1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)(第一號)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)(第二號)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)(第一號)
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昭和二十年十二月八日(土曜日)午前十時十八分開議
出席委員左の如し
委員長 清瀬一郎君
理事 伊藤五郎君 理事 大川光三君
理事 川口壽君 理事 保利茂君
理事 木下義介君 理事 原玉重君
逢澤寛君 伊藤清君
今成留之助君 上田孝吉君
金井正夫君 神尾茂君
漢那憲和君 清寛君
作田高太郎君 薩摩雄次君
田子一民君 田村秀吉君
中村梅吉君 羽田武嗣郎君
一松定吉君 濱野清吾君
林信雄君 原夫次郎君
松永東君 山本厚三君
今井新造君 今井嘉幸君
東條貞君 中谷武世君
中原謹司君 船田中君
吉田貞次郎君 牛塚虎太郎君
岡本傳之助君 星島二郎君
木下郁君 菊地養之輔君
出席國務大臣左の如し
文 部 大 臣 前田多門君
内 務 大 臣 堀切善次郎君
出席政府委員左の如し
情報局總裁 河相達夫君
逓信院總裁 松前重義君
逓信院次長 新谷寅三郎君
内務政務次官 川崎末五郎君
内務參與官 中助松岩
内務省地方局長 入江誠一郎君
内務書記官 鈴木幹雄君
内務書記官 鈴木俊一君
鐵道監 伊能繁次郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權に關する件)(政府提出)
昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/0
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001・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは是より衆議院議員選擧法中改正法律案の委員會を開會致します――林信雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/1
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002・林信雄
○林(信)委員 私は此の委員會の審議すべき議案の直接なものに付て質問を試みようとするものでありますが、其の前堤として一、二の點に付て總理若しくは、内務大臣に質疑を試みまして、其の御説明なり、御答辯を得ましたる上で、詳細な點に付て御伺ひしようと思ふものであります、併し政府の御都合で御出席がないとのことでございますから、其の他の政府委員に御答へを願ふ點に付て以下少しく質疑を致して見たいと思ひます
先づ今囘の選擧で特に投票方法に付て御考慮をなすつての御提案であるか否かと云ふことであります、既に明かでございますやうに、今囘は新しい有權者層が出來るのでございますが、其の中年齡低下に依りまする新有權者層に付きましては格段の投票方法の御注意は要らないかと存じまするが、さうでなくして婦人の有權者層に對しましては、是は全然新しい試みに依るものでありますので、全婦人に付てさうであると思ひますが、就中相當老齡に達しました婦人、六十に垂んとし、或は六十を越えましたやうな婦人に付きまして、投票用紙に選ぶべき候補者を自書すると云ふことは、至難と云ふよりは不能である有權者層が多いのではないか、さうであると致しますれば、自然に投票を嫌忌する風潮にならざるを得ない、既に巷間傳へられまする所、恐らく慣れないことではあるし、行つて名前を書くことも出來ない者は、是は殆ど投票に行かないであらう、斯う言はれて居るのでありまするが、之を已むを得ないと一口に考へてしまへばそれ切りでございますけれども、此の事態に處しまして適切であると思ひまする有權者層に對しては、一人殘らず政治に參畫するの機會を與へると云ふ心持、端的に申しますれば民主主義的な考へ方から茲に至つて居るのでございますから、此の點に對して投票方法に依つて是が救ひ得ると致しますならば、是非なさなければならぬことだと思ふのであります、私も其の點に付て色々考へては見ましたが、非常に技術的にうるさい問題だとは思ふのでございますけれども、例へば「オーストリア」式投票制の如き、即ち投票用紙に候補者名を印刷して置いて候補者名の上に空欄を設けて、其處に簡單なる記號を附さしめると云ふことに依つて投票せしめる制度の如き、是は直ちに考へ得る問題であります、是は技術的に考へて、短時日の間に左樣な準備が出來ないと云ふことであれば、屆出締切と云ふものの日時を稍稍長くしても餘り弊害がないのではないか、或は其の他の方法に依つて、特に自書し得ざる者のみに對して、會場若しくは其の以前に於て候補者別に色分け或は記號を作つて置いて、其の豫め準備の出來ました記號のある小用紙を投票用紙の中に封入する、或は貼付する、技術的に色色な方法が考へられると思ふのでありますが、是等の方法は一例と致しまして、兎に角此の事態に處しました新有權者層を狙つた投票の方法に付て御考慮がありましたものか否か、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/2
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003・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御述べの通り茲に新しく擴張されまする婦人の投票に付きまして、中々自書能力のない者がやはりございます爲に、投票の困難を感ずると云ふことも、御話の通りでないかと存じます、私の方で色々就學の状況なども調べましたが、やはり御話の通り、殊に年取りました婦人に付きましては、果して自書し得るかどうか疑問に思はれます數が相當あるのではないかと思ひますが、併し御話の通り或は名簿式に致しまするとか、記號に致しまするとか、是も全く一つの方法かと存じまするけれども、我が國の選擧法と致しまして、御承知の通り自書主義と申しまするか、自書と云ふものが從來の一つの原則でございまして、今囘に於きましても、若干そこに自書出來ない者があるかと思ひまするけれども、此の際自書主義を執ります方が適切と存じまして、從來通り自書の方法に依つて居る譯でございます、尤も此の投票の形式でございまするとか、或は投票用紙の記入の方法でございますとか、さう云ふことに付きましては、色々町内會、部落會を通じてやりますとか、或は新聞等を通じてやりますとか、徹底方を圖る積りでございます、結局自書の出來ない方は投票が出來ないと云ふ結果になることは遺憾ながら已むを得ないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/3
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004・清瀬一郎
○清瀬委員長 一寸申上げますが、過日牛塚委員より小田原市に於ける警察權移讓問題に付き政府の調査を求められました、其の調査が略略完了したやうでありまするから、此の際其の御報告を求めたいと存じます――政府委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/4
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005・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 先般牛塚さんから御尋ねがありました小田原地區の駐屯聯合軍から、小田原市長に警察權を附與して闇行爲を取締つたと云ふことに付きまして、新聞記事の發表があり、此の内容に付きましての御尋ねがありました、當時生憎手許に資料を持合せて居りませぬでした關係上、留保致したのでありますが、其の後調査致しましたので、茲に御披露申上げまして、御諒承を得たいと思ひます
十月二十日に小田原地區に駐屯致して居ります部隊の「ヒューズ」大尉及び「コーウイー」と申します憲兵隊の隊長外一士官の三名が小田原市長の許に至りまして、口頭を以ちまして闇行爲取締に關しましての申入をしたのであります、其の内容は、進駐軍の「ヒューズ」隊長は、小田原市長に闇行爲取締に關する警察權を警察署長と同樣附與するを以て、小田原警察署長と共に闇行爲の取締を實施せよ、進駐軍は當地區住民の生活安定の關係上、現在の如き闇行爲の横行は默視し難きを以て、關係當局の取締に對し全面的協力をする、本措置は十二月二十二日から之を實施する、其う云ふ三項に亙りまして申入をしたのであります、之に對しまして小田原市長竝に警察署長の執りました措置と致しましては、小田原市長は直ちに警察署長に右申入事項を連絡致しますと共に、是が對策を協議致しました上、「ヒューズ」隊長と會見致しまして、右申入事項に關する具體的内容に付て協議致しました結果、次の如く兩者の意見の一致を見たのであります、即ち市長に對して警察權を附與せられましたが、現行法に於きましては適法に之を行使することを得ない、又事實上の問題と致しましても、各種の事情に依りまして警察權行使が困難である、仍て市長は供出の督勵、各種情報の蒐集を擔當し、闇行爲を發見した場合は告發又は警察署に之を連絡すること、是が第一點であります、第二點は、警察署長は惡質なる闇行爲に主點を置きまして、嚴重なる取締を實施すること、三番目は、市長及び警察署長は闇行爲の取締に關して全責任を負ひ、明朗なる市民生活の水準昂揚に萬全を期すること、第四は、進駐軍憲兵は、右取締に關し各般の協力をなすも、直接日本人の闇行爲の取締はしない、斯う云ふやうに話が付いたのであります
そこで申入に對しまして、二十一日小田原市役所に於きまして市長、警察署長、地方事務所長、檢事局立會の下に、町内會長、農業會、漁業會、商業、勞務、輸送關係者の代表者を招致して、進駐軍の闇行爲取締に關する申入事項に關する説明をし、協力方を切望して、其の實施方に付きまして市役所の案を提示して、概ね之に基いて闇行爲の取締に努めることにしたのであります
之に關しまして警察署は關聯してどう云ふ措置を致しましたかと云ふと、惡質犯の取締に重點を置きまして、小量なる買出しに付きましては、説諭程度に止むること、經濟係外勤其の他を動員し、生産者に對する違反に特に注意すること、農業會、漁業組合、密柑組合、勞務關係、輸送業者より提出する報告に基き違反の發見に努むること、其う云ふやうな措置を執つたのであります
取締の結果竝に影響と致しまして、どう云ふことが現はれましたかと申しますると、小田原警察署に於きまして鮮魚關係の取締の結果、違反件數が六十二件、人員に致しまして六十二名、其の内惡質なるものとしまして檢事局に送致しましたもの八十七件、十七名であります、被疑者の主なるものは此の附近の眞鶴岩、米神、江の浦等の定置漁業者でありまして、漁獲高の概ね五十「パーセント」を慣習に依るものと稱し、網元資本家、漁夫に配當し、是等を通じまして京濱地區の大口消費者に横流しして居つたのが罪質の重かつたものであります、此の取締を致しました結果、漁業者の間に自肅の氣運が濃厚となりまして、漁獲高は總て統制組合へ出荷するに至りました、蔬菜に關しましても、當地區より移入せざる限り困難なる状態になつたのであります、此の取締をレイ行致しまして蔬菜、鮮魚と云ふものの入荷竝に配給の状況はどうなつたかと申しますと、此の取締の後、市場の入荷は鮮魚に付きましては實施前に比較致しまして、是は天候の關係でありましたが、若干の減少を示しましたが、蔬菜に付きましては約二割の増加と云ふことになるのでありまして、小田原市に於ける一般家庭配給に付きまして、大體取締前に於きまして鮮魚が七匁、蔬菜が四匁と云ふやうな一日一人當りの配給量でありましたが、取締後は鮮魚が約二匁増しまして八・九匁、蔬菜が六匁増しまして十匁と云ふやうな相當な成績を擧げ得たと考へて居るので ります、所が十一月の二十日以降は、生鮮食料品に關しまする統制が徹廢せられまして、取締はなし得ざることになりまして、業者の自治統制に依りまして現在運營せられつつあるのであります
以上大體經過を申上げましたが、市長に附與するとの申入れがありましたが、實際に於ては市長が現在の機構の下に於きましては運營が出來ないと云ふことから、警察署長と緊密に連絡を取つてやる、斯う云ふやうなことで措置致したのであります、以上を以て御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/5
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006・清瀬一郎
○清瀬委員長 牛塚君、御意見がありましたならば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/6
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007・牛塚虎太郎
○牛塚委員 只今の御説明で小田原の實際のことは分りました、あの問題が新聞に現はれる以前に、配給問題に付て考慮して居る者、殊に東京などで申しますと中央市場關係の人は、小田原の此の實例を見て、どうしても日本の制度の根本に缺陷があると云ふことを強く考へて、指摘して話をした人は少くないのであります、先日内務大臣の御答辯にもありましたが、どうか一つ警察權は本當に隣保團結親和の精神から自警自衞の精神に出た公共團體に附與して、本當に共存共榮を圖らせると云ふ方面に、格段の御留意を内務當局に御願ひしたいものであります、從來は内閣の警察權を公共團體にやると云ふことは、もう警察關係の官吏の人からは非常な罪惡のやうに考へて、警察と云ふものは人民以外公共團體以外の征服者が被征服者に對する關係のやうな考へを深く持つて居られるではないかと云ふ心配すらあつたのです、現に東京の警察の如きは、見方に依つては其の由來する所、明治維新の際に鹿兒島の兵隊で江戸八百餘町は占領された、其の占領した者が征服した人間に臨む態度で出ることが警察官だ、斯う云ふ考へが非常に強かつたと云ふのです、それであるから東京創設以來大警視、警視總監と云ふものは、初めの間は殆ど鹿兒島の人であつた、川路警視を初め、安樂警視總監に至るまでさうであります、さうして警察の言葉で市民群衆に對しておいこらと云ふ言葉、あれは段々聞いて見ると薩摩の言葉ださうです、全く征服者が被征服者に對する態度で臨んだのがずつと續いて來た、それが不思議なことに日露戰爭後の「ポーツマス」條約の不滿が勃發した時に、不思議に東京市民は皆交番を燒打ちした、あれは理窟が合はない、辻褄が合はない、交番を燒打ちしたのは何かと云へば、明治初年西郷が兵を引いて東京へ入つて以來、江戸市民は薩摩の警察に追込まれてやられたと云ふ欝憤が知らず識らず出て來た、斯う云ふ説明をする人があるのであります、どうか警察權を自治體に附與して、本當に自警自衞で平和に、實に朗かに愉快にやらせると云ふ點に付ては、格別な御留意を願つて、調査研究を御願ひ致したいのであります、御報告を受けましたので、此の希望を申添へて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/7
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008・清瀬一郎
○清瀬委員長 本委員會に於て、豫て選擧印刷物其の他關係の物の輸送に關し、運輸省に對する質問があつたのでありますが、只今政府委員が見えて居りますから、此の際共に報告を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/8
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009・伊能繁次郎
○伊能政府委員 御質問の際にこちらに居りませぬでしたので、御希望の點に付きまして御答へを申上げ、更に御質問がありますれば、御質問の點に付て御答へ申上げたいと思ひます、候補者の方々竝に運動員の或る數の方々に對しましては、記名若しくは無記名の解散の日より選擧終了後五日間、大體一箇月程度の選擧區内同一府縣内の定期乘車券を發行を致したい、斯樣に考へて居ります、それから荷物の輸送に付きましては、御承知のやうに最近列車が石炭の不足の爲に非常に不便になりまして、萬一輸送其の他で大事な文書等が所定の時期に繼送されないと云ふやうな間違ひがあつても洵に申譯ないと存じますので、大きな荷物でありますれば、手荷物車の中に入れて御附添ひを願ふとか、或は出來得るだけ私共としては確實な輸送方法を執りたいと思ひますが、御手に持つて御運びの願へるやうな程度の物でございますれば、手荷物の制限を越えましても、それを御持ちを願つて輸送をすると云ふやうな方法でも御便宜を圖らひたいと思ひまするが、其の邊は御希望に應じて能く御話をも伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/9
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010・清瀬一郎
○清瀬委員長 一寸初めの方を聽洩らしましたが、解散の日から選擧終了後五日まで定期乘車券を貰へる……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/10
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011・伊能繁次郎
○伊能政府委員 候補者の方には記名式のものです、選擧委員と云ふ制度が今囘なくなると云ふ御話やに伺つて居りますが、左樣な際には無記名のもので、御融通を願つて御使用を願つても差支へない、同じく定期乘車券です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/11
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012・清瀬一郎
○清瀬委員長 何名ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/12
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013・伊能繁次郎
○伊能政府委員 其の點は從來選擧委員が、二十名とか伺つて居りましたので、二十名程度と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/13
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014・清瀬一郎
○清瀬委員長 それから等級は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/14
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015・伊能繁次郎
○伊能政府委員 等級は現在支線區等では、二等車が連絡されて居りませぬが、御希望に依りましては二等車の附いて居る所は二等でも、三等でも御希望に依つて發行致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/15
