1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○勞働關係調整法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十八日(水曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=1
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002・渡邊修二
○委員長男爵(渡邊修二君) 是より開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=2
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003・種田虎雄
○種田虎雄君 現在行はれて居りまする勞働爭議調停法に依つて、此の勞働組合法が制定されましてから以後に、實際にあの法律が活用されたやうなことがございませうか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=3
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004・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 現在ありまする勞働爭議調停法は、此の組合法の制定になりましてから後は活用してございませぬ、利用したことはございませぬ、それで制定されてから後今日迄の間に係つたのが、確か六件位しかありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=4
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005・種田虎雄
○種田虎雄君 出來ましてから今迄……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=5
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006・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 昔出來ましてから今日迄の間に係つたものは六件であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=6
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007・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 只今六件と言はれたが、どんな風になつて居りますか、大抵うまくそれに依つて解決して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=7
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008・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今の舊勞働爭議調停法に依つて係つたのが六件位であつたと思ひますが、詳しいことは私ちよつと記憶ございませぬが、大體は市電の爭議が主であつたかと思ひます、其の中確かそれで解決をしたと云ふのは四件位で、あと二件は不調に終つたかと思ひます、大體は市電の爭議が係つたやうに記憶して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=8
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009・中村徹雄
○男爵中村徹雄君 今開いて居られます勞働基準法に關する公聽會の模樣に付て、私共は新聞で知つて居る程度でございますが、重要な問題になつて居る所を簡單で宜しいですが、ちよつと御聽きしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=9
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010・吉武惠市
○政府委員(吉武惠一君) 勞務法制審議會の小委員會で案を作つて居りまする其の案を公聽會に掛けて、十日位毎日開いて居ります、色々意見がございます、使用者側の意見も色々ございまするし、又勞働者側からも色々澤山な意見がございますが、まあ總體的な意見としては、使用者側から出る意見は、敗戰後斯う云ふ風な經濟の状況に於て此のやうな基準法をやつたのでは經濟がやつて行けるだらうかどうかと云ふ風な心配の意見が總括的にあつたのです、それから勞働者側の方の意見としては、現在勞働協約等に於て獲得して居る勞働條件は是以上のものである、それで若し此の基準法を出されると云ふと、使用者側は、此の基準法は政府の示した基準だからと云ふので、現在行はれて居る協約を改討してしまひはせぬか、さう云ふことになりはせぬかと云ふ意見もございます、それからもう一つ使用者側から出た大體全般的の意見としては、此の基準法は勞働者保護の爲に使用者に色々なことを要求して居るのだが、勞務者にも一つ義務を課すべきではなからうか、使用者も守らにやならぬが、勞働者側も誠實に仕事をやつて行く義務を負ふべきではないかと云ふやうな意見が出て居ります、それから個々の問題、條文、それ等は色々ございまするのですが、使用者側から出て居るもう一つの問題は此の災害扶助、詰り工場其の他で業務上負傷疾病をした場合の扶助でございますが、是が從前の扶助の負擔額からは相當上つて居ります、從つて大きい企業に付ては負擔力はあるだらうけれども、今度の法律の適用が、一人でも二人でも使つて居る小さいの迄適用がある譯でありますから、さう云ふ細かい企業に付ては負擔が出來ぬやうになりはしないかと云ふ風な意見があるのでございます、で之に付きましては御尤もな點もありましすし、一方所謂勞働保險制度に依つて「カヴァー」する必要があらうかと思つて、目下其の方は保險の方と折衝して居る譯であります、さう云ふ意見が主なる意見であつたかと思ひます、それから勞働者側から出た他の主な意見としては、あの中に解雇する場合は、三十日前に豫告をするか、或は又三十日間の給與を與へなければならぬと云ふ規定がありますが、是が丁度今馘首と云ふやうな問題が所謂勞働問題の大きな問題でありまする爲か、三十日の豫告で首を切られちや大變だ、是はもつとうんと、一箇月ぢやなくて六箇月なり或はそれ以上の手當を出すべきぢやないかと云ふ風な意見、又業務上の負傷疾病をやりました時には、其の間は病氣が治る迄、或は打切をやります迄は解雇してはならぬ、それが治つてから三十日經たなければならぬと云ふ制限保護の規定がある譯でありますが、業務上の負傷疾病をした者は治つたからと云つて、それだけ勞働能力が阻害されて居るんだから、それを三十日經つたら解雇出來ると云ふことは怪しからぬ、さう云ふ者はうんと長く使ふべきだと云ふやうな意見あたりが、主な意見であつたやうに思ひます、それから質疑の點では、所謂同一勞働價値に對する同一賃銀の問題でありまするとか、色々細かい點に付ては兩方から議論がございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=10
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011・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 ちよつと御伺ひしたいのは、解傭手當ですね、是はまあ三十日の豫告と云ふことになつて居りますが、其の外に何ですか、政府から特に今度の打切問題に依つて出來る失業者に對しては特別に政府が御出しになる御考がありますのでせうか、新聞で見ますと、何時か三箇月分を出すなんと云ふ新聞が出たことがある、是は特別に政府が御出しになる御考なんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=11
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012・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 今度の補償打切に伴ひまする退職金の問題に付きましては目下關係方面と折衝中でございまするので、何とも申上げ兼ねまするが、併し退職金を政府が出すと云ふ考はございませぬ、唯併し整理される工場で全然資産がなくて、それで一文も金を貰はずに離職をすると云ふ者に付ては、若干の考慮を拂はなければならぬのぢやなからうかと云ふことは考へて居ります、今御話のありましたやうに三箇月分政府が出すと云ふやうなことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=12
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013・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 此の法案の運用のことを、主として第三章のことに付て二三伺ひたいと思ひます、此の法案は恐らく法案自體として考へるならば、國際的な水準を拔いた模範的な法案だらうと思ふのでありますが、それなればこそ、今日の世界の状態から非常に立後れたさうして混亂をして居る我が國の勞働關係に之を適用するのには、其處に非常な距離があると言ひますか、矛盾があると言ひまするか、困難な點が起るのではないかと思ふのであります、其の故に衆議院に於きましても種々の反對があるのではないかと思ふのであります、私自身もさう云ふ點に關聯しまして、二三法案の中にも疑問を持つて居ることがあるのでありますが、併しながらそれは今日扨て措きまして、左樣な私の考では、此の法案を今日の混亂して居る我が國の勞働關係に適用するに付きましては、共の運用に付て餘程用意をして掛らなければならぬのではないかと思ふのであります、先程の御話で、前の調停法は六件を扱つて、四件は大體片付いたと云ふ御話でありましたが、是は恐らく戰爭前に出たのだらうと思ふのであります、終戰後の今日の状況に於きましては、左樣なことを期待出來ない程の困難があるのではないか、そこで此の法案の運用に付きまして、實際に一番大切な役割を務めるのは、私は第三者の委員ではないかと思ふのであります、第三者の委員が最も公正に兩者の心服を得て、而も國家産業の前途を考へた高邁な識見を以て、公正な合理的な判定を下しまする時に、初めて勞資兩者の委員が之に納得も致すでありませうし、從つて經營者側も、勞働組合側も、其の判定に聽從しようと云ふことに相成ると思ふのでありまして、第三者委員と云ふものが餘程此の法案の運用に付ては大切だと思ふのであります、第十一條に「斡旋員候補者は、學識經驗を有する者で、この章の規定に基いて勞働爭議の解決につき援助を與へることができる者でなければならない」と云ふ規定がありまするが、是が恐らく私は第三者が選定される場合の基準になるのだと思ふのであります、處が此の「學識經驗を有する者」と云ふ字句は、是は今迄の慣用の字句でありまして、何處でも斯う云ふことが使はれて居るのでありますが、今日學識は扨て措きまして、今日のやうな困難な勞働關係を調整をして行くと云ふ場合に、豐富な經驗を持つた第三者たるべき者は、私は誠に寥々たるものだと思ふのであります、そこで其の點が私は非常に心配になるのであります、政府に於かれては豫め此の第三者を補強すると云ひますか、言葉は少し變でありますが、極めて豐富に第三者の委員たるべき人を御持ちになつて居らないと、適正な運用に事を缺くと思ふのであります、其の點に付きまして何か御當局に於て此の措置を講じて居られるか、どう云ふ御考があるか、出來るだけ具體的に伺へれば、此の法案に贊成を致すに付て、非常に參考にならうと思ひます、大臣に出來るだけ一つ御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=13
