1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年八月二十三日(金曜日)午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君 理事 氏原一郎君
稻田直道君 大井直之助君
木島義夫君 小柳富太郎君
小笹耕作君 太田秋之助君
仲川房次郎君 本名武君
武藤常介君 永井勝次郎君
林虎雄君 松澤一君
井出一太郎君 伊藤實雄君
八月二十二日委員米倉龍也君辭任に付其の補闕として飯田義茂君を議長に於て選定した
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 是より會議を開きます、質問を繼續致します——平野増吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=1
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002・平野増吉
○平野(増)委員 前回の質問の繼續になつて居ります第六十七條の第一項の第二號の問題から關聯致しまして、私の疑問とする點は、林産組合が都道府縣を區域とするものと、それから府縣の或る地區を區域とするものと、二つ出來ると云ふ風に見えて居る、さうすると其の區域に出來るものは、假に何々郡とか、何々地方とか云ふやうな名前を頭に付けて、さうして例へば麹町林産組合、それから都道府縣を區域とするものは東京都林産組合、斯う云う風になるのですか、此の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=2
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003・平川守
○平川政府委員 さう云ふ風になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=3
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004・平野増吉
○平野(増)委員 さう致しますると、其の小さな區域の林産組合と、又都道府縣の區域を區域とする大きな林産組合と云ふものとの關係は、どう云ふ風になりますか、詰り同じ林産組合で、小さな各地區の組合が集まつて都道府縣の林産組合と云ふものを結成する、所謂聯合會のやうな性質を持つのであるか、さうでないか、此の法案では其の點がはつきりして居ない、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 此の法文の文理解釋と致しましては、都道府縣を單位と致します林産組合は、其の府縣内の地區を單位とする、地區別の林産組合の聯合會體として出來る場合もありますし、其の他直接に縣單位で出來る場合もあるのであります、唯實際の問題と致しましては、恐らく全國各地方の府縣に於きましても、實際の便宜上から致しまして、各單位地區の林産組合を作つた上に、聯合會を作ると云ふことが大部分であらうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=5
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006・平野増吉
○平野(増)委員 政府委員は大部分さう云ふ風になるだらうと云ふ御見込を御話になりましたが、是はさう云ふ見込と云ふよりも、寧ろ實際問題としては、各地區に林産組合が出來て、それが纒つた上に聯合會體のものが出來ると云ふことでないと、運營が旨く行かぬと云ふことが實際だと信じます、是は今日まで各業界の經驗上明かであります、恐らく各委員の方も此の點に付ては同感であらうと自分は信ずる、隨て政府の御見込も亦大部分さうなるだらうと云ふことであるならば、寧ろ初めから、府縣一本にさう云ふものが出來るかも知れぬし、又さう云ふやうな聯合會の樣な風になるかも知れぬと云ふやうな曖昧なことでなしに、やつぱり聯合會を作るのだと云ふ風の組織ではつきり行つた方が、迷ひがなく、又全國統一されて非常に都合が宜いのではないか、斯樣に信ずるのであります、でありますから、此の點は是非さう云ふ風に條文を明かにして戴きたいと云ふ希望を持つて居ります、之に對して御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 各地方々々の實情に應じまして、其の地方の林産業者の最も適當と思はれる形に作らせるのが宜いのではないかと云ふ趣旨から、廣汎に自由の利くやうに作つてある譯であります、尚ほ特に林産組合の中には、例へば一般用材を對象と致します林産組合、其の他に坑木だけを扱ひます林産組合、或は「パルプ」材だけを扱ふ林産組合と云ふやうな、特殊のものもある譯であります、是等のものが假に單一の組合を縣單位に作ります場合に於きましては、地區別の單位組合の聯合會と云ふ形でなしに、直接に何々縣の「パルプ」材組合、或は坑木組合と云ふものが出來る可能性があるだらうと思ふのであります、さう云ふやうな廣い色々な種類の組合を考へますと、法文と致しましては、やはり廣く書いて置きまして、實際の運用に於きましては各府縣の業者の實情に應じまして多くの場合に於きましては行ふ、斯う云ふことの方が宜しからうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=7
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008・平野増吉
○平野(増)委員 實際の問題として、今御話しのやうなこともあり得るのでありますが、更に實情に付て之を考へると、どうしても都道府縣の林産組合と云ふものは聯合會だと云ふやうなことがはつきりして居ないと、地區別に出來た組合を纒めて統制して行くことが出來ないと思ひます、法文の上で各皆獨立して居るものだ、斯う云ふ形に是は見えて居る、何處を見ましても、地區別に出來たものを縣單位の林産組合が押へて行くと云ふことが何處にもない、ですからやはり離れてしまふ、離れてしまふと云ふのなら結局——丁度岐阜縣の場合を茲で考へますと、二十八地區の木材生産の組合が出來て居ります、それから單板とか、坑木とか、電柱とか云ふ縣下一本の組合が二つ出來て居る、合せて三十幾つか出來て、聯合會が出來て、之を聯合會で統一して居る、所が此の趣旨で行きますと、假に二十八の組合が出來て、岐阜縣の組合と云ふものと聯合會と云ふものとは、聯合會と云ふ名前ではなく、即ち岐阜縣の林産組合と云ふものに今の聯合會がなつたと致しますと、法文の上では別々のものになる、詰りそれを纒めた一つの聯合會であると云ふ風には見られないのであります、岐阜縣林産組合、それから何々郡林産組合、其の何々郡林産組合と云ふものの、幾つかのものを纒めた縣の林産組合と云ふものとの關係が、此の法文には明かになつて居ない、やはり聯合會と云ふ性質のものにした方が是は宜い、是は私が漏れ聞く所に依ると、最初二つ御作りになつた當時には聯合會組織があつた、所が聯合會と云ふ規定を設ける爲に、十二箇條とか條文が長くなると云ふので、それを省いてしまつて、之を無理に斯う云ふやうなものに御作りになつたと云ふ話を漏れ聞いて居る、其の眞實は知らない、併しやはり假に何箇條かさう云ふ條文が要るかを知れませぬが、それをはつきりして置くと間違ひがなく、迷ひがなく、旨く行く、斯う考へるのであります、でありますから、やはり是はどうしても府縣の聯合會と云ふものを——此の間、前回の委會員の際に政府委員からは、森林組合は各村村が單位になつて居るから聯合會が旨く行くけれども、是は郡が二つ一緒になつたり、或は流域別になつたり、色々な關係になりますから、聯合會が旨く行かぬと云ふ意味の御説明があつたが、是は何かの誤解だと思ひます、私は各郡で一つの林産組合が出來やうと、二郡三郡を纒めた組合が出來やうとも、或は一郡が二つに別れて流域別で一つの組合が出來ても、其の組合が纒まつたものが聯合會であつて、それは其の地方の事情事情で出來る、寧ろ行政區域と云ふやうなものに拘泥らないで、業界の實情に依つて組合が出來ることが宜しい、又必ずさうなります、でありますから、さう、さう云ふことは聯合會を作る場合に、行政區劃と云ふやうなことに拘泥しないでも、是は完全に行くものである、でありますから、さう云ふ此の間の御説明は理由にならない、此の點はどうしても、各區域の林産組合が纒まつて、都道府縣單位の林産組合聯合會を作る、斯う云ふ風にやつて戴きたい、さうして其の林産組合の聯合會と森林組合の聯合會とか、茲に一緒になつて縣府の林業會を作る、斯う云ふならば筋道がちやんと立つて統制が執れる、之を此の儘で行くと、どうしてもそれが實情に副はない、實情に副はないと云ふことは、即ち運營に付て色々な疑問が起り、面倒が起る、さう云ふやうなことになりますから、是はあつさりとさう云ふやうにすることで御考慮を願ひたい、之に對して御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=8
