近距離ニ對峙シテ、終始活
潑ナル作戰ヲ續ケテ居リ、我ガ海軍陸戰部
隊ハ陸軍部隊ト密接ニ協同シテ、瘴癘困苦
ノ下、敵ノ撃滅ニ努メテ居リマス、又九月
四日、敵輸送船團ニ依ル「ホポイ」附近上陸
作戰ニ伴ッテ起リマシタル此ノ方面航空戰
ハ、壯烈ヲ極メタモノデアリマシテ、同日
此ノ輸送船團ニ對スル我ガ陸海軍航空部隊
ノ協同攻擊、同ジク十二日、海軍航空部隊
ノ「モロベ」灣敵在泊艦船ニ對スル攻擊、竝
ニ十月十二日ヨリ十五日ニ亙ル同方面ノ敵
在泊艦船及陸上軍事施設ニ對スル攻擊等、
何レモ多大ノ戰果ヲ收メ、特ニ九月二十二
日、「クレチン」岬沖ニ於キマシテハ寡勢克
ク敵ノ輸送船團ニ肉迫シテ雷擊ヲ決行シ、
同時ニ我ニ六倍スル敵ノ戰鬪機ト壯烈ナル
空中戰ヲ交ヘ、一擧ニ敵巡洋艦三隻、驅逐
艦二隻及輸送船一隻ヲ擊沈シ、敵機十四機
ヲ擊墜シテ居リマス、斯クテ九月以後、此ノ
方面ニ於テ擊沈シマシタモノ合セテ、輸送
船十八隻、巡洋艦四隻、驅逐艦二隻、又擊
破炎上セシメマシタモノ、輸送船二十一隻、
巡洋艦、驅逐艦各〓四隻、其ノ他小艦艇多數
ニ上ツテ居リマス、次ニ潛水艦戰ニ付テ申
上ゲマス、我ガ潛水艦部隊ハ、常ニ廣大ナ
ル海域ニ亙リ勇敢ナル作戰ヲ行ッテ居リマ
シテ、六月來今日迄ニ、敵ノ船舶二十隻約
十七萬八千「トン」ヲ擊沈シマシタ外、七月
二十日「サンクリストバル」南方海面ニ於テ、
敵ノ「サンフランシスコ」型巡洋艦一隻、又
九月十二日「ニューヘブリデス」東方海面ニ
於テ乙級巡洋艦一隻、更ニ十月三日南太平
洋ニ於テ驅逐艦二隻ヲ、何レモ擊沈致シテ
居リマス、又大東亞各海域ニ於キマスル敵
ノ潛水艦ニ對スル我ガ掃蕩作戰モ、非常ナ
ル苦心ノ裡ニ極メテ活潑ニ行ハレ、廣キ海
域ニ亙ツテ風浪寒暑ヲ冒シ、見エザル敵ヲ
相手トシテ日夜防備竝ニ護送任務等ニ從事
シテ居リマス、是等艦艇及航空部隊ガ七月
以降四箇月間ニ確實ニ擊沈シマシタ敵ノ潛
水艦ハ、合計二十二隻ニ上ツテ居リマス、
斯クテ全作戰ヲ通ジマシテ、前囘說明以後
四箇月間ニ海軍部隊ノ擧ゲマシタ戰果ヲ綜
合致シマスルト、艦船ノ擊沈シマシタモノ、
巡洋艦十七隻、驅逐艦十八隻、潛水艦二十
二隻、輸送船七十隻約三十二萬「トン」、井
ノ他艦艇七十三隻デアリマシテ、其ノ他ニ
撃破シタモノ多數ニ上ッテ居リマス、之ニ對
シ我ガ方ノ喪失シマシタモノ、驅逐艦六隻、
其ノ他ノ艦艇十二隻デアリマス、飛行機ニ
於キマシテハ、擊墜擊破シマシタモノ千六
百十三機ニ上リ、我ガ方ノ喪失四百十五機
デアリマシテ、航空戰ノ如何ニ苛烈ナルカヲ
示シ、戰局ノ大勢之ニ負フ所極メテ大ナルモノ
ガアリ、今尙晝夜ヲ分カタズ激烈ナル航空戰
ガ展開サレテ居リマス、寡兵克ク敵ノ優勢
ニ當リ、之ガ擊滅ヲ期スル我ガ將兵ノ苦心
ハ、誠ニ並々ナラヌモノガアリマスルガ、
烈々タル攻擊精神ト百戰練磨ノ術力トヲ以
チマシテ、飽ク迄滅敵ノ信念ニ燃エテ居ル
ノデアリマス、敵ハ斯クノ如ク多大ノ損害
ヲ受ケナガラ、只管之ヲ國民ニ祕匿シ、
方我ガ軍ノ損害ニ付キマシテハ、徒ニ荒唐
無稽ノ數字ヲ示シテ居リマスルガ、何レ遠
カラズ其ノ眞相ハ知レ渡ルモノト思ヒマス、
今ヤ戰局ハ愈〓深刻ヲ加へ、激戰各方面ニ行
ハレテ、帝國陸海軍部隊ハ隨處ニ其ノ眞價
ヲ發揚シ、武威ヲ中外ニ輝カシテ居リマス
ルガ、敵亦戰力ヲ傾倒シテ、各方面ヨリ反
攻ノ態勢ヲ進メテ居リマシテ、以上ノ外、旣
ニ九月以來、敵機動部隊ハ相次イデ南鳥島、
「ギルバート」方面及ビナ、鳥島ニ來襲シ、倉
皇トシテ我ガ捕捉ヲ逃レ去リマシタガ、今
後更ニ各方面ニ反擊ノアルコトハ必然デア
リ、一層苛烈ナル戰闘隨處ニ起リ、此ニカモ
油斷ヲ許サヌ狀況デアリマシテ、今ヤ國ヲ
擧ゲテ來ルベキ決戰ニ備へ、文字通リ總員
戰鬪配置ニ就クベキ、重大ナル秋ト存ズル
次第デアリマス、海軍ト致シマシテハ、多
年練磨ノ實力ノ滿ヲ持シ、隨時敵ヲ邀へ擊
ツノ態勢ヲ愈〓固メテ居ルノデアリマシテ、
全將兵常ニ聖旨ヲ奉體シ、益旺盛ナル士
氣强靱不屈ノ精神ヲ以テ勇戰奮鬪、誓ッテ
敵軍ヲ擊滅シ、以テ戰爭最終ノ目的ヲ達成
シ、上聖明ニ應ヘ奉ラムコトヲ固ク期シテ
居リマス、終リニ臨ミ、壯烈君國ニ殉ゼラ
レマシタル幾多忠勇ナル將兵ニ對シ、竝
衷心哀悼ノ誠ヲ捧ゲ、其ノ遺家族ニ對シマ
シテ、深厚ナル同情ノ意ヲ表シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=21
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022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔寺光書記官朗讀〕
本日議員ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
陸海軍ニ對スル感謝決議案(公爵一條實
孝君外七名發議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 只今報告致シマ
シタ陸海軍ニ對スル感謝決議案ヲ、此ノ際
議事日程ニ追加シテ、會議ヲ開クロトニ御
異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=23
-
024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、就キマシテハ、發議者ニ對シ其ノ趣
旨說明ノ發言ヲ御許シ致シマス、一條公爵
左ノ提出文ハ朗讀ヲ經サル
モ參照ノタメ玆ニ載錄ス
陸海軍ニ對スル感謝決議案
右提出候也
昭和十八年十月二十六日
發議者
公爵一條實孝公爵德川家正
伯爵黑木三次織田萬
姊崎正治男爵東久世秀雄
入江貫、岡喜七郞
贊成者
公爵山縣有道侯爵西〓從德
侯爵井上三郞侯爵黑田長禮
侯爵池田宣政伯爵二荒芳德
關屋貞三郞子爵伊東二郞丸
子爵松平忠壽子爵西尾忠方
子爵織田信恒有吉忠
男爵黑田長和男爵今園國貞
村上恭下條康麿
三井〓一郞川村竹治
塚本〓治男爵前田勇
男爵久保田敬一男爵矢吹省三
長谷川赴夫男爵山川建
男爵渡邊修二男爵杉溪由言
田所美治有賀光豐
次田大三郞古島雄
小坂順造太田耕造
稻畑勝太郞田澤義鋪
澁澤金藏磯野庸幸
江口定條河西豊太郞
岩田宙造小野耕
大西虎之介柴田兵一郞
上野喜左衞門
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
陸海軍ニ對スル感謝決議
大東亞戰爭勃發以來帝國陸海軍ハ善謀善戰
以テ偉大ナル戰果ヲ收メ不敗ノ體勢ヲ確立シ
大東亞共榮圈ノ建設亦大イニ其ノ步ヲ進ム
ルニ至ル寔ニ欣慶ニ堪ヘザルナリ然ルニ戰
局ハ益〓苛烈ノ度ヲ加へ敵ハ其ノ全力ヲ傾
注シテ執拗ナル反攻ニ出デ我ハ之ヲ邀擊シ
テ敢テ讓ラズ愈〓陸海空ノ連繫ヲ密ニシ斷
乎之ガ殲滅ヲ圖ラントス銃後國民亦必勝ノ
信念ヲ以テ戰力ノ增强ニ邁進シツヽアリ貴
族院ハ玆ニ皇軍ノ戰功ヲ頌シ其ノ武運ヲ祈
ルト共ニ忠烈殉難ノ英靈ニ對シ深ク敬弔ノ
忱ヲ效シ傷病將兵諸士ニ對シ厚ク同情ノ誠
ヲ表ス
〔公爵一條實孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=24
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025・一條實孝
○公爵一條實孝君 只今議題ト相成リマシ
タ陸海軍ニ對スル感謝決議案ニ付キマシ
テ、其ノ提案ノ趣旨ヲ申述ベタイト存ジマ
ス、米英兩國ニ對スル宣戰ノ大詔渙發セラ
レマスルヤ、帝國陸海軍ハ緊密ナル連繫ヲ
保チ、善謀善戰、緒戰旣ニ東亞ニ於ケル米
英勢力ヲ驅逐シ、爾來、日ヲ累ネ月ヲ閱ス
ルニ從ヒマシテ、戰果愈〓擧ガリ、帝國不敗
ノ態勢ハ儼トシテ玆ニ確立スルニ到ッタノデ
アリマス、是レ偏ニ御稜威ノ下、皇軍將兵
ノ絕倫ナル勇武ニ因ルモノデゴザイマシ
テ、齊シク全國民ノ感謝感激ニ勝ヘザル所
デゴザイマス、誠ニ皇軍將兵諸士ハ、極寒ヲ
凌ギ、猛暑ニ堪ヘ、瘴癘ヲ冐シテ、懸軍萬
里、備サニ軍務ニ精勵セラレマシテ、大陸
方面ハ固ヨリ、北溟ニ南海ニ頑敵ヲ擊攘
シ、樞地要衝ヲ占據シテハ條チ之ヲ軍政下
ニ置キ、治安ヲ保持シ民衆ヲ撫育シ、今ヤ