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014・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の御質問御尤もの次第でごさいまして、矢張り一番本になりますのは勞働委員會の委員の選任であります、それで勞働委員會の委員は、御承知の通りに資本家側と、勞働者側と、第三者側と、三つになつて居ります、資本家側と勞働者側は、是は選擧に依つてやつて來ることでありまするから、是はどうも其の各各の團體で選擧して來ますから、それに付てはどう云ふ考の樹てやうはないのでありまするが、第三者から出す公平な委員と云ふものは、是が一番問題の中心になると見て居ります、それで殊に中央勞働委員會の委員に付きまして、是は餘愼程重なる考慮をしなくちやならぬと云ふ考でありまして、是は此の十一月頃に改めて勞働委員會の委員を作る譯です、と申すのは、前の勞働組合法が出來ました時の委員の選定は、まだ法規關係其の他が十分でなかつた爲、或は選擧團體である資本家團體及び勞働組合の團體がはつきりしなかつた爲に暫定的措置で處理致しました、それで今度は愈愈それを發表しましたから、此の機會にもう一遍やり直す譯です、此の時の委員、時に第三者委員に付ては、政府に於ても十分な考慮をする積りであります、是は政府の方が原案の提出者になる譯であります、地方委員は府縣知事が原案の提出者になりまして、さうしてそれを資本家團體及び勞働者團體から選任しました委員に協議しまして、さうしてやつて行くと云ふ形になつて居ります、原案は政府及び府縣で作るのでありまするから、此の點に付ては餘程重大なる考慮を拂ひたい、又地方長官に對して拂はせる積りで居ります、是は一番本になると思つて居ります、それから其の次は調停委員の選任の問題になりまするが、調停委員の選任は「リスト」を作つて置くのが本になりまして、必ずしも其の「リスト」に依る譯ではありませぬけれども、其の「リスト」を作つて、其の中から適當な調停委員を出すと云ふことになります、是は主として勞働委員會で選ぶことにして勞働委員會の權限になります、是はさう云ふ問題に處する經驗なり或は良識のある方を選ぶのでありまするが、まあ適當な人はなかなかないとは思ひまするけれども、是は多數の中から比較的公平な人を選びまして、さうして其の「リスト」の中から其の場合々々に適當な人を又選り出すのでありますから、適用さへ十分氣を付けて行けば大丈夫だと云ふ考で居ります、斯う云ふ時代でありまするので、御承知の通り各方面にさう云ふ適當な人のなかなか少いことは事實でありまするが、政府の力の及ぶ範圍内に於ては最善を盡す積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=14
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015・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 第三者の委員の選定の方法其の他に付て愼重に御處置になると云ふことで誠に然るべきことと思ひますが、私は愚見を先づ申上げれば、寧ろ積極的に、言葉は少し變でありますが、「プール」を作つて行くと云ふ位な政治的の措置を今日御講じになる必要があるのではないか、今日、既存と言ひますか、既成と言ひますか、是も甚だ變な言葉で相濟まぬことになりまするか、其の人の中には、私は此の混亂した勞働状態を快刀亂麻を斷つが如く捌き得ると云ふ人は餘りないと思ふ、のみならず、ありましても、私は其の據るべき先例と言ひますか、事例も乏しいし、まあ勞働基準法が出來ますれば、一應は法制的な基準は出來ましても、矢張り勞働關係は度々御話のやうに事實的な基準が一番大切なんです、さう云ふものを通す場合に於きまして、なかなか是は困難な問題だと思ひます、策三者の委員たるべき資格としましては、私は第一には矢張り産業の機微に通じ、さうして合理化、産業平和と云ふものを積極的に採上げて、一段と之を確立し、推進すると云ふ位の見識と積極的な熱意が大切だと思ふ、第二には、私は特に勞働組合の事情に通じて勞働組合に親愛の情を持つて居る人でなければ、今日の委員の任務は果し得ないと思ふ、さうして勞働組合に親愛の情を持ちながら、而も公正なる第三者的立場を嚴守し得ると云ふやうな人でなければならぬと思ふのでありますが、斯樣な人を「プール」的に、何と言ふか、勞働委員會法と言ひますか、兎に角さう云ふ「プール」が存在して、其處からして可成り豐富に第三者の委員が選び出せる、産業のそれぞれの業態もありませうし、勞働組合の性質もありませうし、それ等の其の時々の必要に應じて、第三者の委員が豐富に選び出されると云ふことがありませぬけれべ、此の法が極めて合理的な冷靜な法律であるだけに、運用が極めて困難であると思ふ、そこで私は斯う云ふことを政府は御やりになる御考はないかと云ふことを伺ひたいのでありますが、法案の趣旨でありまする平和産業の維持、勞働能率の増進、産業合理化と云ふやうなことに付て相當大規模な調査委員會を此の際御作りになつて、さうしてそこに斯樣な第三者たるべき人を多數御迎へになつて、豫め今日の産業の状態、勞働の關係に付て調査研究をし、さうして其の立派な報告書が出來ますならば……外國にありまする如く多數意見、少數意見の報告書が出來ても私は宜いと思ふ、眞相に觸れた報告書が隨時出來まするならば、是は矢張り輿論を指導する一つの方法にもなりまするし、さうして第三者の委員と云はず、調停委員會なり調査委員會が判定をする、仍て以て立つ所の基準にもなる、是は私の意見の唯一例でありまするが、斯樣な積極的な政治的な措置を御講じになつて行かないと、私は此の法案は運用に於て甚だ困難が生じて來るのぢやないかと考へるのでありますが、もう少し具體的に政府の御考なり私の愚見に對する御所見なりを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=15
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016・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の御考は私共非常に參考になる點が多いと思つて居りますので、能くさう云ふ點に付て問題を考へたいと思ひますが、過日も聯合國側で勞働調査委員の「レーバー・アドヴァイス・コンミッテイ」と云ふものが出來まして、向ふから數名の其の調査委員が來まして、さうして段々日本の此の勞働問題の遷り變りの現状を調査しまして、相當廣汎な調査報告書が此の間出ました、一部は世間に發表したやうですが、まだ全部は發表して居らぬやうですが、それを私共が讀んで見まして、非常にあちらこちらの日本の勞働問題に付て示唆を得るのであります、と云ふやうなこと等も一例でありまして、兎も角も此の勞働問題は今御話の通りに相當矢張り專門的の分野がありますので、今後矢張り勞働問題の處理に當るお方の頭に、さう云ふ基礎的な調査なり、基礎的な資材なり、基礎的な事實なりと云ふものに親炙して貰ふと云ふやうな考は非常に結構な考であると思つて居りますので、さう云ふ點に付て考慮を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=16
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017・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 もう一つ私は附加へて御伺をしたいのは、結局に於きまして此の法案の圓滑な運營の一種の背景を成すものは輿論だと思ひます、過日來も御話がありましたやうに、又是は周知の誰も異論のないことでありますが、我が國の輿論と云ふものは極めて感情的であつて理性的でない、そこに非常な又此の法案を運用するに付ての難點があると思ふ、私は甚だ失禮な言ひ方でありますが、政府當局の輿論の指導方法が少し消極的ではないか、もう少し積極的に輿論に訴へると云ふことをなさる必要があるのではないかと云ふことを考へるのであります、さうして又其の表現の仕方が餘りに現實の處理を中心にした現實的である、そこになんと言ひますか、思想と言ひますか、「イデオロギー」と言ひますか、さう云ふもの、さう云ふ處理の生れ出た所の根源になる思想、「イデオロギー」を主張すると云ふ點に付て、私は非常に臆病……甚だ失禮な言ひ方でありますが、臆病な感がある、今日斯う云ふ激動期に於きまして、一番輿論の中心を成すものは、私は青年知識層だと思ひます、私は農村其の他にも最近瘻瘻行きまするが、農村の青年知識層は非常に勉強して居ります、矢張り自分の判斷の據つて立つ所の原理と言ひますか、思想的な原理、所謂「イデオロギー」、それを求めて居るのであります、處が我が國の今日の現状に於て、「イデオロギー」に對して最も勇敢であるのは左翼の鬪士のみ、是以外に於きましては、殊に此の現實に仕事の責任を持つて居らるる方面に於きましては、其の點に於て私は非常に臆病だと思ふ、是が私は輿論を指導する上に於て最も御考を願はなければならぬことではないかと思ふ、過日も「マッカーサー」の何か聲明がありまして、極く抽象的な言葉でありましたが、「イデオロギー」の問題に觸れた其の記事を非常に知識層は歡迎を致して居ると云ふやうなことを新聞等にも書いて居つたやうでありますが、私は事實の處理に對してそつのない意見の表現をすると云ふばかりでなく、其の根柢になる矢張り思想に付て、大膽率直に御述べになることが宜いではないか、河合厚生大臣等は最も其の點有能な先輩でありますからして、矢張り斯う云ふ國鐵の爭議等の場合には、新聞、雜誌等に寄稿をされて、さうして政府の所信を御述べになることが必要である、更に其の所謂資本家、經營者の側に於きましても其のことが私は必要であると思ふ、さうして責任のある兩者の意見が堂々と鬪はせられました時に、初めて輿論は其の判斷の基準を公平に得るのだと私は思ふ、地方等で小工場の經營でありますが、矢張り工場主が理論家でありまして、さうして自分の所信、自分の世界觀、人生觀を率直に勞働者の前で述べると云ふやうな所は、割合に兩者の意見、意思が疏通致して居りまして、多少勞働條件の上の問題がありましても、あの親爺なら話が分る、今は困難だが、今後事情が好くなれば大丈夫だと云ふやうな安心感を持つて居る、是はまあ瑣末な例でありまするが、私は輿論の指導に付きまして、もう少し當局が大膽率直に御述べになること、私は資本主義か、社會主義かと云ふやうな、左樣な粗雜な言ひ方が必要だと申すのではないのであります、私は左樣な粗雜な、大雜把な言ひ方で問題は解決するのではないかと思ひます、今日の産業の再建に付き、又日本民族の將來生きるべき方針に付て皆それぞれ各自所信を持つて居る、それをもう少し率直に御述べになることが必要ではないか、甚だ失禮な質問でありますが、私はさう云ふことが輿論を生む上に非常に大切だと思ひますので、御伺ひ致す譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=17
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018・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今御尋の點は、私共ももう至極同感でございまして、大體戰爭中から戰後に掛けまして、特に戰爭中、國民は長く厭迫をせられて居つたと云ふ感じが基礎になりまして、何でも政府のやることは宜しくないとか、或は反動的だとか云ふやうな思想がなかなか強いやうであります、それも段々解けて來て居ると私は思ふのであります、解けて來つつありまするので、結局輿論指導に向つて政府が勇敢に出る時期の問題も矢張り考へなくちやならぬ、そろそろ其の時期になつたんだと私は思つて居ります、と云ふので、元々現内閣に於ても考への基調は決つて居ります、良いものは良い、惡いものは惡いと勇敢にやらなくちやならぬと云ふことの所信は持つて居ります、持つて居りまするが、其の表現の方法及時期等に付きましては、是は適當な時に、適當な方法でやらなくちやならぬと云ふことを實は考へて居る次第であります、それと、是はまあ辯明でありませぬが、内閣成立以來日がまだ淺くて、其の間に御承知の通りにもう百難交々至ると云ふやうな状況と、此の議會との爲に全部忙殺されて居るやうな状況であります、其の爲に意に懸けながら多少遲れて居る點もありはせぬかと思ふ、是は辯明と云う風に御聽き下さつては困るのですが、事實問題であります、併し兎も角大體見當も付いて來て居り、良いことは良い、惡いことは惡いと、勇敢に政府の所信を發表してやつて行くべき時期がそろそろ來たと云ふ風に考へて精精是からやる積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=18
