1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○學校教育法案
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)
午後一時十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=0
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001・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは開會致します、第一章の御質問は大體昨日で終つたやうに考へられますが、尚ございませうか……ございませんやうですから第二章に移りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=1
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002・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の小學校と云ふのは詰り今の國民學校の改稱だらうと思ひます、誰も知つて居る通りに、元小學校と言つたのを國民學校と改めた、國民學校と改める時には、唯昨日御話の學生、生徒と云ふやうな、さう云ふ區別をして居ると云ふやうな意味の稍稍形式的の、便宜的の意味と云ふよりも、何か國民學校と云ふ名稱の方が、其の改つた時以後に於ける學校に於ける教育の方針が違ふと云ふやうな、内容上同じやうな説明が出たのでありまして、私自身のことを申すことを許して戴ければ、改める必要なしと云ふ意見であつたのでありますが、今度又小學校と改めることに付きましては、何等か内容上の意味があらなきやならぬと思ひますが、一つそれを御説明願へぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=2
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003・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 主に外の學校との聯關で、小學校、中學校、高等學校、大學と云ふやうに元に戻した方が一層釣合が宜くはないかと云ふ考が一つと、それから今後の小學教育の内容に付きましては、戰時中にあつたやうなことを内容を幾分變へる、名前を變へた方が新しい出發の爲に宜くはないか、それが理由なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=3
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004・佐々木惣一
○佐々木惣一君 國民學校と云ふのはいけないと云ふやうな、さう云ふ消極的の理由は何もなかつたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=4
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005・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 特別に國民學校がどう云ふ譯でいけないと云ふ意味のことぢやないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=5
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006・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ああさうですか、よく分りますが、併し國民學校と云ふ風に改める時には、さう改めること自體に於て多少議論があつたかと記憶して居りますが、併し何れにしても改まつたらそれでいいのですが、そこにちよつと關聯しますが、中學校、高等學校、大學とありますが、一體高等學校迄は校の字を付けて、大學に至つて初めて校の字を拔くと云ふのが從來の例ですが、陸軍關係に於きましては、例へば陸軍大學校と言つて居ります、大學とは言はない、陸軍大學校と言つて居ります、何か校の字を廢めると云ふならば、寧ろ小學、中學、大學と言つても宜さうに思いますが、高等學校だけは工合が惡いけれども、何かさう區別を付けなければならない理由があるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=6
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007・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 別に確たる理由がなく慣習に依ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=7
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008・佐々木惣一
○佐々木惣一君 其の點は宜しうございます、私の質問は一應終りまして又後で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=8
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009・荒川文六
○荒川文六君 此の小學校、是は小學校ばかりでなく中學校にも準用されるのですが、第二十一條の教科用圖書のことでありますが、此の義務教育の面に於いては、教育の參考圖書は茲に書いてあるやうなことは至當なことと思ひますが、第二項の「教科用圖書以外の圖書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる」とあるのですが、有益適切なものを判斷するに何か檢定か何かに依るものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=9
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010・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 是は文部省と致しましては、斯う云つたやうなものは有益適切であらうと云ふ參考の指示は致す積りでありますけれども、結局有益適切を決定するのは教育者自身の責任に於てやらせると云ふ、さう云ふ趣意でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=10
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011・荒川文六
○荒川文六君 それに關聯したやうなことでございますが、近頃も、前にもさうでございましたが、子供の讀物として書店などに澤山並べてありますものの中には、隨分如何はしいものがあるやうに見受けられるのでありますが、ああ云ふやうなものに對して、此の條項とは直接關係はありませぬけれども、何か監督をすると云ふやうなことは考へられて居らないのでございませうか、或は又現に斯う云ふことはやつて居られるのでせうか、其の點をちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=11
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012・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 御答へ致します、此の點色々考へて居りまするけれども、今日出版の自由も認められて居ります際、是は取締ります方法はないやうであります、如何とも致し方ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=12
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013・荒川文六
○荒川文六君 もう一つ、圖書のことに付て伺ひますが、監督廳で著作權を有する圖書、又所謂官で作られる圖書も同樣でありますが、例へば或學科の圖書を普通の假名混りで書かないで、例へばローマ字で之を書くと云ふやうなことも將來考へて宜いのではなからうかと考へるのでありまして、それと申しますのは、子供が矢張り小學校、中學校、それ以上でも同じでございますけれども、新しい本を讀むことは御承知の通り非常に好んで、やる時期がございます、併し其の時に最も障碍となるのは、自分の知らない漢字が出て來ると云ふことである、是は小學校ではありませぬけれども、私の親しく自分で經驗した所でありますが、或工場の職工になつて居る若い者が、自分の專門のことをもう少し深く知りたいと思つて參考書を買つて見るけれども、むづかしい漢字が、自分の知らない漢字が出て來てどう讀むか分らないと云ふことが、其の本を讀む興味を失はせるし、遂に又知識を得ることが出來ない、日本人は學校を出ると本を讀まない、勉強しないと云ふことを能く申しますけれども、それは唯中學校或は小學を出ただけで、今度は中學校が義務教育になりますから幾らか知識も高まりませうけれども、それだけの知識で自分の思ふ本を讀みこなせないと云ふことに、其の原因の一つがあるのぢやないかと思ひます、それが從來日本國民の一般の科學教育、科學知識などの水準の低かつた原因ではなからうかと思ひます、私は例へば物象とか云ふやうな方面の圖書、或は數學に關する圖書などは、文學を知らないから讀めないと云ふことを省く爲に、ローマ字などで書いたならば非常に宜いのではなからうかと思ふのでありますが、將來ローマ字で書かれた書物も教授用に用ひることは差支ないと云ふ御考であらうかと思ひますが、其の點はどうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=13
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014・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御承知のやうに、小學校でもローマ字の綴り方を教へることになつて居りますが、但し本年は一應暫定的に訓令式を用ひることになつて居ります、從つて近く公正な委員會の處置に依りまして、大體ローマ字の綴り方が一定するやうになりますれば、自らさう云ふ綴り方に依つて小學校の生徒を初め、中學校以上などに付ても副讀本式の準教科書のやうなものを用意されるだらうと思ひます、今の處、まだ其の運びに至つて居りませぬけれども、十分研究してさう云ふやうな取計らひを致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=14
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015・佐々木惣一
○佐々木惣一君 矢張り教科書のことですが、二十一條ですが、「監督廳の檢定若しくは認可を經た教科書用圖書又は監督廳において著作權を有する」と云ふ所に「又は」と規定してあるのですが是は政府の方の御考では、運用上どちらに重きを置くと云ふやうな、さう云ふ點に付て何等御考はないのでございませうか○政府委員(日高第四郎君) 此の點は實は關係方面とも話合をしまして、關係方面では文部省が著作權を持つて居るやうな、從來の國定教科書だけではいけない、寧ろそれは各地方自治の建前からして、各地方で以て其の地方に應じたやうな有らゆる種類の教科書が出來ても宜いではないか、さう云ふ趣意なんでありますが、現在の状況に於きましては、印刷の點から見ましても、新しい教育内容を盛るやうな内容の著作に付きましても手が囘りませぬので、文部省自身の持つて居りますやうな、從來の國定教科書のやうなものを一應使用すると云ふ建前になつて居るのであります、文部省と致しましては特にどちらをと云ふ意味もないのでございますが、折衝の時には關係方面では寧ろ前の方を原則として、後の方を付けたりにすると云ふ、さう云ふ意向であります、文部省自身としてはどちらを主と云ふやうに考へて居る譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=15
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016・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうしますと二十一條の趣旨は分りましたが、適用します時には、假に文部省、監督廳の認可した檢定教科書がある、又文部省の著作權を有する教科書がある、此の二つが重なつた時には、其のどちらを使ふかと云ふことは、個々の學校自體が任意に選擇することになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=16
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017・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=17
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018・佐々木惣一
○佐々木惣一君 もう一つ、此の監督官廳の權限と云ふことでありますが、「檢定若しくは認可を經た教科書」と云ふことを……監督廳と云ふことは、言ふ迄もなく行政的の意味でありますが、教科書に付ての檢定とか認可と云ふことは、内容的のことですな、矢張り其の監督廳が檢定若しくは認可と云ふ行政處分をするに當つては、審査機關とか、さう云ふものを設ける御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=18
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019・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 勿論さう云ふものを設ける豫定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=19
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020・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうだらうと思ひますが、其の時に一つ御考へ願ひたいのは、所謂教科書檢定委員會、さう云ふものでせうが、それは内容、人選に餘程御注意を願ひたいと思ふのですが、實は私共は小學校のことは能く知りませぬけれども、或場合に、自分の研究の必要上教科書を見ることがありますが、可なり杜撰なものがある、それは教育とか、理念とか云ふことから言へば宜いやうだが、何だか取扱つて居る事柄が正確を缺いて居るものがある、專門的のことを兒童に言ふのではないけれども、併しながら教へる事柄自體は非常に正確な知識を基礎にしなければならない、斯う思つて居るものですから、さう云ふ點から見ますと不滿足な點を私知つて居るのですが、是は質問と云ふよりは希望として、さう云ふ點を御注意願ひたいと斯う思ふ譯であります、是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=20
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021・羽田亨
○羽田亨君 第二十八條第三項に於きまして「校長は、校務を掌り」とある、是は單り小學校ばかりでなく、上は大學に至る迄同樣の文句がずつと入つて居るやうです、此の校務と云ふのは、どう云つたことをされることになつて居りますか、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=21
