1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○郵便法の一部を改正する法律案
○帝國鐵道会計法を改正する法律案
○通信事業特別会計法を改正する法律案
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)
午前十一時十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=0
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001・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 是より會議を開きます、本日は質疑に移ります、先づ帝國鐵道會計法を改正する法律案に付て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=1
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002・大木喜福
○伯爵大木喜福君 此の度帝國鐵道會計法を改正する法律案が出ましたが、此の改正は現行の會計法と今度改正する會計法とどう云ふ風に違ひますか、其の違ふ主なる點を簡單に御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=2
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003・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 御答辯申上げます、現在の會計法、それから新しく改正されます會計法、之に付きましては昨日でしたか大體大まかな御説明があつたと思ふのでありますが、それを要約致しまして項目別に一應御話し申上げまするならば、先づ第一に發生主義會計の原則を採用致しました、現金の收支と云ふことのみならず、債權債務等をも計算整理致しまして、事業の經營成績及び財政状態を明かにした點でございます、それから次に資金の調達を圓滑に致しまする爲に長期資金としては、長い期間の資金と致しましては、資本的の支出の爲に公債や借入金が出來ますのみならず、新たに營業費の不足、財源の補填の爲にも借入金が出來ることと致したのでございます、又短期の資金と致しましては一時借入金、或は融通證券の中償還出來ないものは借替が出來ることと致しました、更に一時借入金の借入の手段と致しまして、當座借越契約を結ぶことが出來ることと致した點でございます、それから三番目には建設改良費の財源が不足致しました場合に、之を補ふ爲に剩餘金を以て調整資金を保有することと致しました點でございます、それから第四番目には只今現に行つて居りまする繰替拂と云ふ制度がございますが、此の繰替拂と云ふ複雜な支拂方法を改善致しました點でございます、次に五番目には其の年度末の未拂金に相當する豫算は翌年度へ繰越して使用出來ることと致しました點でございます、六番目には用品資金の制度を廢止致しました、第七番目には、新しい制度は丁度昭和二十二年度から實施せられまする爲に昭和二十一年度末整理期間の廢止或は用品資金超過の特例等の經過規定を設けることにしました、是は七番目の項は經過規定の關係でございまして、制度の基本の改正ではございませぬ、大體以上の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=3
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004・永井松三
○永井松三君 只今現在の會計のやり方と、それから此の新しいやり方との區別の點は承りましたが、此の第一條にあります通り企業的に運營して大いに良くして行くと云ふ法律ですが、現在のには短所若しくは弊害があつていかぬから新しくやると云ふのですか、其の邊の必要は、唯文章の上では企業的に運營して行くと云ふことであるのですが、實際さうであるのですか、斯う云ふ必要があるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=4
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005・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 御答へ申上げます、只今は現金主義と云ふのを原則と致して居るのでございますが、現金主義の先づ大體に於きまして少し具合の惡い點、缺點と申しますか、此の點を御話申上げて見ますと、是はもう御承知かと思ひますけれども、其の年度の所屬の收入とか、或は又經費でもでありまするが、現金收支を伴はない場合には計上されないと云ふ、斯う云ふ缺陷が先づございます、それから逆に前年度所屬のものでも、現金を受拂した場合は其の年度分に依ると、斯う云ふ缺陷がございます、即ち前年度の分が今年の分になると、先程の御話申上げましたものの逆になる譯であります、それから次に現金の受拂を伴はない收益とか經費は計上することは出來ない、斯う云ふ風な大まかな所三つの缺點と申しますか、斯う云ふのを改めたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=5
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006・永井松三
○永井松三君 さうしますと、從來の缺點を此の際是正しようと云ふ趣旨であつて、總ての財政状態其の他色々の變革が行はれつつある時であるからして、それに即應する爲に斯う云ふことをしなければならぬと云ふ意味でなくして、從來の缺點を是正爲さらうとする法律案でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=6
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007・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 從來の會計のやり方を改正致しますと共に、是で以ちまして今度の改正に依りまして、其の年度の運營、經營と云ふ點がはつきりと豫算、決算に現れる譯でございまして、其の點から見まして、其の年度々々の事業が實際に即した形で現れまして、之に基きまして事業の經營宜しきや否やを判定し得ると、斯う云ふ唯主眼でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=7
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008・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 只今の簿記の形式と云ふものは、すつかり是は普通の營業會社のやうな式になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=8
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009・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 今度は簿記の形も改めまして、普通の事業會社式のものに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=9
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010・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 此の借入金とか、債券を發行されると云ふのは、外國の資本などを導入すると云ふ意味も含まれて居るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=10
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011・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 條文の上に於きましては、何も特に現れたものはございませぬし、只今の所は外資の導入と云ふことも一應は考へて居ない状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=11
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012・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 其の借入金の借入先は主に何處を當にして居られるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=12
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013・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 此の鐵道特別會計も國家の會計の一つでありまして、借入金に付きましては、從來は日本銀行等が豫定されて居つたのでありますが、今囘新しく制定されます財政法に依りまして、原則として日本銀行から金を借入れると云ふことは制限されて居ります、從ひまして今後借入金を致さうとすれば、原則的には日本銀行以外の所、場合に依れば預金部と云ふものが考へられます、或は市中の金融機關、或は市中金融機關のグループと云ふものが考へられます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=13
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014・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 さうしますると、民間の會社などと殆ど同じやうな行き方にならうと思ひまするが、鐵道の信用と云ふものが、どの程度迄金融機關に重んぜられて居るかと云ふことが相當懸念される感じがするのであります、非常に急迫して動きが取れなくなつて來ると、從つて運賃の値上と云ふことが起つて來るでせうし、何か鐵道を經營する上に於て新しい計畫と云ふものが考へて置かれなくちやならぬぢやないかと思はれるのでありますが、資金の調達は勿論のこと、利益を上げると云ふ面に於ても、非常に努力を要することぢやないかと思はれるのであります、併しながら一方に獨占事業に近いものでありますから、運賃の値上などと云ふやうなことは、國民に餘り好い感じを與へないと云ふことは當然のことだと思ひます、此の點に付てどう云ふ風の腹案でもおありでございませうか、御漏らしを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=14
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015・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 御答へ申上げます、只今の鐵道の財政を概略申上げますと、御承知でもございませうが、昨今の人件費の値上、それから物價の騰貴、是等の點が重複致しまして、相當に所謂赤字を出して居るのでございまして、經營收支の點から借入金で賄はなくちやならない状態になつて居ります、之に付きましては、一方どう云ふ風な考へ方で對策を講じて行つたら宜しいかと云ふことは、運輸省と致しましても、日夜施策を練つて居る所でありますが、矢張り誠に簡單と言ひますか、普通に考へられる方法でございますけれども、此の急場を凌ぐ爲には借入、或は運賃の値上、又一方出來るだけ經費の節約をする、此の三つしか考へられないのでございまして、出來るだけ經費の節約をしますことは固よりでありますけれども、只今申上げましたやうな條件が重なり合つた場合に於きましては、何としても借入金又は運賃の値上で之を賄ふより方法がないと斯う考へるのであります、唯運賃の値上と言ひましても、御承知の通り國民の經濟に影響する所は多いものでありますから、思つた通り不足額を完全に充たすだけの運賃の値上が可能であるかと申しますと、今のやうな點から考へまして、餘程考慮をしなければならないと存ずるのであります、又一方經費の中に於ても其の年度、其の年度で之を負擔すると云ふ風な性質のもの以上のもの、一例を擧げますれば、渉外關係、進駐軍との關係に要しまする經費だとか、或は行政監督の部面に使ひます經費だとか云ふ風なものに付きましては、其の年、其の年の運賃收入で賄はずに、借入金等で負擔を後の世に殘す、其の年、其の年の負擔で賄ふべき支出に付ては之を出來るだけ運賃で賄つて行く、まあ斯う云ふ風に我々の方としては今考へて居る所でありまして、一方には國民經濟に及す影響を出來るだけ少くして、一方にはさう云ふどうしても其の年の收入で賄はなければならないものは出來るだけ運賃で賄つて行きたいと斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=15
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016・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 大體了解致しました、今一つ赤字の大體の程度と、それから内容を簡單に御話を願ひたいと思ひます、人件費が幾ら、物件費が幾らと云ふやうなことを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=16
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017・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 極く大まかな數字になりますのでございますが、二十年度から赤字の借入が始まつて居ります、二十年度が約七億圓であります、それから二十一年度は只今の見込では、約四十六億七千萬圓斯う云ふ數字に相成つて居りまして、二十一年度の赤字の見込み四十六億七千萬圓の中で四十二億七千萬圓が借入金の豫定でございます、さうして四億圓は前年度からの剩餘金と云ふことでございまして、二十一年度に於て實際に借入を致しますのは、只今申しました四十二億七千萬圓、それでございますから、二十年度の七億圓と、只今の四十二億七千萬圓を加へました額が二十一年度末に於きます營業收支が合ひませぬ爲に、借入れます所の額でございます、二十二年度の豫算につきましては、只今は八十三億五千萬圓の借入を豫想致して居る譯であります、是は先程も申しましたやうに、運賃の値上に依つて之を緩和しなくてはならないんぢやないかと云ふ風に考へて居ります、それで只今人件費と物件費の御話でございましたが、只今御審議を願つて居ります昭和二十二年度の豫算に付きまして極く概略を申上げますると、二十二年度の豫算案の中で、事業費は百六十二億九千萬圓になつて居ります、此の百六十二億九千萬圓の中で、人件費が八十二億四千二百萬圓、それから物件費が八十億五千二百萬圓、斯う云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=17
