1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
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昭和二十一年九月十二日(木曜日)午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 葉梨新五郎君
理事 上林山榮吉君 理事 飯島祐之君
理事 細野三千雄君 理事 富吉榮二君
理事 藤本虎喜君 理事 布利秋君
磯崎貞序君 古賀太郎君
田邊讓君 森田豐壽君
藥師神岩太郎君 山口好一君
青木清左ヱ門君 小笹耕作君
寺島隆太郎君 保利茂君
吉澤仁太郎君 井伊誠一君
大澤喜代一君 玉井潤次君
中原健次君 平野市太郎君
松澤一君 橋本二郎君
北政清君 山木武夫君
出席國務大臣
文部大臣 田中耕太郎君
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林事務官 笹山茂太郎君
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本日の會議に付した議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=0
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001・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是より會議を開きます、前日に引續きまして質疑を行ひます──保利茂君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=1
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002・保利茂
○保利委員 私は日本の現状から將來を考へまする時、狹小なる領土の上に厖大なる人口を擁しまして、如何にして今後の國家の發展を促すかと云ふことに付きましては、固より商工業の新しい角度に立つた中小工業的産業を基礎とした發展を促すと云ふことに、今後の産業の政策の重點が置かれなければならないと存じますが、何と申しましても、我が國は健全なる農村が國家の中核體として今後發展をして呉れなければ我が日本民族の將來は實に心配をせられるのであります、此の場合今囘の第二次農地改革案が提出せられまして、全小作地の約八割に相當するものが耕す人の持物となるやうな施策を講ぜられる此の改革案は、構想に於て、骨組に於て、私共是が新しい日本農村の健設の基盤たる基本的條件に適ふべきものであると云ふことを率直に認めるに吝かではございませぬ、併しながら我が國農村發達の跡を考へて見まして、現に農村に存しまする美風の育成發展を阻碍するやうなことがあつてはならない、斯う云ふ心構へから、私は三、四の重要な根本に觸れると思はれます點に付きまして、政府の所信を伺ひたいと思ふのであります
今日耕作農民の最も要求し、熱望して已まざる所は、要するに耕作者の地位の安定──是は今囘の自作農創設特別措置法及び農地調整法改正の第一條に符節を合して謳つてありますやうに、耕作者の地位の安定と云ふことが第一目標にせられて居りますが、是が今日の小作農民の大體齊しく熱望する所であります、そこで政府は今日二百萬町歩に亙る小作地及び百十萬町歩の民有未墾地を以て二箇年の間に一擧に一町歩以内の自作農を創設せられようと計畫せられて居るのでありますが、今日の小作農民の心理が、私は決して耕作者の土地に對する強い執著心を否定するものではございませぬけれども、少くとも今日の農家の經濟事情、複雜なる現下の農村の經濟事情から、或は又農民の心理から申しまして政府が御考へになつて居るやうに、土地を所有することに對して飛付くやうな強い所有慾が働いて居るかどうかと云ふことに、相當の疑ひなきを得ないのでありますが、農林大臣は此の點に付て如何樣に御考へになつて居られるのでありませうか、私共は少くとも歴史の轉換期に當つて、此の土地制度の大改革を斷行せられるに當つて、何としても此の目的を達成せしめてやらなければならない、地主諸公と致しましても隨分大きな犧牲を拂はれることになりますが、日本國民が皆今や歴史の轉換期に立つと云ふ一大自覺の下に、小作者も地主も本當に新しい村を作り出すのだと云ふやうな氣持から、此の改革案に對處しなければならないと存じますが、どうも私は通觀致しまして、今日の小作農民が果して政府が豫期せられて居るやうに、期待せられて居るやうに、直ちに土地所有慾が旺盛に働いて自作農家に流れ寄つて、二箇年の間に此の小作地が全部自作化せられるかどうか、洵に不安を抱いて居るのでございます、若し二箇年の間に自作化せらるべき筈の土地が幾らかでも其の村に未解決の儘殘されると云ふことになりますれば、私は是は日本の農村の爲に相當由々しい新たなる事態を惹き起すのでないかと思ふの餘り、先づ此の點に付ての大臣の御考へ方を伺ひ、さうして如何樣なる御熱意を以て自作化を圓滑に實現せられんとするか御伺ひして見たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=2
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003・和田博雄
