1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年十二月二十三日(月曜日)
午前十時十四分開議
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議事日程 第十號
昭和二十一年十二月二十三日
午前十時開議
第一 増加所得税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 有價証券の処分の調整等に関する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債発行に関する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 政府の契約の特例に関する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 内閣法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第八 戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
昨二十二日第七部ニ於テ常任委員ノ補闕選擧ヲ行ヒシニ其ノ結果左ノ如シ
豫算委員子爵保科正昭君ノ補闕トシテ子爵秋田重季君、同子爵高橋是賢君ノ補闕トシテ子爵安藤信昭君當選
同日委員長ヨリ左ノ通分科擔當委員ヲ選定シタル旨ノ報告書ヲ提出セリ
豫算委員 子爵 秋田重季君
第二分科擔當委員
豫算委員 子爵 安藤信昭君
第四分科擔當委員
同日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
開拓者資金融通法案特別委員會
委員長 男爵 岩村一木君
副委員長 子爵 土屋尹直君
國会法案特別委員會
委員長 伯爵 黒田清君
副委員長 男爵 松平外與麿君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
皇室典範案可決報告書
皇室経済法案可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
増加所得税法案
有價証券の処分の調整等に関する法律案
昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債発行に関する法律案
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案
昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案
政府の契約の特例に関する法律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、増加所得税法案、日程第二、有價証券の処分の調整等に関する法律案、日程第三、昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債発行に関する法律案、日程第四、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、日程第五、昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経資支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第六、政府の契約の特例に関する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、是等の六案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=4
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005・会議録情報3
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増加所得税法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
増加所得税法案
増加所得税法
第一條 左に掲げる所得を有する個人は、この法律により、増加所得税を納める義務がある。
一 第一種所得
昭和二十一年中に生じた所得税法第十條第一項第一号の不動産所得並びに同項第三号の甲種及び乙種の事業所得に該当する所得の金額の合計金額が、同法による同年分の不動産所得並びに甲種及び乙種の事業所得の決定金額の計算の基礎となつた所得金額の合計金額(同年分の当該所得の決定金額の計算の基礎となつた所得金額の合計金額が一千円に満たないとき又は当該所得の金額の決定がなかつたときは三千円)を超過する場合におけるその超過する所得
二 第二種所得
昭和二十一年中に生じた所得税法第十條第一項第五号の山林の所得
三 第三種所得
昭和二十一年三月三日から同年十二月三十一日までの間に生じた所得税法第十條第一項第八号の讓渡所得
第二條 この法律施行の際、この法律の施行地に住所を有せず且つ一年以上の居所を有しない個人が、この法律の施行地外に有する資産又は事業から生じた所得については、増加所得税は、これを課さない。
第三條 増加所得税を課すべき所得は、左の各号の規定により算出した金額による。
一 第一種所得は、所得税法第十條第一項第一号の不動産所得並びに同項第三号の甲種及び乙種の事業所得に該当する所得につき、昭和二十一年中の総收入金額から必要な経費(收入を得るのに必要な負債の利子を含む。以下同じ。)を控除した金額の合計金額から、同法による同年分の不動産所得並びに甲種及び乙種の事業所得の決定金額の計算の基礎となつた所得金額の合計金額(同年分の当該所得の決定金額の計算の基礎となつた所得金額の合計金額が三千円に満たないとき又は当該所得の決定がなかつたときは三千円)を差し引いた金額
二 第二種所得は、所得税法第十條第一項第五号の山林の所得につき、昭和二十一年中の総收入金額から必要な経費を控除した金額
三 第三種所得は、所得税法第十條第一項第八号の讓渡所得につき、昭和二十一年三月三日から同年十二月三十一日までの間の総收入金額から当該財産の取得價額、設備費、改良費及び讓渡に関する経費を控除した金額
第四條 第一種所得については、その所得金額から七千円を控除する。
第二種所得及び第三種所得については、その所得金額から各各一万円を控除する。
戸主及びその同居家族の第一種所得及び第二種所得金額は、各各これを合算し、各各その総額について、前二項の規定を適用する。戸主と別居する二人以上の同居家族の第一種所得及び第二種所得の所得金額についても、また同樣とする。
第五條 増加所得税は、左の税率によりこれを賦課する。
一 第一種所得
所得金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用する。
二万円以下の金額 百分の三十
二万円を超える金額 百分の四十
五万円を超える金額 百分の五十
十万円を超える金額 百分の六十
二十万円を超える金額 百分の七十
五十万円を超える金額 百分の八十
百万円を超える金額 百分の九十
二 第二種所得
所得金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用する。
二万円以下の金額 百分の二十
二万円を超える金額 百分の三十
五万円を超える金額 百分の四十
十万円を超える金額 百分の五十
五十万円を超える金額 百分の六十
三 第三種所得
所得金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用する。
二十万円以下の金額 百分の二十五
二十万円を超える金額 百分の四十五
五十万円を超える金額 百分の六十五
前項の場合において、戸主及びその同居家族の第一種所得及び第二種所得の所得金額は各各これを合算し、各各その総額に対して税率を適用して算出した金額を、各各その第一種所得及び第二種所得の所得金額に按分して、各各その税額を定める。戸主と別居する二人以上の同居家族の第一種所得及び第二種所得の所得金額についても、また同樣とする。
第六條 増加所得税について納税義務がある者は、命令の定めるところにより、昭和二十二年一月三十一日までに、所得の種類及び金額その他必要な事項を、政府に申告しなければならない。
第七條 第一種所得、第二種所得又は第三種所得の所得金額は、増加所得税調査委員会に諮問して、政府において、これを決定する。
前項の所得金額の決定について脱漏があることが発見されたときは、昭和二十五年十二月三十一日までは、増加所得税調査委員会に諮問して、政府において、その所得金額を決定することができる。
増加所得税調査委員会の閉会後、第一項の所得を有する者が納税義務があることを申し出た場合又は納税義務者が所得金額の増加があることを申し出た場合において、政府がその申出を相当と認めたときは、前二項の規定にかかわらず、増加所得税調査委員会に諮問することなくして、政府において、その所得金額を決定する。
