1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年七月二十三日(火曜日)
午後一時二十八分開議
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議事日程 第十八號
昭和二十一年七月二十三日
午後一時開議
質 問
一 衆議院議長任命に關する質問(佐竹晴記君外四名提出)
二 憲法改正案に關する質問(田午伊三次君外一名提出)
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第一 會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
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001・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 諸般の報告を致させます
〔書記官朗讀〕
一、本日政府から次の答辯書を受領しました
佐竹晴記君外四名提出衆議院議長任命に關する質問に對する答辯書
田中伊三次君外一名提出憲法改正案に關する質問に對する答辯書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=1
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002・会議録情報2
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衆議院議長任命に關する質問主意書
右成規に據り提出する
昭和二十一年六月二十四日
提出者 佐竹晴記(外四名)
衆議院議長任命に關する質問主意書
衆議院議長の勅任は議院に於て選擧した第一候補者に對しなされることが、議會初まつて以來の不文の憲法である。
從つて、議會の選擧の結果に對し何ものをも附加することなしにその儘上奏したならば、當然その院議は尊重せられ、第一候補者に對し勅命が下されたであらう。
然るに、今囘第一候補者三木武吉氏は排斥せられ、第二候補者樋貝詮三氏に對し異例の勅命があつたことは、院議の外に特に何等かの別異の事由を内奏した結果であると見るの外はない。報道機關の傳ふるところによれば、三木氏は公職より追放される缺格者に該當するといふので、議長當選を辭退する旨表明するに至つたためであるといふことであるが、若しそれが事實であるならば、議會に於ても議院規則第九條により再選擧を行ふべき重大な事柄であるから、政府は正式に辭退せしめ、これを議會を通じ、議會の再選擧を竢つて缺點なき適正な候補者三名を上奏して勅命を仰ぐべきであつた。
然るに、この三木氏の缺格竝びに辭退に關する事實を伏せ、その缺點を蔽ひ、恰も正當なる第一候補者の存在するものの如く粧ひつつ、他面第二候補者に對する勅任方を内奏したといふのであつたならば、實に公明を缺くと共に不明朗の極みである。
政府は速かに第一候補者排除の事由と第二候補者勅命に至る經緯を明かにし、その輔弼の責任を明確にすべきである。
右質問する。
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昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
衆議院議長樋貝詮三殿
衆議院議員佐竹晴記君外四名提出衆議院議長任命に關する質問に對し別紙答辯書を送付する
〔別紙〕
衆議院議員佐竹晴記君外四名提出衆議院議長任命に關する質問に對する答辯書
政府は五月十六日衆議院より議長候補者及副議長候補者各三名の選擧の結果を通達せられ、次いで五月十八日三木氏より内閣總理大臣に對し衆議院議長就任を辭退したいとの意向が表明せられたので、是に依つて第二候補樋貝詮三氏を勅任せらるる樣奏請の手續を採つた、右に對する政府の見解は左の通りである。
一、議院法が、議長候補者は一人とするの制を採らず、議長は三人の候補者中から勅任さるべきものとして居る以上、その何れを勅任されても違法でないことは當然と認める、唯、之が運用に付ては、別段の事情なき限り、第一候補者を勅任される從來の先例を尊重すべきであると思ふ、今囘の場合に於ては、第一候補者たる三木氏より、内閣總理大臣に對し議長就任を辭退したいとの意向の表明があつたので、内閣總理大臣は第二候補者を議長に勅任せられんことを奏請した次第で、右は議院法に違反するものでないと信ずる。
二、三木氏が公職より追放さるべき該當者なりや否やは奏薦當時に於ては審査中に屬し、未定であつた。從つて、この關係では三木氏の議長候補者たるの地位には變更を來さない。又、同氏より議長就任を辭退したいとの意向の表明があつた丈では同氏の議長候補者たる地位は失はれない、即ち衆議院規則第九條に云ふ當選を辭退したと認められるべき事實は何等ないのであるから再選擧の事由とはならない。而して三木氏の右の意向があるに拘らず、同人の勅任を奏請することは意味を成さぬことであるから、今囘の措置を執つた次第である。
