1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○私的獨占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案
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委員氏名
委員長 高柳賢三君
副委員長 男爵 中村貫之君
侯爵 中山輔親君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 壬生基泰君
子爵 細川興治君
子爵 交野政邁君
子爵 梅渓通虎君
子爵 朽木綱博君
霜山精一君
男爵 伊藤文吉君
男爵 西酉乙君
男爵 松本鼎一君
種田虎雄君
我妻榮君
石川一郎君
三橋四郎次君
小山完吾君
山地土佐太郎君
渡邊三郎君
片岡直方君
岸本彦衞君
小汀利得君
名古屋三吉君
倉井敏麿君
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昭和二十二年三月三十一日(月曜日)
午後二時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=0
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001・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) それでは是から委員會を開會致します、只今から先づ政府の方から、本案に付て懇談的に一應御説明を願ふと云ふことに致したら如何でございませうか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=1
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002・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) それでは政府の方から御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=2
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003・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 本案提案の理由に付きまして、簡單に御説明を先づ申上げたいと思ひます、敗戦の打撃でまだ混亂して居ります、動揺して居ります今日の状況の下で、斯う云ふ法案を直ぐ決めなければならないと云ふ譯でもないぢやないかと云ふやうな御考も可なりあるのではないかと思ひますが、併し是からの日本の經濟をどうするかと云ふ、經濟に付ての大方針を矢張り豫め早く計畫、決定して明かにして置くと云ふことが、講和會議の前でありますし、其の點から言つても必要なことではないかと思ひます、それから又、今日企業再建に付ての色々の計畫が行はれる譯でありますが、それと關聯致しましても、此の法案のやうなものが、はつきりと出來て、方針が明かにされて居ると云ふことが必要な點である、さう云ふやうなことで、又國際的な信用を確立致すと云ふやうな點でも必要があると考へまして、矢張り此の際は成るべく早く之を作つて置かなければならないのではないかと思つて居ります、政府は昨年以來それで愼重に研究を重ねまして、獨占禁止準備調査會と云ふものを設けて、各方面の意見を求めた譯であります、さうして其の結果此の法律案を立案致しましたのであります、此の法律の目的は先程も御説明申上げました通りで、第一條に明かに致しましたやうに、私的獨占、不當な取引制限及び不公正な競爭方法を禁止して、事業支配能力の過度の集中を防止して、公正な、又自由な競爭を促進し、それに依つて一般消費者の利益を確保すると共に、國民經濟の民主的で健全な發達を促進すると云ふ點にあるのであります、勿論現在の異常な状態に於きましては、嚴格な統制が一方必要でありまして、統制法令に基く行爲に對しましては、此の法律の適用を除外致すのでありますが、是は臨時的な措置でありまして、今後經濟の安定するに伴ひまして、此の法律の精神に從つて公正な且自由な競爭に依つて民主的で建全な國民經濟の進歩發展を期すべきものであると考へて居るのであります、但し安定後に於きましても、國營公營の獨占的事業、それから私企業の中でも鐵道とか、電氣とか云ふやうな公益的な事業、それから小規模の事業者及び消費者が相互扶助の目的で設けます協同組合、斯う云ふやうなものに付きましては、此の法律の適用を致さないで、それぞれの根據法に依つて公共の利益を確保する爲に特別な考慮を致すことが適當であると考へて居ります、此の法律はさう云ふ例外の場合を除きましては、國民經濟の一切の部面に適用されるのでありまして、第一條以下の規定がそれぞれ出來て居るのでありますが、其の規定の細かい點に付きましては、係の擔當の者から詳はしく御説明申上げます方が手取り早くて宜いかと思ひますので、さう致したいと思ひますから御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=3
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004・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) ちよつと速記を止めて……
午後二時十八分速記中止
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午後二時三十四分速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=4
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005・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) それでは速記を始めて…‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=5
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006・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 先づ第一條でございますが、此の第一條は本法の目的を謳つたものでありまして、先程大臣からも御説明のありましたやうに、本法の實體規定ははつきりした今迄の大綱法制のやうに、希望の條件と云つたやうなものが非常にはつきりして居りませぬので、それは公正取引委員會と云ふ所で判斷をする、其の判斷の基準として此の第一條の目的が全體に非常に被つて來て大事な作用を爲す譯であります、委員長ちよつと速記を止めて戴きたいのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=6
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007・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=7
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008・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=8
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009・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) それから第二條に此の定義が書いてございます、此の第二條の一項の事業者とは、「商業、工業、金融業その他の事業を營む者をいう。」と云ふので、凡そ事業と云ふ場合に於て、而も此の中にある獨占と云ふやうな問題が起り得るやうな場合には、何でも取られると云ふので、非常に廣く掲げてございます、それから第二項にあります「潛在的な競爭又は競爭者を含むものとする。」と書いてございますのは、例へば鐵の壓延をやつて居ります會社がございまして、片方の會社は專ら丸鋼ばかり造つて居る、片方の場合に於ては、丸鋼でなくて他の型の物を造つて居ると云ふ風な場合に、現實の問題として兩方は何も競爭はして居りませぬが、苟も鐵の壓延作業をやつて居ると云ふことであれば、何時でも仕事を變へられますので、さう云ふものは競爭者と云ふ場合には、一つの競爭者の範疇に入るものと考へなければならぬ、斯う云ふ意味であります、第三項、第四項が本法で一番重要なものでありますが、第三項は所謂ストライキの問題であり、第四項は所謂カルテルの問題であります、私的獨占と申します項は、或強い事業者が單獨にやる場合もございませうし、或は又他の事業者と結付いてやる場合もありませうし、或は形の上は隱して置いて、氣脈を通ずる場合もありませうが、兎に角相當強いものが蕊になりまして、他の事業者の事業活動を壓迫致しまして、さうして工業の利益に反して、「一定の取引分野における競爭を實質的に制限する」と云ふことを言ふ譯であります、此の「競爭を實質的に制限する」と書きましたのは、實は元は矢張り英語の譯なんで、なかなか分りにくい譯でありますが、此の競爭が殆ど實際に行はれ得ない程度にすると云ふことであります、一定の取引分野と申しますのは、凡そ經濟的に見て獨占が成立つ場合に於ては、或種の物資であるとか、サービスであるとかの生産、供給に付きまして、全國的な場合、或は又一定地域の場合、或は又顧客の層に依つても成立つ譯であります、此の獨占が成立つか、成立たないかと云ふことは、一番大きな問題は、先づ輸入の可能性如何に係つて居ると思ひます、國内で獨占致しましても、外國からの競爭で直ぐ崩れてしまふ場合には、獨占は成立ちませぬ、それから又もう一つは、競爭者が直ぐ出て來る、或は又代用品が直ぐ出て來るかどうかと云ふことにも係つて居る譯であります、さう致しまして、海外からの競爭に依つても獨占がなかなか壞れない、乃至容易に競爭者は出て參らないと云ふ場合に於きまして、全國一圓でなければ獨占が成立たないかどうかと云ふことは、要するに或所で獨占した場合に、例へば値段を釣上げて、獨占價格を設定したとしまして、其の場合によそから直ぐ品物が流れて來るかどうかと云ふことに係る譯でありまして、從つて極く大量な、輸送費の掛る荷物であるとか、或は又輸送のきかない、腐り易い物等に獨占が成立つと思ひます、どちらにしても、此處に掲げてあるのは、或小さな所で、ちよつとばかり競爭が制限されたと云ふことでなく、要するに一つの鐵なら鐵、文房具なら文房具と云ふ風な式に、一つの商品、或は又輸送なら輸送のサービスと云ふやうなものに付きまして、本當に競爭者がもう迚も出て來ない、競爭者が居るには居るけれども、段々細つて倒れて行くと云ふ程度にする、非常に程度の高いものを言つて居る譯であります、それから不當な取引制限と云ふのは、結果は同じことでありまして、唯さう云ふ力を蓄はへる仕方が、私的獨占の方は、強いのが主になつてよそを抑へるのに反しまして、此の不當なる制限と云ふのは、所謂カルテルで、五軒なり十軒なりの業者が對等の意思で共同して生産を制限するとか、價格を釣上げるとか、斯う云ふ式のことをやる譯であります、之に致しましても、價格を釣上げて、釣上げた價格を保つて居る、乃至生産制限をして、生産制限の結果が價格の釣上げに作用すると云ふ實力を持たなければならぬので、生産制限をしたけれども、得たりかしこしとよその者がどんどん喰込んだと云ふのでは駄目なんで、是も非常に程度の高いものが初めて問題になる譯であります、それから第五項でありますが、「不當な事業能力の較差とは、事業者と競爭者の事業能力の間に、著しい較差がある場合において、その事業者の優越した事業能力が、技術的理由により正當とされるものでなく、且つ、その較差が左の各號の一に掲げる事由により私的獨占を行うことができる程度であるものをいう。」