1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
農林中央金庫法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年八月二十八日(水曜日)午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 成島勇君
理事 岩本信行君 理事 坂本實君
理事 馬越晃君
大井直之助君 坂田道太君
杉田一郎君 淵田長一郎君
森田豐壽君 苫米地義三君
保利茂君 金子益太郎君
細田綱吉君 叶凸君
田中健吉君 北政清君
米倉龍也君 平野八郎君
小坂善太郎君 高倉輝君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
農林次官 楠見義男君
農林事務官 石川準吉君
農林事務官 三堀參郎君
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本日の會議に付した議案
農林中央金庫法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
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001・成島勇
○成島委員長 開會致します——坂本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=1
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002・坂本實
○坂本委員 私は農林中央金庫と水産業會との關係に付きまして御伺ひ致したいと存じます
〔委員長退席、馬越委員長代理著席〕
最近に於きまして漁村に於ける新圓の保有高は、相當多額に上るものと推定さるるのでありますが、中央金庫への預金の状況はどう云ふ風になつて居りますか、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=2
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003・石川準吉
○石川政府委員 三月二日の金融封鎖がありまして以来、通貨に關する色々な不安と云ふか、何と云ひますか、さう云ふやうな觀念に囚はれたと思ひますが、非常に手持現金を預金する傾向が少くなつて居ります、併しながら三月三十一日現在の中央金庫の状況を見ますと、水産團體として中央金庫に預けて居る金高は三千五百二十萬圓ばかりあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=3
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004・坂本實
○坂本委員 更に中央金庫から漁村方面への貸出は、どう云ふ方面に、又どう云ふ使途の下に貸出されて居りますか、御尋ね致したいと思ふのであります、即ち漁村に於きまする現状を考へて見ます場合、戰時中に於きまする徴用船の關係に於きまして、多大の犧牲を拂つて來て居るのであります、所が國庫の補償も打切られまして、其の代船として新造計畫を立てるに致しましても、資金面の行詰りの爲に其の計畫の推進が出來ないと云ふのが實情でございます、資本家漁業の方は其の潤澤な資本に物を言はせまして、著々計畫を實行致して居りますが、沿岸漁業者の方は是等の資金難の爲に一向捗つて居りませぬ、此の點に付きましては、業界に於きましても色々問題があると存じまするが、今日に於ける食糧問題の一冀としましての水産業と云ふ立場から見ますならば、急速に何等かの方法を講ずべきものではないか、特に資金の面に付きましては十分御考慮を願つて然るべきものだ、斯樣に考へて居るのでありますが、之に對する御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=4
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005・石川準吉
○石川政府委員 御答へ申上げます、現在中央金庫から水産關係方面に貸出して居ります金額は約一億八千九百萬圓に上つて居るのであります、それは中央水産業會を通じ、或は道府縣水産業會を通じてやつて居りますが、内容と致しましては主として漁業の仕込資金として、例へば、網を買つたり、中には小さな漁船の建造も入つて居りますが、主としてさう云ふ漁業の仕込資金として貸出して居るのであります、尚ほ沿岸漁業の復興の爲に金が要ると云ふことは、我々も十分了解して居るのでありまして、それは水産當局とも十分相談致しまして、沿岸漁業の助成の一環として考慮致して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=5
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006・坂本實
○坂本委員 全國の漁村方面の貯金高が非常に小いと云ふことは非常に遺憾に存じまするが、併しながら此の漁村方面の新圓保有高が相當多いだらうと云ふ豫測の下に、是非一つ新圓を吸收する必要から預金の奬勵をすべきだと考へるのであります、之に付きまして、先づ、なぜ漁村方面の人が預金をしないのかと云ふことに付きましては、今御話もありましたやうに、通貨に對する不安と云ふことも可なり大きな原因であらうと存じまするが、更に又掘下げて考へて見ますると、預金を致しましたものが、必要があつて引出さうと致しましても、色々な制限や制肘を受けると云ふことの爲に、比較的單純な考へ方をして居りまする漁村の方々は、其の煩に堪へないのでありまして、寧ろ「イージー・ゴーイング」に一應行かうと云ふことになるのだらうと思ひます、少くとも預金をさせるものは預金をさせ、又貨出す時は活溌に貸出すと云ふ考へ方の方が妥當だらうと思ふのでありますが、此の預金の吸收と貸出の方針との睨み合はせに付て、一つ御考へを承つて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=6
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007・石川準吉
○石川政府委員 御答へ申上げます、漁村の預金の少い原因は、只今仰せになりました通りだと思ひますが、更に我々の方としましては、農業團體は非常に古い歴史を持つて居りまして一系統金融機關の理解が十分にあるのでありますが、併しながら漁業會とか或は水産業會に於きましては、貯金を取扱つた歴史が極めて新しいのであります、さう云ふやうな關係から致しまして、一般漁民の系統機關に對する理解は、農業會方面に比較して徹底して居ないのではないかと云ふ氣がするのであります、さう云ふ關係を考慮致しまして、我々の方としましては、出來るだけ是が普及徹底に努力致して居るのであります、尚ほ自由新圓に付きましては、是は何等封鎖がございませぬので、預けた預金は何時でも其の儘必要な時に取れるのであります、其の他封鎖預金に付きましては、我々の方と致しましては、出來る限りの便宜を大藏省と相談して與へて居るのでありまして、此の趣旨が十分徹底しない爲に預金の集まりが惡いと考へて居るのであります、今囘系統機關を通じまして各地方に色々な宣傳、講演を行ひまして、十分に系統金融機關の活用を圖りたいと考へて、現在計畫致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=7
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008・坂本實
○坂本委員 色々な施策が新圓吸收の爲に行はれて居ると思ひますが、例へば割増金付の公債でありますとか、又は特殊貯金の制定と云ふことも考へて宜いのではないかと思ひます、之に對する御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=8
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009・石川準吉
○石川政府委員 漁村の貯金吸收に付きましては、今御説のやうなことが非常に有效だと思ひますが、其の他我々の方でも色々考へて居りますから、其の際十分之を御參考に致しまして、能く研究して行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=9
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010・坂本實
○坂本委員 今囘の改正案に依りますと、食糧營團其の他農林水産業に關しまする事業を營む法人に、長期貸付の途を開くこととなつたのでありまして、是は洵に時宜に適する改正であると思量致します、唯農林水産業に關する事業と云ふことでございまするが、私は專ら水産業に關しまして之を最も廣義に解釋を致しまして、先程御話がありましたやうな漁船建造の資金でありまするとか、漁業用資材の仕込資金でありまするとか云ふものに融通されることは勿論、更に水産加工業の方面、即ち各種の水産加工業、例へば罐詰の製造業でありまするとか、魚粉の製造であるとか、斯う云ふやうなものを一切含めるものだと考へるのでありますが、御所見を承つて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=10
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011・石川準吉
○石川政府委員 第十五條の農林水産業に關する事業を營む法人の關係は、仰せの如く廣く解釋して、出來るだけ時宜の措置を執つて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=11
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012・坂本實
○坂本委員 更に此の問題に關聯して、最近從來の官治統制に依る所の統制機關乃至統制會社が一應解散を致しまして、性格を變へた自治的な統制機關に切替へられつつある現状でごさいまするが、此の場合生産に關係を致しまする是等の機關としては、直ちに今性格を變更致した爲に農林中央金庫との關係が若し變更があると云ふことになりますると、至大な關係があると思ふのでありまするが、之に對する貸付の取扱方に對する御方針を承つて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=12
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013・石川準吉
○石川政府委員 御答へ致します、此の統制會社が商事會社に轉換致しました場合には、御承知のやうに是等の持つて居りまする權利義務は包括的に移轉するのでございます、隨ひまして我我と致しましては、中央金庫との關係に於きましても、やはり其の線に沿うて斷切らずにやつて行きたいと考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=13
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014・坂本實
○坂本委員 更に此の中央金庫が斯樣な長期貸付を開始致すに付ては、既存の銀行關係と云ふこととも能く調和を執りまして、遺漏なきやうにやつて貰ひたいと思ふのであります、徒らに競爭すると云ふやうなことがあつては面白くないと思ふのでありますが、是等に對する當局の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=14