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019・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 もう一つ是は度々蒸返された問題でありますが、生産管理の問題に付て私の考を申上げて、厚生大臣の御意見を伺ひたいと思ひます、私は生産管理の問題は、靜的に考へると申しますか、冷靜に考へれば、厚生大臣の御解釋の如くであつて、そこに一線を引いて社會秩序を保つて行くと云ふ厚生大臣の御信念の出て來ることは、私は當然だと思ふのであります、併しながら今日起つて居りまする生産管理と云ふものは生産「サボタージュ」と云ふものと關聯して、勞働組合の方では其の生産管理と云ふ思想を是認して居るのが多數ではないかと思ふ、資本家がさぼつて居る、だからして我々は生産を管理して、さうして國家産業を一日も停頓さしては相成らぬと云ふのが、私は勞働組合側に於ける總てであるとは申せるか、申せないか分りませぬが、大多數の意向はそこにあるのではないかと思ふ、從ひまして今日の生産管理の問題を取扱ひますのには、是は矢張り生産「サボタージュ」と云ふものが檢討されて、さうしてそれがなくなつて來れば自ら私は生産管理はなくなつて來るものだ、斯樣に考へて居りまするが、如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=19
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020・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 生産管理と生産「サボタージュ」とが伴ふか、混合して起るやうな場合は勿論ありますが、それを止めたからと云つて、生産管理と云ふことが、今迄の情勢では起らなかつたとは言へませぬ、言葉を換へますると、從來起きました生産管理と云ふものは、生産「サボタージュ」を原因とする以外の原因で起きて居ると云ふことは私は認めて宜いと思ひます、さうだから今御話の通りに生産「サボタージュ」の點に付て、經營者側に對して政府が積極的な方法を執つて、さうして重要産業に對しては「サボタージュ」をやらせぬと云ふ點に付て、極力今後方法を執ります、執りますけれども、それだけが原因でないと云ふことを私は認めて居る次第であります、それで生産管理に付きましては、是は生産管理であるかないかと云ふ非常に「アンビギュアス」な問題が時偶ありまするので、そこで少し問題が濁るのでありますが、併し是は考の立て方で、私は寧ろ斯う思ふ、財産權の侵犯の事實があるものは生産管理なりと言つて宜いと思ひます、財産權侵犯の事實がないものか、或は承諾に依つて阻却されるものは生産管理ではないと思ひます、さう云ふ風に解釋しますれば、生産管理は總て違法である、正當でないと云ふことは確實に言へると思ひます、さう云ふ線に沿うて今後生産管理に付ては取締つて行く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=20
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021・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 結局に於きまして、此の法の運用は、私は政府が旺盛な政治力を發動されて、さうして萬全の準備をされないといけないものであり、又斯くさるべきであると思ひます、此の法案の中の問題になつて居ります三十日の猶豫でありますとか、官吏の罷業禁止だとか云ふやうな、衆議院に於て論爭されました論點の如きは、私はあらずもがなの條文だと思ふ、此の一兩年は三十日の猶豫だとか、官吏の罷業を抑制するとか云ふやうな消極的なことでは駄目だと思ひます、そこで自分の管轄下の官吏に付ては、爭議どころか、立派な勞働組合を作らして行くと云ふやうな、私は積極的な政治性がなければならぬと思ふ、三十日の猶豫を限つて公益事業の爭議を豫期すると云ふやうなことではなくして、公益事業は立派な合理化された企業として、他の産業の模範になり、平和日本の産業は斯くあると云ふことが世界に誇示出來るやうなものになるやうに、此の一兩年は政府が積極的に努力されなければならぬと思ひます、此の法律は、私の考では、是は勞資の關係が正常な關係にあり、さうし個性が極めて確立して居る歐米に於て冷靜に運用される時に、是は初めて法の眞價を發揮するのでありまして、我が國のやうな今日の混亂期に於きましては、寧ろ政府は一定の規準である法を超越して、改治的な努力に依つて日本の産業を、調停法等は何處にあつたか忘れてしまふと云ふやうな立派なものにさるべき意氣込みを以て御臨みにならなければならぬと考へて居ります、私の申し上げました調停委員會を此の際御作りになつてはどうかと云ふやうなことも、それの一つの第一歩としておやりになると云ふことはどうかと考へて居ります、それ等の點に付て一つ積極的な努力を御願ひしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=21
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022・中山太一
○中山太一君 膳國務大臣と司法大臣に御伺ひしたいのでありますが、膳國務大臣には御出席の際伺ふとして、司法大臣への質問は厚生大臣より然るべく御傳へ願ひ、後の機會にでも御答辯願ひたいと思ひます、それでは只今のことに關聯して御伺ひしますが、輿論の指導と云ふ問題と關聯して、生産管理が行はれて居る、其の對照として生産「サボタージュ」があるから當然である、已むを得ないものであると云ふことになつて居る、勞働組合等のそれが今の信念であり、又認識であると云ふやうな厚生大臣から極めて明快な御答辯がありましたけれども、實際的に生産の「サボタージュ」が行はれて居るでありませうか、行はれて居るとすればどう云ふ原因で行はれて居るのか、政府の政策に起因する爲に産業家が事業をしようとしても出來ない状態なのか、或は資材が足らぬものか、石炭が全然供給がないからやらぬのであるか、産業家が生産を停止すると云ふことはあり得る筈がない、之を戰術基礎として所謂勞働爭議の具にしてに社會に宣傳して居る、産業家も之に對して反駁しない、政府も之に對して適當な闡明がない、さうして一方には如何にも資本家が怠けて居るが如く誤解されて居る、私は今日はどうして復興しようか、どうして再建しようかと血みどろになつて居るのが現状ではないかと思ふ、そこに政府の政策に依つて補償打切、其の他の色々な事件があつて、其の始末に對しても困る、それでも猶起上つてやらうとするやうな旺盛な生産意欲を以て進みつつあるのが、私は全産業人の眞相だと思ふ、それを反對に、一方の宣傳を信じて、如何にもそれがあるらしく考へられるのは、私甚だ遺憾至極だと思ひますが、政府當局の仰つしやるやうに斯くの如き不都合な者が實際あると云ふことであれば、それを御聽かせ願へれば非常に結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=22
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023・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 是は實際の産業全體のことに關しましは商工省の方で一番多く分る、其の外色々各省の關係がありまして非常に廣汎に亙ることでありますから、私は茲に全體に付て、是は斯うだ、ああだと云ふことを斷定して申上げる譯には行きませぬ、が兎も角も全國に亙つて數多いことでありますから、色々のことが矢張り非常に數の多い中に起きると云ふことは、是は御認めにならぬといかぬと思ふ、それで今日は大體資本家「サボ」と云ふものを意思があつておやりになつて居るかどうかと云ふ問題でありますが、大部分の者は、假に「サボ」の事實がありましても、それは採算が引合はないとか、或は石炭が足らぬとか、資材が足らぬとか、色々さう云ふ今日の刻下の現状から來て已むを得ず生産を促進する譯に行かないと云ふ事實が大多數だと云ふことは、私も認めます、併しながら非常な多數の中には絶對に不心得の者がないとは私は申しませぬ、と申すのは矢張り工場を打つちやつて逃げ出したやうな例もある、又場合に依りましては、是は仕事をするよりも資材を其の儘に持つて居つて値上りを待つたが宜いだらうと云ふやうな例もあつたと云ふことを聽いて居ります、斯樣なことで、數の多い全國に亙つてのことでありまするから、一々どうのと云ふことは私も申上げる譯に行きませぬが、總ての産業に惡意がある「サボ」と云ふものは一つもないのだと云ふ風の斷言も、私には出來ぬと云ふやうな事情になつて居ります、併し先づ産業の全體から觀て、多くのものは資材なり、原料なりの不足、或は採算の不引合と云ふやうなことが重大な原因になつて居ると云ふことは私も認める次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=23
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024・中山太一
○中山太一君 資材、原料の不足の爲に生産が出來ないのは決して生産「サボ」とは言へないと思ひます、勤勞者でも資材が廻らない、或は機械が破損したと云ふ時に手を休めたと云ふのは、決して勤勞者が「サボ」をするのぢやないのです、やらうとしてもやれないのであります、之を工場主は勤勞者怪しからぬとして所謂爭議に入つたやうな風とか、怠慢でやつて居ると云ふやうには考へないのであります、國家の斯う云ふ現状の下に、資材、原料の不足の爲に生ずるのはさう云ふことでないと云ふことは、はつきりさう云ふ言葉を使ふことが穏當でない、不當であると云ふことは、政府當局に於て今後色々の問題を混亂させない爲にも分類して御考を願ふことが必要だと思ひます、又物價の問題、引合はぬと云ふので不心得に止めて居る者もあるかも知れませぬ、是は利を追ふ爲に、暴利を得る爲に、利己的な考を以てやる者は怪しからぬことであるから、是は今の御説に當嵌ることである、處が政府の政策、所謂官僚の實際を認識しない爲に不當な價格を決めて、事業經營すれば遂に破綻する、勤勞者も遂に解雇しなければならぬと云ふことになる、生産する爲に事業が衰微する、高い原料、材料を持ちながら生産品は其の何分の一かになると云ふやうな、斯う云ふ矛盾した物價の決めである時は、是は政府の責任でありますから政府當局が之に對して反省し、速に改善して、産業の正しく經營されるやうに是正されることこそ至當と思ひます、其の原因を究めずに、唯さう云ふことをして、爭議の對象になるやうな問題の眞相を究めず放任されて居ることは、好ましくないことのやうに存じます、生産管理に對しては極めて明快な御判斷をされて居りまする厚生大臣でありますから、此のことに對しても引合はぬと云ふことの一面、色々其の内容を見られれば、政府の重大な責任に於て是がさう云ふやうなことになつて居ることもあらうと思ひます、又一部は闇で高いものをどんどん造つて賣つて居つたやうな不心得の者があり、又出來るだけ生産に進まうとする者が全國的に多數あるのであつて、爭議の對象になる、或占領に等しいやうなことをして生産管理を行ふ、如何にも社會を欺瞞するに等しい、國家の爲には生産は一日も放任することが出來ないから、國家社會の爲に生産を管理するものなり、斯くの如く欺瞞的なる言葉を以て臨むことは宜くない、それが結果はどうかと云ふと、眞に生産に貢獻して居るのではなく、一つの戰術である、之に多くの人が惑はされ、さう云ふことに向つて行かれた時には由々しき問題でありますから、只今希望の御意見もあつたやうでありますが、政府は其の眞相を常に國民に了解さすやうに、適當に輿論に誤りのないやうにして戴くと云ふことは極めて緊要のことのやうに存じます、今色々の非常に堅實な方でさへも生産「サボ」が如何にも盛んに行はれて居るやうに御考へになつては居らぬかと考へられるので、是では成る程輿論は一部の無理なことでも尤もだ、其の時に、最近起つた鐵道の「ゼネスト」等でも、政府の今のやられる程度であれば、どちらが正しいかは、輿論は數に於て同樣な結果を意味するが、私は甚だ不安だと思ひますので、今の事實に付て質問をしたやうな譯であります、厚生大臣は、今少し積極的に健全なる輿論を喚起する、眞に公正なる健全なる輿論を喚起して行くと云ふことに付て、何か良い積極的な御考を御持ちでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=24
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025・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 新憲法の出來まするやうな情勢になつて居りまするから、此の下に於て健全なる民主主義と云ふものの展開に向つて政府は積極的に努力をして行く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=25
