1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
農業團體法中改正法律案(政府提出)(第八號)
水産業團體法中改正法律案(政府提出)(第九號)
戰時森林資源造成法中改正法律案(政府提出)(第三號)
蠶絲業法改正法律案(政府提出)(第一七號)
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昭和二十年十二月十三日(木曜日)午前十時二十九分開議
出席委員左の如し
委員長 川崎巳之太郎君
理事 仲西三良君 理事 松延彌三郎君
理事 北勝太郎君
安倍寛君 五十嵐吉藏君
石坂養平君 今尾登君
宇田耕一君 岡田啓治郎君
楠美省吾君 鈴木重次君
田嶋榮次郎君 中瀬拙夫君
濱地文平君 別所喜一郎君
森川仙太君 山田六郎君
安孫子孝次君 青山憲三君
加藤知正君 眞藤愼太郎君
奧野小四郎君 唐橋重政君
二田是儀君 川俣清音君
出席國務大臣左の如し
農林大臣 松村謙三君
出席政府委員左の如し
農林政務次官 紅露昭君
農林参與官 子爵 北條雋八君
農林省總務局長 楠見義男君
農林省山林局長 黒河内透君
農林省水産局長 笹山茂太郎君
農林省蠶絲局長 山添利作君
鐵道監 滿尾君亮君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
農業團體法中改正法律案(政府提出)
水産業團體法中改正法律案(政府提出)
戰時森林資源造成法中改正法律案(政府提出)
蠶絲業法改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=0
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001・青山憲三
○青山委員長代理 それでは會議を開きます――北君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=1
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002・北勝太郎
○北(勝)委員 會期が切迫して愈愈貴重な時間になりましたので、私は一切の重複を避けて二、三の點を簡單に承りたいと思ひます、政府は農業會と云ふ名稱を農業協同組合と云ふ工合に改稱する御意思はないか、又改稱されないとすれば、改稱されないのはどう云ふ理由であるかと云ふことを承つて見たいと思ひます、名前などはどうでも宜いと云ふやうに簡單に片付くべき問題ではない、斯う考へて居るのであります、此の名稱の起りは、私の考へる所では戰時の要請から來て居ることは勿論でありますが、あの當時、我が國全體の傾向とでも云ひますか、世界に冠絶する日本と云ふやうな考へ、其の構想の下に、一種獨特の日本的新型を作らうと云ふやうなことが一つでなかつたか、斯う云ふ工合に思ひます、第二は農會と産業組合が合併したと云ふ意義を言葉に盛らうと云ふやうなこともあつたのぢやないかと思ひます、第三は非農業部面、特に營業者の立場から、あの當時産業組合壓迫の聲が高かつた、即ち組合の行過ぎと云ふ非難が非常に高かつたのでありまして、之に對して組合と云ふ言葉を使ふことを遠慮すると云ふやうなことから來たものではなからうかと思はれるのであります、第一の、日本獨特の新型を作り上げると云ふ、是は成程作り上げたのでありますが、それが爲に協同組合本來の性質が非常に歪められて、本當に官僚的なものになつてしまつたのであります、元來此の協同組合は民主主義的のものであつたのでありますが、それが農業會となつたと同時に、急に官僚的なものに變態したことは、蔽ふべからざる事實であつたと思ふのであります、農業會と云ふ名稱は使はれてからほんの僅かの間でありますが、是は會員からも外部からも、農業會に對しての官僚的のものだと云ふ印象をすつかり抱かれてしまつた、今之を一部唯條文だけを改めて元に引戻さうとしても、世間が受入れて呉れぬ悲しさを持つて居ると思ふのであります、此の空氣を一掃する爲に、名稱を變更することは大切ではないか、斯う云ふ工合に思はれるのであります、そればかりでなしに、農業會と云ふだけでは何をする團體かと云ふことが第三者から見て、其の目的、性格が一見明瞭でない、人の頭に直ぐ浮んで來ないと云ふ不利があると思ふ、名は體を表はすと云ふのが一番宜い、協同組合と言へば一見直ぐ内容が分る、そればかりでなしに、此の名稱は外國でも隨分長い間使はれた名稱であるし、日本に入つてからも、既に五十何年間使はれた名稱でありまして、是は其の歴史の上から言つても、何人も肯く名前になつて居る、更に今後國際的の交渉は頻繁になる、是から特に國際協同組合運動などに提携して行かなければならぬやうなことを思ひますと云ふと、此の語原のはつきりしたものを用ひることが必要だと思ふのであります、それから第二點の、農會と産業組合が合體した意を盛る爲めの言葉だとするならば、是は私は又受取り難いことだと思ふのです、人或は農會と産業組合は性格が違ふから指導事業と經濟事業とを切離すべきだと云ふ議論を偶偶なすのでありますが、現在の農業會の目的、事業から之を本質的に見ますと云ふと、其の性格は全く協同組合であるのであります、勿論指導事業は加はつて居ることは事實であります、指導事業は協同組合として當然やらなければならぬ、是は不離一體だと思つて居るのであります、それを怪しむ方がをかしい、其の目的である組合員の經濟を扶ける、産業の發達を援ける、相扶共濟の精神で行かすと云ふ爲には、唯金を借したとか、共同で物を仕入れるとか、共同で物を使用すると云ふだけではいかないのでありまして、組合員に對して凡ゆる所から手を廻して、本當に之を擁護して行くと云ふことをしなければならぬのでありますが、そればかりでなしに、組合自身の經營の上から見ても、此のことは必要なのであります、即ち組合の團結の上からも、それから組合の基礎を堅實にする爲にも、一日も技術指導と云ふやうな方面は忽せにすることが出來ないことであるのであります、例が適當でないかも知らぬが、一例を家を擔保に金を貸すことを考へると直ぐ分る、家を擔保に金を貸す人は、先づ自分の債權を擁護せんが爲に火災保險を附する、さうしてそれを擁護して行く、斯う云ふ工合になつて居るのと同じことでありまして、組合經營上組合員の農業技術が拙劣で、さうして段々資力がなくなると、それは組合の運命に係はる、組合が潰れなければならぬ、斯う云ふやうなことを考へても、自分自身の經營の爲にも是はやらなければならぬ、世の中のことで自分自身の利益と他の利益とが一致する時、一番力が強く現はれて來るのでありまして、是はどうしても協同組合としてはやらなければならぬことであるのであります、それで今まで寧ろ指導を農會にやらせ、經濟方面だけは産業組合がやつて來たと云ふことは、それ自身が間違ひだつたと私は言ひ得る、斯う云ふ工合に思ふのでありまして、農會と産業組合が一緒になつたんだから協同組合と云ふ名前は適當でないなどと考へることは、是は大きな間違ひである、斯う云ふ工合に思はれるのであります、更に第三點である所の、商工資本側からの非難、特に營業者の立場から色々と壓迫を蒙つて居る、之に對して遠慮するに至つては最早議論の餘地はない、「マッカーサー」司令部から今囘政府に農民解放に關する指令が出たのを見ても、其の中に商工業に厚く農業に薄い政府の差別的云々、或は又非農業部門の利害に支配されず、日本農民の經濟的文化的向上を目的とする農業協同組合運動の育成計畫をせよ、斯う云ふ命令が來て居る、實は日本の農業方面からすると、どうも不名譽な命令だとしか私は受取れないのでありますが、併しそれを甘受しなければならぬ程、日本の農村状態が之に一致するやうになつて居るのであります、もうさう云ふやうな遠慮すべき時期でもない、斯う云ふ工合に思はれるのでありまして、どうしても是は協同組合と云ふ名前に改むべきだ、此の際僅かな各法規に亙つての改正の手數を忌むが如き不精をなすべきでは斷じてない、斯う云ふ工合に考へるのでありますが、是がどう云ふ訳で改正されなかつたか、其の理由を承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=2
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003・松村謙三
○松村國務大臣 之を改正致します際に、御話のやうなことも考へて見たのでございます、併しながら今度出しました案は、取急ぎ此の會の官僚化――官主化して居ると申しますか、其の點を先づ第一に除くことが必要であると思ひまして、今度の改正案には御承知の通り大體其の程度のことに止めて置いたのでございます、隨ひまして其の名稱の問題も、實質的に協同組合的になれば、名前は、此の間一度變へて又今直ぐ名前だけを變へると云ふことも如何かと存じまして、それで從來使つて居た名稱を其の儘にして置いた訳であります、此のやうに致しまして、是が民主化して參り、さうして全く民間の意見に依つて、名前も一つ實際通りさう云ふ名前に變へやうではないか、又斯う云ふ點も此のやうにして一つやつて行かうではないかと云ふ民間の聲に從つて、更に十分改めても遲くはないではないか、今差當つての臨時議會の問題としては、其の中の最も官主化して居りますものを民主化すると云ふ束縛を解くと云ふ程度に止めて置いて、後は其の束縛が解かれた時の民間の研究、考へ方を斟酌致しまして、さうして其のやうな風に變へて行つても宜いのではないか、獨り名稱だけでなく、内容等に於ても、改むべきものは其の時に改めて宜いと考へまして、今囘は臨時議會までに日もありませず、其の内容を改めるとすれば、更に檢討を要する點が多うございますので、兎に角今申したやうな差當りの民主化に要する束縛を解く、斯う云ふことに致した訳でございまして、隨て名前は別として、實際は協同組合の精神で運營して行けば、此の案で何等障る所はなからう、斯う云ふ風に考へて居る訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=3
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004・北勝太郎
○北(勝)委員 急を要した爲に時間的餘裕がなかつた、後でゆつくりと云ふ御話でありますが、それも御尤ものやうに承ることが出來るのでありますけれども、私は戰後に於ける日本經濟の多難のことを考へて、色々重税が課せられたり、賠償金を負擔したりした後の日本の經濟力と云ふものは非常に大幅に引下げられる、どう考へて見ても、今後の行き方と云ふものは
〔青山委員長代理退席、委員長著席〕
協同組合式で行くより外仕方がない、殊に勞働者方面の思想傾向等から見ても、今までのやうな姿で企業が出來るものではない、斯う云ふ工合に考へて居るのでありますが、日本經濟がどうしても所謂經濟民主化即ち協同組合化して行かなければならぬと云ふ、此の新しい環境に對する國民に一つの方向を與へると云ふ爲にも、是は速かに協同組合と云ふ名前を浮び出させる方が宜いのではないか、是は打つべき政治の大事な手ではないかと云ふ工合に考へて居るのでありますが、此の點は一つ當局の方に於て將來直す御意思があると云ふことでありますから、速かに直して戴くやうにと云ふ希望だけに止めて置きまして、次の問題に移りたいと思ひます
次は會員の強制加入になつて居りますのを、之を任意加入に改める考へがないかと云ふことであります、元來協同組合は經濟團體であると同時に、是は精神的の結合に重きを置いて來たものであつたのであります、其の目的を同じくする者の自由な結合でやつて行くと云ふのでありまして、目的を同じくしない者までも無理に繩で縛つて固めて行かうと云ふ性質のもではなかつた筈のものであるのであります、特に農村生活をそんな工合に繩で縛らなくても、人情の上からも、環境の上からも、孤立ではどうしてもやつて行けないものでありますから、却て是は除名されることを皆戰々兢々として、除名されたら大變だと云ふ工合な氣持で行つて居るのでありますから、そこで強制加入なんと云ふことをしなくとも、何も惡い影響が來はしない、寧ろ自由加入にしても、脱退して行くものはない、私共多年の間やつて見てさう云ふ經驗を持つて居る訳なのでありまして、是は經濟民主化の今日、どうしても強制加入なんと云ふやうなことは此の際改むべきものでないか、そこまで行かなければ、恐らく農業會が民主化すると言つても、世間は受入れぬのではなからうか、斯ふ云ふ工合に思はれるのであります、唯併し思ふに、農業會が會費を徴收する上に於て、不在地主の取扱の上から強制加入制を殘したものではないか、斯う云ふ工合に思はれるのでありますけれども、今度の農地法の改正に依つて不在地主と云ふものの存在はなくなる、姿を消すと云ふやうなことになるのだから、其の點少しも心配はないと思ふのでありますから、是は自由加入にして、本當に農業會が民主化されたものにしなければならぬと思ふのでありますが、大臣の御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=4
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005・松村謙三
○松村國務大臣 前の協同組合の御話に付きましては、先刻申上げた通りでありますが、大體明治三十幾年に産業組合法が出來ましてから以來の發達の經過から見ましても、政府が指導すると云ふよりも、民間の力に依つて産業組合をあそこまで持つて來た、産業組合と云ふものの發達には、政府の力と云ふものよりも、本當に民間の力に負ふ所が非常に多いのであります、隨ひまして今後の發展もやはり民間の力で進んで行く、斯う云ふことで總てが解決するのぢやないか、此のやうに考へて居る訳であります
それから組合の強制加入の問題に付きましては、其のやうに御考へであるかも知れませぬけれども、併し割合は忘れましたが、一つの村の過半數以上のものから成立つた時に初めて強制になるのでありまして、大體村に於て大部分のものが入れば皆一緒になつて行く、此の協同運動をやります上に於きましても、當分さう云ふ風にやつて行つて、何もそれが民主化に悖ると云ふ程のこともなからう、此のやうに考へまして、其の點を殘した訳でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=5
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006・北勝太郎
○北(勝)委員 政府の提出された資料に依りますと、まだ農業會に改組されない組合數が、全國に十四あると云ふことであります、其の數が極めて僅少であることは私は喜ぶべきことだと思つて居ります、特に其の中には、離島等で通信が出來ないものもあると云ふことでありますが、部落の對立に依ると云ふ原因のものが極めて少いと思ふのであります、所が北海道の私の直ぐ附近に於て、是は四箇村の農村に跨つて七つの産業組合が改組されて居らないのであります、其の原因は、北海道は開拓途上にありますが爲に、自然の經濟區域と行政區域とが一致しない所がある爲なのであります、町村の長さが甚だしいのは二十五里もある村が私の空知管内にあります、今申上げる所はさう云ふのではありませぬが、町村の長さが約六里ありまして、省線の停車場は大抵二里毎位に一驛づつある、所が其の村邊りでは一村に三つも四つも驛がある、戸數なども一萬以上、人口にして六萬人とか居る大きな町村であります、所が驛を中心に大抵物資の集散が出來、其處に市街地が出來て居るのでありまして、町村の區域と別に今まで産業組合が出來て、甚だしいのになると村境に驛がある、さう云ふやうな所では二箇村に跨つて組合が出來て居るのであります、其の組合員數は一千戸内外と云ふ丁度手頃な組合員數でありまして、是は五十年に近い永い間に色々な設備が出來、又精神的團結も中々良くなつて居るのであります、そこへ前囘の農業團體法が生れました爲に、一町村に一農業會を作る、斯う云ふことから村の中央の組合は、自分の所に全部設備が集中されて來るから、非常に都合が好いので、農會等の分離に贊成しない、斯う云ふことがある、さう云ふ村外れで而も二箇村に跨つて居る所では設備の利用が出來なくなる、それから色々な設備も無駄になる、農業會へ一寸行かうとしても、驛の三つも乘越して行かなければならぬと云ふやうな工合で、不便と苦痛に堪へられない、さう云ふやうな關係から、生木を割くやうに産業組合を割かれることに對しては贊成をしない、特に鞏固な基礎を持つた産業組合程さう云ふことには贊成しない、斯う云ふやうなことで二箇年以上にもなりますが、農會の分離と云ふことと、産業組合の分割と云ふ二つは、兩方とも贊成しない、線で申上げますと何處までも竝行して一致する所がない、斯う云ふやうなことになつて、折角地方廳でそれ等の命令をしたけれども、誰も一向に取合はないと云ふことになつて居るのであります、官廳の威信が墜ちて居る所へ、是は更に一層拍車を掛けて居る、斯う云ふやうな次第で、自分の利益の爲には他人の苦痛も不便も生産の減退も何も考へない、さうして農會の分離に贊成しないと云ふやうなことは、現在の民主主義的傾向とは、非常に違つた所謂履違ひの自由主義だと云ふ風に思はれるのであります、そこで一つ此の場合一町村一農業會にすると云ふ地方廳の指令を取消された方が宜い、況や先程農林大臣の言はれる所では、將來協同組合の性質のものに直すのだ、斯う云ふやうな工合に言はれて居る以上は、今急にさう云ふやうなことをやることは無駄なことであると思はれるのでありますが、此の點に付きまして、さう云ふ無理なことをして、今強ひて農業會を作り上げなければならぬかどうか、さう云ふことに對しては、民主主義の今日之を思ひ止まらすのが宜いのではないか、而してそれに依つて是は生産にも惡い影響を來すことになる訳でありますが、其の點に對する御方針を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=6
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007・楠見義男
○楠見政府委員 便宜私から御答へ致します、現在市町村農業會の區域に付きましては、團體法の十二條で原則は市町村の區域に依る、併し特別の事由があります場合には、市町村農業會の地區は市町村の區域に依らないことが出來る、斯う云ふ風に法律上規定致して居るのであります、大體の原則と致しましては、今申上げます通りでありますが、是は農業會の事業が御承知のやうに市町村の仕事と極めて密接なる關係がございますので、出來得る限り農業會の區域は市町村の區域と一致させると云ふことになつて居るのであります、色々御述べになりましたやうに、地方の特別の事由がございますので、特別に十二條の第二項には除外例を設けて居るのであります、而して市町村の農業會の設立の指導に付きましては、大體地方長官に其の仕事を御任せして居るのであります、と申しますのは、斯う云ふやうな地域の問題になつて參りますと、現實の産業的の觀點から見た地域と云ふものに付きましては、到底中央では詳細の點まで分りませぬので、さう云ふ風に取扱を致して居るのであります、そこで御話になりましたやうに、團體法が施行されてから約二年も經つのでありますが、而も尚ほさう云ふやうな事情のあります所は、それ相當の深い理由があり、又根據のあることであらうと思ふのであります、隨て其の指導に付きましては、地方長官に御任せ致して居るのであります、中央と致しましても、御趣旨の點は十分拜聽致しましたので、能く地方廳にも其の旨を指示するやうな風に取扱つて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=7
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008・北勝太郎
