1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○地方自治法案
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昭和二十二年三月二十五日(火曜日)
午後一時十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=0
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001・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 是より委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=1
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002・松尾國松
○松尾國松君 此の法案の二條に付て質問したいのでありますが、此の法案の二條を見ると、矢張り此の固有事務と委任事務と云ふ區別があるやうに見えるのでありますが、此の委任事務と國有事務と云ふことに付ては、私が申上げる迄もなく是は觀念論と抽象論に於ては、解決が出來て居るやうに一應考へられるのでありますが、之を政治的、行政的又現實的理論から見ると、今日迄解決して居らぬのであります、處が是も申す迄もなく主權が政府に在つたのが、主權が議會に移つた、斯う云ふ轉換した時に、矢張り主權が政府に在つた時と同じやうに、固有事務と委任事務とに分ける、斯う云ふことを考へて此の法案は出來て居るやうに思へるのであります、それでありますから、是は中央の政府と地方公共團體との關係に於ては、非常に是は面倒な問題を今迄でも持つて居ることは、皆樣御承知の通りであると思ふのであります、さう云ふ意味に於て私が御尋ねしたいのは、此の法案に於て固有事務と委任事務とを區別することを必要とする理由、それが第一であります、それから第二は、固有事務と委任事務とを區別することに依り、政府と地方公共團體との關係に於てどう云ふことを考へるものであるか、斯う云ふことであります、第三には、地方公共團體が委任事務を拒絶したる時の措置はどうせられるか、斯う云ふことを御尋ねしたい、是には併し理由を附して置きます、昭和十三、四年頃に委任事務の費用を、若し今日假に見積るとすれば、五億と云ふ説と八億と云ふ説があつたのであります、處で假に五億とすると、其の當時の通貨は十五億圓であるから、今のは千億と見ると、若し通貨の量を以て比較し得るとするならば七十億になつて居ります、それであるから五億と假にしても三百五十億の費用が委任事務に依つて起つて來る、斯う云ふことが考へられる、さうしてそれは誤りでなく言ひ得るのであります、さうすると、さう云ふことになれば地方では、勢ひ經費の關係もあらうし色々あるからして、之を拒絶すると云ふことを必ずしも言ひ得ないことはない、言ひ得る場合がある、それは法規の規定に依つて、此の二條に依つて無定量にやれば宜い、斯う云ふことを言ふ人は舊來あるかも知れぬが、我々は左樣に考へぬ、拒絶する場合があると云ふことを考へなければならぬ、それは今申したやうに非常なる經費が要ると云ふ關係からであります、第四は法律と政令との限界が聽きたいのであります、それはどう云ふことであると云ふと、今迄は法律でなく政令で、何もかも勅令の規定でどんどん無定量、無制限に委任事務を拵へて來たのであります、處が、今度は法律に依る、是は以前からもあつたが、以前は申す迄もなく法律は少くて、勅令其の他でどんどんやつて來た譯であります、虚が、今度は左樣行かないと思ふ、だから法律と政令とに於てどう云ふ限界を以て委任事務を措置せられるか、比の四點に付て伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=2
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003・林敬三
○政府委員(林敬三君) 初めに委任事務と固有事務の御話がございましたが、長い體驗を御通じになつて、さう御感じになることは私も能く分る譯でありまして、御尤もな御尋とも存じます、併し第二條に御話になりましたやうに、此の建前が其の公共事務、是は所謂學説で申しますれば固有事務竝に其の從來法令に依り及び將來法律又は政令に依つて團體の事務に屬するもの、是が所謂委任事務と云ふ風になつて居りますが、是は法文に書きますと、どうしても斯う云ふ二つの色分けのことを書かなければならないと云ふことになつて參るのであります、法律上の書き方として斯うなつてしまふ譯であります、それで又觀念の立て方としては、斯う云ふことになつて來る譯であります、併し御經驗を通じての御話のやうに、それがなかなか其の境目になりますと、是は色々むづかしい、其の人に依つて解釋が違ひ、考へ方が違ふ場合もあると存ずるのでございます、併し是は法律上の書き方として、之を觀念上、概念的に分析しますと、斯う云ふことになつて參ると云ふことも亦致し方がないと思ふのであります、それから申す迄もなく此の自治體の事務と云ふものを、今度は所謂地方の自治權を強化して、出來るだけ地方の自治體に委せて仕事をやる、本來地方の自治體で當然行ふべき仕事をしつかりやるのは勿論、國家の仕事と言はれるものでありましても、末端で之を行ふ場合には、其の土地の住民の代表が集つて地方議會を構成し、團體の長を直接選擧で以て選任をして居る、さう云ふ土地の人の集り、それに委せまして、さうして末端のやり方と云ふものは、其の地方々々の人情、風俗、又實際に一番適合した行政のやり方をすると云ふのが、今後に於きましては、特に相應しい行き方であると思ふのであります、そこで地方自治のさう云ふ面に於ける地方の自治權と云ふものは強化擴大をして行く方向に今後執らるべきものであり、法制も亦それに揃へて、其の氣持を盛つて參つて居る譯であります、それで御心配の所謂固有事務と言ひ、又委任事務と言ふこと、併し是は兎に角どちらの種類のものにしましても、自治體の仕事になつてしまふ、自治權の範圍の中に入つて行つてしまふと云ふことになりますれば、それは努めて其の權限と云ふものは自由に其の自治體の意思で以て之を行使出來て、實際に合ふようにやつて行く、國の監督と云ふものは原則的には固有事務は勿論、又委任事務に於きましても、國の監督權と云ふものは地方自治法の法規の中からして、それに付ての一般的の監督權はないことにしてしまふ、それで國の事務を委任してしまひ、自治體に委せて、公選致しました長と、公選された議會との意思に委せて、適切な運用を期して貰ふと云ふ建前になつて居るのでありまして、其の委せてからの後の取扱と云ふことに付ては、特別にそれぞれ委せる所の其の事業に依りまして、已むを得ず附ける條件はあると思ひます、さう云ふことを特別に法律で書きますとか、或は委任の時の特別の條件に付、後で監督を留保する場合はあると思ひますが、さう云ふことをしない場合に於ては、原則として固有事務と言ひ委任事務と言ひ、委せられて其の團體のものになつてしまへば、後の取扱は同じと云ふ風な建前になつて行くのであります、そこで御尋の、區別しても實益はないぢやないかと云ふことですが、法律に實體の仕事は何だと書きますと、自分の本來持つて居るものと、法律命令で貰つたものと、此の二つを書かざるを得ない譯であります、それから第二の御尋と關聯するのでありますが、經費の財源でございます、是が國の方から特に御願をして委せてやつたものに付ては、財源的措置がある、併し本來のものに付きましては、自主財政で賄つたものでやつて行く、斯う云ふやり方の違ひがまあ觀念的に、分けました後の問題として出て來ると思ふのでございます、それだけの所謂違ひはある譯でございます、それから拒絶の御話がございました、是はまあ法律で以て地方自治體、斯う云ふ公共團體に對して仕事を委任すると云ふ場合には、是は法律で常に國家最高の意思でさう云ふことを決めて、さうしてやる譯でございますから、之を拒絶すると云ふことは、原則として本來それは拒絶しないでやられるのが適切と、斯樣に考へて居ります、併し萬々一、どうにも出來ないことや、非常な特別の理由があつて、或は其の團體の意思が、とても特殊なものの意思決定をして、さうして拒絶をした場合に、どう云ふ制裁方法があるか、どう云ふ強制方法があるかと云ふことになりますると、是は矢張りどうしても嫌だと言つて拒絶した場合は、さう云ふことは望ましくないことであり、國家の法律に違反することだらうと思ひますが、已むを得ないと云ふ結果になると思ひます、それで委任を致します時の特別法で、何かさう云ふ時に絶對に拒絶は出來ない、拒絶した場合には斯う云ふ方法で斯うやると云ふやうなことでも書きませぬ限りは、建前としては拒絶すべからざるものでありますが、拒絶をされた場合は、亦致し方はない、斯う云ふことに相成ると思ふのであります、それから「法律又は政令により」と、斯うなつて居りますが、是は建前は總て法律でやる、法律で委任事務をやる、斯う云ふ建前でございます、唯政令と云ふことを入れました譯は、是は施行命令的なことは、それだけは政令でやると云ふ意味でございまして、新たなる事務を自治體に委任します場合は、總て是は法律で憲法上もやらなければいけない、さうして唯之に伴ふ、何も新しいことを頼むのではなくて、それに伴ふ施行的な命令、是だけは一々法律に書かなくても政令で宜しい、是が憲法の方と睨み合せまして、そこで此處に法律又は政令と書いてある所以でございます、政令で單獨自治權を委任すると云ふことは適當でない、斯樣に考へまして立案を致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=3