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026・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 只今の問題に付て中山委員から色々御話になつて、大體是は認定の問題になるやうであります、私の申上げたことに端を發して居りますので、もう一度私の申上げた意味を敷衍しまして、當局の御所信を伺ひたいと思ひます、我が國の産業は明治以後、明治の後半、大正になりましてから第一次世界戰爭以後急速に發展致しました、さう云ふ焦りからでありませうが、我が國の産業は何方かと云ふと、工場の經營に力を入れてさうして生産工程を合理化して行く、生産費を下げて行くと云ふやうな地道な努力の拂はれて居りました分野は極めて少なかつたやうに思ふ、是は戰爭前のことであります、さうして多くは、私の見聞を以てしましても、此の工場がと思はれるやうな所が材料の賣買、製品の賣買に所謂「スペキュレーション」でやつて行く、さう云ふことが事業經營の基礎になつて居ると云ふことが私は戰爭前の状況であつたと申しても大して過言でない、多くの經濟學者も左樣に論定して居るやうに私は思ふのでありますが、是が太平洋戰爭になりましてからは一層ひどくなりまして、地道な生産を一生懸命にやつて行きますよりも、軍需省であるとか設備營團であるとか、そこらの若い軍人等でさう云ふ生産に關係して居りまする者と聯絡を執りまして、さうして安い資材を出來るだけ澤山抱き込んで行くと云ふやうな、さう云ふあり得べからざることが頻々として起つて居つた事實は、私は之を蔽ふことが出來ないと思ひます、それが終戰後此の混亂になりまして、物價の値上り、只今中山委員御話になりましたやうに、生産をするよりも材料を横流してしまふ方が宜い、生産をすれば寧ろ赤字が出ると云ふやうな状況になつて參りましたので、一層左樣な状況が拍車を掛けられて來たと云ふことを私は認めざるを得ぬと思ひます、其の原因が資本家自身の惡意にあるか、或は又四圍の状況、客觀的な條件が斯樣にせざるを得なかつた、それにどこ迄政府の責任があるか、是は別問題に致しまして、暫く問はぬと致しましても、左樣な事實が私は頻々起つたことを認めざるを得ない、勞働者の方から申しますならば、其の原因迄追究致しまして、さうして是は已むを得なかつた、あれはどうであつたと云ふやうな冷靜な判斷を下し得るのは、是は恐らく少數と云ふか、困難である、多くは左樣な現はれた現象を取りまして、資本家の「サボタージュ」、中には露骨な惡意が表明された場合もあるのであります、左樣なことを勞働者側が認識をして、さうして資本家の「サボタージュ」、是ではいかぬから自分達で生産をやる、其の生産の成績が擧つたかどうかは是は又別問題と致しまして、左樣に私の御伺ひしましたのは、企業の「サボタージュ」と生産管理とは關聯して此の際は考へなければならぬと思ふ、之を目茶苦茶に、勞働組合は怪しからぬと云ふことになりますと、私は政治的に考へまして、今日の状況を安定さすのに極めて拙いことである、寧ろ兩方の立場を認めて、さうして左樣な原因だけを除去すべく努力をされると云ふことの方が大切なのではないか、徒に判定を下してお前の方は怪しからぬと云ふよりも、先に斯樣な事實を阻止する、左樣な事實を無くして行くと云ふことの方が必要なのではないか、左樣な見地からして、生産管理と云ふものを國家秩序と云ふ觀點から論じますることは當然ではありませうけれども、此の際は左樣なことを高調することは多少手心を加へるとが政治的ではないかと云ふことを伺つたのであります、大體只今の御話を伺ひまして、私も何とか此の點を積極的に政府に於て調査を御進めになり、眞相を發表されて、同時に生産「サボタージュ」のなくなりますやうに御處置を願ひたいと思ひます、是が私は大切なことと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=26
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027・中山太一
○中山太一君 勞働爭議に對する暴行、脅迫、威嚇、尾行、追蹤、或は交通遮斷等の如きこと、又は其の爭議に加盟して居らない者の歸宅を阻止するとか、又其の從業員の家族に面會を強要すると云ふやうなこと、又は侮辱をする、惡戯をする、さう云ふやうなこと等が行はれて居る場合もありますが、斯う云ふのは厚生省としてはどう云ふ風に御取扱になるか、又司法當局としては、爭議手段としての正當なものではないと思ひますが、斯う云ふものはどう云ふ取締方法を行はれますか、御意見を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=27
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028・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 刑法の適用に付きましては、司法省から責任ある御答をする方が適當かと思ひまするが、一應私共の考を申上げますると、暴行、脅迫のやうな行爲は是は良くないと思ひます、唯併し爭議と云ふものは或る程度團結をして、其の主張を迫るのでありまするから、それを爭議でない平時の觀念で考へますると云ふと、營業妨害等になることもあるのであります、併しながらそれを一々取立てて參りまするならば、爭議と云ふものは行ひ得ないことになりまするので、何處の國でも正當なる爭議行爲は認められて居ります、それは程度の問題でありまするので、今御話がありましたやうに、正當な爭議は認められるからと言つて暴行、脅迫に及ぶと云ふことは、是は正當な爭議行爲を越えた行爲であると私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=28
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029・中山太一
○中山太一君 爭議の時に、個人であれば不當であるが、爭議が團體的に行はれる爲に、或程度は之を認めなければ勞働爭議等は行ひ得ないと云ふやうな御意見のやうに聞えました、若しそれであるとすれば英米の何れかに於ては斯う云ふ解釋を下して居るやうでありますが、單獨に見て其の行爲が犯罪を構成する、暴行、脅迫、其の他一般の犯罪行爲であるならば、それが爭議行爲なるが故に、不問に付せられ又處罰を免れることがない、此の單獨であつても其の行爲が犯罪を構成する行爲であるならば、それが團體である所謂爭議行爲であると云ふ故を以て、それが不問に付せられることはない、處罰を免れることはないと向ふは規定して居ります、日本ではさう云ふ時は、個人の場合には犯罪になるが、爭議行爲の時には是は不問に付し、又は處罰しないと云ふやうな考へでありませうか、是も併せて御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=29
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030・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今私が申上げましたのは、個人で犯罪になる行爲を、組合なり團結でやつたら犯罪にならないと云ふことは申上げたのではございませぬ、今申しましたやうに暴行、脅迫のやうな行爲は、個人でやりましても犯罪になりませうし、團體でやりましても犯罪になるだらうと思ひます、唯其の爭議行爲と云ふものは集團を以てやる行爲でありますから、普通の場合、爭議でない場合に、今のやうに「ストライキ」をやつて仕事をしないと云ふやうなことになりますれば、それは普通の觀念から言へば一つの營業妨害になると思ひます、多數の者が威力を以てさうして仕事をしないと云ふことは、普通の觀念から言へば刑法に觸れると思ひますけれども、併しそれが爭議行爲としてやられる場合は、それは營業妨害にならないと云ふのが各國共通念になつて居るのであります、それを私は申上げたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=30
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031・中山太一
○中山太一君 今の御説明で今普通の爭議行爲として認められる程度のものを御話になつて居ると云ふ意味で解釋して宜いと思ひます、それは爭議權が認められ罷業權迄認められて居るのでありますから、當然の事であり、御説明は御尤もであります、委員長に御願ひして置きたいと思ひます、膳國務大臣に御質問申上げたいことの要點だけを申上げた方が宜しうございませうか、或は今申さないで、其の時に致した方が宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=31
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032・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 膳國務大臣には午後には何とかして出席して戴きたいと思つて居りますから、其の時に仰しつて戴いた方が御便利かと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=32
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033・中山太一
○中山太一君 それでは私一應質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=33
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034・吉田久
○吉田久君 先程山名男爵から御質問がございましたが、私は之を拜聽して、大變に教へられる所が多かつたことを感謝するのであります、同男爵が仰せられたやうに、本案に於ける調停及仲裁が第三者委員の向背に依つて決せられると云ふことは誠に明かなことであると思ひます、詰り第三者委員が「キヤスチングボート」を握つて居る、使用者側の委員及勞働者側の委員、同數の委員が出まして、それに第三者委員が加はる、第三者委員の數は本案でははつきりされて居らぬやうでありますが、其の數をどう云ふ風に致すのでありますか、是は餘程重大な事柄であると考へて居ります、例へば使用者側の委員五名、勞働者側の委員五名、それに第三者委員は一名でも宜いか、二名でも宜いのか、さう云ふことになりますと第三者委員と云ふものの權威も無くなりますし、又其の向背と云ふ非常に微妙な關係も持つて居るので、外部からは危惧の念を以て窮はれることになりまして、非常な心配な結果を見ることを思ふのであります、左樣な譯で、第三者委員の此の數をどう云ふ風にするのか、其の數は勞働委員會の會長の自由裁量に任せて置くのであるかと云ふことは、是は餘程大切なことと思ひますが、其の點は姑く措きまして、兎も角も第三者委員の向背に依つて調停案も決まるし、又仲裁も裁定も決まることになるのでありますからして、此の第三者委員と云ふものは、餘程しつかりした外部から動かされない存在でなければならないと思ふのであります、そこで第三者委員をどう云ふ風にして決めるかと云ふことが、實際問題として大切なことになつて來る、此の點に付て本案がどう云ふ風な考を以て立案せられて居るのであるか、實は甚だ不明であつたのであります、此の點を御指摘下さいまして、政府の所信を質されましたことは、私非常に結構であつたと存ずるのであります、で私は前囘に、第三者委員の存在が非常に大切である、第三者委員は外部から動かされない存在でなければならぬ、さうでなければ爭議の裁定も調停も、亦仲裁も決して立派なものは出來ない、當事者を心服せしむる所の立派なものが出來ないと云ふことを申上げたのでありますが、其の趣意は要するに、第三者が外の力で動かされる心配があると云ふ觀點から主として申上げたのであります、勞働者側に致しましても、又使用者側に致しましても、第三者委員の向背に依つて事が決まると云ふことになりますれば、どうしても抱込み誘導と云ふことが行はれると思ふのでありまして、此の抱込み誘導を排して毅然として其の職務を行ふ立派な第三者委員と云ふものは、どうして實際的に得られるであらうかと云ふことに考へ及びますると云ふと、本案の