1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
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本委員は昭和二十一年八月一日(木曜日)議長の指名で次の通り選定された
小川原政信君 河原田巖君
片岡伊三郎君 上林山榮吉君
坂本實君 田中實司君
寺尾豊君 殿田孝次君
中野武雄君 平岡良藏君
深津玉一郎君 飯島祐之君
江川爲信君 加藤高藏君
苫米地義三君 松岡運君
宮澤才吉君 武藤嘉一君
八木佐太治君 奧村又十郎君
川島金次君 榊原千代君
玉井潤次君 林田哲雄君
松永義雄君 山崎常吉君
米山久君 飯田義茂君
今井耕君 橋本二郎君
原尻束君 鈴木憲一君
増井慶太郎君 山下ツ子君
喜多楢治郎君 布利秋君
同月二日(金曜日)午前十時十二分委員長理事互選の爲次の委員が參集した
小川原政信君 河原田巖君
片岡伊三郎君 上林山榮吉君
坂本實君 田中實司君
寺尾豐君 深津玉一郎君
飯島祐之君 江川爲信君
加藤高藏君 苫米地義三君
松岡運君 宮澤才吉君
八木佐太治君 奧村又十郎君
川島金次君 榊原千代君
玉井潤次君 松永義雄君
山崎常吉君 米山久君
飯田義茂君 今井耕君
原尻束君 鈴木憲一君
増井慶太郎君 山下ツ子君
喜多楢治郎君 布利秋君
〔年長者苫米地義三君投票管理者となる〕
昭和二十一年八月二日(金曜日)午前十一時十分開議
出席委員
委員長 苫米地義三君
理事 深津玉一郎君 理事 飯島祐之君
理事 宮澤才吉君 理事 松永義雄君
理事 山崎常吉君 理事 今井耕君
小川原政信君 河原田巖君
片岡伊三郎君 上林山榮吉君
坂本實君 田中實司君
寺尾豊君 江川爲信君
加藤高藏君 松岡運君
八木佐太治君 奧村又十郎君
川島金次君 榊原千代君
玉井潤次君 米山久君
飯田義茂君 原尻束君
鈴木憲一君 増井慶太郎君
山下ツ子君 喜多楢治郎君
布利秋君
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
出席政府委員
内務事務官 荻田保君
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 池田勇人君
大藏事務官 前尾繁三郎君
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本日の會議に付した議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=0
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001・苫米地義三
○苫米地投票管理者 それでは先例に依りまして、私が年長の故を以て投票管埋者となり、是から委員長及び理事の互選を行ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=1
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002・松永義雄
○松永(義)委員 投票を用ひず、苫米地義三君を委員長に御推薦致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=2
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003・苫米地義三
○苫米地投票管理者 松永君の御意見に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=3
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004・苫米地義三
○苫米地投票管理者 御異議なしと認めます、仍て私委員長に當選致しました
〔拍手起る〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=4
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005・苫米地義三
○苫米地委員長 此の際一言御挨拶を申上げます、私慣れて居りませぬので多分不行屆の點がございませうと思ひます、どうぞ宜しく御願ひ致します、是から引續き理事の互選を行ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=5
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006・松永義雄
○松永(義)委員 理事は其の數を八名とし、委員長に於て御指名あらんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=6
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007・苫米地義三
○苫米地委員長 松永君の意見に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=7
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008・苫米地義三
○苫米地委員長 御異議なしと認めます、それでは
