1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案(政府提出)
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昭和二十一年八月七日(水曜日)午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 大塚甚之助君 理事 本多市郎君
理事 松川昌藏君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 永江一夫君 理事 大原博夫君
理事 中野四郎君 理事 丸山修一郎君
岩本信行君 内海安吉君
小野眞次君 高橋英吉君
細田忠治郎君 松永佛骨君
綿貫佐民君 鈴木明良君
八坂善一郎君 大矢省三君
大澤喜代一君 堤隆君
細田綱吉君 岡田春夫君
武藤運十郎君 矢尾喜三郎君
稻田健治君 駒井藤平君
伊藤實雄君 竹谷源太郎君
中田榮太郎君 増井慶太郎君
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
出席政府委員
内務政務次官 世耕弘一君
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=0
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001・中島守利
○中島委員長 會議を開きます、町村制の一部を改正する法律案、此の逐條審議を許しますが、其の以前に永江君より府縣制に對して内務大臣に質問をしたいと云ふ通告がありますので、之を逐條審議に入る前に許したいと思ふのでありますが、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=1
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002・中島守利
○中島委員長 永江君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=2
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003・永江一夫
○永江委員 既に府縣制の一部を改正する逐條審議は一應前囘終りましたが、只今御許しを得まして、御尋ね致したいと思ひます、實は内務當局から御配布になりました此の法律案は、今囘改正をし、或は廢止をする條文のみが此の印刷物に載つて居ります、前囘の委員會では此の法律案に基いて逐條に審議をせられましたけれども、之に載つて居ない部分で相當重要な案件が現行法規に入つて居る、其の點に付きまして、本案提案の際に内務大臣から色々と御説明のありました中に、其の趣旨は此の際憲法改正に順應致しまして、府縣制の適當な民主化を圖ると云ふ所に狙ひがあると私は承知致して居ります、そこで此の印刷物にはございませぬけれども、府縣制第八十二條竝に八十三條に所謂府縣知事の原案執行權と云ふものが規定されて居る、此の點に付きましては、一、二御質問があつたやうでありますが、私は集約的に此の際是非とも御尋ねをして置かなければならないことは、此の原案執行權と云ふものが存在致しますることは、私共の考へ方では、決して民主的でないと考へて居りますが、當局は此の改正案御提出に際して八十二條竝に八十三條に付て、之を原文の儘御殘しになりました御趣意に付て質したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=3
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004・大村清一
○大村國務大臣 地方制度改正案を提出するに至りました一つの大きな理由は、只今御述べになりました如く、地方制度に適當なる民主化を加へたいと云ふ所が重點でございます、而して此の現在の府縣制の各條に付きましては、其の見地から色々檢討を加へたことは固よりでありまする、御指摘の原案執行に關する規定でありますが、此の點に付きましては實は斯う云ふやうに考へて居る次第であります、明文にございまするやうに、地方議會の議決や選擧が權限を越えたり、或は法令に違反し乃至は明かに公益を害すると云ふやうな極端な場合が起りました時の救濟規定を置いておきますことは、國家の利益の上から甚だ必要なことと考へまして、之を全部削除することは適當でないと云ふやうに考へた次第であります、而して原案執行に付きましては、過去の沿革に遡りますると、此の規定を濫用したのではないかと云ふやうな疑ひのあるやうな實例もないのではございませぬが、最近に於ける此の各條の運用の跡を考へますると、其のやうな失當な取扱は跡を絶つて居るのであります、尚ほ此の府縣制の原案執行の規定と略略同種類の規定が、市制、町村制にもございまするが、市制、町村制の原案執行に於きまして、最近に於て殆ど世間の問題を惹き起すやうな事例は絶無になつて居ります、今囘府縣制を民主化する上に於きましては、大體市制、町村制と同じ所まで進みますやうに、所謂不完全自治體たる府縣を、完全自治體に持つて行つて居るのでありまして、府縣制の原案執行の運用も、市制、町村制の上に認められて居ります所の原案執行の運用と同樣になることは疑ひのないことと信じて居るのであります、尚ほ原案執行は監督官廳に於きまして、若し失當な取扱を致しましたならば、御覽の如くそれぞれ行政救濟の途を開かれて居ることでありまして、そこで濫用は法律上も救濟が出來ます、又運用上の傾向から申しましても、曾てありましたやうな、或は失當であると云ふやうな疑ひを殘すやうなことはないことが豫想せられますので、此のやうな規定を存置することは、國家の公益、又秩序を維持する上に於きまして、極端な場合に對する解釋としては、存置して置くことが適當であると云ふ結論に達した譯であります、隨て此のやうな規定を存置致しますことが、著しく反民主的だと云ふやうには考へて居ない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=4
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005・永江一夫
○永江委員 只今御示しの八十二條の點に於きまする府縣會が明かに其の權限を越え、又法令に違反した議決をした場合とか、更に八十三條に於きましては、明かに公益を害すると認められた──現實に對してと御示しがありましたけれども、從來私が申上げるまでもなく、府縣に於きまして原案執行が行はれましたことは、一つの政黨、内閣の野黨が其の府縣会に於て多數を占めて居りまして、どうしても時の内閣が任命を致しました知事が其の施策を行はうと致しましても、之を野黨である縣會議員が多數の爲に施策が行はれないと云ふ場合に、屡屡原案執行が行はれたことは、今更申すまでもない所でありまして、是が地方の實情であります、恐らくさう云ふ場合には、今内務大臣が御示しになつた條項中の但書に依るものであると思ひます、即ち但書に依ると、「特別の事由ありと認むるときは府縣知事は之を再議に付せず又は再選擧を行はしめずして直に取消すことを得」是は八十二條にも八十三條にも同樣なことが書いてありまして「特別の事由ありと認むるとき」と云ふやうに非常に抽象的でありまして、時の政府に都合の好い解釋をなし得るやうな文面を其の儘存置致して置きますることは、府縣制の民主化の上に私は正しからずと思ひますが、後段に申しました「特別の事由ありと認むる」と云ふことは如何なる場合を言ふのでありますか、御教示を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=5
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006・郡祐一
○郡政府委員 但書に依りまして、直ちに取消を致します事例は、それ程多くは政爭の激しい時に於きましても起つて居らなかつたやうに存ずるのであります、と申しますは、多くの場合はやはり再議に付しまして、それから八十三條の場合でありますると、尚ほ害公益性であると云ふことで大臣の指揮を受ける形、可及的合法的な形と申しますか、さう云ふ手續の履み方をして居る方が多いのであります、併し何れに致しましても直ちに取消を致しまする場合を認めて居りまするのは、其の違法性が、或は害公益性が著しく顯著であつて、之を放置することを許さないと云ふ状態でありまして、隨ひまして然らざる限りに於ては多くの場合再議に付しますることが當然であり、隨て大臣の指揮を受けて參ることの方が、所謂原案執行の例としては多いかのやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=6
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007・永江一夫
○永江委員 私は當初に申上げましたやうに、印刷で内務省が御配布になりました此の「府縣制の一部を改正する法律案」の中に八十二條、八十三條が全然入つて居ない、是は政府の只今の御説明に依れば、此の原案執行と云ふものは殘して置いても差支へないと云ふ御見解のやうでありますが、既に同僚議院から屡屡御質問申上げましたやうに、今度は知事は府縣民の一般選擧でありますから、時の内閣を作つて居りまする政黨と反對の者、野黨的な者が府縣知事に當選する場合もあります、更に然らざる場合もありますが、私が是は惡く解釋するのであるかも知れませぬが、選擧されました知事は此の案に依つて官吏になる、さうして其の知事は原案執行權を持つて居る、而もそれに加ふるに今までよりも尚ほ強力に府縣會議員と府縣知事が衝突を致しました場合には、知事が府縣會の解散權まで與へられて居る、斯う云ふやうになりますと、可なりそこに一種の官僚的な繋りと申しませうか、官吏である知事が、原案執行權と府縣會の解散權を持つと云ふやうなことになりますれば、今まででも市町村會は或る意味に於ては完全な自治的な機關として、決議權を持つて居つたのであります、既に御承知のやうに府縣會は嚴密な意味で申しますと、府縣知事が原案執行權を持つて居りましたが故に、名目は決議機關でありましたが、府縣會自身は知事の諮問機關と云ふやうに、從來考へられ易い場合が多かつたのであります、然るに今囘の改正に於きまして、尚更に茲に官吏たる知事に原案執行竝に府縣會の解散權を附與して置くと云ふやうなことは、私は府縣會の自治性及び民主性と云ふものを強化する爲に出來ると云ふ本改正案の精神に、相反すると考へるのでありますが、此の點に付て明確に御教示を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=7
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008・郡祐一
○郡政府委員 知事が公選に依つて選ばれまして、其の知事を出來得る限り有力なものに致したい、活動し易いものに致したいと云ふことは、此の度の制度の改正の一つの考へ方であります、所謂「ストロング・ガヴアナー」の思想と申しますのは、執行機關と云ふものが強く責任を負ひまする場合には、隨て又之に對して其の責任に應ずる職務を遂行し得まするやうな方途を講じなければ相成らぬと云ふことは言へると思ふのであります、併しながらそれが直ちに議決機關の意思を蹂躙致しまするやうな態度に出ることの許されないことは勿論であります、八十二條、八十三條に致しましても、法律的に申しまするならば、其の議決自體、或は選擧が權限を起えましたり、法令に違反する場合であります、或は特に改正を致しまして、從來公益を害すると申して居りましたのは明かに公益を害すると申しまして、害公益性の極めて顯著な場合に於て、措置を命じて居るのであります、隨ひまして此の場合には結局其の議決自體に付て何等かの救濟を致しませぬならば、其の状態に放置することが非常な弊害を起すと云ふ場合に付ての、最後の締括りを付けて居るものなのであります、さうして仰せの中に、隨分無茶な原案執行があつたと云ふ御話もございましたが其の例がないとは申しませぬが、寧ろ原案執行の場合に、結局一應取消を致しましても假に特別の事情がありと致しましても、取消を致し再議に付しませぬで處置を致しましても、是は嚴密な意味での原案執行は八十三條だと思ふのでありますが、それが内務大臣の指揮を受けて參ります、指揮を受けて執行致します場合には、前年度豫算の踏襲の程度は、極めて限定された指揮を受けて執行して居るのであります、隨ひまして經過に於て相當無茶を致したものが曽てあつたと致しましても、其の結果に於ては比較的妥當な所に落著いて居ると思ふのであります、隨ひまして今後知事が横暴なことを致し、或は府縣會の意見を蹂躙致すと云ふやうなことのないことを保障致しますのは、是は政治的な力と申しますか、國民全體の地方行政に對する與論の、公正なる監視と云ふことに依りまして、保障される問題でありまして、其の問題は法律上左樣な懸念があるが故に明瞭なる害公益の場合、重大なる違法議決の場合に、之を放置して宜しい──放置と云ふと語弊がありますが、其の場合には總て議決機關の方の議決なり選擧なりに俟つの外なし、法令違反の場合も救濟の餘地なしと致しますることは、法律と致しましては不十分なのではないのであらうか、それは考へ方を全く、變へまして、此のやうな場合に知事が内務大臣の指揮を受けるのを改めまして、何か特殊なさう云ふ場合の指揮機關と云ふやうなもの、例へば特別なさう云ふ裁判を致すだけぢやなくて、特別に監督權を行使して、斯樣々々致せと云ふ指揮を致します裁判所と申しまするか、左樣なものでも設けて見ると云ふやうな工合に、切替りますれば一案でありますけれども、現在の行政體系の下に於きましては、法律的には現在の制度が、將來著しい弊害を起す法律でもないのではないであらうか、寧ろ運用に付て特段の注意を致しまするならば、適當な執行が出來て參るのであらう、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=8
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009・永江一夫
○永江委員 其の點は是れ以上は議論になりますが、私は今の大臣竝に局長の御答辯では滿足を致して居りませぬ持に地方の實態と云ひますか、地方で事實原案執行の行はれました事例を承知致して居りまする私共と致しましては、此の民主的に地方制度を改正をすることは、知事が直接に選擧せられると云ふことと同樣に、知事の原案執行と云ふやうなものがなくなると云ふことを、特に強く期待して居つた私共と致しまして、此の八十二條、八十三條が此の儘存置せられると云ふことは、不可解に思ひます、特に後段私が申しました但書の、特別に事由ありと認むると云ふが如き文を其の儘存置致しまして、而も此の印刷物に此の重要な二項を御掲載にならなかつたと云ふ點に付ても、私は惡く解釋すれば解釋する方法があるのであります、併し今は質問でありますから、私は今の御答辯に滿足しないと云ふことを申上げます
もう一つ此の印刷物の中に載つて居ない點で、同じく第八十六條に知事の専決處分に關する條項がありますが、是も載つて居りませぬ、此の改正に依りますると、府縣會は隔月に開かれ其の府縣會の開かれない時期に於ては參事會があるのでありまして、前の府縣會のやうに一年に三十日を限つて一箇月であつた、あと十一箇月縣會は開かれなかつたと云ふやうな過去の時代に於ては、此の専決處分と云ふやうなものも、私は必要があるだらうと思ひます、隔月に開かれまする府縣會を持つて居る、其の中間に參事會を置く場合に於ても、此の専決處分と云ふものが必要であると御考へになりまして、此の八十六條を其の儘御殘しになつた御方針に付て承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=9
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010・大村清一
○大村國務大臣 此の専決處分の規定は、非常な緊急を要する場合に於ける措置でありまして、普通の場合には固より此の規定を適用はして居ないのであります、例へば震災があつたと云ふやうな場合に於きまして、府縣會、府縣參事會共に開くことが出來ない、併し其の場合に應急措置をやらなければならぬ、さう云ふ急迫したる極端な場合に於ける對處法でありまして、此處にありますやうに其の専決處分を致しましたことは、直ちに次の會議に報告を致し、又それが違法或は不當の場合に於きましては、行政訴訟、それから訴願も認めて居るのでありまして、是は普通の場合に活用する規定でありませぬで、只今申しますやうな極めて稀有な、例外的な時に用ひられるものでありまして、此のやうなものはやはりなくては、さう云ふ場合に對處することが出來ませぬ、故に此の規定は緊急の場合に應ずる規定として、依然として存續する必要があると思ふのであります、又是は過去の事例に於きましても、震災等の場合に於きまして之に依つて措置したこともあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=10
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011・永江一夫
○永江委員 此の専決處分の點に於きましては、私は從來の府縣制ならば是は必要であるが、改正せられた府縣制の上に於て、専決處分と云ふものを特に設けて置かれる必要はないと思ひます、參事會を開く餘裕がないと言はれますが、さう云ふことは、或は一日を爭ふ場合もあるかも知れませぬが、併しながら専決處分として知事が地方に於て實際の行政を行ふ場合に於ては、一日を爭ふと云ふ形容詞はありますけれども、參事會に於て御相談される餘裕はあると思つて居ります、併し是も議論になりますから、是れ以上申上げませぬ更に此の條文の中に出してありませぬ第六十八條の、府縣參事會の職務權限に關する項は、從來通り御殘しになつて居るのでありますが、此の點は參事會は御承知のやうに從來の法規に依りますれば、傍聽禁止であつて、同じ府縣會議員でありましても、府縣會の參事會員以外は之に傍聽を許さない、斯う云ふやうな制度は、是は民主的でないと思ひますが、大臣はどう考へて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=11
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012・大村清一
○大村國務大臣 御尋ねになつた譯ではございませぬが、専決處分の問題であります、是は東京の大震災の時に於きまして、私はまざまざと此の事態に逢著しました經驗を持つて居るのであります、東京の大震災の時に於きましては、あの震災直後直ちに罹災民の救助をしなければならぬ爲に、豫算外の支出等をやらなければならぬことが段段あつたのでありますが、是は市會も參事會も何とか招集の方法がなかつたのであります、さう云ふやうな場合に於きまして、此の規定を缺いて居りますと、住民の爲に適切なる措置が行はれないと云ふことがあるのでありまして、實は當時に於きましては、私の記憶に依りますと、法令上なかつたのでありまして違法な措置でありますが、已むを得ず専決處分をやつたのであります、是は法律外の理と云ふことでやつたのでありまして、それ等の苦い經驗に依りまして、制度的に之を入れた沿革を持つて居ると云ふことを申添へて置きます
それから實は府縣會は會議體に依つて運營致しまして、固より公開をして傍聽を許して居るのでありますが、府縣參事會は寧ろ内輪の會議と致しまして、懇談的にやつて行つた方が、其の府縣參事會の性質、建前から言つて、寧ろ適當であらうと云ふ趣旨で、此のやうに傍聽を許さずと云ふ規定になつて居るのであります、此の參事會の性格は、今囘の改正に於きましても特に變へる必要はあるまい、寧ろ内輪の會議としての機能を發揮させた方が、事實問題として適切であらうと云ふことで、改正をしなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=12
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013・永江一夫
○永江委員 特に是は一條を設けて、七十三條に「府縣參事會の會議は傍聽を許さす」とせられて居りました爲に、從來の府縣政の運營上、參事會の祕密會議の中で少數者が決定すると云ふことが、事實色々な弊害を生んで參りましたことは、心ある者は承知して居るのであります、斯う云ふ劃期的な、而も民主的な地方制度の改正を行はうとする際、先程私が申上げました知事の原案執行權を其の儘と定めるとか、或は參事會に於ける傍聽禁止を其の儘にして置かれると云ふやうな當局の御方針は、私は妥當ではないと考へますが斯う云ふ點に付きましても、府縣參事會に於ては、少くとも府縣會議員は參事會員たらずとも之に傍聽せしめることにして、從來弊害があつたと考へられる參事會の秘密會議主義を、此の際改正をすると云ふことが民主的ではないかと思ふのであります、さう云ふ點に付きまして、原案を作成される際に、内務大臣が本案説明の時に申されたやうな御精神であるならば、斯う云ふ點にも觸れられなければならない、然るに先程來再々申上げるやうに、印刷されたものには斯う云ふ重要な面は全部拔いてあるのでありますが、斯う云ふ點に付て更に御所信を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=13