○北(勝)委員 地方廳の意見をと云ふことでありますが、實は北海道廳は首腦部が非常に迭るのでありまして、去年と今年では首腦部が全部迭つてしまつて居る、大抵一年か一年半位で皆迭つてしまふので、寧ろ地方廳の方が事情を御存じない、來た序にそんな難かしい問題なら一つ原則通りやつてしまへと言つて命令を出されるので、非常に迷惑をするのであります、而も、もう地方廳でどうにもならぬと手を燒いてしまつた問題だから、是は本省で御命令をなさるより仕樣がない、斯う思ふのであります、さうして先刻申上げましたやうに、實は此の農業會が小さくなるのを好まない、分離に對して贊成をしないと云ふことに對しましては方法がない、産業組合側が自分の死活に關する重大問題だから合併しないと言つて頑張れば、是も方法がない、そこで何か強權を發動することが出來るかどうか、而も此の場合に於ては、古い農會側が非常に無理なんだ、人の苦痛は何時までも我慢して居ると云ふやうなことは、今日何時までもやらすべきものでないとは思れる、一方はさう云ふ工合にはつきり無理だと云ふことが分つて居つても、之を抑へる法律的の方法がないとすれば仕樣がないと云ふことになる、さうすると何か一つの法制を茲に立てて貰はなければ、それを抑へることが出來ぬと思ふ、何時まで行つても此の通りでありますから、其の點に對して何か方法がありますかどうか、伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=8
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009・楠見義男
○楠見政府委員 手續上の問題で、尚ほ現行法上檢討を要する點があらうと思ひます、私は現行法の解釋等で、或は出來るのではないかと考へて居りますから、尚ほ十分研究致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=9
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010・北勝太郎
○北(勝)委員 最後に水産の問題で一つ御伺ひして置きたいのでありますが、私は水産は方面違ひであるのですが、北海道で隨分聲が高いことは、鰊漁業の場合に、米の特配がなければ鰊漁業と云ふものは丸潰れです、御承知のやうに、各方面から人を集めて來るのでありますし、一遍に激烈な仕事をする關係上、普通の配給米ではやつて行けないことは事實であります、仕事の激烈さは炭坑の仕事以上です、さう云ふことでありまして、人を寄せられぬ、米の特配をしなければ、鰊が澤山前に來て居つても、棄てるより外仕方がない、斯う云ふやうな實情であります、昨日も大臣が主要食糧として米麥の不足は魚や其の他のもので補つて行くと言はれて居るのでありますが、鰊はほんの僅かの間に一時にやつて來るのでありまして、之に米を餘計注込んでも他の魚の方で取返すやうにすれば、何十倍も取返せると云ふことになる、而も漁夫の數がさう多くはないと思ひます、此の鰊漁業の爲の漁夫の數と云ふものは、さう大したものではない、だから米を加配してやりましても、さう全國民を脅かすやうな數にならぬではないかと思ひます、斯う云ふ風に考へられるのでありますから、鰊漁業と云ふ大事な漁業が續けて行かれるやうに、實際に適切に合ひますやうに、一つ米の特配を考へてやつて戴きたいものだ、斯う云ふ工合に考へるのでありますが、之に對する大臣の御方針を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=10
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011・松村謙三
○松村國務大臣 大體一般の漁民に普遍的に増配すると云ふことは非常に困難でありますが、それが最も必要と思ふ、例へば鰊漁業のやうなものの最盛期に於ける漁夫の食糧に付ては、是は重點的に特配を致す考へでございます、まだ十分決まつたと云ふ訳ではないですけれども、相當な量を増配をして、さうして漁獲をうんと一つやつて貰ふ積りに致して居ります、どう云ふ方法でそれを特配するかと云ふことは、其の地方の實情に即してやる積りでありますが、大體考へ方としては、其の漁獲高と「リンク」して實施したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=11
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012・北勝太郎
○北(勝)委員 私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=12
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013・川崎巳之太郎
○川崎委員長 それでは次に宇田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=13
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014・宇田耕一
○宇田委員 私は主として山林、森林關係の問題に付て御伺ひしたい、聯合軍の戰債賠償の目的としての森林資源に對する向ふの意圖と云ふものは、どう云ふ所にあるか、御分りになりましたら仰しやつて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=14
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015・松村謙三
○松村國務大臣 只今までの所では未だ何等森林に付ての賠償に付て申込を受けて居らぬと云ふことを申上げて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=15
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016・宇田耕一
○宇田委員 さうしますと、最近地方木材會社の方の譲渡し、或は日木社の縣外配給の一手取扱等の指令が、農林省から、地方に出されて居るのでありますが、それは國内の木材生産の面に於てのみ下された政府の方針でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=16
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017・松村謙三
○松村國務大臣 左樣でございます、主として復興の資材が足りませぬ、まだ集まりませぬので、それを把握するよとが目的であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=17
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018・宇田耕一
○宇田委員 木材の不足、復興材の不足することに付て小林復興院總裁から先般新聞紙に所信の御發表がありましたが、復興院と農林省の關係はどう云ふやうな關係になつて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=18
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019・松村謙三
○松村國務大臣 小林君が何か新聞紙に言はれたと云ふ記事は見ましたが、唯單に統制は解くだらうと、斯う言つただけでありまして、別に農林省と復興院とどうの斯うのと云ふ訳ではありませぬ、唯申上げて置きますことは、私の方と致しましては復興と云ふことが何よりも大切であり、さうして寒空に住居を持たないと云ふことに對する施設に付きましては、私の方は總て全力を擧げて其の復興に應援をし、援助をして行く方針で居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=19
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020・宇田耕一
○宇田委員 それで木材の生産は戰爭中に非常な強硬な統制政策を以ておやりになつて居るのは御承知の通りでありますが、戰爭中の機構の再編成に伴ひまして、現在の我が國の木材生産と云ふものは、戰爭中の統制された機構に相當沿つて、終戰後に切換へて行くと云ふ所に持つて行かなければ、事實上生産は軌道に乘らない面が多い、斯う考へます、それで最近政府の御執りになつて居る政策は、戰爭中の統制經濟政策から見れば、非常に生産に對する所の根抵の思想は、自由主義的な考へ方に變つて來て居るのではないか、斯う云ふ風に考へます、此の點に付て根本的にどう云ふ方針で木材生産の確保を圖られるのか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=20
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021・松村謙三
○松村國務大臣 戰時中の木材統制の方法を平時になつて其の儘持續して行くと云ふことの出來ないことは、是は申すまでもないことと思ひます、戰時中と雖も、尚且つ完全に參りませぬでした、隨ひまして、何れ是は木材統制と云ふものは、改められるべきものと考へて居ります、併しながらそれが自由奔放に任せて宜いかどうかと云ふことに付きましては、是は相當に過程的の措置を要することでございまして、民間の自主的の協定に依つて運營せらるべきものであり、又政府に於きましても限りある木材の配給に付きましては、一定の計畫的の枠を決めなくてはならない、斯ふ云ふ風に考へ、其の枠の中に民間の協力、協定に依つて運營をして行く、斯う云ふことでなければならない、大體の方針は左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=21
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022・宇田耕一
○宇田委員 私は先程も御尋ね致しましたやうに、木材は國内生産、國内需要を充すと云ふだけに止まらず、恐らく聯合軍に對する賠償材の供出と云ふことも起るのではないか、斯う考へて居ります、其の點から考へますと、計畫生産を自由生産に切替へて行くと云ふ面に沿つて、現在國内で宣傳されて居りまるやうな統制の枠の組み方を以て行くと、收拾が付かなくなるのではないか、斯う云ふ風に心配を致します、寧ろ現在の我が國の國情、我が國の戰爭前に比べて莫大な需要と睨み合せて考へますと、政府が相當強力な計畫を以て統制をして行かなくては、生産は軌道に乘らないし、却て混亂の結果生産が減退するのではないか、斯う云ふ風に憂慮されて居りますが、どうでせうか、それで最近執つて居ります所の統制會社、或は日木社、地木社等に對する政策に付て、具體的の御意見を伺ひたいと思ひます、統制法は撤廢を希望する意見が非常に多いのでありますが、其の撤廢をする時期は何時であるか、此の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=22
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023・松村謙三
○松村國務大臣 賠償の豫定として未だ現はれざる事實を豫定して考へることは、是は私共は採りませぬ、さう云ふ場合は其の時に即すべきものであつて、必ず木材を賠償にするかどうか分らない時に、こちらからそれを賠償と指定されるものと考へる必要は毫もないのでありまして、其のやうなことに對して、今後の見据えを考へると云ふことは致さぬ方針でございます、斯う云ふ場合であるから、更に強い統制をしろと言はれますけれども、戰時中でも十分の效果が擧らず、而も色々の無理も伴ひまするのに、此の平時になりまして、戰時よりも更に強く官治的に統制する、是は事實上行ひ得ないことでありまして、やはり民間の協力を俟つてやる方法に變へなくてはならぬのだ、大體此のやうな方針を持つて居ります、然らば具體的にどう進めるかと云ふことに付ては、是は其の場合々々に依りましてやつて行きたいと思ひますが、大體の向ふ途は、此のやうに考へて居る訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=23
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024・宇田耕一
○宇田委員 私は具體的に現在の木材生産機構の改組の方法に付て御伺ひ致したいと思ふのでありますが、地方木材會社の機構と云ふものは、必ずしも完全なものとは考へませぬ、其の縣々の事情に應じて改組すべしと云ふことになつて居るのでありますが、地方木材會社を度外視し、日木を中心として縣外との交流――各縣の對外交流を圖ると云ふ點は、現在の地方の實情に應じて判斷致しますと、必ずしも適當でない、寧ろ地木社の機構を擴充して、さうして地木社の聯合體のやうなものを適當な時期に編成して、それに依つて自治的に交流を圖る方法を執ることが寧ろ宜いではないか、斯う云ふやうに考へられるのでありますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=24
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025・松村謙三
○松村國務大臣 只今申しました通りに、落著く所は民間の協定に俟つ組織に改めたい、斯う云ふ方針でございますから、現在の機構で宜いかどうかと云ふ御質問に對し、それがどうだとか云ふことは、實に申上げ兼ねる訳でございます、大體の考へ方が今申したやうな線に沿うて漸次改めて行きたい、斯う云ふ風に考へて居るのであります、私共の眼中には地木社がどうの、日木社がどうの、日木社と地木社の關係等のことに付きましては、從來色々のことがあることは聞いて居りますけれども今申すやうな線に沿うて行くことには、それ等の問題は全く別の問題と考へて居る訳でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=25
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026・宇田耕一
○宇田委員 大臣の御意見は能く分るのでありますが、唯現實の問題として、地方生産界が非常に混亂をすると云ふ事實がありまして、之に對しては速かに只今申された線に沿つて整備をして戴きたいと考へます、さうでないと、生産は非常に減退する、さうして所要材の確保は非常に困難になる、隨て機構は軌道に乘らないのぢやないかと云ふことを心配するのであります、それで實際の地方の忌憚ない所を申上げますと、十一月二十六日を中心とする所の木材の配給機構の再編成と云ふものは、寧ろ日木社の赤字補填だけに役立つのではないか、却てそれが爲に地方の生産實體と云ふものは、供出或は所要材の確保を澁滯に陷れることになるのではないかと云ふやうに言つて居ります、さう云ふ點は能く御注意をして戴きまして、さう云ふ點に關する所の國民一般の不安疑惑を一掃して戴きたいと思ひます
それで話は又戻るのでありますが、戰爭中に於ける木材の統制機構には非常に缺陷があつたのであります、我々が一番心配しますのは、終戰後に於ける所の生産機構と云ふものを造林乃至比の戰爭中に濫伐せられて居る山の撫育、治水、治山或は利水方面に如何にして直結せしむるか、其の森林の撫育行政と一貫性のある伐採計畫、或は製材機構と云ふものを考へて行かなければならぬと考へるのでありますが、さう云ふ新しい生産組織と云ふものは、從來の如き單純なる製材業の組合或は森林組合と云ふものの機構のくつ付合ひでは駄目であると考へるのであります、であるから終戰後に於きましては、もつと之を一體化する所の組織を確立しなければならぬと考へます、さう云ふ點に付きまして農林省の御考へになつて居る點を聽かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=26
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027・松村謙三
○松村國務大臣 今度の二十六日の措置が日木社の赤字の救濟であると云ふ御話でございますが、此の點に付きましては左樣の考へではございませぬ、是は一つは地木社の赤字を持つて居るのもありますし、日木社が今度の二十六日の爲に得た利益に對しましては、勿論國の政策の爲に蒙つた赤字に付きましては、是等の利益を以て補填する考へでごさいまして、日木社の赤字救濟と云ふ意味では斷じてございませぬ、私共は日木社を特に保護する必要を何等認めて居ない訳であります、それから又今後の林政のことでございますが、今後の濫伐せられたる森林の囘復に付きましては、私はやはり森林組合に依つて十分に成績を擧げて行きたいと考へて居ります、それと伐採の方面とを如何に結付けてやつて行くかと云ふことは、御話の通り非常に大きい問題でありまして、是は篤と又考慮を致すことと致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=27
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028・川崎巳之太郎
○川崎委員長 此の際委員長より一寸大臣に質問せらるる方々に申上げて置きます、農林大臣に對する質問は、大抵今日の晝飯に掛る休憩前に終りたいのであります、只今宇田君が御質問中でございますが、あと二人程質問なさる方がございます、それで皆さんも其の御積りで居つて下さるやうに御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=28
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029・宇田耕一
○宇田委員 森林資源造成法案が提出されて居るのでありますが、之に依りますと、三億圓を限度としてやつて行くことは御承知の通りであります、それで額面三億圓を限つて造成證券を交付することになつて居るのでありますが、現在の山の諸經費から計算致しますと、山林局から御提出になつて居る參考資料の造林費程度では、到底收まらないと考へて居ります、隨て造成法案に出て居ります額面三億圓に限ると云ふのは、もう少し増額すべきものと考へて居ります、此の法案の出來ました元の經過から考へますと、必ずしも直ちにここでどう斯うと云ふ訳ではないのでございますが、將來はどうしても之を増額することが必要であると考へます、其の點に付て御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=29
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030・松村謙三
○松村國務大臣 大體左樣に心得て居ります、それでやつて足らない時は勿論増額致さなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=30
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031・宇田耕一
○宇田委員 森林關係の大臣に對する質問は其の程度に致しまして、全然違つた角度から又聽きたいのでありますが、地方に於ける農村の電化が最近非常に叫ばれて居ります、誰かよりも御説がありましたやうに色々電氣施設を利用する事項が多くなつたのであります、御承知のやうに配電機構は先年統一されて居ります、けれども其の配電機構は必ずしも縣單位ではないのでありまして、九州なら九州一圓、四國なら四國一圓と云ふやうに、配電會社が管理して居ります、其の點に於きまして、終戰後の色々の地方農村の電氣の情勢は、非常な需要の増加に伴ひまして、配電機構組織が其の實體に適合しない面が多い、それで我々としては、寧ろ縣單位に配電機構を改變するのが宜しくはないか、此の點大臣の御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=31
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032・松村謙三
○松村國務大臣 農村電化を徹底致しますのには、御話のやうに致さなければいかないと思つて居るのであります、或る配電會社に依りましては、地方の農業電化の爲に、それ等のことを思ひ切つてやらうと言つて、配電會社の方から進んで私の方へ言つて來て居る所もある位でございまして、是等の氣運を促進してやりたい、此のやうに考へて居ります、唯現在資材の獲得が中々困難でありまして、一時急には參らないかも知れませぬけれども、大體御話のやうに行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=32