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015・石川準吉
○石川政府委員 此の點に關しましては、十分大藏省とも相談をして居るのでごさいます、前にも申上げたと思ひますが、中央金庫の今囘の改正措置は、現在色々な市中銀行でありまするとか、或は特殊銀行に於きましても、中々資金が思ふやうに運轉が出來ないと云ふ實態に即しまして、どうしても、資金の比較的豐富である所の中央金庫の資金を利用したいと云ふ希望が、業界各方面に出て居るのでございます、然るに現在の法制上に於きましては、其の貸出の手續に於て極めて拘束されて居りますので、此の際途を開いて、他の金融機關の足らざる所を補つて、日本再建の爲に協力したいと云ふ考への下に出來たのであります、隨ひまして他の金融機關が十分に此の業界の方の要求に應へるやうな場合に於きましては、中央金庫としては決して之を競爭して貸出すことなく、寧ろ之を補充的に利用して行きたい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=15
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016・坂本實
○坂本委員 時間の關係もありますので、私の質問は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=16
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017・馬越晃
○馬越委員長代理 それでは小坂善太郎君、昨日の御質問の續きを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=17
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018・小坂善太郎
○小坂委員 昨日に引續きまして質問を致します、實は昨日色々な質問を續けたのでありますが、山羊の増殖に何か特別の手を打つべきではないかと云ふ意味の御質問を申上げました所、特別の手と云つて別にないが、普及奬勵する考へであると云ふ御答へでございました、私實はさう云ふことを申上げますのは、農林中央金庫の貸出が兎角配給面の繰作の爲に使はれて居る、實際生産に直接影響のあると云ふか、民生に直接に影響を持つて來るやうな方面に比較的金の流れ方が少い、一見詰らぬやうなことでも、今後斯う云ふことを取上げてどしどしやつて戴くことが、中金と云ふものを大衆のものにして行く意味から非常に望ましいのではないかと思ひまして、左樣な質問を致した譯であります
此の山羊の問題は、農業經營を多角化して行く手始めと云ふと誤解があるかも知れませぬ、既にやつて居られると思ひますけれども、是など今の農村では非常に恰好な手を著けるべき問題ではないかと思ひます、都市の我々としても、穀物の要らない山羊に依つて、今飢えて居る赤ん坊、或は困つて居る母親がどの位救はれるか分りませぬ、そこで是非此の山羊を普及する團體を作り、之に對して農林中央金庫の金を十分に活用して戴きたいと考へて居りますので、明日からでも一つ具體的な行動を起すと云ふやうな、力強い宣言を戴きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=18
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019・楠見義男
○楠見政府委員 小坂さんの只今御述べになりました、山羊の問題でありますが、實は最近各地方に於て生活改善、特に農村に於ける榮養改善の觀點、竝に一面に於て飼料事情の非常に窮迫して居ります現状から、飼料的に見ても最も飼ひ易い、而も一面榮養の高い山羊の普及と云ふことに付ては、各地方で非常に熱心に取上げられて居る問題であります、そこでそれ等の方々から、時に觸れて私共にもさう云ふ問題を持込まれるのでありますが、其の場合、咋日農政局長から御答へしたと思ひますが、實は畜産關係で種の御世話をしたり、其の他飼育上の色々な御世話をすることにして居りますが、何分にも手が廻はり兼ねて十分でないと思ひます、併し方向と致しましては、只今申しますやうに、榮養改善の觀點から申しても極めて有效なことでありますし、特に農村に於ては、食生活の上に於て澱粉質の食糧は多いのでありますが、併し蛋白源或は脂肪源が特に缺乏し勝ちな折でありますから、全體の食生活の改善は勿論、更に其の一部である農村に於ける食生活の改善の觀點からしても、特に此の問題は私共力を入れて參りたいと考へるのであります、隨て農村に於きまして、山羊の購入資金とか色々の問題がございますれば、私共も出來るだけ之に御援助致したいと思ひまするし、更に全般的の問題として、農林中央金庫の資金を從來配給部面或は他の有價證券等に振向けて居りましたものを、本來の農村金融機關としての使命を果し、更に其の根本である再生産的な生産方面に、或は農家の生産致しました物の加工方面、更に經營改善なり今後の生産改善、斯う云ふ方面に主力を注いで參ると云ふ御意見に對しましては、私共も全く同感でありまして、是非さう云ふ方向に振向けて行きたい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=19
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020・小坂善太郎
○小坂委員 只今非常に御熱誠のある御話を承りまして安心致しました、是非共實現性のある計畫を御立てになりまして、一つの問題でも宜い、小さいことのやうですが、此のことを高く旗幟を掲げて實現して戴きたい、尚ほ資金の運用を再生産方面に向けて行くことに付て、今までの行き方の配給面に出したことを御認めになりました點、又今後大いに有效に活用したいと云ふ點に付ては敬意を表します
更に關聯して一點御伺ひして置きますが、最近農藥の不足が非常に甚だしい、農業生産物の増産と言へば直ちに肥料と申しますが、農藥の不足の爲に非常に減産になつて居る實例が多いのであります、此の貸付先一覽表を拜見致しますと、全國製藥株式會社に對して百萬圓を貸して居ります、私は此の製藥會社と云ふものが非常に利潤の多い商賣であつて、短期の融通資金にさう困らないものであると云ふやうなことも承知は致して居るのでありますが、是非共此の製藥方面にもつと思ひ切つて投資をなさつて戴いたらどうか、と云ふことは投資額が多くても是は非常に囘轉率の早い仕事でありますから、決して不良になる心配は、運用の管理さへ十分にして居ればないのではないか、斯う思ふから、是非共農藥増産の爲に特別の工夫をして、中金の金を此の方面にも有效に利用して戴きたい、斯う考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=20
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021・石川準吉
○石川政府委員 農藥關係に付きましては、御説の通り非常に重大な影響を持つのでございますから、農林省と致しましても一つの計畫を立てまして、戰前の水準に早く達すべく努力して居るのであります、現在中央金庫と致しましては、東亞農藥株式會社、全國製藥株式會社の二社に、仰しやるやうに百八十萬圓程度のものを貸して居るのでありますが、尚ほ今後の農藥の生産過程が活溌になりまして、更に資金が要ると云ふやうなことでありますれば、十分考慮致したい、斯う考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=21
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022・小坂善太郎
○小坂委員 以上私は此の中金の改正法律案の上程を見ました機會に、色々と私の考へを申上げて、資金の運用に付ての要望を致した譯であります、結論として申上げますと、先づ第一に、今も御話の中に出て御答辯を伺つたのでありますが、是非共生産面に多く投資をするやう願ひたい、又さう云ふ投資をする以上、所謂貸付業務と云ふものが非常に複雜多岐になつて參りますから、其の貸付の窓口等に付て十分に改善の御考慮を願ひたいと云ふ點、それから第二點は、只今問題になつて居ります肥料會社への貸付でありますが、是も貸付に付ては十分の御注意を以てせられたい、苟も不良なものを生ぜざるやう御注意を願ひたい、第三點と致しまして、農林組合中央金庫と云ふものは繋ぎ資金を貸出す、或は他の一般金融機關が困つて居る面を補ふ爲に出動するもので、決して一般の金融機關と競合するやうな、本來の金融機關としての役目を持つものでない、斯う云ふ根本的な觀點をはつきりして貰ひたいと云ふことを御願ひ申上げまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=22
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023・馬越晃
○馬越委員長代理 北政清君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=23
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024・北政清
○北(政)委員 私は第一に中金の民主化を實際に行ふ肚はないか、現在私の要求しました表に依つても御覽の通り、理事長初め理事の全部が殆ど所屬組合とは關係のない人ばかりである、それでありますから、中金の事務其のものが全く官僚化してしまつて居る、總ての事務が極めて複雜怪奇を極めて居りまして、所屬聯合會あたりが責任を以て調査をやりましても、更に調査をやる、到る所に中金の出張所を出してやつて居ると云ふやうな行き方になつて居る、其の經費の負擔は中々大きいものでありまして、恐らく農民に對しては寄生蟲の如きものであります、斯樣に思ふのであります、其の上に役員は全く民主化して居らぬ、政府が三千萬圓そこそこ出資して居るが故に全部政府任命である、之を根本的に直す肚はないか、又今日民主主義を「ポツダム」宣言に於て我々は要求されて居る以上、眞に民主化して行くことが本當ではないか、此處だけは別ものだと云ふ理由は何にもないのではないか、而も此の名前を御覽になつても、所謂金融業者を以て理事に集めて居るのでありまして、所屬團體の經營に關係した人は一人も居ない、それでありますから、所屬團體の本當の實情を見拔き得ない、隨て資金の貸付などに付ても、大臣や、監督官廳の認可とか色々のことがあります、ここに現はれました軍需補償の損害に付ても、餘り關係がない、さう云ふことに關係があるのは少いなどと言つて居りますが、偖て各各の會社が受ける軍需補償の損害と云ふものは、實は莫大なものであります、それが爲に支拂能力のないものがあると私は確信する、それを以てすら差支へないのだと言ふ、在外資産に付ても八億八千萬圓、出資額の總額すら皆喰込んでしまふ、出資の元金がない、斯う云ふやうに本當の農村金融、農業金融の本旨を離れた金融業者に依つてやると云ふやうなこと、若しくは官吏の古手の投げ場所、仕方がないから中金の理事に持つて行く、馘るなら中金の理事にやる、荷見さんが辭める、さうすれば中金に持つて行く、斯う云ふことばかりやつて居りまして、本當の農民金融の本質に一つも副はぬ、之を思切つて直す肚はないかと云ふことが、先づ第一に聽きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=24
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025・石川準吉
