1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
内閣法案(政府提出)(第一號)
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昭和二十一年十二月十三日(金曜日)午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 高橋泰雄君
理事 小野眞次君 理事 江部順治君
理事 淺沼稻次郎君 理事 棚橋小虎君
理事 竹山祐太郎君
飯國壯三郎君 江藤夏雄君
花月純誠君 栗原大島太郎君
田邊讓君 綿貫佐民君
五坪茂雄君 苫米地義三君
宮前進君 最上英子君
八木佐太治君 金井芳次君
清澤俊英若 井上徳命君
疋田敏男君 丸山修一郎君
出席國務大臣
國務大臣 植原悦二郎君
出席政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
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本日の會議に付した議案
内閣法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=0
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001・高橋泰雄
○高橋委員長 これより會議を開きます、淺沼稻次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=1
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002・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は三、四點について國務大臣に質問したいと思うのでありますが、まづ第一に今期議會は憲法附屬の法典をきめます重大な議會であります、從いまして私どもといたしましては憲法附屬の法典中、國會構成に關する選擧法について、政府は當然政府みずからの手によつていかにするか、もし改正の必要ありとすれば、今議會に提出されてしかるべきだと私は考えるのであります、しかし現在までに内閣においては法制審議會も設けられ、附屬の法典についてはそれぞれ研究を進められておるのでありますが、國會構成につきましては、參議院の構成について、參議院選擧法が現在貴族院に上程されておりますが、しかし衆議院の構成については、何らの案を示されておらないのであります、この點についていかようなお考えをもつておられるのか、この際伺えれば非常に幸いだと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=2
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003・植原悦二郎
○植原國務大臣 選擧法は御承知の通り、新しい選擧法でこの前の選擧を試みたわけであります、そこで政府といたしましても、實際行うてみた結果、或る點においては改正を必要として考えておりますが、選擧法は議員自體のことに密接な關係のあることでありますから、只今衆議院の各派の方が御研究になつて成案を得るように御盡力になつておるということを承知いたしておりますので、それならばむしろ議員自體に一番直接の關係があることでありますから、その方々の御研究によつて成案を得れば、それが一番いい方法ではないかと考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=3
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004・淺沼稻次郎
○淺沼委員 その點よく了承できるのでありますが、政府として改正すべき點があると、今國務大臣は言われたのでありますが、どういう點が改正さるべき點であるということに氣がつかれておるのでありましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=4
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005・植原悦二郎
○植原國務大臣 政府として具體的にどの方面というて、まだ結論には到達いたしておりません、必要なことでありますから、あらゆる方面において研究をいたしておりまするが、まあ誰しも氣づきますることは連記の問題であります、前選擧の實際に鑑みまして、連記のはつきりした缺點であることは、これは何人も認めておる所と存じます、連記の趣意は、大選擧區でありますから、同じ主義主張をもつておる人に體して、なるべくその方の意思を表示させるようにということの、前内閣においての立案の趣意だろうと思います、しかるに結果を見ますると、全く主義の反する人に向つて、三名連記の場合においては三名とも違つた主張の人に入れておるような實情が、全國の選擧の結果に多くあるように承知いたしております、さようなことは全く連記の意味を抹殺することであります、二名連記の場合に、二名とも同一の主張の人でなくて、全く相反する主張の人を書いたとすれば、ちようど碁を打つ時に白と黒とをもつて打つておるような無意味なもので、そういう實例が澤山あるので、それはいけないと考えております、これもまだ政府として決定しておる意見ではありませんけれども、さようなことも考えております、大選擧區というようなことをやつてみましても、結局實際の選擧の結果はおのおのその人の個人的關係で、一區劃を限つてそこで投票を集める、あとの投票は全縣に散票を集めるというような形になつておりますから、むしろ選擧の意味を徹底せしめるには、この選擧區の改正もした方がいいのではないか、勿論現在の大選擧區、いわゆる一府縣一選擧區をとつて參りまする場合に、いかにこれを研究してみました所が、大選擧區制をとつて澤山の投票を廣い範圍に集めるならば、何としても比例代表制をとらなければならぬということが、理論的の結論ではなかろうかと思います、所が日本の今日の國民の政治的の知識の状態、經驗の状態、また訓練の状態、また政黨の今日の實情に照らしてみますれば、比例代表をするならば、政黨によつて比例代表制を立てるより仕方がない、この點を國民も、政黨が主義主張になつて立つ以外の何物でもないということをはつきり認識いたし、また政黨もさようなふうに截然として對立しておる状態ができ上らない限りは、比例代表ということを言つても、實際實行はできない、ちようど連記の制が失敗に終つたと言うことが正しいならば、そういう國民の政治的訓練と知識と經驗の下においては、比例代表ということは行われぬ、こういう結論に到達すべきではなかろうか、これがあえて政府できまつた意見というわけでありませんが、そういう意見もあります、だから大選擧區比例代表というようなことも、どうもうまく行かぬのではないか、これはもう連記によつて試驗濟みだ、なおさらまた選擧の實情に照らして、候補者がおのおの小さな範圍に自分の地盤をつくつてやつている以上は、あえて大選擧區というようなことが、ほんとうの選擧區民の意思を代表する所以にならぬ、こういうようなことも政府の研究として出て來ておる一つの理由であります、また、實際理論上のみを言うならば、ほんとうに政黨政治をはつきりと確立して、議會政治のステディーな進行を見ようとするならば、世界各國の實情に照らして一區一名の小選擧區が一番よろしいのだ、一區一名の小選擧區によらざれば、ほんとうの政黨政治の確立はできぬのだ、淺沼君よく御存じの通り、民主主義の理論的鬪爭においては、フランス國民はどこの國民より優つております、しかるにも拘らずフランスの國ほど立憲政治のうまく行つていない國は過去においてない、最近においてもドゴールですから、小黨分立によつて連立内閣をつくる場合においては、政治の安定は得られない、こういうことをはつきり言つている實情に徴しましても、どうも小黨分立して行く政治には、議會政治の上、殊に國會を中心として内閣をつくるという上においては、安固な、幾分長期間にわたつて徹底せるいろいろの政策を行う所の政府はつくり難いという立場から考えますれば、理想的に言えば、一區一名の小選擧區が一番いい、そこで爭う場合においては、選擧民もよくその主義を徹底することができる、またその候補者の人物もはつきり選擧民に映し出すこともできる、二つの投票が右か左かを爭う點においては、まことによろしい、こういう點が考えられますけれども、それを直ちに日本の實情に移すということになると、實行はできるかも知れませんけれども、實現できるかどうかという點については、これはまた非常に、淺沼君御承知の通りにむずかしい、選擧區の問題ほど議會できめるのにむずかしいことはない、なぜかなれば、それによつて出ている方は自分の足を變えることだから、これはなかなか人情上できないことである、そういうようなことも考えまして、まだ選擧法の改正ならば議員方の經驗によつて十分に研究を遂げられて、できれば、それが政府で手をつけるよりよからうではないか、といつて、それのみに託して政府が傍觀しているわけではありません、政府としてもできるだけの研究調査をして、いかなる場合においても、對處できるようなことをいたしておかなければならないと思うております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=5
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006・淺沼稻次郎
○淺沼委員 利害得失につきましては、だいたい政府の考えている所では連記制竝びに選擧區制の問題について考慮を要するという話でありまして、これについては私も意見をもつておりますが、この内閣法につきましての特別な關係があるとしても、それは衆議院の構成の問題でありまして、これ以上お聽きしようという氣はないのでありますが、しかし取扱い方につきましては國會法は法制審議會の議に附して政府では案をもつておられるのであります、これも議會自體に關する問題でありまして政府は案をもつてゐるのでありますけれども、衆議院において各派協調をして今提出の運びに至ろうということで、政府はみずから案を出さずして、案は作つたけれども案を出さないで、議會に任せているようであります、しかし衆議院の構成法たる選擧法の改正問題につきましては今お話を伺えば、連記制竝びに大選擧區制については大いに檢討を要するものがあるということを考えているに拘らず法制審議會の議にも附せず、更に選擧制度に對する特別なる研究調査をなす機關というものも設けておらないようであります、いかにいたしましても、議會が眞に民主的に民意を代表するという立場から參りますならば、これをほんとうに民意を代表するようなものに變えなければならぬのでありまして、政府としてただ衆議院の各派に任すというような態度はいかがであらうかと、私ども考えざるを得ません、殊に今の情勢から申し上げますならば、現政府は政黨内閣で自由進歩兩黨を中心とする内閣になつているのでありまして、自然議會の分野というものにおいて、全部が共同して案を作成するということになりまするならば、おのずからこれは別個でありますけれども、これが一黨一派によつてつくられるということになりまするならば、必然的にその方面の勢力維持というような考えがはいつて來はしないかと、私は考えざるを得ません、現に今衆議院に提案されようとしておりまする、與黨側のもちます案によりまするならば、多分に私は、政略的なものが含まれているような氣がするのでありまして、これもまた議員の方に發案權があるのでありまするから、これを阻止するわけには參らぬのであります、しかし政府といたしましては、内閣を組織した以上は一黨一派の内閣でないのでありまして、日本の政府でありまするから、自然輿論に聽いて、輿論が統一されたものにおいて衆議院に問うという態度をとられるのが、當然ではなからうかと思うのであります、それを放任されておつて、議會の方に任すという態度は、私はいささかどうかと思うのであります、ただ考えようによりますならば、選擧法でありまして、今國務大臣の言われました通り、議員の足許に關係することでありまするから、問題は非常にむずかしいことは事實でありますが、むずかしいからといつても、政府でもやはり當然とり上げて然るべきであるような氣がするのでありまして、もう一遍この點について御答辯を願えればと思うております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=6