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004・松尾國松
○松尾國松君 能く分りました、私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=4
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005・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 他に御發言はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=5
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006・宮澤俊義
○宮澤俊義君 此の間伺つたことに關聯して、いま一言ちよつと御伺ひ致したい、あの解職の規定ですね、あれで私の伺ひたいのは議員の場合ですけれども、長或は職員の場合でなくですね、個々の議員の解職の規定があつたやうですが、確か請求があると、又それを投票に付して、それで多數で決めるのでございますね、あれは解散の請求の場合と、長の解職の請求の場合は宜いと思ふのですが、それと個々の議員の解職の請求と云ふことは、ちよつと性質が違ふのぢやないですか、殊に問題にしなければならないのは、議員の選擧の場合には、大選擧區單記で少數代表と云ふ意味が入つて居ると思ふのですが、それで議會自體を解散してやり直すと云ふことになれば意味はあるのですけれども、個々の議員と云ふことになると、個々の議員の解職を請求して、それを選擧で決めると云ふことになると、考へ樣に依つては少數代表の精神に反するじやないか、詰り折角法律で少數代表と云ふ制度を認めたのに、さう云ふ解職請求を認めると、まあ場合に依つては多數黨が濫用して、少數時代の精神を蹂躙することになると云ふ懸念がありはせぬかと思ひますが、さう云ふ點はどう云ふ風に御考になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=6
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007・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 宮澤先生の御懸念になります點も御尤もと思いますが、大體此の府縣會議員で申しますと、それぞれ選擧區がありますから、所屬の選擧區で議員になります場合には四分の一、有效投票の總數を定數で割つた數の四分の一の法定數があれば議員になれる譯でありますが、從つてさう云ふ少數代表、定員五名なり六名の中……一票しか出來ませぬから、少數代表が出て參る譯でありますが、其の地位は之を失はせる必要がある場合があらうと思ひます、例へば涜職等がありましても、なかなか裁判の方の手續が進行しない、住民が或は相當之に對して反撥する空氣が強いと云ふ場合には、解職請求が起つて參ると思いますが、それを非常に條件を緩和致した請求に致しますと、是亦弊害がございます、又請求條件を重く致しましても、決定の方を矢張り過半數と云ふことにしませぬと、是亦色々弊害があると思いますので、解職請求は認めますけれども、それに依つて其の地位を失はしめます場合は、矢張り三分の一以上の選擧人から請求をして、而も過半數の其の選擧區内の選擧民が了承したと云ふ場合に、之を失職させると云ふことになる譯でありますから、非常に其處に、濫用が行はれるとすれば、御懸念の點もあると思いますけれども、左樣な條件があり、且一度解職請求をすれば、あと一年間はやれない、又選擧も一年間はやれないと云ふやうな制限が附いて居りますので、さう濫用になる氣遣ひはないのではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=7
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008・宮澤俊義
○宮澤俊義君 どうも……個々の議員の解職請求の場合には大體御説明のやうで宜いかも知れませぬが、アメリカあたりのやうに小選擧區の割合に多い時には、非常に理由が簡單明瞭で宜いんぢやないかと思ひますんですけれども、どうも日本のやうな少數代表制をやつて居る所では、何となくぴつたりしない感じがしまして、議會の解散請求とか、地方の解職請求と云ふと、其の時の多數の意思を重んじて、民意を反映させると云ふ點で、如何にも理由があると思いますんですが、個々の議員の解職とも少し違ふので、今のやうな御質疑をしたのですが、其の補闕の場合ですね、或は其の選擧をする場合に、多少さう云ふ少數代表の精神を尊重すると云ふやうなことは、矢張り今度御考になつていらつしやいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=8
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009・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 是は、斯樣な議員に對する解職請求を認めました趣旨は、苟も選擧に依つて出て來ました者に付ては、矢張り召還權を認めると、尚議會の選擧を通じて、議會に於て知事が同意を得て選ぶやうに、さう云ふ地位に在る者も、矢張りそれに對して請求……まあ召還と申しますか、其の結論は議會で附けますけれども、選擧民に請求權を認めると云ふことにしまして、矢張り議員に付て之を認めないと云ふことは、其の他の職に在る、例へば收入役とか、出納長と云ふやうな者に付きましても之を認める以上、稍稍權衡を失すると考へられますし、議員全體がいけないと云ふ場合があるとするならば、同時に其の議員の一部に付ても、同樣に選擧人の要望があるべきものと考へられますので、議員に對する解職請求を認める譯でありますが、其の解職の結果、議員に缺員が生じました場合に、直ちに一人の缺員に付きまして補缺選擧を行ふと云ふことに致しますと云ふと、是は一人選擧になりまして、多數代表と云ふことになりますが、今囘の此の法案に於きましては、凡そ當選人或は議員の缺員が生じました場合には、それが裁判上の理由でありましても、總ての欠缺を通じまして、全體の定數の六分の一を超えるやうになつた場合に、初めて補缺選擧若しくは再選擧を行ふ、斯う云ふ風に致して居りますので、從つて多數代表にはなりませぬで、少數代表が維持出來ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=9
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010・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 他に御質疑はございませぬか、別に御質疑ございませぬければ、全般的の質疑は一應打切りまして、法案の第二編の「普通地方公共團體」全般に付きまして、細目的な質疑を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=10
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011・白根竹介
○白根竹介君 私缺席して居りまして、前にどう云ふ質問があつたか分りませぬが、同じやうな質問がありましたら御注意願ひます、是は附則にも關係することですけれども、普通地方公共團體の長竝に補助機關と云ふ中に含まれると思ひますけれども、警察の問題ですが、警察は此の法律が施行される時には、當然今度の公選知事の下に全部屬することになると思ひますけれども、さうすると、詰り形は自治警察と云ふことに全部なるやうな譯になるのでございますか、或は其の邊の限界は何時御決めになるのですか、此の附則の第一條には、「施行の期日は、政令でこれを定める。」と云ふことがありますけれども、其の點はどう云ふ風になつて居りますか、又、是も能く研究して居ない問題ですから分りませぬけれども、近頃言い觸らされて居る所に依ると、知事が公選になつたら、少くとも其の地方廳の部長級は皆馘切られてしまふ、替へてしまふと云ふやうなことを言つて居りますが、さう云ふことが出來るものでありますかどうですか、團體の長は部下を任免することが出來ると云ふ建前になつて居るとすれば、さう云ふことも出來るやうにも考へられますけれども、若しそんなことがあるとすると、事務的竝に地方の行政の上に、非常な混亂を來すのぢやないかと思ひますので、其の邊も一つ、噂を聞いての質問でありますけれども、御話を願いたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=11
