1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
農林中央金庫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)(第二六號)
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昭和二十年二月五日(月曜日)午後二時十八分開議
出席委員左の如し
委員長 高橋熊次郎君
理事 赤城宗徳君 理事 愛野時一郎君
理事 小笠原八十美君 理事 恒松於莵二君
吉植庄亮君 馬岡次郎君
小高長三郎君 唐橋重政君
木村寅太郎君 黒澤酉藏君
小山邦太郎君 齋藤憲三君
土屋源市君 野村嘉久馬君
平野力三君 松浦伊平君
前川正一君 村上國吉君
森川仙太君 山口左右平君
山口馬城次君 吉田賢一君
出席政府委員左の如し
農商參與官 長野高一君
農商省總務局長 楠見義男君
農商省農政局長 西村彰一君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
農林中央金庫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=0
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001・高橋熊次郎
○高橋委員長 是ヨリ開會致シマス、
此ノ場合豫テ保留サレテ居リマス事項
ニ對シ政府委員ノ御答辯ガアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=1
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002・西村茂生
○西村政府委員 此ノ前甘藷ノ增產計
畫ノ內容ノ中デ御尋ネガゴザイマシタ
ガ、此ノ際甘藷ノ增產ハ最モ緊要ナル
問題デアリマスノデ、其ノ增產計畫、
豫算ノ關係、加工施設ノ關係、其ノ他
其ノ徹底シナケレバナラナイヤウナ事
項等ニ付テ申上ゲタイト思ヒマス
第一ニ增產ノ作付ノ計畫デアリマス
ガ、今囘ノ增產計畫ニ於キマシテハ、
作付面積五十四萬八千六百六十町歩ト
云フ作付面積ヲ確保致シマシテ、之一
依リマシテ二十七億千一一百萬貫ノ生產
ヲ確保シヨウト云フノデアリマス、其
ノ內容ト致シマシテハ普通畑ニ於キ
マシテ四十二萬九千五百町步ノ作付ヲ
確保致シマシテ、之ニ依ツテ二十二億
五千二百萬貫ノ生產ヲ擧ゲヨウト云フ
ノデアリマス、昭和十九年度ノ甘藷ノ作付
ノ實績ハ三十四萬町步デアリマシテ、
之ヲ四十二萬九千町歩ニ上ゲマスコト
ニ、綜合作付計畫ヲ實行致シマシテ、
ソレ〓〓必要ナル重要食糧作物ヲ植ヱ
テ居リマスノデ、甘諸ニシテ一擧ニ之
ヲ四十二萬九千町步ニスルト云フコト
ニ付テハ相當ナ困難ガアツタノデアリ
マスガ、今年ハ特ニ陸稻ニ付キマシテ、
陸稻十一萬町步ノ內約三萬四千町歩ノ
モノヲ、之ヲ諸ニ轉換スルト云フコト
三八、又小豆ノ栽培面積八萬九千町步
ノ內一萬二千八百町步ト云フモノヲ、
之ヲ陸稻ニ轉換スルコトニ致シタノデ
アリマス、陸稻モ勿論必要デアリ、小
豆モ必要デアリマスルガ、反當ノ万
ロリー」其ノ他ノ收量カラ申シマスル
ナラバ、陸稻ヲ甘藷ニ轉換致シマシタ
方ガ、遙カニ收量ガ多イ、農家ガ供出ヲ