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007・植原悦二郎
○植原國務大臣 淺沼君にお答えいたしますが、私は淺沼君がもう少し徹底してお考え下すつたら、お考えの傾向から見て、全部私に御同意下さることと思うております、今までの政治の行き方で、内閣というものは、使い慣れた言葉を使いますと、官僚内閣というか、超然内閣というか、そういふ立場から考えましたならば、今淺沼君のお考えのようなことも御尤もに考えられますが、まだ新憲法は實施されておりません、來年の五月から新憲法はその效力を發生するのであります、從つて現在できております所の衆議院の構成分子も、このことを豫期して、皆當選なされた方々でありますから、今までのような政府のやることというよりは、むしろ國會、議會みずからが法制局をもつて、必要なる法制を立てて行くという建前の方がよろしいじやないか、殊に選擧法のような場合には、いかようになつておるか存じませんけれども、かりにお話のように自由、進歩が中心となつて、その案をつくるようにいたしましても、政府が政黨から離れた法制局においてつくるよりは、議員全體の意思を反映せしめる上においては、たとえ自進兩黨であろうとも、政府よりはもつと議員に密接な關係に存在しておるということを考える方が、正しいのではありますまいか、また自進兩黨の方の案に對して御意見があるならば、その他の方は政府の法制局においでになるよりは、もつと率直に言つて、接近して議論を鬪わしたり、案の修正もできることであろうと考えております、そういう意味から言いまして淺沼君のお考えであるならば、むしろこの現在の状態において、政府はそういうふうな建前で行つた方がよろしい、政府自身案をもちながらも、議員の方でそういう企てがあるならば、むしろ議員にお委せするということの方が、もつと民主的な新しい憲法の趣意に副うものであると、お孝えになつた方が正しいのではなかろうか、淺沼君もその點においては私どもに必ず御同意下さることと思うております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=7
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008・淺沼稻次郎
○淺沼委員 よく了承できるのであります、ただ問題は國會法と對比して考えるのでありまして、國會法は政府みずから法制審議會の議を經て案をもつておるのであります、しかも法制審議會は貴衆兩院竝びに學識經驗者を集めまして、いわゆる輿論に聽いておると私は思うのでありまして、政府みずから案があるということになりますならば、たとえ提案するしないは別としましても、案みずからをもつておつてしかるべきだと思うのであります、しかし現在におきましては、議にかけられておらないのでありまして、あるといたしますならば、所管であります所の内務省の地方局を中心として、研究調査があるという程度のものだと私は思うのであります、從いまして、案の取扱いから行けば、今植原國務大臣の言われました通り、政府で案を作るよりも、議會みずから案を作つて、それを法制化して行く、こういう工合になつて行くのが、必然將來はそうだろうと思うのでありまするが、しかしまだそこまで行つておらないような氣もいたしまするし、今までの取扱い上の觀念から申しましても、それと私は何も取扱い上そうだつたからそうしなければならぬという考えではありませんが、當然やはり案としては何かのものをもつておつて然るべきだという意味で、もつていながら國會法のように議員の發案權に任せて、政府はそれに同意するかしないかという態度をきめる、これも一つの行き方であるし、またそれが正しいと思うのであります、しかし、それが今、案をもつておらないようでありまして、これ以上議論をしてもいかがかと存じますから、この問題は打切つておきます
次には各省の長官と國務大臣の關係であります、内閣法の原案によりますと、大臣は十六人以内ということになつておるのでありまして、しかも國務大臣十六人の中、各省大臣、行政長官を兼ねております大臣は、現在におきましては十三名かと存じます、あと三名が國務大臣として内閣に列して行政部面を擔當しておらないということになつておるのであります、これはいろいろ議論があることでありますが國務大臣の見解を私は伺つておきたいと思うのであります、眞に内閣が統一された責任體として仕事をやつて行く場合におきましては、行政長官と國務大臣とを兼任するよりかも、分れて國務大臣は國務大臣という立場において國務に精勵をする、そういうような建前をとる方が、私はいわゆる責任内閣制、さらに内閣の能率を上げる上から行けば、一番いいのではなかろうかという考へをもつのであります、自然行政長官を兼ねるということになつて參りまするならば、各省の對立、さらに豫算の分取り、中には、割據主義というものが擡頭されまして、いわゆる強力なる責任政治を行う上におきましては、妥當でないような氣が私はするのでありますが、その點についてどういう考えをもつておられるか、原案によりますならば、十六人以内ということになつて、國務大臣に任命された者が行政大臣を兼ねるという形になり、自然國務大臣と行政長官というものが一緒のものになると思うのでありますが、そういう點についてどういう考えをもつておりますか、お伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=8
