1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年八月三十日(金曜日)午前十時十七分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君 理事 氏原一郎君
大井直之助君 木島義夫君
武田信之助君 太田秋之助君
本名武君 武藤常介君
永井勝次郎君 林田哲雄君
的場金右衞門君 井出一太郎君
磯田正則君 圖司安正君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
内閣事務官 大橋武夫君
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 では前日に引續いて會議を開きます――氏原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=1
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002・氏原一郎
○氏原委員 御尋ねを致しまする前に政府委員に一つ御願ひしたいと思ひますが、此の委員會に委員として列席せられて居りまする皆樣は、恐らく林業に關係のある方でありますか、乃至は林業に深い關心を持たれて居る方であるかと存じます、隨ひまして、本委員會を通じまして如何にして森林資源の充實に依る救國の實を擧げ、民主の安定を圖り、日本再建を企圖せんかと云ふことを眞劍に考へて居るものであると私は信じて居ります、決して本案の審議を通じて政府の虚を衝いたり、林政を非難攻撃せんとするやうな考へはないものであると信じて疑ひませぬ、所が過日來政府の御答辯を聽いて居りますると、重要な問題に對しましては決まり切つて折角調査中であるとか、愼重に研究した上でとか云つたやうな、從來の議會に往々にして見られました所の單に其の場を切拔けるやうな御答辯をなさつて居る點が多いやうに存じます、眞に救國の大計としての森林政策は左樣なことでは生れて來ないと思ひます、もつと政府當局も我々委員も、お互に肚を割つて内同士のやうな氣持になつて眞實を披瀝し合つてやつて行かなければ、委員會の目的は達せられないではないかと思ひますと同時に、それでは本案の審議を通じて、本案を成立させたと云ふことよりも、もつと大きな森林行政の確立と云ふことに寄與することが少くなくなると云ふ虞を抱くのであります、どうか一つ政府當局も此の委員會に於きましては、有りの儘の姿を曝け出して、政府に缺陷があるのならば其の缺陷を露呈して戴くと同時に、委員の御尋ね致しますることに對しましては、お座なりでない所の御答辯を煩はしたいと存じます
私は基本的な問題と本法案自體に關聯をすることと、大體二つに分けて御尋ねを致したいと思ひます、相成るべくは今まで委員各位に依つて御質問になりました事柄に重複しないやうに努める積りでありますが、多少立場を異に致しますので、同じやうな問題に付て政府の所信を質すやうな場合がないとも限りませぬので、其の點は豫め御含み置きを願ひたいと存じます
第一は森林の所有制度に關する問題でございまするが、政府は此の森林の所有形態が今日の如き状態であることが最も妥當適切な森林政策の確立に寄與する途であると御考へでありまするのか、それとも森林の如き公共性を帶びて居りまする所のものに付ては、今少し國有若しくは公有と云ふやうな面に範圍を擴大致しまして、合理的な經營、合理的な管理それに依る所の資源の培養、需給の調整と云ふことを強力に推進し得る途を開くことが適當であると御考へでありまするか、此の點に付て伺ひたいと思ひます、私の調査する所に依りますと、同時に又それは政府の資料に比較對照したのでございまするが、大正十年と現在に於ける森林の階級別所有面積と云ふものを檢討して見ますと、最近政府が資料として委員會に配付になりました森林所有面積の調べと對照して、特に目に付きますることは何であるかと申しますると、五十町歩以上の大面積の所有者が人數に於きましては、それ程著しい増加を示して居りませぬにも拘りませず、其の所有面積に於きましては約五十萬町歩と云ふものを増加して居ります、此のことは森林の所有と云ふことと森林の經營と云ふこととを關聯をして考へた場合に、どうしても小面積の森林の經營と云ふことは成立たないのである、少くとも森林經營は或る一定限度以上の面積を一つの企業體の下で所有を致しまして、それに依つて施業案を編成し、合理的な經營をしなければならぬと云ふことを裏書きして居るものであると考へて差支へはないと私は思ひます、所で其の一面に於て私共が痛感を致しますることは、五町歩以下の面積を所有する森林所有者の平均所有面積が、大正十年と現在とを比較して見ますると、僅かではありまするけれども少くなつて居ると云ふ事實でございます、是等の關係を勘案して見ますると、結局に於て森林と云ふものは段々段々と大面積の所有者の手に移つて行く、さうして又其の比較的大面積の所有者が之を所有して合理的な經營をすると云ふことが森林開發の上に於て妥當であると云ふことを裏書きして居ると考へられる、試みに數字を示しまするならば、大正十年末現在の山林局の調査に依りますると、五十町歩以上の森林所有者の一人當り所有面積は百六十二町歩約十町歩と云ふものを増加致して居ります、斯う云ふやうな事柄は私は森林所有形態と云ふことと、森林經營と云ふこととが不可分の關係に立つて居ると存ずるのであります、隨ひまして此の問題は單なる「イデオロギー」の問題でなく、結論として考へられることは、日本の森林を此の戰爭に依つて破壞された凡ゆる秩序から再建をする爲の一つの要素として成立せしめる爲には、どうしても是は一私人の所有に何時までも任せて置くべきではなく、國有若しくは公有と云ふやうな大きな機關の中に之を包合致しまして、そこで完全な施業案を編成し、さうして合理的な經營をすると云ふ方向に導いて行くべきであると云ふことが考へられます、勿論私の質問の趣旨は、決して零細なる面積の私有林までも之を總て國有、公有に移すと云ふ考へ方ではなく、寧ろ是等の面に付きましては却て國有林或は御料林等の中で地元に之を拂下げ致しまして、部落若しくは町村の共同管理の下に其の人民大衆の生活の爲に供與すると云ふやうなことも、一面に於ては考へられなければなりませぬけれども、基盤としての森林所有は、どうしても公有若しくは國有と云ふやうな面に徐々に進んで行くべきである、殊に農地制度の改革に依りまして、耕地に對する所有面積が非常に制約をされることになりましたが、現在農林省から御提出になつて居る所の資料は正確であると私には考へられませぬけれども、大體に於きまして林業勞働者と云ふものの數を數百萬以上と推定をされて居りますが、專業の林業勞働者と云ふものは恐らくは其の、二〇%に足らないだらうと私は考へます、殘餘の八〇%は所謂農業及び林業を兼業する人々でありまして、是等の人々は少くとも森林の開放に依つて十分なる生活安定の途を將來に見出さなければならない人々である、斯う考へて參ります時に、少くとも現在の森林所有制度と云ふことが今日の儘で之で宜しいのかどうかと云ふことに付ては、根本的に考へねばならぬと思ひます、農林大臣が本會議及び此の委員會に於て奧山と里山とを分けると云ふやうな洵に子供瞞しのやうな御答辯を繰返されて居りますが、是は私は農林大臣が全然森林と云ふものの經營に付て基本的な知識がないので、斯う云ふ答辯が行はれるのである、是は全體を通じての綜合的な計畫或は研究の上に立つた御答辯ではない、唯大臣として其の場を糊塗するだけの御答辯である、斯樣に拜聽して居るのでありますが、少くとも林政の直接の衝に當つて居ります所の政府委員に於きましては、農林大臣よりももつと玄人に一應肯けるだけの根柢を持つた所の御答辯が與へらるべきであると考へます、又全森林の所有者の數から之を考へて見ましても、所有者の總數に對して五十町歩以上の面積の所有者は僅か〇・二%半であります、それに對して所有面積は全面積の二二%六を占めて居りまするやうな事柄は、森林と云ふものの所有形態が、今日の儘では到底行けないのだと云ふことを如實に物語る數字ではないかと考へます、此の點に付ての御答辯を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=2
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003・平川守
○平川政府委員 森林の經營の上から考へまして、大臣から里山、奧山と云ふやうな表現をせられたのでありますが、御話の如き農村に近い、農業と不可分の關係にある山に付きましては、其の所有形態と致しまして必ずしも部落民の所有が適當であるかどうかは問題でありますけれども、少くとも其の利用の面に於きましては、十分に之を利用せしめる必要があると思ふのであります、森林經營の立場から大面積の奧山の方に於きましては、御話の如く細分された經營よりは、大規模なる經營に依つて合理的な經營が初めて可能であると云ふことは、其の通りであると思ふのであります、是が爲に現在の森林法等に於きましても、施業案の設定に付きまして、成る單位の森林所有者の協同的な經營を奬勵致して居る譯であります、但し其の徹底した形と致しまして、國有或は公有と云ふ形も考へ得るのでありますけれども、併し現在直ちに此の大きな民有林を國家の所有に移すと云ふことに付ては、非常に大きな問題でありまして、一面農村に於ける謂はば唯一の財産保有の形とも考へられる譯であります、其の經營の見地に付きましては、是は十分に國家的な見地に於て經營が行はれまするやうに指導を致す必要があると思ひますが、所有の形を今直ちに一足飛びに國有まで持つて行く必要はなからう、經營の形を十分指導致しますれば、森林の造成と云ふ面、或は林産物の増産、さう云ふ面に於きましては目的を達し得るだらうと、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=3
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004・氏原一郎
○氏原委員 大體此の點に付きましての政府の底意が分りましたから、是れ以上質問は致しませぬ、次には是れ亦他の委員諸君に依つても質問せられた事項でございまするが、林政機構の根本的な改革の問題であります、即ち現在の森林行政機構を改革致しまして、もつと強力な行政機關を確立することに付て、政府は用意があるかないか、又其の方法に付ての御調査が出來つつあるか、即ち具體案を示しますならば、現在の山林局と云ふものが農林省の一局として存在致して居りますけれども、之をもつと大きな組織と致しまして、例へば森林院でありますとか、或は森林廳とか云ふものを創設して、同時に道府縣に直轄の森林局若しくは林野局と云つたものを設置致しまして、内務省、農林省、宮内省、或は文部省、運輸省等に於てそれぞれ管理、經營、指導致して居ります所の森林行政の主管廳たらしめること、即ち森林長官、若しくは森林院の長官は少くとも國務大臣を以て之に充てると云ふ方向にまで之を導いて、豫算の配付等に付きましても、もつと強力に森林行政が運び得ると云ふ機構を作る、斯う云ふ點に付ての御考へはないのでありませうか、更に之を細分致しますならば、現在の國有林の中の北海道にありまするものは内務省の管轄であり、又北海道以外の内地の國有林は營林局がやつて居る、或は民有林の指導は地方廳がやつて居ると云ふ風に、統一と連絡とに於て缺くる所があると考へられます、林政機關が創設せられましてから既に六十餘年、さうして又林業指導の必要とか林業振興の必要とか云ふやうな聲は隨分高く又是は久しきに亙つて居るにも拘らず、林業發展と云ふことが他の産業に比して頗る後れて居りまする理由は何であるかと考へますと、理由は色々ありませうけれども、第一に私は從來朝野一般に林業に對する理解と認識が不足して居つたことが最大の原因ではなかつたかと思ふ、即ち決して林業其のものの素質に缺陷があつて發展性が乏しかつた譯ではない、我が國に於ける森林資源の不足と云ふことも亦其の資源の源泉たる林野の狹隘に基因する所の先天的なものではなくて、厖大な面積の林野を有しながら其の經營が不合理であつたが爲に生産が少い結果に外ならなかつたものと考へて宜しい、即ち永く天與の資源を放置せる報いが今日現はれて居ると云ふも過言でないのであります、若し完備した林業計畫が樹立せられまして森林が改善せられましたならば、即ち林業政策の刷新強化が速かに圖られて居りましたならば、今日のやうな憂ふべき状態には立至らなかつたであらうと云ふのが、識者の齊しく認める所であると思ひます、是等の點から考へまして、先づ森林行政機構の刷新強化と云ふことは最も急を要する問題でありまするのに現在の日本の森林行政は、僅かに農林省の一局として、而も世間から其の存在を認識して貰ふことも出來ないやうな立場に置かれて居りまするここが、將來日本の森林行政に取りましての大きな不幸でなければならないと思ひます、耕地面積の何倍かの面積の森林、更に此の森林の使命と云ふものが、今囘の戰爭に依りまして領土を狹められた我が國に取りましては、更に又地下資源であります、所の石炭の缺乏と云ふやうなことから考へて、將來水源涵養に依る所の水力電氣の發電とか或は又其の他の色々な面から考へましても森林の育成と云ふことが本當に日本再建の基礎的條件でなければならないのに、今のやうに森林行政機構が微力である――微力と申しますと政府は微力でないと言はれるかも知れませぬが、事實に於て微力である、而も其の間に各省の「セクト」主義に禍ひされて、統一と連絡とが不十分である、斯樣なことでありましては、何時まで經つても日本の森林を百「パーセント」に國家再建の爲に動員すると云ふことは不可能であると云ふ結果に陷ると思ひます、それで私は先程申しましたやうに、具體的に申上げまするが、現在の農林省の關係の森林行政機構と、各地方廳に於ける林政機構と云ふものとが思ひ切つて一つになる、勿論憲法改正に依つて御料林の經營が林野局から農林省の手に一つになるであらうことは豫想されて居りまするから、是は言ふまでもございませぬが、昨日太田委員からも縷縷御話がありましたやうに、營林省或は擔當區に勤務をして居りまする官吏の人々も、もう少し府縣の林務官廳との間に於ける連絡を取つて、場合に依りましては是は一體となつて、民有林の指導にも營林局の官吏が積極的に當つて行く、内面暴露になつて恐縮でありますけれども、營林省に於ける擔當區の官舍勤務の諸君が、所謂有害鳥獸の驅除と云ふ名目の下に盛んに管内旅費を取つて、受持の區域を巡邏致しまするけれども、事實は鳥を撃つたり獸を追掛けたりすることであつて、自分の受持の國有林の管理と云ふことは二の次になつて居るのが現實であります、さう云ふことをする暇がありますならば、其の受持管轄内に於ける私有林の指導助成と云ふ方向に時間を割くことが必然的に出來るのであります、さう云ふ點に付ては中央政府に於ては十分に知らない、偶偶營林省から署長あたりが其の視察に行くと、わざわざ草鞋を濡らして玄關に立掛けて、如何にも勤務して居つたやうに工作をして、實際に於ては受持國有林の管理等に付ても缺ける所がある、其の證據には年々山林局が御出しになります森林被害の統計の中に、盜伐と云ふものが隨分擧げられて居ることを見ましても、さう云ふことを裏書する結果ではないかと私共は考へるのであります、斯樣な工合に致しまして、少くとも今後の森林行政機構と云ふものは、御料林國有林、民有林總てを通ずる所の一つの強力な機關の中に綜合的に包括をされまして、それに依つて少くとも森林行政は一本の線に沿うて、一つの命令系統の下に強力に推進をされると云ふことでなければ、今後の日本の在り方としての森林行政の實が上らないと云ふことを私共は考へるのであります、此の森林行政機構の根本的な改革と云ふことに付て、此の間内山林局長は繰返して十分に研究をする、調査をすると御答辯でありまして、私共實は甚だ不滿でございまするが、内務省から横槍が入つて、出來なければ出來ない――過日も永井君の質問に對して、農林省の御意見と内務省の答辯とは完全に對立をして居ります、併し此のことが現在斯う斯う云ふ理由でどうも見込がないと云ふのならば、其の見込がないと云ふ内情を打ちまけて戴いて結構でありますから、此の點に付て一つ如才のない御答辯を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 民有林と國有林、或は北海道と内地の國有林或は御料林との關係に付きまして、從來それぞれ所管の官廳が異なりまする爲に、林業指導上色々不十分な結果を來して居つたと云ふことは認めます、而して之に付きましては、從來さう云ふ機構の下に於て出來るだけ連絡協調を圖ると云ふ建前を以て、根本的な改革でなくして、稍稍彌縫策ではありまするけれども、此の機構の下に於て兩者の、或は三者の連絡協調を圖るべく努力は致して居る譯であります、例へば一般民有林に對しては地方廳の取扱ふ所でありますけれども、之に對する指導は山林局の所管でありまして、各種の助成金の豫算を組むのも山林局であります、又山林局には是が指導の爲の一課を持つて居りまして、特に此の爲の指導に當つて居つたと云ふこともあつたのであります、又事實問題と致しまして、各地方廳の林務の主任官と云ふものと、國有林方面の係官と云ふものとを隨時交流を致させまして、實際上の人事に依つて、兩者の政策に矛盾衝突を來さないやうに、又連絡を十分に圖り得るやうな人事行政を行ふと云ふやうなことも、内務省と相談を致しまして、是は可なり大規模に實行を致して居るのであります、さう云ふやうな方法を以ちまして、出來得る限りの連絡調整を圖つて居るのでありますけれども、近く憲法改正の結果、御料林の問題もありまするし、此の機會に於きまして、更に御話の如き民有林と國有林の關係の一層統合を圖り得るやうなことに向つて努力を致したいと思ひます、併しながら御指摘の如く實際問題と致しまして、地方廳の所管隨て又内務省の監督下にありまする現在の民有林指導の機構を、同じやうな形に於て一體化すると云ふことに付きましては、事實中々困難があらうかと豫想を一致して居ります、併しながら之に付ては我々としては最善の努力を致すと云ふこと以外には、現在の所御答辯を申上げ兼ねる状況であります、尚ほ全體の問題と致しまして、森林院と云ふやうな大きな機構を設ける必要がありはしないかと云ふ御話でございますが、是も御料林等の國有林に屬すると云ふやうな問題が起りますと、山林局の機構として更に充實を致さなければならぬかと思ひます、唯之を森林院と云ふ形に於て出來上りますかどうかは、是は現在の所まだはつきりと御答へを致し兼ねるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=5
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006・氏原一郎
○氏原委員 次に御尋ね致したいと思ひまするが、憲法の改正に依りまして、百三十萬町歩の御料林が國の所有に歸することに相成りますることは當然の結果でありまする、此の御料林或は陸海軍關係の林野、演習地域とか、軍馬補充用地、或は要塞地、斯う云つたやうな陸海軍の持つて居りました林野等に付きましては、此の機會に之を相成るべく地方の地元の自治團體等に下渡しまして、其の地方自治團體の財政的な基盤を作らせると同時に、將來之を合理的に經營をすると云ふ方向に導くことに依つて、其の地元の産業の發達に資すると云ふ御意思はないでありませうか、特に百三十萬町歩の御料林中、皇室財産に屬する三十萬町歩に付きましては、此の際地元に下渡すと云ふ途を開くやうな御措置を講ずる御意思はないでありませうか、此の點を伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 先程御話にもありました森林の所有を寧ろ國家所有に移した方が宜いのではないかと云ふ御議論もありました、私共と致しましては、現在國有であるもの、或は御料であるものと云ふやうな纒まりました大きなものに付きましては、成べく之を國家が直接に管理を致すことが宜いのではないかと云ふ風に思つて居ります、自治團體の問題に付きましては、是は地元の利用に供すべき小面積のものに付ては格別でありますけれども、大面積のものに付きましては、寧ろ之を國有と致して置きまして、地元の利用に供せしめると云ふことが宜いのではないか、現在に於ても國有林に付きましては可なり大きな面積を或は委託林と致し、或は部分林と致し、さう云ふ形式を以ちまして地元の利用に十分供せしめて居るのであります、又地方税に該當すべき程度のものは、之を交付金として交付すると云ふやうな色々の手段を以ちまして、國有林が地元の財政に寄與し、又地元の利用に供すると云ふやうな方法は、十分講じて居るのであります、之を自治團體の財政の爲に自治團體に拂下げると云ふ形は、從來の實績に鑑みますと森林經營上必ずしも好結果を齎して居らぬと云ふ點がありますので、只今申しました方法に依りまして、地元に利益を與へると云ふ行き方が妥當ではなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=7
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008・氏原一郎
○氏原委員 私は先刻森林は原則として國有若しくは公有と申しましたのは、決して國有と云ふことを固執した譯ではごさいませぬから、其の點御含み願ひます、次に森林治水事業に付てでありまするが、第七十囘帝國議會に於きまして、當時の森林事業經費としては相當多額であると考へられました七百七十五萬圓の經費を以て繼續事業としての第二次森林治水事業計畫が立てられまして、昭和十二年度以來之をやつて居る、所が昭和二十年までに此の第二次森林治水計畫に依つて計畫が實行されました所の歩合は、僅かに全體の計畫の四〇%であります、而も此の第二次森林冶水事業計畫は其の後經費を増加致しまして、相當多額の金を使つて居ります、僅かに戰爭の影響があつたと云ふことは否定出來ませぬけれども、此の大切な森林治水事業と云ふものに對して、計畫の四〇%しか完了をようしなかつたと云ふことを基礎として――是は私の推斷ではございませぬ、此の四〇%と云ふのは農林當局から過日食糧緊急措置令の承諾を求むる委員會に於て、私に答辯があつたのでありまするから、農林當局は此の四〇%しか仕事が出來て居ないと云ふことを認めて居る筈なので、斯う云ふやうな状態でありましたが、今後の森林治水事業計畫と云ふものは、今までよりもつと私は困難を伴ふのではないか、例へば資材の面に於て或は物價、勞賃の昂騰に依る所の經費の上に於て、非常に困難を伴ふのではないかと云ふことが豫想されるのであります、隨ひまして政府が色々な面から此の治水事業をやると云ふ掛聲だけは洵に華華しいのであります、過日來の委員會に於きましては、實しやかな數字をお竝べになりまして、如何にも山林局に任して置けば森林治水事業計畫或は災害林地の復舊計畫等は十分に出來ると云ふ風に御説明はありましたけれども、過去の實績に徴して私共此の點に付ては殘念ながら農林當局の御答辯を全面的に受容れることは出來ませぬ、それでありますから過日來御發表になりました所の森林治水事業計畫、荒廢林地の復舊計畫、斯う云ふやうなものは御計畫のどの程度までが實際に出來るのだと云ふ御見込を御立てになつて居るのでありませうか、特に昭和二十一年度、今年度に於て施行する御豫定のものは、どの程度までのものは實行が可能であると云ふことを一つ打明けて御洩らしを願ひたいと思ひます、尚ほ之に伴ひまして別に又御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=8