殿田孝次君 中野武雄君
深津玉一郎君 飯島祐之君
宮澤才吉君 松永義雄君
山崎常吉君 今井耕君
を理事に指名致します、それでは暫時休憩致しまして、十一時から再開することに致します
午前十時十八分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=8
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009・会議録情報2
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午前十一時十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=9
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010・苫米地義三
○苫米地委員長 それでは是より會議を開きます、所得税法の一部を改正する等の法律案、臨時租税措置法を改正する法律案、地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題として政府當局より提案理由の説明を聽取致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=10
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011・上塚司
○上塚政府委員 本委員會に付託となりました、所得税法の一部を改正する等の法律案竝に臨時租税措置法の改正法律案に付きまして提案の理由を説明致します
本會議に於ても説明致しましたやうに、終戰後に於ける時局を速かに收拾し、國民生活の安定を確保し、新しい日本の建設を期する爲め、當面必要とする財政需要は相當巨額に上つて居る次第であります、之に對處するため、租税に付きましても、國民經濟の實情及び國民生活に及ぼす影響等を愼重に考慮致しました上、適當と認められる増税等を行ひ國庫收入の増加を圖つて財政の強化に資しまするとともに、經濟諸情勢等の推移に應じて國民負擔の公正を期し、併せて徴税の簡素化を圖ることと致したのであります、今回の増税等は、現在の經濟の諸情勢が未だ混迷の域を脱せず、又財産税の實施が近く豫定されて居る際なので、租税制度の根本にはさして改變を加へることなく、主として税率の引上げ等に依り國庫收入の増加を圖つた次弟であります、即ち直接税に於きましては分類所得税の増徴に主眼を置き、特に資産所得に對して重課することとし、又間接税に於きましては酒類等嗜好品に對し重課することとし、其の他各税に亙り、最近に於ける物價及び取引の状況等に即應して、相當の増税を行はんとするものであります、同時に現下課税を不適當とするに至つた若干の租税の廢止等を行ひ、又租税の賦課徴收を簡素適正ならしめる爲の各種減免税等の整理、其の他、戰時税制を平時税制に移行せしめる爲の所要の整備を行はんとするものであります
以下、其の概要を御説明致します、先づ分類所得税でありますが、本税は租税收入の半ばに達する最も重要な租税でありますので、今回の増税に於ても、國民が其の分に應じて國費を分擔するの趣旨に依り、之に主眼を置いて居るのであります、即ち資産所得に對しては増徴の程度を強くし、不動産所得に付きましては百分の二十三の税率を百分の三十に、配當利子所得に付きましては、預貯金の利子等百分の二十三、株式配當等百分の三十に引上げ、又甲種及び乙種の事業所得に付きましては、百分の二十一の税率を百分の二十五に引き上げ、勤勞所得及び丙種の事業所得に對しては、現下に於ける此の種所得者の負擔の状況を特に考慮し、引上げの程度を最も弱くして、百分の十八の税率を百分の二十に引上げるに止めんとするものであります、尚ほ配當利子所得の税率に付きましては、從來は國債の利子に對しては百分の十六とし、元本五千圓以下の預貯金の利子に對しては百分の七とする等の特例が認められてをりましたが、課税を簡素且つ適正ならしめる爲め、總て百分の三十の税率に統一して課税することに改めんとするものであります、又山林の所得、退職所得、清算取引所得に付きましても、適當と認められる税率の引き上げを行ひ、分類所得税の總税額に於て、二割五分程度の増徴を圖ることと致したのであります
綜合所得税に付きましては、分類所得税の税率の引上げに照應しながら税率を改訂し、三千圓を超える所得に對して百分の八乃至五十萬圓を超える所得に對して百分の七十四の税率を、一萬圓を超える所得に對して百分の三十五乃至三十萬圓を超える所得に對して百分の六十七の税率とし、分類所得と相俟つて高額所得者に對し重課することと致したのであります、之に伴ひまして公社債、銀行預貯金利子等に付き源泉課税を選擇した場合の綜合所得税の税率を、百分の三十から百分の四十五に引上げたのであります
分類所得税及び綜合所得税に於ける基礎控除、扶養家族控除等に付きましては、物價事情等を考慮し、去る三月、緊急勅令の實施に依りまして、相當大幅の引上げを行ひましたので今回は、是等の改正は行はないことに致しました