大東亞ノ天地ハ洽ク皇威ニ浴スルヲ見ルノ
デゴザイマス、現ニ過グル八月一日ニハ「ビ
ルマ」國先ヅ獨立ヲ宣言シ、亞イデ本月十四
日ニハ「フイリッピン」共和國亦獨立ノ式典
ヲ擧行シ、或ハ「ジヤワ」ニ於ケル原住民ノ
參政權ガ認メラレ、近クハ自由印度假政府
ガ帝國支援ノ下ニ樹立セラレマシタル等、
道義日本ノ威容ヲ世界ニ顯示スルト共ニ、
大東亞共榮圈ノ建設愈〓、益〓其ノ巨步ヲ進メ
ツヽアリマスコトハ、寔ニ欣慶トスル次第
デゴザイマス、而モ戰局ハ倍〓悽愴苛烈ヲ
加へ、決戰ニ次グ決戰ノ樣相ヲ呈シテ居リ
マス、乃チ敵米英ハ、厖大ナル物質力ヲ恃
ミトシテ、全力ヲ傾ケ、日夜執拗ナル反攻
ヲ繰返シテ居ルノデアリマスルガ、皇軍ハ
之ヲ邀擊シテ敢テ讓ラズ、陸海空ヲ通
ジテ連繫愈〓密ニ、斷乎之ガ殲滅ニ猛鬪ヲ
續ケテ居ルノデゴザイマス、銃後國民モ亦
之ニ相呼應シマシテ、國內態勢ヲ層一層强
化シ、銳意國土防衞ニ任ジマスルハ勿論、
益〓生產增强ニ拍車ヲカケ、戰力充實ニ不
退轉ノ決意ヲ昂揚シ、牢乎タル必勝ノ信念
ヲ以テ只管勇往邁進シツヽアルノデゴザイ
やくろ而シテ我ガ貴族院ト致シマシテハ、
憲法ニ依リ與ヘラレタル職責ヲ盡シ、以テ
征戰目的ノ完遂ニ寄與スルノ決意ヲ更ニ鞏
クスベキデアルト存ジマス、以上ノ趣旨ヲ
以チマシテ、玆ニ院議ヲ以テ皇軍ノ戰功ヲ
頌シ、感謝ノ至情ヲ披瀝致シマスルト共
ニ、其ノ武運長久ヲ祈念シ、併セテ忠烈殉
難ノ英靈ニ對シマシテ敬弔ノ忱ヲ效シ、且
傷病將兵諸士ニ對シマシテ厚ク同情ノ個誠
ヲ表シタイト存ズルノデゴザイマス、是ヨ
リ決議文案ヲ朗讀致シマス
陸海軍ニ對スル感謝決議
大東亞戰爭勃發以來帝國陸海軍ハ善謀善
戰以テ偉大ナル戰果ヲ收メ不敗ノ體勢ヲ
確立シ大東亞共榮圈ノ建設亦大イニ其ノ
步ヲ進ムルニ至ル寔ニ欣慶ニ堪ヘザルナ
〓リ然ルニ戰局ハ益〓苛烈ノ度ヲ加へ敵ハ其
ノ全力ヲ傾注シテ執拗ナル反攻ニ出デ我
ハ之ヲ邀擊シテ敢テ讓ラズ愈〓陸海空ノ
連繫ヲ密ニシ斷乎之ガ殲滅ヲ圖ラントス
銃後國民亦必勝ノ信念ヲ以テ戰力ノ增强
ニ邁進シツヽアリ貴族院ハ茲ニ皇軍ノ戰
功ヲ頌シ其ノ武運ヲ祈ルト共ニ忠烈殉難
ノ英靈ニ對シ深ク敬弔ノ忱ヲ效シ傷病將
兵諸士ニ對シ厚ク同情ノ誠ヲ表ス
何卒全會一致ヲ以テ可決セラレムコトヲ希
望致シマス、尙本決議案ガ可決セラレマシタ
ル上ハ、陸海軍大臣ヨリソレ/〓ノ向キニ
對シ然ルベク御傳達アラムコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ採決ヲ致
シマス、本感謝決議案ニ同意ノ諸君ノ起立
ヲ願ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 總員起立デアリ
マス、仍テ全會一致ヲ以テ決議案ハ可決セ
ラレマシタ、東條陸軍大臣
(國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=27
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028・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今ハ、全會一
致ヲ以チマシテ、殉國ノ英靈ニ對スル敬弔
ト全將兵ニ對シマスル感謝ノ爲ニ、御懇
篤ナル御決議ヲ戴キマシタルコトハ、陸軍
大臣ト致シマシテ誠ニ感激ニ堪ヘヌ所デア
リマス、玆ニ厚ク御禮ヲ申上グル次第デア
リマス、御決議ハ、直チニ英靈ニ奉〓致
シマスルト共ニ、全將兵ニ傳達致スコト
ト致シタイト存ジマス、愈ミ苛烈ノ度ヲ
加ヘツヽアリマスル戰局ニ處シマシテ、
御稜威ノ下、全陸軍將兵ハ士氣頗ル旺盛、後
顧ノ憂ナク一意任務ニ邁進致シマシテ、著
著戰果ヲ收メツヽアリマスルコトハ、官民
各位ノ熱烈ナル御後援又御協力ニ待ツ所
誠ニ大ナルモノガアルノデアリマシテ、深
ク感銘致シテ居ル次第デアリマス、先ニモ
申上ゲマシタル通リ、今後愈〓深刻トナルベ
キ現下戰局ニ當リマシテ、軍ノ責務更ニ重
大ヲ加ヘマスルノ秋、只今ノ御決議ヲ賜リ、
全將兵ハ感奮誓ツテ聖慮ヲ安ンジ奉リ、國
民ノ熱誠ニ應フルノ決意ヲ更ニ鞏クスルモ
ノデアリマス、玆ニ陸軍ヲ代表致シマシテ、
吏心カラ感謝ノ言葉ヲ申上グル次第デアリ
マス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=28
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029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 嶋田海軍大臣
〔國務大臣嶋田繁太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=29
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030・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 只今ハ、全會
一致ヲ以チマシテ御鄭重ナル感謝竝ニ弔慰
ノ御決議ヲ戴キ誠ニ感謝ニ堪ヘマセヌ、直
チニ全海軍ノ將兵ニ傳達致シマスルト共ニ、
護國ノ英靈ニ奉〓スルコトト致シマス、大
東亞戰爭勃發以來、陸海軍部隊ガ緊密ナル
協同ノ下ニ、廣汎ナル地域ニ亙ツテ赫々タ
ル戰果ヲ擧ゲ得マシタコトハ、偏ニ御稜威
ノ然ラシムル所デアリマシテ、感激措ク能
ハザル所デアリマス、戰局ハ正ニ深刻ナル
決戰ノ段階ニ入リ、敵ノ反攻日ニ熾烈ノ度
ヲ加ヘテ參リマシタガ、此ノ敵ヲ擊破屈服
セシメム爲ニハ、國家總力ヲ餘ス所ナク結集
シテ、速カニ最大ノ戰力ヲ發揮スルコトガ
最モ肝要ト存ジマス、我等海軍將兵一同ハ、
優渥ナル聖旨ヲ奉體シ、熱誠溢ルヽ國民ノ
御後援ノ下、益〓必勝ノ信念ヲ固メ、不屈不
撓ノ勇猛心ヲ以テ實力ヲ全幅發揮シ、誓ツ
テ戰爭目的ノ達成ヲ期スルモノデアリマス、
玆ニ海軍ヲ代表致シマシテ厚ク御禮ヲ申上
ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御諮リヲ致シマ
ス、本議會ハ短期デゴザイマスルカラ、議
案配付後ニ於ケル成規ノ日數ヲ經ズシテ議
事ヲ開クコトニ致シタイト存ジマス、御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=32
-
033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔寺光書記官朗讀〕
本日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
工業所有權法、戰時特例案
防空法中改正法律案
兵役法中改正法律案
裁判所構成法、戰時特例中改正法律案
戰時民事特別法中、改正法律案
戰時刑事特別法中、改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=33
-
034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際、政府提
出ニ係ル工業所有權法戰時特例案ヲ、議事
日程ニ追加シ、第一讀會ヲ開キタイト存ジ
マス、御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=34
-
035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、井上技術院總裁
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
工業所有權法戰時特例案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣東條英機
司法大臣岩村通世
工業所有權法戰時特例案
工業所有權法戰時特例
第一條大東亞戰爭中ニ於ケル特許法、
實用新案法、意匠法及商標法ニ關スル
特例ハ本法ノ定ムル所ニ依ル
第二條意匠登錄ノ出願ハ之ヲ爲スコト
ヲ得ズ
第三條出願アリタルトキ又ハ査定ニ對
スル抗〓審判、特許法第五十三條ノ審