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009・植原悦二郎
○植原國務大臣 十六人以内と定めましたのは、現在の内閣の現状を考慮するとともに、日本の國務、國政の全般の分量や運行の状態を考えまして、まずこの程度ならば現状に即すると思うて、大體十六人以内としたのであります、それから國務大臣と行政の任務に當る責任者と、或るものは同一であり、或るものは同一でないというような場合、また國務大臣でありながら行政の任務を兼ねるというような場合においては、セクショナリズムが起つたり、或は内閣の不統一ができたり、ほんとうに統一した所の國政を燮理することができないじやないかという御懸念もあるようでありますが、これも私は淺沼君に、もう少しく徹底してお考えを願いたいのであります、今までの内閣から申しますれば、さようなことが起り勝ちでありますが、只今行政調査部を設けまして、現在の内閣の機構そのものに對しても、ほんとうに國會を中心として内閣をつくる場合においては、これまでのものと行政事務の取扱いの上においても、可なり變革を生じはしないか、また刷新を施すことが有利有效ではないかと、折角調査研究いたしております、從つて省の立て方においても、やがては相違を來す時もあるだらうと思います、セクショナリズムというようなものは、そういう行政機構の改革の上からも、一つはつきりと取除かれるという確信を私どももつておる、もう一つそういふことの起る恐れのないということは、議會を中心とした有力なる政黨が内閣をつくるので、内閣は言わば政黨が國民に向つて聲明した所の主義政策を實行する所の一つの行政機關であります、御承知の如く、英國では内閣は政黨の一種の最高の行政院であるとさえ申しております、かつまた英國においては、國務大臣というものはないのであります、英國では樞密顧問官に任命することによつて、國務大臣たるの地位を占めるのであります、その樞密顧問官に政黨を代表して新たに任命された者が、内閣の大臣として統一した國政を處理するようになるのであります、從つて日本においても國會が中心となつて内閣を組織する上においては、政治の中心は國會であります、その國會の意思を行政的に取扱いまするものが内閣でありますから、その内閣に列する者は同じ政治の考え方をする者、連立内閣の場合におきましても、國政に對して一致する間のみが連立内閣の存在をする時で、それが意見が違う時は、その内閣は存在しないのであります、また内閣は、すべての國政は閣議を經て行う、その閣議は連帶責任である、その連帶責任である閣議は全會一致でなければならぬ、その全會一致の形をとり得るようにいたしまするものは内閣總理大臣である、その内閣總理大臣は各國務大臣の任免黜陟の權さえも、實際においてもち得るのでありますから、淺沼君の御懸念のようなことは、新しい憲法で國會法ができまして、そうして主義政策によつて政治が運行される國會中心の内閣ができるという建前から申しますれば、さような御懸念はないものとお考えになつてしかるべきだと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=9
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010・淺沼稻次郎
○淺沼委員 政黨内閣制に徹底すれば、今國務大臣の言われたようなことになるのが當然だと考えるのであります、現に今の内閣にいたしましても、これは總理大臣が任命される手續きにおきましては、おのずから從前のようであつたのでありまするけれども、しかし内閣自體のやつておりまする建前というものは、新憲法の精神に則られて、私はやつておられることだろうと思います、しかるに私どもは眼前に内閣の閣僚の間に意見の相違等を見るのであります、たとえば、インフレ問題について、いわゆる三月危機というような問題を前にして、本會議の席上で私どもが伺つておりますると、總理大臣のインフレに對する考え方と、大藏大臣のこれに對する考え方とは、明らかに相違をしております、さらに參議院の選擧法についての貴族院における審議を私ども拜見してみますと——これは新聞でありまして、速記録を見ておりませんから、よくわかりませんけれども、内務大臣と齋藤國務大臣との間には意見の相違を、私どもは新聞を通じて見ます、しかも個人的意見という建前から、齋藤國務大臣は發言されて、おるようでありますが、現に私どもはこの議會を通じて知り得ることだけでも、そういうようなことを知るのであります、勿論閣議を經て、さらに總理大臣が任免の權限をもつておるばかりでなく、總理大臣の政治力によつて一切の問題は解決して行くものであらうとは考えるのでありますが、しかし現實には私どもそういうものを見るのでありまして、私どもそういうような有樣を見る場合におきましては、やはり行政的な立場から行けば、自分の受けもつておる部分をよくしようというような考えで、全體的な點が缺けて行くような氣がするのでありまして、今お聽き申し上げた通りに、分離してやるべきではなからうかという考えをもつのであります、しかし今國務大臣は分離せぬでも行けるということでありまして、これは國務大臣よりも總理大臣にお伺いした方が私はいいことであらうと思うのでありますが、今日御列席もありませんし、この問題はこの程度で議論を打切りたいと存ずるのであります
