1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○林業會法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月一日(火曜日)午前十時十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=1
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002・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 是より委員會を開會致します、質疑を續行するのでありますが、其の前に御諮りしますが、今日は大臣が見えて居りますから、特に大臣に御質問の方は纒めて此の際御願ひしたいと思ひます、それでは質問を繼續致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=2
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003・青木重夫
○子爵青木重夫君 今度の林業會法案は、聯合軍最高司令部より六月二十五日でしたかの指令に依つて、日木社竝に地木社が解散を命ぜられた爲に、早急に此の法案を御作りになつたと云ふことは大臣も衆議院で御發表になつて居るやうでありますが、此の法案を審議する上に、聯合軍最高司令部の指令の内容を御發表願はないと、審議に差支へると思ひますが、指令の内容を御發表願へませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=3
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004・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 結構であります、御讀み致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=4
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005・平川守
○政府委員(平川守君) 全文は後程取寄せますが、其の要旨を申上げますと、第一點と致しまして、日木社、地木社は解散せよ、而して其の存立の基礎となつて居る法令は之を廢止せよ、それから第二點と致しまして、民間の業者を以て組織する自主的な團體を結成せよ、其の團體をして自主的に木材の需給に關する調整を行はしめるやうに、此の木材の生産配給に關する方策は經濟安定本部が之を樹立する、さうしてそれを承けて農林省が之を實施する、此の自主的に組織されました團體が其の政府の施策に從つて自主的に需給に關する調整を行ふやうに、斯う云ふ點、其の三つの點が要點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=5
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006・青木重夫
○子爵青木重夫君 さうしますと、價格の決定、それから配給の統制を總て經濟安定本部で御決定になりまして、農林省は其の安本の命令竝に計畫に從つて御實行になると云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=6
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007・平川守
○政府委員(平川守君) 其の通りでございまして、唯其の時に、申落しましたが、此の經濟安定本部が政策を樹立する譯でありますが、其の際に其の民間の機關に諮問をして、安定本部は政策を決めると云ふことを指令致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=7
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008・青木重夫
○子爵青木重夫君 さう致しますと農林省の力が非常に弱いやうにも思はれますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=8
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009・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 此の經濟安定本部は、結局日本の差當つての經濟安定に關しまする一つの企畫をやることになる譯であります、それで價格は安定本部の中の物價廳で統一的にやる譯でありまして、從つて木材價格の決定等も、是は從來農林省の所管に於てやつて居つた譯でありますが、是等のものが物價廳謂はば經濟安定本部の方に移りまして、そこで色々な他の物價とか、又將來の物價水準と云つたやうなものを考へて、色々な見地から檢討されまして決定される譯であります、併し勿論其の場合には、是は何と言ひましても、木材等に關しましては、農林省が矢張り專門家の立場にある譯でありまするので、農林省の側から資料も出し、それから農林省の側の意見も十分出しまして、それで經濟安定本部の物價廳がそれに基いて、色々相談をして決めて行く、斯う云ふことになる譯でありまして、政策の統一と云ふ點から安定本部と云ふものに色色なものが統一されまするので、さう云ふ形を取るのでありまするが、實質的には農林省と云ふものの考へ方なり、材料なり、さう云ふ、又それに基く意見なりが十分反映することにならうと思ひます、それから木材の生産配給の統制でありますが、是等のものも御承知のやうに經濟安定本部で物資動員計畫、所謂戰時中の物資動員計畫のやうなものは、是は全部安定本部でやると云ふことになつて居るのであります、そこで木材の需給なんかに付きましても、勿論農林省の方から案を出しまするが、それで安定本部の方で、それ等のものを十分基礎にしまして、檢討して、木材の需給と云ふやうなものも一つの物動の中の計畫として決めて行く、斯う云ふことにならうと思ふのであります、それで、其處で決つたものに付て、是は實際上の實施は勿論農林省がやる、併しさう云ふことをやります場合に於て、そんなら從來の民間の方の色々な團體、殊に今度出來ます、需給調整委員會と云つたやうな案の意見を聽かなければならぬかと云ふと、それはさうぢやないので、勿論それに諮問するなり、何なり、さう云つたものの意見を聽いた上で決定して行く、斯う云つたことで運營される譯でありまして、實質的には安定本部と言ひましても、農林關係に於ては大きな組織を實際上持つて居るのは、農林省が持つて居る譯であります、事實上は農林省と云ふものが、矢張りしつかり案を立てませぬと、なかなか是は安本だけでは宙に浮いたやうなものが出來て困る譯であります、さう云ふ點は十分連絡を取つて行くと云ふやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=9
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010・青木重夫
○子爵青木重夫君 私は價格の決定に付て御質問申上げたいのですけれども、安本に御尋ねするのが本筋になるかも知れませぬが、農林省でお分りになつて居ることは、農林省で御答を願つて結構なのであります、林業會法第四條後段の第二號の「林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力」とのみ書いてございまして、今度の木材の價格は公定價格か、或は協定價格か、それがはつきり致して居りませぬし、どう云ふ風にして價格を御決定になるのですか、御當局に御説明を願ひたいと思ひます、實は今迄の木材の統制法に據つて居る價格は木材に公定價格がありますが、立木に對しては公定價格はございませぬで、運賃とか、伐採賃とか、中間經費を差引いた逆算價格で立木の價格を算定して居りましたので、昨日竹中委員から御話がありましたやうに、立木一本の値段が大根一本の値段よりも安くなると云ふ御話がございました、場合に依つてはさう云ふ値段も起つて參りますし、木材のみ公定價格で運賃其の他の中間經費の値段は公定價格でありませぬ、實際に掛かる、實際に必要な値段を算定して、公定價格から差引いて逆算して行きますから實際に必要な値段と云ふのは、闇値段であります、運賃でも、伐採賃でも、總て闇値段です、それが實際の必要な價格です、それを公定價格より差引いたものを立木價格と致しますから、立木價格が不當な安價になります、奧山に行きますれば、大根一本は愚か「マイナス」の値段も出來る譯であります、此の價格の算定と云ふ問題は非常に重大な問題でありますから、此の法案を見ては、まだ價格の決定に對して了解出來ませぬから、此の點を詳しく御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=10
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011・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 價格が今の公定價格か協定價格かと云ふことに付きましては、是は物價廳の方で決定せられることと思ふのであります、價格の決定の資料を山林局の方へ提出することに相成つて居るのであります、それは、昨日もちよつと申しました通りに、各事業費とそれから立木の價格の二本建と致しまして、立木の價格は昨日申しました通りに丸太と致しまして、一番多く出ます例へば五十年生程度の杉の林に付きまして、大體地位、其の他密度の關係等も中庸のものを採りまして算定を致すものであります、又事業費の方の原價計算に於きましては、大體勞務賃金、事業の工程等を基礎と致しまして適當に、適當と申しますと、各事業種別に全國的に賃金を調査致しまます、其の標準となる價格を採用致しまして、それに依つて價格を算出することになるのであります、で、只今申上げましたのは、丸太の價格の算定方法でありますが、立木の價格の方の算定は、只今の處、御説の通り今の丸太の價格から逆算して出すことに相成つて居るのでありますが、今仰せの通りに、輸送賃金其の他の闇價格で計算致しますと、立木の代價と云ふものは非常に安くなつて參りますし、特に奧山の方に立木は、御説の通り零、又は「マイナス」になるやうな計算にもなるのでありまするが、大體此の搬出の方の輸送賃金、其の他の單價を闇賃金だけに頼らずに、適當と認める價格で算定致しまして、立木の價格を出すより外ないかと考へるのであります、唯國有林方面で只今考へて居りますのは、今の逆算方式と、それから一方立木の再生産費、造林費等を基礎と致しまして、適當の價格を算出致しまして兩方狙み合せまして、適當の立木價格を決定するやうに致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=11
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012・青木重夫
○子爵青木重夫君 一度安定本部の方の御説明を願ひたいと思ひますが、御出席願へませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=12
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013・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 承知致しました、其のやうに取計らひます、ちよつと申上げますが、大臣は又衆議院に用が出來まして、今農地委員會の方に出席、續いて十一時から「ジー・エッチ・キュウ」の方に行かなければならぬから、午後から又來られるさうであります、其のことをちよつと御斷りして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=13
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014・松尾國松
○松尾國松君 實は今「ジー・エッチ・キュウ」の指令を聽いて見ますと、甚だ農林當局を私はどう斯う申すのではないので、青木さんの御説もあつたのですが、經濟安定本部が、あの指令に依ると中心になつて居るやうにも思ふのです、さうして、大臣の説明に依ると、自分の方が基を作つて行かなければならぬと云ふ御話でありますが、是はどうしても安定本部長官も列席して居つて貰はなければ、此の重要な問題は、どうも要領を得ぬのではないかと思ひます、例へば只今の價格の決定であります、先程政府委員の御説明がありましたが、物價廳で決めるであらうと云ふやうに記憶致しましたが、それならば價格の決定を幾ら言つてもあかぬですが、例へば、價格の決定はどうかと申すと、今御話の通り、大體逆算をするから、逆算をしますと、山のちつと遠い所のものは、無價値位でない、赤字になる、只で貰つても赤字になる、それは政府委員は能く承知して居られると思ひます、赤字になると言つて、損が立つと言つて、只でやると云ふ譯にはいかぬと云ふことは勿論でありますが、是はどうも、所謂山林所有者と云ふものの所得を今日、之を農業の方面に比較して考へると、御承知の通り食糧生産は生産者に總ての重點を置いて居る、さうして所有者には極めて少くして居るのでありますが、是は山林は、所謂耕作でないからして、所謂森林所有者が、其の價格を少しでも餘計受ける、公正妥當な價格を受ける、斯う云ふことが重點であると思ふのでありますが、それを物價廳が決める、あそこが決めると云つて貰つては、一向要領を得ぬことになると思ふのですが、どうしたものでございますか、私は實は二三御尋ねしたいと思ひますが、まあ此處で、一つ御許しを受けて問うて見ますのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=14
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015・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) ちよつと申上げたいと思ひますが、今の御話御尤もでございますから、午後農林大臣が又出席される時に、膳國務大臣竝に物價廳の次官も一緒に出席願つたらどうかと思ひます、其のやうに取計らつて見ますから、どうぞ其の節に御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=15
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016・松尾國松
○松尾國松君 承知致しました、其の前に一つ二つ質問を御許しを願ひます、是は農林省のお方で宜いと思ひますが、第一條に「木材その他」とあるのですが、此の「その他」の中には、菌苔類と云ふものも含まれるかどうか、其の菌苔類とは、まあ多く松茸を重點とします、さう云ふものを加へられるかどうか、それはどう云ふことであるかと云ふと、此の松茸の處分に付ては、地方に古い慣習があつて、或は町村、若しくは部落で其の附近の山、或區域を限つて其の町村がそれを收入する、さうして所有者には適當に配分をして、其の町村が收入をする、斯う云ふのがあるのです、それでありますから、さう云ふものに付ては菌苔類を入れられるか、入れられぬか、それを入れらるるとすれば、市町村とのさう云ふ古い慣行はどう云ふ風に考へられるか、斯う云ふことを御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=16
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017・平川守
○政府委員(平川守君) 此の林産物と云ふ言葉の解釋と致しましては、森林から産出致しまするものは含む譯でありますから、指定をして出來ないことはないのでありまするが、現在の處、松茸のやうなものを指定する考は持つて居りませぬ、比較的大量に生産を致しますもので、自主統制を行ふやうな必要があるものと云ふやうなものを考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=17
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018・松尾國松
○松尾國松君 もう一つ御尋ねしたいのですが、此の森林法の第六十二條に、森林組合の目的は御承知の通り資源涵養であつて、植樹とか、所謂森林の保護育成、約めて申せば、資源涵養、造成、斯う云ふことになつて居ります、それから此の林業會法案には、六十六條に林業組合の目的が書いてある、其の林業組合の目的は、其の出來た林産物を處分し、さうして之を販賣し加工し、供給する、斯う云ふことになつて居るのであります、是ははつきり區別が立つて居るのであります、而して之を衆議院の審議の模樣を聽いて見ますと、是ははつきりして居る、それであるから、一は森林の資源の造成であり、一は其の出來たものを加工、若しくは販賣、配給する、斯う云ふ責任を持つて居る、斯う云ふことでありますが、是は私は此の法案を審査するのに當つては、それを其の通りに考へてすべきものである、斯う云ふ風に思ふ、殊に衆議院に於ける審議の模樣は、決して之を一つにすると云ふやうなことを考へて居ない、さうして衆議院での論議を聽いて居ると、現在に於て、森林組合が製材加工をすると云ふことは戰時中の特例として、特例を認めたのであつて、平常には認めて居らぬ、而して現在に於て、其の生産をして居るものは、所謂茲に謂ふ林産組合と云ふものが七十「パーセント」をこなし、森林組合は三十「パーセント」をこなして居られる、斯う云ふのであるから、森林組合に統一すると云ふやうなことは、衆議院では政府當局も、一言もさう云ふことがあつたこともなし、又さう云ふ議論をしたこともない、斯う云ふことでありますが、それはどう云ふことであると云ふと、私は其のどちらにどうと云ふことを申すのぢやないのですが、此の法案にはつきりして居るものであるから、さう云ふ意味で考へなければ、茲に混亂を來す、混亂を來した結果は森林所有者に迷惑を與へる、斯う云ふことを思ふのですが、どう云ふ御考へですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=18
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019・平川守
○政府委員(平川守君) 衆議院に於きましても、屡屡其の點に觸れました譯でありますが、森林組合の方は、森林の維持造成と云ふことを圖ることが主眼であります、それは御説の通りでありますが、併しながら同時に此の森林法に於きましても、第七十條に於きまして組合員の生産した森林産物の加工、販賣等に關する事業をも行ひ得ることに相成つて居るのでありまして、現在の状態に於きましては、森林組合の實力は其處迄は及んで居らぬものが多いのであります、從つて此の林業會法に於きましては、現實の森林組合の實力と、又林産業者の實力と云ふものを前提に致しまして、大體の仕事の分野と致しましては、森林組合は森林の維持、造成、又林産組合は林産物の生産、販賣と云ふことに大きく仕分けられると思ふのであります、けれども、それかと申しまして、森林組合の加工、販賣等に關する事業も、是は戰時中の特例と云ふやうな意味ではありませぬで、矢張り其の組合員の森林の造成なり、或は林業の發達なりと云ふことを圖つて參ります爲には、そこ迄手を伸ばす必要がある場合もあるのでありますから、此の事業は、森林組合に於て實際に實力を以て能く運用を致しまする場合に於ては、之を抑へると云ふやうな意見はない譯でありまして、是は助長して參つて差支ないと思ふのであります、唯併しながら、それかと申して現在の實情に於て森林組合の持つて居ります實力と、林産業者の持つて居ります實力と云ふものを無視して、直てに森林組合側に之を吸收せよと云ふやうな御意見もありましたけれども、それはいけない、私共としては現實の實際の實力と云ふものを重視致しまして、大きく大まかに分ければ、森林組合側の仕事は維持、造成、林産組合側の仕事は生産、販賣と云ふ風にする、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=19
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020・松尾國松
