1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)(第一號)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)(第二號)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)(第一號)
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本委員は昭和二十年十二月三日(月曜日)議長の指名を以て左の通選定せられたり
逢澤寛君 伊藤清君
伊藤五郎君 今成留之助君
上田孝吉君 大川光三君
金井正夫君 神尾茂君
川口壽君 漢那憲和君
清寛君 清瀬一郎君
坂本一角君 作田高太郎君
薩摩雄次君 田子一民君
田村秀吉君 中村梅吉君
羽田武嗣郎君 濱地文平君
濱野清吾君 林信雄君
原惣兵衞君 原夫次郎君
保利茂君 眞鍋儀十君
松永東君 山本厚三君
今井新造君 今井嘉幸君
川島正次郎君 木下義介君
東條貞君 中谷武世君
中原謹司君 永山忠則君
船田中君 吉田貞次郎君
牛塚虎太郎君 岡本傳之助君
唐橋重政君 原玉重君
星島二郎君 河上丈太郎君
菊地養之輔君
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同月四日(火曜日)午前十時三十五分委員長理事互選の爲委員參集す
其の氏名左の如し
逢澤寛君 伊藤清君
伊藤五郎君 今成留之助君
上田孝吉君 大川光三君
金井正夫君 川口壽君
漢那憲和君 清寛君
清瀬一郎君 坂本一角君
薩摩雄次君 田子一民君
田村秀吉君 中村梅吉君
羽田武嗣郎君 一松定吉君
濱野清吾君 林信雄君
原惣兵衞君 原夫次郎君
保利茂君 松永東君
山本厚三君 今井新造君
今井嘉幸君 川島正次郎君
木下義介君 東條貞君
中谷武世君 中原謹司君
船田中君 吉田貞次郎君
牛塚虎太郎君 岡本傳之助君
原玉重君 河上丈太郎君
〔年長者漢那憲和君投票管理者と爲る〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/0
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001・漢那憲和
○漢那投票管理者 先例に依りまして、私が年長者の故を以て投票管理者となり、是より委員長及び理事の互選を行ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/1
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002・清寛
○清委員 此の際投票を用ひずして、委員長に清瀬一郎君を推薦致したいと思ひます、皆さんの御贊成を得たいと思ひます
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/2
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003・漢那憲和
○漢那投票管理者 清君の御意見に御異議はありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/3
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004・漢那憲和
○漢那投票管理者 御異議なしと認めます、仍て清瀬一郎君が委員長に御當選になりました
〔拍手起る〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/4
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005・漢那憲和
○漢那投票管理者 委員長に此の席を御讓り致します
昭和二十年十二月四日(火曜日)午前十時三十九分開議
出席委員左の如し
委員長 清瀬一郎君
理事 伊藤五郎君 理事 大川光三君
理事 川口壽君 理事 坂本一角君
理事 保利茂君 理事 木下義介君
理事 原玉重君
逢澤寛君 伊藤清君
今成留之助君 上田孝吉君
金井正夫君 漢那憲和君
清寛君 薩摩雄次君
田子一民君 田村秀吉君
中村梅吉君 羽田武嗣郎君
一松定吉君 濱野清吾君
林信雄君 原惣兵衞君
原夫次郎君 松永東君
山本厚三君 今井新造君
今井嘉幸君 川島正次郎君
東條貞君 中谷武世君
中原謹司君 船田中君
吉田貞次郎君 牛塚虎太郎君
岡本傳之助君 河上丈太郎君
同日委員濱地文平君辭任に付其の補闕として一松定吉君を議長に於て選定せり
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例二關する件)(承諾を求むる件)の審査を本委員に付託せられたり
出席國務大臣左の如し
内 務 大 臣 堀切善次郎君
出席政府委員左の如し
内務政務次官 川崎末五郎君
内務參與官 中助松君
内務省地方局長 入江誠一郎君
内務省警保局長 小泉梧郎君
内務書記官 鈴木幹雄君
内務書記官 鈴木俊一君
司法政務次官 手代木隆吉君
司法省刑事局長 佐藤藤佐君
本日の會議に上りたる議案左の如し
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)
〔清瀬一郎君委員長席に著く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/5
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006・清瀬一郎
○清瀬委員長 御推擧に依りまして、不慣れでありまするが委員長の席を汚します、諸君の御支援を御願ひ致します、引續き理事の互選を行ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/6
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007・清寛
○清委員 理事の數は七名と致し、委員長に於て御指名せられんことを望みます
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/7
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008・清瀬一郎
○清瀬委員長 清君の御意見に御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/8
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009・清瀬一郎
○清瀬委員長 御異議ないものと認めます、それでは御動議のやうに指名致します
伊藤五郎君 大川光三君
川口壽君 坂本一角君
保利茂君 木下義介君
原玉重君
此の七名の方に理事を御願ひ致します
〔拍手起る〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/9
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010・清瀬一郎
○清瀬委員長 それで、本日は引續いて議案の審査と云ふことになつて居りまするが、時刻も最早經過致して居りまするのと、質疑者の順位等も考へなければなりませぬから、午後一時まで休憩致しまして…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/10
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011・田村秀吉
○田村(秀)委員 議事進行に付て——一應政府の説明を聽取せられて、尚ほ委員から資料の要求なり何なりを持出されて、質疑は午後にせられんことを望みます
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/11
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012・清瀬一郎
○清瀬委員長 それではさう云ふことに致しませう——丁度大臣も來られましたから、政府の御説明を聽くことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/12
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013・堀切善次郎
○堀切國務大臣 衆議院議員選擧法中改正法律案の趣旨に付きましては、本會議に於きまして、内閣總理大臣及び私より御説明を申上げた通りでありますが、尚ほ重ねて少し詳細に亙りまして御説明を申上げたいと存じます
申すまでもなく、軈て行はるべき總選擧は、終戰後の最初の極めて重大なる意義を有する選擧でありまして、此の選擧をして、眞に國民のありの儘の總意を遺憾なく反映、發揮せしめまして、純正健全なる新議會を一日も速かに形成致しますことが、現下國政運營の根本眼目であると存ずるのでありますが、現行の選擧法に依りましては、眞に自由公正濶達なる選擧を行ひ、普く國民をして其の意思を正しく暢達せしめると共に、其の姿を如實に反映せしむる清新溌刺たる議會の形成を期待致しますことは、尚ほ十分ならざるの憾みが尠くないと存ぜられます、仍りまして政府は此の際、事態の進展に即應致しまして、急速に政府の責任を以て各方面の意見を斟酌し、選擧制度の根本的改正を行ふことに方針を決定致しまして、茲に成案を得て、御審議を御願ひすることに相成つた次第であります
衆議院議員選擧法に付きましては、御承知の如く議會制度審議會等の答申もあり、豫てより色々論議のあつた所でありますが、以上のやうな趣旨に依りまして、今囘の改正は新事態の要請する最も緊要と認められる根本問題を骨子と致しまして、之に伴ふ已むを得ない若干の改正を行ふに止めることを立案の方針と致しまして、選擧法の全面に亙つて詳細なる研究を遂げることは、時間の都合もあり之を他日に讓ることと致した次第であります、今囘の改正法案の骨子と致して居ります點は、第一、選擧權及び被選擧權の擴張、第二、大選擧區制及び之に伴ふ制限連記投票制の採用、第三、選擧運動取締規定の徹底的簡素化でございます、以下其の内容を申上げたいと存じます
第一の選擧權及び被選擧權の擴張に付きましては、選擧權の年齡を、二十五年より二十年に、被選擧權の年齡を三十年より二十五年に、それぞれ五年宛引下げますと共に、新たに女子に對しましても、男子と同一の條件を以て選擧權及び被選擧權を認めることに致した次第であります、教育文化の普及状況、一般民度の向上、殊に戰時中に於きましての社會經濟的活動の實際に徴しまして、近時青年の知識能力著しく向上し、滿二十年に達しました青年は、民法上の行爲能力を十分に持つて居りますのみならず、國政參與の能力と責任觀念とに於きましても、缺くる所がないものと存ぜられるのであります、寧ろ是等の清新溌刺、純眞熱烈なる青年有權者の選擧への參加に依りまして、選擧界の固著せる弊竇を一新し、之に新日本建設の新しき政治力を形成する重要なる要素を加へることに相成るものと信じて居る次第であります、女子に付きましても、今日に於きましては一般に教養も進み、殊に近時或は男子に伍し、或は男子に代り、或は男子なき後を守つて活動致しました實情に徴しまするとき、選擧權行使に支障なき段階に達して居るものと認められるのでありまして、女子が男子と齊しく新しく參政權を取得し、政治に參與致しますることは、今日まで政治的に全く無視せられて居りました國民の一半を形成する婦人の地位を向上し、國民の總意を如實に政治に反映せしめる所以でありまして、今後婦人問題、社會問題等、婦人の參加を必要とする諸問題の解決を促進致しまして、新日本のを建設に寄與すること尠からざるものがあらうと存ぜられる次第であります
第二は大選擧區制の採用でございます、選擧區の大小に付きましては、それぞれ長短利害があるのでありますが、大選擧區制を採用致しますれば、議員候補者の選擇の自由を増大致しますと共に、從來の固著せる選擧の基盤を破りまして、より廣汎にして新しき基礎に立てる眞に衆望を擔ふ國家的人物乃至所謂新人の選出の可能性を強むる結果と相成りまして、新事態に即應した選擧區制度としては適當であると考へたのであります、更に又戰災等に因りまして、人口の異動が全國的に極めて大規模に行はれました結果、從來の選擧區の儘で選擧を執行致しますことは、甚だしく不都合の結果を生じますので、何等かの調整を要するのであります、此の點より考へまして、大選擧區制の採用が實際的であるやうに考へられるのであります、原則と致しまして、都道府縣を以て一選擧區とし、議員定數十五人以上の都道府縣を二選擧區に分つことと致しました、各選擧區に對する議員定數の配當は成べく現在の議員總數を變動せしめない方針の下に、現在の議員總數四百六十六人を以ちまして、去る十一月一日現在の調査に基く選擧法施行地域の全人口七千二百四十九萬一千二百七十七人を除しまして、依つて得ました十五萬五千五百六十人に付き議員一人を配當することと致し、端數は四捨五入の方法に依ることと致しました、其の結果議員總數が四百六十八人となつたのであります、議員の總數が二人現在よりも増加する結果になつた次第であります、議員定數十五人以上の都道府縣は、東京都、北海道、大阪府、兵庫縣、新潟縣、愛知縣及び福岡縣の七つであります、之をそれぞれ二選擧區に分つたのでありますが、選擧區の分割は、現在の選擧區を基礎と致しまして、之を分割しない方針の下に、人口交通地勢等を勘案して決定した次第であります
大選擧區制の採用に伴ひまする投票の方法として、選擧すべき議員の數六人以上の選擧區に付ては、制限連記制を採用することに致しました、それは大選擧區になりまして議員數が多くなりますと、從來の如き單記投票法に依りますときには、其の爲に投票が一部の候補者に偏在集中し過ぎる缺點が痛感せられますので、其の缺點を或る程度是正することが適當と考へたのであります、又選擧すべき議員數が多くなるに拘らず、尚ほ一人のみの選擇しか認めないと云ふことは、選擧人の議員候補者選擇の意思を餘りにも制限する結果となりますので、之を或る程度緩和することが必要であると存ぜられたからであります、大選擧區制を採用致しますれば、比例代表制を採用すると云ふことが、究極の理想であるかとも考へられますけれども、現在の政界の實情、選擧人の政治訓練の程度とを以て致しますれば、今直ちに比例代表制を採用することは、時期尚早と認められまするし、又我が國の實情に鑑みまして、如何なる案が果して適當であるか、相當考究を要しますので、是が適切なる提案は、今後の研究に俟つことと致した次第であります、連記の方法と致しましては、選擧すべき議員の數五人以下の選擧區に於きましては現行法通り單記と致しまして、六人以上十人以下の選擧區に於きましては二人以内、十一人以上の選擧區に於きましては三人以内の議員候補者の氏名を記載致しまして投票をなし得ることと致した次第であります
第三は、選擧運動取締規定の徹底的簡素化であります、選擧運動の制限規定と致しまして、戸別訪問の禁止、選擧事務に關係ある官公吏の關係區域内に於ける選擧運動の禁止、竝に選擧運動の費用に關する制限等、選擧運動の公正及び機會均等を維持する上から必要と認むる規定のみを存置することと致しまして、所謂第三者運動と立候補屆出前の選擧運動とは之を自由ならしめ、其の他選擧運動の方法に關する各種の取締制限、即ち法定選擧運動者の制度、勞務者の選任、選擧事務所の設置、休憩所其の他の類似設備の設置、個々面接又は電話に依る運動、文書圖畫の頒布又は掲示、演説會の出演者數、選擧期日後の挨拶行爲等の各種制限は之を撤廢することと致したのであります、選擧運動の取締に關しまして、斯くの如く相當思ひ切つた簡素化を致しましたのは、一面に於て選擧權者の年齡低下、及び婦人參政權の實施、竝に大選擧區制の採用等の新事實に對應致しますと共に、世局に鑑み選擧運動の明朗濶達化と簡明化とを圖らんとするにあるのであります、現行選擧法は各種の煩雜多岐に亙る制限を設けまして、却て其の爲に或は自由濶達なる選擧運動を阻碍し、一般國民の志を盡さしめず、或は選擧に對する敬遠主義乃至は無關心的態度を招來するの風がないでもありませぬ、時に社會常識或は國民の心情に反するが如き結果を生ずる場合もありまして、候補者の人格、政見を選擧民に徹底せしむる上に於きましても、缺くる憾みなしとしなかつたと考へられます、豫てより選擧運動の明朗濶達を望む上から致しまして、其の簡明化を要望せらるる聲が少くなかつたのでありますが、今日當面するが如き政治的轉換期に於きましては、選擧運動の各種の制限を撤廢して、出來るだけ其の自由を認め、之に依りまして一般國民の政治的責任の自覺を促すを適當なりと考へた次第でございます
尚ほ右の選擧運動の取締に關する規定の改正に照應致しまして、選擧運動の費用に付きまして、左の如き改正を加へたのであります、即ち第一に選擧事務長の制度を廢しましたので、選擧運動の費用に付きまして、新たに選擧運動の費用の支出に關する責任者の制度を設けまして、選擧事務長の選任等の例に傚ひ、是が選任等に關する規定を設けたことであります、第二には立候補屆出前の選擧運動を自由ならしめたのに伴ひまして、選擧の期日の公布又は告示ありたる日前に於ける選擧運動の爲に要した費用は選擧運動の費用にあらざるものとしたことであります、第三に選擧運動の費用の制限額超過支出に對する罰則を撤廢し、當選無效の制裁のみとしたことであります、第四に、右の罰則の撒廢に伴ひまして、警察官吏の選擧運動の費用に關する書類の提出又は檢査等に關する規定を廢止したことであります、第五に、選擧運動の費用の不法支出の罪に付きまして罰金刑を加へまして禁錮刑との選擇刑としたこと等であります
以上を以ちまして今囘の選擧法改正の骨子とするのでありますが、尚ほ右の改正に伴ひまして、第一に有權者の激増及び制限連記投票制の採用等に伴ひまして、郡市の區域を開票區とするの原則を改めまして、開票區の區域を原則として市町村の區域に依ることとし、開票事務の圓滑敏速なる處理を圖ることと致したのであります、第二に、大選擧區制の採用に依りまして議員候補者の數が多くなりますので、各種立會人の數を十人に制限することと致しまして、立會人として屆出ありたる者の數が十人を超えない場合は直ちに其の者を立會人と致しますが、十人を超える場合に於きましては、其の中より互選に依つて十人の立會人を定むることと致しました、第三に、開票の際に於きます投票の總數及び投票人の總數計算の手續は、制限連記制の採用等に伴ひまして之を省略することと致したのであります、第四に、通信、交通の現状に鑑みまして、當選人の當選承諾、期間を十日間短縮致しまして、選擧の結果を成べく速かに確定せしむることに致したのであります、第五に、大選擧區制の採用に伴ひまして、補闕選擧は議員の闕員の數が當該選擧區内の議員の定數の四分の一——其の數が二人に滿たない場合は二人と致しまして、——四分の一に達するまで之を行はないことに致したのであります、隨ひまして定數八人までの選擧區では二人、九人以上十二人までの選擧區では三人、十三人以上の選擧區では四人まで補闕選擧を行はないことに致したのであります、第六に、新事態に即應致しまして、選擧に關する氣勢を張る行爲に關する罰則及び選擧に關する不正行爲を煽動する行爲に關する罰則を廢止致しました、以上が選擧法改正案の大要でございます、尚ほ右に關聯致しまして臨時特別の措置と致しまして、二、三特殊の問題を同法律案の附則で規定を致して居るのでございます、其の一は、戸籍法の適用を受けない者、即ち朝鮮人及び臺灣人の選擧權及び被選擧權の問題であります、是は當分の間之を停止することを適當と認めまして、之を規定致した次第であります、「ポツダム」宜言の受諾に依りまして、朝鮮及び臺灣は早晩帝國の領土より離脱し、隨て朝鮮及び臺灣人も原則として帝國の國籍を喪失するものと考へられますが、終局的な何等かの形の媾和條約に依りまして、所屬國籍が最後的に決定せられますまでは、是等の者も法律上尚ほ帝國臣民たるの地位を有すると考へられるのであります、仍て是等の者より直ちに選擧權及び被選擧權を奪つてしまふと云ふことは適當ではありませぬが、さりとて是等の者を依然として選擧に參與せしめますことは適當とは認められませぬので、終局的に是等の者の國籍が決定せられますまで、取敢ず選擧權及び被選擧權の行使を停止することに致したのであります、其の二は、昭和二十年十二月二十日以後昭和二十一年十二月十九日までの間に行はれます選擧に付ては、刑餘者、禁治産者等の如く選擧權を有せざる者竝に朝鮮人及び臺灣人の如く選擧權を停止せられたる者等、選擧人名簿に登録することを得ざる者にして、選擧人名簿に誤載せられ投票した者がありましても、之を理由としては選擧訴訟又は當選訴訟を提起することを認めないことに致しました、是は戰災に因りまして犯罪人名簿等の證據書類を燒失致しました市町村が少くなく、其の結果缺格條項に該當する者の調査が事實上困難な場合がありますので、無權利者にして誤つて名簿に登録せられ投票する者も多少あると豫想せらるるのでありますが、若し之を理由として選擧訴訟又は當選訴訟が方々で提起せられるやうなことになりましては、當選人の地位を永く不安定の状態に置くことになりまして、適當とは認められませぬので、已むを得ない特別の措置として、斯う云ふ措置を執つた次第であります、其の三は、用紙の需給の實情に鑑みまして、無料郵便の制度を次の總選擧に限り之を停止することと致しました、其の四は、沖繩縣、千島其の他海上交通杜絶其の他特別の事情ある地域にして、勅令を以て指定するものに付ては、現下の事態に鑑みまして、當分の間事實上選擧を執行することが出來ませぬので、勅令を以て定むるまでは選擧を行はないことに致した次第であります、以上衆議院議員選擧法中改正法律案の大體を申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/13
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014・清瀬一郎
○清瀬委員長 引續いて昭和十三年法律第八十四號中改正法律案の提案理由を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/14
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015・堀切善次郎
○堀切國務大臣 それでは引續いて昭和十三年法律第八十四號中改正法律案に付きまして大要を申上げたいと思ひます、此の法律案は復員現役軍人及び歸還在外邦人等に付きまして、臨時に選擧人名簿調製の途を開きまして、其の選擧權の行使に遺憾なからしめんとするもであります、陸海軍軍人にして現役中の者及び召集中の者は何れも選擧權を有して居りませぬ、隨て選擧人名簿に登録することを得ないのでありますが、現行法に於きましても、召集中の者が召集を解除せられますれば、臨時に選擧人名簿を調整して、其の選擧權の行使に支障のない措置が講ぜられて居りますので、現役を退いた軍人に付きましても、召集解除者と同樣の措置を講ぜんとするものであります、更に又外國及び外地より歸還する邦人に付きましても、其の歸還後は同樣に選擧權の行使に支障なからしめます爲に、臨時に選擧人名簿調製の途を開くことと致した次第であります、昭和十三年法律第八十四號中改正法律案の提案の理由の大要を御説明申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/15
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016・清瀬一郎
○清瀬委員長 更に昭和二十年勅令第五百三十七號、承諾を求むる件の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/16
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017・堀切善次郎
○堀切國務大臣 尚ほ昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)に對しまして帝國議會の承諾を求むる件の趣旨に付きまして説明を申上げます
此の緊急勅令は前内閣の時に制定せられたものでありますが、其の趣旨は大體次のやうに了解を致して居るのであります、即ち衆議院議員選擧法第十二條の規定に依りますと、選擧人名簿は毎年九月十五日の現在に依り其の日まで引續き六箇月以上其の市町村内に住居を有する者に付て之を調製することに相成つて居りますが、當時恰も戰災、疎開等に依りまして、人口の異動が全國に亙つて極めて廣範圍に行はれて居りましたので、六箇月以上の住居に關する要件を缺き、選擧人名簿に登録することを得ない者が夥しい數に上つて居たのであります、隨ひまして住居の異動を餘儀なくせられた是等多數の戰災者等は、選擧權行使の機會を失ふことになり、終戰後最初の重大なる意義を有する總選擧を控へまして、之を放任致し難いと存ぜられたのであります、仍りまして臨時の措置として、選擧人名簿の登録には六箇月以上の住居に關する要件を要せざるものと致しまして、是等の戰災者等をも齊しく名簿に登録し、其の選擧權の行使に支障なからしめることが緊要なりと認められた次第であります、而して當時帝國議會閉會中でありまして、而も名簿の調製期日たる九月十五日前に緊急に善後措置を講ずる必要があつたのでありまして、已むを得ず憲法第八條第一項の規定に依り本勅令の制定を見ることと相成つた次第であります、此の勅令は昭和二十年十二月二十日以後昭和二十一年十二月十九日までの間に行はれる衆議院議員の選擧に用ふべき選擧人名簿の調製に關しましては、名簿登録の要件として、名簿調製期日までに引續き六箇月以上其の市町村内に住居を有することを必要とせず、其の日現在に於て其の市町村内に住居を有する者に付き選擧資格を調査し、名簿を調製する趣旨を規定したものであります、昭和二十年十二月二十日以後、昭和二十一年十二月十九日までの間に行はれる衆議院議員の選擧に用ふべき選擧人名簿と申しまするのは、主として本年九月十五日の現在に依りまして調製せられる衆議院議員選擧人名簿を指すのでありますが、其の外右の選擧人名簿を基礎とする名簿、即ち衆議院議員選擧法第十七條第三項の規定に依り天災事變等の爲に再調製する名簿竝に昭和十三年法律第八十四號の第一條第一項の規定に依りまして、召集を解除せられた者等に付き臨時に調製する名簿をも含む趣旨なのであります
以上三法案に付て説明を申上げた次第でありますが、目下極めて重大にして困難を極めて居ります戰後國政の圓滑なる運營を期する爲め、何れも緊要缺くべからざるものと考へられますので、何卒宜しく御審議を御願ひ申上げたいと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/17
