1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○林業會法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月二日(火曜日)午前十時六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=1
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002・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 昨日に引續きまして開會致します、質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=2
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003・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 昨日の西大路子爵の御質問に對しまして御答を致します、施業案の計畫に對して實行が伴つて居ない箇所が多いと云ふ御意見でございましたが、戰時中に於きましては勞務や資材關係又其の他色々隘路がございまして、計畫通り實行出來て居ない箇所が多い實情にありますし、特に厖大なる事業を致します爲に伐採箇所の如きは早伐、過伐の状態にありまして、施業案全體と致しまして、施業の體系が攪亂されて居るやうな箇所が相當ございますので、政府と致しましては是等の箇所に對しましては出來るだけ早く臨時檢定を施行致しまして、さうして逐次補正をして行く方針を以ちまして、只今實行を致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=3
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004・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 御答辯の御趣旨は能く分りましたが、尚今日迄隨分多額の費用を投じて、森林組合なり市町村有林なり隨分事業も澤山やつて居りますが、其成績が餘り見るべきものがなく甚だ遺憾とするものであります、是等に付ては先づ植ヱるだけは植ヱてはありますが、後の補植、手入、撫育等に付ては十分行届いて居りませぬ、それが爲に非常に成長が遲れて居ります、補植等も植ヱたら植ヱただけで、後は其のなりにして居ると云ふ所が往々ありますので誠に惜しいことと思ふのであります、斯う云ふ事柄は詰り指導監督が行届いて居らないのではあるまいか、尚又經費の點が非常に不足勝なので、さう云ふやうになって居るのではないかと思はれるのであります、殊に又戰爭以前から今日になっては、尚更のこと此の經費が非常に掛りますので、それ等の爲に仕事が賄ひ切れぬやり切れぬと云ふやうなことも想像されるのであります、斯云ふ點に付ては今後非常に又造成をどんどんやらなければならぬと云ふ矢先に、現に今日迄やり掛けたものに對しては、尚一層之を向上させる必要があると思ふのでありますが、此の點に付てはどう云ふ風に考へて居られますか、御前がさう言うてもさう云ふ所はないのだ、さう言はれればそれ迄でありますが、私にはさうは思へぬのであります、私も實際方々歩いて見まして、今迄能く見て參つて居ります、そこで何とか此の法律を出しますると同時に、是等のことも一層意を用ひなければならぬことに私は存じますのですが、それ等に付てはどう云ふやうに御考へでありませうか、御所見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=4
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005・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 御意見誠に御尤もと存ずる次第でありまするが、昨日もちよっと申上げました通りに、此の森林組合の方の技術員の増員、又技術員の技術の向上の指導等に力を注ぎまして、それ等不成績箇所の改善に努力を致したいと考へて居ります、尚經費の點は、只今の所新植の補助以外には補助する途がないのでありまするが、更に此の撫育の箇所の助成に付きましても考究を致して見たいと考へて居ります、尚今の造林證劵に依ります箇所の撫育に付きましては、助成の途もありますが、古い造林地の撫育の助成は只今の所出來ない實情にありまするので、技術員の方を能く指導致しまして、個々の森林所有者の指導を徹底致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=5
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006・杉山茂
○杉山茂君 林業會の下部組織たる林産組合と木材組合との關係は二本建では材木の増産は出來得ずと思ひますが、御當局の御見解は如何ですか、ちよっと御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=6
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007・平川守
○政府委員(平川守君) 木材の増産をやつて參りまする爲に、從來兎角森林組合の側と林産業者との側が相對立を致しまして、之が増産の支障になつて居るやうな事態が往々にしてありました、此の兩者を何等かの形に於て纒めまして兩者の間を調整を圖ると云ふことが、増産上非常に必要であらうと云ふことが林業會の設立の一つの要點である譯であります、それだからと申しまして、此の林産業者側と森林所有者側と全然一つの團體に初から渾然と入れてみやうと云ふことも是亦如何かと存ずるのでありまして、森林所有者と致しましては、森林の造成と云ふ大きな目的を持つて居りまするし、又林産業者側は木材の生産、配給と云ふ面に於て相當實力を持つて從來之に從事して居るのでありまするから、一應兩者の團體の存立を認めまして、併しながら此の兩者が相對立して居ると云ふ状態でなしに、何等かの形に於て纒つて増産の強調を圖る一つの機會を與へる爲に、茲に林業會の設立を致すと云ふことに考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=7
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008・杉山茂
○杉山茂君 それでは將來に於きまして若し良い折がありましたらば、一本にされると云ふ御積りはあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=8
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009・平川守
○政府委員(平川守君) 此の兩方の組合を全く解消して一本にすると云ふことは、恐くはなかなか望み難いのではなからうかと云ふ風に考へて居ります、森林組合が非常に發達を致しまして、森林所有者が林産物の生産迄、或は配給迄自分の手でやり得ると云ふやうな状態が來れば又別でございますが、併し現在の見透しと致しましては、恐らくはなかなかさう云ふ状態にはなり難いのが實際の状況ではなからうか、假に現在のやうに森林所有者と云ふものと林産業者と云ふものが兩者が存立をして居りまする間は、此の兩者の組合を解消をして一本に纒めると云ふことは却て事態に即應せないのではなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=9
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010・杉山茂
○杉山茂君 もう一つ御當局に御伺ひ致しますが、森林組合員の森林は、林産組合に販賣出來るのでせうか、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=10
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011・平川守
○政府委員(平川守君) 是は林産組合に販賣することも出來ますし、或は林産組合員たる個人の業者に販賣することも出來ます、そこは自由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=11
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012・杉山茂
○杉山茂君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=12
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013・竹下豐次
○竹下豐次君 造林の問題でありますが、今でもまだ地方に依りまして殘つて居ります部分林と云ふのがあります、官有地に民が植付けて居る、七、三とか四分六とか何とか云ふのが、是は官有地に民が造林する、逆に民有地に官が造林すると云ふことをやつて居る所もおありと云ふことも聞いて居りますが、今のやうに、民間で以て造林が困難な状態になりますると云ふと、さう云ふ今迄の所謂部分林の逆の部分林、それの大仕掛けの造林は、成るべく官自身でやると云ふやうな風にして、其の利益の一部を民の方に又殘してやると云ふ方策を御執りになるのも一つの行き方ぢやないかと思ひます、さう云ふことに付ての方針はどう云ふことになつて居るのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=13
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014・中尾勇
○政府委員(中尾勇君) 只今官有林野に付きましては、官行造林を致しまして分收をする、官で植栽をすることは致して居ります、個人有林に付きましては、現在はやつて居りませぬが、昨日ちよつと申上げましたやうに、民有地、個人有に付きましても官行造林みたやうに、官の方で植栽致しまして、後で分收をすることも只今研究致して居ります、まだはっきり決りませぬ、色々研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=14
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015・青木重夫
○子爵青木重夫君 大臣に御出席を御願して御質問申上げたいのですが、御都合は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=15
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016・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 午前中には必ず見える筈ですから、其の時に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=16
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017・前田利男
○伯爵前田利男君 此處に「御料及國有林野農地解放見込面積」と云ふのがありますが、此の中には今度出來まする農地法實施に依つて開放するものは入つて居ないだらうと思ひますが、今度農地法が實施されまして開放される面積はどの位ございませうか、御見込は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=17
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018・平川守
○政府委員(平川守君) 開墾の豫定地は全體で以て計畫は約百五十萬町歩と聞いて居りますが、其の中山林の方からどの位と云ふことはつきりまだ聞いて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=18
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019・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=19
