1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了ノモノヲ除ク)
増加所得税法案(政府提出)(第五號)
有價證券の處分の調整等に關する法律案(政府提出)(第七號)
戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案(左藤義詮君外四名提出)(第一號)
昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出)(第八號)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(政府提出)(第九號)
昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の經費支弁のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出)(第一二號)
政府の契約の特例に關する法律案(政府提出)(第一三號)
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昭和二十一年十二月二十二日(日曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 稻田直道君
理事 井田友平君 理事 西村久之君
理事 小池新太郎君 理事 佐竹晴記君
理事 松永義雄君 理事 赤澤正道君
今井はつ君 川西清君
田中實司君 天野久君
圖司安正君 田中健吉君
川島金次君 稻村順三君
大澤喜代一君 駒井藤平君
二階堂進君 的場金右衞門君
井出一太郎君 疋田敏男君
十二月二十二日委員井上良次君辭任につきその補闕として田中健吉君を議長において選定した。
出席國務大臣
運輸大臣 平塚常次郎君
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 池田勇人君
大藏事務官 櫛田光男君
大藏事務官 長沼弘毅君
大藏事務官 大槻義公君
商工政務次官 小林かなえ君
商工事務官 吉田悌二郎君
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本日の會議に付した議案
増加所得税法案(政府提出)
有價證券の處分の調整等に關する法律案(政府提出)
戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案(左藤義詮君外四名提出)
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出)
食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)
昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出)
政府の契約の特例に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=0
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001・稻田直道
○稻田委員長 それでは會議を開きます。前囘に引續き質疑を進めます。井田友平君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=1
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002・井田友平
○井田委員 増加所得税の法案については、各委員からいろいろな質疑がありまして、私これに對して總括的な質疑を差控えまして、この法案の施行に當りまして、これが現在の經濟界に及ぼす影響が非常に甚大ではないか、こういう點をお尋ねいたしたいのであります。御承知の通り、今、日本の經濟界はややもすれば惡性インフレに突入する直前というような状態になつているので、この法案が間接に狙う所は、その惡性インフレを幾分でも阻止するという點にあるのではないかと思うのでありますが、これが施行の如何によつては、逆效果を現わすのではないか。それを具體的に申し上げて見ますれば、この法案を施行するに當つて、從來の建前から行きますれば、どうしても健全なる事業家へ課税するのが、税務官吏の一番樂な途である。つまり一定の營業と實績をもつている人間に課税するということが、一番樂な途なのであります。所が日本の經濟界は、過去一年間を見ますと、健全なる事業家というものは甚だ振わなかつた。いわゆる電話と頭腦と萬年筆でもつて、闇で活躍した人達が非常な金を儲けている。またこの人達によつてインフレも増長されている。ここをつくというのがこの法案の目的でなければならないのでありますが、施行するに當つて、どうも從來の税務官吏の行き方からいえば、こういう所をつくことができない。インフレを防止するには何よりも生産の増強をすることが必要で、生産を増強するには健全なる事業家を奬勵育成しなければならぬものを、あべこべに、この法案において健全なる事業家の出先を挫くというような結果が現われはしないかということを、われわれは心配しているのです。これに對して大藏當局はどういう運營と施行の方法をもつておられるか、その點をお伺いいたしたいと思ひます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=2
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003・池田勇人
○池田(勇)政府委員 お説の通りでございまして、われわれといたしましては、この法案によりまして、いわゆる新圓闇所得階層に主力を注いで行きたいと考えております。健全な事業家はそう大して増加所得は出ないと思います。増加所得の多い方は俗にいう闇商人、こういう所にあると思うのでありますから、調査の重點をそういふ方面にもつて行きます。從つて調査の方法も、從來とは或る程度變えて行かなければ相ならぬと思つております。あの手この手で、とにかく新圓所得階層をできるだけ廣範圍に、また徹底的に調査いたし、本法案の目的を達成いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=3
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004・井田友平
