1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)(第一號)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)(第二號)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)(第一號)
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昭和二十年十二月七日(金曜日)午前十時十二分開議
出席委員左の如し
委員長 清瀬一郎君
理事 伊藤五郎君 理事 大川光三君
理事 川口壽君 理事 保利茂君
理事 木下義介君 理事 原玉重君
逢澤寛君 今成留之助君
上田孝吉君 金井正夫君
神尾茂君 漢那憲和君
清寛君 薩摩雄次君
田子一民君 一松定吉君
濱野清吾君 林信雄君
原夫次郎君 松永東君
山本厚三君 今井新造君
今井嘉幸君 川島正次郎君
東條貞君 中谷武世君
中原謹司君 船田中君
吉田貞次郎君 牛塚虎太郎君
岡本傳之助君 唐橋重政君
木下郁君 菊地養之輔君
出席國務大臣左の如し
司 法 大 臣 岩田宙造君
文 部 大 臣 前田多門君
内 務 大 臣 堀切善次郎君
厚 生 大 臣 芦田均君
出席政府委員左の如し
内務政務次官 川崎末五郎君
内務參與官 中助松君
内務省地方局長 入江誠一郎君
内務省國土局長 岩澤忠恭君
内務省警保局長 小泉梧郎君
内務省管理局長 大島弘夫君
内務書記官 鈴木幹雄君
内務書記官 鈴木俊一君
本日の會議に上りたる議案左の如し
衆議院議員選擧法中改正法律案
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件) (承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/0
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001・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より衆議院議員選擧法中改正法律案の委員會を開きます――漢那君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/1
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002・漢那憲和
○漢那委員 本改正案は附則に、沖繩縣に於ては勅令の定むる日まで總選擧を行はざることに規定して居ります、然るに一方に於ては衆議院の解散は國民の與論であり、其の奏請は政府の既定方針であると察せられます、而して沖繩縣に於て總選擧を行はないことに規定せられた理由は、現在の情勢では事實上之を行ふことが不可能であり、又此の情勢が何時まで續き、何時總選擧が行はれるやうになるか、今の所豫測を許さないが、相當長い期間に亙るものと覺悟せねばならぬと政府が認められたることに依るものと思ふのであります、然らば其の間衆議院に於ては沖繩縣の代表を見ること能はざるに至るのであります、是は國家に取り實に容易ならぬ問題でありまして、見やうに依つては沖繩縣に對する主權の抛棄とも相成ることと存じます、それ故に政府としては百方力を盡し、方法を講じて右樣の事態に陷らないやうに努力されねばならぬと存ずるのであります、又沖繩縣民と致しましても、帝國議會に於ける縣民の代表を失ふことは、其の福利擁護の上からも、又帝國臣民としての誇りと感情の上からも、洵に言語に絶する痛痕事であります、此の度の戰爭に於て六十萬の縣民は出でて軍隊に召された者も、止まつて郷土に耕す者も、各各其の職域に應じて奉公の誠を盡しました、沖繩作戰に於ては、男子は殆ど全部が陣地の構築は勿論のこと、或は義勇隊を編制し或は徴集せられて戰列に加はり、郷土防衞に全く軍隊同樣に奮鬪し、師範學校及び縣立一中の生徒の如き全部玉碎して居ります、又婦女子も衞生隊、給與隊として挺身し、國民學校の兒童達までも手榴彈を持つて敵陣に斬込んで居るのであります、不幸敗戰の爲に郷土の大半は全くの燒野原となり、縣民の砲彈に斃れ、飢餓に死する者十餘萬に達する外に、「フィリピン」及び内外南洋方面にある數萬の縣民は、悉く戰災に遭うて其の財産を失ひ、生命を奪はれた者も亦多數に上つて居ります、凡そ此の度の戰爭に於て沖繩縣の拂ひました犧牲は、其の質に於て恐らく全國第一ではありますまいか、此の縣民の忠誠に對して、政府は縣民の代表が帝國議會に於て失はれんとするに當りまして、凡ゆる手段を盡し、之を防ぎ止めねばならぬと存じます、そこで私は政府に伺ひたい一點は、此の問題に付て政府は今日までに如何なる手段方法を執られたか、又聯合軍最高司令部に何等かの申入れをなされたかと云ふことであります
第二點は問題解決の方法として私は斯樣に考へて居ります、即ち此の非常特別の場合に、慣例や形式を超越して政府は本案の附則に、次の總選擧に於て選擧を行ひ得ざる選擧區に於ては選擧を行ふまで從前の議員を以て議員に充つると云ふ趣旨の一項を加へることの可能性に付て考慮する意思はないかどうかと云ふことであります、尚ほ私は此の機會に戰災沖繩の窮状を愬へて政府の之に對する御所見を伺ひたいのであります
即ち第一は、強制疎開の爲め本土に引揚げて來た者の援護に付てであります、其の數五萬餘人でありますが、多くは老幼婦女子で、生活力の極めて微弱なる者でありまして、主として九州各縣に分散して居ります、右五萬餘人の中には、約一萬五千の學童を含んで居りますが、是等學童の殆ど全部が、孤兒若しくは孤兒同樣の境遇に陷つた者であります、最初疎開した當座は、地元受入側の温かき行爲に感泣したものでありますが、今日の現状はどうかと申しますと、遺憾ながら悲慘の一語に盡きて居ります、地元に依つては立退きを要求せられた所がある、心なき輩からは、沖繩縣は最早日本の本土にあらざるものの如き言動を以て白眼視せられ、携へて來た現金は使ひ盡し、預金貯金は初めの中は拂戻を受けたのでありますが、其の後聯合軍最高司令部の指令に基くとかにて、拂戻を停止せられて居りますので、配給品を買ふことも出來ないと云ふ状態であります、飢餓に泣き、寒氣に震へ、遂には申すに忍びざる所業をなす者を見るに至りました、更に過般沖繩を脱出して來た一、二の軍人に沖繩作戰の敗因が縣民の非協力にありとか、或は「スパイ」行爲にありとか誣ひたる者がありまして、それが傳はつて、疎開者に對する地元民の反感を招來せしめたること一方ならぬもののやうであります、斯くの如きは時日の經過と共に熱意の冷めて行き、又地元それ自體が戰災や、天災等の爲に色々困つて居る事實の已むを得ないものがあるに依るとは申しましても、政府が沖繩縣の特別なる事情にある事實を把握して、其の援護に關する政府の方針と施策を地方の末端に滲透せしむるの用意に缺くるあるに職由することを否定することは出來ませぬ、援護費用の支給の時期を失して、地方町村をして立替支辨に困惑せしめて居ることや、又沖繩縣民が郷土を失うたと同樣な状態で、他に類例のない戰災者であるに拘らず、之を戰災者として扱はないことになつた、特に南西諸島引揚民援護要綱と云ふ規程を設けて、他府縣の戰災者よりも援護が薄くなつて居る、斯う云ふことが其の例であります
右の如き事情の下にある上に、根本的問題と致しまして、生活の安定を得る爲の職業を持ち得ない現状の不安から、疎開者中には早く郷土に歸りたいと希望して居る者が多數あります
そこで政府に伺ひたいことは、至急援護の方法を改善すると共に、授産及び其の指導に全面的施策を講ずること、それから老幼婦女子は出來得るだけ早く郷土に送り還すやう、必要あらば聯合軍最高司令部に交渉する等、適當なる方法を講ずる意思はないかと云ふことであります
第二は南洋方面から引揚げて來た者に對する援護に關する件であります、「フィリピン」其の他外地から引揚げて來る沖繩縣民は、復員軍人を加へて其の數約十二萬に達します、其の中既に引揚げて來た者が「フィリピン」からの約六千六百人であります、是等は他府縣の引揚者と異りまして、温かい手を差伸べて迎へて呉れる故郷がありませぬ、專ら政府の後援と地方民の理解及び同情に俟たねばならぬのであります、然る所受入れに付ての政府の準備及び之を地方に徹底せしむる上に於て遺憾の點が少からずございまして、現に引揚げた人々を接收するに當り、種々手違ひを生じ、是が爲に非常に引揚者を苦しめて居ります、特に熱帶地方から夏服の儘引揚げて來た彼等が、内地の寒氣にさいなまれて居る有樣は、實に憂慮に忍びざるものがあります、尚ほ携ふる所の所持金は殆ど皆無と言つた有樣でありまして、生活に必要なる物資を購求することの出來ないと云ふ状態も亦先に申上げた疎開者と同樣であります、現在福岡及び浦賀方面に收容せられて居る者の中から、毎日十餘人の死亡者を出しつつありまして、棺桶を豫め用意して置かなければならぬと云ふ現状であります、此の悲慘なる事實は、如何に援護の急を要するかを物語つて居ります
そこで政府に伺ひたいことは、法規とか振合ひとかを超越致しまして、後援にもつと積極果敢なる措置を執らるること、それから今後引揚げて來るより多數引揚者に對する受入の態勢を至急整備すること、それから嚴冬を迎へて引揚げて來る沖繩縣民は、之を沖繩に直接揚陸するやうに適當なる方法を講ずること、竝に適當なる金額を一時給與する等、便宜の處置を執ること、以上四點に關する政府の御所見如何と云ふことであります
尚ほ此の機會に厚生大臣に伺ひたいのでありますが、昨日の産業新聞でありました、次官會議に於て厚生次官が報告せられて居りまする事項の中に、沖繩縣に關することがありまするが、其の報告の言葉の中に、日本に引揚げて來た沖繩縣民の送還に關して云々と云ふことがあります、是は片言隻語のやうでありまするが、聞捨ならぬことでありまして、殊に此の「デリケート」な際、日本に引揚げて來た沖繩縣民と云ふやうな言葉を次官が使はれたのは、一體どう云ふ考へであつたのか、此の點に關する厚生大臣の御所見を承りたい
それから次に選擧法改正案に立返りまして、御尋ね致したいことは、別表沖繩縣の提案の件であります、改正案に依りますと、人口を三十萬と見積り、定員を二人と定めてありまするが人口調査を行はなかつたのでありますから、三十萬は大方推定に依つたことと存じます、別表の編成は選擧區民の權利義務に重大なる關係を有するものであることは申すまでもありませぬ、之を推定に依つて決せんとすることは、輕率不親切であると云ふ謗りを免れないことと存じます、又假に推定の數字を用ひることを許すと致しましても、三十萬と云ふのは、大分實際と相違するやうに思はれます、と申しますのは、戰前沖繩縣の人口は約六十萬でありました、此の中強制疎開に依つて本土及び臺灣に引揚げた者が約七萬人、徴用工及び勞務者約三萬、應召軍人が約一萬五千、計十一萬五千でありますが、此の他に砲爆撃竝に飢餓、それから「マラリヤ」等に依つて死亡したのは――「マラリヤ」と云ふのは是は八重山に於きまして敵の砲爆撃を免れる爲に山奧に退避した、所が八重山に於きましては山奧は即ち悉く有病地であります、さう云ふ關係から「マラリヤ」に罹つて死んだ者、是等を合せますと、合計十餘萬人と推定されるのであります、さうすると以上合計二十一萬五千餘人でありまして、之を六十萬から差引けば約四十萬に近い人口と相成る、政府の推定と相當の隔りがあるのであります、のみならず右差引いた二十餘萬人の中には沖繩縣に選擧の行はれる頃には郷土に歸還して居る筈のものが少なからずあるものと思ひます、飜つて改正案の附則第四項には、勅令を以て別に總選擧の期日を定むる場合に必要なる選擧人名簿に關しては勅令を以て特別の規定を設け得ることとしてあります、此の場合に於て名簿の調製と別表の基礎となつて居る人口數とに何等の關聯性がなくなる、別表は全然合理性を失ふの不都合が起つて參ると存じます、そこで政府に伺ひたいことは、沖繩縣に付ては別表も亦勅令の定むることに依ることに改むるの意思はないかと云ふことであります、以上私の質問に對する内務大臣及び厚生大臣の率直親切なる御答辯を承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/2
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003・芦田均
○芦田國務大臣 只今漢那君より沖繩縣民の現状に對する切々の御言葉を拜聽しました、國民として洵に同情に堪へない次第であります、最初に疎開の沖繩縣人の問題に付て御答へ致します、現在主として鹿兒島、熊本、宮崎方面に疎開致して居ります多數の沖繩縣民に對しては、今日までの所其の援護の甚だ不行屆であつたことを率直に認めざるを得ないと思ひます、殊に今囘の大戰に際して、着のみ着の儘幾多の犧牲を拂つて疎開をした人々でありまして、本土内に於ける疎開者と其の事情を異にすることも、能く諒解されることであります、隨て最近になりまして、從來の援護方法よりも、更に一層立入つた世話をしなければ相成らぬと痛切に感じまして、目下此の問題に付てそれぞれ立案を致して居ります
南洋諸島から引揚げて參りました沖繩縣人は、現在まで二箇所に收容致して居りますが、浦賀方面の收容所に對しては、一昨日午前私自ら視察を致しました、さうして縣民諸君の代表に對して慰問の言葉を述べ、事務に當つて居ります所員一同に對しても激勵の言葉を與へました、東京に歸つた後、至急各種の援護手段を執るやうに、厚生省當局に指圖を致して置きました、只今漢那君の御話の通り、引揚げて參りました沖繩縣人は、現在浦賀方面に四千何百名に達して居ります、其中健康な者は三割以内でありませう、少くも其の中の三割近くは病人であります、其の殘りは殆ど榮養失調に罹つて居ります、幸ひにして醫者の診療設備は割合に能く行屆いて、數名の醫員が病室に於て手當をするのみならず、毎日醫員が宿舍を巡囘診療致して居ります、併し只今御話の通りに衣料が非常に不行屆であります、毛布は持つて居りますが、着て居るものは現在の寒氣に堪へる程度のものでありませぬ、食糧の方は十分とは申兼ねますが、病人には牛乳の配給も何とか行つて居り、主要食糧の方も私の眼で見て來た所では、何とか行くだらうと云ふ感じを持つて歸りました、浦賀附近の民家が沖繩縣民に對し非常な同情を持ち、浦賀「ドック」會社を初め、地方民が座蒲團を寄附したり、或は野菜を寄附したり、出來るだけのことをして居るやうであります、私としても是等の人々に深く感謝しなければならないと思ひまして、浦賀「ドック」の當事者にも禮を述べて置きました、地方民の親切は稀に見る美しい光景であると感じて歸つた次第であります、この引揚民が携へ歸つた貨幣は皆「フィリピン」の「ペソ」軍票であつて、内地で之を使ふことが出來ませぬから、是等を引上げた後に、内地の貨幣を渡す途はないかと、昨日早速大藏大臣にも相談しましたが、大藏省の方では今直ぐに軍票を圓通貨に換へることは困難な事情があるやうな囘答でありました、差當り今朝戰災援護會の方に通知致しまして、一名に付て百圓づつの金を引揚民に出すことに取計らふやう話して置きました、さう云ふやうな次第でありまして、漢那君の御話の事情は至極尤もで、攻府としましても、今一層突き進んだ救護の手を延べなければならないと思ひます、今後出來るだけのことを致したいと存じて居ります
それから「マッカーサー」司令部との間に、沖繩縣民の疎開者竝に引揚同胞を郷里に歸す問題に付て、今日迄交渉を試みたのでありますが、此の點に付てはまだ先方の同意を取付けるに至つて居りませぬ、併し沖繩縣内の占領軍の整備が次第に出來た曉には、恐らく送還の許可を得られることと思ひます、一日も早く其の許可を取付け得るやうに努力致します
最後に次官會議に於ける次官の發言の中に、不穩當な言葉があつたと云ふ御話でありました、私は其の新聞を讀まなかつた爲に、只今初めて話を伺つたやうな次第であります、本人に聽いて見れば其の邊の事情も判明することと思ひますが、本人が其樣な言葉を使つたと使はないとに拘らず、斯樣な文字が新聞紙に現はれたことは、確かに好ましからぬ影響を與へるものと思ひます、此の席で遺憾の意を表して置きます、御尋ねの點に付て或は漏れた點があるかも知れませぬが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/3
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004・漢那憲和
○漢那委員 根本問題としての授産及び其の指導に付ての御考へは如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/4
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005・芦田均
○芦田國務大臣 授産及び職業指導の問題は、現在我々の當面して居る重要な問題でありまして、例へば復員の軍人に對する授産問題、是は最近復員軍人の作らんとして居つた輔導會なるものが「アメリカ」進駐軍司令部から解散を命ぜられまして、其の機關が解消したのであります、隨て厚生省内に於ける從來の授産機關を擴充しまして、一般失業者も亦復員軍人と同等の立場に於て、授産及び職業教育を受けることになつて居ります、輔導會解散に伴ふ善後處置と一括致しまして、目下厚生省に新しく機關を整備することに努力中であります、隨て沖繩縣民にして疎開したる者、或は南方から引揚げた沖繩縣人にして新しく職を求めんとするものは、やはり此の機關の中に一括致しまして、それぞれの方向に進ましめたいと思ひますが、何分にも是は失業救濟の一環を成して居るもので、現在の状況から見て多數の者に直ちに職を與へることは極めて困難な状態にあります、其の點御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/5
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006・漢那憲和
○漢那委員 只今の御答辯に依つて私は滿足を致して居りますが、尚ほ授産指導に付きましては、集團歸農、それから幸ひに九州方面に疎開致して參りました者の中には、大分漁民が居ります、沿岸漁業を世話してやると云ふやうなことにするならば、非常に效果的であらうと思ふのでありますが、大體一般の授産と云ふと、大抵陸地に於ける職業、或は開拓と云ふことになりますが、沖繩縣の疎開者に對しては、更に漁業方面に發展させる餘地があるやうに思ひます、特に此の點を一つ御考慮願ひたいと思ひます、尚ほ疎開者及び歸還者の救援に關しましては、どうか此の上とも御理解と御同情を以て積極的に又規模を大きくしてやつて戴きたいと云ふことを御願ひ致しまして、厚生大臣に對する質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/6
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007・堀切善次郎
○堀切國務大臣 沖繩縣民の戰爭に際して現はされました非常な數々の忠誠の事實に付きましては、全國民が深く感激して居る所でありまして、只今漢那君の仰せになりましたやうな點に付きまして、我々も出來るだけ沖繩に對して盡したい感じを持つて居るのでありまして、選擧法に付きましてもさう云ふ考へで色々苦心を致したのであります、選擧を執行致すことに付きましては、聯合軍司令部の方と色々折衝を致したのでありますが、選擧を執行すると云ふことに付きましては、聯合軍司令部の方の同意を得られませぬ、又交通も杜絶して居ります現状から致しまして、洵に遺憾ながら已むを得ず此の選擧は勅令を以て決める時まで待つと云ふ建前に致した次第でありまして、若し此の解決が付いて選擧の實施が出來ると云ふやうな時期が參りましたならば、直ちに其の勅令の働きに依りまして選擧を執行することに致したいと考へて居る次第であります、唯其の時期が何時來るか、さう云ふことが可能であるかどうかと云ふことに付きましても、只今の所見透しは全く付かない状態であります、甚だ遺憾でありますが、事實さう云ふ状態になつて居る次第であります、然らば附則に規定を置いて、沖繩縣から代表される代議士に付て特別の考慮を加へたらどうかと云ふ御説に付きましては、場合が二つあると思ひます、普通の任期の滿了に依つて總選擧が行はれる場合でありますれば、議員の任期は四年と選擧法で書いてあることでありますから、此の任期を一部分の代議士の人に付て延ばすと云ふ規定を附則に設けると云ふことは、不可能ではないやうな氣が致しますが、解散の場合は是と違ひまして、解散は憲法の規定に依りまして總ての議員が其の資格を失ふものであると思ひます、隨ひまして解散に拘らず一部の議員が尚ほ存續して居ると云ふことは、憲法上出來ないことではないかと考へて居るのであります
沖繩縣の人口に付きましては、十一月一日現在で人口を調査することが出來ませぬので、十一月一日の推定人口なのであります、此の推定は内閣統計局に於てそれぞれ合理的な根據に基いて三十萬と推定を致した次第でありますが、其の推定の方法に付きまして、尚ほ詳細の事柄は、政府委員の方から説明を致させたいと思ひます、別表で沖繩縣に於ける定員を勅令に委任してはどうかと云ふ御説でありますが、選擧區及び其の選擧區の定員の規定は、選擧法の根本を成す所でありますから、之を勅令に委任すると云ふことは、當を得ないことではないかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/7
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008・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 大臣から御答へ申上げました推定の基礎でございますが、是は内閣統計局に於きまして、昭和十九年二月の人口調査、是が只今御話のございましたやうに、五十九萬餘人でございます、之に對して其の後の減と致しまして、強制引揚とか、或は任意の引揚とか、或は戰死、それから應召、應徴それ等を引きまして、それに其の後の出生と死亡との差引に依る自然増加を見込みまして、斯う云ふ風な三十萬に推定致されて居るやうでございます、尤も今囘の人口調査は、是は從前からの原則でございますが、艦船及び部隊に編入されて居ります、縣民の方は、此の人口の推定に入つて居りませぬ、是は内地も全部同樣でありますから御諒承願ひます、尚ほ御參考に申上げますが、今囘人口の推定を致しましたのは、沖繩縣の外に、鹿兒島縣の大島郡、東京都の小笠原島、北海道の離島竝に千島、樺太の全域、是だけは推定でやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/8
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009・漢那憲和
○漢那委員 私の第一の質問の點でありますが、今内務大臣は、解散に依つて全部の議員が其の資格を失ふ、一部の者に對して更に任期を繼續せしめると云ふことは憲法の違反であると云ふやうに斷言されたやうであります、成程、形式的に唯其の點だけを考へて見たならば或はさう云ふことになるかも知れませぬ、私は專門家ではありませぬから法律の理窟は分りませぬが、解散は兎に角現在の議員全體に及ぶものであるが、それを形式を超越して、第一に先づ主權の抛棄とも見られるやうなことを救ふ爲に、形式でなく、憲法の精神に反しない限り、只今私が申上げたやうな特別の考慮をする餘地はありはせぬか、之を直ちに、憲法違反だと斷定をして匙を投げてしまふべきものではないぢやないか、斯樣に私は考へるのでありますが、此の點に付てもう一應内務大臣の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/9
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010・堀切善次郎
○堀切國務大臣 其の點に付きましては、更に愼重に研究を致して見ます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/10
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011・漢那憲和
○漢那委員 其の點は非常に重大なことで國家に取つても重大なことでありますし、又沖繩縣民に取つても非常に重大なことでありますので、只今愼重に研究をすると言はれましたが、是非どうか私共の希望の達成せられるやうに、一つ御研究を願ひたいと思ひます
それから定員のことでありますが、統計局の調査は勿論是は準據しなければなりますまい、私共の推定とは相當違ふやうでありますけれども、權威の上から統計局の調べたものを採用すると云ふことは仕方のないことではありますが、先程も申上げました通り、今現に縣外に出て居る人々が選擧の行はれる頃には相當數歸つて來る、さうすると此の改正案の別表と云ふのは、全く實際と遊離してしまつて、意味を成さないと云ふことになる、成程選擧區と云ふのは、此の選擧法の骨子ではありますけれども、實際にさう云ふやうな合はない區制を其の儘にしましては、之を裏から見れば實際選擧法の根本であるべき區制が、全く合理性のない杜撰なものになると云ふことになります、是は形式に囚はれずに之を救濟する途があるのでありまするから、今申上げましたやうに、勅令の定むる所に依つて之を規定する、さうすればそれは立派に救へて行ける、私は此の非常時の場合に形式に拘泥しないで、之を超越してやつて貰ひたいと云ふ希望を持つて居ります、此の點に付て内務大臣どう云ふ風に御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/11
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012・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧をやります時までの人口の異動の關係は、外の府縣に於ても程度の差はあるかも知れませぬが、同じやうに考へられるのではないかと思ひます、現在外國に居りまする軍人、或は外地、外國に働いて居りまする人達が合計致しまして、約七百萬人位歸つて來ると豫想されて居りますが、さう云ふ人達が續々歸りつつあります、さう云ふことに依りましても、やはり人口の異動はある譯であります、又一方から考へますと、東京其の他戰災を受けました所で、或は戰災の爲め、或は其の前から疎開して異動をして居る人が非常に多いのでありますが、是等の人が絶えず今でも動きつつあります、さう云ふやうな關係から人口の動きが其の時までに出て來ると云ふことは、外の地方に付てもやはり同じやうなことがあると思ひます、さう云ふ點から致しまして、此の重大な選擧法の根本になります選擧區と其の定員と云ふことを勅令に委任すると云ふことは穩當でないと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/12
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013・漢那憲和
○漢那委員 大臣の仰しやることも依然として私は形式に囚はれて居るのではないかと思ふのであります、人口の異動に付て、外の所にも色々其の例がある、東京、大阪の如き出入りが非常に多いと云ふ御話でありましたが、人口の調査の濟んだ所に付ては、もうそれは議論はありませぬ、沖繩縣は現に人口調査をしなかつたのだから私申上げるのであります
それから尚ほ先程第一問に於て御尋ね申上げました附則に從前の議員を以て充つると云ふやうなことが幸ひにして挿入をされると云ふことになつた場合に、別表の定員と違つて來る、さう云ふ場合にはどうするか、別表を此の儘にして置くと云ふことは、即ち私の申上げました附則を設けると云ふことをもう初めから禁止し、阻止して居ると云ふやうなことになるのであります、此の點から申しましても此の際形式論を超越して、やはり勅令に依られた方が宜くはないか、今一應大臣の御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/13
