1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年八月二十八日(水曜日)午前十時二十二分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 氏原一郎君
小柳富太郎君 武田信之助君
太田秋之助君 本名武君
武藤常介君 町田三郎君
永井勝次郎君 林虎雄君
坪井龜藏君 的場金右衞門君
井出一太郎君 磯田正則君
八月二十八日委員仲子隆君辭任に付其の補闕として磯田正則君を議長に於て選定した
出席國務大臣
文部大臣 田中耕太郎君
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
運輸事務官 滿尾君亮君
委員長の許可を得た出席者
内務事務官 吉岡惠一君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 では是より引續いて開會致します――永井君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=1
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002・永井勝次郎
○永井委員 昨日價格形成の問題と木材價格が將來どう云ふ風な振合ひに依つてさう云ふものが決められるのか、社會的な客觀的な情勢に即應して、どう云ふやうな計らひで行くのであるかと云ふやうなことに付て、簡單に御尋ねしたのでありますが、答辯が不滿足でありましたので、尚ほ重ねて是等の價格一般の問題に付て、もう少し具體的な内容に於て當局の御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=2
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003・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 木材の價格でございますが、價格は昭和十五年の暮に初めて公定價格が設置せられましたが、木材の價格を如何に算したか、是等は御存知の如く物價の體系と致しまして、米價或は石炭或は勞銀、是等のものを勘案して適正なる木材價格が出現されたのでございます、尚且つ自由主義時代に於ける所の凡ゆる價格に對する統計、資本から來る價格の算定、次いで統制經濟に於ける公定價格の算定が生れまして、其の後昂騰率も米價に於けると同じやうに、或は米價が昭和十五年末石五十圓になれば、今日は石三百圓になつて居る、木材が當時末口六寸の丈三のものが石九圓になれば、今日は六十五圓になつて居る、五倍半の騰貴をして居るが、同樣に米も五倍も騰貴して居ると云ふやうな換算率でありまして、重要なる物資である關係から、斯樣な觀點より價格が形成されて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=3
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004・永井勝次郎
○永井委員 大臣が御見えになりましたので大臣に對する質問を致したいと存じます、先日來の質疑に依りまして、此の林業會法案が暫定的な案である、而も其の期間は極めて短い期間でありまして、經濟安定本部存續の期間を大體目途として居るものである、斯う云ふ御答辯であつたのでありますが、さう云ふ風に極めて短期間な暫定的な案であると云ふことが明白になりますると、此の法案の後に來るものが何であるかと云ふことを大體見透しを付けて、さうしてそれと睨み合せて審議しなければ、此の案だけでぽつんと獨立して考へて行くと云ふことは、私は不可能であると思ふのであります、此の法案を能く拜見したのでありますが、此の法案に盛られて居る一つの性格と云ふものが、少しも掴み出すことが出來ませぬ、東に向つて走るのか西に向つて走つて行くのであるか、此の法案ではてんで見當が付かなかつたのであります、隨て此の場合大臣に御尋ね致しますことは、此の法案の後に來るものは何であるか、さうして此の法案は如何なる方向を指向して居る所の過程にある暫定案であるかと云ふことを、明白にして戴きたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=4
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005・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、此の法案が暫定的であると申しましたことは、私もさう御考へなさつて結構であると申したのでありますが、唯經濟安定本部の存續期間の間だと云ふのは、多少そこに行き違ひがあると思ふのであります、それから經濟安定本部の存續期間存續すると云ふのは、此の法案の中に盛られて居ります企業許可の制度は、是は大體經濟安定本部の存續期間位を考へて居る、斯う政府委員は答辯致したと思ふのであります、と申しますのは企業の許可に付きましては、是は御承知のやうに終戰後林産關係が可なり濫れて來たこともございますし、それから民主的な自治的な統制と云ふことを致しますと、却て企業が濫立すると云ふやうな弊害は、一方に於て今ではまだ防ぐ必要があるのではないか、斯う云ふことから企業許可の制度だけは、是は法文の何條になつて居りますか知りませぬが、法律の條文の中の制度だけは、是は大體經濟安定本部の存續期間位を考へて居る、斯う申したのであります、それから法案全體に付ての林業會と云ふものを、森林組合の方と林産組合の方と自主的に作らせまして、林業の團體制度としての此の法案其のものが暫定的であると申しましたのは、是は一つ斯う云ふ兩者の協力の形で、此の木材の生産配給其の他を自主的にやつて行く、斯う云ふことでありまして、林業に關する團體法に付ては恐らく此の林業會に盛られた團體法と云ふものを、略略主流にしてと云ふか之を中心にして、もつと根本的なものが考へられる、それが出來次第我々としても提案致したい、斯う云ふ風に考へて居ると云ふ意味で暫定的だと申したのであります
それから此の法案が一體どちらを指向して居るかと云ふことでありますが、此の法案は林業に關します團體の組織法でありますので、此の林業の團體と云ふものに付ての一つの行き方を示したのでありまして、其の意味に於て是は非常に關係する所の廣い林業會を、斯う云ふ森林組合の系統と、それから林産組合の系統との此の團體の相互の協力に依つて、それ等に關する生産、配給の面をやつて行く、斯う云ふことでありまして、一つの自主的なものの處理の仕方と云ふものを是は一應目標に致して居るのであります、大體さう云ふ風に御考へ願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=5
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006・永井勝次郎
○永井委員 只今の御答辯に依りましては、此の法案の後に來るものがどう云ふものであるかと云ふことを明確に掴むことが出來ないのであります、又大臣は先日同僚委員の質問に對しまして「イズム」に囚はれないのだ、さうして唯現實に即してそれを處理して行くのである、斯う云ふ御答辯があつたのであります、吉田總理も其のやうな答辯をして居られるのでありますが、私も「イズム」に囚はれると云ふ言葉を以てするならば是はいけないと思ひますが、「イズム」に囚はれると云ふ言葉を以てするならば是はいけないと思ひますが、「イズム」に囚はれないで、少くも「イズム」の上に立つて、さうして其の「イズム」を現實的に如何に之を指導して行くか、現實とどう云ふ風に之を結び合せて行くかと云ふ立場に於てしつかりした一つの主義、方針と云ふものを持つて行くと云ふことが、是は極めて大切なことではないかと思ふのであります、でありますから大臣がどう云ふ一つの思想系列の方であるかと云ふことに依つて、現實の法案は斯う云ふものであるが、此の中に含まれて居る是等の方向と云ふものは、大體こつちへ動いて行くのではないかと云ふ風に、現實に立つて將來のことが見透せるのであります、所が「イズム」に囚はれないのだ、「イズム」のことは全然考へないのだ、さうして現實に即して之を處理して行くのだと云ふことでありますならば、今日は東の岸に流され、明日は西の岸に流されて行き、風の間に間に漂ふと云ふやうなことになります、一體同じ言葉でありましても、それの解釋と運營と云ふことが大切なのでありまして、さう云ふことに於て私は此の法案の内容に盛られて居ることも、それから大臣が此の法案に對する處理態度に於きましても、運營の方針に於きましても、「イズム」に囚はれないで其の時々の状況に應じて之に即應して行くのだと云ふことになりますと、將來どつちの方向に行くのだか、非常に社會情勢が反動化して來れば、それに追隨して行く、進歩的な大臣として我々は認めて居るのでありますが、其の大臣にして斯う云ふやうな答辯でありましたら、我々は承服すると云ふことは出來ないのであります、それで大臣はやはり「イズム」に囚はれない現實主義で、現實に即して其の時時の考へで之を處理して行くと云ふ考へであるか、色々な高低や色々な過程に於ては引込んだり出たりすることがありましても、其の根柢にはやはり一つの方針を持つて居るのだ、此の方向に進んで行くのだと云ふやうな考へを包藏しつつ、現實を處理して行くの御考へであるか、其の基本的な態度をはつきりと伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=6
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007・和田博雄
○和田國務大臣 非常に厄介な問題でありまして、私は此の前「イズム」に囚はれないと甲しました譯でありますが、私が「イズム」に囚はれないと申しましたのは、私が求めて居るものは一つの合理性なのであります、現在の經濟社會に於きまして、我々が今一番求めなければならないものは、此の經濟社會に於ける合理性だらうと私は思ひます、それをどう云ふ觀點から把握するかと云ふことは、是は其の人達のそれぞれの思想なり何なりに依つて決定されるのでありまするが、私がやはり本法案に於て求めて居るものも、日本の林業に於て木材の生産、配給、統制と云ふものを貫く一つの合理性と云ふものなのであります、それをどう云ふ形に於てやつて行くかと云ふことになりますると、私は戰時中に於て行はれましたやうな形の統制と云ふものでありまするよりも、寧ろそれぞれの業者が作りまする團體の協力に依つてそれを求めて行く、さうしてそれの裏打を國がやつて行く、斯う云ふことでなければならぬと考へて居るのであります、隨ひまして一つの合理性を求める以上、そこに或る計畫が伴ふことは當然であります、隨て此の林業會に於てやります所の自主的統制にも、具體的な條件を十分勘案した一つの計畫と云ふものが伴つて來ると思ふのであります、其の計畫を民主的な此の組織に依つて行つて行く、斯う云ふことになるのだらう、斯う思ふのであります、併し之には臨時物資需給調整法でありますか、近く商工省から出ます所の一つの裏打があることは勿論でありまするが、やはりさう云つた形の具體的な條件を十分勘案した計畫の上に立つて、而もそれぞれの業者が自分の自主的な意思でそれを統制して行くと云ふことでないと、物事はどうも旨く動かないと思ふのであります、唯自主的々々々と言ひましても、そこにやはり合理的な計畫があり、求めるものがしつかりした合理性のあるものでないと、自主的な統制と云ふものもどうも旨く行きませぬので、そこでやはり自主的な斯う云ふ團體に依る統制と云ふものには、當然さう云ふやうな一つの高い知性に依る計畫と云ふものが伴ふだらうと考へて居るのであります、是等の點に付きましては此の團體が出來ますると、此の團體を主にしてさう云ふことが行はれ、需給の調整と云ふものが行はれて來るのでありまして、之をやります團體の組織を書いたものが法律である、斯う云ふやうに御理解を御願ひ致したいのであります、私が唯單に「イズム」に囚はれずにやつて行くと云ふのは、大體さう云ふ考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=7
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008・永井勝次郎
○永井委員 合理的に考慮致しまして、合理的に解決して行くと云ふことに付ては同感でありますが、之を資本主義的な立場に於て合理化するか、社會主義的な立場に於て合理化するか、茲に客觀情勢に對する價値判斷の問題、そこに色々な問題が起つて來ると思ふのでありますが、「イズム」の問題に付ては、此の場合餘り論議することは避けまして、此の法案は勿論此の林業會の民主化を促進するものでなければならないと考へて居るのであります、それは過去に於ける反省と今後に於ける所の要請と、さう云ふものを噛み合して、さうしてそこに現實的な妥當性を見出して行くものでなければならぬと考へて居るのでありますが、大臣は我が國の林業界にはん居して居る所の封建性、官僚性、それから企業の上に拔くべからざる力として作られて居る所の營利的な、搾取的な現實と現状と云ふものに對して、どう云ふ認識に立ち、さうして是等を如何にして此の法案の運營に於て拂拭し、民主化して行かうと云ふやうな意圖を持つて居られるか、さうして此の法案の何處の部分に此の要請に應へる所の具體的な要綱が盛られて居るか、之を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=8
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009・和田博雄
○和田國務大臣 此の法案は只今御説明致しましたやうに林業會法でありますので、林業の自主的な團體の機構を規定したものでありまして、御話のやうに林業の各部分に於ける所の具體的な、あなたの仰しやいましたやうな諸施策と云ふものは此の中に餘り盛られて居りませぬ、それは林業會法が唯其の目的を達する爲に行ふ事業に於て其の片鱗が出て居るのでございまするが、あなたの仰しやいまするやうに、若しもそこに封建的なものが存在し、色々なものが存在しまするならば、さう云ふものをどうするか、斯う云ふ點に付ては是は直接には觸れて居りませぬ、それはやはり林政の一部として今後やるべき事柄でありまして、此の林業の改良發達、乃至林産物の生産確保、配給の適正を圖ると云ふことを目的とする、それを而も自主的にやらせると云ふ團體法の規定としては、是は規定は致し難い點でありまするし、又さう云ふことまでも目標としたものではございませぬ、だからそれ等の點に付きましては、各分野に於てそれぞれの經營、或は或る場合に於ては經營の協議會でありますとか、或る場合には其の他の立法に依つて、寧ろさう云ふ弊害がありまするならば、之を除去して行くやうに、政策としてはやるべきでありまして、林業會法自體にそこまで盛ることは私は出來ないと思つて居ります、又事實さう云ふことは規定致してございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=9
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010・永井勝次郎
○永井委員 さうなつて參りますと、我が國の森林行政全般に亙る綜合的な一つの方向と云ふものを決定付ける爲に、林政一般に關する立法と云ふものを新たに考へ直して行かなければならないのではないか、唯單に茲に森林法とか、或は森林資源造成法とか、若干の立法があるだけでありまして、眞に森林の公共性、又是からの要請――國の資源を涵養して行く上に於ける所の森林の重要性と云ふものを、本當に民主化した基盤の上に之を維持育成して行くと云ふ爲には、是等一般の、色々な角度からの立法と云ふものを考へて行かなければならないと考へるのでありますが、是等に對する御用意其の他に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=10
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011・和田博雄
○和田國務大臣 是は林業の分野と云ふものを、一番下の森林所有者から最終の消費者に至りまするまで、非常に廣い範圍に亙つて居るのでありまして、森林其のものの持つて居りまする公共性と云ふことに付きましては、從來と雖も私は法制上はさう缺くるものはないと思ひます、例へば治山、治水の關係から森林を保護すると云ふ、其の森林の公共性と云ふ面に付きましては、森林の性質自體から、昔から此の點に付ては注意をされて居るのでありまして、今後法制的にも纒まつたものが出て來ると思ふのであります、唯どう云ふ範圍の事柄をあなたが考へて居りますか、そこが的確でございませぬので、一寸明確に御答へ致し兼ねるのでありますが、兎に角林業のそれぞれの分野に於て、其の經營を合理化して行くと云ふ點に付て、經濟的な面に付てはそれ相當に今後と雖も問題が色々あり得ると、私は斯様に考へるのであります、森林資源の培養、造成と云ふ點に付ては、是は公共的な事柄でありまするから、此の間も申上げましたやうに、相當の豫算を取りまして、年々の繼續計畫として其の培養をやつて行かう、斯う云ふやうに考へて居ります、唯山の利用と云ふことに付きましての色色な問題に付ては、複雜な各種の關係が現に出て居りますし、又さう云ふことが存在して居りますので、それ等の點に付ては、例へば開拓の面に付ては或る程度のことを農業の方から考へるとか、さう云ふやうな事柄に依りまして、是は具體的に解決をして行く考へで居る譯であります、御尊ねの點の内容が非常に廣汎として居りまするので、具體的に御答へ出來ませぬが、さう云ふ色々な點は、十分具體的に現實を把握しました上で適當な施策を講ずると云ふことに致す考へで居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=11
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012・永井勝次郎
○永井委員 我々が此の法案の中に盛られて居る趣旨と云ふものをはつきり掴みます爲には、立法の動機が何處にあつたかと云ふことが重要な一つの要素になると思ふのでありますが、此の法案を立法するに當りまして、私の知つて居る範圍に於ては、農林省は積極的な、自主的な發意から斯う云ふものを作ることに至つたものぢやない、農林省は從來の木統法、日木、地木の統制を妥當として、之を維持しようと云ふ態度である、それが六月二十二日でありましたか、「マ」司令部から斯う云ふものの解散と木統法の廢止の指令を受けた、それで已むを得ず斯う云ふものを作ることにした、隨てそこには過去の統制に對する嚴肅な反省と云ふものが足りないのではないか、さう云ふことの一つの現はれんとしまして、此の法案の中にもありますやうに、今後の運營に重大な關係を持つ所の、社團法人日本林業會と云ふものの權利義務と云ふものを其の儘是で繼承して行かうとして居る、日本林業會は御承知のやうに構成は日木、地木であり、森林組合である、さう云ふやうな、構成を否定されて居る分子が構成したものの權利義務を其の儘繼承して行かうとして居る、又日木を商事會社として更生させる爲に農林省は特段の援助を與へて居ると云ふやうな所から見ますると、從來の統制が其の儘運營の實際の上に繼承されて來るのでないかと云ふ心配を持つのでありますが、實質的に是等の問題が一新されると云ふことがなければならぬと思ふのであります、是等に對して御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=12
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013・和田博雄
○和田國務大臣 農林省の此の案に對しまする態度が自主的でなかつたと云ふ御話でございまするが、それは實は必ずしもさうではないのであります、成程日木、地木と云ふものに付きましては、色色從來の非難もありまするし、農林省としましても、之に付ては十分なる檢討を致して居つたのでありまして、殊に山林局と致しましては林業對策委員會でありますか、委員會を作りまして、色々林業の團體、又林業に關しまする統制の方式等に付きましては是は實は研究を致して貰つて居つた譯でありますし、又農林省自身としても致して居つたのであります、統制方式が從來の日木社、地木社と云ふ、あの戰爭中にやりました統制方式と云ふものを何時までも之を維持することが出來るとは、恐らく誰も考へなかつたことだと思ひます、殊に戰爭が濟みまして以來ああ云ふ戰時經濟、殊に強度の目的經濟をやつて行かなければならなかつた時代に出來ましたものが、其の儘の形で終戰後の時代に適するとは考へられないのでありまして
〔委員長退席、水口委員長代理着席〕
勿論戰爭が止みましても、日本の經濟と云ふものの條件がそれに依つて非常に好くなつた譯ではない、或る部分に於ては益益窮屈になつて來て居るのでありますから、何等かの形に於ける統制と云ふものは必要だと思ふのであります、其の點に付ては恐らく是は御議論のない所だと思ふのであります、唯其のやり方をどう云ふことにやつて行くかと云ふことに付きましては、やはり或る部分は私は過去の統制を批判し、分析すると同時に、過去の統制に於ける統制方式からの經驗と云ふものをやはり活用して行くのが一番良いと思ふのであります、戰爭中と云ふ一つの條件はあつたにしましても、統制經濟を行つて來た其の人類の經驗は、是は私は善いにしろ惡いにしろ、輕々に唯放擲してしまふのはどうかと思ふのであります、殊に經濟と云ふものはさう斷層があるものではなくして、大きな戰爭と云ふ條件は缺けたにしても、そこに實際上の經濟の循環と云ふものは或る程度連續して行つて居る、斯う云ふことを考へますと、統制のやり方と云ふものに付ては、過去の經驗を十分活かして、之を民主的なものにして行くと云ふ、さう云ふ立場に立つて問題を考へるべきだと、斯う思つて居るのでありまして、此の林業會も實は此の法案自體を十分滿足して居ると云ふことは或は言へないかも知れませぬが、根本の考へ方はさう云ふ考へ方で居るのでありまして、此の林業會の組織に依つて、實は差當つては是でやつて行ける、斯う考へた譯であります、それからもう一つ私は斯う云ふ非常に自主的な統制をやる上に於て期待して居たいことは、是は自主的な統制と云ふことになると、色々な點に付て寧ろ民間の方が表面に出て來ることになるのであります、さうするとやはり民間の人達が相當にしつかりして之をやつて行きませぬと巧く行かないことになるのでございまして、民間統制になつたが故に、又從來のやうな官僚統制の弊よりももつと惡い事をもう一遍繰返すと云ふことであつてはならないのでありますので、やはり斯う云ふやうな一つの組織として民間統制のものが與へられました場合には、此の組織を作つてやつて行かれる方々は、今度はさう云ふ自主的な立場に立たれまして、「パッシヴ」から寧ろ「アクティヴ」の面に立たれて、そこを巧く運營して行くやうに、實はお互ひに協力してやつて戴きたいのでありまして、此の中に日本林業會と云ふものがあつて、其の財産を繼承すると云ふ點が、如何にも戰時中に於ける統制を脱却して居ない、斯う云ふ臭ひがあるのではないかと云ふ次の御尋ねでございますが、實はそれはさう御考へ下さらずに、日本林業會と今度出來るものとは、是は本質的に違ふのだ、併し從來あつたものにそこに財産があるので、それを今度新しく出來る質的に違つたものがそれを繼承して、實際上の事務の運營なり何なりに支障のないやうにして行くのだ、そこに出來るだけ凡ゆる面に於て斷層を作らないやうにやつて行く趣旨だ、寧ろ斯う云ふやうに御解釋を御願ひ致したいのでありまして、我々としましては斯う云ふ條項を置くからと云つて、過去の統制方式に纒綿として居る譯では毛頭ないのであります、どうか其の點は一つ御諒解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=13