實際の此の運用と云ふことに多大の不安を感ずるのであります、私は主として此の見地からして、本案の調停機關は、調停委員會をして調停機關たらしむると云ふことよりは、寧ろ裁判所をして其の調停機關たらしむることが相當である、斯う云ふことを申上げたのであります、使用者側にも屬しない、又勞働者側にも屬しない第三者、其の立派な第三者と云ふものを公平に求めるならば、何處に求めたら宜しいでありませうか、私は甚だ自分の我田引水のやうに取られるかも知れませぬが、結局は此の裁判所と云ふ風な所に落著かせるのが宜いのではないかと思ふのであります、資本者側にも屬しない、所謂使用者側にも屬しない、勞働者側にも屬しない立派な動かされない、力のある、正しい第三者と云ふものの委員、是は何處に求めるか、實際問題と致しまして是は容易なことでないと思ふのであります、左樣な點から致しまして、私は前に本案の調停機關は之を裁判所に移したらどうかと云ふことを申上げたのでありまして、又裁判所と致しましては、私は最高裁判所に屬せしめてはどうかと云ふ位に考へて居るのであります、新憲法に於きましては、最高裁判所の判事は國務大臣と同等の資格のある立派な人を以て組織されるのであります、最高裁判所の長官は總理大臣と同じ地位の人を以て充てると云ふことになつて居るのであります、此の最高裁判所の裁判官をして勞働爭議の結局の調停機關に當らしめると云ふことにしたならば、私は立派な調停仲裁が出來ると云ふ風に考へて居るのであります、處がどうも從來斯う云ふ風な案を拵へられる時に、裁判所に持つて行くと云ふことに付て、行政官廳はどうも面白くないと云ふやうな考へを持つて居られるのぢやないかと云ふ考へを私は邪推かも知れませぬが、抱いて居るのでありますが、或は本案もさう云ふやうなことで裁判所を「ロックアウト」して居られるのでなからうかと云ふことを、私は或は邪推かも知れませぬけれども、さう云ふ風にも考へて居るのであります、果して邪推ならばそれで結構でありますが、若しさうでないとしますれば、是は一つ矢張り思ひ直して戴きたいと云ふことを切望するのであります、本案が立派な法律として社會に出まして、さうして勞働の義務を立派に解決することに役立つ法律として、私は之を世の中に出したいと云ふ一念から致しまして、前囘より卑見を繰返して居るやうな次第であります、只今山名男爵に對する御説明に示唆を得まして、更に所見を繰返して各位の御熟考に愬へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=34
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035・中山太一
○中山太一君 ちよつと速記を止めて戴きまして、當局に御尋をしたいと思ひますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=35
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036・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を止めて
[速記中止]発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=36
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037・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を始めて下さい、休憩を致します、午後は一時から始めます
午前十一時四十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=37
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038・会議録情報3
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午後一時二十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=38
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039・高木正得
○副委員長(子爵高木正得君) 是より午前に引續き開會致します、只今委員長は憲法委員會に臨まれて御退席中でありますので、私が此の席に著きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=39
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040・中山太一
○中山太一君 膳國務大臣に御尋ね申上げますが、只今の産業界は勞働賃銀の値上、又は生産品の原價の引上等に依つて物價高を招きつつある傾向であります、是が生活費を更に昂騰せしめて惡循環を繰返し繰返しして、更に勞銀の値上、物價高、生活費の昂騰、斯う云ふ風になつて參るのであります、現政府に於かれましては此の状態を打開すべく相當な御抱負、御經綸を以て經濟安定本部を設置されたものと存ずるのでありますが、此の生産と物價と賃銀が、所謂物價が賃銀の上に影響を及ぼし、それが又生産費の方面にも關係し、生活費に關係をする、又それが物價の上に響いて來ると云ふやうになりますが、茲に經濟安定本部に於ては革新的な物價政策を御採りになつて、物價が適正な價格に引下げられると云ふやうなことを御考になりはしないであらうかどうか、又是と極めて關係のありまする生活方式、現在の一般國民の生活の方式が革新的に行はれなければならぬと存ずるのであります、さうして行きまする爲には、一家が農家と同じやうに擧つて働くと云ふことでなければならぬと思ひます、一人の人が働いて其の收入に依つて一家が生活を營むには餘りに物價が高過ぎるのであります、それでは一家の生活を支へることは出來ぬ、飢餓突破は困難だと思ひます、そこで一家が共に働くやうに生活方式を變へる、又其の消費の方面に於ても今少し物を活かして使ふ、消費の合理化、生活の合理化を積極的に行ふ、又どうしても生活に困難して飢餓に直面するやうな家庭で子供を澤山持つて居る者は、或は晝間中等學校へ通つて居る者は、晝は勤勞して夜學校に通ふと云ふやうな方法も一時は採らなければ、一家の生活を安定せしむることが出來ないかも分らない、色々の工夫なり、改善をして生活の水準を引下げ、而して收入との「バランス」の採れるやうにすることが必要ではないかと存ずるのであります、又生産の方面にも茲に革新的な生産の方式を行はなければならぬのではないか、さうして行くには生産上の有らゆる無駄を省き、勞働能率を昂揚し、丁度今から二十年前に「アメリカ」の「ブラック・ヒルス」が指摘しましたやうに、日本の産業には有らゆる角度から見て大きな浪費、空費、冗費がある、之を省くことに依つて年々四大工業だけでも三億圓以上の無駄が省けると言つて居ります、之を各種の産業に當嵌めて見ますと數十億圓の無駄が省かれて來る計算になるのであります、天然資源の少い日本に於て良い物を安く作るには矢張り生産方式に一大革新を斷行して、さうして適正なる價格で物を生産すると云ふことにならねばならぬ、從つて革新的物價政策を行ふのと相關關係を持つて居る革新的生活方式を行ひ、革新的生産方式を行つて生活の水準を引下げ、適當なる賃銀に依つて勤勞を持續することが出來、又生産費の水準を引下げて適正なる價格を以てやる、所謂良品廉價を以て一般社會大衆の便益を圖ると云ふことにならないと、經濟安定の實を擧げることは困難なやうに存じますが、之に對する國務大臣の御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=40
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041・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今の中山さんの御質問に對して御答へ申上げますが、將來の生産の合理化竝に勤勞者の生活の合理化、斯樣な問題に付きましては御意見全く私も御同感に存じます、私共もさう云ふ方面に安定本部の、經濟安定の、産業安定の、産業の將來の機構及び運營竝に勤勞者の福祉増進、生活向上と云ふやうな問題をさう云ふ線に沿つて進めて參りたいと存じて居ります、尚同時に生産、賃銀、物價に對して安定本部でどんな考を以て施策をして行かうとして居るかと云ふ御尋でございますが、實は今御質問の中にもありました賃銀と物價とがお互ひに惡循環をして居ると云ふやうな點は御指摘の通りであります、そこで何處に其の根本の原因があるかと申しますと、私共の考では結局食糧品不足の爲に闇相場が行はれて居る、又闇の物資を購入するに非ざれば生活の保證が出來ない、竝に從來の賃銀と生産費との惡循環が行はれる大きな原因があつたのではないかと存ずるのであります、勞働爭議に現れました色々な事象、又生活、飢餓突破資金の要求と云ふやうなさう云ふ要求も、何處から來るかと言へば、結局配給さるべき食糧の不足の爲に闇生活を行ふ、其の爲の已むを得ざる矢張り必要がある爲に、通常の物の生産費、産業の經營の標準では考へ切れないやうなものを出さざるを得ないと云ふやうな事象になつて參る、結局其の爲に増加されました賃金、俸給が又物價騰貴を誘致するやうなことに廻るやうなことでありますので、私共の考へて居りまする諸經濟安定の根本の施策としましては、幸に本年米の豐作を見ますので、此の機會に於きまして闇生活のない國民の食生活をば先づ劃しまして、賃金と物價との惡循環のないやうに致して參りたい、尚從來は兎角此の物價が、色々の總ての勞銀を定めます際もさうでありまするが、色々の物價が何と申しますか、凸凹に勝手に決められて居るやうなこともあります、將來の賃金、物價等に關しまする方策としましては、先づ出來るだけ闇のない生活が出來まする主食糧品の價格の安定を見まして、それを中心とする合理的の賃金と云ふものがそこに定る、其の合理的の賃金と申しましても、實は此の生活の上に非常な變動が參りました爲に、現在の賃金制度は御承知の通り賃金制度としては甚だ不合理的なものでありまして、寧ろ賃金、俸給と云ふよりも一種の救濟資金のやうな意味合を呈して參りますので、家族主義的と申しますか、封建主義的の色彩を多分に含まれて居るのでありまして、此の食生活の安定を期しますと同時に、一方に能率賃金と云ふやうなことを中心としまする一つの賃金の合理化を圖つて參りたい、そこに直ちに生産費の基礎を成しまする賃金水準を作る、そこで合理的の生産の經營が出來ると云ふやうな方面に參る、其の一聯の根本施策をば安定本部で樹立致したいと思ひまして、既に米の問題は自然が助けて呉れたと申しますか、之に依つて安定を得ると思ひますので、此の機會に今申します物價、賃金、生産費と云ふやうなものの合理的な「バランス」を取れるやうに一つ誘導して參りたい、茲に安定本部の應急的の施策の中心をば集中致したいと、斯う考へて居る譯であります、尚將來の生産の合理化をどう云ふ風に持つて行くかと云ふことでありますが、是は現在御承知の軍需補償打切に伴ひまする日本の産業の移り變り、又賠償の爲に撤去さるべき設備等の返還等に依りまして、日本の生産界に於きましても從來と違ふ「ベーシス」の上に考へなければならない事象が出て參ると思ひます、是等は一方には中小商工業の育成と云ふことはありますけれども、同時に少い資材を似て又不十分な施設を以て日本の産業を再開して行きますには、是非共茲に重點的な産業の指導方針を採らなさればならぬと思ふのでありまして、それを策します際には經營の合理化、是は此の軍需補償打切に伴ひまする各産業の整備計畫をば助成して參ります際に、自然にそれが行はれて參るのでありますけれども、合理的産業の經營と云ふ方面に持つて行かなければならぬと存じて居ります、其の際に大きな問題となりますことは勿論申上げる迄もなく勤勞の問題であります、斯う云ふやうな、人が多くて仕事の少い際に、御説のやうな一家總てに仕事が與へられるやうなことが直ぐ實現出來るかどうかと云ふことは甚だ是は疑問であります、併しながら一方には生活の合理化と云ふことも考へ、又是と裏腹に産業の中に於きまする勞働の位置と申しますか、勤勞意欲を發揮せしむべき其の形も從來と變つて考へなければならぬと存ぜられるのであります、是からはどうしても國内の諸原料、其の他の物資が足りないのでありますから、而してあるものは勞力、是が是からの産業囘復の大きな一つの元なんでありますから、此の勤勞意欲をば如何に合理的に發揮せしむるかと云ふことが、是からの産業に課せられた大きな問題と存じます、是は無論勞資一體となつて産業の難關を克服すべきでありますけれども、從來のやうな唯由らしむべし、知らしむべからずと云ふやうな意味の勞資の一體觀では參らないので、相當産業の中に於きまする勤勞意欲を、自覺した勤勞心の上に發揮させるやうなことが必要と思ひますので、さう云ふ點に於きましても合理的の賃金制度の研究と共に、安定本部に於きましては、どう云ふ形に於て、どう云ふ部面に於て、どう云ふ限度に於て、又どう云ふ責任に於て勤勞意欲と經營と云ふものと結び付けるかと云ふことに付ては研究を進めて居りまするし、或形を茲に整へて行く必要があると斯樣に存ぜられるのであります、甚だ御答へ申上げますことが抽象的になりまして、御滿足が得られましたかどうですか、其の點は恐縮に存じますが、大體斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=41