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022・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 主として學校行政事務、教育行政事務、さう云ふことを……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=22
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023・羽田亨
○羽田亨君 さうすると、教育の方には校長は觸れないと云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=23
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024・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 校長としては必ずしも教育はしない、併し同時に教諭であつて教育をする場合もある発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=24
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025・羽田亨
○羽田亨君 例へば此の頃は、祝祭日に於ける學校の行事が非常に簡略になつて居るやうでありますが、それにしても學校としては色々式辭などのこともあり、將來も無論あると思ひます、さう云ふ際に於ける學生に對する訓話と云ふやうなことは、從來校長が當つて居るのが普通と思ふ、それ等のことは行政事務と云ふものの中に含まれて居ると云ふ御考ですか、或はさう云ふことは校長のやることから離して、然るべき教員の人が當ると云ふ御方針ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=25
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026・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 行政事務と云ふのは少し概念が狹過ぎるかも知れませぬ、私が御答へ申上げました中には、さう云ふことを入れて居る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=26
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027・羽田亨
○羽田亨君 從來の方針が改まつて、校務と云ふことを特に御書きになつたと云ふ譯ではありませんね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=27
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028・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) はい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=28
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029・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それに關聯して居りますが、例へば校長が教育の仕方に付て、それはどうも感心しない、斯う云ふ風にしたら宜い、と云ふ風なことは監督に入りますか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=29
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030・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 廣い意味で、所屬職員を監督すると云ふ意味に入れて居る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=30
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031・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました
〔委員長退席、副委員長着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=31
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032・今園國貞
○男爵今園國貞君 小學校は、今迄の國民學校と同じやうに一應完成教育をするのでせうか、どうなんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=32
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033・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 義務教育が九年に延びますので、完成教育と申しますよりは普通教育の基礎と言ひますか、初等的な基礎と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=33
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034・今園國貞
○男爵今園國貞君 さう致しますと、中等學校と關聯して、中等學校と小學校と、兩方で初めて完成教育になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=34
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035・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 嚴格な意味では完成教育とは考へられないのであります、方々で色々要求もありますやうに、若しも日本の財政經濟状態、一般の社會状態が許すならば、高等學校迄義務教育と致したいと云ふやうな希望も持つて居りますが、現在の所ではそれは不可能でありますので、中等學校を以て一應公民に必要な普通教育を完成させる方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=35
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036・今園國貞
○男爵今園國貞君 第三十三條は、どう云ふ場合を豫想しての規定でございますか、それをちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=36
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037・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 離島でございますとか、山村僻地にある場合を豫想して居ります
〔副委員長退席、委員長着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=37
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038・宗武志
○伯爵宗武志君 只今問題になりました二十一條の所でございますが、監督廳と云ふのは都道府縣區域を管轄するものも含むのでございませうか、ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=38
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039・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 二十一條の監督廳と申しますのは、附則で先程申しました文部大臣と、當分の間讀みたいと思ひます、但し將來に於きましては、此の監督廳は都道府縣監督廳にもなり得る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=39
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040・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、ちよつと速記を御止め願ひたいのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=40
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041・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を中止して……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=41
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042・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を始めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=42
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043・宗武志
○伯爵宗武志君 次に十八條の五と云ふ所に「日常生活に必要な數量的な關係を」云々と云ふことがございますが、此の前本會議で數量の基準になる度量衝の名稱の決め方はまだはつきりして居らないと云ふ風に御説明になつたやうに伺つて居りますが、之に付ては何か只今適當な研究とか、其の他の處置が執られて居りまするのでございませうか、比の點に付て少し伺ひたいと思ひますが、何かさう云ふ御計畫なり、何なりがあるならば御漏らし願ひたいと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=43
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044・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 申譯ございませぬが、此の點を十分確めてございませぬが、實は教科目に付きまして專門家が相當細かく研究を致して居りますので、多分此の點も相當研究致して居る、或は又進んで居るのではないかと思ひますが、私行屆きませんで、承知致して居りませぬ、調べまして御返答申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=44
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045・宗武志
○伯爵宗武志君 若し適當な機會にそれを伺へれば有難うございますが、さう云ふことが出來ませんでしたらば、致し方がございませぬ、兎に角此の點は相當重要な問題と思ひますので、成るべく早く斯う云ふ問題に對する態度を御決め願つた方が宜いのではないかと、唯さう云ふことだけを申上げて置きたいと思ひます、私の質疑は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=45
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046・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は二十條と二十一條の二つ合せたやうなことを御尋したいのですが、其の監督廳と云ふ、是は何でございますね、今は文部大臣と云ふ御話ですが、將來は地方團體の長が當る、地方團體の長になります場合に、それは各地方團體で、其の當該の長なるものが教科に關する事項を定め、又は教科書を檢定すると云ふことにも相成ると思ひますが、各自地方に依つて別々のことが教科に關する事項として定められ、又は教科書が定まると云ふことが有り得ることになるだらうと思ひますが私の考へます所に依れば、小學校の教育と云ふものは、固より各地方々々の特殊の事情に依つて其の兒童に教ふべきものもありますけれども、同時に又日本國全般の兒童と云ふものに共通の知識訓育を與へると云ふことが小學校の小學校たる所以の一つではないかと、斯う思ふのですけれども、さう云ふ點に付ては當局はどう云ふやうな御考でありませうか、ちよつと御答を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=46
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047・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の點は若し此の法文だけでございますと、御説のやうなばらばらになる處があると考へられるのでありますが、實は文部省と致しましては、各都道府縣の上に、もう少し大きい委員會見たいなものを考へまして、そこでは地方教育研究所見たいなものを設けまして、それで成るべく其の地方に付ての聯絡を良くし、又改善を圖ると同時に、それと文部省とも聯絡致しまして、多樣の差別のある中にも自ら統一のあるやうな運營を致したいと考へて居るやうな次第であります、まだ地方自治法と學校行政法と云ふものが、折合が十分付いて居りませぬので、將來の見透しを申上げることは今のところむづかしいのであります、文部省としては、其の點出來るだけばらばらにならないやうに、多樣の中にも統一のあるやうな方向に進めたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=47
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048・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りましたのですが、先刻も申上げました、小學校教育は、矢張り兒童として、日本國家の國民としての共通の知識、性格を養ふと云ふことがどうしても必要だと思ふのでありますが、それが小學校の小學校たる所以……それはちよつと何ですけれども、アメリカの教育制度は直ちに日本には當嵌らぬ、アメリカは御存じのやうに、各州で教育のことを定めて居つて、今合衆國には實は日本の文部省に該當するものはない、でありまするから所謂地方的、地方的と云つてもそれはアメリカの方で言ふ地方的と云ふことは、直ちに日本には當らぬかとも私は思つて居るのですが、さう云ふやうな點は能く御考慮願ひましてさうして此の法律は此の法律として適用しなければなりますまいが、矢張り日本國兒童として共通の必要なるものがあると云ふ只今の御話、それに從つてそれを落さぬやうに運用を願ひたいと、斯う思ふのですが、それだけのことをちよつと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=48
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049・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) ちよつと其の點に付きまして申上げますが、監督廳とありますのは、當分の間文部大臣になつて居りますけれども、それを將來都道府縣の所謂地方に監督廳を移しますか、或は此の監督廳を文部大臣の儘全國的に矢張り統一を必要とするものを殘しますかは、其の地方の分權の程度に依りまして、殘さなければならないものは矢張り將來共に殘さなければならぬものがあると思ひます、唯、今一應全般的に斯う考へて居るのであります、實質的には今仰しやられましたやうな、全國的に矢張り統一しなければならぬ場合は、相當或る程度文部大臣に殘るものがあると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=49