○石川政府委員 中央金庫の運營及び組織の民主化に付て御尋ねでございますが、中央金庫に於ては御手許に差出して居りますやうに、現在の法制上に於ても出來るだけ下級組合との連繋を取りたいと云ふ意味合からしまして、全農、中央水産と云ふやうな方に指示をして戴いて居るのでありますが、併しながら我々と致しましては、日本の經濟の民主化の線に沿ひまして、どうせ中央金庫に付きましては全面的に改正を要する必要がありますので、其の際に於て十分考慮致したいと考へて居るのであります、併しながらやはり一つの金融の運轉でございますので、どうしても技術的に考へまして、相當金融の技術者と云ふか、經驗者と申しますか、さう云ふ方も組合外から入れなければいかぬのではないかと思つて居りますが、全面的には民主化したいと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=25
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026・北政清
○北(政)委員 只今の中央金庫法の全部を思切つて改正する肚があると云ふ御説を私は信頼するものであります、是非共是は急いでやつて戴きたい、而もそれが本當に面倒だと云ふやうな御話がありますが、それは言ひ遁れである、是は選擧すれば何時でも出來る一週間の中にでも立派な人が出る、又金融の專門家を入れなければならぬと言ふが、それは職員に立派な給與をやれば宜い、何ぼでもあるが、又さうでなく、地方關係團體に立派な金融を實際にやつて居る人がない、そこで今でも全國農業會長であるとか、全國水産會長であるとか、是は大顏役で當然であるけれども、其の後ではたつた川名君一人、是も非常勤の監事であります、監事などをやつて居る者では實際はどうにもならぬのです、本當の技術者と云ふものは、皆役員と職員だけであります、是は全部當然選擧に依つて變へると云ふことを斷言して戴きたいのであります、それがならぬ以上、中金の貸付に付ても、現在の御提案のものも中々危い、實行上非常に困る、先づ其の一つを擧げて見ますと、餘裕金の運營に付てでありますが、是は全般の農業者、若しくは農業關係者の極めて零細な、血と汗で出來た金を集めて居る、今本當の肚は、肥料會社へ出さうと云ふ、肥料は農業に關係あるぢやないかと云ふ、斯う云ふ關係がありさへすれば出さなければならぬが、是は所謂資本家の仕事で、財閥がやつて居るものである、而も肥料會社の大半は今度の所謂解消を命ぜられて居ります、此の財閥の融資と云ふものは莫大なものなのですが、是がどう轉換して行くか、今直ちに融資して宜いものか惡いものか、私共はこんな融資をしなければならぬ程肥料の増産に必要であるならば、融資にあらずして、全部の農業者をして此の出資を増額させるなり、之に參加させたらどうか、現在の肥料會社の大部分は、借入の最高限度を皆越して居る、借りられない筈である、現在の肥料がたつた五億圓と云ふのであるが、本當にやる氣なら五十億圓でも絶對に出來ませぬ、五十億圓入れなければ日本の肥料は殖えませぬ、道具がない、其の機械設備をしますのに、五十億は絶對要るのだ、それにこんな生緩い、僅かばかりのものを入れて、それも財閥への融通である、農林金庫は自己の所屬する組合、所屬する團體以外に斷じて資金を出すべきでない、昨日から各種の委員の方の御質問に對しまして、皆何とか金の餘つて來るものは中金ばかりで、他の銀行と競爭せんか、それを抑へろ抑へろと云ふ御質問、それに對して今臨時的、補助的であると云ふ御答辯である、一體なぜそんな必要がある、中金の本旨を忘れて居られませぬか、他の所に使ふべきものでない、自らの組織、自らの金に使ふべきである、今の日本が、今度の農地改革を行ひますと、非常に細農化して來ます、此の細農化したものをどうして農業經營を立たして行くかと云ふならば、是は農村を工業化しなければいけませぬ、農業の工業化であります、之をやらうとすれば莫大な金が要る、二百億あつたつて足りない、三百億あつたつて足りない、所が今の財閥に貸す、若し其の必要ならば、大藏省は他の興業銀行なり何なりに命ずれば宜しい、そんな方に中金から持つて行くことは、其の考へ方の基礎に違ひがある、私は本當に之を自主的な團體、本當の民主化された團體にするには、やはり自分のものは自分で片を付けることにさせるのが本當である、財閥がやつて居るものは財閥にやらせる、それでなければ農民に出資をさせる、單位組合に出資をさせる、それに對して融通すれば宜い、それなら五億が五十億でも出來るし、完全に肥料が出來る、それを肥料會社と云ふ財閥に貸し、而も今に解體されてなくなるかどうか分らぬと云ふやうなものにやる、斯う云ふ御提案は中金の本旨を全く壞した、金融業者にしようとする形が十分にある、之に對する當局の御意見をはつきりと承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=26
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027・楠見義男
○楠見政府委員 北さんの只今の御意見竝に御尋ねでありますが、此の問題に付きましては、一昨日から縷縷申上げて居りますやうに、農林中央金庫は綜合金融機關の系統機關として存在して居るのでありまして、隨て本來綜合金融機關の使命達成の爲に、組合員の金融に先づ最重點を置くべきことは、異論のない所でありまするし、又縷縷申上げました通りであります、唯現在の状況に於きまして、綜合金融機關として組合員からの資金需要に對しましては、殆ど之を充すだけの融通をして居るのであります、例へば農業關係の資金融通に致しましても、貸付金の伸び工合と云をものは、五、六年乃至七、八年は動いて居らないのであります、計畫が健全であり、又不純なことがなく、合理的な計畫に對して、資金の融通を阻止したと云ふやうな事例は一切ないと私は承知して居ります、又先程も御話が出ましたが、水産關係に付て見ましても、其の預け金は三千五百萬圓程度でありますが、併し他の農業關係の部面からの金を以ちまして、約一億九千萬圓の貸出をして居る、斯う云ふ風に水産自體の内部のみならず、廣く含めた農林水産全體の綜合金融機關として、十分其の役目を果して居る、而も今後は其の方面の生産の伸びて來る、或は經營改善に色々の資金需要が多くなつて參るでありませうから、此の方面に力を注いで居ると云ふことも、豫て申上げた通りであります、現在の肥料資金に付て色々御意見もございましたが、本筋は先程來申上げた通りでありまして、偶偶存して居ります餘裕金をどう云ふ風に運用するかと云ふことは、現在問題になつて居るのでありまして、其の運用をするに當りましては、之を農林水産業に密接な關係のある部門に、先づ向けて行かうと云ふことでありまして、農林水産業以外の部面に對する金融を以て、農林中央金庫の、又農林金融の最大の使命にすると云ふやうなことは、毛頭ないことでございまするし、其の點は十分御理解の上での御尋ねと思ひますが、尚ほ蛇足ではございましたが、此の點を附加へて申上げて置く次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=27
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028・北政清
○北(政)委員 今次官の言はれるやうに、農村への融通方面は相當「フル」に行つて居るのであるが、是が農村で出來る仕事を全部營利業者が取つてしまつて、所謂各種の統制會で取つて、事業をやれなく致して居るのであります、又企業許可令に於てもさせないことにしてやつて居るのでありまして、本當に農村の必要な、要望するもの、之をやらせないで居るから、金の使ひやうをなくしてしまふ、例へば水産業に致しましても、私は斯う思ふ、なぜあの機船底曳を沿岸漁民と合はして、血眼になつて爭つて居るか、之を沿岸の漁民の協同組合にして、あの機船底曳を持つならば、決して弊害がない、禁止區域に入ると云ふこともない、それを折角の稚魚を獲つてしまふから、日本の魚は根こそぎになつてしまふのでありまして、若し是が自分等の協同組織であるならば、絶對に妨害になる所へは入らない、あの海の上でどの線からどの線までと境界をしても、川一本なし、木柵が入る譯でもない、之の取締に莫大な金を掛けて居るが、取締はちつともなつて居らぬ、此の機船底曳を漁業協同組合にやらせると云ふことにすれば、五十億や百億は直ぐ要る、普通漁業者のやるものは遠洋のものにやらせる、沿岸に付ては協同組合でやらせない、凡ゆる仕事を全部農村のものを縛り付けてしまつて金の動かし方がない、だから財閥にでも貸付けたいと云ふ、理由には全くならぬと思ふ、之に對しまして一體次官はどう云ふ御考へを持つて居られるか、唯此處で理窟を付けるのでなくて、一つ本當に新鮮な魚をやる、又本當に漁場を壞させない、斯う云ふ眞劍な肚がありまするならば、今のやうな制度を變へれば、資金融通の途は一杯あるのであります、何ぼあつても足らない、詰り官僚化せる役員にはさう云ふ肚が出來て來ない、私は今の各種の仕事、農村に於ても色々な工業が澤山あります、例へば皮革にしても、何にしても、現在革の不足で喧しい時に、北海道では皆抛げてしまつて居る、殺せば直ぐ埋めてしまふ、革は資本家がたつた十圓にしか買つて行かない、だから皆使へるものを捨ててしまつて居る、之を農村の協同組合にやらせれば、其の設備に資金を融通すれば何ぼでも行ける、或はあの世界的に立派な「スイッツル」あたりの時計でも、あの精密な機械は全部農村で出來て居る、斯樣な譯で、農村に人間をうんと入れて、食糧の安定感を與へて、日本國民を生かすには、どうしても農村を工業化せねばいかぬ、今は營利業者の手で抑へて居る、之を救ふの手段を執るには何ぼでも資金が要る、之をやらせる肚があるかどうか、今水産局長が來て居るから、是の肚をはつきり聽きたい、どうしても是は營利業者の專門家にやらせなければいかぬのか、日本人は何ぼ困つても宜いのか、魚が何ぼ減つても宜いのか、是は解いて戴けば宜いのです、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=28
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029・楠見義男
○楠見政府委員 先程申上げましたやうに、農林中央金庫は組合員の爲の融通機關が先づ第一であります、隨て組合員に對する資金融通に付きましては、我々も殆ど是は手を付けないと云ふ風に致して居りまして、寧ろ員外に出しまする場合、或は先程來問題になつて居りますやうな風に、他の機關に出しまする場合、或は有價證券に付ての銘柄を決める、斯う云ふことに付て寧ろ制限的に色々認可を受けさる、斯う云ふやうなことを致して居るのでありまして、主體は飽くまで協同組合第一主義でやることを重ねて御答へ申上げます
尚ほ農山漁村に於きまする今後の經營形態の問題に付ての御意見でありますが、私共も本來生産に付て色々協同的の施設を講じ、此の生産を改善して參り、又加工部面に於て更に協同加工の方向に向つて行くと云ふことに付ては、兼々さう云ふ方向で助長して參つたのであります、今後もさう云ふ方向で參ることに付ては變りはないものと御承知を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=29
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030・三堀參郎
○三堀政府委員 只今機船底曳其の他の漁業を協同組合的なものにやらしたらどうかと云ふやうな趣旨の御話でございましたが、御尤もな御話だと思ふのであります、唯今までの所では、御承知の通りに、漁業には相當危險が伴ふものでありますので、從来のやうな強制加入的な、地域的な漁業會或は漁業組合と云ふやうなものには、さう云ふ危險の伴ふ漁業、一般組合員の負擔となるやうな漁業をやらせると云ふことは、相當考慮の餘地があつたのであらうと思ふのであります、隨て漁業組合の自營に付ては相當の制限を加へて居つた譯であります、併し今後水産業團體を根本的に、所謂協同組合的なものに改組すると云ふことになりましたならば、其の線に沿つて、今御話のやうな點も相當に考慮出來ることであらうと思ふのであります、唯併しながら、漁業には色々な附帶條件がありますので、さう云ふ協同組合的なものが、凡ゆる漁業に付て全部働き得るかどうかと云ふことは、是は尚ほ色々意見の分れる所があらうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=30
