1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十一年九月十七日(火曜日)午前十時六分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第三十三號
昭和二十一年九月十七日
午前十時開議
第一 食糧緊急措置令(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第二 法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 北海道枝幸船入澗修築の請願 會 議
第四 茨城縣潮來町干拓事業地域内耕地の補償金裁定方に關する請願 會 議
第五 漆器の品質審議機關設置の請願 會 議
第六 議會圖書館設置に關する請願 會 議
第七 工藝關係創作權の確立と保護に關する請願 會 議
第八 工藝關係行政機關の擴充強化に關する請願 會 議
第九 主要醫藥品等の二重價格制に依る國家管理制急施方に關する請願 會 議
第十 休止及廢止、單線化せる地方鐵道の復活に關する請願 會 議
第十一 地方鐵道等の戰災復舊に要する資材及資金の特別措置に關する請願 會 議
第十二 豫定線小郡、萩間鐵道速成の請願 會 議
第十三 富士山麓一週觀光道路新設に關する請願 會 議
第十四 木曾川上流改修竝附帶工事速成の請願 會 議
第十五 農家の經濟安定に關する請願 會 議
第十六 岐阜縣本巣郡根尾村に高堰堤築設の請願 會 議
第十七 北海道虻田郡眞狩地帶に省營自動車運輸開始の請願 會 議
第十八 奧羽本線福島、米澤の兩驛間電化速成の請願 會 議
第十九 舊鶴見臨港鐵道線外三鐵道線拂下に關する請願 會 議
第二十 未成線鐵道佐久間線速成の請願 會 議
第二十一 福島縣小名濱港修築に關する請願 會 議
第二十二 下關市に第二水産講習所設立の請願 會 議
第二十三 最上川竝同支流改修の請願 會 議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=0
-
001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る十二日、佐藤惣之助君、貴族院令第一條第六號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては部屬を第一部に定めました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=1
-
002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=2
-
003・会議録情報2
━━━━━━━━━━━━━
〔參照〕
去る十二日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算案
昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算案
同日衆議院より本院の送付に係る左の政府提出案は同院に於て之を可決し奏上せる旨の通牒を受領せり
電氣事業法の一部を改正する法律案
同日委員長より左の報告書を提出せり
食糧緊急措置令(承諾を求むる件)可決報告書
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
大藏省所管事務政府委員
大藏事務官 伊原隆君
去る十三日委員長より左の報告書を提出せり
請願委員會特別報告第五號
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=3
-
004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件に付御諮りを致します、原泰一君病氣に付、會期中請暇の申出がございました、許可を致して御異議がございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=4
-
005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=5
-
006・会議録情報3
――――◇―――――
〔板谷順助君發言の許可を求む〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=6
-
007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 板谷順助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=7
-
008・板谷順助
○板谷順助君 私は緊急質問の動議を提出致します、現在海外に於ける同胞の殘留者が約二百五十萬殘つて居ります、若し越年に亙るやうなことがありましたならば飢餓と寒氣に襲はれまして、如何なる悲慘事を招來するか分らぬ情勢にあるのであります、又現在の社會状勢は非常に不安に陷つて居りまして、一日も忽に出來ない重大問題と考へまするが故に、議長に於て然るべく御取計らひあらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=8
-
009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 只今の動議には贊成者を要します
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=9
-
010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 板谷君の緊急質疑の動議に贊成の諸君の起立を請ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=10
-
011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 過半數と認めます、板谷順助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=11
-
012・板谷順助
○板谷順助君 大藏大臣は御差支があるさうでございます、膳國務大臣の出席を要求致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=12
-
013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 只今直ぐにこちらに見えると存じますから御登壇を願ひます
〔板谷順助君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=13
-
014・板谷順助
○板谷順助君 私は先づ第一に、總理大臣兼外務大臣に對して御尋を致したい、現在海外に於ける我が同胞者は未だ二百五十萬人殘つて居るのであります、是等の人々が非常に悲慘な状態に置かれまして、何とかして一日も早く故郷に歸りたい、それが爲に不安焦躁の情に驅られまして、到る處に悲劇が起つて居ると云ふ情勢であるさうであります、又國内に於ける所の是等の家族の人々は一日千秋の思を致しまして、明け暮れいつ歸るかと云つて非常に待ち佗びて居るやうな情勢であります、若し是等の人々が越年するやうなことが、ありましたならば、言ふ迄もなく飢餓と寒氣に襲はれまして、如何なる悲慘事が起るでありませうか、恐らくは國民、我々同胞と致しましては、一人として一片の涙なきを得ない者はないと私は考へるのであります、又現在我が國が敗戰國である、降伏して居るのである、今や敵も味方もありやしない、從つて諸外國に於きましても、恐らくは我が國に對する非常な同情を以て迎へられると云ふことを私は信じて疑はないのであります、幸に政府の努力、非常なる所の努力、又「アメリカ」を初め聯合國の絶大なる援助に依りまして、今日相當の歸還を見ましたことは、誠に感謝の至りに堪へない次第であります、併しながら現在問題となるのは、「ソヴイエト」占領管内に於ける同胞殘留者の問題であります、私の聞く所に依れば、未だ百萬人の人が殘留して居ると云ふことであります、現に大連に於ては二十四萬人の人々が居る、「ソヴイエト」に於ては大連港に引揚船を入れることに付ては、同意されて居らない、又滿洲の奧地方面に於ける所の人々は、消息が分らない、風の便りに依つて或程度は分るでありませうけれども、現在に於ては其の消息は分らぬのであります、諸君も御承知の通り、「ポツダム」宣言、成る程公約である、併しながら聯合國に於ては之を認めて居る、降伏して武裝解除をしたる以上は、軍隊は歸還させると云ふことは、明かに約束が出來て居るのであります、聞く所に依れば、滿洲に於ける所の大部分の軍隊は「シベリア」に送つて強制勞働に服されて居ると云ふ噂がある、私は此の噂を信じたくはありませぬ、併しながら「ソヴイエト」政府に於きましても、勿論血も涙もあることに付ては、私は變りはないと信ずる、又「ソヴイエト」と我が國の關係は御承知の通り、終戰一週間前迄は中立條約を守つて所謂親善の國柄である、又同國とは戰爭らしい戰爭をして居らぬのであります、恐らくは私は「ソヴイエト」政府に於かれましても、人道に基いて適當の處置を講ぜられるものと私は深く信じて居るのであります、最近聞く所に依れば、新聞紙の發表に依りますると云ふと、「アメリカ」と「ソヴイエト」と交渉して居る、新聞の報道はまちまちでありまするが、「ソヴイエト」は我々同胞を歸したいけれども、船を送らない、「アメリカ」が船を送らないと言つて居る、又「アメリカ」側に於ては、さうではない、船をやるとしても、「ソヴイエト」が兵隊其の他を歸さうとはしないと云ふ、新聞の報道はまちまちでありまするが、果して其の眞相はどうであるか、國内に於ける所の家族の人々は、一日千秋の思を致しまして、自分の子供、自分の兄弟、是が早く歸ることを待ち佗びて居るのでありまするが、吉田總理大臣、外務大臣は、此の間に於ける所の消息は如何なる事情になつて居るか、勿論今日迄非常の努力をなすつて居るでありませう、此の努力に對しては、國民は感謝を致して居りますが、只今申上げましたる通り、若しです、是が越年に亙るが如きことがあつたならば、由々しい問題が起り、非常なる所の悲慘事が起ることを覺悟せねばならぬ、我々國民と致しましては、之を救濟すると云ふことに付て、如何なる手段を執つても、如何なる方法に依つても、面目や、或は見えに囚はれると云ふ場合ぢやありませぬ、(拍手)何としても此の際之を救濟すると云ふことに付て、最善の努力を拂はれむことを希望致します、私は家族に代つて政府に懇請をする、質問ではありませぬ、懇請をする、どうかして此の問題を解決することに付て最善の努力をして貰ひたい、又今日迄の經過、今後に於ける所の見透しが如何なる情勢にあるかと云ふことを、此の機會に於て吉田總理大臣よりはつきり御答辯を願ひたいと思ふのであります、次に御伺を致したいことは、現在の我が國の社會情勢の不安であります、政府は現在の我が國の世相をどう御考になつて居りますか、こんなことで日本の再建が出來ると一體御考になつて居りますか、現在の我が國は言ふ迄もなく敗戰國である、未だ獨立國ではありませぬ、從つて敗戰後の我が國の現状は、國家も國民も非常な窮境に陷つて居る、此の貧乏世帶、現在は貧乏世帶、有らゆる方面に於て力はない、此の貧乏世帶を切拔けると云ふことに付ては、國民一般が非常なる所の覺悟と決心を以て臨まなければならぬことは言ふ迄もないことであります、私は現在の敗戰の現實を、政府を初め國民が之を認識して居るか、敗戰の國民は、國民有らゆる方面の人々は之を分たなければならぬことであります、然るに先づ第一に政府の態度、國家の指導者となり、國民の模範となるべき所の政府の態度が一體どうであるか、果して政府は現在の敗戰を認識して居るか、我が國の財政は言ふ迄もなく非常に窮乏を告げて居る、然るにです、財政を出來るだけ緊縮をせねばならぬと云ふ此の場合に於て、群雄割據、或は各省分取主義、言葉は甚だ穩かでないかも知りませぬが、有らゆる方面に於て、私をして言はしむるならば、無謀な計畫を立てて居ると云ふことは、見逃すことは出來ないのであります、私は詳しくは申上げませぬ、併しながら此の問題に對して、大藏大臣は財産税に依つて之を補填すると云ふ、現に一般會計に於ては二百五十五億の赤字を補填する、其の他追加豫算を併せましても莫大な數に上るのであります、一體政府は財産税が幾ら取れると考へて居るか、初めは千億と云ひ、五百億と云ひ、最近に於ては三百五十億も取れるか取れないか、恐らくは其の中の三分の一は現金或は預金に於て取れるか、後は物納だ、一體之をどう始末する積りか、恐らくは私は政府當局が、現在の我が國は敗戰國であつて、財政窮乏である、從つて此の敗戰を切拔けるに付ての、果して自覺を持つて居られるかどうか、私は之に對して非常な疑問を持つて居る、更に又國民一般に對しましても、國民の有らゆる人々が敗戰の現實を認識して居るか、敗戰の苦しみを御互に分け合ふと云ふ覺悟を持つて居るか、若し此の覺悟があつたならば、勞働爭議の如きものが起るべき筋合ではないのであります、勿論今日民主的に勞働組合の健全なる發達を圖ることは是は當然のことでありますが、現在のやうに勞働爭議が到る處に起つて居る、或は其の間一部の人が「デモクラシイ」を履き違へ、己の權利のみを主張して、義務を忘れて居る、斯う云ふ傾向がありはしないか、又現在の我が國に於ては資本家らしい資本家などはありはしない、事業經營者は勞働爭議を惧れ、經濟界の不安の爲に、積極的に仕事をすると云ふやうの意思を持つて居らない、こんなことで一體日本の再建が出來るか、勿論企業整備を行ふと云ふことに付ては、先づ第一に人の整理を行ばなければならぬ、例へば國鐵爭議の如き、勞働者諸君は之を成功だと云ふ、國鐵の如きは、御承知の通り民營事業ぢやない、彼等の要求を容れることになれば、結局國家の負擔になる、國家の負擔は要するに國民各自の負擔になるのであります、果して現在の如き情勢に於て、合理的の産業整備が出來るか、又海員組合の騷動の如きも未だ解決せぬと云ふことでありまするが、是等の問題に於きましても、運營會が金を餘計出しさへすれば解決をする、其の金を出す問題は誰が負擔する、要するに國家が負擔する、運營會に對する所の補助金を増額する、それを一體誰が負擔する、要するに國民の頭に掛つて來ることであります、又一面國民が果して此の敗戰の現實を把握して居るか、國民御互が此の苦しみを分け合ふと云ふ心掛になつて居るか、新圓獲得者の或一部の如きは、濫費を行ひ、言語道斷の振舞ひを致して居ると云ふことは各地に現れて居る、是が我が國の社會の上に、風教の上に、或は又少年の感化の上に、非常なる所の惡影響を及して居るのであります、又一部の者は如何にして新圓を獲得するか、新圓稼ぎに憂身をやつして汲々として居る、是が現在の社會情勢であります、果して是等が生産方面に其の資金が使はれて居るか、私は若し現在の儘推移を致しましたならば、勞資とも共倒れを致しまして、我が國の運命實に危殆に瀕すると私には思はれるのであります、要するに斯かる結果を來しましたことは、先づ第一に經濟界の不安、生活の不安、是等が重大な問題であります、現在の儘に委して居りましたならば、恐らくは失業者が續出するでありませう、故に政府は失業者を出來るだけ作らないやうの政策を行はなければならぬ、從つて又失業者が出來たならば、之に對する失業對策を急速に行はなければならぬと云ふことが、政府の重大なる所の責任であります、故に私は此の際政府が我が國の敗戰の現實を能く國民に自覺をさせて、現在の弛緩して居る所の人心を引締める、是が最も重要な問題と考へるのでありまするが、之に對する所の政府は如何なる御考を持つて居るか、此の點に付きまして國民の安心の行くやうな御説明を願ひたい、次に御伺ひを致したいことは、經濟問題であります、大藏大臣は御差支があつて御出席がないさうでありまするが、膳國務大臣は經濟安定本部の長官と致しまして、我が國の經濟の元締をなして居る方であります、私は先般大藏大臣が記者團との會見に於て、現在の新圓の大部分は退藏されて居る、退藏されて居るから、政府の信用を證據立てるものである、從つて又「インフレ」に對する所の或程度の抑制である、と云ふ意味の御意見を發表されて居ります、果して私には事實であるかどうか分らす、若し是が事實であると致しましたならば、實に驚き入つた所の御意見であると言はなければならぬ、通貨は決して死物ではありませぬ、何時でも是は活動する能力を持つて居る、從つて又果して現在の新圓が事業資金に廻つて居るかどうか、恐らくは是は大藏大臣に於きましても御調査になつて居りませう、私の調査に依りますと云ふと、現在我が國の新圓は殆ど六百億圓を突破して居る、此の分布が一體どうなつて居る、生活資金に對しては四十二「パーセント」、戰災者に對する所の支拂が十九「パーセント」、賃銀俸給に對しては二十八「パーセント」、驚く勿れ産業資金に對しては十一「パーセント」であります、勿論是は推定でありまするが、現在の新圓が果して事業資金に廻つて居るか、通貨は言ふ迄もなく循環性を持つて初めて效果がある、大藏大臣の如く退藏されて居る、死藏されてある、是で「インフレ」の防止が出來ると云ふことの御考を持つて居つたならば、以ての外であります、更に又此の退藏したる金を金融機關に集める、勿論是は當然であります、果してそれがどうなつて居るか、私の調査に依れば、現在剩餘金が約百四十億、貸出が七十五億、一體幾ら事業資金に廻つて居るか、現在の新圓は私が今申上げまする通り、殆ど不生産的に、如何にして新圓を獲得出來るか、如何にして新圓を稼ぐことが出來るか、之に狂奔して居ると云ふ現在の社會の實情であります、政府は果して此の退藏されたる所の新圓の金融機關に吸收することに付て、積極的の御考を持つて居るか、若し此の退藏されたる新圓が金融機關に積極的に吸收されて、而して是が事業資金に廻らざる以上は、決して我が國の産業は興りはしない、私は決して新圓を再封鎖しろとは言はない、どうか是等の方策に對して膳國務大臣の明確なる所の御答辯を伺ひたい、以上私の質問に對しまして、明確なる所の御答辯あらむことを希望致します(拍手)
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=14
-
015・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 海外同胞引揚救護の問題に付て、板谷君に私から御答へ致します、海外同胞引揚問題に付ては、此の議場其の他に於て屡屡御報告致して居りますが、中國、南方諸地方からの引揚は、一部を除きまして完了致しつつあります、少くとも今年の末若しくは來年の初めには、總て完了する見込であります、獨り御話の通り、「ソヴイエト」管下に於ける問題に付ては甚だ苦慮致して居ります、御話の通り何等の消息も得る能はず、又引揚歸還者の先の見据えに付ても甚だ見据えが立ちにくいのであります、此の點に付ては板谷君の懇請を俟つ迄もなく、政府と致しましては、日夜此の問題に焦慮致して居ります、又聯合國に於ても「ソヴイエト」政府と種種交渉を重ねて居ることは御承知の通りであります、併しながら然らば前途如何なる方法があるか、日本現在の状況に於きましては、聯合國に懇請する以外に方法はないのであります、若し又方法が、具體案があると仰しやるならば、參考迄に伺ひたいものと思ひますが、不幸にして政府と致しましては聯合國に懇請する以外に方法はないので、又仕合せに聯合國に於ては此の問題に付て、日本政府の爲に同情を以て種種「ワシントン」に於て、現に交渉致して居る筈であります、又其の實績に付てはまだ何等聞く所がありませぬが、併しながら同情を以て日本政府の爲に交渉をして居ると云ふことの事實は確認すべきものが多々あります、是が現在の状況であります、御答へ致します
〔國務大臣膳桂之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=15
-
016・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今新圓の問題、之に關聯しまする經濟不安等の問題に付きまして御尋がございました、此の問題に付きましては、私から御答へ申上げるのは本筋ではないと存じまするけれども、大藏大臣は已むを得ない御所用の爲に御出席がありませぬので、私の關する限り考を申上げます、本年の二月以來の金融財政措置に依りまして、少く共通貨の部面に健全な状態が現れると、誰しも確信して居ります、是が今日一方には圓の偏在となり、之が何等産業資金に廻ることもなく、徒に國民の不安を増して居ると云ふことは、甚だ遺憾の状態であります、政府に於きましても各方面、如何にして新圓をば徒らに退藏せしむることなく、是が又消費の方面のみに向いて「インフレーション」を助長するやうなことのないやうなことに付きましては、腐心して居ることは御承知の通りでありまするが、なかなか起死囘生の妙藥はありませぬ、要するに何處に根源があるかと申しますれば、申上げる迄もなく、本年の春以來政府の執らむとする戰時補償打切に關聯しまする一聯の施策が如何樣に相成りまするか、又賠償物資の提供に基きまする産業の再編成が如何樣に相成りまするか、實は國内のみで解決し得ない多々の問題がありまする爲に、既に財界の將來の見透しが附くべきものが、容易に附き得ない殘念さがそこにございます、此の點に付きましては、政府各方面で關係方面との理解を得る爲に、又其の下に薪しい經濟再建の途が附く爲に孜々努力致して居ります、斯樣な方面の見透しが附きまして、將來の産業が如何樣に立直るかと云ふことの見極めが段段國民の間に附くやうになりますれば、自然と金融機關に對しまする信用も囘復する、又産業に對しまする投資の方面も見易くなる、只今徒らに圓の死藏されるのは、要するに將來に對する不安からと存ぜられます、是が根本的に除去せられますれば、自然と圓の圓滑なる運轉も融通も行はれ得るものと存じます、左樣な意味合に於きまして、經濟安定本部に於きましては、目前の施策に付ては何もやつて居りませぬ、併しながら第一番に國民の生活を安定せしむるものは、先づ食生活の安定、之に次では差當り戰時補償打切に伴ひます善後措置を、少しでも國民の不安を除去するやうな方面に持つて行くことの施策、同時に是等の經濟の立直しの爲に、國内に不足の物質をば國外から出來るだけ有利に多量をば輸入したい、斯う云ふやうな應急的の方面に各關係の各省と力を併せて參ります、要するに根本的に國民の將來に對する不安を除去する、是が拔本塞源的な圓の健全性を取戻す所以であらうと考へます、私共は種種其の方面と努力致して居ります、應急の問題に付きましては大藏當局から御答辯がある方が間違ひなくて宜いと思ひますので、私は斯樣に考へて努めて居りますることをば申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=16
-
017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 板谷順助君
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=17
-
018・板谷順助
○板谷順助君 海外同胞の引揚の問題に對して只今總理大臣、外務大臣の御答辯では、國内に於ける所の家族は滿足致しませぬ、勿論聯合國の援助、聯合國の非常なる御努力に俟たなければならぬことは當然のことであります、併しながら政府が之に對する所の如何なる手を打つて居られるか、又「ソヴイエト」は同胞を歸したいけれども船がないと云ふ話をして居る、「アメリカ」側の方に於かれましてはさうぢやないと言ふ、是は新聞紙に發表されて居る、此の間に於ての眞相は一體どうであるか、どうか私は總理がもつと深切丁寧に、一日千秋の思ひをして今に歸るか、明日は歸るかと待つて居る所の家族に對してもつと深切な御答辯を一つ願ひたい、又大藏大臣はおいでにならぬが爲に徹底的な御答辯を得られませぬが、只今膳國務大臣の御話では、其の中には我が國の經濟界は安定するだらう、併しながら恐らくは從來の政府の政策の施策よりは輿論が先走つて居る、輿論が承知しない、如何に政府が辯明されましても國民は承服をしない今日の現状であります、政府は如何にして今日政府の信用を維持するかと云ふことに付て積極的に如何なる所の政策を採るか、是が先決問題である、甚だ失禮な言ひ分でありますけれども、勞働爭議に對しても、其の他の問題に對しても政府の態度は所謂信念と勇氣を缺いて居る、其の結果却て國民を迷はせる結果になるものと私は思ふ、又總理大臣に對して、私は現在の有らゆる國民に對して今日我が國の敗戰の現實を能く認識させろ、國民御互ひが此の敗戰の苦しみを分け合はなければならぬと云ふ重大な時期だ、内輪に爭つて居る場合ではありませぬ、何としても國民が協力一致して、非常なる所の決心を以て此の難關を突破せねばならぬと云ふ重大な時期であります、我が國はまだ敗戰國であつて獨立國ぢやない、其の氣分で有らゆる對策を講じたならば以ての外である、どうか總理に於きましても、今申上げましたる通り、或は適當の機會に於て我が國の現状は斯うであると云ふことを國民に示して能く自覺させる必要があるのではないかと思ふ、之に關する今一遍の御答辯を願ひたい、更に又産業の合理化、是は常に膳國務大臣も仰しやつて居る、産業の合理化と云ふことに付ては勿論或程度の人員の整理をしなかつたら出來るものではありませぬ、併しながら此の整理に對して先づ出來るだけの失業者が出ないやうな手段、方法を講ずる、それと同時に此の失業對策に對する所の政府が具體的の案を示したら宜しい、國鐵の爭議の如きもだ、馘首はしない、人員の整理もしない、何處で産業の合理化が出來るか、結局國鐵に於きましては、一體誰がそれを負擔するか、言ふ迄もなく我々國民大衆が其の赤字を負擔すると云ふ結果になるのであります、若し人員が剩つたならば之を如何なる方法に依つて如何なる方面に向けるかと云ふことに付て先づ具體的な案を定むべきものであると思ふのでありますが、私は總理大臣に對して只今今一度御答辯を願ひたい、膳國務大臣に對しましては事大藏大臣に關する問題でありまするから、適當の機會に讓ることに致しまして、此の質問を打切ります(拍手)
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=18