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033・宇田耕一
○宇田委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=33
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034・川崎巳之太郎
○川崎委員長 それでは加藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=34
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035・加藤知正
○加藤(知)委員 大變大臣御急ぎでありますから、極く簡單に御質問申上げたいと存じます、先づ第一に御尋ね申上げたいことは、蠶絲業の將來に對する見透しと云ふことでありますが、實は「マッカーサー」軍司令部の或る一員が、日本の生絲は現在の新「アメリカ」では大いに歡迎を致して居るけれども、併しながら「ナイロン」其の他の人造繊維が大いに發達して居るから、長い將來の期待は出來ないと云ふことを申して居ります、併しながら米國の婦人が絹の靴下でなければならぬと喧しく申して居る點から考へますと、さう悲觀したものではないと私共は左樣に考へて居るのでありますが、併し政府に於ては、米國に於ける「ナイロン」と絹靴下の最近の情勢を御調べになつたかどうか、是等の關係を御調べになつた結果、今囘此の蠶絲業の將來を有望視せられたのであるか、有望視せられて大いに之を奬勵しようと考へて居らるるのであるか、それとも又見返り物資や代償物資のことから、俄かに之を奬勵する心持になられたのであるか、それとも現在の蠶絲統制會社や其の他の會社を解散すべきやう「マッカーサー」軍司令部から命ぜられて、新たに民主主義的な團體を組織せなければならないと云ふことから、餘儀なく此の蠶絲業法の改正案を出されたのであるか、其の邊を我々に對して腹藏なく能く御話下さいまして、猫の眼の變るが如き朝令暮改の豹變政策に出でないやうに致されたいと思ふのであります、此の意味に於て蠶絲業の奬來の見透しと云ふことを、大臣から一寸承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=35
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036・松村謙三
○松村國務大臣 只今の御質問でございますが、養蠶、製絲を是までの方策と變つて奬勵をするのはどう云ふ意味かと云ふ御尋ねでございますが、それは勿論御尋ねの總てを含む訳でございまして、第一に食糧を得る爲の見返り物資と云ふ爲に、是非養蠶、製絲をやつて行かなくちやならぬことは、是は申すまでもない所でございます、併しながら奬勵を致すと云ふことは、それだけの意味かと申しますと、決して左樣ではございませぬ、即ち將來の見据えに於きまして、此の生絲と云ふものは、見返り物資になりました其の後も、續けて「アメリカ」其の他に相當の需要がある、何れ貿易が開かるるやうな時期に到達致しますならば、以前と同じく日本の輸出の大宗となるべきものと考へますので、一時の見返り品と云ふ意味ばかりではなく、長い間の日本の輸出貿易の基本的大宗を成すものとして、之を奬勵致したいと思ふのでございます、隨ひまして一時的のものではございませぬ、本改正案の趣旨も其の根本の考へから立つて居ることであると御承知願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=36
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037・加藤知正
○加藤(知)委員 次に御尋ね致したいのは、蠶絲業に關する諸法律の改廢であります、蠶絲業は農工商の廣汎に亙る實際的の技術行政を主流とし、適切なる方策を立て、其の能率を増進せしめなければならぬのにも拘らず、今日までの經過を見ますと、原蠶種の管理法にしましても、蠶絲業法に致しましても、産繭處理統制法にしましても、蠶絲業統制法にしましても、其の悉くが養蠶業者、製絲業者を苦しめ、減退に拍車を掛けた有害無益の惡法であるとまで言はれて居るのであります、然るに今囘は唯此の蠶絲業法の改正案を出されたに過ぎないが、其の他の蠶絲業關係法規はどうなさる御考へでありますか、總選擧後の特別議會には、斷然是が改廢の法律案を出さるる御考へであるかどうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=37
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038・山添利作
○山添政府委員 法律の整理も今囘の法律に依つて相當致したのでありますが、次の議會に團體法の改正を出すかと云ふことでございますが、其の意思はごさいませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=38
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039・加藤知正
○加藤(知)委員 團體法と云ふことではないのであります、一寸御聽違ひと思ひますが、只今竝べました澤山な蠶絲に關係の法規があるのであります、それを改廢する所の法律中、廢するものは廢し、修正するものは修正すると云ふやうなことになると思ふのでありますが、それ等に付てどう云ふやうな御考へを持つていらつしやるかと云ふことを御尋ね申上げたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=39
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040・山添利作
○山添政府委員 此の法律に依りまして實質的には四つの法律を廢めたのでありまして、是は蠶絲業法の改正案になつて居りますけれども、蠶絲業法と云ふのは實質的には廢めてしまつて、今囘の法律で新しく書き直したことになつて居ります、原蠶種管理法も廢止致しました、輸出生絲取引法も廢止致しました、蠶絲業統制法も廢止致しました、附則を御覽になりますと書いてあります、そこで殘つて居りますのは製絲業法、それから養蠶實行組合の規定のございます蠶絲業組合法、それだけでございまして、別にそれは只今改めなければならぬと云ふことではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=40
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041・加藤知正
○加藤(知)委員 はつきり致しました、次に伺ひたいのは繭價のことであります、繭増産確保の手取早い良策は、何と云つても繭の價格を他の農産物に對比しまして均衡の取れるやうに致すことであると思ふのでありますが、政府は治安維持上より見て、米麥は勿論、馬鈴薯、甘藷、大根等を代償とし、又繭の値段の大幅引上を斷行して、之に依つて産繭の減退を防止し、食糧輸入の代替見返り品の原料確保に努むる御意思はないかどうか、尤も此の問題に付きましては、昨日蠶絲局長と同僚諸君との間の質問應答が重ねられましたが、之を要するに大幅の値上をしなければならぬと云ふ意見は、皆一致して居るやうに思はれるのであります、そこで其の價格の値上でありますが、私は少くも百円以上にしなければ、他の農産物との比較が取れないのではないか、斯様に考へるのでありますが、此の點に付て、若し具體的に政府の御考へのある所を伺ふことが出來れば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=41
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042・松村謙三
○松村國務大臣 此の價格の點に付きましては、十分考慮を致したいと考へて居ります、但し其の額に付きましては、只今尚ほ十分研究を要するものがございまして、御話のやうな所がどうであるかと云ふことは申上げ兼ねるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=42
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043・加藤知正
○加藤(知)委員 蠶絲に關係することは此の程度に致して置きまして、尚ほ私が農業團體法に付て本會議の席上で御尋ね致しましたことに付て、大臣よりそれぞれ御答辯を戴きましたが、併し此の中具體的に御答へを戴かなかつたことを遺憾とするものがありますので、此の際特にそれを御尋ね申上げたいと思ふのでありますが、それは外でもありませぬ、どうしても食糧問題を解決するには一面外米の輸入にあることは言ふまでもございませぬけれども、併しさう何時までもそれのみ頼ると云ふことは、到底出來ないことであるから、どうしても自給自足で行かなければならぬことに付て論議の上に論議を重ねられて居ります、併しながら差當り明年の三月から八月に至るまでの間の食糧をどうするかと云ふことが當面の大問題であるのであります、それに付て「マッカーサー」軍司令部の方から輸入の許しを得られました、が併し數量が決まつて居らない、斯う云ふことであります、其の數量を何時一體輸入することが出來る御見込であるかどうか、若し此の所要數量が輸入出來ないと云ふことになりますれば、國民の大半と云ふものは、餓死線上に彷徨しなければならぬことに相成ると、私は之を深く憂慮して居るのであります、それを逃れるには、其の食糧難を突破するには、補充食糧に依らなければならぬ、それには團栗の一千萬石の用意がある、斯う云ふことを仰しやるが、其の團栗の外にも色々あることを仰しやる、どう云ふものとどう云ふものを用意して居つて、左樣なことを仰しやるのか、それで私が松葉食なり籾殼なり藁なり、或は小糠、さう云ふやうな具體的なものの數量を掲げて、之をいざと云ふ時に國民に食はしむるやうに今から是が用意をしなければならぬ、斯う云ふことをはつきりと申上げて居ります、それに付て十分御用意のあるやうな御話であつたのでありますが、其の用意はどの程度にまで出來て居るか、それを此の際伺つて、成べく國民に安心をさせたいと思ふのでありますが、若し其のことを具體的に伺ふことが出來ますれば幸ひだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=43
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044・松村謙三
○松村國務大臣 其の御話は慥か私の記憶に依れば、他の委員會で加藤さんに御説明を一度申上げたと存じて居りますが、簡單に御答へを申しますと、大體私共は團栗の一千萬石と云ふのは私からは申上げて居りませぬ、そんな大きな數量を今日把握致して居りませぬことを申上げて置きます、どう云ふものとどう云ふものを把握すると云ふよりも、集めたものを如何に粉化し之を「パン」にして食ふかと云ふ其の設備が第一でありまして、此の設備が出來ますれば、松の葉も結構でありませうし、其の他團栗、何でも春出ます草の芽、木の芽凡ゆるものが食糧化するのでありまして、今日冬の間に用意すべき所は其の設備であるのでございます、此の間御示しになりましたやうなものは、非常に結構であらうと思ひますが、それを粉化するまでの設備を、先づ急がなければならぬと思ひまして、昨日協贊を得ました今度の豫算の中にも、其の費用が四千何百萬圓か含まれて居る訳であります、左樣御諒承を御願ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=44
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045・加藤知正
○加藤(知)委員 實は大臣の私に對する御答辯は寫し取て皆此處へ持つて來て居ります、實際に出來る具體的のもの、今の粉碎機とか製粉機とか云ふやうなものに付ての御話は、確かに伺ひましたけれども、補充食にどう云ふ物とどう云ふ物とを集めて置いたと云ふことに付ての具體的な御話がありませぬ、之を私がしつこく御尋ね申上げるのは、是は今日焦眉の急に迫つて居るものでありますから、成べく全國民に今から補充食の用意をさせなければ、其の時になつてからでは間に合はぬ、斯う云ふ考へから申上げるのでありますから、どうぞ大臣は其の御積りで御聽取を願ひたいと思ひます、それから更に御尋ね申上げたいことは、どうしても今後食糧の確保をさせなければならぬと云ふことになりますと、今から其の用意をしなければならぬ、所が殘念なる哉、冬枯れ時期でありますから、用意と云ひましても中々出來ない、そこで明年の作柄でありますが、之をどうするかと云ふことが實は問題であります、それに付て私は本會議の席上で色々申上げましたが、私の申上げたことが大臣に能く徹底しないと思ひますので、もう一度今具體的に大臣に申上げます、實は明年の肥料は堆肥と燻炭肥料に付て次官通牒を出して戴きましたが、あの次官通牒の中には堆肥、灰、燻炭、燻燒土、斯う云ふ順になつて居ります、此の順位を私は彼此れ申上げる訳ではありませぬが、併し世間の人は案外に考へて居て、順位が下にあると多くの人が兎角之を輕く視る、輕く視ると云ふことは使はないと云ふことになる、どうしても是は私の考へから申しますと、肥料の力に依らなければ増産は斷じて出來ないのですから、それを化學肥料の金肥などを入れようとしても間に合はない、間に合はない以上は堆肥、燻炭、是ならば、資材の御説もありますけれども、此の堆肥と燻炭なら、今日では私は資材は十分にあると云ふことを申上げたい、それも數字的に申上げたいが、時間がありませぬから申上げませぬ、之を一つ大臣から通牒を出して極力力を入れて戴きたい、之を御願ひ致します、さうして何とか方法を講じて、學童を動員してでも是非積ませる、裏日本の如きはもうありませぬが、學徒を動員して堆肥、燻炭に付て十分之をやらせると云ふ方針を執つて戴きたい、それからもう一つあります、どうしても深耕をさせると云ふことが、即ち増産の一つである、それに肥料を十分にやりますと、必ず是は倍額以上の増産は確かに出來ると云ふことを確信して居るのであります、第二に今から種の用意、即ち多收穫本位の品種を今からやかましく、言つて選定させて貰ひたい、種がなくて何處でも困つて居る、今から十分に之を用意させて、多收穫本位の品種をやらせる、之に全力を注ぐ、それからもう一つ申上げたいことは品種の點でありますが、是は是非やつて戴かなければならぬ、私は自分の實驗から申しますと、今日政府は凡ゆる手を打つて増産に全力を注いで居るにも拘らず増産が出來ないで減産すると云ふことは、色々關係はあるけれども、第一に品種の關係を考へなかつたと云ふことが非常な誤りであると思ふ、其の品種も食味本位でなく多收獲本位でなくちやならぬ、其の多收獲本位のことに付きまして茲に私は栽培法との關係を申上げたい、其の栽培法の例を一つ申上げますが、あの南瓜であります、一昨年私が自分の家の庭に二十本程作りましたが、一つもなりませぬ、蔓ばかり匐ひ廻つて實が一つもならない、それで國に歸つて話をして見ると、東京には蜂が居らないから媒介者が居らぬ、そこでどうすれば宜いかと聽くと、人工交媒をやれば宜しいと云ふ、そこで昨年は同じやうに二十本ばかり植ゑて人工交媒をやりました所、四五十穫れました、更に其の後此道に巧者の水澤と云ふ人に聽いて見ると、三遍植替へて四五葉目に摘めば五箇以上なると云ふ、それは大變宜い話であると考へて居ると、今度中村莊二郎氏に聽いて見ますと、早目に温床を作つて一囘移植すれば十四、五なると云ふ、更に今度小平蠶絲科學研究所に居る二宮千代と云ふ五十以上の婦人ですが、是は非常に農事に熱心な婦人で、此の人が昨年作つた南瓜は三十七箇なつた、皆初めなつたものから終りになつたものまで大きな立派なものだと云ふ、此の人は本當に夜晝構はず能く働く、所謂努力の結果ですが、栽培の關係もある、品種の關係、栽培の關係、努力の關係、此の三つを能く研究して増産上最良の方法を一般の農家に十分やらすべく本省から何等かの方法を以て徹底させるやうにして戴きたい、さうすれば明年から大増産が出來ると思ふ、新たに百五十萬町歩の開墾も宜しい、併しながら既耕地から十分の生産を擧げさせなければ嘘だと思ふ、そこで私は更に大臣の御答へが要領を得ないので、最後に伺ふことですが、今の増産の研究所と云ふものは、之を道府縣各所に拵へさすことが宜しいと云ふことに付てであります、色々政府の設備は至れり盡せりですが、唯缺けて居る點は増産農法に關する此の一點が缺けて居ると思ひます、農事試驗場の開放と云ふ御答へでありますが、開放と云ふことを申上げたのではない、農事試驗場が折角良い成績を擧げて居つても、農家の多くはそれを利用して居りませぬ、あれは農事試驗場の成績だと言うて中中之を棚に上げて實行致しませぬ、麥であらうが、米であらうが、甘藷であらうが、色々名人は澤山居るが、農家は實際にはあれは名人のやることだと言つて中々眞似をしようとは致しませぬ、農事試驗場と農家の間に距りがある、名人、篤農家と農家の間に距りがある、其の結果は多くの農家は舊態依然たる状態で増産が出來ない、寧ろ減産になつて來て居るのであります、それを如何にして農家と農事試驗場を結付け、如何にして農家と篤農家と名人とを結付けて行くか、是は其の中間機關として應用技術の研究機關が必要であり、別の意味を以て申上げれば、増産農法の研究所と云ふものが必要である、さう云ふものを拵へて、農事試驗場の一番良い試驗や、凡ゆる名人の方法を集め、さうして農家がやるやうに實際的に斯う云ふ技術の上から色々と研究して、是なら氣候風土其の他からも考へて確かに穫れると云ふことを現實に現はして、其の研究生が之を研究し凡ゆる良法を技術的に體得し之を農村に持ち歸つて指導の地位に立つ、今までの技術者と云ふのは馬車馬的の技術者であつて、一通りの學問と見聞はあつても、廣い農法に亙つて實際の體驗がないから、指導しても人が隨いて來ない、隨て舊態依然たる指導をして居るから、兎角増産が出來ないことになるのであります、だから私は斯う云ふ風に尊い體驗を積んだ研究生が澤山新たに世の中に出でて指導奬勵の任に當れば、必ず此の増産が出來ると考へるのでありまして、更に其の上現在の六百萬町歩の耕地に百五十萬町歩の開墾耕地が加はれば、日本の人口が一億にならうが二億にならうが、優に自給自足の道が立つと思ふのであります、尚ほ之に付きまして大臣の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=45
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046・松村謙三
○松村國務大臣 技術の滲透に付きましては、私の方も大體御同樣の考へを持ち、方針を持つて居るのでございまして、試驗場を十分に活用致し、技術の滲透を致すと云ふことに全力を擧げてやりたいと思つて居ります、農地法などの目指す所も、農村に基礎を作つて之に技術の滲透をし増産するにあらざれば、農家の維持は出來兼ねると思ひますので、此の點に付ては御話のやうな方向に十分努力する積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=46
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047・加藤知正
○加藤(知)委員 大臣の御意思のある所も分らぬことはございませぬけれども、どうも私の申上げたことが能く御分りになつて居らぬやうに思ひます、今日は大臣は取急ぎでありますから近い中に御目に掛つて十分申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=47
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048・川崎巳之太郎
○川崎委員長 山田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=48
