1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○行政官廳法案
○宮内府法案
○恩給法の一部を改正する法律案
○日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の効力等に關する法律案
―――――――――――――――――――――
委員氏名
委員長 伯爵 前田利男君
副委員長 男爵 杉溪由言君
公爵 伊藤博精君
侯爵 廣幡忠隆君
男爵 白根松介君
子爵 加藤泰通君
子爵 黒田長敬君
子爵 日野西資忠君
林春雄君
佐々木惣一君
下條康麿君
白根竹介君
男爵 佐竹義履君
赤木正雄君
澤田牛麿君
馬場恒吾君
中島徳太郎君
板倉卓造君
上野喜左衞門君
―――――――――――――――――――――
昭和二十二年三月三十日(日曜日)午前十時二十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=0
-
001・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 是より會議を開きます、先づ最初に行政官廳法案、宮内府法案に付て政府の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=1
-
002・齋藤隆夫
○國務大臣(齋藤隆夫君) 行政官廳法案に付きまして其の趣旨を御説明致します、此の法案は、行政官廳の權限、組織、運營、職員等に關する一般の規定を定めるものでございまして、法律又は政令で特別の事項を定めない限りは、一般的に適用せられることになつて居ります、是より以下逐條に付きまして大體の内容を御説明致したいと思ひます、先づ第一條でございますが、本條は内閣總理大臣及び各省大臣の所掌事項に關する規定でございまするが、是は原則として從來の例に依ることに致したのでございます、次は第二條でございまするが、本條は各省大臣の補職に關する規定でございまして、各省大臣は國務大臣の中から内閣總理大臣が之を命じ、又は自ら之に當ることを規定致しました、次は第三條でございますが、本條は、總理廳、各省及び其の外局に關する規定であります、即ち各大臣の所掌事務は、原則として總理廳、從來の各省及び從來の外局で之を掌ることに規定致しました、尚從來内閣の名稱の下に、國務大臣の合議體たる内閣の機能と、各省大臣並みの行政官廳たる内閣總理大臣の機能を併せて居りましたが、今後は總理廳の名稱をして、後者としての機能を掌ることを明かにしたのであります、次は第四條でありますが、本條は、各大臣の所部の職員の服務に關する統督に關する權能を明かに規定致しました、次は第五條乃至第七條でありますが、是等の條項は各大臣の主任事務に付ての權限に關する規定であります、是等の條項は概ね從來の内閣官制及び各省官制通則に依る、各大臣の權限を踏襲したものであります、次は第八條でございますが、本條は各大臣の所管部内に置くべき職員に關する規定であります、各廳の職員に付きましては、原則として從來の各省官制通則及び各廳職員通則に依ることに定めたのであります、次は第九條でありますが、本條は内閣官房及び法制局に内閣總理大臣の所管事務の一部を掌らしめ得る途を拓く規定であります、即ち内閣官房及び法制局は、本來内閣の所屬部局でございますが、内閣總理大臣の所管事務を補助せしめることを便宜とする場合がある爲であります、次は第十條でございますが、本條は内閣官房及び法制局の組織に關する規定であります、内閣法の規定に依りまして、内閣官房及び法制局の組織は、法律で之を定めることとなつて居りますので、本條を設けた次第であります、是等に付ても大體は現行制度を踏襲致しましたが、内閣書記官長の官名を内閣官房長官に改めることと致しました、次は第十一條でございまするが、本條は、内閣官房及び法制局關係事項に付ての職員の服務上の統督、閣議請議及び命令制定に關する主任大臣としての機能を内閣總理大臣が行ふ旨を規定するものであります、次に第十二條であります、本條は、各廳の所要の部局及び機關の設置に關する規定であります、次は第十三條であります、本條は其の任免に付きまして、天皇の認證を要する官吏に關する規定であります、其の任免に關しまして、天皇の認證を要する官と致しましては、國務大臣及び裁判所法、檢察廳法、會計檢査院法、宮内府法の如く、他の法律で規定して居りますものの外、本條に之を掲げたのであります、次は第十四條でございまするが、本條は官吏の身分上の事項に關する手續に關する規定であります、官吏の身分上の事項に關する手續は、原則として之を政令で定め得ることに致しました、次は附則であります、此の附則第一項に於きましては、此の法律が、日本國憲法施行の日から施行せられる旨を定めたのであります、附則の第二項に於きましては、此の法律が一年間を限つて有效とする旨を定めたのであります、行政官廳の權限、組織、運營、職員等に付きましては、再建日本の基盤としての重要性に鑑みまして、根本的に改編を要するものがあると考へまするので、政府に於きましては、別途に其の研究を重ねて居りまして、其の成果を待つて法制の整備を爲さうと考へて居ります、此の法案に於きましては、曩に成立致しました内閣法と相俟つて、日本國憲法施行に必要な法制を確立することを目標と致しまして、實體的な部分に付きましては、成るべく從來の例を踏襲致し、取敢ず其の有效期間を一年と限つた次第であります、附則の第三項及び第四項に於きましては、經過的に必要な事項を規定致しました、附則第五項に於きましては、内閣法、第二條第一項中、内閣を組織する國務大臣の員數に付て所要の改正を行ひました、尚衆議院に於きまして、第十二條に「但し、地方特別官廳の設置及び廢止については、法律の定めるところによる。」と斯う云ふ但書が追加修正の上可決せられたのであります、以上を以ちまして大體説明を終りまするが、どうか宜しく御審議の上御協贊下さらむことを御願ひ致します、次に宮内府法案提案の理由を大體御説明致します、宮内府法案に付きまして説明を致しまするが、其の第一は、宮内府の權限に關する點であります、日本國憲法の施行と共に、一般行政官廳とは別系統でありました所の宮内省は、之を廢止致しまして、國の行政官廳たる宮内府を設置することとした次第でありまするが、宮内府の權限とする所は大體次の三つであるのであります、其の一は、皇室關係の國家事務であります、即ち皇室典範及び皇室經濟法の施行等、皇室關係の國家事務を所掌するのであります、其の二は、政令で定める天皇の國事に關する行爲に係る事務であります、天皇の國事に關する行爲は、日本國憲法に列擧せられて居りまするが、其の中特に宮内府の所掌とすることを要するもの、例へば或種の儀式等に關すること等を政令で定め、之を宮内府の所掌とすることと致した譯であります、其の三は、御璽國璽の保管であります、是も宮内府に於きまして保管せしむることを適當と認めまして、其の規定を置いた譯であります、第二は、宮内府の職員に關する點であります、宮内府には、長官以下所要の職員を置くことになつて居りまするが、宮内府の所掌事務の特性に鑑みまして、特に侍從長、侍從及び式部官を設けむと致して居ります、即ち侍從長は側近に奉仕し、侍從は、侍從長の職務を助け、式部官は、儀式及び接待に關することを掌るものであります、更に長官及び侍從長は、其の職務の重要且特殊な點に鑑みまして、其の任免に付きまして、天皇の認證を要することに致しました、第三は、宮内府の部局に關する點であります、宮内府の部局及び機關は必要に應じまして、之を政令で定めることに致しました、第四は、宮内府の所轄に關する點であります、宮内府は、固より行政系統に屬するものでありまして、内閣總理大臣の所轄に屬する旨を規定致したのであります、以上の次第でございまするからして、どうか御審議の程を御願ひ致します、之を以て兩法案の説明と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=2
-
003・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 次に、恩給法の一部を改正する法律案、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に關する法律案に付て、御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=3
-
004・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 恩給法の一部を改正する法律案に付きまして、其の提案理由を申上げます、此の改正は、昨日本會議に於きましても申上げました如く、新憲法の施行に伴ふ諸般の法令の改廢等に伴ふものでありまして、其の主なる點を順次申上げたいと存じます、第一點は、皇室關係職員に關する規定の整備であります、宮内職員は、現在宮内省恩給令に依りまして、宮内省から恩給を支給されて居りますが、恩給法の中には、宮内職員と政府職員との人事交流の場合の、政府職員の恩給取扱に關しまして、種々の規定がございますが、是等の規定は、今後不要となりますので削除することに致したのであります、第六條第二項、第八條第二項、第四十一條第六號、第四十二條第一項第一號及び同條第二項、第五十三條、第五十七條竝に第五十八條第一項第一號に關する改正規定がそれであります、又宮内職員の恩給は、宮内省廢止後に於きましては、國庫が之に代つて從來通り支給し、尚宮内省廢止の際引續き政府職員となる者に付きましては、政府職員を退職した時前後の在職年を通算致しまして、恩給を支給することに致したのであります、改正法律附則の第二條乃至第五條に此の關係を規定致しました、更に又先般皇宮警察署が警視廳に移管せられましたのに伴ひまして、新たに設けられました皇宮護衛官の中、皇宮警部補及び皇宮警手は、他の一般警部補及び巡査と恩給法上同樣に取扱ふべきものと考へられまして、之を恩給法上の公務員たる警察監獄職員として指定することと致したのであります、第二十三條の規定に第四號を追加致しましたのが是であります、改正の第二點は恩給に關する爭訟に付ての規定でございます、現行法に依りますと、恩給の權利侵害に對しましては、先づ恩給局長に具申し、其の裁決に不服ある時は、内閣總理大臣に訴願するか、又は行政裁判所に出訴するか、二つの中其の一つを採り得ると云ふことになつて居りますが、新憲法施行と同時に、行政裁判所が廢止せられまして、從來の行政訴訟は總て一般民事裁判の管轄に移されることになりました、從來行政裁判所に出訴することになつて居りました恩給に關する訴訟は、之を民事裁判所に提起するやうに改めますると共に、又右のやうな訴訟の提起に付きましては、從來行政訴訟に付きまして設けられて居りましたやうな制限を存續させることは、新憲法の趣旨から申しまして如何かと思はれますから、今後は、或は具申を經ずに直ちに出訴することも出來る、又具申の裁決ばかりでなく、訴願の裁決に對しても出訴出來ると云ふことに致しまして、且民事裁判所に出訴された事件に付きましては、其の判決を最終決定とすると云ふ趣旨を以て、重ねて其の事件に付きまして具申又は訴願を許さないことに致したのであります、第十三條の改正規定が是でございます、改正の第三點は、國會法の施行に伴ひます改正であります、新憲法の施行と共に、貴衆兩院事務局の職員は廢止せられ、國會職員が新たに設けられることになつたのであります、此の國會職員の恩給の取扱に付きましては、其の任用、給與等の制度の整備と相俟つて遠からざる中に何分の決定を見ることと存じますが、其の決定があります迄の暫定的措置と致しまして、恩給法の適用に付きましては、貴衆兩院事務局の職員、其の他恩給法上の公務員から引續いて國會職員となる者に付きましては、其の者の國會職員としての在職を恩給法上の公務員として引續いて在職するものとして取扱ふことに致したのであります、改正法律の附則第九條に此のことを規定してあります、改正の第四點は、地方自治制度の改正に伴ふものであります、地方自治法の施行に伴ひまして、都道府縣等の地方廳職員の大部分の者の身分は、政府職員たる身分から普通地方公共團體たる都道府縣の職員の身分に移行することになつたのでありますが、之に付きましても、先程申しました國會職員と同じやうに其の恩給制度に付きましては、任用、給與等の諸制度の整備と相俟つて速かに何分の決定を見ることと存じて居りますが、其の決定を見ます迄の暫定的措置として、其の都道府縣職員としての在職を恩給法上の公務員として引續いて在職するものとして取扱ふことと致したのであります、改正法律の附則第十條であります、以上の外、日本國憲法施行に伴ふ民法の應急的措置に關する法律の施行に伴ひまして、恩給法中遺族に關する二三の規定に付きましても、應急的に政令で所要の定めをなし得るやうに措置し、又勅令と云ふ文字を政令に改めると云ふ風な、新憲法の施行に伴ひまして改正されることになつた若干の規定を修正して居ります、改正法律附則第十一條の規定、或は第二十條、第二十三條、二十五條、三十三條、四十一條等の改正規定等が是であります、以上が本案の趣旨の大要でございます、次に日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に關する法律に付て其の趣旨を申上げますると、先づ第一條でありますが、從來の法令は日本國憲法施行に伴ひまして、其の内容が憲法の條規に違背するものは無効となり、それ以外の法令は効力を存續すると云ふことになりまするが、是等の法令中で勅令、省令等の命令の規定であつて、而も其の内容が法律で規定しなければならないやうな事柄を規定して居るものに付きまして、憲法施行後に於てそれが如何なる効力を持つかと云ふことに付て規定を置いたのであります、即ち是等の命令の規定は、新憲法施行後は法律と同一の効力を有するものであると云ふ趣旨を明にすると共に、其の期限を本年末迄と限定致しまして、其の間出來るだけ速かに正規の立法手續に依つて國會の議決を經て法律に改めて行きたいと考へたのであります、勿論是等命令の規定も、日本國憲法施行前に十分檢討致しまして、不必要と考へられますものは之を廢止し、不適當と考へられますものは之を改めまして、本條の適用を受けるものは直に已むを得ないものに限るやうに努力を致したいと考へて居ります、次に第二條でございますが、他の法律及び法律と同一の効力を有する命令の規定の中に、勅令と云ふ文字が多數ございますが、日本國憲法施行後は、勅令と云ふ國法の形式はなくなりますので、之を政令と讀み換えることと致したのであります、次に第三條に付て申上げます、日本國憲法施行に際しまして、將來之を存續せしめる必要のないものを茲に列擧して之を廢止することと致した譯であります、明治二十三年法律第八十四號、是は命令の條項違反に關する罰則に關する法律でありますが、勅令以下の命令に罰則を附し得ることを包括的に委任して居る法律でありますが、斯かる包括的委任は日本國憲法第七十三條第六號の規定等に照しまして存續を許すことが出來ないと考へるのであります、又明治三十八年法律第六十二號、戸主でない者が爵位を授けられた場合に關する法律でありますが、是は華族制度の廢止に伴ひ、廢止することと致したのであります、大正十五年法律第八十三號、王公族の權義に關する法律及び昭和二年法律第五十一號、王公族から内地の家に入つた者及び内地の家を去り王公族に入つた者の戸籍等に關する法律は、王公族に對して、一般國民とは特別の權利義務を認めると云ふ風な法律でありますので、是は新憲法に照しまして、存續せしめることが出來ませぬから廢止することと致したのであります、明治四十三年法律第三十九號、皇族から臣籍に入つた者及び婚家に依つて臣籍から出て皇族になつた者の戸籍に關する法律でありますが、是は此の際廢止し、今後は戸籍法の適用に依つて運用することと致したのであります、明治二年行政官達、士族の稱に關する件、以下太政官布告は何れも士族制度に關するものでありますが、此の士族制度は別段法律上特權を伴ふものではありませぬけれども、階級の別を示す呼稱を存續せしめることは新憲法の精神から見て如何かと考へまして、之を廢止することと致したのであります、尚附則に於きまして、本法が日本國憲法施行の日から施行せられるること及び本法施行に必要な經過規定は政令で之を定め得ることを規定致しました、以上が本法案の大要であります、以上二案、宜しく御審議の上御協贊願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=4
