1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年八月十九日(月曜日)午前十時二十二分開議
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議事日程 第二十一號
昭和二十一年八月十九日
午前十時開議
第一 石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 生活保護法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 志布志線北郷、日豐線宮崎の兩驛間に鐵道敷設の請願
會 議
第四 常磐線電車運轉區間を水戸驛迄延長の請願 會 議
第五 中央線十二兼信號所を貨客取扱驛に變更の請願 會 議
第六 未成線鐵道大間線速成の請願 會 議
第七 青森縣大間港修築の請願
會 議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る十六日伏見宮博恭王殿下薨去あらせられました、仍て同日議長は議院を代表し、天機竝に皇后陛下、皇太后陛下の御機嫌を奉伺致しました、又同日伏見宮御邸に參殿し御弔辭を言上致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る十六日名古屋三吉君貴族院令第一條第六號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては其の部屬を第五部に定めました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=3
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004・会議録情報2
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〔参照〕
去る十六日議決に係る議員男爵小畑大太郎君に對るす弔辭は即日之を贈れり
同日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
改定豫算に關する法律案
同日政府より左の議案を提出せり
石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案
同日委員長より左の報告を提出せり
請願委員會特別報告第二號
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
大藏省所管事務政府委員
大藏事務官 森永貞一郎君
商工省所管事務政府委員
商工事務官 玉置敬三君
同 小出榮一君
同 松尾金藏君
一昨十七日衆議院より左の政府提出案を受領せり
生活保護法案
同日所得税法の一部を改正する等の法律案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 男爵 周布兼道君
副委員長 子爵 綾小路護君
本日第三部に於て豫算委員伯爵橋本實斐君の補闕選擧を行ひしに伯爵大木喜福君當選せり
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、博恭王殿下薨去あらせられ誠に哀悼の至りに堪へませぬ、就きましては敬悼の誠意を表する爲弔辭を奉呈致したいと存じます、茲に弔辭を朗讀して御諮り致します
貴族院は大勳位博恭王殿下の薨去を追悼し奉り恭しく弔辭を奉呈す
只今朗讀致しました弔辭に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=5
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006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案、政府提出、第一讀會、星島商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=7
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008・会議録情報3
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石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案
右
勅旨を奉じて帝國議會に提出する。
昭和二十一年八月十六日
内閣總理大臣 吉田茂
商工大臣 星島二郎
…………………………………
石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案
石炭及コークス配給統制法の一部を次のやうに改正する。
第一條中「、輸入業者及移入業者」を「及輸入業者」に、「輸入若は移入」を「若は輸入」に、「輸入業者又は移入業者」を「又は輸入業者」に、「輸入又は移入」を「又は輸入」に改める。
第二條第一項中「、移入業者」を削る。
第五條中「若は移入業者」を削る。
第十二條第一項を次のやうに改め、同條第二項を削る。
社長、副社長及理事は株主總會に於て之を選任し主務大臣の認可を受くるものとし其の任期を四年とす
第十四條第一項中「輸入、移出及移入」を「及輸入」に改める。
