1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)(第一號)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)(第二號)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)(第一號)
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昭和二十年十二月六日(木曜日)午前十時十二分開議
出席委員左の如し
委員長 清瀬一郎君
理事 伊藤五郎君 理事 大川光三君
理事 川口壽君 理事 保利茂君
理事 木下義介君 理事 原玉重君
逢澤寛君 伊藤清君
今成留之助君 上田孝吉君
神尾茂君 漢那憲和君
清寛君 作田高太郎君
薩摩雄次君 田子一民君
田村秀吉君 中村梅吉君
濱野清吾君 林信雄君
原夫次郎君 松永東君
山本厚三君 今井新造君
今井嘉幸君 川島正次郎君
東條貞君 中原謹司君
永山忠則君 船田中君
吉田貞次郎君 牛塚虎太郎君
岡本傳之助君 唐橋重政君
木下郁君 菊地養之輔君
出席國務大臣左の如し
司法大臣 岩田宙造君
内務大臣 堀切善次郎君
出席政府委員左の如し
内務省所管事務政府委員
内務政務次官 川崎末五郎君
内務參與官 中助松君
内務省地方局長 入江誠一郎君
内務省警保局長 小泉梧郎君
内務書記官 鈴木幹雄君
内務書記官 鈴木俊一君
本日の會議に上りたる議案左の如し
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/0
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001・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より衆議院議員選擧法中改正法律案の委員會を開きます、政府に對する質問を續行致します――東條君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/1
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002・東條貞
○東條委員 婦人參政權は政治上に於ける男女同權を認むる譯でありますが、さう致しますと、或は民法とか、刑法とか、其の他凡ゆる法制上に於ける男女同權を全部認めて行くと云ふ御方針でありませうかどうか、政府の御方針は決定致して居りませうか、それを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/2
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003・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の選擧法に付き しては、同じに致しましたが、民法上、刑法上其の他總てを同じにすると云ふことに付き しては、まだ政府の方針は決定致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/3
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004・東條貞
○東條委員 委員會、本會議に於ける御答辯に依りますると、是が成立を致しましたならば、婦人に對しましては、女子の教育界、或は婦人團體其の他色々な機關を動員をして、そして適當なる指導をする積りであると云ふ御答辯のやうでありますが、之に付きまして、どう云ふ内容を以て指導をせられる御考へでありませうか、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/4
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005・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 婦人參政權の實施に伴ひまして、婦人の地位の向上の爲の教育運動に付きましては、目下文部省と打合せまして、先づ第一に一つの國民の公民教育運動と申しまするか、政治教育運動と申しまするか、政治的自覺の向上、公民教育を目指しまして、國民運動を實行することになつて居ります、具體的な方法と致しましては、關係團體を慫慂致しまして、是等の運動を致し、同時に文部省の方面に於きましては、教育會、或は學校等を通じまして、此の趣旨の徹底に努むる、さう云ふ風なことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/5
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006・東條貞
○東條委員 私の承りたいのは其の方法でなくて、どんな内容を持つて、どんな風にして指導される御考へであるかと云ふことを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/6
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007・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 之を實行致します機關に付きましては、只今申上げた通りでありますが、其の内容に付きましては、我が國の民主主義の徹底、其の他一つの方向は分つて居るのでありますが、之を如何に徹底するかと云ふことに付きまして、團體或はそれ等の學校機關等を能く活用すると云ふ方向に向ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/7
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008・東條貞
○東條委員 それから此の本會議、委員會に於ける御答辯を承つて居りますと、我が國の家族制度の美俗は之を維持して行かなければならないと云ふ意味の御答辯を伺つて居るのでありまするが、男女同權と申しますることは、結局個人主義的な思想から起つて來るのでありまして、我が國の家族制度と云ふものとは相容れない面が大分にあると思ひますが、此の點に付て政府はどう云ふ風に御覽になつて居るか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/8
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009・堀切善次郎
○堀切國務大臣 必ずしも家族制度と容れないものがあるやうにも考へて居ないのであります、我が國に於きましては、家族制度を中心にして國家の基盤が出來上つて居る譯でありますが、家族制度が中心になると申しましても、其の間に長い間の傳統で婦人に對して多少不合理な束縛壓迫のあつた點がない譯でもないと思ひます、それ等の點から婦人を解放して行くと云ふことは必要なことだと存じますが、併しそれに依りまして、從來の我が國の家族制度と矛盾するとか、家族制度の基礎を崩すとか云ふやうな心配はないものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/9
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010・東條貞
○東條委員 今の御答辯に依りますると、男女同權と云ふ考へ方と家族制度とは、必ずしも衝突するものでないと云ふ御考へでありますが、私はさうは考へませぬ、一體政治上に於きまして男女が同じ權利を持つと云ふことになりますれば、必ず色々な方面に於て、家庭の上にも、社會的にも、凡ゆる方面に於て、同じ權利を主張致しまする運動が、相當に熾烈に起るものと考へて居る、今の御答辯を伺ひますると、家族制度の上にも改むべきものが澤山ある、斯う云ふ御見解のやうでありまするが、假に家族制度と男女同權と云ふ考へ方とが兩立して行き得るものと致しましても、家族制度を維持して行かうと云ふ上から致しまするならば、之を何處へ一致せしめて行くか、何處で調和を取るかと云ふことに付きまして、はつきりした考へ方が決まつて居りまして、それに基いて指導をして行かなければならぬと思ふのであります、今假に政治上に於ける男女同權を認めましても、中年以上の婦人は個性も固まつて居りまするし、又今までの生活習慣から、さう甚だしい動搖は來さないと思ふのでありますが、若き婦人、既婚、未婚を問はず、若い婦人の間に對しては、相當強い衝撃を與へることになると思ふ、我が國の婦人に參政權を與へることを不適當と考へるのではないが、其の影響が家庭生活の上に、社會生活の上に甚だしい激動を生ずると云ふことがありましては困ると思ひます、隨て本案が成立を致しまして、それに基いて、今御話のやうに、大々的に女子に對して速成の政治教育――斯う云ふことは速成的に教育を致しましても、果して所期の效果が得られるか疑問でありますが、さう云ふことをなさると致しますれば、はつきりとした歩むべき道、到達致すべき所と云ふものが分つて居なければならないのであります、伺ひますると、それに付てはまだ法制の上に於て凡ゆる面に男女同權を認めて行くかどうかと云ふことに付ては、根本の御方針すらも定まつて居ないと云ふやうなことでありましては、其の點が非常に憂慮されるのであります、選擧權が與へられた、政治上には同じ權利を持つやうになつたと云ふことを教へて、さうして何處までも政治と云ふものの面だけを考へて指導せられますると云ふと、其の結果は詰り家庭の上に於ても社會上に於ても、我々は是から男子と同じであると云ふ考へを持つて、急激に其の方に進んで行きますと、所謂行過ぎが起つて、色々な面に色々の弊害が生じて來るのではないかと思つて居ります、此の點に付て政府の根本の御方針がまだはつきりと決まつて居ないと云ふやうなことではいけないと思ふのでありまするが、斯う云ふ點に付て政府はどんな風に御考へになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/10
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011・堀切善次郎
○堀切國務大臣 先刻の私の言葉が足りませぬで甚だ恐縮でありますが、民法上、刑法上等に於きましての男女同權と云ふことに付て、只今の政府としては格別のことを考へて居る譯ではありませぬ、それは即ち刑法上、民法上等に付きましては、現状を維持して行くと云ふことを考へて居るのでありまして、唯政治上に於て同權に取扱つた譯でありますが、民法上、刑法上に付きましては、現状を維持して行くと云ふことを考へて居る次第であります、隨ひまして政治上男女が同樣に取扱はれましたからと申しまして、是が爲に長い間我が國の傳統の美風であります家族制度の根本に激變を來すやうな影響はないものと考へて居るのであります、唯家族制度の長所と申しましても、或る程度場合に依り、所に依り、家庭に依りまして、行過ぎの點もないでもないと思ひますが、從來是等の不當な壓迫、不當な制限と云ふやうな點からは、漸次婦人は解放されることになり、そこに自ら又新しい秩序、新しい道徳が一家の中に生れて參りまして、男女共にお互ひに理解し合ひ、長所を認めて長所を發揮して行くと云ふやうな家族制度の美風が完成されるのではなからうかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/11
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012・東條貞
○東條委員 是れ以上は意見の相違と申しますか、議論になりますから申しませぬけれども、政治上に於て男女同權を認めても、其の他の方面に於ては大體家族制度を維持して行く方針であると云ふことであります、さうして又大した影響は起らぬと云ふ御考へのやうでありますが、是は私共の見解に依りますと、政治上男女同權を認めることになりますれば、それこそ非常な勢ひで、凡ゆる方面に男女の同權を求める叫びが起つて來ることは、目に見えて居るのであります、寧ろ司法上に於ての男女同權を認め、それから市政に參與せしめる、それから政治上に同權を認めると云ふやうに、漸進して行くべきが當然であるのに、此の特別な事情の下にいきなり政治上の男女同權を認めて非常な衝撃を與へる、さうしてそれが爲に殊に若い人達は非常な感激を持つて起ち上ることと思ひますが、其の結果が色々な面に色々な出來事が起りはせぬかと憂慮されるのでありますから、十分愼重に對處せられんことを希望致します
それから此の度行はれまする總選擧に對しましては、政府は何か目標を定めて國民を指導すると云ふやり方をおやりになりまするか、又さう云ふことには全然觸れないでおやりになる積りでありますか、それを伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/12
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013・堀切善次郎
○堀切國務大臣 御質問の趣意を一寸正確に把握しないかも知れませぬが、此の度の選擧は新事態に即應致しまして、民主主義的新日本を建設して行くと云ふ此の大方針の下に選擧が行はれる譯でありますから、其の方針だけでありまして、其の外に別にどう云ふ風に指導するとか、どう云ふ風に持つて行きたいとか云ふやうな考へは、毛頭持つて居りませぬ、國民はさう云ふやうな趣意を皆今日諒解して居ると思ひますので、其の國民の考へを其の儘ありの儘に選擧の上に現はすと云ふことを期待して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/13
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014・東條貞
○東條委員 政府は政黨と云ふやうなものを何とかする必要を御認めになつて居りませうかどうか、それから此の度の選擧に關しまして政府が國民を指導する上に於て、何か政黨と云ふものに對してどうするとか、之を指導すべき内容の中に御考へになつて居りませうか、さう云ふことには全然御觸れにならない御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/14
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015・堀切善次郎
○堀切國務大臣 政黨等に付きましては政府と致しまして此の選擧の際に何等觸れる考へを持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/15
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016・東條貞
○東條委員 一體今の情勢に付ては國民が相當に理解して居る積りであるからと云ふ御考へで、是はまあ政府の立場としてさう仰しやるのは御尤もでありますけれども、多數の有權者は是は新日本の再建であるとか、或は民主主義に向つて進まなければならぬとか云ふ抽象的なことは聽いて知つては居りますけれども、如何にすれば其の目的に適ふかと云ふことに付きましては、割合に理解の少い選擧民が非常に多いと思ふのであります、殊に新たに選擧權を與へられまする人々の中には、判斷に苦しむ者も多いと思ふのでありまするが、之を政府の意圖せられまするやうな目的に向つて過たず選擧權を行使せしめると云ふ上に付きましては、適當なる指導をなさらなければならないし、唯標語を掲げたやうなやり方でなく、もう少し内容のある、具體的な指導をなさらなければならぬと思ふのでありますが、さう云のことは御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/16
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017・堀切善次郎
○堀切國務大臣 御説御尤もとは存じますが、只今の所さう云ふことを考へては居りませぬ、それをやりますと却て是までありましたやうに色々な弊害がそこに生じ、又行過ぎ等が起りまして、却て此の自由公正な選擧の妨げになるのではなからうかと云ふことを心配致すのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/17
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018・東條貞
○東條委員 それから今までの御説明を伺つて居りますると、自由、公正、明朗、闊達と云ふやうなことを目標にして今度の改正案を御提案になつたと云ふことは、はつきり了承致しましたが、どうも此の内容を拜見致しますると、何だか選擧運動が今まで非常に拘束をされて居つた、そこで其の拘束を取つて自由にさへすれば宜いんだと云ふやうな風で、まあ戸別訪問とか、買收、饗應と云ふやうなことを出來るだけ殘して、後は皆削つてしまつたんだと云ふ風にしか考へられない、第一此の選擧費用の制限と云ふものが殘されて居りますが、事前運動を無制限に認め、第三者運動を無制限に認めまして、さうして費用の制限をすると云ふことは、何等意義を成さないことぢやないかと思ふ、それから又此の戸別訪問をやはり禁止事項に殘されてありますが、年中何時でも選擧運動が出來ると云ふことに致しまして、戸別訪問の禁止と云ふものを殘して置くと云ふことも、是も意義を成さない、矛盾のやうに考へる、此の點に付きましてどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/18
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019・小泉梧郎
○小泉政府委員 選擧運動に關する各種の制限を撤廢致したことに付きまして、御意見を拜聽致したのでありますが、此の選擧運動に關する各種の制限を撤廢致しました根本は、曩にも御説明申上げたのでございますが、御話の通りに選擧運動をして明朗闊達に行はしめると云ふことが其の趣旨でございますが、其の根本と致しましては、やはり此の民主主義政治の確立を目指しまして、國民が本當に心から選擧に自由に參加すると云ふことを目指して居るのでございます、從來兎角各種の制限が多うございました爲に、本當に心から選擧に參加をして居なかつたと云ふ風な弊害も見られましたので、此の際各種の制限を取除くことに依りまして、國民をして眞に此の選擧に參加をして、施政的の責任を同時に持つて貰ふと云ふことを本旨と致して居るのであります、是等の制限を撤廢して置きながら、選擧費用の制限を殘して置くのは無意義ぢやないかと云ふ御質疑でございますが、此の點洵に御尤もでございまして、是等の運動に關する制限を撤廢致しますれば、費用の制限も同時に撤廢致すのが、一貫した考へ方だと考へるのでございます、唯實際問題と致しまして、費用の制限を撤廃致しますと、全く此の方面に對する自由と申しますか、茲に何等の制限がないことになりまして、一面に於て或は金權萬能と云ふやうな弊風が發生することが考へられますので、費用の制限は或る程度やはり殘して置くことが實際的に適當ではないか、斯樣に考へた次第であります、尚ほ事前運動に關する制限が撤廢されましたのと相關聯して、戸別訪問の規定を存續して置くことは、是れ亦矛盾ではないかと云ふ御質問でございますが、戸別訪問其の他從來からございます選擧運動上の不正行爲に對しましては、是は從來と變りなく取締ることになつて居りますので、事前運動に對する制限撤廢と戸別訪問に對する禁止の存續とは必ずしも矛盾を致さないものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/19
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020・東條貞
○東條委員 成べく簡單に時間を取らぬやうにと思つて、私の聽き方が簡單過ぎたかも知れませぬが、さう云ふ意味ではないのでありまして、要するに選擧費用を制限致して置きましても、今度の改正案にありますやうに、選擧費用の支出責任者の手に依つて經理されるものは成程制限が出來ませうけれども、選擧期間に入らない前に於て、なんぼ金を使つてどんなことをしやうと自由自在であり、又第三者運動の形を取つてやりましたならば、どんな莫大な金を掛けた選擧運動も出來るのでありますから、斯う云ふ費用の制限を殘して置いても、實質的には本當に選擧費用を制限すると云ふ效果が擧らない、茲に矛盾があるのぢやないか、斯う云ふことを御尋ねしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/20
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021・小泉梧郎
○小泉政府委員 御質疑御尤もの點があるのでございますが、各種の運動の制限を撤廢致したに付きましても、一面に於て費用の制限と云ふことが實際的に必要であると云ふことになりますと、選擧運動の或る期間をやはり取りませぬと、費用の制限の效果を擧げることが出來ない次第でございます、事前運動の制限を撤廢致しました關係上、選擧運動は年中行はれることに相成るのでございます、それに付て費用の制限を行ふと云ふことは、實際問題として技術的にも出來ない譯でございますから、やはり或る一定の期間を限つて此の費用の制限を行ふ、其の行ふ時は何時かと申しますと、最も選擧運動として本格化した時期、即ち選擧の期日の公布又告示のありました期日後一定の期間を費用を取締ると云ふことに相成りますので、其の期間に於きましては其の選擧費用の取締の效果は發揮出來ると思ふのであります、唯年中行はれます選擧運動に付て全體の費用を取締ることが出來ないぢやないかと云ふ御質疑は當然起ると思ふのでありますが、それは此の運動全體を自由に致しました關係上已むを得ないのではないかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/21
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022・東條貞