○和田國務大臣 只今の保利さんの御質問に御答へ致します、今囘の農地制度の改革をやります上に於きまして問題になりますのは、御指摘のやうに、小作人が果して自作人になることを欲するかどうか、小作人は小作人として居る方が宜いので、自作人になることを寧ろ好まないものがあるのではないか、さう云ふ場合にはそれ等のことに付てはどうするか、斯う云ふことでありまするが、私は此の農地を小作人が小作人として耕して居りますよりも、寧ろ自作として自分の土地を自分の手で、且つ自分の資本で自分の家族の力で耕して行くと云ふ事柄の方が、何と言ひましても小作人には、耕す者には有利でありまするし、又土地に對する農民の強い意欲から言ひましても、自作になることを欲しない、小作と云ふものは、數に於きましてはそれ程多くはないと思ふのであります、併し數多くの小作人でありまするので、中にはそれぞれ意識の違つた者も居りまするので、或はさう云ふ者もあるかも知れませぬが、私は若しも小作人が將來農業恐慌が來るとか、或は租税の負擔の爲に却て自作の方が不利になるとか、又將來農地が或は無償で手に入るのではないかと云つたやうな誤つた事柄から、自作になる買取りをしないと云ふやうな者に付きましては、今囘は凡ゆる機關を動員致しまして、十分納得の行くやうに話しまして、是等の議論に從ふ小作人に對して能く納得せしめまして、自作人たらしめて行きたいと思ふのであります、今の此の「インフレ」の時期に於て、長い日本の將來の農業のことを考へて見ますると、丁度第一次の歐洲戰爭の後、「ドイツ」に於ても、あの「インフレ」期に於て自作人になると云ふことよりも、寧ろ小作人で居つた方が宜いのではないかと云ふ議論が一時行はれたのであります、併しやはり時の先覺者達は、此の際どうしても小作人には土地を持たして置く、言換へれば、農家の中に戰爭中蓄積されました資本を早く土地の生産手段に變へて置かせると云ふこと、或は農業の建前から言ひましても、自作人と云ふ健全な農家を作つて行く方が將來の「ドイツ」の爲には宜いのだと云ふことで、盛んに唱導致したのでありますが、果して其の後になりましては、自作農になりました者からは非常な感謝を以て迎へられたやうな事例が多くあるのでございまして、私は日本に於きましても、今囘の農地改革に於ては、是非さう云つた事柄に付ては十分小作人に理解致させる手段を講じまして、是非自作農の創定と云ふことが十分實を結びまするやうに致したい、斯樣に考へて居ります、私は大部分村に於きまする農地委員會に依る計畫に從ひまして、自作農の創設は出來ると思ふのでありますが、さうでない者に付ては只今申しましたやうに致したいと思ひます、それでも尚且つ小作人が買取りを希望しないと云ふ萬々一の事態がありまするならば、我々と致しましては、それ等の土地は農業會でありまするとか其の他農事實行組合でありまするとか、さう云つたものが將來自作農の創定を行ひまする爲に、それ等の團體に賣渡したり、或は農地委員會に管理を便宜的に致させまして、さうして此の自作農の創定と云ふことの結果の萬全を期して行きたいと思ふのであります、是は二箇年間に行ふことになつて居りまするので、其の點に付きましては、行政方面の此の制度を完備致しまするのみななず、十分村々に入つて行つて、今囘の農地改革の趣旨を徹底せしめまして、農地委員會に早く妥當な計畫を立てさせるやうに致しまして、急速に實行致して行きたいと斯樣に考へて、只今準備も著々致して居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=3
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004・保利茂
○保利委員 大體私も、耕す方々に、其の耕す土地を自分のものに持ちたいと云ふ強い土地所有慾が働いて、大體所期の計畫に近いものが自作化せられるであらうと云ふことは、大臣と同樣に考へますけれども、それは大體でありまして、尚ほ相當部分が、今大臣御話のやうに、やはり全國の村々に此の二箇年後に殘されることになるのではないか、さうしますると、所謂農村自治と云ふ觀點から見まして、是は相當深く考へて見なければならないのではないか、私は端的に申しまして、農村自治は農地の上に立つて居ると申しても過言ではなからうと思ふのであります、農村の健全性、或は農村人の健全性と云ふやうなものは土地と離れては成立たない、端的に農村自治は農地の上に立つて居ると申しても差支へないと思ふのであります、隨て村の土地はやはり其の村の團體、或は村の人々の手に殘される、確保せられると云ふことが、農村自治發展の基本的な要件であらうと思ひます、斯う云ふことも大きな一つの理由となつて、不在地主の解消、そこに主力を置かれたる自作農制定と云ふものを多年農林省が苦心され、政府が苦心をされて、現大臣の如きも此の點には最も深い關心を持たれ努力を拂はれて來たことと思ふのでありますが、二箇年後偶偶殘されたる自作化せられざる所の土地が、全國の農村に介在すると云ふことは、國家の權力と直接結び付いた土地が其の農村の自治體の中に介在すると云ふことになりまして、所謂農村自治の根本に相當大きい事態を釀し出して來ると云ふことを否めないのではないか、そこで大臣は、二箇年後にさう云ふ未處理のものが殘つた場合は、或は實行組合、或は農業會等に依つて管理をせしめられると云ふやうな御考へであるが、私は更に、それを一歩進めて戴きまして、さう云ふ二箇年後に未處理の土地が殘つたならば、それは農