以上の増税と併せ所得税に付て二、三の改正を行ふことと致しましたのであります、即ち、不動産等の讓渡所得に對する分類所得税の創設でありますが、今回個人の不動産等の讓渡利得に對する臨時利得税を廢止することと致しましたので、不動産、船舶等の讓渡益に對しましては、今後分類所得税を課税することと致したのであります、次に配當所得の計算期間が前年三月から其の年二月までとなつて居りましたのを、此の際暦年に改め、又渡合所得税の課税に當り、公社債及び銀行預金利子等に付て三割を控除して課税する從來の特例を廢止し、其の他、看做配當及び拂込金に充當した積立金に依る配當に對する綜合所得税の課税に付ては、其の收入金額の十分の四を控除して課税することに改め、課税手續の簡素化及び租税負擔の適正を圖らんとするものであります
法人税に付きましては課税を終戰後に於ける事態に即應せしめるため法人臨時利得税を廢止して、之を法人税に統合することと致したのでありますが、法人の各事業年度の所得を普通所得と超過所得とに區分し、普通所得に對する税率に付きましては、産業及經濟に與へる影響等に付て考慮しました結果、百分の三十三を百分の三十五に引上げたのであります、超過所得に對する税率に付きましては、從來の法人臨時利得税と同程度の税收入を擧ぐる目途の下に之を定め、終戰後に於ける企業收益の状況等を考慮し原則として、資本金額の八分を超える金額に對し百分の三十、同一割五分を超える金額に對し百分の四十、同二割五分を超える金額に對し百分の五十と致したのであります、以上の増税と併せ法人税に付いて二、三の改正を行ふことを致したのであります、從來、所得の計算に當り、事業年度開始の日前三年以内に生じた繰越損金額は、之を總益金から控除することになつて居りましたが、個人との課税の權衡及び終戰後に於ける企業經理の實情に顧み之を一年以内に生じたものに限ることに改めることと致しました、尚ほ國債利子に付て、七割を控除して課税して居た特例を廢止し、又資本金額の計算上繰越缺損金額を控除しないことに改めたのであります、特別法人税に付きましましは、法人税等の増徴等に伴ひまして、百分の二十二の税率を百分の二十五に引上げることに致しました、尚ほ本税は今次の戰爭終了後一年以内に廢止することになつて居るのでありますが、今回之を改め、恒久税として課税することと致したのであります
臨時利得税も今次の戰爭終了後一年以内に廢止することになつて居るのでありますが、今回之を廢止することと致しました、尤も法人の臨時利得税は之を法人税に統合し、個人の不動産の讓渡に對する課税は之を所得税に統合することと致したのであります
相續税に付きましては目下高率の累進税率に依る財産税の課税を控えて居りますので、今回の増税に當りましては、本税の一般的の増徴を行ふを適當としないものと認めたのでありますが、課税價格百萬圓を超える高額財産の相續者に對しましては、尚ほ増徴の餘地があるものと認められますので或る程度之を引上げ、例へば家督相續の千分の四百四十乃至千分の五百八十の最高税率を千分の五百五十乃至六百五十に、遺産相續の千分の六百乃至千分の六百七十の最高税率を千分の七百乃至千分の八百に引上げんとするものであります、又相續税の課税最低限及び扶養家族控除額は、現在の物價事情等に適合しないものと認められますので、課税最低限を家督相續に付ては五千圓を二萬圓に、遺産相續に付いては千圓を三千圓に引上げ、又扶養家族控除額千五百圓を三千圓に引上ぐる等の改正を行ひ、小額財産の相續者に對する負擔の緩和を圖ることと致したのであります
地方團體の財源たる地租、家屋税及び營業税に付きましても、地方財政の状況等考慮し、又地租及び家屋税に付きましては、不動産の負擔の現状に顧み税率を、地租百分の三を百分の四に、家屋税百分の二五を百分の三・五に、營業税百分の二を百分の二・五にそれぞれ引上げることに致したのでありますが、家屋税に付きましては納期の關係上明年度から新税率に依り課税することとし、本年度は地方税附加税の増徴に依り調整を圖ることと致したのであります
鑛區税に付きましては、最近に於ける物價の状況等に顧み、試掘鑛區等の三十錢の税率を一圓に、採掘鑛區の六十錢の税率を二圓に引上げることと致しました
有價證券移轉税に付きましては、取引所の再開を見計らひ、昨年八月來停止して居りました課税を復活し、今後に於ける有價證券の取得に付いて適切な負擔を課するため、有價證券仲買人を買受人とするもの萬分の五、取引所の實物取引に依るもの萬分の十其の他萬分の二十の税率に依り課税することと致しました
登録税に付きましては、最近に於ける物價及び取引の實情に顧み、其の負擔力に應ずる課税を行ふ等の爲め、比例税率に付いては、不動産の賣買等に依る所有權の取得に對するもの千分の四十を千分の五十に、會社の設立又は増資等に對するもの千分の六を千分の七に引上げ、其の他に付ても之に準じて引上げを行ひ、又定額税率に付ては二十割乃至三十割程度を引上げる等の増徴を行ふことと致したのであります
