1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○昭和十九年度一般會計歳出の財源に充つる等の爲の公債發行に關する法律案
○學校特別會計法案
○厚生保險特別會計法案
○農業家畜再保險特別會計法案
○簡易生命保險及郵便年金特別會計法案
○臺灣事業用品資金特別會計法案
○作業會計法外十法律中改正法律案
○國有財産整理資金特別會計法外三法律の廢止に關する法律案
○臨時資金調整法中改正法律案
○戰時喪失無記名國債證券臨時措置法案
○煙草專賣法及鹽專賣法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=0
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001・東郷安
○委員長(男爵東〓安君) 是ヨリ昭和十九
年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル等ノ爲ノ
公債發行ニ關スル法律案外十件ノ特別委員
會ヲ開會致シマス、先ヅ政府側ヨリ全部ノ
議案ニ付テ御說明ヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=1
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002・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 本委員會ニ付託
ニ相成リマシタ昭和十九年度一般會計歲出
ノ財源ニ充ツル等ノ爲ノ公債發行ニ關スル
法律案外十件ニ付キマシテ提出ノ理由ヲ御
說明致シマス、先ヅ昭和十九年度一般會計
歲出ノ財源ニ充ツル等ノ爲ノ公債發行ニ關
スル法律案ニ付キマシテ御說明ヲ致シマス、
昭和十九年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲ノ公債發行デアリマスルガ、昭和十九年
度歲入歲出總豫算案竝ニ同追加案第一號及
第二號ニ計上セル歲出總額二百一億七千三
百餘萬圓ニ對シ、普通歲入百三十九億四千
百六十餘萬圓、及前年度剩餘金一億四千百
五十餘萬圓ヲ充當シテ尙不足スル六十億八
千九百八十餘萬圓ハ公債財源ニ依ルノ必要
ガアリマスル處、此ノ內現行ノ公債法ニ依
リ調達シ得マスルモノニ、震災善後公債分六十
餘萬圓及道路公債分二千四百九十餘萬圓ガ
アリマスルカラ、之ヲ差引キ六十億六千四
百三十萬圓ヲ限リ、新タニ起債ノ權能ヲ得ル
ノ必要ガアルノデアリマス、尙昭和十九年
度歲出豫算中若干ノ金額ハ翌年度ニ繰越サ
ルヽ結果ニナルノデアラウト存ゼラレマス
ル處、其ノ繰越額ノ財源タル公債ハ必ズシ
モ之ヲ昭和十九年度內ニ於テ發行スル必要
ハアリマセヌノデ、之ヲ其ノ翌年度ニ於テ
發行シ得ルコトトスルノヲ適當ト認メ、
所要ノ規定ヲ設ケムトスルモノデアリ
マス、次ニ昭和十五年法律第六十九號中
改正デアリマスルガ、大東亞戰爭ニ關シ
功勞アリタル陸海軍軍人軍屬ニシテ死
歿シタル者ニ對シ、一時賜金トシテ公債ヲ
交付スル爲、同法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ
一億三千八百萬圓ダケ增加スルノ必要ガア
リマスルコトト、從來ノ分ニシテ未ダ發行
ノ運ビニ至リマセヌモノハ、之ヲ昭和十九
年度ニ於テモ發行シ得ルコトトスルノ必要
ガアリマスルコトニ依リマシテ、此ノ昭和
十五年法律第六十九號中ニ所要ノ改正ヲ行
ハムトスルモノデアリマス、第三ニ鐵道ノ買
收代價トシテ交付スル爲ノ公債發行デアリ
マスルガ、內地ニ於ケル地方鐵道及朝鮮ニ
於ケル私設鐵道中、輸送力ノ增强上特ニ必
要ナルモノノ內、此ノ際國有トスルヲ適當
ト認メラレマスル膽振縱貫鐵道株式會社外
十三會社ノ經營ニ屬シマスル鐵道ヲ、昭和
十九年度ニ於テ買收スルコトニ計晝致シマ
シタル處、之ガ買收代價トシテ交付スル爲
公債ヲ發行スルノ必要ガアリマスルノデ、
所要ノ規定ヲ設ケムトスルモノデアリマス、
次ニ篠山鐵道株式會社所屬鐵道ノ營業廢止
ニ因ル損失ノ補償金トシテ交付スル爲ノ公
債發行デアリマスルガ、國有鐵道篠山線ハ
近ク開通ノ豫定デアリマシテ、之ニ接近竝
行スル篠山鐵道株式會社所屬鐵道ハ到底併
立經營困難デアリマスノデ、其ノ營業ヲ廢
止セシメ、其ノ營業廢止ニ因リテ生ズル損
失ノ補償金トシテ交付スル爲公債ヲ發行ス
ルノ必要ガアリマスルノデ、所要ノ規定ヲ
設ケムトスルモノデアリマス、次ニ朝鮮事
業公債法中改正デアリマスルガ、朝鮮
總督府特別會計ニ於ケル旣定繼續費タル
鐵道建設及改良費、道線修築改良費、港灣
修築改良費等ノ追加額其ノ他五億九千三百
十餘萬圓ニ付キマシテハ、公債財源ニ依ル
コトト致シマシタル處、既定額ノ內昭和十
八年度ニ於テ公債財源ニ依ル豫定ノモノニ
シテ、決算上不用トナスベキモノ等ガ千二
百十餘萬圓アリマスルノデ、之ヲ差引キ五
億八千百十萬圓ダケ、同法ニ依ル公債ノ發行
限度ヲ增加スルノ必要ガアリマスルノデ、
所要ノ改正ヲ行ハムトスルモノデアリマス、
次ニ昭和十八年法律第九十三號中改正デア
リマスルガ、朝鮮總督府特別會計ニ於ケル米穀
ノ生產確保補給金、大麥、稞麥及小麥ノ生產
確保補給金、石炭及化學肥料ノ價格調整補
給金竝ニ企業整備ニ要スル經費二億七百四十
餘萬圓ニ付キマシテハ、同特別會計歲計ノ現狀
ニ鑑ミマシテ公債財源ニ依ルノ必要ガアリマス
ルノデ、同法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ二億七
百五十萬圓ダケ增加スル等、所要ノ改正ヲ
行ハムトスルモノデアリマス、次ニ臺灣事
業公債法中改正デ臺灣總督府特別會計ニ
於ケル基隆港及高雄港ノ擴張工事費千八
百六十餘萬圓、竝ニ臺灣重要物資營團及
臺灣石炭統制株式會社ニ對スル公債ノ交
付ニ依ル出資七百萬圓ノ合計額二千五百
六十餘萬圓ニ付キマシテハ、公債ヲ發行
スルノ必要ガアリマスル處、旣定額ノ內、
節減等ニ依リ不用トナスベキモノガ千八十
餘萬圓アリマスルノデ、之ヲ差引キ千四百
九十萬圓ダケ同法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ
增加スル等、所要ノ改正ヲ行ハムトスルモ
ノデアリマス、次ニ昭和十八年法律第九十
四號中改正デアリマスガ、臺灣總督府特別
會計ニ於ケル米穀ノ生產確保補給金及企業
整備ニ要スル經費四千六百二十餘萬圓ニ付
キマシテハ、同特別會計歲計ノ現狀ニ鑑ミ
マシテ、公債財源ニ依ルノ必要ガアリマス
ルノデ、同法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ四千
六百三十萬圓ダケ增加スル等、所要ノ改正
ヲ行ハムトスルモノデアリマス、次ニ學校
特別會計法案、厚生保險特別會計法案、農
業家畜再保險特別會計法案、簡易生命保險
及郵便年金特別會計法案、臺灣事業用品資
金特別會計法案、作業會計法外十法律中改
正法律案及國有財產整理資金特別會計法外
三法律ノ廢止ニ關スル法律案ニ付テ御說明
致シマス、是等ノ法律案ハ何レモ豫算單純
化ノ趣旨ニ則リ、特別會計ノ整理統合ヲ行
ヒマシテ、會計ニ關スル事務ノ簡捷及會計
制度ノ簡明ヲ圖リマスト共ニ、特別會計ノ
運營ヲ一層時局ノ要請ニ卽應セシメムトス
ルモノデアリマス、先ヅ學校特別會計法案
ニ付テ御說明致シマス、現在學校ニ關スル
會計ノ經理ニ付キマシテハ、帝國大學及官
立大學竝ニ學校及圖書館ノ三特別會計ヲ設
ケテ經理致シテ居ルノデアリマスガ、會計
經理ニ關スル事務ノ簡捷ヲ圖リ、一層學校