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014・大村清一
○大村國務大臣 參事會は傍聽を許さぬと云ふ建前になつて居りますのは、是は古い沿革があると思ふのであります、御承知のやうに、參事會が當初設置されました時には、是は市制、町村制に於て非常に明瞭なのでありますが、實は參事會は會議制の執行機關でありまして、現在のやうな議決機關ではなかつたのであります、其の時代に於きましては、市長が參事會の議長となつて、參事會が市政を掌理すると云ふ立場になつて居りまして、其の當時は執行機關でありますので、固より傍聽を許さぬと云ふことになつて居つたのであります、所が其の後の變選に依りまして、參事會は執行機關から議決機關の性格に變つたのであります、併し其の運營の方法は、執行機關だつた時と同じやうな傳統を維持した方が寧ろ適切だと云ふやうな所で、特に此のやうな傍聽を許さずと云ふ規定に相成つた次第でありまして、前に申しましたやうに、參事會の實際の運營の方法から見まして、傍聽を許さぬと云ふ制度は、此の際特に改めるまでもあるまいと云ふので、手を著けなかつた次第であります、尚ほ御參考に申上げますが、議院法に於きましても、常任委員會及び特別委員會は議員の外傍聽を許さず、但し議員にも傍聽を禁ずることを得と云ふやうな規定になつて居ります、併し實際の運營に於きましては、委員會は新聞記者等には事實問題として傍聽を許して居るのであります、私の考へでは、法律は此のやうになつて居りましても、時勢の進歩に依りまして、又參事會の運營方法の必要から申しまして、一般市民に公開と云ふやうなことになりますと、或は議場其の他の設備に於ても困難でございますが、新聞記者或は議員と云ふやうな人には、事實問題として傍聽を許す措置を執ることは、それが適當だと云ふことでありますれば、其の措置を執つて進んだらどうか、其の上で公開にした方が全般的に宜しいと云ふことになりましたならば、其の時に法律を變へたらどうかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=14
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015・永江一夫
○永江委員 私の申上げるのは會議が、特に參事會が、此の法規に依りましても、今度は參事會員が互選に依つて議長を選ぶのであつて、府縣知事が議長にならぬことは今御示しの通りであります、隨て其の機構が變つたのでありますから、やはり議決機關の原則は公開と云ふことが原則でなければならぬ、時には傍聽を禁止することがあると云ふ風に御直しになることの方が、原案を御作りになる時に妥當ではなかつたか、斯う考へるのであります、それを其の儘に存置せられたと云ふことは、參事會の機能を從來通りにし、而もそれを祕密會に置かれると云ふ行き方が、私はどうも妥當でないやうに思ふ、今色々仰せになりましたけれども、今まで會議が傍聽を許さずして合議體でやつたことが好いと云ふ内務大臣の御話でありますが、是は内務大臣の御經驗上からさう云ふ御話が出たものと存じます、私は地方に於きまして、十數年前に府縣會議員の末席を汚したことがありまして、其の側からの經驗から申しますと、此の祕密會が洵に不都合千萬なものであると云ふ經驗を持つて居ります、大臣が地方長官においでになりました時分は、どの府縣か存じませぬが、參事會と云ふものが爾く圓滿に行つたかも知れませぬが、私が初めて府縣會議員となり、參事會員に選擧せられまして、參事會と云ふものに出ました時は、地方長官は御出席にならずして、さうして何か議事課長とか、或は用があれば部長級が來て色々參事會に出される議案の御説明がありまして、質問應答を致しまして、さうして色々の意見がありましても、結局はまあまあと云ふことで纒めてしまつたのであります、私は參事會はこんなものか、もう是で終るのかと思つて居る内に、議事課長が知事を議場に呼んで來て、知事が、只今から參事會を開會致します、御異議はございませぬかと云つて、一分か二分で參事會と云ふ正式の會議を閉ぢてしまふと云ふ風なやり方をしまして、洵に非公開の會議と云ふものの中に、色々割切れないものを澤山拜見をしたのであります、さう云ふやうなやり方は行政官吏の立場に於ては好かつたかも分りませぬが、今後の地方自治體の運營に於ては、さう云ふ行き方であつてはならないと云ふ考へを持つて居ります、隨て此の原案を御作りになる時に、會議公開の原則であるものを、非公開の原則として之を其の儘に通さうとなさる御趣旨に付て、私は了解することが出來ませぬ、私ばかりで時間を取りますし、大體私が御尋ねしようと思ひましたことは、内務省から御配付になりました此の法律案件の中で、こちらの印刷物に載つて居ない點に付て、今日議事進行上御尋ねをした譯でありますから、之を以て私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=15
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016・中島守利
○中島委員長 町村制の第一章總則、第一款、第二款、第三款、第一條より第十條まで、以上を議題に致しまして質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=16
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017・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 只今各郡の状態を見ますと甲郡の或る町村は當然乙郡に付かなくてはならぬ、非常に出張つたやうな恰好で、而も三角洲地帶で郡としてのお附合ひが出來ないと云ふ町村も、相當ある譯であります、内務當局に於かれましては、地方事務所もどうやら廢止しないと云ふやうな御意向でありますが、斯樣な地方事務所に對する所の事務の遂行上、非常に困つて居る町村が非常にある譯であります、町村の境界の變更は此處にある譯でありますが、郡の境界變更は勿論郡制がありませぬので、如何樣なる方法を以て之をなして居るでありませうか、御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=17
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018・大村清一
○大村國務大臣 郡は是は地理的な名稱になつて居りまして、行政組織の制度の中の問題でございませぬので、郡の境界の變更と云ふことは、一寸今の所實際問題として方法はございませぬ、尚ほ或は若し郡を區域にして選擧區を作ると云ふやうなことになりまして、其の選擧區の規定と云ふやうなものを立法すれば、それは其の範圍に於て取扱が出來るものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=18
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019・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さうすれば縣會議員の選擧を郡を單位にしないと云ふことになれば、一應隣村へ合併して、例へば甲郡の甲と云ふ村が、甲郡にあることは不自然であると云ふ場合に、乙郡の丙と云ふ村と合併して、さうして一應乙郡に入つて、さうして分村をやれば宜い譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=19
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020・郡祐一
○郡政府委員 町村の併合を致しますれば、町村の分割或は併合等の措置に依りまして、御話のやうな事態の起り得る場合も或はあらうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=20
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021・小野眞次
○小野(眞)委員 第三條の町村の廢置分合又は境界變更をなさんとするとき、第一項の市町村會の決議を經て内務大臣の許可を受ける必要はないと思ひます、是は府縣知事で結構だと思ひますがどうですか、其の次の府縣の境界に渉つて市町村境界の變更ある場合、是は内務大臣が裁定するのが當然だと思ひますけれども、府縣内の町村の境界の問題は、敢て内務大臣まで許可を得なくても、府縣知事で十分だと思つて居りますが、是はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=21
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022・郡祐一
○郡政府委員 町村の區域と申しますものは、自治體の重要な基本的な要素であります、此の要素に變更を來します場合に於きまして、最高の行政官廳の許可を得ますことは、總てのものに付て許可を外してしまふと云ふならば別でありますが、國全體に對して一つの調和性を保つて參ります爲に、假令府縣内でありましても、左樣な重要事項に付ては、内務大臣の許可を要します方が穩當だと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=22
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023・小野眞次
○小野(眞)委員 在來の知事ならば兎も角でありますけれども、其の府縣の多數の有權者に依つて公選された知事が之を裁定する場合には、或る村の一部分を別の村に食つ付けると云ふ位の程度のものは、町村會の決議を經ての上でございますから、敢て内務大臣に御願ひをしないでも、公選された知事に任せることに依つて、十分效果は擧げ得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=23
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024・郡祐一
○郡政府委員 其の結果が許可事項と致しませぬが爲に、事態が當に不合理になると云ふ工合には決して考へませぬ、併しながら左樣な基本的な事項に付きましては、多くの場合許可事項にして置きましても、議決を致しまして決められた通りに相成ることと存ずるのであります、併しながら前に申しましたやうに、最も基本的な要素に付きましては、其の手續を重要に致し、又事態に依りましては、相當反省を求めなければならぬやうな場合も起り得ることがある、隨て常に許可權を保留することに依つて、事態に修正を加へようと云ふ考へでないことは勿論でありますが、許可と云ふ性質は、何時も左樣な事の輕重に依つて決める、隨て斯くの如き重要な事項に付ては、許可と云ふことが他にもあります通りに置かるべきものである、斯う云ふ風に御考へ戴いたら宜いかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=24
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025・小野眞次
○小野(眞)委員 意見の相違ですから、其の程度で置きます
其の次は此の改正案にはないのですが、現行の第五條の問題です、「町村の名稱を變更せんとするとき、村を町と爲し若は町を村と爲さむとするとき」──此の問題ですが、是は私總括質問の時に申上げましたやうに、私は今日此の町村と云ふものの區別をする必要は、全然ないと云ふ意見を持つて居ります、町と村を區別する必要が何處にあるか、全部町にしてしまつたらどうかと云ふ意見を持つ者でございまするが、假に町村と云ふ區別を置くと致しましても、町を村に、村を町にする位のことを一々府縣知事が干渉する必要は毛頭ないと思ふのであります、府縣知事の許可を經なければ、町村會の決議のみに依つて町を村にし、村を町に變更することに、どんな弊害があるかと云ふことを判定するに苦しむのでありまするが、若し今までにさうした弊害がありまするならば、此の際御指示を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=25
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026・郡祐一
○郡政府委員 御話のやうに村を町とし、町を村と致しましても法律上の扱ひに何等差違のあるものではありませぬ、唯町村と云ふものは基本的の行政上の區劃をなして居るのであります、それぞれの町村を各般の行政の手續上に關しますることに總て引用して居り、町村と云ふ名稱を引きましての告示等が極めて多いことは御承知の通りであります、それで斯樣な場合に府縣知事の許可を受けさせ、さうして府縣知事から常に關係官廳等に總て通達を致して居ります、勿論通達を致します點だけでしたら、町村會からの報告を得てやつたら宜いぢやないかと云ふ議論が出ると思ひます、併しながら事柄と致しまして、御指摘のやうに町と村を一つにしても宜いものでありませう、併しながら斯樣な名稱と云ふものをやたらに變へると云ふことは無益なことであります、沿革的に町と云ひ村と云つて居りまするならば、それを其の儘存續して置くことが宜いと思ひます、多くの場合町を村に致すと云ふことは殆どは出て參りませぬ、唯村を町に致す、何かそこが町がかつた所になりましたから町に致すと云ふやうな、當該の町村の要望がある場合があるのであります、左樣な事柄に付きまして、是もやはり程度の差はございませうが、愼重な手續を執つて、さうして何時から町とか村とか云ふ行政上の基礎が變つたと云ふことを府縣知事が命令を致して居る、隨て他の一般の行政事務に支障のない措置を講じて居ると云ふことは、事柄として妥當なことだと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=26
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027・小野眞次
○小野(眞)委員 今の御説明ははつきりしないのですが、府縣知事が或る所が町であるか、村であるかと云ふことを知ることが必要であれば、それは報告で十分だと思ひます、それ以外に町村會自體が村を町にすることを希望するに拘らず、それを府縣知事が抑制しなければならぬと云ふことは、私は色々考へて見ましたが殆どさう云ふことは起らないと思ひます、是は唯あなた方が何十年來かの誤つた慣習に囚はれて顧る餘裕がないのぢやないかと思ひますが、何かそれに弊害がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=27
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028・大村清一
○大村國務大臣 法律上に於きましては町と村の間に何等差別はございませぬが、社會通念に於きまして村と町とにはやはり差別があると思ふのであります、純然たる農山村に對しまして、町と云ふ名前を與へることは適當でないと云ふのが、社會通念であると私は思ひます、そこで町となりますれば、全部又は一部に町をなした連檐した所がある、それがないやうな時には、そこまで行つて居ないと云ふやうな社會通念上の差別があると思ふ、尚ほ又町と云ひ村と云ひ、是は個人で申しますれば氏名のやうなものであります、氏名の變更に付きましては、單に個人の自由でなく、何と申しますか、人の名前が無暗に變ると云ふことがありましては、色々の點に不便がありますから、是はそれぞれの手續を經、許可を經て氏名を變へると云ふことになつて居りますと同樣に、餘り町村の名前が町村の自由に依りまして變へられますことは、個人が氏名を無暗に變へる場合と同じやうに、適當でないと云ふやうな點が法律論以外にあることと思はれるのであります、それ等の點を考慮致しまして、やはり現制に從ひまして町村が自由勝手に變へると云ふことは、何がしかの制限を加へた方が、實際問題としては適切であらうと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=28
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029・小野眞次
○小野(眞)委員 社會通念と云ふことでございますが、御承知のやうに、此の頃町村の合併があり、或は市と村との合併がありまして、何々市と云ふ市の中ででも連檐せざる部面が相當澤山あるのでございまして、社會通念は此の頃のあの町村の合併以來、殆ど全部破壞されて居るやうに思ひます、況んや現在の實情から見ますならば、大臣の所謂社會通念に相反する現象が相當澤山出來て居るのでございまして、町であることを誇りと感ずる村民は、所謂殆ど町の形をなさざるに運動をして町になり、さう云ふことには全然關心を持たざる村民は、十分其の資格のある状態にあるのに町にして居らないと云ふやうな状態でございまして、今日は舊來の社會通念と相反すること極めて遠いものがあると思ひます、是は此の際在來の慣例に捉はれずに、あつさりと改革される方が私は適當だと思ひます、是れ以上は我々の修正に對する意見になりますので、申上げることを控へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=29
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030・中島守利
○中島委員長 御質疑は大體此の程度で終りまして、次に第二章町村會、第一款組織及選擧、第二款職務權限、以上第十一條より第五十九條までを議題にしまして質疑を續行致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=30
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031・堤隆
○堤委員 第十二條は舊法の第七條を移したものであると存じますが、從來の市町村の公民權、新法に於ては住民權であります、其の場合に於て前の財産上の問題を取除けられたと云ふことに於ける選擧權、住民權の擴張は認めますが、其の後の所謂刑餘の者に對する選擧權は現行法を踏襲して居られます、是はどう云ふやうな御考へでございませうか、それを適當と御認めになるのでせうか、或は之に對しては何とかする御考へを御持ちでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=31
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032・大村清一
○大村國務大臣 刑餘者の問題に付きましては、姑く衆議院議員の選擧法と歩調を一にして置いたのでありますが、此の問題に付きましては共通の問題として政府で再檢討をして見たいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=32
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033・堤隆
○堤委員 是は議會に於きましても、恐らく私は憲法の問題の根本的な問題だと思ひます、それで此の際考へなければならぬことは、要求は致しませぬが、今までの日本の制度は斯う云ふ權利を與へると云ふ立場にあつた、何にしても權利を與へる、選擧權を與へる、被選擧權を與へる、併し「デモクラシー」の本體は、其の人間の權利は本體的に我々は持つて居るものであると云ふ立場であります、從來日本の憲法に對する考へ方はどうかと言ひますれば、何とも言へませぬけれども、一體罪を犯して監獄に入つて、六年以上懲役に服しますと生涯選擧權もないと云ふ風なことは、餘りにも苛酷で、其の罪を憎んで其の人を憎まずと云ふにあらずして、其の罪があるが故に其の人の一生涯を憎むと云ふ立場であります、隨て此の問題に於きましては、内務省及び厚生省などは、今後一般行刑上の問題からも御考へになつて、他と睨み合はせると云ふ立場でなくして、もつと刑餘者を本當に人間にすると云ふ立場に於て御盡力下さることを、私は希望すると同時に、おやりにならなければ今度は重大なる問題として根本的に解決しなければならぬ、側の方も大分なにして來たのですから、何とか少しでもなり得る思召はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=33
