1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府堤出)
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昭和二十一年九月四日(水曜日)午前十時十九分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 平野増吉君
稻田直道君 大井直之君助
小柳冨太郎君 小笹耕作君
本名武君 武藤常介君
永井勝次郎君 林虎雄君
林田哲雄君 松澤一君
的場金右衞門君 飯田義茂君
井出一太郎君 磯田正則君
圖司安正君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
大藏政務次官 上塚司君
農林次官 楠見義男君
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府堤出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 是より開會致します――松澤一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=1
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002・松澤一
○松澤(一)委員 薪炭の需給状況を簡單で宜しうございますから御聽きして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=2
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003・中尾勇
○中尾政府委員 薪炭の需給關係は、只今御承知の通り相當逼迫の状況にあるのであります、本年度の需要量は、軍需とか或は軍需工場用が消滅致しました爲に、相當量の減少を見たのでありますが、反面又復員者、引揚同胞援護用と致しまして相當の増量を見ました爲に、前年度に比べまして、木炭に於て約一一%程度、薪に於て六%程度の増加を見て居るやうな状況であります、一方供給部面、即ち生産關係はどうであるかと申しまと、前年度は、木炭に於きまして生産計畫に對しまして僅かに五〇%の實績を示したに過ぎないのであります、又薪に於きましても五五%の實績を示したのみであります、前年度は木炭、薪共に成績が面白くなかつたのであります、引續き本年度の状況はどうであるかと申しますと、第一四半期に於きまする實績は昨年に比べまして稍稍好轉の傾向にあつたのであります、四月、五月、六月と段々生産の状況は良くなつて參つたのでありまして、七月末に於きまする状況は豫定量に比べまして九七%と云ふやうな状況に相成つて居つたのでありますが、食糧事情等の爲に七月から又下向きに相成つて居ります、實は只今増産増送運動を展開致しまして、増産に努力を致して居るやうな次第であります、尚ほ只今のやうな生産の状況から推察致しますと、實は本年度の冬場が憂慮される状態にありますので、只今實行致して居ります増産増送期間中に、生産地に於きまして此の冬場用と致しまして約十萬「トン」の備蓄を致すことに考へて實行を致して居ります、更に又今囘の増産増送運動が終了致しましても、引續き木炭、薪炭の増産に付きましては大々的運動を起しまして、一層の努力を致す覺悟であります、大體以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=3
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004・松澤一
○松澤(一)委員 炭の生産が非常に惡い、今年の冬は非常に案じられると云ふことを、私も薪炭の生産縣の者であるだけに、其の状況は能く分つて居るのでありますが、一體其の一番の隘路は何處にあるかと云ふことが御氣付きになつて居るかどうか、承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=4
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005・中尾勇
○中尾政府委員 隘路と致しましては、生産原木の入手難の點もありますし、更に又先刻申上げました食糧逼迫の事情も相當影響を及ぼして居ることと思ひます、尚ほ又最近の勞銀其の他の騰貴状況から見まして、價格の點に付きましても色々の意見もありますので、其の點に付きましても、政府と致しましては只今色々と研究も致し、又交渉も進めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=5
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006・松澤一
○松澤(一)委員 隘路は食糧と價格と原木の問題となると、一體林産物の生産地方は食糧が逼迫して居る、當然薪炭業者には食糧を加配すると云ふことになつて居つて、加配の制度が多少行はれたやうでありますが、今の所其の基準量が配給されて居ない、どう云ふ譯で食糧を製炭業者にやると一旦言ひながらやらないか、さう云ふ所に政府自らが製炭の減産を來して居るのでありますが、此の食糧を基準量だけでも加配すると言うてやらなかつたのはどう云ふ譯であるか、勿論食糧不足の折から已むを得ない點はあるかも知れないが、萬全を期して將來の燃料關係からさう云ふ方面に加配を決定したものなら、加配をする、嘘を吐かないやうにやらなければならない、現に山梨縣には基準量の半分も來て居りませぬ、常に政府が生産者に向つて嘘を吐く、嘘を吐くと云ふのは斯う云ふ所から起つて居ると云ふことを御認識願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 食糧加配の問題に付きましては、御承知の如く食糧全體が非常に窮屈な關係にありまして、食糧管理局から各地方に對しまして、薪炭の生産者に對しては是だけの加配をするやうにと云ふことを言つてやつてある譯であります、是は各地方廳の方に於て、其の食糧管理局の示達に從つて配給することに致してある譯であります、所が一般に對する配給量にしても、各縣に於て中々配給が十分に行かない、時として缺配遲配と云ふやうな状況を來して居ります爲に、苦しまぎれに加配の方を約束を果さなかつたと云ふ譯で、是は甚だ遺憾に思つて居ります、一般配給がさう云ふことになつて居りますので、我々の方と致しましても餘り強いことも言へなかつたと云ふ實情にある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=7
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008・松澤一
○松澤(一)委員 御話は御尤もに承れるのでありますけれども、今私が申上げた通り、林産物の生産地と云ふものは食糧が逼迫して居る、それだけでも食糧と云ふことを第一に考へなければならぬのでありますが、最近一般食糧事情も非常に立ち直つて來て、何日分も先に配給されて居る、東京などは缺配遲配も解消したと云ふやうな噂もあるのであります、斯う云ふ場合に逸早く、なぜ現在の燃料事情と睨み合せて應急に加配の手段を講じないか、而も政府は食糧問題、價格問題、原木の問題、是が生産上の隘路になつて居ると云ふことを知りながらそれをやらないと云ふことは、私は政治に忠實だとは思へない、直ちにさう云ふことをおやりになれますか、例へば加配米等の基準量が行つて居ない所は、其の遲配を取返すだけの食糧を直ちに手配するやうにおやりになれますかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=8
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009・平川守
○平川政府委員 今東京あたりで大變配給を良くすると云ふやうな御話でありましたが、是は恐らく何かの間違ひではなからうかと思ひます、私共の方でも食糧管理局の方とは常に連絡を致しまして、寧ろ一般配給以上に生産用の配給米であるから、殊に冬季を控へて居る關係から致しまして、第一優先でやつて貰ひたいと云ふことは十分交渉致して居るのであります、食糧管理局の言分は、今は見透しとしては或る程度明朗になつて居るけれども、何しろ穫れてからでなければ話にならない、現在の状況においてはとても現物をさう出すことは出來ないと云ふやうなことであります、隨ひまして新米が出て參りますれば、取返しと言ひますか、少くとも確實に約束しただけのものを出すことが出來ると思ふのでありますが、現在さう云ふ状況は他の地方にもないやうに聞いて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=9
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010・松澤一
○松澤(一)委員 大變お手緩い話で、一體冬季を控へて燃料の確保が實に危まれる、薪炭と云ふものは夏季も生産して居るのでありますけれども、今言つたやうな状況で、本年度は夏季の生産と云ふことが非常に減退して居る、隨て冬季の生産と云ふのですが、山を御覽になりますと、大概炭を燒くのは深山幽谷に等しい所が多い、一度冬が訪れると雪の中に埋もれて、到底製炭は夏季程には行つて居りませぬ、隨て私は是れ程燃料事情が窮迫を告げて居るとするならば、なぜ今日の「アメリカ」の放出物資等を按配して、今雪の降らない、本當の嚴寒の訪れぬ先に燃料を確保する手段を御執りにならないか、いつも政府は其の時期を失つて生産の確保が出來ないと云ふことは、今日我々勤勞大衆が物を生産すると云ふ意欲は十分持ちながら、其の施策が惡い、所謂政治が惡いばかりに其の生産が出來ないと云ふことになつて居るのでありまして、其の點新米が出たら何とかしませうなどと云ふことでなくして、現在食糧事情と云ふものが非常に明朗化して來て、多少でも遲配缺配が囘復して來た、而も其の先幾日から配給して居ると云ふ事情にあるのでありまするから、それは縣に依つてとか地方に依つてとか云ふことでなくして、何處の縣、何處の方面からでも食糧事情の良い所からさう云ふ方面に廻して、今日の燃料を確保すると云ふ意思がおありになりますかどうか、斯う云ふことを承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=10
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011・平川守
○平川政府委員 少くとも新しく増配と申しますか、遲缺配を取返し、多少増配をし得ると云ふ情勢になりますれば、先づ第一に急を要する薪炭にやつて貰ひたいと云ふことに付ては、御話の通りと存じます、之に付ては私共の方としましても、最善の交渉を致して居る次第であります、唯御話の如く、多少裕りが出て來て、現在現實に増配の傾向にあると云ふやうには私まだ聞いて居りませぬ、唯空氣は非常に良くなつて來て居る、隨て政府配給以外の面に於て多少裕りが出て來たと云ふことがあるかも知れませぬ、併しそれ程先の分まで配給すると云ふ裕りはないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=11
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012・松澤一
○松澤(一)委員 私は御注意を申上げて置くだけで、是れ以上議論しても仕方がないと思ふのですが、最近まで例へば山梨縣の例で見ても、汽車に一俵づつ持つて食糧の生産地に物交する爲に、一日に約千俵の炭が、例へば千葉、埼玉、群馬、さう云ふ方面に流れて居る、是等も山梨縣としては窮情已むを得ない、現にさう云ふことを惡いこととは知りながら、じつと見て居なければならないと云ふ状況下に置かれて居るし、それから今申上げた通り、食糧事情はそれ程になつて居ないと云ふのでありますが、是は私は食糧專門家で申上げるのですが、現在遲配缺配は解消されて居るのです、どの地方も、而も都會に於ても先へ先へと食糧が行つて居る、之を食糧事情が良くなつたと言はずして、何處が良くなつたと言ふのですか、曾ては二十日缺配だ、十五日缺配だと言つて居つたものが、三日でも食糧が先へ行くと云ふ状況下になつて來れば、何かそこに食糧の捻出が出來なければならぬ、況してや一旦製炭業者に約束して加配をすると言つて置きながら、まだ其の加配をすらもしない、是は私何も配給を直ちに餘分にやれと云ふ意味ではなく、基準量だけの缺配、遲配を生産者に向つて解消して、今言ふ嚴寒季になるまでに早く一俵でも多く薪炭を生産すると云ふことに政府が力を入れなければ、冬になつて如何に立派な御答辯や色々な事情を御辯明なされても、それでは本當に政治を熱心にやつて戴いたとは私は言はれない、議會の方から是だけの注意注文が出て居る時に、是は普通の議會答辯で濟まされない一つの國家的の問題だと思つて居るのです、此の食糧問題に付ては、私としては鳧が付いて居るので、是れ以上申上げませぬが、農林省の手だけで考へられるならば一つ考へて、議會中にでも早急に御答辯願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=12
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013・平川守
○平川政府委員 薪炭の生産の時期の關係から致しまして、御話の點は洵に御尤もと思ふのであります、私共の方でも、實は食糧管理局の方とは色々懸合ひを致して居ります、御尤もでありますから、最善の努力を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=13
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014・松澤一
○松澤(一)委員 次に私は薪炭の價格の問題で申上げたいと思ふのですが、今も政府で答辯されたやうに、價格が安いと云ふことも、其の一つの隘路の重大なものになつて居る、此の價格を直ちに引上げて生産を確保する意思があるかどうか、私は必ずしも價格を値上げしたら、それのみで直ちに増産されたり、それに依つて喜んで澤山出るとも思ひませぬ、但しそれが一部の生産意欲を向上させる資になると云ふことは十分考へて居るのであります、現に薪炭の生産價格は、物價統制令に依りまして主要物資たる米とか石炭を基準にして決定したもののやうでありますが、主要食糧に於ても今日價格が變動して來た、石炭等に於ても價格操作を實施されつつある、斯う云ふ場合に、薪炭の價格のみ此の儘に置かれる譯には行かない、隨て少くも政府は價格に付ても製炭業者に對して何等か明朗性を與へて、闇取引や其の他に依る炭の横流れ等を防いで、それを正當な配給「ルート」に乘せて、現在の足らざる燃料を確保して越冬すると云ふ方針が今日に於て確立して居なければならないと思ふのでありまして、況してや各種勞務者が今言ふ基準量の加配米すら受けずにやつて居ると云ふ點などから見て、値段の點は相當重要性を帶びて來て居ると思ふのであります、現在御承知のやうに生産者價格が一俵十三圓何十錢、私の山梨縣あたりでは十三圓七十錢と承つて居るのでありますが、到底今日こんな程度の價格で一俵の炭が燒き出されるものではない、隨て此の價格に對して方針があるか、値上をするなら一體どの位上げなければならぬだらうかと云ふ方針が、今日直ちになければならぬと思ふのでありますが、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=14
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015・中尾勇
