1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
農林中央金庫法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年九月二日(月曜日)午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 成島勇君
理事 岩本信行君 理事 馬越晃君
理事 須永好君 理事 細野三千雄君
大井直之助君 坂田道太君
杉田一郎君 淵田長一郎君
本多花子君 苫米地義三君
保利茂君 平野市太郎君
細田綱吉君 北政清君
米倉龍也君 平野八郎君
小坂善太郎君 野本品吉君
高倉輝君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林事務官 石川準吉君
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本日の會議に付した議案
農林中央金庫法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=0
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001・馬越晃
○馬越委員長代理 只今より會議を開きます、委員長御差支への爲にまだ御見えになりませぬから、私代りまして委員長を致します、それでは先日に引續きまして、米倉君の御質問を御繼續願ひます——米倉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=1
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002・米倉龍也
○米倉委員 先日蠶絲業の今後の在り方に付きまして御質問を申上げた所、大體私共考へて居りますことと同じ御意見で、指導精神と申しまするか、一應養蠶、製絲と云ふものが對立をしないもの、兩者の間に何等搾取關係と云ふやうなもののない機構を以て、今後の蠶絲業と云ふものが發達して行かなければならない、此の方針、斯う云ふ指導方針の下に行政を執つて行かれると云ふやうな御話でありまして、其の點非常に私共農村の者と致しまして、滿足に考へる所でありまするが、さう致しまして、さう云ふ協同組合組織が普及して參りますると、其の協同組合組織には、蠶絲業法に依る組織と、それから農業團體法に依る組織と、其の行き方はありますけれども、何れに致しましても、それ等は一定區域を定めて、此の區域の中に於ての組織でありますので、從來からありました原料繭の地盤割當と云ふやうなことが、今申しました協同組合組織が普及して參りますと、大變困難になつて來やしないか、結局繭の地盤割當と云ふ、從來やつて參りましたことが不可能になつて來やせぬか、斯う思ふのであります、さうなると、再び茲で製絲工場の整理或は企業整備と云ふやうなことが必要になつて來やせぬかと思ふのであります、現に既に協同組合組織の區域内にある機業家の製絲と、協同組合製絲との間に、原料繭の地盤割當の矛盾の問題が生れて居るのであります、斯う云ふことが、協同組合組織に依つての製絲が普及されて來れば、一層激化して來ると思ふのであります、此の點に付きまして、製絲工場の整理をなさる必要を御認めになつて居るか、大體地盤割當と云ふことは、農村に於ては非常に非難をされて居ることなのであります、從來は統制會社が其の統制力を以て、何處の村は何々製絲へ繭を出すんだと云ふ風に決めてしまつて、それに對して色々異議がありましても、何等其の異議が取上げられなかつたのでありますが、今日ではやはり農村の人々は、何處の製絲と云ふやうな、製絲工場の選擇をする氣持になつて來て居りますので、其の氣持を十分酌んで地盤割當をすることにしないと、色々後で面倒が起るのであります、現に今年私共の方の縣などでも、非常に多くの問題が出て參りまして、それの調整には縣初め農業會方面でも隨分困難をした譯であります、是は製絲工場と農業會とが能く協力をしてやれば——當然協力をしてやるやうに御通牒になつて居りますからして、さうなるのでありますけれども、併し從來からの仕來りがありますので、どうしても從來の例を取つて地盤割當を致すのであります、是は今日の農村の人々の氣持にしつくり合ははない、合ふやうにすれば或る製絲は仕事が出來ないことになる、さう云ふ點から更に製絲工場の整理——詰り原料繭の關係と工場との關係に依つての整理が必要になつて來るではないかと思ふのであります、此の點の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=2
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003・和田博雄
○和田國務大臣 今は御承知のやうに、非常に生絲の方の工場なんかも復舊を急いで居つて、「アメリカ」の需要に充ちるやうにやつて居るのでありまして、御話のやうな點は將來の問題として、又現實の問題としても、やはり農業會の方と十分能く話合つて、問題を具體的に解決して行くやうにやつて戴きたいと思ふのであります、勿論是は將來の日本の製絲業の建前から見ますれば、曾てありましたやうな脆弱な製絲工場が澤山濫立して、さうして實際上繭代金の不拂に終つたり、色々の問題が起つたやうなことは、我々としては出來るだけ避けて行きたい、やはり企業の基礎と云ふものは供繭の方から見ても、製絲の技術から見ても、鞏固なものを作つて行きたい、斯う云ふ考へを持つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=3