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012・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 警察制度の問題でありますが、知事が公選になつても、暫くの間は、警察官は矢張り官吏と致しまして、知事の支配下に置きますけれども、事實は、内務省が監督して行くと云ふ形に當分の間なると思ひます、左樣に致さなければ、現下の社會情勢に於て、安寧秩序を維持したり、又生命財産を保護したり、治安の上からは、左樣にすることが必要であるやうに考へて、左樣な措置法を執つて居ります、御承知の如く、今日は軍隊もないのでありまして、又可なり、戰後で人心も荒んで居るし、色々の道義が頽廢して居るやうなことから、誠に忌はしいことが各所に出來て居る、それ等の治安を維持するには……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=12
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013・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) ちよつと申上げます、議場の都合に依りまして、暫時休憩致します
午後一時四十五分休憩
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午後二時三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=13
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014・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 是より委員會を再開致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=14
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015・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 先刻の御答を續いて申上げますが、警察制度に付きましては、現在の社會情勢に鑑みて暫く警察全體に對する法律を改正する迄、現在の例に依つて行く、斯う云ふことに致して參りたいと思ひます、尚特別の場合が起りますれば、政令で以て特別の規定を定めて行くが、知事の監督下に於て現行の警察制度を維持して行く、不條理でありますけれども、現行の社會情勢からして左樣にすることが一番宜しいことである、地方自治がもう少し發達したり、世相が安定するやうになりますれば、地方自治の警察と國家警察とを分けるやうな法律が自然に制定されるやうになる、斯う考へて居ります、尚白根委員の御心配下すつた民選の道府縣知事が、地方の吏員の任免黜陟が自由に出來る場合には、今迄の吏員が其の爲に非常な迷惑を受けたり、其の爲に地方の自治に影響するやうなことが起りはしないかと云ふ御懸念であるやうでありますが、それも實は、どの規定か能く存じて居りませぬけれども、分限令を定めることになつて居りまして、其の分限委員、二級官に於ては、中央に作ります分限委員に依つて取扱はれて、其の決定を徴さなければ自由に出來ないやうになる、三級官に對しては地方に作る分限委員に依つて決定されるやうに、法律の上では勝手我儘なことの出來ない或種の制限を設けて居ります、又縱し其の制限がなくも、私は其の御懸念になるやうなことは起るまいと思ひますのは、民選知事でありますからして、若し地方の自治に影響したり、非常な無理なことをして吏員を動かすやうなことがありますれば、矢張り民選の知事として輿論の監視が附いて居るし、又知事としますれば、輿論に始終注意を致さなければならないのだから、縱し其の規定がなくも御懸念になるやうなことは事實に於て起るまいけれども、法文の上からも左樣なことが濫に出來ないやうに規定されて居ります、從つて任免黜陟の權はありますけれども、御懸念のやうな心配のことは出來ないと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=15
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016・白根竹介
○白根竹介君 此の第一の警察の問題でありますが、此の警察に對する特別の規定と云ふものは、此の法律の施行されます前に出來ますのですか、此の法律が施行されて後、時期を見てお出しになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=16
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017・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 施行後に作らうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=17
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018・白根竹介
○白根竹介君 さうすると今、是も私の杞憂かも知れませぬけれども、例へば共産黨に屬する知事が出て、其の知事さんが警察部長を指揮して、自分の黨の綱領を施行するに都合の好いやうなことを、消極的に止めなかつたり、又積極的にやつてみたりするやうなことがあつても、其の警察が知事の手から或程度分離されない以上は、どうにも仕方がないと云ふやうなことが起り得る危險もあるのぢやないかと思ひますが、警察事務の分離と云ふものは、矢張り成るべく早く、地方制度が施行されると同時位にやつて戴いた方が宜いと思ひますけれども、もう時期がないし、色々の關係もありませうけれども、餘り緩り構へて居ることも出來ない問題ではないかと思つて居りますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=18
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019・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 御説のやうなことを御心配なさる方も相當多數いやうです、政府と致しても、左樣なことがあつてはと思つて心配致して居ります、それ故に、實は警察官は民選の知事の監督の下に置かれましても、任免權は中央で握つて、可なり指揮權を持つて居るやうにして置くと、斯う云ふ建前で、さうして今のやうな御懸念がないやうにする爲に、出來るだけ此の法律が通過しますれば、政令で以て御心配のやうなことのないやうに規定して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=19
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020・白根竹介
○白根竹介君 さうしますと、例へば警察署長の任命、異動なんと云ふことは、今後は公選知事が、判任官以上は勝手にやることが出來るのでございませうな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=20
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021・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) それはやられますけれども、主として二級官ですか、高等官と云ふのは中央政府で致すことになりますから、やれるけれども、さう無茶なことも民選の知事だから出來ますまいし、さう云ふやうなことに致しましても、成るべく心配のないやうに、此の法律が出來ましたならば、政令で特例を以て行きたいと考へて居る譯でございます、其の點は御了承を願ひたいと思ひます成るべく早く左樣なことの心配を取除くやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=21
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022・白根竹介
○白根竹介君 もう一つ……現在府縣に居る各部長は、今迄は内務大臣の任命になつて居りますが、公選知事になりますと云ふと……公選知事になりましても、別の法規が出來る迄は、今迄通り内務大臣の任免其の他身分上の監督を受けることになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=22
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023・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=23
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024・白根竹介