ニ關スル會計ノ運營ヲ圓滑ナラシメマスル
爲是等ノ三特別會計ヲ統合致シマシテ、
一ツノ學校特別會計ヲ設置致シマスルト共
ニ、現在學校及圖書館特別會計ノ所屬ト相
成ッテ居リマスル帝國圖書館ニ關スル歲入歲
出ハ、之ヲ一般會計ノ所屬ニ移スノヲ適當
ト認メタノデアリマス、之ガ爲ニハ、大學
特別會計法竝ニ學校及圖書館特別會計法ヲ
廢止致シマシテ、新タニ學校特別會計法ヲ
制定スルノ必要ガアリマスルノデ、本法律
案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、大一
厚生保險特別會計法案ニ付テ御說明致シマ
ス、現在政府ニ於キマシテ管掌スル健康保
險事業、勞働者年金保險事業及船員保險事
業ノ經營ニ付キマシテハ、健康保險、勞働
年金保險、船員保險ノ各特別會計ヲ設ケテ
經理ヲ致シテ居ルノデアリマスルガ、會計
ニ關スル事務ノ簡捷ヲ圖リ、各事業ノ經營
ヲ一層圓滑ナラシムル爲、是等ノ三特別會
計ヲ統合シテ一ツノ特別會計ヲ設置致シマ
シテ、健康勘定、年金勘定、船員勘定及業
務勘定ニ區分經理スルノガ適當ト認メラレ
ルノデアリマス、又別途提出致シテ居リマ
スル勞働者年金保險法中改正法律案ニ依リ
マシテ、勞働者年金保險ノ被保險者ノ範圍
ヲ擴張シテ、之ヲ厚生年金保險ト爲スニ伴
ヒマシテ、勞働者年金保險特別會計ニ付、所
要ノ措置ヲ講ズルノ必要ガアリマス、是等
ノ爲ニハ現行ノ健康保險特別會計法、勞働
者年金保險特別會計法及船員保險特別會計
法ヲ廢止致シマシテ、新タニ厚生保險特別
會計法ヲ制定スルノ必要ガアリマスルノデ、
本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、次
ニ農業家畜再保險特別會計法案ニ付テ御說
明致シマス、現在農業保險法ニ依ル農業再
保險事業及家畜保險法ニ依ル家畜再保險事
業ノ經營ニ付キマシテハ、ソレ〓〓農業再
保險及家畜再保險ノ兩特別會計ヲ設ケテ經
理致シテ居ルノデアリマスルガ、今囘會
計ニ關スル事務ノ簡捷ヲ圖リ、又兩事業ノ
經營ヲ一層圓滑ナラシムル爲、是等兩特別
會計ヲ統合シ、一ツノ特別會計ヲ設置致シ
マシテ、農業勘定、家畜勘定及業務勘定ニ
區分經理スルノガ適當ト認メタノデアリ
マス、之ガ爲ニハ現行ノ農業再保險特別會
計法及家畜再保險特別會計法ヲ廢止致シ、
新タニ農業家畜再保險特別會計法ヲ制定ス
ルノ必要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ
提出シタ次第デアリマス、次ニ簡易生命保
險及郵便年金特別會計法案ニ付テ御說明致
シマス、現在簡易生命保險事業及郵便年金
事業ノ經營ニ付キマシテハ、簡易生命保險及郵
便年金ノ兩特別會計ヲ設ケテ經理致シマス
ルト共ニ、兩事業ニ關スル經費ノ經理上ノ
便宜ヲ考慮致シマシテ、昭和十八年法律第
十七號ニ依リ、、遞信局及郵便局ニ於テ取扱ヒ
マスル簡易生命保險及郵便年金ノ事務ニ關
スル經費等ハ、之ヲ通信事業特別會計ノ所
屬ト致シマシテ、之ニ要スル經費ノ財源ニ
充ツル爲必要ナル金額ヲ通信事業特別會計
ニ繰入ルコトト致シ、又兩事業ノ進展ニ伴
フ會計上ノ措置ト致シマシテ、昭和十六年
法律第二十八號ヲ制定シ、臺灣總督府、關
東局及南洋廳ノ各特別會計トノ間ニ、會計
上ノ調整ヲ行ヒマシテ、兩事業ノ圓滑ナル
經營ヲ圖ッテ參ッタノデアリマス、然ルニ今
囘更ニ會計ニ關スル事務ノ簡捷ヲ圖リマス
爲ニ、簡易生命保險及郵便年金ノ兩特別會
計ヲ統合致シマシテ、一ツノ特別會計ト致
シマスト共ニ、通信事業特別會計ノ所屬ト
致シマスル經費等ノ範圍ヲ更ニ擴張スルヲ
適當ト認メタノデアリマス、其ノ爲ニハ現
行ノ簡易生命保險特別會計法、郵便年金特
別會計法、昭和十六年法律第二十八號及昭
和十八年法律第十七號ヲ廢止シマシテ、新
タニ簡易生命保險及郵便年金特別會計法ヲ
制定スルノ必要ガアリマスノデ、本法律案
ヲ提出致シタ次第デアリマス、次ニ臺灣事
業用品資金特別會計法案ニ付テ御說明致シ
そう、現在臺灣總督府ニ於テ經營致シマス
ル鐵道及ビ自動車交通事業ノ用品ノ調達ニ
付キマシテハ、臺灣官設鐵道用品資金特別
會計ヲ設置致シマシテ、是等ノ事業用品ヲ適
宜ノ時期ニ購入シ、之ヲ貯藏製作等致シマ
シテ、隨時適切ニ是等ノ事業ノ需用ニ應ジ、
事業ノ圓滑ナル遂行ニ寄與致シテ參ツタノ
デアリマス、然ルニ戰時下臺灣ノ現狀ニ顧
ミマシテ、鐵道及ビ自動車交通事業ノミナ
ラズ、廣ク通信、專賣、營繕、土木等ノ事
業ノ用品ニ付キマシテモ、其ノ用品ヲ豫メ
購入貯藏等致シマシテ、是等ノ事業ノ迅速
且圓滑ナル遂行ヲ圖ルコトガ緊要ト認メラ
レルノデアリマス、然ルニ之ガ爲ニハ現行
ノ臺灣官設鐵道用品資金會計法ヲ廢止シ、
新タニ臺灣事業用品資金特別會計法ヲ制定
スルノ必要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ
提出致シマシタ次第デアリマス、次ニ作業
會計法外十法律中改正法律案ニ付テ御說明
致シマス、先ヅ作業會計法中改正デアリマ
スルガ、各作業所ノ事業量ハ近時著シク增
大致シテ參リマシタ關係上、各作業所ノ据
置運轉資本額竝ニ專賣局及印刷局ニ於ケル
据置運轉資本一時補足ノ限度額ヲ以テシマ
シテハ、時ニ各作業所ノ作業ニ支障ヲ來ス
虞レアル狀況ニ顧ミマシテ、專賣局及印刷
局以外ノ作業所ニ付キマシテモ、据置運轉
資本一時補足ノ途ヲ開クト共ニ、据置運轉
資本一時補足ノ限度額ヲ增額スルヲ適當ト
認メマシテ、之ニ關スル規定ヲ設ケムトス
ルモノデアリマス、次ニ造幣局特別會計法
中改正デアリマス、近時時局ノ要請ニ基キ
補助貨ノ囘收ガ强化サレルニ伴ヒマシテ、
造幣局資金ニ不足ヲ來ス場合モ豫想セラル
ル狀況ト相成リマシタノデ、造幣局資金ヲ
臨時補足シ得ルノ途ヲ開キ置クヲ適當ト認
メマシテ所要ノ改正ヲ行ハムトスルモノ
デアリマス、次ニ食糧管理特別會計法中改
正デアリマスルガ、先ヅ米麥ノ買入價格引
上等ニ依リ、食糧證劵ノ發行限度額ヲ七億
圓ダケ增額スルノ必要ガアリ、次ニ本會計
ニ於テ、朝鮮又ハ臺灣ノ外ニ在ル軍ノ用ニ
供スル爲、朝鮮又ハ臺灣ヨリ買入レマシタ
ル米穀ノ價格中ニ含マレテ居リマスル米穀
生產確保補給金及麥額ノ價格調整ノ爲、本
會計ノ負擔ト相成リマスル金額ニ相當スル
金額ヲ限度トシテ、一般會計ヨリ繰入金ヲ
爲スコトト致シマスルノヲ適當ト認メ、所
要ノ改正ヲ行ハムトスルモノデアリマス、次
ニ薪炭需給調節特別會計法中改正デアリマ
スルガ、薪炭ノ價格調整ノ爲、本會計ノ負
擔致シマスル金額ニ相當スル金額ヲ限度ト
シテ一般會計ヨリ繰入金ヲ爲スコトト致シ
マスルノヲ適當ト認メ、所要ノ改正ヲ行ハ
ムトスルモノデアリマス、次ニ燃料局特別
會計法中改正デアリマスルガ、軍需省燃料
局ニ於キマシテ、時局ノ要請ニ基キマシテ
ㄱグリセリン」等ノ製造ヲ行フコトト致シマ
シタルニ伴ヒ、是等ノ歲入歲出ハ燃料局特
別會計ノ所屬トシテ經理スルヲ適當ト認メ、
所要ノ改正ヲ行ハムトスルモノデアリマス、
次ニ通信事業特別會計法中改正デアリマス
ルガ、現在通信事業特別會計ニ於キマシテ
ハ、通信事業特別會計法第四條ノ規定ニ依
リ、每年度八千二百萬圓以內ニ於テ豫算ニ
定ムル金額ヲ一般會計ニ納付スルコトト相
成ッテ居ルノデアリマスルガ、時勢ノ變遷
等ニ伴ヒマシテ、此ノ納付金制度ヲ廢止シ、
同會計ノ運營ヲ一層圓滑ナラシムルヲ適當
ト認メ、所要ノ改正ヲ行ハムトスルモノデ
アリマス、次ニ臺灣米穀移出管理特別會計
法中改正デアリマスルガ、今囘臺灣ニ於テ、
現在ノ臺灣米穀移出管理令及臺灣米穀等應
急措置令ヲ廢止シ、新タニ臺灣食糧管理令ヲ
制定致シマシタニ伴ヒマシテ、現行ノ臺灣米