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004・米倉龍也
○米倉委員 勿論將來の問題でありまするが、現に事實としては協同組合組織の其の區域内に小さな、又非常に設備の惡い製絲がある、さうして其の製絲に對しても繭の割當をしなければならない、協同組合へ持つて參りますれば、其の繭から立派なA格或はA・A以上の絲が生産されるのに、他の設備の惡い所へ持つて行けば、國用程度の生絲しか引けないと云ふ所にまで、今日地盤割當に依つて繭を配當して行かなければならないと云ふ實情にあるのであります、さう云ふやうなことは、此の際非常な矛盾である、良い絲を澤山早く「アメリカ」へ出すと云ふことから申しますれば大きな矛盾になる、それはやはり繭の地盤割當と云ふやうなことから來る矛盾だと思ふのであります、斯う云ふ實際問題を御考慮願つて、今後の御指導を願ひたいと思ふのであります、蠶絲業のことに付きましてはそれだけ御尋ね致しますれば宜しうございます
〔馬越委員長代理退席、委員長著席〕
それから農機具のことに付きましても、先般農林大臣は、今後農機具の生産に關して萬全の施策を講じると云ふことの御答辯がありましたので、非常に我々はそれに期待をするものでありますが、現在の農機具のやり方、詰り農機具工業統制組合と云ふ、あの組合のやり方では、本當に我々の要求する農機具の圓滑な生産と配給は難かしいと云ふ風に、私共は感じて居るのであります、農機具の生産配給に付きましては色々面倒がありますが、やはり是も一貫して、農林省の專管でおやりになることの方が、何かと都合が好いのぢやないかと思ふのであります、此の點に付きましての御考へと、それから農機具の生産には、鐵鋼なり「コークス」なり、或は木材なりがどうしても必要なのであります、肥料生産に對して斯う云ふ鐵鋼、「コークス」などが優先的に考へられると同じやうに、今後十分鐵鋼「コークス」、木材等を優先的に配給するやうに御配慮を願ひたい、是も農機具に對する今後の對策の一つではないかと思ふのであります
それから農機具に對しての農村資本の投下でありますが、此の點に付きまして、中金は農機具工業統制組合と云ふものには今日融通をして居ないのであります、參考資料の中には、農機具統制株式會社に今日融通してあるものの殘りが出て居ります、既に農機具統制株式會社と云ふものはないのであります、此の殘つて居る貸付金が、どう云ふ風に今後整理になりますか、其の點、それから農機具統制組合と云ふものへ融通が出來ないと云ふこと、是は此の統制組合が商工組合の方面でありまするか、さう云ふ方の規則で出來て居るのであるから、中金からは出せないと云ふのでありますか、斯う云ふ點も中金としては、農機具と云ふものが農村になくてはならないものである以上、肥料の方面へ資金を出すと同じやうに、此の方面へ十分出し得られるやうに御考へを願ひたいのであります
それから先日も申上げましたやうに、農機具は非常に不良品が多く出るのであります、此の點は時代逆行のやうではありますけれども、農機具生産に對して、當分の間企業許可と云ふやうなことに致してはどうか、不良品の生産を阻止する爲には、十分生産設備、生産者の實體を能く調べて、それにやらせるのでなければ、現在市場にありますやうな不良の物があつて、それに依つて農家が隨分迷惑を感じて居ります、斯う云ふ許可制と云ふやうなことは、確かに時代逆行かと思ふのでありますけれども、是も當分の間は已むを得ないのではないかと思ふ、それと同時に檢査制を實施致しまして、十分に粗惡品の出ることを阻止すると云ふ方法を執つて戴きたいと思ふのであります、斯う云ふ點に付ての御考へを承りたい、それから價格の問題も、農機具の價格に、やはり二重價格制を執つて戴いた方が宜いのぢやないかと思ふのであります、配給價格は主要農産物價格に照應させて行くし、それから生産者販売價格の方は、是は原價計算主義を勿論執つて行かなければならないが、此の生産者價格の方は、隨時改訂して行つて差支へないではないか、此の價格を配給機關の方へ政府が補償すると云ふことで、二重價格制も此の際已むを得ないのではないか、さうして生産者をして大いに農機具生産に邁進させるやうに、尤も綜合物價體系が今後確立した時には、此の二重價格制は必要がないのでありますが、今の場合こんなやうにも考へられる、斯う云ふ點に付きましての御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=4
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005・和田博雄