○井田委員 狙いは結局大藏當局の狙いも、われわれの考えておる狙いも一致すると思います。これは極く簡單な俗な言葉で言ひますれば、勿論農村、漁村の闇を賣つておる階級は、非常な金をもつておりますが、これ以外にリユツクサツク一つで數十萬圓の金を儲けた人が澤山ある。それから今の頭腦と萬年筆一本でもつて數百萬圓の金をもつておる人がある。多くはこういつた階級に新圓がだいぶ行つておると思うのでありますが、これを捕まえる方法についてわれわれの心配しておるのは、捕まえ得るか否やという點なのであります。税務官吏を殖やしたくらいのことでは、ちよつと捕まえられないと思うのでありますが、この點について大藏當局では何か非常な妙案でもあつて、必ず捕まるという確信がありや否やを、一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=4
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005・池田勇人
○池田(勇)政府委員 なかなか具體的に申し上げることは困難でございまするが、今までのように店舖を構えておるものだけを調査いたしまして、それで事足れりというようなことでは、お話の通り目的は達し得られぬと思います。どちらかといえば、消費の方面からいわゆる個々の家庭に入りまして、そうしてその人の消費状況から所得を推察する方法もあると思います。またこういう問題はぶつかつて行つて、そしてその場合々々に頭を働かして、次ぎから次ぎへと調査を進めて行けば、相當掴み得るのではないか。今までのような店舖についてどうこうするということのみに限らず、消費の方面から所得を推定して行くような方法もとつてみたいと思います。なかなか初めからこうやつて行くという名案は今の所ございませんが、先ほど申し上げましたように、いろいろな場合につき當りまして、いろいろな方法を案出して行きたいと思つております。お話のごとく電話一つ、萬年筆一本で儲けるというものも相當ございましようが、一般の店舖を構えてやつておられる方でも、昭和二十年の實績に比して、二十一年は十倍或は二十倍、三十倍というような儲けをしておられる方も相當あるのであります、たとえばアイスキヤンデーで三箇月に三十萬圓儲けたとか、或は電氣器具で數十倍に相當する儲けをしている者も相當數われわれの方にもうわかつておるのであります。いわゆる電話一つで儲けた新圓階級もありますが、こういう正常な商行爲で相當巨額の所得を得ている人もあるのでございまして、實際面に當つて十分力を盡くして、課税漏れのないように努めたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=5
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006・井田友平
○井田委員 今家庭の消費状態においてというお話がありましたが、これは家庭を調べてその家庭だけの問題を調べるならば、それも行きましようが、結局大きな隱れた利益をどういうふうに調べるかという點を私は聽いているわけです。要するに帳簿に上つて來ないもの——税務署では帳簿に上つたものに課税するのが一番樂なんです。所が帳簿に上らないものが今の商取引の大部分ではないかと思います。この帳簿に上らないのが九五%で、よしんば店をもつておつても、帳簿に上るのはわずかに五%ぐらいではないかと思います。こういうものの調査をどういう方法でやつて行くか。家庭を調べるよりは、むしろ料理屋とか待合とか、そういう所へ行つて、その業者の實績を調べるにあらずして、そこに來て月十萬圓でも二十萬圓でも金を使つておるという業態を調べるということの方が、ほんとうではないかと思いますが、この點はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=6
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007・池田勇人
○池田(勇)政府委員 勿論、たとえば料理屋に參りまして、誰がどのくらい消費しているということも一つの資料になりましよう。また個々にバラツクを建てて營業を始めている人につきまして、このバラツクは誰に請負わしたかと尋ねて、請負業者の所へ行きまして、材木はどこから買い受けたかというふうに芋蔓式に調べて行けば、相當程度の效果は擧るのではないかと思います。ですから、調査を次ぎから次ぎへずつと進めて行けば、電話一本の闇商人も、どこかでは捕まえ得るという考えをもつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=7
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008・井田友平
○井田委員 この調査に一番いいのは、われわればかりではなく、誰が考えても、新圓の處置ということが一番調査によいと思うのですが、この點はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=8
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009・池田勇人
○池田(勇)政府委員 新圓の處置という御質問が、はつきりわかりませんのでございますが、今までの委員會で新圓を再封鎖したらどうか、こういうふうな御意見がございました。しかしこれは經濟政策としてとるべきものでもございませんし、またたとえとりましたにいたしましても、新圓を所持しておる人は各方面にそれをばら撒きますから、やつたつて效果がないと思つております。三月三日の時にやりましたのは、財産税という建前の下に、法人にも、或は所得税のかからない公益法人にも、あらゆる種類のものに全部網をかけて早急にやつたから、相當の效果が現われたのでございます。今度所得税のために新圓を再調査するのだということでやりましても、新圓をもつておる人は各方面に分散するのでございますから、效果は何ら達し得ません。八百億の通貨が出ておりましても、個人がもつておるのはその七、八割と考えております。その殘りを銀行或は法人がもつております。それを一戸平均にいたしますと四千圓程度に相なつて參ります。今度は個人の所得税を調べるのだといつて新圓をやりましても、法人に移しますとか、いろいろな手があるのでございますから、新圓を再封鎖したら新圓階級がわかる、こういうことは甘い考えで、實際にはそういうことをしても效果がありません。そういうことは通貨の信用を害しまして、得る所は何もなくて、非常に惡い場面が現われて來る、こう思うのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=9