酒税に付きましては、酒類の嗜好品たるの性質及び最近に於ける物價の状況に顧み、此の際相當重課することは已むを得ないと認められるのであります、先づ清酒に付きましては、其の税率が現在一石に付て一級酒は千二百四十五圓、二級酒は五百八十五圓でありますが、之を一級酒二千七百五十圓、二級酒千九百十圓に引上げんとするのであります、其の結果清酒の小賣價格は一級酒は一升に付て四十圓程度、二級酒は三十圓程度となる見込であります、合成清酒に付きましては、清酒に準じて相當程度の増徴を行ふことと致しました、「ビール」に付きましては、一石に付て四百五十圓の税率を千二百十圓に引上げ、其の結果普通壜一本の小賣價格三圓が六圓程度となる見込であります、其の他燒酎雜酒等に付きましても、品質に應じて税負擔に差等を設けながら、適當と認められる税率の引上げを行ひ、總税額に於て十九割程度の増收を圖ることと致したのであります、尚ほ酒類の無免許製造に對する罰金額の最高一萬圓を三萬圓に引上げ、密造者に對する處罰を強化することと致したのであります、酒類業團體法に付きましては、酒類業團體をして新事態に對處し適切な活動を行はしめるため、團體の性格を共同の利益の促進及び自主的統制を目的とする同業者團體に改め、且つ官廳の監督事項を整理する等の改正を行ふことと致したのであります、清涼飮料税に付きましては、其の消費の性質及び酒類に對する増税等との權衡を考慮し、相當大幅の増徴を行ふことといたしました、例へば第二種「サイダー」の税率一石に付て百六七圓を五百五十圓に引上げ、其の他の清涼飮料に付ても適當と認められる税率の引上げを行はんとするものであります
砂糖消費税に付きましては、物價事情等に顧み相當大幅の税率引上げを行ふことと致しました、例へば分蜜白糖の税率百斤に付て十七圓五十錢を三百六十圓に引上げることとし、其の結果小賣價格が一斤に付て一圓四十五錢が四圓八十錢餘となる見込であります、其の他の砂糖に付きましても適當と認むる税率の引上げを行つて居るのであります、尚ほ業務用等の砂糖に對して課税する砂糖特別消費税は之を廢止することと致しました
織物に對する課税に付きましては、徴税事務の簡素化及び税收の確保等を圖る爲め、織物消費税に織物及び織物製品に對する物品税を統合し、税率百分の四十と致したのであります、又綿織等には從來課税しないことになつて居たのでありますが、今回之に課税することとし、綿又は「ステープル・ファイバー」のみを原料とする織物に付て其の税率を百分の十と致したのであります
物品税に付きましては、今回は徴税の手續を簡素化し課税の適正を期するため現在の第一種の物品は、小賣課税を致して居るのでありますが、今回之を改めて、原則として製造課税とし、製造課税に改めることが困難な愛玩用動物、花、花輪等に對する課税は之を廢止することと致したのであります
又、終戰後の事態に即應する課税を行ふ爲め、甲類物品に對する現行税率百分の百二十は高きに失するものと認められますので、百分の百に引き下げ、又一定額を超える高價品に對する特別税率の課税を廢止し、尚ほ書畫及び骨董に對しては、實情に應じ適切な課税を行ふ爲め、小賣業者の販賣價格に依り、百分の二十の税率を適用することに致しました、又、從量課税の飴類「サッカリン」及び蜂蜜に對しては、最近に於ける物價の状況等に顧み、砂糖に準ずる程度の税率引き上げを行ひ、又「ヅルチン」に對しても、新たに「サッカリン」と同程度の課税を行ふことと致したのであります
遊興飮食税に付きましては、昨年八月以來定額課税の制度及び之に伴ふ納税切符の制度を停止して居りましたが、現在に於ても之を實施することを適當としないので今回之を廢止することに致しました
入場税に付きましては、戰時中舞踏場の經營が停止されて居た爲め、課税の規定が削除されて居たのでありますが、終戰後各地に舞踏場の開設を見るに至りましたので、此の際第二種の場所として課税することと致したのであります
印紙税は昨年八月來課税を廢止して居たのでありますが、今回課税を復活し、大體十割乃至二十割程度の税率引上げを行ふことに致しました、其の他骨牌税及び狩獵免許税に付きましても適當と認むる税率の引上げを行つて居るのであります
尚ほ本増税等の實施と關聯致しまして、昨年八月施行された戰時緊急措置法に基く税制の適正化に關する勅令は、之を廢止することと致しました、此の勅令に依りまして馬券税は課税を停止して居たのでありますが、今後に於ける競馬場開設の機運に顧み、之を復活することと致しました
同勅令により同時に課税を停止して居た配當利子特別税、外貨債特別税、建築税、電氣、瓦斯税、及び廣告税に付きましては、現在に於ても尚ほ課税を適當としないと認められますので、此の際廢止することと致しました、特別行爲税に付きましては、現在に於ては課税を不適當とする事情が多く認められますので、此の際、是も廢止することと致しました
此の外、終戰後に於ける事態に即應させる等の爲め、必要な法令の廢止又は改正を行ふことと致したのであります、其の二、三に付て申上げます、先づ從軍軍人等に對する租税減免等の法律、戰時災害國税減免法、所得税法人税、内外地關渉法、日滿二重課税防止の法律、日滿國税徴收事務共助法、輸出物品に對する内國税免除等停止の法律を廢止し、又、戰時納税貯蓄制度は、終戰後の今日に於ては、其の必要を認めなくなりましたので、之を廢止する爲め、納税施設法を改正することと致しました
次に關税等に付きましては、終戰に伴ひ、關税法戰時特例は之を廢止するの要がありますが、同特例中には、關税行政を簡素化し、船舶の運航を圓滑にし、又港灣荷役力の増強を圖つて居るものがありますので、今後も之を存續する等の爲め、關税法等の一部を改正せんとするものであります、其の他、徴税上の手數省略を圖る爲め、國庫出納金端數計算法を改正し、國税の收入金に付ては、原則として十錢未滿の端數は之を切捨てることに致したのであります