増加所得税調査委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
第八條 前條の規定及び第十條において準用する所得法第三十六條第四項の規定により所得金額を決定したときは、政府は、これを納税義務者に通知する。
第九條 増加所得税の納期限は、昭和二十二年三月三十一日までとする。但し、特別の事情があるときは、命令で特別の定をなすことができる。
第七條第二項若しくは第三項の規定又は第十條において準用する所得税法第三十六條第四項の規定により所得金額を決定した場合においては、前項の規定にかかわらず、直ちに、その税金を徴收する。
増加所得税の税額の全部又は一部について、納付を困難とする事情があるときは、納税義務者は、その納付を困難とする金額について、命令の定めるところにより、六箇月以内の延納を申請することができる。
前項の規定により延納を許可された場合においては、当該延納税額については、命令の定めるところにより、当該税額に年百分の十の割合を乘じて算出した金額に相当する税額を加算して、これを納付しなければならない。
第十條 所得税法第五條、第六條、第十一條第六号及び第七号、第十二條第二項、第三項及び第六項乃至第八項、第三十六條第四項、第三十九條第二項、第六十六條、第七十三條第二項、第七十五條、第七十六條、第八十一條、第八十二條及び第八十四條乃至第八十七條、租税特別措置法第三條並びに財産税法附則第三項及び第四項の規定は、増加所得税の課税について、これを準用する。
第十一條 詐僞その他不正の行爲により増加所得税を免れた者は、これを一年以下の懲役又はその免れた税金の三倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第一項の場合においては、政府は、直ちに、その所得金額を決定し、その税金を徴收する。
第十二條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第十條において準用する所得税法第八十一條の規定による帳簿書類その他の物件の檢査を拒み、妨げ又は忌避した者
二 前号の帳簿書類で虚僞の記載をなしたものを呈示した者
三 第十條において準用する所得税法第八十一條又は第八十二條第一項の規定による質問に対し答弁をなさない者
四 前号の質問に対し虚僞の答弁をなした者
第十三條 第十條において準用する所得税法第六十六條の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第十四條 増加所得税に関する調査に関する事務に從事している者又は從事していた者が、その事務に関して知り得た秘密を漏らし又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
第十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第十一條又は第十二條第二号乃至第四号の違反行爲をなしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
第十六條 第十一條第一項の罪を犯した者には、刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、これを適用しない。但し、懲役刑に処するときは、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から、これ を施行する。
この法律は、本州、北海道、四國、九州及びその附属の島(勅令で定める地域を除く。)にこれを施行する。
昭和二十二年一月三十一日までになすべき所得税法第三十四條第一項及び営業税法第十六條の申告は、これをなすことを要しない。
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有價証券の処分の調整等に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
有價証券の処分の調整等に関する法律案
第一條 この法律は、財産税法に基いて國庫に納付せられる有價証券、戰後経済の民主化を図るため処分せらるべき有價証券等多額の有價証券の処分を、円滑且つ公正ならしめるため、有價証券市場の状況に應じて、その処分に関する時期、價額、数量等に所要の調整を加えるとともに、廣く國民の間に有價証券の分散を図ることを目的とする。
第二條 この法律において指定証券とは、左に掲げるものをいう。
一 政府の所有する有價証券
二 持株会社整理委員会が、持株会社整理委員会令第一條の規定により指定を受けた会社又は個人から讓渡を受けて所有する有價証券
三 昭和二十年大藏外務内務司法省令第一号(外地銀行、外國銀行及び特別戰時機関の閉鎖に関する件)第一條に規定する指定機関の所有する有價証券
四 昭和二十一年大藏司法省令第四号(日本証券取引所の有價証券賣買取引事業特別会計に属する財産に関する件)第一條の規定により、閉鎖機関保管人委員会委員長の管理する有價証券
五 昭和二十一年勅令第五百六十七号(会社の証券保有制限等に関する件)の規定に基いて、同令第一條に規定する指定会社、從属会社若しくは関係会社又は同令第五條第一項(同令第十七條において準用する場合を含む。)の規定に該当する者が讓渡すべき株券及び出資証券(同令第六條第一項第一号に掲げる者に対し讓渡する株式を除く。)
六 企業再建整備法に規定する特別経理株式會社(以下特別経理株式会社という。)が同法に規定する決定整備計画の定めるところに從つて讓渡すべき有價証券及び同法第五十二條に規定する者が、同法の規定の準用の結果讓渡することとなる有價証券
七 前各号に掲げるものの外、命令で定める有價証券
前項において有價証券とは、國債証券、地方債証券、株券、出資証券、社債券その他命令で定めるもの(明治三十九年法律第三十四号國債に関する法律又は社債等登録法の規定により登録されたものを含む。)をいう。
第三條 指定証券の讓渡については、その讓渡の計画に関し、予め証券処理調整協議会(以下協議会という。)の承認を経なければならない。
第四條 協議会は、協議員を以てこれを組織する。
協議員は、左の各号に掲げる者の代表者(第三号に掲げる者及び第五号の規定に基く命令により指定された個人については、その者)を以てこれに充てる。
一 國
二 持株会社整理委員会
三 閉鎖機関保管人委員会委員長
四 日本銀行
五 前各号に掲げるものの外、命令で指定する者があるときは、その者
第五條 協議会に議長を置く。
議長は、協議員の中一人を以てこれに充てる。
議長の選任及び解任は、協議員の過半数を以てこれを決する。
議長は、協議会の会務を総理し、協議会を代表する。
第六條 協議会の決議は、議長の選任及び解任の場合を除く外、協議員全員の意見の一致による。
前項に規定するものを除く外、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会の規約(以下規約という。)を以てこれを定める。
第七條 指定証券(第二條第一項第五号の指定証券を除く。)を讓渡しようとする者は、規約の定めるところにより、讓渡の時期、價額、数量その他讓渡に関し必要な事項を記載した計画書を作成し、これを協議会に提出しなければならない。但し、命令の定める場合はこの限りでない。
前項の規約を決定したときは、協議会は、命令の定めるところにより、これを公告しなければならない。これを改正したときも、また同樣とする。
第八條 前條第一項の規定による計画書の提出があつたときは、協議会は、これを檢討し、有價証券市場の状況を勘案し、指定証券の讓渡を円滑且つ公正に行い、その証券の分散を図るに適当であると認めたときは、これを承認する。
前項の場合において、計画書に記載された事項のうち、同項に掲げる趣旨に照し、協議会が不適当と認めるものがあるときは、協議会は、計画書の承認をなさず、又は所要の変更を加えて計画書を承認することができる。
前二項の規定による処分をしたときは、協議会は、計画書の提出者に対し、これを通知する。
前條第一項の規定による計画書の提出があつた場合において、その提出があつた日から三十日以内に第三項の規定による処分の通知又は特別の指示がなかつたときは、その期間満了の日において、その計画書は、協議会が、これを承認したものとみなす。
第九條 第二條第一項第五号の指定証券については、持株会社整理委員会において、命令の定めるところにより、昭和二十一年勅令第五百六十七号第四條又は第五條の規定により持株会社整理委員会に対し提出された株式処分計画書(同令第六條第一項第一号に掲げる者に讓渡すべき株式に関するものを除く。以下同じ。)に記載する計画を綜合し、その綜合計画について、協議会の承認を受けるものとする。
前條の規定は、前項の場合について、これを準用する。
持株会社整理委員会は、第一項の規定による承認を受けた綜合計画に基かなければ、昭和二十一年勅令第五百六十七号第八條の規定による株式処分計画書の承認をしてはならない。
第十條 第八條の規定により指定証券の讓渡に関する計画書の承認を受けた者又は第二條第一項第五号の指定証券について昭和二十一年勅令第五百六十七号第八條の規定により株式処分計画書の承認を受けた者は、当該計画書の定めるところに從つて、指定証券の讓渡を協議会に委託しなければならない。但し、特別経理株式会社及び企業再建整備法第五十二條に規定する者(以下特別経理会社等という。)が第二條第一項第六号の指定証券を讓渡しようとする場合及び命令で定める場合はこの限りでない。
前項の規定による委託があつたときは、協議会は、委託者の代理人として、その承認した計画に從つて指定証券を讓渡しなければならない。
前項の場合において、市況の変化その他やむを得ない事情により、その承認した計画に從つて指定証券の讓渡をすることができなかつたときは、協議会は、その計画を変更することができる。
第八條第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第十一條特別経理会社等は、第八條第三項(第二項において準用する場合を含む。)の規定による計画書の承認の通知を受けた場合において、市況の変化その他やむを得ない事情があるときは、命令の定める期間内に、協議会に対し承認のあつた計画書について、その承認の変更を申請することができる。この場合において、その承認は、その申請に対する協議会の処分のある日まで、その効力を停止される。
第八條の規定は、前項の申請のあつた場合に、これを準用する。
特別経理会社等は、協議会の承認を受けた計画に從つて指定証券を讓渡しなければならない。
特別経理会社等は、指定証券の讓渡を協議会に委託することができる。
特別経理会社等が、第八條(第二項において準用する場合を含む。)の規定による承認を受けた後、協議会の指示する期間内に指定証券を讓渡しなかつた場合には、その讓渡のなかつた範囲内において、承認は、その効力を失う。
第十二條 第十條第一項又は前條第四項の規定により、協議会に対し、指定証券の讓渡の委託をする者は、命令の定めるところにより、協議会に対し手数料を支拂はなければならない。
第十三條 協議会は、指定証券の円滑且つ公正な処分を図るため必要があると認めるときは、命令の定めるところにより、関係各廳官吏、指定証券を所有する者又は証券の取引に関し特別の知識経驗を有すると認められる者に対し、協議会の会議に出席して意見を述べるべき旨を要求し、又は有價証券市場の状況その他協議会の職務を執行するについて参考となるべき事項に関し、報告、情報又は資料の提出を求めることができる。
前項の規定により、会議に出席すべきことを要求された者に支給すべき旅費、報告、情報又は資料の提出を求められた者に対する費用の弁償その他前項の場合において必要な事項は、命令でこれを定める。
第十四條 政府の指定する会社その他の法人(以下指定法人という。)は、命令の定める日において株主名簿又は出資者名簿に記載された株主又は出資者の住所及び氏名又は名称並びに各株主の有する株式の種類及び数又は各出資者の有する出資の口数を、協議会に報告しなければならない。
前項の規定により報告した後、その報告に係る事項に異動を生じたときは、指定法人は、命令の定めるところにより、異動に係る事項を協議会に報告しなければならない。
指定法人が解散したときは、又は指定法人でなくなつたときは、命令で定める者は、遅滯なくその旨を協議会に報告しなければならない。
第十五條 指定法人は、商法第二百二十七條第一項の規定にかかわらず、無記名式の株券を発行することができない。
指定法人の株主で無記名式の株券を有する者は、命令の定めるところにより、その株券を記名式とした後でなければ、その権利を行使することができない。
第十六條 協議会の経費は、規約の定めるところにより、第四條第二項各号に掲げる者において、これを負担しなければならない。
第十七條 協議会の事務を処理させるため、協議会に事務局を附置し、これに所要の職員を置く。
協議会は、命令の定めるところにより、事務局の所在、議長の住所及び氏名その他必要な事項を公告しなければならない。
第十八條 協議員その他協議会の職員は、これを法令により公務に從事する職員とみなす。
前項に掲げる者は、株券、出資証券又は社債券若しくは特別の法令により設立された法人の発行する債券(社債等登録法の規定により登録されたものを含む。)を賣買し、又は他人の行うこれ等の証券の賣買に関與してはならない。但し、法令による職務の執行としてなす場合、又は協議会の承認を受けた場合は、この限りでない。
第十九條 この法律によりなすべき公告に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第二十條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第十條第一項の規定に違反し協議会に対する讓渡の委託をなさずして指定証券を讓渡した者
二 第十一條第三項の規定に違反し指定証券を讓渡した者
三 第十四條第一項又は第二項の規定に違反し報告を怠り、又は虚僞の報告をした者
第二十一條 協議員その他協議会の職員が、第十八條第二項の規定に違反し同項に掲げる行爲をしたときは、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十二條 協議員その他協議会の職員又は職員であつた者は、その職務に関し知り得た秘密を漏し又は窃用したときは、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第二十條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、同條の罰金刑を科する。
第二十四條 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の過料に処する。
一 第十三條の規定により協議会の会議に出席を要求された場合において、正当の理由なくして出席しない者
二 同條の規定による報告、情報又は資料の提出を求められた場合において、その提出を怠り、又は虚僞の報告、情報若しくは資料の提出をした者
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
この法律は、指定証券に関し、この法律施行の際、讓渡契約が成立してゐる場合又は讓渡の申込のあつた場合においては、当該讓渡行爲については、これを適用しない。
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昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債発行に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する。
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債発行に関する法律案
政府は昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるため、他の法律により起債することができる金額の外、九十四億八千九百万円を限り、公債を発行し、又はこれに代え借入金をなすことができる。
前項の規定による公債の利率は年三分五厘、その発行價格は額面金額百円につき九十八円、その償還期限は十八年以内とする。
附 則
この法律は、公布の日からこれを施行する。
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食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する。
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案
食糧管理特別会計法の一部を次のように改正する。
第二條中「本會計ニ屬スル經費」を「本會計ニ於テ食糧ノ買入代金以外ノ經費」に改める。
第三條 本會計ニ於テ食糧ノ買入代金ノ財源ニ充ツル爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ一年内ニ償還スヘキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得
本會計ニ於テ食糧ノ買入代金ノ支拂上一時現金ニ不足アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ當該年度内ニ償還スヘキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得
第四條 前條第一項ノ規定ニ依リ發行スル證券又ハ借入ルル借入金ノ借換ノ爲政府ハ一年内ニ償還スヘキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得其ノ借換ニ付亦同シ
前項ノ規定ハ前條第二項ノ規定ニ依リ發行スル證券又ハ借入ルル借入金ノ借換ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ前項ノ規定中一年内トアルハ當該年度内トス