判若ハ實用新案法第十四條ノ審判ノ請
求アリタルトキハ意見書提出ノ機會ヲ
與ヘズ又ハ出願公〓ノ決定ヲ爲サズシ
テ査定又ハ審決ヲ爲スベシ
第四條査定ニ對スル抗〓審判ノ審決ニ
對シテハ大審院ニ出訴スルコトヲ得ズ
前項ノ抗告審判ノ審判官又ハ審判長ノ
決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ
得ズ
第五條審判ノ審決ニ對シテハ抗〓審判
ヲ請求スルコトヲ得ズ
前項ノ審決ニ對シテハ直接大審院ニ出
訴スルコトヲ得
特許法第百十五條及第百十五條ノ二第
一項ノ規定ハ前項ノ出訴ニ付之ヲ準用
ス
特許法第百十五條ノ二第二項ノ規定ハ
審判ノ審判官又ハ審判長ノ決定ニ對ス
ル抗〓ニ付之ヲ準用ス
第六條前條第二項ノ出訴ニ付爲シタル
確定判決ニ對シテハ再審、計ヲヲテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテ
不服ヲ申立ツルコトヲ得
特許法第百二十一條第二項及第百二十
二條乃至第百二十四條ノ規定ハ前項ノ
再審ニ付之ヲ準用ス
第七條特許公報及意匠公報ノ發行ハ之
ヲ爲サズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際及大東亞戰爭終了ノ際ニ於
テ必要ナル經過規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
〔政府委員子爵井上匡四郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=35
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036・井上匡四郎
○政府委員(子爵井上匡四郞君) 只今上程
ニナリマシタル工業所有權法戰時特例案ノ
提案理由ヲ御說明申上ゲマス、今ヤ我ガ國
ノ總力ヲ擧ゲテ戰力增强ノ一點ニ集中シ、
以テ聖戰完遂ニ邁進致サナケレバナラヌ時
ニ遭遇致シテ居リマスコトハ、今更申上グ
ル迄モナイ所デアリマス、茲ニ於キマシテ
科學技術ノ急速且飛躍的ナル向上、發展
、ヲ圖ルコトハ、眞ニ刻下ノ急務ト相成ッタノ
デアリマス、而シテ科學技術ノ向上發展ノ
爲ニハ、發明考案ノ指導奬勵竝ニ活用促進
ガ最モ必要トセラルヽノデアリマスルガ、
其ノ爲ニハ、工業所有權制度ヲ適切ニ運營
シナケレバ、之ヲ期スルコトハ出來ナイノ
デアリマス、然ルニ從來特許法等ニ於キマ
シテハ、其ノ審査竝ニ審判ノ制度ニ付キマ
シテ、各種ノ愼重ナル法的手續ヲ規定シテ
居リマスル爲、審査竝ニ審判ニ相當ノ長期
間ヲ要シ、迅速ニ之ヲ處理シテ、發明考案
ノ指導奬勵竝ニ活用ノ促進ニ資シ、以テ戰
力增强ノ要請ニ卽應スルコトヲ得ナイ憾ミ
ガアルノデアリマス、仍テ是等手續ヲ簡捷
化致シマシテ、審査竝ニ審判ノ處理ヲ速カ
ナラシメムトスルト共ニ、他面戰力增强ニ
比較的關係ノ薄イ不急事務ハ、之ヲ停止致
シマシテ、事務ノ簡素化ヲ圖リ、以テ工業
所有權制度ノ迅速的確ナル運營ヲ期スル爲、
特許法等ニ關シマシテ、戰時下是非共必要
ナル最小限度ノ特例ヲ設ケタク、本案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、何卒愼重御
審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ
切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員
ノ選擧ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=37
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038・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
工業所有權法戰時特例案ノ特別委員ハ十九
名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長ニ一任スル
ノ動機ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=38
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039・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動機
ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=40
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041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔河野書記官朗讀〕
工業所有權法戰時特例案特別委員
公爵二條弼基君侯爵中御門經恭君
伯爵柳澤保承君子爵河瀨眞君
子爵保科正昭君子爵高橋是賢君
村上恭一君大橋八郞君
長谷川赳夫君男爵肝付兼英君
男爵村田保定君男爵明石元長君
富田健治君有賀光豐君
野村茂久馬君小坂梅吉君
松本勝太郞君古莊健次郞君
永瀨寅吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際、政府提
出ニ係ル防空法中改正法律案ヲ、議事日程
ニ追加シ、第一讀會ヲ開クコトニ御異議ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=42
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043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、安藤内務大臣
防空法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣商工大臣
厚生大臣小泉親彥
司法大臣岩村通世
嶋田繁太郞
藏軍大大臣臣
賀屋興宣
内遞鐵大海道大臣臣兼嘉明
大八田
務信臣安藤紀三郞
大大
農林臣山崎達之輔
防空法中改正法律案
防空法中左ノ通改正ス
第一條中「燈火管制、僞裝、消防、防火
防彈、防毒、避難、救護及應急復舊竝ニ
此等ニ關シ必要ナル監視、通信及警報」
ヲ「監視、通信、警報、燈火管制、分散
疎開、轉換、僞裝、消防、防火、防彈、
防毒、避難、救護、防疫、非常用物資ノ
配給、應急復舊其ノ他勅令ヲ以テ定ムル
事項」ご依頼人
第二條中「地方長官(東京府ニ在リテハ警
視總監ヲ含ム以下之ニ同ジ)」ヲ「地方官
廳」ニ改ム
第五條ノ四中「主務大臣」ヲ「地方長官」ニ
改ム
第五條ノ五第一項中「工場其ノ他ノ特殊
建築物ノ分散」ヲ「建築物ノ分散疎開」ニ、
「特殊建築物」ヲ「建築物」ニ改ム
第五條ノ六前條ノ規定ニ依ル區域又ハ
地區ノ指定アリタルトキハ地方長官ハ
其ノ區域又ハ地區內ニ存スル建築物(工
事中ノモノヲ含ム)ニ付其ノ管理者又ハ
所有者ニ對シ之ガ除却、改築其ノ他防
空上必要ナル措置ヲ命ズルコトヲ得
第五條ノ七主務大臣又ハ地方長官ハ防
空上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ物件、施設又ハ事業ニ付其ノ管理
者、所有者又ハ事業主ニ對シ其ノ移轉、
分散疎開又ハ轉換ニ關シ必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第五條ノ八地方長官ハ防空ノ實施ニ關
シ必要ナル設備ノ整備ノ爲必要アルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ土地、工作
物又ハ物件ヲ收用又ハ使用スルコトヲ
得
第五條ノ九主務大臣ハ防空上必要アル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ一定ノ區
域ヲ指定シ其ノ區域內ヘノ轉居若ハ營
業所其ノ他ノ業務ノ場所ノ移轉又ハ其