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050・平塚廣義
○平塚廣義君 只今の政府委員の説明に付きまして、私はアメリカのやうな風に州であるとか何か大きなものであれば何でありますけれども、我が國の地方分權とか地方自治とかと云ふやうな上から考へまして、只今佐々木さんの御述べになりましたやうな疑問が、又大いに研究を要する點があるだらうと云ふことを考へるのですが、ですから只今政府委員の説明せられた通り、將來自治制度の方も纏まつて行く譯でありますから、尚實際の實情に應じまして能く其の點を考慮せられるやうに、此の際希望を申上げて置きたい、斯う云ふ考でありまするが、どうぞ宜しく願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=50
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051・田島道治
○田島道治君 十八條の所に「小學校における教育については、前條の目的を實現するために、左の各號に掲げる目標の達成に努めなければならない。」とありますが、是は小學校の學科を詳しく羅列してありますが、其の十八條の一から八迄の所と、それから其の次の二十條の教科に關する事項と云ふことと幾らか關聯があるかと思ひますが、ちよつと之を見ましても、或は是は物象であるとか或は是は國語とか、數學と云ふことは凡そ見當が付きますが、此の三は、教科と必ずしも一致若くは關聯を必要と致しませぬが、三は教科であるとすると、どう云ふものに當りますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=51
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052・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體三のやうな事柄も、今度新たに教科として出來ます社會科に入れるやうな豫定にして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=52
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053・田島道治
○田島道治君 さう致しますと、一も社會科、二の地歴のやうなこと、それから三は社會科、國語、數學、物象、生物、それから藝能、手工と云ふやうなことは三に矢張り大部分入ると思ひますが、大體さう云ふやうな考へ方で宜しいんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=53
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054・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=54
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055・田島道治
○田島道治君 それから私二十一條の二項の意味が少し分り兼ねますが、此の條項を置かれました積極的の理由はどう云ふ所にございますかと云ふことと、それから二十五條の經濟的の理由で就學困難な場合に市町村が必要な援助を與へると云ふこと、是と具體的な内容、若しくは此の二十五條以外に或は市町村と言ひますか、地方の方のはどう云ふ風な關聯に法制上なつて居りまするか、其の内容と、もう一つ第三十四條に「公立又は私立の小學校は、都道府縣監督廳の所管に屬する」とありますが、今日では國立の小學校と云ふものは、是はなくなりますか、如何ですか、それだけを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=55
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056・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 初めの二十一條の後段に付て申上げます、ちよつと速記を止めて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=56
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057・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=57
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058・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=58
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059・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 二十五條の學齡兒童の保護者に對する援助でございますが、今迄やつて居ります就學奬勵に屬するものでございます、それから三十四條の「公立又は私立の小學校は」、と書いてありますが、矢張り國立の小學校も存在すると豫想して居ります、現にありまする附屬小學校も其の儘存續する積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=59
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060・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=60
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061・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を始めて……、他に御發言がなければ第三章中學校に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=61
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062・荒川文六
○荒川文六君 是は前の小學校とも關聯して居るのでございますが、例へば第三十九條に「子女が小學校の課程を修了した日の翌日以後における最初の學年の始から、」と斯うあります、それから小學校の方には第二十二條に「滿六歳に達した日の翌日以後における最初の學年の初から、滿十二歳に達した日の屬する學年の終りまで、」と斯うありますので、自然滿十二歳に達した日の屬する學年の終りには小學校の課程を修了すると云ふことになつて來て居るのだと思ひます、三十九條の方を見ますと、小學校の課程を修了した日の翌日から、二十二條の方は滿十二歳に達した日の屬する學年の終りまで、そこで自然小學校も、中學校も多分さうなりませうが、落第と云ふことはなしにずつと進むと云ふことで考へて居られるのぢやなからうかと思ひますが、普通の子供にはそれで宜いかと思ひますが、多少能力の劣つた兒童で十二歳迄に小學校を修了出來なかつたと云ふやうなことがありますと、さう云ふのはどう云ふ所に行くのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=62
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063・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 兩方とも是は義務の年限を規定致しましたので、保護者との話合の上で繰返した方が宜い場合には、從來の例に依りまして繰返すことも出來るやうに考へて居ります、唯義務の年限は滿十五才に達した日の屬する學年迄 …事實上は落第をする者もあるのでありますが、さう云ふ場合には殆ど異存なしにやつて居ります、此處では義務の年限だけを規定致しましたので、能力の足りない者には繰返すことも出來るやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=63
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064・荒川文六
○荒川文六君 理窟をこねるやうでありますが、さうしますと、例へば低能な子供があつて、それが十二才になつてもまだ小學校を修了することが出來なかつた、斯う云ふことになりますと、十二才から上まだ小學校に殘らなければなりませぬが、それはさうすると保護者がさう云ふことをさせると云ふ義務は矢張りあるのでありませうか、ないのでありませうか、二十二條を見ますと、何だか保護者にはお前の義務は濟んだと考へても宜いやうにも思ひますが、是は理窟のやうなことでありますけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=64
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065・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) さう云ふ普通より餘程レベルの低いやうな生徒に付きましては、第六章の「特殊教育」の所で考へて居りまして、精神薄弱者、性格異常者、さう云ふ者には特殊學級とか特殊の學校とか云ふものを考へて居ります、其の方で取扱ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=65
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066・佐々木惣一
○佐々木惣一君 三十六條の所ですが、「學校内外における社會的活動を促進し、」是はどう云ふ意味ですか、中學校に於てさう云ふ目的を以て教育すると云ふことに付て、もう少し具體的に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=66
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067・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の學校に於きまする小學校の場合は社會的活動を其の儘理解して行くと云ふ作爲的なものがありませぬが、中學校になりますと、大體普通教育も完了致しまするので、學校に於きまして或程度の社會的活動を進んでやらせますやうな仕組を促進して行くと云ふことを考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=67
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068・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると學校の外に於ける社會的活動をやらせると云ふやうなことにもなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=68
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069・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 學校の外の生活に於きましても、子供同士が集まりまして、色々團體的な行動を致しますとか、さう云つた活動を自ら進んでやるやうな訓練をするやうに仕向けると云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=69
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070・佐々木惣一
○佐々木惣一君 詰り學校外に於ける、即ち一般社會に於ける社會的活動をやるやうに仕向けると云ふことなんですか、或は學校外に於ても社會的活動の訓練をすると云ふやうなことになりませうか、どう云ふことですか、ちよつと分りにくいと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=70
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071・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の中には、例へば學校の中で選擧のやうなことをやらせて見たり、例へば級長、副級長の選擧のやうなこと、それから又一般的な現實の社會に對しまする活動と云ふ風な面、兩方含んだ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=71
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072・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、學校外に於て爲す社會的の活動がありますね、それに參加さすと云ふやうなことも是で出來ることになりますか、どう云ふことですか、多少はつきりとして置かぬと重大なことが起らぬとも限りませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=72
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073・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 例へば青少年團なんかの活動なんかも勿論參加して宜いのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=73
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074・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたですが、ちよつと此處の所をもう少しはつきりせぬと困る、やり方に依つては非常に弊害或は危險も生ずると思ふのですが、詰り社會的活動の訓練と云ふことを學校に於ても目標としてやるのだが、それは學校の内部に於てでも學校の外に於てでも、さう云ふ訓練を爲すに適當なる方法なり場合があつたならば、之に依ると云ふだけのことであつて、所謂社會的活動其のものが學校の外で他の人間がやつて居る社會的活動と云ふことはないやうに解釋したら危險はないと思ふのですが、さうではないのでございませうか、ちよつとはつきりしないのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=74
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075・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今の御意見は御尤もでございまして、私共としては無論是は教育的な見地からの社會的な活動で、中學校の少年達がやるに相應しいものに付てはやらせるので、唯無制限に社會的活動をさすと云ふ意味に取つてはならないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=75
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076・佐々木惣一