穀移出管理特別會計法ノ名稱ヲ變更致シマ
スル等ノ必要ガ生ジマシタル爲、所要ノ改
正ヲ行ハムトスルモノデアリマス、次ニ臨
時軍事費特別會計法中改正及昭和十七年法
律第六號中改正デアリマスルガ、時局ニ顧
ミマシテ、戰地外ニ於キマシテモ空襲、震
災等ニ依リ災害ノ生ジマシタル場合、其ノ
他特別ノ事情ニ基キ必要アル場合ニ於キマ
シテハ、軍ニ於テ保有スル物資ヲ拂下ゲマシ
テ應急ノ措置ヲ講ズルコトモ必要ト存ゼラ
レマスルノデ、現行ノ臨時軍事費特別會計
法第四條ノ改正ヲ行フノ必要ガアリ、又現
在戰地及輸送ノ實情上、戰地ニ於テ必要ナ
ル軍需品以外ノ物資ヲ軍ガ內地等ニ於テ取
得シ、之ヲ戰地ニ輸送シテ賣拂ヲ爲スコト
モ必要デアルノデアリマスルガ、此ノ場合
ニ於ケル物資ノ取得及賣拂ニ關スル歲入歲
出ハ、戰地ニ在ル軍需品以外ノ物資ノ取得及
賣拂ニ關スルモノト同樣ニ、當分ノ內臨時軍
事費特別會計ノ所屬ト爲スノヲ適當ト存ゼ
ラレマスルノデ、昭和十七年法律第六號附
則第二項ノ改正ヲ行ハムトスルモノデアリ
マス、次ニ昭和十二年法律第十號中改正デ
アリマスルガ、大藏省預金部特別會計ニ於
キマシテハ、昭和十二年度以降每年度一般
會計歲出ノ財源ニ充ツル爲、六百萬圓ノ繰
入ヲ行ッテ參ッタノデアリマスルガ、近時郵便
貯金ノ增加等ニ依リ、同會計ノ積立金及剩餘
金ハ相當巨額ニ達シ居ル狀況ナルニ顧ミマ
シテ、右繰入金ヲ增加スルノヲ適當ト認メ
所要ノ改正ヲ行ハムトスルモノデアリマス、
次ニ昭和十三年法律第二十三號中改正デア
リマスルガ、今囘朝鮮總督府、臺灣總督府
及關東局ニ於キマシテモ、內地ト同樣ノ趣
旨ニ依リ、鐵道運賃及通信料金ノ引上ヲ行
フコトト致シタノデアリマスガ、之ニ因ル
增收額ノ一部ハ臨時軍事費ノ財源ニ充ツル
ヲ適當ト認メ、所要ノ改正ヲ行ハムトスル
モノデアリマス、ソレカラ海軍火藥廠及海
軍燃料廠ノ据置運轉資本ノ臨時補足ニ關ス
ル規定デアリマスルガ、海軍火藥廠及海軍
燃料廠ノ作業量ハ、近時著シク增大致シテ
參リマシタル關係上、現行ノ海軍火藥廠ノ
据置運轉資本額四百萬圓、及ビ海軍燃料廠
ノ据置運轉資本額六百萬圓ヲ以テシマシテ
ハ、作業ノ圓滑ナル遂行ヲ圖ルコト困難ト
存ゼラレマスルノデ、大東亞戰爭中ノ臨時
措置ト致シマシテ、兩作業所ノ据置運轉資
本ニ不足ヲ生ジマシタル場合ニ於キマシテ
ハ、臨時軍事費特別會計ヨリ臨時之ヲ補足
シ得ルノ途ヲ開カムトスルモノデアリマス、
國有財產整理資金特別會計法外三法律ノ廢
止ニ關スル法律案ニ付テ御說明致シマス、
近時時局ノ要請ニ依リマシテ特別會計增加
ノ趨勢ナルニ顧ミマシテ、旣存ノ特別會計
中其ノ存置ノ理由比較的乏シキモノニ付キ
マシテハ、此ノ際能フ限リ之ヲ整理致シマ
シテ、會計制度ヲ簡明ナラシムルコトガ必
要ト存ゼラレマスノデアリマス、此ノ趣旨
ニ依リマシテ、時局ノ進展ニ伴ヒ存置ノ理
由比較的薄弱ト相成リマシタル國有財產整
理資金特別會計、又軍需省ノ設置ニ伴ヒ存
置ノ理由乏シク相成リマシタル陸軍航空工
廠資金特別會計及ビ蠶絲業統制ノ强化ニ
伴ヒ殆ド其ノ機能ヲ失フニ至リマシタル絲價
安定施設特別會計ヲ、昭和十八年度限リ廢
止スルコトト致シマシタル處、之ガ爲ニハ是
等ノ特別會計ノ廢止ニ關シ必要ナル措置ヲ
講ズルノ必要ガアリマスルノデ、本法律案
ヲ提出致シマシタル次第デアリマス次ニ
臨時資金調整法中改正法律案ニ付キマシテ
御說明致シタイト存ジマス、改正ノ第一點
ハ、政府ハ土地其ノ他ノ物ノ賣却代金、補
償金其ノ他ノ金錢債務ニ付、支拂ハレマシ
タル當該金錢ノ處分ニ關シ必要ナル命令ヲ
爲シ、又ハ當該金錢債務ニ付、企業整備資金
措置法第五條ニ規定スル所謂特殊決濟方法
若シクハ其ノ他ノ方法ニ依リ之ヲ決濟スベ
キコトヲ命ズルコトヲ得ルコトト致シマスル
ト共ニ、政府ノ此ノ種債務ニ付キマシテモ、
企業整備資金措置法第三條ノ規定ニ準ジマ
シテ、特殊決濟ヲ爲スコトヲ得ルコトトシタ
コトデアリマス、資產ノ處分代金、各種補償
金等、所謂新タナル生產行爲ニ基カザル移
動資金ノ浮動化防止ニ關スル措置ト致シマ
シテハ、既ニ政府ハ現行第十條ノ二ニ於キマ
シテ、土地其ノ他ノモノヲ收用セラレ若シシク
ハ賣却シタル者、又ハ其ノ利害關係人ニ對
シマシテ其ノ代償トシテ受クル金錢ノ處分ニ
關シ、國債ノ買入等必要ナル命令ヲ爲シ得
ルコトトナッテ居ルノデアリマス、尤モ之ニ關
シマシテハ、政府ハ成ルベク直接ニ命令ス
ルノ方法ニ依ラズ、勸奬ノ方法ニ依リマシ
テ其ノ目的ヲ達スル方針ヲ執ッテ居ルノデア
リマシテ、移動資金ノ浮動化防止上相當ナ
ル效果ヲ收メテ參ッテ居ルノデアリマス、
又昨年戰力增强企業整備ガ實施致サレマス
ルヤ、政府ハ企業整備資金措置法ヲ制定シ
企業整備ニ伴フ移動資金ノ浮動化防止
ニ付萬全ノ措置ヲ圖ッタノデアリマスルガ、
更ニ時局ノ進展ニ顧ミ、一層此ノ種資金ニ
對スル措置ヲ整備擴充スルノ要アリト認メ
マシテ、現行第十條ノ二ノ對象タル金錢債
務ノ範圍ヲ、資產ノ處分代金、收用ノ補償
金ノミナラズ、其ノ他ノ補償金、退職給與
金其ノ他一時的收入ノ性質ヲ有スル給付
金ニシテ新タナル生產行爲ノ對價タラザル
金錢債務ニ擴張スルト共ニ、從來代償トシ
テ受クル金錢トシテ現金化セラレタモノニ
對シテノミ、國債ノ購入保有等ヲ命令シ得
ルコトト、ナツテ居リマシタノヲ、金錢債
務ノ決濟ニ付キ、債權者債務者双方ニ對シ、
其ノ決濟前ニ必要ナル命令ヲ爲シ得ルコト
ト致シ、其ノ內容トシテ、企業整備資金措
置法ニ依ル所謂特殊決濟又ハ國債ニ依ル交
付等ヲ命ジ得ルコトト致シタノデアリマス、
尙之ニ伴ヒ政府ノ金錢債務ニシテ之ト同種
ノモノニ付キマシテモ、企業整備資金措置
法第三條ノ規定ニ準ジ特殊決濟ヲ爲シ得ル
コトト致シタノデアリマス、次ニ改正ノ第
二點ハ、預貯金、金錢信託、生命保險、其
ノ他一定ノ長期貯蓄ノ貯蓄者ハ、災害疾病
其ノ他ノ事由ニ因リ資金ヲ必要トスルトキ
ハ、當該貯蓄ノ全部又ハ一部ニ付キマシテ、
期限前ニ於ケル拂戾ヲ請求シ又ハ當該貯蓄
ニ關スル契約ヲ解除シ若シクハ變更スルコ
トヲ得ルコトト致シマシテ、此ノ場合貯蓄
取扱機關ガ、貯蓄者ニ拂戾シ又ハ給付スベ
キ金額、利息其ノ他ノ條件ハ、貯蓄者ニ期
限前拂戾請求等ノ爲、特ニ不利益ヲ與ヘザ
ルヤウ、命令ヲ以テ定ムルコトトシ、之二
因リマシテ貯蓄取扱機關ニ損失ヲ生ジマシ
タル場合ハ、政府ハ之ヲ補償シ又ハ補助金
ヲ交付スルコトヲ得ルコトトシタコトデア
リマス、國民貯蓄ノ增强ヲ圖リ資金ノ浮動
化ヲ防止スル爲ニハ、益〓長期貯蓄ヲ奬勵ス
ルノ要アルハ多言ヲ要セザル所デアリマス
ガ、長期ノ預貯金、定期積金、信託、保險
等ニ付キマシテハ、只今ノ狀況ニ於キマシ
テハ、不時ノ入用ニ際シ之ヲ資金化シマス
爲ニハ相當困難デアリ、又資金化シマシタ
場合ニモ、利息等ニ於テ相當不利益ヲ蒙リ
マスノデ、此ノ事ハ長期貯蓄ヲ躊躇シタリ
忌避シタリスル原因ト相成ルノデアリマス、
仍テ貯蓄者ガ災害疾病等、豫期セザル事由
ニ因ツテ資金ヲ必要トスル場合ニ、貯蓄者ニ
一
特ニ不利益ヲ與フルガ如キコトナク之ヲ資
金化シ得ルノ方途ヲ開キマスレバ、安ンジ
テ長期貯蓄ヲ爲シ得ルノ態勢ヲ整ヘルコト
トナルノデアリマス、此ノ理由ニ依リマシ
テ改正ノ第二點ヲ置イタノデアリマス、改
正ノ第三點ハ數人ノ者ガ····是ハ多數ノ
者ヲ含ム意味デアリマスガ、是等ガ銀行其
ノ他ニ對シテ代表者ヲ定メ、其ノ者ノ名ニ
於テ貯蓄ヲ爲ス場合ニ於キマシテハ、代表
者ノ外、各貯蓄者モ命令ノ定ムル所ニ依ツテ、
當該貯蓄取扱機關ニ對シテ其ノ貯蓄ノ拂戾
ヲ請求スルコトヲ得ルコトトシ、各貯蓄者
每ノ利子又ハ利益ノ計算方法、代表者ニ對
スル取締其ノ他ノ必要ナ事項ハ命令ヲ以テ
