1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○勞働關係調整法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十一日(水曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=1
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002・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 是より開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=2
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003・秋月種英
○子爵秋月種英君 經營協議會規約例を戴いて居りますが、其の經過はどうなつて居るか、若し出來ますならばもう少内し容の變つたのがありはせぬかと思ふのですが、それを御示し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=3
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004・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 經營協議會に付きまして御説明申上げたいと思ひます、實は勞働組合法が今年の三月一日から施行になりましたが、爭議は組合法が施行になりまする前から、御承知のやうに昨年の暮頃から段々多くなりまして、一月、二月、三月が一番頂點で、四月、五月頃から漸次少くなつて居ります、大體一月、二月頃の爭議は、御承知のやうに非常に「インフレ」が昂進致しまして、生活難を愬へて參りましたので、賃金の値上が爭議の大部分でございました、それから三月頃から經營協議會の問題が爭議の又一つの主要目的になつて來ました、四月頃からは賃金の値上は大體解決されて參りまして、寧ろ經營協議會の方が爭議の種と言ひますか、主要な紛爭の問題になつて來ました、そこで經營協議會の中には非常に行き過ぎたものがありまして、人事から配當から總て一切勞働者と資本家側との所謂協議會で決めなければならぬと云ふやうな要求が相當出て來ました、そこで政府としては此の問題をなんとか指導しなければならぬと云ふ問題になつて來たのであります、そこで吉田内閣が出來ました當初に、御承知のやうに社會秩序維持に對する聲明が出ましたと同時に、書記官長談を以ちまして經營協議會の在り方を一應説明した譯であります、そこで政府部内と致しましては、經營協議會に付て斯う云ふ風ならば法律で一つ枠を作つたらどうだらうかと云ふ意見もあつたのであります、曾て第一次の歐洲大戰後に、「ドイツ」に於ては經營協議會法と云ふ法律を出しまして一定の枠を作つたことがあるのであります、併しながら其の成績はどうかと申しますると、餘りに劃一的になりました爲に、經營協議會と云ふものが全國に非常に普及は致しましたが、實際の活用に無理があつて殆ど行はれなくなつたと云ふことで、數年ならずして止めなければならぬと云ふやうな状況になつたのであります、從ひまして此の度の日本に於きましても、經營協議會は結構であるけれども、之を法律を以て劃一的にやると云ふ、強制すると云ふことは宜くないと云ふ態度を執りまして、指導で行かうと云ふことに致したのであります、そこで政府だけが此の問題を決めると云ふよりも、中央勞働委員會に於て使用者側及び勞働者側の代表が出て居りますから、そこで一つ能く研究をして貰つて、それを政府が採り上げようと云ふことで、中央勞働委員會に早速諮問をされて、それで出來上りましたのが只今御手許に御配り致しました經營協議會指針と云ふ案であります、それが大體政府が考へて居ります線でございまして、先般厚生大臣からも御話致しましたやうに、人事とか經理と云ふやうな部面は經營協議會で決定してやると云ふ風なことは宜しくない、それはまあ使用者側で適當に説明するとか了解を求めると云ふ位は宜いけれども、經營協議會で決定すると云ふことは宜しくない、併し勞働條件は是は經營協議會に掛けるのが宜からう、それから勞働條件以外の生産の計畫のやうなものも、是も使用者側が一方的に樹てると云ふよりも、勞働者側の意見も聽いて、さうして生産の計畫なり生産の方法なんかは協議して行くのが宜くはないかと云ふ風な態度を執つて居る譯であります、それで協議會の例と致しましては、是亦御配りして居ります中にありますやうに、是は色々なものを採上げて居ります、非常に極端なものも拾つてございますし、中程のものも拾つてある譯でありますが、大體の傾向と致しましては、三月四月頃、非常に爭議が頻繁な時に結ばれました勞働協約に依りまする經營協議會は、どちらかと云ふと、少し行過ぎの點があるやうに見受けて居ります、併しながら政府が聲明を致しましてから後の協議會は、漸次穏健に進みつつあるやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=4
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005・松本本松
○男爵松本本松君 資料の問題が出ましたが、基準法の草案を頂戴することが出來ますれば、新聞にも出て居ることでありますから頂戴したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=5
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006・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 次囘迄に準備致しまして差上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=6
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007・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 十分ばかり遲れて、只今の經營協議會に付ての御話を承ることが出來なかつたのでありますが、勞働組合法の第一條に、「勞働者の地位の向上を圖り經濟の興隆に寄與することを以て目的とす」とあります、此のやうな場合に於て、一體どう云ふことが經濟の興隆に寄與するか、具體的に何か御説明が出來ましたら伺ひたいと思ふのであります、それから經營協議會規約例と云ふのがありまするが、石井鐵工所の運營の協議會で第六條に資金とか資材とか云ふやうなことがありまするが、それはどう云ふ關係で資金とか資材とか云ふことを經營協議會に掛けなければならぬものでありまするか、何か理由がありませうか、是もまあ事例でありますから、御聽きすることも如何かと思ひまするが、伺ひたいと思ふのであります、勞働組合法の第二條にありまする一號の「使用者又は其の利益を代表と認むべき者の參加を許すもの」とありますが、是は一體誰が認むるのでありまするか、「利益を代表す」と書いておありですが、誰が認むるものでありますか、さうして是は何の程度迄が一體使用者とか、又は其の利益を代表すと云ふ程度に入れられるものでありますか、假りに之を申上げて見ますると、地方に於ける工場長などは勿論利益を代表するものと認めますが、下の課長と云ふやうなものは如何なものでありませうか、是も一つ伺ひたい、それから第三に御尋したいのは、無責任な第三者の爭議指導に關することに付て、何か勞働法とか、勞働關係調整法案とか、其の外施行令か何か、其の他の上に於て、制限とか禁止とか云ふやうなことがおありになりませうな、如何でありませうか、其の次は生活の故に賃銀を高く拂ふ、所謂生きんが爲に優遇すると云ふことは當然でありまするけれども、其の賃銀の支給が餘りに多くなつて、會社の存立が出來ないやうな場合に於て、どう云ふ取扱と申しますか、規則の上に何か御制定がありまするか、第五番目でありますが、勞働基準法の第六條に公民權の行使の保障と云ふのがあります、此の公民權と云ふのは、國家が定められた投票であるとか、其の他已むを得ないと國民として盡すべきことに對する休日の保障とか、或は休暇の保障とか、或は時間の保障と云ふやうなものがあるべきものであると私は思つて居りますが、勞働爭議に費すものも此の中に入るものか否かと云ふことを一つ伺つて置きたい、それから六番目に伺ひたいことは、勞働關係の主事者は、只今の状態では、勞働組合の一室でも設ければ、そこで御茶を呑んだり煙草を喫つて居て、仕事をしないで遊んで居るのであります、斯う云ふ者に付て何かの制裁と申しませうか、さう云うことに付て何か施行令とか、或は規則の上に定めておありになりませうか、伺ひたいと思ひます、それから七番目に伺ひたいのは、矢張り勞働組合は組合の決議だと云ふことで非常に多く騒いで居りまするが、私共の見た所では、組合の決議と言つても大部分の者は知らないのであります、即ち幹部の或數の者が勞働組合の決議だと言つて、さうして外のものを附和雷同させると云ふやうな程度になつて居るのであります、斯う云ふやうな所に、勞働組合に使用者又は其の利益代表と云ふやうな者が臨むことが出來得るものかどうか又それを確認する方法があるかどうかと云ふことも、今後事業の經營をする上に於て必要だと思ひますから、之を一つ御意見を承つて置きたい、それから第八として、此の程大臣からもさう云ふやうな御説を承つたのですが、生産管理はどう云ふことの爲に政府は之を認めることがいけないと云ふ御趣旨でありませうか、何が故に生産管理と云ふものは政府としては御認めにならぬと云ふか、まあ御嫌ひになると云ふか、さう云ふことはいけないと云ふことですが、其の邊を承りたいと思ひます、簡單に申上げましたから、私の申上げた所で御分りにくい所があつたならば御尋を願へば又申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=7