その次ぎには、これは過度的なものかも知れませんけれども、總理大臣任免の手續きについて、私は一應お伺いして置きたいことがあるのであります、今までの明治憲法に基づきましての總理大臣任免の手續きを私ども囘顧してみまするならば、内閣がやめた場合におきましては、元老に御下問がありまして、元老はこれに奉答申し上げて、その奉答申し上げた方を陛下が任命する、さらに元老がなくなりました後におきましては、いわゆる前の總理大臣をやつた方に樞密院議長が加わりまして、國におきまする所の重臣の會議に御下問がありまして、それで奉答を申し上げて任命があつたといふ經過であります、しかるに吉田内閣ができる時におきましては、いわゆる前總理大臣でありました幣原さんが、前總理大臣の故をもちまして自分の意見を奏上しまして、それで吉田内閣は成立をしておると思うのであります、從いまして今度憲法が五月の三日から實施になりまするならば、必然的には憲法の規定に基づきまして、議會において議決指命するということになるのでありますが、その間にもし内閣が迭るようなことがあつた場合においては、いかなる手續きをもつて内閣總理大臣というものは任命されるのでありましようか、この點私は今直ちに吉田内閣がやめるというようなこともなからうとは感ぜられますが、しかしこれも重大な問題でありまして、いついかなる事態ができるかわからぬのでありまして、そういうようなことについて、内閣としてはいかなるお考えをもつておられるのでありましようか、憲法は五月三日から效力を發するのであります、それまでは憲法の精神はありまするけれども、規定はないのでありまして、どういうような取扱いになるのでありましようか、この際承つて置きたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=10
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011・植原悦二郎
○植原國務大臣 只今のお尋ねは、直接この内閣法に關係ないことでありまして、いかがかと思いますが、實際の政治にわたることでありますから、だいたいどういう形になるかということの所見を申し上げておきたいと思います、明治憲法によりましても、内閣總理大臣をきめる状態は憲法には勿論ありませんが、實際の政治として非常に幾多の變遷を生じております、古い時代におきましては、いわゆる藩閥内閣と言われた當時は、重要なる藩閥政治家のおもなる者の意見を陛下が御聽取になつて、これに任命されたというような形が現われております、今度は伊藤公が總理大臣をやめた、その代りに今度山縣公を出すとか、或は山縣、伊藤がやめていわゆる長州系のものが當る時には薩摩の方から黒田を出すとか、松方を出すとかいうことで、その時の模樣によりまして辭職する所の總理大臣、また陛下の御信任厚かつた方々に陛下が御下問になつて、それによつて總理大臣を任命するというような形でずつと參りました、それから明治三十年に伊藤公が野に下つて政黨を作りました時には、御承知の如くほんとの政黨の内閣ではありませんけれども、政黨を代表する内閣ができたり、或は二つの政黨を代表する板隈内閣のできたようなこともあります、その後にずつと下つては、長い間陛下は日本の政界における重臣であり、しかも陛下の御信任の非常に厚かつた西園寺公に御下問になつた、内閣が倒れる、その場合には陛下は勅使を出して西園寺公に御下問になる、西園寺公は政界の一切の事情を十分注意研究されて、そうしてこれならば適當だというものを陛下に申し上げて、そのものに陛下が御任命になるというような形でありました、それから西園寺公が亡くなられて後は、陛下は重臣のおもな方に御下問になる、しかもそれについては内大臣を中心として重臣の意見を集め、そうしてその奏薦によつて陛下が御判斷なすつて御任命になるというような形も現われております、また極く最近の例を申しますならば、前内閣の幣原總理大臣がおやめになります時には、もと多年の間行われて來たような元老というものもなし、また戰後重臣というものを集めて相談するような形もなし、内大臣というものも、その中心になつて陛下の御下問に答えるような状態もなし、從つて幣原前總理といたしましては、退却するについては、政界を不安ならしむることはよろしくないと、多分お考えになつたのでありましよう、いろいろの苦慮をされて研究をされて、政界の實情に照らして、その後の内閣が安固なものとして國政を燮理できるということのいろいろの研究を逐げて、そうして判斷をして、その判斷を多分陛下に申し上げられたのでしよう、その結果現内閣の吉田總理をお召しになつて、内閣組織の御任命をなすつた、こういうような形が現われております、かりに今吉田内閣が倒れる——さようなことは斷じてないと信じておりますけれども、かりにさようなことを想定することも一つの考え方ですから、かりにそういう場合があつたとしますれば、政治の實情に照らして、そうして日本の國政を燮理する上において適任者である、ただ單にそれが適任者であるばかりでなく、政局を安定せしめて、この重大なる時局に責任をはたし得るというようなものを研究して、いろいろの方面で自分が退却する時には陛下に御參考までに申し上げるという形になりはせぬか、その場合に陛下はそのいろいろの奏薦されましたことを基礎として、そうして陛下が一番適任者と思召す方に任命なさるようなことになろうと思います、それはこの内閣法の範圍のことではないけれども、實際の政治としてどういうふうに考えておるかというお尋ねでありましたから、さようなことに實は政治のなり行きでなるだろうじやないか、まあ淺沼さん、そういうことまで御心配になるより、私としてはむしろ新憲法ができた、今年の四月選擧が行われた、そうして憲法に經過規定はある、だからものが順調に進んで行つて、そうして新しい憲法の下に國會を中心として内閣ができるという方が、實際の日本の實情に望ましい、こう考えた方がよかろうと思うけれども、折角のお尋ねだから只今のように私の所見を申し上げておきます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=11