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014・永井勝次郎
○永井委員 委員長から大臣に御尋ね願ひたいのでありますが、私は出來るだけ大臣の身體の御都合を聞いて、大臣に對する質問を重點的にしたいと思ふのでありますが、どの位の時間が御差支へないのか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=14
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015・水口周平
○水口委員長代理 大臣は午前中は一寸都合が惡いさうですが、午後は出られるさうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=15
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016・和田博雄
○和田國務大臣 もう暫く宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=16
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017・永井勝次郎
○永井委員 それでは大體主要な所だけ駈足で御尋ねして答辯願ひたいと思ひます、此の林業會法に於て私勞務の問題にもつと徹底的に大臣に御伺ひしたいと思つて居りますが、それは飛ばして、今内務省から總務課長が見えて居りますので、それとの關聯事項に付て一つ御尋ねしたいのですが、此の森林行政をどう云ふ風に今後やつて行く御考へか、御料林なんかも勿論國有林に入つて來る譯でありますが、其の中で北海道の林政を農林省としてはどう云ふ風に考へて居るのであるか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=17
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018・和田博雄
○和田國務大臣 是は林政のみならず、例へば開拓でありますとか、中央からずつと一貫してやつて行くことを非常に必要とされる行政が多々ある譯であります、從來兎に角北海道が日本の國にありながら、恰も獨立國で、兎角別箇の天地であるやうに考へられて來た考へ方は、私としては棄てなければならぬと思ひます、殊に日本の領土が斯う云ふやうに狹くなつた時に於ては、やはり行政としては何處までも統一してやる方が實際上治績が擧がるし、又統一してやらなければならぬものに付ては、是は大所高所に立つて、役所の「セクショナリズム」は棄ててどうしても統一して行かなければならぬ、私は強くさう考へて居ります、此の點に付ては今度の地方制度の改正でありますとか、其の他色々の地方の行政機構も實は變つて來るのでありますが、さう云ふ觀點からしましても、是は是非十分關係當局と話合を致しまして、此の日本の少い資源を最有效度に國の爲に開發して行く、又之を保全して行くと云ふ點から言ひまして、其の點に付ては本當に統制のある行政がやれるやうな方向に、私としては是非とも努力したいと思ふのであります、勿論それに付きましては、關係方面と色々話合つて、現在に於ても能く連絡を取つて居りますが、尚ほ一層之に付てはもう少し大きな見地に立つてやるのが宜いだらうと、實は私は考へて居る次第でございまして、是等の點に付きましては、日本の此の長い將來を考へますと、出來るだけ行政の面に付ても合理的な政策が行ひ得ますやうに、從來の色々なさう云ふ點に付ての缺點を是非脱却して行きたい、斯う考へて居る次第であります、私は大體左樣に考へて行政をやつて行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=18
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019・永井勝次郎
○永井委員 私も北海道だけが獨立國家のやうな形になることを勿論希望するものではありませぬし、北海道行政の今後に於けるあり方に付ては再檢討を要する段階に來て居ると云ふことを考へるのであります、併しながらそれは何處までも國政全般に亙つての綜合的な見地からの北海道として考へて行かなければならぬのであつて、從來は是等の問題は拓計に於て之を運營して來たのでありますが、今拓計の豫算の編成期に入つて居るのでありますが、道廳の林政部は拓計の方の明年度の豫算の編成を出して來ない、さうして是は農林省と直接の話合に於て運んで行くのであると云つて、道廳の方に其の豫算を出して來ないと云ふことを私は聞いて居るのでありりますが勿論官廳間の「セクト」的な考へ方と云ふものは拂拭して行かなければなりませぬし、さう云ふ風に變つたなら變つたとして、國政の上ではつきりと變つてから其の實體が動いて行かなければならぬのであつて、國の方針は從來と變つて居らない、拓計も第二拓計は變つて新しい拓計に入つて行かなければならぬ、それが一つのどう云ふ性格に行くかと云ふことはまだ決まつて居ないのであります、でありますから、從來の關係が繼續して居るに拘らず、道廳の林政部は拓計を通さないで、農林省と直接に此の豫算を解決しようとして居る、林政部長は本省から差向けられたものであるので、私は本省の意を含んでさう云ふ開拓計畫を現地から既成事實として作つて行つて、之を押付けると云ふやうな一つの作戰を取つて居るではないかと云ふことまで考へて居るのでありますが、さう云ふ一つの心配がある、それからもう一つ北海道の關係で申しますと、此の開拓がどう云ふ風になるかと云ふことが一つの大きな問題であります、御承知の通り自作農創設に依りまして、民有未墾地は總て農林省が買上げることになつて、農地證劵を發行するのでありますが、其の爲に國有未開地とか官有地、或は御料地、舊軍用地と云ふもの一切が農林省の手に入るのであります、從來道長官の專決處分であつた國有未開地處分なども全部農林本督に參つてしまふのでありまして、地方の綜合行政と云ふものが、開拓農地の面からも崩れて來て居ります、林政部も亦崩れて行く、斯う云ふことになりますと、此の地方の綜合行政の事務を今後どう云ふ風にやつて行くか、中央集權的にやるのか、地方行政を強化する立場で行くかと云ふ國策が決まらない中に、現地の長官が斯う云ふ風に動いて行つて居ると云ふことは重大な問題だと思ふのでありますが、是等に對しての大臣の御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=19
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020・和田博雄
○和田國務大臣 今述べられました北海道の林政の細かいことは私は能く存じませぬが、私は是は將來中央集權的にやるべき部分とさうでない部分が自づと出て來ると思ふのであります、例へば開拓とかさう云つたものは、是はやはり中央で統一ある方針の下に行ひまして、それに從つて地方がやつて行く、斯う云ふことであつて、地方がてんでんばらばらにやられては、是は敵はぬのであります、隨ひましてさう云ふ大きなものに付ては、やはり中央の統一した方針に從つて、具體的に地方で其の旨を受けてやつて行く、斯う云ふことでありませぬと、實際上の行政は出來にくいと思ひます、況して地方に分權致しますれば、經濟の面に於ては出來るだけ全國が一つになつて動くやうな方向に持つて行きまして、出來るだけ地方の所謂惡い意味の「ブロック」主義と云ふものはさう云ふ面からも本當に打破して行かなければならない時でありますので、私としてはさう云つたものはやはり中央の統一ある方針に從つて行つて行く、さうして地方の分權と云ふものも非常に必要でありますが、地方々々に於ては大きな方針の下でそれぞれの特色を活かして地方の行政と云ふものを旨く運營して行く、斯う云ふ風に進むのが私は理想だと思つて居るのでありまして、總てがばらばらになつてしまふと云ふのではどうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=20
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021・永井勝次郎
○永井委員 内務當局に御尋ね致すのでありますが、内務大臣は豫算總會に於て次期拓計調査會を設けると云ふことを答辯して居るのでありますが、此の拓計調査會と云ふのは官制でやるのか、閣議決定でやるのか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=21
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022・吉岡惠一
○吉岡説明員 只今閣議決定でやりたい積りで話を進めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=22
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023・永井勝次郎
○永井委員 先程來の北海道に於ける開拓部の問題、林政部の問題に對する内務省當局の所見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=23
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024・吉岡惠一
○吉岡説明員 開拓部竝に林政部の問題に付て御話がございましたが、或は農林大臣の御答辯と多少食違ふ點があるかも存じませぬ、私共事務當局と致しましては、林政に致しましても其の他土木の問題に致しましても、やはり綜合的に考へ、勿論其の場合北海道だけの立場からでなく、國全體の要求を容れまして、綜合的に考へて施策實行して行くことが必要だと考へますので、拓計等も從來と同じやうな意味に於て繼續をして、總ての問題を綜合的に立案をして行きたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=24
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025・永井勝次郎
○永井委員 我々は之を内務省と農林省との「セクト」的な一つの繩張爭ひであると云ふ風な考へ方ではなしに、もつと純粹な立場に立つて、地方の行政と云ふものがどう云ふ風な形で行つたならば、本當に現地の實情が具體的に昂揚されて行くかと云ふ立場で考へて行かなければならぬと思ひます、例へば現在の此の間豫算で決定しました六十億の豫算の消化の問題に付きましても、閣議では之を決定してそれぞれ豫算を立てたのでありますが、聞く所に依りますと、G・H・Qではさう云ふ閣議なんかは問題ではない、現地でどう云ふ風な具體的な計畫があるのか、現地から盛り上げた所の豫算を持つて來い、中央本省で地方の實情が分らないで、紙の上に唯數字を書いただけのものではいかぬと云ふので、六十億の豫算の編成替に今目を廻して居ると云ふやうなことを聞いて居るのでありますが、其のやうに如何に中央が一つの權限を持つて「ペーパー・プラン」を立てましても、それが現地に行つて其の通りに動かないと云ふことであつてはいかない、どうしても現地から盛り上つて來た所の計畫と云ふものが全國的に綜合されて、さうして地方と現實に動く所の地方行政とが有機的、綜合的に是が運ぶと云ふ風な形が出來て行かなければならぬと考へるのであります、例へば林政なら林政、開拓なら開拓と云ふものが獨立して行はれるものではないのでありまして、例へば林政の關係から言ひますと、事業場と云ふものは毎年場所が變ります、農林省の所管に於て林道は出來ますけれども、林道から輸送して來てそれから驛まで運び付ける所の道路は、内務省の所管にあるのでありまして、内務省の道路の計畫と獨立して素材と云ふやうなものは運べない、農林省は農林省で計畫を立てる、内務省は内務省で道路網の計畫を立てて行く、是が「マッチ」しなかつたならば、木材と云ふものは出て來ないのであります、でありますからどうしても地方に於て、例へば開拓の場合に於きましても何處の澤を開拓する、さうして開拓するなら道路も通信も電話も鐵道も一切のものが綜合的に地方的に動く、斯う云ふ形が出來て行かなければならないと私は考へて居るのであります、唯其の場合農林省の所轄にあるべき林政開拓と云ふものを農林大臣が少しも知らぬ、さうして内務省の所管に於て、北海道は北海道で動いて居る、斯う云ふことではいけないと思ひますので其の關係に於ては企畫は本省で持つ、さうして地方の實際的な行政は地方廳でやると云ふことでなければなりませぬ、斯う云ふ事柄は單に北海道だけの問題でなくて、地方長官會議毎に地方の行政の綜合的な運營と云ふことが常に地方長官から要望されて居ると云ふことを聞いて居るのであります、又私は此の場合見逃してならぬことは、地方長官が公選されることになつた、さうして官吏と云ふのは暫定的な身分であつて軈て是が公吏になる、斯う云ふ關係から致しまして、農林省ばかりでなく、内務省に於きましても、地方廳は地方に於ける固有事務だけをやつて行くのだ、さうして國政事務は段々本省に引上げて來る、是も本省でやつた方が宜いのだ、あれも本省でやつた方が宜いのだと云ふ風に、さう云ふ仕事をどんどん本省に引上げて來る傾向が、漸次顯著になつて來つつあることは私は見逃せないことであると思ふ、斯う云ふことは官僚の温存を圖る所の一つの具體的な現はれであるとして注視して居る譯でありますが、斯う云ふ事柄に對してどうしても地方行政は綜合的にやつて行かねばならぬと考へますが、是等に對する農林當局と内務當局の所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=25
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026・和田博雄
○和田國務大臣 是は地方制度がどう云ふ形になるかに依つて相當變つて來ると思ふので、まだはつきりした御答へは本當は致し兼ねると思ふのであります、成程仰しやるやうな地方分權に於ける綜合性と云ふものは、私はやはり相當行政の上で考へて行かねばならぬと思ふ、唯地方分權に於ける綜合性を強調する餘り、國全體としての綜合性を忘れて來ると、是も困つたものになると思ふのでありまして、それ等の點に付て、地方制度をどうやつて行くか、又具體的に各分野に依つてどう云ふ風にするかと云ふことで餘程違つて參りますので、甚た殘念でありますが具體的に御答へ致し兼ねるのであります、あなたの仰しやいますやうな點は今後の問題として相當殘ると思ひます、どの程度を中央集權的に一貫してやるか、又どの程度を地方の綜合性の立場から之を大きな方針に從つて而も綜合的に調整してやつて行くか、それ等の點に付ては今後の大きな問題として、我々としても十分檢討して行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=26
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027・吉岡惠一
○吉岡説明員 只今の地方行政の綜合的の問題に付ての御意見、私非常に賛成でございます、勿論地方の綜合性を強調致します場合に、各方面から見ました檢討が足りないと云ふ點があらうかと思ひます、さう云ふ點はやはり中央に於て能く連絡を執つてやつて行けます問題と考へる譯であります、只今の御意見は非常に賛成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=27
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028・永井勝次郎
○永井委員 内務當局への御尋ねは是だけであります、次に農林大臣に聽いて置きたいと思ふのでありますが、それは此の林業會法の後に來るべきものは、どうしても森林の國家管理の方向に向つて行かねばならないのではないかと云ふ考へを持つのでありまして、其の立場から御尋ね致したいのでありますが、例へば農耕地に於きましては、農地調整法が出來まして、さうしてああ云ふやうな進歩的な方法に依つて農村の封建制を拂拭する、地主的な性格を拂拭すると云ふことに運んで置きながら、山林の部面に於ては放つたらかしにして、農地調整法が出來ました爲に、さう云ふ地主の資本、或は事業家の資本と云ふものが相當山林の中に入つて來て居る、大きな山林を營利的な目的で買取つて運營しようと云ふ傾向が顯著に出來て來て居るのであります、數字に依つて明かでありますやうに、二十町歩以上の所有者は六萬二千人であつて、此の面積が實に三百九十八萬町歩、四百萬町歩に近い面積を占めて居るのであります、二十町歩以下の所有者はどの位であるかと云ふこと、七百三十三萬人であつて、其の面積は二十町歩以上の面積の倍位な七百五十一萬町歩に過ぎないのであります、人數は百倍以上あつて、面積は倍であると云ふやうなことから申しましても、如何に山林が大きな資本と大きな所有者に依つて營利的に運營されて居るかを示して居ると云ふことが、此の事實からも分るのでありますが、農林大臣は農地調整は耕地の問題だけだ、山林は何時までも放つたらかして置いて宜しいと云ふ御考へであるのか、近き將來に於て是等の問題にも手を觸れて行く御考へであるか、此の點を承りたいのでああります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=28
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029・和田博雄
○和田國務大臣 農地の方に於きましても、土地の所有と云ふ點に於きましては、今回は在村地主一町歩と云ふことで非常に制限は致したのでありまするが、經營の面に於きましては、自分が自分の土地を持ち、之を經營致して行きまする面に於きましては、原則としては制限致して居ないのであります、隨ひまして或る程度大きな經營と云ふものの存續、而も其の經營が非當に生産力が高い、又對來の日本の農業が典型的な小農國に跼蹐することなく、中にはそこに科學の發達に從つて、又技術の進歩に從つて、一つの經營的な進歩をして行く餘地を取つて置くことは非常に必要でありまして、是は或る程度の大きな經營の存在と、「デモクラシー」とは、私は立派に兩立すると考へて居るのであります、山林に於きましては之を小さな土地所有に分割致しますることは、山林其のものの持ちまする、農地と違つた公共的な性質、治山治水其の他かう言ひまして私は適當でないと思ひます、山林の所有形態は何處の國を見ましても、小所有に寧ろ分割するものでなくして、大所有、或は國家とか、其の他の大きなものが持つて、之を一方に於ては公共的な見地から管理して、一方からは國土の保持と云ふことに努めて居るのでありまして、山林に付きましては私は今直ちに農地のやうなことをやることは考へて居りませぬ、唯山林に於きましても、其の經營の面に於きましては、是が公の見地から或る程度のことは現在と雖も致して居るのであります、と申しますのは、民有林に付きましても施業案を編成することを致させて居るのでありまして、此の山林の所有が無計畫に、又無暗に之を濫伐するやうなことは避けまして、國土の保善と治山、治水と云ふやうな點から、さう云つた計畫性を與へて居るのであります、殊に多少考へを異にして考へなければならないのは、私が本議會に於ても申しましたやうに里山であります、是は農業と密接に結付いて居りまして、日本の農村と云ふものはやはり山を離れては考へられないものが大部分でございますので、是等のものに付きましては、地元民の生活――薪炭、採草、其の他の農業經營のみならず、農民自身の生活と云ふ面から、其の山の經營と云ふこともやはり考へる必要があるのでありまして、それ等のものに付きましては、やはりさう云つた立場から山林に付ての問題は處理して行きたいと考へて居ります、差當つて未墾地の開發に付きましては、今回軈て御審議願ひまする農地調整法に於きまして、それ等の點を十分考慮致しました規定を置きまして、今日の開拓が農民の生活に即して、又經營に即して行きまするやうな事柄を規定致して居る譯であります、森林に付きまして今直ちに農地と同じやうな方式に於ける國家管理をやると云ふとは却て不合理であり、又効果もなく、森林自體の生産力は寧ろ低下することになりまするので、只今の所はあなたの仰しやいますやうな事柄は私としては考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=29
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030・永井勝次郎
○永井委員 森林は公共性であると云ふことを一方に認めて居る、さうして此の森林の立つて居る山林と云ふものは、之を個人の所有に放任して居る、さうして資本の必然の性質としては、是が營利的に動いて行くことは必然でありまして、是は否定することは出來ない、山林の所有者と、森林の運營の公共性と云ふもの、相矛盾する性質のものをそこに二つ立てて置いてさうして森林の公共性を強調し、林野の急速なる緑化を圖ることは、是は木に依つて魚を求むる如きものであつて、決して是は目的を達することは出來ぬと私は思ふのであります、私は森林の所有を個人に任して置いて、さうして其の所有者が自然の値上りを待つと云ふやうな態度を放任して置けるやうな日本の國情でありまするならば、それも姑く宜しいと考へるのでありますが、今日は森林資源の關係から申しましても、殊に利用度の高い私有林に於きましては、之を急速に緑化しなければならないのであります、之を急速に緑化致すと致しまするならば、是はどうしても勞働階級の挺身に俟たなければならないことであります、勞働階級の挺身の部面に於ては、森林は國家の公共性であると云ふことで挺身させる、さうして此の勞働階級に挺身させた結果が、それを所有して居る所の資本家の利益の搾取を助長する所の結果になるのだ
〔水口委員長代理退席、委員長着席〕
