1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○地方自治法案
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)
午前十時二十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=0
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001・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 是より
委員會を開きます、昨日に續きまして、本日は第三編の「特別地方公共團體及び地方公共團體に關する特例」、之に付きまして政府當局の御説明を煩したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=1
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002・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 第三編は、第二編が普通地方公共團體に付きましての規定でありまするのに對應しまして、特別地方公共團體に付ての規定と、それから地方公共團體の特例として茲に一、二規定を致して居るのであります、特別地方公共團體の規定の仕振りは、大體普通地方公共團體に關する規定が使へますものは、之を準用して使ふことに致しまして、一般の普通地方公共團體の規定の特に適用出來ない所だけを書き出すやうな規定の方法を採りました、第一節は「特別市」の問題でありますが、是は特別市は、性格的に申しますと、府縣の區域から獨立を致しました地方公共團體になりまして、從つて特別市と致しましては、其の區域内に於きまする府縣の仕事と、それから市の仕事、其の二つの團體が普通の府縣に於て持つて居りまする仕事を併せてやると云ふことになる譯であります、府縣と市との兩方の性格を併せ備へて居ると云ふのが特別市の性格と云ふことになります、第二百六十四條では、左樣の趣旨で規定を致してあるのであります、二百六十五條の第一項は、今申しました府懸から獨立をして居ると云ふ點を規定致しました、尚特別市の設定の方法でありますが、是は人口五十萬以上の市に付て法律で之を指定すると云ふことに致しました、人口五十萬以上の市と申しますと、所謂從來五大都市と申しまする市が總て包含されるのであります、其の他の市は大分是と人口が懸け離れて居ります、此の特別市を指定致します法律は、憲法九十五條の、「一の地方公共團體のみに適用される」法律と云ふことになる譯でございます、從つて其の特別市を指定致します法律は、其の特別市の住民の一般投票に付せられると云ふことになるのであります、特別市の指定の方法に付きましては、色々の方法があらうと思ひます、或は地方議會の議決を經て之を定めるとか、或は關係の全體の縣民の一般投票に依つて決めるとか、色々方法があると思ひますが、此の法案に於きましては、特別市の市民の一般投票に付すると云ふ方法を採りました、さうして特別市を其の區域に施行することが宜いかどうかと云ふことに付きましては、國會に於て、第一次に國家的な立場から之を判定をして、施行した方が宜いと云ふことになりましたならば、其の法律を其の特定の市民の一般投票に付すると云ふことになる譯であります、關係府縣民の全部の一般投票にせよと云ふ論もありますが、是は凡そ縣民と、其の特別市民との關係と申しますのは、百八十度に利害相反するものでありまして、此の兩者の一般投票に付すると云ふことは、それ自身としましては、唯數の如何に依つて事が決るだけでありまして、特別の意味がないやうに考へるのであります、從つて寧ろ左樣な直接利害當事者の立場を離れた國會が國家的に第三者的な立場から之を判定すると云ふ方法を採り、それを更に特定の市民がそれを望むかどうかと云ふことを確認する意味で、之を一般投票に付すると云ふ、斯樣な建前に致したのであります、それから特別市の指定の法律が動きますならば、自から關係府縣の區域が、特別市の分だけ減じて來ると云ふことが、其の次の項に規定をしてあるのでございます、特別市の指定がありましたならば、府縣の境界が自から變更すると、斯う云ふ風に規定してあるのであります、其の他は大體一般の市の境界變更、府縣の境界變更の例に倣つて規定を致して居ります、二百六十五條は特別市と市町村との關係でありますが、是は矢張り區域の問題でございまして、府縣の場合と異なる規定を必要と致しますので、特に此處に規定を設けたのでありますが、此の點に付きましては、衆議院に於きまして、境界の畫定の訴を起して事柄を決定するやうに、一般の市町村の場合に修正をされましたので、それに對應致しまして、二百六十六條も内務大臣が裁定するのでなく、裁判所が境界畫定の訴に基いて之を決めると云ふ風に修正をされて居るのであります、尚二百六十七條以下には、此の特別市の組織を、概ね一般の市竝に從來の所謂五大都市の區の制度に倣ひまして規定を致してございます、特別市の規定として特に規定を設けました點は、一般の都道府縣に關する規定が適用し難い點を主として規定を致して居りまして、其の他の點は、特に市の規定を適用するものは、二百七十七條に於きまして條文を列記致しまして、其の他の規定は總て都道府縣に關する規定を適用すると云ふ風に二百七十八條に規定を致してあるのであります、市に關する規定が適用に相成りますのは、茲に特に特別の條文を設けました區域とか、市の組織に關する事項、或は權能に關する事項以外に於きましては、矢張りそれ等の組織、權能等に關聯を持つた規定だけでありまして、其の他は都道府縣に關する規定が適用になるのであります、次に特別區でございますが、是は東京都の區と從來申しました區であります、特別區の制度は、從來財産、營造物に關する法人區として、市制第六條の法人區として認められましたものを、左樣な特定の市に關する法人區でなく、一般的の市と同格の地方公共團體と云ふことに致したのであります、即ち都を基礎的な地方公共團體でなく、區市町村の上に立ちます包括的の地方公共團體に致しましたのと相伴ひまして、此の區と云ふものは市と同格の地方公共團體に致したのであります、但し全く他府縣の市と同格のものにしてしまつて行きますと、是は都の統一性、一體性と云ふものを保持することが困難でございます、そこで都の區は法人であり、性格上一般市町村と同じの規定を致しました、都としては特に此の二百八十二條に、「條例で特別區について必要な規定を設けることができる。」