1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月四日(木曜日)午前十時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=1
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002・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 只今より昨日に引續き、農林中央金庫法の一部を改正する法律案の委員會を開催致します、質問の繼續を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=2
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003・三須精一
○男爵三須精一君 昨日要求しました參考資料の配付を受けましたが、此の中に活字が消えて居りますが、多分藁工品配給株式會社と思ひますが、此の會社は既に解散されたと思ひますが、此の解散された斯う云ふ會社に對して、中央金庫がどう云ふ風な方法で貸付金を囘収されますか、此の點に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=3
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004・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 御答へ申上げます、昨日も申上げましたやうに、此の短期貨付金の貨付期間は極めて短いのでございますので、普通銀行の貸すのと同じでありますが、大體貸す場合に於て、どう云ふ方法で還すかと云ふことを條件と致しまして貸すのでございまして、其の内容は貸先に依つて色々違ふと思ひます、若し必要がありますれば、適當な擔保を頂戴しまして貸すことにして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=4
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005・三須精一
○男爵三須精一君 此の度第五條第一項中に蠶絲業會竝蠶絲協同組合が入つて農林中央金庫に加入することになりましたが、是は現在の資本金に、更に出資者として増額するのだらうと思ひますが、命令を以て定めると云ふことに依つて口數が決まりますか、どの位の口數を決める御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=5
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006・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 御答へ申上げます、現在の所では蠶絲業會及蠶絲協同組合の加入に付きましては、出資の増額と云ふことは考へて居りませぬ、唯今度日本馬事會が中央馬事會に改組致しましたのでありますが、是が脱退することになるのでありますので、其の競馬會の株を貰ふとか、或は其の他相當の株を持つて居る者が、それを讓りたい内面的の意嚮もありますので、それ等の株を讓り受けましてやつて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=6
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007・三須精一
○男爵三須精一君 もう一つ伺ひたいのでありますが、元來食糧の輸入は今後に於きましては各種の物が入つて來ると思ひますが、比の見返り物資として日本から生産される物は色々ありませうが、其の主なる物は生絲とか其の他水産物等色々ありませうが、全體總額としてどの位の御見込でありませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=7
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008・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 只今の御質問の御趣旨は新らしく入つた蠶絲業會或は蠶絲協同組合に對する融通の額でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=8
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009・三須精一
○男爵三須精一君 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=9
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010・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 蠶絲業に對する統制或は其の獎勵、改良、發達の爲にする色々な施設と云ふことが主なる仕事になつて居ります、又蠶絲協同組合は蠶絲業會の協同の買入を圖る爲の色々の施設を行ふと云ふのが其の目的になつて居ります關係上、仕事の上に於きましては多少の區別がございますが、大體に於きまして現在我々の方として考へて居りますのは、製絲業會の復興の資金と致しまして約二億程度のものが要る、斯う言はれて居りますので、其の一部が中央金庫の方で負擔せざるを得ないのではないか、斯う考へて居ります、それから又蠶絲業會が製絲業者から生絲を買取つて之を輸出の方に廻すのでございますが、其の生絲の買取資金としまして約五億圓程度の運轉資金が要ると云ふのでございますので、其の五億圓の一部は矢張り中央金庫に於て負擔しなければならぬ、斯う考へて居ります、又繭の代金は全體としまして約二十億要るのでございますが、之が運轉の過程から見まして、最高約其の七十「パーセント」、即ち十四、五億の金が運轉資金として要るのであります、從ひまして此の代金の一部も矢張り中央金庫に於て負擔しなければならぬ、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=10