斯う云ふことであつては、私は決して爲政者の執るべき態度ではない、私は斯樣に考へるのであります、隨て森林の公共性を本當に之を強調し、此の緑化を急速に圖らなければならないと云ふ要請を一方に考へて參りまするならば、どうしても林野の營利的な資本支配の排除と云ふことは根本的に之を考へて、さうして勞働階級の特段な挺身に依つて之を急速に圖り、又植林の面に於きましても、或は造材の面に於きましても、現在の技術の段階ではいけないのでありまして、之を個々の小さな業者の技術の向上に俟つと云ふことだけではいけないのでございまして、國家的の規模に於ける所の技術の向上を圖つて行かなければならないと思ふのであります、何れの點から考へましても、眞に森林の公共性と云ふことを重點的に考へますならば、どうしても國家管理に進んで行くより外に進んで行く送はないと私は考へるのであります、大臣は是等の矛盾をどう云ふ風に考へて居るのか、さうして又急速な緑化と云ふものを所有者の營利的な經營に放任して置いて、急速に是等の緑化が出來ると考へるのか、或は此の林業界に於ける所の技術の向上と云ふものを個々の業者に放任して置いて宜しいのか、國家的の規模に於て之を取上げる考へはないのか、是等の點に付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=30
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031・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致しますが、林業の技術の點に付きましては、是は國と致しまして御承知のやうに相當な力を入れて居るのでありまして、林業試驗場其の他の色々な試驗場を今後と雖も十分活用しまして、國家的に技術の増進を圖つて行きたい、斯う考へて居ります、森林の國家管理と云ふ此の國家管理の内容でありまするが、是が具體的でありませぬので御答へ致し兼ねる點があるのでありますが、是は、現在の民有林に付て、大きなものに於きましてはそれをやはり自由にして居るのではないのでありまして、或る程度國家的な見地から、必要がありますれば、それに對しまして今申しましたやうに施業案の編成も致させ、又或はものに依りましては、治山治水上必要でありますれば、さう云ふ方面の制限も致すことが出來るやうになつて居るのでございます、(「なつて居つてもやつて居ないから駄目だ」と呼ぶ者あり)必ずしもそれはやつて居らないかも知れませぬが、制度としてはさう云ふことになつて居るのであります、それから勞働の問題でありまするが、是は御承知のやうに只今の林業勞働と云ふものは、ものに依つて非常に違ふのでありまするが、可なり浮動性があると私は思ふのであります、隨ひまして、現在の勞働關係それ自體の儘では十分な效果を發生すると云ふことは私は中々難かしいと思ひます、そこで是は將來の問題として、林業專業の勞働者其のものをどう云ふやうに取扱つて行くかと云ふ問題は大きな問題として殘つて居るのでございまするが、是等の點に付きましては、今後の情勢を見て適當に處分するのが然るべき考へ方だ、私は斯樣に考へて居ります、實際上、一つの經營者が經營をやつて行きます上に於きましては、全體の勞務者と資本と云ふものが結付きまして、初めて林業に於ても效果を擧げると云ふことは御話の通りであります、勿論唯單に經營者だけの利益の觀點から行政をやつて行くと云ふことは考へて居りませぬが、何を申しましても、現在の大きな林業經營と云ふものに付きましては、やはり林業經營其のものとしては公共性と云ふ面がありますので、之を其の儘營利的な面にだけ放置して置くと云ふことは國としてはどうかと思ひますので、それ等の公共性と云ふ點に付ての色々な制約と云ふものは今後の行政に於ても十分充して行きたい、斯う考へて居るのであります、併しあなたの仰しやるやうに、今現に持つて居ります所の森林所有に付て、之を直ちに國家的な管理に移す、或は農地と同じやうな形に於て分散すると云ふことは、是は私は只今の所どうかと思ふのでありまして、其の點に付ては未墾地の關係の限度に於て考へるのが妥當だ、私は斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=31
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032・永井勝次郎
○永井委員 私も大臣のやうに農地の如く之を細分すると云ふことは妥當でないと考へます、森林の公共性を本當に伸ばす爲には、細分をしないで之を集團經營に持つて行つて、經營を協同組合化した方向に持つて行かなければならないと私は考へるのであります、國家管理の方式には色々ありませう、資本主義的な立場に於ける國家管理もありますし、社會主義的な過程としての國家管理もあるのでありまして、其の内容に於ても色々あるでありませうが、我々の主張する所の國家管理方式と云ふものは、是は社會主義計畫經濟を實現する爲の一段階としての國家管理である、斯う云ふ立場にあるのであります、さうして森林と云ふものは非常に地味なものであり、國土の保全の上から申しましても、其の公共性の及ぼす影響の重大な點から考へましても、洵に重大ではあるのでありますが、實際としては一般が之を閑却し勝ちである、空氣や水に對する利用と同じやうに之を閑却し勝ちである、さう云ふやうな點から申しまして、現在森林行政と云ふ事柄に付ては一般の關心が薄いのでありますが、本當に之を踏込んで、さうして森林の行政と云ふものを本當に考へて、さうして日本の國土に於ける今の森林の現状と云ふものを考へ、國土の保全の前途と云ふものを色々考へて參ります時には、之を一個人の營利的な經營に放任して置くと云ふことは、どう云ふ立場を考へて見ましても、私は之を承認することは出來なからうと思ふのであります、大臣の言ふのは、森林の公共性と個人の所有の營利的な經營との調節と云ふだけの話でありまして、或る場合に於ては、個人の營利的な經營を重く見まする爲に、森林の公共性に相互踏込んで之を削り取るやうなことも敢てしなければならぬ、或る場合には、個人の所有して居る山は、水源の涵養の上から申しましても、國土の保全の上から申しましても、之を伐ることが出來ないと云ふ場合は之を伐つてはならぬと云ふことになるのであります、さうしますと、之を所有して居る所有者は經營上非常に困つて來るのでありまして、個人の所有に對する一つの侵害であります、さう云ふやうな點から考へましても、さう云ふ個々の難かしい折衝に手間取つて、さうして森林の公共性と云ふ本質を伸すことの出來ないやうな機構の上に立つて運營をしようと云ふやうな考へ方を一擲して、さうして本當に森林と云ふものの立つ國家的な基盤と云ふもの、民族的な基盤と云ふものを與へて、さうして之を本當に國家永年の計畫として斯う云ふやうな劃期的な時代に於て出發をする、斯う云ふ態度がなければなるまいと私は考へるのであります、此の集團經營に於ける經營の協同組合化と云ふ事柄に付て大臣の答辯を煩はします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=32
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033・和田博雄
○和田國務大臣 是は、現在森林所有者に森林組合を作らしめて居るのでありまして、其の森林組合に對しましては相當の國家管理を致して居る譯でありまして、是は森林組合其のものを本當に活かして働かし、又それに對しまする國家的な管理と云ふものをやりまするならば、御話のやうな目的は大半達し得られるのではなからうかと私は考へて居る次第であります、森林の共同經營と云ふのは、森林所有者だけの組合を作つて、そこで其の森林に對しましての共同の施業案を作り、又それで共同に作業をやつて行く、斯う云ふ御話であると思ふのでありますが、是等はやはり現在の森林組合と云ふもので相當あなたの仰しやいますやうな公共性と云ふ見地から來る管理は執つて居るのでありまして、森林と云ふものが、御承知のやうに是は非常に公共性の強いものでありますので、是は寧ろ農地よりも先だつて、公共性から來る森林所有者の色々な制約と云ふものは法制の上に於ては早くから出來て居るのだと云ふ風に私は理解して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=33
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034・永井勝次郎
○永井委員 所見を異に致して居りますので、あとは意見になりますから此の程度に止めて置きます、若し大臣が他に御用務がおありになりますならば、私は爾餘の質問は大臣がいらつしやらなくても結構であります、次に御尋ね致したいことは林業勞務の問題であります、先程大臣も一寸此の問題に觸れられたのでありますが、林業勞務は御承知の通りに專業勞務が少くて兼業勞務が非常に多いのでありますが、戰時中の經驗から考へましても、勞務を漸次專業化して行く體制を執つて行かなければならぬ、其の勞働の專業化を圖つて行くには、どう云ふ風な御考へを持つて居らるるか、又此の兼業勞務が現實として非常に多いのでありますが、此の兼業勞務をどう云ふ風な形態に於て之を維持培養して行くかと云ふ問題であります、例へば林間に移民をして、さうして農業と林業勞務とを結付けた經營を合理化して行くやうな方法も一つの方法でありませうし、又林野に於て牧畜をやつて、蜜蜂を飼ふとか、羊を飼ふとか、或は牛を飼ふとか、さうした形に於て一面林業勞務に携はつて行くと云ふやうな結付きの方法もありませうし、色々あると思ふのでありまして、今後に於きましては從來と變りまして、急速に此の植栽の方面をやらなければなりませぬ、植栽の方をやることになれば、苗圃から、種子採取から、之に附屬する所の色々な事業を急速に擴大強化して行かなければならないのでありまして、量的に見ましても、質的に見ましても、技術を漸次向上させて行くと云ふ方向を取つて行かなければならぬと思ふのでありますが、當局に於ては林業勞務の對策としてどう云ふ風に御考へになつて居りませうか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=34
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035・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御尋ねの林業勞務でございますが、昭和十九年の統計に依りますと、林業の勞務者は合計二百六十七萬人中、專業者が六十七萬居ります、其の中一割三分が女になつて居ります、御説の通り是は兼業者が非常に多うございます、此の專業と申しますものは、年間百五十日以上働く者を言ひます、次に第一種、第二種と分けまして、百五十日から九十日以上、之を第一種、九十日以下を第二種と致しまして、勞務に色々差別を付けて居りますが、戰爭中は徴用其の他色々の關係で、已むなく多くの勞務者の移動があつた爲に、此のやうな兼業者は非常に多くなりまして、戰後の經營と致しましては、仰しやる通り是等に專門的な技術と技能を具へさせたいと思ひます、今度の計畫に於きましても、昭和二十一年度に於きましては一應二百六十七萬人の勞勞者が二百二十八萬、約四十萬人を減らして、專業的な傾向を帶びて指導することになつて居ります、此の内容に付きましても、御説のやうに、或るものは國有林の施業案を作る爲の勞務者と技術者を養成する、第二に民有林のやはり施業案に對する技術者を養成する、或は林道開設に付きましても、製炭に付きましても、其の他製炭價格に付きましても、それぞれの技術者と勞務者を技術的に指導して行きたいと云ふので、本年度に於きまする失業對策と致しましても、新たに十三萬九千人の新しい勞務者を養成して行かう、それには約一萬二千の技術者を同時に養成して行かう、一割の技術者が居りまして、さうして十三萬の勞務者を養成する、斯樣に致しまして、之に依り日本の戰後の經濟も最も科學的に、經濟的に、能率的にやる爲に、專業的に進むやうな方針を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=35
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036・永井勝次郎
○永井委員 昨日も話があつたのでありますが、此の法案の中には、林業勞務に對する考へを殆ど盛つて居ない、私は驚くべきことであると思ふのでありまして、少くとも林業界の民主化を圖らうとする上に於きましては、此の問題を無視しては斷じて民主化はない、そして今林業勞働者がどう云ふ風な勞働條件、どう云ふやうな生活條件の下に虐げられて居るかと云ふことは、少しく心を潜めて現實を見ますならば、是は涙なくして見ることは出來なからうと思ふのであります、例へば勞務者に對する物資の配給をして居るのでありますが、酒であるとか、衣料品であるとか、色々な物を配給して居るのでありますが、是は殆ど時期的にも惡いのでありまして、時期を失してからさう云ふものが來る爲に、殆どさう云ふものは業者の手に入つて居て勞働者の所まで達して居りませぬ、又非常に山の中で、足場の惡い所でああ云ふやうな危險な仕事をします爲に、一年間に於ける死亡者傷害に因つて死ぬ者が百數十名あるだらうと思ひます、又足を折つたり、手を折つたり、背骨を折つたりすると云ふやうなことで、一生涯不具となるやうな重大な傷害をする者も、全國を通じますと何千人の數宇に上るだらうと思ふのであります、斯う云ふ人達に對する保險と云ふやうなものも現在殆ど行はれて居ないのでありまして、例へばそれぞれの山の地域に於て、共濟制度に依つて若干の香奠であるとか、若干の入院料とか云ふものを支出するだけである、さうしてさう云ふ所に居て働いた爲に怪我をして、一生其の人は敗殘の憂き目を見なければならぬと云ふやうなことを放任された儘になつて居るのであります、又馬搬の關係に於きましても、籔出しであるとか、玉曳であるとか、さう云ふ急坂な所の危險な仕事に從事する爲に、馬を殺したと云ふやうな事柄は、一年間に非常に多いのでありますが、是等も唯其の馬搬關係の者だけが若干の金を出し合つて共濟制度にして居るだけであつて、其の間に於ける所の實情と云ふものは洵に原始的な、殘虐な、投げやりな方法に放任されて居るのであります、又山小屋に於ける生活條件と云ふか、是は又驚くべきものでありまして、衞生的な見地から見ても、娯樂的な見地から見ても、てんで問題にならぬ、こんな所に當局も亦てんで改善しようと云ふやうな考へも持たず、心を配つて居らない、又冬季間青年などが山に働きに行くのでありますが、青年學校其の他町村の教育施設に依つて色々訓練されて居る生徒達が、此の山に行つて働いて居る間に、雜居の生活をするのでありますから、其處で煙草を喫ふことも、配を飮むことも、女を買ふことも覺えて、さうして渟良な農村に其の青年が歸つて來て、さう云ふ惡い影響を村落に持込んで來、と云ふやうな譯で、現在林業勞務に對する施設と云ふものは全く考慮に入れて居らぬと云ふやうな状態になつて居るのであります、唯木材の價格はどうするとか、配給はどうするとか、さう云つた面にだけ眼を轉じて、斯う云ふ森林を維持する爲に、木材を生産する爲に、其の蔭に如何に多くの勞働者が犧牲になつてさうして闇から闇に葬られて居るかと云ふ面を少しも取上げて居ないと云ふことは驚くべき事柄であると私は思ふのでありますが、是等に對して當局はどう云ふ考へを持つて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=36
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037・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 本法案に、先づ第一に是等勞働者に對する施設が入つて居らないではないかと云ふ御話でありますが、第四條第一項の第二號に「會員の林業の改良發達を圖るため必要な同共施設」此のやうに當初から此の問題に付ては相當に研究しなくてはならぬ問題でありますので、本案に於きましては、共同施設の中に、先づ勞務者共同施設を考へよう、厚生施設も考へて居る、健康保險組合は其の在る所の市町村と速絡を執つて十分やつて行かなくてはならぬ、さうして又今度は勞務者の將來の企業欲の出るやうな研究所を立てて行かうと云ふやうに、此の中で相當にやつて行きたいと考へて居ります
次に山に於ける所の色々搾取があるのぢやないか、山の非常な苦勞な生活に對して一般の理解がないと云ふ御話でございますので、御説の通り洵に此の點は殘念に思ひます、併しながら恐らく日本の戰後の經濟の再建は森林より生れる、我々人間が自然の中に入つて、あの大自然に打たれて、初めて本來の人間性に歸つてやり得るのであつて、寧ろ彼處に若い青年が行つて勤勞し、或は事業に携つて、さうして巷に歸つて來まして日本の再建が出來ると考へて居るのでございます、山の事業は非常に大仕事でございます、一面又是等の、事業の資本家とか、或は企業者が如何にして勞勞者を使つて居るか、森林に於ける勞務の状況は都會に於ける工場と違ひまして、決して居ながらにして一目瞭然とは分らぬ、隨て山間地に於ける經營と云ふものは、其の經營者が人格、技能共に備つて居る者でなかつたら、決して成功しないのであります、人格技能が備つて居る爲に、あの親爺の爲なら怪我しても宜い、必ず増産しようと云ふ意欲が一般に出なかつたならば、彼等は山の蔭樹の蔭に隱れて遊んで居つても勞銀は取れるのであります、斯樣な見地から言ひますると寧ろ企業者のなかで、或は資本家と致しましては、山の資本家が最も眞面目であり、自身の人格を磨き、且又技能をも磨いて居ると言つて差支へないのでございます、或は二、三の山に於ては、使つた者が怪我しても構はぬものがあるかも知れませぬけれども、一番強い友愛精神は、寧ろ山間僻地の事業者にあると見て差支へないと思ひます、併しながら御説の通り是等の事業は非常に資本が小さ過ぎる、さうして山間地に於きまして、設備がない、一旦怪我を致しましたならば十何里下らなければならぬ不便があるのであります、是等に付きましては、國と致しましても相當の補助政策も立てて行かなければならぬと思ひます、又民間人の事業家と致しましても、茲に盛つてある所の共同施設を完膚なきまでに活力して、是等の勞務者が喜び勇んで事業の出來るやうに、さうして將來是等に勞務者でなくして直ちに企業者になれる指導が欲しいと思ひます、斯樣な見地から是等の厚生施設に依りまして、將來勞務者が企業者になれる所の生活の改善と事業意欲を涵養して行きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=37
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038・永井勝次郎
○永井委員 それから勞働賃銀を決めるに付ては、勞働組合を認めて、其の間に於ける協定で行くのか、從來のやうなそれぞれの山の實情に應じてやつて行くのか、それから從來ですと、經營が天候條件に支配されることが非常に多い爲に、旨く行く時は相當儲かるが、旨く行かないと大きな損をする、損をしたら勞働賃銀を拂はないで企業者は雲隱れして逃げてしまふと云ふことが多いのでありますが、さう云ふやうな場合、若し業者に支拂能力がないと云ふ場合には何等かの方法に依つて、森業會なり何なり大きな方の組方に於て之を保證する途を講ずることも考へて行かなければならぬと思ふのでありますが、此の勞働資銀問題に付てどう云ふやうに考へて居られるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=38
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039・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 勞働賃銀の問題でございますが、勿論其の森業體に於きまして、勞働組合が結成されますならば、勞働協約に依つて賃銀の制定とそれ等のことが確保出來ると思ひます、出來ない所は從前通りやつて居られることと存じます、尚ほ事業が失敗して勞働賃銀が取れない、是は勞働法で勞働賃銀を保障して居りますから、此のやうな心配はないと思ひますが、或る場合に於きましては組合に於て森産業者が責任を取ることも、或は御説の通り肝要かと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=39
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040・永井勝次郎
○永井委員 委員長からの御注意もありますので、此の程度で…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=40
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041・森幸太郎
○森委員長 午後は零時半より再開することに致しまして、是にて暫く休憩致します
午前十一時四十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=41
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042・会議録情報2
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午後零時四十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=42
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043・森幸太郎
○森委員長 休憩前に引續き會議を開きます――綿貫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=43
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044・綿貫佐民
○綿貫委員 重複して居りましたら御注意願ひます、内地と北海道の林政の統一及び治水の砂防の統一、此の點と林業行政の機構改革と云ふ點に付ての御所見を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=44
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045・中尾勇