シテ居リマスルモノガ大體三十五、六
萬石位アルノデアリマスガ、其ノ供出
分ニ相當スルモノガ丁度三萬四千町歩
デ作ラレテ居リマス、之ヲ諸ニ轉換ヲ
シ、反當五、六百萬貫ノ收量ヲ擧ゲタ
方ガ陸稻一反步ニ付キ一石一斗前後ノ
モノヨリモ、國家的ニ見テ有利デアル
ト云フヤウナコトデ實行ヲ致シタノデ
アリマス、尙ホ小豆ニ付キマシテモ、
是ガ農民ノ食糧トシテ重要ナモノデア
リマシテ、之ヲ轉換シマスレバソレダ
ヶ食糧ノ穴ガ開ク譯デアリマスガ、是
ハ甘藷畑ノ中ニ小豆ノ間作等ヲヤリ、
更ニ周圍作等ヲ奬勵スルコトニ依リマ
シテ、小豆ノ收量ヲ減ラサナイデ藷ノ
增產ヲ圖ラウ、斯樣ナコトニ致シタノ
デアリマス、此ノ普通畑ノ面積ニ付テ、
農林省デ色々奬勵ヲ致シマシタ優良ナ
ル品種農林一號乃至四號、沖繩百號、
護國等何レモ澱粉質ガ多ク收量ガ多イ
ノデアリマスカラ、此ノ種諸ノ配付、
計畫的ニ種苗ヲ作ルコトニ依リマシテ、
反當二十五貫平均收量ヲ是非トモ擧ゲ
ルコトニ致シマシテ、二十二億五千二
百萬貫ノ生產ヲ確保シヨウト云フノデ
アリマス、尙ホ此ノ外ニ土地改良ニ依
リマスル開畑ノ內藷ニ向ケルモノ五千
九百町步バカリ、又農地開發營團ガ開
畑致シマシテ、マダ入植ノ濟ンデ居ラ
ナイ所ノモノ三千四百町步ト云フモノ
ヲ諸ニ向ケル、又荒蕪地、伐木跡地等
ハ何レモ色々ナ作物ニ利用サレテ居リ
マスケレドモ、此ノ中四萬八千二百八
十町步ト云フモノヲ特ニ藷ニ轉換シヨ
ウト云フコトニシ、又競馬場、學校ノ
庭其ノ他ノ空地利用一萬八千町步ト云
フモノヲ藷ニ轉換スルコトニシ、尙ホ
二年乃至三年ニ必ズ旱魃ガアルト云フ
ヤウナ水田ニハ、寧ロ藷ヲ計畫的ニ植
ヱタ方ガ宜イト云フヤウナコトカラ、
二千三百四十五町步ト云フモノヲ全國
ニ亙ツテ調ベマシテ、之ヲ諸ニ轉換
スルコトニ致シタノデアリマス、
尙ホ此ノ他ニ軍用地等ニ於キマシ
テ、此ノ際諸ノ作付可能ナルモノヲ軍
ノ協力ニ依リマシテ三萬六千町步程ノ
モノヲ藷ノ作付ニ向ケル、斯樣ナコト
ニ致シマシテ、之ニ依ツテ五十四萬八
千六百六十町步ノ面積ヲ確保スルコト
ニ致シマシタ、是ハ旣ニ經濟部長ノ會
議ヲ開キ、府縣ト細カニ折衝ヲ致シマ
シテ、各府縣ガ之ヲ必ズ完遂スルト云
フコトデ面積ヲ引受ケ、各町村ニ向ツ
,
テソレ〓〓町村ノ當事者ト連絡ヲ取ツ
テ、是ダケノ面積ハ必ズ完遂スルト云
フ所ニ進ンデ居リマスルノデ、今種諸
其ノ他ノ關係ヲ準備致シマシテ、雪解
ケヲ待ツテ苗作リニ邁進シテ此ノ計畫
ノ完遂ニ努メヨウ、斯樣ナコトニ致シ
テ居ルノデアリマス
次ニ勞力ノ動員關係ノコトニ付テ御
尋ネガゴザイマシタガ、勞務ノ關係ハ
農村全般ニ非常ニ逼迫シテ居リマスガ、
甘藷ノ是ダケノ增產計晝ヲ進メマス
ルニ付テハ、相當ノ勞力ガ要ルノデア
リマス、殊ニ荒蕪地、空地利用等ヲ開
墾ヲ致シマスルニハ相當ナ勞力ガ要ル
ノデアリマシテ、假ニ延人員ニ致シマ
シテモ、是等ノ土地ノ開墾ダケデ千九
百萬人位ノ勞力ガ新タニ要ルコトニナ
ル譯デアリマス、尙又藷ノ苗作リカラ
作付、收穫、殊ニ加工處理ニナリマスト、
實ニ厖大ナル勞力ガ新シク要ルコトニ
ナルノデアリマス、是等ニ付テハ、從
來ノ農家ニ一層能率ヲ擧ゲテ貰フコト
ガ第一ニ必要デアリマスケレドモ、更
ニ度々申上ゲマシタ甲種、乙種ノ食糧
增產隊ナリ、又學徒ノ動員ナリ、又歸
