1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○勞働關係調整法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十三日(金曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=1
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002・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 是より開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=2
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003・松本本松
○男爵松本本松君 昨日本會議で運輸大臣から陸運、海運の爭議の顛末の説明を伺ひましたが、何れも何か組合員の中で又仲間割れのやうなことが起りまして、而も其の少數の人達の爲に抑制されて解決が延びて居たと云ふやうなことを伺ひましたのですが、それに對してもう少し突込んだ御説明を伺ふことが出來ませぬでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=3
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004・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 實は海員の關係の勞働爭議は運輸省の所管になつて居りまして、厚生省の方は海員以外の方を受持つて居りますので、餘り詳細な點は存じませぬ、運輸省の方に御連絡を申上げまして後刻御報告を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=4
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005・松本本松
○男爵松本本松君 鐵道の方も同樣でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=5
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006・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 鐵道の方は私の方の所管でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=6
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007・吉田久
○吉田久君 私は一昨日の當委員會に於きまして、本案に付て民事の調停と本案の調停の關係から、本案の調停にも民事の調停と同じやうに有權性を持たせたらどうかと云ふことに付て卑見を述べたのであります、之に對する政府の御所見は私のそれには副はないやうでありましたが、それにも拘らず本日再び私が茲に質問を致しまするのは、御承知のやうに昨今に於ける船員竝に鐵道從業員の爭議の現状を見まして、黙過し得ないものがあるからであります、右の議に付きましては、昨日當院の本會議に於て運輸相から詳細なる經過の説明がありました、私はそれに依つて新聞に出て居ることを必ずしもまともに受入れる必要がないと云ふことを感じたのでありましたが、併し尚新聞に出て居る所に依りますと、彼等は「ゼネスト」を決行する危險を多分に持つて居ると思ふのであります、而して新聞記事の一つと致しまして、從業員が十五日から實行すべき電車及汽車の運轉計畫を發表して、之を新聞に掲載せしめて居ることである、併しながら其の運轉計畫は經營者である所の當局が定むべきでありまして、從業員が定むべきではない、從業員が定めて且之を世間に發表すると云ふことは、一種の越權行爲でありまして、彼等の權力には屬しないと思ふのであります、それにも拘らず彼等は其の權利を有するものとして、且又之を實行する手段として「ゼネスト」をすることを發表して、自己の主張を貫徹せむとし、且一般世人に大なる危惧の念を起させて居るのであります、私は鐵道當局は宜しく之を止めて然るべきだと思ひます、止めても尚彼等がそれに反抗する、若しくは妨害するならば、それは經營當局の正當なる業務を妨害するものとして犯罪行爲になると思ふのであります、又被等は馘首絶對反對を唱へまして、其の文字を麗々しく車體に書き連ね、之を運轉し、尚鐵道の建物にも大きな同樣の書き出しをして居ることは御承知の通りであります、併し私は彼等には左樣な權利はないと思ふのであります、權利のないことを敢てすることは、見方に依りましては一種の器物毀損になると思ふのであります、建物に「ペンキ」を塗つて麗々しく馘首反對と云ふことを書き出して居る、是は私は通物の毀損であると見て宜からうと思ふのであります、彼等がさう云うことを鐵道の通物に發表する所の權利を持たない限りは、權利なきことを敢てするのでありますから、それは正當なる爭議行爲とはならない、從つて一種の犯罪を構成すると思ふのであります、之に對して彼等は思想發表の自由を以て辯解するかも知れませぬが、其の思想發表の自由と云ふことに付ても自らの枠が存するのである、其の爲す所が枠を超えた違法であると云ふことになりましたならば、適法なる爭議行爲とはならないのであります、爭議行爲は言ふ迄もなく合法的に爲されなければなりませぬ、私は右樣の考からして、彼等の行動を誠に苦々しく考へて居る一人であります、然るに當局は何故に之を看過して居られるのでありませうか、之を看過すればする程彼等は増長して、自己の爲す所が適法であるとして眼に餘ることをするのであると思ふのであります、私は以上述べたやうに、彼等の或行爲は犯罪を構成すると思ふのでありまして、其の點に付ては司法警察官に職權の發動を促し、又司法警察官が言ふことを聽かなければ、更に警察當局の發動を促して差支ないと考へて居るのであります、然るに鐵道當局は毫も左樣な處置を執られて居る所の形跡がない、私は誠に遺憾に存ずるのであります、現時の爭議の現状を斯樣に見ましても、若し此の爭議が本案成立の上に於て本案の調停に付せられたと致しまして、幸ひに調停が成立すれば結構でありまするが、不成立となつて兩者の對立状態に置かれたならば、どう云ふことになるでありませう、私は此の點を思ひますると云ふと、本案の調停にも有權性を持たす必要が思考されると存ずるのであります、一體有權性のない調停制度は押しが利きませぬ、有權的なものが後楯になつて居つて初めて調停の成立が庶幾せられるのであります、調停に代る裁定權を以て調停すればこそ、道理ある調停が成立するのであります、有權的の裁定權能を持たないで如何なる合理的なる調停を勸告し、試みましても、少し骨のある者は調停を受け容れられないで、不成立に終るのが關の山であります、私は過去の經驗から致しまして左樣に確信して居る者であります、どうか當局に於かれましては此の間の消息を十分御了解下さいまして、本案の調停にも有權性を持たせることに付て更に一段の御一考を煩はしたいのであります、私は本案が今後如何に當院に於て審議せられるか存じませぬが、併し本案が其の儘法律となつて世の中に出ると云ふことになりますると、其の法律たるや所謂佛造つて魂を入れない中途半端なものになりまして、眞に爭議の調停には役立たないのではないかと云ふことを心配致しまして、敢て此の苦言を呈する次第であります、以上述べましたことで質問の趣旨は終るのでありまするが、どうか當局に於かれましては運輸相竝に法相、厚相各大臣に私の以上述べました趣旨を御傳達下さることを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=7
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008・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今御質問ありました點それぞれ所管大臣より御答辯あることと思ひますが、今御話のありました中の調停に對する有權性に付きまして一應の御答を申上げたいと思ひます、本案を審議致しまする際、使用者側なり或は勞働者側なりの意見を徴して所謂公聽會を開きました際にも、只今委員から御話がありましたやうに、調停をやるのは宜いけれども、其の調停の背後に有權性がなければ締括りがないぢやいかと云ふやうな意見も相當ございました、是は一應考へられる所であり、出來れば望ましい所でありまするけれども、先般の委員會でも厚生大臣が申されましたやうに、實は勞働爭議は、法律問題のやうに法律の解釋で白黒が決り、決ればそれで納得せざるを得ぬと云ふ風な性質のものは極く僅かでありまして、例へば賃銀の千圓を要求する、それは迚も出せぬから五百圓しか出せない、いや、それでは食つて行けないと云ふ風な性質のものが勞働爭議の殆ど大部分でございます、さう云ふ風なものでありまするから、假に調停委員會あたり、或は勞働裁判あたりを設けまして、假に中を取つて七百五十圓と決めましても、それが決定的なものとは言へませぬし、又相手方がそれを納得致しませぬと、假に其の時だけ法律で以て押し付けましても、直ぐと又直ちに要求が起ると云ふことになりまするので、何處の國も一應さう云ふことは議論になりまするけれども、まだ此の勞働爭議に付きましては、有權性を持たして居る國は僅かに、濠洲と「ニュージーランド」だけでございまして、他の各國は、何れも本案のやうに調停委員會等を設けまして、納得の上で決めて行くと云ふ方法を採つて居るのであります、「ニュージーランド」、濠洲等は、是は特殊の政情にもごさいまして、政府が所謂勞働者的な政府であります關係からか、御話のやうに是は裁判ではございませぬが、調停委員會を設けまして、さうして是は爭議は皆強制調停、強制的に調停委員會に掛けなければならぬ、而も掛けました問題は其の委員會が決定した通りに從はなければならぬと云ふ方法を採つて居る、是は極く例外に屬するのでありまして、若し出來ればそれで以て後腐れがなく決ることで結構でありまするけれども、どうも何れの國に於きましても勞働爭議のさう云ふ特殊性の爲に、今の處では矢張り調停委員會等に依つて納得で決める、さうして從はなければ已むを得ぬ、それは輿論に愬へて、若し不當な要求、不當な爭議でありまするならば、恐らく輿論が支持しないし、支持しなければ勢ひ敗けると云ふことになるのでありまして、專ら最後は輿論に依つて決定せられて行くと云ふ方法を採つて居るのであります、さう云ふ點は立案の際にも相當問題でもありましたし、一應研究致しましたが、さう云ふ事情で本案では有權性を採らなかつたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=8
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009・吉田久
○吉田久君 前會にも大臣からして、調停のことは法律問題よりは事實問題が主であるから、それに裁判所を關與せしむることはどう云ふものであらうかと云ふ御意見が出たのでありますが、其の點は私も同樣に考へて居ります、調停に付せられる事項は、勞働條件、又勞働者の待遇問題、勞働協約の内容に關することが多いのであります、之をどう云ふ風に決めるかと云ふことは全く事實上の問題であります、之を事實問題としてどう云ふ風に決めることが適正であるかと云ふことに付て、本案の採つて居られる所の考は、調停委員會をして調停案を拵へさして、それに基いて調停するやうに勸告すると云ふことになつて居るのであります、併し私の考では、調停委員會と云ふものは勞働委員會の分派でありまして、成る程自主的の存在ではありませう、併しながら何分にも委員の構成等から見まして、果して調停委員會に於て道理ある適正なる勸告が出來るかどうかと云ふことを私は疑ふのであります、でありまするから、矢張り此の勸告の衝に當る主體は裁判所……私は裁判所の存在は右にも傾かず、左にも偏しない適正なる存在である、外部の勢力から動かされない所の存在であると云ふことを確信するが爲に、其の存在たる裁判所に調停の主體たることを認めると云ふことが最も相當であると思ふのであります、併しながら裁判所を調停の主體たらしめましても、裁判所としては無論本案に認めて居るやうな調停委員會等の意見を徴しまして、其の意見に基いて然るべく裁量するのであります、而して調停案を作つて當事者に勸告すると云ふやうなことになるのでありまするが、併し裁判所は第三者として、公正なる第三者の立場から、是が尤もな案だ、どうか是で一つ双方共承知して貰ひたいと云ふことを道理を以て説いたならば、私は大抵は成立すると思ひます、然しながら萬一にも頑迷なる當事者が之を聽き容れないと云ふ時には、其の時には所謂傳家の寶刀とも申すべき、調停に代る裁判をする權利を認めて宜からうと思ふのであります、此の點に付て只今政府當局より各國の法制に付ての御意見がありましたが、併しながら私は各國の法制を別に致しまして、我が國に於ける現状、殊に勞働者の現在の状態から致しまして、矢張り私の今考へて居りますることが最も此の解決處理に適當であると云ふことを知るのであります、外の歐洲竝に米國等に於ける勞働者の地位と、我が國の勞働者の地位とは、是は同一に見ることは出來ないと思ふのであります、之を歐米流に矢張り見まして、歐米流でさう云ふ風に自主的にやられて居るのであるから、我が國に於てもそれで宜からうぢやないかと云ふことは、どうも私は腑に落ちないのであります、即ち是れ以上は意見の相違になりまするから申述べないことに致しまするが、併しながら本案はどう云ふ風な工合に落著くか豫測出來ませぬが、併しながら本案が其の儘成立致しましたとしても、將來の實績に徴して、私が述べましたことはどうか御参考にして置いて戴きたいと云ふことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=9
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010・秋月種英
○子爵秋月種英君 私は此の調整法案に直接の御尋を致しまする前に、其の準備と致しまして二三御尋ね致したいと思ひます、此の勞働組合法を作らなければいけない、斯う云ふ問題は多年の懸案になつて居るのであります、大正時代からぼつぼつさう云ふ議論が議會、殊に衆議院に出たのでありますが、まだそれ程の時期に勞働者の情勢がなつて居らないから、まだ早い、大體斯樣な理由で延びて居つたのであります、勿論此の調整法案と云ふものは、大臣が本會議で御話になりましたやうに、基準法と一緒に出ませぬでは、本當の働きはないと斯樣に私は信じて居るのであります、成る程組合法は出來ましたが、それに付きまして、此の組合法の方は多少問題はありませうけれども、調整法と云ふものは只今吉田委員から御話になりました通り、是が出來ましても、其の實際の結果と致しては甚だ薄いものではないかと斯樣に私も考へて居るのであります、それに付きまして、現在の勞働者階級の思想其の他の状態で、永久的の法案を作ると云ふことは少しく無理ではないか、斯樣に思つて居るのであります、それで御承知の通り現在は失業問題其の他社會が種々複雜な状態になつて居ります、一面に於きまして失業問題が喧しくあり、一面に於ては勞働者を毎日のやうに募集して居る其の募集に應じないのでせう、同じ會社方面から毎日のやうに人を探して居る、斯樣な状態が都會のみならず、私は地方に居りますが、地方も矢張り同じ状態になつて居ります、唯ぶらぶら遊んで居る、斯う云ふのが實際多いのであります、さう云ふ點なんかも餘程政府と致しまして、職を得さしめるやうにしなければならぬと思つて居りますのですけれども、何しろ今日の状態ではそれが出來ないと思ふのであります、殊に先程も御話になりました通り國鐵の「ゼネスト」問題や、海員の「ゼネスト」問題と云ふものは、是は單に勞働關係ばかりでない、裏面に色々工作がありましてなかなか、思ふ壺に嵌らぬ、是も一面に於きましては考へられ得るのであります、斯う云ふ状態は唯現在の勞働者の眞の状態ではないと斯樣に私は信じて居りますので、斯う云ふ法案を立案なさる直接の局長が幸ひおいでになつて居りますから、現在の日本の勞働者階級と云ふものがどう云ふ状態にあるか、どう云ふ思想にあるかと云ふことをちよつと政府の御考の點を御話願ひたいと私は思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=10