○中尾政府委員 林政の統一問題に付きましては從來から論議せられて居り、又研究された問題でありますが、特に戰爭終了後、敗戰の結果領土が半減致しましたのに伴ひまして、森林の面積も大體半減した實情にあります、此の森林統一の必要は、特に戰前よりも必要性を増して居ることと存じて居りますし、特に狹い森林から全國民の民生安定を圖るに必要な用材竝に薪炭材の生産を圖る爲には、どうしても統一された綜合的な經營方針を以て施業をしなければならない關係にありますので、北海道の國有林竝に内地の國有林の林政を統一することは、極めて必要であると考へて居るのであります、是は他省との關係もありますので、今後愼重に研究致しまして、善處致したいと存じて居ります、それから砂防の統一のことでありますが、此の點に付きましても、從來とも論議せられた問題であります、此の砂防の統一強化を圖り、森林地内に於ける砂防事業の成果を收めます爲には、どうしても森林の施業と同時に考へなければならぬやうな關係にあると存ずるのであります、其の爲に砂防、森林、治水の統一はどうしても其の必要があると存じますので、此の件に付きましても、關係省と緊密なる連絡協議を逐げまして善處して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=45
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046・綿貫佐民
○綿貫委員 森林、治水の現状と特に災害防止林業施設と云ふ項目がありまして、此の事業をやつて居るやうでありますが、其の實情に付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=46
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047・中尾勇
○中尾政府委員 森林治水の重要性に鑑みまして、政府に於きましては從來實行致して居りました治水事業の整備擴充を圖りますばかりでなく、更に治水竝に災害防止事業の擴大強化を圖る必要があると認めまして、終戰後におききます林野の現況に即應すべき森林治水に災害防止林業施設の劃期的、計畫の樹立の爲に、只今全國に亙りまして基本調査を實施中であります、其の實態を把握しまして、其の調査の結果に基きまして劃期的の計畫を樹立致しまして、實行する方針で居るのであります、尚ほそれと並行致しまして本年度の豫定事業であります治水事業、是は第二期治水事業で二十三年まで續くのでありますが、其の方の本年度の事業竝に災害防止、是も第二期の災害防止計畫に依つて實施して居ります、是は本年度限りの事業であるのでありますが、それ等の事業竝に十八年度、二十年度に於きます災害の復舊事業等に付きまして只今實行を致して居るのであります、大體の事業の内容、其の分量に付きまして申上げますと、治水事業に於きましては、大體直轄事業竝に補助事業に分れるのでありますが、三千五百町歩の面積に對しまして、約三千百七十萬圓程度の經費を以て實行致して居るのであります、尚ほ又災害防止林業施設の方の事業は、大體是も直轄事業竝に補助事業を合はせまして、一萬一千七百町歩程度の面積に對しまして、五千二百萬圓程度の經費を以ちまして、只今實行を致して居るのであります、尚ほ十八年度、二十年度の災害地の復舊事業に付きましては、三千五百町歩程度の面積になつて居りますが、之に對しまして二千二百萬圓の豫算を以ちまして、只今實行を致して居る次第であります、大體事業の概要は以上の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=47
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048・綿貫佐民
○綿貫委員 災害防止林業施設は第二期が大體本年度で終るのぢやないかと考へて居りますが、豫算の少い割に拘らず相當成績の見るべきもののあることは私共承知して居ります、此の際此の時こそ第三期事業として飛躍的なる擴充を圖る、詰り豫算もうんと之に計上致しまして、時局に即應したる事業經營をなすべきであると考へますが、當局の御考へを承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=48
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049・中尾勇
○中尾政府委員 先刻も申上げました通り、只今全國に亙りまして實態調査も致して居りまするし、此の災害防止林業施設は、御説の通り本年度で第二期が終りになりますので、來年からは只今調査致して居りますのを基礎と致しまして、大々的な計畫を立てて實行する豫定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=49
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050・綿貫佐民
○綿貫委員 森林組合の育成方針に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=50
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051・平川守
○平川政府委員 森林組合は未だ設立後比較的日が淺いので、其の重要性に拘りませぬが、地方に依りましては其の發達のまだ十分でないものもありのであります、先づ是が育成の一つの有力なる手段と致しまして技術員を擴充すると云ふことが、實際の仕事の上に於て必要ではないかと考へまして、本年度に於きましても相當額の豫算を計上致しまして技術員の助成を致さうと考へて居るのであります、其の外法制的には現在の森林法を基礎に致しまして、是が實際上十分の活動を致すやうに、今回の林業會法等の運用に依りまして、強化をするやうに指導して參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=51
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052・綿貫佐民
○綿貫委員 外の地方は存じませぬが、私共の縣に於きましては、縣木聯と云ふものが出來て居ります、是が地方木材に代つて今後の木材の取扱をやらうと云ふやうな考へ方の下に、新しく出來ます所の此の林業會と云ふものを無視したやうなやり方があるやうに聞いて居りますが、此の縣木聯と云ふのはどう云ふ性質のものか御存じありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=52
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053・平川守
○平川政府委員 現在木材統制の關係から致しまして、木材配給統制規則で地方長官の指定する機關に縣内の統制を圖らせて居るのであります、昨年の末頃から致しまして、地木社の實際の勢力が甚だ衰へて參つた地方がある譯でございます、さう云ふ地方に於きましては、之に代るべきものとして業者の任意的な團體を作らせ、之に場合に依りましては統制權を與へると云ふこともやつて居る縣がある譯であります、御話の縣木聯はどう云ふ性質のものでありますか或はさう云つた性質の統制的な權限を持つたもので地方長官から指定を受けて居りますものか、或は單に任意的に業者間の親睦、或は事業の發展を圖ると云ふやうな意味の任意的のものでありますか、其の縣に依つて違ひますのではつきり致しませぬが、縣に依つてさう云ふものが出來て居る所もある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=53
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054・綿貫佐民
○綿貫委員 さう致しますと、森林組合の性格と、所謂新機構に依ると云ふか、新しく發生して居る縣木聯と云ふものとの關係はどうなるか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=54
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055・平川守
○平川政府委員 此の縣木聯と云ふのは、恐らくは丁度今回の法律の所謂林産組合に當るものではなからうか、恐らく木材業者等の組合であらうと思ひます、森林組合の方は固より森林所有者の團體でありますので、假に其の縣木聯が實際に於て縣下の木材業者等の綜合的な團體でありまするならば、是が母體となつて林産組合を作りまして、さうして一方にある森林組合側と共に林業會を設立すると云ふ一つの措置にもならうかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=55
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056・綿貫佐民
○綿貫委員 さうすると、各府縣の交流材、是が今云つたやうな性絡の縣木聯と云ふものの手を通じて取扱をさせて貰へるものなりと云ふやうなことが新聞紙上等に載つて居りますが、此の點はどうなりますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=56
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057・平川守
○平川政府委員 交流材の取扱に付きましては昨日も局長から御説明がございましたやうに、林業會の割當に從ひまして各縣の業者、或は其の團體である林産組合等が林業會の認證を得て、其の割當に從つて取引をすると云ふことになりまするので、必ずしも或る者が獨占的に扱ふと云ふことにはなりませぬ、唯林業會の一つの統制の枠に從つて取扱をすると云ふことになりまするので、今御話のやうな縣木聯、或はそれの代りました團體が取扱ふことも差支へない譯でありまするが、其の外のものも扱ひ得ると云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=57
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058・綿貫佐民
○綿貫委員 さうすると、縣外移入材、或は北海道材の移入と云ふやうなもののみの取扱を專門にした所の組合組織が獨占をやると云ふことは斷じてない、斯樣に心得て宜しい譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=58
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059・平川守
○平川政府委員 獨占的にやると云ふことにはならない譯であります、唯それ等の交流材を扱ひまする業者が任意的に集まりまして、さうして此の林産組合を作ると云ふことは差支へない譯であります、併し固より林産組合も加入、脱退自由であります、それ等に參加しない者に對して之を禁止すると云ふことは出來ない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=59
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060・綿貫佐民
○綿貫委員 今申上げた點は斯う云ふ譯なんです、私共の縣で移入材が六割以上になる、所が今の地方木材を解散した幹部連中が新しく會社を拵へて、其の會社では移入材を專門に扱ふのだ、他の者には扱はせないのだと云ふことから、非常に輿論が喧しくなつたので、伺つた譯でありますが、其の點は能く了承致しました
次に木統法の廢止に依り、日木、地木、特に地木の清算に當つて、財産の處分に對する指導方針は如何でありますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=60
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061・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、地木社の方の財産の處分のことに付きまして聯合軍からの指示の關係もありますし、財産の内生産施設は元の所有者が希望致します場合は、其の元の所有者に返すやうに指導を致して居ります、其の方法と致しまして、現在地木社から直ぐさま個人に返すことが色々な都合で急速に渉らないと云ふやうな場合もあるかと考へて居りますが、斯う云ふ場合には、地木社を早く解散しなければならない關係もありますので、此の場合には過渡的な措置として地區的に組合なり或は會社なりを作つて、一時それに包括的に移讓しまして、さうして漸次地區的に出來た組合或は會社の方で、生産施設で元の所有者が希望する者がある場合には、漸次其の地區會社の方で返して行くと云ふ風に指導致して居ります、又木材の生産上さうばらばらにしてはどうしても生産増強は期し難いので、或る程度分散しないで固まつて置いた方が宜いと云ふ地方に對しては、やはり地區別の組合なり會社なりに作つて其の儘繼續して實行して行く箇所もあらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=61
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062・綿貫佐民
○綿貫委員 此の財産の大部分は、立木と製材工場等であると考へますが、特に此の立木に付ては主人が出征して居るとか、或は戰死をしたとか云ふ虚に乘じまして、軍の名に依つて殆ど恐喝的に無償に近い値で買取り、之を會社に入れずして、其の地木社の幹部が第三者に之を闇から闇へと賣却を致して、數十、數百萬の私腹を肥やして居る者が數多いのであります、其の實情は涙なしには見られませぬ、而も既に處分されてしまつたものは、是は形がないし、軍の名に隱れて居る以上已むを得ませぬけれども、現在尚ほ木が立つて居るけれども、所有權が移つて居ると云ふことで、非常に地方で問題を釀して居るものが多いのでありますが、是等に對しても、之を分散せしめることは生産増強上都合が惡いと云ふやうな口實で以て、其の本人の希望にも拘らず、之を返してやらないと云ふことは甚だ不合理であり洵に殘酷なことであると思ひますので、私は此の製材工場にしろ、殊に立木に於ては、一應全部に希望があるならば返して、其の上で話合で再び新しい地區的の組合が之を纒めると云ふ風にすべきであると考へるのでありますが、如何御考へになるか、尚ほ製材工場であるとか或は機械、立木を返してやる場合に値段をどのやうな程度に決定せしめる御方針であるか、此の點を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=62
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063・中尾勇
○中尾政府委員 只今御話のやうに、半強制的に買上げましたやうに立木に付きましては、出るだけ元の所有者にかへすやうに指導致したいと存じて居ります、勿論是は立木だけでなく、製材工場に於きましては先刻も申上げましたやうに、其の元の所有者が希望する場合は必ず返すやうに指導致して行きたいと思ひます、尚ほ其の價格の點でありますが、是はやはり聯合軍からの指示もありますので、現在の統制價格で返すやうに致させたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=63
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064・綿貫佐民
○綿貫委員 現在の統制價格で返すと云ふことは非常に無茶な話でありますが、指示があれば已むを得ませぬから了承致しました、次に日木竝に地木の解散に當りまして、清算人を設けますが、之を會社の役員のみに限定致して居ると云ふことは非常に危險でありまして、一般株主からも必ず三分の一或は半分と云ふものを加へるやうにすることが、最も私は妥當でないかと考へて居りますが、此の點に對する御指導方針を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=64
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065・平川守
○平川政府委員 清算人は原則として役員が之になる譯でありますが、併し總會に於きまして別の人を選任すると云ふことも出來る譯であります、是は最後の解散を決議致します際の總會の決議に依ると云ふことに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=65
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066・綿貫佐民
○綿貫委員 通り一遍から行けばさうでありますが、やはり最後の株主總會に於きまして一般株主中から或る程度の者を選任するやうに御指導になることが必要である、斯樣に私は考へるのでございますが、唯任意に任せて置くと云ふことは、此の問題を釀して居る際に甚だ面白くない、もう一歩進めて申しますならば、私は今度出來ます所の林業會と云ふものの中には、絶對に從來の地木社に關係ある人、特に幹部の方々の、參加は排除するやうに御指導を戴く、さうして二年或は三年致しまして、それ等の「ブロック」的の、何と申しますか集團的の我々の意思に反する行動を阻止した上で、又改めて加入をすると云ふやうに指導しなければならぬ、斯樣に考へまするが、其の點法規上と云ひますか、政府の肚として指導が出來ないものかどうか、併せて伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=66
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067・平川守
○平川政府委員 此の林業會法に於きましては、林業會及び林産組合等の問題に致しましても、或は地木、日木の解散の問題に致しましても、專ら民間の意思と云ふものを非常に尊重致しまして、民主主義的と申しますか、官廳の方の餘り監督がましいことは、極端の場合以外は餘りやらないと云ふ大體の立て方に致して居ります、何か特殊の件に依りまして非常に特殊な弊害或は特に監督を加へる必要があると云ふやうな具體的の場合に於きましては、或は御話の如き指導を致す場合も出て來るかと思ひますが、一般的に申しますれば、極力組合員なり或は社員なりの總意と云ふものに任せると云ふ考へ方を致して居ります、特殊の場合に於きまして特に其の必要性があると認められます場合に於ては指導致して行く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=67
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068・綿貫佐民
○綿貫委員 能く御分りでせうけれども、當局としてはそれ以上のことは中々仰しやりにくいと思ひますから了承致しました、尚ほ本法には消費者と申しますか、消費組合側は參加をして居らない、詰り生産は消費あつての生産でありますから、やはり消費の部面も此の要素の一つとして加入させる方が妥當でなからうか、斯樣に考へますが、其の點如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=68
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069・平川守
○平川政府委員 林業會に於ても林産組合に於ても、林業なり或は林産業に密接なる關係を有する事業を營む者と云ふものを會員又は組合員になり得るやうに致して居りますが、此の密接なる關係を有する事業を營む者と云ふのが、御話の林産物を需要する側の可なり大きな部分を占めるではなからうか、例へば土建業者或は木工業者、是は最終の需要者ではありませぬけれども、併し林産物と云ふ立場から見れば、需要者の立場にある、可なり大きな部分が之に入る譯であります、純粹の最終需要者に付きましては、之に組合員或は會員として參加はせしめて居りませぬけれども、例へば林業會の特別議員と云ふやうなものは、是は學識經驗ある者と云ふやうになつて居りますが、さう云つた部類の特別議員の中に、消費者の意思をも反映せしめ得るやうな、廣い立場の人を入れると云ふ運用が出來るかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=69
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070・綿貫佐民
○綿貫委員 企業許可制度並に府縣「ブロック」制、此の制度を今、以て廢止しないで何時まで存續するか此の點に付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=70
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071・平川守
○平川政府委員 企業許可制度に付きましては、是は此の自治統制をやります必要のある間と云ふやうに考へて居ります、詰り經濟安定本部と云ふやうな機構が存續致しまして、何等かの形に於ける物資の統制と云ふものが必要である間は、餘り紊りに誰でも自由に之をやれると云ふことになりますと、自治統制もやりにくいではなからうかと云ふ意味に於きまして、經過的に此の企業許可制度を存置するやうに致して居ります、勅令で其の期間を定めることに致して居ります、經濟安定本部の存續期間と是は一致せしむる考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=71
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072・綿貫佐民
○綿貫委員 それと關聯致しまして、薪炭の統制を廢止する意思はないか、特に帝國薪炭統制會社と申しますか、是は生産もしなければ配給もやらない、殆ど働かずに眠り口錢のみを取つて居る會社であります、當然斯う云ふものは止めさしてしまふべきであると考へますが、如何に御考へでありませうか、尚ほ道府縣林産燃料組合、薪炭生産組合、生産團體或は都道府縣燃料配給統制組合、それから農業會が一部扱つて居る所謂配給機關に依る取扱と云ふものは、是は何れも中間搾取機關とは斷言出來ませぬけれども、ちりぢりばらばらの取扱を致して居りまして、其の能率が上らないことだけは誰しも認める所であります、一部では全部木炭は農業會で扱はせろと云ふやうなことも言はれますが、私は此の農業會が販賣購買のことを全部取扱つたり或は加工事業をやつたり、色々なことをやる以外に金融まで抑へて居つて、所謂獨占の弊に陷つて居る爲に、將來此の農業會と云ふものは餘程改革を行はなければならぬ、其の現はれとして所謂農業協同組合法が出來るものと考へて居りますが、此の農業會に扱はすと云ふことは、一寸賛成し兼ねますけれども、今後の町村財政が非常に窮屈になる、其の意味に於て町村が收益事業を行ふことは好ましいことであると云ふ風に内務當局あたりが言つて居ることに鑑みまして、此の木炭を全部生産地は生産地の町村、消費地は消費地の町村に扱はして、さうして適正なる手數料を各町村にやると云ふことに致しますれば、非常に統制が取れ、且つ町村の役場も財政的に潤はせることと存じますが、此の點に付きまして如何に考へて居られるかと云ふこと、尚ほ木炭の本年度の需給の見透しと云ふ點に付て御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=72