○東條委員 それから是は大臣に伺ひたいのでありますが、事前運動を認めると云ふことになりますると、何とかして一度代議士になりたい、或は今度は一つ是非出ようと云ふ希望がありまする者は、どんどん選擧運動を始めます、今後の議會政治はやはり政黨を主にした政治に進んで行かなければならぬ、本當の政治の發達は政黨の健全なる發達に俟たねばならぬ、であらうと思ふのでありますが、さう致しますと、黨内に於てやはり新しき立候補希望者が平素から、選擧運動を始めます、さうして暇を潰し金を使ひして準備をして、選擧の時期の來るのを待つて居る、偖て愈愈選擧になつた、所が政黨と致しましては適當なる候補を公認をして、是の當選を期さねばならぬと云ふことになるのでありまするが、黨内に於て非常な公認爭ひが起る、それも是からやらうと云ふのと違つて、既に世間に對して次の總選擧には立つと云ふことを聲明し、金を使ひ暇を潰してやつて來た面目上から云つても引込みがつかぬと云ふやうなことになつて、各政黨の中に於ては公認問題が非常な困難になり、それが爲に色々な情實が起り、詰り黨の統制も中々困難になると云ふやうな實情になることが想像されるのであります、隨て事前運動を無制限に許すと云ふことは、政黨の健全な發達を必要とすると云ふ考へ方から申しましても、是は非常に弊害のあることと思ふのでありまするが、斯う云ふ點に付て政府はどんな風に御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/22
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023・堀切善次郎
○堀切國務大臣 政黨の健全なる發達を希望致しますことは、今後の民主政治の發達の上に不可缺の條件であると思ひますが、唯政黨の中の統制の問題と云ふことは、是は政黨自身で解決せられて行くべきものぢやないかと思ふのでありますが、尤も選擧法の立て方に依りまして、若し所謂拘束名簿式の比例代表等に致しますれば、或る個人が運動致して居りましても、其の得票は全部其の黨派の得票になつて、黨派の方から提出された順序に依つて當落が決まると云ふやうな制度になれば、或る一人が非常に事前運動をやつて居ると云ふやうなことも、結局黨派の利益になつて、其の人の利益には歸著しないと云ふやうなことも、考へられる譯でありますが、其の黨派の中での公認の問題とか、或は順序を決める問題とか云ふやうなことに付きましては、其の黨の中に色々問題があるだらうと思ひますが、併し是は結局やはり其の黨派の統制力、其の黨の總裁の統制力の問題に歸著することだらうと思ひます、事前運動を色々やると云ふことに付ての御懸念でありますが、是は或る程度の事前運動は已むを得ないと思ひますが、無論是は事前運動でありましても、買收、饗應等に亙りますことは出來ない譯であります、其の外の色々な方法で事前運動をやると云ふことは、まあ實は相當行はれて居るのぢやないかと思ひまして、所謂選擧區の培養と云ふやうな風のことは、今日でも或る程度あると存じますし、何でも「イギリス」あたりでは正式の選擧の費用は左程掛りませぬ、法定の費用は割合少くなつて居りますが、平素の選擧區の培養の費用が非常に掛るのだと云ふやうなことも聞いて居ります、或る程度の事前の運動、選擧區の培養と云ふことは、是は已むを得ないことではないかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/23
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024・東條貞
○東條委員 それから立派な人物を成べく當選をさせるやうにする、「出たい人より出したい人」と云ふ標語を掲げて選擧をやつたこともありますが、要するに事前運動を熱心にやつて、金を使ひ暇を潰し十分な準備をして置かうと云ふ人にも、立派な人物は無論ないとは申しませぬけれども、今日の常識から言ひますると、比較的立派な人は、寧ろ、どうか出て下さいと言つて推薦をされるやうな人に多いのでありますが一種の野心を持つた人は、一生懸命に事前運動をやる、自らさう云ふ考へは持たぬが、一般の人からは是非あの人に出て貰ひたいと言つて推薦されるやうな人は、無論さう云ふことを豫期して居ないのでありますから事前運動などはやらない、斯う云ふことになりますると、結局立派な是非出て貰ひたいと云ふやうな人は、無準備で選擧期間に入る、それから選擧運動を始める、一方の野心家は年百年中やつて居ると云ふことになれば、選擧の結果は、殊に斯う云ふ大選擧區制が布かれ、非常に多くの有權者を相手にしてやると云ふことになりますると、選擧の蓋を開けて見ますると、出て貰ひたいやうな人は枕を竝べて落ちて居つて、それに比べれば低い人が割合に多く當選して居ると云ふやうな結果になります、又勸められましても、多くの人がどんどんやつて居るのに、今頃から驅出しては迚も票は取れぬと云ふやうに考へて、出るのを躊躇すると云ふやうなことになる、結局優秀な人物を出すと云ふ面から言ひますると、事前運動を無制限に許すことは、却て好くない結果を生むのぢやないかと思ひますが、此の點はどう御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/24
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025・小泉梧郎
○小泉政府委員 御話のやうに推薦されるやうな立派な人物が、無準備の爲に或は當選を贏ち得ない場合があると云ふやうなことも考へられるのでありますが、さう云ふ方でありますと、衆望の決して居るやうな人でありますからして、自然それを推薦される側に於きましても、相當有力な政治力のある方々もおいでになるでありませうし、必ずしも其の方が無準備の爲に落選されるやうなこともないのぢやないかと思ひます、又是は私一個の見解で甚だ恐縮なんでございますが、今後の政治に於きましては、やはり餘り卒然として立たれて當選されると云ふやうなことは割合に少くなつて來て、其の人の平素から持つて居られる政治的識見なり人格なりと云ふものが選擧區に徹底して居らなければ、當選をされないと云ふことになるのは、今後の民主主義政治體に於て至當ではないかと考へる次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/25
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026・東條貞
○東條委員 それから選擧費用の制限をすると云ふ建前から行きますると、費用の計算と云ふことが行はれなければならない、今日のやうに物價勞銀がばらばらになつて居る時に、何を標準にして費用の計算をなされるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/26
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027・小泉梧郎
○小泉政府委員 大體支出されましたものは、やはり其の實際の支出額を以て計算致すことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/27
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028・東條貞
○東條委員 さう致しますと、選擧費用と云ふものは非常に不公平なものになると思ふ、是は昨日同僚の方から伺つたのでありますが、例へばざら一連公定で百圓で買つたと云ふ話を伺ひました、所が同じ方の話で段々紙を探して居つたら、あることはあるけれども、千八百圓だ、斯う云ふやうな開きがある、此の紙などは甚だしい例でありますが、さう致しますと、どうも人に依り、場所に依り、加へられた制限と云ふものは、或る標準に依つて一定して居りましても、其の内容に依りましては、非常に不公平になる、のみならず實際には非常に高い物を買つたけれども、帳面には安く付けて居つたと云ふやうなことも行はれ得るのであります、どうも費用を制限致しましても、帳面の上の金額は制限額以内に旨く作らうと思へば出來ますけれども、實質的には一向意味を成さない、而も非常に不公平なものになると思ふのですが、どう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/28
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029・小泉梧郎
○小泉政府委員 實際問題と致しましては、御話のやうな場合も多くの場合にあり得ると考へるのでございますが、併しさりとて制限を全然廢致した場合のことを考へますと、やはり規定の上に制限を置きまして、それに依つて各種の手續もして貰ひ、審査も致しますと云ふこと、それから後に當選の效力を失ふと云ふやうな大きな制裁も控へて居る次第でありますから、是が全然無意味な制限であるとは考へられない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/29
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030・東條貞
○東條委員 費用の内容は政府も御認めになつて居りますやうに、本當に正確な、公平な計算と云ふことは困難であります、それから事前にはうんと自由に金が使へる、それから第三者運動と云ふ形であれば何ぼでも金が使へる、一體私に入れて貰ひたいと云ふ候補者自體の運動も無論效果がありますけれども、どちらかと云へば、あれは良い人物だから出さなければならないと云ふ第三者運動の方が、やり方に依つては非常に效果があるのでありますから、金を使はうと思ふ者は、第三者運動の形でうんと金を使ふ、何も帳面に付けるやり方でなければ選擧運動が出來ないと云ふのではないのでありますから、斯う云ふ點から言つても費用の制限と云ふのは、本當に實際に無意味であらうと私は思ふ、さうして其の結果は今の御話のやうな當選無效と云ふやうな重大な結果がある、さうして實際には制限をしたことが意味を成さない、こんな矛盾致しました規定を殘して置きますることは、本當に無意味であると思ふのですが、是れ以上は見解の違ひでありますから追究は致しませぬ
それから一體戸別訪問を禁止したと云ふことは二つの理由があると思ふのであります、一つは買收と云ふ惡質の犯罪が行はれ易いと云ふこと、今一つは前の制限選擧の時代に、議員候補者が到る處で其の土地の有力者に案内をされて、各戸へ名刺を持つてぺこぺこ頭を下げて歩く、ああ云ふ馬鹿なことは止した方が宜いと云ふ、此の二つが理由となりまして、戸別訪問を禁じたことと記憶して居りまするが、併し若し一面に事前運動と云ふものを自由にすると云ふことでありまするならば、此の事前運動の間に於て戸別訪問をやりますることはなんぼでも出來る、買收に便利なやり方だと言ひまするけれども、此の買收と云ふことは又別でありまして、次から次へと一軒々々戸別的に金を置いて歩くなんと云ふ、そんな下手な買收は實際行はれないと思ふ、一體選擧運動は文書とか言論とか云ふもので、詰り選擧民の心を動かして或る特定な方法に引付けると云ふ運動でありまして、言論の方から言へば演説會でありまするが、面と向いての懇談と云ふものは相當の效果があるのであります、個々面接は許す、電話は許す、さうして向ふの家へ行つて懇談をして説き付けることがいけないと云ふのは非常な問題だと思う、買收に便利だと言ひますけれども、買收を取締ると云ふ上から言へば戸別訪問を禁止しないでも別に買收を取締る途がある、一體買收と云ふことは、取締ると云ふことよりも寧ろ買收の效果なからしむると云ふ風に導いて行くことの方が效果があるのであります、事前運動を自由に許すと云ふ建前から行けば、戸別訪問を禁止すると云ふことは全く無意味になるのでありますが、此の點に付ての御見解はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/30
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031・小泉梧郎
○小泉政府委員 御話の通り戸別訪問を禁止した理由は、買收を防止することと、品位が下ると云ふ二點でございます、其の爲に個々面接との取扱上の相違がある譯であります、さりとてそれでは戸別訪問禁止の制限を撤廢してはどうかと云ふことになりますと、之を撤廢しますと、單に事前にのみならず、選擧直前と申しますか、選擧運動の本格化した時期に於きまして是が行はれることになります、斯うなりますと、只今御話のやうな買收と云ふことが、やはり相當行はれる危險性があるのでございますし、同時に議員候補者の品位を下げるやうな行爲を或る一候補者がやられますと、それを好まざる候補者までも、やはり之を敢てやらなければならぬと云ふやうな事態になる虞もございます、やはり此の戸別訪問の禁止規定は、まだ暫くの間之を存續して置くことが適當ではないか、斯樣に考へる次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/31
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032・東條貞
○東條委員 それから買收に對する罰則でありますが、一體買收と云ふやうな不正運動をなからしめるのには、どうしても買收しても效果がないと云ふ所へ持つて行くのが一番宜いと思ふのであります、現行法から言へば、例へば二人、三人の候補者から買收の金を取つたなんと云ふのは、非常に惡質のものとして嚴罰されるやうなことになつて居りますが、買つた者は罰するが、其の金を取つた者は罰しないと云ふことにしますれば、買收と云ふことはやつても何も效果がないと云ふ結果になつて來る、金を出す者があれば何處からでも貰ふものは貰つてやらう、其の代り投票は自分の良心の判斷で宜いと思ふ者に入れると云ふことになりまして、買收の效果がなくなると云ふことになる、さう云ふ風に致します方が、實際の效果があると思ふのでありますが、さう云ふことを御考へになつたことはありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/32
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033・小泉梧郎
○小泉政府委員 此の點に付きましては、司法省の政府委員から御説明申上げた方が宜いと考へます、午後出席されるさうでありますから、どうぞ御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/33
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034・東條貞
○東條委員 是は小さなことでありますが、選擧公報の編輯の仕方であります、一體選擧運動も一つの藝術でありまして、其の人の個性が言論にも文書にも色々な方面に現はれる、是がやはり候補者を選擇致します有權者の方から言へば、判斷の資料になる譯であります、今までの編輯の仕方を見ますと、同一の活字で同じやうに公平に扱ふと云ふ御考へでありませうけれども、千篇一律な編輯しか許されない、是は寧ろ紙の幅で決めて、例へば一定の標準の活字を決めて、何字詰め何行何段と云ふことでなく、其の大きさの中を利用することは候補者の自由に任せる、或る人は大きな活字で極く簡潔なことを書いて愬へる、或る人は又自分の抱負經綸を詳しく書く人もありませう、それから又「スティル」とか寫眞版とか云ふものを提供致しますならば、版畫を用ひるのも宜からう、寫眞を入れるのも宜からうと云あ風に、自由に利用させて、そこに其の人の人格がやはり公報の上にも現はれるやうにすることが必要ではないかと考へるのでありますが、此の點如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/34
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035・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 只今の御質問、洵に御尤もでございまして、我々と致しましても、用紙の許す範圍に於て、選擧公營の趣旨を徹底致します爲に、立候補者の個性、或は人格が現はれますやうに希望致して居ります、其の方法と致しまして、各立候補者の方々の御工夫に依りまして、紙型を取りまして、それを公報に現はすやうに致すと云ふ方法を今研究して居りまして、各府縣の状況を目下取調べて居りますが、多數の縣に於きましては、出來ますやうでございますから、出來ますれば之を實行致したいと思つて居ります、唯寫眞に付きましては、どうもやはり印刷の關係上困難のやうでございますから、其の點御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/35
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036・東條貞
○東條委員 大變結構なことと思ひます、唯公平と云ふことに依つて大部分は出來るが、或る地方が出來ないからやらぬと云ふことでなくして、出來る所だけでも、さう云ふ風にやるやうに希望致します
それから是も小さいことではありますが、公營の演説會であります、選擧の明朗化と云ふやうな上から云つて、例へば會場の照明であります、殊に會場の出入りの通路の照明と云ふやうなことが、從來の公營の會場は非常に遺憾な點が多かつた、殊に降雪のあります地方とか、或は當日雨など降つて非常に道路が惡いと云ふやうな時に、殆ど雪で會場に入れぬとか、或は泥濘がひどくて會場の入口で困ると云ふやうな場所が非常に多かつたのでありますが、今度は選擧運動を明朗にすると云ふ御方針でありますから、左樣な場合には聽衆が道路から會場に入ります通路、會場内、斯う云ふものを明るく氣持好く出入り出來るやうに致すやうに、適當なる御指示を願ひたいと思ひます、是は質問ではなくして希望でございます
それから演説會に對する取締であります、昨日御答辯を伺つて居りますと、大體の御取締の方針は分つて居りますが、唯ここにどの程度で取締をするかと云ふことが非常に困難だと思ひます、今までの選擧でありますと、後ろに妨害したら罰せられると云ふ掲示を掲げてありますので、あの規則が出來て嚴重な取締をするやうになりましたから、選擧の演説會場と云ふものの空氣は、まるつきり戀つてしまつた前には相當活氣があつた所が、まるで御通夜に行つたやうで、初めの内は拍手しても罰せられると考へた聽衆もあつて、拍手もなければ何もない、まるで御通夜のやうな演説會になつてしまつた、此の演説會に對する取締は、さう申しては失禮であるが、警察官の頭で判斷されたのでは、どうも適當な判斷は出來ないと思ふ、彌次々々と云ふけれども、妨害するやうなひどい彌次は困りますけれども、或る程度の彌次はあつた方が、却て熱意も揚り活氣付いて、演説が非常に效果的になる場合も相當ある、會場の取締は、辯士とか司會者から要求があつた場合に取締ると云ふやうにされることが適當であつて、其の取締の要求のない限りは、多少彌次があつても構はずに置くと云ふ方が、適當ではないかと考へるのでありますが、此の點如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/36
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037・小泉梧郎
○小泉政府委員 選擧演説妨害の取締は、中々實際問題としては只今御示しのやうに難かしい問題であらうと思ふのでありますが、大體彌次の程度では是は選擧妨害にはならないと存じますので、實際の運用に當りましては、只今御話のやうに主催者等から話がありました場合にのみ取締ると云ふやうな方針で參りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/37
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038・東條貞
○東條委員 それから是も質問と云ふよりは希望と云ふことになるのですが、政府が選擧公營の御心配を戴いて居りますことは、大變に感謝する所でありますが、今の運輸方面の實情から言ひまして、又印刷所が戰災で非常になくなつて居ると云ふやうな實情から言ひますと、折角御心配を戴いた用紙も、本當に間に合ふやうに、之を必要な所へ輸送すると云ふことが、非常に困難だと私は考へます、或は自分の居る所とか、或は或る都市では印刷が出來ないから、外の都市へ送つて印刷をして、それを取寄せると云ふやうな必要のある場所もあるだらうと思ひます、そこで折角用紙を御心配下さると云ふ御親切でありますから、之をもう一つ延ばして戴いて、選擧に要する印刷物ばかりでなく、色々なものが必要でありませうが、物資を何か適當な方法で特別に輸送をすると云ふことを運輸當局と御相談下さつて、御取計らひを願ひたいと思ふのであります
それから今一つは選擧運動に歩きます人の乘車券であります、今度は又非常に旅客制限が行はれる、選擧運動は御承知の通り非常に敏活を要する場合が多く、且つ次から次へと時間を定めて演説會を開く、此の辯士及び準備、其の他、或は出先の候補者に打合せに行くと云ふことで、急に旅行をしなければならぬ場合が非常に多い、所が乘車券の發賣制限の爲に行けぬと云ふことになると、非常な支障を來しますから、選擧に關する旅行に付ては何かの方法で以て、いつ何時でも自由に乘車券の購入が出來ると云ふことにして戴かなければならぬと思ふのであります、詰り物資の輸送と旅行制限から除外をして戴くと云ふこと、それから今一つ、農林當局に御交渉が願ひたい點があります、それは御承知の通り選擧運動に要する勞務者、或は委員に該當する者、或は辯士、或は候捕者自體の言論方法でもさうでありまするが、今日食糧事情が御承知の通りでありまして、旅館に泊りましても、外食券を持つて行つても朝晩僅かなものしか食へない、晝飯を食ふことが又非常に困難である、辨當を持つて歩けば宜いではないかと申しますけれども、次から次へと轉々と歩きまする場合に、中々其の辨當を作ることすら出來ないと云ふ實情である、そこで選擧運動に必要な米の特配をして貰ひたいと云ふ、是は特に説明を伺つた時に希望者もあつたのでありますが、今國民全體の食糧問題が斯う云ふ實情でありまする時に、選擧運動だけに特配をすると云ふことは、一寸困難なことと思ひます、併し議員候補者として立つ人に對しましては、米の生産者の中にも相當な支持者もあるのでありまするから、選擧運動に困るならば、自分の保有米の中から三升や五升の米は寄贈したいと云ふ人が、必ず各方面に相當あると私は思ふ、斯う云ふ篤志家があつて、選擧運動に食糧の上で困るならば、米其の他の主食に該當する非常に嚴重な取締を受けて居る範圍のもの、之を寄贈したいと云ふ者がありまするならば、地方の長官認可とか、さう云ふ面倒なことでなしに、所在の警察署長なり、町村長なり、或は農業會長なりで、極く簡單な手續で自由に寄贈が出來る、候補者或は選擧事務所と云ふものに宛てて送ると云ふ場合には、自由に送れる、無論量に於て相當な制限があつても宜しい、さう何俵も送ると云ふ人はない、此の途を開いて戴かなければ、實際の選擧運動には非常な支障があると思ふのでありまするが、此の點に付て農林省の食糧關係の當局と、一つ特に御打合はせを願ひたいと思ひます、此の三點如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/38