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009・平川守
○平川政府委員 林産組合と云ふ言葉に統一されて居ります爲に、非常に御心配のやうでありますけれども、併し法律的に考へて見まして、第七十一條の林産組合の組合員たるものと云ふ所に、はつきりと「林産業を營む者又はその團體」と云ふものを構成員に考へて居る譯でありまして、御話のやうな點は、是で十分滿し得る譯であります、それから尚ほ林産組合と云ふ抽象的な名前を使つて居りますけれども、第六十九條の名稱に關する規定にありますやうに、林産組合と云ふ文字が其の組合の名稱の中に含まれて居れば宜い譯であります、例へば縣單位の林産組合に於きまして、御話のやうに林産組合の聯合會を作つて居る場合に於て、何々縣林産組合聯合會と云ふ名前を使つて一向差支へない譯であります、でありますから、府縣の業者間に於て意見が一致致しまして、御話のやうな各地區組合が集まつて、府縣の林産組合聯合會を作らうと云ふことになればさう云ふ名前を使ひまして、現在の組合を其の儘組合員として、府縣の林産組合聯合會と云ふことに致すことが出來る譯であります、それを林産組合聯合會と云ふ風なきちんとした形に、劃一的に法文上決めることは、先程申しまするやうに、特殊の用材に付きましては、却つて直接の縣單位を必要とするやうな場合もある譯でありまして、餘りにも拘束的に書くよりも、其の方が宜く、而も運用で少思しも差支へないのではないかとひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=9
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010・平野増吉
○平野(増)委員 然らば斯う云ふ風に承知して宜いですか、聯合會と云ふ文字は何處を見てもないが、都道府縣の林産組合と云ふものは、各地域の組合に林産組合聯合會と云ふ名前を付してやつて宜しい、斯う云ふことに承知して宜いですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=10
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011・平川守
○平川政府委員 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=11
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012・平野増吉
○平野(増)委員 分りました、そこで斯う云ふ點はどうなるか伺はなければならないのですか、第六十七條の第一項第二號の「組合員の生産し、又は販賣する林産物の加工、運搬、保管又は販賣」是は「林産組合は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。」と云ふことになつて居るのでありまして、此の下部組織の地域別の組合に對して、此の第二號は適當だと考へまするが、今の聯合會と名前を府縣の聯合會には、第二號で謂ふ買取、販賣、保管、運搬、加工と云ふことは許していかぬと考へるのですが、此の點に於きまする御見解はどうですか、是は聯合會に認めて居られるのか、地區別の林産組合だけに御認めになつて居るのか、其の點を御尋ねします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=12
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013・平川守
○平川政府委員 此の第六十七條の規定は、單に地區別の林産組合だけでなしに、其の聯合體にも一般的に適用がある譯であります、唯此の第二號に付きましては、組合員の生産した、或は又販賣をする林産物の加工、運搬等でありますから、假りに今の聯合體に於きまして、其の組合員である地區別の組合と云ふものが自ら生産し、或は自ら販賣をすると云ふことでなければ必要がない譯であります、それで、一般的には聯合會に於きましても、恐らくは此の事業も出來ることになるだらうと思ひますけれども、併し現實の問題と致しましては、御話の通り生産、販賣の共同事業を致しまするものは大部分は地區單位であります、府縣單位は例外的に之を特殊のものに付て行ふ、之も豫想されると云ふ程度に考へて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=13
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014・平野増吉
○平野(増)委員 戰時中過去數年間の經驗から見まして、府縣を纒めたる所の聯合會の性質のものが買取、販賣竝に加工とか運搬とか保管とか云ふやうな廣い範圍のことを許すと云ふことになりますと、やはり元の地木と同じやうなものが出來て來る、其の虞は十分にある、我々の信ずる所では、地木が解散をされて、新しい林業會法を政府が御作りになる、此の考への根本は、從來の失敗に鑑みて過去の弊害を再び繰返さないやうにすると云ふのが原則である、斯樣に信じます、其の點から見て、さう云ふやうな縣念のあることは、此の際之を禁止した方が宜いと思ふ、さうして成べく個人の創意と、個人の工夫を活かして、木材の増産に邁進せしめる、所謂増産意欲の昂進を圖ると云ふことに重點を置かなければならぬ、其の點から申しますれば、どうしても個人の創意を活かし、個人の活動を十分に自由ならしめる、此の原則に於て行かなくてはならぬ、其の點から見て、地區別の組合までは實際上に於て必要があります、是も地區別に組合だけで仕事をするのだと云ふことになつたら個人が死んでしまふけれども、各郡などの小さい組合の中には、やはり其の組合が仕事をして宜いと云ふ途を開いて置かないと、やれないことが出來て參りますから、是は結構でありますが、縣の聯合會と云ふ性質のものになりましたら、全然さう云ふことに手を出してはいかぬ、是は林業の指導奬勵と、必要なる物資の供給、資金の斡旋、斯う云ふやうなことや、林産物の加工、運搬、保管などに關する斡旋をすると云ふ程度に止めて置きたい、是が直接の買取、販賣を許すと云ふことであれば、是はいかぬ、過日本會議か豫算總會の席上で、何れの政黨の方かの御質問に對して、大臣は今後の買取、販賣は決してやらぬと明答して居られる、恐らく我々も左樣に信じて居つたのでありますが、今質問をずつと續けて見ますと、此の府縣聯合會と云ふものがやはり林産組合と云ふことになる、下部組織の林産組合までは宜しい、それ以上の府縣を單位とする所の大きな林産組合と云ふものが買取、販賣をやる——若し其の組合長とか、組合の幹部が非常に仕事好きの人であり、商賣好きの人であつたならば、殊に其の組合は出資組合たることを許されて居るから、資本をどんどん拵へて、生産の裏付けで銀行から金を借りて、仕事を擴大して來る、斯う云ふことになると再び地木と同じやうなことになる、地木がどう云ふものであつたか、地木が如何に各方面から非難をされたかと云ふことは論ずるまでもないのですが、私は此の點に付ては是非「保管又は販賣」の所に「斡旋」と云ふ文字を使ふ、さうして斡旋と云ふ程度に止めて欲しい、さうでないと必ず弊害が起ると云ふことを私は確信して居ります、之に對してどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=14
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015・平川守