-
019・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 御答へ致します、先程私が御答へ致したのは、率直に申せと云ふことであるから率直に申したのであります、日本の今日と致しましては、「ロシヤ」と聯合國との間の交渉の状態がどうであるかと云ふことは、一に「ワシントン」に於ける状況を知る以外に方法はないのであります、又聯合國として或は日本理事會に於ける發表の審議に付ても其の成行き等に付ては新聞以外に承知する方法、手段はないのであります、で發表が、聯合國、或は「ソヴイエト」の言ひ分の喰違ひは確かにありますが、如何にして喰違つて居るか、孰れが是であるか、非であるかと云ふことを確かむる方法も今日はないのであります、併しながら聯合國が日本の在留同胞の救護に對して非常に同情ある態度を以て「ロシヤ」にも對して居ると云ふことは先程も申しました通り是は最も顯著なる事實であります、又「ソヴイエト」が之に對して如何なる應答をしたかと云ふことは、是は知る由もないのであります、是が現状であります
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=19
-
020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、食糧緊急措置令、承諾を求むる件、衆議院送付、會議、委員長報告、委員長黒田伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=20
-
021・会議録情報4
━━━━━━━━━━━━━
食糧緊急措置令
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月十二日
委員長 伯爵黒田清
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔伯爵黒田清君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=21
-
022・黒田清
○伯爵黒田清君 只今議題となりました食糧緊急措置令に關しまする特別委員會の經過竝に其の結果を御報告申上げます、同委員會は去る九月五日及び九日より十二日迄數日間愼重審議の結果全委員異議なく之を承諾すべきものと決定致した次第であります、本措置令に關しまする農林大臣の御説明は、既に本會議に於て爲されましたので茲には省略を申上げます、此の委員會に於きまする質疑應答の中是より主なるものを申上げますが、此の措置令は先づ主要食糧に關しまする強權發動の問題、次に生鮮食料品の再統制の問題、第三に主要食糧の配給上の不正防止、供出阻害行爲の取締等の三つのことを内容と致して居るのであります、第一の主要食糧の強權發動に關しましては種種の御質問もあつたのでございますが、大體次の諸點に歸すると存ずるのであります、それは米及び芋類の生産高に政府はもつと正確な測定が出來ないものであらうか、生産高の算出は何と言つても供出割當を決定する基礎となるのであると云ふことを初めと致しまして、新米の末端割當の時期如何、昨年度の供出未完了の分はどうするのであるか、又本年度に於ける惡徳農家に對しては如何なる方策を執るか、本年度農家保有量を引去つた殘りの全部は供出させる積りであるのかどうか、供出後の殘つた米或は芋に付ては自由販賣をさせる意思はないか、綜合供出に付て雜穀類の割當の比率が今日迄苛酷に過ぎはしなかつたか、供出報奬物資の配給を一元化する必要はないか等の點に付ての御質問があつたのでございますが、之に關しまする政府の御答は、生産量の測定はなかなか困難のものであつて、統制をして居るとどうしても控へ目に報告して來るのである、それで農林省としても常に正確な數字を得たいと苦心はして居るのであるが、現在農林省でやつて居る測定は各農事試驗場でやつて居る豐凶考照試驗と云ふものを基礎として、更に氣象臺の協力を得、又實地見分に依り測定をして居るのである、處が何分にも地方地方よりの報告は利害關係とか政策とか、主觀的の要素が入るのでどうも正確な數字が得られない、今後は何か特殊な機關でも作つて純客觀的の立場より測定をする必要があるのではないかと思つて居るとのことでありました、尚今日迄の政府發表の數字は八月一日現在のものであつて、勿論其の後天候の順調であつたと云ふこと等は其の當時は豫想して居なかつたのでありまするから、其の後の數字は増加して居ることは當然であり、又地方に於ては新聞等輿論に依つて農家も相當非難をされて居る所もあり、從つて其の報告も其の後當然訂正されて來るものと思つて居るとのことでございました、供出割當のことに關しましては、本年は成るべく早く決定したいと思ふ、さうして一般供出割當を待たず早場米の割當を決めたのである、九月中には大體の割當を決定する積りである、又供出割當の方法に付ては從來の供出割當の基礎數字、一人當り三合一勺五才と云ふものを本年は一人當り米、麥、芋を含んで四合を保持すると云ふこととし、又供出した翌日に直ちに還元配給を受けなければならないやうな農家に對しては、本年は供出割當をしないと云ふやうな農家保有量の點に於て、又其の他の點に付て相當の改善をして居るのであるとのことでありました、昨年度の供出未完了の者はどうするかと云ふ點に付きましては、大體合理的に割當てたものの殘米は麥、馬鈴薯等に對して第一段の方法を執つたが、大體是で「カバー」が出來ると思ふ、尚不十分の時は第二段の方法を執る積りである、昨年の米と本年の馬鈴薯、及び麥は綜合供出と云ふやうな意味合になるのである、市町村食糧調整委員會に總浚ひをして貰つて、それに依り後の馬鈴薯及び麥の供出割當を決めて行く、馬鈴薯、麥に付ての供出割當の殘りのものに於ての締括りは、今囘の米、甘藷の供出に際し其の殘りを保有量としての中に計算してやつて行く積りであるとのことでありました、尚本年も未だ統制の必要を認めて居る以上は強權發動と云ふことは停止することは出來ない、但し此のことは傳家の寳刀として此の運用に付ては十分愼重にする積りであるし、本年は腐り易い芋類に對しては考へて居ないが、麥等に付ては考へて居るとのことでありました、又本年度は農家保有量を引去つた殘り全部を供出させるかと云ふことに關しましては、平年生産基準量を基礎として、此の基準量以上出來た物は割當以上の供出になるのであるから、割當以上の米は報奬金制度として出したいと思ふ、さうして割當以上の供出は出來るだけ正常の「ルート」に乘せたいと思ふと云ふことでありました、此の委員會に於きまして最も論議せられましたることは、供出後殘つた米、或は芋を自由販賣させるかどうかと云ふ點であつたのでありますが、之に關しましては政府は斷然自由販賣制度は許さない方針である堅い信念を披瀝されたのであります、今年は幸ひ豐作を豫想されては居りまするが、未だ食糧問題の見透しは附いたのではなく、今は最も肝要な時であるので、生産者も消費者も心に緩みが出てはならぬ時であるので、政府としては其の點愼重に考へて居る、併し殘米等に對しては出來るだけ統制の枠の中に入れて、正常の「ルート」に乘せるべく萬全の策を講じたいと思つて居るとのことでございました、綜合供出に付て雜穀類の割當の比率が今日迄苛酷に過ぎはしなかつたかと云ふ御質問に付きましては、此の雜穀の代替率に付ては日本農業研究所に於て研究をしたのであるが、尚再檢討の餘地はあらう、それは「カロリー」の點及び價格の點に於て考慮しなければならぬ點があるし、本年度は今迄と違つた行き方をするものであるとのことでございました、供出報奬物資配給を一元化する必要はありはしないかとの御尋に對しましては、現在末端では市町村の農業會に於て其の配給は一元的にやつて居るのである、唯問題は農村にどの位の物資がいつ來たかと云ふことを一日も早く一般に成るべく知らせることが必要なのであると云ふことでございました、次に生鮮食料品の統制の問題に關しましての御質問と致しましては、生鮮食料品の出荷増加の點に付て、及び沿岸、湖面に於ける漁獲物に對する御質問があつたのでございますが、之に付きましては政府は今日迄は農業會で出荷計畫をして來たのであるが、本年は其の下に出荷組合の如きものを作り、荷受の方では統制會社のみに委せずして、農業會が直賣所のやうな機關を持つ方法を考へて居るのである、又水産物に對しては油の「リンク」制を十分活用して出荷の増加を圖りたいと思つて居る、唯漁村に對する加配米は農村との關係上多少困難な點もあるが、出來るだけの考慮はして居るとのことでありました、生鮮食料品は何と申しても其の對象が生き物でありますので統制もなかなか困難ではある、併し海上の闇賣買等に關しては監視船を以て十分監視をして行きたいと思ふ、種種の方法を以て統制の紊れぬやうにして行きたいと云