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016・清瀬一郎
○清瀬委員長 それから從前は元代議士であつた者は選擧期間中代議士の「パス」を使つて居りましたが、それは元の通りで差支へありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/16
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017・伊能繁次郎
○伊能政府委員 差支へありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/17
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018・清瀬一郎
○清瀬委員長 今私から聽いたことを申上げます、解散の日から選擧終了後五日までを期間として、候補者には記名の定期乘車券を與へ、其の外に無記名のものを運動員用として二十枚與へる、是等の等級は二等車の附いて居る區間内に於ては二等でも、三等でも乘れる乘車券を與へる、其う云ふことに要約されると思ひます、それから手荷物は非常に大きな物は貨物車内に附添うて乘られて宜しい、手に持つて居る物は大きさ、重量の制限がありまするが、其の制限を超えても可なるやうに取計らう、斯う云ふ答へのやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/18
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019・伊能繁次郎
○伊能政府委員 荷物車内の附添と申しましたが、荷物を持込むことが確認されたら、客車の方へいらつしやつた方が御便宜だと思ひます、定期乘車券は有料の積りです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/19
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020・清瀬一郎
○清瀬委員長 區域はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/20
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021・伊能繁次郎
○伊能政府委員 區域は選擧區内、同一府縣内です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/21
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022・薩摩雄次
○薩摩委員 荷物の輸送に付きまして、持つて居る物は手荷物として是まで取扱つて居つたのですが、候補者に對しては我々「パス」を持つて居りますが、「パス」を持つて居らない者でも手荷物としてびらなどを送つて貰ふと云ふ便宜を與へて貰ひたい、それは昨日も質問がありましたやうに、田舍では印刷屋が整理統合されたり燒けたりして、演説會の大きな「ポスター」などは印刷出來ない、東京で印刷しなければならぬ、是は紙が重くなりますので、「パス」を持つて驛に行きましても、一箇だけ八貫目位までは送つて呉れますけれども、二箇、三箇になると送つて呉れない、之を大きい荷物を貨物の中に入れて、送つたと云ふことを確認して人間が乘ると云ふことは面倒なので、一箇であらうと五箇であらうと、候補者の「ポスター」を送る場合には、お客が切符を手にして居る時の荷物と同樣に、數の制限なく送つて貰ふと二、三日で著きます、斯う云ふ方法も一つの方法であらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/22
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023・伊能繁次郎
○伊能政府委員 實は私共御説のやうにも考へたのでありますが、御承知のやうに最近輸送が非常に逼迫致して居りまして、萬一大切な書類、文書が誤著を致しましたり、行過ぎ等で到著致しませぬとか、期日に間に合はぬと云ふやうなことでもありますると甚だ申譯ない、斯樣に存じましたので、御附添を願ふ方が安全かとも思ひましたが、御希望の向きに付きましては差支へないやうに早速指令を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/23
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024・薩摩雄次
○薩摩委員 もう一つ定期乘車券を發行して貰ふと非常に宜いのでありますが、最近各驛で乘車制限をして居る、切符制限でなく乘車制限をして居りまして、今度來る汽車は込んで居るから十人しか乘せない、二十人しか乘せないと云ふことがある、そこで演説會や其の他の連絡の爲に其の汽車に乘らないと非常に其の候補者が迷惑する、さう云ふ場合には驛長に話して候補者竝に辯士、それに附添の者等は乘車出來る、甚だ勝手な話でありますが、間違ひなく乘車出來るやうな方法を、各驛長の方まで連絡して戴きたい、斯う云ふ希望であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/24
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025・伊能繁次郎
○伊能政府委員 其の時々の輸送の實情に應じまして、出來るだけ優先的の輸送方を便宜計らふことに通牒致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/25
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026・山本厚三
○山本(厚)委員 「チッキ」の問題ですが、之を附添と申した所で、持つて行つた物を入れて貰つて、汽車に積込むことを見屆けるだけである、それだけでは駄目でありまして、一例を擧げますと、私北海道の小樽でありますが、先月の十五日にちやんと積込む所を見させたが、屆先は荻窪でありますけれども、今日二十三日經つて居りますが、一箇も著きませぬ、甚だしきに至つては北海道から一箇月も掛る、それになくなつた物も相當あります、それは仕方ないとしまして、附添が附いて居つた所で駄目ですから、何か赤札でも附けるとか、選擧の書類だけで宜しいから、同一府縣なら宜しいけれども、今薩摩さんの御話の通り東京で印刷したものを持つて行くと云ふことは間に合はない、是は短期でもありますし、澤山あるものではありませぬから、特に選擧用として急速に責任を以て送るやうにして貰ひたい、積込むのは誰かやつて見屆ければ宜しいのですが、僅かな品物でありますから、特別に急速に輸送すると云ふことの扱ひは出來ませぬか、是は是非御願ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/26
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027・伊能繁次郎
○伊能政府委員 御言葉のやうな事件が時折起りまして、洵に申譯ない次第であります、只今御話の向きのやうな點は、特に地方から東京へ物を御送り願ひます際には、御承知のやうに東京附近の驛が非常に數多く燒かれて居ります、到著手小荷物の處理等も、實は保管庫等の急速な増設其の他計畫致して居るのでありますが、中々捗りませぬで、收容力竝に小運送力を遙かに超えた數量が送つて參ります爲に、一部は貨車の中に積込まれた儘逐次整理をして輸送する、御屆けをする、斯樣な關係で非常に著いて居つても御手許まで御屆けすることが遲れると云ふ事態が、最近でも實は非常に澤山ございます、申譯ないと存じます、そこで只今ではさう云ふものに付ては、發送制限其の他適宜な措置を執つて居りまするが、間々さう云ふ事態が何分にも驛が燒かれて居るものですから、雨天等に於ては殆ど處理が出來ないと云ふやうな事柄から、御迷惑を掛けて居りますが、只今の御話のやうな點に付きましては、候補者の方々の方で、選擧用と云ふことを明示されるやうにして御屆を願ひますれば、私共の方も選擧用として、選擧用關係の荷物の發著に付きましては、特別に注意をして取扱ふやうに命令を出したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/27
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028・山本厚三
○山本(厚)委員 それで大變結構ですから、是非是は小田原評定でなしに御實行願ひたい、それに付て御參考に申上げたいことは、今の御話の中に著驛で混雜して盜つて云々と言ひますが、一例を擧げました荻窪、阿佐ヶ谷は燒けて居りませぬし、荻窪の如きは完全でありまして、貨物車も保管場所も二十五日程調べましたが、著いて居らぬのであります、何處かに停滯して居るのでありますが、どうか選擧の方はさう云ふ譯でありますから、明かに札を附けたら優先的に取扱ふ、斯う云ふことに是非一つ御決定願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/28
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029・林信雄
○林(信)委員 先刻御説明の定期券の問題であります、定期券を差上げますと云ふと、無料のやう響いたのでありますが、是は大變な「サービス」だと思つて非常に結構だと思ひますが、さうなりますと、恐らく選擧區内「エー」地から「ビー」地、「シイ」地から「デイ」地と云ふ工合に「スルー」になります線だけは、恐らく社線からお終ひの縣境の驛まで、其う云ふことになりますと思ひますが、それを買つても宜いのですけれども、此の間終點的なものから、別の支線の終點的なものに、其の終點から又他の終點に行くと云ふやうな必要があり、錯綜したものにならうと思ひます、餘り煩雜になりますので、大體府縣の實情を細かく哩數を考へますると、正確には行かぬのでございますが、大體の基準を作られまして、縣内自由の乘車券でございますか、定期券でございますか、さう云つたものが何と言つたつて臨時のものでございますから、御考慮願つて御發行願ひたいと思ひます、直ぐに御答へが出來ますれば結構でございますが、御研究が願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/29
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030・伊能繁次郎
○伊能政府委員 只今私が申上げましたのは、林さんの御話のやうな積りで申上げました、同一府縣内どちらへ選擧區内においでを願ひましても有效であります、大體私共の計算では、五十「キロ」よりも遠くへ行かれることは餘りないのではないか、斯樣に考へまして平均五十「キロ」と考へまして、解散後選擧終了後五日までに、何日になりますか、はつきり致しませぬが、大體一箇月と計算致しまして、それで運賃其の他を彈きまして、現在私共の考へでは、出來得る限り選擧費用の低廉なことも考へて、五割引程度に致さうか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/30
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031・林信雄
○林(信)委員 能く分りましたが、其の金額等はそれで結構でございますが、唯縣内と稱して居りますので、文字通りに考へますと、それで宜しうございますが、御承知のやうに選擧區が二分される都道府縣がある、是は選擧區外は必要でないから、選擧區内と御考へになることもあらうかと考へます、府縣と云ふ言葉だけで府縣全體であれば宜しいのでございますが、それでないと、さう云ふ考へもあり得る、實はそれは不自由になるのであります、屡屡皆論議致しまするやうに、戰災を受けました都市、左樣な關係から印刷物資の關係、或は縣廳の聯絡等に依りまして、縣内でありますと選擧區外も可なりあるやうでございますから、其の通りに文字通りに縣内と云ふことに御願ひしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/31
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032・伊能繁次郎
○伊能政府委員 選擧區が二區に分れる場合でも同一府縣として考へたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/32
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033・東條貞
○東條委員 私は北海道でございますが、山本さんから御話の點、是は多分青函連絡の所で元のやうに貨車航送ですつと通ることが出來ない爲にあそこで積下しするので下積みにでもなつてさう云ふことが頻々と起るのぢやないかと思ひます、現に私は疎開先の鶴岡に行きますのに、札幌の「チッキ」が海中に落ちてどぶどぶになつたことがあります、是で積換へがあるなあと云ふことを想像したのであります、さう云ふ實情でありますならば、假に東京にある驛で人が附いて居て積込みましても、あそこで積下しする時がうまく行きませぬので非常に遲れることがある、之に對する適當な御考慮を一つ願ひたい
それからもう一つ乘車券の問題でありますが、どうなるか分りませぬけれども、假に原案が通過すると致しますと、北海道の第一區と云ふものは相當大きい、第二區の方も根室から稚内、留萠方面まで廣がる譯で、御話やうな平均五十「キロ」百「キロ」ではありませぬ、又一番便利な近い道を通ると云ふことになりますと、其の選擧區外の所も通る、二十枚と云ふ御話でありますが、ああ云ふ不便で、殊に「ローカル」線が多くて、列車の運轉の非常に少い地域の廣い所では、本當に運動を展開致しますると、内地の比較的地域の狹い所とは違ひまして、二十枚位では――二十人位では迚も演説會の準備だけでも困難と考へられるのです、それから定期券の乘車賃の割出される基礎に付て、是はああ云ふ廣い地區でありますから、假に二十枚としても三十枚としても、全部の者が全選擧區を自由に歩くと云ふ必要は實際から言へば要らないことになると思ひますが、詰り甲の地、例へば從來の五區方面を擔任する或は從來の二區の方面を擔任すると云ふやうに、幾らか分れて來ますから、全部が全部必ずしも歩かなければならぬと云ふことにはならぬと思ひますけれども、若し選擧區内の廣さ、詰り鐵道の「キロ」を標準にして算盤を出されると云ふことになると、非常に高いものになるのぢやないか、斯う云ふ風に考へますが、斯う云ふ點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/33
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034・伊能繁次郎
○伊能政府委員 北海道に付きましては、御説のやうな點も能く分りますので、篤と研究をして善處致します、只今當初に御説明のありました點に付きましては、御指摘の通りでございまして、昔のやうに「スルー」で通つて居りませぬから、左樣な御迷惑ある點が時に起らないとも申上げ兼ねます、選擧關係の色々荷物の輸送に付きましては、出來得る限りのことを致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/34
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035・清寛
○清委員 私は定期券と云ふのはどう云ふものか知らないのですが、假に五十「キロ」と假定して、一箇月買ひますと凡そどの位の賃銀になるか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/35
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036・伊能繁次郎
○伊能政府委員 五十「マイル」と云ふ選擧區の大體の標準を五十「キロ」と致しますれば、一箇月で五割引と致しますと、大體五十四圓、それを五十圓位、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/36
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037・清瀬一郎
○清瀬委員長 選擧に關係致しまして、「ラジオ」の利用と云ふことが事實問題であらうと思ひます、只今遞信院總裁が出席せられて居りますから、遞信院の御見込を一つ聽いて置けば、審議に大變參考になると思ひまするから、委員長より之を求めた形で遞信院の説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/37
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038・松前重義
○松前政府委員 從來の總選擧に於きましては、放送は殆ど其の埓外にあつたのでございまするが、來るべき總選擧に於きましては、有權者の激増が豫相されることは必然であります、又一面昨今の情勢から見まして「パルプ」が非常に不足して居る、石炭が中々手に入らないと云ふことで、紙が非常に得にくいことは申すまでもありませぬ、其の他只今の交通事情の非常な困難な状態、又選擧運動期間が非常に迫つて居ることなどから、何とか之に「ラジオ」を或る程度利用する方法はないであらうかと云ふことを考へまして、立案企畫を致して居る次第であります、其の方法と致しましては、東京中央放送局から全國に亙りまして各政派の代表者の方の「ラジオ」放送をやつて貰ひまして、之を全國に中繼放送することと致しました、次に各地に於きまする大阪とか、名古屋とか、廣島とか、熊本とか云ふやうな各地の中央放送局は、各候補者の經歴を「ラジオ」放送に依つて放送すると云ふやうに考へて居る次第であります、其の外各候補者の放送を各縣に於てやりたいと、云ふやうなことを政府は新聞にも書かれ、私共も企畫して見たのでありますが、是は聯合軍最高司令部との關係に於きまして今の所困難な情勢にあるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/38
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039・清瀬一郎
○清瀬委員長 此の委員會に於て豫ね豫ね葉書のことが問題になつて居りまするが、遞信院の政府委員御出席でありまするから、併せて此の研究を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/39
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040・松前重義