業會なり、或は農事實行組合なりに經濟的、財政的裏打ちを講ぜられて、少くとも村の土地を速かに村に返すと云ふことが最も必要であらうかと思ふのでありますが、若しさう云ふ手段を講ぜずして、單なる農業會或は實行組合等の管理に任せると云ふことになりますと、是こそ私は不在地主の解消と云ふことが多年叫ばれて來て居りましたのに拘らず、國家と云ふ巨大な不在地主が全國の農村に點在する、而も其の不在地主たるや謂はば義理も人情もない本當の條理一片で動される、而も直接支配をする者は縣廳の役人の諸公である、縣廳の連中が村々に直接支配するやうな農地を置くと云ふことは、村全體としては實に迷惑至極である、少くとも農村の自治を發展せしめる所以ではないと思ふのでありますが、之に付て特別の考慮を拂ふ要ありと私は存ずるのであります、單に農業會或は實行組合の管理と云ふことを今一段と進められまして、二箇年後には左樣なものは農業會或は村に返すと云ふやうな御考へにはなれないかどうか伺ひたい次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=4
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005・和田博雄
○和田國務大臣 一寸私の言葉が足りませぬで甚だ失禮致しました、餘りましたものは先づ第一に其の村の農業會なり、農事實行組合に賣渡す、斯う云ふことを先程も申上げた譯であります、賣渡すが、尚ほさう云ふことが出來ないやうな場合には、是は村の農地委員會の管理に任す、第一段としては何處までも其の村に於ける農業者の團體である實行組合であるとか、農業會に賣渡す、斯う云ふ積りで居る譯であります、御意見のやうに不在地主をなくなしまして、村の土地は村の人が持つて居り、さうして村の人が持つて居る土地を耕して行くと云ふことが、やはり何と申しましても農村の自治の上から行きますれば必要でありまするので、其の點は昭和の農業恐慌の時にも身を以て我々も體驗し、農家の實際の事柄に當つて居る人達も體驗したことでございまして、其の點に付ては全く私も保利さんと同意見でありまして、先づ村の農業會なり實行組合に賣渡すと云ふことに致す考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=5
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006・保利茂
○保利委員 それで私も大いに安堵する譯でございますが、更に今囘の計畫は運營上非常に困難な問題があらうと思ひますけれども、どうしても此の目的を達成せしめなければならない、成功を收めて戴くことを私は國家竝に農村の爲に念願して已まない所である、併し一應本計畫が相當の成果を收め得ましたとして、現状を平面的に申しますならば、成程一町歩以内の自作農家が各村々に出來上ると云ふことになりまして、洵に日本のやうな貧弱な農業國としては、理想に近い一つの耕作形態が整ふのではないか、問題は之を今後如何に維持育成して行くかと云ふことに懸つて來ようと思ひます、先般來同僚諸公から、軈て來るべき所の世界的農業恐慌と申しますか、農産物過剩時代に當り、再び我が國の農村に農業恐慌が襲ふやうな事態は誰しも豫想して、それに依つて折角非常の措置を以て斷行せられる所の此の改革が、再び又元の状態に遷る農民を多數に出すのではないかと云ふやうな心配をせられる向きもあり、それに對する大臣の御所見は伺つて居りますが、私はそれとは別に、敗戰日本の今後の状態と云ふものは、冒頭にも申しますやうに、結局今まで比較的中以下の農家の次男坊、或は三男坊と云ふやうな方は、或は陸海軍の軍人を志望するとか、或は又都會方面の工場に於て新しい生活の天地を見出すとか、少くとも農村から故郷を離れて新しい生活の天地を見出すことに、相當困難な時代もありましたけれども、大體に於てそれは今日まで行はれて來た、或る時代には農村の人口が著しく減つて來る、之を如何に堰止めるかと云ふことを心配せられた時代もあつたやうでありますが、今後は遺憾ながら此の農村の次男、三男と云ふやうな人達が獨立をする時に、何處に生活の根據を求めるか、故郷を離れて生活の天地を求むると云ふことが困難である以上、どうしても其の村に留まらざるを得ない、さうすれば今日平面的には成程一町歩程度の自作農化せられた農家が、五年、十年後には、法制上は出來ないかも知れませぬけれども、實質的には再び三段歩乃至五段歩の所謂轉落零細農家がどうしても現出して來るのではないかと思ふ、少くとも今囘の此の改革を出される以上は、政府に於かれても此の點に付ては相當思ひを致されて居ることとは存じますけれども、少くとも此の改革を斷行せられる以上、其の對策を如何にするかと云ふことは、全國の農村に向つてはつきりと具體的に政府は御示しにならなければならない義務があると私は存ずるのでありますが、其の點に付ての御考へは如何でありますか御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=6
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007・和田博雄