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011・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 昨日一遍御尋ね致しましたことを繰返すやうになつて恐縮なのでございますが、昨日戴きました年賦限度調と云ふ參考資料に依りますと、三月末の拂込濟出資金が四千七百萬圓、之に對して年賦貸付現在額が二千二百萬圓、差引限度餘力が二千五百萬圓、自作農政府資金立替年賦貸付現在高が六千八百萬圓でありまして、三月末として限度超過が四千二百萬圓と云ふ開きが出て居ります、今度の御改正に依りまして自作農資金は政府資金に準じて年賦限度の制限から除外されると云ふことになりますと、結局此の數字を取られますと限度の餘力が二千五百萬圓と云ふことになるのであります、昨日も大臣からも御話がありましたやうに蠶絲業の團體が入つて來て、それ等の固定資金が要る、又農業團體其の他の所屬團體の方面でも色々事業を擴張する爲に長期資金が要ると云ふことも考へられるのでございます、一方政府資金の融通は止まると云ふことになりますので、それ等を全部自己資金で賄ふと云ふことになりますと、産業債券の發行が、自己資金に付ては債券の發行が中止になつて居りませぬ、結局限度餘力と云ふものは拂込濟出資額の年賦限度の一應の額になるのではないかと思ひます、先程の御話で今度新たに所屬團體が殖えても増資はしないと云ふことになりますと、二千五、六百萬と云ふものが限度の餘裕と云ふことに考へて差支ないと思ひますが、其の位のもので今後當分差支ないものであると云ふ御見透しを御持ちになつて居るのでございませうか、と申しますのは、昨日も申上げましたやうに今度新たに始めた處の自作農なんかに付ては政府資金に準じて年賦の限度の枠から外すと云ふことになりますと、自己資金の年賦貸付に付ても年賦の限度を緩和することを考へることも必要があるのではないか、其の必要はないやうに一應御答を戴いたのでありますが、それ等に付ての御見透しと言ひますか、一應………発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=11
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012・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 御答を申上げます、今囘の十四條の二の改正は實は今御質問のありましたやうな點を心配致しましてやつたのでございまして、一應枠を外しました自己資金の貨付限度としまして自作農創設でありますとか或は土地の改良造成と云ふやうなことになつて居るのでありますが、是は我々の考へとしましては最も重點的な事業に對して貸付けたいと云ふやうな意味合に於きまして一つの例を示したのでございます、從ひまして其の所屬員に於きまして爲す仕事に付きまして更に重要なものがあつて、主務大臣が認定致しますれば、それ等に付きましても外れた枠の中から貸付も考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=12
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013・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 斯う云ふことを御尋するのは少しどうかと思ふのでございますけれども、最近金庫法は度々改正されて居るのでありますが、それ等は何れも其の時の必要に應じて其の法の一部分を御改正になつたと云ふやうな風に見受けられるのであります、是も戰時中のことでございますから、已むを得なかつた點もあると思ひます、今囘の改正も矢張り稍稍さう云ふやうな感じがするのであります、それで金庫法全體を今になつて見ますと云ふと、時々刻々其の時の必要に應じて改正されて、稍稍首尾一貫しないやうな感じがないでもないやうな點があります、例へば昨日もちよつと申上げました餘裕金運用として定期貨付を十年と御認めになるならば、本來の事業としての定期貸付も必ずしも五年以内に限ると云ふこともどうか、其の他出資者の所屬團體の關係に付きましても、先程ちよつと御話が出ましたやうな馬事會なんかは今度脱退しなければならないと云ふやうなことになります、又市街地信用組合に付きましては、是は庶民金庫に行く、市街地信用組合のみの中央金融機關を作つて貰ふと云ふやうなことで所屬團體の中には色々整理するものが將來起つて來るのぢやないか、又此の頃の所謂民主化と云ふことから言ひまして、斯う云ふことが良いか惡いかと云ふことは、私の考も決つて居ないのでありますが、中金の役員の何が、全農あたりがああ云ふやうな形で役員を選出して居るのに對して、依然として政府任命の途で行くことが宜いのかどうか、或は中金の事業の範圍と云ふものは飽く迄團體貸付一本槍で今後差支ないかと云ふやうな、色々問題があると思ふのであります、一方又現在の農業團體法を農業共同組合法と云ふやうなものに御改めになると云ふやうなことも、大分世間に話が出て居ります、農地制度も更に根本的に改正されると云ふ話があるやうであります、近い將來中金法全體に付て根本的に何とか之を全體の情勢に合ふやうに御改めになると云ふ御考をお持ちでございますか、或は其の必要がない、此の儘で差支ないと云ふ御見込でありますか、其の點を一つ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=13
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014・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 御答へ申上げます、只今の御質問は誠に御尤ものことでありまして、私共と致しまして十分痛感致して居るのであります、從ひまして寄り寄り我々の間に於きまして研究機關的なものを設けまして、全體的な問題に付きまして檢討致して居るのであります、斯う云ふやうな情勢でありまして、將來を見透した農林金融機關を實體に即するやうに致したいと思つて居るのでありまして、此の議會に出しましてほんの一應の段取が片付きましたならば、相當な範圍の研究調査會を設けまして、一應農林中央金庫法全體に付きまして檢討を加へまして、全般的な改正調整をやつて行きたい、斯う云ふやうに考へて居るのでございます、唯今囘は會期も非常に短いのでありまして、それに憲法其の他相當大きな法案が懸つて居るのでありまして、此の際に全般的な改正を行ふのはどうかと云ふやうな見透しから致しまして、最小限度必要な點だけを採り上げまして提出致した次第でありまして、引續きまして全體のものに付きましては十分檢討を加へまして御趣旨に添ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=14
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015・北條雋八
○子爵北條雋八君 昨日もちよつと御尋をしたのでございますが、戰時中に軍需融資として貸付をされました、是は戰時金融金庫から貸付けられてあるのでありますが、今度の改正に依りまして戰時金融金庫が削除されました、さうしますと、農林中央金庫と戰時金融金庫との間の整理と申しますか、決濟はどう云ふことになるのでございませうか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=15
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016・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 昨日もちよつと大臣から御答へ申上げたかと思ひますが、戰時金融金庫に融通致しました額は約五億七千萬圓程度であります、是は此の政府の社債の引受と云ふやうな恰好であるのでありまして、從ひまして之が整理に付きましては、現在に於きましては、一般の補償問題でありますとか、其の他是等の特殊金融金庫の整理の全體の問題に對する政府の全體立案が立たなければ、どうするかと云ふことはちよつと今御答へ致し兼ねると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=16