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039・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 それぞれ運輸省竝に農林當局と相談致すことにします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/39
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040・東條貞
○東條委員 それから勞務者の報酬、辨當代とか云ふ實費辨償、之に付ては昨日の御答辯で大體了承致しましたが、唯斯う云ふ問題があるのであります、地方の實情に應じてと云ふことでありまするが、從來は警察當局が主になつて協定を致して居る、どうも選擧運動と云ふものは外の勞務と違ひまして、或る時間から或る時間まで一定の時間と云ふ譯に行きませぬ、さう骨の折れる仕事でない場合もありまするけれども、時間と云ふものが非常にだらしがない、隨て普通の所謂公定賃金と云ふものでは、中々思つたやうに動いて呉れぬ、そこで色々な苦心をして名前を付けてやるとか、或はこつそりと蔭でやるとか云ふことが、實際には起つて來るのであります、是が現はれますると選擧違反を構成するやうな實例もある、何もさう無理なことをする必要はない、それは買收と云ふやうな意味を含んだ莫大な賃金を拂ふと云ふことであれば、それは取締らなければなりませぬけれども、常識で考へて選擧運動に從ふ勞務者の賃金の如きは、本當の實情に應じたものであれば、それが公定賃金とか協定賃金とか云ふものよりも、幾分か高くても差支がないものである、斯う考へるのであります、そこで後で色々な問題の起りますることを避ける爲に、各地方に於て、地方廳の適當な當局に於て、此の地方に於ては辨當料は幾らとか、或は賃金は幾らとか云ふことを大體從來通り協定をされること、之を協定されるのに付きましては、お役所 人だけで御決めにならぬで、實際に選擧運動に經驗のありまする者を加へて、協定賃金を決めると云ふ方法でやつて戴きたいと思ふ、是は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/40
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041・小泉梧郎
○小泉政府委員 實情御尤もだと思ふのでございます、從來から勞務者に對する賃金の問題は、協定賃金を定めまして、それに依つてやつて來て居つたのでありますが、最近の事情は御承知のやうに非常に面倒な事情になつて居りますので、出來るだけ御趣旨に副ふやうな方針を以ちまして、十分相談して、成るべく御希望に副ふやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/41
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042・東條貞
○東條委員 事後の挨拶でありますが、是は選擧運動の公正化とか明朗化と云ふことには、餘り關係のないことであります、若し事前に於て、事後の挨拶にうんと御馳走するぞと云ふことを豫約したとすれば、無論饗應の違反であります、後で以てえらい御馳走になつたと致しましても、是は選擧運動には關係がない、將來の選擧運動には關係があるか知らぬが、其の選擧運動には何も關係がない、從來の規定のやうに、どうも有難うと言つて禮を言つたら違反になると云ふやうな極端なことは、無論窮屈過ぎる話でありますが、之を無制限にして、或る所ではそれこそ大盤振舞をすると云ふやうなことになることは宜しくない、併し選擧に當選をした、そこで同志の人が寄つて物を食ふと云ふやうなことは、違反にならないのであります、まあお蔭で當選をしたのだからと云つて、そこで一緒に飯を食ふと致しましても全然無制限と云ふことは適當ではないのではないかと考へます、先づ所謂協定をした辨當程度のものであれば、それは宜いでありませうけれども、どんな大盤振舞をしても宜いと云ふことになりましては、餘り結構ではない、色々な弊害が或は生ずると思ふのでありますが、此の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/42
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043・小泉梧郎
○小泉政府委員 御話の通りでありまして、制限を撤廢致しましたが、それが買收、饗應に當るやうなものは、無論取締を要する事犯でありまして、やはり是は其の個々の場合に於ける實際の常識的な判斷に依つて、それが違反であるか、許されたる挨拶行爲であるかと云ふことを、決めて行かなければならぬものであらうと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/43
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044・東條貞
○東條委員 區制の問題に付て一つ伺つて置きたいのでありますが、御承知の通り地方々々にはやはり政治經濟其の他の方面から見ての一つの中心があります、是から放射線的に末梢に連絡が付いて居ります、やはり人物と云ふやうな點から行きましても、此の線に沿うて出て居る、所が一つの地方を二つに斷ち切りますると、其の中心が何れかの一方に屬して、一方は中心にならない、隨て實例的に申しますれば、私共の北海道邊りがさうでありますが、今の分けられてある第一區の方には、政治經濟凡ゆる方面の中心があります、其の末梢と中心との間の連絡があり、隨て人物の判斷もし易いと云ふことになります、所が第二區の方は何等の關係もない所が、卒然と一つの選擧區に區切られたと云ふ形であります、それは既成の人物に付ては名前位は多少分つて居るのでありますが、新しい人などが其處へ現はれましても、どんな人だか見當も付かなければ判斷も付かない、やはり昨日の御答辯では選擧を行ひます上の便宜上から分けたと云ふことでありますが、便宜と云ふことも無論必要でありませうけれども、要するに有權者をして適切なる判斷を下さして、適切なる人物を選出させると云ふ目的から言ひますと、ああ云ふ風に切りますことは、却てそれの支障になる、どう切つてもやはり中心と云ふものが一方になくなりますと、支障になるのでありますから、是は切らずに一纒めに致して置いた方が選擧もやり易い、有權者の立場から言つても、判斷がし易いと云ふことになるのであります、今の便宜と云ふことも、非常に大きな理由があるとすれば、考慮もせねばならぬことですが、此の點に付てもう一應當局の御考へを伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/44
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045・堀切善次郎
○堀切國務大臣 御説のやうに、或る地方の中心地がありまして、其處が中心になつて政治上、經濟上色々な連絡があると同樣に、又候補に立つ人の有權者に知られる工合も、やはり同樣だと云ふ御考へは、是は北海道ばかりでなく、此の二つに分けましたどの地方に於ても、やはり同樣な事情だと存じます、何と申しましても縣廳所在地が、其の地方に於ての中心になつて居りますから、此の縣廳所在地でない方の選擧區に付きましては、それは何處が中心だと云ふことになりますと、其の縣廳所在地のやうな纒まつた一つの中心でなく、色々中心があることになるだらうと思ひます、北海道に付ても其の點に付ては御説の通りでありますが、唯現に私共北海道に付て心配して居りますのは、あの非常に廣い區城で、有權者の數も非常に澤山になります所を、一つの選擧區にして行くと云ふことは、候補者の方にも不便で らうし、其處に立たれる候補者も恐らく五、六十人立たれると思ひますが、之を選擇する有權者の方にも、大分選擇に迷ふと云ふやうなことがあるのではなからうか、さう云ふ色々な便宜の點から考へまして、やはりああ云ふ大きな所は二つに分けるのが便利ではなからうか、色々な點から考へまして、それが便利であらうと考へたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/45
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046・東條貞
○東條委員 私の質疑は此の程度で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/46
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047・清瀬一郎
○清瀬委員長 牛塚虎太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/47
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048・牛塚虎太郎
○牛塚委員 極く大體の方針、御考へに關することを三、四御尋ね致したいと思ひます、内務大臣は御面倒でも御答へ願ひたいのであります、第一に御伺ひ致しますことは、今囘の御提案は本來大臣の御持論であるかどうかと云ふことを、一つ御伺ひ致したいのであります、提案の理由は御聽きしましたが、それを一段掘下げた裏面のことを伺ふのであります、一皮剥いた所で端的に御伺ひ致しますのは、是は年來の御主張御持論であるのかどうか、又持論の如何ではなく、内閣が出來て天下に聲明せる政策を樹てたから、それに從つて提案したのだと云ふ次第でありますかどうか、又もつと端的に申しますと、何分「ポツダム」宣言を受諾した日本であるから、其の線に沿うてどうしても是はやらなければならぬと考へて、政府は自發的に之を提案するに至つたと云ふやうな次第でありますか、更にもう一つ進んで申しますと、いや實は司令部の指令に依つたのである、指令默し難く提案したのだと云ふやうなことででもあるのか、其の何れであるか、其の總てを合せた意味であるか、何れか以外に尚ほ御考へがあつてのことか、元來之を御尋ね致します趣意は、年來の御持論であれば、隨て御熱心の程度も略略推測が出來るのでありますが、然らざる限りは此處で政府の決心、御確信、之を明かに致すことが適當であると思ふのであります、世間では有力なる内務大臣が居られるのに、甚だ私失敬なことであると思ふのでありますが、どうも現内閣は甚だ無爲無力の「サボタージュ」内閣である、此の間も「ラジオ」を聽いて居ると、大きな聲でさう云ふことを言つて居るのであります、甚だ是は今日の國家の爲に殘念至極な批評であると思ひます、何か政府がなすことあるかに見ゆる時は、實はそれは指令があつた時は右往左往、何かなすかに見えるが指令のない時は左顧右眄全く何もしない、指令のあつた時は全く司令部の民政部の觀を呈するが、指令のない時には是が日本の内閣かと云ふやうな感じを與へると、斯う評する者があるのでありますが、是は有力な閣僚として内務大臣が居られるのに甚だ私殘念に思ひますから、此處で政府の御所信、御覺悟のある所を一つ承つて置きたいと思ひます、何としても是は全力を擧げて通過を圖られる御確信、御決心があるのか、又色色な事情で本案は一應提出致したのであるが、提出致した以上はどうか然るべく御審議を願ひたい、修正、削除それは議會の意思を尊重するからどうか然るべく料理をして下さいと云ふ程度であるのか、萬難を排して是は通過を圖るのだ、斃れて後已むの決心を以ておやりになるのかと云ふことを、初めに一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/48
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049・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧法の内容は色々な點に亙つて居りますが、先づ第一に選擧權の擴張の點であります、是は私の持論と申上げて差支へありませぬ、私は婦人に對しての選擧權はもう之を與へる時期に達して居るものと考へて居るのであります、唯此の問題は御承知のやうに、何となしに現内閣が出來ます前から、やはり聯合軍の司令部の方から何か希望か何かがありさうな風な氣配は新聞其の他の調子でも分つて居たと思ひます、それ等の點もありましたが、私はやはり出來るだけ早く選擧を行つて、新しい議會に作り替へられるが宜いと云ふことを考へまして、それをやるに付ては現行法の儘でやるのが一番簡單でありますが、併しながら此の新事態に即應します以上、やはり新事態に應じた内容の改正を加へたいものだ、それにしても其の改正を企てます間に、やはり相當日數が掛りますが、餘り日數が掛つて遲れては是れ亦國家の爲に宜しくあるまい、それで出來るだけ早い期間に、出來るだけ根本的な改正の點を盛りまして、それで提案したいと云ふことを考へた次第であります、さう云ふ風に考へまして選擧法改正案の大體の要綱を閣議で決定致しました、決定致しました其の閣議のありました其の夕方、閣議の後で總理大臣が外の用事で以て「マッカーサー」に直接會はれたのであります、其の時に、其の當時新聞にも出て居りましたやうに、「マッカーサー」の方から婦人參政權を與へろと云ふこと、其の外四箇條ばかりでありましたかのことを口頭で幣原總理に言つたのださうでありますが、それは「マッカーサー」元帥は日本の憲法を改正して婦人に參政權を與へろと云ふ風に言つたさうであります、「アメリカ」では選擧權は憲法の中に規定がありますので、婦人に參政權を與へるには日本の憲法を改正しなければならないと考へて居られたのかも知れませぬが、そんな風なことがあつたやうであります、それに對しまして總理大臣は、それはもう今日閣議で決まつたのだと云ふことを言つて來られたやうであります、さう云ふ風な經緯で是が此の度提案されるやうになつた次第でありますが、此の問題は我が國の今後の政治の根本を決めて參ります上に、極めて重大な點であると考へますので、凡ゆる萬難を排して、政府と致しましても是が通過を希望して居る次第であります、其の他の色々な細かな點がありますが、其の細かな點に付きましては、一々私の持論だと云ふ程に私は選擧法に對して詳細な經驗や知識も持つて居りませぬ、關聯致しまして色々研究して居ります間に、是が最も此の際適當だと考へた次第でありまして、或は選擧區のことに付きましても、前に説明を申上げましたやうに、現在の中選擧區も中々の長所があると思ひますが、併し此の際新日本建設の爲の新しい議會を作つて行くには、從來の選擧の基盤を之を變へることが必要であらうと云ふ點から考へまして、小選擧區よりは寧ろ大選擧區が適當である、小選擧區にして大政黨の對立の機運に今直ぐに持つて參りますよりは、芽生えるべき政黨を芽生えさして、あるが儘に國民の代表が出て來られる、國民の姿を其の儘に現はす方が適當であらうと云ふ風に考へまして、大選擧區を考へた次第であります、大選擧區を考へますと、色々研究して參ります間に、單記移讓では色々工合が惡いから、其の缺陷を補ふ爲には制限連記の方が宜いと云ふやうな結論に行つた譯であります
選擧運動の點に付きましては、是も私は極めて經驗は淺いのでありますが、選擧に手傳つて見て、如何にも今日までの選擧の取締が、殆ど非常識と言つて宜い程細密に亙つて動きの取れないやうなことになつて居ることに對しましては、非常に不滿に思つて居た次第であります、之を大體に於て其の制限を撤廢すると云ふことも、私の持論であつたと申上げて差支へない次第であります、其の他の詳細な點は研究に伴ひまして段々と出て來た問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/49
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050・清瀬一郎
○清瀬委員長 牛塚君一寸待つて下さい、昨日から司法大臣に特に質問したいと云ふ希望がありまして、理事に相談の結果、司法大臣の出席を求めて、田村君の質問が一寸殘つて居りますので、之を一寸挾みますからあなたの御續行中氣の毒ですけれども、豫定ですからどうぞ一寸御待ち下さい、濟んだらあなたに許します、それから東條君の先刻の質問も此の際…、それでは田村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/50
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051・田村秀吉
○田村(秀)委員 私が御尋ねしました中に――事前運動を今囘政府が提出して居られる法案では認めて居ります、所が事前運動を内務當局は現行法に依つて取締る、斯う云ふ方針で今現に取締つて居られるさうであります、所が如何に現行法で嚴重に取締つて、假にそれで起訴致しましても、新法案が成立して是が公布になつて施行されますと云ふと、刑事訴訟法上是は免訴になるのは當然であります、隨て現在現行法で取締つて之を拘束して居るとか、檢擧して居るとか、或は裁判に付して居る、然るに新法洙案が成立すると同時に是が免訴になると云ふことになると、現在之を取締ることを内務當局が命ぜられましても、取締の任に當つて居る者は自信を持ち得ないと云ふ現實の問題があることと、それから新法案と現行法の取締とが全く相背する爲に、國民の遵法精神と云ふものに非常な影響を與へて來て、社會上精神的に是は由々しき問題になると思ひます、それともう一つ選擧の上に事前運動をやらせると云ふことになると、或る者は其の餘裕があつて盛んにやれる、是は我々自身のことを言ふのではありませぬが、新人同志であつても、或る者は其の餘裕なくしてやれないと云ふことになると、無制限なる事前運動を許すと云ふことは、機會均等と選擧の公正と云ふことを必ず害するのであります、自由と云ふことは必要でありますが、併し自由には公正と云ふものが根本でなければなりませぬ、「フエヤ・プレイ」と云ふことがあつて初めて選擧の自由公正と云ふものが其の結論に達し得ると思ふ、所が今先に内務當局から御答辯になつた通りと思ひますが、事前運動を現行法で取締つて居るが、新法案が成立して施行されると是が免訴になる、此の間是で宜しいと一體考へて居られるかどうか、司法大臣の之に關する御感想を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/51
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052・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今田村君の仰せられる通りに、事前運動は現行法では之を禁止して居りますが、新法に依つて此の禁止が解かれますと、假令現行法の有效なる間に行はれました運動であつて、或は既に檢擧されましても、新法施行後に判決が下される場合には免訴になることは仰せの通りでありまして、其の點から申しますと、現行法で取締つても、結局取締らないと同じことになると云ふ見方は御尤もでありますが、併し全然同じであるとも考へられないのであります、それは新法施行前に檢挙されたり取調を受けたりすると云ふことは、やはり事前運動をする者に對する相當な防止の效果はあるかと思ひますから、全然無效とは思はないのであります、遵法精神の點から言ひまして、或は新法の施行を豫期して、現在に於ては禁止されて居る行爲を敢て犯す、遵法精神を傷つけるやうな虞があると云ふ、是も御尤もでありますが、是は何れに致しましても、現に罰して居る行爲を罰しないことにすると云ふ法律の改正が行はれます場合には、此の點は場合に依つて多少の程度は違ひますが、何れの場合に於てもさう云ふ危險はあるのでありますから、假令多少さう云ふ弊はありとしても、法律を改正する以上は、是は已むを得ぬことかと思ふのであります、不公正と云ふ點は、或は現行法規を敢て犯して事前運動をする者と、正直に現行法を守つて事前運動をしない者との間には、不公正な結果が生ずると云ふこと、是も御尤もでありまして、改正法律案に際しましては是等の點に付ては相當考慮は運らしたのでありますが、改正法は本議會で通過致しますれば直ちに公布されることと考へるのでありますが、公布されました後に於ては、其の新法が直ぐ適用されるのでありますから、其の間の期間、今日から公布に至るまでの間と云ふものは短時日であります、況や今日に於ては改正法が成立するや否やまだ審議中でありますから確定的のことではないのでありまして、本當に今さう云ふ御心配になつて居るやうな事實が實現する虞の最も濃くなるのは愈愈改正法が議會を通過する見込が確實になつた時と、是が公布されるまでに至る間でありますから、極く僅かな日數であらうと思ふのであります、隨て理論的に申しますれば、只今御述べになりましたやうな主として三點であつたやうでありますが、是は何れも御尤もであつて、さう云ふ虞はあるのでありまするが、實際問題と致しましては、殊更に此の點に付て或は改正法成立後に於ても施行後に於ても、尚ほ此の點に關する舊法の罰則規定は效力を有すると云ふやうな規定を設ける程の必要はないだらう、又一面から申しますと、惡質の、例へば買收でありますとか、其の他の規定は、今後新法に於ても依然として禁止されて居るのでありますから、此の新法に依つて禁止が解かれると云ふ範圍は、實はさう大した事柄ではありませぬし、旁旁尚又今一つの考へ方と致しましては、新法實施後には近來の色々の政治の部面から取締は簡略にして總て出來るだけ自由にすると云ふやうな建前から申しまして、今度禁止を解かれますやうな行爲は、是は當然許して然るべきものであり、罰すべきものぢやないと云ふことで法律が改正をされるのでありますから、さう云ふ法律が現に出來上つて居るに拘らず、尚ほ多少の斯う云ふ不公正があるからと云つて、罰するのを國家が不適當と認めて居りながら、尚ほ其の規定に依つて之を罰すると云ふことは、普通の法律觀念常識から申しまして、餘り適當ではありませぬから、其の不公正が甚だしい場合は已むを得ませぬが、今のやうな實際問題としては大したこともないやうに考へますので、それで特別の經過規定も設けないことにして、今の原案の通りの規定に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/52
