1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○教育基本法案
○學校教育法案
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昭和二十二年三月二十三日(日曜日)
午前十時二十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=0
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001・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは開會致します、是から速記を中止致しまして懇談會に入りたいと存じます
午前十時二十四分懇談會に移る
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午後一時十五分懇談會を終る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=1
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002・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは懇談會を閉じます、前囘で御質疑は大體終了したものと考へられますが、質疑終了と認めまして、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=2
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003・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと一言、是は私の陳謝、補正的なもので、意見ではありませぬ、私は本會議に教育勅語のことに付て、其の説明を求められて、それに對して故澤柳政太郎博士が行かれたと申しましたが、それは後で考へまして、又他の人からの注意に依りまして、矢張り菊池大麓さんであつたかも知れませぬ、最初澤柳政太郎博士が行くことに決つて居つたのが、何かの都合で……、菊池大麓さんであつたかも知らぬと云ふことをちよつと聞きましたのですけれども、是は本會議のことですが、それを別に改める程の機會もありませぬから、茲でちよつとそれだけのことを申上げて御許を得て置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=3
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004・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 他に御發言はございませぬか、では質疑を終了したものと認めます、それでは直ちに討論に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=4
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005・三島通陽
○子爵三島通陽君 私は此の教育基本法に贊成する者でございます、日本が本當に平和國家として再建をする、此の敗戰と云ふことから禍を轉じて福と爲し、眞に平和的な日本を建設して行くと云ふことに付きましては、全く是は教育に俟つより仕方がないと考へるのでございます、而も此の教育を實行するに當りまして、此の教育基本法が起案されて、茲に提出されたと云ふことは、誠に喜ばしきことでございまして、而も此の教育基本法の中に現れて居りまする所の教育に對する理念、又教育行政に對する條項に付きましては、其の理念に於きまして、私は根本的に贊成をする者でございます、特に此の教育の機會均等と云ふことをはつきり謳はれ、又義務教育、男女共學等、誠に斯くあるべきものが茲にはつきりされたと云ふことは、誠に結構なことであると考へます、又今迄は兎角文部省が學校省であると云ふやうなことを考へられた時代もあつたのでありますけれども、茲に學校教育と相竝んで社會教育とか、或は宗教教育とか、或は政治教育と云ふやうなものに對する理念もはつきりせられたことも、誠に結構なことであると考へます、又教育行政に對しましても、地方の教育行政の末端に於きまして、色々内務行政とのむづかしいこんがらがりや、さう云ふやうなことも皆是で以て解消するのではないかと云ふやうに考へられる點も、誠に結構なことであると思はれるのでございます、要するに此の教育基本法の根本精神は、私は誠に贊成でございまして、之を以て我が國の教育の淵源として茲に新しい日本の教育が生れ出て、さうして日本を復興するであらうと云ふことは喜びに堪へない所でございます、唯私は一言之に附加へて、自分の意見に亙りますけれども、少しく希望的な意見を申上げて見ますると、此の教育基本法の中には、人格の完成をめざすとか、或は世界の平和と人額の福祉に貢獻しようとするとか云ふやうな言葉、或は普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造と云ふやうな言葉がありまして、茲に人間の完き完成をめざして進むと云ふやうなことは書いてありまするけれども、併し尚私はもう一歩、人間の徳性と云ふやうなものを養ふと云ふやうな言葉が欲しかつたやうに思ふのであります、併し是は日本の道徳と云ふやうなものに對する考へ方及び今迄の教育の仕方が、兎角形式主義に流れて、却て此の爲に本當の人間の完成と云ふことが圖られなかつたと云ふ過去の苦い經驗から、或は斯う云ふ言葉を無理に使はなかつたかとも思はれますけれども、併し我が東洋に於ては、昔から徳を養ふと云ふやうなことは古來の聖賢の言はれたことであつて、又我々も亦之に向つて自己を磨いて行かなければならないことであらうと思ひます、今の若い人達が眞理の探求とか或は正義、或は信念と云ふやうなものに對して邁進する、是は誠に結構なことであつて、此の方では今や若い青年達も之に向つて努力しつつあることは十分に認められますけれども、尚且其の上に人間としての何と申しますか、美しさ、徳の涵養と云ふやうなことは、同時に必要であらねばならないと考へます、勿論此の基本法の中には、今私の申したやうなことは人格の完成を目指すと云ふやうな言葉で十分含まれて居ると思ひますけれども、尚且教育家が教育を行ふ上に於きまして、其の意味を十分に尊重されて、智育、徳育、體育と此の三つのものが鼎の足のやうになり、さうして其の上に完き教育が完成されることを祈りまして、私は此の教育基本法に贊成をする者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=5
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006・荒川文六
○荒川文六君 私も亦此の教育基本法に贊成の意を表する者であります、其の理由は、只今のやうな日本國が新しい道に進まうと云ふ時に、どうしても新しい理念の下に教育が行れねばならない最も大切なことと思ふのであります、其の際に斯う云ふ基本法の出來ますことは極めて必要なことであります、此の法案は、其の點から申しまして、色々まだ斯うあつたならばと云ふ所も澤山あるやうでございますけれども、兎に角斯う云ふものが出來ますことは非常に結構なことでありますので、此の案の成立を心から願ふものの一人でございます、只今三島委員から申されましたやうに、此の法案の中には從來なかつたことが色々盛られて居りまして、或は男女の性別に依る教育の程度の差別を撤廢するとか、或は教育の機會均等を圖るやうにするやうな努力が含まれて居ることが、誠に喜ばしいことであります、又學校教育ばかりでなく、社會一般の人に對する社會教育の方面に於て奬勵せられなければならないと云ふやうな定めがありますことは、將來の日本に取つて非常に喜ばしいことと思ひますので、此の法案に贊成の意を表する者であります、唯若し私の希望として述べることを許されるならば、曩に質問の中にも申しました通り、是からの日本國民の教育の中には、もつと日本國民が一般の社會の爲に自分の身を捧げて盡すと云ふ、其の精神を強く養はなければならないのぢやなからうかと思ひます、從來は唯自分の周圍のこと、或は自分の家のことと云ふやうな狹い範圍に道徳が考へられて居つたのでありまして、所謂公共の爲の道徳と云ふものが動もすれば輕く見られて居つたやうに考へるのでありますけれども、其の點を是からの日本の國民はもつと發達させなければならないと思ふのであります、さう云ふ意味から申しまして、私は此の教育の目的として謳はれて居る中に、新しい意味に於ける、民主的の意味に於ける愛國の精神、奉仕の精神と云ふものを國民の間に養はなければならないと云ふことを、何かの形で入れることが大切なことではなからうかと云ふ風に感じて居ります、それともう一つは、此の中に日本の國家が宗教に關してどう云ふ風な態度を執るかと云ふことを、もう少し明にして置く方が宜いのではなからうかと思ふのであります、今申しました奉仕的の精神を涵養する、或は道徳を高めると云ふやうなことに付ては、私は宗教の力を無視することは出來ないと思ふのであります、それで國家は正しい健全な人格を養ふ爲の宗教教育に對しては、之を尊重すると云ふ意思を明かにして置いた方が宜いのではないかと思ふのであります、此の法案の中の宗教教育に關する條文は、聊か其の點に於て生緩いやうな感じがします、或は消極的な感じがするのであります、さう云ふ風なことは私の感じかも知れませぬけれども、もう少し積極的にそれが現されて居つたならばどうであらうかと云ふやうな感じがするのであります、併し今之を改めると云ふことも強いてやる必要もなからうかと思ひますので、大體に於て此の法案は現在の日本が新しい教育を行ふ際に、最も必要なものであると思ひますので、此の法案に對して贊成の意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=6
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007・宗武志
○伯爵宗武志君 私は此の法案に贊成を致します、其の理由として、述べます點は、一つは形式に付てでございますが、之には色々御異論があるかも分りませぬけれども、教育に關する法案の中でも一つの憲法のやうなものとして、教育に關する色々重大な基本的な問題を一つの法案に纏めたと云ふことは、日本の將來の教育がどう云ふものであるか、一目瞭然たらしめると云ふ點に於て非常に有效であると思ふのであります、此の法案には法律的な要素が非常に少い、寧ろ御説教ぢやないかと云ふ風な御意見も本會議の席に出たのでありますけれども、併し法律の作り方と云ふものは、私は素人で能く分りませぬけれども、從來ドイツ式の法律とか、英米式の法律とか色々あるのでありますけれども、私はさう云ふことを超越しまして、寧ろプラトンの系統を其の儘引いた哲學的な、非常に深い意味を持つて居ると云ふ風に考へるのであります、總ての法律が其の法律の根本的な意味を前文に於て明かにすると云ふ風な點も亦茲に實現されて居ります、此の教育基本法それ自體が、他の總ての是から出るのでありませう所の教育に關する法案に對する一つの前文のやうな意味を持つて居ると云ふ譯でありまして、此の法案だけを採り上げて見ると、却つて御説教のやうに見えるかも知れませぬけれども、さう云ふ法案全部を集めて見ると茲に一つの明かな體糸が現れて來るのであります、其の點に於て非常に明瞭で賢明なやり方であると思ひます、此の點に於て贊成致します、又内容の點に於ても茲に申上げました色々な點がありますが例へば男女の共學などに付きまして、私個人から見ますと、寧ろ男女共學は基本的な事實でありまして、其の中に男女の別學を認められて宜しいと云ふ規定が好ましいのですけれども、是はどつちにしても同じことで、大體に於て此の内容は將來の日本の教育の根本方針を定める意味に於て非常に適當であると思ひます、其の意味に於て私は此の法案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=7
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008・坂田幹太
○坂田幹太君 此の度の此の法案は、個人の價値を認めて人格の完成を目指すと云ふ意味に於ては、新らしき教育の理念を御示しになつたので非常に結構でありまするが、完成せる人格であるならば、國家社會の構成者としてもう何もないのでありますが、其の途上に於きましては個人の價値を認める爲に、或は個人主義に偏してしまつて、今迄の日本の傳統的な美風、醇風美俗と云ふもの、今迄の醇風美俗と云ふものは、是は傳統的に決して古いものであるからして惡い、それをやり直さなければならぬと云ふものではないと思ふ、保存すべきものは保存しなければならぬ、立派な醇風美俗はあると思ふ、それを今の完成途上にある個人の價値を認めることに力を注いだ解釋になりますると、動もするとさう云ふことを忘れて、醇風美俗を害するやうなことにならぬとも限らぬのであります、併しそれは此の第二條に依りますると、實際生活に即して色々教へられる、又御話に依りますれば、社會科と申しまするか色々な實際に御教へになる上に、其の點に於ては十分御考慮になることと思ひまするが、其の點に付てはどうぞ之を實施された上には保存すべき傳統的の日本の醇風美俗を害しないやうに、それと兩立して行くやうな風な教育の進み方を御執りにならむことを希望致しまして、之に異議はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=8