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020・竹下豐次
○竹下豐次君 此の衆議院の修正案第九十八條「森林法の一部を次のやうに改正する」「第六十二條に左の二項を加へる」、「組合は前項の事業の外左の事業を行ふことを得」それよりずつと書並べてありまするが、是は今日迄の處森林組合が斯う云ふ仕事をして居る所もある、其の場合には知事が認可すると云ふことに取扱がなつて居つたやうに承つて居りますが、それは森林法の六十二條の第二項の第二號其の最後に「必要なる共同施設を爲すこと」と云ふ此の文句が活かして使はれて、さうして斯う云ふ風の仕事を森林組合で爲すことを許さるる場合があると云ふことのやうに私は理解して居つたのであります、其の理解が間違つて居れば別でありますけれども、さうだと致しますと、此處に「前項の事業の外左の事業を行ふことを得」として三つ並べると云ふことは、此の外にまだ共同施設を爲すことが出來ると云ふ此の文句を活かす場合があるのか、或は此の共同施設云々と云ふのを、此の三つに限定されるやうな風に考へをれる氣遣ひがありはしないか、私の質問が少し混雜しましたが、お分りになりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=20
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021・平川守
○政府委員(平川守君) 此の六十二條に新たに加へます事業は御話の如く、從來の條文に依りましても出來得るものであると云ふ風に私共は解釋を致して居つた譯であります、さう云ふ意味から致しまして此の條項を特に加へる必要はないのだと云ふことを原案としては主張して居りました譯であります、唯衆議院の方で問題になりましたのは、實際問題として地方等に於て林産組合の方には是々の事業が出來る、森林組合の方には其の條項がないと云ふことになりますと、森林組合は是が出來ないのだ、林産組合の方には出來るやうに規定があるのに、森林組合だけにないからして森林組合の方は出來ない、斯う云ふことを一般が信じまして、其の爲に森林組合の活動上非常に遺憾の點が生じる處があらうと云ふことからして、解釋上出來るかも知らぬけれども、此の仕事は特に自治統制の上から重要な問題であるから、法律に明記して貰ひたいと云ふ意味で之を附加へられたのであります、謂はば注意的の規定と言いますか、さう云ふ考であります、從つて此の共同施設と云ふ言葉は此の新たなる條項よりは範圍が勿論廣いのであります、各種の施業上必要なる共同施設と云ふのはまだ色々考へられるのであります、或は勞務者に對する福利施設其の他色々なことが考へられる、其の中で所謂自治統制に關係のありまする部分が新たに第二項として加はる、主として是は割當でありますとか、或は價格に對する協力でありますとか、と云ふやうな自治統制に關係のある項目が此處に規定される譯であります、それ以外の一般の共同施設の分は從來の規定に依つて行ふことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=21
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022・竹下豐次
○竹下豐次君 さうだらうと云ふ風に私も想像して居つたのでありますが、御話は分りましたけれども、「左の事業をも」と書いてあれば御説明の通りになると思ひます、此の書き方では「前項の事業の外」と書いてあります、前項の事業と云ふのは施業案を作つたり、色々な造成の方の關係になる譯です、「其の他に左の事業を行ふことを得」と云ふやうな書き方にすると、是は制限的の規定になつて、共同施設と云ふことは外の條文があるから、其の中にまだ廣いことを含むのだと云ふ御解釋が出來るかも知れないと思ひますが、少くとも疑問の起る書き方ぢやないかと斯う思ひます、「事業をもと云ふことになつて居れば、それは仰しやる通りに間違ひなく解釋が出來ると思ひます、「第一項の外之を行ふことが出來る」と云ふことになると、此の外のものは出來ないのだと云ふ風に解釋されるのだらうと思ひます、それから元々共同施設と云ふ中に、從來やられて居られたやうな斯う云ふ仕事を含めて宜いかどうかと云ふことが私は根本的に疑問だと思つて居ります、それは併し今日迄の運營でやつて居られます、條文の體裁としては私は立法技術としてはまづい、さうして其の疑問は當然起る疑問だと云ふ風に考へますが、其の點は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=22
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023・平川守
○政府委員(平川守君) さう云ふ疑問が或は起るかも知れませぬが、是は林産組合等の方にも實は斯う云ふ形で書いて居るのであります、第六十七條の書き方が矢張り是と同じやうな書き方に致して居るのであります、「左の事業を行ふことができる」と云ふので、「事業をも」と云ふのと同じ意味の解釋が出來るのぢゃなからうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=23
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024・竹下豐次
○竹下豐次君 解釋上の問題でありますから是以上に何とも申上げませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=24
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025・白澤保美
○白澤保美君 私は政府委員の方に御質疑と申しますか何と云ふか、ちよつと御注意申上げますが、此の第九十一條等は衆議院に於て削除と云ふことであつて、隨分長い間論議を續け、其の爲に今迄の審査が遲れた經過があるやうでありますが、昨日之に對して確か松尾委員からの御質疑に對する御答がありましたのですが、何だか私聽いて居つてまだ徹底しない點もあるやうですから、此の經過に付て改めて此處で御話になつたら如何だらうと思ひますが、此の法案の中で、是が一番衆議院を通過する時の難門であつたやうに私は聞いて居りますから如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=25
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026・平川守
○政府委員(平川守君) 此の第九十一條を規定致しました政府の心持と致しましては、現在の社團法人日本林業會と云ふものは、終戰直前に木材増産其の他の關係から致しまして、森林組合と木材業者の團體と云ふものが相協調することが必要であると云ふ意味から致しまして、取敢ず民法上の社團法人と致しまして日本林業會を設立致しました、全國森林組合聯合會及び日本木材協會と云ふものを解消致しまして設立した譯であります、政府に於きましても其の趣旨には固より賛成でありますので、之に對して相當の助成金も致し、又設立の當初に於きましては役員に付ても政府が任命すると云ふやうなことを致して居つたのでありますが、終戰と共に定款を變更致しまして、民主的な建前から致しまして、役員の選任等も選擧に依ると云ふ風に改正を致しました、併しながら兎も角森林組合及び林産業者の團體に對しまして此の調整を圖るべく指導の任に當り、さうして林業の發達或は木材其の他林産物の増産と云ふやうな仕事を擔當して居りました唯一の民間團體である譯でありまして、左樣な經緯から致しまして、今回の日本林業會と云ふものと社團法人日本林業會とは法律上性格を異に致すことは當然でありまするけれども、併しながら實際上其の目的とする所に於て可なり共通の部面がある譯であります、從來から政府の指導して參りました社團法人日本林業會を今回の日本林業會に於きまして承繼を致すと云ふことは、極めて自然であらうと云ふ風に考へたのであります、殊に此の日本林業會が成立を致しました後、直ちに事業を發足するに致しましても全然新らしく設立を致すと云ふことになりますと相當な準備期間を要すると云ふことになるのでありますから、事業を引續いて圓滑に運行して參ります爲には、此の承繼と云ふことが一番便利ではなからうか、又現在の日本林業會と云ふものは或程度の資産を有し、或は人的要素を有しまして仕事を運行して居る譯であります、其の儘引繼ぐと云ふことが色色な意味に於て最も自然だらうと考へたのであります、而して其の場合に於きましては此の承繼を以て特に課税の對象とするやうなことはないやうに、免税の特點等も與へると云ふことが適當であらうと云ふので左樣な規定を設けた譯であります、衆議院に於きましては其の趣旨に對して別に反對はないのでありますけれども、現在の日本林業會の資産の内容を見るとどうも赤字になるのではなからうか、假に資産が赤字になると云ふやうなことになりますれば、新日本林業會が成立の初から赤字を背負つて立つと云ふことになつて、是は甚だ不都合であると云ふやうな御意見があつたのであります、尚其の他現在の社團法人日本林業會とは本質的に性質を異にすると云ふやうな御意見もございましたが、其の點は御了解を得たのであります、赤字の問題が最後迄論議せられたのであります、政府の見解と致しましては現在の社團法人日本林業會と云ふものは赤字は持つて居らない、其の赤字があると云ふ御主張の中には、貸借對照表から見まして千數百萬圓の銀行からの借入金がある、此の借入金が返せないのではないかと云ふ御話がございました、併しながら是は現在の社團法人日本林業會が全國森林組合聯合會を解消して其の事業を引繼ぎました關係上、杉皮其の他の特殊林産物に付きまして集荷配給を行つて居ります爲に、其の所謂事業資金と致しまして一時銀行から借入を致しまして之を地方の森林組合に前渡を致し、之に依つて杉皮を集めて住宅營團或は進駐軍の建築と云ふやうな方面に納めて居るのであります、斯樣な事業を致して居ります爲に、是は必然に或程度の事業資金を銀行から借入れる、是は併し三箇月位で概ね回收が出來まして、又銀行に返濟をすると云ふやうな大體徑路になつて居るのでありまして、此の銀行の借入金と云ふものは別に赤字と云ふやうな性質のものでないと云ふ釋明を致したのであります、それから尚貸借對照表の中に百數十萬圓の缺損と云ふものが載つて居るぢやないかと云ふ御話もございましたが、是も實は所謂事務費、人件費でありまして、是は當初から餘り收益のある團體ではありませぬでしたから、政府の方で助成をすると云ふ建前の下に其の助成金を引當に行つて居りました出資でありまして、是が偶偶七月未の貸借對照表を作りますと、其の時政府の補助金として入つて參りませぬ關係上、缺損と云ふ形で現れて參つた事柄であります、尚所謂今度の軍需補償の打切に伴ひまして、林業會が課税を受けると云ふ問題があるのではないか、是が只今の見積りに依りますとまだはつきり致しませぬけれども、五百萬圓程度あるだらうと云ふのでありますけれども、之に付きましては色々一口一萬圓と云ふやうなな免税もありますし、又現在の林業會が持つて居ります資産が大體出資金等併せまして四百萬圓程度はあるだらうと云ふ想定でありますし、大體に於て軍需補償が假に全部掛つて參つたと致しましても、此の赤字は財産を以て賄ひ得る、最惡の場合には政府の補助金の一部を以て補だすると云ふことも或程度は考へて宜しいと思ふからして、新林業會が之に依つて赤字を背負つて立つと云ふことは政府としても致させない積りであるし、又さう云ふことにはならないと信じて居ると云ふ御説明を申したのでありますが、併し萬一赤字を前以て引繼ぐと云ふことになつてはいけないからして、さうならないことを法律上はつきりさして置くことが必要であると云ふ御趣旨でありまして、それも御尤もと存じましたので、「債務についてはその承繼に因つて得た財産の限度において、その辨濟の責に任ずる」と云ふ一項を加へることに同意致した譯であります、併しながら私共の見透しと致しましては、恐らくは此の條項が實際に働いて債權者に迷惑をかけると云ふやうなことはないであらうと云ふ風に信じて居るのであります、併しながらさう云ふ事情でありますので之を法律上はつきりとして置くと云ふことでありますから、之に付ては別段異議もありませぬので同意致したやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=26
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027・白澤保美