ノ區域內ニ於ケル營業所其ノ他ノ業務
ノ場所ノ新設ヲ禁止又ハ制限シ及其ノ
區域外ヘノ轉居又ハ營業所其ノ他ノ業
務ノ場所ノ移轉ヲ命ズルコトヲ得
第五條ノ十第五條ノ五又ハ前條ノ規定
ニ依ル區域又ハ地區ノ指定アリタルト
キハ地方長官ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ區域又ハ地區內ニ存スル建築物ニ
付其ノ使用又ハ讓渡其ノ他ノ處分ニ關
シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第八條ノ三中「禁止又ハ制限スルコトヲ
得」ヲ「禁止若ハ制限シ又ハ退去ヲ命ズル
コトヲ得」ニ改ム
第八條ノ四ヲ第八條ノ六トシ第八條ノ五
ヲ第八條ノ七トス
第八條ノ四地方長官ハ第五條ノ六、第
五條ノ九又ハ前條ノ規定ニ依ル處分ニ
因リ住居ヲ轉ジ又ハ營業所其ノ他ノ業
務ノ場所ヲ移轉スルニ至リタル場合ニ
於テ關係者ノ居住又ハ業務ノ用ニ供ス
ル爲必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ建築物ノ使用ニ關シ必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第八條ノ五行政官廳ハ防空ノ實施ニ際
シ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ營業其ソ他ノ業務ヲ行フ者ニ對シ其
ノ業務ノ禁止、制限、繼續、再開等ニ
關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十條第二項中「第八條ノ五」ヲ「第八條
ノ七」ニ改ム
第十二條行政官廳、市町村長若ハ第三
條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定
者ノ爲ス防空ノ實施ニ從事スル者又ハ
第八條ノ七ノ規定ニ依リ應急防火ヲ爲
シ若ハ之ニ協力スル者之ガ爲傷痍ヲ受
ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於
テハ行政官廳又ハ第三條第一項ノ規定
ニ依ル防空計畫ノ設定者ハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ扶助金ヲ給スベシ
前項ノ規定ハ第十條第一項ノ規定ニ依
ル訓練ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十二條ノ二第五條ノ六、第五條ノ九
又ハ第八條ノ三ノ規定ニ依ル處分ニ因
リ住居ヲ轉ズルニ至リタル者ニ對シテ
ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ移
轉費ヲ給スベシ
第十三條第一項中「若ハ市町村長」ノ下ニ
「第五條ノ八若ハ」ヲ加へ「土地家屋物件」
ヲ「土地工作物物件」ニ改メ同條第二項ヲ
左ノ如ク改ム
地方長官第五條ノ四、第五條ノ六、第
五條ノ十又ハ第八條ノ四ノ規定ニ依リ
建築物(工事中ノモノヲ含ム)ニ關スル
命令ヲ爲ス場合ニ於テハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ損失ヲ補償スベシ
第十五條第四項ヲ左ノ如ク改ム
第五條ノ七ノ規定ニ依ル命令ニ依リ措
置ヲ爲スニ要スル費用ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ管理者、所有者又ハ事業主ノ
負擔トス
同條第五項中「第十二條第一項」ヲ「第十
二條」ニ改メ同條第六項ヲ左ノ如ク改ム
第十二條ノ二ノ規定ニ依リ移轉費ヲ給
スルニ要スル費用ニシテ主務大臣ノ命
令ニ依ル移轉ニ係ルモノハ國庫、地方
長官ノ命令ニ依ル移轉ニ係ルモノハ北
海道又ハ府縣ノ負擔トス
第十六條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前條第四項ノ規定ニ依リ物件ノ管理者
又ハ所有者ノ負擔スル費用ニ對シテハ
主務大臣ノ命令ニ依ル移轉ノ場合ニ於
テハ〓庫ニ於テ、地方長官ノ命令ニ依
ル移轉ノ場合ニ於テハ北海道又ハ府縣
ニ於テ其ノ二分ノ一以內ヲ補助スベシ
第十七條中「二分ノ一以內」ヲ「全部又ハ
一部」ニ改メ同條第三號中「又ハ第六項」
及「又ハ市町村」ヲ削リ同條第四號ヲ第五
號トシ同條第五號ヲ第六號トシ同條第三
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四第十五條第六項ノ規定ニ依リ北海
道又ハ府縣ノ負擔スル移轉費
第十九條ノ二第一號中「防火改修工事ノ
施行」ノ下ニ「又ハ第五條ノ八ノ規定ニ
依ル土地、工作物若ハ物件ノ收用若ハ使
用」ヲ加フ
同條第二號中「第五條ノ四」ノ下ニ「、第五
條ノ九、第八條ノ三若ハ第八條ノ五」ヲ加
へ「同條ノ規定ニ依ル」ヲ削ル
同條第三號中「又ハ第八條ノ二乃至第八
條ノ四」ヲ「、第八條ノ二又ハ第八條ノ六」
三段八、
同條第四號中「又ハ第六條第一項若ハ第
二項」ヲ「、第五條ノ十、第六條第一項若ハ
第二項又ハ第八條ノ四」ニ改ム
第十九條ノ三第一號中「第八條ノ五」ヲ
第八條ノ七」ニ改ム
第十九條ノ五本法中地方長官トアルハ
東京都ニ在リテハ警視總監ヲ、府縣ト
アルハ東京都ヲ含ムモノトシ第五條ノ
三、第十六條第一項、第十七條第六號
及第十七條ノ二中市町村、市町村長、
市町村費又ハ市町村稅トアルハ東京都
ノ區ノ存スル區域ニ於テハ各東京都、
東京都長官、東京都費又ハ東京都稅ト
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣安藤紀三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=43
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044・安藤紀三郎
○國務大臣(安藤紀三郞君) 只今上程ニ相
成リマシタル防空法中改正法律案ニ付キマ
シテ、其ノ提案ノ理由竝ニ其ノ內容ノ主要
事項ニ付キマシテ御說明ヲ申上ゲマス、防
空法ハ昭和十二年ニ制定セラレタノデアリ
マシテ、其ノ後昭和十六年、一部改正ヲ見タ
ノデアリマスルガ、最近ニ於ケル空襲判斷
ニ基キマシテ、防空態勢ヲ更ニ一段ト整備强
化致シマスルコトガ現下緊要ト認メラレマ
スルノデ、其ノ趣旨ニ依リマシテ、玆ニ本
案ヲ提出致シ御協賛ヲ願フ次第デアリマ
ス、本改正法律案ノ主要ナル事項ヲ申上ゲ
マスレバ、第一ハ、防空法ニ規定スル防空ノ範
圍ヲ擴張致シマシテ、現ニ規定スル防空業
務ノ外ニ、新タニ分散、疎開、轉換、防疫、非
常用物資ノ配給、其ノ他勅令ノ定ムル事項
ヲ加ヘマシテ、是等ノ事項ニ付キマシテモ
防空法ノ諸規定ヲ運用致シマシテ、以テ防
空上遺憾ナキヲ期セムトスルノデゴザイマ
ス、次ニ戰爭遂行上重要ナル工場其ノ他ノ
施設又ハ事業ヲ、空襲ノ被害ヨリ免レシメ
又ハ被害ニ對スル復舊ヲ迅速ナラシメマス
ル爲ニ、今囘新タニ其ノ工場、施設又ハ事
業ノ移轉、分散疎開又ハ轉換ニ關シマシ
テ、必要ナル命令ヲ爲シ得ルコトト致シタ
ノデアリマス、次ニ都市ノ疎開ヲ行ヒマス
ルコトハ、防空上喫緊ノ要務ト考ヘラレマ
スルノデ、之ニ必要ナル規定ヲ整備スルコ
トニ致シタノデアリマス、卽チ重要都市ノ
防衞ヲ全ウスル爲ニハ、第一ニ建築物ノ分
散疎開ヲ圖リマスルコトガ必要デアリマス
ノデ、一定ノ區域內ニ於ケル建築ノ禁止制
限之ヲ一般ノ建築物ニ關シマシテモ爲シ
得ルコトニ致シマスルト共ニ、從來カラ規
定サレテ居リマスル建築物ニ對シマシテノ
除却命令ノ外ニ、建築物ノ使用若シクハ處
分ニ關シマシテモ、必要ナル命令ヲ發シ得
ルコトト致シタイト存ズルノデゴザイマ
ス、第二二、右ノ建築物ノ分散疎開ノ措置
ト相〓、チマシテ、一定ノ重要都市內ニ在住
スル者ニ對シマシテ、地方ヘノ轉出ヲ命ジ
得ルコトトシ、更ニ緊急ノ場合ニ於キマシ
テハ、退去ノ命令ヲモ爲シ得ルコトト致シ
マスルト共ニ、此ノ半面、他ノ地方ヨリ重
要都市ヘノ人口ノ轉入ヲモ抑制シ得ル途ヲ
開カムトスルモノデゴザイマス、右述ベマ
シタル是等ノ人又ハ建築物ニ對スル措置命