○松前政府委員 選擧用の官製葉書に付きましては、先程申上げましたやうに「パルプ」の不足、石炭の入手難等に依りまして、非常に紙の入手が困難になつて居りまして苦勞を致して居ります、併しながら先般來全然官製葉書を御融通申上げられないのではないかと云ふやうな疑ひを持つて居りましたのですが、色々努力致しました結果、漸く茲に目鼻が付きまして、其の配給量を候補者御一人に付きまして大體一萬枚を限りまして、之を御配給申上げると云ふことが可能になつたのであります、其の方法は選擧區内の任意の局に立候補用として御申出がありますれば、其の局より配給を受けることが出來るのであります、又軍事郵便用の葉書及び繪葉書、私製葉書も多少私共の方に手持がありますので、御希望がありますれば、適當數量に限りまして、選擧用に御利用になつても差支へないのではないかと云ふ風に考へて居ります、此の問題は量が左程多くありませぬので、無限に御用立は勿論出來ないのでありますが、其の所要量に付きましては、御申込になりました受付に於きまして、御要求と睨み合せまして、又此の貯藏量、又どの位立候補者の數があるかと云ふやうなことと睨み合せて御融通致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/40
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041・清瀬一郎
○清瀬委員長 之に關聯して、疑義があれば御質しを願ひます――清君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/41
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042・清寛
○清委員 只今は大變御親切に一萬枚までは心配が出來るのだと云ふやうな御話でありますが、どうも選擧取締法に於て直筆のものでなければ許されぬと云ふやうな制約の聲もあつちこつちに出て居ります、此の委員會で若し頒布を許さぬと云ふやうなことになつて、一方は一萬枚までは便宜を與へると云ふことになると、そこに非常な齟齬、矛盾が出來て來るやうに考へられますので、其の點に付て委員長から宜しく御配慮を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/42
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043・清瀬一郎
○清瀬委員長 承知しました、それでは此の問題は是位にして元へ戻つて、林信雄君の質疑を進行致します――林君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/43
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044・林信雄
○林(信)委員 質疑を續行致します、投票方法の簡素化と云つたやうな問題に付て、一應の御答辯を承つたのでありまするが、尚ほ私は此の點に付て御尋ねを致したい、結論と致しまして、御當局としましては自書し得ざる者は萬致し方ない、斯う云ふことなのであります、さう言つてしまへばそれ切りでありますることは前提として申上げた通りでありますが、今まで少くとも現行制度に於きましてはさうであることは、是は大體納得して來たと思ふのであります
〔委員長退席、木下委員長代理著席〕
其の考へ方の根本は、平たく言つて、大の男が投票を致すのに簡單な文字、片假名でも宜しいものを稽古してでも書けない、斯う云ふ者だつたら所謂政治能力と云ふものに付て一通り考へて見ても宜しいと云ふことになる、先づ已むを得ない、斯う云ふ考へ方も宜かつたかと思ふのでありますが、此の度は新有權者が出來るのであります、繰返しませぬが、婦人の問題であります、新しい婦人層に於てはさうでもありませぬが、老年の人になりますと、稽古をしても覺えられないと云ふ階層、假に漸く覺えましても、男子のやうに宜い度胸は持ちませぬから、初めての所ではありますし、堅苦しい所へ行つてどぎまぎして果して覺えたものが旨く書けるかどうか、斯う云ふ不安からの棄權、是は男子の場合と女子が有權者になつた場合は可なり状況が違ふと思ふ、併し今までなかつたものをやつたのだから、大部分のものは宜いではないか、斯う大雜把に言つてしまへばそれ切りでありますが、物は初めに於て「スタート」が旨く參りませぬと、滑り出しがまづいと將來まづい影響を持ちますることは、何をやつても、同じことなんでありますが、投票の權利と云つた問題と共に、實際政治の將來を眺めまして、私は是は格段な御考慮を拂つて戴きたいと思ふのであります、或は切迫して困難だと云ふことになつたと致しまするならば、御話のやうなことで遺憾に存ずることはないのでありますが、餘地がありまするならば、更に何か考へて戴きたいと思ふのであります、尚ほ附加へたいと思ひますることは、數の上に於きまして老年の婦人層が一番問題だと思ふのでありますけれども、數が少いかも分りませぬが、實質的に眺めまして、男子の場合に於きましても、此の大戰爭の後でありまして、傷痍軍人等が指先の自由を失ひ、或は右手を失ひ、漸く不自由な左手で自書すると云ふやうなことは、非常に困難だと云ふ向き等もあらうかと存じます、やかましく言へば際限がありませぬが、一口に言つて、身を挺して國難に當りました是等の人々が、數は少いのでありますが、歸つて來て新日本建設の爲に一票を投じてやりたい、斯う云ふ熱意のある人にもつと簡單な方法で、不自由と言つたらどうにか記號にでもすれば書けると云ふやうに、色々考へる餘地があらうと思ふ、勿論不具廢疾が選擧能力の問題と關係はありませぬ、此のことは點字が許された親心と云ひますか、在來の當局の氣持から致しましても、當然是等の人の選擧權は尊重しなければならぬと思ひますので、是等の點からも、いま少しく御考慮願ふ餘地があるのではないかと思ひます、重ねて此の點に對する御意見を承つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/44
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045・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 御意見一々御尤もでございまして、實は婦人に付きましては、大體五十四、五歳の頃までは總就學率が男子とさう變りませぬが、それ以上になりますと、大分就學率が變つて參ります、斯う云ふ點から言つて、御話の通りな問題は起ると存じます、又今の傷痍軍人其の他の問題に付きましても、中々自書が困難だと云ふことはおありだと思ひますが、此の際と致しましては從來の自書に依る投票と云ふことで參りますけれども、御意見の點に付ては、投票の方法は選擧の方法とも關聯致す問題でございますので、何れ選擧法の全面的改正の際に十分考慮致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/45
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046・林信雄
○林(信)委員 只今の點に付きまして、就中御説明のありました五十四、五歳以上の婦人層の有權者數でありますが、只今でなくても宜しいのでありますが、御參考に御聽かせ願ひたい
之に關聯して、昨日委員會で論議のあつた投票場所を殖やせと云ふ其の具體的な内容に付きまして、一萬三、四千箇所でありましたかに三千箇所か殖やす、それは少ないぢやないかと誰も考へるのでありますが、それは投票函の關係が主たる理由のやうに仰せられました、それは正直な實際のことだらうと思ひますけれども、投票函を設けることでありましたならば、成程規則はやかましく出來て居りますが、それは簡易な規則の改正等に依つて、もつと簡易な投票函を造ると云ふやうなことに依りましても、極力殖やさなければならぬ問題だと思ふ、此の三千箇所ばかり殖やすことに依つて何とか凌げると云ふ心持であり、是は都市に於て其の必要を認められて居るかのやうに、御話でございました、成程都市に於ける必要もありますが、私は寧ろ農村方面に於て、在來のやり方であれば、投票場所が二里、三里、極端な場合は四里も五里もあるやうな場合がありはしないかと思ふのであります、さうすると家庭を持ちます婦人、就中老齡の婦人等に至りますと、それまでの往復が困難であつたり、非常に嫌ふと云ふことになつて、棄權が多くなるぢやないかと思ふのであります、自書の問題よりももつと簡單にそれ等の方法を御考へになつて、投票が非常に簡素になることを御考へにならなければならぬと思ひます、どうも昨日の御答へでは不滿足でありますので、其の點に付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/46
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047・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今の點に御答へ致します、今の投票區の増設の問題でありますが、是は昨日局長から御説明もありましたやうに、大體隘路と致しましては、人の問題と投票函の製造の問題と兩方あるのでございます、人の問題は國民學校の先生とか、役場の吏員等を極力動員して出て戴くと云ふことを、今文部省の方とも折衝致して居りまして、大體此の方は諒解を得られますので、其の點はさして問題はないと思ひますが、一番問題は投票函の製造、特に投票函の鍵の問題であります、此の鍵は商工省の方に先刻來折衝致して居りますが、大體大阪にだけしか「メーカー」はない、それも非常に少數であると云ふ御話でありまして、そこを極力動員して、全國の鍵をそこで造つて居るやうな状態であります、其の關係で各府縣から投票所の増設の爲に色々の報告等も徴して居りますが、其の報告等に依りますと、大體昨日も一寸申しましたやうに、現在一萬四千の投票區が一萬七千八百、三千八百殖える譯であります、今の所其の豫定で居りますが、目標と致しましては、やはり少くとも一萬位の所で押へて行きたいと考へて居ります、農村の方に付きましても、もつと設けろと云ふ御話でございますが、是も勿論農村に増設の必要なしと云ふ意味ではございませぬので、農村等も今度の人口調査で調べました所では、大體人口二萬以上の町村が二、三百あるやうであります、是等の所はやはり分設する必要があると考へて居ります、理想と致しましては、通學區域位に投票函を一つづつ設けると云ふことが適當だと思つて居りますが、何しろ通學區域は大體學校でありますから、學校が全國で約二萬五千ございます、それと一萬七千の今度創設の豫定に致して居りまする投票區との關係を考へますと、まだまだ是は非常に色々な點で問題がありまして、直ちに其の通學區域にまで至りますることは、中々困難な事情であります、併しながら御説の點もございますし、十分斟酌致しまして、地方には大いに督勵を致して居る次第でございます、どうぞ御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/47
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048・林信雄
○林(信)委員 考へて督勵をすると云ふことであります、大體諒承致しますが、隘路は人の問題であり、函であり、鍵だと言はれる、何と云つても一日、久し振りの一囘限りと云ふことにもなつて居る問題でありますから、是は克服し得ない程の隘路ではないと私は思ふ、恐らくこんなに有權者の數が殖えて參りますと投票區と云ふものは窮屈にならざるを得ないものと思ふのであります、人の問題に付て御迷惑とは云ひながら御願ひ出來るだらうと思ふのであります、函に致しましても同じであります、大したことはない、鍵と言はれますと是は中々難かしい問題でありますが、是は率直に言つて違つて居るかも知れませぬが、在來の規定に囚はれて御考へになるからさうであつて、是は札でも貼つて、適當な人が判を捺しまして、在來ありまするやうに、適當な者が夜通し之を監視して居ると云ふやうな實情でありますから、是等の點も之に代る方法を用ひましたならば、強ひて隘路としなくても宜いのぢやないかと思ひます、是れ以上申上げませぬが、結論の御考慮を此の上とも御願ひ申上げて置きます
次に進みまして、選擧の公的性質から、選擧運動を出來る範圍に於て公營とする、此のことに付ても可なり論議されたことでありますから、愈愈推し進めまして、今度の選擧からどの程度かをおやりになると云ふ御意思があるのでありませうか、結局公報もなければ、無料郵便も取扱つてやらぬのだから今度は何もない、斯う云ふ風になるのでありますか、結論を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/48
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049・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 公營の問題に付きましては、大體範圍に付きましては從來申上げた通りでございます、それ以外に特に何か良い方法でもございますれば擴張致したいと存じまするけれども、目下の所中々機會均等を得ながら適當な公營の方法は見付かりませぬので、從來申上げた程度の公營の方法で參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/49
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050・林信雄
○林(信)委員 幸ひに致しまして、「ラジオ」放送等熱心に御斡旋になりましたことは、是は公營に第一歩を進められたものと深く敬意を表して置くのであります、本來の選擧の性質から致しまして、公營が適當であることは申すまでもないと思ふのでありますが、實際面に於て非常に困難があると云ふ所から、是が實施されて居ないと思ふのであります、併し何と言ひましても、今日此の度の選擧を豫想致しますと、物資不足なんでありますから、物資の不足致して居りまする時に公營を強調致しますと、自然に非常な節約になることは言ふまでもないのであります、此の觀點に立つて考へますると、公營とまでは行かなくとも、可なり選擧運動に制約が出て參りますることは、やはり已むを得ないと云ふよりは、時宜に適したものであらうと思ふのであります、併し是等の點に付ては、どうも私の考へます所に依りますと、政府御當局は民主主義の發達の建前から選擧運動を自由にすると云ふ建前から、それ等の點を非常に億劫に考へられ、或は怯懦にさへなつて居るのぢやないかと私は思ふ、それでは餘りに現在の物資不足の實情を無視されるものではないか、斯う思ひまするが故に、一例を擧げますれば、立候補の「ポスター」等は之を無制限に貼らせなくても、凡そ周知徹底が出來れば宜しいのでございますから、枚數を或る程度に限るとか、或は是は一つの公營になつて來るのでございますが、一定の規格の「ポスター」を相當枚數選擧を扱ひまする方面に出しまして、少くとも市町村單位位に何枚づつ、或は何十枚と云ふやうなものを出しまして、之を適宜な掲示場所を決めまして此處に、之を掲示すると云ふ程度でありましたならば、立候補の周知徹底を阻碍することなく、物資の節約になるかと思ふのであります、一般で心配して居りますのは、それ等の制限が全然ないと云ふことになりますると、氣勢を張る行爲はなくなつて居るし、素睛しい「ポスター」を貼りまして物資を無駄にする、必要以上の運動費が掛ると云ふやうな點、併し相成べく立候補者の政見の周知徹底は望ましいのでございますから、之を物資を浪費せずに出來ると云ふやうな方法を考へなければならぬ、さうしますと無料郵便の取扱もなくなりました今日に於ては、新聞を利用致しまして、之に簡單な政見なり挨拶を廣告する、斯う云つた方法が適切だと思ふのでございます、現に鹿兒島縣の實例でありますが、選擧のやり直しで、是は公報も出さずに、之に代へまして新聞へ廣告を出した事例があることは御承知の通りであります、斯う云ふ「ヒント」も與へられて居るのでありますから、それ等の點を御考へ合せになりましたならば、斯かる方法はまだ幾つかあらうと思ひます、大體御考へになつて居る所は分りますが、重ねて御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/50
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051・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 公營の問題は調査會あたりでも度々御意見がございましたし、内務省と致しましても、決して之を消極的には考へて居りませぬので、出來ますことは極力此の際主張致したいと思つて居りますが、今日資料と致しまして、諸外國に於ける選擧公營に關する調と云ふのを差上げたと存じますが、「アメリカ」「イギリス」「フランス」「ドイツ」の四箇國が入つて居りますけれども、諸外國に於きましても、公營と申しまするものは、出來さうで、事實やることになりますと非常に困難でございます、只今の新聞の廣告の問題でございますが、結局新聞の廣告となりますると、各縣で發行致しまする新聞を利用することになると思ひます、地方に依りましては、非常に部數の少い新聞もありまして、それを利用してどんな效果があるかと云ふことも疑問でありまするし、或は東京邊りではどう云ふ新聞を利用するかと云ふ問題もございますし、又二區に分れて居ります時に、一つの新聞社が結局二區違つたものを出すことになりますから、さう云ふのは結局新聞の配給網を利用することになりまして、果して候補者の方に御滿足の行くやうに行くかどうか、そこに心配があつたり致しまして目下研究致して居ります、適切な方法がありますれば、法律或は勅令に依りませぬで、事實行爲としてやりたいと思つて居りますけれども、目下の所確信の出來るものはございませぬので、大體從來通りの方法で參りたいと考へて居ります、尚ほ一つ能く研究を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/51
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052・中原謹司
