1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)(第四號)
○衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案(政府提出)(第六號)
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昭和二十一年十二月二十一日(土曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 犬養健君
理事 松浦東介君 理事 岩本信行君
理事 山本正一君 理事 大島定吉君
理事 原健三郎君 理事 鈴木義男君
理事 玉井潤次君 理事 大原博夫君
伊藤郷一君 小野貞次君
大谷瑩潤君 北令吉君
小柳冨太郎君 廿日出厖君
青木泰助君 生方大吉君
白井秀吉君 地崎宇三郎君
佃良一君 林連君
石川金次郎君 大澤喜代一君
田万廣文君 竹谷源太郎君
松澤兼人君 松澤一君
伊東岩男君 豊澤豊雄君
仲子隆君 野坂參三君
十二月二十一日委員小澤國治君及び原藤右門君辭任につきその補闕として小野眞次君及び岩本信行君を議長に於て選定した
十二月二十一日理事原藤右門君の補闕として岩本信行君が理事に當選した
十二月二十一日北令吉君理事辭任につきその補闕として松浦東介君が理事に當選した
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
國務大臣 齋藤隆夫君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)
衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=0
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001・犬養健
○犬養委員長 これより會議を開きます、衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案に對する質疑を許します、原君御質疑がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=1
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002・原健三郎
○原(健)委員 簡單に一點だけお伺いいたしたいと思うのであります、現在海外からの引揚船に從事しておる人たちを、軍人として扱つておるのであります、それは依然として召集中だから軍人として扱つておるという意味であろうと思うのでありますが、内地に著いてしまうと、それがまた軍人でなくなるということだそうであります、その召集中だとか、軍人で現在あるとかいうようなことは、非常に理解に苦しむのでありますが、その點を一つ明快にお答え願いたいと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=2
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003・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り現在引揚業務等に從事しております者について、兵役法の適用をなおいたしておりまして、現役または召集中の形になつておるものがございます、これは確かに變體的な事柄であるのでありますが、さような事實が現にございまするし、さような人たちはその業務に從事いたしまするために、内地及び外地の間を往復いたしております、從いましてたまたま内地に歸つております間、それから内地に歸りまして解除いたされまする間、選擧權の行使に遺憾なきを期そうという考えで、選擧法の規則を削除いたした次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=3
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004・原健三郎
○原(健)委員 それから復員廳とか、引揚船の事務をやつておるとか、そういう關係者が澤山あると思いますが、そういう人たちはどういうように考えておられますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=4
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005・郡祐一
○郡政府委員 復員廳等、内地の業務に從事しておるものは、すべて文官になつております、軍人の形になつておるものはございません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=5
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006・犬養健
○犬養委員長 原君、それでよろしうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=6
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007・原健三郎
○原(健)委員 以上で結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=7
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008・犬養健
○犬養委員長 本案については正式には質疑の通告がありませんが、どなたか御質疑がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=8
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009・野坂參三
○野坂委員 今のと同じ質問になりますけれども、だいたい今兵役に屬しておるものはどのくらいありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=9
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010・郡祐一
○郡政府委員 只今申し上げました選擧權等を行使いたさせますために、この規則を削除いたしました結果、權利の行使のできます者の數は、ちよつと手許にもつておりません、但し未復員の軍人、これは全部外地におりまして、直接選擧權の行使には關係ないものでございますが、かような者は現在なお百五十萬というふうになつております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=10
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011・野坂參三
○野坂委員 私の質疑はこれで打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=11
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012・犬養健
○犬養委員長 別にほかに御質疑もございませんので、これにて本案に對する質疑を打ち切ります、なお討論を省略いたしまして、直ちに採決を行います、原案に贊成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=12
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013・犬養健
○犬養委員長 起立總員、よつて本案は原案の通り可決いたしました
次ぎに參議院議員選擧法案に對する質疑を許しますが、その前に政府からその間におけるいろいろのいきさつを一應御説明をしたいということでありますから、これを許します、速記を止めます
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=13
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014・犬養健
○犬養委員長 速記を始めて……、これにて休憩いたします、午後一時から再開いたします
午前十一時三十九分休憩
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午後一時三十三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=14
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015・犬養健
○犬養委員長 これより會議を開きます、この際おはかりいたします、本日理事の北令吉君竝びに原藤右門君が辭任いたされました、ついては理事の補闕をいたさなければなりませんが、先例により、かつ便宜上、理事を委員長において指名することに御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=15
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016・犬養健
○犬養委員長 御異議なしと認めまして、それでは松浦東介君及び岩本信行君に理事をお願いいたします、通告順により質疑を許します、原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=16
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017・原健三郎
○原(健)委員 簡單に二、三の點をお尋ねいたしたいと思うのであります、内務大臣の提案趣旨の説明をお聽きいたしましても、方々に使われておる言葉でありますが、參議院は衆議院とその構成員については異質的なものにしたい、そういうことをたびたび強調されておるのであります、異質的なものにしたいというその氣持は、われわれも非常に同感であります、それならば現在のこの參議院議員選擧法によつて、異質的なものができるかどうかという點になりますと、甚だ疑いなきを得ないのであります、異質的なものにするために、この案においては二つの點が考えられたということを説明されました、第一は、被選擧權を三十歳に上げたということであります、第二の點は、選擧區を衆議院の方と變えた、この二つの點において、特に參議院を衆議院に比して異質的なものにしたということを強調されておるのでありますが、私どもの考える所では、わずかに被選擧權を三十歳くらいに上げましても、こんなものは何にも異質的なものにはなつていないと言わざるを得ないのであります、といつて、何も選擧年齡を四十歳、五十歳に引き上げるというのではないのであります、現在の衆議院議員を見ましても、だいたい二十歳臺の代議士というものは非常に少數であります、だから實質的には被選擧權は三十歳くらいになつておると言うてもよいことは、衆議院議員の選擧の結果を見てもわかるのであります、それで提案趣旨の説明において、被選擧權を三十歳にしたから異質的なものに參議院がなつておるという考えは、私は非常に間違つておると思います、それでむしろ實質的な所から言うならば、そういう單なる觀念的に異質的なものにしたいしたいと言つても、實質的にはならないものでありますからして、よろしく被選擧權というのは、衆議院議員の被選擧權と同じ年齡にした方がむしろよいのじやないか、五歳くらい變えたつて、變りばえがしないと思います、その年齡のことについて一應お聽きしたいのであります、むしろ被選擧權なんかは、三十歳に引き上げても變りばえがしないのでありますから、衆議院と同じ年齡にしておいた方がよいではないかと思うのでありますが、この點はどうであるか、ちよつとお伺いしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=17
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018・郡祐一
○郡政府委員 被選擧權の年齡は、考え方といたしましては、これは制限をおきませずに、むしろ有權者の自由なる判斷によつて、當該の議院の議員といたしまして最も適切なりと信ずる者を選ばせるというようなことは、確かに理窟の通つた論理である、さような見地から申しますならば、かりに被選擧年齡に差を設けませんでも、候補者を推薦支持いたします政黨その他の團體において、或は國民有權者の自覺も、參議院に適當な人を參議院に送る、衆議院に適當な人を衆議院に送るという考え方をいたしますならば、立派に適當な人が選ばれるということは申せるかと思うのであります、しかしながらよき意味の保守性というものを第二院にもたせますというためには、なんと申しましても、年齡というものは重要な要素だと考へるのであります、しかして立法例におきましても、各國におきまして第一院と第二院との年齡に、いずれも差異を設けておりますし、地方制度におきましても、府縣知事の被選擧年齡と、議員の被選擧年齡とは、やはり三十歳と二十五歳との差を設けております、被選擧年齡は三十歳とか二十五歳とかありましても、それは選ばれる人間というものは、いずれも衆議院議員の平均年齡が五十一歳というような工合に、その限度よりは相當高まつたものであることは事實でありますけれども、しかしながら制度それ自身におきましても差を設けますということは、これはお説では大した意味がないというお話でありましたけれども、私どもはやはり相當意味のあることではなかろうか、年齡というものが、なんと申しましても人間の思想の圓熟さ、分別經驗の程度というものを現わすものである以上、これによつてよき意味の保守性というものを保つということは、やはり必要なことではないであろうか、かように考えておるのであります、從いまして、著しく年齡を高めることについては、適當とは存じませんけれども、地方制度の例によりましても、府縣知事と合議體の議員との差について設けておりまする程度のものは、やはり參議院と衆議院との間には、どうしても必要であると考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=18