○白澤保美君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=27
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028・竹下豐次
○竹下豐次君 諄く御尋ですが、先つきの問題でまだ疑問が殘つて居りますので、御許しを願ひたいと思ひます、先つき私は「左の事業をも」と云ふやうに「も」の字を入れれば宜いと申しましたが、「も」を入れても矢張りいけないやうでありますから、先つき申しましたことは、私の意見が間違つて居つたやうに思ひます、其の點御了承を願ひます、それからもう一つの疑問は、六十二條の三項に「組合は前項の事業の外左の事業を行ふことを得」斯う云ふことになる譯ですね、森林法の第三項になる譯なのですね、さうしますると、此の中にありまする三つの事項と云ふものは、共同施設と云ふ現行法の第二項に書いてありまする言葉の中には含まない、共同施設と云ふ中に入らないのだと云ふ解釋にならざるを得ないのぢやないかと思ひます、處が從來は斯う云ふ施設も、矢張り共同事項と云ふものの中に入るとして知事が認可して森林組合で行ふことを許して居られたのであります、さうしますと云ふと、私の疑問は、共同施設と云ふ此の言葉の解釋を從來と御改めになることになるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=28
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029・平川守
○政府委員(平川守君) 此の文章にまあ「事業の外」とありますから、非常に文理的に申せば前の方の共同施設と云ふことには入らない、斯う申さざるを得ないかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=29
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030・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると、結局共同施設と云ふ言葉に封する此の法の解釋を從來と違つたやうに是から御改めになる、之を除いたもので共同施設に入るものもある、斯う云ふ風に了解すべきなのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=30
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031・平川守
○政府委員(平川守君) さう云ふ風に考へざるを得ないと思ひます、實は此の新らしい一項の方は注意的な規定であつて、此の林産組合等に於きましても必ずしも之を書かなければ出來ないとも考へて居らなかつたのでありますけれども、併し此の法文の形が「事業の外」と云ふ風にはつきり書いて參りましたから、之を除く一般の共同施設と云ふことに前の方の共同施設と云ふ文字が制限を受ける、從つて此の森林組合の方は從來は稍稍廣く之を解釋して居つたのですけれどもは此の部分だけははつきり茲に明文が出ましたから、此の新たに加はる二項の方だけは前の共同施設から除かれた、次の新らしい明文の方で明記された、從つて前の共同施設は少し從來の解釋よりは狹くなつた、斯う云ふ御説のやうに解せざるを得ないかと思ひます、此の事業に付きましては、昨日ちよつと御説明申上げた指令の中に實は斯う云ふことをはつきり言つて居りますもんですから、特に此の條項を此處へはっきり擧げた譯であります、必ずしもなくても出來ないことはないと思ひますけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=31
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032・竹下豐次
○竹下豐次君 さうしますると、是だけのものはもう知事の認可も要らないで、當然出來る、斯う云ふことになる譯なのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=32
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033・平川守
○政府委員(平川守君) さうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=33
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034・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると、此の共同施設と云ふ言葉に該當する事業としては、一番頭に浮びますのは、苗圃を作るとか云ふやうなことだらうと思つて居りますが、其の外に共同施設と言つてどう云ふ種類のことがあるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=34
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035・平川守
○政府委員(平川守君) 是はまあ施業に必要なことであれば何でも廣く出來るやうに規定致して居る譯でありまして、勞働者に對する福利施設も宜しうございませうし、可なり範圍を廣く考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=35
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036・松尾國松
○松尾國松君 私一つ御尋したいのですが、大體衆議院で九十一條の第二項を挿入したと云ふことは、斯う云ふことを聞いて居るですな、結局、私は先づ第一に承りたいことは、此の前の社團法人が何故に是程のことをせられて引繼いで貰ひたいと言はねばならぬか、斯う云ふことを一つ承りたい、其の次には、私の聞く所に依ると、どうして是だけのものが衆議院で入る以上は、さう簡單に入った譯ぢやないと聞いて居ります、それから結局の所私の聞く所に依ると、風聞であるから、違ふか違はぬか知らぬが、結局現在の資産に依つて調査すれば、約二千萬圓の損失は免れぬであらう、斯う云ふことを聞いて居るが、其の二つに付て先づ御答を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=36
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037・平川守
○政府委員(平川守君) 現在の日本林業會を引繼ぐと云ふことは、現在の日本林業會の立場から之を救濟する爲とか云ふやうなことでは絶對ないのであります、現在の社團法人日本林業會と云ふものが兎も角も政府の支持に依りまして、政府の支援に依りまして、森林組合及び現在は地木社でありまするけれども、木材業者の團體と云ふものの指導の任に當つて居る譯であります、林業關係の全國團體と致しましては、現在の所是が唯一の機關である譯であります、今回日本林業會が此の法律に依って成立致しまするけれども、是が成立致しますのは、此の法律に依りまして下部の森林組合、林産組合が都道府縣に林業會を設立致しまして、其の都道府縣林業會が又集つて日本林業會を設立すると云ふ順序になりまするので、恐らく法律が施行になりましても數箇月を要するであらうと云ふ風に考へられる譯であります、其の間假に現在の日本林業會を繼承しないで、直ちに解散を致すと云ふことになりまするならば、御承知の如く色々な團體に於てさうでありまするやうに、解散をし清算をして、それで從業員等も一切解雇をする、斯う云ふ風な状態になりますると、實際問題として其の團體は怠業状態に陷る、非常な混亂を起しまして、怠業に陷ると云ふことが常であります、從つて又各地方の指導に付ても、其の中心機關を實質上失つてしまふと云ふことになることが恐らく想像されるのであります、さう云ふ事態を避けまする爲に、新らしい日本林業會が出來たならば、舊林業會を直ちに其の儘の形に於て一應繼承する、勿論新林業會は役員等を新らしく民主的に選出をする譯でありますから、其の内容は變つて參りまするけれども、兎も角其の資産なり或は職員なりを一應引繼ぎまして、即日にも仕事に支障がないやうに致したい、斯う云ふことがはつきりしてございませぬと云ふと、現在の日本林業會は此の法案が假に修正を受けて九十一條が削除されたと云ふことが新聞に傳はるだけでも、直ちに怠業状態に陷るであらうと云ふことを恐れた譯であります、舊日本林業會を救濟すると云つたやうな、其の立場は全然採つて居らないのであります、それから今一つの損失の點でありますが、衆議院に於きましても其の點が非常に問題になつたのであります、決して簡單に修正になつた譯でないと云ふ御話でありましたが、其の通りで、損失の問題が非常にやかましくなつた譯でありますけれども、先程申上げましたやうに此の貸借對照表を御覽になりましても、御分りになりますやうに、千數百萬圓の借入金がありますけれども、是は事業資金でありまして、此の借入金は或は前渡金の形に於て、或は現物の形に於て、一面資産を振替に持つて居る譯であります、でありますから是は前年も此の事業を運用致して居るのでありまして、決して之に依つて赤字を出したと云ふことはないのであります、昨年度の如きも相當程度此の仕事をやつて居りますけれども、本年三月の決算に於きましては、逆に四十萬圓位の黒字を出して居るのでありまして、此の事業が運行を續けまする限りに於きましては、相手方は前渡をして居りまするのは森林組合であります、又此の現物を納めまするのは住宅營團、或は進駐軍と云ふやうな確かな筋であります、其の代金が取れないとか、或は前渡が倒れるとか、さう云ふ危險はないと思ひます、でありますから一應の借入金として擧げられました千數百萬圓と云ふものを、之を赤字になるだらうと、言つて恐れると云ふことは、少し行過ぎではなからうかと云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=37
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038・松尾國松
○松尾國松君 一體此の損失は、今の御話では損害はないと云ふことに承つたのでありますが、其の今度法案に出來ますものと、先の林業會とは目的が違ふ、性格も違ふと云ふ御話でありますが、それに違ひないのであります、處が先の林業會は森林組合及び木材業との對立を緩和するやうな意味に於て出來たと、斯う云ふやうな御話に聞いたのですが、さうすると是は丁度それが一つの法案に入つたから、さう云ふものは必要がないのではないか、斯う云ふことに考へられる、さうしてそれにも拘らず講釋を入れて入れて入れ拔いて、自分の費用を以て拵へたものに損が立ちはしないか、勝手なことをやりはしないかと云ふやうな色々な批評があつたらしいのですが、それでも尚此處へ入りたいと云ふことは、普通の考へ方から考へて見ると、何かそれに都合の宜いことがあるであらうと云ふことは、想像することは必ずしも邪推でもなければ何でもないと思ふのであります、であるからさう云ふ風に考へて來ると、或はもう一つ考へると、補助は之にされるかされぬかと、斯う云ふことと思ひますが、若し補助があると、山林會と云ふものに前の山林會が引繼を受けるのは、さう云ふ意味でも何でもないと云ふことになるならば、農林省の役人が、今日迄、昨日申したやうに、監督指導の名に於て干渉をすることになりはしないか、矢張り役人が今迄のやうに補助をするやうな意味に於て、監督指導に事を寄せて、此の林業會、或は統制其の他の今迄のやうな不合理、矛盾を敢てしようと云ふやうな考がありはしないかと思ふ、是は感情的でも何でもなく、理論的に考へられるが、其の點を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=38
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039・平川守