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012・淺沼稻次郎
○淺沼委員 なるほど内閣法には直接關係はないかもしれませんが、これの基本となるべき憲法の規定には、總理大臣の任命の方法というものが規定されておりまして、さらにそのことは五月三日憲法施行以後において行われるのであります、その間今の内閣が——これはまあ想定ばかりでなく、或はやめることがあるかもわからぬのでありまして、必ずしも議會内部の——この後は責任の問題になつて來ますけれども、内閣の進退というものは勿論議會の内部において不信任案が通過するか、もしくは信任を要求してそれが否決されるか、それ以外に退陣の方法はないということになりますが、しかし輿論の測定というものは、必ずしも院内だけで測定ができるわけではないと思うのでありまして、自然輿論が、迭らなければならぬというような實情になつて來れば、迭ることもあり得ると私は考えるのであります、そういう場合において、憲法の規定の精神から行けば、自然議會で選ぶということになろうと思うのでありますが、今の答辯を伺うと、その精神はとらないで、前の幣原總理大臣がとられたと同じように、現總理大臣が次ぎの總理大臣たるべき方を奏薦して、それが任命せられるであろうという政治的見解を發表されたのであります、しかしこのことは、憲法の精神を活かすという考えを、あらゆる方面において徹底させなければならぬと考える、植原國務大臣といたしましては、私は不徹底な考え方ではなかろうかと思うのであります、自然やはりそういう時期が來た場合におきましては、衆議院においてこれを議決指名することは、これはそういう方法をとつてしかるべきだという考えさえ、私はもつのであります、あの憲法が實施されるまでは、今までの方法をとるというようなお考えのようでありますが、これは私は不徹底な考えではなかろうかと存ずるのであります、その點はこれ以上質問をすることをやめておきますが、やはり精神は憲法の精神を活かしてしかるべきではなかろうか、この前の幣原内閣がやめられた時でも、憲法は草案の状態であつたのでありますが、輿論の一部にはそれに基づいて衆議院で決定奏薦するような方法をとるようにしたらというような意見さえあつたように私ども了承しておるのでありまして、すなわちそのことは前總理大臣が衆議院に意見を問うて、衆議院の意見を付して奏薦するというようなことにしたらどうかというような議論さえあつたように私どもは記憶しております、そういう點はそう考えるのでありまして、この問題についてはこれ以上問うことをやめておきますそれから今私はこの質問の中に申しました通り、内閣が退陣して責任をとるということは、結局不信任案が、通過するか、もしくは議會に信任を問うて、それに敗れた場合、それ以外は内閣はやめなくてもいいというのが、憲法の規定ではありますけれども、必ずしも院内の空氣というものが、院外の國民全體を代表しない時もあり得ると思うのでありまして、輿論というものがやめなければならぬということになれば、自然内閣は責任をとらなければならぬと思うのでありますが、そういうような政治的責任のことについて、どういうようなお考えをもつておるのか、これも念のために伺つておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=12
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013・植原悦二郎
○植原國務大臣 お尋ねではありませんが、折角の御意見だから、少し私の答辯に誤解のないように願つておきます、さようなことは斷じてないと思いますが、ただ思想上からのいろいろの問題のために、吉田内閣が倒れたとする場合に、その後は必ず國政が安定するということを中心として考えると思います、幣原さんのお考えになつたのもそうだと思います、それ故に國政が安定するということは、議會において多數の勢力が中心として考えられるということについては、問題はないのであります、手續上新しい憲法においては、内閣總理大臣が任令されることが定められておりますけれども、現に憲法にはそういうことが定められておりません、從て辭職する所の總理大臣は、次ぎの内閣のことについて愼重なる考慮と研究とを重ね、一番國政が安定し得られるという方法を基礎として陛下に後繼内閣のことを申し上げる、そういふ場合には必ず議會の勢力を愼重に考慮するという前提であることを、どうか御諒承を願いたいのであります、英國などにおいては、辭職する所の總理大臣が次ぎの後繼内閣の總理大臣を陛下に推薦するのであります、それもなぜかと言えば、辭職する時には議會における中心の勢力がすでに他黨に移動しておるという時でありますが故に、辭職する總理大臣が次ぎの總理大臣を奏薦する、現行日本の憲法においてはさような規定はありませんけれども、日本の現實の事實として、新しい憲法に移り變る時代においては、辭職する所の總理大臣は、必ず次ぎの總理大臣となるべきその人の人物、識見、政治力は勿論のこと、議會を土臺として考えるということにおいては、これは議論がないと思いますから、その點は私の申し上げたことを誤解のないようにお願いいたします