○松尾國松君 さうすると、今の御話は、現在の實力に應じて適當にすると、斯う云ふことであります、是はですな、要するに森林所有者の收得、所謂木材の代價を公正妥當なる價格を收得せしめたい、斯う云ふのが唯一の重要なる問題なんで、それに向つて私が申上げる迄もなく木材商と云ふ者は色々な人を多く抱へて居ると云ふ爲に、或は色々な商業技術とでも申しますか、さう云ふことを弄する爲に、時には森林所有者を壓迫し、時には森林所有者に向つて強制的に販賣を要求する、從つて森林所有者、大體此の買ふ方の者とこなす者と、森林所有者と云ふ者とを人間的に比較しますと、一はさう云ふことに馴れざる經驗のない、詰り極く實直な人ばかりであります、片一方は商業關係の者で、左樣に非ざる者との交渉であるから、從つて森林所有者が損をする結果を見る、此の損を防ぐに付てどう云ふことを考へらるるか、今迄は木材と云ふものは、國家が大なる消費費である、故に國家が大いなる消費者であるが爲に、官廳の權限と云ふものも、我我が見て居ると、或は時には限度以上に振り廻すことがあるが、是は當時のことであるから、それは國家が必要とする意味に於て、已むを得ずと、斯う云ふことですが、今日は申す迄もなく、民需が第一であるから、民需の方へ圓滑に、而も需要者に向つて、公正妥當なるもので配給しなければならぬ、其の公正妥當の價格と云ふものは、消費者も非常に迷惑でない、所謂公正妥當の價格で、而して其の價格の大部分は、森林所有者に之を收得せしむる、斯う云ふのが私は今日の最も重要なる點であると思ひます、何故かと申すと、今迄の官廳の統制と云ふものは、其處迄考へる餘地がなかつたと、斯う言つて置くより仕樣がない、先程から御話のある通り、原木、立木には價格を決めずに唯先の價格だけ決める、斯う云ふのであるから、逆算で無價値になる、今日はそれが逆になつて來て、民需でもあり、自由でもあり、又自主的にすると云ふことは此の法にも書いてあり、政府の説明にも強調せられて居る、だから自主的にと言へば、御互に森林所有者は森林所有者の自治的の考でやる、之を官廳は育成、保護しなければならぬ、片一方は、配給生産の責任を持たせる爲には、それはそれだけに對する價値と云ふか、益と云ふか、此の分配を最も公平にしなければならぬ、斯う云ふことなんです、それで丁度、今日農地の關係に於ては、所有者と耕作者との均衡を得ると云ふことなんですが、先程申したやうに此の森林は森林所有者が耕作もし生産もすると同じ状態である、それに向つて最も公正なる價格を得せしめると云ふことは、今迄とは違つた考を持たれぬければならぬが、それに付ては農林省はどう云ふ考を持つて居られるか、もう一つ私は附加へて置きますが、今迄の農林省のやり方と云ふものは、我々から見て居ると、どう云ふことをやるのか分らない、例へば規格の問題でも、規格は一體、今日の木材の種類と云ふものは、私は不敏にして知らないのですが、或は五萬種と云ふ人があるし、十萬種と云ふ人もあり、それは一つ一つに種類を別にしたならば或は十萬以上になると思ふ、さう云ふものに付て、建築の構造を一定せずに規格を拵へてやると云ふことは、其の爲にどれ程需要者が迷惑し、木材を濫費したか分らないと思ふ、それでも平氣で、いや價格を斯う云ふ風にするのだ、規格を斯う云ふ風にするのだとして、さうして其の規格から拵へた公定價格と云ふものはどう云ふものかと云ふと、所謂石數から算出して、先程政府委員の御説明のあつたやうに、逆算をして見たり色々なことをして役所が拵へたと云ふだけであるから、それでは賣れないと云ふから、結局事實に合はぬものになつて、高いものになる、高いものになつて行くが、森林所有者はちつともさう云ふ益を受けない、斯う云ふことが今日迄の事實である、それに付て、どう云ふ風に分配を考へられるか、是は先程の御話で行くと、物價廳が決める、經濟安定本部が考へると云ふことでありますが、それは物價廳にも言はなければならぬが、あなたの方は、大臣の説明に依ると基を拵へると、斯う云ふことであるから、それに向つてどう云ふことを考へて居られるか、之を一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=20
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021・平川守
○政府委員(平川守君) 立木の價格を決めますることは畫一的に衆めることが非常に困難な状況にあることは御承知の通りと思ひます、從來有らゆる物資が不足を致しまする關係上、どうしても各物資の間の調整を圖った公定價格と云ふ制度を執らざるを得ないと云ふ大前提の下に於きまして、何等かの形に於て、木材の公定價格を決めなければならぬと云ふ實情にあつた譯であります、木材だけを切離して考へることが出來ませぬで、矢張り各物資との均衡の問題がありまする爲に、非常に、公定價格を決めると云ふことの性質上、困難な木材に付ても決めざるを得なかつたと云ふ實情にあつた譯であります、木材に付て公定價格を決めると致しますれば、現在やつて居りますやうな、或一定の發驛ならば發驛を基準に置きまして、そこで生産費等を考慮して公定價格を定めると云ふことにせざるを得ない、立木の方は、各場所場所に依りまして、非常に不便な所もありまするし、便利な所もある譯であります、之を畫一的な値段にすると云ふことは、又實際に却て適はない事情もありまするので、立木に付きましては、逆算方式と云ふことを採つた譯であります、併し其の公定價格を決めまする際には、昨日も局長から御話がありましたやうに、立木の再生産費と云ふやうなものを考慮致しまして、公定價格の中には、平均的な立木の値段と云ふものを其の因子の中に算入を致して居る譯であります、現在の處では、石當り約二十六圓と云ふ要素が立木の價格と致しまして、再生産費を基準にして算入されて居る譯であります、但し此の價格が適當であるかどうかと云ふことに付ては、色々議論もあらうかと思ふのであります、尚以前に於きましては、奧地の方の非常に不利な立木に付きましては、特に公定價格を定めまして、例へば赤字になつてしまふ、或は零に近くなつてしまふと云ふやうな所に於きましても、一定の八圓なり十圓なりと云ふ値段だけは押へると云ふ意味の公定價格を決めて居つたのであります、まあ、さう云ふやうな決め方でも致しますれば、出來るだらうと思ひますが、各山林のそれぞれの事情が違ひます立木に付て價格を決めると云ふことが、非常に困難な實情にあつた譯で、價格に付て、森林所有者に出來るだけの大幅の利益を與へなければならぬと云ふことは、誠に御尤もと存じますが、併しながら木材の價格に於きましては外の物資と比較的違ひまして、運搬賃と云ふものが非常に大きな要素を占めることは御承知の通りと思ふのでありまして、從ひまして木材の價格から見ますると云ふと、立木所有者に還元を致します部分が比較的少いやうなことにありまするけれども、併しながら之を運搬して需要者の手許迄渡すと云ふ過程に於きまして、非常に多くの費用が掛ると云ふ關係上、一見さう云ふ風に見えるのではなからうかと思ふのであります、併しながら御話の如く立木所有者に對して相當な對價を提供する、殊に造林等の關係を睨み合せまして、再造林に差支ないやうなものを與へると云ふことは、是非必要なことと思ふのであります、今回の林業會法に於きましては、此の價格、從つて其の規格等にも關係致すと思ひますが、價格の決定等に付きましては、林業會の意見を安定本部の方が徴すると云ふことに致して居ります、是は法の第三十一條に規定を致して居るのでありまして、日本林業會が「林産物の生産、配給、消費及び價格」に關しまして、政府に意見を述べることが出來る、經濟安定本部が木材の價格を決定致しまする場合には、日本林業會の意見を徴する譯でありまして、日本林業會に於きましては、此の第三十條にありまするやうに、林業委員會と云ふものを設置致します、此の林業委員會には森林所有者の代表であります所の森林組合側の人々、或は林産業者の代表であります所の林産組合の役員、或は更に需要者の立場も代表致しまして、「林業に密接な關係を有する事業を營む者」と云ふやうに、森林所有者、林産業者、需要者と云ふやうな立場の者が公平に集りまして、さうしてそれぞれの立場から意見を述べて、共の意見に基きまして、日本林業會が民間の意見と云ふものを決める譯であります、其の民間の意見を第三十一條に依りまして、政府に具申をする、經濟安定本部は其の意見を十分尊重致しまして決定する譯でありまして、此の機構が十分に運用されまするならば、從來のやうに官廳の方が勝手に値段を決めると云ふことでなしに、民間の意向を十分反映することに依りまして、御希望の點が或程度滿されて來るのではなからうかと云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=21
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022・松尾國松
○松尾國松君 能く分りましたが、そこで委員會の運營と云ふ御話がありましたが、此の委員會の運營は従來でもであるし、今後でもであるが、非常な面倒なものなのです、是は私が申上げぬでも能く御承知であると思ひますが、例へば從来致して居つた繭の價格の決定と同じことです、繭の價格の決定は、養蠶業者と製絲業者と寄つてやるが、それへ官吏が介在する、斯う云ふことなんです、私も其の委員に選ばれて出たことがあるのですが、さう云ふ場合に於ては、商人の方が最も巧妙で、理論が多くて、養蠶家の方は何も能う言はぬ、それはどうしてかと云ふと、向ふは論理的に、又材料、計算、總てが明るいに依つて、養蠶家の方は默つて居る、斯う云ふことになつて居る、さうして歸つて來て、ああぢや斯うぢやと言ふ、之を私はどう斯うと言ふのぢやないが、さう云ふ實情なんです、ですから、山林の價格を決める委員會でもさう云ふことと同じになる、さう云ふ揚合に於て、さう云ふ委員會を少くとも相當に山林所有者に、所謂力があると云ふ組織にして貰はなければならぬと思ふのです、さう云ふことに付て、どう云ふ御考を持つて居られるかと云ふことが一つ、其の次には、私は今、一人で御許しを受けて申して居るのですが、どうぞ私の考の違つて居る所は、皆さんから別な御意見は仰しやつて戴くことは勿論でありますが、例へば今迄は、先の出來たものの買ふ方の値ばかりを押へて居る、それだから今度は立木でやつ附けて貰ふ、立木で、先程局長さんから石數の色々な詳しい御話があつたが、結局立木の石數ふ決めてしまふ、それには申す迄もなく山の遠近、道路の好い惡い、色々なことはあります、色々なことはあるが、さう云ふことを考へて居つて決められぬと云ふなら、販賣の方も、私は能うあんなことをして決めたもんだと思ふですな、公定價格を…、それはどう云ふことかと云ふと、三十里の山から持つて來たものもあれば、五里の山から持つて來たものもある、それを此の通りやれと云ふことになると、逆算すると、遠い所は只になつてしまつて、近い所は良いと云ふことになる、それであるから、立木の價格が決めにくいと云ふ御話と、販賣の公定價格を決めると云ふこととは、寧ろ私共は販賣の方の規格と價格を決めると云ふ程、無暴な大膽なことはないと、斯う思ふ、何處から持つて來たやら知りもせぬものを同じ値でやれなんて、それだから森林所有者と云ふものが、非常に不利な地位に立つ、斯う云ふことになると思ふ、思ふぢやない、さうなるのです、それであるから、寧ろ立木を其の規格で決めて置きさへすれば、例へば具體的な例を申すと、立木を是は幾らで買はんならぬ、出しは何處へ持つて行くか、川出しにするか、陸送にするか、さう云ふことを皆考へて買つて、さうして公定價格、公定ぢやなしに、或價格で賣る、處が、其の價格が遠い山のものは高い、と云ふなら、賣れやせぬ、それは商人が調節する、であるから、森林の立木に於て價格を決定する、或は地域的でも宜しい、どう云ふことでも宜いので、同じ大膽に決めるなら、立木で決めると云ふやうなことに付て、御考はどうであるか、之を一つ承りたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=22
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023・平川守
○政府委員(平川守君) 委員會に於ける森林所有者の發言が、兎角弱くなると云ふ御話でございまして、是は實際問題としては、誠に其の心配はある譯であります、此の委員を選出するに致しましても、森林所有者と云ふものを一つの重要な部門と致しまして、多くの人數を出すと云ふやうなこととか、或は殊に中立の立場に居ります所の學識經驗者と云ふやうなものの公正な發言と云ふものを取入れることに依りまして、不當に森林所有者が其の主張が弱くなると云ふやうなことは防いで參りたい、斯樣に考へるのでありまして、併しながら、どうも委員會と云ふことになりますと、矢張り或程度、自治的に委せて行くより仕方がない、森林組合側の代表の人々を選ばれまする際に、出來るだけ正しい主張の爲し得るやうな人を人選して戴くと云ふことが第一であらうかと思ふのでありますそれから價格の問題でございますが、立木に付て、公定價格式のものを定めると云ふことは、なかなか困難ではないかと思つて居りますが、現在の素材の公定價格の中に因子として考へて居りまする立木の價格と云ふものが、是が最小限度、立木所有者の所得に入るものと云ふ風に私共考へて居る譯であります、それ以下に立木を賣らなければならぬと云ふ地域に於ては、只今も御話にありましたやうに、所有者が賣らないと、斯う云ふことになるのではないか、木材の需給關係からしまして、強ひてさう云ふ地域から立木を得なければならぬと云ふやうな場合に於きましては、各種の助成施設等に依りまして、例へば林道に對する助成をする、殊に奧地林道等に付きましては、相當高率の助成を致して居るのでありまして、左樣な方法に依りまして、其の奧地の不採算林分の採算を引合ふやうにすると云ふ別の政策を執ることに致して居るのでありまして、立木に付きまして公要價格を定めると云ふことは、どうも困難ではなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=23
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024・松尾國松
○松尾國松君 もう一つで終ひになりますが、今の、是は一つの意見になりますので、もう止めて置きますが、色々先程申しましたやうに、製品の公定價格を決める程大膽なことはないのです、だから、どちらでも大膽になる、是はもうそれで申しませぬが、何等かの方法を新たに考へ出さなければ、それは其の良い價格はどうやつて見ても出來ない話なんです、御承知の通り今後は別として、今迄であると、國の自由だから何でも彼でも出せ、私は實は材木のことに關係をしたことがあるが、何でも彼でも出せと云ふ、何でも彼でも出せと云ふと、是は誰に出せと言ふかと云ふと、此處に言ふ所謂林産組合の方に出せ、山の者に出せと言つて來る、私はそんなことは、どうもならぬ、輸送もないし、どうもならぬ、是は當り前だ、だから林産業者に何でも彼でも出せと、斯う言ふものぢやから無理でも何でもして出さなければならぬと云ふことは御承知の通りであります、今度はさうでないのでありますから、價格を地元の會で決めて、さうして地元の價格を決めさへすれば、それから勘定をして合ふか合はぬかと云ふことは向ふがやる、少くとも地元の森林所有者の一つの價格を概定することに依つて、今迄よりも森林所有者の收得の増加が維持出來る、斯う云ふことを思ふ者であります、それはそれとして、其の次に一つ伺つて置きたいのぢやが、昨日の御尋の中に、規格をした爲に非常に迷惑をして居る、消費者が高いものを使はんならぬ、斯う云ふことに付て當局からして御答があつた、それは其の御質問に對しての御答は、成るべく自主的でやると、斯う云ふ御話があつた、それは私も分る、分りますがですな、私が昨夜此の法案を一應ずつと讀んで見ますと、其の條項は申しませぬが、可なり監督、指揮、命令と云ふものが、自主的々々々と書いてあるが、自主的は何處へ行くやら知れぬと云ふやうな監督が出来るやうになつて居るのです、是は今迄の實例に依ると、それはどう云ふことであるかと云ふと、例へば林産組合に於ては、檢査を爲す檢査員は行政官廳の認可を受けて、任免には認可を受けると書いてある、それから必要があれば、行政官廳が自由に任免すると、斯う書いてある、是はまあ、實にうまいことが書いてある、始めはさうでないやうに見えるけれども、それを必要あると、斯う言ひさへすれば、どんなことでも必要あると言へる、其の次には、監督の爲に別の條項に於て、監督の爲必要ある時には、組合に向つて命令及び處置をすることが出來ると、斯う書いてある、だから、どんなことでもやれる、どんなことでもやれるから昨日の御答は、私は分つて居るが、規格と云ふやうな問題を又、斯う云ふ條項で、さう云ふ風の發動をして規格をせられるやうなことはあらせぬか、どうぢやと、斯う云ふことですが、それは自主的々々々と云ふことを強調せられるけれども、法案を讀んで見れば幾らでもやれるです、必要ある時は監督官廳が命令をし、處分を爲すことが出來る、檢査員は氣に入らぬ奴は、自由に任免することが出來る、幾らでも今迄のやうな官權の濫用が出來るのです、又監督上必要だと云ふやうな意味に於て、規格の指示もする、斯う云ふことになると、此處で私共が承つたのと違ふことになるが、さう云ふやうなことに付ては、是は事務的なことですが、どう云ふ風にされようと云ふのかどうかと云ふことです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=24
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025・平川守
○政府委員(平川守君) 此の監督上必要な命令と言ひますのは、是は文章と致しましては、斯う云ふやうなことになるのでありますけれども、併し其の氣持と致しましては、是は何か林業會、林産組合が非常に間違つたことをしたと云ふ場合に、已むを得ず發動するのでありまして、さう其の一般的の事柄に付て、所謂官僚統制式のことをやらうと云ふことでは毛頭ないのであります、唯、只今御話の規格の問題等に付きましては、是は安定本部の方で決定致しまする價格と密接な關係があるのでありまして、林業會の自主的な意向と云ふものを十分取入れて決めまするけれども、是は矢張り官廳の方で決めざるを得ないだらうと考へて居ります、唯決める内容に付きましては、十分に民間の林業會の意向を聽きまして、それに依つて決めて參ると云ふことは、價格、或は配給統制の問題と同樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=25
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026・松尾國松
○松尾國松君 私はまだ二、三御尋をしたいのですが、外さまの御質問もあることと思ひますので、午後に御尋ねすることを御許し願ふことに致しまして、此の程度で…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=26
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027・竹下豐次
○竹下豐次君 立木の價格の問題に付きまして、色々御意見を承りまして、御尤もの點が非常に多いと思ひます、あの伐採命令ですね、あの根據になる法律は何ですか、何の某は何石出せと云ふやうな命令が出ますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=27
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028・平川守
○政府委員(平川守君) 現在木材統制法にもさう云ふ規定がありますが、又從來は總動員法に付きまして、木材薪炭生産令と云ふものがございましたが、是は效力を失ひました、今後は物資需給調整法が根據になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=28
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029・竹下豐次
○竹下豐次君 それで奧山にある立木の價格が零になる、或は「マイナス」になると云ふやうなことが事實ある譯ですが、併し私など知識は狹いのですけれども、聞いて居ります範圍で申しますならば、現在迄の伐採の立木と云ふものは里山が大分多いのであります、ずつと奧山の澤のやうな處になると、まだ手の著けられて居る所は割合に少い、處が今日迄に里山は大體伐り盡しまして、まだ幾らか殘つて居りますけれども、非常に殘りが少くなつて居りますので、今後は所謂零になり「マイナス」の價格になる奧山に手を着けなければならぬやうな状勢になるものと思つて居りますが、今政府委員の御答を承つて居りますると、立木價格の決定はなかなか困難であると云ふ御話であります、私なども困難な事情は一應分るのでありますが、併し困難であるからと云つて、其の儘で諦めるには餘りに重大過ぎる問題ぢやないか、何とかして御決めにならないと、此の奧山の方に段々伐り進めが進むに從つて、それは迚も何と云ひますか、山が荒れまして、跡を造林すると云ふことは、なかなか出來ませぬ、又非常に不公平な、強制的な命令伐採と云ふやうなことになるかと思ひますが、色々立木の價格のことに付きましては、從來も御研究になつて居ると云ふことも承つて居りまするけれども、行き惱んで居るのであります、非常な熱意を以て何とか解決を附けるのだと云ふことで御進みになりますれば、又決め樣もあるのではないか、斯う云ふ風に考へる次弟であります、御答辯を承りましても、此の際は先の御答辯と同じと思つて居りますから、特に其の點を御考慮下さるやうに、此の機會に御願ひしたいと思つて居ります、それから議事の進行に付きまして御尋ねしたいのでありやすが、逐條の審議を後で御やりになる御意向でありませうか、それとも全體一括して、此の際何でも、各條文に付ての疑問なども、御尋ねして宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=29