○政府委員(平川守君) 現在の日本林業會が是だけ反對があるのに、無理に之に承繼をして貰ひたがると云ふやうな御意見のやうに承りましたが、今迄申上げましたやうに、現在の日本林業會が入りたがると云ふ問題ではなくして、政府として考へて見まして、現在の日本林業會と云ふものが、兎にも角にも全體の森林組合及び森林業者の團結と云ふものを指導して居る現在に於ては、唯一の中央の機關であると云ふことを政府としては考へて居る譯であります、是は社團法人ではありますけれども、兎も角全國的に森林組合及び木材業者が集つて作つて居る唯一の團體であります、此の團體が斯う云ふ種類の全國的の團體と云ふものは、必ず常に一つはなければならぬ、そこで新らしい林業會と云ふものは、此の法律に依つて成立致しますけれども、併し新らしい林業會が成立して動き出すと云ふ迄の間に、現在の唯一の中央機關である所の日本林業會が、活動を停止すると云ふことがあつては國家的に見て、法律上から言へば、新らしい日本林業會が成立した時に、舊林業會は解散すると云ふことでありますから、そこに時間的の間隔はないやうでありますけれども、併し舊林業會は、其の時にすつぱりと解散をして、清算をして職員は皆解雇する、斯う云ふ状態が、現在の此の林業會法の九十一條を假に削除すると云ふやうなことに依つて、新聞紙上等に發表せられますならば、現在の日本林業會は直ちに實際上活動を停止せざるを得ないだらう、さう云ふ事態が今後新らしい林業會が活動を始める數箇月の間續くとすれば、全國の森林組合及び木材業者の團體も、指導すべき唯一の全國的民間團體が、其の間缺除されることになる、それを恐れると云ふことが政府の最も大きな、之を承繼することにしたい理由であります、殊に最初から此の條文がなければ別でありますけれども、中には此の條文がなくても事實上承繼すれば宜いぢやないかと云ふやうな御意見もありました、是も一應御尤もと思ふのであります、私共は此の承繼と云ふことに付ては、左程強い反對があらうとは實は豫測して居らなかつたのであります、現在の社團法人日本林業會の性格から考へて見て、新らしい林業會と性質を異にする點はありますけれども、其の目的に似通った所が確かにあるのでありますから、之を承繼することに付ては、是は極めて自然な事柄であつて、反對があらうとは考へて居りませぬでありました、其の爲に茲に免税等の關係もありますし、「スムース」に引繼がせる爲に一項を設けた譯であります、假に此の條文が、原案にあつたものが議會で削除されることになれば、特に其の衝動は、當初からなかつたと云ふことよりも一層大きい衝動を與へるであらう、從つて今の林業會の活動と云ふものは著しく阻害をされて、殆ど停止状態に陷ると云ふことを恐れるのであります、繰返して申しますやうに、決して現在の日本林業會の立場を、それを救濟するとか何とか云ふやうな其の立場から考へて、之を強く主張を致す譯では決してないのであります、政府として全國の林業指導上此の承繼と云ふことが必要であると云ふ立場から主張を致して居るのであります、それからもう一點は之を承繼すると云ふことは官僚統制的のことを持續する積りではないかと云ふことでございますが、左樣なことは毛頭ございませぬのでありまして、現在の日本林業會の財産とか或は職員とか云ふやうなものは一應引繼ぐことに致しますけれども、併しながら會の運營の中心であります所の役員と云ふやうなものは全然別途に政府の意嚮如何に拘らず、全く民主的な構成員の集りであります所の總會で自由に選擧される譯であります、其の自由に選擧されました役員が事業を行ふのであります、之に對しては政府の方は何等拘束を致す積はないのでありまして、活動の爲の色々な資産其の他の形は引繼ぎましても、活動の原動力である所の役員であるとか、或は議員と云ふやうなものに付ては何等政府は干渉する考はないのであります、法律の上にもそれは明かになつて居るのであります、左樣な點は毛頭さう云ふ意思はございませぬから御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=39
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040・松尾國松
○松尾國松君 大臣も見えたやうでありますが、今の御説明では私は能く自分の疑問は解けないのでありますが、それはどう云ふことであるかと云ふと、林業會が成立つたに付て、さう云ふ舊い團體のものを其の儘、此處へ新たに出來た團體に、前の舊いものがあつて都合が好いので、それをすぽつと入れたら都合が好い、それと同じであります、さうして官廳は國庫補助を多額に爲すことを理由として、今日迄のやうな干渉する意思はないかと言つたら、さう云ふことはないと言ふ、さうすれば現在の即往の團體が多勢のものが同意をするに依つてそれを引受けんならぬと云ふことになると、此の林業會と云ふものは國庫の補助を澤山に、經費多端の時に取るが爲に此の林業會に對して大きなものをすぽつと又被ると云ふことになると、其の被らんならぬと云ふ理由は今の御説明では私には分らないのであります、さうでありませう、例へば此處に一つの團體を作る、元にちよつと似たやうなものがあつて、それは國庫の補助を受けて居るし、財産があるし、それでは引繼がぬでも宜いぢやないかと云ふと、いや、そこには大きな使用人もあるし誠に働き易い機關だと思つて其の儘持つて行くのだ、工合が惡い、そんなをかしいことであるし、それからもう一つ此の林業會と云ふものが新たに生れるに付て、さう云ふ舊い胴體のものが何の爲に此處に入って來なければならぬか、之に付ては今の説明では能く分らない、唯あなたが斯うやつた方が宜いと思ふ、是が宜いと思ふ、國の爲に宜いと思ふ、斯う言はれるけれども、是は四百萬圓の大金を補助して居るから、今そんなことを言つてはどうにもならぬから、之を此處にずつと押込まなければどうもならぬ、斯う云ふ風にしか聞えぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=40
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041・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 是はどう云ふ經緯ですか途中からで甚だ相濟まぬのでありますが、此の新らしく出來まする日本林業會と、現在ありまする社團法人日本林業會とは、是は性質上は丸で違ふものであります、併し斯う云ふことになると致しまして、日本林業會が出來ました時にも、日本林業會と云ふものは直ぐ色々の事務的な仕事と云ひますか、まあ日本林業會がやらなければならない仕事はどしどし實際上はやつて行かなければならぬと思ふのであります、そこに新らしい團體が出來まするのに付て、空白時代がありますと云ふことは出來るだけ是は避けたい、斯樣に政府の方としては思ふのでございます、そこで勿論今ありまする社團法人の日本林業會が解散はするのであるが、其の權利義務と云ふものを今度新たに出來る日本林業會が承繼をする、承繼はするが、併し此の新たに出來る日本林業會が、丁度衆議院に於て其の點が修正されたやうに、此の負擔迄も帶びてしまふと云ふことは是は避くべきであると思ふ、斯う云ふ點から考へまして新たに出來まする日本林業會が成立しましても、矢張り直ぐに此の空白を生ぜずしまして、色々な指導其の他の事柄が出來まするやうに滑らかに致したい、斯う云ふ實は考であります、從つて新たに出來まする日本林業會と云ふものに付ては是は自主的なる團體でありまするので、それ等のものの役員其の他の點に付ては、是は何も政府としてちよっとも干渉はしないのであつて、之を構成しまする所の者が公平な立場から之を選ぶと云ふことをされれべ宜いのであります、併し出來ました團體其のものには、矢張りそこに下部の組織を必要としまして、さうして直ぐ仕事をやり、色々な指導なり何なりやつて行かなければならぬのでありますから、さう云ふことをやれば、新たに又人を採つたりなんかする上に一々煩瑣なる手續を執るよりも、實際上元からありまして而も性質から言ふと、或程度同じやうなことをして居つた部分もある譯でありますから、又組織其のものから言へば、それを引繼いでそこに妙な空白的な時代を起さない方が宜い、斯う云ふやうな意味でありまして、片っ方に非常に補助をやつて居つたからどう斯うと云ふ考で此の條項を入れた譯では實はないのでございまするので、其の點は一つどうぞ御了承を御願ひ致したいと斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=41
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042・松尾國松
○松尾國松君 時間もないやうでありますので、私はもう此の問題は繰返しませぬが、一つ衆議院で特別にやられたと云ふやうなことに付ては御注意を願ひたい、もう一つ丁度大臣が見えるので更に承りたいのは、今日の規格と云ふものに付ては昨日の話に依ると、二十七萬種から二萬種に減つたと云ふことでありますが、私をして言はしむるならば、今日迄の規格位滑稽なことはない、私が仄かに承ると、大臣は餘り林業には玄人ぢやない、斯う云ふことのやうに聞いて居りますが、玄人ぢやないから一番宜いので話すのです、玄人に話しても何にもならない、私は物價の事情はあなたが新らしいからと言つて、私は机を叩いて力を入れて御話したのですが、それは別に攻撃するのでも何でもない、私は心から言ふのですが、大體現在二萬種の規格があると言はれるが、大臣は一つでも知つて居られるかどうか、斯く申す松尾は相當に第一線で指導もし注意もして居るのに私は一つも知らない、そんな風な統制をして置いて、どうして統制が行はれるかと云ふことを先づ素人の頭で判斷をして戴きたい、是が一つ、其の次には今日の價格を決められる、其の價格を決められると云ふことは今の譯の分らない二萬種も五萬種も、場合に依れば何十萬種もあった譯であります、それから其の寸法に依つて價格を決めて居る、是は恰も終止點の終りの所でぽんと堰ぎをするが如し、其の堰ぎ迄出て來る材木は十里先か、二十里先か分らない、さうして置いて先にきちつと價格を決める、此の位矛盾、不合理、大膽なことは恐らくない、處で山の方で其の先を押へた結果はどうかと云ふと、御聞きになつて居るでせうが、逆算をするから山の方では只貰つても、私はどんな所でもさう云ふやうな所を知つて居るのですが、時間を要するので申しませぬが、今日に逆算すれば只貰つたつてどうにもならない、それであるから同じことならば山林所有者の原木の所に於て適當な價格、即ち原價を決めること、斯う云ふのです、さうすると今迄の本省の技術者は、幾ら話したつて材木の實際を知らぬ人の寄り集りでやつて居るやうなものだから、幾ら話しても分別が立たない、私は或外の省の大臣と當時話したことがあるが、其の時斯う言はれた、何とも仕樣がない、技術者ばかりで決めて是で宜いと言ふて居るから何とも仕樣がないと、斯う云ふ話、私は全然惡いとも何とも言はないが、今のやうなことは大膽にやると云ふことならばどつちが大膽かと云ふとこつちが大膽です、であるから今日國土が荒れました爲に非常に植樹を促進する、さう云ふ意味に於て山林所有者は、あなたの案に依つて例へば農地制度と云ふものは、農地の耕作者を保護すると斯う云ふことなんですが、さうすると山林所有者の收入を或意味に於て確保する意味に於て、今の標準價格を原木の所で決めると云ふことと、規格と云ふものを最も少くしてしまふ、例へば是々のものは斯うやれば宜い、斯う云ふ風にして貰ふ、斯う云ふことを考へて貰ひたい、其の次には今の植樹でありますが、あなたの方の代理の政府委員の御説明には官行造林をやる、民有林にもやりたいが、まだ豫算が決って居らぬでと斯う云ふことでありますが、是だけは大臣から承つて置かうと思ひます、今日是程に濫伐されて國土が荒れて居るが、是は何でも彼でも國家として國土保安の爲に植樹を促進しなければならぬ、之に付て大臣は寧ろ林業に關係なかりし人の頭としてどう云ふ風に考へられるか、是だけ承って置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=42