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018・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より質疑に入るのでありまするが、此の際委員長より申上げたいことがあります、本案は戰後の我が政治の建設の基礎になる非常に重要な議案でありまして、國民注視の的になつて居ります、隨て此の審議に付ては言論は十分に盡したいと存じて居ります、何卒腹藏なく御質疑御討論を願ひたいのであります、就きましてはどうか各自の御質疑の場合でなくとも全員御出席を願つて、他の委員の質疑、政府の答辯などに付て御注意を拂つて戴きたいと存じます、牽聯の御質疑等は許しますからして、其の場合に併せてなし下さるならば、事柄が自然はつきりすると思ひます、政府から御携帶の資料があるさうでありますから、此の際御配付願ひます——尚ほそれを御一瞥願つて、更に必要なる資料の要求は只今なして下されば承るし、御覽後午後の劈頭になさればそれでも結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/18
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019・田村秀吉
○田村(秀)委員 資料の要求を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/19
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020・清瀬一郎
○清瀬委員長 一寸御待ち下さい、此の中に含んで居るかも知れませぬから——それでは田村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/20
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021・田村秀吉
○田村(秀)委員 政府から配付せられて居りますものは拜見して居りますが、選擧法が根本的に運動方法及び取諦の點に於て變つて參つて居りますので、此の法案の審議を促進する上からも、運動方法の變つた點、及び取締の變つた點等に付きまして、法令若しくは法令以外の何か表のやうなものでも出來て居りますれば——さう云ふことを明かにするやうな資料を特に御提出を願つた方が、審議を進める上に便宜と存じますので御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/21
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022・船田中
○船田委員 私も資料に付て一寸政府に御願ひしたいのですが、それは制限連記制を御採りになるのでありますが、是は議論をするよりも計數に依つて示すのが極めて明瞭だと思ひます、隨ひまして之に關する數學的な「プロヴァビリティ」を御計算願つて、一、二の例を御示し願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/22
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023・今成留之助
○今成委員 法律は茲に御提出になつて居りますが、之に伴ひましてそれに附屬する所の色々な省令規則等が出る筈でありますが、其の運用上に付ての案が出來て居りましたら頂戴したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/23
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024・原玉重
○原(玉)委員 二、三資料を御願ひ致します、現選擧法を書いたもの、それから歐米各國の選擧區に關するもの、比例代表とか選擧樣式の立法例、選擧公營に關する立法例、罰則、第百二十四條に該當する立法例、第三者運動に關する立法例、斯う云ふやうなものがありましたら御提出願ひたい、又全國の郡市別人口一覽表のやうなものがありましたら御提出願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/24
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025・清瀬一郎
○清瀬委員長 此の間の昭和二十年十月一日のものですか——それは十一月二十六日の官報に出て居ります、是も參考に出して貰つた方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/25
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026・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 罰則に關聯して私は斯う云ふものを御願ひしたい、現行選擧法に於て色々罰せられたものの種類、詳しく言へば法定罰に依つてやられたのと、自然罰に依つてやられたのと、さう云ふやうなものの分け方、法定の罰に付きましても色々な種類があるだらうと思ひます、事務所のことを間違へたとか、人數を間違へたと云ふやうなものの制限の種類に依つて區別してありますれば、其の各區別に付てどう云ふものがあるか、之を示して戴きたい、私は此の制限を撤廢したことを非常に重大視して居りますので、それを提出して戴きたい、もう一つは投票の形式に付て、投票紙は日本のは自分で書くことになつて居りますが、さうでなく、印刷してあつて候補者の名前の上に印だけをするやうになつて居る國が大多數だらうと思ひますが、さう云ふやうなものに關する資料、もう一つは投票をする場所が日本では非常に少い、外國では大變澤山投票所がある、さう云ふやうな實例、郵便函の數より多い所などがある位であります、投票が容易に出來るやうになつて居る、さう云ふ事例等の資料があれば、それも御願ひしたい、第一は罰の種類のこと、第二は投票の形式、第三は投票所の數、此の三つの資料を要求します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/26
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027・清瀬一郎
○清瀬委員長 最初の罰の種類と申しますのは、選擧法に書いてある刑名でなく、例へば利害關係誘導と云つたやうな標題の下に、どう云ふことを言つたと云ふやうな細別と云ふことになりませうか、或は戸別訪問禁止と云ふと一々訪問した場合と、たつた一軒を訪問したけれども、其の次を訪問する意思でやつたのだから一軒訪問しても戸別訪問と認めたとか云ふ風な細則を云ふのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/27
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028・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 まあ其の邊は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/28
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029・清瀬一郎
○清瀬委員長 刑名だけなら法律に書いてありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/29
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030・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 其の邊は御計ひに任せます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/30
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031・清瀬一郎
○清瀬委員長 では然るべく役に立つやうに御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/31
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032・川崎末五郎
○川崎政府委員 今の今井さんの選擧違反のことは、要するに既住の選擧の實績に於て、選擧犯罪の内譯の統計の計數のやうなものではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/32
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033・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 統計だけです、それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/33
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034・薩摩雄次
○薩摩委員 資料を要求します、選擧法改正法律案は暫定的のものだらうと思ひますので、民主國家の日本を建設する上に於て、世界各國の——くだらない國は要りませぬが、相當注目すべき國の選擧法の飜譯したものを厄介でも戴きたい、それから婦人參政權を與へて居る國のも附加へて貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/34
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035・原玉重
○原(玉)委員 もう一つ御願ひしたい、明治二十三年に制限連記投票式が用ひられたと云ふことですが、それに關する何か參考になることがありましたら、參考資料でも宜いし、口で御説明願つても宜いのですが、どう云ふ方式でやられたか、實行の結果はどんな風であつたか、どう云ふ譯でそれが改正されるやうになつたか、全般の參考資料があれば欲しい、印刷したもの、なければ御調査の上御説明でも願ふと云ふ風な御準備を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/35
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036・中原謹司
○中原委員 前に出たことか存じませぬが、出來れば各府縣別の年齡別、性別の有權者の數の調べを戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/36
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037・清瀬一郎
○清瀬委員長 まだ出て居りませぬから、それは重要なことですから、是非政府に御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/37
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038・川崎末五郎
○川崎政府委員 只今の御要求は洵に御尤もと思ひますので、出來るだけ御要求に應ずるやうにこちらでも準備致したいと存じますが、豫め御諒承を願つて置きたいのは、御承知の通り、今度の改正法律案に依つて大分有權者が殖えまして、年齡の低下とか、婦人も加はりますので、其の資料は今急いで集め、又調査は致して居りますが、例へば年齡別と申しますと、是は或は御要求のやうに詳しいものは出來ぬかも知れませぬ、出來るだけ御要求に副ふやうに努力は致しますけれども、豫め御承知願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/38
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039・中原謹司
○中原委員 時間もないし、御無理かとも思ひますが、出來たら御願ひ致します、それから是も出來たら今度の新有權者——最も注目すべき階級なんでありますから、二十五歳以下の新有權者の性別と各府縣別位、年齡別は宜しうございますから、それ位は成べく早く出して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/39
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040・濱野清吾
○濱野(清)委員 明治二十三年に制限連記制を採つたことがあると云ふ過般の政府の答辯でありますが、採つたことがあるとすれば、それ等の法令がある筈でありますから、其の一切の法令を御示し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/40
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041・清瀬一郎
○清瀬委員長 それは前の原君の御要求とくつ付けて一諸に出して下さい、尚ほございましたら、後で御申出願つても宜しうございます
それでは午後一時まで休憩致します、理事の方は十二時半に一遍此處に御集まり願ひたい、それから質疑希望の方は、理事又は私の所へ御通告を願ひたいと思ひます、十二時半にそれを整理して、一時から直ぐ開始致します
午前十一時二十二分休憩
午後一時二十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/41
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042・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より會議を開きます、質疑に入るに先だち申上げたき一件があります、本案に付ては固より國務大臣に對する質疑を必要と致しまするが、内務大臣は今緊急且つ重要なる閣議に出席中で、後刻必ず御見えになります、それまでの時間に政府委員に對し事務的の事項等に付き御質疑がありましたならば、豫て打合せの順位に拘らず、此の際質疑を御願ひ致します、此の際質疑をなすつたからと云つて、本來の質疑の順序權限には關係ありませぬから、どうか遠慮なく御發言願ひます——田村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/42
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043・田村秀吉
○田村(秀)委員 私は本選擧法改正案に付きまして一應事務當局に御尋ねを致したいと思ひます、今囘の改正案を見てみまするに、選擧運動は殆ど無制限、取締規定も非常に緩和して、撤廢された點が多いのであります、是は一應其の理由は先程内務大臣の御説明に依つて分るのでありますが、今新たに選擧法を改正して新たな選擧をやるのは、民主主義を徹底して、正しい公正なる選擧をやつて、正しい民意が政治の上に反映すると云ふことが狙ひでなければならぬと思ひます、さうして選擧運動の方法、是が取締等に付きましても、相當秩序ある方針を以て行かなければ、唯緩和する、撤廢する、自由放任主義だと云ふことで、果して公正なる選擧と云ふものが出來て、其の民意暢達の途が達成出來るかどうかと云ふことに付ては、相當考慮の餘地があると思ふのであります、私は此の觀點に立つて、一應選擧運動の内容、其の取締に付て、是から質疑をして參りたいと思ひます、十分の御答辯を御願ひ致したいと思ひます
先づ第一、選擧運動に關してでありますが、選擧運動に付ては、運動員、所謂現行法の選擧委員と云ふ者もなければ勞務者と云ふ制度も無くなる、斯う云ふことになつて居るのでありますが、然らば運動方法は當局はどう云ふ風に人的構成と云ふものが組立てられて行はれるものであると御觀測になつて居られるのでありますか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/43
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044・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 選擧運動に關しまして各種の制限が只今まであつたのであります、是の存されました趣旨に關しましては、是は夙に御承知の通りでありまして、所謂選擧運動をして公正ならしめ、所謂選擧界をして肅正せしめる、斯う云ふ趣旨から致しまして、色々な制限が一貫的に體系を持つて組立てられた現行選擧法の選擧運動の建前になつて居るのであります、それで今囘は此の新しき民主主義的な政治體制を確立すると云ふ轉換期に當りまして、此の選擧運動に付きましても、各種の制限を撤廢致しまして、茲に御審議を御願ひを致して居るのでありますが、只今選擧運動の人的構成がどう云ふやうなことになるかと云ふやうな御尋ねでございます、御承知の通り今囘は、法定選擧運動者の制度と申しますか、所謂選擧事務長、選擧委員、選擧勞務者、斯う云ふやうな者と選任、數の制限は撤廢を致して居るのであります、隨ひましてそこに選擧事務長、選擧委員、選擧勞務者と云ふやうな名稱を持つた者は存在をしない、斯う云ふことに相成るのであります、之を致しました所以のものは、第三者運動を自由ならしめる、斯う云うことから來て居るのでありまして、第三者運動が從來は推薦状、演説會に依る所の運動に限られて居りました、是は一面から申しますと、第三者運動をして費用を餘り掛けしめないで、效果のある運動だけに限らうと云ふやうなことでありましたが、其の結果は一面から申しますと、第三者運動をして萎縮せしめるのみならず、法律の解釋から申しますれば、非常に窮屈になつて、勞務者の依頼が出來ない、或は演説會に派遣者を依頼することも出來ないと云ふやうな非常な窮屈なことになつて居りましたので、寧ろ此の際政治的の「レベル」を高めると申しますか、政治的の標準を高める上から申しますれば、第三者運動を自由に活溌に行はしめることが必要ではないかと云ふことから來て居るのであります、と申しますと、第三者が自由に選擧運動を致します結果、法定の運動者の制度と云ふものが必要がなくなると申しますか、餘り區別が付かなくなると云ふやうなことに相成るのでありまして、此處で或る特定の候補者の爲に選擧運動を致します者が所謂從來の選擧事務長に當ります、選擧運動を總括主宰致します者と、それから從來の選擧運動に當ります所の方々と、又之に機械的の勞務を提供致します所の選擧勞務者がある、是は當然のことだと思ひます、さう云ふやうな昔の法定選擧運動者制度に於ける所の或は選擧事務長、選擧委員と云ふやうな地位に當られる方が運動をされる、又是等に付きまして機械的勞務を提供される所の勞務者がある、斯う云ふやうな構成が行はれることは當然だらうと思ひますし、一方に於きましては、所謂第三者運動としまして、或は意思を通じ、若しくは意思を通じない、斯う云ふやうな第三者に依る運動が行はれて居る、又意思を通じました運動と云ふことになりますれば、是は選擧事務長、選擧委員の行はれる選擧運動と云ふものと一體をなすものでありまして、其の間に區別がなくなつて來る、斯う云ふやうな結果になるのであります、左樣な形に於て選擧運動と云ふものが是から行はれて行くのではないかと思はれます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/44
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045・田村秀吉
○田村(秀)委員 第三者運動を活溌にしようと云ふ御考へは分りますが、さうしますと、現行法の所謂法定の選擧運動者、勞務者と云ふものと第三者——是は後程御尋ねすることと關聯するのでありますが、此の區別と云ふものが一つも分らなくなる、無論選擧運動員、勞務者と云ふものは自由になつて居りますから、警察官が來やうが、こちらから行くのは無論のことでありますが、選擧運動員である、或は選擧運動に從事して居る勞務者であると云ふ屆出とか、さう云ふものは全然不必要でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/45
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046・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 さう云ふものの屆出は全然必要がございませぬ、今度選擧運動に關しまして必要と致しましたのは、費用の支出責任者と申しますか、費用の點から來て居りまする費用支出責任者だけは、之を選任をして戴いて屆出る、それ以外の從來選擧委員に當られました方々、或は選擧事務長に該當するやうな方々、選擧勞務者に該當するやうな方々、斯う云ふ方面に付きましては、屆出ると云ふやうな制限は一切ない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/46
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047・田村秀吉
○田村(秀)委員 そこで問題は、第三者は意思を通じた所で、新法に於ても是は費用の通算の問題だけだらうと思ふのであります、所が運動に從事して居る所の運動員及び勞務者の食事待遇等に付ては、どう御考へになつて居るか、それから現行法では事務長、今度の新しいものでは同じやうな意味でありますが、支出責任者になる譯でありますけれども、支出責任者とか、事務長及び委員と云ふものは、是は大體選擧に對して自分自ら進んでやるのであるから、利害に關係なく、獻身的にやると云ふ法律の建前であると思ひます、所が從來は、それは理論はさうであるが、人間生活の實際から言つて、人情の上から言つて、當然之には自分の仕事を棄てて來て居るのであるから、相當の待遇報酬と云ふものをやる、演説に來る所の辯士も同じ譯でありますが、それをやらなければならぬ、例へば汽車賃を與へなければならぬ、食物をやらなければならぬ、宿屋に泊めてやらなければならぬ、斯う云ふ問題が起るのです、此の問題に付てはどう御考へになつて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/47
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048・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 實費辨償の範圍に屬しまする限界に於きましては、是は正當に支出すべきものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/48
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049・田村秀吉
○田村(秀)委員 實費辨償は汽車賃とか宿屋に泊める場合に行はれるのでありますが、さうしますと運動員に對する報酬、例へば日當五圓位のものを與へると云ふことは、是は買收と看做される虞がある、新法に於ても買收と云ふものは儼として之を取締るのでありますが、從來よりも自由放任にした結果、そこに非常に混亂を生ずる、運動を却て梗塞する結果になりはせぬかと云ふことを惧れるのでありますけれども、報酬の點に付てはどう御考へになつて居るか、是は今の實費辨償の解釋を擴張すれば、例へば五圓の日給を取つて居る勞務者が選擧運動に從事したと云ふ場合には、五圓の日給、若しくはそれより忙しいのであるから、或は十圓の日給を與へて、之に更に夜泊めてやるとか、或は三度の食事を提供すると云ふことは、是は社會通念から見ても、實費辨償の擴張解釋から言つても——擴張でなくとも、實費辨償と解釋出來ぬこともないと思ひますが、どう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/49
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050・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 現行法の解釋は御承知の通りと思ひますが、選擧事務長、選擧委員、斯う云ふ方々に對しましては實費辨償を認めまして、報酬と申しますか、日當と申しますか、それは認めて居らぬのであります、それから勞務者に關しましては、當然日當を含めました實費辨償——實費辨償ではありませぬが、日當、報酬を含んだものを認めて居るのであります、是は事柄の性質上さうでありますが、勞務者は機械的の勞務を提供するのでありまして、一定の職業を持ち、若しくは持たぬ者でありましても、特に其の爲に勞務を提供する關係上、報酬が付くのは當然であります、現行法に於きましても其の解釋は變へて居らぬのであります、所謂勞務者を雇つたと云ふ場合に於きましては、一定の報酬を、現在でありまするから、地方に應じまする大體妥當な報酬があらうと思ひますが、斯う云ふ報酬を支給して戴きまして結構だらうと思ひます、唯選擧委員、選擧事務長に當られます所謂運動員の方々、斯う云ふ方々に對しましては、現行法通り一つ實費辨償と云ふ範圍に於て認めたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/50
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051・田村秀吉
○田村(秀)委員 現行法では施行規則でありますか、或は府縣令に依るか覺えて居りませぬが、勞務者の日當と云ふものが大體決まつて居る、所が今の御話に依りますと、現在の社會の實情に應じて勞務者に實費辨償が出來ると云ふのですが、其の實情は御承知のやうな經濟的混亂の時代でありまして、地方に依り、所に依つて非常な違ひがある、實費辨償の今の規則は一つもなくなるのですから、此の範圍が非常に問題になつて、或はそれは買收と看做されるかと云ふ問題が起きて來るのですが、此の點に對して政府ははつきりした方針を立てて行きませぬと、取締に從事する所の警察官も方針が分らぬ、又運動も競爭が激しい、是は自由選擧を目標として居るのですから、立候補者は非常に多い、而も今の情勢から申しますと、滅茶苦茶に金を使ふと云ふことが世間に傳はつて居る、其の場合に非常な弊害を生ずる因を成しはしないかと思ひますが、どう云ふ風な御用意を持つて居られるか、今御決定にならぬでも、今後決定せられんとするか、此の點を明確にして置かれる必要があると思ひますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/51