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014・堀切善次郎
○堀切國務大臣 第一の問題に付きましても、十分愼重に研究を致しますが、やはり是も前に申しましたやうにどうも憲法上難かしいやうに存ぜられるのでありますが、尚ほそれは十分に研究致します、今の別表の問題に付きましても、やはり前に申しました通りの理由に依りまして、どうも之を勅令に委任すると云ふことは穩當ではあるまいと云ふ風に考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/14
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015・漢那憲和
○漢那委員 大臣の御答辯に滿足することは出來ませぬが、又他の機會に私の質問を續けることに致しまして、一應是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/15
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016・清瀬一郎
○清瀬委員長 政府に漢那君の質問に關聯して委員長から伺ひますが、別表の終りに從前は「本表は十年間は之を更正せす」と出て居ります、今度のは之を削つてあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/16
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017・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今委員長から御質問がありましたが、其のことを申上げたいと思ひます、從來は別表は十年間之を更正せずと云ふ規定がありましたが、今度はあの規定を取りました、それは只今の人口が度々申しましたやうに、各府縣とも本當に落付いて居る人口ではないやうに思ひます、疎開或は戰災等の關係で、各府縣に亙つて動きがある、是が又元に還る傾向が幾分あるものと考へます、さう致しますと、此の別表も十年を待たずしてやはり改正せらるべき時期がどうしても來るだらうと考へます、さう云ふやうに考へました結果、從來ありました十年間は之を更正せずと云ふ規定を削除致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/17
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018・清瀬一郎
○清瀬委員長 川島正次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/18
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019・川島正次郎
○川島委員 私は簡單に一、二點御尋ねを致したいのでありますが、此の改正案が通過致しますれば議會が解散になると云ふことは、政府に於ても明白に之を表明致して居るのでありますが、然らば何の理由で解散をするのか、政府は何か選擧の目標として意圖して居るのかと云ふ點に付ても一應の御説明はありました、内務大臣が提案理由の御説明の中に、新議會を一日も速かに建設することが現下國政運營の眼目である、斯う仰しやつて居るし、又委員の質問に對しましても、新事態に即應して民主主義議會を建設するのだ、斯う云ふ御答辯もあるのでありますが、斯うした説明なり答辯は、極めて抽象的でありまして、國民には其の内容が何であるかと云ふことがはつきり分らぬのであります、一體政府は議會を解散して、何を目標にして選擧をやられる積りかと云ふことをはつきりすることが、政府の義務でもありまするし、又國家の爲にも必要なのであります、今日世間の常識になつて居るのでありまするが、東條内閣の選擧は所謂翼贊選擧と稱して、推薦候補者の制度を布き、官製的の代議士であるのであります、現議會は其の官製的代議士の人が多く出て居るのであるからして、それでは民意の代表にならないのだ、そこで之をやり直して、新しい議會を構成するのだと云ふことも、是も一つの考へかも知れない、或は又無所屬倶樂部の人々が最近主張して居りまするやうに、前選擧は推薦たると非推薦たるとを問はず、兎に角戰爭完遂を目的にして出て來た代議士である、終戰に依つて此の目的が失はれたのであるからして、一切此處で代議士は更新をして新たなる主義政策に依つて出て來た人で以て新議會を構成すべきものであると云ふのも、是も一つの目標になりませう、或は現選擧法は是は極めて時代に即應しないんだ、そこで選擧法を改正して、新たなる選擧法に依つて新議會を構成することが必要なんだと云ふのも一つの議論である、併し其の中で、或はそれ以外に、政府は一體何を意圖して今度の議會に臨むのであるか、之をはつきりすることが選擧の結果にも大きな影響がある、又政府が今日考へて居る公民教育、政治教育と云ふ啓蒙運動をする點に於ても、此の點がはつきりしなければ啓蒙運動に携はる人も迷ひが生ずると思ふ、私は此の點に付て政府の明確な意思を御發表になつて、國民をして政府の考へをはつきり把握させるやうにして貰ひたい、斯う云ふことを御質問申上げたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/19
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020・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧の目的は只今の國民の自由に發露せられたる意思を其の儘に之を議會に映すと云ふことにあると存じます、從來或は推薦選擧とよく言はれます多少自由を束縛したかの感じがありましたやうな選擧に依つての議會でなく、本當に自由な國民の全く自由な判斷に依つて作り上げられる其の新議會の形成と云ふことを目標にして居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/20
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021・川島正次郎
○川島委員 國民の自由意思に依る議會の形成を目標にして議會を解散するんだ、斯う云ふ御説明でありますが、さうすると今日の議會は決して國民の自由意思を反映して居ないのだ、言換へれば、現議會では此の新事態に即應して國政審議の資格がないのだ、斯う云ふ結論になるやうに考へるのですが、さう云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/21
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022・堀切善次郎
○堀切國務大臣 決してさう云ふ風には考へて居りませぬ、私が國は御承知のやうに、終戰に依りまして非常な轉換を致して居ります、敗戰に伴ひまして平和的な民主主義的な國家を建設して行かなければならない譯でありますから、此の全く變りました新事態に即しまして、之に即した國民の自由な判斷に依つての議會を作つて行くことが必要だと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/22
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023・川島正次郎
○川島委員 私は無論選擧法の改正の必要を認めて居りまするし、又一日も速かに議會を解散して新議會を構成することの必要も痛感は致して居るのであります、併し此の選擧なるものに付ては、何が一體目標かと云ふことをはつきりすることが、議會を解散するに付ても、新議會を形成するに付ても必要である、唯國民の自由意思に基いた議會を形成するだけであつては、それでは選擧の目標にもならなければ又解散の理由にもならない、今の内務大臣の言葉をもつと露骨に解釋すれば、要するに現議員の大多數と云ふものは推薦選擧で出て來たんだ、さうして推薦選擧と云ふものは多分に選擧干渉をされた、多分に官製的の意味が含まれた代議士であるから、それでは自由の選擧でなかつたのだ、之をやり直して本當に自由公正な選擧をやらせるんだ、斯うはつきり仰しやれば、それも一つの目標なんです、何かそこにはつきり其のことを仰しやつて選擧の目標と云ふものを國民に掴ませたら如何ですか、是は選擧に關しては非常に大きな影響を生ずるのです、何を一體政府が意圖して議會を解散したのか、何を目標にして選擧に臨むのかと云ふことは、非常に重大な影響を及ぼすものでありまして、是は有耶無耶に過すことが出來ないと考へるのですが、はつきり遠慮なく仰しやつたらどうですか、何も是は現議員に遠慮することはありませぬよ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/23
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024・堀切善次郎
○堀切國務大臣 政府と議會と意見を異に致しまして、それで解散になると云ふやうなことでありますれば、選擧の目標は極めて明瞭になると思ひます、併し只今はさう云ふ風な國情ではありませぬですから、其の時に現はれますやうに明瞭な形に於て目標が現はれる譯ではないと思ひますが、併し今度の選擧は我が國の事態が根本的に變つた譯であります、此の根本的に變りました新事態に即應致しましての今の國民がどう云ふ風に考へて居るか、其の國民の自由な意思に依つて議會が形造らるべきだと云ふ所が目標になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/24
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025・川島正次郎
○川島委員 其の點はそれで私は宜しうございます、今度の改正案は非常な重大な改正でありまして、選擧權の擴張、選擧區の異動、選擧運動の解放などと云ふ劃期的な改正案なんですが、私はここで以て政府が、殊に中間内閣であり、選擧内閣と言はれて居る内閣の改正案としては洩らした點があるではないか、それは何かと言ふと、選擧干渉に對する改正がなかつたと云ふことである、日本は明治二十三年に議會が開かれたのですが、明治二十五年には早くも選擧干渉が始まつて、品川内務大臣、白根内務次官の下に於て大干渉があり、爾來今日まで幾多の選擧が行はれたのですが、何れも選擧干渉をしないことはない、言換へれば、日本の選擧の歴史は選擧干渉の歴史であります、日本國民の事大思想と、之を利用した官憲の干渉壓迫とに依つて、極く稀な例を除くの外は、必ず政府黨の有利な選擧が行はれて居る、今後政黨内閣が出來まして屡屡選擧が繰返されるでありませうけれども、再び往年のやうな選擧干渉がないと誰が言へるか、殊に此の前の東條内閣の選擧の如きは、實に亂暴極まる選擧干渉をしたことは、天下周知の事實である、苟くも選擧法を改正なさるならば、將來再び選擧干渉が出來ないやうな改正法規を御作りになる必要があつたのではないか、さう云ふ御考へはなかつたのか、あつたのか、若しあつたとするならば、何故之を今度提案にならなかつたかと云ふことを御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/25
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026・堀切善次郎
○堀切國務大臣 是まで選擧に際しまして干渉の洵に忌はしい先例の度々ありましたことに付ては、我々も實に遺憾至極に存じて居る次第であります、唯之を防ぐに付てどう云ふ風な立法をするのが宜いか、其の方法に付ても色色是はむづかしいことだと思ひます、大體此の度の選擧法は新事態に即應致しまして必要だと思はれる根本的の問題を中心に致しまして、選擧法全般に亙つての色々問題のあります點に付ては、之を次の機會に讓つた次第であります、選擧干渉を防ぐに付きまして、非常に何か良い方法があれば、無論之を採つた譯なのでありますが、そこまで十分研究を盡す暇がありませぬので、此の點に付ては現行法の通りで出した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/26
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027・川島正次郎
○川島委員 今度の改正案は差當つて必要なものだけを改正して、何れ詳細のことは次の研究に讓るのだ、時間もなかつたからして斯うしたのだと云ふことは、提案の説明にもあつたのでありますが、一體新しい事態が出て來た、憲法改正の結果だと云ふので更に選擧法の改正を企てるならば、それは別でありますけれども、兎に角茲に改正案を出す以上は、萬全のものを御出しにならなければならぬと思ふ、根本方針である選擧權の擴張であるとか、大選擧區制度であるとか云ふやうなことを計畫なさるなら、後のことはさう多くの日子を費さなくても改正案の成文が出來る筈なんであります、苟くも議會に提案なさるのに、不滿足だけれどもまあ一應是だと云ふやうなことは、あり得べからざることであつて、御出しになるならば全體に亙つて政府が萬全と考へる改正案を御出しになることが必要ではなかつたかと思ふのであります、其の點は甚だ遺憾であります、それはそれとして、一體選擧干渉に付て何か良い案があるか、斯う云ふ御話でありますけれども、一體選擧干渉はどう云ふ點に干渉するのかと云ふことを研究なさつて、それから出發して改正案を御作りになれば宜い、一體どう云ふ風な干渉をするかと云ふことは、私よりも内務省の干渉に關係したお役人の方が精しいかも知れませぬけれども、選擧干渉の一番重大なことは、愈愈選擧が始まつて白兵戰に入つてからの干渉ぢやないのです、候補者を擁立する時の干渉が一番ひどい、お互ひ政黨があつて、其の政黨が候補者を立てる、さうして大體候補者の顏觸れが決まつた時に、もう選擧の結果と云ふものは過半分る、有力なる候補者を餘計立てた方が勝つに決まつて居る、從來の政府黨は此の時に極端なる干渉壓迫をして、味方の有力なる候補者を出すことには、政府が總動員をして働き掛ける、一方反對黨候補者で有力な者は、凡ゆる干渉壓迫をして之を引込ませる、所が現行法を見ても之を取締る規定は何處にもありませぬ、例へば前囘の東條内閣の選擧で云つても幾多の例があるのですが、極めて近縣の例を取るならば、千葉縣にもあつた、或る候補者が立たうと思ふと、警察部長がそれを呼付けて、君が立てば事前運動で引掛かるぞと言はれたので、閉口して立候補を止めた、埼玉縣に於てもやはり警察部長が知事の命を含んで立候補しようと思ふ人を呼付けて、若し君が立てば事前運動があるのだから引張るぞと威かして立候補を止めさした、こんな例がざらにある、其の他さうした地方官憲の露骨な干渉に、政府としては或は大藏省系統を通じて、金融機關を使つて立候補を差止めるとか、或は鉄道通信みたいな現業官廳を使つて、それに關係ある人の立候補を差止めるとか、或は立候補を慫慂する、或は商工省、農林省方面の役人を使つて産業方面の人に同じやうな働きをする、是が選擧界を攪亂する重大な原因になつて居る、選擧法百十三條に候補者に立つのを阻止するやうなことに付ては罰則があります、併しそれは利益を提供してやつた場合に於ては罰則があるのであつて、官權を濫用してやつた場合には何等の罰則が入つて居ない、先づ之に付て一應考慮する必要があるのではないか、立候補者擁立戰時代に於て戰擧干渉することは阻止すべき何等かの措置を執る必要があるのではないか、續いて愈愈戰擧に入つてから、所謂世間で言ふ選擧干渉が行はれる、之に付ては選擧法第百十六條に一應の規定はある、何と規定してあるかと云へば、警察官が選擧事務所に入つたり、尾行してはいかぬと云ふだけの話である、所が此の規定に觸れるやうな選擧干渉をやることはない、行政執行法なんと云ふものはあつてもなくても、そんなことはお構ひなしで、愈愈選擧が間近くなつて來ますと、反對黨の候補者の有力なる運動員と云ふものを、何れも警察へ呼出す、呼出して何をするかと云ふと何も用はない、唯選擧の状況はどうだとかなんとか世間話をして、所謂罐詰をやつて歸してやる、それを盛んに繰返へす、前囘の東條内閣の總選擧の如きは、非推薦の候補者と云ふものは、どの候補者も數百人の人が皆斯う云ふ目に遭つて居る、それで非推薦候補者は枕を竝べて討死したのでありますけれども、今の選擧法第百十六條では適用がないやうな意味の選擧干渉を幾らでもやつて居ます、それから又内務省としては選擧となれば地方に候補者の勢力状況の報告を命ずるとか、得票豫想の報告を命ずるとか、選擧情勢を詳しく報告を取ると云ふやうなことをする、是等は皆選擧干渉の材料になる、何の必要があつて公平な立場にあるべき内務省が選擧情報を取るのか、得票豫想を取るのか、こんなことははつきり法律で禁止して、選擧法の中に得票豫想を取つてはいかぬ、選擧情報を求めてはいかないのだ、候補者の勢力状況の報告をさせてはいかぬと云ふことをはつきり明記して置かぬと、將來政黨内閣が出來て、我が黨を多數にしようと思へば、必ず時の内務大臣、警保局長は之をやります、斯う云ふことをはつきり法律で決めてはどうかと云ふことを考へて居ります、第一段として候補者擁立競爭時代の取締をどうするか、愈愈白兵戰になつてから、現在の百十六條では不足であるから、もつと突込んだ體制を整へる意思がないか、斯う云ふことを一つ御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/27
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028・堀切善次郎
○堀切國務大臣 今度の選擧に付ては、さう云ふやうなことは絶對にしないやうに、させないやうに十分の力を盡す考へを持つて居りますが、此の法律を改正するかどうかと云ふ點に付きましては、色々御指摘の點に付きましては、十分能く今後の問題として研究致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/28
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029・川島正次郎
○川島委員 此の内閣は幣原總理も、又堀切内務大臣も極めて公平な選擧をやらうと云ふ御考へであることは私は知つて居りますから、此の内閣に對してどうと云ふことはない、併しさう云ふことは今の内閣こそ計畫をして立案すべきだ、政黨内閣が出來て是が出來るかと云ふと心配です、政黨内閣では斯う云ふ立案は出來ない、今の選擧内閣、最後の官僚内閣だと云ふあなたの手に依つて選擧干渉防止の改正案を出すことが適當でないかと思ふ、例へば今の得票豫想を取つてはいかぬとか、選擧情勢の報告をさせてはいかぬとか云ふやうなことは、政黨内閣ではそんなことは出來ませぬ、あなたならさう云ふことが出來る、斯う云ふことを法律の中に書いて置くことが必要だと、斯う考へて居る譯です、それから今の百十六條の規定では不十分であつて、選擧中は檢事の令状のあるもの、若しくは現行犯以外のものは一切合財警察署に召喚することが出來ないと云ふ位の規定を書いて置きませぬければ、是は又必ずやります、併し之を今直ぐ修正しろと言つても出來ないことでありますから、私はさう云ふ希望のあることをはつきり此處で申上げて置いて、次の修正の機會に之を取上げて貰ひたい、もう一つ政府に御尋ねしたいことは、選擧干渉の一つの方法として啓蒙運動を從來したことがある、例へば前囘の東條内閣の選擧の例で言ふと、全國の地方長官其の他地方の役員を動員致して、今の議會は駄目なんだ、今度新しく政府では翼贊選擧をやつて、推薦母體を作つて推薦候補と云ふものを出してある、之を出すことが戰爭に勝つ唯一の方法である、推薦議員を餘計出すことが、推薦議員に依つて新議會を形成することが國家の爲めであつて、非推薦候補者の如きは是は國賊に等しいものである、逆臣だと云ふ位の意味のことを全國に皆やらした、是が非常に效いて、非推薦の議員は多數落選したのでありまするけれども、何時の場合に於ても此の啓蒙運動と云ふことは選擧干渉の道具に使はれる、そこで新聞で見ますと、此の内閣も啓蒙運動をやると云ふことでありまするけれども、第一棄權防止なんと云ふことは、政府が一々手を出してやる必要はない、新しく選擧權が擴張されて年齡も低下した、婦人にも選擧權を與へる、そこで政府が心配をして成べくさう云ふ人に棄權のないやうに、棄權防止の運動をするのだと云ふことなのでありませうけれども、全然政治意識のない、選擧に何等の熱意もない人を無理に選擧場に引張つて來て何になるのか、結局は因縁情實の投票以上に何ものもありませぬ、是は國民の思ふ通りにして置けばそれで宜い、選擧權を與へた、併し投票しない者はそれは其の人の政治能力がないのだからして投票しなくても仕方がない、無理に引張り出すのは何の爲に必要なのか、而も棄權防止運動とか啓蒙運動と云ふものは、動ともすると選擧干渉の材料に惡用される、言論が自由になつて明朗闊達な選擧演説が各地に展開されさへすれば、それで國民の選擧意識と云ふものは昂揚される、それに任して置けば宜いのであつて、殊更政府が公民教育とか政治教育と云ふ名の下に啓蒙運動をする、棄權防止の運動をすると云ふことは、是れこそ役人の思ひ上つた考へだ、そんなことは成功するものではないのです、所謂下から盛上つた考へでなければ、立憲政治と云ふものはいかぬのであつて、選擧法改正の機會に、さうしたことをすると云ふことは、私は非常に詰らぬことだと思ふ、而も新聞で發表したものを見ますると、社會教育の團體などで政治教育を行ひまするものに付ては助成金まで交付すると云ふことを言つて居るのでありますけれども、一體政府は今日計畫なさつて居る政治の啓蒙運動に於て、何を國民に呼掛けようとして居るのでありますか、文部大臣がおいでになれば聽きたいと思つたのですけれども、御出席がありませぬから、内務大臣に政府としての意向を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/29
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030・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 只今御話の啓蒙運動でございまするが、此の問題に付きましては文部省、情報局、内務省と打合せまして是が實行を致す積りでございます、大體の方法と致しましては、男女有權者、特に新選擧權者になりまする者に對して、政治教育の徹底を期する、其の實施に當りましては、民間團體の有識者でございますとか、或は學校教職員或は報道、言論機關等を慫慂致しまして、適當に援助を與へると云ふ見込でございます、其の運動の趣旨でございますが、是は選擧法の趣旨を闡明すると云ふことが一つの眼目でございます
次に正しい政治教育を實施すると云ふことが又一つの眼目でございます、併せて婦人竝に年齡を低下致しました新選擧權者に對しまして、啓蒙運動を實施すると云ふことを眼目として居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/30
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031・川島正次郎
○川島委員 それは一體何の必要があつてさう云ふことをなさるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/31
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032・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 一つの理由と致しましては、新事態に即應する選擧でございまして、新しい事態に即した選擧だと云ふことの趣旨を徹底すると云ふことが一つございますのと、何さま度々本委員會でも御話ございました通り、多數の新しい有權者が殖えまして、殊に婦人でございますとか、或は年齡二十歳乃至二十五歳の者に付きましては、能く選擧法の趣旨の徹底なり、或は政治教育を致しますることが、選擧を最も事態に即するやうに行はれる所以だらうと思ひまして、斯う云ふ風な方法を執るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/32
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033・川島正次郎
○川島委員 今日では新聞が非常に發達して居るし、「ラジオ」がありまして、選擧法改正の意味の如きは、十分に國民に徹底して居る筈です、殊に選擧意識の昂揚と云ふことは、役人の啓蒙運動ではいけない、是は先程申上げたやうに、全國多數の候補者が立つて、其の候補者が自由闊達な政治議論をすれば、それで政治意識が昂揚して來る、それに任して置けば宜いのだ、自然に是が盛んになつて來れば棄權者も自然少なくなつて來る、無理に投票させるのでなくして、盛んに演説會が行はれるやうになつて來れば自然に宜くなつて來る、それに任して置けば宜い、議員候補者のお互ひの切瑳琢磨に任して置けば宜いのであつて、役人が公民教育、政治教育をすると云ふことは、少し間違つた考へではないか、而も是が動ともすると選擧干渉にどうしても利用される、例へば中央ではさう云ふ考へはなくても、末端に行つて實際町村に入つたら啓蒙運動で何を言ふか、現議員は出るな、斯う云ふ運動をしないと誰が保證出來るか、從來の議員は全部止して新しい議員に投票しろと言ふ者もあるでせう、さうなれば直ぐ選擧干渉になる、さう云ふ危險なことをさせないで野放しにしたらどうか、一體國民の公民教育、政治教育をやると云ふことは、國民を愚にして居る考へである、役人の思ひ上つた考へである、是は考へ直す餘地はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/33
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034・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御話の通り、斯う云ふ國民運動が往々選擧干渉に時には惡用されることがございますので、其の點は十分政府としましても考究致したのでございまするが、現在の段階に於きまして殊に先程申しました通り、新有權者が多數増加致します時に、やはり若干の政治教育を致すことが至當だと云ふ結論に達したのであります、尚ほ此の運動に付きましては、主として民間の有識者であるとか、民間團體に慫慂致しまして、之に御願ひする建前を執つて居りまして、官廳が自ら此の運動を致すことは、成べく避けたい方針であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/34
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035・川島正次郎