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009・中尾勇
○中尾政府委員 第二期治水事業は御説の通り昭和十二年から二十三年までの十二箇年計畫で實行して來たのでありますが、其の豫定に對する實行の歩合が御説の通り非常に少いのは、戰爭に於ける資材と勞務の不足の關係で、どうしても計畫通りに實行出來なかつたのであります、本年度の實行箇所の計畫に當りましては、今の資材或は食糧事情等を十分考慮致しまして、著實に效果的に事業が完了出來ると云ふことを主眼と致しまして計畫を立てて目下實行中でありまするので、今年度の豫定は大體完了し得る考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=9
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010・氏原一郎
○氏原委員 次に御發表になりました所の所謂造林計畫でありますが、此の問題に關聯をして、私は二つの點から政府の御所信を質して置きたいと思ひます、第一の問題は人工植栽に對する種苗の問題でありまするが、政府の御計畫を見ますると、大體に於て一町歩當り三千本の植栽をする計畫で、昭和二十一年度に必要な苗木が九億萬本となつて居ります、それで政府自身も亦此の中で二年生の山行き苗の成苗を確保し得る量は五〇%以内であらうと云ふことを洩らされて居りますが、私共の見地から之を考へますならば、恐らく植栽計畫に對する成苗の供給は三〇%から上に絶對に出ないと云ふことが考へられます、そして此の足らない分はどうして補充するかと云ふことになりますと、一年生苗の繰上げ山出しと山引苗の利用、もう一つは産地直送と云ふことも考へられますが、是等のものを以て成苗の不足を補ふと云ふ結果はどうなるかと言へば、成程一應造林をしたと云ふ趣旨は擧げ得るでありませうけれども、活著の歩合其の他から考へまして結局來年度或は其の次に於て相當高率の補植をやらなければならぬと云ふことになるでありませう、本年度の植栽面積豫定に對する新植の苗木だけでも九億萬本要りますが、從來の造林に對する補植苗等を加へますと、是は相當大きな問題であると思ひます政府は此の種苗對策に付て九億萬本と云ふ成苗の中の五〇%を確保し、あとの五〇%は今私が擧げましたやうな色々な方法を執つてやりました場合に於ける、本當に計畫造林に對する苗木の問題の解決はどうにか付くと云ふ御確信であるのか、それとも政府の方に於ても私共同樣に何等かの不安を御持ちになつて居るのではないか、此の點を一つ伺つて置きたい
第二の問題は民有林に對する造林が果して政府の計畫通り之を遂行し得るか否かと云ふ基本的な問題でございます、從來に於きましても森林資源造林法に依りまする所の中金からの融資に依つて、森林證劵に依る貸出に依つて、造林を致しました、中金の森林證劵への貸出額は百四十六萬圓に過ぎませぬ、森林資源造成法に依つて、森林證劵を利用して造林を致します所の造林面積と云ふやうなものは、ほんの一部でございまして、政府が企圖して居りまするやうに、此の森林資源造成法の活用、利用に依つて私有林の造林が非常に昂揚されると云ふことは、私は今の所見込がないのではないかと考へられます、而も尚且つ勞銀の異常なる昂騰、苗木の非常なる單價高と云ふやうなことは、必然的に國有林若くは公有林野の官行造林等の事業に付きましては、國が優先的に苗木を確保し、或は又其の他の面に於ても便利がありますので、或る程度の實績は上るかも分りませぬが、私有林の造林と云ふことに付きましては、政府の企圖せられて居るやうな成果が上らないのであらうと云ふことは、是はもう火を睹るよりも明かでございます、所が日本の現状から考へて見まするならば、國有林等は合理的な而も嚴密なる施業案の下に植伐の均衡が或る程度まで圖られて居りまするので、比較的一年や二年造林が遲れましても差支へないとは申上げませぬけれども、弊害の由つて來る所が少いのでございますが、戰爭中過伐、濫伐に陷つて植伐の均衡を失して居りまする所の私有林に付きましては、此の際餘程本腰を据えて造林をやらなければ、直ちに是が農耕地に被害を與へて、日本の現下最も重要な食糧問題の解決に、大きな穴を開けると云ふ結果になることが豫想されるのであります、政府は此の點に付て樹苗の問題と、さうして私有林の造林が經費、資材の關係から意の如く出來ないのであらう、斯う云ふ事柄に付て十分なる所の御用意と對策とを御持ちでありませうか、此の點を成べく詳しく一つ御答へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=10
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011・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御心配御尤もと考へるのでありまするが、此の樹苗の問題に付きましては、實は御承知の通り戰爭中に於きましては、此の苗圃の大部分が今の農耕地に變つたやうな關係がありまして、本年度の植裁に要する苗の需給上極めて憂慮すべき状態にありますことは御話の通りであります、實は本年度になりまして、此の山行苗の調査を各縣に命じて致して居るのであります、大體まあ三年生の山行苗で豫定の半分だけは確保することが出來る見込が付いたのでありまするが、後の方の殘餘の五〇%に要します所の苗木の需給に付きましては、三年生を以て植裁すると云ふことは中中――中々ではありませぬ、出來ない事情にありまするので、先刻來色々御話がありました通りに、二年生の苗で――まあ檜などは二年生で十分と考へますし、又松を植栽します個所に付きましては、一年生苗でも十分活著して行く見込もありまするので、是等の不足のものは出來るだけ今の二年生又は一年生の苗を繰上げて山出しを致しまして、植栽として行きたい、尚ほ不足致しまするものに付きましては、山引苗の利用、是は中々一面困難な點もあるのでありまするが、植栽林地の直ぐ近くの林地に於て苗を採りまして、直ぐ移植致しますると、大體活著率も良く行くやうに考へまするので、直ぐ近くの林地には、隣接或は直ぐ近くの林分の山引苗を利用して植栽して行く、尚又杉の山地直挿し、是も今まで經驗致しました所では、大體相當の成績を收めて居りまするので、山地の直挿しを以て代へて行きたい、斯う云ふ風に考へまして、出來るだけ豫定の面積だけは只今申上げましたやうな方法に依つて實行を致して行く考へでありまするけれども、やはり色々御話がありました通りに、此の點全部を完了致しますることに付きましては、相當の努力と、又相當の人手を要することと考へられるのであります、此の點に付きましては私の方でも尚ほ一部憂慮して居る點もあるのであります、併し出來るだけ此の點は森林組合等の活動を促しまして、豫定面積だけの植栽は完遂致したいと云ふ風に考へて居ります、尚ほ本年度の民有林の方の造林の關係で經費或は資材の關係で本年度の豫定通りの完遂は難かしいではないかと云ふやうな御尋ねと解釋致して居るのでありますが、此の點に關しましては、經費の點は先日も申上げました通りに只今の豫定致して居りまする所の豫算では、現在の人夫賃金等に鑑みまして、中々實行は困難でないかと云ふ風に考へまするので、此の點に付きましては既に豫算の増額方に付きまして交渉も致して居ります、大體本年度豫定の面積だけは、苗木の關係は、先刻申上げたやうな實情でありまするし、出來るだけ森林組合其の他關係者を活用致しまして、完遂に努力を致したいと考へて居るのであります
尚ほ樹苗の養成業に付きましては、御説の通り色々困難もあるのでありますが、是は國有の苗圃を出來るだけ利用、活用致しまして、今後の樹苗の需給を圓滑に致して行きたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=11
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012・氏原一郎
○氏原委員 次に御尋ね致したいのは、政府は此の林業關係の補助事業に對する監査制度を確立する所の御意思はないかと云ふ問題であります、例へば林道の新設、荒廢林地の復舊、其の他森林關係の色々な事業に對して地方廳を通じて政府は補助金を放出されて居ります、今後も亦何等かの形に於てさう云ふものは引續いてなさなければならない、或は造林の助成等に付きましても當然せなければならないと思ひます、所が全面的に之を考へまする時に、政府は補助金は放出をするけれども、果してそれが地方々々に於て此の實果を擧げるやうな事業を適切に行うて居るかどうかと云ふやうな事柄に付ては、或は又其の林道なら林道が設計通りに出來上つて居るかどうかと云ふやうなことに付ての監査と云ふことは、全然之を閑却を致しまして、極く形式的に御取扱ひになつて居る、此の結果が實際に於きましては、設計の單位は一「メートル」當り八圓なら八圓と云ふやうなことで設計書を出して居るけれども、之を其の實請負に付して、國の補助或は地方廳の補助だけで、地元は之を少しも負擔しないで事業をやり上げて行く、其の結果が設計通りの仕事が出來ないと云ふやうなことが屡屡あるのであります、又造林のことに付ても其の通りであります、所が政府は一向助成補助と云ふやうなことをやりますることに付ては、色々な運動などに依つても今まではやつて居りましたやうですが、文書の上では色々な條件を附けられる、でありまするけれども、其の實態に付て之を監査して、十分に其の成果を見究めると云ふやうな事柄に付ては、どうも從來缺けて居ると私は思ふ、隨ひまして是はわざわざ本省から人を出張さして、之を監査すると云ふ行き方でなくても宜しいと思ひまするが、少くとも營林局署の官吏を農林省からの監査員として派遣をすると云ふやうな工合に致しまして、補助事業の實績の監査と云ふやうなことに付て、もつと私は強力にやつて行かなければ、今後森林に對する色々な事業に金を出しました所で、それが生きて來ないと云ふことを考へるのでありまするが、此の點に付ての御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=12
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013・中尾勇
○中尾政府委員 補助事業に對しまする今の監査制度の點でありまするが、只今までは、御指摘の通り、やはり豫算の關係或は人手の關係で、實際に一部は實行は致して居りましたけれども、全般的に亙つての監査は不行屆きであつたやうに思ひます、此の點に關しましては、今後監査の徹底化に付きまして、十分研究努力して行きたいと考へて居ります、尚ほ營林局署員の利用に關しましても十分研究を致しまして、御意思に副ふやうにやつて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=13
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014・氏原一郎
○氏原委員 次に御料林國有林野の農地開放の問題に付て伺ひたいと思ひます、御提出の資料に依りますと、本年度に於きまして、相當廣面積の御料國有林野が農地として開放される御見込の如くでございますが、是の開放に當りましての具體的な方法はどう云ふ風におやりになるのでありまするか、又是が開放に依つて大體どれ位の世帶人口が此の開放せられた農地に收容せられる御見込でありますのか、又入植を致しまする豫定者に此の開墾事業を國が請負等の制度に依つて仕事をやらせるのか、それとも又開墾事業と云ふものは別個に之を國が直營をして、さうして其の出來上つた農地に對して、適當なるを選擇をして入植をさせるのか、斯う云ふ點に付て伺ひたいと思ひます
それからもう一つ此の點に關聯をしてでございますが、昭和十六年以來の林地開墾の状況を見てみますと、十六、十七、十八、十九年度を通じて林地が農地に開墾されたものは僅かに三萬二百町歩であります、之に反しまして農地が林地になつたものが此の四箇年間に三萬三千六百八十一町歩と云ふことになつて居ります、御提出になつて居りまする所の資料に依つて相當――相當どころではございませぬ、大體農地開放見込面積と云ふものが、二十七萬町歩程に上つて居りますが、是だけの面積の林地、林野を農地として開放する、さうして之を開墾をする、が併しここ兩三年を經ずして日本の食糧事情に變化が起つた、産業は組織形態に變化が起つたと云ふやうな場合に、又ぞろ私は折角開墾をした所の農地が再び林地に轉換をしなければならぬと云ふやうなことになりはしないかと考へられますので、私は此の農地開放と云ふことに付ては、單に現實の食糧事情と云ふやうなこと、外地同胞の引揚と云ふやうなことを基礎として考へるだけではなく、もつと本質的なものから深く考へて行かなければならないと思ひます、戰爭中の食糧事情が非常に緊迫をして居つて、林地の農地への轉換があれ程要請されて居つた時に於てすら、林地から農地への轉換よりも、農地から林地への轉換の面積が多かつたと云ふことは、私は是は一つの開墾計畫に對する指針として見逃すことが出來ないと思ひます、是等の點に付て一つ御意見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=14
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015・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 山林地の農地への所謂開拓事業でございますが、是は去年の十一月に初めて開拓局が出來まして、緊急開拓事業の一翼と致しまして、是等の森林地帶よりも出して行かなければならぬ、當初は九萬一千町歩程の見込でありましたが、二度目の調査に於ては一萬二千町歩程殖えました、今日に於ては見込として御説の通り二十何萬町歩の御料林、五年後の計畫に於ては三十一萬町歩になるのではないかと云ふ大計畫の下にやつて居りますのは、食糧は國策と致しまして、假令世界經濟が開けましても、日本人の食糧は日本人の性格を生む、斯う云ふ觀點から國策の最も重いものと致しまして、是等は是非とも實行しなければならぬ、如何なる苦難も立ち超えて行かなければならぬと云ふ要請にあるかと存じます、尚且つ終戰後の計畫と致しまして、都市より山間地へ所謂日本の立地計畫から、大きな都市が分解作用を受けまして地方へ行きます、同樣に多くの人口を何處に包容するか、其の方面より致しましても開墾が必要であると存じます、斯樣な點から一時は戰爭中の人手の足りない關係から、御説のやうなことになりましたが、今日國策として取上げて居りますし、どうしても遂行しなければならぬ立場から、多くの豫算も組んでありますし、助成も致して居りますので、何とか切拔け得るのではないかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=15
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016・氏原一郎
○氏原委員 私の質問に對しての御答辯がまだ落ちて居りますが、林地其のものを入植豫定の人に提供して、其の人々に開墾をさせると云ふやうな方向を取るのですか、國營で開墾をやつて、それに適當な者を選擇して入れるのでありますか、それから又此の國有林、御料林野の開墾に依つて大體どれ位の世帶人口が收容されると云ふ御見込でありますか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=16
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017・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 之には兩方ございまして、大體開拓局に全部任して居ります關係から、こちらは地所を出す、小さなものは集團的にそれ等の人人が入つて居りますし、大きなものは國が場合に依りましては開拓して後に入れる場合もありますし、二通りございます、それから入植者の豫定數でありますが、大體本年度、來年度の豫定と致しましては八萬戸を豫定致して居ります、併しながら實際と致しましては本年度の就農希望者が五萬戸位ぢやないかと考へて居りまして、是等に用意して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=17
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018・氏原一郎
○氏原委員 昭和二十一年度に於きましては、日本林業會に對して山村經濟實態調査、林業設計實地指導と云ふやうなことを御委託になり、治山治水協會に對しては治山治水事業の一部を代行せしめると云ふ御計畫の如くであります、日本林業會及び治山治水協會の事業計畫等にも此のことが明かにされて居りますが、是等の森林行政の基本的な條件を成します所の事業を、農林當局が外廓團體に委託しなければならないと云ふ理由は一體何處にあるのでありますか、殊に治山治水事業の一部の如きは森林組合等に代行せしめるのが妥當であつて、治山治水協會と云つたやうな農林官僚の古手の寄合ひ見たいな所へ持つて行つて斯う云ふ事業を代行させるなどと云ふことは、洵に當を得ないことであると思ふのでありますが、此の點に付ての根本的な御説明を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 日本林業會に色々な調査を致させますことは、是は固より基本的な重要な問題に付きましての調査は農林省に於て自ら致します、けれども調査は可なり廣汎に亙りますので、時と致しましては豫算其の他の關係から致しまして補助事業として民間に行はせました方が宜いやうな調査もある譯であります、詰り根本的な調査は固より山林局自體で行ひますけれども、其の補助の意味に於きまして、例へば農業の方に於ては農政局が中心となつて調査を致しますが、場合に依つて農業團體等に委囑する場合もあります如く、こちらの方でも基本的な調査は山林局が行ひますけれども、補助として日本林業會を使ふと云ふ考へ方でございます、それから治山治水の問題に付きましては、是は森林組合等を使ふと云ふことは固より結構でありますし、其の場所々々に於きまして使ひ得るものは使ふのでございますが、特に優秀なる技術者を少數持ちましてやる治山治水に關する調査でありますとか、或は一部分の設計でありますとかと云ふやうなことに付ては外廓團體を用ひました方が便利な場合がある譯であります、是は飽くまで補助的に便宜之をして援助せしめると云ふやうな考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=19
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020・氏原一郎
○氏原委員 此の點は甚だ御答辯が意に滿ちませぬが、殊に八月十日付の日本林材新聞四四六號の記事に依ると、治山治水事業協會が事業擴充委員として擧げて居りまする所の委員の名前を見てみますと、平川林政課長以下全部役人であります、唯僅かに治山治水學識經驗者と云ふのが三名だけ擧つて居りまして、あとの全部が府縣の林務課長とか林業試驗場の人とか云ふやうな工合で、一體治山治水事業協會と云ふものの實體はどう云ふものなのかと云ふことに、甚だ疑問が起つて參るのであります、殊更に斯う云ふやうな外廓團體を作つて置いて、さうして官僚勢力を温存するやうな遁げ場所を澤山拵へて置くと云ふやうなことが、今までの官僚の常套手段でありました、今農業團體が農林省農政局關係の仕事の調査などを手傳つて居ると言はれたが、例へば農業會と云ふものは或る點に於て農民自身と繋つて居るのであります、所が此の治山治水協會と云ふものの側から申しますと、森林所有者とも木材事業關係者からとも遊離をして浮上つてしまつた所の存在でありまして、是等のものに事業の代行をさせるならば、何が故に森林所有者の集りである所の森林組合と云ふやうなものをもつと利用しないかと云ふことをもう一囘伺つて置きたいと思ひます、同時に、是は過日平川政府委員の御説明に依ると、森林組合は之を今後助成をして強力なものにする意思を持つて居ると云ふことを明かにされました、而も其の具體的の現はれとしては、技術員の設置に對する補助をすると云ふことを言はれて居るのでありますけれども、本當の所私共が第三者として公平な所を見て居ると、戰爭中政府は森林組合と云ふものを利用出來るだけ利用をして、もう戰爭も濟んだからしてさう森林組合に對して大して喧しく言はないでも宜しい、だから是は蛇の生殺しのやうにして置いたならば、森林組合の構成の内部的要素からして、大面積の所有者は除外されて居る、財的には非常に力が弱いものである、數が多いから統制が非常に取りにくい、其の他色色の要素からして森林組合は必然的に内部崩壞を來す、さうしたならば敢て是は戰爭中政府は大きな責任を負はして居つたけれども、自分の方から潰して行くならば其の責任を兎や角言ふ必要はないではないかと云ふやうに考へられて、森林組合に對しては、今日はどちらかと云ふと繼子扱ひのやうな扱ひをして居るのではないかと云ふことが、第三者として公平に見て看取されるのであります、斯う云ふ點から考へましても、私は此の治山治水事業の如きを、正體の餘りはつきりして居らぬやうな協會などにやらせるよりも、森林組合と云ふものを政府がどうしても助成し、強化しなければならぬとするならば、是は明かに全森聯と云ふやうな組織的の團體もあるのでありますから、是等に任すべきではないかと考へられるのでありますが、重ねて此の點の御答辯を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=20