-
005・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは行政官廳法案の質問に移ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=5
-
006・澤田牛麿
○澤田牛麿君 私は第一條から御伺ひしたいのですが、第一條に「各省大臣の分擔」云々とあります、此の各省大臣と云ふ言葉は、内閣法にありましたかどうか私今ちよつと記憶致しませぬが、内閣總理大臣と云ふことは、憲法に規定があるのですが、各省大臣と云ふ、此の各省と云ふのはどこで出來るのですか、どの法制で初めて各省と云ふことが現れて來るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=6
-
007・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 憲法にも内閣法にも各省大臣と云ふ名稱はございませぬで、此の行政官廳法で之を使つた譯でありますが、是は現に行はれて居る各省大臣、それを其の儘受けまして、行政官廳法で踏襲すると云ふ趣旨を現はした積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=7
-
008・澤田牛麿
○澤田牛麿君 そこで其の點が私の疑問とする譯でありますが、從來のものでは、各省官制通則と云ふものがあるから、其の各省官制通則で各省と云ふのは、斯う云ふものだと云ふことが分るのですが、是はそれと又少し違ふやうであるから、各省を置くと云ふことが先づ決まらなければ、各省大臣と云ふものは出て來ないのぢやないかと思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=8
-
009・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 各省と申しますのは、各國務大臣が事務を分擔して管理する、其の仕事をする場所の觀念、場所と申しますか、役所の觀念だと思ひます、現在の各省官制通則等に於きましては、各省を認めて居ります、そこで之を將來どうするかと云ふ點が問題になりますが、今度の行政官廳法第一條に於きまして、「内閣總理大臣及び各省大臣の分擔管理する行政事務の範圍は、法律又は政令に別段の規定あるものを除くの外、從來の例による。」とあります、此の第一條に依つて各省大臣と云ふ觀念を將來認め、而も其の内容は、憲法施行の際に於ける從前の姿を其の儘踏襲する、此の二つの意味を第一條で現はしたものと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=9
-
010・澤田牛麿
○澤田牛麿君 其の點がどうも了解出來ないのですが、各省官制通則に依れば、本則はこれこれの各省に適用するとあるから、次に第二條に各省大臣と云ふことが出て來るのであつて、此の各省と云ふものが分らぬのに、いきなり各省大臣と云ふことは、ちよつと讀めないのぢやないかと思ひますが、どうでせうか、矢張り現在のやうに各省を置くとか何とかと云ふことがなければ、各省大臣と云ふ呼び聲が出て來ないのぢやないか、呼出し役がないのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=10
-
011・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 各省大臣と申しますのは綜合的な名前でありまして、内務大臣とか、外務大臣と云ふのが具體的な名前であります、現在に於ける行政の扱ひは、各省に分擔をして事務を管理して居り、それを何々大臣と云ふのを、綜合的に各省大臣と呼んで居るのが通例であります、其の事實を受けまして、第一條で明かにしたのでありますから、第一條の法的意味から致しまして、現にある内務大臣、大藏大臣と云ふ風な、さう云ふ大臣が、其の儘將來も存續し、又其の分擔事務の範圍は、從前の例に依るのだと云ふことになるのだと思ひます、尚第三條に於きましても、各大臣の管理する事務は、從來の各省で管理すると云ふことが書いてありまして、一條と三條とを併せ御讀み願ひますと、其の點が法律的に明かになるやうに考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=11
-
012・澤田牛麿
○澤田牛麿君 今第三條の御話が出ましたが、序に第三條の方で質問したいのですが、第三條には「各大臣」、第一條には「各省大臣」とあります、是は何か違ひがあるのでせうか、どうも此の行政官廳法が讀めないのです、もつと頭に分り易く書く法はないのでせうか、どうも何だか既にあるものを前提として、其の上に施行規則でも作る場合なら、斯う云ふ風な書き方でも宜いでせうが、新たに發生する機構の問題としては、甚だ其の範圍が分らないのですが、先づ第一に、第一條には「各省大臣」第三條には「各大臣」とありますが、是はどう云ふ違ひなのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=12
-
013・井手成三
○政府委員(井手成三君) 第一條、第二條に於きましては、特に總理大臣と各省大臣と書き、且國務大臣と云ふ言葉も持つて來ませぬと、判然と致しませぬが、三條以下になりますと、行政官廳の主體になる内閣總理大臣と各省と、兩方綜合した通有名稱として、各大臣と云ふ言葉を使つて讀めるだらう、それで簡單に分るだらうと云ふやうな、單なる技術的な見地から、各大臣と云ふ略稱を使つた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=13
-
014・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると第三條の各大臣と云ふのは、各省大臣と内閣總理大臣と、それから所管を持たない國務大臣と云ふもの迄含むのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=14
-
015・井手成三
○政府委員(井手成三君) 是は所管を持つて居る最高行政官廳たる内閣總理大臣と、各省大臣の積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=15
-
016・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると國務大臣と云ふものは之には入らないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=16
-
017・井手成三
○政府委員(井手成三君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=17
-
018・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると第四條の各大臣と云ふのは、矢張り無任所大臣には適用がない、無任所大臣には、自分の使つて居る秘書とかなんとか云ふ職員があるでせう、さう云ふ者に付て之を統督すると云ふことは、適用がないことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=18
-
019・井手成三
○政府委員(井手成三君) それは第四條の條文から參りませぬで、それぞれ例へば、法制局長官は自分の部下を指揮監督する、又或税務署の署長なら署長は自分の部下を指揮監督すると云ふやうな、各個の法制で規定して行きたいと思ひまして、此の四條としては關係致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=19
-
020・澤田牛麿
○澤田牛麿君 どうも私には了解出來ないのですが、國務大臣と云ふものは含まない各大臣であると云ふことも、是は矢張り事務が多少あるので、省と云ふものは持たない大臣にしても、何か仕事はあるのだらうと思ふのです、御説明に依ると、無任所大臣と云ふものは仕事がないもののやうに受け取れるのですが、其の點はをかしいのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=20
-
021・井手成三
○政府委員(井手成三君) 憲法上國務大臣としての仕事は、勿論あるのでございますが、先般成立致しました内閣法の第三條に依りまして、「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分擔管理する。」之を受けまして、總理大臣と各省大臣が主任大臣として分擔管理すると云ふことが書いてあります、其の大臣と云ふのを四條は引つ張つたのであります、「前項の規定は、行政事務を分擔管理しない大臣の存することを妨げるものではない」、今仰せになりました無任所大臣は、只今讀み上げました内閣法第三條二項の大臣でございまして、行政事務は主任大臣として分擔管理しないと云ふ考で居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=21
-
022・澤田牛麿
○澤田牛麿君 第一條「從來の例による。」と云ふことは、各省と云ふものが出來てからの問題で、法に依つて始めて各省と云ふものが出來て、其の出來た各省の事務は、何に依るとか、かんに依るとかと云ふことは、ちよつと呑み込めない點でありますが、是は矢張り今迄の各省官制通則のやうなもので、各省を置くとか、行政事務を分擔する爲に各省を置くとかなんとか云ふことがなければ、其の適用が出て來る所がないのぢやないかと思ひますが如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=22
-
023・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 「從來の例による。」と第一條で書きましたのは、實は其の趣旨を表はした積りで居るのであります、現在御承知のやうに各省官制通則に依りまして各省の數を書き、又其の各省毎の官制に依りまして、其の各省がどう云ふ事務を分擔するかと云ふことが書いてあり、其の各省を主管して居る各大臣と云ふものが決つて居る、さう云ふ風に現在勅令で決つて居ります、其の勅令の制度を其の儘踏襲致しまして、第一條でそれを受けて「從來の例による。」と斯うした譯でございます、そこで第一條の規定に依つて、將來は法律的に從來の既存の姿が其の儘法律的な意味を持つて存續すると云ふことになるのでありますから、此の「從來の例による。」と云ふ簡單な言葉でありますけれども、其の中には現在と言ひますか、憲法施行の際に於ける各省官制通則及び各省官制の勅令の規定の内容を引用をしたと云ふことになると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=23
-
024・澤田牛麿
○澤田牛麿君 それならば、何か主客轉倒して居りはせぬかと私は思ふのです、今の御説明のやうならば、從來の例に依つて各省を置くとか、或は各省を定めるとか何とか云ふことが先に立つて來なければならぬと思ふのですが、此の一條の書き方では、各省大臣と云ふものがどつかでもう決つて居る、其の決つて居るものの仕事の範圍は從來の例に依る、斯う云ふ適用問題にだけしかならぬと私は文章で見て思ふのですが、根本の規定と云ふものが何かもう少し他に書きやうがなければ、權限の範圍とか、何とか云ふものだけが、即ち行政事務の範圍だけが從來の例に依る、其の行政事務を主管する根本の、基本の法規と云ふものは、矢張り法律であれば法律に謳ふべきものではないかと思ひます、さう云ふ點が拔けて居て、いきなり適用になつて居るのだから、其の點を私はをかしいと思ふのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=24
-
025・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御尤な點でありまして、之をもつと言葉を非常に澤山使つて書けば、書く方法があると思ひます、併しながら先程申上げましたやうに、第一條と第三條を組合せて考へますと、法律的には各省と云ふものは、矢張り從來通り之を踏襲すると云ふことが、第三條で決められて居りますから、第一條と第三條とを纏めて考へますれば、今のやうな點は法律的には説明が付くものと考へて、立案したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=25
-
026・澤田牛麿
○澤田牛麿君 それ以上は議論になりますから止めて置きます、どうも私は此の書きやうは大變分りにくい、讀みにくいものぢやないかと思ふのです、寧ろ單刀直入に各省を置くとか、何とか云ふことにして、其の第二段として各省の事務の範圍は從來の例に依ると、斯うすれば初めて觀念が明瞭になるものと思ふのです、いきなり「從來の例による。」と、範圍だけのことを書いて、其の各省其のものの存立、存在と云ふものが何も書いてなくて自ら類推出來る書き方は是は少し無理ぢやないかと思ひますが、是は議論になりますから其の點に付ての質問は止めて置きます、それから序に申上げますが、第四條に「所部の職員の服務につき、これを統督する。」一體統督と云ふ言葉は陸軍省の元の官制に陸軍大臣は軍人軍屬を統督すと云ふことが出てございましたのですが、統督と云ふ言葉は此處で珍らしく一番古い、最も今嫌はれる陸海軍の法令を茲に持つて來たのですが、是はどう云ふ意味でありませうか、監督と云ふだけなら監督で宜ささうなものですが、此處だけに統督と云ふやうな恐ろしく舊式の言葉を持つて來て居る、此の點も私が能く分らぬのですが、それから服務に付いて統督する、今の陸海軍大臣の官制は服務に付てと云ふことはないので、軍人軍屬を統督すると云ふことは身分から何から總てに付いての、一種の支配權を意味して居るので、此の第四條は統督と云ふむづかしい文字を持つて來て居りながら、而も服務に付きと云ふ條件附でありますが、是は寧ろ統督と云ふ字を使ふならば、服務に付きと云ふことは入れないで、所部の職員を統督すと言へばはつきり分つて居る、服務に付き統督すると云ふことはどうも意味が分らぬやうに思ひます、服務ならば服務規律があるのである、其の服務規律に依つて監督するのだから、統督と云ふやうな古い意味の言葉は不適當のやうに思ひます、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=26
-
027・井手成三