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011・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今秋月子爵の御話のありました如く、現在の勞働者階級の現状は一口に言へばまだ軌道に乘つて居りませぬ、一方又失業者の状況も、非常に失業者が多い割合に、一方募集等に付ても色々困難を感じて居ると云ふやうな、極めて落著いて居ないやうな状況であることは御指摘の通りであります、是は先日厚生大臣からも話されましたやうに、戰時中の所謂勞働秩序から俄かに終戦後の状況に變りました爲に、非常な變動期にあります爲に、色々と問題があると思つて居ります、勞働者階級の状況はどうであるかと云ふと、御承知のやうに爭議は昨年の十二月頃から非常に増して參り終戰後の九月、十月、十一月頃は一月一件乃至十件以内位の僅かでございましたが、十二月から一躍百件を超え、一月、二月、此の二月が一番多く約二百件近くになり三月、四月が矢張り百數十件、此の細かい數字は多分御手許に數字として御示ししてあると思ひますが、さう云ふ状況でございまして、二月が一番頂點であつたと思ひます、其の原因は先にも申しましたが、十二月頃から急に「インフレ」が昂進し、物價も自由價格に十二月から入つた爲に、一時に物價が上つた爲に、非常に生活に困つたと云ふことは否定出來ないことで、そこへ所謂民主主義と云ふことで尚自由になりました爲に、勞働運動に非常な拍車を掛けそこで一方勞働者階級は生活に困つて居ると云ふ所から、それが相俟つて爭議を非常に誘發して來たと思ひます、處が所謂三月から封鎖制度を採りまして、一應「インフレ」の對策が採られました、それからと云ふものは、勿論賃銀値上の爭議はございますけれども、十二月から三月迄のやうな風ではございませぬ、大分落著いて參りました、一方事業主側に於ても、爭議を俟たずして、他の例を見倣つて、自發的に給與の改善をされたのも澤山出たからと思ひます、唯一方三月、四月頃から賃銀値上以外に所謂産業民主化的な思想傾向が出て參りまして、爭議の内容には、賃銀値上と同時に、經營協議會を設けて、さうして經營一切を協議會に掛けてやるべきぢやないかと云ふ思想傾向が現はれて來た、其の中には先だつても申上げました通り、人事から配當から經理迄、一切を一緒にやらなければならぬと云ふやうな要求もありますし、又中には非常に穩健で、勞働條件なり其の他の運營に付ての協議をやると云ふやうなものも出て居つた譯であります、それで爭議としては、「メーデー」及び食糧「メーデー」位が頂點であつたかのやうに私共は存じて居ります、其の後ずつと變つて參りまして爭議の數も、爭議の數だけから申しますと、六月でしたかはちよつと上つて、居ります、是は一應あの三月の封鎖政策で落著いたんですが、又所謂食糧の缺配の爲に生活が非常に困つて參りまして、其の缺配に原因して賃銀、所謂飢餓突破資金と云ふやうな形に於ての爭議が現はれました爲に、一時ちよつと増しましたけれども、是も米國からの食糧が入つて來たりなんか致しまして落著きまして、七月、八月頃からは爭議が又下火になつて、最近ではもう非常に減りつつあると云ふやうな状況であります、其の間の二月、三月頃が一番頂點でありました際の爭議の形は、是は新聞でも御承知のやうに隨分「サンヂカリスト」的の傾向がございましたが、其の數から申しますると、さう澤山ではございませぬでした、それは私共は甚だ遺憾とは存じまするが、急激に變化する過渡的な現象であつて、六月、七月頃からの傾向を見ますると、さう云ふ現象は殆どございませぬので、今日では段々と軌道に乘つて來て居るのぢやなからうかと思つて居ります、唯國鐡なり、海員組合の爭議なり、最迄に現はれました爭議の形態と云ふものは、主として、私共は所謂消極的爭議と申しまするが、首切りに對する心配、失業することに對する心配から出て來る爭議でございまして、一方斯う云ふ風な産業再開の時期でございまするから、産業の或程度の合理化と云ふことは、是は立上る爲に已むを得ませぬと思ひまするが、一方勞働者側から見ますると、失業者の多い時に失業をすると云ふことは非常な不安でございまする爲に、それに對する爭議が起り掛けて居るのぢやなからうかと云ふやうに存じて居ります、唯一般的の勞働運動の動き方、行き方に付きましては、漸次軌道に乘り、健全な方へ歩みつつあるのぢやないかと思つて居ります、一應概略を申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=11
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012・秋月種英
○子爵秋月種英君 只今の御話で大體分りましたが、私もう一つ心配して居ることは、今大臣初め一般が何でもかんでも民主主義、民主主義、……、都會の「インテリ」階級の人は大體分るらしいのですが、田へ行きますと非常に誤解して、何でもかんでも、詰り自分の思ふ通りにするんだと云ふことで滅茶なことをします、それを私なんか、民主主義と云ふものはさう云ふもんぢやないと云ふことを始終話しましても、それはてんで分りませぬ、極端な一例を御話しますと、役員の人のことでありますが、酒でも何でも勝手に自分が飮む、毎晩酔つぱらつて街に出て若い女なんかと戯むれると云ふやうなことが毎日のやうにあります、それで如何にも不愉快ですから、私其の方の人に注意したんです、話を聞いて見ますと、署長さんがやれやれと言つて居るのださうであります、それで是は一署ばかりではありませぬ、警察の方で警察の民主化、斯う云ふ名目の下に月一囘位づつの寄合が出來て、さうして色々な話をする、斯う云ふことになつて居るさうであります、詰り何んでもかんでも民主化、民主化と云ふ、是は分つたことのやうですけれども、田舍に行きますと、それは騙されます、それで餘り民主化と云ふ言葉を使はずに、何とかうまい工夫はないかと私は始終考へて居るのですが、何か其の御考はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=12
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013・吉武惠市
○政府委員(吉田惠市君) 只今の民主主義に付ての御意見でございましたが、確かに民主主義は必要でありまするが、民主主義の所謂履き違ひと申しますか、行き過ぎと申しますか、隨分民主主義の名の下に遺憾な點があることは御話の通りであると思ひます、私共も勿論勞働運動の指導に當りましても、民主主義は必要だけれども、併し其の中に秩序がなければいけない、それから一方權利を主張すると同時に、又責任と申しますか、義務を感じなければいかぬと云ふ風に存じて居ります、是は民主主義と云ふ言葉が惡いのではなくして、理解の仕方が惡いと思つて居りまするので、是は私共ばかりでなしに、總て民主主義を正しく理解させると云ふことに努めなければならぬのぢやなからうかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=13
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014・秋月種英
○子爵秋月種英君 私の今日の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=14
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015・中村徹雄
○男爵中村徹雄君 私は厚生大臣に聽きたいことがあるのでありますが、今日いらつしやるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=15
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016・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 直き御出席になると思ひます、少し御待ち下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=16
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017・中山太一
○中山太一君 今日厚生大臣と膳國務大臣に御尋ねしたいと云ふことを申込んで置きましたが、まだ連絡が取れて居りませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=17
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018・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 連絡を取りました處、膳國務大臣は、午前中は衆議院の方で差支があつて出席出來なくて、午後出席せられる豫定ださうであります、厚生大臣が見えられました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=18
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019・中村徹雄
○男爵中村徹雄君 前囘の委員會で厚生大臣から勞働と資本に關する大臣の御考を、尚寄合ふやうにと云ふ御意見を聞いて居ります、又片倉委員からも勞資協調と云ふことに付て御發言があつたのでありますが、今度の勞働關係調整法と云ふものに對する、日本の多少頭の進んだ「イソテリゲンツイア」と云ふものの僞はらざる感想は、何か日本資本主義經濟の矛盾の彌縫策であると云ふやうな感じがあるのぢやないかと思ひます、そこで勞資協調と云ふことの協調が、敗戰日本經濟の再建と云ふ大變良い意圖にも拘らず、さう云ふやうな意味で多少の疑惑を持たれるのは避け難いことだと思ふのであります、現に衆議院でもさう云ふ意味の反對意見があり、更に是は新しい治安維持法ぢやないかと云ふ議論すらあつたのは御承知の通りであります、そこで先般來大藏大臣からも、日本は資本主義で行くか、社會主義で行くかと云ふ質問に對して、資本主義で行くと云ふ御言葉がありました以上は、斯う云ふ姑息的な對策でなくて、何か根本的な日本資本主義經濟の修正に關する具體案を政府は御持ちになるのでせうか、どうでせうかと云ふことを私は御伺ひしたいと思ひます、それに付て「リーダース・ダイジェスト」の日本版七月號に、「現行制度内で勞務者に公平な利潤と資本家同樣の機會を與へむとする勞資協力の新具體策」と云ふ記事が出て居ります、是は「エリック・エー・ジョンストン」と云ふ人の記事で、「ニュヨーク・タイムス・マガジン」誌より要譯と斯う書いてあります、既に御一讀になつた方には失禮でございますが、其の要點だけをちよつと讀んで見ます、第一には勞働配當金、「レーバーディヴィデンド」と云ふことが書いてございますが、之に付ての説明は、勞働配當金は事業を成功せしめる上に與つて力があつた勞働者側の貢獻に對する報酬である、之に付ての我々の案は、税金及び配當金を差引く前の純益の二十五「パーセント」を基礎として作つたものである、我々は之を年に一度、一括して從業員に支拂はうと云ふのである、そして各自が公正に其の分前を貰へるやうに、我々は勤務年限、責任、負擔の輕重、固定收入現行率などを基とした點數制を從業員の爲に設定した、兎に角我々の考への根柢を成すものは、勞働者に對して、生産と配當金の直接の聯關性を示すことである、斯う書いてあります、次に第二の點では「會社の増收は、總てより好き經營から來る、最善の經營は、其の事業内の有らゆる知能を動員して、新しい考を出させる必要がある、そして、之を行ふ最も好い方法は、多角的經營法に依ることである、我々の案に依れば、此の多角的經營は、各會社の事務、販賣及び工場從業員の横断面を成す七名から成る青年重役會議、「ジュニア・ボード・オブ・デイレクタース」を通して行はれる、最初選定された後は、青年重役會の「メンバー」は兩重役會の役員其のものに依つて選出される、場合に依つては、六箇月毎に二名づつの役員を改選しても宜い、但し其の決定權は勿論重役會にある、經營者側の最高幹部や重役は、青年重役會の「メンバー」にはなり得ない、青年重役會は二つの重要な役割を持つ、事業の繁榮を目指す新しい構想を樹てること、經營面に於ける最高幹部、恐らくは本格の重役になる爲の訓練場となること」、斯う書いてある、それで是は私の私事に亙りますが、私は嘗つて帝國大學に學生として厚生大臣の取引所論の講義を聽いた者つの一人でございますが、若しも厚生大臣としての御發言に支障があれば、舊師河合先生としての御意見でも拜承出來れば仕合せと思ひます、次に前囘片倉委員の企業經營勞働者を參加せしめることの御質問に對する大臣の御答辯中に、それは一つの「プロフイット・シェアリング」の如きものと考へる、併しながら企業經營の「リスク」を勞働者に負擔せしめることは不適當と考へると云ふ意味の御言葉があつたやうに思ふのであります、大臣の御言葉の根抵を成す御考へに、何か經濟的弱者である勞働階級と云ふものを保護しなけければならないと云ふ御考へがあるのではないかと、私は勝手に推測する譯でありますが、所謂人間の人權とか、人格が尊重せられなければならない、日本に於ては有らゆる人間の權利と同時に義務が尊重せられねばならないことは當然でありますが、斯う云う御考へは稍稍非民主的なんぢやないかと私は思ひます、又眞に自覺せる勞働者は、斯う云ふ義務を伴はない、又恩惠的な權利を與へられることに對して、之を潔しとしないのぢやないかと思ふのであります、生活上の落伍者と云ふものは、曩に制定せられました生活保護法とか、或は近く實現を豫想されまする失業保險制度、斯う云ふやうなものの面から行くべきものであつて、勞働階級に對して頭から之を經濟的弱者であると判定するやうな御考へが若しありとすれば、私はさうした御考へ其のものを指摘したいと思ふのであります、斯う云ふことを言ひますと、誠に大臣の御言葉の揚げ足取りをやるやうで誠に恐縮に存じますけれども、私の意圖は決してさう云ふのではございませぬ、唯單に私の感じましたことを率直に申上げただけでございますから、其の點御了承を願ひたいと思ひます、以上二つのことに付て厚生大臣の御答へを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=19
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020・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今資本、勞働問題等に對する基本的の觀念に付ての色々御尋ねがありましたが、先づ第一番に申上げたいのは、此の勞働調整法は何だか少し古いやうな形である、或は又衆議院の一部で治安維持法の再生ではないかと云ふやうな議論があると云ふやうな點でありまするが、是は古いと申せば古いと思ひます、と申すのは、法律と云ふものは、大體矢張り現在の事實に對する面のことを第一に考へて行かなくちやいけませぬので、法律の上に積極的に將來の「イデオロギー」を現はして行くと云ふ建前は、今日の法律では、餘り採つて居りませぬ、法律は矢張り權利義務をどう云ふ所に決めて行くかと云ふことが、法律の中心の問題になつて居ります、それで矢張り此の勞働調整法は、從來からの各國の大體の例を土臺にしまして、さうして勞働問題が起きた時、勞働爭議が起きた時に、それをどう云ふ風にして收めて行くかと云ふことを目標として居りまするから、是は從來の例に依つた、其の例に依つた中で進歩的か、非進歩的かと云ふやうな見方はありますが、其の點から言ふと寧ろ進歩です、結局勞働者の權利を、擁護するのに寧ろ手厚い方法を採つた調整法になつて居ります、さう云ふ意味に於て此の法律は現状的だと云ふやうなことは當然言ひ得ると思ひます、言ひ得ると思ひますが、決して是は治安維持法的の考へは一つもありませぬ、此の法律は何處を讀んで見ても、何處を叩いて見ましても、今迄やつた反動的のやうなことは何處にもない、唯問題は公共の福祉と云ふものの置きどころを何處に置くかと云ふ點に付きましては、それは人間の個人々々の利害よりも、絶對に公安を維持すること、公共の福祉を維持することが更に重要なりと云ふ場面があると云ふ點だけであります、是は近代思想に於て少しも異とするに足らぬことでありまして、憲法草案には、總て所有權も公共の福祉の爲にさう云ふものを設けなくちやならぬ、勞働權もそれは總ての國民の自由、權利の爲に設けくちやならぬ、それでなくちや社會政策と云ふものは成立つて行かず、又それでなくちや勞働思想なども極端な「サンヂカリズム」か、「アナーキズム」の形に陷つてしまふと云ふことは當然のことであります、そこに大きな一つの締括りもありますが、其の締括りを以て是は彈壓なり、或は治安警察なりと云ふやうな風に曲げて議論されて居ると云ふことに付ては、私はもう確信を持つて居ります、それで私も色々此の間から衆議院の議論にも耳を傾けて見ましたが、どうしても私の腹では理解が行きませぬ、間違つた觀察です、と云うことを私は斷言して憚りませぬ、段々斯う云ふことは分つて來ます、現に分りつつあります、と云ふのは、「ストライキ」の中にも今勞調法に付て言つて居る「ストライキ」はありませぬ、政治的な狙ひを持つて居つたから言つて居つた、勞働者が是で困るのだと云ふ問題でない、「ストライキ」と云ふものの本質はもつと深刻性があると思ひます、今度の鐡道「ストライキ」の如きも多分に政治的含みを持つて居ります、多分にと云ふことを私は申します、本當に生活の爲の「ストライキ」と云うものは、是は深く尊重し、又深く理解を持たなければならぬ、私はさう云ふ風に考へて居ります、それから資本主義經濟に對してどう云ふ修正意見を持つかと云ふやうな色々な點の御尋がありましたが、石橋君は資本主義經濟をやつて行くのかと言ひますと、是は物の定義の問題であります、非常にむづかしい問題で、石橋君はさう考へて居るかも知れませぬが、私はさうはつきりと斷定する勇氣を持ちませぬ、と云ふのは、一體資本主義と云ふのは何であるかと云ふ問題を何處から決めて行くか、個人の「イニシアティブ」を土臺にして行くと云ふことなどは、寧ろ資本主義の通つたずつと原則であるならば、それは矢張り個人の「イニシアティブ」と云ふものを無視した社會は私は想像しませぬ、さう云ふ意味に於て、働く者は餘計報いられると云ふやうなことが通つて行くならば、それは資本主義です、併しながら資本主義と云ふのは、もつと公式的に考へて見ると云ふことになれば、色々議論があるから、是は總理の言はれる方が正しい、「イズム」は別だ、現實の問題に處して行くのだと云う御考の方が正しくはないか、唯各人の頭に或地圖を描く、色々目標を描いて此の世の中は斯うして行くべきものだ、是はああだらう、是は斯うだらうと云ふことは考へて見ます、私も私の一つの考を持つて居ります、それを何と名付けるかと云ふことは、是は別の問題で、さうだから私は今の資本主義と云ふ形式的のことには餘り拘泥しないで、世の中の先を眺めて行くと云ふ見解で居ります、此の間も、言葉はちよつと適當でないけれども、段々資本と云ふものが「フラッグメント」に分れつつある、大衆資本主義と云ふやうな思想は一つの考へ方でなからうかと申したことなども、其の私の考へて居る一つの目標の一つの表現に過ぎない、假に資本主義と云ふ言葉を使ふならば、大衆資本主義と云ふものも一つの考ではなからうか、或は健全なる社會化と云ふやうなことが一つの考へ方ではなからうか、併しながら公式的の「ソシアリズム」を採るものではありませぬ、公式的の「ソシアリズム」、國營とかああ云ふこびり付いた考へ方には私は反對です、各人の考へ方で、それではさう云ふ「イズム」に付て今の政府はどう纒つて居るかと云ふことに付ては、色々人の寄合だから、石橋君の頭も、膳君の頭も、私の頭も、皆違つた意味を持ち、違つた特徴を持つて居るだらうと云ふ風に考へて居る次第であります、それで利潤との問題に付て色々の御考へ方がありましたが、利潤と云ふものを株式會社を通じて分けて行くと云ふ行き方が今迄の「シェアリング」の大體の考へ方になつて居りませうけれども、それは直接結ぶ、勞働と分分せられざる利潤に付て結ぶと云ふことも勿論それは考へられることである、是は解釋は私は自由だと思ふ併しながら是も矢張り一つの「ボーナス・システム」である、賃銀の形の變つたものではないかと思ふ、或はさう云う意圖なれば、それも一つの肯定さるべきことである、今は戰後の非常な混亂の時で、もう少し物が沈澱して、濁り水が收つて來ませぬと、斯う云ふ問題は政府として是で先へ行くのだと云ふことは、はつきりした舵を取り難いのが實際の状況ではないか、併し、と言うて、政治家が各人の頭に色々のことを描いてやつて行くと云ふことは、是は有り得ることで、政府としては茲に非常な先のことに對する經濟方針を餘り明確に決めて行くと云ふ時機にまだ達して居らぬのぢやないかと云ふ風に私は考へて居ります、それから昨日か一昨日でございましたか、片倉委員からの御尋ねの、勞働者に企業の利潤と「リスク」と兩方分擔させて行くと云ふやうな御話に付きまして、私は「リスク」の點をどうだらうかと申しましたのは、決して勞働者に一つの恩惠を與へると云ふやうな思想ぢやないのです、勞働者の生活を維持して行かねばならぬ國家の責任がある、其の最低生活を維持して行かなければならぬと云ふことになりますと、勞働者が貯蓄を持たずして「リスク」を負擔しなければならぬ、「デフレーション」になつて、「リスク」を負擔しなければならないと云ふ場合の起きた時に、其の實行は可能なりやと云ふ點に付て私は疑問を懷く、其處に私は觸れて申上げたのでありまして、それは勞働者に恩惠を與へるとか云ふ觀點ではありませぬ、さう云ふ社會事實として果してさう云ふことがやれるであらうか、それは勞働者に十分な貯蓄があり彈力がある時期になればそれは可能だらうと思ふが、さうでなければ果して可能なりやと云ふことに對する私の疑問を申上げたと云う風に御了解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=20
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021・種田虎雄
○種田虎雄君 生産管理の問題に付きまして度々厚生大臣から政府の見解として御言葉をはつきり仰つしやつて居るのであります、唯一部の學者と言ひますか、色々世の中で勞働運動に關係して居る方は、生産管理は合法的であると云ふことを言つて居られるのであります、私は某の兩方共に少し言葉が足りないのではないかと云ふ風な氣がする、それは合法的に生産管理をやるならば宜いのである、非合法的にやればいけないのであるから、頭から生産管理は違法でないと云ふことを斷言するのも、是は極めて輕薄であると同時に、生産管理は頭からいけないのだと云ふ風に當局として御聲明になることも少し言葉が足りないのではないだらうか、勿論前後の御話を能く承つて居れば、それは同意ならば宜いのだと云ふやうなことも言つておいでになるのでありますが、今日大體株式會社に於ては定款と云ふものがあるのでありますから、定款等に於てさう云ふことが若し規定されれば、それは何も差支ない、それが即ち能く厚生大臣の仰つしやる生産管理は相談してやると云ふことなら別に差支ないと、さう云ふものではないか、斯う思ふのであります、そこらの點に付てもう少し是は、社會で言つて居る生産管理の合法的であると云ふことに付て反對だと云ふ風に正面から仰つしやらない方が、却て誤解を生じないので宜いのぢやないかと云ふ風な氣がするのであります、斯う云ふやうな點に付て厚生大臣の御考は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=21
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022・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今種田委員からの御尋ねでありまするが、是は生産管理に合法のものもあり、非合法のものもあると言ふから非常に誤解を招いてしまふ、是はそこ迄皆さんの御考のやうな頭を大衆に持たせると云ふことは困難です、そこで生産管理はいかぬのだ、いかぬのだと云ふことはどう云ふことかと云ふと、生産管理と云ふものは相手方の承諾を得ないでやるのだ、現在の状況はさうなんであります、其の事實を以てそれはいかぬのだ、それから所有權を侵犯するのだ、それはいかぬのだ、だから所有權を侵犯しないで相手方の同意を得たものは、それは生産管理と言ふ必要はありませぬ、併し今の言ふ生産管理と云ふ觀念は、經營者の意思に拘らずやつて行くのだ、隣の垣根を越して隣の地面を耕すのだと云ふ思想と觀念と云ふことに轉移して居ります、それであると、社會觀念は紊れてしまふ、或學者は生産管理は合法だと言つて居るが、今種田さんの仰つしやるやうなものぢやない、財産權を侵犯しても、それでも合法性ありと云ふ議論が世の中にある、それは間違つて居るのだ、私ははつきり其のことを申して居る、それを何とか生産管理の合法、非合法と云ふことを言ひましたら、又混線してしまひまして、是は收まりが付かない、だから生産管理と云ふものは、相手方の承諾を得てやれば、生産管理であらうと何であらうと惡くない、相手方の承諾よりもきついものはないのです、併し承諾を得ないでやることは、それは一切違法であるから何も效果はないと思ふのであります、是は定款で御決めになつて、勞働者にもやらせる、さう云ふ形は否定する譯ではありませぬ、さう云ふ風にどうぞ御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=22
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023・種田虎雄
○種田虎雄君 勿論政府としてはつきり仰つしやることも結構でありますけれども、一部の學者の方が色々言つて居られるのも、私の言つたやうな意味のことを矢張り言つて居られるのぢやないか、そこに言葉が足りなかつたのぢやないかと云ふやうな氣がするので今申上げたのでありますが、併しながら只今御話のやうに、要するに企業權を勞働者の力で以て乘つ取つてしまふのだ、さうして企業の經營を勞働者がやるのだ、斯う云ふ思想で生産管理を主張して居るのは、是は或一部の人の主張だと私は思ひます、それこそ思想的の背景がなければさう云ふことは言はれない筈でありますが、併しながらさうばかりでもないのぢやないか、世の中には多少そこに議論の分れる所もあり、又人の物を侵しても是は合法的であると云ふことを主張するのは、結局極端な現行法規を無視した議論だと思ふのであります、少くとも現行法規を前提とする議論ならばさう云ふことは言へない筈だ、若しもさう云ふ亂暴な議論をする人があるならば、法律を改正して後に主張せいと云ふことになるのでありますが、中には思想的背景を持つて主張して居る人もありますが、さうでなく、色々此の間も片倉さんも仰しやつて居りましたが、さう云ふ點が何かはつきりしないやうな風に聞えたものでありますから申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=23
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024・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私一昨日生産管理のことに付て御尋ねしました處、私の申上げることが下手なことと、又或は言葉の足りぬ關係で、どうもあれは生産管理のことが皆さんに多少の誤解と申しませうか、私が何か生産管理を謳歌してでも居るやうに聞えやしないか、謳歌と申しませぬでしたでせうが、兎に角私の申上げたことを、改めて辯明と申しますか、さう申すと可笑しいが、今少しく皆さんに尚申上げて御了解を得たいと思ふのでございます、只今御二人から私の生産管理に付て申上げたことに對して御話があつたのでありますが、御話の通りに、生産管理は何故に政府は之を御認めにならぬかと申した、私は政府は必ずや財産權、經營權は憲法で認められて居るのだから、合法的に非ざる生産管理は認めないと仰せられると私は信じて居つたのであります、處が大臣からは、それは財産權、經營權を認めないからして、それを犯すことになるから生産管理を認めないと云ふ御言葉を得た、私共もさう信じて居るのであります、さうして又一方、勞働權も認めて居つて、三權と申しませうか、二權と申しませうか、權利を認めて居ると云ふことになりますれば、昨日大臣からの御答もありまして能く分りましたが、現在の如き混沌たると申しませうか、どう行くか分らない所に……、私の考は少し進んで居るとは存じますが、現在のやうなことで、生活の關係で、賃銀を高くしなければいけないのだ、待遇を良くしなければいかぬと云ふことを叫びつつある時、斯くするも已むを得ぬ、所謂勞務者の要求を容れて其の儘行けば、恐らく私は日本の事業の經營と云ふものは出來得ないことになると思ふのであります、と申しますることは、何と致しましても、昨日も私ちよつと申上げましたが、新聞紙上で御承知でありませうけれども、考課状を見ましても、恐らく五「パーセント」と云ふやうなものでも利益が出て居る會社はないと思ひます、百の會社の中で五「パーセント」の利益を計上して居る會社はないと思ひます、此の分で行きますと、將來は何と言ひますか、財産權と申しますか、投資をする者は段々なくなつてしまつて、將來起きないでしまふ、起きることが出來ないのだ、結局現在の會社は破滅することになるから、此の際此の會社を活かして行くには、所謂勞働をする者と、さうして資本を持つて居る者と、經營をして居る者が一緒になつて、さうして會社を守り立てると云ふことにして行かなければならぬと思つて居るのでありますが、どう云ふ言葉が適當であるか知りませぬが、經營共同管理と申しませうか、經營管理と申しませうか、さう云ふ言葉を私は使つたのでありますが、さう云ふ意味から致しまして、どうしても三者が一緒になつて仕事をしなければならぬ、斯う申して、政府はそれに對してどう云ふ御考を持つて居られますかと伺つたのであります、大臣の御答としては、利益を勞働者にやるは宜いが、萬が一損が行つた時に賃銀を下げると云ふことになれば生活が出來得ないから、此の場合は考へる餘地があると云ふ御答であつたのであります、私もさう思ふのでありますが、併しながら假に是が勞務者が銘々で自分で仕事をして居る、之を考へて見まする場合に於ては、いけなくなれば、又自分が金がなくなつて食べられなくなる、其の場合も、中村男爵が御話のやうに、結局生活の爲に國家が心配をするとか、或は失業者の爲に國家が心配すると云ふことに依つて食べて行かれるやうにしなければならないのでございます、昔の言葉で言ひますれば、勞資協調と云ふことであります、どうしても氣持良く會社の經營が出來ると云ふことでなければならぬ、今後會社の經營はむづかしくなる、大臣の御話にも、所謂資本は大衆に分布されるのだと言はれましたが、是は御尤もであります、併しながら大衆に分布されても、資本と云ふものと勞働者とはどうしても結び付かなければ、今後の日本を再建することがむづかしいのでありますから、其のことに付て御役所に於ても御考を願ひたいと云ふことで私が申した積りであるのでありますから、昨日私の申しました生産管理と云ふことは、何も生産管理を謳歌した譯でもありませぬし、生産管理が非合法である、人の承諾を得ないで、さうして重役を追出して勞働者が來て、拵へた物を賣つて自分で勝手にすると云ふことは、社會の秩序の上から言つても何としても許すべからざることであると私は思ふのであります、それで私は唯會社と勞働者が一緒になつて、さうして會社を守り立てて事業の經營をして行くと云ふことに付て、最も良い方法を一つ御配慮を願つて置きたいと思ふのであります、自分の關係して居ります事業のことを此の席で申しますことは相濟まぬと思ふのでありますが、是も御參考に申して置きたいと思ひます、私も蠶絲業に從事致して居りまするが、蠶絲業法と云ふものが昨年の暮に議會を通過して現在行はれて居るのであります、それには蠶絲協同組合と云ふ協同組合が蠶絲業の中にありますので、現在私共は自分が株式會社として經營して居りまするが、或る工場、或る所を此の蠶絲協同組合に賃貸をするとか、或は共同出資をして、養蠶家と共に仕事をして、さうして詰り見返り物資として日本がなくてならない生絲を拵へる場合に於て、最も外國に向くやうな繭を拵へさして、さうして製絲をすることにして、御互ひに利潤を分け合ふやうに今やつて居るのであります、現在是も漸く一つ二つ出來ただけでありまして、其の業績と云ふものを見ることは出來ないのでありますが、私は此の業績と云ふものは必ず見るべきものがあつて、御國の爲に幾らでも盡すことが出來ると考へて居るのであります、是は唯養蠶家との關係でありますから、養蠶家が食べる食べられぬと云ふやうなこととは關係はないのでありますが、今後資本家と勞働者が結び付くと云ふことに付て、何等かの方法を政府として御考を戴くことに御願を致して私の質問を打切りたいのでありますが、私の言葉が足りないで、どうも生産管理と云ふことをすると云ふことが宜いと云ふやうな風に御聞き取りがあつたなら、それだけを御訂正願つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=24
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025・種田虎雄
○種田虎雄君 昨日本會議の席上で國有鐵道の「ゼネスト」が將に起らむとする時に當りまして、私としては政府の所信を質したのでありますが、斯う云ふ問題に付て、厚生大臣としてどう云ふ風に御取計ひになる積りでありますか、ちよつと伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=25
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026・河合良成
○國務大臣(河合良成君) あの鐵道の「ゼネスト」の問題の所管は實は運輸大臣になつて居りますので、直接私の方に於きまして此の問題をどうすると云ふ具體的の方針は私の方ではやつて居りませぬ、併し大體厚生省としまして、勞働問題全體に付て、從來の關係もあることでありますから、それに付て私の考を申上げますと、出来るだけの方法を以て之を未然に防止したいと云ふことで、政府を擧げて努力をして居ります、今朝程の閣議の席上に於ける情報では、大分好轉しさうな情勢にありました、昨夜十時位の情勢では非常に好轉しさうで、是では昨夜中に解決するかと云ふ見透しだつたさうですが、十時半頃から俄然又議論が激しくなつて來たと云ふことで、今暁二時頃迄掛つて到頭解決しなかつた、今朝十時から更にやつて居ると云ふことであります、其の後の情勢は知りませぬが、今朝程の樣子では又大分緩和されて來たと云ふ情報が入つて居ります、是は御承知の通り、法律上では如何ともすべからざる問題であります、此の法案が通りまして、此の法案が實施されますれば、公益事業でありますから、三十日間の猶豫期間を置かれる、其の間に新米の出る所では、米が足らぬと云ふことになれば東京に米を持つて來るとか、親戚に用事があれば其の用事を足すとか、三十日間あれば色々其の方法も講ぜられるだらうと云ふやうなことになつて居りますが、どうも此の勞働問題は、一昨日も吉田委員から御尋がありましたやうに、裁判で決めると云ふやうなことが出來ぬのです、事實の問題ですから、假に裁判で決めましても、「ストライキ」の原因が其の儘取れなければ又起されると云ふことで、國家の権力を以て、ものを裁判で決めて行くと云ふやうな意味に於て決めて行くと云ふやり方は出來ない、と言うて之を治安問題として彈壓して行く性質でないと云ふ問題になつて居りまするから、矢張り事實で解決して行くより外に仕方がないだらう、已むを得ざる場合には「ストライキ」の起ると云ふことも豫想しなくちやならぬのであります、併しながら輿論と云ふものもありまするし、又日本の現在の立場、占領治下にありまして、聯合國の目的遂行の爲にやつて居ることでありまするから、又日本再建の必要上やつて居ることでありまするから、輿論と云ふものもありませうし、勞務者の自覺も出て參りませうし、まあ何れかに付て解決の途はある、又それを政府も希望しまして、其の面に付て出來るだけの努力をして居ると云ふのが只今の實情であります、唯遺憾なことには、此の問題は大分政治的性質を帶びて居ります、此の點は甚だ殘念に思つて居るのでありまして、勞働運動が政治問題化しますると、是は餘程性質が變つて參りますので、之に對しては只今政府としては非常に苦慮して居ると云ふ風に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=26