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021・平川守
○平川政府委員 森林組合に對する第三者としての御觀測でありましたけれども、是は全く我々の考へて居る所と違ひます、私共は決してさう云ふ考へを持つて居りませぬ、森林組合は飽くまでも、之を助長して參りたいと云ふ風に、それは其の通り考へて居ります、治山治水協會の問題に付ては、此の治水事業は特殊の事業を持つて居る譯であります、森林組合の行ひます森林の維持造成と云ふことだけに限りませぬ、相當に土功的の仕事も持つて居る譯であります、さう云ふ意味からして治水に關する技術者と云ふものは稍稍特色を持つて居るのであります、さう云ふ意味で此の治水事業に關する限り固より造林の方とも密接な關係がありますから、森林組合を無視すると云ふ譯ではありませぬけれども、特別なものがあつても決して差支へないと云ふ風に私共も考へて居る譯であります、尚ほ治水協會の新聞の記事でありまするけれども、是は治水協會が治水事業を始めようと云ふのは、本年から特に實際のさう云ふ事業を始めようと云ふ譯でありまして、先程も御話がありましたやうに、戰時中治山治水と云ふものが非常に輕視されて居りました關係上、實際に是が動き得なかつたのであります、本年からは戰時の色々な制約が除かれて參りました譯でありますから、其の事業を始めようと云ふことに付て關係者の委員會を作つたと云ふやうなことであります、固より是から其の方面の專門の技術者も段々と出まして、此の仕事をやつて行く譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=21
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022・氏原一郎
○氏原委員 どうも納得し兼ねますから、是は又別箇に御尋ねします、次に公有林野官行造林に付てでありますが、現在官行造林は公有林野に限つて居りますけれども、私共は今後日本の森林の資源の造成と云ふ點から考へますならば、此の公有林野官行造林の制度を公有林野に限定致しませずに、一般民有林野に對しましても、國が造林事業をやつて行く、さうして、其の收益を分收の歩合に依つて森林所有者に分けると云ふやうな制度を考へることが、特に造林事業と致しましては必要なことではないか、殊に先刻指摘し致しました通り、段々と森林の一人當りの所有面積が大きくなつて參りますと云ふやうな場合に於きましては、立木の處分を致しました跡地造林と云ふことに付ては、どうしても官行造林のやうな強力な組織と技術と、さうして背景とを持つてやりますことの方が妥當ではないかと考へまするので、將來官行造林を一般民有林にも範圍を擴大すると云ふやうな御意思はないか、此の點を一つ伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=22
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023・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御意見御尤もと存ずるのでありますが、政府に於きましても民有林の官行造林のことに付きましては、御説の通り必要性を認めて居るのであります、此のことに付きましては、出來るだけ實行して行きたいと思つて只今研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=23
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024・氏原一郎
○氏原委員 國有林に對する所の、又將來御料林も農林省の管轄になりましたやうな場合に於ける官行斫伐事業でございますが、官行斫伐のことは私は凡ゆる面から之を批判をし、檢討致しまする場合に於て、成べく國が官行斫伐と云ふやうなことはやらない方が宜いのぢやないか、斯う云ふ意見を持つて居ります、さうして成べく之を立木處分に依つて地元の森林組合其の他の事業としてやらせる、國の方は寧ろ官行斫伐に依つて伐木造材から運材、製炭と云ふ所まで行かずに、今申しましたやうに造林と云ふ方へ國は出來るだけ力を込めて行く、さうして其の方が私は國の方の利益だと思ふ、お役人が色々な名目を付けて何の彼のと言つて無駄な費用を使つて官行斫伐事業をやりますと、造材に對する石當り單價にしても、木炭の一貫目の單價にしても、決して造材から嚴密に計算をして行くと、官行斫伐事業は民間のそれと比較して「コスト」は安くはないと私は見て居る、而もそれならば官行斫伐をやつたならば、優良なる材が出て來るか、木炭も良質のものが出るかと云ふと、事實は反對でありまして、官行材は素材としては立木は非常に立派な物があるけれども、是が最終の土場に出て來た場合には非常に價値を損じて居る、民間の物と比較して其の價値が非常に劣ると云ふやうなことも考へられるのであります、でありますから、官行斫伐の如きは成べく制約致しまして、出來るだけ立木處分をする、それと同時に民間に於て色々な條件で十分に仕事の出來ない民有林野の官行造林と云ふやうな方面へも手を伸ばして行くことが妥當ではないかと思ひまするので、此の點に付ては尚ほ當局は十分に御考へを願ひたいと思ひます
それから日木、地木の清算の結果に依りまする所の剩餘が生じました時に於きましては、之を森林資源造成の經費に充てる爲に、政府若しくは地方廳に納付せしむるやうな措置を執る御意思はないか、此のことを御伺ひして置きたいと思ひます、日木、地木が戰爭中日本の森林資源の濫費をやつたと云ふことは、凡ゆる點に於て指摘をされて居りまするし、又此のことの爲に日木、地木が會社としてよくも寧ろそれに携つて居る人の個人的な立場に於て莫大な利益を收めて居ると云ふことは、もう明々白々の事實である、隨ひまして日木、地木が清算の結果剩餘金が出た場合に、之を將來の森林資源の造成の經費に充てる爲に國若しくは地方廳に對して納付をさせると云ふ措置を執りますることは、私は彼等の罪亡ぼしの爲にも絶對的に必要なことであると思ひます、此の點に對する政府の御所信を伺つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=24
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025・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説御尤もでありますので、去年の十一月に一應日本の統制の組織を是正すると云ふので當時所謂企業許可制度或は集荷配給の獨占性を地木社から奪つた時に、持つて居りまするものは一應之を日木社或は住宅營團に分け與へましたし、尚ほ立木の手持は元の所有者に大體御返しをしろと云ふやうな通牒を出して居りますので、御手許に配付してあると思ひますが、地木社の利益の調べも皆樣の御手許に行つて居ると思ひますが、さう大したことはないのぢやないか、今度の清算に當りましても、其のやうな大きな豫想は出來ないと思ひます、併しながら一應統制會社と致しまして、國家が之に統制力を與へる關係がありますから、相當な餘剩が出た場合に於きましては、御説のやうなことを考へて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=25
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026・氏原一郎
○氏原委員 次に戰災住宅の復興が政府の計畫の通りに行かない、其の理由は先づ第一に木材に隘路があるのであると云ふことが世間一般の常識の如くに傳へられて居りますが、私共必ずしもさう云ふ風には考へて居ない、農林當局は、一體世間一般に戰災住宅の復興と云ふものが十分に進捗をしない、計畫通り行かない所の理由が、第一の隘路が木材にあると云ふことを、甘んじてさう云ふ非難を受けて居るのでありまするか、それとも之に對しては何か一つ農林當局としてさうでないと云ふことを反駁し得るだけの根據がございまするか御洩らしを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=26
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027・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 戰災の復興住宅に付ては御説の通り終戰後色々な關係から十分に運び得ないことを甚だ殘念に存じます、實は一年前から計畫を立てまして漸く板に付いた時に、恰も進駐軍用の宿舍と兵舍を造らなければならぬと云ふので、之に一千萬石を割くことになりまして、之を優先的に致しました、其の結果漸く此の秋より住宅材が出て來るようになると思ひますが、大體此の計畫を申上げますと、當初二百數十萬戸が燒けて居りますが、第一の計畫と致しましては、二十五萬戸建設致します、それには千二百萬石の木材が要るのでありますが、是等に付きましては進駐軍要材が大體見透しが付きましたので、是より十分な入手があると思ひます、第一四半期には百八十萬石と豫定致しましたけれども、之に入りましたのが百二十九萬石、七二%入つて居ります、第二四半期には二百十八萬石、此のやうに豫定致しまして、尚ほ第三、第四と殖えて參ります、隨て木材に付きましては色々隘路はあると思ひますが、國に於きましては出來るだけ努力致しまして、是等の二十五萬戸計畫を完遂したいと考へて居ります、併しながら木材だけでなく、他の必要な釘材或は輸送關係其の他で相當困難を來して居ることは甚だ殘念でありますが、出來るだけの努力を今後致す考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=27
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028・氏原一郎
○氏原委員 參與官は私の質問を取違へて居ります、私は戰災住宅の復興が意の如く進捗しないのは第一の隘路が木材にあるのだと云ふことを世間一般に言つて居り、戰災復興院も、住宅營團もさう言つて居る、所が實際に於ては、木材は住宅營團が營林局あたりから相當多量のものを堤供を受けながら、是の處分をようしない爲に家が建たないのであつて、私共の考へから言ふならば、戰災住宅の復興が意の如くに行つて居ないのは、木材界が其の責任を全部負ふべきものぢやない、斯う言つて居るのであります、決してあなたの御答辯のやうなことを聽いて居るのではありませぬ、此の點に付ては尚ほ戰災復興院の係の方の御意見を伺ひたいと思ひます
次に約一億六千萬坪に亙る都市が戰災に遭つたのでありますが、之に對しましては政府の計畫と致しまして相當廣い面積の緑地帶が設定される御計畫の如くであります、此の「グリーン・ベルト」に對する造林計畫、殖林計畫と云ふことに付ては、勿論農林省に於て之を擔當せられる部門が多からうと思ひますが、此の一億六千萬坪に亙りまする全國の戰災都市の復興に伴ふ緑地帶の設定に依る殖林計畫に付て御洩らしを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=28
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029・中尾勇
○中尾政府委員 只今御尋ねの緑地帶のことに付きましては、只今まで何等聞及んで居りませぬ、計畫も持合して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=29
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030・氏原一郎
○氏原委員 それでは小さい問題を一括して御尋ね申上げます、若し資料がありませぬければ、後から書面で御答へ願ひたい、森林組合の施業案が編成されて正式の認可を與へられて居るもの、其の施業面積、それからまだ成規の手續の濟んで居りませぬ森林組合の數、それから高知營林局管内の別子山國有林一萬七千町歩、之を鑛業豫備林として貸付を致して居りますが、現在一町歩當りどれだけの貸付料金を御取りになつて居りますか、御分りならば御報らせ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=30
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031・中尾勇
○中尾政府委員 民有林の施業案の編成濟みの面積は大體只今まで三〇%程度が終了致して居ります、面積で申上げまして三百八十萬町歩位だつたと思ひます、それから今の別子山の貸付料金のことは一寸分りませぬので、後で調べて申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=31
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032・氏原一郎
○氏原委員 御分りにならなければ私が知つて居ります、別子山國有林一萬七千町歩は一箇年一町歩たつた一錢の料金で貸付けて居ります、是は住友と西園寺公爵との特別の關係に依つて古くから一錢であります、斯樣な財閥との結託に依つて國家の財産をまるで嘘みたいな料金で貸付けて居る、而も住友の別子鑛山が一萬七千町歩の鑛業豫備林に依つて坑木其の他を生産して居る、斯樣なことは恐らく他にも澤山あつて、國有林が名目だけの料金で國の實際上の所有權を奪はれて居る點がありはしないかと云ふことを惧れる、斯う云ふ問題が他にもありはしないか、御調査の上で直ちに是正をして戴きたいと思ひます
それから今度の戰爭に依りまして爆撃、燒夷攻撃に依つて我が國の森林がどれだけの面積被害を受けたか、是は御分りございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=32
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033・平川守
○平川政府委員 爆撃に依る森林の被害の面積は、餘り聞いて居りませぬが、大した數量でないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=33
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034・氏原一郎
○氏原委員 以上を以ちまして私は大體森林行政の基本的な事柄に付ての質問を終りましたが、最後にもう一つ國有林野の事業に從事致して居りまする勞務者の待遇のことに付て、政府の所信を明かにして戴きたいと思ひます、現在私が日本に於ける國有林野の事業に從事して居りまする者は、大體に於て專業者二十二萬人、造林其の他季節的勞務者十五、六萬と私は押へて居りますが、是等の人々に對する待遇は、其の官行事業所若しくは造林地附近の、民間の是等と同樣の事業に從事致します所の勞働者の待遇と比較致しまして、高知營林局管内で十三箇所の官行事業所を基礎にして詳細な調査を致した結果に依りますと、杣、木挽、木出し、修羅、或は其の他色々の職種別に大體平均致しまして三割程度待遇が低いのでございます、是は何處に其の原因があるかと申しますと、國有林の事業所は極く邊鄙な所にありまするが爲に、外部との連絡が取れて居ない、又文化的な施設もありませぬので、其の時々の社會情勢にも疎い、斯う云ふやうなことから致しまして、自分達の權利を主張することも考へなければ、又是が勞働者として與へられた運命だと諦めて居る譯だと思ひます、もう一つは何と申しましても御役人が監督を致して居りまして、上から一つの組織に依る支配を致して居りまする關係上、民間の工場等に於けるが如く、積極的に待遇改善と云つたやうな要求を出し得ないと云ふことも一つの理由であると思ひます、併し國有林の勞働者三十萬人が何も言はないからと云つて之を捨てて置きますることは、決して國有林事業經營の爲に執るべき策ではないと私は確信致します、少くとも此の際斯樣な邊鄙な土地で、文化にも惠まれず、社會情勢にも疎い、民主主義の思想と云ふものの本質が何であるかと云ふことも十分に分らないやうな此の勞働者に對しましては、寧ろ積極的に事業主であります所の國の方から、彼等の生活の爲に凡ゆる施策を實施すべきであると私は考へます、最近至る處に於きまして勞働組合が出來て居ります、國有林の事業從事勞働者に付きましても、勞働組合の結成が處々に行はれて居ります、隨ひまして此の行き方を誤ることになりまするならば、林業に對する勞務者の需要が非常に多いのでございまするからして、國有林の事業に對して根本的な支障を來すやうな時が、局部的ではありませうけれども起らないとも限らないのであります、斯う云ふ點を考慮せられまして、國有林の從事勞働者に對する待遇改善に付て適當なる御考慮を御持ちになつて居られるのか、又是等の山村の邊鄙な處に何等の娯樂もなければ、何等の文化的な施設もない處にあります勞働者に對しまする厚生施設のやうなものを、もう少し積極的に御考へになる御意思はないか、是等の問題に付ての當局の御答辯を煩はしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=34
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035・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の通り民間で使用されて居る者と國で使つて居る者との收入に於て差がある、實際今までは國に於きましては色々と現地に必要な物資が入りましたので、幾らか給金が安くとも皆山に入つて居りましたが、最近色々の統制が公平になりまして、官廳も民間も同じやうになつて參りましたので、稍稍勞働賃金に於きましては歩み寄りまして、同じ賃金の形になつて居ります、隨て御説の通り之等に對する厚生施設が最も大切かと存じまして、是等に付きましては各營林局に申付けまして、厚生施設に付きましては相當に考へて居りますので、日ならず、それ等に付きましては、今まで働いて居る者が喜ぶやうな厚生施設も出來ることと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=35
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036・氏原一郎
○氏原委員 鈴木政府委員には何を根據として賃金が大體同一になつて居ると仰せられるか分りませぬけれども、私が指摘致しました通り、私は十三箇所の官行斫伐事業所と其の斫伐事業所所在の町村内に於ける民間事業との職種別の賃金の調査を巨細に致しまして、十分な基礎の上に立つて、それが民間の事業に從事する者との間に賃金の差異があると云ふことを申したのであります、又物資の點に於きましても、國有林關係の從事勞働者に對しては、他の民間事業の從事勞働者に對するよりも物資の配給等が優先的に、而も優位に取扱はれて居るかの如くの御話でありましたが、事實さう云ふことが今までございましたでせうか、民間の林業勞務者に對するよりは、國有林の林業勞務者に對する物資が潤澤に外よりも餘計に行つて居つたやうな事實がございましたでせうか、若しそれがあつたとするならば、私は民間林業勞働者の爲に、是は聞捨てにならぬ言葉だと思ひます、此の點を一つ明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=36
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037・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 實は各營林署毎に特別な會計で、之等に對しまする食糧なども營林署に與へて居つたが、一年ばかり前から是等を全部直しました、其の場合に於きましては、民間よりは食糧其の他宜かつたことは皆さんも御承知であつたことと思ひます、或は衣料其の他に於きましても割合に宜く入り得たと云ふことは、是等の營林署に於ける事業ははつきり見透しが付くものですから、其のやうに入つて來たが、民間は少かつた、今後終戰後の放出物資に當りましては、全部一致して出來るやうになりましたから、御説にありましたやうな勞働賃金の差も以前より少くなつたと云ふやうに申したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=37
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038・氏原一郎
○氏原委員 進駐軍關係の製材をする場合に於ても、先月分の所謂出勤の勞務日數に對して、各縣の食糧課から加配米を貰つて居る、國有林の關係だけは何でせうが、要するに今まではさう云ふ風な出務の實績に應じて豫定の數字を出して、それでやつて居つたのでございますか、さう云ふことをやつて居つたとするならば、私は大きな問題になると思ひますが――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=38
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039・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 之に付きましては尚ほ能く調査して報告致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=39
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040・氏原一郎
○氏原委員 いつまでに御調査、御報告下さいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=40
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041・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 成べく早い機會に――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=41
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042・氏原一郎