○中尾政府委員 價格の問題に付きましては、先刻も一寸申上げたのでありますが、此の價格の方の決定は經濟安定本部の方で決定されるのでありますけれども、前囘の價格改正の場合に考へて居りました價格の形成因子、例へば主要食糧の價格とか或は運賃等に異動が來しました場合は、當然薪炭の價格も改定して行かなければならぬと考へて居りまして、是等の點に付きまして色々と研究を致して居るのであります、まだ外の方の關係がはつきり致しませぬので、只今此の席で幾ら上げると云ふやうなことははつきりしたことは申上げられぬが、兎に角他の主要物資の價格と睨み合せまして、一貫的に適當な價格が決められるものだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=15
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016・松澤一
○松澤(一)委員 私は議員の一年生で、政治は嘘と祕密があつてはならぬ、今後の民主主義政治と云ふものは、成べく明朗に行かう、隨て私も其の積りで質問をして居るのでありますが、苟くも農林省は燃料の隘路が食糧と價格と原木にあると云ふことを心得て置きながら、價格はまだ研究中だ、何時研究が成立つのか、私が議會に出て來て一番不思議に思つたのは質問する人もされる人もさうですが、研究中だとか、考へて置きませうとか云ふことで御引下りになつて居る、是だけの分り切つたことであるから、大體農林省としては、一圓上げてやらうとか、十圓上げてやらうと思つて居るが、それは物價廳との關係、或は他物價との關係があるから、さうも參らぬと云ふやうな御話ならば兎も角、唯考へて居ると云ふやうなことだけであつては御質問申上げても無駄なことだと思ふ、私はそんな無駄な時間を費すことはいかぬと思ふので、一つあなたで御答辯出來ないものならば、農林大臣でも、物價廳のどなたでも來て、大體此の値段は斯う思ふ、さう思つたからさうなると云ふ確定的のものでないにしても、少くとも政治は早く明朗性を與へて、駄目なら駄目、宜しいものは宜しいとはつきりさせなければいかぬ、私共は古い學問で習つた議會答辯のやうに、研究中とか、考へて居ると云ふことでは一寸腑に落ちない、どうか御方針を示して戴きたいやうに思ひます、新しい議員はそこを熱望して居ることを御諒承願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=16
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017・中尾勇
○中尾政府委員 又同じことを繰返すやうでありますけれども、兎に角木炭の價格の形成因子であります今の主要食糧或は運賃と云ふやうなものがまだはつきり決まつて居りませぬので、其の點をはつきり致してから、此の薪炭の價格の方は大體見透しを付けまして、經濟安定本部の方に出す積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=17
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018・松澤一
○松澤(一)委員 大變諄くなるやうでありますけれども、一體他の値段が決まつて居るからと言ふけれども、米の値段は大體見當が付いて來て居る、石炭に於ても、例へば助成金と云ふか、補助金が略略決まつて來て、其の増産計畫を立てて居ると云ふ眞只中に、私の言ふことが無理でありませうか、無理なら、私は是れ以上承らうとは思ひませぬが、況してや自己の考へで、價格が安いから出來ぬと申上げて居るのではありませぬ、私が、炭などの出て來ない隘路は幾つかあるだらうが、どの邊にあると言つたら、農林省の方から、價格が安いからだと言はれる、御存じでありながら、今日に至るもそれが出ぬと云ふことは遺憾だと思ひますから、時間は掛つても宜しうございますから、大體此の位値上するのだと云ふことを此の委員會が終るまでに一つ御取計らひ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 此の問題は先程局長から價格が隘路であると云ふことを仰せられたのでありますが、實際の價格それ自身が隘路である以上に、米も上つた、何も上つたから、炭も上るのではないかと云ふ風聞があちこちに傳はつて、其の爲に供出が阻碍されることも隨分ある譯であります、隨ひまして今政府として是だけに上ると云ふことを、假に議會で御話申上げたと致しますと、逆にそれまでは供出をしない、斯う云ふことになる虞がある、率直に申したら宜からうと云ふ御話でありますが、實は我々の方にもはつきり固まつたものがないことも事實であります、大體是れ位が宜からうと思ふと云ふやうな豫想を申上げましても、逆に政府はこんなことを考へて居るらしい、それでなくても風聞があつて供出が阻碍されて居るのであるから、それに一層拍車を掛けることになる、假に是れ位の希望と云ふやうなことを申上げても、それが順々に傳はつた場合には非常な逆影響を與へる、尚ほ此の問題に付ては、大臣が其の中に見えませうから、大臣から御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=19
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020・松澤一
○松澤(一)委員 値上をすれば出て來ないと云ふ答辯ですが、値上げをしても出て來ない程物があるなら結構です、唯さう云ふことで、農林省の方に其の案がなくて、責任を他に轉嫁するやうな御答辯は實際私嫌ひなのです、値上を申上げると炭が出て來ない、さう云ふことより、炭を値上げしなければならないが、其の成案が出て居ない、簡單に言へばさう云ふことなのでせう、それでは私はいけないと思ふので、成案を直ちに拵へて、少くとも現在米が値上げされ、色々なものが値上げされて、炭だけ値上げされないと云ふこともないと思ふので、さう云ふ意味で供出をしないと云ふ點もあるでせうから、供出を促進させる意味から値上げするものなら、どんどん發表して、少しでも生産を上げることが政府の政策だと思ひますが、價格の點は是で止めて置きます
次にやはり政府の御答辯の中の原木の問題ですが、原木は薪炭需給調整委員會と云ふやうなものがあつて積極的な活動をして居るやうでありますが、實際問題としては、是が力が弱くて駄目ださうです、政府は此の薪炭材の需給調整規則を規定せられた如く、薪炭原木確保の上に何か法的措置を講ぜられる意思があるかどうか、唯是だけを作つてそれに委して置くだけでは、中中原木の入手難は緩和されない、勿論是は林業問題にも關聯するのでありますが、茲では炭の問題だけで申上げて置けば、需給調整委員會と云ふものに何か強力性を與へて、原木の確保をもつと積極的にせずんば、薪炭の生産に又一大支障を來す、是はなぜかと云ふと、色々のものが上れば上る程立木が上つて來る、所謂薪炭原木が上つて來ると云ふ現象から、殊に最近に於ける原木の入手難と云ふことは大變生産に影響して居るのでありまして、原木確保の方針を、簡單で宜しうございますから、はつきり承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=20
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021・平川守
○平川政府委員 此の林業會に薪炭を入れるかどうかが、問題になつて居りましたが、是も一つの方法と致しまして各方面とも相談を致して居ります、假に之に薪炭が指定を受けると致しますれば、林業會及び其の傘下團體の自主的な統制に依りまして原木の供出を圖ると云ふことは問題になる譯です、併しそれだけのことで果して原木の確保が出來るだらうかと云ふことが更に御心配であらうと思ひます、之に付きましては臨時物資需給調整法の成立がありますれば薪炭と云ふ物資の生産に必要なる何等かの統制組織と云ふものも出來るのではなからうか、若し其の必要がありますればそれをやりたい、法的の措置も行ひたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=21
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022・松澤一
○松澤(一)委員 私は農林大臣を主にして居るのでありますが、其の中で農林大臣でなくても宜しいやうなものを選つて居るのでありますから、隨て議論も區々になるかも知れませぬが、林業に對して種苗の國營を斷行する意思があるか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=22
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023・中尾勇
○中尾政府委員 種苗のことに付きましては、差當り本年度から種子の採取も出來るだけ營林署をして行はせる、又幼苗の育成に付きましても、營林署の方の苗圃を活用致しまして、是は全部とは言へませぬけれども、出來るだけ營林署の苗圃で播種を致しまして、育成致して行きたいと思ひます、全部を國營にすると云ふ譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=23
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024・松澤一
○松澤(一)委員 今苗圃は非常に安いさうだが、到底個人經營では出來ない、さう云ふやうなことから、或は個人經營をするとすれば、闇取引するより外ない、それでは健全なる林業發達の上に優秀なる種苗の育成が出來ない、是は又話が横道に外れて變ですが、少くも今日山の民主化と云ふ建前から、澤山な官有林を持つて居る國が、種苗の國營或は國家管理を斷行して、一元的に種苗を配給し、其の研究をしたらどうか、個々區々にやつて、今日甘藷の苗さへ三十錢、五十錢する時に、種苗を變な統制管理で縛つては、却て其の管理に依つて罪惡を起させる、其のやうな生産の仕方と云ふものは、私は執らぬ問題だと思つて居ります、種苗の國營と云ふか、國家管理と云ふか、兎に角種苗は國がやる、又さう云ふ好適地も澤山官有林としてはある筈なのでありまして、私有林以上にさう云ふ所があるので、是は將來出來るかどうか、それだけを承つて置きたい、今直ちにどうと云ふのではありませぬが、此の林業會法が出るからは、當然さう云ふことの根本論に入つて行かなければ林業界の發達は出來得ないと思ふのであります、國の種苗に對する御方針を聽いて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=24
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025・中尾勇
○中尾政府委員 種子の方の採取に付きましては、優良種子を採取する必要もありますし、出來るだけ國でやつて行きたいと云ふ風に考へて居ります、今の苗木の養成に付きましては、先刻申上げましたやうに、先刻營林局の方の會議で大體見込を打合せました結果は、約三億萬本程度の苗木を營林署の方で養成する、是は民林に差向ける苗でありますが、さう云ふやうな計畫を致して居ります、苗木の方を全面的に國管にすることはまだ考へて居りませぬが、此の點は尚ほ研究を致して見たいと思つて居ります、尚ほ苗木の價格決定のことは地方長官に任してありますから、どうぞ御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=25
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026・松澤一
○松澤(一)委員 前以て御聽きして置きますが、地木社時代――縣では縣木と言ひますが、地木當時戰爭中から終戰へ掛けまして、解散を命ぜられるまでに、所謂統制經濟の違反行爲、刑事事件となつた數の中で、一體木材業者に多いか、森林業者に多いか、其の數字を表はして貰ひたい、是は農林省では分らぬかも知れませぬが、委員長の方から、司法省の方へ聽いて貰ひたい、詰り統制經濟の違反行爲或は横流し、闇取引等の刑事事件に引掛つた數の中で、木材業者の方が數が多いか、森林業者の方が多いか、兎に角それを數字的に御聽きして置きたいと思ひます
それから、是は農林大臣に御聽きしたい問題なのですが、政府委員で御答へして戴けますか、一體今度の林業會法と山の民主化と、どう云ふ關聯を持つか、御説明願ひます、よく今までの御答辯に、林業會法の民主化と云ふことが言はれて居るが、私が見ては、三日三晩考へて見たけれども、どうしても林業會法の民主化と云ふことが見當りませぬ、それで承はらうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=26
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027・平川守
○平川政府委員 一寸御質問の意味が分り兼ねるのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=27
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028・松澤一
○松澤(一)委員 今度の林業會法が非常に民主化されたと云ふ言葉をよく聞くのですが、私は何處に民主化された點があるのか、ちつとも分らぬ、一寸御分りになりませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=28
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029・平川守
○平川政府委員 若し答辯が筋違ひでありましたら――今まで、此の林業會法が民主化されて居ると申しますのは、主として現在の地木、日木と云ふやうなものに依る統制と云ふもの、現在の、官治統制式と申しますか、統制會社に依る統制と云ふものを民間團體の相互の協力に依る林産組合或は林業會、斯う云ふ極めて民主的に出來上つた團體の統制に任せると云ふ意味に於て言つて居る、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=29
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030・松澤一
○松澤(一)委員 委員長に一寸御願ひして置きたいのですが、大臣がおいでにならぬので議論が入混むかも知れませぬけれども、惡しからず御諒承して戴きたいと思ひます、大變新しい話を聽きまして、地木、日木は民主的でなかつた、是は私も同感でありまするが、それが撤廢されて業者だけになつたから、それで民主化された、斯う云ふ御意見と承つて宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=30
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031・平川守
○平川政府委員 業者だけと申しますか、關係の業者、或は場合に依つては需要者團體と云ふやうなものまでも含めた廣い範圍の林業會と云ふものを作つて參りたいと思つて居ります、それから立木の供出の方面に於て森林組合と云ふものが、やはり對等に參加して居ると云ふやうな、林業者、或は林業に關係を致すもの全體が、民主的に集まつて、其の民主的な總意に依つて運行して行くと云ふ意味に於て民主化されて居る、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=31
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032・松澤一