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010・井田友平
○井田委員 そういう新圓の處置なくして、なかなか新圓階級や闇階級を捕まえるということは、非常に困難だと思いますが、困難でも、結局他の委員からこの間質問されましたように税務署管内ではいくらという頭から額をきめて出す。そうすると税務署長はその額にいたさなければならぬので、何でもよいから捕まえやすいものをどんどん捕まえるという傾向が今まであつたのですが、こういうことのないように、法案のほんとうの目的、結局インフレ阻止、生産増強という目的に副うように、施行の運用に心を配つてもらいたいということを希望いたしまして、私の質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=10
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011・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは田中健吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=11
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012・田中健吉
○田中(健)委員 政府の契約の特例に關する法律案に關連いたしまして、御當局にお尋ねいたしたいと思います。
ポツダム宣言の受諾によつて、日本は賠償を支拂わなければなりませんが、これは政府國民一體となつて所定通り完遂しなければならぬのは勿論であります。この際政府に對しまして、一應ポーレー案を中間賠償案とみなして、賠償物件を撤去するに要する所の資材、勞力、輸送等について第一點にお尋ねいたしたいと思います。賠償物件を撤去するに要する主なる資材はトラツク或はトラクター、木材。木材のうち原木、製材とありますが、それから箱等に詰められる際の眞菰であります。それから鐵製品、釘、こういう物も必要だと思います。それから石油製品、酸素、襤褸であるとか、カーバイト、こういう物が必要と思います。それから勞務者用といたしまして米、作業衣、手拭、石鹸、地下足袋、其の他梱包材料が必要であります。これらのことにつきまして本日も可なり詳細に新聞に出ておつたように記憶いたしておりますが、これは政府の案であるのか、それとも賠償局の試案であるかどうかをお尋ねいたします。それからこれによりますと、勞務者が相當に使われるだろうと思いますが、あの勞務者の中に技術者を含んでおるかどうかの問題であります。それから輸送に使う所のトラツク、トラクターのようなものも必要資材として擧げられておるけれども、トラツク、トラクターがおもなる輸送機關として使われるかどうか。鐵道とか、そういうものはどういうふうにやつて行かれるか。というのは、今日鐵道が非常に逼迫しておるような状況にありますので、重點をどちらに置くか。從つてトラツク、トラクターが今朝の新聞の發表通りに用いられるといたしますならば、それに對する燃料がどの程度手當てができるかどうか、この點であります。それから賠償物件撤去作業實施の機構の問題であります。これは先般の新聞等によりますと、協力會を作るというような御案のようでありますけれども、この協力會なるものはどういう内容のものであるか。從來のごとく單に天降り的な、官僚的な協力會のようなものを作つてみても、その效果は甚だ疑わしいのじやないか、こういう氣特に考えておるのであります。今度の賠償物件の撤去作業は實に厖大なる量でありますので、輸送資材、勞力方面においても、國民が犧牲的な精神を發揮しなければ、その完遂はむずかしいと考えられるのであります。こういうふうな機構を作るに當りまして、私達の考え方から申し上げるならば、第一に國民の協力がなければならぬと思います。それから政黨であるとか、勞働組合のような團體の協力が必要であると思います。當局といたしましては業者自體による所の機構をつくるようなふうにわれわれは考えられますが、その點について明確にお答えをお願いいたしたいと思います。
第三點は撤去に要する機械、器具、資材の生産力の問題でありますが、現に撤去の目的になつておる生産施設において、機械器具その他資材のようなものがつくられておるような現状であるけれども、これらが撤去され次第に、機械器具、資材の生産機構、能力というものに對して、或る程度の影響があるのではないかと考えますので、撤去作業に當りまして厖大なる撤去作業用の機械器具、資材の生産施設が確保されるお見込みであるか、お尋ねいたしたい。また撤去や輸送の場合に或る程度の減損があるわけですが、それをどのくらいに見込まれているか。もし千二百萬トンの賠償物資を輸送する場合、二割位の減損があつたら、二百八十萬トンといふ厖大な補填をしなければならないが、それに要する部分品としての器具資材の生産能力確保のお見込みがついているかということもお尋ねしたい。
第四點は、撤去には工場移駐とその他の場合と二つあるが、この移駐の場合に、相手國において建設、組立てする場合、多くの準備をしなければならないが、その準備態勢ができているかということについてお尋ねしたい。各省別としては、舊陸海軍の施設は大藏省、舊軍需工場、監理工場、民間工場は商工省、造船關係は運輸省というように記憶していますが、各省において撤去作業を行う場合、勞力、資材の奪い合いになる恐れがあると思うが、この點についてはどうするか。また各省別賠償物件のトン數は、大體でよろしいが、どれ位かということ。撤去本部は内閣に置くと聞いているが、賠償局は商工省だということで、これではあまりに複雜多岐であつて、どこがほんとうの主體であるかわかりかねる點があると思いますから、強力な一元的な運營方法について何か案ができているかどうか、まずこれらの點についてお伺いします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=12
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013・上塚司
○上塚政府委員 田中君の御質問にお答えいたしますが、賠償問題に關するポーレー大使の報告は、これはポーレー大使がアメリカの大統領に報告したものとして新聞紙上において報道されているのでありまして、まだわが日本に對する提案でもなんでもない。すべて田中君の今の質問は假想の上に立つての質問であつて、それに對して政府として現在詳細なる答辯をする用意はありませぬ。さよう御諒承をお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=13