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034・大村清一
○大村國務大臣 只今の御趣旨は私も全く同感でありまして、是は衆議院議員選擧法の問題としても、又刑事政策の問題としても十分に考究致しまして、今御述べのやうな趣旨に改むべきものと考へて居るのであります、是は先にも申しましたやうに、政府と致しましても、近く此の點を合理化することに致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=34
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035・堤隆
○堤委員 「デモクラシー」の所謂日本再建と云ひますが、殆ど神武天皇以來の大改革に屬しまして、刑餘の者も何處かに多少でも自分達のなにを認められたと云ふことを考へる上に於きまして、國會議員の選擧權は貰はなかつたけれども、市町村會の選擧權は貰へたと云ふ風に、少しでも望みを持たせると云ふ意味に於きまして、必ずしも國會議員と竝行しなくても、町村制だけでも、或は府縣制の方もさう云ふやうに變へて行つて宜いと考へますが、内務省は如何に御考へになるか、やはり一樣に行かうと思召しになるか、私は一歩でもさう云ふ風な考へを持たして行くと云ふことの方が宜いやうにも考へるのでありますが、如何でありますか、選擧は四年毎にあるのですから、一遍外すと四年先まで待たなければならぬ、四年間待たされると云ふことは相當苦しい問題であります、是は監獄に眞に囚人として經驗を持たない人達には考へ得らない問題であります、私は刑餘の人達に代りまして、多少でもさう云ふことが認められるならばと云ふことを、特に心の底から御願ひすると同時に、さうして行くことが本當に「デモクラシー」の政治を徹底して行く途であると云ふことを確信して居りますから、相當強い考へを持つて御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=35
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036・大村清一
○大村國務大臣 有體に申上げるのでありますが、實は地方制度の改革に付きましては、此の憲法議會に同時に御審議を仰ぐことが、私は大局から見て必要であらうと云ふ所に見當を置きまして、實は入閣致しました翌々日に、地方制度の改正案の要綱を提示致したのであります、そこで細目の點に至りますまで十分なる檢討を遂げ、其の上で出すと云ふことになりますと、其の大方針の上から延びてしまふと云ふやうなことがありまして、只今の御指摘のやうな問題に付きましては、内部で申しますと司法省の刑事政策と云ふやうなことにも關聯して居りますので、そこまで話を付けて直すと云ふのでは、實は憲法議會に地方制度を出すことが出來ないと云ふやうなことで、多少拙速でありました點があるのでありまして、外の點に於きましても其のやうな箇所が何がしか殘つて居ると思ひます、實はさう云ふやうな次第で此のやうな程度に終つて居るのであります、併し其の點に付きましては洵に御尤もな點がありますので、政府として是等の點を單に地方制度のみならず、衆議院議員選擧法等とも睨み合せて改革をしたいと思ひます、故に衆議院議員選擧法の改正も、恐らくは今度の新憲法の決定に依りまして變へなければならぬ點が段々出來て居ります、衆議院議員選擧法を此の點に付て變へると云ふやうな場合に於きましては、同時に地方制度の方も變へる案を出すと云ふことには、是非取扱ひたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=36
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037・堤隆
○堤委員 それでは御趣意は能く分りました、委員の方で能く前後睨み合せて、多少の修正をしても内務省の方も不贊成ではないと云ふ風に解釋致しまして私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=37
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038・松川昌藏
○松川委員 「十七條の二第一項を次のやうに改める。町村會議員の選擧は其の町村に於ける衆議院議員選擧人名簿及補充選擧人名簿に依り之を行ふ」とありますが、是は其の選擧人名簿だけ衆議院議員に傚つたのでありますか、實際の選擧は衆議院の制限連記制と對照致しますと、是は異つて居るのであります、衆議院議員選擧法に於きましては制限連記制を採つて居りますが、町村制其の他に於きまして之を採らなかつた理由は何處にあるか、此の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=38
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039・郡祐一
○郡政府委員 十七條の二第一項と申しますのは名簿を使ふと云ふだけの規定でございます、隨ひまして外の選擧の方法はそれぞれ各條に依る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=39
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040・松川昌藏
○松川委員 名簿ばかりでなく、地方制度に於きましては制限連記制度を採らない、そこで制限連記制度を採らなかつた理由を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=40
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041・郡祐一
○郡政府委員 制限連記制を衆議院議員選擧に採用致しましたのは、衆議院が大選擧區制を採用致しまして、人數の點に於きましても、地域の點に於きましても、極めて廣い範圍に於きまして選擧を執行することに相成つた爲めであります、之に反しまして從來に比しまして選擧區を特に訂正も致さず、且つ議員の總數に於きましても衆議院の場合よりは遙かに少く、且つ地域團體でありまするが爲に、其の土地との繋がりを十分持たせます爲に、從來單記で選擧を執行して參りました所に付きまして、何等之を改める必要がないと云ふので、制限連記制を採らなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=41
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042・松川昌藏
○松川委員 此の問題は私は選擧區の大小とか云ふ問題とは關係ないと思ひます、要しまするに、衆議院議員選擧法に於きまして制限連記制を採りましたのは、選擧權の擴張と云ふ意味から出來たんだらうと思ふ、出來るだけ多く選擧權を與へると云ふ趣旨から出來たものであらうと思ふ、改正衆議院議員選擧法に於きましては制限連記制を採つた、然るに其の制限連記制の結果に於きましては、色々な點に付て非難攻撃等もあり、將來研究を要すべき點が多々ある、然るに又一方に於きましては地方制度の選擧に於きまして、此の點がやはり問題にならねばならぬ筈でありますが、恐らくは問題になつた關係上、地方制度に於きまして制限連記制を採らずして單記制を採つたと云ふことは、是は選擧法の所謂選擧の根本觀念に於て十分なる檢討をせられた結果、ここに到達致したものであらうと私は思ふのであります、唯單に選擧區域が衆議院では大きいから連記制を採つた、地方制度の上では大したことはないから、單記制を採つたのであると云ふことになりますと、選擧と云ふものの觀念に於て、是が統一を致して居らぬやうであります、又更に進んで申しますならば、或は内務省が地方制度の選擧に於て單記制を採つて居ると云ふことは、將來衆議院議員選擧法も此のやうに變へたいと云ふ御意思の下に、觀念的にやつて居るやうにも考へ得られるのであります、さうしますれば、將來の選擧法の改正と云ふことも、今内務省に於て考へて居られると云ふのでありますが、さう云ふことを睨み合せた結果、衆議院議員選擧法は制限連記制であるけれども、町村制と云ふものはそれに反した從來の單記投票を採ると云ふのでありませうか、其の點を今一應御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=42
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043・郡祐一
○郡政府委員 制限連記制を採用致しましたのは、色々な觀點から之を採用致したのでありまして、大きい選擧區で多くの數の定數を選びまするから、其の間に選擧人の選擇の範圍を擴めると申しますか、左樣な考へ方、それから同じ黨派に屬します人を連記致すことに依つて、比例代表への若干の近付き方を致すやうなことが出來ないであらうか、斯樣な考へ方、其の外にもあるのでありますが、左樣な考へ方で制限連記制を採用致したのであります、此の結果に付ては、御指摘のやうに當初豫期致しました所と、却て違つた結果が生れて居る點もあるのであります、隨ひまして、先程も申しましたやうに、衆議院議員選擧に連記制を採りました理由と云ふものは、地方議會には其の同じ理由は當嵌らないのであります、隨て端的に申すならば、地方議會に付ては特に現行法を改正する必要を認めなかつたと云ふことであります、是が直ちに衆議院議員選擧法を單記にすることになるかと言へば、單記に致しますることは、恐らく選擧區制の問題と相竝行して考へなければ相成らぬだらうと思ふのであります、制限連記が宜いか單記が宜いか、是は重要な研究問題と致して居ります、さうして是は愼重な檢討を經なければ相成らぬと思つて居ります、隨ひまして只今の所未だ之に付ての結論と云ふものは出て居らず、貴重な資料を得て、それに依つて研究を致して居ると云ふ程度に現在ある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=43
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044・松川昌藏
○松川委員 只今の御説明に依りまして大體は了解致しましたが、併し選擧と云ふ觀點から申しますならば、總ての選擧方法と云ふものは、同一であると云ふことが好ましいのであります、衆議院議員であるから制限連記制を採る、或は町村會であるから單記制を採ると云ふことになりますると、そこに選擧に對する根本的觀念がないと云ふことになるのであります、隨て斯う云ふやうに別々に選擧の制度をなさりますると、或は只今申しましたやうに、將來に於ての衆議院議員の選擧に付ても變るのではないかと云ふやうな考へを一般國民が持たれるのであります、さう云ふ點に付てもう一言御伺ひ致しますが、將來に於て、制限連記制が宜いか、或は單記が宜いかと云ふことは、是は重大問題であります、併しながら恐らくは衆議院議員を制限連記にして、而も其の後に於て改正選擧法として打つて出ます町村制が單記であると云ふことは、どう考へても茲に研究が不十分であり、矛盾撞著を免れないのであります、斯う云ふ點に於て、將來内務省に於きまして、衆議院議員の制限連記制と云ふものは、やはり改正選擧法には其の儘で宜しいのである、さうして地方制度に於ては單記が宜しいのだ、將來ともに其の意味に於て對立して選擧と云ふものをやつて差支へないと云ふ觀點であるか、或は町村制も衆議院議員の選擧も、選擧でありましたならば──他の部分は別でありますが、選擧の方法に於て、單記であるか、連記であるか、或は一方に於て比例代表制を採り、一方に於ては單記を採ると云ふことは、私は選擧の間に於て、甚だ混亂を來すと思ふのでありますが、其の點に於て、衆議院議員選擧法と地方制度の選擧に於ける方法を合致せしむべく、將來十分御研究願ひたいと思ひますが、もう一度其の點に付ての御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=44
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045・郡祐一
○郡政府委員 各種の選擧に付きまして、或るものに付て連記を採り、或るものに付て單記を採ると云ふ例は、例へば現在の貴族院の伯子男爵議員の互選に於きましては連記制を採つて居ります、是は其の選擧の事柄の性質に依つて判斷すべきものだと思ふのであります、隨ひまして、衆議院の制限連記が絶對の眞理だとは申しませぬ、之に付ては研究致さなければならぬ部面があると思ひますが、一つの選擧が連記制を採り、一つの選擧が單記制を採ると云ふことは、是は議員の性質に依りまして、私は其のこと自身は格別支障のあることではないと思ふのであります、唯地方議會に付きましては單記制で宜しいと云ふ結論を一應持つて居ります、それから、衆議院に付て如何樣に致すかと云ふことは、或は單記制に致す方が宜しいと云ふ結論に相成るかも知れませぬ、併し現在の段階に於きまして、兩者の片方に付て連記制を採ると云ふことが、直ちに選擧の權威に關することでもないやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=45
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046・松川昌藏
○松川委員 大體了解致しましたから是で質問は打切りますが、唯郡政府委員の申しました貴族院議員の場合と是は勿論違ふのであります、是は特別の選擧でありますとか、或は農業會の選擧と云つたやうなことは如何樣になりましても構ひませぬが、少くとも普通一般の選擧に於きましては、大體此の選擧の構想は同じに進んで行くべきものであると考へまして、是だけの意見を申上げまして質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=46
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047・中島守利
○中島委員長 他に御質疑ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=47
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048・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 第四十六條の二が新たに出來まして「定例會は毎年四囘以上之を開くべし」斯う云ふことを御決めになつて居るのであります、私考へまするに、町村會としましては、定例會と申しますのは、實際に於ては豫算の定例會と、住民税の定例會の二囘であると思つて居りますが、如何樣なことに基凖を置かれて、四囘と云ふ所の定例會の數字を御考へになつたのでありますか、其の理由を御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=48
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049・郡祐一
○郡政府委員 仰せのやうに、町村に於きまして町村會を開いて審議を致さなければならぬ事柄は、絶對に町村會を開かなければならぬと云ふのは、只今の御指摘の二つ位かと思ふのであります、併しながら、それ以外に於きましても事實町村會と云ふものはやはり相當數開いて居ります、唯町村の行政の運營と云ふものが町村會と云ふ町村制に基いた會議を開いてそこで論議を重ねることが宜いのか、或は爐端で町村民が集まつて大體の方針を決めることが宜しいのか、是は考へ方の岐れる所だと思ひます、併しながら今日總ての行政と云ふものを民主的に進めて行く、且つ其のやうに住民を訓練して參ります爲には、やはり法律に基きます町村會と云ふ會議を開くことが好ましいものと思ふのであります、さう致しますると、恐らく町村會で定例會を四囘開きましたら、臨時會を開くと云ふやうな必要もないだらうと思ふのでありますが、今までの町村會の實際開會して居ります度數等を調べて見ますと、やはり最近には四五囘開いて居るのが例のやうであります、さう致しまして、假に重要な議案がありませぬでも、定例會を開いて、其の時には町村會議員は集まる、さうして特定した議題に付てでなくても、町村自治に付ての各般の意見の交換が行はれる、其のこと自體が私は値打があると思ふのであります、隨ひまして、之に伴ひまして、或は經費の點であるとか、色々な點で餘計な負擔も掛るものもありますけれども、それ以上に町村行政と云ふものを、民主的に運營して行く意味の方が強い、長所が多いであらう、斯う云ふことを判斷致しまして、年四囘の定例會を法定した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=49
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050・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 四囘以上となつて居りますので、幾囘でも定例會が開ける譯でありますが、さう致しますると、次に臨時會も招集出來る、然らば町村會の定例會に於ては定例會に付議すべき議案と臨時會に付議すべき議案との區別がある筈であります、尚又之に對しましては施行令が出ることでありませうが、召集等に於て定例會と臨時會との取扱が違ふのであるか、其の定例會と臨時會を區別すべき點に付て御示しを願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=50
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051・郡祐一
○郡政府委員 町村會の會議等に關しますることは會議規則中に規定致しますから、當該の町村で概ね何時と何時と何時とに定例會を開く、四囘開くならば開くと云ふことを町村自體が決めることに相成らうと思ふのであります、左樣致しました後は臨時會と云ふものは、決められました定例會以外に多く臨時的事項が突發致しました時に召集するものであります、隨ひまして會期の内容は定例會と臨時會と何等差別がございませぬ、多くの場合には臨時會は災害とか何とか云ふ外には付議すべき事件がない、隨て臨時會の招集は起らないと思ひます、隨ひまして召集の手續に付きましても定例會と臨時會とは區別はありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=51
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052・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さう致しますると、私は一寸合點行かぬ所がありますが、町村會は年四囘、それから府縣會は年六囘、國會は年一囘、斯樣に相成つて居る譯でありますが、町村會と云ふものは御承知のやうに、國會の如くやれ發言の權利やなんかと云ふそんな難かしいこともございませぬ、本當にとろつとした氣持でお互ひの腹藏なき意見を交換しまして、町村政に對する所の意見を鬪はして居りまするが故に、國會より囘數が少くても宜い、斯樣に實は私共考へて居るのであります、而も國の仕事と云ふものは日々變轉致しまして、いつ何時どのやうな事件が起るかも分りませぬ、斯う云ふ國會ですら一囘であるのに、なぜ町村會は四囘、府縣會は六囘と云ふやうな定例會を開會しなくてはならぬかと云ふ、立法の理念に付て御説明願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=52
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053・郡祐一
○郡政府委員 帝國議會に於きましては付議致されます議案の内容から申しましても、極めて長期間を要し、又是が議員の參集の點から申しましても、一囘を極めて長期にすると云ふことが──其の外に臨時議會の召集もございませうが、一囘で極めて長期に致しますことが、國會の性質から必要になつて參ると思ふのであります、之に反しまして地方議會は豫算が相當期間を要すると思ひますが、多くは一つの會議の會期を餘りに長く要する場合が考へられぬ、併し事柄は議會を中心にして今後運營を致して參らうと思ひますから、頻繁に起つて參る、隨ひまして府縣會に致しましても町村會に致しましても、議員の參集は比較的縣内とか町村内で、便利である、是等の點から考へまして一囘の會期は餘り長いことを期待致して居らないのでありますが、會議は頻繁に開くと云ふことに致して居るのであります、そして府縣會を隔月に致し、町村會を四囘と致しましたのは、是は概ね府縣と町村の規模から考へまして、隨て議案の分量等から考へましても、此の程度の差を設けることが適當と考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=53