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030・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 皆樣に御諮り致しますが、只今竹下委員からの議事進行に付ての動議に付きまして、如何致しませうか、逐條に之をやりませうか、それとも總括的に今迄通りにやりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=30
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031・松尾國松
○松尾國松君 總括的に今迄通りに御願ひした方が宜いと思ひますが、如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=31
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032・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 今の御尋に對して、一委員の方からも總括的にやつたらどうかと云ふ御話も出て居りますが、之を全部引括めて、是でどうだと云ふよりかも、之を逐條で、一條此の次は二條、三條とやつて行かずに、一條から何條迄、其の次は何條から又何條迄と云ふ工合に區切つてやられたらどうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=32
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033・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=33
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034・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 速記を始めて、それでは一括してやる事に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=34
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035・竹下豐次
○竹下豐次君 それでは各條文に付て、意味の分らない所を御尋ね致します、法案の第四條第二項中の第一號に「政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當」とある中の、此の「基く」と云ふ言葉は、林産物に縣るのか、それとも配給割當の方に懸るのか、どちらでせうか、それに依つて意味が違つて來ますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=35
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036・平川守
○政府委員(平川守君) 割當の方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=36
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037・竹下豐次
○竹下豐次君 從來各縣へ、政府からお前の縣は何萬石出せと云ふやうな割當があつたが、其の大掴みの所は、矢張り政府で指示されることになつて、其の枠内に於ての割當を林業會がやることになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=37
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038・平川守
○政府委員(平川守君) 其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=38
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039・竹下豐次
○竹下豐次君 同じ第三號の「基く」も、矢張り割當に懸るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=39
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040・平川守
○政府委員(平川守君) さうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=40
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041・竹下豐次
○竹下豐次君 次に第六條の後段でありますが、「日本林業會の名稱中には、日本林業會なる文字を用ひなければならない。」とありますが、切めの方の、都道府縣は各都道府縣と名前が違ふから、都道府縣の林業會の文字を用ひなければならぬことは當然でありますが、日本林業會の方は一つしかないから、之に日本林業會と書いてあるのに、又日本林業會と云ふ文字を用ひなければならぬ必要がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=41
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042・平川守
○政府委員(平川守君) ちよつとをかしいやうでありますけれども、矢張り此の文字を用ひなければいけないと、法律に明記して置かないと、意味がはつきりしないことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=42
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043・竹下豐次
○竹下豐次君 此の法律で既に日本林業會と書いてあるから、意味がはつきりしないことはないと思ひます、一つしかないのに、日本林業會でなければならぬと云ふことは無駄であり、又體裁もをかしいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=43
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044・平川守
○政府委員(平川守君) 日本林業會と云ふ前の言葉は、詰り一種の抽象名稱と云ふか、さう云ふ言葉でありまして、丁度此の都道府縣林業會と云ふのが第六條の初めにありますが、それと同じことであります、一種の抽象的な名前でありまして、其の名稱の中に、はつきり此の文字を使はなければならぬと云ふことは、矢張り別の一項が要る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=44
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045・竹下豐次
○竹下豐次君 それならば一應の理窟は通りますので、其の儘にして置きます、それから第七條の第二項に「登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。」とありますが、登記しないで第三者に對抗する場合とは、どう云ふ場合ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=45
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046・平川守
○政府委員(平川守君) 登記事項は勅令の方で定めることにしてありまして、それにはつきり決めてあります事柄は、比較的重要な第三者に對して、非常に重要な關係があります事柄であります、それを其の事柄だけは、はつきりと登記をしませぬと、第三者の方で思ひ違ひをして居るやうなことがあるかと思ひます、例へば理事の名稱とか、或は資本の關係とか、非常に重要な事柄があると思ふのであります、さう云ふ事柄だけは登盡記をした後でなければ、對抗が出來ない、併し枝葉末節の、所謂登記事項になつて居りませぬ事柄は、是は別に登記を要しない譯であります、登記をしなくても對抗が出來ると云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=46
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047・竹下豐次
○竹下豐次君 此の登記すべき事項は、登記の後でなければ、第三者に對抗する效力がないと云ふことは、もう當然のことぢやないのか、登記すべき事項であつて、登記前に第三者に對する效力のある事項があるのか、それが私は分らないのです、登記すべき事項は、登記の後でなくちや、是はもう當然のことである、「登記すべき事項」とある以上は…、それはどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=47
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048・平川守
○政府委員(平川守君) 登記の效力と致しまして、まあ甚だしい場合には登記した後でなければ效力が生じないと云ふやうな場合もあります、登記すべき事項と決つたものに付て其の效力が第三者に封抗出來ないと云ふ形であると云ふことを、矢張りはつきりして置く必要がある譯であります、例へば設立の登記なんかに付きましては、別の條項に登記をしなければ成立しないと云ふやうなことになつて居る譯であります、登記の效力と云ふのは色々ありまするので、矢張り…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=48
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049・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると登記すべき事項であつても、登記前に效力を生ずる場合もある譯なんでございますね、其の逆を考へて…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=49
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050・平川守
○政府委員(平川守君) 詰り登記すべき事項でありましても、登記前に效力が生ずる譯であります、例へば理事が選任された、それは勿論效力がある譯であります、唯第三者に對しまして、其の登記をしませぬと、それに依つて利害を受けます第三者に對しては對抗が出來ないと云ふことであります、内部關係に於ては效力を生じて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=50
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051・竹下豐次
○竹下豐次君 第八條第二項、「會員に出資をさせる云々」、出資をさせない林業會と云ふのは、どう云ふのがあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=51
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052・平川守
○政府委員(平川守君) 林業會の方は、指導奬勵と云つたやうな、事業と割當と云つたやうなことに重點が置かれまするので、經濟行爲のやうなことをやらないと云ふ場合を考へますと、毎年の豫算に、會員から經費を徴收すると云ふだけで賄つて行ける林業會もあらうかと思ひます、唯或程度、資材の配給を致しまするとか、協同の事業を致しまするとか云ふやうなことになりますと、豫め出資金を取つて置く必要があると云ふこともあらうかと思ひます、單に指導奬勵、或は割當と云ふやうな事務的なことだけを行ふ林業會のことを考へますと、必ずしも出資をしなくても宜いのではなからうかと云ふので、兩方孰れにも出來るやうに致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=52
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053・竹下豐次
○竹下豐次君 第九條の二號、「都道府縣の區域を地區とする林産組合」と云ふことでありますが、林産組合は道府區の區域の中で、更に小さい、例へば郡とか産業地域とか云ふやうな、林産組合と云ふのは、それは此の法律とはどう云ふ關係があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=53
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054・平川守
○政府委員(平川守君) 是は後の林産組合の方の定義になる譯でありますが、林産組合に付きましては、別に地區を指定して居らないのであります、第七十二條に「林産組合を設立する場合には、豫め地區を定め」と云ふことになつて居りまして、適宜の地區を單位と致しまして、林産組合を設立出來る譯であります、實際問題と致しましては、木材關係の業者に於きましては、恐らくは流域別と云ふやうな適宜地域に林産組合が出來るであらうと思ひます、それが集つて縣單位の聯合會になると云ふことが多くの場合の實際であらうと思ひます、其の縣單位のものだけが、此の都道府縣林業會の會員になるのであります、さう云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=54
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055・竹下豐次
○竹下豐次君 私の疑問を起しましたのは、第九條の第一號には、「森林組合聯合會」と、斯う書いてあるのです、それから第二號には、林産組合の聯合會ぢやない、都道府縣の區域を地區とする組合の單位の「林産組合」となつて居る、此の二つが違ふのです、それで今の御話に依ると、此の第二號に書いてある「林産組合」と云ふのは、聯合會ぢやないと云ふやうな氣持も致しますが、此の組合と、今御説明の各地域に出來る同じ道府縣内の小さい組合とは、併立して居る譯でございますか、どう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=55
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056・平川守
○政府委員(平川守君) 是は少し調子が揃はないやうでありますが、此の森林組合は、森林法に基いて規定をせられて居ります關係上、此の組合及び聯合會と云ふ形をはつきりと法律に決めて居りますのは、比較的古い法律にある譯であります、最近の法律では聯合會と云ふことを法律にはつきり明記致しませぬで、組合と云ふだけで以て、或は地區單位、或は市町村單位、或は府縣單位と云ふやうに自由に作れるやうに規定して居るのが通例でございます、今回の林業會法に於きましては、其の新らしい方の型を採りました爲に、林産組合に付ては、特に聯合會と云ふやうな規定を設けなかつたのであります、併しながら、先程申しました第七十二條の規定に依りまして、是は自由な地區に設け得ると云ふことになるのであります、而も聯合會の形でも差支ないのであります、それは條七十一條を御覧になりますと、「林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。」とありまして、「林業を營む者又はその團體」、此の團體と云ふのを入れました意味は、林産組合が集つて又林産組合を作ると云ふことを考へられた譯であります、從つて其の場合には、從來の形から申せば、林産組合聯合會とでも申すべきものになるのであります、之をも含めて、林産組合と一本に規定を致して居るのであります、尚實際問題と致しまして、實質上聯合會である場合に、林産組合聯合會と云ふやうな名前を使つても差支ないのであります、是は林産組合にも適用があるのでありますが、此の林産組合と云ふ文字が其の名稱の中に入つて居れば宜い譯であります、從つて林産組合聯合會と稱しましても差支ないのであります、第六十九條の方に其の規定がございますが、林産組合と云ふ文字がありさへすれば宜いのでありまして、林産組合聯合會と稱しても差支ない譯であります、さう云ふやうな關係を、簡單な條文に包括的に書いてあるのであります、最近の法律の形は、斯う云ふことになつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=56
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057・竹下豐次
○竹下豐次君 其の第三號に「前二號に掲げる者を除く外林業を營む者」とありますが、是は個人の山林所有者なども、矢張り此の中に入ることになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=57
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058・平川守
○政府委員(平川守君) さうでございます、是は例へば森林組合聯合會に加入をして居らないやうな大きな山林所有者のやうな者がありますれば、それも入る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=58
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059・竹下豐次
○竹下豐次君 其の外に何か此の中に含むものがございますか、それだけですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=59
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060・平川守
○政府委員(平川守君) 此の林産組合の方は必ずしも強制加入でございませぬので、之に入つて居らぬ者もある譯でございます、又強制設立でもありませぬから、林産組合が出來て居らないと云ふ場合もございます、或は森林組合が出來て居らないと云ふやうな場合も考へられる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=60
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061・竹下豐次
○竹下豐次君 昨日どなたか、御質問なさつたことでありますが、此の「林業に密接な關係を有する事業を營む者」、是はどう云ふのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=61
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062・平川守
○政府委員(平川守君) 是は主としては林産物の需要者を考へて居ります、例へば土建の業者とか、或は木工の業者でありますとか、さう云ふ者を考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=62
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063・竹下豐次
○竹下豐次君 只今の御話の中にございます強制加入でないと云ふ點…、加入しないと云ふと何かに付て矢張り利益に均霑することが出來ないとか、或は損害を蒙る危險があると云ふことの爲に、大體加入するものとも思ひますけれども、其の點の御見込は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=63
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064・平川守
○政府委員(平川守君) 現在迄、所謂日木、地木の統制と云ふことに對しまして、一般民間に於ては相當反對の空氣が強かつたのであります、自主的な自分達の統制に任せろと云ふ意見が相當強かつたのでありますから、今回の此の制度に依りまして、業者の自治的なる團體が結成されまして、之に對して或程度政府の指示の範圍に於て、自主的な割當等を認めると云ふことになりますれば、恐らくは大部分の者は入つて參ると云ふ風に承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=64
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065・竹下豐次
○竹下豐次君 第三十二條に林産物の檢査員の規定がございます、是は御存じの通りに、從來官廳の方で役人が檢査して居つたのでありますが、檢査員が餘り經驗に富んで居ないのと、色々な關係で以て、色々な弊害が非常に續出して居つたやうに承つて居ります、今度此の法律が出來ますと云ふと、林業會の方で檢査員を設けて、それで檢査をすると云ふことになりますが、まあ氣を配りますと、官廳でやつて居つた時に、尚且、從來のやうな兎に角醜い弊害が生じたやうに承つて居りますので、今後それを除去する爲には、非常に努力が要るのではないかと思つて居ります、で、檢査員の服務に關する規定を林業會で定めて、行政官廳の認可を受けなければならない、是で押へようとする御考へではないかと思つて居りますが、其の檢査員の資格と云ふものは、どの位の所を狙つて認可される御豫定でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=65