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043・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 非常に根本に觸れた御質問なんでありますが、なかなか人一面非常にむづかしい點だと私は思ひます、此の規格の問題は是は或意味から言ひますと、公定價格と言ふものに伴ふ弊害と言へると思ふのです、と云ふのは公定價格を決めますると云ふと、今度は規格外のものを作つて業者と云ふものは闇をやると言ひますか、利益を得る、斯う云ふやうな面で規格が亂雜になるものもあるのであります、それと同時にもう一つは規格が出來まするのには、矢張り一面から言ふと需要が色々千差萬別ではないかと思ひます、需要が多種多樣でありますので、其の需要に丁度適合しますやうなものを生産者が作ると、斯ふ云ふことになる譯でありまして、其の意味での規格が非常に亂雜であると云ふこともあると思ひます、是等の規格の點は是は一面から言ひますと矢張り大量生産を行つたり、又事實上の色々な生産の工程を簡易化し、技術と云ふものを非常に簡素にして發達さすと云ふ點から言ふと、規格の統一と云ふことは、是は大きな見地から必要だと實は思ふのであります、併し御話のやうに木材に付ては、是は私も實は御話のやうに素人なんで、專門家ではありませぬが、色々な規格がありまして厄介な點があるのでありますが、要するに此の木材の公定價格の決め方に於きまして、實際上の需要供給と言ひますか、それ等の實情と云ふものを今少しく分析をし、理解して業者其のものの、矢張り當業者の言はば公正な協力と言ひますか、さう云ふやうなものを或程度基礎にして行きませぬと、其の問題はなかなか解決しないと思ふのであります、其の規格の點に付ては大體私は左樣に考へて居る譯であります、それから立木の價格と云ふものを、決めて、それからずつと製材迄及んで見たらどうか、斯う云ふ御話でありまするが、それは私は矢張り一つの考へ方だと思ふのであります、唯殘念なことに戰爭中でありまするが、立木の公定價格が問題になりまして、先づ木材統制をやる時には一番に立木を押へなければいかぬぢやないかと云ふことが、やかましく昭和十四年の價格統制をやる以後になつた譯でありますが、遂に今迄立木の價格の統制と云ふものが行はれませぬで、逆に製品の方から來たものですから、そこに色々の矛盾も起り、それと同時に今度は木材が足らなくなつて來、色々の何がありまするが、立木の値段は統制されて居ないのでどんどん騰つて來て居る、そこで製材の方は押へて居ると云ふことで、其の間に非常な開きが出來て來て、實は色々困つた事態が起つて居る譯でありますが、是は實は立木の公定價格と云ふのは實際上、技術上相當むづかしいことはむづかしいと思ふのであります、それぞれの立木の立地と言ひますか、さう云ふものが千差萬別の點もありまするので、可なりむづかしいと思ふのでありまするが、或は最低の公定價と言つたやうなものであれば定め得るかも知れませぬし、さう言つた點は今後物價の統制を行つて行きまする上に於きまして、是は一つ虚心坦懷に研究して見たいと斯う實は考へて居ります、それから植林の點でありますが、植林の點は御話のやうに非常に山が荒れて居りまするので、是は農林省としましても五箇年計畫を組みまして、其の一部は二十一年度の豫算に組みまして造林の計畫を立つた譯でありますが、此の點に付きましてはそれを以て十分だとは實は考へて居ないのでありまして、森林資源造成法等のあの法律に依りまする色々の造林の單價は騰つて參つた譯でありますが、尚さう言つたやうな制度を考へるのみならず、實際上例へば木を植ヱるにしましても、苗の點で即に餘り多くのものを期待出來ない現状でありまするので、さう云ふものを矢張り元から殖やして行くと行ふことを是非やりまして、御話のやうに山が荒れるのを防ぐのみならず、全跡地の緑地化と云ふことを致す考へで居ります、二百七十萬町歩と云ふことになる譯でありますが、それ等のものは是は是非緑地化するやうに計畫を立てまして、今後と雖も其の點に付きまして森林組合、或は其の他の業者の協力を得まして、是非實現したいと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=43
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044・松尾國松
○松尾國松君 まだ御尋したいけれども、外さんの邪魔になりますで止めて置きますが、もう時間もないやうで措きますが、希望を述べて置きますが、どうぞ大臣は新らしい頭で、今迄の部下の人の惰性の外に立つて、さうして新らしい頭で考へて貰ひたい、是だけ希望を致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=44
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045・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 皆さんに申上げますが、農林大臣は是から衆議院の方の農地調整竝に豫算總會の方に行かれる必要がありますので、大臣に對する御質問の方は此の際成るべく簡單に御質問願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=45
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046・青木重夫
○子爵青木重夫君 私は先日松尾さんから御質問がありましたけれども、林野の所有の形態に付て御伺したいのであります、それは大臣が衆議院に於て里山は小さく分割することを考へられるが、奧山の方は分割しないと云ふやうなことを仰しやつたことが新聞紙に現はれて、多少誤解をして居る向もあるやうに存じますが、里山と云ふ言葉は、私は能く存じませぬが、農地に近い山だらうと想像しますが、是は農業上必要なものとして、農家に利用せしめることは必要なことであると思ひますが、小さく分割すると云ふことは、森林經營の上から甚だ面白くないことだと思ひますし、奧山の方は、是は大臣の仰しやる通り、無論大きな面積で經營するのが、治山治水の上から當然なことでありますし、社會黨の方面で主張する奧山の小分割は私も反對する所でありますが、此の點に付て新聞紙の報道が非常に足りなかつたので、誤解し且心配して居る向もあると思ひますが、農地調整法の如きものではないだらうと想像致しますが、此の際もう少し明確に御答辯願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=46
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047・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 大體御話のやうに考へて居るのでありまして、此の里山と云ふものは、是はまあ農耕地に大分近い土地でありまして、是等の點に付ては、是は矢張り農業をやつて居りまするものの經營と言ひますか、生活と云ふか、さう云ふことを矢張り考へまして、十分之を利用させて行く、斯う云ふことが必要だらうと斯う考へて居るのであります、併し里山に付て特に農地調整法見たやうなものを作つて分割すると云ふことを私が言つたのではないのであります、唯今回は此の開墾地と未墾地の開拓、さう云ふ點から觸れまして、開墾をやりますに付きましても、唯土地を拓いただけでは迚も生活は出來ないのでありまして、さう云ふ開墾をやりまする所はどうせ山地が多いのでありませうから、さう云ふものには矢張り薪炭とか、採草地とか、さう言ったものが必要であれば、さう云ふものも附屬させる、斯う云ふ風に考へて行きたい、斯う思ふのであります、奧地林は是は御承知の通り治山治水の點から言ひましても、又森林の性質から言つても、經營的のことから言つても、小さい資本ではなかなか經營出來るものではなし、さう云ふものが合理的とは考へて居ないのでありまして、是等のものに付きましては、寧ろ經營形態と云ふものは大きくても宜いぢやないか、斯う私は考へて居ります、經營形態が大きいと云ふことは別に民主主義に反することでもなし、是は十分兩立するものでもありますし、又森林のやうな、斯う云ふものは矢張りさう言つた治山治水、其の他の色々の點から考へて經營をやつて行くべきものと、斯う考へて居りまするので、衆議院に於てもさう云ふやうな趣旨に於てはつきりと御答をしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=47
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048・青木重夫
○子爵青木重夫君 御説明で能く分りましたが、今般財産税等で森林の物納等も相當行はれると思ひますし、里山に對しても小さく分割しないで、農民に利用せしめる方法を御考へ下さるやうに希望して私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=48
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049・竹下豐次
○竹下豐次君 私は林業會の機構のことに付て大臣の御意見を承りたいのでありますが、都道府縣の林業會と云ふものは、まあ森林組合と林産家が集つて、其處の代表者が日本中の組織に入ることになる、一應是で宜いやうでありますけれども、是では職別の、例へば森林組合も今日は全國森林組合と云ふものを作つて、何か斯う、詰り下意上達と申しますか、上意下達と申しますか、斯う云ふ點に於てどうも地方の代表者のみで中央が組織されると云ふことよりも、地方、中央を通じて矢張り業種別の組合が上に出來て行くと云ふことが、總てに於て民主的に行はれると云ふことになりはしないかと思ひますが、此の點は如何なものでありませうか、もう一つ承りたいことは、是は今回は暫定的のものであると云ふ御説明でありまするが、將來之を御變へになる時には、今私が申上げたやうなことで、要するに職別の組合が全部上へ行つて、上で之が統一され、地方は地方で矢張り斯う云ふ林業會が組織せられて、要するに縱横がきちつと連絡を保つと云ふことでなければ、民意の暢達と云ふことにはならないかと思ふのでありますが、殊に民主的の經營と云ふことは、上からの命令が矢張り全國的に統一されると云ふやうな方向に向ひたいと思ふのであります、將來此の組織が變はる時には、さう云ふやうな御考をして戴くことは出來ないかと云ふことであります、もう一つ承りたいことは、過日來色々御質問致しましたが、今日の木材の需要者と云ふものは、甚だ何んでありますが、相當有力なんであります、ですから、斯う云ふ力が、矢張り或程度斯う云ふ組合を通じて、他の方に協力をすると云ふことが、總てに於て都合が好くはないかと思ふのであります、殊に價格の統制或は配給の適正、消費の規正と云ふやうな意味に於ても、矢張り之が協力する形の方が良くないかと思はれるのでありますから、將來此の組合が變はる場合には、此の特別委員とか何とか云ふ形態でなく、斯う云ふ消費者も此の組合に參加して、相協力して、此の木材の増産及び山林の育成と云ふことに努めると云ふ形の方が宜くはないかと思ふのでありますが、此の點併せて大臣の御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=49
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050・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 最初の點は、日本林業會の構成に關するものでございますが、是は御話の點御尤もな點があると思ふのでありますが、其の點に於て今回はまあ需要者團體、而も此の需要者團體の全國的なものが、日本林業會に參加すると云ふ事柄は考へて居るのでございまして、是は法律九條で「林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの」と云ふことに依りまして、まあ需要者團體の全國的なものが入ると云ふことに致しまして、其の間の調整を執つて居る次第であります、それから將來之が直りまする時でございまするが、是は大體に於て一應の暫定的なものでございまするので、將來林業に關しまする團體をどう云ふ風にして行くかと云ふことに付ては是は今後各方面の矢張り知識を集めまして十分御檢討を願ひたいと思つて居る次第でありますが、勿論價格配給等に付ての事業統制と云ふことをやりまする時には、是は全國的な團體の代表者と云ふものを林業委員會の中に入れましてさうして之を運營して行くと云ふことが當然考へられることでありまして、又我々も左樣に考へて居る次第であります、それから林業會の構成の矢張り主流をなしますものは何と申しましても森林の所有者の方の團體と、それから林産業者の團體であると云ふ點は、是はどうもさうだと思ふのでありますが、勿論此の需要者、消費者の方の利益と云ふものを無視は出來ないのでありまして、十分消費者の方と生産者の側と協調が巧く行きますことが團體法として望ましいことであるし、團體の色々な事業を行つて、殊に統制的な事業を行つて行きます上に於ては必要でございますので、其の點に付ては需要者の方の意思が十分反映致しまするやうに特別議員の制度を設けて居りますし、本法に於ても十分其點に付ては考慮致して居る譯であります、是は需要者の團體が此の際組織の中にどう云ふ形で入つて來るかと云ふことは、それぞれの業の團體に依つて異つて來ると思ふのであります、林業なんかは是は相當廣範圍な需要を持つて居る基本的な物資でありますので、消費者の方の利益と言ひますか、消費者の意思がそこに何等かの形で入つて來ると云ふことは是は相當重要なことだと私自身は考へて居ります、今回も其の點に付ても林業委員會の構成には當然入るやうに致して居りますし、又特別議員の制度等を設けまして、需要者側の意思が反映し、又それとの連絡が取れるやうに致して居ります、勿論根本的な團體統制法を考へます場合に於ても、十分それ等の點を研究致して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=50