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042・中山太一
○中山太一君 色々詳細に御答へを戴きまして有難うございます、其の際賃金の問題の内容に付きましても安定本部の御方針として御漏らし戴いたことは大變適切だと存ずるのであります、現在のやうな社會政策を主として産業政策が全然沒却されて居るやうな賃金法を以て産業の興隆を圖ると云ふことは、全然出來ないのでありまして、是は總ての賃金、諸手當等にあります、就中家族手當の問題に付ては是が一層濃厚でありますが、それが將來能率賃金等で、技能なり勤勞なりの特別の人の力が發揮されればより高い貸金も支拂ひ得るやうな方法になると云ふことは、極めて適當なことだと存じます、賃金問題に付ては御尋ねしようと思ふことを私はそれで打切りまして、次に失業の問題に付て先達て厚生大臣には御尋ねしましたが、是は安定本部としての御意見を承る方がどうも至當である、適切であると考へますので御尋ね致します、それで政府當局に於かれては現在の産業經濟界の實情に即して、社會保護法、生活保護法等の名に依つて、失業救濟に關する各般の施設等に付て相當重點を置いて施策を進められて居ると云ふことは承知して居りますが、それが消極的であつてはならぬのではないか、現在の文化の水準から總ての政治が行はれるならば、社會政策に於きましても所謂貧乏人を救ふことも必要だが、貧乏にならぬやうにする、所謂病人を助ける、傳染病患者を助けるが、それよりも傳染病に罹らないやうにする、火消は十分に完備するけれども、出火しないやうに、又は極くぼやの時に消すとか、防火に力を置くと云ふやうな如く、失業を救濟することは必要であるが、それが必要であればある程、失業者を出さぬやうにすると云ふことが大きな施策にならねばならぬのであります、經濟安定本部の仕事として失業防止には餘程重點を置いて貰ふ必要があるのではないか、併し一面には補償の打切なり又財産税なり更に賠償工場等の關係で、出すまいとしても失業者は簇出するのであります、是はもう雨量が多くてどんなに洪水を出すまいとしても防ぐことが出來ない態勢でありますから、是は全然防止すると云ふことは出來ないだらうが、大害を招かない、出來るだけ防げる限りは防ぐと云ふ施策が政府の最高政策に於て行はれなければならぬのぢやないかと、斯う思ひますが、之をもう一つ具體的に申しますれば、失業救濟に對してはもう本員が申上げる迄もなく、政府では著々とそれに付ての豫算迄取られて實施せむとして居りますが、失業防止の方に於ては基準法にも色々定められて、三十日の豫告が必要だとか、手當がさう云ふ場合には必要だとか、いや、それでは少いとかと云ふことが論議されて居りますが、私は是が將來行はれるやうになりましても、是では實際の失業者の苦痛を救ふことは出來ないし、又失業する人に豫告してから後の三十日間と云ふものは事業の内部が混亂して却て豫告期間が多いければ多い程非常に弊害が伴ふことだと思ひますので、之に對しては若干の手當と云ふことは附けてあつても、「ソ」聯が二週間の豫告であり、日本の民法からは矢強り二週間だとか、必ずしもそれを長くしなければならぬと云ふことよりも、豫告と共に其の手當は免除される筈でありますけれども、寧ろ豫告もするが若干の手當の義務も伴ふと云ふやうな風に考慮されむことも必要であるとも思ふのであります、豫告期間は短くして手當が若干附くと云ふことが考へられた方が、どうも弊害が……辭める者が殘つて居つて却て殘る者が困る、それから事業は非常に其處に不規律な不秩序なことになる虞がありますから、是は考慮を煩はしたいと思ひますが、失業防止をする爲に失業防止本部の如きものを設けられて、直接勤勞者に豫告しないけれども、工場其の他の關係者は失業者を多量に、所謂正當な解雇でなく事業の關係上大量解雇しなければならぬやうな場合には、豫め其の本部には豫告して置き、さうして本部に於ては各方面から申出があつた中をどんどん配置を考へて貰つて、それを要求する方面に直ぐ配置する、それは出來るだけして貰ふが、併しどうしてもないと云ふ時には或は臨時の仕事、東京都の道路政策とか或は名古屋とか大阪とか各地の附近附近に必要な仕事があれば、そこで一箇月か二箇月のほんの臨時的仕事が出來るやうに振向けるやう御考慮願つたらどうか、さうして其の失業者が翌日から失業の爲に途方に暮れると云ふのを假令一月でも二月でもさう云ふものがあるならば、其の間に友人知己其の他の方面から就職する機會が得られると云ふやうな、裕りのあるやうなことを政府の機關に於て行はれると云ふことは非常に深切でもあり、又失業者の身に取つても苦痛が餘程減ずることになると云ふやうに思ひますが、之に對して一つ安定本部として、是も矢張り經濟安定の上に大きな役割を持つことであると考へますが、御所見は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=42
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043・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今の失業防止及び出ました失業者に對する對策の問題に付てでありますが、斯う云ふやうな具體的の方策をどうするかと云ふことは、寧ろ安定本部の仕事と申しますよりも、直接厚生省で色々御心配願つて居る點でありますが、從つて應急にどう云ふ風な措置をするかとと云ふやうな具體的な問題に付きましては、定めし皆樣の御問ひに對しまして厚生大臣或は厚生御當局から御話があつたと思ひますが、私共の考を端的に申上げますれば、どうも根本の問題に於きまして、工業勞働者に相當……是は豫想した程の數に上るかも存ぜられませぬけれども、或數の離職者が是から段々出來て來ると云ふことはどうも是は已むを得ない、と申しますのは是も申上げる迄もなく、日本の工業の「スケール」が、規模が小さい點から見ます時に、又從來のやうな軍需品の製作から平和産業に移ると云ふやうな其の切換への點から考へましても、又賠償の爲に工場撤去と云ふやうな問題から參りましても、兎に角從來のやうな工業從業員の人口をば維持して參ると云ふことは困難かと存ぜられます、安定本部と致しまして、一時的の問題でありませぬ、將來の日本の全體の人口、是が各農工商等にどう云ふ風に分布せられまして、そこに經濟の安定、國民の生活の安定が得られるかと云ふことは、是は相當困難の問題でありますけれども、是非とも安定本部の最後の計畫の一つとして編み出さなければならぬものとして、もう研究に著手致して居る譯でありますが、其の際に於きましても、今から豫想せられますことは、現在工業に關係して居る者は、無論此の戰爭や何かで出た者もございますけれども、さう云ふ者が歸還する者がありましても、結局或は昭和五、六年と申しますか、昭和十一、二年と申しますか、滿洲事變の當時、或は日華事變の始まる當時と云ふやうな程度に工業の「スケール」が維持して行けるかどうかと云ふことは、餘程確信を持てない點でありまして、從つて茲に工業從業員が矢張り他の職業に轉ずる面も根本的には考へなければならぬ、斯う思ひます、又差當りの問題にしましても、重需補償打切に伴ふ工場の縮小もございます、今の賠償工場等の撤去に關しましても、そこに從來の職に從事出來ない者が出ると云ふのは、それは已むを得ませぬ、併しながら斯う云ふやうな應急的に職を離れざるを得ないやうな人でも、一時に是が離職をするやうなことがあり、それに適當な授職が出來ないやうなことがありますると、是は相當大問題でありますので、どう云ふ風に工場で從業員をば整理して參るかと云ふやうなことに付きましても、出來るだけ打撃の少ないやうな方法に指導して參ると云ふことが必要と存じます、從つて是から工場の整備計畫が補償打切に伴ひまして出ます際にも、是は私共は能く主務官廳でありまする厚生省等と協力致しまして、合理的に産業の經營を改造しなければならぬけれども、其の爲に一時に不必要に勞働不安を起すやうな形は採つてはいけないのだ、斯樣に考へて居るのでありまして、どう云ふ風に離職者とそれ等の就業と云ふものを結び付けるかと云ふことに付きましては、矢張り茲に勞資の間に一つの、どう云ふ形になるかまだ決定は致しませぬが、何かの形で一つの懇談と云ふか、御互ひに協議と申しまするか、さう云ふやうな形を採りまして、一時的離職者に對する生活を保障する制度としては、過般豫算として御協贊を得ました經濟安定に關する公共事業に對する經費もあり、其の他の經費もあります、さう云ふやうな事業費に依りまして、應急的の仕事を與へる、それから尚恆久的にどう云ふ風に斯う云ふ人達に仕事を與へるかと云ふことは、工業部門で吸收出來ない點もあらうかと存じます、それ等に付きましては、失業者、離職者の數が段々出ますれば勤勞署等と緊密なる連絡を執りまして、さう云ふ人達に何か恆久的の失業のないやうに之を一つ計らつて參りたい、尚只今御話のありました豫告手當と申しますか、解雇手當と申しますか、さう云ふやうな點に付きましても、是等の企業整備の資金がさう云ふ面に非常に吸收せられまして、是等の企業再建の資金が、極く言葉は不適當でありまするけれども、生産に對する資金でなくて消費資金になつてしまふと云ふことは、是は注意しなくちやならぬことで、自ら限度は出來まするけれども、今囘の企業再建に關する計畫に於きましては、政府も相當の資金の融通迄確保致しまして、或一定の期間に對する退職手當、解雇手當は之を保障して參りたい、資金のない者に付きましては或程度の融通もして參りたいと云ふやうなことも考へて居ります、併し何を申しましても、兎に角此の狹い國土に八千萬の人口が集つて參りまして、工業の規模は從前の二分の一或は三分の一に縮小する、茲に於きまして、全然茲に從前と同じやうな雇傭條件が續くと云ふことは豫想せられないのでありまして、困難な點ではありまするが、矢張り是は國民各層の方方と政府と協力しまして、出來るだけ犧牲を少なくして産業の轉換を圖るより途はないと思ひます、其の間に計畫通りに參らぬ點も多々あらうと存じます、併しながら安定本部の計畫としましては、各省と連絡しまして、只今申上げましたやうな順序と申しますか、準備に於きまして最善を盡して參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=43
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044・中山太一