以上に依つて衆議院議長の勅任を奏請するに當つて政府が採つた措置は明白であり且何等違法其の他瑕疵と認めらるべき點は無いと信ずる。
右答辯す。
昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
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憲法改正案に關する質問主意書
右成規に據り提出する
昭和二十一年六月二十九日
提出者 田中伊三次(外一名)
憲法改正案に關する質問主意書
第一點 國體不變の理論的根據如何。
現行憲法では天皇は統治權の總攬者で存らせられる。即ち立法についても、司法についても、行政についても、國家統治の包括的意思力をば全體として掌握されてゐる。
この意味に於て天皇が統治權の總攬者で存られるといふのが、我日本國の國體である。
然るに改正案第五十五條、第七十二條及び第六十一條は、立法、司法、行政の各國家作用から、天皇を完全に除外してゐるではないか。即ち改正憲法の下に於ては、天皇は國家の包括的意思力を全體として掌握するの御地位には存らせられないことになるのである。この意義では、我日本國の國體は正に變革されたと見るべきである、との有力な説が起りつつある。然るに政府は、本會議場に於て、しばしば改正案に依つては、決して國體は變革されるのではないと説明してゐるのは、如何なる理論的根據に基いてゐるか。
第二點 國號改定意圖ありや。
現行憲法は『大日本帝國憲法』と稱し、改正草案は『日本國憲法』と稱してゐる。政府は我國號を『日本國』と改定する意思を持つてゐるか。
第三點 元號改定の意圖ありや。
登極令第二條は、天皇踐祚の後は直に元號を改むと規定し、元號の改定は天皇踐祚と共に行はせられることになつてゐるが、政府はこの規定に關はらず、改正憲法公布の日を下し『昭和』の元號を改め、以つて永久に戰爭を抛棄し平和を愛する日本國民の念願にふさわしい新元號を制定する意思はないか。
而して、新元號の制定に當つては、之を廣く國民一般に公募することとし、以つて新元號の民主的改定を行ふ意思はないか。
第四點 改正案の皇室法規に及ぼす影響如何。
改正憲法の規定の内容は、現行皇室典範、皇室典範増補、登極令、攝政令、立儲令、皇族會議令等の皇室法規に洵に重大な民主的改革をもたらすものと信ず。
依つてやがて國會の議決に付せらるべき新皇室典範に關し、左の諸項につき、政府の所信を問ふ。
一、改正案では、法律は凡て、男女兩性の本質的平等に立脚して、制定されなければならないのであるが、日本國の皇位は現行皇室典範第一條に所謂『男系の男子』に限らず『男系の女子』に於ても、更に又『女系の女子』に於ても、之が繼承の資格ありとするか。
二、新皇室典範で讓位の規定を説けることはいろいろな弊害を伴ふと信ずるのであるが、政府は之が規定を設けるつもりであるか。
三、改正案は、現行皇室典範、皇室典範増補等の諸規定に依つて、認められてゐる皇族の特殊の御地位に、どんな影響をもたらすか。
四、皇室機構中に於ける所謂『宮中』『府中』の區別は之を廢絶するは勿論、宮内省を内閣の一部局に編入し、宮内大臣は之を内閣の一員たらしむべきではないか。
第五點 皇室危害罪、皇室不敬罪に關する規定は改正憲法施行後と雖、之を嚴然維持すべきものである。然らざれば國の象徴であり、國民統合の象徴である天皇の御地位は逐に之を保持すること困難となるに至る慮なしとしないからである。
政府の所見如何。
右第一點は金森國務大臣、第二、三、四點は吉田内閣總理大臣、第五點は司法大臣より夫々特に本會議場に於て、口頭をもつて御答辯を求む。
右質問する。
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昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
衆議院議長樋貝詮三殿
衆議院議員田中伊三次君外一名提出憲法改正案に關する質問に對し別紙答辯書を送付する。
〔別紙〕
衆議院議員田中伊三次君外一名提出憲法改正案に關する質問に對する答辯書
第一點
天皇が統治權の總攬者であらせられるといふことが我が國の國體であり、改正案は天皇のこの御地位を變更してゐるに拘らず、政府が國體の變革なしと主張する根據如何との御質問であるが、このやうに現行憲法第一條又は第四條を根據とし 天皇が統治せられ又は統治權の總攬者であらせられることを以て我が國體なりとする見解は、憲法規定の表面に現はれた面を過重視したものであつて、國體の神髓に深く徹したものではなく、寧ろ政體の面に著眼しての考へであると信ずる。我が國體は、我が國民の心の中に深く根を張つてゐる 天皇へのつながりを以て、いはば 天皇をあこがれの中心として結び合つてこれを基礎として國家が構成されて居るといふ特質にあるのであつて、このことは歴史を通じ且つ現在の國民の意識に照らして、誤りのないところであると思ふ、從つて、我が國體は改正案によつて決して變革を受けたものでないと信ずる。