令ノ結果ト致シマシテ、住居等ヲ他ニ移轉
スルニ至リマシタル者ノ轉居先ニ於ケル居
住ニ支障ナキヤウニ致シマスル爲ニ、建築
物ノ使用ニ關シテ必要ナル命令ヲ爲シ、又轉
居者ニ對シマシテハ、移轉費ヲ給スルノ措
置ヲ講ジ得ルコトト致シ、以テ保護ノ全キ
ヲ期シタイト存ズルノデアリマス、次ニ防
空施設ノ整備ノ急速ナル實效ヲ期シマスル
爲ニ、必要ナル土地、工作物又ハ物件ヲ、
收用又ハ使用シ得ルノ途ヲ開キ、又防空ノ
實施ニ際シテ必要ノアリマスル場合ニハ、
營業其ノ他ノ業務ヲ行フ者ニ對シマシテ、
其ノ業務ヲ禁止制限シ、或ハ又之ガ繼續再
開等ノ命令ヲ爲シ得ルコトト致シタノデゴ
ザイマス、又防空從事者ニ對スル扶助金ノ
支給ニ付キマシテハ、從來ハ防空ノ實施ノ
場合ニノミ限リ支給セラレテ居リマシタノ
ヲ、今囘實情ニ鑑ミマシテ、訓練ノ場合ニ
於ケル死者及傷病者ニ對シマシテモ、扶助
金ヲ支給シ得ルコトニ改メムトスルモノデゴ
ザイマス、尙此ノ際防空ニ要スル費用ニ付
キマシテ、各〓其ノ負擔區分ヲ整備スルコト
ト致シ、應急防火從事者ニ對シマスル扶助
金ノ支給ニ要スル費用等ハ、其ノ全額ヲ國
庫ノ負擔ニ改メマスル外、防空ニ要スル經
費ニシテ地方費負擔ノモノニ對シマスル國
庫補助率ガ、從來ハ其ノ二分ノ一以內ニ限
ラレテ居リマシタノヲ、今囘ハ其ノ全額ニ
達スル迄補助ヲ爲シ得ルコトト致シタノデ
ゴザイマス、最後ニ罰則ノ規定ニ付キマシ
テハ、防空ノ實施ヲ確實敏活ナラシメマス
ル必要上、之ニ若干ノ改正ヲ加へムトスル
モノデゴザイマス、以上ハ本法律案ノ主要
事項ヲ申上ゲタノデゴザイマスルガ、最後
ニ、本法ハ成ルベク速カニ實施致シタキ考
デアリマスルガ、其ノ施行ノ時期ニ付キマ
シテハ、勅令ヲ以テ之ヲ定メルコトト致シ
テ居ル次第デゴザイマス、何卒御審議ノ上
御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ切ニ御願ヒ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員
ノ選擧ニ移リタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=45
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046・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
防空法中改正法律案ノ特別委員ノ數ヲ十九
名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長ニ一任スル
ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=46
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047・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=47
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048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=48
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049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマ
ス
〔河野書記官朗讀〕
防空法中改正法律案特別委員
公爵山縣有道君侯爵淺野長武君
伯爵二荒芳德君子爵立花種忠君
子爵伊東二郞丸君子爵梅園篤彥君
松井茂君男爵淺田良逸君
安井英二君堀切善次郞君
男爵北大路信明君男爵水谷川忠麿君
遠藤柳作君赤池濃君
堀啓次郞君結城安次君
磯貝浩君岩田三史君
栗林德一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=49
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050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際、政府提
出ニ係ル兵役法中改正法律案ヲ、議事日程
ニ追加シ、第一讀會ヲ開クコトニ御異議ハ
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=50
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051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、冨永陸軍次官
兵役法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
內務大臣安藤紀三郞
兵役法中改正法律案
兵役法中左ノ通改正ス
第九條第二項中「四十年迄」ヲ「年齡四十
五年ニ滿ツル年ノ三月三十一日迄」ニ改
メ「戶籍法又ハ朝鮮民事令中戶籍ニ關ス
ル規定ノ適用ヲ受クル者ニシテ」ヲ削ル
第十八條中「四十年」ヲ「四十五年ニ滿ツ
ル年ノ三月三十一日」ニ改ム
第十九條ノ二中「未入營期間ノ外〓ネ三
月以內ノ未入營期間」ヲ「モノノ外現役期
間內ニ未入營期間又ハ歸休期間」ニ、一貫
該期間」ヲ「當該未入營期間」ニ改ム
第二十三條第一項中「戶籍法又ハ朝鮮民
事令中戶籍ニ關スル規定ノ適用ヲ受クル
者ニシテ」ヲ削ル
第四十五條ノ二第四十一條第四項ノ規
定ニ依リ徵集ヲ延期セラレザルニ至リ
タル者現役兵トシテ入營スベキ場合ニ
於テ軍事上仍修學ヲ繼續セシムルノ必
要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ入營ヲ延期スルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ當該期間ニ相當スル期間現役期
間ヲ延長ス
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間ハ次
ニ服スベキ兵役ノ期間ニ之ヲ通算ス
第五十二條削除
第五十三條第一項中「徵兵檢査ヲ受クベ
キ者」ノ下ニ「又ハ徵兵適齡ヲ過ギ帝國
ノ國籍ヲ取得シ若ハ囘復シタル者」ヲ加
フ
第五十三條ノ二ニ左ノ一號ヲ加フ
三戶籍法及朝鮮民事令中戶籍ニ關ス
ル規定ノ適用ヲ受ケザル者
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第九
條第二項ノ改正規定中戶籍法又ハ朝鮮民
事令中戶籍ニ關スル規定ノ適用ヲ受クル
者ニ關スル部分、第二十三條第一項及第
五十三條ノ二ノ改正規定、第五十二條ノ
改正規定中同條第一項ノ削除ニ關スル部
分竝ニ附則第六項及第七項ノ規定施行ノ
期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法(前項但書ニ揭グル規定ヲ除ク)施行
前兵役ヲ終リタル者ニシテ昭和十八年ニ
於テ年齡四十五年ニ滿タザルモノ其ノ兵
役ヲ終リタル際現役、豫備役、補充兵役
又ハ第一國民兵役ニ在リタル者(補充兵
役ニ在リタル者ニ在リテハ軍隊ニ於テ〓
育ヲ受ケタル者ニ限ル)ナルトキハ年齡
四十五年ニ滿ツル年ノ三月三十一日迄之
ヲ第一國民兵役ニ服セシム
第九條第二項ノ改正規定中戶籍法又ハ朝
鮮民事令中戶籍ニ關スル規定ノ適用ヲ受
クル者ニ關スル部分及第二十三條第一項
ノ改正規定ハ此等ノ規定施行ノ際徵兵適
齡ヲ過ギ居ル者及徵兵適齡ノ者ニシテ其
ノ際現ニ第五十三條ノ一一第三號ノ規定ニ
該當スルモノ又ハ此等ノ規定施行後同號
ノ規定ニ該當スルニ至リタルモノ(第三
條ノ規定ニ該當スル者ヲ除ク)ニハ之ヲ
適用セズ
前項ノ規定ニ該當スル者ニ付テハ第五十
二條ノ改正規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依
ル
當分ノ內第五十三條ノ一一ノ規定ニ依ルノ
