1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○船員法を改正する法律案
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)
午前十時二十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=0
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001・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは船員法を改正する法律案の委員會を前會に引續きまして開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=1
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002・杤木嘉郎
○杤木嘉郎君 昨日の本會議に於て大臣から運營會の問題の御話がありましたが、運營會の問題は前平塚大臣も屡屡機會ある毎に一日も早く廢止、又は改組して、本來の船主事業に還して、日本海運再建の爲に努力すると云ふやうな御話が屡屡ありましたが、事實は今日迄何等のことも實行に至らず、さうして明年度の豫算に於ても十二億と云ふ厖大なる計數が計上してありますが、大臣は此の點に付て果して何時頃になつたらそれを改組若しくは廢止なさる御見込であるか、其の點を一つ御伺ひ致したいのであります、それに關聯致しまして、此の問題が議題に上る度に御當局に於ては成るべく早く、それは廢止又は改組したいが、關係方面の交渉がなかなか面倒であると云ふ御話を始終承りますが、關係方面の交渉はどう云ふ風になつて居りますか、それを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=2
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003・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 杤木さんの御質疑に御答へ申上げます、船舶運營會は戰時中はあの姿で宜かつたのでありまするが、戰後に於ては理想と致しましては當然解消して、民營態勢に變はるべきものと私は確信して居ります、又運輸當局に於きましても其の方向に進んで居ります、處が戰後に於きましては御承知の通り、百トン以上の船は進駐軍の管理下に置かれる、此の管理の實施事務を船舶運營會が行ふ、併し其の性質は昔の船舶運營會と假令同じ法規の下にやつて居る團體でありましても、私は違ふものと思ひます、聯合軍の管理の行政を實施する機關である、さう云ふやうな意味から聯合軍の管理が續く間は、主義原則と致しましては當然終戰翌日から民營態勢に變はるべものと思ひますし、又さう云ふ風に關係筋とも話して居りますが、矢張聯合軍の管理事務が存續する間は、何等かの形態に於て此の管理を實施する機關が要ると云ふ風に向ふも見て居るのでありまして、是も已むを得ないのぢやないかと思ひます、唯段々民營態勢に戻すやうに、船舶運營會自身之を直ぐ致さなければならぬ爲にも改組して行きたい、是は六七月頃迄には相當程度の改組を致したいと思ひます、尚民營態勢に移すに付て進駐軍とどう云ふ交渉をして居るかと云ふ具體的なことに付ては申上げられませぬが、第一に民營の主義原則を認めて貰ふこと、第二には其の主義原則を認めて貰つたならば、出來るだけ早く其の主義原則を具體的に實現する、其の具現化、此の二つのことを目的として進んで居ります、此の第一の主義原則が民營態勢に戻すべきものであると云ふことは、段々進駐軍當局も御認容になつて居るのであります、第二の點は是は具體的問題でありまして時間も要しますし、技術の問題もあるし、事務的の問題もありますから、はつきり御答へ申し兼ねますが、段々さう云ふ方面に移りつつあると云ふことは申上げられると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=3
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004・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 私少し病氣で休みまして、昨日の本會議の大臣の御答辯を伺つて居りませぬが、此の民主化を標榜して諸般の施設が行はれて居りますから、船員に對しても出來るだけの優遇、地位の向上を認めることは當然のことでありますけれども、敗戰後はどうしても貿易を向上して物資を輸出して、さうして不足物資を輸入しなければならぬ、其の物資を輸出するに付ての一番コストの土臺になるものは、船舶の問題になるのでありますが、此の船員法を讀んで見ますと、一足飛に斯う云ふ風な待遇を改善すると、自然運賃を高くしなければならぬ、或は傭船料を高くしなければならぬ、從つて貿易のコストを高くしなければならぬと云ふ、此の兩方の、我が國が再建途上にあると云ふ問題と兩方睨み合せて、外國の状況なんかと又對照して、どうも今囘御提出の船員法案は、少し行過ぎて居りはしないかと云ふやうな感じも致すのであります、それに付て大臣の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=4
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005・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 山地さんの御質疑に御答へ致します、御意見の通り今度の海上勞働者に對する勤勞條件は、相當手厚い保護を加へると云ふことに相成つて居りますが、本會議に於ても田島さん板谷さんの御質疑に對して御答へ致しました通り、從來と雖實質的には是だけの勤勞條件の改善を致して居ります、今度法規化をすると云ふことに相成つただけでありまして、而も御承知の如く戰前に於きましても一年繼續して勤務に服した者に對しましては、郵船會社等は繼續二十日間の有給休暇を認めて居ります、又本法案を作るに當りましては、船員法令改正審議會を設けまして、屡屡總會なり或は小委員會なり或は現地に於ける公徳會等開きまして、其の間御話の如く違つた見解なきにしもあらずであつたのでございますけれども、當局と致しましては各方面の意見を綜合致しまして、大體に於て此の程度の勤勞條件の改善を圖り、さうして喜び勇んで勤勞に從事する、又一面諸外國等からもチープ・レーバーであるとかソシアル・ダンビングであるとか云ふやうな非難を受けないで、さうして喜び勇んで勞資協調の下、船長の下、全員一體となり或は資本家、勞務者一體となつて海運の挽囘に是れ努めたならば宜しからう、斯う云ふ信念の下に本法案を提案致した次第でございますから、もう矢張りやるものは或程度やりまして、喜んで働かせると云ふことが陸上勞働に於ても海上勞働に於ても一番宜いんぢやないかと云ふ考からやつたのでございます、併し御説の如く相當手厚い保護になつて居る點はございますから、海運の産業として立つて行くものと思ひます、其の他の方面に付ては政府でも出來るだけ考慮は致す積りでございます、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=5
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006・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 今大臣に伺ひましたが、郵船會社の如き大きい今迄の大資本を持ち、さうして敗戰前と敗戰後と云ふものは非常に日本の海運だけぢやありませぬ、總てが非常に違つて居ります、敗戰前の郵船會社あたりの隆隆たる、まあちよつと卑近な例で言ひましても、殊に喩へて見ましても五十圓株が二百圓近くするやうな隆々たる時と、今日五十圓の株がもう二十圓しかせぬと云ふやうな時と、是は餘程違ひますから、さう云ふ點が爲政者としても餘程考へなければいかぬと私は思ひます、それから今度の船員法は大分小さい船も入つて居るやうでございますから、小海運業者と言ひますか、さう云ふものに付ては非常な影響があることでございますから、餘程是は愼重に取扱はねばならぬと云ふ考で居ります、追々是から一つ尚他の機會に御尋も致しますけれども、大體もう一應それだけのことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=6
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007・田島正雄
○田島正雄君 只今山地さんの御尋の事柄とも關聯することでありますが、要するに今度の船員法改正に依つて船主の負擔がどの程度に加重するか、或はそれが海運産業の存立に對し或は其の復興に對しどれだけ影響するか、是はまあ相當むづかしい問題だと思ひます、處が是は今山地さんの言はれたやうに、戰時中から船舶の運航と云ふものは船舶運營會の手に移り、從つて船主と云ふものは昔の自から採算を取つて運航して居つた時代とは非常に違つた状態に置かれて數年を閲して居る、又現状に於ても先刻大臣からも仰せの通りに、此の状態を元に戻すことは理想であるが、ちよつと急にはいかぬ、そこで詰り是は私見でありますが、窃かに憂ふる所は、海運産業と云ふものが例へば相當の時間が掛るにしても、將來或時期には是は完全に元の自主的企業と云ふものに復活するに非ずんば、本當に日本の海運の再建と云ふものは出來ない、茲に目標を置いて考へますと、現状に於て例へば此の船員法の改正に依つて、此の程度のことは忍び得ると言ふか、或は言葉が惡いかも知れませぬが、一時誤魔化せる、併しそれは將來或時期に、船主が本當に自主的な運營をする時になつて見たならば、背負ひ切れないと云ふやうなことになるのではなからうかと云ふことを懸念する譯であります、もつと端的に申しますと、現状に於てはまあ運營會と云ふものがあつて、謂はば國家の負擔に於て仕事をして居る、從つて若干負擔は重くあつてもまあ眼をつぶつて居れば事は濟む、それが若し運營會と云ふものがなくて、各船會社がそれぞれ昔のやうに自らの危險と採算とを以て營業して居つたとすれは、恐らく今日此の船員法の改正を見る迄もなく、今日敗戰後の船員の救濟の問題にしても、到底立行かぬと云ふ状態に打突かつて居つたのではないか、それがさう云ふ状態に至らずに濟んだのは、運營會と云ふ一つの温室の中に入つて居つたから是で濟んだのだと斯う云ふ風に考へます、從つて今御話のあつたやうな例へば國際海上勞働條約との比較の問題に付きましても、大臣の仰しやる通りに、郵船會社の如き大會社は從來に於ても一年勤續の優秀船員に對して二十日の休暇を與へて居つたぢやないか、正にそれは事實でありませうが、併し郵船會社と雖も現状に於て、而も其の郵船會社が自營をして居つたならば到底其の餘裕がないのぢやないかと云ふ風に考へられます、それからもう一つは多數の船主全體のことを考へました時に、郵船會社の如き最高級の最も基礎の強い會社を標準にして、其の會社がやつて居つたことであり、或は船會社であるならば立てることであつても、それが多數の船會社全部に對して其の通りには行かぬと云ふことを考へなければならぬと斯樣に思ふのであります、それからもう一つは昨日私は本會議で御尋ね致しました時に、海上勞働條約の比較の一つの例として、有給休暇の問題を御尋ねしたのでありますが、もう一つあれよりももつと重大なる問題だと思はれますのは、此の法案の七十一條にあります、六十乃至七十條の勞働時間に關する規定の除外規定なんでありますが、是が此の案に於ては、一、二、三項があつて、「沿海區域又は平水區域を航行區域とする總トン數千トン未滿の船舶」或は「帆船」、「漁船」と斯うなつて居りますが、是は國際勞働條約の基準規定である、例へば國際航海に從事しない船舶を除外すると云ふやうな規定に比べて著しく違ふのでありますが、此の點の如きも餘程愼重に考へられなければならぬのではないかと思ふのであります、要するに大臣の御意見も海運と云ふものの現在の姿は、其の本來のあるべき姿ではないのである、是は戰時中以來引續き又敗戰後の今日聯合國の管理下にあるが故に、已むを得ず斯くの如き状態が存して居るのであつて、是は成るべく速かに船主の自營に戻す、本來の姿に還るべきであると云ふことを御認になつて居る大臣の理想、又我々の考もそれに全く一致して居るのでありますが、それを目標として此の場合に此の船員法に依つて、果してそれが支障なく行くかどうか、此の點に深く念ひを致さなければならぬと思ふのであります、現に或船主に聽きますと、迚も有給休暇の問題に付ても、今は是でも濟むかも知れぬ、併し愈愈それぞれの船主に船員が戻つて來て、ぎりぎり結着の豫備員を以てやつて行くと云ふ時に、是でやられては迚も堪らぬと云ふことを、相當の大船主が漏らして居ると云ふこともありますので、それ等の點を心配致すのであります、之に付て當局に於てはどう云ふ風に御考になつて居りますか、先づ此の點を御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=7
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008・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 田島さんの御質問に御答へ申上げます、將來民營に復歸した場合に、現在は船舶運營會に相當の政府の補助金が行つて居るから間に合ふけれども、將來若し損害が相變らず生じて居ると云ふことがあつたならばどうするかと、斯う云ふ御話でございますが、今囘の船員法の改正に依りましては、さしたる何と言ひますか、影響はないと云ふ風に我々は考へて居るのであります、其の細かい數字に付きましては、後刻政府委員をして答辯申上げさせますが、大體さう云ふ風に考へて居ります、併しながら我々の考と萬一違ひまして、赤字續出であるとか、民營としては迚も立つて行けない、運賃改正をしても何をしても立つて行けないと云ふことが萬一ありましたならば、恐らくあるまいと云ふ見解の下に船員勞働の勤勞條件の改善を圖つて居るのでございますけれども、さう云ふことがあると分つた時に國庫が全然無關心である云ふことは、私は出來ないと思ひます、其の場合には何とか考慮しなければならぬ、併し恐らくあるまいと云ふ見解の下に、今囘は是位な船員勞働の勤勞條件の改善をしたら宜からうと云ふ見解の下に提案を申上げた次第であります、大體さう云ふやうな考の下でございますから、細かい數字に付きましての見込等は政府委員をして御答辯申上げさせます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=8
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009・田島正雄
○田島正雄君 其の御説明を承る前にちよつともう一言申上げたいのですが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=9
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010・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=10