第二點
改正案の用語に從ひ、國號を「日本國」と改定する意思ありやとの御質問であるが、從來現行憲法においても特に我が國號を一定する意味で「大日本帝國」と云ふ名稱が用ひられたものとは考へてゐない。公式の文書においても「日本國」といふやうな稱呼が用ひられたことも少くない。改正案も、また國號を決定したものとは考へてゐないが「日本國憲法」と稱してゐるため、今後においては自ら「日本國」の名稱が廣く用ひられることにならうと考へられる。この際國號を「日本國」と改定するために特に何らかの措置をとる意思はない。
第三點
改正憲法公布の日を以て「昭和」の元號を改め、國民一般の公募により、平和國家にふさはしい新元號を制定する意思なきやとの御質問であるが、一世一元といふ從來の原則を唯今の時期において改める積極的な理由はないと考へる。又、「昭和」の二字は書經尭典中にも「百姓昭明、協和萬邦」といふ字句があり、これがその出典であると一般にいはれてゐるのであるが、これらの點から見ても現在の元號そのものが平和主義に反するとは考へてゐない。從つて、新元號の制定については現在考慮してゐない。
第四點
改正案の皇室法規に及ぼす影響について各個の點に關し御質問であり、
(一)先づ法律は男女兩性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとの第二十二條の趣旨に基き、皇位の繼承資格を女子にも認めるや否やとの御質問であるが、皇位繼承については、別に第二條において皇室典範を以て定める旨規定して居り、改正案第二十二條の定める男女平等の原則が皇位繼承に關しても直に、そのままに適用ありとは考へてゐない、女帝については現在まだ考慮してゐない。
(二)讓位の規定を新皇室典範に設けるつもりかとの御質問であるが、讓位については現行憲法以前においてはその制度があつたにも拘らず、皇室典範にはその制度を設けなかつたのであつて、新皇室典範に讓位の規定を設ける意思は持つてゐない。
(三)新皇室典範において、皇族の特殊の地位はどうなるかとの御質問であるが、改正憲法の下においては、その根本趣旨に鑑み原則として皇族も一般國民と同樣の地位に存られるものと考へる。併し皇族は、象徴たる天皇と血統の上で親近の關係に立つて居られること及び皇位繼承の資格等の關係から若干の點において特殊の地位を有せらるべきことは、當然であつてその詳細については、新皇室典範の制定に際し愼重に、考慮する所存である。
(四)所謂宮中府中の別を撤廢するか、又宮内省はいかになるかとの御質問であるが、改正案においては從來の如く憲法と皇室典範とを別個の系統に屬せしめる建前を採つてあるものではないから、從來のやうな意味での所謂宮中府中の別は撤廢され、皇室に關する國務は内閣に一元化されることと思ふが、その細目については目下鋭意檢討中である。
第五點
皇室危害罪、皇室不敬罪の規定は今後と雖も維持すべきものであるとの御意見であるが、天皇は日本國の象徴、日本國民統合の象徴たる地位に立たせられることに基き自づから國民の尊敬をあつめられることとなるのであるから、その地位を冒涜するが如き行爲が許されないことは當然である。
右答辯する。
昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
〔朗讀を省略した報告〕
一、議員から提出された議案は次の通りである
勞務者加配米確保に關する建議案
提出者 井上良次君
主食及び生活必需品配給確保に關する建議案
提出者 井上良次君
片町線四條畷騨、木津騨間の電化促進竝に列車増發に關する建議案
提出者 井上良次君
(以上七月十六日提出)
戰災者、強制疎開者預金支拂緩和に關する建議案
提出者 布利秋君
中小工業振興に關する建議案
提出者
北勝太郎君 原國君
伊東岩男君 大宮伍三郎君
河野金昇君 船田享二君
竹山祐太郎君
(以上七月十八日提出)
農民組合法案
提出者
須永好君 野溝勝君
平野力三君 黒田壽男君
細野三千雄君
十勝種畜牧場擴充に關する建議案
提出者
小川原政信君 坂東幸太郎君
武田信之助君
(以上七月二十日提出)
一、去十八日吉田内閣總理大臣から次の通り發令があつた旨の通牒を受領した
司法事務官 岡田善一
第九十囘帝國議會司法省所管事務政府委員被仰付
一、去十八日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を次の通り變更した
一 三木キヨ子君
四 福田繁芳君
四七 田中伊三次君
一、去十八日議長に於て次の委員を選定した
生活保護法案(政府提出)委員
井上卓一君 小池政恩君
小柳冨太郎君 齋藤行藏君
庄司一郎君 田中重彌君
竹内茂代君 富田ふさ君
山口好一君 大島定吉君
坪川信三君 中山たま君
原捨思君 日比野民平君
本名武君 奧村又十郎君
澤田ひさ君 永井勝次郎君
長谷川保君 松尾トシ君
吉川兼光君 川越博君
平川篤雄君 紅露みつ君
東井三代次君 久保猛夫君
松谷天光光君