○和田國務大臣 只今の保利さんの御質問は實は農業の方のみならず、日本全體の「エンプロイメント」の問題としては、根本的な問題だらうと思つて居ります、只今のやうな問題を唯農業だけで解決することは理論的には出來ないと考へます、此の問題はやはり日本の國民經濟全體の「エンプロイメント」の問題として考へない限りは、究極の結論は出て來ない、斯樣に考へて居るのでありまするが、唯農業の方と致しましては、斯う云ふことは私は考へざるを得ないと思ふのであります、今囘自作農特別措置法、其の他調整法の改正に依りまして、農業の面に於きましては農地制度を改革致しまして、耕す人達に兎に角土地を與へて、安心してそこに耕作して行くと云ふ一つの地盤を造つた譯であります、是は一つの單なる地盤であつて、それだけで必要にして十分だとは實は言へないのであります、併し今の日本が囘復して行きまするのに、一體どう云ふやうに囘復して行つたら宜いかと云ふ問題から考へて見ますと、日本に於て只今缺けて居るのは、私は何と言つても資本だらうと思ふ、相當の勞力はあり、土地はあつても、所謂資本と云ふものが此の戰爭に依つて凡ゆる面に消耗されまして、資本の缺乏と云ふことが日本の今の全體の生産力の低下と云ふ現象となつて現はれて居るのだらうと思ふのであります、さうすると此の日本が囘復して行くのには、一體どの面から囘復して行つたら宜いかと云ふことになるのでありますが、それは各面それぞれ相互依存はして居りますが、兎に角比較的影響の少かつた農業と云ふものに於て、そこに出來得るだけ早く資本蓄積の餘地を與へ、それに依つて他の産業の事情をも擴張致しまして、日本の經濟全體が擴大するやうな基礎を作る、さう云つた方向に向けて行く、斯う云ふことでないと、中々囘復の餘地は難かしいと思ひます、農業に於ては其の意味に於て農業自體の生産力と云ふものを高めて、經營のやり方自身を多角型化して、農業が生ずる所の所謂價値物を多くすると云ふ一方、農業の内部に勞力と云ふものを多く包容し得る途を講ずるのみならず、やはり農村工業でありますとか、さう云つた一つのものを農村に持つて來まして、日本のやうな農地改革をやつても過小農が殘り、又將來の人口の増加が豫想されるものに付ては、さう云つた方面に人口の吸收を圖つて行く、斯う云ふことでないと、農業だけで將來殖えて來る人口を吸收しろと云つても、恐らくさう云ふことは何處の國でも出來ない相談でありまして、其の點に付ては農業の内部だけでなく、農業の外部にもさう云ふものを吸收するのだと云ふ前提に立つて議論せざるを得ないのでありまして、我々が差詰め考へて居りますのは、工業の地方分散、其の他農村工業の復興、又農業以外の、山村其の他色々な方面への職業の開拓、又一般の開拓地、今度計畫として立てて居ります開墾地の擴張と云ふやうな、凡ゆる方法を講じなければならぬので、現在に於て出來るだけ多くの人口を農業部面に吸收して行くと云ふ方途を執つて行きたい、斯樣に考へて居るのであります、將來日本の農業が──今囘のやうな形に於て一應平均化された農業が、協同組合の力に依り、又技術の發達に依り、經營其の他の多角化に依り發展して行くならば、是は或る程度の人口の問題も「エンプロイメント」の問題として解決し得る見込はあると思ふのでありますが、農業だけを孤立させて、仰しやるやうな問題を解決しろと言ひましても、是は事實上出來ないと思ひます、さう云ふ「アィディア」で今後の農業の凡ゆる施設をやつて行きたいと、考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=7
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008・保利茂
○保利委員 其の點に付ては私も全く大臣と同樣に考へて居りますけれども、如何にして農村の過剩人口を吸收するの用意を持つかと云ふことに付ては、今後折角是だけの計畫を斷行せられんとする場合に、先づ其の御構想を大凡そは調べて置かなければならないのではないか、直ぐにと申しますか、少くとも今後は農村に自然増加して參ります人口、詰り戰災者、或は引揚者は現に非常に不自然的に農村に吸收せられて居る、此の非農家諸君をして農村の中に於て如何に生活の根據を與へしめるか、農村工業と云ふことを直ぐ言はれますが、是は唯農村工業を興せと言つて見た所で直ぐ、興る譯のものでもなし、そこには國として大きな具體的な計畫が立てられなければならない、私は此の問題に付ては多く觸れようとは思ひませぬが、そこに──今囘の議會には提案せられては居りませぬけれども、恐らく軈てさう云ふ御計畫を立てられると思はれます所の、農業協同組合と申しますか、農村協同組合と申しますか──農地と直接關係を持たない非農家の諸君が、其の農村に相當の部分を占めるやうなことになることは、必然の事態であらうと思ひます、此の場合農村の秩序或は平和、左樣な我々の念願致します所の平和な農村、健全な農村を如何樣に運營して行くか、今後の農村自治の運營を何處に目標を置いて行くかと云ふことを私は伺ひたかつた譯でありますが、此の問題に付きましては大臣も相當苦心をせられて居ると思ひます、私は唯農業者は農業者としての團體を持ち、其の團體の中に立籠つて、齊しく村の中に居て、農業者は農業者、非農家は非農家と云ふやうな對立的な、或は無關係的な姿に農村を殘したくない、少くも農村と云ふものはやはり農村一體と云ふ考へ方で、協同組合法案の御計畫も左樣な意味を盛込んで貰ひたいと云ふことを私は強く、念願して居りますから、是は御意見があれば伺ひますが、御聽置き戴いて結構であります