外第二十六條、第二十七條若ハ第二十九
條ノ規定ニ對シ又ハ第二一十三條第一項ノ
規定ニ對シ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコ
トヲ得
共通法第三條第三項ヲ削ル
前項ノ規定施行ノ際徵兵適齡ヲ過ギ居ル
者及徵兵適齡ノ者ニシテ其ノ際現ニ戶籍
法又ハ朝鮮民事令中戶籍ニ關スル規定ノ
適用ヲ受クルモノ又ハ同項ノ規定施行後
其ノ適用ヲ受クルニ至リタルモノニ付テ
ハ仍從前ノ例ニ依ル
〔政府委員冨永恭次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=51
-
052・冨永恭次
○政府委員(富永恭次君) 只今議題ニ相成
リマシタ兵役法中改正法律案ノ提案理由ニ
付テ申上ゲマス、改正ノ第一ハ服役年限
ノ延長デアリマス、從來一般兵員ノ服役年
限ノ終期ハ滿四十年迄デアリマシタガ、戰
局ノ進展ニ伴ヒ、軍要員、就中特殊ノ技術
關係ノ要目等ノ充足ニ遺憾ナカラシメムガ
爲之ヲ四十五年ニ滿ツル年ノ三月三十一
日迄延長セシメムトスルモノデアリマス、
第二ハ、臺灣同胞ヲ兵役ニ服セシムルコト
デアリマス、卽チ新タニ臺灣ニ徵兵制ヲ施
行シ、皇民〓育ノ徹底ト時局認識ノ昂揚ト
ニ依リマシテ、近年、就中聖戰開始以來、
直接戰場ニ發揮セラレマシタル臺灣同胞ノ
殉忠ノ赤誠ニ應フルト共ニ、國防上所要ノ
要員ヲ取得スルコトトシ、以テ決戰下、眞
ニ一億ノ國民悉ク皇軍ノ兵員ニ加リ得ル榮
譽アル制度ヲ確立シ、臺灣統治ノ劃期的發
展ニ寄與セムトスルモノデアリマス、第三
ハ戰時又ハ事變ニ際シ、其ノ他特ニ必要
アル場合ニ於テハ、現役兵ノ入營ヲ延期シ、
又ハ歸体セシメムトスルモノデアリマス、
曩ニ軍事上ノ必要ニ依リ、在學徵集延期ハ
之ヲ全面的ニ停止セシメラレタノデアリマ
スルガ、其ノ中一部ノ者ハ、必要ノ期間修
學ヲ繼續セシムル爲入營ヲ延期セシムルヲ
要スルモノガアリマス、尙又部隊ニ於ケル
〓育力ヲ最大限ニ活用シテ、所望ノ期間ニ
所望ノ兵員ニ對シ必要ノ〓育ヲ施スト共ニ、
輸送ノ狀況等ニ卽應セシムル爲、適時現役
兵ヲ歸休セシメ、又ハ其ノ入營ヲ延期セシ
メムトスルモノデアリマス、第四ハ、兵員
ノ配賦、徵兵檢査實施地等、徵集ノ要領ヲ戰
時ノ要求ニ卽應セシメムトスルモノデアリ
マス、從來內地ニ在ル內地人ニ付キマシテ
ハ、本籍地ニ於テ徵兵檢査ヲ受ケル見込ノ
人員ヲ基礎トシテ、徵集兵員ヲ配賦致シマ
テ、其ノ本籍地カラ全國同ジ比率デ現役兵
又ハ第一補充兵ヲ徵集シ、且徵集順序モ必
ズ之ヲ定メテ居ッタノデアリマスガ、軍要員
ノ激增ニ伴ヒ、苟モ兵業ニ堪ヘ得ル兵員ハ、
現役兵ハ勿論、補充兵モ、更ニ一部ノ國民
兵迄モ入營セシメラレテ居リマスノデ、今
日ニ於キマシテハ、斯クノ如キ複雜ナル方
法ヲ適當トセザルニ至リマシタノミナラズ、
從來ノ方法デハ戰時下敏活ナル事務處理ニ
モ支障ヲ生ジマスルノデ、實情ニ應ズル如
ク改メムトスルモノデアリマス、本法律提
案ノ理由ハ〓要以上ノ通リデアリマス、何
卒御審議ノ上、速カニ御協賛アラムコトヲ
御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=52
-
053・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ本案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員
ノ選擧ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=53
-
054・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
兵役法中改正法律案ノ特別委員ノ數ヲ十九
名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長ニ一任スル
ノ動議ヲ堤出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=54
-
055・秋田重季
○子爵秋田重委君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=55
-
056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=56
-
057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔河野書記官朗讀〕
兵役法中改正法律案特別委員
公爵麿司信輔君侯爵嵯峨實勝君
侯爵久我通顯君伯爵溝口直亮君
子爵野村益三君子爵大島陸太郞君
子爵三島通陽君男爵井田磐楠君
大野綠一郞君坂西利八郞君
建部遯吾君左近司政三君
男爵西西乙君澤田牛麿君
藤沼庄平君松村義一君
田澤義鋪君板谷宮吉君
齋藤万壽雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=57
-
058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際、政府提
出ニ係ル裁判所構成法戰時特例中改正法律
案戰時民事特別法中改正法律案、戰時刑
事特別法中改正法律案、是等ノ三案ヲ議事
日程ニ追加シ、一括シテ第一讀會ヲ開クコ
トニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=58
-
059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、岩村司法大臣
裁判所構成法戰時特例中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣東條英機
司法大臣岩村通世
裁判所構成法戰時特例中改正法律案
裁判所構成法戰時特例中左ノ通改正ス
第二條民事訴訟ニ於テ二千圓ヲ超過セ
ザル金額又ハ價額二千圓ヲ超過セザル
物ニ關スル請求ニ付テハ區裁判所其ノ
裁判權ヲ有ス但シ反訴ニ關シテハ民事
訴訟法ノ定ムル所ニ依ル
第三條刑事訴訟ニ於テ短期一年以上ノ
有期ノ黴役又ハ禁錮ニ該ル罪及戰時刑
事特別法第五條第一項ノ竊盜ノ罪ニ付
テハ區裁判所其ノ裁判權ヲ有ス但シ豫
審ヲ經ザルモノニ限ル
第四條第一審ノ判決ニ對シテハ控訴ヲ
爲スコトヲ得ズ
前項ノ判決ニ對シテハ直接上〓ヲ爲ス
コトヲ得
第五條第一項中「前一一條ノ」ヲ削ル
第七條中「民事ニ付」ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前裁判所ノ受理シタル訴
訟ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四條及第五條ノ改正規定ハ前項ノ規定
ニ拘ラズ本法施行後第一審ノ辯論ノ終結
アリタル訴訟ニ付亦之ヲ適用ス
戰時民事特別法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣東條英機
司法大臣岩村通世
戰時民事特別法中改正法律案
戰時民事特別法中左ノ通改正ス
第五條管轄ガ訴訟ノ目的ノ價額ニ依リ
テ定ル場合ニ於テ價額ヲ算定スルコト
能ハザルトキハ其ノ價額ハ二千圓ヲ超
過スルモノト看做ス
第十條民事訴訟法第三百五十九條ノ規
定ハ之ヲ適用セズ
第十條ノ二判決ニ影響ヲ及ボスベキ重
大ナル事實ノ誤認アルコトヲ疑フニ足
ルベキ顯著ナル事由アルトキハ之ヲ上
告ノ理由ト爲スコトヲ得
第十條ノ三前條ノ上〓ヲ理由アリトス
ル場合ニ於テ上〓裁判所自ラ裁判ヲ爲
スヲ滴當ト認ムルトキハ民事訴訟法第
四百七條ノ規定ニ拘ラズ事實ノ審理ヲ
爲スコト得
前項ノ規定ニ依リ事實ノ審理ヲ爲ス場
合ニ於テハ上〓裁判所ハ控訴審ノ訴訟
手續ニ關スル規定ニ從ヒテ辯論及裁判
ヲ爲スコトヲ要ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條ノ二及第十條ノ三ノ改正規定ハ本
法施行前第一審ノ口頭辯論ノ終結アリタ
ル訴訟ニ付テハ之ヲ適用セズ