○松澤(一)委員 大變難かしいことになるかも知れませぬけれども、私は林業の民主化と云ふことは、今日の林業會法では、民主化と云ふことも唯其の一部分のことではないのでございませうか、それとも林業全般に對する一つの民主化と云ふ點から來て居るか、それから是が林業全般に對する無二の林業會法であるか、是は私が解釋すると、今までも斯う云ふ御質問があつたと思ひます、一體林業會法は暫定的法律かどうか、是は私から言はせると、暫定的と云ふより、林業界に於ける本當の一部分を取扱つた法ではないか、斯う思つて居るのでありまするが、一つ御所見を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=32
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033・平川守
○平川政府委員 暫定的と申しまするか、一面に於て非常に急速を要する面もありました爲に、是が林業界全體の根本的な總ての問題を包含した完全なる成案であると云ふ譯には參らないと思ふのであります、一部の點を取上げたものであり、又或る程度暫定的な意味を持つものであると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=33
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034・松澤一
○松澤(一)委員 私もさう思つて居ります、隨て私は林業會法の問題では一つの意見があるのですが、それはまあ別と致しまして、斯う簡單に考へても宜いのではないでせうか、過去に於ける地木、日木の一つの肩替りの團體だ、多少用語や規則の上に林業と云ふやうな言葉が澤山使はれて居ることと森林組合等が多少今までより廣汎に參加して居ると云ふやうなことで、寧ろ斯う云ふのを私は羊頭狗肉の會と思ふのですが、政府委員はどう御考へでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=34
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035・平川守
○平川政府委員 單に地木、日木の身代りと云ふ風にも考へて居りませぬ、勿論根本的な林業團體の問題と致しましては、尚ほ色々漏れて居る點があると思ひますので、さう云ふ意味に於て一部的と申上げて宜いと思ひます、唯併しながら林業の發達、或は林産物の需給と云ふやうな面に付きまして、凡そ之に關係のある森林所有者或は林産業者と云ふものが、何等かの形に於て協力一致する態勢と云ふものは大體に於て必要なのではなからうか、さう云ふ方向と云ふものは將來と雖も是が一つの根本になるのではなからうか、さう云ふ意味に於て必ずしも單なる地木、日木の身代りではなくして、やはり將來の林業團體と云ふものを形作つて行く一つの基礎的な考へ方と云ふものは持つて居るのだらう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=35
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036・松澤一
○松澤(一)委員 大臣が御見えになつたので、序でに今の話から申上げて行きますが、それではなにも林業界、所謂林業の世界の一部分の構成を以て一つの團體を作るやうなものだつたら、鳥滸がましくも林業などと云ふ大きな言葉を使はずに――私は今日も申上げた通り、今まで多くの質問があられたので、重複する所や管々しい所を拔きにして、其の重點だけを御伺ひして置きたいのでありますが、一體今日の復興に木材が要るから、今までは日木や地木があつたから、是が木材の統制をやつて居つた、其のやり方が宜いか惡いかは別として、それが「マッカーサー」司令部から解散の指令があつた、それに代るものを考へなければならぬ、應急手段の團體である限り、是が林業と云ふ大きな世界を含めて、恰も林業會法が山全體の民主化、所謂山林全體の民主化、材木配給の民主化や一切が含まれて居るやうな誤認を與へることは私は大變間違ひだと思ひますが、其の點一つ御意見を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=36
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037・平川守
○平川政府委員 非常に狹い現在の復興とか、さう云ふことだけを狙つて居るのではないか、斯う云ふ御話のやうでありますけれども、必ずしもさうではないのでありまして、林業の發達と云ふことに付ても、それは仰しやるやうに、是だけで以て急に完璧にそれが動く、是で萬事盡せりと云ふ譯ではありませぬけれども、林業の發達と云ふ一つの大きな理想に向つて、森林所有者も林産業者も協力一致しなければならぬではないか、斯う云ふ一つの目標を以て、其の爲の一つの團體機構と云ふものは大體斯う云ふ方向に行くべきものだ、併しそれを完璧に檢討致して、之に必要な要素を總て包含せしめて完璧なる法制を作ると云ふ暇はなかつた、それは一方に緊急な要求もありましたので、それで大體斯う云ふ方向であると云ふことで立案を致して居るのであります、隨てさう云ふ意味に於て暫定的の部分も持つて居りますけれども、初めから目先の復興だけとか、或は司令部との關係だけとか云ふのではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=37
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038・松澤一
○松澤(一)委員 何を仰しやるか、私は此の状況を見て其のやうにちつとも感じたことはありませぬ、なぜかと言ふと、森林組合と云ふ一人立ちも出來ぬやうな團體と、今日の林産物生産業者、一口に言ふと需給業者、或は材木屋さん、斯う云ふ有力なものが一緒になつて、さうして氷炭相容れぬやうなものが主體勢力となつて行くと云ふことは、是は誰が見たつて、今日の復興材料を捻出することと、多少林業と云ふ言葉が入つて居るから山のことも考へると云ふだけで、それ以上何が之に望めるか、要するに山のものの構成と云ふものは、そこに重大なものを取殘して何の林業の形もございませぬ、それはそれで宜しいのです、私は寧ろ政府の拙速主義を疑ふのでありますが、今言はず語らずの中にさう居ふ團體が解散されて、多少不利な點はあるけれども、斯う云ふものは作らなければならぬと云ふので作つた、抑抑そこに大きな缺陷がある、是も已むを得ないが、私は山の民主化と云ふことは、日本の政府が間誤々々して居る中に、丁度石炭の國營が――本當の事實かどうかは別として、それには色々なものがあるでせうけれども、さう云ふものが發表されたり、好むと好まざるとに拘らず、農林大臣が農地調整法、農地改革をしなければならなくなつたと同樣に、山の民主化と云ふものも今にやらなければならなくなりますよ、其の時は別として、今日それを「カムフラージュ」する爲に、所謂林業會社と云ふやうな名前を付けなくても、もう少し外の名前はないか、若し是が下手な發達をして今までの程度で行けば、永久に林業の民主化は望まれぬと私は思ふ、併しそれには「マッカーサー」司令部もあつて、きつと日本の民主化の爲には――所謂「ポツダム」宣言を實行させる上には、厭が應でもそれを監視するのでありませうけれども、無定見も甚だしい案を出して、新しい政治に志す議員に對して政治を欺瞞し、さうして今日の日本の性格が違ひ、日本の行き方が違ふ、再出發の日本に新しい我我政治に志す者には何かしら變な物を押付けて、さうして議論をする、それ自體が私はどうも政治家の良心として一言文句がある、斯う云ふ所に私の狙ひがあるのでありまするから、そこを一つ一年生の私達に、又新しい政治を志す者にどうか親切に一つ御答辯願ひたい、私も政治は八十萬國民が皆共同一致してやらなければならぬと云ふことは承知して居りますので、今言ふやうな極端な「イズム」に囚はれたり、或は自我を固執するものではないが、それには自ら明朗性のある林業の民主化と云ふものが考へられなければならぬと思ふのであります、日本の林業が非民主的性格であつたと云ふことは爭はれぬ事實であります、我々は之を十分批判しなければならない、それから日本の林業が半封建的な制度である、官有林などが澤山あつて、常に是が所謂封建的である、或は非民主的である、斯う云ふ點から考へて、寧ろ此の林業會法にはもつと特別な層が入らないと、是が構成出來ないのに拘らず、私をして端的に言はしむるならば、或は間違ひかも知れませぬが、過去の地木社や、木材業者の肩代りのやうなものを作つて、さうして中央に於ては、農林大臣をして心にもなく其の業者の意見を聽いて十分成案あるものを出したなどと言はせる、さうして猛運動が行はれたとか、林業會の大將が其の大將になるのだとか、材木屋の大將が其の大將になるのだと云ふ風に「デマ」臆測が飛ぶ、それでは過去に於ける地木社や縣木社は何をしたかと云ふと、是は御承知の通り國民怨嗟の的である、國の林産物を食ひ、さうして私有林に對しては強壓的な一つの壓迫を加へ、闇取引や横流しを常習にして、僅か三年や五年の内に何十萬、何百萬と、一介の木材業者が財産を溜めた、一方では國民が血と汗を搾りながら、自分の子弟兄弟を殺しながらやり拔いて來た戰爭の眞只中に金を溜める、是は何處の縣、何處の地方へ行つても、あの材木屋がそんなに金を溜めたか、そんなに財産があるのかと云ふことは澤山あつた話であつて、是は決して荒唐無稽な話ではありませぬ、而も其の木材統制の眞只中に於て、私が先に申上げた通り、司法事件も表面に現はれた事件が相當澤山あるが其の他に表面に現はれない所の問題と云ふものはもう枚擧に遑がない、斯う云ふ人達に依つて又再び日本の復興、所謂國民の山林が相手とされて、是が又再び過去に於ける所のさう云ふ人達に依つて指導されるのかと思ふと、私は日本の將來の爲に之を悲しまざるを得ない、隨て私が林業會の民主化と云ふことに對する御意見を承りたいと云ふのは、斯う云ふことでありまして、寧ろ私共の言葉が多過ぎるかも知れませぬが、農林大臣はこんなに喋らなくても御分りだと思ふ、此の林業會法に對する問題と林業の民主化と云ふ問題と一體どう云ふ撃がりがあるか、一つ一年生として承つて郷里へ歸りたい、斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=38
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039・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、此の林業會法は、御話のやうに、又私が此の委員會で屡屡答辯致しましたやうに、是は謂はば暫定的な團體であります、隨て林業其のものに關しまする基本的な團體法に付きましては、屡屡各委員の御尋ねに對して御答辯致しましたやうに、是は出來るだけ早い機會に成案を得まして、出來るだけ早く良いものを作りたいと思ふのであります、是が此の民主化と云ふものとどう云ふ關係があるかと云ふことでありますが、戰時に林業に付て、殊に木林に付て行つて居りました所謂地木社、日木社の官治統制を廢めまして、茲に林業界に關係のありまする人達に依つて團體を自主的に作る、業界の一つの團體と云ふものを作つて行く、斯う云ふことなのであります、さうして其の團體の人達のお互ひの協力に依つて、是は松澤さんは水と油だと仰しやるのでありますが、併し林業と云ふものを一貫してずつと生産から消費まで見まして、其の生産を廣い意味での生産と言ひますと、生産の各段階に於てそれぞれの機能を持つて居りまする者が一つの纒まつた團體を作りまして、さうしてお亙ひの機能々々に於て協力して行く、是は一面から言ふと分業でありまするが、同時に其の分業の半面である相亙の依存と云ふことを強くここでは考へて、それ等が協力してやつて行く、斯う云ふことになるのであります、それならば勞働者がどうか、斯う云ふ問題が直ぐ出て來る譯でありますが、勞働者の點に付ては、前に御答へ致しましたやうに、我々の方としましては今囘は此の特別議員と云ふやうな形で其の參加を求めまして、さうしてお互ひに協力して戴く、尚ほ各製材業なり其の他に付きましては、是は經營協議會なり何なりさう云つたやうな形でそれぞれ林業の實際上の民主化と言ひますか、さう云ふものを圖つて行く、唯山林の勞働者に付きましては、兼業の者があり、專業の者がありますので、是はお叱りを蒙るかも知れませぬが、それ等のものに付きまれては又適當な發達と言ひますか、組織化と云ふものを待つて、別途に考へて行つたらどうだらうか、まあ今囘は其の點に付ては觸れずに置いた、斯う云ふのが實情なのでありまして、結局此の民主的な團體を作つたから總ての林業關係が民主化する、斯う云ふやうに「ロジック」が飛ぶ譯には參らないのでありますが、やはり林業の經營或は全體の林政と云つたやうなものを今後圓滑に行つて行きまする爲には、一方に於きましては現在の需給の「バランス」が取れず、又或る程度の計畫性を持たないと總ての事柄がやり得ないやうな時に於きましては、大きな立場から政府に依りまする計畫と云ふものが必要でありまするが、又實際上それを受けて自主的に其の計畫に從つてやつて行く一つの民間の協力と云ふものがなければ迚も出來ない譯でありまして、どちらかと云へば民間の方の者がそれぞれ自覺しまして、それぞれの責任を以て民主的な組織を作つて、其の組織に依つてそれ等の事柄が圓滑に行はれて行きますれば之に越したことはないのであります、此の林業會に付きましてはそれぞれの構成分子に於て各團體が違ひますが故に、そこに一面から言へば利益の相反する點もありますが、又一面から言へばそれが一つの林業全體の上の相互依存と云ふこともありますので、其の點は十分認識して戴いて、相互の協力を以てやつて行く、斯う云ふ考へなのでございまして、勿論是は林業に關する一つの團體法、而も屡屡私が申しましたやうに一種の假定的な團體法、斯う云ふやうに一つ御理解を御願ひ致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=39
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040・松澤一
○松澤(一)委員 農林大臣の御答辯は誠意があつて、私は何か打たれる所がありまするが、と言つて私の議論を弛める譯に行きませぬ、それでは初めから林業會法などと云ふ大それた名を付けられることは、將來の日本の林業會の民主化――是は私は民主化とは思つて居りませぬ、今度の林業會法は林業界の統制だと思つて居る、所謂消費の統制で、山を伐るばかりをやつてはいかぬから、木を植えることも少し考へたと云ふ一つの統制だと思ひます、そこでどうです、之を二本建てにする御考へはありませぬか、例へば林産物の生産業者なら林産物の生産業者だけにして生産する、森林業者は森林業者として、山に木を植えたり、其の素材を賣る、斯う云ふやうに行くべきものだと思ふ、恰度保險會社と銀行が一緒になつたやうなものもので、一方では材木を山から伐つて賣さへすれば宜いと云ふ團體、一方では育成しながら、山の將來を眺めながら、治山治水を考へながら伐り出して行くと云ふ團體、是が一緒になつたら其の勢力は必ず木材業者に占有されると思ふ、さうして其の強い財力とか、さう云うものに依つて山が荒されると云ふ考へ方を私は持つて居るのであります、勿論私は今日の復興の上に多少山の荒されることは已むを得ぬと思ふけれども、それは計畫的な荒され方でなければならないし、統制ある荒され方でなければならない、是は農林大臣能く御分りのことと思ひますが、計畫的に山を荒すと云ふことになりますと、やはり親しみのある森林業者が主體勢力を持たなければならぬ、假に私が此の林業會法を是認するとするならば、山を經營しながら進む所謂林業者が其の主體勢力とならねばならぬ、今の状況から言ふと所謂木材業者が此の主體勢力を持つのではないかと憂へて居るのであります、而もそれが國の要請に應じて、我々農山村の者が長く育てた木材が眞に國の爲に盡されて行くなら、是れ亦私達は山が高いのでなく木が貴いのだと云ふことで是認も出來るが、今までのやうに前門の狼を追つたら後口の方から虎が現はれたと云ふやうな一つの團體になつたり會社になつて來たら、それは由由しい問題だと思つて居るのであります、隨て私は此の林業會法などと云ふのは羊頭狗肉だから、寧ろ木材統制法とか或は何か他の名を付けて、少くも今日の需給關係に對する主體を明かにした方が却て宜い、追つて「マッカーサー」司令部から指令が出るか、或は日本政府自らが山の民主化を圖るか、それは多少遲れてもさう云ふことに依つて山の解放が行はれる、あとで私は之を農林大臣に御聽きして置きたいと思ふのですが、後でさう云ふ立派な農林會法が現はれることが私は當然だと思ひます、現在に於ても此の儘行けば所謂木材業者が其の主體勢力を握つて、寧ろ林業組合等を壓迫する、もう一つは、澤山持つて居る大きな山主、五十町歩とか二十町歩以上持つて居ると云ふやうな有數の山の持主が中々材木を賣らない、さうして御承知の通り是は森林法に依つて自分勝手に――と言ふと惡いが、自ら施業案を立てて、自ら山の伐採をする、斯う云ふ法になつて居りますが、例へばさう云ふものも拔けて居る、農山村が先づ第一に拔けて居ると云ふ一つの現實、今日農山村を無視した林業會と云ふものは成立たない、農山村の中には勿論林業勞働者が澤山入つて居る、さう云ふことから考へて來て、私は寧ろ此の法は木材統制法と云ふやうな別な名前にするべきだと思ふ、林業などと云ふ先祖傳來のものを苟も今後、農村と山村と云ふ、日本の再建をして行く此の一つの基盤を今のやうな狼や虎に荒されたくないと思つて居る、是は私の率直な考へ方なのでありますが、此の林業會法と云ふ名を變へる考はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=40