○川島委員 それが大體考へ違ひなんです、是は戰爭中あつたのですが、一億敢鬪運動、總蹶起運動をやつた、下から盛上る力だと云ふが、實は皆んな官製運動なんです、あなたがさう仰しやつても、中央から方針を示してやるのですから、手足に使ふのは民間人でせう、學校の先生かも知れませぬけれども、斯う云ふ方針で啓蒙運動をやるのだと云へば、官製運動なんですから、さう云ふ考へ方は違ふと思ふ、それは宜いとして公民啓蒙運動をやるとしても、餘程注意しておやりにならないと、とんでもないことになる、詰り選擧干渉には三つある、其の一つは候補者を擁立する時の政府の干渉、それから愈愈選擧が白兵戰になつてからの地方の警察官の干渉と、啓蒙運動に依る干渉、此の三つで選擧干渉が完成する、さう云ふ虞があるから、此の公民啓蒙運動をやると云ふことは御止めになつたらどうかと云ふことを、選擧干渉の見地から申上げて居るのです、此の間も選擧干渉が一番問題になつた鹿兒島縣は結局選擧をやり直した、鹿兒島縣の選擧干渉を見ると、一つも選擧違反を出して居りませぬ、一切合財啓蒙運動で成功した、是は私が説明しなくても分つて居る、完全なる啓蒙運動をやつて、候補者の方はすつかり受持區域を決めて、投票の配分を決めた、候補者の投票の配分の仕方が成功したのは啓蒙運動であの選擧が出來て、ああ云ふ選擧になつたのであつて啓蒙運動と云ふものも選擧干渉の有力なる材料になる、勿論此の内閣が斯う云ふ例を拵へて斯う云ふ選擧をやると云ふのではないが、次の内閣が何等かの法律を設けて啓蒙運動を選擧干渉に利用される虞があるから、さう云ふ虞のあるものは、此の際すつぱりと思ひ切つたらどうか、之を此の内閣が選擧干渉の材料に使ふと言ふのではないが、今後政黨内閣になつて、屡屡選擧干渉が繰返される虞がありますから、此の内閣に於て一切選擧干渉の端を開くやうなことはやらない、斯う云ふ方針の下になさることが、此の内閣の一つの使命ではないか、私は是は御質問旁旁意見を述べた譯ですが、何か内務大臣は之に付て御考へはありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/35
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036・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の度やります啓蒙運動に付きましては、御趣旨の點を能く氣を付けまして、選擧干渉等の誤解を招くことの絶對にないやうに、十分氣を付けてやりたいと思ひます、此の度の選擧に付きましては、今段々と御話になりましたやうな、色々な選擧干渉の方法に付きましては、是は絶對にやらさない積りで居ります、先程御話のありました選擧情勢の報告とか、或は當落の見込とか云ふやうな報告は、是は絶對に取らず、又さう云ふことをさせない積りで居りまして、十分氣を付ける積りで居りますが、今後に對しましてのやり方として、今非常に有益な色々の點に付て御話がありました、十分今後の立法の參考に致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/36
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037・清瀬一郎
○清瀬委員長 木下君が選擧干渉問題に牽聯して質問致したいと云ふことでありますから、此の際之を許します――木下君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/37
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038・木下義介
○木下(義)委員 川島委員から選擧取締に付ての御質問でありましたので、それに關聯した點だけを此の際御尋ね致したいと思ひます、選擧取締の任に當りますのは、申すまでもなく警察官であります、從來の日本の警察官の中で、思想の方面其の他警察事務萬般から經驗の有無などを判定しまして、最も優秀なる警察官は特高、外事、情報の係員であつたと思ひます、此の係員が十月四日現在に於きまして、聯合國司令部の指示に依り、警察部長以下全面的に罷免の状態に陷つたと云ふことであります、それに關聯して、私共が非常に憂慮しますのは、最も選擧取締などの中樞たるべき全國の有數な警察官が、現在警察界から疎外されて居る状態にあります、隨て來る總選擧に當りましての選擧取締法規の徹底に付きましては、格段の御留意を致さなければならないと考へまするが、此の方面に對しての格段の御考慮が、具體的に如何に拂はれて居るかと云ふ點が第一點でります
次に警察部長以下、聯合軍總司令部の指示に依つて罷免せられた者の状況を考へますると、偶偶十月四日の數日前に警察界から轉任になつた者は罷免を免れ、逆に罷免の係りの方に居りました者は罷免の運命に陷つて居ります、當時新聞紙は特定の各人に付て、經歴其の他を調査して、差支へない者は警察界に殘すと云ふ報道が傳へられましたので、内務省としても此の點に付ては格段の御配慮の結果であらうと、私は非常に喜んで居りましたが、結果は全面的罷免と相成りまして、我が國警察界の爲に、極めて甚大なる打撃を及ぼして居ると思うて居ります、此の間の消息を御洩らしが出來れば、此の際御洩らしが願ひたいと云ふのが第二點であります
第三點は罷免せられました警察官に對する取扱であります、將來の生活保障としては、出來得る限り適當な職を斡旋致されて居ることも聞いて居りますが、罷免當時に於て極めて稀薄なる退職金を支給せられて居るに止まつて居ります、私共の常識的に考へまする所では、ああ云ふ際には、丁度好い例と致しましては復員の軍人がありますので、少くとも復員軍人に對して陸海軍が支給せられました程度は、支給せられることを豫期して居りましたけれども、それよりも遙かに少い支給しか受けて居ないのが全國の實情ではないかと考へます、之に付きましては、内務省としては全國的に御考慮に相成つて然るべきでありますが、此の點に付ての御取扱を伺ひたい
次には現在の警察官の服裝と待遇の問題であります、服裝は極めて舊式の服裝でありまして、新時代の警察官として不適當と私共は考へて居ります、例へば殆ど無用に近い刀を帶びさせて居ること、竝に帽子や肩章、腕章の如きも、根本的の改革を加へる必要があると思ひます、同時に服地の如きも、もつと優良なものを支給されて然るべきと思ひますが、是等に付ての新時代に即すべき御考案があるか否か、次に待遇の問題であります、屡屡委員會などに於て論ぜられましたやうに、警察官が現實に支給せられまする俸給に依つては生活が出來ない爲に、所謂役得をして居る點が多分に論ぜられて居りますが、現實の薄給を以ては、實に氣の毒に堪へませぬ、此の點に付ては衣食足つて禮節を知るで、警察官としての生活に支障のない程度の待遇は優先的に實現せられなければならないと思ひますが、是等に付ての御所見如何、大體公平な選擧取締をやられます爲には、以上のやうな諸案件に付ての格段の御考慮を拂はれる必要があると思ひますから、特に此の際御尋ねを致したいと思ふ譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/38
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039・堀切善次郎
○堀切國務大臣 先頃聯合軍司令部の方からの指令に依りまして、從來の特高、外事等の關係の警察官が、皆一齊に罷免になりました、洵に殘念でありましたが、已むを得ない次第であります、從來此の方に從事して居りました警察官は、比較的優秀な警察官であつたやうであります、併し是は其の罷免されました警察官の從事して居りました仕事が、全部警察の範圍内からなくなりましたので、其のあとの方には別に支障は來して居りませぬ、例へば情報とか政治方面とか、色々な政治上の情報を集めるとか云ふことに働いて居りましたのも、警察はさう云ふことを致しませぬから、別に支障は來して居ない次第であります、あの罷免の命令が前内閣の時に參りまして、色々前内閣時代からも、それに付て向ふに對して交渉を致したやうでありますし、私になりましてからも、交渉を致しました、私も向ふの參謀長に會ひまして、色々話を致したのでありますが、遂に是は功を奏しませぬでした、理窟から言ひますれば、御話のやうに、つい數日前に警察部長になつた、特高課長になつた、或は特高課に轉勤したと云ふ者も、一齊罷免の命令を受けて居るのでありまして、合理的ではない譯であります、向ふの方はやはり組織を潰さなくてはならないのだと云ふ建前のやうでありまして、或は下級の者を何とか助ける工夫はないか、又こちらの方に轉勤して間もない、殆ど警察に關係しなかつた人に對して、何か特別に考へる方法はないかと云ふやうなことに付て、色々折衝致しましたが、是は遂に遺憾ながら效果を奏しませぬで、一齊罷免と云ふことになつた次第であります、是等の人々は洵に氣の毒であります、是は向ふの方と交渉致しまして、大體に於て警察の關係でない方に迭るのは差支へないと云ふ諒解を取極めまして、それに依つて其の後出來るだけ、是等の人々に對しての轉職の世話等も致して來た次第であります、復員の軍人と同じに行かなかつた點があるかも知れませぬが、是等の點に付きましては、色々非常に複雜した難かしい關係があるやうに存じて居ります、こちらと致しましては、差支へない限り出來るだけ本人の有利に取扱つて行くやうにして欲しいと思つて居たのでありますが、是は御承知のやうに、各府縣にそれぞれ分れて居りますので、各府縣の取扱が必ずしも一定して居りませぬ、又其の罷免警察官に對してのやり方は、やはり聯合軍の司令部の方でも、色々な意見を持つて居りますので、それ等を睨み合せて今尚ほ研究を續けて居る譯でありますが、出來るだけ皆の困らないやうにしてやりたいものと、苦心をして居る次第であります
それから服裝の問題に付きましては、警察官の服裝は考へて宜いことだと思ひますが、何に致しましても、是は非常に資材の要る問題でありますから、良い案が出來ましても、當分實行不可能のやうな状態であります、それ等の點と睨み合せまして、こちらの方の研究は斷えず進めて居る次第であります、待遇に付きましても、警察官の待遇を改善すると云ふことは、今日の状態に於きまして、是は極めて急務だと思ひまして、此の方の研究も急いで進めて居たのでありますが、一般官吏との關係をも睨み合せまして、一日も速かに之を實行に移したいと考へて、今其の準備を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/39
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040・木下義介
○木下(義)委員 只今の御答辯の中で、特高、外事、情報の組織を廢止する、其の爲に自然的に係員が罷免せられることになつたと云ふやうな意味に了承しましたが、私の質問致したいと思ひますのは、勿論組織の廢止の當然であることは前提と致しまして、折角多年警察官としての經驗を持ち、素質に於て優秀なる警察官でありまするので、それを他の警察の方に振向けるやうに、個人的の經歴長所を勘案されまして、格段の御取扱は出來たのではないか、斯う云ふ意味の御質問を致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/40
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041・堀切善次郎
○堀切國務大臣 それ等に付ては、十分向ふの聯合軍司令部とも折衝を致しましたが、向ふは絶對にそれを認めませぬ、已むを得なかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/41
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042・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは之を以て休憩に入ります、午後は正一時より開會致します
午前十一時五十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/42
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043・会議録情報2
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午後一時三十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/43
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044・原玉重
○原委員長代理 それでは午前中に引續き衆議院議員選擧法中改正法律案外一件の委員會を開會します――菊地君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/44
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045・菊地養之輔
○菊地委員 私は第一に國民投票に付て政府はどう云ふ考へを持つて居るかと云ふことを聽きたいのであります、選擧が民主化されなければならない、其の爲に此の法案が出されたことは言ふまでもありませぬ、併しながら何處までも議會制度と云ふものは、直接國民が政治に當るのではなくして、政治を擔當する人を選ぶ制度だけである、本當の意味の政治の民主化は國民自體が政治の衝に當らなければならない、併しながら其のことは言ふべくして行へないから、議會制度と云ふものが出來上つたと信ずるのであります、併しながら議會制度其のものでは、本當に國民の意思を問へない場合が相當數あると思ふのであります、例へば此の選擧法を見ましても、制限連記制を採つて居ります爲に、或は有權者の三〇%乃至五〇%は議會に反映しない死票として終ることが多いと思ふのであります、當選しない議員に投票した有權者の票は死んだ投票になつて、其の人々の意思は議會の上に現はれて來ない、斯う云ふ場合を補填する方法として、國民全體に或る重要な問題に對して、直接國民投票を行はしむると云ふことが必要でないかと思ふのであります、最近の情勢から見ましても、單に議會に意思を問ふだけではなくして、直接國民の投票に依つて此の問題を解決するのが正しいと思はれることが出て來ると思ふのであります、或は又聯合國の要求に依つてさうせねばならぬやうな事態が起るかも知れませぬ、政府はさう云ふ場合に對する研究と準備をして居るか、斯う云ふ點を先づ御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/45
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046・堀切善次郎
○堀切國務大臣 人民の直接投票に關することに付きましては、只今までの所まだ其の必要を認めませぬで、選擧法に依つて議會を形成して、それに民意を問ふと云ふ形になつて居りますが、今後の情勢に依りまして、或はさう云ふやうなことの必要が起つて來ないとも限りませぬ、若しさう云ふやうな場合が起つて來ました場合には、之に應ずる用意は十分に持つて居る積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/46
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047・菊地養之輔
○菊地委員 國民の直接投票に付て用意を持つて居ると云ふことでありますが、それだけでは甚だ物足らない、終戰以後の今日の時代は、文字通り革命期にあります、どんな事態が何時勃發するか分らない、どんな要求が聯合國側から來るか分らない、或は近き將來に於て天皇制の問題に付て國民一般が天皇制を支持すると云ふことを國民投票に依つて裏付けることが必要な時代が來るであらうと私は信ずる、さう云ふ差迫つた問題が今日あるにも拘らず、來たならばそれに對處すると云ふ位の生温い考へでは、斷じてならないと思ふのであります、進んで國民投票に對する準備を今日に完備して置いて、いつ何時國内の要求に基き、或は聯合國側の要求があつた場合には、直ちに之に應ずる對策がなければならぬ、從來の政府のやり方は、事が起れば、要求があれば、之に追隨すると云ふ形であつた、進んで民意を一般國民の投票に問ふと云ふ考へのなかつたことを私は遺憾に思ふ、之に先手を打つて貰ひたい、其の爲に是非とも國民直接の投票に付て十分なる理解と準備をせられんことを私は希望して置きたいのであります
次に婦人の參政權の問題に付て一言したい、昨日からの質問應答を聽いて居りますと、私は内務大臣に斯う云ふ不躾な質問をしたいのであります、今囘の改正選擧法に依る所の婦人に對する選擧權の附與は、一體婦人の基本的な人權を尊重する爲に附與したのであるか、それとも聯合國の意圖を推察して已むを得ず附與するに至つたのであるか、斯う云ふことを聽きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/47
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048・堀切善次郎
○堀切國務大臣 婦人に參政權を附與しましたのは、今日の我が國の現状に於きまして、又婦人の今日の實情に於きまして、選擧權を附與することが最も適當なりと考へて、斯う云ふ風に致した次第であります、是が又聯合國司令部の意向とも合致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/48
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049・菊地養之輔
○菊地委員 私の聽きたいのは、現在の要求上必要であると思ふからと云ふのでなく、婦人に參政權を認める所の基本的のものは何か、所謂人格主義に基くものであるか、單なる要請にだけ基くものであるか、婦人の人權の尊重の爲に此の制度を設けたかどうかと云ふことを聽きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/49
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050・堀切善次郎
○堀切國務大臣 婦人に對しましての是までの政治上の不平等の地位から婦人を解放致しまして、政治上の發言權を婦人に與へ、婦人の家庭上の地位、社會上の地位を高め、さうして婦人をして其の本質に應じ其の能に應じて、其の力を十分に發揮させると云ふ所から來て居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/50
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051・菊地養之輔
○菊地委員 然らば單に政治上の婦人の地位向上の爲で、法理上、社會上の點に對しては内務大臣は考慮して居ないかどうかと云ふことを御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/51
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052・堀切善次郎
○堀切國務大臣 今の御質問は一寸はつきり聽取れませぬでしたが、法律上、民法上或は刑法上のことに付ての御質疑であつたと思ひます、此の點に付きましては、昨日此の委員會の席上、私からも御答へ申上げ、司法大臣からも御話があつた譯でありますが、只今の所は民法上刑法上のことに付ては、是が改正を企てて居りませぬが、司法省の方に於て、今民法刑法等の全般に亙つて改正の審議を進めて居られるやうであります、そこで十分に審議を盡されることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/52
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053・菊地養之輔
○菊地委員 昨日司法大臣と大川君との問答を聽いたのでありますが、それに依りますと、妻が立候補するには夫の同意を受けなくても宜しい、併しながら選擧費用の調達、或は選擧費用の寄附の申込、斯う云ふ問題に對しては、民法の規定に依つて當然夫の同意を得なければ許されぬ、或は三箇月の登院の爲に東京に駐在することは、或は妻の同居の義務違反となる虞がないでもないと云ふやうに解釋をされたのであります、斯う云ふ解釋を採つて行きまするならば、選擧法に於ては婦人の立候補の權限を與へた、選擧權を與へた、併しながら婦人は此の種の民法上の制約に基いて立候補は不可能だと思ふのであります、形式上に選擧權は與へて置きながら、民法其の他に於て立候補が不可能と云ふならば何等の意味はない、此の點に關して政府はどう考へるか、御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/53
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054・堀切善次郎
○堀切國務大臣 婦人の立候補の方は此の法律を改正致しましても、さう非常に盛んに立候補者が出て來るとは考へて居りませぬ、是は今日の實情に於きまして、候補者も非常に少いことと思ひますし、又只今の模樣に依りましては、隨て女代議士が出來て當選して來る人も餘り數が多くないことは、極めて明瞭だと思ひます、此の改正選擧法が施行されましてから數年或は十數年を經ました時には、幾らか出て來るかと思はれますが、當分の間は出て來た所で少數なことだらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/54
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055・菊地養之輔
○菊地委員 出て來る數が多いとか少いとか云ふ問題でなくして、婦人の政治上の參與を必要とする、婦人の人權を尊重する爲に此の制度を設けたのならば、完全に出られるやうにしなければならぬ、出て來る數が多いとか少いとか云ふやうな考へ方では斷じていかぬと思ふのであります、民法上や刑法上の障碍を取去つて、婦人が何時でも出られると云ふ立場に置いて、初めて婦人の參政權と云ふものは意味を成すのであります、今何十年か後に多く出るであらう、今の中は宜いであらうと云ふことは、是は形式上に婦人に參政權を與へただけで、本當の意味で心から婦人の人間的な人權を尊重して、そして選擧權を與へるならば、同時に法律上の――是等の民法上の制限を撤去して、どんな婦人でも出られると云ふ立場に置かなければ意味を成さぬと私は信じます、將來出て來るだらうが當分はさうないであらうと云ふやうな考へ方から、民法上の制眼を此の儘にして置かうなどと云ふ考へ方は、斷じて私は誤りだと考へる、此の點はどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/55
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056・堀切善次郎
○堀切國務大臣 現在の民法上の制限はありましても、今日の此の日本の家庭の實情に於きましては、其の邊は極めて圓滿に支障なく、若し立候補する婦人があれば立候補が出來るものと想像して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/56
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057・菊地養之輔
○菊地委員 どうも内務大臣の答辯は極めて便宜主義に囚はれて居る、婦人の基本的人權尊重の爲に圖つて居らない、要するに聯合國の意圖がそこにあるから、其の方に導かなければならぬと云ふ立場から出て來たんぢやないかと云ふやうなことを思はせるやうな口吻を持つて居られる、基本は婦人の人格の尊重であります、隨て民法上に於ては、妻と云ふ立場から凡ゆる制限を受けて、殆ど無能力の状態になつて居る、自分の財産でありながら、處理する爲にも夫の同意を得なくちやならない、民法十四條に規定された事項、極めて瑣末な事項が夫の同意を得なければ完全には之をなし得ない、或は夫を離れて公共的な事業に携はるならば同居の義務違反となると云ふやうな、婦人の人格を尊重しない民法の規定が存在するのであります、斯う云ふ法律上の無能力者に政治上の參政權だけを持たした所で、一體どれ位效果を擧げますか、民法上の斯樣な規定を取去つて、完全なる政治上の發言を許す、斯う云ふ無能力者が政治上に關與した所で、大きな效果を期待出來ない、無論私は婦人の此の民法上の無能力な状態を直ちに打破して、男子と同樣な立場に置くことが必要であると思ふのであります、民法の改正を御考へになつて居ると云ふことを聽きますが、餘程前に――大正時代から政府は民法の改正に著手して居りながら、今日其の片鱗すら現はして居らない、昨日司法大臣からも改正の意思があることを聽いたのでありますけれども、一體何時實現するのであるか、速急に實現しなければ、折角婦人に被選擧權を與へて居りながら「ナンセンス」に終りはしないかと私は思ふのであります、民法の改正に對してどれ位の熱意が一體あるのか分りませぬが、何時頃其の改正案が世の中に出るやうな御豫定ですか、其の點を御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/57
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058・堀切善次郎
○堀切國務大臣 婦人の人格を尊重しなければならないことは無論のことでありまして、又さう云ふ趣旨から此の選擧法が出て來た譯であります、それだからと申しまして、直ちに民法上の男女同權も實行しなければならないと云ふことも考へて居ないのでありまして、此の點に付きましては、從來の我が國の家族制度の美風を維持して行くことも考へなければならないことと思ふのであります、只今民法の方の根本的改正のことも考へて居られるやうでありますが、何時どう云ふ風な順序で行くかは、一寸内務省の方で其の經過の詳細は承知して居りませぬ、何れ司法大臣の方からでも答辯を申上げるやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/58
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059・菊地養之輔
○菊地委員 要するに婦人の參政權の問題は、法律上、社會上の婦人の地位の向上を來して初めて效果がある、單に政治上に被選擧權を與へただけでは、十分なる效果がないと云ふことは、異議がないと思ふのであります、どうか政府に於きましては、婦人の被選擧權或は女代議士となつて活躍する障碍となるものを一切破碎するやうに努力せられんことを希望致して置きます
第三に、もつと選擧を公營化してはどうかと云ふ點に付て御伺ひしたいのであります、本案を見ますと、告示前の運動は無制限である、一年中選擧運動をやつて居ります、幾ら告示前に金を掛けてやつても宜しい、選擧運動に候補者自らばかりでなく、何十人、何百人の人を動員して運動させても問題にならない、斯う云ふ風になつて居る、第三者運動が無制限になつて居る、第三者は何時やつても宜い、何十萬、何百萬の金を掛けてやつても宜い、斯う云ふことになつて、何と云ふか、「ルーズ」になつて居る、放漫になつて居る、隨て本當に當選し得る者は金と時間のあり剩る人である、斯う云ふ人でなければ當選困難な状態が出て來ると思ふ、或は事務所は何箇所設けても宜しい、告示前の選擧費用は何程使つても宜い、接待所は幾ら設けても宜い、斯う云ふことで幾らでも告示前の費用は掛け方題だ、而も買收は出來ない、買收以外は何でも出來るやうになつて居る、是では一つの選擧に何十萬、何百萬の金を掛ける者が出て來ると思ふ、さうして眞面目に國家のことを思ひ、或は貧乏であつても國家の爲に盡さうと思つて出馬しようとしても、是等の時間と金のある者に壓倒されてしまつて、結局當選し得る者は、財閥の援護を受けて居る者、或は戰時利得者か、闇の名人か、斯う云ふ者が當選を贏ち得て、眞面目な人が當選困難だと云ふやうに私は考へる、之を防ぐ方法としては選擧の公營以外にない、選擧の公營を徹底して少ない費用で立派な人が出るやうにして置かなければならない、是が最も肝腎である、それに對する用意を此の法律案は缺いて居ると思ふ、告示前の選擧運動を無制限にしないで、或る程度の限界を設ける、第三者の運動も或る程度の限界を設ける必要があると私は思ひますが、政府の意志はどうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/59