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018・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 是だけの借入金をするには擔保と云ふものが必要だらうと思はれるのですが、鐵道の現有資産は大掴みのところ、どの位ありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=18
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019・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) ちよつと今手許に資料がない爲に、後程御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=19
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020・六角英通
○子爵六角英通君 今の八代男爵の御質疑に關聯致しまして、ちよつと伺ひたいと思ひますが、アメリカとか、英國其の他主要の國で以て、鐵道の事業費……多くは私營と思ひますが、物件費と人件費の割合と云つたやうなものは、大體どんな風になつて居りますか、分つて居る範圍に於て御示しを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=20
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021・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 丁度手許に資料がございませぬので、はつきりとした御答も出來兼ねますのでございますが、大體に於きまして、從來の戰爭後のことに分つて居りませぬが、從來の普通の状態に於きましては、諸外國に於きまする人件費の割合と云ふものは、非常に大きく占めて居ります、其の數字も、ちよつと忘れましたけれども、當時の、戰前の日本の鐵道に於ける人件費と物件費の割合から見ますると、諸外國の方が遙かに大きいものでございました、數字をちよつと忘れて居りますので、相濟みませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=21
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022・六角英通
○子爵六角英通君 今の御話の當時と申しますか、斯う云ふことになります前の、大體鐵道總局に於ける人件費と物件費の割合と云ふものはどんなものでございましたか、又今の、大體四十五パーセント位が今度は人件費になつて居ると思ひますが、其の割合と云ふのは、諸外國の鐵道事業から見れば、寧ろ妥當な割合であつて、決して人件費が多過ぎるのではないのだと云ふやうに御感じ……、今資料が御手許にない譯でありますが……御感じになりますか、それとも更にそれを越してしまつたやうに御思ひになりますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=22
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023・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 誠に資料がありませぬので、本當の感じ見たやうな答辯になりまして恐縮でありますが、戰前に於きましても、大體に於きまして人件費、物件費の國有鐵道に於ける割合は稍稍半々でございます、諸外國に於きましては人件費の方が幾分高目ではなかつたかと思ひます、さうしまして大體の人件費と物件費の割合が今の状態に於きまして、國有鐵道が均衡を失して居るかどうかと云ふ問題になりますると、それ程に不鈞合なものではないと、斯う考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=23
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024・大木喜福
○伯爵大木喜福君 是ははつきりした發表もないので分りませぬが、又更に六月か、七月に運賃の値上と云ふことが噂されて居りますが、之を値上されるやうな方向に行つて居りませうか、又値上されれば、大體どの程度の値上をされますか、又値上をすれば、二十二年度はそれに依つてどの位の收入を擧げられますか、御差支がなければ御示しを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=24
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025・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 先程も申上げました通りに、八十三億何がしの不足は、收支の均衡等から見まして、何とかして運賃を上げてでも填めなければならないと考へて居ります、就きましては、御承知のやうに鐵道會議がございますものですから、何れはそちらの方に御諮り致しまして、御意見も十分に御聽きしなくてはならないと存じて居ります、就きましては私の方としましては、今どれ位の運質値上を致しましたならば國民經濟に左程の影響がなくて濟むであらうか、又運賃増額に依りまして收入がどれだけ賄ひ得るだらうかと云ふ風な點も鐵道會議其の他の御意見を參酌しなくてはならないと思ひますので、はつきりと決定して居ないやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=25
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026・六角英通
○子爵六角英通君 又今の大木伯爵の御質問に關聯して伺ひたいと思ひますが、鐵道運賃が國民の生活に占めて居ります割合、詰り主要食糧なら主要食糧と云ふものに對して、運賃がどの位の影響を受けて居るのでありますか、又勤人なら勤人の生活に交通費がどれ位の割合を占めて居るのでありますか、是は相當はつきりした御調があるのだらうと思ひますが、それと此の値上に依つて起るであらう物價騰貴と云ひますか、國民生活の窮迫と云ふやうなこととどんな關係になるか、大體の御見込を御話し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=26
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027・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 御答へ申上げます、運賃の國民生活に及します影響、或は其の生活費に對する割合と云ふことでございまするが、旅客運賃に付きましても貨物運賃に付きましても、外國に於ける諸鐵道運賃の國民生活費に對する割合と云ふものよりも幾分低いやうに思ひます、旅客運賃に付きましてははつきりと致しました、生計費と云ひますかの中の何パーセントを占めて居るかと云ふ數字はちよつと記憶ございませぬが、貨物運賃に付て見ますると、物に依りましては非常に諸外國の例に比べまして開きがあるやうでございます、例へば石炭の運賃などに付きまして見ますると、アメリカなんかでも鐵道の或區間に付きましては、運賃が石炭費の五割を占めて居る、是も記憶でございまするが、大體の約五割を占めて居るやうな例もございます、我が國では、運賃の石炭價格に對する割合を見ますと一割足らず、或は五パーセント足らずと思ひますが、極く少い、五パーセント、もつと切つて居ると思ひますが、適當な資料がございませぬが、非常に少いものでございます、それは一例でございまするが、全體の主要な品目の貨物の運賃を見て見ましても、諸外國の例から見ますると、相當に開きを持つた、低い割合を日本では持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=27
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028・六角英通
○子爵六角英通君 確か日本の人達が鐵道を利用して居る割合と云ふのは世界的に最も多かつた率だと思ひますが、今のやうに貨物運賃の方は殆ど戰前から値上をされませぬで、結局見方に依つては今の所跛つこの値になつて居るので、非常に安い割合になつて居るかと思ひます、旅客運賃の方はさうではないだらうと思ふ、殊に噂のやうに又三倍とか、四倍とか云ふやうな値上をしますと、非常に高率になつて行くのではないかと想像致します、何れに致しましても諸外國と日本とは色々な點が違ふのではございますが、生きて運營して居ります實際の例でありますから、常に方々のさう云う生きた例を、生きた見方をする、或セクションを切りまして、止まつた場合の状況だけを御覽にならないで、生きた經營状態と云ふものを常に參照されて、國民生活と合せて常に合理的な運營が出來るやうに、又何時でもさう云ふ指數なり何なりが見ることが出來るやうに御用意をして置いて戴きたいと思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=28
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029・田中不破三
○政府委員(田中不破三君) 只今の御話にありましたやうに私の方としましても出來るだけの各資料を蒐集致しまして、國有鐵道の運賃體系を眺めて參りたいと考へて居る次第であります、又只今私自身の記憶或は手持ちの資料は頗る不十分でございましたけれども、相當に纏つたものもございます、又一方諸外國の例のみならず國内の物價體系物價指數と云ふものも能く參考にして行きたいと存じて努力致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=29
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030・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) それでは午前中は此の程度にしまして休憩致します、午後一時から再開致します
午前十一時五十四分休憩
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午後一時二十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=30
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031・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) それでは會議を開きます、郵便法の一部を改正する法律案に付て御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=31
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032・六角英通
○子爵六角英通君 昨年の夏頃であつたかと思ひますが、第九十議會の、矢張り此の委員會に於きまして、確か五錢の葉書が三倍の十五錢になり、其の他四倍前後の値上げがされて、私も其の委員會に列席致しました、其の時に於きまして、大體是で收支が償ふやうな御説明を伺つたやうに記憶致して居りまするが、それから半年餘りしか經たない今日、更に葉書が三倍半弱の五十錢に値上げされ、又他のものも四倍前後の値上りになつて居ります、物價の値上り其の他に比較しまして、非常に著しい値上のやうに思はれる譯でございますが、是は其の後、其の時御考になつたのと、事實に於て非常に異つて結果を齎した爲だとも想像致しますが、先づどうして其の結果になつたかと云ふことを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=32
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033・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 昨年行はれました議會に於ける五錢の葉書を十五錢に引上げると云ふやうな法案の御審議に當りまして、六角子爵から只今御話のやうな御意見のありましたことを能く承知致して居ります、其の時に於きましては、御承知の如くまだ官公職員の待遇改善に付きまして、具體策が實は練られて居なかつたのでありまするが、併し七月案と云ふ問題を研究調査して居つた時でございまして、其の際に於ける遞信從業員の一箇月の平均收入と致しましては、細かい數字は後で事務當局から御説明申上げさして戴きたいのでありますが、何でも三百圓前後であつたやうに私は思ふのです、それが七月案の實施に當りまして、又相當に値上しなければならないことになつたのであります、七月案の實施に依つて、今迄の給與が殆んど倍程になつたと私は考へて居りますが、細かい數字は後で申上げます、そこで一應待遇改善はまあどうか斯うか、此の程度あれば、最低生活の保障が出來ると、斯う考へて居つたのであります、處が其の後十月でありましたか、遞信從業員が京都に大會を開きまして、此の七月案だけでは、到底自分等は生活が出來ない、故に此の増額を請求しなければならないと云ふ大會の決議を致しました、其の大會の決議に依りますると、一人平均一箇月千九百幾らと云ふことに決議をしたやうであります、それを是等の大會が終りました後に、私の方にさう云ふ要求を出して參りました、色々研究致しまして、兎に角是で最低生活の保障が出來ないとあれば、何とかしなければならぬだらうがと云ふことで、結局是が閣議の議に上りまして、十二月に、それでは一人千圓、さうして尚一人に對して百五十圓ですか、と云ふやうなものを越年資金と云ふ名前ではなくて、唯從業員の生活を保障すると云ふ意味に於て、是だけのものを出さうと云ふことに決めたのであります、處が其の後も依然として、それだけではいけないと云ふて、御承知のやうに二、一ゼネストを目指しまして、從業員等が自分等の要求を、一人當取敢ず暫定措置として千二百圓か、千三百圓でありましたか、能く覺えませぬが、それと家族一人に付て何でも二百圓と云ふやうなものを寄越せと云ふ請求をして、さうしてそれで之を中勞委の方にそれ等の裁定を頼んで參つたのであります、中勞委の方では一人前千二百圓、それから家族一人に付て幾らと云ふやうな裁定を致しました、政府も其の裁定案に付きまして色色調査研究の結果、結局の所は千二百圓だけそれぢや出さう、それから取敢ず此の一月には一人幾らでしたか、百圓でしたか、それ以上に出さう、さうして此の赤字補填なんかと云ふやうな問題は打切つて貰はうと云ふことにしたのでありますが、なかなかそれも思ふやうに行きませぬでしたが、結局二月七日、ゼネストの濟んだ後であります、二月七日の大藏省の給與局暫定案と致しまして、一箇月平均千二百圓、それから家族幾らと云ふやうな案が出まして、それで結局まあ私の方も何時でありましたか、本月の十一日でありましたか、兎に角まあ本月中にそれで宜からうと云ふことに從業員諸君と話合が著いた譯なのです、斯う云ふやうに昨年の四、五月頃の給與が平均二、三百圓であつたものが、一足飛に千二、三百圓になつた、斯う云ふことになりますると、丁度四倍程上つたと云ふことになる、さう致しますると是等の給與改善の爲に支給する此の財源は何處に得るかと云ふことになりますると、特別會計の遞信省の豫算でありますから、成るだけ是は此の遞信事業に依つて利益を均霑する人々にそれ等の責任を負うて貰はう、就ては郵便料金等の値上をすること、それ以外に方法はなからう、但しそれに付ても、餘りそれ等の人に澤山の負擔を掛けると云ふことに付ても是は考へなければならぬから、多少の點は一般の人に負擔して貰はうと云ふ意味に於て、公債を發行しても其の大部分は郵便料金に依つて、其の財政の缺陷を補填する以外に方法はなからうと云ふことに於きまして、御示しの如く十五錢に上つたものが今囘五十錢とか、或は三十錢のものは一圓二十錢と云ふやうに増額しなければならないやうな結果に立至つたのであります、是等の數字に關しまする詳細の點は事務當局から御答さして戴きます、料金を値上しなければなりませぬと云ふ原則は、只今申上げましたやうに、從業員の待遇改善が、昨年の御質問のあつた當時よりも數倍澤山支給しなければならないやうになつた結果であると云ふことの御了承を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=33
