1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年九月十日(火曜日)午前十時二十四分開議
出席委員
委員長代理 理事平野増吉君
理事 綿貫佐民君 理事 氏原一郎君
稻田直道君 大井直之助君
木島義夫君 武田信之助君
仲川房次郎君 本名武君
武藤常介君 町田三郎君
永井勝次郎君 坪井龜藏君
的場金右衞門君 井出一太郎君
磯田正則君 伊藤實雄君
圖司安正君
出席政府委員
農林技官 中尾勇君
農林事務官 佐野憲次君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=0
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001・平野増吉
○平野委員長代理 是より會議を開きます、通告順に依りまして磯田君に發言を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=1
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002・磯田正則
○磯田委員 先日質疑を始めまして、政府委員から御答辯を戴いたのでありますが、どうも本法と森林組合との關係がはつきり致しませぬので、尚ほ一應此の點に付て御伺ひして見たいのであります、本法を施行しなくとも、森林組合に於て斯うしたことは完全にやつて行けるのぢやないかと云ふ風に思はれるのであります、折角ああした森林組合が各地に出來て居りますが、それを盛り立てることを致しませぬで、中途半端で置くと云ふことは、林業關係業者の氣持を混亂させるばかりでなく、國家の森林行政の上から見ても拙いことであります、斯樣に考へられますが、此の點に付てもう一應政府委員のはつきりした御答辯を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=2
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003・平川守
○平川政府委員 森林組合を助長すると云ふ點に付ては、各種の助成方策を講じて居る譯でありますが、特別に法規の上に於て現在の森林法を直ちに改正すると云ふことの必要は認められませぬ、一面森林組合は現在の森林法があるから、特に斯う云ふ法律を必要としないではないかと云ふ御話でございますが、例へば現在國家の非常に必要とする木材等の生産と云ふ問題を考へて見た場合に於ても、從來のやり方は地木、日木と云ふ特殊の機關をして木材の生産に當らせる、一手收買をさせて、場合に依つては強制的に伐採をして、一定の割當量を出させると云ふことまでやらして居るのであります、併しながら森林の維持育成と云ふ面から考へても、木材の生産供出の割當を致すにしましても、其の場合に林産業者の方と森林組合の方とが十分に話合を致しまして、森林組合の方としては、森林育成の見地から是だけの生産を本年はすべきものと思ふと云ふ主張が中にあります、併しながら一方に於て國家の要請として復興用材を是位出さなければならぬと云ふことがありますれば、それに對しては組合側でも十分に理解を持つて戴きます、それならば是だけの數量を出すのに、此處々々を斯ふ云ふ風に出したら宜からうと云ふやうなことに付て森林組合が發言する、斯う云ふやり方で林産組合、林産業者側と森林所有者、森林組合とが十分に話合を致しまして、森林の維持育成に支障を來さないやうに、又同時に森産物生産の國家要請に適ふやうにと云ふ結論を導き出さなければならぬと思ひます、其の機會を與へる爲には、どうしても林産業者側と森林所有者側の集まつた一つの團體組織が必要ではないかと云ふ風に考へます、林業會はさう云ふ意味に於て、森林の維持育成に關しても、森林所有者側と山林業者との協調を圖る一つの機關として必要である、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=3
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004・磯田正則
○磯田委員 本委員會の開會以來の質問應答、又只今の御答辯に依つても、結局之をどうしても作つてやつて行こうと云ふ政府の御方針に變りはないやうであります、此の委員會に於てどう云ふ修正案が出されるか、それは別問題として、結局政府の態度は一貫して變りないことでありますれば、どうしても森林組合を作り、其の下に生産組合を作ると云ふことがはつきりした以上は、先日も申しました、法案の中にどうして指定品目をはつきりと入れて貰へないのか、詰り林業會と云ふ以上は、山林に關する一切の産物、事業を包含させる必要がある、從來山林會のやつて參りました仕事、業界のやつて來た仕事と云ふやうなものを、全部此の林業會にやらせると云ふ必要があると思ひます、此の法案の中へはつきり品目を入れて置かないと云ふことは、どうも官廳のやり方は、其の他と云ふやうな曖昧な字句に依つて兎角其の場を胡麻化す、と云ふと誤弊がありますけれども、さう云ふやうな嫌ひが色々の部面に於てあるのでありまして、どうしても此の法案にもはつきりと指定品目を入れて置く必要があるのではないかと云ふ風に考へられます、詰り林政の改善の仕事も、林業統制の事務も、企業者の統率と云ふやうなことも、此の林業會でやると云ふのが、どうせやる以上は宜いのではないか、斯樣に考へまするし、其の品目の中へはつきりと之を入れて置く必要があるのだと云ふ風に考へられますが、此の點に付きまして尚ほ一應御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 出來得ることでありますれば、はつきりと品目を明記致したいのでありまするけれども、先般來色々申上げましたやうな事情で、木材に付きましては非常にはつきり致して居るのでありますけれども、薪炭に付きましては尚ほ若干の問題を殘して居ります、併し是は出來るだけ速かに指定を致したいと云ふ方針であるのであります、尚ほ其の他の林産物に付きましても、是は支障のない限り、出來るだけ之に包容を致したい積りであります、各種の物件それぞれ事情を異に致して居りますので、今直ちに此處に明記する段階に至つて居らないのであります、併しながら法案と致しましては、是は從來森林組合なり、或は其の他の林産關係の團體で扱つて居りましたやうな、通常の林産物と云ふものは總て含まれる觀念でありまして、隨て是等に付ては、何れ指定をされるものと云ふ風に御考への上で御審議を願つて結構と思ひます、唯其の段階に至らないものがありまする爲に、此の際斯う云ふ稍稍曖昧な書き方でありますけれども、主務大臣が逐次指定をすると云ふやうに書いたのであります、併し林産物と致しましては、通常の林産物と云ふ觀念に入りますものは全部包含をせられる、斯う云ふ考へ方で、それが逐次指定をせられると云ふことに御考へを願つて結構であると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=5
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006・磯田正則