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027・種田虎雄
○種田虎雄君 實は國鐵の爭ひは兩當事者共今困つて居るのぢやないかと云ふ風に考へるのであります、實は今御話の中にありましたが、多少第三者の意向が反映して居るのぢやないかと云ふ風にも考へられるのでありまするが、今日となると兩方共、政府側も從業者側も自己の主張に囚はれ過ぎて、まあ互に面目を傷付けると云ふやうなことで「デッドロック」に入つて居ると云ふやうな感が深いのでありますが、さう云ふ問題に付て、厚生大臣のやうな中正な立場にある御方、或は總理大臣が自から御出になり、何か双方に向つて多少の仲裁をなさるやうな御考でもありませうか、さう云ふ御意向はどんなものでせうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=27
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028・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 中央勞働委員會と云ふものは、御承知の通り勞働組合法に依つて出來て居りまして、是が專らさう云ふ職責をやつて行く、強制的の調停は致しませぬけれども、出來るだけ任意の調停を受けると云ふので、昨日あたりからさう云ふ面からも大分働き掛けて居るやうであります、政府もさう云ふことを希望して居ります、希望して居りまするけれども、まだ從業員側の方で其の方を承諾致しませぬで、其の方には今朝の情報ではまだ掛つて居りませぬ、厚生大臣なり總理大臣に於て今どうすると云ふ考は持ちませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=28
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029・吉田久
○吉田久君 大臣も御出席を得まして、先程私が政府當局に申上げましたことの一つ二つを特に申上げて御一考を願ひたいと思ひます、大體のことは政府委員から一つ御聞き及びを願ふことに致しまして、私は先程申上げたことの中に、どうも是迄の勞働者の勞働運動が適法の埓を超えて居るのではないか、進んでは犯罪行爲を構成するものでありはせぬかと云ふことを申上げたのであります、只今大臣は、本調整法でも出來れば、此の調整法で現在の爭議の如きも何とかなるだらうが、併し此の調整法が出來ない限りは如何とも仕方がない、手も足も出しやうがないと云ふやうな御言葉でありましたが、私は今申しましたやうに、どうも從業員の爭議に關して執つて居る行動が適法の枠を超えて居るものがあると云ふやうに思つて居るのでございます、其の一つ二つを申上げますれば、新聞の記事に、十五日から決行すべき電車と汽車の運轉計畫を發表して、之を掲載せしめて居ることである、併し此の運轉計畫は經營者である所の當局が行ふべきでありまして、從業員が之を行ふべき權利はないと思ひます、故に經營者としては、さう云ふやうなことは發表してはならぬと云うて差止める權利があると思ふのであります、それにも拘らず尚それを肯かないで反抗をして、さうして自分勝手な運轉計畫を發表すると云ふことになりましたならば、是は正當なる業務の執行を妨害するものであります、即ち業務妨害の犯罪行爲を構成することになる、斯う思ふのであります、それからもう一つは馘首絶對反對と云ふ文字を車體に大きく書き出して、其の車體を運轉して居ると云ふ、又鐵道の建物其の他に馘首反對と云ふ大きな文字を掲出致して居ると云ふこと、斯樣なことも亦從業員としては、之を掲出し書出す所の權能を持つて居らないと私は思ふのであります、車體に致しましても、建物に致しましても、同樣な文字を「ペンキ」を以て書き列ねて居るやうでありまするが、左樣なことは一種の器物毀損であります、器物を毀損することであります、丁度我々が着て居る所の着物に字を書くのと同じであると思ふのであります、器物毀損罪として犯罪行爲を構成すると私は考へるのであります、左樣な犯罪行爲の數々が拾ひ上げました所でもあるのにも拘らず、鐡道當局は之を顧みないで見ない振りをされて居ると云ふことは誠に遺憾であると云ふことを申述べたのであります、どうか此の點に付きましては木村司法大臣にも申上げて下さいまして、私の述べて居ることが間違つて居れば私は無論撤囘致します、併し只今の處では私は間違つて居らないと考へて居るのでありますから、若しもそれが間違ひでなければそれは犯罪行爲である、而も現に行はれて居る犯罪行爲でありまするから、之を摘發しなければならない、之を摘發するのには進んで檢察當局の發動を促すことも出來ようと思ふのであります、斯樣なことは機宜を失しない中にやらなければ效力がないのでありまするから、どうか此の點は一つ運輸相竝に法相とも御相談を願ひまして、どうか機宜を誤らない措置を構じて戴きたいものである、斯樣に考へて居るのであります、併しながら私が考へることは爭議に對する彈壓を主張するものであると取られては困るのであります、爭議に付てはもつと道理を以て話合ひ和解をすると云ふことに解決の根本がなければならぬ、徒らに彈壓を加へましても、決してそこに圓滿なる話合と云ふものは出來るものではないのであります、どうか私の申上げることが彈壓を加へる方が宜いのだと、さう云ふ意味に於て申上げるのではないことも能く御了承を願ひたいと思ふのであります、尚其の外に從業員の執つて居る行爲に付ても、甚だ面白くないことを一つ申上げて見ますれば、昨日あたりから停車場の「プラットホーム」に於て擴聲器を使用して從業員が、十五日「ゼネ・スト」を擧行するに付ては當日の旅行を見合せて下さい、更に進んでは我々の鬪爭を支援して貰ひたいと云ふことを放送致して居ります、それから各所に鐡道の建物に、十五日から「ゼネ・スト」を決行するからどうか支援して貰ひたいと云ふ掲示をして居る、鐡道以外の建物に之を掲示すると云ふことは自由でせうが、併しながら建物の經營者の許可を得ないで掲示をすると云ふことは是は許されない、違法行爲であると見るのであります、又擴聲器を使つて「ゼネ・スト」の實行を放送すると云ふが如きも、是も私は彼等として爲し得べき枠の範圍を超えて居る所爲であると思ふのであります、左樣なことに付きましては、鐡道當局も嚴に是は取締つて宜しいと思ふのでありまするが、斯う云ふことが平然として行はれて居る彼等は之を適法なる爭議行爲であるとして居るのでありまするが、是は私は間違ひで、爲し得ないことであると思ふのでありますが、併し掲示に致しましても、又放送に致しましても、それはまあ暫く眼を瞑つて置きましても、私が以上述べました運轉計畫を發表して、さうして十五日から「ゼネ・スト」を決行するのだから左樣心得ろと云ふやうなことを勝手に公衆に自己の主張を貫徹、斷行する、又馘首絶對反對と云ふやうなことを掲出すると云ふことは、是は明かに犯罪であると云ふことを確信致して居るのでありまするから、どうか今の御論で、どうも法律の上では手も足も出ないのだと云ふ御答に付ては、尚御考をして戴く餘地があらうと思ふのであります、どうか一つ其の點に付て尚厚生大臣の御考があらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=29
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030・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の御意見は御尤もの點が多分にありますので、是は組合法に依つて正常なる爭議行爲に付ては業務妨害罪などは成立されないことになつて居りますが、正當の埓外を超えたものは矢張り犯罪であると云ふ風に解釋すべきものでありまして、其の點に付ては司法當局も其のやうに考へて居ることであらうと思つて居ります、又司法大臣は居りませぬけれども、御質問の趣旨は司法大臣なり運輸大臣に御傳へすることとに致します、それでまあ其の具體的な例としまして、經營管理、所謂生産管理と申しますか、經營管理、是は事態が經營管理でないと云ふことになれば取締ります、只今の時間の發表などと云ふものはどう云ふやうに處置すべきものでありまするか、私共は法律上の解釋は付きませぬが、公の車を使用すると云ふことは私も面白くないと思つて居ります、斯う云ふ問題に付きまして專門的に運輸省の考もありませうし、又司法省の考へもあることと思ひますから、能く御質問の趣旨を御傳へしたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=30
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031・吉田久
○吉田久君 今の時間表の發表でありますが、是は時間表はどんな工合に決めて運轉すると云ふことは、私の考では經營者の定むべき所であつて、從業員の定むべき所でない、定めることの出來ないことを敢てすると云ふことは是は違法である、そこで其の違法行爲を當局者の方から止めろ、斯う云ふ發表をしてならぬと云ふことを止めることが出來るだらうと思ひます、止めても、いや、さう云ふことは我々として出來るのだと云つて反抗をして發表すると云ふことになりますと、正當なる業務の執行を妨げると云ふことに私は言つて宜からう、さう云ふ意味に於て業務の妨害罪を構成するのぢやなからうかと云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=31
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032・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 休憩致します、午後は一時から開會致します
午前十一時五十一分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=32
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033・会議録情報3
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午後一時二十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=33
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034・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 休憩前に引續き開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=34
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035・山根健男
○男爵山根健男君 簡單に御質問申上げて置きます、それは此の法案の施行期日の問題であります、今朝種田君への御答辯の中に、此の法案でもあつたらば三十日の餘裕があり、新米を運べたのにと云ふ詠嘆があつたやうに思ひます、是は此の法案が貴族院を通過致しますれば、直ちに施行される御心組でございますか、ちよつと御伺ひ致します、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=35
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036・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 此の法案の施行期日に付ては、今の處何もまだ政府では決めて居りませぬ、それで衆議院で附帶決議が付いて居りまして、此の法案の施行期日に付ては、政治的な色々な情勢と稽へて考慮して呉れと云ふ附帶決議が付いて居ります、政府は其の意味は尊重すると云ふ御答をして居ります、それだけのことで、まだ何時から實施すると云ふことは決つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=36
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037・山根健男
○男爵山根健男君 今朝程の御口吻やら、又仄聞する所に依りますと、此の法案が早く通つたならばと云ふ御意嚮があるやうに漏れ承つたものですから、御質問を申上げたのであります、併し是は勿論此の法案の基準となる勞働基準法と云ふものの全貌が分らなければ、此の法案の審議を進めることが困難だとさへ衆議院では言はれた問題でありますので、私は今朝程の大臣の御口吻は、少しく受取れなかつたので、此の御質問を申上げたのであります、此の數日來最も問題になつて居ります國鐡「ゼネスト」の問題に對しましても、色々政府側に於ても、又勞働組合の方の側に於ても、色々と學ぶべき點が其の一つの經験から生ずると考へるのであります、從つて此の勞働調整法の内容に對しても、此の結果に依つては、又一つの大きい示唆と檢討を必要とするのではないかと考へるのであります、貴族院としては愼重に此の「ゼネスト」の成行を見て、十分に審議したいとさへ考へて居ります、從つて大臣の今朝程の御口吻などから見て、何か御急ぎのやうな御考と、之を直ちに……斯う云ふものがあれば、此の「ゼネスト」にも間に合つたんぢやないか、或は之を適用して、何か一つの方法を講じたいと云ふやうな御氣持が少しでもあつたのではないかと云ふ意味で、御質問したのでありますが、後半に私が申上げましたやうに、此の「ゼネスト」の成行を監視して、貴族院が愼重に此の内容を再檢討すると云ふことに對しまする大臣の御考を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=37
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038・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 今朝程御答へ申上げましたのは、斯う云ふ「ゼネスト」が起るから、現實に考へても斯う云ふ勞働調整法の必要があるんだと云ふことを申上げたので、此の「ゼネスト」に之を適用したかつたと云ふことの具體的問題を申したのぢやありませぬ、それから大體御承知の通りに此の法案は、總ての爭議に關する問題でありまして、只今起きむとして居るとか云ふ一つの問題を捉へて、どうと云ふことではありませぬ、もつと大所高所から見た、長い間の問題、又世界の大勢から見た問題であります、さう云ふ風に御承知を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=38
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039・山根健男
○男爵山根健男君 私の質問は是で終まりす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=39
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040・中山太一
○中山太一君 運輸省に於て鐵道關係の従業員を解雇されると云ふことに付ては、相當に當局としては御考があるだらうと思ひますが、今日從業員の方の要求から見ると、如何なる理由があつても、殆ど解雇が出來ないやうな立場になるやうでありますが、本日資料として戴きました「アメリカ」の勞働條件等の抜萃されて居るものの中でも、解雇の理由として「現在アメリカに於て行はれてゐる勞働協約に於ては、正當な解雇の理由を明示し、以て專斷的な解雇を豫防せんとしてゐるものが多い。」と云ふことが擧げてあります、其の理由として擧げられて居るものは、通常不正直である、不從順である、無能である、酒癖、協約違反、又許可なき作業停止、一時解雇後呼戻しを受けて一定期間内に作業に復歸せざること等であつて、それから豫告に付ても「使用者が勞働者の解雇をなすには、個々の勞働者又は組合にその豫告をなすべきことを規定してゐる協約が多い。」それから「豫告期間は二十四時間から二週間まで色々のものがある、組合は此の期間中に事實調査をなし、必要な場合は抗議する、又協約によつては、解雇前一囘乃至二囘警告を發すべきことを定めてゐるものもある。但し不正直又は重大な非行の場合には警告又は豫告なくして直ちに解雇し得るものとしてゐるのが普通である。」斯う云ふやうに、どんな暴行があつても、不當なことがあつても、從業員として爲さねばならぬことに對して不正直であり、不從順であり、又は無能であつても解雇が出來ぬと云ふ、團體の力で之を絶對に拒否すると云ふ、そんな不合理なことはない筈のやうに思ひますが、厚生大臣又は運輸大臣は、此の鐵道の解雇に對しては、相當な、已むを得ない理由があるのだと思ひますが、之に對しての御考を聽かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=40