規定シ得ルコトトシタコトデアリマス、現
在代表者ノ名義ヲ以テスル貯蓄ハ法律關係
ガ不明確デアリマシテ、貯蓄者ノ保護、貯
蓄者ノ貯蓄心理ノ尊重等ニ十分ナラザル點
ヲ存スル狀況ニ在ルノデアリマス、仍テ今
囘代表者名義ニ依ル貯蓄ノ一方法トシテ、
各貯蓄者ガ貯蓄取扱機關ニ對シテ直接拂戾
ヲ請求シ得ルガ如キ制度ヲ設ケマスルト共
ニ、代表者ノ拂戾請求權ニ一定ノ制限ヲ加ヘ
其ノ他代表者名義ニ依ル貯蓄ノ一難點タル
各貯蓄者每ノ利子利益ノ計算方法ヲ簡素化
シ、又代表者ニ對スル取締規定ヲ設クル等、
必要ナル規定ヲ整備シテ、貯蓄者ヲシテ安
ンジテ代表者名義ノ貯蓄方法ニ依ラシムル
コトヲ得ル如ク致サウト考ヘテ居ルノデア
リマス、尙今後ニ於ケル貯蓄事務ハ年ト共
ニ愈〓增量ヲ豫想セラルヽ所デアリマシテ、
是等ノ事務ハ出來得ル限リ簡素化スルノ要
ガアルノデアリマスガ、右ニ述ベマシタル
ガ如キ貯蓄ノ方法ハ、此ノ情勢ニ適應シテ
此ノ問題解決ニ貢獻スル所ガ尠クナイト考
ヘラレルノデアリマス、改正ノ第四點ハ、
政府ハ國債證券ノ低價買漁リ等、國民ノ貯
蓄實踐ヲ阻碍スルノ虞アル行爲ヲ制限又ハ
禁止スルコトヲ得ルコトトシタコトデアリ
マス、國民ノ貯蓄實踐ノ高度化ニ伴ヒ、他面
之ヲ阻碍スル虞アル行爲、例ヘバ國債債劵
等ノ低價買漁リ、獻納運動等ノ行爲等ガ間
間發生シマシテ、國債債劵ノ直接消化等ニ
惡影響ヲ與ヘテ居ルヤウナ狀況モアルノデ
アリマスルガ、之ガ取締ニ付キマシテハ、
現行法ニテハ不十分デアリマシテ、茲ニ規
定ヲ設クルコトト致シタノデアリマス、改
正ノ第五點ハ、貯蓄債劵、報國債劵ノ發行
限度ヲ、兩債劵ヲ通ジテ收入金五十億圓ト
致シマスルト共ニ、之ニ關聯シテ貯蓄債劵、
報國債劵ニ關スル規定ノ條文ヲ整理スルコ
トトシタコトデアリマス、御承知ノ通リ、
政府ハ日本勸業銀行發行ニ係ル貯蓄債劵及
報國債劵ヲ國債證劵ト合セテ廣ク國民ニ直
接消化ヲ圖ツテ居ルノデアリマスルガ、其
ノ發行限度ハ、現在貯蓄債劵二十億圓、報
國債劵十五億圓トナッテ居リ發行狀況ニ顧
ミ之ガ增額ヲ爲スノ必要ガアルノデアリマ
ス、從來貯蓄債劵、報國債劵ハソレゾレ別
箇ニ發行限度ガ規定シテアルノデアリマス
ルガ、國債及是等兩債劵ノ直接消化ノ現況
ニ顧ミマスルニ、兩債劵ノ發行限度ハ之ヲ
合併規定シ、其ノ間ニ融通性ヲ保タシメル
コトガ適當ト認メラレルノデアリマスルノ
デ、兩者ヲ通ジテ發行限度ヲ十五億圓引上
ゲ、五十億圓ト致シタノデアリマス、尙之
ニ關聯シ旣往ノ經驗ニ鑑ミ、貯蓄債劵ニ付
抽籤竝ニ償還ノ方法ヲ簡素化スルト共ニ、
貯蓄、報國兩債劵ノ割增金ノ交付ノ方法ニ
付キ改正スルコトト致シタノデアリマズ、
更ニ改正ノ第六點ハ、課稅上ノ特例ニ關ス
ル規定ヲ擴張スルコトトシタコトデアリマ
ス、臨時資金調整法ノ規定ニ基ク貯蓄又ハ
貯蓄ヲ爲ス者ニ對シテ、當該貯蓄ノ利子又
ハ利益ニ關シ租稅ノ減免ヲ爲シ、又本法ニ
基キ發行セラレマスル一定證劵ニ對シ印紙
稅ヲ課セザルコトトスル規定ハ從來存シタ
ノデアリマスガ、此ノ際是等ニ對スル印紙
稅ノ非課稅ノ範圍ヲ擴張シ、又一定ノ場合
ニ於ケル有價證券移轉稅ノ非課稅規定ヲ新
設致シマスルト共ニ、本法ニ基ク特定ノ貯
蓄ノ利子又ハ利益ニ對シマシテハ、法人稅
法ニ依ル所得ノ計算ニ關スル特例ヲ設クル
コレヲ得ルコトト致シタノデアリマス、改
正ノ第七點デアリマスルガ、是ハ第十條ノ
五第一項ニ規定スル割增金ヲ附シタル證劵、
貯蓄債劵又ハ報國債劵ノ發行者ハ戰時災
害又ハ戰時中ノ災害ニ因リ喪失シタル是
等ノ證劵ニ對シマシテ、別途提案致シマシ
タル戰時喪失無記名國債證劵臨時措置法ニ
準ジテ新證劵ヲ交付、其ノ他ノ措置ヲ爲ス
ベキコトトシ、此ノ場合ニ於キマシテ發行
者ニ損失ヲ生ジタル場合ハ、政府ハ補償ス
ルコトトシタコトデアリマス、先程申上ゲ
マシタル通リ、貯蓄債劵、報國債劵ハ國債
證劵ト同ジク、國民ノ間ニ直接普及消化サ
レテ居リマスルノデ、戰時災害ニ因リ喪失セ
ル無記名國債證券ニ右申シマシタ喪失無記
名國債證劵臨時措置法案ニ於ケルガ如キ戰時
下ニ於ケル特例ヲ認ムルモノト致シマスレバ、
貯蓄債劵、報國債劵ニモ當然同樣ノ措置ヲ
必要トスルモノト考ヘル次第デアリマス、
次ニ只今申シマシタ戰時喪失無記名國債證
劵臨時措置法案ニ付キマシテ御說明致シマ
ス、支那事變以來國民ノ熱誠ニ依リマシテ
多額ノ國債ガ消化セラレマシテ、國債所有
者ハ國民全般ニ亙ッテ居ルノデアリマスル
ガ、無記名國債證劵ガ喪失致シマシタル場
合現在ノ取扱ト致シマシテハ、一定ノ條
件ノ下ニ元利金ノ支拂ノミヲ爲シ得ルコト
ニナッテ居リ、又喪失證劵ノ名稱記號等ガ
不明ナ場合ニ於キマシテハ何等救濟ノ途ガ
ナイノデアリマス、國債所有者ヲ保護シ、
國債ノ消化ニ資セシムルガ爲ニハ現在ノ制
度デハ足リナイノデアリマシテ、喪失致シ
マシタ證劵ニ對シ、新證劵ヲ交付スル等ノ
措置ヲ講ズルノ必要ガアルフミナラズ、證
劵ノ名稱、記號等ガ不明ナ場合ニ於キマシ
テモ、之ヲ救濟スル途ヲ開クノ必要ガア
ルノデアリマス、本法律案ハ右ノ趣旨ニ依
リマシテ、戰時ニ於テ災害ニ因リ喪失シ
マシタル無記名國債證劵ヲ災害ノ當時所
有シ、又ハ占有致シテ居リマシタ者ハ、
戰時喪失國債證劵審査會ニ其ノ證劵ノ喪
失ニ付テ査定ヲ求ムルコトヲ得ルコトトシ、
此ノ査定ガアリマシタ場合、政府ハ新證劵
ヲ交付シ、又ハ之ニ代ヘ元利金ノ支拂、
國債ノ登錄、若シクハ預金ノ設定ヲ爲スコ
トヲ得ルコトトシタノデアリマス、又右ニ
伴ヒマシテ必要ニ應ジ此ノ特別ノ措置ニ依ッ
テ生ズルコトアルベキ損失ヲ補塡スル爲、
確實ナル擔保ヲ提供シ、又ハ保證人ヲ立テ
シムルコトトシ、又實際ニ政府ニ損失ヲ生
ジマシタル場合ニハ、新證劵ノ交付等ノ措
置ヲ受ケタ者ハ、其ノ損失ヲ負擔スルコト
ヲ要スルコトトセムトスルモノデアリマス、
尙以上ノ如キ特別ノ措置ハ、戰時災害以外
ノ戰時中ノ非常ノ災害ニ因リマシテ喪失シ
マシタル無記名證劵ニモ準用スルコトトス
ルヲ適當ト認メ、必要ナル規定ヲ置イタノ
デアリマス、次ニ煙草專賣法及鹽專賣法中
改正法律案ニ付テマシテ御說明ヲ致シマス、
先ヅ煙草專賣法中改正ノ部分ニ付テ御說明
ヲ致シマス、大東亞共榮圈內ニ於ケル煙草
用卷紙ニ付キマシテ從來ノ需給ノ狀況ヲ見
マスルニ、本邦ヲ除ク圈內各域ニハ其ノ生
產ハ極メテ少ク、需要ノ大部分ハ本邦製品
ヲ以テ之ヲ充足スルノ外ナキ狀態デアリマス、
然ルニ本邦ニ於ケル煙草用卷紙ノ生產狀況
ハ、最近一般製紙業界ノ生產事情ノ激變ニ
伴ヒマシテ、之ガ所要量ノ生產確保ハ相當困
難ガアルノデアリマシテ、之ヲ現狀ノ儘ニ
放置スル場合ハ、共榮圈內ノ煙草製造ニ支
9
障ヲ來ス虞アル次第デアリマス、斯カル狀
況ニ顧ミマシテ、煙草用卷紙ニ付キマシテ
之ガ生產ノ確保ヲ圖ルト共ニ、本邦竝ニ圈
内各地域ニ對スル配給ノ適正圓滑ヲ期スル
ガ爲、煙草用卷紙ニ付キマシテ專賣制度ヲ
實施セムトスルモノデアリマス、今煙草用
卷紙專賣ノ內容ニ付其ノ〓略ヲ御說明致シ
マスレバ、先ヅ煙草用卷紙ノ製造ニ付キマ
シテハ、特ニ政府直營工場ヲ設タルコトナ
ク、現在ノ民間製造業者ニ其ノ製造ヲ許可
シ、其ノ有スル設備、技術及多年ノ經驗ヲ
高度ニ活用致シタイ考デアリマス、斯クシ
テ生產セラレマシタル煙草用卷紙ニ付キマ
シテハ、相當ナル賠償金ヲ交付シタル上、政
府ニ於テ總テ之ヲ收納スルコトトシ、其ノ
製品ハ本邦ノ所要ニ充テマス外ハ、總テ共
榮圈內各地域ニ對シマシテ、各地ノ煙草製
造數量ニ應ジテ圓滑適正ナル供給ヲ圖ルヤ
ウニ致シタイノデアリマス、從ッテ其ノ輸出
又ハ移出ニ當リマシテハ之ヲ政府自ラ行フ
カ、又ハ政府ノ命ヲ受ケタル者ヲシテ行ハ
シムル方針デアリマス、尙本專賣ハ煙草ト
ノ不可分的關係ヲ考慮シ、現行煙草專賣法