○白根竹介君 それから其の下の吏員で、今迄の知事の任免に屬して居つた所謂判任官級の者は、矢張り公選知事が勝手に任免することが出來るのでありませうと思ひますが、分限委員會と云ふものが今度出來るとしますると云ふと、それが出來る迄は勝手に首を馘ることが出來ますが、此の委員會が出來ますと云ふと、それを一々此の委員會に掛けて、資格を審査してやると云ふやうなことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=24
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025・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 左樣に考へますが、其の點は尚政府委員から詳しく御了解の出來るやうに説明を願つた方が宜からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=25
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026・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 此の附則の第五條に於きまして「都道府縣の吏員は、政令の定めるところにより、分限委員會の承認を得なければ事務の都合により休職を命ぜられることはない。斯う云ふ規定がございますが、是は此の法律の施行、即ち憲法施行の日から同時に施行になる譯でございまして、此の政令と申す此の規定は、矢張りそれと同時に公布施行する豫定でございます、從ひまして此の規定に依りまして、直ちに此の都道府縣の吏員に休職を命じます場合の手續が規定せられまするから、それに從はなければ休職を命ずることが出來ないと云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=26
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027・白根竹介
○白根竹介君 それから公務員法と云ふのを御定めになると云ふことを前から言つて居りましたが、それは何時頃出來ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=27
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028・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 實は公務員法と云ふものは、民選の知事が出來て公吏となつたり色々するので、實は此の法案と同時位に竝行して成立せしめたい考で調査研究致して居りましたが、官吏制度其の他と色々尚愼重に取扱はなければならないので、總ての調査研究が遂げられなんで、つい此の議會に提出することが出來ないやうな立場になつて居りましたが、次の議會には必ず早々公務員法が制定せられるやうな手續が執り得られると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=28
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029・山隈康
○山隈康君 今の白根委員の御質問に關聯致しまして、警察權に關する御尋をしたいと思ひますが、從來都道府縣は別と致しまして、市町村の自主自律を確立致しまする上から、警察權の委讓と云ふことは、是は數年來要望して居つた次第であります、例へば道路に關する件、衞生に關する件、或は消防に關する件、斯樣なものに關する警察行政の一部を市町村の公共團體が持つて居ないと、眞に自治の自主自律と云ふ確立を見ることの出來ぬ状態であつた譯であります、成る程政府の仰せの通りに、警察權の委讓と云ふことは、全體の一國の治安關係とも睨み合せて考慮すべきものであらうと存ずるのでありまするが、今内務大臣の仰せに依りますると、是等の問題は今暫く自治制の完備と言ひますか、整頓と申しますか、整うた際に考へて見たい、斯う云ふ御趣意のやうに拜聽致しましたが、其の自治制の多少でも完備すると云ふことには、最小限度の警察權の委讓と云ふことが必要である、完全なる警察權の委讓と云ふことは、是はまあ自治制度の完備した上で差支ないと存じまするけれども、差當り極めて重要なる衞生、交通、消防、斯う云ふものに對する最小限度の警察權を委讓すると云ふ御考はないのでありませうか、衆議院の本案に對する附帶決議に於ても、是等の制度の確立を速かにされて戴きたいと云ふやうなことになつて居るやうに思ひまするが、それに對する政府の御考、又警察權の委讓をするのはどの位の……確たる年月は御示しは出來ぬに致しましても、大體のそれに對する御考があれば承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=29
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030・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 御説の如くだと思ひます、衞生とか交通とか申しますることです、さう云ふことに對しては、特に市などに於きましては、出來るだけ早く自治警察として地方に委讓したが宜からうと考へて居ります、それを分離してどの程度迄するかと云ふやうなことに付きましては、實は普通の場合と違ひまして、今日は非常に警察の數も少いし、此の警察の數も或意味から言ひますれば、限定されて居るやうな立場で、まだ戰敗國の後で、本當に人心もまだ安定したと云ふ所に至りませぬもんだで、つい其の分離のことも遲れて居る譯でありますが、成るべく御説の如く、それは早い方が宜しいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=30
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031・山隈康
○山隈康君 内務大臣の御説明は大體了解致しました、次に承りたいことは第八條の關係でありますが、是迄各地方の町若しくは村が、其の實質内容の如何を問はず、又將來何等の計畫を立てて居ないに拘らず、唯名譽の爲、誇りの爲に市制施行を望むものが相當多い譯であります、現に今日では二百以上の市を數へるに至つたやうでありまするが、一旦市制を施行致しますると、從來の村長、町長を加へまして、市長、助役、收入役の待遇も良くせねばならぬ、或は市會議員も町會議員も、町若しくは村に比して其の報酬も相當高くやる、又他の都市との權衡若しくは體面上、必要でない課を新設をすると云ふやうなことで、相當費用の増額を來しまして、さうして市制施行後に於きましても、舊態依然、何等の計畫もなければ、何等の發展も見ない、市民は徒に負擔の過重に怨嗟の聲を放つと云ふのは、相當私共地方に居つて漏れ聞くのであります、此の故に第八條に於て、唯人口のみならず都市的形態を備へなければいけないと云ふことは結構だと思ひますが、其の都市的形態と云ふことは、政府の方針として、どう云ふ状態に置かれた場合に於て、市として市制施行を御認めになる御積りであるか、斯う云ふことを明かに致しまして、今日市制施行の濫立を防止すると云ふことは極めて必要ではないかと思ふのであります、從來都市の市制施行に對しまして、内務省は未だ不許可をされた例は一つもないのであります、斯樣なことで都市が濫立を致し、市制が濫立を致しまして、さうして實質は一方向上せず、費用の増加、市民の怨嗟の聲と云ふやうなことは、誠に私は忌むべきことであると思ひます、唯都市的形態と云ふことは、相當漫然たる文字を羅列してあるのでありますが、之に對する政府の御構想を一つ承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=31
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032・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今の御質問の一定の區劃に人口が三萬以上あれば、直ぐ市にすると云ふやうな漫然たる状態ではいかぬぢやないか、さうして都市的形態とはどう云ふことだと云ふ御尋ねだと思ひますが、從來内務省で都市的形態を備へて居ると認めるのは、三萬の人口の六割以上が、まあ都市的の形態を備へて居つた時に、それを認めて許すと云ふことになつて居ります、其の標準で行つて居りますが、今御説の如く其の形態を備へても、其の他の四割は部落のやうな形である所に市制を布いて……と云ふことの御質問も御尤もなやうに思はれます、從來はさう云ふ方針でやつて參り、現在さう取扱つて居ります故に斯う云ふ形が出來て居りますが、是は相當私は矢張り研究考慮を要することであるやうに考へて居ります、從來は左樣に取扱つて居る其の結論として、從來の取扱ひ方で此の箇條を設けた譯でありますが、尚將來のことを考へ研究の餘地があるだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=32