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041・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 今度の鐵道の爭議も、要するに大量の馘首の必要に迫られたので起きた問題であります、併しながら今の鐵道爭議に於きましては、何でも馘首すると云ふことはないのでありまして、此處に書いてありまするやうな惡質の者や、業務に不熱心な者とか云ふ者が、實際の問題としましては、そこに入りまするけれども、全體から見まして、昨日の貴族院の本會議で内容を申上げました通り、非常に人が多いのでありまして、どうしても何等かの方法に依つて整理しなければならぬと云ふことを考へて居ります、大體戰爭の後を受けて、戰時中の態勢が其の儘になつて居りまするので、茲に鐵道の運營に付て合理的に之を處理しなければならぬと云ふので、先づ第一番に、多い所は非常に多いし、不足して困つて居る所もありまするので、之をば如何に整理をしようかと云ふことを考へまして、配置の轉換を行ふ、さうしますると、自然の結果、鐵道の從業員に對して一定の所謂定員が必要でありますので、其の定員が決りますると、結局そこで餘る人をどうするかと云ふ問題になるのであります、餘つた者の中、實際に惡質の者や、或は年少者――十六歳未満の者が七萬五千人も居りまするので、斯う云ふやうな者は辭めましても直接の失業者にならぬぢやないかと云ふことで、先般勞働組合とも話合をしまして、定員が四十八萬、配置轉換をやつて合理的に運營する場合には、四十八萬あれば宜いと云ふことの意見の一致を見たのであります、其の結果それで餘つた者を全部辭めると云ふことは非常に組合としても困るから、もう二萬人豫備員として認めて呉れと云ふことであつたので、是は一應認めたのでありまして、それ以上の者は、是はどうしても辭めなければならぬと云ふ立場になつたのでありますが、其の辭める場合に、どう云ふ者を辭めるかと云ふことは、先程から申上げた通りでありまして、是は當然行はなければならぬものと私は考へて居るのであります、一應組合も此の案に對して同意をしたのでありまするけれども、外部の指導と云ひますか、或は外部の刺戟に依つて、其の協定を向ふが一方的に破棄して、今日の爭議に入つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=41
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042・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 本日午前の松本男爵の鐵道「ゼネスト」に對する質疑に付きまして、平塚國務大臣から答辯願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=42
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043・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 昨日、本會議で大體の内容を申上げましたが、其の後の變化に付て申上げたいと思ひます、國鐵の從業員組合の總聯合會がありまして、總聯合會との交渉になつて居るのでありますが、新聞に出て居りまする通り、西の方の組合は「ゼネスト」には反對だと云ふことを決議して居ります、又只今迄入りました情報に依りますると、仙臺も大體に於て「ゼネスト」は反對だと云ふ行動を執つて居ります、北海道と新潟は多少内輪揉めして居りまするけれども、大體に於て本部の指令に從ふと云ふことになつて居るのでありまするが、總聯合の資格を取りますれば、既に半數以上の者が反對して居つて、總聯合を相手にして本案は話を進める必要はないと私は思ふのでありまするけれども、矢張り其の體制を向ふが守つて交渉すると云ふ申込がありまする爲に……、又西部の方の組合は、我々は反對して居るのだから、從來の總聯合でなく、我我の團體を認めて貰つて、我々が協定に入りたいと云ふことを申込んで來て居るのであります、是は昨日の情報でありますが、そこで私の方は出來るなら總聯合に一緒になつたらと申しますると、片つ方は「ゼネスト」をする者と一緒になる譯には行かぬから、皆の方が纒まつて來れば相手にしない譯には行かぬだらう、西は西の團體として交渉しようと云ふ態度を執つて居ります、又東の方に對しては餘り理窟がましいことを私から言ひませぬで、まあ今迄通り協議に入らうぢやないかと云ふので、元々協議を繼續中であつて、向ふが大會を開く爲に暫く休んで居つたことでありまするので、昨日から改めて協議に入つたのであります、所が矢張り協議に入りましても、當局の方針は一應白紙に戻せと云ふことを強く主張して來て居ります、是は午後衆議院の本會議が濟みました後、運輸大臣としては議會に於て經營の合理化に對する方針は變へないと云ふことを聲明して居るのだから、絶對に取消す譯には行かぬと… さうして居る中に社會黨から五人代表者を選んで、總理大臣と私に會見を申込んで來ました、是は承つて見ますと、もう此處迄行つたのを打開するには、一應白紙にして行つたらどうか、どうも彼等の「ゼネスト」をやるのは、別の目的でやつて居るやうに思はれる、一種の社會攪亂、或は吉田内閣の打倒と云ふやうな、政治的な意味が強いやうである、若し決裂して「ゼネスト」に入ると、それに從來色々な團體が後援して居りまするから、方々の方面でさう言つたやうな「ストライキ」のことが起ると云ふことは、敗戰日本の今日甚だ好ましからざることであるのだがら、それまで大きな犠牲を拂はなくても一應解消したらどうかと云ふ申入れがあつたのであります、總理大臣と私が會ひまして、御趣旨は能く分りました、是から閣議に諮つて相談をして見ます、それ以外には御返事は出來ないと云うて別れたのであります、同時に臨時閣議を開きまして、政府の態度を發表する必要があると云ふので、新聞に今朝出て居つた通り、日本の復興の爲にはどうしても國有鐵道の合理的經營をしなければならぬ、此の方針は政府は飽く迄も通すと云ふ意味で發表致しました、それが出ましてから私は次官を呼んで、斯う云ふ政府の態度である、方針である、從つて、今迄のことを一切解消せい、或は白紙になれなんと云ふやうなことには絶對に應じない、併しながら協議は何處迄もやつて行かうぢやないかと……、どうもなかなか乘つて來ませぬので、第三者を入れたらどうかと云ふことを提案しましたが、是も應じませぬ、偶偶中央勞働委員會の末廣さんが御見えになりまして、非常に憂慮すべき事柄であるから、何とか委員會を代表してでなく、個人として斡旋をしようと云ふので、從業員と相當長い時間會つて、さうして其處で一つの妥協的の案が生れたのであります、是は當局とも相談して案を作りまして、十時頃迄協議をしたのであります、大體好ささうになりまして、是ならば妥結するのぢやないかと思つて居る中に、新聞記者が多勢居る中に共産黨が混つて居つて、それが委員を一人呼んで何か話した處が、今度は引つ繰り返つて全部駄目だと云ふ風に破壞的に出て來たのであります、是はどうしても共産黨に動かされて居るのであります、此の委員會として決めたことでも、又持つて行つて駄目と云ふと效果はなくなる、從つて當局としては責任者が出て居るのだけれども、相手には責任者がないのであります、誠に困つた問題で、是は第三者の手に掛けた方が宜いぢやないかと思つて居つたのでありますが、又今朝二時迄協議致しましたけれども、到頭決まりませぬで、明日迄延ばさうと云ふことで、今朝早く報告告を取りまして、それから丁度閣議があつたので、どうも是は中央勞働委員會に持出す方が宜いぢやないか、互に拘はらぬでも宜からう、「ゼネスト」は絶對避けなければならぬと云ふ私の考を述べまして、さう云ふ方針で交渉して行くと云ふのでやつて居るのでありますが、今此處に局長が情報を齎らして來て居りますが、經營の合理化の爲の配置轉換と云ふことは向ふも認めて居ります、又惡質の者の整理も組合自らの責任に於てやるとか、一切を白紙にすると斯う云ふことはなしになる譯でありますから、再び出發することは困難になります、唯向ふは輿論が隨いて來て居るのではありませぬ、さうして全體の四分の一位の者が勝手に「ゼネスト」をやると云ふことは、是はやることは出來ぬと云ふ見透しが付いたのではないかと思はれます、今の局長の報告ですと、大體決つたと云ふのであります、それは向ふが七月二十四日の職員局長の發表した案を撤回して呉れ、斯う云ふことであります、是は其の整理の結果大凡七萬五千人位辭めなければならぬと云ふことを是は政府が發表したのではないのです、局長の名に於て組合に見せたものなのであります、それを捉へて大量馘首反對と云ふことが起きたのであります、それには凡そ七萬五千位整理をしなければならぬと云ふのが一つの案になつて居る、それを七月二十四日の案を撤囘して呉れ、併し經營の合理化には入る、配置轉換もやる、又惡質の者も辭める、斯う云ふことになりますると、結局私の考としては、今それを私の方から撤囘しましても、實際の整理に入れば何萬人か餘ることは既定の事実であります、從つて組合も多い者を遊ばして置くとか、配置轉換して要らない者は何處かへ纒まらなければならぬ、それを抱へ込んで置くことは出來ないのでありますから、自然の結果整理に入らなければならぬ、唯七萬五千と云ふものを撤囘して呉れと云ふ要求でありまするから、私は先程連絡を執つて、其の程度なら一應受けても宜いぢやないかと言つたら、大體それを認めるならば「ゼネスト」は止める、さうして引續いて是から委員會でも作つて、根本的に此の整理に入ると云ふことを向ふが多分同意したらうと思つて居ります、まだ内容は會談をして居りませぬけれども、大體解決したと云ふ今局長の報告であります、それから船の方は新聞等で非常に大きく出て居りまするが、昨日迄の運營會の各地からの報告に依りますと、荷物を積み終つて出帆をしない船は二十艘しかありませぬ、何千艘とか、何百艘とか書いてありますが、是は元々港ですから、空船もありますし、繋船して居りますものもあり、復員の仕事をして居るものもあります、さう云ふものを合せたものは何百艘ある筈でありますが、實際に「ストライキ」をやつて居るものは僅かに二十艘であります、是も末弘氏に御願して、何とか中へ入つて呉れぬかと言ひましたら、まあ大したことをやつて居るんぢやないのだから二三日空氣を見て又中へ入る必要が現はれたら入つても宜いと云ふことでありますので、鐵道の方が茲で一應解決致しますれば直ちに船の方の爭議の解決に入りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=43
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044・松本本松
○男爵松本本松君 段々と細かく御説明を戴きまして有難うございます、實は午前あの質問を申上げましたのは、餘り突込んで色々なことを伺ひまのすと、政府の御迷惑にもなつたりするやうなことがおありだらうと思つて、大變ぼんやりした御質問を致した譯であります、只今の御答辯に依りまして、蔭で明かに共産黨が云々と云ふ御話を承りまして、さもあるべきことではなかつたかと云ふやうな納得が參つたのであります、本法案も非常に努力をして御作りになつて、假令通過致しましても、さう云ふやうな蔭に働く勢力に左右されるやうなことでございましたなら、幾ら審議を盡して拵へて見ましても何もならぬものになりはせぬかと思ふのです、それで只今の御話の末弘さんと云ふやうな第三者の有力者が最後の調停後になると云ふやうなことが大變に必要なことになるのではないかと思ひます、事が政府との對立であるが爲に、さう云ふ第三者の役目と云ふものが大きな役割をするのではないかと存じます、さう云ふ點に付きまして今後とも政府に於かれましても、特別に注意をなさつて戴きますやうに希望を述べて私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=44
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045・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 附加へて申上げますが、只今の解決したと云ふことは、委員と當局との間の話が付いたのでありまして、之を鬪爭委員會に又掛けまして、是が承認した時に本決りになるのでございますが、委員の方の話ですと、鬪爭委員會は通ると云ふ見透しであると云ふことを附加へて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=45
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046・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 平塚運輸大臣は他に御用件があつて御急ぎださうでございますが、質疑のある方は引續いて御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=46
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047・中山太一
○中山太一君 ちよつと重要な問題で御伺ひをしたい、大變に運輸當局の御苦心、御苦勞に對しては御同情を申上げ、又國民として心から感謝する次第でありまして、さうして色々御盡力の結果、双方に非常に圓滿に行くと云ふことは、是は國家も勤勞者も共に幸福なことで此の上もないことでありますが、私は此の問題が起つた時から考へて居つた、今日は是非國務大臣においで願つて質問したいと思つて、丁度好い時でありますから、……厚生大臣も亦内閣の各大臣も共同責任を持つて斯う云ふことには當つて貰はなければならぬのぢやないか、唯一關係省だけでない、それで之に付て二通りの考へ方がありますが、一體政府は失業を防止する積りか、失業を救濟する積りか、厚生省の大方針は失業救濟にあるか、失業防止にあるか、此の根本的の方針を樹てて置かなければいけないのではないか、それで色々の生存權を尊重するとか、色々の意味に於て生活保護法其の他もあるけれども、實際言へば救貧も必要だ、防貧も必要だ、失業救濟も必要だが、失業防止と云ふことに重點を置かなければならぬのではないか、是が缺けて居たのではないか、それで已むを得ず鐡道其の他の方面に於て合理化の爲に喧嘩をされなければならぬ、是には色々意見もありませうが、斯う云ふ場合には其の失業者を一應貧困生活迄落して置いて救濟するのでなくして、直ちに何處かに職を與へる、七萬人の者を路頭に迷はせる時に、例へば二萬でも三萬でも向ふに希望する者があるならば、それに轉換が出來るやうな準備を、政府が外の機關に於て、他の厚生省の機關に於て御作りになつて置くのが必要ぢやないか、是が物の善惡しと云ふよりも、實際に我々が失業すると云ふ時にそれに直面した人の方は、それが五人十人ぢやない、何萬と云ふ時に、其の者の心持、立場に付ては十分に理解同情をしてやらなければならぬ、此の點が日本の政府の政策の缺點だと思ひます、必要な時にはどんどん使つて置いて、さうして困る時には色々な事情があるのだらうがそれはいかぬ、今度産業家が色々の補償打切り或は貯金の封鎖、又賠償方法、是は自分が好むと好まざるとに拘らず、整理しなければならぬことであるが、其の時に矢張り長く使ひもし、協力した關係から、それには血もあり涙もある心持を以て、實際出來る限り解雇しない、不良の者は別でありますけれども、已むを得ず整理しなければらぬ時には、之を何か他に新しい仕事があればそれに振向けるやうにする、是が今日の産業人に對する心盡しであると思ふ、それでもどうしても他に振向ける餘地がないならば、已むを得ず泣いて別れなければならぬ、鐵道では隨分苦心されて居るやうであるけれども、それは運輸省一省だけではなくして、外の方でもあれだけ失業者に對する豫算を出されて居るのであるから、内閣としては、それを十分活用するやうにおやりにならなければならぬ、若し整理された者が翌日の生活に不安を感ずるやうなことがあつては、私は善政とは言へないと思ひます、無事に濟むことは誠に有難い、結構でありますが、此の問題に對してはもう少し官民共に一つ深切な心持を以て用意をして行く、さうして理窟からどつちが善い惡いと言ふよりも、同じ人間である限りは、法を超越して、今少し人間らしい措置を講じて貰ひたい、我々も一産業人としてやれるだけやつて、所謂血もあり涙もある方法でやつて、それでもどうしても已むを得ないものは辛抱して貰ふ、是が必要だと思ひます、今の政治的な、思想的な動きでは、當局がどんなに御苦心になつても、其の御心盡しが報いられぬことが多い、兎も角當局の御苦心のある所を能く國民に理解させることが必要であります、厚生大臣又は今囘の大問題の中心になりました又輸大臣は、一體失業を防止される御考であるか、或は又救濟される御考であるか、何れにしても今度のやうな時には、もう少し表裏一體の下に、此の施策が行はれて居なければならぬと思ひます、我々が失業して、明日からどうして生きれば宜いかと云ふ立場になつて、それが何萬と云ふ集團の心理上どんな運動になるか、どんな空氣になるかと云ふことを能く考へなければならぬ、是は政治上極めて大切な問題だと思ひますから、運輸大臣から一つ御考を御聽かせ戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=47