農家ノ甘諸ノ作付ニ對スル協力ナリ、
又特ニ國民學校ノ生徒等、計畫的ニ之
ヲ動カシマシテ、勞力ノ方面ニ於テ是
等ノ增產計畫ノ完遂ニ支障ヲ來サナイ
ヤウニト云フコトヲ、ソレ〓〓計畫ヲ
進メ、ソレ等ノ豫算的措置ヲ講ジテ居
ルヤウナ次第デゴザイマス
次ニ處理加工ノ施設ニ付テノ御尋ネ
デゴザイマスガ、昭和十九年度ノ生產
實績ハ、豫想收穫高デ大體十二、三億萬
貫デアリマス、是ガ二十七億萬貫ニ相
成ルコトニナリマスト、相當大キナ數
量デアリマス、而モ之ヲ急速ニ處理加
工スルコトガ藷ニ付テハ特ニ必要デア
リマスノデ、其ノ輸送ナリ、處理加工
ニ付テハ、一段ノ努力ヲシナケレバナ
ラヌノデアリマスガ、從來藷ハ生ノ儘
配給ヲシテ食糧ニ供シテ居ルモノガ三
億乃至四億萬貫、ソレカラ切干トシテ
生產セラレテ、是ガ澱粉又ハ「アルコー
ル」等ニ使ハレテ居ツタモノガ三億
萬貫內外ト云フコトデアツタノデゴザ
イマスガ、是等ガ今囘ハ厖六ニ殖エル
コトニ相成ルノデアリマス、ソレデ〓
糧事情等ニ鑑ミマシテ、第一ニ藷ノ早
掘計畫ヲ計畫的ニ進メマシテ、九月カ
ラ十月ノ初メニ掛ケテ特ニ早ク太ル所
ノ品種ヲ奬勵ヲ致シマシテ、之ヲ早掘
リニシテ、之ヲ「アルコール」ニ向ケル
場合モアリ、又都市ノ食糧、蔬菜ノ方ニ
向ケルモノモ、計畫的ニ相當積極的ニ進
メテ參リタイト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、之ニ付テ早掘リシタ爲ニ收量ガ少
クナツテ、價格關係ニ於テ農家ガ損ヲ
來スト云フコトニ付テハ、前ニモ申シ
マシタヤウニ價格ニ付テ特別ノ措置ヲ
講ズルコトヲ考ヘテ居ルノデアリマス
尙ホ切干ニスルモノデアリマスガ、
切干ハ今後非常ニ大キナ數量ニナリマ
スノデ、從來切干ノ機械ガ大體十萬臺位
アルト云フ豫想デアルノデアリマスガ、
此ノ際新タニ十萬臺位ノ切干ノ平切ニ
シマス所ノ機械ヲ町村農業會等ニ廣ク
配付スルコトニ致シマシテ、切干ヲ大
イニ奬勵ヲシテ行ク考ヘデアリマス、
尙ホ切干ニ致シマシテ之ヲ乾燥スル設
備デゴザイマスガ、一千貫ノ切干ヲ作
ルト致シマシテ、之ヲ蓆ニ干スト致シ
マシテモ四、五百枚ノ蓆ニ干サナケ
レバナラヌコトニ相成ルノデアリマシ
テ、是等ヲ簡單ナ「バラック」ノヤウナ
モノデ棚造リニシテ乾燥スルト云フコ
ト、國民學校等ヲ利用スルト云フコト
ニ付テ、是等ノ乾燥設備ヲ廣ク町村部
落ニ設ケルコトニ致シマシテ、目下ノ
所デハ五十萬臺位ノ簡單ナ乾燥設備ヲ
方々ニ設ケヨウト云フコトヲ考ヘテ居
ルノデアリマス
尙ホ次ニ澱粉ノコトデアリマスガ、
從來ノ澱粉設備ノ外ニ、今囘ハ摺込澱
粉ト申シマスカ、粗澱粉ヲ造ル設備ヲ
農業會等ニ廣ク設ケテ貰ヒマシテ、之
ニ依ツテ粗澱粉カラ「アルコール」ノ方
ニ轉換モ出來ルヤウニ考ヘテ居ルノデ
アリマシテ、從來ノ澱粉工場ノ中ニ約
百位ノモノヲ、更ニ摺込澱粉ノ設備ニ擴
充サセルコトニ致シマシテ、其ノ外ニ
六百工場位ノ摺込澱粉ノ工場ヲ全國ニ
設ケマシテ、處理加工ヲ進メテ參リタ
イト考ヘテ居ルノデアリマス、要ス
ルニ切干、摺込澱粉等ハ系統農業會等
ヲ中心ニシテ、諸畑ノ眞中ニ切干ノ乾
燥設備ヤ、摺込澱粉ノ工場ヲ設ケルト
云フヤウナ風ニ進メテ行カナケレバ、
處理加工ガ急速ニハ完遂ガ出來ナイ、
斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、尙又