そこで内閣の辭職のことでありますが、内閣の辭職のことは、普通民主主義の政治が行われる、國會を中心として政治が行われるという時には、二つあると思います、反對黨から不信任が自出て、それが通過した場合、また内らが國論の趨向を國民を代表する議閣會においてはかるために、信任案を内閣自らが出す、その信任案が否決された場合がある、これはいずれも不信任案に關する一つの行き方であります、もう一つ内閣が辭職するということには、内閣が主張する所の重要なる政策が議會において敗れた時、その時には内閣が辭職する、或は議會を解散する、内閣が自分の主要なる所の政策が議會において敗れた時に、國論は反對だ、内閣を支持するのだ、國論が内閣を支持するか、或はその主要なる所の政策を否決した議會が正しいのか、これを國民の判斷に問う時に、議會を解散するか、内閣が辭職するかということが起ると思います、それ以外に民主主義の政治、國會を中心として政治が行われる場合において、議會外の聲が騷がしくなつたから内閣が辭職しなければならないというのならば、議會における議員は、國民の信任がないということで、議員自らが國民と乖離した方向にはしつておるということで、議員の方はさような考えはお起しになるまいと思います、それでまずいつでも判斷する時には、民主主義の政府は議會を中心とする、議會で不信任案が通過した時、或は自分が議會に對して信任を問うた時に、その信任案が敗れた場合、この場合には當然辭職することになります
次ぎに辭職するか或は解散するかということは、議會において重要なる所の政府の法案が否決された時、その場合に議會を解散するか、或は辭職するか、また選擧後二年も三年も經過して、そして可なり議會における者が國民の意思を正しく代表しているかいないかわからない、いろいろの問題があつて、政府の立場を一層はつきりさせるために、政府みずから進んで或る重要なる問題を捉えて、それによつて國民の判斷を問うて、政府の進退を決するというようなことも、あり得るのであります、近ごろ日本の國情は、今年の四月以來非常に變化したではないか、それだから一つ議會を解散して國論に問うたらよかろうなどといふ意見も、あるようでありますけれども、戰後の國家というものは、一、二箇月、數箇月の間に、どの國でも非常な社會的に、經濟的に、思想的に變化の起ることは通則であります、英國においても、米國においても到る所に變化が起つております、四月から今日まで相當な變化がありました、しかし今後賠償法や或は平和條約ができた時には、さらに變化すると思わなければなりません、もし多少の變化があつたから、それで議會を解散して國論に問うなどといつたようなことをしておつたら、戰後の國家においては、二、三箇月に議會を解散ばかりしておらなければならないような状態になるので、たとえ國の状態が三、四箇月に可なり變化したからというて、その理由によつて議會を解散するなどということは、責任ある政治家として、民主主義の國家においては、いずこにおいてもなすべからざることだと信じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=13
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014・淺沼稻次郎
○淺沼委員 だいたい了承できました、ただ問題は後段で國務大臣が答辯になりました通り、議會の多數の信任があれば、内閣はいつまでもやつて行けるけれども、二、三年して倦んだような時と言われましたが、これが私は非常な重大な問題と考えるのでありまして、多數なるが故にいつまでも政權におるということで行けば、議會の多數が民意と反することが必ずしもないとは斷言できない、そういう時には政府自ら何らか考えをしなければならぬ時があろうと存ずるのでありますが、しかしこれ以上私は申上げません
もう一つこの法律に關連してすぐ問題になつてくるのは中央官廳法と申しますか、さらに官吏法と申しますか、こういうものが實際でき上りまして、この内閣法の下に實際には省がいくつになつて、その省の最末端に至るいわゆる地方行政機構との關係はどうなつて來るか、加えてそこで働く官吏及び公務員というものはどういう建前で採用されどういう建前で働かなければならぬかということが規定されて來なければ、この内閣法というものが實際は活きて來ないと考えるのであります、この法案はこの議會に提案になつているのでありますが、行政官廳法竝びに官吏法というようなものについては、法制審議會においては何か原案がきまつているやうに承つておりますが、この議會には提案になつていない、自然次ぎの通常議會には出すことになろうと思うのでありますが、實はこの案を審議する場合に於きましても、もしありますれば、その要綱とも申すべきものを參考資料に戴いておけばよかつたのでありますが、しかし審議も終了になりまして、それを今戴くというわけには參らぬでありましよう、自然今の十三省を基礎として行われて行くのであるが、或は内閣の行政調査部を中心として今審議中だとも言われておるのでありますが、行政機構改革については、内閣の一部でこれをやるというよりかも、廣く法制審議會において各階層の人を集めてやつていると同じように、行政機構改革に關するやはり一つの大きな調査會を設けて、いわゆる内閣自體が末端の行政機構に至るまで、ほんとうに國民のための政府であるというような建前のものをつくり上げる、そういう考えももち得るのでありますが、どういうお考えをもつておられるか伺いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=14
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015・植原悦二郎