第四條ノ二を削る。
第四條ノ三中「五十二億圓」を「百億圓」に改め、同條を第四條ノ二とする。
第五條中「償還金」の下に「(年度内ニ償還スル證券及借入金ノ償還金ヲ除ク)」を加える。
第六條中「借入金及」を「證券(年度内ニ償還スル證券ヲ除ク)ノ發行收入金、借入金(年度内ニ償還スル借入金ヲ除ク)及」に改め、「償還金」の下に「(年度内ニ償還スル證券及借入金ノ償還金ヲ除ク)」を加える。
附則第二項乃至第五項を削る。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。但し、第四條ノ三の改正に関する規定中金額の改正に関する部分は、公布の日から、これを施行する。
第三條の改正規定施行前に買い入れた食糧の代價に関しては、なお從前の例による。
第三條の改正規定施行前に同條の規定により発行した証券及び前項の規定により発行する証券の割引、借換及び償還に関しては、なお從前の例による。
米穀の生産を確保するための補給金で昭和二十年以前産の米穀に対するものに関しては、なお從前の例による。
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昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案
昭和二十一年法律第五十五号の一部を次のように改正する。
第一項中「又は」を「における昭和二十一年度の経費支弁及び歳入不足補填並びに」に、「昭和二十一年度」を「同年度」に、「五千八百万円」を「二十五億五千二十万円」に、「四億四千万円」を「八億六千四百八十万円」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
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政府の契約の特例に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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政府の契約の特例に関する法律案
第一條 政府を当事者とする契約で勅令で定めるもの(以下特定契約という。)で、政府の支拂金額の確定していないものについて、命令の定める期限内に、政府が適正と認める支拂金額を指定したときは、その指定金額を以て確定支拂金額とする。支拂金額の一部が確定していない場合において、その確定していない部分についても、また同樣とする。
前項の規定による支拂金額の指定は、相手方に対する通知を以てこれをなす。
特定契約の相手方は、特定契約に係る政府の支拂金額に関しては、第一項に規定する期限内は、通常裁判所に出訴することができない。前項の規定による指定金額の通知があつた場合においては、第二條第三項の規定による通知を受けるまでも、また同樣とする。
第二條 前條の規定による指定金額に不服のある相手方は、命令の定めるところにより、政府に対して指定金額の改定を申請することができる。
前項の規定により申請のあつたときは、政府は、特定契約委員会に諮問して、これを決定する。
前項の決定をしたときは、政府は、直ちに、相手方に対してこれを通知する。
特定契約委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
第三條 前條第二項の規定による政府の決定に不服のある相手方は、同條第三項の通知を受けた日から三箇月以内に、通常裁判所に出訴することができる。
第四條 特定契約の相手方は、命令の定めるところにより、特別の帳簿書類を備え、これに特定契約の履行に関する金銭、物品の出納その他必要な事項を記載して置かなければならない。
第五條 政府は、特定契約について、調査のため必要があるときは、当該官吏をして、特定契約の相手方若しくは下請人その他特定契約に関連して特定契約の相手方と取引をした者(下請人の下請人その他これに準ずる者を含む。)に対して質問し、報告を徴し、これらの者の営業所、作業場若しくはその他の場所に臨檢し、帳簿書類その他の物件を檢査し、又は参考人について質問させることができる。
政府は、必要があるときは、命令の定めるところにより、都道府縣の吏員をして、前項の事務に從事させることができる。
第六條 左の場合においては、特定契約の相手方又は下請人その他特定契約の相手方と取引をした者(下請人の下請人その他これに準ずる者を含む。)は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 前條の規定による質問に対し、答弁をしないとき又は虚僞の答弁をしたとき
二 前條の規定による報告を怠り又は虚僞の報告をしたとき
三 前條の規定による檢査を拒み、妨げ又は忌避したとき
四 前條の帳簿書類で虚僞の記載をしたものを呈示したとき
第七條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して前條第一号、第二号又は第四号の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、同條の罰金刑を科する。
附 則
この法律施行の期日は、各規定につき、勅令でこれを定める。
第一條の規定は、同條の規定施行の際現に政府の支拂金額に関し訴訟が裁判所にかかつている特定契約については、これを適用しない。
第四條の規定は、同條の規定施行の際現に存する特定契約については、これを適用しない。
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=5
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006・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました増加所得税法案外五件に付きまして提案の理由を御説明致します、先づ増加所得税法案に付きましては、御承知の如く商工業、農林水産業其の他の事業所得者等に對しましては、前年中の所得の實績に依りまして、其の年の所得税を課税して居るのでございます、然るに此の制度に依りましては、國民經濟及び國民所得に著しき膨脹又は收縮を生じ、從つて擔税力ある所得者層に顯著な變化が見受けられます際には、時期的に課税上の「ずれ」を生じまして、國民負擔の公正を期し難く、又其の變化が膨脹的であります場合には、國庫收支の均衡を保し得ない缺點がございます、仍て政府は、其の年の所得税は其の年の所得金額を豫算致しまして、其の税金を納めると云ふ、所謂豫算申告納税制度を實施致したいと考へまして、目下税制の根本的改正に付て研究を進めて居る次第でございます、而して本年度の實況は、前年に比しまして、正に此の國民經濟及び國民所得に著しき膨脹的變化を來して居る次第でありまして、同時に終戰處理、國民經濟再建等の爲、當面必要と致します財政需要は巨額に上つて居るのであります、茲に於きまして政府は、今議會に提案致して居ります追加豫算の財源の一部を求めると共に、明年度から實施致したいと考へて居ります所得税の根本的改正に對應致しまして、國民負擔の公正と、財政收支の均衡とを圖り、併せて此の際所謂新圓所得階層等から出來るだけ速かに購買力を吸收致します爲、商工業者、農民、水産業者、其の他の事業所得者及び不動産所得者等で、昭和二十一年中に於ける所得と、前年の所得とを比較して、一定金額以上増加した者に對し、其の増加所得を對象として、一年限りの増加所得税を課税することと致したいのであります、茲に本案の内容に付て簡單に申上げますが、増加所得税は、課税の便宜上、之を第一種、第二種及び第三種に分類致します、第一種所得に對する増加所得税の納税義務者は、昭和二十一年中の所得税法に依る甲種及び乙種の事業所得、竝に不動産所得の合計金額が昭和二十一年分の是等の所得の決定金額の基礎となりました所の所得金額か、又は三千圓かの孰れか多額の一方と比較致しまして、増加致して居る所の人々であります、此の増加所得金額に付きましては、七千圓の控除を認めまして、其の超過金額に對し課税するのであります、税率は現行の分類所得税及び綜合所得税の税率及び最近の經濟事情等を合せ考慮致しまして、三萬圓以下の金額に對する百分の三十から百萬圓を超える金額に對する百分の九十の超過累進税率に依ることと致したのであります、第二種所得に對する増加所得税の納税義務者は、昭和二十一年中に生じた所得税法に依る山林の所得を有する者であります、此の所得に付きましては、一萬圓の控除を認めます、さうして其の税率は、昭和二十一年中の所得金額中一萬圓を超へ、二萬圓以下の金額に對する百分の二十から五十萬圓を超へる金額に對する百分の六十の超過累進税率に依り課税することと致したのであります、第三種所得に對する増加所得税の納税義務者は、昭和二十一年三月三日以後同年中に生じた所得税法に依る讓渡所得を有する者であります、此の所得に付きましても一萬圓