第十五條 日本石炭株式會社は主務大臣の認可を受け販賣の目的を以て日本石炭株式會社より石炭又はコークスを買入るる者を指定することを得
日本石炭株式會社及前項の規定に依り指定せられたる者(以下指定販賣機關と稱す)以外の者は販賣の目的を以て石炭若はコークスを買入れ又は之を賣渡すことを得ず但し命令を以て定むる場合は此の限に在らず
石炭又はコークスを使用する者は日本石炭株式會社及指定販賣機關以外の者より石炭又はコークスを讓受くることを得ず但し命令を以て定むる場合は此の限に在らず
第十五條の二第一項中「若は移入業者」を削り、同條を第十五條の五とする。
第十五條の二 日本石炭株式會社は命令の定むる所に依り主務大臣の認可を受け指定販賣機關に對し石炭又はコークスの販賣に關し必要なる事項を指示することを得
主務大臣は石炭又はコークスの配給の圓滑又は價格の公正を圖る爲必要ありと認むるときは指定販賣機關に對し前項の指示に從ふべきことを命ずることを得
第十五條の三 主務大臣は石炭又はコークスの需給調整上特に必要ありと認むるときは石炭又はコークスを販賣する者に對し石炭又はコークスの販賣に關し必要なる事項を命ずることを得
第十五條の四 主務大臣は石炭又はコークスの需給調整上特に必要ありと認むるときは石炭又はコークスを使用する者に對し石炭又はコークスの使用に關し必要なる事項を命ずることを得
第二十三條の二を削る。
第二十六條 主務大臣は命令の定むる所に依り本法に依る職權の一部を地方長官其の他地方官衙の長をして行はしむることを得
第二十七條 主務大臣必要ありと認むるときは日本石炭株式社會より其の業務及財産の状況に關し報告を徴し又は當該官吏をして其の事業所其の他の場所に臨檢し業務の状況若は金庫、帳簿書類其の他の物件を檢査せしむることを得
前項の規定に依り當該官吏をして臨檢檢査せしむる場合に於ては命令の定むる所に依り其の身分を示す證票を携帶せしむべし
第二十八條第二項中「若は公益を害すと認むるとき又は事業の經營上役員を不適當なりと認むるとき」を「又は公益を害すと認むるとき」に改める。
第三十條 左の各號の一に該當する者は五年以下の懲役又は五萬圓以下の罰金に處す但し犯罪に係る石炭又はコークスの價格の三倍が五萬圓を超ゆるときは罰金は當該價格の三倍以下とす
一 第一條又は第十五條第二項若は第三項の規定に違反したる者
二 第十五條の二第二項、第十五條の三又は第十五條の四の規定に依る命令に違反したる者
前項の罪を犯したる者には情状に因り懲役及罰金を併科することを得
第三十二條 左の各號の一に該當する者は六月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處す 一 第五條、第十五條の五第一項又は第二十七條第一項の規定に依る報告を爲さず又は虚僞の報告を爲したる者
二 第五條、第十五條の五第二項又は第二十七條第一項の規定に依る檢査を拒み、妨げ又は忌避したる者
第三十八條の二 本州、北海道、四國、九州及此等の附屬島嶼と此等の地域以外の地域との間に於て行はるる石炭又はコークスの取引其の他に依る移動は本法の適用に付ては之を輸出又は輸入とす
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
この法律施行後一箇月以内に、第十二條第一項の改正規定により、株主總會において社長及び副社長を選任しなければならない。
この法律施行の際、現に日本石炭株式會社の社長及び副社長の職にある者については、前項の規定により社長及び副社長が選任せられ、主務大臣の認可があるまでの期間は、從前の例による。
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=8
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009・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 只今議題となりました石炭及「コークス」配給統制法中改正法律案の提案理由を御説明致します、石炭及び「コークス」の配給に關しましては、石炭及「コークス」配給統制法に基き、全國一手元賣機關たる日本石炭株式會社をして之が統制を行はしめて參つたのでありますが、戰後産業再建の基盤たる石炭及び「コークス」の重要性と、其の需給關係逼迫の實情に鑑みて、配給統制の必要は愈愈加重せられ、且は戰後の新事態に對處すべき諸般の必要が生じましたので、本法に一部の改正を加へむとするものであります、改正の要點を申上げますと、第一は産業民主化の精神に即應する爲の改正であります、即ち先づ日本石炭株式會社の社長及び副社長の政府任命を止め、株主總會に於て之を選任したる後、主務大臣の認可を受くることと致しました、次に同樣の趣旨から、社長の所謂原案執行權に關する戰時中の特別規定を削除し、又役員の解任に關する主務大臣の權限中、解任の理由たるべき事項を著しく限定致しました、又同社に對する監理官の制度をも併せ廢止して居ります、第二は國民總動員法に基いて制定された石炭配給調整規則及び「コークス」配給統制規則を此の際廢止し、法令を簡略化すると共に配給統制に關する基本事項を本法中に網羅せむ爲の改正であります、之に依り日本石炭株式會社は石炭及び「コークス」の下請販賣機關を指定し得ることとなりました、從つて日本石炭株式會社は本指定に依る地方販賣機關以外は、原則として石炭又は「コークス」の販賣を爲し得ないことは現在通りであります、尚右に附帶致しまして、行政官廳は需給調整の必要上石炭又は「コークス」を販賣する者、又其の使用者に對し其の販賣又は使用に關して必要な命令を爲し得ることと致して居ります、他に若干罰則の改正、及び法文上の整理がありますが、大要敍上の趣旨に於て本法を改正し、石炭及び「コークス」配給統制の使命達成に遺憾なきを期せむとする次第であります、何卒御審議の上御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=9