「一 他の事業者があらたに事業を起すことを著しく困難にする程度に、事業者が、當該事業分野に屬する事業又はこれに使用する原材料を支配していること。」「二 事業者が、一定の事業分野において、他の事業者が現實に競爭することを著しく困難にする程度に生産を支配していること。」「三 事業者が、私的獨占を行うことができる程度に自由な競爭を抑壓し、又は著しく制限していること。」此の不當な事業能力の較差と申しますのは、世間で非常に誤解して居るやうでありますが、是は關係方面とも、私共とも殆ど之の適用される場合はないと云ふことに付て意見は一致して居ります、唯本法の建前として、是は矢張り入れるべきであると云ふ考へ方があります、それは要するに或事業者が非常に大きくて競爭者との間に事業能力の著しい比較の差があると云ふ場合に、其の事業者の、大きい方の事業者の、優越した事業能力が技術的理由に依つて正當とされるものであるならば、如何に大きくても宜しい譯であります、此の技術的理由に依り正當とされると申しますのは、一つは優秀な技術の故に、自然に本法の目的に適つて、競爭に勝つて大きくなつたと云ふ場合が、技術的理由の一つであります、もう一つの理由は、凡そ鐵なら鐵の企業を經營致しますのに、能率的な經營をやる爲には、是位の企業ユニツトは當然必要であると思はれる程度の大きさである場合は、技術的理由に依り正當とされる譯であります、斯う云ふ風な理由が兩方共ないと、而も其の較差が左の各號に掲げるやうな、具體的に非常に大きなものであつて、私的獨占を行ふことが出來る程度であるものならば、今の所まだ獨占價格を設定するとか何とか云ふやうな、公共の利益に反するやうなことをして居なくても、危險であるから、適當な措置を執ると、斯う云ふ意味であります、で左の各號の中で一番芯になるのは一號であります、外の事業者が新たに事業を起さうと思つても、もう迚も其の事業分野では事業を起せないと云ふ程度に、其の大きいのが、もう八九十パーセントも抑へて居る、乃至は其の事業に使ふ原材料を新規に事業を起して取得しようと思つても、迚も割込みが出來ないと云ふ程度になつて居る、斯う云ふ場合であります、從つて大體現在具體的な事例を考へて見ましても、大きな企業と云ふものは殆ど技術的な理由があつて、初めて大きくなつて居るのでありまして、若し考へ得るとするならば、具體的には思ひ當りませぬが、斯う云ふやうな場合は當て嵌まると思ひます、例へば無暗矢鱈に資本力を使ひまして、或種の事業の工場だとか何だとか云ふやうなものをどんどん買ふとか、或は合併してしまふとかしまして、それが技術的な發展を一つも圖らない、唯大きくて、危險なだけで、國民經濟的な利益がない、斯う云ふ場合に初めて後に出て參ります第八條と云ふので、其の一部の營業をもつと能率の好いものにし得る、斯う云ふ風なことに相成る譯であります、それから次に「この法律において不公正な競爭方法とは、左の各號の一に該當する競爭手段をいう。」とありまして、詳しい説明は省きますが、ボイコツトであるとか、ダンピングであるとか、或は金を出して、其の時の條件として色々な制限をする、斯う云ふやうな式は要するに矢張り本法第一條の目的から見まして、不當な、詰りよそを壓倒するやうな手段として用ひられるものを謂ふ譯であります、第二章から實體的な内容に入ります、第三條に、「事業者は、私的獨占又は不當な取引制限をしてはならない。」斯う云ふことを謳ひまして、是が本體であります、後の規定は大體に於きまして、私的獨占又は不當な取引制限を取締る爲の補完的規定であると申して宜しいのであります、第四條、第五條は一括して御説明申上げますが、是は現在出て居ります物資需給調整法、それから今度出ました公團法の元になる考へ方であります、第四條は、「事業者は、共同して左の各號の一に該當する行爲をしてはならない。」對價を決定したり、生産數量や販賣數量を制限したりすることであります、斯う云ふことはやるならば、國の法律に基いて、國家の命令に從つてやるべきものであつて、事業者が私的なイニシアテイヴに依つてやつてはならないのである、さう云ふことを許すのは弊害があるばかりである、斯う云ふ考へ方で禁じてある譯であります、之に裏腹としまして、然らば現在の危機を凌ぐ爲にどうするかと云ふ問題が、臨時物資需給調整法あたりで出て來て居る譯であります、勿論第二項にありますやうに、問題にならない程度のもの、詰り粗製濫造を防ぐ爲につまらない惡い材料を使はないと云ふやうなことを決めましたりするやうな問題に付ては、何も取締がある譯ではないのであります、第五條は、矢張り是は公團法の元になる規定でありまして、事業者が私的な資本に依つて統制會社のやうなものを作つて、それで一手買取等をやるのはいけない、斯う云ふものをやる時には國家機關でやらなければならない、斯う云ふ建前で、是が出た爲に今迄の統制會社等と振替へて公團法を出した譯であります、第六條と申しますのは、先程讀上げましたデイレクテイブの一部に基きまして、昭和二十一年勅令第三十三號が出まして、それの第三條に、將來斯う云ふことをやつはてならないと云ふ規定がありまして、其の第三條をこちらに移した譯であります、唯其の第三條の規定は非常に範圍が廣くて、生産に關する制限的な條項と云ふやうな式の言葉がずらつと竝んで居りますので、之を第四條と平仄を合はせて限定的に致しました、唯勅令第三十三號と違つて居りますのは、勅令第三十三號は國際的協定又は國際的契約となつて居りますのですが、茲には國内の事業者相互が貿易に關して左の各號の一に該當する事項を内容とする協定若しくは契約をしてはならないと云ふ規定を入れたことでございます、ちよつと速記を止めて戴きたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=9
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010・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=10
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011・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記開始……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=11
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012・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) それから第三章は、不當な事業能力の較差があつた場合にどうするかと云ふ問題でありまして、之に對しては營業設備をどうすると云ふ措置を命ずることが出來る、此の場合には、色々詳しく状況を調べなきやいかぬと云ふので二項に訓令的な規定が書いてあります、第四章は株式の保有等の問題であります、第九條に「持株会社は、これを設立してはならない。」斯う云ふことがはつきり謳はれて居ります、所謂財閥の再現を防ぐ意味に於ける形の上での最もはつきりした規定であります、此の「持株会社とは、株式(社員の持分を含む。以下同じ。)を所有することにより、他の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社をいう。」とありますが、主たる事業と致しましたのは、三井三菱の本社等も不動産等を大分持つて居りましたので、其の株式に依る支配だけが專らでないと云ふ意味で主たる事業と致しました、現實には其の境目の所の判斷は矢張り公正取引委員會がすることになりまして、若し之に當嵌るとなれば公正取引委員會で設立無效の訴が出來ることになつて居ります、それから第十條は一般の株式會社の事業補助の問題であります、是は先程申上げましたやうな次第であります、それで此の十條全體を通ずる考へ方を申上げたいと思います、是はアメリカ等に於きましても反トラスト法の表には、はつきり現はれて居りませぬが、大體此の頃は會社法の規定の中には反トラスト的見地の規定が大分入つて居ります、會社法は州法である爲に州に依つて若干の相違はありますが、大體の州に於きましては、會社は會社の株を持つてはならない、一株も持てないと云ふ風に致して居るさうであります、金融機關の資金運用の場合の外は結局會社が會社の株を持つと云ふことは、本來の趣旨から申しまして、例へば、紡績會社と云ふのは紡績業を經營するのが目的であつて、其の紡績會社が資金の餘裕があつたからと云つて金屬の會社を持つと云ふことは、第一に紡績會社の經營の目的に反することである、從つてさう云ふやうなことをするのは、單なる資本的の支配を企てる爲の手段でしかない、さう云ふことを認めることに依つて段々ピラミツト型なコンツエルンが出來て來るので、會社が會社の株を持つと云ふことは嚴禁しなければならないと云ふのが、大體ニユーヨーク州あたりの會社法の建方の趣旨ださうでありまして、大體其の範に倣つた譯であります、唯日本の現實の場合と致しましては、個人の投資が發達して居りませぬので、或程度會社の資本力を利用しないと、新事業等が起らないと云ふので、此の二項、三項を認めることに致しました、其の趣旨は斯う云ふことであります、詰り全く縁もゆかりもない會社を持つと云ふことは、單なる資本的支配でありますが、其の親會社の事業を經營する上に於て、どうしても其の子會社の事業が必要であると云ふ關聯があることが、先づ第一に必要であります、例へば子會社から原材料の供給を受ける、或は又親會社の副産物を子會社が處理して居る、或は又親會社の特許權を使つて物を子會社が作つて居る、さう云ふ風な式の關聯のあることが、先づ必要でありますが、之が第二項の第一號と云ふ所に書いてある所であります、其の子會社が又孫を持つて居つては工合が惡いと云ふので、孫を持たないと云ふことが大事であります、苟も親會社の仕事をする爲に不可分の一體として必要な子會社であると云ふ考へ方を持つならば、それは寧ろ考へ方としては、親會社の本來一部であるべきものであつて、何等かの事情で別會社にした方が都合が好いと云ふ場合に、初めて起つて來る、從つて本來親會社の一部であるべきものであるのだから、其の子會社の株と云ふものは全株數を親會社が持つて居る場合でなければならぬと云ふのが、其の第二項の第二行目に「他の会社の株式の全部を所有することとなる場合において、」とあります、只今申上げましたやうな次第で、親會社の仕事をする爲に是非必要な子會社であると云ふ譯でありますから、商事會社が子會社を持つと云ふことは許さないのであります、何となれば商事會社と云ふのはよその製品を受け取つて賣る所なんでありますから、商事會社が仕事をするのはよその會社の製品を唯買へば宜いので、子會社を持たなければならぬと云ふ理由は起らない、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=12
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013・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=13
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014・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記開始……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=14