ノ改正ニ依リ實施セムトスルモノデアリマ
ス、尙此ノ際併セテ煙草耕作等ニ關スル許
可事項ノ簡素化ヲ圖リマスト共ニ、煙草耕
作者ニ對スル罹災補償制度ヲ擴充シ、補償
スベキ災害ノ種類ヲ增加シ、且收穫後ノ災
害ニ對シテモ補償ヲ爲シ得ルガ如ク煙草專
賣法中所要ノ改正ヲ行ハムトスル次第デア
リマス、次ニ鹽專賣法中改正ノ部分ニ付御
說明致シマス、時局ノ緊迫ニ卽應シテ航空
戰力ノ飛躍的增强ヲ圖ルコトハ刻下ノ急務
デアリマスルガ、航空機材ノ重要資源タル
金屬「マグネシウム」航空機燃料ニ缺クベカ
ラザル「ブロム」、、爆藥ノ原料タル加里等ハ、
鹽製造ノ際同時ニ生產セラレマスル苦汁ノ
中ニ相當多量ニ包含セラレテ居ルノデアリ
マス、御承知ノ通リ苦汁ハ所謂鹹水カラ鹽
ヲ採取シマシタル殘液デアリマシテ、鹽ノ
生產ト苦汁ノ生產トハ密接不可分ノ關係ニ
アリマスルノデ、鹽ノ產地ニ配置セラレテ
居リマスル鹽專賣機構竝ニ技術ヲ苦汁生產
ニ付キマシテモ全面的ニ動員シ、鹽ト一體
的關係ニ於テ苦汁ノ增產竝ニ之ガ確保ヲ圖
ルト共ニ、其ノ適正圓滑ナル供給ヲ爲スガ
爲苦汁ノ專賣ヲ實施スルコトトシ、鹽專
賣法中所要ノ改正ヲ行ハムトスル次第デア
リマス、苦汁專賣ノ〓略ヲ御說明申上ゲマ
スルト、先ヅ苦汁ノ製造及ビ其ノ廢止ヲ許
可制トシテ其ノ生產ヲ確保致シマスルト共
ニ、生產セラレマシタル苦汁ハ總テ政府ニ
於テ收納スルコトトシ、必要ナル箇所ニハ
苦汁貯藏槽ヲ新設スル等ニ依リ、之ガ貯藏
管理ノ完璧ヲ期セムトスル次第デアリマス、
而シテ苦汁ノ賣渡ニ付キマシテハ特別ノ機
關ヲ設クルコトナク、需要者又ハ其ノ團體
ニ對シ政府ヨリ直接定價ヲ以テ供給セムト
スルモノデアリマス、尙今囘專賣ト對シマ
スルノハ所謂天然苦汁デアリマシテ、人工
苦汁ニ付キマシテハ其ノ生產ノ實情ニ鑑ミ
專賣品ト爲サザル方針デアルノデアリマス、
以上苦汁ノ專賣ニ付御說明致シマシタガ、
右ノ外今囘ノ鹽專賣法改正ニ當リマシテハ
自家用鹽ノ製造ニ關スル制限ヲ緩和スル等
ノ爲、所要ノ改正ヲ併セテ行ハムトスル次
第デアリマス、以上十一件ノ法律案ニ付キ
マシテ何卒御審議ノ上御贊成アラムコトヲ
御願ヒ致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=2
-
003・東郷安
○委員長(男爵東〓安君) チヨット速記ヲ
止メテ··
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=3
-
004・東郷安
○委員長(男爵東〓安君) 速記開始、本日
若シ大體ノ御質問ガゴザイマスナラバ、若
干時間ガゴザイマスカラ、ドウゾ御質疑ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=4
-
005・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 段々戰局ノ進展ト共ニ
臨時軍事費ガ累加シテ參リマス、其ノ財源
ト致シマシテ公債ガ段々多クナッテ參リマ
ス、公債發行ト國力ノ關係ニ付キマシテハ、
從來國民トシテ種々關心ヲ持ツテ居ル次第
デアルノデアリマスルガ、今ヤ國債ガ非常
ニ巨額ニ達シテ參リマシテ、旁〓租稅等モ
累加シテ參リマシテ、國民ノ生活ニ加ヘラ
レル負擔ハ增加スルノデアリマスルガ、
面國民ハ能ク此ノ苦痛ニ耐ヘマシテ、必勝
ノ態勢ニ邁進シツヽアル次第デアリマス、
一方國民ノ貯蓄奬勵、又其ノ奬勵ニ伴ヒマ
シテ國民モ能ク進ンデ貯蓄ニ應ジテ居ル次
第デゴザイマス、國債ノ發行限度ト國力ト
云フコト、國民經濟ノ力ト云フコトハ不可
分ニ考ヘラレテ居リマスノデ、衆議院ノ豫
算總會等ニ於キマシテモ、若シクハ赤字公
債ノ法律案委員會ニ於キマシテモ、國力、
換言シマスレバ國民貯蓄、又國民ノ生產力
ト申シマスルカ、ソレガ大分問題ニナッテ
居ルヤウデゴザイマス、國債ノ發行ノ裏付
トナリマスル國民貯蓄ノ推定高、國民貯蓄
ト申シマスルカ、生產高ト申シマスルカ、
ソレヲ大藏大臣ハ確カ八百億トカ七百億ト
カ御答辯ニナツタヤウニ空ニ記憶致シテ居
リマスルガ、左樣ニ了解シテ宜シウゴザイ
マセウカ、若シ此ノ際財政當局カラ之ニ關
シマシテ御話ヲ伺ヘマスレバ仕合セニ存ジ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=5
-
006・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 只今臨時軍事費
增加ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、租稅、國債ノ發
行等ニ付キマシテ御話ガ出マシタノデアリ
マスルガ、衆議院ニ於キマシテモ色々其ノ
事ハ各種ノ會合デ御質問モアリマシテ、政
府トシテモ御答ヲ致シタノデアリマス、只
今仰セニナリマシタ點ニ付キマシテハ、衆
議院ニ於キマシテ御答ヘ致シマシタノハ、
昭和十九年度ノ國民所得ノ大體ヲ六百億ト
抑ヘルト云フコトヲ御答ヘ致シタ筈デアルノ
デアリマス、昭和十七年度ニ於キマシテハ
四百五十億、昭和十八年度ニ於キマシテハ
約五百億ト云フコトデ御說明ヲシテ參ッテ居
ルノデアリマス、昭和十九年度ニ於キマシ
テハ各種生產ノ增强、或モノニ付キマシテ
ハ飛躍的增强ヲ計畫シテ居リマスヤウナ關
係モゴザイマシテ、國民所得ノ大體ノ額ハ
六百億デアルト云フコトヲ御說明申上ゲタ
ノデアリマス、其ノ內容ニ付キマシテモ色
色ノ區分ハ大體ハ御說明申上ゲタコトニナッ
テ居ルノデアリマシテ、來年度ハ政府ノ財
政資金中、公債ニ仰グベキモノ、竝ニ生產
擴充資金ノ豫定額等ヲ合算致シマスレバ、
約三百五十億程度ノ國民貯蓄ノ增强ヲ目標
トスル必要ガアルノデアリマス、是ハ御承
知ノ通リ昭和十八年度ニ於キマシテハ二百
七十億ノ目標ヲ揭ゲマシテ、目下其ノ達成
ニ努力致シテ居ルノデアリマスガ、ソレニ
相當スル數字ハ大體ニ於テ三百五十億程度
ニ相成ル見込デアルノデアリマス、先程モ
仰セノ通リ事變以來巨額ノ戰費ヲ支辨シテ
參リマシテ、今囘先日御協賛ヲ仰ギマシタ
臨時軍事費ノ追加三百八十億ヲ合計致シマ
スレバ、千百二十億ニ達スル巨額ノ戰費ヲ
支辨シテ參ッタノデアリマス、此ノ戰費ノ
支辨ニ付キマシテハ、只今仰セニアリマシ
タ如ク、全ク國民ノ努力ニ俟ツ所ガ多イノ
デアリマス、今後戰費ノ益〓增加シ、又國民
貯蓄ノ增强ニ努ムベキ額ノ增加スルニ伴ヒ
マンチー國民ノ協力ヲ仰グベキ點ガ非常ニ
多イト考ヘルノデアリマス、昭和十八年度
ノ貯蓄目標ノ達成ニ付キマシテハ、必死ノ
努力ヲ以テ目下尙目標ノ達成ニ努メテ居ル
ノデアリマス只今申シマシタヤウナ狀況
デアリマシテ、昭和十九年度ニ於キマシテ
ハ一層巨額ノ國民貯蓄ノ增强ニ努力致サ
ナケレバナラヌト思フノデアリマシテ、
層國民ノ協力ト云フ點ニ付キマシテハ之ヲ
恃ム程度ガ段々强クナッテ來ルヤウナ次第
デアルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=6
-
007・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 此ノ際若シ伺フコトガ
出來マスレバ、此ノ點モ御伺ヒシテ見タイ
ト思ヒマス、所謂戰時工業ニ伴ヒマシテ新
興階級、新タニ興ル階級ト云フコトヲ俗ニ
申シテ居リマス、新タニ重工業等ニ從事ス
ル爲ニ、從來ヨリモ非常ニ收入ヲ增加シテ
居ル階級ト云フコトガ新聞等ニモ俗ニ申サ
レテ居リマス、是等ノ新興階級ノ所得トナ
リマスヤウナ所得額ノ大體ノ推定ハ如何ナ
モノデゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=7