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010・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました、石炭及「コークス」配給統制法の一部を改正する法律案は、電氣事業法の一部を改正する法律案外二件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=10
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011・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、生活保護法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、河合厚生大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=14
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015・会議録情報4
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生活保護法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年八月十七日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長 公爵 徳川家正殿
…………………………………
生活保護法案
生活保護法
第一章 總則
第一條 この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、國が差別的又は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社會の福祉を増進することを目的とする。
第二條 左の各號の一に該當する者には、この法律による保護は、これをなさない。
一 能力があるにもかかはらず、勤勞の意思のない者、勤勞を怠る者その他生計の維持に努めない者
二 素行不良な者
第三條 扶養義務者が扶養をなし得る者には、急迫した事情がある場合を除いては、この法律による保護は、これをなさない。
第二章 保護機關
第四條 保護は、保護を受ける者の居住地の市町村長(東京都の區のある區域においては東京都長官とする。以下同じ。)、居住地がないか、又は明かでないときは、現在地の市町村長が、これを行ふ。
第五條 民生委員令による民生委員は、命令の定めるところにより、保護事務に關して市町村長を補助する。
第三章 保護施設
第六條 この法律において保護施設とは、この法律による保護を目的とする施設又はこの法律による保護を受ける者の援護のために必要な施設をいふ。
前項の援護とは、宿所の提供その他この法律による保護を全うするため必要な事項で命令をもつて定めるものをいふ。
第七條 市町村が保護施設を設置しようとするときは、その設備について、地方長官の認可を受けなければならない。
市町村以外の者(都道府縣を除く。以下同じ。)が保護施設を設置しようとするときは、地方長官の認可を受けなければならない。
第八條 前條第二項の規定により設置した保護施設は、市町村長が保護又は援護のため行ふ委託を拒むことができない。
第九條 この法律で定めるものの外、保護施設の設置、管理、廢止その他保護施設に關して必要な事項に、命令でこれを定める。
第四章 保護の種類、程度及び方法
第十條 保護は、生活に必要な限度を超えることができない。
第十一條 保護の種類は、左の通りである。
一 生活扶助
二 醫療
三 助産
四 生業扶助
五 葬祭扶助
前項各號の保護の程度及び方法は、勅令でこれを定める。
第十二條 市町村長は、必要と認めるときは、保護を受ける者を保護施設に收容し、若しくは收容を委託し、又は私人の家庭若しくは適當な施設に收容を委託することができる。
第十三條 市町村長は、保護を受ける者の親權者又は後見人がその權利を適切に行はない場合は、その異議があつても、前條の規定による處分をなすことができる。
第十四條 保護施設の長は、命令の定めるところにより、その施設に收容された者に對して、適當な作業を行はせることができる。
第十五條 第十二條の規定により收容され、又は收容を委託された未成年者について、親權者及び後見人の職務を行ふ者がないときは、市町村長又はその指定した者が、勅令の定めるところにより、後見人の職務を行ふ。
第十六條 市町村長は、保護を受ける者に對して、勤勞その他生計の維持に必要なことに關して指示をなすことができる。