次に、臨時租税措置法の改正に付て説明致します、同法は今次の戰爭終了後一年以内に廢止することとし、戰爭遂行に資する爲めの租税の減免に關する措置等を定めて居たのでありますが、今回之を租税特別措置法に改め、生産の増強、國民生活の安定、其の他現下緊要とする諸政策の遂行に資する爲め、必要な租税の減免又は課税標準の計算若しくは徴收に關する特例を整備して當分の間、之を存置することと致したのであります、從來の租税の減免等の中、戰爭遂行上の必要に基いて定められたもので、現在之を必要としなくなるに至つたものは、總て之を廢止することと致したのであります
以上、今回の税制改正に關する二法律案の概要に付いて説明したのでありますが、増税等各種措置に依りまして、平年度に於て分類所得税、十七億三千二百餘萬圓、綜合所得税、七千八百餘萬圓、法人税、六億四千二百餘萬圓、特別法人税、三百餘萬圓、營業税、五千三百餘萬圓、地租、千二百餘萬圓、家屋税、千二百餘萬圓、鑛區税、二千六百餘萬圓、有價證券移轉税、五百餘萬圓、登録税、四千九百餘萬圓、酒税、二十億三百餘萬圓、清涼飮料税、百萬餘圓、砂糖消費税、七千三百餘萬圓、織物消費税、四億四千八百餘萬圓、入場税、九十餘萬圓、骨牌税、五百餘萬圓、印紙税、三千餘萬圓、狩獵免許税、五百餘萬圓の増收となるのでありますが、相續税、三百餘萬圓、物品税、三億四千四百餘萬圓、配當利子特別税、百餘萬圓、臨時利得税、八億二千八百餘萬圓、建築税、二百餘萬圓、特別行爲税、六千八百餘萬圓、電氣瓦斯税、千九百餘萬圓、廣告税、千餘萬圓の減收となり、差引き地方團體の財源たる還付税收入の増收を含め、平年度に於て三十九億七百餘萬圓、初年度たる昭和二十一年度に於て二十四億五千百餘萬圓の増收となる見込であります
以上所得税法の一部を改正する等の法律案外一件に付きまして説明致した次第であります、何卒御審議の上速かに御可決あらんことを御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=11
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012・苫米地義三
○苫米地委員長 大村内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=12
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013・大村清一
○大村國務大臣 本委員會に付託せられました地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案に付きまして、其の概要を御説明申上げます、地方税制は去る昭和十五年に大改正が行はれたのでございます、其の時以來我が國はずつと戰爭の状態に入つて居つたのでありまして、戰爭遂行の上から地方團體に要求せられました所の各種の施策は洵に廣範、多岐でありまして、爲に地方財政上の需要も年々増加の一途を辿つて參つたのであります、併し其の間能く地方税負擔は均衡を失することがなく、又地方團體は概ね其の財源に不足することもなく經過致し得たのであります、然るに戰爭が最後の段階に入りまして、空襲は非常に激烈となり、大半の都市は壞滅せられ、續いて敗戰となり、社會經濟の情勢は茲に一變致しましたが爲に、地方の財政事情も急激なる大變化を受けまして、歳入不足を生ずる地方團體が隨所に發生致しまして、是等のものに對しましては、昨昭和二十年度に於きまして總額五億五千餘萬圓の赤字公債を起すことに依りまして、辛うじて收支の均衡を保つことが出來たと云ふやうな状態であつたのであります
茲に最近に於きまする地方財政の現況を概括して申述べて見ますれば、先づ第一に、戰災竝に終戰に因る産業經濟界の激變に依りまして、地方團體は多大の税源其の他の收入源を喪失致したのであります、第二に、物價騰貴に依りまして、職員の給與の改善費、又戰災復舊、復興費、食糧増産其の他民生安定の諸施策に要する經費等の敗政需要が新たに増加致したのでありまするが、其の額は莫大なる額に上つて居るのであります、第三に、戰災其の他新たなる財政均衡の原因が加はりました爲に、地方團體の間に於きましての税源分布の状況が甚だ不均衡に相成つて參りまして、之を調整することを主たる猊ひと致して居ります所の現在の配付税制度は、此の儘では其の調整機能を失つて居りますので、茲に何等かの改正を加へなければならぬと云ふやうな事情も發生して居るのであります、又第四に、新日本建設の爲に、民主政治の發達を期しまする上に於きまして、特に地方行政の民主化、地方自治の發達を期さなければならないことは申すまでもないのでありまするが、是が爲には他面地方自治團體の基礎を成して居ります所の地方財政の強化、又地方財政の自主化を圖らなければならぬと云ふやうな事情に立至つて居るのであります、斯くの如き地方財政の現況に對處致します爲に、今囘地方財源の擴充を致し、それから地方財政の自主性を強化する、それから地方財政調整の適正化を圖ると云ふ、此の三大眼目を目標と致しまして、茲に地方税法竝に地方分與税法の改正を中心と致します所の地方税制、財政制度の改正を政府は企圖致した次第であります