○佐々木惣一君 要するに學校で社會的活動の能力とか知識とか云ふことを一般社會的に活動すると云ふ風に訓練すると云ふ材料として、一般社會を教育目的に適用するので、一般社會で以てやつて居る社會的運動其のものとして參加せしむることでないと思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=76
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077・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=77
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078・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、併し餘程是ははつきりさせて置かぬと……、私は是れで……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=78
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079・坂田幹太
○坂田幹太君 今のに關聯しまして、「促進」と云ふ文句はどう云ふ意味でせうか、促進と云ふ文句は非常に佐々木さんの御心配になつたやうに、「社會的活動を促進し、」と云ふそこですが、若し英語で言へばどう云ふ風な言葉を使ふのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=79
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080・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 英語ではデヴエロツプと申して居りますが、矢張り教室内でじつとして居りましては其の完全な社會的活動の訓練に參加させることが出來ないので、或チヤンスを與へまして教師の方で導いて、後にありますやうな色々な社會的活動をさせて、其の中から公正な判斷力を養つて行く、斯う云ふ積極的な意味が多少促進と云ふ言葉の中に含まれて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=80
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081・三島通陽
○子爵三島通陽君 今の御話でございますが、實際問題として今迄の小學校でも中學校でも矢張りさう云ふ所謂社會的活動を促進するやうなことが、實際問題として出來なかつたのではないかと思ふのです、アメリカの小學校、中學校に當るべき學生を見ますと、相當色々な、例へばボーイ・スカウトかベースボール・テイームとか、ワイ・エム・シー・エーとか、さう云ふやうなものに入つて居る子供が非常に多いのですけれども、日本だと今迄試驗勉強なんかに追はれて、非常に暇がなくて、所謂さう云ふ社會教育がなかなか出來なかつた、實際問題として出來なかつたんぢやないかと云ふことを思ふのです、もう一つ、今迄は所謂教育の二元化と云ふことが大變やかましくございまして、教師がさう云ふ所に入れることを嫌つて、殊に宗教的の日曜學校のやうな所にやるのを嫌つた傾向がある、是は良くないことで、私は斯う云ふことを第三に御入れになつたんぢやないかと思ふので、此の御趣旨は贊成なのですけれども、併し實際問題としては、今迄のやうでありますと、折角の學生の暇と云ふか、スペア・タイムと云ふものはなくなるのぢやないかと云ふ氣がするのですが、斯う云ふものを御入れになつたからには御考があらうと思ひますけれども、一應何か御腹案があれば承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=81
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082・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 社會的活動を促進すると云ふのは、三島子爵が言はれたやうに、さう云ふ意味もありませうし、又例へば掃除をするとか、或は交通整理をするとか、さう言つたやうなことで實際上の社會的の訓練に相應しいやうなもの、さう云ふことも進んでやる、社會的關心を積極的に持たせると云ふ意味だと考へて居ります、それから十分な暇がないと云ふやうな御話は、往々さう云ふことになり勝ちでありますが、今度の中學校の教科課程は大體一週三十四時間位でありまして、其の間に學校差の出來るやうに、相當確か十時間位、比較的學校で選べる自由な時間を設ける、それに依つて例へば農業の學校であれば、刈り入れの時に手傳ふと同時に、それを修練とか、勤勞の中に入れるとか、或は水産的のものを教へる時には、矢張り社會的の活動をして、同時にそれを一つのさう云ふ勤勞を教育的に認めるとか、さう云ふ餘地が今迄より餘程多くなつて居ると思ふのです、さう云ふ方針で斯う云ふことを入れたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=82
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083・三島通陽
○子爵三島通陽君 了承致しました、今度私が申上げるのは小學校、中學校、高等學校にも通ずるものと思ふのでありますが、天才教育に付てのまだ御質問がないやうなので、或は前に出たかも知れませぬが、何かさう云つた天才教育に付て色々な議論があると思ひますが、併しどう云ふ風に思つておいでになりますか、其の點を承りたい、又此の法律との關係を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=83
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084・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御承知のやうに戰時中に非常に無理を致しまして、天才を見付け出さうと云ふやうなことで、特別學級と云ふやうなものを作りまして、相當精を出して教育をして居たやうでありますが、必ずしも成功して居るとは言へないやうな點もあります、多少小さい時から一方的な才能だけを伸ばさうと云ふやうな點と、又周りの者が取扱つて所謂能才を天才扱ひにすると云ふやうなことから、自惚を生じて、却つて將來伸びさうもないと言つたやうな、さう云ふ心配も起つて居るのでありまして、今の所は特別に天才教育をしようと云ふやうなことは企てて居りませぬけれども、併し今後は學校の運營を教育者の判斷に委せまして、特に優秀な者を特別に教育すると云ふ餘地も、教育者の創意に委かせて工夫させることが出來るやうになつて居ります、非常に澤山の者の中から、特別に良い者に付て、多少は例外的な取扱も出來るやうになるかと思ひますが、其の點に付てはまだ十分に檢討致して居りませぬ、今文部省の方針としては申上げることはその位のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=84
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085・三島通陽
○子爵三島通陽君 大體了承致しました、私も天才教育には幾多の疑問があると思ふのでございまして、御話のやうに一種の片輪を作つてしまふんぢやないか、又教育と云ふものは或プロセスと云ふものが必要なんで、いきなり駈足で或部分だけを行くと云ふことはどうかと思はれる點や、色々教育的には疑問が湧いて參りますが、併し又一方には非常に優秀な少年なり青年なりを、何か外の學科が少し出來ないからと云つて、無理に落第させるとか……まあ今度の法律ではさう云ふことはなささうに見えますけれども、今迄はさう云ふ傾向があつたりしたが、それから兎に角麒麟であるのを無理に駑馬と一緒に歩かせなくてはならないこともないやうに考へるので、何かさう云つた御研究、將來又拔道と云ふと語弊がございますけれども、何かさう云ふことも出來るやうにして置かれる方が御便利ぢやないかと云ふ氣もするのでありますが、私もそれは政府委員の御答辯のやうに、まだまだ天才教育と云ふことには幾多の疑問を持つて居るのでありますけれども、併し何とかさう云ふことも一應は考へて見ると云ふことであつて宜いやうに思ふのでありますが、併し之では全然動きが取れないのでございませうか、何か之の中でもさう云ふことは出來るのでございませうか、如何でございませうか、諄いやうでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=85
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086・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の點は私見でございますけれども、例へば大分私共が小さい時に聞いて居りましたですが、所謂智腦年齡の進んだ者は、學級を跳越して、上の者と一諸に教育を受けることが出來ると云つたやうな、さう云ふこともあつたかに聞いて居りますが、まあ今後それにも隨分色色運動をして、自分の子供を所謂天才扱ひにして貰ふことをするとか、或は教師と話合を付けると云ふやうな點で、弊害も相當あるだらうと思ひますけれども、併し御話のやうな非常な速度を以て發達する者を、外のレベルの者と一諸に足踏みをさして置くと云うことは、教育上决して立派な處置だとは思へませぬので、此の點は將來能く教育刷新委員會の意見もありませうし、專門の人達の意見も聽きまして、無論原則は年限が決つて居りますけれども、多少の例外的の措置が執れるかも知れませぬので、將來の研究に御委せ戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=86
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087・大隈信幸
○侯爵大隈信幸君 夜學のことをちよつと伺ひたいのですが、高等學校の所では四十四條に夜學のことが書いてあるのですが、中學に付ては夜學と云ふことは考へてないのでございませうか、其の點伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=87
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088・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 小學校、中學校の義務教育に付きましては、まあ差當りの問題と致しまして二部教育を已を得ずやると云つたやうな場合は、夜間に亘ることも已を得ないと思ひますが、成規の學校と致しましては、夜間は制度としては認めて居らないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=88
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089・大隈信幸
○侯爵大隈信幸君 さう致しますと、現在の夜間の中學校と云ふのはなくなる譯でございます、がさうすると、働きながら中學校に通ふと云ふことは出來ないことになる譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=89
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090・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の點は、滿十五才迄は勞働基準法に於きまして就業を禁じて居る、特別の場合を除きまして……、義務教育の立場から申しましても、矢張り全部全日教育を義務教育に付ては受けさせたい、若し働きながら通學する兒童に對しましては、出來るだけ就學奬勵の方法を講じまして、完全なる教育を義務教育として受けさせたり、斯う云ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=90
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091・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと御尋ね致しますが、中學校の設置は、私立中學に中學校教育を委託することも出來るのでありますか、あれはどの條文に依つて斯う云ふことに出來るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=91
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092・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の點は附則の第百四條に規定してございまして「当分の間、學齡兒童及び學齡生徒の全部又は一部の教育事務を、國、都道府縣又は私立學校を經營する法人若しくは私人に委託することができる」とあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=92
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093・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私の御尋ね致しましたのは、經過的の現状に對することでなしに、一般的の建前として、私立學校には委託しないと云ふ建前なのか、今御示しになつたのは當分の間です、經過的にさうだと云ふ風に私は讀んだのです、さうでなしに一般原則として……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=93
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094・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 私立學校と雖も小學校の經營は法人でも出來る譯でございまして、其の場合は委託と考へて居りませぬ、唯此の設置義務を命ぜられました市町村が、校舍が足りないとかさう云ふやうな關係で、私立學校に委託して置く場合は附則で書いて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=94
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095・佐々木惣一
○佐々木惣一君 中學校は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=95
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096・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 中學も同じでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=96
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097・佐々木惣一
○佐々木惣一君 附則でなしに……附則は當分の間ですよ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=97
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098・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 委託と云ふことは當分の間のことだと考へて居ります、例へば中學校を今設置する義務は市町村でございますから、處が東京都立の中學校に、都立に委託しまして、都立の中學校の校舍を使つて中學校をやる場合があり得るのでございます、是は附則で將來は市町村に返すのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=98