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034・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 只今の六角子爵の御質疑に對しまする御答と致しましては、大臣より御説明のありました所で十分と存じますけれども、幾分數字の點に付きまして、補足をさせて戴きたいと思ひます、御尋のありました昨年の料金の値上は、丁度所謂三月案と云ふものを實施しようと云ふ時に當つて居つたのでございます、と申しますのは最近に於きまする通信會計の實情は、人件費の比重が非常に多くなつて居りまして、來年度の豫算に於きましても、大體殆ど七割見當が人件費と云つたやうな比重になつて居ります、此の人件費の面が最も多く收益的支出の大勢を決するフアクターでございますので、先づ其の點に付ての數字的な御説明を申上げるのが一番宜くはないかと思ふので此の點に觸れるのでございますが、昨年の料金の値上のありました時には、丁度一昨年の暮頃から非常に物價の騰貴の勢も激しくなりましたし、從つて生活苦も益益加はつて參りますと云ふことで、一面勞働組合の運動も漸次活溌になつて參ります等の關係で、所謂三月案の實施されたのが丁度あの五月、六月頃でございましたが、此の三月案に依りますと、遞信省の從業員の平均給でありますが、それが三百圓程でございました、是は其の一昨年の暮頃の百圓見當に比べまして約三倍の引上げでございます、百圓見當にあるのを、通信會計の總額は、年額に致しまして五億圓見當でございますが、此の三月案を實施致します爲に、是が十三億見當に年額がなつたのでございます、それで其の當時、其の外に物價の値上りもございまして、收支の均衡を保ちます爲に已むを得ざるの處置と致しまして、料金の改正の御審議を煩はしまして、ああ云ふ風に出來ましたのでありますが、其の改正致しました各料金の收入、それは郵便電信電話を序に御話しますけれども、是は年額に致しまして十七億見當でございました、さう致しますと、勿論直に今の人件費の十三億見當に全部今の電信電話郵便の收入を充てるのは必ずしも適當ではないのでございますけれども、比較的一番目立つた此の二つの項目を對比させて考へて見ますと、十七億見當の收入は、其の中の大部分の十三億が人件費に支出された形になつて居る譯でありますが、其の後更に物價の騰貴が甚だしく先程大臣から御説明のありました七月案と云ふものが實施されまして、是が平均五百五十圓に遞信從業員は引上げられるやうになりました、五百五十圓に平均給が引上げられますと、金額は約二十六億圓に相成るのでございます、さう致しますと、もう此處で既に收支のバランスは破れて參りました、さう云ふ譯でございますから、七月案實施後更に年末の一時金の支給或は一月以降の暫定給與の實施と云ふやうなことになりますと云ふと、もう到底其の通信會計の収入を以て、其の經費を賄ふことは出來にくくなりまして、此の二十一年度に於きましては、次々にと實は赤字の借入金を致しまして、年度内の借入金が總額十六億圓にも達すると云ふやうなことになつて參つたのでございます、處が御承知のやうに、只今も御話にありました千二百圓案と云ふものが今年一月から實施されることに相成りまして、來年度の豫算の基礎と致しましては、其の平均給千二百圓と云ふものを當然計上しなければならなくなつた譯でございます、さう致しました場合の人件費は一躍六十四億圓に上つたのでございます、さう云ふ譯でございますから、昨年の料金引上以後に於て、既に人件費十三億圓が二十六億圓に跳ね上り、更に今年一月以降實施されます新しい給與の措置に依りまして、是が六十四億圓に更に跳ね上ると、斯う云う譯で、どうしても來年度に於きましては、其の外勿論物價の値上りもございます物價の値上りも後で二三申上げますが、さう云ふ物價の値上りもございまして、來年度の通信會計の收入と致しましては、他會計から繰入を致して居ります、例へば預金部からの繰入、保險年金からの繰入等を相當多額に出して行きましても、尚且つ收益的な計算の面に於きまして五十二億九千四百萬圓と云ふ大きな赤字を生ずることに相成つたのでございます、此の五十二億九千四百萬圓の赤字は、是は今申しましたやうな給與及び物件費、殊に事業を運營致して行きます上にも、收益的支出に屬する經費の増加から出て參りました赤字でございますので、是は今年或は來年限りと云ふ意味の性質のものではない譯でございます、ですからどうしても此の部分は事業の特別會計の本來の趣旨から申しまして收入を増すことに依りまして、何とかカバーをして行かなければならないと云ふことになります、それで此の五十二億九千四百萬圓の赤字を補填致します爲に、今囘再び郵便料金其の他の料金の改正を計畫するの已むなきに至つたやうな次第でございます、それで序でございますから大體今囘の料金の改正に依ります全體の收入増の一點を申上げて見ますと、是が約五十一億圓になります、さう致しますと、赤字五十二億九千四百萬圓と五十一億圓との差類は若干あります、先づ二億圓でございます、二億圓はございますけれども、私共と致しましては出來るだけ更に經費を切詰め、又收入の増加を圖り、所謂奮發を致しまして、何とか來年度中に是が自力で以て解消出來るやうに一つの努力を目標と考へて居る次第でございます、已むを得なければ是は又赤字になる譯でございますけれども、左樣なことのないやうに努力致す目標と考へて居る次第でございます、尚物件費の方の値上りでございますが、是は隨分遞信事業としては色々な物を使つて居りますが、例へば一番澤山使ひます通信の方のゴム線の如きものを見ますと、二十一年度の豫算に於きまして是が一千メートル二百十二圓の單價でございますが、來年度に於きましては千二百五十五圓と、殆ど六倍以上に上つて居りますし、又電話費の方でも二十一年度に於きましては一箇五十一圓でございますが、是が二十二年度は六百八十圓で、十二倍にも上つて居ります、更に紙の類を見ましても、板紙の例を採つて見ますれば、是は一千ポンドの單位でございますが、七百十八圓で、昭和二十一年度の單價は二十二年度に於きましては二千五百二十五圓と、是亦七倍に上つて居りますし、用紙の類は二十一年度六百四十七圓が千三百四十二圓と、是も二倍以上でございます、更に從業員の多數に支給致して居ります被服の例を見ますと、夏服で昭和二十一年度が三十五圓で一著出來たものが、來年度は二百八十圓と、非常に格段の値上りを示して居ります、其の外冬服の類、雨具の類、行嚢の自轉車タイヤ、チユーブと色々な品目を採つて見ましても、一年の間に非常に値上りがございまして、昨年料金の値上り當時よりは格段の昂騰を示して居るのでございます、さう云ふ譯で、隨分經費の面では節約に節約を致しましても尚且此の程度の値上げを已むを得ざることにせられて來た次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=34
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035・六角英通
○子爵六角英通君 詳細に伺ひまして、大體内容を承知致しましたが、今後も引續いてどう物價騰貴があるかも知れない、まあ大藏大臣が言つて居られますやうに、六月頃になれば一應安定して來るかも分りませぬが、先程の鐵道の方でも大幅の値上があるかも知れない、それや是やで以て通信事業だけぢやない、色々なことが起ると思ふのでございますが、そこ等邊の見透しも出來るだけ的確に付けて置いて戴きたいと思ひますと同時に、私としましては斯う云ふ際思ひ切つてもう二割位値上をする、例へば五十錢の葉書を六十錢にすると云ふやうな結果にしたと致しますと、今伺ひますと收入不足と申しますか、不足になつて居りますもの乃至は所用の經費の七割位が人件費になつて居る譯でございますが、此の二割の増と云ふものを物件費に當てますと、物件費としては八割位の増加になり得る譯だと思ひます、さうしまして今通信用に必要な色々な物件を積極的に擴充して參りまして、通信事業を出來るだけ積極的に強化して行く、さうすれば利用致します國民に於きましても通信に信頼出來る點が多くなりまして、今御承知のやうに、東京都内の速達が五日位かかると云ふ例は決して少なくない、電報にしましても速達にしましても、ポストに抛り込んで行くと云ふ程度に出でないものが大部分と思ひますが、是も結局色々な物が不足して居る爲に、十分從業員が働けない結果から來るのではないかと思ひますが、ぎりぎりの所迄今伺ひますと非常に節約して、事實はもつと更に二億圓位の値上げをしなくてはならないのを此の程度に止めてあるやうに伺ひましたが、それも結構だとは思ひますが、斯う云ふ際は寧ろどつかで思ひ切つて少し一歩先へ出て見ると云ふやうなことが必要ではないかと思ひますが、政府當局の方ではどう云ふやうな御考だか承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=35
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036・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今の料金値上に依る收入では從業員の待遇改善竝に施設の改善等に付て十分とは言はれないではないか、又今後の物價騰貴を見透して見ると、もう少し此の際上げることの方が宜いのではないかと云ふ、非常に御同情ある御質問に對しましては、私誠に感激を致して居るのでございます、實は今囘の官公職員の待遇改善問題に致しましても、暫定給與の一ヶ月千二百圓、家族一人當り幾らと云ふやうなことだけでは、實は從業員は十分の滿足はして居りませぬ、是が待遇改善の委員會に於て相當の引上になると思ふのでございますが、それ等の問題に致しましても、實は出來る限り彼等の生活の向上を圖つて、まあ此の程度ならば自分等も斯う云ふ風に晏如として働くことが出來るんだと云ふやうな安心を與へなければ、彼等の、仕事に向つて熱意を持つて之に從事し、國民の滿足の行くやうなサーヴイスの提供も出來ないと云ふやうなことがあらうと考へて居りまして、成るたけさう云ふ點に付きましては、出來得る限り一つ努力して彼等の最低生活を保證してやらうと云ふやうな考を持つて居るのであります、さう致しますると、是だけでは成る程足りない、まだ二億も足りない、それならばもう少し上げた方が宜いのではないかと云ふ御言葉でありますが、他の收入等を睨み合せまして、一時にさう云ふやうな値上をすると云ふことよりも、政府も低物價政策を執り、さうして色々生活の安らかになると云ふ風な面に副うて努力して居る、さう云ふことであれば、必ずしも物價が上ると云ふことにならないで、徐々に物價の下ると云ふ傾向であるならば、まあまあ今日では此の程度ならばどうか斯うか賄が出來ようと云ふやうなところで豫算を組んだのでございました、若し是以上に物價が騰りまして、從業員の待遇の改善が是では足りないと云ふことになれば、是は已むを得ず赤字公債に依るか、或は料金の値上に依るかと云ふことを勿論考へなければなりませぬけれども、今日の程度ではまあまあ此の位あればと云ふことでありまして、出來得べき限り此のサーヴイスの提供を宜くしてさうして收入を殖やさう、一面には出來る限り節約もしよう、人員も成るたけ事務に澁滯を來さない限りに於ては餘り人を殖やすと云ふこともしないやうにして、サーヴイスを向上すると云ふことに付ては、彼等が喜んで此の仕事に熱を持つて打込むと云ふやうになれば、サーヴイスの改善と云ふことも出來るからと云ふやうな意味に於て此の程度に止めたのでございます、是は他の豫算等を睨み合せまして斯う云ふことに致したのでございますが、若し今日より以上に物價が騰貴して、今迄の待遇改善では生活が出來ないと云ふことになりますれば、是亦已むを得ず上げなければならぬと思ふのでありますが、今日では取敢ず此の程度でと云ふことで値上の御審議を願ふことになつたのであります、此の點をどうか御含み置きを願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=36
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037・六角英通
○子爵六角英通君 遞信大臣から御答辯戴きました點に付きまして、少し私の申上げ方が足りなかつたか、誤解されたやうに思ふのでございますが、私の申上げするのは、今大臣が仰しやつたことでは必ずしもなく、もつと積極的に動かなければならぬのではないか、斯う云ふじり貧状態に於きまして、やつと虚を滿たすと云ふのではなく、一歩前進することが出來る爲の彈力を與へなければならぬのではないかと云ふことを伺つた譯でありまして、申上げたのは、今の料金の二割位の増收を圖りましても、之を物件費と云ふ點から見れば八割とか倍近くの支出が可能になることでありまして、仕事としては餘程積極的に出來るやうになるのではないかと思ふのであります、近頃の料金の値上と申しますと、私が今申しました二割とか一割とか云ふのではございませぬで、前囘も今囘も出ましたやうな三倍とか四倍とかいふ桁違ひのものになつてしまひますが、さう云ふものになる前に、詰りじり貧でもう何ともならなくなつてからやれば總てのものがさう云ふ恰好になると思ふのでありますが、さうではなく、一歩手前の少しゆとりを持つてやつて置けば、結局低物價政策の基になるのではないかと云ふやうな意味で申上げたのでございます、それは兎も角と致しまして、もう一つ此のことに直接關係しまして、伺ひたいことは、確か戰前迄であつたか、戰爭中もあつたかと思ひますが、開封の書状と云ふものがあつたと思ひます、多く是は事業用の通信其の他に使はれる印刷したものは開封で宜かつたと云ふやうなことになつて居つたと思ひますが、是が何時の間にか消ゑてしまひまして、私から申上げる迄もないことでございますが、事業用と云ふか、積極的の仕事をする事業用のものも、今度は何を送りましても書状とすると一圓二十錢になることになります、それで前のやうに開封式と申しますか、印刷されたものとか、特種の事業用のものと云ふものは、前のやうな開封並、詰り普通の半分の料金、或は三分の一の料金と云ふやうなことを復活される御意思はないか、事業の種類に依りましては通信費が非常に大きな負擔になるものもあるのではないか、さう云ふものに負擔さすと云ふことは、結局健全財政と云ふやうな意味でも面白くないのぢやないかと思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=37