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009・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私も此の法案の成立に贊成致します、それはもう既に本會議でも私は、此の法案は審議期間が短いので、色々問題とすべき點があるにも拘らず、此の法案の成立を希望するから、餘り細かいことは言はないと申上げました通り、誠に贊成致しますが、唯併しちよつと希望を申さして戴きます、此の法案が成立致しましても、此の法案が存在すると云ふ其のことだけでは、何等日本の教育が良くなると云ふやうなことにはどうもならないので、結局此の法を實際的に施行します者が、此の法の意味と云ふものを正しく理解し、且又單に理解するのみならず、それが自分の本當の魂となつて此の法を施行すると云ふことでなくては、到底此の法が好いとか惡いとか言つて見ても役に立たない、此の法を施行しまする者の第一は、直接には矢張り教育行政の局に當つて居る所の文部省、其の他の教育行政家と私は思ふのであります、でありまするから、教育の局に當られる方は、今後必ず此の法に基いて、他の教育法及教育令と云ふものを御考案になるに違ひない、其の時に此の教育法案の審議に際して、特に此の委員會に於て色々の意見、説がありましたが、それに對して、實は委員會として總ての問題に付ては、統一的の結論が與へられて居るとは思ひませぬ、併し委員會に於ける皆さんの御説明を眞に能く理解せられまして、さうして其の理解の上に於て、教育行政當局が自己の責任に於て適當なる、或は法制を立て、或は個々の行政を行ふと云ふことに‥‥申上ぐる迄もないことですけれども、斯う云ふ或る意味に於てぼんやりしたやうな法を實踐するに付きましては、特に御注意を御願したいと思ひます、それから此の法の實踐に當りまする第二の人は、是は所謂教育家である、そこで此の教育家と云ふものは、此の法を見まして、之をどう云ふ風に取扱ふかと云ふことに付て、是は今迄も他の方からも御話がありましたやうですが、必ず是は疑問を生ずるに違ひない、そこでさう云ふ場合に、所謂教育家と教育行政家との間に、うまく相提携して行くことが出來るかどうか、是は相當疑問がある、從來でも教育の局に當つて居りまする實際家と、教育行政家、殊に文部省などの間には、必ずしも一致して居ることが常だとは言へませぬ、私共の自分の關與して居りました所の教育方面に於きましても、私自身は反對のやうな現象がある、と云ふのは、大學の教授諸君と云ふものは往々にして、文部省などを何だか俗物だと云ひ、文部省の權力を持つて居る人は大學の教授を何だか分らず屋と云ふやうに言つて居りました、會うたら親密にやつて居るのだけれども、實際別々に離れると、御互に、いや俗物だとか、或は分らず屋だとか言つて居るやうな傾向が、少くとも或時代にはあつた、私は實は之には反對でありまして、此のことは大學に居りました時から反對でありまして、大學に居る連中が得意がつて實際家を俗物だ、俗物だと云ふのは、實は私は非常に反對だつた、又實際家が大學の教授を分らず屋だと言ふのは、是も反對でありまして、共に君は教育行政家即ち文部省と、教育家即ち學校などの先生方とは、各提携して相結んで、初めて教育と云ふ實が擧るのであつて、此の意味に於て職分は各各違ふけれども、各各違ふ職分を持つて行つて、さうして一つのものとなつて、本當に國家が教育をし、實が擧ると云ふことは感謝の觀念で居なければならぬ、私は徒に學者諸君などが實際家を俗物々々と云つて居るのは、豫ねて反對であると云ふ熊度を執つて居たのですが、さう云ふことは、總ての教育界、又教育行政家の間に恐らく今でもあると思ひます、さう云ふ從來ありましたやうなことが、矢張り此の基本法の發布に依つて、却つて高まるかも知らぬと云ふ虞れも、此の法律の決め方、態度から十分あると思ひます、そこでさう云ふことのないやうに、一つ御注意を願ひたい、さう云ふ希望を持つて居ります、それから第二には、内容に付ては、私は矢張り先刻申上げましたやうに、是迄の教育、是からの教育と云ふものは、職分意識、自己の使命と云ふものの、職分と云ふものに殉ずると云ふ職分意識と云ふものが、非常に根本であつて、是さへあれば、所謂個とか全體とか、そんなことを哲學的に言ふ人は、何もない、實際の立場に於て職分の内容を眞に理解し、職分の爲に殉ずる、斯う云ふ氣持さへあれば宜い、此の職分意識と云ふのは、私自身の理解する所に依れば、教育基本法には餘りどうも現れて居ないやうな氣がしますから、併しそれは先刻の當局の御説明で以て、反對どころではない、贊成のやうでありまするから、さう云ふことは、教育基本法には含まれて居ると云ふ意味に於て、之を一つ御實踐になるやうに御願したい、斯う云ふやうなことを申して置きます、それから第三には社會教育と云ふことがありますが、何と申しましても、教育は學校教育と云ふことにまあ通常能く考へて居りますが、私は我が國に於ける教育、或は社會教育と云つても宜しうございますが、學校を出れば直ぐに是で教育された、終つたと云ふ觀念がどうもある、私自身にもあつたと思ひます、大學を出れば直ぐ自分は教育を受けると云ふ立揚は濟んだものである、所謂卒業したものだと云ふ風に考へられる傾向がある、從つて私は社會教育と云ふものの中には、學校に行くことの出來ない青年とか、或は若い者とか、さう云ふやうな者に對する教育と云ふ意味でなしに、寧ろ學校教育の、大學に行つて居た連中も、決して立派な人物と言へませぬから、成年者と云ふ者に對する教育、所謂成年教育と云ふものを特に重んずると云ふやうな、さう云ふ意味に於ての社會教育を能く御工夫を願ひたいと思ふのであります、恐らく西洋と日本との人間の差異は、日本は學校を出てしまつたならば、もうそれで教育されると云ふ状態は濟んでしまつたのでありますが、是で一人前になつてしまつたのだと云ふ考が強い、西洋人は學校を出てからも色々自分が教育を受けると云ふやうな立場が強い、さう云ふ點がありますから、さう云ふ意味に於て此の成年教育と云ふやうなものに御注意を願ふことが大變結構だと、斯う云ふやうな考を持ちまして、さう云ふやうな希望を申上げまして、さうして此の教育基本法の成立に贊成する者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=9
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010・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 他に御發言はございませぬか、討論は盡きたと認めまして、採決に入りたいと思ひます、本案は政府原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=10
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011・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 御異議ないと認めます、では本案は政府原案通り可決せられました、それでは續いて學校教育法案の審議に移ります、最初に文部大臣より提案理由の御説明を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=11
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012・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今文部省關係の最も重要な法案、教育基本法に付きまして、愼重に御審議下さいましたのみならず、滿場一致を以て之を可決下さいましたことは、文部當局と致しまして感謝に堪へない所でございます、次いで此の度提案致しまする所の學校教育法に付きまして提案の理由を説明させて戴きます、本案の提出理由に付きましては、大要を曩に本會議で述べましたので、少しく法案の内容に重きを置きまして御説明申上げたいと存じます、本法案は只今御審議を戴きました所の教育基本法の趣旨に則りまして、之を具體的に學校教育の制度内容に具現し、從來の各學校令を一纏めの新教育制度の下に法制化致したものであります、本案が從來の制度と根本的に異りまする點は、本會議でも述べたのでございまするが、尚要約して申上げますると、第一には學校系統を單一化し、六・三・三・四の新學制と九年の義務教育制度を確立致しましたること、それから第二に教育内容に付きまして、軍國主義及び極端な國家主義を沸拭致しまして、心身發達の段階に應じまして眞理の探究と人格の完成を目指しましたこと、第三には、文部大臣の行政的權限を極力縮小致しまして、地方分權の方向を確立致しましたること、第四には教育の機會均等を保障致しまする爲の制度を設けましたこと、第五には私立學校の自由な發展を期しまする爲、行政上の裁量に依りまする監督を避けて、法制的間接監督に改めましたること、是等が其の主なる點でございます、次に本法の構成を簡單に御説明申上げますると、各學校に通ずる總則を第一章と致しまして、第二章には小學校、第三章は中學校、第四章高等學校、第五章大學、第六章盲者、聾者、其の他不具者に對する特殊教育、第七章幼稚園、第八章雜則、第九章罰則、最後に施行期日及び經過措置を規定する附則となつて居ります、第一章總則に於きましては、各種學校を除き各學校に共通する規定を掲げたのであります、其の主なるものは、學校の種類に應じまして學校設置の基準を設定すること、學校の設置に當りましては、設置基準に從ひまして認可を要すること、學校の經營に付きましては設置者負擔の原則を明かにし、官公立學校で義務教育を行ひまする場合を除きましては、授業料を徴收することが出來ること、校長及び教員の資格要件及び缺格要件、學生、生徒等の徴戒及び身體檢査、學校閉鎖及び設備、授業、其の他に關する變更の處分に關すること、就學義務該當者を使用する雇傭主の義務等であります、第二章小學校に於きましては、國民として必要な初等の一般的な基礎教育を授けることを目的と致しまして、其の修業年限を六年としたのであります、是は心理學的、生理學的等の教育的見地から、兒童に適した教育を施すことを考慮致したからであります、尚有益適切るな補助教材の使用が自由になつたこと以外は、從來の小學校に關する規定と大差ございませぬが、唯教員の名稱を、大學を除きまして、校長、教諭、助教諭で統一致しました、第三章中學校に於きましては、小學校に於ける教育の基礎の上に中等の普通教育を施しまするが、公民的な教育を發展させ、國家社會の形成者としての資質を養ふことと、職業的教育が加味せられて居ります、其の修業年限は三年で、是も亦義務教育であります、其の他に關しましては小學校に準ずることに致しました、第四章高等學校に於きましては、中學校の教育の基礎の上に高等普通教育と專門教育を施すことを目的としたのでありまするが、一般的な教養を高め、專門的な技能に習熟せしめ、國家社會に於ける中堅者の養成を目指して居るのであります、高等學校の修業年限は三年が原則でありまするが、特別な技能教育を施す場合、又は夜間學校、パート・タイムの學校に於きましては、三年を超えることが出來ることに相成つて居ります、尚高等學校には專攻科、別科の制度を認めまして、職業教育に遺憾のないやうにしてございます、第五章大學に於きましては、大學は學問の殿堂として廣く一般的の知識を授けますと共に、深く專門の學藝を教授研究して、人格陶冶を目指すことを目的としたのであります、大學の修業年限は四年を原則としますが、特別の專門事項を教授研究する場合、又は夜間大學に於ては四年を超えることが出來ます、大學に專攻科及別科を置き得ることも高等學校と同樣であります、大學には重要事項を審議する爲、教授會を置かなければならないことを明確に致しました、大學は直接文部大臣が所轄致しますが、其の設置の認可に當つては別に定める大學設置委員會に諮問して其の適正を期することに致しました、大學には學術の深奧を究め、學術文化の進展に寄與する爲、大學院を設けることが出來ることに致しました、尚學位授與に關しましては、大學院を置く大學のみが授與することが出來ることに致しました、其の他に關しましては從來と大差ありませんが、大學の長は通稱は差支ありませんが、職名としては學長で統一致しました、第六章特殊教育に付きましては、盲學校、聾學校及び盲者、聾者以外の不具者の爲の養護學校と、是等の不具者を對象とする特殊學級の規定を設けたのであります、第七章幼稚園に付ては、幼兒を保育し、適當な環境を與へて、其の心身の發達を助けることを目的と致しますが、今度の學制改革に於ては、學校體系の一環として小學校教育の基礎に培ふことを明確に致しました、其の他に關しては從來と大差ありません、第八章雜則に於ては、各種學校に付て第一條に掲げる學校の名稱を使用することを禁止したことの外、各種學校に關し必要な規定を置いたことであります、又學校には社會教育に關する施設を附置し、又學校の施設を社會教育其の他公共の爲に利用出來ることを明記致しました、第九章罰則に付ては、學校閉鎖命令違反、就學義務該當者を使用する雇傭主の義務違反、保護者の義務違反、第一條に掲げる學校の名稱禁止違反に對する罰則であります、斯斯る罰則は從來の學校令には殆ど存しなかつたのでありますが、憲法に明記された普通教育の義務を徹底せしめると共に、一般の法規違反に對する法律上の處分を明かにして、秩序の維持を圖ることが、民主主義教育の徹底の爲に必要であると考へたからであります、最後に附則に於ては、此の法律の施行の期日を四月一日と致しますが、盲者、聾者其の他の不具者の義務教育に關しては別に勅令で定めることに致しました、尚一般の義務教育に付ては、昭和二十二年度は滿十三歳迄と致し、昭和二十三年度以降に於ける義務教育の年限の施行に關しては別に勅令で定めることに致しました、現存の各學校令其の他が本法施行と同時に廢止されますが、現存の國民學校、國民學校に類する各種學校、國民學校に準ずる各種學校竝に幼稚園は、それぞれ本法の小學校及び幼稚園と看做されます、其の他の學校に付きましては從前通り存續も出來、昇格も出來るやうに措置してあります、尚是等學校に係る教員免許状の效力、授與又は大學に於ける學位の授與も從前通り出來ることにしてあります、現在の學校の在學者、卒業者の取扱其の他經過的に必要な措置を講じ、實施に遺憾のないやうにしてあります、以上が本案の内容の概略であります、何卒十分御審議を盡されむことを御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=12
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013・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 何か此の際參考資料の御入用の方は御申出を願ひます、それでは質疑に入ります、此の法案は條文が多數ございますので、章別に致しまして、章を逐つて逐次御質疑を願ひたいと存じて居ります、それで御異議がございませぬか
〔「異議なし」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=13
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014・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは最初に第一章總則に付きまして御質疑を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=14
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015・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の附則の學校の種類ですが、是はちよつと伺ひましたのですけれども、將來地方公共團體以外のまあ組合團體が學校を設立する、法人に依つて學校を設立し得ることに相成りますると云ふと、それは矢張り私立學校と稱せられることにならざるを得ないのですが、矢張り私立學校になりますか本法では……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=15
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016・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 將來は國と地方公共團體と別に、法律で定める法人が設立者になる譯でございますが、此の別に法律で定める法人と申しますのは、此の學校法人法、所謂特別な法を制定致しますことを豫定致しました譯でございまして、從ひまして其の法律に依る學校に全部私立となる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=16
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017・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、公共組合たる公共團體と云ふものは普通の私人ではない、法人であつても公法人と云ふことになつて居りますが、さう云ふものの作る學校が出來ると云ふことに相成りますると云ふと、それは矢張り私立學校と言はざるを得ないやうになりますが、此の條文では… 、それならばそれで宜いのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=17