○磯田委員 兎角お役所の仕事は、實際の状態を本當に握つて居らない場合があるのでありまして、例へば此の木材に致しましても、木材の現地に於きまする、例へば原生林地帶に付きましては、木材としての用途以外の、詰り枝木とか下木とか云ふものは、それは當然炭に燒くなり、薪にするなりしなければならない、其の場合に所謂木材の生産組合は、木材は勝手に採つたけれども、其の枝木や下木に付ては構はない、隨て木を伐る場合にも、一本の木を倒す場合にも、此の方向に倒せば澤山の下木が傷んでしまふのだ、枝も澤山折れてしまふ、後の利用價値はないのだと云ふやうな場合には、非常にやはり後のことを考へながらやる仕事でなければならない場合があるのであります、其の場合に結局林産組合が、假に木材の方面ばかりでなく、薪炭も一緒にやれるんだと云ふことになりますと、そこにやはり材木を採つた後の下木の、或は枝木の利用と云ふことに付て非常に考へなければならない、そこで經濟的に考へましても非常に利益であるばかりでなく、資源を無駄にしないと云ふことになるのでありまして、それが材木は材木だ、炭は炭だと云ふことでありましては、結局其の山が買はれる場合にも、木材中心で其處を伐り倒した所は、結局木材や薪の利用價値が少くなると云ふ結果になるのであります、其の點は本當に關聯性の深いものだ、隨て林産組合でさうした一切の事業が出來るんだと云ふことになりますと、非常に經濟的にも利用價値が多くなると云ふことになるのであります、さう云ふことを考へまして、どうしても綜合生産をやらせる必要があると私は思ふのであります、こんなやうな觀點から、木材を主として扱ふ生産組合であつても、やはり其の組合は薪炭の生産も出來るんだと云ふことにならなければならないと思ひます、現在の薪炭の生産、薪炭と云ふよりは、殊に木炭の生産に付きましては、此の仕事は農業會或は燃料組合と云ふものが現地の末端の指導をし、色々の世話を此の會がやつて居る譯でありますけれども、是等の組合は本當の生産と云ふことに付て、實際の仕事に付ては關係が薄いのでありまして、要するに炭燒が燒いた炭を持出さして來て、それを取扱ふことに依つて口錢を取つて居ると云ふやうな譯で、ほんの事務的の仕事にしか過ぎないと云ふやうなことになつて居ります、併しながら元來炭の生産と云ふやうなことは、是は決してさうした事務的の机上の計畫や、事務的機構の完備ばかりしたからと云つて、到底計畫生産の完成をすると云ふことは出來ないのであります、殊に現在のやうに、色々の生活物資が殆ど配給でなければならないと云ふやうな時には、奧地の製炭者などは、例へば今日は味噌の配給だ、明日は米麥の配給だ、明後日は鹽だと云ふやうな譯で、其の配給も僅か五日か十日位しかない配給の爲に、三里も四里も配給品を取りに山を下りて行かなければならぬ、而も當然不足であります所の主食品の買出の爲には、二日も三日も山を下つて駈廻らなければならないと云ふやうなことで、どうしても其の家族の一人は、專門に其の買出しや配給の爲に取掛つて居なければならないと云ふことになつて居るのであります、斯うした關係から、其の一家の手取賃金と云ふものは、他の仕事に比較致しまして非常に少くなつて居るのであります、大體各地方とも同じだと思ひますが、參考までに、私等の埼玉縣の秩父地方に於ける木炭の生産費と業者の收入が、他の勞務者に比較してどんな風になつて居るかと云ふことを、現在の木炭の丸公價格を基準として計算をして見たのでありますが、大體こんな風になるやうであります、現在丸公生産者の賣渡價格及び平均價格の算出でありますが、白炭雜が十五「キロ」入りで一俵が十五圓七十錢、それから白炭堅が同じく十五「キロ」入り一俵が十七圓二十錢、それから黒炭が堅で十五「キロ」入り十四圓七十錢、之を平均致しますと十五圓八十六錢と云ふことになつて居る、此の白炭の雜、白炭の堅、それから黒炭の堅、是が私等の地方では大體全生産量の主力をなして居るものであります、之に對しまして一俵の生産費の内譯を申上げて見ますと、原木代——是は安く見て居るかも知れませぬ、原木が四圓五十錢、包裝費が三圓五十錢、平均であります、それから小出運賃が五十錢、それから築窯其の他の設備費が五十錢、道路費が三十錢、雜費が五十錢、以上の計が九圓八十錢となつて居る、之に工賃、所謂手間賃が六圓六錢、總計が十五圓八十六錢と云ふことになります、一人の男が一日の生産量大體三俵と見て居ります、それは老木も若木も平均した生産量でありますが、三俵と致します、隨て一俵六圓六錢に三俵を掛けますと、十八圓十八錢と云ふことになりますが、是が現在一日の勞銀になつて居ります、現在私等の地方の、他の事業の勞働者の賃金はどんな風になつて居るかと申しますと、木材關係のものは一人一日五十圓から七十圓、之を平均して六十圓位は取つて居ります、薪の關係の三十圓から五十圓位、平均四十圓、土木關係が三十圓から五十圓位、平均四十圓、之を平均しますと四十六圓六十六錢と云ふことになります、之を他の勞働賃金と木炭生産者の勞銀を比較致しますると、木炭は先程申上げたやうに十八圓十八錢でありますから、二十八圓四十六錢の收入減となつて居るのであります、隨て他の勞銀に對する木炭生産者勞銀が均衡の採れる現丸公價格の値上希望額と云ふものは、大體他の勞銀より木炭生産者勞銀の差金二十八圓四十八錢、之を三俵で割りますと九圓四十九錢、要するに現在の丸公價格より九圓四十九錢の値上をすれば、他の勞銀と均衡が採れると云ふことになつて來るのであります、此のやうに木炭の生産は、現在非常に採算の採れない不利な仕事でありますので、如何に國が町村長や農業會長を督勵致しましても、中々生産が出來ないと云ふことになるのでありまするが、斯う云ふやうな實情を眞に理解して、さうして是等の業者に安心して生産面に全力を傾注せしめるには、どうしても私の考へとして、所謂昔の元締制度の復活をやる必要がある、御承知のやうに木材や薪炭の統制前は、此の元締制度と云ふものに依つて非常に生産が順調に出來たことは、私が説明するまでもないことであります、即ち是はどう云ふ關係かと言ひますと、此の元締と業者と云ふものは丁度親子の關係のやうなものでありまして、元締は業者の爲には色々の面倒を見てやる、詰り資金の問題に致しましても、原木其の他の資材の問題に致しましても、又日常の必要な生活諸物資の購入斡旋に致しましても、又醫療の事柄、冠婚葬祭のことまで、所謂人事百般の事柄に付て非常に世話をしてやるのでありまして、隨て此の業者は元締に多少口錢或は利益を取られると致しましても、先程申上げましたやうな事柄を、一切自分でやらなければならないと云ふことに比べますると、勞力的にも物質的にも非常な利益がありますので、專業者として、所謂業者として其の仕事に專念して働くことが出來ると云ふことになるのでありまして、どうしても、是は私は昔の所謂元締制度の復活と云ふことが、現在の生産の不振を打開するものである、延いては燃料事情の解決に大きな貢獻をするものである、斯う云ふ風に考へられるのであります、現在、先程申上げましたやうに、農業會や燃料組合がやつて居りまするが、斯う云らやうな官僚的な團體でありましては、死に生きのことから飮み食ひのことまで、斯う云ふやうな面倒を見ると云ふことは到底出來ないのであります、唯本當に業者の作つた品物を集めたり、それを配給したりすると云ふだけの、口錢を取つて居ると云ふだけの本當の機關にしか過ぎないのでありまして、斯う云ふやうな状態で放置して置きましたならば、到底生産の向上と云ふやうなことは、思ふやうに出來ないのではないかと思へるのであります、先日本委員會に於きまして、的場さんが、農業會は道路も造り、橋も造り、倉庫も造つて生産に當つて居るのだから、木炭などに付ては急いで指定品目に入れなくとも宜いと云ふやうな意味のことを言はれましたが、勿論是は平坦部に於ける、里山關係の生産を主として御覽になつて居ることからの御考へだと思ふのでありまして、少くとも是から製炭事業も、民有林は段々伐り盡され、奧地へ奧地へと企業が移つて入つて行きます、所謂原生林地帶、特に斯うした原生林地帶等に於きます立場とは一寸違ふのではないか、隨て平坦部の副業製炭的にやつて居る所に於きましては、的場さんの仰しやるやうな農業會、燃料組合と云ふやうなものの扱ひで結構だと思ひますが、少くとも奧地の分に對しましては、是とは別個の行き方でやつて行かなければならない、詰り里山に付てはさうしたものでも宜いけれども、奧地の分に對しては、生産組合にそれを一切擔當さしてやらせると云ふやうなことが寧ろ宜いのではないか、それを一律に、副業生産的にやつて居る所も、本當の專業でやつて居る所も同じと云ふ行き方は、寧ろ生産の向上にはならないではないか、此の點は政府當局も餘程考へて貰ふ必要がありはせぬか、折角生産組合を作るとしたならば、其の二本建の行き方で行かれることも、相當考へて貰ふ必要があると云ふ風に考へられるのであります、結局只今色々申上げますやうに、餠屋は餠屋でありまして、副業製炭が現在相當生産量を上げて居りますとは言へ、結局國家の資源關係や色々の點から考へて見ましても、製炭と云ふやうなことは、是は殆ど奧地林分に移行されると云ふことは、當然のことであるのであります、隨て寧ろ私は副業製炭を中心とするよりも、專業製炭を中心とする所の施策に重點を置くと云ふことが、當然の考へ方であらうと思ふのでありまして、斯樣な意味合ひに於きまして、二通りの考へ方を、政府當局で持つて貰ふ必要がありはしないか、斯樣に考へるのでなります、隨て要するに政府當局に於ては、昔のやうな元締制度の復活をすることを認めるか、それから生産組合が出來るとすれば、さう云ふやうな二通りの方法でやつて行くと云ふやうな考へはないかと云ふやうなことに付きまして、今一應御伺ひを致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=6
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007・中尾勇
○中尾政府委員 只今色々御意見を伺つたのでありますが、製炭箇所が段々奧地林分に移動して行く現状から考へまして、今の企業製炭を普及することが適當ではないかと云ふ御意見は、全く私も同感であります、此の企業製炭のことに付きましては、前年度も奧地林分に豫約製炭を致しまして、企業者に相當數量の製炭をなさしめたのでありますが、更に又本年度も企業者に相當の生産をして戴くことに相成りまして、企業製炭者の企業に付きましても、政府と致しまして相當考慮を致して居る次第であります、尚ほ御説の通り、今後は里山よりも、其の製炭箇所が奧地林分に移行して參りますので、當然企業製炭者の方の製炭に俟つべき數量が、増加して參ることと存じますので、隨て企業製炭の方を政府と致しましても極力指導し、又利用して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=7
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008・磯田正則
○磯田委員 蠶絲局長が御見えになつたやうでありますから、其の方へ移りたいと思ひますが、今一寸關聯して居りますので、御伺ひしたいと思ひます、只今の御説明で大體分りましたが、さう云ふやうな企業製炭者を活かす、それ等の人達の集まり、それ等の業者の集まり、さう云ふやうな企業會社と云ふやうなものを認める意思がありますか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=8
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009・中尾勇
○中尾政府委員 企業製炭者の團體、此の點に付きましては只今色々研究を進めて居ります、何れ方針を確定致したいと思つて居ります、是は木炭の生産、配給全部に付て再檢討致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=9
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010・磯田正則
○磯田委員 只今の御答辯で大體當局の方針も窺はれましたが、尚ほ出來得る限り早く、さうした方針を樹立されることが宜いのではないか、今年も既に寒くなつて參りまして、燃料事情も大分詰つて居ります、それから先程申上げたやうな實際の所謂生産「コスト」になつて居ります、箆棒に安い所の此の木炭價格に對して、之を引上げると云ふはつきりした方針がありますか、又助成金でも特に出すとか何とか、他の方法は考へて居られますか、此の點に付きまして、先日の私の質問に對します平川政府委員の植林に對する勞銀の見方に付ては、政府の考へ方と私の考へ方に相當の幅があるやうでありますけれども、それは政府の考へ方は實際に即して居ない、私等の方は實際に支拂つて居る勞銀であり、實際に取つて居る勞銀であると云ふことになりますので、私等の申上げたのを基準として貰ひたいと思ひます、さうした御考へから、只今申上げた木炭價格に對して、直ちに値上の意思がありますかどうですか、此の點に付きましては、物價廳關係からも今御伺ひ致したいと思ひますが、御都合があつておいでになりませぬので、明日申上げたいと思ひますが、此の値上に關する、或は助成等に關する方針をはつきりと承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=10
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011・中尾勇
○中尾政府委員 木炭價格の値上に關しましては、只今までも何囘も御答辯致したのでありますが、此の決定は御承知の通り物價廳の方でなされると思ふのであります、原則と致しましても、此の價格形成因子に移動がありました場合は、價格の改訂を即刻やる意向は持つて居ります、是等のことに付きましては、色々資料を蒐集致しまして、物價廳の方に交渉することに相成つて居ります、差當り補助と云ふ御話ですが、先般七月一日から木炭の増産増送期間を設置致しまして、努力致して居るのでありまするが、奬勵金と致しましては或る程度出すことに通牒致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=11