○平川政府委員 只今の一般木材の統制、徑路の實情と云ふものに即應して、之に付て考へますと、平野委員の仰しやるやうな地方も相當あるかと思ふのであります、唯一般的に、此の林産組合と云ふ組合の組織として考へまする場合に、縣單位の組合で以て、組合員の生産或は販賣する林産物の共同加工でありますとか、或は共同で保管をするとか、或は場合に依りましては一部を共同で販賣をすると云ふやうなことが必要であり、又組合員の爲になると云ふ場合もあらうかと思ふのであります、それを全然出來ないやうに法律で規定を致して置くと云ふことは、却て組合員の利益にならないではないか、但し組合員多數の意向がさう云ふことをやることは不適當だ、斯う云ふ場合に、縣單位の林産組合と雖も無理にそれを押付けることは出來ないのでありまして、林産組合自身は地木社と異なりまして、組合員の組織と云ふものが常に反映し得るやうな組織になつて居るのであります、組合長はさう云ふことが非常に好きでありましても、組合員の意向がそれに反すれば是は出來ないことになつて居るのでありますから、そこは、從來の地木社とは本質的に異なることになります、組合員が贊成の致し皆がそれを希望すると云ふことでありますれば、縣單位の組合と雖も、時として一部のものに付て共同の加工、運搬、販賣等まで出來ると云ふやうに致して置くのが、從來の組合の一般の形でありまするし、又それが適當ではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=15
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016・平野増吉
○平野(増)委員 只今の政府委員の御説明に依ると、何處かに組合員の意向に依つてそれが決められるのだと云ふやうな——組合員がそれを好まない場合はやれないと云ふやうな御趣旨に承りましたが、どの條文にさう云ふことがございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=16
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017・平川守
○平川政府委員 是は極端な場合に於きましては、第一役員と云ふものが總會の選任であり、役員のやつて居る仕事が不適當だと云ふやうな場合に於きましては、役員の解任と云ふ方法も總會の總意に依つてあり得る譯であります、又經費の負擔でありまするとか、其の事業の計畫に付きまして總會の議決を經る譯であります、さう云ふ色々の機會に於きまして、組合員の意向と云ふものが、此の組合の事業の運營、やり方に付て反映する機會が十分にある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=17
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018・平野増吉
○平野(増)委員 政府委員の御答辯は非常にこじつけで、私が聽いて居ると無理があるのです、此の條文の中に組合員多數の意思がさう云ふことにしてはいけないと云ふことを決めれば、それが出來ないとか、或は多數の意思に依つて之をやるのだと云ふ規定がどこにあるのならば、只今の御説明が積極的に效力があるのでありますけれども、さう云ふ規定はない、さうして六十七條に於て、明かに之をやつても宜しいと云ふことが法律上許されて居る、さうすると、之を組合長なりが多數の意思に反してでもやる場合に、多數の者がどうして之を止めることが出來るか、結局今仰せの通り、どうも俺等は氣に入らぬから、あの組合長を解任しようぢやないか、斯う云ふやうな行動に出なければならぬことになる、さうすると絶えず組合がごてつくことになる、さう云ふことを豫めはつきりと防ぐやうに決めて置くことが、今日法律を作る場合に、我々が審議に當つて十分研究して、意を盡して置くことが必要なんであります、是は林業會法案の中に於ての今後の運用上非常に重要な點であります、又一般業界の人達の懸念する點も此の點にある、此の儘で行けば再び日木、地木のやうなものが——それと同じものではないが、非常に似たものが生れて來る虞がある、斯う云ふ風な非難を相當して居ります、又我々が見てもさう考へられる、でありますから、此の點は組合の多數の意思がやつて宜しいと云ふのならそれはやれる、組合の意思がやつて惡いと云ふのならやつては惡いのだ、斯う云ふ風に組合員の意思に依つて是が決せられるのだと云ふ條文が何れかにあるのならば、それで纒まりが付くが、其の意思が何處にも發揚されて居ないとすると、結局今政府委員の御説明のやうに、組合長を解任するとか何とか、別の手段を執らなければならぬ委員長なんと云ふ適任者はさうざらにあるものではない、どこでもさう云ふ工合に彼奴が氣に入らなければ此奴に迭へると云つて、簡單に人事は迭へられるものではない、でありますから是は是非、世間から再び地木が生れると云ふ懸念があると言はれるやうな疑ひを除く爲め——疑ひばかりではありませぬ、確かにさう云ふ懸念は私共の經驗から見ればある、ですから此の點を十分改正する必要ありと私は信ずる、故に能く此の點は考慮をして戴く御意思を持つて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 只今御説明しましたのは、極端な場合に於て解任まで行き得る譯でありますが、其の前に或は經費の負擔の方法でありますとか、或は事業計畫の設定と云ふやうな事柄が總會の議決事項になつて居る、今年は斯う云ふ事業をやる、それに付ては斯う云ふ費用が要ると云ふやうな事柄は、總會の議決事項に載つて來る譯でありますから、それで抑へられるぢやないか、それでもどうしても會長が專横をやると云ふやうな場合には、選任の手續まで行けるではないか、其の點は第八十二條に依りまして、第二十五條と云ふものが林産組合に準用されて居る譯であります、第二十五條の「左の事項は、總會の議決によらなければならない。」と云う事柄の中に「毎事業年度の事業計畫の設定及び變更」、「賦課金の賦課徴收方法」と云ふ事柄がありまして、是が林産組合の方にも準用せられて居るのであります、隨て其の毎年度の總會の際に、組合員の意向に依つて共同販賣がいけないならいけないと云ふことになりますれば、それは出來ないと云ふことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=19
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020・平野増吉
○平野(増)委員 此の第二十五條の規定は、出資林業會及び林産組合、どちらにも適用するやうになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=20
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021・平川守
○平川政府委員 さうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=21
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022・平野増吉
○平野(増)委員 それでは、六十七條は可なり疑問がありますが、今は此の程度で一應次に移ります
大臣が御見えになつた直ぐでお氣の毒でありますが、大變待つこと久しかつた譯でありますから、御尋ね申します、大臣に御尋ねしようと思ふことは、法案の區々に付て御尋ねをしようと思ふのであります、私は過日豫算總會で御尋ねを致しました造林の問題に付て、理窟や理由や不必要なる道理に付ては、管々しく述べる必要は最早ございませぬから、點要を一つ申上げて、政府の意思を確めて見たいと思ひます、それは折角林業會法案が完備致しまして、さうして全國に木材の増産の準備が出來ましても、其の資源の山を坊主にしてしまつては、將來困ると云ふことは言ふまでもない、それで是れまでに伐つた山には木を植ゑると同時に、是から伐る所にも遲滯なく植ゑなければならぬ、それには過日申上げた通り、丁度今の民生安定費の、失業對策と云ふ問題と絡み付ければ非常に是が旨く行くのではないか、此の絶好の「チヤンス」を農林大臣は見逃がされるやうな、そんな頭の惡い人ではないと確信するが故に、私は此の間大體の御明言を得たのでありますが、尚ほまだ何處かに不十分な所があると思ひますので、此の機會に重ねて大臣の御意思を伺ひたい、是非過日總會で申上げました失業對策と合はせて、全國の森林組合を動員して、大々的に戰時中非常伐採をした跡地を緑化して戴くと云ふことに付て、實行の御意思を具體的に聽かして戴きたいと思ふものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=22
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023・和田博雄
○和田國務大臣 公共事業費の六十億でありますか、あれに付ての内譯は、近く最後的に決定されると思ひます、勿論農林省としましても必要な公共事業費、而もあの六十億の豫算と云ひますか、金の使途が一つには食糧、其の他生産再開に必要な生産に兎に角寄與するものと、一つはそれに失業者を吸收すると云ふこと、此の二つの觀點から來て居るので、農林省としましても其の點に付ては十分な檢討を致しまして、相當の豫算額を計上致し、又それも認められることになると思ひます、勿論森林の點に付きましても、失業對策の點、それか同時に造林と云ふ形で資源の造成にもなると考へまして、勿論あの中に入れて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=23