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049・山田六郎
○山田(六)委員 一々問答して居ると時間がありませぬから、二、三點一度に連續して申上げます、繭の増産に付てでありますが、各地に於て會合等を催しましても、到る處で食糧問題を來すのであります、是は獨り繭だけでなく、總ての生産に對して食糧が付き纏ふのは當然でありますが、其の中に米や麥がなくて蠶がやれぬと云ふことがある、他の仕事と違つて朝も早く、夜も遲くまでやらなければならぬのでありますから、食糧を與へなければ生産が出來ない、蠶もやれないと云ふのが多いのであります、それから今一つは麥と米或は藷に付ては、米幾らに對して麥幾ら、麥幾らに對して藷幾らと云ふ綜合供出を認めて居る、雜穀や粉食等に對しても亦それを認めて居るやうでありますから、供出の際に繭何貫目出せば米幾ら、麥幾らと同一の供出だと云ふやうな取扱をして欲しい、所謂綜合供出の中に繭も入れて貰ひたい、此の二つの要求がある訳であります、此の食糧を貰ひ蠶が出來ると云ふ方面に付ては、蠶をやれば食糧の輸入も出來、生絲も見返りになると云ふ訳であるから、兎も角蠶をやる、さうすれば食糧が充實して來ると云ふことは、明かな事實であります、さう言へば食糧さへ貰へば蠶をする、蠶を澤山やれば食糧が十分出來ると云ふやうなことで押問答になる訳であります、でありますから、此の問題は政府に於て考慮して見るとか研究して見ると云ふことでなく、繭を幾ら出した者には米、麥、藷、其の他の雜穀と同じやうに供出したものと認める、或は特配、加配米をやり得ると云ふやうなことを、此の機會に聲明して戴けば、是は生産の上に及ぼす影響は非常に重大だと思ふのであります、尚ほそれもさう云ふ事情もあらうと思ふから考慮しようと云ふ程度では效果ありませぬ、ありませぬから、繭に付ては食糧の供出とは斯う云ふやうな關聯を持たすと云ふやうなことをば、政府としてはつきり聲明して戴きたい、斯う云ふことが一つであります
それから今一つは農業會の支部廢止の問題であります、農業會の三十八條の廢止でありますが、是は二年間農業會が今日までやつて參りました結果が、縣農業會或は町村農業會の間に支部がありまして、此の支部が中間に居つて郡内の町村を或は督勵し或は指導すると云ふので、非常に密接な重大な役割を演じて居るのでありますが、それを今囘廢止することになりますと、折角の此の連絡に非常なる影響を及ぼすのではないか、例へば此の條項の支部を廢しましても、其の府縣に依つて隨意此の支部と同じやうなものを作り得るのだ、作つても宜しいのだ、斯う云ふことのやうでありますけれども、それは法令に依つて定められたる支部に勤めて居る職員等と、支部が隨意に臨時に作って居る人の努力とは、精神上に及ぼす影響は極めて大なるものがあるのではないかと思ふのであります、でありますから三十八條の第二項を廢止することは是は宜しいと思ふのでありますが、三十八條の全部を廢止せられることは、今後の農業會の運營に及ぼす影響は極めて重大であると思ひまするが、此の點に對してどう云ふ意味に於て之を御廢止になりますか、御廢止になつた爲に農業會の活動の上に及ぼす惡影響と云ふやうなことを御考慮にならなかつたかどうかと云ふことに付て、御聽き致したいのであります
それから今一つの問題は、酵素肥料の問題でありまするが、先達てどなたからか大臣に御聽きした際に、酵素菌と云ふものの分離に成功して、非常に學術的にも能く分つて來たと云ふやうな御話があつたと云ふことを御聽き致したのでありますが、更に最近に至つて肥料の缺乏は御承知の通りであります、又私共の縣等には非常に熱心になつて各農家は昨年、一昨年の經驗に依つて愈愈酵素肥料は非常な效果のあることを認められたものでありますから、最近東亞聯盟の會員になりたいのでなく、肥料が欲しいばかりに會員になつて會費を納めて肥料を作つたと云ふことが、大分流行つて居りました、所が最近東亞聯盟では肥料が欲しいばかりに會員になりたいと云ふことは相成らない、本當の聯盟の精神を理解して聯盟に終始すると云ふやうな決意のある者以外には肥料の分配は相成らないと云ふことに最近なつたのであります、そこで農家は失望して居りますが、そんなやうな情勢でありますし、ここ何年間の經驗では非常に效果のあることも明かのやうでありますから、酵素菌の分離培養等に成功した以上は或は農事試驗場を利用するなり其の他の技術を利用して、之を大いに作つて各農村に分布をして戴くと云ふことになりましたならば、本年現在の直ちに必要な麥の肥料等に對しましても、相當なる效果を奏するものであらうと思ふのでありまするが、之を急速に實施して戴くことに參りませぬでせうか、其の點に對しての御意見を御聽き致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=49
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050・松村謙三
○松村國務大臣 第一の繭を綜合食糧の供出に加へると云ふ御話でございます、もう一つは米を直接蠶絲業者に増せと云ふ御話でございます、之に對して茲にそれをすると云ふ聲明をせよと云ふことでございますが、實際是等のことは是非蠶絲をやつて貰はなければなりませぬので、考慮を致すことを約して居る訳でございますが、併しながら今茲に必ず斯う云ふ風にすると云ふ聲明はまだ熟さないものがございますので、何れ近い機會に方針を定めて聲明を致したいと思ふのでございます、なぜ出來ないかと申しますと、食糧事情は御承知の通りでもありますけれども、例へば綜合供出と申しましても、今日やつて居りますものは總て直接食糧になるものをやつて居りますが、間接に食糧になるものも之に加はるかどうかと云ふ問題があり、之を加へるならば特別會計の規則にも變へて掛らなければならぬと云ふ點もありますので、茲に御尋ねに對して是れ以上のことは申上げ兼ねまするが、近い中に何等かの方策を申上げるやうに致したいと思ふのでございます、それから第二の支部の廢止のことに付きましては、是は總務局長から詳しく説明を致させます、それから第三の「バクテリア」に依る栽培法に付きましては、此の間も何處かの委員會で申しましたが、福島縣其の他の成績で見ますと顯著の效力のあることは、私共素人として能く分ると思ふのでございます、之を此のやうな肥料のない時でありますから、全國に普及せしめることが宜いと私も考へるのでございますが、併しながらあれはどうも實際やつて見ると效果はあるやうでございますけれども、科學的に斯う云ふ理窟で斯う云ふ風に效くと云ふ學理的の根據はまだ出て居りませぬので、先般も中しましたが、農林省としては之を奬勵する訳には參りませぬけれども、別に團體を作りまして、さうしてそれに皆さんも御協力下すつて、其の手で全國に普及させる方が宜からう、是は全く簡單に申せば、「バクテリア」を藁なり草なりに掛けまして、一種の極めて即製の堆肥のやうに作つて、之を植物に堆肥と同じやうにやる訳でありますから、やつて別に惡いと云ふことはありませぬ、やつた結果は良いのでありまして、さう云ふ意味で奬勵して然るべきだと思つて居る訳ででございます、其の發明者が鎌倉に居つて、東京に來ない人でありましたけれども、先般わざわざ訪ねて參りまして、先刻御話のやうな東亞聯盟だけに任せると云ふやうな、考へ方は、斯う云ふ非常時だから全國の利用に公開して宜しい、又學術的の研究に俟つても宜しい、それは任せるからと私の方まで申出て居りますから、其のやうな方法で速急に全國に普及さしたいと思つて居るのでございます、是だけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=50
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051・楠見義男
○楠見政府委員 道府縣農業會の郡支部の規定を廢止致しました理由に付きましては、此の委員會で岡田さんの御質問に對しまして詳細御説明を申上げた訳であります、要するに現在の三十八條の規定は、支部を道府縣農業會に設けます場合に於きましても、其の區域に付て郡の區域、或は特別に主務大臣が指定致しました市の區域、さう云ふやうな區域に付きましてのはつきりした制限があるのが一つであります、それからもう一つは、先程も御話がございましたやうに、支部長は理事でなければならぬと云ふ制限がある訳であります、是等の制限を廢除致しまして、自由に道府縣農業會の意思に基きまして、會則で御決め願ふ、斯う云ふことに致しましたのが、此の規定を削除致しました理由であります、併しながら其の際も申上げたのでありますが、我々と致しましては、道府縣の支部に付きましては、規定は廢止致しましたが、寧ろ政府と致しましては、今後の農業指導の觀點から斯くの如き支部の設置は特に必要を痛感致して居ります、併し今申しますやうに色々の制限がありますので、寧ろ是等の制限を廢除致しまして、自由に御決め願つた方が農業會の發達を圖ります上に於て却て便宜ではなからうか、斯う云ふ趣旨に外ならないのであります、此の點御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=51
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052・山田六郎
○山田(六)委員 さう致しますると、此の支部の設置に付ては、此の三十八條を削除せずして、道府縣農業會は必要に應じて支部を設置することを得ると云ふやうな條項にして、之を活かして置くと云ふ方が却て宜しいやうに思ふのでありますが、之を全部廢すると云ふことは、結局政府の方針は支部をなくしてしまふと云ふやうにしか考へられないのであります、さう云ふ風にして、此の三十八條を御趣旨に適ふ條文にして之を活かして置く、斯う云ふ方法に致しましては如何なものでありませうか、此の方が却て政府の目的も達成することが出來、立派に實情にも適ふ、斯う思ふのでありますが、此の條項を取つてしまふと云ふことは、支部に働いて居る人々の努力の上に、相當の影響を精神的に與へるのではないかと云ふことも心配するのであります、其の點に付ての御所見を御聽き致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=52
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053・楠見義男
○楠見政府委員 現在支部に於て働いて居られる方々に對する趣旨の徹底に付きましては、我々と致しましては、特に注意をして誤解のないやうに努力致したいと考へるのであります、併しながら三十八條の規定を、只今御述べになりましたやうな趣旨で殘すと云ふことでありますと、殆ど法律としての意味がないやうに存じますので、寧ろそれならば今囘改正案として提出致しました如く、此の規定を廢除致した方が宜からう、左樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=53
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054・川崎巳之太郎
○川崎委員長 委員長から申上げます、其の點になると後の機會に譲つて戴いて、只今大臣が御急ぎのやうに承つて居りますから、大臣に對する質問を先にして戴きたい、山田さんの方は大臣に對する質問は終りましたか――そこであと別所君と安孫子君の質問があるのでありますが、安孫子君は運輸省の自動車局長に對する質問も兼ねて居つて、態態局長が來て居られますから、別所君の方を成べく簡單に先にして戴いて、安孫子君の方の大臣を御歸ししてから自動車局長に御質問して戴くやうに願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=54
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055・別所喜一郎
○別所委員 只今委員長の御注意がありましたので、極めて簡單に二、三點伺ひます、曩に農業團體が統合せられました際に、内務省と農林省との間に相當話合があつたやうに思ひます、と云ふのは、地方町村に於て農業團體と町村役場との對立と云ふことを内務省方面が御心配になつた、其の時に原則として町村長が農業會長を兼ねると云ふことで、大體内務省と農林省の諒解が付いたやうでありますが、今囘の此の改正に依りますと、恐らく第四十八條が其の御用意かと思ひますが、農林當局と致しまして、町村の實情から考へて、町村長が適當な人であれば兼任することが是なり、さう云ふ御考へであるかと云ふ點を大臣に伺ひたいと思ひます
尚ほ次には農村に於ける經濟事業と指導奬勵事業の分離と云ふことに付て、昨日どなたかの質問に對して政府の所見を明かにして居られますから、今重ねて茲に伺ふことを止めますが、實際の問題と致しましては、農業の指導奬勵の仕事を町村役場の事務から除けてしまひますと、委任事務だけが殘つて居ると云ふことになりまして、町村の運營の上に於きましては、寧ろ經濟事業と指導奬勵の事業とを分離致しまして、昔の産業組合とか農會とか云つたものに分けて、町村を經濟本位に建直して行つた方が宜くはないかと考へるのであります、其の點に付きまして大臣の所見を伺ひたいと思ひます、更に過日戴きました資料に依ると、町村に於ける農業會の任意加入は相當數が數へられる訳でありますが、どうも農業會内に於ける經濟事業に關係致します人と、指導奬勵の方に關係の人とは、自ら役員組織の上に於ても選擇の基準が變つて參ります、寧ろ商工業者を相當な部分持つて居りますやうな町村に於ける農業會は、町村に依りましては市街地信用組合を作つて行く御方針を執つて貰ひたい、是も非常に窮屈な制限があるやに近畿地方あたりでは言はれて居るが、そこで町村で希望があれば、どんどん市街地信用組合を許可すると云ふことにしたらどうか
最後に是は恐らく他の委員會でも色々當局の所見を求められたと思ふが、明年度からは小作料が金納になる、今日の供出の面から言へば、小作料を金納に致しますことは、或は當を得て居るかも知れませぬが、實際農村に於ける農民は先祖代々土地を持つて、其の土地から收穫せられた物を小作料として納めさせた、それを先祖の靈前に供へて、其の遺徳に感謝し、落著いて郷土に暮して居る、是は日本の家族制度の私は美風であらうと思ふ、農村の封建制度打破と云ふことから、此の美しき家族制度と申しますか、日本農村の昔ながらの味ひを失ふと云ふことは、私は大きな問題だと思ふ、此の點に付て地主の家庭に於て消費する位の米は其の所有地の中から現物を以て納米させると云ふことが本當に味のある人間を農村に置く所以である、此の點に對する御所見を伺ひたい、更に是は御願ひでありますが、未利用資源粉化食物が來年度の食糧に重大なる役割を持つことは、度々御説明を願つたのでありますが、只今大臣の御説明に依りましても、此の粉化せしめる準備を今折角努力して居ると云ふ御話がございました、今日まで民間の施設等を十分に御利用になり、一刻も速かに米のある間に、斯うした代用食を配給して戴きまして、本當の綜合配給をして戴きますならば、食糧事情は餘程暮し良くなる、昨年の如く或る月には大豆ばかり、或る月には麥ばかりと云つたやうなことでは、同じだけの量を結局に於て戴くに致しましても、其の配給が綜合的でなかつた爲に、消費者に與へまする苦痛は、非常なものでございますから、來年度の未利用資源が百萬石計算せられると云ふやうに、昨日も御伺ひ致しましたが、成べく速かなる時期に、混合配給を特に御考慮を戴きたいと思ふのであります、以上御尋ね申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=55
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056・松村謙三
○松村國務大臣 只今の御質問に對して御答へを申上げます、農業會長と市町村長との兼任に關する御話でございますが、是は内務省との間に出來るだけ町村長をして兼ねしむるが宜しいと云ふ諒解もあつたのでございます、併し今度此のやうに會員からの自由な選擧に依る方法で決定しよう、斯う云ふことになりますと、どうにも斯う云ふことにぴつたりと行き兼ねる、即ち選ばれたる場合に於て、それが町村長と一つでありますか若しくは分れるかと云ふことは、其の地方の農民の選擧者の意向に依ると云ふやうなことになる訳でございますから、之を兼ねしむると云ふことは、どうも法規に依つて決めることは出來兼ねると考へて居る訳でございます、巳むを得ざる傾向と考へます、併しながら大體町村長が兼任が宜しいと云ふやうな意向を持つ町村も相當にあらうと思ひますから、是等の村民の意向で、さう云ふやうなことになりますことは、洵に望ましいこととも考へらるるのであります、それから町村と農業會の考へでありますが、之に付きましては、先刻も話がありましたが、之を農業會と云ふものの公の機關とすると云ふ考へ方と、協同組合の姿で行かうと云ふ考へと、是は別に矛盾する考へではございませぬけれども、町村を農業會化するとか、農業會と町村と一つになるとかと云ふ風には事實參り兼ねるのでありまして、現在の所御話のやうな制度にはなり兼ねるのではないか、併し實體と致しましては、大體此のやうな風になつて居る町村も多いことでございますから、どうも事實に於ては大體殆ど一つになつて居る所が全國に相當にあると思ひます
それから小作料の金納の問題でございますが、之に付きましては、今農地法の委員會で色々の質疑等が行はれて居る際でありまして、まあ大體小作料を物納にするか金納にするかと云ふことは、長い間の問題でございまして、今仰せられる淳風美俗の點は、私も十分認めます、此の淳風美俗は認めますが、同時に小作料の問題に付て絶えざる爭ひがあると云ふことは、是れ亦一方の事實でありますので、寧ろ此の際金納化として戴くと共に、其の小作料がずつと動かぬと云ふことは、他の物價との比率もありますから、或る時の物價の變動に伴うて小作料と云ふものを動かす、斯う云ふやうな形にする方が一等宜くはなからうか、殊に農地法の觀念と致しまして、地主が自ら耕し得る範圍を先づ五町歩程度と云ふ考へ方から出發致して居るのでございますから、其の範圍内に於て全部を小作にしても構ひませぬけれども、又其の間に於て祖先に捧げる米なども保有した中から取り得ることと存ずるのでございます
それから最後の御質問に對しましては――市街地信用組合の設立に關する制限は緩和する、斯う云ふ御話に付きましては、是は私の考へ方では、市街地信用組合と云ふものは、是は別に農林省に於てやる訳でありますけれども、取扱に於きましては、市街地の信用組合と云ふものは、是は商工業者を大體中心としてやる訳でございますので、是は別途に考へなくてはならぬと思ふのであります、併し御話の通りに、設立に關する制限を嚴重にして置く必要は、或は今日の場合ならばないかと思ふのであります、是等に付きましては、先刻申上げましたのは、多少間違ひがありまして、主管は大藏省に近年移つて居るのださうでございますから、大藏省の方面で考へませうけれども、是はこちらの信用組合とはどうしても別の行き方をしなくちやならぬのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=56
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057・川崎巳之太郎
○川崎委員長 次は安孫子君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=57
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058・安孫子孝次