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038・小笠原光壽
○政府委員(小笠原光壽君) 御答へ申上げます、開封の書状と特に事業用等に頻繁に使はれますものに付きまして、開き封の制がなくなつたのではないかと云ふ御質問でございますが、其の點は今日に於きましても、御承知のやうに印刷書状と云ふものは開き封で出されますものは第四種と同樣の取扱を致すことになつて居りまして、從ひまして印刷書状竝に第四種の中の業務用書類等の如きは、御承知のやうに第一種の封緘されました書状よりは目方の上に於きまして料金は低廉ならしめると云ふ意味に於きまして、一般の書状の場合に於きましては、二十グラム毎に今囘は一圓二十錢になる譯でございますが、只今の御質問の印刷書状、或は業務用書類と云ふやうなものは、重量百グラム又は其の端數毎に一圓二十錢と云ふことに相成る譯でございまして、此の料金の關係に於きましては、印刷書状なり業務用書類なり、要するに開き封で以て出されますものに付きましては、量目の點に付きまして低廉な取計ひをして居る、斯う云ふ風な状況になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=38
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039・六角英通
○子爵六角英通君 御説明を伺ひまして能く分りましたが、業務用のものには、例へば振替の受取を送り返してやれば宜しいとか、非常に輕い種類のものが多くて、此の第四種と書いてありますのに出て居りますやうな重いものよりも、寧ろ非常た輕いものが含まれて居る場合も多いのではないかと思ひます、それで重さの方だけで以て此處では特別勉強して戴いて居るやうでございますが、さうではなく、輕いもので、極めて重さと云ふ點では恩惠を受けないものも多くはないかと思ふのでございますが、さう云ふものの種類は餘り多くないやうな御見込でございますか、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=39
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040・小笠原光壽
○政府委員(小笠原光壽君) 御質問のやうに、只今の開き封の印刷書状なり、或は業務用書類等の中には、必ずしも百グラムに近くなく、比較的目方の輕いものが相當ございますことは事實でございます、唯只今申上げましたやうに、現在の此の料金の方法を採りましたのは、昭和二十年の四月、即ち昨年の料金改正のもう一つ前の年から、只今のやうな風に料金は同額にして目方で勉強すると云ふやうなことに致した次第でございます、それで只今の印刷書状の料金、業務用書類なんかの所謂第四種料金收入と云ふものは、是は相當高額の收入になる次第でございまして、其の目方を特に金額の點に於きまして御勉強すると云ふことは、結局外の方の郵便料金を更に一層高額に致しませぬと辻褄が合はないと云ふやうなことになる次第でございまして、原案のやうなものを提出致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=40
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041・六角英通
○子爵六角英通君 是は料金の値上だけに頼るとすれば當然さうなることではあると思ひますが、十分通信事業と云ふものの國家に對する役目と云ふやうな點から御考へ願ひまして、今度の機會には間に合はないと致しましても、一應御研究して戴きたいと思ひます、それから最後にもう一つ伺ひたいのでございますが、是も前の九十議會で私申上げたことでございますが、私自體としましては、此の戰爭で破壞されました東亞全體の通信事業と云ふやうなものの再建に對してはどうしても日本が出來るだけの奉仕と申しますか、受持をしなくてはならないと思ひます、其の爲には十分出來るだけこちらで通信の專門家と申しますか、通信事業を教育したり、又通信用機器の製造の計畫をしたり、前にも申上げましたやうに規格の統一をして見たり、積極的に東亞の通信網の囘復に盡せる用意をし、且通信陣と致しましても積極的の仕事に依りまして今の二倍でも三倍でもの人が吸收出來ますやうにする必要があると思ひまして、前にもさう云ふことを御尋ね致したのでございますが、それに付て其の後どう云ふ風になつて居りますか、又今はさう云ふ御考がないのかどうかと云ふことを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=41
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042・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 只今の日本が將來東亞の通信の謂はば培養者として、人的にも機材的にも實力を養成して行くと云ふことに付ての非常な剴切なる御質問は誠に御尤もに聽いて居りましたが、御承知のやうに只今の所現在の電氣通信の仕事は、日本のポツダム宣言下の領土以外の分に於きましては、矢張り其の筋の指定に依りまして動いて居りますので、積極的に此の際人的改革をやるとか、或は又進出する爲の人員を養成すると云ふやうな時機にはまだ至つて居りませぬ、國際通信其のものに付きましても現在新しいルートの開拓は自主的には出來て居りませぬ、又料金の決定等も矢張り其の都度關係筋の御指示に依つて居るやうな譯でございまして、さう云ふ御氣持其のものには誠に私共も同感でありまするが、直ちに具體的にさうした計畫に著手し得る時機では全くないと存じて居ります、尤も機械の生産力を持つと云ふことに付きましては商工省方面に於て、此の點に付て或は何等かの御對策があるかも知れませぬが、遞信省と致しましては只今の所、戰前若しくは戰爭中の如く具體的に其の地區を對象とした通信機器の生産向上と云ふやうなことに付ては特に進出しては居りませぬ、以上御答辯申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=42
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043・六角英通
○子爵六角英通君 私の質問は一應是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=43
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044・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 現行の郵便法の規定に依りますと、第一種に盲人用の點字の印刷書状一キログラム毎に五錢、それから第四種に矢張り盲人用の點字の書籍、印刷物、業務用書類一キログラム毎に五錢とすると云ふのが入つて居りますが、今度の此の改正法を見ますと、盲人用の書状、籍書、印刷物などと云ふものが入つて居らないやうでございますが、是はどうして今度お止めになつたのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=44
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045・小笠原光壽
○政府委員(小笠原光壽君) 只今の御質問も、御不審は誠に御尤もでございますが、盲人用點字の印刷物の料金に付きましては郵便法十八條の但し書に依りまして、「命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ料金ヲ低減スルコトヲ得」と云ふ規定がございますので、其の規定に根據を置きまして、遞信省令並に閣令に依りまして、從來と其の權衡を圖りまして、盲人用點字の印刷物に付きましては定量の料金を決めることに豫定、別途取運び中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=45
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046・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 今の御話を承りますと此の盲人用の書状、書籍云々は、さうすると料金は普通の此の第一種、第四種としてあつたのよりも高くなるのでありませうか、どう云ふ風になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=46
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047・小笠原光壽
○政府委員(小笠原光壽君) 矢張り從來の料金、從來盲人用の點字の郵便物に付きまして、現行法の決めて居ります料金の凡そ三倍程度の料金に致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=47
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048・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 私の質問は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=48
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049・永井松三
○永井松三君 今囘の通信料の増加は物價騰貴、人件費の増加等に付きまして誠に御尤もなことであるのでありますが、私は其の高とか又必要とか云ふことに付ての議論を致しませぬが、今現在郵便局で取扱つて居ることの中に、純然たる通信事務でない仕事、當初に於ては又色々と趣旨があつてさう云ふ風に出發したのでありませうけれども、段々それが擴張をされ、若しくは伸ばされて、殊に此の非常時事態の必要と云ひ、又好い機會と云ふやうなことで、金融業がやつて居るやうなこともやりましたり、或は保險業がやつて居るやうなことをやつて居る、申す迄もなく簡易保險とか保險年金とか、今日は預金の出し入れの事務と云ふものが當初と丸で違つてしまつて居ると云ふやうで、純然たる通信事務ではないことに相當な人及び資材を要して居られるのではないかと思ふので、段々時勢も變つて來ましたし、それから又必要も減つて來たのでありますからして、さう云ふことは郵便局に取扱はさせずに、それぞれの所屬の部内がありませうから、そちらに割いておしまひになつて、純然たる通信事業だけにしてしまへば、經費がずつと減つて來る、即ち通信料を増加して、それを補填しなければならぬと云ふやうな必要が減ずるのではないかと云ふやうな氣がしますけれども、併し實際當局として今日の事務を取扱つて居られる爲、之に對する經費を通信業だけで負ふてゐらつしやらなければならぬと、それを握つて居らつしやるのは一應御考になる餘地があると思ひますが、是は實際の事務に從事してゐらつしやる方でないと御分りにならないことと思いますが、質疑として、私の蒙を啓いて戴きたいと思います、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=49
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050・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 通信官署で本來の通信であります郵便、電信、電話の仕事以外にやつて居りますことは、正に御話の通りでございますが、是等の仕事を切離して、所謂通信プロパーのものだけにすべきかどうかと云ふことは、是は暫く別と致しまして、實際の運用ではどうなつて居るかと申しますと、通信特別會計の中に、郵便、電信、電話等の外に、所謂會計上一つの通信會計の内容を成すものとして採入れられて居りますものには、郵便爲替、郵便貯金、保險年金と云つたやうな仕事がございますけれども、併し此の郵便貯金の仕事を致します爲に必要な人件費、物件費等の經費は、是は大藏省預金部から必要額を入れて戴き、又保險年金の仕事の爲に必要なる經費は、それぞれ簡易保險特別會計及び郵便年金特別會計より必要額を入れて戴くと云ふことになりまして、通信料金自體の負擔には相成つて居ないのであります、從ひまして實際通信官署でやつて居ります仕事は會計的に申しますと、其の經費を實質的に負擔致します會計の方から申しますと、通信特別會計、預金部の特別會計、それから保險の特別會計と、年金の特別會計、是だけの會計が實質的にそれぞれ經費を負擔して居ると、斯う云ふ風になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=50
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051・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 料金値上の案を拜見しますと、何時でも同じやうに、餘りに理窟に合ひ過ぎて居るやうな氣がするのですが、是は甞て郵便料金値上の案が出た議會で申上げたことがあるのでありますが、其の時の經濟事情に成るべく合つて、さうして之に關係をする人の手數を省くと云ふことを考へておやりになつたのかどうか、例へば一圓二十錢とか、十五錢とか云ふ、斯う云ふ端數でありますが、是は寧ろ一圓にし、十錢にするのが最も適切ぢやないかと思はれるのでありますが、それで通常郵便などは最も大衆的なものですから、所謂ペニーポストと云ふやうな考から出來るだけ低廉な料金でやる、其の代り收支償はせる爲に、極く特殊の、例へば電話とか云ふものの方の値上で以て之を補ふと云ふやうな方法の方が、一層効果的ぢやないかと思はれるのでありますが、現に鐵道なら鐵道を見ますと、窓口で釣錢の要らぬやうにして呉れと、斯う云ふやうな掲示が澤山あるのでありますが、十五錢とか一圓二十錢とか云ふと、切手を買ひましても、つい釣錢が欲しくなつて來る、是は一圓にすることがどうしても出來なければ一圓五十錢と云ふやうに、現代の、其の時の事情に合ふやうに端數を省くと云ふことが適切ぢやないかと思はれるのであります、此の端數を省くと云ふことの爲に、どれだけ費用が節約されるかと云ふことは、計算も直ぐには出來ないでせうが、例を葉書に採つて見ますると、昔から葉書は一錢から一錢五厘になり、二錢になり、三錢、五錢、十五錢と斯う云ふ風に順に上つて居るのでありますが、其の時の經過を見ますると、昔買つた葉書に半端な切手を買ひ足してそれを貼つて出す、其の半端な切手を買ふ爲に、窓口に行つて釣錢を取ると、斯う言つたやうな、それから又郵便局の方でも色々な種類の切手を用意して置かなければならぬ、其の色々な種類の切手を印刷しなければならぬと、斯う云ふやうな費用も要るのでありますので、斯う云ふやうなことを成るべく思ひ切つて相當政治的の意味を持たせておやりなさることが適切ぢやないかと思ふのでありますが、如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=51