第十七條 保護を受ける者が死亡した場合は、勅令の定めるところにより、葬祭を行ふ者に對して、葬祭費を給することができる。
保護を受ける者が死亡した場合に、葬祭を行ふ者がないときは、保護をなした市町村長が、葬祭を行はなければならない。
第五章 保護費
第十八條 保護を受ける者が同一の市町村に一箇年以上引續いて居住する者であるときは、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負擔とする。
保護を受ける者が東京都の區のある區域に居住する者であるときは、保護に要する費用は、東京都の負擔とする。
第十九條 保護を受ける者が左の各號の一に該當する者であるときは、その居住期間が一箇年に滿たない場合においても、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負擔とする。
一 夫婦の一方が居住一箇年以上であるとき、同居の他の一方
二 父母その他の直系尊屬が居住一箇年以上であるとき、同居の子のその他の直系卑屬
三 子その他の直系卑屬が居住一箇年以上であるとき、同居の父母その他の直系尊屬
第二十條 第十八條第一項及び前條に規定する期間の計算については、勅令の定めるところによる。
第二十一條 保護に要する費用が第十八條第一項及び第十九條の規定により市町村の負擔とならない場合は、その費用は、保護を受ける者の居住地の都道府縣の負擔とする。
保護を受ける者の居住地がないか、又は明かでないときは、保護に要する費用は、その者の現在地の都道府縣の負擔とする。
第二十二條 第十七條第一項の葬祭費及び同條第二項の規定による葬祭に要する費用の負擔に關しては、第十八條乃至前條の規定を準用する。
第二十三條 第五條の規定により民生委員が職務を行ふため必要な費用は、市町村(東京都の區のある區域に置かれる民生委員については東京都とする。)の負擔とする。
第二十四條 都道府縣が設置した保護施設及び第七條の規定により市町村又は市町村以外の者が設置した保護施設の事務費は、勅令の定めるところにより、第十八條、第十九條及び第二十一條の規定によりその施設で保護又は援護を受ける者の保護に要する費用を負擔する市町村又は都道府縣がこれを負擔する。
第二十五條 第二十一條及び第二十二條の規定により都道府縣が負擔する費用は、保護を行つた地の市町村が、一時これを繰替支辨しなければならない。
第二十六條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、第七條第二項の規定により市町村以外の者が設置した保護施設の設備に要する費用に對して、その四分の三を補助しなければならない。
第二十七條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、左の費用に對して、その四分の一を補助しなければならない。
一 第二十三條の規定により市町村が負擔した費用
二 第七條第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第二十八條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、第十八條第一項、第十九條、第二十二條及び第二十四條の規定により市町村が負擔した費用に對して、その十分の一を補助しなければならない。
第二十九條 國庫は、勅令の定めるところにより、第十八條、第十九條、第二十一條、第二十二條及び第二十四條の規定により市町村又は都道府縣が負擔した費用に對して、その十分の八を補助する。
第十三條 國庫は、勅令の定めるところにより、第二十六條の規定により都道府縣が負擔した費用に對して、その三分の二を補助する。
第三十一條 國庫は、勅令の定めるところにより、左の費用に對して、その二分の一を補助する。
一 第二十三條の規定により市町村又は東京都が負擔した費用
二 都道府縣が設置した保護施設及び第七條第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第三十二條 保護を受ける者に資力があるにもかかはらず保護をなしたときは、保護に要する費用を負擔した市町村又は都道府縣は、その者から、その費用の全部又は一部を徴收することができる。
第三十三條 保護を受けた者が保護に要した費用を辨償する資力を有するやうになつたときは、保護の費用を負擔した市町村又は都道府縣は、保護を廢止した日から五箇年以内に、その費用の全部又は一部の償還を命ずることができる。
第三十四條 保護を受ける者に對して民法により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範圍内において、保護に要する費用を負擔した市町村又は、都道府縣は、その費用の全部又は一部をその者から徴收することができる。
前項の規定による費用の徴收に關して爭があるときは、民事訴訟による。
第三十五條 保護を受ける者が死亡したときは、市町村長は、命令の定めるところにより、遺留の金錢を保護に要した費用、第十七條第一項の葬祭費及び同條第二項の規定による葬祭に要した費用に充て、なほ足りないときは、遺留した物品を賣却して、これに充てることができる。
第六章 雜則
第三十六條 保護を受ける者が左の各號の一に該當するときは、市町村長は、保護をなさないことができる。