○安孫子委員 時間がありませぬので極く簡單に御質問申上げたいと思ひます、第一に御質問申上げたいことは、先程加藤さんの質問に對して、大臣から高度技術の滲透の必要に付て強調されたのでありまするが、どうしても食糧の増産には高度技術が滲透普及しなければならぬことは申上げるまでもないと思ひますし、高度技術の活用を目標として、技術を根據とした適切なる所の奬勵政策が執られなければならぬと思ふのであります、此の點に對しては抽象的には誰も不贊成はないのでありますが、實際的には中々さう行つてない點が多いやうに思ふのであります、是は技術の問題はさう手取早くやる訳に行きませぬで、どうしても時間が掛るのでありまするから、毎日急がれる所の行政に當つて居る方々は、自分の主觀からして、どんどんやつて行くと云ふやうな訳合でありまして、それが爲に技術者は或は融通が利かないとか、或は頑固であるとかと云ふやうな非難さへあつて、技術者の意見を採用せず、又技術者の技倆を活用しないと云ふやうな意見が非常に多いのであります、特に農業のことは、技術が各般の事項に擴つて居りまする關係上、どうしても綜合一體とした奬勵をして行かなければならぬのでありますが、現在の地方の行政機構に於きましては、どうもまだ相變らず割據主義があるやうでありまして、それを一體化する上に非常な困難を感ずるのであります、縣廳でありますれば、經濟第一部長がそれをやることになつて居りますけれども、現在のやうに絶えず頻繁に迭られるやうでは、農業の複雜な技術を十分御承知になるまでに時間が掛ると思ふのであります、それでよく技術者が斯う云ふことを言つて居ります、經濟部長が御迭りになると教育するのに半年も一年も時日が掛ると云ふことを言つて居るのであります、それで漸く分ると又更迭になると云ふやうな状態では、大臣が今御話になつたやうな技術の滲透と云ふやうなことも、非常に困難であると思ふのでありますが、何とか是が巧く行くやうな機構が地方廳にあつても宜からうと思ふのであります、寧ろ此の點になりますれば、内務省の土木行政の方は、土木部長は技術者と云ふやうな訳で都合好く行つて居ると思はれますので、此の點に對して私は大臣の御意見を伺ひたいのであります、人事のことは内務省の方に御伺ひするのが當然と思ひまするけれども、併し是の實現には農林大臣の御盡力がなければ出來ないと思ひますので、第一に之に對して私伺ひたいと思ふのであります
次に技術の滲透には農事試驗場の仕事が大切だと思ふのであります、過去に於て農事試驗場にあつた仕事は、可なり大きな仕事をやつて居るのでありまするけれども、今度行政整理、財政緊縮が行はれますと、自ら農事試驗場の方に及ぶと思ふのであります、現在に於きましても、農事試驗場の機構、内容は、工業方面の研究機關に比べますと極めて貧弱であります、數は多いけれども内容は貧弱であります、之に更に人員が減り、經費が減つて行くと云ふことになると、何事も出來ないことになつて、今後の技術の滲透の上に於て、大きな問題だと思ふのであります、寧ろ私は是は農業會にしたらどうかと思ふのでありますが、是は農業會に移すことに致しますと、斯う云ふ利益があるのであります、第一農業者が非常に親しみ易くなるのではないかと思ひまするし、又研究問題も是は實際に即したものを採用することが出來ると思ひまするし、又必要に應じまして技術者や研究費を殖やすことも出來る、經費を殖やすことも出來るのでありますし、此の方が巧く行くのではないかと思ふのであります、是は其の方が今後に於きましては、寧ろ好都合と思ひまするし、又此の研究機關の民主化と云ふ點から見ましても、さうあつて宜からうと思ふのでありますが、此の二點に對しまして、大臣の御意見を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=58
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059・松村謙三
○松村國務大臣 技術の滲透に付きましては、實は今農政局を中心として、一つ新しい考へ方を立てたいと思つて、色々研究致して居る所でございます、それに付きましては、今仰せの地方廳との結付け、それから御話の試驗場との結付け、それから先刻加藤君が御話になりました小さい試驗地と申しますか、さう云ふやうなものの結付け等を考へて、色々やつて居る所でございます、同時に農業會との關係をどうするかと云ふことも、考への中に入れて研究しなければならぬことと思つて居ります、農業會が此の技術の研究の面を立派に引受けて貰へますならば、是は御話の通りに是も結構なことと私共は考へて居ります、併しながら農業會が色々のことをやつて居られまするのに、今日の農業會は實際に於てどれ位までさう云ふ實績を擧げたかと云ふことも、宜い點は勿論私は宜いと思ひますが、さう云ふやうなことを考へまして、御趣旨のやうに十分技術の徹底を致すやうな途を一つ作り上げたいと思つて居る、今日の所此の程度の御答へを致して置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=59
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060・安孫子孝次
○安孫子委員 今大臣から此の問題に付て御研究中だと云ふ御言葉を戴いたのであります、實は私農事試驗場に三十年の經驗を持つて居るのでありますが、一番困難なことは、新しいことをやらうと思つても豫算を貰へませぬし、而も斯う云ふこともある訳であります、先程一寸申上げたやうに、どうも上の方は長くおいでにならない、それであるから、十分お分りにならないで、主觀的な考へで御命令になる、技術者が技術的に、技術的良心の爲にそれを申上げても容れて貰へない、多くの場合に於ては大抵に致しまして、上の御命令だからと云ふ訳で、自分の技術的良心を滿足させない仕事をやつて居るのであります、それでは私は巧く行かないと思ひます、寧ろ農業會あたりに移せば、必要な場合に於て經費を増し、技術者を入れて、そしてどんどんやると云ふことになりますし、又農家も親しみ易くなりますから、實際に適する仕事が出來やうと思ふのであります、勿論私は中央の國立の試驗場を農業會に移すと云ふやうなことまでは申上げない、それは基本的な試驗をやつて居るからであります、地方の試驗場はどつちかと云ふと證明的の試驗であります、又指導的の試驗をやつて居るのでありますから、それで宜しいと思ふのであります、地方試驗場の如きは、若し此の緊縮の手が大いに伸びるやうでありますれば、到底仕事は出來ないことになると思ひますので、寧ろ此の際農業會に置いたらどうかと云ふ意見なのであります、若し緊縮の手が伸びないで、更に之を擴充して戴くと云ふやうなことでありますれば、是はまあやつて行けると思ひますが、それでなければ農事試驗場の仕事が出來ない、斯う思ふ次第でございます、此の點に付て更に大臣の御研究、御盡力を御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=60
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061・松村謙三
○松村國務大臣 能く考へますでございます、經費の問題等もありますが、是れ亦農業會でやつたならば、茲にもやはり經費の問題を考へなければなりませぬので、何れ能く研究を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=61
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062・加藤知正
○加藤(知)委員 委員長、之に關聯して発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=62
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063・川崎巳之太郎
○川崎委員長 簡單に願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=63
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064・加藤知正
○加藤(知)委員 實は御目に掛つて能く御話申上げようと思ひましたが、丁度今安孫子さんから其の御話が出まして、農業會のことに付てのことでありますから、此の序に簡單に申上げますが、實は新潟縣農業會で、本年四月から増産農法研究所と云ふものを拵へたのであります、其の目的は詰り農事試驗場と農家とを直結させる、それから名人、篤農家と農事試驗場とを直結させる、斯う云ふことでやりました、所がどうしても其の間に仲介機關がなくてはならぬ、其の仲介機關と云ふものはどう云ふ仕事をするかと云ふと、現に私共の新潟縣の堀之内の農事試驗場で麥作試驗をやつて居ります、中々良い成績を現はして居りますけれども、農家はちつとも之を用ひない、經費の關係、其の他今安孫子さんの御述べになつたやうな色々な關係で、實際に應用して居らない、だから新潟縣では麥が駄目だと云ふやうな一般觀念が起つて居る、それを今増産農法研究所で試驗をやつて、其の成績をそつくりこちらの研究所に移すと云ふやうなことにすれば、そこで以て色々再試驗の意味にもなり、應用技術の研究にもなる、それから麥作なら麥作技術の研究に付ては、天下の名人が澤山居りますから、其の名簿を作つて、名人のやる方法を悉くそこに現はす、五畝以上とか、一反歩以上とか、實際農家のやるやうな形式に依つて現はしまして、氣候風土の關係、栽培法の關係、肥培管理等の關係から研究致しまして、是なら大丈夫だと云ふことを證明する、斯う云ふ風に名人のやることを悉く集めて、それを見るとどのものとどのものは一番良いのだ、斯うすれば必ず穫れる、氣候の上から言つて是では穫れないのだ、斯う云ふことを裏書して、斯う云ふやうな工合になるから是で増産が出來るのだと言つてやりますと、反當百貫前後甘藷を穫つて甘んじて居つた者が、千貫以上も穫れると云ふことになれば、獨りでに證明され、皆之に蹤いて來ると思ふ、此の機關は小規模、大規模と云ふことは致しませぬで、大規模、小規模、總ての應用技術の研究所と云ふものを設けて、是と試驗場を結付ける、或は名人、篤農家を結付けて、農業會の抜術者を其處で養成して町村に送り出す、斯う云ふことになると云ふと、指導の點に於ても一元的にやれるやうになるし、實際に色々の人がやつたことを經驗に依つて皆體驗致した研究生、技術者が出來て、是が行つて指導するから農家が之に蹤いて來る、即ち増産の方法が實現せられることになる、斯う云ふ見地から、今農業會が始めて居るのでありますが、さう云ふ點を一つ能く御考へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=64
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065・安孫子孝次
○安孫子委員 運輸省の政府委員の方に實は簡單なことでありますが御伺ひしたいと思ひます、それは貨物自動車の件でありますが、戰時下に於きましては、輸送力強化の爲に貨物自動車の統制會社が出來まして、さうして其の當時農業團體が經營して居りました農事用の貨物自動車は、全部統制會社に接收されたやうな形になつたのでございますが、戰時でございますから、是は當然のことでありまして、其の間は農業會は畜力、人力で、出來る限りやつて來たのでありますが、終戰になりまして、軍の方の自動車も隨分澤山あるやうに伺つて居りますので、此の際それを農業會の方に配車して戴きたいと云ふやうな希望を持つて居る訳なのでございます、併し統制會社が廢されまして、政府に於かれましては事業會社に重點的に配車されて居るやうに伺つて居りますので、現在に於きましては、此の方から配車をして戴いて使つて居るのでございますが、配車が極めて不十分なのでございます、又配車されても極めて高いのでありまして、到底農業者は使ひ得ないやうな状態である、それで私御伺ひ致したいことは、此の際に於て、戰前の如く農事用として農業會が此の貨物自動車を運營することを御認め願ふことが出來るかどうかと云ふ點でございます、それから第二は、さう御認めになりましても、配車がなければ實は出來ないのであつて、配車の點に付てどうなるのでありますかと云ふ點を御伺ひ申上げたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=65
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066・滿尾君亮
○滿尾政府委員 「トラック」のことに付きましては御承知の通りの事情でございまして、新しい車の供給力が非常に貧弱でございます、我々と致しましては輸入も致したいのでございますけれども、敗戰後の悲しさ、ここ近き將來に於きましては一寸輸入させて呉れと云ふことを申出る訳にも行かぬやうでございまして、我が國の供給力としましては、餘り正確なことは分らないのでありまするが、來年の三月までに私共は五千臺から六千臺出來れば良い方ではないかと大體睨んで居ります、來年は丸々一年で、堅實に見積りますれば二萬輛位の自動車を作る、大體こんな見當を持つて居ります、希望的數字としては四萬臺位の數字を擧げて、色々な計畫も立てて居りますけれども、本當の正直な動かぬ所を考へれば、私は二萬臺位のものぢやなからうか、是は私の見込でございます、外れるかも知れませぬ、斯様な訳で、非常に供給力が不足して居る、然るに車の需要は非常に大きい、隨て之に對しまして、國民經濟的に見て最も良く「トラック」の輸送力を活用するにはどうすれば宜いかと考へて見ました時に、どうしても營業車に重點を置かざるを得ないやうな考へになつて來る、自家用車でありますと仕事に相當繁閑がある、一年中波の打たない仕事は少い、遊びが出來ます、忙しく使つて居る所でも、實績を調べて見ますと、一日當りの走行「キロ」に於きましてはやはり少く、不經濟である、それから車の手入の問題に付きまして、我が國は今のやうな状態でありますので、出來るだけ車の壽命を延ばして、手入に手入を重ねて、修理に重點を置きまして、之を食ひ繋ぎして行かなければならぬ、現在の車は平均壽命が大體九年位になつて居ります、左樣な事情でございまして、やはり自家用車でございますと、其の點に付き不十分な嫌ひが生れて來る、斯樣な訳で、ここ暫くの需要供給の事情に於きましては、營業車に重點を置いて行かうと云ふ方針を立てて居る、併しながら斯く申上げますことは、自家用車を絶對認めぬと云ふ考へでは毛頭ない、今申上げたやうて訳で、車の遊ばないだけの仕事量があつて、車の手入も屆いて旨くやつて行ける、而も其の用途が國民經濟的に極めて重要であると云ふ面に付きましては、或る程度に自家用車を認めると云ふ積りで居ります、現に今囘八千五百輛ばかりの陸軍の「トラック」を「マッカーサー」司令部の厚意に依りまして民間へ放出致しましたに付きましては、大體米麥薪炭等の緊急輸送に重點を置きまして、營業車に重點を置きましたが、約九百輛位を自家用に配當致しまして、五百輛位は官廳の直接の用に配當致しました、斯樣な訳で、決して杓子定規的に絶對自家用はいかぬと云ふやうには考へて居りませぬ、大體今のやうな方針を地方長官に示しまして、各地方長官に於かれて此處には此の程度自家用を廻しても宜いのだと云ふ具體的判斷があれば、其處へ配當するやうな手配をして居ります、ですから全體の自家用の枠と云ふものは、自動車局の方で大體睨んで居りますけれども、個々の業者に、或は個々の團體に、或は個々の人にどの程度に自家用を認めるかは、一つ各府縣廳に於て具體的判斷の下にやれ、こちらでは抽象的方針を示しまして其の考へでやりますから、御話の如き安孫子さんのやうに絶對必要だと云ふ所がありまして、それぞれ理由のある所と思ひますが、其の地方長官と篤と御相談戴けば、私共の方の指示としては自家用絶對にいかぬとは申して居らない、或る程度具體的判斷でやつて宜しいと云ふことに方針を開放してございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=66
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067・安孫子孝次
○安孫子委員 御話の趣旨は能く分るのでありますが、實は北海道は御承知の通り、一村であつても小さな縣位もあるのでありまして、自動車がなければ到底農産物、食糧の集荷が困難であります、それで此の秋から道廳の方とも相談致しまして、色々の方法を以ちまして、取敢へず食糧の集荷の時だけでも農業會に配車せよと云ふことを申上げたのでありますが、道廳に於ても是は贊成であつて、道廳の持つて居た自動車、土木或は營林の方に持つて居た自動車の半分位を農業會に提供しようと云ふことで廻して戴いたのであります、それから業者の自動車を利用するには、一箇月三千圓、油代が三百圓、三千三百圓で、到底今の農業會では負擔が出來ない、道廳は此の若干を補助してやらせると云ふことも言つて居ります、それから軍の方からの引繼ぎの自動車は、北海道には二百三十臺配當になつて居る、さうでありますが、其の中十一臺だけは自家用として農業會に戴くことになつて居るのであります、何れに致しましても、食糧を集めると云ふ點に於きましては、そこまで入つて行かなければ駄目だと思ひます、業者に頼みますと面倒がつて、一箇所に集めて呉れとか、都合の好い時に持つて來て呉れと言ふので、到底急速に食糧を集めることが出來ない事情にあるのであります、色々と道廳當局に交渉致しますと、是は結局運輸省の指示がなければどうにもならないと云ふ風に逃げられてしまふのです、北海道のことを陳情して居るみたいになつて洵に申訳ないのですが、事實是は食糧の集荷の上に非常な困難なことになつて居るのであります、北海道の特殊事情から言ひますと、農業會にどうしても今の自動車を廻して貰はなければならぬと云ふやうな事情にあるのであります、是は北海道ばかりでなく、全國に斯う云ふ事情があるのではないかと思ひますが、さう云ふ點に對しまして、是は特別の御考慮があつて然るべしと私は思ひます、又農家は斯う云ふことに付て非常に割切れない感じを持つて居るのであります、餘り貨物自動車に依る所の買出し部隊が横行して居るのであります、是だけ買出して來る位の自動車があつたならば、我々に貸して呉れないかと云ふやうな考へが出るのは當然であります、そんな訳になりまして、それは理窟の上から言へば、自動車會社に配車すると云ふのは當然で、何等の異論はないのでありますが、現實の問題はそれだけでは巧く行かないと思ひますから、私は能く現實を御調べ願ひたいと云ふことを、特に希望する次第であります、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=67
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068・川崎巳之太郎
○川崎委員長 それでは休憩に入ります、午後一時半から再開致します
午後零時五十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=68
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069・会議録情報2
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午後二時三十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=69
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070・川崎巳之太郎
○川崎委員長 是より開會致します、午前の會議に引續きまして簡單な質問が御二人から出まして、それで大體此の質問は全部終了する筈になつて居ります、蠶絲局長に對して山田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=70
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071・山田六郎