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017・北條雋八
○子爵北條雋八君 尚此の際伺ひたいのでありますが、確か第八十六議會で、衆議員議員の提出法案になりますが、森林資源造成法案と云ふものが出來まして、我々と致しましては、此の法案は單に我が國の森林資源の造成のみならず、治山治水上から食糧の増産にも非常に影響を及します重大なる法案として、非常に期待を持つて居つた譯でありますが、其の後其の法案に依りまして、農林中央金庫から發行されました農林證券の額はどの位なのでございませうか、尚其の當時と現在と比べますと、終戰前後の關係から物價も非常に變動を來しまして、造林費の如きは到底其の當時の經費では實行出來ないと云ふ關係から、將來餘り其の證券が有效に使はれないのぢやないかと云ふやうな危惧を持つて居るのでありますが、それ等の對策として當然政府に於かれましては考へられて居りませうけれども、それ等の對策に付きまして何か御考があるならば併せて伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=17
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018・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 此の森林資源造成法に基きます森林證券に對しまして、中央農林金庫から貸出しました額は三月末に於きまして百四十六萬圓でございます、それから今後の此の森林資源の造成に關しまする見透しの問題でございますが、此の問題に付きましては、戰時中相當濫伐がありました關係上、どうしても今後の森林育成上の問題から非常な大きな問題になつて居るのでありまして、此の點に付きましては山林當局の方に於きましても、事務的に色々研究致しまして、豫算的な措置を講じて居ると思ひますが、更に中央金庫關係から致しまして、本問題に付きまして御要求があれば出來るだけ便宜を與へて行きたいと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=18
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019・北條雋八
○子爵北條雋八君 どうか其の點は十分考慮せられまして、戰時中特に濫伐、過伐等を繰返して來た我が國の治山治水竝に資源の造成に對して十分の御考慮を拂はれむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=19
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020・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 此の際ちよつと御諮り致しますが、委員外の片倉君から發言を求められて居りますが、此の際之を許可することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=20
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021・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 御異議ないと認めます、片倉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=21
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022・片倉兼太郎
○委員外議員(片倉兼太郎君) 御許しを戴きまして、委員外の者として私蠶絲に關することを蠶絲局長さんに御伺したいと思ふのであります、御承知の通り昨年の秋だつたと思ひますが、帝國議會に蠶絲業の幾多の法令のありますものを一大整理をなさつて、蠶絲業法案を御提出になり、成立を見たのであります、其の場合私も蠶絲業法の委員となつて居りまして、蠶絲協同組合と云ふものは蠶絲業に關係ある者ならば如何なる者でも蠶絲協同組合の構成員、所謂構成部員となることが出來ることがあり得ると思ふが、如何でせうかと云ふことを御尋ね致したのであります、其の場合、先の大臣でありましたか、或は局長さんでありましたか、記憶致しませぬが、それは蠶絲業に關係ある者なら、如何なる者でも構成分子になつて宜しいのだ、言つて見ますると、養蠶家であらうが、種を拵へる蠶種家であらうが、製絲家であらうが、其の他蠶絲業に關係ある者は協同組合員になると云ふことに差支ないかあるかと云ふことを御尋した所が、御返事は差支はないと云ふやうに承知して居りましたが、今でも其の方針を御執りになりつつ御ありでありませうか、それを第一に御伺ひ致したいと思ふのであります、次に又矢張り蠶絲協同組合の蠶種に關係があるのでありますが、詰り種を拵へる蠶種協同組合、所謂蠶種協同組合の構成員になる者は、蠶種業者でなければいけないのだ、言つて見ると、先程の御話に申上げましたことで、協同組合に蠶絲業の如何なる部門の者でも協同組合に入れると云ふことになりますれば、それは製絲業者が種を拵へる部門に入らうが、或は養蠶家が種を拵へる部門に入らうが、協同組合の施設員の構成分子になることが出來ると思ふのであります、只今私共の承知して居ります所に依りますと云ふと、蠶種の免許を持つて居なければ蠶種協同組合の構成員になることが出來ぬと云ふやうなことを承つて居ります、尚又製絲業をして居る者が蠶種協同組合に入るには、製絲業をして居る者に一旦新らしい種の免許を與へ、さうして構成員になると云ふやうなことに承つて居りますが、果してさう云ふ風な事實でありませうか、如何でありませうか、私共考へて見ますれば、結局蠶種協同組合、所謂蠶種でも蠶絲でも同じでありますが、蠶種業に關係ある協同施設組合の方で行きますれば、誰がありましても、其の組合に對して、免許さへ與へれば差支へないものであるから、組合に態態免許權を與へて、さうしてそれを扱はなければならぬと云ふやうなことが私共から見ると、どうも分り兼ねるやうなことになつて居るのであります、して見ると、結局さうなると云ふと、蠶種協同組合、種の方の協同組合の組合員になつて居る者は、自分としても免許を持ち、又組合として免許を持つと云ふ風な所謂二重免許になると云ふやうな氣が致すのであります、今の蠶種業に關する場合は、二重免許のやうなことで非常に困つたことがあるのでありますから、斯う云ふ機會に於きましては、寧ろ蠶種協同組合の構成員になつた者は其の免許を取消して、さうして蠶種協同組合に免許を與へてありさへするならば、差支ないやうな氣が私は致すのであります、之に對して蠶絲局長の御答を承つて、今後私共の蠶絲業の進むべき途を進んで行きたいと思ふのでありますが、之を一應伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=22