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015・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 斯う云ふやうな譯でありまして、斯う云ふやうな條件が揃ひました上で、公正取引委員會の認可を申請して、公正取引委員會が公共の利益に反しないと云ふ時に、之を認可する譯であります、唯二項だけだと誠に窮屈なんであります、唯子會社の株式を全部を持つて居なくちやならぬと云ふ譯でありますから、之に關しましては日本の實情として個人投資が發達して居ない場合に、どうしても關係會社にでも株を持つて貰ふことの必要な場合があると云ふので、第三項を入れましたので、詰り外の例へば親會社になるものが商事會社でないか、或は一號、二號の條件が適つて居らぬと云ふ風なことがありまして、唯其の子會社の株を丸々持つことがないと云ふ場合に於きましては、此の第三項の一號から四號迄の條件に適へば宜しい、先づ子會社の資金を調達する爲に發行された株式であつて、取得の認可申請をする親會社の方で株を引受ける外に、事實上資本を取得することが困難である、且親會社でダンピング等で脅して子會社にならざるを得ないやうにした譯でない、不公正競爭方法に依るものでないと云ふ條件があつて、もう一つ第四號の條件があるのであります、親會社が商事會社であることはいけないのでありますが、子會社として商事會社を持つと云ふことは宜い譯であります、それは生産會社が販賣部門を何等かの意味に於て別會社にする必要があると云ふ場合であります、今申しましたのは但書の方ですが、第四號の本文は、子會社、商事會社の場合ばかりでございませぬ、ちよつと直しますが……唯子會社にする場合に、子會社の株式を全部持つて居る場合には問題はない譯でありますが、其の一部だけ或會社が持つと云ふことになりますと、殘りの一部を個人なり會社なりが持つて居る譯であります、其の殘りの一部を競爭關係にある會社が持つて居る場合には、其の殘りの一部を持つてはならない、詰り競爭關係にある會社が共通の子會社を持つてはならないと云ふのが、此の本文であります、但し其の子會社が商事會社である場合に於ては、此の競爭關係にある會社でなくても、苟くも會社が共通の子會社を持つてはならないので、殘りの一部を持つて居るものは個人でなければならない、斯う云ふことになる譯であります、第十一條に金融業を營む會社は、原則として資金運用の目的で持つのなら宜しい譯でありますが、「自己と競爭關係にある同種の金融業」と申しますのは、例へば火災保險會社は火災保險會社の株を持つ、銀行が銀行の株を持つと云ふやうなことはいけないと云ふのが第一項でありまして、第二項は、此の資金運用の目的で持つ場合でも、一つの會社に付て百分の五を超えて持つてはならない、斯う云ふことになつて居ります、但し金融業を營む會社で總資産が五百萬圓未滿のものは、格別此の制限がないと云ふことでありますが、金融機關で總資産が五百萬圓未滿と云ふのは、無盡會社の小さなものしかございませぬ、茲に一號、二號、三號と當然の例外を認めて置いた譯であります、第十二條に於ては、社債に付きましても餘り大きく一會社のものを纏めて持つと、支配關係が起り易いので、一つの會社に付て資本金の二割五分以上に相當する金額の社債を持つてはならないと云ふことになつて居ります、第十三條は役員の兼任に關する規定でございます、此の役員と云ふのは何を指すものであるかと云ふことに付きましては、不公正競爭の第六號と云ふ所に役員の定義が出て居ります、五頁の終りから三行目でありますが、「會社の役員(取締役、業務を執行する無限責任社員若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の營業の主任者をいう。以下同じ。)」と斯うありまして、此の取締役と申しますのは、社長だとか、專務だとか云ふもの、平取締役を含んだ商法に於ける取締役の意味であります、それから「無限責任社員若しくは監査役」と來まして、「若しくはこれらに準ずる者」と云ふのは、特殊會社の總裁とか理事とか云ふものでありまして、「支配人又は本店若しくは支店の營業の主任者」と申しますのは、兩方共商法上認められた地位でありまして、商法の解釋通りであります、此の「會社の役員又は從業員は、左の各號の一に該當する場合には、他の會社の役員の地位を兼ねてはならない」、從業員と入れましたのは、從來三井物産等で部長であるとか課長であるとか云ふものを三井のコンツエルンの小會社の役員にして居つたからであります、さう云ふやうな者は矢張りいけないと云ふことであります、競爭關係にある會社に兩方の役員になつちやいかぬ、それから「兩會社の何れか一方の役員の四分の一以上が兩會社以外の會社の役員の地位を占めてゐる場合」と云ふのは、役員の兼任の形で次々に孫が出來て行くと云ふ形を防ぐ爲であります、第二項に會社の役員は、いかなる場合においでも四以上の會社の役員の地位を占めてはならない。」と云ふのは、結局役員が三つ迄しか出來ないと云ふことであります、第十四條には是は個人の持株保有に關するものでありますが、個人の持株保有を一般的に問題にして居る譯ではないのでありまして、反トラストは當然一つの會社の、競爭關係にある二以上の會社の株式を所有すると云ふ關係を取締つて居る譯であります、同じやうな意味に於て「會社の役員は、その會社と競爭關係にある他の會社の株式を取得してはならない。」と云ふことが書いてございます、第十五條には會社の合併に付きましては、是は公正取引委員會の認可を受けなければならない譯であります、其の認可の條件として一番重要なものは、此の合併に依つて較差が出來る、斯う云ふ場合であります、十六條は合併を取締つたと同じ意味に於て營業を讓受けるとか、賃借を認可制度にして居ります、第五章の不公正な競爭方法、此の不公正な競爭がある場合には差正命令がある場合には差止命令が出來ると云ふことになつて居ります、第六章の適用除外に付てでありますが、此の適用除外の中にはつきり書きませぬでしたが、國營、公營の獨占的事業と申しますのは、皆それぞれの根據法がございまして、其の議會を通つた根據法に從つて適法のものでありますので、それを本法に於て違法とするのは建方として面白くありませぬので、本法は私的獨占を取締るので、國營、公營の獨占的事業と全然問題外であると云ふことに致しました、此の國營、公營の獨占的事業に付きましては、本法の趣旨で考へなけれはならぬ場合がありますが、それを寧ろ立法其のものの調整として考へるべきであると考へて居ります、唯國營、公營以外でも、私營の色々な事業に付きまして獨占に付て、第二十一條で適用を除外すると云ふことが規定されて居ります、又第二十二條で例へば保險業法等に於て、保險業者が利率に付ての協定が出來ると云ふやうな規定の適要を除外しなければならないので除いてございます、唯此の色々の事業法に付ては尚考へなければなりませぬので、各方面とも打合せて次の議會に法律として出すことになつて居ります、それから第二十三條には特許關係は一つの獨占權でありますが、此の適法と認められる行爲は是が適用をしないと云ふことになつて居ります、唯之に關しまして問題になりますのは、現在の所では特許權を持つて居る者は特許權の保護を受けるが、苟も適當な料金を拂ふと云ふ者があれば、實施權と云ふものは誰にも附與しなければならないと斯う云ふ規定を本法の中に入れるべきであると云ふ意見が途中出ましたけれども、是は寧ろ今のは特許法の方で考へるべきだと云ふので是から除きました、此の事に付きましては大いに考ふべき問題であることは確かでありまして、御手許に配りました、衆議院に於きます附帶決議は此の兩者に付ての主法的調整を別に考ふべきである、斯う云ふ御意見も出ました、それから第二十四條に書きましたのは、是は農業協同組合其の他に非常に重要な規定でありますが、「小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること」協同組合は本法の適用を除外すると云ふ意味はどう云ふ意味であるかと申しますと、要するに協同組合全體乃至協同組合の聯合會を一つの事業體と見ると、從つて中で組合員が組合相互に協調を致しまして、品物全部組合一本を集めて賣つたり、其の値段を決めたりするのは、本法に依つて違法とされないと云ふ意味であります、是は商工業の小さなもの、農業の小さなもの皆適用がある譯であります、それから茲に書いてございませぬが、統制法規に關しましては、考へ方と致しまして是は恒久法規であるので、何れ本法の趣旨から言へば、危期が去つた時に除くべきで、統制關係の問題は寧ろ本法の中に入れないで、別の法律で統制法規を除外されたら宜しい、斯う云ふ考で別法律を次の議會で御願をしたいと思つて居ります、ちよつと速記を止めて戴きたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=15
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016・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=16
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017・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=17
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018・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 第七章は損害賠償の規定でありまして、第八章には公正取引委員會の規定がございます、此の公正取引委員會と申しますのは、本法のやうな、此の全く英米法流に或基準を立てて、判斷を下して判例法の提出に依つて段々に事態が明かになつて行く、而して其の判例法も時の社會情勢、經濟情勢に依つて寧ろ判斷の結果と云ふものは變る場合が自然である場合にすらあると云ふ風な問題に付きましては、普通の官廳では工合が惡いので、丁度一般の裁判所に於て判決を下す場合には、判事が合議體を作つて合議で判斷を致すと同じやうに、判斷する公正取引委員會の委員が合議して決めて行く、斯う云ふ仕組に致しまして、其の事務局は普通の官廳のやうに同じやうに出來てある譯であります、是は飽く迄も行政官廳でありまして、委員も其の事務局の職員も官吏であります、而して法律の運用自體に付きましては、獨立して其の職權を行ひますけれども、内閣總理大臣の監督を受けて居りまして、司直が働くと云ふやうなことがありますれば懲戒の處分を受けることがあります、で是は衆議院の同意を得て任命すると云ふことに相成つて居ります、之に關しましては、公正取引委員會は斯う云ふ仕事をする關係上、調査其の他の權能は十分でなければならないと云ふので、第四十條あたりに如何なる調査でも宜いと云ふやうな規定がございます、尚本法の運用に關しては、議會で能く監督をする必要がありますので、且又他の行政面なり、法律なりの問題に付きまして、色色な意見のある場合もありますので、第四十四條で公正取引委員會は、内閣總理大臣を經由して、國會に對して此の法律の施行の状況を報告する、と云ふことと、第二項に矢張り内閣總理大臣を經由して必要な事項に關して意見を提出することが出來ると相成つて居ります、それから第二節に此の法律の規定に違反する事實がある時の審判手續を規定してございまして、是はアメリカのエフ・テイ・シーの手續、聯邦商業委員會と申しますか、あれの手續に大體準じたものでありますが、茲で裁判の繋がりを考へて居るのでございます、此の中でも可なり、裁判との繋がり其の他從來の日本の建方から申しまして、アメリカ流の法律に範を採つた規定がございまして、之に付て御説明を申しますのは、非常に長くなると思ひますので、御質問に依りまして、特別に其の説明をすることに致したいと思つて居ります、それで此の附則が百一條以下にございます、「施行の期日は、各規定について命令を以てこれを定める。」と書いてございますのは、此の法律は、發表致しますと、株式取得の認可であるとか、色々の經濟實體を動かす上での大事な仕事がある譯でありまして、法律は施行したけれども、此の公正取引委員會がうまく動かないと經濟活動に非常に阻害がある譯であります、それで先づ施行の手續を實施致しまして、十分な準備が整つてから後で實體規定を施行する、斯う云ふ考へであるのであります、それから第百三條の規定に付て若干御説明申上げる必要があるのであります、「この法律の規定は、企業再建整備法の規定による決定整備計畫又は金融機關再建整備法の規定による整備計畫に基いて行う事業者の行爲には、これを適用しない。」と云ふことに相成つて居ります、茲で特に問題になりますのは制限會社の問題でありまして、制限會社は大體全部特別經理會社になつて居ると申して宜しいのであります、ちよつと速記を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=18