○山田(六)委員 先づ御聽き致したい問題は、最近製絲家の人と會合等に參加致して見ますと、繭の取引に付て今囘の機構の變つたのを機會に元の特約時代の關係を作り上げたい、斯う云ふことを論議されるやうであります、又熱心に研究もされて居るやうであります、それは是等の人々に依ると、養蠶家と製絲家の間の親密さが現在のやうなことでは旨く行かない、隨て思ふやうな繭も作り得ないし、取引も圓滑を缺く、だからして養蠶家の指導を製絲家の方の手に依つてやつて、さうして元の特約時代のやうに、製絲家と養蠶家の間の連絡を濃厚に致したいと云ふ要望が盛んになつて來たのであります、此の問題は曩に特約組合を長くやりまして、特約組合から生ずる色々な利益もありますが、又弊害も相當多いものでありますから、それを是正して或は縣が協定委員と云ふやうなものを作つて取引をしたこともあり、更に今日の檢定取引と云ふことに進んで來たのであります、所が過去の特約時代を顧みますと、更に元の取引に還るやうなことは養蠶者の爲に利益でなしに、却てそれが爲に思はないやうな結果を更に繰返すと云ふやうなこともあるから、此の際どうしても養蠶家の指導と云ふものは農業會の手に依つて指導も致し、農業會の手に依つて集荷も、更に繭の配給までも一元化してやるべきであると云ふやうに考へられるのでありますが、今後の御當局の指導方針はどう云ふやうな方向に之をおやりになる御意思でありますか、其の點を一寸伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=71
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072・山添利作
○山添政府委員 是からの繭の處理の問題は、蠶絲業會に於て自治的にやつて行く方針でありますけれども、政府と致しまして考へて居る所を申上げたいと思ひます、養蠶家と製絲家の間に密接な連繋がある方が、繭の増産の爲にも、又品質改良の上にも望ましいと云ふことも考へて居ります、隨て製絲家が繭を取入れる地盤の割當と云ふやうなものを致して、そこで密接な關係を保ち、相互に協力をするやうな關係を作つて行きたいと云ふ風に考へて居りますが、併し養蠶家の指導其のものは飽くまでも是は農業會に於てやつて行く、それに對して製絲業者の方からも協力して行く、斯う云ふ關係で參ることが適當であらうと考へて居ります、大體山田委員が御述べになつたのと同樣の心持で居る訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=72
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073・山田六郎
○山田(六)委員 さうすると其の點に對して是までの統制會社は、統制會社が先づ繭を買入れて、買入れた繭を各製絲業者に分配をしてやつた、斯う云ふやうなことになつて居るのでありますが、今後の農業會と云ふものは農業會自身は買はない、斯う云ふことに承知して宜いのでありませうか、又此の繭を買ふのに對して地盤割にすると云ふことでありますが、地盤を製絲家に與へて、地方に依つては蠶絲業會其のものが繭を買つて置いて、消費の状況に依つて他の工場に補充してやると云ふやうなことの必要の起ることは當然だと思ふのであります、さう云ふ際には蠶絲業會が繭を取入れなくちやならぬと云ふやうな事態を生ずるだらうと思ふのでありますが、さう云ふ場合には、やはり或る地方に對しては蠶絲業會が繭を買入れ、或る地方に對しては製絲業者が繭を買入れる、斯う云ふやうな形式になるのだと思ふのでありますが、さう云ふ際に若し農業會が繭の供出をやつて行くと云ふことになりますれば、農業會が一旦其の繭を養蠶家から取入れて製絲家の方に配給を致すと云ふやうな順序になるのか、或はさう云ふやうな地區の繭を蠶絲業會が買つて行くと云ふことになるのか、製絲家の方に配當を致した地盤以外の土地が殘つた場合に對して、それをどうされるかと云ふ問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=73
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074・山添利作
○山添政府委員 養蠶の方の團體から製絲家が繭を買ふ訳でありますが、其の時に私の考へとしましては、色々な意味から道府縣の農業會を通じて製絲家が買ふと云ふ方式が大體宜いぢやないかと思つて居ります、それを別にして、所謂調整用の繭は誰が扱ふか、之には特別の工夫を要すると思つて居ります、具體的のことは更に今後研究を要するものが多いと思つて居りますが、今此處では申上げるまでに立至つて居らぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=74
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075・山田六郎
○山田(六)委員 いま一つ御伺ひしたいことは、蠶絲業會の全國を區域とした蠶絲業會と、一部地方を區域とした蠶絲業會と、二つ出來ると云ふことになつて居るやうでありまするが、此の全國蠶絲業會は、是は宜しいけれども、地方に於ける所の蠶絲業會なるものの區域に付ては、大體是れ是れの區域に蠶絲叢會を作らしめると云ふ御方針になつて居りませうか、其の地方の當業者の要求に依つて任意に作らしめる、斯う云ふことになるかどうかと云ふことが一つであります、今一つは、さう云ふ際に地方に於ける蠶絲業界と云ふものは、中央の蠶絲業會の支配に屬し、又經濟も中央の蠶絲業會との連絡に依つて經濟問題をやつて行くと云ふことになりませうか、或は地方蠶絲業會なるものは、全然獨立した一つの法人と云ふことになつて、其の地方の蠶絲業會に對して色々な事業をやり、或は指導をやると云ふやうなことになり、且つ業者間の連絡機關にもなると云ふやうな趣意に相成りませうか、其の邊の所を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=75
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076・山添利作
○山添政府委員 此の蠶絲業會の制度は、實際の蠶絲業に關する情勢の要求する所、又關係業者の人達の要求される所に從つて形成される建前になつて居りまして、只今出來つつあるのは、全國を一本にした蠶絲業會、其の内部機構として、地方と申しましても總監府の區域と云ふやうな所で、法人にもならない形で地方蠶絲業會を作つて行かう、それは日本蠶絲業界の内部機構にしようと斯う云ふのが現に進められつつある案でありまして、更に是から今後どう云ふ風に發展して行くかと云ふことに付ては、尚ほ今後の状況、或は蠶絲業者の意向と云ふやうなもので形づくられて行くものと考へて居る訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=76
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077・山田六郎
○山田(六)委員 其の問題に付て今一つ御聽きしたいのでありますが、現在の所で各地方に、或は東北に或は關東に、或は東海道にと云ふやうな工合に蠶絲聯盟會なるものがありまして、問題がある度に、或は時期を選んで、其の地方の蠶絲業に關係して居る全部の人が集まつて會議をして居るのでありますが、是等の人は種々なる意見を交換して、或は政府に、或は其の他に共同意見を具申し、或る問題を要求すると云ふやうなことを繰返して參つたのであります、此の機關が今日ありますれば、地方に於ける所の蠶絲業會と云ふものをさう急速に作る必要はないのぢやないかと云ふ風にも考へられるのであります、又是は法人だと私は思つて居つたのでありますが、法人でない蠶絲業會だと云ふ御話であります、さう云うことになると、今までのやうなことであれば殆ど經費が掛らずして各業者が寄り集まつて色々の協議を致して參つた訳でありますが、蠶絲業會と云ふことになると、相當の機關を具備して參る、事務所を作らなければならぬと云ふことにもなる、さもなくても養蠶業者は色々な中間の機關の爲に經費が増大することを非常に惧れて居りまして、詰り今日までの統制會社などに於ける一切の經費も大體養蠶家の負擔に依つて成立して居るものと云ふやうな考へを持つて居るのであります、斯う云ふ機關が多く出來れば出來る程、養蠶家の利益を阻碍される、一種の搾取機關の如くにも見て居る向きもあるのでありまするから、出來得べくんば、地方の農業會と云ふものは、極めて簡素な是までの蠶絲聯盟會の稍稍進んだ位な程度に止めて置いて戴きたいと云ふやうなことも考へられるのでありまするが、其の點に付ての御意見を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=77
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078・山添利作
○山添政府委員 當面成べく簡素なもので結構だと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=78
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079・山田六郎
○山田(六)委員 私はそれで宜しい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=79
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080・川崎巳之太郎
○川崎委員長 加藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=80
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081・加藤知正
○加藤(知)委員 此の蠶絲問題に付て御尋ね申上げたいと思ひますが、昨日五十嵐委員の此の繭絲價格安定資金に對する質問に對しまして、蠶絲局長からの御答へを伺つて見ますと、是は山田委員の質問せられました蠶絲統制株式會社に蓄積してある安定資金とは別個のやうに思はれます、果して是が別のものであるとしますれば、どう云ふ點からして是が別個のものであるか、隨て今度新しく出來ます日本蠶絲業會へ寄附するとか、或は蠶絲研究關係へ寄附するとか、或は一方は寄附することが出來るけれども一方は寄付することが出來ないと云ふやうなことに付て、昨日詳細御説明に相成つたのでありまするが、動もすれば是は混同せられる虞がありますので、此の際今一應御面倒でもはつきりと區別して、さうして此の安定資金は斯樣な性質のものであつて、隨て是れ是れの取扱ひに區別があるのだと云ふ所を、今一應はつきりと御説明して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=81
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082・山添利作
○山添政府委員 御答へ致します、五十嵐委員が御尋ねになりましたのは、固有の繭絲價格安定資金の問題でありまするし、又山田委員が御尋ねになりましたのは、それとは別の意味の蠶絲統制會社に生ずべき剰餘金と云ふやうな意味合で御尋ねになりました、此の全然違ふ性質のものに付ての御尋ねであつた訳でありますが、仰せのやうに、話のこんがらかる筋合がございますので、詳しく申上げます、繭絲價格安定資金は蠶絲統制會社に只今一億圓ばかり積立てたものがございます、之に付きましては、日本蠶絲業會に引繼ぐことに致して居る訳であります、其の他に昭和二十年度に於きまして繭の價格を大幅に引上げました、其の結果昨年度出來ました繭で生絲を作つて、さうして價格が上つた後に之を統制會社に賣ると云ふ時に、申せば製絲家の所に相當大幅の利益が出る訳であります、之を製絲家に持たせないで蠶絲業界全般の爲に出させると云ふ意味合に於きまして、其の差益金を蠶絲統制會社に納まるやうな仕組みを致して居る訳であります、此の金が相當の金額にならうと思ひます、是は生絲にくつ付いて來る金でありまするから、蠶絲統制會社に現在全部收まつて居るか、或は又今後古い繭に依つて生産されると云ふ關係に依つて蠶絲統制會社が解散した後に、日本蠶絲業會の方に或る部分行くものもあらうと考へて居ります、何れに致しましても、此の金はどう云ふ風に使ふか、此の相當部分は繭絲價格安定資金の方に日本蠶絲統制株式會社なり、或は日本蠶絲業會なりの方で繰入れるものと思ひます、其の他の養蠶に關する施設乃至は蠶絲業の改良發達の爲に有效なる施設に支出しても宜い訳であります、但し其の場合寄附金と云ふ御話が今出ましたが、是は色々税法上等の關係もございまして、寄附金でなく、日本蠶絲統制株式會社の固有の事業、又日本蠶絲業界に收入になつたものでありますれば、蠶絲業固有の蠶絲に關する事業として行く必要もあると思ひます、兎も角さう云ふ蠶絲業の改良發達の爲に使つて宜しいと考へます、斯う云ふ性質を持つて居るものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=82
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083・加藤知正
○加藤(知)委員 詳細に御説明を承つたのでありますが、御案内の如く、大日本蠶絲業會の蠶絲科學研究所は、是等蠶絲業の發達の上に、非常に貢獻するものが多からうと思つて居ります、所があの空襲に依つて建造物が悉く破壞されたやうな次第であります、幸ひに此の研究其のものに付ては、依然として之を進めて居るやうな次第でありますが、併し何を言つても、やはり研究する經費がなければ、其の研究を繼續して行くことは出來ないのでありますから、斯樣な場合に於て、此の蠶絲統制株式會社で積立てて置きました其の安定資金がどの位になつて居るかまだ判明しないやうに伺ひましたが、冀くは之を全部と申上げたいけれども、そこに又色々御事情もありませうから、其の一斑を割いて、何れの方法でも宜しうございますから、差向けられるやうに御取計ひを願ひたいと考へるのであります、尚ほ此の蠶絲價格安定資金は、即ち法定上課税を免除せられる關係から、只今の所そつくりそれを新しく出來る日本蠶絲業會へやるより外に方法がないやうに伺ひました、併し昨日五十嵐委員に對する御答辯の中に、實に味のあることを仰せになつて居るのであります、それは話の工合に依つても、或は今申上げた蠶絲科學研究所の方へ差向けることが出來ないばかりでもないかの如く想像するのであります、若しさう云ふ餘裕が多少でもあると云ふことでありましたならば、研究所の費用は幾らあつても宜しいものと考へますから、それも一つ御盡力に依つて併せて科學研究所の方へ差向けるやうなことに御計らひ下さるやうに、此の際切に御願ひを致して置きます、尚ほ此の點に對して當局の御意見を伺へれば結構と存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=83
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084・山添利作
○山添政府委員 今後蠶絲の科學研究を徹底強化しなければならぬことは、只今御述べになりました通りであります、隨て大日本蠶絲會の蠶絲科學研究所を強化して行くと云ふことに付きましても、全く同感であります、蠶絲價絡安定資金の問題とは別に致しまして、其の資金等に付きましても十分骨を折りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=84
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085・加藤知正
○加藤(知)委員 そこで蠶絲業會のことでありますが、昨日來の御説明に依りまして、政府の御趣旨の存する所は能く了承致しました、併しながら私共の考へる所では、都道府縣に於て自治的に蠶絲業會なるものを組織致しまして、其の自治的に組織せられた都道府縣の蠶絲業會が、全國的に中央に集結されて、そこで聯盟組織のやうな工合にして、本當の働きは其の地方々々に於て其の府縣々々の蠶絲業會が働く、斯う云ふ風にすることが、やり方としては一番民主的に相應しいことではないかと考へるものであります、此の點政府の昨日來御示しになりましたこととは逆に行つて居りますが、尚ほ此の點に付て御考へなさる餘地はないものかどうか、併し現在の御考へで先づ以て中央に於て組織することは、是はもう決定的なものであるが、併し都道府縣で以て自主的にやるものは幾ら出來ても差支へない、斯う云ふ風な御考へであるとすれば、其の積りで都道府縣の蠶絲業者はやらねばならぬと思ふのであります、其の場合に於きましては、只今の此の絲價安定資金と云ふものも、さう云ふ方面に之を助長する意味に於て交付される御考へありや否や、之を御尋ね申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=85
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086・山添利作
○山添政府委員 絲價安定資金は其の目的が限定せられて居りますので、假に地方に都道府縣の蠶絲業會が出來ても、之を崩して其の方の助成金に使ふと云ふことは出來ませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=86
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087・加藤知正
○加藤(知)委員 それから今一つ御伺ひ申上げたいのは、此の製絲業の經營でありますが、是は以前のやうに個人的に經營するもの、又會社組織に依つて經營するもの、或は産業組合の下に之を經營するものと云ふやうな工合に、自由に之を經營せしむる政府の御方針であるかどうか、私の縣等に於きましては、個人であらうと、或は株式であらうと乃至産業組合の組織であらうとも、其の經營に對しましては、農業會が助成して之をやらしめようと云ふ風に考へて居るのでありますが、政府當局の之に對する御考へのある所を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=87
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088・山添利作
○山添政府委員 製絲業に對する企業形態は自由に致したいと考へて居りますが、其の間農業會と連繋を執るなり、協力をするなりの形が、今後進むべき方向であらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=88
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089・加藤知正
○加藤(知)委員 私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=89
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090・北勝太郎
○北(勝)委員 一寸疑義を質して置きたいと思ひますが、此の農業會の理事の選擧は、委任状で有效になるのですかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=90
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091・楠見義男
○楠見政府委員 選擧に付きましては、直接選擧の方法を講じて居りますので、結局選擧權を有する者、即ち農業會の會員でありますが、會員が直接選擧をする、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=91
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092・川俣清音
○川俣委員 私一寸修正案を出すので、法文の整理をする爲に御尋ね致すのでありますが、十四條の「牧野又は原野を有する者」と第三の「前二號の者に準ずる者にして勅令を以て定むるもの」と十五條の「其の他命令を以て定むる者」とは大體同一のやうに考へるのですが、是れ一つを廢し一つを殘すことに依つて非常な不便を感じますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=92
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093・楠見義男