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011・田島正雄
○田島正雄君 只今の大臣の御話に依りますと、結局此の問題に付ての見解の相違と申しますか、見込の違ひと云ふことになると思ひますが、それに付ては又詳細な御説明を承ることと致しまして、それを別として、大體法律に於てものを決める時は、餘り何と申しますか、細かく具體的なことを一々決めてしまふと云ふことは、後に行つて非常に窮屈なことになるのではないか、最近の立法を見て居りますると、昔と違つて、昔の例へば施行規則かなんか、命令に依つて決められますやうな事柄も皆一々此の法律で事細かに決められると云ふ最近の傾向になつて居ります、是は殊に船員の問題に關して、勞働者の勞働時間或は休息に付ての事柄を法律を以て規定すると云ふことを憲法で決めた以上、是は已むを得ない、從つて此處で議論をしても始まらぬのでありますが、それである故に、其の法律で決めて置くことは、合理的な限度に於て最小限度にして置く、さうして將來其處に彈力性を持たすと云ふことが適切ではないかと、斯樣に私は思ふのであります、之を具體的な例で申せば、例へば此の有給休暇の問題にしましても、國際條約に於ては十二日、然らば其の十二日と云ふものをそれより下にすると云ふことは不可能でございませうが、其の條約基準其の儘のものを取敢ず法律で決めて置く、それは併し最小限度の決めであつて、それを低下することはそれに依つて防げる、併し將來どうしても其の十二日では收まらぬ、或は又海運産業が復興して來てそれ以上にやり得る、先刻御話のあつた戰前の郵船會社のやうな會社が將來出來て來たならば、それは法律では十二日にして居つても、二十五日にしようがそれは自由だと、私は法律で決めたからと云つて絶對にそれ以上にしていかないものとは考へないのです、寧ろ法律に於ては最小限度を決めて置いたら宜いぢやないか、斯樣に思ふのでありますが、此の點も併せて御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=11
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012・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 今度の憲法に依りまして、勞働條件の基準に關することは法律を以て定めると云ふことに相成つて居ります、從つて例へば御説の如く、國際勞働條約が十二日であるから、二十五日にすると云ふことの妥當であるか不妥當であるかの問題は別と致しまして、本法案の如く一應二十五日と云ふ提案を致します場合に、最低基準たる國際勞働條約を一應擧げて置いて、さうして後は勅令に任せると云つたやうなことは、矢張り新憲法の精神から言つてどうか、矢張り是は最低のスタンダードを決めると云ふやうなことは一應法律にする、施行方面の細則は、是は勅令以下省令等に任せると云ふことに致した譯でございます、唯二十五日と云ふのが妥當であるか不妥當であるかと云ふ問題は、是は殘りますが、矢張り是は妥當であると云ふやうに一應の結論を得まして、規定する場合には是は法律で規定した方が宜いのではないか、斯う感じた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=12
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013・板谷順助
○板谷順助君 國際勞働條約は十二日以上になつて居ります、以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=13
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014・田島正雄
○田島正雄君 それでは詳しい御説明を參考に承ることが出來れば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=14
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015・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 今囘の船員法改正に依つてどの程度に海運經營に影響を及すかと云ふ御尋でございまするが、今囘の改正に依りまして影響を及す主なるフアクターを拾つて見ますると、定員増加に因るもの、それから有給休暇の關係で豫備員が殖える、其の豫備員の給與と、有給休暇中の食費とそれから強ひて言へばオーバー・タイムの給與、斯樣なフアクターが考へられる譯であります、それを比較する場合に、戰標船に付て言ひますれば、是はまあ殆ど影響ない、殊に戰時標準船に付きましては、附則に依りまして、勞働委員會に於きまして指定したものに付ては、此の勞働時間、定員と云ふものは適用しないと云ふことも出來る譯であります、是は殆ど問題ない、又現在運營會がやつて居る點と比較しますると、今囘の改正は運營會の致して居る現状と殆ど變りありませぬので、是亦殆ど影響ない、それで戰前の自營の場合と今囘の改正に依る場合、斯う云ふ最も極端な場合を比較しますと、而も自營の場合と申しましても、豫備員を全然持たない、斯う云ふ會社を想定しまして比較して行きますといふと、次のやうな數が出る譯であります、併し此の自營の場合も、船の多い少いに依りまして、豫備員の數が違つて來まして、假に八ハイ持つて居る場合、それから二十四ハイ持つて居る場合、斯う云ふ二つの場合を假定致します、さうして千トン以下の場合を彈いて見ますと云ふと、全體の運賃原價に對する増加率は四分四厘と、斯う云ふ數字が出ます、二十四ハイ持つて居る場合には四分二厘と、それから二千トン乃至三千トンの場合の比較を見ますと、八ハイでは二分五厘、二十四ハイの場合では二分二厘、斯う云ふ數字が出て來ます、豫備員を全然持つて居ない場合の自營の場合と云ふのですから、例へば條約に依る所の十二日と云ふ數字を取つて見ますと、是亦今申上げました數字は半減するのでありまして、定員の如きは、僅か機關部の人間が一人殖えると云ふ程度でありまして、殆ど影響する所は少い、能く業界に於て非常に大きな影響があると云ふことを流布されて居りますが、恐らく私の想像では此の原案が最初出來た八九月頃の状況から色々と流布されて居るのではなからうかと思ひます、其の後何囘も審議を致しまして、使用者側の意見も勞働者側の意見も聽きまして、何囘となく小委員會で審議を重ねて居る間に、段々と修正されて行つて、此の原案に落ち著いたのでありまして、定員の如きは、最初の案では相當多くなつて居りましたが、殆ど影響のないやうに原案で出來て居ります、それから二十五日の有給休暇、是は多いと云ふことでありますが、是も大臣の言はれますやうに、戰前でさへ二十日の有給休暇を與へた會社も相當あつた、のみならず現在運營會では二十五日の有給休暇を與へて居ります、又陸上との關係を見ますと、御承知の通り陸上の勞働者には週休日と云ふものが與へられて居る譯であります、海上の勞働者には原則として週休日はなく、一週五十六時間の勤務をやつて居ります、さうして見ますと、どうしても陸上は一年に大雜把に見て五十日の週休日がある譯でありますが、海上勞働者にはそれがない、そうしますと碇泊中の休暇がありますので、其の半分と見まして、二十五日の有給休暇を與へると云うことは、勞働法の見地から申しまして、海陸の均衡から見まして、是亦當然のことではなからうかと思はれる、而も其の影響と云ふのは、先程申しましたやうに極めて影響が少いのでありますから、一つ其の邊の所も能く考慮下さいまして、御贊成下されば非常に仕合せに存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=15
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016・田島正雄
○田島正雄君 只今の長官の御説明の何分何厘と云ふ數字は、運賃率に對してと仰しやつたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=16
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017・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 現在の運賃原價に對しまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=17
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018・田島正雄
○田島正雄君 運賃原價に對して……それは大分混み入つたもので分らなかつたのですが、船舶運營會の現状に於ての御計算ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=18
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019・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 船員の給與とか左樣なものは、船舶運營會の現在與へて居る給與を標準としました、唯有給休暇とか定員と云ふものは、戰前の自營の場合、もう少し細かく言ひますれば、戰前普通の會社の持つて居る例へば定員で言ひますと、昭和十六年の六月の末のレシプロ貨物船を取りましてさうして比較した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=19
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020・田島正雄
○田島正雄君 只今の御説明は非常に細かい數字でありますので、必要に依りましては、書いたものを拜見して能く檢査する機會を御與へ願ひたいと思ひますので、今の數字に對する是非の批判は差控へます、唯諄いやうでありますが、今長官の御話の中にも觸れられたのでありますが、例へば有給休暇の問題の如き、現に船舶運營會では既にやつて居るのだ、斯う云ふ御話ですが、私はそれが將來を考へます場合に心配だ、何故かと云ふと、今の船舶運營會と云ふものは、性格の上から言つて船員に對する給料にしても、或はさう云ふ有給休暇にしても、要するに船舶所有者、船主としての蒙る負擔と云ふことに付て、言葉は甚だ惡いかも知れませぬが、關心の薄い性格をそれ自身が持つて居る、是は船舶運營會を非難する意味ではありませぬが、左樣な性格を持つて居ると云ふ事實を忘れてはならない、又それであるが故に、現に毎年十何億と云ふ國費が船舶運營會に注ぎ込まれて居る、でありますから、將來自營の場合に於ては、運營會の時代に宜かつたから、それが自營の場合も宜いと云ふことは言へぬと云ふことを先刻申上げたのでありますが、そこで大臣の言はれたやうに、さう云ふ場合に於て、どうしても立ち行かぬ、或は當局が御考になつて居るやうな、自營になつて船主が丸潰れだと云ふことになつた時には、國家として放つて置けぬと仰しやるが、其の放つて置けぬと云ふ意味は、現在運營會に對して十何億の金を出して居るなら、其の金を自營になつた場合にも政府が出すと云ふことをはつきり仰しやらぬ限りは、私は非常な危險なことになるのぢやないかと云ふことを懸念致しますので、まあ是以上同じ問題に付て御尋を繰返しても同じことでありますから、此の問題は一應私は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=20
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021・板谷順助
○板谷順助君 此の本案を御提出になるに付て、使用者側と能く折衝したと云ふことを屡屡繰返しておいでになりますが、是は大臣新しいから、其の當時の事情は能く御分りにならぬでせうが、有田長官は御承知と思ふ、臨時船員の審議會に於ても、或は又公聽會に於ても、經營者側が極力反對した、若し此の法案を通せば、到底船舶は成立たぬ、御承知の通り、今殆ど全滅に近いやうな状態にある、是は寧ろ再建を妨げると云ふやうに極論したと云ふことを私は承つた、是は又聞きでありますけれども、だからして此の法案と云ふものは、經營者側と船員側との間の協調と云ふものが十分出來て居らぬ、私は斯う見て居るのですが、それはどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=21
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022・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 其の問題に付きましては、勞働者側を代表する委員、船主側を代表する委員並に學識經驗者、其の他、中立、斯う云ふ三者が入られて委員會が開かれた次第でありますが、尤も最初は勞働者側及び使用者側の意見が隨分對立致しました、何囘も會議を重ねて居る間に、最後に殘つた點は、私の記憶が間違ひなかりせば、有給休暇の點と、勞働時間及び定員の適用範圍の問題でなかつたかと思ふのであります、其の問題に付きましては、最後迄勞資雙方の間に意見が一致しなかつた、が併し中立側が最も公平にそれを裁かれまして、さうして此の原案に落ち著いたのであります、併し其の間に於きましては勞働者側も、隨分此の案に付きまして、もつと勞働保護を圖るべきである、斯う云ふ主張が強かつたのであります、例へて申しまするならば、事務部の勞働時間の如きは十二時間の休息と云ふことになつて居りますが、左樣なことは困る、八時間やつたらどうか、或は有給休暇の如きは二箇月と云ふことを勞働者側は主張したのであります、それをそんなにやる必要はないと云ふので、二十五日と云ふやうな所に中立側の委員も裁定を下し、最後に我々も陸上勞働者との均衡も考へ、此の二十五日と云ふことを採用したのであります、委員會としましては、要するに勞資で多少對立した點がありますが、併し中立側で海運界に相當經驗の深い方も多いのでありまして、其の採決に依りまして、要するに多數決で採用された、私共としては勞働者側の言ひ分を抑へた點も一方にあり、又使用者側の言ひ分を抑へた點も一方にありますが、此の邊の所が最も妥當に思はれる、斯樣な見解を持つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=22
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023・板谷順助