○政府委員(井手成三君) 茲に統督と云ふ言葉を使ひましたのは、假に大藏省で考へて見ますと、税務局、税務署と云ふ下級官廳でありますが、所部の職員としまして、さう云ふ全體を含んで大藏大臣が之を統督して居ると云ふことでありまして、指揮關係を具體的に言へば、財務局なら財務局長が、税務署なら税務局長が部下の指揮監督をすると云ふやうな具體的な言葉が出て參りますので、それよりも大らかな上からふんわりと大藏部内全體の職員を何と言ひますか、見守つて居ると云ふやうな意味で使つた次第であります、陸海車のみならず、外の方の官制でも統督と云ふ言葉は使つて居つたものでありますから、之を別に軍國的と云ふやうな印象を受けなかつた次第であります、「服務につき」と書きましたのは、職員を統督すること自身に付て問題ではないのであります、兎角服務の見地から、官吏服務規律で自分の勤務地以外に居住をすると云ふことの許可をする、或は自分の私事で許可を賜はると云ふやうなことに付きましても、結局服務の見地から統督するべきであつて、職員の本當の人柄等、一個の人間と云ふことになりますと、それは又別個のことであると云ふやうなことをはつきりしよう、服務の見地から統督しようと云ふことをはつきりするのでありまして、從前の解釋も其の通りであつたのでありまして、之を特に「服務につき」と明瞭にしただけの理由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=27
-
028・澤田牛麿
○澤田牛麿君 現在の所で陸海軍以外に斯う云ふ統督と云ふことを使つて居る官制が何處に幾つありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=28
-
029・井手成三
○政府委員(井手成三君) 御手許に御配りしました各省官制通則の第七條の箇所に、「大臣ハ所部ノ官吏ヲ統督シ」とございます、宮内省官制にも出てゐる、第二條に「宮内大臣ハ所部職員ヲ統督シ」とございます、大體此の儘こつちが各省官制通則を從前の如く踏襲しよう、何れ將來此の官制通則を中心と致しまして、しつかりした基本的のものが出來ますれば改めたいと思ひます、それ迄は大體今囘の議會に提案しましたものは、從前の例を踏襲したものでありますから、言葉も踏襲致しました、但服務と云ふ點に付き入れましたのは、從前の考から、服務の規定から統督して行くと云ふことを明かにしたい見地から入れた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=29
-
030・澤田牛麿
○澤田牛麿君 從前の通りと言へば、服務と云ふことは要らぬことと思ひます、それも議論になりますから……私ばかり發言して居るといけませぬから暫く中止します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=30
-
031・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の法制は色々細かく考へれば疑義が出まして……もう時間がありませぬ、それで私の趣旨を明かにすると云ふ意味で、少し御尋ねして見たいのですが、此の第一段としましては簡單でございますが今度行政事務の分配に付てどう云ふ方針を採つて居るか、是迄の規定に依りますと、行政事務は中央官廳としては、先づ成るべく各省大臣に分屬せしむる、それで工合の惡いものは内閣總理大臣に擔任せしめる、それでも工合が惡いものは内閣と云ふ行政官廳に擔任せしめると云ふ處置を執つて居ると思ひますが、矢張りさう云ふ趣旨でありますか、どうでありますか、今個々の條文の解釋ではないのですが、趣旨其のものを御尋ねするのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=31
-
032・井手成三
○政府委員(井手成三君) 只今御質問がございましたが、大體行政事務は出來るだけ各省に分配して行きたい、さうして各省の何處にも所掌せしむることが不適當、又は困難、又は特殊の事情のものを總理大臣の分擔事務の方に持つて行きたいと云ふ考で進んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=32
-
033・佐々木惣一
○佐々木惣一君 内閣と云ふものは行政官廳にならぬと云ふことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=33
-
034・井手成三
○政府委員(井手成三君) 内閣は内閣法に基きまする仕事をやる限度で機能を持つて居りまして、此の行政官廳法に於きまする所謂内閣法の三條の主任の大臣として行政事務を、最高行政官廳として縱割りにして持つと云ふことで、内閣は機能を持つて居ない筈であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=34
-
035・佐々木惣一
○佐々木惣一君 詰り合議制の行政官廳としての内閣が根本にはならぬと斯う考へて宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=35
-
036・井手成三
○政府委員(井手成三君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=36
-
037・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それから今度は第一條に付てでありますが、將來各省を新に設けると云ふやうな時にはどう云ふ風になるのですか、矢張り法律又は政令で設けると云ふことになるのでございませうか、第一條には新にさう云ふ各省を設けると云ふことには直接當らぬのですか、それはどうなりますか、例へば勞働省などを設ける場合ですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=37
-
038・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 其の點は各省を設けると云ふ風な場合は、憲法施行後は法律で之をやるべきものである、又やる積りでは居ります、茲に政令に別段の規定と書きましたのは、事務の範圍を極めて輕徴な限度に置きまして、甲の省と乙の省との間にやり取りをすると云ふやうな場合だけを考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=38
-
039・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、さうすると新に省を設けると云ふ時には法律でやると云ふ建前と致して宜しうございますか……、それから第二條になりますが、「各省大臣は、國務大臣の中から、内閣總理大臣がこれを命ずる。但し、内閣總理大臣が、自らこれに當ることを妨げない。」とありますが、「これに當る」と云ふのはどう云ふのでございますか、内閣總理大臣として或各省大臣の事務を執ることが出來ると云ふのですか、其の各省大臣を兼ねると、斯う云ふ意味ですか、當ると云ふのが少し分りにくいのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=39
-
040・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 是は兼ねると云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=40
-
041・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それから先づ内閣總理大臣が命ずるのですが、内閣總理大臣と各省大臣との關係、指揮、或は指示、今の法律で言へば監督は出來ないから指示すると云ふことになつて居るやうですが、さう云ふやうなこともなし得ると云ふ建前でありませうか、命ずるだけは命ずる、其の後の關係は一切ないと、斯う云ふ建前でございませうか、第二條の展開的解釋です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=41
-
042・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の行政官廳法と致しましては、總理大臣と各省大臣とは一應行政事務を分擔する限度に於て對等の關係に立つものと考へます、唯新憲法七十二條に於きまして、内閣總理大臣が行政各部を指揮監督すると云ふ規定がありまして、其の規定の適用に依りまして、總理大臣が各省大臣を行政各部の一つとして指揮監督すると云ふ場合があると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=42
-
043・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、さうするとあれは即ち各省大臣と云ふ個々の機關に對しても指揮監督が出來ると云ふのであつて、行政各部と云ふものの全體がどう云ふ風になるとかならぬとかと云ふことを指揮監督すると云ふ意味ぢやないのですか、それだけに止まるにあらずして、各省大臣其のものを指揮監督することが出來ると、斯う云ふことですか、さう云ふ意味に憲法を理解して宜しいのでございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=43
-
044・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 私はさう云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=44
-
045・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は少し解釋が違つて居つたものですから、憲法上の解釋としては總理大臣が各省大臣を個々別別に指圖すると云ふやうに考へなかつた、もう少しそれを大きく考へて居つたものですから……、それで第八條に「從來の職員に關する通則による。」とありますが、是はどうでありますか、少し分りにくいやうに思ひますが、通則と云ふのはどうなんですか、通則と稱する規定のやうに見えるのですが、是ではどうも工合が惡いのですか、どう云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=45
-
046・井手成三
○政府委員(井手成三君) 職員に關する通則と書きましても別段固有名詞ぢやないのでございますが、實際問題としては、御手許に御配りを致しました參考資料に、各省官制通則の職員に關する部分、各廳職員通則、此の二つを考へて規定致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=46
-
047・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の規定自身の動きとして、さう云ふ固有的な名稱ではない譯で、内容的に規定して居る譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=47
-
048・井手成三
○政府委員(井手成三君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=48
-
049・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それから六條に、「法律若しくは政令を執行するために、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて總理廳令又は省令を發することができる。」とありますが、第二項に罰則を設けたり義務を課したり、權利を制限する規定を設けることが出來ないとあります、其處で法律若しくは政令を執行する爲には、行政組織内部のことを言ひますか、行政組織外部に對して、一般國民の態度を規定すると云ふことが出來ないと云ふことになりますか、第六條第二項では……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=49
-
050・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 政令或は總理廳令、或は省令に付きましては、國民を拘束する規定は出來ると思ひます、出來ると思ひますけれども、それは六條第一項にありますやうに、「法律若しくは政令を執行するために、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて」とありますから、其の範圍が自ら第一項に依つて限定されて來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=50
-
051・佐々木惣一
○佐々木惣一君 例へば税務法がありまして、さうして其の税務法を執行する、或は租税法を執行する爲に、何月何日迄に一定の期間に屆出をしなければならないと云ふやうなことは、是は個々に義務を課して居る中に入らぬのですか、入るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=51
-
052・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 只今の例で申しますと云ふと、其の法律若しくは政令の方に屆出の義務を具體的に書いてありまして、唯いつ迄と云ふ風なことだけを省令で書くと云ふ風な場合は、執行する爲の方に入らうと思ひますけれども、併し屆出の義務があるのかないのかはつきりしないが、其の法律を行ふ場合には屆出をさせないとうまく行かないと云ふ風な場合は、恐らくそれは其の元の法律の方に委任の規定でも置いて、始めて可能になるのであつて、出來るだけ國民の權利義務を拘束するやうなものは委任の根據を求めて政令、總務廳令、省令等を出すのが妥當と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=52
-
053・佐々木惣一
○佐々木惣一君 もう少し宜しうございますか、それから此の第七條にありますが、第二項に「前項の規定は、地方公共團體の長の地方自治の本旨に基く法律に基いてなすその他方公共團體の事務に關しては適用しない。」と云ふことはどう云ふ是は必要があるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=53
-
054・井手成三
○政府委員(井手成三君) 是は現行の各省官制通則、若しくは内閣官制、内閣總理大臣、又は各省大臣の地方長官に對する指揮監督權を大體踏襲したものでございまするが、今後地方長官が公選になりまして、本體が寧ろ公共團體の長たる立場になる譯であります、それに對して國家機關としての働きを認める譯でありまするが、其の國家機關としての限度に付てのみ此の法令が動くのである、自治團體の方に付きましても、何等かの監督があれば、それは自治法の問題であると云ふ考で、本來第二項がなくても當然のことだと私共考へて居ります、但し今囘初めてさう云ふ制度になりまするので、此の點を明かにして置く方が宜からうと云ふ考から第二項を入れた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=54
-
055・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、なくても宜いと云ふので、ちよつと御尋ねしたのですが分りました、なくても同じことだけれどもまあ念の爲にと云ふやうな御趣旨、其の意味は分りました、それからして第九條ですが、此の「所轄」、或は「管理」、それから「掌る」、と云ふ文字が使ひ分けてありますが、是等は何か特別の意味を以て使ひ分けてあるのでありませうか、そこの所をちよつと伺ひたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=55
-
056・井手成三
○政府委員(井手成三君) 特別にどれ程何處がどう違ふと云ふ程くつきりしたことはございませぬが、「所轄」と云ふことは大體漠たる考へ方で使つて居ることが多いのでございます、「管理」とか、「掌る」とか云ふのはさう具體的に區別はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=56
-
057・佐々木惣一
○佐々木惣一君 是はまあ兎に角、總て是はどうも解釋に任して戴くより仕方がないと思います、非常に漠然として居りますから解釋に委ねて行くと云ふより仕方がないと解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=57
-
058・井手成三
○政府委員(井手成三君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=58
-
059・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今度は一つちよつともう少し、此の行政官廳を構成して居りまする人は、官吏と云ふ身分を持つものでありますか、と申しまするのは、此の官吏と官吏にあらざる公共團體職員としての公務員と云ふやうな御話を政府委員の方も時々御使ひになるのですから、國家職員と、それから公共團體職員との身分上の關係は非常に明確にして置かぬと目茶苦茶になりはしないかと思ひます、それで官吏と官吏以外のさう云ふ公務員との本質上の差異と云ふやうなことをどう云ふ所に置かれるかと云ふことをちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=59
-
060・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 是は佐々木先生に申上げるのは甚だ恐縮でありますが、行政官廳を構成するものは、主たるものは官吏と思ひますけれども、必ずしも官吏でなくても國家と公法的の關係に立つて公務を擔任する者は矢張り行政官廳の組織者と考へて居ります、そこで此の法律の中にも職員と云ふ言葉を使つて居ります、職員の主たるものは官吏と思ひますけれども、必ずしも官吏でなくても公法的關係に於て公務に從事すると云ふ風な者であれば、行政官廳を構成すると云ふことにならうかと考へて居ります、尚又第十二條なぞに「所要の部局及び機關を置く。」とありますが、其の機關と云ふものは委員會と云ふやうなものを實は考へて居るのでありまして、委員會の委員と云ふ風なものは、是は矢張り官吏ではありませぬけれども、一つの公法的地位に立つものであり、而も其の委員會が近頃ちよいちよいと認められまするやうに、委員會自身が一つの決定權を持つと云ふやうなものも出來て參りましたから、さう云ふ場合には矢張り其の委員會が行政官廳事務を持つ場合もあらうかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=60
-
061・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると何ですね、今の御話の國家事務と云ふ風なものを執る者の中に官吏たる者と、官吏でない者とあつて、公法的の關係と仰しやつたが、それはどう云ふ意味か分らぬですけれども、あつて共に官吏でない者でも官廳を構成する者があると云ふことは分りましたが、官吏と云ふものは要するに、今の御説明は國家の事務を執る者だと、さう云ふことには理解して宜しうございますね、官吏であらうが、あるまいが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=61
-
062・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 行政官廳法で考へて居ります範圍に付きましては、國家の事務と云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=62
-
063・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうしますと、地方公共團體の事務を執る者にして官吏と云ふものはあり得ないことになりますね、それは總て官吏以外の何と言ひますか、公吏と言ひますか、それは官吏でないと云ふ風に解釋して宜しうございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=63
-
064・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 行政官廳法に於きましては、國の公務を擔任する職員と考へて居るのでありますが、地方公共團體の事務を然らば官吏が擔任出來ないかと云ふことになりますと云ふと、それは官吏でも地方公共團體の事務を行ふと云ふ風な構成が考へられると思ふのであります、例へば今迄の府縣制等に規定がありますやうに、國の官吏が地方自治團體の事務と、府縣の事務を擔任すると云ふ二つの場合を法律で認めて居るのでありますが、さう云ふ場合はあらうと思ひますけれども、今茲に問題になつて居ります行政官廳法は、國の公務を擔任する職員に付ての規定と云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=64
-
065・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今でもありますが、それは併し官吏として同じ人が官吏と云ふ身分を持つと同時に、公共團體の職員と云ふ二つの身分を持つて居るのぢやないですか、現行の制度は……、将來は地方公共團體の仕事を執る人は、詰り地方公共團體の職員と云ふ身分を持つことになるぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=65
-
066・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 其の點は地方公共團體、其の他國家以外の團體の事務を執る者は官吏でないのが普通の考へと思ひますけれども、併しながらさう云ふ公法人の事務を執る者を官吏とすると云ふ風な制度が絶對に認められないものでもないのぢやなからうか、現に此の議會にも提出になつて居りまする各種公團法に付きましては、それに似たやうな規定がありまして、是は從來我々が考へて居りました行政組織、或は行政通念から申しますと、非常に稀有なものでありますけれども、憲法的に申しますれば、さう云ふ風なものを法律で認める、是は認め得るのではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=66
-
067・佐々木惣一
○佐々木惣一君 少し疑問がありますけれども、兎に角官吏と云ふものは一體如何なる性質のものか、誰の事務を執つて居るものかと云ふやうなことに付て將來はつきりと決める必要があるかと思ふのです、それからもう少し、第十四條になりまして官吏の任免云々ですが、身分上の事項に關する手續に付き必要な事項は政令で以て定めると、斯うありますが、此のことでちよつと御尋ねして見たいのは、所謂官吏の資格を審査する、決定する試驗ですね、即ち今の文官試驗と云ふやうなことに付て率直に私の考を申上げると、私は是は非常に改正する必要があると思つて居るのです、非常に弊害があると思つて居るのですが、さう云ふやうな點に付て何か斯う御氣附になるやうなことがありませぬでせうか、文官試驗に付きまして何か大臣に御考があれば其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=67
-
068・齋藤隆夫
○國務大臣(齋藤隆夫君) 御承知でもありませうが、昨年の十一月頃から内閣に行政調査部と云ふものを設けまして、行政機構の全面的の改革、中央地方に跨つて行政機構の全面的改革、官吏制度の改革及び其の運用と云ふことに付て研究を續けて居ります、之が爲にアメリカの方からも日本の行政視察團が六人ばかりやつて參りまして、六箇月の豫定を以て滯在して非常に研究して居りまして、此の行政調査部の部門と絶えず接觸を保つて居るのであります、是も成るべく早く完成したいと思ひまするけれども、御承知の通りに、日本の行政機構等は明治以來傳統に依りまして、なかなか複雜多岐を極めて居りますので、とても短い月日で出來ませぬのでありますけれども、何時迄も放つて置くことが出來ませぬので、一年と云ふ期限を附してやつて居りますが、此の議會にはなかなか間に合ひませぬので、次の通常議會に出さうかと思つて居ります、其の時に官吏制度及び公吏制度併せて官吏任用法とし一つ成るべく理論的に、實際的に研究して參りたいと思つて居ります、官吏採用に付ては必ずしも完全なものとは思つて居りませぬ、十分に研究して成るべく弊害の起らぬやうにやつて見たいと思つて居ります、此の議會に間に合はぬことは甚だ遺憾と思ひますが、御了知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=68
-
069・佐々木惣一
○佐々木惣一君 御方針は大變結構と思ひますが、御願ひ致したいのは官吏の試驗制度と云ふのは私の考では非常に議すべき點があると思ひます、と云ふのは兎に角官吏が非常に自己の良心的信念と云ふものを僞らずして自分をむき出しにして、さうして能力を試して貰ふことが出來るやうな風にして貰ひたい、どうも試驗制度と申しまするのは、私の經驗に依りますと、私自身試驗委員をやつて居りますが、實際自分の本當に信ずる所を書いて居るのかどうか分らない、試驗委員の顔を見て好い加減のことを書いて居る場合がありますから、さう云ふのはいかぬと思ひます、そこでさう云ふことのないやうに、官吏が自分の學問上の見地に付て本當に自分の信ずる所を書いて、而も試驗官に反しようが反しまいが、試驗官の學説であらうがどうであらうが、本當の實力を以て試して貰ふやうに出來る可能性のあるやうな制度を御考へ願ひたい、と云ふのは、今日の官吏は非常に國民が輕蔑するやうになりましたけれども、私は本來官僚主義ではありませぬけれども、官吏と云ふものを非常に尊重して居ります、國家の下にある官吏を馬鹿にしたり、官吏に其の人を得ないと云ふ時には必ず國家は滅びると考へて居りますから、從つて官吏に非常に良い人を欲しい、良い人と云ふのは大學出の秀才と云ふやうなものを言ふのぢやありませぬ、人格が伴はなければなりませぬ、さう云ふことを……其の點を通じて官吏の試驗制度と云ふものを是からなさると云ふことでありますから、大變結構と思ひますので、其の希望を述べて置きます、それから細かいことになりますが、各省大臣は是では政令、省令と云ふ規則は出來ますけれども、直接に行政處分を爲すことが出來るのでありますか、是にはありませぬのですが、現行法では行政處分を爲す場合が特に規定されて居りますが、將來は大臣が行政處分を直接に爲すと云ふことは一切止めると云ふ御趣旨でありますか、それだけのことをちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=69
-
070・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 勿論各省大臣は行政處分を爲し得るものと考へて居ります、それは行政處分は法律を執行して行くことになりますから、謂はば其の行政處分を爲し得るかどうかの根據は、法令にあると思ひますので、其の法令の中に矢張り誰がさう云ふ處分をするかと云ふことが書いてありまして、或場合には主管大臣、或場合には行政官廳と云ふやうな表現もあらうと思ひます、それ等の規定からして各省大臣が行政處分が出來ると云ふことは當然結論されると考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=70
-
071・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それでは詰り此の官廳法から直接には出て來ないのだけれども、官廳法に基いて出まする法令に依つて、各省大臣に行政處分の權利を與へることがあると云ふことに了解して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=71
-
072・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=72
-
073・佐々木惣一
○佐々木惣一君 もう一點伺ひたい、第九條、第十條ですが、「内閣官房及び法制局」と云ふことがありますが、是はどうでございませうか、第九條には、「内閣官房及び法制局は、政令の定めるところにより、内閣總理大臣の管理する事務を掌ることができる。」と云ふことになつて居る、それから其の次の第十條には「内閣官房長官及び法制局長官は、夫夫内閣官房又は法制局の事務を統理し、所部の職員の服務につき、これを指揮監督する。」斯う云ふことであります、すると是等の長官は職務に付て指揮監督する非常な權限を持つて居る、露骨に申しますれば、將來此の官廳法の適用を誤まると、斯樣なことを言ふのは、此處に御出でになるのでをかしいが、決してあなたのことぢやない、法制局長官なり内閣官房長官と云ふものが結局一種の非常な權限を持つてしまつて、それが實際的に政府になる、それが獨裁的の所謂從來の官僚の弊害とか云ふことが言はれましたが、さう云ふやうなことを生ずる虞れがないとも限らぬのでありますが、さう云ふ點に付ては固より政府の方でもそんなことは御贊成でないのであつて、極力さう云ふ風にならぬやうに此の法律を適用すると云ふ御考と考へて宜しうございますか、是は大臣からでも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=73
-
074・齋藤隆夫
○國務大臣(齋藤隆夫君) 成程九條には内閣總理大臣の管理する事務を掌るとあります、内閣總理大臣の管理する事務と云ふものは隨分廣汎なもので、それを内閣官房長官、決制局長官が事務を自由に掌つて處分すると云ふことになりますと、やり方に依つては相當強大な權限を行使するやうにならうと思ひますけれども、是は實際の運用上に於きまして、さう云ふ極端なことをやれば、自然政治問題も起つて參りませうからして、成るべく運用を誤らぬやうに一つやれば、此の條文で差支ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=74
-
075・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私の質問は是で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=75
-
076・澤田牛麿
○澤田牛麿君 ちよつと今のことに關聯して居りますから……、第九條、第十條、第十一條、第十二條、是は内閣法に大體規定すべきことぢやないでせうか、又内閣法と云ふものが各省行政官廳法と別になつて居る以上其の方に規定すべきものではないでせうか、此の前に内閣法の審議の時に、私は行政官廳法と照し合せて見なければ本當の審議は出來ないと云ふことを強く申しましたが、それは今申しますやうな關係があるからであります、内閣法と云ふものが別に出來たのであるから、其のうちに官房や法制局のことは規定すべきものであつて、それ以外のことを行政官廳法に規定すべきものではなからうか、九條から十二條迄は此の法から削除してしまつて、若し必要があれば内閣法に決めるべきものではないか、斯う思ふのですが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=76
-