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008・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の片倉委員の御尋ねでございすまが、第一番の問題は勞働組合法第一條の「經濟の興隆」と云ふことでありますが、勞働關係調整法の第一條にも其の意味のことが出て居りますが、是は根本的の問題だと思ひます、結局此の民主主義國家として個人の基本權と云ふものをどうしても尊重して行かなければならぬ、それで個人の基本權を尊重すると云ふことは、結局一面に於ては個人としての勤勞權と申しますか、勞働權と云ふものを尊重し、又生活を確保して行くと云ふことは、此の内容の目的だと云ふ建前になつて居ります、さうしますると、矢張り産業と申しまするか、經濟とか、各部面に於て、企業家と或は資本家と勞働者との組合せに依つて、大體の産業が運行して居ることは問題ないことでありますけれども、其の産業と云ふのは、矢張り一面に於ては國家の爲に物が増産出來ると云ふことを目標とすると同時に、一面に於ては矢張り勞働者の生活と云ふものが立派にやつて行けるのだと云ふことが前提になつて、其の兩方が進み合つて行く所に、本當に國家の經濟の興隆と云ふものがあるのだと云ふ建前になつて居るのだと、私は思つて居ります、言葉を換へて申しますと、從來は經濟の興隆と申しますと、例へば物の増産が非常に都合好く行くと云ふやうな點が主になつて居つたのではないかと思はれる節があつたのでありますが、今度の憲法草案其の他の日本の國の建前としましては、人的の部分と云ふものが非常に重大なることであり、無論それが基本的のことであると云ふ建前で來て居ると思ふのであります、さう云ふ意味に於て、勞働組合に於て組合の發達を圖つて行つて、さうして個人の生存と權利とを確保すると云ふことが前提になつて居りますから、それが發展することが矢張り經濟の興隆である、さう云ふ意味に於て經濟の興隆と云ふものを私共は解釋すべきものだと考へて居ります、それから第二點は經營協議會の石井鐵工所の例でありますが、是は多分行き過ぎた内容強度と認めると云ふ例に引いてあるのでありまして、斯う云ふことは大體政府の期待して居る所でありませぬ、資材、資金等の面に付て勞働者が積極的に關與する權利を持つと云ふ思想には、成べく行きたくない、併しながら協議をして意見を聽くと云ふことはそれはもう結構なことでありまするけれども、此處迄のことを協議事項として兩方拘束すると云ふ所迄行きたくないと思ひます、強度の例として示したのであります、でありますから、政府が今度見本として示さうと思ふものには斯う云ふ點迄觸れて居りませぬ、それから第三は問題の爭義の指導者に關する件でありましたが、此の問題は實は非常に私の方でもむづかしい問題で、多少困つて居る問題であります、と申すのは、矢張り是も民主國家として、思想の自由と云ふことは、國民全體に認められた基本的權利となつて居りますから、どう云ふ意味に於ても思想を研究すると云ふことに付ては、少しも是は干渉すべきことでもない、彈壓すべきことでもないのであります、併しながら是が色々實際の事實として現はれて來る面に於て、國家が公共の福祉を増進する爲に仕事をして居る時に、それに相反するやうなことが事實上起きて來ることに對して、どう云ふ方法を執るべきかと云ふことは、是は非常にむづかしい問題であります、現に此の勞働調整法の如きも、其の調整を目的とした法律であることは、是は申す迄もないことであります、更に進んで組合の指導と云ふものに對して、其の指導は國家から言つて好ましくないと云ふ状態の時にどうするかと云ふ問題は、當然考へられる問題であります、考へられる問題でありまするが、是は大體組合の自治に任せることが、組合の發達上必要である、言葉を換へますると、此の組合の發達と云ふものは、是は國家が餘り積極的に干渉しないで、本當の組合員の自覺に依つて段々是が向上されて行く、又輿論に依つて是が指導されて行くと云ふことを目標とした建前にして居りまするので、之を積極的に、其の指導運動に對して更に政府が之に權力を及ぼして行くと云ふことは、考へ方としてどうかと云ふ風に考へて居ります、考へて居りまするけれども、是も亦餘り極端に行つて公共の福祉に適合せぬと云ふことになりますれば、是は又どう云ふ風に考へるかと云ふことは、是は又先のことになると思ひますが、さう云ふことに御承知を願ひたいと思ひます、それから其の次の問題は賃銀の問題でありましたが、是は賃銀が餘りに高率になつて、さうして生産との間に「バランス」が取れぬと云ふやうな場合などが起きるだらうと思ひます、それに對して法律上何等かの調整なり、制限なりと云ふことの根據があるかと云ふやうな意味の御尋と拜承致しましたが、さう云ふ意味としますると、只今の所では何もありませぬ、是は此前の時に、中山委員からも、御尋になつた點と稍稍觸れた問題でありまするが、只今の此の終戰後に於きまする所の各種の經濟的の斷層と申しますか、一面に於ては、食糧が不足であり、又物資が不足であり、そこで生活が困難であり、「コスト」が非常に掛ると云ふやうな、色々なそこに調和を缺いた現象が實は只今非常に多いのであります、是はどうして起つたかと云ふ原因は、是は言ふ迄もなく戰爭が敗けた爲に起きた原因、又戰爭中に非常に物を使つた其の反動として起きた原因、或は外國から澤山人が還つて來る、或は終戰に伴うて非常な國費が要る、食糧が今迄非常な困窮であつた、色々な點から、統制もうまく行かず闇も出て來ると云ふやうなことで、斯う云ふ生活困難と云ふこと、即ち賃銀の昂騰と云ふことと、それから生産の不引合、結局「コスト」が引合はぬと云ふことが、是が併立して起るやうな事態に直面して居るのであります、是は御承知の所であると思ひます、之を法律でどうしようと言ひましても、是は出來ませぬ、實際政府は勿論之を如何に調和するかと云ふことに對して、物價體制も採つて居れば、それから失業救濟もやつて、色々な面に於て増産もやつて行くと云ふ風に、是は「ディファレンス」も出來るだけ詰めるやうな政策を執り、今御承知の通りに國民全體が努力しつつある所でありますが、まだ此の鋏状状態と云ふものはぴつたり合つて居りませぬ、そこに今の困難があるのであります、さうして此の賃銀の問題と「コスト」の問題と云ふものは、是は法律を以てどうしても私共は解決出來る問題ぢやない、矢張り經濟の事相…國の興隆は結局國民の生産意慾の昂揚と云ふやうな點から來べきものであつて、現に食糧問題が斯う解決しますれば、「インフレーション」の前途などに對して私共はさう悲觀的考へを持たぬと云ふのも一つの現はれであります、さう云ふ風にして此の鋏状状態が段々詰つて來ると云ふことを國策としてやつて行く、政治としてやつて行くと云ふ點に重點があるので、是は法律的な問題とならざる點であると私共は解釋して居ります、從つて茲に或は「ストライキ」に依つて賃銀が少し行き過ぎになることもありませうし、又「ストライキ」に依つて足らぬこともありませうし、其の爲に利潤がなくなることもありませうし、缺損になることもあらうし、事業が推進せぬこともあらうし、それを押切つて無理に事業の推進を圖つて居ることもありませうし、是は各態各樣の状態であると思ひますが、政府としては、大體のそれに對する政治、經濟の政策として一つの線は設けますけれども、個々の場合に付きましては、矢張り是は色々の場合々々に應じて自然的の調整を俟つより外に仕方がないと云ふやうに考へて居ります、從つて最低賃銀とか、最高賃銀と云ふことを、具體的に申しますれば、只今では考へて居りませぬ、最高賃銀と最低賃銀と云ふことに付て考へない論據は又違ひます、最高賃銀は今のやうな意味に於て考へて居りませぬ、生活と云ふ問題が第一だと云ふ意味で、それを考へることは妥當でないと思つて居ります、最低賃銀を考へないのは、是は別の意味であります、詰り只今の經濟の不安定と、物價及通貨の不安定と云ふことが重大な原因だと思つて居ります、それから其の次の問題は、公民權の行使の問題でありましたが、是は勞働基準法の草案に書いて居る問題でありまするが、是は狹い意味で言うた選擧權の行使とか、其の他法律上で規定されました公民權の行使でありまして、勞働爭議をやつて居ることが公民權だと云ふ意味ではありませぬ、狹い意味に解釋して居ります、其の次の問題は政府委員から答辯致します、それから次の問題は組合員の意思だと稱せられて居るものは、事實上は組合員多數の意思ではなくして、幹部の一部の者の意思が組合全體の意思だと云ふやうに表明されて居る場合が非常に多いと云ふことであります、是は事實さう云ふ場合が多からうと私共も思つて居ります、唯是は組合内部の決議の手續の問題でありまして、言葉を換へて申しますれば、組合員の自覺がまだたらぬ、御承知の通りに、勞働組合の發達と云ふのは最近のことでありまして、組合の法律も最近出來たことでありますから、斯う云ふ點に於て組合員が未だ自覺せぬ、本當の議決權を自分で行使しないと云ふ點に原因があるのだと思ひます、斯う云ふ面に付きましても、政府としても出來るだけ組合員は本當の自覺に目醒めて其の表決權を行使すると云ふ風に導いて行きたいと考へて居ります、それから最後の問題は生産管理に關する御尋ねでありましたが、是は私共矢張り根本的の問題だと考へて居りまするので、それは憲法に於て基本人權を認めまして各人の自由及權利を認めて行く、そこで其の自由、權利と云ふものには、具體的に申せば二つある、一つは屬人的のことである、それは生存權であり、生命權であり、或は勤勞權であると云ふやうな線に沿うた或は思想の自由であり、宗教を信ずる自由であるとか、言論の自由であるとか云ふやうな意味が權利である、一つは財産權であります、財産權と云ふものは、人間が其の財産權を享有する自由と云ふ意味であります、それで財産權不可侵と云ふことが矢張り憲法の原則に謳はれて居る譯であります、此の二つのものを分けて考へねばならぬのでありまして、其の財産權に伴ふものは經營權であります、資本の所有であります、さう云ふやうな風に考へて宜いのぢやないかと思ひます、そこで權利は御承知の如く多數の人が之を同時に權利、自由を享有して行かなくちやなりませぬので、自分の權利、自由だけを享有して、外の人の權利、自由はどうでも宜いと云ふ問題でありませぬので、社會と云ふものは言ふ迄もなく自分の權利を主張すると同時に、他人の權利を尊重して行かなくちやならぬのであります、そこに民主主義の本當の形がある、それは社會共榮で、共同的の社會と云ふものが成立つて行く所以であります、そこに初めて公共の福祉と云ふ觀念が出て來る譯でありまするから、其の他人の權利を同時に尊重すると云ふことが民主主義の基本になつて居ると考へて居ります、そこで此の問題は結局一つの工場に於て財産權の行使に依る所の經營權があり、又勞働權の行使に依る所の勤勞權があると致します場合に、片方のものが片方の分野へ默つて入ると云ふことは間違ひである、結局隣りの垣根を越えて入つて、默つて隣りの畑を耕すと云ふとこはいかぬのぢやないか、向ふの人の承諾を得なければいかぬぢやないか、承諾を得れば自由です、さう云ふ意味に於て、是は勞働權は自分の權利、自由を主張するのは勝手であるけれども、外の人の權利を侵犯すると云ふことは宜しくないと云ふ建前に於て、生産管理と云ふものは正當ならずと云ふ解釋をして居る、それで其の正當ならずと云ふことは二つの意味に解釋出來ます、一つは公法上の意味です、と云ふのは、外の財産權を侵犯する場合には、多くの場合に於て刑法上の問題を伴ひます、從つてもう大部分はさう云ふ問題を起しまするから犯罪になります、公法的の意味に於て適法ならずと云ふことが出ませう、併しながら必ずしも公法的の問題も伴はぬ場合もあるだらうと云ふ推定になつて居ります、それは少くとも民法上の問題である、民法上の不法行爲である、不法行爲であるが故に矢つ張り正當ではなからうと云ふ意味に於て、どちらかの意味に於て今度は正當性を缺いて居ると云ふ解釋を採つて居る次第であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=8
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009・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今御質問中の二點に付て私から御答へ申上げます第一點の勞働組合法第二條にありまする使用者又は其の利益を代表すると認められる者、是は誰が認定するかと云ふ御尋ねでございましたが、是は勞働委員會で審査を致して居ります、それでどう云ふ者が之に該當し、該當しないかと云ふ基準に付きましては、大體中央勞働委員會に於て其の基準を決定して居りまして、大體部課長以上の者は之に該當する、それ以下の者は該當しないと云ふやうに考へて居ります、但し部課長以下でありましても、人事に直接關係を持つて居るやうな者はそれ以下の者でも入る場合がある、それから單に部課長と名前は言つて居つても、餘り使用者の代表と認められ難いやうな者に付ては別に考慮しても宜いと云ふ風な線で審査をして居るやうな次第でございます、それからもう一つは、勞働組合の代表者は仕事をしないで遊んで居るやうな場合があると云ふ御尋ねでございましたが、勞働組合の本當の指導者は本來ならば組合事務に專從するのが建前でございます、從つてさう云ふ組合の指導者は會社から俸給を貰はないで、組合費を以て賄はしむべきであるのであります、併しながらまだ現在日本の勞働組合は發展の過程にございまして、さう云ふ所迄進んで居りませぬので、會社の從業員で傍ら組合の指導をして居ると云ふのが實情であらうと思ひます、さう云ふ風で會社の俸給を貰つて居りまするものに付きましては、是は會社の規定に從つて會社の業務に從事しなければならないのであります、唯併しそれは餘りやかましく言はれますると云ふと、折角健全な勞働組合が發達しようと云ふことを妨げることになりまするので、仕事をしながら、仕事に大して支障がなければ組合の指導には便宜供與を與へられむことを私は希望して居る譯であります、仕事を全然しないで組合だけの仕事をすると云ふことは、若し使用者側と勞働者側との間に於て協定で御決めになれば是は自由でございます、協約に依つて御決めになることは自由でありまするが、さうでない限りに於きましては、以上申しましたやうな考へ方を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=9
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010・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 今申上げましたことは言葉が足りなかつたと思ひますが、今一つ伺ひたいと思ひますことは、詰り言つて見ると云ふと、使用者又は使用者の代表と申しますか、今御話のあつた部課長以上のやうな者の人事の進退に對しては、勞働組合と云ふものは、要求と申しませうか、之に對する進退などは勞働組合が爲すべきものでありませうか、如何でございませうか、それも一つ伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=10
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011・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 人事に付きましては先程厚生大臣から御話がありましたし、私も當初に申しましたやうに、一應經營協議會等でさう云ふ最高人事を決定すべきものではないと考へて居ります、併しながら組合の方から人事に付て要來することがいけないとは言へないと思ひます、使用者側の方でそれを受容れられる、受容れられないは是は御自由でございますけれども、要求することがいかぬと云ふことは申しにくいのではなからうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=11
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012・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私が今伺つたことは、少し何と言ひますか、或は分り切つたやうなことを伺つたやうにも思ひます、私は現在の日本が敗戰の國として、只今大臣閣下からの御話のありました通り、勞資が協調して、共に携へて再建日本の爲に盡さなければならぬと云ふやうな事情にありまするが、今は何と申しまするか、物價其の他の關係で待遇を良くしなければならぬ、何にしても會社の業績とか或は經營とか云ふやうなことに何等の考がなくして、さうして高い賃金を得れば宜いと云ふやうに今伺ひつつあるのであります、私は現在の如く國内に於ては物價の公定と云ふやうなことであり、又外國に對しましても計畫貿易と申しませうか、政府が買上げて、政府が向ふへ送つて、さうして向ふの物資も政府がこちらへ入れると云ふやうな事態でありまするならば、私は今日の状態でもやつて行けないことはないと思ひます、併しながら御承知でありませうが、新聞紙などを見て居りましても、多數の會社が殆ど缺損のやうなことでありまするので、此の分で參りますると云ふと、今後或時期になりまして、所謂自由貿易になつて、さうして、爲替がどう云ふ程度に決まるか知りませぬが、恐らく斯う云ふやうな相剋摩擦をして居りましては、我が國の再建と云ふものは私はむつかしいと思ふのであります、寧ろ私共は企業者と申しませうか、資本家と申しませうか、それと從業者とが一體になつて、さうして仕事をするやうに、結局經營の管理を共にすると云ふやうなことにして參つて、さうして血の出るやうなことにして行かなければ、私は日本の國は立たないと思ひます、假に一例を申しますと云ふと、只今は前からの「ストック」の廉いものがありました爲に、それで商賣をして居るので、其の間は宜いのでありますが、今後再び新しい材料を買つて仕事をして、さうして物を賣つて行くと云ふやうなことでは、私は直ぐ會社等も行詰つてしまふものだと思ふのであります、それは詰り言つて見ると云ふと、原價計算が非常に高くなつて、到底割に合ふと云ふことは、現在の状態ではむつかしいのでありますから、此の際私は進んで企業者と勞働者とが一緒になつて、さうして經營管理をすることの方が寧ろ優つて居りはしないかと思ふのであります、言つて見ますると云ふと、企業家は資本を出すのだ、其の代り其の資本に對しては配當と申しますか、利子と申しますか、何分かを出すのだ、所謂基本配當をするのだ、又勞働者の方も基本の賃金を決めて、さうして御亙に其の中から經營をすべき、或は重役であるとか、部課長であるとか云ふものを選擧して出して、さうして其の會社の業績が優良になれば賃金も上がるのだ、配當も上げるのだ、若し業績が惡くなれば配當も下げることになるのだ、賃金も下るのだと云ふことに、お互に會社の運營の成り立つやうにすることの方が、現在の状態としては、宜くはないかと云ふやうに私は思つて居る、さうでなければ、此の終戰後のことで云へば喰ひ潰すと云ふことで……それは或は現在の物價から見ますると云ふと、會社など、或は工場なども、今の値段に決めれば非常に高いものでありますから、或何年かの間は、それを高く見積れば喰ひ延すことは出來ますけれども、併しながら現在の會社の持つて居りまする流動資金などを何時迄も長く持つて居る、持つて居るではない喰ひ潰せば、それで金繰りの上に於て結局行詰つてしまふと思ふのであります、私も斯う云ふことを申上げるべきかどうか知りませぬが、寧ろ經營、生産管理と云ふことを勞働者でやることは、所謂何と申しませうか、財産權とか、經營權とかを侵すことになつて、いけないことでありますから、經營權とか財産權と云ふものを少くも勞働者とお互にやるやうなことにして行くことに付て、政府としてはどう云ふ御考を持つて居りますか、私共寧ろ進んで經營の管理を相互でするのだと云ふことにして行くことが、一番宜からうと思ふやうな氣が致すのであります、此の分で參りますれば……無論勞働者諸君としても會社を喰ひ潰す意思でもなし、會社を破産倒産させると云ふ意思でもありませぬが、唯目先、生きむが爲に高く取らなければならぬと云ふやうなことの爲に、結局會社の經營と云ふものが出來ない、存立が出來なくなると云ふことになりまする爲に、私共の考では、寧ろ企業者も進んで共同の經營の管理をすることにすることが宜からう、又勞働者の方も進んで矢張り其の會社の經營をして、さうして其の總收入より總支出を支拂つて、或は固定の償却とか其の他のことで當然總支出に入れるべきものは入れて、あとは資本家と勞働者と分け合ふと云ふことにすることは如何でありませうか、斯う云ふことに對して大臣の御意見を承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=12