○板谷順助君 處が現在經營者側を代表して居る所の海運協會と云ふものは猛列に反對して居る、今田島委員の御話の通り、現在運營會が經營して居る際は、政府が赤字を補填するから或はまあそれでも宜いかも知らぬけれども、將來是は何としても所謂自營的に民營に移さなければならぬ運命が來る、現にアメリカに於てオーバー・タイムの問題に付て、非常に船舶の能率が上らぬと云ふので惱んで居る、それを國際勞働條約以上に決めると云ふことは、我が國現在の殆ど全滅に近い所の海運復興には、私は無理だと思ふのです、だから若し法律を以て決めると云ふならば、十二日以上であります、或は其の當時の情勢に依つて十五日になる、二十日になると云ふことは一向差支ないですけれども……、それから船は一箇年に御承知の通り定期檢査と云ふものが必ず一囘ある、其の時分には或は十五日になるか、二十日になるか、或程度迄矢張りそこに休暇と云ふものがあるのです、だからして之を無理に法律で以て決めて、さうして又船員は出來るだけ保護して樂な方法を採らせると云ふことも宜いかも知れませぬけれども、私は却て之が爲に寧ろ船員を、何と言ふか、惰弱にすると云ふ程度でないかも知れぬが、能率の低下の原因に私はなるのぢやないかと思ふ、だから是は餘程御考を願つて、さうして現在は新造船をするとしましても、殆ど二十萬圓も三十萬圓も掛かる、誰も今の状態では造れはしない、船主に所謂將來船舶に對する所の意欲を盛ならしめると云ふことに付て、矢張り當局も御考になる……又船員のことを考へることも必要であるが、私が昨日も申上げましたやうに、現在の處では船が貨物に從事して居るものは食糧或は石炭、四十五萬トン前後です、こんなことで、殊に戰時型で以て能率は上らない、場合に依つては經營者も勞働者も一體となつて、夜揚げ荷迄やらなけば追ひ付かない現在は状態である、だから私は是は日本の國内の秩序が立ち、或は或程度經濟界が囘復をした其の後に御出しになつても遲くはないのぢやないか、此の場合一先づ之を撤囘して貰ひたいと云ふことを申上げたのでありますが、さう御急ぎになる必要がありますか、或はそれは政府としては原案を出したのだから、面目に掛けても成るべく通したいと云ふ御意向でありませう、けれども是では私は船の再建は出來ぬと思ふ、決して經營者側の立場からのみ言ふのではない、結局勞資共倒れと云ふやうな運命になりはしないかと云ふことを私は非常に心配して居るのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=23
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024・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 板谷さんの御意見傾聽致しました、本會議に於きましても私御答辯申上げましたのであります、相當手厚い保護に相成つて居りますが、併し矢張り陸上勞働との權衡平仄が取れるやうにと云ふことも考へた譯でございます、陸上勞働に比べまして、海上勞働は一週間の勞働時間は全體は長くなります、そこへ持つて來て、家郷を離れ、家庭を放棄して一年間も繼續勤務を致すと云ふ者に、二十五日位の家庭生活を持たせると云ふことは、矢張り心氣を新たにして、勞働能率を上げる所以であると私は考へて居ります、さうすると勞働者を惰弱ならしめると云ふ風には考へませぬので、矢張り氣を宜くしてさうして働かせる、而も板谷さん御承知の通り、我が國海上勞働の、勞働運動の傾向と云ふものは、私の見る所では漸次健全合法の線で動きつつあります、非常な反省の色も濃くあります、私は海上勞働運動と云ふものは健全であると云ふ風に感じて居ります、さう云ふ折角健全合法の線で海上勞働運動を展開しようと云ふ時に、氣を惡くさせないで、陸上勞働と均衡の取れた勞働條件を與へまして、一生懸命勞資一體船長船員一體となつて、海運界の復興に努めることが必要であると、斯う感じて提案したのでありまして、特別急ぐか急がないかと云ふ御質問でございますが、私は海運の再建の爲には、矢張り急ぐと云ふ風に由上げたいのでございます、其の他或は、委員長、速記を止めて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=24
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025・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=25
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026・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=26
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027・板谷順助
○板谷順助君 先程有田長官は田島委員の質問に對して、將來自營になつた場合も大した影響がないと云ふやうな御話でありますが、是は以ての外の御答辯であつて、御承知の通り若し是が自營に移された場合に於て、現在の運營會の如き組織、或は人員等の問題を其の儘繼承すると云ふことになつたならば、到底是は船主と云ふものは成り立つものではない、併し國家の補助を受けると云ふことは、是は或は差當つて其の必要があるかも知れないが、民營に移すと云ふことは、將來所謂船舶が自營が出來る、此の目標でなければ民營に依ると云ふ必要もなく、又其の方針に依つて所謂出來るだけ早く民營に移して自給自足が出來る、所謂將來の海運國としての基礎を作りたい、戰前に於ける所の世界に雄飛した、其の詰り姿に還したいと、斯う云ふ熱望から之を主張したものと思ひます、そこで問題は、私の考へる所に依れば、成る程それは船員の待遇を改善するのも宜いけれども、容物が一體出來ますか、船が此の儘で以で再建が一體出來るかと考へます、私は今の状態だと云ふと、經營者が船を造ると云ふ考へは恐らくあるまいと思ふ、一トン二萬圓も三萬圓も掛けて、さうして現在勞働問題がやかましい、さあ有らゆる物價は高い、是で私は輸送は出來ぬと思ふ、現に船員の此の間の爭議の問題は、私昨日も申上げましたやうに中勞委の仲裁案に依つても六億圓の金を何とか支出しなければならぬ、一體此の用意がありますか、或は政府で之を承認しますか、それから此の法案を政府が適用することになれば、私は數字は分らないが、勿論船の大小に依るけれども、二割から六割位經費が膨脹する、其の經費は何も船員の手に入る譯ぢやない、船員の懷ろに入る譯ぢない、要するに現状に於ては運營會が負擔しなければならない、運營會が負擔すると云ふことは、要するに政府が補助を出す、それは國民の負擔になるのである、それは一體計算に御入れになつて御考になつて居るか、之を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=27
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028・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 私が運賃原價に及す影響が尠いと田島委員に申しましたのは、本船員法の改正の結果及す影響が尠いと申したのでありまして、現在運營會の經營上に多々缺點があることは能く承知して居ります、併し之を民營に移しまても、私は先程大臣が申しました如く、勞働者として保護すべき者は保護し、さうして勞資一體になつて運行能率を擧げる體制が、より良く日本海運を再建する所以ぢやなからうかと斯樣に考へて居る次第でありまして、此の船員法改正で勞働條件は好くなりまするが、其の好くなる結果、其の運賃原價に及す影響は先程申します如く、非常に極端な場合を採りましても四分程度に過ぎない、況してや普通の場合を申しますと二分何厘と云ふやうな程度でありまして、斯く海運の再建が此の爲に覺束ないと云ふやうな、左樣な大きな影響でないと云ふことを申したのであります、それから尚もう一つ日本の將來海運再建の爲に國際海運として乘出す場合を考へます時に、私は今日圓で換算しますと云ふと、船員給與と云ふものは非常に上つたやうに一應考へますが、一度爲替相場と云ふことに思ひを致す時、殆ど問題がないものなのぢやないか、斯樣に考へるのでありまして、今の法律に依りましても、船員に食糧を與ふべき義務や船主は持つて居るのでありますが、其のカロリーたるや現在の食糧事情から言ひますれば、非常に少い程度をやつて居ります、從ひまして船員自體も非常に忍ぶべきものは忍んで居るのでありまして、給與が多少良くなり、勞働條件が多少良くなると申しましても、船員自體の身になつて見ると相當不平もあるのでありますから、其の邊の所は勞資相共に忍ぶべきものは忍ぶべきものであるのぢなからうかと考へるのであります、尚現在の状況で船が出來るか、斯う云ふ御尋でありますが、勿論現在新船を造りますことは原則として關係の筋から許されて居らないのであります、が今日客船であるとか、或は漁船であるとか、或はフエリー・ボートとか云ふやうな特殊船の許可は得られて居るのでありますが、御承知の通り小型客船を最近許されまして、船主の希望を聽きました處、大變な希望者があるのでありまして、我が海運廢れず、大いに船主の意氣に私は心窃かに喜んで居るやうな次第でありまして、トン當り何萬圓掛る此の客船が、是は自營が許されると云ふ前提で希望を持つのでありますが、此の業者の熱意に私は喜んで居るやうな次第であります、貨物船はどうかと云ふと、是は自營體制になつて居ない結果、船主の意欲もないと云ふことも申せませうが、もう一つ、餘りにも船價が上り、而も運賃が抑制されて居る結果採算が合はぬ、是が大きな原因であると思ひます、斯樣な點を考慮致しまして、今囘船舶公團法なるものを提案致しまして、さうして續行船の繼續並に不良船の改造をやり、又どうしても動きの取れないやうな船は、之を解體致しまして、さうして新しく優秀船を造る、斯樣な計畫を進めて居るのでありまして、何れ其の法案が上程されます時に皆樣の御審議を煩すことと思ひますが、兎も角今聯合軍に於て許されて居る範圍に於きまして日本の船を充實し、改造し、出來るだけ優秀なものに置き換へるべく努力して居るやうな次第であります、尚最後に海員の今囘の給與の値上の問題でありますが、御承知の通り海員の給與は昨年の一月に全面的改正を致しましたが、九月の爭議の時には、五百圓以下の者に對しまして或程度の給與の値上をやつたのでありまして、五百圓以上には去年の一月其の儘を蹈襲して居る、今囘官吏の給與が全面的に改正されるやうになり、勿論此の海員もガパメンツ・エムプロイメントと云ふ制度に鑑みまして、官吏の給與と均衡を採りながら歩んで來て居つたのでありますが、官吏が約倍額程度上ると云ふことに相成りまして、海員にも其の程度の給與の値上をやると云ふことは、是亦當然でなからうかと、斯樣に考へて居るのであります、勿論此の豫算は計上はして居りませぬが、最近中勞委の斡旋の結果、一つの調停案が出來たやうでありますから、政府としましては、大體の線は官吏の給與と均衡が取れて居るものならば、之を呑まざるを得ないのぢやないかと、斯樣に考へて居りますが、大藏當局に於きましても、大體の線と致しましては、之に對して同意を與へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=28
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029・板谷順助
○板谷順助君 私は昨日も運輸省の分科會で申上げました通り、現在の物價が、從來は紙幣が増發されて段々物が高くなると云ふ傾向があつたが、今はさうぢやない、物價が高くなつて、如何に日銀が通貨を引締めると云つても自然増發をせざるを得ざるやうな現在の情勢である、そこで大藏大臣は、二十二年度の一般豫算の物價は十一月を基準とした、昨日聽いて見ると云ふと、運輸省では九月を基準とした、九月から現在を見たら物價は遙かに暴騰して居るから、豫算を組替しなければならぬと云ふ運命が早晩來る、そこで例へば今の船員の給料でも現在の物價では食へない、食へないから是は何と言つても政府は出さなければならぬ、政府が出さなかつたら必ず問題が起る、或は第二、第三の問題が起るかも知れぬが、要するに今御話の通り勞働者に對する或程度の待遇の改善、或は緩かな勤務に付ての方法を御採りになつても結構だ、併し日本の現状は是はなかなか容易ではない、それを私は申上げる、あなたは前途を大分樂觀した御話でありますけれども、さうは行きませぬよ、例へば此の石炭の輸送に付ても、夜荷役でも何でもやつて、經營者も勞働者も一體となつて出來るだけ早く復興に努力しなければならぬ、だから私はそれ等の點を考へて、田島議員の御話のやうに、二十五日と云ふものを法律で決めるのは甚だいかぬと思ふ、だから國際勞働條約のやうに十二日以上、場合に依つて、情勢に依つて、之を十五日にしても二十日にしても宜いのではないか、それはどうもちよつと分らない、餘り勞働者に對して現在の國情の認識をさせないで、或は新憲法云々と云ふことを仰つしやつたが、勿論總ての國民が勤勞に對する所の權利義務を有する、義務を忘れちやいかぬ、又完全なる自覺心のない者は住民權を主張する權利があらう譯はない、そこで私は勞資協調の意味に於て、此の法案が審議會に掛けられた場合に於て、經營者側が反對して居つたに拘らず、勞働者側の攻勢に依つて言ひまくられて是は決つたのだと、そこに缺陷がある、だから出來るなら會期切迫の際であるから、もう一遍練り直して、次の議會へ出して貰ひたい、是は私の希望であります、是れ以上は議論になるから言ひませぬが、後に委員諸君も澤山御控へになつて居りますから、私は一旦保留して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=29
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030・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) ちよつと申上げて置きますが、船主側が壓迫されてと、斯う云ふ御言葉でありましたが、決して議論する譯ではありませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=30
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031・板谷順助
○板谷順助君 私はさう聞いて居るのだ、直接關係した者から……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=31
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032・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 先程申しましたやうに、勞働者側は二箇月の有給休暇を與へろと云ふことを主張し、使用者側は勞働條約の線で行かうと、斯う云ふことを主張し、そこを中立委員なんかが色々と纏めまして、其の審議會全體としましては二十五日と云ふ結論に達したのでございます、勿論使用者側の言ひ分は通りませぬでしたが、一方勞働者側の言ひ分も此の案は通つて居ないのであります、もう一つ此の際申添へて置きますが、此の二十五日と云ふことは、兎に角一つの既得權になつて居りまして、是は實際問題としまして之を現在に於て變へることは困難でありますが、田島委員が、法律的にはもつと低く十二日と云ふ線で宜いぢやないかと言はれることも御尤もでありますが、色々と情勢を判斷致しますと、此の二十五日と云ふものを十二日に落すと云ふことは、實際問題としては非常は困難であるのみならず、寧ろ逆効果が出來て、勞働協約を結びます場合に、或は是が又一箇月とか二箇月とか云ふやうに延びることが多くなる氣配が相當見受けられたのでありまして、中立委員の二十五日と云ふ裁定は其の當時として最も妥當な所ぢやないかと考へられましたことが一つと、もう一つは此の二十五日の線を守りましても、今の海員組合の行き方からしますれば、勞資相當協調的に進んで居ることは、先程大臣が申した通りであります、其の空氣をうまくキヤツチしまして、例へば同じ有給休暇を與へるにしましても、先程御話の例へば船の定期檢査の時とか、或は修繕とか、さう云ふ時をうまく捉へて休暇を與へるならば、船主の方面に於ける影響も比較的少くて濟むのでないか、それが此の法律に依りますれば、勞資協議の上で此の有給休暇を與へる時を決めることに相成つて居りますが、此の邊でうまく收まることが、結局船主經營の面に於きましても好い結果が來るんぢやないか、斯樣に考へた次第であります、恐らく是で行きますと、有給休暇は二十五日と定まり、さうして其の與へる日が圓滿に使用者側の都合の好い時と云ふやうなことを勞働者側も理解して行くんぢやなからうか、斯樣に考へられる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=32