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052・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 勞務者に對する報酬の問題でありますが、日當と申しますか、大體今日勞務者の給料と云ふものが、一應協定賃金と云ふやうなもので定まつて居りまして、是で大體基準が出來て居る譯であります、所が實際問題としましては、今田村議員の仰しやいましたやうに、恐らく協定賃金と云ふものが混亂を來して居るのぢやないか、殊に局所的には其の混亂が激しいやうな事態があらうと思ひますが、是の標準と致しましては、大體其の地方に於きまする社會的に妥當な賃金と云ふやうな所で御支給戴いたら宜いのぢやないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/52
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053・田村秀吉
○田村(秀)委員 どうも御答辯ではそれは非常に問題が起ると思ふのです、妥當と云ふが、今の賃金統制令と云ふものは、あれは撤廢になつて居りますか、殆ど行はれて居ない、さうすると勞務者は或は十圓と云ひ、三十圓と云ひ、五十圓と云ふことが言はれて居る、十圓は妥當であつて三十圓は妥當でないと云ふことは、其の地方の事情に依つては言ひ切れない、今度はそこに勞務者に制限がないのですから、勞務者に名を藉つて買收行爲と云ふものが行はれる虞は非常にあるのです、一日百人、二百人の勞務者を使つても宜いのです、そこで一寸手傳ひに來ても、是は能く見れば不正ですけれども、法律がなければ取締りの方法がない、一日に百人、二百人、三百人と到る處の演説會場に使つて居る、お前は仕事をして居ないぢやないか、いや十枚のびらを貼つた、田舍の山間僻地では十枚貼るのに一日の勞務を要すると言へば限界がないから之を追究する途がない、さうすれば二十日なり一箇月の運動期間に、多くすれば何千人と云ふ勞務者にそれを供給することは私は決して困難ぢやないと思ふ、茲に今の社會事情の下に於ける運動取締の方針と云ふものが、非常に明確にならなければならぬ根據があると思ふのですが、まあ是れ以上は議論になるかも知れませぬが、通念と云ふ範圍に今解釋せられんとすると、目前に迫る所の選擧運動に對して、眞面目な者は皆眞面目でせうけれども、表裏のない者は、あなたの御言葉通り協定賃金を基準として、其の所の通常の社會通念に基いて適當なる賃金を拂ふ、そして無茶苦茶に人も雇はぬと思ひますが、此の機會と思ふ奴は滅茶苦茶なことをやるかも知れぬ、是は取締とも關聯しますが、そこをもう少し明確に御答へ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/53
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054・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今の御質問でありますが、成程二千人三千人と云ふやうな、實質的には買收行爲に類するやうなことで勞務者の選任が行はれはせぬかと云ふやうな御心配があらうかと思ひますが、其の點は費用制限を一方に致して居るのでありまして、今度の費用制限に依りますと、平均致しまして大體二萬五千圓程度にならうかと存ずるのであります、此の範圍内に於きまして選擧運動を行はなければならぬと云ふことに相成つて居りますので、勞務者を無暗に澤山雇ひまして、此の方面に多額の金を費せば費用超過を來すと云ふやうな結果になりますので、其の點に付きましては、實際問題としてさう云ふことが餘り起らぬのではないか、斯樣に解釋致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/54
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055・田村秀吉
○田村(秀)委員 それは其の程度に致しまして、今度は選擧運動員は實費辨償だ、是は食事だ、宿屋に泊める、自分の家に泊つた場合には宿賃に相當するものはやつて宜い、是が現行法の解釋です、それはそれで宜しい、其の範圍内だと先程御話のやうになる、それに關聯する第三者運動と、所謂候補者に直接する所の運動員との關係が、之を撤廢した爲に非常に明確でない、そこで第三者運動に對する實費辨償と云ふものは、從來は葉書を出した、或は演説會をやつたと云ふ場合に演説會場に關する部分、或は葉書なら葉書に對する部分、勞務賃も無論入つて居りますが、今度の實費辨償は第三者運動に關しては之を同じものと見て居られるか、或はどうかすると之を擴張して、それの爲にやつた所の第三者の食事代、それから宿賃、或は汽車賃、さう云ふものを第三者の費用の中に實費辨償として認められるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/55
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056・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 所謂意思を通じました第三者運動でありますが是は今度は最早所謂純粹な意味に於ける、第三者運動ではなくなつて來るのでありまして、意思を通じてやつた場合は從來の選擧委員に該當する者になつて來る譯であります、意思を通じないものだけが純粹な意味に於ける第三者運動と云ふことになる、結論的に申しますれば、さう云ふ風に御考へになつて宜いのぢやないかと思ひます、意思を通じてあなたの爲に運動するとか、一つやつて下さいと言へば、第三者であるか選擧委員であるかと云ふ區別はない譯でありまして、其の意味に於きますると、純粹の第三者運動と云ふものは、意思を通じないで、あの人の爲に自分勝手に運動しよう、是が純粹な第三者運動であると云ふ解釋が付くのではなからうか、隨ひまして意思を通じてやつて、あなたは費用を持つて呉れ、私は運動をやると云ふことになれば、實費辨償をされると云ふことは一向差支へない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/56
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057・田村秀吉
○田村(秀)委員 宿賃も貰へますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/57
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058・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 構ひませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/58
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059・田村秀吉
○田村(秀)委員 次に戸別訪問は禁止して居るが、個々面接、電話に依る所の依頼行爲は制限して居ない、撤廢して居る、今日は、お早うございますと云ふ個々面接が全部現行法では選擧違反になつて居りますが、さう云ふやうな不人情な、社會の淳風、美俗に反するやうなことをなぜ現行法では禁止して居るか、それが結局戸別訪問になる導火線になる、此の區別限界が立たないから、選擧中は友人に會つても、警察官が見て居ると、お早うございますと言ふと、それは個々面接に取られはせぬかと云つて、そつぽを向いて歩いて居る、そんな變なことを心配して今囘は個々面接を許されて居ると思ふのでありますが、さうなつても戸別訪問を許さない、それで戸別訪問と個々面接の限界が非常に困難であつて、明確を缺いて居る、是れ亦運動のやり方に非常に混亂を生ずると思ふのでありますが、此の戸別訪問と個々面接の限界をどの點で線を御引きになる御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/59
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060・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 難かしく申しますると、定義的になるのでありますが、戸別訪問と申しますれば、議員候補者が自分の投票を得る目的を以ちまして、若しくは議員候補者以外の者が或る特定の議員候補者をして投票を得る目的、若しくは得さしめない目的を以ちまして、選擧人の居宅を戸別に訪問する、斯う云ふことが戸別訪問——是は一寸ややこしいのでありますが、斯う云ふ風に解釋して居ります、個々面接は此の選擧人の居宅を戸別に訪問する、是れ以外の方法に依りまして個々に面接する、斯う云ふことに一應解釋を下して居る譯であります、非常に兩者の間に似て居る箇所もありまするけれども、區別の基本となりますのは、其の居宅を訪問したか否かに依つて決しなければならない、斯樣に解釋して居ります、居宅と申しますのは、住居のみならず、事務所であるとか、勤め先であるとか、別莊と云ふやうなものまでも、勿論含んで居りまして、其處を戸別に訪問したかどうかと云ふことに依りまして決する外はないと考へて居ります、戸別訪問を今囘も禁止致しました所以のものは、御承知の通りに、是が非常に買收を釀成致す温床になる、斯樣な點と、又選擧の品位を保つと云ふやうな意味を以ちまして、戸別訪問は禁止致した次第でありますが、個々面接なんかに於きましては、只今仰しやいました著しく社會通念に反するやうな結果を招來致しますし、尚ほ今囘の如く年齡を低下し、婦人參政權を認めると云ふやうに新しい有權者を包含するのであるから、一層活溌なる政治論議が行はれなければならぬのであります、斯樣な意味から致しますれば、社會教育の基礎と致しましても、從來の個々面接が常識に反するが如く解されましては、恐らく此の選擧に關しても政治論議が行はれる餘地が少くならうと思ひます、故に此の際之を撤廢して活溌なる政治運動と申しますか、政治教育が社會的に行はれる基礎を作りたい、斯樣に考へまして、之に依つて戸別訪問だけを禁止して、個々面接以下のものに付きましては、自由に致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/60
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061・田村秀吉
○田村(秀)委員 まあ御説に依つて大體分るのですが、實際問題として中々さう云ふ區別が難かしい、殊に今度は電話は自由なんですね、さうしますと、片つ端から選擧運動員の事務所を無茶苦茶に許す、無制限であります、それから休憩所と稱するものも無制限になつて居る、到る處に、選擧運動が進んで行くに從つて十箇所とか二十箇所の適當の休憩所を拵へる、其の中心に事務所が一、二箇所ある、其處に電話がある、そこで自分の親しい者と目する者を全部電話で連絡を取つて、君の家に行きたいが、家に行つたら戸別訪問になるから、洵に相濟まぬが門口まで出て呉れぬかと言ふことは出來る、門口に出て來たら、今度出たから宜しく頼む、斯う云ふことは戸別訪問の變態なものだと思ひますが、どう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/61
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062・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 電話で門口まで呼出して、門口へ行つて頼む、斯う云ふことになりますれば、居宅を訪問すると云ふ戸別訪問の一種の變態的なものであらうと考へまして、是は戸別訪問になる、斯樣に解釋する積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/62
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063・田村秀吉
○田村(秀)委員 さうなりますと、戸別訪問は其の意思を以て訪問した場合、即ちそれを擴大すれば、今電話で呼出した場合、之に反して個々面接は偶然途上に會つた場合とか、偶然性と云ふものに重きを置かなければ戸別訪問に該當すると看做されますか如何でありますか、詰り呼出しと云ふことがいけないと解釋されるとすれば、道端で會ふとか、或は何處かで會つた偶然の場合には、個々面接と看做されるけれども、豫め呼出した場合には、それは戸別訪問の延長なりと看做されると云ふ御話ですが、そこにはつきりした線が引き得られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/63
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064・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今の御尋ねでありますが、勿論途上に於きまして偶然會つたと云ふ場合が、個々面接になることは當然でありますが、意思が働いて居りまして、個々面接をやると云ふことは、是は例へば演説會を開催すると云ふので聽衆に集まつて貰つて、其處でやることも勿論個々面接であります、さう云ふ意味で、偶然と云ふ要素だけで、其の一線を劃すると云ふことは出來ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/64
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065・田村秀吉
○田村(秀)委員 さうすると個々具體的の場合に當面して、其の時の警察官の認定に依る以外にない譯ですね、それが又一方から言ふと、選擧干渉の端を開く、此の點は實際問題としては中中面倒な問題ですが、是はもう少し御檢討を願はぬと、私最初に申上げたやうに、今囘の選擧運動は自由放任を目標として居るのですが、自由放任が過ぎると、そこに非常に難かしい問題が發生致しますから御注意申上げて置きます
それから戸別訪問に關聯致しまして、選擧運動員に選擧運動を頼む、君、選擧運動員になつて呉れぬか、それから辯士になつて呉れぬかと云ふことを頼んで行くことは、是は現行法に於ても許して居りますが、もう一つ擴げて、第三者運動の文書を一つ君の村で出して呉れぬか、君が二、三人を誘つて第三者運動をやつて呉れぬかと言ふことも同じく許されると思ひますが、是は現實の選擧運動の問題としては、非常に大事なことでありまして、自分が立候補して此の運動員を頼む、演説をやつて貰ひたい、それも自分に大體目標がありまして、あの人と思ふけれども、果して承諾するかどうか分らぬ、相手のあることであるから分らぬ、それで段々擴げて行く、さうして其の次に位する者に頼みに行つたのだと云ふと、是は戸別訪問にならない、隨て運動の上から言つて、事前に運動員になること、辯士になること、第三者運動を依頼することに依つて、人を個々に面接することは、新法案に於ては是は合法行爲と認められますか、其の點をはつきり承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/65
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066・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 或は演説會の出演者に頼む、若しくは選擧運動の委員に頼むと云ふ爲に、個々に面接する行爲は合法的であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/66
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067・田村秀吉
○田村(秀)委員 第三者運動も同じでありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/67
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068・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 第三者も同樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/68
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069・田村秀吉
○田村(秀)委員 此の點は洵に選擧運動の自由と云ふ點から云つて結構でありますが、唯實際問題としては、戸別訪問と其の間の聯關と云ふものは、非常に困難である、隨て此の内閣とは言ひませぬが、今後内閣の如何に依つては、選擧取締の上に差別待遇をやる、甲の候補者に對しては之を惡意に戸別訪問なりと解釋し、乙の候補者に對しては、それは運動員の依頼行爲であるから合法行爲であると云ふ認定は、警察官に依つて自由に出來る方法がある譯であります、是れ以上は議論になりますが、餘程氣を付けておやりにならぬと、選擧運動を自由にしたけれども、又一方に非常な弊害を胎す基礎を茲に開いて居ることになる、今まで選擧法が多年改正に改正を加へて來たのは、色々な弊害を矯めんが爲にした、それを一擧に開いた、開くことは宜い、併し開いた爲に生ずる弊害のあることは、餘程政府當局としては御考へにならないと、選擧の公正と云ふ點に付て缺ける、隨て選擧運動中の社會の秩序維持の上に於ては、非常な影響がありますから、此の點は後程又同僚委員からも御質しになりますから、私は是に止めて置きますが、此の點は更に一層本委員會の進行中に、もう少し明確なる御方針を承ることが出來れば、私共實際問題として非常に幸ひと思ひますから、此の點御注文申上げて置きます
それから選擧運動の一番民衆運動として根本をなすものは言論詰り演説會ですが、其の演説會に候補者をして自由に演説をなさしむることが必要であります、所が實際問題としては、今度は選擧が自由だから彼奴を一つ妨害してやらう、妨害して選擧の演説會を混亂に陷れてやらうと云ふ計畫は必ず起ると思ふ、「ポツダム」宣言を受諾して自由になつたことは結構であるが、それが滅茶苦茶だと云ふことを私は惧れる、此の限界をはつきりして置かなければ、政府と云ふものの存在が譯が分らなくなり、選擧の公正を期待することが出來ませぬ、況や今囘は新人の擡頭が非常に期待されて居る、私も新人として曾て出て來たのですが、新人として出ようとする時には、社會には何と云つても舊勢力と云ふか、眼に見えない勢力もあつて、何だあの小僧、彼奴を一つ妨害してやらうと云ふやうなことで、それが眼に見えるやうな明かなる取締に觸れるやうな妨害に出はしない、そこは練達堪能な奴が居つて、何等かさう云ふ方法に出て來る、そこで此の次の選擧で考へてやらなければならぬことは選擧運動の中心をなす所の演説會——新人だから演説が巧いとは言へない、演説はよたよたして下手かも知れないが、人格識見に於て立派な者は出してやらなければならぬ、さう云ふ者が演説會場で大きな彌次でも飛ばされると、直ぐにへどもどになつて演説も出來なくなり、結局、其の目的を達成し得ないと云ふことも豫想しなければならぬ、隨て演説の自由と云ふことの一方に於て、候補者の公正なる演説の遂行に對しては、飽くまで之を保護して其の目的を達成せしむるやうに、十分の善い意味に於ての取締をしなければいかぬと思ひますが、演説會の運營、演説會場内に於ける所の第三者妨害、第三者と云ふのは反對——對蹠的に立つて居る者から來ると思ふのですが、それに對しては儼たる一つの方針を持つて行かなければならぬと思ひますが、此の點に對しての用意と、それから明確なる方針がございましたら、一つはつきりして置いて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/69
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070・小泉梧郎
○小泉政府委員 御話の通り言論の自由は飽くまで尊重すると云ふ態度でありますが、言論の自由を履違へまして、放縱に流れる場合がないことはない、只今御話の言論妨害に付きましては、我々と致しましても十分其のことを豫想出來ますので、大體今囘の言論に對する我々の用意と致しましては、言論の自由を尊重すると云ふ建前に於きまして、臨官等の制度はやりませぬが、演説會等に於きまして言論の妨害行爲があることを豫想致します結果と致しまして、或る程度のそれに對する警備力と申しますか、警備上の手當は致さなければならぬ、斯う考へて居ります、さう云つた事態が起らないやうに、萬全を期して參りたいと考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/70
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071・田村秀吉
○田村(秀)委員 さうしますと、大體演説會場に於ける言論取締と云ふか、寧ろ候補者の政見發表を十分に許してやる、隨て之を保護すると云ふ意味の取締は飽くまで私は徹底することが必要であると思ひます、現在選擧中に演説會場に行きますと、取締りの立會の警官が居つて、其の後ろには必ず大抵札が貼つてある、候補者の言論を妨害する者は何々に依つて處罰せらると云ふのに依つて、大體彌次を停止して居る、彌次と云ふものは彌次は宜しいと云ふことになると必ず妨害になつてしまふ、そこでそれは現行法と同じ線に沿つて同じ取諦りと言うと言葉が違ふが、實は候補者の政見發表を飽くまで保護する、殊に是は新人の場合に、先程申上げたやうに、諄いやうですが、保護してやる必要があらうと思ふのですが、現行法と同じやうに、演説會に於ける言論に付ては、嚴重なる保護取締をなされるものと解釋して宜しいのでございませうか、もう一囘明確に承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/71
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072・小泉梧郎
○小泉政府委員 選擧妨害に關する現行法の規定は、其の儘存續致すのでございますから、從來通り少しも其の點に付ては變りはないと御承知戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/72
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073・田村秀吉
○田村(秀)委員 其の點は安心致しましたが、言論は自由だ、「ポツダム」宣言を受諾したのだから俺がやらうと思ふ言論——大體警察も何も自信を失つて居ると思ふ、現在日本の一番大切なことは、そこに正しい法規に基く正しい行爲に付てはやはり政府の任にある者、其の局に當つて居る者は、嚴たる信念を以て之に當らしむると云ふことを、近く選擧も行はれることでありまするから、要望致して置きます、それから選擧運動に付て今度今までいけなかつたのが新たに設けられた運動法として氣勢を張る行爲は之を許す、斯うなつて居りますが、是は解釋に依つてはえらいことになる、どう云ふやうな程度まで氣勢を張る行爲と云ふものを認められんとして居られるか、御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/73
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074・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 此の度の選擧法の改正に當りまして、成るべく選擧の自由を認めまして、自由濶達なる選擧の行使を期待致します關係上、選擧に際して氣勢を張る行爲の取締を緩和致したのであります、是は從來の選擧に於きましても、氣勢を張る行爲として、取締の對象になつた例は殆どないのであります、若し將來選擧に際しまして、氣勢を張る行爲の結果騒擾の程度になるとか、或は選擧妨害の程度になりますれば、それは現在の既存の選擧法の罰則に依つてなり、或は刑法の騒擾罪の規定等に依つて、嚴重に取締をしたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/74
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075・田村秀吉
○田村(秀)委員 さうしますと氣勢を張る行爲、例へば、東京はなんと云ふか知りませぬが、私は四國ですが、演説會を觸れて歩く觸れ太鼓もありました、それから東西屋と云ふものがあつて、東西東西と言つて何人も手分けをして演説會を觸れて歩く、或は其の他喧しい法螺貝を吹いて歩く、是も氣勢を揚げる行爲であつて騒擾に該當しない、さう云ふものは一切自由であつて、騒擾と云ふものは隊伍を組んで人の交通を妨害するとか、或は人に畏怖の念を生ぜしめると云ふやうな相當のものでなければ、刑法上の騒擾罪と云ふものは成立しない、さうしますと、さう云ふ今申上げたやうな事例、是はもう少し大きくなると思ひますが、斯う云ふものは全く自由として御扱ひになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/75
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076・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 選擧の妨害にならない程度の氣勢を張る行爲ならば、勿論自由になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/76
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077・田村秀吉
○田村(秀)委員 是も是から先は意見になりますが、氣勢を張る行爲と云ふものに付ては、自分のことは徹底するが相手はそれを中々やることは出來ぬ、やはり新しい勢力で出ようとする者は、中々やれないと云ふことがありますので、兎に角結局運動の公正——自由はあつて公正なしと云ふことがあります、此の點も實際今後の運動をする上に於て規則は色々な點でやれぬことはないと思ひますが、府縣等に依つて取締を——又今後政府で御考へになることも出來ると思ひますから、其の點は私は飽くまでも選擧は自由にして且つ公正な結果を得なければならぬと思ひますので、色々なことを御尋ねして居るのですが、此の觀點に付て十分の御用意を御願ひして置きたい、それから今大臣御出席でありますので、本法案御提出の根本理由等に付きまして、一二御尋ねを致したいのでありますが、偶偶御出席前から事務的なことの質疑を進めて居りますので、尚ほ多少事務的な質疑を終りましてから、根本的な問題に順序を顛倒致しまして御尋ねを致したいと存じます、尚ほ事務的なことを御尋ねして居る中にも、特に大臣から御説明を願つた方が宜いと思ふ點もあると思ひますから、適宜御答辯を御願ひして置きたい、そこで演説と文書がやはり主體を成して居るのです、演説會は今御尋ねして居ることに依つて御答辯を得て居る、今度は文書の問題でありますが、演説會の告示「ポスター」は自由である、びらも何十萬枚何百萬枚やらうと自由である、其のびらを演説會毎に、例へば甲の村で演説會をやる場合に、乙丙丁の隣接町村にびらを幾ら抛り込み「ポスター」を幾ら貼らうと無論自由と存じますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/77