077・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 内閣法に於きましては、内閣と云ふ合議體のことを先づ決めまして、其の仕事を助ける機關として内閣官房及び法制局を置いたのであります、そこで行政官廳法の方は、寧ろ内閣官房なり法制局なりが内閣の補助部局と云ふ面よりは、内閣總理大臣と云ふ行政長官の管理する事務を分擔すると云ふ方面から規定を置いた譯であります、九條の規定は矢張り内閣法とは性質を異にするものと考へて居るのであります、そこで十條等は内閣官房、法制局の組織に關する規定でございますから、或は是だけを内閣法の方に書くと云ふことも無論考へられますけれども、併し内閣官房、法制局と云ふ風なのは、矢張り行政部局としての働きをするものものであり、それの内容等の規定は内閣法の中に書くよりは、行政官廳法の方で扱ふことの方が體制上適當であらうと考へた譯であります、そこで内閣法に於きましては、其の十二條と存じますが、第五項に、其の組織を別に法律で定めると云ふ風に書きました次第でありまして、立て方の問題でありますけれども、私共は今言つたやうな考へ方で、内閣法と行政官廳法に於ける内閣官房、法制局の規定を理解し立案をした次第なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=77
-
078・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると内閣法では何を規定して居つたのですかな、どうも私記憶しませぬが、内閣法に法制局と官房のことが可なり出て居つたやうでありますが、それは何を規定して居つたのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=78
-
079・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 内閣法の第十二條に「内閣に、内閣官房及び法制局を置く。」とあります、さうして「内閣官房は、閣議事項の整理その他内閣の庶務を掌る。」、法制局は各種法制一般に關することを掌ると云ふ風に出て居ります、總てキヤビネツト即ち合議體の内閣と云ふものの事務を扱ふと云ふことで内閣法の方は規定して居るのであります、唯内閣法の十二條の中に「内閣官房及び法制局の組織は、別に法律の定めるところによる。」と致しました、そこで組織は今のやうに内閣を助ける機關でありますから、勿論内閣法の中に書いて書けないことはありませぬけれども、併し内閣官房、法制局と云ふものは一つの行政組織と考へられますから、内閣法の方には置かずに、行政官廳法の方へ其の組織のことは書いた、斯う云ふ風な立て方なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=79
-
080・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると内閣官房と法制局に二つの性質があつて、一つの性質のことは内閣法で書いたが、他の一つの性質は行政官廳で書く、斯う云ふ風に只今の御説明では伺ひますが、さう云ふものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=80
-
081・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 其の通りに考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=81
-
082・澤田牛麿
○澤田牛麿君 さうすると、私共が不思議に思ふのは、假令其の事務の種類が違つて居つても、官廳の組織と云ふものを決める法規は一つで宜いのであつて、さう幾らも方々へ其の官廳の組織が出て來ると云ふのは、法の亂雜なことを示すものぢやないかと思ひます、官廳の組織と云ふものは一つで組織法が出來、其の組織の事務はそれは幾つも種類があるでせうけれども、どうも同じやうな名で以て實は違ふ別の官廳だと云ふやうな觀念を與へるやうな書き方と云ふものは、是はどうも法制上面白くないだらうと私は思ふのでありますが、あの内閣法では運用が付かないのでせうか、今の官廳法の九條から十二條迄の規定を置かないと云ふと、内閣法だけでは官房、法制局も動けないと云ふことに御解釋になつて居るのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=82
-
083・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の内閣官房、法制局の組織に付きましては、内閣法で別に法律を以て之を定むと云ふ風な規定がありますから、法律で決める必要があります、それが決りませぬと云ふと、内閣官房、法制局が内閣法の方の作用を營む場合にも支障を生ずると云ふことにもなるのでありまして、只今の行政官廳法の第十條の規定は別に法律を以て定めると云ふ其の法律に當るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=83
-
084・白根竹介
○白根竹介君 今の第十條ですが、内閣法に規定してある内閣官房及び法制局と云ふものは、キヤビネツト、内閣の補助機關で、是は行政官廳ぢやないのですな、それから今度の行正官廳法に依る第九條の内閣官房及び法制局と云ふものは、行政官廳たる機能を付けた規定であるやうに思ふのでありますが、さうでこざいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=84
-
085・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 大體其のやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=85
-
086・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、澤田君の質問されたやうにちよつとをかしいやうに思ふのですが、内閣法の第十二條第五項にあります「内閣官房及び法制局の組織は、別に法律の定めるところによる。」、此の内閣法に於ける内閣官房及び法制局と云ふものは行政官廳ぢやないのですから、斯う云ふことを行政官廳法に讓つて居るのは、ちよつと法律の形式から言つてをかしいやうに思ふのですが、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=86
-
087・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 内閣と行政官廳法との關係は實は此のやうに考へて居ります、即ち内閣と申しましても、新憲法に於きましては行政權を擔任する最高の部局である譯なのでありまして、そこで其の内閣が行政權を持つて居る、其の行政權の行ひ方に付きましては、内閣と云ふ合議體だけてやらないで、それを各省に振り分けてやると云ふことになつて行かうと思ひます、從つて其の「行政權は、内閣に屬する」と云ふあの憲法の六十五條の規定は先づ内閣法に於て合議體として行ふ部分と、更に其の内閣に屬する行政權を具體的に行ふ場合に各省に分擔せしめて行ふと云ふ兩方ともあると思ふのでございます、内閣法では、先づ合議體としての内閣のことを決めまして、其の合議體としての内閣が責任を持つて居る、行政權の具體的行使方法に付ては、之を行政官廳法の方で取扱ふと云ふ建前にした譯であります、そこで内閣法に於きまして、内閣はどう云ふ權限を行ふかと云ふことと、それから内閣と云ふ合議體は誰から出來て居るかと云ふ風なことを書きまして、さうして各大臣の分擔管理の關係は、是は別に法律の定める所に依つてやると云ふことにした譯なんであります、それから又内閣、キヤビネツトの補助機關である法制局或は内閣官房と云ふものに付きましても、是は内閣それ自身ではないのでありますから、それ等の補助部局に付きましても別に法律で決めると云ふことにして、他の法律、之を行政官廳法の方に纏めた、そこで一體内閣官房若しくは法制局と云ふものが、是は行政官廳であるのかないのかと云ふことになりますと、是は理窟の上から申しますと、はつきりしないのでありますが、兎に角内閣法に於きましては、内閣と云ふキヤビネツトに付きましての行政權の本來を書きまして、其の他に付きましては、之を他の法律に讓ると云ふ建前にしたのであつて、其の他の法律に讓つたものを纏めまして、此の行政官廳で處理した譯なのであります、でありますから、只今問題になつて居ります行政官廳法の第十條と云ふものを、行政官廳法の方で受けて書くと云ふことは、内閣法の官制に於ては差支ないやうに考へて居るのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=87
-
088・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、此の内閣官房及び法制局は總理廳と云ふものの中にある譯でありますか、總理廳と云ふものの觀念をもう少しはつきり御説明を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=88
-
089・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 總理廳ではないのでありまして、此の内閣官房と法制局と云ふのは抑抑の存在は内閣法で決めて居ります、總理廳と申しますのは、是は此の行政官廳法にもありますやうに、内閣總理大臣が各省大臣並の行政長官として行ひます事務を分擔する、各省で申しますれば省に當るやうな部分を總理廳と云ふ觀念で纏めたのでありますから、總理廳と内閣官房、法制局と云ふものとは是は違ふものであると御理解願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=89
-
090・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、總理廳と云ふものは此の參考書にあります戰災復興院とか、復員廳であるとか、それから經濟安定本部とか、さう云ふものを言ふ譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=90
-
091・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の總理廳と考へて居りますのは、此の總理廳は現在内閣では、恩給、統計の仕事をやつて居ります、そこで恩給局、統計局と云ふやうなものが合されまして茲に總理廳と云ふ觀念が出て來る譯であります、それから戰災復興院であるとか、復員廳、或は經濟安定本部と云ふ風なものは、總理廳から見れば謂はば外局に當るものと云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=91
-
092・白根竹介
○白根竹介君 此の行政官廳法は外局であらうと何局であらうと、總て網羅した一般の行政官廳に對する一般原則と思ひますが、經濟安定本部は此の中のどれに該當するものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=92
-
093・井手成三
○政府委員(井手成三君) 此の行政官廳法の第三條を御覽戴きますと「總理廳、從來の各省及び」云々とございますが、内務省で言ひますと、昔の神祗院のやうな地位であります、即ち從來の内務大臣の管理する外局たる神祗院のやうな具合に考へて行きたいのであります、總理廳は今日初めて出ました觀念であります、從來内閣と云つて居りました機構の中で、法制局及び内閣官房、即ち國務大臣の合議體の仕事を分掌してゐる部局でありました法制局と内閣官房以外のものを、之を總理廳と考へるのであります、それは現在の内局たる恩給局、統計局のやうなものであります、而して内閣總理大臣の所管であります戰災復興院とか、復員廳とか安定本部と云ふやうなものは、丁度軍事保護院とか、それから神祗院と云ふやうなものが、厚生省、内務省等に對しまする關係と同樣でありまして、恩給局等が集つて出來ます總理廳に對する關係に於て安定本部、復員廳、戰災復興院として、外局として之について行くと云ふ考でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=93
-
094・白根竹介
○白根竹介君 恩給局、統計局は今迄は内閣書記官長の下にありますので、官制は別になる譯ですか、官房から離れる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=94
-
095・井手成三
○政府委員(井手成三君) 其の點に付きましては、本來合議體たる内閣に附屬します内閣官房の長官たる内閣官房長官が、九條の運用に依りまして恩給局、統計局等の事務を統轄するやうに持つて行きたいと考へて居ります、更に先程ちよつと御話がございました點でございますが、九條で非常に大きな仕事を内閣官房及び法制局が、總理大臣の大きな仕事を司るやうな御質問がございましたが、是は現在法制局は、大體總理廳に當るものの文書課的仕事を多くやつて居ります、内閣官房は、總理廳に當りますものの官房的事務をやつて居りますから、其の現状を其の儘踏襲したいと云ふやうな考へ方を持つて居る次第であります、今申しました内閣の統計局、恩給局に付きましても、書記官長が其の事務の統轄をすることになりたい、此の程度のことを九條で考へたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=95
-
096・白根竹介
○白根竹介君 今の問題はその程度にしまして、一番終ひに内閣法の一部を次のやうに改正すると云ふのはちよつとこの法律を以て内閣法の改正をするのはどうかと思ふのですが、何か非常に困つたことでもあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=96
-
097・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の内閣法の一部の改正は別の法律ですることが或は正當であるかも知れませぬけれども、併し此の内閣法の第二條第一項を變へましたのは、行政官廳法第一條を斯くの如く決めましたことに照應致しまして、内閣法の規定を整備したのでありますので、そこで從來さう云ふことをやりますものですから附則で以て便宜一括して改正したと云ふ譯であります、即ち行政官廳法第一條の改正と實質的に關聯のあるものですから附則に持つて來た、斯う云ふことなのであります、そこでどう云ふ點に關聯があるかと云ふことを申上げますと、此の行政官廳法第一條では、内閣總理大臣、各省大臣の關係が從來の儘で一應踏襲致しましたから、そこで五月三日現在に於ける各省が其の儘引繼と云ふことを考へた譯であります、行政官廳法自身が五月三曰現在を抑へまして、其の儘從前の例に依ると云ふ考へ方に致して參りまして、而も内閣と云ふものは内閣總理大臣と國務大臣とが集つて出來る合議體であるものでありますから、矢張り内閣法に於きましても、其の内閣を構成する大臣の數は、五月三日現在のものを其の儘踏襲して行くと云ふことにすることが、行政官廳法第一條の此の新しい規定を作つたのと照應して適當と考へまして、それで斯樣な表現にした譯なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=97
-
098・白根竹介
○白根竹介君 「及び國務大臣十六人以内」とすれば敢て改めなくても宜いやうに思ひますが、實質的に矢張り改めなければいかぬですかね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=98
-