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066・平川守
○政府委員(平川守君) 此の檢査に付きましては、御指摘のやうな點も現在あるのであります、此處に林業會をして檢査を行はせると云ふやうな規定を置いて居るのでありますが、現在の地方廳の行つて居ります檢査を、直ちに全面的に是だけに切り換へると云ふやうな考は持つて居りませぬ、林業會の實力に應じまして、逐次實力が附いて參りますれば、之に讓つて參らう、斯う考へて居ります、檢査員の資格に付きましては、現在まだはつきり決めた譯ではありませぬけれども、恐らく中等學校程度以上の所で、一定の講習でも致しましてと云ふことにならうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=66
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067・竹下豐次
○竹下豐次君 さう致しますと、當分の間は、附帶になる所がある譯なんですか、或は附帶にするのではなくして、林業會の方でやつて、又役所の方でやると云ふ場面が、當分の間出來るのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=67
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068・平川守
○政府委員(平川守君) さうではありませぬ、縣廳の方でやつて居る場合は縣廳でやる、又林業會の方の實力が附いて來て、是は讓り渡しても宜いと云ふことになれば、逐次讓り渡して行くと云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=68
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069・竹下豐次
○竹下豐次君 檢査の問題に付きましては、極端なのは檢査の判を製材業者に渡してしまふ、そこで製材業者は自分で「スタンプ」を捺して行くと云ふのが相當多かつたやうに思ひます、其處迄行きますれば、何の爲に檢査員を置くのかまるつきり分らないと云ふのみならず仕事の邪魔だけのことにならうかと考へて居ります、特に此の點はしつかり引締めて行くやうに願ひたいと思ひます、まだ色々ございますが、餘り長くなりますので、此の後の條文の條項に付きましては、後の機會に御願ひ致します、一應私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=69
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070・松尾國松
○松尾國松君 一つ御尋を致します、是は字句の問題ですが、林産組合は製材業者、或は其の他薪炭、林産、副産物等の組合は、孰れも入るかどうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=70
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071・平川守
○政府委員(平川守君) それぞれ出來る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=71
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072・松尾國松
○松尾國松君 さうすると、今のやうな種類の組合が出來る譯ですな、其の次に第九條の後の二號に個人も林業會に加入し得るやうに思はれるが、是は入れるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=72
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073・平川守
○政府委員(平川守君) 是は入り得る譯でありまして、前の二號に漏れて居るやうな者が入り得る譯であります、唯併し此の三號で入る者に付きましては、多少取扱が變つて居りまして、第一號、第二號の規定に依つて會員となる者は、是は都道府縣林業會の中心の構成員でありますから、是が議員を選出して總會を構成する、第三號の者に付きましては個人もあり、或は需要者團體と云ふやうな者もある譯でありまして、之に付きましては、それ等の中から特別議員を選任させると云ふことに考へて居ります、從ひまして、個人も會員にはなれますけれども、併し是は第一號、第二號の方の組合員のやうに議員を選出すると云ふ權限はありませぬ、特別議員を其の中から選出させると云ふ、多少取扱が違ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=73
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074・松尾國松
○松尾國松君 都、道、村、縣林業會を設立するには、森林組合聯合會と林産組合が同意をしなければならぬ、是は其の通りになつて居ります、兩者の中孰れか、又は兩者共之を設立する意思のない場合に於ては、其の府縣には林業會と云ふものが出來ぬと云ふことになる、それは強制的に結成する方針であるか、又は結成しなければならぬと云ふ別な理由がありますか、此の二つを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=74
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075・平川守
○政府委員(平川守君) 此の林業會は、飽く迄も自主的な團體でありますので、森林組合聯合會か、又は林産組合の方で、孰れかが設立に賛成をしない場合に於ては、林業會は出來ないことになります、其の場合に於きましは、統制の關係等は特別に官が之を致すと云ふことになりますので、成るべくは各府縣に於て林業會の設立を希望致す譯であります、又恐らくは、多くの府縣に於きましては、自治統制と云ふことに付て、民間の希望が強いのでありまするから、恐らくは成立すると思ひまするけれども、萬一御話の如く同意しない場合に於きましては、已むを得ない、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=75
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076・松尾國松
○松尾國松君 さうしますと若し假に、澁々にでも同意をして、一旦成立をして、又林産組合なり、森林組合聯合會の孰れか一が脱退した時には、もうそれで當然解散する、斯う云ふことになるのですか、一旦出來たものであるから、法には唯、左の者を以て組織するとあるだけであるから、其の者を以て組織した以上は、一が脱退しても存立はして居る、斯う云ふ取扱になるかどうでありませうか、斯う云ふことが一つと、其の次には、臨時物資調整法案を見ると、物資の割當又は配給に付ては、之を産業團體に主務大臣が告示に依つてする、是は寧ろ民主的にやれるのである、斯う云ふことになつて居る、そこで此の法案の林業會と林産組合とが、第四條の第二號と、六十七條の第二號に於て、孰れも此の點に付て同じやうな事業が出來ることになつて居る、それがどちらが指定さるるか、其の同じことをやる場合に於て、どちらを指定さるるか、斯う云ふことと、それから孰れか指定さるるにしても、其の割當の履行は、會員、若しくは組合員になる者が會社のやうな機關であれば、相當に力を持つて居る、責任を果し得るけれども、其の他の會とか組合と云ふものは、さう云ふ實行機關が會員、或は組合員である場合には、其の履行に對する責任は林業會か、若しくは林産組合に限定されるので、或は個人の關係はどうなるか、斯う云ふことなのですが、もう一つそれを縮めて申すと、林業會の定める方策に從はないものに對して、或程度の制裁規定がないが、それでさう云ふものは、定款に定めるやうなことをするかどうするかと云ふこと、是だけです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=76
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077・平川守
○政府委員(平川守君) 林業會が設立されました後で、森林組合、又は林産組合が脱退をしたと云ふやうな場合に付きましては、會員が一人になつてしまひますと、林業會は當然解散すると云ふことになる譯であります、それから團體の物資調整法に基きまする指定の問題でありますが、是は林業會、林産組合と云ふやうなものは指定せられることと思ひます、林業會の方の事業と林産組合の方の事業と同じやうなことが書いてございますが、是は林業會は、自分の下部機構である所の林産組合に對しまして、木材の生産なり、配給なりの割當をすると云ふことになります、さうしますと、其の下部機構であります林産組合は、更に自分の組合に對して割當をする同じやうな仕事でありますけれども、林業會の致しますものは、自分の直接の會員に對してです、林産組合は自分の直接の組合員に對して割當等を致すと云ふ譯であります、さう云ふ段階を經て割當等が參ります、仕事の性質は同じやうなことを書いてあるのであります、それから組合員等が、之に從はなかつたやうな場合に付きましては、過怠金を科することが出來ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=77
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078・松尾國松
○松尾國松君 もう一つそれに付て伺ひたいのですが、林産組合は縣を區域とすると云ふことであるが、今其の下部組織と云ふ組合の御話があつたが、それは此の法令にはない譯です、是は任意な者の組合を作ると云ふのか、其の點はどうなのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=78
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079・平川守
○政府委員(平川守君) 是は先程もちよつと申上げましたやうに、林産組合の地區に付ては、第七十二條で組合の任意に委して居るのであります、從つて極端に申せば下部組織は直接に持たずに、縣全體の業者を集めた林産組合が出來ると云ふ場合もあり得るのです、是は特殊用材等に付ては或はあらうかと思ひます、併しながら普通の一般用材に付きましては、恐らくは地區別に、例へば流域別等の或程度の地帶範圍に於て林産組合が出來て、其の林産組合が集つて、更に府縣の林産組合聯合會を作る、斯う云ふ型が通常の型であらうかと思ひます、法律の面に於きましては、如何なる型を執りましても、差支ないやうに規定されて居ります、如何なる型の下部組織を執るかと云ふことは、各縣の業者の總意に委して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=79
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080・松尾國松
○松尾國松君 もう一つ伺ひますが、現在府縣で木材業組合、即ち今度の林産組合、それから森林組合聯合會が、其の府縣に割り當てられた數量を御互に一手に引受けようとする競爭をする所があるとする、それに付て、此の林業法案が發布になれば、さう云ふものは林業會一本に割當をせられるか、或は矢張り二つにされるものか、斯う云ふことを一つ承りたいのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=80
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081・平川守
○政府委員(平川守君) 此の割當は林業會に參るのであります、林業會の中に於て、其の會員である森林組合と林産組合とが話合を致して、それぞれの分野を定めて行くと、斯う云ふことに考へて居ります、政府の方からは林業會を相手にして出す、斯う云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=81
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082・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 第九條の一號と二號とが中心を成して居ると云ふ御話でありますが、さうなると役員になるのは當然一號と二號となり、第三號は特別會員となつて、それは役員になれないと云ふことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=82
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083・平川守
○政委員(平川守君) 此の理事に付きましては、法律上は第十四條で會員たる法人の業務を執行する役員と云ふことになつて居りますので、必ずしも第三號の者でもなれないとは限らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=83
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084・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 さう云ふ風に解釋しても宜いのですか、それからもう一つ御尋ね致しますが、林業に密接の關係のある事業と云ふのは、木材を多量に使ふと云ふやうな御話である、一例を申しますと、石炭礦業會のやうな所は、非常に多量に木材を使ひますが、斯う云ふものは密接の關係を有する事業の中に入るか入らないかと云ふこと、それからもう一つ伺ひたいことは、將來木材の需要者と云ふものが一つの團體を作つて、業者たる立場を確保しようと云ふ場合に、斯う云ふ業種の團體と云ふものは、假にそれが出來るものとしますと、之に入り得るかどうかと云ふ、此の二點を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=84
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085・平川守
○政府委員(平川守君) 石炭礦業會のやうなものも、此の中に入ると考へて居ります、それから需要者の團體のやうなものが出來たら、是も此の中に當然入ると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=85
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086・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 午前は此の程度で質問を打切りまして、又午後一時から開會したいと思ひます、休憩致します
午前十一時四十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=86
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087・会議録情報3
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午後一時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=87
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088・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) それでは委員會を開會致します、午前中に引續きまして御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=88
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089・青木重夫
○子爵青木重夫君 第三十四條と第三十五條の規定をちよつと御説明願つて、此の運用方針を伺ひたいのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=89
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090・平川守
○政府委員(平川守君) 三十四條の方は通常の事業に要する經費を毎年定款の定める所に依りまして、豫算を建てまして、之に對して各會員に、經費の割當を致す譯であります、其の第二項の方の特別の必要があります場合、例へば或特殊の地域だけに關係のあります施設、例へば倉庫でありますとか、其の他特殊の地域だけに、特に關係のありますやうな實驗を行ひます場合、或は又或年度に限り、特に事業費が嵩むと云ふやうな事業を致しますやうな場合等に、一般の賦課金の外に、特別の賦課金を、其の決議に依りまして決することが出來ると云ふのが第三十四條の第一項、第二項であります、それから第三十五條の方は是は過怠金の規定でございまして、定款に於きまして一定の場合に過怠金を課することが出來る、是は第四條の第二項の事業等を行ひまする場合に統制違反の會員に對しまして過怠金を課する譯でありまして、其の課し方に付ては定款の定める所に依ると云ふのが第三十五條であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=90
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091・青木重夫
○子爵青木重夫君 さう致しますと、林業會に加入は隨意でございますが、隨意に加入した林業會に於て罰則を激しく致しますと、脱退するやうなことになります、又加入して居なければ罰則を課せられない、此の運用はどう云ふ風になさる御積りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=91
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092・平川守
○政府委員(平川守君) 罰則を逃れる爲に脱退をすると云ふことも考へられるのでありますが、併しながら少くとも統制を致して居りまする間に於きましては、物資需給調整法等の規定に依りまして、若し政府の方に統制違反がありますれば、更にきつい罰則が行く譯であります、自主的な統制に依つて自分の意見を十分に採入れた團體の自主的統制に參加する方が、是から脱退を致しました場合に直接に物資需給調整法等の發動に依りまして、更にきつい統制を受けると云ふことよりは、業者としては寧ろ希望する所ではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=92
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093・青木重夫
○子爵青木重夫君 それから是は此の條文に關係はございませぬが、河合厚生大臣が農林次官においでの時分と思ひましたが、戰時中に地木社が購入した立木の値上りに對して成るべく森林所有者、即ち森林組合に立木を一旦返還せよと云ふ次官通牒を御出しになりました、處が、次官通牒に對して各縣に於て取扱ひが區々で、立木を一旦返還して森林組合から買直した所もありますし、或はさう致さなかつた所もあるし、例へば私の承知して居る栃木縣に於きましては、戰時中賣約した四百萬石の立木に對して三百萬圓の支出をして居ります、さうすると一石當り七十五錢位にしかならないので、實に何と申しますか申譯的な馬鹿にしたやうな金なのですが、さうかと思ふと、殆ど全額返却して買直して居る地木社もありますし、各縣に依つて餘り區々でございますが、此の次官通牒に對する農林當局の御見解は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=93
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094・平川守