○和田國務大臣 農機具の點に付きましては、先般御答へ致しました譯でありますが、御意見の色々の點は十分我々の方としましても考へまして、善處致して行きたいと思ひます、農機具の行政の一元化の問題でありますとか、其の他色々御述べになりました點、是は我々の方としましても、非常にさう云ふことを希望して居るのでありまして、十分善處したいと思ひます、唯農機具の許可制度の問題でありますが、只今の所は中央の大きな工場、中央發注工場と云ひますか、さう云ふものは、許可は致しませぬが、指定工場にすると云ふことに依つて、乏しい資材を優先的に配給割當をすると云ふ形で、只今の御説のやうに資材が無駄な方へ流れて行くのを實は防いで居る次第であります、農機具の問題は、中央の大きな所謂發注工場、指定工場だけでなしに、問題としましては、地方地方に、從來それぞれの技術を持つて居りました野鍛冶の問題がやはりあるのでありまして、是は今のやうな乏しい資材に於きまして、どうしてもそこが中中巧く行かないのであります、やはり資材がもう少し能く生産されて來ますならば、それ等の問題も引括めて、農機具生産に付ては考へて行かなければならぬのではないかと、我々としては考へて居ります、それから農機具生産と云ふものは、是はやはり本質的にはどうも中小工業なのでありますから、日本の所謂中小工業と云ふものに付ての考へ方と云ふものを、はつきり決めて行きませぬと、問題は中々解決し難いのであつて、許可制度と云ふだけでは、どうかと實は思つて居ります、それから二重價格は、是は出來るだけ日本の爲には止めて行くべきでありまして、農機具に付ては、只今はさう云ふことはまだ考へては居ないのでありますが、兎に角今のやうな農機具の生産の現状では、是は到底農家の需要を滿足し得られないのでありまして、是等の點を考へて見ましても、一面に於て、今の乏しい資材を有效に使ふと云ふ面だけではなしに、やはり資材其のものを殖やして行くと云ふ方に實は政府としても色々努力しなければならぬと考へて居る次第でございます、御意見の點は十分我々としても考へまして、今後とも努力致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=5
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006・米倉龍也
○米倉委員 事務的のことになりますが、今度の中金法の改正で蠶絲業會、蠶絲協同組合の加入を認めることになつて居りまするが、是と關聯して御尋ねしたいことは、新しく林業會法が出來ますが、其の中に林業會と云ふもの及び林産組合と云ふものが、やはり中央農林金庫の出資者になるやうに規定されて居るやうであります、是はどう云ふ關係がございますか、一面では中央金庫法の改正で蠶絲業會を入れることにし、林業會を入れることは林業會法で唯決めて居る、是は尤も林業會法を出す前に中金法の改正を御考へになつたからであらうとは思ひますけれども、出資者になると云ふやうなことは、是は團體としては最も基本的なものであつて、唯やたらに外の法律で勝手に規定して宜いものであるか、此の點どうも腑に落ちない譯であります、唯時間の關係で便宜上やつたのであるか、其の點を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=6
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007・石川準吉
○石川政府委員 只今の御説の通り、是は便宜上さう云ふ風にやつたのであります、此の法律も林業會法の出來た關係からでありまして、やはり便宜上のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=7
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008・米倉龍也
○米倉委員 便宜上だらうと思ひますが、それならば蠶絲業會も蠶絲業會法の改正になつた時に、其のことも出來得たと思ひます、而も蠶絲業會と云ふものの方が一層急を要することであつたらうと思ふのであります、蠶絲業會の方の時には遠慮なさつて居つて、林業會法の方を積極的におやりになると云ふ意味は、別に理由があるとは思ひませぬけれども、さう云ふことが一寸腑に落ちないので、御質問を申上げた譯であります、それから今度の改正で、第十四條の二に主務大臣が指定すると云ふことがありますが、其の主務大臣の指定すると云ふのは、具體的にはどんなことを豫想なさるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=8
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009・石川準吉
○石川政府委員 主務大臣の指定する事業と申しますのは、例へば自作農創設維持事業に含まれて居ない、負債整理の事業でありますとか、或は住宅建設事業でありますとか、或は營農用の資材購入の事業でありますとか、云ふやうな事業を指す譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=9
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010・米倉龍也