○中原委員 關聯質問で一寸…今林君から大變良い話があり、又良い方法があれば必ずしも實施するに吝かでないと云ふ御話がありました、今の御話も九州の御話でありますが、三月の九州の選擧の時に私も應援に行きまして、其の時にはあんな時局でありましたので、候補者各自が縣知事と協議の上で「ポスター」も貼らず、びらも貼らぬと云ふことを申合せ、演説等は各候補者の演説の二時間前に、青年諸君が何處何處で誰の演説があるから集まれと云ふことで、それぞれ四人、五人候補者が協定の上で、それを守つて實施して居ります、それも一週間位の短い期間でありましたが、「ポスター」を東京で用意した人もありましたけれども、お互ひ同士の協定で、選擧運動に對する制限をして、極めて快く實施した例もある、だから是は候補者の代表が選擧區毎に寄りまして、時局の色々な推移に鑑みて、餘り金の掛ることは止さうぢやないかと云ふことで、是は政府の命令ではありませぬが、地方々々で選擧候補者が自主的に時局に鑑みて選擧運動を抑制すると云ふことでありますから、必ずしも民意を妨げる譯ではなからうと思ひます、さう云ふ點からすれば、公營をすることは贊成だ、公營に付ては宜い方法があるかと云ふ御話であります、國家としては選擧公報、「ラジオ」と云ふ外は方法がないと云ふ御話でありますが、是は一つ地方の選擧民の大事な代表者としての候補者を選ぶのでありますから、單に國とか縣のみでやると云ふ以外に、市町村自身に公營の事務を分擔さして、今學校とか、公共の建物は出して呉れると云ふのでありますが、それをもう一歩進めて適當な時期に公共建物を提供すると云ふことと、其の方の費用、竝にそれに付ての演説會の期日などを公告する方法は青年男女諸君を之に參加さしてやれば出來ぬことはありませぬ、さう云ふ市町村をして選擧公營の事務に當らせると云ふ法的根據さへ與へて戴けば、それは公共建物は出すと云ふことになつては居るが、もう一歩を進めて、市町村が會場の準備もする、公告もすると云ふことを非常に煩多で困ると云ふ御話もあるかも知れませぬが、青年男女、地方の有力者を動員すれば宜しいと思ひます、青年男女が神社の祭りなどに出てよくやりますが、あのやうに若い衆時代のことを考へて見れば、神社の祭りも宜いことでありますが、國家的な行事、國家的な業務と云ふ方面に對して協同をすると云ふことは、青年男女の團體として當然やつて宜いことであります、さうすればさうえらい金の掛ることでもなし、面倒でなくて出來ると思ふ、それで公營に付てはそれが一つ、市町村自身が公營に付ての事務を分擔をして、費用とか準備演説會の通知に當らせる、もう一つ選擧方法の制約と云ふことは國家で之をやらずに、やはり選擧の地區地區で地方長官と候補者の代表とが寄つて、例へば今の御話にもありましたが、衆議院の審査委員の諸君から特別の報告が出て居りますが、ああ云ふものを基準にして、此の縣では是が宜いぢやないか、各各東京なら東京であるとか、長野なら長野であるとか、それぞれ状況が違ひますから、一律にしないやうに、其の土地の候補者代表と地方長官、選擧長等も宜しいが、さう云ふ者が相談の上で申合せをして、それを實行せしめると云ふことにすれば、さう大した面倒がなくて出來得るやうに思ふのですが、此の點の御所見如何でありませうか、出來るなら之に法的根據を與へて貰ひたい、さうすれば選擧費用も安く濟むし、且つは機會均等で行ける譯でありますから、是非やつて戴きたいと思ふ、それでは新しい候補者諸君に不利益かと言ふと、決してさうではない、新人諸君に對しても必ずしも惡い結果になるとは思ひませぬ、同樣の結果が得られると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/52
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053・入江誠一郎
○入江(誠)政府委員 公營の問題に付て色々な有益な御意見を伺つた譯でありますが、唯市町村あたりで凡ゆる公營を市町村費を以ちまして非常に廣い意味の公營を致しますとか、或は一般の地方の青年男女を公營に利用すると申しますか青年男女を使つて選擧運動の公營をさせると云ふことは如何かと思つて居りまするが、尚ほ十分研究致して見たいと思ひます、尚ほ只今の御話の選擧運動の地方に於ける協定の問題であります、之に付きましては他の政府委員から御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/53
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054・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 選擧運動に關しまして立候補者間に於きまして自發的に協定をして制限をやつて行くことはどうだらうかと云ふ御話でありましたが、私と致しましては洵に結構なことだらうと思ひます、時局に鑑みまして、又地區的な事情に鑑みまして、斯う云ふことは自肅する、斯う云ふことは止めて置く、斯う云ふ風に自發的に御協定願ひましてやつて行くことは洵に宜いことと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/54
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055・中原謹司
○中原委員 今の事柄は法的の何等かの根據がないと出來ないと思ふのです、以前には俺は厭やだと言つて、成金の人で金は幾らでも使つても宜い、金を使はなければ出られないと云ふ人もあつた、多少そこに根據がないと出來ないと思ひますが、今の法令では根據がないと思ひます、それは出來ることは分つて居りますが、相當強制力がなければ出來ないと思ふのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/55
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056・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 さう云ふ根據は今の所ない譯であります、法的の拘束力をそれに持たせると云ふことになる譯には相成るまいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/56
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057・林信雄
○林(信)委員 他の問題に付て御伺ひ致します、それは先日來の御答辯の中に出て居りました戸別訪問の廢止の趣意は主として選擧の品位に關する問題である、だから是は存置して處罰規定を置いておかなければいかぬ、此の點私同感であります、其の考へ方と云ふものは、單に戸別訪問の禁止の根柢の理由とのみ御考へ下さらずに、其の他に澤山御考へになる面があると思ふ、其の邊に御考へがなかつたことは遺憾に存ずる次第であります、例へば氣勢を張る行爲を禁じ之を處罰して居ると云ふ問題を今度取拂つてしまふ、氣勢を張る行爲の中にも、或る程度許される程度の氣勢を張る行爲もございませうが、其の程度を逸脱しますと、非常に選擧の品位に關する問題があると思ふのであります、恐らく適當な候補者を選ばんとしますのに、候補者を知らしめんと致します運動者側に於て、鐘や太鼓や喇叭を吹いても、何しろ「トラック」の上から「メガホン」で大きく叫んで廻らなければ出來ないと云ふことでなく、そんな方法を選ばなければ出來ないと云ふことであれば、是は選擧民に對する侮辱であり、選擧民に對する非難であると思ふのであります、彼是れ考へまして、氣勢を張る行爲の如き、是は品位の點から考へましても、之を野放圖にする必要は毫もない、斯う思ふのであります、管々しく實例等は申しませぬが、實に極端な例もあつたことを我々は承つた場合に於きまして、愈愈眞劍に神聖に選擧權を行使して行かなければなりませぬ時代に向ひました時に、お祭り騷ぎ的になるやうなことを豫防する建前を執らなければならぬのに、逆に行くと云ふことはどうも解せない、隨て又事務所の數の制限の撤廢乃至は休憩所の制限等もないと云ふことになりますと、昔に歸りまして投票所近くに休憩所を設ける、赤前垂に候補者の名前を書いて、お茶の一杯位は買收饗應にはなるまい、お上りなさいと云ふことでお茶を出すやうなことも行はれると思ふ、昔あつた例もさうでありますが、奥さんから、伜から、娘から、就中いたいけな子供を羽織袴で出して、どうぞお父さんの爲にと叩頭百拜したと云ふ事例もある、親父が出まして、是はどの程度に頭を下げるか、適當に頭を下げることは是は儀禮としても考へられませうけれども、是すら私は品位の問題だらうと思ふのであります、況していたいけな子供まで引出して行くことは、政策と云へば政策だが、どうかと思ひます、是等の點は廣い意味の選擧の品位になつて來ると思ひます、此の邊の全然制限撤廢と云つた問題、乃至は選擧後の挨拶行爲の如きも、是は選擧權の本質から見ましても、何も候補者が自分の爲に投票を貰ふのではないのであります、貰つたら其の御禮をすると云ふ觀念も儀禮的のことで、さう云ふ理由はないと思ふのであります、情義から致しますれば、其の氣持は多少ありませうけれども、それをやらなければ選擧の目的を達しないと云ふものでは勿論ない、唯實際問題に於て選擧地盤の培養と云ふことになるのであります、内務大臣頻りに事前運動の説明に於きまして、選擧地盤の培養はどうせなさることだからと云ふやうなことの説明が出ました、選擧地盤の培養から致しますれば選擧後に之を致すと云ふことは結構なことでありますが、是は選擧をやりましたものが皆やれば、結局同じやうなことになる譯であります、ここは寧ろ左樣な實際問題よりは根本的の理念に立返つて在來の規定の方がやはり宜いのではないかと思ふのであります、やはり是も含めまして選擧の品位に關する問題の一つではないかと思ふのであります、之に關聯致しまして最も問題となつて居ります選擧の公告、告示前の所謂事前運動の如きも、大體の建前としまして選擧を目掛けて選擧運動をすると云ふことが、先づ宜いのではないかと思ふのであります、それを極端に言へば、年百年中選擧運動をやつて居つても宜しいと云ふ建前はどうかと思ふのであります、やはり是も廣い意味の選擧の品位に關する問題だと思ひます、成程選擧運動を自由にすると云ふ建前から行けば非常に自由になつたやうでありますけれども、其の自由と云ふものは又別の面から制約を受けても決して不自由になつたとは考へませぬ、實際に於ては選擧をやる其の時其の際に於て自由でなければならぬ、何時でも何でも選擧運動をやつて行かなければならぬと云ふ自由と云ふものは、理窟としてどこにもないと思ふのであります、是もやはり廣い意味の選擧の品位に關する問題の一つだと思ふのであります、彼此れ申せば此の點は多いのでありますが、根本的な考へ方は、私は是だと考へます、只今まで申しましたやうな項目に付ての考へ方を更に御考慮願つて、御意見を御洩らし願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/57
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058・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今御質問を受けました點に付きまして、私から御答へを若干申上げたいと思ひます、只今御述べになりました事柄に付きましての提案を致しました理由に付きましては、大臣、局長から度々申上げましたのでありまして、茲に餘り詳細に申上げなくても御諒承願つて居ることと存じますが、其の中戸別訪問を禁止致しましたのは、今御述べになりましたやうに、品位を保持すると云ふことも勿論一つの理由でございまするが、それ以外の大きな理由と致しましては、戸別訪問が買收と云ふ不正犯罪を敢行する温床になり易い、斯う云ふ點に著目を致して居る點が一つの重大な理由でありまして、左樣な意味合から、戸別訪問は禁止致す、斯樣に考へた次第であります、それから又氣勢を張る行爲と云ふものも品位を害する、斯樣に仰せになつて居るのでありますが、其の點は一面之を惡用致しまするならば、さう云ふやうな事例は生じて來ると存じます、但し今日に於きましては、聯合軍司令部の要求の趣旨もございまして、治安警察法も撤廢すると云ふやうに、緊急勅令の委任に依りまする命令に依つて御願ひを申上げて居ります、是は今度の特別議會に承諾を求めて居るのでありますが、其う云ふやうな詰り大衆運動と申しますか、斯う云ふやうな方面に於きましても、事柄が刑法犯罪若しくは他の特別の刑罰犯罪に觸れざる限り自由を認める、斯う云ふやうな基本的な要請から致しまして撤廢を致して居るのと彼此れ均衡を考へますると、百二十四條の氣勢を張るの行爲と云ふやうな事柄が不釣合ではなからうか、斯う云ふやうな點にあると私は推測致して居ります、尚ほ此の點は司法當局が只今御出席に相成つて居りませぬので、是は私から御答辯申上げるのでありますが、一應私は左樣に了解を致して居ると云ふことを、御諒承願ひたいのであります、それから事前運動なんかに付きましても度々御質問もあり、大臣からも度々御答辯がありましたけれども、洵に品位保持の點から云つてどうかと云ふやうな仰せでありまするが、事前運動と云ふ事柄が私共の考へと致しましては、相當是が禁止されて居る、制限をされて居ると云ふ所に活溌なる政治活動を抑壓した所の一つの因子があるのではなからうかと云ふやうなことが、今日の情勢下に於て謂はれるのであります、それを取拂ひまして、茲に他の新しい基盤に立つて選擧を致しまする時には、自由闊達な選擧を致さしたらどうか、殊に新しい有權者が殖えて參ります、殊に其の中には若い男女の有權者が殖えて參ります、是等に選擧と云ふものは非常に制限のあるうるさいものだ、選擧と云ふものがあれをやれば選擧法の違反になる、之をやれば選擧法の違反になると云ふやうな陰影を投じましては、私は今後の政治的意欲と申しますか、政治的な訓練を昂める上に於きまして障碍を來しはしないかと云ふやうなことから致しまして、一面に於きましては、只今御述べになりましたる所の品位の保持と云ふ點に於きまして、御説のやうに若干極端な場合には弊害も生ずるかと存じますが、一面左樣な政治的な欲求と申しますか、斯う云ふやうな點を滿足せしめたいと云ふやうな考へから致しまして、此の運動に付きましても、出來るだけの撤廢を致して、此の要求を充したい、斯樣に考へて居る次第でございます、以上意を盡しませぬが、御説明に代へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/58
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059・木下義介
○木下委員長代理 では午前中の會議は之を以て一應打切りまして、午後一時から再開致します、休憩に入ります
正午休憩
午後一時二十四分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/59
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060・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より衆議院議員選擧法中改正法律案の委員會を續開致します――林信雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/60
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061・林信雄
○林(信)委員 午前に引續きまして御質疑を致します、御尋ねの點に付て御答へを願つた其の事柄に關して、更に質問を試みたいと思ひます、午前中申上げましたやうに、選擧の品位の問題を基調と致しまして、今囘の御提案の選擧法に付て御考へ願ふべきものがあるではないか、斯う云ふ點に付て色々の根據、特に政府委員に御説明願ひました選擧の品位保持の氣持のある點を土臺にしましたことに付て、戸別訪問に關する其の御答への中にあつたことを私引用致しました、旁旁戸別訪問の禁止規定の理由が何處にあるのだと云ふことを檢討致した意味ではないのでありますから、當然それが買收行爲等を容易ならしめる誘因になると云つたやうなことを別に私議論を持つて居るものぢやないのですが、唯其の主たる理由の一つとして、さう云ふことを御述べになつた其の心持を敷衍して考へる、斯う云ふ意味で申上げたのですが、尚ほ其の點に付きましては、氣勢を張る行爲の絶滅等も詳しく申上げる必要もございませぬから、特に内容等を詳しく申上げませぬのですが、單に何でも彼でも聊かの氣勢を張る行爲も之を許すことが選擧の品位に關する、斯う云ふ所まで私言つて居るのではないのでございます、私が申上げて居る氣持は、現行法にある規定を撤廢致すよりは活かす、斯う云ふことの方が宜しいのではないかと云ふ心持で申上げて居る譯なんです、でありますから、自然些々たる氣聲を張る行爲まで之を取締ると云ふ方向に向ふべきであると云ふ意見ではないのでございます、繰返すまでもございませぬが、百二十四條は「選擧に關し多衆集合し若は隊伍を組みて往來し又は煙火、松明の類を用ひ若は鐘鼓、喇叭の類を鳴らし旗幟其の他の標章を用ふる等氣勢を張るの行爲を爲し警察官吏の制止を受くるも仍其の命に從はさる者は六月以下の禁錮又は三百圓以下の罰金に處す」特に左樣な形が現はれました場合に、警察官吏の制止と云ふ一つの事情が現はれて居る、それをしても此の命に從はないと云つた者の處罰規定でございますから、是はあなたの御擔任下さる行政面に於て指導宜しきを得ますならば、餘り非常識な取締などあらう譯はないのでありますから、そこで解けて來ると思ひます、斯樣な極端な場合を見て居りまする此の規定を、此の際全部撤廢してしまふと云ふことは如何なものであらうか、治安警察法まで撤廢されて居る時ですが、さう云ふものがなくなつた時でありますから、實際面に於きまして、大體紙一重の問題になつて來るやうな問題もあらうと思ひます、それは極端な場合かも存じませぬが、少くとも警察關係でありまするならば、事犯の起りました場合の檢擧警察、取締警察も格別でございますが、事犯の起ります前に豫め豫防する、豫防警察の面から考へましても、原則規則の存置致しますること――多くを繰返しませぬが、斯樣な制止致しても聽かぬと云つた極端な場合の規定は、是は殘すべきでせう、御氣持の根柢は成べく選擧を窮屈なものに考へないやうにと云ふことになつて居ります、一通り事情が分れば、是は窮屈にはならぬと思ひます、全然素人であります者は、非常に選擧と云ふものを窮屈に考へたり致しませうが、それは投票致します方面の多數の人々であります、是は投票するだけですから、窮屈でないことは誰も感ずるのであります、實際選擧運動を行ふ方面になりますと、多少其の間の知識をお互ひに活用する、運動する方の側から考へますと、多少の知識を得て運動を始めるのが普通だらうと思ひます、一般に對する唯窮屈感と云つたものは、實際運動に携はらんとする者は、多少の經驗や學問的知識を活用すれば、是は自然に分るものと思ひます、そんな御懸念を持つて、何もかも自由にして行く、自由は結構でありますが、自由奔放に流れ易い所まで持つて行く必要はないかのやうに考へるのであります、遺憾ながらまだ是等の點に付て納得致し兼ねる所を持つて居ります、私初めから申上げあ居りますやうに、事例を擧げたくないのでありますが、氣聲を張る行爲の中に過去に於ては――私最近或る人から承つた所でありまするが、或る選擧區に於て女の集まつた所へ行つて素つ裸になつて、胸の所と背中に候補者の名前を書いて、それですててこか何か踊つた、斯う云ふ事例もあつたと聞くのでありまして、氣勢を張る行爲が奇想天外どんな所まで及ぶか測り知れざるものがあると思ふのであります、さう云ふことまでしなければ選擧の自由と云ふものが得られないかと云ふことと思ひ合せますと、やはり選擧の品位から、極端な場合は是は禁じて宜しいと思ふ、只今言つたやうなことを警察官が止めても止まらぬと云ふことがあれば、苟且にも警察の威力さへ疑はれると云ふやうなことにも思はれるのであります、其の他休憩所の問題、選擧後の當落に關する挨拶行爲等も同樣尚ほ意見を持つて居ることを申上げまして、御意見があれば承りまするが、其の程度に止めたいと思ふのであります