099・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 内閣法で國務大臣十六人と致しましたのは、内閣法が出來ました時の國務大臣を抑へて五月三日以後に於ても十六人以内を以て事が足りると云ふ當時御説明をしたかと思ひます、併し今度行政官廳法を作つて參りまして、第一條に於て五月三日現在に於ける状態を各省大臣の數等も其の儘踏襲すると云ふ建前にしたものですからそこで矢張り内閣法の規定もそれと照應して其の時現在に於ける定數を以て内閣が組織されて行くのだと云ふことにすることが、平仄が合ふものと考へたものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=99
-
100・白根竹介
○白根竹介君 もう一つ小さいことで、さつき第四條で「職員の服務につき、これを統督すると。」と云ふことで質問がありましたが、私もどうも統督と云ふのは何か責任が政府委員の御答辯のやうにぼんやりとしたやうな風になるやうな氣持がするのでありますが、此の宮内省の官制を見ますと「長官は府務を總理し、所部の職員の服務につきこれを指揮監督する」、宮内府の長官は矢張り各省大臣と同じやうな立場にあるのですが、一方の各省大臣は統督すると規定されて居るし、宮内府は指揮監督する、勿論各省大臣は一方國務大臣と云ふ重責を持つて居るのですから、少し部下に對してはぼやつとした指揮監督權を持つて居ると云ふ風に言ひ表した方が宜いのぢやないかと思ふのですけれども斯う云ふ風に區別すると、部下の職員に付ての大臣の責任が何かぼやつとしたやうに見えますけれども、責任の點に付ては指揮監督すると書いても、統督すると書いても、同じと見て差支ないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=100
-
101・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 是は法律的に申しますれば、統督と書いても、指揮監督と書いても責任の點に於ては同じと思ふのであります、統督と書きましたのは極めて總括的に監督をして居る、纏めて居ると云ふ觀念であつて、各省大臣等に付ては從來の法令が皆統督と云ふことになつて居りました、指揮監督と申しますと非常に具體的になりますので、此處では各省大臣は各省全體を纏めて、それを指揮下に握つて居る、と云ふ心持を表す意味で統督と書いたので、統督と云ふ中に個々の場合の指揮監督が入つて居るものと考へて居ります、各大臣の所屬の部局に付ては、其の部局の長官が、其の部局内に於ける職員に付て指揮監督すると云ふ風な用例でございますので、其の間に一つの段階を付けて、斯う云ふ言葉を踏襲したと、御了解願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=101
-
102・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは、もう十二時になりましたから、午後一時から始めることに致しまして、休憩致します
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=102
-
103・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 引續き委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=103
-
104・佐々木惣一
○佐々木惣一君 御尋ねしますが、是は要するに中央行政官廳の規定のやうですが、地方官廳と云ふものに付てはどう云ふ風に將來なる御考へなんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=104
-
105・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 地方行政官廳と申しますのは普通一般地方官廳に付きましては、御承知のやうに府縣の制度が今度地方自治法ですつかり公吏の身分に轉換するものですから、それで地方官官制と云つたやうなああ云ふ地方行政官廳は將來なくなると思ひます、若しさう云つたものを作る場合は法律が必要だと思つて居ります、それから各省で以て出先の特別地方官廳を設置する場合と云ふことに付きましては、此の案の第十二條で「法律又は政令の定めるところにより、所要の部局及び機關を置く。」とありまする規定で處理する積りであつたのであります、之に付きましては、衆議院で修正がありまして、「但し、地方特別官廳の設置及び廢止については、法律の定めるところによる。」と云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=105
-
106・佐々木惣一
○佐々木惣一君 特別地方官廳と云ふものは、學問で言ふ特別行政廳、鐵道局と云ふやうなものを言ふのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=106
-
107・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=107
-
108・佐々木惣一
○佐々木惣一君 内務行政官廳のものでないんですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=108
-
109・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=109
-
110・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、それからして是は特に官吏のことに付て是迄も能くありましたが、一級、二級、三級、あの別は今の勅任、奏任、判任のやうに任命の手續とか、何とかを標準として設ける區別なんですか、唯任意に是は大事だから一級にするとか……、何か標準があるのですか、一級、二級、三級の區別が、それに分屬せしめる官吏……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=110
-
111・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御尋の趣旨は一級、二級、三級の區別の標準でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=111
-
112・佐々木惣一
○佐々木惣一君 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=112
-
113・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 一級官吏、二級官吏、三級官吏は實質的に申しますと云ふと、昨年の四月にさう云ふ制度の改正があつたのでありますが、其の以前の所謂勅任に當るものが一級、奏任に當るものが二級、判任に當るものが三級と云ふやうな大體の分け方で以てやつて居ります、それで各省の職員通則及び親任官及び諸官級別令と云ふ勅令がございまして、それで各官を一級、二級、三級と分けて居ります、標準は今申上げましたやうに大體從來の例を參考に致してやつて居ります、従つて一級が部局長に當るやうなものが多く、二級と云ふものに付ては課長級、三級と云ふやうな大體補助的な書記級のものと云ふ風に分けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=113
-
114・佐々木惣一
○佐々木惣一君 例へば勅任、奏任と云ふのは實質的の點を標準として任命の手續きと云ふ區別があるのですか、従來の勅任に當るものは一級とすると云ふのは分るのですけれども、一級、二級、三級の區別は何か實質的の標準があるのですか、從來の勅任の者を一級にすることは分るのですが、何かあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=114
-
115・井手成三
○政府委員(井手成三君) 只今一級、二級、三級に區別して居りまする實質上の考へ方としまして、先つ一級が擔任する仕事は内容が相當複雜であり、且又判定力が必要であると云ふ意味から、資格を區別して居ります、非常な高級な學校を出て、相當な經驗を持つて居る、或は二級官の經歴も相當やつた人、それに應じまして、又二級、三級に付きましても、擔當しようとする仕事の内容に付て、資格を區別します、更に最高の一級に當るポストのものに付きましては、さう云ふ位置に當る人でありますから、手續を嚴重にしまして、現在では閣議を經て御勅任を戴く、二級に付きましては、總理大臣を經て上奏任して所謂奏任と同じ手續でやつて戴く、三級に付きましては、仕事が事務補助的のものでありますから、大臣以下各局長官、地方長官に委してあります、從つて任用の資格と任用の手續に於て區別を致す見地から、一級、二級、三級と云ふものを作つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=115
-
116・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=116
-
117・澤田牛麿
○澤田牛麿君 ちよつとそれに關聯して居りますが、何か官吏法と云ふものが出て居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=117
-
118・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 官吏法に付きましては、今度の議會に於きましては、それを準備する時間がありませぬでしたので、それは次の議會に讓つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=118
-
119・澤田牛麿
○澤田牛麿君 それは憲法の施行には別に牴觸はしないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=119
-
120・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 憲法に依りますと、官吏に付きましては、法律の定める規準に從つて内閣で官吏に付ての仕事をやるやうになつて居りますが、それ故憲法施行後にはさう云ふ官吏に關する具體的な規則も法律で定むべきものと考へて居ります、唯今申上げましたやうに、準備が整はないと云ふことでありまして、假に之を法律と云ふ形で致しましても、現在ある官吏制度なり勅令の主なる所を其の儘法律にすると云ふ本當の形式的なことになるものですから、此の際は其の法律を出すことを止めまして、別に委員會で御審議を願ふことになつて居り、憲法施行の際に現に命令の效力に關する件と云ふあの規定に依りまして、將來法律を以て規定すべき事項も今年限りの間は、法律と同等の效力を持つと云ふことに致しまして、それで憲法上の要請の辻褄を合せて居るものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=120
-
121・澤田牛麿
○澤田牛麿君 少し脱線するやうですが、御許しを願ひたいと思ひます、憲法のちよつと行政官廳法とも直接關係ないかも知りませぬけれども、併し行政官廳を組織するのは官吏だからちよつと關聯するのですが、憲法の成文では、官吏の任免は人民固有の權利だと云ふことになると云ふけれども、どうも法律で以て委任することは出來ないことになるのぢやないかと云ふやうに思ふのでありますが、そんな點はどんなものでございませうか、皆矢張り官吏は總てでレフエレンダムに依らなければならないと云ふ議論になつて來やしませぬか、あの憲法の何條かの規定に依つて …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=121
-
122・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 憲法十五條に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の權利である。」と云ふ其の條項と存じますが、是は憲法の審議の時にも屡屡問題になつたと思ひますが、此の規定は具體的に公務員を選任し、罷免をすると云ふ、其のやり方のこと迄拘束することではなくして、其のやり方がどう定まらうとも、其のやり方を定める抑抑の根源は、國民固有の權利であると言つたのでありますから、法律に於きましてそれ等に付ての規則を定めて、國民が國會に於てそれを論議する途さへ通れば、憲法十五條の要請は、滿たして來て居ると考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=122
-
123・澤田牛麿
○澤田牛麿君 それ以上は憲法論になりますから發言を止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=123
-
124・白根竹介
○白根竹介君 ちよつと蒙を啓いて戴きたいと思ひますが、總理廳でございますな、是は先程御話がございましたが、具體的に申すと、茲に日本行政機構一覽圖と云ふのがございます、そこに内閣總理大臣の現在やつて居る仕事が皆書いてありますが、具體的に申すと總理廳の管轄する所はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=124
-
125・井手成三
○政府委員(井手成三君) 此の表を御開き戴きまして、例へば事務當局として考へて居りまする所を、御參考迄に申上げさせて戴きます、内閣の中の法制局、是は豫想致して居りまする如く、合議體の内閣の下に立つ補助局である、唯此の行政官廳法の規定に依りまして、總理廳の事務を御手傳ひする能力はありますが、本來は内閣に附ける積であります、賞勳局も榮典行政をどうするかと云ふことは、實は最高の所迄決定致して居りませぬが、大體總理大臣の行政部局である總理廳の中に入る豫定と考へて居ります、それから官房總務課、人事課、會計課、審議室でありますが、賞勳局の榮典行政の方は、内閣の合議體の下には附けない豫定でありますが、總理廳の内局的のものにするか、外局的のものにするか、其の點は未決定であります、官房の中で總務課のやうなものは、問題なく大部分は、合議體の内閣の總務をやつて居りますので、其の方向に行くだらうと思ひます、人事課、會計課になつて來ますると、總理廳の官房事務の部分が相當ございます、或は内閣自體の庶務をやつて居ります部分も多からうかと思ひまして、此の機構をどうするかは未だ未決定であります、審議室の能力も大體内閣の庶務に當るので、合議體の官房に附いて行くのが宜いだらうと思つて居ります、恩給と統計は今の處、總理廳の中心をなす内閣の中になるだらうと思ひます、戰災復興院、復員廳、俘虜情報局、經濟安定本部、物價廳、行政調査部、新聞出版用紙割當事務局、此の中に付きましても、復員廳、戰災復興院其の他に付きまして、色々今後近い機會に制度の改編が色々な角度から要求されて居りますので、現在の考へ方では、結局どうなるか分りませぬが、現在の考へ方では、所謂總理廳の外局に當る、總理大臣の行政官廳としての仕事の中味であるから、總理廳から外局に置く、詰り厚生省に向つての軍事保護院のやうなポストになるだらうと云ふやうな考で居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=125
-
126・白根竹介