○楠見政府委員 御答へ申上げます、法律の第十四條の第三項の「勅令を以て定むるもの」と云ふやうに規定致して居りますのは、勅令の農業團體施行令でありますが、是の第一條に規定してあるのであります、是は御配付申上げました農業團體關係法規の第二十五頁にございますが、孵卵業者でありますとか、荒茶の製造を致して居ります者、それから永小作權者、賃借權者、斯う云ふやうなものを指すのであります、それから第十五條の一項の第二號の「命令を以て定むる者」と云ふ風に書いてありますのは、是はやはり此の關係法規の五十七頁だと思ひましたかにあるのでありまして、結局是は農業を營む者でも極く零細なる農家は當然會員になつて居らないのであります、さう云ふ人々は當然會員になつては居りませぬが、此の命令で規定致しまして、任意會員となれる途を開いて居るのであります、それと同時に、地區内に居住して居る者、此の二つを含めまして、此の二項の「命令を以て定むる者」と云ふ中に包含して居るのでありまして、此の「勅令を以て定むるもの」と二號とは性質を異に致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=93
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094・川俣清音
○川俣委員 之を統一することに依つて非常に不便を御感じになりますか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=94
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095・楠見義男
○楠見政府委員 今申上げますやうに密接なる關係に有するものと然らざるものとを區分したのでありますが、之を統合することに依つて不便かどうかと云ふことは、どう云ふ御趣旨で御考へになつて居るのですか、御趣旨が分つてからでないと、はつきり申上げられないと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=95
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096・川俣清音
○川俣委員 「其の他命令を以て定むる者」の中に前の十四條の「勅令を以て定むるもの」を包含する規定を設けることに依つて其の點が統一されるのではないか、斯う考へるのですが、不便があるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=96
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097・楠見義男
○楠見政府委員 是は實は農業團體の會員として當然會員と云ふものはどう云ふものを見るか、それから任意會員と云ふものはどう云ふものを指すかと云ふ會員の資格に關しまする方針と申しまするか、主義の問題であります、隨て先程申しますやうに、十四條に掲げてありますのは主義上是等の人々は當然農業會の主體と申しますか、主流と申しますか、さう云ふものに該當すべきものと云ふ風に考へて居ります、隨て是が一緒になると云ふことになりますと、會員の資格に關する主義の問題から致しまして、相當考へ方を直さなければならぬ、斯樣に考へられる訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=97
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098・川俣清音
○川俣委員 主義の問題であると云ふ點で諒承出來るのですが、私共大體さう云ふやうに考へて居るのでありますが、有難うございました、そこで次にもう一點大臣に御尋ね致したいと思ひますが、只今大臣はおいでになりませぬので、政務次官に御尋ね申上げることに致します、農業團體法と云ひ、農地調整法と云ひ、大體是は私共は一本の農業制度と云ふもので組立てることが必要なのではないかと考へる、理窟を述べて居ると長い時間を要しますので、將來農業法と云ふものを作り、農業團體或は農地調整に關する分、農業團體に關する分、さう云ふ團體法規も主體である所の農業制度を本體にして、それに附隨するものとして其の中に織込まるべきものであると思ひますが、將來さう云ふやうにしようとする意思を持つて研究しようとして居られますか、或は全然さう云ふことを考慮して居られませぬか、其の點を御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=98
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099・紅露昭
○紅露政府委員 御答へ致しますが、川俣委員から御述べになりました法文一本にして、其の中に總てのものを織込んだらどうかと云ふ御意見でございますが、之を一本に致しますと、御承知の通り法文も非常に厖大なものになりますし、又是が運營其の他に付きましても相當考慮すべき餘地があるやうに考へて居るのであります、併し將來斯う云ふ意味に於て法文を整理すると云ふやうな時には、十分考慮しなければならぬ、斯樣に考へて居りますが、併し今直ちに、それでは今御質問のやうな方向に向つて研究し考慮して、同時に調査するかと云ふ御尋ねに對しては、目下の所政府に於きましては左樣な考へを持つて居らないと云ふやうな點を御答へ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=99
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100・川俣清音
○川俣委員 私は一言だけ其の點に付て意見を述べさして戴きます、私共此の戰爭が終結に至りましたので、大體國家權力と云ふものが、所謂獨立國家としての國家權力が喪失した結果、過去の獨立國家が形成致しました法律と云ふものは、非常に弱まつて居るものと考へなければならぬと思ひます、隨て新しく獨立國家となるまでの間に總ての法規が十分整理されなければならぬものと考へるのであります、隨て私はさう云ふ點からも過去の國家が形成致しました法律に囚はれることなく、速かに新しい獨立國家を形成する爲に必要な法の整理と云ふものが必要になつて來て居る、今のさう云ふ觀點に立つて居るのであります、隨て此の短い期間に色々の改正法案を出されると致しましても、將來の本當の日本の獨立と云ふことを目指して參りますには、やはり根本的な秩序を立てて行かなければ、新しい獨立國家には容易になり得ないだらうと考へるのであります、隨て今から相當研究をし、十分な獨立國家になり得るやうな農業法と云ふものを研究される必要がある、斯う云ふ意見だけを申上げまして此の點に付ての質問を打切りますが、米に關する質問をまだ留保して置きます、若しおいでになりましたら其の點に付て伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=100
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101・川崎巳之太郎
○川崎委員長 米の方の質問だけ留保して、他の諸君の質問は大體終りましたので、是で大體に於て質問を打切りにしたいと思ひます
茲でお揃ひの四局長に對して、序を以て委員長から極めて簡單なことを一、二件づつ御伺ひしたいと思ひます、水産局長には斯樣なことを御伺ひしたいのです、日本が樺太を失ひ、朝鮮を失ひ、臺灣、海南島を失ひ、隨て南洋漁業と北洋漁業が全滅の状態になりまして、彼處から魚を獲つて來て輸出をすると云ふ當てが全くなくなりました、そこで魚類の輸出に關して他の補ひの途を御考へであるかどうか、あればどんな方法を考へていらつやるかを伺ひたい、それから内地人に供給する魚類のことですが、魚類は只今御覽の通りもう氣違ひ的の非常な高價を呼んで、自由販賣にした爲に、魚は町へ躍り出しては來まするけれども、殆ど手を付けられないと云ふやうな有樣であります、是も一時の變態で、さう云ふ風になるのであつて、或る期間には元へ歸るのではないかと思ひますが、之に付ては兎に角魚類の漁獲を多くせなければならぬ、物が少いから斯うなるだらうと思ひますが、多くすることに付ては「マッカーサー」司令部に於てもえらい贊成であり、尚又漁具漁網等に付ても、出來るだけ援助をする意向であると云ふことを傳聞して居ります、それならば、それを利用してどう云ふ風な手を打ちなさる御積りであるか、今は漁業に從つて居つた壯丁や、應召、應徴して居つた者が大抵漁村へ歸つて居りまするから、手不足の方は段々なくなつて來て居ると思ひますが、此の際に水産局の受持としてはどんな手を御打ちなさるか、大體の大雜把な所で宜しいから承つて置きたい
それから尚ほ新聞報道に依りますると、遠洋漁業家が遠洋へ出て行けないやうになりましたので、沿岸若しくは近海へ頻りに入つて來て、其の海岸近くの漁場へ大いに喰込んで其處で從來固有の漁業權を持つて漁業に從つて居る當事者がえらい困つて居る、斯う云ふ話を聞きますが、左樣な事實があるかどうか、若し御認めになれば、それに對してはどう云ふ方法を講じていらつしやるか、是等の點に付て簡單明瞭に御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=101
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102・笹山茂太郎
○笹山政府委員 只今委員長から御尋ねの第一點は、北洋等を失つた結果、將來水産物の輸出はどうなるかと云ふ御質問であります、此の點に付きましては、現在許可されて居ります海域が制限されて居ることは、御承知の通りでありますが、是は私共としましては將來永久に亙るものではないと思ひます、隨ひまして現在の占領の必要上制限して居るので、何れ將來に於ては、其の點に付きましては、必ず緩和されることと期待して居るのでございます、然らば當座の問題としまして、輸出に付て水産物の方では何を考へて居るかと云ふことになるのでございます、此の點に付きましては、輸出が直ぐ從來のやうに囘復されるかどうか問題でございますが、兎に角私共の方としまして、外國品の輸入等に付ての見返り物資として考へて居りますのは、蟹の罐詰、是は北海道附近に尚ほ若干の漁獲の餘地があるのでありますから、是等を利用しての蟹の罐詰或は海鼠、鮭子(すずこ)、寒天等に付きましては、來年に於ても用意が出來るのではないかと考へて居ります
尚ほ値段の問題に關聯しまして、魚の増産に關する具體的な計畫に付ての御尋ねがございましたが、是は先般も申上げました通り、最も水産の根幹となる漁船、資材、漁場、此の三つの問題に付て解決しなければならぬと存じて居るのであります、即ち漁船に付きましては、大體現在八十萬「トン」しかないのでございますが、其の中の約三分の一は損傷を受けて居る、其の損傷漁船は出來るだけ至急に囘復して、來年の三、四月の漁期に間に合せて參りたい、其の他の補充としては代船の建造も必要でありますし、又戰前の漁獲高に囘復するには、相當數の新規造船も考へなければならぬと云ふことで、此の新造に付きましては、木造船、鋼造船、合計して約三十三萬「トン」程度のものを、出來るだけ速かな機會に於て補充したいと云ふことで、是等の資材の入手、或は其の一部として從來軍用艦艇等に使用されて居つたものを漁船の方に轉用すると云ふこと、それから今後新規に生産される所の資材を以つての裏付け等に依りまして、是等の計畫を速かに達成したいと云ふ風に考へて居ります、又遠洋漁網等に付きましては、是れ亦國内産に依つて賄ふことが困難でありますので、それぞれ必要な數量に付きましては、終戰連絡事務局を通じまして、輸入に付ての懇請を致す積りであります、漁場の問題に付きましては、是れ亦制限を受けて居りますけれども、制限の區域外に出て漁獲をすると云ふことに付きましては、出漁の具體的實施の準備が付いたものに付きましては、其の都度聯合國側に懇請して、區域外の出漁に付て努めて見たいと云ふことで努力中であります
尚ほ最後の點の最近遠洋漁業が不振になつた結果、それ等の業者が近海に入つて沿岸漁場を荒すと云ふことでございますが、沿岸漁業の利用に付きましては、それぞれ漁業權を本體にして居るのでございまして、無斷で是等の漁場に入つて勝手な振舞をすると云ふことに付ては、嚴に取締つて居るのであります、唯現在の資材其の他漁船等の關係から、沿岸の方と話合ひが付きまして、漁場を其處に設けて生産をすると云ふことに付ては、水産の増産が何よりも急務な此の際に於きましては、さう云つた話合ひの下に積極的に増産すると云ふことに付きましても、是は宜いではないかと云ふ風に考へて居ります、唯色々な制限を犯して無暗に沿岸の人達に御迷惑を掛けると云ふことのないやうに、此の點に付ては色々注意して居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=102
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103・川俣清音
○川俣委員 今の御報告の中にあつた海洋漁業の中で、區域を拵へて出漁することに付て、聯合軍と折衝をされるやうな話ですが、最近出來ました全く純民間團體である漁民組合に於て、直接交渉をして此の問題を解決致したいと云ふ希望を持つて居ります、先方と幾囘となく懇談致しました結果、希望を持つて居るやうに聞いて居りますが、是等に對して常局の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=103
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104・笹山茂太郎
○笹山政府委員 漁民組合の漁業を正業と致しまして區域外に出て出漁すると云ふことに付きましては、私まだ知つて居りませぬ、唯是等の遠洋漁業に付きましては、先程申上げましたやうに、具體的の計畫が熟し、又實際の能力のあるものに付きましては、私共何時でも出漁が出來るやうに聯合國との交渉に付きましてはお力添へを致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=104
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105・川俣清音
○川俣委員 私の御尋ねしたのは、純民間團體である所の漁民組合が、「マッカーサー」司令部と直接交渉致して居りまするけれども、之に對する御見解を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=105
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106・笹山茂太郎
○笹山政府委員 民間側が直接聯合國側に交渉する事柄に付ては、私共さう云つた希望的のことに付きまして、色色意見なり御希望を申述べられることは一向差支へないことだと思ひます、政府から直接聯合國側に交渉する場合に於ては、原則としては現在の所終戰連絡事務局を通して政府として交渉致すことになつて居る状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=106
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107・川崎巳之太郎
○川崎委員長 水産局長に御尋ねするのを一つ落しましたので追加致しますが、此の戰爭中に軍需會社等で大量に魚が要るので闇相場を高く上げて買漁つた、それだけでも間に合はなくて軍需會社等が、貧乏して居り、且つ人手の足らないで居る地方の小さい漁業會、若しくは漁業組合に交渉して、其の權利を貸して貰ふか、買取るかして、多額の金を與へて取上げて自分で以て漁夫と船を傭つて漁業をして居る、そこで本當の地の者は困つて居ると云ふやうな話をちらほら聞きましたが、それは事實であるか、若しさうであれば右は水産業を民主主義化すると云ふことに逆行するではないか、今戰爭は止まつたので、其の現象が元へ還つたとすればそれで宜いのでありますが、私の現に見て居る所で小田原沿岸の漁業權の如きは、あの地方の漁民から成立つ漁業會、或は漁業組合が持つて居つたのを、段々轉賣されまして、質から質、賣から空賣になつて、空襲で燒ける前の話でありますが、東京の日本橋で全く漁業に關係のない商人二人の手に移つてしまつて、別人が其の商人から權利を借りて、彼處で漁業して居るのだと云ふ事實を見て居るのでありますが、さう云ふのは立法の目的にも反して居ることであるし、又「デモクラシー」化することに逆行することでございますから、沿岸の漁民が質に置いたり賣買したりすることを止めさせて貰ひたいのです、若しさう云ふやうなことがあれば、「ポツダム」宣言の趣意に基いて左樣な風に御處置をして戴いたならばどうかと思ひますが、當局の御見込は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=107
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108・笹山茂太郎
○笹山政府委員 漁業權の轉賣貸付等に付きましては、漁業灌は御承知の通り純物件として取扱はれて居るものでございますから、之を全面的に禁止すると云ふことにはなつて居りませぬ、唯漁業權は御承知のやうに出來るだけ沿岸漁民の手に依つて開發すると云ふことが本體でありまするので、我々としましては、さう云ふ風に從來とも指導致して居るのでございます、今御話の戰爭中軍需會社等が漁場の權利を受けまして水産をして居つたと云ふ事柄に付きましては、さう云つた權利者と、從來の沿岸漁民との話合ひに於て、沿岸漁民の手に依つて開發されるやうに、將來交渉されることが希望されるのでございます、何れに致しましても、水産と云ふ共同の利益に非常に關係を持つたものを、一部の單なる密接なる關係を持たない業者が獨占して、それを單に一つの權利の對象として色々利用すると云ふやうなことは面白くないのでございまして、飽くまでも漁業權の成立の經過にも鑑みまして、沿岸漁民の手に依つて開發する、どうしても沿岸漁民の手で開發出來なかつた場合に於ては、其の開發に必要なる所の處置も、場合に依つては考究しなければなりませぬが、順序としては出來るだけ沿岸漁民の開發に利用されることを希望するやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=108
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109・川崎巳之太郎
○川崎委員長 能く分りました、有難うごさいました、次に山林局長に御伺ひします、政府は今囘食糧増産の目的を以て、百五十五萬町歩の大開墾をせられ、大量の失業者などもそれに追込んで先づ救濟しようと云ふ大規模の計畫を立てていらつしやつて、洵に結構なことと思ひますが、其の候補地は、皆國有林野に限られると思ひますが如何でせうか、それならば何處の場所と今特定の地名を指定して戴く必要はないし、それは御迷惑だと思ひますが、日本の中部に重きを置くか、北部に重きを置くか、南部に重きを置くか、耕作地の既にある面積等とも比例がありませうから、どの邊へ見當を置くものであるか、それを御示し願ひたい、是が第一點であります
其の次の點は、其の百五十五萬町歩の大規模開墾に漏れた所がまだ澤山ある、それに付て小さな便利な所は、右の計畫以外に拂下げて、開墾して農耕地になし、若しくは自作農を作るのが趣意と思ひまするが、それを許すかどうか、日清戰爭と日露戰爭等の前例に依りますれば、戰爭後壯丁が皆復員しまして、勞力が餘るので、其の戰場で錬へた意氣と體力を以て海外に進出したものでありまして、「ハワイ」移民も、米國移民も、「ブラジル」移民も、皆それが原因であります、所が今は八方塞りで、移民どころか、外地に居る日本人まで飼ふ者なき羊の如く追拂はれて歸つて來るのでありますから、思ひも寄らぬことになつて來ます、そこで歸つて來る日本人、若しくは將來復員されて髀肉の嘆に堪へない年輩の比較的若い復員軍人等を利用する方法としては、此の國家的大計畫とは別に、小さな官有地を少しづつ拂下げたならば宜いだらうと思ふのであります、所が營林署が全國に配置されされて居りまして、要保存國有地と云ふ看板を掲げて置いて、それを外すので中々億劫なことで、之を外せば水源地に困る、之を外せば防風林がなくなると云ふ論據で、中々舊習慣を持續して、捗々しく行かぬのでありますが、此のやうな御時勢になりまして、食糧増産が一番必要になつて來たから、そんな習慣に各地の營林署で囚はれて居てはいかないではないかと思ふのでありますが、それに付ては時代と天地が變つたんだぞと云ふことの目標を以て、中央から御指令を下さらねばいかぬと思ひます此の二點に付ての山林局長の御所見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=109