「アルコール」工場等ノ關係ニ於キマシ
テモ、從來酒造業者トノ關係上、近畿
地方ニ「アルコール」ノ工場ハ比較的多
イノデアリマスガ、關東地方ナリ、或
ハ九州地方ニハ「アルコール」工場ガ少
イノデアリマズ、是モ全國的ニ「アルコー
ル」工場ヲ地方ニ增設ヲ致シマシテ、
是等ヲ摺込、切干、場合ニ依レバ生ノ
モノモ「アルコール」工場ニ於テ處理ノ
出來ルヤウニ、立地的ノ立場ヲ十分ニ
考ヘルコトニ致シタ次第デアリマス
尙ホ豫算ノ關係ニ付テハ、大體御承
知ノコトト思フノデアリマスガ、從來
甘藷、馬鈴薯ノ生產奬勵ノ爲ノ豫算ガ、
從來ノ經費トシテ千二百三十萬圓程ア
リマシテ、是ハ馬鈴薯ニ付キマシテハ
種ヲ取リ、又內地ノ高冷地ニ於テ特ニ
種馬鈴薯ヲ作ルヤウナコトニ相當ナ經
費ガ使ハレテ居ツタノデアリマス、又
薩摩芋ニ付キマシテ優良種苗ヲ作ル爲
ニ、特設苗圃ヲ作ルト云フヤウナコト、
又共同デ苗圃ヲ作ツテ苗ノ配付ヲスル、
斯ウ云フヤウナコトヲ考ヘテ居ル譯デ
アリマシテ、是等ノ經費ガ此ノ千二百
三十萬圓ノ中心ニナツテ居ツタノデア
リマス、又農業團體ノ助成ナリ、地方
ノ府縣ニ甘藷ノ奬勵ノ爲ノ判任官ヲ七
十人程置イテ居ツタノデアリマスガ、
今囘ハ是ダケノ藷ノ增產ヲ進メルコト
ニナリマスノデ、昭和十九年度ノ追加
豫算デ三千九百六十七萬圓ノ經費ヲ要
求シ、昭和二十年度ニ於テ七千五百五
十九萬圓ノ經費ヲ要求致シマシテ、合
計一億千五百萬圓ノ甘諸ノ增產ノ爲ノ
經費ガ要求セラレテ居ル譯デアリマス、
其ノ內容ハ開墾ノ方面ニ非常ナ勞費ガ
掛リマスノデ、開墾ニ特ニ助成ヲ重ク
致シマシテ、七千七百九十萬圓程ハ開
墾ノ助成ノ經費デアリマシテ、從來土
地改良等モ六割ノ助成デアリマスガ、
甘藷ニ付テハ八割ノ助成ト云フコトニ
致シマシテ、早期ニ開墾ヲヤリ、諸
作付ヲ進メヨウト云フノデアリマス、
此ノ開墾ハ簡易開墾等モ含メマシテ、
簡易開墾ニ依リマシタリ、兎ニ角土地
ヲ擴ゲテ早急ニ藷ノ作付ヲスルト云フ
コトヲ考ヘテ居ルノデアリマス
次ニ苗ノ增產ノ施設、特設苗圃ヤ共
同苗圃ニ依リマシテ苗ヲ作ルト云フ經
費ガ約二千萬圓程計上セラレテ居リマ
スルシ、又新シク作付ヲスル場合ニ於
テ、苗ヲ購入スルノニ對シテ無償デ苗
ヲ配付スルト云フ經費モ千四百萬圓程
含マシテ居·ルノデアリマス、此ノ外新
シク作ル所ニハ、作付奬勵金ト云フヤ
ウナモノモ含マレテ居ルノデアリマス、
尙ホ是ダケノ增產計畫ヲ進メルフニ付
キマシテハ、其ノ苗ヲ作付ヲスル所ノ
技術的ノ關係ニ付テ、全國的ニ之ヲ滲
透サセル必要ガアリマスノデ、藷ヲ主
ニ作ツテ居リマス所ノ六千七百町村ニ
付テ、一町村平均三人ノ篤農家其ノ他
ノ技術者ヲ囑託員トシテ配付スルコト
ニシテ、是等ノ經費ガ二百一萬圓程ア
ルノデアリマス、尙ホ地方公共團體ニ
甘藷ノ爲ノ主任官ガ、從來判任官デア
リマシタモノヲ、此ノ際四十人程高等
官ヲ主ナル諸ノ府縣ニ置クコトニ致シ
テ居ルノデアリマス、一億千五百萬圓
ト云フモノハ此ノ藷ノ增產ノ爲ノ直接
ノ豫算デアリマスガ、此ノ外ニ勞務ノ關
係デ甲種、乙種ノ增產隊等ノ活動促進
ノ爲ノ費用ガ四千三百九十二萬圓モ
別ニアリマシテ、總計致シマスナラバ
一億五千八百萬圓ガ甘藷ノ增產ノ經費
ニナル譯デアリマス、尙ホ處理加工ノ