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019・原健三郎
○原(健)委員 衆議院の方では被選擧年齡が二十五歳で、參議院が三十歳ということになるわけでありますが、わずか五歳くらいの年齡の差をもつて、參議院が衆議院と異つた、いわゆる異質的なものにしようと考えられることが、私はそもそもおかしなものであると考えるのであります、年齡の違いで、或る程度いろいろ思想的な考えの違いのあることは私認めますが、わずか五歳くらいの差をもつて、それほど參議院と衆議院との異つた議員——今政府のお言葉による、よい意味の保守性を保つた人か出るということは考えられないのであります、この點をもう一つ御答辯願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=19
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020・郡祐一
○郡政府委員 前提といたしまして、年齡に差を設けることが、第一院と第二院との性格に差を生じさせることに、適當であろうかどうであろうか、この點に相なりまするならば、それのみが參議院の性格を完全に現わすとは申せませんけれども、年齡の差というものは、ほかのいろいろな差別よりも一番明瞭に、第一院と第二院の差異を現わす要素ではないだろうか、また各國の立法例によりましても、いずれも年齡に差を設けておるということは、年齡というものが、さような働きをするということを現わしておるものであるし、現在被選擧年齡と選擧年齡とについて、わが國の帝國議會なり、地方議會なりが、やはりそれぞれ差を設けておる、もし年齡に差を設けることがさして意味がないといたしまするならば、選擧年齡を二十歳とし、被選擧年齡を二十五歳とする、それもその差をおく意味がないということに相なりますが、しかしながらこれはやはりその差があるということに、私は意味があると存ずるのであります、さようにいたしまするならば、次ぎには年齡の差を設けるのに、五歳程度で十分であろうかどうであろうか、この點に相なりまするならば、若干の疑問があると思うのであります、たとえばデンマークにおきましては、第一院が二十五歳であり、第二院が三十五歳である、ベルギー、フランスにおきましては、第一院が二十五歳第二院が四十歳であるというような、相當の開きを設けておる例もあります、
〔委員長退席、松浦委員長代理著席〕
しかしながらアメリカの場合のように、第一院を二十五歳、第二院を三十歳、ハンガリーのように第一院を三十歳、第二院を三十五歳というような、五歳程度の差に止めておるのもあるのであります、それで二十五歳の第一院の被選擧年齡をそのままにしておきまして、三十五歳が適當であろうか、三十歳が適當であろうか、兩院の異質性を強く出しますためには、なるほど年齡を相當開きを設けた方がより明瞭に差は出て來るかも知れない、しかしながら同時にまた保守性と申しましても、相當高い年齡でなければ、參議院議員に選び得ないということも、いささか保守的に過ぎるのではないであろうか、從いまして差を存するということには、相當深い意味がある、しかしながら同時にまた參議院の方を著しく高めるということは、他の意味から支障が起つて來る、かような兩方の考え方をつき合わせまして、三十歳という工合に落ちついた次第であります、お話のうちにございましたけれども、その程度の差というものでも、私どもは十分意味があるものだという工合に考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=20
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021・原健三郎
○原(健)委員 それはどうも見解の相違で、五歳だけで論議を盡くしてみてもきりがないと思いますので、次ぎのことをお尋ねいたしたいと思います、その異質性を出すために、内務大臣の提案理由の説明によりますと、年齡ともう一つは地域ということを言つております、地域ということは選擧區ということでありますが、その選擧區についても、勿論異質性を出すためにいろいろ苦心されておる點は私どもにも見受けられるのであります、しかし結論から申し上げますと、異質性は出るかも知れません、むしろこの選擧區の方は、異質性は或る程度までは出るとは思いますが、出ても、その結果が立派な異質性が出るならばいいのであるが、間違つたとか、かえつて惡い結果が出るならば、異質性がない方がいいと思う、むしろ衆議院と同じでよろしい、たとえば人員が少ないとか、議員の定員を少なくするということであつても、異質性は出るのであります、質の惡い議員を出して、それでただ異質性が出たというのでは、甚だもつて解せないのでありますが、今度の參議院議員選擧法によつて、全國一選擧區にするということでありますと、きわめて質の惡い議員の出ることを、私どもは非常に憂えざるを得ないのであります、政府の提案理由の説明によりますと、これによつて社會各部門、各職域の知識經驗ある全國的人物が選出されることを期待されますということを、非常に力説されておるのであります、しかし私どもの見る所によりますと、どうもこういうふうに各職域の知識經驗のある、全國的のような人物が選出されようということは、期待ができないのであります、ただ觀念的に、理論的に考えると出そうでありますが、われわれは實際選擧もやつて來ているし、また實際選擧の苦い經驗をたびたび嘗めたような人の意見を聽いてみましても、全國一選擧區などになりました場合には、實際の結果は見ずともわかつておる、きわめて質の惡い人間が出てくる危險があるということを、異口同音に言つておるのであります、これは經驗した人でないとどうもわかりにくいじやないかと考えるのであります、それでお尋ねしたいのは、全國一選擧區で第一に問題になりますのは、選擧をやろうと思う場合にも非常にやりにくいということでありまして、具體的にこれで選擧がやれるかどうかということを私は聽きたいのであります、たとえば立候補者は、全國一選擧區の場合において定員百名でありますが、何人立候補者があるか、ちよつと想像ができません、恐らく二千人も三千人もになるか、或は千人ぐらいで止まるかも知れませんが、相當多數の人が立候補すると思います、この前の衆議院の選擧のごときにおきましても、七十名とか百名とか、一つの選擧區に候補者が出たことは澤山あります、有權者は面くらつてしまつて、誰に投票してよいかわからないで、誰でもいいから名前の書きやすい人に投票しようじやないかというような嫌いが多分にあつて、現在においても、今度の衆議院議員の選擧法を改正しなければならぬという議論が、非常に活溌になつております、この間の四月十日の選擧を通じて考えてみましても、再びこういうことのないように、われわれはやらなければならぬと考えるのであります、それに全國一選擧區にして、千人も二千人もの多數の候補者が出た場合に、誰に入れてよいかということを、全國數千萬の有權者にどうして一體これを知らせるのであるか、恐らくわからないだろうと私は考えるのであります、その具體的な方法を第一にお教え願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=21
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022・郡祐一
○郡政府委員 全國一選擧區と申しますものは、選擧運動に相當激しい困難さを伴いますということは、これは認めざるを得ないと思うのであります、それで立候補者が有權者にわからないのではないか、これも小さい選擧區に比べますと、確かにそのような例が起るだろうと思います、しかしながら全國一選擧區と申しますものが、選擧運動が相當困難であるといたしましても、それに應じた新しい選擧運動方法というものが行われ、またそうなつて參ることが望ましいと考えております、どういうことを考えておるかと申しますならば、全國選出議員につきましては、從來の個人による選擧運動に代つて、團體による選擧運動というものが行われて參るのではないか、また別途に政黨法というようなものを考えますならば、これによつて政黨の活動というものが、一方において規制を加えると同時に、一方においてきわめて有力に働いて參ると思ふのであります、それで有權者に立候補者の政見閲歴等を徹底させますということは、固より選擧の本になります大切なことでありますから、これらに對しましては、各黨各派の代表によりますラジオの放送等によりますことも行われましよう、また各黨各派代表者等から、全國の中心地におきまして演説會を行うということもございましよう、また新聞紙による廣告であるとか、一般記事による報道等によりまして、候補者の何人であるかを徹底させることもできようと思います、ただこの場合に、新聞の記事によります指導は、新聞紙自體は特定候補者の選擧運動をいたしますことは、もとより適當ではないと存じますが、とにかくかようにいたしまして、團體本位の運動を行う、かつ選擧公營方法といたしまして、議員候補者の經歴に關します文書の發行もございます、演説會場の施設の公營であるとか、或は投票所における議員候補者の氏名の掲示であるとか、かような方法を用いますならば、最小限度におきまして候補者に對する判斷の資料が加えられると思うのであります、そうして各有權者みずからが、全國一選擧區の議員候補者として自分が選びたいと思う者につきましては、一方におきましてその選擇の範圍が、從來におきまする中小の選擧區に比べましては、著るしく擴がつておりますだけに、あらかじめ自己の選擇せんとする者を選擇し得るという長所もあるのであります、從いまして政黨その他の團體というものが、有權者に對して親切なる判斷の資料を提供いたしますと同時に、選擇の範圍が廣いのでありますから、それに對してあらかじめ有權者が、自己の最も適當なりと信ずる者を選擇しておくという傾向に、啓發指導することができますならば、選擧公營等によります最小限の周知の方法、判斷資料の提供ということが可能でありますならば、これによりまして何人が候補者であるかということを知り得ないという状態は、起さずに濟むだろうと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=22
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023・原健三郎
○原(健)委員 今の政府委員の答辯によりますと、全國一選擧區の非常にいい場面ばかりを仰しやられたのでありますが、今日私どもは實際に即して考えてみると、非常にやりにくい困難があります、第一に通信機關が今日のように非常に日本においては亂れております、迅速を缺いております、これによりましてもこれは非常なる不便がある、第二においてまた交通が今日のごとくきわめて不便であります、電車にしろ或は鐵道にしろ、自動車にしろ、こういう身動きもならぬような時代において、どうして全國的に——今仰しやられました演説會をやるにしても、その他新聞にしましても、全國幾多の新聞がそれらの連絡をとるにしてもできない、ラジオをやつたらいいと仰しやつたが、ラジオにするにいたしましても、恐らくは千人も二千人も候補者が立つた場合に、ラジオを利用することは非常にいいようでありますけれども、十分利用ができない、演説會をやるにしましても、今申したような交通や通信や、その他のいろいろな事情で非常にできにくい、新聞を利用するにいたしましても、日本には全國に行き渡るような新聞もございません、それを廣告するにしても不便であると思う、團體で選擧すると言われるが、團體でやるにしても、投票するのは一般有權者である、有權者が、立候補者の選擇がよくできるように知らしめることができないくらいでは、甚だ全國選擧の意味が少くなるのであります、恐らく數千萬人にわたる有權者に對して、千人の立候補者が出たとして、その數千萬人の有權者がこういう人とああいう人というように、大體簡單ながらでも、おぼろげながらでも、わかるくらいにするならば、全國一選擧區の意義もあるが、それはほとんどできないと思う、だからこれはもう事實やつてみましても、むしろ選擧運動は一縣だけでもやりにくいのに、全國などはできないのであるから、縣單位でやつておる候補者と變らないような選擧運動に、實際は落ちるではないかという恐れを痛感するのであります、その點についてもう一度御伺いいたしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=23
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024・郡祐一