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041・和田博雄
○和田國務大臣 名前を變へると云ふ考へは實はないのですが、是はやはり實情を御考へ願ひたい、差當つて此の法案と云ふものは松澤さん御承知のやうに、可なり歴史的な經過のあるものであります、さうして見るとどうしても戰時中の日木社、地木社、所謂木材に付ての生産配給其の他の適正を期して行くと云ふ點に付て、從來の日本のやり方と云ふものは止めてしまふ、併し止めた儘で今の現状を放つて置く譯に行かない、さうするとそこにやはり林業と云ふものに關係のある者達の團體と云ふものを作つて、其の團體が自治的に今までやつて來た事柄を代つてやつて行く、斯う云ふことなのであります、それでそれなら二本建てにして、森林組合なら森林組合と云ふものを一本ずつと通して、それから林業組合なら林業組合と云ふものを一本通して、二本建てでやつたら宜いではないか、何も其の上に二つ入れたものを作らなくても宜い、斯う云ふ御議論も考へ方としては成立つと思ひます、併し同時に其の兩者と云ふものがお互ひに――是は資本主義の世の中で云へば丁度資本家と勞働者と云ふものがあつて、兩者が上に行つて團體協約と云ふもので色々の形の事柄を處理して行くと云ふことが考へられると同じやうに、やはり片一方のそれぞれに機能を營んで居るものが林業會と云ふものを作つて、内部からそれ等の色々のことを處理して行く、謂はば大きく見れば一種の經營協議會と云つたやうな考へ方に類似して來るのであります、さう云ふ風に是は考へられるのであります、隨て其の兩者が此の團體法に於てはやはり對等の立場、議員の數、其の他の意思の決定に於てもやはり對等の立場に立つて自治的にやつて行く、斯う云ふ風に考へて居るのであります、勿論森林其のものが日本のやうに六三%から四%も全面積の中で占めて居るやうな所では、是は山が同時に山村民なり農村民の生活に不可分であると云ふことは誰でもさう思ふのでありまして、さう云ふものに付ての農山村側から見た農山村の考へ方、色々の施策と云ふものは、是は又別途に考へて一向差支へないのではないかと思ふのであります、唯森林の培養なり、木材の生産配給統制と云ふものをやつて行く上に於ては、斯う云ふ林業會と云ふ森林所有者と林産業者との團體と云ふものを以て一つの機構として行くと云ふことで是はまあ行けるのではないか、斯う考へて居る譯であります、林業會と云ふ名前を今の所變へる考へはありませぬが、考へ方は私が今縷々述べましたやうな考へ方でありますので、御諒承を御願ひ致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=41
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042・松澤一
○松澤(一)委員 私が農林大臣に問はんとする所に入つて來ました、今仰しやられたやうに、是は此の方で統制して行つて、農山村は別に考へるべきだ、それが私の承らうと思つて居つた所なのですが、それでは今日の山の民主化――私は林業會と云ふやうな言葉は却て是と一部分に混同されて見られてはいけないので、山と言へば全體のことなのですが、山の民主化に對して農林大臣はどう云ふ御考へを持つて居られるか、是は今農林大臣も仰しやられたやうに、林業が非常に農山村と密接な關係を持つて居る、隨て今日農業技術が發達しないやうな日本の小農經營に於ては、山と云ふものを離れて農業經營はありませぬ、有畜農業から、飼料から、肥料から一切山に我々は頼つて居る、それから農林大臣が最近御提出になつて居る所の農地改革、是と並行して少くも山の問題が解決されなくてはならぬ、私が先程から申上げるやうに、今日本の山の民主化と云ふ點に若し日本の政府が躊躇して居るならば、聯合軍の方から何か此の民主化に對する注意があるべき筈のものだと私は考へて居るのでありますが、少くも農地改革と林業政策と云ふものは並行して行かなければならない、今言ふやうに、日本の農地と農山村は山と常に密接な關係を持つて居る、さうして御承知のやうに農山村の勤勞大衆は、殆ど兼業農家が其の六割を占めて居る、其の兼業農家は一體何かと云ふと、皆山を頼りとして居る所の副業であります、是だけの山との關係を持つ農村を無視して、今後の山の解放、山の民主化は望まれませぬ、隨て私が今申げて居るのは、本當の一部分の所だけで、統制をやつて居るのではないか、そんなことよりも、もつと奧深い山の民主化と云ふことならば、農山村を全部包含した山の民主化と云ふことを圖らなければならぬのではないか、斯う思ふのでありまして、其の點一つ農林大臣の御意見を承つて置きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=42
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043・和田博雄
○和田國務大臣 日本の土地問題と云ふものを廣く考へて行きますと、日本の土地をどう云ふ形態に於て利用するのが宜いかと云ふことが、先づ起つて來るのであります、之を山林として利用すべきか、牧野として利用すべきか、或は農耕地として利用すべきか、斯う云ふ大きな問題が前提としてそこに存する譯であります、それが現實の事實としては、それぞれの國に於て其の土地利用の現状に於て、非常に異なつて居るのであります、例へば土地面積の大部分が耕地として利用され、森林其の他の牧野として利用される部分が比較的少いとか、或は大部分が、森林であつて、耕地牧場は比較的少いとか、さう云ふ土地と云ふものの自然的な條件、及びそれを人間が利用して居る利用の形態と云ふものに依つて、其の國の國民の經濟なり、生活なりが、基本的には規定されて來て居るのであります、所で日本は今言ひましたやうに、山林と云うものが土地の大部分を占めて居る譯であります、其の山林を考へまする場合、是はどうしてもやはり大きく二つに分けて私は考へざるを得ないのであります、それは山林が持つて居ります國土の保安、治水と言ひますか、基本的な、全く「パブリック」な部分であります、人類の生活に取りまして、殊に日本のやうな灌漑農業を基礎として居ります國に取りましては、正に是は基本的な面であります、斯う云ふ面を考へます時には、どうしても森林を考へざるを得ないのであります、此の面に於きましては、私的な利益と云ふものは、此の公の利益の爲にどうしても制限されざるを得ない部分であります、それと同時に、今度は其の反面として、森林がそれぞれの住民に與へる所の利益、謂はば私的な經濟的な利益の部面であります、斯う云ふ面に於て又そこに一つの問題があるであらうと私は思ひます、そこで私は今度の農地改革に於きましては、未墾地の開發と云ふ限度に於きまして、日本の土地利用と云ふものを、現在森林或は原野として放置して置きまするよりも、公には今言ひました國土保安の點から考へましても、それから國民の生活の向上と云ふ點から考へましても、又人口問題の解決と云ふ點から考へましても、或は食糧問題解決と云ふ點から考へましても、凡ゆる經濟的な又は文化的な面から考察しまして、森林として置いておくよりも、是は耕地として利用する方が適當だ、斯う云ふ認定がありまする時に付きましては、之を國家が強制的に買收する途を開きまして、所謂森林と云ふものの耕地への開放と云ふことを行ふことが必要だと考へて、案を提出致して居る譯でございます、其の他現在のさう云ふ地元人民の例から見ました森林の利用、松澤さんの御言葉を以て言へば民主化と云ひますか、さう云ふものに付きましては、從來とても相當やつて居るのであります、例へば國有林などに付きましても、國有林の地元への利用の開放と云ふことは、是は殊に從來とてもやかましい社會問題となつて居つたのでありまして、農林省としましても地元への凡ゆる形に於ける利用と云ふ點に付ては努めて來て居るのであります、是は今後と雖も森林の公な面に支障のない限りは、どうしてもさう云ふ方向で利用を促進して行くことになり、又やつて行く考へであります、又國有林に付きましても、例へば今度は大體の計算としまして、九萬町歩ばかりを農耕地へ開放する考へで居る譯であります、是等のものに付きましては、今後とも十分調査を致しまして、或は農耕地として開放するのが宜いと云ふものがありますれば、それ等の事柄は行つて行く積りなのであります、併しながら此の山林所有に付きましては、先般社會黨の氏原さんにも御答へ致しましたやうな考へで、私はやはり里山と奧山と云ふものは、どうしても一應割つて考へざるを得ない點があるのではないか、斯う考へて居るのでございまして、其の點に付ては前に詳しく御答へ致しましたので、御諒承を御願ひ致したいと思ふのであります、大體私はさう云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=43
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044・松澤一
○松澤(一)委員 御話を承つて居ると、何か山が開放される、今も開放されて居る、それで農山村は今までと變りないではないか、治山治水の見地からの色々な點で今日御話を承つたのですが、私は農林大臣と同じやうな氣持だが、今一歩進んで居るのであります、それは今日御承知の通り沿岸に住む人達が、海の開放を望んで居るのであります、今言ふ漁業權とか何とか云ふものを撤廢しろと云ふ、是も早晩現はれて來るでありませうが、海岸に住む人達が天然自然の海の産物を獲つてそれで生活すると云ふことは、沿岸民、所謂海邊に住む者の天賦の權利であると同時に、農山村の農民が其の山に依つて其の生活の基本を立てて居ると云ふことも、是は天賦の權利だと思つて居ります、それなら今までも農山村に對して山は開放されて居るではないか、落葉下草も、時に焚木薪炭もと云ふのでありますが、それは非民主主義的な開放であつて、民主主義的の開放ではありませぬ、而も私が計畫的に國が山を考へなければならぬと云ふことは、一つの例を以て申しますれば、今日官營だとか、國營だとか、御料林と云ふものは非常に優秀な成績を示して居る是は昔もさうでありまして、今から三十年も前に山梨縣は水害を受けて、明治天皇から恩賜縣有財産を御下賜されたと云ふやうな貧乏縣であるだけに、而も甲州の山猿と云つて、殆ど其の周圍は山に繞らされて居つて、其の中の農村でありますので、全國の各山を視察して一番感じたことは、例へば秋田縣だとか、山形縣だとか或は四國だとか云ふやうに、其の土地に長い間大名の居つた所では非常に山が肥えて居る、非常に山が豐かであり而も今日滾々として泉の如く幾ら施業案を立て之を伐採しても、少しも山が傷んで居らない、是は如何に其の土地の者が――勿論昔は所謂封建的ではあつたけれども、先づ山を愛することを先にして、其の山の木を利用することを後にした、同じやうだけれども是だけの差があつた、さうして子孫の爲に山の經營をした、山と云ふものは三年、五年で出來るものではなく少くとも三十年五十年經たなければ其の山の性能は現はれて來ないのです、例へば山梨縣の如き、昔封建時代の幕府の直轄地帶では、今日の縣知事みたやうに、來る役人も來る役人も其の縣の財産を賣飛して自分の出世ばかり考へて居たと云ふやうな縣の山は皆荒れて居ります、私の經驗を以てすれば、少くも長く其の土地に大名の居なかつた山は全部荒れて居ります、斯う云ふ關係から考へても、今日山梨の山などもさうなのですが、恩賜縣有財産になつて初めて山が青々として來た、戰爭中何處の山が一番濫伐されたかと云ふと、大概私有林であります、主に私有林の方が濫伐されて、御料林、國營林或は縣有林と云ふものは比較的濫伐されて居らない、要するに、山の經營が營利を追求する人達のみに依つてそれに經營の主體が置かれると云ふ所に、私達は山の將來を憂ふるものである、所謂農山村の人々は治山治水を先づ第一の目標にして居ります、若し山の木を濫伐して、其の結果水害を受けるかと云ふと、誰が受けるでもない、自分自らが受けるのであつて、山の計畫に付ては私は遠大なる計畫を持つて居る、即ち簡單に申しますと、將來政府は山林と云ふものを國營なり國家管理なりにして、之を其の地方々々に管理させると云ふ方法は執れないものであるか、是なくして山の開放はありませぬ、山の民主化はありませぬ、而も土地開放した澤山の大山持は、大概土地の地主であると云ふことを忘れてはなりませぬ、さうして今言つた落葉下草で、肥料には事缺かないやうに開放されて居るではないかと言ふけれども、それは自ら限度がある開放であつて、そこに何等の明朗さもない、例へば今日の讀賣新聞を見ると、農地開放が出來たと云ふので「アメリカ」の新聞記者が山村を訪ねて行つたら、土地を買ふ意欲は非常に強かつた、但し地主の言葉は、二町歩の山に立籠つて山を經營する、聞けば聽流しの出來る問題でありますが、是が中々看過出來ない問題であります、而も今まで土地を賣つて呉れとか、どうして呉れと言ふと山まで止められて、自分は其の土地で農業經營が出來なかつたと云ふ述懷まで其の話の中に如實に現はれて居るのですが、斯う云ふことが農山村の過去の封建的な物語の一つの資料であるのです、山の開放なくして農村の開放なし、斯う考へて居るのでありまして、此の中には國有林、御料林等が相當あるのです、將來此の性格は農山村にどう變つて行くか、さうして農山村の人達が山に歸つて、所謂林業の經營をして行くと云ふことそれ自體が將來の山の蓄積になり、其の山にありますものが將來又一般需要者に向いて行くのでありますが、さう云ふ所謂林業開放が改めて出來なければならぬと思ふのです、決して今日私は其の消費面或はそれを加工する作業面のことを考へて申上げるのではありませぬ、それは當然自ら出來る部門でありまして、之を併せて考へる必要はないのであります、山の經營、山の開放を今後どうするか、一體誰にさせるのか、今までのやうに森林組合にも加入勝手であると云ふやうに、五十町歩以上の山持が自分の自由な施業案で山を勝手に經營して宜いのか、又は其の他中小の山の所有者が森林組合を組織しても活動が出來得ず、又國は之を指導せずして、其の結果は所謂業者は消費主義的に働く、所謂林産物業者の爲の好餌となつて少しも林業に對することが考へられない、文書や言葉の上では考へられるけれども、實際面では考へられない、而も二十年、三十年、五十年の木材は其の地方に於ける農山村民が擧つて火災や旱魃其の他一切のことを防ぎ、是は形の上に現はれないけれども默々として育てて來て居る、山あるが爲に其の地方に於ける農業經營に密接な關係を持ち、而も兼業農家が約六割あり、二百數十萬の林業勞働者は常に此の山と關係がある、斯う云ふものを無視して今後の林業政策はありませぬ、今農林大臣の御考へになつて居ることは、早く材木を伐り出すと云ふこと或は復興すると云ふことが先に走つて居るやうに思はれ、眞の山の經營と云ふことが浮いて居るやうに私は感じて居ります、勿論それを考へずに言つて居る譯ではないが、法案それ自體の性格から、又今日の農林大臣の色々の立場から、山の經營と云ふものが自由になることは私も御尤もだとは思ふが、さう云ふ淺はかな考へでは私は此の林業開放を議論する譯には行かない、況してや一年生の議員として我々に重大な關係を持つ――今申された通り六百萬町歩の我々の耕地を繞る二百數十萬町歩の山林、之を等閑にして農業問題を論ずる譯には行かない、森林問題を論ずる譯には行かない、斯う云ふ見地から將來は恩賜林等はどう云ふ經營法を執るか、國有林はどう云ふ經營法を執るか、例へば之を例で申上げますと、山梨縣にある御料林三千五百町歩位の小さいものも尚ほ直轄に行くのか、或は縣營又は昔みたいに山林局と云ふ役所を設けて、數十人の人間を置いて其經營が一體赤字が出て居るのか、黒字になつて山を經營して居るのか、つぼ山にして居るのか分らないやうな經營をして行くのか、それとも地元民に開放して地元民自らに經營させるのか、或は全國に於ける國有林其の他の行き方をどうして行くか、農地法で大きな地主を抑へたやうに、山の大きな所有者に對して何か考へて居るか、斯う云ふことを私は承つて、少くとも近い將來日本に於ける山の民主化、所謂農山村に對する開放、所謂農山村民の山を以て其の生活の根據とする天賦の權利――天賦の權利と私は言ふのですが、當然それが自然に還つて來るかどうか、遠い山梨の方から出て來て、畏敬の的になつて居つた所の新しい農林大臣の言葉を初めて聽きましたが、どんな御考へを持つて居られるか、私を失望させぬやうに一つ御意見を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=44