引續きまして、大臣お見えでございますから、一、二點大臣に御尋ね致したい、それは當初私が御伺ひしたいと考へて居つた一つでありましたが、大體牛塚委員より之に御觸れになりましたので、其の殘つた部分に付ての御尋ねであります、今囘の選擧法改正の御提案が、其の他の問題と同樣に、聯合軍最高司令部の指示に基いてなされたかのやうな世間の誤解があつたと思ふのです、果して指示があつたと致しますならば、其の積りで又我々も考へなくちやならぬ、なかつたならばなかつただけの考へを持たなければならぬと、斯う考へて居りました所、此の點に付ては牛塚委員の御尋ねに依つて、いやさうではないのだ、獨自の見解で自發的に案を立てて既に閣議決定を見た後に、其の日の夕刻でありましたか、「マッカーサー」司令官より個人的に意見を洩らされたものがあつた、其の一つは婦人參政權の問題である、斯う云ふ御話であつた、私の特に御尋ねしようと思つた重要な點は濟みましたが、御話の序でありますから、其の他に尚ほ四箇ばかりの意見を聞いたと斯う仰せられました、それは公式の指示ではないが、何と云つても最高の司令官が今日日本に對して持つて居る意見でありますから、此の選擧法の改正の審議に當つては參考にすべき事柄ではないかと思ひますので、御差支へなければ、當時御開きになりました其の御話の内容、特に四箇ばかりと仰せられました、其の他の四箇ばかりの話と云ふのは、どう云ふ御話でございましたか、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/61
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062・堀切善次郎
○堀切國務大臣 只今の御質問に對しましては、其の内容は書面を持つて居りまして、今取りに參りましたから、それを以て正確に申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/62
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063・林信雄
○林(信)委員 では其の間他の點に付て御質問申上げたいと思ひます
次の點は、是も私御聽きしようと思つて居た所、牛塚さんから御質問になりましたが、警察の民主化と云つた問題であります、是も根本は私了承致しましたので、質疑は差控へますが、特に選擧法の改正に際して、改正案文に依りますと、費用支出責任者の屆出と云ふものを警察署に出し、費用の精算の屆出も警察を經て地方長官に出すことになつて居ると思ひますが、本來選擧事務と云ふものは、選擧人名簿の作成より投票、開票等主たる部分が地方行政の面に於てなされて居ると思ふのであります、只今申上げたやうなことは取締に直接影響のない問題ではないかと思ふ、唯費用が超過すれば是は當選無效の問題がございますけれども、大體に於て警察が之に介在しなければ、事の本質上いけないと云ふ問題ではないと思ふ、之を思ひます時に於て、是等の點は折角の御提案ではありますが、警察關係を離す御意思がおありになるかどうか、及び公共團體に警察權を移管することの是非、此の點牛塚委員に依つて論議が試みられたのでありますが、現に差迫つて居る問題は、占領軍がやつて參つた部面では、占領軍と地方との連絡は主として市町村長が之に當つて居る、併し其の内容とする所は、警察の仕事が可なり澤山あるのであります、と云つて其の監督權を持つて居りませぬ、指揮命令權を持たないから全然やれないと云ふことではない、大體協調致しまして、評議の上でやつて居りますが、差迫りまして其の指揮命令權があれば一層至便だと云ふことは爭はれない事實であります、臨時の措置としまして、左樣な必要な地方に於きまする公共團體の一部に警察權を任せると云ひまするか、或は監察程度のことを任せると云ふか、さう云ふ臨時的な措置も考へなければならぬと思ふ、將來廣い意味の警察權移管の問題は、私茲に更めて御聽き致しませぬが、此の選擧法の條項竝に差迫りました占領軍との關係等よりする警察權の關係に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/63
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064・堀切善次郎
○堀切國務大臣 先づ先刻御質疑になりましたことに付て申上げます、丁度十月の十一日、選擧法改正案の綱要を閣議で決定致しました、其の日の夕方であつたと思ひますが、幣原總理が「マッカーサー」元帥に外の用事で會はれたのであります、其の時「マッカーサー」元帥から次のやうなことを總理大臣に對して話があつたさうであります、幣原總理大臣は其の内容が重要でありましたので、其の話をされたことを書面を貰ひたいと云ふことを言はれ、其の書面を持つて歸られたのであります、是は其の當時聯合軍の司令部から新聞に對して發表せられました其の内容でありますが、其の第一は日本婦人に對する選擧權の附與であります、第二は勞働組合の結成奬勵、第三は一層自由なる教育を行ふ爲の學校の解放、第四は祕密檢察等の諸制度の廢止、第五は所得竝に生産及び商業上に關して、獨專的産業支配の改善せらるること、斯う云ふやうなことであつたのであります
其の次に御質疑のありました選擧費用支出の警察官の取扱のことでありますが、御承知のやうに、選擧の事務自體は警察のことではありませぬで、是は地方廳に於きましても内政部の方で大體所管をして扱つて居る次第であります、内務省の方に於きましても、地方局の方で此の選擧法の取扱を致して居ります、唯取締の關係、罰則との關係の方面だけが警察の方で扱ひ、内務省に於きましても、警保局で取扱つて居る次第であります、選擧の費用の支出に付きましては、今度は罰則は附いて居ない、唯當選無效だけになつたのでありますが、其の制度は是まで選擧費用の制限をして居りました其の儘を踏襲致しまして、從來之に對しての屆出等も警察の方で扱つて慣れて居りましたので、其の關係から今度も前の其の儘を引繼ぎまして、やはり警察の方に扱はせると云ふやうに致した次第であります
それから市町村に對して警察權を附與すると云ふ問題に付きましては、牛塚さんの御質問に對して御答へ申上げましたやうに、只今是は眞劍に研究を致して居ります、唯さうなりますまでの間は、警察の方も他の市町村自治團體各方面と十分の連絡を執るべきものに付きましては、十分の連絡を執つて仕事に當らせるやうに、十分氣を付けて參りたい積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/64
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065・林信雄
○林(信)委員 只今の御答辯を承りまして、又選擧法の改正に付て細かな所まで午前中から、又連日に亙つて他の委員から論議されて居りましたので、選擧運動の制限、それ等の點に關しまする細かな指示があつたかのやうな世間の誤解は、惡い誤解であつたことを私共は鮮明ならしめたものとして喜ぶものであります、其の他の警察に於きまする選擧關係の事務の取扱等の點は、大體それで了承致しました
續きまして選擧の實際に於きまして、是は非常に大きな問題であり、國民の疑惑になつて居ります、私もむづかしい問題であると考へて居りますが、選擧が始まりますると、各種の政黨がありまして、其の政黨の持論と言ひますか、主張と言ひますか、其の中には可なり極端なものも出やうと思ひますが、就中問題でありまする天皇制の問題、是等のことが可なり勢ひに驅られました選擧場裡に於きまして論議せられますることの可否、是は國内的に考へますると、私は非常な問題だと思ふのであります、單に論議されて誤る者が出る、さう云ふことを私は深くは杞憂致して居るものではありませぬ、思想の確乎たる者に付きましては、甚だしく吾人の信念に反しました、或は信仰でありまする天皇制の問題に付きまして異る意見が吐露せられましても、之に依つて微動だもするものではないと存ずるのでありますが、唯治安の面から見まして、甚だしく意見の相違致しまする是等の問題が、取扱ひ方及び其の場面に依りまして、――主として演説會でありまするが、演説會等の雰圍氣に依りましては、突發的なる騷擾の状態に陷つて行かぬとも限らない、斯う思ひますので、此の點に於きまする特別の保安警察の御考慮があつて居らなければならぬかのやうに思ふのであります、是は立候補等の状況に依りまするから、或は全國的でないかと思ひまするが、率直に言ひまして、共産黨は其の立場で來るだらうと思ひます、共産黨の聲明致します所に依りますると、之を絶好の鬪爭の機會として、全國的に其の鬪爭を展開するのだ、斯う云つたことを天下に聲明致して居ります、旁旁限つた場面とも思ひまするが、可なり廣範圍な面に亙ると思ひます、此の點に對する心構への點を伺ひますることと、現内閣は既に總理大臣の施政演説に於かれましても國體護護持、此の點に於て堅き信念を御持ちになつて居りまするが、國體を護持すると云ふことは、申すまでもなく天皇制を護持致しますことが、是がもう根幹であり、中軸であると思ふ、之を論議致しますると云ふことは――之に相反しまする言論をなされると云ふことは、現内閣の意見ともう正面衝突の問題である、現内閣の主張と言ひますけれども、單なる現内閣の主張でなくて、私は是は國民の信念であり、信仰であると思ふ、此の絶對のものであると考へますることが、少くとも國民的な常識であり、感情であると思ふのであります、之に對しまする眞向からの反對議論が選擧に於てなされる、是は言論自由と云ふ立場から差支へないと言つてしまへばそれ切りでありますが、是ばかりで國民が納得の行かない或る何ものかを持つて居ると思ひます、思想の上に於て、感情の上に於て、割切れないものを持つて居ると思ふ、であるに拘らず、自由だと云ふ角度より、之を本當に自由に致して行きますならば、何かしら國民の指導の面に於て、至らざるものがあるかの感が致すのであります、併し「ポツダム」宣言の内容と云ひ、降伏條約の條項と云ひ、是等の點から推理致しますならば、是はもう言論自由の其の一點から大ぴらな自由に致す外ないと思ひますが、何かしら國民指導の面から割切れないものがあるのであります、是等の調和に關しまして、政府は何とか御考へになつて居る點がありまするか、自由なることを非難致すのでは勿論ございませぬが、其の調和の點に付て御考へになつて居るかどうか、此の二點に付て此の際伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/65
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066・堀切善次郎
○堀切國務大臣 「ポツダム」宣言を我が國が敗戰に伴ひまして受諾致しました以上、それに依ります降伏文書の根柢に依りまして、聯合國司令部の命令に對しては、之を忠實に實行するより外ないのであります、聯合國司令部の言論、集會等を自由にしろと云ふ此の指令の中に、天皇制に關する自由討議を含むと云ふことを明瞭に言つて來て居ります、是は其の當時新聞にも發表されて居ると思ひます、此の制約の下に現政府と致しましても施策をするより外はないのであります、隨ひまして我々天皇制の護持が、今日の總ての施政の根本であり、是が最も大切な問題であるとは確信致しますが、併し我々が之を確信致しましても、之に對する自由討議を壓迫する方法はないのであります、斯う云ふやうな關係から、只今の現状が起つて居る譯でありますが、私共は是が自由に論議されるのが、已むを得ないと致しますれば、之に反對する者の議論が一方にあります以上、之を擁護する論議も亦固より自由でありますから、大いに活發に熱烈に是が起つて來ることを熱望して已みませぬ、斯樣に致しまして、今日までの我が國民の確信は微動だもしない、七千萬の全國民悉く皆之に對しては非常に堅い確信を持つて、多少一部に論議する者があつても、それ等に對しては少しも動かされないと云ふ明瞭な事實を現はすやうにして欲しいものと、念願して已まない次第でございます、斯う云ふやうな點から申しますれば、一方に之を論議する者が出來て來ましたならば、又之に對して、選擧の際に於きましても、之を熱心に擁護する論議が又自ら起るべき筈であり、又起つて來ることを期待致して居るのであります、さう云ふやうな立場に立つて居りまして、之を或は何か新たなる立法か、或は警察の手段を以て此の論議を封ずる、之を壓迫して行くと云ふやうなことは、すべきでもなし、又出來ないのでありまして、今日の状態に於きましては、又之をする必要もないのではないか、思想に對しては思想、議論に對しては議論を以て鬪つて、さう云ふ説に對して國民の確信を搖がせないやうに、又其の確信を益益固めて行くやうに致すべきものであらうと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/66
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067・林信雄
○林(信)委員 御答への御氣持能く分りました、前提として其の御氣持に眞正面から反對の氣持を私は持つて居るのではないのでありますが、政治の實際指導の上に付て、勿論明確なる規定制度等に依ることはございませぬが、指導の面に於ても、何か御考へになるべき必要があらうと私は思ひます、併し其の點は其の程度に致しまして、之に關聯致しまして、それが實際の選擧運動、演説會等の場合に於て、治安上非常に騷擾的になるやうな場合を豫想しますと、之に對する對處策がなくてはならぬと思ふのであります、是は啻に天皇制の論議と云ふ以外に於きましても、選擧は言ふまでもなく勢ひのものでありますから、如何なる事態が起らぬとも限らないのであります、併し特高警察は廢止され、臨官は居ない、斯う云ふことでありますと、收拾付かざる場合があるのであります、併し實際の問題になれば、處罰するものは處罰すると云ふことには相成りませうが、事が起りまして處罰するだけでは、それは信賞必罰的の意味はそこに現はれるでございませうが、實際治安は後で處罰すると云ふことでは、もう既に收拾すべからざるものが起るのであります、取締警察の外に豫防警察と云ふものが重要であることは在來とも變らないが、それに對しまして左樣な論議と考へ合せて、斯樣なる取締官憲に付ての對策と云ふものを、御考へになつて置かなければならぬと思ふのであります、尤も天皇制の問題等の特別の場合を除きました場合には、警保局長より御答へがありまして、それは一通り手配をすると言はれたのでありますが、然らば其の御手配とはどう云ふ程度でありませうか、私服程度のものを入れて置いて、状況を見て居つてぱつと飛出すのか、やはり臨監致しまして、内容等には一切觸れないが、彌次も非常に猛烈になつて、騷擾的にならうと云ふ場合には、之を制止する制服の警官等が之に臨監する、臨監をして居りますれば、言論の内容等に觸れる必要はございませぬが、其の場の治安の維持の爲には、私服よりは制服の警官が堂々其處に臨監をすると云ふことは、敢て差支へないのではなからうか、別に選擧の公正を害し、言論の自由を抑壓することにはならぬのではないか、私は此の程度の措置は差支へないものと思ふのでありますが、是等の點に付ての御意見はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/67
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068・堀切善次郎
○堀切國務大臣 固より治安を維持して參りますことは、極めて重要なことでありますから、多少なりとも其の治安に對して懸念がある、治安を紊す懸念があると云ふ際に於きましては、之に對して萬全な策を講じなければならないことは申すまでもないことであります、必要と認めました場合に於ては、制服の警官が臨監をすると云ふことも、決していけないとは考へて居ないのであります、其の時の状況、色々な四圍の状況、其の時の模樣に依りまして、適應の手を打たなければならないと考へて居る次第でありまして、固より治安を維持することは絶對に必要でありますから、其の注意を十分に致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/68
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069・林信雄
○林(信)委員 大臣に對して特に豫定しました質疑は此の程度でありまして、以下は大臣なり政府委員で適當に御答へ戴けば宜しいのでありますが、細かい點を一括致しまして最後に御尋ね致したいと思ひます、それは選擧事務長と云ふものがなくなりまして、大體費用の關係に於ては費用の支出責任者、斯樣なことになつて居りますけれども、百三十六條に於て「當選人其の選擧に關し本章に掲ぐる罪を犯し刑に處せられたるときは其の當選を無效とす」とありまして、又選擧運動を總括主宰した者が、同樣な行爲をなした場合も結局同じだ、斯う云ふ規定に關してでありますが、總括主宰者と云ふのは選擧事務長と云ふ制度があつて、選擧事務長と云ふことであれば、是は屆出たものでありますから明瞭であります、尤もそれ以外の規定もございましたが、選擧運動の總括主宰者と云ふものは一人でなければならぬと云ふ理窟はないのであります、是は普通の場合でも考へられるのでありますが、さうでありませうか、大體分つたやうな問題でありますが、それが一つと、それから支出責任者以外の者の支出と云ふことが豫定されて居ります、それは支出責任者の承諾を得なければならぬと云ふことになつて居りますが、それは前からも問題になつて居りましたけれども、それは總括的な承諾でも宜しいのか、或は個々にでも宜しいのか、其の點が第二點であります、それから百四條の第一項第二號でございますが、選擧の期日後に於て選擧運動の殘務整理の爲に要したる費用、是は即ち選擧運動の費用に加算せられざるものでありますか、此の點の疑義であります、結局選擧運動とは何ぞやと云ふことから決めて掛らぬと分らぬのでありますが、常識的に考へれば色々に考へられる危險があるのであります、殘務整理のことでありますから、今度の改正のやうに、選擧後の當選又は落選の挨拶行爲も自由だと云ふことになりますと、是は常識的に考へて引續いた問題とも考へざるを得ないのであります、さうすれば挨拶状の發送或は當選落選の宴會等の費用は、殘務整理の費用として考へて宜しいやうにも思ふし、或は引續いての費用に入るやうにも考へられます、是は簡單なことでありますが、此の三點に付て御尋ね致して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/69
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070・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 私から御答へ申上げます、一番初めの總括主宰者の意義でありますが、是は現行法にも罰則に現はれて參ります總括主宰者と同じ意味でありまして、事實上に於きまして選擧運動を或る程度の統領として締括つて居る、斯う云ふ意味に解釋下さつて宜いのでありまして、一人でなければならないと云ふことは考へて居りませぬ、普通の總括主宰者であることと解釋して居ります