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031・北政清
○北(政)委員 私は次官の、凡ゆる産業を現在の統制の形に於て、農村なら農村に於てやり得ないものを解く肚があると云ふことの御返事を聽かなかつたことを遺憾とするのですが、其の點を更に御伺ひします、又今の水産局長の話でも、漁業には特殊な何がある、だが私共の考へて居る協同組合と云ふものは本當の自由な意思でやるべきものである、其の人達が自由にやりたいと云ふならば宜いぢやないか、何も心配はない、それまで立入り過ぎる必要はないぢやないか、何もやれないものを無理に強制してやらさうと云ふのなら危險があるでせうが、さうでないならば差支ない、殊に北海道の鰊漁業などは水産の大きなものでありますが、此の權利と云ふものは漁業協同組合に與へられない、全部營利會社に未だに與へられて居る、斯樣なことになつて居りますから、沿岸漁民は經濟的に關係のない、一つの奉公人の形になつて居ります、是では漁業と云ふものはどうしても興らぬ、私は斯樣な意味合に於て、速かに自由意思の協同組合にさせて、さうしてやるものをやらせる、特殊の者の特權にさせて置かない、現在は漁業の大部分の權利は皆な特權家の特權になつてしまつて居る、だから彼等は儲かればやるが、儲からねばやらぬ、だから水産食糧に對する非常な不足を來して居る、それが爲め今の暴騰價格になつて鰊一本が一圓とか二圓とかして居る、斯う云ふ形が何處にあるか、本當に生産が十分にあれば何もさう云ふことはない筈であるが、生産が出來なくして居る、僅か海苔とか若布とか云ふ定著したものだけしか漁業組合に權利がない、其の點に誤りがあると思ふ、其の點は後で一緒に御答へ願ひます
そこで第五條にあります法文に付て御伺ひしたいのですが、『「森林組合聯合會」の上に「蠶絲業會、蠶絲協同組合、」を加へる』、蠶絲協同組合は當然過ぎる位當然で、今までどうして入つて居らなかつたか不思議だと思ひますが、斯う云ふ蠶絲業會と云ふものは、是は經濟團體と本當に見ますか、之を會員にして融通する考へがあるから之を會員にしようと云ふのであるか、之を本當の經濟機關と認めることは出來ぬかどうか、斯う云ふ點であります、さうしますと、前にあります日本馬事會、是などは私は當然除かなければならぬと思ふ、又近く斯う云ふものはなくなるでありませう、置けなくなると思ふ
其の次には、漁業會其のものを會費制度でやるならば損失補填の途がない、損失補填の途がないものを會員に入れると云ふことは、是は考へものであらう、斯う思ふのであります、今の所此の中で一寸氣の付いたものはそれだけでありますが、蠶絲會を加入させなければならぬと云ふ理由、所謂出資團體でない會費制度のもの、損失補填の途のないもの、斯う云ふものを加入させることが善いか惡いかと云ふ問題であります
次に自作農創設維持事業、是は農村金融として大事なことであるが、近く提出されます農地改革に依りまして、一體自作農創設維持には餘り資金が要らなくなつた、寧ろ今までより何だか逆ぢやないか、今度は政府自身が全部御買上になる、斯く致しますと、自作農創設事業は政府が直接やるやうになつて、土地證券なり、何なり御出しになるから、此の必要は全然なくなる、私共は寧ろ之を措いて、政府が直接買上げられることがどうかと云ふ意見を持つて居るのであります、今の御提案の方針を、前に農政局長から聽きますと、全部政府買上に依るべきものであるから、此の資金の必要はなくなつて來るのではないか
次に「主務大臣の指定する事業に必要なる資金を融通する場合」、此の場合に於きましては一體政府が補償するのかせぬのか、政府が融通せいと命じて居る、そこで以て損害を來したらどうするか、今の在外資産に對する資金の貸付に致しましても、亦軍需補償の損害にしても、政府が命じたものがあると致しますならば、是は當然政府が責任を負ふべきだと思ふが、之をどうするか、補償打切りに伴ふ損害は政府が當然責任を持つべきものである、之に對して貸付をさせた所の損害は當然政府が責任を負ふべきだ、さうでなければ農村の本當の零細な資金を財閥に食ひ潰させることになる、實に重大な境目になるのでありますから、此の點を承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=31
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032・石川準吉
○石川政府委員 第一點の御答へを申上げます、蠶絲業會は法律に示してありまするやうに、蠶絲業の指導獎勵でありますとか、或は振興でありますとか、或は蠶絲業の連絡調整と云ふやうな、所謂統制的或は指導的仕事の外に、生絲、繭の買入又は賣渡しと云ふやうな、蠶絲協同組合と同じやうな仕事もなし得ることになつて居ります、さう云ふ意味に於きまして、やはり相當資金が必要になつて居りますので、之に援助したい、斯う云ふ考へであります、今まで之を入れなかつたのは、本年の初、新しく改正に依つて出來たのでありますので、現在までの經過を見て居つたのでありますが、最近は色々な情勢に從つて、相當な資金を必要とすると云ふやうな關係になつて來ましたので、之を入れて居る次第であります
第二點の自作農の關係でございますが、是は本法律案を提出する當時に於きましては、當然自作農に大きな重點を置きまして考へて居つたのでございますが、併しながら自作農創設の爲の資金は、政府が農地證券を發行してやることになりました關係上、現在は其の必要がなくなつたのであります、併しながら自作農創設の事業に付ては、土地の取得だけでなく、開墾であるとか、干拓であるとか、それ等の附隨した色々な諸工事が伴ふものと思つて居ります、隨てそれ等の必要な金はやはり何處かで融通しなければならぬが、融通するとすれば、やはり系統團體の中央部である農林中央金庫から融通せしめた方が宜いのではないか、一應斯う云ふ途を開いて置けば宜いではないか、斯う云ふ意味であります、第三番目の主務大臣の指定する必要な事業に對する融資でございますが、是は融資命令ではございませぬので、勝手にどの事業でも貸して宜いと云うやうな意味でなく、主務大臣が斯う云ふ種類の事業なら宜いと云ふ事業の指定をやるのでございます、隨ひまして、其の事業に貸して宜いかどうかと云ふ點に付きましては、一般の貸付と同じ考へで進む、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=32
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033・北政清
○北(政)委員 只今の政府のやり方を見て居りますのに、肥料事業なら肥料事業に付てそれを決めるのだ、斯う言はれますが、實質に於てはどうか、今の御手製で拵へた役員に話をされてやる、私は茲に本當に民主化された團體ならば、そんなものは御斷りすると思ふが、然るにさうでない、若し政府の言ふことを聽かなければ自分が馘になる、馘になるのが嫌だから必ず聽く、それでは何にもならないことだと思ふ、之に對して政府の考へ方がどうもはつきりしないことを遺憾に思ふのであります、もう一度諄いやうでありますが、御聽き致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=33
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034・楠見義男
○楠見政府委員 簡單に御答へ申上げます、色々是は議論に亙ることになり、又見解の相違もあらうと思ひますが、私としましては、先程も申しますやうに、農村の經營改善の方向は豫て申上げました通りでありますが、併し此の際農村に關係のあることは何でも之を農業會でやると云ふ考へ方に付ては、更に一考を要するものがあらうと思ふのであります、自らそこに限度が存すると思ふのであります、先程水産局長から漁業の危險性の問題に付て述べましたのも一つの考へ方であらうと思ひます、要しまするに合理的な限度と云ふものを以て進んで參りたい、隨て其の合理的に理解出來る限度に於きましては、色々統制機關も既に御承知のやうに改廢を致したものもありますが、其の他事業方面に付きましても、自らそこには限度と云ふものが存すべきではなからうか、何でも彼でも總て農業會でやると云ふことは、勿論北さんも其の立論の下に御考へになつて居ることでないことは能く分つて居りますが、私共と致しましても、其の合理的な限度の下に於てやつて行かう、是は動も致しますと、農村は本來の生産方面に對する、特に指導機關としましては生産に對する熱意よりも、寧ろ配給でありますとか、其の他の方面に興味が向きまして、本來生産協同體と云ふものに對する熱意がどうしても缺ける虞があるのであります、斯う云ふやうな弊害も、歸する所は何でも彼でも限度を超越し、限度を無視してやると云ふ所に起つて來る問題であらうと思ふのであります、自ら節度と云ふものが伴はなければならぬと斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=34
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035・北政清
○北(政)委員 限度と云ふと是は手加減の關係でありまして、例へば現在農村に精米機がうんとある、之を食糧營團にやらせると動くべきものが動かない、精米機が遊んで居る、動力が遊んで居る、例へば農機具に致しましても、先程米倉さんに聽くと、長野縣に二萬挺の鍬が配給された、是は一つの鋼の板で、使へるものぢやない、斯う云ふものが若し農業者の團體に於て造られる、或は修繕をしますなら、こんな馬鹿なものは絶對出來ない筈だ、是は營利業者ならやる、私共は社會黨の諸君が頻りに國有、國營を唱へて居りますが、之に對してどうも農林大臣の肚は贊成のやうだけれども、外の方の思惑でどうとか云ふ話である、一體之を私共は率直に言ひますれば、國營即ち官營である、官營になつたらとんでもないものになる、無責任なものになる、官吏と云ふ給料で食へる人がやることになるから、痛くも痒くもない、必ずさうなる、今の農具の一例を以て見ても實にはつきり分る、肥料の如きは、本當に肥料を必要とする農民自體にやらしたらどうか、いや技術がどうのと云ふが、財閥あたりにしても何處に技術がありますか、皆技術者を雇つて居る、それで結構やれる、斯樣な意味合に於きましても、私共は農業資金と云ふものをそんな財閥への貸付方法、斯う云ふものにやらせることは絶對にならないと考へて居る、それなら農民に出資をさせて資金の充實をすれば宜い、五十億でも百億でも宜い、現在の肥料會社を全部農民で買收しようと思へば、それも出來ないことはない、此の中金の本質を離れたことになつてはいけないではないかと思ふのですが、それ等に對しての御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=35
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036・楠見義男