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033・板谷順助
○板谷順助君 私は保留して置きます、外の諸君の御質問を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=33
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034・田島正雄
○田島正雄君 此の原案の條文の二三の點を、條文に即して御尋ね致したい事柄が若干ございますが、後程逐條審議にお入りになるのでありますか、それならばそれ迄留保して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=34
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035・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 一應此の全體の質問が終りました後でさう云う風に致した方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=35
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036・田島正雄
○田島正雄君 其の節各條文に即した御尋は其の節に讓ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=36
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037・廣幡忠隆
○侯爵廣幡忠隆君 是はマンニングに關する規定はお作りになる御積りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=37
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038・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 直接本法には出て居りませぬが、それは勞働協約で決めたいと斯樣に考へて居ります、尚船舶職員法の分野に於きましても、相當扱つて居るものがございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=38
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039・廣幡忠隆
○侯爵廣幡忠隆君 それからもう一つ伺ひたいのですが、日本の現在の船の、私は經驗が古うございますが、定員は元は、外國の船から見ると非常に多かつたのでございますが、現在どうなつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=39
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040・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 現在は大部分戰標船でありますが、是は相當人間は多いやうでございますが、併し在來船に付きましては、それ程多くはないのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=40
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041・廣幡忠隆
○侯爵廣幡忠隆君 多くないですかな、田島さんの方が御承知かも知れませぬけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=41
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042・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 外に御質問はございませぬか、御質問がなければ逐條審議に入りたいと思ひますが、如何でありますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=42
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043・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは逐條審議に入ります、便宜上是は第一章なら第一章と云ふ風にしてやつて行つたら如何かと思ひますが、如何でありますか第二章は第二章として……、それとも矢張り逐條でやつて行きませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=43
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044・板谷順助
○板谷順助君 章別におやりになつたら如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=44
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045・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは各章毎に致したいと思ひます、第一章に付て何か……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=45
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046・田島正雄
○田島正雄君 是は單なる字句の末節でございますが、四條で給料と云ふのを、此の法律に於ては給料と云ふ言葉を定義して居りまして、六條に於ては「勞働基準法第一條乃至第十一條、」云云と斯うなつて居りまして、勞働基準法十一條を見ますと、勞働基準法に於ては、賃金と云ふ言葉を用ひ、それの定義を此の十一條で下して居りますが、此の二つの間に何か關係があるのでせうか、ちよつと考へますと船員法の四條で規定した以上は、基準法の十一條の規定を船員法に適用する必要がないやうに思ふのでありますが、之に付ては如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=46
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047・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 勞働基準法の第九條等に賃金と云ふやうな文字が出て居りまして、其の精神を表すのと同一精神でありますから、十一條で出て居ります給與體系の問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=47
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048・村上恭一
○村上恭一君 勞働基準法と此の法律との闘係に付きましては、昨日質問を致しまして、主務大臣の御答辯を戴きましたが、元來勞働基準法は此の船員に適用があるのかないのか、當然適用があるのでありますが、それならば此の第六條の勞働基準法の適用と云ふ規定は要らない筈であります、從つて之を設けるのは、唯注意の爲に、念の爲に此の規定を置くと云ふに過ぎないと思ひます、又勞働基準法は當然に船員には適用がないと致しますれば、勞働基準法の規定を茲に引いて來ますのは、適用ではなくして準用であるべきものとも思はれますが、即ち第六條に定むべきことは、勞働基準法の適用であるのか、準用であるのか、此の適用と準用の區別、甚だ細かいことでありまするが、併し二つの法律の關係の本質に觸れる問題でありまするから、此の機會に御尋して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=48
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049・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 昨日も大臣から御答へ致しました如く、勞働基準法は陸上勞働者に對する立法でございまして、此の船員法は海上勞働者に對する立法でございますので兩者は並立の關係にございます、從ひまして勞働基準法の第百十六條を見ますと「第一條乃至第十一條、第百十七條乃至第百十九條及び第百二十一條の規定を除くの外、この法律は、船員法による船員については、これを適用しない」と云ふことが勞働基準法ではつきり明定されて居ります、從ひまして船員法に於きましては勞働基準法の勞働憲章的規定は、船員法に於きまして其の儘之を適用するやうに態々第六條にそれを明定したやうな次第でございます、法律が相並立して居ります關係上、準用と云ふ言葉を避けまして、適用と致したやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=49
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050・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第一章に付ての御質疑はございませぬか、ございませぬければ第二章に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=50
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051・田島正雄
○田島正雄君 昨日ですか資料を頂戴致しましたが、衆議院委員會に於ける附帶決議、第五項「航海安全保持のため船長の命令權は、飽くまで之を確保する必要あるに鑑み、船長の懲戒權は、獨立不覊のものたることを要望す」と云ふことになつて居りますが、此の附帶決議に付て、第二章の此の船長の職務權限の規定を政府はどう云ふ風に御考になつて居るのでありませうか、此の衆議院附帶決議との關聯に於て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=51
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052・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 衆議院の附帶決議の事項は、次の第三章の紀律の問題と關聯がございまするが、第二十四條に「船長は、海員を懲戒しようとするときは、三人以上の海員を立ち合わせて本人及び關係人を取り調べた上、立會人の意見を聽かなければならない、斯う云ふ條文がございます、そこで當時御質問に對しまして御答へ申上げて置きましたけれども、此の「立會人の意見を聽かなければならない」と云ふ字句は、是は必ず立會人の意見を船長が採入れなければならないのか、斯う云ふ御質問がございました、處が此の字句はさうではございませぬので、船長が適當と認めた三人以上の海員に立會はせまして意見を述べさせますけれども、其の船長の判斷が飽く迄船長の航海安全保持の獨自の意見に基いた判斷であると斯樣な意味合から致しまして、其の誤解を解く爲に、其の點を附帶決議として明記されたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=52
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053・田島正雄
○田島正雄君 左樣でございますか、要するに船長の航海權は獨立不覊である譯でありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=53
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054・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=54
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055・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 第二章第十四條の但書に但し、自己の指揮する船舶に急迫した危險があるときは、この限りでない、此の命令と云ふことはどう云ふ場合を考へますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=55
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056・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 其の命令の内容として考へて居りますのは、大分細かくなりますが、一應申上げて見ますと、遭難船舶の船長は遭難信號に應じた船舶の船長と協議した上適當なりと認めた船舶を選定して救助を要請する、それから又次のやうな場合は救助に赴かなくても宜しい、其の事例と致しましては、遭難信號を接受致しましても、先程申しました、第一に救助の要請を受けない船舶の船長は、救助を要請された總ての船舶の船長から救助に行くと云ふ旨の通報を接受した場合、第二と致しまして遭難の所在に付て接受した船舶から救助の必要がないと云ふ旨の通報を受けました時、第三は無線電信に依り遭難信號を接受した場合に於きまして已むを得ない事由で救助に赴くことが出來ない時、又は特別の事情に依り救助に赴くことが適當でないか若しくは必要でないと認めました時、但し其の場合に於ては其の旨を遭難船舶の船長に通告しなければならぬ、斯う云ふことを規定して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=56
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057・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 如何でせう、第三章に入つて宜しうございますか、それぢや第三章に付て御質疑願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=57
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058・田島正雄