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060・堀切善次郎
○堀切國務大臣 告示前の運動及び第三者の運動に付きましては、其の選擧を出來るだけ自由に活溌に選擧運動の行はれます爲に、之を自由にする方が、寧ろ適當であらうと考へた次第であります、從來其の點が餘り窮屈になつて居りますが爲に、選擧に對して兎角此の國民の關心が十分でなかつたと云ふやうな一方に於ての非常な缺點や憾みがありますので、それを此の際直す爲に、是等の運動を自由にした譯であります、やり方に依りましては、非常に金の掛るやり方も無論ありませうが、又金の掛らないやり方も考へ得るでありませうし、又餘りに金が掛りますれば、やはり自然さう云ふ風にはやれないと云ふやうなことにもなつて來るのぢやないかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/60
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061・菊地養之輔
○菊地委員 只今内務大臣は餘り金を掛けてもやれないと云ふ場合が出て來ると仰しやつたが、其の通りであると私は思ふ、無制限に金のある者は何時までも續く、併しながら自分の勤勞に依つて選擧費用を使ふ、斯う云ふ立場の人は、選擧がやれなくなると思ふ、此處に私は大きな問題があると思ふ、隨てある者もない者も、或る程度の枠を設けて其の枠内に於て協同させ、同じ武器を與へて戰ふことに依つて、初めて茲に正しい候補者が現はれて來る、一方には時間と厖大な資力を持ち、一方は時間も金もない者とを同じやうに戰はせることは正しい選擧ではない、之を防ぐには公營と云ふ以外にはない、其の公營をもつと徹底しなければならない、所が今度法案を見ますと、却て公營の部分が少くなつて居る「ルーズ」な放漫な、勝手気儘に選擧活動が出來ることに止まつて居ると云ふ感じであります、私は自由は放埓にすることではないと思ふ、自由と云ふものは、先程申上げたやうに、或る程度の枠を作つて共同の武器を與へて、其の武器で戰ふ所に本當の自由がある、一方に大きな力を與へたと言ふと語弊があるが、持つて居る者と持たない者とを戰はせて、持たない者は自由に活動が出來ない、それは自由ではない、此の選擧は見方に依つては自由を目標として告示前のこと、或は第三者の運動のことを認めたのでありますが、此の第三者運動など自由に出來ない者に取つては不自由な選擧である、此の點を私は極めて遺憾に存じます、何とか思ひ切つて第三者運動を或る程度制限する必要がありはしないか、例へば此の方法に依りますと、第三者は何十萬、何百萬の金を掛けてやれる者、所謂自分の推薦したい者を推薦する、印刷はどんどん出來る、直ぐそれを發送する、是ではならぬと思ふ、もつと眞心から第三者が其の當選を希望してやる程度に止めて宜いと思ふ、例へば自筆の推薦状に止める、是こそ私は正しい道義に基いて正しい人を選擧すると云ふ理想の現はれとして尊重すべきものだと思ふ、無制限に近い何十萬何百萬の金を掛けても宜しい、斯う云ふ制度は自由の名に依つて或る一部の人達が當選し得ると云ふ「フェヤ・プレイ」の選擧ではないと私は思ふ、此の點に對して再び内務大臣の御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/61
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062・堀切善次郎
○堀切國務大臣 第三者の運動は是まで非常に制限されて居りまして、極めて局限された方法しかなかつたのでありますが、是は選擧に對しまして國民として非常な關心を持ち、又候補者に對しても色々な考へを持つて居ります一般の選擧民が非常に多いと思ひますが、それ等の人達が、何とか此の候補者に對して手傳ひたい、候補者を援けたいと云ふやうな感じを持つて居たものが隨分今日までも少くないと思ふのでありますが、之に對しまして從來の規定は如何にも範圍が狹く、極めて小範圍でなければ之を許して居ないのでありますが、斯う云ふ點が私は從來其の選擧に關し又政治に關して、一般の關心を比較的少くして居る一つの原因になつて居るのぢやなからうかと思ふのです、第三者運動は、是は出來るだけ自由にして、そして活溌に此の選擧に對しての動きの出來るやうに考へて行くことが必要だらうと考へて居るのであります、さう云ふやうな趣意から致しまして、第三者の運動を大體に於て自由にした次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/62
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063・菊地養之輔
○菊地委員 此の點は是で止めて置きます、それから昨日内務大臣が知事公選のことを考へて、來議會には之を提出すると云ふやうな御答辯があつたのでありますが、私はもつとそれに對して具體的に御伺ひしたいのであります、所謂知事公選の方式の問題であります、公選と云つた所で色々の方法があると思ふ、一般投票に依つて知事を公選するのであるか、それとも現在存して居る所の縣會に於て選擧するのであるか、それをはつきり御示しを願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/63
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064・堀切善次郎
○堀切國務大臣 其の點に付てはまだ決めて居りませぬ、是から能く研究を致して決定する積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/64
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065・菊地養之輔
○菊地委員 極めて重要な部分がまだ研究中だと云ふことで遺憾でありますが、此の際私の希望を申上げて置きます、之を縣會に一任すると云ふことならば、それは公選の意味を成しませぬ、三十名や四十名の縣會議員が知事を公選と云ふことになりますならば非常な弊害が卷起つて、地方自治は目茶苦茶な状態が起るやうになります、是はどうしても一般投票に依らなくてはならない、府縣會、市町村會、なんかで見られる状態でありますが、其の議員と選ばんとする市町村長との利權關係、或は舊來の情實關係と云ふものが存在しまして、當選した後の因縁、當選さしてやつたと云ふ議員と、或はさして貰つたと云ふ市町村長との關係が續きまして、總ての市町村に於ける自治體の混亂と云ふものは、其處から湧き起つて來るのであります、自治體に對しては御經驗のある内務大臣のことでありますから、是は十分御承知であらうと思ひますので諄くは申しませぬ、知事の公選は斷じて縣會に任してはならぬと思ふのでありまして、一般投票に依らなければ其の目的は達せられないと云ふことを、希望するに止めて置きます、序でに市町村長も一般投票に依る公選にして戴きたいと云ふことを、私は希望致して置きます、是も同じ意味からでございます、今日市町村の中に色々な問題が起きて、市長派或は村長派、反市長派、反村長派と云ふものが各地に擡頭して居るのは、此の議員の選擧から起るのでありまして、一般投票に依りますならば、さう云ふ自治體の不祥事と云ふものは、忽ち一掃されると私は思ふのであります、此の際一般投票に依る知事、市町村長の公選を希望致して置きます
それから最後に、投票日を休日にして戴きたいと云ふことであります、有權者の數は三倍にも四倍にもなりまして、それが生産力其の他に及ぼす影響は甚大であると思ふのであります、隨て棄權者が相當あると見なくてはならぬ、それを防ぐ方法としても、是は休日にしたが宜しい、參政權を與へた、併しながら職場に於て仕事をして居らなくてはならぬから投票に行かれない、斯うなつては參政權と云ふものは名のみになります、政府が本當に參政權を尊重する御意思ならば、日曜其の他の休日を選んで投票をさせると云ふ親切味があつても宜しいと思ふのでありますが、此の點に對する御所見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/65
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066・堀切善次郎
○堀切國務大臣 投票日のことは御意見如何にも御尤もでありまして、日の都合がさう云ふ風に行けば、是は非常に都合の好いことだと考へて居ります、成べくさう云ふ風に考へたいとは思ひますが、併し又日の關係からさう行かなくなることもあるかと思ひます、從來はさう云ふ際には成べく各職場職場に對しまして、投票の便宜を與へられるやうに勸奬をして居るやうな次第であります
尚ほ前の是非公選でやれと云ふ御意見、一般の投票に依つてやれと云ふ公選の方法に付ては、御説傾聽致しました、唯色々な方法を考へましても、それぞれ皆長所もあり、缺點もあるやうに考へまして、今愼重に考究を遂げて居るやうな次第であります、一般の投票に依りますと、非常に多數の投票者が出るのでありますから、自然候補の名乘りを擧げて、運動費を使つて運動すると云ふことでなければ、當選しないのではなからうかと云ふやうな點も考へまして、各方面から色々な方法に付ての長所と缺點とを、只今比較研究をして居る次第であります、其のことを御承知願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/66
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067・菊地養之輔
○菊地委員 休日が困難ならば、之を學校であるとか、或は會社であるとか、或は役所であるとか、或は一般工場であるとか云ふ人達に對して、所謂半休制と申しますか、半日休ませると云ふやうな方法を、御執りになつてはどうかと思ふのであります、選擧は言ふまでもなく、國民の政治參與の一番大きい方法なんでありまして、唯一と言つても宜い程のものであります、それを行使する障碍を排除してやることが、當然政府のやることであると思ふのであります、選擧の爲に半日暇を與へる、其の暇は我々の選擧權を行使する權利の時間である、斯う云ふ考へを國民各自に持たせると云ふことは、極めて必要であると思ふのであります、隨て休日に概當しなかつた場合には、半休制を施行する御意思はないかどうか、之を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/67
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068・堀切善次郎
○堀切國務大臣 成るべく休日にする方が宜いのでありますが、さうでなかつた場合に、半休にすると云ふことに付きましては、影響も、非常に大きくなりますので、其の點に付きましては、能く愼重に考慮を致したいと思ひます、唯さう云ふ職場々々に對しましては、出來るだけ投票に對しての便宜を與へて貰ふやうに、それぞれの方面に協力を求むる積りで居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/68
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069・菊地養之輔
○菊地委員 もう一つ最後に御尋ね致したいと思ひます、治安警察法は何時頃撤廢する御意思であるか、之を承りたいのであります、此の法律は選擧には官憲の武器であります、非常に之を惡用すると、選擧干渉に持つて來いのものでありますから、成るべく之を選擧前に撤廢して戴きたいと思ふのでありますが、政府はどう御考へになつて居るか、それを御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/69
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070・堀切善次郎
○堀切國務大臣 治安警察法は聯合軍司令部の指令もありまして、先頃緊急勅令で之を廢止する手續きを既に終りました、廢止されて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/70
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071・菊地養之輔
○菊地委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/71
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072・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今緊急勅令で廢止致しましたと申しましたのは、緊急勅令に基く命令で廢止致したものでありますから、訂正致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/72
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073・原玉重
○原委員長代理 吉田貞次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/73
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074・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 最初に選擧區制の問題で、内務大臣に御伺ひ致したいと思ひます、段々の御答辯で御趣旨は能く分つて居るのでありますが、大臣が選擧區の人口の多い所、定員の多い所を二つに分けたと云ふ御趣旨は大體選擧人の便宜の爲に分けたのだ、斯う云ふ風に伺つて居るのですが、さう云ふ御趣旨だと致しますと、私は寧ろ分けない方が色々の點に於きまして選擧人の便宜のやうに思ふのであります、成程區域が廣い所でありますから、其の區域の廣い所で運動をすると云ふことは、一寸考へますと非常に不便で不可能のやうにも思へますけれども、併し特定の候補者が實際問題と致しまして全體の區域に亙つて何處も此處も運動をすると云ふものではありませぬから、其の點は自ら其の候補者の地盤と云ふものが決まつて居りまして、是が運動が困難だからと云ふやうなことは、さう大きな理由にはならぬと思ふのであります、又候補者の選擇に付て、澤山の者があつて困ると云ふやうな御心配もあるやうでありますが、是も實際問題と致しましては、既に選擧をすると云ふことになりますれば、それぞれの區域に依りまして、其の候補者の選擇と云ふものは、今日の情勢から申しますと、左程困難をすると云ふ程の難かしい問題ではなからうと思ひます、無論區域が廣ければ費用も多く掛りますけれども、是等も自ら制約せられまして、實際問題と致しましては、さう心配をすべき事柄ではなからうと思うのであります、寧ろ地方に於て政治、經濟其の他色々の點から申しまして、地方行政として一つになつて居ります、其の區域を二つに分けると云ふことの害の方が多いやうに思ひます、是は寧ろ惡質の選擧運動と云ふやうなことを、思ふやうにすることが出來ぬやうな形に致します點から考へますと、寧ろ區域の廣い方が其の點は利益のやうにも考へられますし、結局ははつきりした理窟があつて二つに御分けになつたものではなくして、主として選擧人の便宜を考へて御分けになつたもののやうに伺つたのでありますが、斯う致しますと、私は五十歩百歩の問題で、實際問題としては、寧ろ政治行政を同じくして居る都道府縣は、日本中一樣に一つにした方が却て選擧の公正を期する上に於て宜いのぢやないか、斯う思はれますので、諄いやうでありますが、今までの色々の質問に對して御答辯になりました事柄ではありますが、重ねて御答辯を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/74
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075・堀切善次郎
○堀切國務大臣 今御述べになりました通りでありまして、やはり餘り大きな、定員數の多い所は二つに分ける方が色々の點から便宜である、今御述べになりましたやうに、或は候補者に取つては、運動する上から、或は又之に要する選擧費用の點から、又選擧人に取りましては非常に澤山の候補者の間から適當の人を選ぶやうな點から、交通等の關係を考へましても、まあ二つに分ける方が便宜であると云ふ點から分けたのでありまして、それ以上に理由はないのであります、唯問題は從來度々開かれました選擧制度に關する審議會や何かに於きましては、先頃の審議會はそこまで進みませぬでしたが、是までの色々の審議會等に現はれました議論としましては、或は十五人以上の所を二つに分けろとか、十三人以上の所は二つに分けるが宜いとか、現在の選擧區をずつと大きくしても、一つの選擧區は九人までに止めるが宜いとか云ふやうな議論もあつたのでありまして、是等のことも參酌致して、やはり餘り大きい所は二つに分けるが宜からうと云ふので、十五人を標準にした次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/75
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076・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 次は治安問題に付きまして、是も大臣に御伺ひ致したいと思ひます、私は理窟を申すのではありませぬで、現に北海道に起りました米騒動の問題を想起致しまして、選擧の最中に米騒動が起らぬとは保證が付かぬと思ひます、さう云ふやうな時に、どう云ふ御用意を今から持つて居られまするか、現に此の間起りました米騒動の場合は、所謂食糧の強制買出しと云ふやうな事柄で、數千人の者が一時に汽車に乘るにも切符も何も買ひませぬで、驛長も車掌も制止することが出來ませぬで、どんどん其の汽車に乘せてしまふ、それが或る一定の町村にやつて參りまして、數人若しくは十數人が一團になりまして、或は澱粉工場であるとか、或は農業倉庫であるとか、或は個々の農家であるとか云ふやうなものに入り込みまして、賣る賣らぬの有無を言はせませぬで、公定値段の錢だけ置きまして、勝手に物を持つて行つたのであります、此の際に於ける所の警察當局の取締の状況を見ましても、所に依りましては裁判所から檢事なんかも出て來て居られましたが、それ等の者は全く手の著けやうがありませぬで、寧ろ仲裁に入りまして、幾らかの米或は農産物、食べる物を分けてやつたら宜いぢやないかと云ふやうなことで取締をやつて居られたのが實際なのであります、さう云ふことが北海道に於ける實例であります、北海道に於きましては非常に本年食糧事情が窮迫して居りまして、來年の二月頃になると、もう食べる物がないと云ふやうなことが一般に流布されて居る流言なのであります、さう云ふやうなことで、さう云ふやうな時機に若し選擧が行はれまして、何時米騒動が起らぬとも保證が付かぬのであります、現在警察の取締の人數と云ふものは非常に少い、又政治警察が今日全くなくなつてしまつた、斯う云ふやうな場合に於て、果してさう云ふことが起りましたら選擧が出來るかどうかと云ふことも、是は私は實際問題として非常に心配を致すのでありますが、斯う云ふことに付て、何か今から用意が出來て居りますか、其の點に付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/76
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077・堀切善次郎
○堀切國務大臣 先頃北海道に起りました事件は只今御述べの通りでありまして、洵に遺憾に存じて居たのでありますが、選擧の際に所々にさう云ふやうなことが起つては、是は本當に大變でありまして、其の點に付きましては、能く警察の方を氣を付けさせまして、萬全の策を講じたいと思つて居る次第でありますが、何と申しましてもさう云ふ際には、其の状況を豫め察知して、之に適應の手を打つと云ふことが必要だと思ひます、それ等に付きましては、十分氣を付ける積りで居ります、若しそれが起りましたならば、擴大しないやうに速かに之を治めることでありますが、何分警察官は數が知れたものでありまして、さう一箇所に澤山居りませぬ、殊に北海道のやうな面積の廣い所になりますると、警察官を移動するのにも少し暇が掛ります、さう云ふ點は非常に遺憾があるのでありますが、それ等のことも色々な場合をやはり豫想致しまして、警察と致しましては、萬全の策を講ずるやうに致して居ります、殊に選擧の際さう云ふことが起りまして、是が爲に選擧が行はれないやうなことがありましては、是はもう一大事でありまするから、十分注意致しまして、萬全の策を講ずる積りで居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/77
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078・原玉重
○原委員長代理 吉田君の治安に關する質問はそれで終りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/78
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079・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 もう一點治安のことに關して御伺ひ致したいと思ひます、私は只今大臣の御答辯で、御心配していらつしやることは能く分つたのでありますが、何分少い所の警察力を以て選擧の取締をやり、又一般の治安の確保をして行かうと云ふことは、私警察の力だけではどうしてもやつて行けぬ場合が出來て來ると思ふのであります、さう云ふ際には、是は各地に起きたのであらうと思ひますけれども、此の間の北海道の實情から考へましても、差當り各町村が何れも自警團を作つて、さうして是で防いだ、所が此の自警團なるものが、何の權限も持たぬものでありますし、又武器も持つて居らぬのでありまして、實際上に於きましては、效果がなかつたのであります、さう云ふやうな場合に、自警團と云ふものを今から組織的に御作りになつて置きまして、之に一定の權能を與へまして、場合に依つては武器の使用を許す、武器と申しましても今日何もありませぬから、何か棍棒のやうなものでも持たして、少くとも暴徒に對しては之を鎭壓するだけの威力を示すと云ふやうなことに付て御考へがありますかどうか、其の點を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/79
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080・堀切善次郎
○堀切國務大臣 自警團の問題に付きましては、前に所々に自警團が出來ましたが、却て色々弊害がありました爲に之を廢めた、さうして段々警防團に變つて行つたと云ふやうな歴史を持つて居りますやうでありまするし、之を作つて行くことに付きましては、色々研究すべき問題があるやうに思ひます、只今尚ほ警防團に付きましても、之を更に改組して立派なものにし、警察の手傳いをして貰ふのに都合の好いやうに色々考へて居る際でありますが、それ等の問題に付きましては、愼重に考究致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/80
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081・原玉重
○原委員長代理 木下君から治安に付て關聯質問がおありのやうですから、此の際之を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/81
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082・木下義介
○木下(義)委員 治安に關して私が御尋ね致したいと思ひますのは、今日聯合軍が駐屯して居りまする地域に「エム・ピー」が各地に配置されて居ります、「エム・ピー」の任務は、日本の軍隊の解消せられる前に軍事警察を擔當して居りました憲兵と同樣の職責にあると思ひまするが、果してさうであるかどうか、さうと致しますれば、進駐軍の軍事警察の範圍に限定されることに相成りますが、それと日本の警察官との日本國内の一般的の治安と云ふものの責任は、日本の警察官が負擔すべきものである、斯う云ふことに相成ると思ひますが、此の點に付ての明確な御見解を承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/82
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083・堀切善次郎
○堀切國務大臣 日本國内の治安の維持は日本の警察が全責任を持つて居ります、「アメリカ」の「エム・ピー」は米軍内の「エム・ピー」であると考へて居りますが、唯場合に依りましては、警察の方と「エム・ピー」の方と連絡を取つて行く必要の起ることもありまして、例へば先頃あちこちにありました朝鮮人とか臺灣人の問題になりますと、こちらの方では無論治安維持の責任は負ひ、取締るべき點は何處までも取締る筈でありますが、自分は聯合國人だ、或は獨立國人であると云ふやうな色々なことを言ひます際に、場合に依りましては「エム・ピー」に出て貰ふ方が非常に都合の好いこともありまして、其の援助を受けたこともあるのであります、併し國内の治安の維持は何處までも日本の警察が全責任を持つ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/83
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084・木下義介
○木下(義)委員 只今の御答辯に依つて明瞭に相成りましたが、一時的の現象と致しまして、終戰後の治安の攪亂されました例として、終戰後の北海道に於ける炭坑地區の華人勞務者の騒擾問題、是はまあ一時的の問題と思ひますが、其の他東京都内の樞要な區域に於きまして特定人の釋放を要求しまして、相當の多數人が不穩な行動のあつたこと、或は數日前も東京都の或る區に於きまして、臺灣籍の華人が或る程度の騒擾をしたと云ふやうなことも新聞紙に報ぜられて居ります、是等の現象から考へまして、今日の日本の警察官の員數を以て致しましては、日本の國内の治安の平靜と云ふことに付て十分であるかと云ふことに對する一抹の疑問を私持つて居ります、單に一時的の現象と見ることは出來ない、終戰後相當人心も動搖して居りまするし、又各方面の社會情勢を考へましても、此の状態は相當長期に亙つて繼續されるべきものではないかと考へまするので、斯の點から考へますると、相當數の警察官の増員の必要があると考へます、既に増員を計畫されて居つた地方も終戰前にあつたやに聞及んで居りまするで、さう云ふ點に付て内務大臣としての御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/84