○米倉委員 それから所屬團體に對しての年賦貸付の場合の、金額の限度を擴張すると云ふことが十四條の二の改正だらうと思ひますが、ここで所屬團體で農地の造成、或は改良と云ふことの爲に、相當の大規模のものがやられるのでありますけれども、實際現在の所では農地造成、開拓事業と云ふやうな大きなものは、農地開發營團に依つて大規模にやつて居るので、其の農地開發營團に對する貸付限度と云ふやうなことならば、此の條項には當嵌まらない、後の十五條の方であるかと思ふのでありますが、特に農地の造成改良と云ふやうなことに用途を指定してありますが、斯う云ふ風になさらないで、長期貸付の總金額の制限を撤廢すると云ふやうにした方が、今後運營がし易いのぢやないか、斯う思ふのです、今申しましたやうに、特に農林大臣の指定すると云ふやうなことがなくても宜いぢやないか、其の間の何か理由でもあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=10
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011・石川準吉
○石川政府委員 農地開發營團の如きものに對する貸付に付きましては、十五條二の方を運用して行きます、それから十四條の二の改正に付きましては、農地の造成、改良、是は農業會あたりで相當主體になつてやる事業がありますから、さう云ふ所屬團體に對する貸付をしようと云ふのであります、又特に「主務大臣」の指定すると云ふやうに限りましたのは、是はやはり自己資金の運用でございまして、從來と大分模樣が變つて居るやうな事情もありますので、一應の制限を置かうと云ふ考へで決めたものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=11
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012・米倉龍也
○米倉委員 私はさう云ふだけのことならば、此の條項の改正はそれ程效果があるものでないと思ふのです、用途を指定しないで、長期貸付の總金額の制限を撤廢する、それは結局今後農地開發と云ふやうなこと以外に、農村工業等の新しい農村建設の爲に、大きな資金が要る方面が非常にあると思ふ、斯う云ふ方面に中金が長期の金が貸し得られるやうに、自由にやれるやうにして置いた方が宜いし、又寧ろさう云ふやうな資金は、此の際中金の出資金を増加する——自己資金の長期貸付の餘裕を持たせるには、中金の出資金を増加すると云ふ方法を執る方が妥當ではないかと思ふ、是は唯意見であります
それから五箇年以内の定期償還貸付と云ふことを決めてありまするが、是は單に定期償還貸付の方が宜いと思ふ、定期貸付と云ふ表現を用ひましても、是は自ら年賦貸付以外の比較的短期、中期の貸付と云ふことに相成る譯であります、若しさうでなくて、之を此の儘にして置いて、十五條の方の、出資者でない法人に對する貸付に十箇年以内と云ふやうな長いものを認めることは、是は妥當ではないと思はれます、又法人に對して年賦貸付をするのでありますが、是の金額等に於ては限度があるのでありますか、それから此の定期貸付をする法人と云ふものは、大體今日どう云ふものを豫想しておいでですか、尚ほ所屬團體に對する貸出には、擔保を徴して長いものをやると云ふこともありますのに、今度の法人に貸付ける方には、其の擔保のことに付ては何等觸れて居りませぬが、それはどんな風な關係でありますか、此の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=12
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013・石川準吉
○石川政府委員 此の定期貸付の五年と云ふ制限の金に付きましては、我々の方としましても、全體の經濟状況から致しまして十分考慮致したいと思つて居りますが、現在の所では五年以内となつて居ります、併しながら特殊な場合に於きましては、其の例外規定が置いてあるのであります、例へば中央金庫法に於きましても、十四條の二號を御覽下さいますと、特殊の場合に於きましては更に其の期間が延長されることになつて居ります
それから法人に對する最高限に付きましては、一定の限度を置きたい、斯樣に考へて居ります、尚ほ擔保の問題でありますが、是は必要があれば法人に對する場合に於きましても擔保を徴する、斯う云ふやうに考へて居ります、それから法人の例と致しましては、開發營團或は肥料會社、さう云ふやうな兎も角農林水産業に最も密接な經濟的關係のある法人に貸付けたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=13
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014・米倉龍也
○米倉委員 此の貸付先には、貸付けるだけで、預金の取引と云ふことは御認めにならぬのでありますか、預金の取引は當然なし得ると認めれば、明示した方が宜いのではないかと思ひます、是は貸付けた人の取引に付ては、預金取引と云ふことが自ら起つて來ることだらうと思ひますが、此の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=14
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015・石川準吉
○石川政府委員 現在に於きましても、貸付けた範圍内に於きまして預金の受入をやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=15