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045・和田博雄
○和田國務大臣 是は中々簡單に出來得ない問題だと思ひますし、御料林などは、何れ其の所屬がはつきり致しますれば、國有林と同じやうな經營を致して行きたいと思ひます、山に付ては一面に於て農地とは餘程別個の考へ方を取る必要があると思ふのです、山の經營と云ふことは農業と同じやうに、到底考へられないのでありまして、是は例へば國有林に致しましても御料林に致しましても、やはりああ云ふ長い成長期を持つて居るもの、又一面非常に大きな國土の保安と云ふ公的な性質を持つて居るものは、全然營利的には考へられない、而も又半面に於ては、地元民と密接な關係を持つて居る、斯う云ふものでありますから、之を單なる農耕地と同じやうに金融面に於て考へることは不可能だと思ひます、隨て國有林なるものに付きましても、地元民に對する利用の點等に付きましては、又地元民との利益の調整に付きましては、今後十分地元民の農業經營なり生活なりを考へまして、地元の人達が潤ひまするやうに、而も一面から言つて山其のものが荒れることを防ぎまするやうに致して行きたいと思ふのであります、唯私は斯う思ふのであります、山の開放と言ひましても、之を唯單に地元民に開放すると云ふやうな漠然たることは中々考へ得られないのでありまして、同時にそれが國全體の山其のものの生産力も高め、全般の公共の利益と云ふものが保持され、經營自體が成立つて行くと云ふやうに、凡ゆる點から同時に考慮を致すべきものと思ふのであります、殊に山林經營に付きましては、農地と同樣に考へることはどうかと私は思ふのでございます、今言ひましたやうな考へ方で、是は日本に取りましては今後とも相當重要な問題であると思ふのでありまして、十分さう云つた點に付ては具體的な色々な實情を、又將來に對しまする日本の農業經營なり、其の他地元民の生活などを考へながら善處して行くのが宜しいではないか、斯う考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=45
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046・森幸太郎
○森委員長 午後二時より再開することに致しまして、それまで休憩致します
午前十一時五十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=46
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047・会議録情報2
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午後二時二十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=47
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048・森幸太郎
○森委員長 午前に引續いて會議を開きます――松澤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=48
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049・松澤一
○松澤(一)委員 午前中大變擴げてしまつて、十分私の意思を申上げた積りではありまするが、理論だけではなく、實際から見た理論でありますので、農林大臣の答辯が十分呑込めなかつたのでありますが、段々呑込んで見たのであります、將來山の民主化の上に立つて山を開放する、此の點に對して農林大臣の御答辯が、國土保安上の里山、奧山、經濟林業上の里山、奧山、開墾上から見た奧山、里山、此の三つの里山に對して、官有、民有を問はず、農山村に開放すると承つたのでありますが、又奧山に對しては、官林、民有林とも大資本の經營或は國家管理と云ふやうなことで、大體私も其の點には一概に贊成出來得ないまでも、今日の民主國家としての山の民主化に農林大臣が大變遠大な抱負を持たれて居ると云ふことだけは窺ひ知ることが出來たのでありまするが、其の點で一つ承つて置きたいことは、里山と奧山の區別をどの程度で付けて行くかと云ふことが一つ、それから後の質問者の關係もありますので、私が餘り時間を取ることは申譯ないので、御質問申上げたことを、簡單で宜しいから箇條書にして一つ御答辯願ひたいのです
先づ御伺ひしたいのは、將來其の建前に立つて農林大臣は眞に民主主義的な山の開放、さう云ふ見地から模範的な林業會法を御出しになる意思が近い内にあるかどうか、尚ほ愚見を申上げれば、今日日本の農村の民主化、山村の民主化と云ふことは、耕地と山を分離して考へ得ないことは、私が今まで申上げた通りでありまして、此の點は農林大臣も多分に御同感と臆測して居るのであります、然らば今言うたやうに、近い將來にさうした完全な林業會法を御出しになる意思があるかどうかと云ふことが一つ、それから今のと竝行して、是は今日出來て居る林業會法とは多少離れた關係で一つ御聽きしたい、それから現在出されて居ります林業會法に對する私としての一つの注文は、林産物の生産業者が、私が今まで言つた通り、又現はれる林業會の實權を握る傾向を持つて居る、是は私はどうしても贊成出來得ない、隨て過去のさうした指導者と云ふか、其の「ポスト」に就いて居た人達を、所謂戰時中の戰犯とは違ふが、斯う云ふ人達が追放されて、新しい人達に依つて運營されると云ふ、所謂新人の進出に是が邪魔にならぬやうになれるかどうか、尚ほ私が先程申上げました通り、戰爭中のみならず、戰後も可なり評判が惡く、又林業の統制の上にも芳しからぬどころではない、國民の顰蹙を買ふやうな行爲に依つて此の林産物の統制をやつて來た人達を眞に追放して、さうして新しい人達に依つて是が結成されるかどうか、是が一つ、それから森林組合に於ても同じく此の林産業者と結託して、日本の林産物統制を紊したり、或は之を國民の考へ方と背馳をさせて、世の中に迷惑を掛けたような指導者も是れ亦追放して、さうして同じく新しい人達に依つて林業會法の運營が出來るやうに出來るかどうかと云ふことが一つ、それからどんなものが出來ても、國に確乎たる方針がなければ木材は出て參りませぬ、一面木材は世の中で必要だと言ふけれども、今までのやうな形式では其の必要量だけも出て來ない、隨て農林大臣の今までの言責から言ふと、せめて立木だけでも國家管理にして、一元的な施業案の下に計畫通りの、所謂計畫經濟に基く伐採、搬出、生産をされる意思があるかどうか、さうして此の林業會法を活かして行く、もう一つは深山に對する林道等を直接國費を以てどんどん開發して行くかどうか、或は中央、地方に於ける助成金等を増額して、深山に朽ち倒れて居る所の林産物を搬出するに、林道の必要は今更言ふまでもないのでありますが、それが出來るかどうか、もう一つは、先に私が言つたやうに、古い指導者に依つて、將に林業會法が現はれんとした時に、經濟の民主化とか、自由經濟とか、官業に反對とか云ふやうなことに名を藉りて、國有財産の拂下等をやれと云ふことを聞くのですが、こんな馬鹿げたことはありませぬ、民主化と云ふものを履違へて居ると思ふのでありまして、將來さう云ふことに決して耳を藉してはならないと思ふのです、さう云ふものは將來立派な林業會法の出來る邪魔になりますので、さう云ふ點に對して一つ御言明を戴いて、今までの私の質問を打切り、けじめを付けて置きたいと思ふのであります、左樣御承知置きを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=49
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050・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、山林の開放問題でございますが、此の點に付きましては、私午前中にも縷縷御答へ致しましたやうに、是は十分に此の山が――殊に里山に於きましては、山村民の生活と矛盾致しませぬやうに、色々な施設を實は各方面から講じて行きたいと考へて居る次第でございます、唯林業會と云ふ會法の中にさう云つたやうな政策を盛ると云ふことは、林業會自體の法律の性質から、實は出來にくいことでありまして、林業會法と云ふものは、結局林業と云ふものに跨がる一つの團體法であり、組織法でありますから、是は今囘の林業會法と云ふものが、前々御説明申上げましたやうに、一應の暫定的なものであるので、もつと根本的な團體法規を作つて、出來るだけ早い機會に提出致したいと考へて居る譯であります、何でもかんでも其の政策を林業會法の中に盛ると云ふことは出來ないのでありまして、山林自體の特殊な利用の點の合理化と云ふことに付ては、是はそれぞれの方面から考へて行く必要があるのでありまして、林業團體法の中にそれ等を總て盛ると云ふことは、中々私は出來難いと思ひます、それから林産組合に於きまして、林産組合の構成員が舊態依然たるものであつて、而もそれが林業會法の中の主力を占めて行く、斯う云ふ弊害に陷る虞がないかと云ふ點に付きましては、是は團體法の構成としては、林産組合其の他のものがやはり「パリテイ」を保てるやうな構成に致して居るのでありまして、それ等のものが、例へば制度上横暴を極めると云ふやうなことのないやうに致して居る次第でございます、それから立木の國家管理と云ふ御意見は私には事實上能く呑込めないのでありますが、是は必要がありますれば、何等かの方法に依つて、例へば臨時物資調整法も出來まするし、其の他の法に依りまして、立木に付ても、其の生産配給統制が旨く行きます上に必要な限度の事柄は之を致して行きたい、斯う考へて居ります、それから奧山の林道の開發に付きましては、現在は高率な補助を致しまして、林道の開發を致して居る譯でございまして、是は此の方針を進めて行きまして、奧山の開發と云ふことをやる考へで居る次第であります、現在は慥かに三分の二位の補助になつて居るのであります、それから舊い指導者が國有財産の拂下等に付て色々なことを畫策して居ると云ふやうなことがあるがどうかと云ふことでございまするが、今度出來まする林業會法は、それぞれの組合がそれぞれの議員なり何なりと云ふものを自分で選擧することに依り、國が任命と云ふやうな形式は全然採つて居りませぬので、是は一つにはそれ等の團體員の自覺に依りまして、舊い指導者を選擧致さない、斯う云ふ風に致すことが必要なのでありまして、又政府と致しましても、それ等の點に付きまして御意見にありましたやうな不都合が起りませぬやうに、十分注意を致して行きたいと考へて居る次第であります、尚ほ限度に付ては是は中々地方々々に依つて違ひますし、一概に限度は中々引きにくいと思ひますけれども、私どの邊で限度を引くと云ふ考へはありませぬが、大體の社會的な通念で或る程度奧山であるか、里山であるかと云ふ點は私は略略決定致して居るのぢやないかと思ふのでありまして、大體さう云ふやうな觀念で居る譯であります、何處で線を引くかと云ふことを詳しく御答へ出來ないことは甚だ殘念であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=50
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051・松澤一
○松澤(一)委員 農林大臣は私の言ふことが十分分らなかつたかも知れないが、要するに、一面に於ては今日の林業會法の立法の精神、それに依る業界の運營と云ふことが今までのやうな、行き方ではいけないと云ふ所に私達の關心があつたことと、將來の山の民主化が農林省として那邊にあるかと云ふことを十分眞面目に御尋ねしたかつたのですが、農林大臣中々答辯が旨くて、胡麻化す點も澤山あつて、一寸私にも分らぬやうな御答辯が澤山あつたのでありますが、大體掴む所は掴まへて親切に答辯されたことは、私も一年生の議員として感謝するのですが、唯願くは、農地と山林とは非常に引離せぬ問題であつて、農林大臣としては重要なことであると云ふことと、我々が此の問題に對して、再建日本の上に立つて新しい政治の面から新しく之を考へると云ふことの眞面目さだけはお買ひを願ひたいと思ふのでありまして、今海拔幾「メートル」までが里山か奧山かと云ふ質問も非常に愚の骨頂のやうな質問でありますが、往々に農林省は開墾豫定地が三百萬町歩あるとか、何百萬町歩あるとか云ふやうな御話ですが、我々が見ても中々さう云ふ開墾豫定地もありませぬ、今日の新しい開墾豫定地と云ふことよりも、山を如何に利用強化して、其の福利を増進するかと云ふ重要問題に現在當面して居る、必ずしも山又直接食糧増産にはならぬのでありますが、出來得べくんば今後も農地改革等に於きましても眞摯な御答辯と、眞面目なことに對して色々御教へを願ひたいことを切望致しまして、私の質問は是で終ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=51
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052・平野増吉
○平野委員長代理 小笹耕作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=52
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053・小笹耕作