と云ふ規定を置きまして、都が統一を保持する爲に必要な事項に付きましては、其の組織に付ても亦其の權能に付ても、適當な調整を取ることが出來るやうに根據規定を置いてございます、尚此の條例は、相當此の法律に規定致しました根本的な事項に觸れる點でございますので、特に是は内務大臣の許可事項になつて居ります、尚特別區は二百八十一條の第二項に於きまして、一般の市と違ひまして、特に都の條例に依つて「都の區に屬する事務を處理する」と云ふ點がございます、是は從來ともありますが、矢張り都内の特別な團體と云ふ性格がここで一部殘つて居るのであります、其の他の規定は總て市に關する規定を適用すると云ふ建前になつて居ります、それから第三節の「地方公共團體の組合」、是は從來それぞれの地方制度の法律に於きまして、或は府縣組合或は都道府縣組合、或は都、市町村組合、又市制町村制に於きましては、市町村組合、或は町村組合と云ふやうな樣々な組織の地方自治團體の組合がございましたが、それを一括して「地方公共團體の組合」として規定を致したのであります、大體規定の内容は今迄と概ね同じでございますが、唯特定の團體を限定した組合のみが從來出來るやうになつて居りましたが、此の規定は凡そ地方公共團體で、普通地方公共團體でありますものは、都道府縣市町村、總て又特別市と特別區と云ふものは、斯う云ふものは如何なるコンビネーシヨンに依りましても、團體の組合を設けることが出來ると云ふ風に致したのであります、唯都道府縣特別市の關係して居りますものは、内務大臣の許可と云ふことを條件として設立せられますし、市町村だけのものは、都道府縣知事の許可と云ふことが條件になつて設立せられるやうになつて居ります、それから第四節の「財産區」であります、是は從來市町村の一部と云ふことで、市制町村制中に規定がありますが、之を一般の通稱に從ひまして、特に「財産區」と云ふ名を用ひて規定を致したのであります、是も概ね從來の規定と同樣な規定の仕組でございます、以上が特別地方公共團體であります、第二章の「地方公共團體の協議會」と申しますのは、是は今囘新たに設けました制度でございます、大體の趣旨を申上げますと、是は地方公共團體が其の所管をして居ります權能である所の事務、或は地方公共團體の長の權限に屬する所謂委任事務と云ふものの大體相互間の連絡調整を圖る爲に、其の協議に依つて自主的に設けるものでありまして、唯それを法律上の根據を持つことにして規定を致した次第であります、現在府縣のブロツク單位に行政事務局がありまして、それに行政協議會の連絡協議會が附置せられて居りますが、左樣な趣旨がここで矢張り法律上生かされて居るのであります、併し是は單にブロツクの府縣相互間の連絡調整をすると云ふだけでございませぬで、例へば都道府縣内の全市町村の協議會、或は都道府縣内の町村だけの協議會、或は郡内の町村の協議會、或は當該ブロツク、個個のブロツク等の市の協議會と云つたやうなものが、矢張り法律的な制度として設けられるこになつて居ります、さうして其のやうな協議會に對しまして、特に國から特定の事務の委任をすると云ふことも可能であるやうに致しました、例へば現在町村長會等で紙の配給の事務をやつて居ると云ふやうなこと、其の他行政府縣ブロツクの行政協議會等に於きましては、其の事務局でさう云ふ事務が無論處理出來るやうになる譯でございます、尚此の協議會では、事務局を置くことが出來ると云ふことに致しまして、事務局長、書記と云ふやうな補助機關を置き得るやうに致して居ります、尚其のやうな地方公共團體だけの協議會と云ふことでなく、關係の官廳との連絡協調を遂げて行かなければうまく行かないと云ふことが考へられます、それで三百一條には其の旨を規定致しまして、其の會議に關係官廳の長の參加を求めることが出來る、關係官廳の長は參加の請求がありました場合には、説明の義務を負ふ、又積極的に關係官廳の長の方で出席して發言することが出來ると云ふことに致してあるのであります、大體以上が地方公共團體に付ての規則の概略でございます、附則の第一條は此の法律の施行の期日を「日本國憲法施行の日から」と致しまして、唯警察關係の規定の「施行の期日は政令でこれを定める」と云ふことに致しました、警察に關しましては、別途警察制度審議會の答申がございまして、それに依つて最高方針が定つて居りますが、暫定的に現在の道府縣の警察と云ふものは、現在の儘之を殘して行く、警察法の制定せられる迄は現在の儘之を持續して行くと云ふ考へ方に付きまして、一應道府縣の警察部とか、或は警察署、警察吏員に關する規定を本法の中に設けてありますが、其の規定の施行の期日は左樣な警察の根本法が出來ます迄は之を施行しない、其の時に併せて之を施行すると云ふ規定に致してあります、此の規定に付きましては、「政令」とありますのは、「法律」と云ふ風に衆議院で修正を致されました、それから第二條の東京都制に關する規定であります、從來の地方制度の規定は、「これを廢止する。但し、東京都制第百八十九條乃至第百九十一條及び第百九十八條の規定」と申しますものは、東京都制施行の際の附屬の規定でありますが、將來とも尚效力を存續せしめなければならい規定を此處に殘してあるのであります、例へば東京の市の吏員が東京都の官吏になりました、其の場合の恩給計算上の退職年金の通算に關する規定等は、矢張り今後も引續き其の效力を殘す必要があります、或は從來の選擧に關する犯罪等に關しての規定等は、矢張り殘す必要がございますので、それを其の儘生かすことにしてあるのであります、それから第三條は此の法律が施行になります際に、都長官其の他地方長官の職に居る者、或は市町村長の職に居る者、或は「市町村長に準ずる者」と申しますと、選擧事務、役場事務の組合の管理者であります、或は議會の議員でありますとか、其の他「これに準ずるものの他の職に在る者」、選擧管理委員とか、其の他色々でございますが、さう云ふやうな所謂「他の相當する職に在る者」と申しますのは、次の第六條の規定と、是は照應して居りまして、一般の官吏、府縣の平官吏の外に、他の役附の者を皆ここで考へて居りまして、左樣な職に在る者は、總て特別に此の法律又は他の法律で定めるものを除く外、此の法律で定めるのは警察關係の者でありますが、他の法律では今後別に考へられるものがあると思ひますが、さう云ふものを除きまして、總て此の新しい法律に依つて選擧せられ、或は選任せられたものであり、其の任期がある者に付ては、從來の選擧又は選任の日から新しい任期を起算すると、斯樣にして其の儘職員の引繼が出來るやうに致したのであります、それから第三條の第二項の東京都と特別區と、是は何れも一般的な規定が適用されることになります結果、議員定數が都の場合は本來の規定に依りますと減じ、特別區の場合は増加するのでありますが、是は選擧直後でございますし、次の總選擧迄は現在の定數に依ると云ふことに致したのであります、それから第四條は都道府縣に關する色々な職制であります、此の法律に定めのあるもの、即ち色々な部制、都に於きましては局制、之に付きましては本法で新しい規定が出來ましたが、其の他の色々な官制の規定に基きます分課でありますとか、或は各種の出先機關、斯う云ふやうなものは、そつくり其の儘從前の規定を準用する、其の儘殘ると云ふ風に規定を致したのであります、それから第五條に於きましては、都道府縣の吏員に關しましては、別途官公吏を通じまして色々公務員に關する制度が研究せられつつございますが、其の規定がまだ出來ませぬので、取敢ず從來の官吏或は待遇官吏に關する相當規定を準用すると云ふことに致しまして、概ね現状を暫定的に持續することに致したのであります、唯第二項に規定を致して居りますやうに、都道府縣の吏員は分限委員會の承認を得なければ事務の都合に依り休職を命ぜられないと云ふ規定を設けまして、任用其の他に付ては一般の官吏の規定が適用になりますが、更に一種の身分保障と申しますか、さう云ふやうな規定を設けまして、矢張り事務の都合に依つて勝手に休職を命ずると云ふことが出來ないやうに、正當に組織せられた分限委員會の承認を得なければ「休職を命ぜられることはない」と云ふ保障の規定を設けたのであります、分限委員會に關する事項は、政令で之を定めることに致しました、それから第六條は現在、先程第三條で説明申上げました以外の、所謂地方事務官でありますとか、地方技官或は其の他の待遇官吏、斯う云ふ者は部長、課長以下總て其の儘特別に定めがありますものを除きましては、百七十二條の事務吏員或は技術吏員になるやうに規定を致したのであります、さうして而も「現に在る職に相當する職に補されたものと」なるのでありまして、部長であります者は、地方事務官から事務吏員になりまして、さうして其の儘引續いて現在の相當部の部長になる、斯う云ふ譯でございます、それから第七條は警察に關する暫定規定でありまして、警察は當分の間、先程申しました警察に關する根本法が制定される迄の間は、「從前の例による」と云ふ風に規定を致したのであります、唯特例事項だけは政令で之を規定すると云ふやうな委任を置いた次第であります、其の次の規定は、第二項の規定は、東京都に於きまして警視總監が都議會との關係で、都長官、將來の東京都知事と同じ立場に立つことをここで規定を致したのでございまして、それから第八條は都道府縣の職員の中で、第六條に依りまして、當然に吏員になります者の外に、特例と致しまして、特に官吏として殘存するものを規定致したのであります、ここで豫定をして居ります職員としましては、府縣の學校關係の職員、學校の先生、是に地方教官として一應其の儘殘ります、それから社會保險の特別會計に屬します事務を掌理して居ります職員、是も官吏として殘ります、尚現在の府縣の勤勞署に勤務して居ります職員の中で、勞働基準監督署と云ふ職員に振替ります者、竝に職業紹介所の新しい機關であります公共職業安定所、其の職に振替へられます勤勞署勤務の職員、此の二つが矢張り當分官吏と云ふことになる豫定であります、以上申上げましたさう云ふ事務に從事する者が、一應官吏になる豫定で是は規定を致して居ります、それも但し「當分の間」と云ふ前提であります、第九條は府縣知事、市町村長の補助機關たる職員、選擧管理委員及び選擧管理委員會の書記竝に監査委員及び監査委員會の書記、斯う云ふ者の給與に關しましては、本來公務員法と申しますか、或は公吏法と申しますか、さう云ふやうな規定が設けられる譯でありますが、それ迄の當分の間は、從前の規定に準じて政令で必要な規定を定めると云ふことに致しました、從來の地方制度の規定は、概ね其の儘殘す譯でございます、第十條は軍人軍屬でありました者の身上の取扱に關する、例へば俸給の支拂と云つたやうな事務でありますが、此の爲に現在地方世話部が各府縣にございますが、それを矢張り暫定的な機關として、身分は復員官から吏員になりますけれども、事務は其の儘府縣の事務として、特に世話部を設けまして、世話部で處理せしめると云ふ建前の規定でございます、處が之に付きましては、矢張り衆議院で修正がございまして、左樣な世話部と云ふやうなものを特に設ける必要はないではないか、都の民生局、或は道府縣の民生部等に於て處理すれば宜いではないかと云ふ考へ方から、世話部を特に設けると云ふ規定を修正致しまして、第三項に於きまして「第一項の事務は、都にあつては民生局、道府縣にあつては民生部、特別市にあつては市長の定める局部においてこれを掌る。」