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024・平野増吉
○平野(増)委員 御趣旨の大體の御方針は分りましたが、私の聽きたい最も重要な點は、豫算總會で申した如く、少くとも十億以上の資金がなければ、戰時非常伐採跡地を緑化すると云ふことに付て駄目だと、斯樣に信ずるのであります、是は私が信ずるばかりではない、農林當局に於ても無論左樣に信じて居られることと思ひますが是非此の六十二億の豫算の中から、十億以上の金を農林省の林業の方面に割いて、失業對策の途をお立てになると云ふことに付て、過日農林大臣は、私より遙かに以上の熱意を以てやると、斯う仰せになつたから、此の點に付ては私は非常に感謝を申上げます、併し是は具體的ではない、それで折角非常な熱意を御持ちになると云ふのなら、此の際一般の森林組合竝に全國の國民が安心をするやうに、少くとも民生安定費の今の六十二億の中、十億以上の金を其の方に振向けられるやうに努力すると云ふ御一言を農林大臣より一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=24
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025・和田博雄
○和田國務大臣 どうも豫算の内譯のことに關して、十億以上をどうしろと仰しやいますが、是は我我としましては、大體公共豫算の中には、山林關係は八億入つて居ると思ひます、それに一般の農林省の金が約十億さう云つた方面に出ることになつて居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=25
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026・平野増吉
○平野(増)委員 其の八億と云ふのは造林關係に使へる金でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=26
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027・和田博雄
○和田國務大臣 それは凡ゆるものでありますが、山林關係で公共事業費のあの趣旨に副ふものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=27
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028・平野増吉
○平野(増)委員 大部分造林の方に向けられると信じて宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=28
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029・和田博雄
○和田國務大臣 細かい點は一つ政府委員から…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=29
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030・中尾勇
○中尾政府委員 只今大臣から申されました金額の中、造林の方は大體公共事業費に含んで居りますのは七千萬圓程度であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=30
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031・平野増吉
○平野(増)委員 八億の中僅か七千萬圓ですか、造林に關するものは…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=31
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032・中尾勇
○中尾政府委員 今のは治水の方を除きました造林事業だけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=32
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033・平野増吉
○平野(増)委員 造林事業と申しますると、具體的に言へばどう云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=33
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034・中尾勇
○中尾政府委員 本年の造林に關しまする總體の豫算の中には、國有林の直營事業もありますし、又民有林に對する助成の分もあります、兎に角金額に致しまして、大體總體の豫算は約九千萬圓程度に相成つて居ります、其の中公共事業費に含んで居るのが七千萬圓に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=34
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035・平野増吉
○平野(増)委員 どうも政府委員の御答辯は私にぴつたり來ないのです、八億の豫算の中で、最も大切なる造林に關する事業費が僅かに七千萬圓、それを廣く見ても九千萬圓しかない、そんなことで一體何が出來るのでありませうか、何か間違つて居ませぬか、もう一度御尋ね致します、若し間違つて居ないと云ふことであれば、如何に山林に對する認識が不足して居るか、若し左樣なことであるなら、私は農林大臣に申上げるが、現在の山林局の當局は、日本の山林行政を任して置くに足りない、非常に不安心であると思ふ、だから恐らくは何かの間違ひであらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=35
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036・和田博雄
○和田國務大臣 恐らく是は間違ひでないと思ひます、大體斯う云ふ風に御考へを願ひたいのであります、造林に付きましては平野さんの御熱心な御主張がありますが、私達も造林と云ふものは、屡屡御答辯申上げましたやうに、是非やらなければならぬものだと思つて居ります、そこで計畫的に大體二百七十三萬町歩とあなたに御答辯致しましたやうに、是から伐採されるものを含めて二百七十三萬町歩と云ふものを、五箇年計畫でありますが、計畫を立てて緑地化して行かう、斯う云ふやうな計畫を立てて居ります、そこで此の公共事業費の中に入りまするものは、是は公共事業費の性質と致しまして、公共事業と云ふものであると同時に、失業救濟になるもの、此の兩面の要求がある譯であります、そこで山林局關係と致しましては、現在の實情に於て造林をやり得る最大限度の計畫としてのものをそこへ盛込んで居る譯でありまして、其の外に沿水なり、或は其の他の點も、災害復舊の豫算も入つて居ると云ふことになつて居るのでありまして、唯今年度の造林計畫だけが一億圓足らずのものであるから、斯う云ふことだけで御判定にならないやうに、きちんとした計畫を立てまして、それを今後我々としては、着實に實際上實行出來るやうにやつて行く、斯う云ふ風に考へて居りまするので、御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=36
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037・平野増吉