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033・山田三良
○山田三良君 ちよつと本案に直接のことでないけれども、衆議院の附帶決議の一番始めにあることはどう云ふ意味であるか、今のやうな問題に關係しまして、都道府縣の區域を適當に整理統合することになつて居りますが、統合と云ふ字を使つて居りますと、府縣の合併迄も意味して居るかのやうに見えます、又區域の整理だと、或區域が其の府縣に屬した方が宜いと云ふ意味で一部分の整理をされる、統合迄行きますと、修正のやうに、數府縣合併迄も含まれた意味の附帶決議でせうか、どう云ふ意味でせうか、衆議院の附帶決議のことでありますけれども、それに關聯して伺ひたいことがあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=33
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034・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 此の衆議院の附帶決議が附きました理由は、只今の處、大變小さな縣もあり、大きな縣もある、經濟状態も産業状態も、地方的に非常に違つて居る、交通機關の變化に依つて、却て一つの縣よりは隣の縣廳へ行つた方が近くて便利だと云ふやうな場所もあるので、左樣な點を考慮して、さうして都道府縣の區域を適當に整備したり統合したりするやうなことをする考で、此の自治制度の完成と共に政府は考慮して見たらどうだらう、斯う云ふことであらうと了解して居ります、事實唯經濟問題、交通機關、地理的、左樣な關係から申しますれば、縣の併合を致した方が便利のやうな所もありますけれども、其處には其處の矢張り歴史や人情や風俗の相違があつたり、過去の傳統もあつたりするので、なかなか左樣なことを考へても簡單に取扱へないので、是は十分研究したり考慮して見る、斯う云ふ風に了解して、此の附帶決議が附された譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=34
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035・山田三良
○山田三良君 併し或區域に付ては、縣の合併迄も意味して居ることは確かでせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=35
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036・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 衆議院の方々は、左樣なことを意味しての御考で斯樣な附帶決議を御附けになつたものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=36
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037・山田三良
○山田三良君 さう云ふ意味ならば、私も目前のことでありませぬけれども、將來是は殊に内務省として御考慮になるべき重大問題であると思ひます、詰り小さな縣が澤山あるよりも、相當なものに併合されて然るべきものもあるだらうと思ひます、と同時に、それは自治團體に關係して來ますので、今迄の市制のやり方が徒に市の區域を大きくすることばかりに熱中して、殊に人口三萬の六割、即ち一萬八千が都會的で、其の殘りは部落を掻き集めて漸く三萬にする、それと同じことが東京都でありましても、横濱市でありましても、京都市でありましても、皆さうなつて居りますから、其の意味に於て自治團體と云ふ本當に自治體の市制を成すべき形態に居らないものがありまして、其の結果是はなかなか圓滿な實施は困難だらうと想像するのであります、京都市の如き、殊にさうだらうと思ひます、同樣に神戸市でありましてもさうであります、横濱市の如きは徒に區域を擴げて、川崎市に近い所迄持つて來て居る、さう云ふ所迄横濱市として、後に殘るものを神奈川縣として居る、斯う云ふ所に非常に無理があるだらうと思ひますから、寧ろ本當を言へば特別市制を行はれる際に、もう一遍地理的に人情的に、本當の特別市となすやうに區域の地方民と能く協議して、さう云ふ整理を行はれることになれば、私は自治制實施の將來の爲に結構でないかと思はれますから、どうか、さう云ふものを各自治團體で、自分で希望して居る特別市であるから其の區域は地方住民の意思に放任して構はない、斯う云ふことで此の特別市制を布かれると云ふやうな時には、もう一層再考せられる餘地が、地方人民に於ても又中央政府に於いても考慮せらるべき餘地があるやうに思はれますから、さう云ふ點も併せ考へて戴くと云ふ意味に於ての附帶決議ならば、貴族院に於ても矢張り、さう云ふ附帶決議を私は望ましいと思ひますので、それをちよつと伺つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=37
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038・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 全國の、人口三萬を標準としての市制を許可すると云ふことも、只今山田博士の仰しやいましたことも、殆ど主張の上から言つて、御考の點から言つて同樣のやうに思はれます、誠に御尤もな御意見で、是は内務省としては大いに研究して、將來御説の如き方向に行くべきもののやうに考へます、誠に御尤もの御意見として、將來の研究調査の資料として十分價値あることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=38
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039・淺井清
○淺井清君 地方公共團體と人口との問題に關しまして、今御話が出ましたから私は丁度それと反對の所にある問題として御伺ひ致したいのですが、此の九十五條に規定されて居りまする町村總會と云ふ制度でありますが、詰り町村に議會を置かずに、選擧權を持つて居る者が皆出て行つてやる、此の制度でございますが、是は日本の町村の現状に照しまして是が必要であるかどうか、又は是がやれるかどうかと云ふことに付て御伺ひ致したいのですが、一體日本の町村と云ふのは御承知のやうに日本の地方自治制度の嘗ての御手本になりましたドイツのプロイセンの町村なんかから見て非常に大きいのではないか、從つて町村の上に郡と云ふものを設けて、府縣に結附けることすら、必要でなかつたやうに思はれるのですが、今手許に戴きました此の材料に依つて見ますと、日本に一萬以上の町村があつて其の中、人口五百人未満の町村は二十二しかない、斯う云ふことが示されて居るのでありまするが、殊に公民が今や住民となり、女子が參政權を持つ、斯う云ふ状態になりますると、此の町村總會制度を運用し得る所の町、町はないと思ひますが、村が、幾つあるのであるか、嘗て大正年間に箱根の蘆湯村が確か公民權を持つて居る者が十人以下であつたかと記憶致して居りまするが、さう云ふやうな状態は今非常に少い、さうすると此の町村總會の規定が適用される村と云ふものは殆ど日本の現状に照してないのではなからうか、又其のやうな大勢の者が行けば、日本の今の現状に對して大きな會議を運用して行く此の素養と云ふものがまだ十分でないと思ひますから、此の規定は殆ど適用の餘地がないのではないかとさへ思ふのでありまするが、衆議院の修正に依りまして、却て何だか之を奨勵するかの如くにさへも思はれるのですが、此の點は事務局でどう云ふ風に御考でございましたらうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=39
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040・林敬三
○政府委員(林敬三君) 此の九十五條は今淺井先生の仰しやいましたやうな論もあるのでございまして、所謂贊否兩論ある條文でございます、それで實際に現在之を行つて居る所はあるかと申しますと、今は該當はないと存じて居ります御話のやうに神奈川縣の蘆湯村、是が三十四戸でございまして、是が村會を置かなかつたことがあると思ひます、さう云ふやうな非常に小さな戸數の所は他に多く類例があるかと云ふと、是程小さな村と云ふのはさうたんとはないと思ひます、併しながら日本の村は御承知のやうに非常に全體から見ると小さいものが大分澤山あるのでございまして、數の少い、小さいものは、それ程ひどく小さいものは左程にないかも知れませぬけれども、併しあることはありますのでございます、そこで法律上斯う云ふ制度を設けたら好いかどうかと云ふ議論になつて參るのでございますが、それで是は昔からある規定でございますし、それから矢張り自主權を強化すると云ふ建前に貫いて參りますと、此の町村の中の組織の問題と云ふものが矢張り町村民の自主性を貴んで、其の點特に町村會を設けずに、自分の村は小さいから總會で行きたいと云ふ所があれば、其の自主性を尊んでやつて宜いのではないか、斯う云ふ風に考へまして此の規定を此處に存置して、特にさう云ふ所があつた場合には、さう云ふことを認める、是は理想から言へば矢張りさう云ふ小さい所で皆がなごやかに纏つてやりたいと云ふ所があれば、やらせる方が寧ろ適切ではないか、斯樣に考へて此の規定を設けた譯でございます、それから、是はちよつと速記を止めて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=40