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018・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の法律で定めます學校は、國とか地方公共團體とか特別の法に依るものに限るのでございまして、地方公共團體以外の公法人が立てます場合には、矢張り特別の法人を作りまして設立すると云ふことになるのであります、若し特別の法人を作らないで公共團體が立てます場合には、此の法律で所謂各種學校と云ふ形式を取ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=18
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019・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは分りますが別に定める法律で組合團體たる公共團體が學校を作ることが出來ると法律が定めた場合を勿論言ふのです、それですから、此の法律以外に別に法律で、公共組合たる性質を持つて居る特殊の或る法人團體が學校を作れると云ふことを、法律で出來ないと云ふことは、是では分らない譯ですね、どうしてもさう云ふことが出來るやうな法律が出來た時には、矢張りそれは私立學校と稱せざるを得ないと云ふことになりますのですが、それで宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=19
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020・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 特別法を以ちまして、或る特別の公法人に學校設置の權能を認める特別法が出ると致しますれば、其の特別法でそれが官立であるか、或は私立であるかどうかと云ふことを規定すべきではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=20
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021・佐々木惣一
○佐々木惣一君 兎に角此の法律は學校教育法の中で名稱として國立學校、公立學校及私立學校と三者しかないのであつて、さうして其の國立學校とはこれ、公立學校とはこれとあるのですから、別に定める法律の中で、公共組合と云ふものが立てる學校があつたら、どうしても是は私立學校と稱せざるを得ない、此の法規では……、さう云ふものは何か特別の名稱を設けると云ふ、其の名稱を法律に書くなら別ですが、此の法律ではどうしてもさうは見えませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=21
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022・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 一應矢張り其の場合は私立と……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=22
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023・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りました、それで分りました、總則の中に、監督廳と云ふ文字があるのですが學校を設置する者が監督廳の定める設備……此の監督廳と云ふのは固より學校の種類に依つて違ふのに違ひないのですが、まあ審議の便宜の爲に、小學校に付きましては監督廳と云ふものはどう云ふことになりますのですか、政府委員の方で結構でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=23
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024・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 監督廳と申しますのは、都道府縣を區域と致しまする監督廳と、それから文部大臣を指す場合と二つの場合があるのであります、此の法律に依りましては、全部監督廳に付きましては附則の第百六條に、規定致しまして、其の百六條に列記致しました場合の監督廳は當分の間之を文部大臣とすると云ふことを言つて居りまして、それ以外のものは都道府縣監督廳と云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=24
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025・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それ以外と申しますと、例へば中學校の監督廳は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=25
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026・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 小學校に於きましては第三十四條に「公立又は私立の小學校は、都道府縣監督廳の所管に屬する」とありまして、中學校に付きましては、是は矢張り準用してあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=26
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027・佐々木惣一
○佐々木惣一君 都道府縣監督廳と云ふことが能く分らないのですが、都道府縣監督廳と云ふのは都道府縣其のものが監督廳であるやうなもの……、都道府縣の長官とか、都道府縣監督廳と云ふ言葉を實は尋ねようと思つたのですが、實は分らぬのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=27
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028・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 之に付きましては第二十三條に、小學校の保護者に對する其の子女の就學義務の免除に對する規定がございますが、條文の終ひの八頁の初めの方に「市町村立小學校の管理機關」と、云ふ言葉がございます、是は市町村立小學校を管理する機關がありまして、現在の状態で、此の現行法に於きましては、一應市町村長を豫想として居る譯でございます、それから其の次の行の終りに、「教育に關し都道府縣の區域を管轄する監督廳(以下都道府縣監督廳と稱する)」とあります此處で都道府縣監督廳と申しますものの定義の意味に於きまして、「教育に關し都道府縣の區域を管轄する監督廳」と云ふことに致して居るのであります、現在是は都道府縣知事が此の監督廳に當る譯でございますが、態態斯う云ふ表現を致したのは、將來地方教育行政法と云ふものを豫定して居るのでございまして、其の際に於きます教育に關する監督廳は、必ずしも都道府縣知事でない場合があり得るのでありまして、さう云ふ豫想を以ちまして都道府縣監督廳と云ふ名稱を使用したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=28
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029・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それで分りましたが、其の次の章以下に付て御尋ねすることになるかも知れませぬが、此の總則だけに付て申しますが、學校の管理、學校の監督と云ふのは、是は別な意味で御用ひになつて居るのでありませうか、どう云ふ意味でありませうか、そこをはつきりと……、從來からも色々の問題がそこに生ずる、第五條ですが、「學校の設置者は、その設置する學校を管理し」とあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=29
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030・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 管理機關と申しますのは、經營をし、管理をする責任の所在を明かにした積りであります、それから監督の方は、自ら經營するのではなくして、經營をして居る者を監督すると云ふ意味で使つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=30
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031・佐々木惣一
○佐々木惣一君 「授業料その他の費用に關する事項は」、斯う云ふ規定が第六條にあるのですが、そこで是は非常に關係あることと思ひますので、ちよつと御解釋を伺ひたいと思ふのですが、授業料と云ふものも實は學校の費用の一部だと云ふ御解釋でありませうか、どうでせうかと云ふことをちよつと御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=31
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032・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=32
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033・佐々木惣一
○佐々木惣一君 その點で、昨日申上げた授業料を徴收すると云ふことが憲法の規定に牴觸しないと云ふ問題になるのですが、私の解釋では、學校教育を有償とすると云ふことは、其の教育と云ふことに對して御禮とか報償と云ふ意味であつて、決して授業料と云ふものは報償の意味を持たない、費用の一部的の分擔だ、斯う云ふ風に私共は解釋する、其の故に私自身は憲法違反と思はぬと云ふことをちよつと申上げたのです、此處で申上げようと思つて居つたので、さう云ふ意味なんです、文部省の方で果して私と同じやうな御解釋であるかどうかと云ふことを明かにする爲に、「授業料其の他の費用」とあるのですから、大變私自身ははつきりとした譯ですが、私の質問は一應是で止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=33
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034・荒川文六
○荒川文六君 此の第三條にあります「學校を設置しようとする者は、學校の種類に應じ、監督廳の定める設備、編制その他に關する設置基準に從ひ、」とありますのは、設置基準として示されるものは、設備、編制その他とありますが、もう少し具體的に言ひますと、どう云ふ風なことになりませうか、學科課程と云ふやうなことに迄も入つて來るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=34
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035・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 之に付きましては現在の處、大學に於きましては、大學設立基準設定協議會と云ふものを作りまして、そこで大學に必要なミニマムの標準を設定致しまして、それを公表して、それに合ふか合はないかに依つて學校の設立を認可するかしないを決めるわけであります、現在の所では設備、編制、學科課程の内容等に付ても檢討中でございます、多少の變更はあるかも知れませぬけれども今後設立される大學の最少限度の條件と云ふものを檢討中でございます、大體出來て居りますが、文科的の大學と理科的の大學と女子の大學に分れて、それを檢討致して居ります、茲に設備、編制とありますけれども、編制の中には學科及學科内容は非常に詳しいものではありませぬけれども、或る程度學科課程は十五科目ならば十五科目は置かなければならない、其の中のどう云ふものだけは最少限度として卒業する迄に修めなければならないと云ふやうなことを檢討致して居りますから、編制其の他と云ふものの中には、今仰しやつたやうな設備、編制以外の相當細かいことも檢討致して、それをオーソライズしてから公表してそれで決める積りであります、高等學校等に付ても是から出發してやる積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=35
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036・荒川文六
○荒川文六君 大體了解致しましたが、大學は勿論、高等學校に於きましても、又は或る場合に於きましては義務教育である中學校に於きましても、さう云ふことがあるかも知れぬと思ひますが、例へば學年制を採る、或は學年制を採らないで單位制を採るとかと云ふやうなことは、矢張り此の基準の中に含まれる譯でせうか、或は學校設立者の考に依つてどちらでも宜いと云ふやうな風になるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=36
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037・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 學年制に付てはまだ問題になつて居りませぬ、何れさう云ふことも論議されるかと思ひますが、まだはつきり結論は出て居りませぬ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=37
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038・荒川文六
○荒川文六君 もう一つ伺ひたいと思ふのは、是は從來も使つて居つた言葉で自然的に了解はして居ると思ひますけれども、例へば第十二條に於きまして學生、生徒、兒童、幼兒、斯う云ふ風に區別してございます、兒童、幼兒、是は小學校の生徒、幼稚園の生徒と云ふ者であらうと思ひます、從來學生と云ふのは大學に學ぶ者、それ以下の學校では生徒、斯う云ふ風に區別して居つたやうに思ひます、其の事が別に之にはつきり書いてある譯でありませぬ、又一方に於て先程の御説明にもありましたやうに、先生の方は小學校から高等學校迄教諭と云ふものに一致さしてしまつたのに、教へを受ける側は矢張り斯う云ふ風にして居ると云ふことは、何か斯うしなければならないと云ふやうな理由でもあるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=38
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039・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 特に區別しなければならないと云ふ程やかましい意味でもございませぬでしたが、從來の慣例に從ひまして、大學以上の者を學生、それから小學校の者を兒童、幼稚園の者を幼兒と云ふ風に分けまして、被教育者の方は區別する方が便宜ではないかと云ふ、漠然とした考で區別した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=39