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078・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 自由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/78
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079・田村秀吉
○田村(秀)委員 そこでびらは多數の勞務者を雇つて戸々に抛り込む、此の抛り込む奴は、昔はどうかすると個々面接になる、勞務者が足らぬ場合には運動員、現行法の委員と看做される新選擧法に依る所謂選擧運動員、此の勞務者と運動員の區別が分らぬのでありまして、運動員の場合に、運動員がびらを抛り込むと個々面接に疑はれる虞があるのでありますが、是はものを言はずにぽとんと抛り込む人が勞務者にあらずして、羽織袴を着た人でも、どんな人が此處にびらを抛り込んで行くことも差支へない、斯う云ふことに見て宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/79
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080・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 差支へありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/80
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081・田村秀吉
○田村(秀)委員 それからもう一つは挨拶状です、是は第三者も同じであります、今囘は郵便が大體手不足と看做されて居りますから、今日出したものが選擧が濟んだ後でなければ到達せぬと云ふのでは目的が達成せられない、そこで勞務者等を狩出しまして、演説會のびらを抛り込んだと同じやうに、選擧區全體に對しまして、挨拶状、或は自分の斯うだと云ふ名前だけを印刷した、是は演説會の告知でも何でもないものを片端から抛り込んで行く、それから普通の挨拶状を郵便屋がやると同じやうに抛り込んで行くと云ふこと、それから第三者が同じやうに推薦状を抛り込んで行くこと、是は自由でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/81
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082・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 今の問題も差支へないものと解譯致して居ります、唯私疑問がありますのは、是は調べて後程申上げたいと思ひますが、郵便法に郵便類似のことをやつてはいけないと云ふ規定があつたのぢやないか、と云ふ記憶が一寸あるのでございまして、其の點が心配でありまするから、後刻調べました上で、其の點を、はつきり御答へ申上げたいと思ひます、選擧法に關する限りは差支へありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/82
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083・田村秀吉
○田村(秀)委員 是は現行法では、私共此の問題は從來内務當局とよく交渉して居つたのですが、從來は郵便法で駄目なのです、郵便法に觸れると云ふので許されて居りませぬでした、併し今囘は特殊の事情があるのです、郵便の配達夫の不足と云ふやうなことで、假に挨拶状を印刷して郵便屋に托しても、それが到達せぬと云ふ虞があるので、之を要求する聲は相當大きくなつて來ると思ひますから、是が取扱に付ては特に選擧中に付て之を許すかどうか、單なる郵便規則の御扱ひだけでなく、特例として御考へになるかどうか、是は御方針を立てられて御研究の上、本委員會に於て明確に發表あらんことを希望致して置きます
それから愈愈近く解散になつて總選擧が行はれる、目前に迫つて居ります、私共ぼつぼつ聽いて見ますると、演説會の「ポスター」は何萬枚でも宜しい、或は名札を滅茶苦茶に貼ることも、費用の制限と云ふ一項があるだけで幾らでも宜い、それは普選第一囘の時に一番困つたのですが、塀と言はず、電信柱と言はず、石垣と言はず、名前の札で貼り潰してしまつたことが、普選第一囘の御經驗で御承知の通りでありますが、さう云ふことも今度は自由なのか、所が今囘は幸か不幸か紙がないのです、得ようとすると、とんでもない高い闇値で買へて居る、最近我々の間に話題にもなつて居りますが、世間でも喧しく言うて居りますものは、終戰のどさくさに泡錢を儲けた者があります、まあさう云ふ言葉は或は穩やかでないかも知れないが、或は戰争中不當なる利益を得た泡錢を持つて居るから、今囘一つ立候補してやらうと云ふので、滅茶苦茶に買占をやつて居る者があると云ふことも聞いて居ります、是は一連何百圓でも平氣で買ふ、一方さう云ふ筋道を持たない者、殊に純眞な新人候補と云ふ者は、若さと世間に幅がない爲に、さう云ふ手は恐らくないと思ひます、是等に對して不公平な結果が生ずる、而も費用の制限をすると云ふけれども、一連三十圓のものを三百圓で買つたと云ふ證據を捉まへようとしても、全國に亙ると致しますれば、今の檢察當局の手で、迚もそれが出來るものぢやない、結局三十圓と一應認定する以外にないと云ふことになると、餘計金を持つて宜い加減な闇行爲みたやうなものをやつて、選擧區を塗り潰した者の方が勝つと云ふことになりますと、是れ亦選擧の公正と云ふ結果は得られない、宜い加減な奴が當選すると云ふことになつて來るのです、そこで政府は今日の物資の窮迫した事態に於て、挨拶状の郵便葉書とか、或は私製葉書無論結構ですが、或は演説會の「ポスター」びらさう云ふものに付ての紙は、今申上げたやうな點も一つの參考とせられて、立候補をする者には、之を何等かの便宜を與へると云ふことが、やはり自由公正なる選擧競爭を行はす上に於て私は必要と思ふ、之に對する用意を政府はして居られるかどうか、もう一つは假に紙は出來たとしても、全國到る處燒跡です、而も印刷屋のあるのは大體都市です、其の印刷屋が殆ど燒けて居ると云ふ状態ですから、紙は手に入つたが印刷が出來ない、印刷が出來た時には選擧は濟んでしまつて居ると云ふやうな不幸な状態に陷る者なしと言はれない、そこで印刷の斡旋をしてやることも私は必要ぢやないかと思ふのです、假に印刷屋の斡旋が出來ぬとするならば、解散して總選擧まで僅か三十日の間に、紙は貰つたが印刷は出來ぬと云ふことになるのでありますから、是は難かしい問題ですが、何等かの方法を御考へ願ひたい、假に紙は政府が供給する用意ありとしても、相當早く、と言つてももう十日か二十日位しかないかも知れませぬが、早く紙を與へる用意をしてやることも必要と思ふのであります、それ等の細かいことは別として、兎も角第一にびら「ポスター」郵便葉書或は封筒と云ふやうなものに付て、政府は今囘立候補する者——立候補せんとする者にやたらにやる譯に行きますまいが、立候補する者に紙を斡旋せられる準備を今して居られるかどうかを承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/83
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084・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今の御質問に私から御答へ申上げたいと思ひます、近頃のやうな物資の總て不足の際に、此の選擧に際しまして、殊に紙の不自由なことには、立候補される方々が非常に御苦心だらうと考へます、さう云ふことを心配致しまして、先般來何とか紙の御世話が出來ないものかと云ふことを色々奔走して居つたのでありますが、今日までの所では、丁度只今の御質問に御答へ申上げ、皆樣にも御含みを願ひたいと思ひますが、大體只今見込みの付きました所では、紙の方は一候補者當り十連乃至二十連、是はまだ分りませぬが、十連は大丈夫と思つて居ります、それ以上出來るだけ餘計差上げたいと思つて今努力して居るのでありますが、其の程度に於て立候補する方に無論公定値で御世話をして上げられる見込みが立ちました、それから葉書の方も官製葉書を是も立候補される方々に出來るだけ御世話を致したいと思ひまして、先般來遞信院の方と色々交渉中であつたのでありますが、是も大體見込みが付きまして、候補者一人當り凡そ一萬枚は御世話が出來る見込みが立つたやうな次第でございますから、此のことを此の機會に皆樣に御披露を申上げて置きます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/84
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085・田村秀吉
○田村(秀)委員 大變御苦勞なすつて居られることを今大臣から承つて、洵に結構な次第であると存じます、唯今申上げたやうに、紙は入つたが印刷は出來ぬ、斯う云ふことになる、所が實際今の問題を法律的に解釋すれば、立候補の屆出が明確にならなければ紙を渡す譯には行かぬと云ふことになつて來ると、實際上間に合はぬと云ふことになるのですから、それ程御親切に紙が十連、葉書は一萬枚渡すと云ふ御用意が出來たら、何等かの方法で事前に、解散の直後、立候補の明かな者には屆出の有無を問はず渡すと云ふ位の御用意がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/85
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086・堀切善次郎
○堀切國務大臣 それを差上げる方法に付ては、未だ決めて居りませぬが、立候補なさる方がどれだけになりますか、若し意外に多くなりますと、今の十連以上と申上げましたのも、何處へ行くか分りませぬが、大體立候補される方を三倍強と見まして、千五百人と計算しまして、只今の十連は大丈夫ですが二十連まで行きますか、葉書一萬枚と考へて居りましても、どう云ふ時期にどう云ふ方法で差上げたら宜いかと云ふことは、目下頻りと研究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/86
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087・田村秀吉
○田村(秀)委員 先程申上げたやうに何時渡すかと云ふことと、それから印刷が實際問題だと思ふのです、是は恐らく御用意がおありと思ひますが、一つ御頼みして置きたい、恐らく全候補者特に——私は斯う云ふことを言ふと言葉が過ぎるかも知れませぬが、新人候補者が困ると思ひます、先程申上げたやうな泡錢を持つて居るやうな者は別ですが、純眞な國士的な人間は大體金がない、さう云ふ者が出やうとする時には、金がないから、紙は世話して貰つたが印刷が間に合はぬと云ふ結果が必ず出て來ると思ひますから、出來れば一縣下に一軒乃至二軒位の印刷屋は何とか政府で世話をして、それを其の選擧區に專屬、と言ふとをかしいですが、決めるやうに斡旋せられんことを希望致したいのでありますが、其の邊何か御用意がありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/87
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088・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 其の問題は非常に我々と致しましては困難の伴ひます問題で、目下の所考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/88
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089・田村秀吉
○田村(秀)委員 まあ考へて居ないと突撥ねずに、出來るだけ斡旋せられぬと實際困りますから、私は注文をして置きます、努力すると位一つ……
次に私は事前運動に付て御尋ねを致したい、今囘は事前運動が自由になるのですが、是が非常に問題になります、内務大臣は本會議の席上に於て事前運動は現行法の存する限り取締ると言つて居られますが、事實それは中々難かしい問題であります、事前運動は現に相當やつて居るのです、是から二、三御伺ひしたいと思ふのですが、事前運動に關しては、事務當局よりは政府委員から伺つた方が宜いと思ひますが事前運動の取締に付て、實際具體的には如何なる御用意がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/89
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090・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 現在は御承知の通り現行法が勿論支配を致して居りまするので現行法の建前は事前運動を禁止致して居るのであります、隨ひまして、現在に於きまする事前運動は違法性が其の點に於てあるものと解釋を致さなければならぬのであります、唯今日の客觀的情勢と致しまして然らばどうか、斯う云ふやうな御質問であらうと居ひますが、此の改正法案が現在御審議を煩はして居りまするが、的確に末だ是が通過を致すと云ふことも申上げ兼ねるのでありまして、又或は色々な状況に於きまして施行を見ないと云ふことも考へなければなりませぬ、隨ひまして此の限りに於きまして、改正法律が帝國議會の協贊を經て公布施行を見まするまでは、此の種行爲は犯罪を構成し、此の取締はレイ行しなければならないと考へて居るのであります、我々の方と致しましても、此の趣旨に依りまして各府縣にも是の取締方に付き通牒を發して是が遺憾ない處置を講じつつある次第であります、以上御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/90
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091・田村秀吉
○田村(秀)委員 所がそれはをかしい、現行法が選擧の時にも相變らず存續すると見て取締つて居られる、所が法律が變つてしまふ、新法が出來た場合には現行法は無效であり、無くなるさうすると、其の選擧運動は新法に依り、事前運動であるから、放任されて居る、其の前は現行法があつて捉へたが、新選擧法が施行される、而も其の新選擧法が出來た時でなければ解散はない、解散なしに選擧運動は開始されない、隨て事前運動と云ふ範疇に入らなければならない、假に入つたとしても、新選擧法が出來れば、舊選擧法に依る檢擧は不起訴か、免訴になるか、其の關係は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/91
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092・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 結局御質問の點は、之を避ける爲に、改正法に右の點に付ては罰則の效力を阻止せしむる經過規定を設ける、と云ふことに落付くのではないか、今仰しやいましたことは、勿論此の法律が公布され總選擧が行はれました場合に於ては、現在に於ては犯罪を構成致して居りましても、新選擧法が行はれました以上は、刑事訴訟法の規定に依つて免訴になるのであつて、御承知の通りであります、然らば之に付て其の經過規定を設けて現在違反になつたのは、新法に於ても繼續した犯罪である、斯う云ふやうに作ることが宜いかどうかと云ふことに歸著するのではないかと思ふのであります、之に付きましても、我々と致しましては、一應研究致したのでありますが、新しい民主主義的な時代の要請から致しまして、此の選擧運動を自由ならしめんとする改正法の建前から考へる時には、右の經過規定は寧ろ設けざる方が妥當である、是が寧ろ時代に適合すると云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/92
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093・田村秀吉
○田村(秀)委員 さうすると、先程御答辯に現行法で嚴重取締ると言つて居るが、役に立たないと云ふことです、我我は事前運動は現在に於ても自由なりと云ふ觀點に立つて、物を處理して行かなければならぬ、現在行はへれて居ることは、個々面接は無論宜いとして、戸別訪問が頻りに行はれて居る、演説會、「ポスター」、「ビラ」或は亦俺が立候補するから頼むと云ふことが處に依つては非常に行はれて居ることを聞いて居る、現行法でやると云ふことは免訴であるから駄目である、現在やつて居る個々面接、新法の施行を前提として、現在やつて居る戸別訪問、それに基く費用——買收とすれば法に觸れるのは分つて居るが、色々な演説、挨拶状等の費用、解散より立候補、昨日まで發送したもの、此の間の費用の通算の問題、戸別訪問に對する取扱はどうなりますか、是は實際問題としては非常に重大なものである、一方は事前運動を滅茶苦茶にやり、一方はやらなかつた、隨て自由と言つてもいけませぬよ、先程も申上げて諄いやうですが、自由は公正でなければいかぬ、「フェヤ・プレイ」と云ふことが押へられぬで、自由だから宜いと云ふのでは民主主義ではないと思ふ、「フェヤ・プレイ」を維持する爲に事前運動と云ふものに對しても、嚴重なる限界と云ふものがなければならぬのですが、費用し通算の上に於てもさうです、此の「フェヤ・プレイ」選擧の公正と云ふ觀點に立つて、事前運動等の取締も考へなければならぬと思ひますが、此の點に對する御用意、御感想を明確にして戴かぬと、目睫に迫る選擧に對して色々な問題が生起して來ると思ひますから、どうぞ此の點を御願ひしたいと思ひます、若し其の用意なしとすれば、急速に御當局としては之に對する對策を御準備になる必要があると思ひます、併せて御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/93
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094・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今戸別訪問の問題が出ましたが、戸別訪問は現行法も新しい改正法案も、何れも違法であると云ふことになつて居りますので、此の點は一寸田村委員の御質問の中の御言葉の行違ひかと思ひます、其の外の費用の問題でありますが、現在費用を使つて居ると云ふものに付きましては、改正法が通過致しました場合に於きましても、是は費用の中には入らない、勿論舊法に於きましても、是は禁止されて居りまして、費用には入らないと云ふことは同樣であります、唯事前運動が現在の立場を離れまして、新しい改正法ではどう云ふ風な取扱を受けるかと云ふ問題であります、此の問題に付きましては、事前運動としまして、選擧の公布若しくは告示のありまする以前に於きまして、選擧運動が完了を致した所のものに付きましては、所謂百二條の費用の中には加へないと云ふやうな趣旨で立案を致して居ります、隨ひまして演説會を選擧の公布若しくは告示になります前に開催を致しました所の費用は、是は選擧の費用には加へない、斯う云ふ趣旨であります、但し選擧の公布がありました前に於て前拂のやうな形で支拂つたと云ふやうなものがありまして、是が選擧の公布のありました後に於ても、選擧運動として完成するやうなものに付きましては、費用に加算をするのであります、例示を以て申上げますると、紙を買つた、十連の紙を買ひました、此の中で三連だけは事前運動として選擧の公布がありまする以前に、或は挨拶状の形で出した、殘つた七連は選擧の公布がありました以後に於きまして、自分は立候補したから一つ宜しく頼むと云ふ風に致しましたならば七連に關する限りの費用は選擧費用に加算を致します、又事前に於きまして演説會場の借入をやつて金を拂つて置いた、それで此の會場を公布のありました後に於きまして使用致しました場合に於きましても、選擧の費用に加算を致すのであります、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/94
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095・田村秀吉
○田村(秀)委員 それは御答辯がなくても當然の話であります、其の流れて來るものがどの程度かと云ふことなのであります、例へば昨日までの事前運動、立候補と總選擧の施行期日の公布があつた其の前の日に發送すれば、それは向ふに到達するや否やを問はず、俺は此の次出ようと思ふから構はぬと云ふことが御説から行つて推測出來るが、それは加算しないと云ふことになる譯ですが、戸別訪問は立候補前たると否たるとを問はない、現在でも俺は次に立候補したいから宜しく頼むと云ふ戸別訪問が、頻りに行はれて居ると云ふことを聞いて居る、是は新選擧法に於ても嚴として取締罰則に觸れるのでありますが、今やつて居るのは事前たると否たるとを問はず、買收は勿論のこと、戸別訪問は嚴重に取締る、是は明かなことでありますが、世間は選擧は自由になつた、事前運動は許されると云ふので、亂痴氣騒ぎの空氣になつて居りますから、是は明確に世間に對して内務大臣から嚴たる御聲明を願ふことが必要だと思ひますので御伺ひするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/95
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096・堀切善次郎
○堀切國務大臣 事前の運動は現行法に於てはまだいけない譯でありますから、之に對して違反する者がありますれば、其の違反する者に對して取調べをし、それ相當の處置を進めて行くべきであると考へて居ります、唯改正法が施行されますと、それは只今の御話のやうに免訴になりますから、其の效果はなくなる譯でありますが、それまでの間はやはり違反者として取調べを進めて行くと云ふ建前になると存じて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/96
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097・田村秀吉
○田村(秀)委員 戸別訪問の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/97
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098・堀切善次郎
○堀切國務大臣 戸別訪問に付きましては、やはり是は今度の改正案に付ても處罰して居る譯でありますから、此の點に付てはやはりいけない譯であると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/98
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099・清瀬一郎
○清瀬委員長 今の田村君の御質疑の點、内務大臣が責任を持つて今御答へになつたのでありまするけれども、是は刑事法規の解釋に關係致します、今個々面接をして有罪行爲で起訴すれば、裁判所は受理して裁判をする、それが一審の末期、又は控訴中に新法が適用されたら、それで無罪になる、新法の運命を一つの條件として、今やる人は冒險をやる、見込が當つた奴が得だ、當らなかつた者は不幸だと云つたやうなことは、如何にも不思議でありますが、司法部の此の解釋と云ふことも確かめまして、さうして經過規定は要らぬと仰しやるが、是は一つ考へなければならぬことだと思ひますから、明日又は明後日でも一つ司法大臣の出席を求めまして、更に聽きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/99
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100・田村秀吉
○田村(秀)委員 只今の委員長の御説は、私は質疑者として、私の足らぬ所を補はれた、どうか今私が御尋ねして行く中に、恐らく取締に當られ、選擧を公正に行はうとする御當局としても、どうも納得し兼ねることや、肚に呑込めない疑義をやはり今日の時局に即して御感じになつて居るんぢやないかと、私は推測致しますから、今委員長の御言葉に基いて、どうか司法當局と十分御協議なすつて、經過規定を設けるか、或は之に的確なる解釋が出來るか、是は出來れば司法、内務兩大臣、今の選擧を目睫に控へて、而も其の選擧と云ふのは、「ポツダム」宣言を受諾したと云ふ大きな事態に依つても難かしい問題に直面して居るのでありますから、司法、内務兩大臣から御研究の上、明確に御示しあらんことを私からも希望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/100
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101・清瀬一郎
○清瀬委員長 幸ひに手代木政務次官がおいでになつて居りますが、あなた御聽きの通りでありますから、一つ此のことに付て御答辯の用意をして御出席を願ふやうに大臣に仰しやてつ戴きたい、遵法精神と云ふことにも關係します、今現在ある法律を守つたら宜いのか、將來廢止されると思つて守らないで冐險をやつた奴が勝つのか、そんな曖昧なことでは日本の政治はどうかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/101
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102・原惣兵衞