の控除を認めます、税率は二十萬圓以下の金額に對する百分の二十五乃至五十萬圓を超へる金額に對する百分の六十五と致して居ります、本税は原則として、昭和二十一年度の歳入財源に充てることと致しまして、從つて納税者が一時に納税することを困難とする税額を除くの外は、之を昭和二十二年三月三十一日迄に徴收致すことと致し、其の課税の手續を急速に取り進める爲、所要の規定を設けた次第であります、尚本税の收入見込額は、昭和二十一年度に於て四十億八千餘萬圓、昭和二十二度に於て四億五千餘萬圓であります、次に有價證券の處分の調整等に關する法律案に付きましては、財産税法に基いて國庫に納付致されました有價證券、所謂持株會社や、閉鎖機關の整理に伴ひまして處分を要する有價證券、其の他今後證券市場に於て處分を要する有價證券は極めて厖大な額に上るものと豫想されるのであります、然るに是等の巨額の有價證券の處分を其の儘に放置致して置きまする時は、各機關に於て處分しようとする是等の有價證券が、時を同じくして有價證券市場に殺到致し、競合して證券市場を著しく混亂せしめ、之が爲に證券價格も不當の低落を見るに至ると云ふやうなことがあります、從つて左樣な場合には是等有價證券の處分は到底圓滑に行はれないのではないかと惧れられるのであります、從ひまして是等の有價證券を圓滑に合理的な價格を以て處分します爲には、多額の有價證券を處分しようとする各機關が相互に協調して、處分すべき有價證券の處分の時期、價格、數量等に所要の調整を加へまして、一定の計畫の下に順序よく處分して行くことが極めて必要であると考へます、尚是等の機關が有價證券を處分致します場合に於きましては、特定の者に對して過當に多額の證券が渡ると云ふやうなことを避け、廣く國民の間に分散せしめるやう、極めて公平に之を配分しなければならないと思ふのであります、其の爲には處分に關する事務は、之を統一的に處理し、又株式の最終の所有者を明かならしめて置くことが必要であると存ずる次第であります、以上の理由から致しまして、政府は茲に有價證券の處分の調整等に關する法律案を提案致した次第であります、此の法律案の内容に付きまして少しく御説明申上げますが、先づ第一は、證券處理調整協議會であります、今後多額の有價證券を處分しようとするもの即ち國、持株會社整理委員會、閉鎖機關保管人委員會及び閉鎖機關の特殊整理人であります日本銀行、更に又特別經理會社の利益を代表するもの等の代表者を以て證券處理調整協議會を組織致し、各機關が處分すべき有價證券に付ては、此の協議會が市場の状況等を勘案して、處分の時期、價格、數量等に所要の調整を加へるのであります、即ち各機關は有價證券の處分計畫に付協議會の承認を受けなければ有價證券の處分が出來ないことに相成るのであります、協議會が、有價證券の處分計畫書を承認する場合等協議會の決議は、議長の選任及び解任の場合の外は、協議員全員の一致に依ることと致しました、第二に有價證券の處分に付てでありますが、國、持株會社整理委員會、閉鎖機關保管人委員會及び日本銀行は、協議會の承認を受けた計畫に從つて有價證券を處分致します場合には、必ず此の協議會に處分を委託しなければならないことに相成つて居ります、尚特別經理會社が有價證券を處分致します場合に於きましては、特別經理會社は自ら處分しても是は差支ないのでありますが、又必要があれば此の協議會に委託して處分することも出來るのであります、協議會の内規がありますから、有價證券の處分の委託を受けました時は、協議會は必ず其の承認した計畫に從ひ有價證券を處分しなければならないのでありまして、賣出しの公告を爲し、申込を受け、割當を行ふ等有價證券の賣買は協議會が各機關に代つて其の事務を處理することに相成るのであります、第三は株主等に關する事項の報告に付てであります、以上申上げました方法に依りまして處分せられました株式の最終の株主を明瞭にする手段と致しまして、一定の會社に對し政府の指定する一定の日現在の株主名簿に記載された株主の住所、氏名、所有株數を此の協議會に報告せしめて、尚其の後に於きまして、株主に異動がありました都度其の旨を協議會に報告せしめることに致して居るのであります、尚證券處理協議會は有價證券の處分に關する調整及び斡旋を目的として組織せらるるものでありますから、之が爲に、持株會社整理委員會や閉鎖機關等の各機關の獨自の性格及び任務に何等制限變更を受けるものでないことは勿論でございます、次に昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案に付きましては、目下本院に於て御審議中の昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加改第三號に計上致しました經費の所要財源は九十三億圓でありまして、今日の場合是を全額公債に依るのが適當であると考へまして、此の法律案を提出した次第でございます、次に食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案に付御説明申上げます、政府に於て買入れる食糧の代價の支拂ひに付きましては、從來現金の交付に代へて食糧證券を交付して參つたのでありますが、今囘食糧の買入計畫を豫算上に於て明瞭ならしめる趣旨に依りまして、從來の交付證券たる食糧證券を食糧買入資金の調達の爲の證券に其の性質を變へますと共に、食糧の買入代金の支拂を現金に依ることに致しますのと、現在此の會計の證券及び借入金の最高限度額が五十二億圓と相成つて居りますのを、此の際百億圓に増加致し、此の會計の運營を圓滑に致さむとするものであります、次に昭和二十一年法律第五十五號の一部を改正する法律案でございますが、帝國鐵道會計收益勘定及び通信事業特別會計業務勘定に於ける昭和二十一年度の經費の財源は、曩に兩會計收支の状況に顧み、其の一部を借入金に求めることを餘儀なきものと認めまして、之に關し昭和二十一年法律第五十五號の制定を見たのでありますが、今囘更に必要とする兩勘定の追加經費及び帝國鐵道會計收益勘定に於ける運賃收入の減少に依る歳入不足の補填の財源に付きましては、今日の場合、前囘同樣其の財源の一部を借入金に求める必要がございますので、此の法律案を提出致しました次第でございます、次に政府の契約の特例に關する法律案の提案の理由を申上げます、聯合國軍の命令又は要求に基き、國家が支出致さなければならない經費は相當厖大な額に上つて居りますが、其の大部分は兵舍、宿舍其の他の設營工事に屬するものであります、此のやうに國が負擔する巨額の工事費の支出に對しましては、其の適正を圖りますことは、財政經濟の上から極めて大切であることは申す迄もございませぬ、政府は此の爲に政府の契約の特例に關する事項を定める必要を認めまして、本法案を提出したのであります、此の法律案の内容は第一、特定の工事契約に付て政府の相手方となる者に對して一定の場合適正な契約金額を指定して、之を確定契約金額とすること、第二、以上の指定に對し不服のある相手方がある場合は、是が救濟を求め得る途を設けましたこと、第三、特定契約に關して調査の爲必要があります時は、政府は官吏をして契約の相手方、其の他特定の者に對して質問し、是等の者から報告を取り、又は其の營業所、作業場等を臨檢し、帳簿、書類、其の他の物件の檢査をすることが出來ることを骨子と致すものであります、政府は從來の聯合國軍關係の諸工事に付きましては、漸次監督の機構を強化して、之が經費の支出の適正を期して參つたのであります、併し本法案が成立する上は一層其の遺憾なきを期し得る次第であります、以上を以て只今上程されました六法案に付きまして、大體の御説明を申上げました、何卒愼重御審議の上、速かに御協贊を下さらむことを御願ひ致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 質疑の通告がございます、栗栖赳夫君
〔栗栖赳夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=7