ふことであつたのでございました、次に供出妨害行爲取締問題に關しましての御質問の中に、反供出の煽動などはどう見るかと云ふ御質問があつたのでありますが、之に對しましては、單に意見の開陳はどうも致し方ないであらう、併し行爲に現れた者は困ると云ふ御答でありました、以上の外一般食糧に關しましては、澱粉工場設置に關する許可の問題、澱粉工場に對する芋の割當の量の問題、將來日本の食糧政策として玉蜀黍の増産奬勵をしてはどうか、將來日本人の食生活を如何に考ふべきであるか、食糧増産と云つても、量のみでなく質の問題が重要ではないか、今囘の粉中毒の問題より粉檢査所を設ける意思はないか、勞務加配米を増加する意思はないか、日本の將來の食糧計畫如何等の御質問があつたのであります、又一般農村問題と致しましては、蠶絲業を奬勵する必要上、桑園の復舊計畫の必要、農村に對する所得税に付て尚考慮する餘地はないか、農村今後の經濟的、文化的向上を圖る方策如何等の意義ある御質問が多々あつたのでございます、總て適切なる御質問でありまして、是等の諸點に關しまして委員各位及び政府側との間に熱心なる應答が取交されたのであります、其の詳細は何卒速記録を以て御承知置き願ひたいと存じます、唯政府の御答の中二三を申上げますれば、粉中毒の問題は現在尚研究中であるが、まだはつきりしたことが分つて居らない、「メチールアルコール」に關するやうな粉に關する檢査所は現在は無いのである、今後は未利用資源の混入と云ふ必要も段段無くなつて來るから、斯かる心配はないと思ふと云ふ御答へでありました、勞務加配米に付ては、本年は前年度より約二百五十萬「トン」程其の量を増加する積りである、又日本將來の食糧計畫に付ては實は政府は昨年暮から研究立案をして居るのであるが、如何せむ種種の條件がまだ整はないので、責任を以て其の發表をすることが出來ないのである、併し其の計畫の一端を言ふならば、開拓百五十萬町歩を完了する、十萬町歩の干拓をする、肥料二百萬「トン」の完了、燐鉱石も所要量が確保し得るやうにしたい、さうした條件が整ひまして五年先には水田七千二百萬町歩、麥の收穫二千九百萬石程度のものにしたい、さう云ふ計畫をして居るのであるが、未だ其の計畫を責任を以て發表する時ではないと思ふと云ふことでありました、斯くして質疑應答を終り討論に入りましたが、一委員より、今年は豐作ではあるが、尚主食の絶對量は國民平常の榮養保持上不足であるから、食糧の統制は必要ではあるが、強權發動の點に付ては末端關係者には實に重大なる影響があるのである、又生鮮食料品の統制に付ても出來得る限り實情に即するやう十分注意せられたき旨を申されて、本措置令に承諾を與ふることに贊成の意を表されたのでございます、斯くして討論を終り採決に入りました處、全委員異議なく本措置令を承諾を與ふべきものと決定致しました次第であります、之を以て御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=22
-
023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ是より採決を致します、本件に對し承諾を與ふることに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=23
-
024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=24
-
025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長周布男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=25
-
026・会議録情報5
━━━━━━━━━━━━━
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔男爵周布兼道君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=26
-
027・周布兼道
○男爵周布兼道君 本法案は恩給法の一部を改正する法律案特別委員會に併託されましたものでございます、委員會は二囘是が爲に開かれました、其の御報告を簡單に申上げます、此の法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案は、法文と致しましては極めて簡單でございます、會社其の他の法人は利益又は剩餘金の配當又は分配をしなければならない、其の次は政府は補給金は之を交付をしない、其の次に政府又は地方公共團體は會社其の他の法人の債務に付ては保證契約をすることが出來ない、此の三條でございまして、尚附則がございます、是だけでございます、先日此の壇上で御説明が政府からございましたが、少しく其の要領を申上げたいと思ひます、本法案は、從來政府は特殊會社に對しては、政府の出資に對しては特殊の條件に依る利益又は剩餘金の配當は分配を認め、或は一定の利益を可能ならしむる爲配當補給金を交付し、或は社債に對しては政府が其の元利金の支拂を保證する等各種の積極的財政援助を講じて、其の經營收支に對する援助、或は資本の獲得に對する保護をして來たのでありまするが、其の結果厖大な國庫の債務を招く譯でありまして、而も是等の債務は性質上、多くは其の負擔額も極めて不明確な實情にありますので、國家財政の現状に顧みまして、是等は速かに制限をして、今後債務の累増するのを防ぐことが戰時財政再建の爲に緊急の方途であり、又一面には財政援助の措置は企業の活動を公の保護に依存しまして、自主的活動を弱めるので、今囘の如き措置を講ずることとしたのであります、尚聯合國最高司令部よりの要求も來て居りますので、此の點からも廢止又は制限をする必要があるとのことでございます、今質疑の中二三を申上げますれば、先づ社債等で政府が補償して居るもの、又配當補給等の質問に對しまして、政府の答の大略を申上げますれば、社債の方は最近其の總額百九十八億五千四百萬圓で、中最も大なるもの日本興業銀行の興業債券、其の次は戰時金融金庫、又其の次は北支那開發株式會社の北支開發債券、又産業設備營團の發行して居ります産業設備債券、次は日本發送電株式會社の社債、是等は皆十億を越すものでございます、配當補給の方は二十年度に一應豫定して實行はしませぬでしたが、全部で八千二百十七萬圓でございます、北支那開發株式會社、それから帝國鉱業開發株式會社、日本發送電配當補給、帝國燃料興業株式會社等が主なものでございます、第二の質問として御紹介申上げますが、次に此の法案の提出の理由中の聯合國最高司令部の要求と云ふのは、會社なり法人なりを個々に指摘して來て居るものであるかどうかと云ふことに對しまして、其の答は司令部よりの「メモランダム」は特定して申し來つて居る所ではなく、一般的方針として來て居るので、昭和二十一年四月三日附にて帝國政府及び地方團體は、今後會社其の他の法人債務にして、其の法人の如何を問はず債務補償をなすことを得ず、又配當の補給に付ては、會社其の他の法人の配當支拂を可能ならしむる目的の爲に補償をなすことを得ずと、原則的に申して來て居りまして、之に依り案を作りまして先方と話合ひ致して、内容が決つたのであると云ふことでございます、第三に申上げますのは、事業及び目的の如何に依つては例外とすることも出來得るやうに思はるるが、其の如何に拘らず補助、補給は打切ることにするのであるかと云ふ問に對しまして、「メモランダム」中に特に聯合國最高司令部の許可を得て指定せらるべき金融機關の細部に付ては此の限りに非ずと云ふ但書が附いて居ります、此の趣旨は非常に限定的でありまして、全然債務補償をしないと云ふことになりますと、政府が今後色々な財政的問題の取扱上、非常に窮況に立つやうな場合も想像されますし、又議會で審議中の復興金融機關も考へられますので、限定的のものであるが、但書を附けて、場合に依りましては考へて行かなければならないと云ふことであります、其の次は今後國の活動に付きまして、公共用財産を利用して行かうと云ふ場合には、一々最高司令部の了解を得なければ、法律上の實行は出來なくなる、斯かる點はどうであるかと云ふ問に對しましての答は、其の點に付ては先方より「メモランダム」が來て居つて、國有財産を色々處分する場合には、原則として先方の了解を得なければ出來ないことになつて居るとのことでありました、尚種種の質疑應答がございましたが、是は速記録に讓ることに致しまして、茲には省略を致します、偖、討論に入りましたが、別に御發言はなく、採決の結果全員一致原案通り可決致すべきものと相成りました、此の段御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=27
-