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023・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 只今片倉さんから御質問になりました蠶絲業者は、其の業種の如何を問はず總て協同組合の構成員になれると云ふことを曩の議會で農林大臣が御答辯になつたのであります、それはちつとも違つては居ないと思ふのであります、唯蠶絲業者は自分の該當致して居ります業種に付て、何か協同經營をやると云ふ場合に此の協同組合に加入出来るのでありまして、或種の蠶絲業者が違つた事業に付きまして協同組合を組織すると云ふ場合に、其の違つた事業を行ふ協同組合には加入が出來ないと云ふ風に考へて居るのであります、例を採つて申しますると種子に付きまして協同組合を作ります場合には、矢張り種子としての蠶種業者の方が組合員になれるのでありまして、違つた種類の、例へば製絲をやつて居る方が種子の協同組合に御入りになると云ふことは出來ない、其の場合には種子の業者としての資格を得て入つて戴くと云ふ風に現在解釋を致し、又免許を致して居るのであります、で養蠶家等に付きましては、自分の製造致しました繭の加工を協同でやると云ふ場合がありますので、養蠶家は協同致しまして製絲の協同組合を作る、斯う云ふやうな場合には養蠶家に製絲の協同組合の免許を致して居るのであります、現在免許を受けて居りまする業種と違つた事業を營む協同組合には入れないと云ふ風に解釋を致して居るのでありまして、只今の點は左樣に御承知を願ひたいのであります、併し是でどうしてもさう云ふことでは不都合だと云ふことでございますれば、更に研究を致しまして、改めるべき點がございますれば改めて參りたいと思ひまするが、現在の政府の解釋と致しましては、左樣に、今申しましたやうに解釋を致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=23
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024・片倉兼太郎
○委員外議員(片倉兼太郎君) 先程私が御尋ね致しましたのは、蠶種の方の二重免許のことを御答へ願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=24
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025・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 今申しましたやうな解釋を取つて居りまするので、製絲家は種子の協同組合に入ります場合には一應個人として種子の免許を取つて戴きまして、其の上で協同組合に入つて戴く、協同組合が出來ました場合に協同組合に又免許をする、所謂二重免許と云ふ方法を取つて居るのでありまして、現在の處さうすべきであらうと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=25
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026・片倉兼太郎
○委員外議員(片倉兼太郎君) さう致しますと、私共不可解に思ふのは、養蠶に從事する者が製絲を致す場合に於て、養蠶業者には製絲の免許をせずして、さうして製絲の協同組合が出來ると思ふのでありますが、蠶種業だけどう云ふ譯で其の二重免許をしなければならぬのでありますか、私は此の二重免許と云ふことは非常に弊害が多いと思ふのであります、考へて見ると云ふと、構成員になつた以上は其の免許を與へた者の免許を取消しさへすれば宜いのです、假に極端な例を申しますると云ふと、株式會社の株式を所有して居る者であることになれば、蠶種なら蠶種をやるとすれば、其の株式會社の株主に所謂免許を與へると同じやうな意味に私共も取れて困るのでありますが、結局私は此の種子の協同組合に入る者はさう云ふことで受けてなければ協同施設もやることが出來ぬと云ふことならば、一旦免許を與へることは宜いが、詰り協同組合に加入してしまふ、一つの團體に入つたならば、其の入つた人だけは免許を取消して行つて然るべきものではなからうか、斯う思はれるやうな氣が致すのであります、さうしなければ先程申しましたやうに、製絲に關係あるもので養蠶家が製絲をする時には養蠶業者に製絲の免許を與へる、さうして今度は製絲協同施設組合を拵へさせると云ふやうなことになりはしないかと思ひますが、蠶種と製絲の御取扱に二重の關係があるのでありますが、之に對してどう云ふやうな御所見を御持ちでありませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=26
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027・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 養蠶家が協同して自分の造つた繭の處理をする、是は此の協同組合として法令にははつきり書いてあるのであります、自分の生産したものを協同で行ふと云ふことは協同組合として出來るのであります、養蠶家が自分の造りました繭を協同して加工する、其の爲に協同組合を造ると云ふことは是は法律にもはつきり書かれて居るのであります、唯製絲業者が種子の協同組合に入ると云ふことは、製絲業と云ふことから種子の製造と云ふことは當然には出て參らないのでありまして、一度協同組合に入る前に種子の免許を受けて戴くと云ふ主義に解釋を取つて居るのであります、其の場合に組合で免許を受けた場合には組合員の免許は取消すべきでないかと云ふ御話でありますが、是は私共の解釋と致しましては、會社の株主とは違ふのでありまして、個々の種子の業者が協同をして一つの施設を致すのでありまして、協同組合を造りましても、組合員は依然として業者である、所謂協同の組合であると云ふ解釋からさう云ふ二重免許と云ひますか、方法を取つて居るのであります、此の點はさう云ふ風に御承知を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=27
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028・片倉兼太郎
○委員外議員(片倉兼太郎君) 甚だ諄いやうで何でありますが、さうしますると、製絲業者が假に協同施設を拵へる時には、製絲業者は協同施設を拵へて居つた時には、製絲業者として矢張り二重免許を持つて居ることになるものでありますか、其の場合は二重免許に入らないものでありますか、それをちよつと伺ひたいと思ひます、而も今は自由主義と申しますか、斯う云ふ時代に蠶絲業の關係だけは種子でも製絲でも御役所の許可がなければ出來ないのであります、許可があつてこそ始めて其の仕事が出來るのでありますから、許可の權利を役所が持つて居る以上は、二重免許に爲さつて置かなくても宜いものではなからうかと思ふのであります、是は何故私が二重免許のことを諄々申すかと言ひますと、嘗て戰爭中に陸海軍の被服の關係で日本の製絲業者を一團として、さうして國策に副ふやうにしたことがあるのであります、其の場合に於きまして、總てが詰り言つて見ると免許も其の會社へしたのであります、尤も工場とでありますけれども、免許をした、外にすることが出來ないのでありますから、さう云ふやうな場合から行きましても、全部の方の營業權と云ふものは、二重でなくて一つにしてお置きにならなければ、今後場合に依つて種々の弊害が生じ易いと私は思ふのでありますから、それに付てはどうか十分に一つ御檢討を願つて、今後一つのものが一方へ入つて、其の組合が免許を持つて居る、又自分も持つて居ると云ふことはどうも必要がないと思ふのである、將來必要があれば政府では免許を御許しになれば宜いのでありますから、さう云ふことをなさることが、非常に將來禍根を貽すべきものだと思ふのでありますから、之に付ては一つ……是以上御伺ひ致したくはありませぬが、一つ御研究を願つて、さうして弊害のないやうに一つ願つて置きたいと思ふのであります、私は是以上申上げても同じでありますから、此の質問は打切りますが、十分御研究を願つた上で御配慮を願つて置きたいと思ひます、是で私は質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=28