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048・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 一般の失業者の問題に對しては厚生大臣から御答辯を願ひますが、私の所管の失業者に對しまする私の考なり方針と致しましては、御説の通り個々の失業者になる者は、是は大きな問題でありますから、農村から出て居る多くの若い男女は、成るべく家庭に歸つて生産部面で働いて貰へば宜いので、是は本當の失業者にはならぬと斯う云ふ解釋をして居ります、其の他の者に對しましては、運輸省としては外部に色々な施設なり機關を持つて居りますので、斯う云ふものを通じて、出來るだけ轉業の斡旋をさせると云ふことに前から手配をして居りまして、整理をしたから直ぐ失業者を出すと云やうなことを避けたいと思ひます、出來るだけ轉換の途を開いて行きたいと思つて居ります、是は一般の方と違ひまして、さう大量でないのでありまして、私は或程度迄私の考が實行出來ると思つて居ります、餘つたからと云つて直ちに之を整理すると云ふことは、當事者として誠に忍びない所であります、それでありますから馘首の前提としてさう云ふことを考へて、成るべく最少限度に失業者を喰止めたいと云ふ方針でやつて居ります、又船の方は、是は數はさう多くありませぬけれども、將來に亙つて大きな問題になるのぢやないかと思つて居りますが、是は戰時中……現在でもさうでありますが、船員と云ふものは全部國家の徴用になつて居ります、從つて現在船員と云ふものは五萬三千人居りますが、其の中、船に乘つて居る者は二萬四千人、それから「アメリカ」から借りた船に乘つて船員の仕事をして居る者が約一萬四千人、合計三萬八千人でありまして、殘りの一萬五千人と云ふものは是は完全に船無しで遊んで居る、之をどうするか、今國家の費用で豫備船員として養つて居るのでありますが、之を何時迄も此の儘にして置く譯に行かぬと思ひまして、此の失業者に對しましても……殊に船員と云ふものは御承知の通り戰爭に於て軍人以上の危險を冒し、又死んだ率も軍人より遙かに昂まつて居るのでありまして、日本海運を再建させる爲にも、又過去の業績に鑑みましても、何とか失業者にならないやうにしてやらなければならぬと云ふので、運輸省と致しましては船主竝船に關係して居る方々に呼び掛けて、船員の失業對策委員會を組織致して居るのであります、さうして之に諮つて、何とかして船員の失業者を出さぬやうにと云ふことで色々協議を重ねて居るのであります、大體の方針と致しましては、非常に優秀な船員を多く失ひましたので、それを補充するには、どうしても政府の教育を施した者でなければ本當の船員でありませぬ、それで青年にして將來見込のあるやうな者を凡そ五千人位、高等商船學校、地方商船學校に非常に無理でありますけれども收容して、何年か再教育を施さうぢやないかと云ふ案を立てて居ります、あとの一萬に對しては沈没船引揚であるとか、或は陸海軍工廠の船に關係するものの跡始末をするとか云ふやうな工合で、出來るだけ轉業が出來るやうに整理をしたいと思つて居ります、是は運輸省としては全體の數が厚生省よりも非常に少いのでありますから、私の方としては成るべく厚生省の手に掛らないやうにして、大體處理が出來るのぢやないか、それ迄は今運營會と云ふものが政府の補助に依つて賄つて居るのでありまして、之を早晩解體しなければならぬ、其の解體の時期迄に大體政府の方針を立てて行きたいと云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=48
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049・中山太一
○中山太一君 運輸大臣は御急ぎのやうでありますから、もう一つ關聯したことでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=49
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050・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 直接國鐵「デモ」に關する御質疑のみに願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=50
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051・中山太一
○中山太一君 承知致しました、只今のやうに同じ失職しても、其の後の所迄御考になつて居る、色々御心盡しになつて居ることが、今度の問題の時にも、矢張り適當な方法で發表されるやうにして行つたならば、社會にも能く分る、それから相手の方も能く行くと思ふから此の點に萬遺憾ないことと思ひますけれども、十分に御心盡しのことが、徹底するやうに願ひたい、最初に我々が考へてもおかしく感じたのは、女子及び若い者、それと頭の上の方の者を解雇する、是は何か今日男女同權が唱へられて居る時に、婦人の弱いのに付け込んで差別待遇のやうな風になつて、是は非常に誤解を生ずるあの表現の仕方は必ずしも上手ではなかつたと云ふことが分る、それで今御話のやうな意味の、相當失職しても家庭の生活に困らないやうな實力のある者を、了解を得て辛抱して貰ふ、それに重點を置いた意味であると誤解はないと思ひますが、是は表現の仕方に非常に妙な刺戟を與へたやうに思ひます、それから合理化が必ずしも利益ぢやない、是は現大臣の責任ぢやないけれども、二十幾萬で濟んだものが其の倍以上になつて居る、合理化は其の當初に適當な人だけを殖やせば宜いのに、殖やす方を無暗にどんどん殖やして居つて、復員があることは一年前に分つて居る、又半年前に分つて居る、それにどんどん無計畫で使つて行つたことは必ずしも勞働者だけの責任じやない、當局の經營の上に於ける大きな責任であり、私は過失だと思ふ、合理化はそんなものではない、合理化は無駄を省いて、資材の無駄、勞力の無駄、其の他の經營の無駄を省く意味であつて、無暗にどんどん入れて置いて、首切りするのが合理化ぢやない、斯う云ふことに付て合理化をしなければならぬ、産業合理化の性格を改善することが大切な問題であるから、合理化と云ふ言葉を濫用されると云ふと首切りのあれは一つの誤解で、却つて日本の産業を建全に能率的に經營しなければならぬ上に大きな支障になると思ひますから、用語の上にも十分留意して戰きたいと思ひます、是は私共は直接關係するのでございますから、大臣も此の點に十分御承知になつて居りますから、了解はしましたけれども、誤解のあることだけを御考へ願つて善處して戴きたい、それに付て御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=51
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052・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 御説御尤もであります、私の考と大體一致して居るので、其の通り實行したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=52
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053・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 先程の中山委員の御尋ねに御答へ致しますが、失業防止と失業救濟と云ふことに付ての御尋ねでありましたが、大體此の失業防止と云ふ面は各省政府全體に於てやつて居る面が多いのであります、さうして失業救濟と云ふ面が主に厚生省中心でやつて居ると申上げて宜いのぢやないかと思ひます、勿論厚生省は經濟安定本部の計畫に依つてやつて行く譯であります、併し此の二つのことをはつきり分けて申すことがちよつと出來にくいやうな事情で、皆一つの線の問題ですから……それで大體の此の失業の原因を見ますると、海外の引揚者が約四百萬人位になります、復員軍人、それから軍需工業を終戰後直ちに辭めました爲に事業の廢止と云ふ問題に依つて起りました斯う云ふ方面が、非常に御承知の通り失業問題の最も重大なる原因を成して居るのでありまして、此の面の大部分は今矢張り失業救濟と云ふ面を相當重きを置いて考へて行かなくちやならぬのではないか、それからもう一つの失業の原因は、最近の軍需補償の打切りに依る解雇問題、それから産業再建の立場から見ました企業の合理化と云ふやうな問題、さう云ふ面が防止の中心になるのぢやないか、併しながら先程申しました面に付ても防止と云ふ言葉が當嵌まるのもありませうし、後の方に申したのに救濟と云ふ問題が起ると云ふ風に、兩方絡んで來る譯だと思ひますが、それでは防止方法と云ふのはどう云ふことを中心に考へて居るかと云ふと、是も一言にして申せば、民需産業と農業との活溌化の問題、此の二つが防止面の今一番重大な問題になつて來るのであります、民需産業の問題は、申す迄もなく今日の資材の非常に不足と云ふ問題、殊に石炭の問題が其の殆ど中心を成して居る問題だと云ふ風に考へて居ります、それから農業の問題は、是は色々先程救濟面と云ひ、防止面と云つた中で歸農なり開墾の方へ大分行つて參りまするから、是は防止と申して宜いか救濟と申して宜いか、兩方の場面があらうと思ひます、さう云ふやうな氣持で此の問題を取扱つて行つて居るのでありまして、勿論今の御話の通り出來るだけ防止をする、防止をするには民需産業の勃興と云ふ面が一番重大な面であります、勿論それは能率の面、時間の面、交替制を採ると云ふやうな面、或は八時間制を制限して行くと云ふやうな色々の方法もありませうけれども、仕事を活溌にすると云ふことが此の問題の中心になるのぢやないか、打明けて見ればさう云ふやうな氣持で此の全體の問題を處理致して居りますので、出來るだけ是は失業と云ふ所迄行かないで、是はうまく仕事に就いて行くと云ふ就業状態を持續して行くと云ふことにも出來るだけやらなくちやならぬのは、是は固よりのことであります、併しながらそれでもどうしてもあぶれて仕樣がないと云ふ問題を、本當の意味の、狹い意味の失業救濟として取扱つて行くと云ふ風に考へて居ります、只今さう去ふ面に對して厚生省としましても失業對策本部のやうなものを作りまして、其の面の中心的機構として參る積りでやつて居りますが、此の失業問題と云ふのはどうもはつきり致しませぬ點が統計其の他に付きましてあるのであります外國の「アメリカ」邊り、或は「フランス」邊りに起きた失業問題等と大分性格の違つた點もあるし、形の違つた點もありまして、矢張り日本には地方に於ける吸收力と云ふものも、相當地方の彈力と申しますか、さう云ふものも見てやらなくちやなりませぬ、それから都會に失業の状態があるとしましても、それが表面に現はれて來る形に付て外國等と多少違つた點もある、それから勤勞署、職業紹介所でありますが、斯う云ふ働きもまだ完全と云ふ所迄行つて居りませぬ、彼是に於てちよつと實體を把握すると云ふことに付て少しやりにくい點もあります、それに對する對策の如きもはつきりやりにくい問題もあると云ふことで、失業對策の問題が、此の前にも御質問がありましたが、生活保護の面と混つて來るやうな面もあると云ふやうな形になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=53
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054・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 本日午前吉田委員から國鐵爭議の犯罪性に付て質疑がございました、それに付て佐藤政府委員から此の際御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=54
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055・吉田久
○吉田久君 では一應申しませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=55
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056・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) いや、それには及びませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=56
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057・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 午前に私が出席致して居りませぬでしたので、御質問の要旨を傳へ聞き致したのでありますが、御答へ致しまするのに、現在起きて居る爭議に對して相當影響する所もあるだらうと思はれまするので、大體抽象的な御答で宜しければ傳へ聞きした御質問の要旨に對する御答辯を致しまするが、或は是で御答にならないかも存じませぬが、其の際には改めて御答を致したいと存じます、第一は爭議團が鐡道の客車、貨車等の器物に色々爭議に關することを「ペンキ」などで書いたら、それは建物又は器物の損壞罪になるかどうかと云ふやうな御質問のやうに承つたのであります、刑法上建物其の他器物の損壞罪が成立しまするには、物質的な損壞と云ふことが一つの要件になつて居りまするので、具體的な事件が果して其のものの客體を損壞して居るのか、或は損壞迄は行かなくても、其のものの效用を失ふ程度の何等かの作爲が爲されて居るのか、さう云ふ點を見極めなければ直ちに犯罪が成立すると云ふ風に斷定するのは少し速斷に過ぎるやうにも思はれまするので、左樣な事例が若しありますれば、其の具體的な事例に付て檢察當局は愼重に考へまして、犯罪の成否に依つて取締りを斷行したいと考へて居るのであります、更にもう一點は、國鐡の方で既に一般民衆に對して汽車の發車に付て時間表を發表して居るのに、何等經營權を持つて居らない爭議團が勝手に汽車の時間表と別なものを發表したならば、それは國鐵の業務妨害になりはしないかと云ふ御質問のやうに承つたのであります、一定の時間表を經營者が發表して居るのに、それと異る時間表を恣に發表すると云ふことは、是は國鐵の業務を妨害することになるだらうと思ひますが、唯刑法上業務妨害罪が成立しまする爲には、御承知のやうに威力を用ふる、或は僞計を用ふると云ふやうなことが要件になつて居りますので、是も具體的な事例に付て、果して刑法上業務妨害罪が成立するかどうかと云ふことに付ては、諸般の状況等を觀察して判斷しなければならぬ問題ではないかと云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=57
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058・吉田久