○白根竹介君 内閣法に「内閣總理大臣は、行政各部の處分又は命令を中止せしめ、内閣の處置を待つことができる。」と、此の第八條は總理大臣の行政官廳的の部面ぢやないのでございますか、さうするとさう云ふ仕事は矢張り總理廳に屬するやうなことになるぢやないかと思ふんですが、其の邊は如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=126
-
127・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 今の御尋ねは内閣法八條でございますが、是は憲法七十二條を受けまして、七十二條の規定を更に内閣法の中で具體化したものと考へて居ります、ですから此の内閣總理大臣と申しますのは、内閣と云ふものを代表した意味の、總理大臣と云ふ風に考へて行くべきものかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=127
-
128・白根竹介
○白根竹介君 大體分つたやうな分らないやうな恰好になるんですが、是以上質問しても餘り具體的にはつきりしませぬけれども、要するに總理廳と云ふものは、今はつきり分つて居る所は統計局と恩給局が仕事の主なるものであつて、その外人事、會計なんかに付て多少總理廳の關係する部門があると云ふ譯でございますか、左樣承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=128
-
129・井手成三
○政府委員(井手成三君) 大體さう云ふことになるだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=129
-
130・白根竹介
○白根竹介君 私は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=130
-
131・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他に御質疑はございませぬか、別に御異議もないやうでありますから、討論に入りますが、御異議ございませぬか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=131
-
132・澤田牛麿
○澤田牛麿君 私は已むを得ざるものとして之に贊成をしますが、全體としては甚だ不滿足な立法だと思ひますが、今日之を修正したり何かする暇はないやうに思はれますから、不滿足の意を表しつつ贊成します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=132
-
133・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他にございませぬければ採決に移ります、行政官廳法案は原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=133
-
134・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、行政官廳法案は可決致しました、次に宮内府法案に付ての御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=134
-
135・白根松介
○男爵白根松介君 現在の宮内省官制が終戰と共に幾多の削除を見まして、現行法は三十三箇條で規定されて居るのでありますが、新憲法施行と共に宮内省が廢止になつて、新に内閣總理大臣の指揮下に宮内府が置かれまして、茲に宮内府案が提出される譯なのでありますが、之を見ますると、法文僅に十三條で、誠に感慨無量なものがあるのでありますが、是亦致し方ないことと存じます、私は此の機會に於て此の宮内府法案に付て二三御尋をしたいと思ふのでありまするが、簡單でございまするから一括して御質問致しますが、第七條に侍從長の職務が規定されて居りますが、御承知のやうに、現行宮内省官制では侍從長の下に侍從次長があり、又其の下に侍從があると云ふやうな機構になつて居りまするが、此の新法の第七條を見ますと、極めて簡單に「侍從長は、側近に奉仕する。」と云ふだけ規定して居りまして、何だか非常に物足りない感がするのでありますが、現行の宮内省官制で、侍從の職務が此の通り側近に奉仕すると云ふことなのでありまして、侍從長は第三條にもございますやうに、宮内府長官と侍從長は天皇の認證を要するやうな重要な職務でありますので、もつと之を莊重に規定した方が宜いのではなからうか、まあ例へて申しますれば、侍從長は常時側近に奉仕し、内部の事務を監督すると云ふやうなことを規定した方が宜いのではなからうかと思ひますが、斯う簡單に片付けてしまつたことに付て何かそこに意味があるのでありまするか、是で又十分と御考になつて居るのでありまするか、其の點を先づ伺ひたい、それに關聯しまして、侍從と云ふ中には女官を含んで居るのでありますかどうか、現行官制では、女官は宮内省官制の外に女官官制と云ふ特別な官制で規定されて居るのでありますが、新憲法の下に男女同權を認められた今日、女官と云ふ者は固より存續すると思ふのでありますが、何故に女官の規定を茲に書かなかつたのか、或は侍從の中に女官が含んで居りますかどうか、其の點も伺ひたいと思ひます、それからもう一つ第二條に式部官を特記してありますが、是は何故に式部官だけを特記されたのでありまするか、分り兼ねるのでありますが、矢張り宮内府事務官で其の中に含めて宜いやうにも思ふのでございますが、政令の定める所に依つて所要の職員を置くことが出來ると云ふことに、其の條文の末項にございますから、特に式部官だけを特記した理由が不明なのであります、補職で結構であると思ひまするが、其の點に付て御説明を願ひたい、大要以上の點を先づ御尋ねしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=135
-
136・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御答へ申上げます、侍從長の職掌に付きましては、御話のやうに簡單な文言になりましたが、此の法文を作ります迄に色々な案を考へまして研究を致したのでありますが、其の言葉を使ひますことが却て又疑義を生ずる虞もあると云ふ風な場合もありまして、種々研究の結果、一番此の表現が實質を現し、又弊害もないと云ふ風な結論に到達した譯なのでございます、それから女官に付きましては、其の必要を矢張り認めますけれども、是は第二條の末項で、「政令の定めるところにより、所要の職員を置くことができる。」と云ふ、其の所要の職員と考へまして、補職で以て若干の女官を置くと云ふ風なことにしたらば宜いではなからうか、さうして女官は大體は事務官を以て補する考で居りますが、或は侍從を女官を以て、侍從に女官を補すると云ふやうなことも或はあらうかと思ひます、併し侍從と申しましても、是は男に限る譯ではないので、或は婦人の方を侍從と致しますれば、特にそれを女官と云ふ名稱を附けなくても宜いかも知れないので、それ等の點に付ては目下宮内省側と打合中でございます、それから式部官に付きましては、是も補職で置いて、事務官若くは技官の職とすることも考へて居りましたけれども、此の宮内府の將來の性質から申しましても、儀禮と云ふこと、或は又公の接侍と云ふ風なことが將來に於ける宮内府の事務として重要な部分を占めますものですから、特に獨立の機關として之を認めることが適當であらうと云ふ結論に到達して、式部官に付きましては之を補職にせず、獨立の官と致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=136
-
137・白根松介
○男爵白根松介君 大要御説明で了解致しましたが、式部官のことに付てちよつと御尋ねしたいのでありますが、將來外國の使臣が來航したやうな場合は、矢張り是は國が大體總てを賄ふことなんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=137
-
138・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 外國使臣等が日本に參りました場合に之を接受すると云ふことは、憲法にもあります通り天皇の御行爲になつて居りますが、それを皇室關係として色々な儀式を行ふ場合があらうかと思ひます、又儀式に關聯してそれ等を接待すると云ふやうな場合がありますので、それを式部官をして扱はせると考へて居ります、其の費用等に付きましては、此の外國使臣の接待に付きましては宮廷費の中に若干の費用を盛り込んでございますが、宮内府費として御やりになる限度に於ては豫算は宮廷費の方から是が出ると云ふ風に考へて居ります、又若干のものは交際費と致しまして宮内府費の中にも若干盛り込んでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=138
-
139・白根松介
○男爵白根松介君 今の御説明で大體了解致しましたが、私は式部官は特記する程の何はない、宮内府事務官で補職で結構と思ひます、恐らく是は英國あたりの例を引用されてのことだらうと思ひますが、大して重要なことではないと思ひますから、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=139
-
140・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと御尋ねしたいのですが、第一條に先づ關聯して宮内府の詰り事務範圍、是は皇室關係の國家事務、それは分りますが、「政令で定める天皇の國事に關する行爲に係る事務」、斯うあるのでありますが、此の政令で定める國事に關する行爲以外の事務はそれは宮内府は取扱はぬと云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=140
-
141・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の皇室關係の國家事務と考へられますものは、其の方で入りますが、さうでないものに付きましては特に政令で定めたものでなければ、宮内府では扱はないと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=141
-
142・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さう致しますとさう云ふ事務は矢張り普通の行政官廳が扱ふと云ふことになりますね、天皇の國事に關する行爲に係る事務でも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=142
-
143・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=143
-
144・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それから是は全般を通じて後の方が宜いかも知れませぬが、天皇の、詰り國事に關する國家事務的のものでない、私の事務と云ふものを取扱ふ場合、さう云ふ場合はどう云ふ機關が考へられるのですか、そんなものは將來は國家制度の上に於ては明かにしないと云ふ御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=144
-
145・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の新憲法の精神から申しましても、天皇は國家の象徴であり、又國民統合の象徴であらせられると云ふ面からして、天皇の御地位を規定して居ります、そこで宮内府に於きまして考へて居りますのは、飽く迄天皇の公の方面からの關係を規定してありますから、全くの私と考へられまする天皇の事柄は、是は宮内府で直接扱ふ事柄ではないと思ふのであります、さうすると、それ等はどうするかと云ふことでありますが、それは皇室と云ふ御一家に於きまして必要なる職員を置き、又必要なる人を置きまして、それ等の費用は内廷費から御出しを願ひまして、さうして之を處理して行くと云ふことにならうと思ひます、實際問題としてはそれ等の仕事に付きましても、宮内府に於て或限度に於ては御世話する場合もあらうと思ひますけれども、建前は公の面から宮内府に於ては皇室の面を扱ふ、又さう云ふやうな風に公私の區別を立てることが新憲法の下に於ては將來の皇室のあり方を正しくして行くものと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=145
-
146・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りましたが、皇室の私の事務に關聯して、矢張り國家が何等か心配をすると云ふやうなことを法制で決めることは許されるでせう、私の事務其のものでなしに、國家の事務に關しましてさう云ふことは考へて居ないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=146
-
147・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 天皇の私の御行爲と申しましても、それが事柄に依りましては天皇の象徴たる御地位と極めて密接不可分のものもあらうし、又私の御仕事のやり方如何に依りまして、象徴たる御地位に非常に影響の深いと云ふ事柄もあらうと思ひます、そこで宮内府と致しましては、それ等の私の事柄に付きましても、それ等が適正に行はれなければ結局公の面を害するので、それ等の面からして私の仕事に付ても公の面の方から之に或程度觸れて參りまして、俗な言葉で申上げれは御世話すると云ふ點はあらうかと思ひます、それ等は宮内府法第一條の皇室關係の國家事務に入ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=147
-
148・佐々木惣一
○佐々木惣一君 皇室内部のことであつて、例へば東宮の御教育と云ふやうなことに付ては、特に國家の方で考へられると云ふやうなそんな御考はありませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=148
-
149・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 東宮の御教育に關しましては、東宮は皇位繼承の第一位の方であり、次に天皇に御成りになる方々でありまするので、皇子の御學問に付ては是は公の事務と考へ、皇室關係の國家事務と考へて居りまして、又其の費用等も豫算と致しましては、宮廷費の中で皇子御學問費と云ふものを盛込んであるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=149
-
150・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それから此の長官其の他宮内職員の任免ですな、任免はどう云ふ風になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=150
-
151・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 宮内府長官其の他一級となつて居りまする官に付きましては、宮吏の任免に關しての手續を決める政令で以て規定をしたいと思つて居りますが、一級官に付ては現在内閣に於きまして、之を閣議に掛けて決めると云ふ考へ方であるのであります、但し此の宮内府の人事に付きましては、宮内府の性質から見まして、出來るだけ愼重に、又時の政治の關係から見て一々動くと云ふやうなことのないやうに十分注意を施しまして、任免の手續等も考へて行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=151