○郡政府委員 お話のように、全國選擧區におきまする選擧運動は、たしかに運動される側から申しまして困難を伴うと思います、そのために全國選擧區ではあるが、當選に必要な得票數は、概ね特定の縣内において集めて、他は若干の散票を期待するというような運動になる場合もあろうと思います、通信や交通の不便困難から、非常に多くの區域にわたつて運動することは困難でありましようし、又運動者自身として有利ではありませんから、全國を胯にかけて遊説するというようなことも起るまいと思います、しかしながら一體有權者が判斷に相當困難を感じ、また有權者に對して、候補者自身が自己の政見を徹底することに支障を感ずるということは、今日のごとく有權者の數が著しく多くなつて參りますと、程度の差はございましようが、府縣單位の選擧區においても似たようなことは考え得るのであります、このたび參議院の選擧につきまして、事前運動等に關します制限を徹廢いたしましたのも、むしろ選擧運動というのは、今後政黨その他の團體の、特定の候補者について運動するという意味合ではなく、平素から十分自己の政黨の政綱なり、また自己の政黨の現にとつております態度につきまして、常に國民に徹底をいたして參る、從いましてこれに伴いまして事前運動もまた自由にいたしまして、拘束を加えないことにする、そうして有權者と申しますか、國民と申しまするか、その前に絶えず自己の主張を明らかにいたします、かようなことによりまして、むしろ國民全般の、議員候補者となるべき者に對する批判力というものを増すということが、民主主義の遂行に伴いまして、きわめて頻繁に選擧が行われる今後の情勢においては必要になつて參ると思うのであります、短期間の選擧運動が、それのみによつて完全に票を集めるのには、十分に運動は行い得ないかも知れませんけれども、方法といたしましては、全國的に、政黨を通じ、或は自己の所屬する團體を通じ、かような方法によりまして、全國の票數を集めるという選擧運動もまた可能だと存ずるのであります、從いまして御説のように、縣單位の選擧運動が主になつて全國議員になる方もありましようが、また全國を對象として——これもしかし一樣に全國四十六の府縣を、地域的に對象とするというのではなく、自己の所屬する黨、團體等を通じて働きかける、或は自己の特に適切と思う若干の府縣に對して働きかける、かような選擧運動をいたすことも可能であり、またさような選擧運動によつて選擧される方があろうと思うのであります、かような撰擇の範圍を廣くいたしまするということは、私は今までの選擧區の程度では出で得なかつたし、或は出し得なかつた人を出すというために、役立つ所が相當あろうと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=24
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025・原健三郎
○原(健)委員 勿論いろいろ考えられるのでありますが、結局政府の趣旨辯明においては、その知識經驗ある全國的人物が出られるという意味でありますが、全國的人物という意味は、どういうふうに解するか知りませんが、早く言えば、全國的に名前の賣れた信用のあるような人ということになろうと思うのであります、そういう全國的に名前の賣れたような有名な人であるならば、それは割合に簡單に行くようなことも考えられないこともないのであります、しかし私どもは、今つらつら考えてみると、今の日本の現状では、今まで日本的に名前の賣れたような人はほとんど追放にかかつてしまつて、そういう人物はいないと申し上げて差支えないのであります、そうすると、現在においてまあ全國的に名前の知れた人というのは、たとえば女優であるとか、そういうふうな人は名前の知れた人が多いでありませうが、そういうような人でなく、眞に學識經驗あるような人で、全國的に名前の知れたやうな人は非常に僅少であります、でありますから、少くとも現在選擧をやりますと、どうもそういう人が事實上出られない、こういうようなことは、案としてはいいが、實質的にはほとんどナンセンスであると考えざるを得ないのであります、それから、全國一選擧區と不可分の關係において、また費用を無制限にいたしている點であります、そういたしますと、選擧區が小さいなら費用が少くて濟むのでありますが、全國一選擧區にして費用を無制限にいたしますならば、恐らくこれは金を澤山使つた者か當選するということは自明の理であります、小さい選擧區においても、一番選擧に當選する有效な手段はと言えば、少くとも日本の現状においては、金を一番餘計使うことが一番有效な方法であります、費用を制限しておいてさえも脱法行爲をするのでありますから、いわんや費用を無制限にして全國一選擧區でやるならば、これは澤山金を使つた方が、百萬より二百萬、二百萬より五百萬使つた方が當選可能であります、學識經驗など、ほとんど知識などには無關係で、そういうものがなくても、金を多く使つた方が當選するということになることは明らかなことであります、反對に、いかに學識經驗があつて立派な人で、參議院議員には立つて貰いたいというような人であつても、たとえ立候補しても、金を澤山使はなければ當選は絶對にできないということになります、結局それでは、日本の現在のような状態、また近い將來におきましても、一番われわれが嫌つていた金權候補というものが立候補して、それが當選して來るということになるのであります、これが非常に問題であります、さつきから申し上げましたように、參議院を異質的なものにしたいしたいとあせるだけで、そうして選擧費用を無制限にするに至つては、惡質なるところの異質者が參議院に集まるという結果になつて、私どもは非常に前途を憂えざるを得ないのであります、もし今日のままでこれをいたしましたならば、百萬や二百萬や五百萬の金は使うても、參議院議員になりたいというような人は、今日は恐らく闇屋であるとか土木の請負をやつている人というような、極端なる新圓稼ざをやつている人でなければ立候補できない、立候補しても當選しないということになるであろうと思うのであります、政府はこれに對して、趣旨辯明におきましては、選擧の明朗闊達性を取り戻すのであるということを言明されているのであります、われわれは決して、選擧を徒らに官權で壓迫したりすることは好まないのでありますが、それかといつて、費用を無制限にしたら、これで直ちに選擧の明朗闊達性を取り戻すなんということを考えるのは、あまりにも甘い考え方であろうと思うのであります、この點について明確なる御答辯をお願いしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=25
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026・郡祐一
○郡政府委員 選擧運動費用の制限を、從來衆議院議員選擧法等で置いておりまするのは、お話のように、いわゆる金權候補の不當なる進出を抑止しようとする狙いをもつておるのであります、しかしながら法定費用を超過いたしても犯罪とはなりませず、單に當選無效の原因とされております現行の衆議院議員選擧法等におきまして、擧證の困難のために、費用の制限というものは、現在その意味はほとんど失われておるのであります、何らかの道義的な、自省の意味合があるということを否定するものではありませんけれども、費用制限それ自身の本來の意義は、むしろきわめて稀薄になつておるのであります、それで、これに代えまして、政黨及び議員候補者等の選擧運動の費用を一般に公開する、現在の公開制が萬全の結果を收めておるとは思いませんけれども、選擧運動費用の公開制というものが、有權者において、絶えず政黨或は議員候補者に對する監視をいたし、これによつて當該の政黨に對する判斷を養つて行くというためには、意味があると存ずるのであります、むしろさような制度に振り變つて行くのが適當ではないか、また全國一選擧區と申しますのは、きわめて廣い範圍の選擧區でありまするがために、先ほども政黨單位の運動に轉換して行かなければ、運動は十分できないということを申し上げたのでありますが、さような意味合におきまして、買收とかいうようなことはなかなか行いがたく、また買收は何もせぬのであるが、しかし全國に運動をするのだと申しましても、その運動を全國的に、非常に多く費用をばら撤いてやつて見た所で、それによつて效果を得るということはさして期待できないのであります、ただ今日の状況等におきまして、紙等を闇によつて非常に多く獲得して、無制限に貼札等を拵えるということは、確かに好ましくないことであります、さような點につきましては、貼札等については、枚數、掲示の場所等を十分制限することにいたしたいと思うのであります、それで、現在の選擧運動費用の制限の程度におきましては、これはたとえどのように額をきめましても、これによつてもし金權候補者が進出しようとするならば、これを防ぐにさしたる效果はなく、また全國選擧區におきまして、この費用制限を撤廢いたしたといたしましても、これによつて徒らに金を撒布する者のみが有利であるということには相ならぬように、只今申述べました貼札等の制限も、文書圖畫の制限も適當にいたしまするならば、費用によりまする差別というものは、さように著しく候補者の間に利不利を起さずに濟むのではないだらうか、ただこの選擧運動の制限を取り放しにするという工合には私どもも考えておりません、政黨法というようなものができまする場合には、政黨或は議員候補者等が、收入の面で受けまする寄附金もこれを適當な額に制限いたし、また好ましからぬ方面から寄附金を受けるようなことは防止をいたします、支出につきましても、現在買收等に支出をいたしますることは、明らかに認めておりませんけれども、それ以外におきましても支出についての適當の制限を加える、そうして費用の公開制というようなものについて、十分今後の有權者を啓發いたしまして、選擧の明朗化をはかり得るような工合に、費用の公開もいたす、さような各般の方途を講じますると同時に、併せて合理的な最高制限額というものを決めることにいたしたいと思うのであります、しかしてさような立法は、別途の方法によることにいたしたいと思いまして、このたびの參議院議員選擧法におきましては、これを撤廢いたしておる次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=26
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027・原健三郎
○原(健)委員 別途に選擧費用の最高をきめられるということでありますが、その別途は、いかなる方法によつて、どのくらいの額にきめられるお考えであるか、それを一應お伺いいたしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=27
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028・郡祐一
○郡政府委員 政黨が今日今後の民主主義の發展の上に、きわめて重要な地位をもつておりまする現實に考えまして、政黨の範圍を決定いたし、それから政黨の會計につきまして必要な規定をいたし、さらに黨でなくて議員候補者それ自身につきまして、その選擧運動費用の收支を明らかにいたす方法を講じ、殊に政黨におきまして、議員候補者の決定をいたしまする豫選等につきまして、これを明らかにいたし、國民の前にはつきりした方法によりまして候補者の豫選をいたす、こういうようなことを、名稱はなんと相なりますか知りませんけれども、政黨法というようなものに規定いたしたいと考えるのであります、それでアメリカの立法例等から考えますると、何か收入に應じた選擧運動費用の制限額というようなことがよく考えられるのであります、殊に府縣知事の選擧については、その知事が受ける報酬に應じて選擧運動費用をきめる、これはアメリカのガヴァナーの選擧においてはそういう例が多いのであります、また事實四年任期があつて一定の俸給を受ける、その俸給の一年分か二年分を投ずれば選擧運動ができる、任期中の俸給の十倍も拂わなければ、選擧運動ができないという選擧運動は、意味がないということになるのでありまするが、さような抑え方というものは參議院或は衆議院議員についてもなかなかむずかしい、府縣知事等においてもむずかしい、そういたしまするならば、恐らく只今のような人數を割り出しまして、それに三十錢の單價を掛けるというようなやり方も、いかにも意味のないことでありまするので、どのくらいの額にするということは考えておりませんけれども、これくらいの有權者を對象にする、これくらいの規模の選擧においては、計畫としていくらにするというような種類に決定いたすのではないだろうか、それにはやはり有權者の數に對しまする費用の程度、またその議員なり、その選擧によりまする職の報酬の程度、これらのことも考えまして決定いたすことが適當ではないかと考えているのであります、ただそれじやその額をどの程度に押えるかということにつきましては、只今まだいろいろ資料を集め、研究しております程度でありまして、この際申し上げる程度になつておりません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=28
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029・原健三郎
○原(健)委員 結局そういうものは將來できるということでありまずが、この參議院議員選擧法においては、その費用の制限はまあつくられないというわけであります、それでさつきからもだんだん申し上げておりますように、費用の制限がないことが一つ、第二番目においては全國一選擧區というようなことになつている、この二つが重なりますと、どういたしましても今の日本の實情では、それは理論だとか、民主だとか、いろいろな立派な名前に隱れて言う場合においては、金を使つた人が必ずしも當選しないとか、金がなくても立派な人物が當選するとかいうことが言われるのでありますな、日本の現在の實情から推すならは、しかも選擧區が廣ければ——殊に小さければその人の顔も知つているし、名前も知つているし、等々いろいろ便宜がありますから、必ずしもそれは金だけでは動かないのであります、また金で買收したということがかげでわかつたりして、評判が惡くなるようなこともあるのでありますが、全國選擧區にわたつて無制限であるということになりますと、それは金を使つた者は、百萬圓よりも二百萬圓、二百萬圓よりも三百萬圓、三百萬圓よりも五百萬圓を使つた者が、必ず當選いたします、それはもう絶對に間違いない、もしそれ政府がこれをやらすというならば、恐らく金權候補者で、しかも今日のような時代においては、そういう參議院議員くらいになるために、百萬圓とか、數百萬圓くらいの金を使うというような、きわめて惡質な人間を、參議院議員に選ぶという結果を助長するほかに私はないと考えるものであります、しかも今日のような時代において、百萬圓もそれ以上の金も使うことができるような連中というものは、だいたいきわめて質の惡い人間に多いと言わざるを得ないのであります、眞面目にやつているならば、恐らくそういう金は入らないとわれわれは考えざるを得ないのであります、これを甚だ私は殘念に思います、しかも技術的に言いましても、全國一選擧區なんかで選擧がやられるなんと考えることが、そもそも選擧をやつたことのない人が、頭の中で机の上の理論ででつち上げた理論であるとして、甚だ遺憾に思わざるを得ないのであります