○小笹委員 林業會法案に付きまして數點に付て御伺ひを致したいと思ふのであります、林業行政等の一般問題に付きましても、各方面から既に御質問に相成つたのでありまして、それぞれ大臣より答辯をなさつたのでありまして、大體承知は致したのでありますが、多少重復する點もございますけれども、御尋ねを致したいと思つて居ります、終戰後政府は木材統制法の廢止を言明しまして、其の後何等の確乎たる方針を示さなかつた爲に、終戰後の木材の生産配給は一時混亂の状態を致しまして、從來木材の生産配給の責任を主として擔當せしめられて來ました所の各府縣の地方木材株式會社は、或は解散決議をし、或は解散し、或は解體し、或るものは現状を漸く維持すると云ふやうな情勢で、全く其の機能を喪失しまして、其の生産配給は不振と相成つて、各方面に對して支障を來さしめて、事態容易ならぬものがあつたのであります、是は全く政府の確乎たる方針を示さなかつた結果と言はなければならぬのであります、斯くして現下緊急を要する復興事業を控へまして、一刻の猶豫を許さぬものがあつたのであります、殊に最近に於きましては、民間の團體各方面から、各各それぞれの立場より制度の改革が叫ばれたのでありまして、其の歸一する所を知らないと云ふやうな状態であつたのであります、民主主義國家の再建に即應致しまして、之に適應する爲に戰時立法たる木材統制を撤廢して、之に代り民間の責任に於きまして自治統制を實施して、梗塞せる木材の需給の現状を打開する所の必要に迫られて居るのであります、政府に於かれましても、聯合國最高司令部の指令に基き、又一面民間各方面の意見を參酌して、茲に林業會法案を制定せられるに至つたのであります、併し該法案を檢討致しまするに、殆ど現状の儘の機構を繼ぎ合せたものに過ぎぬのであります、即ち林業に關する根本の問題の解決に手を下さずして、現状の森林組合と、素材の生産或は木材の生産業者を一丸とする林産組合と、再建になりまして、二元的に機構を作つて林産物の一貫作業を遂行せんとするものであります、併し元來森林組合と林産組合系統のものとは、根本的に其の使命目的を異にして居るものと思はれるものであります、殊に各府縣の機構に於きましては、府縣森林組合聯合會と林産物とを平面的に、單に繼合したものであるのであります、斯の如き機構では、兩者が相牽制し合ひます結果、それぞれ十分の機能を發揮することが出來ないのであります、要するにそれぞれの特色を生かしまして、機能を十二分に發揮せしめて生産の増強を圖ることが、今日最も緊急であると同時に、改正の目的もそこになければならぬと思ふのであります、從來超營利的公益的の性格を持つて居りまする森林組合は、戰時中官治統制の制約を受けつつも、鋭意其の生産に努力をして參つたのであります、今囘の機構の上に於きましては、是等の森林組合を輕視するやうな傾向がありまして、さう云ふやうな聲も相當多いのであります、今囘の改正案は飽までも「マ」司令部の指令に依る所の生産増強に寄與する如き方針と、其の線に沿はなければならぬことは申すまでもない所であるのであります、此の改正案では、十分此の目的を達成することが出來ないのではないかと云ふことを心配するのであります、林業竝に林政の根本的改革を行ひまして、林業機構の一大刷新を行ふことが出來なかつたのは、木材統制法の廢止に代りまして、何等かの處置を急速に講ぜなければならぬと云ふ結果、所謂拙速主義に出られたものと考へるのであります、是は四圍の情勢上又已むを得ぬと認めまするが、暫定的法案と解釋すべきものと思ふのであります、農林大臣は此の點もはつきり御認めになりまして、將來此の根本の問題に付て改革を行ふと云ふやうな言明を戴いたのでありまして、是非とも左樣に致して戴きたいと考へるのであります、木材が戰時中重要資材として、其の重要性が認識せれら、又戰後に於きまして一段と其の重要性を高めて居るのであります、其の重要性に鑑みまして、政府は林業政策に付て根本的檢討を御加へになりまして、新しい日本の建設に相應しい所の對策を考究せられる必要があると思ふのであります、林政の統一に致しましても、又行政機構の刷新、更に林業の發展に關し、根本的施策を確立して、急速なる木材の生産増加に應へますと共に、一面又將來の山林資源を涵養して、以て治山、治水、國土保安上、併せて森林文化の昂揚にも資さなければならぬと考へるのであります、政府は近く是等に付きまして檢討せられ、例へば森林法の如きも、今から考へますと四十年以上の昔に作られた法律であります、其の後多少の改正はありましたが、農林大臣の御生れになつてから僅かな時分に出來たやうな法律でありまして、隨分世の中も變化し、今囘の新しい日本を建設する意味に於ての大なる變化があつたのであります、之を根本的に研究せられまして改正し、又林業團體法の制定等に付きまして、新たな角度から林政を刷新せられる要があると考へるのであります、農林大臣の御所見を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=53
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054・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、御意見甚だ有難いのでありまして、日本の林政と云ふものは永い歴史を持ちまして、それぞれの時代の發達に即應して變化を加へられて來た譯でありますが、何と云ひましても、只今は終戰に伴ひまして非常に大きな變化を凡ゆる方面に於て受けて居るのであります、勿論林政方面に付きましても、他の方の變化に伴ひ當然變革すべき點も色々出て來るのでありまして、唯林業會法だけを以て林政の根本的な刷新が行はれるとは私共としても考へては居りませぬ、林政の根本的な刷新に付きましては、何れ民間其の他の權威者の方々の意見を十分斟酌致しまして、非常に高い見地から立派なものを作りまして、日本の將來に於ける林政の基礎を固めたいと私共も考へて居るのでありまして、それ等の點に付きましては、是非至急にやりたいと考へて居る次第であります、又林政の法律制度自體も、山林關係は御承知のやうに山が非常に古くからあるものでありまして、又色々な制度がそこに存在して居つたものでありますし、色々の時期の必要に應じて個々に出來たものでありますので、さう云つたものの統一と云ふ點に付きましても、今後の仕事として是は是非致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=54
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055・小笹耕作
○小笹委員 根本の問題に付きましては、御答へに依つて大體諒承致しました、次に御尋ね致したいことは、改正案の運營に關する問題であります、經濟安定本部などの關係もありますが、やはり林務當局として御考へを多分に入れて戴きたいと云ふ要望を致して見たいと思ふのであります、木材は産業の再建に絶對缺くべからざるものでありまして、其の重要なることは申すまでもない所であります、石炭の増産、交通機關の復舊に致しましても、戰災住宅の建設、更に目下問題となつて居りまする進駐軍の宿舍或は兵舍用の木材の生産等は、一日も忽せに出來ない所のものであります、然るに從來の統制は、強度の國家統制に依つて、需給の調整に非常に大きな支障を來さしめたのであります、生産者の生産意欲を減殺するばかりではなく、徒に所有者を刺戟して供出に惡影響を與へて來たのでありまして、所謂計畫生産の目的を達することが出來ずして今日に至つたのであります、勿論大臣の言明せられましたやうに、林業會が買取或は販賣の實體にならぬと云ふ方針であると云ふことも承つて參つたのでありますが、過去の状況から鑑みまして、今後の運營方針は、飽くまで自治的でなければならぬことは申すまでもないのであります、隨て統制は需給の關係と其の公益性に鑑みまして、最小限度の統制でなければならないのであります、木材は其の生産或は配給の過程に於きまして、他の重要物資と大いに性質を異にするものであります、私見を以てしまするならば、統制から解放することが最も生産の増加を圖る唯一の方法と考へるのであります、併し今日の現状から申しまして、或る程度の統制も亦已むを得ざるものと存ずるのであります、是が需給調整に關する規定も、他の一般物資の需給調整の規定とは別個に、此の法案に織込むべきものと思ふのであります、然るに今囘政府に於て計畫されました所は、從來の總動員法に代るべき臨時物資需給調整法に依ることにせられたのであります、此の點は洵に遺憾と考へるのであります、此の點に付きまして、大臣も其の「メンバー」でありますので、此の木材が他の物資と非常に異つた性質を持つて居ると云ふことを強調せられまして、出來るだけ此の統制を緩和して、最小限度の統制にして戴きたいと考へるのであります、此の點に付きまして大臣の御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=55
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056・和田博雄
○和田國務大臣 此の統制は何處までも自治的な統制を主體にして行くのでございまして、臨時物資需給調整法と云ふものを運用するに付きましても、其の前に實際に、出來る限りは自治的な統制をやつて行くと云ふので本法があるのであります、比の臨時物資需給調整法と云ふものが出來ましたのは、是は經濟安定と云ふ大きな仕事を致して行くに於きましても、凡ゆる基本的な物資と云ふものの需給の調整と云ふものに付ては、唯一方的にそれを考へることは中々出來ないので、やはり相互に關聯して來まするので、それ等の統一を執つて、やはり一つの計畫に依つて日本の再建の爲に需給の調製と云ふものをやつて行く、斯う云ふ考へで實は出來て居るのであります、勿論其の臨時物資需給調整法に依りまして、木材の需給の調製を執るやうな場合に於きましても、是は木材其のものが持つて居りまるす、他の商品と違つた特殊性と云ふものは十分是は考へられ、又斟酌せられることは當然てありまして、さう云ふ具體的な條件と云ふものを十分檢討して、而もそこに自治的な組織と云ふものを主にして統制をやつて行く、斯う云ふことで初めて統制が、唯上からの統制ではなくて、地に著いた統制になるのでごさいます、御話のやうな點は、是は實際の運營上に於ては十分考慮さるべきことだと思ふのであります、唯此處で御諒解を御願ひしたいのは、やはり現在の實情に於きましては、何と言ひましても此の需要の面は、是は今まで非常に蓄積されて居りました色々な資本が消耗致しましただけに、本當に再建をやることになりますれば、需要はどうしても多くなるのでありまして、而も供給力は少い譯でありますから、それで或る程度の統制が必要だと云ふことは、是はどうしても已むを得ない、又やつて行かなければ實際上いけないことでありまして、其の統制をきちんとした計畫に從つて、而も一元的な官僚統制でなくて、自治的な統制を、出來るだけ其の線に沿つて計畫的にやつて行くと云ふ所に趣旨があるのであります、其のやうに一つ御諒承を御願ひ致したいと思ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=56
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057・小笹耕作
○小笹委員 我々が最も心配するのは、經濟安定本部の係りの方の考へ方ですが、是がどうも從來の物價政策等に似たやうな感じがするのであります、新しい方針に據られるやうに、大臣の方から特に此の問題に付ては強調して戴きまして、生産に支障を來さないやうに御願ひ致したいと思ふのであります
次に御尋ね致したいのは、森林資源造成制度の確立の問題であります、既に此の造林の問題に付きましては質問もあつたのでありまして、戰時中戰爭目的完遂と云ふ名目の下に、我が國の森林資源は曾てない所の伐採となり、戰局の長期化、或は苛烈化と共に、作業計畫は無視せられまして、濫伐に濫伐、過伐に過伐を重ねて來たのであります、一面又勞務或は苗木の不足と相俟ちまして、植伐の均衡は全く失せられまして、山林は今や荒廢し、治水上非常に由々しき状態にあるのであります、最近五箇年間の伐採量も、薪炭材を合せますと約二十億石、其の面積も三百六十萬町歩に達して居ると言はれて居るのであります、木材の伐採だけでも數箇年間に八億石位に達して居ると考へられるのであります、之に對して造林は其の半ばにも達しない、現在要造林地の面積が二百七十町歩以上と想像せられて居るのでありまして、最近水害は頻々として起り、其の被害は甚大なものがあるのであります、一度水害が起りますと、十億、二十億の損害は瞬く間に起つて出るのであります、最近雨が降りますと、其の出水の早いこと、又山林の崩壞、土砂の流出、河川の氾濫等隨所に起りまして、治山、治水上洵に憂慮すべき状態にあるのであります、耕地の被害も隨分あるのでありまして、食糧の増産上大いに支障を來して居るのであります、是は全く永年に亙る濫伐、過伐の結果であると言はなければならぬのであります、之に對して政府は、曩に治山、治水竝に山林資源造成の目的を以ちまして、從來の林業振興補助の外に、是が爲に森林造成法を制定せられまして、五箇年計畫で要造林面積二百七十萬町歩を造林せんとして、計畫を立てられたのでありますが、併し其の後苗木、或は勞力の不足竝に苗木、勞銀の昂騰に依りまして、到底其の目的を達することは不可能の状態と相成つたのであります、當時一町歩の造林費は三百七十圓見當と聞いて居りました、今囘相當多額の増額をせられて居りますが、現在實際に要る費用は、少くとも三千圓以上を要するのでありまして、此の點に付きまして御考慮を御願ひ致したいと思ひます、今度政府は、本年度四十七萬町歩の造林計畫を御發表になつたのでありますが、是も一町歩の造林費用が三千圓の半額位の程度ではなからうかと考へるのであります、是は更に實際に行ひ得るやうに増額をしなければならないと考へます、政府の本年度の造林計畫が御發表になつて、承つたのでありますが、約九千萬圓と聞いて居るのであります、是は現在の状態から申しますと極めて小さな金額と考へるのであります、もう少し熱心に、力を入れて戴かなかつたならば、此の荒廢した森林を救ふことは出來ないと考へるのであります、尚又、大臣はおいでになりませぬから、當局の方で御答へを願ひたいのでありますが、失業救濟、所謂公共事業費の中で、植林の方へ廻して貰ふ所の金額がどれ位あるかと云ふことを、御聽かせを願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=57
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058・平川守
○平川政府委員 本年度の造林に關しまする費用は總額九千萬圓程度でございまするが、是の比較的少い原因と致しましては、本年度の造林計畫四十七萬町歩の中の、二十七萬町歩を占めて居りまする所の造林證券に依る助成の分が、是は制度の建前上明年度豫算として計上せられると云ふことになつて居ります關係が、一つの大きな原因をなして居るのであります、此の約三十萬町歩に對しまする證券の券面額は、恐らく二億圓に達すると思ふのであります、隨ひまして之に對する助成金は、其の半額の約一億圓に達する見込であります、隨ひまして、九千萬圓と云ふ額は本年度としては小さいのでありますが、本年度實行致しまする造林に對しましては、それに「プラス」の約一億圓と云ふものが助成せられる、斯う云ふことになりますので、相當の金額ではなからうかと思ひます、其の他に治水事業と致しまして約一億圓と云ふものが計上せられて居る、是も造林と極めて密接な關係のある事業と考へられるのであります、是等を考合はせますれば、本年度の造林の費用と云ふものは、必ずしも小さくないのではないかと云ふ風に私共としても考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=58
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059・小笹耕作