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013・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の片倉委員からの御尋でありまするが、是も非常にむつかしい問題であるのでありまして、先程の生産管理のことを政府が否定すると云ふことは、是はものの考へ方と致しまして、申さば平面的に解釋をして居る譯であります、と云ふのは、只今の矢張り社會の秩序と云ふものは、どうしても是ははつきり決めませぬと、結局他人の承諾なくして他人の分野へ手を伸ばすと云ふことになつて、是は今の社會の秩序と云ふものは保てぬのであります、それだから生産管理と云ふものは、是は承諾なくしてやる以上はいかぬのだと云ふのは、此の今の社會を平面的に見ました一つの秩序の設定でありまして、是は治安の上から主として來て居る問題であります、是は是で勿論やつて行きますが、併し此の將來のものの見方をどうするかと云ふことに付きましては、是は又別に自から考へて行かなければならぬのであります、それで矢張り一つの將來の目標は、御話の如く、此の資本と勞力と云ふものが繩を綯つたやうになつて斯う云ふ風に進んで行くのは、私は一つの目標だと思つて居ります、思つて居るが、是は總て矢張り大體此の社會の自然的の行き方を土臺としまして、さうして矢張り合意の上にやるべきもので、今片つ方が片つ方を乘つ取るとか云ふやうな考でやつてはいけませぬ、それでさう云ふ風に現に行つて居る會社もあると思ひます、是はお互の合意でおやりになるのは結構なことであります、又政府としましても、資本の勞力と云ふものは出來るだけ協調的に行くと云ふことの方針で勿論結構なことと思ふのでありまするが、其の問題の又奥底になりますと、是は又非常にむつかしい問題であつて、例へば資本と云ふものはどうなる、今日御承知の通りに、軍需補償の打切りに伴ふ色々な財産上に及ぼす髪響、それから財産税に依つて及ぼす影響、財閥の解體に依つて及ぼす影響と云ふやうなことの、聯合國の管理政策に基いて來まする各種の只今の状態を見ますると、非常に大きな資本と云ふものは、段々細かく「フラグメント」に分けられて居ると云ふ事實は、之を見逃すことが出來ませぬ、又冨の再分配的の傾向が多分あると云ふことも、是も明かなことであります、それから都市と農村との間の富の分配、新圓の問題など色々御考へ下さいますれば、資本と云ふものの状態に相當の變化を來しつつあると云ふことは、是は否定出來ぬことであります、それから一面に於て經營者と云ふ階級はどうするかと言ひますると、是は言ふ迄もなく資本と經營と云ふものは一つの形となつて來て居りましたが、五六年前の新體制の頃は資本と經營とが分離しなければならぬと云ふ議論もありました、當時は餘程進んだ議論と云ふやうに思はれて居りました、今日は資本と經營と云ふものは或點に於て相當分離して居ると云ふ事實も、是は否定出來ぬことと思ふが、さうすると、資本の將來性、經營者の將來性、勞働者の將來性と云ふものを三つ眺めて考へますると、御承知の通りの變化が起りつつあると云ふことは否定出來ぬ、恐らく資本は大衆資本主義と云ふやうな形に向つて前進するかも知れない、さう云ふ風に色々茲に考へて來まして、其の間を縫つた御質問と私は拜承して居りますが、斯う云ふ問題に付ては、勿論勞資協調と云ふことで行かなければならぬ、さうして、或は勞働者と云ふものの階級を中産階級に迄せり上げると云ふことが多分の目標になつて來、大きな資本家も段々と谷に下つて來ると云ふやうな……併し經營者と云ふものは多分に存續して行くでせうと云ふやうな形に於て、大體の目標があるのではないかと云ふ風に私共は考へて居ります、それであるから御議論に對しては、大體の方向として結構なことであると思ひますが、今日の生産管理を是認する理由には一つもならないが、それは別問題で、今の状態は今の状態、將來の方針は將來の方針と截然と分けて考へなければならぬと云ふやうに私は考へて居ります、さうして今の御話は多分に「プロクィツト・シェアリング」のやうな意味を持つた言葉と拜承致しまして、非常に結構と思ひますが、唯現状に於ては、勞働者にさう云ふ利益のない場合に於て、消極的な「リスク」を負はせると云ふことは、状態に依つて出來ることも出來ぬこともあると思ふ、と申しますのは、賃銀に依つて生活を保障されつつ行く状態でありますから、其の「プロフィツト」に與からない賃銀で生活が維持出來ぬと云ふやうな状態にありますので、「プロフィツト」のない場合に於て、勞働者が生活出來ぬと云ふ状態が起きますから、其の點に於てさへ愼重な考慮が拂はれればさう云ふ思想は非常に結構だと云ふ風に私は考へます、又或は勞働者に貯蓄が出來まして、さうしてさう云ふ利潤の配分を受ける場合に依つても、貯蓄に依つて生活が維持出來ると云ふ彈力があるやうに相當の餘裕がありますれば、斯う云ふ點は非常に實效的である、併しながら勞働者は決つた賃銀に依つて生活して居つて、其の賃銀を相當低位に置いて不足は利潤で賄つて行くのであると云ふと、矢張り「ストライキ」と云ふ危險は多分にあると考へて居りますが、一々事實問題に付て斯う云ふ問題は解決し、又時代に依つて進んで行くべきものであると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=13
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014・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 只今の御話で能く現在の社會情勢のことは了承致しましたが、實は勞働爭議などをやりました結果は、後が會社が能く立直ると云ふ例が比較的少いのであります、矢張り經營者と勞働者の間の氣分がまづくなつて、朗かになることがむづかしい、私は此の分で參りますと、將來は知りませぬが、恐らく會社の存立がむづかしくなると云ふやうな考を持つて居る、又會社がむづかしくなつて、結局投資したものが價値がなくなると云ふことになれば、將來投資をし、又事業を興すと云ふことが非常に少くなる、所謂警戒をすることになつて來ることを恐れるのであります、此の際、今後どう云ふ状態に行くか知りませぬが、何等かの方法に依つてさう云ふやうなことが出來るやうな方法を今から一つ御考へ置きを願つて戴きたいと思ひます、それを附加へまして私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=14
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015・種田虎雄
○種田虎雄君 先程來厚生大臣の御説明の中に、賃銀の最低と最高は今は決めないのだ、斯う云ふ御話がありましたが、是は多少經濟界の安定した後に於てもさう云ふやうな御考であられますかどうか、只今官吏の如きは、矢張り或程度の最低、最高は決められて居る、それから又最低、最高の決め方に付ても、色々是は實質賃銀で決めるか、形式賃銀で決めるか、斯う云ふことも大いに考へなければならぬ、大體今迄の日本の賃銀制度は形式賃銀で大體決つて居る、是は無論物價が安定して居る場合はそれでも宜いが、今のやうな變動の甚しい時に、形式賃銀で以て色々決めると云ふことは無理なのである、結局實質的な賃銀を決めて、それに依つて物價の變動に伴ふ賃銀制度が採られるべきではないかと云ふ風に私共は考へて居ります、さう云ふやうなことに付て政府の御方針を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=15
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016・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 賃銀の最低最高の點でありますが、矢張り先に採上げて決めるべきものは最低賃金だと思ひます、是は申す迄もなく憲法の條項に依つて、最低生活の保障の責任が政府にあると云ふ風になつて居りますので、それで最低生活保障の方法として、目下生活保護法なり、或は失業救濟なり、其の他の社會事業なり、色々な方法は採られるには相違ありませぬけれども、賃銀の最低を決めることになると、大部分の者はそれに依つて保障されると云ふ形になると思ひますので、是は最低生活保障と云ふ線に沿ひまして、將來やつて行くべきであると考へて行かなければならぬと思ひます、併しながら先程言ひましたやうに、只今の物價の動搖、通貨、購買力の動搖等、經濟が非常な急激な變化に遇つて居る時には、なかなか是は決めることは困難であると云ふ考の下に、只今行つて居りませぬ、或は之を物價指數に依る賃銀制度とか、或は「カロリー」を基準にした賃銀制度とかを無理に考へれば、何か理窟は立てられると思ひますが、實際上は困難である、殊に今の賃銀は實質賃銀を決めなければ意義を成さぬから、さう云ふ點に於て困難があるから、只今はそれをやる意思はないと申上げます、勿論勞働基準法などに於てもさう云ふことを想像して居る規定になつて居りまして、地方長官で必要ある時は政府の認可を得て最低賃銀を定めることが出來ると云ふ規定も實は拵へて、それを一般の與論を聞いて居る所であります、此の規定が出來ますれば、將來の安定性に伴つて最低賃銀と云ふ考は出て來る、詰り政府もさう云ふことにやつて行くだらうと云ふ見透しであります、それから最高賃銀の點に至りましては、是は只今の改正で假に最高賃銀を採りますと、恐らく勞働攻勢と申しますか、勢から見まして恐らく最高賃銀に皆吸收されてしまふと云ふやうな現象が起りはせぬかと云ふことも考へて居ります、それから又經濟が安定しました場合に、最高賃銀と云ふものをどう定めるか、定める必要があるかと云ふことになつて來ますると、或意味の必要性も、安定すればなくなるのぢやないかと云ふ意味も出て來ますので、最高賃銀と最低賃銀と少し思想の根柢が違つて居ると考へて居ります、是は寧ろ臨機應變に社會及び經濟情勢に應じて、其の必要があると認めた時に考へると云ふ意味のものであつて、最低賃銀は基本的に定めなくちやならぬと云ふ思想とは少し違つた考であると云ふ風に大體考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=16