一 この法律又はこの法律に基いて發する命令により市町村長又は保護施設の長がなした處分又は指示に從はないとき。
二 正當な理由がなく保護に關する檢診又は調査を拒んだとき。
第三十七條 第七條第二項の規定により設置した保護施設が、この法律若しくはこの法律に基いて發する命令又はこれに基いてなす處分に違反したときは、地方長官は、同項の認可を取り消すことができる。
第三十八條 この法律により給與を受けた保護金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。
第三十九條 この法律による保護金品は、既に給與を受けたものであるとないとにかかはらず、これを差し押へることができない。
第四十條 都道府縣、市町村その他の公共團體は、左の建物及び土地に對しては、有料で使用させるものを除いては、租税その他の公課を課することができない。
一 主として保護施設のために使ふ建物
二 前號の建物の敷地その他主として保護施設のために使ふ土地
第四十一條 詐僞その他不正な手段により保護を受け、又は受けさせた者は、六箇月以下の懲役又は五百圓以下の罰金に處する。
第四十二條 この法律中町村に關する規定は、町村制を施行しない地においては町村に準ずるものに、町村長に關する規定は、町村長に準ずる者にこれを適用する。
附 則
第四十三條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第四十四條 救護法、軍事扶助法、母子保護法、醫療保護法及び戰時災害保護法は、これを廢止する。
第四十五條 救護法第七條若しくは母子保護法第九條第二項の規定により設置した施設又は醫療保護法第六條の規定により經營する施設(都道府縣の施設を除く。)で、この法律施行の際現に存するものは、この法律施行の日から二箇月間を限り、第七條の規定による認可を受けなくても、同條の認可を受けた保護施設とみなす。
前項の施設の設置者が同項の期間内に第七條の認可を申請した場合において、その申請に對する認可又は不認可の處分の日までも、また同項と同樣である。
第四十六條 北海道舊土人保護法の一部を次のやうに改正する。
第四條乃至第六條 削除
第八條中「第四條乃至前條」を「前三條」に改める。
第四十七條 罹災救助基金法の一部を次のやうに改正する。
第十五條の二中「救護法施行」を「生活保護法施行」に改める。
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〔國務大臣河合良成君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=15
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016・河合良成
○國務大臣河合良成君 只今議題となりました生活保護法案に付て提案の理由を説明します、我が國現下の情勢を觀ますと、戰災者、海外引揚者、在外者の留守家族、戰歿者の遺族、傷痍軍人等の中には日常の生活に困窮して居る者も少くないのであります、之に一般貧困者をも合せますると、生活の保護を必要とする者は相當多數に上るのであります、且最近の物價騰貴や食糧難の影響に依りまして、遺憾ながら其の數は漸次増加致しました、其の困窮の程度も次第に深刻化する傾向にあるのであります、其の上軍需補償等の打切に依りまして失業者の數も餘程増加する見込でありまして、事態は一層容易ならぬものがあると思ふのであります、此の情勢に鑑みまして政府と致しましては、積極的に或は事業の活溌化、或は經濟の安定化の方途を講じまして、又或は失業對策の徹底を圖る等、是等生活困窮者を減少させるやう目下努力中でありまするが、他面現生活にに困窮して居る者の保護對策に付ても急速に是が實現を期するの要があるのでありまして、此の點は政府の最も重大なる責任であることを深く自覺して居る次第であります、勿論今日と雖も救護法、母子保護法、醫療保護法等を實施して居りまする外、生活困窮者の緊急生活援護事業を實施して、當面の保護に當つて居るのでありまするが、是等の法規は孰れも消極的、限定的であり、且保護の内容にも程度の差別があるのでありまして、現下の實情に適せざる點も少くないのであります、仍て茲に從來の諸法規を廢止致しますると共に、新たに生活保護法を制定致しまして、現に生活保護を要する者を廣く網羅致しまして、事由の如何を問はず、差別的又は優先的取扱を排除致しまして、普遍平等の立場に於て保護の實を擧げむとするものであります、考へまするに、基本的人權の尊重は民主主義國家に於ける最重、最大の目標であります、特に生活の保障と云ふことは其の焦點と云ふべき所であります、終戰後我が國が有らゆる政治經濟の難局渦中に立ちつ、あるに拘らず、茲に國民の福祉増進の爲、本法案を議會に提出し得るに至つたことは政府の深く欣幸とする所であります、願くは本法案を契機と致しまして、完全なる社會保障制度が一日も速かに樹立せらる、機運に達せむことを期待して已まざる次第であります、右樣の次第でありまするから、何卒御審議の上に速かに協贊を與へられむことを希望致す譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=16