○政府委員(平川守君) 昨年の十一月に木材の價格を上げました際に、此の價格の値上りに依る利益と云ふものを成るべく公平に關係者に分けたいと云ふ精神から致しまして、地木社をして之を獨占せしむることなく適宜一部森林所有者にも均霑せしむる、又一部は値上りをせずして住宅營團等に安い資材を拂下げると云ふやうな措置を講じたのであります、立木の所有者に之を均霑せしむるに付きましては、各地方に依りまして、非常に事情が違ひますのであります、可なり古く買つてあるのもありまするし、又極く最近買つたばかりと云ふのもございます、又其の買ひ方に致しましても、半強制的にやつたと云ふのもございます、又其の以後に於ける地木社と森林所有者側との協力の仕方に付きましても色々の體樣がございます爲に、劃一的に幾ら幾らのものを立木所有者に渡せと云ふやうなことは申しませぬでしたのでございます、まだ伐つて居らないものに付ては原則として一應森林所有者に戻し、又は戻したと同じやうな效果のあるやうな契約に更改をする、斯う云ふやうなことを原則として指示を致したのでございます、先程申しましたやうに、非常に事情が色々異つて居りますので、森林所有者側と地木社側との自主的の話合と云ふことに主として委して居つた譯であります、こちらとしては大きな原則だけを示して居つたのであります、具體的な還元の仕方の決定に付きましては、森林所有者、地木社の協議に委せる、斯う云ふ態度に出たのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=94
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095・青木重夫
○子爵青木重夫君 今の御説明で了解致しましたが、立木は御承知の通り戰爭中と戰後とは非常に價格の相違がありまして、其の間に於て地木社が相當な利益を得て、且又不正事件があつたことは、是は殆ど周知の事實でありまして、司法大臣も衆議院の本會議に於て地木社の不正事件を認められて居りますが、私は不正に因つたる利得を排撃するものでありまして、此の點に於て司法省は勿論のことでございますが、農林省に於ても今後とも嚴重に御監督願ひたいと云ふことを希望致します、尚質問したいことがございますが、大臣がお見えになる迄私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=95
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096・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 皆さんに申上げますが、實は午後から大臣が見えることになつて居りましたが、「ジー・エッチ・キュウ」の方に行かれて、まだ歸つて來られないので、今日は到底こちらに出席出來ないからと云ふさつき此處に知らせがございました、甚だ遺憾でございますが、此の點をお含み置き願ひたいと思ひます、それから尚膳國務大臣とそれから次長にこちらにおいで願ふことに連絡を執りましたのですが、是亦衆議院の方の豫算總會とか補償打切りの委員會の方でどうしても手が拔けられないからと云ふことであります、先程價格の問題がございましたから、そんなら物價廳の副部長でも宜いから出席して呉れと云ふ要求をして、副部長は其の内こちらに見える筈になつて居ります、どうぞ其の積りで御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=96
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097・前田利男
○伯爵前田利男君 此の參考書類で、戰爭中に過伐をしたと云ふことは分りましたが、此の造林が伐採に比して非常に少い、均衡が執れてないと云ふことも分りました、其の次に此の造林計畫が二十一年から二十五年度迄出て居りますが、國有林それから公有林などは何ですが、民有林の造林計畫が出て居りますが、是はちよつと伺ひますと、施業案は三十「パーセント」しか出來て居ないと云ふやうな御話でございます、出來て居ない所などは、此の造林計畫でおやりになるのでございますか、其の點どう云ふ關係になつて居りますか、又此の計畫を詳しく御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=97
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098・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 民有林の方の施業案を編成致して居りますのは、先程申上げた通り三割程度のものでありますが、施業案を編成しない箇所の伐採の計畫は、大體臨時伐採計畫に從つて伐採された所を造林致すやうになつて居りますし、又伐採地以外の未立木地、或は無立木地等の造林は、特に未立木地等の調査を致しました資料に基きまして造林するやうな計畫を立てて居ります、それから此の民有林の方の五箇年間に植栽致します面積は二百四十三萬町歩に相成つて居るのでありますが、其の中、昭和十九年度末の造林未濟地の中には、無立木地を含んで居りまして、其の面積が約百四十萬町歩ばかりあるのであります、其の後二十年以降二十五年迄新らしく伐採致します面積が大體百七十萬町歩ばかりに相成るのでありますが、其の中二十年度に約三十五萬町歩を植栽することと致しまして、更に開墾適地に三十一萬町歩ばかりを豫定致しまして、其の殘りと十九年度末の造林未濟地百四十萬町歩を合せましたものが二百四十三萬町歩程度に相成るのであります、それを二十一年から二十五年迄に伐採するやうな計畫を致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=98
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099・前田利男
○伯爵前田利男君 其の施業案のしてない所はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=99
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100・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 施業案のまだ出來て居りませぬ所は、只今申上げましたやうに伐採の方で伐採計畫を立てまして伐採致して居りますので、其の後の伐採計畫に從ひまして造林計畫を立てて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=100
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101・前田利男
○伯爵前田利男君 其の計畫は御立てになるのですか、施業案の出來て居ない所は発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=101
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102・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) それは出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=102
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103・前田利男
○伯爵前田利男君 全部出來て居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=103
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104・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=104
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105・前田利男
○伯爵前田利男君 それから此の造林計畫は何處で誰がやるのですか、民有林の方は発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=105
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106・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 民有林の方の造林計畫は、大體縣の林務課の方で計畫を致しまして、それを山林局の方で取纒めを致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=106
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107・前田利男
○伯爵前田利男君 是は農林省が直接においでになつて、おやりになる譯ぢやないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=107
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108・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 實行は其の森林の所有者に相成るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=108
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109・前田利男
○伯爵前田利男君 是は何か所有者が委託と言ひますか、頼んでやると云ふ譯ぢやないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=109
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110・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) いや此の計畫を立てますのは、別に委託を受けた譯でありませぬで、其の伐採計畫に從ひまして跡地の造林計畫と致して計畫を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=110
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111・前田利男
○伯爵前田利男君 さうではありませぬ、造林をやることです、植附や何かです、さう云ふことは発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=111
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112・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 實際に植栽致しますのは、其の個人の森林所有者が植栽致しませぬ場合は、森林組合等に委託して植栽することもあるのでありますが、只今の處、政府の方で委託を受けて植栽することは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=112
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113・青木重夫
○子爵青木重夫君 造林のことで昨日來色々御話がございましたが、造林の方法に付きまして、目下復員者だとか、失業者等隨分出るので、斯う云ふ失業者を造林に相當御利用になつたら宜いかと存じますし、さうでもしなければ五箇年計畫で二百七十二萬町歩、其の厖大な造林計畫は迚も實行出來ないと思ひますが、此の點でどう云ふ御計畫、具體的方法を御持ちでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=113
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114・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 森林の方の仕事は、大體各地方に分配されて居りまするし、此の施行に際します勞務のことに付きましては、只今の御説の通り最近歸還された人、或は外地から引揚げられた人等も相當居りまするし、勞務の方はそれ等の失業者と云ふ譯には行かぬかも知れませぬけれども、失業者を出來るだけ使役致しまして、實行を致します考であります、尚造林事業だけでなく、其の他の林道の仕事、或は斫伐の仕事、或は治水の仕事等に於きましても出來るだけ失業者を使役致しまして、實行致す方針で居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=114
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115・前田利男
○伯爵前田利男君 今なさる色々なことは農林省の方で人を殖やして、指導をもつと徹底的になさると云ふ御考はないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=115
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116・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 特別に今、失業者の救濟の爲の、指導の爲に人を増すと云ふことは致して居りませぬが、唯、營林局の方に於きましては、地方の國有林の仕事をやります以外に、民有林の指導、例へば今の造林事業の樹種別の遠地選定と云ふやうなこと迄指導致して居りまするし、出來るだけ此の營林局方面を利用致しまして、指導を致させたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=116
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117・竹下豐次
○竹下豐次君 只今の失業者救濟の目的を兼ねて、林業の方に多數の者を使つたら宜いぢやないかと云ふ御意見が出ました、御尤もだと思ひますが、失業者の中にも今色々ありませうけれども、其の中の大部分、相當に大きな部分を占めるものに引揚者があるのですね、是も其の中に御考へかと思ひますけれども、外地から引揚げた人を林業方面に使ふと云ふことは非常に私は無理ぢやないか、殆ど私は望み得ないのぢやないかと思ひます、と申しますのは、滿洲に於きましても臺灣に於きましても、私は兩方に經驗があります、朝鮮も同樣であらうかと思ひますが、向ふに行つて居つた内地人、日本人と云ふものは、勞働と云ふものは殆どしないのであります、唯開拓移民などで滿洲邊に居つた人は是は別でせう、普通日本人と云ふものは向ふでは寧ろ旦那氣取りで向ふの人を使つて仕事をして居る、勞働に從事して居ると云ふ者は非常に少い、殆ど無いと云つて宜い位なものであります、それを林業に使ふと云ふやうな御考へで、而もそれが大きな部分を占めさせるやうな御考へで政府は居られましたら、大分御見當が違ふのではないかと、斯う云ふ風に、是は見る人に依つて違ひませうけれども、事實勞働には經驗のない者が多いのであります、私は昨日から森林組合の強化のことを繰返し申して居るのでありますが、矢張り林業方面の勞働は森林組合が實行力を持ち、さうして其の部落の人違に、元から居る勞働に經驗のある人達を主として働いて貰ひたいと云ふ風にし向けないと、此の人達だけではさう言つても仕事が容易でないのぢやないかと、斯樣に考へて居りますが、其の邊如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=117
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118・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 只今失業者を相當山の方の各種事業に使ふと申しましたが、先刻も申上げましたやうに是は全國各府縣、各郡、各村に此の仕事は分割されて居ります、此の仕事の爲に外地引揚者、或は歸還者等を纒めて雇傭して使ふと云ふのでなく、相當此の山の麓の田舍の方にも引揚者等も歸つて居らるることと思ひます、それ等の人の中から勞働に適する人を雇ふことに相成ると思ひます、其の方針で行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=118
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119・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 只今の御話に關聯しまして御伺ひ致したいのですが、失業者を動員しまして、造林方面に御使ひになると云ふことは大變結構でありませうが、相當厖大なる造林面積に對して失業者をどの位お使ひになる御見込であるか、又相當の失業者に對して、人だけ集めてもなかなか仕事は出來ませぬし、之に對する機具とか農具と云ふやうなものの準備或は苗木なんかの準備が出來て居ますかどうか、出來るだけ爲さる御積りでせうが、具體的に御分りでしたら御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=119
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120・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 御尋ねの今の苗木の點でありますが、實は此の戰爭前迄は苗圃と致しまして、民有林關係で三千八百町歩ばかりの苗圃がありましたし、又國有林關係で五百六十町歩ばかりの苗圃を以ちまして、苗木の造成を致して居つたのでございまするが、御承知の通り此の食糧事情が急迫して參りました爲に、是等の苗圃も食糧増産の方に轉用されたものが相當出て參りました結果、實は今年度の造林用の苗木と致しましては、只今調査致しました範圍では、約四億萬本程度の三年生の插木苗を養成致して居るのでありますが、本年度の植裁豫定の四十七萬町歩の中、大體人工植栽に依りますものが三十萬町歩に相成つて居ります、三十萬町歩を植栽致しまするには、三年生の苗木ばかりで考へますと、約半分位しかならないのでありまするが、後は杉に於きましては直插し、或は山引苗の利用、或は檜に於きましては、大體是は三年生でなく二年生を利用致し、又松に於きましては一年生を利用致しまして、豫定致して居ります面積だけの造林は致して行きたいと云ふ風に考へて居りますが、唯此の點は苗木の點で憂慮致して居る點もありまするし、只今申上げました直插しとか、或は山引苗の利用とか、或は人工播種造林の増加と云ふことに付て、出來るだけの指導を致しまして實行致して行きたいと考へて居るのであります、尚ほ此の造林事業に依つてどれ位の失業者を救濟し得るかと云ふ御話でありますが、唯失業者をどれだけ使ふと云ふことはまだはつきり致して居りませぬけれども、大體造林關係で本年度使役致します延人員が二千萬程度に相成つて居るのであります、全體が二千萬程度でありまして、其の中失業者がどれ位ありますと云ふことは、ちよつと見當附いて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=120
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121・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 さうしますと、是等の人に對して仕事をさせる道具は十分にございますか、それとも是から御考慮なさるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=121
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122・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 道具の方は別に準備は致して居りませぬが、今の植栽に要します鍬等は大體地元の農家の方に所持して居られることと思ひますから、それを利用して行きたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=122
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123・竹下豐次
○竹下豐次君 前々議會でしたか、通過しました造林助成法案と申しますか、證券の、あの成績は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=123
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124・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 造林證劵に依る助成の成績でありますが、あの法律は今年の一月から施行になりまして、まだ短期間であります爲に、十分の成績は擧げて居りませぬ、只今迄に前年度植栽致しました分に對して支拂ひました分が約五十萬圓程度支拂つて居るやうであります、其の外まだ其の後の申込のありましたものが二百五十萬圓程度あるやうでありますが、併し是も段々今後は増加して參るんぢやないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=124
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125・竹下豐次