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019・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=19
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020・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=20
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021・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) それで實は此の附則の外の規定に付きましては、例へば現在持つて居る子會社の株式の問題等に付ては、本來ならば此の法律で規定を致すべきでありますが、之に付ては尚愼重に考慮を要しますので、命令に讓ることに致しました、ちよつと速記を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=21
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022・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=22
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023・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=23
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024・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 今のやうな次第でございまして、尚御説明申上げなければならない部分が澤山ございますし、殊に公正取引委員會の審判手續や訴訟に關する問題に付きまして、私共としては憲法其の他の關係も法制局、司法省其の他と御相談致しまして、説明が付くと云ふラインで纏めてある譯であります、十分な御説明を申上げる餘裕のないのを甚だ申譯ないと思つて居る次第でありますが、是で一應私の御説明を終らして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=24
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025・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) それでは是から質問に移りますが、今から丁度一時間位の間に質問が終れば、五時の上程に是が間に合ふかと思ひますので、質問は成るべく要點だけにして戴いて、さうして簡單に御願ひしたいと思ひます、それでは是から質問と云ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=25
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026・片岡直方
○片岡直方君 簡單に要點だけを御質問申上げますが、第四條の第二項でございますが、一と云ふ所に「對價を決定し、維持し、又は引き上げること。」とありまして、大體は一、二、三、四、とはつきり書いてありますが、實際問題と致しまして、例へば日鐵がコークスが非常に澤山餘つた、それで、ダンピングする場合に非常に此の市場を攪亂すると云ふ場合があり得る譯なんです、さう云ふ場合に矢張り或程度迄價格を維持すると云ふことが非常に必要ぢやないか、斯う思ふのでございますが、之に付て御意見を伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=26
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027・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) ちよつと日鐵がダンピングをやる時に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=27
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028・片岡直方
○片岡直方君 詰り價格を維持して引上げると云ふことに付て此處に書いてあります、「事業者は、共同して左の各號の一に該當する行爲をしてはならない。」とありますが、處が、維持した方が産業の爲に非常に宜い場合がある、價格を下げないで維持して行く方が宜い場合がある、さう云ふことを御尋して居る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=28
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029・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 是は實は色色な問題があると思ふのでありますが、先づ誰かがダンピングをやると云ふやうな場合に於きましては、差止め命令を受けますが、何か其の外の場合に於きましても考へ方としましては、維持することが必要であると云ふやうな場合には、是は事業者がそれぞれの私的なイニシヤチーブでやると云ふことを認めますと、それは宜い場合もありませうが、惡く利用される可能性が非常に多いのであります、私的なイニシヤチーブでやるのはいけない、若しさう云ふ必要があれば、それはちやんと議會の目の下で法律を通して、それに從つて價格を維持する爲の法律と云ふものを作つてそれでやるべきぢやないか、斯う云ふ考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=29
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030・片岡直方
○片岡直方君 さう致しますと、さう云ふ風に規律正しくやつて居る間に時期を失してしまつて、混亂に陷る場合が過去に於て澤山あるのであります、さう云ふ場合には咄嵯にやると云ふことは出來ぬのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=30
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031・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 要するに、事業者が共同行爲で價格を維持すると云ふ建前のことはいけないので、咄嵯にやる必要があれば咄嵯にやるべきだ、斯う云ふ考へ方なんです、是で實は之に付きましても私アメリカあたりの法制を見ますと、日本だと法律を作るのは非常に厄介になつて居るやうでありますが、一遍の議會に一萬何千件と云ふやうな法律が出來るさうでありまして、何か用があればなんでも法律を出すと云ふ風になつて居るやうでありますので、寧ろ法律を出すのは億劫だから其の儘やつて置くと云ふのが今迄の行き方で餘り宜しくないので、どんどん議會でやつて行つたら宜いのぢやないか、斯う云ふ考へ方で日本の將來も持つて行つて貰ひたい、斯う云ふ風な考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=31
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032・片岡直方
○片岡直方君 實際問題として時期を失しますが、一應其のことを御尋して置きます、それから此の法文を拜見致しますと、不當とか著しくとか云ふ風になつて居りますが、實際公正取引委員が構成されて總てを決められる譯ですが、此の官吏が同じ實質上官吏になる譯ですが、さうすると、餘程此の構成員と云ふ者は公正な、本當に所謂公正な方でないと非常に惡影響が多いと思ひますが、之に付て何か特別に之をはつきりと公正にやると云ふことが出來るかどうか、大體どう云ふ人が構成員になつたら宜いかと云ふことの御考へはございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=32
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033・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 別にまだ具體的に準備も進めて居りませぬのですから、誰と云ふやうな腹案は何にもありませぬのですが、方針と致しましては、矢張り手續の實情を能く知つて居られるやうな方に無論入つて戴きますし、それから學識經驗のある人、無論信頼の出來る人、斯う云ふやうな標準で出來るだけ重要な委員會を嚴正に而も實情に能く即して運營出來るやうなメンバーにしたい、斯う云ふ抽象的な考は無論ありますから、其の通りやつて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=33
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034・片岡直方
○片岡直方君 實は私が非常に心配致しますことは、八十九條に依りますと、斯う云ふ違反行爲があつた時には、未遂罪でも處罰を受けると云ふことになつて居ります、是が非常な大變なことになる譯でありまして、仕事をする者が非常に不安を感ずる譯でありますので、是は只今御説明がありまして、まだ御決定になつて居らぬと云ふのでありますが、唯學識經驗とかと云ふことも非常に大切でありますが、人格の非常に立派な人と云ふのでないと、非常にスマートな人と云ふのでもいけませぬし、唯經驗あるではいかんが、餘程人格的に本當に信頼の出來る、むづかしいことでせうけれども、さう云ふことが重點でなければならぬ、斯う云ふ風に考へますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=34
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035・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 片岡さんの仰しやる通りだらうと思つて居ります、さうして委員を任命するに付きましては、衆議院の承認を經なければならぬと云ふことになつて居ります、十分其の點は嚴選したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=35
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036・片岡直方
○片岡直方君 それでは次に又簡單に伺ひますが、外國貿易の關係、先程御説明がありましたが、尚重ねて伺ひますが、事業者が貿易をすると云ふことに付きまして、矢張り昨日も公團の時にちよつと御説明も伺つたのでありますが、公團が出來ても貿易公廳と云ふか、さう云ふものがあつたり、それから安定本部長官と云ふものが現在御ありであるし、公正取引委員の四つがある譯です、其の連繋關係と云ふものは一體どう云ふ風に……矢張り先程御話のやうに獨占禁止法と云ふものがあとに出來るから、之に依つて全部支配される、斯う云ふことになるのでございますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=36