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053・田村秀吉
○田村(秀)委員 私は實は今司法大臣の御答辯を承つて甚だ遺憾に思ひますのは、餘り御答辯が事務的で、而も民情の實際、選擧の實際と云ふことを無視して居られることを、甚だ失禮でありますが承つて遺憾に存ずるのであります、一體司法大臣は民間法曹界の大家として、人情の機微を能く御承知の筈なんだ、今仰せられたやうに、新法が通過して實際是が發動するまでの期間は短いと仰しやる御考へのやうでありますが、現在盛んに是はやつて居る、而も今は平素の場合でありませぬ、平素 場合であれば、多少法律が變つた場合の食違ひがありましても、今の御言葉の通り私は大した弊害はないと思ひます、唯今日の時代は、此の敗戰と云ふ事實の前に、日本の社會は或る意昧に於て混亂状態と云ふか、全く無秩序の状態に陷つて居る、此の間に於ても正しい社會の秩序と云ふものは儼として維持しては行かなければ、新日本の再興國家の再建復興と云ふことは中々難かしくなります、其の觀點からも此の法律の改正に當つては餘程考へなければならぬ、今の時代には舊法などはもう駄目だ、先程私が申上げたやうに、大體取締は現行法に依つてやらして居ると内務大臣も仰せられたのですが、現行法で取締の任に當つて居る人も、どうせ是は取締つた所で新法が出來て來れば免訴になるのだから、取締の苦勞は何にもならぬと投げやりになつて、取締の當局が自分の職務を遂行する信念を失つてしまふと云ふことは、是は由々しきことで、社會秩序堅持の上から見て問題であると云ふことと、それから現に今司法大臣は取締ると云ふことは選擧の上に影響があると仰せられたけれども、それは平素の觀念であつて、今日の觀念としては、今日の社會民情の實情から申しまして、さう云ふことは成立たない、寧ろ法規を犯して、取締を突破してでも、之を無視してでもやつて居るやうな者が、或は政府に凛たる秩序維持の信念なくしてやつて行きますと、それ見たことか、俺は新時代の戰士なりと云ふことで、取締られることを以て却て宣傳價値があると云ふことは、現在の實情から云つて選擧に直面する我々としては、ちやんと之を理解し得る、さう云ふ點から申しまして、私が申上げた點に司法大臣は根本に於ては大體御贊成になつて居られる、諄いことは私は申上げませぬが、然らばどうしても今日としては少くとも經過規定を設けて取締の任に當る者に、自分が取締つたことはやはり國家に於て正當なるものとして、其の效果を發揮し得ると云ふ確乎たる信念を與へて、社會秩序の維持に當らしめると云ふことと、選擧運動の公正なる結果を來さなければならぬと云ふことと、法を犯して宣傳價値を採らんとするやうな冒險者が偶偶有利になる、それは戰爭の際にもさうでありませう、或は闇取引をやつて或は無茶苦茶なことをやつて暴利を取つて居る者は、戰時利得で百「パーセント」まで取つてしまへと云ふことは、今日政治常識になつて居る、さうしなければならぬことになつて居るに拘らず、此の社會の人間行動の重大なる問題に當つて、それを放任すると云ふことは、一司法大臣と云ふよりも國務大臣として之を忽せにすることは私は許されないのではないかと存じます、そこで今司法大臣の御考へになつて居る考へ方が私の立論に大體御贊成でありますならば、之を徹底する爲に、少くとも經過規定はどうしても必要であると思ひますから、附則に「本法施行前舊法の罰則を適用すべかりし行爲に付ては尚ほ舊法に依る」と云ふ一項に依つて今申上げた私の主張する、又同僚委員全部の心配して居る所の弊害は除去せられ、今囘の新しい選擧に當つて秩序整然たる公正なる選擧が行はれることを私は確信して疑はない、此の點に付て多少お觸れになりましたが、尚ほ明確なる司法大臣の御所見を承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/53
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054・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今の點に付きましては、大體政府の考へて居ります所は先刻申上げた通りでありますが、此の點に付きましては、田村君の仰せられる通りに、立案の當時政府に於ても相當疑問として考へた點でありまするし、今までの所では經過法は必要ぢやないし、又さう云ふものはない方が宜からうと考へてやりましたけれども、今のやうな御趣意の經過法を設けることに付ても相當理由のあることは先刻から申上げた通りに認めて居るのであります、それで是はもう絶對にさう云ふ經過法を設くべきものではない、さう云ふ餘地はない、さう云ふ風には考へて居りませぬ、唯兩方比較して、やはりない方が宜いだらうと云ふ結論で本案は出來て居るのであります、それだけを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/54
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055・田村秀吉
○田村(秀)委員 大體諒承致しました、是は暫定的な救濟方法でありますが、根本的に私は此の選擧の事前運動と云ふものは禁止すべきものであると思ふのです、と申しますのは、是も諄く申上げぬでも御諒承を得ると思ふのですが、要するに選擧は飽くまで自由闊達でなければなりませぬ、けれどもそれには機會均等と云ふことが絶對要件でなければ、良き代議士を選出すると云ふことが難かしくなる、そこで機會均等、選擧の公正と云ふことが前提となつて自由闊達と云ふものが出て來なければならぬ、自由闊逹と云ふことに囚はれて、機會均等、「フェヤ・プレイ」、選擧の公正を害すると云ふことでは、正しい選擧の結果を期待することは出來ないと思ふ、此の點に付て私は選擧の事前運動はやはり今後とも禁止すべきものと深く信じて居るものでありますが、此の點に對する司法大臣の御所見は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/55
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056・岩田宙造
○岩田國務大臣 事前運動と云うて、其の運動の方法にも依ることではありますが、私は抽象論と致しましては、其の事前運動と云ふものの時期を制限をすることは必要でないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/56
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057・田村秀吉
○田村(秀)委員 それから同僚委員からも御尋ねがあつて當局の御答へもありましたが、選擧の事前運動であります、是も野放圖になると弊害の及ぶ所實に防止することも出來ぬえらいものになると思ふ、隨て私は選擧の事後運動に付ては、買收と云つても、政府委員の御答辯中から考へましても、意思が通じて居らぬ場合には饗應と云ふことは成立し得ないやうに考へられる、そこで事後運動に付ては或は貼紙をやるとか、或は挨拶状をやるとか云ふ程度に止めることが、社會秩序の上から言つて必要であると思ふのでありますが、事後運動に對しては、相當制限の必要あるものと考へます、内務大臣如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/57
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058・堀切善次郎
○堀切國務大臣 事後の色々なやり方に付きましては、之を別に制限しないでもさしたる弊害は生じないものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/58
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059・田村秀吉
○田村(秀)委員 私質問を留保して居つた點があと一、二點ございますので、それを御許し願へますれば、此の際御言明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/59
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060・清瀬一郎
○清瀬委員長 内務大臣に對する質疑は後へ廻して下さい――東條君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/60
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061・東條貞
○東條委員 買收でありますが、買收は選擧界から拂拭してしまはなければならぬ、そこで取締ることも無論必要であります、罰することも必要でありますが、それだけでは中々絶滅させることは困難であります、買收をなからしめるのには、買收の效果をなからしめることが必要だと思ふ、詰らぬことを申上げるやうですが、私も非常な金權候補と爭つたこともあります、大分金が廻つて困ると云ふので、運動員は皆悲鳴を上げた、私仕方がないから、斯う云ふ演説をして歩いた、一體選擧權を賣つた、買つたなんて宜しくない、けれどもそれは唯賣つた人と、買つた人の個人間の罪惡であるが、それが爲に一票を考へると云ふことになると、國家社會に害毒を流す、惡いことをするのに、其の惡いことを二つも、三つも重ねる必要はないぢやないか、一體公人とならうと云ふ人から選擧人が金を貰つて有難いと考へて一票を入れると云ふことは間違ひだ、國家に代つて罰金を取つた積りで取つてやれ、さうして一票は自分の良心に基いて入れたら宜いぢやないかと云ふ演説をして歩いた、幸ひにして大分金を使はして買収があつたのでありまするけれども、開けて見ますると、其の人は落選して私が當選したと云ふ實驗を持つて居るのであります、それで買收は唯罰を以て取締ると云ふだけでなくつて、實際に買收の效果をなからしむると云ふことが一番有效なんであります、其の考へ方から言つて、現在ではまあ二人の候補者から金を取つたと云ふ非常に惡質な者は嚴罰に處されることになつて居りますから、金を取つた者は罰しない、買つた者だけ罰する、斯う云ふことに致しまするならば、選擧に金を配つて歩くことは、配る者は罰せられるけれども、取る者は勝手だと云ふことになりますると、買收がし切れなくなるし、又買收の效果がなくなると云ふことになつて、本當に買收をなからしむると云ふ結果を生じ得るのぢやないかと思ふのでありまするが、此の點司法大臣はどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/61
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062・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今東條君の御質問は、是は人の見方、意見であるかも分りませぬが、私は買收をされた相手方を處罰しないと云ふことに依つて、買收を無效ならしめると云ふ目的は達せられないと思ふのであります、罰せられると罰せられないとに拘らず、やはり人情でありますから、それが善い惡いは別と致しまして、金を貰つた以上は、其の人に投票しようと云ふのが普通の人の人情であります、是が罰せられないと云ふことになれば、もつと惡質の者は候補者の方に色々働き掛けて、益益金がなければ投票してやらぬと云ふやうな惡い考へを寧ろ誘發する憂があるのであります、さうして罰せられないのだから金を貰つたけれども投票はすまいと云ふやうな氣分を起すやうには思はれないのでありまして、やはり買收の效をなからしむることは、是は宜いと思ふのでありますけれども、罰せられないと云ふことに依つては、其の目的は達せられないだらうと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/62
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063・清瀬一郎
○清瀬委員長 尚ほ司法大臣に對して大川君、林信雄君、濱野清吾君の三人の質問があります、何れも簡單な質問だとは思ひまするけれども、人數が多いのですから、是で一旦休憩して、午後一時から開會致します
午後零時五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/63
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064・会議録情報2
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午後一時四十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/64
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065・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは是より會議を開きます――牛塚君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/65
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066・牛塚虎太郎
○牛塚委員 次に御伺ひ致したいと思ひますことは、國内機構の民主化を御圖りになるには、選擧法の改正と云ふ問題以前に、少くともそれと併行しておやりになるべき問題が、而も重要な問題があるのではないかと云ふことであります、即ち私の申しますことは、地方自治制度に關する改革の問題であります、どうしても是は國内の民主化を圖るには、第一著に手を著けなければならぬ問題で、之をやつて初めて憲政の基盤の上に立つた立派な憲政が出來、民主政治が實行されると思ふのであります、此の重要な問題を、而も明敏達識な内務大臣の居られる内閣で、どうして此の問顕に手を著けられなかつたかと云ふことを御尋ね致したい、明治時代の國内民主化の施策が行はれました時分に、憲法改正に先だつてやらねばならぬものが、即ち地方自治制度の改革であるとして、當時の内務大臣は、軍人の内務大臣であつたが、軍人の内務大臣でも、此の地方行政の重要なることを察して、憲法施行前に良い自治制度の確立に努力をせられたのであります、内務大臣は内務行政地方自治の問題に付きましては、軍人の片手間にやる人とは、比較にならない見識を持つて居られる方でありますので、私共は是非此の方面に手を著けて戴きたかつた、然るに此の問題が後に殘されたと云ふことは、甚だ遺憾に思ふのでありますが、何か之に付て後廻しにされた事由が存在すると思ふのでありますが、如何なる事由に依るかと云ふことを伺ひたいのであります、東條内閣の時分に、東京都制を初め、府縣市町村の制度に對して、簡單に申しますると云ふと、自治權を弱め、自治權を剥奪するの意味を盛つた改正案が提出されたのであります、當時心ある者は極力之に反對を致しました、併し當時の所謂議會運營に當つた人の御盡力で、あの案が僅かに東京都制に於て三箇條の修正を見ただけで通過致したのであります、其結果地方の自治權と云ふものは甚だしく狹められた、殊に東京都三十五區の如きは、殆ど自治權の剥奪の状態になつて居るのであります、日本全國に類例のない差別待遇を受くるに至つたのであります、かるが故に此の暴政の結果として、國民の氣力と云ふものが、非常になくなつてしまつた、もう氣息奄々たるもので、今度の戰災に當つて、先づ第一にやらなければならぬ所の復興の問題にすら、容易に起ち上ることの出來ないやうな状態にまで、私は陷つて居ると思ひます、かるが故に、本當に復興問題を心配する人は、先づ何を言ふかと云ふと、都内各區の區長が眞劍に區の復興のことを考へる時分に、一番先に不便を感じ、一番先に訴へるものは自治權の擴張であります、是は縁遠いと云ふ風に考へられるかも知れませぬけれども、直接當つて見ると一番それを訴へる、全國の市町村長會で主張して居る所やはり是であります、最近六大都市の市長の要望して居られる所も亦それであります、さうして議院内に於ける自治振興代議士會の異口同音に要求して居る所も亦是であります、此の重大問題をどうして後廻しにされたかと云ふことは、私共甚だ殘念に遺憾に考へて居るのでありますが、何か深い御理由でもありますか、此の點を一つ伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/66
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067・堀切善次郎
○堀切國務大臣 御説の通り憲法の我が國に初めて施行されまする際に、其の當時の山縣内相が我が國に憲法を施行される其の準備として、國民をして總て此の公務に參與するの風に慣熟させる爲に、地方自治の制度を整備されたと云ふ歴史のありますことは、只今牛塚さんの御説の通りに私も能く承知を致して居るのでありますが、今日となりましては多年の經驗に依りまして、地方自治の制度も能く我が國民に咀嚼されて、運用も能く參つて居ると思ひます、一方此の急激なる變化の時世に於きまして、國政全般に亙つて、民主主義を復活強化をして行くと云ふ方向に向つて參ります際に、地方自治の制度を先づ先にすべきか、中央の組織を先にすべきかと云ふことは、是は確かに問題であると存じます、地方自治の方を先にして行くべきだと云ふ御議論も、確かに一應御尤もだと存じますが、今日は憲法施行の際と違ひまして、全く新たな制度を施行すると云ふ時とは違ひますから、憲政運用の方面に於きましても、地方自治の運用に於きましても、相當國民は今日に於ては經驗を持ち、慣れて來て居ると思ひます、斯う云ふやうな状態でありますれば、何れを先にしなければならないかと云ふ順序は、考へなくても宜いのではないかと考へたのであります、さうして一方に於きまして、何と申しましても、今日此の議會に對して、議會を早く新しい議會にするが宜いと云ふ説が澎湃として漲つて居るやうに感じました、それに依りまして、先づ選擧法を改正して民意を問ふと云ふことを、先づ第一に著手すべきことだと考へたのでありますが、之をやりますと、選擧法を改正するのに、事務的にも相當内務省の方が忙しくなりますし、又國民と致しましても、之に依つて選擧を行ふと云ふことに相成りますれば、其の選擧を行つて居る期間だけは、相當やはり國民としても色々忙しくなると考へます、斯う云ふ際に直ちに之に重つて地方自治の制度を變へて自治權の伸張を直ぐに同じ場合にやつて行くと云ふことは、一方事務的にも支障がありますしまあ事務的のことは萬障繰合せて晝夜兼行ででもやるべき筈でありますが、重ねてさう云ふことが起りますと云ふことは、國内に於て多少の動搖を來すことでもあると考へまして、大體から見て先づ議會の方の民主化と云ふことを考へまして、地方自治の制度の改革、自治權の擴充と云ふ問題に付きましては、是は此の選擧の片付きました出來るだけ近い機會に於て、其の方の實現に邁進致したいと云ふやうに考へまして、地方自治の制度は此の次の解散後の議會に提案を致しますやうに、準備を進めて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/67
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068・牛塚虎太郎
○牛塚委員 國内に於ける澎湃たる要望に基いて選擧法の改正を先になされたと云ふ御説明は私分りますが、地方自治の伸張擴充、殊に最近彈劾せられだ惡政の矯正と云ふことに對する又澎湃たる希望要望があることは、私以上に内務大臣は御聽きになつて居ると思ふのでありますが、それにも拘らず此の問題を後にせられたと云ふことは、私甚だ殘念に考へますけれども、只今、御説明は御説明として諒承致して置きます