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016・米倉龍也
○米倉委員 まだ中金の規定に市街地信用組合が加入してある、是は何か理由があつてずつと加入されて居るのでありますか、それから中金の仕事の中で爲替業務がありますが、是は大體事の性質上所屬團體のみに認めて居るが、それは妥當でない、取引法人にも御認めになるのが宜いのではないかと思ひますが、此の點の御意見も伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=16
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017・石川準吉
○石川政府委員 市街地信用組合の名を存して居りまする理由に付きましては、やはり若干の取引がまだ殘つて居ると云ふ見地から存置して居るのであります、又爲替業務に付きまして、所屬團體以外の法人に對する件に付きましては研究致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=17
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018・米倉龍也
○米倉委員 大體私は、此の改正の條項に關聯して御伺ひしたいと思ふことは濟みましたが、最後に今一度農林大臣に御尋ね致したいと思ひます、今度此の改正は、現在の金融事情、それから我が國の戰後産業の急速な發達を圖らなければならない爲に、農林中央金庫の金融力を此の際積極的に活用すると云ふことの意味から云ひまして、適當な措置とは存ずるのでありまするけれども、今日色々農林中央金庫に對する兎角の批判——今囘の改正が何等民主化の點に觸れて居ないと云ふことであつて、此の點非常に物足りないと云ふ所から、色々批判が出て來て居るやうであります、併し當局では、追つて農林中央金庫法の全面的な改正を考へて居るのだと云ふ御言明でありますので、それに期待を持つ譯でありまするが、其の改正は何處までも中金の民主化と云ふことを中軸にして、やつて行かなければならないと思ひます、其の爲に政府の出資は今更中金に殘す必要はどうしてもない、歴史的には、産業組合中央金庫を創立する當時、所屬團體が弱いので、それを援助する爲に、此の金庫の發達を基礎付ける爲に必要であつたと思ひますけれども、今日の場合は實際其の必要はない、御當局では、それを所屬團體へ移讓すると云ふやうなことに付ての考慮はして居らないやうでありますけれども、民主化を圖る爲に第一に執る措置は、私はどうしても政府出資を先づ以て所屬團體へ移す、さう云ふことに依つてのみ中金の民主化が一歩踏み出すので、役員の政府任命と云ふやうなこともそこから出て來て居ると思ふのであります、それであるから、民主化に最も大事な役員の問題、政府任命と云ふやうなことは反民主的な最たるものであります、そこを衝かなければならないと思ふのであります、それには政府出資を、此の際民間にどうしても移讓して行くが宜いと思ふのでありますが、尚ほ役員の政府任命と云ふやうなことが非常に非難の的になつて居ります、殊に先日も理事長に付きまして高倉さんから色色御話がありましたが、此の際役員の問題に付ては、當局としては英斷を持つて處置しなければならないのではないかと思ふのであります、斯う云ふ點が政府出資と云ふことの因から出て來るやうに考へられる、此の點もう一度大臣の御考へを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=18
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019・和田博雄
○和田國務大臣 中央金庫の民主化の問題と、それから農林中央金庫制度其のものの根本的な改正の問題でありますが、是は私は御意見のやうな線に沿ひまして、根本的な改革を是非やらなければならぬと思ひます、勿論此の中央金庫と云ふものは、謂はば農村金融の中樞の機關でありますので、農村金融一般の問題としても、又他の日本の金融制度其のものとの關係からも、十分考慮すべき種々の問題があると思ひますけれども、御話のやうに、民主化と云ふ方向に向つて根本的な改正をやると云ふ御意見には、私も同感であります、是非さう云ふ風に進んで行きたい、斯う存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=19
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020・米倉龍也
○米倉委員 今の政府出資の點は、やはり現在の所では政府がお持になつて行くと云ふ御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=20
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021・和田博雄