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029・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは委員の質問を繼續致します、只今開拓局長と蠶絲局長と御見えですから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=29
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030・北條雋八
○子爵北條雋八君 此の際本案に關係のありまする先年政府で決定されました緊急開拓事業の其の後の經過と、竝に將來の見透に付て、開拓局長から御話を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=30
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031・笹山茂太郎
○政府委員(笹山茂太郎君) 只今北條さんから御尋がありました緊急開拓計畫の其の後の實績と言ひますか、さう言つた方面に付きまして御説明を申上げます、昨年の十一月閣議で決定せられました緊急開拓計畫は、大體に於て滑り出したのは十二月頃でございまして、實は豫定よりも相當發足が遲れたのでございます、從ひまして當初去年の計畫に於きましては、今年の三月迄即ち昭和二十年度に於きましては、開墾に付きましては十七萬町歩……九萬二千町歩、土地改良に付きましては約七十萬町歩と云ふやうな計畫をして、それに副つて實施を致して居つたのでございますが、其の實績を見ますると、當初豫定されて居りました機械、即ち「トラクター」とか「プラウ」「ハロウ」、さう云つた機械開墾に依る部面を相當豫定して居りました處、それ等の生産が思つたより進捗しませぬで齟齬を致して居るのでございます、それから何分にも初めてのことでございますので、適地の選定等に付きまして、色々地方に依りましてまごついた、不便もありますので、結局に於きまして三月に於ては當初の豫定に比べて見ますると大體七割程度の實績しか上つて居らないのであります、又入植豫定に付きましても、大體去年は九萬戸程度を入植させようと云ふ計畫を持つて居りましたのでございますが、何分にも住宅の資材其の他が不足を致して居るのでございまして、昨年は丁度演習地、軍用地等の開墾が多かつた關係上、さう云つた方面の兵舎とか或は廠舍と云ふ方面の利用が出來た範圍に於て、やつと入植が出來たやうな次第でございます、從ひまして、此の入植關係に付きましては、九萬の豫定に比較しまして約四萬と云ふ風に甚だ振はない状態を呈して居るのでございます、本年度四月から只今迄の状況を見ますると、我々が當初心配して居りました所の「トラクター」の生産が比較的順調に參つては居ります、併しながら我々の理想とする臺數にはまだまだ遠いのでございまして、其の生産の隘路を成すものは、最近の石炭事情の關係から「コークス」が不足である、或は食糧の方面が窮屈になつて居ると云つた關係もございまして、やつと今年の暮頃になりますと、二千臺近くのものが出來るのではないかと思ふのでございます、さう云ふやうな次第でございまして、幾分前年度よりは好轉は致して居りますけれども、なかなか資材方面、食糧方面、何れも窮屈でございまして、相當困難が伴ふものと豫想しなければならぬと思ふのでございます、尚開墾の實際の入植者の状態でございますが、所に依りましては非常に成功を致して居る面もあるのでございますが、所に依りましては非常に土壤の瘠薄な所に差掛りまして、其の土性の改良に非常に困難を致して居る關係上、思つたよりも生産が擧らないと云ふことで非常に難澁を致して居る開拓民もあるのでございます、そこで我々としましては、兎に角斯う云つた今迄に知られた「ウオーンランド」を對手にして其處に健全なる營農形態を作らなければならぬと云ふことでありまするので、土性、土壤の改良、之を何よりも先にしなければならぬと云ふことで、折角其の方面の對策に付て努力を致して居るのであります、併しながら御承知のやうに、茲に於て肥料事情が斯樣に窮屈になつて來て居るのでありまして、結局堆肥厩肥に依つて土性改良、土壤の改良をやらなければならぬと云ふ事態に差掛つて居るのでございますが、是亦家畜の飼料等の關係に依りまして思ふやうに運ばない、結局石灰施用に依りまして酸性土壤の改良が、幾分好轉するのではないかと云ふ風に考へて居るのであります、又食糧の問題に付きましても、當初若干の加配を致して居つたのでございますが、是等は開拓農民に對する食糧の加配と云ふことも、此の全體的な食糧危機の際でございますので、さう豫定通り、當初の計畫通り進むと云ふ譯には參りませぬので、地方に依りましてはそれぞれ縣の事情に依りまして相當な減配を致して居ると云ふやうな事情にあるのでございます、さう云つた譯で、今後の我我の見透し、計畫と致しましては、二十一年度に於きましては大體大規模開墾が約五萬町歩、小規模開墾が八萬町歩、それから國營の直轄の事業が三千町歩、合せて十三萬三千町歩の開墾を致したいと云ふことで計畫を立てて居るのでございます、又本年度からは新たに干拓を實施したい、是は色々技術的には面倒な問題があるのでございますが、増産の方面から見ますると兎に角土壤が相當肥えて居りますので、是等の方面に付ても速急著手致して參りたいと云ふことで、全國に於て大體十三地區を豫定致しまして、專ら調査設計を致し、さうして來年度の事業に取掛る爲の色々の資材の準備調達等に努めて行きたい、斯う云ふ風に考へて居ります、勿論其の中で今年の中に資材其の他の準備が完了致しました地區に於きましては、本年度からも直ぐ施工して參りたいと思つて居るのでございます、尚其の外に土地改良があるのでございますが、是は第四次の土地改良は大體豫定の計畫通り、此の田植の時期まで完了を致して居るのでございます、そこで是から土地改良事業は今年の秋から來年の植付迄第五次の土地改良として大體九十萬町歩の面積を目標に致しました所の計畫を以ちまして進めて參りたいと思つて居るのでございす、是等の事業に付きましては、まだ關係方面と篤と其の規模、計畫等に付きまして、機は熟して居りませぬが、我々の希望と致しましては、先程申上げたやうに、九十萬町歩を對象にして進んで參りたいと云ふ計畫を持つて居るのでございます、本年度は非常に海外からの引揚者、殊に滿洲開拓民等々、相當歸つて來ることと豫想せられますので、是等の海外引揚民、其の他復員者、竝に其の他の失業者は相當開墾開拓に對しまして希望を持つて居るのでございます、現在の處是等の希望者が餘り多數である爲に、全