それから次ぎに考えたいことは、衆議院議員に出たいとか、或はまた知事に出たいとかいうような人は、この參議院のほかの選擧においては費用の制限もあるし、まず參議院においては戸別訪問をしてもよろしい、事前運動をしてもよろしいというようなことでありますから、次ぎに衆議院議員に出ようと思つたり、知事に出ようと思う人は、その事前運動として事前に一遍參議院に出て、小さい區域においてうんと金を使つて、參議院議員には當選しなくてもよいので、その次ぎに來る衆議院議員とか、知事くらいに打つて出てやれというような目途の下に、運動をやるような人が、私は澤山出て來ると思います、政府の答辯によると、なんでも團體がその選擧をやつて、政黨がやるのであるから云々ということを言われますが、政黨がやろうと、團體がやろうと、今日のような選擧で、日本の國内において選擧をやれば、もう誰がやつても結局この金という點において制限を加えなければ——金で制限を加えなければ、物において相當な制限を加えるにあらざれば、これはもう政府の言うような選擧の明朗濶達性を取り戻すなんかというのは口頭禪で、口ではそう言うが、實際においてはこれと全然反對の結果を來すと思います、最後に今申しました所の費用を無制限にいたしますと、衆議院議員や知事に次ぎに出ようと思つて、選擧の準備をやろうというものがあろうと思うのでありますが、そういうことについてはどういう考えを持つておられますか、もう一度お伺いします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=29
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030・郡祐一
○郡政府委員 選擧によりましてことを決定します範圍が、きわめて廣くなつて參りました今後におきましては、有權者自身が正確に判斷をいたす、これができなければ手續き等によりまして、これを押えるということはきわめて困難であります、むしろ議員候補者になろうとしまする各人の政治的活動、或は社會的活動それ自身が實は選擧運動となつて參るものなのであります、これは他の目的のために一方の選擧を利用するじやないかというお話がございました、そのような例はいろいろな選擧について起ると思います、たとえば、これはまだ決定いたしておりませんけれども、府縣會議員と市町村會議員を同時選擧にいたそうかと考えております、この場合に兩方に立候補いたしまして、狙う所は府縣會議員だけであるというような選擧運動はできるのであります、いわんやそれよりもつと廣く、記號式の投票にでも改めまして、各種の選擧を同時に行うという場合においては、費用の制限がございましてもかりに一つの選擧において制限しておきましても、兼ね得るすべてのものにつきまして立候補をいたしまして、一つの選擧を有利に展開いたすというような方法は、とろうと思えばできるのであります、これらのことに對しましては、有權者自身に對しての判斷を確實にいたすような——これは一擧にできることではございませんで、いつも現状に即して考えますならば、現状は相當困難であることは認めざるを得ないのでありますけれども、同時にまた選擧民自身が相當發展して參るということも期待しなければ相ならぬと思うのであります、しかして現在すべての制度が改正の途中にありまするがために、選擧によりまして運動方法等を異にいたしておりますことは、いろいろな點に不便でございます、そういう點につきましては、いずれすべての選擧に關しまして、同じような運動方法がとれるように改正をして參らなければならぬとは存じます、存じまするけれども、參議院議員選擧について、このような選擧運動の緩和規定をおいたがために、これが著しく他の選擧の目的のために、そのことのみによつて惡用されるという工合には考えません、むしろかように緩和をいたすということが、參議院議員選擧運動については適當であろうという方の判斷を強く下しておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=30
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031・原健三郎
○原(健)委員 今政府委員も觸れられたのでありますが、だいたい選擧というのは一貫した所の方針というものがなければ、一般の人は非常に迷うのであります、衆議院議員の時には戸別訪問をしてはいけない、參議院議員の時はしてもよろしい、衆議院議員の時は費用は制限するが、今度はしないからいくらやつてもよいということは、選擧運動を非常に迷わすものであろうと思うのであります、今過渡期であると申すのでありますが、今こういう場合に終始一貫せしむるためには、よろしく費用等制限した方がよいし、全國一選擧區化した選擧は事業上やれない、こういうことでは全國一選擧區はやめて費用も制限して、もし一時的のものをこしらえたければ、一縣一區くらいの所に區切つてやる方が、私はきわめて合理的であり、妥當なものであると考えるものであります、いくら言つても見解が違うのですが、理論が區々になるのでありますが、政府は、それではこれから先もすべての選擧に對して、費用の制限を撤廢するのがよいとお考えになつておるのか、おらないのであるか、この點一つお聽きいたしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=31
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032・郡祐一
○郡政府委員 費用の點につきましては、先ほども申し上げましたように、政黨の選擧運動等に對しまする公費、議員候補者、知事の選擧運動費用、この兩者につきまして、現在よりはより高度な、實際を押え得るような運動費用についての制限は、これをおきたいと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=32
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033・原健三郎
○原(健)委員 それでは衆議院議員その他の選擧方法と、この參議院とは今申したような點でいろいろ違つておるのであります、第一戸別訪問という點もこれは違つておるのでありますが、われわれの考えにおきますと、やはり戸別訪問は禁止しておいた方がよいと考えるのであります、それでこれも一貫して、むしろ衆議院その他の選擧にならつて、戸別訪問を禁止しておいた方がよいのではないか、それが一つ、第二番目におきましては、事前運動でありまするが、この事前運動も衆議院その他では禁止しておるのでありますが、これもむしろ事前運動を禁止しておいた方がよいと思う、ただ漠然たる啓蒙運動であるとか、政治の運動であるとかいうようなことは、現在においてもやられておるのであります、はつきりした所の事前運動等は取締つておいた方が、一般の人々のためにもよし候補者自身にも金がかからぬでお互いによいかと思います、この二つの點について、衆議院その他の選擧に關して政府はどういうふうに今後やろうとお考えになつておりますか、それをお聽きいたしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=33
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034・郡祐一
○郡政府委員 戸別訪問の弊害というようなことがよく言われるのでありまするが、今日のごとく多數の有權者があり、また現在の國民の政治的水準というようなものについて、いろいろ懸念の論もあろうと思いますけれども、なんと申しましても、政治的自覺というものが進んで來ておると存ずるのであります、かつ戸別訪問というのは、戸別訪問の、摘發というようなものは、場合によつては時の政府が自己に有利に選擧を展開いたさせますために、これの摘發をいたすというような意味合に惡用されておつた例もあるのであります、それがまたいろいろな官憲干渉の疑惑を起しておる原因にもなつておるのであります、かような制限というようなものは、結局その效果はあるにしても、姑息な效果に過ぎないのではないであらうか、國民の政治教育の程度を心配いたしまして、各種の制限をおいておくということも考えられるのでありますけれども、さようにいたしておりましては、人爲的な選擧運動の制限を續けておりますことによつて、いつまで經つても實は國民の政治的水準というものが、上つて來ないのではないのであろうか、今日戸別訪問の禁止を撤廢いたしましても、これによりまする弊害というものは、さして予想せずに濟むくらいに、國民自身の自覺というものが起つておるのではないであらうか、またそのような制限をおかなければ選擧運動ができないというような國は、なんと申しますか、政治的に進みました國において、私は恐らくないのではないであろうかと考えるのであります、また事前運動の制限でありますけれども、これも政黨等によりまする平素の國民の政治的な指導、啓發というようなことを考えまするならば、それらの活動自身が、選擧の事前運動になる部分があるといたしましても、實はより多く目的をはたさなければならないのでありまして、これをまたかりに制限いたすといたしましても、一つの系統の團體なり、組合なりが機關紙をもつておる、これが絶えず運動して行く、さような場合にこれを抑えることは、事實上困難であります、それでもしも一方に事前運動を認めますがために、他の方が不利であるというようなことは好ましくございませんから、適當な形において、國民の啓發等の役に立ちますような意味合での事前運動のようなことが、活溌に行われる、これでよろしいのではないかと思うのであります、勿論これに伴いまする弊害もまた考えられるのでありますが、弊害よりも、今日といたしましては、より多く国民の政治的な良識というものを昂めますための措置がとられることがよいのではないか、そのためには取締りの煩雜なものは、可及的除き得るだけ除いて參る、そうして買收犯のごときものに對して、きわめて峻嚴な態度をもつて臨むというような行き方に、選擧運動の取締りについての態度を變えて行きたいと思いまするのが、根本的な考え方でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=34
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035・原健三郎
○原(健)委員 この前の四月十日の選擧を通じて、われわれは衆議院議員選擧法を改正しなければならぬという議論をもつております、その議論が強くなつて、自由黨、進歩黨で衆議院議員選擧法改正の案もつくつておるわけであります、でありますから、現行の衆議院議員選擧法は、當然改正さるべき運命にあるのであります、私をして言わしめれば、むしろこの衆議院議員選擧法が改正されてから、それと睨み合わせて、この參議院議員選擧法を、もう一返考え直したらどうかと思うのであります、この議會にその改正案を出すと言つておりましたが、期間がなくなつて延びておるらしいのでありますが、來議會早々これは提出されるものと思います、それが改正されてから、參議院議員選擧法を、もう一遍審議するように、少し審議を延ばしておく方がいいと思うが、その點はいかがでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=35
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036・郡祐一
○郡政府委員 衆議院と參議院の選擧法は、基本原則において、同樣な構想においてなさるべきことが望ましいことであります、形式といたしましても、私どもは一本の國會選擧法で規律いたされることが、形の上においても最も適當だろうと存ずるのでございます、ただ現在衆議院議員選擧法は依然としてございまするけれども、參議院の選擧法につきましては、新憲法の實施までの間に施行して、恐らく新憲法の施行前におきまして、その選擧を實際に執行いたさなければ相ならぬことになるだろうと思うのであります、さような意味合におきまして、參議院議員選擧法を、今議會におきまして、どうしても御協贊を願わなければ相ならぬと政府は考えておる次第でございます、勿論衆議院議員選擧法それ自身と、參議院議員選擧法とは、常に調和を保つて參りますることは必要なことであります、さような必要が起りますれば、これは十分考えることでございますが、これ自身をなり立たせるということは、どうしても必要なことと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=36
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037・原健三郎
○原(健)委員 簡單なことを二、三合わせて御質問して終りたいと思いますが、この最初の選擧は、府縣別と全國選擧と同時にやられるのであるか、別にやられるのであるか、これが第一點、第二點はポスターを制限するというのは、ポスターを一體どういうふうな制限を加えられるのであるか、それをお聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=37
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038・郡祐一
○郡政府委員 第一囘の選擧におきまして、全國、地方同時に行いたいと考えております、この機會に可及的棄權率を少からしめますために、現在の投票區は全國二萬一千になつておりますが、これを二十二萬乃至二十三萬、約十倍に高めたいと思つております、かようにいたしまするならば、町内會、部落會というものの單位に、投票區が設置できると考えるのであります、さようにいたしまするならば、全國と地方、二票を同時に投じますることも、きわめて混雜を來さずにできると思いまするので、ぜひさようにいたしたいと考えております