○楠見政府委員 色々御意見を拜聽したのでありますが、御意見の存する所は能く拜聽致して置きます、唯先程來申しますやうに、資金融通のことは、是は度々申上げたので繰返して申上げる煩を避けたいと思ひますが、飽くまで餘裕金の問題でありまして、本來の金融の狙ひ所とは違ふのでありますから、其の點は能く御諒承を願ひたいのであります、又農村に於ける企業の問題に付ての制限の問題でありますが、それは具體的の問題に付て、色々特別の事情に基いてやつて居るのであります、例へば供出制度と結付いて共同籾摺であるとか、或は精米の制限を致しましたり、其の他色々の具體的の事業に付ては、具體的の事情に基いてやつて居るのでありまして、其の制約をさるべき事情が消滅を致しますれば、當然さう云ふ問題も自然解消になる譯でありますから、其の邊は能く御諒承を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=36
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037・北政清
○北(政)委員 それでは一寸方向を變へまして、農村電化の問題を伺ひます、此の農村電化に付きましても、是までの電力と云ふものは配電會社のみになつて居りまするので、皆採算から申しますと、農村などにやるより大きな工業に賣る方が宜いと云ふことになる、そこで小さな發電所を造りますならば、日本は山國でありまして、電力は幾らでもあるので極めて簡易に出來る、是は一つの電力の配電權利を持つて居りますので、之を認可せないと云ふことが日本の電力の不足な原因になつて居るのであります、斯う云ふことに對しましては、本當に積極的にやらせる、例へば害蟲驅除に致しましても、電力を使ふと云ふことは非常に必要である、又殊に山村に人を今から入れるのにも、どうしても之を電化しなければやれない、斯樣な事情にありまするが、是は農林省としまして積極的におやりになる考へがあるかないか、殊に今日穀物の生産、出荷に對して、實は昨日も緊急勅令まで出してやらなければならないと云ふやうな状態ですが、此の生産、出廻りに付ても、電力があるとないとでは大變影響をすることになる、今凡ゆる農具が不足して居りまして、是が配電會社の配電を受けて、一日百何十圓も取られるのではどうしても「マイナス」になつてしまふ、之に對しては極めて低廉なものを政府が指令する、さうしてなんぼでも移動して電力が使へる、場合に依れば農事實行組合に一つの電力を持たせる、さうして五戸でも十戸でも其處へ「コード」を引張つただけでやれる、斯樣なことがなされなければ、あの嵩の多いものを調整所に持つて行けるものではない、斯う云ふことに對しても、本當に電力を使用するには莫大な資金が要る筈である、此の農村電力化と云ふ問題に對して、どう云ふ御考へを持つて居られるか承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=37
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038・和田博雄
○和田國務大臣 農村電化に付ては、私は積極的に今後はやつて行きたいと思つて居ります、唯殘念なことに、豫算が相當窮屈でありまして、今年度は實は最初は十箇所ばかり模範の農村電化村を選んで、そこで農村電化を其の村に付て徹底的にやつて見たかつたのであります、是は農業の色々な經營を考へ、それぞれ其の地方々々の特色のある經營地帶を選んで、さうして農村電化が一體どう云ふ所まで行き、又それをやるにはどう云ふ所に實際上の困難があり、又農村電化をやることに依つて、どの程度に農村の生産力が上るか、又生活が改善されるかと云ふ色々な點に付て、實は模範のものを十箇村ばかり選びたいと思つて、其の豫算を出したのでありますが、非常に財政上窮屈で、僅か二箇所しか豫算が認められなかつたのであります、私は將來日本の農業は、電化と云ふ方針に依つて相當の效果が上るものと考へて居ります、此の點に付ては、農林省の中に實は農村電化に付ての——是は何も官制に依つたものではありませぬが、遞信省其の他各方面の技術官とか、色々な者を集めた委員會のやうなものがあつて、種々研究を致して居るのでありまして、研究所の人も來て居つて、技術的に言つて、一體どう云ふ問題があるかと云ふやうなことから研究致させて居つた譯であります、豫算の面に現はれて居るものは、本年はほんの僅かなものでありますが、是は將來是非とも力を入れて、農村電化と云ふことに依つて、御話のやうに農業の生産力を上げ、農民の勞苦を出來るだけ少くして行くことをやりたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=38
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039・北政清
○北(政)委員 只今電化に付て積極的の御考へのあることに敬意を表するものでありますが、私は別に豫算がなくても宜いと思ふ、どうか資材を取つてやつて戴きたい、それも公定値で宜いのです、公定値でやればまだまだ殖える、それが全部米か、闇でなければ今は出來ない、そこで農林省で、豫算は何も要らない、そんな補助をしなくても宜いですから、一つ資材を公定價格で取つてやつて貰ひたい、斯うやつて貰へば直ちに出來る、唯一地方の採算が取れぬからやらぬと云ふものに對しての補助助成は、是は將來考へて戴きたいと思ひます、隨て全然豫算が要らぬと云ふ意味ではないが、今の所は寧ろ欲しいものは資材です、何としても闇でなければ是が入らない、闇どころではない、米でなければ入らない、私共の雨龍村あたりでは、電燈を點けてやると云ふので米を根こそぎ取られてしまつた、だから政府の方でなんぼ割當てられてもいけない、斯う云ふ米の横流れの因が之に大變あると云ふことを御諒承戴きたいのであります、さうすれば線でも何でも方法があるだらうと思ふ、今聞く所に依りますと、私共の方でも三百萬圓位あると、闇で可なりの調製機が入ると云ふことですが、さう云ふ闇でなく、それに必要な資金は中金が融通すると云ふことになれば宜いのであります、所が其の資金は融通しない、向ふは新圓で要求する、斯う云ふことで困つて居るのでありますが、是等に對して何とか出來るやうなことを御願ひしたいと思ふのであります
以上で質問を終りたいと思ひますが、總體を纒めて申上げますと、農林中央金庫は積極的に完全に民主化して貰ひたい、役人と職員だけでやつて居る、斯う云ふことは駄目だ、根本的に中金の改革をして貰ひたい、事務などもああ云ふ複雜な、ああ云ふ難かしいことをして、農村の單位組合などは金を借りることも何も出來ない、資金の餘裕金があるあると言ふが、必要な金があつても貸さないで居る、それで餘裕金があると言つて居る、斯う云ふことを見ましても、又本當に皆の出資者の必要に應ずるならば、私は政府資金はお止めになつても宜しいのぢやないかと思ふ、政府資金を僅かばかり入れまして、さうして是れで役人が勝手にする、是は全くの封建思想であります、僅か三千萬圓か五千萬圓の資金で此の頭を抑へる、之を一つ是非共止めて貰ひたい、それから所屬團體にのみ融通すべきもので、それ以外に融通すべき本質のものではない、寧ろそれならば出資に依つて參加せしめてやることが宜いのだ、それなら本當の單位組合或は組合員なりが參加するのでありますから、それで肥料の資金でも何でも樂々出來るのであります、それをやらせないで、財閥に融通させようとするのは大きな誤りがあるのではないか、所謂農村の共同機關である所の中央金庫と云ふものを財閥に惡用させる、斯樣な考へ方を致しますし、今一つは、今まで農村に於ける各種の統制の名に於て、營利業者に獨占を與へたものを速かに解除して戴きたい、なんでもかんでもやるとかやらぬとか云ふことでなしに、現在遊んで居る機械で今造れば直ちにやれるのです、是が皆んな營利業者の獨占にされてしまつて居る、例へば製麻機械一つにしてもさうだ、是れだからもう配給にならない、斯う云ふやうなことを止めて貰ひたい、もう一つ最後に、今の電力化に對してはもつと御研究になつて、豫算がなければ出來ぬと云ふ考へを持たないで、金を持つてやるのは馬鹿でも出來る譯で、あなた方は頭が良いのだから、金を持たずにやると云ふ工面を御考へ願ひたい、以上を以て私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=39
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040・馬越晃
○馬越委員長代理 米倉君に申上げますが、田中君の質問に關聯しまして、物價廳次長がお見えになつて居ります、簡單ださうでありますから、其の質問を先に許します、田中君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=40
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041・田中健吉
○田中(健)委員 物價廳關係のことに付て一寸御伺ひしたいと思ひますが、農林當局に於きまして、屡屡新米價を設定すると云ふことに付きまして言明して居られるやうでありますが、之に對しまして物價廳關係と致しましては、農林省方面に於て言明して居られるやうな米價を、どのやうに御考へになつて居るかと云ふことに付て御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=41
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042・工藤昭四郎
○工藤政府委員 御答へ致します、米の價格に付きましては、御承知のやうに最近一般に勞銀の昂騰が生じて參りました、米の生産原價の大部分を占めるものは、現状に於きましては勞銀であります、隨て既に發生して居ります勞銀の昂騰を既成事実として認めます以上は、米の價格に付ても改訂の必要を認めて居るのであります、時期も切迫致して居りますから、早急に決定したいと思ひます、一生懸命に今立案を急いで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=42
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043・田中健吉
○田中(健)委員 さうしますと一反歩當りの生産に要する勞銀を、物價廳ではどれだけに見込んで居られるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=43
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044・工藤昭四郎
○工藤政府委員 農村の勞力は、御承知のやうに九割以上が自家勞力であると云ふことも、是れも事實として御考へ願ひたいと思ひますが、從來に於きましては、都市の普通勞銀と農村勞銀との間には、若干の開きがございました、大體農村勞銀は都市勞銀に比べて七割程度であつたのであります、是は農村が生活がし易い、或は自家勞力を用ひると云ふやうな點が加はつて居つたと思ひますが、最近に於きましては物價が都鄙を通じまして平準化して來ましたことと、農村の生活水準が段々高くなつて、其の比率の差が段々縮まつて參りました、最近に於きましては大體八割五分程度までに上つて參りました、隨て色々の賃金統計を集めまして、それに依つて都市の基準賃金が決まる譯でありますから、其の八割五分見當を農村の勞銀と致しまして考へて見ると云ふことで、算出を急いで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=44
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045・田中健吉
○田中(健)委員 只今あなたの御話に依りますと、さう云ふ計算から出發すれば、今年の米價はどの位にすれば宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=45
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046・工藤昭四郎