一、去十八日次の通り特別委員の異動があつた
帝國憲法改正案(政府提出)委員
辭任 石黒武重君 補闕 田中伊三次君
食糧緊急措置令(承諾を求める件)委員
辭任 清澤俊英君 補闕 稻村順三君
勞働關係調整法案(政府提出)委員
辭任 永江一夫君 補闕 今村等君
辭任 久保猛夫君 補闕 野本品吉君
一、去十九日委員長理事互選の結果次の通り當選した
生活保護法案(政府提出)委員
委員長 庄司一郎君
理事
小柳冨太郎君 齊藤行藏君
原捨思君 吉川兼光君
一、去十九日次の通り特別委員の異動があつた
帝國憲法改正案(政府提出)委員
辭任 東井三代次君 補闕 田中久雄君
食糧緊急措置令(承諾を求める件)委員
辭任 堂森芳夫君 補闕 奧村又十郎君
辭任 細田綱吉君 補闕 叶凸君
生活保護法案(政府提出)委員
辭任 本名武君 補闕 有馬英二君
一、去二十日次の通り特別委員の異動があつた
會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)委員
辭任 菊池長右エ門君 補闕 田中実司君
辭任 竹谷源太郎君 補闕 伊藤實雄君
一、昨二十二日吉田内閣總理大臣から次の通り發令があつた旨の通牒を受領した
内務事務官 田中楢一
第九十囘帝國議會内務省所管事務政府委員被仰付
一、昨二十二日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を次の通り變更した
四 武藤嘉一君
五 布利次君
六 中山榮一君
七 戸叶里子君
八 紅露みつ君
九 近藤鶴代君
一〇 大石ヨシエ君
一一 和崎ハル君
一二 松谷天光光君
一三 石田一松君
一四 森曉君
一五 圖司安正君
一六 喜多楢治郎君
一七 江川爲信君
一八 東井三代次君
一九 小西寅松君
二〇 原藤右門君
二一 福田繁芳君
二二 田中久雄君
二三 柏原義則君
二四 菊池豐君
二五 田中伊三次君
二六 笠井重治君
二七 藤田榮君
二八 中島茂喜君
二九 山木武夫君
三〇 中野四郎君
三一 竹谷源太郎君
三二 井上東治郎君
三三 仲子隆君
三四 赤澤正道君
三五 細迫兼光君
三六 若林義孝君
三七 石黒武重君
三八 伊藤實雄君
四四 疋田敏男君
四七 吉田セイ君
四八 野村ミス君
四九 米山文子君
五一 大島多藏君
五二 田中たつ君
五三 安藤はつ君
五六 井上赳君
五七 石崎千松君
五八 秋田大助君
六一 磯田正則君
六二 小坂善太郎君
六三 増井慶太郎君
六九 野本品吉君
七三 鈴木彌五郎君
七四 池上隆祐君
七五 中田榮太郎君
七六 井出一太郎君
八一 岡田勢一君
八二 笹森順造君
八三 早川崇君
八四 伊藤幸太郎君
九〇 五坪茂雄君
九九 大久保傳藏君
一五八 安部俊吾君
一、昨二十二日次の通り特別委員の異動があつた
會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)委員
辭任 伊藤實雄君 補闕 竹谷源太郎君
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=2
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003・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 是より會議を開きます、本日の日程に掲げました質問一及び二は、何れも政府より答辯書を受理致しました、仍て日程より之を省きます、──日程第一、會計法戰時特例廢止等に關する法律案の第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──委員長坂東幸太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=3
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004・会議録情報3
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第一 會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年七月二十日
委員長 坂東幸太郎
衆議院議長 樋貝詮三殿
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〔坂東幸太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=4
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005・坂東幸太郎
○坂東幸太郎君 是より會計法戰時特例の廢止等に關する法律案の委員會の審議の經過竝に結果を御報告申上げます
