1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○船員法を改正する法律案
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昭和二十二年三月二十五日(火曜日)
午後一時四十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=0
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001・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは昨日に引續きまして船員法の一部を改正する法律案の委員會を開會致します、昨日で全部の、各條の審議は終つたのでありますが、尚全般のことに付て御質疑の御希望の方がございまするならば、此の際御質疑下さつて宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=1
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002・板谷順助
○板谷順助君 大體此の船員法に付て、外國に、例へばアメリカなりイギリスなりに斯んな條件が附いて居る所がありますか、それを一つあるならばあるとして御示しを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=2
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003・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 外國の立法例に關しましては、戰爭中及び戰後の新しい資料がなかなか最近の國際情勢上入手が困難でございます、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、ノルウエー等の船員法は大體參照を致して居りますが、最近の諸國の勞働立法状況は、殘念ながら明確になるに至つて居ないと云ふ状況であります、最近の國際勞働會議中、アメリカ若しくは其の他の諸國で開かれました會議の經緯等から大勢を判斷致しますと、概ね此の船員法の趣旨に從つて動いて居ると云ふやうな風に看取されるものもございまして、大體斯樣な規定を作りましたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=3
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004・板谷順助
○板谷順助君 併し大體アメリカ或はイギリスに於きましては、國内法なるものを設け、此の隣接區域と云ふやうなことに付てもそれぞれ法規がある筈だと思ひます、それから國際海上勞働條約に付ては、御承知の通りまだ全部の國が加盟して居る譯でもないのでありますが、併し國内法規と云ふものはあるでせう、それも分りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=4
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005・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 先程私が列擧しました各國のは、各國の國内法規である船員法を參照致しましたのであります、唯法典が少し古くございますが、最近の立法例に付てはまだ入手が出來て居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=5
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006・板谷順助
○板谷順助君 さうすると、例へば隣接區域と云ふのはイギリスならばフランスを矢張り隣接區域に見て居るが、我が國に於ては朝鮮、臺灣などはどう云ふ風になるのですか、隣接區域と見るのか見ないのか、あなた方の方の解釋はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=6
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007・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 隣接區域と云ふ條約の字句は、私共の方と致しましては、一應ヨーロツパ等に於ける陸上續きと、斯樣に解釋致しまして此の法案を作製致しました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=7
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008・板谷順助
○板谷順助君 さうすると朝鮮は含まぬと云ふことですか、もう一遍はつきり願ひたい、例へば陸上續きと云ふやうな御話であるが、イギリスとフランスの關係の如きは、兎に角海を隔てて居るのに之を隣接區域と見て居る …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=8
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009・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 朝鮮を隣接國と見るや否やと云ふことは、非常にデリケートな問題であると考へて居ります、そこで海を隔てました隣接國を全部包含すると云ふことになりますと、島國である日本に取りましては、非常に範圍の不明確なことに相成る譯であります、そこで條約は隣接國であることを條件として、當該國の協議の下に之を採り入れると云ふことになつて居ります、其の間には種々國際的な處斷も必要でございますので、一應ここでは一般的な隣接國と致しましては、明確に致して居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=9
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010・板谷順助
○板谷順助君 只今の御答辯では曖昧でどうも要領を得ませぬが、それは兎に角としまして此の規定から行きますると云ふと、例へば無線部の職員なども少くも三名置かなければならぬと解釋して居ります、機關部あたりも今後機械が段々進歩して、人手を省くやうな情勢に無論なると思ふのですが、其の點に付てはどう御考になりますか、定員が規定されて居つてそれに萬一違反した時に懲役とか、罰金と云ふ非常に重い罰則が附いて居る譯ですが、今後申上げますやうに定員と云ふものは、船の構造或は能力又機械の發明其の他に依つて段々人員が減少されると云ふ時代の來ることを豫想しなければならぬ、其の場合に於てそれはどう云ふ風に御解釋になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=10
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011・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 機關部職員に關しましては規定がございませぬが、是は御承知のやうに、機關部は機關の種類に依りまして、非常に定員を決め難い性質を持つて居ります、ここでは法律としまして明確に定めることを避けたやうな次第であります、尚無線部の職員に付きましては、是は無線には屬員は居ないのが建前でございますので、敢て規定して居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=11
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012・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 板谷さん、もう御質問は宜しうございますか、それでは是から懇談に入りたいと思ひます
午後一時五十八分懇談會に移る
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午後三時二十五分懇談會を終る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=12
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013・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは只今から委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=13
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014・板谷順助
○板谷順助君 此の法案に依りますと、其の公布の日より効力を生ずると云ふ此の公布と云ふのは何時御やりになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=14
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015・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 可及的速かに準備を整へまして、さうして諸般の命令事項なんかが整ひます次第公布したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=15
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016・板谷順助
○板谷順助君 新國會法では此の公布を奏上して三十日以内と云ふことが何か條文にあるさうですが奏上が延びれば從つて公布に手加減すると云ふものが出來ますか、それから勞働基準法に於ては「勅令の定むるところにより」と書いてある、さうすると勅令を出さなければ期日が或程度迄延ばされても宜いと云ふのですか、どうして一緒にしなかつたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=16