文書圖畫の制限でありますが、これは一つは現在及び今後の紙の需給状態から、特殊な經路で紙を入手いたしまするものが、徒らに有利になることがございませんように、また先般の衆議院の選擧等におきましても、町の美感の點から見ましても、掲示場所等について相當の制限を加えることが絶對に必要だろう、かような見地から考えまして、各投票區毎に一箇所乃至二箇所位の掲示場所を、選擧管理委員會に指定させる、そしてこの掲示場所以外には認められない、また掲示場に掲示する機會を均等にさせますために、抽籖によつて場所とか位置をきめる、それから掲示するビラの大きさを一定する、總量を適當に制限をする、或は掲示場所をきめまして、そこに或る期間掲示を認めるということによりまして、おのずから總量が間接的に制限されるかと思いまするが、何らかの方法によりまする總量の制限というようなこともいたしたい、さようなことを文書圖畫の制限としてはと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=38
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039・原健三郎
○原(健)委員 さつきからだいぶお伺いして、だいたい趣意もわかつたのでありますが、お伺いした範圍内においては、少くともこの費用の點と大選擧區という點につきまして、全國一選擧區ということに對しましては、われわれは甚だどうも承服できないのであります、それでお伺いしたいのは、私は進歩黨に屬しておりますが、與黨であります、少くとも政府がこういう法律案を提出する前において、與黨に對してこれを事前に諒解を得ることが當然であろうと思うのであります、然るに事前においてこういう法律案の諒解を得ているとは思いません、突然出されたのでありますから、われわれは勿論公平な立場において論議し、批判することは當然だと思うのでありますが、諒解をはたして得られたのであるか、得られないのであるか、その點を聞いておきたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=39
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040・郡祐一
○郡政府委員 私の承知しております範圍におきましては、與黨に諒解を求めておる事柄はないと思います、ただ參議院議員選擧法は、きわめて重要な法案でありますから、衆議院の各黨から代表が出ていただきました法制調査會において、種々御論議をいただきました經過があります、さような意味合におきましては、相當御研究をいただいておつたかのように考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=40
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041・原健三郎
○原(健)委員 法制審議會で各政黨の代表が出ておりますが、それは意見を述べて原案作成の參考に供したというだけで、この參議院選擧法については諒解がなかつたということを承知したのであります、最後にもう一點だけお聽きいたしたいのでありますが、參議院議員の選擧は一體いつやられるのか、さらに附加えて各府縣の長である者の選擧、または地方議員の選擧は一體いつやられるのであるか、これを一つ明確にお聽きしたいのであります、今まで政府の答辯を聽きますと、前の夏の議會におきましては、やれ地方選擧は九月にやる、その次ぎには今度は十一月ごろにやる或は町村長は何月の何日にやるというように、きわめてほんとうにやるかのごとくわれわれは政府の發言を聽いたのであります、しかるに今日に至つて、今年ももう暮れようとしておるにもかかわらず、すべての選擧はまだやられておりません、それにはいろいろ事情があり、或は事ごとに政府が仰しやるには、關係當局との云々ということを言われるのでありますが、その點は私どもも諒解できないことはないのであります、それにいたしましても、あまりにも無計畫であり、しかも言われることが何月何日ごろにやるというような、きわめてはつきり言うことだけは言われるのでありますが、少しもそれを實行に移しておらないのであります、そこでこれは内務大臣から一つ直接お聽きすることを得れば甚だ幸いと存じますが、參議院議員選擧はいつごろやられるか、各府縣の長の選擧はいつやられるか、地方議會の選擧はいつごろやられるか、それから町村長、町村會議員等々、こういうこれから一連の選擧を全部やるというお考えらしいのですが、それをどういうふうにずつとやられるのであるか、その期日をお尋ねいたしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=41
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042・大村清一
○大村國務大臣 各種の地方選擧を施行する豫定日を、かねて發表いたしたことがあるのでありますが、その後地方選擧に先だちまして、いわゆる地方バージが實施されることに相なりまして、只今その諸般の準備が進行中でありますが、未だ關係勅令が公布せらるるまでに立ち至つておりません、その勅令は遠からざるうちに公布される運びになるものと考えておりますが、その公布によりまして、各地方に審査委員會を設置する、その設置につきましては委員の資格審査をするということに豫定いたしておりますので、それらの準備が整う時を待たなければ、地方選擧を何日に實施するという見込みを立てるわけに參りませんので、各種の地方選擧につきましては、今日ここで的確に期日を申し上げるわけに參らないのであります、知事の選擧等は一月中には行いたいという希望をもつておつたのでありますが、只今申し上げますような次第で、これが一、二箇月遲れるということに相なるのではないかというふうに考えております
次ぎに參議院議員の第一囘の選擧期日につきましては、法案の中に特例を設けまして、詔書をもつて指定する日に行うということに相なつておりまするが、このように立案をいたしました趣旨は、第一囘の參議院議員の選擧は、でき得る限り憲法實施前にこれを執行いたしまして、憲法實施の際には、參議院及び衆議院が成立することを期待いたしておる次第であります、その理由といたしましては、御承知のように新憲法におきましては、衆議院がありません場合において、國家緊急の案件がありますると、參議院の緊急集會をもつて、ものを處置するということに相なつております、現行憲法におきましては、そのような場合におきまして、緊急勅令というような手段が設けられておりまするが、新憲法におきましては、それがなくなりまして、參議院の緊急集會ということで處置することに相なつております、國家の政務の非常の場合における運用に支障ならしめるためには、參議院は憲法實施の際に成立させることが、最も望ましいというように考えておる次第であります、從いまして、只今の所といたしましては、四月十日前後には、第一囘の參議院議員の選擧を行いたいと考えておる次第であります、もしその時期に、各種の地方選擧がぶつつかるというようなことに相なりましたならば、地方選擧の方の日をやり繰りいたしまして、參議院議員の選擧はおよそその時期に執行するということで進みたいと考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=42
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043・原健三郎
○原(健)委員 だいたいわかつたのでありますが、地方選擧や知事の選擧は、いろいろ遲れておるというのでありますが、勅令ももう近いうちに出るのであるならば、當局としてはもう相當な見透しとか準備もあるのでありますから、だいたい今の大臣のお話では、四月ごろというように聞えるのでありますが、四月前後には知事その他地方選擧をやられるお考えでありましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=43
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044・大村清一
○大村國務大臣 地方關係の資格審査は、勅令の公布がありませんとスタートができないわけでありますが、私ども勅令の公布は遠からざるうちにあるものと考えております、しかしそれが幾日になるかという點は、只今確定いたしかねておりますので、その確定を見ませんと、はつきりした見透しを立てることができない次第であります、さきにも申し上げましたように、一月に知事等の選擧を行いたいと考えておりましたのが、今の調子でありますと、一、二箇月は延びるのではないかというふうに考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=44
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045・原健三郎
○原(健)委員 これで打ち切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=45
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046・松浦東介
○松浦委員長代理 伊藤岩男君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=46
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047・伊東岩男
○伊東委員 まず第一に内務大臣にお尋ねいたしたいことは、參議院の性格いかんという問題であります、これについては新憲法の審議の時、及び昨日も内務大臣から御説明があつたので、だいたいおぼろげながらわかりましたけれども、どうしても明確を欠いておるのであります、すなわち參議院は抑制機關であるとか、或は再審査機關であるとか、かような立場から、衆議院とは異質的のものにするという程度のことは、だいたいわかるのであります、けれども、これが具體的に參議院と衆議院は一體どこが違うのかというような點になりますとはつきりいたしません、私はまずもつて參議院の方を審議いたしまするについては、この性格をはつきりするということが非常に大事なことであると思うのでありまして、これによつて初めて國民も、參議院議員はどなたを選擧すべきかということを判定するのに、非常にここが大切な所でありますので、まずこの點を何らかの形において明確にしていただくことを要求いたしまして御答辯を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=47
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048・大村清一
○大村國務大臣 國權の最高機關たる國會を構成するのに、二院制度をもつていたしております國はだんだんあるのであります、しかしてそれらの諸國家におきまして、第二院の性格はいかなるものであるべきかということにつきましては、だいたい定論があると思うのであります、表現は十分でないかも存じませんが、私は新憲法の條規に照らし、また新憲法が帝國議會において御審議中の各議員の御見解、また新憲法が決議されました時に、衆議院におきまして附帶決議がありました趣旨等に鑑みまして、本法案の説明に當りましては、參議院は衆議院に對して長短相補うとともに、審議の愼重を期するというような表現で御説明を申し上げた次第であります、なおまた衆議院におきまして鈴木議員の御質問に對しまして、同議員の述べられました覆審機關であり、抑制機關であるという御趣旨に對しまして、私といたしましてもその言葉を借用いたしまして、性格をほかの言葉で表現いたしましたような次第であります、だいたいこの邊にあるものと考えております、これを簡單に繰返してみまするならば、參議院の一つの性格は、優位をもつております所の衆議院の審議した所に對しまして、これを再び審議するという所に一つの大きな作用があると思うのであります、そうして覆審をいたすといたしますと、衆議院と全く同質の機關でありまするならば、覆審の效果が不十分でございますので、參議院の性格は衆議院の性格とできるだけ異つたものとする必要が起つて來ると思うのであります、そこで私は努めて衆議院と異質的なものたらしめることが、參議院の性格上、甚だ必要であるというように申し上げておる次第であります
〔松浦委員長代理退席、委員長著席〕
だいたいその二點であると思いますが、これを實際の作用から申しますならば、只今のような見解をとりますと、衆議院に對しまして參議院は、一つの抑制作用を狙つておると申すことができると思うのであります、なおこの抑制作用をもたせるという所から行きますと、或は任期のごときはこれを長いものにする、それから被選擧年齢も衆議院より高いものにする、或は半數交替というような方法も憲法上講ぜられておることでありまして、それらの所からかれこれ考え合わせますと、制度の狙つております所は、いわゆる參議院におきましては、衆議院に對して比較いたしますると、保守性を狙つておるということも、確かに一つの點であると思うのであります、私の申し上げようにつきまして不十分な、また不備な點があるかと思いますが、だいたい只今申し上げましたように考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=48
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049・伊東岩男
○伊東委員 參議院の性格を明確にして置きますことが非常に大切なことでありますが、しかし議論を進めますと非常に複雜になりますから、だいたい内務大臣の仰しやつたことで、今までより以上非常にはつきりしたように思いますので、これ以上は議論になりますから、この程度で置きたいと考えております