第二の支出責任者の問題であります、之に付きましては包括的に承諾を受けて宜しいか、個々的に受けなければならぬか、斯う云ふ問題でありますが、事案に依りましては、或る程度包括的になることは、勿論あることと思ひますけれども、其の件其の件の承諾を受ける、或は金額に付きまして此の範圍内でと云ふやうな意味に於ける承諾を受ける、斯う云ふ風に解釋を致して居ります、唯條件と致しましては、文書に依る所の承諾を要する、斯樣に解釋を致して居るのであります、隨ひまして此の演説會を一つ五百圓の範圍でやつて呉れ、斯う云ふやうに頼まれますれば、勞務者の支拂から、演説會場の借入金から、或は煖房裝置、斯う云ふやうな費用を支出する一切の個々的の費用までの承諾は要しないが、此の演説會場に付ては幾ら、例へば三箇所なら三箇所の演説會場の費用として千圓斯う云ふやうに承諾を受けて戴けば宜いのであります
それから事後の挨拶行爲が殘務整理になるかと云ふ問題、隨てそれが選擧運動の費用に加算されるか否かと云ふ問題でありますが、事後の挨拶行爲に付きましては百二條に依る制限の中には入らないと云ふ風に御解釋を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/70
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071・林信雄
○林(信)委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/71
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072・清瀬一郎
○清瀬委員長 今井嘉幸君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/72
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073・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 私は本會議でも質問をさせて戴きましたし、それから此の委員會に於きましては、其の爲に後に廻されましたので、多々私の疑問にして居つたことが解決致しまして僅かになりましたが、併しまだ解決して居らない問題で重要な問題がありますので、之を御聽き申したい、多くは内務大臣に御聽き致したいのでございますけれども、場合に依つては他の方からでも結構であります
第一は内務大臣に政黨と本選擧法改正案に付て御伺ひしたい、政黨關係のことであります、政治があればそこには政黨がある、況や民主政治になるのでありますから、政黨と云ふものは可なり活動する筈であります、所が其の政黨の中には首領政黨、それから主義政黨と云ふ兩種ある「ヒューラー・パルタイ」、「イデオロギー・パルタイ」とでも名を付けませうか、さう云ふものがあつて、又其の中間のものもあると思ひますが、所が一方から考へて見ますと、政黨には一國一黨と云ふものもありますし、それから對立の兩大政黨と云ふものもありますし、それから小黨の分立状態もあらうと思ふのであります、所が第一種類の一國一黨、それから第二種類の兩大政黨對立の状態、是は失敗の歴史であるのであります、議會の初期に於きましては、恐らく小黨分立であつたのでありませうが、間もなく兩黨對立になりまして、所謂政黨萬能時代になつて、終ひに五・一五事件、殊に二・二六事件の爲にそれが何時の間にか解消しまして、一國一黨と云ふやうなことになつたのであります、所が今の兩黨對立と一國一黨の歴史は失敗に終つて、其の結果今日のやうな斷末魔に陷つたのでありますが、そこへ選擧法の改正があります、此の改正は一國一黨と對立政黨、此の二つの状態に對しましては、非常に根本的な變化を運命付けて居ると思ふのであります、そこへ持つて來て一國一黨、兩黨對立の状態の中心人物になつて居りまする人間が數珠繋ぎで引張り出されて、其の「バック」になつて居ります軍閥、財閥、官僚閥と云つたものが打壞されるのであります、選擧法も根本的に改正をするし、從來のさう云ふ状態が其の中心を失ふと云ふことになりますので、可なり茲に私は變化を生ずるものと思ふのであります、既に其の變化が議會に於きましても現はれて居るのであります、さうしてどうしてもそれは小黨分立に又逆戻りせざるを得ない、議會の初期の時代に私は還ると思ふのであります、是は現實に即して考へて見たいと思ひます、現に小黨分立の状態と致しまして、進歩黨あり、自由黨あり、社會黨あり、共産黨あり、此の四つが既に現はれて居ります、私の私かに思ふ所に依りますと、まだ四つ位出來る可能性を持つて居ると思ふのであります、それは進歩黨、自由黨は大體に於きまして以前の勢力を持ち、保守的の傾向を有して居ります、それから社會黨、共産黨は左翼的の傾向を持つて居るのでありますが、其の中間とも言ふべきものが、まだ胎動して居ります、まだ固まつて居ないのであります、其の中間に第一に考へられるものは、どう云ふ名前を付けるが宜しいでせうか、假に名前を付けると革新黨とでも言ふか、是は階級的のものは餘り含んで居ない、總てを通じて居る、さればと云つて保守的のものとは大分違ふ、之を革新しようと云ふのであります、總ての階級を通じて居る、さうして日本の政情を眞に改めると云ふ革新の氣運が動いて居りますが、それは固まつて居りませぬ、さうしてそれが非常に澤山雨後の筍の如く出來て居る、けれども是は終ひには纒め得られるものと思ふ、私はさう云ふものが出來ると思ふのであります、それから今一つ茲に日本に於て忘れてならないものが一つある、それは「オルガニゼーション」組織を持つて居る所の、日本の全部を通じて偉大なる勢力がある産業組合であります、此の産業組合と云ふものは、多く農村を基礎に致して居るのでありますけれども、併しながら是からは消費組合運動が相當に盛んになつて來ますから、さう云ふ意味に於ては都市に於ても是は同じ觀念のものである、さう云ふものを基礎にした政黨が出來ると思ふ、是は現に「ベルギー」に於きましても社會黨の主な分子になつて居ります、「ロシヤ」に於きましては總てのものを打壞し得たのでありますけれども、唯消費組合のみは共産黨の勢力でも打壞すことが出來ないで、是と妥協して居ると云ふのが共産「ロシヤ」であります、さう云ふ風に是は可なり大きな勢力でありますので、日本に於きましても段段是が擡頭して來ると思ひます、今日は進歩黨、自由黨の中に影を潛めて居るのでありますが、段々是が現はれて來て一つの塊りになる、どう云ふ風な形になつて出て來るか知れませぬが、結局は出て來ると思ひます、さうして其の存在はやはり右翼と左翼の中間に位するやうになつて居る、或はそれが進歩黨、自由黨を打壞す原動力になるかも知れない、其の以外に國粹と申しませうか、本當の右の右である右翼、是ももう既に現はれて居る、名前を言ふことは憚りますけれども、現に現はれて居ります、それからもう一つ「ニヒリズム」詰り無政府主義――無政府が政治をやると云ふのはをかしいのでありますが、各國皆あるのであります、さう云ふものが左翼の左翼として出て來る、言換へればさう云ふ風に八つばかりの政黨がある、即ち右の方から申しますれば、國粹黨、進歩黨、自由黨それから其の間に挾まるものが産業組合を中心とした團體、それから革新黨、社會黨、共産黨、無政府主義者、斯う云ふやうな八つは必ず現はれて來る、是は「イデオロギー」を基礎にしたのでありますから、そこに持つて行つて「ヒューラー」を基礎に致しまして、又是が分立致しますので、幾つになるか知れないが、大體斯う云ふ風な形勢になるべきものと私は思ふのであります、政府は之に對してどう云ふ御考へを持つて居りまするか、やはり一國一黨とか、それから兩大政黨とか云ふやうなものを希望致して居るのか、日本の今日の現状として小黨分立の昔に還るのは已むを得ない、此の形に於てやつて行くと云ふことが日本の將來の爲に宜しいかどうかと云ふ見透しであります、それからもう一つ、さう云ふやうな選擧後に於きましては少くとも此の八つの政黨が出來まして、さうして活動するに違ひないのでありますが、さう致しますと云ふと、私の私かに考へる所に依ると、絶對多數を持つて居る黨派はない、進歩黨今日如何に威張つて居つても、私はそれは難かしいと憚りながら考へる、さうするとどうしても政局を維持するのは政黨の聯合に依らなければならぬのであります、そこで政府は此の聯合の勢力との間にどう云ふ風な關係を生ずるか、聯合の支持を得ることに恐らく努めるでありませうが、聯合勢力の支持を得たらばそれで宜し、若し得られなかつた場合に於きましては、再び解散をせらるるのであるか、退場をせらるるのであるか、私の考へる所に依りますると云ふと、斯う云ふやうな公正な選擧をおやりになつて、さうしてさう云ふやうな政黨が發展して聯合勢力がそこに出來た場合に於きましては、民意を基礎としてさうなつたのでありますから、御退場なさるのが立憲的であり、民主的であると思ひます、再びそれを解散して選擧をやり直すなどと云ふことは、主義の上から非常に間違つて居るのみならず、日本の今日の非常に危い状態を更に混亂せしむるものと私は思ふのであります、でありますから、さう云ふやうな場合を今日御考へになりまして、どう云ふやうな御態度を執られるか、各方面に於てちよこちよこ、其の時の状態を見て決定すると云ふやうな御話もあるのでありますけれども、之を立憲的に民主的に考へると云ふと、もう再び選擧をやらずに、それで以て御態度を御決定なさるのが本當のやうに私は思ふのでありますが、是等の點に付きまして御意見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/73
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074・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧法は政黨との關係に付きましては何等考へて居りませぬ、政黨のことがどうなりますか、又どう云ふ風に行くべきものであるかと云ふことに付きましては、何も觸れて居ないのであります、隨ひまして是から我が國の實際が又二大政黨の對立になるか、或は只今今井さんの仰せになりましたやうに、多數の黨派が出來て小黨分立になるか、是は豫測が甚だ難かしいのでありまして、政府として何も豫測は致して居りませぬ、唯選擧法の關係に於きまして、從來よく言はれますやうに、小選擧區の制度を採れば自然二大政黨の對立に導き、大選擧區になれば小黨の分立になり易いと云ふことは言はれて居るのでありますが、此の度の大選擧區制を採りましたのは、別に小黨分立に導かうと云ふ意識的の考へから之を採つた譯ではありませぬで、前申上げましたやうに、現在の選擧區の基盤を變更する以上は、新人乃至大人物或は國家的人物の選出に都合の好いやうに大選擧區を考へたと云ふだけでありまして、政黨の關係を考へた譯ではないのであります、唯此の際直ちに小選擧區に致しまして、今芽生えようとして居る政黨の小さな芽生えの芽を摘むと云ふやうなことは、選擧法で此の際は考へない方が宜いだらうと云ふやうに考へて居るのでありまして、それで小選擧區よりは大選擧區制を採つたやうな次第であります、併し選擧區の制度に依つて政黨が左右されるか、大選擧區の制度を採れば必ず小黨分立になり、小選擧區の制度を採れば必ず二大政黨の對立になるかと云ふことに付きましては、どうもそこにも少し疑問があるやうに思ふのでありまして、結局二大政黨の對立になるか小黨分立になるかと云ふことは、其の國の其の當時の國情に依つて決まつて行くものではなからうかと思ふのであります、小選擧區制を採つて居りました時代から「ドイツ」、「フランス」あたりはやはり小黨の分立であつたやうに思ひます、我が國に於きましての中選擧區の制度は、是も考へやうに依りましては小選擧區ではありませぬで、謂はば大選擧區の一つの形だと思ひますが、此の中選擧區に於きましても、我が國に於きましては、此の間まで二大政黨の對立であつた譯であります、でありますから、政黨がどう云ふ風に行くかと云ふことは、其の時の其の國情に依る影響の方が大きくて、選擧法の方の影響は寧ろ少いのではなからうかと云ふ風にも觀測して居るのであります、唯どう云ふ風になりました所で、只今今井さんの御示しになりましたやうに、是で選擧をやつて小黨分立になつて、それで其の間に政黨の間の聯合が出來たらば、政府はどうするのかと云ふ問題に付きましては、是は私から御答へを申上げるのは甚だ烏滸がましいのでありますが、此の間豫算總會で、斯う云ふやうな質問に對して、總理大臣から答へて居られたのでありますが、政府がどう云ふ處置を執るかと云ふことに付きましては、其の時の情勢に依りまして、と云ふことを答へられたのであります、固より選擧が公正に自由に行はれまして、さうして國民の總意がそこに其の儘反映されて居りまするものならば、此の議會の意思を政府として尊重すべきことは無論のことであると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/74
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075・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 それから時間がありませぬから、もつと聽きたいのですけれども、此の位に致しまして、第二の問題に移りませう、其の次に私はやはり政黨に關係して居ることですが、本改正は能く考へて見ますと、政黨の擴大強化に非常に役立つものと私共思ふのであります、其の條文を指摘することは略しますが、そこで斯う云ふことを一つ御尋ね致したいのであります、政黨と一般國民との關係であります、之に二つの觀念があるのであります、一つは國民を皆政黨へ引張込む、即ち國民皆兵と申しますが、國民皆黨とでも名を付けませうか、源氏であるか平家であるか、どつちかだと云つたやうな風に國民を全部政黨に取入れると云ふ思想、さうまで行かなくとも、成べくそれに近いものにすると云ふのと、それから政黨と云ふものは比較的少い人が組織をするのであつて、黨人は國民中の小なる部分である、大多數の國民は無色透明で、中間のものに成べく澤山殘つて居るのが宜いのだ、さうして政黨の組織、政黨の趣意を見て態度を決したらば宜しいのだ、斯う云ふやうな觀念と、二つあるのでありますが、前者に依りますると云ふと、丁度御宗旨のやうなものでありまして、結局それは國内の紊亂を甚だしくするだけである、源平の戰ひ、細川、山名の戰ひのやうになつて來て、唯昔は銃劍、武器で決したのであるが、今日は選擧權と云ふ權利で決すると云ふだけのことであつて、非常に日本國内が動搖し、揉める、一遍入つた者は變はることがない、中々改まらないと云ふやうな状態になるので、それは飽くまでも私共排斥しなくちやならない、そこで政黨は、今日の共産黨でも百萬とか三百萬とか申しますが、實際の政治に携はる黨人と云ふものは成るべく僅かにする、さうして大多數の國民を無色透明の状態に殘して置くと云ふことが、私必要と考へるのでありまするが、さう云ふことに付て政府の御意見は如何でございませうか、政黨に對する對策として、之を根本問題として考へて居なくちやならぬと思ふのであります、そこで更に進みまして、政黨をさう云ふ風に致しますると云ふと、成るべくさう云ふ形に政黨を置き、さうして之を巧く導いて行く爲には、そこに一つの秩序、規則と云ふものを拵へる必要があるやうに思ふ、所謂黨法と申しますか、宗教の團體に於きましても宗教法が出來た如く、政黨の準則となるべき法律命令等の黨法規と云ふもの、黨の中の法規ではなく、黨全體を整理統制して行く所の一つの國法が必要であると考へるのでありますが、さう云ふものを御制定なさる御意思があるかどうか、此の二點に付て御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/75
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076・堀切善次郎
○堀切國務大臣 問題が非常に難かしい問題でありまして、又大事な問題でありますが、此のことに付きましては、政府として、まだ内閣に於きましても別に相談は致して居りませぬ、隨ひまして、申上げることは唯私一個の考へに留まるのでありまして、甚だ恐縮な譯でありますが、全部の國民が皆政黨に入るのが宜いかどうかと云ふことに付きましては、私は政黨は自然に政綱政策を根本にして集まられ、其の政綱政策を實行することを目的として進んで居られることと考へますから、其の政綱政策に共鳴をし、其の實行に對して熱意を持つて居る人が集まつて、黨員になり、政黨が組織されて居るのだらうと思ひます、國民と致しましては、それに對して興味を持ち、熱意を持つた人は、それに入ることも結構なのでありますが、國民としては各黨派の政綱政策を比較致しまして、それに依つて判斷を下せば宜いのではないかと云ふやうに考へるのであります、二大政黨對立の我が國の前の状態に於きまして、餘りに兩政黨の政爭が激しくなりましたが爲に、或は是が國政の上のみならず、或は地方の自治の上に、或は經濟の上に、或は甚だしきに至りましては一家の私事に至るまで、其の影響が及んだやうな弊害も聞いたこともあるのでありますが、そこまで行つてしまふと云ふことは、どうも考へものではなからうかと思ふのであります、國民としては今御話のやうな、大體無色で居て、それで政黨の政綱政策を其の時々の状況に依つて判斷をして行けば宜いのではなからうかと云ふやうに考へるのであります、政黨が發達し、良くなつて行くことは、民主政治の進展の上に、是は極めて必要なことだと考へます、非常に宜いことだと考へますが、政黨が良く行き、巧く運營されて行くと云ふことは、政黨自身がやるべきことだと思ふのでありまして、是が爲に政黨法とか云ふやうな法律を作つて之を規律すると云ふことは如何なものでありませうか、一寸考へますと、是は寧ろ政黨の墮落と申しますか、却て價値を下落せしめるものではなからうかと云ふ風な感じを持つのであります、是は私一個の考へを申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/76
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077・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 第三に御伺ひ致したいのは、選擧と一般社會との關係に付てであります、選擧が始まりますと、一般國民、一般社會の團體等と色色な關係を生じて來ると思ふのであります、先づ新しい人が出ると云ふ場合に於きましては、やはり世の中にある團體と云ふものを利用しなければ、出られない、今まで名も何もない人が出て來るのでありますから、纒まつた團體と結びを付けなければ、中々出る餘地はないと思ひます、隨て又さう云ふやうなことを現に計畫して居る人もあるのでありまして、それに付て御伺ひ致したいのでありますが、大隈内閣の時に大隈伯後援會と云ふものが出來まして、それがずつと崩れて木堂會と云ふものが出來た、それから段々將來候補者になるやうな人を取卷いて何某會と云つたやうな名前を付けた會が各方面に出來たのでありますが、是は一時選擧肅正の爲に崩れた、或は政府に打壞されたと思ふのでありますが、今日は消滅した形になつて居るのでありますが、今度制限が取れると、又是が出來ると思ふのであります、斯う云ふものはやはり出來た方が宜いのか、即ち政治思想を培養する上に於きまして、斯う云ふものの出來ることを政府は歡迎せられて居るのかどうか