○氏原委員 以上を以ちまして基本的の問題を一應打切りたいと思ひますが、それでは林業會法に關聯して御尋ねを致します、第一が本法案提出と同時に、森林法其の他森林行政に關する諸法律に對する改正を行はなかつた理由は、本法が暫定的な措置としての法律であると云ふ所に基因を致しまするものでございまするか、其の點を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=42
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043・平川守
○平川政府委員 森林法の方は本法が出來ましても、特に改正を致す必要はないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=43
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044・氏原一郎
○氏原委員 林業會の表決權の問題でございまするが、林業會が出來上りました場合に於ける形は、大體例へば東京都に例を取つて見まするならば、東京都森林組合聯合會、東京都木材林産組合聯合會、東京都「ベニヤ」工業組合、或は東京都製材林産組合聯合會、特殊林産物加工林産組合、特定需要者代表、斯う云ふものが集まりまして、東京都林業會を結成する、斯う云ふやうに解釋をして宜しいのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=44
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045・平川守
○平川政府委員 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=45
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046・氏原一郎
○氏原委員 此の場合に於ける表決權の問題に付て、政府當局は、他の議員の質問に答へて、此の場合に於ても森林組合の表決權が林産組合の表決權とは常に一對一になるやうにするのであるから、森林組合は決して是が爲に數に押されて、森林組合の立場を本質的に失ふやうな結果にはならない、斯う御答辯になつて居つたのでございますが、此の點に付ては林業會法と云ふ法律は、是は團體法であると云ふことを政府も御説明になつて居りました、是が團體法であると致しますならば、一個の單位としての構成員たる地位を認められて居りまするものに對して、表決權を與へないと云ふことは、私は團體法の精神から考へましても不合理ではないかと考へまする、而も其の場合に於て、是等の總ての個々の構成團體に對して、一つ一つの表決權を與へると云ふことになりまするならば、森林組合と云ふものは數に壓倒されて結局其の立場を守ることが出來ない、斯う云ふことになるのでありますが、此の二つの矛盾を具體的にはどう云ふ風に御解決をなさるのか、此の森林組合と林業會内に於ける幾つかの林産組合、それとが一つの世帶になつた場合に、五つの林産組合に對して、一個の森林組合に對すると同樣に一つの表決權しか與へないと云ふことが、どう云ふ處置に依つてなされるのであるか、此の點を御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=46
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047・平川守
○平川政府委員 此の第二十二條に林業會の總會の構成を書いて居るのでありますが、只今の説明のやうな場合に於きましては、森林組合聯合會は其所屬の組合の業務を執行する役員の中から議員を選出することも出來る譯であります、隨て御話のやうな場合には、森林組合聯合會側は五名の議員を選出する、又林産組合は縣單位の林産組合から議員を一人づつ出すと云ふやうにすれば宜いと思ひます、詰り森林組合聯合會の側を代表致しまする議員は、森林組合聯合會の役員から出しても宜しうございますし、又其の所屬會員である所の單位組合の役員から選出しても宜いと云ふことになつて居りますので、定款を定めます際に、其の選出數を林産組合側の數と睨み合せて平均の取れるやうに、定款で定めれば宜い譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=47
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048・氏原一郎
○氏原委員 先程保留して置きました戰災復興院に對する質問を致したいと思ひます、戰災住宅の復興が政府の計畫の如くに進捗せぬ所の第一の隘路は何かと云ふ問題に對しまして、世間一般には之を第一に木材界に責任がある、要するに木材が十分に供給されないと云ふことに原因があるかの如くに應へて居るのでありまするが、戰災復興院と致しましては、一般世間の常識の通りに遲々として運ばざる所の此の戰災住宅の復興と云ふことは、木材界に其の責任ありと御認めでありませうか、それとも他の副資材、勞力、其の他のものの責任が、木材の十分に供給されないと云ふことよりも大きい原因となつて居ると御考へでありませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=48
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049・大橋武夫
○大橋政府委員 復興住宅の計畫通り促進されて居りませぬ理由と致しましては、色々な事情があると存じます、是は資材の面に於きましても、單に木材ばかりでなく、木材の他に種々の材料、即ち「セメント」、釘、屋根材と云ふやうな總ての材料が不足を致して居ります、さうして材料ばかりでなく、又勞務の面に於きましても必要なる大工、左官其の他の建築關係の勞務と云ふものが、必要なる場所に十分に得られないと云ふやうな事情もある譯であります、更に此の資金の面に於きましては、御承知の通り新圓以來色々窮屈に相成りまして、封鎖預金の解除に致しましても限度がありまするし、其の許されたる限度に於きましては、今日の物價から見て、建築費の総額を支辯することは困難であると云ふやうな事情もございます、尚ほ其の以前に於きましては、建築資金の主要なる部分になるべき筈でありました所の戰爭保險が押へられて居ると云ふやうな事情も、此の資金面に於ける遲延の原因をなしたと思ふのでございます、巷間どう云ふ風に傳へられて居るかは存じませぬが、復興院と致しましては、此の住宅の計畫通り進みませぬ原因と致しましては、單り資材ばかりでなく、資金、勞務總ての面から來て居るのでありまして、是は又相互に關聯性もあり、或る部面が解決せられますると、自然色々な面も解決されて行くと云ふやうな點もあると思ひまするが、最近に於きましては、進駐軍の關係で木材の輸送が制限せられて居りまするが、併しそれと同時に先に申上げましたやうに、勞務の不足、此の勞務の不足は食糧問題から來る部分が大きいのでございます、それから資金の面と致しましては、封鎖預金の解除の限度が住宅の建築に付ては一萬圓と云ふことになつて居ります、是では中々住宅が建たない、要するにどの點だけが特に主だとは考へませぬ、全般的に見て總ての條件が好くなかつた、斯う云ふ風に見て居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=49
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050・氏原一郎
○氏原委員 此の件に關しまして此の委員會で御尋ねしますことが適當であるかどうかは分りませぬが、御出席の機會に伺つて置きたいと思ひます、住宅營團の問題でございますが、折角色色な犧牲を拂つて木材業者から資材を提供致しましても、住宅營團が之を有效にこなすことが出來ない、さう致しまして、本年の梅雨期等に於きまして、私共の方の住宅營團では相當尊い木材資源を唯積放しに致しまして、腐らしてしまふと云ふやうな事實がございます、そして又住宅營團は如何にも官僚的な組織でありまして、本當に戰災者の爲に住宅を建てると云ふことに付て、それ程成績を擧げないと云ふのが、是は一般的の非難の聲であるかの如くに存じます、私共は斯う云ふ點に付ては將來住宅營團と云ふやうな、政府監督下にあります所の斯う云ふ組織は、もつと機能を發揮するやうに、其の内部的な刷新強化を圖ると云ふことが最も妥當であり、其のことが結論として戰災復興の資材を浪費しないで、有效に使ふ途ではないかと考へるのでありますが、政府は此の點に付てはどう御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=50
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051・大橋武夫
○大橋政府委員 住宅營團は戰災復興の住宅建設の面に於きまして、政府と致しましましては相當大きな部分を擔當することを期待致して居りましたことは御承知の通りでございます、此の住宅營團の事業に致しましても、やはり他の住宅建設事業と同樣に、資材勞務、資金等の面から、色々不都合な事情に禍ひせられまして、豫定通り建設が出來なかつたことも御指摘の通りでございます、是は住宅營團だけの責任ではなく、客觀條件が極めて不利であつたと云ふ點も大きな原因とは思ひますが、併し最後に御指摘になりましたやうに、住宅營團の今日の行き方と云ふものが或は適當でなかつた面がありはしないか、特に住宅營團に付きましては、政府と致しましても、他のものと違つて出來るだけの支援を致して居つたのでありますが、それがやはり他と同じやうに、十分な成績を擧げ得なかつたと云ふ點に付きましては、住宅營團の内部の構成とか云ふものに付きまして、今後相當研究の餘地があると云ふことを示唆して居るものと思ふのでございます、斯樣な事情でございまして、政府と致しましては、成べく早い機會に住宅營團の改革をやりたいと云ふので、只今復興院に於きまして、其の方の嚴重なる調査を致して居ります、近い機會に具體的な案を具體的な措置に依つて御示しする機會があらうと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=51
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052・氏原一郎
○氏原委員 全國百二十の戰災都市の戰災燒失面積は一億六千萬坪に達すると聞いて居りまするが、是等の戰災都市の復興に當りましては、今後色々な條件から相當廣面積の「グリーン・ベルト」の設定が豫定されて居ると聞いて居るのでございます、此の「グリーン・ベルト」に對して如何なる、樹種を植栽し、さうして之を都會に於ける薪炭材料として利用し得るやうな方向に導くのか、或は又果樹、柑橘等を栽培することに依つて、都會地に於ける食糧給源としての考へ方を取るのか、色々な考へ方が考へられると思ふのであります、又氣候風土等に依りまして一つの都市に於てはAの樹種を植裁するが、又他の都會では異なつた樹種を植栽する、此の戰災地域に於ける「グリーン・ベルト」の設定の計畫と云ふものは、是は戰災復興院に於ても相當重要な問題として取上ぐべき問題ではないかと私は考へるのでありますが、之に對して現在御立てになつて居ります御計畫を明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=52
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053・大橋武夫
○大橋政府委員 緑地に付きましては、只今御述べになりましたやうな趣旨を以ちまして、復興院と致しましても、此の機會に出來るだけ都市の周邊乃至大都市に於きましては、之に放射的に入つて來る緑地を作りたい、斯う云ふ風な計畫の下に各地を指導致して居るのでございます、此の緑地に付きましては、法律的な措置と致しましては先般御協贊を得ました特別都市計畫法に於きまして緑地に關する規定を設けたのでございまするが、其の内容と致しましては、差當り緑地帶に指定せられました土地に於ける建築物、其の他の工作物の制限を致したのでございます、是は此の制限に依りまして此の地帶が長く緑地的效果を維持することの出來まするやうに、緑地の效果を妨げるやうな工作物、建築物を禁止すると云ふ趣旨でございます、尚ほ此の緑地に指定になりました所に、將來如何なる施設をして緑地としての效果を益益發揮させるかと云ふ點に付きましては、目下各都市共にそれぞれ愼重に考慮中でございます、此の點は御指摘になりました通り、それぞれの都市に於きまして、それぞれの都市の實情に照して相應しい計畫を立てて來るべきものでありますし、又復興院と致しましても出來るだけさう云ふ趣旨を以て指導を致しまして、是が利用に付きまして、畠なり田なり或は山林なり、それぞれ如何なる利用をして行くか、又どれだけ今までの利用を變へて行くかと云ふやうな計畫に付きましても、出來るだけ懇切に指導したいと思つて居ります、此の指導に付きましては相當專門的な調査が要りますので、目下指定せられた緑地の將來の利用方法に付きましては、當院と致しましても特に專門家の意見を聽く等の方法を講じまして、今後とも出來得る限り完璧なる研究を致しまして、將來の緑地の活用に資したいと存じて居るのでございます
尚ほ緑地に如何なる土地を指定するかと云ふ點に付きましては、大都市に於きましては、大體其の都市の周邊に「ベルト」を作り、又其の「ベルト」から都市の中心に向つて放射的に市街地へ緑地が割込んで來る、其の緑地に依つて其の大都市に於ける市街地が幾つかの集團に分れ、それぞれが獨立した性格を持つと云ふことの出來ますやうに、計畫を指導致して居るのでございます、東京都、大阪等に於きましては、或る程度是が圖上に於て決定せられて居るのでございます、中小の都市に於きましては周邊に「ベルト」状の緑地を指定すると云ふことの必要性が大都市程緊要ではありませぬ、主として市内適當な箇所に緑地を散在させて、公園、運動場、森林其の他適當な利用をさせるやうにしたい、斯う云ふ方針を持つて居ります、大體緑地として利用します面積は、都市の總面積の十「パーセント」内外と云ふ目標の下に土地區劃整理の計畫を指導を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=53
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054・氏原一郎
○氏原委員 復興院の方にはもう濟みました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=54
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055・森幸太郎
○森委員長 午後は二時半より再開致しますことに致しまして、それまで暫時休憩を致します
午後零時十八分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=55
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056・会議録情報2
――――◇―――――
午後二時四十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=56
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057・森幸太郎
○森委員長 午前に引續き開議致します――氏原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=57
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058・氏原一郎
○氏原委員 基本的な問題が一、二落ちて居りましたから御尋ね致します、最近の林材新聞の報道に依りますと、縣の赤字財政補填の爲に木材税が登場したと云ふことを報道して居りますが、是は戰爭中に於ても所謂木材税と云ふやうな構想が方々の府縣に於て考へられて居りましたけれども、實現の運びには至つて居りませぬでした、此の木材税と云ふものの内容は十分にはつきり致しませぬけれども、若し曾て戰爭中に構想されて居つたやうな木材税が茲に各府縣に於て獨立税として登場して參りますと云ふことは、特に森林縣に於ては其の影響が相當大きい問題だと考へなければならぬと思ひます、農林當局は此の木材税の登場に付てどう云ふ御考へを御持ちでありませうか、御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=58
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059・平川守
○平川政府委員 木材税を、地方に依りましては縣の赤字財政補填の爲に許して居るやうな噂は聞いて居りますが、未だ正式に話はございませぬ、私共の考へと致しましては、現在の公定價格を以て出來得る限り安く消費者に木材を供給しなければならぬ、一面に於て木材の生産費は非常に高く付いて居ると云ふ場合に於て、斯う云ふ種類の税金は困難ではなからうか、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=59
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060・氏原一郎
○氏原委員 曩に製炭業者に對する課税問題が起りまして、木炭生産縣側に於て是が大きな問題として取上げられました結果、此の製炭業者に對する課税が木炭生産の大きな障碍となりました事實がございます、恐らく木材税と云つたやうなものが登場して參りますと、森林縣に於ては相當有力な財源となるでありませう、と同時に、反面是が木材界に與へる影響と云ふものは相當大きなものになると思ひます、隨ひまして此の問題に付ては特に農林當局は所謂森林行政官廳としての建前から、地方自治體等が單なる赤字補填と云ふやうなことの爲に此の問題を取上げると云ふことと、もう一つの面に於て、林業の振興發達と云ふ面から考へた双方の重さを比較せられまして、最も妥當適切である所の方策を取急いで全國的に御執り願ひたいと云ふことを此の際希望致して置きます
次に本年六月の八日及び十三日に和田農林大臣と木材需給聯盟の幹部の方方との會合の際に、農林大臣は森林組合を含めた統一的な林業團體法案を來議會に提案する、斯う云ふ言明をされて居るやうでございますが、此の森林組合を含めた統一的な林業團體法案と云ふのは今囘提案になつた林業會法とは全然別個なものでございませうか、此の點御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=60
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061・平川守
○平川政府委員 此の問題に付きましては、大臣が來議會に必ずさう云ふ案を提案すると言明したことはないと云ふことを申して居られたのですが、本林業會法案は其の御話の對象になつて居りました統一的な林業團體法ではないのであります、是は稍稍暫定的な意味を持つて居りますので、將來出來得る限り早い機會に於て森林組合を含めた林業團體に關する根本的な制度と云ふものを確立したいと云ふ希望を申述べられたと云ふことを伺つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=61
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062・氏原一郎
○氏原委員 七月十一日の日附のある新聞に、日木社の商事會社への居殘りは、其の企圖する所が五、六の點にあると云ふことの中に、新會社は其の運轉資金二千萬圓乃至三千萬圓を農林中央金庫から融資を受けると云ふことが一つの目的であり、同時に進駐軍用林に關する中金からの融資約五萬圓は、之を特別會計とすると云ふことを構想して居つたやうでございますが、此の日木の變身とも云ふやうな、詰り日木の株主を主として新商事會社の株主とする會社がここに生じて來る、さうした場合に果して此の會社に對し農林中央金庫から運轉資金の融通をなし得るものでありますかどうか、第二は進駐軍用材の調辨に關して日木の變身である新しい商事會社が出來なければ此の進駐軍用材の調辨と云ふことは不可能あでると云ふ見透しであるか、此の二つの點を此の問題に關聯して御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=62
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063・平川守
○平川政府委員 其の御話は現在の日木が中金から融資を受ける、其の融資を受けた資金を以て新しい會社の株券の拂込に當てると云ふやうな計畫を致したやうであります、中央金庫は林業或は林産業に對しまして資金を融通し得る譯でありまして、現在の日木も融資を受けて居るのであります、さう云ふ意味に於ける融資は受けることが出來ると思ひます
それから進駐軍用材の問題に付きましては、大體是は九月までに完了すると云ふ見透しを以て仕事を進めて居ります、現在急に切替へを致すことは、供出上不便を來しはしないかと云ふので、現在の日木に引續いて是だけは完了させる、九月一杯に大體完了させる、其の以後に於て解散をさせる積りで居ります、新しい會社に對しましては、是は進駐軍用材を現在のやうに一手に請負はせると云ふやうなことは致さない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=63
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064・氏原一郎
○氏原委員 日木の變身として生れまする所の商事會社に對して、若し假に農林中央金庫からの融資が可能であると致しまするならば、今後外材輸入組合でありまするとか、色々な本法に依りまする所の林産組合の施設が生れた場合に於きましても、それ等の總ての團體は、平等の權利を持つて農林中央金庫から其の運轉資金の融資を受けることが出來ると、斯樣に解釋して宜しいでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=64
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065・平川守
○平川政府委員 此の法案に於きまして林産組合になりまするものは中央金庫に參加を致させますから、今の御話の組合のやうものが、林産組合として成立を致します場合には、中金から融資を受け得ることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=65