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073・中尾勇
○中尾政府委員 只今の所薪炭は指定されて居りませぬで、本法案に依つて早速實施致しますのは木材に付てのみ考へて居るのであります、薪炭の問題は只今關係方面と協議中でありまして、見透しが付けば指定する積りで居ります、それから帝國薪炭の問題でありますが、帝國薪炭は普通炭の生産事業は致して居るのでありますが、只今「ガス」用木炭の配給も致して居りますし、又「ガス」用薪の配給も致して居るのでありますが、色色生産機關方面、或は又配給機關方面との關係もありますので、此の調整に付ては只今愼重に考慮研究を致して居ります、尚ほ薪炭の配給の方式でありますが、是は只今色々御話がありました通り、中間に色々な機關があるのでありますが、只今薪炭の方は政府の特別會計に依りまして買取並に配給を致して居ります、其の中間に於て買取輸送、是は小運送の方でありまして、發驛までの輸送でありますが、之を代行せしめて居る組合、是も農業會がやつて居る部面もありますし、或は燃料統制組合でやつて居る部面もあります、或は又一部薪炭燃料株式會社でやつて居る部面もあるのであります、一部錯綜した面もありますので、此の方式に付きましては、只今愼重に研究を致して居ります、不合理な點は此の際是正して行きたいと考へて居ります、尚ほ此の薪炭の取扱を町村にやらせたらどうかと云ふ御意見でありますが、此のことに付きましては、今まで町村に取扱はせることに付ては考へて居りませぬでしたが、御意見のこともありますので、更に研究して見たいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=73
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074・綿貫佐民
○綿貫委員 文部大臣が御出席になりましたので一言だけ御伺ひ致します、先般本會議に於て御答辯を戴かうと思ひましたが、時間の關係で其の儘になりましたが、唯一點御伺ひしたいのは、從來とも重要であつたには違ひありませぬけれども、動ともすると等閑視されました所の林業と云ふか、林政と云ふものが、今後の我が國の事情としては非常に重要視しなければならぬ現状にあるのでありまして、之に對しては教育の方針も自ら重大視される所以であらうと考へますが、大臣の林業に對する所の教育の根本方針に付ての御抱負を承りたい斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=74
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075・田中耕太郎
○田中國務大臣 文部省と致しましては、從來林業の方面に付ての教育は御承知の通り大學なり或は高等專門學校なり、或は實業學校なりに於て、或る程度まで實施をして參つたのでありますが、併し今日我が國家の状態を考へて見ますと、戰時中の森林の濫伐等の結果、現に木材の不足を來し或は又洪水の原因にもなつて居ると云ふやうな、林業と云ふものが如何に今後の日本國家の再出發に對して重要であるかと云ふことを、朝野を擧げて痛感して居るやうな次第でありまして、此の林業方面に對する教育に付ては、其の振興に付て更に一段の考慮が拂はれなければならないと存じます、專門技術者の養成と云ふやうなことも、今後益益其の需要が増加するに違ひないと存じて居ります、又一般の森林愛護と云ふやうな思想に付ても、初等教育に於てもさう云ふ精神を徹底させる必要があるのではないか、色々不始末から火災を起すと云ふやうなこと、其の他森林愛護の精神が足らない爲に徹底させる必要があるのではないか、色色不始末から火災を起すと云ふやうなこと、其の他森林愛護の精神が足らない爲に國家がえらい損失を招くと云ふやうなことも從來あつた譯でありますから、さう云ふ意味合に於て一般的に國民の間に森林愛護の精神を徹底させると云ふやうな普通の教育の方面に於きましても、大いに力を注ぐ必要があると云ふことを痛感致して居ります、即ち或は高等專門教育、專門家を養成すると云ふ意味の教育に於きまして、或は一般國民教育に於きまして、林業と云ふものに對し教育の面から多大なる考慮を拂はなければならないと云ふ風に存じて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=75
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076・綿貫佐民
○綿貫委員 之を具體的に申しますならば、國民學校の高等科に林業に對する科目を取入れるとか云ふことも一つの現はれでありませうが、私は北陸に居りまして雪國であつて特殊の地帶でございますが、其の山間部に於ける所の山村の子弟は十里、二十里を出て行かなければ中等教育を受けることが出來ない、併し皆向學心に燃えて居る、而も平地に出て行つて學んだ所の學問は山に歸つても殆ど間に合はない、斯うした意味合に於て、私は眞の山村の眞中に山林學校と云ひますか、農林學校を設立致しまして、食糧事情等の關係もございますし、現地に於て製絲であるとか、蠶絲と云ふやうな山間獨特のさう云つた科目とを併用致しまして、是非とも山間、子弟の教育に意を用ひて戴きたい、斯樣に考へますが、其の具體的の案に付ての御考へはございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=76
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077・田中耕太郎
○田中國務大臣 只今御指摘になりましたやうなことは、私は非常に必要なことだと存じます、實は從來の教育と致しましては中央集權的、全國畫一的になつて居りまして、教育が農山漁村等の特殊性を考慮して、十分彈力的にやるやうなことが出來て居りませぬ、此の點非常に遺憾に思つて居ります、今度教育行政の方の制度を改革致します時には地方の實情と云ふものを考慮致しまして、地方分權的に制度を改めようとして居りますから、隨て例へば全國を數個の「ブロック」に分けまして、そこに教育の地方的の企畫本部のやうなものが出來ますと、さう云ふ所で地方の實情に應じたやうな風に企畫し得るやうに致したいと思ひます、山村の林業に付ての知識を與へると云ふやうなことも可能になると云ふ風に考へて居ります次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=77
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078・綿貫佐民
○綿貫委員 文部大臣の御答辯能く諒承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=78
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079・井出一太郎
○井出委員 關聯致しまして文部大臣に御尋ね致します、大學の演習林でございますが、從來東京帝大は慥か朝鮮にあつたやうに思ひます、京都帝大は臺灣に持つて居つたやうに思ひますが、斯う云つた海外領土の喪失に伴ひまして、此の演習林の補充を内地の國有林あたりへ求めると云ふやうな御考へはございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=79
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080・田中耕太郎
○田中國務大臣 是は大學の方で若し要望がありますならば考慮致したいと思つて居ります、演習林の問題は現在大學が持つて居る演習林に付ても、色々輿論がございますやうでございます、併し只今仰せのやうな意味に於きましても、實現がどの程度に於て、可能であるか、是はまだ分りませぬのでございます、さう云ふ要望が大學にありますならば、詁り研究上或る程度の演習林を求めなければならないと云ふやうなことでありますならば、大學當局の要望に依つて考慮しなければならないことであると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=80
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081・井出一太郎
○井出委員 演習林に付て何かと色々な輿論があるやうでございますが、此の點に付ては大臣も御認識になつて居られるやうでありますから、此の程度で關聯質問を終ります、運輸關係に付て――俗に山で木を貰つたやうなものだと言ひますが、輸送の伴はない所の木材は幾ら論じて見ても意味を成さない、此の見地から輸送の問題に付て運輸省當局に御伺ひ致したい、私は現在の我が國の經濟は輸送經濟だと云ふやうな獨斷的な考へ方を持つのであります、輸送力こそは生産増強の根源である、輸送力即生産力である、生産と輸送とは二つにして一つである、斯う云ふ風に考へます、輸送機關の圓滑迅速な活動自體が生産の擴充となるものである此の意味に於て、海陸一體の一聯的輸送の強化が今日最も必要として強く叫ばれて居る所以でありませう、特に鐵道輸送の兩端を扼して居ります所の貨物自動車輸送、是の使命は、木材に關する限り重要なる「ポイント」を制するものであります、戰後經營上缺くことの出來ない木材其の他の林産物と云ふやうなもの、所謂原産物資が奧地に於て生産をされただけでは何等の價値を生じませぬ、之を輸送することに依つて、初めて其の用をなすことは今更申すまでもないことであります、此の意味に於て新規幹線林道の大規模な開發を斷行致しますことは勿論のことでありますが、既設林道との關聯、又國縣道、町村道、鐵道軌道流木路と云ふやうなものを一貫した關聯性を持たせて、ばらばらの道路行政を一貫したる所の道路網計畫の下に實施し完成しなければならぬ、此の意味に於て今日まで運輸省が自分の所の營業に屬する「トラック」道路には其の關係する縣と道路の改修費を折半して持つと云ふことまではやりますけれども、其の鐵道の培養線ともなるべき山間道路に對しては、何等之に助成とか協力を致して居らぬ、私は是は當然協力もし、培養線である故に其の道路に對する助成をなすべきものである、斯樣に考へるのでありますが、當局は如何に御考へですか
〔委員長退席、氏原委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=81
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082・滿尾君亮
○滿尾政府委員 省營自動車の路線に付きましては、建設及び其の後の維持に對して、費用を分擔して居りますけれども、是は詰り受益者負擔と申しますか、さう云ふ意味でやつて居ります、併しながら道路一般に付きまして、運輸省の會計を以ちまして補助致しますことは、一寸是は範圍を逸脱して居るかと思ひます、寧ろさう云ふ角度から考へるのでなく、御話のやうな線を進めて參りますれば、斯う云ふ陸上の運輸行政を掌つて居りますことと、道路行政と合體せしむべきものである、之を分離せしめて置いて、費用の分擔などを國有鐵道に持たせることは、非常に困難ぢやないか、寧ろ解決の方角は別途に考究さるべきものではなからうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=82
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083・綿貫佐民
○綿貫委員 其の不合理な點があるから、左樣申上げるのでありまして、道路行政、特に山間部の道路、或る所は林道で非常に酷くなつて居る、或る所は村道で狹く、或る所は縣道で廣くなつて居る、蛇が蛙を呑んだやうである、一貫した自動車が通らぬのに、其の道路を一方は内務省關係である、片方は農林省關係であると云ふことではいけない、何としても一貫したものにしなければならぬ、而も其の上を走る所のものを扱ふのは運輸省である、さうすれば、茲に運輸省と云ふものをもう少し大きくして、陸運省と云ふか何と云ふか知りませぬが、擴大致しまして、道路の總てを握つた所のものにしなければならぬ、斯樣に考へるのでありまして、此の意味に於て運輸當局として此の道路行政を運輸省の掌握下に、管轄下に是非收めて、おやりになる勇氣と信念があるかどうかを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=83
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084・滿尾君亮
○滿尾政府委員 事務當局と致しましては、私は自動車行政を管理して居る者でございますが、どうしても我が國の道路運送と致しましては、道路と其の上を走る自動車の輸送、其の他陸運一般とは、合體することが最も望ましいと考へまして、實は昨年の秋以來其の方向に聊か微力を盡して居りますけれども、我が國の官廳組織の實際は中々難かしうございまして、其の考へは簡單に通らないで居る實情でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=84
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085・綿貫佐民
○綿貫委員 森林鐵道の敷設と云ふことは、直ちに收益が上りませぬけれども、先程申上げました森林の重要性に鑑みまして、當然考へて戴かなければならぬと存ずるのでございますが、是等に對する御考へ竝に計畫等に付きまして、御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=85
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086・滿尾君亮
○滿尾政府委員 其の森林鐵道と仰しやいますのは、國有鐵道の一部門としての森林鐵道でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=86
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087・綿貫佐民
○綿貫委員 國有鐵道の一部としての森林鐵道であります、もう一つ之を例を引きますならば、今度國有となります所の御料林の中に、森林軌道を引いて居る、ああ云ふものまでも全部運輸省の管下に收めて、之の維持運轉をやると云ふことも、運輸の統制上望ましいことである、斯う云ふ意味合ひに於て、今後水力電氣が開發される、盜人を掴まへて繩を綯ふのではいけない、今から森林鐵道を敷いて、原産物資の輸送をやる、又水力の發電計畫が實施される時に於ては、直ちに鐵道に依つて機械が運ばれると云ふ所の森林鐵道の敷設と云ふことに付ての御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=87
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088・滿尾君亮
○滿尾政府委員 生憎と御質問の要點に觸れましては、私の所管外のことでございまして、餘り肯綮的御回答は難かしいのでありますが、唯部内に居る者として、一般情勢を便宜上申上げますならば、只今の占領下に於ける國有鐵道と致しまして、來年度、本年度あたりの新線建設の費用は、G・H・Qの方から非常な削減をされたのでございます、大體の考へ方が幹線の輸送力に於て、戰災を受けて非常に低下して居りまするので、之を速急に復舊せよ、其の方に全力を擧げるやうな政策を執つて居られます、勿論省としても其の方向でありましたが、極端に新線は抑へて、何は措いても復舊に努力すべし、斯う云ふ方向でございます、隨て最近失業救濟等の爲に又若干の新線を追加されては居るやうでありますけれども、是はまだ極めて微々たるもので、積極的意圖を以て、色々な社會の實情に合ふやうに、其の需要を充す爲の新線計畫と云ふものは、未だ其の時機でないかのやうに見て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=88
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089・綿貫佐民
○綿貫委員 關係筋のことなれば、其の點で打切つて置きます、道路のことをさつきからやかましく言ひましたが、如何に道路網が四通八達し、路面が良くなつたと致しましても、之に配するに貨物自動車が相當なければならない、是がなければ佛作つて魂を入れないものである、あなたの方の御關係で言へば「レール」は敷設したけれども、上へ乘せる所の貨車もなければ石炭もないと云ふやうなものでありまして、山林の物資を出す爲には道路が第一である、道路は出來たが、今度はそれを運ぶ所の自動車が潤澤でなければならぬ、斯うなるのでありますが、現在貨物自動車の國内の製造状態はどうなつて居るか、それから「アメリカ」から一萬臺ばかり輸入の手續が濟んだやに聞いて居ります、是は運輸省が山間部の餘り條件の好くない所の輸送をする爲に、其の何割かを省營として持つて、原産物資、林産物の輸送に當るとも聞いて居りますが、其の「パーセンテージ」は何ぼで、一般にはどう云ふ風な輸送をするのか、特に山間部の輸送に相當重點を置いて配給することが好ましい斯う思ひまするが、其の點はどうなつて居るか、御伺ひを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=89
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090・滿尾君亮
○滿尾政府委員 自動車の問題に付きましては、我が國の生産高は大體G・H・Qから月産千五百輛の「トラック・シヤーシー」の製造を許可されて居ります、乘用車は許可されて居りませぬ、其の實續に於きましては、本年の二月までは大體月産五百臺未滿でございました、昨年の十月頃の許可であります、所が此の三月から實績が擧りまして、三月には千臺を一寸出ました、最近ではざつと千五百輛位の生産を見て居ります、所が資材の面に於きまして甚だ心細い實情であります、商工省が公式に自動車の製造の資材として、例へば鐵鋼を割當てましたものは、一四半期に對して四千「トン」位であります、所が實際要るのは、二萬「トン」位要る、隨て千五百臺造つたのは、何で造つたかと言へば、まあ隱匿物資と云ひますか、軍關係の所謂「ストック」のものを方々から掻集めて、正式「ルート」以外の資材に依存してそれを造つて居る、所が一體斯樣な非公式の資材に、何時まで依存して行けるかと云ふ點に、私は此の問題の一つの山があると考へて居ります、製造業者に於ては色々な困難を克服して、生産能力は割合上つて來て居るのでありますけれども、資材の永續性と云ふ問題で、前途は必ずしも樂觀を許さない、斯う思つて居ります、輸入の問題に付きましては、先般來色々巷間傳へられたのでありまするが、噂の方が少し先走りを致して居りまして、實はそれ程具體化致して居りませぬ、併しながら見込がないかと云ふと、さうも言へないのでありまして、色々と資料を出しまして、是非考へて戴きたいと云ふ懇請はして居ります、併ししかと御報告申上げる段階にはまだ至つて居りませぬ、それから山間の木材等の原産物資の輸送に付きましては、實は輸送力の足りない時でございますから、是非此の方面に重點を置いて輸送致すやうに指導を致して居ります、省營自動車の部門に於きましては固よりでございまして、どうも民間の「トラック」の實情が、割合にさう云ふ重量品で道の惡い山の中に入るのを好まない傾向がある、且又闇運賃等も相當行はれて居るやうに見ましたので、私は四月の初めから大體省營で今までやつて居なかつた「トラック」營業を始めて、指導運營と致しまして、是は二百五十輛でございましたから僅かでございますが、兎に角公定價格でどんな歩の惡い所でもどんどん入つて行つて重要な物資を送るやうに、隨て數量は少いながらそれが民間の「トラック」業者を刺戟致しまして重要な輸送には明るい輸送を致すやうにと云ふ積りで左樣なことを只今始めて居ります、全國三十二箇所ばかりでさう云ふ仕事を今ぼつぼつ始めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=90
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091・綿貫佐民
○綿貫委員 さう致しますと、「トラック」に對する國内生産竝に輸入に付ての前送は餘り輝かしいものでない、斯樣に了承して宜いと云ふことでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=91
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092・滿尾君亮
○滿尾政府委員 國内生産に付きましては、結局原資料の供給の如何に懸つて居ると考へられます、それから輸入の問題に付きましては、是は相手方の肚の問題でございまして、當方と致しましては色色と御願ひは致して居ります、隨て米軍の好意に依りまして、強ち悲觀することもないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=92
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093・綿貫佐民
○綿貫委員 どさくさ紛れに、軍から多數の自動車が、放出されたか盜んで出たか知りませぬが、兎に角一般に流れ出たのでありますが、是がどれ位あつたのか、又今日どう云ふ所に紛れ込んで居るのか、此の自動車が所謂自家用貨物自動車と同樣に闇行爲の温存體であると云ふことは衆知の事實であるのであります、斯う云ふものがあります爲に、林産物に對する斯うした法案が出來、或は官治、或は自治統制と名前は變りますが、或る程度の統制を加へようとしても、此の統制が非常に亂れる譯でありまして、是等の横流しと云ふやうな原因をなす所の自動車に對する取締措置と云ふものに付て如何に考へて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=93
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094・滿尾君亮