そこで私は此の土地問題と云ふやうな國家國民の大問題が、實施後半年ならずして、又追掛けてそれ以上の大計畫案が出されると云ふやうなことは、もう今日の國情已むを得ぬと申せば已むを得ざることでありますけれども、政府當局者としては私は實に遺憾なることではないかと存ずるのであります、前囘の農地改革は、五町歩以上の地主を對象にせられて居りまして、其の及ぼしました影響は相當深刻なものもありましたけれども、其の數にしても影響の度合にしてもそれは今日當然のことのやうにも思ひます、所が今囘の改革案は五町歩以下、謂はば小地主──地主と申しますと、何か軍閥、官僚、資本家、地主と云つたやうに竝び稱せられて、假令一町歩の地主でも何だか社會的、經濟的特權を持つて居るかの如く印象付けるやうに言はれる向きもありますけれども、五町歩以下の地主と云ふものは、今日此の議會にどう云ふ法案になつて出て參りますか知りませぬけれども、財産税の納付有資格者に該當する人が全國で何人居るか、財産税を納めるやうな人は殆ど居ないのではないか、申さば庶民層の人人であります、此の庶民層の人々である小地主が對象とせられて居りますだけに、今囘の計畫が實際實施に移されて參りますと、相當深刻な影響を農村に持つて來ることと思ひます、そこで私は先程申しましたやうに、さう云ふ方々にして日本民族は歴史的轉換期に立つて居ると云ふ深い自覺を持たざる限り、殆ど諦め切れないと云ふ實情にあると云ふのが、五町歩以下の小地主の方々の全部の心情であらうと私は思ふのでありますが、此の小地主、謂はば庶民層に屬する人々の大いなる犧牲の下に此の計畫が斷行せられるとすれば、耕やす農民に土地を持たしめる、小作農を自作化せしめると云ふことは、當然行ふべきことであり、政府も亦それならばこそ此の計畫が立てられて居るのでありますが、斯樣な庶民層、小資産者、斯樣な方々の犧牲に於て時代の要求、政府の要求が斷行せられ、政府が何等犧牲を拂ふことなしに、小市民──此の財産税を納める力もない位な市民、農家の方々の犧牲のみに之を掛けられて、此の措置を執られると云ふことは少し妥當を缺くのではないか、國が必要とし、國民が必要とするならば、支拂ふべき犧牲は國家が負擔して之を行ふと云ふことが當然のことではないかと考へるのであります、其の意味は、今囘の土地買收價格と云ふものが、現行通り變更せられないと云ふ點──農林大臣は米價がまだ未決定であると言はれますけれども、假に石六百圓と致しますれば、一段歩の價格は大體米三俵に値すると云ふ位の程度ではないか、米三俵位で其の土地を手放す、お祖父さんの時代或はお父さんの時代に營々辛苦二町歩か三町歩やつとのことで作上げた其の土地、さう云ふ農村の社會史と云ふものは土地に纒はる社會史である、一畝一筆々々殆ど農民の魂の入つて居ない土地と云ふものはない譯であります、此の土地に對して今囘の御計畫に依る買收價格は、もう申上げるまでもなしに、經濟觀念に於て考へ得る價格でないことは大臣も能く御承知のことであると思ひますから多くを申す必要はありませぬが、其の犧牲を小地主に拂はしめることはどうも聊か失當ではないかと私は考へるのであります、而も其の買收對價は農地證券を以て交付せられる、今日我が國の財政上の一大暗影をなして居ります所の公債處理が如何樣にせられるか、少くとも政治經濟の今後の趨勢を見る限り、我が國の戰時公債が此の儘國民の資産として殘さるべきであるか、之を相當に處分すべきであるかと云ふことは、私は今後大きな課題となるであらうと思ひますだけに、公債に對する不安は相當強いと思ふ、農地證券は公債とは自ら性格を異にして居りますけれども、等しく國家の負債たることに於ては變りはない譯なのでありまして、此の農地證券の安定、少くとも絶對不動の安定性を持つて居る土地に加ふるに、此の不安定、不安の状態に置かれる公債の兄弟分のやうな農地證券、之に依つて後を構はないと云ふことはどうであるか、少くともせめては農地證券の經濟的價値、財政的價値の安定に付て、政府は特別の考慮を何等かの手段を以て拂ふの要ありと考へるのでありますが、是等の點に付て大臣の御考へを伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=8
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009・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、非常に御尤もな御質問でありますが、此の敗戰に依る非常に大きな變革に於きまして、國民の各層が何等かの形で是が負擔をして居るのでございまして、農地改革に於きまして、日本は今までの土地の所有と云ふ形から行きまして、中小地主が最も多いのでありますが、此の中小地主と云ふ形に於ての何等かの改革を行ひませぬ限りは、實は日本に於ての農地制度の改革と云ふことは無意味になつてしまふのが現状であります、「ポツダム」宣言の趣旨に則りまして、日本の民主化を行ひます以上は、どうしても此の點に「メス」を揮はざるを得ないのでありまして、其の點は私本會議に於て説明致しました所で御諒承を御願ひ致したいのであります、唯地主に付きましても、此の報償金の制度を、依然踏襲致しまして、其の點政府と致しましても社會政策的な考慮を拂つて居る次第でございますので、其の點も御諒承を御願ひ致したいのであります、難かしい理窟を言ひますと、米價と地價との關係は必ずしも御意見のやうではないと私共は考へます、併し是は理窟になりますから、此の際述べることは差控へますが、兎に角現在の状況に於きまして、又將來の日本の土地制度を固め、農業をして本當に安定せしめる爲には、どうしても斯う云つたやうな形の土地制度をやらざるを得ない、斯樣に考へるのであります、殊に今後に於きまして日本の農村は是等の人達を中心に致しまして運營されるのでありまするが、農村其のものは御話のやうに一つの協同體を成すものでありまして、單に農業者と云ふだけでなく、他の者も一體となつて今後の農村と云ふものは形成されて行くと云ふことに付ては私も疑ひを持つて居りませぬ、又然らば將來日本の大地主なり中小地主なりが、全然社會の進歩の上で何等の役割も果さなかつたかと言へば私はさうは考へませぬ、日本の地主は、明治以來相當農業の發明に對しては、果すべき役割を果したと思つて居ります、其の點に付きまして我我と致しましては、今囘の此の農地制度の改革に依りまして分散します大きな地主、又は中小の地主に付て、日本の土地制度の上に於て、歴史として取つて置くべき貴重な資料は、國家として何處までも之を保存して、正しい日本の歴史を正當に過去の地主が果して善き役割は善き役割として相當認めて、是は歴史の上に記録として保存致しますやうに、土地制度の資料保存會を作りまして、只今色々さう云ふ手段をやつて居る譯であります、唯私が此の際御諒解を願ひたいのは、何と申しましても過去の業績を餘りに過大評價致しますことは、將來に於きまする、人類の進歩を過小評價することになるのでございまして、そこは私正確に其の點を認識して、色々のことをやつて行きたいと考へる次第なのであります
それから農地證券の問題でございますが、此の點に付きましては、御話のやうな點は政府としまして十分考へる積りであります、殊に創設されました自作農からの繰上が償還等が許されて居りますので、それ等の額等も考慮致しまして、金融機關が證券の買入をなす等、適當な措置を只今研究して居るのでございまして、御話のやうに、此の農地證券は普通の戰時公債や何かと違ひまして、證券が代行致しまする土地からは、自作人が年々耕作することに依りまして、そこに堅實に富が生産され、償還されて來る譯でございますので、戰時公債とは違ひますが、御話のやうな點に付ては只今申しましたやうな方法に依りまして善處するやうに決定致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=9
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010・保利茂
○保利委員 五町歩以上の大中の地主に付ては、既に前囘の第一次農地改革に於て相當論議を盡されて來て居る譯であります、そこで五町歩以下の所謂小地主、少くとも一町歩以上──今囘は一町歩までの保有限度でありますから、一町歩以上五町歩までの小地主、それが又最後の農村の中堅として、或は保守であるとか、反動であるとか、封建制であるとか云つたやうな言葉を以て論難せられて居る向もありますが、兎も角も日本の農村の運營を、明治以來やつて來た中堅と云ふものは、此の階層である、茲に私共は謂はば農村の中産階級的小地主、此の方々が明治以來、日本の農業のみならず、凡ゆる階層に、或は其の子弟を送り、或は直接農村の爲に貢獻せられたことは否定し得ない、隨て又農林大臣は何時ぞや、新たなる農村の指導層の現出を期待すると云ふことを申されたのでありますが、又私共もさうであります、併し少くとも此の過渡期に於ける農村の中堅指導の任に立つべき者としては、是等の方々を度外視して考へては、日本の農村の健全性と云ふものを保持することは絶對に出來ないと私考へて居るのでありますが、それは偖て措きまして、私は此の機會に文部大臣に御伺ひを申上げたいのであります
私は此の健全な農村に育成せられた子弟が、或は教育界、或は政治界、或は財界、經濟界、産業界等、各方面に中堅者として活動せられるやうな機會を國家が作ると云ふことが、國家の健全性を保持する上に於きまして、極めて緊要なことであらうと存ずるのであります、簡單に申上げますが、從來高等教育以上の專門、大學の教育を受け得たる農家の子弟と云ふものが、今囘の改革案に依つて、教育費の非常に高い今日の制度の下で、今後果して大學、高等の教育を受ける機會を持ち得るかどうか、即ち大學、專門の教育を受けて、それが國家の凡ゆる階層の中堅者となつて、國家の健全な發展を促して行く大きな役割を持ち得るやうな機會が極めて乏しくなるのではないか、と申しますことは、明治以來農村から、所謂農村の出身者にして、或は役所、或は教育界方面に出られた方々と云ふものは、多くは今日對象とせられる所の地主の方々なのであります、所が是等の方が一朝にして其の經濟的基礎を失ひ、謂はば農地の均分化──農地の均分化は經濟力の均分化である、一方に於て相當の經費を要する教育を農家の子弟が如何にして受け得るか、私は文部大臣が御就任以來、日本の新しい教育方針の確立に向つて大いなる足跡と貢獻を果されつつあることを心から尊敬致して居りますが、折角確立せられつつある所の新教育方針に則られて、それを以て如何にして農村にある所の優秀な農家の子弟を國家有爲の士に造り育てて行くかと云ふことは、どうも只今の育英制度育英施設の下では私は十分でない、少くとも大學、高等の教育に對しては、何等か國家的に勇斷的施策が講じられなければならないのではないかと云ふことを痛感して居ります、文部大臣の御考へを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=10