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014・平塚常次郎
○平塚國務大臣 運輸省の關係から行きますると、輸送の面であるのでありますが、これも實際においてどれだけの分量になるのか決定を見ておりませぬので、從つて計畫も具體的に立つておりませぬが、これは決定を見てからいろいろ工場においても梱包をする、できてしまつてから後の輸送でありまするから、決定を見た後でも準備に差支えないと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=14
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015・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今御質問の中で所管の問題についてのお話がございました。これは現在確定をいたしている所を申し上げたいと思います。賠償のために中央に賠償局ができまして、また賠償撤去の實施の事務につきましては、大藏省所管のもの、商工省所管のもの、運輸省所管のもの、それぞれの省におきましてそれぞれ實施の部局をつくり、或は既存の部局においてそれを實施する豫定でございます。商工省では所管の工場が非常に澤山ございますので、特別な賠償實施局というものをつくつてこの實施に當る豫定でございます。そうして只今お尋ねの點については準備中でございまするが、資材、勞力、その他につきましてのいろんな計畫につきましては、各省において今立案をいたしまして、これを賠償局で取纏めてそれぞれの調理をはかつて行く、こういうことで只今準備をいたしております。只今きまつているだけを申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=15
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016・田中健吉
○田中(健)委員 私の質問は假想の上に立つているというお話でしたが、賠償撤去資材表というものが發表になつていまして、その數量があまりに厖大ですから、これをいかにして國民が政府に協力して、これだけの資材を調達して、この賠償を遂行するか、これについて發言しているのでありまして、假想の上に立つているのではありません。この點御諒承願います。只今のお話ではまだはつきりしたものではないからお答えできないということですから、これ以上質問はいたしませんが、この際一言伺いたいことは、撤去の種類、數量がまだ明確でないことは勿論ですが、この撤去作業を政府はどういう團體にやらせるかということです。撤去作業勞務者に對し待遇の内容、それから賃金、勞働時間等について何か賠償局においてこの撤去資材表を私案でありましようが、御發表になりまして當然これらのものは考えられなければならぬと思いますが、この點について何か御案があるならば御發表願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=16
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017・小林かなえ
○小林政府委員 只今大藏政務次官から言われましたように、まだ賠償の範圍、その他具體的なものがきまつておりませんから、從つて只今お問いのようなことも確實にきまつたものではありませんが、商工省といたしましては賠償施設撤去協力會というようなものをつくりまして、その中にいろいろ機械や梱包や運送などに對して相當經驗をもつておる團體を加えまして、そしてその中からいろいろと仕事をなすに足るものに對して、仕事をやつてもらう方法をとつて參りたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=17
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018・田中健吉
○田中(健)委員 盛んに範圍がきまつていないとか、何かいろいろなことを仰しやるけれども、一體賠償局の案なりというものは何に基礎を置いて計算したものであるか。私は假想だと言われるけれども、こういう案を發表する場合に何か假想に基づいて發表したものでありますか。その點お伺いして置きます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=18
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019・小林かなえ
○小林政府委員 假想と言うと少し言葉がなんですけれども、賠償施設の撤去をされるということは確實でありますから、それに對應するような方法をいろいろ今考究中でありますけれども、まだきまつた案として外部に發表したわけではありません。その點御諒承願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=19
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020・田中健吉
○田中(健)委員 そうすると今朝或る新聞に出ておりました所のきわめて詳細なと思われる數字は、政府の關知せざる所でありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=20
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021・小林かなえ
○小林政府委員 何新聞に出ておりましたか、私はちよつとまだ讀んでおりませんが、かりに出ておりましてもそれは商工省その他の役所方面において發表したものではないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=21
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022・田中健吉