○滿尾政府委員 軍用自動車の放出に付きましはて、昨年G・H・Qの好意に依りまして、陸軍車で八千五百輛ばかり、海軍車で二千三百輛ばかり、ざつと一萬一千輛位のものが日本政府に還付して貰つた、所謂特殊物件と云ふことになりまして、内閣に於て特殊物件處理委員會と云ふものが出來、其の中の自動車部門に關して私共に配付の具體案作成の御要求があつた、私共は其の任に當りまして、特殊物件處理委員會の承認を經まして之を配付致しました、所が此の車の實情は非當に惡かつた、八月十五日に終戰致しまして、大體其の車の引取に掛つたのは十二月から一月、二月と云ふので、それまでの間の保管の責と云ふものは非常に不明確になつた爲に、實際は車がどれだけあるかと云ふことも確かめ得なかつた、大體實績を捉へて計畫致しましたのでは暇が掛りますので、陸軍の當時の當局から大體どの軍管區にはどれだけある筈だと云ふ資料を貰つて配付計畫をしましたので、實地と合はないやうな面が多々出て來たことが一つ、それから車の状態に付きましても、其の間相當時間が經ちましたので、部品を取られてしまふとか、色々な状態になりまして實際はよく分りませぬですが、凡その見込としまして、動く車は三割位でなかつたか、其の他のものは相當多額な修繕費を加へなければ動かない、或は又形だけあるけれども、幾ら修繕しても動かぬと云ふやうな車も相當あつたことと想像されて居ります、是等のものに付きましては、所謂重要物資の輸送と云ふことを念頭に置きまして、一つの理念を持つて分けた譯であります、所が、實際世の中に流れ出て闇の根源になりましたものは、終戰直後にそれぞれの部隊から直取引で、個人的な色々な事情があつたらうと思ひますが、公式の「ルート」を通らないで民間に事實上流出した車がある、是はよく分らぬ、まあ推定でございますが、約七千輛はあつたらうと思ひます、隨て此の七千輛の車は、最も車の良い状態のものが逃げた、でありますから、是は殆ど全部動く車であつたに違ひないと思ひます、殘してあつたものは皆ぼろ自動車である、此の七千輛の行きました先はどうも餘り立派なものでない、昨年の秋に正規の「ルート」に配給を致します時に地方長官に通牒を出しましたが、其の配給精神に依つて事實上民間の手に入つた不適當な人達の持つて居る車に付て配置換へを斷行する、再配置換へをすべしと云ふ通牒を地方長官に出したのでありますけれども、どうも其の指令が必ずしも忠實に遵奉されなかつた、色々地方の政治的事情等もあり、有力者の手に入つて居ると云ふやうなものがあるんだらうと思ひますが、縣に依りますと、非常に正確に、自分の所の車を調べて見たら斯う云ふ工合になつて居つた、それを通牒の精神に基いて私は斯う云ふ工合に配置換へを致しましたと云ふ新舊對照表を送つて來られた所もある、是は大分縣知事でありますが、斯う云ふやうな非常に立派な知事さんも居られる、併し多くの知事さんは其の點の履行に付ては餘り的確でなかつたと私は考へるのであります、隨て是が世の中に横行して居る種でありまして、私共非常に惱んで居ります、實は七月下旬に、東京都内に於て警視廳が車輛の運賃の一齊檢査を致しました、所が、成程營業車の中にも若干の違反者が出ました、併しながら其の件數は少くて、自家用車で營業行爲をして居るものが壓倒的に多かつた、又規定料金を超過して居る程度に於きましても、營業車に於きましては一件だけ三倍位取つたものがありますが、其の他は六割から七八割位の超過である、所が自家用の闇をやつて居りますものは三倍四倍は軒並にある譯であります、ここらに於きましても、我が國の輸送の分野と云ふものを實は此の七千輛が本になつて色々と面目くない現象を出して居るのだと考へて居ります、今度の議會に自動車交通事業法の一部改正の法律案を提出して居りますが、此の中で、自家用に關する取締の條項を入れまして之を強化して參りたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=94
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095・綿貫佐民
○綿貫委員 今監理局長は省營で以て山間部の引合はない所を圓滑に運營をやらせて居る、而も非常に明朗に運營をして居る、斯う仰しやつたのでありますが、一體それならば、「タイヤ」は幾らで買つて居るか、「ガソリン」は幾らで買つて居るか、斯う云ふ問題になります、民間の今日の「トラック」業者のことを聽きますと、「タイヤ」が一本二千圓から三千圓、「ガソリン」が五十「ガロン」入一本二千五百圓から三千圓、四千圓、「モビール」が五千圓、部品亦之に準ずる、斯う云ふことでは明朗にならぬ、農家が米を闇で賣る、それは片方公定價格で、農機具をやればさう云ふことは起らぬのと同樣でありまして、運輸省だけが明朗なる官業をやるのでなくして、外にも範を示して、民業に於ても明朗なる運營をやらすのには、やはり御役所と同樣に「タイヤ」であるとか、燃料であるとか、或は其の他の部品を容易く入手せしめるやうにしなければならぬ、此の見地より致しまして、今日の「ガソリン」であるとか、或は「タイヤ」等の――是は或は商工省關係か知りませぬけれども、是等のものの現在状況及び將來の見透しに付て御伺ひしたい、特に林産物資を運ぶ所の山間道路は非常に峻嶮でありまして、「トラック」の「タイヤ」の如きも傷みが非常に多いのであります、此の意味に於て今日山間部の木炭、木材を出すのに自動車がありながら「タイヤ」が入手出來ないと云ふことで、雪空を控へて其の二割、三割もが運べないと云ふ現状にあるのが例年の例であります、當局としては是等林産物資輸送に對する自動車に對しましては、燃料、「タイヤ」を特配して民間の自動車を十分に其の能力を發揮せしめることが林産物資生産の終局の目的を達成せしめる所以でなからうか、斯樣に考へるのでありますが、御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=95
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096・滿尾君亮
○滿尾政府委員 實は我が國の輸送界を考へまして車の何處に一番隘路があるかと考へますと、私は車の臺數よりも燃料や「タイヤ」の問題だと考へます、「タイヤ」の事情は五萬輛車が走るとしまして補充の「タイヤ」が四十二萬本ばかり要る、其の外に今休んで居る車で起さうとして居る車の分が十萬本ばかり、新しい車で一萬三千本位それや是やで年に六十一萬本ばかり要る、之を「ゴム」の量にしますとざつと一萬九千「トン」ばかり要る、斯う云ふ一應の見透しを立てて居ります、所が我が國にざつと生「ゴム」が三萬トン位あつた、其の中外國へ見返り物資として割合に質の良い所が一萬「トン」ばかり出る、殘りの良くない分が二萬「トン」ばかりあると云ふやうな恰好になつて居ります、生「ゴム」の供給力の面に於て是れ亦非常に芳ばしくない情勢にある譯であります、隨て二十一年度の第一四半期分の割當は僅かに三萬六千本位しか配當して居らぬ、是では足りませぬ、隨て「タイヤ」の面に付きましては、「ゴム」の供給源と云ふ問題で是は餘程考へなければならぬと思つて居ります、それから油の方で申しますと、大體月に二萬「トン」位我我は要ると計算して居りますが、之に對して實際は五割五分、一萬一千「トン」、位しか入つて居らぬと云ふことで、是等も色々事情を訴へまして輸入の要請方を今後努力して行かうと云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=96
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097・綿貫佐民
○綿貫委員 只今の結論として、運輸省の方に於て一番重點とする所に「タイヤ」とか「ガソリン」を分けようと言はれるのでありますが、今日山間部の雪空を控へた所には特別の考慮を拂つて戴きたいことを特に強調して置く次第であります
それから輸送費の問題ですが、鐵道は最近三倍の貨物運賃の値上をした、而も運輸省の管下にあります所の「トラック」是も當然今までの運賃政策から考へると三倍位に上げられるやうに考へますが、此の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=97
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098・滿尾君亮
○滿尾政府委員 重點配給のことに付ては若干考へて居ります、殊に今回の聯合軍關係の宿舍、兵舍用の輸送材に付きましては丸に聯の印を押しまして「ガソリン」の特別の指示配給を致して居ります、尚ほ聯合軍以外の木材の産地に付きましても、やはり若干さうした氣持を籠めてやつて居ります
それから運賃の問題は、大體「トラック」の公定運賃を決めます時には、決して燃料、部品其の他を公定價格で計算して居りませぬ、私の方としては理窟を拔きにして、全國の典型的な業者を拾ひ出し、其處へ行つてあなたは「ガソリン」を幾らで買つたか、部品を幾らで買つたかと云ふことで闇値を聽きまして、それを「ベース」にして運賃の改正を致しました、現在の運賃は今年の三月に變へたものでございますが、鐵道運賃に連れて改正すると云ふ考へでなく、假令鐵道が上げなくても「トラック」運營の實情に即して上げなければ無理だとあれば上げます、現にさうして居り、今後もさう考へて居ります、最近の實情と致しましては、業者の側からは餘り値上の要求は出て居りませぬ、寧ろ値上の要求よりも燃料、部品の方の話が強いのでありますが、若しさう云ふやうな形勢であれば直ぐ調査も致します、適當に考慮致しますが、目前の問題としては餘り緊急の問題としてそれは提出されて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=98
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099・綿貫佐民
○綿貫委員 私共は業者の聲でなくして、木材の價格と云ふ點に非常に關聯が多い、木材の値段の大部分を占めるものは輸送賃であります、此の意味に於きまして、今是が三倍とか何とかと云ふことになりますと、是は大分農林省の方の影響も大きいものでありますから、其の意味に於て御伺ひしたのですが、了承致しました
次に運送店の問題ですが、是は前に一驛一店主義と云ふものをやつて評判が惡かつたのでありますが、終戰直前直後を通じて、全國殆ど丸通一色に塗り潰されたと云ふ形になりまして、どうも「サービス」が惡い、木炭を折角山から出して參りましても、野晒しであります、上屋一つ筵一つ掛けないと云ふ爲に、俵も腐つてしまつて非常なひどいことになつて居る、やうやう山から出して來た木炭が意味を成さぬと云ふことになつて居る、此の實情を見るに付けまして、どうも此の日本通運と云ふやうな全國一つの統制會社は甚だ面白くない、我々一般國民としてもさうでありますが、特に此の木炭生産の苦勞を目の前に見て居ります所の私共として、あの大事な木炭があんな目に遭はされて居るのを見ますと、其の感を深くするのでありまして、木材とは縁の遠いやうな問題でありますが、又關聯性を持ちますので、此の日本通運と云ふものを解體して、地方人がもつと「サービス」の好い地方の運送店を經營すると云ふことにならないものかと云ふことを御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=99
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100・滿尾君亮
○滿尾政府委員 日本通運の問題に付きましては、終戰後に於きまして、日本の實情に即してどう考へるかと云ふことを研究致しました、そして今年の三月に方針をもう一遍再檢討致しまして、運輸省としての省議を決め、日本通運に必要なる指示事項を出しまして、其の時竝に現在の考へでございますが、運送店の免許制度は是非之を堅持して行く、それから又日本通運の全國的體制に付きましては、是は中々利害得失が錯綜して居りまして、其の爲に非常な研究をして見たのでありますが、結論と致しましては、此の全國的體制を崩さぬことにする、併しながらな大男總身に智慧が廻り兼ねた缺陷が徐々に出て居りますから、是の改正に付きましては十分命令を出す、斯う云ふことに致しまして、人事等も社長副社長以下全部刷新致しまして、すつかり入れ替へた譯です、さうして其の實績を今日まで見て居る譯でありますが、尚ほ獨占と申しましても、免許業者と云ふものが全國に七百五十人位居る、其の中には特定の會社に附屬して特定の貨物だけを扱ふ限定免許と云ふ人も居りますが、一般の免許を持つて居る人がまだ三百人以上居る、ですから全國の驛にして見れば大部分が日通になりましたけれども、まださうでない業者も相當居る、殊に關東地方あたりは殆ど日通の統合は伸びて居ない、さう云ふ實情にございます、是には色々の議論があります、併し結局日通獨占である爲に「サービス」が惡いではないか、此の點は十分反省しなければならぬことでありまして、此の點に付ては重々氣を付けさせて居ります、尚ほ木炭の取扱等に關しましては、實は日通だけのせいでない場合もあります、日通の至らぬ點もございます、又鐵道側に於て必要な施設を怠つて居る、驛の方の施設が至らぬと云ふやうなことも加はつて居ります、又場合に依りますと、私が地方の局長をして居りました時なんかの經驗に依りますと、驛まで持つて來た後の木炭の出荷の指示が一向來ない、何時までも命令が來ない爲に置いておかれると云ふやうな場合もなきにしもあらず、斯う云ふやうなことでございますが、御指示の點に付きましては、今後とも十分氣を付けさせることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=100
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101・綿貫佐民
○綿貫委員 最後に、賠償物資として全國的な機械類が取上げられて居るやうであります、所が此の荷造を致します材料としての木材、是は大變なものらしいですが、是はどれ位要る御見込であるか、と云ふことを運輸當局に承ると云ふことは、聞く所に依ると、此の機械類の取外しから、是の梱包、船積に至るまで、日本通運の社長が新しい會社の社長となつて、其の賠償物資荷造會社と云ひますか、其處の社長を兼ねて、一本でやる、其の木材の見積價格は何ぼであるか知りませぬけれども、常識的に考へた材料の三倍位の見積を出して居ると云ふ風評が飛んで居りますので、所謂暗い影が差したやうなことが世間で流布されて居ります、此の意味に於て、木材をどれ立御使ひになる見當であるか、荷造材料としては一石どれ位の御見込であるかと云ふことが御分りでしたら、此の際承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=101
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102・滿尾君亮
○滿尾政府委員 賠償物資のさう云ふ荷造其の他に付きまして、日通も參加致しまして一つの組合を作つて當らうと云ふことは聞いて居りますが、併し日通の社長が社長を兼ねるとか何とか云ふことは私はまだ存じて居りませぬ、それから木材の荷造價格等のことも恐らくはまだそこまで決まつて居らぬのではないか、二三日前やつと工場の大體確定的なものが御發表になりました程度で、恐らくさう云ふ數量の計算等のことも是から手を着けるのではないか、恐らくは道途の浮説であらうと私は存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=102
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103・綿貫佐民
○綿貫委員 運輸關係の方は是で了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=103
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104・氏原一郎
○氏原委員長代理 他の委員諸君に運輸關係の御質問があれば――ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=104
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105・綿貫佐民
○綿貫委員 農林當局に伺ひます、保安林の問題でありますが、是は隨分古い昔に決定したらしいのですが、今日も其の儘で放置されて居ります、此の整備に關しては如何なる御方針であるかを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=105
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106・中尾勇
○中尾政府委員 保安林は戰時中に於ても相當伐採もされ、又今の食糧増産等に因んで、部分的ではありますが幾分開墾されたやうな所もありますし、更に又保安的に餘り重要でないやうな部分もあり、或は更に進んで、保安林でない所でない所で非常に重要性を増して來た所もある實情に鑑みまして、只今保安林の實態に付て調査を致して居ります、是は整備を致す考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=106
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107・綿貫佐民
○綿貫委員 先程一寸途中になつたのですが、御答辯なかつたやうですが、本年の木炭、是は此の法案とは直接關係ないかも知れませぬが、私共は當然此の法案に入つて來るべきものだと考へて居りますし、又國民生活上缺くべからざるものである關係上伺ふのですが、木炭の需給關係の見透しはどうなつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=107
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108・中尾勇
○中尾政府委員 木炭の需給關係は、只今御承知の通り非常に逼迫の状況にあるのでありまして、本年度の需要量は、軍需又は軍需工業用が相當量、消滅致しました爲に、相當減少を見たのでありますが、反面に於きまして、又復員者、或は引揚同胞援護用として相當量の増加を見ました爲に、需要量は前年度に比べまして相當増加を見て居るやうな状態にあるのであります、木炭に於きまして約一一%程度の増加を見、又薪に於きまして六%程度の増加を致して居るやうな状況にあるのであります、一方供給部面、即ち生産關係はどうであるかと申しますと、前年度は非常に成績が面白くありませぬで、木炭に於きまして、生産計畫に比べまして債かに五〇%の實績を示して居るに過ぎないのであります、即ち二百三十一萬「トン」の豫定に對しまして、實績は百十五萬「トン」に過ぎなかつたのであります、又薪に於きましても五五%の實績であります、數字的に申上げますと、七千三百萬總積石に對しまして、生産の實績が四千萬總積石と云ふやうな極めて惡い實績を示して居るのであります、本年度になりましてからの成績はどうかと申しますと、第一回半期の實績でありますが、是は本年の四月から實施致しました食糧の實績主義に依る特配、又金融措置、是は薪炭は全部新圓で貰へると云ふやうなことに相成りました爲に、四月から幾分生産の状況は好轉して參つて居るのであります、好轉致しましたと申しましても、さう特に良くなつたと云ふのではなく、一月、二月、三月に比べまして幾分上向になつて來て居るのであります、其の實績は、四月に於きましては大體豫定量の五〇%でありすが、五月が六四%、六月が九七%と云ふやうに、大體豫定に對比致しまして成績が上昇して參つて居るのでありますけれども、最近七月に入りましてから、やはり食糧の關係で幾分又下向につなてるのであります、實は本年度の冬の需給のことを思ひ合はせますと、憂慮に堪へない情勢にあるのであります、之に對しまして政府と致しましては、七月一日から夏山の増産増送運動を展開致しまして、極力増産に努めますと共に、生産致しましたものの増送を圖つて居るやうな次第であります、尚ほ一面に於きまして、此の冬の需要に合はせます爲に生産期に於きまして、此の夏山増産増送運動期間中に約十萬「トン」の備蓄をするやうな方法も講じて居るのであります、極力生産増強に努めて居るのでありまするが、先刻申上げましたやうな情勢にありまするので、實は色々と心配を致して居るやうな次第であります、併し此の薪炭、木炭、薪材の生産増強に付きましては、此の上とも努力致す積りであります、大體情勢は以上の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=108
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109・綿貫佐民
○綿貫委員 大體分りましたが、昨年までは軍需會社がありまして、實際の話が所謂自家用と稱しまして、山を買つた如く見せて、自分で自らが燒いて居ると云ふやうな脱法的の形式を履みまして、實際は生産、價格と言ひますか、公定價格の三倍、五倍で以て買入れて居る、さうすると府縣は其の生産高の半分を公定價格で取上げる、それで以て成績が上つた、斯う言つて居つた、殆ど其の軍需會社の分以外には生産と云ふものはありませぬ、少くとも富山縣の如きはない、全部軍需會社の分を半分取上げて居る、それで以て生産して居つた、今年は是がない、さうすると公定價格なんかでは到底木炭が一俵も入手出來ない、今でも生産が或る程度出來て居りますが、實際の受渡になると、如何に切符を貰ひましても、農村は昨年度同樣空切符ばかりである、さうすると農村は之に對して米を運ばなければならぬ、米と交換です、大體木炭二十俵、三十俵乃至四十俵程度と米一俵です、表は配給切符、正式の「ルート」の形式は執りますけれども、實質の現物の受渡はそれだけでは手に入らない、それが出來る所の者は宜いけれども、出來ない所の者はどうなるか、今年は渇水がひどいでせう、今日は辛うじて東京あたりでは電熱器でやつて居る、各季は電熱に依る燃料は勿論のこと、煖房の電熱は至難ではないたと私は思ふ、斯く考へます時に、木炭の實際の入手と云ふことの見透しが付かぬと、國民不安はそこに恐るべき何物かを示唆することになりはしないかと思ふ、と云ふことで唯單に官廳の机上の「プラン」だけでは甚だ憂慮に堪へない、故に折角此の上とも御努力あらんことを私は念の爲に附加へて、此の點は是れ以上追究するのではありませぬ
次に御料林、國有林に對しまする所の國家の需要と云ふ觀點から如何なる措置を御執りになるか、何か特別の御用意があるか如何を御伺ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=109
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110・中尾勇