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085・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今の警察力を以て十分に治安を維持し得るかどうかと云ふことに付きましては、私も非常に心配を致しながら全力を盡して居る次第でありますが、前に新聞に出て居りましたことでもありますから御承知とも思ひますが、前内閣の時代に警察の人數を殖やし、或る程度の武器を持つことが必要であるとして、聯合國の司令部の方に交渉したのでありますが、此の要求は全面的に拒否せられました、さうなりました以上、我々と致しましては、現在の警察力を以て全力を盡して治安の維持に當るより外はない次第であります、此の間に處して今色々と研究もし、苦心も致して居るのでありますが、實情は今申上げた通りでありまして、もう現在の人數で其の素質を良くし、一人で以て從來の二人、三人の働きをして、凡ゆる問題に對處致しますやうな風に持つて行かなければならないと考へて、努力して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/85
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086・木下義介
○木下(義)委員 今日までの經過は了承致しましたが、既に前内閣に於て交渉せられましてから相當の期間が經過致して居ります、此の經過期間の間に於て、警察力の不備なことが如實に各方面に現はれて居りまするので、それ等の現象を考慮せられまして、更に御交渉の餘地はないか、勿論只今御答辯に相成りましたやうに、質の向上、警察力の充實、待遇の改善等に依りまして、警察力を強化することは出來得ると思ひますけれども、其の強化も限度がございますし、其の限度を超えた範圍に於ての警察力の擴充が必要ではないかと考へられますので、重ねて其の點に付ての御見解を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/86
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087・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今まだ之を蒸し返して交渉する時期ではないと考へて居ります、隨ひまして、其の範圍内に於きまして全力を盡す外はないと思つてやつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/87
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088・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 次には選擧運動に關する大臣の根本の御考へを伺ひたいと思ひます、今まで伺つて居りまして、どうも能く腑に落ちぬのでありますが、此の選擧運動を無制限に致しまして、野放圖に之をやらせると云ふことになりますと、今度初めて選擧權を獲得した者、或は婦人の場合もありまするし、年齡低下の若い者の場合もありまするが、さう云ふ者が自由に選擧運動をやることになります、私の最も憂へます點は、現在日本の社會に現はれて居ります總ての樣相は今日までやつて來たものは是は皆間違つて居つたことである、所謂日本の固有の道徳で、美しい風俗習慣としてずつと長い間傳はつて參りました世の中の色々の道徳も、總て惡いものである、今日はもう自由とか或は民主とか云ふことで、すつかり之を改めてしまはなければ、本當の新日本にならぬと云ふやうな思想が非常に蔓延りまして、自由は所謂方埓である、斯う云ふ所まで行きはせぬかと思ふのであります、殊に今度の選擧人の中には、教養程度の低い人々も隨分澤山あるのでありますし、一歩を誤りますと、選擧人のさうした考へ、世間一般の空氣が變つて來たと云ふこと、そこへ行きまして候補者の中には俗耳に入り易い所の宣傳的な運動をやる、所謂目的の爲には手段を選ばぬと云ふやうな運動が行はれる場合も隨分出て來ようと思ふのであります、其の結果として、日本固有の道徳が此の選擧運動の爲に破壞されると云ふ心配が多分にあるやうな氣が致しまして、此の點を非常に憂慮するものでありますが、是は唯さう云ふことを今現實の世相に稽へまして心配するばかりでなく、從來肅正選擧と云ふことの起らなかつた以前の選擧の實際から考へましても、隨分折角各市町村が色々の方法を以て築き上げました所の、善良な風俗習慣が、選擧の爲に打毀された、其の爲に親子仲違ひをしたとか、或は今まで仲好く附合つて居たものが喧嘩をやつたとか云ふやうな例が隨分あるのでありまして、さう云ふことを一切構はないで、唯日本の新事態に即應する爲に、自由なり或は民主と云ふやうなことを掲げまして、何でも選擧運動は自由にやつて宜いと云ふやうなことをやらせると云ふ御考へは、私は日本の道徳はどうするか、どう將來に持つて行くかと云ふ根本の問題に觸れることだと思ふのでありますが、斯う云ふ點に付ての御所見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/88
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089・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の前の普選法の實施の時には、新しい有權者に對しまして非常に一般からの期待が掛けられて居たやうに、あの當時考へたのでありますが、其の實施の結果に於ては左程のことはなくて、やはり新有權者も大したものではなかつたと云ふやうな結論に行つたと云ふやうなことを聞いて居るのでありまして、只今御述べになりました色々御心配のことも、一應御尤もと思ふのでありますが、此の度の新有權者は結局婦人と二十歳から二十五歳までの者であります、二十歳から二十五歳までの近頃の若い者は御承知のやうに最近の戰爭の時にそれぞれ或は戰場に出て、或は隊に入り、或は軍需生産に非常に挺身した人達でありまして、政治に對し、國家に對し、公に對しての相當な批判力、判斷力を持つて居るのではないかと考へるのであります、又婦人の方は一方から考へますれば、まだ政治自覺が十分でないとも考へられるのでありますが、是は前にも申上げましたやうに、外國で婦人に參政權を與へた結果を聞きますと、婦人の投票と云ふものは、大體中正穩健な所に集まる、極く極端な方には行かないと云ふ傾向を持つて、やはり婦人は保守的な漸進的な性格を持つ、それが投票の上に現はれると云ふやうなことを聞いて居るのでありまして、さう云ふやうなことを考へ合せますれば、此の非常な大變革今日の時期に於きましても御心配のやうな、選擧に依つて總てが皆選擧運動に狂奔して、さうして從來の根柢のあるそれぞれの地方の美風が破壞されると云ふことまでの心配は萬ないものと考へて宜からうと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/89
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090・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 今大臣の御答辯がありましたが、選擧を自由公正にやらせる上に於きまして、無制限の運動をやらせると云ふことは、さのみ心配はない、斯う仰しやいますが、私は假にさうだと致しましても、今度の選擧からどうしても取去りたいと思ひますのは、所謂選擧「ブローカー」でございます、是が害毒を流す源泉だと思ふ、選擧「ブローカー」を一掃すると云ふことに付ては、假に非難が起りましても、官憲の力で是だけは一つ撲滅をすることに全力を盡して載きたい、是が若し跋扈すると云ふことになりましたら、選擧は恐らく公正どころか、不公正なものになり、又非常な腐敗を齎す、斯う云ふことは明瞭なのでありますから、此の「ブローカー」と云ふやうなものは、誰が「ブローカー」だと云ふやうなことを判定することも、又それ等の人人が法に觸れると云ふやうな下手なことをやりませぬので、非常に此の取締は困難だとは思ひまするが、斯う云ふものの一掃に付て何か御用意がありますか、其の點を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/90
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091・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 其の問題に付て私から御答へ申上げたいと思ひます、所謂選擧「ブローカー」、是が多く選擧界に害毒を流し所謂不正行爲を敢行すると云ふやうな傾向が往々にしてありましたことは、洵に遺憾に存ずる次第であります、今度の選擧法の改正に依りましても、依然として選擧の公正自由を害しまする不正行爲に對しまする取締は、嚴として規定を殘して居りまして、之に對しましては所謂不法行爲と申しますか、法律的に違法であるとせられました行爲は、大幅に削除致して居りまして、其の方面から來る警察力の餘力も生じますので、此の選擧界の公正自由を害しまする所の所謂不正行爲に關しましては、斷乎たる取締を勵行致したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/91
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092・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 次に御伺ひ致しますのは自分の獨斷か存じませぬが、今度婦人に參政權を與へられましたけれども、其の結果は恐らく非常に棄權率の大きな結果に終りはせぬかと思ふのであります、是が若し大部分の婦人が棄權をすると云ふやうなことになりましたならば、折角婦人に選擧權を與へましても大した意義を成さぬ、斯う云ふ風に思ひますが、それには先刻から伺つて居りますと、選擧の所謂啓發運動をおやりになつて、選擧の教育をやる、斯う云ふ御話でありますが、併し是はどう云ふものを對象にして其の啓發運動をおやりになるのでありますか、從來の婦人に對するものとしては、各種の階層に亙りまして婦人の團體があり、それ等のものが婦人の教養の點から、或は婦人が政治に參與すると云ふやうな問題に付きましても、それぞれ運動をやつて居つたのでございますが、今日は殆ど婦人團體のやうなものは解消して居りまして、新しい民意に基く所の婦人團體と云ふやうなものはまだ出來て居りませぬので、今現に啓發運動を呼掛けられましても、其の對象になるものがないやうな氣がするのであります、一人々々の婦人に向つて啓發運動を與へましても、私は其の結果と云ふものが、其の啓發運動に集まつて來る者も恐らく少いと思ひますが、又其の結果は決して希望されるやうな效果がないものだ、どうしても地方に自發的に出來ました所の一つの團體があり、其の團體の力を有效に使ひまして、初めて啓發運動と云ふやうなものは效果が擧る、斯う思ふのでありまするが、現在の所さう云ふものがないのに、唯啓發運動をする、其の方の機構だけを整備されまして、さうして之を全國方々に派遣されましても、それでは半分だけの方は整ひましても、受入れる方の機構は全くありませぬので、一向效果を奏せぬ、斯う思ひますが、さう云ものを急速に御作りになる考へでありますか、或はどう云ふものを象對にして啓發運動の效果を、求められるのでありますか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/92
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093・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御話の通り全國に亙る大日本婦人會は解消致して居りまするけれども、最近各地に於きましては婦人會が結成せられて居る向きもありまして、さう云ふ地方に於きましてはそれを利用致します、是は文部省の方でも御計畫中ですが、町内會、部落會などを通じて家庭の婦人に呼掛けることも考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/93
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094・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 婦人の棄權率と云ふものは大體どの位と御想像になつて居りまするか、其の點を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/94
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095・堀切善次郎
○堀切國務大臣 是は相當あるのではないかと思ひまして、其の點を啓發運動に於て最も力を入れる積りでありますから、其の效果が擧りますれば棄權が少くなるのでありますが、此の間或る方面から聞きました話で、先頃も申上げたのでありますが、五割は棄權しはしないだらうかと云ふやうな話を聞いたのであります、併し五割も棄權するやうであつては甚だ困ると思ひますから、是は出來るだけ努力を致しまして、棄權を少いやうに致したいと思ひますが、今幾割位棄權する見込みか、其の見込みを立てることは甚だ因難であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/95
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096・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 若し婦人の棄權を心配して之をどうしても家庭から驅立てて大部分の者に選擧させようと云ふことになりますと、私は現在非常に窮屈な、窮迫して居る家庭生活に相當の影響を與へるものであると思ふ、此の運動がどの位の期間續くか存じませぬけれども、其の間に家庭の主婦なり、家庭で働いて居つた子女が外に出まして其の教育を受けなければならぬと云ふことになりますと、今でさへも非常に窮迫して居る家庭生活が益益窮迫致しまして、是が爲に所謂闇が一層横行するとか、或は又折角働かなければならぬ所の家庭の婦人が、一時的ではありまするけれども、其の爲に仕事が出來ませぬと云ふことは、是は所謂新日本建設の爲に一日も安閑として居ると云ふことを許さぬ、斯う云ふ時勢に於きまして、私は國民の思想的にも社會的にも與へる所の影響も可なり大きいと思ひます、殊に經濟的に與へる影響は、非常に大きいのでありまして、窮迫した家庭生活と云ふものが益益窮迫するやうな氣も致すのでありますが、そんなことに付ての御心配をして居られるのでありませうか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/96
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097・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御話の通り色々な事情を考慮せずに、棄權防止の爲に無暗に引張り出すと云ふことになりましては、さう云ふことになりますけれども、さう云ふ點を十分考慮致しまして啓發運動を實施致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/97
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098・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 最後にもう一つ御伺ひしたいのは、復員軍人或は最近現役を離れました軍人、斯う云ふやうな者の選擧權の行使でありますが、是は臨時に名簿を調製すると云ふやうに伺つて居るのであります、此の選擧人名簿の調製は、從來でも相當に脱漏があつたのでありまするが、是が今度のやうに一時に非常に澤山な有權者が殖え、而もそれが短期間に名簿を調製しなければならぬ、之に從事する所の市町村吏員と云ふものは、概ね不慣れな者でありまして、能率が中々上らぬ、又只今申しました復員した者或は現役を離れた者の住所の異動と云ふものも中々決まりませぬで、異動も甚だしいのでありまするから、さう云ふ者を對豫と致しまして、安全な名簿を調製すると云ふことは、中々困難なことであらうと思ふのであります、是は併し新しい是等の人々に選擧權を與へると云ふ上から申しまして、手續の不備、粗漏の爲に選擧權の行使が出來たと云ふことは非常な問題でありますので、此の點をどう云ふ風にして遺憾なきを期せられる御用意でありますか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/98
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099・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御話の通り折角復員せられます方々が、選擧人名簿に登録致しませぬ爲に、選擧權が行使出來ないと云ふことになりましては、洵に遺憾でございますので、現在既に地方廳を督勵致しまして、復員しつつある者を時々之を調査して選擧人名簿に登録の準備を進めて行くと云ふ方法を執つて居ります、と云ふのは、一般の有權者に付きましては、御承知の通り定時名簿主義を執つて居り、是は九月十五日なら九月十五日現在で押へますが、復員軍人或は應召解除の方に付きましては、定時名簿ではなく臨時名簿の式を採つて居り、段々と準備を致しまして、選擧期日直前の、假に二十日なら二十日までに之の名簿を完成すると云ふ方針を執つて居りますので、一時に多數の方々を登録するのと違ひまして、事務上比較的粗漏の生ずることが少いかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/99
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100・吉田貞次郎
○吉田(貞)委員 是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/100
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101・原玉重
○原委員長代理 文部大臣が出席になりましたから、此の際文部關係で質問通告のある川島正次郎君の發言を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/101
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102・川島正次郎
○川島委員 私は今吉田君からも御發言がありました啓蒙運動、政治教育のことに付きまして、文部大臣に御伺ひ致したいと思ひます、實は今朝御出席を要求して置いたのですが、御出席がありませぬから、一應内務大臣には申上げて御答辯を得て居るのでありますが、文部省御所管のことでありますから、大臣から一つ御説明を願ひたいと思ふのであります
近く選擧を施行するに付て、改正選擧法の趣旨を徹底し、併せて國民の政治意欲を昂揚させる爲に啓蒙運動をなさると云ふ御計畫のことは、議會でも御答辯になつて居りますし、又新聞でも拜見致して居ります、其の御計畫としては、大體大日本教育會に委囑して、全國中等學校、國民學校の教職員を中心にして一般知識人を加へて先づ講習會を開くのだ、それを講師として全國の國民學校で一齊に啓蒙運動をやるのだ、斯う云ふ風に承知を致して居るのですが、實は私は其の啓蒙運動は何等必要はない、寧ろ弊害を釀すのではないかと云ふ考へ方をして居るのであります、從來戰爭中も屡屡國民運動が行はれました、東條内閣時代にも一億總蹶起運動あり、小磯内閣時代にも一億敢鬪運動をやり、私共それに關與したことがあるのでありますが、何時も振出しは官製を避けるのだ、下から盛り上る力でやるのだと言ひながら、實は官製になる、大體の方針を政府が授けて、其の方針に從つて全國の運動に從事する人を手足のやうに働かせるのですから、事實は官製なんです、而して今まで戰爭中やつたさう云ふ國民運動と云ふものは悉く失敗です、少しも國民の戰爭意欲と云ふものは、それが爲に昂揚して居りませぬ、今囘も斯うした一種の謂はば官製運動をやつて、果して國民の政治意欲が昂揚出來るか出來ないか、さう云ふ問題もあるし、寧ろさう云ふ運動をする必要はないのではないか、と云ふことは、一體今日選擧權を擴張して二十歳から二十五歳までの男女に與へ、婦人に選擧權を與へると云ふことは、一方に於ては選擧權を與へて或る程度の政治教育をすると云ふこともございますけれども、大體に於て選擧權を擴張した趣意と云ふものは、もう既に選擧權を附與して宜いのだと云ふ見解に達して居ればこそ選擧權の擴張になつたのであらう、斯樣に私は考へる、さう云ふ人を對象にして今更政治教育をしなければならぬとか、或は棄權防止運動をしなければならぬと云ふ理由が何處にあるのか、假に棄權防止の教育をして無理にそれを選擧場裡に引張り出して來ても、結局さう云ふ人は情實因縁の投票以外にはない、是は流るる儘に與へたる權利の行使、義務の履行と云ふことは、全く國民一般の良心に愬へて施行させれば宜いのでありまして、お役所が官製的に手を引張つてそれを選擧場裡に連れて行かうなどと云ふことは、今日の進んだ時代としては、もう出過ぎて居るのではないか、政治意欲の昂揚と云ふことは、さうした官製的な運動で出來るのではなくて、自由活溌な言論が許されて、愈愈選擧に臨んで全國に立つ千人以上の候補者の人が思ふ儘に政見を發表すれば、そこに政治意欲も昂揚するし、又棄權防止も自ら起つて來る、今日此の窮迫した時代に、交通の混雜の時代に、わざわざ多數の役人が全國へ出張したり何かして啓蒙運動、棄權防止の運動をする理由が何處にあるか、何の必要があるか、一體文部大臣は何を御望みになつて斯う云ふことをなさるのかと云ふことが一點と、假に政治教育をするのだ、政治啓蒙運動をするのだとして、一體今度の選擧の目標を何處に置くのか、屡屡内務大臣からも御説明があるのですが、要するに民主主義的議會の形成を期侍して居るのだ、斯う云ふ御話ですが、さうした抽象的文句ではなしに、一體何の爲に今度解散するのか、何を目標にして選擧をするのか、政府當局としては何を一體狙つて居るのかと云ふことをはつきり此處で御示しを願つて、是で啓蒙運動をやるのだ、棄權防止運動をやるのだと云ふことであれば、又私共も考へやうがあるのですが、此の點もはつきりして居りませぬ、是等の點に付て文部大臣の御意見を伺ひたい次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/102
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103・前田多門
○前田國務大臣 只今の川島君の御尋ねに御答へ致します、御懸念の點も一應御尤もでありますけれども、今囘の選擧權の大擴張に際しまして、私共も眞面目に色々考へて見たのであります、何分是は非常な劃期的な擴張でありまして、殊に女子は今まで全然權利を認められて居りませぬものが、一擧にして女子が全面的に投票權を持つと云ふことになりまして、只今御話にありました通り、是は機が熟したから斯う云ふやうになつたと云ふことも無論考へられますが、併し他面に於きましては、終戰後に於きまする所の大勢が之を馴致致した譯でありますからして、何と致しましても是程有權者が劃期的に殖えると云ふことに付きましては、公民教育との開係に於きまして、政府と致しまして全然袖手傍觀して居ることはいけないのではないか、所謂事勿れ主義から言ひますれば觸らぬ神に崇りなしで、斯う云ふことに別に觸れない方が宜いかも知れませぬけれども、本當に眞面目に考へますと、こんなに有權者が殖えて居るのに、それ等の有權者の人が本當に自覺して投票權を尊重すべき所以を考へて呉れるだらうか、或は棄權が餘計に出るやうなことがないだらうかと云ふやうなことに付ては非常に憂慮を禁じ得ませぬので、無論選擧干渉がましいことや何かは絶對に避けなければならぬと思ひますが、投票權が如何なる意味を持つか、投票權が實に尊重すべきものである、もつと端的に申しますと、棄權をしないで呉れろ、折角婦人に多數の投票權が與へられましても、事實上非常な餘計な棄權が出ると云ふやうなことに相成りましては、是は内外に對しまして非常に由々しい影響を生じますので、主として棄權防止と云ふことを狙ひまして、是はやはり一つ全國の公民啓發運動をやる必要がある、それで出來るだけ官製運動と云ふものは止めたい、民間からさう云ふ方が起つて下さる方があれば一番宜いのでありますが、何分法律はまだ決まつて居りませぬし、又選擧が行はれるとなりましたら、相當早く行はれると云ふやうなこともあり得ると考へますので、急に民間の團體で適當なものあれかしと思ひましても、中々さう云ふ恰好なものもございませぬ、色々考へました結果、先づ教育會と云ふものは、殊に今囘は教育會の改組も出來まして、餘程民間的の色彩も強くなりましたので、此の各地の教育會に奮起して貰ひまして、そして純正公正な教育的な立場から棄權防止と云ふことを中心に致しました啓蒙運動をやつて貰はう、斯う云ふことなら差支へないのではないか、選擧干渉に陷ると云ふことがなしに濟むのではないか、而も公民教育の目的を達することが出來るのではないかと考へまして、斯う云ふやうな措置を執つた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/103
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104・川島正次郎
○川島委員 國民學校、中等學校の先生――一體學校の先生は今まで政治的關心がない人なんです、それを集めて二、三時間教育して講師にしようと云ふ御計畫だと思ふのですが、餘程是は危險性がある、危險性の有無は別としても、果してさう云ふ人々の運動に依つて政治的の自覺を増すことが出來るかどうか、さうした狙ひは間違ひではないか、今大臣の御話に觸らぬ神に崇りなしと云ふやうな態度でなしに、もつと積極性が欲しいのだと云ふ御話でありましたけれども、私はさう云ふ御節介を役人がやる必要はないと思ふ、是が昔的な考へ方なんです、今はもつと進んで居るのですから、もう思ふが儘に野放しにしてやらせることが宜いのではないか、斯う云ふ風に考へる譯なんであります、それから午前中内務大臣に申上げたのですが、從來の選擧の際に於ける棄權防止の運動、啓蒙運動は常に選擧干渉に惡用されて居る、一番最近の例は東條内閣時代の選擧でありました、あの時には全國地方長官を初めとして教育者は全部政府が起上らして推薦候補者に入れないものは、又非推薦候補者の如きは亂臣賊子のやうな宣傳をして居る、そして政府に有利な選擧に終始したと云ふことは明かな事實である、政黨時代に於ける選擧に於て、棄權防止運動の如きものは、常に政府黨に利用されて居る例が幾らもある譯であります、私は選擧干渉防止の立場から二、三の註文を今朝内務大臣にして置いたのでありますが、此の政治教育、又棄權防止の運動の如きも、多分に注意されねばならぬと云ふことは、此の幣原内閣は如何に公平に選擧をやらうかと云ふことに付て御苦心になつて居ることは御察しするのです、殊に幣原總理以下各閣僚の御人格を見ても、選擧だけは綺麗に仕上げて、次の政黨内閣に椅子を引渡さうと云ふ御考への下にやつて居ることは能く分る、併し親の心子知らずであつて、
〔原委員長代理退席、委員長著席〕
地方幾萬となく散在する所の、此の公民教育、棄權防止運動に從事する人々の間に於ては、政府の考へ方を履違へて、地方の政黨關係者、議員候補者と結託をして、それと意思を通じて之を惡用する者がないとは限らない、ないどころぢやない、多分に其の處がある、文部大臣の監督下に居る國民學校の先生、中等教育に從事して居る教職員の棄權防止運動、政治啓蒙運動の言論に付て文部大臣は果して責任を御持ちになることが出來るかどうか、さう云ふことを斷言出來ますか、之を一應御伺ひして置きたい