○田中(健)委員 この際に一々新聞の名を上げて發表を云々するわけではありませんが、私は前の、これはこの場合ひつぱり出すのはどうかと思いますが、米價の問題の場合でも、これらの點についていろいろ論議されたことがあります。いろいろ上の方では關知しないとか、明確でないとか言つてどこから數字が發表になつたものかわかりませんが、新聞で發表になつたというようなことがあつたわけであります。私はこの點について日本の産業に對して重要な影響のあることを、どうしてそういうふうに輕々しく新聞にかなり詳細なと思われるものが發表されるのか疑わざるを得ないのです。私はここに材料をもつております。たとえば撤去重量は何百萬トン、内勞務者はどのくらいかかる、トラツクは何臺なければならぬ、トラクターはどのくらいなければならぬというような、きわめて詳細な數字をここにもつておりますが、今日は時間がありませんから、ここに申し上げることを遠慮いたします。もう一遍お伺いいたしたいことは、もし今朝新聞に御發表なさつておる數字が政府の或る機關の部内から出ておつたものだとします場合に、それは誰が發表その他に附隨した所の責任を負うものであるか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=22
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023・小林かなえ
○小林政府委員 各省におきましてそういう衝に當る人々がお互いに案をもち寄つて相談をしておることはありますけれども、また確實にものが決定したわけではないのであります。或はそういうような各省におけるだいたいの考え、想像のつくようなものがいろいろと想像せられて新聞の記事になつておるのだろうと思います。先ほど大藏政務次官の言われますように、賠償の範圍というものがまだはつきりきまつておらぬのでありますが、しかしだいたいこのくらいのものではないかというような豫想の下に考えて、いよいよの場合にどういうようにやつて行こうというようなことをいろいろ構想を練つて相談しつつあるのでありますけれども、まだはつきりものがきまつたのではありません。もとより賠償撤去の命令があれば、すぐにこれに應じなければなりませんから、政府としてはいろいろな案を練つて、たとえば資材の問題とか、或は撤去に働いてもらう人々の問題とかいうようなことも、いろいろ考慮をしておりますけれども、まだきまつたものではありません。また田中君も御心配になりましたように、この施設の撤去というものは、相當大きな事業であります。あなたの言われるように國民諸君の協力にまたなければ、とうてい完全にやり得ないことであります。また技術方面の職を失つておられるような人々にも、大いに働いていただかなければならぬ。また賠償物資を海外に運んだ先において、これを完全に使うようにするためには、或はこちらから技術に堪能な人を向うにやつて、機械を動かすまで指導して行かなければならぬというようなこともあろうと思ひまするから、そういうようなあなたの御心配になるような點は、各役所においてもいろいろ研究し、構想を練つております。まだだいたいどのくらいの數量、或は梱包に要する資材はどのくらいなものというようなことをいろいろ想像をして、いろいろやつておりますけれども、はつきりしたものはきまりません。發表するまでに役所としての研究はそこまで行つておりません。しかしあなたの仰しやるように、國民諸君の協力にまたなければなりません。また職を失つておられる人はできるだけ働いていただくようにするし、その他機械とかの運送、梱包とかに經驗をもつておられる人々は、できるだけこの仕事に協力していただかなければならぬというようにわれわれ考えて、今、案を練りつつありまするから、御諒承を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=23
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024・田中健吉
○田中(健)委員 一言伺いまして打切りたいと思います。かかる重要なことに關連いたしまして詳細と思われる數字が、何ら首腦部とでも申しましようか、それと連絡もなく發表せらるべき性質のものであるかどうか。これだけの内容のものが、これだけ必要だ、こういつたようなことが、すぐ私は事業界なり産業界に響くと思うのであります。そういう重大なものでありまするから、私は愼重に愼重を期して、各省とも十二分の連絡をとり、その上に發表せらるべきものではないか。こう考えまするけれども、今囘の政府が關知しないという所のそういうような發表が、常になさるべきものであるかどうか、御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=24
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025・小林かなえ
○小林政府委員 何分その賠償の範圍が確定しておりません。賠償は契約ではありません。わが國が戰爭に負けた結果、アメリカからとられるのでありますから、範圍はきまりません。或は一千二百萬トンに達するであろう。或は八百萬トンくらい要るであろうというような、いろいろな想像はされておりまするけれども、何分最後的の決定を見ておりません。それから撤去に對する運送資材も、御承知のように木材だとか、その他いろいろな各種のものが要るのでありますから、木材だけでも一千二百萬石要るであろうというようなことも言われておりますが、恐らく相當澤山のものが要るだろうと思います。これも向うの命令のあるたびごとに、できるだけ早くこれに應じて參らなければならぬ。この資材などは政府においていろいろ調達に骨を折りまして、場合によれば國家が一應所有權を獲得して、それから撤去の仕事に當られる人々に必要部分を分けて行くというような方法もとりたいというふうに考えておりますが、それは漫然と手を拱いておるわけではありませんので、いろいろこれに應ずるだけの方法は、講じておりまするけれども、今はつきりとどれだけのものが撤去せられ、どれだけの資材が要るかというようなことは申し上げるまでに至つておらぬのは、賠償範圍というものがまだ確實にきまつておりませんから‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=25
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026・田中健吉
○田中(健)委員 私の言うのは、はつきりしないものを發表してもいいかということであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=26
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027・小林かなえ
○小林政府委員 それは想像的なことが記事となつて出たんではないか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=27