○平野(増)委員 先程の御話の八億と云ふのは、何に一體そんな金が使はれるのか、併し私は、今此處で此の點を是れ以上押合つて見ても要領を得兼ねると思ひますから、願はくば次會までに、山林局長の御手許で造林計畫に關する所の、我々素人が見ても一目瞭然に分るやうな、何か計畫案を書いて、さうして各委員に配つて、御示しを願ひたいと思ふ、私共の心配する點は、今日治山治水と云ふ問題は、言ふまでもなく非常に國民が熱意を持つて居る問題です、我々林業に關係を持つ議員として、議會に出て參りました限り、此の點に付て是非當局と十分に御話をして、安心の出來るだけの方法が講ぜられないやうなことでは、選擧區に歸り、又何處に行つても國民に合はす顏がない、是は合はすとか合はさないと云ふ問題ではない、過日から申上げて居る通り、現に水力電氣など電源が、發電所を造つたり、堰堤を造つた當時から見ると、半分以下に落ちて居ると云ふことは爭ひのない事實である、山は崩壞する、土砂がどんどん流れて來る、斯う云ふことでは日本の將來を考へて非常に不安です、のみならず森林の伐採の資源を段々失つてしまふ、過日申上げた通り、私の計算で行けば、若し木を植ゑて十分に山を育てなかつたならば、二十年の後には伐る木がなくなるのではないかと云ふことまで心配して居る、此の際に農林當局が造林に對してもう少し眞劍に熱意ある態度を御執りになると云ふことが、是は絶對に必要なんです、只今の山林局長の御答辯などと云ふものは、其の御態度と云ひ、話振りと云ひ、私共にはぴんと來ない、もつと眞劍に、あなたが私以上の熱意と眞劍さを持つて、我々と協力して、是非政府から金を取つてやらなければならぬ、斯う云ふ風に進んで來られるものだと私は思つて居た、所が何だか我々に攻撃されて居るから、それを受身で防いで居るやうな氣分が現はれて居る、斯う云ふ氣分では迚も日本の林業の政策を高からしめると云ふことにならぬと私は思ふ、私はあなたを不適任だと申上げる譯ではないが、私は此の點に付て眞劍に心配して居る、過日農林大臣は、私以上に御心配下さると云ふ御話があつたので、私は其の御言葉に對して非常に喜んだのであります、でありますから、山林局長は農林大臣の意を以て、十分此の點に付て熱意ある態度を御示しになり、さうして民生安定費六十二億の中から、少くとも十億位の金を貰つて來て、全國の山林局を總動員して、此の伐採した山の木を植ゑると云ふことは、正にあなたの劃期的な仕事である、それを一つおやりになるだけで立派な功績であると思ふ、それが僅かに八千萬圓とか、七千萬圓とか云ふやうやうな今の話を聽いて、私は全く腰が拔けて動けないやうな氣がする、仇や疎かに聽いて貰つてはいかぬ、私は眞劍なんですから、…若し本當に熱意のない態度を執りになつて居るなら、私は氣が違つて何を言ひ出すか分らない、其の時にはどうか氣違ひが言ふのだからと云ふので、お叱りを受けぬやうに願つて置きます、それ位眞劍に思つて居る、戰爭中國民の持つて居る、山主の山を、賣りたくもない、伐りくたもない、先祖から傳つて居る山だと云ふので、大切にして居るものを、戰爭に勝つ爲だと云ふので無理矢理に、厭がるものを取上げて伐つてしまつた、其の跡に木を植ゑたいと云つても、植ゑる力がないから、放つたらかしてあると云ふのが現状です、是は國としてはどうしても植ゑるやうにしなければならぬ、其の方法は、私共幾つも案を考へて居るのですから當局に熱意があるならば、我々は如何樣にでも御相談に乘つて、我我の考へて居る案を申上げる、民間で考へて居る案にも相當の名案があるのです、どうか此の林業會法案を我々が審議する前に、願はくは木材の搬出、總ての林産物を搬出致します上に於て、其の資源たる山林の保續に付て、安心出來ると云ふ風な熱意ある態度を示して戴きたい、之を呉れぐれも御願ひして置きます、どうぞ大臣から假令具體的に數字は斯うと仰しやらなくても、十分熱意ある、私共の安心出來るやうな御言葉を御聽き致したい、此の點に付て御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=37
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038・和田博雄
○和田國務大臣 造林の點に關する平野さんの御熱意は、豫算總會以來私承りまして、非常に有難いと思つて居るのであります、私も日本の山が戰爭中荒れましたことに付ては、出來るだけ早い機會に計畫的にやつて行きたいと考へて、此の間から御答辯申上げて居る譯でありますが、此の公共事業費と云ふものは、是は私繰返し申しましたやうに、公共の事業、生産に直結するものであると云ふことと同時に、失業者の救濟と云ふことを考へて居る豫算でありまして、さうなりますと、農林省關係に於きましても、色々の面で之に必要な豫算がある譯であります、そこで我々としましては、農林省としての豫算が五十億圓の中で非常に大きな割合を占めて居ります、是は經濟安定本部で今やつて居りますから、何れ決定になると思ひますが、此の中で造林費が、今言ひましたやうに、兩方合せて約一億であると申しますのは、是は造林に對して熱意がないと云ふのではないのでありまして、此の造林計畫、是は御話のやうに政府の方で計畫を立てて居る譯でありますから、近く其の大體は御示し出來ると思ひますが、現在の色々な點から考へまして、二百七十三萬町歩をどう云ふ方法で、又どの年限で實際上回復して行くかと云ふことになる譯であります、それに依りますと、やはり全般の森林造成證券で行くものもありますし、又國の豫算としてやつて行くものも色々ある譯でございます、さう云ふ關係で、實際上天然更新を加へて、今の事情で出來得るものを一年分の計畫案として立てまして、それに要する豫算を取つて行く、斯う云ふ形になつて居るものでありますから、如何にも此の數字自體が、あなたの言はれるやうに一時にぱつとやつてしまふ、斯う云ふことから見ますると御不滿だらうと思ふのでありまするが、其の點は我々としては、計畫的に五年なら五年の間に、是は實際上やつて行く、而も其の計畫たるや現在荒れて居る所だけでなくて、將來或程度伐つて荒れるもの、其のものも含めて全體を緑地化して行く、斯う云ふことでやつて居りまするので、是等の點に付きましては、是は今年度のみならず、將來と雖も十分緑地化と云ふことに付ては、政府としては勿論、山林當局としても、勿論熱意を持つてやると思ふのであります、どうかさう云ふ意味で宜しく御諒承願ひたい、斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=38
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039・平野増吉
○平野(増)委員 大臣の今の御答辯で滿足は致さないのですが、併し今此處で是れ以上此の點を押し合つても致し方がないから、先程申した通り、政府の造林に關する具體的の計畫を、一つ次會までに局長から御提出願ひたい——御提出願へますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=39
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040・中尾勇
○中尾政府委員 造林の重要性に關しましては、私等も十分認識も致して居りますし、又熱意も持つて居りますし、是は積極的にやつて行く覺悟で居るのでありまして、先刻申上げましたのは、本年度の大體既定事業に對します既定の豫算に付て申上げたのでありますが、大體其の本年度計畫致して居ります内容に付きまして、書類として後で差上げますが、大體分つて居りますので此處で御説明を致す次第であります、本年度造林事業と致しましては、今まで大臣から何回も御説明になりました通り、本年度は四十七萬町歩を豫定致して居るのであります、此の四十七萬町歩の内容に付て御説明申上げますと、此の中國有林で三萬四千八百町歩を豫定して居ります、其の三萬四十八百町歩の中、人工植栽に依ります分が約一萬七千四百町歩、其の殘りの一萬七千四百町歩が天然更新と云ふ計畫に相成つて居ります、之に關聯致します本年度の豫算が約四千二百萬圓程度に相成つて居るのであります、それから官行造林と致しまして六千五百町歩ら豫定して居ります、是は全部が人工植栽であります、此の方の經費は約千六百萬圓程度に相成るのであります、それから民有林の方の造林の中、造林證券の補助に依りますものが二十七萬九千二百町歩に相成つて居りまして、此の中人工植栽に依りますものが二十二萬四千町歩、それから播種造林に依ります分が五千二百町歩、天然下種に依ります分が五萬町歩、内容は以上の通り相成つて居りまして、之に要します豫算關係でありますが、實は本年度造林證券に依つて實行致します造林の助成の分は、來年度の經費に相成るのであります、本年度豫算に上つて居りますのは、千三百萬圓近くの經費が豫定致されて居りますが、是は前年度即ち二十年度に植栽致しました分に對する助成を計上致してあるのであります、本年度植栽致します分に對する助成は、來年度に支拂ふことに相成るのであります、それから一般助成の分は、面積で申しまして十四萬六千八百町歩あるのでありまして、此の中人工植栽に依ります分が五萬六千町歩、播種造林に依ります分が三千八百町歩、天然下種に依ります分が八萬七千町歩と云ふ内譯になつて居るのでありまして、此の方の經費として只今豫定して居ります既定經費は、千六百萬圓と相成つて居ります、是は勿論二分の一の助成