○和田國務大臣 私は是は農村に於て相當農村の力が出來、又協同組合と云ふものを基礎にして中央金庫と云ふものが出來るべき筋合のものと思つて居りますので、政府出資と云ふものはやはりない方が宜いと思ひます、政府出資と云ふものは、中央金庫の性質から言へば、是は將來は寧ろ省くべきものだと、斯う考へて居ります、唯歴史的な事情で、御話のやうに政府が出資して、それで其の當時の農村の實情から言つて、斯う云ふ中金を作つて來たと云ふ歴史的な事情はありますが、農村に於ける一つの力、農民がさう云ふ風な力を持つて來ました時期に於ては、協同組合其のものが相當程度に發達しました時期に於ては、政府出資と云ふものはなくても宜いのぢやないかと、斯う私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=21
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022・米倉龍也
○米倉委員 私の御伺ひしたいと思ふことは以上で濟みました、質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=22
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023・苫米地義三
○苫米地(義)委員 私先般質問致しました時に、大臣が居られませぬでしたので、唯一點だけ殘してありましたから、此の機會に御伺ひしたいと思ひます、それは第十五條の餘裕金の運用のことであります、今囘設けられた十五條の二と云ふのは、餘裕金の運營を積極的に擴大しようと云ふ條項でありますので、其の點に對しましては、愼重なる檢討を加へてしなければならぬ必要があるであらうから、審議の機關を附屬して設けてはどうかと云ふことを話しました所、それは適當な諮問機關でも設けたいと云ふ御答辯がありました、所が何處までも資金の運用は融通と云ふ方面でなければならぬと思ふのでありますが、さうでなくて、企業に對する投資をもなさる御見込でありませうか、同じ有價證券を持つと言ひましても、金融の融通の方面からさう云ふ利鞘のある證券を持つと云ふことも、一つの有價證券の保有でありますが、さうでなくて、企業投資と云ふ立場からします有價證券の保有と、二樣あると思ふ、將來の運營は飽くまでも融通方面で立つて行きませうか、都合に依つたら企業投資までもやらうと云ふ御考へでありませうか、其の方針を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=23
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024・和田博雄
○和田國務大臣 それは融通であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=24
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025・苫米地義三
○苫米地(義)委員 さう致しますと、日本肥料の株を持つて、是から肥料の企業に乘出すと云ふことは、是は明かに企業投資であるかのやうに私は思ふ、企業投資になりますと、相當の「リスク」を含むことになります、隨て此の有價證券は、當分の間配當が得られないかも知れない、組合員の資金を運用するに付て、左樣な投資方面に資金を投ずることは果してどうであるか、現に其の實例が日本肥料の投資に依つてあると思ふ、此の點に對する御見解を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=25
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026・和田博雄
○和田國務大臣 中金はやはり投資も出來るので投資の方は十五條の一號で行くのであります、今私が言ひましたのは、あなたの御質問に對して融通を本旨とする、斯う云ふことを言つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=26
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027・苫米地義三
○苫米地(義)委員 私の懸念するのは其の投資の問題なんです、是は相當の「リスク」を見なければならぬと思ふ、貴重なる組合員の資金を、さう云ふ危險のある投資の方へ向けると云ふことは、組合の性格からして私はどうかと思ふ、若しさう云ふことが範圍を擴大しますと、農林中央金庫の運營と云ふものが、非常に危殆に頻するぢやないかと思ふのでありまして、それもやると云ふ御方針であれば、特に愼重を加へる機關を設ける必要があると思ふ、成べくならば融通の範圍に止めて置くべきぢやないかと私は思ふ、其の點に對して、企業の方もやる方針であると云ふ御答辯であれば已むを得ないのでありますけれども、併しそれに對しては非常に愼重な態度を御執りになることを希望致して置きます、其の點だけを私は御伺ひしたいと思つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=27
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028・和田博雄