其の次は政黨外の團體、例へば經濟、文化、社會、社交團體などもありませうが、さう云ふものとの間の選擧運動に付ての連絡を御許しになるのでございませうかどうか、若し御許しになると云ふことになりますと、そこに斯う云ふ問題が起つて來るのであります、選擧法第百十二條第一項第二號に、「社寺、學校、會社、組合、市町村等」さう云ふやうな團體に對して「特殊の直接利害關係を利用して誘導を爲したるとき」と云ふ罰則規定がありますが、團體に渡りを付けて話をすると云ふことになると、自らそこに陷つて來る、のみならず今日の政治の發展の過程から申しますと、それが必然の結果として、既に起つて居るものもあるのであります、職能代表と云ふものがあります、例へば勞働組合とかさう云ふやうなものから代表者を出しますと、其の團體の利益を代表して出ると云ふ觸れ込みでありますから、利害で誘導すると云ふことは當り前のことである、利害を代表して出て居るのでありますから、さう云ふやうな「ファンクショナル・デリゲーション」の方面から言ふと、「デリゲーション」其のものが既に利害と云ふものを含んで居る、況や是から出動するでもあらう、盛んにやるでもあらうと云ふ、斯う云ふ經濟的社會的團體と渡りを付けると、知らず識らずの間にそこに陷ると云ふやうなことが、段々世の中の發展する状態に於てもそれを含んで居るし、のみならず今日、制限を取つて、さうして運動を許す方面に於ても多量に含んで居るのであります、此の百十二條第一項第二號は我々專門の法律家として、之を取扱ふ刑事の問題等に於て是は甚だ難かしい、分りにくい規定でありますが、それ等の間の關係、此の進運に伴つて此の規定を整理しようとする御考へはないでありませうか、又此の法律を整理しないまでも、取扱と致しましてそれを考慮する餘地はあるでありませうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/77
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078・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧に際しまして何々後援會と云ふやうな會が前には色色出來て居たのでありますが、さう云ふやうな會は是は政府と致しまして別に奬勵も致しませぬし、潰すことも考へる必要はないと思ふのでありますが、唯其の間に若し或は買收、饗應、利害誘導等の選擧法規に違反することがありますれば、是は其の面から取締らなければなるまいと思ひます、本當に候補者或は代議士の方々を尊敬し、之を敬仰して集まつて行く團體でありますならば、是は結構でありまして、何等之に干渉する必要もないやうに思ふのであります、要するに取締法規に違反するやうなことがあつてはいけませぬ、ないものならば、放任して置いて差支へないではなからうかと思ふのであります、此の法律の利害誘導の點に付きましては、政府委員の方から申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/78
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079・鈴木幹雄
○鈴木(幹)政府委員 只今の利害誘導の點でありまするが、實は此の點に付きましても、今囘の改正案を練りまする時にも一應問題になつたのでございます、今御話のやうな趣旨に依りまして、此の條項を削除するが宜しいかと云ふやうなことも問題になりましたが、實質的に見まして、此の利害誘導と、買收との間に於ける限界、區別と云ふものも中々付きにくい點もありまするし、又此の利害誘導と云ふものが全然なくなつてしまひました場合に於きましての選擧の状況も如何かと考へられまして、存置することに致した次第でありますが、尚ほ今後選擧法改正が更に根本的に進められる場合に於きましては、研究を要する問題であらうかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/79
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080・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 其の次は選擧運動に付て御伺ひ致したいのでありますが、是は今まで大分聽かれましたから、綜合的に伺ひたいと思ひます、選擧運動に付きましては、運動の方法種類を觀見することと、それから運動機構に付きまして觀見することと、費用の問題もありますが、それは姑く措いて、此の種類方法とそれから運動の機構「オルガニゼーション」に付て兩方面から觀察致して見たいと思ひます
第一の方法種類に付きましては、首相の演説の中にも公正自由と云ふことがありまするが、此の自由と云ふのは何であるかと申しますると、結局は干渉を排斥し、法定の制限を撤廢する、制限中で戸別訪問だけを殘して置いて撤廢すると云ふことである、そこで運動方法としては三種類が出來て來る、即ち第一は不正不法である、第二は公正なものである、第三には不法不正でもなく、公正でもない、私は之を放任行爲、放任的のものであると考へて居りますが、第一の不正不法、不正と云ふのは結局道徳上でもいかない、所謂自然犯に屬する、不法と云ふのは所謂法定犯でありますが、其の法定犯としては今日戸別訪問だけ殘つて居るのでありますが、後は皆撤廢致してしまうた、それから公正の運動方法は演説と文書の兩方法である、それから放任、即ち不正不法でもなく、それから公正なやり方でもない、所謂放任行爲と云ふもの、放任的運動と云ふものはどう云ふものでございますかと云ふと、今までは法定犯として處罰したが、其の制限を總て撤廢致してしまうた、そこで可なり廣範圍のものとなるのであります、それを全體觀見を致しますると、要するに廣告宣傳の兩種類になつてしまふのであります、廣告宣傳の相違が何處にあるか「デリケート」な問題でありますが、併し幾らかそこに違ひがあることは私は觀念中に之を認めて居るのでありますが、廣告宣傳の兩種がある、そこで廣告宣傳をやるのにはどう云ふ風に何ものを以てやるかと申しますると、紙に依るもの、音響に依るもの、光に依るもの、動作に依るものと云つたやうな色々なものがございまするが、其の實に亂暴なものを考へて見ましても、隨分問題を生ずる、私は普選初期に或る選擧の應援竝に刑事辯護の爲に關東の或る所に行きましたが、其處へ行くと、電信柱であらうが、壁であらうが、樹木であらうが、苟くも直角に立つて居るものには皆紙を貼つてある、それから選擧の當日、翌朝更にそれを甚だしくしたと云ふやうな例を見て居るのであります、又此の間も問題になりましたが、芝居の外題觸れの如く太鼓を叩いてさうして觸れ廻る觸れ太鼓も宜しい、それから曾て話の種になつて居りまする示威行列、示威と云ふ所まで行かぬが、行列する、「クラブ」洗粉の廣告の如く、ちんどん屋を雇つて來てやる、又曾て話題になつて居りまする岡山縣で馬越恭平氏と犬養氏が立つた時、馬の上に犬を乘せてやつたと云ふことさへあるのであります、さう云ふことも考へられる、そう云ふ廣告宣傳をする場所は街頭に於てもやるし、多く人の集合するやうな場所に於てもやれる、或は船や車の中に於てもやれる、そこでそこに評判を取る者が飛出して、是は會ふ人毎に評判を傳へて、甚だしきは落語家の話題の中に候補者の名前を擧げて評判をすると云つたやうな事例も起つて來るけれども、斯う放任せられては、制限を撤廢せられては、さう云ふものは勝手放題と相成ると私には思はれるのでありますが、種類を考へましても、隨分如何はしいものが非常に澤山出て來る、其の時にはどうすることもならぬやうな運動方法である
それから運動機構「オルガニゼーション」の方から考へて見ますと、運動の機關と致しましては總括主宰者と會計主任、運動員、勞務者と云つたやうなものが人としてはありまして、施設としては事務所、休憩所と云つたやうなものが出て來る、さう云ふやうなものが無制限になりますと、是が又非常に澤山出來る、人員を含み何百、何千、何萬箇やつても宜しいと云ふことに相成ります、殊に休憩所の如きに至りましては、幾つ設けても宜い、投票所は無論のこと、隨分多く設けて居る、其處へ赤前垂れを配列して、ぴよこぴよこ米搗きばつたのやうに頭を下げさせたり、金比羅さんの宿屋の前のやうな風に相成つても、是は如何ともすることが出來ぬ、斯う云ふやうな結果に相成るのでございますが、殊にそれが第三者がやる第三者運動と云ふものを豫想致しますると、是は非常に大規模にやられる虞があるのでございます、成程それは費用で以て括ると云ふことも考へられるけれども、是は兎も角削除する例になつたやうに、無效の解決を得るまでには一年や二年掛ると云ふことになれば、相當の弊害を生ずるのでございます、此の放任行爲に對しては、所謂放任として其の儘やつて行くものであるか、唯費用の超過或は騷擾罪と云つたやうなことのみを念頭に置くだけで放任さして置く政府の御考へでありますか、斯う甚だしくなつちやいかぬから、何等か指導の方法があるのでありませうか、今申上げました私の陳列した種類のものは、もう制限して、之を違法として取扱ふ餘地のないやうに思ふのでありますが、斯う云ふやうなものが何かに觸れるのであるか、若し觸れない、放任せらるべきものであるならば、こんなものは其の儘放つて置いて、選擧の公正を得られるか、陰險候補の跋扈を防げるか、私は其の考へを綜合的に纒めて聽きたいと云ふ考へを持つて居ります、此の點に付て腹藏なく御答へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/80
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081・堀切善次郎
○堀切國務大臣 ずつと前の時代に於きましては御話のやうな、洵に不愉快な、見苦しいやうな運動方法を執りまして、それで或る程度效果を收めた所もあり、さう云ふ人もあつたやうでありますが、併し今日に於きましてはあの頃とは大分事情が違つて來て居りまして、選擧民の方に對しまする公民教育も相當行亙つて居ると思ひますし、選擧肅正の趣旨なども入つて居るのではないかと思ひますから、前に現はれましたやうな、ああ云ふやうな色々な無秩序な甚だ品の惡い状態が今さう效を奏するであらうかどうかと云ふことを疑ふのでありまして、殊に終戰後國民は一時は所謂虚脱状態になつて居りましても、皆國民は眞劍だと思ひます、非常に眞劍であつて、さうして物も餘りありませぬ、斯う云ふやうな状態に變つて來て居ります今日に於きましては、此の制限を撤廢致しましても、前のやうなああ云ふ方法ではさう效果を收めることはないものと考へて居るのであります、さう云ふものも出て來るかも知れませぬ、併し斯う云ふやうなものは固より好ましいことではないのでありますから、是等に對しましては、やはり出來るだけ公民教育の徹底が各方面に行亙ることが必要だと思ひます、是が十分に徹底致して居りますれば、さう云ふやうな心配はないと思ひますし、只今の所私共はもう相當さう云ふ風に、一般の選擧民も考へて居るのではなからうかと觀測して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/81
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082・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 投票に付て一寸漏れたことがあるので、それを御聽きしたいと思ひますが、投票の時刻を夜でもやられる、勞務者等はそれを非常に希望して居るのですが、夜やられるやうにしたならば如何でありませうか
それともう一つは投票の場所、政府の呉れた資料の中にもありますが、一寸見ますと、外國では非常に澤山投票所を拵へるやうであります、「ドイツ」の例を見ますと、「アインヴォーナー」と云ふものですが、住民の頭數、選擧權がある者も、ない者も、子供も含んで二千五百以上たるべからず、さう云ふ風になつて居ります、さうすると東京は假に五百萬人口があるとしますれば、二千箇所投票所を拵へる、郵便箱が何ぼありますか、殆ど「ポスト」の數程投票所を拵へる必要があるのでありますが、先程の御話では餘り距離が離れて居つては工合が惡いから澤山拵へると云ふ御話であつたけれども、私は東京の如き固まつて居る所こそ却つて澤山拵へる必要があると思ふ、何故なれば、今では隣保が發達したからして分りますけれども、替玉がやつて來ても分らぬ、區域を狹くして置かないと、替玉がやつて來ても分らないし、場合に依つては入場券を發行したりする所がありますと、其の入場券の賣買が行はれる、現に神戸に於て行はれたのであります、でありますから、田舍に於きましても餘り距離を遠くすると不便であります、却て都會に於きましてはさう云ふやうな危險がありますので、投票所を成べく澤山拵へる必要があるぢやないか、それには都會こそ考慮の中に入らなければならぬものぢやないか、其の點を一寸御聽き致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/82
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083・堀切善次郎
○堀切國務大臣 夜も出來るだけ投票に都合の好いやうに考へたいと思ひますが、六時位までに致しましたが――此の頃は四時半頃には暗くなりますが、六時位まで延ばすことを考へて居る譯であります、夜それ以上に時間を延ばしますと、色々事務上の關係が中中難かしいやうでありまして、今の所致し兼ねるやうであります、投票所の數は出來るだけ餘計殖やすことに致して居ります、都合の付く限り餘計にしたいと思ひますが、是も色々資材とか何とかから制約されまして、思ふやうに行かない點もありますが、氣持は出來るだけ餘計作りたいと云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/83
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084・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 それからもう一つ參政權でございますが、昨日も問題が出ましたが、此の參政權は衆議院議員選擧法の爲に出來たのですけれども、私是が基礎になつて他にもやはり役立つぢやないかと思ふのであります、殊に昨日も問題が起つたやうに「レフェレンダム」を若し行ふことになればやはり之に依らなければならぬ、それから今日と雖も他の選擧にも是は基礎になつて居りますが、將來さう云ふものが問題になるのみならず、現に知事の公選と云ふものが直ちに問題になつて居りますが、それにもやる、聞く所に依りますと、「アメリカ」では公民たる者は一年に、五十數囘選擧に出るさうです、さう云ふ風に「デモクラシー」の發達に伴つて非常に選擧がある、裁判官まで選擧するのでありますが、さう云ふ風に選擧が非常に澤山ある、此の場合に何を基礎にするかと云ふと、やはり此の衆議員議員選擧法が基礎になるのであります、其の場合も考へられて定められたでありませうか、單に衆議院議員のみとして考へられたでせうか、是等の點は如何でありませうか、言換へれば若い年齡の切下げ、婦人と云ふものも將來に役立つべくさう云ふ選擧にやはり用ひるものとして考へられたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/84
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085・堀切善次郎
○堀切國務大臣 地方の自治制度等に付きましては、やはり是と同じやうに改正の案を次の議會に提出する積りで居ります、「レフェレンダム」等のことを考へます場合には――只今の所其の法規はありませぬが、それをやります時には、法律なり何なりを作られることと思ひますが、是は無論やはり是が基礎になることと豫想致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/85
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086・今井嘉幸
○今井(嘉)委員 私終りましたが、一寸資料を貰つたのに制限連記と比例代表の比較が出て居りますが、是はどう云ふ所から得られたのか知りませぬが、七人の定員の所は二人の連記になつて居りますが、是は其の數字の取り方に依つて違つて來る、言換へれば絶対連記であつたならば過半數の政黨、第一黨が取つてしまふ、それに近い程そつちに有利になる、詰り七人の定員の所を六名書かせればそれに近いものになる、五名であつたならば、大多數の政黨にはそれよりも惡くなると云つた風に、取り方に依つて色々違つて來るのであります、それから私は本會議で「コンビネーション」と「プロバビリティー」のことを引用致しましたが、それは確かにある、だから斯う云ふ絶對の數學の計算の上からも一つ考へて戴きたい、實は私調べようと思つて大學の掛谷先生に對する紹介状を貰つて來て居ります、暇がなかつたから行けなかつたが、數學の權威であります、此の人に聽いて見ようと思ふ、此の點政府は表を出されて居りますが、旁旁それを御調べ願ひたい、比例代表と制限連記と云ふものは各各長所がある、制限連記を採用しても宜いと思ひます、私は比例代表に必ずしも依る必要はないと考へて居る程制限連記の信者であります、どうか此の點の御調べ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/86
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087・清瀬一郎
○清瀬委員長 木下君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/87
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088・木下郁
○木下(郁)委員 昨日の川島君の質疑及び今井君の質疑に依りまして、此の度の選擧法の改正に依つて企てられて居りまする總選擧であります、國民の自由意思を反映する議會を作ると云ふことで承ります、近く行はれる總選擧が、從來のやうな内閣の責任を問ふ、或は政策の優劣を國民に問ふと云ふ意味でないことは、私も左樣に考へて居ります、「ポツダム」宣言に依りまして、我々に課せられらた重大な義務である所の民主主義新日本の建設の爲であると云ふこと、私も左樣に考へて居ります、唯其の點に付きまして、内務大臣に寧ろ國務大臣としての御意見を御伺ひ致したいのであります、それは先日來總理大臣の御答辯其の他に依つて伺ひますると、如何にも政府が積極的な意見を表示されないのであります、今度の近く行はれる選擧に對して、聯合國側が國民の自由な意思に基く憲法の改正其の他のことに付きまして國民の意思を問ふと云ふ意味に於て「オブザーバー」的態度であること、是は當然である、其の聲明から考へましても當然のことであると思ひまするが、私は此の國民が生きるか、死ぬるかと云ふ際に行はれる總選擧、其の總選擧の衝に當つて居る現内閣として、一體聯合國のやうな「オブザーバー」的な態度で居つて宜しいであらうかどうか、私は決して左樣な態度で居るべきものではないと思ふのであります、なぜ私がさう云ふやうなことを申上げるかと申しますると、昨日も本會議の議場で加藤宗平君の演説の中にも出たやうでありまするが、世間では近く改められるであらう所の憲法の問題等に付きましても、御承知の通り或は天皇制廢止、或は昨日加藤君の引用されましたやうに、天子樣は大地主、生神樣の正體は暴露されたと云ふやうなことが麗々しく新聞に書かれて居る、而も久しい間側近に奉仕し、最高の政治指導の衝に當られた近衞公は、退位と云ふやうなことを口にせられて居るのであります、國民は此の點に付て現内閣からしつかりした現内閣の意向を聽きたいと考へて居るのであります、又内閣として此の重大時局に當つて居る以上は、此の點に付てはつきりと自分達の考へを示すべきであると考へるのであります、勿論内閣は組閣當初から國體護持と云ふことは屡屡聲明されて居ります、併しながら私は國體護持と云ふやうな言葉は、戰時中に於ても常に各各の内閣に於て主張せられたことであります、併しながらそれを變へよと云ふのではありませぬ、私は何故に護持する、それは理由は利害得失から來たのではない、唯信念的に來たのだ、信仰的に來たのなら信仰的に來たので宜しい、其の意味に於て我々はするのだと云ふ旗幟をはつきり掲げて、今度の選擧に於て、投票する國民が現内閣に依つて其の點に於てはつきりした指導を受けると云ふことにすべきであると考へるのであります、現内閣は一寸見れば單に聯合國と同じやうな格好で、「オブザーバー」のやうな格好としか取れないやうな不徹底な態度で居られることに付て、どう云ふ御積りであるか、私は此の點を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/88