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052・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 事務の取扱から申しますれば、御尤もの御質問であると私も考へて居ります、實は成るべくさう云ふ風に簡易に計算の出來るやうにと云ふことを實は考へてやつたのであります、例へば四倍値上をすることになれば、十五錢の四倍は六十錢、六十錢と云ふと五十錢に十錢足すのも何んだから、五十錢にして置かうとか、或は三十錢を四倍にすると一圓二十錢、之を一圓に決めると二十錢減つて、豫算面に斯う云ふ影響を持つと云ふやうなことを、實は事務の方では只今御話のやうなことを十分考慮してやつたのであります、さう云ふ事情を一つ御酌取を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=52
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053・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 能く分りましたが、其の御考が餘りに實際の事情に追ひ驅けられて居るやうな感じがするのであります、それよりも一歩先に進むと云ふやり方の方がもつと宜いぢやないかと思はれる、と申しますのは、此の前の何議會でしたが、矢張り郵便料金値上の時、端數のことで同じことを申上げた、もつと端數を切上げてしまつてやつたらどうか、其の時にははつきりした御答も得られず、私も疑問めいたことでしたから、それを採入れられなかつたのでありますが、それから半年ばかり經つたら又同じ値上が始つて、見て見ますと私の言つた通りになつて居る、それで若干私餘計なことを申上げたと云ふ感じが當時はしましたけれども、それを採上げられたと云ふ格好になつて、滿足を致した譯であります、今度も恐らく私は値上が直ちに起つて來ると云ふ豫感はするのであります、と申しますのは、是は皆物價とか勞銀とかの値上をカバーする爲の料金値上でありますから、恐らく此の物價騰貴の趨勢はなかなか止みさうもないのであります、さうすれば續いて又料金値上と云ふことが起つて來ると思ふのであります、其の時には相當思ひ切つた處置を爲さる方が宜いと思ひます、是は先程六角子爵が申されたことと大體同じやうな意味のことにならうと思ふのでありますが、議論を申上げて恐縮でありますが、それだけのことを申上げて、私の質問は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=53
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054・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今の八代男爵の御意見私も御尤もなことで、將來若し値上するやうなことがありましたら、成るべく御趣旨に副ふやうに取計ひたいと思ひます
〔委員長退席副委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=54
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055・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 私からちよつと御尋ねしたいと思ひますのは、是は遞信省ばかりでなく、鐵道省にも關係しますが、先づ遞信省の場合に付て伺ひたいと思ひます、遞信省に共濟組合がございますが、此の共濟組合の給付は、最後の報酬の如何程と云ふことに依つて決つて居るのでありまして、待遇改善を致しますると、必ず此の共濟組合の責任が重くなつて來る、即ち之を言ひ換へますれば、積立金を餘計積まなければならぬと云ふ結果になつて參ると思ひます、遞信省の共濟組合は勅令に基いて居るかどうかはつきり覺えて居りませぬが、鐵道の方は確か勅令に基いて居ると思つて思ります、斯くの如く致しまして、此の積立金が増加致しますると、組合の持つて居りまする資産では、最早是がカバー出來なくなる、即ち茲に赤字が出來て來るのでありまするが、其の赤字は何程位に上つて居りませうか、又此の決濟の方法は如何に相成つて居りませうか、遞信當局及び大藏省御當局から御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=55
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056・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 遞信省の共濟も鐵道と同樣勅令に基いて出來て居るものでございますが、最近色々な状況の變化に依りまして、御指摘になりましたやうな事情が生じて參つて居るのは事實でございます、大體の方向と致しましては組合員の掛金を先づ之に即應致しまして、政府の交付金も増額をすると、斯う云つた方法で給付の増額に伴ひまする財源の方の不足を補填して行くと云ふことは、是は各省共通の率で取つて居ります、只今ちよつと其の正確な數字を、資料を持合せて居りませぬので、後で御質問に御答へ申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=56
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057・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 積立金を計算致します豫定利率は何分を使つておいでになるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=57
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058・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 三分五厘でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=58
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059・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 鐵道の……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=59
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060・河野一之
○政府委員(河野一之君) 鐵道の共濟組合の積立金豫定利率は三分五厘になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=60
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061・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 之に關聯して伺ひたいと思ひますが、例の金融機關再建整備法の結果であります、あれで金融機關に對して補償を爲さると云ふことになつて居りますが、其の豫算が確か百億になつて居ると思ひます、あの百億はどう云ふ風に御使ひになるのであるか、其の大體の豫定でも出來て居りませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=61
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062・河野一之
○政府委員(河野一之君) 金融機關再建整備法の何でございましたが、百億と纏めて入つて居りまして、金融機關別の關係は是から新勘定舊勘定と其の他の貸借勘定をはつきり致しまして、それから出すと云ふことが、まだ其の點はつきり決つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=62
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063・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 金融機關の新勘定舊勘定を分けて、資産の足りない部分を之を國庫が補償すると云ふことになつて居るのでありますが、其の資産の足る足らぬと云ふ問題に付きまして、生命保險事業に於きましては何に依つて之を見るかと言ひますと、會社の責任額、即ち責任準備金と云ふものが、會社の持つて居ります資産に見合ふか見分はぬかの問題でありまして、此の責任準備金と云ふものは、是は資産とは少しく違ひまして、是は計算上のものである、計算上のものと言へば資産の方も計算上のものか知れませぬが、それよりも餘程計算の部分が強く反映するものでありまして、其の計算に於かれましては割引算を使ひます、即ち豫定利率と云ふものを使つて居る、其の豫定利率は今のところ大藏省の御示しになつて居るものは三分で計算しろと云ふことになつて居る、然るに政府部内の共濟組合は、是と同樣な豫定利率、即ち共濟組合の豫定利率又簡易生命保險事業に於きまする豫定利率と云ふものは、是は三分五厘で計算して居る、茲に民間事業は三分でやり、官營の方は三分五厘でやつて居る所に、何等か之を差別しなければならないと云ふ理由があるのでありませうか、如何なものでありませうか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=63
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064・河野一之
○政府委員(河野一之君) 私金融業の關係でないのではつきり致しませぬが、從來保險會社に於きましては、從來から三分の豫定利率でやつて居つたと存じて居ります、遞信共濟組合其の他の積立金、それから健康保險其の他の積立金に於きましては、大體國債を持たせる、斯う云ふ頭で居りましたので、當初から豫定利率三分五厘と云ふことで保險料其の他の計算をやつて參つた、保險會社の方はさう云つた過去の經緯とは別になつて居りますので、現在に至る迄其の方針で行つて居るやうに拜承致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=64
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065・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今の御説明の中で生命保險會社は從來から三分の豫定利率と云ふ御話がありましたが、是は聊か違つて居りまして、從來三分五厘でやつて居る、昨年から三分でやるやうなことになつて來て居る、此の結果はどうなるかと云ふと三分と三分五厘と申しますと、國庫補償額が三分でありますれば相當大きくなる、三分五厘より多くなる、多額の補償をしなければならぬと云ふことになる、生命保險事業の基礎を確實にして置くと云ふ意味合から言ひますれば、三分で濟むと云ふことが有利だと思ひます、併しながら政府部内の各種の事業が三分五厘である時に、唯生命保險事業だけを三分でやつて、特に事業の基礎を安固にすると云ふことは、是は生命保險事業の關係のものに取つては有難いことでありますけれども、一般國民の利益と云ふ所から見れば、生命保險事業だけにさう云ふやうな資産の裏付けをする、信用の裏付けをすると云ふことは聊か疑問があるのであります、之に對してどう云ふ風に御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=65
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066・八代五郎造
○副委員長(男爵八代五郎造君) ちよつと齋藤子爵に御伺ひしますが、御質問は郵便法に關係がないやうですが、遞信事業特別會計法も併せて議題になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=66
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067・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 通信事業特別會計法は午前中で質問が中斷されて居りまして、まだ質問が殘つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=67
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068・八代五郎造
○副委員長(男爵八代五郎造君) 今の御質問は郵便法の御質問に關係がないやうに思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=68
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069・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 少し逸脱したやうでありますから、此の點それでは是で止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=69
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070・河野一之
○政府委員(河野一之君) 今の御質問でありますが、三分五厘に致しますのと、三分に致しますのと、御承知の通り補償の額が違つて參るのです、其の點今後の研究問題としまして、どう云ふ風に百億の分け方でありますが、色色勘定の基準、其の他の未確定の件が相當ございますので、其の問題と併せて處理したいと斯う考へて居ります
〔副委員長退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=70