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012・磯田正則
○磯田委員 色々の御關係ではつきりした御言明はないやうでありましたが、近く値上するやうに考へて居ると云ふ御方針を實現さして貰ひたいと希望致して居ります
蠶絲局長が御見えになりましたので、二、三御伺ひ致したいと思ひます、林業關係と養蠶業關係は、例へば桑園の問題、殊に農耕地との關係、斯う云ふやうな點から非常に關聯して居りまするので、御迷惑ながら此の委員會に御出でを願つた譯であります、現在敗戰後の日本と致しましては、色々の點に於て從來の行き方やり方を全面的に變へて行かなければならぬことは勿論であります、殊に戰時中食糧増産の爲に已むを得ず桑園の整埋をやつたのでありまするが、勿論是は當時の事情として已むを得ないことであり、尚ほ又今後に於きましても、或る期間は此の食糧事情の爲に已むを得ないことと思ひまするが、併しながら、一面食糧の見返り物資としての生絲生産の重要性に付きましては、敢て論ずるまでもないことであります、此の點に付きましては、相當當局に於きましても拔かりのない計畫を御立てになられて居ることと思ひます、併しながら現在戰時中桑園整理の名の下に、殆ど桑の木は農村から姿を消して居るやうな状態にありまする今日、之を元のやうな養蠶の全盛を來すまでには相當長い時日を要するのではないか、斯樣に考へられるのでありまするが、桑も植えて直ぐ穫れるものではなく、幾年かを經なければならない、さうして又今直ちに繭の増産もしなければならないと云ふやうな、そこに非常な難かしい點がありまして、所謂現在聯合國軍に於きましても相當量を要求し、期待して居るやうであります、尚ほ國の現状から致しましても、當然之を増産させなければならないことは切實な問題であります、之を如何なる方針の下に如何にして増産させるかと云ふことに付きましての、政府としての根本方針を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=12
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013・佐野憲次
○佐野政府委員 御話の如く、戰爭中桑園が逐次整埋されまして、現状に於きましては極めて慘憺たる状態を呈して居るのでありまして、今後急速に養蠶の復興を圖つて參ります爲には、何と致しましても養蠶の基礎になります桑園を増加させると云ふことは、蠶絲業の復興上最も基本的な問題でありますことは、御話の通りであります、併し只今御述べになりました如く、桑園は苗を植えましてからも、三年目になりませぬと十分な效果を發揮致さない、又桑の苗を作るに致しましても、一年、二年は掛るのでありまして、桑園の造成と云ふことは中々容易ならぬことであるのであります、先般農林省と致しましては、蠶絲業復興の五箇年計畫を立てまして、閣議で決定を願つたのでありますが、實は五箇年と云ふやうなことでなく、もう少し短期間に復興を圖つて參りたいと考へたのでありますが、何を申しましても只今の桑苗の生産或は桑園の完成に相當時間を要する關係から、已むを得ず五箇年の計畫に致したやうな次第であります、桑苗の生産も現在に於きましては非常に少くなりまして、今年の桑苗生産は約九千萬本と稱せられて居りますが、一説に依りますと九千萬本は難かしい、八千萬本位ぢやないかと云ふやうな見方もあるのであります、隨ひまして來春植ゑます桑苗はもうそれ以上何と致しましても急に作ることは出來ないのでありまして、隨て來春は現在あります八、九千萬本の桑苗を用ひまして、約一萬町歩の桑園の新植を致して參る計畫を立てて居るのでありまするが、翌年からは、此の桑苗の生産に付きましても、力を入れましてやつて參りたいと考へて居るのであります、桑苗の生産方法に付きましても、簡易に桑苗を生産する方法も試驗場に於て研究せられて居りますので、さう云ふ簡易に早く造れる桑苗の製造方法を急速に普及を致しまして、桑園の造成も努めて參りたいと云ふ風に考へまして、近く御審議を願ふ追加豫算の中にも計上を致したいと云ふ風に考へて居るのであります、もう一つ急速に繭の生産を圖ります爲には、現在の桑園を確保致し、又現在の桑園の能率を高めて參ると云ふことが最も手つ取り早い方法であるのでありますが、之には肥料が先づ第一問題になるのであります、御承知のやうに、戰前に於きましては段當約十五貫程度の硫安を施用致したのでありまするが、最近の肥料事情に依りまして、本年は僅かに三貫二百匁程度の肥料しか施せない、配給が出來ないと云ふ状況であります、肥料の供給自體も少いのでありまするが、今までに於きましては其の少い肥料を配給するに當りまして、やはり食糧作物を第一に考へまして、桑園に對する肥料の割當と云ふものが輕視せられて居つたのでありますが、併し先般の五箇年計畫遂行の爲の對策要綱にも掲げてありますやうに、今後に於きまして、桑園の肥料に付ても相當手厚く割當をするやうに考へて參りたいと云ふことであります、此の點に付きましては、進駐軍司令部に於きましても、從來は中中喧しく食糧に最重點を置いて配給すると云ふ方針が執られて居つたのでありまするが、最近桑園に對しましても相當程度の肥料の割當を致すことに付て、進駐軍司令部にも諒解をして戴いて居るのでありまして、今後出來る限り肥料の割當の増加を圖つて參りたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=13
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014・磯田正則
○磯田委員 只今色々御説明を御伺ひしたのでありますが、此の桑園復舊對策の重要な點として、農耕地と桑園の調節をどんな風にやるか、或はどんな程度に山林地帶を利用するのかと云ふやうな點に付きましての御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=14
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015・佐野憲次
○佐野政府委員 桑園のみならずでありますが、私共桑園に付きましては、飽くまでも適地適作の原則に則つてやつて參らなければならぬと考へて居るのでありまして、從來整理されました桑園を復舊して參りますに當りましても、食糧作物を作るよりは桑園としてやつて參る方が、土質の點から、或は氣候の點から言つて適して居ると云ふやうな場所を選定致して、やつて參らなければならぬと考へて居るのであります、又農業經營の面から見ましても、過去に於きましては桑園に餘り重みが掛り過ぎまして、養蠶が其の農家の主たる經營種目になつて居ると云ふやうなものがあつたのでありまするが、斯う云ふのは、やはり健全な養蠶業として發達させて行きます上に適當でないと考へるのであります、現在はさう箆捧に大きな養蠶業と云ふものは自然なくなつて居りますが、今後に於きましても、やはり過去にあつたやうな著しく大きい養蠶と云ふものは、餘り獎勵すべきものではないのでありまして、他の食糧作物其の他と適當な調和を持つた養蠶業と云ふことを、考へて行かなければならぬと考へて居るのであります、山林との關係に付ての御尋ねであります、御尋ねの御趣旨が能く呑込めなかつたのでありまするが、今後やはり桑園の擴張を圖つて參ります上に於て、既耕地ばかりでなく、新たに開拓をされました地域に於きましても、やはり適當に桑園を織込んで參ると云ふことが、現在の開拓豫定地の實情から見まして、又開拓地に於ける農業經營の態樣から見まして、相當桑園を開拓地に織込んで參ると云ふことが、適當なことであらうと云ふ風に考へまして、是は開拓局の方とも十分連絡を執りまして、計畫を進めて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=15