會計法戰時特例の廢止等に關する法律案は、七月十五日本委員會に提出せられ、同日石橋大藏大臣より提案理由の説明あり、直ちに質疑に入り、七月十八日に至るまで囘を重ねること四囘に及び、其の間終始眞摯なる質疑應答が展開せられました、質疑應答の經過の詳細に關しては、何れ速記録に付て御承知を願ひたいのであるが、今其の主要なるものに付て概要を報告すれば次の通りであります
先づ第一には、會計法戰時特例の廢止と會計法の改正との間の關係に付き種々論議が行はれましたが、其の中心問題は、戰時特例を廢止するにも拘らず、會計法第二十一條を其の儘存置する理由如何との點に集中せられました、委員側よりは、敗戰後の我國に於ては前金拂及び概算拂の制度は、戰時中是が惡用の爲め生じたる大きな弊害に鑑み、此の際之を廢止した方が宜いのではないかと云ふ意見が主張されましたが、之に對しまして政府側よりは、右は戰後の金融状態等より見て、之を殘置することとしたが、運用に付ては、戰時中と異なり、十分嚴重に規正して行ふこととしたい旨の答辯がありました、之に對して更に委員側よりは、第二十一條の勅令の範圍に付て質疑を展開し、國民生活に深甚なる關係を有する事項が勅令に依れば何でも行ひ得ると云ふことは、民主化の原則に反するものなりとの主張が熱心に行はれました
第二には、委員側より會計法戰時特例に付て處理せられた事項の中、終戰時に於て軍部より軍需會社等に對し行はれた多量の資金の放出に付て質疑が行はれ、軍需會社等が不正なる證書に依り軍需補償金を受取つて居るとの情報に觸れ、右の放出資金に對しては如何なる處分を行ふやとの質問に對しまして、石橋大藏大臣より十分調査の上適當なる處置を行ふ旨の答辯がありました
第三には、支那事變以降の臨時軍事費の總額、使用実績金及び其の殘金等に付き委員側より質問がありましたが、政府委員より、臨事軍事費特別會計に付ては本年六月三十日を以て締切り、目下決算中なる旨の答辯がございました
第四には、終戰直後に於ける軍需物資の放出問題に付て質疑がありました、終戰當時不正に搬出せられました物資の數量、金額竝に既に行はれました責任者の處置の程度及び今後の處置の方針等に付きまして委員側より質す所がありました、更に又日本軍法に依り處斷せらるべき犯罪に付て、聯合軍の手を煩はすは適當ならず、陸海軍なき今日は、宜しく司法當局に於て處理すべきなるのみならず、國民道義振肅の見地より、寧ろ特別裁判に付すべきものなりとの主張が行はれました、之に對しまして政府側よりは、司法當局としては各地に指令して檢擧に努めつつあり、六月末に於ける檢擧人員數は千六百九十名の多數に上り、其の大部分は軍人、軍屬、工員等であるが、御説の通り嚴罰を以て臨んで居る旨の答辯がございました
第五には、軍用地の拂下問題に付て種々質疑が行はれました、委員側よりは、軍用地は極力速かに舊所有者に拂下を行ふべきものなりとの主張が行はれました、之に對し政府側より、最終の處分は聯合國の許可を要しまするが、差支へない限り御要望の通り舊所有者に優先的に貸付又は拂下を行ひたい旨の答辯がありましたが、尚ほ其の際和田農林大臣より、小さい土地は舊所有者に返すが、集團の土地に對しては營團等が大農場的にやる場合があるから、其の時分には舊所有者に渡すことが出來ないかも知れぬと云ふやうな答辯がございました、是は御參考に申して置きます
第六は、委員側から敗戰後の神社及び寺院の國有財産の處分等に付き質問がございました、又國防獻金の現状竝に今後の取扱に付て質疑がございまして、それぞれ政府側より答辯がございました
第七には、戰爭保險金は如何に處理せられるが、又軍需補償は如何になるか、或は封鎖預金は無效にするのか、或は通貨の量は國民所得の何割を適當とするか、或は國債は如何に處理するか等に付きまして、目下の懸案事項たる財政經濟全體に間聯する根本問題に付て質疑が展開せられましたが、之に對しては石橋大藏大臣から、戰爭保險の處理に付ては未だ決定して居ないが、何れにしても小額のものに對しては迷惑を掛けぬ積りである、又軍需補償の處理に付ては、日本經濟の健全化の見地に立つて之を行ふこととしたい、封鎖預金を無效にすると云ふ如きことはない、又通貨量に付ては、信用取引が激減し、現金取引の激増して居る今日、其の經濟事情に依つて相當多額になると思ふが、是は取引間係に依り違つて來るので、正確なる數字を明示することは困難であると申されました、又國債の元利を破棄すると云ふことは出來ない旨の答辯がございました
而して第八には、經濟安定本部は内閣と如何なる間係ありやとの質問に對しまして、大藏大臣は答へて曰く、是は單なる諮問機關ではない、隨て内閣が送つても安定本部の政策は變らないが、併し内閣に對して君臨するやうなことは絶對にない、斯う云ふことを明瞭に答辯されました
又第九に國防獻金の額の質問がありましたが、遠藤復員廳第一經理局長が答へて曰く、支那事變以來陸軍だけの國防獻金總額は十一億五千餘萬圓、預金の利子が四千四百餘萬圓、合計十一億九千九百餘萬圓、其の中で使用したるものが六億六千五百餘萬圓、殘りの五億三千四百萬圓は大藏省に移管しましたと云ふ答辯がございました、而して海軍の方の關係で、是は山本復員廳第二經理局長の答へでありますが、滿州事變以來の國防獻金總額は、預金利子を合せて約十億圓、其の内譯は省きますが、支拂總額は七億九千六百萬圓で、殘額二億三千三百萬圓は大藏省に移管となつて居ると云ふ説明がございました、以上の外「インフレーション」問題或は軍需物資放出問題等に付てそれぞれ質疑がございました