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099・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今の取扱はそれで分るのですが、當分の間は……、此の法制の建前は、中學校は私立學校にやらせないのかどうかと云ふことを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=99
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100・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) やらせるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=100
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101・佐々木惣一
○佐々木惣一君 やらせる建前でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=101
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102・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それはさうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=102
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103・佐々木惣一
○佐々木惣一君 委託でなしにやらせるのですか、分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=103
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104・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 私は他の委員會に行つて居りましたので、或は留守の間に御質疑があつたかも知れませぬが、若し重複がありましたら、御注意を戴きまして止めます、中學校に致せ、小學校に致せ、或は高等學校に致せ、大體細かい教科に關する事項等は監督官廳が之を定めると斯う規定してあるのでございまして、而して中學校に付ての修業年限は三年とすると云ふ風になつて居ります、此の三年と云ふ計算は、細かく申しますると、長い休暇等の關係で、一年を凡そ何箇月位の御計算での御話でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=104
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105・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 此の年限は從來と同じやうに、學年制に依る年限と考へまして、中學校の授業日數は二百四五十日と見られます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=105
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106・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 さう致しますと、從來の學年制の授業日數を以て御進めになる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=106
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107・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) さうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=107
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108・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 學校と休暇と云ふ問題は相當大きな問題かと思ふのであります、殊に外國等に於きましては、夏休は中學、小學校に於ても、三箇月位の所が大分多いやうであります、日本に於きましても、私共の子供の時分は相當長い夏の休暇、それから冬の休暇等ございましたが、其の後日本では大分是が短縮され、又戰爭中に於きましては、是は別の理由から、此の休暇を長くせざるを得ないやうな事情になつたやうでありますが、夏休等を相當……殊に上級の學校に於きましては、學校の授業以外に、其の休暇を利用しまして、學生が友達や何かと共同に生活を致しましたり、色々な方法に於きまして學科も其の間に復習出來、又社會的な教養も受けられると云ふやうなことで、此の夏休等の利用の如何に依つては、相當大きな價値を發揮するやうに考へられるのでありますが、是は又之を先生の方から申しますと、矢張り其の間の休みを利用して、相當自分の自習や研究が出來る、斯う云ふ一擧兩得な制度かと思ふのでありますが、斯う云ふことに付きましては、文部當局としてはどう御考へになりますか、又是等の休みのことや何かは、中學校に致しますれば、矢張り第三十八條で監督官廳で之を御定めになることでございませうか、其の二點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=108
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109・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今の休暇に關する御話は御尤もでございまして、休暇は教育的に見て單純なブランクではなくて、其處に大きな意味があることは仰しやる通りだと思ひます、唯其の期間をどう云ふ風に計るかは、必ずしも全國一樣にする必要もないかと思ひます、非常に暑い所と寒い所とを同じ日から同じ日まで休まなければならないと云ふこともないかと思ひますので、其の邊は專門家の能く研究に俟ちまして、多少のゆとりの取れるやうに取計ひ得ると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=109
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110・田島道治
○田島道治君 中學校の此の章だけと云ふのでなく、多少他所と關聯しても宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=110
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111・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 關聯がございますれば、構ひませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=111
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112・田島道治
○田島道治君 三十六條に「資質を養うこと」と云ふ文字がありまして、小學校の方にも、ずつと見て參りますと、「能力を養う」とか「技能を養う」とか云ふことがありますが、又此處にも次には「能力を養う」と云ふことがありますが、高等學校の、此の三十六條の一號に當りまするやうな所にも資質と云ふ言葉を使つてありますが、之には何か特別の意味がございますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=112
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113・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 資質とか、能力とか、御指摘になりましたが、是は特別な意味はないさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=113
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114・田島道治
○田島道治君 實は此の小學校の目的の次にあります條文に付きましては、教科内容のやうなことが比較的詳しく載つて居ります、是は先程ちよつと御伺ひ致したのですが、其の時にも併せて御伺ひしようかと思つたのでございますが、日常生活と云ふことが三、四、五、六の間に四項ばかり書いてございます、それから日常と云ふ文字はございませぬが、八にも生活を明るくすると云ふやうなこと、それから二號の地歴みたいな所に、國際協調の精神と云ふやうなことが書いてありますが、一號には「學校内外の社会生活」と云ふ言葉が書いてあるのですが、是も要するに新しい教育理念を養ふ斯う云ふことだと思ひます、それから小學校には養護教諭と云ふものがありまして、衞生と云ふやうなこと、兒童の身體的の養護に當ると云ふことが書いてありますのですから、是で體育と云ふやうなこと、それが七にも書いてあります、中學校で今迄やつて參りましたやうな知識を得るとか、それから社會人としての心掛を養ふ、昔で言へば謂はば修身と云ふやうなこと、一口に申せば徳と云ふやうなことですが、中學校でさう云ふ學問的、智的の素養の外に、身體を良くすると云ふ意味があるのかと思ひましたが、別にさう云ふ意味もないやうであります、そこで先程來ちよつと問題になつて居りましたが、一貫して伺ひたいと思ひましたのは、小學校の十八條の一號にあります、「學校内外の社會生活の經驗に基き、人間相互の關係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと」、それから此の中學校の所には、二番目にヴオケーシヨナルな職業教育に付て書いてありますが、此の社會と云ふ言葉はそんな重いものではないと思ひますが、先程來問題の「社会的活動を促進し、その感情を正しく導き、公正な判斷力を養うこと」、それから高等學校のそれに當る所を見ますと、又少し言ひ方が違つて居るのでありまして、「社会において果さなければならない使命の自覺に基き、個性に應じて將來の進路を決定させ、一般的な教養を高め、專門的な技能に習熟させること」、此處は寧ろヴオケーシヨナルのやうなことでありますが、次に「社会について、廣く深い理解を健全な批判力を養い、個性の確立に努めること」、斯う云ふやうに六・三・三の初めの六・三は只今義務教育になつて居り、次の三は國力が出來れば義務教育にもしたいと云ふやうな六・三・三ですが、大學に付ては之に當るものは書いてありませぬ、此の六・三・三・四と云ふやうな新制度を文部省が御採りになるに付きまして、小學校、中學校、高等學校、此の三つの一貫した考へ方があつて、中學校では主に斯う云ふことをする、高等學校では主に斯う云ふことをする、それが社會……社會と云ふ言葉は非常に重いのですが、それに付きまして、中學校時代には此の面で行く、高等學校時代には此の面で行くと云ふやうなことを一貫して、一つの主義と云ひますか御考があつて、其の御考が各所に、言葉が色々變つて現われて居る特殊の理由がございますか、若し出來れば大臣にも御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=114
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115・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 矢張り心身發達の段階に基いて斯樣に定めたものと解釋致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=115
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116・田島道治
○田島道治君 今の御答辯に依りますと、年の進むに從つてと云ふことだけのやうでありますが、さつきの「學校内外における社会的活動を促進し」と云ふやうな言葉と、高等學校の「社会について、廣く深い理解と健全な批判力を養い」と云ふやうな言葉に、何か特別の意味があるかと思つて御伺ひしたのですが、別にございませぬのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=116
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117・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 一貫性を求めますと、普通教育と云ふ點で一貫性がございますので、小學校の場合のは初等の普通教育、中學校は中等の普通教育、それから高等學校は高等普通教育と云ふ點に一貫性を持たしてある積りなんであります、それから中學校に於きましては、多少職業教育的な要素を含み得るやうに仕組んでございますし、高等學校に於きましては、專門的な教育も同時に施し得るやうに考へて居ります、先程申しましたやうに、若しも出來るならば十八歳位迄義務教育にしたらばいい、併しそれは今の處、到底さう云ふことは出來ませぬので、普通教育も中等の所で一應義務教育としては打切る、高等普通教育の場合には、普通教育の基礎の上に專門的な教育も加へて行ひたい、さう云ふ點で少し宛違つて來て居ります、專門的な教育とか或は職業教育とか云ふ點に於ては、社會に於ける個人の役割と云ふやうなことも考へまして、社會的の關心を持たせるやうな意味で、斯う云ふ條文を作つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=117
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118・田島道治
○田島道治君 一貫性と云ふことは伺ひませんでも分つて居ると思ひますが、此の言葉に現されました中學時代には「學校内外における社會的活動を促進し、その感情を正しく導き、公正な判斷力を養う」、それから又高等學校時代には「廣く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努める」、さう云ふことがそれぞれの學校の教科内容でどう云ふ所に現れて居ると云ふ具體的な御腹案はありませんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=118
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119・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 中學校の方は、是は相當教科内容とも聯關させて表現致しましたので、細かい教科課程は一應出來上つて居りますので、高等學校の場合のも、非常に急ぎましたのですが、大體出來て居ります、それには矢張り個人の社會に於ける役割と云ふやうなことを、中學校に於ける場合よりは、高等學校に於て幾分デイフアレンシエートして、さうして專門的なものを期待し得るやうに考へて居ります、殊に高等學校に於きましては、從來の專門的な職業教育も包攝出來るやうに、高等學校の年限も必ずしも二年でなくつて、三年若しくは四年、或は五年にも出來るやうに仕組んでありますので、其の專門的な教育を教授出來るやうな意味で、斯う云ふ規定を置きましたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=119