と云ふ風に修正されて居ります、それから十一條は繋ぎの規定でありまして、古い地方制度の規定でやつた手續其の他の行爲は、新しい地方自治法に依る相當規定に依つてやつた行爲と見ると云ふ譯であります、十二條は、現在四月中に舊法に依つて行はれます地方選擧に關する行爲は、新しい地方自治法に基いて現在の四月中に行ふ選擧に關します行爲、選擧運動其の他の行爲は、總て從前の規定で今後も其の儘行く、斯う云ふ譯であります、それから十三條、十四條、以下ずつと十五條、十六條、十七條、十八條、十九條、二十條迄、是は孰れも法令の讀み替へに關する規定でございます、即ち從來の地方長官等に關します規定は、都道府縣知事に關する規定と云ふのが大體十三條であります、十四條は參事會と云ふ制度を廢止致しましたので、それに關聯をして參事會の關係の規定は議會の關係の規定と云ふ風に讀み替へた譯であります、十五條は法律が皆變つて參りましたので、外の法律で、古い法律の條文を引張つて居りますものは、此の地方自治法の相當規定の條文を引張つたものだと云ふ風に讀み替へる譯であります、それから十六條では特別市に關する特例規定としまして、都道府縣制に關する規定は、特別市にも之を適用すると云ふ譯であります、第二項は從來の「市制第六條の市」、即ち京都、大阪等、それから「市制第八十二條第一項若しくは市制第八十二條第三項」と申しますのは、其の他の横濱、神戸等でありますが、さう云ふ市の規定は、特別市及び特別市ではございませぬが、當分の間五大都市は、特別市でない市としても、行政區を置けるやうに第百十五條で規定を致して居ります、「第百五十五條第二項の市に關する規定とみなす」次第であります、それから第十七條は、市に關する規定を特別區にも適用する、即ち東京都の區は市と同じやうな權能を一般的に持つやうにする、それから十八條は郡に關する規定でありますが、他の法律、即ち選擧法等に於きましては、「從前郡長の管轄した區域」を云ふことで、「郡」を法律上呼稱して居りますが、之を地方自治法に於きましては、郡と云ふものは地理的名稱ではありますが、之を法律上の存在として規定致しましたので、其の讀み替へを書いたのであります、それから十九條は東京都の地方自治法が施行になりますが、尚從來の法律の規定を適用しようと云ふ島に關する規定を設けたのでありますが、それに付ての讀み替へであります、それから二十條は選擧管理委員會と言ひますのを……從來何々議員選擧管理委員會と云ふ風に、さう云ふ名前を用ひて居りましたが、それを今後は都の選擧管理委員會、道府縣の選擧管理委員會と云ふ風に名稱を變へましたので、其の讀み替へであります、それから二十一條の「戸籍法の適用を受けない者」と申しますと、是は主として朝鮮人、臺灣人を指稱致します、其の外に樺太土人等も入ります、尚朝鮮人、臺灣人でも、内地の戸籍に入夫、婚姻、其の他に依つて入籍して居る者は入りませぬが、それ以外の一般の朝鮮人、臺灣人は戸籍法の適用を受けないと云ふことになります、それ等のものに對する選擧權、被選擧權を停止すると云ふ規定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=2
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003・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 大體地方自治法全般に付きましての政府委員の御説明を終りました、是から質疑に移りたいと思ひます、唯大臣の御都合もございますから、大臣に關係のある御質疑は大臣の出席された時に願ひまして、政府委員で差支ない方に先づ御質問願ひたいと思ひます、それから各部門別に致します方が或は御便宜かと思ひますが、先づ大體全般的に付ての御質疑を戴きまして、次に細部に入りたい、さう云ふ方針で進んで行きたいと思ひます、さう致しますると、大臣の御出席迄に政府委員に關係して御質疑がありましたら、御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=3
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004・宮澤俊義
○宮澤俊義君 全般的のことでちよつと御伺ひしますが、今度の地方自治法が全體を普通地方公共團體と特別地方公共團體と云ふ風に分けてありますですね、昨日は私休みましたので其の邊の御趣旨、御説明があつたかと思ひますが、若し出來ましたら、其の名稱を分けた標準竝に其の實益を簡單で宜しうございますが、ちよつと其の點に付て御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=4
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005・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 是は特に立法の技術上の關係が非常に影響致して居りまして、從來のやうに四つの法律を別々に規定致しますと云ふと、總て具體的に規定が出來るのでございますが、斯樣に四つ一緒に書くと云ふやうになりますと、矢張り何か抽象的に包括的な名稱で規定を設けた方が、讀む人も讀み易いし、書くのにも非常に書き易いのであります、そこで特に普通地方公共團體と云ふ風に致しまして、都道府縣市町村の全部に適用されますものを、それを普通地方公共團體と申し、特別市、特別區、或は財産區と云ふやうなもの迄含めて申します場合は、之を單に地方公共團體と申し、所謂特別公共團體としては特別市、特別區と云ふものを、又地方公共團體の組合と云ふものを特に規定致したのであります、憲法で地方公共團體と云ふ言葉を使用して居りますので、地方公共團體と云ふ言葉を使用致したのであります、唯東京都に付きましては、是は從來新しいあれから申しますと、稍稍特別地方公共團體的のものの性格が、從來の儘で申しますとあつたのでございますが、之を止して一般の都道府縣と同じやうに致しまして、唯都内の特別區だけが一般の市町村と稍稍性格が違ふと云ふので特別區と致しました、都としては矢張り他の府縣と同樣に市町村は包括する團體になつて居るのであります、斯う云ふ風に規定を致したのであります、從つて普通地方公共團體の方の中に都道府縣市町村と六通りの、名前で申しますと七つになりますか、さう云ふ團體が含まれることになるのでありますが、都道府縣市町村は是は矢張り一つの性格の團體と、市町村は又別の性格の團體、其の二つを合せて普通地方公共團體、斯樣に申した譯であります、之をもう少し細かく區分致しますと、普通地方公共團體の中に、更に何か上級地方公共團體、或は下級地方公共團體と仕分けをすれば、尚論理的にはなるのでございますが、是は又稍稍複雜になつて參りますし、一般の規定としては出來るだけ都道府縣市町村と同樣なものに致しまして、唯區域に關する事項、或は住民に關する事項と云ふ基礎的團體と上級團體と違ふ點だけを書き分けた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=5