○小笹委員 金額の面から申しますと、左樣に少くないと仰しやいますが、所謂費用が三倍も四倍も暴騰致して居るので、實際に行はれる結果を見ましては、面積から申しましても、それ程大きな面積ではないと考へて居ります、此の點を御考へになりまして、やはり費用が暴騰すればする程、豫算の計上もそれだけ多くして貰はなかつたならば、實際の效果がないと思ふのであります、此の點に付きまして一層の御努力を願ひたいと思ふのであります、此の林業會法の實施に當りまして、出來るだけ統制を緩和し、自治統制的にやつて戴くことを御願ひ致したのでありますが、見せて戴きました都道府縣の林業會の規定、是は案となつて居るのでありますが、價格監査員の制度が規定されて居る、他の物資に見ましても、斯樣な制度はないと考へるのであります、斯樣な規定は所謂民主主義に反する規定のやうに考へられるのであります、又他の方から見ましても、非常に感じが惡いのであります、林業會に左樣なものを作りますると、勢ひ他から非難も蒙る虞があるのであります、斯樣な制度は如何かと考へるのでありますが、御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=59
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060・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の價格の監視員の問題でございますが、林業會法の第四條第二項にあるやうに、林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力をすることが重要な林業、法の中の役目になつて居りますので、計畫經濟をやる以上價格の統制もあり得るので、是は價格の統制が巧く行けば、總て問題は解決すると云つても差支へないぢやないか、此の點八・一物價より低物價になつても、中央、地方全部監視員を置きまして、そして適正なる價格を以て、適正な配給をせしめよう、此のやうな空氣に一般財界もなつて居りますので、其の點御諒承願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=60
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061・小笹耕作
○小笹委員 次の問題に付て御尋ね致したいと思ひます、林業會法案第一條の、林産物の指定の範圍に付きまして御尋ね致したいと思ひます、木材統制法の廢止に伴ひまして、それと同じやうに、薪炭配給規則及び各種の林産物統制要綱、斯う云ふやうなものを御廢止になる御意思がありますか、其の點御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=61
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062・平川守
○平川政府委員 薪炭の現在の配給統制規則は國家總動員法に基いて居りますので、是は早晩廢止の運命にある譯であります、唯之に代るべきものとして、現在直ちに薪炭の配給統制を廢する實情には至つて居りませぬので、是は臨時物資需給調整法が成立致しますれば、之に基いて統制規則を作つて參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=62
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063・小笹耕作
○小笹委員 此の薪炭は、やはり之に指定をなさる御考へでありますか、尚ほ若しも林業會へ加入せしめると云ふことに御考へになりましたならば、どう云ふ風な形で加入せしめられる御意思でありますか、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=63
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064・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 第一次指定と致しましては、木材を指定して居ります、次いで薪炭も指定することが當然であるのではないか、豫て平野議員の質問致されました時に答辯致しました通り、薪炭をも適當の機會、出來るならば成べく早く指定致したい、是等をどう云ふ形で指定するか、現在ありまする薪炭の出荷組合、或は林産物の生産組合、或は燃料の統制組合、是等は現在纒つて仕事をして居りますので、是等に新しい意味の、民主的の考へ方を十分に注入致しまして、さうして轉廢業者等がありますれば、共々取入れまして、是等の形を其の儘入れて行きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=64
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065・小笹耕作
○小笹委員 更に御尋ね致したいと思ひますが、各府縣にあります燃料統制組合は、是は其の儘存置せられるのかどうか、又私の考へで申しまするならば、やはり林業會へ加入せしめられる必要があると考へるのであります、尚ほ各府縣の燃料統制組合は、集荷までやつて居る所があるのでありますが、是はやはり山林資源の一つでありますので、森林組合に集荷をやらして、燃料統制組合は配給のみに限定すべきものと考へるのでありますが、政府の御方針はどうでありますか、御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=65
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066・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御答へ致します、勿論薪炭が指定されまするならば、燃料統制組合も林産組合として、此の法案の中で活躍することになり得ると思ひます、是等の扱ひの輸送やなんかの問題に付きましては、森林組合も結構であらうと存じます、皆それぞれは戰後の日本の經濟面を受持つ意味に於きまして、最も實力のある仕事の出來るものにさせると云ふことが、先づ建前でなければならぬと存じます、森林組合なら森林組合それ自體の目的もありますが、十分に力のあるものであり、それが出來まするならば、やらして差支へないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=66
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067・小笹耕作
○小笹委員 尚ほ此の木炭の生産竝に集荷は、現在農業會がやつて居ると存じて居るのでありますが、性質上是は農業會がやるべきものでないと考へるのであります、從來業會の方で一部分やつて居るやうでありますが、其の性質から申しまして、當然森林組合、所謂林業會がやるべきものであると考へるのであります、農業會は今後食糧の増産にも大いに奮鬪しなければならぬし、又自作農の創定と云ふやうな隨分難かしい問題も控へて居るのであります、木炭まで手を出す必要がないと考へるのでありますが、從來の關係上直ちに之を取つて森林組合に引渡すと云ふことが無理なやうでありますが、斯う云ふやうな時にこそ之を改正して、森林組合の當然やらなければならない方に之を引渡すべきものであると考へるのでありますが、左樣にやるべき筋合と存ずるので、是非とも左樣に致さしたいと考へるのであります、御方針を御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=67
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068・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御答へ致します、木炭の集荷を此の際に森林組合にやらす方が宜いのではないか、農業會は本來の農業の目的に還るべきだと云ふ御説のやうでありますが、一應御尤もであると存じます、併しながら農業會員が現在木炭を生産して居る面もございまして、又農業會自體が集荷に必要なる輸送機關を持つて居ると云ふやうな觀點から、現在農業會が指定せられて居るものと存ずるのであります、或は農業協同組合、傳へられます農業組合に依つて、農村の性格をはつきり致しますと云ふやうな觀點から致しまして、將來森林の産物は森林組合が扱ふと云ふことになりましたならば、左樣なことも考へられます、其の場合に於て果して森林組合が扱ふか、或は木炭を造つて居りまする林業組合が扱ふか、或は集荷と配給をやつて居りまする燃料組合がやるかどうかと云ふことは、是は實情に依りまして最も適當と思ふものにやらせるのが宜いのではないかと思ひます、是等に付きましては、相當民間からも輿論が出ることと思ひまして、輿論に考へまして善處して行きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=68
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069・平野増吉
○平野委員長代理 小笹君に申上げます、大藏省の局長は一寸都合で、政務次官がおいでになりましたから、大藏省所管のことを今御尋ね下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=69
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070・小笹耕作
○小笹委員 それでは、地方木材株式會社が此の十二月末までに解散するやうなことに相成つて居るのでありますが、今囘軍需補償打切りに關聯致しまして解散が出來ぬやうな状態に相成つて居るのであります、又一面六大都市の如き地方にありました地木社の如きは、大抵數百萬圓と云ふ戰災保險を持つて、それが特殊預金に相成つて居るのであります、又終戰後に於て、終戰前の官納材の代金を受取つて居るものが相當多いのであります、是等の關係はどう云ふやうになりますか、軍需補償の打切りとの關係に於きまして、御説明願へれば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=70
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071・上塚司
○上塚政府委員 御質問の戰災保險及び官納材に對する代金、さう云ふものに付きましては、昨年の八月十五日以後に支拂はれた代金は、一應遡及して取立てられることに相成るのであります、但し是から發表致しまするが、戰災保險に付きましては、法人でありますると一萬圓の拂戻をするのであります、それ以外には、只今の所では政府に對する所の請求權と云ふものは、一應課税の形に於て取上げられることに、相成るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=71
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072・小笹耕作
○小笹委員 今囘の地方木材會社の解散の命令以前に、既に解散を決議を致しまして、それぞれ清算の準備を致して、相當大きな金額を各銀行に預けて居るのであります、是も今囘の處置に依つて第二封鎖と相成つてしまつたのであります、是等の點を考へますると、實際に於きまして地木社の解散は出來ぬと考へられるのでありますが、何か之に對して特別な處置があるものか、何時まで經つても解散せずして其の儘に居るべきか、其の邊を御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=72
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073・上塚司
○上塚政府委員 其の點に關しましては、極めて近く企業再建整備法案と云ふやうなものが議會に提案致されるのであります、それに各企業會社全體の整理の方法を定めてあるのでありまして、それに依つて所謂整理を致して參るのであります、それは既に先達發表されました會社經理應急措置法案と云ふのがあります、あれに依つて各會社は舊勘定と新勘定に分けてしまふのであります、さうして舊勘定に屬するもの、即ち本年の八月十一日午前零時を中心としまして、其の時に於て持つて居ります所の財産の宜い財産は新勘定に移つてしまふ、惡いものは舊勘定に移されて、そこで整理をされる、其の整理の中に入つて來ると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=73
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074・小笹耕作
○小笹委員 地方木材會社は、新規に他の會社に變りましてやるものなれば宜しうございますが、解散して清算をして參りたいと云ふ風に進んで居る所のものでありますが、何か特別の處置がなかつたならば清算も出來ぬと考へます、左樣に解釋して宜しいでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=74
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075・上塚司
○上塚政府委員 それは企業再建整備法案に依つて整理が出來るやうになると私は考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=75
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076・小笹耕作
○小笹委員 更に次の問題に付きまして御尋ねを致したいと思ひます、此の山林の評價と財産税の問題に付きまして質問致したいと思ひます、財産税が個人財産税一本となりまする結果、不動産に重課せられることは間違ひないと考へるのであります、然るに山林は他のものと違ひまして、四十年乃至五十年、六十年と云ふ長い間掛りまして育て上げるのであります、其の間に多額の經費と長い期間を要するのでありますが、單に自然的に出來たやうに見られる傾向があるやうであります、是は大いに違ふのでありまして、山林に理解を持つた者でなければ中々理解することが出來ないのであります、現在の山林は永年に亙り、多額の經費と勞力を要して、漸くにして出來たものであります、若しも財産税に是が非常に高く評價せられると云ふことになりまするならば、林業と云ふものは破滅を致してしまふのであります、此の點大藏當局に於かれましても、此の林業の特異性を能く認識せられまして、不當な評價のないやうに御願ひ致したいと考へます、御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=76
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077・上塚司
○上塚政府委員 山林の植裁が百年の計であると云ふことは、昔から言はれて居る所でありまして、是が苗木から巨木となるまでの間には、非常な經營者の苦心のあることは私共も十分に了承致して居ります、隨て折角手を入れて裁植した山林に對しまして、非常な多額の税金が課せられて、總てを失つてしまふと云ふことにでもなりますれば、洵に多年の努力が水泡に歸することになりまするから、其の點に付きましては、大藏省と致しましては、現下の經濟状態に即しまして適正なる評價を致す考へで居ります、決して不當な高い評價をすることはないものと信じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=77
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078・小笹耕作
○小笹委員 兎角此の山林の評價の點に付きましては高くせられる嫌ひがあるのであります、此の點は重ねて、不當な高い評價でないやうに特に御願ひ致して置きたいと思ひます、大藏關係の質問は是で終ることと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=78
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079・平野増吉