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120・田中薫
○子爵田中薫君 先程から問題になつて居りますが、「學校内外における社會的活動を促進し」と云ふものに關聯した問題でございますが、學友會の活動と云ふものが、中學校邊りからそろそろ始つて、高等學校に至つて益益強くなり、又大學に行けば最も強くなると思ひますが、其の場合に、學友會の色々なスポーツ團體とか從來の運動部のやうなもの、それから文化團體として各種の研究會のやうなもの、さう云ふものに對する責任はどこにあるのでありませうか、學校長にありますのですか、或は監督廳にありますのですか、或は學生生徒の自治に委ねるやうなことになるのでせうか、さう云ふ點に付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=120
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121・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 學友會の活動の形にも依りますけれども、結局は校長、若しくは學校に責任を持つて貰ふ積りで居ります、それは自治に委せると云ふことも、被教育者である以上は、教育する者に如何なる程度の自治を委せるかと云ふことも裁量を委ねなければなりませぬので、原則としては學校長に負つて貰ふ積りであります、實質的には色々の團體が、結合しまして、一つの學校でそれを監督する、若くは指導し切れないやうなさう云ふ場合も出來るかと思ひます、さう云ふ場合には監督官廳が學校と共同してやらなければならない、今のところは出來るだけ校長に裁量の餘地を與へると同時に、責任を持つて貰ふ積りに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=121
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122・田中薫
○子爵田中薫君 能く了解致しましたのですが、尚現在では……ちよつと大學の方に亙りますけれども、大學邊りでは、運動部などに部長などを置かない制度で、純然たる學生の自治に委せて居ると云ふやうな制度が戰後採られて居ると云ふことが多いやうに思ふのですが、詰り今政府委員の御説明になりました監督の程度と云ふものは、矢張り中等學校、高等學校、それから大學と進むに從つて、無論其の程度が變つて來ると思ふのですが、其の學校長なり、監督廳なりの責任の程度と云ふやうなものは大體どんな風に考へたら宜いのでせうか、中學校では大體校長に責任がある、高等學校邊りから大體學生の方に責任があるやうになり、大學では殆んど完全に學生の方に責任があると云ふ風に考へたら宜いのでせうか、其の程度をどんな風に御考になつて居るのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=122
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123・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御説のやうに、責任能力の多い者に對しては自然それだけ責任を負はせる必要があると思ひますので、例へば大學生が政治運動をすると云つたやうなことがありましても、それが既に一人前の選擧權を持つて居る者でありましたならば、それは個人として責任を負はなければならないかと思ひますが、被教育者の責任能力に從つて教育者の責任の負擔は輕くなつたり重くなつたりしなければならないと思ひます、御指摘のやうに、中學校の生徒なんかには十分な責任能力はないものと思ひますので、主としてそれは中學校長に負つて貰はなければならないと思ひます、それから高等學校若くは大學等に於きましては……、殊に大學等に於きましては、一應は學長とか或は教授等の指導の必要な場合に於ては、其の指導者の責任になりますれけども、責任能力が十分ある場合には、無論學生自身に責任を負はせなければならないと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=123
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124・荒川文六
○荒川文六君 中學校の教科に關することでちよつと伺ひたいと思ひますが、大體の計畫は一應纏まつて居ると云ふ今御話でございましたが、それから先程はたしか一週間に三十四時間位、その中十時間位は色々のものを入れることが出來るのだと云ふやうな御話であつたやうに伺ひましたが、其の自由に使へる十時間と云ふのは、學校が自分の所の學科課程を作る場合に、此處では斯う云ふものを入れろと云ふやうなことは學校に與へられた自由でございませうか、或は生徒が自分の好きなものを選んで十時間位やれると云ふ意味でございませうか、どちらでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=124
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125・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 中學校の教科課程に付きまして概略だけ申上げますが、教科課程を必修科目と選擇科目とに分けてございまして、必修科目の中には、國語、習字、社會、國史、數學、理科、音樂、圖畫、工作、體育、職業とありまして、其の職業の中、に農業、工業、商業、水産、家庭、斯う云つたものを小分けにして出してございます、其の外に選擇科目と云ふのを置きまして、それは外國語、それから習字、是は三年生に於て選擇科目になつて居る、それから職業、自由研究、斯う云つたやうなものを選擇科目と云ふ風に致してあります、此の必修科目の中の職業と云ふのは、其の學校に依つて農業的なものを選ぶことも出來るし、工業的、若くは商業的、水産的なものを選ぶ、是は學校で選ぶことが出來るやうになつて居ります、それから選擇科目の方は、課程の中で生徒の希望に依つて選擇が出來るやうになつて居るのであります、先程申しました大凡十時間と申しますのは、職業と云ふのは大體一年、二年、三年を通じて一週間に四時間位、一年に百四十時間位、それから外に選擇科目が一年に三十五時間から百四十時間位、一週間にしますと、一時間から四時間位、是は生徒が選び得る範圍なんであります、之を合せますと、大體一週に八時間、斯う云ふことになつて居ります、外國語、自由研究に配當した選擇科目の四時間は、第三學年に於て習字は一時間、職業には四時間迄配當することが出來る、それから選擇教科の中の配當の四時間は、特別な場合に限り六時間迄増すことが出來る、是で上の四時間とそれから特別の場合を入れまして、最大限十時間縛られない時間、選擇の餘地のある時間が出來る譯であります、大體の平均では一週三十時間から三十四時間を各學年に取つてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=125
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126・荒川文六
○荒川文六君 大體了解致しましたが、今御示しになりました其の選擇の中、一人の生徒がどの位の時間を取る譯になりますのでせうか、選擇した結果でございますね、選擇と言ひますから此の中のどれかはやらないで、どれかはやると云ふ意味だらうと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=126
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127・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) ちよつと調査を致しまして正確に申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=127
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128・荒川文六
○荒川文六君 それは宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=128
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129・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 實はコーンス・オブ・スタデイーの研究會が都立工業で開かれて居りますので、其の方の專門家は皆其の方に出席致して居りますので、十分な答辯が出來ませぬことを御詫び申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=129
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130・荒川文六
○荒川文六君 今迄の學校は多くはちやんと學科課程が決つて居りまして、生徒は誰でも同じものをやつて行くと云ふ建前になつて居りました、小學校などはそれでも宜いかも知れぬと思ひますけれども、もう中學校から上の方の學校になるに從つて、成るべく生徒が自分で自分の修めるものを選んで行くと云ふやうな自由を與へることが、一つは教育の上から言つても個性を養ふ上から宜いのぢやなからうかと思ふのでありますが、中學校邊りから少しづつさう云ふことを訓練して行くと云ふやうなことをやる方が宜いのではなからうかと思ひますが、さう云ふ風なことに付て政府の方でどう云ふ方針を御採りになつていらつしやるのでございませうか、中學校は今伺ひました所で、選擇の餘裕が多少あるやうでありますが、併し大部分は必修に入つて居つて、どうでも宜いやうなものが選擇の方に入つて居ると、斯う云ふ風で、是は必修のものはどうしてもやらなければなりませぬけれども、さうして選擇になればどうしても多少必修科目よりも重要性が劣るやうなものが入つて來るのも已むを得ぬと思ひますけれども、出來るだけ生徒に自分で自分の勉めるものを選ばせる、又それを指導して行くと云ふことが宜いのぢやないかと思ひますが、若し何かさう云ふことに付て御考がありますれば伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=130
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131・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御趣旨は私共贊成なんでありますが、唯選擇科目を澤山設けますのには、教師も教室も相當餘計要りますので現在の状況では私共の所期して居るやうな十分なコースを作ることが出來ませぬが、御趣旨に付ては全く贊成であります、成るべく基礎的な研究的のものは必修課目に致しましても、地方の實情と又個人の特性に應じまして、出來るだけ自分の好きであつて、又伸びるやうなものを自發的にさせるやうな方向に指導して行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=131
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132・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 是からは男女共學になりますので、中學校に於きましても多分女子も同時に御扱ひになると思ひますが、其の教科課程の中に自ら男子と女子は別のものがありまして、例へば裁縫でありますとか、女子になくてはならぬ教科があると思ひます、それで段々文化的な教育と云ふことが叫ばれて參りますので、勢ひ裁縫に致しましても、實用的なものよりも寧ろ飾りとでも云ふやうなものに力が段々行きはしないかと云ふ心配を私共持つのであります、女の子が中學校を卒業しても浴衣一枚縫へないやうな子供が出來て、片方には刺繍とか、詰らぬことの力があつても、實用の力が付かぬと云ふやうなことがあつては是は何もならぬのでありますが、さう云ふやうな御配慮は十分御ありのことかと存ずるのでありますが、此の點は如何でございませうか、それからもう一つは、誠に眞面目な問題と致しまして、性教育と云ふやうなことはどう云ふ風に御扱ひなりまするか、小學校の何年位から之を始め、中學或は高等學校に迄及ぶのでありますか、それから男子と女子とに今どう云ふ風に御やりになりますか、此の點を文部省の御方針として伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=132
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133・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今の裁縫其の他に付きまして、女子にどう云ふ風に課するかと云ふことに付きましては、先程申上げましたやうに學科課程の講習會がありまして、そつちの方に專ら研究して居る者が行つて居りまして、詳しいことを申上げ兼ねるのであります、それから性教育のことに付きましては、是は重大でありますと同時に非常にデリケートでありますから、之を公の場合に言つた方が宜いのか、或は個人的に指導するのが宜いか、年齡にも依りませうし、又地方の實情にも依りませうし、男の子と女の子とは自ら差異がございませうし、それ等の點に付ては專門的な研究を待つて適當に指導を致したいと思つて居りますが、私としては今はつきり申上げるだけの用意を持ちませぬのは甚だ遺憾でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=133
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134・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 只今の女子の裁縫等の教科目をどう云ふ風に振分けるかと云ふこと、是は仰せの通り專門家から伺へれば宜しいのでありますが、要は實用を主とし、裝飾は二の次にするやうな大きな方針を立てて置いて戴きたいことが私の質問の骨子であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=134
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135・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 如何でございませう、教科課程に付きましては、内容は相當詳しく大體決められて居ると云ふことですから、それをプリントにして戴きまして、高等學校迄の出來て居るだけ出して、さうして今日は專門にやつて居られる方がおいでにならぬさうでありますから、此の次にでも伺ふことにして、假令質問がずつと大學の方に行きましても其の點だけ留保致して置いて進行すると云ふことにしたら如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=135
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136・平塚廣義
○平塚廣義君 さう願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=136
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137・宗武志
○伯爵宗武志君 先程第三十九條の所が問題になりましたが、私にはまだはつきり呑み込めませぬので、恐入りますが、もう一度御説明を願ひたいと思ひます、例へば落第しますやうな生徒は、どんな生徒でも特殊教育にしてしまふのか、それとも矢張り普通の學校で義務教育を行ふのか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=137