○中尾政府委員 我が國の國有林野の總面積、北海道を除きました内地の面積は約四百二十九萬町歩を占める廣大なるものであるのでありまするが、此の廣大なる面積を所有する國有林の管理經營策如何が地方の産業、經濟、又は地元の山村民の生活安定に重大なる影響を與へますばかりでなく、全國民經濟にも密接な關係を有するものでありまするので、農林省と致しましては、國有林の經營に付きましては常に國家需要に最大に寄與すると思はれるやうな方法に依りまして、管理經營を行ふことと致して居るのであります、將來も此の方針に依りまして、益益効率的且つ合理的に運營を致して行きたいと考へて居る次第でございます、現在の國有林に對しまする緊急の國家需要は申すまでもなく戰災復興用材、其の他民生安定上必要な用材、或は國民生活上不可缺な薪炭と云ふやうなものの供給力の増強、それから森林資源の維持培養と云ふことであると思ふのであります、特に用材、薪炭等の厖大なる需要見込に對應致しましては、立木の賣拂乃至は伐採を積極的に行ふ外ないと考へる次第であります是が爲には、國有林に於きましては、本年の二月の臨時措置と致しまして、營林局長に通牒を致しまして、國有林の立木に付きましては、治水上、又國土保安上重大な支障のない限り、一應何れの林分も伐採の對象林分と考へるやうに明示を致したのであります、尚又それに引續きまして、本年の四月一日省令を以ちまして、國有林の賣拂の方法の特例の指示を致したのでありますが、是は賣拂手續の簡素化を圖りますと共に、適正なる價格に依つて拂下を致しまして、用材、薪炭材の製造を業とする者に對しまして隨意、契約に依つて賣拂が出來るやうな措置を致したのであります、以上申上げましたやうに、色々の方法を講じまして、今年度拂下分量の増加を圖りましたばかりでなく、尚ほ本年度から奧地林道の施設の擴充を致すことに致しまして、斫伐事業の増加も積極的に致すやうに取計らひを致して居るのであります、尚ほ其の外開拓關係でありますが、是も國有林に於きましても、此の開拓事業の達成に付きまして、積極的に協力致すことに致しまして、大體國有林全體の中約九萬町歩の豫定地を開放致すことに致して計畫を致して、もう一部既に實行中であります、尚ほ此の外從來から地元施設と致しまして、地元民の民生安定と、それから地方産業の經濟復興の見地から致しまして、國有林の約六十八「パーセント」に當る面積を委託林、或は又簡易委託林、或は部分林、或は放牧採草地と云ふやうなものに指定致しまして、共用を致して參つて來て居るのであります、此の地元施設の方に付きましては、今後も尚ほ内容を檢討致しまして、將來更に充實して國有林經營と地方經濟との調和に付きまして、一層研究を進めて行きたいと考へて居ります、又御料林に付きましては、是が國有林に移管されました曉には、只今申上げましたやうな國有林と同樣な方針で管理經營致して行きたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=110
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111・綿貫佐民
○綿貫委員 國有林の立木は立木として拂下げるのが原則であるか、或は用材又は製品化し、或は木炭を造るとか云ふやうな所まで行くのが建前であるか、其の點を伺ふと共に、製品竝に立木の賣渡制度に付ては、特賣制が原則か、公賣制が原則か、此の二點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=111
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112・中尾勇
○中尾政府委員 國有林の今の立木の拂下方法でありますが、現在國有林に於て官行斫伐事業を行ひまして、丸太にして拂下げて居ります所は、大體跡地更新の際に相當技術を要するやうな箇所、詰り立木の儘拂下げるのが不適當であるやうな林分に付てでありますが、さう云ふやうな箇所と、それから搬出其の他の施設で相當大規模な、而も綜合した計畫が必要であり、多額の經費を要する箇所で、民營として適當でないと云ふやうな箇所を、主として奧地林分でありますが、それ等の爲に開發する所の林分に付きましては、從來官行斫伐に依つて實行して居るのであります、其の他の所は出來るだけ立木の儘拂下げる方法を執つて居るのであります
それから第二番目の御尋ねの特賣と公賣の問題でありますが、從來公定價格制がありませぬ場合、戰前までは是は公賣制度に依つて居つたのであります、特に必要なものに付きましては、一部特賣を實施して參つたのでありますが、大部分は公賣を實施して居るのであります、只今公定價格制下に於きましては、特賣に依る外はないかと考へるのであります、又特賣致します場合も、先達ても説明致しましたが、兎に角從來やり來つた特定の人だけに特賣すると云ふのでなくて、實際實力があり、設備もあり、信用もあり、而も現在の復興用材等の緊急需要に役立たせることが出來るやうな實際の實力のある人に拂下げて行きたい、其の方針で只今やつて居ります、其の他薪炭材は地元關係がありまして、從來から其の地元に慣行特賣をやつて居りますけれども、用材に付ては只今申上げたやうな方法に依つてやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=112
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113・綿貫佐民
○綿貫委員 お百姓が木炭燒までやることはどうかと思ひますので、其の點は我々實際に見ましても、餘り感心したことでないのでありますから、地元民にさう云ふ慣行に依つてやらすと云ふことが最も好ましいことであると云ふことを一言して置きます
次に北海道材の内地移入に關しましては、從來は日本木材が擔當して居つたやに聞くのでありますが、木統法を撤廢せられました上に於ては、如何なる機關に依つて之を移入されるか、而もそれまでの過渡期間は如何なる方法に依つて取扱ふかと云ふことを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=113
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114・中尾勇
○中尾政府委員 木統法の撤廢されるまでは所謂交流材でありますので、日本社が取扱ふことに相成るのであります、其の後の取扱の方法に付きましては、實は只今北海道廳からも來て戴きまして、今日明日に亙つて色々と打合せ研究もし、決定致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=114
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115・綿貫佐民
○綿貫委員 我が國の木材の現在及び將來に對する所の國内需給の見透し竝に外材輸入に付ての期待と云ふ點に付きまして御伺ひ致しますと共に、將來貿易の上に於て木工品を製品として輸出すると云ふことになりますと、之に對する原材料はどう云ふ風になさる御考へでありますか、或は是は商工省關係かとも思ひますが、若しあなた方の御所管でございましたら、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=115
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116・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、先づ將來の此の木材の需給状況を御話し致します前に、最近に於きます状況に付きまして極く簡單に御説明を致します、二十年度に於きまする木材の需給關係に付きましては、既にもう御承知のことと思ひますが、二十年度の生産状況は計畫量が一億三百石であつたのでありまするが、之に對しまして生産の實績は、昨年の終戰前は戰爭も苛烈になつて參りました、色々と生産上の條件が惡化致しました爲に、戰前に於ける前年度の同期の實績の約七割乃至八割程度の成績であつたのであります、所が終戰と同時に社會的經濟的の混亂、又戰時中に於ける統制經濟に對する反動氣分等も手傳ひまして、段々と生産状況は甚だしく惡くなつて參つたのであります、實は政府に於きましても憂慮致しまして、入山増産運動其の他色々と對策を講じたのでありますが、つい前年度の、終戰後に於きましては、大體前年同期の實績の半分程度と云ふやうな停頓状態を示しまして、三月末で一億三百萬石に對しまして、約六千五百萬石程度の實績を示すに過ぎなかつたのであります、更に本年度の第一四半期の實績でありますが、第一四半期の實績も大體前年度に引續きまして低調でありまして、第一四半期で約一億四千萬石程度の實績を擧げたに過ぎないのであります、是は前年度の同期の實績に比較致しますと、七二%程度に相成るのでありますが、更に前々年度に比べますと、其の半分と云ふやうな數字に相成つて居るのであります、さう云ふ状況でありまして、本年度の目標であります七千五百萬石の確保は、只今の所中々困難な情勢になつて居るのであります、併し政府と致しましては、本法案の實施に依りまして相當量の増額を期待致して居りますし、更に又凡ゆる對策を講じまして、目標量だけの生産に努力致す覺悟であります、本年度の生産状況は以上の通りでありますが、今後此の需給の状況はどうなるかと申しますと、今年度の供給の豫定は七千二百萬石と云ふことに相成つて居るのでありますが、只今まで供給致しましたものは、大體各用途別のものを計算致しまして、第一四半期の豫定量の五二%程度に相成つて居るのであります、此の中一般用材の建築材だけに付て申しますと、七二%程度の實績を收めて居るのであります、さう云ふ情勢にあるのでありまして、木材の方の需給の状況は中々今後尚ほ一層の努力を要する状態であるのであります、此の生産状況其の他から推察致しまして、内地だけの生産を以て致しましては、此の需給の「バランス」を取つて行くことは中々困難のやうな實情にもなつて居ると考へるのであります、
〔氏原委員長代理退席、委員長着席〕
先刻も申しました通りに、政府に於きましても、出來るだけの努力は致す積りでありますけれども、若し事情が許すやうに相成りまするならば、外材の輸入に付きましても、懇請を致したいと考へて居るのであります、其の方の計畫も只今立てて居るのであります、其の點は色々見返り物資の關係とか或は輸送の關係等でまだ正式の交渉までは至つて居ない實情にあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=116
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117・綿貫佐民
○綿貫委員 私の質問は大藏、商工、厚生の三省を留保致しまして、之を以て打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=117
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118・森幸太郎
○森委員長 太田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=118
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119・太田秋之助
○太田(秋)委員 農林大臣は御目えになりませうか
〔「休息したら宜いでせう」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=119
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120・森幸太郎
○森委員長 それでは二十分程休憩致します
午後二時五十分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=120
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121・会議録情報3
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午後三時二十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=121
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122・森幸太郎
○森委員長 是より開會致します――太田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=122
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123・太田秋之助
○太田(秋)委員 私の御伺ひすることも或は同僚議員各位の質問と重複する點があるかも知れませぬが、私は原木の問題に付て政府の施策に對し要望する點を伺つて見たいのであります、農林大臣が御見えになりませぬから局長さんに御伺ひする點を申上げたいと存じます、第一點は造林、官有林の緑化促進、官行斫伐事業の整理改廢の要求でありまして、我が國土の六割以上を占める所の森林經營が、新しい日本建設の基本的國策に即應することは勿論であります、國土保安、治山治水は勿論國家百年の將來に備ふる重大な問題でございます、然るに我が國の森林は國有林、公有林、民有林共に多年に亙りまして斫伐又は過伐の一途を辿つて今日に至つたのであります、殊に戰時中の非常伐採と云ふものがありまして、其の跡地も加はりまして、是等が今日裸山と化して居るのでありまして、荒廢の儘に放任されて居るのであります、尤も是は戰時中長期に亙つて軍需資材竝に食糧増産等の爲め、農山村の勞務も拂底して已むを得なかつたこととは存じますが、終戰後の今日に於きましては、我が國土が縮小され、其の狹隘なる國土に八千萬同胞が永住の基礎を置くのには、森林の經營はどうしても困却出來ない問題と思ふのであります、そこで一年でも早く植培、緑化をすれば、それだけの效果は現はれて來るのでありまして、此のことたるや洵に契緊の問題であると思ひます、然るに此の林野の管理經營は營林局が獨立して擔任されて居りますが、近年は官行斫伐官行製炭、是等のみに重點を置きまして、植培計畫は明治の末期、或は大正年間に比して漸次改惡されて參つて居るのであります、今日人工植林に適する土地があるにも拘らず、是等も自然林と稱して放任されて居るやうなことを見受けるのでありますが、是等の森林の復活は遲々として未だに進んで居りませぬ、自然林であるからとして其の儘に放任して置きますれば、林相を成すには相當の年限を要します、又營林局は御承知の通り各河流の流域に軌道を敷設して居ります、是は勿論未だ曾て林道其の他のない流域に軋道を敷設して、奧地の開發又は未利用木等捨てて居つたものを山から出して活用すると云ふことは、國家の經濟上から見て最も宜しいことでありますが、併し是等の水源地も先には間伐をして居りましたが、段々木材の需要が迫つて來るに伴れまして、保安林と雖も皆伐をして來ると云ふ結果になつて來た爲に、水源が涸渇して參つたのであります、其の一例を申しますと、福島縣の阿武隈山脈は常磐線に添うて居りますから、非常に輸送上に便宜であり、又國有林野に行くまでは三、四里或は五、六里あるのでありまして、各河川の流域には何れも軋道を敷設して居ります、就中飯田川は元二百石の水量があつた川でありますが、段々森林濫伐の結果是が百石に下り、或は渇水期に於ては四十石内外に激減して居ると云ふ次第でありまして、其の灌漑面積千二百町歩が年々旱魃に依つて被害があります、旱害を年々繰返して居る原因は營林局が水源林其他を伐採したことに基因するのでありますが、是等農地に被害を及ぼすことは非常に大なるものがあるのであります、私の當局に要求する點は各河川に軌道を敷設して運搬に便利であるから、又驛に近いから、或は東京方面の消費地にも近いからさう云ふ方面は手取早く物を出るし、便利でありませうが、一面に於ては農地を荒廢にするやうな極端な官行斫伐は良くない、斯う云ふ點に付て私は官行斫伐を以て又今まで千古不伐の奧地に入ると云ふことは、此の場合我が國の現状に鑑みてやることは當然であります、併し一通り伐り盡して其の殘餘のものを飽くまでも伐採すると云ふことは見合せて貰ひたいと云ふことを、私は特に要望して已まないのであります、而して此の伐り跡に對しましては、自然林を以て適する所は自然林として之を植培し、又人工林として植培するものは速かに之を植付けて水源涵養林を速かに復舊して貰ひたい、茲に於て私は水源涵養林を先決問題として取上げて、此の植培を進めて貰ふと同時に、又私の聞く所に依れば官行事業は、餘りにも奧地の開發には、國の力を以てやらなければならぬことは當然であるけれども、一旦設備した跡を、機械力を集めて伐ると云ふことは、人件費ばかり掛つて或は事業費ばかり要して、國家の收入から言つても餘り利益ではない、寧ろ不經濟であると云ふことも聞いて居るのでありますが、寧ろ國家の收益がなかつたならば、伐つても差支へないやうな所があつたら、是は其の地方々々の林産組合などに拂下げた方が收益になると考へます、私の縣に於ても、尚ほ奧地の開發には進んで他の力を以てやつて貰はなければならぬことは會津方面に多々ありますが、常磐線方面は殆ど伐り盡して居ります、木炭だけ出すに付ても、木炭だけと云ふことは今需要の迫つて居る時でありますから、伐るなとは申しませぬが、殘された水源林を伐ることは絶對止めて貰ひたい、さもなければ農業に及ぼす影響は甚大であると云ふことを能く認識して戴きたい、又官行斫伐に付ては或る程度まで現地に應じて整理改廢して戴きたいと云ふことを要望致します、是等の點に付て當局の御意見を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=123
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124・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、國有林の濫伐の結果、水源の涸渇を來し流域の耕地に相當影響を與へて居ると云ふ御話を承りましたが、此の點洵に遺憾に存ずる次第であります、國有林に於ても戰爭中以來木材或は薪炭の厖大な需要に即應致す爲に、相當濫伐致しましたのは事實でありまして、大體十九年度に於きます伐採の状況を見ましても、年平均伐採量に比較して一四三%程度の伐採を致して居りますし、戰前に比べますと、約三倍近くの伐採になつて居る状況でありまして、其の結果御説のやうなことに相成つて居る次第は洵に遺憾であります、唯只今までは戰爭遂行上必要な木材或は薪炭の供出と云ふことで強く指導して參りました爲に、さう云ふ結果になり、其の點甚だ遺憾に存じます、唯從來とも過伐は致して居りますが、保安的に重要な森林に付ては、水源涵養林だけでなく、其の他の保安林に付ても、伐採に付ては十分注意致しまして、伐採率其の他で加減するやうに指導致して居りますが、御説のやうな結果になつた所があると承りまして、甚だ遺憾に存ずるのであります、今後は御説の通り一回伐つた所を又伐る、坊主山にすると云ふやうな箇所に對しては、十分の注意を拂はせるやうに致したいと考へる次第であります、特に水源涵養上必要な林分に付ては、今後は伐採率其の他に付て相當注意を拂ふやうに指導して行きたいと存じます、尚ほ官行斫伐箇所の整理の御話もありましたが、官行斫伐を致して居りますのは、先刻も他の御質問に御答へ致したのでありますが、兎に角奧山の林分で更新が非常にむづかしい、技術的に跡地の更新が技術を要すると云ふやうな林分或は又奧山で綜合的な搬出施設を要し、多額の經費を要するやうな箇所を原則としてやつて居るのでありまして、其の他の官斫は戰爭中特殊材の緊急供出を命ぜられまして、其の特殊材の緊急供出の確保の爲に、比較的近い山の一部分も斫材に依つた例があるのであります、それ等の所で立木處分に適して居ります所は出來るだけ今後も立木處分に直したいと云ふ風に考へて居る次第でありますし、又さう云ふ風に指導も致して行きたいと考へて居るのであります、それから營林局署の方は今の斫伐事業に沒頭して、跡地の造林事業を閑却して居ると云ふ御話でありますが、御説の通り戰爭中に於きましては、兎に角厖大なる軍需其の他の重要な資材の需要を充足致します爲に斫伐事業に沒頭致しまして、造林事業は殆ど勞務の關係もありましたが、實行出來なかつたのであります、併し戰後に於きまして造林事業が重要なことは此の議會、委員會始まつてから屡屡申された通りであります、政府に於きましても造林の重要性は十分認識致して居りまするし、又熱意を以て造林をやつて行かなければならないと云ふ風に考へて居る次第であります、更に又營林局署に於ても終戰後に於きますす造材事業は早急にやらなければならぬと云ふことを十分認識しまして、本年度から造林事業の根柢となる所の初苗の事業、尚又種子の採取等に付きましては、格段の努力を致させることに致して居りますし、又營林局自身も其の積りで實行して居りますから、戰時中或は戰時に引續きまして、公用材等の厖大なる需要を充す爲に濫伐致しました跡地の造林に付きましては、特に早急に造材を完了致しまするやうに指令を致して行きたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=124
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125・太田秋之助
○太田(秋)委員 今御説明を承つて私共其のことも了承して居るのであります、一例を擧げました原町營林署管内に於ては、殘されて居た材は欅材が多かつたのであります、私共地元の者とし、立會へと云ふやうな話もあつたので、立會つたのでありますが、其の山を伐られることは全く水源の關係もあるけれども、あの頃は戰時中ですから已むに已まれず伐つたのであります、それが當時は道路關係もあり、いけなかつたのでありますが、今後は此の方面に一段と御考慮を願ひたく、當局の善處を要望するのであります