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066・氏原一郎
○氏原委員 それでは元へ戻りまして、本法に直接關係のある事項に付て御伺ひ致します、森林法第六十二條、同第七十條の規定は、本法第四條第一號から第五條までの業務を、森林組合が單獨で營むことを得るものと解して支障はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=66
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067・平川守
○平川政府委員 一寸條文を聽き洩らしましたが、其の第四條の事業と同じ事業と云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=67
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068・氏原一郎
○氏原委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=68
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069・平川守
○平川政府委員 森林組合は森林所有者の爲に、此の第四條の第一項にありまするやうな事業を行ひ得る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=69
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070・氏原一郎
○氏原委員 然らば本法林業會法第六十七條には、林産組合が法第四條に依つてなし得まする所の「林産組合は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる」と云ふ等二項の一、二、三を認めてありまするが、森林組合に對しては、斯う云ふ業務を當然なし得る所の法的根據が何處にございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=70
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071・平川守
○平川政府委員 森林組合に付きましては、現在の所斯う云ふ風にはつきり政府の統制に協力を致すと云ふやうな規定がございませぬので、是は場合に依りましては、勅令等で規定を致す必要があらうかと思つて居ります、現在の所でははつきりと之に該當する條文はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=71
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072・氏原一郎
○氏原委員 そこで、先刻の私の質問に對する政府當局の御答辯が非常な食違ひを來す譯であります、先刻私が、政府は一體森林組合を蛇の生殺しで殺して行くのか、それとも之をもつと強化して助成を加へるものかと言ひました時に、決してお前のやうな考へ方は持つて居ない、斯う云ふことを申しましたが、新しく生れまする所の林産組合と云ふものに對しては、法律に於てなし得る所の仕事の範圍と云ふものを、森林組合のなし得る範圍よりも非常に廣い面に於て認めて置いて、森林組合に對しては、法では之を明かにしないで、勅令で以て場合に依つては指定をする、斯う云ふことを申しますることは、本質的に言ふならば、政府は森林組合と云ふものを保護育成すると云ふ肚がないと云ふことを、此の問題に於て明かに暴露したことになる譯であります、所が林業會法第四條第二項に該當致しまする林業會がしなければならない、政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當、林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力、政府の指示に基く林産業に必要な物資の割當、是等の事柄は少くとも林産組合に於て非常に重要な問題であると同樣に、森林の資材の直接生産者であり、根本でありまする所の森林組合に於ては、更により以上是は必要でなければならないと云ふことになるのであります、然るに本法に於て林産組合に對しては、是等の廣い仕事をなし得る所の條文を設けて置きながら、森林組合に對しては、場合に依つては之を勅令に依つて認めると云ふやうなことは、是は森林組合を繼子扱ひにすると言つても一言の抗辯の餘地はないと思ひます、此の點に付てもつと具體的に、どう云ふ譯で林産組合には斯う云ふことを認めるが、現行森林法に斯う云ふ條項がないとするならば、同時に森林法の改正を行つてでも、林産組合と森林組合とが平等の立場に立つて仕事をやつて行けると云ふやうになさらないのか、此の點を明確にして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=72
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073・平川守
○平川政府委員 森林組合の本來の目的が森林の維持造成にあると云ふ關係から致しまして、森林組合に付きましては、斯樣な第二項にありますやうな事業を行ひますことは――寧ろ此の第二項は林産物に對しましての自主統制を行ひます所の、何れかと申せば臨時的な立法であります、第一項の方の恆久的な本來の組合の目的とする事業とは、多少性質を異に致して居ります、森林組合に付きましては、森林の維持造成と云ふ點に主眼があります爲に、其の點を規定致しました現在の森林法で一應滿足を致した譯であります、但し共同施設のやうな事業に依りまして、出資森林組合が林産物の運搬、加工、販賣等を致します場合もある譯であります、さう云ふやうな場合に於きましては、森林組合の運用に依つて是等に付ての政府の施策に關する協力は、固より出來ると云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=73
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074・氏原一郎
○氏原委員 益益議論が昏迷に陷りましたが、森林法の規定の上に於ては、森林組合は明かに茲にございます通り第七十條に依りまして、組合又は組合員の生産したる森林産物の運搬、加工、保管及販賣に關する施設をなすことが出來ると云ふ風に明確にされて居ります、之を今の平川さんの仰しやるやうに、森林組合と云ふものは、唯單に森林の維持造成と云ふものが基本的の目的であつて、それ以外の森林産物の運搬、加工、保管販賣と云ふやうなことは主たる目的ではないと云ふことは、洵に怪しからぬ議論ではないかと思ふ、森林法と云ふ基本的な法律の上に森林組合がなし得る限度を決めて置いて、法律にはさう決めてあるけれども、森林組合はそこまで事業をすべきものではないと云ふ御答辯は、洵に其の意を解するに苦しむ所であります、隨ひまして森林法第七十條が單なる運搬、加工、保管茲に販賣に關する施設をなすことが出來ると云ふことになりますれば、政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當、林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力、及び政府の指示に基く林業に必要な物資の割當、是等の事柄に對しては森林組合も林産組合と同一の權利を持つて、同じ壓力を持つて、經濟安定本部の指示に對して、場合に依りましては之に異議を唱へ、或は場合に依りましては之を是正すると云ふやうなことまでの力を、林産組合だけでなく、森林組合も是は持つのが當然だと私は考へる、斯う云ふ點から考へますると云ふと、第一項の林業會の目的と云ふものは副次的なものであると云ふことそれ自體が、是は森林組合も林産組合もそれ程自主的な統制をしないのであつて、經濟安定本部の基本的な方針を天降り的に押付けるものであるからして、森林組合、林産組合がそれ程の權力を持つて居らなくても宜い、法的根據を持つて居らなくても宜しいと云ふことを、反面に於て言はうとして居るものではないかと云ふ風に私共は考へるのであります、隨ひまして私は少くとも林産組合が此の法第四條の第一項に掲げてありまする事柄を事業の目的として擧げられまする以上は、森林組合にも同樣に此の法第四條の第二項に屬しまする所の業務を執り行ひまする法的根據を示して置くことが當然でありまするが、此の點に對してはしつこいやうでありまするけれども、尚ほ重ねて御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=74
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075・平川守
○平川政府委員 是は副次的な目的であると云ふ譯ではないのでありまして、臨時的な仕事であります爲に、第二項の方に掲げてある譯であります、森林組合に於きましては、固より森林法の中に何れもの事業が出來るやうに相成つて居りますが、是は法律の文面上さうなつて居ります、併し本來の目的は森林の造成にあると云ふことを申上げたに過ぎないのでありす、併しながら此の森林組合が斯樣な事業を、販賣等の事業を行ひ得ることは、明かに森林法に認められて居る所でありますから、之に伴つて實際上の組合員に對する林産業に必要な物資の割當を致しますとか、或は價格統制に關して政府の施策に協力を致しますとか、配給の割當を致しますとか云ふことは、實は私共は此の森林法の七十條の根據に依りまして、定款等を以ても定め得ると考へて居つたのであります、併し御話の如く、之を法的に明かにする必要があると云ふことも御尤もと思ひますので、それは勅令等を以て規定を致したい、斯樣に先程甲上げた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=75
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076・氏原一郎
○氏原委員 此の問題に關聯をして、私は實際問題として、森林組合が本法に依つて、斯う云ふ仕事をなし得ることの法的根據を持たないと云ふことが、實際問題として將來障碍になることを豫想致して居ります、現にさう云ふ情勢が現はれて居ります、と申しますのは府縣に依りましては、此の製材業の企業許可と云ふやうな場合に當りまして、府縣の林務課或は林業課が之に對する所の調査をする前に、製材業者と木材業者を以て組織せられて居りまする所の團體に對して、先づ此の出願に對して之を許可するのが妥當であるかどうかと云ふことを諮ります、さうして高知縣の方では木材生産組合と申して居りますが、其の木材生産組合が裏書を致しませぬ限りは、例へば森林組合が、豫算其の他の關係上之を製品化して搬出すると云ふやうなことの便宜から、山元に於て製材をやらう、製材工場を新設しようと云ふ場合、常に木材生産組合、今度新しく法律が出來ますれば、當然林産組合になるのでありますが、さう云ふものに依つて牛耳られて居ります所の團體が、故らに森林組合の共同施設に對しては、之を肯定しないやうな問題が澤山起つて居るのであります、實際問題として言ふならば、私は今日の日本の輸送状況から考へて、山元の生産地に於て之を製品化する、又先日永井君の質問にもありましたやうに、森林加工設備の配置轉換と云ふやうなことからも、是は眞劍に取上げて考へなければならぬ問題でありまするが如くに、どうしても此の場合に於て森林組合と云ふものが森林法の第七十條に依つて當然認められました所の事業を今後擴充して行きまする場合に此の規則がないと云ふことは、非常な不利益を招くと云ふことが豫想されるのであります、此の點に付て私共は飽くまでも林産組合も森林組合も一つのものにして、兩者が相倚つて日本の林業の發展の爲に、森林資源の造成の爲に努力しなければならないと云ふならば、一方に對しては事業の目的が法律に明示せられて居り、一方に對しては、それの事業目的が明示されてないと云ふ行き方は、是は甚だしく面白くない結果を招くと云ふことを考へまするが故に、此の點に付ては深く御考へを願ひたいと思ひます
次に法第九條に關聯してでございますが、此の問題に付きましては、同僚の委員の方々から屡屡發言がございまして、當局の答辯も伺つたのでありまするけれども、本質的に是は私共諒解をし難いのであります、即ち都道府縣を區域とする森林組合の聯合會と、都道府縣の區域を地區とする林産組合、さうして前二號に掲げる者を除く外林業を營む者、若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者、又は是等の者の團體で定款で定めるもの、之を會員の資格とせられて居りますが、此の會員の中に全森林勞務者の團體を何が故に正式に構成員として認めなかつたのであるか、諄いことは申上げませぬけれども、木材價格の決定に致しましても、木炭價格の決定に致しましても、尚又本法第四條の林業の指導奬勵に關する施設、會員の林業の改良發達を圖るため必要な共同施設、林産物の檢査、林業に關する調査及び研究等々の本法の目的を達成致しまするが爲に、果して森林組合聯合會若しくは林産組合だけの力を以て今日是がやれるかどうか、木材價格の八五%以上は勞銀でないかと云ふことさへ言はれて居る、而も其の林業の改良發達を圖ると云ふことは、如何にして生産「コスト」の中に含まれて居る所の勞働賃金を安くあげるのか、言換へて言ふならば、能率を高くし得るのか、或は技術の練磨をどうすればうまいことになるのかと云ふやうな事柄が、どうしても根本的な問題になると思ひます、そればかりでなく、本法の目的は「マッカーサー」司令部の指令に依りまして、木材統制法と云ふ戰時中の官僚統制の機構を打破致しまして、新しい時代に即する所の産業民主化の建前から自主的な民主的な統制を一應やつて行かうと云ふのが、本法の根本目的であると云ふことを私共は肯定致します、左樣致しますならば、産業民主化の建前から申しましても、此の林業に從事致して居ります所の百七十萬人以上の兼業或は專業の勞務者の意思と云ふものが、此の林業會の組織の中に浮き出て居ないと云ふことは、是は私は非常な缺陷だと思ふ、先日平川政府委員は、是等の勞務者の團體に付ては特別議員の制度があるから、其の中で考慮すると申して居ります、是は今までの官僚は何時の場合も勤勞階級に對して其の場を胡麻化す爲に御使ひになつた言葉でありまして、少くとも本法の制定目的であります所の産業民主主議の基本的原則の上に立つて考へまするならば、百七十万萬の勞務者の意思を反映し得ないやうな林業會であつては絶對にいけないと私は考へる、政府は此の際第九條の第三項の林業勞務者の團體をどう云ふ譯で資格ある會員として認めることが出來ないか、認めることが出來ないとするならば、何が故にそれを認めることが出來ないのか、此の點を一つ十分に納得の行くやうに御説明願ひたいと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=76
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077・平川守
○平川政府委員 先程の森林組合に對する統制事業の權限に付て、法規に明文がないと、實際の運用上間違ひを來すぢやないかと云ふ點は非常に御尤もと存ずるのであります、私共も實は之に付きましては本案が假に通過致して施行致します場合に於きましては、明確に森林組合が是等の事業をなし得ると云ふことを各地方にも周知せしめたいと考へて居つたのでございます、之を法文に明記すると云ふことに付きましては、先程申しましたやうに勅令等で考慮致したい、尚ほ其の運用に付きましては御話の點十分誤りのないやうに致したいと思ひます
それから第九條の第三項に勞務者の團體を入れよと云ふ御意見でございますが、本案は從來森林の造成或は林産物の生産、販賣に從事致して居りました事業主の團體を結成致しまして、此の事業主の間の自主的な調整を圖ることに依りまして是等の目的を達したい、斯樣に考へた法案でありまして、勞務者の立場に付きましては、別途勞働組合なり、或は之に對する福利施設なりで片を付けて行きたいと差當りは考へて立案致した譯であります、併しながら勞務者の問題は森林生産上非常に重要なる地位を占めることは御説の通りでありますので、此の林業會に對しましても、差當り特別議員の制度の運用に依りまして、其の意向が反映致すやうに致したいと云ふことを御説明申したのであります、勞務者の團體を之に參加せしめることに付ては、從來さう云ふ考への下に地方の組織が出來て居りませぬので、急速にそこまで規定致すことは控へたのであります、尚ほ今後十分研究致しまして、勞務者と事業主との間の調整に付きましては考慮致したいと斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=77
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078・氏原一郎
○氏原委員 基本的に「スタンド・ポイント」が違ひます、政府委員の御答辯は甚だ不滿足でありますが、從來の事業主團體と申しまするけれども、成程森林組合聯合會と云ふものは以前から法的に存在して居つた、所が本法に依る林産組合は、本法が施行されて初めて法的に生れる團體でありまして、是は元からあつた團體ではない、今まであつた團體は、恐らく本法が生れると同時に解消さるべきものである、勞働組合は既に勞働組合法に依つてそれぞれ其の結成を終つて居る、私が言ひたいのは、本法は團體法であるが林業に關係のある凡ゆる業者及びそれ等の團體が協力して本法の第一條に明記致しました所の會員が協同して自主的に林業の改良、發達竝に林産物の生産の確保、及び配給の適正を圖る目的の爲に新たに生れたのであります、何も元からあつた團體ではない、古いとか新しいとか云ふことを言ふならば、勞働組合は既に法的根據に立つて生れて居る、農林省の職員組合が農林省の人事のことに付てまで、職員組合の參加を要求すると云ふことを考へると同樣に、林業關係の勞働組合が、林業の改良、發達及び生産の確保の爲に出來る團體に對して、産業民主主義の建前から勞働組合の都道府縣別の一つの聯合體を以て參加を要求することは私は當然のことではないかと思ふ、又それだけのことをしなければ本當に林業會法の目的は達成出來ないのではないか、相も變らず事業主だけと云ふやうなことを考へて居つたのでは私はいけないと思ふ、殊に政府の指示に基く林業に必要な物資の割當と云ふことがございますが、ぶちまけて申しますると、從來林業勞務者に對する物資の割當等は、例へば春山増産、冬山増産と云ふ名目の下に、政府が非常なる困難を切拔けて酒の配給をする、地下足袋の配給をする、それが林産物檢査員等の手を通じて實際に勞働者に渡されて居る、所が冬山増産の労働者に渡るべき酒が、林産物檢査員の手から横流しをされ、或は地下足袋が林業勞働者の手に入らなかつたと云ふ事實は、私は隨分澤山押へて居る、隨ひまして斯う云ふ面から言つて、若しも少くとも本法が暫定的なものである、殊に「林業會は前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。」と云ふ第四條第二項の事業が、經濟安定本部存續期間中の暫定的な仕事であると致しますならば、それだけどうしても仕事をするに付て勞務者の參加と云ふことを閑却することは絶對出來ませぬ、是はあなた方東京に居られますから御分りにならぬでせうけれども、四國の山の中で默默として木を伐つて、炭を燒いて居る勞務者に政府が割當てた物資が何「パーセント」著いて居るか、製炭用加配米が凡そどう云ふ風に著いて居るか御存じないのが本當である、そこに今後の日本の産業民主主義と云ふ公式論的な建前でない、本當に此の法律に依つて目的を現實に達成する爲にはどうしても勞働團體の參加と云ふことが絶對的條件でなければならぬと思ふ、それで私の意見と政府の意見とがどうしても食違ふと云ふなら已むを得ませぬが、政府は勞働團體の參加を認めることが何か差支へでございませうか、此の點を御伺ひ致します、出來ますならば農林大臣がお見えでありますから、大臣からでも御答辯願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=78
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079・和田博雄
○和田國務大臣 此の林業團體を作ります時に、御話のやうな勞務者の問題は是は林業全般を考へまする時に、やはり一つの問題として當然考ふべき問題だと思ふのでありますが、唯斯う云ふやうにここでは考へたのであります、勞務者の團體の此の林業會への參加と云ふ形を、我々と致しましては是は特別議員と云ふものがありますので、それ等の特別議員と致しまして、勞働者の團體の代表者と云つたやうなものに入つて戴いたらどうだらうか、斯う云ふやうに上の方では考へた譯であります、それから個々の製材なり何なりに付きましては、是は製材工場其のものに居りまする勞働者が、勞働組合か何かあるのでありまするならば、それは一つの經營協議會と云ふやうな形に於て、其の業態自體の改良發達、又勞働者の地位向上、生産能率の増進と云ふやうなことを經營協議會の形で、そこで寧ろやつて行けば宜いのではないだらうか、斯う考へた譯であります、それから一番下の森林に直接働いて居りまする林業勞働者に付きましては、是は兼業の者があり、又專業の者があり、其の形態が中々是は御承知のやうに色々ありまするので、是等の點に付きましては、今暫らくさう云ふ者の自然的な組織化又は其の發達と云ふことと見合せまして、さうして、是は今後の問題として、政府に於ても研究を怠らずに、適當な施策を必要でありますれば、將來に於て考へたらどうであらうか、斯う云ふ實は態度を執りました譯でございます、何も勞働者團體其のものであるからと云ふことで一應之を列外に置いたのではございませぬで、現在の木材なり何なりの生産配給其の他の點を圓滑にやります上に於きまして、先づ差當つてそれに從事して居る業者と森林消費者との協力と云ふことを主體に致しまして、勞働團體の方は、今私が言ひましたやうな形に於きまして、之に參加して御協力を願つて居るのであります、又それぞれの林業會部内に於て實際上の改善を圖つて行くと云ふやうに、一應此の法案としては考へたやうな譯でありますから御諒承を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=79