もう一つ重大なことは、一體選擧の目標を何處に置くかと云ふことであります、公民運動をするにしても、政治啓蒙運動をするにしても、何の爲に解散して、選擧目標は何處にあるかと云ふことをはつきり御示しにならなければならぬと思ふ、之に依つて選擧の結果に非常に影響があります、此は一體どう御考へになつて居るか、此の點は非常に重大でありますから、此の點に對する文部大臣の御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/104
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105・前田多門
○前田國務大臣 只今最も缺けて居るのは私は公民教育であると思ふのであります、殊に斯う云ふ時代になりましたならば、公民教育に非常に拍車を掛けて參らなければならぬと思ふ、併し今囘の如き劃期的なる選擧權の大擴張と云ふものは、公民教育、政治教育に取り唯一絶好の機會であると考へるのであります、斯う云ふ機會に政府が全然生きたる公民教育に袖手傍觀すると云ふことは、私は政府としてなすべきことでないと考へて居りますけれども、此の點に付きましては或は川島君と餘程根本に於て意見が違つて居るではないかと思ふのです、併しながら選擧于渉の如きは實に許すべからざる惡徳でありまして、斯う云ふことを斷じてしないことは勿論のこと、又私共の致しますことが、少しでも選擧于渉の嫌ひがあることに陷りましたならば、是は重大なる責任と言はなければならぬと思ひます、固より數の多い學校の教員のことでありますが、是等の教員に對して斯う云ふ人達の公民教育をやつて貰ふ場合に、本當に選擧于渉を致したやうな場合に於きましては、文部大臣として由々しい責任でありまして、其の責任を私は執らなければならぬと思ふのであります、斯う云ふ一種の危險を冐しましても、私は成算があるので、何も決してさう御心配になる程のことでないと思ふのであります、單純なる棄權防止、投票權の尊重すべき所以、之を買收とか情實とか云ふことに依つて左右されないと言つたやうな、極く初歩的な公民教育に付きましては、選擧于渉に渉らざるやう教員の諸君に愬へまして――是も私は命令的に致す積りぢやないのであります、地方にある今度民間的な色彩の濃くなります教育會などにも愬へて、一つ斯う云ふやうな人にも協力をして貰ふ、其の他の民間團體でも、中正公正の立場から今言つたやうな公民教育的にものをやらうと云ふ方は助成をし、慫慂をする、さう云ふ風にしてやつて行きたいと私は存じて居ります
次に目標でありますが、勿論是は國民の總意と云ふものが今囘より擴げられまして、さうして總意全體が政治の動向を決定すると云ふ非常な重大なる場面に立至つて居る、「ポツダム」宣言其の他の處理及び經過から徴しましても、今囘の選擧は民意の現はれと云ふ點に於て、國家の將來にも非常に大きな影響を持つものであるから、一つしつかりして此の選擧に臨まうではないか、此の一票々々と云ふものは重大な意義を持つて居る、眞面目な考へで神明に誓つて一つ良い總意が現はれるやうにしよう、斯う云つたやうな敬虔な氣持でやらうではないか、斯う云ふ氣持で指導して行つて貰つたら宜いのではないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/105
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106・川島正次郎
○川島委員 私は文部大臣と全く考へ方が違ふ、文部大臣は折角の此の好い「チヤンス」であるから、之を掴へて政治教育をするのだ、國民教育をするのだと、斯う仰しやつて居るのですが、私共はそれと違ふのです、政府が自由公正な選擧をするならば、そこに自然に自ら政治教育も出來て來る、國民教育も出來て來るのである、何もお節介に政府が手を出してそんなことをする必要はないのだ、却てそれは弊害を生むのだと、斯う考へて居るので、是は文部大臣と全然考へが違ふのです、併し政府がおやりになるなら、文部大臣が今仰しやつたやうに、苟くも誤解がないやうに、惡用されないやうに、萬全なる注意を願ひたいと、斯樣に私は註文を申上げて置きます
文部大臣と内務大臣のおいでの此の機會に一つ聽きたいことがあるのですが、内務大臣に先づ聽きたいのは、今度の解散は「マッカーサー」司令部の要請に於てやられるのですかどうですか、實は昨日も質問がありまして、一體婦人參政權は司令部の要求かどうかと云ふ質問に對して、内務大臣の御答へは、婦人參政權は曾て研究して居つたのだ、所が偶偶總理が「マッカーサー」元帥に會つた時に「マッカーサー」元帥から話が出た、併し其の時は既に内部で決まつて居つたのだ、そこに一種の意思の合致があつたのだと云ふ御説明があつたやうに承つて居つたのですが、其の根本の解散をして新議會を構成すると云ふことは、「マッカーサー」司令部の要求に應じておやりになるのですかどうですか、簡單で宜いのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/106
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107・堀切善次郎
○堀切國務大臣 向ふの方からさう云ふ要求は絶對にありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/107
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108・川島正次郎
○川島委員 是は選擧法に直接關係がないのですが、映畫法の廢止法律案が貴族院の方から衆議院の方へ廻つて居ります、此の議案の理由書を見ますと「聯合國最高司令官の要求に基き映畫法は之を廢止す」と斯う書いてある、是は文部大臣、内務大臣、厚生大臣の副署があるけれども、一體斯う云ふ提案の理由と云ふものはあるべきものかどうか、成程現在は聯合國占領下で以て政治をやつて居り、色々な命令や要求が來ませう、併し政治の局に當るものは政府である、政府の責任に於てやるのである、例へば聯合國の方から映畫法を廢止しろと言つても、政府に於て廢止する必要なしと認めれば、何處までも聯合國司令官と爭ふべきものである、政府が之を御提案なすに付ては聯合國の意向に基いて、政府に於て廢止する必要ありと、斯う認めたからこそ御提案なさるに違ひない、政府に見る理由があつて御提案なされただらうと思ふ、所が此の提案理由書を見ると聯合國の最高司令官の要求に基き映畫法は之を廢止すると云ふので、廢止の責任一切を聯合國に押付けて居る、是は責任内閣ではないではないか、是は一體どう云ふ意味でありますか、之を一つ文部大臣から承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/108
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109・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今のは内務省所管でありますので私の方から申上げます、それは要求のあつたことは事實なのでありますが、要求のあつたものを廢止致します時には議會の閉會中でありましても、先頃出ました緊急勅令に基いて命令で廢止が出來る譯なのであります、唯命令で廢止出來る譯なのでありますが、それに對しましてそれに關聯致しました問題で調査を要するものがありまして、其の爲に今日まで其の運びにならず、議會が開けて居りますれば之を議會に提出すべきものかどうかと云ふ問題があるのでありますが、併し議會が開けて居る以上は、緊急勅令に依つて命令で廢止は出來ても、やはり是は議會を尊重する意味に於て、議會の開けて居る間は、法律案として議會に提出するのが穩當であらうと云ふやうな解釋から、提案することになつたやうな次第なのであります、固より之を廢止する理由は、映畫法が今日必要がなくなつたんだから之を廢止する譯でありまして、其の理由に書いてありますのは、今のやうな經過を少しそこに表はしたやうな意味に過ぎないと御諒解を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/109
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110・川島正次郎
○川島委員 私が之を質問する所以のものは、公民教育に關係があるから申上げる、それは一體民主主義政治をやると言はれますけれども、是は「ポツダム」宣言の中にはつきり書いてある、我々「ポツダム」宣言を受諾しまして、之に依つて、色々なことをやつて居りますが、併し民主主義政治をやると云ふことは、聯合國の要求に從つて、「ポツダム」宣言に書いてあるから仕方なしにやるのか、「ポツダム」宣言に書いてあるのと別に、今日本國家の要請に於て民主主義をやるのかどうかと云ふことをはつきりしなければならぬ、「ポツダム」宣言にあるから、我々之を承諾したから已むを得ず民主主義政治をやるのであるか、さう云ふ宣言を受諾しないでも、現在の國家情勢から見て、民主主義的政治をやらなければならぬ、斯う云ふはつきりした信念の上に立つのであるか、之を先づ解決する必要がある、今日多くの國民は「ポツダム」宣言にあるから仕方がない、斯う云ふ風な氣持に皆墮して居る、今囘公民教育をやり、政治啓蒙運動をやるとしても、先づ此の點をはつきり掴んで、「ポツダム」宣言の有無に拘らず、民主主義政治は必要であると云ふことを政府が認識して、其の氣持の下に全國國民學校なり中等學校の教職員を教養すると云ふことになれば、是は又筋が通るが、此の點がはつきりして居らぬが、之に付ての政府の考へ方はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/110
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111・前田多門
○前田國務大臣 全く御説の通りであります、厭や厭やながらやつたのでは何にもならないと思ひまして、殊に公民教育の如きは、自分達お互ひのことでありますから、自發的にやりたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/111
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112・川島正次郎
○川島委員 さう云ふ政府の御考へ如何、此の映畫法の提出理由の中に聯合國最高司令部の要求に基くなどと云ふやうなことは書く筈はない、是は政府部内で考へ方が練れて居らぬ、だから堀切内務大臣の説明ではないが經過を書いて居る、提案理由になつて居らない、そこで公民教育をする場合にはつきり事實を認識されて「ポツダム」宣言の有無に拘らず、現下の情勢に依つて、國家要求から民主主義教育をやるのだと云ふことを徹底的に呑込ませるやうに御協力を願ひたいと云ふことを申上げて私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/112
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113・清瀬一郎
○清瀬委員長 文部大臣に對し牽聯事項に付て木下君より簡單な御尋ねをしたいさうでありますから、此の際之を許します――木下君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/113
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114・木下義介
○木下(義)委員 先刻來川島委員からの御質疑の、來るべき總選擧に當つての啓蒙運動の問題でありますが、内務省の政府委員からも啓蒙運動に付ての御説明の一斑がありましたけれども、此の際どう云ふ具體的の方法で啓蒙運動をなされる御豫定であるか、其の御示しを伺ひたいと思ふのであります、私はまだ民間的の色彩の濃くなる教育會と云ふものの内容を承知して居りませぬ、併せてさう云ふ點も御説明戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/114
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115・前田多門
○前田國務大臣 先刻も申上げました通りに、是は何も教育會に限つたことではない、殊に政府が直接の官選運動をしない爲に、出來るだけ信用すべき民間團體に斯う云ふものは頼みたい、斯う思ふのであります、差詰めの所、取急ぎました今日に於きまして、全國的に此の組織を持つて居りますものは教育會であると思ひます、此の教育會に於て奮發して貰ふ、斯う云ふやうな考へで或は講演をしたり、座談會を致しましたり、それから又放送局關係の方も協力をして呉れると思ひますから、「ラジオ」を通じまして先刻申上げましたやうな公民啓發運動の趣旨を公正なる立場にある放送協會に傳へ啓蒙運動をやつて貰ふ、之を考慮して貰ふ、斯う云ふやうな方法を執りたいと思ふのであります、それから教育會組織のことでございます、是は戰時中御承知でもございませうが、餘程機構が變りまして、官僚的色彩が非常に強かつたのであります、是は併し時勢の變りますると共に組替へまして、今までは各府縣の教育會は殆ど知事が支部長をすることになつて居つたのでありますが、寧ろ今度は民間の人を支部長に選んでやる、それから大日本教育會の元締の方も、今までは文部省から働き掛けて會長を作つて居つたのございますけれども、今後は選擧に依つてやると云ふやうな風で、民間的の色彩が強くなるやうに今變りつつある譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/115
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116・木下義介
○木下(義)委員 まだ地方に於ける具體的の點には御答辯は觸れて居ないと思ひますが、然らば各地に於ての座談會なり、講演會なりに現實に臨みまする者は、殆ど全部が其の地方の教育者を以て充てられる、斯樣に解釋して然るべきでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/116
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117・前田多門
○前田國務大臣 教育者が勢ひ多數になると思ひます、併し此の教育者と云ふのは、所謂學校教育に携はる教師もございませうし、社會教育に於ける所の指導的の地位に立つて居ると云ふやうな人も入るだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/117
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118・木下義介
○木下(義)委員 其の啓蒙運動は、結局文部省の所管としておやりになる御豫定でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/118
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119・前田多門
○前田國務大臣 是は内務省と、文部省と、情報局と三つが共同してやることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/119
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120・清瀬一郎
○清瀬委員長 同じく關聯して東條君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/120
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121・東條貞
○東條委員 此の啓蒙運動は御計畫になつて居ることですから、早速御始めになることと思ひますが、選擧の告示が出まして選擧の行はれまするまでの期間も繼續しておやりになるのでありますか、告示が出たらばそこで啓蒙運動は打切る御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/121
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122・前田多門
○前田國務大臣 其の點正確なことは只今承知致しませぬが、趣旨は選擧運動が始まれば錯雜關係を起すといけませぬので、此の方は手を引く、大體十二月末日までに終了する、斯う云ふことに決めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/122
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123・東條貞
○東條委員 それから此の啓蒙運動にはどれ位の豫算を取つてどう云ふやうな經理でおやりになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/123
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124・前田多門
○前田國務大臣 目下大藏省の方と交渉致して居りまして、まだ正確な額は決まつて居りませぬ、大體呉れることは決まつて居るのですが、それに對してもう少し注文をして居りますので、只今交渉中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/124
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125・東條貞
○東條委員 從來政府の方針として教育に携はりまする者が政治に觸れることを非常に宜くないとして、先づ中等學校の先生、殊に國民學校の教員などは、自分の身の上から言つても、成べく政治には觸れないと云ふ態度を執つて來られた、そして相手にして居られる者は無論選擧權も持たない青年であるとか、小さい子供を相手に教育をして居られる、隨て政治と云ふことに付てさう申しては叱られるかも知れませぬけれども、凡ゆる地位や職業の上から云つて、所謂教育の畑に居られた人程、政治に理解の少い人はないのでありますが、さう云ふ人を用ひて、政治上の啓蒙運動が出來ると御考へになつて居るのでありませうか、是も一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/125
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126・前田多門
○前田國務大臣 勿論教員の人に政治運動と申しましても、何黨何派に偏した運動などをされては困るのですが、選擧權は大事だ、棄權をしてはならない、斯う云ふ初歩的な政治原理、それは學校の先生をして居る程の者ならば知らない筈はないのでありまして、それの出來ないやうな人は教員の資格がないぢやないかと思ふのでございます、寧ろ餘り政治に深い知識のない方が川島さんの御心配になるやうな危險にも陷らないで濟むぢやないか、詰り公民科で教へるやうな、公民權は大事なものである、選擧權は大事なものである、棄權をするなと言つたやうなことを巧みに教育的の見地から教へて貰ふ、斯う云ふことだけでも非常な效果を齎すと思ふのでありますが、さう云ふことに對しては大體教員と云ふものは適して居るのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/126
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127・東條貞
○東條委員 十二月末日までと云ふことで、議會が何時解散されるか分りませぬが、若し十二月末日以前に選擧運動に入るやうなことが、是はないと云ふ御見込とは思ひますけれども、さう云ふ場合には直ぐに御打切りになる御積りかどうか、それを伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/127
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128・前田多門
○前田國務大臣 私共の趣旨は選擧運動の時に是があつて重複したりすると、それこそ色々選擧干渉などと云ふことも起し易うございますから、それは打切りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/128
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129・清瀬一郎
○清瀬委員長 次は大川君の質問の順位でありますが、金井君が一昨日以來司法大臣に對して質問なさりたい趣きでありますから、此の際司法省に對する質疑を片付けます――金井君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/129
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130・金井正夫
○金井委員 簡單に所見を述べまして司法大臣に御尋ね致したいと思ひます、今度の選擧法に於て選擧運動が簡素化せられ、明朗闊達な選擧を行ふと云ふ趣旨に對しては、私非常に贊成致して居ります、從來の選擧運動が非常に取締が嚴格でありました爲に、動もすると選擧干渉の機會を與へると云ふやうな風になつて居りまして、過去に於ては立看板の倒れて居つたものを立てたと云うて直ぐ選擧違反に問はれると云ふやうなことで、非常に不愉快な考へを持つて我々は選擧に臨んで來たのであります、所が今度は立候補前の選擧運動も差支へない、私實は反對でありますが、或は第三者の運動も自由であるとか、色々の意味に於て其の制限の枠を外されて居りまする結果、選擧費用が非常に厖大になりはしないか、之を我々は惧れるのであります、先刻來政府委員に對して色々質問がありまして、例へば勞務者の方に於ては旅費、日當、報酬も構はないと云ふ、然らば勞務者を何十人も取替へて行つた時にはどうするか、それは一つの脱法行爲になりはしないかと云ふやうな御尋ねもありましたが、併しそれに對しては結局選擧費用が超過すると當選無效になるから、それで緩和されるやうな御意見でありますが、私は是が實際不徹底だと思ふ、單に選擧費用が超過したからと云うて選擧が無效になる、是は實際から云へば其の無效になり得る材料を掴むことが中々困難ではないかと思ふのであります、殊に此の改正法案を見ますると、現行法の百八條が削除されたが、其の百八條は「警察官吏は選擧の期日後何時にても選擧事務長に對し選擧運動の費用に關する帳簿又は書類の提出を命し、之を檢査し又は之に關する説明を求むることを得」と云ふ條文がありまするから、警察官が其の選擧事務所に參りまして、選擧費用がどう云ふ風になつて居るかも多少調査が出來ますけれども、此の規定が削除せられて居りまする結果やりやうがない、でありますから、私は其の結果、選擧費用が厖大なる額に上ると思ふのですから、單に當選が無效になると云ふ規定だけでは駄目だ、それで現行通り選擧費用を超過した場合に於ては、罰則で之を制裁すると云ふやうな規定を存置されて居つた方が宜いのではないかと思ひます、假に選擧費用が超過した場合に於ては、罰則でも設けて之を處罰すると申しましても、今のやうに警察官が立入つて、色々なことに付て調査することが出來ないのでありますから、事實上是も私は空文に等しいと云ふやうな結果になると思ひます、併しないよりはまだあつた方が宜いと思ひますので、此の選擧費用の超過の場合に於ける罰則を存置するかと云ふ點に付て、司法大臣の御意見はどうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/130
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131・岩田宙造
○岩田國務大臣 只今御述べになりましたやうに、選擧費用が制限額を超過致しました場合に之を罰すると云ふやうに、現行法通りにして置きますと、其の爲に只今御引用になりました第百八條でしたか、さう云ふ規定をも存置して、さうして其の費用の支出に付て何時でも調査の出來るやうなことにして置かなければ、目的が達せられないのでありますが、斯樣にして置きますと、自然選擧干渉を誘發する虞もありまするし、又選擧干渉をする積りでなくても事實上色々さう云ふ疑ひを受けたり、それに似寄つた結果を生ずるやうな虞がありますから、今囘の改正の要旨は、出來るだけ選擧と云ふものを公正にして、苟くも選擧の干渉のやうなことを誘發したり、さう云ふ疑ひを生じたりするやうな虞がないやうにと云ふことに、非常に重きを置いたものでありますから、それで其の罰則を取除いたのであります、併しながらさうかと言つて、餘りに無制限に選擧費用を掛けると云ふことも亦一方に弊害がありますから、制限額を設けた、制限額を設けた以上は、何等か制限を超過した場合の制裁がなければ、其の目的は達せられないのでありますから、其の制裁として選擧無效の訴へを起すことが出來ることにして、是で其の制裁としては十分であらう、要するに選擧費用は餘り多く使はないやうにして置きたい、さうかと云つて餘り之に罰則を加へて、選擧干渉の端を開くやうな規定は除きたい、兩方を睨み合せて、斯う云ふことにしたら宜からうと云ふ考へで出來て居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/131
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132・金井正夫
○金井委員 此の選擧法改正の大體の條文を拜見し、又政府の御答辯を承りますと、今度は極端に選擧干渉と云ふことを避けて居られる、選擧を干渉することを避けることは實に結構ですが、唯官吏の方でやり放しで、動もすると政府が選擧干渉をしたと云ふやうな疑ひを掛けられては困る、どうも極端に恐怖心に驅られて居るのではないかと私は思ふのであります、それが私は却ていけないと思ふ、若しさう云ふ風な餘りに放任主義を執られてやつて來ますと、選擧費用が増大しましても、是は決して當選の無效の訴へを起すことも出來ないと云ふやうなことになりますので、選擧干渉を避けられることは勿論結構でありますが、餘りに色々と他から選擧干渉でもしたやうに疑はれるやうな行爲を避ける爲に、極端に斯う云ふやうな緩和規定をされることはどうか、是が私はいけないと思ふのであります