でありますが、千六百萬圓に相成つて居ります、唯此の一般助成の分に對しましては、總經費では不足の状態になつて居りますので、只今此の増額に付ては折衝中であります、それから先刻申上げました證券に依る分の、大體の經費がどれ位掛るかと云ふことを計算致して見ますと、先般造林證券の額面の金額を約四倍に増額致すことに致しました、其の四倍に致しました經費で計算致しまして、大體總經費が二億一千萬圓ばかり掛ることに相成つて居ります、此の中助成は其の半額になりますから、一億圓ばかり掛ることに相成るのでありますが、是は先刻も申上げました通りに、本年度の豫算の中から支拂ふのではないのであつて、來年度の豫算の中から支拂ふことに相成るのであります、以上只今豫定致して居ります經費は、先刻申上げました約九千萬圓でありますが、今の一般助成の方も、是も目下交渉中のものもありまして、之を加算致しますと、もつと殖えることに相成るのであります、大體今本年度計畫致して居ります豫算のことを申上げたのでありますが、今後人夫賃金の昂騰、其の他の實情を見まして、實行が出來ない場合には、更に豫算の増額を要求する覺悟を持つて居ります、尚ほ今申上げたのは造林だけでありますが、其の他先刻治水の話もありましたが、此の方も積極的に實行するやうな計畫を立てて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=40
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041・平野増吉
○平野(増)委員 只今の御答辯に基いて、此の際御尋ねして置きたいのは、造林の助成、森林資源造成法に基き今年度の豫算に於ては、あの法律が改正にならなければ増額は出來ないのではないかと思つて居りますが、あの法律を御改正になる意思があるのかどうか、それを承つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=41
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042・平川守
○平川政府委員 森林資源造成法に於きましては、證券の發行額を總額三億圓と抑へて居る、併しながらそれぞれ造林に對する券面額と云ふものは、農林省の告示で致すことになつて居ります、此の單價は從來非常に安くありまして、今回平均致しまして、造林八百六十圓、撫育五百圓と云ふ程度に單價を増額致した譯であります、隨て法律をあの儘に致して置きますと、總造林面積の方が減つて來ると云ふ關係になりますので、將來之を改正致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=42
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043・平野増吉
○平野(増)委員 私の心配して居る通りであることが分りましたが、三億圓までは出せるが、それ以上は出せないと、斯う云ふ所で抑へられて居る爲に、あの森林資源造成法が出來ました當時には、それで是だけの山が植はるのだと云ふ考へであつた所が、今日では其の豫算の少くとも十倍位のものを掛けなければ木は植ゑられない、さうすると假に百町歩出來ると思つたのが十町歩しか出來ない、斯う云ふ風に非常な變化を見て居る日本の現状と致しましては、何でも彼でも、凡ゆる方法を以て山を緑化すると云ふことをやつて戴かなければならない、そこで私の考へでは、原則として政府は斯う云ふ風に考へて欲しいと思ふ、是は大臣に一つ能く考へて戴きたい、豫算の金とか、或はさう云ふ數字で以て山に木を植ゑると云ふ、即ち金で切つて植林をすると云ふ豫算計畫は、斯う云ふ經濟界の變動測るべからざる時には、結局實行不可能に終る、案を立てた時と、愈愈木を植ゑる時とは少くとも相當時日が經つ、其の間に非常な變化が來る、でありますから、結局總てが實行不可能になる、今各方面から、其の助成法に基いて申請して來て居て、許可になつてやつて居ると云ふものも、證券を貰ふまでに果して木が植ゑられるかどうか、私は非常に覺束ないことだと思つて居ります、でありますから、私の考へでは、原則として斯う考へて欲しいのです、是は大臣が政治的に考へて貰ひたい、私の知つて居る範圍に於て、殊に岐阜縣の飛騨國は有名な日本の林業國であります、あれだけの森林が今日殘されて來たと云ふことを、徳川時代の藩政に付て調べて見ると、彼處は天領であります、さうして一本の木を伐れば必ず十本の木を植ゑて返さなければ牢へ入れる、斯う云ふ制度であつたのでありますから、百姓が山へ行つて山稼ぎをするのに、代官所から許可を受けて、さうして其の山を伐る、百本伐れば必ず千本の木を植ゑて返す、斯うしなければ其の人は罪人になる、斯う云ふ嚴重なことが行はれた、殊に木曾などに於きましては最も其の點が強かつた、それで木曾にあれだけの森林が殘り、飛騨にあれだけの立派な森林が殘つたと私は信ずるのであります、どうしても金で決めないで斯う云ふやうな或る事柄で以て、決めなければならぬ、そこで私の考へて居ることは、山主が山を賣つて、さうして其の木を伐採した跡地には、少くとも三年以内には、やはり木を植ゑなければならぬのだと云ふ義務を負はすべき法律を作つて戴きたい、さうすれば山主が山の木を賣る時に、それだけの山に木を植ゑる責任を持つ、其の場合にどれだけ金を掛るか、隨て政府は、それに對してどれだけ助成をするかと云ふことを決めて戴かなければならぬ、やはり最初山を賣る時に、それだけの造林費を見込んで賣るのが最も正しい途と思ふのであります、其の代り國は法律でそれだけの責任を持つ、若し其の義務を果さなければ、其の山林は沒收する、若しくは國で植林をした場合に、昔は三公八民とか、二民とか色々な制度を以てやつて居た、秋田あたりは恐らく六分が植ゑた人のもので、四分かお上のものだと云ふ、所謂四公六民と云ふやうな制度が行はれたと云ふことを聞いて居りますが、兎にも角にも何等がさう云ふ風な變つた考へ方で、伐つた後は必ず木を植ゑなければならぬのだと云ふ風にして戴けば、安心して日本の山を護つて行ける、斯樣に思ふのであります、是は別に大臣に答辯を求める譯ではありませぬが、私は政治的にさう云ふことを考へて戴きたいと思ふ、假に森林資源助成法の豫算を上げて戴いても、勞銀、物價が上れば又上げなければならぬ、さう後を追ふて上げても物は出來てない、今では不安を感じて、金を幾ら貰つたから木が植ゑられるとは考へられない、どうしても今年只今に間に合はすには、先程の話に戻りますが、やはり厚生大臣と御相談になつて、何でも彼でも失業對策として、あり金を山の方に振向けると云ふことを、大臣の政治的手腕を以て是非やつて戴きたいと云ふことを重ねて要望致します
此の際委員長に御伺ひ致しますが、膳國務大臣は今日御出席は駄目でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=43
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044・森幸太郎
○森委員長 先程申上げた通りです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=44
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045・平野増吉
○平野(増)委員 實は農林大臣と御一緒の時に、私は重要な御尋ねを致したいのであります、私が此の兩大臣のおいで所で御話のを致したいと云ふ問題は、此の林業會法案を通じて一番重要な點だと信じて居りますので、今日おいでにならなければ、甚だ遺憾であるけれども、此の點は次會へ延ばすより致し方ありませぬ、そこで私は前の質問の續きへ戻つて御尋ね致したいと思ひます
第八十九條の「木材統制法第六條」云々と云ふ、此の八十九條の條文の内容を御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=45
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046・平川守
○平川政府委員 此の「木材統制法第六條、第七條及び第三十八條の規定」と云ふのは、企業許可に關する規定でありまして、第六條は企業の許可を木材業等を營む者が受けなければならぬと云ふこと、第七條は、場合に依りまして其の許可を受けた者の取消を致すことが出來ると云ふこと、他は之に對する罰則等であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=46
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047・平野増吉