先づ地方税法中の改正事項に付て御説明を致しまするが、是は大體に於きまして地方の財政上の自主性を強化することを考慮に入れながら地方税全體に亙り相當程度の増税を行はんとするものであります、先程申述べましたやうに地方團體は差當り多額の地方財源の増加を必要として居るのであります、之を補填致します方法と致しまして、國庫より交付金を支出致しますとか、國税を委讓するとか云ふやうなことも考へられるのでございまするが、今日國庫財政も亦非常に逼迫して居りますことに思ひを致します時に、國庫より地方財政が多くの援助をして戴くと云ふことは、是は實際問題として不可能なことであります、隨ひまして地方税自體に於きまして相當の増税を行ひまして、自分で財源を造り出すと云ふことは洵に已むを得ない事態にあると思ふのであります、國民生活の現状を見まする時、今回國税も地方税も相當に増税をせられたのでございまして、其の負擔は決して生易しいものとは考へませぬが、敗戰後の國力の實相に思ひを致します時、是は國民に忍んで戴かなければならぬ洵に已むを得ない措置であると考へるのであります、地方税法改正の第一點は地租、家屋税及び營業税、所謂三國税の附加税の増税であります、地方の最も有力な獨立財源であります三收益附加税に付きましては、其の標準賦課率を道府縣市町村共に百分の百づつ増率することと致しまして、それぞれ道府縣に於ては百分の二百、市町村に於ては百分の三百とせんとするものであります、別に提案致されて居ります所の三つの國税に於きまして、本が増増税せられることになつて居るのでありまするが、此の増税と、又地方附加税に於ける増率との兩者の關係に依りまして地方團體の増收見込額は約五億五千七百萬圓の見込でありまして、尚ほ災害應急又は復舊の費用を要しまする時、其の他法律で定めて居ります所の特別の場合に於きましては、現行法に於きましては標準賦課率の二割を超えない範圍、即ち道府縣に於きましては百分の百二十、市町村に於きましては百分の二百四十までは監督官廳の許可を必要としないで制限外課税が出來ると云ふことになつて居るのでありまするが、改正法律案に於きましては新たな標準賦課率の二割を超えない範圍、即ち道府縣百分の二百四十、市町村百分の三百六十までは許可を要しないで制限外課税が行へることに改めたのであります、尚ほ國税、家屋税に付きましては、大藏當局からも御説明のありました如く、既に納期が開始して居ります關係上、本年度は其の増税を取止められましたので、地方附加税の賦課率を上げて調整することに致しました、特に此の點は本年度分に限りまして、家屋税附加税及び家屋税割に付きまして、其の賦課率を引上げることに致したのであります
改正の第二は、市町村民税の増税であります、市町村民税の納税義務者一人當りの平均課税額は、現行法では大都市十二圓、都市が九圓、町村が六圓と云ふやうに、三種に區分致されて居るのでありますが、改正案に於きましては、諸般の事情を勘案致しまして、大都市、都市、町村の區別を撤廢致しまして、一率に四十圓と云ふことに致したのであります、此の改正に依りましての市町村民税の増收見込額は、約四億八千萬圓に上るのであります、更に市町村財政の自主性の強化を意圖致しまして、市町村民税に彈力性を賦與することとし、特別の必要ある場合に於きましては、府縣知事の許可を受けまして、其の百分の五十以内で制限外課税をなし得ることに致したのであります、即ち一戸平均六十圓までは制限外課税をやれば賦課することが出來ると云ふやうに致したのであります、尚ほ納税者一人に對する最高賦課額の制限は、賦課總額を今囘著しく引上げました關係から、一律の制限規定を存置して置きますことは適當でございませぬし、而も其の最高賦課額は、概ね各團體の實態に應じまして、適當に決定せられる状況にもありますので、今囘是が法定の制限を撤廢致したのであります、併し之に依りまして適當な賦課が行はれないやうなことの生じないやうに、政府としては適切な措置を講ずる所存で居るのであります
改正の第三點は、府縣民税を新たに設けたことであります、是は府縣に對する新たなる財源賦與の必要と、大衆の擔税力捕捉を適當とする現下の状況に鑑みまして、又且つは府縣の自治的性格の強化に伴ひ、府縣に直接課徴する所の人税を設ける、之に依つて府縣住民の負擔分任の途を擴充することを適當と考へまして、納税義務者一人當り平均賦課額の制限を六十圓とする府縣民税を創設し、是は大體市町村民税に準じ賦課することに致したのであります
尚ほ本税は市町村民税と關聯の極めて深いものがありますので、其の賦課總額は府縣條例の定むる所に依りまして、市町村に配當し得るものとし、其の場合に於きましては、府縣民税の課税方法は、法律命令及び府縣條例に定めるものの外、市町村條例を以て規定せしむることも出來ると云ふことに致したのであります、而して府縣民税に依る收入見込額は、約八億八千萬圓であります
改正の第四は、府縣に對する法定外獨立税設定の權能を賦與したことであります、府縣の自治的性格の擴充に伴ひまして、府縣の財政自治權を強化することを適當とし、必要と致しまする爲に、現に市町村に認めて居りますと同樣に府縣に對しましても法定税目以外の新たなる獨立税を設定する權能を賦與せんとするものであります、勿論本税に付きましては、内務大臣、大藏大臣の許可を要することに致しまして、負擔の均衡には十分留意する考へであります