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054・中島守利
○中島委員長 午後一時まで休憩致します
午後零時五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=54
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055・会議録情報2
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午後一時三十三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=55
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056・中島守利
○中島委員長 會議を開きます、午前に引續きまして質疑を許します、念の爲め申上げます、只今質疑をする範圍は町村會第十一條より五十九條までの範圍であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=56
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057・大原博夫
○大原委員 第三十四條の三に「町村會議員の選擧は町村長の選擧の期日の告示ありたるときは其の選擧の期日の經過するに至る迄の間之を行ふことを得ず」とありますが、是は同じく町村長の選擧の場合にも大體同樣な規定があるやうであります、府縣制に於ても知事と府縣會議員との間に同樣な規定があるやうであります、是は町村に於ては府縣知事乃至縣會議員、或は衆議院議員の選擧が行はれる場合に、町村會議員なり町村長選擧との關係はどう云ふ風になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=57
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058・郡祐一
○郡政府委員 色々の場合の選擧の重複の組合せが考へられるのでありますが、是等に付きましては實際の運用に於きまして、一齊に選擧の行はれまする此の秋から來春に掛けての選擧等の場合は別でありますが、然らざる場合に於きましては、今までも運用上片方の選擧を待つた例が屡屡ありますので、今までのやうな運用で參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=58
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059・大原博夫
○大原委員 さう致しますと先日から直接に御尋ねはして居つたのでありますが、解散の場合に、縣會議員の選擧は次の選擧まで三箇月の期間を置き、又町村會議員に於ても三箇月の期間を置くと云ふことは、是は甚だ長いと思ひますが、其の運用に依つて適切な方法を執られると云ふならば、此の場合之を一箇月程度に短縮されるのが當然だと思ふ、其の點に對しては御意見如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=59
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060・郡祐一
○郡政府委員 三箇月と云ふのは長過ぎるぢやないかと云ふ御話、確かに御尤もなのでございまして、解散のやうな事態が起りまして、若し三箇月たつぷり取つてしまひますならば非常にをかしい、寧ろ急速に新しいものが出來なければならない際に、空白状態が出來ると云ふことに相成りまするが、それでは之を幾月に縮めたら實際の運用上可能であるかどうか、又當該の外の競合の場合を考へませずにそれだけを考へますならば、一箇月位として何等支障はないと思ふのでありますが、今までも三箇月と云ふことで、實際他に支障がない限りは成べく早く選擧を致すやうにして參りましたので、此の際ここを何箇月にするかと云ふことに付て、はつきり自信のある結論を得られませぬ爲に、ここの部分には手を着けずに置いたと斯う云ふ状態でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=60
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061・大原博夫
○大原委員 知事や町村長は二十五日以内に選擧することになつて居りますが、斯う云ふものは一箇月で結構だと考へて居ります、又從來縣會議員の選擧等は何日にしなければ、期限が切れるのだと云ふことで、延ばされるだけ延ばしたやうな期間で選擧して居つたのが、大體習慣であります、隨て此の場合にも一箇月程度に縮めて、其の間に於て選擧等のものがありますならば、適當な方法に依つて之を導いて行かれますならば、私は一箇月と云ふ規定の方が宜いと思ふ、縣會等の場合に於ては隔月開くことになつて居るのに、之を三箇月に延ばす、又町村に於きましても三箇月の間隔は甚だ長いから、之を短縮すべしと云ふ意見を持つて居る、其の點に付ての御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=61
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062・郡祐一
○郡政府委員 茲に申して居りまする三箇月と云ふのは訓示的の規定でございまして、之に若し違背しました場合に於て、當該の選擧が無效になると云ふことはないのでありまするから、可及的縮めてしまふと云ふことも考へられるのでありまするけれども、制度上事實御話のやうに其の極限まで引張つて行くと云ふやうなことが通例になりましては、法律の豫期しない弊害が起つて參るのでありまするが、斯樣な點は指導方針に依りまして、解散がありまする場合には現行法では内務大臣が致すさうでありまするから、解散のあります期日は分つて居りまするし、其の場合に直ちに當時の状況を判斷致しまして選擧を致させると云ふことを指示致す方法がございまするから、さうでありますと三箇月として置きまして生ずる弊害と云ふのは豫想せずに濟み、法律の期間を置かなければ別でありますが、期間を置きまする場合には、現行法程度のゆとりを持たして置くと云ふことも亦便宜の點もあるのではないだらうか、此のやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=62
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063・中島守利
○中島委員長 質疑はございませぬか──なければ次に移ります
第三章町村吏員、第一款、組織選擧及任免、第二款職務權限、第四章給料及給與、第三章、第四章を通じて議題に致します、條項から言ひますと、第六十條より八十八條まで、以上を議題に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=63
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064・細田忠治郎
○細田(忠)委員 第七十九條の二に「監査委員は町村長の監督を承け町村の經營に係る事業の管理、町村の出納其の他町村の事務の執行を監査す」と、斯樣にあります、此の中「町村長の監督を承け」と云ふことでありますが、是と同じやうな條項が、市制の方にもそれぞれ地方制度の中に此の市長の監督權と云ふものは存在致して居りまするけれども、自治の執行機關の運用を嚴密に監査すべき監査機關を、市町村長に監督せしめると云ふやうなことは妥當でない、即ち是は監査の制度に照しても獨立機關たらしめる必要が十分あるのではないか、かるが故に、此の際「町村長の監督を承け」と云ふ言葉を削つて、さうして監査機關の神聖と獨立とを期したい、斯う云ふ考へを持つて居りますが、御所見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=64
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065・郡祐一
○郡政府委員 監査委員は其の性格に於て獨立的な立場から監査事務の執行を致すのでありまするが、此の場合其の性格に獨立性を持たせると申しますることは、執行機關、議決機關の外に更に別個の地位を與へる──其のやうな機關の構成も考へられることではありまするが、自治體に於ける機關は、大別致しまして執行機關と議決機關とに分けるのが適當であり、茲にも町村長の監督と書きまして、指揮監督とは書いてないのでありまして、是は御承知のやうに、事後に於て必要なる指圖を致すやうな場合はありませうが、事前に於ける指揮に當ります仕事と云ふものは、殆どすることが考へられないと思ふのであります、さうして監査委員と申しますものは、一定の資格を有しまする者の中から選任することを法律上保證を致し、又其の事務の性格上獨立の立場に立ちまするならば、町村長と監督の關係に於て結付いて居る、監査委員は町村吏員として居りまするが、其の町村吏員と云ふ身分關係に於て監督を受けますると云ふことは、何等職務の執行に妨げはないのでありまして、寧ろ議決機關、執行機關の外に、立場が宙に置かれますやうな機構を作りますことは、自治體の機關としては不適當である、是は獨立性を非常に重んじまして、各各の機關を、例へば監査委員、選擧管理委員、それぞれのものがずつと何れも獨立の立場を持つて、是が互ひに「チエック」し、「バランス」を保つと云ふ仕組も考へられるのでありまするが、内務省と致しましては、日本の自治體の發達の爲に、左樣に多くの獨立の機關を持つことは適當でないのでありまして、議會に屬する側か、或は市町村長の系統に屬する側か、機關は此の二つに整理した方が宜しいと思ふのであります、さうして其の事柄は職務の執行自體を何等拘束し、立入ると云ふやうな結果は、直ちに生ずるものではないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=65
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066・細田忠治郎
○細田(忠)委員 監査委員は一つの吏員でありまして、是は當然俸給も取るし、吏員としての待遇を受けることに相成つて居ると云ふことで、是との連繋を執つて行つて、町村の運營を圓滿ならしめる爲には何等差支へないと云ふ御論旨でありますけれども、既に斯う云ふ監査機關とか、或は監察機關と云ふやうなものは、是は町村に於きましても昔からやはり獨立性を持たして居る、一例は收入役の如き、あれは町村吏員に外ならぬのでありますけれども、收入役の事務の權限に向つては、村長と雖も容喙することの出來ぬと云ふ獨立性を持たしてあると云ふことは、あれが事務の性質上、どうしても公平嚴密であり、且又嚴密なる監督を要する會計事務を掌つて居るが爲めでありますので、此の監査機關と云ふものは、唯單に自治體の運營行政を見ると云ふ程度なら宜しいけれども、町村が町村の事業を監査し、或は其の出納の點までも監査して行かうと云ふことになつたならば、今の收入役が持つて居ります一つの獨立權以上の權を持たさなければならない、之を既に市町村長の監督下に置かしめるならば、町村と云ふ一つの自治體の從來の非常に良い習性に鑑みましても、町村長と、動もすると隷屬機關であります所の監査機關と云ふものに妥協苟合を遂げられますと、折角あります所の機關が却て惡用されてしまふ、又區内の住民と云ふものは、監査機關が監査したのだから之を認めて行かうと云ふ所に、益益公平を期すると云ふ反面に於きまして、是の濫用に向つての弊害が甚だしいと云ふことを考へるのでありますから、此の監査機關が一つの命令に依つて生まれた機關であるならばいざ知らず、やはり國民の總意に依つて選擧せられて出ました監査機關に、直ちに其の自治體の、或は市町村長の事務を監査しなければならないと云ふ場合、之に隷屬せしめると云ふことでありますならば、此の監督を受けると云ふ所に、監査機關の本當の嚴肅さと云ふものを失ふ懸念がありますので、飽くまでも是は市町村長の監督を受けないと云ふ所に、──離れて居る點に今の政府委員は異常を感ずるやうに仰せられますが、寧ろ離れて居る所に是の獨立性があつて、却て監査機關としての妙味があるのではないか知らと考へますが、此の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=66
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067・郡祐一
○郡政府委員 收入役に審査權を御話のやうに持たせて居ります、監査委員は其のやうな監査自體の執行を致しますけれども、收入役の持つて居りまする審査權のやうなものの行使は致さないのであります、何と申しまするか、監査委員が町村を代表致しまして監査を致す、是は別に町村會の方に、町村會の權限と致しまして、書面に依りまする監査を致す權限を持たして居るのであります、其の町村會の持ちまする權限までも此の監査委員が代行してしまふ、取つてしまふと云ふことは考へて居らないのであります、監査委員は何處までも町村に於きまする職員と致しまして、監査の事務を致すのであります、私は自治體に付きまして餘りに多くの機構を拵へますることは好ましいことではないと考へて居るのであります、併しながら今後事務が分化致して參りまする爲に、それぞれの役割ははつきり致して置かなければならない、併し役割をはつきりさせるからと言うて、互ひに相掣肘し、相牽制する作用と云ふものが、國に於きまして監査機構を設けますることそれ自身も、必ずしも運用は能く參らないのでありまして、會計檢査院のやうな仕事すらも、或る限定された仕事に限つて居るのであります、況んや自治體の如きに於きましては、可及的に行政の系統は簡素に致すことが望ましいと思ふのであります、それで町村會の系統に依りまする各種の監査を致させますることと、あとは町村長の系統に於きまする各種の監査を致すこと、是で十分ではないだらうか、又左樣な状態で常に相牽制致しませぬで、寧ろ町村と云ふやうな自治體は、調和を保ちながら運營されて行くと云ふ所に行政の力點、何と申しまするか、法律の重點と云ふものは置いて參りたいものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=67
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068・細田綱吉
○細田委員 成程言はれる通り、町村に於て煩瑣な機構を設けて屋上屋を重ねると云ふことは、町村の自治行政の運營上面白くない、寧ろ之を綜合的に連繋を取らせて運營する所に、町村運營の妙があるのだと云ふことを伺ひまして、是は私も同感でありまするけれどもが、既に町村内に於きましても、古くから町村制に於て弊害が生じ易い機關と云ふものは、獨立性を持たしてあると云ふことを、私は先程收入役の例を引いて申上げた譯であります、町村の經理に關係しますことを町村長の職務から離して、收入役に獨立の權限を持たしてありまする所に、收入役としての嚴正さが保たれて居りますので、此の監査機關を設けると云ふことは、是は唯單に町村の事務のみではありませぬ、或は町村の經營に關する事業が、どう云ふ風な管理をされて居るかと云ふ町村の事業の管理、或は又其の事業の盛衰又其の經過、是には祕密に借入がしてないか、或は又情實に依る所の契約をしてないだらうかと云ふやうな所までを、町村會と云ふ一つの大きな機關に代つて、此の目の屆かぬ所を小委員に依りまして監査致すのでありまするから、是は飽くまでも獨立性を持たせなければならぬと云ふことは、觀念的にも、實際的にも爭ふことの出來ぬものであると思ひます、徒らに之を解釋するならば、前に私が申上げました通り、此の事業の性質上、又町村に於きます所の純朴なる所の氣風に依つて、是が妥協苟合を持つたやうなことが出來ますると、大變な制度になつて、自治が逆效果を生ずるやうなことを憂へて居りますので、殊に是は町村の出納其の他の事務も監査致すことに相成りますならば、益益是は時に依りましては町村長と對立關係を以て事務の執行をしなければならない、絶對に町村長の隷屬下に於て仕事をしますならば、此の監査機關は不要なんだ、寧ろ或る程度に於て對立意識を持つて居ると云ふ所に此の仕事の嚴正さがありまするが、併し此の意識あるが爲に、決して町村の事務の上に於きまして、一つの確執を生ずると云ふやうな懸念は、是は町村の運營の技術の問題でありまするから、是は當然避け得られると考へて居りまするけれども、本來の性質上からしましても、此の監査機關と云ふものに向ひましては、飽くまでも當該首長の監督を受けると云ふやうなことでありますならば、監査と云ふのは全然其の效果の大半を失ふことになるので、私は敢て茲に強調致す次第でありますが、是れ以上は、見解の相違と相成つて參りますから、此の條項は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=68
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069・永江一夫
○永江委員 只今の監査委員は吏員であると云ふことになつて居りますが、さうすると府縣制、市町村制に於きまして、吏員は其の長に依つて解職をせられる、特に懲戒に依り解職せられた者は二箇年間、北海道府縣、市町村其の他之に凖ずるやうな公職に就くことが出來ぬと云ふことになつて居ります、さう致しますと議員で監査委員に選ばれて、其の人が──今の郡政府委員の御答辯に依ると、議員で監査委員に選任せられた者は吏員になる、身分が吏員になりますれば、やはり吏員として懲戒處分と云ふことを受ける場合があります、さう云ふ場合に解職せられた時には、二年間公職に就くことが出來ぬと云ふことでありますから、此の公職とはどう云ふ範圍を示して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=69
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070・郡祐一
○郡政府委員 自治體の公職、隨ひまして自治體の公吏、議員、是等のものを含むものと解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=70
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071・永江一夫
○永江委員 公吏、議員にもなれないと云ふことでありますか──さう致しますと、私の解釋では、それぞれの府縣會、或は市町村會に於て、議員が監査委員に選任せられて來る場合がありますが、やはり飽くまでも其の實體は議員であつて、監査委員は監査委員と云ふ別個の身分であると考へるのであります、然るに監査委員が吏員でありまする爲に、若し其の長から懲戒、解職をせられた場合には、議員にもなれなくなると云ふと、府縣會議員、市町村會議員に向ふ二箇年間なれないと云ふ罰則がある譯でありますが、其の點に何等矛盾はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=71
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072・郡祐一
○郡政府委員 自治體に於きまして、自治體の公務に當つて居りまする中に、吏員と議員のありますることは御承知の通りであります、さうして監査機關と云ふものを是が何れにも屬さざる一箇特別の機關、斯う云ふことに觀念致しまして、それには吏員の身分法が該當せぬで、別の身分法の下に屬せしめると云ふやうな考へ方を致すと致しましても、其の公務の執行に付きましては、やはり一種獨立のものにしたからと云つて、懲戒の規定のやうなものが働かぬと云ふことも言へないのでありまして、左樣な公務に當ります以上は、是は懲戒の關係に於きましては、吏員として置くとか、他の一種獨立のものにして置くとか云ふことを離れまして、懲戒解職に當りますやうな事態が起りました場合に、其の人の公權に付きまして、制限が加へられますることは、是は概ね已むを得ぬことであります、懲戒事犯を惹き起しましたことに對しまして左樣な制裁が付くことでありまして、其の制裁を加へずに、其の制裁を、懲戒事由があるが特免するやうな一種格別の部門を設けると云ふことは、是は理論上も適當なことではない、隨ひまして議員から選ばれました方が、吏員としての監査委員の身分を持ち、懲戒事犯に該當致しますならば、是は其の結果として公職に就きまする制限を受けますことは、是は已むを得ない、寧ろ當然のことだと考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=72