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008・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 私は有價證券の處分の調整等に關する法律案に付きましては、其の趣旨に贊意を持つ者でございますが、其の運用に付きまして、政府御當局に三つの質問を致して見たいと思ふ次第であります、元來此の法律案は、我が現下の大問題であります所の日本經濟の再建から申しますと、なかなか重要な働きをする法律であると思ふ次第であります、此の法律案は終戰後の新しい日本の投資層、新しい日本の新資本家層を形式する上に於て、誠に大きな役割を演ずる次第と思ふものであります、政府の曩の臨時議會に於きまして、企業再建整備法、金融機關再建整備法其の他の法律を御定めになり、補償打切等に伴ふ各般の企業及び金融機關の再建整備に付きまして、之が處理を進めて居られるのでありますが、之に依りますと多くの現在の株式に付ては、相當部分の打切が行はれることもあらうと思ふのであります、其の結果、新たに事業繼續の爲には、其の資本を補填すると斯う云ふ必要も生ずるやうに思ふのであります、そこで資本が新しい資本と古い資本と置換へられると斯う云ふ必要を見ると思ふのであります、此のやうな置換の爲には、從來の資本家層と違つた新しい資本家層、或は投資層と云ふものが出來上るのであります、其の外に今大藏大臣より御説明がありましたやうに、財産税法に基いて物納せられた有價證券の處分、政府の所有せられる有價證券の處分、それから所謂持株會社其の他で所有される所の有價證券の處分、所謂閉鎖機關の所有せられる有價證券の處分、其の他本法案に定めてありますやうな有價證券の處分が行はれるのでありますからして、是からしてどうしても夥しい金額の株式其の他の有價證券の移動、置換を見ることと思ふのであります、さうして是が爲には新しい日本の投資層、或は資本家層と云ふものが作り上げられると云ふやうに相成ると思ふのであります、而して此の新しい日本の投資層とか、或は資本家層と云ふものの健全性と云ふことが、結局は其の他の要素と相俟ちまして、日本の新しい經濟、或は産業の形成と云ふことの上に、誠に大きな重要な關係を持つものと思ふ次第であります、それでありますからして斯う云ふやうな此の間の處理に於きまして、本法案が成立の曉は、非常に大きな關係を持ち、重要なる關係を持つものと強調せざるを得ないのであります、斯樣に新日本の經濟再建とか各般の産業復興の爲に大きな關係を持ちます所の此の日本の將來の健全な投資層、資本家層の形成と云ふことに付きましては、本法案の一條にも掲げてありますやうに、先づ第一にさう云ふ有價證券が廣く國民の間に分布せられなければならぬと云ふことを考へる次第であります、而もそれは廣く國民の間に分布されると云ふことが健全な日本の新しい資本家層、投資層と云ふものを形造る大きな效果があると申さなければならぬと思ふのであります、一部の者に依つて獨占されると云ふやうなことは嚴に避けなければならぬと思ふのであります、而も是等の株式其の他の有價證券が國民の間に分布されるに付きましても、健全なる國民の間に分布されなければならぬと思ふのであります、戰時經濟の民主化を圖る線に沿うて之が分布されなければならぬと思ふのであります、好しくない方面に之が分布されると云ふことは、此の日本の經濟、諸産業の復興の上に重要な汚點、缺點を持つことになるのであります、そこで好しからざる方面‥‥健全なる國民の間に分布されると云ふことが此の際是非考へなければならぬ問題であると思ふのであります、それから又我が國の將來の産業、或は經濟の復興と云ふことを考へて見ますと、從來も屡屡見ましたやうに、外資の輸入と云ふやうなことも考へられる時代が起るのぢやないか、斯う云ふやうに考へるのであります、將來我が國と諸外國との間に平和關係が囘復致しまして、而も諸産業の基礎が大體安定して參りますと云ふと、必要に應じては外資の輸入と云ふやうなことも問題になると存ずるのであります、さう云ふやうな場合にも亦是等の有價證券の處分と云ふことと密接な關係を持つのでありまして、此の邊も能く考慮しなければならぬと思ふのであります、其の外、今申上げましたのは唯一例でありますけれども、此の株式其の他の有價證券の處分に付て調整を此の際政府で御執りになるに付きましては、考へなければならぬ重大な點が尚多々あるだらうと思ふのであります、そこで私は大體さう云ふやうな點を織込んだ一つの方針と云ふものが政府で先づ出來なければならぬ、調整を致されるに付きましても其の方針なしに調整と云ふことになつては、是は事を誤る、效果を擧げ得ないことに相成るのぢやないか、斯う考へるのであります、そこで斯う云ふやうな諸點を織込んだ株式の再分布、それに依つて新しい日本の投資層、或は新しい日本の資本家層と云ふものを形造る上に於て、一つの政府では、方針が立つて居るのぢやないか、若し立つて居るならば其の方針を御伺ひしたいと、斯う思ふ次第であります、尚今後にも色々な問題もありませうし、又未決の點もありますので、方針が若し尚立たない、考究中であると云ふのでありますならば、是は是非一つ適當なる方法に依つて方針を立つて戴きたいと思ふ次第であります、而も其の方針を立てるに付きましては國民の希望をも入れ、織込んだ、さうして立派な方針を立つて戴きたい、斯う云ふやうに考へる次第であります、政府は是迄折に觸れ時に應じて色々な政策、重大な政策を發表しておいでになるのでありますけれども、此の日本の經濟の再建、日本の諸産業の復興に重大な役割を持ちます所の新しい投資層、或は新しい資本家層の形成と云ふことに付ての大體大きな方針等に付ては、未だ御發表になつて居らぬやうに記憶致すのでありますので、此の際此の貴重な時間を御分けを願つて、私は第一に其の點を御質問申上げたいと、斯う思ふ次第であります、是が第一の點であります、それから次に本法案の四條に依りますと、有價證券の處理をする協議會が出來るのでありまして、それは協議員に依つて構成されると云ふことに相成つて居るのであります、其の協議員の中には國とか其の他の代表者を擧げてありまして、尚五號として、命令を以て指定する者と云ふことが定めてあるのであります、此の命令を以て指定される所の者と云ふ範圍は、凡そどの位のものであるか、或は今どの位の點に止めたいと云ふやうな御考があるならば、第二の點として承りたいと思ふのであります、元來申上げる迄もなしに、株式其の他有價證券に關する取扱とか處理と云ふのは、是は專門の知識とか專門の經驗と云ふことを必要と致すのでありまして、それで此の協議員の中には、さう云ふやうな專門の知識とか、或は專門の經驗を持つた者を入れる必要はないかと云ふことであります、此の專門の知識と專門の經驗を持つて、而も公正な人がありますならば協議員の中に加へて宜いのぢやないかと、斯う云ふやうに考へるのでありますけれども、政府に於かれましては其の點に付てどう云ふやうに考へて居られますか、第二の點として此の點を御尋ねして見たいと思ふのであります、それから第三の問題でありますが、今日本の投資層と云ふやうなものは、補償の打切り其の他に依りまして相當の變化を來しつつあるのであります、さうして本當に健全な國民に依つて、健全な新しい投資層、或は資本家層を造り上げるに付きましては尚若干の時日も要するのぢやないか、斯う云ふやうに考へられるのであります、そこで其の有價證券の處分と、それを健全な者に分散せしめる間の時間的の「ずれ」があると思ふのであります、今も大藏大臣の御説明のやうに、協議會は色々の事務を處理される、而も統一的に處理されると云ふことで、是は非常に結構なことでありますけれども、併しそれだけでは時間的の「ずれ」を救ふことが出來ないのぢやないか、其の「ずれ」の爲に急ぐべき處分が出來ないとか、或は本當に健全なる國民の投資層の間に分散せしめようとしても分散することは出來ないと云ふやうな點はありはしないか、斯う云ふやうに考へる次第でありまして、それが爲には或は公正にして適當な者の管理の下に、一時既設或は新設の機關をして有價證券を保有せしめる、中間的保有を爲さす、斯う云ふやうなことが實際になるのぢやないか、斯う云ふやうに考へる次第であります、例へて申しますと云ふと、今色々問題になつて居ります、從業員の間に於きまして株式を持ちたい、又分散せしめると云ふやうな必要がある場合に於きましても、從業員は直ちに其の資金を持てない、斯う云ふやうな場合があると思ふのであります、さう云ふやうな場合に於ては、或は中間的な保有者を一時設くると云ふことが必要ではないか、斯う云ふやうにも考へられるのであります、斯う云ふ點に於きまして、大藏大臣としてはどう云ふ御考を持つていらつしやるか、其の點を第三の點として御尋ね致したいと思つて居ります、以上三つの質問を致しまして、それに對して大藏大臣の御答辯を御願ひする次第であります
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=8