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037・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 大體の考へ方と致しましては、今の處は、それぞれ分擔の部面を一應分けて參りまして、其の間の調整は矢張り適當に考へなければならない部分があると思ひます、此の適用除外の所に書きました部分と、それから統制關係に付て別に法律を出すものと兩方ありますが、先づ統制關係の問題に付きましては、臨時物資需給調整法等に基く行爲は適用を除外すると云ふことになりますと、其の適用を除外されますと、それは專ら物調法に基いて安定本部の長官が扱ふ、斯う云ふことになりますし、それから又第二十二條で、銀行業法、保險業法或は電氣事業法等に付て特別のことかある場合に於ては、それを適用除外致しますればそれぞれの主務大臣が扱ふ、斯う云ふことになる譯であります、唯其の他に付きましては、調整は餘程うまく取つて行かなければならないものと考へて居りまして、是は尚十分檢討を致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=37
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038・片岡直方
○片岡直方君 其の點が實は非常に心配でありまして、特に今御説明がありましたが、出來るだけ是は特に御考慮願ひたいと思ひます、それから次に十條の二項でありますが、十條の第二項に於て斯う云ふことを書いてありますが、「原材料、半製品、部分品、廢物若しくは事業活動に必要な物資その他の經濟上の利益(資金を除く。)の供給について」と斯うありますが、此の供給と云ふ意味が能く分りませぬ、此の供給と云ふ意味は、供給を與へるのであるか、供給を受けるのであるか、或は兩方でありますか、之を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=38
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039・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 兩方の意味であります、親會社は子會社、子會社は親會社、相互斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=39
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040・片岡直方
○片岡直方君 それなら分りました、それから其の次に參りまして條文で申上げますが、先程御説明がありましたけれども、もう一つ明瞭でありませぬので重ねて御説明を御願ひしたいのでありますが、ちよつと前後するかも知れませぬが、十三條の所の二のことでございますが、「兩會社の何れか一方の役員の四分の一以上が兩會社以外の會社の役員の地位を占めてゐる場合」斯うありますが、是は兼任出來るといかぬから之を取締ると云ふやうな意味の御説明でありました、處が、具體的に之をちよつと伺ひたいのでありますが、是はどう云ふことになるのでありませうか、此の兩會社と云ふことが頭に出來ないのでありますが、エー、ビー、シーとして説明して戴いたらどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=40
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041・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 兩會社と申しますのは第十三條の頭にある 會社の役員又は從業員は」と云ふ、詰りエイ會社がありまして、それから今度左の各號の一に該當する他の會社の役員と云ふBと云ふ會社があるのであります、それで此の一號はエーとピーとが競爭關係にある場合に、エーの役員又は從業員はビーの會社の役員をすることは出來ない、二の場合に付きましては、エイの會社か又はビーの會社かどつちか一方の役員の四分の一がエー、ビー以外の會社の役員と申しますのは、シーと云ふ一つの會社でも宜しいし、或はシーとかデーとか云ふのでも宜しいのですが、要するにエーかビーかのどつちかの會社の役員の四分の一以上が、エイ、ビー以外の會社の役員の地位を占めて居る場合にはエーの會社の役員又は從業員は、ビーの會社の役員の地位を占めてはならない、斯う云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=41
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042・片岡直方
○片岡直方君 さう致しますと具體的に御尋ね致しますが、九人の場合がありましたら二人ですか、三人ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=42
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043・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 九人の場合でありますと三人であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=43
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044・片岡直方
○片岡直方君 三人の場合、四人の場合はどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=44
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045・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 役員が三人の場合は一人であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=45
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046・片岡直方
○片岡直方君 四人の場合だつたら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=46
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047・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 一人であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=47
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048・片岡直方
○片岡直方君 それから、それで參りますと、其の次の所で四つ以上の會社の役員の地位を占めてはいかぬ、斯う書いてありますが、是は資本金の制限はない譯ですか、さうするとどんな小さい會社でも矢張りさう云ふ會社の役員であつたらいかぬ、斯う云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=48
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049・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=49
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050・片岡直方
○片岡直方君 是は非常に不合理でありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=50
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051・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=51
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052・片岡直方
○片岡直方君 非常な重大な影響があると思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=52
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053・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 結局小さい大きいと云ふことを申しますと、現實には現在十萬圓の會社で大きいやつとなると、五軒で十萬圓の會社で、四億も動かして居るものがあるさうでありす、さう云ふものがぽつぽつ世間に廣まつて參りまして、資本金で云々と云ふことに付ては、事業量と云ふものは非常にむづかしいものであります、現在のような亂世だと、なかなかさう云ふやうなことはむづかしい譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=53
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054・片岡直方
○片岡直方君 ちよいと後へ戻りますけれども、十一條の二項でありますが、「金融業を營む會社であつてその總資産」とありますが、此の總資産と云のふは、貸借對照表の資産の分であつて、さうして例へば不良資産等も全部含めた意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=54
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055・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 實は之に付きましても色々細則を作る必要があると思ひますが、一應は不良資産が入つて居ると云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=55
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056・片岡直方
○片岡直方君 それから次に六十六條へ參りまして御尋ね致しますが六十六條に依りますと、是は公正取引委員會と云ふか、自由に色々認可をしたり、或は審判する譯ですが、是が一旦決めたことでも自由自在に變更が出來ると云ふ風になつて居ります、ですから裁判の普通の訴訟法の原理から申しますれば、一事不再理と云ふことの原理が明瞭になつて居る譯であります、それが根本的に覆つて、裁判の根本の原理を覆すことになると思ひますが、之に付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=56
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057・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 御答へ致しますが、自由と云ふ御話がありましたが、自由ではないのであります、それで茲に公正取引委員會が認可の要件である事實が消滅し、又は變更した場合、是は一番はつきりした例は十條の場合を申上げたら宜いと思ひますが、會社が會社の株式を収得することを此の條件に從つて認可を致しました處が、此の一號に書いてあります原材料等の供給關係と云ふものは實は一つもなくなつてしまつた、さうして片方の會社は目的を變更して商事會社にしてしまつたやうな場合には、是は放つて置きますと云ふことは弊害がございますので、是は六十六條のやうな規定が必要な譯でございます、それで許認可以外の問題に付きましても審決は非常に不合理になる場合がございますので、例へば獨占だと思つてやつた處が、實際問題としては競爭者が非常にあつて獨占なんか全然成立しない状態になつて來た、從つて獨占に依つて此の企業體を縛つたと云ふものを變更する方が當然であると云ふ、斯う云ふやうな場合に於ては、是は寧ろ取消し變更すると云ふことが必要でありますので、斯う云ふ規定を置いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=57