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006・宮澤俊義
○宮澤俊義君 大體御説明分りましたが、どうも特別普通と云ふ言葉が、今迄一般に用られて居つた時の普通團體、特別團體と云ふ概念と違ふのでございますね、それは少しも構ひませぬけれども、今の御話にもありましたやうに、立法技術的には必要だらうと思ふのでありますが、果して地方公共團體を大別して、然る後に其の中で一般都道府縣と市町村と云ふやうに更に分ける、特別地方團體と云ふ方は特別市、特別區云々と云ふやうに分れると云ふのでありますから、結局全體を二つに分けたならば、それ程實益もないかと思ひますが、殊に理論的に見ると甚だをかしいので、東京都は普通地方團體、北海道も普通地方團體で、特別市、或は都の區と云ふものは特別地方團體と云ふのは、どうも標準がをかしいやうに思ふのでありますが、其の分類は理論的には甚だをかしいが、立法技術的にも、果して必要であるかどうか、今御話のやうに上級地方團體、下級地方團體と分けた方が寧ろ簡單明瞭ぢやないかと思ふのでありますが、其の點に關聯しまして其の次に、一つの地方公共團體のみに適用がある特別法との關聯に付て御尋ね致しますが、先程御説明で、特別市の法律がそれに該當すると云ふやうな御解釋でしたが、それは特別市を法律で指定する、其の法律が、それになる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=6
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007・林敬三
○政府委員(林敬三君) 其の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=7
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008・宮澤俊義
○宮澤俊義君 さうしますと、例へば地方自治法自體は、それにはならないのでございませうな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=8
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009・林敬三
○政府委員(林敬三君) それにはなりませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=9
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010・宮澤俊義
○宮澤俊義君 さうしますと、都に關する規定と云ふやうなものは、一つの公共團體のみに適用がある特別法と云ふことにはなりませぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=10
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011・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 東京都制を是で廢止致しますから、都制は御説のやうに一つの公共團體のみに適用される法律でありますが……、此の法律は憲法施行と同時に效力を持つ規定でありまして、制定は舊法に基いて制定を致しますから差支ないと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=11
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012・宮澤俊義
○宮澤俊義君 さうすると、若し地方自治法一本にしないで、都に關する部分或は道に關する部分を從來のやうな形式で、特別の法律で今御出しになるとしても、今ならば特別法と云ふことにはならぬ、斯う云ふ御趣旨ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=12
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013・林敬三
○政府委員(林敬三君) 御尋の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=13
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014・宮澤俊義
○宮澤俊義君 さうすると、將來地方自治法を改正して、都に關する部分の改正があると致しますと、さう云ふ時にはどう致しますか、或條項を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=14
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015・林敬三
○政府委員(林敬三君) 御尋のやうに、其の東京都だけに付て適用する特別の法律を決めると云ふことになりますと、是はレフエレンダム、九十五條に該當する一つの特別の法律、斯う云ふことに相成ると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=15
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016・宮澤俊義
○宮澤俊義君 私の御尋ねしたのは、地方自治法の都に關する規定、例へば部局の規定がございますね、あれを將來改正すると云ふやうな場合、地方自治法中改正法律、都に關する規定、さう云ふ場合にはどう云ふ風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=16
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017・林敬三