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073・永江一夫
○永江委員 私は議員であらうと、或は吏員でありませうと、凡そ國の法律に依つて罰せられて、一定の處分を受け、其の爲にそれが被選擧權なり選擧權を取られると云ふ場合のあり得ることは承知致して居ります、併しながら今囘の改正憲法其の他の條章から見まして、苟くも一般の選擧に依つて當選を致しました議員が失脚をすると云ふ場合を規定致して居りまするのは、所謂「リコール」に依つて其の一定數の有權者の要請に依つて、解職請求權を發動した場合と私は解釋致して居るのであります、然るに茲に斯う云ふ規定がありますると、更にそれ以外の場合に於ても其の議員が偶偶監査委員になつた爲に、別個の處分に依つて議員を失脚する譯になるので、向ふ二箇年間其の議員になることが出來ぬと云ふやうなことは、非常に末端の法規を以て根本を歪めるやうな氣が致すのであります、私の解釋が間違つて居れば御教へを願ひたいと思ひまするが、私は監査委員に付て別個の考へを持つて居ります、假に監査委員を置くと致しまして、之を其の半數は當該議會の議員の中から出ると云ふ原案になつて居りまするが、其の議員から出ました監査委員は、謂はば政務官のやうな者になつて居ると考へて居ります、併しながら假に政務次官或は參與官と云ふものが、時の内務大臣なり何なりの意思に觸れて解職をせられまする場合はあり得るのでありまするが、其の人が衆議院議員であると云ふ權能を同時に取り得る法規はないと私は信じて居る、私は飽くまでも政務次官になつた者が政務次官として、當該司長である内務大臣なり、或は内閣總理大臣に依つて解職され得る場合があるかも知れませぬけれども、議員たるの身分は其の儘存置されるものだと思つて居ります、然るに茲にさう云ふ一種の特例的なものがあると云ふことには、非常に疑議を持つて居りまするが、此の點を明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=73
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074・郡祐一
○郡政府委員 公職と申しまするものは自治體に於きましては、其の自治體の中で擔任致しまする一切の公職を含むこと勿論でありまして、隨ひまして御引用になりました官吏懲戒令等に依りまして官と書いてありまする場合と、是だけを制限致されまする場合と、性質を異にするのでありまして、官吏懲戒令は官吏に關して其の身分關係を言うて居りまするから、政務官が其の官吏としての面に於きまして制限を受けること勿論でありまするが、地方制度は地方制度自體の中に吏員に關しましても、議員に關しても言うて居るのでありまして、隨ひまして公職に就くことを得ずと申しますのは、之に依ります公職に就き得ない、即ち被選擧權を失ふと云ふことを此の地方制度自體が規定して居りまするが爲に、隨ひまして議員から選ばれました吏員でありましても、議員の職を失ひますることは、此の度は制度で名譽職區長がなくなりましたが、町村會議員が名譽職區長を兼ねて居りまする場合、懲戒を受けました場合に、町村會議員の職を失ふと同じ事態であると了解致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=74
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075・永江一夫
○永江委員 どうも此の點御答辯がはつきりしませぬが、もう少し私は別の角度から御尋ねして見たい、結局府縣知事、或は市長村長が吏員を監督すると云ふ明文が明かになつて居りまして、一つの考へから申しますと、執行機關である所の其の自治體の長のやることに對して議決機關は之を監督すると云ふ建前が明確になつて居るのであります、監督者が被監督者になると云ふことにも一つの疑義があると思ひます、所が此の文に依りますると議員で監査委員に選ばれて居るものは、身分が吏員になりまするから、其の長の監督を受ける、隨て懲戒處分をせられる、懲戒處分をせられた爲に、私の解釋では兼務であると考へて居る監査委員と云ふ身分の爲に、本務である所の議員に向ふ二箇年間なれぬと云ふことはどうも趣旨が違つて居る、斯う云ふ解釋であります、此の點に付てさうでないと云ふことを一つ御示し願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=75
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076・郡祐一
○郡政府委員 此の點は公職に就くことを得ずと言ひますのは、被選擧權を制限致しますことと解釋致さなければ、地方制度自體に、凡ゆる公職に付て規定し、而も公職に就くことを得ずと規定してありますることが、理論上も許されませぬことは十分御理解の行つて居ることと思ひます、議員がなぜ吏員としての懲戒を受けたら、議員の職が奪はれてしまふかと云ふことは、現在の名譽助役、名譽區長、各種の吏員を御考へ下されば自ら明瞭のことと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=76
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077・永江一夫
○永江委員 どうも其の點が私にはまだ納得が出來ませぬ、是れ以上は議論になりまするが、結局それでありますれば此の條文にありまする監査委員が吏員でない場合は、何か法規上差支がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=77
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078・郡祐一
○郡政府委員 監査委員と申しますのは、先程申しましたやうに、町村が一つの議決機關として、執行機關に對する監査權を持つて居ります、之に對しまして執行内部に於きまして其の執行機關の系統に於て監査を致しまするのが監査委員であります、斯樣な事務は自ら何れかの系統に屬せしめまして、其の職務の執行を致しますことが筋だと思ひます、之を獨立の機關に致しまして、而も何れにも屬さないと云ふやうな所の職務を執行致しますることは、却つて事柄を圓滑に遂行する所以でないと考へるのであります、執行部内に於きまする執行機關、隨ひまして是は自治體自身の自己審査的の意味合を十分に持たせると云ふこと、執行機關の部内に屬さしむべきものであると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=78
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079・永江一夫
○永江委員 只今の御答辯に依りますと、大體府縣會、市町村會と云ふ議決機關とは別個に審査をなし得る執行機關が、自ら執行機關の中に監査機關、竝に監査委員の制度を設けた、斯う云ふ御説明だと存じます、所が私は之を歴史的に見ますと、恐らく戰時中に於きまして、或は府縣會、市町村會の權限を縮小し、或る場合には之を信任せざると云ふ觀念の上で、地方自治體から凡そ反對の聲の強かつた考査役と云ふものを、昭和十八年の府縣制、市町村制改正の時に御作りになつた、是は當時内務省が強力に考査役制度を御作りになつたのであります、地方に於きましては斯樣なものは必要ならずと考へて居る者が大多數でありましたにも拘らず、當時の政情其の他から、遂に我我から見れば屋上屋を架するが如き考査役制度を強力に法文の上に現はされた、さうして今囘の改正に於て此の考査役と云ふ制度をお止めになつた、考査役の制度は恐らく今郡政府委員が御話のやうに、考査役自體は、執行機關自らが執行機關内部の事務を監査する役であつたと私は承知して居る、此の考査役に代るべきものとして、監査委員と云ふ制度を置かれ、而も其の監査委員の中の半數は議決機關から出すと云ふやうなことを明文に出されて居る以上は、餘り考査役と云ふものが評判が良くなかつた、だからそれを此の際お止めになつて、執行機關自らが執行機關内の事務の監査をする爲に、監査委員を置くと云ふ建前でありますならば、監査委員は議決機關である所の府縣會、市町村會の中から半數を出す必要はなし、飽くまでも執行機關は執行機關で別に監査機關を御作りになれば宜いと思ひます、それを半數を議決機關の議員から出すと御決めになつた理由は何處にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=79
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080・郡祐一
○郡政府委員 考査役制度が豫期致しましたやうに運用を致しませぬでしたことは仰せの通りであります、此の度の監査委員を考へましたのは、學識經驗者と云ふもの、其の事務に對しまして十分なる經驗を持つて居ります者を取入れますと同時に、議員と致しましての能力を持つて居ります者を、議員としての身分を持つて居ります者から選ぶのでありますけれども、是は議決機關の當然議員其の人を引拔くのでありますから、議決機關自身としての活動ではないのであります、議決機關の構成員の中から引拔く、斯樣に致しますことは、監査委員の制度と能率を最も高からしむると云ふ見地に外ならないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=80
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081・大村清一
○大村國務大臣 今の御話ですが、一寸横槍のやうになりますけれども、現在の制度では六十九條で「町村は委員を置くことを得」と云ふ規定があるのでありますが、此の委員は二つございます、市町村會議員から委員になる、其の委員はやはり是は第三章の町村吏員でありまして、それは百五十條に依つて懲戒を受けることがあるのでありまして、今度の監査委員に付て新しく執つたことでございませぬので、當然の建前だと私は思ふのでありますが、御參考に申上げて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=81
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082・永江一夫
○永江委員 只今内務大臣から補足的に御説明がありました點に付ても、我我は疑義を持ち、一つの意見を持つて居るのでありますが、關聯致して居りますから申上げて、御尋ね致したいと思ひます、抑抑府縣會、市町村會に委員を置くことを得、是は學識經驗者から出す、所謂府縣制條例、市町村の條例に依つて決められた委員を、學識經驗者から出すと云ふ風に改められましたのも、是れ亦戰爭中に所謂内務官僚の統制の考へで作られた法規であります、即ち今まで府縣制に依りまする委員と云ふもの、或は市町村制に於きまする委員と云ふものは、全部其の議會の議員から委員が選ばれ、さうして何か特別に會計の檢査をする必要があるとか、或は行政上不都合な點があつて、之を調査すると云ふ場合に、府縣會或は市町村會自らが委員會を作りましても權威がありませぬから、其の條例に基いた委員會を作つて、それに依つてびしびしと帳簿の檢査も行ふと云ふことが、從來やり來つて居つたのであります、それを昭和十八年の府縣制改正の時に、其の委員と云ふものは所謂府縣會議員、市町村會議員だけではいけない、學識經驗者を入れよ、或る地方の知事、或は市長になりますと、それを楯に取りまして、委員を作りましても、假に十名の委員を作る、十五名の委員を作ると云ふ場合に、殆ど全部を其の議會の議員中から選ばずして、議員外の者から殆ど之を取ると云ふやうな、反動的なことをせられた場合があるのであります、抑抑委員會の委員と云ふものは、少くとも我々の見解を以て致しまするならば、當該市町村會或は府縣會の議員中から、原則として委員を取るべきである、斯う考へて居りまして、今内務大臣の御示しの如くに委員も吏員であると云ふ見解は、私共は承服し難いのであります、是はやはり監査委員も同樣でありますし、其の他の委員に於ても、委員が吏員であると云ふ此の觀念に付ては、私共は承服することは出來ないのであります、併し茲に原案に載つて居りますから、それに關聯をして御尋ねをして居るのであります、十五名の中の十名が、學識經驗者が偶偶委員に任命された、あとの五名が其の府縣會、市町村會議員から委員に任命されるかも分らない、其の場合に府縣會或は市町村會議員が吏員であると云ふことになりますと、是と同じ結果になるのであります、さう云ふことで懲戒を受けて、二箇年間公職に就くことが、出來ないと云ふやうなことは、是は本末顛倒とは申しませぬが、筋が違つて居るではないか、隨て監査委員に於きましても、先程細田委員から御尋ねになりましたやうに、監査委員もさうでありますが、其の他の條例に依る委員と云ふものが、吏員でなければならないと云ふ、何か法律上の根擔、或は實際運營上の根擔に付て御示しを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=82
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083・大村清一
○大村國務大臣 一寸私前に途中から立つて、間違つたことを申述べたのでありますが、私は十八年法の改正を存じませぬで、只今の六十九條の委員は町村吏員であることは間違ひございませぬが、十八年法の改正に依りまして、是には懲戒を行はないやうに改正が出來て居るのであります、そこは私のが古いものですから、改正のあることを存じませぬで、間違つたことを答辯を致しましたからそれは取消します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=83
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084・永江一夫
○永江委員 今の府縣制の條例に依る各種委員竝に本法の中にある監査委員が、吏員でなければいけないと云ふ法律上の根擔、或は實際運營上非常に困ると云ふ點がありますれば、それを御示し願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=84
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085・郡祐一
○郡政府委員 執行面に屬しますものを稱して、自治體の吏員と申しますことは、是は現行法の建前から申しましても、又現行法を理解致します如何なる學説に致しましても、是は明瞭になつて居ることでありまして、一體町村の中で議員にもあらず、吏員にもあらずと云ふ者が色々存在すると云ふこと、是は議員にもあらず、吏員にもあらざる者を拵へろと言うて、法律上拵へることは出來るのであります、併しそれは恐らく、吏員と同じ形體のものでありまして、懲戒規定なども左樣な中間的のものを拵へれば、やはり働かせることは同じであります、之を執行面に屬します吏員と、議決機關を構成致します議員と、此の二者に分離することは、制度を調べますれば必然に起つて來る結果だと思ひます、隨て今までの委員に對しましても、之を區別して考へれば吏員である、是は吏員の章の中にも書いて居りまするし、前後でも吏員であると云ふことは明瞭に分るのでありますが、左樣な分離をすると云ふこと、左樣な機關を設けることは、必然の歸結だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=85
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086・永江一夫
○永江委員 此の府縣制に依る、或は市町村制に依りまする委員を置くことを得と云ふ委員は、學識經驗ある者から選任すると云ふ此の原則は、府縣制、市町村制全部に通用されて居りますが、此の委員と云ふのは、今郡政府委員が御示しの如く、必ずしもそれが、全部執行に携はる吏員とは、私は思はないのであります、一つの調査委員と云ふやうな名目に於ての委員は、從來澤山出來て居る、之を執行部にあるからさう云ふ者は吏員でなければならぬと云ふ今の御説明でありますが、條例に依る委員と云ふ者は、必ず執行面に於て執行に携はる者であると云ふ御見解でありますか、其の點を明かにして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=86
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087・郡祐一
○郡政府委員 委員と申します名目で、色々なものを置いてある例はございます、併しながら町村制に申します委員と云ふものでありますれば、是は執行面に携はります程度と云ふものは、町村長が携はります場合と、助役が携はります場合と、一般吏員が携はります場合と、委員が携はります場合と、携はる程度は違ふのでありますが、是は府縣會、町村會で委員を選んで、町村制に依らずして致します場合に、斯う云ふ名前を附ける時はあります、併しそれは別であります、町村制に言ふ委員であれば、今の面に於て執行面に觸れて居るものを稱して委員と云ふのであります、議決機關内部の委員會などとは、全然性質を異にするものだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=87
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088・永江一夫
○永江委員 私は經驗が淺い爲に、間違つた御尋ねをするかも知れませぬが、假に之を今の委員の制度を町村制と限られたのでありますが、或は大都市、或は府縣に於ける委員も、やはり府縣制七十七條に依つて選ばれた場合が多いのでありますが、さう云ふ條例に依つて出來た委員は、我々の經驗から申しましても、執行部にあつて執行權に携るものでなくして、寧ろ是は實質上は調査研究に當ると云ふことが從來は多かつたのであります、さう云ふ場合に於ても、此の條例に依つて委員を作つた場合に是が全部吏員でなければならないと云ふことは、どうも解釋に苦しむものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=88
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089・郡祐一
○郡政府委員 十八年以前に於きましては執行が主になつて居ります、十八年以後は寧ろ調査の方を主にするやうな工合に制度を改正したことは御承知の通りであります、さう致しまして調査に當りますことそれ自身は、やはり執行と云ふ一面だと言つて差支へないのであります、仕事の幅は非常に違ひます、併し議決機關と執行機關と相對立して考へまして、一定の數のもので構成致しました議決機關の活動と、執行面の活動と、此の二者に分類致しまする時には、是は吏員の中でも専ら調査に當つて居る吏員もあるので、調査であるからと言つて、是は吏員ぢやないのだと云ふ結論は出て參らないと思ふのであります、唯當該の府縣會や市町村會の中で、寧ろ其の議會の一部分としての委員會に當るものを委員と稱したり致します時には、そこに混同が起りますが、調査の職責に當る委員を吏員と云ふのは今までの所謂執行部と何等矛盾することはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=89
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090・永江一夫
○永江委員 どうも此の點ははつきりしませぬ、唯私が當初に申上げましたやうに、今次の改正法の中に監査委員と云ふ名前が偶偶出まして、是が府縣制の七十七條に依る委員に關聯して、是等のものが全部吏員と云ふ名前を冠せられて居る所に、私の質疑が發して居るのであります、今御説明の範圍に於きましては、執行面に於ける委員は吏員でなければ困る、其の點は分るのでありますが、どれだけの範圍が執行面であるか、決議機關であるかと云ふ面の解釋に付きましては非常な差異があると信じます、仍て今當局の御説明がありました點だけを參考として考へましても、此の委員にしても、監査委員にしても、是が吏員でなければならぬと云ふ點に付ては私は不滿足でありますが、是れ以上は時間を取りますから止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=90
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091・小野眞次