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080・氏原一郎
○氏原委員 今農林大臣は勞働團體が十分に全國的な組織も出來て居ない、或は特に所謂林業勞働者等に付ては專業勞務者が多いので、中々急速にさう云ふ組織も確立することが考へられない、さう云ふやうなことを考へて、勞動團體と云ふものを此の會員たる資材を有するものの中から一應見送つた、斯う云ふ御話でありまするけれども、現實の問題と致しましては、一、二の府縣に於てさう云ふ事實はあるかも分りませぬけれども、大體に於て木材生産縣、林業の非常に盛んな府縣に於きましては、非常に急速な勢ひで勞働團體の全縣的な組織が進んで居ると思ひます、さうして個々の工場等に於ける經營協議會等で勞働問題などは、勞働條件等の事柄或は能率の増進と云ふやうな事柄は、協議をして行つたら宜しい、それはあなたから御聽きするまでもない、私共も一應それは認めまするが、併し道府縣林業會等に於きましては、是は斯う云ふ定款になるかどうか分りますけれども、政府は資料として私共に御配りになつて居りまするが、其の第二條に於て目的を達する爲に次の仕事をする、其の第五に「林業勞務者の確保、養成、訓練又は福利厚生の増進に關する施策」斯う云ふ一項を掲げられて居ります、恐らく私は各府縣林業會が成立を致しまする時には、此の政府の例案として示されたものが一應基礎となつて生れるのであらうと云ふことを豫想致します、左樣でありまするならば、此の林業勞務者の確保、養成、訓練と云ふやうなことは、林産組合を組織する所謂事業家と云ふ人々、或は森林組合を結成して居りまする所の森林所有者、さう云ふ人達だけで出來るでありませうか、實際問題としては斯樣な仕事は林業勞働者自體が自發的に積極的に是はやらなければ、目的は達せられないと云ふことが考へられるのであります、隨ひまして、私は飽くまでも此の法第九條の中に林業關係の勞務者の團體が會員として入るべきものであると云ふことを主張致したいのでありますが、併し之に對して、是れ以上御答辯を要求致しますることは困難かと存じまするので、御答辯がございませねば、それで宜しうございます
それから大臣が御見えになりました機會に、今一つ大切な問題に付て大臣の御答辯を伺つて置きたいと思ひますることは、現在國有林に對する官行斫伐の事業は、伐木造材から製材、製炭にまで及びまして、相當莫大な經費を使つて之をやつて居りますが、寧ろ斯樣な官行斫伐事業の在り方と云ふものは、今後成べく之を立木處分の方向に轉換を致しまして、さうして國が寧ろ其の持つて居りまする所の力を以て、現在の公有林野官行造林事業の範圍を擴張致しまして、民有林野に對しても官行造林事業をなし得るやうな方向に向つて、詰り斫伐事業と云ふものは專門的な業者の手に任して置いて、さうして國は寧ろ造林事業に本質的に力を入れて行くと云ふ方向を御執りになるのが妥當ではないかと云ふ私の質問に對して、政府委員かを、其の意見は大體に於て妥當である、又政府に於ても將來民有林に對する官行造林をなし得るやうな考への下に研究をして居る、斯う云ふ御答辯を戴いて居りますが、尚ほ此の問題は相當重要な問題であると存じますので、大臣から先刻の政府委員の御答辯に對して食違ひがないかどうかと云ふことを再確認を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=80
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081・和田博雄
○和田國務大臣 大體政府委員の答辯で宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=81
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082・氏原一郎
○氏原委員 最後に、此の林業會に對して或る府縣に於て森林組合聯合會が都道府縣の森業會に加入しない、或は又或る一つの森産組合が此の森業會に加入をしない、さう云ふやうな場合に於きまして、法第四條の第二項にありまする色々な經濟安定本部を通じて致しまする所の所謂統制ですね、是等のことはどう云ふことになるか、全部が入らないのではない、林業會へ林産組合の一部が入らない、或は森林組合だけが之に參加を拒む、斯う云ふやうなことになりました時に、其の府縣の林業會と云ふものは成立しないと見て、所謂官治統制をやつて行くのか、それとも一部だけのものが入らなくても、其の入つたもののみの林業會を合法的なものと認めるか、もう一つは、さう云ふ森林組合の一部なり林産組合が加入をしないものに對する物資の割當と云つたやうな事柄は、どう云ふ手を通じて之をやつて行くのであるか、此の問題に付ての御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=82
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083・平川守
○平川政府委員 此の林業會は、森林組合聯合會と、道府縣を單一區域と致します林産組合と、此の二つのものはどう致しましても林業會の成立の要件であります、森林組合聯合會が加入しないと云ふ場合には、林業會は出來ない譯であります、それから林産組合の方が一部の林産組合が參加しないと云ふやうな場合に於きましては、林業會は成立を致します、それかを其の成立を見ない場合若しくは參加しないものに對する物資の割當等の統制を如何にするかと云ふ點に付きましては、此の參加しない或は成立致しませぬ分に對しましては、臨時物資需給調整法が成立致しますれば、之に基いて直接に官治統制をやる、斯う云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=83
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084・氏原一郎
○氏原委員 尚ほ質問がありますが、農林當局の分は一應之を以て打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=84
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085・森幸太郎
○森委員長 木島義夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=85
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086・木島義夫
○木島委員 私は簡單でありますが、本法の基本とする精神に付て私は疑問を持つて居ります、手取早く言へば、此の法案は林業法と言うて居るけれども、一種の木材需給法若しくは林産物の需給法に過ぎないと思ふのでありまして、我々農民が最も關心を持つて居る所の森林組合と云ふやうなものは寧ろ除外されて居るやうな感があります、さうして本法の施行に依つて森林組合と云ふものは、場合に依れば畸形兒になつてしまふ虞があると云ふことを心配して居るのであります、仍て二、三の項目に付て先づ大臣の意向を伺つて見たいと思ひます
農林大臣は豫算委員會で農村工業に言及せられまして、其の必要を強調せられたやうであります、私も此の點に付て大いに敬意を表して居る次第であります、日本の農業は今囘の農地法に依りまして一層細分化されたので、どうしても今後多角立體的の經營を益益必要とする次第であります、仍て農山村に於きましても、此の農山村の工業化と云ふやうな意味合に於きまして森林組合の力をうんと附けて、さうして此の森林組合を、先程の政府委員の説明では、單に樹木の撫育植林等が森林組合の使命であるから、他のことは多く規定しなかつたと云ふやうな御答辯もあつたのでありますが、今日の情勢に於きましては、其のやうな考へでは到底農村は立ち行かないのでありますからして、森林組合に對して製材業は勿論、更に木材の加工業等をどしどし許可し又之を助成し、益益發達させなければならぬと私は信じますが、農林大臣の御所見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=86
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087・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、此の法律に依りまして森林組合の發達を私共は決して抑へて行く積りは毛頭ありませぬので、御話のやうな、又御意見に現はれましたやうな點に付きまして、森林組合と云ふものを今後助成し助長して行くと云ふことは當然考へて居ることであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=87
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088・木島義夫
○木島委員 大臣に於かれましてさう云ふ御考へを御持ちになつて戴いて居ることは大いに意を強うする所であります、併しながら過般の農林大臣の本法制定の理由の此の委員會に於ける御説明に於ても、本法は造林竝に木材の需給の適正を圖る爲に設けたものである、斯う云ふことを御説明になつて居られますが、本法を通覽致しまするに、殆ど造林等のことに付ては規定される所がありませぬ、又森林組合其のものに付ても殆ど三字か四字の文字が現はれただけであつて、それ以外に何等現はれたものはないのであります、林業に付ては何と言つても造林が根本であります、さうして山林の保護育成と云ふものが最も大切なものでありますが、此の事業の代表機關であるのは森林組合であります、所が先程申上げた通り森林組合の權限に付て何等の規定がないのであります、のみならず戰爭中に最も惡い面のみ多く現はれまして、山林を現在の荒廢状態にしてしまつたのでありまして、今後に於ける山林の囘復には一に森林組合の活動に俟たなければならぬのであります、然るに先程氏原氏からも御話があつた通り、森林組合は何か事業をやらうとすると、今までの木材業者が悉く邪魔をする、只今御話がありましたが、製材業をやらうと思へば直ぐ反對する、さうして地方に於ける林政當局は法規に根據があるかどうか我々は詳しいことは知りませぬが、何時も業者の意向を聽いたり何かして居る爲に中々捗々しく行かないのであつて、我々千葉縣等に於ても屡屡其の苦杯を嘗めさせられて居るやうな次第であります、是は一體農林省の指導が宜しきを得ない爲でありませうか、聞く所に依れば山林局長は十五割以下のものは森林組合でどんどん製材所を設けて宜しいと云ふことを數年前に通知して居るに拘らず、今日まで是が殆ど行はれて居らなかつたのであります、斯う云ふやうなことは洵に朝令暮改であつて、又農林省自體の縣の輕重を問はれる次第であります、そんな出來ないことを何故局長は通知を出したのであるかと云ふやうなことで非常に省の信用を傷けて居るのです、只今の大臣は恐らくそんなことはないと思ふのでありますが、どうしても森林の育成には利潤を山元へ還元しなければならぬ、それには林材一貫の作業を森林組合に依つて行ふと云ふことは、最も自然で最も合法的であると私は思ふのであります、農地法や自作農創定等の規定に依つて耕作權を確立し、之を絶對化し、從來小作料として現物給付をさせて居た小作米等も之を金納と致しまして、其の土地を持つた地主に現物を提供しないやうなことに法制化されたのであります、故に米麥等に付ては地主でさへ其の地代の報償として現物に得ることを拒否させて居るのである、然るに地方木材に於ては政府は戰時中統制會社をして、政府監督の下にあるとは言へ、此の一營利會社をして農民の木材を非常に安い價格、生産費を償はない價格で之を取上げたのでありまして、政府は時局に依る木材の急速なる需要を充す爲めとは言へ、是等特權機關に依り林業に對し掠奪搾取の政策を實行せしめたのであります、需給の圓滑を缺き林源を荒廢し、國民の怨府となつたのも當然の歸結と言はなければならぬと思ふのであります、昔から十年の計をなす者は先づ木を植えよと言はれて居るが、植林のことたる十年二十年の計にあらずして、治水灌漑等にまで思ひを致す時は、實に國家百年の大計である、然るに一部木材業者の進言に依るなどとまで噂されて居る本法を急遽制定し、聯合軍の指示に基く木統法廢止の空白を補充し、徒らに一時の易きに就いたと想像される本案が、果して當局の聲明せられる如き所期の目的を達成し得るや否や疑なきを得ませぬ、農地法等に於て極端とまで思はれるやうな社會的立法に勇敢な和田農相は、林政の面に於ては恐らく是と對蹠的存在の木統法と同工異曲の本法を制定して、林政の根本から逸脱遊離の觀あるは、私の了解に苦しむ所であります、政府は來る通常議會までに我が國林業の根本方針に立脚した健全且つ基本的な改正案を是非共提出せられ、此の兩頭の大蛇のやうな過渡的、微温的法案を改正し、我が國林政の方向を明示せられんことを切望する次第であります、若し政府にして此の方針を明かにして貰へぬ限り、我々は本法を其の儘通すと云ふことは良心的に躊躇せざるを得ないと思ふのであります、故に私は政府に於きまして必ず來るべき通常議會に、より良い決定的な林業法、而して此の森林組合が未だ發達の道程にある中途に於て啓示となり農民の方向を失ふことがないやうに、完全な立法をされんことを希望し、又其の御提出に對して確信があるならば言明を賜はれば非常に幸ひだと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=88
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089・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、此の法案は私は提案理由の時に詳しく御説明申上げたのでありますが、此の法案自體の中には森林組合の色々な奬勵なり其の他森林組合がなし得る事柄の規定は勿論ございませぬ、と申しますのは森林組合に付ては是は先刻御承知のやうに森林法の中に森林組合に關する規定がありまして、そこで組合としては組合員の生産した林産物の加工とか運搬とか色々なことが出來るやうになつて居りまして、又農林省と致しましては森林組合の助成と云ふものには從來と雖も力を注いで居つた譯でありますので、此の規定に特にさう云ふものを入れる必要もありませぬので是は入つて居ないのであります、さうだからと言つて森林組合其のものの成長に付て政府が何か之を忽せにすると云ふやうなことは毛頭ないのであります、其の點は一つ御諒承を願ひたいと思ひます、それから基本的の團體法の改正の問題でありますが、是は私の方と致しましても準備を致して成案の出來次第是非根本的なものを作つて御審議を御願ひしたいと思つて居る譯であります、何分にも之に付ては私は唯官廳だけでなく、民間其の他の有識者、卓見を持つて居られる方々の廣く知識を糾合致しまして、十分な案を作る必要があると思ひますので、此の次の通常議會と云ふ固い約束は是は中々致し兼ねますが、準備が出來、案が出來ますれば私の方と致しましても、只今と雖も研究を怠つて居ない點でございますので、是非やりたいと思つて居ります、と申しますのは、御承知の通り、林業と云ふものは非常に關係する所が廣く、又複雜なものでございますので、團體法其のものを考へる上に於きましても、可なり色々な點に考慮を運らす必要がございますので、我々の方としては只今の所さう云ふ心構へで居る譯であります、それから森林組合の行ふことの出來ます加工其の他に付ての從來のやり方の拙かつた點に付ては、是は御指摘のやうなことがありますならば、我々としては今後十分氣を付けて行きたいと思ふのでありますが、それ等の事情に付ては私餘りまだ存じませぬので、政府委員から答へさせます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=89
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090・木島義夫
○木島委員 私は只今の農林大臣の御答辯で大體滿足するものであります、殊に私は審議會のやうなものを設けて根本的に國家の重大問題たる森林業に付ての法規を作るやうにと云ふことを次に申上げたいと思つて居た所でありますが、先に大臣の言明を得まして非常に滿足するものであります、併しながら此の法案は政府の仰しやる如く、全く過渡的のもので、極端な言葉を以てすれば、恐らく穴だらけの案だと思ふのであります、隨て之を早く改正しないと其の弊害面が多く現はれて來ると云ふことを私は懸念するものであります、私は來るべき通常議會にと敢て申上げたのは、恐らくは政府の御都合もあるかと思ひましたが、さう云ふ意味を考慮しての上であつた、敢て無理を求むると云ふ意味でないと云ふことを御諒承願ひます
次に私は二、三小さいことですが、御伺ひして見たいと思ひます、此の間農林大臣は薪炭の問題に付て御話がありまして、是は何れにしても實績が上る方が宜いのだと云ふ意味の御答辯があつたやうに記憶して居ります、併し私は此の第一條の末項に「林産物とは、木材その他森林から産出する物で」と云ふ規定がありますが、木材其の他の間に薪炭と云ふものを入れた方が宜しいのではないか、唯其の時の御答辯で私の記憶に依りますと、薪に付ては出荷組合のやうなものがある、炭は農業會が扱ふと云ふやうなことを考慮されたやうでありますが、此の出荷組合が勞せずして多大の利益を得て居るが爲に、又農民が悉くそれを知つて居るが爲に、却て薪の生産に支障を來して居るやうな事情が、農村に現在あるのでありまして、是はやはり森林組合に扱はせ、又木炭も農業團體たる森林組合と農業會のことでありますから、何時でも話合が付くし、又政府に於て適當に處理が出來ると思ひますから、是等のものは第一義として森林組合に扱はせ、さうして森林組合の未設置の町村に於ては農業會が扱ふと云ふことにされたならば、非常に宜しいのではないかと思ふのであります、本法に於きまして木材と云ふことにのみ重點を置いて、薪炭を少しく輕く扱つたやうにも考へられるのでありまして、其の他の中で十把一絡げにしたやうにも見えるし、此の點は木材に次ぐ今日の燃料問題として食生活と不可分な大問題でありますから、之をさう云ふ工合に規定されたら如何なものであるかと思ふのでありますが、此の點を御聽きします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=90
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091・和田博雄
○和田國務大臣 是は私實は薪炭を輕視した譯では毛頭ないのでございまして、薪炭に付きましては現在農業會、それから薪炭統制組合ですか、配給統制組合ですかありましてやつて居りますので、それ等の間の關係が旨く十分に付きました場合には、それは木材だけでなしに、薪炭其の他のものも指定すると云ふ積りであるのでありますが差當つてはまあ木材と云ふことに實は致した譯でありまして、薪炭に付きましては、是は現在やつて居りまするやり方に依りまして生産、配給其の他の統制を圖つて行く、斯う云ふ建前でございまして、此の林業會法に規定されました方式に於てやつて行くが、差當つては木材、斯う云ふやうに御諒解を御願ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=91
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092・木島義夫
○木島委員 私は大臣の御考へはどうも薪炭に付ては木材程の御關心がないやうに思はれてならぬのであります、木統法が惡法である、地木社、日木社が害毒を流したと云ふのと、規模が小さかつたから世間にそれ程言はれないけれども、此の薪の統制會社が幾多の害惡を流したと云ふことは天下周知の事實であります、是等のものと地方の團體が話合をすると云ふやうなことは餘地のないことで、又向ふが讓るべきものでもないのでありまして、是は國家に於てやはり木統法を廢した如く此の戰時的な方便的官僚統制を私は廢止すべきものと、斯う云ふ見地から以上のことを御願ひしたやうな次第であります、尤も之に付ては議論に亙りますから是れ以上御答辯の要はありませぬが、一つ御研究の程を願ひたいと思ひます、次に林業を重要産業に加へて、鐵、石炭、肥料などと同樣、資材竝に勞務者の待遇に關して最優先的措置を講ぜられる御意思は當局に於てありませぬですか、それを御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=92
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093・和田博雄
○和田國務大臣 是は私は木材と云ふものが――薪炭も含めても宜いのでありますが、木材と云ふものはやはり日本の石炭なり鐵と同じやうに基本的な物資と考へて居りますので、御話のやうな線に沿つて是非一貫した政策を立てて行きたい、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=93
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094・木島義夫
○木島委員 次に價格の面ですが、是は屡屡同僚議員から質問もあつたやうでありますが、慥か木炭、薪等に於ては庭渡價格と云ふやうなものがあるやうに私も記憶して居りますが、木材に付きましては假に値段が上つても運賃の方は更に上りますから、出しの惡い所では却て値が上つた爲に損が多くなると云ふやうな實情が、是がやはり出材が容易でない理由になつて居ると思ふのでありまして、茲に逆算計算が宜くはないかと云ふことが專ら唱へられて居る理由と私は考へます、仍て私にも茲に決定的な案はございませぬけれども、政府に於て研究されまして、丁度薪炭に於ける庭渡價格のやうな制度を何かそこに設けたならば不便な所からもどんどん材木が出て來て應急の用に立つことになると思ふのでありますが、之に付ての御所見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=94
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095・和田博雄
○和田國務大臣 木材の價格と云ふものは山元と消費地との間の關係は中々厄介でありまして、御話のやうに運賃關係が非常に大きな要素を成すのであります、御話の點は今後能く研究して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=95