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011・田中耕太郎
○田中國務大臣 農村の素朴的精神は、洵に國家の──殊に將來日本を再建して參ります意味に於ての國家の柱石にならなければならないと云ふ風に信じて居ります、隨て土地制度等の變革に伴ひまして、農村の子弟が高等教育を受けることが困難になつて參ると云ふことに付きましては、文部當局と致しましても十分對策を講じなければならないと云ふ風に存じて居ります、此の問題は農村に付ても存在しますが、一般的には戰災者、或は引揚者の家族の問題、又一般に經濟生活の逼迫と共に社會的全體の問題として考慮しなければならないし、又農村に付て特に考へなければならないと云ふ風に存じます、育英制度は御指摘になりましたやうに、實は甚だ微々たるものでございます、併しながら文部省と致しましては之を以て決して滿足は致して居りませぬ、昨年度の豫算と比較しまして、今年度の要求は五倍位になつて居りますけれども、それは此の物價の昂騰、又多少の人員増加を見積つてのことでありまして、社會的の要求から考へますと洵に燒石に水の感があります、此の育英制度は十分將來に於て、擴充強加致したいと存じます、併しそれだけでは足りませぬので、やはり農村に於きましても、都市に於きましても、働きながら學ぶと云ふやうな方面に制度的の考慮を拂はなければならないと存じて居ります、農村から都會に出て參つて學費が嵩む、下宿屋に澤山の宿賃を拂はなければならないと云ふやうな状態にある譯でございますから、斯う云ふ状態も出來るだけ改善して、資材の許す限りは、最少の學費で以て學ぶことが出來るやうな風にどうしてもしなければならないと存じて居ります、又農村等に於きましては、中等學校程度の教育を普及させ、もつと青年學校なり實業學校を地方の實情に應じたやうに充實すると云ふ風な努力をしなければならないのは勿論、其の中の優秀な者は上級の學校に進學出來る、而も種々なる補助奬勵の方法を以て進學が出來ると云ふ風なことをしたい、さう云ふ風な組織を考へたいと云ふ風に存じて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=11
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012・保利茂
○保利委員 是は難かしい問題ですから、到底滿足を得るやうな御答へを戴かうと云ふことは無理かと思ひます、どうか一つ農家の子弟をして國家中堅の材として活躍せしめ得るやうな機會が、教育上の施設の誤りに依つて與へられないと云ふことが起らないやうに私は御願ひしたい、さう云ふことの爲に一つ渾身の御努力を御願ひしたいと云ふ希望を申上げて、文部大臣に對する質問は止めます
要するに、今囘の計畫は一應大きく擴げられましたけれども、偖て二箇年の内に是が實際實施し得られるかどうか、市町村の農地委員會の此の機能が、果して本當に農林大臣が考へられて居るやうに動くかどうか、成否の鍵が市町村の農地委員會に悉く課せられて居る、是は或る意味に於ては民主的だと言はれるかも知れませぬけれども、聊か政府の責任逃れと云ふやうな感が湧かないではありませぬ、私はもう少し突込んで、本來斯樣な問題は平和時であるならば政府は突込んで行くべきではないと思ひますけれども、少くも此の未曾有の改革を斷行せられんとするに當つては、政府が自ら村に飛込んで片付けてやると云ふ位な迫力と熱意を持たざる限り、農地委員會は是から選擧する、選擧方法は斯うだと言はれるが、其の選ばれて來るやうな者に、此の大目的を達すると云ふやうな、大きな使命に對する認識を持たしめるだけでも私は容易でないと思ふ、そこで此の農地委員會の構成に付て、或は運營に付て幾多御尋ねを申上げたいのでございますが、是は他の同僚の方々からもどうせ御意見があると思ひますから、私は最早時間も相當經つて居りますから結論的に申させて戴いて、大臣──或は是は政府全體の御考へを伺ひたいのでありますが、要するに、今囘の農地改革は我が國の農政の再出發と云ふことになる譯であります、私が申しました所の以上の諸點に付きましてでも、實際其の問題を解決するのには、色々な困難な大きい問題が伏在して居る、只今も申述べますやうに、或は教育上に關する問題、或は農村自治の運營の問題、或は農業生産力を如何に保持するか、如何に發揚し、さうして日本を圍繞する所の農業國たる諸國に經濟的に相拮抗し得るか、是等は幾多大きな問題が殘つて居るのでありますが、此の農政再出發に當つて、今後の新しい恆久的な農村對策と云ふものは新たなる考へ方で行かなければならぬ無論大臣は其の御考へで進んで居られる譯でありますが、國全體として、政治全體として大きく取上げなければならないのではないか、即ち私は農村の國家經營上に於ける地位と權威と云ふものは、此の戰爭を轉機にして恐らく幾層倍と云ふやうに加重せられて來た、即ち其の新しい見地に立つての農村對策と云ふものは、國策の殆ど中心部分を占めて來るのではないかと思ひます、隨ひまして之に對しては、一體政府は經濟安定本部で農村の恆久對策を考へられる積りであるか、或は農林大臣の監督下に於て農林大臣の責任に於て立てられる積りであるか、乃至は新たなる構想を立てられて、少くとも農村の恆久對策の樹立には新たなる構想を採つて、政府は何等かの手を打つべきではないかと云ふやうに考へるのでありますが、之に付て私は總理大臣の御考へを伺ひたかつた譯でありますけれども、農林大臣から御考へがあれば伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=12