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017・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました生活保護法案は其の特別委員の數を二十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=17
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018・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔小野寺書記官朗讀〕
生活保護法案特別委員
公爵 島津忠承君 公爵 三條實春君
侯爵 黒田長禮君 伯爵 前田利男君
子爵 北小路三郎君 子爵 實吉純郎君
子爵 安藤信昭君 子爵 榊原政春君
子爵 京極高鋭君 小山松吉君
佐々木惣一君 男爵 高木喜寛君
男爵 奧田剛郎君 男爵 團伊能君
男爵 北大路信明君 男爵 小原謙太郎君
原泰一君 長谷川萬次郎君
野田六左衛門君 板谷順助君
木内四郎君 江口文雄君
正田貞一郎君 岩淵辰雄君
中山壽彦君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三より第七迄の請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=21
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022・会議録情報5
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意見書案
志布志線北郷、日豊線宮崎の兩驛間に鐵道敷設の件
宮崎縣南那珂郡十六ヶ町村組合管理者小村俊一呈出
右の請願は志布志線北郷驛より日豐線宮崎驛に至る鐵道を敷設するは沿線地方に於ける豐富なる農、林、水産資源の開發上裨益する所大なるのみならす將來觀光事業の發達上亦須要なるに依り速に之か實現を圖り以て地方文化の向上開發に資せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長公爵 徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
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意見書案
常磐線電車運轉區間を水戸驛迄延長の件
茨城縣土浦市内西町無業原彪外九十二名
右の請願は常磐線電車運轉區間を松戸驛より水戸驛迄延長するは沿線地方に於ける通勤、通學者の交通難を緩和するのみならす帝都復興竝生産増強の上に寄與するところ甚大なるものあるに依り速に之か實現を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長公爵 徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
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意見書案
中央線十二兼信號所を貨客取扱驛に變更の件
長野縣西筑摩郡讀書村長松瀬茂里外十九名呈出
右の請願は長野縣西筑摩郡讀書村は南北に中央線縦貫せるも三留野驛の位置適當ならさる爲め交通竝に物資の出入極めて困難なるに依り速に同村所在の十二兼信號所を貨客取扱驛に昇格し以て運輸の利便を圖ると共に地方農村の窮乏打開に資せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長公爵 徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
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意見書案
未成線鐵道大間線速成の件
青森縣下北郡大間町長佐々木吉三郎外三名呈出
右の請願は大間鐵道の未成區間たる大畑驛、大間町間を速成するは大間港と相俟て函館港との連絡を密にするのみならす沿線地方に於ける豐富なる海陸資源の開發竝運輸交通、觀光上貢献するところ多大なるに依り速に之か實現を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長公爵 徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
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意見書案
青森縣大間港修築の件
青森縣下北郡大間町長佐々木吉三郎外三名呈出
右の請願は青森縣大間港は本州と北海道を結ふ最短距離の地點に存在し交通、産業上極めて重要なるに拘らす港内狹隘設備亦不完全にして其の機能を發揮し得さるは洵に遺憾なるに依り速に國營を以て修築を施されたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長公爵 徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是等の請願は請願委員長の報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02119460819&spkNum=24
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