○政府委員(林敬三君) 是はさう云ふ場合に於きましても、其の中の一部分を改正する法律案でありましても、其の改正法律案が都だけに適用がある、斯う云ふ場合でございますれば、矢張り憲法施行後に於きましては、其の部分だけがレフエレンダムを必要とする一つの地域のみに適用される法律として扱つて行かなければならないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=17
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018・宮澤俊義
○宮澤俊義君 私もさう思ひますが、さう致しますと、此の地方自治法自體は、今の憲法施行と同時にと云ふことで、憲法の規定に依つてやる必要はないものでせうかと云ふことを御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=18
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019・林敬三
○政府委員(林敬三君) 現在此の地方自治法を出します場合は、憲法施行前でございますし、東京都では斯う云ふやり方をするとか色々のことを書きましても、それは一般投票の制度は要らないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=19
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020・宮澤俊義
○宮澤俊義君 それから多少、部分的になるかも知れませぬが、都の取扱でございますね、特別區を特に市と同じやうな風にして居られるのですが、ちよつと考へると、どうも東京の都だけ、特別區として特別扱ひをし、それ以外の從來の市制第六條の市とか、其の他の市の區に付ては、さうしないと云ふ點の理由が少しをかしいやうな氣がするのですが、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=20
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021・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 從來の大都市の中の區の制度は、東京都に於ては法人であり、京都、大阪も法人でございましたが、京都、大阪に付きましては法律上法人と云ふことになつて居りましたけれども、實際は今日何等の財産も持つて居りませぬ、學校其の他も、皆區のものではないことになつて居ります、一切の財産が全く無い、法律上の以外のものに付きましても無いと云ふ状況でありまして、五大都市の區は從ひまして、横濱、神戸、名古屋の行政區と共に全く實質上は行政區と云ふ實情になつて居るのであります、處が東京都の區に付きましては、是は財産營造物に關して、法律的にも實質上にも、矢張り法人區の實を備へて居るのであります、さうして前囘の改正に依りまして、更に財政權、課税權、起債權等も與へられましたし、又更に最近の區の整理統合に依りまして、區の規模も適正になり、又行政事務も此の法律が施行になります前に、都で條例に依つて一般の市と同樣な事務を區に委任をする、斯う云ふ措置を執るやうに準備を進めて居るやうに聞いて居ります、其のやうな關係で、都の區だけは、事實他の市に於けると同樣な實情にございますので、そこで特に特別區と致しまして、本來なら市と同じやうに規定して宜いと思ふのでありますが、矢張り何と申しましても、大都市の實體を備へて居るのでありますから、都が從來東京市、東京府がやつて居りました公共事業を相當大幅にやつて居ります關係で、一般の獨立した市よりも區の所管する公共事務が少い、實際問題として幅が少いと云ふ點が違つて居ると思ふのであります、そこで其の都が、都の幅が一般の府縣よりも大きくて、區の幅が一般の市よりも狹い、法律上は孰れも其の公共事務を所管する團體でありましても、其の公共事務の幅と云ふものが、他の府縣市町村と比べまして少し違ふと云ふ意味で、區に付きましては特に特別區と云ふことを規定したのであります、左樣御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=21
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022・宮澤俊義
○宮澤俊義君 此の間の大臣の御説明でも、特別市を設けると云ふことは二重監督と云つたやうなことの弊を避ける爲だと云つたやうな御趣旨があつたやうに思ひますが、さう云ふ趣旨からしまして、東京の區の自治權を擴大して自治團體たる性格を強めると云ふことはどうでせうか、都自身が公共團體であると云ふこと、それから元來東京都と云ふものが、府と市の二重性を止めて一元化すると云ふ所から都制が出來た譯でありますが、さう云ふ趣旨から言つて、其處に少し矛盾があるのぢやないかと思ふ、詰り私の考では、東京の區を特別區として市に準ずるものにすると云ふ方向が、少し再檢討を要するのぢやないか、寧ろどつちかと言へば、都の統一性と云ふ點から言つて、多少行政區に近附いて行く傾向の方が、即ち特別市と同じやうに取扱ふ傾向の方が宜くはないかと云ふ、斯う云ふ意味なんですか、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=22
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023・林敬三