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016・磯田正則
○磯田委員 只今適地適所でやると云ふことは、是は非常に結構なことでありますが、結局現在の食糧増産關係と云ふものと睨み合せます時に、どうしても現在の農耕地を急速に減らして、桑園にすると云ふことは、實際問題として出來ないのではないか、さうすれば只今御話のやうな山林の部面に喰込んで、さうして開拓すべき所はやつて行くと云ふことでなかつたならば、到底現在のやうな状態では、要求される三十萬俵の生絲生産と云ふやうなことは出來ないと思ひますので、此の點に付きましては相當御考へ戴く必要があると思ひます
それから御話の中にもありましたやうに、肥料關係で桑が思ふやうに今まで出來なかつたことも事實でありまして、其の外に現在繭の生産に付ての隘路としては、勿論色々の理由はありますけれども、勞銀の關係とか、食糧、只今の肥料、それから技術者が缺けて居ると云ふことが、是が大きな原因になつて居ると思ひます、恐らく現在の程度の政府の方針でありましたのでは、到底此の繭の増産と云ふやうなことは覺束かないと思ひまするが、只今の山林を開拓して、さうして、桑園を殖やして、凡ゆる條件を——只今申上げましたやうに、勞銀も、食糧も、肥料も技術者も、凡ゆる條件を有利にすることに依つて、結局増産を圖つて行くんだとする場合に、之に對しまする、詰り桑園復舊は勿論のこと、色々の部面に於きまする、政府の所謂助成の方針と云ふやうなことに付て、御考へを簡單で結構ですが承りたい、と同時に斯う云ふやうに色々考へて參りますると、現在の繭の相場と云ふものが非常に安過ぎると云ふ結論になりまするが、繭の相場の値上に對してはどんな風に御考へであるかと云ふこと、もう一つは技術者が現在非常に不足して居ると思ひまするが、それの養成の爲に蠶絲學校と云ふやうなものでも増設するとか、或は生絲の増産の爲に、製絲會社を復活させるとか云ふやうな方面に付きましての、當局の御考へを、簡單で結構でありまするが御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=16
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017・佐野憲次
○佐野政府委員 御話のやうな養蠶が今まで衰頽への一途を辿つて參りましたのを、ここで増産の方に振向けると云ふことに付きましては、是は關係各方面擧つて、全力を擧げてやつて參らなければならぬと思ふのでありまして、先般決定願ひました對策要綱も、是は極く主な事柄だけを掲げてあるのでありまして、其の外にも色々やるべき事柄は多くあると思ふのでありますが、要しまするに現在の増産を阻んで居る問題は、一つは食糧の問題であり、一つは肥料の問題であり、第三番目には價格の問題であると思ふのであります、食糧に付きましては、本年度は十分なことは參らなかつたのでありまするが、來米穀年度からは食糧生産農家と同程度の食糧の保有を認め、或は加配米の形で配給を致して參ると云ふことに、部内に於きましても方針の決定を見て居るのであります、肥料のことは先程申しましたが、價格に付きましては、是はやはり國内に於ける他の物價、殊に主要農産物と均衡を得た價格に決めて參ると云ふことでなければならぬことは勿論でありまするが、唯現在まで非常に衰頽を致して參りました蠶業を、此處で復舊をさせると云ふことでありまするから、それが出來ますやうに、是は特殊の考慮を或る程度其處に拂はなければならないと云ふ風に私共は考へて居るのでありまして、米の價格の決定と睨み合せつつ、現在價格に付きましては、安定本部物價廳の方と御相談を致して居るのでありまして、此處ではつきりしたことは、まだ決つて居りませぬので申上げられないのでありますが、大體さう云ふ氣持で關係の當局と折衝を致して居るのであります、御話のやうに養蠶には相當技術指導が必要なのでありますが、戰爭中技術員の數も減りましたし、又素質も相當低下を致して居るのであります、之を人も充實させ、又素質の向上を圖つて參る必要があるのでありまして、現在に於きましては、繭一貫匁に付きまして約一圓六十錢程度の金額を全國農業會が使ひまして、是で技術員の設置を致して居るのであります、其の方法に依りまして、技術員の數も相當殖えて參つて居ります、現在まで町村農業會に居ります常設技術員の數は約八千人になつて居るのであります、其の外養蠶季節になりますと、短期の季節指導員と云ふものを置いて居りますが、是は農業會でも置いて居りますし、又製絲家も置いて居るのでありまして、其の方が約四千人程度あるのであります、人數と致しましては、大體此の程度で十分であらうと思ふのでありますが、素質の點に付きまして十分でない所がありまするので、素質の向上を圖つて參らなければならぬと、考へて居るのであります、此の點に付きましても、政府としても相當豫算を計上致してやつて參りたいと思ふのでありますが、此の次の豫算の際に御審議を御願ひ致したい、斯樣に考へて居るのであります、それから製絲の方は、御承知のやうに昔は十五萬臺もあつたのでありますが、終戰の當時に於きましては約二萬二千臺程度に減りましたので、之を大體今年中に約倍の四萬三千程度に引上げるやうに、今極力設備の擴充をやつて戴いて居るのであります、資材の關係もございまして、計畫通りには參つて居りませぬが、略略計畫に近い進行状况を示して居るのであります、生絲の製造數量も、最近毎月少しづつ上昇を致して參つて居りまして、八月はまだ分りませぬが、七月には八千四百俵程度の製造を致したのでありまして、もう近く一萬俵の線に到達することと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=17
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018・磯田正則
○磯田委員 色々御伺ひ致しまして有難うございました、唯問題は、只今の御話のやうに、やつて居なかつたことを是からやるのだと云ふことに付きましては、局長としての御立場も容易でないと思ひますが、此の仕事をやつて貰ふには、餘程の決斷を持つてやつて戴かなければならないと思ひます、特に其の點を希望致しまして、質問を終りたいと思ひます