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009・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 栗栖議員の御質問に對して御答へ申上げます、御説の如く、投資層に非常な變化を來す譯でありまして、是が安定する迄は相當の困難な時期もあらうと考へて居ります、が現在に於て豫め新しい投資層で、果して何處に健全な投資層があるかと云ふことを見定めることは、抽象的には多少出來ますけれども、實際的には時間の經過を待つて自ら健全な投資層を育成するより外には實際に途はないやうに考へて居る次第であります、唯現在に於て略略見當の付いて居りますことは、成るべく各事業の從業者に其の株式の所有をさせたい、從つて之に優先的に配分をする計畫を立て、又必要ならば金融の途も付けてやる、斯樣に考へて居ります次第であります、何れにしましても、隨分多額の證券の處分でありますから、是は協議會を作りまして、そこでそれぞれの株式の性質に沿うたやうに處分の方法、從つてどの方面に其の投資層を求めるかと云ふことも、協議會に於て十分檢討を致したいと考へて居る次第であります、それから多數の株式を或好ましからざるものとか、或は必ずしも好ましくないと云ふ意味でなくとも、或部分の者が獨占的に持つと云ふことを防ぎます爲には、此の法律に於て登録をする、株式の最終所有者を登録して一目瞭然たらしめて置くと云ふことだけが今囘の如く法律に規定されて居るのでありまするが、之を資料と致しまして、何れ次の通常議會に御審議を煩はすことにならうと考へて居ります、何と申しますか、獨占禁止法と申しますか、まあ謂はばアンチ・トラスト法に類したやうなものが出來る筈になつて居ります、それ等に依りまして、一部分の者に多數の株式が集中すると云ふことは防ぐことが出來ると考へて居る次第であります、それから第二の協議會の組織でございますが、あの第五號は、特別經理會社關係者等を入れ得る規定でありますが、何れに致しましても、協議委員は各機關の代表者と云ふことになつて居りますが、具體的の處分計畫の決定に當りましては、證券關係の專門家の意見を十分に參酌するやうな運營に致して行く計畫を持つて居ります、それから第三の御質問の、何等か中間的保有者を設ける必要があるのではないかと云ふ御尋に對しましては、只今の處ではまだ中間的保有者を作ると云ふことは考へて居りませぬ、各機關がそれぞれ保有する證券は、其の處分が出來る迄機關に保有すると云ふ考へで今居りますが、將來に於きまして、又左樣なものの必要の認められます場合には、別途考へたいと考へて居る次第であります、簡單でありますが以上御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=9
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010・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=10
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011・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 日程第四を除く五案の特別委員の數を二十七名とし、其の指名を議長に一任するの動議を提出致し、而して日程第四、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案は、開拓者資金融通法案外一件の特別委員會に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=11
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012・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔根本書記官朗讀〕
増加所得税法案外四件特別委員
侯爵 黒田長禮君侯爵大炊御門經輝君
伯爵 金子武麿君 子爵 交野政邁君
子爵 入江爲常君 子爵 錦小路頼孝君
子爵 土井利章君 子爵 日野西資忠君
男爵 高崎弓彦君 長谷川赳夫君
男爵 内田敏雄君 男爵 倉富鈞君
男爵 村田保定君 男爵 中村徹雄君
黒田英雄君 板谷順助君
橋本辰二郎君 河西豊太郎君
竹中藤右衞門君 藍澤彌八君
片倉兼太郎君 丹羽彪吉君
河端作兵衞君 岸本彦衞君
杉山茂君 松尾嘉右ヱ門君
渡邊甚吉君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=14
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015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第七、内閣法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長岩倉公爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=15
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016・会議録情報4
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内閣法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十一年十二月二十一日
委員長 公爵岩倉 具榮
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔公爵岩倉具榮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=16
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017・岩倉具榮
○公爵岩倉具榮君 只今議題となりました内閣法案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告申上げます、本委員會は去る十九日正副委員長の互選を行ひ、二十日、二十一日の兩日に亙りまして、初めに全般的な問題を、次に逐條に依る問題を議題と致し、愼重審議を致しました、本法案の提案の理由に付きましては、先般本議場に於きまして國務大臣から御説明がありましたから、省略させて戴きまして、直ちに各委員よりの質疑の主なるものを御報告申上げます、先づ一委員より、内閣の組織及び職權に關することで憲法に規定されて居ること以外に、尚本法に於て規定すべき事柄は可なり多いと思ふが、此の點どう考へて居るか、又第二に、内閣全體としての職務及び之に伴ふ所の責任と云ふものと、事務を分擔する大臣の職務及び之に伴ふ責任と云ふ兩者の關係がどう云ふ風になるものかと云ふ質問がありましたが、之に對して政府より次の答辯がございました、即ち新憲法に於きましては、國權の中心は國會にありまして、内閣と云ふものも現行の内閣とは甚だしく状態の異つたものとなることを豫想して居り、即ち立法府が中心となつて、此處で多數を制した政黨が内閣を作ることになるのは當然のことで、國會を中心として民主政治をより良く、實現せしめる爲には、内閣の運營に當つても、微妙な細則を作らず、良い慣例を積み上げて自然にうまく展開して行くことが一番良いことではなからうかと云ふやうな趣旨の下に此の法案を定めたものであり、第二の點に付きましても、國策としての大きな方針を決めるのは閣議に依るが、其の他の細かいことは各各主務大臣が責任を持つて事務を執るやうに致し、其の各大臣の事務の分擔に付きましては又別に法律が作られることと思ふが、勿論現在の制度も一部採り入れて行かねばならぬけれども、内閣の機構も相當變ることとなり、行政事務の末端に付ては其の擔任大臣が責任を負ふこととなりますが、併し其の一區劃のみに付きましても、非常な過ちが出來たやうな場合には細かい法に依つて其の責任の歸著を決めるよりも、政治上の解決に俟つ方が運用上宜いことだと思ふと云ふことでありました、又一委員より、行政權行使上内閣は國會に對し責任を負ふは當然であるが、尚其の他に國民に對する責任とか、天皇に對する責任と云つたやうなものも負ふのではないかとの質問に對しましては、政府より責任には内閣の進退に迄及ぶ政治的責任と、道徳的責任との二つがあり、新憲法に依りますと、國政に關し總ての責任を國民に對して執るのは國會であつて、其の國會の多數を代表として内閣が作られるものでありますから、若し内閣が國會に對して政治上の責任を執れば、間接には國民に對しても責任を執ると云ふことになるのであつて、又天皇は無答責であり、從つて内閣は天皇に對しては政治上の責任を執るものではないのである、道徳上の責任と云ふことに付ては、君は誰でも負はねばならぬものであつて、問題も自ら又別個のものとなつて來るものと考へるとの答辯がありました、又一委員より、民主主義の下に地方自治團體が育成強化されねばならぬが、斯かる場合に中央政府との政策的な關係はどうするのか、是は地方自治が高度になればなる程困難な問題である、例へば中央政府と地方自治體とが各各背景とする政黨の性格が極端に相反するやうな場合も起つて來るが、斯樣な場合の方策如何との質問に對しまして、政府より、次の如き趣旨の答辯がございました、即ち地方自治團體が發達して、其の上に中央の自治機關が乘るやうになるのが理想的でありますが、實際問題としてはなかなかむづかしいことと思はれる、今後は中央政府の支配が地方自治體に迄及ぶのは全國的に共通である所の刑事、交通通信、全般的通商問題等のみであつて、各地方のことは其の地方自治團體で處理することとなるやうに府縣制の權限も擴張されますし、近い時期には知事も公選となり、地方の官吏も亦公務員となつて、其の任免も知事の權限内となりますし、又地方自治機關は其の地方の財源を以て支辨することなり、又或程度警察權も地方自治體に委任されることとなり、斯樣に努めて地方自身の自治に委せることとなれば、中央政府と地方自治體との間の衝突と云つたことも餘り起らぬのではないかと思はれ、政黨の問題にしましても、公選知事と云ふものは短期間に迭