○小野(眞)委員 私は居眠りをして居て先に質問をするのを忘れたのですが、それは後で御尋ねさせて戴きます、第五十七條の二項の書記は、町村長の同意を得て議長之を定むとありますが、地方自治制に政黨政治が侵入した後のことを考へますと、町村長の同意が得られざる場合を想定する必要はないかと思ふのですが、御當局の御意見はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=91
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092・郡祐一
○郡政府委員 同意を要件と致して居るのでありますから、同意を得られない場合があると云ふことは想像されると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=92
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093・小野眞次
○小野(眞)委員 さうすると、同意の得られざる場合に、それの救濟方法としての措置を講ずる規定はないのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=93
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094・郡祐一
○郡政府委員 町村會の書記を町村吏員の中から選びますることは、其の書記の身分を安定させると云ふ他の理由も一つあるのであります、さう致しまして、是は身分關係に於きまして書記としての繋りを持ちますものを選ぶ、さうしてそれは吏員の中から選ぶ、其の場合に於きまして豫め町村長との連絡を十分付けまして、書記の選任を致すと云ふことは、當然法律上必要だと思ひます、併しそれは何處までも町村制に云ふ吏員であります、其の吏員を書記と決める場合に、町村長との連絡があるべきことであります、隨ひまして同意を得られない場合に、町村吏員を議長が決めてしまふと云ふことは、是は觀念上考へられないことでありまして、町村長が同意をしませぬでも、町村吏員の中から適當に引拔いて書記にしてしまふと云ふことでは、却つて事柄がをかしいことになると思ふのであります、同意を得らるべきものに付て十分相談を致して、適當な書記を選ぶことにすべきであると思ひます、是は何と申しますか、政治的の運營に依りまして解決し得ることだと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=94
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095・小野眞次
○小野(眞)委員 それで私は先程尋ねたのですが、實際問題として町村長の同意が得られない場合が想定し得るとすると、其の場合はどう云ふことになつたら宜いのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=95
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096・郡祐一
○郡政府委員 別な人間を選びまして書記にすることになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=96
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097・小野眞次
○小野(眞)委員 町村長との對立の場合に一切のものの承認を與へざる場合も考へ得ると思ふのですが、其の場合はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=97
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098・郡祐一
○郡政府委員 町村會は吏員の中から書記を置くと云ふ規定があり、而も何れの吏員に付ても之を拒否すると云ふ町村長が現はれたと致します、左樣な場合に付きましては、上級監督の立場に立つたものに於きまして、監督權の發動で町村長の非違を改めさせると云ふことでありまして、何處までも同意を得ないで、而も町村吏員の書記を議長が拵へてしまふと云ふことは許されないことだと思ひます、隨ひましてさう云ふ場合は如何樣にも知事から監督を致しまして、あの議長には書記を付けたくないから吏員を出さないのだと云ふことでありますれば、是は町村長の重大なる過失であり、隨て之に對して適當な處分がなされることだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=98
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099・小野眞次
○小野(眞)委員 其の點それで了承致しました、其の次に第六十三條ですが、助役は町村會の同意を得て町村長之を選任すとあります、前の場合も同じく同意のやうでございますが、是は町村長一人の人間の同意でありますか、助役を選定する場合に町村會と云ふ複數──人數から言ふと複數なんですが、此の意味の町村會の同意とは、實際問題としてどうした形式を執ることを意味するか、決議を必要としないと云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=99
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100・郡祐一
○郡政府委員 是は町村會自體の同意であり、隨て實質は町村會に於ける議決と御考へ戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=100
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101・小野眞次
○小野(眞)委員 さうすると、町村會の同意を得てと書く代りに、町村會の決議を經てと書いたのと全然同一でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=101
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102・郡祐一
○郡政府委員 事柄の中味は、分類致しますれば、用語で言へば議決であります、併し人を選びまして、それを町村長が任命致すのでありまするから、斯樣に人を選びます場合等に付きましては、同意と云ふ言葉を使ひますのが普通の用例だと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=102
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103・小野眞次
○小野(眞)委員 其の次は第六十四條の五項ですが「監査委員は町村長町村會の同意を得て町村會議員及學識經驗ある者の中より各一人を選任すべし」之に付て私はずつと前から委員會で聽いて居りますが、私と意見は全然違ふのであります、私は町村會が一應檢査する權限を持つ限り、町村會議員から監査委員を置く必要を感じないのであります、町村會議員は監査委員にならないとも、町村會議員本來の性質に依つて、それを檢査監督することが出來るのであつて、監査、檢査、監督と文字は違ひますが、實質的には私の經驗上違ひはないと思ふ、隨ひまして町村會に議員から特に監査委員を置くと云ふことは、先程どなたからか質問がありましたやうな問題が起るのであつて、町村會議員は町村會議員の立場から檢査或は監督を行ひ、學識經驗あるものから監査委員を選定すると云ふことが當然ではないかと思ひますが、御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=103
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104・郡祐一
○郡政府委員 是は御話の如く監査委員と云ふものを特に設けます場合に、専門的と申しまするか、専門的と云ふ言葉には語弊があるのでございますが、それに相應しい學識經驗を持つて居るものから選ぶと云ふことが一つの大きい狙ひであります、併しながら同時に又町村會議員と申しまする經歴を持つた人々が議決機關を構成することに依つて、其の町村行政と云ふことには廣い意味の經驗を持ち識見を持つて居られるのでありますから、さう云ふ面の力を採り入れると云ふこと、専門的な人と、それから今までさう云ふ經驗で鍛へられて來た人と、之を組合せますと云ふことが、一番效果を十分出す所以ではないか、何と申しますか、町村會の審査機能ではありませぬで、其の町村會議員であります人間に専屬致して居ります能力、之を活用致したい、斯う云ふ兩者を合せることが、事柄としては何處までも望ましいのぢやないかと云ふ考へ方で人々を選ぶことにして居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=104
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105・小野眞次
○小野(眞)委員 御説明のやうな必要も感ぜられるのでありますが、町村には御承知のやうに町村會議員を經驗したものが澤山存在致しまして、敢て其の町村會議員をやつた知識を必要とすると云ふのでありますならば、必ずしも現職の町村會議員を必要としないのであります、是はもう實際必要としないのであります、斯うした狹い意味の限定した規定を拵へて置くと云ふことよりも、廣範圍な規定を拵へて、其の時に適當な方法を執れば町村會議員も差支へない譯でありますから、議員から選出すると云ふことも差支へないと云ふ程度に規定を拵へて置く方が、融通が付いて效果的でないかと思ひますが、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=105
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106・郡祐一
○郡政府委員 現在運用致して居りまする委員制が、御指摘のやうな工合で動いて居るのでありますが、現實に今までの委員よりは、もつと仕事の分量が多く監査委員に働いて貰ふと致しますると、それは曽て町村會議員として經驗を持つて居つたと云ふことよりも、もう少し現在の町村行政に密著した人物を選ぶ方がより適切であらう、併し多くの狙ひと申しますことは、御話の中にもございましたやうに、寧ろ學識經驗的なものに一つの狙ひがあると云ふことは言へるだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=106
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107・小野眞次
○小野(眞)委員 それから先は意見の相違でございますから、其の程度に致します
其の次は是は改正案にはないのですが、現行法の第七十四條の但書以下、是は府縣制の場合先程どなたからか申されましたやうに「特別事由ありと認むるときは町村長は議決に付ては之を再議に付せずして直に府縣知事の裁決を請ふことを得」と、私は是は洵に官僚的な、獨裁的に過ぎる案だと思ひますが、是も修正する必要があるのではないかと思ひます、是等に付きましては、府縣制の場合に相當論議が盡されて居りますので、唯さうした意見を持つて居ると云ふことだけを此處で申上げて置きます
それから第七十二條の二ですが、是は文字の問題で私は分らないのですが、第七十二條の二に「町村會議員の選擧權を有する者の總數の五十分の一以上の連署を以て其の代表者より町村長に對し町村條例、又は町村會の議決を經べき町村規則の制定の請求ありたるときは町村長は二十日以内に町村會を招集し意見を附して之に原案を付議すべし」原案が問題であります、其の次の前項の場合に於ては町村長は原案の趣旨に反せずと認むる範圍内に於て之を修正して町村會に付議することを得」そこにも原案とあります、其の次に「町村長は町村會の要求あるときは第一項の代表者又は其の代理者をして會議に出席し原案の説明を爲さしむることを得」とありますが、此の原案と云ふものは何人が拵へた文章を原案と云ふのか、詰り五十分の一の人が持つて來た案、其のものが直ちに原案をなすのであるか、私は町村會に出す原案と云ふものは、町村長が拵へたものを以て原案と考へて居つたのでございますが、原案の趣意に反すると云ふ、同じ文章の中に此の原案がある所を見ますと、五十分の一の人が要求する爲に持つて來た文書其のものが、即町村會の原案をなすやうにも解釋出來るのでありますが、どう解釋するのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=107
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108・郡祐一
○郡政府委員 町村會に議案が付議されます場合には、概ね町村長が發案を致します、其の外に議員の發議に依ります場合には議員が議案を作成致します、さうして此の場合には住民の發案の制定の請求が認められて居りますから、住民が請求の際に持つて參りますものを原案と稱するのでありまして、唯是が形式的の過失等が、或る場合には斯う云ふ請求の際にはあらうと思ひますので、趣旨に反しない限り町村長が之を修正して付議致す、斯う云ふことに致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=108
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109・小野眞次
○小野(眞)委員 其の次は七十四條の三であります、「町村會に於て町村長不信任の議決を爲したるときは町村長は内務大臣に對し町村會の解散を請求することを得」此の場合に府縣會が府縣知事の不信任を決議した場合も、解散は内務大臣の權限に屬して居る、町村會の場合にも是亦内務大臣に權限を與へると云ふことでなしに、町村會の不信任決議をした場合には、之を府縣知事に解散權を與へることが相應はしいのではないかと思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=109
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110・郡祐一
○郡政府委員 解散と申しますものは、當該の決議機關の構成を解消致すものでありまして、是は事柄として極めて重大でありますのと同時に、全國的に或る程度廣い視野で判斷されなければならない場合が多いのであります、今までの解散事由等に付ても、左樣な點の痛感される場合が多々あるのであります、丁度國會の解散が事實總理大臣の奏請に依つて行はれるものでありますけれども、天皇に屬して居りますやうに、是は廣い全體を見ました立場に於て決定致すことが必要であると云ふことで、今までも内務大臣が解散を致すやうに相成つて居ります、其のやうな意味合に於きまして、請求の場合も、對象は内務大臣として居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=110
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111・小野眞次
○小野(眞)委員 是は私は重大な問題だと思ふのですが、今までの府縣知事は官吏でありましたし、是はどうでも宜かつたのですが、是からの府縣知事は公選された知事でございまして、官吏になるか公吏であるかは別と致しまして、兎に角其の府縣の住民の絶對信任を帶びて現はれて來た知事であります、隨て官吏である内務大臣に此の權限を持たすことが時勢の本旨に適ふか、公選された──此の間中の大臣の説明に依りますと、民主性に富んだ其の長官に、府縣知事に權限を與へるかと申しますと、私は何れの町村會に於きましても、府縣知事に依つて解散を命ぜられる方が、寧ろ喜んで之を受け得ると云ふ感じを持つのぢやないか、斯う云つた氣持を持つて居ります、内務大臣であると云ふことが今までの府縣知事に比較しまして適當であるかも知れませぬが、繰返して申しまするが、知事の場合は、内務大臣よりももつとさうしたものを廣範圍に任して差支へないのぢやないかと思ひますが如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=111
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112・郡祐一
○郡政府委員 知事が今までよりも廣範圍に色々な權限を持つべきである點に付きましては、御話の通りだと思ひます、唯解散と云ふやうな、申さば自治體に於きまする相對する二つの根本的な機關の中一つを、其の存在を失はしめるものでありますから、事柄の重要性と云ふものは、自治制の上で最も重要なものと思ふのであります、之を上級の──成程現行法で行きますれば上級官廳でありますが、府縣知事に解散權を渡したらどうかと仰しやる意味は、是は恐らく自治體の長としての府縣知事を言はれるのではありませぬで、何處までも官廳であらうと思ひます、上の方の自治體が下の自治體を解散させると云ふことは考へられないのでありますから、御指摘の府縣知事にさせろと云ふことは、官廳である知事にさせろと云ふ御考へと思ふのでありますが、是は上級の官廳と云ふ考へ方よりも、寧ろ國自體が決定致し、國自體が此の解散と云ふ處分を致すと云ふやうな、其の程度にまで重要に考へなければ相成らぬものであり、隨て町村長から内務大臣に申出ると云ふのが、手續として最も愼重な手續でないだらうか、斯樣に考へられる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=112
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113・小野眞次
○小野(眞)委員 それは又別の機會に意見を申上げます、それから、是は意見だけ申上げて置きますが、先程第七十九條の二の「監督委員は町村長の監督を承け」と云ふ文字を削ると云ふ意見がございました、狹い經驗からではございますが、私の見た範圍に於きましては、府縣と違ひまして町村に於て色々の事件が突發すると云ふこと、即ち監督しなければならない必要が起ると云ふことは、殆ど全部が町村長のした行ひに對してであります、町村長以外の者の行つた行爲に對しましては、町村長が儼として存在致しまして、十分なる監督をなし得るのであります、無論今迄でございましたら名譽職の町村長が居りまして、殆ど役場に出勤しないと云ふ者も居りましたが、是からはさうした者は拂拭されまして、町村長の全部が役場に出勤して、朝から晩まで仕事をする譯であります、隨て他の人が色々のことを行ふと云ふことに對しましては、町村長自身が之を責任を以て監督し得るのであります、町村に於きまして斯うした監査委員の必要の生ずると云ふことは、悉くそれは町村長の方に對して監督する必要があるのである、恐らく私は、段々町村長の權限が擴張されるに從ひまして、此の點を特に嚴重にせざれば、折角の自治制が滅茶々々になる虞があると思ふのであります、監査委員制度を設けると云ふことには滿腔の贊意を表するものでありますが、それだけに、其の監査委員が今囘是非必要であると云ふことそれ自體が雄辯に物語るやうに、監査は町村長の監督を受けてやつたのでは、全く無價値なものになると云ふことだけを申上げて置きます、隋て私は第五項の「町村長は監査委員をして監査の結果を町村會に報告せしむべし」と云ふ斯う云つたものも、町村長が町村會に報告を命じなかつた場合にはどうするかと云つたやうな心配もございますので、是は監査委員は監査の結果を直ちに町村會に報告すべしと云つたやうに改むべきであると思ひますが、此の點は先程から論ぜられましたので、是れ以上申上げませぬ、以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=113
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114・細田綱吉