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040・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 私は第九條に付て御伺ひしたい、「第九條左の各號の一に該當する者は、校長又は教員となることができない、」其の二號、三號に付てちよつと不審を持つのであります、是は今囘の新憲法に依りまして、又先程我々の可決致しました教育基本法に依りまして、今後の日本の教育方針が主として教員等の所謂從來の我々の用ひて居りました言葉を以てしますれば、所謂先輩から指導を受けて、其の先輩の人格の陶治に依つて教へられて居る者が段々發育して行くと云ふ方針でなく、寧ろ傍の者は唯助けをするのである、成るべく自分の力で以て自分の個性を擴めて行くと云ふことに方針が變更せられたやうに考へます、でありますから、此の第九條の校長若くは教員の資格がそれに應ずれば宜しいと云ふことに方針が變つて來ただらうと存じます、私共は矢張り頭が古いと申しますか、從來の習慣に囚はれて居りまして、矢張り學校生徒の智徳を導く者は矢張り相當完全に近い者が此の職に當らなければならぬ、從つてさう云ふ風な考へ方から致しますと、矢張り任用資格も相當嚴格な面を持つて居なければならぬ、之を從來の考へ方から致しますと、校長又は教員となるやうな者は、長期六年はおろか、刑辟に觸れた者は之を採用しないで宜いやうな氣持が致しますのに、今囘の學校教育法の第九條を拜見致しますと、此の資格は甚だ寛容に失するやうな氣がする、長期六年の禁錮以上の刑に處せられた者でなければ、三年位の刑辟に觸れた者でも宜しい、又第三號に付ても同じやうな議論が立つと思ふのでありますが、是等は成程大學の教授等が赤化思想の故を以て罰せられたが、刑を免ぜられ、執行を終つて歸つて來る其の人が、偶偶非常な學者であるから、大學の教育としては或は其の智能を教授するには差支ないかも知れませぬが、是が小學校、中學校等になりますと、其の教員、校長の人格の兒童若くは中學生に與へます影響は非常に大きいと思ひます、さう云ふ點から論じますと、苟くも刑辟に觸れたやうな者は之に採用しない方が宜いぢやないかと云ふ感じが深く致しますが、第九條の二號、三號を拜見しますと、其の條件が緩る過ぎるやうな感じが致します、此の點に付てはどう云ふ風な御考を御持ちでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=40
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041・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 誠に御尤もな御質問だと思ひます、唯此の第九條に於きましては、是は左の各號の一に該當致します者は、如何なることがございましても絶對に校長又は教員となる能力を奪つてしまふと云ふ、最大の所の限度を法規的に現して居るのでございまして、教育者となる場合には、假令短期でありましても、其の罪状如何に依りましては矢張り不適當な場合があり得ると思ひます、さう云ふ者に付きましては、是は矢張り校長に任用する場合に於きまして、教員に採用する場合に於きまして、十分考慮さるぺきことではないか、此の法律上絶對になれないと云ふ能力を決めます場合の最大の範圍を一應規定したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=41
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042・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 方針がよく分りました、法律上の非常にきつい一つの條件をここに掲げられたのであつて、其の他は運用に委せる、假りに輕い刑に觸れた者でも、非常な悔悟謹愼が顯著な者であつて、又教育に熱心であると云ふやうな者は、矢張り差支なければ任用も御自由、併し場合によつてはそれ以下の輕いものでも不適當な者は運用に依つて之を阻む、二號、三號に掲げた者はどんなことがあつても之を許すことが出來ない、さう云ふ基準を示したものである、斯う云ふ御話であります、私共は此の條件はもつと擴張して決めて戴きたいやうな風にも存じますが、制定の御趣旨はよく理解致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=42
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043・羽田亨
○羽田亨君 第八條でございますが、校長及び教員の免許状云々と云ふこと、是は校長の免許状と教員の免許状と云ふものと別々に御考になつて居られるのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=43
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044・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=44
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045・羽田亨
○羽田亨君 教員の免許状と云ふものを與へるに付ての資格は大抵想像が出來るのでございますが、校長の免許状と云ふものを與へられるに付てはどう云ふやうな資格を御考になつて居るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=45
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046・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 打明け話を申上げますと、實は第十條の所に「私立學校は、校長を定め、監督廳に屆け出なければならない」とありますが、初めは屆出主義でなくて、從來通りの認可の主義で行きたいと思つた、私共もそれが日本の現状に於ては適切ではないかと云ふ風に考へて居りましたが、從來の認可に付きましては、行政の官廳である文部省の行政裁量が餘りに大き過ぎて、それを濫用した憾みがないではない、それで、さう云ふ意味の行政監督的な認可と云ふものはやめたがいい、さう云ふ關係方面の注意がありました、併し私共は、さう云ふ濫用は、例へば適當な委員會を作つて、認可しない場合には特に其の委員會の諮問を經てすれば濫用は防げると思ひますので、大分交渉致したのでありますけれども、それは矢張り過去に於ける文部省のやり方に於て非常に遺憾な點があつたと云ふやうなことから、矢張り是は間接監督がいいと云ふことになりまして、間接監督と云ふ意味で、校長及教員の免許状を公に與へて、若し不適格な場合があつたならば免許状を取上げることに依つて間接の監督をしたらいいではないか、さう云ふことでそれに同意致しまして、校長竝に教員の免許状と云ふことに致したのでありますが、但し我々の常識から言ひますと、教員の免許状と云ふものは直ぐに凡そどう云ふ程度のものであるかと云ふことが分りますが、校長の免許状となりますと、必ずしも直ぐにはつきり致しませんので、校長も試驗を受けたり學科を勉強しなければ校長になれないと云ふやうなことも起り得るかと思ひますが、是はライセンスと云ふ意味なんであります、表現が多少不適當であると思ひますが衆議院の方でも問題になりまして、どう云ふ考でやるかと云ふと、私共今考へて居りますのは、校長の適格證とでも言うやうなもので、立派な人物で識見があつて教育に對する熱意を持つやうな人は、所謂教員免許状のやうな窮屈な取計ひでなく、出來得るだけさういふ人が校長になれるやうな、幅の廣い適格證みたいなものを作ることに依つて、弊害を避けようと思つて居ります、さう云ふ了解の下に衆議院でも了解して戴いた譯であります、例へば、教員が校長にならうと思ふ時に、若干の資格條件を備へれば校長の免許状も貰へるやうなことも考へられますし、それから第三者が推薦した場合に、それを適格委員會と云ふやうなもので決めて、さうして校長の適格證と云ふものを出すことが出來ます、任用の際に適格のまあ申請書とでも云ふやうなものを委員會に出して、それを通過しますれば適格證と云つたやうなものを貰へる、さう云ふ風なことが現在考へられて居ります、さう云ふ點で、此の免許状と云ふ言葉を窮屈に考へないで、成るべく弊害がなくて、而も一面に於ては、先程申上げましたやうな監督と云ふやうな、認可に依る多少のコントロールと云ふものに當るやうなことも作りたい、さう云ふ考であります、少し暇がありませぬので多少推敲が足りなかつた點があるかと存じますが、どうぞ御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=46
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047・羽田亨
○羽田亨君 此の學校と稱するものは、此の法律では小學校と大學も含んで學校として居るやうでありますが、其の學校には校長及び相當數の教員を置くと云ふことになつて居ります、さうすると大學も矢張り此の第八條の規定に從ふ譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=47
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048・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=48
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049・羽田亨
○羽田亨君 さうすると、大學では大學の學長と云ふことになつて居りますが、學長は矢張り其の免許状を出して貰はなければならぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=49
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050・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第八條の校長の免許状に付ては、大學に付ては全然考へて居りませぬ、高等學校以下であります、それは何も規定は致して居りませぬが、事實上……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=50
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051・羽田亨
○羽田亨君 さうすると、第一條には、學校には大學も含んで居るのですが、學校には校長及び相當數の教員を置く、校長及び教員の免許云々と斯う來て居る、さうすると大學だけは別とすると、是ぢや分らないぢやないかと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=51
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052・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の第八條は「その他資格に關する事項は、監督廳がこれを定める」と云ふ規定でございまして、其の學校の種類に應じて監督廳が規定すると云ふことになると思ひますが、只今の處では、大學に於ては其の規定をすると云ふことに考へて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=52
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053・羽田亨
○羽田亨君 さうすると、高等學校以下ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=53
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054・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=54
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055・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 ちよつと小さなことですが、第十一條に關係することです、是は「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは監督廳の定めるところにより、學生、生徒及び兒童に懲戒を加えることができる」とありますが、是は監督廳が懲戒の制度として停學處分であるとか、或は退學處分であるとか云ふものを決める、さう云ふことの意味だらうと思ひますが、個々の場合に、例へば小學校の教員が小學校の生徒なんかに其の場で當意即妙の罰を加へることもあると思ひますが、さう云ふことを意味するんではなからうかと思ひますが、如何でありますか、個々の小さな場合も、監督廳の定めるところに依つて制度として御定めになるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=55
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056・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます、教育上の技術的に叱つたりするやうなことは教育者に委せて、但し體罰を加へると云ふやうなことはさせないやうに、それから御話のやうに是は規定の上で懲戒を加へるやうな場合の規定であると斯う云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=56
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057・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 さう致しますと、此の但書は其の方に、體罰を規定の方に加へることは、ちよつと想像し兼ねますのですが、個々の場合に教育者が幼兒に加へる罰が此の但書に關係があると斯う云ふことになると思ひます、私共子供の時のことを考へますると、殊に外國人の經營して居ります學校なんかに參りますると、生徒に加へます罰の法に色々種類がございまして、惡いことをしますと、詩であるとか文章を引寫しさせられることが隨分多く、した惡戯の程度に依りまして、或は百行寫すとか、二百行寫すとか、口答へしますとそれが三百行になつたり非常に苦い經驗を持つて居ります、又フランス語の學校ではピケと稱しまして、教室の隅なり運動場の隅に立哨見たいに立たせられて、二時間も三時間も置かれるやうなことがあつたのでございますが、さう云ふことは此處にあるのでございませうか、但書の體罰に當るものでございませうか、或は耳を引張つたり頭を叩いたり尻を叩いたりされることは、隨分我々子供の時のことを考へますと色々の經驗を持つて居るのでありますが、さう云ふ健康に左程影響を與へないやうな、其の場の多少體罰に當ることは、此の但書には入らぬのぢやないかとも思ひますが、此の邊は如何でございませうか、幼兒の發育の障害になるやうなことでなければ、多少は矢張り事の勢ひとして起るんぢやないかと思ひますが、どんなものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=57