改正の第五は、東京都の區税に關することであります、東京都制の改正に依りまして、新たに認めんと致して居ります東京都の區税に付きましては、東京都の區と東京都との一體性を確保する必要がありますので、東京都の區が其の區域内に於て、東京都の課することを得る税の一部又は全部を、區税として課せんと致しまする場合には、東京都條例の定むる所に依るものと致しますると共に、區が法定外獨立税を設けんとする時は、東京都の同意を要することと致したのであります
次に地方分與税法中の改正事項に付て御説明申上げます、前に述べました地方税制の改正竝に國費地方費負擔區分の改正等に依りまして、地方團體には相當の増收を見込み得るのであります、併しながら之を以て地方公共團體の財政需要の増加、竝に戰災に依る地方税の減收を補ふことは到底出來ませぬから、其の不足額は國庫からの配付税の増額に依りまして、賄はうとすることを目途と致しまして、此の配付税を増額致したのであります、又之に從ひまして、配付税の分與に關しましては、地方團體の財政需要の増加額に應ずる必要な財源を賦與致し、又戰災地方團體の敗政援助を中心とする配付税を分與すると云ふ、其の方法の適正化を圖らんとする爲に茲に配付税法中の改正を致さんとするのであります
改正の第一は、配付税の全體に關する事項でございますが、其の一は配付税の繰入率及び分與率の改正であります、終戰後の地方財政を再建致します爲に、昭和二十一年度に於きましては、新たに増加を要する地方財源の總額は、實に四十億五千八百萬圓の多きに上るのであります、其の内容は、戰災に因る地方税の減收補填に要するものが九億五千六百萬圓、經濟情勢の變化に伴ふ地方職員の待遇改善に要する額が二十四億九千三百萬圓、地方財政の自主性を強化する等の爲め國庫補助金を廢止し、地方一般財源に振替を要する額が一億九千六百萬圓、國民學校の充實及び生活保護法の實施に要する額が四億一千三百萬圓であります、是が對策と致しましては市町村民税の増税及び府縣民税の創設に依りまして十三億六千百萬圓、それから還付税たる地租家屋税及び營業税の増税竝に是等に對する附加税の標準賦課率の引上に依りまして五億五千七百萬圓、其の他各種地方獨立税の増税に依りまして一億八千萬圓、警察費に對する國庫負擔割合の引上、其の他國費、地方費の負擔區分の改正に依りまして六千七百萬圓、行政整理や使用料の増徴に依りまして二億一千六百萬圓、合計二十三億八千萬圓の財源を捻出致したのでございますが、尚ほそこに十六億七千七百萬圓の不足を生ずるのであります、此の不足は全部配付税の増額に依つて始末をすることに致して居るのであります、是が爲め一般會計より地方分與税分與金特別會計へ繰入れるべき配付税の總額は、所得税及び法人税竝に入場税及び遊興飮食税の當初の豫算見込額に既定の繰入割合を乘じて得た六億五千八百萬圓に此の十六億七千七百萬圓を加へた合計二十三億三千五百萬圓、此の金額を右の四税の收入額から地方分與税分與金特別會計へ繰入れます爲に、所得税及び法人税竝に入場税及び遊興飮食税に對する繰入割合を改訂する必要が生じたのであります、之に伴ひまして地方團體に分與すべき配付税の額にも異動を生じますので、其の割合に付ても改訂を必要とするのであります、其の二と致しまして、配付税の道府縣分と市町村分との割振の變更を致して居るのであります、道府縣及び市町村の從來の割振に依る本來の配付税の額と、それぞれの新たに増加を要すべき財源の中配付税を以て充足する額との合算額に付きまして、道府縣分と市町村分の割合を取つて見ますと、道府縣分は百分の六十五・一餘り、市町村は百分の三十四・八餘りとなるのでありますが、此の端數を整理致しまして道府縣百分の六十五、市町村百分の三十五と致したのであります
改正の第二は道府縣配付税に關する事項でありますが、其の一つは道府縣配付税の中に第三種配付額を設けることであります、戰災地道府縣に於きましては、多大の財源を喪失して居るにも拘らず、却て其の財政需要は激増致して居るのであります、而も其の状況は必ずしも戰災地道府縣の間に一率に之を律することは困難であります、尚又經濟の安定を缺きます今日、財源竝に財政需要の變動が甚しく、爲に過去の實績を基礎とする固定した法定規準のみで道府縣に對する分與額を算定致しましたのでは、其の財政運營を著しく困難ならしめるものがありますので、是等の點に鑑みまして、道府縣配付税中に新たに特別の事情を斟酌して分與する第三種配付額を設けることと致しまして、其の總額は同じ性質の現行の都市配付税及び町村配付税中の第三種配付額に準じまして道府縣配付税總額の百分の五と致したのであります
其の二は財政需要を標準とする第二種配付額分與基準の改正であります、從來第二種配付額は實人口に六十萬を加算し、更に國民學校兒童數に依る割増を行つたものに按分を致して居つたのでございますが都市方面の特に甚しい財政需要増加の状況に鑑みまして、大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍、町村部人口の一倍の合算額に百五十萬を加へたものに按分することに改めんとするのであります、現行割増定數の六十萬は道府縣平均人口の凡そ四割に相當するのでありますが、改正割増定數百五十萬は、配付税分與基準としての人口算定方法の改正に伴ひまして増加した改訂道府縣人口の平均の約六割に相當するのでありまして、人口算定方法の改正に伴ひ當然増加すべきものを更に五割増額することに致した譯であります、其の理由は今回新たに道府縣民税が設けられますので、各團體に對し單純に其の人口に比例して相當な財源が賦與せられると云ふ結果になるのではありますが、元來人口一人當りの經費は人口の少い團體程割高に相成りまするから、人口少數の團體には割高に財源を賦與する途を考へる必要があるからでございます、尚ほ國民學校兒童數に依る人口割増の制度は、最近國民學校兒童の移動が甚だ激しい状況に鑑みまして、此のやうな一時的な兒童數の増減は正しい財政需要の標準とはなり得ませぬので、此の制度を廢止することに致したのであります