028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=28
-
029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=29
-
030・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=30
-
031・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=31
-
032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=32
-
033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=33
-
034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=34
-
035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=35
-
036・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=36
-
037・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=37
-
038・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=38
-
039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=39
-
040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=40
-
041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=41
-
042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三より第五迄の請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=42
-
043・会議録情報6
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
北海道枝幸船入澗修築の件
北海道枝幸郡枝幸村長平田常太郎呈出
右の請願は北海道枝幸船入澗は獨り北部北海道の漁業基地たるのみならす近時樺太、千島等より根據を移さんとする者漸く増加するに至り現在の船入澗にては到底十分なる成果を擧け得られさるに依り大型漁船の出入し得るやう速に漁港としての修築を施し以て終戰に因り喪失せる樺太、千島の漁業根據地に代替せしめ水産食糧の増産に積極的に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
茨城縣潮來町干拓事業地域内耕地の補償金裁定方に關する件
茨城縣行方郡潮來町大洲四百五十六番地農業石津國平呈出
右の請願は茨城縣行方郡潮來町津知村延方村地先内退逆浦の干拓事業に關し之か施工者たる農地開發營團より交付せられたる請願人等の私有地に對する補償額は頗る少額にして時價に即せさるものなるに依り政府は同營團をして之か裁定方を是正せしむるやう取計らはれたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
漆器の品質審議機關設置の件
東京都下谷區上野公園東京美術學校内官吏松田權六外二名呈出
右の請願は日本の漆器は古來世界的名聲を博せるに拘らす業者の粗製濫造と販路の競爭に因り遂に外客の信用を失墜せるは洵に遺憾なるに依り速に請願書記載の如き審議機關を設置し以て我國貿易事業の進展に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=43
-
044・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是等三件の請願は、請願委員長報告通り、採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=44
-
045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=45
-
046・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第六、議會圖書館設置に關する請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=46
-
047・会議録情報7
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
議會圖書館設置に關する件
東京都杉並區馬橋二丁目九番地官吏大内兵衞外三名呈出
右の請願は我國に於ける政策の非科學性は政治上の一大缺陷にして其の因由するところ周到綿密なる調査研究の施設乏しきに在るは萬人の齊しく認むる所なるに依り政府は之か缺陷を充足すへき喫緊の措置として速にアメリカ合衆國のライブラリー・オブ・コングレスを範とし且請願書記載の要項に基く議會圖書館を設立し以て國策樹立の上に貢獻すると共に方に文化國家として再出發の途上にある我國文運確立の要請に應へられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=47
-
048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本請願に付ては討論の通告がございます、姉崎正治君
〔姉崎正治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=48
-
049・あね崎正治
○あね崎正治君 只今の議會圖書館設立に關する請願は、私が紹介を致し、又其の趣意に贊成でありますので、且又それに附加へて少し申上げたいこともありまするから、贊成の意味と同時に附加へて少し御清聽を煩します、今迄我が國に於て圖書館と云ふものは大分出來ましたが、如何にしても貧弱なものでございます、例へば「アメリカ」であれば、一つの學校を設立する場合に、其の敷地の割當に、先づ第一に中央に近い所に圖書館の設備を尠くとも豫定して掛りまするが、我が國に於ては學校設立と言へば、敷地、さうして次に教室を建てる、さうして段段して、後で圖書館と云ふことにやつと氣が附く、其の結果圖書館と云ふものは、何處の學校に行つても多くは片隅に押込められて居ります、申す迄もなく一つの學校或は町で圖書館と云ふものは、其處の智力的、又感情的、其の他を與へる爲の、謂はば血液を與へる心臟でございます、其の心臟が體の中央にあつてこそ心臟の働きをしまするが、日本の多くの學校に於けるが如く、片隅に而も貧弱なものを置いては、心臟が働かないのは勿論だと思ひます、是一つでも我が國に於て圖書館と云ふものが如何に理解せられないで居るかと云ふことを見得ると思ひまするが、我が國には唯一つの國立圖書館、即ち帝國圖書館がございまするが、此の圖書館一つにしても明治二十九年貴族院で故外山先生が建議をされて、熱心な運動をやられてやつと設立するやうになりました、前のを繼續して、帝國圖書館とするやうになりました、其の結果現在ありまする建物が出來ました、あれは大きな四角の建物を作る一角だけをやつと作つたのでございます、それから以後今日迄五十年以上の間、増築と云ふことは唯一度やつただけであります、何萬圓であつたか、少額でありました、それも閲覽室と事務室を増築しただけであります、さうして現在所藏して居る書物は隨分あつて、貴重なものもありますが、利用の状態を申さば、主として受驗學生、謂はば一般の讀者がやる、そこで其處に入る爲には列を作つて入場券を買ふと云ふやうな状態で、研究者がそれを利用すると云ふことは實にむつかしいやうな状態でございます、斯う云ふ工合に我が國では、學校にしても町にしても、如何にも圖書館を虐待して居ります、是は我が國の文化の爲に實に遺憾極りないことと存じます、勿論今日では多少市立或は縣立のも出來ましたけれども、多くはまだ貧弱なものであります、現在の此の議會圖書館の請願と云ふことは、範を「アメリカ」に取つて居ります、即ち議會と圖書館との關係を密接にする、否議會の爲に圖書館を設けると云ふ案であります、是は「アメリカ」のことを一々申上げる必要はありませぬが、御存じの通り「アメリカ」では議會が立法の本になつて居る、議員が立案をすることが本になつて居ります、それ故に議員が何かの案を立てようと云ふ場合には、先づ圖書館を使つて、其所でそれを調べて見る、一つの法案を作る爲に、それの材料なり、