○政府委員(林敬三君) 理論的に宮澤先生の仰しやるやうな點は確かにある譯でございますが、併し申上げる迄もなく、此の二重監督と申しますのは、御承知のやうに、昔の東京市と東京府と云ふ風な殆ど同程度、或は若干市の方が實力が強いのぢやないかと云ふやうな場合、現在の五大都市と五大府縣の場合と云ふやうな、殆ど監督する官廳の方の力と云ふものが、監督される市よりも弱いのぢやないか、實力的にも内容的にも財政的にも、さう云ふやうな場合に二重監督と云ふ問題が起つて來るのが、一番世間の指彈を受ける點だと存ずるのでございます、それで殊に此の度のやうに、知事が公選と云ふことになつて參りますと、從來であれば、假に大阪府なり、東京府と云ふものが、是は陣容が或程度市に比べて貧弱でありましても、是は一つの國家の、或意味に於ての出先機關、政府が其處迄出て行く、斯う云ふ意味から言ひますれば、其處に一つの意味が存在した譯でありますが、今度になりますと、兩方共公選になりますし、それから性格も極めて民主的な性格で、完全自治體の性格になつて參ります、さうしますと、上と下の區別を附けると云ふことは、大都市に關する場合には、非常なをかしいことになるので、特別市制と云ふものを考へて居る譯でございます、二重制と申しますのは、さう云ふ場合の不合理と云ふものを除却しようと云ふことを強く感ずる譯でございまして、さう云ふ風に立法を致して參つた譯でございます、それで今御尋の東京の都の中の區になりますと、是は先程行政課長から申上げましたやうに、他の五大都市、殊に大阪、京都でございますが、さう云ふ所の區と云ふやうな行政機關の場合と非常に違つて、色色議決機關も昔から持つて居りますし、殊に最近是が強力になつて參つて居りますから、營造物も持つて居ります、財産權も持つて居れば、課税權も持つて居り、更に條例權も認められ、斯う云ふやうな一つの獨立の自治體と申しますか、それに近い形になつて參りますので、之を此の度市町村と同じ立場、其處に迄持つて行かう、斯う云ふ譯でございますが、併し御心配の二重監督、二重制と云ふものの點であります、併し其の上にあります東京都と云ふものと、それから其の下にある所の東京都の中の特別區と云ふものとの間には、非常に地域的にも、それから力の上に於ても大變な違ひがあると思ひます、從つて縣の中に市があつても、普通の五萬とか十萬とか十五萬の市がありましても、其の點に於て二重監督の煩を避けると云ふ聲がないのと同樣に、東京の場合に於きましても、東京都と云ふものと東京の中の區と云ふものに付ては、其の點の弊害もなければ、其の點に對する非難の聲もないと存ずるのであります、まあ小さな市が出來たと云ふやうな位であります、併しながらそれは市とどうかと云ふと、法制上、それと大體準ずるやうな、同樣の規定を動かして行くことになる譯でありまするが、併し東京の場合は、それで以て千代田區だとか、新宿區とか、皆獨立で、北九州のやうな状態になつてしまつたのでは、最亦非常に不便がございますので、其の場合には、東京都が條例で、特別區に付ての必要な規定を設けまして、之を一括して纏める、さうして所謂一つの統一體としての、唯縣が市を監督すると云ふ立場ではなくて、それよりは強い、矢張り一つの統一的な自治體たるの適用と云ふものは相富留保し、且必要な統制は行つてやつて行く、併しながら方向としては成るべく區は獨立自活の自主的の形を今よりも強くする、斯う云ふのが一番適切ではないかと考へましたので、實は立案致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=23
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024・宮澤俊義
○宮澤俊義君 先程忘れました、一つだけ附加へて、先の問題に行きますが、「普通地方公共團體のみ」と云ふ、其處にだけさう云ふ規定を御附けになつた趣旨を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=24
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025・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 是は普通地方公共團體に、大體此の有らゆる規定を網羅致しまして、特別地方公共團體は其の規定を準用すると云ふ建前にして規定してあります、そこで特別市から申しますと、特別市に付きましては二百七十八條に於きまして、「第二編中都道府縣に關する規定は、特別市にこれを適用する。」あの規定は二百六十一條でありますが、是は普通地方公共團體としてございますが、實は都道府縣に關する規定として是も適用になる、それから第二節の「特別區」に付きましては、矢張り二百八十三條に於きまして、「第二編中市に關する規定は、特別區にこれを適用する。」と云ふことで、あれが働いて參ります、それから第二節の「地方公共團體の組合」に付きましては、一般的に矢張り二百九十二條に於きまして「都道府縣及び特別市の加入しないものにあつては市に關する規定、」加入して居るものに付ては「都道府縣に關する規定」、その他のものは「町村に關する規定」と云ふやうに、是亦準用になる譯であります、それから「財産區」に關しましても、是は二百九十七條で、唯一般的には是は持つて參れませぬので、政令で必要なことがあれば、是は定られるやうにしてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=25
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026・宮澤俊義
○宮澤俊義君 今のやうに、全體にずつと準用になるならば、どう云ふ譯で總則で一本に簡單に……、纏めるならば、何故さう云ふ風になさらなかつたかと云ふ疑問が起るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=26
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027・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 御尤もな仰せでございますが、從ひまして、此の總則に規定すると云ふことも考へたのでありますが、全部に適用すると云ふことで考へましたが、どうも此の規定自身が稍稍本來の地方公共團體に關する規定としては、内閣總理大臣が出て來たり、色々ちよつと異例な異質の規定でございます、どうも初めから總則に出て來るのも收まりが惡いと云ふ點から、補則に持つて行つたのでございます、然らば地方公共團體に付て補則の編でも設けまして、さうして書けば是れ亦一つの技術的の規定の仕方になりますのですが、どうも左樣な編の單位としての補則と云ふことも、是亦少し收まりが惡いやうに考へましたので、已むを得ず普通地方公共團體の補則の所に規定をした次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=27