其の點は此の程度で宜しうござりますが、次に此の選擧干渉に對して、干渉しました所の官吏の處罰方法であります、今申しましたやうに、次の選擧に於ては出來るだけ選擧干渉を避けようと云ふ政府の御方針でありますから、或は選擧干渉はないと思ひます、併しながら是から次第に政黨が發達して、政黨が内閣を取ると云ふことになりますと、必ず在野黨の選擧干渉をすることは、火を賭るよりも明かであると思ふのであります、でありますから、此の機會に於て、次の選擧は兎に角と致しまして、其の次に來るべき選擧に於て選擧干渉をするやうな場合に於ては、今までのやうな法規のみに於ては、實際の效果が現はれないと云ふことを能く御考慮せらるべきである、又司法大臣も多年之に付ては御經驗もあられることと思ひますが、それは昭和十七年の推薦選擧、或は之を官選選擧と言つて居りますが、到る處に於て大干渉が行はれたことは、司法大臣も能く御存じのことと思ひます、長崎に於きましても鹿兒島に於ても、選擧無效の訴へを起したのだけれども、選擧違反に對しても非推薦から澤山の告發が出た、所がどう云ふ譯か知りませぬが、干渉した所の官吏に對しては何等の處罰をされて居ない、又起訴もせられて居ない、我々聞く所に依ると、どうも司法大臣或は内閣總理大臣の命に依つて、其の檢擧は打切つたと云ふことも聞いて居りますが、若しさうなると司法權の一大不祥事だと言はなければならないと思ひます、鹿兒島縣の第二區に於ては、選擧の無效の訴訟が勝ちを占めて居る、長崎の選擧は司法大臣の在野中に、何か原告代理として訴へられたことを聞いて居りますが、司法大臣と致されては、其の時の選擧干渉の事實を、ありありと調書に依つて御存じのことと思ひます普通の順序としますれば、選擧于渉の刑事事件が提起せられて、其の犯罪の結果に依つて、次に民事に於ては此の選擧無效の訴へが起されるのが普通であります、是が一般の常識となつて居るのであります、然るに是は逆に鹿兒島懸で當時の知事其の他警察署長、警察部長等に對して訴へた選擧違反の訴へは不起訴になつて、選擧無效の訴訟の訴へが勝つたと云ふことは、實に不可思議な現象だと思つて居ります、是と云ふのが選擧于渉をした官吏は、上の彈壓に依つて之を取上げることが出來ない建前になつて居るから、斯う云ふやうな結果になるのだと私は考へて居ります、其の外刑法の百九十三條以下六條に於ける涜職の罪の場合にも、刑法に於ては斯う云ふやうな職權を濫用して涜職を致した官吏の處罰規定が設けられて居りますけれども、多くは空文に等しいやうな結果になつて居りますので、我々議員と致しまして、此の官吏の涜職の場合の公訴權は今までのやうな檢事に任して置いてはいけない、それで辯護士會に其の公訴の提起權を與へるやうにと云ふ刑事訴訟法の改正法律案を今期議會に提出することになつて居りますが、丁度それも官吏の行つた選擧于渉と云ふものは、單に檢事ばかりに於ては實際の效果が擧らないと思ふと云ふやうな趣旨になりますので、選擧に干渉された場合の此の官吏に對する所の起訴權を或は辯護士會に持つて來るか、或は議會に任すか、さう云ふやうな特別の規定を御設けになる御意思があるかないか、此の點を司法大臣に質して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/132
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133・岩田宙造
○岩田國務大臣 官吏の違法行爲、就中選擧干渉等がございました場合の檢擧に付きましては、從來不十分であつたと云ふことは御説の通りであります、さう考へて居ります、隨て斯くの如き場合に檢察や公訴の方法に付て何等か特別の規定を設くる必要があると云ふことは、私も強く感じて居ります、唯只今御述べになりました通りに、辯護士會に其の公訴を與へるかどうかと云ふことは、是は辯護士會の性質等に顧みまして、能く愼重に考へて見なければならぬと思ふのであります、隨て是等の點に付きましては、目下司法省にありまする司法制度改正審議會に能く諮りまして、適當な方法を講じたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/133
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134・清瀬一郎
○清瀬委員長 大川光三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/134
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135・大川光三
○大川委員 私は先づ本改正案と民主政治確立との關係に付て、内務大臣の所信を伺ひたいのであります、御承知の通り「ポツダム」宣言は民主主義的傾向の復活強化と云ふことを最も強く要求致して居ります、隨て我々が此の線に沿うて宣言受諾の義務を忠實に履行致します爲にも、我が國の民主政治沒落の根本原因を深く檢討し、再び既往の過誤を繰返さないやうに留意し、此の見地に立つて選擧法の改正が行はれなければならぬと私は考へるのであります、一體我が國の民主政治は如何にして沒落を致したか、政黨政治が國民怨嗟の的となり、軈て青年將校が蹶起して五・一五事件を卷起し、政黨内閣に最後の止めを刺し、政權が軍閥官僚の手に委ねられた原因は何かと申せば、それは畢竟我が國の政黨政治家が腐敗墮落せるが如き印象を一般國民に與へたからであります、然らば何が故に政黨政治家が斯樣な疑ひを被らなければならなかつたかと申せば、其の主なる原因は選擧に金が掛つたからであります、既往の如何なる政治家と雖も、政治をやつて金を儲けようと云ふやうな、左樣な不純な氣持は毛頭持つて居りませぬ、併し選擧に金が掛つた結果、ついそこには無理が生ずる、例へば政黨と財閥とが結託致して居ると云ふ非難を蒙むるに至つたのも、結局選擧に金が掛つたからであります、そこでそれではいけないのだ、選擧に多大の金が掛るやうでは到底政界革新は望めないと云ふので選擧肅正が叫ばれ、選擧に成べく金が掛らぬやうにと言つて改正されたのが現行法であります、而も堀切内務大臣は其の選擧肅正運動の中心人物であり、舊法を現行法の如く改正するに當つては、當時法制局長官として此に關與せられ、現行法の立案起草の責任の衝に當られて居つたと私は記憶致すのであります、而も其の御本人が曾て自ら是なりとして立案せられた現行法を、再び改正せられる根本の理由は何處にあるのか、改正案中新時代に即應して婦人參政權を認め、年齡を低下し、選擧權を擴大することは能く諒承致しましたが、選擧に金が掛つた昔に返さうとする本旨が私には分らない、咋日内務大臣は牛塚委員の質問に答へて、現行法を改正することは自分の信念であると申されました、一體内務大臣が現行法を改正しようと云ふ其の信念を抱かれたのは、いつ如何なる理由に依つて生れたのであるか、改正の根本原因、根本理由を私は茲に先づ承りたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/135
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136・堀切善次郎
○堀切國務大臣 從來我が國に於きまする民主政治が相當健全なる發達を遂げ來りつつありました間に、色々な政黨政治の弊が叫ばれて今日のやうな状態になつて居りますことは、御説の通り洵に遺憾に堪へない所でありまして、是等の原因は確かに選擧に非常に金が掛り、そこに無理が起つて來ると云ふことが、其の原因の大きな一つであらうと私も想像致すのであります、さう云ふやうな點から致しまして、色色從來選擧肅正の聲も起り、之に私も色々關係をし、相當其の效果は擧つて來たと思ふのであります、併し現行法の儘でありましては、私共が近頃の選擧に應援をし、手傳ひをして見まして、餘りに規定が詳密に過ぎ、窮屈に過ぎまして、そして一寸普通の常識とも合はない程度にまで進んで居る點に付きましては、是は是非改正する必要があると考へて來た次第であります、選擧肅正の效果は今日まで相當是へ擧つて居ると思ひます、殊に選擧肅正の時に最も力を入れました買收等惡質の行爲に付きましては、其の效果が最近に於きまして餘程擧つて居ることと信じて居るのでありまして、今囘の煩瑣な運動に關する制限の撤廢と云ふことは、選擧肅正の趣意と根本的に相齟齬するものでもないと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/136
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137・大川光三
○大川委員 只今内務大臣は現行法は複雜であり、窮屈である、之を簡易化すると云ふやうな意味が一つの改正の理由だと仰しやるのでありますが、然らば一體選擧に關する斯かる弊害を、本改正案は如何にして除かうとせらるるのでありますか、現行法に於て選擧事務所の設置及び數を制限し、休憩所の設置を禁止致し、選擧委員及び勞務者の人數を制限し
〔委員長退席、川口委員長代理著席〕
個々面接を禁じたり、文書圖畫の頒布、掲示に制限を加へ、演説會出席者數を制限し、事前運動、事後の挨拶行爲を制限せられましたのも、是れ總て選擧費用節減の趣旨に出でたものと存ずるのでありまするが、而も此の現行法實施の結果と致しまして、只今大臣御説の通り選擧界は餘程良くなりました、而も現行法實施以來の選擧に於きましては、從前に比して餘程金が掛らなくなつたと云ふことは、總ての人の認むる所であります、又現行法實施以來、政治家に對する金錢に絡まる非難の聲を耳にしないことは、正に現行選擧法の大なる收獲であり、大なる功績であると私は考へて居ります、然るに今是等の制限を悉くと言つて宜い程取外すと云ふやうなことは、再び選擧に金が掛り、昔に還元することになる、又ぞろ政界の腐敗墮落を疑はれる虞なしと誰が保證し得るでございませうか、斯くては民主政治の確立どころではない、却て民主政治の發達を阻碍し、民主政治沒落の歴史を繰返す結果となると私は存ずるのでございまするが、政府の此の點に關する御意見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/137
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138・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧の費用の從來最も餘計に掛つて居りましたのは、私は素人で餘り能くは知らないのでありますが、是はやはり買收とか、或は選擧「ブローカー」の關係とか、云ふやうなことが、一番大きいものでなかつたかと思ふのでありますが、斯う云ふやうな點に付きましては、近來著しく其の點は改善されて居ることと信じます、隨ひまして今度の法律に於きまして、選擧費用の一定の制限はあるのでありますから、此の制眼に依りましてさう著しく費用が殖えると云ふことはなくて濟むことであらうと考へて居る次第であります、事務所、休憩所、委員其の他、是は費用の制限から來た點も主なことでありませうが、之を撤廢致しましても、之を無制限に金に構はずに設置しまするとすれば、是は非常に掛ることと思ひますが、それはやはり全體の費用の制限に依りまして、そこに自ら一定の制限が出來て來ることだらうと考へて居る次第であります、さう云ふやうな趣意に依りまして、全體に付ての費用の制限があり、極めて惡質の行爲が取締られることになりますれば、寧ろ此の選擧は自由に闊達に行はれて、普通に考へて無理だと思はれますやうな煩瑣な色々な制限は、寧ろ此の際之を撤廢することが適當であらうと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/138
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139・大川光三
○大川委員 次に私は來るべき總選擧執行に對する政府の熱意如何と云ふ問題に關聯して、具體的に御伺ひを致したい、今囘の選擧法改正は、新事態に即應し、國民總意の暢達になるとは幣原總理が本案提案の理由に於て御述べになつた所であります、果して然らば、政府は選擧權、被選擧權の要件である年齡の低下、婦人參政權の實施、大選擧區制の採用等に伴ひまして、國民の投票意欲を如何にして昂揚せんとせらるるのでありまするか、申上げるまでもなく、折角法規の上で選擧權が擴大されましても、選擧の結果に於て投票率が大變惡い、棄權率が意外に高いと云ふやうなことでございますれば、謂はれる所の國民總意を掴むことが出來ない、選擧に依つて民意が明白に反映せられないと云ふやうなことがあれば、我が國民主政治再建の第一歩に於て汚點を印するのみならず、總選擧執行を最大の使命とせられまする現内閣の重大なる責任を後世に貽すことになると存じます、一體政府は此の投票意欲昂揚に付て、公民教育、啓蒙運動以外に、何か御用意があるかどうか、最早選擧は目前の間に迫つて居ります、我が國民主政治再建の「スタート」は將に切られんと致して居る、左樣な場合に、此の公民教育、啓蒙運動の對象となる婦人のことを考へて見ると、今日の婦人は其の日其の日の賄ひをすることに青息太息を吐いて居ります、選擧權の一票より米の一俵を熱望致して居る、否、米一俵と云ふやうな大きな問題ではない、一升の米、五合の麥を手に入れることにも苦心慘憺致して居ります、副食物に付きましても、配給だけでは到底我慢が出來ない今日、公民教育の講演會に行くよりは市場や田舍へ買物に行かなければならぬと言つて、少しも落著いて居らないのが今日の都會の婦人の實情であります、又農村に於きましても、本年の米作の不況を如何にかして取戻さうと致して、麥や野菜に一生懸命力を入れ、日々多忙を極めて居る、恐らく選擧の札入れよりも、田畑の手入れの方が肝腎だと考へて居るのが、今日の農村婦人の實情であります、斯うした婦人を對象として公民教育、啓蒙運動をおやりになりましても、效果は大して期待出來ないと私は存じます、併し一旦選擧權を與へた以上は、どうしても是等の婦人を投票場へ驅り立てて兎に角投票せしめる、それが政治教育の實地訓練であると私は考へて居ります、而も此の實地訓練を行ひますることは、蓋し婦人參政權を附與せられた政府當然の責任であります、併し繰返して申しまするが、公民教育には大なる期待が懸けられない、啓蒙運動だけでは大なる選擧熱は揚つて參りませぬ、そこで私は考へる、政府は宜しく選擧の投票日に當つて、食糧其の他生活必需物資の特配をやるべしと云ふ一案であります、之を選擧特配、又は投票特配と呼んでも宜い、兎に角明日は愈愈投票日だと云ふ日に、隣組を通じて投票を勸誘し、其の代りに特配があるから明日は市場や縁故先に買物に行かなくても宜いと云つて、鯛でも「ハマチ」でも、鰤でも鮪でも宜しい、なければ鰯でも結構でありますが、兎に角久し振りで生き生きした魚でも特配を行つて、家庭の婦人が安んじて投票場に赴ける、又農村であれば下駄の一足、足袋の一足位は選擧特配をやりまして、年中土に塗れて働いて居る農村の婦人をして、やれ嬉しや、明日は久し振りで新しい下駄を履くことが出來る、新しい下駄を履いて投票に行けると云ふやうに、投票に行くことに希望を持たす、國民をして投票日を待佗びさす位の新しい手を打たなければ、國民の選擧熱は昂揚致しませぬ、二十歳以上の男子にも、選擧酒だ、投票酒だと言つて、まあ一級酒の一本位特配して御覽なさい、如何に選擧熱が揚ることでありませう、斯樣なことを申上げますると、冗談だと言はれるかも知れませぬが、私は是が民主政治の相であると考へて居ります、それを冗談だなどと御考へになるならば、それが所謂官僚的な考へ方であつて、我が國の民主政治の前途尚ほ遼遠であると言はなければならぬのであります、一體政府は投票意欲の昂揚の爲に、英斷を以て此の種の新しい手を打たるる御計畫なり御意思があるかどうかを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/139
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140・堀切善次郎
○堀切國務大臣 投票意欲の昂揚、棄權防止の爲に、十分に力を盡さなくてはならないと云ふことは、只今御説の通りであります、此の儘で置きましたならば、先刻來より御話のありましたやうに、婦人の投票は、或は五割にも達しないやうな棄權も懸念されるのでありまして、何とかして斯う云ふ所有權者の棄權防止の方法を講じなければならないと考へます、從來の有權者の棄權率は色々な最近の啓蒙、啓發運動等に依りまして、ずつと減つて來て居りますことは、洵に御同慶に存ずるのでありますが、新しい有權者に、若し棄權が割合多いと云ふやうなことがありましては、洵に遣憾至極なことであります、前にも申上げたことであります、「イギリス」で婦人に選擧權を與へました例を聞きますと、選擧權を與へた一番當初の時には非常に棄權が多かつた、二囘目からは殆ど男子と同じやうな棄權率で非常に成績が良くなつたと云ふことを聞いて居るのでありまして、殊に一番最初の選擧が投票意欲の昂揚と云ふことに付て、特別の注意、考慮を加へなければならない時だと思ひます、之に對しまして色々頭も搾るのでありますが、先刻來申上げましたやうな公民啓蒙運動、色々な團體其の他の手を通じまして棄權防止の方法を講じます以外には、まだ名案を持つて居ないのでありますが、只今御説のありましたやうな特配の方法とか、又其の他にも若し御氣付きの名案がありますれば、十分に考慮致したいと思ひますので、御知らせを願ひたいと思ひます、特配も確かに良い思ひ付きのやうには思ひますが、有權者全部に配給をやります物資の量との關係もありまして、實行が果してどう云ふものでありませうか、中々難かしいのではないかと思ひまするし、此の頃のやうな状態でありますれば、魚や野菜を配給すると申しましても、値段が高くて一向手が出ないと云ふやうな状態であつても困るのでありまして、是は全く特配をする物が旨くあるかどうかと云ふ問題になるやうに考へますが、是等の點に付きましては、尚ほ十分に能く研究も致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/140
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141・大川光三
○大川委員 次に制限連記制の點に付て御尋ね致します、此の制限連記制の問題に付きましては、既に先般來本會議竝に委員會に於て論議が集中され、且つ政府より懇切丁寧なる御答辯がございまして、其の内容は大體明かになつたやうに見えるのでありますが、實は内務大臣の御答辯中、最も重要な點に於て、どうしても了解の出來ない所がございますので茲に繰返して御尋ねを致すのであります、それは制限連記制に依れば、選擧權に對する差等が生ずる、單記投票をする者と二名三名の連記投票をする者との間に、選擧權の行使に大きな開きが生ずる、不合理があると云ふ非難に對しまして、内務大臣は其の懸念なしとして、制限連記制を採らなければ、五人の選擧區に於ては有權者は定員の五分の一を決定する權利しか持たない、十人ならば十分の一、十四人ならば十四分の一の決定權しかない、それを六人以上十人までは二人、十人以上十四人までは三人を選ぶとすれば、却て平等を來すものであるとの御答辯でございますが、是は大變な御間違ひではないか、政府の重大なる錯誤であり詭辯であり、國民を坪勘に陷れるものではないかと私は考へるのであります、何となれば選擧區に於ける議員の定員數は人口十五萬五千五百六十人に對し一人の割合で定められて居ります、然らば國民は人口十五萬五千五百六十人に付て一人の議員を選出し得る、換言致しますれば、若し國民悉くが有權者と假定せば、國民は等しく十五萬五千五百六十分の一の參政權を持つことになる、而して此の參政權が一票の投票權に包藏され、一票の投票權に依つて表現されて居るのであります、隨ひまして一票の内容は常に十五萬五千五百六十分の一の參政權である、此の一票づつの權利の享有こそは絶對であり、不動でなければなりませぬ、そこに平等の原則が保たれるのであります、若し人に依り所に依り一票の内容に差等を設け、或は享有する權利の數を區別すれば、直ちに平等の原則は破れ、合理性は根柢より覆へされるのでございます、此の點を今少しく具體的に申上げますると、全國が一つの選擧區である場合を假定して御覽なさい、誰しも一票づつを投票することに異存はないが、若し其の中で一般國民は一票、次官は二票、大臣は三票を投じ得ると致しますれば、不公平の非難は免れませぬ、是は絶對不動であるべき一票の權利の享有に變更を來して居るからであります、此の理論は選擧區が大小數個に分れても全く同樣であります、選擧區は地埋的、行政的其の他の見地から便宜上設けられて居る枠に過ぎない、それが爲に其の枠の大きい小さいに依つて議員定數が定められて居る以上、一票の權利を動かしてはならない、選擧區の人口を分母とし、定員を分子とする十五萬五千五百六十分の一の率は全選擧區に共通である以上は、それ以上の細工は全く無用であります、無用なことをしてはならない、單記投票は即ち平等の原則の上に立つものであり、制限連記制は此の平等の原則を破壞し、國民に不平等を強ひるものであると存ずるのでありまするが、果して内務大臣は如何に御考へでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/141
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142・堀切善次郎
○堀切國務大臣 制限連記制の單記投票に比較致しまして利益のある點は前に申上げた通りでありまして、是は大川さんも御觸れになりませぬですから、其の點は別問題と致します
只今御説の投票の平等の原則で破るものではないかと云ふ問題でありますが、選擧の投票の平等の原則、是は國に依りましては憲法の中に投票權は平等たるべしと云ふやうなことを規定してある國もあるのでありますが、我が國には是はございませぬ、「ドイツ」の此の前の戰爭の後の「ワイマール」憲法には此の投票平等の原則を掲げて居るのでありますが、我が國の憲法には此の規則はありませぬが、併し是はやはり自然に各國民の間に、投票は平等たるべしと云ふ一般的の原則は我が國の選擧の制度の上に於ても是は認められなければならない原則であらうと考へます、隨ひまして選擧は平等であるべき筈なのでありますが、それに依りまして現在の選擧法に依りましても、一人一票とすと云ふ規定がありまして、此の度の改正に於きましても、此の點に付ては餘り觸れて思ないのであります、唯只今御説のやうな十五萬五千五百六十人に付て一人を割當てたのだから、それで各人は十五萬五千五百六十人に付て一人を出す權限を持つて居る、それだけの參政權を持つて居ると云ふ御考へ方は、是も其の通りであります、唯是は定員を選擧區に割當てる基準をそこに置きました譯でありまして、定員の割當基準なのであります、各人の選擧に對しましての選擧權は、繰返して申上げますやうに、定員の違ふ各選擧區に依つて條件が違ふのであります、條件が違ふのでありますから、其の間に考へ方を變へることも差支へないことと存じます、詰り或る選擧區に於ける一人の議員に對しての選擇の割合が三人乃至五人、五人の選擧區でありますれば五人の中で一人を選擇し得ると云ふ内容の選擧權を持つて居る譯であります、十人の選擧區に於きましては、若し一人しか選べないとすれば、是は十分の一しか選擇權を持たないと云ふことになりまして、却てそれは不平等になるのでありまして、十人の中で二人を選ぶと云ふことに依つて、其の選擇の割合に公平を得、隨て選擧權の内容が寧ろ其の方が平等になると云ふことに考へるのであります、是は明治二十二年の一番最初の選擧の時にも、一人の投票區と、二人の連記の投票區と兩方あつたのでありますが、其の際から憲法は儼然として存し、憲法施行と同時に施行された選擧法に於きまして、其の當時も一人を書く選擧區と、二人を連記する選擧區と兩方に分けまして、其の間にやはり何等議論が起らなかつたのでありまして、依然今のやうな見地から投票の平等權の原則は、決して破られて居ないものだと考へるのであります、之を却て平等の原則に反するのだと云ふやうな風に御考へになりますことは、私共から考へますれば、觀念の議論に止まるものではないかと云ふやうな風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/142
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143・大川光三
○大川委員 どうも只今の大臣の御答辯は、選擧區に於ける議員定數と云ふものに眩惑されて居られるのでありまして、一票の權利の本質と云ふものを御忘れになつて居るのではないかと考へるのであります、そこで私は茲に簡單なる設例を以ちまして私の考へ方を申上げたい、私の前に三つの「テーブル」があります、右側の「テーブル」には五人居られる、中央の「テーブル」には十人居られる、左側の「テーブル」には十四人の人が居られる、さうして各「テーブル」には其の人の數だけの林檎が積まれてある、即ち五人の所は五つ、十人の所は十、十四人の所は十四箇と云ふやうに、林檎が積まれてあります、而も其の林檎を大體は一つづつ分けようと云ふ計畫で斯樣な配分を致した、一人一箇、洵に公正平等な分配案であります、所が先づ右側の五人組が一つづつの林檎を食べ出した、所が中央の十人組はそれを見て、何だ、僅か五人でも一つ食ふのなら俺の方は五人の倍の十人も居るんだから二つ取つても宜いと云つて二つ取つて食べる、十四人組は、何だ五人で一つづつなら俺の所は十四人で三倍であるから三つ取らうとする、それでは五人組がどうしても承知出來ませぬ、自分は一つしか食べないのに眞中は二つ取る、左側は三つ取ると云ふのでは承知出來ないのが當然でございます、國民齊しく一つしか當らないのが林檎であります、所が「テーブル」が大きくて其の組が大であるから林檎を二つ取れ、或は三つ取れと云はれるのが制限連記制であります、而も團體の大きなもの程澤山取らす、即ち五人の所は一つ、十人の所は二つ、十四人の所は三つ取らすことが即ち平等であると仰しやるのが大臣の御意見かと思ひまするが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/143
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144・堀切善次郎
○堀切國務大臣 設例を餘りに巧妙におやりになりますので、今此處で直ちに之に對しての御答へをすることは一寸出來兼ねますから、此の設例に付てもう少し考へて見まして御答へを申上げます、唯是は前に御説のありましたやうに、大臣には三票やる、次官には二票やる、普通の人には一票しかやらないと云ふ風な意味の投票とは、是は性質が全然違ふ譯でありまして、さう云ふやうな意味に於きまして、從來或は教育程度の高い者とか、或は兵隊から歸つて來た者などに對して一票の外に更にもう一票やつたらどうかと云ふやうな説が唱へられたこともあるのでありますが、さう云ふやうな行き方であるならば、是は平等の原則に反するのだと思ひます、併し今度の場合は前に申しましたやうな理由で、決してそれに反するものではないと思ひます、只今の設例に對しましては餘りに巧妙な設例を御引きになりましたので、是は後で申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/144
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145・大川光三
○大川委員 どうか只今の設例に付きましては、大臣自ら林檎でも召上りながら、能く内務省で御研究を戴きたいと存ずるのであります
最後に改正案の告知前の選擧運動竝に事後の挨拶行爲に關しまして、一言御意見を伺ひたいのでございます、私は此の點に關する理論的なことは申上げませぬ、最初にも申上げました如くに、選擧に多額の金が掛ると云ふことが既往の民主政治の癌であり、命取りであつた、其の實例に徴しまして、此の事前運動の費用を無制限に出し得ると云ふことが、最も大きな問題ではないかと思ふのでありますが、左樣な大きな危險を冒してまで事前運動を御認めになる利益は、一體何處にあるのでありませうか、尚ほ事後の挨拶行爲に付きましても同樣でありますが、此の點を伺ひたい、尚ほ政府は我が國民主主義政治再建の基礎を成す此の改正案に付きましては、從前の如くに政府の面目に囚はれずに、我々議員多數の意見に徴し、選擧の實際に鑑みられまして、虚心坦懷に原案の修正に應ぜられる御用意があるかどうかを伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/145
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146・堀切善次郎