尚ほ續いて地方事務所に關する問題であります、世間ではどうかすると、地方事務所に關する問題は、小問題の如く考へる人がありますが、國内を民主化する、事務の能率を圖る民意を暢達すると云ふ點に於て、地方事務所の問題位私は緊切な問題はないと思ふ、どうしても是は我が國に於ける地方行政の一つの癌と言つて宜いのではないかと思ふ、何故政府は此の地方行政の癌を一日も早く切開手術をなさらぬのであるか、曾て其の設置の問題がありました時に、内務省の官吏の優秀なる一人は、日本には府縣までは行政はあるけれども、府縣以下には行政がないと云ふことを言はれたことを聞きました、當時是は議會關係の人が慥か説明を聽いて居つた時でありましたが、日本の隅々までの行政は官吏でなければ行屆かないと云ふ考へ方であります、當時議員の誰もが此の考へ方、此の話に對して一言の異議を挿む者がなかつたが、餘り有名でない新しい議員の或る一人が、直ちに其の言葉尻を捉へて、全部官吏の網で蔽はなければ、日本の政治が出來ないのかと云ふことを質問した、所が甚だ卑怯にも、さう云ふことを言つたことはないと云ふ返事をされたことを私は記憶致して居りますが、此の考へ方で地方事務所と云ふものが設置されて、此の考へ方で官吏でなければ國が治まらぬと云ふことから、地方事務所長が地方の町村長に對して居るのが、今日の此の現情であると思ひます、かるが故に、もう地方事務所長の暴状と云ふものは、實に甚だしいものがあります、町村長の選擧に干渉致します、配給の問題を捉へて町村を強要して居ります、實に暴状眼も當てられぬ有樣であります、斯の如くしてどうして地方の有力者が國家公共の爲に喜んで働くことが出來るかもう教育から云つても、識見から云つても、經驗から云つても比較にならない者が、唯官吏であると云ふ故を以て權限を振翳し、國家の要請と云ふ言葉を使つて、無理に地方の有力者を引掻廻さうとして居る、ここに無理な原因がありますので、有力なる相當年輩の教育のある、又相當な勢力のある町村長は、此の爲に全く奔命に疲れて居る状況であります、今日は事務所へ、明日は縣廳へ、縣廳へ行くとそれは事務所を通して呉れ、又役場へ歸る、役場と事務所と縣廳との間を右から廻つたり、左から廻つたりして奔命に疲れて昏倒して殪れて居る、それだから復興に際しても、もう氣息奄々たるもので、一番先にもう少し自治權を擴張して呉れなければ、何にも仕事が出來ない、斯樣に申して居る實情であります、是はどうしても地方の行政の中樞を成す府縣知事に町村長を直結して、十分に能率を上げることが必要だと思ひますが、此の大事な時節にどうして此の問題を解決して下さらぬのか、どうして此の癌の切開をなさらぬのかと云ふことを、私は感ずるのでございます、それとも巧く行つて居る所があるから、やはり事務所は存置した方が宜いと云ふ御考へでありますかどうか、癌の切開手術を切望する餘り、特に内務大臣の御所見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/68
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069・堀切善次郎
○堀切國務大臣 地方事務所に付きましては、只今の御指摘のやうな弊が、所に依りましてはあるかも知れないと思ひます、昨日も本會議で阿子島君の御質疑の中にも、地方事務所は官僚支配の最も甚だしいものだと云ふやうな御説を伺ひまして、一部にさう云ふやうな感じを御持ちになる方がおありのことは承知して居るのであります、大體と致しまして、一地方は一つの府縣の中に少くとも百位、多ければ三、四百の市町村を含んで居りまして、府縣廳と町村との間に色々仕事をして參ります上に、町村の實情を誤りなく把握して行政の適正を期する爲には、地方事務所が必要であると云ふ理由から、設けられて居ると思ひますし、又只今もさう云ふ風に行つて居る所もあると考へまして、今直ちに此の制度に觸れることは致して居なかつたのでありますが、唯此の問題は先刻も御話のありました地方自治制度の自治の擴充、市町村制の改正、或は府縣制の改正の問題と睨み合せまして、又他の知事公選の問題とも關聯致しまして、國政事務と地方自治事務との分配調整の問題等も併せて考へて見る必要があると存じて居ります、又其の時には、所謂道州制の問題等も十分の檢討を現遂げなければならぬと考へて居ります、それ等の問題等皆關聯を持ちますので、其の際に併せて地方事務所の存廢の問題を十分に檢討して見る積りで居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/69
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070・牛塚虎太郎
○牛塚委員 丁度大臣の御答辯の中にも御觸れになりましたから、次に知事公選の問題を一つ伺つて見たいと思ひます、慥か議會以前であつたかと思ひますが、既に内務當局に於かれましても、知事公選に關する用意があるやうな意見が新聞に出て居りました、私之を見まして、もう滿幅の贊意を表して、其の識見に對して深き敬意を表したものであります、昔、桂、西園寺、或は政友、民政の對立時代に於きまして、私痛切に感じたことは、あの時分には、丁度原、大浦、と云ふやうな人が交々内務大臣をやられた時分のことでありますが、政友の一番盛んな所には、例へば民政黨の内閣であると民政系の一番亂暴な男を知事にして、さうして警察力を以て無理に地方を引掻廻す、今度内閣が迭ると、丁度其の逆のことをやつて、反對黨の最も盛んな所へ最も亂暴な知事をやつて引掻廻す、干渉をする、強要をする、殊にそれがもう時を擇ばず、何時でもやる、甚だしきに至つては明日正月だと云ふので、もうお正月の用意をして居る夜半に、知事を無理に更迭させる、榮轉したと云つて喜んで家族が引越して行く、其の汽車がまだ任地へ達せぬ前に途中で知事の更迭が發表されて、そこで家族を下ろしたり何かする、實に人情から言つてもひどいことをやる、是では地方が堪らぬ、知事も可哀さうだと云ふ所から、私共若い小役人でありましたが、是はどうしても地方長官と云ふものは公選にして、民政で治まつて居る、それで秩序が立つて居るならば民政で宜いぢやないか、又政友會が多數でそれで治まつて居るならば、地方の爲にはそれでやはり治めて宜いではないかと云ふ所から、公選論を固く持つやうになつたのであります、爾來政黨方面に於て此の論議が現はれたことを承知して居りますが、政府の方が斯う云ふ意見を公にせられたと云ふことは、私今囘堀切内相を以て初めとするやうに考へますので、滿幅の贊意と深き敬意を表する者であります、唯一點伺つて置きたいことは私感じを申しますと、近來殊に近衞内閣以來、内閣、政府と云ふものが聲明をする、堂々と聲明をする、大ぴらに施策の要綱を發表される、然るに大抵の聲明や要綱と云ふものは、殆ど其の内閣では實行しない、私今申上げるやうな次第で、滿幅の敬意を表する者でありますが、本當に一つ實行する確信があるか、從來の通弊通り、又聲明發表で終るやうなことがあつては、國家の爲に甚だ殘念に思ふので、是非あなたの力で實行して貰ひたいと思ひますから、本當に斷行しようと云ふ決心、固い信念を御持ちになつて居るかどうかと云ふことを、改めて御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/70
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071・堀切善次郎
○堀切國務大臣 知事公選の問題に付きましては、内閣と致しましても、閣議の諒解を得て外部に公表した事柄であります、公表致しましたことは、必ず、責任を以て實行する固い決心を持つて居ります、是も此の次の選擧後の議會に提案を致す積りで準備を進めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/71
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072・牛塚虎太郎
○牛塚委員 只今の御答辯を得まして滿足を致し、更に深く敬意を表します、是非御成功を祈ります
尚ほ序に一寸申上げますが、最後に大臣の御答辯にも出て來たことでありますが、所謂道州制に關する點であります、是は御考への程は、私直接にも、間接にも承つたことはないのでありますが、私の感ずる所、私の信ずる所に依れば、所謂道州制の論位實情に副はない、國家の爲にならない制度はないと考へて居ります、全く是は屋上屋を重ねて、徒らに機構を複雜にし、政治の中樞と國民との間を疎隔し、事務の能率を害すること甚だしいものであつて、而も地方の行政に關與する者の精神を鈍らしてしまふ、甚だしきに至つては、なくしてしまう制度でないかと云ふことを憂ふるものであります、是は全く手取早く申しますと、知事公選で立派な人間を出して、地方行政の中樞にしようと云ふ知事公選の其の知事を昔の郡長の格に引下げるものである、知事の上に道長官、州長官と云ふものを設けるのであるから、是は全く郡長に格下げをすると云ふことになる、それから今一つは明治以來の知事と云ふものの働き、作用に對して、非常に害をなすものではないかと思ふ、陸海軍には能く各種の官制に何々は 天皇に直隸し云々と書いてある、例へば師團長は 天皇に直隸し云々、文官の方面に於ける官制には 天皇に直隷し云々と書いてあるかどうか知りませぬが、實際の事柄から見ますると、知事位 天皇に直隸して居る者はないと云ふ感じを持つて居ります、それは知事は 陛下の内閣大臣以外の指揮命令は受けない、さうして毎年恆例訓示の地方長官會議の時には、必ず御陪食があり、拜謁があつて、親しく御下問を拜する、さうして尚ほ主管大臣、陛下の大臣の訓示を聽いて、是等は洵に非常な感激をして任地へ歸つて、其の感激を地方へ傳へて居る、茲に此の知事の制度の妙味がある、是あるが故に國政の統一があり、是あるが故に非常に上意が下達されて參るのであります、其の上に今度は道長官、州長官を設けると、知事は郡長になつてしまつて、地方民から云ふと、一つの道を作る、橋を架けると云ふ問題まで我等の知事と云ふものを越えて道長官や州長官まで持つて行かなければ埓が明かぬと云ふことであつては、知事も感激をなくして、國民も頼る所を知らぬと云ふやうなことで、何と云ふ者が長官であるやら、何と云ふ者が總監であるやら知らないと云ふやうな縁遠いものに依つて事を運ばなければならぬと云ふやうなことは、正しく屋上屋を架し、事務の圓滑を害すること甚しいものである、斯樣に考へられるのでありますが、政府は此の問題に付きましては、如何なる御考へを持つておいでになりますか伺ひたいのであります、曾て東條内閣時代でありましたが、行政協議會長と云ふものを設けました、其の後行政協議會長を地方總監と云ふものに變へようと云ふ問題のありました時に、今申上げますやうな趣意を以て、是は甚だ國家の爲に宜しくないと考へましたから、私個人として當局とも談じ、又同僚議員とも此の問題に付て話合つて見たのでありましたが、其の時分に所謂議會運營の衝に當られる人の話で、是等の人はもう論なく贊成でありました、さうしていや實は是は軍が非常に強く主張して居る、甚だしきに至つては、海軍が最も熱心に主張して居ると云ふやうなことを聞かされましたので、私實は特に海軍出身の閣僚に付て、此の問題を話合つたことがあります、さうすると驚いたことには、其の閣僚は、海軍にさう云ふ希望のあるなんて云ふことは全然知らない、斯う云ふことであります、さうして尚ほ曰く、實は此の道州制の問題は、曾て關東軍の參謀連中に依つて論議された日本革新策の中にある一つの項目であるから、中々此の問題は思ひ止まるまいねと云ふ觀測を付けての御話でありました、私は先程申しますやうな次第を以て、斯う云ふ考へ方の下に小さな日本の地方行政が三段にも四段にも階段を踏んで行かなければ屆かぬやうな制度は甚だ宜しくない、府縣の廢合は斷じて之をおやりになるならば結構であるが、道州制を置くと云ふことは、甚だ國家の爲にならないことであると信ずるのでありますが、政府は今日でも所謂關東軍の參謀連中と所見を一にして、尚ほ道州制をやつたら宜からうと云ふ御考へがありますかどうか、それを一つ御尋ねするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/72
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073・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の問題は從來も色色論議されて居ります問題なのでありまして、知事公選の問題と關聯致しまして、此の際之を根本的に檢討を致したいと考へて居るのであります、まだどう云ふ風にするとも私共の考へを決定して居りませぬ、只今の洵に御熱心なる御意見に對しましては、之を十分に參考と致しまして考慮致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/73
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074・牛塚虎太郎
○牛塚委員 もう一つ最後に御伺ひ致します、それは國内治安の問題であります、實は此の時節柄國内治安維持の衝に當つて居られます内務大臣に對して、其の御心勞の程は深く御察し申上げます、どうぞ一層御自愛あらんことを祈る譯でありますが、此の問題に付て二、三御尋ね致したいのは、近來各地に於て、或は朝鮮人、臺灣人、支那人等の騷ぎが起つて居るやうでありますが、其の特徴あるものに付ての状況を一つ御洩らしを願ひたいと思ふのであります
それから今一つは、何と言つても食糧の不足に國民は非常な不安を持つて居る、さうして戰災地に於ては住宅問題にも非常な苦しみをして居る、我が東京都内に於きましても、段々寒くなつて居るので、小さな小屋とか、防空壕に入つて居つた者が段々消えて行くやうであります、住宅、世帶の數が段々減つて行くやうな状況にも立至つて居るやうでありますが、此の時分に或る點から、申しますと、正しく一觸即發の私の心配がある、此の日本の治安維持に付て非常に心配があると思ふが其の維持の確信があるのかどうか、背後の軍隊はなくなつて居る、警察が弱小になつて居る、斯う云ふ時分に、御心勞は察するが、本當に此の治安維持の責任が御執りになれるのかどうかと云ふことを非常に心配して居る、そこへ持つて來て總選擧であります、斯う云ふ時分に本當に心配がないであらうかどうか、其の状況と御決心の程を御聽き致したいのであります、殊に最近新聞の報道に依りますと、新潟縣會に於て斯う云ふ緊迫した時局の下に總選擧なんて何のことだと云ふやうな意味合ひからわざわざ決議をして、さうして大臣に陳情したと云ふことでありますが、其の陳情の模樣竝にそれを御聽きなつた大臣の御感想は如何であつたかと云ふことを伺ひたい
尚ほそれに關聯致しまして、本當は警察權と云ふものを市町村に移讓されるのが宜しくはないか、隣保團結親和の精神に基いて築き上げられた市町村に、其處の地元の治安を維持すべき警察權を渡すのが本當ではないか、由來警察官僚は警察權を自治體に渡すなんと云ふことは全く想像も付かぬ、とんでもない考へ方だと云ふ考へ方がありますが、自分の處を護る者は其の處の住民が一番熱心なんです、大震災當時の自警團、自衞團の活動を見ましても、もう非常混亂の際になると云ふと、一番頼りになるものは其の處に住まつて、其の處に家を持ち、其の處に財産を持ち、家族を置いて居る者でなければ、本當に頼りにはならないと云ふ状況である、又外國では隨分市町村に警察權を持たして、非常に良くやつて居ると云ふやうな事例、東京初め各地に大震災後起つた防護團の制度、防護團を特に警防團に變へられた經過を見ますと云ふと、全く警察官僚が自己の繩張を侵された如く感じて、無理にあの防護團を廢止した、其の結果防護團と云ふものは土地の有力者が進んでやつたものが、警察の顏色を見て商賣をして居る、警察を最も怖がる者でなければ警防團にならぬやうな組織になつてしまつたが爲に、いざと云ふ時には中々思ふやうな活動が出來ない、いざと云ふ時に活動が出來ないのみならず、防護團の頃は團服を拵へるにも、皆有力者が進んでなつたから誰も世間の世話にならなかつた、所が警察の顏色を見て商賣をするやうな人ばかり集めた警防團になると、警防團の制服にもう困つて居る、さうしていや町内だ、或は區だ、或は都だと云ふやうな有力者から寄附を募つて、やつと着物を拵へたと云ふやうな所まで墮落したやうに感ずるのでありますが、是も根本を警察權を地元に渡して、さうして、防護團の如き精神を持つた自警、自衞の團體を發達せしむると云ふ方針であつたならば、軍のない警察の弱小な時分に、一番適切な制度ではないかと思ふのでありますが、此の點に關する内務當局の御考へ如何なるものでありますが、之を伺ひたいのであります、殊に今日のやうな非常變局に際しましては、國民は自分で護る、町村は自分で護ると云ふ自警自衞の精神から出た警察でなければ、治安の維持が難かしいのであります、最近承る所に依りますと、神宮の齋主たる宮樣まで戰爭犯罪關係で調べを受けると云ふことであります、私は其の由て來る所を知りませぬが、是は日本の國民的團結の中心である國家の根軸となる思想、精神の上に一大衝撃を與へて、國内紛亂を喜ぶのでないかも知れないけれども、紛亂があつても敢て異とせざるが如きやり方でないかと云ふことを心配を致す者でありまが、斯う云ふ點に關すると、愈愈以て國民は自分は自分で護らなければならない、國家は自分で護らなければならない、國體は自分で擁護しなければならないと云ふ精神から、警察權と云ふものを、必要已むを得ざる所謂司法警察に屬するものは別ですが、其の他の分は他に事例がある如く、之を市町村に移讓することが適當でないかと思はれますが、此の點を前の状況の御報告と併せて承ることが出來ますれば仕合せであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/74
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075・堀切善次郎
○堀切國務大臣 軍隊のありませぬ今日、治安維持の全責任が警察に懸つて居る譯でありまして、此の點に付きましては、我々關係する者は非常に憂慮致しながら、全力を盡して此の責任を果さなければならないと覺悟して居る次第でございます、先般來終戰の時期以來朝鮮人及び支那人、臺灣人等の事件が各地に色々起りました、朝鮮人、臺灣人、支那人等が或は北海道、福岡縣、岐阜縣、京都府其の他可なりあちこちの府縣に於きまして甚だ面白くない事件を惹起しましたことは事實であります、是は大體或は炭坑に纒まつて就勞して居た者とか、或は土木建築の事業に纒まつて從事して居た者とか云ふやうな者が中心なのでありますが、終戰後是等の者が仕事を放棄しまして、其の事業者に對して或は食糧、或は其の他の物品の特別の配給を要求致しましたり、或は不當な退職金を要求したり致しまして、それが聽入れられなければ、多勢數百人が一緒になりまして、直ぐに亂暴を始めるやうな状態が起つたのであります、之に對しましては、其の當時數百人に對して極く僅かの警察官しか平生居ない譯でありますから、警察の方も色々被害を受けましたりして、其の取締が一時出來なかつたと云ふやうなことがあちこちに起りまして、洵に遺憾に堪へなかつたのでありますが、是も段々應援の警察官を増援致しましたり、所に依りましては「アメリカ」軍の方に交渉して、向ふの憲兵に來て貰つたり致しまして、漸次落著いて行つたのであります、其の後此の朝鮮人、臺灣人、或は支那人は、多くはやはり早く國に歸りたいと云ふやうな希望が非常に強いのでありまして、それで出來るだけ早く之を歸すことに努め、其の職場の方からは之を離して一箇所に纒めて收容して置くと云ふやうな方法を執りまして、既に可なり向ふに送還も致して居ります、最近に於きましては、漸く是等の事件がなくなりまして、秩序が維持されて居ると云ふ状態になつて居る次第でありますが、元々是等は終戰になりますと、何と申しますか敗戰の日本に對して侮蔑の氣持を起しまして、朝鮮人は自分等はもう獨立國人だと云ふやうな氣持で亂暴を致します、支那人、臺灣人は自分等はもう戰勝國民だと云ふやうな氣持を持つて亂暴を致して居たのでありますが、只今申上げましたやうな順序に依りまして、段々落著いて來て居る次第であります、さう云ふやうなこともありますし、又御話のやうに或は食糧の問題、或は住宅の問題、或は交通の問題、色々な點から致しまして、各方面に不安の氣分が相當漂つて居ることは事實であらうと思ひます、一歩處置を誤りますればどう云ふやうな事態が發生しないとも限らないやうな状態は所々にあることと思つて居ります、是等の豫防に付きましては、出來るだけ手を盡して居ります次第でありまして、先頃の地方長官會議や警察部長會議に於きましても、此のことに付ての心配を述べまして、十分に凡ゆる手段を盡して其の豫防に當るやうにと云ふことを訓辭を致しましたやうな次第でございます、只今の所警察官の力は十分とは申されないのでありますが、併し現在の警察力を以て凡ゆる努力をさせまして、從來の二人分、三人分を一人の警察官が働くと云ふやうな風にし、進んで挺身難に赴くと云ふやうな氣持でやつて貰ふやうに、訓辭をして居るやうな次第でありまして、隨分色々心配なことが多いのでありますが、どうやら治安維持の責任は持てると考へまして、凡ゆる努力を續けて居る次第であります、御話の新潟縣の縣會で決議がされまして、此の際は選擧よりは食べ物だ、斯う云ふ際に選擧をするのは宜しくないから、延ばしたら宜からうと云ふ縣會の決議は、私の手許に昨日到著致しました、向ふから人が上京して來たのでありましたが、それは私議會に來て居りましたので、書面だけ來たのだと思つて居りましたが、新聞に出て居るやうな趣意を述べて居ります、是も如何にも尤もでありまして、只今の所はもう凡ゆる中心が總て食糧の問題に懸つて居ると存じます、總ての中心が食糧でありますから、食糧の問題が旨く解決致しますれば、人心もすつかり安定して行くこととは存ずるのでありますが、是も御承知のやうな状態でありまして、中々さう思ふやうに參りませぬ、然らば斯う云ふ際に食糧が第一だから選擧なんかはやらないでうつちやつて置けと云ふやうに考へて宜いかどうかと云ふことを考へますと、食糧の問題の解決に致しましても、其の外どう云ふ問題を解決するにしましても、皆是は政治上の手段に依る外はないのでありますが、其の政治上の根柢を固めるのが選擧に依る議會の成立でありますから、斯う云ふ色々な事情はありましても、やはり選擧は一日も早く之を執行するのが適當であらうと考へて居るのでありますが、それをやりますに付きましては、無論其の間に忌はしい不祥な事件のないやうに、警察の任に る者と致しまして、十分な注意をし、凡ゆる努力を盡さなければならないと思ひます、又一方から考へますれば、此の非常に人心の迷つて居りまして落着かない際に、又政治上の意見に付きましても、一方の極端な説のみが叫ばれるかの感じがありますやうな際に於きましては、候補に立たれる千數百の人々が、日本全國の隅隅にまで各各それぞれの政見發表をされまして、國民に其の考へを愬へられますことは、是は寧ろ人心を激發するよりは落著ける上に於て私は非常な效果のあるものではなからうかと云ふやうな風に考へて居るのであります、固より其の間に例外として色々懸念すべきやうな論議が行はれることも想像されるのでありますから、それ等に付きましては、十分の注意を加へて、萬全を期したいと考へて居る次第であります