○原(惣)委員 一寸今のことに關聯して御許し願ひます、それは司法省の囘答だけでなくて、一體我々自身もどうすれば宜いかと云ふ所のことを決めて、質問しなければならぬぢやないかと思ひます、簡單に司法大臣がそれは規定せぬでも宜しいと言ふか、すると言へば宜いかも知れませぬが、我々の意見も此の場合能く考へられた上で、兩方折衝する必要がありはしませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/102
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103・清瀬一郎
○清瀬委員長 要するに原君の御意見は同感です、政府の司法、内務、兩方の意見を聽いて、判斷は我々がすると云ふので、判斷と質問と混同しないで、政府の言ふことだけ能く聽いて、其の上こつちはこつちで相談する、早く之を決めぬと一日々々世間を昏迷しますから、明日にでも聽いて、明日の午後にでも相談して、此處で態度を決めれば世間の態度も治まります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/103
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104・田村秀吉
○田村(秀)委員 そこで今の點を明確にせられて、我々委員に於て是が對策を、御答辯を承つた上ですることに致します、就ては假に新法が出來たとして、今の問題は經過的には餘程愼重に扱はなければいけませぬが、そこで新法が施行せられて、事前運動は今度は自由になつたとして、先程内務大臣の御説のやうに買收、戸別訪問は、事前と事後とを問はず是は選擧に關する限り絶對嚴罰は申すまでもないのですが、併し其の他の運動は幾らやつても宜い、さうすると俺は選擧に落選した、明日から又やれと云ふので、金があつた場合、餘裕のある場合、年中行事、選擧運動を朝から晩までやつて居つて、效果があるかどうか分りませぬ、それは別問題ですが、さう云ふことが行はれる、そこで事前運動と云ふものは社會の安寧を維持する上からも相當考へなければならぬ、併し事前運動を從來は禁止して居つたが、今度は「ポツダム」宣言を受諾したから、何でも彼でも自由放題にしてしまつて宜いと云ふやうなことは、愼重に考へる必要があると思ふのですが、年中行事、到る處に滅茶苦茶に選擧運動が年がら年中行はれて、事前運動差支へなし、斯う云ふ野放圖な御考へであるかどうか、大臣如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/104
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105・堀切善次郎
○堀切國務大臣 御懸念の點もありますが、私共考へますに、此の選擧運動の效果は、やはり選擧の期日が接近して居る時に、最も其の效果が現はれるのではないかと思ひます、選擧の期日と非常に離れました、ずつと期間の澤山ある間に事前運動を色々やりましても、それ程影響は少いものではなからうかと思ふのであります、それで、さう云ふものは放任して差支へないのではないかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/105
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106・田村秀吉
○田村(秀)委員 斯う云ふことなんですね、選擧の實際から申しますと、御説のやうに選擧に直面しなければ我々忙しい者、それから色々な仕事を持つて居る者はやる暇もなし、實際白熱して來なければ白熱した效果と云ふものは現はれないことは、今大臣仰せの通りであります、所が兎に角此の次一年後か二年後か知らぬが、立候補しようと云ふ者に一番必要なるものは、選擧區民との親しみと、之に知らせると云ふことである、そこで之をやるには個々面接と云ふか、それは事前運動が野放圖に擴がると、戸別訪問なんか取締りやうがないことになつて、詰り仕事のない、無駄な金を持つて居る、そんな人間は餘りないと思ひますけれども、さう云う人間が年がら年中演説會と稱して、座談會と稱して頻りにやつて、而も一方は政治のことは眞面目にやつて居る、兎に角俺は當選しようと云ふので年がら年中やつて、其の間に生ずる買收、社會に對する害毒と云ふものは、是は私は豫想し得ると思ふ、そこで今は一應事前運動は、今大臣のやうな御觀點に立つて新法は規定せられると思ひますが、是は弊害の生ずる所は、選擧の實際から考へまして、豫測し得ざる大きなものがあるやうに思ひます、そこで今後此の選擧の事前運動をやると云ふことが、大臣の今の御觀測で、それは直接した事前運動は一應許す、許すのが至當だと御考へになつたのでありますが、之を野放圖に年中事前運動をやることになると、是は中中むづかしい問題だと思ひます、其の點に付ては御考へがなければ致し方はないのでありますが、餘程御考へ願はなければならぬと思ひますので、是は御注意旁旁私の説明を御聽きになつて、何か御考へがあれば今後の選擧の秩序公正と云ふ上から、選擧の取締御當局として、此の際一つ國民に明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/106
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107・小泉梧郎
○小泉政府委員 事前運動に付ての制限を撤廢致しましたに付きまして、それに伴つて各種の弊害の生ずることも今御指摘になりましたやうに、或る程度豫想は出來るのでございます、唯從來の選擧制度が非常に制限的でございまして、僅かの期間しか本當の選擧運動は出來ないと云ふことになつて居つたのでありますが、今日の最も緊要なことは、どうしても國民の政治意識と申しますか、政治的の關心をうんと昂揚致しまして、政治的な自覺を之に持たせ、政治上の責任を持たせると云ふことが、議會制度確立の上に是非ともやつて行かなければならぬ必要なことなのであります、それに付きまして、選擧運動と云ふものは、實は絶好の機會なのでございます、唯今日まではそれが非常に短かつた爲に、國民に對して政治的な自覺を持たせ、政治的責任を感じさせることに十分でなかつた點があるのであります、是は最も遺憾とされて居つた點でありまして、今度事前運動に對する制限を撤廢致しました理由の大きな所は、そこにもあるのでございます、隨ひまして、之に伴ひます弊害もございますが、一面に於て議會制度確立と云ふ大きな目的の爲に、多少の弊害は忍んで、此の大きな目的を達成して行かうと云ふやうな點もございます、同時に今まで事前運動と云ふ形ではございませぬですが、各種の地方選擧民に對する政治的な自覺を促される、何と申しますか、選擧區の教育的な行爲と申しますか、地盤ではない、選擧區の培養的な行爲でございます、是が堂々と行はれるのが私は宜いのではないかと思ひます、今日までは是が稍稍變に、非合法的な感じを持つてやつて居られた感じがございます、是など私はやはり大きな政治的目的を達成される上に、堂々と之をおやりになつて戴くことが必要ではないか、斯う云ふやうにも考へまして、さう云ふ觀點から事前運動に對する制限を撤廢したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/107
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108・田村秀吉
○田村(秀)委員 此の點は政府委員の御發言にもありましたやうに、政治運動と申しますか、政治教育と申しますか、さう云ふやうなことは大いに奬勵もし、平素やらすべきものであると思ふのです、私は年中行事と申しましたが、まさか三百六十五日、選擧運動の事前行爲が許されたからと云つてやる者もないでありませう、併し解散せられて總選擧を行はるるのは先づ三十日と致します、さうすると其の前に一箇月二箇月三箇月位までは、大體五十日か百日は狙ひ得る時で、其の狙ひを得る時事前運動をやると云ふことになれば、それは受ける方も、選擧民も厄介だ、俺が此の次出るから頼むと云ふことを到る處でびらは貼る、頼みには來ると云ふことで、社會に或る程度、安寧妨害とまでは行かなくても、厄介を掛けると云ふことと、もう一つは、さうなると三箇月か五箇月、或る程度の效果が選擧に反映するだけの期間、三十日か百日か、それははつきりしませぬが、其の期間に皆やらなければならぬことになる、皆やらなければ「フエヤプレイ」にならない、公正にならない、或る者は百日やるが、或る者は忙しかつたり費用の關係で三十日しかやれぬ、是で「ポツダム」宣言の公正と云ふものが行はれるかどうか、私はあなた方を攻撃する譯ではありませぬが、此の頃の日本政府のやり方と云ふものは、何だか物に憑かれて、少し自信を失つて居るやうに思ふ、新事態に即應する一つの秩序を作る、公正なる選擧をやると云ふ時に、自由と云ふことが頭に浮べば、直ちに「フエヤ・プレイ」と云ふことが反射的に行はれなければならぬ、「フエア・プレイ」のない所に自由選擧の結果は招來しないと思ふ、片方はやれないのだから不自由でせう、片方は放埓にやる、斯う云ふことで議會に正しき民意の反映を求める、立派な國民代表が出て來ることを豫想することは無理なんです、其の點を私は申上げて、事前運動に付ては、相當の御警戒と御方針を立てられなければならぬ、斯う私は申上げるのであります、此の點に對して内務大臣はどう御考へでございませうか、重ねて伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/108
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109・堀切善次郎
○堀切國務大臣 前に申上げましたやうに、事前の運動は選擧の日から遠ざかつて居りますれば、左程の效果はないものと考へますので、御指摘のやうな點もありますが、寧ろやはり之を放任する方が適當だと考へた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/109
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110・田村秀吉
○田村(秀)委員 あとは意見になりますから申上げませぬ、其の次には選擧公營に付て承りたい、今囘の新選擧法に依る公營は、公報が一つ、それから公共設備の會場を提供することがあるかどうか、此の選擧公營に對する新選擧法の用意、内容を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/110
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111・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 選擧公營に付きましては、大體に於きまして、從來通りの公營の方法を執つて居るのでございまして、唯無料郵便物に付きましては、今囘限り之を停止する譯でございます
尚ほ選擧公報の發行に付きましては、今囘は用紙の關係もございますので、新聞紙用の紙を用ひまして、其の掲載方法に付きましては、從來通り單に三千字を限りまして、無味乾燥なものが出來ても、つい之を讀まなくなりますので、候補者皆樣の御着想に依つて、何か有權者が十分興味を以て讀むと申しますか、注意して讀むやうな工夫を凝らされてはどうかと目下研究中でございます、それから公報の配布方法に付きましては、目下郵便の状況もございますので、一世帶單位に一公報を隣組組織を通じて之を配布すると云ふ方法を用ひたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/111
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112・田村秀吉
○田村(秀)委員 大體無料郵便物以外は同じだと仰しやつたのですが、さうすると公共設備の會場は、候補者が申出れば提供すると云ふこと、それから從來は演説會の「ポスター」を配布する場所を指定して居つたが、今度は指定しなくても便宜を與へる、立看板も自由ですから、一々訪問して行けば厄介ですし、誰にも挨拶をしないで立看板を立てて宜しい、それから此の場所は演説會の「ポスター」は自由に貼付けて宜しい、其の建物の持主に對して依頼交渉しなくてもやれると云ふことは、從來もやつて居つたのですが、之を今後寧ろ強化する必要があると思ひますが、其の點どう云ふ風に御扱ひでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/112
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113・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御承知の通り從來やつて居る所でございますが、尚ほ一層御便宜を圖るやうに注意致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/113
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114・田村秀吉
○田村(秀)委員 それから公共設備の演説會場は提供することになつて居る、是は非常に安く行つて選擧運動の上に非常に便利でありますが、其の他の例へば神社、佛閣を借りるとか、或は劇場等を借りるのに、私達も經驗があるのですが、是は途方もなく高くなる、恐らく今度は更にぐんと高くなると思ふのです、是等に付ては公共設備のみに囚はれずに、やはり選擧の公正自由と云ふことを眼目として居られる新選擧法運營の下に於ては、或る程度の斡旋、町村長をして斡旋せしめる、或は警察官が穩かに世話をしてやると云ふことで、目茶苦茶に高い、例へば映畫をやらせる場所が、普通映畫をやるのに一日の使用料は十圓のものが、選擧になつて演説をやらうとして借りれば、百圓も二百圓にもなつて居る例は到る處にある譯であります、今度は更に高くなると思ひます、さう云ふものは出來る限り、是は全部やると云ふのは言ふ方無理かも知れませぬが、便宜を圖る必要ありと思ふのですが、是はおやりになりますか、是非やつて戴きたいと思ひます、公共設備の提供と同じやうな意味で斡旋努力すると云ふ新しい方法を今囘の選擧から開いて戴きたい、如何ですか、やつて戴けますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/114
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115・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 此の點に付きましては、公營としてさう云ふ公共の營造物以外の建物を利用すると云ふことに付きましては、色々難かしい問題がございまして、其の機會均等を得難いと云ふ點もございましたので、現在の程度になつて居るのでございます、假に今御話の通り、神社佛閣でございますとか、或は劇場とか云ふものを御便利を圖るとなりますると、公營の方法に依りませぬと、個人的な、やはり縁故に依つて御便宜を圖り、御斡旋すると云ふことが起りまして、それに依つて或る候補者の方には御便利を圖り、或る候補者の方には御便利を圖らぬと云ふことが起ります、御承知の通り、公營の趣旨は何處までも機會均等に選擧の御便利を圖る點にございますので、色々茲に又問題も起る虞もございますので、積極的に町村長或はさう云ふ設備の管理者に御便利を圖ると云ふ風に勸奬することが宜いかどうかと思つたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/115
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116・田村秀吉
○田村(秀)委員 今御話の中にありましたやうに、斯う云ふ自由公正な、今御話の機會均等と云ふか、選擧の「フェヤ・プレイ」、金があらうがなからうが「フェヤ・プレイ」の立場でやらうと云ふには、私は選擧公營を徹底することが必要だと思ふ、選擧の方法は、主として文書と言論に依るのでありますが、先程から申上げる通り、文書に付ては公報其の他多數ありますが、公報を中心として居ります、それから演説會を一つ私は公營として、町村長が單なる公共施設を提供するのみならず、或は「ポスター」を貼るとかびらを配るとか、或は今あります隣組の囘覽板などを廻して、告知すると云ふことをしてやることが、公正なる選擧をやる上に於て宜いと思ふのですが、なぜ此の新選擧法は、選擧公營の徹底に付き一歩を前進して、そこまで進められなかつたか、斯う云ふことを追々協議なすつて居られたのではないかとも思ふのですが、結局そこまで行つて居ない、私は之を徹底する必要があると云ふことを強く主張致したいと思ふのですが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/116
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117・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 演説會の告知の問題に付きましては、先般政務調査會でも御意見がございまして、出來れば隣組組織を利用致しまして、告知の方法でも執つたら如何かと思ひまして、色々研究致したのでございますが、多少難點がございます、一つは選擧公報のやうに一般的なものでございますれば、隣組組織を利用して配布すると云ふことも問題はございませぬが、演説會の告知を隣組を通じて告知するとなりますと、自然に其の時の政黨の工合に依りまして、或る演説は告知するけれども、或る演説はつい囘覽板を廻さぬとか、さう云ふ風な問題が起りまして、隣組と云ふものが選擧妨害と申しまするか、選擧妨害の罰則に陷ると云ふことになりまするし、そこまで隣組を色々な問題に卷き込むことが宜いかどうかと云ふことが一つ、それから目下御存じの通り隣組の負擔過重と云ふ問題がございまして——勿論是は一面隣組の一つの政治教育ともなるかと存じまするけれども、只さへ負擔過重の問題がありまする時に、一々の演説會の告知を廻すこともどうかと云ふことが一つ、それから如何なる範圍に演説會の告知をするかと云ふことの問題がございまして、國民學校の場合でございますと、通學單位と云ふことで宜いのでありますけれども、例へば中等學校を利用するやうな場合に、告知の範圍に色々又問題がありまして、特に斯う云ふ問題を隣組組織で告知して、色色そこに弊害が起つてもどうかと思ひまして、此の點に付きましては相當考慮すべきものではないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/117
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118・田村秀吉
○田村(秀)委員 選擧の投票竝に開票の立會人の規定を設けられて——是は前からあつたのですが、實は實際やつて見ますと中々煩雜なのです、投票所も澤山ある、そこに各候補者が一人づつ投票、開票の立會人を屆出でなければならぬと云ふことは非常に厄介です、是は寧ろ町村長に任せて、公正なる投票竝に開票立會人を選任さすことが宜いのではないかと思ふのです、多少議論は分れませうが、私はさう考へる、投票立會人を屆出る手のある者は宜い、況や今囘は新人の立候補と云ふことを世間も我々も期待して居る、其の新人は新しく出るから馴染がない、立會人を選ぶと言つても出來はしませぬ、私共多年やつて居る者にしても、中々忙しい時に立會人を選任して屆出る、今度は開票所が多くなつて居り、之に開票立會人を一々屆出ると云ふことは實に煩雜なのです、そこで苟くも公の立場に居る所の町村長に一任して——無論今囘は選擧長ですが、知事が一人なのですが、之に監督をして貰つても宜いでせう、そこで立會人と云ふものを投票にも開票にも屆出でなければならぬと云ふやうな煩雜なことを廢めて、是は寧ろ公營にすべきものであると思ふ、さうして公正なる立場からやつた方が宜いと思ふのですが、此の點を斯う云ふ風にされたのは、さう云ふ御考慮がなくて斯うせられたのでありますか、私は公營を主張する意味から御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/118
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119・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 投票、開票其の他の立會人の選任に付きましては、殊に今囘は御承知の通り大選擧區になりまして、自然に立會人の數が増しますので、其の十人以上を超えました時に、どう云ふ風にそれを選任するかと云ふことは、色々研究して居ります、寧ろ今規定して居りますやうに、互選と云ふやうな方法に依りませぬで、今御意見の通り、選任と云ふ方法に依れば、極めて此の問題は簡單なのですけれども、併し是は私が申上げるまでもなく、立會人は此の選擧の開票の結果に相當の影響を及ぼすこともございまして、斯う云ふ問題に付ては、立候補せられた方の御意見を尊重すると申しますか、其の利益を代表する立場に居られる方の御意見を尊重すると云ふ考へ方から致しまして、特に抽籤の方法に依らずに、互選の方法に依つた次第でございます、さうではあるが、假に若し立候補者から屆出がございませぬ場合には、選任も出來る譯でありますから、御參考まででございますけれども、假に立候補者が非常に面倒な爲に屆出がございませぬ場合には、選任の方法が殘つて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/119
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120・田村秀吉
○田村(秀)委員 十人以上の時には互選する、十人以下の場合には選任する、それは投票立會人も開票立會人もさう云ふやうなことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/120
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121・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 十人まで足りませぬ場合には其の儘直ぐ立會人が任命されまして、十人を超えます場合には、互選に依つて十人の立會人を定むるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/121
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122・田村秀吉
○田村(秀)委員 開票も同じですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/122
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123・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/123
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124・田村秀吉
○田村(秀)委員 次に私は選擧が濟んだ後の事後の行爲に付て念の爲に、是も世間の疑惑を解く爲に御説明を願つて置きたいのですが、事後の挨拶に付ての費用は、文書、演説等に依つて幾らやつても費用に加算されないと云ふことに、本法案はなつて居るのであります、所が是は選擧運動の事後の挨拶行爲は自由なりと云ふことが世間に傳はつて居る、何をやつても宜いのだと云ふ風に誤解を招く、演説會、文書は別として、それに伴ふ所の、文書をお前は配布して呉れたから一つ御禮してやる、御馳走をすると云ふので買收、饗應が之に伴ふのです、其の事後の挨拶行爲の許される範圍を、此の際世間の誤解なからしむる爲に、明確にして置いて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/124
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125・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 事後の挨拶行爲でありますが、勿論買收に類する利益供與の如きものはいけない、それ以外の普通の儀禮的な挨拶は差支へないと云ふことに解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/125
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126・田村秀吉
○田村(秀)委員 其の儀禮的が中々難かしいのでありまして、實は斯う云ふことが從來行はれて居る、選擧が濟んだ、所が自分の立てた候補者が當選したと云ふので、酒を持つて來る、壽司を持つて來る、肴を持つて來ると云ふので、茲に必然的に宴會が行はれる、候補者を中心としてやる、是は饗應行爲ではないのですね、寧ろ候補者を饗應して居る、所が是は候補者の饗應行爲に從來は看做されて處罰されて居る例は、全國到る處にあるのでありますが、斯う云ふ問題に付ても御考慮になつて、どう御取締になられる方針でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/126
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127・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今の説明の如く、其の候補者に私淑して居ります者が、色々酒だとか御馳走を持寄つて、候補者に出て貰つてやつた、寧ろ祝宴をやつた、斯う云ふやうなものに付きましては、御説の如く違法性がないものであると云ふ風に解釋致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/127
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128・田村秀吉