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041・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=41
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042・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 速記を始めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=42
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043・山隈康
○山隈康君 極めて簡單なことでありますが、第九條に、境界に關しては、結局裁判所に確定の權限がある、此の法律を見ますと、色々な小さい決定に對して高等裁判所と云ふ、裁判所を特定した場合もあるのでありますが、現在の民事訴訟法に依りますと、確定の訴は區裁判所と云ふことになつて居るやうであります、然るに今度の裁判所法に依りますと、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所にありますが、此の簡易裁判所は從來の區裁判所に代るべきものと思ふのでありますが、さう致しますと、此處に裁判所に確定の訴が出來ると云ふのは、どの裁判所を指すのであるか、簡易裁判所ですか、地方裁判所ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=43
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044・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 是は司法省とも打合せを致しました結果、斯樣な表現になりましたのでありますが、原案に於きましては高等裁判所になつて居りますのは、一度都道府縣知事、若しくは内務大臣の裁定、決定と云ふ手續を經ますので、それで再び地方裁判所を經て高等裁判所に行く必要はないと云ふ所から、直接高等裁判所と云ふことに致したのであります、衆議院案に於きましては、高等裁判所を普通の裁判所に變へまして、裁判所に確定の訴、或は決定の求めをすることが出來ると、斯う云ふ風に致しましたが、是は左樣な行政機關に依り第一次的の決定若しくは裁定を致しませぬで、直接に裁判所に行くことに致しましたので、高等裁判所に參ります前に地方裁判所を經て行く、斯う云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=44
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045・山隈康
○山隈康君 今裁判所とは、簡易裁判所と同じ裁判所である譯でありますか、唯裁判所と書いてあるが、簡易裁判所を謂ふか、地方裁判所を謂ふか、明白でないやうでありますが、大體行政處分に關するものは地方裁判所と云ふのが不文の原則になつて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=45
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046・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 行政事件に關する手續は矢張り別に司法省で法律案を用意して居りまして、それに依つて違法の行政處分に對する不服の訴は、總て特別の法律の規定がない限りは地方裁判所に行くことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=46
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047・松平外與麿
○委員長(伯爵松平外與麿君) 他に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=47
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048・白根竹介
○白根竹介君 公選知事の任期は四年になつて居りますが、四年の後に更に選擧に乘り出さうと云ふ場合には辭めなくても宜しいものですか、何か規定があるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=48
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049・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 辭めないで宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=49
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050・白根竹介
○白根竹介君 それからもう一つ、副知事と云ふ制度が出來ましたが、是は團體の長が議會の同意を得て之を選任する、併し罷めるのは團體の長が任期中でも之を解職することが出來ると云ふことになつて居りますが、採用する時には議會の同意を得て選任して、罷める時には任期中でも解職出來ると云ふのは變に思ふのですが、今度公選知事が出來ると、知事に依つては自分の股肱を作る意味に於て副知事を採用するのぢやないかと思ひますが、百六十七條によると副知事は「團體の長を補佐し、吏員の擔任する事務を監督し、別に定めるところにより、普通地方公共團體の長の職務を代理する。」副知事は知事の職務を代理してやると云ふことになつて居りますが、現在居る各地方廳の部長なんかとの關係はどう云ふ風になりますか、其の邊を少し事務當局から具體的に承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=50
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051・林敬三
○政府委員(林敬三君) 御尋の第一點の方でございますが、副知事は御承知のやうに百六十二條に依りまして、「普通公共團體の長が議會の同意を得て選任する。」必ず道府縣會に斯う云ふ人を採りたいと云ふことを掛けまして、其の承認を得て採る譯であります、それから解職をする場合は、任期中でも何時でも解職が出來ると云ふことになつて居る譯であります、其の點は考へて書き分けたのでございまして、即ち採用致します時には知事と氣心が合ふと言ひますか、知事の使ひ易い人、斯う云ふ人を採る譯でございますが、併し公共團體の一番大切な補助機關を任命する譯でございますから、當該議會の同意を得て、議會と知事との意思の合致に依つて之を採用し任用すると云ふことになる譯であります、併しここで罷めます場合でございますが、任期は四年と一應此處に書いてありますが、併し特に一番著しい場合は、それが二年か三年經つて思想が乘離して行く、意見が合はなくなると云ふ場合もありませうが、一番此の場合考へて居りますのは、副知事が居ります、さうして知事が新たに公選で出て來たと云ふやうな場合であまますが、要するに知事と副知事と云ふものは絶えず氣分が合つてスムースに仕事が出來るやうになつて行かなければならない建前を考へて居る譯であります、そこで副知事が居る所へ新たに公選知事が出て來たと云ふやうな場合は、公選知事のやり易いやうに元の人を其の儘使つても宜しい、本當に氣の合ふ人と力を協せて十分の成績を擧げたいと云ふことであれば、外から連れて來ると云ふことになるのでありまして、副知事を罷めると云ふ場合、若し假に議會の方で反對してやめさせぬと云ふことになりますと、知事と副知事と云ふものが思想の違つた儘、そつぽを向いた儘坐つて居ると云ふ結果になる、採つて來て任用する時が大事でございますけれども、解職をする場合と云ふものは、其の一番の長である知事とどうしても意見が合はない、或は知事の都合に依つては、辭めて戴いた方が宜いと知事が考へる時は、それを拒む結果になつて、中で暗鬪を生じ、さう云ふことの方がもつと弊害が大きいのぢやないか、當該知事から考へますれば、其の人が去る、而も長たる知事が、去ること仕方なしと見て解職をすると云ふ場合は、之を認めた方が圓滑なる行政の遂行が出來るのぢやないか、斯う云ふ風に考へまして、そこの所を考慮に入れました上、百六十二條と百六十三條と特に此處に書き分けが出來て居る譯であります、それから部長との關係でありますが、副知事は部長の上になる譯でございます、申す迄もなく副知事制度と云ふのは、知事だけでも宜いと云ふ場合もあるのでございますが、公選に依る知事で政治家的な人が出て來た場合、さう云ふ場合には、事務的な最高責任補佐機關と云ふものが一人ある方が宜いのぢやないか、又逆に稀な場合でありますが、知事に事務的な才幹のある人が出た場合には幾分政治的な才幹を持つて居る人を副知事にすることが圓滿に行政を遂行させて行く所以ではないかと云ふ風に考へまして副知事制度と云ふものを設けた譯であります、部長の上に位する、斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=51