○工藤政府委員 御答へ致します、此の點に付きましては世上色々の説が立つて居るのでありますが、斯く云ふ重大な問題に付きましては、政府としての意見が確定致しますまでは、さう云ふ數字を發表致しますことは百害あつて一利がないと私の方は考へて居ります、と申しますことは、米の問題に付きましても、現状に於きましては日本政府單獨で決まらない問題であります、色々折衝の必要もありますので、確定致しました上に公表致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=46
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047・田中健吉
○田中(健)委員 私は先般の本委員會の席上に於きまして、次官より米價の問題に付て若干の答辯を承つて居りましたが、大體其の答辯に依つて諒承致したいと思つて居りました所、其の後色々な方面から、物價廳と農林省當局の言明との間に開きがある、其の爲に米價を決定することは早急に出來ないと云ふ風に思はれるので、今日茲に質問致したのでありまするが、聞く所に依ると、農林省は早場米の供出、或は新米の供出の方策に付て、今明日中に發表する、御承知の通り衆議院の食糧對策委員會と致しましては、今日の新聞の記事にございます通り、非常な豐作を發表して居りますが、豐作だけが發表されて、根本となる所の新米價が決まらないと云ふことになると、幾ら豐作だ、米の作況が良いと言つても、米は出て來ない、斯う云ふ風に考へるので、米價を早急に此の際決めなければならぬ、此の際一言して置きたいことは、物價廳の只今の答辯に依りますと、私は此の場に於て理窟を申上げようとは思ひませぬが、計算の基礎に於て非常に違つて居る點があると思ひます、農村が非常に樂になつて來たとか、先程の御答辯にもありましたけれども、農業經營は非常に樂になつては居りませぬ、假に一反歩二十人、或は畑作の場合には三十人或は三十五人、斯う云ふ風に考へて見ました場合に於ても、物價廳に於ては勞銀を一人どれ位に見るか分りませぬけれども、假に三十圓と見ても、二十人掛つた場合には六百圓掛る、是は自家勞力であるが、自家勞力であるから只で宜しいと云ふ譯ではない、やはり自家勞力に依つて人間が生活して行かなければならぬから、斯う云ふものは、今の經濟状態に於ける正しい見方を持つて行かなくてはならぬと私は思ひます、成程賃金は公定賃金、或は政府で決めて居るものがあるでありませうが、併し實際に當嵌らないものを、農村に當嵌めて行くと云ふやうな考へ方がいけないのであつて、さう云ふ色んな點から、農業會なんかでも、或は其の他各方面に於ても、今年の米價と云ふものは千二百圓前後でなければならぬと云ふことを發表して居ると私は思ひます、此の際私は、それ等の一々の數字を言つて此處で議論を致さうとは思ひませぬけれども、巷間傳へる所の物價廳の、去年の米價三百圓に對し二百圓前後を加へて、五百圓前後を以て今年度の米の供出をさせようなどと云ふことは、とんだことであつて、そんなことが農村に流布されると云ふことになつたならば、供出と云ふものは非常に不圓滑な状態に陷るぢやないかと云ふことを憂慮致すものであります、隨て此の際農村で考へて居ること、或は農業團體で考へて居ること、其の他各方面で考へて居る米價と著しい差違のあるやうなものではなく、相當そこに近付いたものでなければ私はいけないと考へるものでございます、尚ほ是等の點に付きまして、所謂巷間傳へる所の、五百圓前後の米價と云ふことを物價廳が考へて居られるのであるかどうかに付て、一寸伺ひたい、それは噂であるならば押して御願ひ致しませぬが、此の點御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=47
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048・工藤昭四郎
○工藤政府委員 今の御話の中で、一寸誤解があつたやうだから、此の點だけは御訂正願ひたいと思ひますが、さつき申上げましたのは、農村の經營状態が非常に良くなつたと云ふことを御話したのではないのでありまして、農村の賃金の水準が都市と比べまして最近は上つて來た、其の比率が狹まつて來たと云ふことを申上げたのであります、其の點は御諒承願ひたいと思ひます、それから今物價廳で考へて居ります價格に付きましては、是は何處へも發表したことはございませぬ、隨て巷間若し御話のやうなことが傳はつて居ると致しますならば、それは流説であらうと思ひます、御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=48
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049・田中健吉
○田中(健)委員 簡單に御尋ね致したいと思ひます、只今物價廳次長からの御答辯に依りまして大略判明致しましたが、此の際屡屡農林當局に於て言明して居ります所の、米價に對する大臣の御所見を御伺ひ致したいと思ひまするが、私は此の問題は極めて重要な問題でありまして、農村方面に於ては米價六百圓と云ふことが非常に宣傳されて居るのであります、私も農村方面から上京した者とも會つて居りますし、又農村方面にも最近廻つて參りましたが、六百圓と云ふことがどう云ふ譯か私能く分りませぬが、非常に評判になつて居ります、此の農相の六百圓説なるものに對しまして、農業會方面、竝に生産者方面に於ては非常な不滿を持つて居るのです、今日此のやうな肥料の値段、或は農業經營に必要な物資の値段、或は農家の生活必需品の値段、或は勞銀の問題、或は米を出さなければ物を買へない、或は人を雇へない、斯う云ふ状態の下に於て六百圓と云ふ米價であつては、迚もやつて行かれるものではない、さう云ふやうな不滿が非常に高いのであります、隨て私は此の際六百圓説なるものに對しまして、農相の御考へを伺ひたい、「デマ」であるとすれば、之を御否定なさつた方が農村方面を安定する上に都合が好いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=49
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050・和田博雄
○和田國務大臣 米價を如何にするかと云ふことは、私も具體的に喋つたことはないのでありますが、米價の問題は只今物價廳次長が話しましたやうに、色々の角度から檢討をして貰つて居るのでありまして、生産費を償ひ、其の他物價事情を斟酌して決めることになつて居りますので、我々としても是は至急に是非決めたいと思ひまして、此の間から物價廰と屡屡話合をして居るのでありまして、只今御尋ねの點に付ては、至急我々としては適當な所へ早く決めたい、斯う申上げるより外はありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=50
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051・馬越晃
○馬越委員長代理 米倉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=51
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052・米倉龍也
○米倉委員 今まで御聽きして居りますと、農林中金の全面的な改正と云ふか、根本的な改正と云ふか、何れやるんだと云ふ御考へがおありのやうであります、又先日此の問題の本會議上程の時に質問をしたものに對する大藏大臣の御答辯にも、金融全般に亙つての改正を今考へて居るから、其の際に中金の問題も何とか改正をするのだと云ふ御話でありましたから、何れ是は改正されるものだと心得て居りますが、農村金融機關のあり方に付て、御當局ではどんな風に御考へになつて居りますか、此の點を先づ御尋ねをしたいと思ふのであります、我が國の農村金融は、我が國の農業の實體、或は農村生活の實際から、一つの特殊な發達をしたものだらうと思ひますが、綜合組織の協同理念に基いた金融が今日發達して來て居るのは、此の特殊の農村事情からだらうと思ひます、産業組合法に依る信用組合の線から、今日農業會に至る一貫した農村金融の歩み方は、其の線で發達をしたのであります、從來是が勸業銀行とか、或は普通の商業銀行の業務の一部分で、農業金融なり農村金融をやつて居つたとしたら、今日のやうな發達はしなかつたと思ひます、所で實際の運營は、唯單に金融機關だと云ふのでなく、農村の各部面に亙つて綜合的なものの一環として、此の金融事業が行はれて來た、是が今日我が國の農村金融の發展を見た所以だと思ひます、言換へれば、信用、購買、販賣事業と云ふやうな各種の事業が綜合的に行はれて發達して來たと思ひます、是はやはり根本的なものでありまして、農村の金融機關を考へた時に、單に金融機關だけの見方で農村金融を考へたのでは、了解が出來ないだらうと思ひます、世間に金融は別のものであるから、農村金融に於ても、金融事業は農村團體から取つても宜いぢやないか、別段にして宜いぢやないかと云ふやうな話が時に出るのであります、併し農林省が先般御發表になつて居りまする、新しい農業協同組合法案に於きましても、是は別立でなく、從來のやうな御方針で行くと云ふことが諒解出來るのであります、大藏大臣などが國全體の金融を整備して行く、改正して行くと云ふやうな御考がある、其の際に農林御當局としては、從來の御方針を堅持しておやりになつて戴きたいと私は思ふのでありますが、此の點御當局の考へ方を此の際先づ御聽き致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=52
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053・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、農村金融は、私はやはり協同組合金融の形で行くのが一番宜いと思つて居ります、先般大藏省内に出來ました金融制度調査令の方針にも、農業金融は協同組合的な方式でやつて行くと云ふ項目を、慥か一項目だけ私共は入れて貰つたやうなことがあるのでありまして、將來と雖も是はやはり協同組合の組合金融と云ふ形で行きたいと思ふのであります、唯下はずつとそれで宜いのでありますが、中央になつて來ますと、是はやはり中央の一般の金融と結び付く必要がございまするので、上は中央金庫と云ふ特殊の金融機關の形で、而も中央金庫は是は協同組合を基礎にした金庫である、斯う云ふ形で中央の金融と結び付けると云ふのが、是は何處の例を見ましても妥當の行き方だと思ふのであります、唯金融だけ考へる人が、金融は別だから、末端まで之を切離して行くのが便利ではないかと云ふ議論があるのでありますが、やはり是は一面的な議論でありまして、金融と云ふものは、其の背後には物的な生産竝に物資の流れと融通と云ふことが常に伴つて居るのであつて、金融現象と云ふものは、謂はば貨幣現象と丁度「レール」のやうな關係があるので、どうしてもそれだけを切離して行くと云ふことは、少くとも生産面に接觸した部面に於きましては、是は妥當ではないのであります、從來のやうに、此の間の協同組合法案に於ても同樣に考へられるのでありますが、やはり昔の言葉で言へば四種兼營でありますが、さう云ふ組合的な建前で今後も進んで行きたいと、斯う考へて居ります、唯將來の問題としましては、今度の農地改革に依りまして、協同組合などの構成員が主として耕作者本位になつて來まするので、益益さう云ふやうな點が必要になつて來るのではないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=53
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054・米倉龍也