○田村(秀)委員 今の御答辯はさう云ふことがさうはつきりして居れば、從來はそれは選擧違反に問はれて居ります、今後も問はれる虞がある、買收饗應はいかぬと云ふのですから、相當其の虞があると思ふので、それを私は御尋ねをして居る譯でありますが、さうするとそれと關聯してもう一つ承つて置きたいのは、氣勢を揚げる行爲は選擧運動として許される、そこで選擧運動の氣勢を張る行爲は選擧中に於ても許される、況や選擧が濟んだ時に萬歳萬歳と言つて、自動車を連ね、旗を立て、わつしよわつしよと大騷ぎをすることは、從來の選擧の時にはあつた、今囘は是は當然許されて費用は問題にならない、其の費用は大體やはり實費辨償の意味に於て、社會通念から申しますれば候補者が之を出す譯です、隨てそれが多少今御話の儀禮的な意味になつて御馳走も伴ふものだらうと思ひますが、此の點は公認行爲として絶對に法に觸れないと御解釋になりますか、是は間違ひを生ずる點が相當ありますので、重ねて明確にして置いて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/128
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129・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 只今の御説例の場合は實際問題と致しますと、一歩進んで或は騒擾行爲になるとか、或は選擧を妨害する程度に至りますれば、それは先程申上げましたやうに、選擧法の規定なり、或は刑法に依つて取締られることになりますが、又御馳走の程度も所謂社會常識から見て、單なる儀禮と見られる程度ならば、それは自由でありますけれども、更に進んで買收行爲と認められる虞も多分にあるのでありますから、實際問題の場合には、程度を超えれば選擧法違反になるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/129
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130・田村秀吉
○田村(秀)委員 それは選擧中に、君は今はどうも御馳走する譯にはいかぬ、金をやる譯にもいかぬ、選擧後の行爲は自由であるから、其の後に御馳走をすると云ふことを通じて居る、斯う云ふのであればあなたの御説の買收行爲、選擧違反になることは言ふまでもない、さう云ふことでは全然ない、選擧は濟んでしまつた、過去の事實になつて選擧後の挨拶行爲は宜いと斯う新法は規定して居る、そこで其の場合先程私が説明致しました人々が持つて來て御馳走したと云ふことは、當然な話で何にもならぬ、現行法でも間違つて檢察當局が檢擧したことはありましても、是は明かになれば違反にならぬことは明かなことです、今度は一切それは問はぬと云ふことで、而して内務政府委員の御説明でも、司法當局の御説明でも儀禮的の挨拶は可なりと云ふことを今言明せられて居る、さうすると候補者が選擧中に意思の連絡なくして、選擧が濟んだ後に人がわいわい集つて來て、わつしよわつしよ旗を立ててやる、是はまさか騷擾とは社會常識から認定する筈がない、人を倒すと云ふこともない、喜びの餘り大騷ぎをして、太皷位叩いて氣勢を揚げて、萬歳々々と言ふのは、是は人情の常です、騷擾とは解せられない、歸つて來た時に酒肴を以つて儀禮として御馳走する、さう云ふ當選人がやる行爲は一切選擧違反行爲に論議せられないと云ふことが明確にせられぬと、或はそれは疑ひがあると云ふことになると、此の規定の運用の範圍が分らなくなるのですから、諄いやうでありますが、重ねて伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/130
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131・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 只今の御説明のやうな場合に、單に氣勢を揚げる程度の行爲であり、又其の有權者に對しまして、候補者の方で儀禮的の範圍に於て御馳走を提供すると云ふ程度ならば、勿論罰せられないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/131
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132・田村秀吉
○田村(秀)委員 選擧後の行爲は、出て來た者の汽車賃をやる、宿賃をやる、御馳走をすると云ふことは自由であると云ふことに解釋する以外にないと思ひます、是は内務、司法兩當局の御説明に依つて、さう解釋する以外にないと思ひますから、私はさう解釋して置きます、尚ほ此の委員會は續いて行くのですから、問題を起す虞があるので、ちよつと申上げて置きます
私は大體選擧運動竝に取締に關する質疑は此の程度に致しまして、私の最初に伺ひたかつたのは、大臣に對する今囘の選擧權の擴張、自由選擧の根本精神等に付きまして一、二御尋ねを致したいと存じます、今囘年齡の低下のことは多年の必然的のことでもあります、是は御尋ねを省きます、婦人參政權を今囘與へる御方針を御執りになつた、實を申しますと、成程大臣は本會議に於て挺身隊もやつた、義勇奉公にも婦人は出動して働いたと言ふ、私は戰爭が濟んだ時に同じ考へを持つた一人であります、「ポツダム」宣言が言はうが言ふまいが——「ポツダム」宣言はそんなことは觸れて居りませぬが、「マッカーサー」司令部が言はうが言ふまいが、今囘の選擧法が行はれる時は、必ず婦人參政權が起つて來る、さうなつて來なければならぬと云ふことは、昨日大臣が本會議で御話になつた、私も同じ觀點に立つて主張した一人でありますが、唯婦人參政權を現在の日本の婦人に直ちに付與して、それが政治上の效果を齎すかどうかと云ふことは多少の疑問なきを得ない、それには或る時期を劃して二年なら二年後に婦人に參政權を與へるから、それまで全力を擧げて婦人の政治的の教育に努力をすると云ふことが、私は一番穩當の方法であると思ふ、其の方法を御執りにならずに今囘いきなり婦人に參政權を與へられる、街々で會つた婦人に聽いて見ますと、參政權とは何ですかと云ふことで、知らない、或は棄權が非常に多いぢやないか、さう致しますれば、選擧を度々行ふことに依つて、自ら婦人の政治常識と申しますか、政治的認識に付て公民教育的に效果を與へて行くより外ないと思ひますが、此の選擧後の參政權を婦人に與へて、それに依つて婦人の社會的向上、政治的向上を狙つて居る、是だけで宜いかどうか、是が效果を擧げるには十分の認識が婦人に起らなければならぬが、どう云ふ御用意を持つて居られるか、婦人參政權を付與するに當つての今後の政治に對する内務大臣の御方針を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/132
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133・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今の御説のやうに、二年ならば二年先にやると云ふことにして、其の間婦人に對しての政治的自覺を促す方法を講じて置くと云ふことも、是も一つの行き方だと思ひますが、今直ぐに之を與へましても、まあ今日の婦人は相當政治的の自覺もあり、參政權を與へるのに差支へないのではないかと云ふやうに考へまして、直ぐに之を與へることにしたやうな次第であります、色々心配致しますれば、やはり婦人に參政權を今直ぐ與へた結果、棄權が相當多くはなからうかと云ふ點が、最も懸念されるのでありますが、是等に付きましては本會議でも説明を申上げましたやうに、文部省と共に婦人に對しての公民啓發運動をやりまして、出來るだけそれを防止するやうな方法を執つて行きたいと考へて居る次第であります、或は又婦人に對して參政權を與へるのに一擧に男と同じ資格にしないで、年齡ででも區切つたら宜かつたではないか、男は二十歳以上なら女は二十五歳以上位にしたらどうかと云ふやうなことに付きましても、色々考へ、研究も致したのでありますが、二十歳から二十五歳位までの婦人が寧ろ政治的、社會的の資格があり、政治上の判斷も十分に備へて居るのではないかと云ふ風に考へまして、此の原案のやうに提案を致したやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/133
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134・田村秀吉
○田村(秀)委員 今一點婦人參政權に關係致しまして——是は昨日上田君が本會議で質問致しましたが、大臣の御答辯が質問の要旨とは合つて居なかつたと思ひますので、重ねて御伺ひ致したいと思ひます、それは婦人參政權と我が國の淳風であると申しますか、是は我が國家組織の基底をなす所の家族制度との關係に付て、大臣はどう御考へになつて居られるか、私は婦人は家族の主婦と申しまして、家庭の中心は男は外に出て働き、女は内に家を守つて、そこに日本の家族制度と云ふものが成立つて、そこに力強き社會組織が生れ、日本の皇室を中心とする國家と云ふものが維持せられると云ふ風に發達して來て居る、だから女に參政權をやつてはいかぬとは申しませぬ、日本では俗に普通の女のことを主婦、家の中に居る、家のことを守つて家族の生活、子弟の教育、小さい子供の教育養護と云ふやうなことが主婦の一番大きな任務でなければならぬ、併し世間で家内と言ふのだから、今度選擧をやつたら家外さんになるのだから、私は反對だと言へば封建思想と言はれるかも知れませぬ、だから參政權に反對とは申しませぬ、けれどもさあ政治運動だと言つて頻りに政治運動が行はれ、選擧運動と云ふので女房も親爺も手を繋いで、或は別々に行くか分りませぬが、演説會を聽きに行かなければならぬと云ふことになると、茲に家を守らなければならぬ主婦の立場と云ふものと、此の間の調節と云ふことに付て、相當の考慮を要すると思ふのです、そこで我が國の家族制度と云ふものは、選擧權を與へるからと云つて破壞せられるとは思ひませぬが、併し選擧權を與へることに依つて、我が國家族制度維持に付ての方針と云ふものは、公民教育其の他の上に於て新たなる觀點から、新しい方針を立てて行く必要があるとは——抽象的で要を盡しませぬが——思ひますが、此の點に對して婦人參政權と我が國の更に今後少し世界觀に立つ所の家族制度、やはり是は我が國に於ける根本基底として私は維持發達さして行かなければならぬと思ひますので、此のことを伺ふ譯でありますが、内務大臣の御所見は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/134
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135・堀切善次郎
○堀切國務大臣 婦人參政權と我が國の家族制度の關係に付きましては、我が國の從來の家族制度の長所は、何處までも之を發達させて維持して行かなければならぬものと考へます、婦人に參政權を與へると云ふ結果、家族制度に何か思はしくない影響が來るだらうかと云ふことを考へて見ますと、どうもさう云ふことは心配がないのではないかと云ふやうに考へて居るのでありまして、婦人に參政權を與へましても、固より主婦は家を守るのが主であると思ひますが、必ずしも常に外へ出て政談演説を聽かなければならないとも限らない、それは主人が聽いて來たのを又聽くと云ふやうな、さう云ふ方法も執られませうし、家に居りましても政治上の判斷をするのに決して差支へないことだと思ひます、却て婦人に參政權を與へまして、從來の家族制度の長所を益益發達させると云ふやうな、夫婦お互ひに立場々々を諒解して、それぞれの分擔した方面に對して進んで行くと云ふやうなことは、無論參政權とは何等矛盾するものでなく、十分從來の家族制度の長所を發揮せしめ得るものと考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/135
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136・清瀬一郎
○清瀬委員長 咋日本會議で上田君が婦人參政權に付き、政府に質問されたことに付て、私共聽いて居りましても、政府の御答辯と上田君の質問との間に食違ひがあるやうであります、重要なことでありますから、此の際關聯質問として、あの意味を上田君にもう一度徹底して貰つて、内務大臣にそれに副つた御答へを願ふ方が宜いと思ひますから、中途で腰を折るやうでありますけれども…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/136
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137・田村秀吉
○田村(秀)委員 どうぞ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/137
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138・上田孝吉
○上田委員 只今委員長も申された通りに、私は昨日本會議に於て此の婦人參政權に付て質問を致しました、内務大臣は私の質疑を十分御聽取り願ひました筈でありますが、食違つた點もあり、再質問の意味で、一應内務大臣の御言葉の間違つて居ることだけは訂正して置いたのでありますが、此の際短い時間に一寸關聯して質問を申上げて置きます、大體私が昨日婦人參政權と我が國の家族制度の問題に付て御尋ね致したのは、只今も田村君が御尋ねを致された趣旨と略略似て居るのでありますが、私共は現在の我が國の家族制度と云ふものは淳風美俗であると思つて居ります、悉くが家族制度が良いと申すのでは勿論ありませぬ、今内務大臣も仰しやいましたが、弊風もありませう、家族の中に於ても亦各各其の家族の個性を尊び、其の家族の或る自由を尊重すると云ふやうな點に付ては、家族制度の中に於ても尚ほ訓練すべき點が多々あると思ひます、併しながら大體に於て申すならば、我が國の家族制度と云ふものは、淳風美俗であり、而も今田村君も言はれ、内務大臣も御答辯になつた通りに、婦人は内助の功——家に居つて家政を行ひ、以て其の家族制度を維持して行く、斯う云ふ美風を持つて來て居る、只今内務大臣の田村君に對する御答辯に依りますと、其の家族制度を害するやうな點は大體に於てないと思ふと云ふやうな消極的の御答辯をして居られます、私が昨日内務大臣に御尋ねを致しましたのは、さう云ふ消極的の面を御尋ね致したのではないのであります、婦人に參政權を與へると云ふことは、私も贊成を致して居る、贊成は致して居るけれども、他の一面に於て今申した我が國の此の家族制度と云ふ淳風美俗を、婦人に參政權を與へると共に、尚ほ一層助長して行かなければならぬ筈ではないか、然るに我が國の婦人に對しましては、まだ十分なる政治教育が施されて居ない、公民教育も與へられて居らない、婦人に對して十分なる是等の教育が與へられて居るならば、直ちに以て婦人は我が國の淳風美俗である家族制度を支持し之を助長しつつ、他の一面に於て又婦人の參政權を明朗濶達に行ふことが出來ると思ひまするけれども、遺憾ながら我が國の現状は、婦人に對しまして斯くの如き教育が尚ほ徹底して居らないのであるからして、其の間の調節をどう云ふ風にして行かれる積りであるか、斯う云ふことを御伺ひ致したのであります、然るに拘らず、内務大臣は之に對する御答辯がなかつた、斯う云ふのでありまするから、時間が掛ると困りまするから、簡單に此の點だけを申上げて、内務大臣の此の際の御答辯を願ひたいのであります、所謂積極的な御答辯を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/138
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139・堀切善次郎
○堀切國務大臣 我が國の家族制度の淳風美俗の長所を益益發揮せしめます爲に、婦人の今日の教養、自覺が今まだ十分でないのではないか、其の調節をどうするかと云ふ御質疑のやうに伺ひました、今日の婦人に對して選擧權を與へるのに、まだ其の十分の準備が出來て居ないかどうかと云ふことに付きましては、是は色々見方があらうと思ひます、一部の婦人に對しては、まだ早いと云ふ感じがあるかも知れませぬが、大體から考へますれば、是は今日參政權を與へても差支へない時期にもう來て居るのではないかと云ふやうに考へる次第でありまして、今日まで我が國の家族制度は非常な長所を持ち、淳風美俗の根柢を成して居るものと考へますが、併し其の間にやはり又我が國の家族制度としても色々な缺點があり、一方から考へますれば、まだ婦人は少し不當に壓迫されて居る點もあるのではないかと云ふやうな點も考へられるのでありますが、是等に對しまして、今日婦人に對して參政權を與へて參りますれば——先づ參政權を與へるに一應十分なものと考へますので、之に依りまして益益婦人の地位に對する一般的、國民的の理解が更に深まり、家族制度に於きましての缺陷が補はれ、其の長所が益益發揮されるものではなからうかと思ふのであります、まだ婦人の選擧權に對する自覺が十分でない間に、さう云ふ風にやつて行つてはどうかと云ふ御懸念は尤もなのでありますが、外國の例を餘りさう能くは知りませぬが、「イギリス」あたりの婦人に對して參政權を與へた經過を聽きますと、一番初めの選擧の時には非常に棄權者が多かつたさうでありますが、二囘目の選擧からは俄然として是が樣子が變りまして、全然男と同じやうな投票率になつて居ると云ふやうなことを聽くのであります、今日出來るだけ婦人に對しましての公民啓發運動を致しますならば、まだ婦人の方面に於ける公民的な自覺が十分でないと云ふ缺陷は十分補はれるものであらうと思ひます、それに依りまして從來の我が國の家族制度の長所は益益發揮され、缺點は漸次除かれるに至るであらうと云ふことを信じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/139
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140・上田孝吉
○上田委員 關聯質問でございますから、餘り時間を取つては恐縮ですが、どうも只今の内務大臣の御答辯だけでは私の質疑に對する積極的の答辯にならないと思ふのです、唯婦人に參政權を與へても我が國の淳風美俗の良い所は阻碍されないと思ふと云ふ點だけでありますが、私は阻碍すると申して居るのではない、婦人に參政權を與へることは異議がない、併しながら一方に於て我が國の家族制度の長所を助長せしむる方法を御考へになつて居るかどうか、斯う申して居るのであります、それが答辯が當つて居りませぬから、更にそれではもう一點附加へて御尋ねして置きますが、例へば我が國の民法の親族法の如きは家族制度を基本として居り、家長制度になつて居る幾多の條項があることは御存じの通りであります、所が婦人が參政權を得まして、以て其の個性を一面に於ては段々完備して行くと云ふことになつて參ると思ひますが、さう云ふことになりますならば、どうしても一つの家族の中に居つても、所謂戸主、家長と其の家族、特に婦人と云ふものとは、各各政治上の見解を異にし、各各の個性が發達して行く、斯う云ふことに相成つて參ることは當然のことだと思ひます、それが良いか惡いかを申すのではない、さう云ふ結果に段々なつて行く、さう云ふやうなことでありますならば、我が國の家族制度と云ふものに遺憾な點があるならば、之を是正するのも宜いのでありますけれども、一面に於て淳風美俗なりとして其の長所を助長して行く時に於て、民法の親族法其の他のものをもやはり改正して行かなければなりませぬ、是等の改正と今囘の婦人參政權と云ふものとが相關聯して一聯のものとなつて行つてこそ、本當に婦人の參政權と云ふものが實現出來るやうになつて來るのではないか、現在婦人に參政權が與へられましても、世間の豫想して居る所では、或は棄權をする、或は又其の主人、其の家長の考へて居る思惑通りの候補者に追隨して入れるのではないか、斯う豫想されて居る、寧ろ同じ家族であつても低年齡の婦人はさう云ふことはないかも知れぬけれども、家内となり、妻となつて居るやうな人は、殆ど其の夫、其の家長、主人公と同じやうな候補者に對して投票をするのではないか、斯う云ふ風なことが、事實現はれて來なければ分りませぬけれども、一應豫想されて居る、斯う云ふことが世間に言はれて居るのであります、是等のことを考へて見ましても、所謂我が國の家族制度の長所をば一層助長しつつ婦人に參政權を與へて、婦人の個性を完備して行かうとなさるならば、政府は積極的の對策がなければならぬ筈ではないか、積極的の對策如何、單に婦人に參政權を與へても、其の家族制度の長所を阻碍されないと思ふと云ふのではいけない、もつと積極的に之を調和して行く對策があるかどうか、斯う云ふことを御伺ひして居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/140
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141・堀切善次郎
○堀切國務大臣 それを調和して行く對策があるかどうかと云ふ御質疑になりますれば、それは別に考へて居りませぬ、唯婦人の投票は只今上田さんの御話の通り、私等の觀測して居ります所は、大部分やはり主人と同じになるのではないか、或る所で婦人の集りでの話を聞いたのを一寸申上げて見ますと、どうも婦人は此の儘でうつちやつて置けば、棄權が多いのではないか、隨て棄權防止に非常に努力する必要があります、投票する人の中の八、九割は、多分主人と同じであらう、其の中の一割位は寧ろ主人を引摺ることになりはしないか、後の五分かそこらがどちらになるか分らないと云ふやうなことを聞きましたが、大體はやはりそんな所ではなからうかと思ふのでありまして、主人と大部分が同じだらうと云ふことは、是は只今の御説の我が國の家族制度の上から申しましても、洵に麗はしいことだと思ふのでありまして、一割位が主人を引摺るのではなからうかと云ふことを考へて見ますと、今日もさう云ふことがあるかも知れませぬが、是もやはり考へやうに依りましては、さう云ふ場合には主人の方が寧ろ政治的の自覺が十分でないと考へられるのでありますから、是も亦家族制度の上から申しましても、洵に結構なことなのではないかと云ふやうな感じを持つて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/141
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142・上田孝吉
○上田委員 私はもう少し念を押したいのですが、關聯質問ですから、私の順位が來た時に御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/142
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143・田村秀吉
○田村(秀)委員 次は大選擧區制度に付て御尋ねしたいと思ひます、大臣は本會議竝に本席上に於ても御説明のやうに、大選擧區制度を設けることになつたのは、新人の當選に便宜であるからと云ふことを眼目として居られる、所が今日は選擧の實際から申しますと、時局柄交通機關が不便である、自轉車にしても中々手に入らない、況や自動車は手に入らない、演説會をやるにしても費用が非常に嵩む、會場も中々手に入れ難い、人も得ることが出來ぬ、斯う云ふやうに時局の不自由な場合に、大選擧區制を採られる、さうすると大選擧區で當選すると云ふことには、どの地方に行きましても、相當全選擧區に知られて、相當の親しみと力を現はさなければ、當選し得るものではないのです、寧ろ、小選擧區はいかぬと致しましても、中選擧區の方が、新人が自分を選擧民に知らしめることを徹底するには、今日の時局の不便から見ても、又選擧區の範圍から見ても、私は妥當だと考へるのであります、然るに敢て大選擧區にせられた、斯う云ふことでありますが、是は一應の御説明は承つて居りますが、今私が申上げた諸點を押切つて、何故大選擧區にせられたかと云ふことを、一つ御説明願つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/143
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144・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧區はやはり新人、或は大人物と申しますか、國家的人物と申しますか、さう云ふ人達が出ますのには、大きい方が出易いものであらうと考へて居るのでありまして、是は或は又同じことを繰返すことになつて恐縮でありますが、中選擧區よりは大選擧區の方が、交通等の不便の點はありましても、やはり選擧區の大きい方が、あちこちから票が餘計集まり易いことになりますので、便利ではないかと考へて居るのであります、尚ほ只今の選擧區の儘で行きますよりは、此の非常な變革の際、非常な大事な際に、極めて重大な意義を持つ議會の選擧でありますから、やはり從來の選擧區と基礎を異にして、新たな基礎で選擧をすると云ふことも、必要なのではなからうかと考へます、それ等の點から大選擧區制を選んだやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/144
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145・田村秀吉
○田村(秀)委員 新たな基礎に立つてと云ふ點は、私も能く了承致します、唯大選擧區があつちこつちから票が取れると云ふ御考へ方は、選擧區の實際に付ては少し違つて居ると思ふのです、大人物、詰り有名な人が出得ると云ふのには、大選擧區は便宜であるかも知れませぬ、いきなり新人として大人物が出て來ると云ふのには、便宜であるかも知れませぬが、名も知れない人が新人として、憂國の至情を以て、而も金もない、餘り人にも知られてない、而も烈々たる國を憂ふるの心を以て出て來る新人と云ふものを、我々は今後の新興日本に期待しなければならぬ、さう云ふ人が出るには、あつちこつちで票を取ると云ふ大選擧區制では、迚も出られませぬ、其の點を私は伺つたのであります、是れ以上は意見の相違になりますから、今後の問題として御考慮だけを煩はして置きたい
更に然らば大選擧區制を採るのなら、一方に斯う云ふ説がある、東京其の他の九府縣だけをなぜ割つたか、同じ意味で從來の行政區劃を一つにしたら宜いのではないかと云ふ説がある、私は是は尤もだと思ふ、是は大臣が言はれる新構想、新しい基礎でやると云ふことは別であります、それは私は結構だと思ふのでありますが、便宜主義でやるのならば、基礎を變へても東京を二つに割り、北海道を二つに割ると云ふことは便宜から來る、其の便宜から來るならば、他の縣にもやはり適用しなければならぬ、狭い所には狭い所だけの不自由がありますから、是はやはり便宜を考へなければならぬ、さう云ふ點から申しますと、都道府縣の唯代議士の割當數が多いから、之を二つに割つて便宜を與へたと云ふこととは、少し矛盾撞著不徹底の感があると思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/145
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146・堀切善次郎