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013・和田博雄
○和田國務大臣 御話のやうに、此の農地改革は今後の日本の農政の出發點を成す譯でございまして、此の基礎の上に色々の農政が行はれて來ることと相成る譯であります、隨ひまして是は今後の恆久的な農業政策と云ひますか、農政と云ひますものは、唯農政の分野に於てのみ解決し得る問題と、さうでありませぬで、他の部門との關聯に於てのみ解決し得るやうな政策が多多出て來ると思ふのであります、それ等の點に付きましては、さう云つた農林省獨自の調査會か何か作つてやるか、或は安定本部にさう云ふものを設けるかどうか、今決定は致して居りませぬが、是は政府と致しまして何等かの形に於て、さう云ふ單に目先の經濟安定と云ふことだけでなしに、長い將來を考へた所の、戰後に於ける日本の財政經濟、或は農政其の他のことをどうするかと云ふことに付て是非何か考へて見たい、斯う思つて居る次第でありまして、御趣旨の點は十分考へまして、適當な手段を盡し實行を致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=13
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014・保利茂
○保利委員 色々御伺ひしたいこともありますけれども、私の一應の質問は是で以て終りと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=14
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015・葉梨新五郎
○葉梨委員長 此の際御諮り致しますが、布利秋君から保利君の質疑に關聯して質疑を致したいとの御希望がありますが、之を許可するに御異議ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=15
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016・布利秋
○布委員 今の委員長の御話とは違ふのでありまして、私は他の日でも宜しいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=16
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017・葉梨新五郎
○葉梨委員長 今日でなくとも宜しいのですか──それでは上林山君に御相談しますが、あなたの御要求は農林、内務、司法、安定本部長官、總理、斯うなつて居ります、只今農林大臣だけは御見えになつて居りますが、農林大臣だけに對する質疑でも行はれますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=17
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018・上林山榮吉
○上林山委員 あと十分間では何も質問が出來ませぬから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=18
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019・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは本日は此の程度で散會することに致したいと思ひます、唯此の際政府當局に一言御希望を申上げて置きますが、本案の如き重要な法案の審議に對しましては、十分に時間を取りたいと云ふことは、昨日の各委員間の申合せにもあつた通りでありまして、本日も午前十時殆ど正確に皆さんが御參集になつて居つた、唯政府當局の御出席がなかつた爲に、約三十分間ばかり開會が遲れたと云ふやうな次第でありまして、洵に審議上どうか時間を正確に御出席下さるやうに願ひたい(拍手)御注意を申上げて置きます、明日は午前十時より續行することに致します、本日は是にて散會致します
午前十一時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=19
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020・会議録情報2
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〔參照〕
自作農創設特別措置法案委員會要求資料
六、耕地返還要求件數及び面積竝に其の理由調査表
(1) 返還決定のもの
(2) 繋爭中のもの
内譯{終戰直後より昭和二十年十一月二十三日迄
昭和二十年十一月二十三日以後現在迄発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X00219460912&spkNum=20
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