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089・堀切善次郎
○堀切國務大臣 今度行はれます、選擧は、御説のやうに「ポツダム」宣言を受諾しました我が國の今後の民主政治の動向を決定すべき基礎を造る機會であります、非常な重大な意味を持つ譯でありますが、併し今度の選擧に對しまして、別に議會と政府の意見を異にした譯ではありませぬ、隨ひまして政府の政綱政策を此の機會に國民に愬へる機會ではないのだと思ひます、固より内閣と致しましては最初から聲明されて居ますやうに、國體護持に對しての熱烈なる確信を持つて、それに依つて進んで居る譯でありますが、是は今別にそれが問題になつて此の議會が解散されるとか、總選擧が行はれるとか云ふやうな譯ではないのでありますから、隨ひまして此の選擧に對しまして、政府と致しましては絶對に公平な公正な態度で行くと云ふやうに考へるべきものではなからうかと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/89
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090・木下郁
○木下(郁)委員 其の公正な態度と云ふことが――曾て林内閣が「アンパイヤ」をやるのだと云ふやうなことで議會を突如として解散せられたことがあります、一體内閣を組織して居る者が、そんな獨自の意見を持たないやうな恰好で一日も其の職に居るべきものかどうかと云ふ點に付ては、私は多大の不滿を持ちます、併しながら此處でさう云ふ點に付て議論を致しても仕方がありませぬ、唯此の點に付きまして一言御伺ひ致したいのは、現内閣は世間で超然内閣と云ふことに相場を決めて居ります、さうしてそれは官僚内閣と云ふ色彩を最も強く持つて居るものであると考へて居ります、組閣の當時はさうでありました、併しながら組閣後に至りまして、閣員の中に既に三名の進歩黨の人が居られます、又一名の自由黨の方も居られます、さうして内閣三長官の中には自由黨の人が一名居られます、茲で國民の頭の中には國體護持と云ふ一線に付ては進歩黨、自由黨一致して居ると考へて居るのでありまするが、近く問題となるべき憲法改正に付て、大權の範圍、其の他樞密院の廢止或は縮小、貴族院の改廢と云ふやうな國家の基本的の問題に付きましては、自由黨、進歩黨との間に相當の開きがあると云ふことも、是は常識であります、そこで私が御伺ひ致したいのは、此の點に付て現内閣ははつきりした國民の納得の行く説明を致さずして、此の儘で、此の選擧を唯干渉をしない、從來のやうな官憲の壓迫のない選擧だからそれで宜しいと云ふ風に、政治的指導を少しもしないでやつて行く御積りであるか、それを御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/90
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091・堀切善次郎
○堀切國務大臣 憲法の問題に付きましては、今内閣に於きまして極めて愼重に研究を進めて居るのでありまして、其の内容がどう云ふ風になるかと云ふことは、まだ説明を申上げる時期に達して居ないと思ひます、隨ひまして之を此の度の選擧に問題に掲げて其の可否を問ふとか、其の内容に付ての可否を問ふとか云ふ時期ではないやうに考へるのであります、内閣と致しましては、組閣の際に總理大臣から聲明された内閣の方針も明瞭にされて居りますし、此の度の議會に於きましても、現内閣の方針として進んで居ります道は、議會に於て總理大臣から明瞭にされて居る譯でありますから、是は國民の方にも徹底は致して居ることと存じて居るのでありますが、此の選擧の機會に、更に尚ほ現在の政府に贊成するかどうかと云ふやうな意味の選擧ではないと考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/91
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092・木下郁
○木下(郁)委員 選擧が端的に憲法の改正案の内容に付て國民の意思を問ふのでないことは、私も内務大臣が申された通り左樣に考へて居ります、併しながら此の選擧に依つて選ばれた議會がなすべき重大使命は其の點にある、さうである以上、我々としても又國民も齊しく同樣であると思ひますが、今度の選擧の政戰場裡に於て、競爭者及び現内閣の政策と云ふことが、どうしても批判の對象にならざるを得ないと思ふ、其の時に現内閣ははつきりしたことをせずして、唯國體護持と云ふだけの一點位のことで、あとは何等はつきりしたことを示さない、而も此の内閣の中には一番大きな政黨、其の次の政黨等の出身閣僚があると云ふやうなことでは、是は選擧の意味が――言葉を強く申しますと、國民を昏迷の中に陷らしむる嫌ひが確かにあると思ふのであります、此の點に付ては、私は現内閣のやられて居る點に付て、多大の不滿を感じて居りますが、今此處で其のことを申上げても仕方がないので、此の程度で止めます
次に、小さな問題でありますが、今二點御伺ひ致したいのであります、それは民主主義の政治を確立する基礎として、言論の自由が要求されることは當然であります、そこで近頃の世相を見ますと、既に立候補前の選擧運動をして居る連中が澤山あります、さうして如何にも代議士とか云ふやうなものを大變結構なもののやうに思つた連中――戰時中人から相手にされなかつたやうな碌でなし、或は戰時中に小金の儲かつたやうな連中が、盛んに選擧運動をして居るのであります、さうしてさう云ふ人達は實に聞くに忍びないやうな言論を弄して居る、そこで私は此の言論の自由――民主主義を徹底させる爲には言論の自由が必要であるが、言論の自由と同時に、其の裏に於ては個人の人格を尊重する、其の意味に於て名譽を尊重すると云ふことがなければならぬと思ふのであります、所が從來の日本の名譽毀損に關する司法の取扱は、宜い加減なものであります、そこで此の際は言論は自由にするが、其の反面に於ては個人の人格を尊重すると云ふ意味に於て、名譽毀損と云ふやうなことに付ては、從來のやうな宜い加減な態度ではなく、そこははつきりしたけじめを付けて置くべきものであると考へて居りますが、現内閣は其の點に付て何等かのことを御考へになつて居りませうかどうか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/92
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093・堀切善次郎
○堀切國務大臣 言論は自由でありましても、尚ほ刑法は儼として存するのでありますから、刑法にそれぞれ規定してあります名譽毀損の罪等に付きましては、刑法の規定に依つて無論處理される譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/93
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094・木下郁
○木下(郁)委員 刑法にあることは私も承知致して居りますが、私が一番心配致しますのは、從來の日本の言論機關である地方の新聞は、各縣一紙になつて居ります、是は戰爭中に言論の統制と云ふ潮に乘つて一紙になつて居つて、可なり「ブルジョア」的な色彩を持つて居る、是が今度の選擧に當りましては、相當の幣害を生ずる種になりはしないかと云ふことを心配致して居る、さう云ふ意味で從來のやうな取締の方法でなく、或は名譽毀損は親告罪であるから云々と云ふことも御考へになるかも知れないが、今までの日本の名譽毀損に關する取扱の相場と云ふものは、一體非常に「ルーズ」なものと私は考へて居るのであります、此の點に付ては將來政府に於ても十分御考へになつて、施策を講ぜられんことを希望致して置きます
尚ほもう一つは選擧の訴訟であります、是は御承知の通り非常に長引きます、當落に付て爭つて居る間に任期は半分過ぎてしまふ、解散にでもなれば何のことか分らぬやうなことになる事例が澤山あるのであります、日本の裁判の暇の掛ると云ふことは世間相場でありますが、此の點に付ては十分御考へをして戴かなければならぬと思ふのであります、直接選擧の訴訟の管轄權はありませぬが、彼の行政裁判所と云ふものがあることは、内務大臣能く御存じのことと思ひます、此の行政裁判所と云ふものは、結審してから判決するまでに三年掛つたことを私は知つて居つて、馬鹿氣切つたことと思つてやかましく言つたことがあります、所が豈圖らんや三年なんかは何でもない、結審してから判決をするまでに八年掛つたものもあります、聞く所に依れば二十年過ぎたものもある、當事者は既に死んで居る、如何に馬鹿なものでも右にするか左にするか、其の審理は別でありますが、判決をするまでに二十年も掛ると云ふ常識の及ばぬやうなことが現にあるのであります、尚ほ最近聞く所に依りますれば、行政裁判所は戰災に遭つて燒かれたさうであります、それで燒け殘りの公會堂のやうな所に引越して居る、是は仕事がないからさう云ふ所に引越して間に合つて居る、所が考へて見ると、行政裁判所の評定官と云ふものはどうでありませうか、大抵は高等官三等以上である、二等一等と云ふ勅任の人が澤山居る、高碌を食んで居つて、何をするのか分らぬ、斯う云ふ點を彼此れ言つても仕方がないのでありますが、選擧の裁判其のものは迅速にやらなければ、是れ亦始末の付かぬやうな結果を見るであらうと云ふことも考へるが、此の點に付てはどう云ふ風に御考へになつて居るか、承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/94
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095・堀切善次郎
○堀切國務大臣 選擧の裁判も、一般の裁判も、行政裁判も非常に暇が掛りますことは、私も全く不滿に考へて居る次第でございます、是は出來るだけ早く行きますやうに、司法大臣にも交渉致すやうに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/95
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096・木下郁
○木下(郁)委員 最後に一點、先刻來一寸私が觸れましたやうに、非常に極端な言論の自由が急激に來て居るのであります、さうして近く憲法は改められる所が相當あるだらうと云ふことも豫想致されます、さうして國體護持の點は、先程一寸觸れましたやうな極端な議論もありますけれども、私は其の點に付ては何等の搖ぎはないものであると云ふことを確信致して居るのであります、併しながら一應さう決まりましても、是までと違つて、やはり今現に世上に行はれて居るやうな言論が引續き行はれると云ふことも豫想されます、さうしますと、假令今度の憲法が一部分の改正と云ふことで決まりましても、從來のやうな憲法的な鞏固さと申しますか、安定性と申しますかは、持ち得ないのではないかと思はれるのであります、そこで私は將來の國政の混亂の原因を少くする爲には、法的秩序、法的正義と云ふものを尊重する癖――癖と云ふ言葉は少し妥當でないが、其の精神を、此の際國民の中にはつきりと作つて置く必要があると思ふのであります、從來から選擧肅正運動、或は國民精神總動員、まあ褒めないで言へば毒にも藥にもならぬやうな運動が行はれました、併しながら此の際我々の執るべきことは、そんななまじつかな、危險を負擔しないやうな國民の指導をしたのでは役に立たないと考へます、もつと眞劍に我々は國民を指導する――と言ふと、思ひ上つたやうに響くかも知れませぬが、苟くも政治をやらうと云ふ人間は、それだけのことは考へて宜しい、考へるべきであると考へます、先日文部大臣は選擧權の行使に付て棄權防止と云ふやうな運動をすると云ふことで、それは結構なことであります、併しながらそんなことよりももつと重要なことは、法的な正義を尊重すると云ふ精神を國民の中に植付ける必要がある、言論を自由にして民主主義の日本を建設する上に於ては、此の點は當然考へなければならぬことと信ずるのであります、其の點に付て何かの御考へを文部大臣は御持ちになつて居るか、單に棄權防止と云ふだけ位のことでお茶を濁すと云ふ言葉は少し妥當でないが、先程來私が申すやうに、現内閣はもつと積極的の氣魄を以てやつて戴きたいと思ふのであります、其の點に付て何等かの御考へを御持ちでありませうか、伺ひたいのであります、國民に唯選擧權を棄てるなと云ふやうな事柄でなくして、民主主義の日本がはつきりした法的秩序を保ち、日本民族が平和なる新國家を建設して世界の仲間入りが出來る爲には、日本人の中に從來のやうな憲法的な安固性がそれ程期待せられないと云ふことを私は考へる、考へる以上は其の點に付て相當考慮を拂ふべきものだと思ひますが、文部大臣はどう云ふやうに御考へになつて居りますか、其の點に付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/96
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097・前田多門
○前田國務大臣 御答へ申上げます、今囘の公民啓發運動は差詰めの所棄權防止と云ふ所に重きを置いてやると云ふことは、昨日も申上げた通りであります、併し其の中に御説きになりましたやうな法的秩序を尊重する、之を維持する爲の積極的な心構へと云ふやうなことは、やはり大いに考へて宜しいことだと思つて居ります、詰り選擧干渉に亙らざる限り、苟くも選擧干渉と云ふやうな嫌ひを少しでも受けるやうなことは嚴に愼まなければならぬのでありますが、それでありませぬ限り、斯う云ふ生きた機會を捉へまして、公民教育の爲に盡さなければならぬのでありまして、其の公民教育の中には、御説のやうなことが無論入るのであります、一口に申しますれば、和して動ぜずと申しますか、意見は違つて居つても一つの和と云ふものを考へながらやつて行くと云つたやうなことで行きたいと思ひます、さうして國家總動員の運動のやうなものは、今までは何と言ひますか、多少偏つた全體主義的な理念から來て居るのだと思ひます、今囘の公民啓發運動と云ふのは、其の意味に於きまして、それと對蹠的なものでありまして、一人々々の個性を尊重して、一人々々の鋭い批判力を養つて、其の批判力に依つて判斷して行くと云ふ所に重點を置いて行くことに致したいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/97
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098・木下郁
○木下(郁)委員 最後に簡單に希望を申上げます、文部大臣の御答辯を承つて、確かに私はもつと積極的にやるべきものと思ふ、選擧干渉の謗りを受けると云ふやうなことは、自分で選擧干渉をすると云ふ意圖さへなければ、さう神經過敏に考へるべき必要は毛頭ないと考へます、斯う云ふ機會こそ、政治教育と云ふ意味に於て、法的正義の尊重と云ふ精神を養つて戴きたい
それから最初に申した點に付きましても、現内閣の重大法案である國家の根本組織に關する問題であるから、まだ憲法の改正に付て發表するだけの獨自の案を御持ちではないと云ふならそれで宜しいが、併しながら戰爭の經過と云ふやうなものに付きましても、國民は今度の選擧の時には敗戰責任者と云ふやうなことを判斷致す必要があるのであります、其の時に、今日も新聞に戰爭の經過が發表せられて居りますが、併しながら是は「アメリカ」の發表であります、さうして此の前の臨時議會の時に、終戰當時の日本の兵力の現状だけは聽かされました、併しながら私は何處でどう云ふ風に負けたのか、もう何も彼もさらけ出して、何處の大將は誰がやつたか、或は一つの例でありますけれども、特攻隊なら特攻隊には學徒出身の人間がどの位あつたとか、陸軍士官學校出身の兵隊はどれ位あつたとか、或は終戰直後に不當な行爲をして起訴された軍人が九百何人あると云ふことを此の間承りましたが、さう云ふ軍人に付てもどう云ふ學校を出て居り、どう云ふ方面の出身者があつたのかと云ふことを、ありの儘に國民に知らせる方向を執る、さうすると政府が今遠慮してそれに對する判斷をなさらなくても、其の資料だけ發表して下されば、國民は其の資料に基いて判斷致します、さうして今度の選擧に於ける自分の投票の方向を決定すると思ひます、其の意味に於てさう云ふ方向に御進み下さらんことを御願ひ致して私の質疑を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/98
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099・清瀬一郎
○清瀬委員長 それでは是で休憩に入ります
午後三時十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/99
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100・会議録情報2
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午後四時三十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/100
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101・清瀬一郎
○清瀬委員長 是より衆議院議員選擧法の委員會を續開致します、本日は之を以て散會致しますが、明日は各會各黨の黨議決定の爲に休みまして、明後月曜日午前十時より開會致します、本日は是にて散會致します
午後四時三十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/008911519X00519451208/101
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