次ぎは選擧運動に關する問題でありますが、これについては只今原委員から各角度から質問になつたのであります、私はこの提案の中で、この問題が一番大切な問題であり、また都合によつて修正するならば、私はこの點にあるとだいたい狙つておるのでありますから、さらにもう少し掘り下げて、この問題をお尋ねしたいと考えております、今度の選擧法によりまして、買收、選擧妨害等の特別な惡質犯以外は處罰されないということになつて、それ以外は自由放任にされたというこの點については、兎に角選擧を自由たらしめるという立場においては、非常に結構なことでこれは一つの大きな進歩だと考えております、しかし日本の政治訓練のない今日におけるこの現段階においては、私は適當でない、こういう工合に考えておるのであります、個個の面接とか、電話の依頼とかいうようなことのごときは、無論撤廢するのがよろしいのでありますけれども、先程からだんだん御議論になつた戸別訪問を撤廢したというような問題、及び事前運動の問題、竝びにそれに關連して費用の問題でありますが、費用を無制限にしたというようなことのごときは、これは非常に選擧を不明朗にいたしますことは、先程議論のあつた通りであります、そこで費用の無制限と戸別訪問の問題のごときも考えてみますと、戸別訪問のごときが自由にできるということは、選擧を一番不明朗にすることでありますが、費用を無制限にいたしまするならば、たとえば全國的に一區域の場合は別といたしまして、自動車等で到る所に乘りつけて訪問するというようなことになるならば、かくのごときこと一つでも、非常に選擧が不明朗になるのであります、いやしくも選擧運動をやつた者は、戸別訪問ぐらいいやなことはないのであります、これは今までのように禁止されることが一番いいと思うのであります、さらにこればかりではなく、今度の選擧運動を非常に擴大されたために、衆議院議員選擧法との統一性を全く缺いておるというような點のごときはまことによくない、選擧法、殊に選擧法の費用制限などのごときは、今日統一されておつたのが、この參議院法によつて統一を破られたということは、なんとしてもこれはよくないことだと思つておるのであります、將來においては或はかような方法ですべての運動をこの參議院議員選擧法によつたような工合に統制されるというようなことになりますならば、これは大切なことになるのでありますが、まず私の尋ねたい點は、戸別訪問の問題であります、と同時に費用を制限されぬために、費用が非常にかかるようになるのでありまして、異質的なものをつくるというこの趣旨に對して、むしろ非常に惡くなるということは、先ほども議論がありましたが、むしろこの惡質な人がどんどん當選して行くということになりますと、一番肝腎な、大切な、再審議をしなければならぬ所の參議院議員が、非常に惡質な者の集まりになるということになりますならば、これは非常に大切なことだ、かように考えます、なお費用の制限を無制限にいたしますことについては、ポスターのごときは制限をする、なるほどさような點はいいでしようが、しかし一番大切なのは、これは無制限にいたしますと、一番簡單な選擧運動は、うんと挨拶状を出すということが非常に有效だと思います、そうなりますと葉書のごとき、その他封書でも無制限ということになると、資材の關係などもありますし、非常にこれは厄介なことになりまして、今後衆議院の選擧をやる場合に、衆議院の方は無制限に挨拶状は出せないことになつておる、こちらの方は無制限に出していいということになりますと、ここに非常に面白くない點が、將來の衆議院の選擧等にも起るのでありまして、かようなことからいたしましても、どうしてもこの費用の無制限ということはかえつてよくない、その他例を擧げますならばいくたの弊害があるのでありますが、これをいかように御覽になつておるのでありますか、重ねてお尋ねしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=49
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050・郡祐一
○郡政府委員 選擧犯罪につきましては、買收、利益誘導の選擧運動及び關係官公吏の選擧運動、これらのごときものを嚴に取締る必要があると思うのであります、それと同時にその以外のものにつきましては、むしろこれを自由にいたし、その結果起つて參ります若干の弊害というものも考えられないことはございませんが、しかしそれ以上にこれらの煩雜な制限を置きますがために、今まででも選擧運動につきましては煩雜な取締りがいろいろありました、それが漸次簡單になつて參つて來ておるのであります、この傾向というものはむしろ喜ばしい傾向ではないかと思うのであります、先ほども申し述べましたように、現在のような多くの有權者をもちます際に、またなんと申しましても國民の政治の水準の高まつて參りました今日に、戸別訪問が著しく投票獲得の手段になりますとは、必ずしも考えられないのであります、しかして一方選擧干渉の疑惑の種になります戸別訪問の取締り規定のごときは、利害を考えますならば、むしろ存置しないでよろしいのではないだろうか、また事前運動にいたしましても、今後團體等によります運動が強く出て參ります際には、事前運動というのは事實取締り切ることができないのではないだろうかと思うのであります、從いまして事前運動についての惡質なるものに對しましては、これまた有權者自身の判斷というものによつて抑制して參る、或は費用の公開等の方法によりまして、側面的にこれらについての判斷の材料というものを國民の前に呈示して參る、こういうようなことが適當なのであつて、これを取締り規定として存置しておくという必要は、むしろないのではないかと思うのであります、それから費用制限につきましては、仰せの通り使い放題であるということは、必ずしも好ましいことではないのであります、これにつきましては現在の費用制限よりもより合理的な方法というものが、合わせて規定されなければならないことであります、ただ從來のごとく選擧法中に規定することをいたしませんで、別箇の單行法等によりまして、費用全般に關することは規定いたしたい、かように考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=50
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051・伊東岩男
○伊東委員 只今費用制限は本法ではいたさなかつたけれども、さらに別な方法で制限の途を開くというお話でありますが、既にこれが通過いたしますと、必ず四月頃には實施されるということになります、その制限の法案等を出すくらいならば、むしろ本法で制限されることがいいのではないか、かように考えます、同時にこれは衆議院議員選擧法に非常に關係がありますので、こういう工合に參議院の選擧法には費用の制限を撤廢する、衆議院の方では存置しておくといたしますと、少くともこの表面に現れた行爲或は思想というものは、延いてはまた衆議院の選擧に當つても、戸別訪問なり或はうんと費用を使うことがはいり込んで、非常な弊害を來すと思う、その點を頗る恐れるのでありますが、一體その費用を制限するということを別箇にお考えになるというが、それはいいことでしよう、さようにして貰わなければなりませんが、そういたしますならば、具體的に、一つ御説明を願いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=51
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052・郡祐一
○郡政府委員 選擧運動費用の最高制限額、それ自身は從來の衆議院議員選擧法にも規定いたしたことでありまして、それのみを書きますことは、必ずしも參議院議員選擧法に書いて、釣合上おかしくなく、むしろ書いてある方が衆議院議員選擧法との釣合はとれておるのかもしれません、しかしながらそれ以外のいろいろな事項を規定いたそうといたしますがために、別箇の單行法を、恐らく政黨法と申しますようなものの中に書くことになると思うのでありますが、別箇の法律で規定をいたしたい、ただ仰せの通りこれが參議院議員選擧法と並行いたしまして、御審議を願えないことは殘念なのでありますが、通常議會に可及的早く提案をいたし、國會議員の選擧につきましては、當然政黨法の適用がありまするように、取り運びたいものと考えております、それで只今費用の點についてどういうことを規定するのかというお話でございましたが、費用の點につきましては、議員候補者自身の收入支出に關しまする規定と、政黨それ自身の收入支出に關しまする規定と、兩者の規定を設けることにいたしたいと考えております、そうして議員候補者の選擧運動の費用につきましては何らかの算出方法による最高制限額を置くことにいたしたいと思つております、それと同時に、議員候補者の一切の收入支出の公開をいたし、その收入支出につきましては、政黨に所屬いたさないものによりまする檢査の規定等を設けることにいたしたいと思います、また政黨の會計につきましては、一切の收入支出につきまして、これの公開をいたしまする規定を設け、また受け入れまする收入の寄附金につきましては、最高の金額、それからその他の好ましからぬ面からの寄附金の受け入れ等は、禁止をいたす等の措置を講じたいと思つております、ただかような場合には、いろいろな脱法的の手段が考えられますので、さらに只今申し上げました骨子の、脱法的な手段を防止する方法が考えられると思つております、この法律と申しまするものは、現に研究をいたしておりまして、これにつきましては當然衆議院の各黨の方々に、いずれ案が固まりかけて參りましたならば御相談をいたしまして、十分實際の選擧というものに適合し、そうして選擧に關しまする諸外國にもありまするような、腐敗防止法としての最も完全な法規をつくるようにいたしたいと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=52
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053・伊東岩男
○伊東委員 政府でも費用の無制限ということの弊害を承知されているようであります、從つて御説明のような具體的な方法を講ずるということになりますが、よくあなたは政黨法云々と仰しやいますが、政黨法を制定するということは大贊成であります、これは大分準備が進んで來たのでありますが、或は政黨法の方向と申しますか、どの方向でおつくりになるのでありますか、その内容をお聽きいたしますると、この内容についても今の費用制限等を制定するのだというお話でありますが、簡單でかまいませんからこの意味において御答辯を願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=53
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054・郡祐一
○郡政府委員 先ほどは費用の面についての御尋ねでございましたから、政黨法中に規定いたしまする費用の面を申し上げたのでありまするが、費用の面はむしろ政黨法中の一部分であり、附屬した部分であるだろうと考えるのであります、簡單にその骨子を申し上げまするが、勿論只今申し上げるものは、未だ政黨法案の要綱のように相なつているものではなく、單に試案の程度として御聽き取りを願いたいのであります、第一には政黨というものは何であるかということを規律する必要があると存じます、政黨というものは議員候補者を推薦し、または支持するものでありまするが、その政黨というものは、前囘の總選擧の時期等を捉えまして、得票總數の何パーセントを得た者、或は何人以上の議員候補者を議會に有するもの、これらの點から考えまして、この割合を出しますにも、各候補者の得票の總數が、前囘のすべての議員候補者の得票の何パーセントを得ているかというようなことをきめまするほかに、選擧人總數の何パーセントかの者が連署をもつて屆け出をいたしましたような場合、すなわち前囘の選擧の實績をもつておりまする場合、或は實績はないけれども、有權者の相當の數というものが、屆出をいたしましたような場合、いろいろな方法が考えられると思いまするが、とにかく政黨とは何ぞやということをきめて行かなければならないと思います、さようにいたしますならば、政黨というものはいかなる組織をもつものか、本部があり支部があると思いまするが、その本部、支部等の責任者等についても規定をいたさなければ相ならぬと思います、またさような構成員というものは、いかなる系統によつて、いかなる方法によつて選出されるものであるかというようなことも、きめて參らなければ相ならぬと思います、またさらに選擧の候補者の問題といたしまして、いかなる方法によつて具體的の議員候補者を選擧いたして參るか、いかなる方法によつて推薦して參るか、すなわちこの場合にも祕密、自由、一般というような選擧の原則が働くのだと思いまするが、さような方法でどういう工合にして——或は當該の政黨内で豫選の形をとる場合もありましよう、いろいろな方法があらうと思いまするが、かような方法によつて候補者というものは選ばれて參るのだというようなことを規定することに相なりましよう、また投票の方法等につきましても、現在の自書主義に代えまして、なんらか他の方法を用いるといたしまするならば、それらの投票の方法についての規定も、立法の仕方によりましては、或はこれらの政黨法の内容をなすようになるかも知れないと思います、だいたい盛らるべきものは今のようなことと、先ほど申しました費用のこと、これらのことが内容になろうかと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=54
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055・伊東岩男