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058・片岡直方
○片岡直方君 それは能く分るのですが、アメリカでは是は宜いと思ふのですが、今の現状に於て公正取引委員會が是から段々練磨されて行かれたら宜いと思ふのですが、過渡期の初めに於て認可の要件である事實が變更したと認めた時審判手續で、審決を以て取消し變更すると斯う書いてあることが非常に不安の状態を起すのぢやないかと、斯う云ふ風に考へます、之に對する何と申しますか、緩和の規定と云ふか、何か御考はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=58
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059・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 斯う云ふ風な場合には寧ろ一遍決めたら挺子でも動かさないと云ふことは、實は一般に理解されるやうになりますと、非常な不安を感ずるのぢやないかと思ひますので、矢張り本法の規定が必要だと思ひます、之に付きまして萬一異議があります場合には一應の手續がしてありまして、本法の中にも公正委員會で審決がありました場合不服があれば、裁判所に訴へが出來ますし、其の訴へをします場合には裁判所の命ずる供託金を供託致しまして審決の執行を免れると云ふこともございますので、此の六十六條を是非入れて置く必要があると思ひます、ちよつと速記を止めて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=59
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060・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=60
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061・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=61
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062・片岡直方
○片岡直方君 株式處理の對策問題でありますが、此の法案に依りますと金融機關、事業會社等が外の會社の株式を所有した時には、嚴重に制限される、それから持株會社は禁止されると、斯う云ふ風になつて、其の爲に、結局金融機關が、或は會社が自分の持つて居る株式を大部分を處分せぬならぬ問題が起つて來る譯です、さう云ふ場合に、處分の方法はどう云ふ構想に依つて參つて行くものか、又其の持株會社が整理委員會であるとか、證券處理調整協議會とか云ふやうなものを作る御考であるかどうか、それから又一般に斯う云ふやうな大量の株券が出た場合に、是が消化されるかどうか、それから事業會社としては是が大量處分される場合には、株價に大きな影響があると思ひますが、之に對して政府はどう御考になつて居るか、それからちよつと最後に、一番心配して居りまするのは、第三國人が之を持つてしまふと云ふこと、是は宜いとも言へますが、さう云ふ場合に其の點が非常にまあ心配なのと、それから實際問題として、大口の投資と云ふものは、例へば保險會社が事業會社の株を持つて居る、それを持つことは出來ないと云つて離して行きますと、なかなかそれがはけ口がない、非常に皆が資金調達に苦しみ、經濟界に混亂状態を來す、斯う云ふ虞があらうと思ひますが、之に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=62
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063・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 只今のことに付きましては、命令を作ります時に十二分に能く愼重考慮致しまして、又民間の方々の御意見、或は議會方面の御意見等も十分承りたいと思つて居ります、ちよつと速記を止めて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=63
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064・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=64
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065・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=65
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066・梅渓通虎
○子爵梅渓通虎君 私片岡委員の御質問に關聯して居りますが、二十萬圓以下の會社に制限するとかと云ふやうになると、制限して居られない會社は全部適用せられると云ふことになるのですけれども、さう致しますと、實際問題として近頃の中小のものは所謂二十萬圓以下のやうな會社組織にして行くと云ふのが多いのでありますが、さう云ふ會社で營業の一部讓渡とか云ふやうなことは非常に澤山あると思ひますが、それを一々公正取引委員會の矢張り認可を受けると云ふことは、非常な煩瑣な事態が起らないかと思ひますが、さう云つた點に付て御考を伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=66
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067・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 只今の御質問は第十六條の問題であると思ひますが、是は「他の會社の營業の全部、若しくは一部の讓受」と申しますのは、此の一部と云ふのは是も商法の何條かにあることでありますが、一部と申しますのは、矢張り營業の中で一部門をなして居るものと云ふ考へ方のやうで、ちよつぴりした設備を讓ると云ふやうな意味ではございませぬのです、之に付きましては、矢張り合併を認可するのと相俟つて認可條件にすると云ふことであります、御話のやうな問題に付きましては、矢張り是は實は十條の株式保有の問題に付きましても、總て資本金五百萬圓位で區切つたらどうかと云ふ考へ方もありまして、私共も色々考へて見ましたけれども、何分さう云ふ風な考へ方は、殊に現在のやうになりますと、資本金の大きさと事業量とが一定比例の取れない、資本金一億圓に近いやうな會社が殆ど工場の中はがらがらになつて居つて、僅かな資本金の會社が大變な景氣でやつて居ると云ふやうな所がありますものですから、全面的に一應適用致すと云ふ風にしてあるのでございます、唯之に付きましては、公正取引委員會でどうせ内規を作りまして、是に云ふ場合には問題がないから即決認可と云ふやうなことで、どうせ是は地方支局を作りますけれども、そこで片附けて行く部面が非常に多くなると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=67
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068・梅渓通虎
○子爵梅渓通虎君 今の御説明でさう云つた場合に適宜に運用すると云ふやうな御答辯と思ひまして、私非常に結構と思ひます、それに關聯しまして、例へば「各會社の株式總數の百分の十を超えて所有することとなる場合には、」と云ふ第十四條の規定になりますが、是なんかも實際何百萬圓とか何千萬圓の會社と、或は十萬圓の會社と、百分の十と云ふと非常に小さいのでありまして地方等は事業經營者と云ふ者は非常に限られた少數の範圍になつて居りますから、大抵其の土地の有力者は此の會社も、此の會社も持つて居る、又さう云ふ人が持たなければ地方では事業が起らぬと云ふやうな實状ですから、矢張り斯う云つたことも運用に依つて、地方とか或は會社の大きさとか云ふことに依つて、特殊事情をさう云ふ風な場合に御考慮を戴くかどうかと云ふ風なことに付ての御意見を伺ひたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=68
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069・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 是はもう十分考へなければいかぬと思ふのです、それで大體は内規をはつきりさせまして、成るべく簡單に捌いて行く、斯う云ふやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=69
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070・梅渓通虎
○子爵梅渓通虎君 其の點は私非常に重要な問題だと思ひまして此の法文を能く讀んで見ますと、結局アメリカあたりで考へて居るやうなことを掴へると云ふことが、寧ろ非常に小さい所だけに是が適用せられると云ふやうな結果が起りはしないかと思ひますが、是は意見になりますから止しますが、其の次に私御伺ひ致しますことは、此の衆議院の附帶決議にもでございますけれども、認可制度に依る獨占と云ふことに付て御尋したいのです、是は認可制度の認可と云ふやうなものに關して、此の法律のどこに當嵌まるかは私ちよつと存じませぬけれども、獨占と云ふか取引制限と云ふやうな場合が起るのかあるのでございますが、之を一例を擧げて御説明致しますと、例へば内地沿岸の捕鯨事業と云ふやうなものを考へますと、是は二十五隻の認可になつて居ります、其の中今それをやつて居るのが十六隻の認可を受けて居る會社と、十九隻の認可を受けて居る會社と、六隻の認可を受けて居る會社と、一隻の認可を受けて居る會社、斯う云ふ風にあるのです、是自體が斯う云ふ法律が出ました上から見ますと、非常な獨占と云ふやうに思へるのですけれども、其の上に、例へばさう云ふ場合に十九隻の認可を持つて居る、或は五隻、或は一隻を持つて居る場合に、十九隻をフルに動かして居ない、又非常に能率の惡い船や十二三隻しか動かして居ない、是はもう此の法律の精神から行くと明かな私的獨占と云ふか、さう云つたことに當嵌まると思ひますが、さう云つた場合はどう云ふ風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=70