○堀切國務大臣 二つに分けましたのは、結局餘り選擧區が大きくなり過ぎましては、色々な不便が之に伴ふと云ふことを考慮したのでありまして、例へて申上げますと、北海道を假に一つの選擧區として考へて見ますると、函館から根室の方まで一人が色々な運動をすると云ふことは、是は到底不可能のことだらうと思ひますし、又一方候補者の立候補の數から申しましても、二十數人の定員に對しますと、五六十人も立候補される、其の立候補をされた非常に澤山の間から、選擧する方の人は、選擇に不便を來すと云ふやうなことは、確かにあるだらうと考へます、さう云ふ點から大きな所を二つに分つことに致しましたが、それではなぜ十五人を境にして、十五人以上を二つに分け十四人以下を一つにしたか、是は別に理論的の根據はありませぬ、大體其の邊で十四人位の所までは一つで宜からう、それ以上の所は二つが便宜であらうと云ふやうに考へた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/146
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147・田村秀吉
○田村(秀)委員 次に私は制限連記制を御採りになつた根據を質したい、凡そ今囘の選擧法改正案の中で、私共制限連記制位不可思議で、到底了解し得ないものはないと思ふのであります、大臣は昨日の本會議の上田君でしたかの質問に對する御答辯に或る者は五人の區で一人に投票する、然るに十三人の區で一人が一人に投票するのでは、却て不公平だ、是は私の聽き間違ひかも知れませぬが、さう云ふ御答辯であつた、是はをかしいのでありまして、御説明の中にもありますやうに、人口大體十五萬五千何がしを基準として定員數と云ふものを割當てて居る、さう致しますれば十三人にならうが、二十人にならうが、五人にならうが、其の人口に割當てられた定員と云ふものは決まつて居るのですから、一人が單記無記名で投票することが、一番公正であると思ふに拘らず、同じ日本人であつて——是は他の人も既に議論をした所でありますが、同じ日本人であつて、一人に投票し得る單記無記名の人と、二人に投票し得る者、三人に投票し得る者、是は到底日本國民に了解することは私は困難であると思ふ、私も不可思議千萬な制度であると思ふのですが、なぜ斯う云ふことを御採りになつたか、ざつくばらんに其の間の御消息を御説明願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/147
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148・堀切善次郎
○堀切國務大臣 大選擧區制度を採りまして、從來の單記の投票に依りますと、或る一、二の候補者の方が非常に澤山の投票を集めてしまふと云ふことが、必ず起るだらうと思ひます、例へば五萬票あればそれが當選點だと云ふ所に、或る非常に有名な人が、一人で以て三十萬票も、四十萬票も集めると云ふやうなことは、是は必ず起つて來ることだらうと思ひます、それも差支へないぢやないかと云ふやうにも考へられるかも知れませぬが、さう云ふ場合に、場合に依りますと、今度は他の候補者は、一人二人に非常に集中します結果、當選點に達しないやうな人が起つて來る危險も亦あるのであります、のみならず五萬票で宜い所を三、四十萬票も取られると云ふことになりますれば、其の五萬票を超過した票は謂はば死票でありまして、實際の働きをして居ない譯であります、之を選んだ方の人から申しましても、其の選んだ人の票が效果を現はして居ないと云ふやうな結果が、顯著に現はれて參る譯であります、之を幾分是正しようと考へまして、今の制限連記の方法を採つたやうな次第であります、此の制限連記は甚だ不合理ではないかと云ふやうに仰しやられるのでありますが、是は昨日も本會議で申上げましたやうに、明治二十二年——あれは私二十三年と申しましたが、二十二年の誤りであります、恐縮でありますが、此の機會に訂正致したいのであります、明治二十二年初めて憲法が發布され、選擧法が施行されました其の時に、もう單記の選擧區と連記の選擧區と二つあつたのであります、其の當時からさう云ふことがありまして、別に問題にならずに——其の後是は改正されて居りますが、其の當時は何等問題がなかつたやうであります、一人一票である筈なのに、一人が何人も書く所と、一人しか書けない所とあるのは、是は不合理ではないかと云ふ御考へは、一應尤ものやうな風な感じがするのでありまして、所謂投票の平等權、平等の選擧と云ふ考へから申しますれば——實は平等の選擧と云ふことは日本の憲法にも、選擧法にもありませぬが、併し此の原則はまあ大體あるものだらうと思ひます、さう云ふ點から考へましても、或る同じ條件の下に、或る選擧區に於て、或る人には一票、或る人には二票と云ふやうに與へるものとしますれば、或は教育程度とか、或は其の外の租税の納付額とか云ふものに依つて、そこに差等を設けるとしますれば、是は不平等な投票になると思ふのであります、併し此の度提案致しました制限連記の方法は、是は選擧區に依つて違ふのでありまして、一つの選擧區に於ては一人、他の選擧區に於ては二人或は三人と、選擧區の條件が違ふのであります、基礎の條件が違ふのであります、それでありますから、平等の原則はやはり一人一票と云ふことにはなるのでありますが、其の票の中に二人書ける、三人書けると云ふ建前になつ居る譯であります、それは五人の選擧區と、十人の選擧區と、十四人の選擧區と、之を比較して見まして、五人の定員の選擧區に於きましては、其處の有權者は代議士の定員の五分の一を選定する權能を持つて居る譯であります、五人の定員でありますから、五人の定員に對しまして單記投票に致しますれば、五人の中の一人を選ぶ、五分の一を選び得る權能を持つて居るのであります、是が十人の選擧區になりまして、若し十人の選擧區に對してやはり一人しか書けないと致しますれば、其の選擧區に居る有權者は十人の中の一人、十分の一の選擇權しか持たないと云ふ結果になる譯であります、之を二人書いても宜いと云ふことにしますれば、是はやはり五分の一の選擇權を持つと云ふことになりまして、五人區と同じく其の人の投票は同じ價値を持つて居ることになると思ひます、十四人區に付きましては、やはり是は一人であれば十四分の一になる譯でありますが、三人書ければやはり五分の一に近いと云ふことになりますので、此の選擧區がそれぞれ違ふと云ふことを頭に入れて考へますれば、連記の方が區に依つて違ふ、制限連記の方が寧ろ公平である、平等であると考へたやうな次第であります、一方に於て、或る投票が一方に非常に偏つて死票が多くなる、或は場合に依つては當選點に達する定數の人を得られない危險もないではない、其の缺陷を補ひます爲に、連記の方法を用ひまして、而も此の連記の方法は決して不平等なものではないと云ふことを考へます、又一方から考へますれば、此の連記の方法を採ることに依りまして、色々な長所があるのではないかと考へます、所謂大人物と云ふやうな方は、此の人は是非書かうと云ふので、三人書く場合にも、其の人は一番先に書かれることと思ひます、又新人が出て參りますれば、此の新人も宜いと云ふことで、第一に書きますか第二に書きますか、大いに出易い結果が起るのではないかと思ひます、さう云ふやうな利益の點も考へられ、又もう一つ一方から考へますれば、三人の連記の場合、或は二人の連記の場合に於きましては、其の二人なり三人なりが同じ黨派に屬して居られる方でありますれば、運動を共通にやる利益もあると思ひます、同じ黨派の人が三人聯合して、運動を共通にやつて參りますれば、色々な便宜がある譯であります、さう云ふやうな團體、或は政黨として纏まつて運動して行く、全く個人々々で、場合に依つては同じ黨派の同じ政綱政策を持ちながらも、或は其の間に競爭が起ると云ふやうな弊は、之に依つて除かれる利益が十分あると思ふのであります、色々な長所を持つて居り大選擧區の缺陷を補ふ方法と考えまして、之を採つたような次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/148
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149・田村秀吉
○田村(秀)委員 縷々御説明を承つたのでありますが、兎に角人を出しさへすれば宜いと云ふ便宜論に立つて居られることは、大體御説明で了承致しました、所が假に大臣の説を受入れると致しまして、私は此の制度は民主政治確立の根本に背反して居ると云ふことを感ずるのであります、民意を以て政治に反映せしむると云ふ途を執るに付きましては、單記無記名とするか、然らざれば比例代表制を採るか、此の二つ以外に私はないと思ふ、斯う云ふ制限連記制を採ると云ふことになれば、どう云ふ結果を來すか、民主政治の根本に反すると私が感じます譯は、英國竝に米國の民主政治發達の過程を顧みまして、其の根本は——是は私の研究でありますが、私は實は吉野作造さんから祖述して參つた一人でありますけれども、それは英國の憲政哲學者の「オースチン・オッグ」是の政治哲學の流れが現實に議會政治に現はれて、英國の議會制度が發達し、米國の民主政治が出來て居ると云ふことは、歴史が學問の上に於て示して居る、此の「オースチン・オッグ」の説明の目標とする所は何であるかと申しますと、是は失禮ではありますが、政權の移動と云ふものは、政治的價値に依つて決定せられなければならぬ、是が民主政治の根本の基礎をなすものであります、政權の移動は政治的價値に依つて決定せられる、此の政治的の價値判斷は誰がやるかと言へば、それは國民大衆のやることであります、是が「オースチン・オッグ」の説でありますが、其の政治的な價値判斷をやる機會は何であるかと云ふと、それは選擧に依つてやる、選擧に依つて最大多數の利益、幸福を目標として政治的價値と云ふものが判定せられる、其の判定は選擧に依つて決定せられる、然らば其の政治的價値と云ふ言葉を具體化すれば、所謂政黨の政策となるのであります、甲黨、乙黨、丙黨の掲げて居る政策を國民が判斷して、其の政策が實現し得れば、國民多數の利益幸福と云ふものが實現するのだ、斯う國民が考へて、そこに最大多數の國民が流れて行つて投票する、多數黨が出來る、此の多數黨が出來た場合に、政權が其の多數黨に移動する、是は政治的價値に依つて政權が移動するので、政權は政治的價値に依つて、移動せられなければならないと云ふ、「オースチン・オッグ」の民主政治、議會政治、憲政哲學の主流を成す根本的な思想であります、此の思想に基いて議會政治と云ふものが世界的に發達して來て居りますことは、世界の政治史が之を示して居るのであります、自分のことを申上げて恐縮でありますが、私も議會政治家になりたいと思つて、代議士になる前から同志と共に政策研究會と云ふものを作つて、幾らか我が國の政治に貢獻せんことを志したのが昭和五年であります、爾來此の説を奉じてやつて來て居る、政策を中心にして國民の判斷が決まる、それに依つて政權が「スムーズ」に移動する、革命はなくて茲に正しき政治が常に日に新たに、又日々新たに加はる、萬機公論に決するのは之に依つて定まる、斯う私は考へる、此の觀點から立つて來れば、選擧方法はどうしても單記無記名に依るか、然らざれば政黨の發達した今、比例代表制と云ふもの——今日は政黨の過渡期ですから大臣が仰せられるやうに私は無理だと思ふが、併し理論としては政黨が儼として立つて來た場合には、やはり其の政策に依る比例代表制と云ふものが、私は此の民主政治の根本の理論に立脚し得る正しい方法であると思ふ、其のどれを見ても、制限連記と云ふものは到底意味を成さぬ、此の民主政治の根本理論に立脚して、假に制限連記を許すとするならば、二人の名前を書く時に、甲黨の二人に制限連記で投票した場合のみ、其の二人の名前が許されると云ふならば許される、或は三人も、同じ黨の三人の立候補者に對して一、二、三と書くことが許される、それ以外の乙黨の名前が書かれても是は駄目だ、斯う云ふことが決められるならば、御説のやうに便宜手段としての合理性が許されると思ふ、所が此の制限連記制はさうぢやない、一人が甲黨の一人に書く、同じ人間が全然政策の違ふ乙黨の人に書いてそれが有效に發動すると云ふことになれば、是は民主政治の根據も目標もあつたものではない、唯選擧と云ふ形を國民が採りさへすれば、どうならうと、何を政黨がやらうと、多數黨さへ出來て、それが政權を執つて何をやつても構はぬと云ふ極端な結果に陷ります、凡そ制限連記と云ふものは、さう云ふ意味から考へまして、甲黨、乙黨、丙黨、何れの人に對しても三人なら三人、二人なら二人を連記し得ると云ふことが此の法の目標とする所でありますれば、民主政治の根本に相背馳する制度であつて、何を好んで今囘の新選擧法を立案せられたか、此の一點に依つて内務御當局、政府の御努力と云ふものは水泡に歸してしまふ、寧ろ昔より惡い選擧法の運用と云ふことになつて來るのでありますから私は、此の意味から、斷じて本法案の持つて居りまする制限連記制と云ふものに對しては、反對せざるを得ぬと思ふのであります、併し私の觀點は、今申上げた憲政の本質に立つて申上げて居るので、之に對して大臣はどう云ふ御考へであるか、私の言ふが如く、同じ人間が甲黨乙黨と違ふ候補者に書いた場合には、最初に書いた甲黨の投票だけ有效であつて、乙黨の投票は無效にするか、或は活かすとすれば、私の議論とは全然反するが、一つを消してしまふと云ふ便宜手段も認められていませぬが、其の點に付ての大臣の根本的御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/149
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150・堀切善次郎
○堀切國務大臣 投票が政黨の政綱政策を基本にして行はるべきものであると云ふ只今の御説に對しましては、私もそれは同感でございます、さう云ふ風にあるべき筈だと思ひます、併し其の前提と致しましては、それだけにやはり政黨の政綱政策が國民の間に能く諒解せられ、能く熟知せられ、國民に慣熟してしまはなければ、それが徹底致さないと思ふのであります、それでありますから、選擧のやり方と致しましても、政黨に對して投票すると云ふやうな名簿式の或る種類の選擧の方法、是は確かに非常に研究すべき一つの方法であると思ふのであります、併し今まだそれには時期尚早と考へまして、そこまで行きますことは、本會議でも申上げた通りでありますが、然らば此の制限連記の方法が、只今御話のやうに果して是は政治の民主化に對して相背馳するものであるかどうかと云ふことに付きましては、決して私はさう云ふことはないと思ふのであります、成程投票は或は三票投票する場合に於きまして、三票とも同じ黨派の人に行かないと云ふことがあり得ることと思ひます、併しさう云ふやうな結果になりますことは、結局政黨に對しての理解が國民の間にまだ十分でない結果であるからだと考へます、只今の制限連記の方法は決して民主主義の國に於ても其の例はないのではないのでありまして、現に是は「アメリカ」に於ても或る州に於て此の制度が採られて居ります、「イギリス」に於てもあるのであります、又移讓法を採つて居ります際に、投票させる方法に付きましても、必ず同じ黨派の人と限定はして居ない立法例が外國にも澤山あるのであります、「スイス」の單記移讓の方法等に付きましては、是は決して同じ黨派であることを前提と致して居りませぬ、結局同じ黨派に全部の投票が行くかどうかと云ふことは、政黨の政綱政策が十分に國民の間にすつかり本當に理解され、消化されて居るかどうかと云ふことに係ると思ふのでありまして、連記の方法は決して政治の民主化に對して背馳する制度ではないと信じて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/150
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151・田村秀吉
○田村(秀)委員 大臣の御觀測は承りましたが、是れ以上は議論になりますので申上げませぬ、唯政綱政策が分らぬから、徹底しないから暫定的に之をやるのだと云ふやうに聞えることは、甚だ遺憾に存じます、選擧は政策を以て爭ふと云ふやうにしなければいかぬ、日本の民主主義を是から育成しなければいかぬ、制度を拵へるに付てはそれを育成して國民に徹底せしむるやうに、今は足りなくても翌日は出來るやうにして行くのが、政治の運用の一番の眼目でなければならぬ、今いかぬからと云つて、現在を昏迷ならしめて何時の日にか良くしようとしても間違ひでありますから、今は必ず其の目標に國民を向はしむることが、日本の民主政治確立の筋道でなければならぬと思ひますが故に、例へば制限連記と云ふ便法は、今日日本が進まんとする民主主義政治確立と云ふ點に於て、私は十分納得することが出來ぬことを痛感するものであります、是れ以上は議論になりますから申上げませぬ、最後に承りたいのでありますが、選擧法第十條に議員の官吏兼任の規定がございますが、是は當然本改正法案には削除して提案せられることと殆ど全議員は期待して當り前のことと思つて敢て顧みなかつた、然るに本法案が提出せられて見ますと、其の點には觸れて居りませぬ、是は申上げるまでもないのでありますが、今や民間の人材を登用して、一方には文官任用令の根本的改革もやる、官吏制度の根本的改革もやる、さうして民間人の十分な能力を行政運營の上に現はさなければならぬ、斯う云ふ時代の要請であります、而も我が國に於て不思議なことには、貴族院議員は如何なる役人をも兼務することが出來るが、衆議院議員は僅かなものに制限をして許して居る、斯う云ふ不合理なことは今日の新時代には第一に撤廢しなければならないと思ふのですが、一つもそれに觸れられて居らぬことを、私は非常に不可思議に思ふのでありますが、大臣は何故此の點に御著眼なさらなかつたか、又何故此の點を削除することをせられなかつたか、此の際明確に承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/151
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152・堀切善次郎
○堀切國務大臣 第十條の規定は、御説のやうに衆議院と貴族院に於て違つて居りますが、此の違つて居ることは甚だ不合理に存じます、十條に觸れませぬ理由は、一應本會議でも申上げた譯でありますが、元來此の三權分立の根本から考へまして、立法機關と行政機關とが同じ人であると云ふことは果して宜いかどうか、是は根本的にそこに議論があるやうに思ふのであります、現に「アメリカ」の如きに於ては、其の間に劃然と區別を設けて、決して其の間に紛淆はないやうであります、さう云ふ根本論としての疑問が横はつて居ります上に、之を廢止しまして議員と官吏とが兼ねて差支へないことになりますことは、結局兩方の職責が十分に行はれないことになると思ひます、官吏としてやつて居りますれば、議員としての職責を十分に盡すことは無論出來ないと思ひます、又議員としてそれぞれ勤めて居られますれば、官吏としてやられる方面の仕事が自ら疎かになることは明瞭なことだと思ひます、さう云ふやうな點から見まして、從來或る特殊の内閣と進退を共にすべき所謂政務官的の仕事に付ては之を認めて居りましたが、其の外に付ては認めてない、現在の制度は確かに理由のあることと考へたのであります、尤も此の選擧法に付きましては、只今御審議を願つて居りますやうに、參政權の擴張を中心に致しまして、相當根本的な重要な案の御審議を願つて居るのでありますが、全面的に選擧法を檢討致しますれば、只今の第十條を初め、比例選擧の問題とか、色々な問題が澤山殘されて居ると考へて居ります、是等の問題に付きましては、全面的根本的に選擧法の再檢討を必要とすると考へます、出來れば是は此の改正選擧法に依つて新しく選出されました議員の諸君を中心にした審議會を作りまして、そこで全面的、根本的に總ての問題を檢討され、其の結果に依つて又議會に提案されると云ふやうな順序になるべきものと考へて居ります、さう云ふ觀點から第十條は現行法の儘として、之に觸れなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/152
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153・田村秀吉
○田村(秀)委員 是で私の質問は大體終りましたが、只今の選擧法第十條に關する大臣の御觀測、次の議員に依つて之を審議してやらうと云ふ御考へを持つて居られるので一應諒と致します、議員と役人を兼ねると兩方が粗略になると云ふ點も亦御尤もと存じます、私も其の點感ずる一人でありますが、我が國の衆議院議員選擧法中に議員が官吏を兼ねることが出來ない、然らば今の御説は貴族院に付ても同樣です、然るに貴族院議員には許して衆議院議員に許さぬと云ふ所に、根本的に撞著矛盾があるのではないか、何故此の矛盾を剔抉されなかつたかと私は言ひたい、抑抑衆議院議員を斯う云ふ風にしなかつた所以は、明治の藩閥官僚の時代から發生して居りまして、民間に門戸を閉ざし國民代表に門戸を閉ざしたのである、此の我が國の官僚的弊風が斯う云ふ制度を拵へて來て居る、今や斯う云ふ弊風を一掃して、新時代の民主主義政治に飛躍して行かねばならぬ時代には、さう云ふ殘滓である所の規定は第一番に除かねばならぬ、其の點から私は議員と役人を兼ねて必ずしも悉く宜いとは申しませぬ、それは貴族院に付ても同じであります、其の點には贊成致しますが、其の根本的觀測に於て大臣は觸れて居られないから、斯う云ふものは速かに選擧法改正の機會に第一に撤廢して出て來らるべきものであつたと云ふことを、私の希望として申上げて置きます
最後に、私は先程から長い間同僚諸君の御迷惑をも顧みず色々承つたのでありますが、其の間政府との質疑應答に依つて私の感じたことは、我が國の新たなる民主主義政治の確立を目標として拵へんとする今囘の新立法は、其の間首尾一貫せざるものがあるやうに感ぜられるのであります、又選擧運動竝に是が取締に關して、政府は確乎たる公正なる選擧をやつて、自由溌刺たる民意が政界に躍動し得るやうにすると云ふ此の目標を達成するに付ての方途に、未だ確信ないやうに遺憾ながら感じたのであります、希くは更 今後の問題でもありませうが、此の點に付ては國政運營に當つて如何なる段階に於ても、それに處する確乎たる首尾一貫したものと之に處する確信なくしてものを處しては目的に即應せざる却て弊害百出の結果を來すことを私は痛感致しますので、此の點特に政府の再考を促して置く次第であります、之を以て私の質疑を終了致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/153
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154・清瀬一郎
○清瀬委員長 今理事の諸君と御協議致しました結果、大體五時前後で散會したいと思ひますので、次は通告順に依り一松君に御質疑願ひますが、成べくそれまでに片の付くやうな問題に付て質疑願ひたいと思ひます——一松君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/154
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155・一松定吉
○一松委員 今委員長から御示しがありました、五時頃までに片の付きさうなものを簡單に伺つて、あとは續行せよと云ふ御話でありますから、さう云ふ趣旨に於て少し申上げます、今囘の改正の趣旨ですね、是は内務大臣の昨日本會議に於ける御説明、及び本日の田村君の質問に對する御答へを拜承致しましても所謂明朗闊達に自由に選擧を行はしむると云ふ御趣旨であることは能く分りました、所がどうも私が諒解に苦しみますることは、此の法案の實施せらるるに當りましては、時局に即應しない點が數多くあると云ふことを、私は痛感致すのであります、故に先づ其の點に付て質問の矢を放つことに致しまして、それから徐々に内容に入つて御伺ひ致して見たいのでありまするが、先づ此の附則の八項「衆議院議員選擧法第百四十條第一項の規定は次の總選擧に限り之を適用せず」と云ふ規定がある、是はどう云ふ譯ですか、詰り無料郵便物の配布と云ふのは、次の選擧に適用しないのだと云ふ譯、此の譯を説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/155
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156・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 無料郵便物に付きましても、選擧公營の一つの形と致しまして、理論上から申せば當然實行すべきことでございますけれども、現在の用紙の需給状況其の他から見まして、寧ろ之を停止する方が適當でないか、實情に即するのでないと存じまして、今囘に限り之を停止致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/156
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157・一松定吉
○一松委員 能く分りました、無料郵便物の配布と云ふことは、是は次の總選擧に限つて之を行はないのであるが、其の理由は用紙と云ふものの入手難及び郵便等の送達等の爲に、今の世の中では不適當であるが故に、之を延期する御趣旨であつたと云ふことを能く拜承致しました、然らば其の趣旨は此の選擧法の改正に於てどの方面にでも左樣な意味が盛られなければ完結致しませぬ、無料郵便物だけが紙が都合好く入らぬ、或は印刷が都合好く行かぬ、或は之を配布する機關が面白く整はぬと云ふことで之を廢するならば、それと同じ意味に於て、此の選擧法中時局に副はざる點は、同じく次の總選擧には之を行はないと云ふ趣旨に致さなければならぬと思ふのでありまするがそれ等の點に付ての御用意はどうなつて居りますか、それを一つ承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/157
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158・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 無料郵便物以外の選擧法の問題に付きましては、當然今囘の選擧に付きまして之を施行することを適當と認むるものを施行することに致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/158
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159・一松定吉