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028・稻田直道
○稻田委員長 勝手に發言してはいけません。——田中委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=28
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029・田中健吉
○田中(健)委員 私のお尋ねいたしたのは、只今の御答辯とはちよつと違つておる。それはあなたが今仰しやるように、まだはつきりしないものについて、そういう趣旨を發表するとかどうかということがいいことか惡いことか、發表すべき性質のものであつたかどうかということについて御見解をお伺いしたのです。これで打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=29
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030・稻田直道
○稻田委員長 これをもつて通告者もございませんので、増加所得税法案、有價證券の處分の調整等に關する法律案、戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案、政府の契約の特例に關する法律案、右各案に對する質疑を終了いたしました。よつて午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時ごろより再開いたしまして、討論に入りたいと思います。それまで暫時休憩いたします。
午後零時十五分休憩
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午後二時十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=30
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031・稻田直道
○稻田委員長 それでは會議を開きます。討論に入るに先だちまして、本委員會が愼重審議いたしました結果、各派の御意向によりまして増加所得税法案に對する附帶決議及び有價證券の處分の調整等に關する法律案に對する附帶決議が提出せられましたにつきまして、この際その案文を委員長において讀み上げます。増加所得税法案に對する附帶決議。
附帶決議
新圓所得階層に對し撤底的な調査を行い闇その他の不當利得につき嚴正な課税を期すると共に、眞面目な農山漁村民及び中小商工業者の正常な利得に對し過重な課税に陷らぬよう萬全の方策を講ずること。
次ぎに有價證券の處分の調整等に關する法律案に對する附帶決議。
附帶決議
昭和二十一年勅令第五百六十七號會社の證券保有制限等に關する件中第十條金融機關に對し株式取得に必要なる資金の借入申込等につき、會社從業員に出來るだけの便宜を與え以て經濟民主化の徹底を計ること。であります。
これより増加所得税法案、有價證券の處分の調整等に關する法律案、戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案及び政府の契約の特例に關する法律案の各案を一括議題といたしまして討論に入ります。まず井田友平君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=31
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032・井田友平
○井田委員 只今上程になりました増加所得税法案ほか六件に對しまして、私は自由黨を代表いたしまして贊成の意見を申し述べるものでございます。原案贊成に當りまして、ただ一言施行に際して申し述べておきたいことがあるのであります。特に増加所得税法案につきましては、この運用の如何ということが、わが國經濟界に及ぼす影響が甚だ大きいものである、こう考えるのでありまして、なんと申しましても今わが國におきましては、インフレの阻止、經濟の再建、この二つの問題が成ると成らぬは、國の興亡に關するとまで思つておるのでありまして、この再興の二つの目的を達するのには、政府は申すに及ばず、國民全部が全力を擧げてこの目的に向わねばならない。こう考えておるのであります。由來日本の政府、いわゆる役所というものはその枠に因われて、その枠に忠實なる所以か、或る政策、一つの法案というものを遂行するに當りまして、このわが國の一番大事な今申しましたインフレの阻止、經濟の再建という目的を忘れて、この目的に背致するような施行方法が往々見られるのでありまして、特にこの所得税法案の運用に當つては、この目的を十分に加味して執行していただかぬと、折角努力して、大局において國の不利になるというような結果が招來するのではないかということを、私は非常に憂えておるのでありまして、特にこの點を政府に警告いたしまして、本案に贊成する次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=32
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033・稻田直道
○稻田委員長 次ぎに小池新太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=33
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034・小池新太郎
○小池委員 私は日本進歩黨を代表しまして、只今上程になりました増加所得税法案外六件につきまして、贊成をいたすものであります。敗戰日本の今日の經濟状態は、まことに憂うべき現状であるのであります。本税の實施によりまして、不當な利得にほほ笑んでいる者が澤山あるのを徹底的に調査をいたしまして購買力を吸收して、インフレを防止せられ、再建の昔時にしなければならぬのであります。本調査はまことに至難なことと思うのでありますが、十分課税上に公正なる調査を續行せられまして、呑舟の魚を逃して雜魚をとるというような結果に陷らぬように、税務當局の愼重綿密なる御注意がお願ひしたいのであります。一應の努力では、決して十分なる課税が望めないと考えるのでありまして、實額調査なり、また基本調査なり、擔分等にはあらゆる方法を講ぜられまして、現われやすき者に重くなつたり、見えざるものに輕いというようなことのないように、十分御注意が願いたいと思うのであります。なおこの第一種、第二種でありますが、特に必要の經費の調査に當りましては、相當闇値等の肥料であるとか、すべて資材が高いのでありますから、この邊に十分の御調査を願いまして、過重な課税になりませんように、特に御注意をお願いしたいのであります。私は附帶決議をつけまして本案に贊成をいたすものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=34