改正の第三は市町村配付税に關する事項でありまするが、其の一つは市町村配付税中に大都市、都市、町村を通じ特別の事情を斟酌して分與する特別配付税を設けんとすることであります、現行法は市町村配付税を先づ大都市と都市と町村との三つの「ブロック」に區分致しまして、大都市には大都市配付税のみを、都市には都市配付税のみを、町村には町村配付税のみを分與することと致して居るのであります、併しながら此の分割に付きましては、大都市、都市、町村間に道府縣配付税第三種配付額設定の理由に付て申述べましたと同樣な事情がありますので、固定した法定の分與額のみを以て致しましては三「ブロック」分割の適正を期し難いのであります、隨て大都市、都市、町村の三「ブロック」の各團體を通じ特別の事情を斟酌して分配する特別配付税を新たに設けんとするのであります、此の結果市町村配付税は大都市配付税、都市配付税、町村配付税、次に特別配付税の四種に相成る譯であります、其の二は市町村配付税總額の大都市、都市、町村三「ブロック」への分割方法を改正せんとする點であります、市町村配付税總額を財政需要を標準として大都市配付税、都市配付税及び町村配付税の三「ブッツク」に分割致します場合、現行法は大都市、都市、町村の總割増人口に按分することに致して居るのでありますが、大都市、都市方面は戰災に依りまして多大の財源を喪失し、反面其の財政需要は却て激増致して居る状況に鑑みまして、今回大都市總人口の三倍、都市總人口の二倍及び町村總人口の一倍に按分することに改めんとするものであります、其の三は大都市配付税、都市配付税及び町村配付税の各第二種配付額分與基準の改正であります、今回地方税法の改正に依りまして、市町村民税の賦課總額の制限が大幅に引上げられます結果、市町村に對し、單純に其の人口數に比例して相當の財源が賦與されることに相成る譯であります、併しながら人口一人當りの經費は人口少數の團體程割高に相成りますので、財源も元來人口少數團體には割高に與へられなければならないのであります、此の缺陷を補ひます爲に、財政需要を標準とする第二種配付額の分與基準に加算せられ、人口少數團體に財源を割高に與へる働きをして居ります所の割増定數を五割宛増額することと致したのであります、即ち大都市六十萬、都市三萬、町村二千の割増定數をそれぞれ大都市に付ては九十萬、都市に付ては四萬五千、町村に付ては三千に改めまして、之を人口に加算したものに第二種配付額を按分することに改めたのであります、尚ほ國民學校兒童數に依る人口割増の制度は府縣の場合に申述べましたと同樣の理由に基きまして、今回之を撤廢することに致したのであります
第四は、配付税の臨時特例に關する事項でありますが其の一つは當分の間、道府縣配付税の中に戰災に依る減收額を補填する爲に、第四種配付額を設けんとすることであります、戰災團體は多大の財源を喪失して居るに拘らず却つて其の財政需要は著増を致して居りますので、戰災團體の財政を援助する爲に戰災に依つて減收する額の凡そ二分の一程度を補填することを目的と致しまして、道府縣配付税總額の百分の十以内に於きまして、命令に依り定める金額を以て第四種配付額を設け、戰災に依る減收額に按分分與せんとするのであります、此の第四種配付額の總額は戰災の回復に伴ひまして、年々減額致して參りますことが適當でありますので、此の點は命令を以て定めることに致したのであります、其の二は當分の間市町村配付税の中に、戰災に依る減收額を補填する爲め、道府縣配付税の場合に申述べましたと同樣の理由に依りまして、市町村配付税總額の百分の二十以内に於きまして、命令に依つて定める額を臨時特別配付税と致しまして、此の項を設けんとするものであります、其の理由は道府縣配付税、第四種配付額に付て説明致しました所と全く同一のものであります
以上地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案の概要に付きまして御説明を申上げた次第であります、何卒宜しく御審議の程を御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=13
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014・苫米地義三
○苫米地委員長 之を以ちまして議案全部に對する政府當局の提案の理由の説明は終了致しました、質疑は次會から行くことに致しまして、本日は是で散會を致します、次會の開會日時は公報を以て御通知致します
午後零時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00119460802&spkNum=14
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