○竹下豐次君 あの法律が出來ました時には、其の前の助成の程度に比べまして政府の方でも餘程奮發しておやりになつたやうに考へて居つたのでありますが、今日になつて見ますと、まだあの程度のことぢや迚も足りない、其の後勞賃の値上りにしましても、苗木の値上りにしましても、まるで話にならない程飛び上つて居ります、さう云ふことを考へましたのか、日本林業會あたりでも一應自分の方での案を拵へて政府の方に御相談になつて居るやうなことを聞きましたのですが、政府の方ぢや今どう云ふことになつて居りますのですか、近い中に又増額でもされることになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=125
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126・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 増額に付きましては、先々月でしたか、約四倍に値上を致して居ります、杉で九百五十圓程度に上つて居ります、現在の實行の經費と比べますと、尚ほそれでは足らないやうな感も致して居りますので、更に研究を致しまして増額すべき分は増額したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=126
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127・竹下豐次
○竹下豐次君 今私上りましたことを知りませぬで失禮致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=127
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128・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 此の度地方制度が改正になりまして、市町村制に於きまして、衆議院の修正に依りまして、市町村内の團體の活動の綜合調整に關する件、是は地方議會の議決權限に含まれます、更に市長竝に町村長は各各其の關係條文に於て指導監督する所の權限を賦與されたのであります、假に林業會に致しましても、農業會に致しましても、是は矢張り市町村内の一つの團體と見なければなりませぬ、さうしますと市町村長としては、假に斯う云ふ林業會が出來ます場合に於きましても、別個の立揚から自分の市町村の行政區域の内部工作の方面から考へて見ますと、或程度の指導監督と云ふものを行ひ得ることがあるのでありますが、此の新らしき制度が生れ出るに付きまして、斯う云ふ地方制度に於きましても、新らしい制度が又生れて來ましたのですから、其の按配等も能く研究をし調整を執らなければ却て失敗に終りはしないかと云ふことを心配するのであります、さう云ふ意味に於きまして此の新らしき制度の對策と申しますか、關係と云ふやうな點に付て、事務當局の御意見を一應伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=128
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129・平川守
○政府委員(平川守君) 此の林産組合は大體に於きまして實際問題として其の地域は流域別と云ふやうな郡單位の程度のものが多いと考へて居ります、森林組合の方は法律に依りまして市町村單位になつて居りますから只今の點は問題になるかとも思ひますが、林産組合は恐らくは市町村單位には出來ない場合が多いと思ひます、それから林業會の方は固より都道府縣等が主たる單位でありまして、市町村との關係は、比較的起らないのぢやないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=129
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130・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 能く分りましたが、併し新らしき制度で、更に又地方自治に付きましては、第二次の改正をされることも、是はもう疑のない事實であります、又其の内容的に於きましては果して現在の制度で止まりますものか、更に一歩進んだ所の制度になるかと云ふことを考へなければならぬ問題だと思ひます、而もそれは地方自治の全般の關係でありますから、産業方面は勿論、或は政治方面、總てに於て、此の權限が非常に大きくなります、それでありますから、只今のやうな心配がないと云ふ御言葉でありますけれども、今後の地方制度審議會に於きましては、相當役員外の者が多數に入りまして、所謂自主的に法制化しようかと云ふことの話も聞いて居ります、さうしますと、或程度の相當強硬論も出て來やしないかと考へなければならぬと思ひます、さう云ふ點に於きまして、農林當局に於きましては、事前に相當之が準備策を御講じになる必要があると思ひます、是は自分の希望として申上げて置きます、特に御注意を願ひたいと思ひます、其の次は本日の御話、各委員の御質問等綜合して見ますと、先づ森林を伐採するに於きましても、手近な地域よりも少し奧の方、所謂奧山の森林を伐採すると云ふのが多くなりはしないかと想像されるのであります、さうしますと奧山になりますれば、所謂河川と云ふものを考へて見ますれば、矢張り水源地に近き方面の伐採と云ふことが行はれると云ふことを考へても間違つて居ないぢやないか、斯う思はれます、さうすると水源涵養、治山、治水…山林局にも治山、治水協會と云ふものを御設置のやうでありますが、奧山の森林の伐採と云ふものを始める場合に於ては、餘程精密に、又自然の災害に對する豫防と云ふことを事前に注意すると云ふことは、或は無理な注文かも知れませぬが、餘程やりませぬければ、其の伐採した結果はどう云ふ大きな被害を受けるかと云ふことも又考へなければならぬと思ひます、其の話に於きまして、此の奧山の森林の伐採、所謂水源に近き所の伐採と云ふことに付ては、相當十分御研究下さりまして、殊に所謂水源地の、例へば砂防其の他の關係は農林省も關係があるし、又内務省にも關係があると云ふ問題でありますから、此の伐採區域とか、伐採方面と云ふ點に付きましては、相當兩省が緊密なる共同研究の結果なさいませぬと、却て其の結果被害と云ふものが起りはしないかと云ふことも想像されるのでありますが、斯う云ふ方面に於ける民間施業案、其の他の實施に付きましては、豫め兩省の御協議がおありになるのでありますか、農林當局の獨自の立場で行はれますか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=130
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131・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 御説、誠に御尤もと存ずる次第でありますが、先般も申上げましたやうに民有林の方の施業案が出來て居りますのは、三割程度でありますが、後の七割の施業案は出來るだけ早急に編成を了したい、是は只今御話になりましたやうに、色々施業上の關係もありまするが、更に又、色々確實なる資料を一刻も早く獲得致しまして、さうして今後の森林の施業の基本に致したいと考へて居りまするので、後の七割の施業案を大體此の二、三年の中に完了致したい覺悟で、只今實行致して居るのであります、施業案が出來ますと、施業案は地方長官の認可を得て確定することになつて居りますし、其の伐採の豫定地は、大體地方廳では了承せらることに相成るのでありまするが、特別内務本省との折衝は、一々致しては居らないのであります、併し只今も申上げましたやうに、此の治水の關係、或は國土保安の關係は、十分考慮致しまして、伐採の方法、或は伐採の箇處を決定致して居りますので、其の點御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=131
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132・加藤泰通
○子爵加藤泰通君 只今施業案の御話も出て居りますが、是は少し私事に亙つて此處で申上げるのは恐縮なんですが、前に昭和十六年でしたか、櫻内大臣でしたか、島田大臣の時でしたか、五十町歩以上の山持ちは、自分の所で施業案を拵へて、地方長官の認可を得れば、實施して宜い、それは昭和十八年六月でしたか、八月でしたか迄に提出しろと云ふことがございました、處で、是から私事に亙つて恐縮ですが、私愛媛縣に少し山を持つて居る、そこで急いで施業案を作りまして、十八年の春でしたか、之を縣廳に出して、認可を申請した、處が、縣廳は此の施業案を握つてしまつて、未だに、認可をされない、施業案其のものも取上げてしまつて居る、處が、支那事變から太平洋戰爭が始つて、もう施業案も何もない、どんどん命令で山を伐らせる、其の結果は私の國の地方では、昭和十九年に其の濫伐の結果が現れて來た、あそこに肱川と云ふ川がありますが、是が年々氾濫する、さうして肱川沿岸の七十何町村ですか、一切水浸しになつてしまたつ、而もそれが去年の如きは二回迄あつたのですが、食糧増産も何も、もう滅茶苦茶です、本年は幸ひ豐作と云ふ話ですが、今も御話の三割施業案が出て居ると御しやいますが、恐らくはさう云ふ風に取上げられてしまつて、認可も何も得ない山林家も相當あるのぢやないかと思ひますが、是はどう云ふ譯で縣廳が今込認可せずに引張つて居るのですか、山林局の方では御分りになりますまいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=132
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133・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 愛媛縣の縣廳が、どうしてそれを認可しないのか、其の理由ははつきり致しませぬが、戰爭が苛烈になつて參りました昭和十九年度から一時施業案の業務は、是は勞務等の關係で中止になつて居つたのであります、中止になりました爲に、本當は申請されたものは、認可すべきだと思ふのであるけれども、一時中止になりました爲に、何かの考へ違ひで認可迄遲れて居るのぢやないかと想像するのでありますが、詳細は取調べて見ませぬと分りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=133
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134・加藤泰通
○子爵加藤泰通君 後の方から、取調べて戴けますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=134
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135・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 調べて見ませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=135
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136・松尾國松
○松尾國松君 私は植樹に付て承りたい、申す迄もなく明治維新前に於きまして、全國それぞれ山林は藩主に依つて禁伐されて居つた、是が維新後に於て、俄かに伐採が自由になつたと云ふので、全國的に濫伐をしたことは御承知の通りであります、其の濫伐の結果は僅か二十二、三年の間に現れて來て明治十八年から大水が全國に起りまして、それが爲に非常なる國内の騷擾を來したことは御承知の通りであります、例へば地方に於ける縣政と云ふものは、其の水害の爲に紊れ、もう殆ど地方騷擾の状態になつて居る、是は御承知の通りであると思ひます、然るに今度の伐採は、それ以上の濫伐を致して居ります、先程御話がありましたが、施業案の認可をしない、斯う云ふことですな、私に言はせると、今日以前に於て、私は以前と云ふことを申しても、それは戰時中のことでありますが、戰時中に農林省は極度な中央集權をやつて、自分勝手なことをやつたのです、それが爲に地方廳なども權限を殆どなくして、さうして何でも命令をしてやつた、斯う云ふことになつたのでありますが、さう云ふ結果で、事務も捗らなければ、民意が頗る梗塞されて居つたことは御承知の通りであります、だから今度は一大改良を要する、是で其の大水害を防備する爲に如何なることをしたかと申すと、政府は植樹に付て苗圃を地方に作らして、其の樹種を供給し、苗圃を作る所には、最初は七割の補助をし、其の次には二分の一の補助をし、それから更に地方廳は地方費を以てそれに補助を加へて、殆ど此の植樹者には費用を掛けずに植樹をさしたのであります、苗を無償交付し、それから更に植ヱました者に付ては、植ヱるに付て人夫賃を補助し、更に植ヱたものの手入れにも補助をし、有らゆることをして、漸くに此の昭和の木材が採れる迄にした、處が、それを唯三年の間に殆ど伐つてしまつた、斯う云ふことは、政府委員の昨日の説明にもありました通りで、であるから、今度は本當に急速に此の濫伐の結果を戻すと云ふに付ては、此の維新以後の濫伐洪水の對策に、紛亂を來して、今迄致した以上の勇氣と努力とを以てやらなければならぬ、勿論國費多端の時でありまして、國費で全部やると云ふことは出來ないのでありませうが、地方と連絡してやらなければならぬ、處が、今日の實際は政府も能く知らるる通りであつて、植樹當事者には非常に力がなくなつて、一面に於ては、今度は財産税も亦出ます、又再建の爲に租税は重くなる、地方費は重くなる、市町村費は重くなる、そこへ持つて來て人夫賃は高い、食糧は少い、やると言つてもやれない、從來山の利益と云ふものは普通に於ては、先づ少くとも二十年は無利子よりも赤字でやらなければならぬ、さうして愈愈幾らか間伐の出來るやうになつて、幾分かの收益が得られると云ふことは、私が言はぬでも御承知の通りであります、それでありますから、此の濫伐の回復、所謂國土保安の爲の、治山治水の爲の植樹と云ふものは、もう大なる決心と大なる速力を以て施行しなければならぬと思ふ、もう一度申しますが、苗圃を設置し、種子を交付し、而して其の育成、除草、管理に付ては縣が主として之を管理し、町村でやる場合に於ては、七割、若しくは半分の國費を以て補助し、更にそれに地方費を以て加へる、さうして苗を無償で交付し、更に植樹に付て補助をし、手入れに付て補助して行く、今度はそれ以上のことを覺悟して貰はなければならぬが、それに付てどう云ふことをなさる積りでありますか、御聽きがしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=136
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137・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 御意見、誠に御尤もと存ずる次第でありますが、今の種子の點に付きましては、是は出來るだけ只今營林局の方で國有林關係の方で採集を致しまして、民間の方にも出來るだけ多く配付を致したいと云ふ風に考へて居ります、又苗木の方も是も播種を致しまして、一箇年間は出來るだけ今の營林局の方の苗圃に於きまして養成を致しまして、一年生として地方の森林の組合の方に配付をして、山床近くの苗圃に養成させうと云ふ風に考へまして、此の方はもう營林局の方で本年度から實行することに致して居ります、併し唯それだけでも足りませぬので、民間の方で苗木の養成をされる分に付きましては、只今でも補助は致して居りまするが、更に此の點の、此の補助率の増加に付きましては、考慮を致す考で居ります、それから御承知の通り苗木代も非常に高くなり、又人夫賃も高くなつて、民有林の造林と云ふことが非常に困難な情勢になつて參りましたので、若し豫算的に許されたならば、民有林の官行造林、只今公有林に付きましては、官行造林をやつて居るのでありますが、それを民有林に迄擴張致しまして、若し森林所有者の所で御希望であれば、其の伐採跡地に付、官の方で造林を致しまして、それを後で分收することになると思ふのでありまするが、兎に角植栽だけは官の方でやるやうにしようと云ふ風に考へまして、只來年度の豫算編成に當つて、今其のやうに編成を致して居りますが、是は國の財政の關係で認容され、ば實行することに相成るのであります、併しまだはつきり致しませぬ、さう云ふ風な關係で民有林の造林の實行に付きましては、政府と致しましても、出來るだけのことは致したい、まあ助成の方も出來るだけ高率の助成をし、又國自身で出來ますことは、國自身で出來るだけ多く實行を致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=137
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138・松尾國松
○松尾國松君 斯う云ふ風に今の御答を承知しても宜いのでありますか、植樹に付ては、民有林に付ては苗を育成して、一年は苗圃でやる、それは私も能く分りますのでございますが、さうして適當な植樹期になると、民有林に對するものは苗木は政府から交付する、さうして其の植ヱるに付ては補助をする、補助をどれだけすると云ふことは、今まだ決つて居らぬが、其の植樹に付て補助をして、此の植樹の急速に施行の出來るやうにする、斯う云ふ意味の御答と承つて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=138
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139・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 只今私申上げましたのは、今の苗木の配付の點は、營林局の苗圃で種を蒔きまして、一年後に一年生苗を各森林組合の方に配付を致しまして、森林組合の方で養成致させます、それから植栽に對する補助は、只今も一般助成の方で助成を致して居りますが、此の點は今後も引續き助成も致しますし、其の助成の率に付きましては出來るだけ増額を圖りたいと、斯う考へて居ります、それから尚豫算關係ではつきり致して居りませぬが、民有林の官行造林と申しますのは、是はまあ苗木も國の方で養成したものを使つて、民有地に官で造林をする、是はまあ森林所有者で希望された箇所に付てのみの話であります、さう云ふ風にして行きたいと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=139
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140・松尾國松
○松尾國松君 もう一つ念を入れて承りますが、其の今の民有林の官行造林は、普通の今迄の官行造林と同じやうにして、或年限を經れば、所有者と適當な分配をすると、斯う云ふことであると思ひますが、それに付てですな、全國で凡そ何萬町歩位それは出來るのでありませうか、それを承るのはどう云ふことであると申すと、今直ぐに植ヱて貰ひたいと云ふことが假に某地方に於て十萬町歩あると、斯う云ふことであると、あなたの方は、それはやることが出來るのに、若しさう云ふことを計畫した處で、自分の方では全國的に僅かな町歩ほかやつてはいかぬと云ふことになるといけませぬが、一體費用で豫定される全國的な町歩はどれ位ありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=140
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141・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 只今の、今の民有林の官行造林の問題は、是は法律も制定しなければなりませぬ、まあ豫算關係もありまするので、唯、私が今考へて、大體まあ來年度の豫算關係で今、下調べをさせて居る程度で、まだ具體的のことは分つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=141
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142・竹下豐次
○竹下豐次君 先程民有林の施業案を縣廳が何時迄も握つて居つて困ると云ふ御質問に對して、政府委員はどう云ふ事情だつたか分らないと云ふ、極めて不明瞭な御答へですが、さう云ふ御答になるのは、已むを得ないことだと拜承して居りましたが、私共の承知して居る限り、それは知事だけの考がまちまちになつて居るのでなくして、其の當時に於ては、少くとも農林省からさう云ふ風に、全國の各縣知事に思ひ込ませるやうな御話があつたのだらうと思つて居ります、なぜかと申しますると、全國的にさうでありまして、偶に認可された例があるだけであります、恐らく今御話になりましたやうな例は、非常に少い例ではないのでありまして、可なり大きな林業をやつて居らるる人が相當な御困でりあつたことと承知して居ります、是は私の記憶に間違ひはないと、私は思つて居りますが、其の御含みで御調べを願ひたいと思ひます、それに關聯しまして、重ねて御尋ねしたいのは、現在ではさう云ふ出願がありましたら、直ぐにでも御許しになる御方針でありますか、又研究をしなければ御答が出來ないと云ふ御考へでありますか、其の點を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=142