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058・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 當意即妙の場合の、教育的に效果のあるやうなものに付てやかましく規定する譯ではありませぬので、此處では主に能く軍隊なんかでやりましたやうに、平手で打つたり足で蹴つたりするやうな、さう云ふ意味の體罰はしてはいかぬ、さう云ふ心持で規定が出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=58
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059・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=59
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060・佐々木惣一
○佐々木惣一君 既に質問が他の委員からもありましたけれども、第八條の此の「校長及び教員の免許状」ですが、此の中には大學は入らぬのでありますか、さうすると總則に於ける學校と云ふ中には、總て大學が入らぬと斯う云ふことになると思ひますが、さう云ふことにならぬでせうか、そこの所がどうも私には少し分らないでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=60
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061・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第八條の校長及び教員の免許状」と云ふのは、法律の建前からしましては、大學から小學校迄全部の學校が入つて居ると思ひます、唯實際上の監督官廳が決めます場合は、大學に付ては決めないこともあり得ると思ふのであります、それで現在の所では、監督廳と致しまして文部大臣が決める譯でありますが、大學に付ては決める意思はない、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=61
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062・佐々木惣一
○佐々木惣一君 文部大臣が決められる規定の上にどうなるかと云ふことを言ふのぢやないので、それは學校教育法其のものに付ての唯解釋を言ふのですから、今の御答辯ではちよつと滿足出來ないのですが、第八條の「校長及び教員の免許状」と云ふのは、どうも矢張り大學が入らざるを得ないのです、法律と致しまして此の第八條の立法理由が良いか惡いかと云ふことを伺つて居るのではない、解釋上どうも第八條に大學が入らぬと云ふことを言ふなら、總則の規定も大學には適用しないと斯う云ふ風に言はなければどうも工合が惡いと思ひますが、如何でありますか、無理な解釋ではありませぬか、是は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=62
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063・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今の御注意は御尤でありまして、此の條文だけから申しますと、大學にも當て篏まる、論理的にさうなりますが事實上之を規定しない意思を持つて居るだけでありまして、其の點は此の條文だけでは分らないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=63
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064・佐々木惣一
○佐々木惣一君 詰り監督官廳が之を定める時に、其の定め方として、大學の校長なり教授諸君のことに付ては積極的に決めないと云ふ、規定を設けないと云ふことはあり得るでせうけれども、併し此の法律其のものとしてはどうも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=64
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065・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 それからもう一つ、先程御話致しました懲罰に關することでありますが、能く學校でストライキやなんか致しました時に、其の發頭人を調べる方法として、連坐罰と云ふことが大分ございます、連坐罰となりますと、必ずしも本當に惡いことをしなかつた者迄卷添へを喰ふやうなことが從來あつたのであります、斯う云ふことは教育の方針から考へまして文部省は如何に御考になりませうか、之を概括的に斯うだと御論じになることは稍稍困難かと存じますが、併し大體の抽象論と致しまして、教育の方針として連坐罰と云ふのは如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=65
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066・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 之を濫りに連坐罰と云ふやうなものをやりますと、此の度の基本法にもあります個人の人格を無視したやうなことも起り得るのでありますから、さう云ふものは成るべく避けなければならぬのであります、併し例へば一つの部屋に一緒に住んで居る者が火災を起した、或はまあ非常に近い關係等があつて、連帶責任を免れない時に、連坐罰と云ふやうなものもあると考へ得るかと思ひます、今迄のやうに泥棒をした者を出して呉れなければ、皆んな歸さないと云ふやうなことで連坐罰を加へると云ふことは、行過ぎでもありますし、一人の生徒の人格を疑ふ爲に全體を疑ふと云ふやうなことは、教育上宜しくないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=66
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067・田島道治
○田島道治君 先程御尋のありましたことをもう少し詳しく伺ひたいと思ひます、それは長期六年の刑のことでありますが、是は先生以外の或は辯護士だとか、さう云ふやうな方面なんかと較べて、此の方はきついと云ふやうなことはございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=67
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068・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 私立學校令に教員になることが出來ない適格要綱がございましたのですが、其の際には是は多分一年以上の禁錮であつたと思ふのであります、今般官吏の方に付きまして大體長期六年と云ふことになつたさうでありまして、それに合せまして大體長期六年と云ふことに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=68
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069・田島道治
○田島道治君 それから是は私の聞き誤りかも存じませぬが、先程の學校組合に依る場合には、法律で定める法人のみの私立學校の規定があつたやうでしたが、地方公共團體の設置すると云ふ、其の地方公共團體と云ふ文字を廣義に解釋致しまして、地方公共團體の組合に依るものも地方公共團體に依る學校と考へるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=69
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070・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の地方公共團體及び公共團體の組合は、當然地方公共團體の中に入つて居ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=70
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071・田島道治
○田島道治君 先程の佐々木先生の了承されたのは、さうでないやうに伺つたので、もう一度伺つて見たのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=71
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072・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 佐々木先生の仰しやいましたのは、所謂地域團體以外の公共團體に付て仰しやられたのだと思ひます、例へば附則の中にも書いてございますが、現在農會の經營して居る學校は、今全國に一つ殘つて居ります、是は經過規定上私立として認めて居りますが、將來さう云つたやうな公共團體が特別の法律に依りまして學校を設置致しました場合に、此の法現の建前と致しましては私立學校と見做すより外に仕方がないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=72
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073・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さつきの懲戒のことに付て伺つて見たいと思ひます、此の懲戒と云ふやつは、私共理解する所に依れば、言ふ迄もなく此の教育上の目的を達成する爲に加へるのでせう、其の或所に惡いことがあつたからと云ふので、それに對する制裁として加へると云ふ意味ではないと思ひますが、如何でございませうか、其處の所をはつきりと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=73
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074・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御説のやうに、學校に於ける懲戒は、原則としては教育的な懲戒と云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=74
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075・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうしますと、是は其の爲に除名にするとか退校にするとか云ふことは、此處には入らぬと理解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=75
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076・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 懲戒を受ける者に對する教育的效果と云ふものが無論主でございますけれども、併し其の他の被教育者に對する教育的な意味も考へますれば、例へば非常に性格が惡くて外の者に惡い影響を與へると云ふやうな時には、教育的な目的でも矢張り除くより外はないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=76
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077・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それも矢張り此の懲戒の中に入ると理解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=77
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078・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) さう御理解して戴いて結構と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=78
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079・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=79
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080・瀧川儀作
○瀧川儀作君 監督廳ですが、都道府縣の監督と文部省の監督と、其の權限と云ふか、範圍と云ふのはどう云ふ風になりますか、今度制度が變るのでございますから、從前は文部省が直接に監督されないで、内務省に委讓されて、内務省は學務部長なるものを置いて地方の學校を監督して居られたのですが、其の學務部長は、個人としては立派な方でありまするけれども、餘り經驗のないやうな、又餘り更迭が頻繁である爲に、地方の事情なんかも研究する暇もない中に又迭る、從つて其の監督が課長及び視學と云つたやうな、先づ屬僚政治に移つてしまふ、其の間色々問題があります、それを擧げる必要はありませぬが、それは制度の罪であつて、度々私共は非公式に、直接文部省は督學官を置いて監督願ひたいと云ふことを何年か續けて申上げたこともあるのですが、今度それはどう云ふ風なことになりますか、矢張り内務省に委託と言ひますか、行政事務を御託しになつて、行政事務は都道府縣で御やりになるのでありませうが、教育の方針に付ての實行を監督すると云ふ方法に付ての範圍を伺つて置きたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=80
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081・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御説のやうに、教育上の行政監督廳と云ふやうなものは、一貫した方針で地方迄行くことは望ましいことでありまするけれども、現在の所、文部省で考へて居ります教育行政法と云ふやうなものの内容と、内務省あたりで考へて居ります地方自治法と云つたやうなものとの間に密接な聯關がありまして、立場に依つて色々利害得失が論ぜられて居りますものですから、文部省で、例へば單に行政的な方面ばかりでなく、財政的にも教育費と云ふやうなものが獨立出來れば、一層教育上の自主性と言ひますか、さう云ふものが確保出來ると思ふのでありますが、それには現實の色色の障碍がありますので、まだ十分なる見透しは付けてございませぬけれども、出來るだけ教育行政と云ふものが一貫した教育的配慮の下に行はれるやうにしたいとは望んで居ります、現在の所ではさう云ふ改正を前提に致しまして、文部大臣及び知事との關係を考へて居ります、是は今の所は從來通りに一應致して、今後の宿題に致してあるやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=81