戰時刑事特別法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年十月二十六日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
戰時刑事特別法中改正法律案
戰時刑事特別法中左ノ通改正ス
第一章中第十八條ノ次ニ左ノ六條ヲ加フ
第十八條ノ二戰時ニ際シ公務員刑法第
百九十七條第一項前段、第百九十七條
第二項、第百九十七條ノ二又ハ第百九
十七條ノ三第三項ノ罪ヲ犯シタルトキ
ハ十年以下ノ懲役ニ處ス
戰時ニ際シ公務員刑法第百九十七條第
一項後段ノ罪ヲ犯シタルトキハ一年以
上ノ有期懲役ニ處ス
戰時ニ際シ公務員刑法第百九十七條ノ
三第一項又ハ第二項ノ罪ヲ犯シタルト
キハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ處ス
第十八條ノ三戰時ニ際シ官公署ノ職員
其ノ地位ヲ利用シ他ノ官公署ノ職員
ノ職務ニ屬スル事項ニ關シ斡旋ヲ爲
スコト又ハ幹旋ヲ爲シタルコトニ付不
當ノ利益ヲ收受シ、要求シ又ハ約束シ
タルトキハ收賄ノ罪ト爲シ七年以下ノ
〓役ニ處ス
第十八條ノ四犯人又ハ情ヲ知リタル第
三者ノ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス其
ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザ
ルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第十八條ノ五第十八條ノ二及第十八條
ノ三ニ規定スル賄賂ヲ供與シ又ハ其ノ
申込若ハ約束ヲ爲シタル者ハ五年以下
ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ニ揭グル行爲ヲ爲サシムル目的ヲ
以テ金錢若ハ物品ノ交付ヲ爲シ又ハ情
ヲ知リテ其ノ交付ヲ受ケタル者ノ罰亦
前項ニ同ジ
前項ノ場合ニ於テ交付ヲ受ケタル金錢
又ハ物品ハ之ヲ沒收ズ其ノ全部又ハ一
部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ
價額ヲ追徵ス
第十八條ノ六第十八條ノ二、第十八條
ノ四及前條ノ規定ノ適用ニ付テハ公務
ニ從事スル職員ハ法令ニ依ラザル者ト
雖モ之ヲ公務員ト看做ス
第十八條ノ七第十八條ノ二ノ規定ハ他
ノ法令ニ於テ官吏ト看做サルル者ヲ除
クノ外他ノ法令ニ於テ法令ニ依リ公務
ニ從事スル職員ト看做サルル者ニ付テ
ハ之ヲ適用セズ
第十九條但書ヲ削ル
第二十二條ノ二刑事訴訟法第六十條第
二項第七號ノ規定ニ依リ公判調書ニ被
告人、證人、鑑定人、通事又ハ翻譯人
ノ訊問及供述ヲ記載スルニハ其ノ供述
ノ要領ノミヲ明確ニスルヲ以テ足ル
第二十二條ノ三裁判所又ハ豫審判事相
當ト認ムルトキハ證人又ハ鑑定人ノ訊
問ニ代ヘ書面ノ提出ヲ爲サシムルコト
ヲ得
第二十五條ノ二檢事事案ノ內容ニ照シ
相當ト認ムルトキハ區裁判所ノ管轄ニ
屬スル事件ニ付地方裁判所ニ公判ヲ請
求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ刑事
訴訟法第三百五十六條但書ノ規定ハ之
ヲ適用セズ
第二十七條裁判所構成法戰時特例第四
條第二項ノ上〓ハ第二審ノ判決ニ對シ
上〓ヲ爲スコトヲ得ル理由アル場合ニ
於テ之ヲ爲スゴトヲ得
上告裁判所ハ第二審ノ判決ニ對スル上
〓事件ニ關スル手續ニ依リ裁判ヲ爲ス
ベシ
第二十九條ノ二區裁判所ハ事案ノ內容
單純ニシテ犯罪ノ成立明白ナリト認ム
ル事件ニ付略式命令ヲ以テ一年以下ノ
懲役若ハ禁錮又ハ拘留ヲ科スルコトヲ
得
左ニ揭グル罪ニ關スル事件ニ付前項ト
同一ノ條件アルトキハ前項ノ規定ニ拘
ラズ略式命令ヲ以テ三年以下ノ懲役ヲ
科スルコトヲ得
一第五條第一項ノ竊盜ノ罪
二第十七條ノ罪
三刑法第百八十六條ノ罪
四刑法第二百三十五條ノ罪及其ノ未
遂罪
五昭和五年法律第九號第一一條及第三
條ノ竊盗ノ罪
前二項ノ場合ニ於テ刑ノ執行猶豫ハ刑
ノ言渡ト同時ニ略式命令ヲ以テ其ノ言
渡ヲ爲スベシ
第二十九條ノ三略式命令ニ付テハ檢事
ハ謄本ノ送達アリタル日ヨリ七日內ニ
正式裁判ノ請求ヲ爲スコトヲ得
正式裁判ノ請求ハ略式命令ヲ爲シタル
裁判所ニ書面ヲ以テ之ヲ爲スベシ正式
裁判ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ速
ニ其ノ旨ヲ被〓人ニ通知スベシ
第二十九條ノ四刑事訴訟法第五百二十
三條乃至第五百二十八條ノ規定ハ第二
十九條ノ二ノ場合ニ付、同法第五百二
十九條乃至第五百三十三條ノ規定ハ前
二條ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十九條ノ五檢事又ハ被〓人ハ略式
命令ヲ爲シタル裁判所ニ書面ヲ以テ正
式裁判ノ請求ヲ抛棄スルコトヲ得
正式裁判ノ請求ノ抛棄ニ因リ略式命令
ハ確定判決ト同一ノ效力ヲ有ス
第三十一條中「此ノ場合ニ於テ」ノ下ニ
「刑事訴訟法第六十條第二項第七號トア
ルハ陸軍軍法會議法第百十二條第二項第
六號又ハ海軍軍法會議法第百十二條第二
項第六號トシ」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條及第二十九條ノ一一乃至第二十九
條ノ五ノ改正規定ハ本法施行前公訴ヲ提
起シタル事件ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十七條ノ改正規定ハ本法施行前第一
審ノ辯論ノ終結アリタル事件ニ付テハ之
ヲ適用セズ
改正前ノ戰時刑事特別法第二十七條ノ規
定ハ本法施行前第一審ノ辯論ヲ終結アリ
タル事件ニ付テハ本法施行後ト雖モ仍其
ノ效力ヲ有ス
〔國務大臣岩村通世君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=59
-
060・岩村通世
○國務大臣(岩村通世君) 只今上程ニ相成
リマシタ裁判所構成法戰時特例中改正法律
案外二法律案ノ提案理由ヲ御說明致シタイ
ト存ジマス、司法部ニ於キマシテハ、靈之、
實施セラレマシタ、裁判所構成法戰時特例
竝ニ是ト密接ノ關係アル戰時民事特別法及
戰時刑事特別法ノ運用ニ依リマシテ、戰時
下ニ於ケル裁判檢察ノ運用ヲ的確迅速ニ
シ、以テ其ノ本來ノ機能ノ發揚ニ努力シテノ
參ッタノデアリマスルガ、大東亞戰爭ハ今
ヤ苛烈ナル決戰連續ノ段階ニ入リ、政府ハ
斷乎國內態勢ノ强化方策ヲ樹立致シマシ
テ、國家ノ總力ヲ擧ゲ、倍〓聖戰目的ニ集
中致シマスルコトトナッタノデ、司法ノ部門
ニ於キマシテモ之ニ卽應シ、銃後治安ノ確
保ヲ圖ルト共ニ、司法ノ一層敏活ナル處理
ヲ爲シ、愈〓其ノ效果ヲ發揮スル爲、右三
法律ニ必要ナル改正ヲ爲サムトスル次第デ
ゴザイマス、先ヅ裁判所構成法戰時特例中
改正法律案ノ提案理由ヲ御說明致シマス、
今囘ノ改正ノ要點ハ次ニ申述ベマス三點デ
アリマス、第一ハ民事及刑事ノ訴訟ニ付
キマシテ區裁判所ノ事物管轄ヲ擴張スル點
デアリマス、民事訴訟ニ於キマシテハ千
圓ノ超過セザル金額又ハ價額千圓ヲ超過セ
ザル物ニ關スル請求ニ付キマシテ、裁判權
ヲ有シテ居リマシタガ、今囘之ヲ擴張致シ
マシテ、二千圓ヲ超過セザル金額又ハ價額
二千圓ヲ超過セザル物ニ關スル請求ハ、總
テ區裁判所ノ管轄ニ屬セシメ、刑事訴訟ニ於
キマシテハ、從前ハ短期一年以上ノ懲役又
ハ禁錮ニ該ル罪ハ地方裁判所ノ管轄ニ屬シ
テ居リマシタ處、裁判所構成法戰時特例ニ
依リ、戰時竊盗、常習竊盗等ニ付テハ之ヲ區
裁判所ノ管轄ト致シタノデアリマスルガ、
今囘更ニ其ノ範圍ヲ擴張致シマシテ、死刑
又ハ無期ノ懲役若シクハ禁錮ニ該ル罪ヲ除
キ、總テ區裁判所ノ管轄ト致ス次第デアリ
マン、尤モ刑事訴訟ニ於テ斯ク區裁判所ノ
權限ヲ廣ク致シマスルト共ニ、他方戰時刑事
特別法中ニ、檢事ガ事案ノ內容ニ照シ地方
裁判所ニ起訴スルヲ相當ト認メマシタ事件
ハ、之ヲ地方裁判所ニ起訴シ、地方裁判所
ハ此ノ場合ニ於テハ必ズ自ラ裁判ヲ爲ス
ベキ旨ノ規定ヲ新設セムトスルノデアリマ
ス、第二ハ、民事及刑事ノ訴訟ニ付キマシ
テ、全般的ニ控訴審ヲ省略致シマシテ、二