以上の如く各般の問題に亙り展開せられた質疑も概ね盡されたので、七月十八日を以て質疑を打切り、同月二十日の委員會に於て討論に入りましたが、第一に自由黨の青木孝義委員より、本案に對する質疑も盡き、政府の答辯も大體了解した、唯政府に於ては會計法第二十一條の運營に付き注意せられたき旨附言して本案に對する贊意を表しました次いで進歩黨の北村徳太郎君、又恊同民主黨の松本瀧三郎君竝に無所屬倶樂部の伊藤實雄君、それから新光倶樂部の伊藤恭一君の各委員より本案に贊成の討論が行はれまして、採決の結果、滿場一致を以て原案通り可決確定致しました、以上御報告申上げます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=5
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006・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=6
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007・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=7
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008・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して委員長報告通り可決せられん事を望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=8
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009・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=9
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010・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=10
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011・会議録情報4
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會計法戰時特例廢止等に關する法律案 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=11
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012・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
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013・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際大野伴睦君一外名提出、國内治安維持に關する緊急質問を許可せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=13
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014・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=14
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015・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました──國内治安維持に關する緊急質問を許可致します──提出者大野伴睦君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=15
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016・会議録情報5
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國内治安維持に關する緊急質問(大野伴睦君外一名提出)
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〔大野伴睦君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=16