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082・瀧川儀作
○瀧川儀作君 了解致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=82
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083・内藤政光
○子爵内藤政光君 此の第八條と第九條とに付きまして御伺ひしたいのでありますが、第八條に於きまして、「教育の免許状その他資格に關する事項は、監督廳がこれを定める。」とありますが、第九條の方には、「左の各號の一に該當する者は、校長又は教員となることができない。」とありますが、此の出來ないと云ふ意味は、免許状が貰へないと云ふ意味でございませうか、資格がないと云ふ意味でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=83
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084・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 第九條のはまあ謂はば全くの缺格者と云ふ意味で、資格がないと云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=84
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085・内藤政光
○子爵内藤政光君 さうすると是は資格の方に當るのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=85
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086・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) さうして第八條のは、先程申しましたやうに、校長の場合には一種の適格證と云つたやうなものを作る豫定でありますし、教員の方は、從來の教員免許状の規定を多少政正して適用しよう、さう云ふ考でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=86
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087・内藤政光
○子爵内藤政光君 此の免許状と申しますのは、教員の免許状と云ふものは、今迄の免許状と同じやうに、或免許状を許されて居る學校を卒業する際に與へられて居るものと同じものでありますか、或は別に今迄持つて居ないで教員をして居つた者も、試驗を受けさせて免許状を與へる譯でありますか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=87
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088・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 教員の免許状は、從來試驗を受けて免許状を貰へる途と、それから一定の學校を卒業すれば無試驗の檢定で免許状が貰へるのと、大體二種類あるかと思ひます、今後のは、制度が變りますと、新しい中學校、新しい高等學校の免許状と云ふものは、多少教育の内容が違ひますので、今迄のをそつくり其の儘冨て嵌める譯には行きませぬけれども、今の所は既得權は成るべく尊重致しまして、適用出來る範圍に於てはそれを重んじて、新らしい免許状と取換へて與へたいと思つて居ります、四月の出發の際に假免許状を與へて置きまして、さうして再教育の機會を與へて、それを眞面目にやつた者には新らしい免許状を與へよう、斯う云ふ方針で用意致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=88
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089・内藤政光
○子爵内藤政光君 さうすると、免許状なしで今迄教員をして居りました者があるのですが、さう云ふものはどうですか、それも矢張り假免許状を貰へる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=89
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090・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今迄免許状がなくて教員をして居る者に付きましては、經過的に一應今御話しました假免許状を、中學校なり高等學校等の教員としての假免許状を渡して置きまして、尚免許状に關する制度が決まりましてから、それに應じて又免許状を授與すると云ふ形に切り換へを行ふと云ふ形になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=90
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091・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の問題と關聯致しましてちよつと御伺ひしたいと思ひます、校長の免許状のことで、是から校長にならうと云ふ人達が志願でもしてそれを貰ふやうなことになるのですか、誰でもさう云ふことを頼めば、一定の基準に應じて貰へると云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=91
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092・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の點はまだはつきり決つて居りませぬけれども、先程御答へ申上げましたやうに、大體三つ位な途がありはしないかと考へて居るのであります、一つは、例へば中學校なら中學校の教員が校長の免許状を貰ふ爲には、特定の條件を備へる爲に勉強して校長の免許状を貰ひ得る、何時でも校長になれるやうな資格を取つて置く、さう云ふやうな途と、それから第三者からの推薦に依つて、特定の人が校長の適格證を貰へるかどうかを審査するやうな途と、それから新たに校長にならうとする時に、謂はば現在の教員適格審査委員會に資格、經歴等を審査して貰ふやうな形で適格證を貰ふと云ふやうなことも考へられる、大體三つを考へて居りますが、之に付てはまだ多少關係方面との十分な連絡が必要なのでありまして、それが濟んで居りませぬものですから、はつきり申上げる譯には行きませぬけれども、大體さう云ふ三つのことが可能なのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=92
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093・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御説明有難うございました、さうすると、十條の私立學校の校長を定めると云ふ時に、今の方法があるとしますと、其の三つの中から考へると云ふことになる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=93
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094・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=94
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095・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 第十五條に於きまして、私立學校は、毎會計年度の開始前に收支豫算又會計年度終了後に決算を出すことになつて居りますが、第九章の罰則の中を見ますと、此の事務違反には罰を加へてないのです、此の十五條の條項に從はない時は、何等制裁がないのでせうか、第八十九條のは第十三條の規定、第九十條のは第十六條の規定に關してと云ふだけであつて、是は別に擧げてありませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=95
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096・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 別に罰則は考へて居りませぬ、それから校長の屆出の方も罰は考へて居りませぬ、結局私立學校の屆出を道義的な義務としてありまして、罰則の對象にはなつて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=96
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097・佐々木惣一
○佐々木惣一君 只今の會計年度と云ふのは國家の會計年度でありますか、或は學校に於て自分自身で會計年度を定める意味でありますか、そこをちよつとはつきりして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=97
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098・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體國の會計年度と合致すると考へて居りますけれども、或學校で特別の會計年度を作りました場合は、其の學校の會計年度に據ることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=98
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099・佐々木惣一
○佐々木惣一君 十三條の「監督廳は、學校の閉鎖を命ずることができる。」是はどうも非常に重大なことでありますが、其の中に、法令の規定に故意に違反したとき」と云ふのがありますが、故意に違反すると云ふ其の解釋はどう云ふものでありませうか、是は法令に違反して居ると云ふことを知つて違反したと云ふことを言ふのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=99
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100・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 「法令の規定に故意に」と態々入れましたのは、非常に澤山の法令がありまして、それに學校當局が全然知らないで違反したと云ふ場合に、その閉鎖を命ずると云ふのは酷ではないかと思ひまして、矢張り法令に違反すると云ふことを意識しながら違反したと云ふ場合を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=100
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101・佐々木惣一
○佐々木惣一君 詰り知つて居つてと云ふ意味ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=101
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102・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=102
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103・佐々木惣一
○佐々木惣一君 知つて居つて……知つて居る事情の意識の善惡を問ふのでありませんよ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=103
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104・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=104
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105・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それに關聯してもう一つ伺ひます、是は學校がさう云ふ違反がある、處が學校職員の中で、一人ならず二人ならず職員自身で非常に規定に違反すると云ふやうなことがあると云ふやうなことを、矢張り茲に含むのでありませうか、學校の行動としての違反と、學校に於ける職員としての違反と、ちよつと一應分けて考へなければならぬと思ひますが、さう云ふことは如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=105
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106・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 學校に於ける職員が致しました行爲でありましても、其の學校自體がそれを認めてやつた場合は、學校の行爲として認めて宜いんぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=106
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107・佐々木惣一
○佐々木惣一君 まあ認めなくても、其の學校の職員の多數の者の状態で、どうもあの學校は學校としての状態に叛くと云ふ時は、此處に入らぬ譯ですね、學校は認めないんですが……、例へばまあストライキを皆でやる、併しながらストライキをやることを別に學校は認めて居ないと云ふやうな場合ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=107
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108・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 學校職員の個人的な責任に付きましては、若しそれが官公立の學校でありまして、官吏でありました場合には、其の方から參ることになります、私立學校の場合でありました時には、現在の情勢では、刑法とか其の他の法令違反の行爲だけが咎むべきだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=108