○田島正雄君 第三章第三十條爭議行爲の制限規定でありますが、是は現行船員法の規定に比べて違つて來て居るのは、確か現行船員法には二十四時間ですか、豫告云々と云ふことがあつたやうでありますが、さう云ふことが全然之に現れて居りませぬ、それは勞働關係調整法八條と三十七條、それに依つて海運業は公益事業であると認め、從つて勞調法三十七條の規定が適用される、それであるが故に船員法三十條では其の點には觸れなかつた、斯樣に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=58
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059・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=59
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060・田島正雄
○田島正雄君 爭議行爲に依り進行若しくは碇舶の危險が及ぶやうな時、是は現行法でも同じやうな言ひ方をして居るやうでありますが、是は必ずしも航海中のみでなく、碇泊中に於ても、假に爭議に依つて船員が全部船を去ると云ふ風な場合或は船舶に危險が生ずる、さう云ふ場合には爭議行爲は制限される、斯樣に了解して宜いのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=60
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061・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 御説の通り碇泊中に於きましても、船員が全部下船して船舶が或は風水害に依つて岩壁等に打つかつて衝突する、破壞すると云ふやうな虞がありました時は、左樣な場合には爭議行爲は出來ない、斯樣に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=61
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062・田島正雄
○田島正雄君 そこで人命若しくは船舶に危險が及ぶやうな状態であるか否かと云ふことを判斷し、決定するのは誰がやるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=62
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063・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) それは客觀状勢に依つて決まる次第でありますが、恐らく船長はそれを最も判斷し得る人間と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=63
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064・田島正雄
○田島正雄君 船長が判斷するのですか、さうなりますと、同じ三章の二十一條に「海員は、左の事項を守らなければならない。」と、此處に「船長の指定する時までに船舶に乘り込むこと。」「船長の許可なく船舶を去らないこと。」と規定されて居りますが、是は詰り爭議の場合に、爭議手段としての船員が船を去り、或は船に乘つて來ないと云ふ場合に、其の間に船長と云ふ者が存在して、どう云ふ風な關係と考へたら宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=64
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065・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 船長は航海の安全に關しましては公法上の責任を持つて居る譯でありますが、苟くも船の安全に關する場合に於きましては、船長の命令と云ふものは絶對だと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=65
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066・田島正雄
○田島正雄君 從つて言ひ換へれば爭議行爲が船舶に危險を及すと船長が判斷した場合に、船長の職權を以て船員の下船を差止めることが出來ると、斯う云ふことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=66
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067・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 御説の通りと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=67
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068・田島正雄
○田島正雄君 そこで此の船長と云ふ者は抑抑法律第一條で以て、船員と云ふのは「船長及び海員竝びに豫備員をいう。」、斯うあつて船長は船員の一員として船員法の適用を受けて居る、併し今の仰せのやうな場合もあれば、其の外に色々條文に依つてありますが、或場合には船長は他の海員とは違つた立場、或は言ひ換へれば、船舶の所有者の代理者と云ふやうな立場にある場合が屡屡出て來ると思ふのでありますが、さう云ふことに關しては、船長と云ふ者の性格をどう云ふ風に御考になつて居るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=68
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069・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 船長の性格は三つの性格があると思ひます、其の一つは航海の安全の保持と言つたやうな公法的な船長の地位である、第二は今囘の船員法に於きまして、只今田島委員の御話の通り、船長も船員として勞働保護を受ける、勞働保護上の地位、斯う云ふ風に、第三の點は是は商法の關係になつて居りまするが、船舶所有者の代理としての司法上の地位、斯樣に考へまして船長の現在に於ける特異なる地位を認めて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=69
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070・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第三章に付て外に御質問はございませぬか、ございませぬければ第四章に入ります、第四章に付ての御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=70
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071・田島正雄
○田島正雄君 「第三十二條船舶所有者は、雇入契約の締結に際し、船員に對して給料、勞働時間その他の勞働條件を明示しなければならない。」此の場合の雇入契約と云ふものは、何か他の方に規定があつたと思ふのですが、實際問題としては、船長が雇入契約をやるのですね、船主の代理としてでありませうが、そこで其の乘組員に付ては是で分るのですが、さうでなく豫備員、是は船長のやつて居る所謂雇入契約と云ふものには入らない、さうして船主との間に雇傭關係が成立するのでありませうか、さう云ふ場合に於ても當然本法第一條に於て豫備員は船員の一人に加へられると規定されて居る以上、當然此の船員法の保護を受ける、併しながら三十二條に依ると雇入契約の締結に際し、給料勞働時間云々と斯うあつて、其處の所が明瞭を缺いて居るやうに思ひます、此の第三十二條の雇入契約と云ふのは他の條文に出て居る雇入契約と違ふ意味でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=71
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072・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 御説の豫備員に對する場合に於きましては、三十二條だけでは明確でございませぬが、後程第十三章雜則の第百十八條に豫備員の場合に於きましては、雇入契約でなくて、雇傭契約になる譯でございます、其の雇傭契約を船主と致します場合に於きましても、其の三十二條の勞働條件の明示の規定は之を準用すると云ふことに致して居ります、御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=72
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073・田島正雄
○田島正雄君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=73
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074・村上恭一
○村上恭一君 ちよつと前々に戻りますが、此の「紀律」の所ですが、船長の海員に對する懲戒のことは、此の法律に規定してありますが、此の船員に對する國家の懲戒、海員懲戒法と云ひましたか別に法律があります、あの懲戒はどうなるのですか、あれは矢張り行はれることと思ひますが、あの法律と此の法律との關係はどうなるのですか、詰りさう云ふ國家の懲戒の基準が此の法律に規定しなくても宜いのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=74
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075・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 此の法律は航海の安全、船内紀律の立場から採上げて、此の海員全體に對する船長の懲戒義務を規定して居る譯であります、海員懲戒法の方は海面上に從事して居ります所の船舶職員に對して之を適用する、尚又懲戒する手續等に於ても相異なるものがございます、そこで兩者はそれぞれ目的及び手續を異にして居ります、或は同一の行爲で兩方の適用を受けると云ふことが成立するものだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=75
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076・村上恭一
○村上恭一君 それから此の雇入契約のことでございますが、此の雇入契約に付きまして、此の法律に於て海員の性質に鑑みて、特別の規定のあることは當然と思ひますが、雇入契約の本質は民法上の雇傭であるのかどうかと云ふことを伺ひたいのですが、それと言ひますのは、雇入契約が若し本質上民法に於ける雇傭であるとしますれば、雇入契約に關しては、本法に特別の規定のない事項に付ては、民法の雇傭に關する規定を適用すると云ふことになる筈と思ひますが、そこの關係を御教示を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=76
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077・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 雇入契約は乘船の際の意思の合致でございまして、船員が乘船勞働關係に入る關係に於ける所の雇傭契約であると、斯樣に考へて居ります、そこで包括的な雇傭契約が乘船と同時に雇入契約に變形したものである、斯樣に考へられる譯でございまして、まあ形式的には廣義の雇傭契約である、實質的には一般の雇傭契約の要素と乘船勞働關係の要素を合せて持つて居ると、斯樣に考へて居る譯であります、そこで乘船の際にはどう致しましても、一般的の雇傭契約の外に、どう云ふ船に自分が乘るか、或はどう云ふ航路で參るか、或は職務、報酬或は船長は誰か、期う云ふ海上勞働の特殊性から之を更に確認する必要がある、斯樣に考へまして、雇入契約の成立を考へた譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=77
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078・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第四章に付ての御質疑はございませぬでせうか、ございませぬければ第五章に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=78
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079・杤木嘉郎
○杤木嘉郎君 此の五十三條の終ひの所の報酬の所に「毎月一囘以上」と謳つてありますが、二囘三囘とやらなければいけないと云ふ御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=79
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080・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 是は特別の場合を想定した譯でございませぬが、普通月一囘と斯樣に考へて居りますが、尚又勞働協約等でそれ以上の必要があれば兎も角と考へて居りますが、原則として月一囘と斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=80
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081・田島正雄
○田島正雄君 五十九條に「勞働組合法による勞働委員會(以下船員勞働委員會という。)」と云ふのが出て居りますが、何れ後に百何條かで此の船員勞働委員會の規定は出て來るやうでありますが、勞働基準法では中央及び地方に賃金委員會と云ふものを設けて、それが詰り船員勞働者の賃金に關する事柄をやると云ふ建前ですが、船員に於ては左樣な特殊の勞働賃金に關する委員會と云ふものを考へないで、要するに、勞働組合法に依る勞働委員會の賃金、給料のことも總て此の委員會でやる、斯う云ふ建前なんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=81
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082・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 船員に關しては、船員の地方勞働委員會、中央勞働委員會も、船員法に依る船員の勞働問題を扱つて居る譯でございまして、大體産業が比較的單一でございます、此の委員會に給料其の他の諸般の問題も併せて御審議を願つた方が適當と考へまして、此の委員會に併せて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=82