○一松委員 それでは伺ひますが、大選擧區に改める、さうして運動員の數は幾らでも宜しい、制限がない、事務所の數は幾らでも宜しい、休憩所は設けたい程設ける、それから名札、名刺等は幾ら置いても宜しい、斯う云ふやうなことになりますると、今政府の御説明になりました無料郵便物を一時停止すると云ふ趣旨と矛盾致します、今日の時局は事務所を幾ら設けても宜しいと云ふことになりますと、事務所を設けることはそれに正比例して費用が澤山要ると云ふことを意味する、休憩所を數多く設けると云ふことは、澤山費用が要ると云ふことを意味する、運動員の數は無制限だ、勞務者の數は無制限だと云ふと、それだけの人を使ふ、それに正比例して費用は澤山要るのだ、選擧區の範圍が擴大すれば、それだけ交通の便が必要でありまするから、自動車若しくは車と云ふものが要求されるのです、事務員、運動員の數を殖やせば、それに對して晝飯、夕飯は提供しなければならぬ、米が要る、油が要る、野菜が要る、醤油が要る、お菜が要る、さう云ふやうなことは、此の時局から考へて見ると出來ぬぢやありませぬか、又今日手辨當で草鞋履きで來て何候補の爲に、何先生の運動の爲に私は働きますと云ふやうな、さう云ふ悠暢な篤志家は、此のせち辛い食糧事情の困難な時には出來ませぬ、少くとも彼處に行つて働けば、晝御飯は御馳走になれるし、夕飯も食べられるし、運動すれば地下足袋も貰へるし、煙草も喫へる、場合に依ると酒も飮めると云ふことで、運動員や勞務者が集まつて來る、さう云ふやうなことを制限されなければ、今政府が無料郵便物は紙が要るので時局に合はない、紙が手に入らないから活版が出來ないと云ふことで、之を一時廢めると云ふならば、今私が申上げましたやうに、幾らでも事務所は設け次第、休憩所は幾ら置いても宜いのだ、演説會場は何箇所でも宜しいのだ、人は幾ら使つても宜しいのだ、事務所の數はどうだと云ふやうなことは、是は此の時局柄、以ての外の心得違ひだと私は考へる、御飯を食べさせると云ふと米はどうします、今日御承知でもありませうが、闇で米一升は七十圓八十圓して居る、二十人の人に一日に晝飯と夕飯を食べさせると致しましても、一日に三合食べさせるとしても、米だけで一日に六升要る、十日間にそれだけで六斗要る、二十日間には一石二斗要る、一箇月には一石八斗要る、さう致しますると米代だけでも一萬圓は掛かる、之を炊く所の燃料と云ふものも闇で手に入れなければならぬ、お菜も手に入れなければならぬ、出來ないぢやありませぬか、事務所を借るにしても今は非常な住居難でありまするから、事務所の入手と云ふことは困ります、出來ませぬ、併しながら運動をする爲には事務所を數多く設ける方が宜いのだ、借りなければならぬと云ふことになると、幾ら金を出しても借りると云ふことになる、多くの人に手札を配らせるとか「ビラ」を撒かせるとか云ふことになると、勞務者と云ふものを今までのやうに二十人とか三十人とか云ふことでなくて、何百人でも使ふと云ふことになる、それは迚も出來ぬ、さう云ふやうな超過の費用は費用超過で取締るから宜いではないかと云ふ御議論ならば、是は選擧の實情を知らない迂論なのだ、机の上の議論に過ぎない、斯う云ふ點は一體政府はどう御考へになつて居るのでありますか、それを一つ伺つて見たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/159
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160・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 全く御言葉の通り小選擧區、中選擧區に比べまして、大選擧區の方が選擧運動の困難を伴ひ、又費用も増額のことになると云ふことは、御言葉の通りでございます、殊に最近交通、通信、又物資不足の折柄、選擧運動は非常に困難になると云ふことも是れ亦御言葉の通りと思ふのであります、唯此の問題に付きましては、先程から大臣より縷々御説明がございます通り、大選擧區を今囘採りますことは、選擧の基礎を明かにすると云ふ大きい目的から出ましたのでありまして、選擧運動の制限を撤廢すると云ふことは、此の際從來餘りに複雜でありました規定を簡素化致しまして、明朗闊達な新時代に即應する選擧運動を致したらどうかと云ふ一つの大きな目的がございます譯であります、結局問題はさう云ふ一つの新時代に即應する新しい選擧方法を採ることの利益と、選擧運動の困難を伴ふ一つの短所と申しまするか、其の兼合ひの問題になるのでございます、そこで政府と致しましてはさう云ふ選擧運動の技術上の非常な困難を伴ふと云ふことを承知致しながら、而も其の一面の長所を活かす爲にどうしても此の制度の方が宜しいのではないかと云ふ結論に達したと私は承知致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/160
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161・一松定吉
○一松委員 只今政府委員の御説明に於て、今私が此の時局柄不相應であると云ふ選擧運動を撤廢した御趣旨は能く分りました、併しながらさう云ふ御趣旨であるならば、こんな運動のしつ放しで、勝手放題、やり放題やれと云ふやうなことをしなくても、明朗闊達、自由に、費用が要らず、さうして是は成程立派な運動の方法であると云ふ案は、是れ以外御考へは付かなかつたのですか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/161
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162・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 其の方法としましては、選擧運動の制限の中で、例へばどう云ふ制限を撤廢し、どの制限を活かすかと云ふ問題が、一つ考へられます、是は御存じの通り、現在の選擧運動に對する制限と云ふものは、何と申しますか、精密機械と申しますか、非常に相關聯して精巧に出來て居りまして、中々一部分撤廢して、一部分撤廢しないと云ふことも、技術上の困難もございまするし、寧ろ此の際すつきりとした方が選擧運動の明朗濶達を伴ふと云ふことで、斯う云ふ制度になつて參りました、又一つの方法としましては、調査會あたりで能く御意見のございますやうに、此の際選擧公營を徹底致しまして、それと一面に於て選擧運動を徹底的に取締ると云ふことが考へられます、是も斯う云ふ實情に即しましては、一つの尤もな方法でございますけれども、又一つには、公營の徹底と申しますることが、是が中々言ふべくして事實問題として如何なる公營を行ふかと云ふことになりますると、公營は何處までも不公平、不公正に流るることなく、機會均等を得せしむるやうに致さなければなりませぬので、事實上中々適當な方法がございませぬのと、此の際其の取締を特に徹底すると云ふことは、如何にも時代に即せぬと云ふことも考へられまして、結局斯う云ふ結論になりました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/162
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163・一松定吉
○一松委員 今政府委員の御答辯に依りますると、色々研究したけれども、此の案が一番良いやうに思ふのだ、是れ以外には選擧公營と云ふ方法があるが、それは中々不公平のことが多い、選擧公營をやれば、取締を嚴重にしなければならぬと云ふやうな弊害の伴ふものだからと云ふ御趣旨でありましたから、大變私と意見を異にする、選擧公營と云ふことも、公營の仕方に依つては、實に明朗濶達、自由であつて、取締と云ふものはそんなに嚴重にしなくても公平無私に行へる方法がある、私共の考へでは斯う云ふ時代には、政府が無料郵便を一時停止すると同じやうな趣旨に於て、今私が申上げた所謂事務所の増設だとか、或は休憩所の増設だとか、「ビラ」は撒き放題だとか、運動員は使ひ放題、辯士は演説會に出し放題と云ふやうなことをしなくて、本當に比の戰災後の今日に於て、國民が食生活、衣生活、居住生活に惱んで居るやうな時に、成だけ國民を煩はさずして、さうして明朗濶達に、自由に選擧が公正に行はれると云ふ方法があれば一番宜い、それに付て私は私案を持つて居りますが、其の私案を申上げて、斯う云ふやうなことは御考へになつたのかどうかと云ふことを一つ伺つて見たい、私は選擧公營を徹底させる方法を持つて居る、それは立候補した人を自由に或る一定の場所に集まつて貰つて、さうして抽籤なり其の他の方法に依つて、時間を決めて立會演説をさせる、さうして其の演説會場に其の附近の人々、何處そこに今晩は選擧演説會があるから聽きにおいでなさいと云ふことをちやんと隣組其の他に通知をするか、或は「ラジオ」で通知して置きさへすれば、有權者は皆集まつて來る、そこで各候補者が思ひ思ひに其の定められた時間内に於て自己の政見の發表をして、濟んだら家に歸つてしまふ、さう云ふやうなことを其の選擧 域内で數囘やれば、それで演説は濟む、候補者の數が非常に多ければ、それを三班なり四班なりに分けて、其の選擧區の東から、西から、南から、北からと云ふやうに選擧演説を始めて行つて、それに選擧關係の官吏が立會つて、其の通りの演説會を五、六日開催すれば濟む、有權者はそれで全部候補者の政見と云ふものは聽くことが出來る、澤山の辯士も要らなければ、何も要らない、斯う云ふやうなことをすれば演説會と云ふものは毎晩々々大勢の人のものを聽いて、而も應援辯士が詰らぬことを言うたりすることまでも聽かなければ其の候補者の主義政見と云ふものは聽取ることが出來ないと云ふやうな不便も是で除去せられる、斯う云ふやうな方法は御考へになつたのであるかどうかと云ふことが一つであります
それから選擧公營に付て、今の所謂公報と云ふものを今囘もやはり御用ひになるのでありますが、主義政策を書いた公報の原文を選擧運動取締關係の地方廳に送る、それと同時に其の候補者を推薦する所の推薦者と云ふものの第三者の推薦状、是は結局候補者の意思を通じてすることになるのですから、それを行數を決め、字數を決めて、其の推薦する者の團體、個人名と云ふものを決めて、三通りなら三通りだけの推薦が出來ると云ふことにして置けば、三通りの推薦をやはり公報の原文と同じやうに知事に送る、さうすると知事は、公報原文と今の第三者の推薦した所のものを印刷に付して、之を一纒めにして隣組から配布すると云ふことにすれば、有權者は全部其の候補者の主義政見を書面に於て知り、第三者の推薦の趣旨と云ふものを書面に於て知ると云ふことに於て、實に簡單明瞭ではありませぬか、さう云ふことにすれば、運動員も要らず、勞務者も要らず、車も要らなければ、印刷物も何も要らないので、而も費用も要らぬ、さうして取締も何も要りはしませぬ、それ以外の運動方法はない、斯う云ふことが私は一番宜いと思ふのですが、さう云ふやうなことは御考へになつたことがありますか、なりませぬでしたか、私は御考へになつたとするならば、さうして茲に斯う云ふ弊害があると云ふならば、其の弊害を承つて見たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/163
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164・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 先づ第一の立會演説の問題でございますけれども、是も御存じの通り、從來から議會制度審議會あたりでも御意見のあつた問題でございまして、今囘も公營を擴張致します爲に、色々研究したのでありますが、此の立會演説に付きましては、演説の上手な方と、又其の人物が立派であるけれども演説が偶偶下手な方がありまして、其の爲に立會演説を中心にした選擧運動に付きましては、そこに必ずしも理想的な結果が得られぬと云ふことが一つございますのと、又集會に付きましては抽籤に依れば宜いと云ふやうなことでございまするけれども、順序が又難かしい問題でありまするし、又日時の問題に付きましても、前にやつた方とあとにやつた方とが非常に抽籤の結果不公平なことが起る、偶偶有利な時にやられた方と、抽籤の結果に依つて非常に不公平があるのもどうだらうかと云ふやうなことで、立會演説に付きましては、現在之を執つて居らぬ状況であります
次に推薦状のことでありますが、是も御存じの通り、第三者の推薦状の公營と云ふことも考慮せられる問題でありますが、一つは用紙の問題でございまして、實を申しますると、選擧公報の發行に付きましても、中々用紙竝に印刷が困難でございまして、先程申上げました通り、今囘は新聞紙を用ひまして、前のやうに一枚々々別に致しませぬで、之に印刷をするやうな方法を執りました次第であります、此の上更に第三者の推薦状の公營と云ふことは、用紙の關係で非常に困難が伴ひまするのとそれから推薦状が公營になりますると、やはりそこに新人の選出と申しまするか、自分は獨力では力があるけれども、推薦をされる方がないと申しまするか、推薦者の有力或は有力でないことに依つて不公平が起ると云ふことも考慮せられまして、今囘之を採用しなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/164
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165・一松定吉
○一松委員 私は今の御説明では能く分らぬと思ひます、先づ立會演説に對する政府の御非難でありますが、抽籤と云ふことに依ると、其の人の良い時間と惡い時間とに依つて幸不幸を生ずると云ふことは唯一面だけ御考へになるからさう云ふことになる、抽籤して今日一番になつた者は、明日は一番お終ひで、二番目が一番、お終ひが二番目と云やうに、ずつとぐるぐる廻るのですから、幸不幸は之に依つて除去される、今あなたの御心配は之を除去されることに依つてなくなる、それから演説の上手下手と云ふのは、自分の有權者に對して自分の意思表示をするだけの辯があればそれで宜いのです、苟くも議會人として、議會に出て來る以上は、自己の所信を表示するだけの能力は持つて居なければならぬ、其の能力の巧拙に依つて自分の當落を決定せられると云ふことは、それは多少害がないでもないでありませうけれども、そこは諸般の情状を能く檢討調査した上で投票をすると云ふことが、所謂政府の御考へになつて居る所の政治教育と云ふことに於て、之を是正することが出來るではありませぬか、如何に演説が上手であつても、其の人の平素の人格、斯う云ふものが國民を代表する資格に缺くる所があつては、演説が如何に巧妙であつても、それに必ずしも投票すると云ふことは言へないのです、演説の上手な人に投票すると云ふことであれば、演説會に連れて來てやれば一番宜い、それならば其の人は何も自分等で單獨に演説をしても同じ議論が勝つでありませう、其の議論は間違ひだと思ひます、又人物の點とか云ふやうなことは、演説だけでは分りませぬ、やはり其の今の人格經歴とか云ふやうなことは、選擧公營と云ふやうなことになれば、私が今申上げた以外に、それ等の履歴と云ふやうなことは、「ラヂオ」で放送するとか、或は録音で放送するとか、公報の中に一、二行書き加へて置くと云ふやうなことで宜いのです、名も知らないやうな人が一體出て來てさうして、是が新人であると云ふやうにして、議會政治の運營と云ふものは出來ませぬ、苟くも自分が其の政治部面に於て何等かの特徴研究と云ふものを持つて居つて、是が國民を代表するだけの所謂職能、技能と云ふものを持つて居る人でなければ、私共は國民の代表者としては不適任だと思ふのであります、だからさう云ふ人が立會演説で、自分の所信を披瀝し、足りない所は選擧公報に依つて發表し、尚ほ足りない所は選擧公營、録音等に依つて、自分の意見を選擧區に知らせると云ふ方法も出來ませう、要は選擧公營を強化すると云ふことに付て、今私が申上げたのはほんの一例に過ぎない、さう云ふやうに簡單明瞭に有權者に其の人の人物手腕、識見を知らせると云ふ方法を選擧公營と云ふ手段に訴へさへすれば、明朗濶達に、費用も要らず、自由に有權者に人物の選擇が出來ると考へて申上げたのであります、推薦状の問題に付ての御非難、公報でさへも中々紙がなくて困つて、それが爲に新聞紙を利用する、私は公報と同じやうに推薦状をしようと主張しませぬ、私の本當の案は、斯うすれば公報と共に隣組配布と云ふ簡便な方法があるから宜いと考へて居るが、或は地方の新聞に行數を限つて三囘なら三囘だけは第三者の推薦が出來るぞと、斯う云ふ方法を執つても宜い、さうすると結局是は候補者と其の第三者の間が意思を通じて來るから、あなたは何月何日に斯う云ふ推薦状を出して下さい、乙は何日に斯う云ふ推薦状を出して下さい、丙は何日に出して下さい、三囘以内は許すことになる、行數、字數を決める、人數には制限がないから、さう云ふやうにすれば、十人で推薦しようとすれば、其の制限額に嵌込めば宜い、百人とすれば小さい活字にして制限額に嵌込めば宜い、斯う云ふことになるから、政府委員の御説明のやうに、紙が不自由であるから云云と云ふことは除去されると思ふ、次は新人がどうも推薦して呉れる人がないから云々、是は自分が演説して、主義、政見を發表して、成程此の人ならば、我々の負話に堪へると云ふことを認識すれば、其の人に出て戴きたいと云ふ爲に、推薦者も現はれて來るでせう、或は一人の推薦者もないと、云ふやうな人が、幾ら選擧だからと云つても、其の人は當選しないでせう、さう云ふ所から見れば、非常に偉い地方の人が推薦したから當選、偉くない人が推薦したから當選しないと云ふことにはなりませぬ、其の選擧區内では偉い地位の高い人だと思つても、案外人氣が惡く、彼が入つて居れば我々は止めよう、彼ならば結局斯う云ふ經歴の男だから、推薦される人間は高が知れて居るから、我々は反對だと云ふことになるから、結局其の推鷹は人の如何に依ることにならう、さう云ふやうにすれば、今のあなたの御非難は除去されると思ふが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/165
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166・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 御意見の通り、色々そこに考慮すべき問題もあると思ひますが、中々立會演説の方は、先程も申上げたやうに、組合せの問題とか、立會演説を致す場所が、其の候補者の地盤に當る當らぬと云ふ問題もありましたり、是は私から申上げなくても、寧ろ選擧にお精しい見解もおありと思ひますが、中々機會に均等付て困難な問題が起るのではないかと思ひます、又推薦状の問題でありますが、選擧の公營を第三者の運動にまで致すかどうか、是は勿論致して惡いと云ふこともないと存じますが、現在の縣なり、市町村の事務能力から申しましても、飽くまで公營を擴張すると云ふことは、現在の状況では困難ではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/166
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167・一松定吉
○一松委員 どうも私が申上げたことと違ふやうですが、今第三者の推薦と云ふことは、選擧公營と云ふことで、政府の費用ですると云ふ場合もありませうが、今新聞に廣告せんとする時分には、推薦者が自分の費用で廣告すると云ふ方法に代ることが出來るのですからして、何も政府は之に力を添へる必要はないのだから簡單明瞭だ、ですから是れ程簡便なことはないと私は思ふ、それから立會演説會場の振當とか云ふやうなことが困難だと言ひますが、困難でも何でもない、候補者或は候補者の代理になる人に或る場所に集まつて貰つて、さうして協議の結果、何郡では二箇所なら二箇所、或は三箇所なら三箇所と圓滿に決めて、さうして其の場所でやる、少くとも一箇月ですから、其の中で二十日間演説會場で演説すれば一晩で二箇所やるとして、二十日間で四十囘出來るではないか、晝を一箇所やれば六十囘出來るではありませぬか、さう云ふ方法を執れば簡單明瞭です、係の役人が一人か二人、それに小使を一人連れて行けば、其の演説會場の準備も出來ますし、時間も、今何處其處で四十分やつたから是で御止め下さいと云ふ合圖も出來ます、簡單明瞭です、それを難かしく御考へになるから、公營と云ふことは中中費用が要るやうに考へるけれども、費用も何も要らないで、簡單公平に自由に、而も時局に副うてさう云ふ運動が出來るが、それを御研究になりましたかと云ふ御尋ねですが、研究して居ないやうですね、折角川崎政務次官もいらつしやるので、選擧公營の問題に付ては、常に議會内で話があるのですから、政務次官に於かれましても、私の意のある所を十分に御酌み取り下さいまして、御再考せられましたならば、私は無料郵便物を次の選擧に御停止になると同時に、今私の申しました簡單明瞭なる選擧公營に依つて選擧を行ふことが出來ると思ひますが、是等に對する御趣旨は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/167
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168・川崎末五郎
○川崎政府委員 一松さんから色々御意見がございまして、御説洵に御尤もな點もあるやうに拜聽致して居りました、只今内務省の方と致しまして考へて居りましたのは、他の政府委員から御答へ致した通りでございます、此の際私御名指がありましたから、私の只今考へて居ることの一、二を申上げて、御諒解願ひたいと思ふのでございます
選擧運動に對しまして、成べく許される範圍内に於て、出来るだけ公營を擴張することに付きましては、是は年來の御主張であるし、又我々も一松先輩と同樣に、其の考へを持つて、許される範圍内に於て、能ふ限り選擧運動に於て公營の種類又範圍と云ふものを擴張して貰ひたい、又擴張すべきものだと云ふことに付ては、全く同感でございます、併しながら之を實際に行ふ場合に於きましては、現在内務省に於きましても、決して此の公營の範圍を擴めることを厭がるとか避けるとか、或は出來るものさへもやらない、斯う云ふやうな消極的な考へではない、考へ方と致しましては、皆さんと御同樣に、出來るものなれば、どれでも一つでも、二つでも、皆さんの御教へに、又御意見に依つて取上げて、實行し得るものがあれば之を實行して參りたい、場合に依れば法律を以てやらなくてはいけないものもありませうし、又法律の規定がなくて、事實上の行爲として、事實上の處置處分として出來るものがありますれば、それでも選擧の實際の自由公正を害しない、明朗闊達な選擧を行はしむる、候補者から言へば選擧費用を節約し得ると申しますれば、一つでも之を採りたいと云ふ考へに於ては、現在内務當局なども考へが違つて居るのではありませぬ、但し現在の實情から申しますれば、直ちにさればと申して具體的に彼や此れや例へば、演説會の公營に依りまする演説會の告示の方法、之をもつと現在よりも公營の手段に依つてやつて見よう、或は立看板其の他のものも、之を一つ公營でやつて見よう、又只今の御話のやうに、立會演説も公營でやつて見たらどうか、或は又第三者の推薦状も之を新聞其の他の廣告に於て公營でやつたらどうかと云ふ御意見もございます、是等に付きましては、出來るならば之を取上げてやりたいと思つて、今例示致しました一つ二つのことに付きましても、只今の所に於ても尚ほ諦めずに、實行し得るものは實行致したいと云ふ考へで居るのでございます、是は私の考へのみならず、内務省と致しましても、さう云ふ考へを持つて居るのでございまするが、此の立會演説を公營でやることに付きましても、是は私の私見も加はりますが、遺憾ながら一松先輩の御意見其の儘を私と致しましては御贊成と申しますか、受入れることに付て、私自身が稍稍躊躇致します、どうも私は非常に咄辯でありまして、演説會で立會演説をやるとなると、私は負けますから、さう云ふことになつたら大變だと思ひます(笑聲)さう云ふことでなくて、此の選擧運動はやはり自由にやらす、機會を公平に均等に與へて自由にやらすと云ふことでなければなりませぬが、其の自由にやらすと云ふことは、やはり候補者自身が選擧運動は單に演説のみに依らぬ、文書に依ることもありますし、或は其の他のことも今度は戸別訪問以外は全部禁止を解く爲に色々な方法も考へられませう、演説と文書、大雜把に言へば斯う云ふ二つに分けられます、併しそれを實際にやるには色々のことが考へられませう、それをやはり候補者御自身が工夫され、按配をされて、所謂創意を以て各自が自己の最も長ずる所の方法手段を執つておやりになると云ふことも、是は自由でございませう、さう云ふ場合に於ては、今言つたやうに成べく候補者の各位が自由に自分の最も策を得たと思ふものを御取りになつておやりになる意味に於て、公營にしても候補者の好まないことまでも束縛してやらさなくちやならぬ、例へば立會演説の如きは、自分は立會演説よりも獨立の演説をやつた方が宜いと云ふ人までも、立會演説を公營でやると云ふならば、さう云ふことで縛つてやることになります、是はさうなれば自分が厭やなら出席しなければ宜いと云ふことになるかも知れませぬけれども、それになると、行かないと、行かないだけの苦痛がありませうから、さう云つたことを考へますと、現在の状態の下に於きましては、私は其處まで立會演説までも公營でやつて行くと云ふことは、果してどうかと云ふことに於て、御趣旨は全く私も御尤もと思ひますけれども、私は遺憾ながらそれを直ちに全國一律に之を政府としてやらうと云ふ氣には、或は氣が弱いかも知れませぬが、私はさう云ふ氣にはようなれませぬでございます、尚ほ推薦状のことに付きましても、是は只今聽違ひして居つたかも知れませぬけれども、新聞に推薦状を廣告さすと云ふことになれば必ずしも、公營しなくても、各候補者がそれぞれの新聞に對して廣告なさることも一つの方法でありませうし、或はそれは或る特別の便宜の者だけが利益を得るから、それを機會均等を得しめる爲に公營せよ、斯う云ふ御意見でございまするならば、是は嚢の衆議院の選擧法改正の調査會に於ても一定の同一の條件の下に於て、新聞紙に廣告をしたらどうかと云ふやうな御意見でございました、是等の點に付ても、只今研究中てございますから、或はそれと全然一松委員の御意見御主張は違つて居るかも知れませぬ、或は趣旨が同一であるかも知れませぬ、若し趣旨が同一ならば、さう云ふ意味に於て、現在我々と致しましても研究中でございます、其のことだけを申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/168
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169・清瀬一郎
○清瀬委員長 本日は是にて散會、明日は午前十時より開會致します
午後五時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00119451204/169
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