-
152・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは其の任免と云ふ行爲を具體的にやる場合のさう云ふ職權官廳の心得としてでありませうか、或は法の規定の上で何か特別の注意に基くやうな法規を之に付ては設ける、斯う云ふ御趣旨なんですか、只今の御言葉の趣旨は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=152
-
153・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 宮内府長官に付きましては、一級官でありまして、内閣に於て閣議を經て決めると云ふやうな制度にするのが宜いのではないかと思つて居りますけれども、宮内府長官以下の官の任免に付きましては、宮内府長官が恰も各省大臣の立場と同樣に、出來るだけ宮内府長官の意見をそれに反映させて、それ以下の職員の任免を行ふやうな法制を目下考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=153
-
154・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それで此の宮内府長官以下の者は宮内府長官が監督するのでせうが、宮内府長官其のものに對する監督機關はどう云ふことになりますか、内閣總理大臣が監督すると云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=154
-
155・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 是は内閣總理大臣が監督をすると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=155
-
156・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは第十三條の「宮内府は、内閣總理大臣の所轄とする。」、其の規定から來るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=156
-
157・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=157
-
158・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、私の質問は是れで…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=158
-
159・白根竹介
○白根竹介君 只今の佐々木議員からの任免に付ての關聯質問を致したいのでありますが、此の侍從は何でこざいますか、是は參考に伺ひたいのですが、主として陛下の側近の御用を奉仕するものでありまするが、之に付ては何か其の任免に付て陛下の認證と迄は行かなくても、何等か其の邊を御考になつたことはございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=159
-
160・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 侍從に付て陛下の御意思を重んずると云ふことは運用の上から見ますと必要なことと思ひますけれども、之を制度化することはなかなかむづかしいと思つて居ります、寧ろ宮内府の長に當る人を十分陛下の御信任の厚いやうな方を選びまして、さうして宮内府の長の意見を十分尊重して、侍從其の他の人事を行つて行くと云ふことで、それ等の關係を圓滿に執行して行つたらどうかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=160
-
161・白根竹介
○白根竹介君 能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=161
-
162・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他に御質疑はございませぬか、別に御質疑もないやうでございますから是から直ちに討論に入りますが、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=162
-
163・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、宮内府法案に付きまして討論を願ひます
〔「原案異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=163
-
164・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御發言もないやうに思ひますから直ちに採決に移ります、宮内府法案は原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=164
-
165・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、宮内府法案は可決致しました、次に恩給法の一部を改正する法律案、御審議を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=165
-
166・白根竹介
○白根竹介君 此の法案とは直接關係はないのですけれども、參考に伺つて置きたいのですが、今度の衆議院議員は、前に官吏であつた者が衆議院議員になると云ふと、恩給の年限を通算されるとか何とか聞きましたが、さう云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=166
-
167・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 多分さう云ふやうなことになると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=167
-
168・白根竹介
○白根竹介君 此の地方自治法が出來まして、現在地方に居る官吏が自治團體の公務員になつてしまふ、さうすると過去に於ける恩給年限は公務員として將來の年限にも加算されると云ふことを承りましたが、現在の地方の公務員、詰り公吏ですな、公吏の恩給と云ふものは今度此の公務員法が出來ますると云ふと、矢張り一般の公吏も恩給法に依つて恩給を支給されるものと看做されて、さうして過去に勤續した年數は遡つて恩給法の適用を受けると云ふやうなことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=168
-
169・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 都道府縣の公吏の恩給制度をどうするかと云ふことに付ての御質問と思ひますが、此の問題は結局官公吏の本質が新憲法が施行されました結果、どう云ふ風になつて行くかと云ふことにも關聯して來る問題ぢやないかと思つて居るのであります、只今の現在の所に於きましては、各都道府縣に於きましては、其の都道府縣のそれぞれの職員に付きまして、恩給の制度が設けられて居ります、是は各府縣區々でございます、大まかに申しますれば、大體同じやうな歩調にはなつて居りますけれども、區々になつて居ります、之を一本に纏めまして、さうして現在の恩給法と別な恩給制度にするか、或は又御話のやうな風に官吏恩給法の中に入れて來た制度にするかと云ふ問題に付きましては、今色々と内務省其の他に於きましても檢討されて居りますが、まだ此の結論を見るに至つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=169
-
170・白根竹介
○白根竹介君 現在各府縣の各部長級の者は其の儘公務員になつてしまふのですが、其の者等の恩給と云ふものは地方自治制施行されて以後と云ふものは、當然是は恩給法に依つて恩給年限に通算されると云ふことを内務大臣は言つて居られましたが、まだそれも未定なのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=170
-
171・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今御答へ致しましたやうな風に、都道府縣の職員の恩給制度に付きましてどうするかと云ふことは根本的な問題であると思ひます、それがはつきり致しますればそれに應じまして現在の官吏から移つて行く者に付きましても、それ相當の處置が考へられる譯でありますが、今申上げましたやうな風に、今度政府の職員から都道府縣の職員になる者に付きましては、都道府縣側に於きまして恩給制度の受入がしつくり出來て居ないのであります、それで取敢ずの恩給制度と致しまして、現在の政府職員で都道府縣の職員に身分の代る者に付きましては、其の制度の出來る迄の當分の取敢ずの措置と致しまして、引續いて從來の身分の儘在職するものとして、取敢ず恩給法を施行して行かう、さう云ふことに致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=171
-
172・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他に御質疑ございませぬか、御質疑がないやうでありますから、是から直ちに討論に入ります、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=172
-
173・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、恩給法の一部を改正する法律案を議題と致します、御發言もないやうでございまするから直ちに採決に移ります、恩給法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=173
-
174・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、恩給法の一部を改正する法律案は可決致しました、次に日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案、之の御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=174
-
175・佐々木惣一
○佐々木惣一君 第一條で豫想して居られる命令はどんなものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=175
-
176・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 是で只今豫想して居りますのは、大體内務省關係の取締規定に若干のものがあるのであります、例へば内務省令で、「案内業者取締規則」と云ふ風なものがあります、或は又同じく内務省令で「營業浴場ノ風紀取締ニ關スル件」、或は又内務省令で「按摩術營業取締規則」、それから商工省令で「保險募集取締規則」、と云ふのがございます、是は保險業法九條の委任命令かも知れませぬので、それ等の關係は今研究中でありますが、若し是が獨立命令的なものでありますれば、是も矢張り此の場合該當する命令かとも存じて居ります、それから又勅令で申しますと、「航路標識條例」と云ふものがございます、又同じく勅令で「開港規則」、斯う云つたやうなものを實は考へて居りますが、併し兎に角澤山あります中で、或は氣が附きませぬもので、此の規定の適用があるものがあるかとも思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=176
-
177・澤田牛麿
○澤田牛麿君 第二條に「政令と讀み替えるものとする。」と云ふことがありますが「讀み替える」と云ふのはどう云ふ意味になるのですか、誠に妙なことで、私未だやつたことのない法令で「讀み替える」とはどう云ふ意味になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=177
-
178・井手成三
○政府委員(井手成三君) 御目に掛けた法律で現れたのは割合少いと思ひますが、今囘提案して居ります他の法律案にも附則あたりで相當使つて居るのであります、是は前からも大分使つて居りましたが口語體の文章を採りまして以來、法制局でも相當熟して居りまして、私共さう奇異に感じなくなつて居るのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=178
-
179・澤田牛麿
○澤田牛麿君 元の古い頭の言ひ方で言へばなんと云ふ意味になりますか、政令と看做すと云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=179
-
180・井手成三
○政府委員(井手成三君) 勅令とあるのを政令とすると云ふやうな表現に使つたらうと思ひます、看做すと云ふのは少し感じが違ひますので発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=180
-
181・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 外に御質疑がございませぬか、別に御質疑もないやうでございますから、是から直ちに討論に入ります、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=181
-
182・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御發言もないやうでございまするから、直ちに採決に移ります、日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案、是は原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=182
-
183・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議ないと認めます、日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案は可決致しました、是にて散會致します
午後二時十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=183
-
184・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 前田利男君
副委員長 男爵 杉溪由言君
委員
公爵 伊藤博精君
候爵 廣幡忠隆君
男爵 白根松介君
子爵 加藤泰通君
子爵 黒田長敬君
子爵 日野西資忠君
林春雄君
佐々木惣一君
白根竹介君
男爵 佐竹義履君
澤田牛麿君
板倉卓造君
國務大臣
國務大臣 齋藤隆夫君
政府委員
内閣事務官 前田克己君
同 三橋則雄君
法制局長官 入江俊郎君
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 井手成三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200922X00119470330&spkNum=184
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。