○米倉委員 中央金庫は今申しましたやうに、原則的には、又經過から申しましても協同組合の中央金融機關であつたのであります、今日もやはり、事業は非常に擴張され、色々の團體が加入されて來ましたけれども、其の中心になつて居りますものは農村の金融協同組合なのであります、でありますから、今後中金の改正をする上に於きましても、今まで北氏が御話になりましたやうに、もつと民主的な面に之を改正して行くことがどうしても必要だと思ふのであります、所屬の團體が總て民主的な協同組合であります、其の一番の頂點に立つ、中心になる中央金庫でありまするから、其の考へ方は何處までも堅持しなければならないと思ふのであります、其の意味に於きまして、役員の問題もありませうが、政府の出資を此の際開放なさつて、純粹の會員だけの出資團體にすることの御考へはないのでありませうか、出來得ればさう云ふ風な形にして、本當に中央金庫をして出資團體と云ふか、加入團體のものであると云ふことに、私としては希望する譯であります、さう云ふ點に付ての御考へを御聽かせ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=54
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055・石川準吉
○石川政府委員 中央金庫の民主化に付きましては、先程御答へ申上げましたやうに、全面的改正をして十分活用して行きたいと思ひます、尚ほ政府出資の點に關しましては、現在は之を除かうと云ふ考へを持つて居りませぬが、併しながら、今度の色々な金融金庫法其の他の關係を俟ちまして、十分顧慮しなければならぬ問題だと考へて居りますので、研究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=55
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056・米倉龍也
○米倉委員 今度中金法が改正されますれば、自ら性格も變つて來るでありませうが、今囘の改正は、中央金庫の性格の上に相當影響があるものだと私は思ひます、此の十四條の二の改正は、年賦貸付に對する融通金額の制度を徹廢すると云ふ譯でありますが、是は十五條の二の事業をなす場合に不便であるから改正をしたのであるか、或は新しく改正される次の第十五條の二に依つて、第十五條の四號五號に依る法人への貸付を積極的にすると云ふことが必要で、此の制限を徹廢したのでありませうか、是はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=56
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057・石川準吉
○石川政府委員 十四條の二の改正は、農業團體に對する貸付の點でありまして、從來は御承知のやうに農林中央金庫に於きましては、拂込資本金の十倍に相當する農林債券の合計額しか出せなかつたのでありますが、拂込資本金は極めて少いのでございますし、又農林債券の發行も現在に於きましては餘裕がありませぬので、自己資金を以て組合所屬團體に對する貸付をやつて見たい、斯う云ふやうな趣旨で改正したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=57
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058・米倉龍也
○米倉委員 さう致しましても、此の十五條の二の新らしい規定で、十五條の四號五號の法人に對する餘裕金の運用範圍と云ふ積極的なものがあるが、併し、貸付の期限十年以内とか云ふことはありますけれども、金額のことがないのであります、それで金額のことが今度の改正にありませぬから、結局何ぼでも積極的に貸付ける必要がやはり起つて來るぢやないかと思ふのです、此の點に觸れて、此の十四條の二と云ふものが考へられて宜いぢやないかと思ひますが、其の點如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=58
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059・和田博雄
○和田國務大臣 細かいことは農政局長から御話して戴きますが、唯十四條の二と十五條とは一寸趣旨が違ふのであります、十四條の方は中金の資金に依る長期の——此處に出て居りますやうに、農地の造成とか改良する事業とか云ふやうな、年賦に依る長期資金融通の途を開くと云ふのが十四條の二であります、十五條の方は、其の餘裕金を中期信用に依つて與へて行くと云ふのであつて、期間が違ふ、隨て金融の性質が違つて來る譯であります、片方は長期資金であり、片方は中期信用と云ふ點で、金融上本質的な差異が其處に出て來ると思ふのであります、隨て十五條の方は餘裕金の運用に依つてやつて行く、十四條の方は自己資金で團體に長期の信用の途を開いて、中金が長期信用も出來る、斯う云ふことにしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=59
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060・米倉龍也
○米倉委員 其の點分りました、そこで私性格の上に變更を來すと云ふことを申して置いたのでありますが、十三條の一號では會員の定期貸付期限が五箇年と云ふことになつて居るにも拘らず、所屬團體でもない本條の法人に對して、十箇年と云ふやうな長期の貸付、定期なり或は年賦なり、斯う云ふ定期貸付に十箇年と云ふやうな長いものを認めて、所屬團體の方は定期五箇年と云ふことに限定して居る、斯う云ふ點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=60
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061・和田博雄
○和田國務大臣 此の中期の信用は餘裕金に限つて居るのであります、今一番農林關係の事業で、必要なもので缺けて居るのは、實際は今度の改正に依りまして餘裕金の運用を許しました中期信用と云ふのが缺けて居りますので、そこで新たに道を開いて、現在の中金の事情から言ひまして餘裕金がある譯でありますから、それを農林水産業に密接な關係のあるもの、是は主務大臣が認可を與へる時に相當嚴選する譯でありますが、其のものに必要として居る中期的な信用を與へて、農林業關係各方面の復興なり、生産の増強に資して行きたい、斯う云ふことでありまして、性質上是はどうしても中期信用でありませぬと、折角金融しても其の目的を達しませぬので、是は中期的な信用を與へた譯であります、隨てそれは唯餘裕金と云ふことに限定して居る譯でありまして、第五號のものとは是は謂はば性質を異にして居る、新しい道を開いた、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=61
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062・米倉龍也
○米倉委員 次に第一の蠶絲業會と蠶絲協同組合を挿入したことであります、此の蠶絲業會なり蠶絲協同組合なりは、是は結局蠶絲の製造とか或は製絲に關係したやうなことの共同施設を主に考へてのものであらうと思ふのであります、斯う云ふやうな事業は、第一次原始産業とは區別し得られる點に於きまして、製粉とか製油とか釀造とか云ふ、さう云ふ所謂農産物の加工業と同じやうに考へても宜いのではないかと思ふのです、そこで製粉とか製油、釀造のやうなものの共同組合を組織した場合には、今日まで、商工組合法に依つて居るのだらうと思ひます、此の金融は商工中金に依存して來て居るやうであります、それから前申したものを農林中金に今度は挿入する、斯う云ふやうな農産加工的なものの取扱を、さう云ふ風に兩省で分けて御取扱することに致して、色々——先程北氏からの御話の中にもそれに觸れて居りますが、今後の農村工業化を圖つて行く上に支障がある點が多いのであります、斯う云ふ點で此の共同組合に對する金融と云ふものは、農林省所管の農林中金と云ふやうなものに一元化して行く、さう云ふことは、結局さう云ふ共同組合の行政の面に於ても、どちらか兎に角一元化して行くと云ふことの方が、實際の仕事をする者の方から申しますると非常に便宜が多いのであります、其の點御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=62
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063・石川準吉
○石川政府委員 此の蠶絲協同組合或は蠶絲業會に付きましては、是は御承知のやうに生産から加工、販賣までやつて居る團體であります、隨ひまして先程も一寸申上げたのでありますが、是は本年の改正蠶絲業法に依つて出來た團體でありますので、現在まで經過を見て居つたのであります、併しながら最近に於きまして、輸入見返品の對象であります生絲の生産、それに從つて繭の生産と云ふやうな、相當經費を要する團體になつて來たのでありますので、今囘の改正を機として加入を認めたのであります、尚ほ是と同樣に、農村の加工なり或は生産なり、或は取引なりと云ふものに對する共同組合がありまして、それが本組合に加入することが適當であると認めますならば、十分考慮して差支へないと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=63
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064・米倉龍也
○米倉委員 此の蠶絲業會へ融通することは、現在の事情では、會社とか或は營利的に行つて居る蠶絲業者への融資に相成る譯である、さう云ふ點が本當に協同組合を以て成立つて居る中央金庫の融資の方針から言へば、原則的なものではないと思ふ、それはそれと致しまして、此の蠶絲業に付きまして、日本の蠶絲業は、申上げるまでもなく今日まで非常な曲折を辿つて、好い時もあり惡い時もある、非常に波瀾萬丈の經過を辿つて居りまして、其の間々、其の時々の政府の蠶絲行政も變つて居りますが、曾て蠶繭處理統制法と云ふものを拵へまして、其の當時の特約取引の認可制を決めるとか、或は産業組合製絲、或は乾繭取引と云ふやうなものの奬勵を積極的になさつたり、或は繭の檢定を強制的にやる、兎に角繭の生産者を保護する、養蠶家を保護する、さう云ふ政策を御執りになつたこともあるのであります、其の後時勢が變りまして、昭和十六年ですか蠶絲統制法が出來まして、蠶絲業の會社に日本蠶絲統制株式會社、或は蠶絲製造株式會社と云ふやうなものが出來まして、それが廢止になつて、今度又復元をすると云ふことに相成る譯であります、結局蠶絲業と云ふものが、養蠶と製絲と云ふものとが對立の形を以て行くと云ふ從來のやうな機構を又復元すれば、やはり曾て蠶繭處理統制法を作らなければならなかつたやうな事態も起るかと思ふ、此の復元の機會に蠶絲業の在り方を、共同組合のやうな形にして行くと云ふ御考へを以て、御奬勵なり、御勸奬なりをして行くことが、蠶絲業將來の爲に私共は望ましいと思ふのであります、其の方式としては、勿論養蠶家自體の從來の組合製絲の形式の方式も執れるでせうし、或は町村農業會の聯合體の形式も執れるでせう、更に現在の製絲家と農業會と云ふものとの合作に依る形式も執れるだらうと思ふ、何れにしましても、從來のやうな蠶絲業が養蠶、製絲と云ふやうな兩會が對立しないで、渾然一體となつた共同組合の形で行くと云ふ風な御奬勵を、私としては御願ひするのであります、此の點御當局の御意見を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=64