體に付きましては迚も收容を致すことが出來ないと云ふ状況でございまして、我々の方では何とかして出來るだけ澤山の人に是等の希望を遂げさせて參りたいと云ふ風に思ひまして、今開墾適地の調査其の他に付きまして中央及び地方廰それぞれ手を分けまして、折角努力中でございます、尚北海道との關係でございますが、北海道が此の緊急開拓計畫に於て占める所の地位が相當の此重が重いのでございまして、北海道と`内地との關係、殊に内地から北海道に入植すると云ふ方々の斡旋其の他に付きましては、只今内務省及び北海道廰方面と實質的に聯絡を執つて、そこに緊密なる調整を圖つて參りたいと思つて居る次第でございます、以上のやうな工合で、今後の開拓事業は色々の面に於て困難性を來して居るのでございますが、我々と致しましては、兎も角も國土が斯樣に狹くなつた現在に於きましては、國土利用の高度化と云ふことに是非共盡しまして、さうして澤山の人に出來るだけ完全なる生業を與へる、一面又それ等に依りまして現在逼迫して居る所の食糧難の打開の一助にもしたいと云ふことで進んで居るのでございまして、どうか此の點に付きましては各方面の又御援助を御願ひ致したいのでございます、概略開拓事業に付きまして現在の實情を御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=31
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032・北條雋八
○子爵北條雋八君 詳細に亙りましての御説明有難うございました、伺ひますと入植者が豫定の九萬戸に對して四萬戸と云ふ譯で非常に少いのでありますが、其の隘路は食糧事情に基くものでありませうか、住宅關係でありませうか、何が一番原因して居るのでございませうか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=32
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033・笹山茂太郎
○政府委員(笹山茂太郎君) 是は色々な問題があるのでございますが、先づ入植希望者があつても、適當な候補地が近くに容易に見付からないと云つたやうな原因、それからさう云つた土地が見付かつても、其處に住ひを致して開墾に從事すると云ふ住宅の問題がある、資材其の他の關係上なかなか直ぐにはやり難いと云つたやうな關係、又開墾では御承知の通り相當奧地にある關係上、其處に於て食糧其の他の供給を十分に致すと云ふことは困難であると云ふ色々な事情に基くものであるのでございます、我々と致しましては何としても、此の入植事業を進めて參るには先づ其の社會的に見ても、又自然的に見ても立派な開墾の適地を見付けてやるのが先決と考へまして、それには先程申上げたやうに開墾適地調査班と云ふやうなものを、中央、地方に於て編成しまして、現在調査に從事中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=33
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034・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 委員外の發言を求めて居りますが、許可することに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=34
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035・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 今度の法案で大分食糧の増産に寄與することの非常に多いことになりましたことは、大變宜いことでございますが、此の貸出に付て認可制が……我が國ではまあ從來から何事に依らず斯う云ふ代物は認可々々と云ふことになつて居るのですが、終戰後の前々の情勢を見て參りますと、斯う云ふ認可は宜くないと云ふ空氣が多いのであります、もう是だけのものを戴いてあるのだからもう以前のやうに役所に一々認可をせぬ方が宜くはないかと云ふやうな内外の情勢が濃厚のやうに聞いて居ります、寧ろ是は直ぐに認可を止めると云ふやうなことは今日の現状として困難かも知れませぬけれども、追々斯う云ふ點に付ては内外の情勢に考へて除々に御止めになると云ふやうな御意嚮はありますまいか、是が一つ、もう一つはそれが直ぐに實現することが困難と云ふことになりますれば、今日の如き何と云うても物を増産せねばいかぬ、増産をすると云ふことで、増産々々と云ふのでありますが、増産をする根幹になるものの工場なり、船舶なり、設備が早く出來ぬと云ふと、増産が出來ぬ、處が其の設備と云ふものは今物に依つて十倍或は二十倍、今迄十萬圓貸出して居るのが、百萬圓、二百萬圓、斯う云ふやうなことになつて居りますが、當業者でも設備に厖大な金の掛ることは非常にびつくりして居る、驚いて居る、けれどもそれに對して又由つて生ずる所のものも五倍、十倍になつて居るのですから、採算上から言ひますと、設備收益と云ふことは大してありませぬけれども、兎に角まあ「バランス」はそれで蔽うて行くやうになつて居る、然るにそれに對する金融を圖る面に於てはなかなか神經過敏でびつくりして居る、是は御尤もなことなのです、當業者でさへびつくりするのですから、況やさう云ふものに金融をする、或は若し囘收が出來なかつたら色色な方面に迷惑を掛けると云ふやうなことの責任を持つて居る金融業者では御尤もなことなのです、けれども時勢はです、之をさう云ふ場合に躊躇して其の決裁を澁つて居ると云ふやうなことをしたら今日の非常な困難になつて居る難局を打開することは出來ぬのであります、それで認可制の撤廢と云ふことが急速に行はれぬと云ふ際に於ては出來るだけさう云ふ認可に付ては從來より一層早く處理をして認可すべきものは認可する、認可すべからざるものは其の理由を以て却下すると云ふやうなことを當然おやりにならなければならぬと思ふのでありますが、上の方ではそれが能く分つて居りましても、下の事務の方へ行きますと、なかなか十分にそれが滲透せぬことが能くあるのです、それ等に付て刻下非常に重大な秋でございますから、當局の方ではどう云ふ御考を持つて居りますでせうか、もう一つの點は、最近漁村の方は相當殷賑を極めて、所謂漁村に上るべき金額が相當多いですが、其の割に中央金庫の方へ入つて來て居らぬやうに思はれますが、何か其の囘收に付て不十分な點があるのではありますまいか、凡そどの位漁村の方から農林中央金庫の方へ預金のやうなものがございませうか、それが御分りになつて居れば承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=35