○平野委員長代理 小笹さんに申上げます、只今武藤さんから、大藏政務次官のおいでの際に一寸緊急質問をしたいと云ふことでありますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=79
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080・小笹耕作
○小笹委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=80
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081・平野増吉
○平野委員長代理 許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=81
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082・武藤常介
○武藤(常)委員 只今小笹君の御質問に對しまして、大藏政務次官の御答辯に依りますと、終戰後の軍需材納入の未納代金の其の後の支拂に依りました收入は、税金の形に於て全部沒收されると云ふやうなことを只今伺つたのでありまするが、是は今後の我が國の戰災復興に重大なる影響を齎らすものであると私は考へるのであります、即ち地木社の終戰後の軍需材の未拂代金の收入と云ふものは、會社に依つては相當の額に上ることであらうと考へるのでありますが、是が若し只今の通りに決定されるとしたならば、各會社とも株金の返還と云ふことは不可能に陷るであらう、其の結果來るものは、從來會社員でありました者が、再び個人の形に於て木材業乃至は伐出業――同時にやはり木材業でありますが、木材業を再開するに當りまして、資本が其の爲に生じないと云ふやうな關係に陷りまして、生産量に非常な影響を齎らすであらうと云ふことが考へられるのであります、此の額は木材生産の上から見ると極めて少額のやうに見えますけれども、是はやはり木材生産は地方に依りましても違ひますが、多くの場合小さな業者が集まりまして、其の量が加はつて相當の量に上るのであります、此の小さな生産業者が資金の爲に頓坐をすることは、是は重大な問題でありまして、我が國の木材生産に一大頓坐を來すであらうと私は考へるのであります、隨て其の影響する所は、最も重要なる所の戰災の復興に多大の影響を及ぼし、さなきだに木材の生産が遲遲として進まない現状にあります所へ、此の結果となりましたならば、殆ど木材の生産は不況に陷るだらう、隨て復興事業は大頓坐を來たして來るであらうと私は考へるのであります、斯樣な次第でありますので、是は進駐軍の方面からの何か御指示があつたこととも存じまするが、大藏當局に於て十分なる御折衝をなされまして、此の事情を能く御愬へをして戴きまして、復興事業に支障のないやうに、萬全の努力を拂はれんことを、我々業者として、切に御願ひして已まない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=82
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083・上塚司
○上塚政府委員 洵に御同感でございます、大藏當局としても、出來るだけさう云ふ趣旨に依つて努力致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=83
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084・小笹耕作
○小笹委員 進駐軍用材一千萬石の生産状況は、順調に參つて居るかどうか、御聽かせを願ひたいと存じます、慥か九月末までにと云ふことに相成つて居るやうに思はれるのでありますが、性質が性質だけに、凡ゆる努力を拂ひまして、之を供出しなければならないと思ふのであります、食糧其の他に寄せられて居る所の聯合國最高司令部の格別な御厚意に對しても、我々は全力を捧げまして、是が供出をさせなければならないと考へるのでありますが、是が生産供出に對して、政府に執られました特別なる處置があれば、御伺ひを致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=84
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085・中尾勇
○中尾政府委員 進駐軍用材の方の各生産地に於きます生産状況は、各縣の御努力に依りまして、順調に進んで居ります、又納入状況も、第一四半期に於きましては、住宅の方の用材では一五〇%に達する状況でありますし、兵舍用材の方は、第一四半期に於きましては規格の變更、或は納入の場所の變更等に於きまして、約五〇%程度でありましたけれども、其の後第二四半期になりまして、兩方共相當の成績を收めて來て居ります、第一四半期に、大體兩方合しまして二百萬石の納入を了へたのでありますが、第二四半期に於きましては、大體三百萬石以上の納入を了へることと思ひます、併し生産は第二四半期の九月末までに大體一〇〇%に及ぶことと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=85
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086・小笹耕作
○小笹委員 尚ほ今般發表になりました賠償工場の梱包用の木材として、どれ位要ることになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=86
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087・中尾勇
○中尾政府委員 賠償物資の包裝用材のことに付きましては、一應の打合せは致して居りますけれども、まだ具體的の申込がありませぬので、どれ位要るかはつきりしたことは分りませぬが、大體の見透しで、二箇年間に千四百萬石近くの數量が要るのではないかと想像せられるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=87
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088・小笹耕作
○小笹委員 其の進駐軍用材の、一千萬石と承つて居りますが、是は今年限りなのですか、やはり明年も引續いてあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=88
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089・中尾勇
○中尾政府委員 住宅用材と兵舍用材は本年限りと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=89
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090・小笹耕作
○小笹委員 それにしましても、梱包用の用材も、相當多額な用材と考へられるのであります、今後内地材ばかりで行くと云ふことも中々容易でないと考へられます、政府に於かれましても、聯合國へ其の旨を能く陳情せられまして、向ふからの援助を得ますやうに、特別な御計ひがあつて然るべきものと考へて居ります、此の點の御意見を承つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=90
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091・中尾勇
○中尾政府委員 其の點に付きましては前にも御答へ致したのでありますが、只今のやうな内地材の生産状況でありましては、復舊用材の供給にも非常に困難を來すと云ふやうな状況にもありますし、御説の通り外材の輸入に付きましても、只今計畫中であります、進駐軍の方に懇請を致す豫定に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=91
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092・小笹耕作
○小笹委員 戰災の復興住宅の進捗が、極めて遲々と致して居るのでありまして、隨分世論にも上つて居るのであります、戰災者が住むに家なく、又海外よりの引揚者が寄邊もなく、住む家もないと云ふやうな憐れな状態であるのであります、是等に付きましても、出來るだけ是が建築に努力をしなければならぬと考へるのであります、本年度に於きまする此の復興計畫と、それに要する木材の數量、それから今日建築が非常に順調に行かぬと云ふ原因が那邊にありますか、木材の生産が思はしくない爲に建たぬと云ふやうなことでありまするならば、是は林務當局の責任も極めて大と考へるのでありますが、此の戰災復興住宅の點に付て御尋ねを致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=92
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093・中尾勇
○中尾政府委員 本年度に於きます復興計畫は、二十五萬戸の建設を致すことに相成つて居るのであります、此の二十五萬戸の建設に屬します木材は、約千百三十萬石程度に相成るのであります、此の配給状況はどうであるかと申しますと、千百三十萬石の中、第一四半期に於きまして、建築用材と致しまして百八十萬石の配給豫定を致して居つたのでありまするが、其の實績は約七二%の納入状況に相成つて居ります、又第二四半期と致しまして二百十八萬五千石を豫定致して居ります、此の納入状況は、只今の所まだ途中でありますので分つて居ないのであります、住宅用材と致しましては大體以上のやうな状況に相成つて居ります、又非住宅の方の用材と致しまして、第一四半期に二百萬石の豫定を致して居つたのでありますが、此の方は納入状況は四二%、九十萬石程度が納入になつたと云ふやうな状況に相成つて居ります、此處でも第二四半期は約百七十二萬石を豫定致して居るのであります、其の殘りのものは第三四半期、第四四半期の兩四半期に割當を致すことに計畫を致して居るのであります、第一四半期と第二四半期に此の復興用材の割當が少くありましたのは、第一四半期、第二四半期に進駐軍用材を九月までに納入しなければならない關係にありましたのと、それから主な都市に於きまする復興用材の關係でありますが、主な都市に於ては、進駐軍の住宅の建築の爲に勞務其の他の關係で重復しますやうな點もありました爲に、實は第一四半期、第二四半期の割當が少くなつて居るやうな状況であります、尚ほ復興建築の方が木材の爲に遲れて居ると云ふやうなことも一部に言はれて居るやうでありますけれども、やはり木材だけでなく、其の他の資材或は勞働の關係等も相當あるのぢやないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=93
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094・小笹耕作
○小笹委員 木材ばかりが原因でないことも能く分るのでありまして、他の資材或は又勞力の點に關係があると考へて居るのでありますが、何に致しましても木材の増産を一層圖らなければならぬことは申すまでもない所であります、就きましては木材の價格の問題に付て御尋ねを致したいと思ふのであります、是は經濟安定本部との關係がありますが、當局と致しまして御考慮を願ひたいと考へるのであります、木材の價格は之を協定價格にして、全國を數區に分つて作つて行かなければならぬと考へるのであります、此の價格の政策に依りまして、是だけではないのでありますが、供出に大いに影響があると思ふのであります、不合理な公定價格を作りまして、所謂實行も出來ない所の公定價格を作りましたならば、實行が出來ないばかりでなく、戰時中に度々問題になりました化物材が出たり、或は希望外の木材が出て來たりしまして、非常に非難を受けたのでありまして、是は一つには公定相場が其の宜しきを得て居らなかつた結果と考へられるのであります、今日の實情に合はぬ、實行の出來ないやうな不合理な公定價格は、此の際は之を廢止しまして、規格も標準のみに極度に之を單純化致しまして、素人でも直ちに分るやうな價格にして、實情に應じた合理的な協定價格を作らしめて、さうして一面業者の希望に應へ、一面又生産の増加に寄與させなければならぬと考へるのであります、此の價格政策に付きまして、當局に於かれましては、經濟安定本部とも能く協議の上で、若しも茲に不合理な價格が出來ましたならば、生産も止りまして、將來の生産の増強と云ふことに大きな支障を來たすものと考へられるのでありますから、此の點を能く御留意になりまして、經濟安定本部と御協議を致されるやうに、此の際御願ひを致して置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=94
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095・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御答へ致します、價格の問題でございますが、全國を數「ブロック」に分けて、協定價格を以て實行したら如何と云ふことは御尤もな御意見でございます、併しながら木材は日本の再建の爲には最も重要な物資でありますので、日本全體を掴んだ價格の方が宜しいのぢやないかと思ひます、價格を作る基本的な方法と致しましては、數「ブロック」に價格を形成する因子を調査の上に出すと云ふことは結構と思ひます、尚ほ協定價格に付きましては、重要な物資である關係上、公定價格と云ふか、協定価價格の性格を持つた公定價格にする、言ひ換へますれば、日本林業會林業委員會の意見を徴し、又農林省からも是等の意見を徴しまして、物價廳に其の意見を持つて行きまして、さうして民間の要望する價格と、一面に於きましては經濟再建の三つの價格、石炭の價格、食糧、米の價格、勞働賃銀、給料の價格、是等の一聯の物價體糸に合ひまするやうな方途で公定價格が生まれますならば、業者も御滿足が行くのぢやないかと思ひますので、斯樣な協定價格と云ふ字は用ひないが、其のやうな意味を含んだ公定價格が設置されるのだと思ひます、價格の問題に付きましても、それ等の重要物資が近く價格に變動があると思ひますので、是等に伴ひまして木材價格も變ることと存じます、木材の價格に付きましては、非常に煩瑣であるので、特に價格の點に於ては、もう少し簡單に、或る一部を指定したならば、他はそれに依つて分ると云ふやうな方法にしたらどうかと云ふことは御尤もでありますので、研究の上善處致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=95
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096・小笹耕作
○小笹委員 價格の問題に付きましても、是非とも左樣な方針にして戴きたい、所謂協定價格を大體認めてそれを購入する、さう云ふ風な公定相場に是非とも御願ひ致したいと思ひます、以上で私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=96
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097・平野増吉
○平野委員長代理 本日は此の程度で散會致します、明日は午前十時から開會致します
午後三時四十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01219460904&spkNum=97
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