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065・和田博雄
○和田國務大臣 蠶絲業の將來の在り方に付きましては、御意見を十分參考にして行きたいと思ひます、組合製絲の問題も、勿論今後は農村工業と云ふ建前からも取上げられる問題でございまするし、日本の今の製絲の位置から考へましても、さう云ふ點は十分考へまして、將來の蠶絲業の在り方に付ては善處致したい、斯樣に考へて居る次第であります、何を申しましても、現在は片方で速急に「アメリカ」からの需要があるにも拘らず、桑園は戰時中減り、又製絲の工場自體も相當の被害がありまして、十分な復興が出來て居りませぬので、それ等の點に付きましては、養蠶の末端から是非合理的な方法を打立てて行きたいと考へて居ります、我々と致しましては、一應養蠶の組織化に付きましては、農業協同組合として之をへ取入れて考た譯でありまするが、是は色々な都合がありまして、此の議會に提出の運びになりませぬが、次には是非提出致しまして、さう云ふ意味の協同組合と云ふやうなことに付ては、十分な基礎を與へるやうに致したい、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=65
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066・米倉龍也
○米倉委員 蠶絲業のことに付きましては御方針が分りましたが、次に農機具の問題に移りたいと思ひます、先程北氏からも發言がありましたが、農機具が非常に需給の關係が惡いのであります、現在の農機具の生産關係に於てはどう云ふ風におやりになつて居りまするか、あの農機具統制組合と申しますか、會社と申しますか、是が生産を引受けて居るやうでありますが、此の農機具統制會社の實際の働きは極めて緩慢なもののやうであります、第一資金の點などに非常に困つて居るやうであります、是が「メーカー」の中心機關として色々世話をして居るやうでありますが、「メーカー」が本當に働けるやうに、此の統制會社の活動が出來ないやうな状態であるやうに見えるのであります、資金の點などに於きましても、中金から僅か出て居りますけれども、是は大體中金は直接出す形でなくて、商工中央金庫に融通して、それから出すと云ふやうな形式を御執りになつて居るものと思ひます、斯う云つた點に付きまして、もつと農機具の生産を迅速に、又時期に適合したものを作るやうに監督を願ひたいと思ふのであります、是は農林大臣の御耳などには勿論入らないだらうと思ひますけれども、鍬などに付きましても、私は長野縣でありますが、二萬梃の鍬が參りましたけれども、配給して見て一つとして、農村の人に歡迎されたものはない、皆戻されてしまふと云ふやうな實情であります、非常な手數を掛け、又それを元へ戻してしまふ、さう云ふ實體でございます、是も結局今の農機具の生産配給に付ての機構なり内容なりが、どうも能く行つて居ないからではないかと思ふのであります、此の點に付きましては十分御監督を願ひ、又將來農機具の生産配給に付ての新しい御構想を御願ひしたい、此の點の御考へを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=66
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067・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、農機具に付きましては、私共も御話のやうな點を聽きまして洵に相濟まぬと思つて居ります、是は終戰後農機具の需要が非常に多くなりましたので、色々な轉換工場が、優秀な技術も持たずに農機具に轉換して行つた、そこらで出來ました農機具の中には、御話のやうなものもあつた譯でありまして、私はさう云ふ話は實地に農民からも聞いて知つて居るのでありますが、此の農機具の問題は、實際農機具業者其のものが、御承知の通り大部分が中小工業でありまして、それ等の人達は、中には優秀な技術を持つて居る者もありまするが、其の資金であるとか云ふやうな點で、是は非常に苦勞して居るやうな譯であります、それから農機具は御承知のやうに、色々の地方々々にそれぞれ特色がありまして、あの簡單な鎌なら鎌が、實は一番製作には難かしいのであつて、さう云ふやうに、簡單に見えて實は最も難しい一つの工業であります、是は私共と致しましても、現在と雖も相當監督は致して居りますし、又農林省と致しましても、或る程度の技術的な指導は致して居りますが、御話のやうに十分でございませぬ、そこで何とかして、我々の方としましても、農機具に付きましては御話のやうな點がありませぬやうに、今後とも行政のやり方なり、色々な點に付て、又農機具業者自身の研究も求めまして、是非さう云ふことがないやうに致したいと、色々具體的に研究も致して居る譯でありまして、從來、例へば開墾鍬が行つても、殆ど開墾には役に立たないやうな鍬が行くとか、或は鎌でも殆ど使へないやうなものが行くと云ふやうなことがあつた譯でありますが、斯う云ふ點に付ても、今後十分善處致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=67
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068・馬越晃
○馬越委員長代理 米倉君、實はまだ後に高倉君、細田君から簡單な質問があるさうですが、本日は之を以て打切つて、明日になさつたら如何かと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=68
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069・米倉龍也
○米倉委員 それでは、もう殘り僅かですが、明日に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=69
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070・北政清
○北(政)委員 今物價廳次長が御見えになつて居るから、簡單に伺ひたいことがあるのです、先程田中さんの御質問に對して、都市の勞賃に比べて農業勞働賃金は約八割五分であると云ふことでありましたが、此の八割五分と云ふのはどう云ふことから見て居られるか、例へば現在政府の出して居る豫算で見ましても、女給仕で一日十圓以上になつて居る、此の前次長から御聽きしたやうに現在の米價三百圓の基礎は農業勞働を十圓で見て居る、勞働時間から見ても何から見ても、女給仕の十倍の價値は十分あると思ひますが、女給仕が十圓、其の八割五分と云ふことを意味して居るのか、さうでないのか、之に依つて今の米價の計算の基礎が狂つて來る譯である、而も尚ほ此の「インフレ」の進行に伴ひまして、勞働賃金はどんどん上つて來る、勞資の休戰なんて經濟安定本部長は言ふが、食へなければ上るに違ひない、爭議は益益起つて來る、之に伴つて物資はどんどん上る、今日の新聞などを見ましても、價格を變更して居るものがある、然るに米だけは年に一囘だけに決めて置かれる積りか、此の物價に常に竝行して行くべきものではないかと思ふが、是だけのことを御返事願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=70
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071・工藤昭四郎
○工藤政府委員 勞銀の點に付きましては、只今御話がありましたやうに、現在の一般勞銀が百圓と云ふことは考へて居りませぬ、それ等の點に付きましては、現在實際どれだけの勞賃收入があるかと云ふことは、國の統計局、或は厚生省あたりで正確な統計が出て居ります、それに從つてやつて行かうと考へて居ります、それから米の價格に付きましては、本年の三月に一つの物價水準を打立てたのでありますが、其の後の經濟情勢、殊に都市に於きましては、御承知のやうに食糧の缺配と云ふ事實が發生致しまして、其の爲に必然的に勞銀の昂騰を伴つたのであります、こんな關係で總ての物價にも惡影響を及ぼして居ります、併し私共が考へて居りますことは、「インフレ」は絶對に阻止しなければならない、斯う云ふ建前でやつて居るのでありまして、物價が將來に向つて段々上つて行くとか、成は凹凸がひどく行はれるとか云ふことは實は考へて居らないのでありまして、今度米の價格を創定致しましたら、其の價格で總て安定致しますやうに全力を注ぎたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=71
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072・北政清
○北(政)委員 さうしますと、大藏大臣が豫算委員會に於きまして、物價水準の目標を闇値と公定の中間だと言はれたことは、是は物價局としては御認めにならぬ、斯う云ふことになりますか、もう一つ今の百圓は、私は百圓に決めると言ふのではありませぬ、唯本當の勞働價値から見まして百圓になることになる、斯う致しますと、其の八割五分と見て居られるのか、農民は普通の給仕よりは八割五分、斯う云ふ見方なのか、斯う云ふ所です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=72
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073・工藤昭四郎
○工藤政府委員 大藏大臣が議會で御答へになりました、今後の物價は公定價格と闇との中間位で安定するだらうと云ふことは、是は正確に申しますと、どう云ふことを意味せられて居りますのか、私共でははつきり判斷が出來ないのであります、中間と申しますと、其の二分の一のぴつたり眞中に來るのか、或は闇値に近い所に來るのか、或は公定價格に近い所で決まるのか、非常に漠然として居るのであります、それで最近のやうな物資の窮乏時代に於きましては、物の價格は、やはり生産原價に近い所を公正と見て行かなければならぬと私は存じて居ります、物の價格を決定致します標準には、需要供給の關係と生産原價の關係、此の二つある譯でありまして、物の數量が豐富でありまして、自由經濟の行はれます時には、其の兩者は大體同一の所まで鞘寄せして來るのであります、併し最近のやうに物資が非常に窮乏致して居りますと、需給の關係のみに任せますと、申上げるまでもなく、非常に裕福な所に物が集まつて來まして、國民全體は非常な苦難を嘗めなければならぬ、斯う云ふことになりますので、統制の基礎となります價格に付きましては、生産原價から割出したものでなくてはならぬと私は存じて居ります、勞働賃銀の問題でありますが、是は先刻申上げましたやうに、現在もう既に發生して居る勞銀の値上りは、是は認めて行かなければなりませぬので、其の既成事實の上に立って農村勞銀も決めて行きたい、斯う云ふ感じを持つて居ります、唯給仕さんの賃銀と農村の賃銀とを茲で、どう優劣があるかと云ふことを、比較して考慮するのは難かしい問題でないかと思つて居ります、私と致しましては、もう既に發生致して居ります賃銀の既成事實を根據としてやつて行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=73
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074・馬越晃
○馬越委員長代理 本日は之を以て散會致します、明日は午前十時から米倉君の御質問を御繼續願ひます
午前零時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01419460828&spkNum=74
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