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109・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私はさう云ふことを御伺ひするのではない、個人的の責任は別の方で行く譯ですが、斯う云ふ状態があつた場合には、其の學校と云ふものが法令の規定に――學校と云ふものは本來さう云ふ職員を以つて、本來一生懸命に詰り法の定むる所に依つて、職員と云ふものを眞面目にやらせると云ふ、さう云ふ責務を持つて居りますから、學校自體が……、でありまするから、矢張り學校……個人的には責任は勿論何ですが、學校自體の責任もあると云ふ風に解するかどうかと云ふことを御尋して居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=109
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110・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 例へば一つの學校の職員が、例へば收賄をやりましたり、不正入學をやつたりして、法令に違反したと致しまして、其の事を事實上學校は全然知らなかつたと云ふ場合には、其の法令には當嵌らぬと思ひますが、自分がそれを學校全體として知つて居ると云ふ場合には、矢張り十三條の適用を受ける場合があるのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=110
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111・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、是は重大なことでありますから、もう一つ、それが例へば學校騷動と云ふものがある、學校騒動があつて、どう云ふ理由か知らぬが、學生も先生も黨派を作つてやつて居ると、斯う云ふ時に矢張り斯う云ふやうな規定の適用があるかどうかと云ふことを、具體的に御尋して居るのですが、隨分是は從來からあります、それも考へられることである、さう云ふ場合に個人的の責任と學校との責任、さう云ふことの見解を何處に置くかと云ふことですけれどもね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=111
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112・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 個人の學校に於ける職責上の、公の職責上の責任と云ふものから、學校が當然負はなければならない、矢張り責任を負はなければならないやうな場合には、假令個人であつても例へば校長であつて、個人としてやつたと云ふけれども、併し學校の最高の責任者として職責上放つて置くことが出來ないと云ふ場合も起るかと思ひます、それは具體的に色色の條件を考慮しないと、なかなか適用出來ないかと思ひますが、今佐々木先生の仰しやつたやうなこともあり得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=112
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113・宗武志
○伯爵宗武志君 此の第十五條の場合に、第十三條の學校を閉鎖すると云ふやうなことは當嵌らないのでございませうか、第十五條の屆出、其の義務を怠つた場合に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=113
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114・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第十三條の閉鎖を命ずることが出來ると云ふ規定を置きましたのは、詰り學校が愈愈困つたやうな状態になりまして、それに對して最後の手段がないと云ふ場合は困りますので、最後の一つの手段として規定を致したのでございまして、之を教育的に申しまして、私立學校令で是よりもまだより以上の廣汎な規定があつた譯でございますので、それを使用して閉鎖を實際上命じましたことは、殆ど中等學校等に於きまして極く僅かきりでございまして、今迄實際上は使用して居ないのであります、それで第十五條のやうな場合に於きまして、所謂屆出がなければならぬとしても、何等屆出をしないと云ふことに付きましても、之を以ちまして直ちに閉鎖命令迄行くと云ふやうなことは考へて居ないのでございまして、全然それも屆出をしなくて、學校の實際の周圍の状況が非常に惡い、それは事實上調べてみたら非常に法令に違反したことをやつて居つたと云ふ場合には、矢張り十三條の對象になり得ると思ひますけれども、出來るだけさう云つたやうな點は矢張り閉鎖と云ふやうな問題にもつて行かないで、教育的に處理して行きたいと考へてみたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=114
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115・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、もう一つ伺ひたいのですが、此の十六條の子女を使用する者と云ふのは、子女は誰の子女でも宜しい、他人の子供を使ふ場合でも、自分の子供を使ふ場合でも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=115
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116・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=116
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117・宗武志
○伯爵宗武志君 其の子女を使用する者が、其の子女の義務教育を受けることを妨げた場合、詰り他人の子女を使用して居た者が受ける罰と云ふのは、第九十條に規定してございますが、處が他人が自分の子供を使用して居た、其の爲に義務教育を受けられない場合に、其の義務教育を受けられない者の親は、今度は第九十一條の罰則を受けるわけですか、是はどうも馬鹿な質問か知れませぬけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=117
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118・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 義務教育を受けなければならない子女は、他人が使用することは今度の勞働基準法で禁じてある、其の點で親が自分の家で使ふと云ふことは或程度は無論事實上差支へないと思ふのですが、その爲に學校に行けない程使ふと云ふことに付ては、親としての義務を果さないと云ふ意味に於て罰則を適用されると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=118
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119・宗武志
○伯爵宗武志君 私の申上げ方が惡かつたか知れませぬが、さうすると此の場合の子女は自分の子女と云ふわけですか、第十六條の……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=119
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120・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 是は兩方でございます、自分の子女を自分が使ふと云ふ場合にも、使つて義務教育を受けさせない、妨げる程使つてはならないと云ふことと、無論他人の子女を使つて、さうして義務教育を妨げるやうに使ふと云ふこともいけない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=120
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121・宗武志
○伯爵宗武志君 ちよつと次の章に半分掛かるのですが、若し自分の子供を使用して其の結果義務教育を受けさせなかつた場合には、罰則の兩方に當るわけですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=121
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122・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 罰則の點ですから九十條と九十一條です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=122
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123・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 十六條の「子女を使用する者」とございますのは、矢張り勞働基準法に係る使用者の意味でありまして、其の親だとか、第三者とか云ふことは全然一般的に言つて居るのであります、從ひまして其の罰則は矢張り十六條で參りまして、親が自分の子を使用して第二十二條の違反を致しました場合には、それは使用して居りませうが居りますまいが、それは必ず第九十一條の罰則に當嵌ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=123
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124・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 私の前の十六條の解釋は間違つて居りますから取消を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=124
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125・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございます、私もまだ詳しく讀んで居らなかつたものですから愚かな質問だつたと思ひますが、御答辯を有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=125
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126・佐々木惣一
○佐々木惣一君 詰り十三條と十五條の關係の御質問からちよつとはつきりして置きたいと思ひますが、是は成る程學校の監督官廳は學校の閉鎖を命ずろことが出來ると云ふのは、學校閉鎖と云ふ處分を必要に應じて爲すことを得ると云ふ、唯其の權限を言つたのであつて、必ずしも閉鎖を命じ得ると云ふことではないから、それはさう云ふ閉鎖を命じ得る權限を持つた範圍に入りますけれども、併しながら、果して閉鎖を命ずることが適當かどうかは別の考慮に入るのですから、だから閉鎖を命じなければならぬと言ふことではないでせう、私共の方ではさう解釋するのですが、個々の場合に應じて行かれるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=126
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127・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=127
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128・佐々木惣一
○伯爵佐々木惣一君 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=128
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129・宗武志
○伯爵宗武志君 又元の所へ戻りますが、先程懲戒のことで御質問がございましたのですが、懲戒と云ふのは當人を戒める……言葉の方から言ふと、飽く迄當人を戒めると云ふことになると思ひますが、此の放校と云ふのは矢張り懲戒に入りますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=129
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130・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は又色々懲戒のところはむづかしいであらうと思ひますが、小學校及び中學校に付きましては、是は義務教育でございまして、其の懲戒の手段として所謂退校と云ふことは、當然此の懲戒の中には含まれないと一應考へられると存じます、從ひまして小學校の所の第二十六條に、傳染病に罹りましたり、性行不良であつて、他の兒童の授業に障害があると云ふ場合に於きまして、保護者に對しまして兒童の出席停止を命ずると云ふことを規定したのでございます、併し一般の高等學校より以上に於きまして、それは教育的に色々行はれる懲戒の中に於きましても、矢張り其の上の方に於きましては、性行不良の爲に他の全般の被教育者に害を及ぼすと云ふ虞があります場合に於きまして、矢張り其の本人の本當の反省を促すと云ふやうな意味に於きまして、小學校より上に於きましては、懲戒の中に矢張り退學處分と云ふものが含まれても宜いのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=130
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131・宗武志
○伯爵宗武志君 さう致しますと、放校と云ふのは、其の學校では將來もう再び學業をする機會がない場合でも、一般の人間として懲戒を加へると言ふ意味を……さう云ふ風に御解釋になる譯ですね、さうすると其の學校と云ふものは、單に學校の内部だけの教育に關係があるものでなくて、人間の一生に付ての教育に關係する譯でございますが、詰り學校を出てから後の問題も學校が關係する譯なんぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=131
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132・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是はまだ懲戒を如何に監督廳が定めるかと云ふことは、まだはつきり確定致して居りませぬけれども、大體其の學校に於きまして加へたる懲戒處分は、其の學校から排除すると云ふことが、最大限度ではないかと考へられると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=132