或は前例なりを調べる爲の圖書館、或はさう云ふ種類のものが州の議會にも何處にもあるのであります、それは或所では「レジスレーション・レファレンス・ビューロー」と云つて居ります、現在の所謂議會圖書館、「アメリカ」の「コングレス・ライブラリー」はさう云ふことを本にはして居りまするが、それから發達して今日は立派に唯一の國立の圖書館であります、國立の第一の圖書館であります、さうして國立と云ふ位地から進んで、或意味で申さば全世界の中樞圖書館となつて居ると言つても宜い状態であるのであります、それで現在の此の請願は、議會の爲の圖書館と云ふことで、さうしてそれには今申したやうな議員の用途、又特別の研究をする爲の必要な設備を整へて欲しいと云ふ請願でありまするが、それをしまするにはどうしても圖書館其のものを餘程完全にしなければならぬ、現在も此の議會に、衆議院にも貴族院にも圖書室と云ふものはありまするが、如何なるものであると云ふことを御存じのない方が或は議員の中にも御ありになるかも知れない、兎に角今度の例へば憲法改正案が出、そこで憲法に付て今迄出て居る著書を調べて見ようと思つて其所へ行つて見るが、私はまだ今度は行つて見ませぬが、果してどれだけありませうか、其の他有る筈のものが無いことも往々にしてある、兎に角現在の圖書室と云ふものは、實にほんの新聞、雜誌を主にしたやうなもので、今申したやうな立法の參考にする、材料にすると云ふやうなことは到底出來ないのであります、今後議會の機能が益益重要になるに從つて、此の方面が重要になることも勿論であります、然らば今日に於て少くとも議會圖書館を設ける必要があると云ふことは申す迄もなからうかと思ひます、さうなれば、「アメリカ」を例に採つて見ますれば、又「アメリカ」の例は私は世界で一番良い例と思つて居りますが、今後の發達も自ら其の方に向つて行くに違ひない、さうすれば現在の帝國圖書館或は國立圖書館でありまするか、それが上野の公園の片隅の不便な所にあります、位置も不適當である、又現在の機能も不適當であります、唯受驗者の讀書室と云ふやうなことに殆どなつて居る状態では、帝國圖書館と稱するに足りない、然らば此の請願にありまする議會圖書館を中樞にして、さうして國立圖書館の設備を整へ、帝國圖書館其の他を併せて、堂々たる圖書館にして、唯單に議會の爲でなく、國の爲の圖書館と云ふことにする必要があると信じます、茲でちよつと御參考に「アメリカ」の圖書館で致して居りまする仕事の中で直接圖書館でない方のことを少し申上げたい、是が又將來必ず必要になつて來ると思ひます、其の一つは著作權の登録であります、今日我が國では著作權の登録は内務省に屆け出ることになつて居ります、是は警保局が司つて居ります、是は元檢閲の必要から來たものである、其の規定に依れば出版したものは警保局へ二部出す、さうして其所で著作權を登録する、其の一部は内務省に留め、一部は帝國圖書館に贈ると云ふことになつて居りまするが、それが澁滯して、帝國圖書館に贈られない場合が可なり多くあるのであります、又物に依つては何處かへ飛んでしまつたと云ふやうなこともあるのであります、兎に角現在迄は檢閲と云ふことの必要から、内務者で管轄して居りましたが、今後是がどうなりませうか、私は今後我が國では矢張り「アメリカ」の圖書館のやうに、圖書に關することは其の中樞の國立圖書館が司ると云ふやうにするのが至當であると思ひます、然らば著作權の登録と云ふことも矢張り此所でするのが當り前だと思ふ、兎に角「アメリカ」の「コングレス・ライブラリー」では著作權の登録と云ふことを司つて居ります、其の次は聯合目録、「ユニオン・カタログ」の編成、作製竝に發行、是は目録の問題になりますが、圖書館の目録と云ふと、大きな本で印刷したものを多く御聯想になるだらうと思ひますが、現在の如く書物がどんどん出る状態では、さう云ふ目録をやつて居るのでは、目録の用を爲さないのであります、「ビブリオテーク・ナショナル」でも「ブリテイッシュ・ミューゼアム」でも何十册と云ふ目録を今迄出して居りますが、それが「エフ」か「ジー」と云ふ所迄行くのに、十何年も二十年も掛つて居ります、それも必要であるが、其の前に所謂「カード」で目録を作つて、さうしてそれを唯其所の目録でなくて、各圖書館や大學の聯合目録として配るのであります、之を「アメリカ」の「コングレス・ライブラリー」で營んで居ります、是は恐らく我が國には一つだけ來て居ります、之に依つてどれだけの便宜を得るか、今文部省では科學文獻の調査と云ふことを始めて居られます、其の爲に大分の金を費す豫定のやうであります、それをするにしても此の聯合目録がなかつたならば非常な手數になるのであります、「アメリカ」の「コングレス・ライブラリー」では國内のは勿論、國外のも得たものは直ちに「カード」にして、其の「カード」で各圖書館に配付しまするから、「アメリカ」では大きな圖書館ならば何所へ行つても、其の圖書館に存在しないでも「コングレス・ライブラリー」其の他の何所かに在ると云ふことが分る、それを世界中に供給して居るのでありますから、世界中それで連絡が付く譯であります、之を我が國だけでもどうしたつてしなければならぬことであります、此の聯合目録の製作と云ふことは、世間の多くの人はまだ知らないことかと思ひまするが、今後益益重要になると思ひます、もう一つは各國との圖書の交換であります、是が又年々歳歳數を増して來て居ります、我が國では現在是は帝國圖書館でやつて居りますが、併し是では不十分であります、兎に角此の議會圖書館と云ふものが出來るならば、「アメリカ」の例と同樣に、議會圖書館自らがそれを司るか、若しくはそれに委任した所が之を司る、「アメリカ」では「スミソニヤン・インステテュート」がやつて居りますが、それをしなければならぬ、其の他書物を蓄へ、さうして研究者にそれだけの便宜を與へる、是は勿論のことであります、さう云ふ種類の今後益益必要になる事業があるに拘らず、我が國ではそれに對する設備が現在缺けて居るのみならず、將來に對する設計も見込もまだ付いて居ないのであります、今日此の請願が出た、今迄も之に似たものは出て居りまするが、どうしたものか繼子扱ひと申しませうか、其の儘にされて居る、私は甚だ之を遺憾に存じますが、殊に諸君の御熟慮を煩し、又當局に於ても其の點殊に御熟考を願ひたいと云ふ意味で、此の贊成演説を致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=49
-
050・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本請願は請願委員長の報告通り、採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=50
-
051・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=51
-
052・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第七より日程第二十三迄の請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=52
-
053・会議録情報8
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
工藝關係創作權の確立と保護に關する件
東京都世田谷區世田谷三丁目二千二百九十五番地冶金及印刷技術者長谷川一外二十四名呈出
右の請願は美術工藝品の生産は現下の急務なるに拘らす其の創作、創案等に對する法的保護を缺如せるか爲め往々にして作品に對する權威を冒涜し延ては作家の製作意欲減退を招來し之か進歩發達を阻碍するものあるは洵に遺憾なるに依り速に工藝創作權を制定し以て美術工藝の育成被護を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
工藝關係行政機關の擴充強化に關する件
東京都世田谷區世田谷三丁目二千二百九十五番地冶金及印刷技術者長谷川一外二十四名呈出
右の請願は完全非武裝文化國家の建設を國策とする現下の我國に於て工藝の劃期的振興を圖るは産業の指向を律すへき急務なるに依り政府は工藝關係行政諸機關を擴充強化し藝術、科學、生産の三位一體的結合を完からしめ以て民生を豐ならしむると共に世界の文運に貢獻せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
主要醫藥品等の二重價格制に依る國家管理制急施方に關する件
千葉縣醫師會長花岡和夫呈出