○吉田久君 只今の御説明では、どうも私が申上げた二點は、何れも犯罪を構成しないと云ふやうな風に承知致したのでありますが、私が問ひましたのは、御承知の通り局長も既に御承知だらうと思ひます、車體に「ペンキ」を以て馘首絶對反對と云ふことを書き連ねて居る、又建物に馘首絶對反對と云ふことを「ペンキ」を以て書いて居る、是が車體の毀損若くは建物の毀損と云ふことになりはしないかと云ふ事實に付て御問ひ致したのであります、物質的に變更を加へなければならぬと云ふことは、私は物質的の變更があると思ふのであります、「ペンキ」を以て物に字を書く、容易に落せない程度に於て「ペンキ」を加へる、「ペンキ」は物質であります、此の物質が加はり、さうして所謂建物なり若しくは車體の外觀を損ずるのであります、是がどうして價値の毀損若しくは物質の毀損にならぬのでありませうか、私は了解に苦しむのであります、是は御見掛け通りの事實なんである、私は之を見て甚だ不當である、非法の行爲である、故に是は爭議行爲として爲すべからざることである、鐵道當局は宜しく之を差止めて然るべきである、さう云ふ見解を以て犯罪のことに付て御伺したのであります、もう一つは列車及貨車の運轉時刻の變更の發表であります、是は一應業務妨害になるだらうと云ふ話がありました、其の點に付ては誠に私は同感であります、唯業務妨害に付ては威力若しくは暴行を加へる、暴行を以て妨害すると云ふことが必要だ、威力妨害があるかどうか、暴行と云ふことがあるかどうかと云ふことで、其の點は輕々しく斷定することが出來ないと云ふ、御説明であります、併し私は十五日から「ゼネ・スト」を決行する、我々の要求が通らなければ「ゼネ・スト」を決行する、決行した曉には斯う云ふ方法で運轉をするのだと云ふことを發表するのは、私は威力を用ひてさうして事を爲すものであると云ふのであります、麗々しく新聞に之を掲載して、一般世人に之を示して、さうして一般世人に重大なる危惧の念を與へて居る、私は之を見て大なる危惧の念を持つたのであります、一般世人も亦然りだと思ふのであります、是が私は威力でなくて何であらうか、威力を以て妨害したと云ふことは十分に言へると思ふのであります、左樣な次第で、二點とも私は只今刑事局長の御説には首肯出來ないものがあるのであります、併し犯罪の成否は別と致しまして、司法權を之に基いて發動するかどうかと云ふことは、是は別の見地から論じなければならぬ、又考へなければならぬかと思ひます、此の點に付て私は彼是申上げるのではない、唯事が犯罪に關し、而もそれが爭議行爲の手段として公々然と大手を振つて爲されると云ふことは、是はどう考へても許して置くことが出來ないことである、抑へなければならぬことであると云ふことを痛感致して居るのであります、故に私は此の二點とも鐵道當局が之を看過して居る理由如何と云ふことを先づ御伺ひしたかつたのである、それから尚止めても敢て之を押切つて發表する、若しくは其の毀損したる所の行爲を反覆する、列車を運轉して反覆すると云ふやうなことになつたならば、是亦之を禁止することが出來なければなるまいと思ひます、其の禁止に對して反抗すれば是は明かにもう犯罪であると思ふのであります、斯樣な見地から致しまして、今度の爭議行爲に付きましても、私は司法處分の發動と云ふことは別と致しまして、所謂行政行爲の發動と致しましても十分に御處置なさる餘地があると斬樣に信じて御伺ひ致したのであります、敢て司法當局の御處置を彼是申上げたのではない、全く事は急迫の状態にあります爲に、此の際適當な處置を御執りになつたならば、或は此の爭議行爲を鎭壓するのに付て一つの助けになりはしないかと云ふことを憂へましたが爲に、敢て御質問申したやうな次第でございます、それからもう一つ是は刑事局長に御尋ねすることでありませぬが、運輸相に申上げたかつたのでありますが、昨日の當院の本會議に於きまして、又當委員會に於きまして、只今爭議の經過に關して詳細なる御説明がありまして、私は大いに之を多とするのであります、唯之に付て昨日本會議で運輸相からして、此の爭議の經過は政府より公表したいと云ふことを申されたのであります、成る程私は是非やつて戴かなければならぬと云ふことを考へました、處が今日の新聞を見て見ますると、其の發表たるや極く一部分で、抽象的なものである、是ではどうも爭議經過の發表としては私は十分でないと思ふのであります、爭議經過を具體的に發表する時には、鐵道當局の主張、之に對する從業員の主張及び其の相違點、又其の相違點に對する反駁理由と云ふやうなものが具體的に表示せられなければならぬと思ふのであります、又それに依りまして一般國民は此の爭議が何方に歩があるかと云ふやうなことの判斷が出來るのであります、其の判斷に依りまして輿論と云ふものが私は形成されると思ふのであります、でありまするから、どうか此の正當なる輿論を此の際喚起する爲に、一刻も早く爭議の具體的經過を御公表相成らむことを希望するのであります、是が公表がありますれば、輿論は成程と言うて其の正常なる歸結に落著き、其處に正當なる輿論が形造られると云ふことを信ずるのであります、どうか其の點に付きまして一つ運輸相に御傳達を願つて、河合厚生大臣からで結構でございまが、どうか一刻も早く具體的の争議の經過の發表をして戴きたいと云ふことを御願ひする次第であります、尚それに付て一言申上げますが、政府は、鐵道當局は所謂人員を整理し、減少しなければならぬと云ふことを主張せられて居る、是は數は別と致しまして……處がそれに對しては從業員は反對なのであります、整理する必要はないと云ふことを言うて居るのでありますが、どう云ふ理由で彼等は整理する必要がないと言ふのか、又之を整理しなければならぬ理由は鐡道當局から言はしむればどう云ふことに依るのであるかと云ふやうなことは、どうしても正當なる輿論を造る爲には必要なることだと思ひまするから、どうか其の點も附加へて御發表を願ひたいと云ふことを御願ひ致して置きます、尚輿論の話が出ましたから附言致して置きますが、本調停案の調停が不成立の場合に、輿論に依つて正しい歸結に導くものである、導き得るのであると云ふことを大臣等から御説明があつたのでありますが、我が國の輿論と云ふものは、歐米各國の輿論に較べますと私は甚だ詰らないものである、貧弱なものであると思ふのであります、此の輿論の力を驅つて、さうして本調停に於ける爭議調停不成立の場合は正しい方に導くと云ふやうなことは現在の状態に於て私はむづかしいのではないかと云ふことを考へるのであります、我が國民の輿論と云ふものがどう云ふ風な工合に起つて來て、又其の輿論の力がどれ位の力を持つて居るかと云ふことを現在の事實に徴しまして考へましたならば、蓋し思ひ半ばに過ぎるものがあると考へますでありまするから、本案の調停に關しましても、輿論と云うことを非常に重く見られましての立案に對しましては私は如何なものであらうかと云ふことに付て、大いなる疑問を持つて居ります、此の點を附加へて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=58
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059・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 私の答辯が不明確であつた爲に誤解を招く虞れがありますので、一言釋明を致して答辯に代へたいと存じます、御説のやうに器物損壞罪或は建造物の損壞罪が成立する爲には、物質的な其の物の損壞があると云ふ場合は、是は問題にならないのであります、必ず損壞罪が成立すると思ふのでありますが、其の物質的な損壞とは認められないが、併しながら其の物の效用を害する程度のものであるかどうかと云ふことに依つて、矢張り損壞罪が成立する場合があるのでありまして、只今御尋のやうに「ペンキ」などで落書をして洗つても容易に落ちないと云ふやうな程度に致れば、矢張り損壞罪が成立する場合があるだらうと思ふのであります、洗へば直ぐ消えてしまふと云ふやうな輕い意味の落書であるならば、刑法上の損壞罪の成立を認めるには早計であらうと云ふ風な考の下に、先程御答を致したのでありまして、損壞罪が必ず物質的な毀損がなければならぬと云ふことのやうに狹く御答へした積りではなかつたのであります、其の點一言釋明致して置きます、尚汽車の時間表に付て、當局の發表したのと違ふ時間表を發表すると云ふやうなことは、是は御説のやうに威力になる場合もありませうけれども、場合に依つては僞計になつて、僞計に依つて業務を妨害すると云ふやうな犯罪の成立も考へられるのではないかと云ふ風に解釋致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=59
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060・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の運輸省の交渉の經過發表のことに付きましては、運輸當局に其の旨を御傳へ致して置きます、大體段々斯う云ふ世の中になつて來ますし、もう政府もどちらも正確なる經過を發表しまして、さうして矢張りそれを國民の頭に入れて正當な批判をさせると云ふことは、非常に大切なことだと思ひますけれども、色々あの「ストライキ」には協議を進めて居つた關係などもあつたと思ふ點もあります、それから只今の所で發表しまして、それが發表の方法の問題ですが、なかなか新聞などに其の儘で出ぬことが非常に多いのです、さう云ふ點の事實上の問題もあります、官報で一々發表する譯にも行きませず、斯う云ふ點に付て考へなくちやならぬのでないかと考へて居ります、それから輿論と云ふ點に付きましても、只今日本の輿論は左程進歩して居ないと云ふことに付ては御同感でありますけれども、是は進歩させなくちや仕樣がないのでありまして、斯う云ふ點に付ては餘程深く考へて行かなくちやならぬ、調停法は無論輿論を最後の決定者としたと云まことでなく、輿論に依つて色々事柄の是非が判斷されると云ふことを一つの期待として居ると云ふやうに、御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=60
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061・中山太一
○中山太一君 失業防止と救濟問題に對しても、本委員の申上げた意味が十分にまだ徹底して居らないやうに思ひますが、此の點も今少し進んで御檢討願ひ、政府の御所見を承りたいと存ずるのであります、それで現政府も色々苦心されて居るけれども、色々の政策を考へますと、國民の生活難を救ふと云ふことで色々の法案を出されるが、一方には國民を貧乏にするやうな法律案に對する色々な政策をやられる、貧乏させずに濟むやうな方法が行はれなければならぬ、極端に貧乏するやうに、貧困な生活に落して、それからされる、是は個人から言へば、同じ人が他人を毆つて置いて、それから後で其の痛みを癒してやると同じで、私はこんな矛盾したことはないと思ふ、痛みを癒してやる深切があるならば、痛くないやうな方法をしてやらなければならぬ、全く今の政策と云ふのは、國民を貧乏のどん底に落してさうして之を救ふと云ふのである、今度はそれを加味して其の中庸を行くやうな方法もあり得る、それからそれと同時に、失業を救濟することがもう絶對必要である、其の時に失業者をどんどん出すと云ふことは考へものだから、或場合には失業防止本部と云ふものを拵へて、其處に豫め、半月なり一箇月前に、此處は是だけ整理しなければならぬから、是だけの人を他に向ける所はないかと云ふことを内報でもさして、出來るだけ早目に、それが實際失業せずに濟むやうに、別に就職口が出來て居るやうにする、嘗て勞務の少い時には方々に轉換されたが、之を早目々々に行ふやうな計畫を立てる、もう失業さして置いて困つて居る者のみを救ふ爲の色々なことばかりでなく、今後失業者を救はなければならぬ時代に、新しい失業者をどんどん出すことは好ましくない、併し已むを得ない時には仕方がないけれども、それを政府としては出來るだけ眞の失業者にさせずに、轉換が出來るやうにして行かれる政策が採られなければならぬのでないかと思ひます、是は病人で言へば、傳染病まで行かないやうにする、それをどんどん癒すことは政府なんだらうけれども、之を豫防することに力を盡す、それに有らゆる手段を盡す、私は矢張り防貧貧問題と救貧問題、それから今の治療と豫防、何れも皆大切である、それから防火と消火とどつちも大切だけれども、出來得るならば災害を見ずしてやつて行くと云ふことが、私は政治の積極面に於て生きた仕事じやないかと思つて居ります、それから經營の合理化と云ふ問題を、政府も民間も實際理解して居らぬ、經營の合理化と云ふもので、今の馘首がそれに入つて居るやうに考へて居られるけれども、經營の合理化と云ふものはもう少し積極的なものであつて、人を辭めさすと云ふのは消極的なものである、經營の合理化は色々の物の無駄を省いたりなんかするけれども、物を生かして行くことである、各々適材適所の原理を活用して、有らゆるものを科學的に處理して生かして行く積極的なものである、是ならば私は直ちに馘る必要がない、彈力性がある、含みがある、積極的に解決して行かう、補償の打切とか賠償の工場とかは、整理と同じに消極的で、一々放つて置いては其の會社の整理が出來ぬと云ふなら、已むを得ず整理しなければならぬ、整理に伴つて失業者は出さなければならぬのであつて、是は決して經營の合理化でない、整理の過程にあるのである、合理化の過程にないのである、此の點をはつきりして置かれないと、折角積極的に産業を合理化して行かなければならぬものを、それを皆便乘して行くやうな意味に取られるのは、政府も民間も違ふと私は考へる、事實さうである、經濟の合理化は、結局科學的經營、或は事業の經營管理を科學的にやると云ふことが根本の問題である、決して人を少くすることでない、若し人が居れば、それを適材適所の意味で場所を轉換する、其の人の能力に應じた適した所に廻す、さう云ふ不幸な者を出さぬやうにするのが、經營の合理化である、事業家が自分の利益だけでない、社會の利益も、勞働者の利益も、事業家自身の利益も、共に三つが合つて行く所が經營合理化の眞の理想であり、信念でなければならぬ、之を唯何か便乘的に履き違へてはいけない、今度のは已むを得ない、先程船の問題に付て運輸大臣から御話があつたが、是は戰爭中にあれだけ働いて、今度要らなくなつた、實際勤勞者には氣の毒だけれども、こちらの力でどうも出來ぬやうなことが起る、又一般産業界に於ても、整理したくない、罷めさせたくないけれども、自分の力で如何とも出來ないやうな大きな問題が次々に起つて、それを整理する過程に於て已むを得ずさうするのである、産業合理化、經營合理化、是は自分の事業を良くして行く爲であれば少々のことを辛抱して多少犠牲を負擔してもやらなければならない、此の點をはつきりしなければなりませぬ、資本家なり經營者なりが自己の利益を増す爲に、自己の都合を好くする爲に多くの勤勞者を整理するのは罪惡であると思ふ、事業を潰すに忍びないから已むを得ず整理をしなければならぬ、それをしなければ破産をする、破産をしては國家の爲め、社會の爲め、又殘つた勤勞者の爲にいかぬことであるから已むを得ず整理をする、斯う云ふことを徹底しなければいかぬ、厚生大臣は之に付て必ず明確な御考を以て指導して居られると思ひますが、一應御所見を承りたい、さうして今の失業防止に對して積極的な施策を行はれる御考が有るか無いか、是亦御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=61
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062・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の中山委員の御説は御尤もでございます、是は片一方で失業救濟なり生活保護をやりながら、片一方では貧乏になるやうな政策を執つて居るぢやないかと云ふ御話は、如何にもさう云ふ事實はあると思ひます、けれども兎も角も日本の經濟状態は、中山さんも御存じの通り、元は兌換券にしても二十五、六億位の發行と云ふことは私共も鮮やかに記憶して居る、それが只今六百億にもなり、それから公債にしても百何十億から二百億、三百億になつてさへ大變だと思つて居つたのに、今度は千五百億にもなると云ふやうな御承知の通りの状態に變つて來て居ります、さうして何と申しますか、山の上に靄を掛けたやうに、ぼうつと大きな擬制資本の何十倍と云ふものが茲に積み上がつてしまつた、それで戰爭を張切つてやつて來たものが、一晩にからりと夢が醒めたやうに、今度は軍需工場はすつかり駄目だ、そこで資材は無くなつて來る、勞働は是だけ減つた、國民に非常に失望して生産意欲が少くなつたと云ふ事態が急に起きまして、それで此の靄を掛けたやうな擬制資本を此の儘にして日本の經濟が立つか立たぬか、立たぬから仕方がない、軍需補償の打切もやる、擬制資本も減らす、其のやり方にも色色ありませう、色々ありますけれども、是も御承知の通りの事情であります、そこへ持つて來て賠償工場は千も取られると云ふやうなことになつて來ますと、上だけを綺麗に取つて、下がちよつとも動きのないやうにして置いて、きちんと揃へようとしても、實際出來るものぢやない、是は生活保護を要する面もあれば、又貧乏になつて行く面もあると云ふことで、斯う云ふ混亂が起きるのは、此の世界始まつての戰爭、さうして斯う云ふひどい敗戰の状態に於ては、私は或程度迄當然と思ふ、それに對して政府も努力して居るし、民間も努力し、皆さんの御助力も得て出來るだけの方法を執ると云ふ外に途はないのであります、それで失業者を出さぬ方法、勿論是は執るべきであります、今の御指摘のやうに個人の事業の合理化を目標にして居るのではありませぬ、整理であります、整理でありますけれども、國家全體から見れば一つの合理化であります、國家の企業の再建をやるには、人間の問題ばかりでなく、日本と云ふものを打開して行かなければならぬ、それに對する全體的の再建であるから、整理は整理であるが、建設は建設として考へて行く、個人から見れば合理化のやうに思ふかも知れないが、決して資本家的の追求をやる爲の整理ではない、是は已むを得ない整理である、併しながら國全體から言へば、整理ばかりで滿足すべきものではなくて、積極的に築き上げて行かなければならぬ、其の點から言へば合理化と云ふ意味になるかとも考へます、此の問題は非常に混雜して居りまして、それぢや失業防止として、どう云ふ方法を執つて居るかと申しますれば、例へば商工省に於て石炭を出來るだけやつて貰ふ、或は中小工業を出來るだけ展開して行く、或は肥料工場は斯うして貰ひたい、民需産業は斯うして貰ひたいと云ふことは、政府全體に於てもやり、各省は各省で各各やつて行く、さうして最善を盡して居ると云ふことを御承知願ふより外に方法はございませぬ、尚失業防止と云ふことに對して、斯う云ふ點は斯うだ、斯う云ふ風にしたらどうかと云ふやうな特別の御考でもありましたら、具體的に御指示を賜はれば、非常に結構と存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=62