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052・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、まあ當分變梃なものでございますな、部長は官吏であつて内務大臣の直接任命になつて居るし、知事は公選で、さうして副知事は知事の選任した者を置いてあると云ふので、今迄部長は知事の代理なんと云ふことをやつたのですが、知事の代理は出來ない譯でもないのですね、副知事があつても、部長が知事の事務に付て代理をすると云ふことが矢張り出來るのでございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=52
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053・林敬三
○政府委員(林敬三君) 是は代理致しますのは副知事と云ふことになつて居るのであります、まあ白根閣下御承知の通りに、内閣で代決と云ふやうなことがございますね、ああ云ふやうなことは出來ると思ひます、外部に對してはつきりした法律上の代理を致しますのは、特別にさう云ふことを決めてある場合であります、それから部長が官吏と云ふのは、御承知のやうに警察關係だけは官吏として殘す、併しながら外の例へば内務部長とか、經濟部長、民生部長、教育部長あれは五月三日、此の法律の施行と同時に、全部公吏になる譯であります、それで現在居ります人が附則の第六條に依りまして、「引き續き現に在る職に相當する者に補されたものと」云ふので現在居ります人が其の儘自然に官吏から公吏に變つて行く譯であります、警察は先刻大臣が御話になりましたやうに特別の關係で、暫定的に此の儘公選知事の指揮を受ける官吏として殘る譯であります、其の外の者は全部公吏になつて行く譯であります、あと健康保險とか、さう云ふことで特別會計の費用の關係其の他で官吏として殘る者がございますけれども、原則として部長以下公吏となつてしまふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=53
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054・白根竹介
○白根竹介君 さうすると云ふと公吏になつてしまひますと、百七十二條の「普通地方公共團體に必要な吏員」此の吏員に成り下つてしまふ譯でありますな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=54
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055・林敬三
○政府委員(林敬三君) 吏員になる譯でございます、併し成り下ると云ふ譯でもないのであります、是から官吏と公吏と云ふものがどつちが偉いとか、資格と云ふものはないと云ふ風に考へて行きたいと思つて居ります、從つて官吏法、公吏法と云ふやうな、しかつめらしい法律の區分を地方行政に付ては無しにして、公務員一本で以て行きたいと私共は考へて、今立案を急いで居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=55
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056・白根竹介
○白根竹介君 細かいですけれども恩給の關係などはどうなりますか、公務員法で何れ規定は出ると思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=56
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057・林敬三
○政府委員(林敬三君) 是は別に恩給法の改正法律案と云ふものを出すことになつて居ります、此の議會に出すことになつて居ります、それに依りまして現在都道府縣の官吏は五月三日に公吏になつてしまふ、斯う云ふ人は恩給の通算をすると云ふやうな規定を設けて居ります、さうして將來公務員法の確立の時に、其の關係と云ふものをもつとはつきりとさせたいと云ふ風に考へて立案を致して居る譯であります、希望と致しましては、官吏から公吏になつても、公吏から官吏になつても、そこらの所は樂なものを考へて行く、例へば農林省の開拓の技師が直ぐ府縣へ行つて開拓課長になり、或は府縣の耕地課長が又本省の技師に戻つて來る、さう云ふことが樂に出來るやうに、恩給關係などに依つてそれが非常に阻害されて、地方は地方だけの見解と見地だけを持つた人が育つことのないやうに運用するやうな制度を立てたいと存じて居ります、取敢ずと致しましては、現在府縣で官吏をやつて居る人が其の儘公吏になる場合は、其の儘通算する、斯う云ふ規定を恩給法の改正の方に入れて戴くことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=57
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058・山隈康
○山隈康君 第十二條の「日本國民たる普通地方公共團體の住民は、この法律の定めるところにより、その屬する普通地方公共團體の條例又は規則の制定を請求する權利を有する。」と云ふ所で「公共團體の條例」、是はまあ地方民に代る議會の協贊を經たものでありまするから、住民が改廢の請求權を認められるのは分りますが、規則迄の改廢の請求の權利を認められたのは、どう云ふ趣旨でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=58
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059・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 今御指摘のございました十二條の規則の制定でありますが、是は實は現行法に於きましては、規則の中に議會の議決を經べきものと、さうでないものと兩方あるのでございます、それで議會の議決を經べき規則に付ては、是は條例と同樣に一般選擧民の發案請求を認めたのでありますが、今囘規則は總て議會の議決を經ませぬで、長の權限に依るものに付てのみ之を制定する、さう云ふやうに致しましたので、實は原案を上程致します前に訂正漏れになりまして、「又は規則」と云ふのは原案の訂正に致すべきものを、實は是も衆議院の修正で御願ひしたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=59
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060・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 外に御質問ございませぬか、ございませぬければ第三編の「特別地方公共團體及び地方公共團體に關する特例」、之に付きまして何か御質問を願ひたいと思ひます、更に「附則」も加へまして、全部に付て御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=60
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061・淺井清
○淺井清君 從來學問上だけで用ひて居りました財産區とか、行政區とか云ふ言葉が今度ははつきり決つて大變結構だと思ふのですが、もう一つ法人格を持つて居りました學區と云ふものがあると思ふのですが、あれは何と云ふ法律でございましたか、地方學事通則でしたか、兎も角さう云ふものを認めて居りましたが、あれの關係はどうなるでございませうか、私全然分らないのですが、あれは相變らず別になつて居るのですか、其の邊をちよつと御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=61
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062・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 學區の制度は、只今先生の御指摘になりました地方學事通則の中に現在まだある譯でございますが、是は恐らく教育行政法と申しますか、さう云ふやうな新しい法律で、又何等か制度が定められるかと思ふのでありますが、矢張り市町村の中に特別の左樣な學校を設置する爲の區を作りまして、それを法人區と致しまして、學校の經費は其の區に於て負擔せしめる、さう云ふ制度でありますが、それは矢張り教育關係の特別法の中に規定をすると云ふ建前で、特定の目的の爲の法人區でございますので、一章の中では特に規定を致さなかつた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=62