○伊東委員 費用の問題は議論すれば限りがありませんからこの程度にして置きます、事前運動の關係でありますが、今囘の參議院議員選擧法に限つて事前運動をお認めになりまして、これは區域が全國區域になつたというような場合においては、かようなことも一應適當なことだと考えます、一體この事前運動というものの弊害は、考えようによつてはこれは買收以上危險性があるのであります、たとえば知事が參議院に立候補する、或は知事みずからが知事に立候補するというような場合においては、それは非常な大きな弊害があるのであります、何となれば知事は非常なる職權上に權威をもち、一つの言外の壓力をもつている、そこで事前に知事がもし利益運動をやるような場合がある、或はそのような意味合において利益を地方に與えておる、或は橋をつくつてやるとか、或は道路をつくつてやるとかいうようなことを見せかけるとか、或は事實やるとか、それはまた現在の知事自體の仕事であるから、橋をつくつたり道路をつくつたりすることそれ自體はよろしいけれども、立候補することを豫想して、或は參議院に或は知事に出るというような場合には、非常なる弊害があるのであります、でありまするから、どうしてもかような特定の場合のごときは、事前運動というものを絶對禁止しなければいけないと考えております、なおこれは關連をいたしまするが、現在知事がその縣で立候補するというような場合のごときは、私は斷じて二、三箇月前には辭職せしめなければいけない、法的には無論自由でありまするから辭職の必要なしといたしましても、これは非常なる弊害があるのでありまするから、當然やめさすべきものだ、無論しかし決意前にやめるということはよくない、またやめる必要もないというような解釋も一應立つのでありまするけれども、私はかような職權をもつておる人が、その縣内において立候補する場合に限つては、非常なる惡弊がありまするから、右申し上げるような方法で行くべきものだと思うのでありまして、事前運動にもいろいろなる惡影響の少い事前運動もありまするけれども、右申し上げるような場合に對して、内務大臣はどういうふうにお考えになつておりまするか、御説明を伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=55
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056・大村清一
○大村國務大臣 現職知事の公選知事に立候補する問題、また或は將來參議院議員に立候補する問題という點は、これは確かに愼重な考究を加えなければならぬことであります、御承知のように地方制度の改正に當りまして、選擧なり投票なりの管理委員會制度が新しく設けられまして、知事或は市町村長というような地方公共團體の長は、選擧關係の管理委員でないことにいたしたのであります、その結果といたしまして、地方公共團體の長は、在職のまま立候補することが制度の上で可能に相なつたのであります、これは畢竟將來地方公共團體の長が公選になります以上、現職のまま立候補することを禁止することが、實際上不都合な點がありますので、このように改正になつた次第であります、そのような關係でございますので、現職知事の立候補を法律上公認をいたしております、また選擧の實際を考えてみましても、尤もその例は澤山はないかも存じませんが、現職知事が非常な聲望のある人がかりにあるといたしまして、本人は何ら知事に立候補いたして選擧運動をいたし、そうして選擧の場裡で相手の候補と競爭するようなことなく、他人の推薦によりまして立候補屆出があり、その聲望が絶大でありますために反對候補も立たない、無投票當選というようなことも、時にはあり得ることと思うのであります、そういうような場合を考えますと一向差支はないものと思うのであります、なおその全く正反對のものといたしましては、現職知事でその地位を濫用する乃至は利用いたしまして、對立候補者と輸贏を決するというような態度をとるものがありといたしますると、これはもつてのほかだと思うのです、お話のごとく地位を濫用する者は申すに及ばぬことでありますが、濫用という程度に至りませんでも、その地位を利用いたしまして、御例示になりましたような、或は道路その他の府縣の施設を餌に、自己に選擧運動を有利に展開させようというような利用をいたすというようなことも、これは豫想いたされますが、このようなものがありましたならば、直ちにその職から退いて貰いたいというように取扱つておる次第であります、なほお話の中にありましたごとく、知事が立候補をする場合においては、二、三ヶ月前に退職さすということも、これは一つの方法でございますが、選擧の期日前二十五日の時でありませんとそれがわからぬことであります、いろいろの今日知事の立候補の噂等はございますけれども、多くはそれらは、調べてみておりますが、噂の程度に過ぎません、立候補を決意しておるような知事はいまだ一人もないと思うのであります、選擧の期日が前にも申し上げましたように未定でもございます、また數ヶ月前に辭職させるというようなことも、立候補屆出が二十五日と法定されております以上困難なことであります、かれこれ考えまして前に申し上げましたごとく、政府といたしましてはつとに閣議決定をもちまして、現職知事その他の官吏が、公選知事に立候補する場合におきまして、もしその地位を利用するというようなことがありますならば、これは許すべからざるものといたしまして、嚴重にそれを禁止いたしております、もしこれに違反する者がありましたならば、その進退も政府において考究するということを閣議決定いたしまして、これを公表いたし、また地方長官に對しましてそのような嚴重な示達をいたしておるのであります、その方針を嚴守いたしまして、來るべき知事公選には政府は十分善處いたす方針であります、この方針を堅持して參りまするならば、實際上におきまして支障はないものと考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=56
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057・伊東岩男
○伊東(岩)委員 現任知事がその縣で立候補するような場合に、お話の前段のような場合はまことに好ましいことでありますが、しかし後段のような場合はまことに危險でありまするので、それぞれ注意の通牒が出ておるといたしましても、只今各府縣からの噂を聞いておりますると、かなり事前運動が行われておることを事實承つておるのでありまして、この點については特に御注意を申し上げて置きます
さらに參議院に或は知事が立候補する、或は市町村長が現職のままで立候補した場合において、現職のままでありまするならば、選擧運動はできぬのであると思います、從つて第三者の推薦運動以外にはできない、かように考えておりまするが、この場合に選擧運動でなくても、知事がかような行動をとりますることは、脱法的に權利が濫用される恐れがあると思うのであります、從つて運動はできないことになつておるのでありますが、第三者運動以外にはできないのでありまするか、この點を明らかにしていただきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=57
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058・郡祐一
○郡政府委員 お尋ねの趣旨は——もし聞き違えておりましたらまたお示しをいただきたいのでありまするが、參議院議員の選擧運動に、知事は勿論官吏であるから、現職ではできないけれども、選擧運動をする場合はどうであるかというお尋ねでありまするならば、選擧事務に關係のあります官吏は選擧運動を禁止いたされておりまするけれども、それ以外のものは禁止をいたされておりません、しかしながら官吏につきましては、官吏法上の當然の規律を受けるわけであります、從いまして、第三者運動といたしまして一般の國民が用いまする選擧運動はこれを行い得るといたしましても、さらに官吏といたしまして、一般の國民の場合よりは選擧運動の幅は、官吏服務の關係上當然制限されるものでありまして、これに對しましては服務關係で、その監督の地位にありまする内務大臣から當然必要な制限を加えて參つております、その例は、たとへば警察官吏等につきまして、警察官吏も從來選擧事務に關係のある官吏ではありませんから、法律だけを見ますれば選擧運動ができるというような言い方もできますけれども、これに對しましては現にその選擧運動を禁止しております、知事につきましても同じような扱いに相なることと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=58
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059・伊東岩男
○伊東委員 選擧權と被選擧權についてでありますが、恩赦によつて選擧權が囘復されたのであります、これは非常に結構なことであると思いまするが、いくたの選擧が目の前に控えた今日におきまして、恩赦は受けましてもその特典の活用は、手續きが終了いたさなければできないものと考えております、なかなかその手續きについては、今日までの經驗によりますると容易でないのであります、遲々として運ばないというのが從前の事實でありまするが、これはどの程度まで進んでおりまするか、もしこれが進んでおらないということになりますると、折角受けました特典が利用されない、殊に選擧違反等で失格しておつた者は、相當多數被選擧權が囘復されて、立候補する者も相當おるのであります、これは大きい問題でありまするが、この點はいかがでありましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=59
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060・郡祐一
○郡政府委員 お話の通り恩赦を受けましても、復權手續きによりまして檢事の證明を得ておりませんと、爾後の權利の行使ができないのでありまするが、これは司法省の方で扱つておりますので、現在どの程度に進行しておりまするか、私ども只今の所承知いたしておりません、もし遲れておりまする事例につきましては、司法省に對して極力督促することにいたします、今朝おきめをいただきました名簿の特例にいたしましても、隨時選擧の都度調製をいたして參りまして、この恩赦によりまする復權者を載せることが、一つの目的になつておりまするが、手續きの遲滯のためにさようなことのできませんことは、まことに遺憾であります、司法省の方に極力私の方からも連絡をいたし、督促をいたして進めたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=60
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061・伊東岩男
○伊東委員 これは大切な問題でありますので、内務省からもその手續きについては促進方を督促していただくようにお願いいたします、なお、司法省から今日おいでになつておらなければやむを得ぬのでありますが、その手續きがどの程度に進んでおるかいつごろまでに終了するかということをはつきり、適當な時期にお答え願いたいと思いますから、この點を御依頼いたして置きます
さらにもう一つ、今度の參議院議員選擧法によつても、どうも腑に落ちぬ點があるのでありまするが、これは選擧權及び被選擧權の問題でありまして、現行の衆議院議員選擧法で、未だ認められない選擧權が認められて來た、すなわち、破産者、被救護者及び刑餘者等でありまするが、これに與えられたことはよいといたしましても、衆議院議員選擧法とそこで食違いになるのでありますが、これはなぜ今度の特例案でかようなことを同時に認めるようにされなかつたのでありまするか、これは別に理由があるのでありまするか、或は選擧法を改正しなければかような點はいけないといたしますると、選擧權被選擧權の問題が、衆議院の現行法と非常に食違いがありまして、まことに面白くないことだと思いまするが、この處置をいかがされるのでありまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=61
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062・郡祐一
○郡政府委員 途中におきまする研究といたしましては、選擧權の擴張に關しまする部分の改正をお願いいたそうかというような研究もいたしてみたのでございます、ただ、通常議會もきわめて差し迫つておりまするし、その際には衆議院議員選擧法の改正案というものは、當然御協贊を願わなければ相成らぬ時期に相成つておりまするので、從いまして、參議院議員選擧法と、衆議院議員選擧法の食違いのありまする點は形は、好ましくないのでありますけれども、だいたいきわめて近い時期にかような部分については、全く釣合いのとれました法律を提案し得るという工合に考えまして、このたびはその部分については觸れなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=62
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063・伊東岩男
○伊東委員 地方制度改正の場合もこの點には觸れてなかつたと思うのであります、といたしますると、近く行われる所のいくたの地方選擧に對しては、參議院議員選擧法ではその資格の擴大を認められて、今度は地方選擧等には選擧權被選擧權が得られないということになりますると、これはまた非常な大事な問題であるのでありまして、近いうちに適當な方法を講ずるということを仰しやるのでありますけれども、次ぎの縣會議員、市町村會議員等の選擧に、それが間に合わないのじやありませぬか、その點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=63
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064・郡祐一