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138・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 普通の特殊教育と申しますのは、特別の精神異常とか、低能兒とか云ふ場合でございまして、多少もう一年もやつたら普通に追付いて行けるやうな者は、勿論それの方に入らないと考へます、それで三十九條との關係に於て、十二歳を超えましてから十五歳まで中學校に入る譯でありますが、一應義務教育の年限を十五歳迄と考へて居りまして、十五歳を超えました場合には義務はない、義務ではないが事實上は小學校、中學校に行つても宜い譯であります、義務としては課さない、斯う云ふ仕組でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=138
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139・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御説明ではつきり致して居る譯でございますが、詰り具體的に申しますと、中學の一年に在學中にもう十五歳に達してしまつたと云ふやうな場合でございますと、其の保護者は其の兒童に對する義務教育の責任は全然ない、斯う云ふ譯でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=139
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140・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=140
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141・小山完吾
○小山完吾君 男女共學の問題ですが、原則として男女共學は至極私贊成ですが、之を實行するに當つては、文部省は餘程御考にならぬと云ふと、男女共學と云ふものは完全に目的を達する上には、銘々の家庭の教養と云ふことが、子供の躾け、男の子と女の子の間の躾けと云ふものが發達してさうして是が完全に行はれるのであります、日本のやうに女と男の間が、依然家庭に於ては男尊女卑と云ふか、男尊女卑と云ふよりは寧ろ腕力の勝つ方が、強い方が何時も支配すると云ふやうなことで、男の子は女の子に對して非常にルーズに粗暴で、躾けもなければ、エテイケツトもない、禮儀も知らない、それが宜いことになつて居る、それではなかなかむづかしいことが起つて來るだらう、殊に國民學校程度に於てはそれ程の弊害はないでせうが、上の方に行くと隨分妙なことが起つて來はせぬかと思ふのです、文部省は此の時代の風潮に先んじて男女共學をやつて、男女同等の標準に持つて行かうと云ふ方針を執ると云ふことは、是は至極結構ですけれども、同時に是は或は文部省の任務、フアンクシヨンを越えてのことになるでせうが、家庭と云ふものがまだ成つて居ないのですから、それを餘程考慮の中に入れておやりにならぬと飛んだ弊害が生じはしないか、現に例へば一例を以てすれば、男の學生と云ふものは、服裝の點に於ても、風采の點に於ても、其の行動の點に於ても、もう粗暴極まるのが宜いやうなことになつて居る、國費を以てやつて居る所のあの第一高等學校の如き、あの駒澤あたりの所を徘徊して居る學生の姿を見れば、あれは中世紀的の人ぢやないかと思ふやうな行動で、隨分殊更帽子を汚し、破帽、破れたる袴を引摺つて、下駄をからからやつて、まるで暴漢の有樣をやつて、何か得意になつて居る、さうして今のあの第一高等學校の校長と云ふのは、それを良いことだと思つて居るのかどうか知らぬが、特色だと思つて居る、折角家庭でグツド・マン、グツド・エテイケツトと云ふものを教へても、彼處に行けば粗暴になつてしまふ、それが良いと思つて居る日本の社會の状態ですから、文部省はあんな瑣末な點に迄も御注意になつて、是は良いことか惡いことか知らぬが、是は仕方がないですから、家庭の風潮から直さなけれはならぬですが、其の方に持つて行くやうな、併せた方針を以て御考へにならぬと、唯理論的に男女共學が宜しいなんと云つて見た所で、飛んだ間違ひが起りはしないかと思ひますから、此の點だけに付て伺つても見、私の意見も申上げて見たいと思ひます、殊に文部大臣はどう云ふやうに男女共學と云ふことを御考へになつて居るか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=141
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142・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 男女共學を行ふに際しましては、家庭の教育から改めて行かなければならぬと云ふ御意見、至極御尤と考へるのです、御承知の通り基本法に於きましては、社會教育に十分の力を盡すことを念として居りますが、其の社會教育の中には、學校教育も含めて居るのでありまして、此の學校教育には家庭教育も含めて居るのでありまして、家庭教育に關しましては、色々文部省は構想を致して居るのであります、例へば其の一例を申しまするならば、兩親學級と申しまするか、是は初めは母親の教育を行ふ、母親の再教育を行ふと云ふにあつたのでありますが、母親だけでは十分でないと云ふ所から、兩親の教育を行ふ、斯う云ふことで兩親學級と云ふやうなものに力を盡すと云ふやうなことを考へて居るのでありまして、出來得る限り此の家庭教育と云ふものを新しい線に沿うて行はしめたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=142
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143・宗武志
○伯爵宗武志君 言葉の解釋でございますが、ちよつと伺ひたいと思ひますが、第三十六條の第二と云ふ所の、「社會に必要な」と云ふ言葉は、是は必要な職業と云ふ意味でございますか、それとも知識と技能が必要だと云ふのでございまするか、どちらの意味でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=143
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144・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 職業に付いたものでございまして、社會に必要な職業と云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=144
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145・宗武志
○伯爵宗武志君 さうすると社會に不必要な職業と云ふものと、どんな風にして區別されるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=145
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146・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張りまあ一應社會の職業についてとだけでも考へられないこともないのですけれども、矢張り職業と申しましても、まあ色々不必要な面もありますことも想像されますので、必要と云ふ言葉を入れたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=146
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147・宗武志
○伯爵宗武志君 之を社會生活の爲に個人に必要な職業と云ふ意味には解釋出來ないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=147
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148・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 一應矢張り社會に必要、有用と云ふ意味になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=148
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149・宗武志
○伯爵宗武志君 分りました、次に「三」と云ふ所の「學校内外における社會的活動を促進し、その」とございますが、何の「その」でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=149
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150・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の「その」に付きましては色々「その」に付て御尋ねに預つたのでございますが、一應「生徒の」と云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=150
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151・宗武志
○伯爵宗武志君 前の何處にも「生徒の」と云ふ字が出て居りませぬので、突然「その」と云ふのが出て參りますと、非常に不思議な感じが致すのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=151
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152・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 實は御尋ね御尤もだと思ふのでありますが、大體全部を通じまして、一應生徒と云ふものは何も規定してございませぬが、生徒と云ふことを豫想して規定して居るのでございまして、「三」に付きましても「その」と云ふ言葉で現はして行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=152
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153・宗武志
○伯爵宗武志君 私の考では、「生徒の」とそこに御書きになつても、一字の違ひでございますから、其の方が宜いのぢやないかと思ふのでありますが、さう云ふことを申上げても仕方がないのでございますが、其の意味に解釋すると云ふことにさせて戴きたいと云ふことに致します、是で質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=153
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154・佐々木惣一
○佐々木惣一君 一つちよつと大臣に伺ひたい、是は技術的のことですが、即ち中學校、小學校だけに付て申上げるのですけれども、高等學校、大學に付て……監督官廳の監督の範圍ですね、是は明かにして置かなくちやいけぬ問題、寧ろ具體的に申上げたら宜いと思ふのですが、例へば地方長官或は市長などが從來學校の先生、教員に對して色々な訓示と稱するものと申します時に、所謂先刻政府委員が仰しやつたやうな學校行政と云ふやうなことでなしに、教育の方針とか、或は徳育の方針と云ふやうなことに付て話をすることがありますですが、さう云ふのは矢張り監督廳の監督の範圍に入るのですか、是は非常に從來とも重要なことであります、大きなことですから、ちよつと大臣に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=154
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155・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 文部大臣と云ふものは特に大學だけを直接所掌することになつて居るのでございます、併し之も出來得る限り大學の自治に委ねる、斯う云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=155
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156・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私の申上げたのは大臣の監督權の範圍ぢやなしに、一般に「監督官廳の」と云ふことがありますから、此の監督官廳の監督と云ふものはどう云ふことに迄及ぶかと云ふことを御尋ねしたのであります、例へば地方長官なり市長が校長、教員に對しまして教育の方針とか、教育の仕方が良いとか惡いとか言ふことが、監督の範圍に入るかどうかと云ふことを、從來の實例に徴しまして、實は監督官廳は校長及び教員の教育方針、教育のやり方等に付て色々訓示を與へて居りますが、ああ云ふことが從來とも監督官廳の監督の範圍に屬するか否かと云ふ疑問が實はありますが、それで實は監督官廳の監督の範圍と云ふことがさう云ふ所迄及び得るかどうかと云ふことを御尋ねしたのでありますけれども……、ちよつと申上げまするが、政府委員の御方でも結構でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=156
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157・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 法律に規定してあります所の監督官廳が定めるとか、なんとか規定した範圍内に於ては差支ないと思ひます、範圍外の監督權はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=157
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158・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さう云うことも監督の範圍に屬すると云ふ御解釋ですね、解釋を伺つたら宜いのですが、さう云ふことと、更に御尋ね申上げまするが、校長の監督の範圍とどう云ふ風に違ひますか、或は又牴觸することがありはしないかと云ふことも御尋ね申上げまして、それで自分の考へる所を申上げますれば、實は學校と云ふものに付て、其の教育の方面に於ては殆ど全面的の信頼と、從つて自治を與へて行くと云ふ意味は、校長と云ふものに滿幅の信頼を抱いて、さうして其の責任に於てやらせると云ふことを私自身希望して居りますが、從つて校長の權限は非常に重大だ、校長の選任をすると云ふことは監督廳の是は職責の範圍ですけれども、併しながら其の校長を選任した以上は、所謂學校に於ける教育に付ての監督と云ふものは最早實質的には中斷されると云ふ風にも考へたいと思ふのでありますけれども、それに對しての御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=158
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159・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今佐々木先生の御しやつたやうに、私共も監督は出來るだけ消極的に規定致したいと思ひます、御話のやうに、教育する者は行政家ではなくて教育者なんであります、其の意味に於て、教育者を尊重する點からも教育者の裁量を多く殘したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=159