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143・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 施業案の申請のことでございますか…、申請がありましたら、直ぐ認可致すことにして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=143
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144・竹下豐次
○竹下豐次君 尚御尋ね致しますが、先程の御説明の中に、民有林の施業案に付て認可申請さして、さうして知事が認可して三年間位の内に全部濟ませたいと云ふ仰せでありますが、それは森林組合で案を立てるのでありますか、知事に認可申請を致しますのは何處ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=144
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145・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 森林組合です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=145
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146・竹下豐次
○竹下豐次君 それで私希望を申上げ、同時に御答を戴きたいと思ひますが、昨日繰返し諄いことを申しましたやうに、現在の森林組合で施業案の立派なものを作り得る組合と云ふものは、極めて稀だと思ひます、なかなか相當な學校を卒業した技師の人でも、立派な施業案を作ることが困難だと云ふことは、局長能く御存じの筈であります、それを今の森林組合の人達に作つて、さうして認可申請しろと云ふことになりますと、申請は致しませうけれども、それは途方もない案が出來てしまひます、それを縣廳で審査されても恐らく不認可になるのぢやないかと思ひます、それを認可されたら、途方もない結果を生ずると云ふ心配が私は起ると思ふのであります、それで森林組合に申請させるのであると云ふのであつたならば、私はどうしても森林組合の強化を先に圖つて、立派な案が出來るやうな技師を傭ひ入れた後でなければ、寧ろ施業案がない方が宜い場合も出て來るのぢやないかと、斯う思ひます、其の點は特に一つ愼重に御考慮を煩したいと思つて居ります、それから尚それに關聯しまして、現在の組合では、今申しまするやうに組合が町村單位になつて居りますので、經濟地域にもなつて居りませぬ、そこで、別々に森林に對する施業案を作ると云ふことになつたら、河一つ隔てて向ふ側の山とこつちの山と關係のない施業案を作ると云ふことになると思ひます、もう少し大きい地域になりますと、二つの組合にしても宜いと思ひます、寧ろ此の問題は國土保全の爲に永遠のものでありますので、施業案は理想的なものを組むと云ふことが絶對必要であります、それに付きましては、或は國で直接おやりになるとか、或は縣の方でおやりになるとか、立派な權威のある人が長く掛つても仕方がないからやる、尤も實施の方になると、案を作るよりも、私共素人で察しまする處、幾らか指圖すれば、監督して行けば、若い人達にも出來ることが多いだらうと思ひますが、少くとも立案だけは、立派なものを拵へるやうな方針でやつて、徒に三年以内にやると云ふやうな御考はどうかと、斯う云ふ風に考へる譯であります、もう少し大きな仕掛で御作りになるやうな御相談は、本省ではなかつたものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=146
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147・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 此の施業案の編成、其の他森林組合の指導員と致しまして、技術員の増員、或は又現在技術員の技術の向上、指導等に付きまして、政府に於きましても、先般御説明致しましたやうに、豫算的にも相當編成を致しまして努力を致して居るのであります、更に又此の施業案の編成等に付きましては、縣の方に於きましても、編成の指導もやつて居りまするし、現在の町村別の森林組合を流域別等に改めて、さうして好適な施業案を作ると云ふことは私も御指摘に賛成の者でありまするが、此の施業案の編成員、此の技術員のことに付きましては、御話もありまするので、尚研究致しまして善處致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=147
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148・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 第十條に付てちよつと御伺ひ致したいのですが此の林業會を創立します場合は、詰り第一項第一號に掲げた者と第二項に掲げた者の三分の二以上の同意を以て出來る譯です、林業會の方は第一號に掲げた者の三分の二以上の同意を以て出來る、是で創立が出來るものと致しますと、詰り第九條第一項の第三號竝に第二項の第二號と云ふものは、其の後に之を役員の中に加へると云ふやうなことになる譯ですが若しさう云ふ時には之に關與しないのですか、さう見えますが如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=148
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149・平川守
○政府委員(平川守君) さうでございます、此の第十條は第九條の第一號、第二號の者だけで創立を致しまして、第三號の者は、其の創立總會で定めました定款に基いて加入をさすと、斯う云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=149
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150・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 さうしますと、其の特別委員の數と云ふものは、後に決ることになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=150
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151・平川守
○政府委員(平川守君) 特別委員は、其の際に定員を決めることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=151
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152・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 尚御伺ひ致しますが、さうしますと、當初には殆ど何は關與しないのですね、定款が出來た後に、唯委員に加ると云ふことに過ぎないのでありますね、何と申しますか、創立の時には凡そ其處に總意と云ふものが盛り込まれなければならないと思ひますが、之に依りますと、出來た後に名目用に唯、委員を入れると云ふやうなことになるに過ぎないと思ひますが、如何ですか、當初から何故之を加へることが出來ないかを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=152
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153・平川守
○政府委員(平川守君) 先程申上げましたやうに、林業會の構成分子の中に於きまして、森林所有者の團體である森林組合と林産組合と云ふものが、矢張り中核の構成員であると云ふ風に考へられる譯であります、此の二つの者は必ず一定數の同意がありましたければ、林業會の成立をなさないと云ふ風に考へて居るのでありますが、需要者の團體と云ふ者は、是は必ずしも之が入らないからと言つて、林業會が成立しないと云ふ所迄、考へる必要はないではないか、固より林産物の配給其の他の面に於きまして、是等の人々の意見を容れることは必要でありますけれども、併しながら林業會の成否に其の參加を圖らせると云ふ程の重要性は、林業會の立場からはないではないかと云ふ風に考へる譯であります、從つてそれに差別の待遇を致して居るのでありまするが、併し實際の運用の問題と致しましては、斯う云ふ風にはつきりと法律で第三號に規定をせられて居りまする以上は、定款に於ても、相當數の特別委員の定員を與へるとか云ふことは當然實際問題として行へます、さう云つた指導も致したいと思ひます、法律の面から林業會成立の爲の不可缺の構成員とは致して居りませぬ、實際の運營上さう言つたものになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=153
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154・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 只今の御説明で分りましたが、併し將來の運營の上に於きましては、十分に矢張り第三者的の立場で、公平な色々の意見を求めることが必要であると思ひましから、どうか其の點に付ては、餘り之を無視しない、例へば名目上一人だけ入れて置けば宜いのだと云ふやうなことにならないやうに、或種の割合を御考へ下すつて、どうかさう云ふ點に於て運營が正しく行くやうに、當局に於て御指導を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=154
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155・青木重夫
○子爵青木重夫君 私も只今の竹中さんの御意見に賛成する者でありますが、大體森林組合は農民層であります、林産組合は商人の集り、兩者は利害を異にして居ります、此の兩者が協同して、果して此の法案がうまくやつて行けるかと云ふことは非常に疑問でありますし、又何故林産物の需要著も入れまして、即ち森林組合と、林産組合と、林産物の需要著、此の三者を以て林業會を構成することにして、表決權の問題も、三者同等になされば、價格の構成が公平に行くと思ふのでありますが、それに付て、先程來政府の御意見も御贊成のやうではありますが、表決權と言ひますか、其の點でまだそこ迄林産物の需要著を御加へになる御考はありまもぬか、將來此の法案を改正される時に、もつと御考へ願ひたいと思ふので、もう少し突き進んだ御意見を承はれば幸と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=155
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156・平川守
○政府委員(平川守君) 林産物の價格と云ふやうな面に於きましては、需要者の發言と云ふものも相當重視する必要があると存じますので、是は林業會に特に林業委員會と云ふやうなものを附設致しまして、政府に對して價格其の他のことに付きまして、林業會が意見を具申致します場合には、林業委員會の意見を聽くと、斯う云ふことになつて居ります、此の林業委員會に於きましては、需要者の立場も對等に置いて居るのであります、唯林業會其のものの通常の運營と云ふことを考へますると、矢張り是は林業の發達と林産物の増産と云ふことが主體でありまして、まあ、例は適切ではないかも知れませぬけれども、例へば農業團體法とか、或は水産業團體法とか言ふものに付きましては、矢張り農業者、水産業者と云ふものが中心になるべきものぢやなからうか、需要者の立場と云ふものは價格其の他の配給面等に於きまして、大いに關係があるのでありますから、之を參加せしめることに付ては寧ろ林業會法は、農業團體法其の他より一歩進んで居るとさへ考へられるのでありますが、それかと申して林業の改良發達と云ふ、直接の任務を持つて居りますね森林所有者、或は之に密接な關係のある林産業者と云ふものと、是の需要者と云ふものを全く對等の立場に於て、林業會其のものに參加せしめると云ふことは、却て林業會其のものの目的を曖昧ならしめはしないかと云ふことを考へるのであります、林業會と致しましては飽く迄も林業の改良發達と云ふ點に、主眼があるのでありますから、最も直接的の立場にあります所の、森林業者及び林産業者と云ふものを中心に致しまして、是と極めて密接なる關係にある需要者團體等は、之に參加をすると云ふ形に於て、加入を認めて行ふと云ふ、斯樣な立場で此の法案は出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=156
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157・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の御説明で大體了承致しましたけれども、私の申しましたのは價格形成の場合に、林産物の需要者を對等位の所に持つて行きたいと云ふ希望意見であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=157
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158・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 先程某委員からして、施業計畫が餘り杜撰であるし、寧ろそれでやれば却て方向を誤る位の御話も出て居りましたが、成る程、又或一部にはあるかも存じませぬが、私は其のことよりかも、それ等の施業計畫の實行に付て、御所見を伺ひたいと思ふ、私は多年地方を歩いて、部落有林なり、市町村有林なり、それから組合林なり、國有林なりの色色な計畫等を所在地に於て見ましたが、多くは施業計畫なるものが出來て居りますが、それが餘り立派過ぎて、却てどうも運用がうまく行かない云ふのが、私の見たものの中ではそれが多いのであります、それは其の筈なんであります、先程杜撰だからいかぬと云ふことは、私はさう思はないのです、それは政府の方でもそれを補助致して居ります、施業案の計畫をするに付ての補助を致して居る、又監督も致して居りますから、そこで計畫を立つたものが、さう杜撰な宜いころ加減のものを作つたんぢや、自分の首、技倆に關係すると云ふことが裏面に食附いて居るんです、それですから非常に能くやつて居りますが、それが爲に却て餘り立派過ぎて、さうして其の運用がうまく行かないと云ふ嫌があるのであります、第一それ等の書類を方々で出して居りましても、立派に出來て居りますが、それは出來ただけのことで、それ等の色々な添付の書類がありまして、毎年々々にそれを書き入れて記帳して行かなければならぬ、それも記帳がうまく行つて居ぬらとか、又年々の計畫を立てべき所がうまく當つて居らないと云ふやうな實例が往々あります、そこでそれ等を實行して居る點から申しますと、先づ此の邊で宜からうと云ふのでやりまするが、實行した曉が是がなかなかうまく行かないので、植ヱることは植ヱて見たものの、後々の補植、手入れ、撫育等が兎角うまく行かないのであります、是は全部國が補助して居る譯ではありませぬ、一部を國が補助して、後は市町村なり組合の方でやつて居るのでありますから、其の方の實行方がうまく行かないのが多いのであります、それ故、折角其の費用を掛けて、勞力を掛けて實行したものの、後の始末がうまく行つて居らない、是が大變にあるのであります、今日此の國有林と言はず、市町村有林と言はず、民有林でも造林をしなければならぬ、殊に今度のやうな非常に濫伐同樣になつて來た、此の林勢を回復しなければならぬと云ふことは、必死の努力でおありになる最中、それどろぢやない、今日迄金を掛けて勞力を費して來た、其のものがうまく育つて行かないと云ふやうな嫌があるのを、私は甚だ遺憾に思うて居るます、それで是等の缺點に付ては、今日迄やりましたのがもう大分年所も經つて居りまするし、隨分手の拔けて居る所も澤山ある筈であります、是等に付ては十分後の附屬的の作業が立派に出來得るやうに、山林當局でも今度は一つ改めて、是以上念を御入れになる必要が私はあらうと思ふのでありますが、先づそれ等の點に付て、是は國有林ではありませぬが、今の市町村有林、それから森林組合に付ての事業の状態がさう云ふやうなことになり勝ちでありまするが、それ等の今後の跡始末に付ての御所見を一つ伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=158
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159・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) ちよつと御諮り致しますが、實は今、物價廳から次長が此處へ繰合せて出席されましたから、此の際今の御答辯は後廻しにしまして、物價廳、詰り安定本部に關係の質問を此の際先に御願ひしたいと思ひますが如何でございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=159
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160・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) では、左樣に致します、それでは安定本部の御關係の質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=160
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161・青木重夫
○子爵青木重夫君 今朝程、農林當局から承りましたのでございますが、六月二十六日の司令部の日本社竝に地木社解散に關する指命の中に今後木材の配給、生産計畫、消費割當、それから價格統制に關しては經濟安定本部が農林省に對して命令計畫、或は決定を指示すると云ふ指令が參つたと云ふ御話でありますが、經濟安定本部に於ては、それだけの何と申しますか、組織があるかないかと云ふことを懸念致します、それから斯くの如き指令を實行するとなると、農林省は殆ど骨拔きになつてしまふ、唯手足のやうな形になるかと考へます、之に對して如何に今後の木材の生産、配給、價格統制を運用なさる御考か、安定本部の御意見を承りたいと思ひます、それから是は新聞で承知したのでありますが、衆議院に於て膳國務大臣が木材の價格は今後標準的なものにだけ公定價格を附けて、後は協定價格にすると云ふ簡單な新聞記事を拜見致しましたが、御承知のやうに木材と云ふものは千種萬樣のもので、殆ど公定價格を附けることは不可能に近いものでありまするが、此の木材の公定價格決定に對する安定本部の御意見を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=161
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162・工藤昭四郎
○政府委員(工藤昭四郎君) 安定本部が木材の生産配給等に携りますものは、是は基本的な計畫を立てるだけであります、從つて其の計畫の實施面に付きましては、從來通り農林省がおやりになる譯であります、其の爲に農林省の木材行政の面が著しく狹ばまると云ふことはないと私は考へて居ります安定本部の現在の陣容は、御承知のやうにまだ完全に樹立して居りませぬし、陣容の點に付て御懸念があることは御尤もと存じますが、近く經濟安定委員會も出來ますし、安定委員會の外に各種專門の委員會もありまして、さう云ふ統制の基本的問題を決めます場合には、民間の御意見も能く伺つて申上げることに基本方針は決つて居ります、唯價格の問題に付きましては、是は全部物價廳に一元化されることになるのであります、物價廳は安定本部とは別個に併立的に設置せられた役所でありまして、安定本部は主として基本的な問題の企畫立案と云ふことになつて居りますが、物價廳の方では實施面を扱ふ、斯う云ふことになつて居りまして、仕事の上から申上げますと、各廳に近い仕事をやることになつて居ります、木材の統制に付きましては、御承知のやうに當初は二十數萬に亙つて統制價格が決められて居つたのでありますが、甚だ煩しいので、それを縮減致しまして、縮減致しましても、現在でも二萬幾らあると思ひます、さう云ふやうな複雜な統制を執つて居りまするのでは、業者自體で非常に御困りになります、又統制の面から申しましても、非常にやりにくいと云ふ點がありまするので、もう少し簡單に基本的なものを中心として分り易いやうな統制値段を決めて行きたいと、斯う存じまして折角研究中でございます、又價格其のものも現在の實情に合はないやうな點もありますので、併せて研究して居ります、近く具體案が出來上るものと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=162