るものであつて、要は國民の政治的知識に俟つことが多いのであると云ふ答辯でありました、更に又一委員より、本法案の規定は新憲法と重複して居るものも多く、其の他必要なものは行政官廳法に入れても宜いのであり、特に内閣法と云ふものを決める必要は無いのではないかとの質問がございましたが、政府は之に對して、内閣は行政權の中樞であり、内閣組織は行政上重要なものであつて、又法律の形式上から申しても、憲法上の立法に付ては國會法が定められ、司法には裁判所法が作られ、行政上にも是等のものと竝んで内閣法を設けた方が宜くはないかと考へるのであつて、行政官廳法は内閣法が基礎となつて出來るのであるとの答辯があつたのであります、斯くして逐條審議に入りまして、一委員より、國務大臣の數を十六人以内と決めたのは何か理由があるのかとの問に對しましては、新憲法が行はれるやうになつても日本の國務、國情が俄かに激變致すものとは思はれないから、現制度の下に行はれて居ります行政分擔の實情を考慮に入れ、又將來起り得る事態、例へて申しますならば、只今勞働省、國土省、水産省を作れと云ふ意見も相當ありますが、是等のことも考へ、又他の理由としては、一應人數の枠を定めて置かねば、内閣を組織する時のことを考へても不便であり、以上のやうな點から十六人以内と決めたのであつて、實際は十二人になつても、十三人になつても構はないのであるとの趣旨の答辯がございました、次に又一委員より、第八條に「内閣總理大臣は、行政各部の處分又は命令を中止せしめ、内閣の處置を待つことができる。」とあるのは、舊内閣官制の第三條を受繼いだものであり、此の第三條は一度も發動を見なかつた規定である、斯樣な死文に化したものを入れた趣旨は何處にあるのか、又政黨内閣が發達すれば總理大臣は此の職權を發動しない前に總理大臣の實力に依り、又は政黨間の問題として解決すべきであり、此の條文が適用されねばならぬやうな場合は、内閣が不統一で崩壞が迫つた時のこととなるのではないかとの質問がありましたが、政府は之に對して舊内閣官制の第三條には「勅裁を待つことを得」とあり、此の第八條には「内閣の處置を待つことができる」とあり、少し意味が違ふのであつて、政黨中心の政治と云ふことを考へると、各國務大臣には政黨の有力者がなることとなりますが、此の大臣に内閣の決定した事項以外のことは、自由に手腕を揮はせた方が良い政治が行はれると思はれるが、斯樣な場合に幾分其の處分を過つたと云ふ時など、一時之を止めさせて閣議の決定を經て、其の處置を待つと云ふことは、政黨等の黨議を多く取扱つた上から申せば良い途ではないかと思ふのであつて、此のやうな考へ方から見たならば、必ずしも之を内閣の不統一と云つて片附け得ないのではないかと思ふとの答辯がありました、以上の質疑の外にも、尚内閣及び大臣の性質に關しまして、又本案と各省官廳法との關係に付ての問題、各條の字句の解釋、用語等に付きまして種々熱心な質疑がございましたが、其の詳細は速記録に讓りたいと思ひます、次いで討論に入りました處、一委員より、本法は別に獨立して一つの法律とする必要はなく、内容に付ては憲法の規定と重複した所も多く、其の他のことは行政官廳法に委ねて差支へないものであるとの反對意見がありましたが、又他の委員より、本案の運用に十分注意を拂はれむことを希望して本案に贊成する旨の御意見の開陳がございました、次いで採決の結果多數を以て本案を原案通り可決すべきものなりと議決致した次第であります、以上を以て報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに同意の諸君の起立を請ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 過半數と認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=19
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020・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=20
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021・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=21
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022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=24
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025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=25
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026・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=26
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027・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=29
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030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=30
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031・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=31
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032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第八、戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案、衆議院提出、第一讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=32
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033・会議録情報5
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戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十一年十二月二十二日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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戰時補償特別措置法の一部を次のやうに改正する。
第十二條中「現に別表二第一號」の下に「及び第五號」を加える。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
改正後の戰時補償特別措置法第十二條第一項の規定により輕減又は免除される戰時補償特別税で、この法律施行の際既に納付されたものについては、命令の定めるところにより、当該税額に相当する金額を還付する。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=33
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034・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案は、増加所得税法案外四件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=34
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035・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=36
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037・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、明日は午前十時より開會致します、議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009103242X01019461223&spkNum=37
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