○中山太一君 失業防止に付てはなかなか困難な問題であり、又一方には勤勞者の生活を改善して行く上に、一家皆働の意味を以て職を得なければならぬ、一方には諸種の事情から失業者が一層溢れる虞がある、斯うした矛盾を打開して行かなければならぬのでありますから、當局の施策相當宜しきを得ても、なかなか手際好く行くものではない、御心勞の程は萬々御察ししますが、其の所一層拍車を掛けたやうな、政策の上に矛盾が繰返して行はれて居るのが、今迄の補償打切後に於て行はれて居る諸種の問題であります、政府の計畫されて居るのが、傳へられて居るやうに、財産税等のものが若し其の儘實施されるならば、一般の國民の生活、資金、財産と云ふものは安定して行きませうが、産業に必要なる資金、財産と云ふものは茲に非常な大打撃を受けて來るのであります、それで相當な資力があつて會社組織の下に之を行つて居るものは、其の個人の財産は減つても、唯株式の移動のみに依つて、事業の本體には影響ありませぬが、中小工業の如きは個人經營が多いのでありますから、是は自分の施設を手離さねばならぬ、整理しなければならぬ、是は破産に等しい状態に直面して行くのでありますから、其の整備か、整理か、破産か、斯う云ふことになつて行くので、是からも相當失業者を出すのであります、さう云ふ場合に經營者自分自身も失業者になるかも分りませぬ、是が健全に發達して行けば、是等のものが失業者を相當に收容し得る力のある日本の中堅層でありますが、それが政府の今囘計畫されて居る財産税の影響に依つて、其の力がなくなると云ふことになつたなら、由々しき問題である、一方には失業救濟をし、又一方には失業者が澤山出るのを何とか助けなければならぬとして御苦心になりながら、更に次々に起る政府の政策と云ふものは貧乏人を盛んに作つて置いて、さうして其の貧乏を救ふのだと去ふのと同じことを次々にやつて來られると、如何に聰明なる、如何に識見のある當局が出られても、收拾することの出來ないやうな結果になりはしないかと存ずるのであります、此の日本の中小工業又は中小商業等の實力が今少し維持されるやうに、政府は全般の政策の上に考慮される御考はないのでありませうか、次には政府は物價問題に非常な苦心をされつつありながら、日本銀行券はどんどん膨脹して行くのであります、是は常識を以て考へても分つたことであつて、一人の人が百圓宛毎月引出すことが許されると云ふことになつて、七千五百萬人の中の半數がさう云ふやうな状態に於て行はれたならば、一箇月にどれだけの金が引出されて行くか、其處に産業資金が若干引出されて行くとすれば、五六十億圓は毎月當然出さなければならぬ、それが十箇月經てば六百億になる、斯う云ふのを其の儘放任して置かれて、之に對して適切な施策が行はれて居らぬ、通貨の膨脹を來して行く、それで一方それだけ膨脹しながら、産業界には資金が、新圓資金がない爲に、非常に窮迫した經營状態に追込まして居る、又昨日も大阪の或工業會で私は報告を聞きましたが、某地方の炭礦に於ては新財閥と云ふものがどんどん起つて居る、それで毎月二百萬圓乃至二千萬圓位の收入がある、さうして政府は炭鑛に補助をどんどんして居られるけれども、或意味に於ての生産費は半額前後で濟んで居る、それで百萬圓乃至千萬圓位の所得があつて非常な勢である、それで前から在つた財閥はどう云ふ合かと云ふと、生活費に迄困つて著物などを賣つてやつて居る、是は名前等は申すのを憚りますけれども……斯う云ふ状態である、是は經濟安定本部の色々な施策の上に、補助金やなんかのことも考へなければならぬ、それから今の通貨の問題も御考を願はなければならぬ、それから財産税のこともある、それで今迄あつた財閥又は資本の有力者は是で益益ひどい目に遭ひながら、新興財閥にさう云ふ矛盾したことがある、是はどう云ふことであるか、是では物價問題なり賃金問題を公正に解決することは出來ないのぢやないか、それならば或者に對する極端な補償を減額して、中小工業若しくは商業、日本の再建復興に最も役立つ所の人達の爲には、其の税額を半減すると云ふ位にして、補償金を相當減じて行つてもやれるものぢやないか、此の點に付て今少し眞相を究めて善處して貰はなければ、日本の一番必要なものだからと云ふので、政府の弱味に附け込んで、一部には非常な不當な利益を收めつつある者もあるやうに思ふのであります、此の有らゆる角度から起つて居る矛盾に對して特に善處されることが、安定本部としての施策の上に良い成績が擧りはしないかと思ひますが、もう一度之に付ての御答を承れれば仕合せに存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=44
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045・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 第一番には中小商工業の育成の問題、財産税其の他の新しい税法が中小商工業を却つて壞して行くのではないか、斯う云ふやうな御懸念、此の點は政府の税制の制定其の他に付きましても絶えず深甚の考慮が拂はれて居る點でありまするが、實は是も率直に申しますれば、財産税或は補償打切等に伴ひます措置に付きましては、矢張り是は經濟再建の爲に、或程度の犠牲が一方に出ましても、整理をするだけのことは先づ整理を致しまして、其の後に能く政府の聲明やなんかにありまする、すつきりと現れた一つの基礎の下に經濟の再建を圖ると云ふことは、是は内外の情勢から見て已むを得ざる所でありまして、私共色々な施策の計畫に當ります者としましては、其の間に十分の調整が執れ得ない點のあると云ふことも已むを得ないと考へて居ります、併しながら已むを得ないから自然に任すと云ふのではありませぬので、矢張り一應總ての整理をやりました其の後に、一つ新しい事象の下に健全な中小商工業の育成を圖つて參りたい、斯樣に考へて居る次第であります、安定本部の中に於きましても、特に中小商工業の問題は重要に存じて居りますので、今どうと云ふことをまだ申上げる時期に至つて居りませぬ、今構想を練りつつあるのでありまするが、近く之が爲に各省と連絡の上に、或適當な一つ仕事をして參りたい、是は一方中小商工業の再建の爲に設備、資材の供與と云ふやうな點、又技術の指導と云ふやうな點、又さう云ふやうな人達の依る團體の育成と云ふやうな點、又是等を通じての金融と云ふやうな點、是等の點に付きまして、出來るだけの努力を拂ふ爲に、一つの形を……形と申しますか、組織を考へて居ります、まだ今日どう云ふ風にと云ふことを申上げる時期に達して居りませぬ、重ねての機會に申上げられれば仕合せだと存じて居ります、又次に此の新圓の偏在、是から行はれむとして豫想されて居りまする税制、又現在の此の通貨の封鎖の制度、斯う云ふやうなものの爲に、今仰せのやうに、非常に不自然な、或意味から言へば本當の健全な日本の社會を形成し、茲に立派な道義の社會を作ります上に、甚だ好ましからざる状況の起きて居ることは眞實と存じます、併し政府と致しましては徒らに此の目先の事象に遂はれまして、何と申しますか、小刀細工をしてはいけないのだ、要するに今日の只今仰せのやうな状態は、結局産業の將來の見透しやら、經濟の成り行き等、是等に對しまする國民の安全感、信用がありませぬ爲に、圓が一方に偏在して、而も是が退藏せられて居ると云ふやうな現象、又食物の……主食品の不足から根本を發しまして出まする色々の闇の取引斯う云ふやうなものに介在しての或好ましからざる階級が暴利を得て居ると云ふやうな點、又斯う云ふやうな移り變りの際に、巧みに立廻りまして不當な富を得て居りますやうな輩、斯う云ふやうな者が一時跳梁して居ると云ふことは殘念でありまするけれども、是はどうも已むを得ないと存じます、結局一日も早く此の不自然な資金の封鎖でありまするとか云ふやうなものが解除せられまして、事業資金も自由に使へるやうになり、又一方には生活の安定と云ふことに伴ひまして、此の不正の輩の跳梁する機會を經濟上出來るだけ少くして行くと云ふやうな根本に努力することが大切だと存ぜられます、私共は各省と違ひまして、現實に應念の問題を何等施策して居る譯ではありませぬけれども、此の産業の安定、經濟の安定と云ふことに依りまして、好ましからざる事象が自然に發生しないやうに、出來るだけ早く經濟の再建をば其の緒に著かせたい、斯樣に考へて居る次第であります、是も御質問に對しまして御滿足の行く御答とも存ぜられませぬけれども、私共は斯樣な氣構へで、安定本部の根本問題をば研究致して居りますことを申上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=45
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046・中山太一
○中山太一君 終戰後の整備、所謂各方面の工業を放置して置けば破産するより致し方がないのでありますから、之に對して擬制資本を整理して行くと云ふことが行はれるのは、一面當然であり、已むを得ないことである、さうすれば事業と經濟との均衡上所謂事業の足が一丈あつて、經濟の足は五尺か三尺よりないやうになつたら、不均衡になるからして、是では到底進んで行くことは出來ない、其の事業の擬制的事業態勢、それが資本の上に於ても、勞力の上に於ても、之が均衡を保つべく調整される爲には、所謂擬制勞力であるとか、擬制施設と云ふものが整理されることは已むを得ないことでありますから、是は安定本部に於ても屡屡聲明されて居るやうに適當な方法で實施されるものと信じます、唯其の破産に瀕するものを整備して行くのと、それから普通の經營の合理化、産業の合理化とは建前を變へて貰はなければならぬ、是は向上發展せしむる上に、平時に於ても經營の合理化、生産の合理化、總て是は有らゆる方面の無駄なり不合理を是正して行つて、より少いものでより多くの成績を擧ぐることでありますから、是は相當積極性を持つて居るものであります、今の差迫つた日本の工業は、捨てて置けば破産をするのだ、一方の合理化の方は進んで行けば繁榮し、彈力性を持ち、勞資共、又一般消費者共に益せられるやうな結果を齎らすと云ふことになりますから、此の點を今後土臺に、第一次は所謂破産を救ふべく整備をやる、第二次は日本の産業を何處迄も健全なる發達をすべく合理化をすると云ふ風でないと、合理化の爲に馘首があると云ふことになると、さうでない眞に經營を合理化して行くべきものが皆馘首の場合になると云ふ風で、合理化反對運動が大分起つて來つつあるやうでありますから、此の點は安定本部として相當に此の第一段階、第二段階と云ふことを御考慮願ふ要はないかと思ひますけれども、之に對しては大臣はどう御考へになりますか、又經營協會が實施されることを大體政府も御同意のやうでありますが、此の經營協議會と云ふことになると、其の内容が非常に株主と經營者、經營者と勤勞者の間の各各に關係のあるものが、勤勞者と經營者の所で之を獨占したやうな形で、さうして色々今迄決つて居るものが越すべからざる垣迄越して、是で決めたもので株主の權限迄拘束すると云ふ虞もありまするから、是は今後は工場協議會、職場協議會、生産協議會、業務協議會等、適當な意味に、其の名は體を現はすと云ふ言葉もありますから、是は企業の所有、企業の經營、企業に對する勤勞、各各三つが連繋があるならば、經營協議會の意味が、是は爭議の時に咄嗟の間に、生産管理をやるか、經營協議會をやるかと云ふ時に、思慮のない經營者が其の場合に受諾した名前だと私は思ひます、是は安定本部に於きましては、適當な名前を御考究戴く必要がありはせぬかと存じますので、以上に對しまして、膳國務大臣の御所見を承れますれば大變幸せな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=46
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047・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 御質問の第一點の中に含まれて居りますことは、徒らに整備と云ふやうなことに急でありまする爲に、整備をし、それから更に將來の再建と云ふやうなことに餘りに急にして、其の爲に混亂を起すことのないやうにと云ふ御注意、誠に御尤もに存じます、是からの企業の再建は具體的に色々の工業の種類に依つて變つて參りませうけれども、例へば事業をどう云ふ風に整備して參るかと云ふことの計畫の中には、現在のものが有效に將來に殘りまするもの、尚近き將來に於て相當是が伸びますもの、さう云ふやうなものに付きましては、合理的に將來事業が段々擴張して行きますやうなものに付ても十分の考慮を拂ひ、茲に一旦其の事業の整備に藉口しまして一つの工場の從業員の整理をして、それから又更に人を雇ひ入れると云ふやうな、さう云ふやうな意味のことはしては相成らぬことと思ひます、まあ實際の整備計畫の指導に付きましては、各主務官廳が當るのでありますけれども、其の點に付ては御説のやうな愼重な態度と申しますか、考慮を拂ひまして、無用に人心の不安を起すやうなことの無きを期する、又已むを得ずして工場に於て整理されるべき者が出來ます際にも、勤勞署等に連絡しまして、急激なる一つの生活の環境の變りまする爲の不安なからしむると云ふことの用意は、是非共必要と考へる次第であります、其の點に付きましては十分な考慮を拂つて參りたいと存じます、それから經營協議會の問題でありまするが、實は是は實際の主管廳に於きましてそれぞれ研究されて居ることでありまするけれども、最近の經營協議會の設置に關しまする經緯竝に其の運營に付きましては、私共安定本部が將來の産業の永遠の平和と云ふやうな點から考へて見ましても、好ましからざる事情の下に發生し、又好ましからざる事情の下に運營されて居るものが多いと思ひます、其の産業に直接の關係のなく、或は全く一つのなんと申しますか、思想的と言ひますか、政治的と云ふやうな、或一つの系統と申しますか、さう云ふやうなものの影響を受けまして、事實其の産業の合理的の經營と云ふやうなことを超越しましたやうな事象も往々ありますることは、是は將來日本が勞働運動の健全な發達を圖り、又合理的な企業の民主化を圖つて行くと云ふことに付て、甚だ遺憾とする點と存じます、殊に一つの事業に於きまして、假に經營協議會と云ふやうな組織が出來ましても、仰せのやうに、茲に自から經營者と勤勞者と云ふやうなものは、一つの事業の經營の問題に關しましては御互に職務上を明かに區別されて、御互に尊重し合ふべき一線のあることは誤りのないことと存じます、世界の何れの國の産業に於きましても、是は當然のことと考へて居るのでありまして、率直に申しますると、日本の一つの思想の動搖と申しまするか、或場合には民主化と云ふことに關しまする誤つたる一方的解釋の下に、往々にして行過ぎの事象のあると云ふことは私共も率直に認めなければならぬ點でありまして、此の點は安定本部が是から仕事をして行きます上に、本當に勞働運動を指導して行かれるやうな方々の間にも十分の御互ひの研究を續け、又協力と接觸を保ちまして漸次明朗化して參らなければ、到底我が國の企業の再建と云ふことが合理的に行はれないと斯く信じて居ります、御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=47