-
008・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 只今御話ノ所謂
新興所得階級、別ニ門戶ヲ張ル譯デモナク、
邸宅ガ立派ナ譯デモナイ方面ニ於キマシテ、
所得ノ增シタ方ガ非常ニ多イト云フコトハ
我々モ認メテ居ルノデアリマシテ、今囘增
稅ヲ計畫スル際ニ於キマシテモ、其ノ方面
ノ所得カラ租稅ノ收入ヲ求メルト云フヤ
ウナ點ニ付キマシテハ、色々若干ノ措置ヲ
講ジタノデアリマスルガ、是ハ全體ヲ捕捉
スルト云フコトガナカ〓〓困難デアリマシ
テ、ソレハ從來銀行、例ヘバ金融機關ノ店
舖ニ致シマシテモ、預貯金ノ集リマスルノ
ガ、從來繁華デアッタト思ハレル所ヨリモ、
却テ從來ハ金融機關トシテ割合輕ク見テ居
リマシタヤウナ所謂場末ノ所ニ於テ吸收ガ
盛ンニ行ハレルト云フヤウナ點デ、新興所
得階級ナルモノガ其ノ邊ヲ目指スベキモ
ノデアルト云フコトハ分ルノデアリマスル
ガ、此ノ所謂新興所得ノ階級ノ手ニ落チタ
モノガドノ位ノモノデアルカト云フヤウナ
コトニ付キマシテハ、是ハ當局ト致シマシ
テ極ク大雜把ナコトヲ見當ヲ立テル、腰ダ
メヲ立テルヤウナコトハ致シテハ居リマス
ガ、ソレヲ捕捉致シマシテ纏メマシテ、大
體是々ト云フコトヲ申上ゲマスル迄ニハ
至ッテ居ラナイノデアリマシテ、纏メテ御答
ヘ致シマスルコトハ、公ノ席デ申上ゲマス
ルヤウナ資料トシテハ未ダ整ッテ居ラナイ、
斯樣ナ狀況デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=8
-
009・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 チヨット伺ヒタイノデス
ガ、六百億ノ國民ノ所得ガアルト云フ政府
ノ御調査デアリマスガ、其ノ內容ハドウ云
フコトニナッテ居リマスルカ、若シ御差支ガ
ナケレバ伺ヒタイト思ヒマス、尙又國民ニ
公債ヲ所有サスト云フノニ至リマシテモ、
只今質問ニナリマシタ如ク、新興所得者ニ
相當課稅或ハ公債ヲ負擔サスト云フコトガ
必要デアラウト思フノハ、從來ノ戰時以外
ノ商工業者ト云フモノハ殆ド今日ハ失業シ
テ居ル、從ッテ從來ノ所得ニ依ッテ生活シテ
居ルト云フ者モ段々生活ハ窮迫シテ來ル譯
デス、縮マッテ來ルト云フノデアリマシテ、
斯ウ云フ時局以前ノ中產階級ニ此ノ以上ノ
公債其ノ他ノ負擔ヲ請求スルト云フコトモ
隨分困難デアラウト思ヒマス、然レバソレ
等ノ、政府ガ時局ノ爲ニバラ撒カレタ金ヲ
囘收スルト云フコトニハ、戰時ニ關係シテ
居ル工業、或ハ其ノ工業ニ屬シテ居ル階級
或ハ勞働者ニ負擔サス方法ヲ講ジテ、撒イ
タモノヲ又國家ガ之ヲ囘收スルト云フ方法
ハ無論御採リニナッテ居ラウト思ヒマス
ガ、其ノ點ニ付テ此ノ六百億ノ國民ノ所得
ノ內容ガ分リマスレバ、凡ソ見當モ附カウ
ト思ヒマス、凡ソ國民ノドウ云フ階級ニ此
ノ六百億ト云フモノヲ割當テテゴザルカ、
伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=9
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010・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 御答ヘ致シマス
ガ、國民所得六百億ト云フコトニ大體ノ見
當ヲ立テテ居ルノデアリマシテ、此ノ算定
ノ方法ニ付キマシテハ、物的ノ所得ト、ソ
レカラ用役ノ勤勞所得、振替所得及海外事
業及勞務利益等ヨリ成ッテ居ルト云フ大體
ノ見方ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、是ハ
只今ノ所デ、其ノ中デ如何ナル部分ガ何億
デアル、如何ナル部分ガ何億デアルト云フ
コトノ詳細ナル算定ハ、只今マダ致シテ居
ラナイノデアリマシテ、極ク大體ノ見當ヲ
六百億ト云フコトニ致シタノデアリマス、
物的ノ所得ト云フモノガ矢張リ一番重キヲ
爲スノデアリマスルガ、是ハ物資ノ生產、
輸送、配給等ニ伴ッテ生ズル所得ト云フノ
デアリマシテ、此ノ物的ノ所得ト云フモノ
ガ國民所得ノ大部分ヲ占メテ居ル譯デアリ
マシテ、內容トシマシテハ、農林、水產、
工鑛業等直接ノ生產カラ生ズル所得ノ外運
輸通信、物資ノ配給、斯ウ云フヤウナモ
ノノ所得モ含ンデ居ルノデアリマシテ、是
ハ各種ノ生產統計等カラ算出致シマシテ、
結論ノ細カイ數字ガ出來上ルノデアリマス
ガ、只今六百億ト致シマシテ、極ク大體ノ
見當ヲ立テテ居ル程度デアリマス、御話ノ
如ク新興ノ所得階級ノ收入ト云フモノ、租
稅ノ點カラモ公債ノ直接消化ノ點カラモ、
十分考慮ニ入レルベキコトハ全ク御同感デ
アリマシテ、此ノ公債ノ割當等ニ付キマシ
テモ、極ク元ノ平和ノ時代ノヤウナ標準デ
以テ割當ヲ致シマスルニ止メテ居リマス場
合ニ於キマシテハ、意想外ノ不均衡ト云フ
モノガ是ハ生ジテ來ルノデアリマス、矢張
リ實際此ノ時局デ產業方面デ實際ノ收入ノ
增シタ方面、之ニ眼ヲ著ケナケレバナラヌ
ト云フコトハ全ク其ノ通リデアリマシテ、
我々ト致シマシテモ此ノ所謂職域ノ消化、
特ニ非常ニ多忙デアル產業方面ノ工場等ニ
於テ其ノ消化ヲ圖リ、國民貯蓄ノ增强ヲ圖
ルト云フ點ニ付キマシテハ、大イニ力ヲ入
レテ居ルノデアリマシテ、其ノ產業方面ノ
理事者等ニ對シマシテモ極力協力ヲ仰ギマ
シテ、又我々ノ方カラモ直接其ノ方面ニ出
テ參リマシテ、貯蓄ノ增强ニ努メテ居ルノ
デアリマシテ、生產增强ノ統計等カラ物的
ノ所得ノ方面デ、大體ドノ事業ニサウ云フ
勞銀ノ所得ガ多イト云フヤウナ見當ガ出來
上リマシタ場合ニハ、勿論ソレモ參考ト致
シマシテ御話ノアリマシタ所得ノ新タニ殖
エテ居ルト云フ階級ニ對シテ、此ノ國民貯
蓄ノ增强ノ方面ニ一層强度ニ負擔シテ戴ク
ト云フコトニ付キマシテハ、今後共一層努
力ヲ致ス考デ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=10
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011・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 チヨット御伺ヒ致シマ
スガ、十八年度ノ國民貯蓄ノ目標ハ二百七
十億ト云フコトニナッテ居リマスルガ、現在
迄ノ其ノ實績ハドンナ風ニナッテ居リマス
カ、完全ニ二百七十億ヲ本年度內ニ貯蓄セ
シメルコトヲ得マスルカドウカ、其ノ點ヲ
先ヅ伺ヒタイト思ヒマス、而シテ十九年度
ハ國民所得ヲバ六百億ト御推定ニナリマシ
テ、サウシテ之ニ對シテ國民貯蓄ヲバ三百
五十億ヲ目標トセラレタヤウデアリマスガ、
サウ致シマスルト十九年度ハ八十億ノ增額
ト云フコトニナリマスガ、八十億ノ增額ト
云フコトハナカ〓〓大キナモノダト思ヒマ
スガ、是亦只今ノ御推定デハ確實ニ消化シ
得ルト云フ風ニ御考ニナッテ居リマスカ、此
ノ點モ併セテ御伺ヒ致シタイト思ヒマス、尙
モウ一ツハ稅務官吏ノ增員ヲバ十八年度ニ
於テモオヤリニナッタヤウデアリマスガ、本
年度モ亦其ノ御意向ノヤウデアリマスガ、
此ノ稅務官吏ノ增員ノ成績、サウ云ッタ方
面ノコトニ付テ御差支ナイ程度デ結構デア
リマスカラ御說明願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=11
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012・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 國民貯蓄ノ增强