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071・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 只今の問題は衆議院でも色々御意見もありましたし、私共も問題のあるのは能く分つて居ります、それで唯法律の建前の問題と致しまして、只今恐らく水産統制會や何かの問題と思ひますが、要するにさう云つた風な外の法令に基きまして認可を受けて仕事をやつて居る、で國が外の人を認可しさへすれば宜いのだけれども、認可しさへすれば宜いのだけれども、認可をしないで自分だけ認可をして呉れたので、極めて正當に平穩公然に仕事をして居ると、本法の私的獨占の規定で懲役三年になると云ふのは、國の法律體係として餘り話がをかしいので、矢張りさう云ふ譯には行かないので其問題は或法令に基いて認可を受けた、さうして外の人を認可して呉れても仕方がないのだけれども、主務大臣が認可をしない、でさう云ふ場合に其の人で自然に獨占的状態になると云ふことは、矢張り一應國の法律體系として、公共の利益に反すると云ふことをちよつと言ふのは無理だと思ふ譯であります、唯それは成る程魚族の保護と云ふ關係だけから云つて或は公共の利益に合致して居るかも知れないが、外の面から見て尚本法の建前上問題があると云ふことでありますれば、矢張り行き方と致しましては、此の公正取引委員會に於て内閣總理大臣を經由して意見書を出して、さう云ふ所は議院に於て御審議の上、今言つた漁業認可の根據法令と云ふものを本法の趣旨に合ふやうに、例へば一定の條件をはつきり明定致しまして、それに合ひさへすれば必ず誰でも主務大臣が認可しなければならないと云ふ風な法律の規定に直して戴きたいと云ふ風なことを御願ひして、議會にやつて戴く、斯う云ふ風な筋の調整を取るのが筋であると思ひます、で衆議院の側でもそれが大きな問題から小さな、例へば警察許可でやつて居ります所謂露店を出す場合の路面使用の許可であるとか色々な問題がある譯であります、是は全部矢張り其の法律體系を調整する問題として政府に於て考へて一案を出せ、さうすれば議會に於ても尚考へるからと云ふのが衆議院の御意見のやうでありました、矢張りさう云ふ趣旨で解決をすべきものだと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=71
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072・梅渓通虎
○子爵梅渓通虎君 今の問題は能く分りましたが、其の外にも警察認可のやうな問題は私は非常に澤山あると思ひますけれども、能く御研究願ひたいと思ひます、それからもう一つ「不當な事業能力の較差」と云ふ場合に、正直な技術的な理由があつた場合の較差が生じたのは構はない、斯う云ふ御話でございましたけれども、色々の歴史的の事情に依つてさう云ふ較差が生じたけれども、さうして其の時にはそれが非常に能率的であつて、國家全體から見てさう云ふ較差は是認せられたけれども、其の後色々の事情で段々能率が衰えて來たと云ふ風な場合はどうなるのでございますか、さう云ふ場合は矢張り技術的に見て正當な較差といつ迄も見るのでございますか、さう云ふ風な状態になつた時には不當な較差と見ても宜いでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=72
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073・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 第一較差と申します時には、「その較差が左の各號の一に掲げる事由により私的獨占を行うことができる程度であるものをいう」と云ふのが、先づ第一に大きさが非常に問題でありますが、要するに一號に相當する程度に於けることが必要だと思ひます、それで實際の經濟問題としまして今御話のありましたやうな、詰り非常な能率の惡い事業であつて、他の事業者が新に事業を起すことを著しく困難にする程度に抑へて行くと云ふことは、經濟問題の實際としてちよつとあり得ないのぢやないかと思ひますが、萬一さう云ふことが假りにあり得たと致しまして、詰り非常な古くさい事業が尚全体を支配して居つて、優秀な新企業がどうにも出て來られないと云ふやうなことが假りにあつたと致しましたならば、ずつと昔の歴史的縁由に依つては宜かつたけれども、今は一向勉強しないで、唯獨占を行ふ程度のやうなぼろ事業をやるのがあるだけだと云ふことでありましたならば、是は適用があると思ひます、唯實際問題としてはちよつと場合に依つて考へられないと思ひますけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=73
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074・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 第五條の關係なんでございますが、第五條に基きまして、當然現在ございます色々な統制機關は廃止されると云ふことは明瞭なんですが、色々聞いて見ますと、實際問題として廢止されても、それに代つて看板を塗替へたと云ふやうなものが協議會とか、色々な何とかの名稱はございませうが、さう云ふものになつて結局製造業者の團體として親睦機關みたいな意味に於て殘ると云ふことが言はれて居りますが、此の場合は此の第五條の規定はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=74
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075・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 若し此の規定を潛るやうな方法をやつて居るとすれば、それはいけない譯であります、で現實の問題として當つて見なければ分らないと思ひますけれども、御話のやうなことがありますれば、尚私共も研究致して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=75
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076・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 今の問題でございますが、まだ是は實施されて居る譯ぢやございませぬから、今のやうな場合は起りませぬが、公團が出來る、例へば石炭とか、石油とか、さう云ふことで公團が出來ますれば、結局先刻も説明があつたやうに、法律に依つて行はれて居るから宜いと思ひますが、商工省其の他も矢張り公團的なものにしたいと言ひながら、矢張り了解を得られないで公團法は出ない、併し此の統制機關は廢めなければならぬと云ふやうな品種のものが、例へば化學工業とか、鐵とか、さう云ふ基礎産業であるのですが、斯う云ふものに對しては安定本部としてはどう云ふ處置を御執りになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=76
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077・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 公團法の出ましたものに付きましては、全部公團法の附則に於て乘替へられ、元の統制會社と云ふものは解散しなければならないと云ふ建前でやつて居るのであります、で其の公團の出來ました殘りのものに付きましては、本法の附則の中でそれ等の措置に付ては命令で定めると云ふことになりまして、尚是も色々相談を要するのでありますが、大体の行き方と致しましては、矢張りものに依りましてさう云ふ統制的な仕事を廢めるだけで差支ない部分と、寧ろ清算してしまふ方を適當とするものとあるだらう思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=77
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078・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 もう一つ伺ひますが、さう云う統制機關式のものぢやございませぬで、同業者が團体を作つて、最近の流行物として何とか協力會と云ふやうな形式のものが澤山出來つつある、例へは進駐軍の物、進駐の需要を所謂特別資材部と關聯して納めます場合に、丸進と申しますか、丸進協力會と云ふやうなものを拵へて居ると云ふことを聞いて居るのですが、さう云ふものは當然之に引掛るのぢやないか、斯う思ひますが、是は所謂政府機關でもなければ、正式のものぢやない、唯便宜上同業者同士に於て、さう云ふやうな形態でやつた方が發註官廳も樂であれば、納める方も樂であると云ふやうな立場から出來つつある、又既に出來て居ると云ふことですが、之に付て政府はどう御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=78
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079・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 是は其の實態を掴へぬと分りませぬけれども、御話のやうに實際の仕事をやつて居るとしますれば、四條、五條に當篏まるやうな感じのする場合が多いと、今の御話を承りますとさう思ひますが、唯それは實際を見まして本當の親睦團體であつたりするやうなことであれば問題はないと思ひますので、具體的に内容に從ひまして、公正取引委員會で判斷をしなければならない問題だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=79
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080・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 さうすると公正取引委員會が出來ます迄は、判斷する客體がない譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=80
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081・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 公正取引委員會が出來ます迄の間は、詰り本法の實施されます迄の間は、本法の適用はございませぬけれども、例へばそれが製鹽會社でありますれば、昨年の十一月二十五日に出ました證券保有者制限令に從つてさう云ふものに參加するのは取締られて居りまするし、それから公團の、例へば價格調整公團に關しましては、あの公團が乘替はることになつた統制會社と云ふやうなものは解散しなければいかぬことに相成つて居りますので、それが實際潛つて居ると云ふやうなことがありますれば、あの法律で取締が出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=81
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082・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 他に御質疑はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=82
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083・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 此の私的獨占の大體の趣旨は、此の條文は隨分細かい所迄出て居りますが、其の目的と云ふものは、余り大きい事業なり、それに關係して居るものを作らぬと云ふ方針で是は出て居るものでありませうか、さうすると云ふと、事業の經營上に於て、所謂優勝劣敗で、或は又特別な大きな金融力のやうなものを以て他のものを買收するとか、合併するとか、或は競爭に於て、壓迫するとか云ふやうなことが、今迄随分行はれて來て、それで非常に大きなものが出來て、是が所謂此の頃の財閥とか云ふやうなことになつて來て、それを今がんと一つ叩いて居る所でありまするが、どうも細かい所がなかなか此の條文は分りにくいのですが、又是から仕事をしつつ行つた場合に、此處に十の物があると、其の中で非常に強いものが出來て來て、それを七つ迄取つてしまつたと云ふやうな時には、之に大体牴觸して、それをどうかするとか、さう云ふやうな方針で此の法律を運用すると云ふ御趣旨でありませうか、それをちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=83