○和田國務大臣 御話のやうに、今度の餘裕金の運營を擴張致しました趣旨は、是は融通を主にして居るのでありまして、投資を致しませぬ、從來餘裕金の運營で投資を致して居りますのも、是は國債證券であるとか、地方債證券であるとか、其の他のものは主務大臣が認可を與へることになつて居りまして、非常に消極的な態度を執つて居るのでありますから、其の御心配は今後共ないやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=28
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029・成島勇
○成島委員長 細田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=29
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030・細田綱吉
○細田(綱)委員 前に御質問申上げたけれども、更に一點だけ補充さして戴きます、農林省から地方長官に對して御指示になつて居る米、麥、馬鈴薯、甘藷等の供出に對する具體的な内容を、一つ伺つて置きたいと思ひます、實は例へて申しますと、茨城縣の早場米の本場である稻敷地方の生産状況ですが、天候の工合が非常に良くて、稻の育ちから見て、誰でも今年は相當の豐作だと考へたのであります、所が、御承知のやうに稻敷地方は既に全部刈取つて俵に詰めつつあるのでありますが、之を採り上げて見ますと、非常に小粒で、私なども其の當時は、段當り五俵半から六俵平均に行くと思つて居つた所が、實際行つて、見たり聞いたりして見ますと、意外に減收になつて居る、やはり天候だけでは肥料不足は補へないと云ふことを如實に物語つて居ります、大體に於て四俵乃至四俵半と云ふのが普通ではないでせうか、五俵と云ふ所は非常に少い、之に對して縣の供出は三俵半の程度に來て居ります、新米の供出に對して地方長官にどう云ふ風に具體的に御指示になつて居るのか、伺つて置きたいのであります、尚ほ、是とは對蹠的な一つの問題でありますが、馬鈴薯の供出は極めて緩漫だつたのですが、是はもつと供出させて宜いのではないでせうか、又農民自身ももつと供出の命令があるものと思つて居つたが、意外に緩漫であつたと思ひます、勿論馬鈴薯は保存には便利でありますが、併し又保存するに相當の手數が掛るのであります、斯う云ふことを申上げてはどうかと思ふが、或る地方では、是はじやが芋でなくて邪魔芋だ——供出が少なかつたので意外に考へたのでせう、やり場に困つて邪魔芋と言はれる程、嬉しい悲鳴ではありすが、しかく緩漫であつたやうです、之に反して今度の早場米の供出は、收穫量に對して極めて苛酷であります、農林省の地方長官に對する御指示の具體的内容を伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=30
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031・和田博雄
○和田國務大臣 何れ食管の長官が來ますから、御答辯致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=31
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032・細田綱吉
○細田(綱)委員 それから今一點伺ひます、供出完了者に對する餘剩米、其の他馬鈴薯、甘藷等の殘置量に對しては、どう云ふ風な御處置を執られて居るか、私共新聞紙を通じての知識ですが、それは農業會の證明に依つて自由に搬出すると云ふ風に紙上を通じて見て居りますが、併し實際問題としては、可なり此の證明が困難な實情にありまするので、此の點も一つ併せて御伺ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=32
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033・和田博雄
○和田國務大臣 どうですか、其の問題は一つ後で長官とでも話して戴いたら発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=33
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034・細田綱吉
○細田(綱)委員 宜しうございます、大臣から傳へて置いて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=34
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035・和田博雄
○和田國務大臣 其のやうに取計ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=35
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036・成島勇
○成島委員長 是で質疑は打切ります、明後四日午前十時より開會して、討論採決致したいと思ひます、本日は是で散會致します
午前十一時二十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011791X01619460902&spkNum=36
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