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028・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) ちよつと此の際申しますが、大臣が御出席でございますが、大臣に御質疑がありましたら、どうぞ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=28
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029・淺井清
○淺井清君 此の新しい憲法に於ける地方公共團體と云ふものには、從來から認められて居た固有事務と委任事務と云ふものがある、詰り自分自身の仕事と國家から委任された仕事がある、斯う云ふ風な矢張り從來の立て方で立案せられて居るのですが、其の點に何か變つて居ることがあるのか、變つてないのか、之に付てどう云ふ御考で出て居るのか、例へば此の第二條の第二項の規定と云ふものは、唯從來の條文を承け繼がれたのか、それとも矢張り固有事務と委任事務との區別を認められての御立案か、其の點をちよつと御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=29
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030・林敬三
○政府委員(林敬三君) 御尋のやうに是は第二條に明かでございますやうに、矢張り固有事務と、委任事務と云ふものが、本來の自治體の仕事である、斯う云ふことを、此の考に依つて之を立案致して居ります、それから尚其の他に通常、學説で申されます機關委任ですか、團體の長に對して國の事務を委任致します其の仕事、此の仕事をどう云ふ風に受けて、どう取扱つて、どう云ふ權限で、どう監督に服して行くかと云ふやうな、自治體の長及び其の下の吏員が補助致しましてやります國の事務、それに付ての規定、此の三ツを合せて居ります、本來の考へ方は御尋の固有事務と委任事務に付て考へて居りますが、其の外に機關委任の仕事、それで此の條文のことは、本法で賄ひ得るやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=30
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031・淺井清
○淺井清君 只今宮澤委員からも御尋があつたことに關聯致しますが、今度の自治法案に依つて法人格を取上げられるものが出て來る譯です、詰り從來の市制第六條の九と云ふのは、此の法案では法人格がなくなる、是は今行政課長の御話で、殆ど實際利害關係がない、斯う云ふ御説明でありましたが、兎も角從來認められた法人格と云ふものを取上げると云ふことに對して、別に非難の起るやうなことはないものでございますか、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=31
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032・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) ちよつと此の際御諮り致したいと思ひますが、速記を止めて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=32
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033・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=33
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034・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 今の京都、大阪の區でありますが、是は淺井先生の言はれますやうに、今度法人格から行政區に性格が變つてしまふのであります、此の點に付きましては、地方制度調査會に於きまして、是は行政區にした方が宜いと云ふ意見の答申があつたのですが、考へ方と致しましては、町内會、部落會のやうなものがなくなりますと、何か其處に自主的な民主的な組織が、特別市の下の機構として入用ではないかと云ふことを我々は考へて居るのですが、矢張り殊に此の五大都市關係の當事者の從來の經驗からの希望と致しまして、單なる行政區で宜いと云ふことで、其の點が相當論議が交はされたのでありますが、結局行政區と云ふことに落著いた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=34
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035・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 本日は是にて散會致します、再開する場合には彙報其の他で連絡を致します
午前十一時二十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=35
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036・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 松平外與麿君
副委員長 子爵 藤井兼誼君
委員
侯爵 細川護立君
伯爵 二荒芳徳君
子爵 森俊成君
子爵 青木重夫君
男爵 三須精一君
男爵 紀俊忠君
男爵 斯波正夫君
山崎延吉君
坂田幹太君
宮澤俊義君
松尾國松君
山隈康君
小山完吾君
長谷川萬次郎君
淺井清君
國務大臣
内務大臣 植原悦二郎君
政府委員
内務事務官 鈴木俊一君
林敬三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00219470324&spkNum=36
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