○平野(増)委員 木材統制法の規定の中、之に何箇條が書いてあるのは、全部企業許可に關する關係なのですか、外のことはないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=47
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048・平川守
○平川政府委員 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=48
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049・平野増吉
○平野(増)委員 木材統制は今回廢止になるのであります、なくなる法律を、今後存續する此の法律の條文に殘すと云ふのはどう云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=49
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050・平川守
○平川政府委員 此の企業許可の制度と云ふものは、此の林業會法の如く將來恒久的な一つの立法ではありませぬで、成べく早い機會に於て之を撤廢致したい、但し現在の經濟事情の下に於て、經濟安定本部と云ふやうなものが存在して、或る程度の自主的統制を行つて參ると云ふ情勢の下に於きましては、此の自主的統制を行ふ爲の補助的手段として、企業許可と云ふことがやはり必要であらう、そこで經過的に之を存續致すと云ふやうな意味であります、詰り經過規定であるから、附則の所に入れるに至つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=50
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051・平野増吉
○平野(増)委員 「勅令で定める期間を限り、同條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。」と云ふのは、勅令でさう云ふ期間が決められるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=51
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052・平川守
○平川政府委員 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=52
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053・平野増吉
○平野(増)委員 其の期間はどれ位ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=53
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054・平川守
○平川政府委員 是は經濟安定本部の存續する期間と私共は考へて居るのでありまして、經濟安定本部の方が一應一箇年と云ふことになつて居りますから、其の通りに致す積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=54
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055・平野増吉
○平野(増)委員 それならば勅令で定める期間と云ふやうなことを別に致さないで、はつきり其の通り書いたらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=55
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056・平川守
○平川政府委員 是は經濟安定本部の存續する期間と云ふ書き方もある譯でありますが、併し法律の體裁と致しまして、斯う方ふ經濟安定本部の存續する期間と云ふやうなことは言はないで、勅令の方で——經濟安定本部の方でも勅令で一年間と云ふことを書いて居りますので、こちらの方も勅令でそれと同じ期間を書いて行く、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=56
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057・平野増吉
○平野(増)委員 八十九條に於て、政府は企業許可の必要ありとして、斯う云ふ分りにくい條文で以て其の點を規定して居られるのでありますが、條文の分りにくいことは、承はれば大體諒解は出來るのでありますが、原則として私は此の際斯う云ふ條文は撤廢して企業の自由を與へたら宜い、さうすると自由を與へると、何だか自由放任になつてしまふと思つて、誰でも材木屋を始めて始末が付かぬと云ふやうに考へる考へ方も一つある譯ですが、併し又一つは、一々許可を受けなければ出來ないのだと云ふやうな窮屈な考へ方も是も宜くない、自由に誰でもやれるのだと云つた所で、まさか木材に經驗のない、何の知識もなく、確信もない者が材木屋になりはしませぬ、やはりやつて見ようと云ふのには相當資本が掛かる、勞力も掛かる、そして損をしないやうにしなければならぬと云ふ點が根本であります、でありますから誰でも自由にやるのだと言つても、誰でも其の日から直ぐ材木屋になる、そんなものではありませぬ、それから材木屋が多くなり過ぎれば、必ず生産が多くなつて材木が下ります、下れば損をする、損をすればそこで整理される、でありますから製材工場でもさうです、企業許可を以て之を取締らなければ、工場が濫立して非常に弊害が起ると云ふことを申します、けれども許可の制度を持つて居るから工場が濫立しない、さう云ふものではない、濫立する時には必ず濫立します、なぜかと云ふと、製材工場を作れば儲かりさうだと云ふ時には必ず濫立する、現に既に私の縣の岐阜縣などでも、今日はもう非常な濫立を現はして居ります、一々上で取締るけれども濫立する、なぜならば、此の許可を與へる官廳其のものが、實際此の許可を與へて宜いのか惡いのか、それから此の程度で適當なのか不適當なのかと云ふ判斷をする能力がないのです、能力がないものが許可權を握つて居つて、そして其の許可權と云ふもので其の目的を達しようなんと云ふことは、是は實に間違つたことです、それよりは大體に於て自由にやらせると云ふ考へ方を持つてやりましても、誰でも製材工場を立てるには資本も掛かる、勞力も掛かる、それを掛けて而も儲けようと云ふのが、損をすると云ふことならやりはしませぬ、でありますから木材の増産、總て物の生産を増強すると云ふことが大眼目である場合には、成べく窮屈なことをさせぬやうに、成べく自由を與へる、そして其の人の創意と工夫を活かすやうにしてやると云ふことを原則として考へない限り物は出來ない、出來た品物をどう云ふ風に扱ふかと云ふことに付ては、是は私は經濟安定本部で相當に考へられる必要があると思ふが、物を作る上に於ては、もう少し窮屈な思ひをさせないと云ふことを原則として行く必要がある、併し此の八十九條の企業許可と云ふものは、原則に於ては、どこまでも永久に抑へて行かなければならぬと云ふ考へではないと云ふ御説明でありますから、私はそれを飽まで主張しようとは言ひませぬが、私は自分の經驗の上から、是は左樣に考へて居ります、どうか斯う云ふ點に付ては政府では窮屈にさせぬやうにと云ふ考へ方でやつて戴きたい、同時に此の許可を與へる與へぬと云ふ取締と云ふものは、本當に實質から言ふと下らぬものです、運動さへ巧くやればどんな者でも許可が取れる、運動をしない奴は許可が取れない、此の一口で盡きて居る、ですからあなた方の方は許可權を握つて居ると云ふことを、大變えらいものを握つて居ると思つて居るが、實質は下らないものだと云ふことを御承知を願ひたい(「其の通りだ」)許可を取らうと思へば何でもない、一寸運動さへすれば取れるんだから、我々は左程氣にして居ない