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084・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 御答へ致します、此の法律の精神は、決して、唯大きいものを禁止すると云ふ精神ではないやうに思ひます、ですから技術的の理由、經營上の理由等に依りまして、非常に優秀な事業をやつて居るものが大きくなつて、其の事業が大きい、而もそれが能率が好いと云ふやうなことで、公共利益にも合致すると云ふことであれば、別に是で牴觸すると云ふやうなことはないと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=84
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085・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 そこですが、それで自然獨占的に行つても差支ないと云ふ結論になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=85
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086・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 詰り幾つかの會社が協同しまして、さうして公共の利益を害するやうな協定を結びましたり、トラストを作つたりしてやる獨占の弊害を防がうと云ふ、是は趣旨なんであります、さう云ふ精神で仕事が觸占的になりまして、公共の利益を害するやうな場合は、無論是で禁止されると云ふ譯でありますけれども、さうでなくて、自然經營が非常に合理的であり、能率が良くて、事業が非常に大きくなる、是なら差支がない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=86
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087・種田虎雄
○種田虎雄君 此の法律の中には大分各方面に亙りまして命令に讓つてありますが、此の命令を制定されます場合に、此の法案を御作りになる時に、色色な準備會が出來たさうでありますが、それと同じやうに、矢張り色々な委員會と申しますか、準備會と申しますか、さう云ふやうなものを御作りになる御方針でありませうか、其の點を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=87
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088・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 御答へ致します、其の點は非常にデリケートでむつかしい問題であります、色々な關係がありまして、はつきり今申上げられないやうな事情にあります、こちらと致しましては、御心配になりまする點は無論心配致して居りまするので、十分手は盡したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=88
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089・種田虎雄
○種田虎雄君 此の法律は大體其の目的がはつきり此處に書いてございますけれども、大體私の考へます所では、斯う云ふ立法を作るに付きましては、相當日本の經濟事情と云ふものに付て十分の御考慮があると思ひます、先程色々法案の御説明の中にもございましたやうに、近く講和條約の締結も迫つて居るのであつて、其の準備としてと云ふやうな御言葉もありましたのですが、前提として資本主義か或程度高度に發達し、其の資本主義の民主化を圖つて行く、さう云ふ意味に於て斯う云ふ立法が必要ぢやないか、斯う云ふ風に私共は考へるのであります、從つて講和條約締結等の際に、我が國の産業の發達に付て、十分さう云ふやうな點に付て御考慮があると思ひますが、其の點に付きまして伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=89
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090・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 御答へ致します、先程申上げましたやうな譯で、講和條約締結との關聯もありまして、豫め之を作つて置く必要があると斯う考へた譯であります、此の法令の根據は、無論先程申しましたやうな譯で、資本主義制度の下で國民經濟を發展せしめて行く上に必要な法令である、資本主義制度の經濟の上で起り易い色々の獨占的弊害がありますので、之を矯めて行かうと、是が趣旨でありますから、無論此の法令の趣旨は、資本主義を否定すると云ふやうな趣旨はない譯なんで、資本主義を活かす爲の法令と斯う私は解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=90
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091・種田虎雄
○種田虎雄君 只今の御説明で十分能く了承致しましたが、色々動いて居りまする各方面の動向から考へますると、なかなか此の點は相當に政府の御考を御實現になる上に於て、關係方面に御交渉も必要でありませうし、又講和條約締結の際には、餘程我が國の立場等を十分御主張願つて、斯う云ふ法律が適用出來るやうな情勢に寧ろ御盡力を願ひたいと云ふ風に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=91
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092・我妻榮
○我妻榮君 中小工業の組合との關係をちよつと伺ひたいのですが、御承知の通り、中小工業の組合が同業組合型と協同組合型に分れて居りまして、それ等が戰爭中もさうなつて居つたやうでありますが、戰爭後も必ずしも協同組合の理論一本ではなく、其處に多少協同しながら或程度の統制をして行つて、中小工業者が無用の競爭をして共倒れにならないやうな方法を講じ得る餘地を拵へて居る、或はさう云ふ餘地を拵へることが宜いと云ふのが戰爭後の考でもあるやうに思ふのですが、其の中小工業者の協同組合と云ふものに對する本法の行き方と云ふものは、どう云ふ行き方になるのでありますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=92
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093・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 御答へ致します、只今の問題は實は色々な問題がある譯でありまして、考へ方と致しましては、今の協同組合は、同業組合型でなくて、完全な協同組合型で行きたい、さうして其の完全な協同組合型の組合に付てのみ此の本法の規定の適用を致す、只今御話のございました同業組合型のものに付きましては、是は寧ろ一つの統制法規の問題として、さう云ふことが必要であるならば別の體系で立てて行くべき問題であると、大體斯う云ふ考へ方で居る譯であります、ちよつと速記を止めて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=93
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094・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=94
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095・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=95
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096・橋本龍伍
○政府委員(橋本龍伍君) 十分に只今の御話は考慮することに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=96
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097・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 他に御質問はございませぬか、別に御質疑もないやうでございますから、是から直ちに討論に移りますが御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=97
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098・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 御異議ないものと認めます、私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案を議題と致します、別に御發言もないやうでありまするから、採決を致します、本案は原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=98
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099・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 御異議ないものと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=99
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100・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 ちよつと此の衆議院の是は一緒に掛けますか、切離しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=100
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101・高柳賢三
○委員長(高柳賢三君) 全然別に、是は入らない譯であります、全會一致を以て可決致しました、是にて散會致します
午後四時三十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=101
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102・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 高柳賢三君
副委員長 男爵 中村貫之君
委員
侯爵 中山輔親君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 壬生基泰君
子爵 細川興治君
子爵 交野政邁君
子爵 梅渓通虎君
子爵 朽木綱博君
霜山精一君
男爵 伊藤文吉君
男爵 松本鼎一君
種田虎雄君
我妻榮君
三橋四郎次君
小山完吾君
山地土佐太郎君
片岡直方君
岸本彦衞君
小汀利得君
國務大臣
國務大臣 高瀬莊太郎君
政府委員
内閣事務官 橋本龍伍君
司法事務官 石井良三君
商工事務官 小山雄三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201326X00119470331&spkNum=102
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