審制ヲ採用スル點デアリマス、民事訴訟ニ
於キマシテハ、賃貸借ニ基ク家屋ノ明渡、
强制執行ニ關スル訴訟等ニ付キマシテ、又
刑事訴訟ニ於キマシテハ戰時刑事特別法
ノ罪、經濟ノ事件ノ大部分、思想事件ノ一
部等ニ付キマシテ、何レモ第一審ノ判決ニ
對シ控訴ヲ爲スコトヲ許サズ直接上告ヲ爲
スコトヲ得ルモノトシテ、一部ノ訴訟ニ付
キマシテハ旣ニ二審制ヲ採用シテ居ルノデ
アリマスルガ、今囘其ノ範圍ヲ擴張シ、民
事及刑事ノ訴訟ニ付全面的ニ二審制ヲ採用
致シ、第一審判決ニ對シテハ、控訴ヲ爲ス
コトヲ得ズ直接上〓ヲ爲スコトヲ得ルモノ
ト改メルノデアリマス、而シテ刑事訴訟ニ
於テハ、旣ニ重大ナル事實ノ誤認ヲ以テ上
告ノ理由ト致シテ居リマスルガ、新タニ民
事訴訟ニ於キマシテモ二審制トナリマスル
ガ爲ニ、重大ナル事實ノ誤認ヲ以テ上〓ノ
理由トシヨウトスルノデアリマシテ、之ヲ
戰時民事特別法中ノ改正規定トシテ提案ス
ル次第デアリマス、而シテ民事刑事共、區
裁判所ノ爲シタ判決ニ對スル上告ハ、總テ
控訴院ノ管轄ニ屬スルコトトナルフデアリ
マス、第三ハ刑事ニ付キマシテモ抗告裁
判所ノ爲シタ決定ニ對シテハ更ニ抗〓ヲ爲
スコトヲ得ザルモノト致ス點デアリマス、
裁判所構成法戰時特例第七條ノ規定ニ依
リ、民事ニ付テハ抗〓裁判所ノ爲シタ決定
ニ對シテハ更ニ抗〓ヲ爲スコトヲ得ザルモ
ノト致シマシタガ、刑事ニ付キマシテモ民
事ト同樣、所謂再抗〓ハ之ヲ許サザルモノ
ト改メルノデゴザイマス、次ニ戰時民事特別
法中改正法律案ノ提案理由ヲ御說明申上ゲ
マス、今囘ノ改正ハ、裁判所構成法戰時特例ノ
改正ニ伴フ最小限度ノモノデアリマシテ、改
正ノ主タル點ハ二ツアリマスルガ、第一ハ、前
申述ベマシタ通リ重大ナル事實ノ誤認ニ關シ
マシテモ上告ヲ爲スコトヲ得ルモノトシタ
コトデアリマシテ、之ニ關聯スル手續上ノ規
定ヲモ加ヘテ置キマシタ、第二ハ、是亦前
申述ベマシタ區裁判所ノ事物ノ管轄ノ增大
ニ伴フ當然ノ結果ト致シマシテ、訴訟物ノ
價額ヲ算定スルコト能ハザル場合ニ、訴訟ヲ
地方裁判所ノ管轄トスル爲、其ノ價額ヲ二
千圓ヲ超過スルモノト看做シタコトデゴザ
イマス、次ニ戰時刑事特別法中改正法律案
ノ提案ノ理由ニ付御說明ヲ申上ゲマス、改
正ノ第一點ハ、漬職罪ニ關スル刑罰ヲ加重
シ、其ノ規定ヲ整備セムトスルモノデアリマ
ス、一億國民ガ克ク艱難ニ耐エ、勵精奉公ノ
誠ヲ致シテ居リマスル此ノ重大時局ニ於テ、
綱紀ノ一層ノ振肅ヲ圖リ、國政ノ圓滑公正ナ
ル運用ニ資シマスルガ爲、公務員ノ瀆職罪
ニ對シテハ全般的ニ重刑ヲ以テ之ニ臨ムコ
トトシ、其ノ他ノ必要ナル若干ノ處罰規定ヲ
新設セムトスルモノデアリマス、改正ノ第二
點ハ、略式手續ノ範圍ノ擴張等、刑事手續
ニ一一三ノ特例ヲ設ケムトスルモノデアリマ
ス、今囘ノ國內態勢强化方策ノ一環トシ
テ、裁判所構成法戰時特例ノ改正ト相俟チ、
事件ノ一層敏活ナル處理ヲ圖ルガ爲、事案
ノ內容單純ニシテ、犯罪ノ成立明白ナル事
件ニ付キマシテハ、略式命令ヲ以テ一定範
圍ノ體刑ヲ科シ得ルコトトシ、更ニ證據調
及ビ書類作成ノ簡易化等、必要ナル措置ヲ
講ゼムトスルモノデゴザイマス、何卒愼重御
審議ノ上右三案ニ對シテ御協賛ヲ賜ハラム
コトヲ切望致ス次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=60
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061・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、三案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員
ノ選擧ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=61
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062・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
裁判所構成法戰時特例中改正法律案外二件
ノ特別委員ノ數ヲ十九名トシ、其ノ委員ノ指
名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=62
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063・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=63
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064・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=64
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065・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔河野書記官朗讀〕
裁判所構成法戰時特例中改正法律案外二
件特別委員
公爵岩倉具榮君侯、爵筑波藤麿君
伯爵酒井忠正君子爵秋月種英君
子爵大岡忠綱君子爵舟橋〓賢君
小山松吉君小原直君
仁井田益太郞君男爵伊江朝助君
黑崎定三君男爵奧田剛郞君
男爵倉富鈞君山岡萬之助君
次田大三郞君太田耕造君
菅澤重雄君松井貞太郞君
奧主一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=65
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066・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際御諮リ致
シマスルコトガゴザイマス、短期ノ議會デ
ゴザイマスルカラ、本會議開會中ニ委員會
ヲ開クノ要求ガアリマシタ場合ニ、議事ニ
支障ノナイ限リ議長ニ於テ許可スルコトニ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=66
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067・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=67
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068・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日豫算委員吉
田茂君、同橫山助成君、請願委員河原田稼
吉君、何レモ職務上ノ都合ニ依リ、又豫算
委員男爵岩倉道倶君、同男爵山川建君、何
レモ病氣ニ付委員辭任ノ申出ガゴザイマシ
タ、許可ヲ致シテ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=68
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069・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、就キマシテハ、第二部、第五部、
第七部、第九部ニ於テ、各〓其ノ補闕選擧ヲ
行ハレムコトヲ望ミマス、次會ノ議事日程
ハ、決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマ
ス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時二十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008303242X00119431026&spkNum=69
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