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017・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 此の船員法に於きましては、所謂災害補償の規定を別に定めることにしてあります、其の結果、立法技術の關係上、公布の日よりとしたやうな次第でありまして、實質的には先程申上げましたやうに諸般の命令事項が決定致しまして、さうして勞働基準法の所謂勅令に依つて施行される、それと睨み合せまして本法の公布の期日を定めたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=17
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018・板谷順助
○板谷順助君 さうすると、若し勞働基準法が延びれば從つて是もそれと睨み合せると云ふ御言葉がありましたが、延ばすことが出來ると云ふ、斯う云ふことになるのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=18
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019・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 本法には勞働基準法の條項を適用して居る部分も相當あります、陸と海との勞働保護立法でありますから、相成るべくは同日、或は少くとも前後した時期を以つて進みたいと、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=19
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020・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御質問はございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=20
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021・長島銀藏
○長島銀藏君 之に對しましては施行細則とか施行規則とか云ふものは別に御作りになる御考はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=21
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022・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 本法律にも命令に定むると云ふ條項がございます、其の他施行規則と云ふやうな點、是は作る考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=22
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023・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御質疑がなければ討論に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=23
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024・板谷順助
○板谷順助君 私は本法案の制定に付きましては、機會ある毎に屡屡申上げましたる通り勞資協調の精神を缺いて居りまして、所謂經營者側に於ては此の法案の付議に付ては極力反對をして來たのであります、處が政府當局は勞資協調の精神に基いて臨時船員の審議會或は公聽會に於て決めたものであると云ふことを仰しやつて居つたけれども、事實に於てはさうでありませぬ、經營者側に於ては若し此の條件が其の儘施行されることになつたならば、現下の我が國の殆ど全滅に近い所の海運界の再建と云ふことは、不可能であると云ふことを極力其の當時に於て主張されたのであります、又先程來、或は昨日來色々政府の御答辯を承つて見ましても、例へばイギリスに於てもアメリカに於ても最近に於ける所の海上勞働條件に付ては分らぬ、其の内容は分らぬ、然るに唯據るべきものは國際海上勞働條約の條件のみでありまするが、此の點から考へて見まして、我が國の現在の海運復興を圖るに付ては如何にも行過ぎて居ると云ふ感が非常に深いのであります、でありますから、今後此の法案の運用に付きまして只今全員が色々懇談會を聞いて協議を致しました結果、將來此の法案の改正を要する其の點に付きまして、殆んど修正に近い意味に於ける勿論‥ 本案を修正すると云ふ譯ではありませぬが、將來に於て之を改正をすると云ふ此の方針に基きまして、強い希望條件を附したのであります、只今之を朗讀致します
希望決議
一、本法案の規定中、國際海上勞働條約所定の條件に加重し、我が國現在の國情に適せず、海運の再建を妨ぐる虞あるものあり、仍つて勞資協調の精神に基き、之が實施に當りては適當に緩和の方策を執るの要ありと認む、即ち
(一)、勞働時間、休日及び定員に關する規定は、左の船舶に適用せざること
1、國際航海に從事せざる船舶
2、主務大臣の指定する隣接國の近海のみを專ら航行する船舶
(二)、有給休暇の期間は國際海上勞働條約に準據し、船主と船員の間に於て、船舶運航に支障なき程度に於て協定すること
二、衆議院委員會に於ける附帶決議は、本委員會に於ても之に贊同す、仍つて政府は其の趣旨の實現に對し、適當なる措置を講ずべきことを要望す以上の希望決議に基き、後日本法に相當の改正を加へ、萬遺憾なきを期すべし
以上の希望決議を付けまして本案に贊成する者でありまするが、只今申上げましたる通り、我が國の海運の再建と云ふことは容易ならぬ大事業であります、從つて勞資協調、船主と船員が共に一致協力をして進まなければ到底此の目的を達することは不可能と考へるのであります、從つて今申上げましたることは、大體に於て修正すべき箇所でありまするけれども、現在の時局に鑑み、又會期切迫の際でありまするから、必ず此の趣旨に基いて、後日之に對する適當の改正をされむことを要望致しまして、本案に贊成を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=24
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025・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御意見はございませぬか、それではこれより採決に入ります、只今の板谷君の朗讀されました希望決議を附することに付きまして、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=25
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026・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議なしと認めます、それでは委員長が本會議場に於て、報告致しまする時に、此の附帶決議を附して御報告を致すことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=26
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027・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 速記を止めて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=27
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028・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を止めて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=28
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029・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を始めて、では原案の採決を致します、船員法を改正する法律案は原案の通り可決すべきものと決定致して宜しうございませうか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=29
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030・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議ないと認めます、それでは是にて散會致します
午後三時四十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=30
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031・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 後藤一藏君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
委員
子爵 七條光明君
村上恭一君
渡部信君
男爵 小原謙太郎君
男爵 前島勘一郎君
板谷順助君
田島正雄君
杤木嘉郎君
長島銀藏君
國務大臣
運輸大臣 増田甲子七君
政府委員
運輸事務官 有田喜一君
同 大久保武雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202068X00319470325&spkNum=31
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