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017・大野伴睦
○大野伴睦君 諸君、私は治安維持の問題に付て政府の所信を質したいと思ふのであります
諸君、「マッカーサー」司令部が日本本土進駐以來、平和的且つ友好的で、總て理解ある態度に對しましては、日本國民の齊しく感激して居る所であります(拍手)爾來日本人としては、終戰後諸般の秩序を速かに囘復を致し、一日も早く平和國家を建設し、聯合國側の好意ある指導と協力に對し心から酬いねばならぬと云ふことは、總ての日本人の心密かに期する所であります(拍手)
茲に我々日本人は、平和國家建設の前提として、先づ平和な社會を打樹てんとして、幾多の困難を排除し、今日まで努力を續けて來たのであります、此のことは我々國民の一大努力を要するは勿論でありまするが、其の完成は、世界各國、特に隣邦の協力に俟たなければ實現不可能の状態であります(拍手)聞く所に依れば、中華民國蒋主席は、日華親善の爲め、日本再建の爲め格段の好意を示されて居ると云ふことであります、我々は之に對し唯感謝の意を表するだけではなく、其の協力を受入れ、進んで一日も早く其の實現を圖り、以て平和日本の再建と共に、世界平和の招來に貢獻する所がなければならないと存ずるものであります、然るに我々の此の努力に對し、進んで協力を與へ得べき筈の人々の中に、却て之を阻碍し、甚だしきは我々の營んで居る社會秩序を根本より破壞に導かんとする状況に立至つて居るのであります(拍手)我々は世界各國環視の下、能く隱忍自重今日に及んで居るのであります、併しものには限度があります、隱忍自重も、度を過ぐれば卑屈退嬰と相成るのであります(拍手)特に敗戰下の日本に於て然りであります
思ふに、夜は住家に、或は街の辻に強盜が現はれ、而もそれが次第に集團的行動となり、惡質化して來て居るのであります、故に同胞は甚だしく社會不安に襲はれて、人毎に笑ひを失つて居る現下の状況であります(拍手)公益を阻碍する闇市場の出現、列車内の暴行、無切符乘車、税制を紊す無税の營業、無許可の開店、金融界の統制破り、暴力脅迫等、今や滔々として此の惡流は大都市より小都市へと流れ入り、次第に村落に其の姿を現はすに至つたのであります、此の傾向は善良なる民衆の心にまで食ひ入り、不善をなす者次第に増加の一途を辿りつつある現状であります、我々が洵に遺憾千萬に思ふことは、此の悲しむべき社會秩序の破壞は、日本人にあらざる者が主流たることであります(拍手)思ふに、誤れる世界觀の罪の贖ひと敗戰者への責は、今更ながら覺悟は決めて居るとは云へ、非日本人の是が社會秩序の破壞行爲は、恰も平和なる牧場に虎狼の侵入せる感を禁じ難きものがあるのであります(拍手)殊に最近帝都の澁谷、新橋附近に於て起つた騷擾事件は、闇市場を中心とし、日本人商人と日本人にあらざる商人との衝突でありまするが、聯合軍當局の公正なる指示に依つて事態は一應緩和したものの、政府は一體之に對し自主的に機宜の處置を講じたのでありませうか、是は獨り帝都にのみ起つた現象ではなく、全國的に惹起しつ、ある憂ふべき現象であります、我々は此の際坐して此の現状を見送るか、然らざれば進んで是が秩序を自らの手に依つて維持囘復するか、速かに是非曲直を明かにし、以て對策を講ずべき秋であります、然るに昨年敗戰以來の我が警察力は、全く消極退嬰に陷り、國内治安の重大なる責に任ずるものとして洵に遺憾なる状態であります(拍手)特高警察の廢止、政治思想、言論に對する強權的警察の解消に依つて、警察が民主化し、曾ての封建的暗黒の警察たることを拂拭したることは洵に結構でありまするが、警察の民主化と云ふことは、決して警察の無力化ではないと信ずるのであります(拍手)殊に惡質の闇行爲と云ふ現下國民の經濟生活を危くするやうな行爲に對しては、斷乎正義を擁護する態度に出なければ、國民は安んじて枕を高くすることは出來ないのであります、(拍手)言ふまでもなきことでありまするが、抑抑社會秩序を紊す、即ち公序良俗に反する行爲は、何人たりとも世界人類の敵として嚴重に、時、所、人の別なく取締り處斷すべきことは文明人の常識であります(「ひやひや」拍手)故に日本政府としては、世界各國人の生命財産を保護する立場上、斷乎積極的に取締方針を確立すべきであると信ずる次第であります、殊に「マッカーサー」司令部の人道主義、平和主義の理念を以てすれば、必ずや日本政府の社會秩序維持の爲の積極的行動に對しては、理解と同情と援助を與へらるることを確信して宜いと思ひます(拍手)我々は此の際正義と人道を基礎にし、平和を確立してこそ、現在我々に與へられたる平和國家建設の重大使命が果せると思ふのであります、平和國家建設の世界の水凖に達するまでには、尚ほ幾多の困難が伴ふことでありませう、併し之を我々日本人が不屈の精神を以て貫徹せねばならぬのであります、此の意氣と努力こそ「マッカーサー」元師に捧げる感謝の誠であります(拍手)此の際政府は大局を達觀し、以て萬全の策を講ぜられんことを望むものであります