次に先程の質問に續きまして、製炭關係に付てもう少し御伺ひ致したいと思ひます、先程申上げましたやうに、經濟的にも非常に惠まれてないことが生産の隘路になつて居ると云ふことは、もう政府當局も御承知のことでありますが、まだ此の外に製炭に付ての隘路としては色々ある譯であります、御承知のやうに奧地の製炭者の生活は非常に原始的でありまして、何一つ文化の恩惠に浴してない、隨て彼等の生活は一生を通じて非常に氣の毒な状態にある、髭は生え放題であるし、入浴も碌に出來ない、炭の粉で眞黒になつて、年がら年中強勞働を勵んで行かなければならない、而も一本の立木を伐り倒すにも、伐り方に依つては色々と關係がありますので、それにも非常な技術を要する、それから鋸の目立を致しますのも技術でやり、大きな材木を集材することも技術である、釜を作ることも技術である、夜中に起き出して行つて、釜から出る煙を見て燒けたか燒けないかと云ふ工合を見るものも技術である、斯ふ云ふやうに色々の面から、尊い永年の體驗の技術を必要とするのであります、殊に製炭をやる場合には、畫夜の別なく勞力を消耗しなければならぬと云ふ状態であります、隨て此のやうに勞力的にも骨の折れることであり、而も採算は取れない、斯う云ふ非文化的な生活は、青年男女あたりは非常に嫌つて居ります、殊に最近のやうに食糧生活は益益窮屈になつて來る時に於ては、本當の奧地に於ける、所謂高原地帶に於ては菜つ葉一つ作つても取れないと云ふやうな状態の所が隨分ありますが、斯う云ふやうな所で原始生活を續けて行けと云ふことは無理であり、又到底續くものではないと思ひますが、斯う云ふやうな状態から、現在高原地帶等に於きます原始生活を捨てて、里に出掛けて或は闇屋になつたり、或は又歸農する者もあります、さうして段々本當の專業者が減つて行くと云ふことが、非常に大きな生産の出來ない原因だと思ひます、殊に最も重大な問題として取上げなければならないのは、斯う云ふやうな原始生活をやることを、非常に娘達が嫌つて居ると云ふことであります、隨て自分の親は炭燒であり、自分も炭燒の子でありながら、炭燒所へ嫁に行くと云ふことを望まないのであります、詰り非常に非文化的な原始生活を嫌つて居りますが故に、結局自分の家は炭燒の家でありながら、炭を燒くと云ふ仕事をやらうとしない、隨て炭燒をやつて居つたのでは、一生妻を貰ふことが出來ない、是は現在の製炭に專念して居ります專業者の一番大きな惱みでありまして、此の問題を考へます時に、どうしても政府としては之を、そんな馬鹿なことがあるのかと簡單に考へられず、斯う云ふ實際のあることを御認識なされて、是等奧地の製炭專業者に對して、何か特別の施設を考へてやらなければならないと思ひます、例へば文化的施設として、學校へ行くにも屋根を越えて谷に下り、三里も四里も行かなければならないやうな處には、分教場を作ることを、政府の方から寧ろ獎めてやらせる、或は共同の娯樂場、と云つても隣りの小屋へ何里と云ふ處もありますので、其の場其の場に適した施設を作つてやるとか、共同浴場を作つてやるとか、或は醫療の問題は一番重大でありますが、病氣になつて、醫者に掛かることが出來ないが、診斷書だけ要る爲に醫者を連れて來ると、一囘百五十圓、二百圓も取られると云ふ状況の處が實際にある、斯う云ふ實情を政府が常に能く調査されて、其の缺陷を何とか補つてやると云ふことにもう少し御考へを、物質的助成は勿論でありますが、それと同樣に、所謂精神的助成も大いにして貰はなければならないことを希望致す譯であります、之に付ての政府の御考へはどうであるか、又是は先輩委員の方から數度出て居りますが、結局増産の大きな隘路としての主食の増配のことであります、是は其の内にとか、經濟安定本部でどうとか、物價廳でどうとか言つて居る時でない、本當に今冬山を控えて、現在増産に本腰に踏込んで行かなければならない、其の者に對する——今朝も私の郷里から送つて來た新聞を見ますと、役人の言ふことは全然當てに出來ない、斯う云ふ仕事をやつてるのは馬鹿々々しいと、業者が言つて居る話が出て居りますが、それが本當の實情でありますから、増配を、豫算の問題がどうであらうとも、當局としては思切つて、假令一合でも五勺でも増配してやると云ふ手を打たなければ、炭が出ないことははつきりして居ります、勿論石炭の問題とか、「コークス」の問題とか色々ありませうが、或る程度燃料事情を木炭に依存することが必要であり、又政府がさう考へて居るならば、此の際は何よりも先きに主食の増配を、假令少しでもやると云ふことを言明されることが、増産にどれだけ役立つか知れないと思ひますが、文化施設、食糧問題に付て、私からも一應承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 勞務者、殊に奧地に於きまする勞務者に對する文化施設の問題は、實行上中々困難を伴ふのでありますけれども、一面又それだけに極めて必要なことと考へるのでありまして、各種の助成施設も講じましたり、或は山村方面の文化に對する施設を行ひまする團體等もあるのでございますけれども、中々十分に行かないのであります、併し之に對しましては、今囘成立を見ますれば、林業會、或は林産組合方面の活動と云ふことが大いに期待せられる譯でありまして、之に對しては、政府と致しましても十分に助成を考へたいと云ふ風に思ふのであります、醫療の問題等に付きましては、既に若干の施設がございます、又學校分教場等の問題に付きましては、文部省方面とも十分連絡を致しまして、出來得る限り是等の人々に便するやうに致したいと思ひます
尚ほ主食の増配の問題に付きましては、先般も御答へを申上げましたけれども、最近食糧事情の稍稍好轉の模樣もありまするし、速かに實現を圖りたい、其の方向に向つて努力致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=19
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020・平野増吉
○平野委員長代理 此の際皆樣に御諮りを致します、今日午後本會議がありまするけれども、皆樣引續き午後も委員會をやらうと云ふ御意向ならばやつても宜いと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=20
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021・磯田正則
○磯田委員 本會議のある日は成べく本會議で勉強させて戴きたいと私は思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=21
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022・平野増吉
○平野委員長代理 それでは本日午後は休みます、其の代り、明日は午前から午後へ掛けてやることに致したいと思ひます——それではどうぞ質問を繼續して下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=22
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023・磯田正則