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096・木島義夫
○木島委員 それから地木社の清算に關してのことであります、先般千葉縣に起つたことですが、尤も是は清算人が多過ぎたと云ふこともあつたかも知れませぬが、政府に於て株主總會で商法上合法的に選出された清算人を認めない、其の數も極端に少くすると云ふやうな、一口に言へば非常に干渉して來た事實があるのでありますが、是はどう云ふものであるか我々は諒解に苦しむのでありまして、先般其の方の係の方に御伺ひもしたのでありますが、何か能く考慮すると云ふやうなことであつたが、如何に統制會社にしても、是は少し度の過ぎた行き方ではなからうかと思ひます、尤も政府に於て此の清算に對して嚴正に過ちがないことを期する爲に出たことではあらうとは思ひますが、此の點を一つ御伺ひします
尚ほ此の清算に付てもう一つ御伺ひしたいことは、我々の手許に地木社の清算書若しくは決算書が出て居るやうでありますが、多くは赤字のやうに思ひます、所が巷間傳へる所に依れば、無理に赤字にしたのだと云ふやうなことも言はれて居ります、其の中で製材所等を數年前に買つた安い値段で元の所有者に返すと云ふやうな名目の下に清算前に非常に急いで處理された事實があるのであります、清算人にまで、斯くの如く關心を持たして居る當局と致しまして、統刷會社の立場上此の製材所等を清算に先立つて勝手に役員などがばらばらにしてしまつたと云ふことに對しては、相當責任があるのではないかと考へて居るのでありますが、是等に對する御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=96
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097・平川守
○平川政府委員 地木社の清算人の選定に付きましては、是は株主總會にお任せする積りで居るのであります、唯非常な弊害でも起りさうな場合に監督を致すと云ふ程度に考へて居るのであります、今の御話の場合に於ては、何か非常に澤山の清算人を御選びになつたと云ふことで、それでは運行が旨く行かないと云ふやうなことを縣廳の方で考へたのかと思ひます、原則としてさう云ふ干渉は致さないことに致して居ります、尚ほ地木社の財産處分に付きましての御話でございますが、是も會社の總會の方の考へ方に任せて居るのであります、唯地木社の解散に際しましては、工場等に付きましては原則として元の所有者に返す機會を與へる、併し其の價格等に付きましては、現在の統制價格を基礎にすると云ふやうなことを示してあります、御話の如く解散に至ります前に理事者が處分をしたと云ふことに付て、甚だ不當であると云ふやうな判定が下せるやうな場合に於きましては、之を監督も致さなければならぬかと思ひます、先づ總會等に於て十分理事者の監督をやつて戴きたい、斯う云ふ建前でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=97
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098・木島義夫
○木島委員 私の考へでは、赤字まで出して居る會社が、假令元の業者に對する顧客とは云へ、今日機械等は數倍或は數十倍の價格になつて居るに拘らず、それを元値で返して、さうして其の株主に損害を與へると云ふことは、社會の徳義上から言つても、又法律上から言つても、如何なものかと思へるので御伺ひした次第であつて、政府に於て之を適當に監督し、又場合に依つては斯くの如きものは再び地木社へ返還さすべきものであると思ふのであります、是は政府が今後統制會社等を作つた時、又ぞろあの手かなどと云ふことで、非常に民心に對し惡影響を與へるものと私は考へます、社會道義の上からも看過し得ざる問題であると思ふのであります、此の點は一つ重ねて何か御監督なり、御指示なりあることが私は適當ではなからうかと考へます、又千葉縣に於ける清算人の實例は更に小委員のやうなものを選んでありまして、員數の多い爲の弊害は何等ないのであります、にも拘らず突然さう云ふ指示があつたと云ふので、非常に驚いて慌てたやうな譯柄でありまして、唯やたらに上からばかり命令することも時節柄如何かと思ひまして、此の點を申上げたのであります
次に、農地に付てああ云ふ劃期的の制限がありましたから、山林に付ても色々農村では心配されて居ります、又一部の主張を持つた者は、之を制限すべきであるなどと云ふ論議も行はれて居ると云ふやうな次第でありますが、過般農林大臣は山林は農地と異なるが故に、未ださう云ふ方面に對して當局は意見を持たないと云ふことを聲明されたやうでありまして、私も大體同感に思つて居ります、そこで私は此の際山林の面積と云ふことに付ての見透しに付て、若し政府當局に於て何か根據があるならば參考に承つて置きたいと思ふ點があるのであります、學者に依つては山林の理想的經營は少くも三百町歩を要する、尤も是は考へて見ますると、山林を專門に業とする場合に於ては、木材と云ふものは之を使用し得る樹齡は約三十年と考へられますから、毎年十町歩を伐採し、又植林すると云ふことにすれば、三十年で一囘一巡する、斯う云ふことで、三百町と云ふことは或は經濟的、合理的の經營かも知れませぬ、併し現在の制限された事情に於て斯くの如き大きなことを夢見て居る譯にも行かず、一般の通則とすることも出來ないのでありますが、私の愚見に依れば、最小限度山林の經營は經濟的經營に於て三十町歩位要するものではなからうか、即ち毎年一町歩づつ植林伐採して、三十箇年の中に輪伐すると云ふやうなことが宜しいではないかと云ふやうな考を自分としては持つて居りますが、當局としては、若し此の際最初に制限なり、何等か目標を設ける時には何か目安をお持ちになつて居られると思ふものでありますが、今日の山村に於ける農民に安心を與へる上に於ても、或る程度私は是は必要なことではないかと思ふ、若しありましたら參考に御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=98
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099・和田博雄
○和田國務大臣 山林に付きましては御話のやうに、之を農地と同じやうに考へて行くと云ふ考へは今の所持つて居りませぬ、唯併し此の山林に付て、やはり合理的な經營をやつて行くと云ふ經營の面からの森林經營の面積に付ては、相當考へるべき問題だと思つて居ります、併し今どの程度のものが宜いかと云ふことになりますと、私大した見當はないのでありますが、是は恐らく森林經營のやり方なり何なりで以て、面積も一律には決める譯には行かぬと思ふのでありますが、是は技術的見地から、又經濟自體の方からも十分農林省としましては檢討して、將來の大きな森林經營の育成と云ふ問題から考へて見たいと思つて居ります、農林省として決まつた面積と云ふものは、決定したものはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=99
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100・木島義夫
○木島委員 農林省としては、耕地に付ては適正農家と云ふやうなことで色色標準を發表されて居るのであります、唯林業に對しては今日まで餘り多くを聞かないのであります、所が今度の農地制限で、色々の「センセーション」を起して居るのでありますから、此の際別に法規でとかどうとか云ふものではなからうが、經濟的見地、社會的情勢から見た何等かの結論を得られたならば、非常に農民も安心するだらうし、又今後の用意もあらうと思へるのでありまして、適當の機會にさう云ふことが出來たならば御願ひしたい、斯う云ふことであります、以上を以ちまして私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=100
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101・森幸太郎
○森委員長 井出一太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=101
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102・井出一太郎
○井出委員 大臣がいらつしやいますので、最初に林政の一般的問題を御尋ね致し、尚且後で本法案に付ても、細かな問題に各論的に觸れて見たいと思ふのであります
最初に御尋ねしたいのは、敗戰の結果、外地を喪失することに依つて、今後の林業と云ふものは内地だけに頼らなければならぬ、斯う云ふことに相成つたのでありますが、此の朝鮮、臺灣、樺太の喪失に依つて、非常に我が國の林業に大きな影響がある譯であります、過般配付されました資料に依りますと、化學「パルプ」と云ふやうなものは、殆ど三分の二が外地に依存して居つた、斯う云ふやうなものが今後果して内地材で賄ひ得るかどうかと云ふやうな點に對してどんな御見込でいらつしやるか、伺ひたいのであります、さうして又是は、外材輸入と云ふ問題とも絡んで來るかと思ひますが、内地で以て何とか自給の途があるものかどうか、此の一點を最初に伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=102
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103・和田博雄
○和田國務大臣 恐らく是は今後日本の文化が進んで行きますれば、「パルプ」材に對しまする需要と云ふものはやはり殖えて來るのでありまして、そこに持つて來て又日本では樺太と云ふ大きな資源を失つた譯であります、「パルプ」材に付て内地で之を自給し得ると云ふ何はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=103
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104・井出一太郎
○井出委員 其の次に、林地と開墾の關係を少し御尋ね致します、治山治水と云ふやうな立場、或は林産資源を造成すると云ふ立場から森林が非常に重大だと云ふことは、是はもう申すまでもないのであります、一方食糧の絶對的不足を緩和致し、人口問題或は失業問題を解決する、斯う云ふ風な立場から大規模な開墾事業が開始されて居るやうであります、是れ亦重大な國家的要請であることには間違ひないのでありまするが、林地の中で所謂絶對的林地と申しませうか、森林以外に外に仕樣がないのだと云ふ部分は、是は問題ないとして、林地にもなれば農地にもなり得ると云ふ所謂相對的林地と云ふ風な面に於て、競合關係が出來るだらうと思ひます、此の場合に當つて考慮を要することは、開墾の適地と森林の適地とを能く見分けると云ふことが大事でありまして、往々にして美林が切倒された儘で、開墾をして見ると、そこはさつぱり耕作地には適しないと云ふ風な關係で、裸の儘で放置をされて居ると云ふやうな例が幾多あるやうであります、此の兩方の要求を調和すると云ふ點に於て、是は丁度兩方とも幸ひ農林省管轄下にあるのでありますから、是非愼重を期して戴かなければならぬと思ふのであります、之に關聯致しまして開墾々々と云ふ聲が非常に高いのでありますが、謂はば現在の耕地の限界と云ふことが言はれて居る譯でありますが、斯う云ふ所に於ける農業は、當然高い生産費を伴つて來ると云ふことは無論でありまして、是が將來「コスト」の安い外國の農産物との競爭と云ふ風なことになつて參りますと、手放しで開墾を奬勵する譯には行かぬと思ふのであります、ここらに關する兼合ひとでも申しますか、其の邊を伺へれば幸ひと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=104
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105・和田博雄
○和田國務大臣 御話のやうに開墾をやりますに付ては、森林と山林とどうしてもぶつかる所がある譯でありまして、其の場合其の土地を山林として置いて置く方が國家的な見地から一體良いか惡いか、或はそれを農地として耕やす方が國家經濟の立場から見て實際良いかどうかと云ふ點、それから今御話のやうに技術的な點から言つて、果してどちらか「ベター」であるかと云ふやうな色々の觀點から其の點は勘案しなければなりませぬので、開墾地に付きましては、其の決定に付て愼重な手續を執らうと思つて居ります、唯官廳が一方的に決めるのではありませぬで、委員會を作りまして、それで開拓關係の人達及び農地の關係の人達を以て、そこに十分連絡が出來るやうな組織を一つ拵へまして、そこで決定して行く、斯う云ふやうに致したいと思ふのであります、と申しますのは是はさう云ふ大きな見地から見ると同時に、やはり村なら村で果してそこが開墾地として假りに適地であるとしても、それが實際治水利水と云ふ點から行つて見ると、そこを開墾すると、水の上からは非常に困つた結果になると云ふ場合がよくあり得る譯でありますから、さう云ふ點は十分考慮致しまして、開墾することに依つて、國家的な土地利用の上では何等利益にならないと云ふやうなことのありませぬやうに十分考慮致して、さう云ふ點を決定致しまする爲に、やはり農地委員會なり開拓委員會なりを以て、それ等の點を十分協力さして、決定されて行くと云ふことに實は致したいと考へて居る次第であります
それから耕作限界の問題は、是は御話のやうに現在開墾を非常にやかましく言つて居りますることは、一面から言ひますれば、日本の耕地の限界を擴げて行くことでごいざますので、其の擴げて行つた耕地に入つた農家が、十分將來も農家として成立つて行くと云ふ營農の點に付ては、農林省としても營農の指導と云ふ點に付ての施設は十分講じまして、其の點に付て遺憾なきを是非期したいと思ひます、と申しますのは開拓へ入つて行きます人が、總て其の村の農耕地を擴げる意味の開拓でありますれば、是は其の村の農耕でありますから、能く知つて居りますので、さう營農上の指導は要りませぬが、復員者であるとか歸還者、失業者が入つて行きます場合は、どうしても是は素人が入つて行くことでございますので、其の點に付ての營農の指導を十分に致したいと思ひます、それ等の點に付ての具體的な事柄も考へて居る次第であります、勿論入つて行きます農家の經營に付きましては、是は平地と違つて山地へ行きますれば、山地に適した平地とは違つた經營型と云ふことがやはり成立ち得る譯でありますので、其の耕作する限界、殊に日本に於きましては、今後は主に水田でなく畑作の方に伸びて行くことになる譯でありますから、謂はば日本の農業としては新しい分野が開かれたとも言へるのでありますので、それ等の點に付きましては、農林省としましても民間とも連絡を執つて、大山の麓で色々經營研究をやらせて居る譯であります、さう云ふ點に付ては凡ゆる方面の智能を集めて、遺憾なきを期して行きたいと自分としては考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=105
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106・井出一太郎
○井出委員 「アメリカ」人の先祖達が西部邊境を開くに當つて、「フロンティア・スピリット」と云ふ高い精神的の目標を決めて、漸次開いて行つたことを私共は承知致して居るのであります、日本のやうな場合、之を今後致すに付ても、さう云ふ精神的目標を持たせることは勿論でありますが、と同時に相當の文化的な施設と云ふものに付て、國家的配慮をしてやる必要があると思ふのであります、此の點に付ては御見解は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=106
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107・和田博雄
○和田國務大臣 全く其の點は同感であります、日本は謂はば平地と多少違ふと言へば違ひますが、「アメリカ」のやうに「ニュー・フロンティア」へ行く程、文明が野蠻に觸れると云ふことはないのでありますが、日本の開拓に付て一つの重きを置くのは、日本の民族が兎に角一つの新しい困難と闘ひ、其處に新しい天地を開くと云ふ意味で、丁度「アメリカ」の「ニュー・フロンティア」のあの「スピリット」が連綿として、其の後の「アメリカ」の「デモクラシー」の發展の上に大きな役割を演じて居り、「アメリカ」民族の一つの非常に進取的氣性の基礎を成して居るやうな歴史から考へましても、是が開拓と云ふものは唯經濟的な面からだけでは見られないのでありまして、是は御話のやうな點は私は十分高く評價して、居るのであります、其の場合にどうしてもそこに文化的な施設を講ずること、言換へれば日本の現在の文化で育つた人が、新しい所へ其の儘儘文化を移植して行くと云ふ形になりますので、文化的の設備と云ふ點に付きましても、今度の開墾に付ては我々としても是非やつて行きたいと考へて居る譯であります、やはりさう云ふ面から行きませぬと、永く其處に永住して、農家として落付いてやる事業は中々完成しないと思ひますので、御意見の點は私共としても全く同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=107
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108・井出一太郎
○井出委員 只今の御答辯了承致しました、其の次に農林省の豫算の中に森林に關するものとして、先程平野委員の御質問に對して造林費が凡そ九千萬圓程度計上されて居ると云ふことでありますが、事實頂戴致しました參考文獻を見ますと、八千七百萬圓餘と云ふ風にございます、それで林道開發に關しては他に豫算があると云ふことを豫て伺つたことがあるのですが、それは此の他に屬するものでございませうかどうか、それが一點、又其の時でありましたか、大臣からの御答辯の中に民生安定費の中からでありましたか、失業救濟費として八億位のものが取れさうであると云ふ風なことを漠然と伺つて居ります、是が森林關係に向けられると云ふ風に伺つたやうでありましたが、語尾が少しく濁つて、龍頭蛇尾になつてしまつたやうな感を持つたのであります、私は大藏省の河野豫算課長の口から斯う云ふことを聽いたことがあるのです、經濟再建費の中で、公共事業費が六十二億何がしあるのだが、其の中半分は食糧増産、それから四分の一が治山治水、殘りの四分の一が戰災復興、極く大雜把に分ければ、公共事業費六十二億はこんな風に分けられると思ふと云ふことを非公式に伺つたことがあるのです、さうすると此の四分の一が治山治水に向けられて、約十五億圓餘が計上されるのであります、勿論治山治水と言ふ以上は、内務省とも共管と云ふことになるでありませう、是は非公式に伺つた數字でありますけれども、農林省の見解は如何でございませうか、斯う云ふ厖大な數字を信憑することが出來ませうかどうか、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=108
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109・平川守
○平川政府委員 此の公共事業の方がはつきりと確定を致して居りませぬ爲に、稍稍漠然たる御説明になつたのであります、山林局關係の本年度の全體の豫算は約十一億位になるのでありますが、其の中で斫伐、造林、林道、治水と云ふやうな主なる事業に關する費用が大體十億位であります、其の中で約八億が公共事業費の方に載つて居り、約二億ばかりが農林省の本來の豫算に載つて居ると云ふ内譯になります、是は事業別に纏めて申上げた方が分り宜いと思ひますが、約十億の事業費の内譯を申上げますと、約六億八千圓ばかりが斫伐の事業になります、それから造林が九千萬圓弱であります、林道土木の關係が二億圓、治水關係が約一億圓、其の外に施業案に關する費用が七百數十億圓ございます、大體さう云ふやうな内譯になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=109
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110・井出一太郎
○井出委員 さう致しますと、治山治水と云ふ風な面から、是は一體内務省になるか、農林省になるか、一應内務省豫算に出ては居るけれども、一寸見極めが付かぬ、併し日本の林業の爲に其の省になつて居るのだと云ふ經費も相當あると見て宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=110
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111・平川守
○平川政府委員 それは内務省の方で、砂防其の他の事業費は組んで居ります、それと合せて考へて宜しい譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=111
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112・井出一太郎
○井出委員 御料林の問題が既に幾度か出ましたけれども、此の點少し伺つて見たいと思ひます、或は是は宮内省の所管と云ふことになるかも知れませぬ、今朝の毎日新聞でありましたか、所謂世傳御料と普通御料とに分けまして詳しい數字が載つて居りました、今度の憲法改正案に依りますと、一應世傳財産と云ふ文字が修正に依つて取れた恰好になつて居ります、併し別個に皇室の私有財産或は個人財産と云ふ「アイデァ」が一つの含みとして考への中に上つて來て居るやうです、其の場合御料林の大部分は國有となる、斯う傳へ聞いて居りますが、一部個人財産として皇室に歸屬することが出來るでありませうかどうか、此の點御洩らしを願ひたいのであります、又御料林地帶に於ける地元の人達の樣子を聞いて見まするのに、例へば私の知つて居る範圍では本當の御料林或は矢作川流域の御料林、そこらの人達が長い歴史的の繋がりとして御料で奉仕をすると云ふ忠誠心が何か切つても切れぬものとして、ほのぼのと地元民の氣持の中に殘つて居る、斯う云ふものを今後とも生かして行きたいと云ふ氣持が慥かにあるやうであります、是が國有林になることに依つて、地元民のさう云ふ氣持が斷ち切られて、ばらばらになる虞がありはしないかと云ふことを私憂ふるものでありますが、斯樣な點に付て御分りになつて居る範圍で一つ御洩らしを願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=112