第二の質問は民有林の造林意欲の昂揚と云ふ問題、是も種々關聯がございます、此の植林意欲の減退には種々なる原因があります、其の一つは立木の價格が從來の公定價格より諸經費を逆算式に依つて控除して、其の殘高が立本の代金と評價されたのであります、此の關係にありますので、搬出に全く不便なる民有林は、運搬費に多額の經費を要しまして、全く立木代は著しく低減されて來たのであります、斯るが故に植林は生産的に考へると全く不經濟的であり、又之を不採算林とも稱して居るのであります、植林をしても引合はないと云ふことになるのであります、茲に於て私共の要望する問題は、例へば搬出の困難である奧地の民有林と雖も、非常に植林に適した土地も多々あるのであります、斯う云ふ奧地の山林に植林をさせなければならないのでありますが、其の生産意欲が非常に減退して居る原因は、今申した理由に依つたのであります、私は立木の代金は植培の生産費の原價計算を基準とすると云ふことは、合法的であると考へますけれども、併し一々原價計算をすることは木材の一率の公定價格を以て算出することは容易でないと考へて居るのであります、之を又一定價格の範圍内で行ふことはどうしても出來得ない結果になるので、此の不均衡を如何にして均衡を取るかと云ふことになりますと、私共は政府が戰時中實施された所の民斫事業を繼續強化して戴きたいことを希望するのであります、此のことは非常に合理的であつて、洵に當を得た政府の施策であると考へて居るのであります、不採算林と認められる全く搬出困難な山林は、原則として全部是は買上げて貰はなければ甚だ弊害を及ぼす所が多いのであります、戰時中各營林署は、自己の割當を受けただけの民斫の石數を出せば事足れりとしてぼつぼつ買つたのであります、それは固より政府の補給裏付のある買ひ方でありますから、此の方は業者も喜んで應じます、又政府買上ですから安心して之に應ずるのであります、併し買上に殘された森林を誰が買ふかと言へば、地方木材或は木材業者が之を買取ることになる、さうすると政府の買上げた價格と木材會社或は業者の買ふ價格との間に、實際に於ては差額が生ずるのであります、そこで政府が全面的にやるならば全部買つて貰ひたいと云ふことを希望するのであります、是等の財源に付ては後で申上げたいと存じますけれども、之を一應政府が全部買上げて、さうして是等のものを地區生産組合なり、或は私の理想としては、町村單位森林組合に伐出を代行させることになれば、非常に圓滿に行くのではないかと考へて居る次第であります、其のことは非常に單位森林組合を育成強化する上に於ても便利である、又今度の改正法案に依つて林業會法が出來、林産組合も單位組合も之に加入してやることになりますれば、是等の緊密なる連絡は之に依つて圖られると存ぜられますので、此の點も非常に私は今後木材の供出をする上に付て效果的に行ふのではないかと考へるのであります、若し今申上げたやうに之を全面的に政府が買上げて補給金を出さないことになると、殘されたものはどうしても賣りませぬから、之を買取るにはやはり政府が買取つた値段位まで其の原木を評價して買取らなければならないのであります、さうした結果が何處へ行くかと云ふと、其の結果は之を逆算で、從來と違つて相當の運賃の増し金を包含して居る値段であるから、公定價格で納めては引合はないと云ふ結果に業者はなるのであります、是が自然闇相場に流れる一つの原因を成すのであります、でありますから、原木は山で何萬石買つても實際政府の所期するまでの石數には行かぬのは、此の點から出て來たものでありますから、其の點特に御考慮を願ひたいと思ひます、それから申すまでもなく民有林と云ふものは、戰時中に於ては勞務、運搬其の他が行詰つて居りましたから、是等は全部成べく運賃の掛らない――戰時中或は國家の法律等に依つて所有者の理解を受けて伐つたので、大體に於て私の縣などは縣道の便利の宜いやうな所は殆ど伐り盡して居ります、今後はどうしても奧地に入るよりしかないのでありますから、此の奧地から出す時には、第一林道も作らなければならない、或は今申上げたやうに林道を作るとしても、搬出費が非常に掛る、斯う云ふやうな結果になるのであります、私の深く要望する點は、是等の權衡を圖るに付て、民斫政策を繼續して戴きたいのであります、是は政府の先程の御説明を伺ひますと、相當量の木材を今年度に於ても供出しなければならぬと云ふ御計畫のやうでありますが、戰災復興計畫の用送の木材は中々容易に集まらぬと考へて居ります、只今進駐軍の用材として出して居る木は、あれは勿論何れも地木社が買付けた木材を政府の指示に依つて戰時中國家總動員法に依つて無理にも買つたのであるから、一應山主に戻すべしと云ふやうな御指示があつた、是は私共當然さうあるべきものと思ひましたが、併し其の次に戰災復興材の割當は立木を一旦所有者に戻した限りは、後で其の割當の責任を果すことが出來ない原木を持たないで戻すことは出來ない、一應買取つたものであるから、一たび政府の指示した點は新聞紙上で山主が見たら、今度は戻して呉れるだらうと云ふことは期待して居つた者もある、そこで私共は更に山主の所有者に諒解を受けて木材も値上りになつた、此の値上りのものを之を還元する、併し立木だけは伐らして呉れと云ふことで、そこで私の縣などでは、殆ど山主に元の買値段よりも増す位の金で以て山主は全部諒解した、福島縣などは六十何萬石持つて居りましたから、進駐軍の割當も非常に成績良く納まつて居るのであります、立木を使つてしまつた後は新規に買付けなければならぬ、それが容易ではない、現在に於きましては、其の買付が速かに運んだと云ふことを聞いて居らぬが、森林所有者と致しましても物はないのです、例へば農作物なら今年は作が惡いと云へば作の良い年に何とかして置くと云ふことも出來るが、四十年、五十年經つた木材と云ふものは、中々一年、二年では出來ない、持つて居れば後程値上りになると云ふやうな思惑もありませうし、それから又やはり森林と云ふものに執着を持つて居りまして、さうして今まで本當に辛苦して育てた木であります、一方の山は戰時中買上になつて伐つたので、是だけは殘して置きたいと云ふやうな觀念を持つて居る者がある、さう云ふやうな觀點から、伐期の來た木材でも賣木が乏しいのであります、之を如何にしてやるかと云ふことが私共今復興を前にして考へられる一つの問題であります、そこで先程申したやうな方法を今一段と御進め下さつたら如何かと考へるのでありますそれから木材の價格でございますが、木材業者は協定價格を要望されて居るやうでございます、併し此の協定價格と云ふものも、先程から申した通り中々容易な問題ではない、所謂乙地區と稱する所の運搬不便な所に山林の立木があり、斯樣な異なる箇々の山林に付て協定價格は迚も一致しない、此の山は非常に運賃が掛る、是は乙地區であつてもそれ程掛らぬと云ふやうな所もあつて、一定の協定價格は出來ないことは申すまでもないのであります、協定價格と申しましても、やはり甲地區の運搬の便利な所、乙地區の運搬の便利の惡い所、是等を平均して諸經費を算出して最寄りの驛渡しの價格を決める、之には都道府縣別にするか、或は地方「ブロック」別にするか、是は又別に考へなければなりませぬが、斯う云ふ甲乙を平均した所の價格を設定なされてはどうかと思ふのであります、要は所謂奧地の搬出困難な運搬費の嵩む所と、さうでない所と、そこを均衡を圖るのが先決問題であります、又奧地に入るには、林業勞務者の食糧、勞銀、小運搬、是等も相當掛りますので、費用も相當多いのであります、でありますから、現在の進駐軍に賣る八割五分増しの價格は、是はどうやら出來るやうでありますけれど、一般の公定價格にては非常に木材が出澁つて居る、斯う云ふ價格の面に於きましても、戰時中に於て一方的に政府が決めて、さうして之に依つて出せと云ふやうなことでは今後は出て來ない、私も地木社に居て體驗を有する者でございますが、戰時中は一方的な價格であたつけれども、是はどうしても出ない、それではもう直營生産するしかない、先きには委託代行と云ふことで總て代行的にして利害を任せてやつて居りましたけれども、それでは誰も委託代行をやる人がなくなつた、そこで今度は地木社が直轄にやつた、さうすると公定價格の約二倍位掛る、さうすると其の損失を誰が補填するかと言ふと、其の損失補填の途がない、併し戰爭中であるから、そんなに算盤を採つて居る譯にも行かないと云ふので、先づ資本金を食つても、或は損失を出しても、是はやらざるを得ないのだと云ふことで、私は斷然之をやらせたのであります、それが爲に私の縣では相當「パーセンテージ」まで陸海軍の材料も出て居るのであります又あの、戰爭中常磐炭田に於て年に六十萬石使ふ所の坑木を全部差支へないだけ出したのであります、それ等は皆赤字であります、其の赤字をどうして補填するかと云ふ時に於きまして、私共は其の後手持材の値段が段々上つたから、此の手持材を以て赤字の補填をしたいと思つて居つた矢先、是は全部日木社の値段は上らない、十一月二十六日現在の改訂値段の前のもので、日本に引渡せと云ふやなう通知を受けて、私は唖然とした、斯樣なことは如何なる政府の御考へを以て指示するのか分らないけれども、私共は斯くまでに資本を使つても戰時中の御奉公をやつたのだ、如何にして株主や何かに其の赤字を出したことを償ふかと云ふ矢先に、多少の利潤のある手持材の幅を日木に引渡すと云ふやうなことは、私は其の當を得たものでないと云ふ考へを、私の地方の赤字から考へ、又戰時中の自分の責任の果しやうからさう考へざるを得ないのであります、併し是も御命令でありますから已むを得ませぬ、其の時の話には若し地木社に赤字があれば其の赤字補填は「プール」計算で日木社から支拂はせるのだと云ふやうな御話がございましたが、是等に付きましても今尚ほさう云ふことに相成つて居るかどうか、此の點も併せて御伺ひして置きたい思ふのであります、斯樣な關係から致しまして、私は木材の値段と云ふものは、今後は一方的でなく、此の話は他の議員諸君からも議論があつたやうでありますけれども、やはり森林組合の代表者も或は林産組合も、或は當業者も之に加へて、適正なる公定價格を決めてやることが、今後此の木材の供出を促進する上に效果的でないか、斯う云ふことに付て當局が如何なる御方針を以て臨んで居られるか、此の點を御伺ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=125
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126・中尾勇
○中尾政府委員 色々と御話を承つたのでありますが、御意見洵に御尤もと存ずるのであります、此の民有林官の行斫伐事業の強化の問題でありますが、本年度實行致して居ります民斫事業は、咋年まで民斫事業と致して實行致しましたのと少し性質が違つて居るのであります、昨年までは色々御話がありました通りに、乙地區の方の立木の公定價格と、それから逆算致しました價格との開きに補給金制度の民斫事業を實行致して居つたのでありますが、御承知の通り補給金制度がなくなりました爲に、本年度實行致して居ります民斫事業は、普通の補給金制度でなく、當り前の斫伐事業を實行致すことになつて居るのであります、併し民有林を買入れます場合には、其の買入價格はやはり適正な逆算方式を執ることは勿論でありますが、それに依るばかりでなく、適正な價格で購入することに努めて居るのであります、本年實行して居りますのは、結局今の補助制度がなくなつた爲に、今の乙地區、甲地區と云ふやうなものの制度もなくなつたのでありますが、民間に於きまして伐採事業を餘りやることを希望しないやうな、兎に角出しの惡いやうな所の山を國の方で買上げまして、此の民斫事業を實行する方針でやつて居るのであります、買入れました立木の伐採の關係は御話のありました通りに、森林組合の方に事業の請負をさせるか或は林産組合方面に對して事業の請負をさせるか兎に角實行力のある人にやつて貰ふことに致しまして、只今事業を繼續致して居る次第であります、此の事業を更に來年度再來年度引續いてやるかどうかと云ふことに付きましては、私の考へと致しましては此の民斫事業は出來るだけ繼續してやつて行きたいと云ふ考へを持つて居ります、唯御話の通りに、不採算林分全部に亙つて之を實行するかどうかと云ふことに付きましては、豫算との關係もありますし、不採算林分の全部を此の民斫事業に依つてやることは、中々困難かと思ひますから、出來るだけ此の民斫事業を擴大しましてやつて行くやうに努力したいと考へて居る次第であります、尚ほ木材の價格の面であります方、此の木材の價格に付ては、最後は本年の三月に公定價格の改訂を致して居るのであります、併し其の後色々人夫賃金の昂騰或は食糧事情の逼迫の爲に、木材の生産が非常に惡くなつて居ると云ふやうな點等もありまして、當局と致しましては此の點色々と愼重に考究を致しまして、又交渉も致して居るのでありますが、何れ經濟安定本部も發足致しましたし、今後安定本部の方に對しまして、當局と致しましては出來るだけの交渉を續けて見たいと思つて居るのであります、併し決定は經濟安定本部の方に於て他の重要物資との價格と睨み合せて一貫的に決定せらるべきものと思ひますので、御諒解願ひたいと思ひます、尚ほ最後に御話になりましたのは、昨年十一月に執りました地木社の手持材を日木社の方に買上げましたあの臨時措置のことだと思ふのでありますが、是は前にも回答を致したのでありますが、あの當時の措置と致しましては、地方長官の裁量に依つて机上受渡された關係もありますから、日木社で引取りました數量は、豫定はあの當時の數字では三百萬石と云ふことになつて居るのでありますけれども、實際机上で而も早急の間に取極めた問題でありまして、其の後其の數量にも相當異動が來て居るではないかと云ふ風に考へられます、尚又其の三百萬石の中には山床或は中間土場等に存在して居る丸太も相當含まれて居ると云ふやうな關係もありまして、其の後地木社に委託して最終土場に搬出を致させて居るのでありますが御承知の通り本年になりましてからの人夫賃金の昂騰、小運送費の増嵩と云ふやうな點から、相當豫想以上の金も掛つて居るやうでありまするし、結局どの程度の純益になりますか、近く決定することと思ふのでありまするが、其の當時色々考へて見ました地木社の赤字補填等に充當致します金額は果してあるかどうか、其の點ははつきりしたことは申上げられませぬが、唯此の件に付きましては、日木社に於きましても最初から特別の會計でやつて居ります、政府に於きましても十分の監督を致して居ります、近く決濟が濟み次第其の純益金の處分方法に付きましては、委員會に於て決定致す積りで只今考へて居る次第であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=126
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127・太田秋之助
○太田(秋)委員 今一言御伺ひ致します、大體御説明に依つて了承した點もありますが、私が要望致しました採算林の買上方法は先年と違つて、政府は御方針を變へて今度は補給金は一切出さないと云ふことである、そこで全く誰も出せないやうな非常に困難な採算林を國家の力を以て出すと云ふやうなことも一應は納得出來ますが、併し此の及ぼす影響と云ふことに付ては、先程申上げた點で御諒承願へたことと思ふのでありますが、やはり國が相當の値段を以て買ひますとあんな奧地の便利の惡い所でも是だけの値段で買ふのだ、他の林産組合などがあの値段で買へないのは餘りにも組合が利潤を追求するとか、或は木材業者が餘りに利益を取るのだと云ふやうに、直感的に森林業者を考へることは、後の山の買付けに困難を生ずる一つの原因となりますから、私は其の點を憂慮するのであります、そこで私共と致しましては、國の補給と云ふやうに、何も彼も國家の指示に依つて均衡を圖ると云ふことばかりでなく、之にはどうしても今日の地木社を解散してさうして元のものに戻すべきものは戻してやる、是等の人は製材能力を持つて居り、又伐採の經驗も持つて居りますが、原木を入手しない限り如何に國家が指示した所で出來ない、原木を如何にして手に入れるかと云ふ方法を、施策の上に現はして戴きたいと云ふことを私は要望するものであります、之には獨り國家の補給金に依つて均衡を圖るばかりでなく、一應國家の手を戴かなくても之を財源として他の方法に求めることが出來るのではないかと云ふことで、所謂木材生産者が製材工場を持ち職工を傭つて居つても、原木がなければ仕事にならぬ、休みが續いて此の損失は大變である、原木だけ續けば毎日休みなく働いて仕事が出來ると云ふことになります、又公定價格の中には生産者が維持出來る所の若干の利潤を包含してあるかの如く聞いて居りますが、斯う云ふものもありますから、益受者としての木材を取扱つて利益を擧げる方面から林産組合其の他に出資されて、さうして之を國庫に戻すならば純國庫の負擔になるべきものは本當にないのではないか、斯う考へるのでありますが、斯う云ふ方法を當局が御執りになることが出來るかどうか、是は私の私案でありますけれども、併し過去の體驗に照しまして斯うでもしなければ此の均衡を圖つて政府の復興の材料も出せない、斯う考へるが此の點に付て今一應伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=127
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128・平川守
○平川政府委員 只今の御意見のやうなやり方で、組合員が一致してお互ひに營利の比較的少い山を出すと云ふ手段を執らうと思へば執れないことはありませぬ、固より立木に付ては別に公定價格と云ふものはありませぬ、發驛に於ける素材の公定價格だけであります、素材が相當要ると云ふ意味に於きまして、立木を假に共同購入すると云ふやうな形、協同事業と云ふやうなことを林業會法の定めることに考へまして、そこで皆が一致してさう云ふ手段を執れば執れないことはないと思ひます、併し之に付て政府の方から特に指導するとか、或はさう云ふ方法を強制的に執るとか云ふことは困難であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=128
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129・太田秋之助
○太田(秋)委員 私の要望することは、政府は營林署を持つて居る、營林署は地方に非常に馴染みが多く、信じて居りますから、營林署で各地區の石數の調査とか運搬賃の差額等を算出してやることが非常に親切である、そこまで政府が世話も燒かないで、後は地區林産組合が協同で、困難な場所も或は易い場所も山を買つてやれ、そんな生易しいことでは今度の單位組合の組合せが巧く行かない、そこに營林署が中に入つて指導してこそ、初めて其の中を通り拔けて行けると考へるのであります、さう云ふ自治的統制であるから、規則を與へ、之に依つて協同的に林産組合が組合つてやつたら宜からうと云ふやうに放任されたら成立が巧く行かない、是は先に同僚委員諸君からも、此の點に付て、所謂利害關係を異にするものを一致させる時に、林産組合と云ふものの關係が緊密圓滿に連絡が取れるかと云ふ懸念の下に言はれて居りますが、全く其の通りであつて、やはり私の要望することは、適當な地域の營林署を以て、そこには專門家が居るのでありますから、それを活用して、そこまで入つて指導して下さらなければ巧く行かないと思ふのであります、此の點に付て政府の御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=129
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130・中尾勇
○中尾政府委員 民有林に對しまする營林署の指導と申しますか、其の仕事は只今でも實行致して居るのでありますが、兎に角戰時中はやはり厖大な木材の需要を充足致す爲に其の方面に沒頭して居りまして、指導の方面が十分とは行かなかつたのであります、只今御話のやうな素材の調査の指導或は賃金の協定の指導と云ふやうな點に付ては、今後は十分指導を實施して參りたいと考へて居ります、勿論營林署の方に於ても暇があります時には喜んでそれ等の指導を致す考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=130
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131・太田秋之助
○太田(秋)委員 能く當局の御話は分ります、唯繰り言でありますが、營林署はよく地方に導しては政府の命令等に付て協力して呉れるのであります、私はやはり此の場合森林組合とそれから木材業者其の他の關係者を一丸とした所の林産組合を組織すると云ふ場合には、營林署が一つの指導役になり、實際現地に於て指導して貰ふことが一番宜いと思ふのであります、其の場合に於て、先程の私の質問は、どうしても國が方針を變へて補給金も出さない、又補給金の回收の途も講じないのであるから、今度はそれ等のものを國庫直接の補給でなく、營林署の政府事業としてやるのだと云ふことでありますが、それは民斫事業を全面的に政府事業としてやつて下されば之に越したことはない、原木を拂下げて製材をすれば是は横流れもしないし、相當政府の筋の方に集まつて來ると思ひますが、併しそこまで全面的に民斫をやると云ふのではなくて、ぼつぼつと困難な場所、奧地を先づ國の力でやると云ふやうな形式的な仕事になつてしまふと、其の他の林産組合の仕事と云ふものは、非常な生産の隘路となることは申上げた通りでありますから、そこで若しどうしても國は全面的に出來ないと云ふことになれば、やはり都道府縣の林業會を單位とした縣内に於て「プール」をしてやらせる、其のやらせることに付ての檢定は營林署でやらせるのだと云ふやうな所までの指導方針を以て臨んで來ることが出來ないか、之を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=131
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132・中尾勇
○中尾政府委員 先刻も申上げました通りに、民有林の營林指導の業務は、營林署の仕事の一つにもなつて居りますので、出來るだけのことは營林署の方でも御斡旋するやうに指導致して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=132
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133・太田秋之助
○太田(秋)委員 各縣の事情にも依りませうけれども、私は自分の縣の現下の事情に即して御伺ひして置くのであります、縣單位に於て今の困難な乙地區を買つた場合に於ても甲地區の利益を以て之を「プール」すると云ふやうなことは差支へない、そこの組合が圓滿に行くとなれば差支へないと云ふことは話は分りましたが、其の場合に於てやはり營林署の方から立會つて、色々差額の算定其の他をして戴くと云ふことになれば、非常に山林所有者其の他の納得も行き、明朗になつて宜しいと思ふのであります、さう云ふ點に付ての御世話は出來得るかどうか、是は直接各所の營林署に頼んでも出來るかと思ふのでありますが、併し一應は政府からの通達がなければと思ひますので、斯う云ふことに付て念の爲に御伺ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=133
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134・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御尋ねの指導は出來ると思ひます、又致させます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=134
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135・太田秋之助
○太田(秋)委員 あとは農林大臣に伺ひたいので、明日若干時間を戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=135
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136・森幸太郎
○森委員長 本日は此の程度に致しまして、次會は明二十九日午前十時より開會致したいと思ひます、では是にて散會致します
午後四時二十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00719460828&spkNum=136
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