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071・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 郵便法の一部を改正する法律案に付きまして、他に御質問ございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=71
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072・六角英通
○子爵六角英通君 關聯致しまして郵便年金に關することを一つ伺ひたいと思ひます、聞きます所に依りますと、郵便年金は確か一年の交付が一千圓以上になるものは第二封鎖になつたと云ふ風に聞いて居りますが、それは事實でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=72
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073・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 其の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=73
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074・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 只今は、郵便法の一部を改正する法律案の質疑でありまして、六角子爵の御質問は通信事業特別會計法を改正する法律案の質疑の際に更に御願ひ致したいと思ひます、郵便法の一部を改正する法律案に付きまして、他に御質疑がございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=74
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075・池田宣政
○侯爵池田宣政君 先程中座致して居りましたが、郵便切手が非常に出が惡くて困る場合がありますが、今度は斯う云ふ風に改正されますが、直ちに間に合ふ御用意がありますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=75
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076・小笠原光壽
○政府委員(小笠原光壽君) 御答へ致します、切手の點に付きましては、現在十分の手持がありませぬが、料金改正の點に伴ひまして切手が足らない爲に利用者に御不便を掛けると云ふことは萬ないやうに考へて居りますが、併し尚今後必要な切手は二十二年度に於きまして、相當大量のものを調整することに計畫致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=76
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077・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 他に御質問ございませぬでせうか、御質問がございませぬければ討論に入りたいと存じまするが如何でございませうか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=77
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078・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) それでは御異議ないものと認めます、郵便法の一部を改正する法律案を議題に供します、別段の御發言がございませぬければ、此の法案の採決に入りたいと存じます、郵便法の一部を改正する法律案を可決することに決定致して宜しうございませうか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=78
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079・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 御異議ないものと認めます、仍て本法案は全員一致可決すべきものと決定致しました、次に通信事業特別會計法を改正する法律案に付て質疑に入りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=79
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080・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 此の改正法律案は、鐵道會計の方と大體性質が同じものであろうと思はれますが、念の爲に一應從來の會計法と、此の會計法との比較を御説明願ひたいと存じます、具體的に申しますると、細かい例でありますが、最近電話税と云ふものが課せられるやうに聞いて居ります、此の電話税と云ふものは所管が別のもののやうに思はれますが、矢張り此の中へ織込まれるものでありませう、それから又郵便物、就中小包郵便などを輸送する時の費用は、運輸省の方へ支拂はれると云ふやうな感じがするのでありますが、さう云つたやうな多少他の所管に關聯のあること迄織込んで御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=80
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081・河野一之
○政府委員(河野一之君) 通信事業特別會計法の改正の内容でございますが、是は帝國鐵道と大體内容は同じになつて居ります、基本的な考へ方と致しましては、從來の現金收支に依る基本計算の方を改めまして、第四條でありますが、財産の増減及び異動を、其の發生の事實に基いて計理する、發生主義で計理する、斯う云ふことを明かに致して居ります、歳入歳出豫算と致しましては、之を資金豫算と致しまして、其の金の出入に付ては議會に豫算として出しますが、其の内容に付ては、發生の事實に基いてやると云ふことが第一點、全體を通じまして精神は、第一條にある通り企業的に運營し、其の健全な發達に資する爲、斯う云ふのが根本の精神でありますが、其のやり方と致しましては發生主義に基いてやる、是が第一點、それからそれに關聯して公債、借入金、其の他の規定がある譯であります、第二點は十五條以下に相成りますが、従來の繰替拂の規定を大體廢めまして、各通信官署に於て支出する經費は、之を本拂にする、此の點に付て國庫制度に對して多少例外をなす譯ですが、從來は通信事業に入つて參ります各種の歳入歳出現金、例へば郵便貯金の如きものですが、之を其の儘歳出に振替拂で使つて居りまして、後で支出官が小切手を振出しまして、其の資金を補填すると云ふやり方になつて居りまして、國庫金の動きと、豫算の支出の動きと、全然別になつて居りましたが、今囘之を改めまして其の時に既に本拂にさせて行く、と云ふやり方に致して居ります、さう云つた點、それに伴ふ各種の技術的のことでございますが、以上が大體主なる點であります、只今御話のありました電話税は通信會計の問題ではございませぬで、各地方團體が電話を持つて居る人に、其の負擔力を見て税を課すると云ふやうな建前に相成つて居りますので、此の通信會計には關係のないことに相成つて居ります、それから鐵道に支拂ひます各種の料金、是は郵便車など持つて居りますが、それは勿論通信事業會計で支辨する譯であります、事業の經費と致しまして、鐵道事業會計に繰入れると云ふやうな建前に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=81
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082・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 鐵道の方のことは了承致しましたが、電話の方は如何でございませうか、電話の加入者に地方税が課かるとすれば、電話を所管して居る所の遞信省にも地方税を課けて差支ないやうに思はれるのです、寧ろ地方税を加入者だけに課けると云ふならば、電話料の方をそれだけ値上げして、通信事業をもつと潤澤なものにすると云ふ方が、本筋ぢやないかと思はれるのです、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=82
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083・河野一之
○政府委員(河野一之君) 電話税の問題は、なかなか御承知の通り問題になつた點だと思つて居ります、各種の公共の施設に付て、どんどん税を課けると云ふことは、決して面白くないことだと思ひますが、地方税の建前と致しましては、電話を持つて居るからと云ふので電話自身に對して課税をすると云ふ建前ではないのでありまして、電話を持つて居る所に負擔力があると云ふやうなことで課けて居るやうでございます、まあさう云ふ言ひ方を致しましても、結果は同じかも存じませぬが、例へば金庫を持つて居る所に、金庫に對して課けるのでない、金庫を持つて居ると云ふ負擔力に對して課けると云ふやうなことに考へて居るやうでございます、其の外電柱税と云ふやうなものも、通信關係である譯でございますが、是は多少さう云つた所得的のものでなしに、或程度損失補償と云ふ面がありますので、多少違ふかも存じませぬが、飽く迄電話税と致しましては、地方の納税者の負擔力と云ふ點に重點を置いて課税をして居ります、電話其のものに付て課税するのではないと云ふ見解を執つて居ると云ふ風に拜聽致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=83
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084・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 續いて少し遞信當局に御伺したいのでありますが、此の特別會計を斯う云ふ風になさると云ふことは、適當の場合に聊か申上げたいのでありますが、民間の企業會社と相當に似通つた所が出來て來るので、而もそれが公益性の獨占事業でありますからして、どうしても輿論の批判を十分に反映させなければならぬと思はれる、そこで此の會計法の中に、毎年決算を國會に提出されるやうになつて居りますけれども、寧ろさう云ふこと以外に、大衆に對する知識普及と云ふやうな意味で、遞信事業がどう云ふ風になつて居るかと云ふことを示す爲に、有らゆる機會を利用して、遞信事業の全般に亙つて啓蒙的の知識普及をなさる必要が相當にあらうと思はれるのであります、事業が段々發展すると云ふことは、どうしても民衆の協力を俟ななければ十分ぢやないと思はれるのです、それに付て差向き今の状態で基準と云ふやうなものを御示しになることも、相當困難かと思はれるのでありますが、郵便電信の通達距離が、凡そどれ位のものであるか、今迄大變區々で、速かつたり遲かつたり、或は誤配達があつたりする、例へば先達て、新聞のゴシツプに載つて居りましたが、占領軍の將校がアメリカへ出す郵便が、宇佐へ行つて戻つて來たと云ふやうなことが書いてあつたやうでした、U・S・Aをウサと讀んで、日本の宇佐へ持つて行つて、受信人不明と云ふので戻つて來た、さう言つたやうなちよつと話の種のやうな事例があつたりするのですが、さう云ふやうなことはまあ特別としましても、郵便電信の通達日數と云ふものが、凡そどれ位であるかと云ふことを一般に知らせると云ふこと、それから電話の申込をして、それが長距離電話なんかいつ掛かるか、さつぱり見當が付かぬ爲に、つい目的を達しなかつたと云ふやうなことも澤山にあらうと思はれるのであります、さう云ふ風にして通信事業が大衆性を持つた公益事業であると云ふことから、國民の關心をもつともつと深めて行かなくちやならぬと思はるるのであります、先程他の委員から御話のあつた、通信に關係のない貯金とか保險とか云ふやうなことは、別に切離して經理をなさるが宜しいと云ふやうな議論も湧いて來ることでありますが、恐らく私の感じでは貯金とか保險とか云ふやうなことを、遞信省で取扱はるる事の起りは、郵便局と云ふ一つの大きな施設を利用されて、十分に其の機能を大衆利益の爲に利用されて居るのだと、斯う私は思つて居るのであります、從つて三等郵便局の使命と云ふものは、相當尊いものであり、之を十分擴充する必要があらうと思はれるのです、にも拘らず今の状態では、甚だ遺憾ながら不備な點が澤山にある、大衆が澤山行列を作つて寒い風に吹かれて居るとか雨に濡れて居ると云ふやうなことも日常隨所にそれを見る所なのでありますが、是等は此の通信事業特別會計の新しく改正される機會に積極的に施設をして、さうして今の赤字を克服する上に、尚此の料金値上などは解消してしまつて、續々料金の値下を行ひ得るやうなことが望ましいと思はれるのであります、それには從來の儘の事業の内容では恐らく困難なことだと思はれますが、遞信當局に於きましては何か新規の腹案でもおありでございませうか、新しい事業を遞信事業の中に採入れて、さうしてそれに依つて遞信省の事業を全體として潤澤な、有利な仕事に發展させると云ふやうな、さう云ふ事柄に何か腹案でもおありでありましたならばお漏らし願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=84