尚ほ御話の市町村に警察を持たせよと云ふ御説は、洵に傾聽すべき御意見だと思ひます、今後の警察が出來るだけ民衆とのお互ひの協力、お互ひの理解の下に進んで行くべきものであることは、警察の進み方として、行き方として、正にさうあるべきことだと存じます、市町村が警察權を持つことになりますれば、自分等の仕事として此の警察のことに對しても、十分效果を擧げて呉れるだらうと云ふことは想像するのでありまして、市町村に對して警察權を附與して行くと云ふ此の行き方は、又一方から申しますれば、是は警察力増強にも考へ得られるのでありまして、此の點に付きましては、目下内務省に於きまして、愼重に取急いで研究中であります、どう云ふ結論になるかは、まだ結論を申上げる譯には參りませぬが、さう致します際にも、やはり御話のやうに刑事警察のやうな一部の警察は持つて居なくちやなりませぬし、又同時に相當數の機動力を有する警察力と云ふものは、やはり或る所に中心を持つて、所々に配置されることが必要だと云ふやうな風にも考へられるのでありまして、之に伴ひました色色な問題がありますので、今取急ぎまして研究を致して居る所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/75
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076・牛塚虎太郎
○牛塚委員 一寸今の市町村に警察を持たせよと云ふ點に關聯して、簡單に御尋ね致して置きたいと思ひます、例の小田原市に於て進駐軍が小田原市長に事實上の警察權を渡して、其の爲に非常に配給が良くなつたと云ふことは、配給關係の問題を氣にして居る者は、前から噂を聞いて居つたことでありますが、昨日か一昨日の東京新聞を見ますと云ふと、大分大袈裟に書いてあります、あの實情はどんなことでありますか、事實上警察權を市長に委ねたと云ふことだけでも、さう云ふ效果が擧ると云ふことであれば、本當に町村に對して警察權をやると云ふことは、眞劍に一つ考へて貰ひたいことと思ふのでございます、何か報告等御受けになつて居りますか、事情を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/76
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077・堀切善次郎
○堀切國務大臣 私も新聞で見まして詳細を知りたいと思つて居りましたが、まだ手許に詳細の調べを持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/77
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078・牛塚虎太郎
○牛塚委員 何か此の委員會の間に分りましたならば御知らせを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/78
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079・堀切善次郎
○堀切國務大臣 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/79
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080・牛塚虎太郎
○牛塚委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/80
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081・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは午前中の打合せの如くに司法大臣が御見えになりました、中村梅吉君は初めより司法大臣を指名して質疑ありたいと云ふことでありました、午前中席が空きませなんだから指名致しませずに、東條貞君に質問して貰つたのでありますが、今見えて居りますから、中村君から願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/81
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082・中村梅吉
○中村(梅)委員 私が司法大臣に質問致したい第一點は、婦人の參政權附與に當りまして、本會議に於ても我が國の家族制度の淳風美俗との調整如何と云ふ問題が質疑せられまして、内務大臣より此の家族制度竝に淳風美俗との調整を圖つて居るのであると云ふ極めて簡單な御答辯があつたのでありますが、主として司法省の所管に闢係致しますので、司法大臣に伺ひたいと思ふのであります、我が國 現行民法の諸規定を見ますると、殊に親族法關係の規定を見ますると、幾多我が國獨持の分權的家族制度の諸規定があるのであります、本案の提案理由に於きましても、婦人に參政權を與へることは、婦人の自由向上を期する爲めである、斯う云ふ大きな線を言明せられて居るのでありますが、果して今の民法親族編等の諸規定を其の儘に置いて、提案理由の一つの太い線である婦人の自由向上を期することが出來るであらうか、私共も個々の條文に付て家庭に於ける妻の扱ひ方、或は婦人の母たる親權者になつた場合に於ける扱ひ方、其の他婦人に對する男子と異つた種々なる規定がございます、是等を個々の點に付て、どう改善すべきかと云ふことに付ては、私共も實は的確な考へ方を持つて居りませぬが、併しながら總括して之を考へます時に、何等か相當考究をして、具體的措置を講ずる必要があるのではないかと云ふことを痛切に感ずるのであります、本案提出に至るまでの間に於て司法當局は是等の點に付て、具體的に御研究を遂げられて居るとするならば、それを是非此の際承りたいと思ひます、若し具體的に個々の問題に付て措置を講ぜられて居らないとするならば、此の選擧法と竝行して、少くも最近の時期に於て是等に付て、斯う云ふ構想の下に研究を進めるとか、斯う云ふ具體的措置を執る考へであるとか、何か御考へがなくてはならぬと思ふのでありますので、其の點を司法大臣より承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/82
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083・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今中村君の御尋ねの婦人に參政權を與へると云ふことと、現行の我が民法に於ける家族制度を基礎に致しました規定と、相容れざる所はないかどうか、之を研究する必要があるであらうと云ふ御意見、是は御尤もでございまして、私共も其の事を考へないではないのでありますが、只今までは實はまだ具體的に個々の條文に當つて研究は致して居りませぬ、併しながら大體に於て只今の儘で置きましても、差當り只今問題になつて居ります選擧法に於て婦人に參政權を與へましても、此の點を同時に改めなければ差支へを生ずることはなからうと思ふのでありますが、御承知の通りに大體に於て日本の現行の民法は在來政治上、社會上、日本では婦人は家庭のものであると云ふ建前で出來て居りますから、今後參政權が與へられて、政治上にも關係をすると云ふことになりますれば、是はどうしても民法の或る規定は是と歩調を合はすやうに改めて行かなければならぬと考へて居りまするが、其の具體的の點に付きましては、是から早速調査研究に著手する考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/83
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084・中村梅吉
○中村(梅)委員 只今司法大臣より早速調査研究に著手する考へであると云ふ御言葉を戴いたのであります、其の點は諒と致すのでありますけれども、成程御説のやうに選擧法を施行する其のこと自體には格別の支障を來すものとは私共も考へませぬ、併しながら選擧法に於て婦人參政權を與へる根本理由たる婦人の自由向上と云ふ點から見ますると、相當思切つて親族法の規定等は改正を要するものがあると思ひます、之に付て唯出來るだけ早く其の研究を致したいと云ふ程度でなく、何か斯樣な重大な一つの現象が茲に現はれて來た以上は、民法改正に關する審議會とか委員會のやうなものを構成するとか、何か具體的に調査研究を一般國民として、又多くの新たなる參政權を持つ婦人大衆が理解し得る機構なり、調査研究の具體的方法を執つて行かれるべきではないかと思ふのでありますが、其の具體的措置に付て重ねて承りたいと思ひます
〔委員長退席、伊藤委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/84
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085・岩田宙造
○岩田國務大臣 まだ具體的にどう云ふ機關を設けて調査すると云ふ所までは參つて居りませぬが、從來民法改正の調査委員會と云ふものが出來て居りまして、其の方で殆ど改正案が完成を致して、議會へ提出をしやうと云ふ位な程度まで出來て居つたのであります、それが色々な時局の關係等で其の儘になつて居るのでありまするし、又戰争と云ふやうな色々な影響の爲に、其の委員會も一時停止されて居る形になつて居るのでありますが、左樣な次第で、實は一應改正案が殆ど出來て居るのでありますから、それを更に再檢討をして、そして其の上で又議會へ提出すると云ふことになりませうし、又再檢討をすることに付きましては、從來の委員會の委員は大分亡くなつた方もありまするし、もう古い委員會でありますから、是は事實上殆ど其の委員も新たにして調査しなければならぬと考へて居ります、是も出來るだけ早くやる積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/85
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086・中村梅吉
○中村(梅)委員 そこで民法の改正委員會で改正案を大體纒め上げられて居ると云ふことも承知致して居りますが、此の中にはどの程度の婦人の自由向上に關する諸規定を盛り込まれて居るか、具體的のことを此處で御尋ねすることは私共としても肚がはつきり決まつて居りませぬし、當局に御尋ねするのも無理と思ひますから、具體的のことは別問題と致しまして、婦人の自由向上に付て、どの程度の構想を以て今後の調査研究を進める基本的御考へでありますか、それを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/86
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087・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今のどう云ふ構想程度の下に其 改正 歩を進めて行くかと云ふ御尋ねに對しましては、只今此處で御即答を致し兼ねますが、折角さう云ふ御尋ねでもありまするし、又我々の方でも一日も早くやらなければならぬのでありますから、今出來上つて居りまする民法改正案、是も只今其の内容を能く記憶して居りませぬから、早速それを見まして、今の案の中で此の線に沿うてどう云ふ程度まで現行法よりも進んだ改正案になつて居りましたか、それを一つ見直して、此の委員會へ御參考にそれを提出することに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/87
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088・中村梅吉
○中村(梅)委員 それでは只今の點は然るべき時期に此の委員會に於て御答辯あらんことを御願ひ致して置きます、もう一點私司法大臣に簡單に伺つて置きたいと思ひますことは、此の改正案に依りますと、選擧運動の方法は全く自由と云ふよりは、其の域を寧ろ逸脱して、放縱の程度に達するのではないかと思ふのであります、政府が今囘此の選擧法の御提案に際して述べられて居る所を見ますと、紙の不足其の他選擧に要すべき諸資材の不足、又郵便の配達力の不足と云ふやうなことを根柢にして、御話が本會議竝に當委員會に於てあつたのでありますが、政府は自分で行ふべき施設に付ては紙がない、資材がない、郵便配達能力が足らない、斯う申されて置きながら、政府の施設に依つてやる以外の個々の候補者がやるべき運動に付ては、手紙の出し放題、びらは貼り放題、立看板は立て放題、斯う云つた自由と云ふよりは放縱な行き方は、私は政府として非常に無責任だと思ふ、政府に於て、本來選擧公營と云ふことが強く叫ばれ、今日に於ても立派な理想の人物を得ようとするならば、唯運動にのみ任して置かないで、公營の制度を益益擴充せねばならぬと云ふ考へ方は、私はやはり基本に持つて居なければならぬ所であると思ひます、其の公營で行くべき方面、理想として公營を基本に行くべき方向を、政府が紙や資材、郵便能力が足らぬと云ふことで切捨てて置きながら、候補者のやる方は郵便機關がどんなに惱んでも、手紙は出し放題、紙は算段が付く限りは使ひ放題、勞務も亦此の食糧不足の折からに使ひ放題と云ふやうな考へ方の此の選擧法に對しては、私共は何としても納得することは出來ないのであります、是は若し此の儘此の選擧法が施行されることになりますと、司法當局の受持つて居られる遵法精神と云ふものと、大きな食違ひが來ると思ふのであります、而も苟くも國民指導の任と云ひますか、國民代表の府たる議會に議會人たらんと志す人が、法律で制限がないからと云うて、紙も、布も、食糧も、闇で買ひ放題、手紙は出し放題、郵便能力が如何に差支へやうが、そんなことはお構ひなしに出すと云ふ行き方は、當然愼しまなければならないことで、愼むべきが當然であります、斯くなければ、國民代表の府に列する資格なき人なりと言はなければならぬと私は思ふのであります、併しながら選擧は競爭であります、一人の無謀なるものがそこに現はれて、紙を獲得し、或は走り廻るのに足がないので、自動車の油を獲得したり、凡ゆる手段、方法を選ばずして、さう云ふことを一人が始めた場合には、それを阻止する法律的制度がない限りに於ては、やはりそれと或る程度拮抗した競爭をしなければ、是は選擧にならないのであります、若しそれを皆聖人君子になつて、自分は一切さう云ふ良心に反することはしないと云ふことで、正しい人がさう云ふことをしなかつたならば、寧ろ正しい人は全部蹴落されて、正しからざる、世の中から言つたら好ましからざる人物のみが現はれて來ると思ふのであります、是に於てか選擧實の際問題から申しますならば、さう云ふ無謀な人間が一人でも現はれて參りますと、他の者がそれに釣込まれて行かなければならぬ運命になると云ふことは、何人と雖も察し得る所であると思ひます、斯樣な點に鑑みて、當然生れて來るのは遵法精神の問題である、是に於て國民の指導者たる、國民代表の府に列する人達が、先づ卒先して、左樣な遵法精神を無視するやうな傾向が當然現はれて來ることの豫想出來る選擧法を――遵法精神を益益強化して行かなければならぬと考へる我我として、日本には既に軍隊もなくなつた、警察力の取締能力も低下して居る、斯樣な時に何で國家の治安を維持して行くか、結局治安維持の根本は、全國民の遵法精神の強化になければならぬ、然るに其の遵法精神を根本から破壞してしまふやうな制度を茲に作り上げることは、我々の良心として、何としても忍び得ない所であります、是等の點に付て、司法當局は如何に御考へになつて居りますか、御趣旨の程を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/88
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089・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今御尋ねの點は、大部分は私から御答へをするのは適當でないやうに考へるのでありまするが、司法に關係を持つて居りまする方面から之を見ますと、只今の御趣旨は運動の方法を、制限を解いて、非常に自由に、廣い範圍で、思ふ儘に運動が出來るやうなことにしたのであるが、其の結果法律に違反するやうな事項が起つて來るのではないか、寧ろさう云ふ虞れのあるものは禁じた方が宜いのではないかと云ふ御趣意に伺つたのでありますが、其の點は不幸にして私はさう考へませぬ、やはり例へば紙が足りない、葉書が少い、さうすれば葉書が少いならば葉書を無制限に出すと云ふことは禁じた方が宜しい、紙が少いのであるから色々の印刷をして、無制限に印刷物を配ると云ふやうなことは禁じた方が宜いと云ふ御考へのやうでありまするが、それは少いのに無制限に葉書を出せ、印刷物を出せと云ふ規定を設けることは、不都合でありまするけれども、正當に入手することの出來る範圍で、葉書を出しても印刷物を送つても宜しいと云ふ程度の規定を設けると云ふことは、差支へないのではないか、さう云ふ場合に紙を闇で買ふと云ふやうなことがございますれば、それは其の方で取締るのであつて、さう云ふ者が出て來るかも分らないから、さう云ふことは初めから禁じた方が宜いと云ふ、斯う云ふ立法の仕方は、どうも適當とは一寸考へられませぬ、やはりやる人の良心、徳義に愬へてさうして犯罪行爲は出來ない、しない、若しするならばそれを取締ると云ふことは、是は已むを得ぬのではないかと思ふのであります、他にまだ犯罪行爲をしようと思へば出來るやうな場合がありまするから、是はやはり一一法律で取締ると云ふことは不能でありますから、是は一般の候補者の徳義心に依つて、さう云ふ不法なことは出來ないと云ふ心構へでやる外ないと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/89
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090・中村梅吉
○中村(梅)委員 どうも司法大臣の御答辯は、私の伺はんとする所と「ピント」が合ひませぬで、遺憾に存じます、成程選擧法の是等の取締に關する諸規定等は、或は内務省所管で、司法大臣が關する所がないと仰しやるのかも知れませぬが、併しながら同時に只今司法大臣は、正當の途に依つて獲得したものに依つて運動するのならば、差支へないではないかと云ふ、逆の方面から御説がありましたが、併し今日社會の實情として、假令油一罐でも、紙一枚でも、配給以外にそれ等のものが闇にあらずして動いて居るものがあると司法大臣は御考へになつて居りますか、若しさうだとしたならば、司法大臣の遵法精神なり、經濟實情に付ての御考へは、全く國民生活なり、社會一般なりと懸け離れた、遊離した御考へであると、斯樣に私共は遺憾ながら感ぜざるを得ない、兎に角實情は今日まで戰爭以來物資の極度の不足を告げて、配給制度と云ふものに入つてしまつた、配給に依つて官廳が紙を得る、或は公共團體が紙を得ると云ふことであれば、是は公定價格で入るのでせう、併しそれ等の公式の配給以外に、民間人が紙を手に入れようとする場合に、一枚の紙と雖も闇にあらずして手に入る紙があるでせうか、若しさう考へて此の選擧法を御制定になつて居るとすれば、根本的に此の選擧法に付て考へ直しをしなければならぬ、斯樣に存じます、何れに致しましても、若し此の選擧法を施行するやうなことになりますならば、私は遵法精神の問題が大きな問題になつて來ると思ふのでありますが、此の現實の問題、當然豫想される問題、當然國民の指導的地位に立たなければならない立候補者と云ふものが、一人の無謀者の爲に破られて、全面的に近い左樣な遵法精神に相反するやうな結果になることが火を睹るよりも明かなる此の事態と云ふものに對して、今後此の現實を基礎として司法大臣は國内の治安を強化して行く最も大きな線である國民遵法精神と云ふ此の太い線を破られる危險、非常に根柢から破壞されてしまふと云ふ危險がありはしないか、然らば此の遵法精神と云ふものを、司法大臣は如何にして強化して行かれんとするのでありませうか、私は重ねて此の點に付て御所見を承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/90
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091・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今伺ひますと、紙は或る程度政府の方で準備をして、供給されることになつて居るのださうであります、でありますから、闇に依るにあらずんば一枚も手に入れることが出來ないと云ふことではないやうであります、若しさう云ふ例へば適法にも出來るし、又やりやうに依つては不適法、違法的にも出來ると云ふやうなものに付きまして、悉くさう云ふ場合は禁止すると云ふことになりましたら、是は到底不可能であります、例へば選擧運動をするに付て、どうしても或る程度の人を頼まなければならぬ、人を使はなければならぬと云ふ時に、それ等の人に報酬を拂ふと致しましても、適當な報酬を拂つて使ふことも出來るし、或は大いに不當な報酬を拂つて使ふことも出來るし、或る場合に辨當を食べさすと云ふ時にも、適法に辨當を食べさすことも出來ますし、違法な行爲で辨當を給すると云ふことも出來ます、さう云ふ違法な行爲で辨當を給することが出來るからと云つて、辨當は絶對に供給してはいかぬ、或は人を雇ふにしても闇でも雇へるのであるから、人は絶對に雇ふことは出來ないと云ふやうな一々禁止法を設けると云ふことは、是は到底出來ないことだらうと思ひますから、其の點に付きましては御心配のやうな虞はないではありませぬが、是はどうも已むを得ぬことと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/91
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092・中村梅吉