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035・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは川島金次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=35
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036・川島金次
○川島委員 私は社會黨を代表いたしまして、増加所得税法案ほか六法案に對し、贊成の意を表するものであります。ただこの際一言附加えておきたいことは、只今委員長の報告によりまして明らかな附帶決議の内容につきまして、政府はよろしくわれわれの決議をいたしました意のある所を十二分に參酌せられまして、その決議の徹底的なる實施に誤りなきよう最善の措置を講ぜられんことを特に強く求めておきたいのであります。その中で特に一言申し上げておきたいことは、この増加所得税の實施によりまして、農村民に關係いたしまする事柄でありますが、この問題は過日この席上でも一言申し上げてあつたのでありまするけれども、だいたい政府も御承知のごとく、今日の農村における供出の大部分を占めておりますものは、すなわち中堅農とも稱すべき階級にあるのであります。これらの中堅農の所有面積は、だいたいにおいて一町歩以上であるのが實情であります。從つてこの中堅農とも稱すべき農村民に對しては、必然的にこの増加所得税が課せられるというようなことになると想像するのでありますが、その中堅農に對する課税の問題に對して、かりそめにもその課税の公正を誤るがごときことがありましては、延いて目下日本の重大問題になつております食糧、殊に米麥等の供出意欲の上にも、重大な障碍を來す恐れなしとは保證できないことと考えられますので、その點につきましては十分に斟酌せられまして、かりそめにも中堅農に對する増加所得税の課税がその公正を缺くがごときことがないよう、この點を特に私どもは強く政府に對して希望を申し上げておく次第であります。
さらにもう一點は、政府の契約の特例に關する法律案の中で、特定契約委員會に關する問題がありまするが、この特定契約委員會に關する規程は、追つて政府は勅令で定めることになつておりまして、その内容が未だはつきりいたしておらぬのでありますが、私どもはこの特定契約委員會の構成につきましては、政府としてもその豫定ではありましようが、あくまでも民主的な構成につき十分の意を拂つていただきたいと思うのであります。同時にわれわれの希望といたしましては、この特定契約委員會の構成とさらに特定契約委員會の權限についても、でき得るならば請負業者の事業の實施に對して、この委員會が或る程度の査察等のごとき、いわゆる監督的な權限を附與されるような委員會の構成になりまするならば、最も私はこの法案の實施に對する最善の目的がはたせるのではないかと思うのであります。御承知のごとくこの事業は對しての契約者は政府であります。しかもその政府自體の中の官吏がこの事業執行に當つての監督査察等をなすことになつているのでありますが、從來の例から見ましても、ややもすれば種々なる弊害がそこに生じておりましたことは、これは過去の事實に徴して明らかなる所であります。かかるが故に私どもは、できれば特定契約委員會の構成を民主化すると同時に、さにこの委員會にそうした方面の監督査察等のごとき權限を附與するような適切な方法がありといたしますならば、それを附加えての特定契約委員會という形にするように、十分な御研究を願いたいと思うのでありまして、その點をも私どもは強い希望といたしまして、本案に贊成するものであります。
最後に、本來ならばこの増加所得税竝びにほか六法案、さらに昨日可決いたしました開拓者の法案二件、合わせて八件という多數の法律案に上つているのであります。しかる所この委員會が招集されましたのは去る十九日でありまして、本日をもつてわずかにその審議期間は四日間しかない状態であつたのであります。この委員會に上程されました増加所得税法案はもとより、その他の法案、いずれもきわめて今日の日本の經濟再建の上にも民生安定の上にも重大なる關係のある重要法案であるに拘らず、この委員會にわずかに四日間でこの八件をことごとく審議を終了せねばならぬというようなことになつて參りましたことは、われわれ議會の者としてまことに遺憾千萬なことに考えられるのであります。殊に前議會におきましても、政府は重大なる法案が、わずかな審議期間において次ぎ次ぎと提出されるような事柄に對しましては、われわれ衆議院の者といたしまして、きわめてその審議の期間が少いために、重要なる法案に對して十分な審議をする時間の與えられなかつたことを遺憾とするのであります。どうぞこの點につきましても、今後政府は來るべき通常議會その他の機會におきまして、重要なる法案に對する提出は、十分に議會に對して審議の期間をおくような措置を講じていただきたいということを併せて強く希望いたしまして、本案に贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=36
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037・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは的場金右衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=37
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038・的場金右衞門