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051・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 ちよつと二點だけ大臣に御伺したいと思ひます、一つは木材の配給統制に付て、今度の自主的な仕方で巧く行けば結構でありますけれども、價格、規格、色々な問題があつて而も需要と供給の「バランス」の到底合はない、更に將來を考へても食糧よりも木材の方が遙かに私は深刻であると思ひます、一方では住宅の不足のことだけ考へても容易ならぬ社會不安を現に持つて居り、更にそれが適當に解決されぬ場合には政府に對する信頼を失はせるやうに段々なりはせぬか、そこで此の配給統制を實行して行くとすれば實際問題としては食糧の配給統制以上の何等か強力な徹底的な手段が或範圍に於ては必要なのではないか、けれどもそれは色色な事情もございませうから、配給統制の「ルート」に持つて行けるものは極力乘せて、必要なものを必要な時期に必要な所に是非共持つて行かねばならぬ、併しどうしてもそれは非常に不足を生じますから、昨日もちよつと御話がありましたけれども、外材を輸入するとか、それから國有林其の他が一緒になれば尚やり易い點も生ずるでありませうし、或は民有林でも或一部のものに付て國家がそれの伐採を自らし、又若しくは自ら輸送するとか、何等か特に必要な範圍内の木材に付ては配給統制と併行した物の直接の面の處置が餘程必要ではないかと私の愚見で思ふのでありますけれども、それ等に付て外材輸入其の他極力御努力して居ることと思ひますが、幸ひ御出席になりましたからもう少し此の點を伺って置きたいと思ひます、それが一つであります、もう一つは何分にも狹い日本全體の事情から考へて、山林、林業林政、山地の利用、要するに此の森林若しくは林業關係と云ふものは農業の問題と竝び非常に國家の維持、社會の維持、國民の精神の維持、生活の維持、或は風景の資源の維持、色々な問題から申して、食糧の問題或は農業の問題よりももつと實は大きな問題であらうと思ふ、にも拘はらずどうも從來林政、林業に對する重要性、或は國民の一般の關心、知識、さう云ふことが非常に足りないと私思ふのであります、其の邊に付て根本的に例へば地方で農地に付ては農地法が非常に御盡力の結果段々進行して居る、それがどう云ふ風に運用されるか能く分りませぬが、林野に付てのさう云ふ管理の關係が非常に錯雜して居る、或は林道其の他が非常に不備であると云ふことが、結局頻りに先般來此處でも議論が御出になりますやうに、森林所有者の立場が適切に保護されないとか、色々なことになつて來る理由にもなります、配給統制上にも根本するむづかしいさう云ふ條件があるからなかなか巧く行かない點がありますから、是は遲時のやうであるけれども、矢張り山林全體に付ての基本的な綜合的な調査をおやりなるとか、或は大きな委員會のやうなものを設けて今後の林政の根本に付て研究方法を立てるとか、或は少くとも本土全體の林政林業の組織の統一であるとか、或はさう云ふ管理關係の交換分合、所謂昔から問題になつて居ります林野の整備と云ふことがありますけれども、さう云ふやうなことを農地の問題と併行して早く是はやらなければならぬやうに思ふのでありますけれども、其の邊に付ての何か御考がございますか、其の二點だけちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=51
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052・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、此の林業會法に依ります統制は自治統制を實は中心に考へて居るのでございまして、是は出來るだけ自治統制で、業者側の自覺と、それから御互ひの協力に依つてやつて行つて貰ふ積りであります、又それが本當にすくすくと伸びますことが非常に望ましいのでありますが、是は併し必要已むを得ませぬ場合に於きましては臨時物資需給調整法の發動に依りまして、そこにまあ國家の權力と申しますか、さう云つたものが出まして、木材其の他の統制をやると云ふ場合があると思ひます、併し出來得べくんばさう云ふことに行かずして、此の供給と需要とが「マッチ」しないのは勿論でありますが、其の「マッチ」しない所を、需要を重點的に切るとか、或は供給の面に於て工夫するとか、色々の點で自主的なそこに計畫を立てて、其の自主的な計畫に基いて巧く統制して行く、斯う云ふ風に運んで行きたいと思ひます、併し勿論場合に依りましては、御話のやうに臨時物資需給調整法の發動に依りまして、うまく行かない缺陷を補つて行くことは當然考へて居る次第であります、それから第二の點に付きましては私はもう御同感でありまして、山林關係が、殊に此の資源の乏しい日本に於きましては、重要なものであることは常識でありまして、而もそれ等の制度其の他のものに付きましては、山は農地以上に色々な點に於て長い傳統を持ち、古い色々な法制がある譯でありまして、林政に付ての根本的な方向を確かめることは是はもう必要でございまするので、何か一つの委員會か調査會のやうなものを私として作りまして、林政の根本の策に付きまして、是は權威ある方々の御協力を得て確つかりしたものを作りまして、國の本を培ふと云ふことを是非致したい、斯樣に考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=52
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053・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御諮り致します、委員外議員の土屋子爵より質問を求められて居りますが、之を許可することに御異議がございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=53
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054・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御異議ないものと認めます、土屋子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=54
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055・土屋尹直
○委員外議員(子爵土屋尹直君) 御時間のない所を罷り出まして恐縮でございますので、極く簡單に切上げたいと存じます、實際問題の話でございますけれども、今回出來る林業會の目的が森林の維持造成、木材、薪炭等の生産販賣の事業を目的として居ると云ふことでございますので、結局森林の所有者、私は此の所有者と云ふのは、土地の所有者のやうな感じを起して非常に殘念に思って居るのであります、私はそこで所謂森林の造成者と云ふことを言ふのでありますが、それと木材業者並に薪炭業者との自由且民主的なる圓滑な提携が第一問題で、それが主眼であると思ふのでございます、それに付きまして極く一點だけ、全部省きまして伺ひたいのでありますけれども、所謂地木社の戰時中に行った契約が、まだ地木社の手持林として殘つて居るのでございまして、是は日本社に移りましてから其の儘移つて居るのでありますが、此の契約の分を解決することは、其の中でも森林所有者の圓滑な提携と云ふ點に於て一番大きな問題にならうと思ふのでございます、それでそれは當時斯う云ふ統制會社でございますので、相當な壓力もあり、事情にも通じて居りますもので、所謂軍隊の壓力を藉りまして無理矢理に契約を致して居るのが多いのであります、さうしてそれは森林所有者としては所謂正義契約であり、愛國契約であつたのでございまして、地木社と致しましては其の當時は勿論愛國的に行つたのであるとは思ひますけれども、いざ實際に兵力伐採を始めました時になりますと、別の山を伐らせまして、飽く迄利益追求主義で兵力伐採忌避の行爲に出でて居るのが多いのでございます、從つて其の後になりまして此の契約解除の問題が起きましても、依然としてなかなか解除に應じないで其の儘になつて居る契約が殘つて居るのでございます、さうして斯かる契約に對して解決して置くと云ふことが、自由民主的な林業會を作ると云ふことに非常に貢献するものだらうと思ふのでございます、それで其の契約に付て、何か即時契約解除をなさる、之に付きましては、飽く迄利益追求主義で來て居りますもので、先年の十一月になつて統制價格が三倍になり、又今回統制價格よりも更に高い協定價格が出來ようとして居るので、なかなか解除に應ずるものではないのでございますが、之を解決して戴きたいと思ふのでございます、さうして或は既に第二封鎖預金のやうなものになつてしまひましたもので、山林所有者として非常に迷惑に思つて居るのでございます、どうしても契約解除が出來ないのであるならば、契約林を眞つ先に此の際伐採して貰ひたい、さうしないと云ふと、どうしても山林所有者の方は協力するのに快しとしないと云ふやうに思ふのでございます、此の點と、それから大體に於て其の性格はもう既に此の委員會で御説明になつて居るのでございますけれども、山林所有者と森林業者、木材業者と云ふものの性格は全然違ふのでございまして、片方は餘裕のあるものであり、地方の有力者であつて、飽く迄正義的にものを見ると考へられるのでございますが、片方の方はどうも兎角現在に於ては闇行爲を盛にして居ります、之を實際に山林所有者の方で指摘致しますと云ふと、製材業者の方は何しろ若い者が澤山傭つてありますので、どうしても所有者の方は闇を默認しなければならない、又闇に引込まれなければならないと云ふやうな状態になつて居るのでございます、從つて、餘り長くなりますから、唯此の戰時中の手持になつて居る契約をどう云ふやうに御扱ひになつて下さるものだか、其の點だけをちよつと伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=55
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056・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、戰時中に地木社へ賣りました立木は、實は去年の十一月に木材の値上を行ひました際に、森林の所有者に返還致しまするとか、或は契約の更新をするとか、さう云ふやうに指導致しました、併しそれでまあ大體各地で適宜に協定をした譯でありますが、御話のやうに殘つて居りますものに付きましては、只今言ひましたやうな方針で、森林所有者に返しまするとか、又適當な條件で更新するとか、さう云ふやうに指導して行きたいと、斯う考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=56
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057・土屋尹直
○委員外議員(子爵土屋尹直君) 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=57
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058・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 農林大臣に對する御質疑は他にございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=58