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017・種田虎雄
○種田虎雄君 今日此の賃銀に對する色々の統制に關する法令が出て居りますが、法令に決められて居ることは恐らく最低賃銀の觀念だらうと思ひます、處が此の法令が今日尚存續して居るのではないかと思ふのです、之に對して政府は之をどう云ふ風に御扱ひになる御考でありますか、實は斯う云ふ問題に付て、なかなか法令を無視して各事業者が今日の賃銀を決めて居るだらうと思ふ、實は法令あつて無きものであります、それを其の儘に抛つてある勞働委員會あたりでも、色々な爭議があつた時に、之を解決するのに如何なる基準で之を解決するかと云ふことは實は困つて居る、何等の資料なくして裁定しなければならぬ、むつかしい問題だけを皆委員會に持つて來る、而もそれに對する資料と云ふものは何もないと云ふのが現状ではないかと思ひます、斯う云ふ問題に付きまして、矢張り中央官廳としては何か相當の研究をされて、資料を地方にもおやりにならなければ、實際問題は解決出來ないと斯う思ひます、斯う云ふ點に付きまして、此の賃銀關係の統制に關する法規、さう云ふものはどうなつて居るか、それに附隨しまして殊に私が御尋ねしたことに付て御答を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=17
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018・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今種田さんから御質問がございましたやうに、現在賃銀に關する統制法令は殘つて居ります、是は總動員法に基くものでございまして、實は九月で廢止になるのでございます、從ひまして政府と致しましては、是には非常に無理がございますので強行して居りませぬ、もう九月で廢止になるものですから、九月以後は之を實施する意思はございませぬ、それから只今のやうに爭議其の他が起つた時に、賃銀其の他に付て據り所がなくて困つて居ると云ふ御事情は私共も十分了承して居ります、從ひまして之をどう云ふ風にするかと云ふ問題に付きましては、法規を以て統制することは、只今厚生大臣から御話がありましたやうに、色々弊害がございますので宜しくない、從ひまして政府と致しましては出來るだけ現状の賃銀と云ふもの、或は生活費と云ふものの正確な統計を調べまして、之を世間に發表し、之に基いて公正なる賃銀の決定がなされることを望んで居る譯でございまして、終戰後も我々としては出來るだけ賃銀統計の正確なるものを取るべく努力し毎月發表して居るのでありますが、御話のやうにまだまだ不完全なものでございますし、又其の普及も餘り徹底して居りませぬので、地方廳の方には之を配付致しまするし、或は新聞等にも發表致しますし、又主要工場で照會がございますれば勿論囘答もして居りますが、今後此の點は一段と力を入れまして、所謂公正なる賃銀統計を作成して、それを標準とするやうに指導したいと云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=18
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019・種田虎雄
○種田虎雄君 議會でも本會議で實は下條議員から既に質問された問題は、例の一體日本の經濟界は何方へ持つて行くのか、詰り資本主義で行くか、社會主義で行くか、資本主義を以てするならば資本主義の惡い所を是正して行く、社會政策的の改善を加へて行く、斯う云ふ風に考へられるのだが、政府はどう云ふ風に考へるかと云ふやうな質問の時に、大藏大臣は、無論資本主義で其の弊害だけを是正して行く政策を執つて行くのだ、斯う云ふ御話であつたのであります、此の賃銀の決め方に付きましても、此の點が相當に考へられなければならぬ點だらうと思ふのであります、只今政府委員の御説明に依りますれば、現在の實際の賃銀其のものを基準として、相當に之をうまく其の地方々々に於て決めて行く、それに對して色々な資料を是から集めて行く、斯う云ふ御話でありましたが、大體各政黨殊に社會黨等の方面の連中の言はれて居ること、又實際組合方面で賃銀の問題に付て、どう云ふ風な考を以て一體政府に向つて要求して居られますか、さう云ふやうことに付て若し御差支なければ御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=19
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020・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今の御話の中、組合がどう云ふ風な賃銀を要求して居るかと云ふ御話でございまするが、大體組合等では生活權の保障と云ふことを主眼にして居りますので食へる賃銀を呉れと云ふことを言つて居ります、從つて生活賃銀が基本になつて居る譯であります、一方經營をやりまする上に於きましては、生活の保障と云ふことが最も基本でありますけれども、矢張り生産能率と云ふことを考へなければなりませぬから、勢ひ能率賃銀を主張されると思ふのであります、從つて今後の賃銀が能率賃銀で行くべきか、或は生活賃銀で行くべきかと云ふ所が岐れ目になつて來るかと思ふのであります、まぁ私共と致しましては、賃銀は生活費を保障することでありまするから、食へない賃銀でやることは望まないのでありますけれども、生活賃銀だけに依りますと、うんと働く者も働かない者も餘り差がないと云ふことになりまして、生産能率を擧げないことになりますから、矢張り生活賃銀を基本にしなければならぬけれども、其の上に立てられる賃銀は能率を加味しなければならぬのぢやないか、と云ふ風に考へて居ります、現在石炭山等に於きまする賃銀が、今春以來の爭議等に依つて獲得されました賃銀が、どちらかと云ふと生活權を基とした定額賃銀の方が主要になつて居りまする爲に、能率の方を主眼とした賃銀の要素と云ふものが少い、從つてうんと働く者も働かない者も餘り差がないから、働かないやうになると云ふ聲が大分出て參つて居ります、是は組合の方でも最近の状況では、餘りに生活賃銀であつてはならない、矢張り能率も加味しなければならぬのぢやなからうかと云ふ聲も一部には出て居るやうな譯でございます、今後は矢張り此の兩方面を組合せて行くべきぢやなからうかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=20
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021・種田虎雄
○種田虎雄君 生産意慾の昂揚を圖り、能率を増進せしむると云ふことは、是は當然考へなければならぬ點でありまするが、政府としては其の面に於て勞働者の勤勞に對してどれだけの報奬をしよう、或は報酬を出さう、所謂報奬制と云ふか、さう云ふやうなことに付て何か御計畫がありませうか、又他の國でも御承知の通り、相當に努力し、相當に働いて居る者に對して國家的に之を表彰すると云ふやうなことも隨分あるやうに聞いて居ります、我が國に於てはさう云ふ點に付て、殊に今の生産意欲の低下して居る際、能率の下つて居る際に、單に生活賃銀或は能率賃銀と云ふだけでなく、國家として事業の上に立つて相當な何かさう云ふ御計畫がありますか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=21
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022・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 戰時中には色々方法を執つて居つたやうでありますが、御承知の通りに總てさう云ふことが一旦御破算になつたやうな形でありますから、其の長い間の混亂時代が段々濁つた水が沈澱して行くやうな丁度時代だと思ひます、積極的に斯う云ふ問題に付ても考へなければならぬと云ふ風に考へて居ります、例へば「ロシア」の「スタハノフ」の賃銀の報獎なども非常な能率を擧げて居ります、主として石炭の問題にしましても、其の他の問題にしても、其の問題は所管は商工省の分野となつて居りますから、私から具體的にどう云ふ風に計畫して居るかと云ふことを申上げる迄になつて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=22
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023・種田虎雄
○種田虎雄君 私の御尋ねしたのは、御役所の所管が或は違ふかも知れませぬが、要するに働く者に對しても、國家的に表彰すると云ふやうなことに付て、政府としてどう云ふやうに……實は最近、今厚生大臣の御話のやうに殆ど國民に對して表彰と云ふやうなことがない、是は農民に對しても、勞働者に對しても、又一般の勤勞階級、官吏其の他の者に對しても、相當努力して働く者に對して、斯う云ふ時にこそ國は大いに表彰しなければならぬと考へるのでありまして、それで實は御尋をした譯であります、是は一名の問題でない、結局厚生大臣あたりが一番お考になるのに良い立場でないかと思つて御尋ねしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=23