○細田委員 小野君の申された第七十四條の三の規定でございますが、町村に於ての一つの重要機關である對立機關を失ふことはいかぬから、さう云ふやうな場合には、内務大臣が解散決定權を持つのであると云ふ政府委員の御答辯がございました、それは非常に結構でございますが、無慮一萬に近い町村が、町村會に於ての町村長の不信任の場合に内務大臣にまで申出ると云ふやうなことは、是は私は見方に依つては非常に煩瑣に堪へないものが生じて來はせぬか知らんと思ふ、將又内務大臣が東京に居りまして、さうして地方の事情に御精通になると云ふことも、是も唯書面審理に依つてそれを決定されると云ふことであつて、又之を地方から一々出て行つて、さうして地方の知事にそれ等の事情を取調べさせると云ふことでございましたら、寧ろ今小野君の申されました内務大臣の解散請求に對する決定權を知事に持たせるべきだと云ふ有力な説が一つと、私は更に別の觀點から見まして、勿論自治は地區内に於き處理するのが自治なんだ、地區内に於て町村長と町村會が確執を生じまして、遂に不信任を突付けると云ふやうな場合は、是は宜しく町村長に依つて處理せしめるのが、是が自治の本體なんだ、其の時まで行つて尚ほ知事とか大臣の干渉まで受けると云ふことは、是は自治の甚だ悲しむべき一つの現象でございますので、是は飽くまでも此の條項に對しまして、町村會に於て町村長不信任の決議をなしたる時は、町村長が直ちに町村會を解散して、さうして更に不信任の決議があつた時には、今度は町村長が退職を要すると、斯う云ふ明文に致します方が遙かに進歩的であつて、是が餘程自治的であらうと考へて居ります、又其の町村が、町村會と町村長とが不和を生じた場合の決定權を内務大臣に持つて貰つて、さうして一々それを裁決して貰ふと云ふやうなことは、是は自治の進歩だ、斯くの如きことは、是は不用意の問にすらすらと通つたことであらうと思ひまするけれども、町村から見ますると甚だ不名譽な規定である斯くの如きことは先程申上げました通り、町村會に於て町村長の不信任決議のあつた場合は、町村長が直ちに其の町村會を解散して、さうして更に不信任を決定した場合は退職すると云ふ方が、餘程明朗でもありまするし、又斯くあるべきが此の自治體に於ける所の本體であらうと考へて居りますので、左樣な風に私は此の條文の訂正を希望致します、それと關聯しまして此の七十二條の「リコール」の問題でありまするが、是等も一體此の「リコール」の請求權を五分の一と云ふ所に置かれると云ふことも、是は惡いことでございまして、總ての一定數以上の選擧民の、正當なる資格者が致しまする所の市町村長、或は市町村會議員だとか、又選擧管理委員だとか、監査委員、或は助役とか收入役と云ふ者の解職又市町村會の解散に關する請求權の行使と云ふものは、有權者の總數の二分の一以上の連署を以てしたら宜いのぢやないかと思ふ、私の意見としましては是は從來の選擧と違ひまして、地區内の大多數の選擧民の輿望を負うて出ます所の皆名譽的の職である、從來の如く村長とか村會議員は、所に依つては十二名の過半數に依つて當選するとか、或は十八名に依つて當選する、或は二十四名に依つて當選するとか、さう云ふ風な少數の選擧でありまするならば、それは相當變つた人も出るかも知れませぬけれども、既に直接選擧に愬へて、區民全體の選擧に致されましたならば、其の公務員でありまする人とか、自治機關と云ふものは任期中に輕々に改選すべきものではない、さう云ふ風な團體の團體權の行使を、地區内の二分の一の同意者を以てやつて行く位の重要性を持たして置きまするならば、總て輿望を負うて出た人でありまするから、斯う云ふことは勝手に起るべきことではない、少數なる意見を以て大勢を覆へすやうな制度が存在しまするならば、直ちに此の人の權利行使の濫用と云ふことが出て參る、其の度に又人民投票に問ふとか、或は一々之を府縣知事に及ぼすとか、内務大臣に及ぼすと云ふことになりまするので、寧ろさう云ふことを防止する上に於きまして、既に非常に公開的に選擧しまして、さうして得ました所の公務員なり、一つの自治機關と云ふものは、度度之を改廢すると云ふことはあり得べからざることでございまするので、斯う云ふ權利行使に向つては、飽くまでも私は二分の一位の多數の意見が纒まらなければ、此の權利の行使をしてはいけないと云ふ、權利行使の濫用防止を私は切に希望する譯であります、さうして今申しまする通り、其の請求がありまするならば、市町村長は全選擧民に對しまして投票を行つて、さうして自己の進退を明確にする、斯う云ふ風な新しい、又最も明朗なる所の公務員の進退を明かにする方法に改める法が宜いのではないか、他の干渉を受けぬと云ふのが自治の本来の使命でありますし、自治の自治らしい存立があると考へますので、此の意味に付きまして、重ねて當局の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=114
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115・郡祐一
○郡政府委員 御話のありました點は多分百四十五條だと思ふのであります、百四十五條の解職請求の五分の一の問題でありまするが、御意見のやうに確かにはつきりと當該の責任を負ふべき者の立場を明かにすると云ふ意味合で、多數を要求致しますることも是は十分なる意味のあることだと思ふのでありますが、何と申しまするか、民主主義發達の只今の段階に於きまして、さうしてそれぞれが責任を持ちます立場と云ふのは是はさうありたいことと思ひまするが、同時に又我が國に於きます自治體の内部と云ふものは、可及的調和を保つて行くと云ふ状態に置かるべきものでありまして、一旦選擧に依つて出て參りました者が、其の解職等の場合に、著しく多くの數を要求致しますることは、事柄それ自體に依つて決まつてしまふのであります、寧ろ解職請求と云ふものは、其の存在を不適當或は解職した方がより望ましいと考へられる者に事由を示しまして反省を促す、さうして更に色々な材料を集めまして監督官廳が之を判斷致す、隨ひまして是は解職を請求されました者は、著しく不名譽な立場に置かれるとか云ふやうなことではなくて、寧ろ左樣な審査を致します一つの動機を作ると云ふやうな考へ方が、今まで恐らく監督官廳自らが、或は責任者である町村長自らが、反省致しますやうな場合に起つて居つたのでありますが、是は常に監視をし注意をして、其の行政振りを見て居る者に發言する機會を與へるものであつて、之に對して決定的な力を與へてしまふと云ふことは、私は必ずしも望ましいのではないだらう、是は非常に徹底致しまするならば、解職は總て「リコール」に依ると云ふやうな制度も成立つと思ひますけれども、今日の段階に於きましては、色々の判斷を下す立場を、一つ町村民自體にも與へると云ふ程度が宜しいのではないだらうか、斯樣な考へ方が解職請求の五分の一と致しました理由になつて居るのであります、隨ひまして見方に依りましては是では不徹底だと云ふ見方もあらうと思ふのであります、併しながら一方左樣な方向に道を開いて行くこと、合法的に左樣な道を設けると云ふこと自身が、私は今後の町村行政と云ふものを却て安定させる所以になるのではないだらうか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=115
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116・細田綱吉
○細田委員 「リコール」の問題は百四十五條に關聯しますが、總て區民の意思表示が僅かの數を以てやられると云ふことは、却て弊害があると云ふ所に私の質問の重點があつたと云ふことを御諒承願つて置きたいのであります、隨ひまして此の七十四條の三の不信任の場合に付きましても、何れ是は委員會で相當御修正があるものと確信致して居りますが、要するに今囘の此の改正の眼目は、常に政府當局が言明されて居りまする通りに、民主主義に基く所の地方自治の明朗と、地方的に總ての監督權の大幅委讓と自治の自主性、自律性に依つて立たしめると云ふことが根本にありますならば、七十四條の三はあるべきものぢやなくして、其の意味に於きまして官僚臭が非常に臭ふのであります、斯う云ふ所は委員各位にも御考へ願つて、飽くまでも改正の趣旨に則つて御改正を御願ひ致したいと云ふこと、それからやはり區内は區内に於て處理する意味に於きまして、人民投票と云ふことを主張致して居りますのは、全國の町村長會の決議を見ましても、さう云ふ風な希望がありますので、飽くまでも區民全體の投票に依つて得ました所のものは、區民全體の意思に依つて覆へされるより外に覆へす動機があるべきものでない、今政府委員も一應之を監督し、制御して行く一つの「ブレーキ」的の存在として之を取扱つて居るやうな風に仰しやつたやうな印象が致しましたが、さう云ふ風な區内に出來ましたことは區内に於て處理すると云ふ意味からしますと、此の法文に於きましても改正しなければならぬやうな「ポイント」が澤山あります、七十四條の二も其の意味に於て御取扱をして戴きたいと云ふことを強調致しまして質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=116
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117・小野眞次
○小野(眞)委員 第七十四條の三、是は昨日も問題になつたのでありますが、此の條文を此の儘生かすとして「町村會に於て町村長不信任の議決を爲したるときは町村長は内務大臣に對し町村會の解散を請求することを得」不信任の決議を受けても、町村長が町村會の解散の請求をしなかつた場合は、不信任の決議を受けた儘で町村長として安全とし得ると云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=117
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118・郡祐一
○郡政府委員 法律の上では解散を請求することを得ることになつて居りますが、斯樣な場合に、解散の請求をせずに放つて置くと云ふことは、政治の徳義上或は運用上、町村長が直ちに退職を致す意思を以て解散の請求を致さずに居りますやうな場合に、左樣なことがあるかと思ひますが、不信任の議決を握り潰しにしてしまふと云ふことは、法律の條文が請求することを得ると云ふことになつて居るから、實際の運用上あり得ないことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=118
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119・小野眞次
○小野(眞)委員 實際は澤山あり得ることなんです、それをあなた方知らないのだ、そんなやつに掛かると法律が保護するのですから仕樣がないと云ふことになるのですが、若しあなたの言ふやうに、政治的に解決し得ると云ふことになりますならば、其の第二項も不必要だと云ふことになる、第二項の場合に町村長辭職することを要すると云ふ規定が法律上必要とするならば、第一項の場合にもやはりさうしたものを考へる必要があると思ふ、私は是は町村會の解散を請求すべしとでもして置かなければ、或はもつと何か方法を考へなければ、實際問題として收拾なし得ざる場面の到來すると云ふことを申上げたい
其の次にもう一つあります、監査委員の問題ですが、監査委員が二名と云ふことになつて居りますが、町村長が監査委員に監督を命ずる場合に、二名に對して命ずるのか、或は其の中の適當と思ふ一名にだけ命じ得るのか、「一囘以上期日を定めて前項の規定に依る監査を爲さしむべし」とありますが、其の命ずる場合に、二名に對してなすのか、一名にだけであるのか、若し二名に對して必ずなさなければならぬと云ふことになれば、第七十九條の二の五項ですが、「町村長は監査委員をして監査の結果を町村會に報告せしむべし」と云ふことがある、監査の結果が、二名の委員に依つて意見の相違を來すことが非常に澤山存在する、其の場合の取扱をどうするかと云ふことに付きまして説明を御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=119
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120・郡祐一
○郡政府委員 監査委員は其の選任の基礎を議員の側と學識經驗者との二つに分けて居ります、此の二つに分けた考へ方と云ふのは、兩者の力を協はせて妥當なる結果を持たうと云ふのでありますから、二名が一緒になりまして監査を致すことを一番法律は期待して居る譯であります、法律の文の解釋は二名に必ず同時に致せと云ふことは要求を致して居りませぬ、隨ひましてより適當な一名の者に命ずると云ふこともあり得ようと思つて居ります、それから監査委員の意見の異りました場合に於きましては、監査委員が町村は二名になつて居り、他の府縣等は多くなつて居りますが、是等の場合は主たる報告と云ふものは會議の上で作られることが望ましいと思つて居りますが、之に對しまして少數意見のある場合、是等のものも今後は住民に公示されるやうな場合には、併せて公示されることが望ましいし、さう云ふ工合に指導したいと思ひます、隨て二名の場合、二人が全然對立しました意見がありました場合には、對立した意見として發表されるか、或は兩者の意見を統一致しまして發表致しますか、それは監査委員に任して差支へないことだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=120
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121・松川昌藏
○松川委員 今の七十四條の三に關聯したことでありますが、今政府委員の説明に依りますと、不信任案を議決して、さうして内務大臣に對する解散を請求しない譯には行かぬ、斯う云ふ風に説明されて居ります、併し從來の町村會の對立等に於きまして、町村會で不信任を議決致しましても、殆ど町村當局は頬被りで通した例が澤山あります、又此の條文の例から見ましても、是は監督權の作用で内務省に於ては罷めよと云ふ譯には行かぬと思ふ、明かに條文は「町村會に於て町村長不信任の議決を爲したるときは町村長は内務大臣に對し町村會の解散を請求することを得」とあるので、請求しようとしまいと是は勝手だ、之を憲法の六十五條と對照致しますと、「内閣は、衆議院で不信任の決議を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、總辭職をしなければならない。」とあります、不信任案の議決があれば解散をするか總辭職をするか、二途其の一を必ず選ばなければならぬ、是は憲法の六十五條にはつきりと規定して居る、此の規定と町村制の七十四條の三と對照して見ると、茲に非常な疑問があるのであります、此の點は色々内務省は監督權の作用と云ふことを仰せになつて居りますが、凡そ自治體の喧嘩に付て監督權の作用程、自治體を混亂に導くものはない、恐らくは不信任の決議がありまして兩派が對立した對合には、兩派ともに縣に陳情する、或は内務省に陳情する、所が縣とか内務省に於ては、結局どうにもならぬ、まあまあ聽き置くと云ふ程度でお茶を濁すことが多いのであります、斯う云ふ點に於て私は七十四條の三は、憲法の規定と對照して全く不合理であり、不徹底な規定だと思ふのであります、それからもう一點之に關聯しまして、七十四條の三の規定の最後に「前二項の議決に付ては議員數の三分の二以上出席し其の三分の二以上の同意あることを要す」是は前にも一寸質問しましたが、衆議院の不信任の議決でも、或は町村會の議決機關の意思表示の上でも、凡そ過半數と云ふものが意思表示の原則になつて居るのであります、過半數であるべきものを三分の二以上にしなければならぬ理由は何處にあるか、不信任の議決であつても過半數で出來るのではないか、三分の二にしなければならぬ理由が何處にあるか、過半數ではなぜ出來ないか、要しまするに、町村と町村會議員と云ふものは、兩方町村民の意思を代表する代理機關でありますが、それ等のものが政治上の爭ひをして對立するのであります、對立します場合に、是が善いか惡いか決める場合は、やはり議決法に依つて決まるのであります、三分の二以上の不信任で議決をして、さうして解散後又新しい町村會が出て、又三分の二以上の議決で不信任案を議決しなければ、町村長を罷めさせられないと云ふことは、民主主義の原則に反する、町村會と町村長の對立に於きまして、餘りに町村當局の保護厚きに過ぎる、町村會を壓迫し過ぎる、斯う云ふ風な考へを抱く者でありますが、是等に付きまして私は寧ろ最後の條項の特別規定を設ける必要はないと思ひますが、若し設けるとするならば、もう少し民主的に緩和した規定を設けるべきである、是では全く官僚的な獨善の規定であると申上げて差支へない、斯う云ふやうな點に付きまして七十四條の三の規定は重大な關係がありますから、其の點の御説明をもう一度伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=121
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122・郡祐一
○郡政府委員 憲法と對照して御考へ戴く條文は、恐らく七十四條の三の二項が之に對照致す條文だと思ひます、御承知のやうに、百四十二條に依りまして特別の事情がありまする時に、内務大臣は町村會の解散を命ずることが出來ることに相成つて居ります、私は先程政治上の徳義と申上げましたが、兩者が相對しまして、而も非が町村長にありますることが明瞭な場合、申さば握り潰しを致さうと云ふやうな場合、是等に付きまして、内務大臣は恐らく町村長に對して辭職の勸告を致す場合もありませうが、町村會の解散を致して、さうして再度選擧を致すと云ふ途が開かれて居りまするが爲に、七十四條の三の一項は是で差支へないと存ずるのであります
それから御指摘の特別多數の點でありますが、是は事柄の重要な問題でありまするとか、身分上に關係した問題では、寧ろ特別多數を置きまする例の方が──例へば憲法で御覽下さいましても、除名でありますとか、選擧訴訟でありますとか、是等の場合は三分の二の特別多數を要求して居るのであります、町村會のやうな──廣く地方議會がさうでありますが、議員數が比較的少い所、さうして特別多數を要求致しましても必ずしも無理でないやうな所は、愼重に特別多數主義を執ると云ふことは、憲法其の他とも釣合の取れたものと考へるのであります、決して是が町村長の保護厚きに失して居ると云ふのではありませぬ、從來は不信任議決がありましても、頭から之を違法議決なりとして居りましたから、不信任議決をやつても握り潰しをして居るものがあつたと云ふのは是は當然なのでありまして、左樣な解釋をして居りましたから從來さうなのであります、此のやうな條文を設くると云ふことは、寧ろ町村長に對する大きい制限になるものだと考へるのであります、隨ひまして此の運用に付きまして、此の七十四條の三の一項を惡用して、此の趣旨に依つて行動致さないと云ふやうなことは防ぎ得ることであるし、左樣な惡い例ばかりが出て參るやうには考へられないと御答へ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=122
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123・松川昌藏
○松川委員 あとは意見の相違ですから是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=123
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124・中島守利
○中島委員長 それでは第五章町村の財務、第六章町村の一部の事務、第七章町村組合、第八章町村の監督、第九章雜則茲に附則、第八十九條以下一括して議題と致します、之に對する御質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=124
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125・小野眞次
○小野(眞)委員 是は此の改正案の問題ではないので、在來でもさうだつたのでございますが、此の改正案を見て思ひ付いたので少し御尋ね致します、第百二十二條の二項の末項は「意見を付して次の通常豫算を議する會議迄に之を町村會の認定に付すへし」とあります、此の認定に付した結果、町村會が認定せざる場合と云ふのが想定出來るのですが、其の場合は在來どんな風に取扱つて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=125
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126・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 昨日もございましたやうに、府縣會の場合には單に報告すべしと云ふ風になつて居りますが、府縣制の場合の報告と、市制、町村制の場合の認定と云ふのはやはり同じやうなことでありまして、其の結果に對しては、やはり町村會の議決事項の一として「決算報告を認定する事、」斯う云ふことが書いてある譯であります、其の認定の議決と云ふことを町村會としてやらなければならぬ譯でありまして、若しも決算を否認する、斯う云ふことになりますれば、町村會の議決と云ふものは府縣知事の方に報告になります、府縣知事はそれ等を切つ掛けに致しまして、町村の財政の監査を行ふ等、一般の監督權の作用に依りまして其の矯正を期する、斯う云ふことにならうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=126
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127・中島守利