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036・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 第一點の認可の問題でございまするが、本問題に付きましては、御質問のやうな御考も多々あると存じます、併しながら現状に於きましては農林中央金庫だけではなく、他の特殊金融機關に付きましても同樣な制度が設置されて居りますので、我々と致しましては、此の特殊金融機關全體に亙りまする色々再檢討の機會に於きまして、此の問題に付きましては愼重に考究致したいと思つて居ります、尚今囘の改正に於きまして此の事項を存して置いた所以のものは、今のやうな考の外に、更に重點的に融資しなければならぬと云ふ建前からしまして、十分に實績に徴しまして合理的に金融が流れて行くやうに、言ひ換れば日本の敗戰後の經濟再建に最も役立つやうな金融の仕方をして戴きたいと云ふやうな意味合から致しまして、蛇足であるかも知れませぬが、此の文字を入れまして、官民協力致しまして此の目的達成に邁進したいと斯う云ふ趣旨でございます、それから第二點に付きましては、是は事務的な問題と存じますが、私共に於きましても十分注意致しまして重點的なものに付きましては不合理のないやうに致したいと思ひます、第三の點に付きましては、現在漁村から來て居ります所の貯金は水産業團體を通じて來て居るのでありますが、約三千五百萬圓程度であります、之に對しまして漁村關係に貸して居る中央金庫の貸出は一億八千萬圓程度となつて居ります、御參考迄に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=36
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037・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 能く分りましたが、今の三千萬圓と云うのは非常に少いやうに思ふのです、まさか全部退藏して居りはせぬと思ひますが、獎勵と云ふか、鞭撻と云ふか、もつと相當に金がなければならぬ、ある筈ですから、十分に御考へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=37
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038・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 私は御提案になつた此の法文に付て、ちよつと簡單なことを一つ御伺ひ致したいと思ひます、農林中央金庫法の第十五條に於きまして「農林中央金庫は左の方法に依るの外業務上の餘裕金を運用することを得ず」として一から六迄竝べてあります、其の第二項に持つて行つて「前項の餘裕金運用に關し必要なる事項は命令を以て之を定む」と斯う書いてあります、是は當然なことでありますが、新たに差込まむとする、詰り改正案の第十五條の二には、第十五條の二項に該當するやうな規定がないのでありまするけれども、是はなくて宜しいのですかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=38
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039・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 只今の點に付て御答へ申上げます、今囘の改正に於きましては、十五條の二に於きまして「農林中央金庫は特に必要ありと認めたる場合に於ては前條第一項の規定に拘らず命令の定むる所に依り」と云ふことを謳つて居るのでございまして、主務大臣の命令に依りまして色々な規定を設けて行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=39
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040・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 只今の御答で、私は實は此の法案を始めて手にする者でありますが、讀んで見ますると、十五條二項の命令と云ふのと十五條の二の命令と云ふのとは、私は違ふと思ふ、十五條の二項の「前項の餘裕金運用に關し必要なる事項は命令を以て之を定む」、詰り運用のやり方と云ふものは命令を以て定める、斯う私は讀むのです、併しながら今度新たに差し加へる方の十五條の二の「命令の定むる所に依り」と云ふのは、十五條の一項では、外へ運用してはいかぬ、是は命令を以て定める、斯う云ふ意味で、前の「命令を以て之を定む」と云ふのとは意味が違ふのぢやないか、斯う私は解したのですけれども、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=40
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041・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 今囘の十五條二の挿入規定は、臨時暫定的な所謂例外規定でございますので、一般的な餘裕金の運用に付きましては現條に依つて行きますが、此の例外規定の分に付きましては、農林大臣に於て別に命令を以て定めたい、斯う云ふ考から致しまして、特に此の二項を置かなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=41
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042・諸橋久太郎
○諸橋久太郎君 參考資料に戴いた中で、本金庫の餘裕金の運用の中にございますが、外國證券の八億八千七百六萬四千圓ですか、之の内譯の明細と云ひますか、それの金額の内容と云ふやうなものを拜聽致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=42
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043・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 外國證券の内譯の金額でございますが、澤山ございますが申上げます、滿洲國の公債が百三十萬四千十六圓、南滿洲鐵道の社債が一億一千百八十四萬七千七百七十九圓、滿洲重工業が四千五百二十六萬二千五百九十三圓、滿洲電業が五千一百十三萬三千三百三十七圓、滿拓公社が四千二百九十萬七千四百五十七圓、滿洲興業債券が三千五百七十三萬八千五圓、滿洲鴨緑江が千三百二十八萬七千三百三十二圓、舊昭和精鋼所が七百三十九萬五千四百九十圓、舊本溪湖鐵工所が二百九十四萬二千二百五十九圓、滿洲電々が六百三萬八千七百二十五圓、朝鮮殖産が一億二千六百二十九萬二千五百十六圓、朝鮮電業が四千九十四萬六千四百七十九圓、朝鮮鴨緑江が百九十八萬三千圓、東洋拓殖が三千二百二十八萬四千九百七十五圓、日本窒素が三千六百八十二萬九千百六十一圓、臺灣電力が一千九十三萬二千五百四十五圓、臺灣拓殖が二百八十七萬五千九百五十四圓、樺太開發が二千百五十一萬三千八十五圓、北支開發が一億一千二百七十二萬二百六圓、中支振興が三千七十四萬一千八百八十六圓、南洋拓殖が二百八十八萬六千九百五十圓、南洋開發が一億四千九百四十萬圓、斯樣になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=43
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044・諸橋久太郎