コトナリ、又農村ニ於テ簡易貯藏ヲヤ
ツテ居リマスコトヲ更ニ促進ヲスルト
云フヤウナ經費ハ、是ハ事業ノ促進ニ
伴ヒマシテ、早急ニ豫備金等デ以テ大
藏省ニ交渉シテ考ヘナケレバナラヌト
思ツテ居ルノデアリマシテ、一億五千
八百萬圓ノ經費ハ直接增產ニ要スル經
費デアルコトヲ御諒承ヲ願ヒタイノデ
アリマス
次ニ關係官廳、其ノ運動機關ト云フ
ヤウナコトノ御尋ネガアリマシタガ、
今囘ノ此ノ增產計晝ハ全ク劃期的ノコ
トデアツテ、特ニ食糧ノ爲メノミデナ
クシテ、「アルコール」ノ增產、航空機
燃料增產ノ爲デアリマスノデ、軍需
省陸海軍省トハ勿論非常ニ密接ナル
關係ヲ持ツテ居ルノデアリマシテ、
〓ニ立案計畫ヲ進メテ居ルヤウナ譯デ
アリマスシ、又勞務ノ關係ハ厚生省、學
校ノ學徒動員、國民學校ノ動員等ニ付
テハ文部省ノ關係モアリ、又諸ノ輸送
其ノ他ノ關係ニナリマスト運通省ノ關
係モゴザイマシテ、是等ノ官廳トハ十
分連絡ヲ取リ、農商省ニ戰時食糧ノ增
產協議會ト云フノガゴザイマシテ、是
等ノ關係省ノ局長等ガソレ〓〓委員ト
ナツテ、每週位ニ色々ナ協議ヲ進メテ
居ルノデアリマス、ソレ等ノ協議會ヲ
中心トシテ色々ナ計畫ヲ進メタノデア
リマスガ、今後實行ノ方法ト致シマシ
テハ、內閣等トモ連絡ヲ取リマシテ、
農商省ノ中ニアリマス戰時食糧ノ增產
推進本部ヲ中心ト致シマシテ、更ニ各
方面ノ人ノ參加ヲ願ヒ、民間ノ人達ニ
モ御參加ヲ願ツテ、積極的ニ增產運動
ヲ展開シ、而モ一元的ニ之ヲ展開ヲシ
テ各方面ノ協力ヲ得ルヤウニト云フヤ
ウナコトヲ考ヘテ居ル譯デアリマス
次ニ藷ノ府縣町村ニ對スル割當方針
ニ付テ御尋ネガゴザイマシタガ、先程
モ申上ゲタヤウニ、今囘ノコトハ地方
ノ農村ノ事情、又農家ノ熱意ト云フモ
ノヲ中心ト致シマシテ、從來藷ヲ作ツ
テ居リマシタ所ハ勿論、其ノ地方ノ實
情ニ應ジテ諸ノ出來ル所ヲ中心トスル
ト云フコトニ致シマシテ、町村農業會
等ノ熱意ヲ中心トシテ割振ツタノデア
リマス、勿論中央ニ於テ是ダケヲ作ル
ト云フ計畫ヲ立テマシテ、府縣ト折衝
ハ致シマスケレドモ、又町村自ラ色々
計畫ヲ立テテ貰ツテ、更ニソレヲ一割、
二割殖ヤシテ貰フト云フコトニハナリ
マスケレドモ、假ニモ天降リ的デナイ
ヤウニ、町村、府縣トハ十分ナ折衝ヲ
相當ノ時間ヲ掛ケテヤリマシタノデア
リマシテ、是ガ假ニモ天降リノ割當方
針ニナラナイヤウニト云フコトハ、及
バズナガラ十分注意ヲ致シタ次第デア
リマス、尙ホ開墾可能地ハ是ハ土地ノ
狀況ニ依リマスノデ、府縣ノ實情ヲ昨
年ノ九月頃ニ報告ヲ取リ、色々折衝ヲ
致シマシテ、開墾可能地モ選定ヲ致シ
タ譯デアリマス、斯樣ニ致シマシテ二
十七億萬貫ト云フコトニナリマスト、全
ク一縣デ一億萬貫以上ノ生產ヲ上ゲル
ト云フ縣ガ、例ヘバ關東ニ於テハ茨城、
千葉、埼玉、靜岡ト云フヤウナモノガ
何レモ一億萬貫ノ生產縣デアル、九州
ニ於テハ長崎、熊本、鹿兒島、沖繩ト
云フヤウナ所デ、特ニ鹿兒島ノ如キハ
二億數千萬貫ノ生產ヲ上ゲナケレバナ
ラヌト云フコトニ相成ルノデアリマシ
テ、一億萬貫ノ藷ト云フコトニナルト、
是ハ全ク大變ナコトニ相成ルノデアリマ
シテ、今囘ノ增產計畫ハ國家ノ緊急要求
ニ基クノデハアリマスケレドモ、其ノ完
遂ト云フコトハ中々大キナ問題デアリマ
スルノデ、及バズナガラ私共モ努力ヲ致
スノデアリマスガ、各方面ノ協力ヲ特ニ