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133・宗武志
○伯爵宗武志君 私の伺ひますのは學校から排除してしまふことが、本人を懲しめたり、戒めたり、詰り懲戒と云ふ意味はさうであると思ひますが、さう云ふことにならないのではないかと思ひますが一種の罰になるので、戒める以上は矢張り其の將來のことにも此方で考へなければならぬのではないかと考へますが、是は間違つて居るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=133
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134・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 學校教育は無論限度がありますし、學校で到底矯正し難いやうな場合に、今の放校と申しますか、學校を追出してしまふと云ふやうなことも已むを得ない處分となるかと思ひます、追出される當人自身にとつては、例へば道徳的に非常に欠陷でもあるやうな場合には、是が戒めと云うことにはならないかも知れませぬ、併し全體の普通の道徳的水準を持つ者にとつて戒めになることが、道徳的な欠陷を持つて居る者には戒めにならないやうな場合も起り得るかと思ひますけれども、普通の場合に於ては學校を出すと云ふことは、事實上出された者が改悛をすると云ふやうな場合もあり得ると思ひます、此の懲戒と云ふ意味は、先程申上げましたやうに、學校でありますから出來るだけ教育的な意味を重んじて懲戒はすべきだと思ひますけれども、學校の教育能力と云ひますか、それに堪へないやうな場合には學校が斷ると云ふ意味に於て、一種の行政處分的にやめさせると云ふことも已むを得ない事態がありはしないかと思ふ、それを懲戒としてやるか、或は行政處分のやうに除名をするとか、除籍をすると云ふことと、それから退學を命ずると云ふやうな場合とは、多少取扱の上に於ても意味が違ふかと思ひますが、まあ教育不可能なやうな場合には學校を出すと云ふ場合もあり得るとは考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=134
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135・宗武志
○伯爵宗武志君 只今伺ひますと、結局懲戒と云ふ意味でない放校と云ふこともあり得ると云ふことになるやうに伺ひましたが、さう云ふ放校の規定は何處かにございませぬのですか、別に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=135
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136・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 現實には懲戒處分で學校を出す場合と、行政處分で學校を出す場合と兩方あると思ひます、例へば病氣がひどくて、學校へ來さして置けば何年經つても卒業出來ないと云ふやうな場合に除籍をすると云つたやうな場合、それから素行不良であつてやめさせると云ふ場合と兩方ありまして、それは意味は違ひますけれども、兩方共學校に留めて置かないと云ふやうな處分は起り得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=136
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137・宗武志
○伯爵宗武志君 さうすると、さう云ふ規定を何處かに御設けになる御考がある譯でございますか、行政處分をなさる……何處かに外にあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=137
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138・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の入學、退學及び休學とか除籍とかと云ふことは、大體其の學校の學則で決る問題でございまして、例へば本校に入學して二年間休學した場合は除籍するとか、さう云ふ規定が學校の學則に規定される譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=138
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139・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、さうすると此の箇條はさう云ふ問題とは關係なく、懲戒と云ふ問題にのみ限られて居る譯でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=139
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140・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=140
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141・宗武志
○伯爵宗武志君 さう云ふことがはつきりしなかつたものでありますから長く質問して失禮しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=141
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142・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 今のに關聯して居りますが、今の政府委員の御答はちよつと私の腑に落ちないのでございますが、是から學校教育法を立案しようとするのでございますから、我々は新な立場に立つてそれを考へなければならない、それで此の法案を拜見致しますると、學生、生徒、兒童が懲戒を監督官廳に依つて定めた所に依つて、教育上必要な時は斯う云ふことが出來ると云ふ、可なり細かいこと迄規定してあるのですから、苟くも學生を學校から放逐するとか、學生の將來に關するやうな大きな處分は、こんな小さなこと迄規定してある所からしますと、矢張り此の法律に規定しなければいかぬやうに私は考へますが、其の點如何でございますか、學則に委ねてしまつてそれで宜しいと云ふ譯には參らないのではないかと云ふ風に考へますが、可なり深切に學生、生徒、兒童のことを考へてやつて居るのでありまするから、殊に義務教育の義務との關係からして、其の生徒を學校から放校處分にすると云ふやうなことは相當重いことであります、之を單に學則に委ねると云ふことは、其のことが出來ると云ふ、尠くとも委任の規定位は此の法律に書かなきやいかぬ、さう云ふ風に考へますが、其の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=142
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143・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今私の申しましたのは、放校とか退學を命ずると云つたことを學則に書くと云ふ意味ではございませぬ、唯二年間休學した儘で學校に居りますとか、二年間落第したら退學しなきやならぬとか、斯う云ふことは所謂學校の秩序の上から、其の學則に書いて置きまして、其の學則は當然入る時に本人が承知して入つて居る譯でありまして、但し此の懲戒になると、矢張り重要な個人の……、學校の一方的の教育上の理由に依りましてやることがあり得るので、是は法律上はつきりして置いた方が宜いのぢやないかと云ふので、懲戒のことを規定致しましたが今の先の行政の方には規定致さなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=143
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144・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと伺つてはつきり致して置きたい、十一條の問題ですが、此の懲戒と云ふのは色々の場合がある、甲と乙との或關係が豫想されて、何等かそこで一つ所謂懲戒を受ける乙なる者がある、或ことをしなきやならぬと云ふ立場に立つて居る、それをしない時に甲が懲戒をすると云ふ風に理解して居りますが、そこで此の十一條は教育上必要があると認めた時は懲戒をするとしてありますが、懲戒なるものは、固より其の問題となつて居る行爲を爲す其の者に課するものでありまするけれども、併しながらここに懲戒が教育上必要があると云ふ時は、其の者個人に對する教育と云ふことと、其の學校一般に持つて居る教育上の目的、從つて他の兒童をも教育をすると云ふやうなことを考へて、それで教育上必要があると云ふ風に規定したのぢやないか、官吏の懲戒の場合も同じことでありまして、官吏に對しては懲戒處分として、場合に依つては免官することもあるが、併し免官してしまつたら、其の官吏其の者には最早訓育にも何にもならぬ譯ですが、併し官吏一般の紀律を維持する爲に或特定の官吏を免官にすると云ふことがあることと同じやうなものであつて、矢張り惡い行ひをした兒童に對して懲戒を加へるのだけれども、併しそれは矢張り、それがそこに居ては他の兒童に對する教育を爲すことが出來ないと云ふやうな場合には、それは懲戒の手段として、其の者を學校からまあ出してしまふと云ふことが考へられるでありませうが、併しそれもしなければならぬと云ふことではないのであつて、加へることが出來る、懲戒としてさう云ふことが出來ると云ふだけであつて、さう云ふ程度の懲戒を加へることが宜いかどうかは別のことである、斯うなるのぢやないか、さうして又其の時にどう云ふ場合に加へるかどうかと云ふやうなことを規定するのは監督官廳が別に定めると云ふ何か一般的の規則がある、斯う云ふ風に率直に理解出來ますが、さうしたら如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=144
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145・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 全く其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=145
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146・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私はさう解釋致しますが、私の理解だけを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=146
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147・内藤政光
○子爵内藤政光君 第十六條に付きまして先程御質問がありましたが、「子女を使用する者は、その使用によつて、子女が、義務教育を受けることを妨げてはならない」と云ふことがありまして、又其の次の二十二條にも同じやうなことが出て居ります、是は或特殊の、割合に人員としては數が多いのでありますが、例へば東京に於きましては、築地あたりの運送をして居る者、此の船頭は殆ど一家族が船の中に乘つて居りまして、横濱へ朝出て行けば、横濱に一晩居つて、又翌日荷を積んで一晩船に寢まして、翌日東京へ出て來ると云ふやうにして、荷物の運搬をして居る者がありますが、之に對して今迄は其の子女は殆ど學校へは行かれないのであります、行けば一日置きに行かなければならぬと云ふので非常に困つて居るやうですが、併しそれにしても今迄は罰金刑と云ふものはなかつたのですが、今度は罰金刑が出て參りますと、それはどう云ふやうな方法にしたら宜いかと云ふことになるでありませうか、一日向ふの學校に籍を置きまして、又東京へ來た時こつちの學校に行くと云ふことにすれば義務教育が受けられる、さうでないと殆ど一日置き、二日置きに學校へ行かなければ行かれない、それに對しても、其の保護者に對して罰金を課することになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=147
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148・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) まあさう云つたやうな場合に於きましても、出來るだけ何とか就學奬勵、其の他の方法に依つて就學義務を果されるやうに致さなければならぬと考へますけれども、併しどうしても事情に依りまして就學することが出來ない場合に於きましては、第二十三條の規定に依りまして、「病弱、發育不完全その他やむを得ない事由のため、就學困難と認められる者の保護者に對しては云々」に依つて、認可を受けて就學義務を猶豫又は免除することが出來ると云ふ規定を致して居るのでありまして、此の規定に依りまして猶豫又は免除された場合には、罰則の適用を勿論受けないことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=148
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149・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 他に御發言ございませぬか、本日は此の程度で散會致したいと思ひます、次囘は明日午後一時より開會致します
午後三時二十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=149
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150・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 今園國貞君
副委員長 伯爵 宗武志君
委員
伯爵 橋本實斐君
子爵 北小路三郎君
子爵 内藤政光君
子爵 三島通陽君
子爵 田中薫君
平塚廣義君
佐々木惣一君
荒川文六君
羽田亨君
男爵 加藤成之君
男爵 松平齊光君
男爵 坂本大造君
坂田幹太君
瀧川儀作君
田島道治君
國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
政府委員
文部事務官 日高第四郎君
同 柴沼直君
同 有光次郎君
同 稻田清助君
同 辻田力君
同 剣木亨弘君
同 岡田孝平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00419470323&spkNum=150
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