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085・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 通信事業が本來公益的なものと致しまして國民大衆の理解を深め、又關心を高めて行かなければならない、さう云ふ風に差向ける爲に、例へば經理の内容の如きも單に國會に提出するばかりでなく、有らゆる機會を捉へて一般に能く知らせるやうな方法を採るが宜いと云ふやうな御趣旨、全く同感でございます、會計法に依りますと、決算書状の提出と同時に損益計算書、貸借對照表、財産目録、資産價格増減表及び資本の増減表と云つたやうなものを國會に提出することになつて居りますが、是等のことは何れも事業の經營の内容を最も適確に示すものでございますので、御話の通り機會を得て一般の國民大衆の方にも能く此の内容を承知して戴くやうに取計らひたいと考へて居る次第でございます、さう云ふことに依りまして自由なる批判を受けることが、又事業其のものをより一層合理化し發展させる所以だと考へて居る次第でございます、尚事業其のものの、例へば郵便、電信等のサーヴイスの標準とでも申しますか、例へば書状到達日數の如きものもさう云ふものも公表する方が宜いのではないかと云ふやうな御話が次にございましたが、全く是も其の通りに拜聽致したのでございまして、郵便に付きましては先程、餘程前でございましたか、主要な土地に對しまする標準到達日數が新聞等に發表せられたのでございます、尚通信事業其のものの普遍性と申しますか、其の大衆性から見て、特に此の窓口の増置、擴張と云つたやうなこと、就中特定郵便局の機能を一段と強化すると云つたやうな御趣旨の御話も承りましたのでありますが、是亦誠に私共其の通りに考へて居る所でございます、何樣昨今の通信會計の現状は先程も申上げました通り、全く當面必要な經費ですらも之を極力節減を致しまして、どうにか一つ收支の均衡を保持しようと、其の方面に非常に力を入れなければならないやうな窮状にございまして、なかなか此の内容の擴張と云つたやうな點に付きましては十分に參り兼ねて居るのでございます、殊に此の特定郵便局の増置、擴張と云つたやうな問題は、是は確かに郵便通信事業と致しましてはやらなければならない事柄ではございますけれども、大體に於きまして先づ通信の何と申しますか、利用を是から將來に期待すると云つたやうな地域に先づ之を擴げて參りますと云ふことでございますから、極く近視的な財産と云ふやうな點から見ますと、必ずしも是が直接多くの利益を齎すと云ふやうな、差向き直ぐには期待出來ないやうな場合も可なりございます、さうかと云つて、之に拘泥はるべき筋合ではございませぬので、豫算の許す限りさう云つた方面にも漸次手を伸ばして行くべきだと云ふことも考へて居り、又計畫もある譯であります、尚其の外に新規の、收益を齎すやうな事業或は業務、さう云つたものの計畫があるかとの御尋ねでございますが、只今の所では、先づ當面非常に一般から寧ろ批判を受けて居ります通信業務のサービスを如何にして正常の状態に引戻すかと云ふ點に專ら力を注いで居るやうな状態で、新しいサービスに迄手を伸ばし兼ねて居るやうな状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=85
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086・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 次に經理の方の問題でありますが、此の戰爭中壞れたり或は燒失した造營物、是は資産に計上してあるのでありませうか、或は又是から資産に繰入れられるものでありませうか、例へば街を歩いて見ても、半分燒けた電柱に切れたケーブルが澤山ぷら下つて居つたり、郵便局や電話局の建物が燒けてしまつて、外側だけ殘つて居ると、斯う云ふ物はどう云ふ風に處理されて居りますか、就中材料として十分役立ち得るやうに思はれますケーブルとか電線とか云ふやうな物の處置でございますが、是はどう云ふ風になさるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=86
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087・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 戰災等に罹りまして滅失致しましたり、或は相當損害を受けました建物は當然整理を致しまして、それぞれ或は資産の中からは滅失致しましたものは之を落し、又損害を受けましたものは其の程度に應じて資産價格の訂正を致すべきものと考へますが、まだ何樣非常に厖大、廣汎に亙つて居りますので、全部の整理は今日迄の所では遺憾ながら、出來兼ねて居る實情でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=87
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088・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私が此の質問を申上げたのは、甚だ老婆心ではありますが、先達て世間の問題になりました三福ビルと云ふものの問題なども、矢張り後始末が速かに行はれて居なかつた爲に起つたものと見るべきだと思ふのであります、殊に此の材料の燒失、半分燒失して、完全な建築材料として不適格な物を速かに調査して處分しなければ、又復忌はしい事柄が發生する心配が澤山にあらうと思はれるのであります、でもう既に着手されて居るのでありませうか、本年度の豫算の中にさう云ふものを計上されて居るのでございませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=88
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089・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 只今申上げました通り全體と致しましては誠に遺憾でございますが、まだ完全に整理を終つて居りませぬが、細かいのに付きましては大體整理を了して居る状況でございます、尚是は資産整理の問題でありまするが、來年度の豫算の面には別段是は出て居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=89
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090・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 當局も段々と御苦心の所を感謝して居る次第でありますが、成るべく速かに斯う云つた整理事業を促進されることを希望致しまして私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=90
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091・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 六角子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=91
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092・六角英通
○子爵六角英通君 それでは先程伺ひましたのに續きまして御伺ひ致します、先程伺ひましたやうに、郵便年金の年の交付額と申しますか、一千圓以上のものは第二封鎖になつて居りまして、是が一つは第二封鎖と致しましてどう云ふ風に處分される御見込であるかと云ふ點を伺ひたいと思ひます、今一點は財産税と致しまして、此の第二封鎖の中から既に財産税を納めたと申しますか、納めたものがございますが、其の精算と申しますか、措置に付きましてはどう云ふ風に取計はれるものでありますか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=92
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093・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 第二封鎖へ現在入つて居りまする郵便年金の今後の措置でございまするが、それは將來簡易保險、郵便年金の特別會計で、其の支拂能力が生れて來るかどうかに依つて決るのであります、其の支拂能力が生れて來るかどうかと云ふことに付ては、先程もちよつと御話が出て居りましたが、軍需補償打切に伴ふ各金融機關の損失補償額百億圓、此の百億圓を以ちまして先づ郵便貯金、簡易保險、郵便年金の第一封鎖分の支拂に要する額を補償し、次に民間の第一封鎖預金支拂の額を補償し、更に殘りがありましたならば郵便年金の第二封鎖に入つて居る額の補償をする、斯う云ふことになつて居りますので、最後に郵便年金の第二封鎖と云ふことになりますので、今政府事業、或は民間の第一封鎖分を支拂ふが爲に要する經費が幾ら掛かるかと云ふことは、調査中でありますので、自然と最後に殘りました郵便年金の第二封鎖の支拂に要する支拂金は幾ら要するかと云ふことはまだ決りませぬので、未だ確定致して居りませぬ、追つて是は判明するだらうと思ひます、併し假に百億圓で郵便年金の第二封鎖分を支拂ふだけの金額を補償することは出來ないと假に致しましても、郵便年金の性質上から考へまして、假令全額でなくても其の中の幾分でも支拂はなければならぬと云ふやうに考へて居ります、それから次は第二點と致しまして、郵便年金の第二封鎖分から財産税を支拂ふことに對してどう云ふ措置を執るかと云ふことでありまするが、是は大藏省と打合せました結果、本年度は第二封鎖分から支拂つて宜しいと云ふことで、現在左樣に取計つて居りますが、今後の措置をどうするかと云ふことは、それを將來補填するかどうか、又それに對する取扱をどうするかと云ふことは、最後の所迄はまだ打合せて居りませぬので、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=93
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094・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 通信事業を企業的に運營して行く建前から、以前國債の賣出とか何とか、さう云ふ際にも郵便局が其の衝に當つて居つたこともあるのでありますが、今後はさう云ふ國債の賣出又は其の賣買等に關する事務のやうなものは御取扱になる御積りがあるのですか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=94
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095・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今の所大藏省から其の要望もありませぬので、一時中止致して居りまするが、將來又さう云ふ必要が出來まして、關係方面から要求されましたものに對しては、更に考究致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=95
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096・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 ラヂオの如きも國民生活上非常に必要で、又色々の通信上にも重要な役割を果して居るのでありますが、斯う云ふラヂオの如きを通信事業に御加へになる意思は將來御ありになるかどうか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=96
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097・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 只今御話のラヂオは所謂一般に放送致して居る放送事業の方であらうと思ひますが、是は御承知のやうに、日本放送協會と云ふ公益社團法人を以て現在一本で運營を致させて居りますので、之を直ぐに政府事業の方に移すと云ふことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=97
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098・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 是は又前に伺つたのと少し別問題になりますが、例へば電話の如きものは一種の財産と考へられて居るにも拘らず、何時の間にか自分が持つて居つた番號が外の人の名義になつて居る、所謂一種の財産侵害と云ふやうなことが起つた場合に、電話局はそれに對して、番號を今度新しくやるから宜いぢやないかと云ふやうな態度に出られるやうなことも聞いて居ります、さう云ふ書類に對してはもう少し責任を持つてやつて戴きたいと思ふのであります、事實其の例を私は知つて居るのでありますが、其の點に對して遞信當局は、下級の官吏に對する監督と言ひますか、或は其の財産に對する責任を果すこと云ふやうな點に付て、どう云ふ御考を持つておいでになりますか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=98
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099・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 只今の御質問の中、番號と名義でございますが、名義を正當名義人の御了解若しくは正當名義人が自主的に御變へなさる意思のある場合以外に、電話官署の方で變へることは全くございませぬ、あるとすれば餘程それは、例へば能く申します自身賣買であるとか、或は電話官署に差出しました名義變更を其の儘受付けたと云ふやうな場合が能くございますが、全然電話官署の方から發動致しまして、名義人の知らない中に名義を變へるとか云ふやうなことは、全く私豫想出來ませぬのですが、番號だけを變へることは、實は成るべく、既に用ひられて居りまする番號は、相手方にも知れて居りますし、又名義人の方に取りましても、番號が非常に値打のある場合も多いものでございますから、出來るだけ變へないと云ふ方針で居りますのですが、唯區域か變りましたやうな場合、又は今囘のやうな大災害を受けまして、元の電話局が復活する迄、差向き既存の局に一時收容替すると云ふ場合には、偶偶元の電話の番號が其の新局に空いて居りませぬ場合には、已むを得ませず舊番號を變更する、斯う云ふことはございます、是も出來るだけ舊番號の値打のある方には、それに相當の値打ある番號をと云ふ配意は致したいのでありますが、何分にも數多いことでもあり、皆樣に御滿足を與へるやうな番號の選擇と云ふものは、困難な場合が多いものでございますから、勢ひ斯うした震災後或は戰災後の復舊と云ふやうな場合には、得てして、それぞれの加入者の方に皆御滿足の行くやうな番號を配意すると云ふことは、誠に困難な實情にございます、若し名義人の御存じない中に名義其のものが變つて居つたと云ふやうなことでもございますれば、是は當然電話官署としては、正當名義人なりとして申請された通告に依つて居るか、或はそこに何等かの不正行爲があるか、能く御調査申上げまして善處致したい、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=99
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100・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 只今の名義と其の番號とは、さうすると無關係になる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=100