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083・田島正雄
○田島正雄君 と云ふことは、要するに此の百十條に後で船員勞働委員會と云ふ規定が出來る、是は要するに船員勞働に關する限りは勞働組合法に依つて勞働委員會を作つて、是が單一の委員會として總ての事柄を船員に關する限りは此處で審議をする、斯う云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=83
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084・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) さうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=84
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085・田島正雄
○田島正雄君 今の五十九條の第二項でありますが、船舶所有者は前項の規定に依り最低額が定められた場合には、命令の定める場合を除いて其の額に達しない額の給料其の他の報酬で船員を使用してはいかぬ、斯うなつて居りますが、此の命令の定める場合と云ふのはどう云ふ場合を豫想されるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=85
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086・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 此の場合は一例を申せは見習ひ、斯う云ふ場合を考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=86
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087・田島正雄
○田島正雄君 勞働基準法でも三十一條に於て、最低賃金が定められた場合の規定、之に類似した規定がありますが、同時にそれには「但し、左の場合においては、この限りでない。」と云ふことをはつきり此の法律の中で謳つて、一、二、三の條項を考へて居るのですが、船員に付ては斯う云ふ除外規定を設ける必要はないと云ふ御考でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=87
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088・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 勞働基準法の三十一條の一、二、三號でありますが、一號、二號の場合は船員には原則として是はない、斯樣に考へました、第三號の場合に只今私が申しましたやうな、學校卒業後の見習ひ、さう云ふものがある、斯樣に考へまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=88
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089・田島正雄
○田島正雄君 それを別に命令で定める、斯う云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=89
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090・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=90
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091・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 如何でせうか、外に御質疑はございませぬでせうか、ございませぬければ午前は此の程度で打切りまして、午後から續いて開會致したいと思ひます、午後二時から開會致します
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後二時三十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=91
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092・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは只今から午前に引續きまして委員會を開催致します、第六章の「勞働時間、休日及び定員」の方から始めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=92
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093・田島正雄
○田島正雄君 六十九條に「必要な海員の定員を定めて、」と云ふ書き方になつて居りますが、是は船舶所有者が定めると云ふ意味に取られるのでありますが、さう解して宜いのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=93
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094・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 御説の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=94
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095・田島正雄
○田島正雄君 さうすると是は船舶所有者が自分の判斷で、六十條乃至六十六條の勞働時間及び休日の規定を行ふのに、是だけの定員で宜いと云ふ、自分の判斷でそれを決めて宜い、それに付て別に許可とか認可とか云ふことはないのでありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=95
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096・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 船舶所有者が此の規定の本條に基きまして定員を決める譯でありますけれども、就業規則に關聯する場合に於きましては、矢張り政府に對して定員の報告を出さすのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=96
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097・田島正雄
○田島正雄君 七十條では「甲板部の屬員で航海當直をすべき職務を有する者」と是だけは特定して法律で決めて居りますが、其の外は六十九條の規定に支配されると云ふことになると、總て今の御説のやうな方法で決つて行くべきだと斯う考へて宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=97
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098・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 其の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=98
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099・田島正雄
○田島正雄君 此の七十一條の規定で、甚だ諄いやうですが、相當重要な事柄と思ひますから、改めて御尋ねして置きたいのですが、所謂此の海上勞働條約の基準と比べて違ふ云々と云ふ問題は、昨日來偶偶有給休暇が例に採られて主としてそれが議論され、本日午前中も共の問題が出て、色々當局の御説明も承つた譯でありますが、此の七十一條の規定も同樣な意味合に於て、國際海上勞働條約の基準と何が故に違はなければならぬかと云ふことが相當大きな問題として注目されて居る譯なんで、それに付て一つ御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=99
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100・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 本條で適用範圍を決めました理由と致しましては、現在の日本の船舶が非常に限定せられて居る、斯樣な關係から此の程度の船舶に適用致しませぬと、勞働時間制を設けましても殆ど適用船舶がない、斯樣に考へまして勞働條約よりも聊か範圍を擴張したのであります、尚又勞働基準法の特別の場合を除きましては殆ど全陸上勞働者に八時間制を適用することに相成つて居ります、それと海上勞働との權衡を取ります上から申しましても、海上勞働者には此の程度の勞働時間制を適用させたい、斯う云ふ意味から擴張致しました譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=100
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101・廣幡忠隆
○侯爵廣幡忠隆君 八十二條の此の百人以上云々と云ふのは、適任證書を持つて居る水夫ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=101
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102・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 八十二條のは適任證書を持つて居る者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=102
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103・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第六章に付ては外に御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=103
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104・田島正雄
○田島正雄君 七十一條の今の政府委員の御答は一應了承致しましたが、之に付ては相當まだ議論の餘地があるやうでありますが、是以上議論に亙ることは控へまして、一應只今の御説明を承つたことにして私の質問を打切つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=104
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105・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御質疑はございませぬでせうか、次は第七章、有給休暇発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=105
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106・田島正雄
○田島正雄君 七十五條はもう今朝來議論を盡されたやうに思ひますから、是以上觸れることを控へますが、七十七條で有給休暇を與ふべき時期及び港に付ては、船船所有者と船員との兩者の協議に依つて、有給休暇を如何なる時期或は上陸の時にするかと云ふことが決まると斯う解釋されますが、此の場合船舶所有者の協議の相手方たる船員と云ふのは、個々の船員を意味するものであるか、或は海員組合の如き船員の勞働團體との團體交渉と云ふ意味合になるのでせうか、其の點を一つ御説明を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=106
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107・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 此の場合は個々の船員との協議に相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=107
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108・田島正雄
○田島正雄君 個々の船員ですか、分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=108
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109・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第七章の御質問がございませぬければ、第八章、食料及び衞生の點に付て、それでは第八章に御質問がございませぬければ第九章に移ります、年少船員及び女子船員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=109
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110・杤木嘉郎
○杤木嘉郎君 此の八十五條の年齡十八年未滿と云ふのは數へ年ですか、それとも滿ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=110
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111・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 是は滿で行きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=111
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112・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第九章はございませぬでせうか、先に進んで宜しうございますか、それでは第十章災害補償発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=112