○磯田委員 法案の内容に入りまして、御伺ひ致したいと思ひます、第十四條役員の關係、第二十二條議員及び特別議員の關係、第三十條林業委員の關係、是は何れも構成する團體の役員の中から役員を出すと云ふこになつて居るやうでありますけれども、其の必要がどうしてあるのですか、私は寧ろ役員と限らずに、所謂構成團體の團體員の中から、適材適所な役員とすることの方が民主的であり、且つ實際には、此の構成團體の役員と云ふやうなものは、其の多くは結局本當の業者ではない、所謂頭で仕事をやる人達であり、口先で仕事をやる人達が多いのであります、隨て此の役員の中から役員にすると限定をする必要は絶對にないと思ふ、寧ろ廣い會員なり、組合員なり、團體員の中から拾ひ出して、適材適所で之に充てると云ふことが最も時代に即應することであり、それが此の林業會をして、或は林産組合をして、眞に活動せしむることが出來ると考へられるのでありますが、此の點に付ての御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=23
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024・平川守
○平川政府委員 林業會の構成と致しまして、下部の團體が構成員になつて居ります場合に、下部の團體の代表と云ふ意味に於て、下部團體の役員の中から選ぶと云ふことに致して居る譯であります、詰り下部團體に於きましては、其の下部團體の意思及び事業を代表して萬事を行ひまする役員と云ふものを、其の下部團體の會員の中から、全體の總意に基いて民主的に選出を致して居る譯であります、隨て其の總意に基いて選出された役員の中から、其の構成して居ります上級團體の役員を選出すると云ふことは、是は當然の徑路であらうと思ふのであります、唯御話の如く、實際問題として、往々にして役員の中には、必ずしも本當の事業者でなく、何れかと申せば、口の人と云ふか、さう云ふ人が出て居る場合が相當あると云ふことを御指摘になつた如く思ふのでありますが、併し團體の機構としては、下部團體を以て上部團體を構成する場合に、其の役員を下級團體の役員以外から選出すると云ふことは、寧ろ殆ど例がないのであります、極く例外と致しましては、此の第十四條にもありますやうに、第三項の如く、役員を之に該當しない者の中から選ぶ場合もある譯でありますけれども、原則としては、斯う云ふ組織が凡ゆる團體共通でありますし、又理論的にも先程甲しましたたやうに、斯うあるべきものではなからうかと考へるのであります、實際御指摘の如く、弊害は寧ろ下級團體に於て役員を選出する場合にも、總員が民主的に、最も適切なる人物を選出すると云ふことで除いて行くより致し方なからうと考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=24
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025・磯田正則
○磯田委員 斯う云ふ行き方が普通であらうと思ふと云ふことになりますが、私は寧ろ第十四條の三項を、成べく生かして行く方が宜いのではないかと云ふ希望を持つて居るのであります
それから第六十六條に付てでありますが、一番最初の日だと思ひましたが、平野委員の質問に對して、下部組織としての林産組合、生産組合は幾つ作つても宜いと云ふやうなことを、平川政府委員から答辯されたと思ふのであります、是は木材の場合と木炭の場合に於ては事情が違ふと思ひますが、木炭のやうな場合に於ても、幾つ作つても宜いのであるか、又どの位の地域が適當であるかと云ふやうなこと、尚ほ是は木炭に關することですが、木炭に付ても近く指定品目に入れると云ふことであれば、今から既に此の生産組合を作るやうな準備をやること、又は今から作つたものに對する取扱はどうなりますか、此の法案にないのだから、それは構はないのだと云ふ御考へでありますが、寧ろ近く指定品目に入れて作らせるのだと云ふことになれば、既に準備をし、作ることも差支へないことと思ひますが、此の點に付きまして一應御伺ひ致して置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=25
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026・平川守
○平川政府委員 薪炭に付きましても、假に指定を致しますれば、別にどう云ふ地域で何時作れと云ふことはない譯でありますから、最も地方の實情に即したやうに作つて戴けば宜しいのであります、それから假に薪炭に付きまして、準備的に組合を作ると云ふやうな場合に於きましては、或は全くの任意法人として下地を作つて置くと云ふことも考へられます、又或は商工組合法に依りまして、其の手續に依る組合を作つて置きますれば、是は後に假に指定を受けました場合に於て、當然に此の總會の決議だけで林産組合に振替り得る、斯う云ふ經過規定があります、さう云ふことが出來れば尚ほ結構、便利かと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=26
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027・磯田正則
○磯田委員 さうしますと、之を見越して作るやうな組合が出來ましても差支へない、出來た場合には、さう云ふものは大體優先的に指定されると云ふやうなことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=27
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028・平川守
○平川政府委員 準備的に作つて置くことは少しも差支へございませぬし、假に薪炭が指定になりますれば、さう云ふものは直ちに振替り得るやうな形になる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=28
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029・磯田正則
○磯田委員 他の委員から質問があつたかも知れませぬが、第七十一條の「林産業に密接な關係を有する事業を營む者又はその團體」と云ふ、此の團體の解釋をもう一應承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=29
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030・平川守
○平川政府委員 此の密接なる關係を有する事業と云ふのは、主として林産物の需要者を考へて居ります、其の團體がある場合がある、例へば木工組合であるとか、土建組合であるとかと云ふやうな、需要者が團體を作つて居る場合があります、其の團體が定款の定める所に依つて林産組合の組合員になると云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=30