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113・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御尋ねの點はまだ具體的に協議致して居りませぬので、其の内容に付ては詳細分つて居りませぬ、併しあとで御話になりました地元民の御料林に對する精神、氣持と云ふものは、若し御料林が國有林になりました場合に於ても將來とも生かして行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=113
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114・井出一太郎
○井出委員 次は森林資源造成法案に付てでありますが、昨日でしたか、太田委員の御質問に對して平川政府委員から只今までの發行額が四百萬圓と伺つたのであります、是は今年度の數字であるかはつきり致しませぬが、造成法案の發行限度は三億圓と承知を致して居ります、是は餘りにも少い額ではないかと云ふ感じが強いのでございす、是は何か造成法案に缺陷があるのではないか、例へば現在造林費として當局が計上して居ります所の一町歩當りの單價と云ふものは餘りにも安きに失するのではないか、或は又此の證券發行に依る手續が非常に煩瑣でありはしないかと云ふやうな缺陷を私は豫想致すのであります、此の法案は慥か議員提出の法案として成立を見たと云ふ意味に於て、當時非常に注目され而も評判の宜かつた案なのでありますが、是が利用度が斯くも低いと云ふことであつては非常に遣憾でございます、其の邊に付て御答辯を煩はすと同時に、只今一町歩當りの造林費が今度引上げられて、千四百四十圓と云ふやうに承知を致して居りますが、現在一町歩の造林費と云ふものはそんなことでは行かなくて、恐らく三千圓以上掛ると見て居ります、之に對して再引上をなさる御意思があるかどうか、あるとすれば三億圓の限度では勿論行かないことで、之を擴張すると云ふことに相成りませう、其の邊の御答辯を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=114
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115・平川守
○平川政府委員 山林局長から御説明致しました數字は六月現在の數字でございます、實は此の森林資源造成法は本年一月に施行に相成りましたのでありまして、初めての制度でございます、之を各地方に此の趣旨を徹底致しまする爲に約一月位掛りました、實際に動き出しましたのは二月以降であります、さう云ふ關係でまだ地方に能く滲透して居りませぬことが一つの原因であります、それから今一つは此の造林證券の單價が其の當時非常に安くありました、是は昨年度の調査に基く單價に致した爲に、造林費自身の單價は平均二百十圓と云ふやうな非常に安い單價になりました、撫育を併せましても、最高限度三百五十圓と云ふやうな單價になつて居りますが、其の關係で金額が上らなかつたと云ふことが第二の原因であります、それから此の金額が上りませぬことが造林當事者をして非常に此の證券に對する魅力を失はしめたと云ふことがあらうかと思ひます、今囘は先般御説明申上げましたやうに、約四倍に此の單價を引上げましたので、申込も余程是で多くなるのではないかと云ふ風に期待を致して居ります、尚ほ再引上の意思があるかと云ふ御尋ねでございますが、只今の所まだ具體的に其の問題を考へて居りませぬが、併し逐次勞銀等が上つて參りますので、尚ほ此の點に付ては將來研究を致したいと云ふ風に考へて居ります、さう云ふことになりますと、當然に三億圓の限度と云ふものは少きに失すると考へますので、之に付ては本年度は是で間に合ひますけれども、何れは近い將來に於て法律の改正も必要ではないかと云ふ風に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=115
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116・井出一太郎
○井出委員 次に森林金融と森林保險の問題でございます、林業に關する金融に付ては、本會議に於ても綿貫さんの御質問の中にあつたと思ひますが、之に對して大臣の答辯は勸銀から若干、それから農林中央金庫から八億圓内外の融資が出て居ると云ふ風に伺ひました、申上げるまでもなく、林業金融は長期低利でなければならないのであつて、一種の特殊な金融でございます、斯かる意味に於て規在の農林中央金庫とは別個に森林中央金庫と云ふ風なものを獨立せしめて、森林金融の全面的な増強を考へると云ふことは如何でありますか、當局にさう云ふ風な意圖ありや否や、之を一點として御伺ひします
それから森林金融に對して是が對象となるべき森林の擔保性を確實ならしめんが爲に、どうしても森林保險が必要になつて來る、是は論を俟たぬ所であります、所が森林火災國營保險法に依る利用度と云ふものが現在どれ位になつて居るか、どうも私の知つて居る範圍では、極めて利用度は微々たるものではないかと思ふのであります、一町歩當りの保險金額、或は料率と云ふものがどうも安くて今日の現状に合はない嫌ひがありはせぬか、昭和十二年の三月に決定されましたが、其の後變更されて居りますかどうか、變更されて居るならば新しい數字を御洩らし願ひたいのであります、多分私の見た範圍では、變更されて居らぬやうであります、是などは現在大幅に引上げられねばならぬ事態に相成つて居りまするが、其の意思を御持ちであるかどうか承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=116
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117・平川守
○平川政府委員 金融の方に付きましては、前囘御答辯申上げましたやうに、やはり農林中央金庫と云ふものを全面的に活用して參りたい、斯う云ふ考へでありまして、法案に於きましても、其の趣旨で林産組合、或は森林組合、林業會を之に加入せしめると云ふ考へであります、火災保險に付きましては、先般單價を引上げまして、一町歩當り大體千圓乃至千五百圓までの補助に依つて、是は場所と樹齡に依つて違ひますけれども、最低五年以下のものは五百圓、六年乃至十年のものは三千圓と云ふ風に可なり大幅な引上を致しましたので、是で或る程度目的を達するのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=117
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118・井出一太郎
○井出委員 木材の價格でございますが、是も先般來大分色んな論議があり、現在の逆算方式では困る、山元から最寄りの驛まで搬出するだけにさへも、其の搬出費で大部分が食はれて、木材價格は「ゼロ」になつたり「マイナス」になると云ふことも、既に言ひ盡されたやうでございます、先程大臣の御答辯の中にも、是は非常に難かしいと云ふ御意向があつたのでありますが、と申して山持ちが何十年かに亙つて育成して來た所の結晶が、今日のやうな状態であつては、どうも造林意欲は冷却するばかりでございます、それで山林の場合は生産費と云ふ風なものを遽かに算定して幾ら幾らと云ふことを定めるのは勿論困難でありませうけれども、何とか、そこに價格平衡資金と云ふ風なものを、一種の「プール」計算でございますが、さう云つたものが考へられないものかどうか、此の點當局の御見解は如何でありませうか、或は又最近造林を奬勵する意味から、或は山のものは山へ返せと云ふ風な意味から、造林費の一部は需要者が負擔すべきであると云ふ風な意見が出て居るやうであります、例へば現に木材需要者協議會でございますか、此の關係の筋などに於ては、負擔しても宜いと云ふ風なことを申して居るやうであります、斯かる問題は之を法制化することにやはり技術的な考慮が要ると思ひますけれども、例へば今囘の林業會をして扱はしめて、販賣價格の上に一定のものを賦課して、之を積立て、山林へ還元すると云ふ風な方法がないものであるかどうか、之には、尤も公定價格と云ふ風な問題とも關聯して、公價の違反と云ふことになつては困るのでありますが、斯う云ふ著想を當局はどう御考へになりますか、又之を實施せんとする意思があるかどうか、場合に依つては木材消費税と云ふ風なものにして、之を別個に積立てて、一種の特別會計でも拵へると云ふ方式に依つて、山へ還元すると云ふ風なことは如何なものでありますか、斯樣な點を一括して伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=118
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119・平川守
○平川政府委員 價格平衡資金と云ふことは制度としては中々難かしいだらうと考へて居ります、唯特殊の團體に於きまして、皆が一致して何かさう云ふ申合せをすると云ふやうなことならば出來るかと思ひますけれども、制度として平衡資金的のものを設けることは困難ではないかと思つて居ります、それから消費税と云ふ御話、或は需要者が自發的に造林の爲の費用を出すと云ふ御話でございますが、是は需要者側から何か寄附でありますとか、或は其の他申合せに依りまして一定の金を積立てると云ふ風なことを自發的にやりますことは差支へありませぬけれども、併し消費税、或は何等かの形での賦課金の國の制度として行ふと云ふことは、一寸困難ぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=119
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120・井出一太郎
○井出委員 大臣が見えましたから、先刻保留して置いた點を伺ひます、民有林と國有林の問題が、是も先刻來色色な角度から論議が出て居ります、それで大臣の抱懷せられて居りまする外山と奧山と云ふ二元的に分つて、其處へ林業政策を施すと云ふ御考へは、是はまあ常識論としては私も贊成を致すのであります、此の見地から外山は民有林として農山村の經營の中に之を有機的に取入れて、集約的な施業をすると云ふことが適當でございませう、奧山は國有林の性格に於て、治山治水等國土保安の意味で是は殊に深かるべきであらうと思ふのであります、さうして實際問題と致しては、此の戰爭中一本の木材でも迅速に出さなければいかぬと云ふ要請からして、例の木統法の強制力に物を言はせて、民有林の方をうんと濫伐過伐をした傾向が強いと思ふのであります、當分の間民有林の方は之を休養させると云ふ風に存置して、寧ろ國有林の伐採に「ウェート」を強めるべきではないかと云ふ風に私は考へるのであります、先達て大臣の申される時には、大體兩方を、國有林も民有林も竝行して伐つて居ると云ふ風に仰しやつて居られました、曩に配付されました統計を見ますると、昭和十六年から十九年に亙る四箇年間に國有林の方は――大體此の數字は一寸面倒ですから省きますけれども、兎も角國有林の方がずつと緩やかであると云ふ數字が出て居るやうであります、斯樣な意味に於て暫く民有林を休ませると云ふ風な御考へはないものであるかと云ふ點を一つ伺ひたいのでございます
それから先程氏原さんの質問の中で、民有林を官行に依つて造林すると云ふ問題に觸れられましたが、是は私も、大臣の御答辯がさう云ふ方向にあると云ふことを伺ひまして、非常に滿足を致して居る譯であります、今申上げた民有林と國有林の「バランス」と云ふ問題を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=120
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121・和田博雄
○和田國務大臣 是は大體此の前御答へ致しましたやうに、内地關係では「バランス」が採れて居ると思ふのでありますが、勿論國有林に付きましても、此の戰爭中は相當要求が強かつたので、戰前の伐採量から較べますれば、相當程度上つて居ります、所が此の國有林は御承知のやうに奧地にある山が割合多い譯でありますから、そこで民有林の伐採率とを較べますると云ふと、多少均衡が採れて居ない點があるのぢやないかと思ひます、其の點に付きましては、奧地の林道の開發其の他に依りまして、民有林と官有林の間の「バランス」は取つて行くやうに致したいと思ひまするし、又國全體としましても、是は一方に於てやはり資源の保全を圖りながら、一方に於ては、此の委員會に於きましても、豫算委員會に於きましても、委員の皆樣方が御指摘になりましたやうに、現在の需要の多い木材と云ふものの需要に對して、やはり出來るだけ「マッチ」して行かなければならぬ點がありまするので、それ等の點に付ては、戰爭中繰返して致しました過伐と云ふことがないやうに、是は國有林と民有林とを十分均衡を取つてやつて行くと云ふ方針で大體進んで行く考へて居ります、國有林の伐採方針に付きましては、今年の二月に營林局長に通牒を出しまして、治山治水と云ふ見地から支障ない限りは、どう云ふ林分でも一應伐採の對象にしろと云ふことを申し傳へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=121
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122・井出一太郎
○井出委員 是は私直接ではありませぬが、私の友人が極く最近G・H・Q民間情報教育局の「スタンレー」と云ふ人に會つた時の話でありますが、聯合軍が進駐目的を達成せんが爲には、是はもう日本人に三合配給を最低としてもさせなければ駄目なんだ、そして又米國は之を十分に應援をする意圖を持つて居る――此の「スタンレー」と云ふ人はどれだけの「ポスト」に居る人か知りませぬが、更に言葉を繼いで――日本の農林省はどうも遠慮をされて居る氣味がありはせぬか、斯う云ふことを申したさうであります、まあ幸ひ本年の豐作の見込と合せまして、何か前途非常に明るくなつて居る、さうして又當局も、まだ量は決めないが、増配をすると云ふことを既に言明されて居る譯であります、此の場合此の林業勞務者と云ふ風な面に對しても、成べく可及的速かに重點的な増配をしなければならぬのぢやないか、私の承知して居りまする木曾の御料林でありまするが、此處は森林鐵道が殆ど隈なく行亙つて居り、非常に出しが便利でございます、伐出しをした材積と云ふものは恐らく數十萬石に上るでありませうが、是が唯單純なる勞務者の勞働だけで直ぐに貨車に積込まれると云ふ風な非常に便利な状態にあるに拘らず、是が搬出されて居らぬと云ふことは、一に縣つて勞務者の食糧事情にあるやうでございます、長野縣知事にも此の點は屡屡折衝を致したのでありますが、どうも僅かばかりの米が廻つて行かないと云ふ風な事情で、目下山を下つて御料林から餘所へ出てしまふと云ふ風な状態に勞務事情が相成つて居る、是などはもう即刻手を打てば、食糧の若干の増配で以て數十萬石と云ふ風に出材が可能なんでありまするから、斯ふ云ふ方面に對しての食糧配給の機動性と云ふ風なものを一層發揮して戴きたいと思ひますが、御見解は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=122
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123・和田博雄
○和田國務大臣 御意見は御尤もでありまして、私達と致しましても、幸ひ今年は相當の豐作が見込まれて居りまするし、日本の經濟を再建しまする爲には、どうしてもさう云ふ勞務加配と云ふ點に付きましては、現在のやうな状態では迚も滿足ではございませぬので、來食糧年度に於きましては、それ等の點に付ては十分考へまして、御話のやうな此の林業の經營上、或は伐木其の他に付ても支障のないやうに出來るだけ致したいと思つて色々考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=123
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124・井出一太郎
○井出委員 是も既に出た問題でありますが、本案が恆久案であるか、それとも臨時的な性格を持つたものであるかと云ふことに付てであります、本案がG・H・Q指令に基く緊急の措置であると云ふことは、是は認めると致しましても、内容上に於てどうも若干粗漏の點が免れないと云ふ氣が致すのであります、例へば先程氏原委員に依つて指摘されました所の森林組合と林産組合との比較權能と云ふ風なものが、どうも森林組合側に薄い、片方はちやんと本法に規定して居りながら、一方は必要があれば勅令で決めると云ふ風な、先程の政府委員の御答辯でありましたが、どうも何か斯う云ふ點、外にも若干缺陷があるやうでございます、本來ならば是が林業團體法であると云ふ意味に於て、森林組合と林産組合を當然一括包含しなければならぬ性質のものでございます、それを片方の森林組合だけは森林法の中で規定を致し、此の法案では殆ど觸れて居らないと云ふ風な點が、どうも根本的な誤謬のやうであります、是はどうしてももう少し一貫した體系を整へると云ふ意味に於て、近い將來に森林組合を森林法から拔き出して、こちらへ一括統合すると云ふ風にして戴きたいのでありますが、左樣な意思がおありであるかどうか、之を伺ひたいのでございます、又本法は林産物の自治統制を必要とする期間、言換へれば臨時物資需給調整法であるとか、或は經濟安定本部の存續期間と云ふ風な間に於ける臨時法と云ふ風な感が非常に深いし、又屡屡さう云ふ御答辯もあつたのでありますが、兎も角さつき申上げたやうに、林業團體法として一貫した體系を具へて居らぬと云ふ意味に於て、之を近く完璧なるものにして御出しになる意思があるかどうか、之を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=124
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125・和田博雄
○和田國務大臣 それ等の點に付きましては、先刻御答へ致した通りでありまして、是は實は林業關係一般の法制に通ずる問題でもありまして、林業の方の法制全體が、是は本會議でも問題になりましたやうに色々と込入つて居ります、それは其の年代々々の必要に應じまして出て來た譯でありまするが、どうしても此の際林政の根本的な進展を圖りまする爲には、やはりさう云つた方面に於ても十分檢討致しまして、色々の法制の整理、制度の整理と云ふことを、やはりやらなければならないと思つて居るのであります、林業團體法に付きましても、御話のやうに是は此の前の方にも御斷り致しましたやうに、我々と致しましても十分檢討致しまして、出來るだけ是は早い機會に是非根本的に立法を致したい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=125
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126・井出一太郎
○井出委員 森林組合と林産組合との問題でありますが、先程氏原さんから非常に重要な所を一點突かれたやうであります、それと關聯致しまして私の伺ひたいのは、森林組合は營利を目的とせざる社團法人だと云ふ規定が森林法にございまするが、林産組合はどう云ふ性格の法人であるか、其の指定をして戴きたいと思ひます、それから出資森林組合は追補責任制度を執つて居るやうであります、林産組合の責任制はどう云ふ言葉で表現出來まするか、之を第二點として御尋ね致します、それから森林組合は強制加入を其の六十七條で規定をして居りますが、林産組合の方は任意のやうであります、さうすると「アウト・サイダー」が出來て業界を攪亂すると云ふやうな虞があるのではないか、斯う云ふ點をどう云ふ風に御考へになりますか、それからもう一點森林組合は所謂特別法人として特別法人税を之に課するやうであります、林産組合は法人税を課せないと云ふ特典があるやうであります、之を併せて一括して御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=126
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127・平川守
○平川政府委員 森林組合の方に於きましては、營利を目的とせざる社團法人と書いてありますが、是は法律の型のやうなことでありまして、今囘の林業會、林産組合に於きましても、營利を目的とせざる社團法人であると云ふことには變りはございませぬ、近頃の立法には其の點を省略致すことになつて居ります、それから責任の關係でございますが、是は林業會、林産組合に於きましては、出資を致します場合には、其の出資を限度とすると云ふことに致して居ります、是は第三十九條に規定を致して居ります、それから強制加入の點でありますが、是は一種の協同組合と云ふ形に於て、今囘の林業會及び林産組合は任意加入に致して居るのであります、強制的に加入せしめて、強い統制を行ふと云ふことは、今囘の自主統制と云ふ趣旨から考へまして、必ずしも適當でないと、斯う考へた譯であります、それから特別法人税の税法の問題でございますが、是は出資を致します組合に付きましては特別法人と致しましては特別法人税を課しまする代りに、法人税は免除になると云ふ譯で、詰り法人税の輕減の恩典に浴する譯であります、出資を致しませぬものは特別法人税は課せられないのであります、之に對しては所得税を課する、所得税と申しましても、是は例へば銀行の預金でありますとか、さう云ふやうなことで、殆ど大きなものは課かることはないと思ひます、詰り出資を致します、林業會に於きましては、是は特別法人と致しまして、一般の法人税よりも安い税金を課けると云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=127
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128・森幸太郎
○森委員長 本日は此の程度で散會致します、明日は午前十時より開會致します
午後四時五十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00919460830&spkNum=128
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