○諸橋久太郎君 是等のものは目下どんな状況になつて居りませうか、將來のことに對して價値の評定、評價を御樹てになる御見込はどんな風になつて居りますか、其の邊のことを御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=44
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045・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 此の外國證券に付きましては、外の金融機關と同樣で、現在の所に於きましてはどう評定になるのか見當が付きませぬ、併しながら政府に於きましても、大藏當局の邊りに於きましては、本件に關して相當研究して居りますので是等の政府全體の研究が出來て、其の先でないとちよつとどうすると云ふことは御答へ出來ないと思ひます、御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=45
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046・諸橋久太郎
○諸橋久太郎君 當金庫と致しましては資本金或は餘剰金等に對しまして、相當の之の損失を見込まれると云ふことになりますれば、其の影響は非常に甚大なものと思ひますが、御當局と致しましては大藏省に對して檢討を待つて居ると云ふことでなく、こちらから何等かの提案をしまして御盡力下さるなうな工合には參りませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=46
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047・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 御質問のやうに、是は非常な零細な農民の基金が積重つた中央金庫の金でありますので、當局としましても其の點を非常に心配致しまして、結局色々な案を考へまして、尚大藏當局と折衝致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=47
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048・諸橋久太郎
○諸橋久太郎君 只今御説にありましたやうに、全く零細な農民或は市街地等の庶民大衆の貯金の結集が本金庫に集つて居るのでありまして、是非是は御心配の結果、少しでも損害を輕微ならしめるやうに、是非此の上共大藏當局等に御運動下さるやうに切に希望して止まないのであります、以上で質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=48
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049・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 外に御質問ございませぬか……特に大臣に御要求もございませぬでしたならば質問は此の程度に打切り致します、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=49
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050・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは之にて質問を打切ります、只今より討論に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=50
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051・北條雋八
○子爵北條雋八君 本法案は自作農の創設、農地の開發を初め農林水産等の産業振興を期しまする上に、特に現下緊迫せる食糧問題の解決、或は見返品としての生絲の増産を促進せしめます上に非常に適切なる法案と認めます、私は一點だけ希望を副へまして本案に贊成致します、即ち本農林中央金庫は全國的に厖大なる預貯金を持つて居りまして、又それが改正の都度加入團體竝に資金融通の範圍を擴張されまして、産業金融界の實權を支配すると云ふやうなことになりますので、其の金庫の使命と責任と云ふものは頗る重大となる譯であります、此の點に鑑みまして政府に於かれましては、之が經理に付きましては一層嚴重な監督をされますと共に、資金の融通に當りましては其の事業の輕重緩急を篤くと御調査願ひまして、最も有效適切なる運營に萬遺憾なきことを期せられたいと云ふことを申添へて本案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=51
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052・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 外に御發言ございませぬか、外に御發言がなければ討論は此の程度で終局したものと認めます、是より、採決に移ることに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=52
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053・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 御異議ないと認めます、只今より採決致します、農林中央金庫法の一部を改正する法律案を可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=53
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054・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) 御異議ないものと認めます、それでは本法案を可決することに決定致します、是にて此の委員會を散會致します
午前十一時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=54
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055・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 公爵 桂廣太郎君
副委員長 子爵 安藤信昭君
委員
侯爵 四條隆徳君
伯爵 前田利男君
子爵 北條雋八君
子爵 土屋尹直君
男爵 内海勝二君
男爵 中村貫之君
男爵 三須精一君
男爵 倉富鈞君
中村藤兵衞君
諸橋久太郎君
佐々木嘉太郎君
安田伊左衞門君
栗栖赳夫君
委員外議員 片倉兼太郎君
山地土佐太郎君
政府委員
農林事務官 石川準吉君
同 佐野憲次君
同 笹山茂太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00219460704&spkNum=55
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