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031・磯田正則
○磯田委員 第九十一條の「日本林業會が成立したときは、社團法人日本林業會は、日本林業會成立の時に解散するものとし、その權利義務は、日本林業會においてこれを承繼する。この場合には、社團法人日本林業會には、他の法令中清算に關する規定は、これを適用しない。」日本林業會は本法に依る日本林業會の成立した時に解散し、其の權利義務は新たに成立した日本林業會が承繼するのだと云ふ、此の理由は何處にありますか、之を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=31
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032・平川守
○平川政府委員 此の社團法人日本林業會と云ふのは、本法に申します林業會とは性質を異に致しますけれども、終戰直前に是は森林所有者及び木材業者等の調整を圖ります爲に設立せられました法人でありまして、政府と致しましても之に對しては或る程度の助成等も致し、其の活動を助長して參つたのであります、さうして相當の資産等も有して現在活動して居る譯であります、性質は異りますけれども、其の目的に於て共通の所もございます、新たに林業會が成立しました場合に、從來持つて居ります社團法人日本林業會の資産等を、特に清算をしてばらばらにしてしまふと云ふよりは、之を纒めて、新しい日本林業會に於て活用した方が、便利ではなからうかと云ふ意味からであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=32
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033・磯田正則
○磯田委員 御説明で其の理由は分りましたが、それを承繼する場合には、人事も含んで居りますかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=33
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034・平川守
○平川政府委員 人事は全く新しく各團體が今度設立せられるに從ひまして、新たに日本林業會の設立を致し、又其の際に其の總會に於て役員を選任すると云ふことになる譯であります、人事は承繼致しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=34
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035・磯田正則
○磯田委員 斯うした團體が、此の林業會に限らず出來ます場合に、從來の政府の方針は之を指導し、監督して行く上の方針として、兎もすれば斯う云ふやうな團體が官僚の姥捨山になると云ふやうな嫌ひがあるのであります、殊に戰時中はさう云ふ弊害が多かつたと思ひますが、今度の法案に依つて設立される林業會等に付ては、苟且にも斯う云ふやうな批評を受け、又は實際にさう云ふことになることは非常に拙いことと思ひますので、當然下部組織が出來て、段々それを決めて行くのだと云ふことにはなつて居りますけれども、特に總ての仕事は要するに人でありますので、此の日本林業會等の成立に當つては、政府當局に於ても、さう云ふ點に十分御考へを戴いて指導して貰ふ必要がありますと同時に、少くとも民主的に成立する林業會であります、以上は、餘り事務的以外のことは政府は干渉せぬと云ふ方針でやつて參られることが宜いのだ、斯樣に考へますが、此の點に付ての御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=35
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036・平川守
○平川政府委員 此の法案の建前からして林業會、林産組合の組織運用に付きましては、極力民主的にやると云ふことになつて居るのでありまして、役員の選任等に付ても、官廳は何等之に對して許可、認可等の方法を以て觸れる意思がないのであります、御話の通りに運用せられることと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=36
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037・磯田正則
○磯田委員 もう一つ伺ひます、それでは法案に對しまする點は是で打切りまして、もう一つ一寸參考に御伺ひ致したいことは、製紙用「パルプ」資源の需給方針、それから國内企業に對する施策と云ふやうなことに付て、御分りの範圍で御説明を、簡單で結構ですから願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=37
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038・中尾勇
○中尾政府委員 「パルプ」材の本年度の供給豫定は六百四十四萬石程度に相成つて居るのであります、「パルプ」材は、戰前は御承知の通り、大體樺太竝に内地、北海道、此の三箇所に於て生産されて居つたのでありまするが、敗戰後此の大部分を供給して居りました樺太を喪失致しました爲に、北海道と内地で供給しなければならなく相成つたのであります、工場の消化能力から申しますと、「パルプ」原木と致しましては、大體九百三十萬石程度の資材を必要とするのでありまするが、只今申上げましたやうに、本年度の供給可能量は六百四十四萬石になつて居りまして、所要量の全部を充すことが出來ないやうな情勢にあるのであります、更に今後のことを考慮致しますと、將來の木材の生産事情から考へまして、全部を内地の森林から供給すると云ふことは、中々困難ではないかと云ふ風に考へられる次第であります、それで不足量の「パルプ」材は、出來得るならば樺太方面からの輸入に待ちたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=38
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039・磯田正則
○磯田委員 事務當局に御伺ひする點は大體終りまして、大臣竝に物價廳長官に對しまする質疑を殘しまして、私の質疑は是で終りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=39
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040・平野増吉
○平野委員長代理 では本日は此の程度に致しまして、次會は明十一日午前十時より開會致します、是にて散會致します
午後零時四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01619460910&spkNum=40
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