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063・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 ちよつと大臣に御伺ひしたいのですが、職員の待遇、是は最近政府は官吏の待遇を御變へになつて、從來は政府も矢張り「ボーナス」と云ふものを御出しになつて居つたが、今度はボーナスは出さないと云ふことで、給料を御改正になつた、そこで從來「ボーナス」と云ふものは遇期毎に出して居れば宜かつたが、民間に於ても職員の生活が窮乏して居りますから、之を四半期毎に與へるやうになりつつある、そこで考へられることは、「アメリカ」の方に雇はれると「ボーナス」がなくて給料に「ボーナス」を織込んだものを與へると云ふことになつて居る、矢張り當分「アメリカ」の支配を受けることになると思ひますが、給料は「アメリカ」流に「ボーナス」を廢して給料に「ボーナス」を織込んだものを與へる方が宜いのか、或は從來の通り「ボーナス」の制度を殘した方が宜いのか、此の點政府の御方針を承りたい、實は民間は政府の御やりになる通りに追從するより仕樣がないのであります、現在のやうに「インフレ」が昂進致しますと、政府の御やりになる通りに民間も之に倣ふ傾向があります、其の場合民間の職員の給料に對しては、どう云ふやうな方針で進んだら宜いのかと云ふことに對しての御所見を拜聽したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=63
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064・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 官廳は實は元は「ボーナス」と云ふものは殆ど無かつたのであります、非常に少いものであつた、其の時代に民間には「ボーナス」と云ふものが非常に多かつた、それで段々官廳も民間流になつて、官廳の「ボーナス」が相當に殖えたと云ふ實情になつて居る、戰爭中迄はさうだつたと私共承知して居ります、處が御承知の通り生活問題が非常にやかましく面倒になつて來ますと、官廳の給料を引上げる時に、「ボーナス」制度と能率と云ふ問題の關係などを十分考慮する餘地がないのが只今の現状で、それで兎も角も皆が食へるやうに給料を上げるやうにしようぢやないかと云ふことで、「ボーナス」と云ふものの財源迄を其所へ叩き込んで、元の官廳のやうに「ボーナス」のない制度になつたと云ふことが事實上の働だと思ひます、それで民間の斯うした經營難の時には、矢強り自然「ボーナス」が餘りないのぢやないか、ない方に行くのぢやないかと私は思ひますけれども、是は民間の企業が又變つて來まして、利潤でも相當豐かになる時には、矢張り「ボーナス・システム」と云ふものが自然と日本でも起るのぢやないか、其の點矢張り能率を上げて行くと云ふやうに行くのぢやないかと私共は考へて居りますが、併し此の先の事業状態が、何處迄の自由性を持つて參るかと云ふことに對しても、以前程の自由性もないから以前程の大きな「ボーナス」制度と云ふもの迄は來ないのぢやないかと云ふやうな風に、是は私今此處での考でこざいますがさう云ふ風に考へて居りまして、政府としましても、之をどちらの方法にどう執つて行くのだと云ふことを、殊に民間の企業に對して……と云ふことはまだ決めて居る譯ぢやない、今後の情勢を見てやつて行くのぢやないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=64
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065・種田虎雄
○種田虎雄君 今の厚生大臣の御説明に付き、ちよつと伺ひたいのですが、政府の方では從來俸給給料の殘額を、年度末に相當の賞與の形かなんかに御使ひになつて居つたやうでありますが、今度のやうな俸給給料の改正をされた場合には、さう云ふものも御止めになつてしまふと云ふ政府の御方針なんでございまか、其の點ちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=65
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066・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 大體止める考として決つたやうに記憶して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=66
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067・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 ちよつと二三伺ひたいのですが、實は此の法案が方々で、勞働組合其の他に於て反對を受けて、それが考へ樣に依りましては、官公吏の從業員組合の反對と、勞働者の組合の反對と違ふやうに思ふ、殊に官公吏の從業員組合の方は、第三十七條と八條、是だけに限定して反對して居るやうに我々は聞いて居りますのですが、それで其の反對理由と云ふものも或程度納得し得るやうな氣がするのでございます、處が勞働組合の方の反對と云ふことが能く分らないのですが、例へば治安維持法であるとか、やれ操業彈壓法であるとかと云ふやうなことを言つて反對して居ると聞いて居りますが、其の具體的の、例へばどの條項がさう云ふ風になるのだと云ふのか、或は今の政府が此の法案を運用した場合に於てさう云ふ結果になると云ふやうな、反對せむが爲の反對と云ふやうな風な動きになつて居るのか、それ等の點を一つ御説明を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=67
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068・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今の御質問は御尤もな御質問だと存じますが、實は此の法案に對しまする勞働組合等の反對は、さう云ふ個々の問題に付てでございませぬで、總括的に反對するのが大體大部分であるやうに見受けられます、で私共としては、從つてそれだけ非常に遺憾に存じて居るのでありまするが、其の反對の理由として掲げられまするのは、斯う云ふ法律は勞働基準法が出來てから出すべきだと云ふのが一つの問題だと思ひます、尤も此の反對理由は色々時期的には多少變つて居りまするけれども、それが一つの理由であります、是は私共としては先般來御説明致しましたやうに、基準法も著手はして居りまするけれども、御配りして居りますやうに、極めて内容は廣汎なものでありまして、さう簡單に一月二月では出來ませぬで、やつと草案が出來て、目下公聽會を開いて居る、故意に遲らせて居るやうな譯でございませぬで、非常に急いで居る譯であります、併しそれが一つの反對であります、それから此の法律を作つて、首切りに使ふのぢやないかと云ふことが、まあ最近の理由の一つには掲げられて居りまするが、此の法律は、實は昨年の暮の議會に勞働組合法を提案致しました時に、議會で團結權及び爭議權を認めるが、之に依つて爭議の起つた時に其の爭議をどう云ふ風にして解決するか、其の調停の方法と云ふものを併せ考へなければいかぬぢやないかと云ふ風な御質問がありまして、當時の厚生大臣は、是は引續き調整法を出して次の議會に出すのだと云ふことを公約されて居るやうな譯もありまして、實は當局と致しましては、一月以來立案に著手し、漸く三月頃に成案を得まして此の議會に提案致したやうな譯であります、それからもう一つは今御話がありましたやうに、三十七條に於て公益事業に三十日間の猶豫期間がある、是は爭議をする者に取つては、折角爭議をやらうと思ふのに、三十日も間を置かれては氣が抜けるやうなものであつて、是は困ると云ふ理由であります、是は爭議自體から考へればさう云ふことも考へられまするけれども、是も厚生大臣が屡屡御説明致しましたやうに、爭議は絶對的にと云ふ譯に參りませぬ、矢張り一般の公益、大衆の擁護と云ふ點も是は考へなければならぬのであります、新憲法に於きましても其の點は觸れてあるやうな譯であります、それで公益事業も極めて嚴格に限定を致しまして、今の鐵道であるとか、電車であるとか、或は船舶であるとか云ふやうな公益事業に付ては、已むを得ず三十日間の猶豫期間を置いて、さうして其の間に一般大衆も心構へが出來ませうし、或は輿論批判も起りませうし、又其の間に調停委員會等に掛けて、解決が著くならば、事前解決をさしたいと云ふ趣旨であります、是は各國共大體三十日、或はそれ以上の猶豫期間がある、之を説明致しまするけれども納得を得られないものであります、それから其の次の反對の一つは、三十八條の官公吏に對する關係でございます、是も先般來説明致しましたやうに、國家國務に付きましては、是は何と申しましても國民生活の中心を成すものでございまして、一日と雖も是が休みましては、一般大衆に極めて影響の多いものであります、又官吏の少數に依つて、罷業其の他に依つて政府と云ふものに影響を持つと云ふやうなことがありましても是は面白くないことでありまするので、之に對する制限をしたやうな譯であります、個々の問題、さう云ふ風な理由はずつと掲げられて居りまするけれども、大體の反對は總括的に斯う云ふ風な法律がいかぬのだと云ふことが主であります、それは一つは現在の勞働組合が發達して居つた時には宜いけれども、今から發達しようと云ふ時に斯う云ふ調停をすると云ふやうなことが面白くない、それはもう自治的に委して置けば宜いのぢやないかと云ふのが大體の御議論のやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=68
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069・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 ちよつと伺ひますが、外國では一體官吏などは罷業を認められて居るのでせうか、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=69
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070・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 各國に依つてばらばらでありまするが、官吏に付ての罷業を禁止されて居る國は大分あります、「イギリス」に付きましても警察官其の他若干の者の制限をして居りますし、「フランス」に付きましても官公吏に付ての禁止はございます、それから「アメリカ」等は別に法令ではございませぬけれども、慣行と申しまするかさう云ふものに依つて官公吏に付ての爭議と云ふものはないさうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=70
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071・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 さう云ふものは何か例を御配付になつたら如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=71
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072・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 今勞政局長から伺ひました三十八條の問題なのですが、所謂官公吏の方々の仰つしやるのを承りますると、爭議行爲と云ふものをどう解釋するか、例へば大臣なら大臣に代表者が陳情に行く、是迄爭議行爲と言はれた日には何にも出來なくなるぢやないかと云ふことを申して居ります、此の爭議と云ふか今仰しやつた罷叢と云ふものだけに限定されるならば反對も大分減るのではないかと思ふのでありますが、所謂「ストライキ」に入る前の色々な方法とでも申しますか、やり方、それ迄廣義に解釋されて爭議行爲になつて制限されたのでは、どうにもしようがないぢやないかと云ふことを申して居りますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=72
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073・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 今御話がありまするやうに、三十八條は爭議行爲を制限して居るのであります、爭議行爲に付きましては、法律の第七條に掲げて居りまするやうに「この法律において争議行爲とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他勞働關係の當事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行爲及びこれに對抗する行爲であつて、業務の正常な運營を阻害するものをいふ。」と斯う言つて居るのであります、從ひまして只今例として掲げられましたやうに、大臣に面會を求めてさうして要求をすると云ふやうなことは、是は正常な運營を阻害しない限りは許されるのであります、爭議行爲を制限するからと言つて要求をしてはならぬと云ふ趣旨では毛頭ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=73
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074・中山太一
○中山太一君 此の前の本會議で御尋ねしたけれども、其の御囘答がなかつたのですが、「アメリカ」、英國等に於ての勞働組合員の資格がどう云ふやうになつて居りますか、それに付ての大臣の御答辯を求めましたけれども、それは其の時ありませぬでしたが、あれは一體どうなつて居るのでございませうか、司法大臣は、普通の會社で言へば、社員級の者は勞働組合員でないのが貫例になつて居る、普通の勤勞者、所謂勞働者の方に限ると云ふことになつて居る、日傭勞働者が主となつて居ると云ふことである、處が日本では勞働組合法に日給も月給も貰つて居る人も、事業から貰つて居る限りはそれが資格があるやうに言はれて居る、一方には又事業者の利益を代表する者には其の資格がないと云ふことになつて居ります、それで其の解釋は大變むつかしくなりますが、「アメリカ」のやうにやれば非常に宜い、鐵道でも今度「スピーカー」か何かを占領して自分の都合の宜いやうなことを放送する、是が事務の方と分れて居れば、事務の方は無斷で使ふことを許さない、大臣も必要とし、鐵道も必要とする、正しいことに使ふならば、それでやるのも宜いけれども、却つて鐡道の爲に使ふべきものが爭議の方に利用されると云ふやうな形になりましたが、組合員の構成の意味が日本のは大變其處がややこしくなつて居るやうに思ひますが、米國の例、其の他分りますれば御聽かせを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=74
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075・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 詳しいことは又調べまして御答へしたいと思ひまするが、大體私共の存じて居りまする所では、別に組合員に付ての制限は附して居ないのであります、各國では唯自然に發達して來て居るやうな状況でございますから、其の状況は今御話がありましたやうに、それは主として勞働者階級の方が多いやうに存じて居ります、別に法律で以て制限はして居ないやうに存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=75
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076・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 次會は十六日午前十時より開きます、本日は是にて散會を致します
午後三時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=76
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077・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 高木正得君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 東郷彪君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 壬生基泰君
子爵 秋月種英君
子爵 松平乘統君
子爵 大久保教尚君
子爵 三宅直胖君
桑木嚴翼君
吉田久君
男爵 松本本松君
男爵 山根健男君
男爵 山名義鶴君
男爵 中村徹雄君
種田虎雄君
正田貞一郎君
竹中藤右衞門君
中山太一君
片倉兼太郎君
國務大臣
厚生大臣 河合良成君
運輸大臣 平塚常次郎君
政府委員
司法事務官 佐藤藤佐君
厚生事務官 吉武惠市君
同 富樫總一君
運輸事務官 伊能繁次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00319460913&spkNum=77
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