○郡政府委員 參議院議員選擧法で缺格條項を整備してありますもののうち、破産者、貧困者、一定の住居を有しません者、これらに關しましては、過般御協贊を得ました地方制度のうちで改正をいたしております、軍人につきましても、地方制度については、既に選擧權を與えることにいたしております、違つております點は、刑餘者につきまして、刑の執行中の者を除きましては——詳しく申しますれば、刑の執行中の者及び執行を受けることがなくなるまでの者を除きましては、すべて選擧權を與えることに參議院選擧法ではなつておりまするが、地方制度では刑餘者につきましては、衆議院議員の場合と同じになつております、それは地方制度改正の時の研究の程度におきましては、いまだ刑餘者についての確たる方針が決定しておらなかつたのであります、しかしながら大部分の者につきましては、地方制度については既に缺格條項の整理がいたされております、從いまして衆議院議員選擧法につきまして、これらの部分の一切を同樣にいたしますること、それから地方制度につきましては、次ぎの改正の機會に、刑餘者の分だけについての缺格條項の整理をいたしたい、かように考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=64
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065・伊東岩男
○伊東委員 もう一、二點簡單にお尋ねいたします、追放令の審査委員會の構成問題でありまするが、追放令の適格審査會の構成について、その委員の選定の問題は、どういうふうな御方針になつておるのでありまするか、適格審査をする審査委員の選定ということは、これは非常に大切なことであると思います、殊に中央委員會ではだいたい公正を期し得られると思いまするけれども、地方の委員會においては十分注意を要する點が多いと思います、追放令をめぐつて、現在のごとく血をもつて洗うといつたような情勢下におきますることは、まことに殘念なことであります、密告や感情等によつて決定を見るというようなことが、かりにもあつたといたしまするならば、これは非常に大切なことだと思うのであります、從いまして公正妥當な委員が出ることは、原則的にはしかりであります、中央においてはだいたい心配はいらないと思いますけれども、地方においては、數も多いのでありまするから、よほどこれは大切な問題であります、よつてこの構成についての御方針、及びお考えをお聽きしておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=65
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066・郡祐一
○郡政府委員 地方におきまする資格審査委員の選定につきましては、府縣委員會については知事が、市委員會については市長が任命をいたすのでありまするが、その委員の資格審査は、中央の審査委員會でこれを行う手續きをとつております、そうしてこれらの場合におきまして、努めて公平に、その經歴がクリーンであることは勿論でありまするけれども、一派に偏することなく、また或は權力關係にあります者が、不當なインフルエンスを及ぼすことがないように、いろいろな考慮を拂いまして、その任命を知事及び市長がいたすように指導をいたしております、從いましてこれらの者については官公職を有しません者に限りまして、ただ裁判官とか教育者とかいうような者については、特に官公職にあります者でも、委員になることを認めておりますが、それ以外の官公職にあります者は、これを任命をいたさぬことにいたしまして、現在任命の準備が行われておる次第であります、勅令の施行と相まちまして、その審査につきましては中央委員會において、さらに愼重にいたすことに相なつております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=66
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067・伊東岩男
○伊東委員 委員の適格條件というものは、今度の勅令などではつきりなるのでありまするが、今の御説明によると、特殊な官吏あたりのことを仰しやるのでありまするけれども、それ以外の人もだんだん或は入ることと思います、そこでその適格條件というものは、何かで規定されているのでありまするか、この點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=67
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068・郡祐一
○郡政府委員 任命の準備をいたしまする際に、只今申しましたような官公職にあります者を、原則として排除する等の指導は與えております、しかしそれ以外に、積極的な適格條件というものは置いておりません、これは中央委員會におきまして、審査をいたす際に箇別に見て參る、かようにいたしております、と申しまするのは、これは勿論資格審査委員でありまするから、覺書に該當いたしますようなことが認められぬことは勿論でありますが、積極的に審査委員としての適格條件をきめるということは、きわめて困難であります、努めて公正なる立場にある者をとるということにいたしております、それ以上の審査というものは、中央の適格審査委員會でいたすことにいたしております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=68
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069・伊東岩男
○伊東委員 もう一點お伺いして私の質問を終了いたします、これは關連事項でありまするが、中央の追放適格審査に完全に合格と決定した者があるといたします、これが再び覆えされることはないものと信じておりまするが、一體日本政府でこれを決定する、しかもこれが合法的であり民主的であつた場合に、決して右申し上げるようなことはないのが建前だと思いまするが、かような場合において、なんらか別箇の方面から追放の命令でも來るような場合があるのであるか、かような場合に日本政府の決定したものは、覆えされるのであるかどうかという問題であります
今一點は衆議院議員で適格證を只今もつております、その場合に參議院に出る場合には、さらに審査を必要とするのか、或は次ぎの衆議院議員に立候補する場合に、今適格證があるならば、再び審査を受くる必要なしと思いますが、かような場合にはその通りに承知していいのでありますか、また衆議院議員の適格證をもらつておつて、そしてこの次ぎの知事の選擧、或は市町村長の選擧に立候補する場合には、地方公職の適格審査が必要であるのかどうか、以上の數點について御説明を願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=69
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070・郡祐一
○郡政府委員 中央の適格審査委員會が、專ら責任を負つて審査をいたしておるのでありまするが、いろいろ新らしい材料等によりまして、中央適格審査委員會自身が、數次にわたつて同一の人について審査を重ねる、一應結論がついたかのように外部から見えましても、さらに審査を繰り返えし、そうして新たなる決定をしているという事例はあるように見受けております、それから衆議院議員の資格の確認を受けられた方の問題でありまするが、御承知のように、追放令の擴張の勅令は未だ出ておりませんけれども、相當擴張をいたしましたし、あれに伴いましてクエッショネーヤーそれ自身が、かなりに今度は複雜なものに相なります、從いまして別の選擧に立候補される場合、或は次ぎに衆議院議員の選擧が行われる場合等には、新たにクエッショネーヤーを出していただき、確認をいたすということになるのではなかろうかと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=70
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071・伊東岩男
○伊東委員 私はそれで終りますが、もう一つ、追放令の勅令は近く出るということでありまして、そこで内容というものがはつきりすると思いまするが、聽いておきたいことは、先ほど豫算委員會でも内務大臣から詳しくお話を聽きました、今度の地方公職追放令に、三役、すなわち町村の翼贊會の支部長及び翼壯團長及び分會長、この三役だということをはつきり申されたので、それでだいたいはつきりいたしましたけれども、話によると縣郡翼贊會支部の顧問、參與或は常務委員等が追放適格ではなかろうかと、だんだん地方でも心配いたしておるのであります、この點はさようではないと思つていいのでありますか、この點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=71
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072・大村清一
○大村國務大臣 お尋ねの點はその通りであります、ただここで補充いたしておきますが、三役と申しましたのは、專ら町村に限つて御説明を申し上げたのでありまして、郡でございますと、郡におきましても翼贊會の支部長がある、翼贊壯年團長がある、それから郡の在郷軍人會の連合分會長がおります、郡におきましも三役は該當いたします、それから縣におきましてもだいたい同樣でありますが、縣にはまだ三役のほかに、翼贊會でございますと事務局長、部長というものが加わつております、お尋ねの顧問、參與、常務委員等は該當いたしません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=72
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073・伊東岩男
○伊東委員 終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=73
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074・犬養健
○犬養委員長 仲子隆君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=74
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075・仲子隆
○仲子委員 簡單にお尋ねいたします、過般本會議でお伺いいたしたのでありますが、今度の運動が、或は費用がだいたい無制限であるということについては非常な問題がありますので、これをもつと角度を進めて、公選の費用も候補者からとる形にして行くならば、先ほど來非常に疑われ、或は不安を感ぜられたことが除去されるのではないかと思います、内務大臣から過般お示しになつた程度よりは、もう一歩進めて、一定の公選費を立候補者からとつて、公選の事業を盛んにするという方法はありませんか、これが一項目
その次ぎに議員は指定の官吏以外のものは兼任できないことになつておりますが、參議院の性格を立派なものにするというのであるならば、學者等がこれに多く出る必要があると思います、しかるに今の制限から行きまして、大學教授等は參議院には出ないというふうになつております、それでこれはそういう地位のものは、みずから官吏をやめなければならない、つまり大學の教授をやめなければならぬ形になろうと思います、これらに對してなんとかそういう、大學の教授というような、經濟とか、法律とか、その他の問題を十分研究しておるものを生かして、參議院に出るようなことについての御研究はありませんですか、次ぎにこれは少し違うかも知れませんが、たとえば學校教員のごときは、知事、市町村長、縣會議員、町村會議員等は兼任しても、行政上所屬長官の認可がなければこれはできない、こういう形になつておる、これと今の衆議院議員、參議院議員の取扱いは違うのでありますが、それらは行政所屬長官の方で許可する御方針であるかどうか、この三項目をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=75
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076・郡祐一
○郡政府委員 第一は公營の擴張でございますが、公營と申しますることは、可及的これを十分にいたしますることが望ましいのでありますけれども、現在の勞力或は物資の状態から申しまして、只今豫定されております以上には、公營を擴張することは困難だと考へております
第二に官吏の兼職の問題でございますが、政務官以外の官吏は兼職を禁止いたしております、これは官吏がその服務關係におきまして、國の最高の機關を構成いたしまする議員と兼職をいたしますることは、適當でないと考えておるからであります、從いまして大學教授は、その仕事の中味といふものは、確かに一般の官吏とは性格を異にいたしておりますけれども、やはり服務の關係におきましては、これを一般官吏同樣に見るべきものと考へるのであります、殊に國會が今後きわめて長い期間開かれますることを考えますと、大學教授である官吏も兩立することは困難だと考えます、大學教授がもつておりますような知識經驗は、官吏たる教授以外から求めることができようかと考えております
一般の教員についてでありますが、一般の官吏以外のものにつきましては、その扱いというものは所屬長官の認可がありますならば、これは官吏法上の拘束を受けません限りにおきましては、單に身分關係における拘束を受けるだけであります、認可を受ければ差し支えないわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=76
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077・仲子隆
○仲子委員 以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=77
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078・犬養健
○犬養委員長 明日午後一時から質疑を續行することにいたしまして、本日はこれにて散會いたします
午後三時五十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00219461221&spkNum=78
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