切望スル次第デアリマス
尙ホ馬鈴薯ニ付テ申シマスト、馬鈴
薯ハ本年ノ春馬鈴薯ニ付テ、旣ニ作付
ノ割當ヲ昨年ノ八月ニ致シタデノアリ
マシテ、二十六萬九千町步ノ馬鈴薯ノ
作付割當ヲ致シマシテ、之ニ依ツテ八
億六千萬貫ノ生產ヲ上ゲヨウト致シテ
居ルノデアリマスガ、尙ホ秋馬鈴薯ト云
フモノガ種ニスル場合デモ、又食用ニ
スル場合ニ於テモ非常ニ有效デアリマ
スノデ、更ニ是ト別ニ一萬町步ノ秋馬鈴
薯ノ作付ノ計畫ヲ進メマシテ、之ニ依
ツテ三千萬貫近クノ收量ヲ上ゲタイト
云フヤウナコトヲ考ヘテ居ル譯デアリ
マス、以上甚ダ簡單デゴザイマスルガ、
大體ノ甘藷、薯類ノ增產計畫ニ付テ申
上ゲタ譯デアリマス
高橋委員長此ノ場合委員長カラ委
員ノ意向ヲ代表シテ、政府當局ニ對シ
一言要望ヲ致シテ置キマス、卽チ委員
ノ質問中當局ヨリ善處スルト云フ答辯
ヲ得タル事項ハ、何レモ時局下重要農
產物生產增强ノ上ニ、寸刻ヲ爭フ重大
ナル影響ヲ及ボス緊切ナル問題デアリ
マスカラ、政府ニ於テ直チニ解決セラ
レルヤウ、一段ノ努力ヲ致サレンコト
ヲ要請シテ置ク次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=2
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003・高橋委員長
○高橋委員長 是ヨリ農林中央金庫法
中改正法律案ヲ議題トシテ討論ニ付シ
マス-愛野時一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=3
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004・愛野委員
○愛野委員 私ハ翼贊政治會ヲ代表致
シマシテ、本改正法案ニ贊成ノ意ヲ表
スルモノデアリマス、近時農村資金ノ
飛躍的ニ增强セル今日ニ於キマシテ、
系統金融機關タル中央農林金庫ノ機能
ヲ擴充シテ、更ニ系統團體ヲシテ利用セ
シムルノ途ヲ開クト共ニ、國家目的ト
スル事業方面ニマデ最高度ノ利用ヲセ
シムルコトハ、極メテ時宜ヲ得タ必要ナ
ルコトト信ジマス、以上ノ趣旨ニ基キ、
本法改正案ハ極メテ適當ナルモノト信
ジマス、御贊成ヲ御願ヒシタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=4
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005・高橋委員長
○高橋委員長 討論ハ終局致シマシ
タ、是ヨリ採決ヲ致シマス、原案ニ贊
成ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=5
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006・高橋委員長
○高橋委員長 起立總員、仍テ本案ハ
原案ノ通リ可決致シマシタ(拍手)是ニ
テ散會致シマス
午後二時四十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00619450205&spkNum=6
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