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113・田島正雄
○田島正雄君 八十九條第二項の規定は職務以外の負傷疾病の場合のことでありますが、勞働基準法に於ては之に該當するものはないやうであります、即ち職業上の疾病に付てのみ使用者が負擔して居る、處が本法に於ては斯樣な規定が設けられましたのは、所謂海上勞働の特殊性に鑑みて尤ものことでありますが、此處に「雇入契約存續中」と云ふことは勿論豫備員に付ては適用がない、豫備員の職務外の負傷に付ては船舶所有者の負擔にならないと斯樣に思ひます、斯樣に解釋して宜しうございますか、もう一つは雇入契約存續中であれば、必ずしも船中でなくても、碇泊中に上陸して、例へば自動車に轢かれたと云ふやうな、是は雇入契約中の職務外負傷で、必ずしも故意又は重大な過失でもないと云ふ風に解釋されますが、さう解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=113
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114・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 一番初に御尋の豫備員の場合は含んで居りませぬ、それから次は自動車等で負傷しましたやうな場合でございますが、矢張り職務外で負傷致しましても是は適用があると、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=114
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115・田島正雄
○田島正雄君 故意又は重大な過失でない限りは、船外でもさう云ふやうな事故があれば負擔する、斯う云ふことですな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=115
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116・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=116
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117・田島正雄
○田島正雄君 續いて關聯質問を續けて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=117
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118・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=118
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119・田島正雄
○田島正雄君 九十一條「命令の定める報酬(以下標準報酬という。)」、是の一つ意味を御説明戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=119
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120・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 概要を申上げますと、報酬月額に基きまして、幾つかの段階に分けて標準報酬を定めたいと思ひます、報酬月額の範圍は給料、乘船手當、機關部員手當、輸送船手當などを稱して居りますが、給與形態の變更に依りまして、實情に應じて決定して行きたいと考へて居る次第であります、尚標準報酬は最終標準報酬と斯樣に考へて居ります、尚歩合制の場合に於きましては特別の規定を設けまして、一定の報酬の月額を定める、斯樣なことに相成つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=120
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121・田島正雄
○田島正雄君 それはさうすると命令に依つて、基準的な報酬と云ふものが決められると云ふことになる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=121
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122・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 標準報酬と申しますのは、例へば百二十圓、百五十圓、百八十圓と相當な段階を設けるのでありまして、實際の船員の給料は百二十五圓とか或は百五十五圓とか云ふものでありますが、それは標準の段階の方に引付けまして百二十圓なり百五十圓を標準報酬とする、さう云ふことを標準報酬と申します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=122
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123・田島正雄
○田島正雄君 今ちよつと其の條文が見當らないのですが、最低賃金或は最低給料を決める……ありました、五十九條、「行政官廳は、必要があると認めるときは、命令の定めるところにより、勞働組合法による勞働委員会(以下船員勞働委員会という。)の議を經て、給料その他の報酬の最低額を定めることができる。」、之に依つて今の標準報酬と云ふことも決つて來る譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=123
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124・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 五十九條は最低報酬でありまして、今の御尋の點は九十一條でありまして、それとは自ら違ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=124
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125・田島正雄
○田島正雄君 只今杤木委員から御尋がありましたが、私の質問を繼續して宜しうございますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=125
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126・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=126
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127・田島正雄
○田島正雄君 九十一條の續きですが、第二項ですか、負傷又は疾病が癒つた後豫後手當を拂ふ、其の豫後手當を何時迄拂ふかと云ふことが是でははつきり分らぬのですが、是はどう云ふのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=127
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128・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 是は癒りました際に一囘だけ拂ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=128
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129・田島正雄
○田島正雄君 一囘だけですか、成程……、それは分りました、それから九十二條「船員の職務上の負傷又は疾病がなおつた場合において、なおその船員の身體に障害が存するときは」云々の「手當を支拂はなければならない。」、此の別表と云ふのは最後に出て居ります、第一級から第十四級迄、之を意味すると思ひますが、一級から十四級迄はどう云ふ風な基準に依つて實際上適用されるものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=129
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130・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 額は現在の額を若干引上げて居りますが、程度は障害の、例へば兩足がないとか兩腕がないとか片腕がないとか、さう云ふやうな段階に分けまして、各級に手當を分けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=130
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131・田島正雄
○田島正雄君 此の別表には片足とか片腕とか云ふことは明記してございませぬが、それは別に表示されるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=131
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132・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 命令で定めることに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=132
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133・田島正雄
○田島正雄君 次に第九十五條ですが、之に依りますと、「船員保險法による保險給付又は命令で指定する法令に基いて」云々、仍て「災害補償の責を免れる。」、是は船員保險法の問題に關聯するのでありますが、是は此の前の本法の各條項に依つて規定された船舶所有者の補償義務を此の船員保險が代つて負擔すると云ふ點に相當重要な關聯を持つて居ると考へますが、現行の船員保險法に付ては、種々不備、或は實際に適して居ない點があるので、其の改正の必要が豫て各方面に唱へられ、又當局に於ても改正の御意思があるやうに承知をして居るのでありまするが、其の船員保險法の改正が現在政府に於て如何なる程度に準備が進められて居るのか、之を實は承りたいのでありますが、此の問題に付ての主務省の政府委員が御出席でなければ其の御答は暫く後に致しまして、兎に角此の十章の中の關聯質問として之を御願ひ致して置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=133
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134・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 厚生省の岩瀬事務官が來ておいでになりますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=134
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135・田島正雄
○田島正雄君 さうですか、それでは一つ御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=135
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136・岩瀬繁一
○政府委員(岩瀬繁一君) 御答へ申上げます、船員法の改正に伴ひまして、只今御審議中の第十章、災害補償の規定に設けて居りまする、船舶所有者の責任を船員保險法に於きまして全部之をカバー致したい、斯樣に考へまして、其の線に沿ひまして、例へば船員保險法の中の、傷病手當金でありまするとか、或は療養の給付の諸點でありまするとか、乃至は障害手當に付きましての給付の基準になりまする報酬の額でありまするとか、さう云つた諸點に付きまして段々と今檢討を進めて居ります、大體私共の關係での準備は出來上つたのでありますが、關係方面との接衝に於きまして多少手間取りまして、實は此の議會にはちよつと間に合ひ兼ねるのではなからうかと、斯樣に考へて居りますが、次の議會なりに出來るだけ早く之を提出致したい、此の改正に依りまして、船員法の船舶所有者の補償責任の義務を完全にカバー致したい、斯樣に考へて居ります、尚此の船員法の改正法案の附則の方にありまするが、大體災害補償の施行期日は命令で別に之を定めると云ふやうなことになつて居るやうでありますし、第十章の規定と、それからそれをカバーすべき船員保險の方の施行期日は合せて參りたい、實は斯樣にも考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=136
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137・田島正雄
○田島正雄君 尚此の船員保險に關しまして御尋して置きたいと思ひますのは、要するに此の船員法を改正し之を施行する上に於て、船員保險の運用と云ふことが不可分的な關係に置かれまするので、船員保險に關する事務を船員行政を主管する官廳が纏めてやるのが宜いのではないかと云ふ此の考へ方です、是は實は衆議院の委員會に於て本案が採決されまする際の附帶決議の中にも同樣なことが掲げられて居りますが、之に付て政府の御考はどう云ふことに相成つて居りませうか、此の機會に伺ふことが出來れば幸せであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=137
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138・岩瀬繁一
○政府委員(岩瀬繁一君) 御答へ申します、厚生省と致しましては從來から船員保險も他の健康保險乃至は厚生年金保險、斯う云つた一連の所謂社會保險體系の一つの保險システムである、さうして社會保險の體系全部を同じ所で行政の責に當つて行く、斯う云ふことが各保險システムの間の連絡もうまく出來まするし、統一的に運營もされて行く、其の方が望ましいのではないか、斯樣な考へ方で實は來て參つて居ります、先の般員法の改正法案に付きましての衆議院の附帶決議の趣旨もあることでもありますし、尚内部で檢討は致して見たいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=138
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139・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 今の田島委員の御尋に關聯致しまして、般員行政の面から申しますと、災害補償の規定が元で、之を裏打するのが船員保險の仕事でございます、勞働關係の勞働保險に關聯したものは是は船員行政と非常に密接な關係がございまして、此の點に付きましては尚關係省とも十分協議致しまして、最も適當なる措置を講じたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=139