○堀切國務大臣 事前の運動費用を無制限にし、爾後の挨拶等のことに付ての御意見でありますが、是等に付きましても、惡質な買收、饗應に亙るやうなものに付きまして取締られることは、是は御承知の通りであります、其の他の色々な事前運動等に付きまして、之を抑抑全部禁止するが宜いかどうかと云ふことに付ては、そこに相當の疑問があるやうに思ふのでありまして、やはり自由にさせて置く方が宜いのではないかと云ふ風に考へるのであります、それは私は實情は餘り存じませぬが、併し從來我が國の實情に於てもさうであつたと思ひますし、外國の事例等を聞きましても、やはりさう云ふ風に聞くのでありますが、此の平素に於ての選擧區に對する運動、所謂選擧區の培養と云ふ風なことは、我が國に於きましても皆樣も或る程度おやりになつて居ることであり、「イギリス」あたりでは、平素さう云ふ選擧區の培養の爲に、却て選擧費用が餘計掛るのだと云ふ風に傳へ聞いて居るのでありまして、謂はば平常こつこつと勉強をして――試驗前になつて徹夜して勉強するのも是も大いに有效な場合も無論あるのでありますが、平常こつこつと勉強して、さうして成績を良くすると云ふやうなやり方を、必ずしも排斥すべきものではないのではあるまいか、選擧の期日が愈愈決まつて、さあ是からだとして、試驗期日を前にして二、三日前から徹夜の勉強をすると云ふことも、是も結構な一つの方法でありますが、平常から勉強して置く、自分の人格、識見、政見等を、能く其の選擧民に徹底さして置くと云ふ平常の運動は、必ずしも排斥すべきものではないと云ふ風に考へまして、此の事前の運動は、寧ろ之を自由にする方が宜いと考へた次第なのであります、昨日來色色問題になつて居ります現行法の下では取締られる、改正法が出來たならば、其の途端に是までに取締られて居た行爲も免訴になると云ふことに付きましては、そこに少し筋道の通らない點もあるのでありますが、さう云ふやうな點から致しまして、事前費用に付ては制限を加へなかつたやうな次弟であります、固より是は此の原案も我々が作つたものでありますから、完全無缺と云ふ程までには考へて居りませぬ、何かそこに問題があり、或は修正の御意見が出ますれば、其の修正の出ました御意見を具體的に伺ひまして、我々の考へを決めるより外ないと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/146
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147・大川光三
○大川委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/147
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148・川口壽
○川口委員長代理 上田孝吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/148
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149・上田孝吉
○上田委員 本委員會も大分質疑が出ましたので、成るべく重複しないで三點ばかり御聽きしたいのであります、纒まつた所は私本會議で質疑を致して居ります、隨て本委員會に於てそれに付て足らざる所を補つて行きたいと思ひます
先づ第一に質疑を致したい點は、選擧法の第七條「華族の戸主は選擧權及被選擧權を有せす」と云ふ點であります、是は私本會議でも既に總理大臣に御尋ねしたので、實は内務大臣よりも總理大臣に主として御尋ねを致したいことがあるのですけれども、併しながら選擧法に付ての御尋ねですから、内務大臣に御尋ねを致します、憲法に依つて貴衆兩院議員に同時になることは出來ないと云ふことは、是は規定してあります、併しながら華族が選擧權を持つことは私は少しも差支へないと思ふ、それで此の第七條では、現行法も亦今度御提案になつた改正案にも之を禁止して、其の華族の戸主は選擧權、被選擧權を持たない、是は何故に斯う云ふ規定があるかと云ふなら、時間が遲くなつて居るから長く説明せぬでももう御分りになつて居ると思ふのですが、所謂貴族院の制度がああ云ふやうに現在のやうにあるからなんです、貴族院の改革をやり、貴族院令の改正があるならば、當然此の華族と云ふものはやはり選擧權、被選擧權も――時に依つては貴族院改革、貴族院令の改正如何に依りますが、選擧權もやはり華族も持たなければならぬことになる道理なんです、此の貴衆兩院が民主政治具現の上に於て之を改革するのに一聯を成して居ることは、私は本會議でも申上げて居る、又天下悉く之は認むる所である、政府も亦御異論のない所である、時急を要するが故に、此の衆議院の民主政治を具現せしむる爲に取敢へず本選擧法の改正案を御出しになつた、併しながら貴族院の改革と云ふものは、そんなに置き去りにして悠々閑々として置くことの出來ないことは、是は御存じの通りなんです、貴族院改革は衆議院の改革と共に一聯を成してやらなければならぬ、隨て政府は少くとも本選擧法を御出しになる時には、其の選擧法の中に其の一端を現はして置かなければならぬ筈だと思ふ、元來言ふならば、もう此の時に貴族院の改革、貴族院令の改正もおやりになるのが相當なんです、百歩讓つて以てそれが間に合はなんだと致しましても、少くとも此の衆議院議員選擧法改正案の中に、政府の其の御意圖がある所を盛つて置かなければならぬことは、是は云ふまでもない、又總理大臣も私の本會議の質疑に對しまして、さう云ふ御答辯があるのであります、さう云ふやうに總理大臣及び現内閣が今度の議會には間に合はなくとも、貴族院の改革に付ては至急に之を實現せなければならぬと云ふことを示されて居りながら、而も今提案になつて居る此の選擧法に依然として第七條として斯くの如き條項を殘して居られると云ふことはどう云ふことであるか、私は政府の所謂誠意と熱意を疑はざるを得ない、御所見如何、承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/149
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150・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の點は全く御説の通りであります、此の規定は現在も貴族院の組織に關聯して、貴族院の方に選擧權、被選擧權があるからと云ふ理由で此の規定が設けられたと思ひますが、併し貴族院の方は無論改革をせられる譯でありませうし、又此の規定も必ずしも徹底して居りませぬ、多額納税議員は兩方に對して選擧する權利を持つて居る譯でありますから、さう云ふことは明かなんでありますが、此の選擧法全體を通じまして、細かな問題としては色々外にも問題があると考へますが、それ等の色々な點に付きましては、此の次の改正の機會に讓ることに致しまして、今囘は此の點に觸れなかつたのでありますから、それは根本的の改正の趣旨に關聯致しました規定の改正だけを致して居るのでありまして、其の外に色々な問題のありまする點は、此の次の改正の機會に讓つた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/150
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151・上田孝吉
○上田委員 只今の内務大臣の御答辯は私は驚き入つた御答辯であると思ふ、此の第七條が根本的の改正にあらずして細かい改正だと御考へになる所に私は驚き入るのである、私は本會議でも、本改正案は根本的なる改正であるか、或は應急的なものであるかと云ふことを聽いて、婦人參政權なり、大選擧區なり、或は年齡低下なり、是は根本的なものと思ふ、そこで根本的であるならば、憲法の改正、特に貴族院の改革、隨て貰族院令の改正、或は議院法の改正と云ふものをなぜ一聯として御考へにならないか、御出しにならないか、又出すことが事實急を要して間に合はなんだと仰しやるならば、政府の御所見如何、それに對する御計畫と準備があるか、斯う云ふことを私は御聽きして居るのです、一體此の第七條はそんな枝葉な、瑣末な問題ぢやない、是は日本に於ける華族と云ふものに對する政治上の位置を決める一つの根幹です、貴族院令に依つて貴族院の問題は決めませう、併しながら本選擧法に於て華族と云ふものがどう云ふ地位に居るかと云ふことを決めるのは、此の第七條なのです、そんな瑣末な、枝葉的な問題ではない、今澎湃として輿論になつて居る貴族院改革、又更に華族の地位、政治上の措置を政府がどう考へて居るか、どう云ふ風に一體今後して行かうとするのかと云ふことを決めるべき本選擧法改正案に現はれたる唯一つの根幹を成す條項なのです、何處に一體瑣末な、枝葉的な所がありますか、是が根幹でなくて何が根幹です、更に御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/151
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152・堀切善次郎
○堀切國務大臣 此の問題は選擧權、被選擧權を有せずと云ふ方でありまして、特別に華族に對して特權を與へて居る問題ではありませぬ、華族に對しての色々の政治上其の他の取扱に付ては、是は其の方の關係の規定に於て改正され、或は整理をされることと思ひます、さうして是は華族の戸主でありますから、今度の四千何百萬の有權者中七、八百人の問題であります、只今の所に於ては、貴族院の方に於て選擧權、被選擧權を持つて居る次第でありますから、此の問題は今さう急ぐ必要はないと考へた次第であります、此の點はどうも上田さんと根本的に考へが違ふやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/152
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153・上田孝吉
○上田委員 それはやはり内務大臣の非常な御考へ違ひだと云ふことを申上げて置きたい、是は華族の數が非常に少ないとか多いとか云ふことを言つて居るのではない、詰り日本の華族制度をどう扱ふか、貴族院の改革をどうするかと云ふことに對する政府の御考へが、此の選擧法の中に現はれる條項は、此の第七條しかないぢやないか、斯う云ふことを言つて居るのです、隨て華族の戸主にもやはり選擧權を與へたら宜いぢやないか、選擧權を與へると云ふことはどう云ふことになるかと云へば、今度貴族院の改革の上に、貴族院令の改正の上に於て、華族には特權を與へない、一般國民と同じ政治上の權限を與へるのに過ぎないと、斯う云ふことが茲ではつきり分つて來ることになるではないか、それを分らすに付ては、やはり第七條で華族にもやはり選擧權を與へて置くと云ふことになつて、初めてそれがはつきり分つて來るのだから、此の改正案にはさう云ふ風に之を改めて置かなければならぬのではないか、それが華族制度の改革、貴族院の改革、貴族院令の改正の前哨戰をなす根幹ではないか、斯う申上げて居るのであります、是れ以上は内務大臣と私の意見の相違でありまするから、押問答はしませぬけれども、内務大臣の御考へは確かに間違ひである、本選擧法中に現はれたる條項としては、最も是は大切なる條項である、貴族院改革の上に於ても、最も重大なる問題であると云ふことだけを申上げて置きたいのであります、それ以上は意見の相違でありますから私は遺憾の意を表して置きます、政府に所謂貴族院改革の熱意のない一つの表象であると云ふ風に私は申上げて置きます
次の質疑は是は成程内務大臣が言はれたやうに、少し小さいかも知れぬが、併しながらやはり政府の御意向として御聽きしたいのは六十九條のことであります、所謂得票が同數の場合に於ては、先づ年齡の多い者を取る、年齡も亦同じ時には選擧會に於て選擧長が抽籤に依つて之を定める、斯う云ふ條項があります、是は今までの我々の常識として考へると尤もな常識であつた、併しながら所謂議會に清新の空氣を盛る必要があると云ふので、政府は今囘解散を奏請しようと云ふことも考へられて居る、其の爲に又此の臨時議會に選擧法の改正もしようとされて居る、斯う云ふ事情になつて居るのである、隨て斯う云ふやうに得票が同じ場合に於ては年齡の多い者を取ると云ふことよりも、やはり後段にあるやうに抽籤に依ると云ふ考へ方の方が妥當ではないか、所謂筋が一貫するのではないか、議會に清新なる若い者を出來るだけ入れる、併しながら得票の少い者を當選人とすることは是は出來ませぬ、偶偶得票が同點であつたと云ふ場合には年長者を取ると云ふことよりも、やはり是も抽籤に依つて取ると云ふ後段のやうに御取扱になることが、政府の御説明になつて居りまする議會に清新の空氣を盛ると云ふことから見れば筋が通るのではないか、所謂政府の議會に清新の空氣を盛ると云ふことを言はれて居ることが、斯う云ふ點に於ても矛盾した點が到る處に散見されることを、私は非常に遺憾に思ふのでありまするが、政府の御所見はどうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/153
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154・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今の年長者を取る規定に付きましては、是も今強ひて改める必要がないと考へまして、次の機會に讓つた次第であります、尚ほ前の第七條の問題に付きまして、御意見色色伺ひまして、是は意見を異に致しますが、決して貴族院改革に對して政府が熱意を持つて居ないと云ふやうな風に御取りを戴きますことは、是はさうではありませぬ、十分なる熱意を持つて居りますことを御認め願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/154
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155・上田孝吉
○上田委員 それも私も重ねて押問答はしませぬが、やはり清新の空氣を議會に盛ると云ふのであれば、斯う云ふ場合には、此の際やはり其の改正案の中に政府の意向を表はされたが宜い、隨て年齡に依つて當選を決めると云ふことをなさらないで、やはり得票の同じ時には抽籤に依ると云ふちやんと後段にそれがあるから、それを其の儘にされた方が私は宜いのではないかと云ふことを申上げて置きます
第三點として御尋ね致したいことは、治安の問題と今囘將に行はれんとする總選擧のことであります、御承知のやうに終戰後、特に最近になりましては、遺憾ながら我が國の治安は十分に保たれて居ると申すことは出來ない、今日の新聞を一寸見ても、追剥が二件、強盜が一件東京都下にあつたと云ふことが載つて居る、殆ど此の頃毎日です、毎日斯くの如き追剥、強盜、物盜りと云ふやうなことが行はれて居つて、夜になつて來ると治安の維持が非常に困難であると云ふ情勢にまで立至つて居るのであります、洵に私は遺憾千萬なことであると思ふ、政府の御立場に付きましては、色々の事情に於て私は之を諒と致します、全く政府としても中々御苦心があると云ふことは分るのでございます、御苦心があると云ふことは分りますけれども、實際は斯くの如き状態になつて、是が明年多分一月頃に行はれんとする選擧の當時に於ても續いて參るのであらうと思ふのであります
〔川口委員長代理退席、委員長著席〕
然るに他の一面に於ては、政府はあの選擧に付て氣勢を張る行爲であるとか、或は選擧に關して不正行爲、煽動する行爲であるとか、さう云ふやうなものを處罰しないと云ふやうな、所謂私に言はすならば、選擧開け放しと云ふよりも、投げやりのやり方をされて居るのであります、一面に於ては治安が洵に惡い状態になつて來て居る所に、他の一面に於ては、政府の今囘選擧に對處しようとするやり方が投げやり的である、斯う云ふやうな情勢に於て、果して公正なる選擧が行はれ得られるであらうか、先程大川君が言はれたやうな選擧熱を煽つて、さうして棄權を少なくして、以て公正に選擧權を行使すると云ふことが出來得る政府に御確信があるかどうかと云ふことを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/155
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156・堀切善次郎
○堀切國務大臣 近頃治安の状態、珠に惡質の犯罪が行はれますことは、洵に殘念なことであり、一方に於きまして、人心の敗戰後荒んで居りますことは、此の社會情勢が色々逼迫をして居ること、それ等を比べまして、此の警察の力を増強しにくい状態にあります等の原因から來て居ると思ひまするが、是等に對しましては、關係の者を督勵致しまして、出來るだけ其の犯罪の檢擧豫防等に努めて參る積りであります、丁度來年の一月選擧の頃になりますれば、現在の社會情勢から考へまして、色々治安の點等に付て懸念される點があるのでありますが、併し之に付きましては、凡ゆる智慧を絞り、凡ゆる工夫を凝らしまして、選擧の執行の上に何等障碍を來さないやうにやつて行く決心を持つて進んで居る次第でありまして、其の間に棄權の防止、選擧意欲の昂揚と云ふやうなことに付きましても、出來るだけの力を盡しまして萬全を期して參る覺悟であります、尚ほ先刻大川さんから非常に巧妙な林檎の例を以て御話がありました、其の點は政府委員より答辯致させます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/156
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157・上田孝吉
○上田委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/157
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158・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 私から一言御答へ致します、先程林檎の例を以て極めて御巧妙に御質問がございましたが、御質問に依りますると、五人の机に五箇の林檎がある、十人の机に十箇の林檎があると申しますのは、先程御話の議員定數を割當てるに付きまして、人口十五萬五千で割當てられて居ると云ふことの問題でございます、今の林檎の場合に付きまして五箇の林檎のあります机の方が一箇を食べ、十箇の林檎のありまする机の者が二箇を食べると云ふことであれば、御話の通り極めて是は不平等になる譯でございます、併し實は此の場合は選擧をする譯でございまして、林檎の中でどれが一番大きいかと云ふことを結局選ぶ行爲に當る譯であります、そこで例へば五箇の林檎があると云ふ場合は、其の三倍の十五箇の林檎の中から五箇を選ぶ場合であり、十箇の林檎があると云ふ場合は、其の三倍の三十個の林檎の中から十箇を選ぶと云ふ場合に當るのであります、而して林檎を選ぶ場合は、十五箇の中から一箇を選ぶのでございますから、是は割合分り易いのでございますけれども、十箇の林檎を選ぶ場合では三倍の三十箇の中より選ぶことになるのでございますから、三十箇の中から一箇だけ選ぶと云ふことは中々目移りがありますから、此の場合は二箇づつ大きいのを選ぶ、五箇の林檎を選ぶ所では一箇づつ選ぶ、さうすれば丁度そこに選擇權と申しますか、大體の人情としてそれは選擇の公平を期することが出來るのではないか、それが先程申した點であります、それで大體御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/158
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159・大川光三
○大川委員 一票の權利と云ふものは是は動かせないのです、各人林檎一個と云ふことは是は動かせないのであります、此の點に基礎を置いて、尚ほ御歸りになつて皆さんと一應御協議の上でもつとはつきり我々に分るやうに御説明を戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/159
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160・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 大川さんの御疑問は結局議員候補者の方面から見た見方が一つあるのではないかと考へるのでございます、選擧は御存じの通り各選擧區に於きまして選擧人團體と申しまするか、選挙人團體が共同して議員候補者を選ぶのでございまして、結局五十萬の有權者が居ります所でも、其の三倍の百五十萬人の有權者が居ります所でも、それぞれ其の有權者が共同してやつぱり一人の議員候補者を選ぶ譯でございます、そこを議員候補者の方が御覽になりまして、議員候補者の數に依つて有權者が分れて居ると云ふやうに御考へにならないで、各選擧區の選擧人團體が共同して議員候補者を選擧する、其の場合投票の方法として一人の氏名を記載するか、又は二人づつ記載するかどうかと云ふことを御考へ願へば、大體御諒解願へるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/160
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161・大川光三
○大川委員 私の考へて居りますのは結局二人を選び得る、或は三人を選ぶと云ふことと、唯一人しか選べないと云ふことは、是ははつきり不公平だ、それ以上深く考へる必要はないと私は思ふ、何となれば同じ一人を選び得る一票の力を持ちながら、巧くすれば三人の候補者に投票して悉く其の三人を投票せしめ得るかも分らぬ、勝ちさうな候補者を一、二、三と決めて、一、二、三に投票致しますと、私の意思を代表する候補者が三人代議士となつて當選する、單記の場合はどうしても自分の意思を代表して貰ふ代議士は一人しか選べない、やはり一人は一票を選ぶべきである、一人で二人、三人選ぶのはいかぬ、是は簡單に考へたら一番宜い、難かしく考へるから却て分りにくいのではないか、依然として承服し兼ねるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/161
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162・清瀬一郎
○清瀬委員長 二分程時間が餘つて居りますから私から一寸政府に聽きたいことがあります、投票所を増設すると云ふことは政府も説明せられ、又法案にも表はれて居りまするが、どの程度の御増設の御豫定でございませうか、大字毎にやると言つたやうなこと、もう相當具體的の考案もあらうと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/162
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163・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 投票所の増設に付きましては、極力之を増設致しまして投票に御便宜を圖るやうに努力致して居るのでございまするが、只今此の問題の隘路になつて居りまするものは、投票函でございまして、投票函の材料、殊に鍵などに付きまして中々事實上調製が困難な事情でございます、併し大體の見込と致しましては、現在約開票區九百ばかり、投票區約一萬數千あつたのでございますが、開票區を約從來の投票區即ち一萬數千に致しまして、投票區に付きましては少くとも三、四千位は今の所で増設致す見込でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/163
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164・田子一民
○田子委員 私政府委員に一寸御尋ねしたいのですが、今の投票所の増加のことであります、女などはさつさと書けないと思ふのですが、一日に何人位投票出來るかと云ふことを御考へになりましたでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/164
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165・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 大體今まで一番大きな投票區が一萬五六千から大きい所で二萬位な程度と思つて居ります、今の投票區の増設は、主として農村よりも都市の方面に多く行はれると思ひます、隨ひまして今の二萬とか、一萬六千と云ふやうな多數の投票人を持つて居ります所は、大體都市でありますが、都市の方は相當低下致しまして、やはり多い所でも一萬位の所で押へて行きたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/165
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166・田子一民
○田子委員 それから投票用紙は今までのやうに良い紙はないだらうと思ひますが、筆で書いて染みの出ないやうな紙が手に入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/166
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167・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 是も紙統制の機關と色々折衝致して居りまして、大體筆で書けますやうなものが用意出來るやうな見込でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/167
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168・田子一民
○田子委員 女などは初めて投票する人が多い――女は全部初めてですが、其の場合に書き方なども、一應此處へ書くのだと云ふやうな記載例を、隣組あたりで教へて載きたいと思ふのですが、それはどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/168
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169・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 洵に御尤もでありますから、囘覽板か何かで、さう云ふ風に致します、尚ほ今囘は投票用紙にも、前からございます通り枠を付けまする外に、片假名を振りまして、例へば議員候補者氏名に片假名を振りまして、欄外には投票に關する注意書を書く等の方法に依りまして、成べく投票に間違ひがないやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/169
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170・田子一民
○田子委員 それから投票の點檢の仕方は、やはり省令か勅令で決まりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/170
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171・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 是は勅令で決まります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/171
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172・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは本日は之を以て散會致します、明日は午前十時より開會致します
午後五時三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00419451207/172
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