終りに臨みまして一言申上げたいことは、盡夜の別なく社會秩序維持の爲め挺身されて居る「マッカーサー」司令部の憲兵諸士に對し、深甚なる敬意と感謝の意を表したいと思ひます(拍手)
次に又日本の治安の任にある警察當局竝に警察官に對し、感謝の意を表したいと存じます、尚又治安の第一線に立つて負傷等をされたる諸士に對し、心から感謝と慰安の言葉を捧げたいと存じます(拍手)又政府に於ても是等の諸士に對して特別の考慮を拂はれるやう要望して己みませぬ、以上を以て私の所論を終ることに致しまするが、此の際政府の所信を開陣されんことを望みます、終り(拍手)
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=17
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018・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今は警察官に對しまして懇篤なる御慰勞の言葉と御激勵を戴きまして感謝に堪へませぬ、日夜默々として任務に挺身致して居ります全警察官に代りまして厚く御禮を申上げますと同時に、此の際國内治安に關する政府の決意を被瀝致したいと存じます(拍手)
終戰と同時に、民心は一時進むべき目標を見失ひました結果、所謂虚脱状態に陷り、一方自省心を失ひました徒輩は、社會の安全を脅かす凡ゆる惡徳行爲に出で、社會不安を釀成致したのであります、而も之に加へて、所謂解放された在留者にして誤れる者は、過去の處遇に對する反撥を理由と致しまして、敗戰國の法律に遵ふ必要はないと、恰も戰勝國民なるが如き優越感を抱き、例へば不當要求、集團暴行、各種犯罪の敢行、經濟統制攪亂、無賃乘車等の不法越軌の行爲を、而も衆を恃んで行ひ、社會人心を不安に陷れしめたことは御承知の通りであります、數日前に於きまして、露店市場への不當進出を原因と致しまして、臺灣省民と我が國人との間に紛爭を生じ、それが遂に警察署襲撃事件にまで發展致したことも御承知のことと存じます、是等の状況に對處し、社會秩序を維持し、一般國民の生命、身體、財産を讓る任務を有する警察官は、凡ゆる困難な條件下に、言ひ知れぬ苦心を拂つて是が取締を致して居る次第であります、聯合國軍の指令に基きまして、是等解放せられた在留民が、日本に居住する限り日本の法令に遵ふべき點に付きましては、何等日本人と區別さる、所がないのであります(拍手)我が警察は、是等在留者に對しましては完全なる警察權を掌握し、是が取締の義務と責任とを持つて居るのであります(拍手)而して善良なる在留者に對しましては、我が國人同樣十分其の身體、生命、財産の保護に當りますることは勿論であります、第一線警察官に對しましては、風俗習慣等の差別に能く注意致しまして、取扱に誤りなきやう指示を致して參りまして、彼等の生活に些かの不安をも抱かしめないやう配意し、隣邦との友誼を高めるべく凡ゆる努力を拂つて居るのであります、若しそれ、惡質なる違反者、殊に暴力を以て社會秩序を破壞せんとするの集團的不法行爲者に對しましては、假令それが朝鮮人間、臺灣人間の問題でございましても、日本の法令に依りまして嚴正なる取締を加へ、之を防遏する方針で臨んで居る次第であります(拍手)勿論是等集團不法行爲者は在留者全部ではないのであります、又斯かる不良分子の行爲を心から憂へ、遺憾と致して居る在留者も少くないのであります、又我々は、在留者なるが故にとの感情を少しも混へることなく、其の惡を憎んで其の人を憎まず、嚴正公平を以て治安維持の重責の完遂を期し、全警察官をして誤りなきを常に戒めて居る次第であります、再生日本は言ふまでもなく平和國家の實現を念願と致して居ります、平和國家たるが爲には、國内に於きましても暴力及至非合法手段が行はれないことを絶對に必要と致すのであります、警察は漸次其の力を囘復し、又其の職務の執行に勇往邁進するの氣風が段々と旺盛なるものを見つつある次第であります、我が警察は此の平和國家實現の線に沿ひまして、今後一層、社會秩序を紊る不法行爲に對し、是が防遏に斷乎として邁進致し、以て全國民の信頼に應へますると共に、聯合國の期待に酬いる覺悟で居る次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=18
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019・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 是にて議事日程は終了致しました、次會の議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後三時一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X01919460723&spkNum=19
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