○中村(梅)委員 私も今後強化しなければならぬ遵法精神の重要性に鑑みまして、少くともそれに逆行するやうなことは此の際起したくない、我々が非違を敢てするやうなことは斷じてしたくないと云ふやうな良心に立脚して申上げて居るのであります、併し司法大臣の今仰せになることから見ると、全く不可能を強ひるやうなものであつて、どう見透しても不可能を強ひることになる、例へば此の間内務大臣が御説明になつたやうに、大體一候補者に十連程度の紙の確保が結局出來ると云ふ見透しを承つて私共當局の御盡力に感謝を致して居るのでありますが、例へば一人に十連の紙なら十連の紙を確保する見透しが政府として付いたとするならば、其の十連の範圍に於て一人の候補者が百囘以上の演説會をする、其の演説會の廣告の撒びらなり貼びらに例へば十連使つてしまふとするならば、其の演説會に要する撒びらなり貼びらの可能の程度を許して、當然不可能で闇にあらざれば行へない行爲と云ふものは禁止するのが政府として當然の處置である、それを禁止せずして、若し許すのだと云ふやうな態度を執れば、必ずそこに無謀な人間が多數の中には現はれて來る、一人現はれれば選擧の實態から、先程申上げたやうに、それは堰止めは付かぬのであります、其の堰止めが付かぬ所に遵法精神の總崩れと云ふものが起つて來る、斯樣に私は憂慮するのであります、司法大臣に是れ以上申上げても仕方がないと思ひますから、私は内務大臣が御出でになりましたので、内務當局の御盡力の結果紙の確保の見込が付いたとするならば、なぜ其の範圍に運動の限度を設けないか、一定の限度を設けないかと云ふことに付て内務大臣から承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/92
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093・堀切善次郎
○堀切國務大臣 昨日申上げましたやうに、一候補者當り十連以上を御世話を致す積りで居りますが、是は出來るだけ餘計配付を申上げたいと考へまして、或は二十連位まで行くのではないかと云ふ見込を以て今努力中であります、隨ひまして配給の出來る量を今決めてしまつて、それに依つて計畫をして行くと云ふことは少しまだ時期が早いやうに考へます、然らば宜い加減の所で見切りを付けて、それで御説のやうにそれ以上のものを禁じたらどうかと云ふことに付きましては、出來るだけ紙は餘計に配付を申上げたいと云ふ積りでやつて居りますので、それも少し如何かと考へます、又御説もありましたが、闇で手に入れる人もありませうが、或はさうでなく貰ふとか何とか云ふやうなことも絶無ではないかと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/93
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094・濱野清吾
○濱野(清)委員 同僚中村委員の遵法精神に關聯致しまして司法大臣に一寸御尋ね致したいと思ひます、私共は此の改正法案に付きまして非常に大きな不平を持つて居るのであります、其の一端は中村委員から御話になりました通りに、もう本當に野放圖な現在の社會觀から出た立法であると考へて居るのであります、成程全體主義が思想として全國を蔽ひ盡す時には、さう云ふ立法も行はれませう、今日ではさう云ふ形から申しますれば、自由主義と云ふ立場から此の立法が行はれたのでありますが、再三同僚の議員諸君から申されて居りますやうに、自由はやはり公正と云ふものが其處に裏付けられなければ眞の自由ではないと私共は信じて居るのであります、而して此の改正法案は選擧法であります、全國的に大きな動き、戰ひと云ふものが展開されるのでありまして、殊に今日の現況に於きましては、全く主義の相反する三つ乃至四つの戰ひが展開されることは御承知の通りであります、而も都合に依ると國體論が行はれ、國家の組織法が論議される大きな問題が此の選擧に際會致しまして、實際運動として起るのかと存じます、それでありますから共産黨を主張する諸君は、それぞれの立場から全精神を打込んで、而して又經濟的にも全力を打込んで、出來るだけの無理をして、自分が信ずる主義を實現する方法として、選擧運動が展開するであらうことは、是は政府も亦國民も諒解出來ると思ふ、我々は勿論、我我の主義主張に於て全力を傾ける、總てのものを抛つて、國家の爲に我々は立法府に參畫しなければならぬことは當然であり、又人情だと思ひます、それで普通の時代に行はれる選擧よりは、今囘の選擧は寧ろ誇張であるかは知らぬが、一つの悽慘味が漂ふであらうと思はれるのであります、即ち戰ひである、其の戰ひも豫て我々が經驗したやうな普選當時の戰ひではなくして、全國民が眞劍に相戰ふかも知らぬ、或は既成陣營と言はれる我々代議士は別と致しまして、新しく出る共産黨の諸君の如きは、是は命懸けで戰ひを展開するであらうことは、豫想出來ると思ふ、さう云ふ風に悽慘とも思はれる戰ひが展開されるのでありますから、中村委員の言ふ通り、熾烈な出來るだけの無理が行はれるのぢやないかと私は思ふのであります、先程來の同僚中村君に對する答辯に依りますと、現實の物の世界と云ふやうなことに付て、司法大臣は透徹した觀察を持つて居られないやうであります、農林大臣が頻りに米の供出を全國の農家諸君に御願ひして居る、而も其の主食闇賣買に付ては、新しい勅令を出さうとさへ言つて居る、同僚の議員の中には、米は國家の管理にしたら宜からうと云ふ徹底的な抑へ方をして、さうして公平なる米の配給をしようとして、さう云ふ所論を出す人がある、然るに此の事實さへも司法大臣は御認めにならないと云ふのか、主義の爲に斃れてもやると云ふ今日の此の選擧の運動を通じて政治運動が行はれて居るのに、闇位は何でもない、都合に依れば命でも懸けるのだと云ふやうな今度の改正後の選擧を豫想した時に、私は此の選擧法で一體どうするのかと云ふ感を深うするのであります、それも自由に名を藉りて、それも是も此の儘にして宜しいと云ふならば、遵法精神と云ふやうなものは、全く崩壞するのではないかと思ふのであります、今日只今我々が紙を得ようとするならば、政府の世話か誰かのお世話を受けなければ司法大臣紙一枚入らない經濟状況であると云ふことは御承知の筈なのであります、其の他墨汁にしても、筆に致しましても、實に凄い値段であります、幾らに選擧費用がなるか分りませぬが、選擧費用の制限などと云ふやうなことは、此の場合此の改正法案に於て選擧を施行致しましても、恐らく無制限の結果に陷るであらうと私は信ずる、而して此の原案を見ますると、總てが闇を誘發する餘地あるやうな取締状況になつて居るのでありますから是は大變なことだと私は信ずる、ですから司法大臣の仰せではありますが、司法大臣に私は特に御願ひする、司法大臣がさう云ふ意味で此の遵法精神を御考へになるとするならば、續々と犯罪が刺戟され、或は犯罪が釀成され、選擧法を前提として、經濟的な法規と云ふものは全く價値なきものになつてしまふ、斯う云ふ風に考へるのでありますが、司法大臣はそれでも只今中村同僚に對する答辯で差支へないと言ふのでありますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/94
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095・岩田宙造
○岩田國務大臣 或る行爲が適法にも出來るし不適法にも出來ると云ふやうな場合に、どの程度まで適法に出來、どの程度を越えれば適法に出來ないかと云ふこと、是は中々其の範圍を決めることは困難でありますから、假りに只今御述べになりましたやうな、或る程度以上は不可能であるから、それ以上は禁止しなければならぬと云ふことで禁止することは可なりと致しましても、其の程度はどの程度まで適法に可能であるか否やと云ふことは、中々困難でありまするから、假に御趣旨に副うた立法をすると致しましても、さう云ふ決め方は困難だと思ひます、でありますから、是はやはり選擧運動をされる方々の良心と遵法精神に愬へて、適法なる範圍でやつて戴くと云ふことにしませぬければ、若し心配をしてどうも違法行爲が行はれるかも分らぬから、違法行爲の行はれさうな運動方法を全部禁止すると云ふことにしますると、もう手も足も出ないで、非常な窮屈な規定を設けなければならないと云ふことになりまして、到底是は實行不可能であらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/95
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096・濱野清吾
○濱野(清)委員 一應大臣の御話は、理論としては分るのでありますが、犯罪の發生する、又犯罪を作り上げることを助成するやうな立法は行はぬでも宜いぢやないかと言ふのであります、而して内務大臣の從來の説明に依りますと、此の選擧法は新しい議會に依つて變へる用意があると、斯う仰しやつて居るのでございます、少くとも、或る短期間の選擧法の改正でありまして、而も其の短期間は現在の此の社會實情に合つた而も選擧法の本質を壞さない改正法でなければならないと私は思ふ、所が逐條的に之を見て參りますると、適法にも出來る、不適法にも出來ると云ふやうな限界と云ふものを發見することが出來ない、許されたが故に犯罪が益益惹起されると云ふ法規なのであります、斯う云ふ立法は、少くとも遵法精神を虫食ふものではなからうか、非常な心配になるのであります、更に又選擧は我々の主義を賭けての戰ひであると云ふことに御考へ及べば、更に有益なる御答辯が願へるのではないかと思ひます
〔伊藤委員長代理退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/96
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097・岩田宙造
○岩田國務大臣 もう大要は先刻申上げたことで盡きて居ると思ふのでありますが、唯私は御説のやうにしますと、他の場合でも皆さうでありまして、近頃は言論も集會も出版も皆自由にすると云ふことで、皆是は自由にして居るのでありますが、若し御説のやうにしますれば、言論を自由にするが故に、其の言論犯が色々起る、集會を自由にするが故に、集會に基く色々な犯罪が起る、出版もさうであります、さう云ふ危險があるのだから、言論も集會も出版も、皆禁止しなければならないと云ふことと、同じ御議論になるやうに考へまして、其の點は不幸にして御同意することは出來ませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/97
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098・濱野清吾
○濱野(清)委員 極端な法理論を承るので甚だ恐縮ですが、立法される場合には一つの變つた事象が起きて來る、選擧法が改正されて、今まで禁止されたことが、全部其の枠を取除いてしまふと其の運動は戰ひでありますから事實無制限に展開されて行くのであります、無制限に展開する其の範圍に於ては、戰ひでありますから、つい闇取引と云ふものが助長される、闇取引なくして今度の選擧法を完全にやり拔いて戰つて行かうなどと云ふことは不可能なことです、それですから言論を自由に許せば、そこに犯罪が起きると云ふやうな議論ではなくして、自由にも依りけりであります、今日の社會情勢、經濟情勢を見て、是の枠を外して行けばどう云ふ結果が生れるかと云ふことを豫想して、私共は遵法精神と云ふことを論議して居るのであります、大臣は選擧に於ける實際の戰ひの状況、戰ひの事情と云ふものを御諒知にならないやうでありますから、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/98
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099・清瀬一郎
○清瀬委員長 中村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/99
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100・中村梅吉
○中村(梅)委員 私は別の問題に付て内務大臣に伺ひたいと思ひます……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/100
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101・清瀬一郎
○清瀬委員長 内務大臣に對する質問は、別の順序で進行して行くことに致しまして、今日は司法大臣が所管大臣でないのを特に來て居られますから、司法大臣に對する質問を………発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/101
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102・中村梅吉
○中村(梅)委員 それではあとの質問は保留致しまして、是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/102
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103・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは司法大臣に大川光三君から牽聯質問と云ふことで通告がありますから――大川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/103
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104・大川光三
○大川委員 私は婦人の被選擧權に關聯致しまして、司法大臣に具體的な二、三の問題を御伺ひ致したいのであります、それは妻が立候補する場合には夫の許可を要するや否やと云ふ問題であります、改正案に依りますと、二十五歳以上の婦人は新たに被選擧權を有することに相成ります、然るに我が國民法は「フランス」民法に倣つて、妻に對する廣汎なる制限を規定し、夫の絶對的支配權を認めて居ります、我が民法が妻の能力を極度に制限致しましたのは、妻の精神能力の發達不十分を理由として、其の保護を加へんとするものではなく、夫妻間の共同生活を圓滿に行はしめんとする必要に基くものでありますことは、此の道の大家で居られます司法大臣の夙に御承知の通りであります、さればこそ妻が元本を領收し、之を利用し、借財又は保證をなすこと、訴訟行爲をなすこと等、些細なる點に至るまで夫の許可を要する旨を規定致して居ります、此の我が民法の立法理由より致しますれば、妻が立候補をすると云ふことは、各種の制限行爲の何れに比較致しましても、より大きな家庭内に於ける一大事件であります爲に、夫婦間の共同生活を圓滿に行はんとするに、甚だしき支障を來すものであります、斯くの如く夫の絶對的支配權を蹂躪する妻の立候補を自由氣儘に放任することは、我が家族制度に鑑みまして、且つは民法の面目上到底默認することが出來ないと存ずるのであります、仍て此の點を特に選擧法上明確にして我が、民法と矛盾を避け、且つ民法をして選擧法に抗議の餘地なからしめる必要があると存じますが、此の點に關する司法大臣の御見解を伺ひたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/104
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105・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今大川君の御尋ねの點は、現行民法の上に於きましては、妻が立候補するに當つて夫の許可を受くる必要はないと考へて居ります、それは解釋的には民法に於て妻が夫の許可を得なければ出來ない行爲に付ては色々の明文を設けて居るのでありますが、其の何れの明文の場合にも當りませぬ、又立法的に之を考へて見ますると、民法に於て妻が夫の許可を受くることを必要として居りまする場合は、夫の夫權或はどちらか相方の財産の權利に關する場合でありまして、今囘の國の政治に參與すると云ふ場合に付ては、何等の制限を設けて居りませぬから、是は夫權なり財産上の權利と比較致しまして、今囘與へられる婦人の參政權と云ふものは、比較にならない程大事な大きなものでありますから、夫權や財産權の場合と異つて、現行民法に於きましては、勿論解釋の上から申しましても、夫の許可は要らないものであると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/105
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106・大川光三
○大川委員 只今司法大臣から妻の立候補には夫の許可は要らないと云ふ御答辯でございまするが、私は實は其の點を御伺ひして居るのではないのでございます、妻が立候補するには夫の許可を要するや否やと云ふ民法の條文解釋は是は別と致しまして、苟くも民法の立法理由に鑑みまして、妻の立候補には選擧法上其の矛盾撞著を避けるべき條文を置く必要がないかと云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/106
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107・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今申述べました通りに、今の民法の規定からは、妻が立候補等を致しまする場合に、夫の許可を受くる必要がないのでありまするから、此の儘に置きましても、毫も民法と選擧法との間に矛盾はないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/107
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108・大川光三
○大川委員 そこで私は更に進んで御伺ひを致します、妻が不動産、又は重要なる動産に關する權利の得喪を目的とする行爲をなすには、夫の許可を受くることを要することは、御承知の通りであります、此の規定は法文解釋上、妻たる婦人が立候補をすること自體には適用されないことは申すまでもございませぬ、併し立候補の結果は、必然的に數萬圓の選擧費用を支出しなければならない、それが爲に妻の身分に依つては、或は社會通念に照らしまして、選擧費用の支出が重要なる動産の得喪を目的とする行爲として夫の許可を要することに相成ると存じまするが、斯かる解釋を下して宜しいかどうか伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/108
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109・岩田宙造
○岩田國務大臣 立候補すること自體が妻が大きな債務を負ふとか、財産支出の義務を負ふとか云ふものではないと考へます、隨て立候補することに付て夫の同意を要することもないと考へまする、勿論立候補した結果、何等か財産上の債務を負ふとかは例へば不動産を持つて居るものを賣却するとか何とか云ふ問題が起りましたならば、其の個々のことに付て夫の同意を要するや否やが問題になつて決定せらるべきものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/109
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110・大川光三
○大川委員 そこで私は具體的に伺ひまするが、少くとも選擧費用を支出する具體的な問題に付ては、夫の同意を要すると云ふ大臣の御答辯でございますが、然らば妻が選擧費用を支出すると云ふことに付きましては、是は包括的に夫の許可を受ければ以て足るとするか、或は妻が用紙の買入、印刷の註文、勞務者の雇入、演説會場の借入、自動車の雇入等、一々夫の許可を得なければならないかどうか、更に又妻が立候補をする爲に他人より借財をなす、他人より陣中見舞を貰ふ場合、政黨の公認候補者となつて公認料を貰ふ場合等に付ても、一々夫の許可を要すると解して宜しきや否や伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/110
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111・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今の御尋ねに付きましては、是は現に持つて居る財産を使ふと云ふ場合には、其の使ふ財産の重要の程度に依つて夫の許可を受ける必要があり、或はないと云ふことになるだらうと思ひます、それから若し他から惜入をすると云ふことでありまするならば、それは其の際にやはり民法の規走に依つて同意を得なければならぬと考へて居ります、併しながら或る程度其の目的で包括的に、自分の持つて居る財産の中何萬圓まで此の際選擧の爲に使ふ、或は持つて居る株券を賣るとか、銀行預金を引出すとか、或は不動産を賣るとか云ふやうなことは、必ずしも個々に決めなくても、金高を指定して許可を受けると云ふことも可能であらうと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/111
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112・大川光三
○大川委員 今一つ妻が身體に覊絆を受くべき契約をなすには夫の許可を必要と致して居ります、妻が代議士に當選を致して、其の當選を承諾する場合には、此の條項が適用されるかどうか、我が民法は妻と夫との同居する義務を認めて居りまするが、妻が代議士に當選をすれば、必然的に議會の召集に應じて、地方の婦人代議士は愛しい夫の許を離れて上京して來なければならぬ、時には五人も八人もの子供を愛の巣に殘して、家事萬端を夫に託して三箇月も家を離れなければなりませぬ、斯くては夫婦同居の義務、圓滿なる共同生活現を營み得ない場合が多々豫想されるのでありまするが、果して妻が代議士當選を承諾することは身體に覊絆を受くべき契約として夫の許可を要するや否や、御明答を煩はします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/112