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140・田島正雄
○田島正雄君 兩省の御考は只今の御答辯で了承致しました、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=140
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141・杤木嘉郎
○杤木嘉郎君 八十九條に船主と船員の間に「故意又は重大な過失」云々とありますが、此の點で船主は故意又は重大過失であると言ふ、般員はさうでないと言ふ、さう云ふ爭が起きた時には矢張り普通の訴訟に依つて解決するのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=141
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142・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 九十六條に審査及び仲裁の規定がございまして、此の災害補償に關する諸般の紛議に關する解決を致すやうに致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=142
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143・渡部信
○渡部信君 只今の八十九條第二項の、私全く素人でありますが、船員と云ふのは、豫備員は含まないと云ふさつき御話でございましたが、此の法律の第一條では豫備員は船員に入つて居るのですが、どうして含まないと云ふ解釋が起るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=143
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144・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 第二項の場合は、雇入契約存續中でございまして、雇入契約は乘船を前提と致して居りますから、豫備員は乘船して居りませぬので含まない、斯樣に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=144
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145・渡部信
○渡部信君 第二條には豫備員と云ふのは船舶に乘込む爲に雇傭されて居る者で船内で使用されて居ない者、斯うありますが、さう云ふ船内に乘込む爲に雇傭されて居る者は、第一條で船員となつて居るに拘らず、さう云ふ解釋は出來得るのですか、實際問題として起り得るのぢやないかと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=145
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146・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 豫備員は船舶に乘込む爲に雇傭されて居りますけれどもまだ雇入契約は成立して居らない、雇傭契約は船主との間に成立して居るけれども雇入契約はまだ成立して居ない、第八十九條の場合は雇入契約存續中とございますので、是は乘船して居る船員を對象と致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=146
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147・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 第十章に付て御質問は外にございませぬですか、ございませぬければ第十一章就業規則に移ります、第十一章に付ての御質問はどうですか、ございませぬければ第十二章監督に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=147
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148・田島正雄
○田島正雄君 第百一條及び第百二條の行政官廳と云ふ言葉は、私は昨日本會議で大臣の御答を伺ひましたが、是は中央に於ては運輸省、或は地方に於ては海運局と云ふやうな意味に解して宜しうございますか、第百五條の主務大臣とありますのを同じく運輸大臣と解釋して宜しいのでありませうか、其の邊を御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=148
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149・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 行政官廳は海事官廳でありまして、御説の通りであります、第百五條の主務大臣も矢張り最は海事官廳の主務大臣である運輸大臣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=149
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150・田島正雄
○田島正雄君 其の百五條に「主務大臣は、所部の職員の中から船員勞務官を命じ、この法律及び勞働基準法の施行に關する事項を掌らせる。」とありますが、是は百一條及び百二條の規定に依る本法及び勞働基準法の運用をするのは船員勞務官と云ふ特殊の官吏が主務大臣に依つて任命されて、其の官が之を掌るのだ、斯う云ふ意味でせうか、換言すれば、例へば地方に於ては現在の海運局長は同時に改めて船員勞務官と云ふ官職を帶びると云ふ形になるのでせうか、其の邊の取扱に付て政府の御考を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=150
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151・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 船員勞務官は行政官廳とは別個の存在をなして居りまして、それぞれ行政官廳、船員勞務官、それぞれの職務及び權限を以て行爲をする、斯う云ふやうなことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=151
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152・田島正雄
○田島正雄君 只今の御答に依りますと、船員勞務官と云ふものは中央に於ては、例へば船員局長、地方に於ては海運局長とは別個の人格がそれに當ると云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=152
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153・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 別個の人格でありますけれども、實際上は補職を致します際に、例へば地方の海員局であれば船員課長、或は勞政課長であるとか、或は船員關係の擔當官を補職を致します、其の間に於て行政官廳と船員勞務官との有機的な連絡があります、斯樣に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=153
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154・田島正雄
○田島正雄君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=154
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155・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に十二章に付ての御質問はございませぬか、それでは第十三章雜則に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=155
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156・田島正雄
○田島正雄君 百十四條の意味はちよつとはつきり分りませぬのですが、御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=156
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157・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 「船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手當、送還手當又は傷病手當のうち、その二以上をともに支拂うべき期間については、いずれか一の多額のものを支拂うを以て足りる。」、是は例を採つて御説明致しますると、例へば船舶が沈沒致しました爲に雇止になりましたやうな場合であります。此の場合に於きまして、送還されると云ふ際の失業手當と送還手當が此の場合には重複を致します、其の場合に於きましては、其の何れか一つの多額のものを支拂へば宜しい、一方だけ支拂へば宜しい、斯う云ふ譯であります、或は船舶の沈沒の爲に負傷した者が雇止になりましたやうな場合に、傷病手當を貰ふと同時に失業手當も貰ふ、此の場合に於きましても、何れか多額のものを一方だけ拂へば宜しい、斯う云ふやうな解釋であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=157
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158・田島正雄
○田島正雄君 讀んで行くと、今の御説明のやうな意味に取れるのであります、是は船舶所有者の負擔は輕くなる譯ですが、色々の斯う云ふ變つた手當を決めた根本精神から言つて、何かちよつと筋が通りにくいやうな氣がするのですが、それで宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=158
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159・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 是等の諸手當は船員の其の月の生活の保障をする、斯う云ふ精神に出て居りますので、敢て此の點は重複の必要はない、斯う云ふ見解の下に政府としては考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=159
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160・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは十三章は是で宜しうございませうか、他に御質問はございませぬですか、御質問がございませぬければ、第十四章罰則に入ります、十四章に付ては御質問ございませぬか、ございませぬければ、附則に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=160
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161・田島正雄
○田島正雄君 附則の百四十二條、戰時標準型の船舶に關する除外規定でありますが、是は船舶所有者の申請に依るのでなくして、行政官廳が一方的に勞働委員會の議を經て指定すると云ふことでありますか、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=161
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162・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 行政官廳が認めて勞働委員會に付議する譯でございまするけれども、實際上の運用と致しましては、船舶所有者と十分御連繋を取つてやつて行く、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=162
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163・田島正雄
○田島正雄君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=163
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164・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御質疑はございませぬでせうか、御質疑がございませぬければ、今日は此の程度に致したいと思ひます、速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=164
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165・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を始めて、明日は午後一時半から開會致します、本日は是で散會致します
午後三時十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=165
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166・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 後藤一藏君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
委員
侯爵 廣幡忠隆君
子爵 實吉純郎君
子爵 七條光明君
村上恭一君
渡部信君
霜山精一君
男爵 小原謙太郎君
男爵 前島勘一郎君
板谷順助君
田島正雄君
山地土佐太郎君
杤木嘉郎君
國務大臣
運輸大臣 増田甲子七君
政府委員
厚生事務官 岩瀬繁一君
運輸事務官 佐藤榮作君
同 有田喜一君
同 秋山龍君
同 大久保武雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00219470324&spkNum=166
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