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059・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 簡單なことでありますが、今年の冬の燃料問題と云ふものは相當逼迫し、又考へなければならぬことと思ひます、殊に電氣に致しましても、瓦斯に致しましても、新聞紙上で見ますれば、相當瓦斯の制限もする、又電氣の方も制限する、と致しますれば、どうしても薪炭を以て燃料に代へなければならぬと云ふことも考へ得るのでありますが、昨年の樣子を見ますと、可なり薪炭が不足しまして、各家庭でも困つて居りました、併し一部には、戰災と云ふものを利用致しまして、燒野原の木を片つ端から伐つて使つた、それで薪炭の補充も出來たと云ふ事實も否定する譯に行かないと思ひますが、本年度の冬季に於ける家庭用の燃料としましての薪炭對策に付きまして、農林當局はどう云ふ御考なのか伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=59
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060・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 實は其の點は私も非常に心配致して居る點でてりまして、是は寒くなりませぬうちに一つ是非薪炭の對策を立てまして、閣議で決定を願ひまして、是は集中的に一つやつて行きたいと思つて居ります、今大體の案は出來た譯でありますが、今迄はどう云ふやうにやつたかと言ひますと、夏山の増産運動を起しまして、夏の内に山の運び易い所迄荷を下して置くと云ふことが一つと、それから夏薪炭を増産さすと云ふことで、木炭處置を始め色色山を驅け摺り廻りまして増産の督勵を致して居ります、併しそれだけでは十分でありませぬから、只今申しました此の冬の對策に付ての方針と言ひますか、個々の具體的の對策を決めまして、是は是非閣議決定を經ました上で直ちに實行に移したいと斯う考へて居ります、是は何と言ひましても一番のものは矢張り食糧でありまして、炭燒がどうも山を下りて來るのが現状であります、そこで差當つて十月に於きましては是は薪炭に付ての加配をやると致しましても、米とか其の他の物を以てはなかなか出來難い點がありますので、幸ひまあ甘藷が相當今年は豐作でありまするので、先般も東京の關東の地方次長と云ふのですかが來まして、矢張り甘藷を岩手とか福島でありますとか、差當つては岩手が一番問題でありますから岩手に送りまして、それで一應補ひを付けて戴いて置いて、十一月位からは米が出廻つて來るやうになりますれば、さう云つた食糧の方の手を打ちまして、是は炭燒が山を下りませぬやうに致しまして増産を願ふと、斯う考へて居ります、食糧問題の方が片付きますと實は大半が片付くのであります、あと殘るのは價格でありますが、價格の點は是は物價廳が價格の主管廳になつて居る譯でありまするので、是等に付ては又十分物價廳と打合せをさせまして、早速遲れませぬやうに一つ手を打ちたいと思つて居ります、今年は石炭も思はしくありませぬし、又御話のやうな點で去年のやうに暖い冬であるかどうかは分りませぬので、電力其の他が使へませぬと、燃料の方は皆炭方に來るのではないかと斯う考へて居りますので、是非其の點に付ては出來るだけのことをやりまして、遺憾のないやうに致したい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=60
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061・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 只今の簡明なる御説明に依りまして大體了承致しました、仰しやいます通り、木炭に付きましては餘程御困難のこともあらうと思ひます、殊に山に居ります所の勞務者の食糧問題、又酒の問題、色々のことが絡つて居るのでなかなか御骨折たと思ひますが、何と申しましても燃料不足の時代に其の主要燃料が來ないと云ふことは如何にも困る譯で、氣の毒に思ひます、只今の御話を承りまして、どうぞ十分に御努力下さいまして、所謂冬の燃料の心配がないと云ふ位の御盡力を御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=61
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062・竹下豐次
○竹下豐次君 此の法律は何時頃から施行される豫定なんでございませうか、と申しますのは、協定價格とか云ふやうな問題などとの關聯はどう云ふことになるのですか、安定本部が中心になつて研究されると云ふやうなことでもあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=62
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063・平川守
○政府委員(平川守君) 成立を見ますれば、出來るだけ速かに施行致したいと思ひます、但し只今御話の價格の問題等は必ずしも是と不可分の關係ではありませぬので、價格の問題は價格の問題で又別途に速かに進行する、是が施行になりましても、唯團體の機構だけが進行する譯でありまして、木材統制なり價格の問題は別の法制に依る譯でありまして、其の方でやる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=63
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064・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 私は議事進行に付て發言を致したいと思ひます、御許を願ひたいと思ひます、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=64
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065・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) どうぞ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=65
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066・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 此の林業會法案に付きましては、一昨日以來各委員の御方が熱心に論議致され、又それ等に對して政府委員より縷々御答辯もありまして、又殊に大臣は御忙しい眞中御繰合せを下さつて、さうして御出席になつて、答辯の衝に當つて戴いて居つたのでありますが、本案は御承知の如く衆議院の修正になつて居る案でございまして、是等に付きましても既に皆さん御承知になり、又それ等に付ての御質疑もあつて御分りになつたことと思うて居るのであります、そこで要するに此の委員會に付託になりました此の案件に付ては、もう大體皆さんの御了解が得たことと思ふのであります、そこで細かく致しますれば際限もないかと存じますけれども、大體此の程度に於て質問を打切り、後は討論、採決と云ふ段取に致したらば宜いかと思ふのでありますが、どうぞ左樣になりますやうに皆さん御賛成を願ひたいと思ふのであります
〔「賛成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=66
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067・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御質問は全部終了したものと認めまして、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=67
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068・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御異議がないものと認めまして、直ちに討論に移ります、林業會法案を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=68
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069・松尾國松
○松尾國松君 私は是だけの意見を申して衆議院修正を原案とするものに賛成致します、「一林産物の價格及び規格の統制に付ては、林業に經驗を有する民間人及び需用者代表の意見に依ること、二森林造成を促進する爲山林所有者の原木價格に付公定すること、三林業法案衆議院修正の第九十一條第二項日本林業會より承繼する財産評價に付ては、向會は國庫より多額の補助を受けて居る關係上、特に公明正確にすること、」此の三つの意見を付して、衆議院修正の原案に賛成致すものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=69
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070・青木重夫
○子爵青木重夫君 私は此の法案に賛成の意を表するものでございますが、二三希望意見を述べさして戴きたいと思ひます、此の法案は司令部の指令に依つて急速に作られたものでありまして、甚だまあ過渡的なものと申しますか、急いで作られた關係上致し方ないかと思ひますが、不備な點もあると思ひますが、是は今後統一の取れた根本的な林業團體法を制定される際に改正されるやうに希望致します、それから此の法案の運用を誤ると前の木材統制法の二の舞をすることになりまして、唯林産組合と云ふものが地木社、日木社に名前が變つただけになつて、前の木材統制法と向じやうになる虞がございますから、十分自治統制と民主的意見を尊重して運用されることを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=70
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071・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 他に御發言ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=71
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072・白澤保美