○植原國務大臣 淺沼君にお答えいたします、只今行政調査部において諸般のことを研究したいと準備し、その行政調査部の組織には、只今淺沼君のお話のやうに、あらゆる方面の知識經驗、また意見を用いまして、可なり徹底的に研究して案を得たいと準備いたしておるのであります、行政機構の全般にわたつて一大改革刷新を企てなければならないのは勿論のこと、地方において知事が公選され、先般議會において御協贊を願いました地方制度の改正案におきましても、民選の知事が一時的に官吏のようなことになつておりまするけれども、それは下部組織が官吏であるがために、さようにいたさなければならないのでありますが、これも速やかなる機會において公選の知事は當然公吏になり、すべての今の役人の組織も知事の管轄に行かなければならないと思いますし、警察權にしても御承知の通り治安警察と刑事警察とをどうするがいいかというようなことも、なかなか大きな問題で、刑事警察は中央から支配し、或は治安警察は地方の知事に移した方がよろしいというような意見もあります、こういう大きな問題があるのみならず、今までの文官任用令に對しても、徹底的な刷新を企だてなければなりますまい、國家試驗に對してもその通り、いずれにいたせ、今までの超然内閣、官僚式の政治から、民主々義の國會中心の政治となつて國政が燮理され、國家の政治行政がこれによつて運行されるのでありますから、隨分各方面において思い切つた改正が必要だらうと思います、それを研究して具體案を得ますることは、なかなか一朝一夕に參らぬと思います、こういうことを考えまして、政府では行政調査部において思い切つた調査研究をするので、今それらの組織や全貌を折角準備中であります、それに對してまだ何も具體的のことを申し上げるわけには行きませんが、改革刷新すべきことは、上から下まで可なり廣範圍にわたるものと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=15
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016・淺沼稻次郎
○淺沼委員 この内閣法案は、内閣官制で勅令によつて決定せられたものを、今度は勅令でなく、議會の議に付して法律として確定せられるわけでありますが、この中にも政府では政令が出せることになるのでありまして、將來は一切の行政機構その他の改革につきましては、全部法律として議會の議に付してやるということに了解してよろしいものでしようか、政府は政令等において、自分に都合のいいような部局をつくるというようなことも、なし得るものでありましようか、そういうことはなし得なくして、全部は中央行政官廳法なら官廳法の規定に基づいて、必ず議會の議を經て行うという工合に了解してよろしいものでありましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=16
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017・植原悦二郎
○植原國務大臣 法律はすべて議會の協贊を經て定められると思います、但し非常な細目にわたつて法律を施行する時に、その施行の細目まで法律で書き現わすというようなことは、技術上不可能なことがあります、そういうことは政令で定められるのでありますが、その政令においては義務を課したり權利を制限したりすることは、絶對にできないようになつております、そればかりでなく、法律でも政令でも、憲法の基本の精神に背反し、或は衝突すると思われるものは、最高裁判所でこれをきめることになつておりますから、淺沼君の御懸念になるようなことは、新しい憲法の建前では斷じてない、すべての重要なる法律は、皆議會できまる、極く細部にわたつたところの施行上のものが政令で定められる、こう御諒解願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=17
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018・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そうすると、かりに、ここにも書いてある通り「内閣官房及び法制局の組織は、別に法律の定めるところによる、」当内閣官房及び法制局の外、内閣に、別に法律の定めるところにより、必要な機關を置き」という規定を設けて、内閣の事務を助けしめることができるというようなことが明確になつておるのでありますが、將來は、今國務大臣の言われた行政調査部とか或は經濟安定本部といつたような臨時的な處置として、勅令で官制を決定いたしまして臨時につくる、こういうことは豫想されないと、こう了解してよろしいわけでしようか、政令ではそういうことはやらないということに……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=18
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019・植原悦二郎
○植原國務大臣 さようなことを定めるときには、法律で定められると思います、ただ行政上の新たに義務を課したり、權利を抑制したり、制限するようなことでないことは、議會で定まつたことを運行する上の行政上の手續きでありますから、その行政上の手續きは内閣できめましても、重要なことは必ず議會を通過するものと御諒解願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=19
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020・淺沼稻次郎
○淺沼委員 よろしうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=20
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021・高橋泰雄
○高橋委員長 吉川君は質疑の通告をお取消しになりました、以上をもつて本案に對する質疑は終了いたしました、次會は來る十六日午後一時より會議を開きます、本日はこれにて散會いたします
午前十一時三十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00419461213&spkNum=21
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