それから今度は九十一條と九十二條と九十三條との三箇條は、私は根本的に削除した方が宜いと考へて居ります、其の譯は、日本林業會が成立した時は社團法人日本林業會は解散をする、斯う書いてありまして、此の三箇條の條文をずつと續けて見ますと、結局解散は嘘で、實質は社團法人日本林業會が、新しく生れる今度の林業會へ肩替りをする、斯う云ふことになつて居る、是は私は非常に宣くないことだと思ひます、なぜ宜くないかと申しますと、戰時中に權力を振つて業界に臨んで、何か號令を下して來たやうな立場にあつた團體が、今度再び民主的議會で出來た法律の結果に依つて生れる此の純眞な日本林業會へ、肩替りして入つて來ると云ふやうな氣分は、實質はどうあらうとも、大體私は宜くないと思ふ、是は多くを論ずるに及ばぬ、根本に於てさう云ふ考へ方が宜くないのだから、實質は、どんな辯解がありましても、此の點は政治的にいけない、又、社會的に見ていけない、思想的に見ていけない、何處から見てもいけない、宜い所がたつた一つある、何か、椅子や「テーブル」の安い物が其の儘買へると云ふことがありませう、そんな物が欲しかつたら何處からでも買つて來られる、又解散する時に話をすれば買へる、又人間の良い人が居れば、其の人も貰つて來られる、でありますから、斯う云ふ誤解し易いやうな、さうして曾て戰爭中に或る權力を振つて業界に臨まれたやうな、さう云ふやうな團體を背負ひ込むと云ふやうな斯う云ふ條文は、此の際綺麗さつぱりとなくして貰ひたい、斯樣に考へるものであります、此の點に付て御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=57
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058・平川守
○平川政府委員 是はさう云ふ辯解をするだらうと云ふことを前提にして御議論されたやうでありますが、現在の日本林業會と云ふものは、是は飽まで解散をするんだ、隨て是が其の儘肩替りをすると云ふ觀念ではない、飽までも新しい日本林業會と云ふものが、各縣の林業會を基礎と附しまして出來る、即ち各縣で其來て來るそれぞれ林業會の集りで以て、新しい日本林業會と云ふものが設立される譯であります、唯現在或る程度の財産も有し、又或る程度の施設を持つて居る日本林業會と云ふ社團法人がありまするから、是の解散をした資産を貰はう、別にそれに付て一々前林業會を解散して、又新しく此の財産を個々別々に買受ける、或は全然別の方から買受けると云ふことになりますれば、無駄な費用を出る譯でありますし折角斯う云ふ團體に於て林業に關する仕事をして參りましたのでありまするから、是の持つて居りまする財産なり、其の他を特に税金を課せられることなしに引受けても宜いではなからうか、固より新しい林業會は、各縣の林業會を基礎にして設立される譯であります、隨て其の林業會の中樞である役員などは新しく任命されると云ふことににりますので別に其の爲に何か元の臭味を、其の儘引受けると云ふことにもならないぢやないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=58
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059・平野増吉
○平野(増)委員 私の豫想した通りの御答辯を今承りましたが、大抵分つて居るから豫防して置いたのである、けれども同じやうな御答辯であります、是はもう長い短いを言ふ必要はないと思ふ、恐らく之をどうしても必要だと言つて、強ひて無理に御説明を重ねられれば、段々私共も言ひたくないことを言はなくてはならぬやうになる、ですから、是はあつさり私は削除した方が宜いと思ひます、持つて居る財産が税金を拂ふことなく安く買へると云ふやうなことは極めて小さな問題です、それよりも古い林業會は、戰時中に出來て、而も戰時中に何をして來たか、日本全國の材木業界の人に、東京に社團法人日本林業會と云ふものがある、而して其の會長が横川某だ、斯う云ふことを言ひましても、十人の中恐らく九人半までは、さう云ふものがあると云ふことを知らない、私共も最近まで知らなかつた、我々のやうな業界のことを相當知つて居る積りで居る者でも知らなかつた、さう云ふものが今頃ぽこつと出て來て、お化のやうな權利義務を繼承するのだ、而も前の方に解散すると書いてある、もう少し讀んで行くと、他の法令中清算に關する規定は之を適用しないとある、解散するものなら清算するのだと思ふと、清算の規定は適用しないで、權利義務は繼承するのだ、是れ程までに、法律の尊い條文を三箇條までも羅列して、此の社團法人日本林業會の權利義務を繼承しなければならぬと云ふやうなことを、政府が御心配なさることは私は無用のことではないか、之には非常に業界各方面に疑惑が起つて居るのです、私は序ででございますから徹底的に憎まれ口を申上げますが、現在の社團法人の會長横川氏は數百萬圓の運動費を投じて、さうして是が肩替りをして、自分が次の林業會長を狙つて盛んに運動をして居る、而も其の運動なるものが議會の中まで相當浸潤して居るのだ、斯う云ふやうな噂が立つて居る、私共は議員の一人として、さう云ふ噂は絶對に信じたくない、又信ずべきものぢやないけれども、勝手に人がさう云ふことを言ひ觸らせば、我々までも其の運動の仲間に巻込まれた一人でありやしないか、又一方には、木材需給聯盟と云ふものが出來て、是も前代議士の私の友人の松浦君が頻りにやつて居る、是が横川と張合つて、日本林業會の會長を二人で爭つて居るのだ、兩方が運動費を使つて火花を散らしてやつて居るのだ、斯う云ふやうな馬鹿々々しい噂が盛んに流布されて居る今日に於て、何の必要があつて斯う云ふ疑ひを受けるやうな條文を、何處までも政府委員は、固守せられるか、さうして之を飽くまで固く執つて、必要だと主張せられるならば、我々はもう一歩進んで、此の疑なり、世間の噂なりを、もう一つ進んで言はねばならぬ、それは言ひたくない、そこまで言ふとあなた方に對して洵に相濟まぬと思ふから言はない、言はないけれども色々なことを言つて居ります、ですから、痛くもない肚を探られるやうな、斯う云ふくだらないことは何の必要があるかと言ふに、是がなければ日本林業會と云ふ新しい林業會が成立しないで、なければ、生れないでもなければ、又生れたものが良くならないのでも何でもない、故に是は是非撤回すると云ふ風に私共は修正致したいと斯う云ふ意見であります、之に對して尚ほ必要だと云ふ理由を強調せられるならば承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=59
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060・和田博雄
○和田國務大臣 是は斯う云ふ風に實は御考へ願ひたいのです、色色噂がある、私噂は知りませぬが、今度出來ます日本林業會と云ふものは、從來ありました日本林業會とまるきり違つたものであるのであります、從來の日木林業會と云ふものと、今度の日本林業會が同じものであれば別でありますが、是はまるきり御説のやうに違ふのであります、而も今度出來まする日本林業會は、森林組合なり林産組合なり、それ等のものの力に依つて出來る譯であります、隨ひまして日本林業會の、例へば役員にしましても、何にしましても、民間の人が自主的に實際に選ぶ譯なのであります、そこで今度出來まする日本林業會と云ふものが、さう云ふ性格であると云ふことが非常にはつきりして居りますので、從來ありまする日本林業會と云ふものに偶偶資産があるならば、それをまあ考へようでありまするが、承繼する、謂はばあなたの御言葉を以てすれば、一種の淨財と云ふ形で承繼すると云ふことになるのであります、さう云ふ風に唯資産を有效に使ふと云ふことであつて、何も此の間に別に——色々な眼を以て見れば、或はさう云ふ噂も飛ぶかも知れませぬが、少くとも私としてはすらつと考へて居るのであります、性格的に非常に違つたものである、併しそこに從來あつた日本林業會の資産、財産があるならば、それを林業會に引繼がして、さうして林業會が直ぐ仕事も出來、何も出來るやうにして行つた方が寧ろ宜いのぢやないか、斯う考へるのであります、此の日本林業會を、本當に斯う云ふ正大な性質のものたらしめると云ふことは、日本林業會を構成される人達の意思又は努力に依ることなのでありまして、私は日本業會を構成される森林組合系統の方、或は林産物系統の方が、やはり民主的に今度は働いて、實際に林業會が出來ることを望んで居るのであります、どうか左樣御考へを御願ひ致したいのであります、是は私共性質かも知れませぬが、極めてあつさりと此の點は考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=60
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061・森幸太郎
○森委員長 本日は此の程度に致しまして、次會は明二十四日午前十時より開會致したいと思ひます、では是で散會致します
午前十一時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00519460823&spkNum=61
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