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160・佐々木惣一
○佐々木惣一君 大體分りましてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=160
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161・平塚廣義
○平塚廣義君 只今の佐々木先生の御質問に關聯して……實は前に私がちよつと政府委員に伺つたのもそれを含めての考でありまして、監督といふ程度が、今度の地方自治法が出來ますので、地方團體が府縣或は特別の五大市長とか、或は東京に於ての區長、さう云ふやうな點迄の監督の範圍が、どう云ふ工合に及ぶものであらうかと云ふことを實は懸念するのであります、殊に東京の例を取つてはどうかと思ひまするけれども、區に監督の範圍が擴大せられて行きますならば、或は佐々木先生の御心配になるやうな點が起きないとも限らぬ譯であります、私は起きるのぢやないかと云ふやうなことを考慮するのであります、教育行政と云ふ、嚴格の教育行政に止つて居りまするならば宜しいのですけれども、其の裏面に、反面に於きまして、教育其のものに立ち入ると云ふやうなことにもなり易いのぢやないかと云ふやうにも考へまするので、例へば今日の各地方廳あたりに於きましても、色々な委員がありまして、警察は警察の委員、教育は教育の委員、學務の委員だとか色々なのがあります、是がなかなか或點から考へますると非常に勢力を持つて居るのです、今度の六、三、三の此の制度に付きましても、東京などに於きましては、文部省の御方針として、又都あたりの方針、委託の問題などでも同樣でありまして、昨日でありましたか、文部大臣は委託の點は私立學校などは大變都合が好くなりやしないか、さう云ふ可能性がありやせぬかと云ふやうな意味の御答がありましたが、私共が現状を見まして、區の方の力が強いのでありますし、何と言ひましてもまだ法律と云ふやうなものを尊重する風がありますから、從つて現在の委託の問題も區の方の選定した國民學校、それに委託をすると云ふやうなことが強く主張せられる現状なんであります、又一般の父兄などに於きましても、矢張り公の方が宜しい、私立學校などはどうも此の際はいかぬと云うやうな風潮も一つはあると思ふのであります、それを調節する上に於きましては、國の財政の方面から或點の助長をして、補助をして行くと云ふことも必要でありませうが、現在の政府の財政としては、此の點は如何であらうかとも思ひます、又設備の上に於きましては、殊更に此の問題は痛切な關係を持つて居りますから、さう地方の希望のやうには參りませぬ、參りませぬが、それ等の間に乘じまして、所謂監督をやるべき資格を與へらるる方面に於ての行政廳が、其の監督權を濫用すると云ふやうな弊は、將來餘程心配をする點ぢやないかとも思ひます、是は他に又行政上の方面から申しましても、先刻御話がありました通り、教育上の方面に於きましても、餘程御考慮を願つて置きたいと私は考へるのでありますが、殊に初めての制度の際には色々な問題が生じまして、そこに非常な恐ろしい弊害が生じないとも限らぬのであります、四十年も前でありまするが、教科書事件の如きも、矢張りああ云ふ新しい制度が出來まして、さうして地方に或意味の勢力を與へましたので、ああ云ふやうな教育上誠に不祥なる問題を生じた時代があつたのであります、是は單り教科書其のものの問題ばかりでなく、思想の上に於きましても非常な禍根を殘すやうなことがありはしまいか、公開の席上でありますので、私は之を分析して細かくは申上げませぬが、餘程此の點は考慮せられることを希望したい、先刻政府委員の御説明に對しまして、私が簡單に希望を申上げましたが、丁度大臣もおいでになつて居りますから、此の點に付きましては、大臣に對しましても、文部省全體に對しましても、餘り抽象的なことばかり申上げるやうでありますけれども、御考慮を願つて、誤りなきやうに此の規定を執行することの出來るやうに御願ひ致したいと云ふ點を申述べて置くのであります、之に對する御意見がございますれば、御答へ下されば尚有難いと思ひますが、私希望だけを此の際申述べて之に止めて置いても宜しいのであります、尚先刻教科の點に付て委員長から、現在のものを表にして戴いたらどうかと云ふやうな御注意がありまして、誠に是は結構であります、それで學科の點に付きましては、高等學校の方と關聯もありますやうですから、中學校と高等學校と、章を逐うて今審議をして居られまするが、是は中等學校の方に關しましても、其の學科の點に付きましては質問の出來得るやうに、委員長に御願をして御了承を得たい、一應それだけを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=161
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162・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今の御意見我々も全く同感でございまして、其の點十分の注意を致したいと考へて居るのであります、軈て制定せられまする所の地方教育行政法に於きましては、地方のそれぞれの學校が府縣の長官、竝に其の外の勢力に依りまして動かされないやうに、操られないやうに、此の點を十分顧慮して居るのであります、尚教科書に付きましても、色色な問題が生じ勝ちなのであります、現に認めて居りますやうな四大會社の獨占と云ふやうなことに付きましても、十分に只今研究を致して居るのであります、無論之に關しまして自由競爭を許すと云ふ所迄も參らぬかと思ふのでありまするが、獨占と自由競爭の間を採りまして、遺憾のないやうに致したいと考へまして、關係當局者と色色協議致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=162
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163・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 丁度教科課程の擔當者が參りましたから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=163
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164・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 第一の御質問は、私直接承りませぬでしたけれども、小學校の選擇科目があるかどうかと云ふ御質問でありますが、選擇科目と云ふことには致して居りませぬけれども、自由研究と致しまして多少時間が取つてあります、從ひまして其の自由研究に於て、或は學校に於て特に或教科を餘計やりたい、或は又特別の外國語でありますとか云ふやうなものを、特にやりたいと云ふやうな場合には、其の時間が利用出來るやうに相成つて居る譯であります、それから男女の問題でありますが、男女の問題と申しますと、從來例へば女子に對しましては家政關係の學科がございました、裁縫であるとか、或は家事、或は割烹と云ふやうな問題でございますが、其の中一般家事經濟、或は家庭をどう云ふ風にして良くして行くかと云ふやうな問題、斯う云ふ點は、今後は男子に於ても相當修得せしめる必要があると考へまして、さう云ふ面は社會科の中に於て、男女共通に致す部門が多いのであります、或は又家事理科、家事工作と云ふものも、それぞれ理科であるとか、工作であるとか云ふやうな點に於て男女に共通して致します、唯裁縫であるとか、或は特殊の、割烹であると云ふやうなものを女子だけに特に致させます爲に、小學校の五年以上に於きまして、家庭と云ふ時間を設けて居ります、中學校に於きましても同じやうな考を採つて居ります、それから男子に對しましては、女子が裁縫をやります間は、主として家事工作と云ふやうなものを、男子に充實して參るやうに致し、更に上級へ參りますれば高等學校等に於て、實業科と家庭科と云ふものが、それぞれ選擇教科になりまして、男女の間の均衡が得られるやうに考へて居ります、それから性教育の問題でございますが、是は年齡、或は生理的發達の段階等に應じまして、色々致さなければなりませぬけれども、小學校の課程に於きましては、社會科等に於きまして男女相互に尊重する、御互に其の長所を認め合ふと云ふ所から出發して、又中學校の段階に於ては理科の中に、所謂系統を追うて教へる譯でありませぬけれども、從來の生理衞生的の教材を採つた科目が設けられることになつて居ります、さう云ふやうな場合に十分科學的にも、又社會科の方の倫理的と申しますか、社會人としての素養と云ひますか、さう云ふものと兩々相俟つて十分其の性教育に付て徹底致しまして、誤りなきを期したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=164
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165・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 只今の平塚さんの御希望は御尤もと思ひます、私が先程申上げましたのは、其のやうな意味でございまして、假令濟んで居りましても、繰返してやつて參つても宜いと思ひます、矢張り表か何かございませぬと、空では質問出來ませぬから、プリントを頂戴しましてから後で……高等學校と中學校ばかりでありませぬ、小學校と中學校とは殊に密接な關係がございますから、全部の各課程に付きまして別に御質問願つたら宜いぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=165
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166・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) もう一點申し落しましたが、中學校に於て選擇科目と云ふのは、個人が自由に選擇するのか、學校としてさう云ふ時間を設けるか、設けないものか、自由であるのかと云ふ御質問の點でございますが、是は建前と致しましては個人選拔に致したいと考へて居ります、併しながら矢張り各學校に於きましては、之に對しまする先生の用意もありまするし、設備の問題もあり、時間配置等の關係もございますので、大體學校で或科目を選擇科目として採つた場合には、大體其の生徒がそれを受ける、併しまあそれは其の中二つ位大別致しまして、エーの組は此方で選擇する、ビーの組は此方で選擇すると云ふやうになると思ひますが、極く少數の一人、二人の人達が何か特に選擇科目を設けたいと云ふやうな場合にも、成るべくはそれを許したいと考へますけれども、實際の問題として、果してそれがそれだけを教へる施設があるかどうかと云ふやうなことは實際問題になつて參ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=166
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167・荒川文六
○荒川文六君 只今のことに付てちよつと伺ひたいと思ひます、小學校に於ける自由研究の時間が多少取つてあると云ふ話でありましたが、小學校に於てローマ字を教へると云ふことは自由研究の中に入つて居りますか、或は其の外になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=167
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168・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 小學校に於きましては、ローマ字を學校で教へても宜いし、教へないでも宜いと云ふことになつて居る譯でありますが、其の時間の配當と致しましては自由研究の時間を充當することになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=168
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169・宗武志
○伯爵宗武志君 只今特別に女子だけに行はれる教育と云ふことで御説明がござましたが、圓滿な家庭生活と云ふのは社會の矢張り重要なる要素だと思ひますが、之には家庭を作つて居る男女、即ち夫婦間の理解と云ふものが最も必要だと思ふ、從來家庭に於て夫が妻のやることに付て少しも知識がなかつた、即ち割烹とか、裁縫とか、洗濯と云ふやうな問題に付て少しも知識がなかつたと云ふ所から、理解が十分に深められなかつたと云ふやうな嫌ひがあるのですが、其の裁縫とか、割烹等に付ても、極く基礎的な教育と云ふものは男子にも必要ぢやないかと思ふのですが、此の點如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=169
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170・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御話の如く良い家庭を形成致して參ります爲には、確かに主婦ばかりでなく、主人に於て十分御話のやうな料理であるとか、或は又簡單な程度の或は衣服に對しまする知識、技能と云ふやうなことが必要であらうと十分考へて居ります、先程申しましたのは、それが相當進化した程度に於て、裁縫にしても、割烹にしても特に女子に對しては餘計與へると云ふやうな意味合で家庭科を設けて居る譯であります、男子に付きましても、例へば理科の時間、或は工作の時間、或は社會科の時間等に於きまして、十分家の各種の問題に付ての知識技能を與へるやうに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=170
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171・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=171
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172・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を始めて……本日は之にて散會致します、それでは明日は午後一時より開會致します、是にて散會致します
午後三時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=172
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173・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 今園國貞君
副委員長 伯爵 宗武志君
委員
伯爵 橋本實斐君
子爵 北小路三郎君
子爵 三島通陽君
子爵 田中薫君
平塚廣義君
佐々木惣一君
荒川文六君
羽田亨君
男爵 加藤成之君
男爵 坂本大造君
坂田幹太君
瀧川儀作君
田島道治君
正田貞一郎君
小山完吾君
淺井清君
清水由松君
侯爵 大隈信幸君
國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
政府委員
文部事務官 日高第四郎君
同 柴沼直君
同 有光次郎君
同 辻田力君
同 剣木亨弘君
同 稻田清助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00519470324&spkNum=173
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