○的場委員 私は協同民主黨を代表いたしまして、増加所得税法案ほか六件の法律案について、さつき委員長の讀み上げました附帶決議を付して贊成の意を表するものであります。この際一、二政府に對して希望を申し述べて御參考に供したいと思うのであります。附帶決議にもありましたように、闇取引による闇利得に對しては、嚴正なる課税を期するよう御努力になることと存じますが、さらに第三國人及び第三國人と一緒になつて表向きは第三國人となつていて、その内部には日本人がみずからこれを經營しながら名儀だけを三國人として、しかも課税を免れ、暴利を貪つている者もあるように見受けられるのでありますが、それらに對しても、他の業者と差別のないように、嚴正なる課税をなさるように御努力願いたいと思うのであります。なお農山漁村における、或はまた中小工業者の眞面目な正直な正常利得に對しては、常に重税が課せられる弊害のありますことは、世間周知の事實である。これについては相當思いやりのある取扱いをいたし、重税に陷らぬように御注意願いたいと思うのであります。本會議においても申し上げておいたのでありますが、農産物につきましては特にこの生産費について十分檢討してもらいまして、生産費以下の價格で政府が買上げております主食等については、特に課税を考慮されるようにしなければならぬのではないか。でなければ、現在政府が最も要求をいたしております煙草とか、或は米麥、甘藷等については農村における生産者はその生産を忌避する傾向にありますし、しかも生産したものの供出が意のごとく運ばないのもこの邊に、課税ということに原因することが非常に大きいのでありますから、この點についてはさらに十分の調査をお願いしたいと思うのであります。
なお最後に所得税調査委員の活用ということでありますが、從來の所得税調査委員というものは、その數もきわめて少く、またこれが運用もただ形式的であつて申し譯的に調査委員の贊成したものであり、調査委員に責任を負わせるだけのものであつて、調査委員が調査したものであるという形だけをとつて、實質上はただ税務署の調査の報告を一、二囘聽くという程度でしかないのでありますが、これもこの際改められまして、この數を相當調査に役立つだけの數に改める。なおこれが選定に當つては公正なる、民主的なる方法によつてこれを選定をし、その民主的なる方法によつて選定された相當數の調査委員によつて原案作成にも、また標準率の調整にも參加せしめて、名實ともに調査委員たるの實を擧げしむるように御配慮願いたいと思うのであります。しかして從來までの推定課税というようなものに間違いのないように、適正な課税ができまするように運營していただきたいということを、われわれは希望するものであります。以上簡單でありますが、わが黨の希望を附して増加所得税法案外六件について贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=38
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039・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは疋田敏男君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=39
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040・疋田敏男
○疋田委員 私は國民黨を代表いたしまして増加所得税法案外六件に對しまして一應贊成をいたしまするが、わが黨の態度をこの際明瞭にいたしておきます。それは政府は通貨安定委員を通じられて、全國的に新圓を預貯金しても財産税には關係がないということを縷縷述べておられます。また今議會の豫算委員會の席上においても、預貯金の奬勵、或は預貯金の秘密主義を説いて來ておられまするが、増加所得税法案が通過して實施されまするならば、これは必ず預貯金の障碍になるものと私どもは考えておりますから、萬一さような事態が起つた場合には、わが國民黨はその責任を擔うことはお斷りしなくてはなりません。さらに増加所得税法案の第四條の第一種、第二種、第三種の控除金額は、この程度では現在の諸物價の程度、いろいろの點を睨み合わせまして甚だ不滿足なものであります。從つてわが黨といたしましてはこの金額を二倍にすることをこの際希望いたしまして、將來政府が十分に御考慮を拂われんことを期待をいたしまする次第でありまして、以上の點を特に強調いたしまして贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=40
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041・稻田直道
○稻田委員長 これをもつて討論は終局いたしました。これより各案を一括して採決いたします。各案とも原案に御贊成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=41
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042・稻田直道
○稻田委員長 起立總員、よつて各案はいずれも全會一致をもつて原案の通り可決いたしました。
次ぎに各派の共同提案にかかる増加所得税法案に對する附帶決議につき採決いたします。この附帶決議を付するにつき贊成の諸君の御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=42
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043・稻田直道
○稻田委員長 起立總員であります。よつて本附帶決議はこれを付することに決しました。
次ぎに同じく各派の共同提案にかかりまする有價證券の處分の調整等に關する法律案に對する附帶決議について採決いたします。この附帶決議を付することに贊成の諸君の御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=43
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044・稻田直道
○稻田委員長 起立總員、よつてこの附帶決議もまたこれを付することに決しました。
この際委員長より御挨拶を申上げます。本委員會は會期切迫の折柄に開かれましたに拘わりませず、しかもほか八件の議案が併託されたのであります。しかるにだいたい無事圓滑に議事を終了いたしまして原案が可決いたされましたととはひとえに各位の多大なる御精勵の賜ものであると存ずる次第でありますることもに、不肖私の委員長をして大過なく終らしめていただきましたことを、ここに厚く感謝いたしまして、これをもつてこの委員會を閉ずることにいたします。本日はこれをもつて散會いたします。(拍手)
午後二時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00419461222&spkNum=44
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