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110・黒河内透
○黒河内政府委員 第一點から御答へ致します、今度の百五十萬町歩の開墾豫定地が大部分國有林であるかと云ふ前提の下での御尋ねのやうに伺ひましたが、私共の承知して居ります限度としましては、國有林は概ね非常に山奧で、峻嶮な所が多い訳でありますので、原則と致しましては、百五十萬町歩は國有林以外の所に求めることに相成るものと了解を致して居ります、勿論國有林の中に於ても、出來得る限り之を探しまして、此の方に向ける必要がありますので、目下其の調査を具體的に進めて居りまするが、大部分が國有林であると云ふ風には參らぬやうに考へて居ります、隨ひまして、それに關聯しての御質問でございました日本のどの地方の國有林に重點を置くかと云ふ點に關しましては、自然百五十萬町歩を對象とんての話でなくて、限られた國有林の中から探し出される開墾豫定地が何處に多いだらうかと云ふことに問題を轉嫁して御答へしなければならないものがあります、さう云ふ見地から申しますると云ふと、やはり東北とか云ふ方面に自然多くなつて來る、斯う云ふ風に考へて居ります、尤も其の他に農林省直接の所管でない北海道の國有林と云ふものが非常に大きな問題でありますことは當然のことであります
次に、右に御答へ致しました大規模開墾に漏れた小さい所に付てはどう考へるか、斯う云ふ御尋ねでございましたが、是は私は大規模開墾に漏れた所でも、農耕地になし得る所は總て原則として農耕地にして參ると云ふ心掛でなければならぬと存じまして、其のやうな趣きを指令を發して居る訳であります、尚ほ其の場合問題になりますのは、今御話になりましたやうな水源涵養であるとか、或は防風林であるとか云ふやうな保安的任務を持つた林等があります、是等に付きましては、十分に實情を調べて見まして、古い時代に創定された保安林と云ふか、保安的な施業をして居るものが、其の後の情勢の變化に應じまして不要になるものが相當あらうと思ひます、斯う云ふものに付ては、十分に調査を致しまして、解除の處置を執つて參りたいと思ひます、それで營林署等の役人が山を愛するが故に、要存置の林地を不要存地に組替へて之を拂下げることが非常に愛惜の念に堪へないと云ふことは、私共山の職に携はつて居る者としては非常に同情出來ることであつて、それが又一つの非常に良いことぢやないかと思ひますが、併し國家の斯う云ふ非常なる變革に遭遇した時でございますので、委員長の御示しの點は洵に同感に感じまして、其のやうな心持で指導をして參りたいと存じて居る次第であります、但し一言附加へたいと思ひますることは、不要存地の拂下げの場合に於きまして、やはり開墾が確實に出來て行くと云ふことを私共確保して參りたいと思ひますので、それに對しましては、場所にも依りまするし、又そこに介入します府縣廳等の色々の指導の状態如何にも依ることでございますが、個人が任意に參りますと云ふやうな形のものに於きましては、やはり成功を條件とすると云ふことに致して參りたい、斯樣に存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=110
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111・川崎巳之太郎
○川崎委員長 能く分りました、有難うございました、次に蠶絲局長に御伺ひ致します、蠶絲問題に關しては、昨日、今日、熱烈なる質疑應答が重ねられましたが、御問答の模樣を第三者として此の席から伺うて居つて、はつきり煮え切らないやうに感ずる所がありますので、それを確かめて置きたいと思ふのであります、蠶絲統制會が廢まつて、全國的に此の蠶絲業者の大團體が出來る、是は規模から云つても、仕事から云つても、其の扱ふ金額から云つても、餘程大きなもので、且つ全國に亙るもので、農業界に於ける獨立國のやうな大きいものだらうと思ふのです、然るに一方は農業會が全國的に出來て居りまして、それから離れて獨立團體にさせるかさせないかと云ふやうな話に付ては、今朝の大臣の答辯でもまだ曖昧で、そこまでの御決心はないやうでありまして、考慮と云ふことで終つたやうでありますが、大臣の考慮すると云ふのは、事務當局の方々が色色研究するものを、大臣の答辯で以て拘束してしまふといかないからと云ふ御遠慮かと察するのでございまするが、實際是等の二つを別にしたらばどう云ふものだか、法規上色々不都合な所あれば改正すれば造作はない、其の改正も別に議會まで經るやうな改正でなく、小さなもので行けはせぬか、斯う思ふのですが、それだから農業會と蠶絲業會との關係如何と云ふことを、事務當局と致しまして、どうすれば御便利だと御考へになつて居るかを、此處で御意見を述べて戴きたい、それから養蠶は即ち食糧なり、是が昨日以來盛んに主張せられる點で、其の眼目に付ては農林大臣に於ても御異存のない趣きであつたが、さうすれば養蠶の方に專念する爲に、繭を幾ら作つたら馬鈴薯だの甘藷だのを供出するのに替へることが出來ると云ふことを確立させなければ、農民は養蠶の方に勵まぬと思ふ、養蠶に於て一町歩から得る收獲は、外の闇相場の別にして見た所で問題にならぬ程僅少だ、野菜なり、若しくは甘藷などにした所が、實際の賣買收入は非常に値段が高くて金額が多いのですから、馬鹿々々しい、蠶業に殘つて居る人間が少くなる、現に當局から御出しになりました養蠶家の表を見ても、桑を作付して居る面積等もどんどん減つてしまうて居る、是ぢや大事な食糧の輸入の見返り品にするに付ては此の程度で行けば心細くて堪らない、尚ほ第二の點と致しましては、主要食糧品供出に替へる繭の立場をどうするかと云ふことに付て、重ねて此處で腹臓のない御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=111
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112・山添利作
○山添政府委員 結局蠶絲業會と云ひますか、蠶絲の問題は非常に關係業者も色々な方面に亙って複雜でありまして、是が一つの纏まつた蠶絲業會を作ると云ふ點に付ては疑問はない訳でありますが、問題は養蠶が農業會の中に含まれて居るから、之を引離して養蠶は養蠶として一つの團體を作り、蠶絲業會の系統に屬すべきや否やと云ふ問題でありますが、是は一昨日から申上げますやにに、さう云ふことはしない方が宜しい、寧ろ現在の農業會の方に養蠶が屬して居る方が宜いのだ、少くとも現在に於ては宜いのだと云ふ風に考へて居るのであります、將來日本の食糧問題も解決し、又それぞれの養蠶にしても、畜産にしても、非常に安定した形で發展して行くと云ふ時代が來ますれば、又其の時の情勢に即して考へると云ふことが當然あることは豫期して居りますけれども、只今のやうな食糧事情の下に於きまして、之を養蠶なら養蠶を獨立させると云ふことは、農業經營としましての純理窟の上から拙いと云ふことは別問題と致しまして、養蠶を維持すると云ふ觀點からだけでも、私は非常にいけないと實は考へて居る訳であります、それから綜合供出と云ふ問題でありますが、成程綜合供出と言はれる趣旨は私にも能く分つて居ります、併し其の實行方法と云ふことになりますと、是は非常に困難な問題が澤山あるのでありまして、尚ほ研究を要する、詰る所問題は繭の供出と言ひますか、繭を一生懸命に作つて貰はなければならぬ、併し繭を作るには結局食糧の方に隘路がある、百姓自身が自分の食べる食糧がない、又供出が非常にきつい爲に、其の方面から來る壓迫と云ふものの爲に繭が出來ないと云ふことであります、到達點は結局食糧との調整を圖ると云ふことでありまして、其の方法としては、綜合供出の問題と、或はさう云ふ思想――實行上難しいことは別として、端的に繭を供出した方に食糧を供給すると云ふ二つのものがあるのであります、其の後の點に付きまして、今日の委員會に於て大臣から相當強い意味に於て考慮すると云ふ言明がなされたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=112
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113・川崎巳之太郎
○川崎委員長 分りました、最後に總務局長に御伺ひ致します、總務局長の管轄せられる部分が一番廣くて御答辯にも一番多くの時間を費し、一番奮鬪せられたのを拜見して居りますが、それを繰返すことを止めまして、簡單な二、三の點だけを伺つて見たいのです、去年は麥の廣幅薄播と云ふことが大變に宣傳せられまして、農林省が多大の國費を之に投じて補助し奬勵したやうでございます、結局農林省の方からどの位の金額を補助したことになるか、是も詳しい何圓何十錢は要りませぬから、大雜把の所で宜しい、併し私共の見る所では、一局部でありませうから、農林省の見た所では、廣幅薄播をやつたが、是だけと云ふ増收の御見込があれば承りたい、次に食糧補給の問題でありますが、大臣は未利用資源の利用と云ふことを能く言つて居るが、それは何かと云ふと、團栗の話が出るだけで、他は分らない、之を碎粉する機械がなければ困る、其の爲に四、五千萬圓の金額を計算して居る、一方機械があつても、目的の品物がなければ困る、食糧事情の困り方が切羽詰つて三度の食事を一度だけは粉食にしなければなるまいから、團栗以外に何か三つ四つ、或は九つ十位主なものを竝べ得るのではないか、例へば甘藷、馬鈴薯の澱粉を採つた滓も利用出來るのではないかと期待して居る、團栗一つでは國民は安心しないのでありますから、團栗以下是れ是れ、其の數字等に付ての御考へを承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=113
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114・楠見義男
○楠見政府委員 第二點の麥の廣幅薄播の點に付て正確な助成金は只今私覺えて居りませぬが、私の承知して居る所でも、此の運動の爲に、昨年は最低五百萬圓以上出して居ります、其の成績は實は御承知のやうに色々の條件が薄播には要るのであります、即ちそれに適する地性、氣候、特に肥料の問題が相當大きな影響を持つて居ります、そこで農林省としては、此の廣幅薄播を奬勵致す場合に於ても、御承知のやうに移植の問題があります、是は勞力を中心とした問題であります、此の廣幅薄播の方法或は移植の方法等に付ても、それぞれ各地方に於て耕種基準を決定して居りまして、積極的に是が奬勵に乘出したのであります、其の成績に付ては、洵に遺憾なことであつたのでありますが、處に依つては好い成績を擧げましたけれども、氣候の關係が、御承知のやうに相當不良であつたので、隨つて此の爲に所期の成績を擧げ得なかつたのは、洵に遺憾でありますが、併し此の條件さへ適ひますれば、廣幅薄播は決して一部で言つて居るやうな風に懸念さるべきではなく、寧ろ好成績を擧げ得るものと思ひますので、本年もやはり耕種改善基準の中にも取入れまして、奬勵を致して居ると云ふやうなことであります、是は直接農政局で取扱つて居りますので、私承知致して居りますのは、其の程度でございます
それから次に食糧補給の觀點から致しまする未利用資源の活用の問題であります、現在道府縣に米の綜合供出割當と致しまして、其の中に織込んで割當を致して居りますのは、米換算で百萬石餘――併し今後の食糧事情から申しますと、道府縣に割當を致して居ります米換算百萬石以上の雜穀、是が確保を圖らなければならぬことは當然であります、隨て之に付て計畫を立てて居るのでありますが、此の計畫を立てましても、結局受入態勢が整つて居りませぬと、中々之に活が入らない爲に、本會議なり此の委員會の席でも大臣が申されましたやうに、現在設備の方を準備致して居るのであります、然らばどう云ふものを狙つて居るかと申しますと、是も十數種類に上るものがあるのでありますが、私只今此處で覺えて居るものを申上げますと、先づ御承知の甘藷の莖葉、桑の殘葉、蠶蛹、蝗、それから只今委員長から御述べになりました澱粉粕、それから海藻類、其の他色々の果物の皮と云ふやうなものを考へて居るのでございます、同時に是だけでは中々榮養的の方面も考へなければなりませぬので、是等の未利用資源を粉食化して行きまする場合に、之に榮養的の價値を與へると云ふやうな意味から致しまして、是も水産局長から度々申上げたことでありますが、魚粉の確保と云ふことを特に力を入れて居るやうな次第であります、特に此の魚粉の問題に付きましては、其の設備の點に付きまして、同樣に今囘追加豫算として此の臨時議會の協贊を得て居る、斯う云ふやうな情勢になつて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=114
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115・加藤知正
○加藤(知)委員 私一點伺ひたいことがあるのですが、第一に山林局長に御伺ひ致したい、燻炭を奬勵することに付きましては、結局資材の問題であります、そこで未利用原野は勿論でありますが、國有林野の雜木雜草までも利用させて貰へれば十分燻炭を奬勵することが出來ると思ひます、是は非常に結構なことでございますから、容易に拂下げの出來るやうなことに御願ひをしたいと思ひますが、此の點に付て如何なものでありませうか、それを一つ御伺ひして見たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=115
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116・黒河内透
○黒河内政府委員 御答へ致します、大體國有林の雜木雜草は非常に里へ近い所は地元の用に供與することになつて居る訳でございますので、或は地元の町村が燻炭を造ると云ふことでありますれば、殆ど大部分の所は自由に取れると云ふやうに――尤も區域を限つては居りますけれども、自由に取れるやうに大體なつて居る筈だと思ひます、尚ほ此の點に付ては本年だつたと思ひますが、各地の營林署に對しても自給肥料の爲に必要なるものは無制限に供與するやうに便宜を圖れと云ふ通牒を發して居りますので、其の點に見ても申込まれれば必ず拂下げることが出來る、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=116
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117・川崎巳之太郎
○川崎委員長 それで大體終りますが、尚ほ今山林局長と加藤君との問答がありましたので、此の際總務局長に一言確めて置きたいのですが、昨日は加藤君及び安孫子君、今日は山田君より自給肥料の燻炭緑肥等に付て熱心に御述べになりましたし、其の外にも色々あることでございませう、そこで農林大臣は本會議の席上でも色々考へて居ると十把一からげに言つて居る、大臣の立場としては其の通りでせうが、之を利用して増産の實を擧げる、どうも此の儘ではしようがない、今年蒔付けた麥はどうするかを皆心配して居るのでありますから、それを大體論でなくて、もう少し實際的にして、行政機構の中に組入れて實際に運用する方法及びそれに對する入費等を正當な方法に於て支出して、有效に使つて大小麥を初め、其他の増産の實を擧げて貰ひたいと云ふのが、どなたも希望であると思ひますが、それに對する御所見は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=117
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118・楠見義男
○楠見政府委員 増産の問題に關聯しまして、肥料が一番大事なことは申上げるまでもないことであります、隨て化學肥料と同時に自給肥料に付ては、我々と致しましても最も此の點に關心を拂ひ、切實に其の増産を期して居るのであります、御存知のやうに、現在自給肥料關係の方は畜産關係も併せまして、約一億一千萬圓餘の經費を出して居るのであります、尤も此の一億一千萬圓餘の巨額の經費を使ひまして、是が的確な效果を擧げ、一億萬圓の金が二億圓にも三億圓にも效果が擧るやうに狙ふのが、最も適切な行政措置と考へるのであります、そこで行政面に於きましては、直接擔當致して居りますのは農政局でありますが、更に畜産方面では畜産局、それから落葉等の利用に付きましては特に林業試驗場あたりも非常な努力を拂つて居るのであります、結局是等の各局、各場署に跨つて居りまする行政の效果を綜合的に更に能く效果あらしめまするのは大臣、次官の任務であり、又其の輔佐に當つて居ります總務局の任務であらねばならぬので、隨て此の委員會或は本會に於きまして御述べになりました御趣旨に付きましては、特に全く同感の意を表しますし、結局我々の今までの努力に對しまして、更に一層の努力をせねばならぬと痛感して居るやうな次第であります、御論議のございました點に付きましては、十分尊重致しまして、又其の方向に努力を致したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=118
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119・別所喜一郎
○別所委員 議事進行に付て……先程來色々な御意見がありましたが、委員長は質問打切りの御動議をなされたやうでありますから、どうぞ其の趣旨に於て進めたいと思ひます、皆さんも其の御意見だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=119
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120・加藤知正
○加藤(知)委員 私本會議に於きまして、大臣に對して補充食として米糠と云ふものをどうしても食糧に供するやうにしなければいかぬ、それには米は四分搗位にして之を出させるやうにして、糠を補充食に用ひさせると云ふことを言つて居るのですが、御考へのある所を參考の爲に伺つて置きたい、玄米食は現在どう云ふ風にやつて居られるか、又米を搗く標準等に付て、どのやうに考へて居られるか、それ等の點をはつきりと伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=120
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121・楠見義男
○楠見政府委員 玄米食の問題に付きましては、御承知のやうな色々な經過を經て參つたのでありまするし、更に是は技術的の問題と致しまして、配給量が御承知のやうに現在重量で致して居りますので、白米に致した場合の配給量の問題、斯う云ふやうな點で極めて「デリケート」な問題がありますので、私只今此處で御尋ねの點に付て、明確なる御答辯を致し難いのを洵に遺憾に思ふのであります、併し其の點に付ては篤と我々今後の問題として研究を致したいと考へて居ります、尚ほ糠の食糧化の問題に付きましては、是は他の未利用資源も漁つて居るやうな情勢でありますから、勿論此の糠の食用化と云ふことに付ては、當然我々も頭の中に入れて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=121
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122・川崎巳之太郎
○川崎委員長 それでは明日十時から開會することにしまして、本日は此の程度で散會致します
午後四時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912907X00519451213&spkNum=122
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