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063・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 外に御質疑ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=63
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064・白根竹介
○白根竹介君 特別市と云ふことは地方制度調査會でも色々研究され、又新聞にも色々出て居りますが、一體どの程度に進行して行り、又どう云ふ風に實現する段取になつて居りますか、其の經過を一つ伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=64
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065・林敬三
○政府委員(林敬三君) 之に付きましては昨年の秋以來、地方制度調査會にも此の問題を諮問致しまして、さうして研究を致しました譯でございます、それで御承知のやうに、此の特別市と云ふものは三十年來問題が絶えずあつた譯でありますが、特に色々消長があつて參りましたのですが、昨年の夏頃から之を具體的な問題として研究する必要に迫られて參りました、又其の必要を認めまして地方制度調査會に之を諮問した譯であります、其の結果今年の二月になりまして答申があつた譯でございますが、併し具體的に、此の問題は五大都市の問題でございますが、五大都市の何處に之を適用するかと云ふことになりますと、確定した結論と云ふものが未だ出て居ない、それで大體申しますと、名古屋と大阪と神戸に付ては地方制度調査會の意向も殆ど一致して異議がない、併し京都と横濱に付きましては相當の異論があつて、贊成もあり反對もある、斯う云ふ實情であると云ふ意味の答申が出て參つて居るのでございます、それで今度の地方自治法を提案致します際に於きましても、所謂憲法附屬の……附屬的の法典として、此の地方自治法を作り上げます上に於て、特別都制と云ふものが制度としては是は設けて然るべきものと考へまして、又設けなければ此處で以て完備した一つの法典にはならない、斯樣に考へまして、特別市と云ふものを作り得る此の制度を書き、さうして其の場合の色々適用條文と云ふものを設けた譯であります、併し現在に於て、又具體的に之をどの市に適用するかと云ふことに付ては、此の法文が出來上つて、成立致しまして、施行致されましてから後で具體的に研究致しまして、さうして必要なものに付きましては、此の法文にありますやうに、法律で人口五十萬以上即ち現在に於ては五大都市に付きまして、其の中でどれをやるかに付て法律で指定する譯であります、そこで此の法律案が、特別市指定の法律案と云ふものが衆議院に出て、それから參議院を通つて、兩院を通過致しまして成立致しますと、是は併し……昨日も御議論がありましたやうに、一地方に對し施行する法律でございますので、そこで一般の規定に依りまして、其の當該都市のレフエレンダムに掛けると云ふことに致します、斯う云ふやうなことになります、例へば神戸市にやりたい、やつて然るべしと云ふ結論になりました場合に、神戸市に特別市制を施行するの件と云ふ法律を出しまして、それが議會で成立致しましたら、其の區域に於ける所の神戸市内のレフエレンダムを取りまして、其の決定と確定を待ちまして、是が、神戸が特別市になる、兵庫縣の範圍と云ふものはそれだけ縮少される、斯う云ふことに相成る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=65
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066・山隈康
○山隈康君 午前に遡るやうで恐縮ですが、條文がちよつと見當りませぬが、疾病其の他で自書の出來ない場合に於ては何か特別の方法を設くると云ふ修正が何か出來たやうですが、どう云ふ御構想がありますか、書けない者が投票をする方法に付ては何か発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=66
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067・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 結局兩手のないやうな者に投票せしめますのには、自書は、是は就れにしても不可能でございますから、そこで代理人をして書かせる、斯う云ふことになると思ひます、唯其の場合に、矢張り特定の投票立會人を、同一黨派でないものを二人位を立會せまして、さうして、其の二人が、選擧人の口述に依つて、どつちか一人が書く、斯う云ふことになると思ひます、大體アメリカの各州に於ける投票方法に於ては、さう云ふやうな投票方法が採られて居るやうでございまして、左樣な例に從つてやつて行くことになると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=67
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068・淺井清
○淺井清君 只今御話が出ました此の二百六十一條の規定ですが、憲法九十五條のレフエレンダムの問題でありますが、是は今更言つても仕方がないのですが、憲法九十五條の運用の規定が、此の自治法案の二百六十一條の外に國會法に一部分入つて居ると思ふのですが、あれは非常に不便なものですから、是は此處で言つても仕方のないことですが、あれは一つに纏つて居た方が宜くはないかと思ふのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=68
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069・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 此の點は國會法を作ります時に、矢張り色々御相談を受けまして、事務當局と致しましても協議致したのでございますが、矢張り國會法の方に於きましても、國會に於て可決をされました法律の始末の問題でありますから、全然觸れない譯にも行かないと云ふことになりまして、確か其處には、法律の定めるところによると云ふ言葉を入れてあつたと存じます、それで此の法律の定めるところによりと規定してありますことが、結局此の自治法との關聯になりまして、自治法の二百六十一條が國會法の方で豫定して居る法律と云ふことになるのであります、こちらの自治法の方には國會で可決されましたものを、衆議院議長から内閣總理大臣に送つて參りまして、それから又投票を濟まして裁可する迄の手續を書いて居る譯であります、其の以前の手續は、國會法の方で規定をして居るやうな譯に相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=69
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070・松平外與麿
○委員長(男爵松平外與麿君) 尚御質問ございませぬか、御質疑がございませぬければ、大體地方自治法案全般に付きましての御質疑は終了したものと見做します、それでは本日は此の程度で打切りまして、明日午前十時から開會することに致します
午後三時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=70
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071・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 松平外與麿君
副委員長 子爵 藤井兼誼君
委員
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
子爵 秋元春朝君
子爵 土屋尹直君
山田三良君
白根竹介君
男爵 三須精一君
男爵 岡俊二君
男爵 紀俊忠君
男爵 斯波正夫君
山崎延吉君
宮澤俊義君
松尾國松君
山隈康君
小山完吾君
瀬川彌右衞門君
淺井清君
國務大臣
内務大臣 植原悦二郎君
政府委員
内務次官 齊藤昇君
内務事務官 林敬三君
同 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202392X00319470325&spkNum=71
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