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024・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 出來るだけ御趣意の線に沿うてやりたいと云ふ考で居りますが、大體何と申しますか、さう云ふ問題に付きまして、總て民主的立場に一つ飜譯して考へなければならぬやうになつて居りますから、どう云ふ方法を執つて宜いか、此の間から生産意欲昂揚問題に付て具體的に考へなければならぬぢやないかと云ふ議が多いのであります、閣内に於てもさう云ふ議論がなかなか出て居ります、唯方法に付て何か考を變へて行かなければいかぬ、前のやうな風でやつては何か全體主義的な匂が殘つたやうになりまして、どう云ふやうに變へると云ふことに付てはつきりした考が立ちませぬ、出來るだけ早く御趣旨に副ふやうな施設を施すべきものだと云ふことに付ては、誠に御同感を感ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=24
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025・吉田久
○吉田久君 私は本案が近時に於ける勞働運動の要點である、勞働爭議を、有權的に解決するのに必要なものとして、其の支持を惜まないものであります、世間の一部では本案は勞働爭議を去勢するものであると云うて非難して居る向きもありまするが、私は左樣に考へて居りませぬ、尤も爭議を有權的に解決すると云ふことと自主的に解決することとの間には、微妙な關係があると思ふのでありまするが、苟も爭議の解決と云ふ以上は、自主的に致しましても、其の自主的の要素を採入れて有權的に解決されなければならないと存ずるのであります、私は左樣な見方から致しまして、勞働爭議を解決する方法に關して、本案に付ての一、二の愚見を披瀝致しまして政府の御所見を伺ひたいのであります、第一の點は民事事件の調停及び仲裁と、本案爭議の調停及び仲裁との關係であります、仲裁は姑く措きまして調停に付て申上げますれば、民事事件の調停は、一般の民事事件は固より、小作事件の調停に致しましても、商事事件の調停に致しましても、皆裁判所の所管になつて居るのであります、それは右に傾かず左に偏しない嚴正なる批判者の立場にある裁判所をして之に當らしむることが、爭議を最も公正に解決するのに相應しいと見た爲であります、然るに本案は、爭議の調停は裁判所を離れて勞働委員會の分派である處の調停委員會の決議に委せたのであります、尤も此のことは勞働組合法第二十七條に遠因するのでありまして、同條は勞働爭議の調停及び仲裁を勞働委員會の所管管掌事務と定めて居りまする處から、本案は其の調停及び仲裁を勞働委員會の分派である處の調停委員會で行はしめることにしたのでありまして、本案は突如として之を定めたのでないことは言ふ迄もありませぬ、けれども本案に依りまして調停委員會の組織を引いて見ますると、同會は同じ數の使用者を代表する委員、それから同じ數の勞働者を代表する委員と、第三者である處の委員で以て組織することになつて居るのであります、而して委員の數は本案の規定には直接に之を制限して居るものはないやうでありまするが、委員は原則と致しまして、勞働委員會の委員の中から勞働委員會の會長が之を指名することになつて居るのであります、詰り本案の狙ひどころは、使用者を代表する委員と勞働者を代表する委員に第三者である處の委員を配合致しまして、決議の公正を期したものと思はるるのでありまするが、結局第三者の委員が「キヤスチィング・ヴォート」を握つて居るのでありまして、其の意向に依つて決議が成立することになることは間違ひなからうと思ふ、さう致しますると、資本家側及び勞働者側は何れも第三者の委員の抱込み誘導に有らゆる手段を弄するに相違ないと思ふのであります、それと同時に更に第三者の委員の資格に付て爭ひが起る、所謂第三者委員は資本家側にも屬しない者又勞働者側にも屬しない第三者でありまするが、それが實際的にはどうか、隨分微妙な關係にありまして、爭ひが起り得ると思ふのであります、處が其の爭ひを決めると云ふことはなかなか厄介でありまして、場合に依りますと、折角成立した委員會が根本的に覆へることにならないとも限らないのであります、それから又第三者の委員の抱込み及び誘導が效を奏しますれば、委員會の決議の公正及び適正は期待され得ないのでありまして、當事者は其の決議に心服しないことは固よりであります、私は此の點に付て多大の疑念を有する者でありまして、調停も仲裁も矢張り外部の勢力に動かされない強く正しい裁判所に所屬せしむるのが宜いのではないかと考へて居る、私は裁判所は外部から動かされない強い正しい存在であると信じて居ります、又世間では左樣に見て居ると思ふのであります、そこで裁判所としては勞働爭議部と云ふやうな一つの部を設けまして、堪能な判事を以てそれに當らせる、而して判事の下には本案の如き調停委員會を附置し、其の意見を聽いて調停に當ることにしたら宜からうと考へる、衆議院でもさう云つたやうな考があると見えまして、本會議に於て勞働裁判所を設置する考があるかどうかと云ふことを問うて居る人があります、之に對して木村法相は設置の意思なしと答辯されて居ります、私も勞働裁判所と云ふやうな特別な裁判所を設置する必要はないと思ふのでありまするが、今述べたやうな仕組の部を拵へて調停に當らしめると云ふことが相當であらうと思うて居るのであります、而して調停のことでありますから、一種の和解であります、當事者の道義心に愬へ、雙方の讓歩の下に了解が庶幾せられるのでありますが、何處迄も當事者の合意を必要とする、そこで合意が出來なければ調停は不成立となる譯であります、併し不成立の儘でお終ひになつては爭議は殘つて、解決されませぬ、ですから、其の場合には調停に代る裁判が出來るやうにしたらば宜からうと思ふ、即ち調停に其の意味の有權性を持たせるものであります、民事の調停では調停に代る裁判と云ふものが認められて居りますが、本案ではそれを認めて居りませぬ、是は當然なことでありまして、裁判機關でない所の調停委員會に此の權限を認めないことは申す迄もないのでありますが、併し此の點も亦本案の仕組の弱點ではないかと私は考へて居る、本案では調停が不成立に終りますと、爭議の解決は仲裁に俟たなければならぬことになるのでありまするが、仲裁は調停と異なりまして、第三者の判斷を内容とするものでありまするから、當事者の合意か若しくは其の協約を必要とするのであります、本案三十四條も之を明かに致して居ります、故に合意若しくは協約がない時には、仲裁は行はれない、從つて爭議は依然解決されないことに相成るのであります、斯樣に觀じ來りますと、本案の調停委員會制度は爭議の解決には相應しくないものである、好ましくないものであると言へると思ふ、又其の構成に關しましても、又其の働きに付きましても、爭議の解決には遺憾があると云ふ疑念を私は有する者であります、私は爭議の解決は矢張り裁判所に委せてやるのが宜いのではないかと考へて居りまするが、當局の御所見は如何でありませうか、要するに私の伺ひたいのは、勞働組合法の制定に際し、又本案の立案に際しまして、從來の系統を破つて、爭議の解決を勞働委員會若しくは調停委員會に委せ、裁判所をして之に關與せしめなかつたのは、如何なる理由に依るものであるかと云ふことを、先づ伺ひたいのであります、第二には、調停委員會の決議に對して不服の申立が許されるかどうかと云ふ點であります、本案二十六條は、調停黍員會は調停案を作成して之を關係當事者に示すことに致して居ります、而して其の調停案の作成は委員會の決議に依るものだと思はれるのでありますが、其の決議に對して當事者の不服の申立が許されるかどうかであります、例へば委員會の構成が違法である、或は決議の方法が不法であるとか、云ふやうな理由で、不服の申立が許されるのであるかどうかと云ふことであります、更に又勞働委員會の仲裁の決議に對して、同樣に不服の申立が許されるかどうか、殊に其の決議の内容が適切でないと云ふ場合に於て然りであります、勞働委員會の仲裁の決議は、本案の三十四條に依りまして、仲裁の裁定は勞働協約と同一の效力を持たせることに相成つて居ります、其の意味に於て仲裁の裁定と云ふものは有權性なものであると私は考へて居るのでありまするが、左樣な有權的な勞働委員會の違法なる決議に對して、當事者は不服の申立が出來ないものであるかと云ふことを伺ひたいのであります、尚之に附加へて申述べて置きたいのは、現に民事の調停、殊に調停に代る裁判に付きましては、不服の申立が許されて居ると云ふことを附言致して置きます、先づ私は以上の二點に付て政府當局の御所見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=25