ノ狀況ニ付テノ御質問ニ對シテ御答ヘ致シ
マスルガ、十八年度ノ二百七十億、是ハ貯
蓄ノ目標トシテ當初カラ揭ゲテ參ッタノデ
アリマスルガ、年度ノ途中ニ於キマシテ、
米ノ代金ノ上リマシタコト、其ノ他、地方
農村ニ流出シマシタ政府ノ資金等ノ關係カ
ラ致シマシテ、其ノ二百七十億ノ外ニ特別
ノ貯蓄計畫ヲ更ニ附加へテ盛ッテ居ルノデ
アリマシテ、我々ト致シマシテハ一一百七十
億ハ勿論、更ニソレヨリモ以上ノモノヲ是
非共達成シナケレバナラヌト、斯樣ニ考ヘ
テ居ルノデアリマス、其ノ最近迄ノ狀況ニ
付キマシテハ、氏家國民貯蓄局長ガ參ッテ居
リマスノデ、直接申上ゲルコトニ致シタイ
ト思ヒマスガ、昭和十九年度ニ至リマシテ
ハ、更ニ貯蓄ノ目標額ヲ一段ト高ク揭ゲル
コトニ相成ルノデアリマス、是ハ勿論、直接
消化ノ方面モ一層國民各位ノ御協力ヲ仰ガ
ナケレバナリマセヌガ、其ノ部分ダケデハ
ナイノデアリマシテ、其ノ他ノ部分モ合シ
テ、國民貯蓄ノ增强額ガ三百五十億ニ上ル
譯デアリマスノデ、我々ト致シマシテハ是
非共來年度ノ此ノ目標額ハ達成シナケレバ
ナラヌト、堅イ決心ヲ懷イテ居ルヤウナ次
第デアリマス、尙稅務官吏ノ增員ノコトニ
付テノ御尋ネガゴザイマシタノデアリマス
ルガ、昭和十八年度ニ於テモ增員致シマシ
タガ、今囘ノ增稅ニ伴ヒマシテ、昭和十九
年度ニ於キマシテモ稅務官吏ノ增員ト云
フコトヲ御願ヒ致シタイト考ヘテ居ルノデ
アリマス、此ノ狀況ニ付キマシテハ、最近
ニ於キマシテハ稅務官吏ノ手不足ノ爲ニ色
色調査ノ屆カナイ點ガ出テ參ッテ居ルノデア
リマシテ、稅務行政ノ複雜化ニ付キマシテ
ハ、御承知ノ通リ課稅ノ方面ニ於テ複雜ヲ
加ヘテ居リマスルト同時ニ、色々戰時ニ於
ケル臨時措置トシテ免稅、非課稅等ノ、申
サバ消極的ノ行政方面ニモ非常ニ手ガ要ル
ノデアリマシテ、ソレガ爲ニ十八年度ニ增
員ヲ戴キマシタケシドモ、稅務行政ノ方ハ
ナカ〓〓屆キマセヌ、人手ガ足リマセヌト
云フト、調査不十分ニシテ御迷惑ヲ掛ケル
ヤウナコトモ多々アルノデアリマス、今囘
ハ增稅ノ法律案ノ中ニ稅務行政ノ簡素化ト
云フコトヲ一ツノ大キナ狙ヒト致シマシテ、
各種ノ規定ヲ設ケテ居ルノデアリマスルガ、
ソレニ致シマシテモ、現在ノ人員ヲ以テシ
マシテハ到底完全ニ十分ナ調査ヲ遂ゲ、公
正、的確ナル課稅ヲ致スト云フコトハ困難
デアリマス、更ニ增員ヲ要求致シテ居ルヤ
ウナ次第デゴザイマスルガ、若シ是ガ戴ク
コトガ出來マスナラバ、直接稅ノ方面モサ
ウデアリマスガ、間接稅ニ付キマシテモ、
物品稅、遊興飮食稅等ニ付テ行ハレテ居リ
マスル所ノ徵稅上ノ色々ノ御注意ノ點、議
會ニ於テモ始終承ルノデアリマスガ、サウ
云フ御注意ノ點ニモ人員ヲ分ケルコトガ出
來マシテ、從來ヨリハ一層適正ナコトガヤッ
テ行ケルト云フ風ニ考ヘテ居ル次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=12
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013・氏家武
○政府委員(氏家武君) 昭和十八年度ノ國
民貯蓄ノ增加實績ニ付テ御尋ガアリマシタ
ガ、今日迄判明致シテ居リマスノハ上半期
分デアリマシテ、下半期ノ中ノ第三四半期
ノ實績ハ、實ハモウ數日デ大體纏マル積リ
デアリマス、上半期ノ方ハ既ニ御承知ノヤ
ウニ、百三十七億五千四百萬圓ト云フ數字
ヲ發表致シテ居ルノデアリマス、前半年ダ
ケデ二百七十億ノ半以上ヲ達成シタノデア
リマスルカラ、之ヲ昭和十七年度ニ較ベマ
スルト、大體順調ナ成績デアルト云フコト
ガ申上ゲ得ルト思フノデアリマス、尙此
ノ數字ハ、其ノ後實績ガ判明シタノモアリ
マシテ、多少ソレヨリ增加致シテ居ルト見
テ居リマス、第三四半期ハ、只今申上ゲマ
シタヤウニ、ハッキリシタコトハコヽ數日ヲ
待タナケレバ申上ゲルコトガ出來ナイノデ
アリマスルガ、大體大雜把ナ所デ八十億位
ハ出來テ居ルト思ッテ居リマス、或ハソレヨ
リ多少多クナルカモ知レナイト思フノデア
リマス、左樣ニ致シマスト云フト、上半期
ガ百三十七億餘リ、ソレニ第三四半期ガ、
假ニ八十億ト云フコトニ致シマスト云フト、
ソコデ二百十七億ト云フヤウナモノガ出テ
參ルノデアリマス、第四四半期ハ、昭和十
七年度ノ第四四半期ト假ニ同額出來ル、斯
ウ云フ風ニ致シマスト云フト、昨年度ニ於
キマシテハ五十五億圓出來タノデアリマス
カラ、二百七十億ト云フ目標ハ達成ガ間違
ヒナイヤウニ大體考へテ居ルノデアリマス、
但シ只今次官カラモ申上ゲマシタヤウニ、實
ハ昭和十八年度ニ於テハ一一百七十億ノ目標
達成ダケデハ十分デナイノデ、米價引上等ニ
伴フ農家收入ノ增加、或ハ企業整備ニ伴ッテ
放出サレマシタ資金ノ中ノ一部分、是等ハ
目標外ニ置イテ、是非共捕捉シタイト云フ
考デ居リマスノデ、勿論目標以上ニ相當超
過スルコトヲ目途ト致シマシテ、目下頻リ
ニ努力ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリマス、
モウ各府縣ニ割當テマシテ目標額ナドヲ見
マシテモ、旣ニ十二月迄ニソレ〓〓ノ割當
額ヲ、一年分ノ割當額ヲ突破シタト云フヤ
ウナ報〓ノ出テ居リマス府縣モ十縣以上ア
ルヤウナ次第デアリマシテ、只今迄ノ所ハ、
先ヅ大體順調ナ經過ヲ辿ッテ居ルト云フコト
ガ申シ得ルト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=13
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014・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 只今ノ御說明デ、十八
年度ノ國民貯蓄二百七十億ノ目標達成ハ確
實デアリ、確信ガアルト云フ御答辯ヲ得マ
シテ大イニ安心致シマシタ、ドウカ特ニ
御努力ヲ御願ヒシ、是非共達成ヲシテ戴キ
タイト思ヒマス、就キマシテハ十九年度ハ
三百五十億ト云フコトニナリマシテ、雨上
十八年度ニ比較シマシテ八十億圓ノ增額ト
ナリマスカラ、ナカ〓〓困難デアラウカト
思ヒマス、仍テ此ノ三百五十億貯蓄完成ニ
對シマシテ、何カ新規ナ方法ヲ御採リニナ
ル御考ハナイノデアリマセウカ、富籤問題
トカ、色々ナコトモ噂ニハ聞イテ居リマス
ルガ、何カ新シイ方法ハ十九年度ノ國民貯
蓄目標達成ノ爲ニ御採リニナル御意思ハナ
イノデアリマセウカ、其ノ點ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=14
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015・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 十九年度ニ於キ
マスル國民貯蓄ノ增强ノ方策ニ付キマシテ
ハ、色々各方面カラ御智慧ヲ拜借致シテ國
民貯蓄奬勵委員會ト云フモノガゴザイマス
ルガ、ソコデ色々又御意見モ伺ヒマシテ、
具體的ノ方策ヲ立テテ參リタイト思フノデ
アリマスルガ、此ノ貯蓄ノ增强ニ備ヘマシ
テ、先程御說明致シマシタ臨時資金調整法
中改正案ヲ提出致シテ居ルノデアリマス、
其ノ中ニゴザイマスルヤウニ、色々長期ノ
預貯金等ヲ致シテ居ラレマス方ニモ不安ノ
ナイヤウニ致シマシタリ、又代表者ヲ立テ
テ貯蓄ヲ致シマスル、謂ハバ合同貯蓄ト申
スベキヤウナ制度ヲ設ケマシタリ、色々サ
ウ云フコトヲ臨時資金調整法中改正法律案
ニ盛リ込ンデ居ルノデアリマスルガ、又貯