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113・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今御話のやうな代議士の當選を承諾すると云ふことは、身體に覊絆を受ける契約ではありませぬから、其の意昧に於て夫の同意は必要ないと考へます、又色々人情の深い御尋ねがございましたが、さう云ふ夫婦圓滿の間柄でございますならば、恐らく法律問題には私は行かぬと考へます、幾らでも任意に相談を致しまして、法律民法の第何條と云ふことでなしに、どんな自由な御申合はせでも出來るものでありますから、是は御心配ないと思ふのであります、唯さう云ふ圓滿に行かない場合に付て申しまするならば、是は決してさう云ふ愛しい間柄でありませぬから、それは法律の規定に依つて冷嚴に其の間の權利を主張して行けば宜いことだらう考へます
それから先刻一寸御答へするのが落ちて居りましたが、選擧費用の贈與を受けるやうな場合には、それは選擧費用でありましても、他から贈與を受けるならばやはり夫の同意が要ることと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/113
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114・大川光三
○大川委員 最後に結論として今一つ御伺ひを致します、只今までの司法大臣の御見解に依りますると、妻の選擧運動には一々夫の許可を得なければならないと云ふやうなことが多々あるのでございまして、結局妻たる婦人の被選擧權は夫の許可なくしては完全に享有することが出來ませぬ、若し妻が夫の許可を得ずして自分の財産を處分して選擧費用に充てる、或は其の他自由氣儘なことをやる場合に於きましては、夫は妻の其の行爲に付て取消を要求致し、結局夫婦不和の因を作ることに相成ります、妻の選擧當選承諾は民法に觸れないとの御話でございまするが、苟くも以上の諸點を考へますると、妻の政治進出に關する限り、其の生殺與奪の權は夫の掌握する所と存ずるのであります、斯くの如きは婦人に被選擧權を與へたと稱しながら、實質的には其の效果は半減されて居るのであります、殊に國民を代表して立法府に列せんとする婦人代議士候補者が、些細なる行動に至るまで、一々夫の許可を受けなければならぬやうでは、到底其の煩に堪へない、のみならず男子候補者に比較して、甚だしく均等を失することと相成ります、斯くては改正選擧法が婦人に對して羊頭を懸げて狗肉を賣るものとして、有閑婦人がいつ何時柳眉を逆立てて司法省や内務省に抗議するかも知れませぬ、斯くの如き諸般の事情を綜合致しまして、私は改正選擧法に於て、妻の立候補竝に選擧運動には夫の許可を要するとするか、要しないとするか、何れに致しましても、明文を以て此の點を選擧法上明確にする必要があると存じまするが、司法大臣の御見解を伺ひたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/114
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115・岩田宙造
○岩田國務大臣 其の點に付きましては、十分考慮を加へた譯ではございませぬが、私の今の考へと致しましては、夫は必ず許可しなければならぬとか、或は許可は要らないとか云ふやうなはつきりした規定を法律で設けるよりも、そこは一應自由として置きまして、其の家庭々々の状況に依つて、法律以外に夫婦が能く相談の上で行はれると云ふことが、多數の場合實際でもありませうし、又其の方が却て宜いのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/115
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116・清瀬一郎
○清瀬委員長 林君、牽聯質問と云ふ形で許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/116
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117・林信雄
○林(信)委員 先刻來同僚田村秀吉君よりの司法大臣に對しまする質疑に對しまして、司法大臣の御答へになりました事柄に疑問を持つものであります、それに關聯致しまして御尋ねを致したいのでありますが、共の大體の考へ方の事柄を、當初に於て先づ伺つて見たいのでありますが、所謂政治の面に於て現在民主主義だ、或は自由主義だと言はれて居りますが、其の事柄は國民大多數の意思がそこに反映致しまして、民本的な政治形態なり、政治の運營がなされる、それを國體的に眺めますれば、民本的なものに 上御一人の御意思が加はりまして、所謂君民一致の政治がなされる、斯う云ふことであらうと思ふのでありますが、其の實際面になつて而も法律の關係になりますれば、さうした氣持の織込まれましたものは法律の形となつて現はれて來ることを望むであらうと思ふのであります、勿論行政の面に於きましても、其の精神に於て是は運營せられるであらうと思ふのであります、行政の面は茲に姑く措きまして、民主主義に立脚致しましたる法律の建前から考へまして、在來國民的な常識になつて居りました法治主義の觀念と云ふものは、それ自體微動だもするものではないと思ふのであります、憲法の條章を見まして、法の範圍に於きまして民主的である、法の範圍に於て自由であると思ふことは、今日以後に於ても變る所はないと思ふのであります、見易き道理だと思ひまするが、一應民主主義乃至自由主義と法治主義との關聯に付きましての大臣の御意見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/117
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118・岩田宙造
○岩田國務大臣 御説の通りに民主主義、自由主義と云ふことになりますれば、益益憲法其の他の法律規定は大切になりまして、其の範圍で行はれなければならぬのでありますから、民主主義と法治主義と云ふことは、御意見の通りだと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/118
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119・林信雄
○林(信)委員 左樣でありますれば、儼然として存しまする法は、飽くまで國民は之を遵守して行かなければならぬと思ふのであります、此のことは過去に於きましても、遵法精神昂揚の運動等に依つて現はれて來た所でありまして、此のことも將來變りがないことだと思ふのであります、殊更らしく過去の司法御當局のなさつた遵法精神運動を取上げて、茲に論議するものではありませぬが、此の御方針に於て變りがあらうとは思ひませぬが、之に對しまして御熱意の程を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/119
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120・岩田宙造
○岩田國務大臣 其の通りだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/120
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121・林信雄
○林(信)委員 是に於きまして先刻來同僚田村秀吉君の質問に對しまする司法大臣の御答へに付て私疑問を持ちますが、概要同僚田村君のは告示前の運動を認めることに付て、其の際の措置を如何に御考へになるか、此のことであります、具體的に述べますれば、問題になつて居りまするやうに、新法に依つてはそれを許すのであるが、現行法は之を禁じて居るのであるから、飽くまで現行法に依つて是は取締及び處罰をしなければならぬのではないか、斯う一連の根據を置いて御尋ねを致して居りますに付て、大臣は新法に於て事前運動を許すことは宜いと思つたから、さう云ふ風な建前で新法の案を作つたのだ、併し現行法の關係もあるので、経過規定を作つて、是は新法實施後に於ても之を處罰すると云ふことに致しても宜いではないかと云ふ點に付ては可なり考へては見たのだ、併し後に述べる理由に依つて、さう云ふことにしなかつたのだ、併し今日に於ても經過規定を設けると云ふことは惡い、さう云つた心持ではないと云ふ御趣旨の御話があり、左樣であるから次の理由としては御承知の通り、既に提案をして御審議がなされて居るから、假に是は通過致すと考へますれば、短時日のことだから大したことはないでせう、乃至は、どうなるか分らぬから、それを見越して惡いことをする者もさう大したものではないでせう、或は法律が左樣になつて來たものを、前にさうであつたからと云ふことで、之を處罰すると云ふやうなことは、言葉は違ひませうけれども、矛盾のやうな氣持を持つ、斯う云ふ風な概要三點の御意見があつたやうに思ふのでありまするが、此の御意見には私は疑問を持つのであります、其の第一は、餘りにも大臣は御提案になつて居りまする事柄の總て、少くとも告知前の運動を自由たらしめると云ふ此の規定に關する限りに於ても、もうそれは通つたもののやうに、是は短時日の間に成文として公布實施し得るものだ、斯う御考へになつて居る氣持が多分に窺へるのであります、それは御考へになるなら自由だ、是も自由主義だと言はれるならば格別かも知れませぬが、左樣なものではなくて、是は御提案になりましても、所謂議會に於ける審議の結果に依つては、如何樣になるか分らぬのであります、もう通つたもののやうに案の儘になるやうな御考へを持たれると云ふことは、少し私の言ひ過ぎかも知れませぬが、議會の審議權の無視ではないか、議會尊重の氣持に於て、我々の觀念と異なるものがあるのぢやないか、斯う考へざるを得ない、是が意見の一點であります
第二の、開き直つて御尋ねを致しますれば、法治國の日本に於ては其の法を尊重すること、遵法精神を益益昂揚して行かなければならぬことに於ては、其の通りであると仰せになりまするが、現存致して居りまする現行の法律に明文のありまする事柄を、假令短時日とは言ひながら、將來新法に依つて是が改められる可能性は、期日は別と致しまして、あると致しましても、兎にも角にも儼然たる法の規定を、之を殆ど無視して宜しいかのやうな言をなされますことは、餘りにも遵法精神を昂揚なさる司法御當局の御考へとは甚だしく背馳して居る感が致すのであります、先刻來の御答辯を、趣旨に於ては私は左樣に受取るのであります
最後に第三點は、苟くも司法の最高の地位にあらせられまするあなたが、本件の問題に付て左樣なる生易しい――言ひ過ぎかも分りませぬが、或は迂闊な言論をなさることがあると致しますれば、さなきだに今日の世相と言ひますか、社會情勢と申しまするか、政治情勢と申しまするか、民主主義の結果自由主義であり、而も選擧の關係に於ては告知前の事前運動も自由になつたと云ふ所から、是が社會情勢とくつ付き合つて、極端な者は非合法の、可なりな惡性な運動さへも處罰されないのではないかと云ふ觀念を持つて居る矢先、之を取締らうと致して居ります警察方面に於きましては、政治面を擔當致して居りました特高警察の廢止以來、又社會情勢の左樣なる觀念と相吻合致しまして、殆ど選擧と云ふものは野放しで取締ることは全然必要なきかのやうな錯覺を起して居る矢先、そこへ持つて行つて大臣の申されるやうな寛大な言論をなさいましては、更に一層是等の取締觀念は之に拍車を掛けまして、恐らく實際の取締に於きましても、非常に熱意を失ふのではないか、此の行政面に對する惡影響も兼ね備へまして、特に此の點私の誤解でありますならば、大臣の眞意の存する所を明確に致して戴きたいと思ふのであります、萬一にも此の儘過すことがありと致しますれば、此の法案が修正せられぬと、大臣は大きく御期待になつて居るやうでありますけれども、萬一にも修正されると致しますれば、大臣の言論、是等に依つて刺戟せられて、不正なことを致しました者は不正得、惡いことのし得ると云ふことになつて參りますが、是が修正を受けまして事前の運動も罷りならぬとはつきりなつて參りました場合、是等の影響する所は大きいと思ふのでありまして、多くは申上げませぬが、以上申上げましたことに付ての御意見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/121
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122・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今の御尋ねは、先刻から問題になつて居りました事前運動と云ふことに對する問題の見方に付て何か多少誤解されて居る所があるのぢやないかと云ふやうに感ずるのでありますが、問題は、現行法では事前運動を禁止して居る、改正法ではそれを自由にして禁止を解く、其の解く前に、まだ禁止時代に事前運動をした者がどうなるか、罰せられるかと言ひますと、其の禁止が解かれる前、即ちまだ禁止されて居る時代に事前運動をした者がまだ處罰を受けて居ない中に改正法が實施された時には、それはもう處罰を受けないことになる、是は判例もさう云ふ場合にはさうなつて居りまするし、日本ばかりでなく、是は世界中の法律常識であります、或る禁止規定があつた、それが改正されて禁止が解かれたと云ふ時には、禁止されて居る時代に犯して居つた事柄も、禁止が解かれた後に裁判を受けると云ふ時には、それは無罪になると云ふことは、是はもう世界的法律常識であります、ですから今囘の場合に於きましても、新法が實施されれば、今の現行法、即ち舊法時代に事前運動をした者でも罰せられないことになるのでありますが、唯今囘は田村君も色々御議論のありましたやうに、特別の事情であるから、其の法律常識とは反するけれども、特別の規定を設けて、是は改正法實施後に於ても尚ほ罰することにしたらどうだと云ふ御意見であります、是は例外の事柄でありまするから、特にさう云ふ例外規定を設ける必要ありやと云ふことを檢討しなければならぬ、それで若し其の必要がありまするならば、それは特別の場合に、何も法律常識に反するからと云つて、それに固執して反對することはないのでありますから、其の必要の有無を檢討する必要があるのであります、そこで其の必要ありや否やと云ふことが問題に相成りまして、私は其の間に新法はまだ效力を生じない、隨て舊法でまだ禁止されて居る時代に、新法が行はれてから後の選擧に對する運動をすると云ふ期間はどの位あるか、其の期間の長短と云ふことも、餘程さう云ふ特別の規定を設ける必要を判斷する上に大切なことでありまするから、其の期間はどの位あるだらうかと云ふことを第一に考へなければならぬ、それは餘り長くなからうと云ふことを申したのであります、それから今一つは其の期間ばかりではない、又實際其の間にさう云う事前運動をすると云ふことがどの位有效な行爲が出來るであらう、それから又正直にそれはまだ禁止されて居るからと云ふので事前運動をしなかつた人に比べて、どの位それが影響があるだらうかと云ふことも考へて見なければならない、是は一つの見解でありますけれども、私共の見方では期間も短いし、それから其の運動と云つても惡質の運動は改正法に依つても罰するのでありますから、其の殘された運動の效果と云ふものは大したことでもないやうでありまするから、其の運動を、其の短期間にするとしないとの選擧に對する影響の差異と云ふものは、さう大きなものではないではないか、さうすれば強ひて世界的法律常識に反した特則を設けることの必要はないのぢやないかと云ふのが、私共の考へ方であります、併し是は只今申しましたやうに、どう云う影響があるだらうかと云ふことの判斷に依るのでありますから、若しさう云ふ實際に詳しい議員諸君の方で是は決して看過すべきものでない、其の差異は大きい、それだからさう云ふ特別の規定を設ける必要があると云ふ御意見でございまするならば、強ひて私共は此の原案を固執するものでないと云ふのは其の意味で申したのであります、見透しのことでありますから、其の見透しが私としては素人であります、政府には玄人の人もありますけれども、其の見方如何に依るので、是は必ずしも右でなければならぬ、左でなければならぬと云ふやうな考へで言ふことは、極めて明瞭な問題でないから、是は考慮の餘地があると云ふことを申上げた、只今其の現行法の禁止して居る間に、運動する期間が短いと云ふことは、今提案をして居る改正案が通過するかしないか分らないのに拘らず、通過することを豫斷をした議論ぢやないかと云ふ今御非難のやうな御言葉がありましたが、是は御非難をなさる方が無理でないかと思ふ、問題は通過した場合の問題でありますから、通過しなければ初めから問題がない、通過した時に初めて起る問題でありますから、通過した場合を豫想して議論する外はないのであります、斯樣な關係でございまして、殊に改正法が通過する前に現行法に依つて事前運動をしたものを看過するとか、之を大目に見るとか云ふことを言ふのではありませぬから、私が先刻から申しました法律主義、遵法精神と少しも矛盾する所はないと、私は考へて居るのであります、如何に之を罰しようとしましても、又裁判の確定する前に改正法が通過すれば之を許さなければならぬと云ふのが、世界的法律常識に從つて言ふことでありまして、私が現在の此の現行法の事前運動を禁止し得る規定を輕視する譯でも、之を寛大に見ようと云ふのでもないのでありますから、其の點は誤解のないやうに御願ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/122
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123・林信雄
○林(信)委員 大分はつきりはして來たと思ふのであります、私共の觀察に止まるかも知れませぬが、可なり大臣は色々理窟を御言ひになつて、經過規定無用論を御主張になつたやうに思ふのであります、私等と致しましても、此の御提案になりましたことに付て、樞密院の議を經て此の案が出されなければならないこと、或は一部修正すると云ふやうなことの説のあることも存じて居るのであります、旁旁大體の氣持をそこに現はして戴きますれば、我我と致しましても、我々獨自の修正を又致すのでありますから、それで宜しいのでありますけれども、其の間に議論に止まると云へばそれ切りでありますが、兎角の理窟にならぬやうな理窟を御述べになつて、さうして其の言譯がましいことに御使ひになると云ふことが、私は面白くなかつたのであります、此の心持を以て申上げました所、可なり其の邊の御氣持を御現はし願つたのでありますから、其の根本の點に付て私は諒解致したいと思ひます、併し成程此の事前の運動まで處罰することになるか否かは、新法の出來上つた後と言はれますけれども、眞劍に考へますと現實の問題である、諄く申しませぬ、先刻言つたやうなことで、是等のことは或は言逃げするやう理窟を持つて居るかも知れませぬが、文書或は言論等に依りまして、可なりの運動をやつて居ります、個々面接も今後は自由になるでありませうが、現在はいけないのでありますが、是も大びらにやつて居ります、今日に於ても、又爾後の成立の際に於ても、はつきりいけない戸別訪問のことも、社會情勢の色々の關係から、可なり大びらにやつて居るのでありますから、餘程此の事に對する其の後の處罰關係なり、選擧の方法なり、嚴然たる態度を御現はしにならなければ私は面白くない、結局氣持と氣持に觸れ合つた其の御考へ方、御處置を私は特に要望的に申上げた次第であります
此の點は其の程度に致しまして、序でで甚だ恐縮でありますが、前提致しましたやうな民主主義傾向と司法關係に付きまして、問題になりました陪審法の問題、現在提出中でありますが、今後司法當局は如何に御運營になる御氣持でありませうか、此の點を御伺ひ出來れば仕合せと思ふのであります、現行法の其の内容等に亙つて論議しようとは思ひませぬが、大體の御考慮を伺へれば仕合せであります、之を以て私の質問は終りと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/123
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124・岩田宙造
○岩田國務大臣 陪審法は勿論今は停止になつて居りますが、又停止を解いて實行したいと考へて居ります、唯現在に於きましては、御承知の通りに、方々の裁判所の廳舍が戰災に罹つて燒失しだのが多いものでありますから、相常實行が困難なのであります、陪審する法廷も、なく陪審員は其の間泊めなければならぬので、宿舍の要る關係もありまして、さう云ふ事實上の色々制約を受けて遺憾ながら今直ぐと云ふ譯に行きませぬが、出來るだけ是等の準備をしてさうして、以前よりも尚ほ陪審は出來るだけ擴張致しまして實行したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/124
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125・清瀬一郎
○清瀬委員長 もう司法大臣に對する質問はありませぬね、ありませぬければ、漢那君が厚生大臣の出席を求めて居られるので、それを許さうと思つて居ります、厚生大臣は今豫算委員會で答辯中ださうです、さう言つて居る間にも答辯が終ると思ひますから、暫く休憩します
午後四時二十二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/125
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126・会議録情報3
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午後四時三十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/126
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127・清瀬一郎
○清瀬委員長 休憩前に引續き、是より衆議院議員選擧法中改正法律案の委員會を開きます、本日は是より石炭増産に關する刻下最重要の緊急問題の本會議がありまするに依つて、本日は是を以て散會致します、明日は午前十時より開會致します
午後四時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00319451206/127
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