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026・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今御尋の第一の點でありまするが、結局此の勞働問題の爭議の場合に、それを裁判に依つてはつきり決めてしまふと云ふ所まで何故行かないのか、其の理由は何處にあるかと云ふ第一の御尋に拜承致しましたが、是は今迄の私共の法律的の頭では、矢張り白か黒か、或は之を何度の目盛にするんだと云ふことを決めたい氣持を、矢張り一應は私共の頭に持つのでありますが、併し此の問題と云ふものは主として法律問題でなくして事實問題である、勿論其の中に法律問題も編込んで來ませうから、其の事實と云ふことも亦それを法律化すれば法律問題になりませうけれども、何と申しますか、どうしても法律的よりも事實的に重きを置いた問題でありまして、さうして其の基本は結局勞働者側の生活權と云ふ點に基礎を置いて居るやうであります、それで結局生活する爲には各個人は徹底的の權利を持つのだと云ふ一つの理想に基いて居る考でありまして、是が假に裁判で決まりました結果、其の條件如何に依つては、矢張り生活が出來ないと云ふやうな條件にでもなりますると、それで滿足する譯には行かないと云ふ意味が、多分此の勞働問題にはあるのだと私は考へて居ります、と言つてそれではうつちやつて置けばどうなると云ふことになる、うつちやつて置けば却つてそれが勞働者の不幸を招くぢやないかと云ふ場合もあり得るでせう、あり得るけれども、是は結局人間の生存權と云ふこどが基礎になつて居りまするから、茲に法律の力で之をきちつと決めてしまつて答を出すことは妥當でないと云ふことが、大體の法の建前になつて居ると私は考へて居ります、併しながら勞働裁判と云ふことも勿論考へられることでありまして、さう云ふやうな社會状態になりまして、さうして勞働裁判をしても差支へない、又裁判官も慣れ、社會も勞働問題に對する認識が出來まして、さうしてそれで決めても、勞働權即ち生存權、生活權と云ふものが脅威を感じないと云ふやうな事態になりますれば、それは勞働裁判と云ふものに依つても宜いのではないかと云ふ風に考へて居りますが、少くとも今は日本の事態に於ては、民主國に變り、民主主義と云ふものが大體に於てさう云ふ意味になると云ふ前提の下に、其所迄徹底的のことを規定してない、事實上の解決に任せると云ふことになります、併しそれは全體の國家の公安に關しまする場合には、それは又特別な事態も發生することもありませう、現に此の調整法の如きも、國家の公益擁護の目的で其の點、制限又は禁止の規定になつて居るやうなことでありまして、米國あたりでちよつと前にも色々「ストライキ」に付て、公安上色々な問題が起きたと云ふ前例もあるのであります、さう云ふ公安に關するやうな重大なことになる場合には又別のことを考へなければならぬと思はれますけれども、一般の爭議に對しては資本家と勞働者の間の協調的解決に任せる、それに對して出來るだけそれを調停する方法を執る、兩方が承知の場合には法律的拘束力を持つた仲裁をやると云ふことが大體の建前であり、今の階段に於ける民主主義國家への轉機に於きまして、それが適當なりと云ふやうな趣旨に於て、徹底的に裁判で白黒を決めると云ふ所迄行かないと云ふ制度を執つて居るのだと云ふ風に解釋を致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=26
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027・吉田久
○吉田久君 只今の大臣の御答辯は、私の申上げた趣が聊か徹底して居らないやうに考へますから、其の點に付て補足致して置きます、仲裁と云ふことになりますと、是は裁判でありませう、併しながら調停は何處迄も當事者の合意を基礎とするのでありまして、裁判所が其の衝に當りましても、黒か白かを決めるのぢやない、何處迄も調停が出來上るやうに斡旋する役目をするのであります、併しながら當事者がどうしても此の裁判所の鑑定に於て、合議的な鑑定に於ても調停に從はない、而して調停に代る或ものを決めなければならぬと云ふやうな時には、其處に調停に代る裁判と云ふものが動くのであります、調停のことに裁判所を當らせると致しましても、裁判で白か黒かを決めると云ふのではないのでありますから、此の點は一つ御注意を願ひたいのであります、それから只今大臣の御説明に依りますと、調停が出來ない時には、仲裁も無論出來ない、調停が出來ない時には、自然の儘に放任して置く、それで解決を圖ると云ふのでありまするが、一旦資本者側と勞働者側に爭議が發生致しまして、それが片が附かないので其の儘に放任されると云ふことになりましては、是は生産増強、若しくは能率の向上と云ふことに私は非常な關係を持つと思ふのであります、是はどうしても矢張り此の調停が出來ない時には、有權的にそれを解決すると云ふ方法が私は必要であると存じて居るのであります、仲裁の場合には、是は當事者の合意若くは協約がなければ仲裁は出來ませぬ、又仲裁と云ふことになりますと、其の實質は裁判であります、勞働委員會にありましても、裁判所にありましても、其の實質は矢張り裁定と云ふことで決まるのであります、唯其の根柢に於て、當事者の合意か若くは協約が必要だと云ふことが調停の場合と違ふ、又調停は和解でありますからして、何處迄も當事者が讓り合つて、宜い所で相談し合つて事を決めると云ふことが其の本質でありまするから、此の調停に付て裁判所を關與せしめると云ふことは、どうも差支へないと思ふのであります、之を關與せしめないと云ふ理由がどうも大臣の御説明を伺ひましてもはつきり致さないのであります、それからもう一つは不服の申立が出來るかどうかと云ふ點に付て、政府の御答辯を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=27
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028・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今の御質問中、調停に若し不公正があつた時、異議の申立が出來るかと云ふ御尋でございますが、勿論此の調停は雙方の意見を聽いて納得の行くやうな案を作ることでありまするから、其の間自分の方に不服があれば異議を申立てられることは自由であります、決定致しました案に、異議の申立が出來るかどうかと云ふことになりますと、實は調停に付きましては、強制調停を致しましても、其の調停案を強制的に押付ける譯ではございませぬから、不服があり、信用が置けなければ從はないことになるだらうと思ひます、從ひまして只今の異議の申立が出來るかどうかと云ふことは、要するに其の調停案に納得するかどうかと云ふことになるのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=28
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029・吉田久
○吉田久君 誠に左樣でございます、當事者の合意がなければ無論調停は成立しませぬが、其の前に、調停案を作成して當事者に示すと云ふ關係に於ては、決議が爲されると思ふのであります、其の決議案の前提となる所の招集の手續が間違つて居ると云ふやうなのは違法であると云ふやうなことで、どうしても自分等としては納得出來ないと云ふことで、異議の申立、不服の申立が出來るかどうかと云ふ趣旨に於て私は御伺ひ致したのであります、調停案を承諾致しますれば是は勿論問題はない、之に對して異議を申立てる餘地のないことは、是は申す迄もないことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=29
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030・中山太一
○中山太一君 私は失業問題其の他に付て御尋ねしたいので、午後に會議がありますならば、厚生大臣と安定本部の長官とのお二方から御答辯を願ひたいと思ひます、何か御配慮出來ませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=30
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031・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 本日午後は速記者の都合で開きにくいと思ひます、若し大臣の御出席を御求めであれば、豫め申出を戴きまして取計ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=31
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032・中山太一
○中山太一君 それでは又改めて國務大臣の御出席を願ふことに致しまして、今日は關聯したことで御尋ねしたいと思ひます、先程生産管理の問題に付て當局から御答辯がありまして大體了承致しましたが、此の平等であり總て均等の權利を勞資とも持つて居る譯でありますから、此の際に、先程御説明がありましたが、財産權、經營權、勤勞權此の三つがはつきり分れて居る時に、或は團結力を不法に、不當に行使して生産管理に移ると云ふやうなことは、是は認めないことは當然だと存ずるのであります、是は經營權、財産權を侵犯するものであつて、反對に經營者が如何に自分の子飼とか、關聯のある者だからと言つて、勞働組合の中に是が入つて、色々のことを干渉すると云ふことは許されない、是は絶對に勤勞權又其の團結權を尊重しなければならぬ、御互が相互の權利を尊重して行くと云ふこと、此の線だけは超えてはいかぬ、それが而も經營者、資本家が自分の方の者を入れなければ解雇するとか、或は何か否認すると云ふやうなことをしたならば、是は自分の持つて居る經營權を惡用したもので許すべからざるもので、同時に、経營權の方に對して威力を以て生産管理に移ると云ふやうなことになり、團體權を濫用すると云ふことになれば、是も許すべからざることである、是は政府のはつきりした決定で不當なりと云ふ……刑法上であるか民法上であるか、どちらにしても、色々の點から社會の秩序を維持が出來ないと云ふ御判定は、極めて此の際適切なことだと存じます、唯茲に生活權と云ふことの意味に於て、生活權は如何なることをしても絶對に其の權利は行使されるか、之を政府はどう御考になつて居るか聞きたい、或る無産黨の方の「スローガン」に、「所有權よりも生活權」と云ふことを以て所謂爭議の一つの標語にして居られる、處が色々之を考へると、非常に危險ぢやないか、所有權よりも生活權と云ふやうに、權利だけを言うて、それで所有權は權利を全然認めない、所有權者の義務を叫んで、一方を「セーブ」する、若し我が民族が飢餓に瀕した時、所有權よりも生活權と云ふことになれば、隣邦の朝鮮なら朝鮮に米が餘つて居る、さうすると生活權に代へられぬから、何處迄も此の權利を行使して、所有權を侵しても宜いと云ふことになる是は民族と民族との關係に於てもそれと同じやうなことになります、是はそんなことはあり得る筈がなく、さう云ふことになると侵略となり、或は掠奪となり、遂に戰爭になります、さうすると個人に於ても社會の安寧秩序を維持する爲に、此の點をはつきりして置かなければならぬ、生活權は何處迄も尊重しなければならぬが、それには義務がある、或る代償を出さなければならぬ、或は其の生活に必要なる物資を得る爲に代償を出すか、或は勤勞に從事するか……勤勞に從事しても生活が出來ないと云ふことになるのは是は當然でありますけれども、此の點を考へなければならぬ、其の義務がある、又農家が米を持つて居るから此の生活權の前には宜いかと云ふと、さうぢやない、矢張り所有權は絶對に尊重するけれども、或る代償を出したり、又國民の生活の爲にそれは相當な方法を以て供出する義務がある、お互に權利と義務とが矢張り繩のやうな風になつて居る、之を無視して權利のみを主張する時に、非常に危險性があるやうに思ふ、それで此の點に付ては、衆議院に於て憲法を改正された時に實に能く注意された點だと思ふ、勤勞權を尊重し、義務を尊重する、勤勞に於てもそこに初めて生活權も保護されると云ふことになつて、要するに其の點には遺憾はないと思ひますが、此の點を能く考へて戴いて、所有權よりも生活權、是は矢張り「ソ」聯が嘗て執つた働かない者は食へないと云ふやうな風に、何處迄も自分の生活權を國家社會が保護して呉れるが、自分の義務も併せて之を遂行すると云ふことが共に竝んで行かなければならぬことだ、それでない時には働かない者は或代償を持つて來る、而も働きの能力のない者は國家が今の生活保護法に依つてやる、斯う云ふ建前で行かなければならぬ、此の點がはつきり出來るやうにして戴けば、勞資間に於ても無理な要求がなくて、必ず圓滿に協力が出來はせぬか、之に對する大臣の御考は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=32
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033・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 憲法に於きまして「健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する」と云ふ規定が設けられてあり、或は「勤勞の權利を有する」と云ふ風に規定してありますが、是は所有權を有すとか、信仰の自由を有すと云ふことと皆同じことで、結局それを妨げてはならないと云ふことが本體になつて居りますので、結局權利を有するから他人の物は勝手に取つて食つて宜いと云ふ思想は一つもありませぬ、各々の權利は皆自由であります、自分の權利を主張すると同時に他人の權利を尊重して行くのでありますから、他人の方の權利がありますればそれは尊重すると云ふことで、私人間に於きましては、一つもさう云ふことに付て、片方は生活權を有して居るから片方はそれを養つてやらなければならぬ義務を有すると云ふやうな問題ではないと私は思つて居ります、扶養の義務とか何とかと云ふことは別であります、そこで今の御話はさう云ふ問題に一つも觸れることでないと思ひます、唯國家は生活權と云ふものに對して、憲法二十五條の第二項に、社會保障とか最低生活保障と云ふことに付て努めねばならぬと云ふやうな責任を持つて居ります、さう云ふ意味に於て此の生活權と云ふことは國家がそれに對して努力をしなければならぬ義務を持つて居る、それが生活保護法となり、又社會保障制度が色々立てられねばならぬ譯でありまして、さう云ふ意味に於て國家と個人の權利と云ふものとの間には相當の裏付はありまするけれども、個人相互の間の裏付と云ふことではないと思ひます、さうだから生産管理などはいかぬと云ふのもそこに基くのであります、其の思想は私は何等疑のないことであると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=33
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034・中山太一
○中山太一君 御説明で能く分りましたが、昨年の秋から暮に掛けては農家にさへも掠奪に行き、所謂生活權を何處迄も振廻して所有權を無視したと云ふやうなことも事實ありもし、又さう云ふ勢であつたことは御承知と思ひます、それで道義を無視した意味になつて來ると取返しの付かないことになります、私共さう云ふ標語が叫ばれる時、色々痛感すると、我々の生活の上に所有權を無視して生活權を極度に行使する者がある、それは人間ではない動物だ、泥棒猫が鼠の所有權は全然認めずに、さうして自分の生活權だけは遠慮なく行使して居る、だから人間と人間であるからさう云ふことはあり得る筈はないと思ひますけれども、大臣の今御説明で其の點は、一方便宜上標語に用ひられて居るけれども、それが社會に正しい「スローガン」であるとは認められて居らぬと云ふ點は分りました、尚生産管理の問題で、先程御質問になつたことに關聯しますから此の機會に併せて御尋ねしたい、組合員たる資格と云ふことに付て政府の御考は、生産管理を不當と御認めになつて居ることと、組合員の資格と云ふことの御解釋と矛盾がありはしないかと存ずるのであります、それは先程部長、課長は組合員たる資格はない、事業者側の利益を代表する者と大體に認められて居ると云ふ御話、是は當然でありまして、文書課長は其の事業の有らゆる機密、有らゆる重要なものを知り、倉庫課長はそこの資材の有らゆるものを知つて居る、會計課長も人事課長もそれで、是は仕方がないと云ふことは、事業主側の利益を代表して計畫もすれば監督もする、命令もする、而も日々重要な事業を管理しつつある、是は入らぬ、場合に依れば其の下の主任とか係長とか云ふ者も、私は會社に依つては同樣に考へられなければならぬのぢやないかと思ひます、此の點に付て政府は一體もう少つはつきりした實質に付て御考へを願はなければならぬぢやないか、それから生産管理がいかぬと言はれるが、萬一爭議に移つた時に、是等の人が組合員であつたならば、直ちに自分の日常やつて居る職務が既に管理をして居る、生産管理はいかぬと云ふけれども管理を認めたことになる、それでさう云ふ會社は全然總ての機能は果せなくなる、それから勤勞の關係と會社側の利益を代表して命令とか監督をする者の關係がはつきりしないと、もう會計も係長とか課長がやるものもさうで、人事もさうなつて來る、どんな届出の重要なことがあつても、文書の係長、主任と云ふ者がそれで宜いならば、もう全然其の會社と云ふものは公の責務迄果し得ないことになつて來ます、だからさう云ふ風の點に付て生産管理がいかない、爭議に移つた時に、それが一種の生産管理を日々やつて居る者がそれに行くことはいかぬ筈だと云ふことをはつきりして戴かなければならぬと思ひます、之に對して大臣の御考はどうですか、御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=34
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035・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 勞働組合員になる者の範圍に付きましては、先程政府委員から説明申しました通りに中央勞働委員會の大體の認定に任せて居りますから、只今の所では人事課長とか會計課長、大體課長級は原則として入れないと云ふことになつて居るさうであります、それでさう云ふ問題と生産管理との關係に付きまして、今御指摘のやうな事實も起らうと思ひまするけれども、それは結局其の課長と云ふ者は、其の會社の首腦部の指揮を受けないでやりますれば、それは適法か違法かの問題に依つて分れる譯でありますから、それは其の時の事實問題に於て解決出來ることであつて、課長と云ふ者のやり方が無斷でやりますれば、それは又それぞれ法規に反することもありませう、無斷でなくやれば、それは會社首腦が承諾したことになりませう、事實問題に於てそこで決定されて、結局生産管理であるかないか、言葉を換へれば適法か適法でないかと云ふことを線を引くことは事實に於て出來ると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=35
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036・中山太一
○中山太一君 時間がありませぬから私一應是で止めまして、日を改めまして厚生大臣が御出席の時に御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=36
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037・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 本日は是にて散會致します、次囘は明後十三日、午前十時から開きたいと思ひます
午後零時七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=37
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038・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 高木正得君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 東郷彪君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 壬生基泰君
子爵 秋月種英君
子爵 松平乘統君
子爵 大久保教尚君
子爵 三宅直胖君
桑木嚴翼君
吉田久君
男爵 松本本松君
男爵 山根健男君
男爵 山名義鶴君
男爵 中村徹雄君
種田虎雄君
我妻榮君
竹中藤右衞門君
中山太一君
片倉兼太郎君
秋田三一君
古垣鐵郎君
國務大臣
厚生大臣 河合良成君
政府委員
厚生事務官 吉武惠市君
同 富樫總一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00219460911&spkNum=38
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