右の請願は終戰以來食糧の不足と過勞等に因り國民體力の低下と疾病の増加著しく而も醫藥品及衞生資材の缺乏は所謂闇取引を派生して醫療費の昂騰を來し國民保健上誠に憂慮に堪へさるものあるに依り主要なる醫藥品の生産及配給は之を國家管理とし且二重價格を設けて末端使用時の價格を低廉にし以て不幸なる傷病者をして安んして受療の恩恵に浴せしめられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂君
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
休止及廢止、單線化せる地方鐵道の復活に關する件
東京都麹町區丸の内三丁目四番地社團法人日本鐵道會會長村上義一呈出
右の請願は戰時陸運非常體制確立に基き戰後復舊を條件として囘收せる地方鐵道、軌道の施設は最近に於ける經濟事情の著しき變化の爲め會社の自力復活殆と不可能に近きものあるに依り政府は速に轉用資材の復元と建設費補助の措置を講し以て地方交通機關の恢復を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
地方鐵道等の戰災復舊に要する資材及資金の特別措置に關する件
東京都麹町區丸の内三丁目四番地社團法人日本鐵道會會長村上義一呈出
右の請願は地方鐵道、軌道の蒙りたる戰禍は國有鐵道を凌駕するものあるも資材獲得の困難なると金融非常措置に基く支拂制限の爲之か復舊殆と不能に近きものを生するに至れるは誠に遺憾なるに依り政府は速に資材及金融の特別措置を講し以て輸送力の増強を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
豫定線小郡、荻間鐵道速成の件
山口市長井上武男外一名呈出
右の請願は山陽線小郡、山陰線萩兩驛間に鐵道を敷設するは本州西部と日本海を結ふ捷徑となり陰陽兩地區の貨客輸送上資する所大なるのみならす今後萩港と大陸との連絡及近く實現を見んとする超特急の小郡方面停車と相俟て其の重要性を加へ來れるに拘らす單に豫定線として今日におへるは關係地方民の洵に遺憾とする所なるに依り速に之か實現を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
富士山麓一週觀光道路新設に關する件
靜岡縣駿東郡御殿場町長稻葉五三郎外二十九名呈出
右の請願は觀光立國は今後の日本に課せられたる重要の問題にして風光の國として全土を擧けて施設の對象と爲すへきものなるも現實の諸事情之を許ささるに依り富士、箱根を其の第一着手とし速に富士山麓一週の觀光道路を設け併せて京濱地方より富士、箱根に連絡する道路を新設或は改修し以て外客の觀光に便すると共に産業の興隆に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
木曾川上流改修竝附帶工事速成の件
岐阜縣本巣郡北方町長大野勇外二十名呈出
右の請願は岐阜縣木曾川竝其の支派川の改修は尾濃勢三州の豐凶に至大なる關係を有するに拘らす未之か完成を見るに至らさる爲屡洪水の難を蒙り農作物の被害激甚なるは刻下の食糧事情に鑑み洵に遺憾なるに依り速に國營を以て之か改修を實施し耕地の荒廢を防除すると共に交通、衞生教育等の上に及ほす障害を除去せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
農家の經濟安定に關する件
岐阜縣本巣郡北方町長大野勇外二十名呈出
右の請願は現下諸物價の昂騰と所謂闇値の横行に依り農村に於ける生活状態は極めて不安定にして小作者は固より地主も亦大に困却を來せるに依り政府は速に之か素因を爲せる脱法行爲の取締等請願書記載の如き各種の方途を講し以て農家經濟の安定を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
岐阜縣本巣郡根尾村に高堰堤築設の件
岐阜縣本巣郡北方町長大野勇外二十名呈出
右の請願は岐阜縣本巣郡根尾川を水源とする山口用水は古來縣下最大の用水として揖斐、本巣兩郡の灌漑に寄與し來れるも戰時中背後山林の濫伐に因り其の貯水力を減耗したるのみならす水害の懸念をも伴ふに至り美濃米主産地たる同地方の憂慮少なからさるものあるに依り政府は速に根尾村地内適當の位置に高堰堤を築設し以て其の缺陷を補ひ旱害及水害の兩者に備ふると共に發電水力としての利用をも圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
北海道虻田郡眞狩地帶に省營自動車運輸開始の件
北海道虻田郡狩太村長内山憲一外七名呈出
右の請願は北海道虻田郡眞狩地帶八箇町村内の未墾地六千餘町歩の開發は國内食糧事情の打開に寄與する所大なるものあるも其の成否は一に懸つて交通機關の整備に存するに依り速に同地帶に省營自動車の運輸を開始し以て開拓の達成と民生の安定に貢獻せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
奧羽本線福島、米澤の兩驛間電化速成の件
米澤市長宇佐美辰五郎外十一名呈出
右の請願は奧羽本線福島、米澤の兩驛間を結ふ鐵道は奧羽山脈の峻嶮吾妻山を横斷する爲め勾配急にして隧道多く運輸上多大の資材勞力を消耗し其の機能を發揮し得さるのみならす隧道、雪覆内の煤煙と熱氣は從業員をして屡窒息状態に陷らしめ旅客の不安亦甚しきものあるに依り速に同區間の電化を實現し以て地方の運輸交通に資すると共に文化竝産業の開發促進に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
舊鶴見臨港鐵道線外三鐵道線拂下に關する件
東京都麹町區丸の内二丁目二番地鶴見臨港鐵道株式會社代表取締役社長山田胖外三名呈出
横濱市鶴見區鶴見町三十八番地社團法人京濱工業協會會長清水與七郎外三十名呈出
右の請願は舊鶴見臨港鐵道、南武鐵道、青梅電氣鐵道及奧多摩電氣鐵道は戰時輸送力強化の爲緊急措置として政府に買收せられたるも元來之等四鐵道は一地方の交通の爲に發達したるものにして戰爭終結に伴ひ國營の必要性を失ひしのみならす沿線住民の民營復歸の要望亦切なるに依り速に前經營者に拂下け以て沿線地方の交通と産業の開發に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
未成線鐵道佐久間線速成の件
靜岡縣濱松市長藤岡兵一外三名呈出
右の請願は未成線鐵道佐久間線の速成は沿線地方に於ける豐富なる林、鑛産等の資源の開發上緊要なるのみならす中央線辰野驛より東海道線豐橋驛に至る諸地方鐵道の國營移管と相俟つて運輸交通竝戰後の國力囘復に貢獻する所大なるに依り既定計畫に基き速に著工完成を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
福島縣小名濱港修築に關する件
福島縣石城郡小名濱町長志賀要平呈出
右の請願は福島縣小名濱港に對しては北海道、京濱兩地方の中繼港として曩に第一期修築工事を施したるも防波竝防砂の施設完からさる爲本來の使命を達し得さるは洵に遺憾なるに依り當初の計畫に基き港灣の修築、船溜施設を速に完成し以て海運の發達と漁業の振興に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣 吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
下關市に第二水産講習所設立の件
下關市西南部町二十六番地の一罐詰業坂本實外一名呈出
右の請願は未曾有の食糧難克服と新日本産業の將來に備ふる爲水産業をして一層隆昌ならしむるは喫緊の要務なるに拘らす之か指導者を養成する專門學校僅に三校に過きさるは洵に遺憾なるに依り其の位置設備等好條件に惠まれたる農林省水産講習所下關分所を獨立の第二水産講習所とし漁船の船長同機關長竝沿岸漁村の指導者養成の機關たらしめ以て水産食糧増産と民生の安定に資せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
最上用竝同支流改修の件
山形縣最上郡新庄町長楢岡徹呈出
右の請願は山形縣最上郡内を貫流する最上川及各支流は年々の大雨に増水氾濫し其の被害甚大にして農民の困窮尠からさるに依り速に之か改修工事を實施せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=53
-
054・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是等の請願も請願委員長の報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=54
-
055・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03319460917&spkNum=55
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。