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163・青木重夫
○子爵青木重夫君 先程伺ひました膳國務大臣の御發表になりました公定價格と協定價格の點で新聞に現れた分は如何なものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=163
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164・工藤昭四郎
○政府委員(工藤昭四郎君) 今申上げましたやうに、其本的なもの一本を決めて、後のものは協定で全部やる所までしか考へて居りませぬ、今のやり方が非常に複雜でありますから、之をもう少し明快に分り易いやうな統制の形式に持つて行きたいと云ふので、折角研究中なのであります、併し現在でも基本的なものに付ては、中心的な一つの價格を決定して居るのであります、それを發展させまして、もう少し分り易い統制をやりたいと云ふのが私共の念願なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=164
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165・松尾國松
○松尾國松君 私も一つ今の價格に付て承りたいのですが、一體此の指令に依れば、經濟安定本部が中心になつて居るのであります、經濟安定本部が基本的と言はるるけれども、基本的なことは、即ち事の根本になる問題であつて、今御話のあつた通り、實施面は農林省が施行する、斯う云ふことになる、それであるから、此の點に向つては、私は經濟安定本部に移つたと云ふ本旨に鑑みて、此の點は徹底的に御考を願はなければいかぬと思ふのであります、其の一つは今の御話の中に付て、自分が肚に入らぬ點は、二十數萬あつたが今二萬ある、さう云ふ理窟にはいかぬと思ふか、適當に一つしたい、斯う云ふ話であります、それを私が今迄役人的に考へて見ると、ちとばかり減らしてやらうと、斯う云ふ風に思へるのです、肚はどうか知りませぬが思へるのです、何故私が斯う力を入れると云ふと、あなた自身市中に行つて、二萬のものが、是はどの規格に當ると云ふことを一つでも御覧分になつたら、何と云つたら宜いでせう、私が分ない、だから、此の頃の私は神田に龍名館に滯在して居るのでありますが、そこで職人が來て、ほんの四寸かそこらの丸太、長さが十尺位あるでせう、それに付て私は試みに、是は一體幾ら位するものであらうか、斯う言つた處が、其の人の言ふには、是はなかなかしますよ、斯う云ふことを言つたのです、そこで私は肚を割つて、十圓か、十五圓か、と言つたら、旦那冗談言つちや困りますと、斯う言ふ、幾らだと言つたら笑つて居つて何も言はない、そんな考で以て言はれては話にならぬ、知らないのだからと云ふのでせう、それで私想像して見て或は六、七十圓以上かと思つたのですが、何度聽いても笑つて居つて言はない、實は私が十五圓かと言つたのは、非常に張込んで言つた積りであつたけれども、さう云ふことを言ふ、處が、私はそれが公定價格が幾らだと云ふことが分らないのです、それであるから苟も是だけの大世帶の、此の頃の法令を見れば、經濟安定本部の決定に基きと云ふやうな文字迄法令の中に入れてある、それ程重要な權限のある所の相當なる地位に居らるる人は、此の難儀な、難儀と云ふよりも、斯う云ふ統制と云ふものは現實に於て何も出來て居りはしない、私はさう云ふことを攻撃するのでも何でもない、事實あなたが若し統制した價格に付て、是は此の價格に合ふと言ふことが出來るなら、それは天下の奇蹟だと思ふのです、それであるから、それを取締ると言つても、何も取締の仕樣もなくて、好い加減に是は之に合ふかも知れぬと云ふことでやつて居る、斯う云ふ再建の大事な時に、さう云ふ點に於て私は撤底的に考へて貰はなければいかぬと思ふのです、もう一つは價格の點に付ては、今日の價格は裏で止めてある、裏で止めてあると云ふことは、製材にして需要者の手に渡す時に、例へば何處其處の驛の「レール」渡しとか、何處渡しとか云ふことが書いてある、處が、之が爲に非常に闇も行はれ、山主と云ふものは非常に得る利益が得られない、どう云ふ譯で得られないかと云ふと、先だけ止めて、例へば四寸角二十二尺の長さのものは何所渡しで幾らと、斯う書いてある、其の木材と云ふものは、五里奧から出て來たものもあれば、十里奧から出て來たものもあれば、二十里奧から出て來たものもある、それを先で止めて居る、此の位冐險的な大膽な不合理的な價格はない譯です、それであるから、之を山に還元する、同じ山の方にする時は、出しがどんなに掛かる、斯う云ふことで山を伐る時には山の出し方、さう云ふことは御承知かどうか知らぬが、餘り詳しく言ふと時間が掛りますから止めますが、色々な關係でむづかしい、むづかしいが、先から止めて無茶苦茶に、何處から來たやら分らぬものを、五里のものも、一里のものも、十里のものも、斯うすれば、其の冐險と云ふものはもつと甚だしい冐險である、寧ろ地域的にでも何でも、山林所有地の所で價格を決めるが宜いと言ふのです、是は農林當局では元で決めると云ふことは困難だと云ふ御話である、困難には違ひない、然らば先ですることは困難でないかと言へば、先ですることは困難でも何でもない、凡そ此の位のことは此の位だと言つて決める譯です、併し其の内容から言へば冐險だ、それが爲に歸納的に逆算すれば、木材と云ふものは只になる、只でも勘定に合はない、こんなことは御承知の通りである、であるから、さう云ふ價格の決め方でも経濟安定本部で、根本であるから決められるのは當り前のことであると思ふのです、さう云ふ點は重要な地位に居るあなたが、今申上げたやうなことを現實に於て考へて市中を見られたら分ると思ふ、如何に今日迄の統制と云ふものが不都合、不便、無用なことをして居つたかと云ふことが分ります、其の次には今山林當局の説明を聽くと、本年度の需要額は七千五百萬石であります、七干五百萬石の中で、今迄六割伐つた、六割伐ると約四千三百萬石、四千三百萬石で、上半期に於ける出材が四割と云ふことです、四割と云ふことでありますから千六七百萬石、其の千六七百萬石の中、千萬石と云ふものは優先的に出さなければならぬ所があるのであります、然らば殘りは六、七百萬石しかない、然るに東京都だけでも今三十萬人の引揚人があつて、家なくして弱つて居ると云ふことは御承知の通りであります、其の基本的のことを考へる役所に於て、此の再建をしなければならぬと云ふ時に、そんなことでどうしてやつて行くか、復興院が建築をする、斯う云つても五萬石要ると云ふことでありますが、それはどう云ふ方法で得るか、北海道からも來ると云ふことであるが、まあ僅か五萬石であるが、今總括的に言つても、それ程の難儀をして居る、それを、基本であるから、基本だけ知つて居るけれども、向ふのやることはどう云ふことでもやらせる、そんなことでは指揮する所の根本廳と云ふことには私は考へられ又と思ふ、それから濫伐の結果、大水害のことは御承知の通りであります、國土保安に於て植樹等は治水治山に大關係がある、民生安定、經濟安定の本部と云ふものは、斯う云ふ點に向つては徹底的に私は御考を願はなければならぬと思ふ、其の四つに付てどう云ふ風に御考になつて居るかと云ふことを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=165
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166・工藤昭四郎
○政府委員(工藤昭四郎君) 只今御話がありましたやうに、今迄の統制が非常に不合理で、誰が考へても形式が間違つて居つたと云ふことは、只今私が申上げる通りであります、今御示しの通りで、其の點に付きましては、さつきも申上げましたやうに、根本的に今檢討を進めて居ります、價格の決め方に付きましても、山元で決めますか、或は驛積みにしますか、之に付きましても、今御示しのあつたやうな、どつちに取りましても困難な事情があるのであります、併し其の點も併せて根本的に考へ直さう、斯う思つて居ります、それから基本的なものを一本を決めて、さうして後は協定値段でやると云ふことが、さつき御質問にありましたが、私は之に對しまして、必ずしもさう簡單には考へて居りませぬ、基本的なものを中心にして、もつと分り易い統制の方式に持つて行きたい、斯う云ふことを申上げたのであります、御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=166
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167・松尾國松
○松尾國松君 私は重ねて申したいのでありますが、實は經濟安定本部の機能と云ふものが、どれ程にあるかと云ふことを考へて居るものでありますが、私共は今日の實情から言へば、濫伐の結果水害は頻々と起るし、國土保安、民生安定の上に於て、林業程やかましい問題はないと斯う考へて居る、考へて居ると同時に、益益林業のむづかしいこと、例へば山林の育成、植樹の困難なることは私が繰返して申上げる迄もないことであります、然るに今農林當局に聽けば、山林の植樹は奨勵したい、それは色々な施設を持つて居る、持つて居るけれども、まだ豫算も決らぬし、どうも民有林に付ては、其の考はあるけれども、まだ何も決つて居らぬ、斯う云ふ御話である、是もまあ尤もであります、さう云ふことは經濟安定本部に於て乘り出して、公共費用の六十三億圓の中からどう云ふ風にするか、是も宛てがはれて勝手にはさう行かぬでせうが、どう云ふ風にするか、斯う云ふことで經濟安定本部と云ふものは新らしい構想に於て我々が今迄、是程に難儀をして來て居る時に於て、それは別な意味がありましたので、私共は今日は何も申上げぬ、併し如何に國民が艱難辛苦に怺へて來たか、而して今日の物價に付ての困難は經濟安定本部に依つて明るい面が見えるであらう、斯う考へて居る者であります、どうぞ、さう云ふ意味に於て、私は役人的の連絡でなしに、役人的の惰性的の創意工夫でなく、本當に新らしい民意に即した、民意に即したと云ふことは、民意に阿ねつて貰はうとも何とも思はない、併しながら民意のある處、如何に消費者が困難して居るか、如何に森林所有者が價格の點に於て不合理であつたか、如何に需用者の方で不便であつたか、例へば規格であります、家の構造も決めずに置いて、木材の規格だけがある、そんなこと位、あなたは百も御承知だと思ふ、短かい木で濟む所の長い木で其の通り作らなければいかぬと云つて、其の通り作る、其の通りの規格で、其の通り決めた、是も私は安定本部で十分御研究願つて居ると思ふのですが、今日の價格と云ふものは、規格に依つて決めた、規格とは何ぞやと云へば、丸太をどうする、加工をどうする、長さをどうすると云ふことで決めた、さうして決めたのであるから、使ふ時に於て長過ぎたり短か過ぎたりどうにもならないと云ふことになる、斯う云ふのが今日の統制の實情なんであります、我々は、言葉を普通の言葉に換へて言ふならば、滑稽のことが澤山ある、而してそれで需要者が非常に難儀する、斯う云ふ點に於ては、經濟安定本部が徹底的に私は御考へ下さるもんぢやと思ふ、我々はもつと、今迄困難したことに付て詳しく申上げたいけれども、それ程な時間がないので申さぬが、さう云ふやうな點に付ては、經濟安定本部は役人の隋性的な協力でなく、新らしき工夫に於て、一つ徹底的に私は御考を御願ひしたい、斯う云ふことを希望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=167
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168・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今御意見がありましたやうに、木材の價格と云ふものは絶對に公定價格を附けることは出來ないものだらうと私は考へて居ります、今回林業會が出來上りまして、生産者竝に需要者が組合を作り、協定をすることに相成るやうでありますから、政府に於ては此の生産者竝に需要者の協定した意見を十分に尊重されることを私の希望意見として申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=168
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169・松尾國松
○松尾國松君 もう一つ伺ひたいのですが、私は經濟安定本部と農林當局と兩方に伺ひたいのですが、此の九十一條に依つて大日本山林會の業務を引繼ぐ、斯う云ふことになつて居るのでありますが、此の業務を引繼ぐと云ふことになれば、其の引繼ぎ方に付ては財産限定承認をして、次の引受者が損害を持たないと、斯う云ふ意味に於て、財産の限度に於て義務を持つ、斯うなつて居る、それは損害を持たないと云ふことであります、實は私は大臣と本部長と御二人の所で伺はうと思つて、委員長に申上げて留保して置いた、處が、御都合が惡いやうなんで、御二人を其の代理と思つて御尋を申す譯であります、それでありますから、此の引繼を受けるに付て、限定引繼を受けるのであります、然るに私がちよつと參考書に目を通して見ると、二十一年の七月末日の現在で貸借對照表を見ると、三千八百萬圓の現計になつて居るのであります、而して其の中に百二十數萬圓と云ふものが赤字になつて居るのであります、其の赤字は國庫の補助の四百萬圓を以て埋めると、斯う云ふことになつて居る、私は是だけの事業をして、でうしてそれ程の不足金を國費の補助を以て埋めると云ふことに付ては、意見がないでもないのでありますが、承りたいことは、其の財産の評定するには、如何なる委員が評定するか、財産の評定するか、財産の評定に依つてどちらでもなります、そんなことは申上げる迄もないことであります、本當に法律に書いた損害を受けないと云ふ意味に於て、其の評定は如何なる方法を以てされるか、斯う云ふことを承りたいのでありまりす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=169
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170・平川守
○政府委員(平川守君) 只今御話の日本林業會の赤字の問題でありますが、是は實は現在の社團法人日本林業會と云ふものは、初めから利益を期待して居らない團體であります、林業の指導其の他の木材の配給調整等に關しますり地木社及び森林組合に對する指對調整と云ふやうな仕事をやつて參つたのでありまして、從ひまして之に對しても各種の事務費、或は人件費と云ふやうなものに付きまして、自分の收益で之を賄ふと云ふことが困難な立場にありまする爲に、昨年度に於きましても約二百七十萬圓程の助成金を交付致しました、是は人件費及び事務費に對する助成でありまして、各種の團體に對しますると同じやうな考へ方であります、本年度に於きましては概ね年初に於て四百萬圓位のものが掛るだらうと云ふ豫算を以ちまして、當方と致しましても凡そ其の位の助成金を出すと云ふ内示を致して居つた譯であります、林業會の方では之に基きまして、四百萬圓を月割で大體事務費、人件費に使用して參つた、それが七月末に於て約百二、三十萬圓に上つた譯であります、偶偶助成金の現金の交付が遅れて居りまして、八月になりましてから交付致しました爲に、林業會の貸借對照表と致しましては、一應百二十數萬圓の缺損と云ふ形に於て是が現れて參つたのでありますけれども、是は當初より助成金を以て充當すべき事務費、人件費でありまして、別に所謂缺損と云ふのと實は性質が違ふ譯であります、それから第九十一條に依りまして、現在の社團法人日本林業會の財産を、一定の財産の限度に於て債務を新林業會が承繼をすると云ふことに致して居るのでありますが、此の承繼の方法に付きましては勅令を以て定めることに致して居りまして、詳細の債務者に對しまする手續でありまするとか、或は評價の問題等勅令を以て定めることに豫定を致して居るのであります、之に付きましては官廳の方に於きましても、十分に監督致しまして、公正なる評価が出來るやうに規定を致す豫定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=170
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171・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御諮り致しますが、物價廳次長に御質問があれば此の際して戴きまするし、衆議院の豫算總會の方で御用がおありでありますから、簡單なことなら、此の際御質問願つて置いてきます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=171
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172・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 極めて簡單なことを御伺ひ致します、只今、物價廳次長から基本的なもののみ決めると云ふ御話があつた、私は此の點非常に結構だと思ひます、私は昭和何年でしたか、爾來統制價格が決ると云ふので諮問委員として參加したのであります、當時農林當局が複雜なる値段を御作りになつて、我々常識では判斷出來ないやうな、實に細かい規定が出來て、當時私は十五萬種統制價格が出來たやうに聞いて居ります、只今御話では二十二萬あると言つて居られますが、それが漸次減つて來て、二萬の統制價格がある、木材にこんなに澤山要りませぬ、基本的のもののみを御殘しになれば宜しい、是は寧ろ以前の木材の價格を出せば宜い譯で、極めて簡單です、大いさに付き、長さに付いての増しなんかちつとありまして、極めて合理的のやうに能く出來て居つた、それを壞してしまつて、むづかしい統制價格算出法を御決めになつたものですから、十五萬にも、軈て二十二萬にも及ぶと云ふことになつたのであります、此の點は、私は先刻の御答辯に滿足するものです、どうぞ基本的のもののみ御作りになつて、後は協會に一任して、需要供給の關係に御委せになることが宜しい、餘り細かく御決めになる爲に、結局斯う云ふ結果になるのであります、此の點は今後民主的に行はれるやう、御指導になることが結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=172
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173・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 物價廳次長に對する御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=173
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174・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 私はさつき御話ししましたので、御答は今日でなくとも結構です、明日でも結構ですから発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=174
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175・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) それではまだ御質問がるあやうですから、今日は此の程度に止めまして、又明朝十時から開會することに致します、散會致します
午後三時三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=175
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176・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 子爵 北條雋八君
副委員長 男爵 松平外與麿君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 池田宣政君
伯爵 前田利男君
子爵 西大路吉光君
子爵 加藤泰通君
子爵 青木重夫君
白澤保美君
小山松吉君
男爵 佐竹義履君
男爵 平山洋三郎君
男爵 前島勘一郎君
竹下豐次君
松尾國松君
田部長右衞門君
竹中藤右衞門君
杉山茂君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00219461001&spkNum=176
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