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048・中山太一
○中山太一君 幾分は關聯事項はありますけれども、大體に於て膳國務大臣に御尋したいことは以上を以て終りたいと思ひます、司法大臣に午前中に御尋ねしましたことに付きまして御所見を此の機會に承ることが出來ますれば結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=48
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049・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 憲法委員會の方へ行かなければならぬですから、あなたの御質疑が伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=49
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050・中山太一
○中山太一君 午前中申上げましたが、もう一度申して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=50
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051・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 簡單に一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=51
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052・中山太一
○中山太一君 爭議に闘聯しまして暴行、脅迫、威嚇又は尾行、追蹤それから交通を遮斷する等、其の他關係者の歸宅を阻止したり、又は爭議に關係して居る者、又は關係して居らない者等と從業員の家族が面會を要求しても、それを拒絶して全然其の自由を與へないやうなこと、又色々の意味に於て監視する、若しくは侮辱をする、惡戯をやる、又は住宅なり事務所等に投石をする、硝子を破る藥物或は汚物其の他の物を投入撒布すると云ふやうな行爲等は、是は個人でやつては當然罰せらりるものであるが、爭議手段として行はれるものが、本部の指令ではないか分らないが、其の事實あることは御承知の通りであります、さう云ふ際に是は司法當局としてはどう御取扱になるのでありませうか、それから次には會社なり事業關係のことに付て虚僞の宣傳、或は其の他信用を毀損するやうなこと等をして、其の事業なり營業なり、又對銀行關係等に取返しの付かぬやうな問題が起る、斯う云ふ風なことは、矢張り爭議の手段である時には、其の儘事業關係の者、事業主關係は泣寢入りしなければならぬものであるか、相當なる手段を講ずれば保護されるものかどうか、又先達て新聞にもありましたが、鐵道爭議に伴ふ新聞の發送を勝手に鐵道關係の人が之を業務上やらなければならぬものをやらなかつた、是も營業上の妨害なり信用なり色色の點に關係するが、是等の點に付て司法大臣は如何御考へになりますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=52
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053・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、中山委員も既に御承知のことと思ひまするが、勞働組合法第一條には「本法は團結權の保障及團體交渉權の保護助成に依り勞働者の地位の向上を圖り經濟の興隆に寄與することを目的とす」、斯う云ふ大眼目を掲げて勞働組合の行く方向を示して居るのであります、唯第二項に於て「刑法第三十五條の規定は勞働組合の團體交渉其の他の行爲をして前項に掲ぐる目的を達成する爲爲したる正當なるものに付適用あるものとす」、斯う云ふことがあります、要するに此の第一條第一項に掲げられた勞働者の地位の向上、經濟の興隆に寄與すること、此の目的を達成する爲に爲したる正當なものは、是は其の行爲が多少不當の行爲に該當しても刑法では罰せないと云ふことになつて居ります、要は今擧げられました數々の行爲は、所謂正當なる爭議行爲と言へるかどうかと云ふ問題であります、御示しの數々の行爲は是は正當なる爭議行爲に入らないと私は考へます、而も今の數々の行爲は、何れも詳細に亙りますると、刑法に或は該當しはしないかと考へられます、其の方からも左樣な行爲のあつた場合には、其の行爲を具體的に檢討した上に取締り得るものと考へます、それから第二に鐵道從業員の勞働爭議に關して、讀賣新聞の發送を止めた、或は返送したと云ふやうな行爲に付きましては、是は業務上不當の行爲であります、從つて運輸當局に於ては、是は十分行政上の處分が出來得るものと私は信じます、是は果して刑事上の問題になるかどうかと云ふことに付ては非常に「デリケート」な問題でありまして、是は十分に内容を檢討した上でなければ、今直ちに御答へすることは出來ませぬが、併し少くとも是は行政上の違法處分であると云ふことだけは確信して申上げることが出來ます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=53
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054・中山太一
○中山太一君 只今極めて明快に御所信を御聞かせ願ひまして能く了解致しました、さう致しますと、數々の行爲が、單獨で其の行爲が犯罪を構成する場合には、暴行、脅迫等今申したやうなことの犯罪行爲が假令爭議行爲であつても是は不問に附せられるものではない、當然處罰を免れないものだと承知して宜いもののやうに存じますが、さうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=54
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055・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 重ねて申上げます、其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=55
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056・中山太一
○中山太一君 それでは御急ぎのやうでありますから、もう一つだけ御尋ねして終りたいと思ひます、今日の日本は國際平和を以て一直線に進むより外はないのであります、其の日本を再建する爲には、國内に於ても飽く迄も平和友情を以て協力しなければならぬ時に、鬪爭第一主義を以て進むやうな空氣が勞資の間に漲つて居ることは、勞資共に反省しなければならぬと思ひますが、勞働條件の維持改善、其の他經濟的地位の向上に關する問題以外に、政爭若くは思想的な或傾向を以て何等かの爲にする、便乘して一つの要求をするが、併し實際は罷業をして、そこに一つの社會混亂、事業の破壞等が目的のやうに、所謂其の種の人は豫測せられたる同盟罷業を繰返して行ふやうでありますが、是等の者に對しては政府當局としては相當に御考がある筈でありますが、どう云ふやうに司法大臣は御考でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=56
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057・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、日本の再建に當りましては、資本家も勞働者も共に手を繋いで行かなければならぬと云ふことは言を待たない所であります、從來資本家が動もすれば勞働者を壓迫、と言へば語弊がありまするが、甚だ之を輕視して居つた、是等に付ては私は相當に資本家が反省して宜からうかと思ふのであります、併し現在に於ける勞働爭議と云ふものは餘程行過ぎがあると私は考へて居ります、本當に今申上げました勞働組合法第一條に於ける勞働者自身の地位の向上、或は日本の經濟の再建に寄與すると云ふやうなことであつて、初めて勞働組合と云ふものの健全なる發達が茲に見得るのであります、政府當局と致しましては、勞働組合の健全なる發達を私は希ふ一人であります、何處迄も勞働組合を健全に發達して貰ひたい、而して資本家と手を携へて本當に日本の再建に乘出して行かなければ國家の前途は危いと考へます、此の意味に於て勞働者が大いに反省しなければ相成らぬと考へて居ります、今申されまする政治的の意味を以てする勞働運動、是は絶對にいけないと思ひます、勞働組合法第一條に反するのであります、況んや第三者の介入に依つて之を煽動すると云ふが如きに至つては、是は甚しく不當であります、政府に於ても此の點に付ては相當考へを持つて居ると云ふことを茲に申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=57
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058・中山太一
○中山太一君 過般來厚生大臣からも深切な御答辯を戴き、又本日は膳國務大臣、又木村司法大臣から大變御懇切な御答辯を戴きまして、私は極めて滿足し、感謝する次第であります、私の特に承はりたいことは之を以て終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=58
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059・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) それでは明日午前十時より開會致します、本日は之にて散會致します
午後二時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=59
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060・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 高木正得君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 東郷彪君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 壬生基泰君
子爵 松平乘統君
子爵 大久保教尚君
子爵 三宅直胖君
桑木嚴翼君
吉田久君
男爵 松本本松君
男爵 山根健男君
男爵 山名義鶴君
男爵 中村徹雄君
種田虎雄君
我妻榮君
正田貞一郎君
竹中藤右衞門君
中山太一君
片倉兼太郎君
國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
厚生大臣 河合良成君
國務大臣 膳桂之助君
政府委員
厚生事務官 吉武惠市君
同 富樫總一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00519460918&spkNum=60
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