○中島委員長 それでは質疑がございませぬければ、町村制の一部を改正する法律案の逐條に依る質疑は全部終了致しました、次は市制の一部を改正する法律案竝に東京都制の一部を改正する法律案、此の二つを一括して條項に對する質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=127
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128・大矢省三
○大矢委員 市制第十六條の「市に於ては區の區域を以て選擧區とす但し其の區域の人口著しく少きときは市條例を以て數區の區域を合せて一選擧區を設くることを得」、是は今度の戰災に依つて、東京を初め大都市が殆ど區で一人しか選べないやうな極端な區もあるのであります、そこで來るべき市會に於て、條例に依つて各區を合せて一つの區にした場合に、其の次に是は内務大臣の許可を要すると書いてあります、「第三項但書の場合に於て必要なる事項は命令を以て之を定む」斯うありますから、是は何人區にせいとか、中選擧區とか、小選擧區にせいと云ふことの若し指令があつた場合に、條例に於ては之を小選擧區竝に中選擧區とする、例へば一定の選擧區を五人位、或は七人位、或は四人位の區にして選擧したいと思つて居つても、内務大臣の方から是は十人以内にしなければならぬ、或は三人にしなければならぬと云ふやうな命令になつた場合に、そこに齟齬を來す、殊に今度の規定に依りますると、市の條例規約を改正する爲には五十分の一、それが千を超える場合に於ては選擧で宜しいと云ふことになつて居りますが、是は東京、大阪其の他では千位集めるのは、町會、或は町會聯合會消費組合、勞働組合、政黨、斯う云ふやうな組織を持つて居りますから、直ぐに集まることであります、其の五十分の一、即ち千を超えれば選擧と云ふことで宜いのでありますから、千人の有權者の票を集めれば條例を改正することを請求致すことが出來る、さうすれば、茲に例へば大選擧區にしろとか、或は小選擧區にしろと云ふので、定員を七人、八人、十人と決める、さう云ふことで絶えず此の選擧區の定員を條例に依つて變へることが出來る、或は上の方からは内務大臣が一つの方針を以て命令をすると云ふことの衝突が來る、そこで直ぐ當面すべき市會の選擧或は東京都の區會の選擧に於ては、一體一つの區に於て何人位を妥當とするのか、大阪の例を申しますと、大體六人、七人、八人、或は少い所は四人、所が今度燒けてしまつた所の區は一人も出せない所が二三ある、是は當然合併しなければならぬ、さう云ふ場合には何人を以て區とされる考へであるか、其の點若し試案があつたならば參考に御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=128
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129・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 五大都市の市の選擧區を區の區域を以てする、其の區域が人口が著しく少い場合には、數區の區域を合せて一選擧區を設けることが出來る、斯う云ふ規定を置きましたのは、今御話のございましたやうに、今囘の戰爭等に依り人口の激減の結果、大阪等に於きましても一人を選出し得ないやうな區が出來て居りますから、之を若しも其の儘に致して置きますと、苟くも選擧區である以上は、如何に有權者が少くても一人だけ割當てなければならぬ、他の區域との權衡上から申しまして非常にさう云ふ所だけが不當に利得する、斯う云ふことになりますとそれは適當でないと云ふ所から合區の制度を認めたのであります、と云ひますのは、結局各選擧區に付きまして甚だしい不權衡がないやうになると云ふことを理想と考へた譯であります、然らばどの位が適當な選擧區かと云ふことでありますが、併し是はやはり一定の基凖を設けまして、さう云ふ基凖に該當するものに付きましては、合區を認めると云ふやうなことに致したいと思ひます、さう云ふ基凖は此の十四條の第三項但書の場合に於て必要なる事項は之を命令を以て定める、其の命令中に規定を致したいと思つて居ります、此の命令は市制、町村制の施行令と云ふ勅令の中に規定を致したいと存じて居ります、大體議員の定數を以ちまして其の區の人口を除して出た數、言換へますと、其の市全體の人口を議員定數で除しまして、即ち議員一人當りの人口を出しまして、其の人口と當該區の人口と比較致しまして、其の區の人口が議員一人當りの人口に達しないと云ふやうな所に付て合區を認めることに致したい、斯樣に考へて居ります、やたらに合區をすると云ふことは今御話のありましたやうに、區と云ふものは抑抑選擧區に據つて居ります、此の本旨を沒却することになりますから、やはり合區に付きましては一定の基凖が必要だと存じて居ります、其の基凖は勅令の中に今申しましたやうな趣旨で規定を致したいと存じて居りますので、選擧區に付て假に所謂制定請求がございましても、さう云つたやうな基凖を勅令として公布して一般に公示致しますから、それに該當するやうな場合にのみ言つて來ることになると思ふのであります、隨ひまして特に内務省の方針と、それから選擧人の選擧條例設定の要求との間に食ひ違ひが起ると云ふことはないと思ひます、勅令上其の點は明瞭に規定致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=129
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130・大矢省三
○大矢委員 施行令を以て命令をすることは宜く分つて居るのですが、基凖をどの程度に置くか、例へば今まで四人乃至七人あつた所で今は一人も出せない所があるから、當然合併をしなければならぬ、合併するのにも三人、四人、五人を標凖とするか、現實にあるやうに最高七人までは出せる所があるから、其の程度に合併して選擧區とするか、一人でも宜いと云ふ考へ方か、或は今まであつた通り其の位までは宜いと認めるか、施行令を拵へる心構へ、或は方針ですか、さう云ふものを御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=130
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131・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 さう云ふ選擧區の合區を致しますのは、結局條例に依る譯でありまして、其の條例が選擧人から發案されませうとも、或は市會で發案し、若しくは市長が發案しませうとも、兎に角市會で、議決される譯であります、例へば二人區以上に合區をしよう、或は三人區以上に合區をしようと云ふことは、市會の自主性に委されて居る譯でありますから、其の點の制限は致す積りはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=131
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132・大矢省三
○大矢委員 いや分りました、それでは市の方で條例を決める場合に、それを尊重する、斯う云ふことになるのですね、それで次に是は五分の一とか五十分の一とか、解職權、解散權、或は市條例の改正權と云ふものを今度は人民に與へて居る、是は非常に進歩的とも言へるのでありませうが、或は又少數者の意見を尊重することになるけれども、今度は逆に多數の意見が壓迫され、少數者が横暴をすると云ふ傾向が現はれる、と申しますのは、一體五十分の一と云ふと一千、五分の一と云ふと一萬、之を限度にして、其の上は如何なる大都市にもそれを適用する、假に之を言換へますと、五萬の都市ならば、五十分の一は即ち千であります、所が百萬、百五十萬の大都市に向つて五十分の一の千で濟むならば、非常な少數者に大多數の者が自由にされる、或は其の爲に非常に迷惑をする、解職權の如きも其の通りであります、五萬の市長は一萬あれば解職することの請求權がある、所が百萬の市長が、僅かの一萬に依つて内務大臣に解職權を請求出來ると云ふことは甚だ不合理ぢやないか、そこで一萬と云ふことを除けて、五分の一或は五十分の一、斯う云ふ風にして括弧内の之を削る意思があるかないか、さうしないと非常に不合理である、今一つは解職權のことですが、市會にしても縣會にしてもさうですが、選擧區が違ひます、市長竝に知事と云ふものは、大選擧區の其の市、其の縣全體に於て選擧權を持つて居る者の投票に依つて選ぶのであります、縣會議員、市會議員と云ふものは、選擧區が小選擧區でありますから、其の小選擧區で選ばれた市會議員が、大選擧區の選擧權を有する者から、一萬の解職權請求があるならば、それは當然一應解職の審査を受けなければならぬと云ふことになるのであります、言換へれば選擧に關係のない選擧民から、其の議員に向つて辭めろと、斯う云ふのは是は甚だ私は不合理ぢやないかと思ふ、そこで選擧される選擧區に於ける五分の一とか、さう云ふことに改正が出來るものか、市長の場合はそれで宜しい、其の點を一應御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=132
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133・郡祐一
○郡政府委員 請求權の最高限の數でありますが、問題が起りますのは御指摘のやうに大都市の場合だと存ずるのであります、此の請求權の考へ方が可及的請求の途を容易ならしめようと云ふ考へ方、或は請求を困難にするとは考へられませぬけれども、之を今少し愼重ならしめる數を要求することが適當ぢやないか、是は兩論ある所だと存ずるのであります、それで現在市の中で、大都市に付きましては全く他の市と趣を異にする位、色々な點、人口其の他に於きましても特異の樣相を呈して居るのであります、而も大都市の大部分に付きましては、終戰後の非常に激しい人口其の他の異動がある状態であります、是等に付きましては請求權等に付きましても、別途に限度等を決める必要があらうかとも考へるのであります、隨ひまして稍稍此の點が一般的の數を規定して居りまして、必ずしも大都市に適當ではないかのやうに存ずるのでありますが、私共の希望と致しましては、是は暫く後の問題、大都市問題全體を研究する時の問題に致したいやうな氣持を持つて居るのであります、それから選擧區外の有權者からの解職請求と云ふ點は、確かに御話のやうな氣持も致すのではありますが、是は解職請求の事態が起りますと云ふ時には、稍稍廣い見地から、議會に付きましては解散請求と云ふ途があるのでありますから、更に議員に付ての解職請求が起ります場合には、當該の議員に付きまして餘程稀有の事態が考へられなければ相成らぬと思ふのであります、それで極端なことを申しますると、選擧區の人間は全部支持して居る、選擧區外は全部之を「ボイコット」して居ると云ふやうなことも考へられるのでありますが、左樣な極端な事例を考へますると、不合理と云ふ感じが非常に強いのでありますけれども、寧ろ請求權の行使としては、當該の自治體の者全部が見て、此の議員に居て貰ふことは不適當であると云ふ判斷を下す機會を與へるのであつて、請求權はそれに依つて直ちに結果を生ずるものでもございませぬから、隨ひまして請求權と致しましては、其の自治體の全有權者に與へて宜しいのではないだらうか、是が若しそれ自體に依つて直ちに事柄が決まりますならば、非常に不合理でありますけれども、單に發動を促すと云ふ權利を與へるに止まるのであるから、廣い見地から自ら判斷する機會を與へよう、斯う云ふ考へ方を持つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=133
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134・大矢省三
○大矢委員 一體此の五十分の一とか五分の一とか云ふことを決める場合に、都市を大體何萬を標凖として斯う云ふ案を立てられたか、それを一遍御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=134
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135・郡祐一
○郡政府委員 此の限度を考へまする時には、概ね市に付きましては十萬臺、十萬を若干超えます市を一つの「モデル」に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=135
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136・大矢省三
○大矢委員 今御答辯の中で大都市の問題は後日特別に考へると云ふことであるからして私は此の程度で止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=136
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137・中野四郎
○中野(四)委員 都制に關聯して少し御尋ねをしたいのでありますが、内務大臣は後刻御出席になりますか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=137
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138・中島守利
○中島委員長 内務大臣は今豫算總會の方へ出て居ります、それが濟めばこちらに御歸りになることになつて居りますが、今の所一寸分りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=138
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139・中野四郎
○中野(四)委員 私は内務大臣が東京市の助役時分に言はれた言葉を對象にして、是非とも御尋ねをしたい問題があるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=139
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140・中島守利
○中島委員長 内務大臣に直接答辯を要しない部分に付て御質疑なさるやうに願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=140
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141・中野四郎
○中野(四)委員 實は私關聯事項として聽きたい事項が四項ございます、内務大臣の御出席を待つて質問致したいと思ひますが、此の際特に郡政府委員に御答辯を願ひたいと思ふのは、一月四日の追放令の第十四項の明文に依りますれば、追放令の意圖する公務の範圍と云ふものは、貴衆兩院議員、それから府縣知事、市長の五つに限られて居るやうに思ひます、都とか府縣會議員は指定外であつたやうに記憶致して居りますし、新聞にも左樣に報道されて居りました、隨て府縣會議員の候補者の資格審査は、此の條文に依つて無用であると信じて居りましたにも拘らず、今朝の「ラジオ」では、資格審査をば府縣會議員の候補者に對してもやると云ふことでございます、是は「マッカーサー」司令部の追加指令でもあつたのか、又政府が獨自の見解に依つてさう云ふやうなものを作られたか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=141
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142・郡祐一
○郡政府委員 一月四日の覺書は仰せの通りであります、之に對しまして追加の「ディレクティヴ」を出すとも出さぬとも、其の點に觸れて參つては居りませぬ、併しながら府縣會議員の審査を急速に──急速と申しますのは十分なる審査が出來まするやうに、早くから始めて、期間を長く掛けて審査を致すやうに、且つ府縣會議員に付ても、衆議院の場合と同じやうに事前審査を致すから、政府に於て其の積りで凖備するやうにと云ふことが、非公式ではありますが、是は當該の責任者から傳へて參つて居ります、隨て之に基いての凖備を早速始めて居る状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=142
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143・中野四郎
○中野(四)委員 非公式ではあるが「マッカーサー」司令部の指令に基いて、資格審査を始めたと取つて宜いのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=143
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144・郡祐一
○郡政府委員 指令と申しましても所謂「ディレクティヴ」ではありませぬが、近時の多くの例は書面に依る「ディレクティヴ」は出されませぬで、口頭で傳へて參りまして、書面と同じ效果を持たせる場合が多いのであります、從前の衆議院の資格審査をしたと同じやうな工合に、資格審査を日本政府に於てはなすべきであると云ふ、向ふの正式の意圖が傳達されたものと考へて居ります、隨て審査自體は未だ始める段階には行つて居りませぬが、之に對しまする凖備、即ち用紙等も大分要るものでありますから、それ等に著手致します各般の凖備を始めたと云ふ状態でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=144
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145・中野四郎
○中野(四)委員 是は重大な問題でありますから重ねて御尋ねしますが、今の御答辯では其の指令があつたものか、ないものか、はつきり私には了解出來ませぬ、口頭ではあるが、責任ある指令であると云ふことをあなたは此の席上で御言明出來ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=145
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146・郡祐一
○郡政府委員 御話の通りであります、當該の、實務上の責任者であります者から、口で申しましたことを書面に書き寫しまして、こちらの終戰連絡の責任者が受けて參りまして、平素に於きまする傳達の方法と同じやうな傳達を致して參りました、隨て政府に責任ある處置を要求して來たものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=146
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147・中野四郎
○中野(四)委員 「マッカーサー」司令部の指令とあれば、此の點は是で止めます、尚ほ先程申しました四點に付きましては内務大臣御出席の時まで保留させて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=147
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148・中島守利
○中島委員長 此の際御諮り致します、次の開會日は九日でありますが、各委員の御同意を得ますれば九日の午前中に委員各位、若しくは各黨派の修正條項を整理して下さいまして、午前中に私の手許まで御提出を願ひまして、午後一時より此の協議會に入りたいと思ひます、御承知のやうに成べく出來ますれば修正を一括致したいやうな氣持があります、各派協調の出來るものは協調して之を整へたいと思ふのであります、さう云ふことに御同意が出來ますれば、九日の午前中に修正條項を書面に認めまして、委員長まで御提出を願ひたいと思ひます、午後一時より是の修正意見の整理をして、さうして御相談を申上げたいと思ふのであります
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=148
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149・中島守利
○中島委員長 御同意願へますればさう云ふことに取計らひたいと存じます、どうか其の御凖備を御願ひ致します、それでは本日は是で解散致しまして、次は九日の午後一時より懇談會に入ります
午後三時三十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01119460807&spkNum=149
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