蓄組合ノ增强等モ致シテ居ルノデアリマス、
併シナガラ之ヲ大觀致シマスレバ、非常ニ
變ツタ奇策ト云フヤウナコトハ考ヘテハ居
リマセヌノデアリマシテ、大體ト致シマシ
テハ從來ノ方法ノ輪郭ノ中デ一層ノ努力ヲ
致ス考デアルノデアリマス、斯ウ云フ相當
巨額ノ貯蓄ヲ致シ、國民貯蓄ノ增强ヲ計畫
スルト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、其
ノ他ノ經濟上ノ問題ニ付キマシテモ同樣デ
ゴザイマスルガ、餘リ奇拔ナ方法ニ依ッテ
ヤリ遂ゲルト云フコトハナカ〓〓ムヅカシ
イノデアリマシテ、矢張リ常道ヲ辿リマシ
テ、不撓不屈ノ努力デ手堅クヤッテ行クヨ
リ外ニヤリ方ハナイト云フコトヲ大體ノ考
ヘ方ト致シテ居ルノデアリマス、併シ細部
ノコトニ付キマシテハ、只今申上ゲマシタ
ヤウニ、貯蓄關係ノ法律ニ改正ヲ加ヘマシ
テ、從來ノ大體ノ輪郭ノ中デ制度ノ網ノ目
ヲ細カクシ、又足リナカッタ點ヲ補ヒマシテ、
一層貯蓄ノ增强ニ遺憾ノナイヤウニ致シタ
イト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=15
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016・東郷安
○委員長(男爵東〓安君) 別ニ御發言ハゴ
ザイマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=16
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017・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 此ノ歲出ノ豫算ト云フモ
ノハ、目下物價ガ騰貴シテ居リマスルガ、
例ヘバ十七年度ヨリ十八年度ノ方ガ物價ガ
高クナッテ居ル、十九年度ニナレバ增稅デ消
費稅ガ殖エタダケデモ、煙草トカ其ノ他ノモ
ノモ高クナル、シテ見ルト、自然品物ガ少
クナッテ居ル爲ニ物價ガ上リツヽアル、サウ
シテ物價ノ騰貴ト云フモノハ、矢張リ歲出
ノ豫算ニ於テモ、騰貴ハ勘定ニ入レテ其ノ
歲出豫算ノ財源ガ出來テ居ルモノト思フノ
デアリマスガ、其ノ物價ハ十八年度ヨリ見
レバ十九年度ハドノ位、政府カラ見ラレタ所
デハ上ツテ居リマスカ、ソレヲ伺ヒタイノ
デアリマス、十八年度カラ十九年度ニ掛ケ
テ比較シテ見ルトドノ位物價ガ上ッチョコレ
カ、其ノ物價ノ騰貴ト云フモノハ歲出ニ見
込ンデゴザルカドウカト云フコトヲ伺ヒタ
イノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=17
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018・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 御尤モデアリマ
シテ、政府ノ歲出ノ中ニモ、物價ノ關係ハ、
矢張リ最近ノ狀況ヲ織込ンデ、所謂勘定ニ
入レテ豫算ヲ組ンデ居ルノデアリマス、ソ
レヲ更ニ申上ゲマスト、御承知ノ通リニ歲
出ノ豫算中ニハ、人ノ給料デゴザイマスト
カ手當ト云フヤウナ人ニ關スルモノト、ソ
レカラ物ニ關スルモノト、二通リアラク分
ケマシテゴザイマス譯デアリマス、人ニ關
スルモノニ付キマシテハ、是ハ制度上俸給額
其ノ他ガ決ッテ居リマスノデ、ソレノ改正
ガナケレバ、從來ト同ジモノヲ政府ノ役人
ノ人數ダケニ割當テテ組ンデ參ル譯デアリ
Na,物ノ方ノ關係デアリマスルガ、
物ノ方ノ關係ニ付キマシテ只今御話ノ
ヤウナ問題ガ表面ニ現レテ參ルノデア
リマス、物ノ方ニ付キマシテモ、一々個々
ノ物品ヲ購入致シマス場合モゴザイマスル
ガ、又土木營繕ト云フヤウナモノガ經費ト
致シマシテハ非常ニ大キイ譯デアリマ
ス、役所デ墨ヲ買ヒマストカ、紙ヲ買ヒマ
ストカ、具體的ニ物ヲ買フ場合モゴザイマ
スルガ、ソレ等ノ經費ヨリモ土木トカ營繕
トカ云フ方ガ、矢張リ場合ニ依リマシテ
ハ數億ニモ達シマシテ、經費トシテハ多イ
ノデアリマス、役所ノ中デ色々日用品ヲ
買ヒマスヤウナモノニ付キマシテハ、是ハ
經費ノ組ミ方ガ、紙墨幾ラ、炭團ガ幾ラト
云フヤウナコトニ細々ト其處迄ハ參ッテ居
リマセヌノデアリマシテ、ソレ等ノ經費ニ
付キマシテハ、是ハ每年大體ニ於テ決ッタ
事務費ガアリマシテ、此ノ事務費ノ中デ調
辨ヲ付ケテ參リマスノデ、特ニ物價ノ關係
ヲ顯著ニ現スヤウナ場面ハナイノデアリマ
ス、土木營繕ノ方面ニ付キマシテハ、ドウ
シテモ只今御話ニナリマシタヤウナコトヲ
考慮ニ入レナケレバナラヌ、ドウシテモサ
ウ云フ關係ガ出來テ來ルノデアリマス、只今
私ハ手許ニ、例ヘバ鐵筋「コンクリート」ノ
家ヲ建テマスノニ、坪當リ、十八年度ニハ
何百圓ト見タガ、十九年度ハ之ヲ何百圓ト
見テ居ルト云フヤウナ材料ハ持ッテ居リマ
セヌガ、サウ云フヤウナ坪當リ單價ト云フ
モノニ付キマシテハ、十九年度ニハ十九年
度ニ適當ト思ハレルヤウナ多少ノ物價關係
ヲ考慮ニ入レマシテ、新シイ豫算ノ實行シ
テ行ケルヤウナ單價ニ組ンデ居ルノデアリ
そう、併シナガラ御承知ノ通リ此ノ土木營
繕等ニ付キマシテモ、十九年度ニ新タニ計畫
ヲ起シマシタ土木營繕ト、ソレカラ兩三年
前カラ繼續的ニ所謂繼續費トシテヤッテ來
テ居リマスル土木營繕トガアルノデアリマ
シテ、從來カラ繼續費デヤッテ來テ居リマ
スモノニ付キマシテハ、二三年前、遠キハ
四五年モ七年モ前ノ其ノ當時ノ單價デ組ン
ダノデアリマスガ、ソレヲ一々訂正致シテ
參リマスコトハ、豫算ノ技術上煩ニ堪ヘマ
セヌノデ、ソレ等ノ部分ニ付キマシテハ從
來ノ當初ソレヲ組ンダ時ノ單價デ其ノ儘
參ッテ居リマス、併シ十九年度カラ新タニ始
メマスル土木營繕等ニ付キマシテハ、矢張
リ十八年度ニ比シマシテ、色々ノ事情ヲ考
慮シマシテ若干ノ引上ヲ致スト云フ措置ハ
執ッテ參ッテ居ルノデアリマス、要シマスル
ニ只今御話ノ要點ト致シマシテ、サウ云フ
點ガ所謂勘定ニ入レテアルカドウカト云フ
點デアリマスガ、其ノ點ニ付キマシテハ
只今申上ゲマシタヤウニ考慮ニ入レマシテ
歲出ヲ組ンデ居ルト、斯樣ナ次第デゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=18
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019・東郷安
○委員長(男爵東〓安君) 別段御發言ゴザ
イマセヌカラ、本日ハ此ノ程度ニ致シテ置
キタイト思ヒマス、本日ハ之ヲ以テ散會致
シマス
午前十一時四十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長男爵東〓安君
副委員長子爵梅園篤彥君
委員
侯爵大隈信常君
侯爵淺野長武君
伯爵橋本實斐君
子爵今城定政君
子爵米田國臣君
大野綠一郞君
坂西利八郞君
男爵倉富鈞君
稻畑勝太郞君
千石興太郞君
佐々木八十八君
伊藤傳七君
中島德太郞君
大谷五平君
政府委員
臺灣總督府財務局長高橋衞君
大藏次官谷口恒二君
大藏省國民貯蓄局長氏家武君
大藏省理財局長田中豐君
大藏書記官窪谷直光君
同松崎健吉君
專賣局長官濱田幸雄君
專賣局理事濱田德海君
同深澤家治君
文部書記官柴沼直君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008401699X00119440129&spkNum=19
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