○白澤保美君 私も本案に對して賛成の意を表するものであります、それに附加へて申上げたいことは、連日各委員から非常に熱心、而も實際に即した體驗された事柄に付ての御質問がありまして、之に對して政府の委員諸君は非常に懇切丁寧に御答へ下すつたので、非常に能く了解致しました、其の中で是から愈愈實行になりますに付て、二三の私の希望を申上げたいと思ひます、此の森林組合と材木業組合、詰り林産組合との關係でありますが、是が昨日來御話のある通り、全く性格の違つたものが同じに對立して仕事をして行くに付ては、其の力の強いもの、と言へば寧ろ林産組合の方であるが、林産組合に何時も森林組合の方が壓倒されはしないかと云ふ懸念があります、是は戰時中に殊に其の例が多かつたのでありまして、木材生産に忙しい爲に此の森林組合の方に、木材業者と云ひますか、木材業者が軍の當事者に迫りまして、我々は幾らでも出す力を持ち、又出さうと思ふけれども、何にしても森林業者が賣つて呉れないから困るのだと云ふことを訴へた爲に、軍の方では隨分其の方に、森林組合と云ひますか、森林業者を壓制するやうな具合に強いことを言つて、或公會の席で主計大尉位の人でございましたが、愈愈此の國家危急存亡の秋に當つて全國の森林業者から木材の献納をして貰はうと云ふことを私は提議致しますと云ふやうな、さう云ふ極端なこと迄公然と言はれたのであります、又其の餘弊と申しますか、殘つて居つて、今でも多少さう云ふことはありはしないかと思ひます、兎に角弱い立場にと云ひますか、抑へられて居ることは事實で、森林組合員の方から言へば、どうも木材業者と一緒にやつて行くことを、今度の此の法案に依つても共にやつて行くことを寧ろ嫌つて居る傾きが多いやうであります、此の點は山林局の特に御注意を願ひたいと思ふのであつて、實は森林組合の成立の時に當りましても、當時は戰爭中であつて、木材統制法が出來てから後は專ら其の方に力を盡されて、又森林組合の方はどつちかと言へば比較的輕く視られて居つた爲に、後の二三年と云ふものは、森林組合と云ふものは本當の仕事は出來なかつたのでありますが、施業案が三十「パーセント」しか出來ないと云ふことも其の結果であるのですが、處が私も斯う云ふことはあらうとは認めますが、併し又半面に考へて見れば、性格の違つたものが同じ一つの團體になつてどうしていけないか、又それを利用する途はないかと云ふことを考へて見ますと、是は丁度人の一家のやうなもので、夫婦と云ふものは全く性格の違つたものであるが、其の二人が相共同してやつて行けば一家繁榮の基となるのと同じことであつて、假令性格が違つても亦其のやり方に依つては必ずしもいけないと云ふことには陷らない、是には私の考としては、森林業者のやるべきことと、木材業者のやるべきことの間に一線の區劃を設けると云ふことが必要であると思ふ、それでは此の區劃を何處にするかと云ふことであれば、森林業者としては自分が作つた所の材木を伐り出して、或地點、若しくは土場、若しくは停車場に於て之を木材業者の手に渡す、そこに於て今度は價格の問題が起りますが、どうしても森林業者としては其處で價格を決定しなくてはならぬ、價格のことは後段に申上げますが、又木材業者はそれを其處で買つて自分の都合の好いやうに製材をして之を配給をする、但し森林業者の即ち森林組合に於ても或程度の製材と云ふことは、是は必要であると思ひます、即ち自分で作つた山は自分の所で製材をし、或は場合に依つては二三の組合が聯合して製材所で製材する、此の程度のことは當然許すべきものであると思ひます、尚森林組合者が自分でもつと先迄送つて諸所の材木迄集めて、そこで製材をしようと言へば、是は一つの行き過ぎであらうと思ひます、それでありますかに又今迄の木材業者と云ふものも、以前からの習慣に依りまして、山で森林業者の所へ行つて、出來るだけ値段を踏み倒して安く買つて來て、そこで利益を得ようとすると云ふやうなことがあつて、是が商賞の方で言へば一つの味のある仕事として居つたのですが、併し是は森林業者と云ふものが發達して來ると云ふと、そこ迄行くのは私は行き過ぎであると思ひます、農業で實例を採つて見れば簡單に分る、青田で米を賣ると云ふことは隨分をかしいことで、農業者としては誠に始末を附け得ない、果物の蜜柑を作り林檎を作つて、之を山で業者が賣るとしたら、是も其の業者としては隨分怠けて居る仕事である、森林業者が自分で造つた木を伐つて或地點迄持つて行くと云ふことは、是は當然の職務であると思ひます、併しながら木を伐ると云ふことに付ては、森林業者が自分の山を造ると云ふことよりは特殊な違ふ技術が要るのであつて、其の結果、或又違ふ業者に渡さなければならぬと云ふことになります、是は現に森林組合に全部之をやらせようと言つた處が、今私が言つた一區劃線迄は不可能の場合があります、さう云ふ場合は一つの例外と言はなければならぬ、原則としてはそこで境を切る、斯う云ふことが私は一番必要であると思ふ、斯くして相共にやつて行つたならば、決して衝突すると云ふやうなことはないものと私は考へます、又さうしなければならぬ、即ち此の團體法の出來たのも、恐らく趣意はそこにあらうと思ふのであります、次に價格の問題でありますが、價格は市場價格で立木價格に及ぼすなんと云ふ、こんな不合理なことは世の中にはないことであつて、總ての物を生産するのには所謂原價と云ふものがある、今のやうな計算をすれば原價がなくなる譯であつて、是は無論なすべきことではないと思ふ、只今松尾委員の仰しやつた通り、原則としては丸太即ち生産した丸太に置いて、其處にある土場なり停車場なりの價格を取ることが一番原則であると思ひます、併しながら實際の問題としては市場價格、所謂規格に依つて公定値段を附けると云ふことになると、大分又其の間に複雜な關係が起ると思ひますからして、公定價格と云ふものを一切原木で決めると云ふことも、或は困る場合もあると思ひますが、併し其の基本となるべきものは原價、即ち山を伐つた所の原價と云ふことであつて、詰り其の山に付て原價を計算するのは政府委員は困難であると云ふ御話がありましたが、是は或場合に於ては非常に困難でありますが、但し今日最も澤山伐採されて居る所の杉とか檜と云ふものの四五十年生のものは、是は明治二十年以後のものでありますからして、原價計算が立派に出來ます、造林費に金の利息、尚其の後の費用を加へる、價格の騰貴と云ふことは時代に依つて變つて來て居りますが、それには大藏省の物價指數と云ふものがありますから、それに「プロセント」を掛けさへすれば宜い、兎に角原價の計算は出來ますから、此の原價計算と云ふものを第一番に基本にして、それに市場價格其の他の關係で參酌したならば、都會に於ける、消費地に於ける値段も出來るだらうと思ひます、唯山林の中でも天然林はどうするかと云ふことであります、之も或程度原價計算で勘定することは出來得ないことでありますが、それの第一の要素としては、其の山を伐つた場合に於ける造林費であります、造林費を第一の元にする、さうして現在ある所の立木の値を幾らにするかと云ふことは、是は元は金が余り掛つて居ないものであるから困難であるが、併し其の山の所有者としては、其の山を買つた時の所謂資本金と以ふものは是ある譯であります、又今日に於ても山を評價する所の資本の、代金の、山代金と云ふものを計算すると云ふことは出來るのでありますが、それに或利息を掛けてやつたならば、之も一つの中に加へる所の要素にならうと思ひます、どんな天然林であつても地方に於ては多少價値がありますから、それ等の要素を多少考へてやつて、公定價格と云ふことは出來ませぬけれども、原價計算即ち其の山の、其の立木の原價計算、所謂最低價格と云ふものが出來ようと思ひますが、政府の當事者も豫めさう云ふことは能く御研究になつて居るが、二、三年前に林業協力會で私は今の造林された原價計算をやつたことがありますが、記録を誰か持つて居る方もあると思ひますが、其の原價計算をやつたのですが、多少御參考に、それを御覽になつたら如何かと思ひます、それですから、それに今度外に市場價格、昨日もあれしましたが、他のものを參照した値で決めると云ふことであればそれはどう云ふ風に決まるか分りませぬが、唯我々林業者の方の立場と致しましては、原價計算と云ふものをはつきり持つて居れば、それに對して或増加をして戴ければ多少公正な値段が出來ると思ひます、それから規格に對する問題は、是は隨分困難な問題でありまして、是は製材屋などの關係から行きまして、非常に困る事實があって、此處に木材を澤山使用なされた竹中氏などは此の戰爭中に御困りになつた實例があると思ひますが、此の製材の規格のやり方が大雜把と申しますか、製材の方の關係から來ましたが、所謂製材化けものと云ふものが非常に市場に出ましたが、さう云ふものは何と申しますか、詰り板割ですね、板割と云ふものは大抵六分から厚いものでも八分位しかないものであるが、それで二寸位のものを拵へまして、之を板割と稱して賣つて、之を買つて來ても何も使ひ途がないから、之を引割つて使ふには又製材しなければならぬ、大きな儘で使つて隨分困つた實例が澤山あるので、木材を使ふ時に斯う云ふ經驗を持つて居つたのであります、今日はどうか知りませぬが、使用者として、消費者としては非常に困る、是は製材關係からと、前の公定價格から來て居つたのであります、如何にして公定價格を遁れようかと云ふことは、是は當業者が常に苦心して居る所であつて、色々規則を拵へて見ましたところが、要するに人間の作つた規則であるから遁れることは研究する、細かく行けば細かく行く程事が煩雜になる、荒くすれば荒くする程今のやうなことが出來て居りますから、是は先づ適當の所で結局言へば宜い加減な所で決めるより仕方がないと思ひます、結局斯う云ふことは組合が強化されて來る場合には、其の方から或程度の弊は除きたいと思ふのですから、此の林業會の將來としても、斯う云ふ細かい點迄今度は一つ單に形式的な規格と云ふことでなくて、實際の適用に付て業者の啓發をして戴くことに御盡力を願ひたいと思ひます、それから次に造林に對する問題でありますが、其の前に森林組合のことです、森林組合が出來ました當時よりは、一時は山林局側でも骨を折られたが、他の關係もあつて、其の當時のやうな風に及ばない、愈愈今度立直しであります、殊に今度は山林組合、林産業者共にやつて行くと云ふことになつて、是は一層一つ御指導、御獎勵を願ひたいことを特に希望致したいと思ひます、それから林産の造林に付ては、種苗の供給と云ふことに付ては、政府でも骨を折って居られますが、種苗の供給に付て、政府で拵へるのはそれ程でもないにしても、民間で盛に出るやうになると、往々惡い種が出て來ますから、先年私が林業試驗所長をやつて居つた時に、資源調査法と云ふものが發布されて、それに依つて種の檢査をして居りましたが、是も戰爭のごたごたで中止して居る譯であります、之を復活して種が要れば要る程、檢査の方に於ては御努力を願ひたいと思ひます、それから苗木の養成と云ふものも、是も大變な仕事でありますから、森林組合に對して、政府で國有林を利用爲さることは勿論、同時に森林組合の良圃を作ることを獎勵を願つて、之に對しては特別の補助金でも出すやうな方法を考へて戴いたら割合に樂に進みやしないかと思つて居ります、それからもう一つ序るに申しますが、第一條の原案には「林産物とは、木林その他」と書いてあって、其の次に「森林から産出する物」とありますが、薪炭と云ふものが脱けてあるのです、之に付ての經緯は私は知つて居りますから、此處では掘出して申上げませぬが、是は當然のことであるのですからして、現在の農業會との關係もありますが、今年、來年直ぐと云ふ譯には行きませぬが、當然森林組合の事業として農業會に御交渉になつて、出來るだけ早く移して戴きたい、斯う云ふ希望であります、以上五點を申上げましたが、餘り立入つたことを申上げて相濟みませぬですが、どうぞ、私の考へて居ることを御參酌を願ひたいと思ひます、茲に於て私は本案に賛成を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=72
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073・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 他に御發言がございませぬければ、討論は終局したものと認めまして、直ちに採決に入ります、林業會法校を原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なしと」呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=73
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074・北條雋八
○委員長(子爵北條雋八君) 御異議ないものと認めます、左樣決定を致します、之を以て本委員會を終ります
午後零時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=74
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075・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 北條雋八君
副委員長 男爵 松平外與麿君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 池田宣政君
伯爵 前田利男君
子爵 西大路吉光君
子爵 加藤泰通君
子爵 青木重夫君
白澤保美君
小山松吉君
男爵 佐竹義履君
男爵 平山洋三郎君
男爵 前島勘一郎君
竹下豐次君
松尾國松君
田部長右衞門君
竹中藤右衞門君
杉山茂君
委員外議員
子爵 土屋尹直君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003720X00319461002&spkNum=75
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