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101・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 無關係でございます、從ひまして、例へば局が變りましたやうな場合、或は局を變へて御移轉なすつた場合には、名義其のものは聊かも變りませぬ、番號は變る場合もある譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=101
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102・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 其の番號が變ります場合に、名義人には何等の通知もなくて、電話局の方で勝手に變へると云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=102
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103・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 番號を變へます前に御相談を申上げることは致しませぬ、併し變へました場合には必ず御通知申上げることになつて居ります、尚關東大震災後甚だしい所では六囘も番號が變りまして、誠に公衆に御迷惑を掛けたこともございます、今囘のやうな戰災の復興上已むを得ず番號が變ると云ふ時には、矢張り事前に御了解を申上げると云ふことが出來兼ねて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=103
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104・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 伊集院子爵の御質問に關聯致しまして、ちよつと私御伺ひ致したいと思ひます、一昨年のあの三月の末に行はれました東京都の第六次強制疎開と云ふものが、御承知のやうに非常に取急ぎまして、非常に廣範圍に亙つての強制疎開であつた譯であります、それで其の時に、此の強制疎開に遭ひました人で、電話を持つて居りました者は、供出するのが原則だとか聞いて居りましたけれども、さうぢやなくて、それを他の所に架設することも許されて居つた譯であります、それで他の所に持つて行く積りで居りまして、其のことを係の者に話をして置きました處、又先方でも、持つて行かうと思ひます、所が戰災で燒けたと云ふやうな場合が相當にあつたやうであります、それでさう云ふ時に其の旨を、あれは何處でございましたか、電話局の方でしたか、兎に角遞信官署の方に書面で以て書き出して置きまして、唯それを受付けたと云ふ程度でございまして、それに對して何等後日證據になるやうなものは貰つて居らないと云ふ人があつたやうに聞いて居るのでありますが、さう云ふやうな場合にはどうなるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=104
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105・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 今の場合に電話官署に、自分の電話が燒けたが何處そこに復舊して欲しいのであると云ふ旨を意思表示して戴きました分に付きましては、是は電話官署で受付けまして記録として殘つて居ります、唯それに對しまして直ちに御返事申上げ兼ねて居りますのは、其の地區が果して何時復舊するかと云ふ見透しがつき兼ねて居りました爲に、暫くの間御返事を申上げ兼ねて居つたのでありますが、最近はそれを當分復舊出來ない地區と見込のある地區に分けまして、見込のない分は、見込のないことを御返事申上げ、見込のある分は見込のあることを御通知をするやうな取計つて居ります、但し若し出來ますれば、所謂戰災電話の復舊屆と云ふものの書式が決つて居りますので、御手紙程度のもので若し其の場合電話官署に御屆け下さつたとすれば、念の爲にもう一度其の屆を御出し下さつて置けば非常に安全だ、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=105
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106・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 牛込局でありますが、牛込局は確か今なくなつて居ると思ひますが、あの周圍で一二さう云ふ人を聞いて居りますので、豫豫私は相當の數に上つて居るのぢやないかと思つて居ります、無論手紙のやうなものではありませぬで、正式と申しませうか、一定の形式を備へた書類で以て出して居りますのですけれども、御承知の通り可なり廣い區域に亙つての戰災でもありますし、それから今なかなか東京で住宅を拵へると云ふことも困難でありますから、將來何處へ持つて行くと云ふことを決め兼ねると云ふやうな人も私多々あらうと思ひます、殊に地方へでも疎開した人は、なかなか東京に轉入も出來ないと云ふやうな状態でありますが、是は將來どう云ふ風になるものですか、其の點が可なり不正確のやうな感じを私は致しますのですが、遞信官署の方から、今の通知を出すと仰しやつても、其の者が何處に行つて居るか分らないと云ふやうな人が多々あらうかと思ひますから、何か公告のやうな形式でも御執りになつたらどんなものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=106
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107・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 誠に御尤もでございまして、其の點實は昨年六月十四日迄に是非何處に復舊するか、御希望を添へて御屆を願いたいと云ふことを公告も致しましたし、色々手を盡して周知宣傳を致しました、今の御話のやうに、疎開先で御存じがない、又復活の屆出が出來なかつたと云ふやうな方も多いと思ひましたので、更に延ばしまして昨年の十二月中旬迄にもう一遍一つ御屆け願ひたいと云ふことを、是はラジオでもやりましたし、新聞へも公告致しまして、其の結果二十二年度に是非斯う云ふ場所に復活して欲しいと申出て下さつた方が二十二萬名ばかりございます、是は一應打切つた形になつて居りますが、今御申出のございましたやうな、已むを得ない方に付きましては、更に手を盡して出來るだけ御深切に御知らせ申上げたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=107
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108・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 大變至れり盡せりの御趣旨と私は思つて居りますが、今政府委員の仰しやるやうに、それが又大勢の電話所有者の中には徹底しない方も相當あらうかと思ひます、それで此の官署の方には、牛込だけでなく、今のやうに燒けましても、何番の電話を持つて居るかと云ふやうなことはつきり分つて居るのでございますから、さう致しますれば此處で其の屆出を出しましても、要領を得ると思ひますけれども、それが帳簿が滅失して居つて、全然分らぬと云ふことになりますと、なかなかむづかしいのではないかと思ひますが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=108
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109・渡邊音二郎
○政府委員(渡邊音二郎君) 東京に付きましては、少くとも番號は分ることになつて居ります、又番號簿の舊いのもございますし、色々立證する資料もあると思ひますので、其の點は若し加入課等に付きまして御調べ方を御請求下されば結構と思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=109
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110・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 通信事業特別會計法を改正する法律案に付て、他に御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=110
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111・永井松三
○永井松三君 法文の末と申せばそれだけのことでありますけれども、鐵道事業特別會計法案の方にもあり、又只今議題となつて居ります通信事業特別會計法案にもある、第一條、企業的に運營して行くと云ふことに兩方とも載せて居る、鐵道の方に付ての事業の説明を當該政府委員から私は承りました、何故斯う云ふことを法文の中に言はなければならないのであるか、今迄企業的にやつて居らなかつたから、將來企業的にやるのか、それとも根本的に方法を變へて行くと云ふやうな意味で、企業的に運營すると云ふやうな字が使つてあるのでありまするか、必ずしも斯う云ふことを言はなくとも、通信事業の健全な發達に資するためで宜ささうなものを、態態「企業的に運營し」と云ふ字を使つてありますのは、何か意味があることでありますか、それとも文章上、健全な發達を期する爲に企業的に運營すると云ふ風に輕く取扱はれての文章なんでありませうか、解釋如何に依つては根本的に意味があつて、從來企業的にやらなかつたから、將來は大いに企業的にやるのだと云ふ風のことにも取れるのですが、法文立案の御趣旨がどこにあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=111
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112・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 只今永井さんの御質問もありますことでありますから、鐵道會計法と通信事業特別會計法との兩方に關する御質疑をなさつて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=112
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113・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 是は大藏省の方の政府委員の方から御答を願つた方が適切かと思ふのでございますが、通信事業特別會計法を御指摘になりまして御質疑に相成りましたので、私共の氣持を申上げたいと思ひます、勿論只今の御話にもございました通り、通信事業は昭和八年以來特別會計になりまして、其の歳入を以て歳出に充てると云ふ、獨立會計と申しますか獨立採算の建前を執つて參りまして、其の運營の仕方は、所謂消費會計的な一般の官廳業務の場合とは異つて居るのでございますけれども、併し其の會計經理の内容に立至つて見ますれば、まだ完全に所謂事業的になつて居ない面がございました、と申しますのは、矢張り此の現金牧入と云つたやうな點に重點を置いてございまして、一般の企業的な總ての財産の増減異動を仔細に之を記録計算を致すと云ふやうな徹底した方法は執られて居らなかつたのでございます、今囘其の點を改めまして、此の第四條に於きましても所謂發生主義を採ると云ふことをはつきりと規定致しましたのと照應致しまして、此の通信事業をさう云ふ意味で企業的に運營し、健全な發達を圖ると云ふ精神を此の第一條に謳つたのでございます、尤も企業的にと申しましても、本來通信事業が公益の爲に經營されるものでございますから、利潤の追及と云つたやうな意味を此處に遇する趣旨はございませぬ、さう云つた意味で何んとなく此の新しい改正會計法に於ける會計法の全體を通ずる精神を茲に謳つた、斯う云ふ氣持でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=113
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114・永井松三
○永井松三君 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=114
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115・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 兩法律案に對して御質疑ございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=115
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116・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 少し私の申上げることは具體的で申上げ方が奇矯に陷るかも知れませぬが、此の鐵道の方で色々事故が起つたり、それから又最近色々制限されて居りますが、ちよつと見方に依つては今の鐵道の運營方針と云ふものは、成るべく人を運搬しないで物を運搬すると云ふ方に傾いて居られるのでありませうか、此のことは昨年の夏、或委員會で人よりも物の方が大事だからそれに主點を置いたらばどうかと私申したことがあるのでありますが、事實現にさう云ふことをなすつて居るのでございますか、それならば日常列車などの非常に混んで居る時に、旅客が客車の中に持込む荷物と云ふものを一切止めて、身體だけ運搬して、荷物は別に別の車を仕立てて送ると云ふやうな方法もあると思ひますが、如何なものでございませうか、運營上の御方針を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=116
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117・牛島辰彌
○政府委員(牛島辰彌君) 只今の御質問は、現在の輸送事情から致しまして誠に御尤もなことでございます、私共鐵道と致しましては、仰せの通り貨物に重點を置きまして、現在に於きましては月間九百萬トンの輸送を完遂致したいと念願致して居る次第でございます、此の點に付きましては昨年以來、色々石炭の事情等が逼迫致しまして、其の爲に非常に客貨共に輸送制限を致しまして、國民の方々に非常に御迷惑を御掛け致して居りまして、本年に入りまして、石炭の事情も關係筋の御努力、政府部内の御協力を得まして、或程度目鼻が付いて參つたのでございますが、此の輸送の重點を貨物に置くやうにやつて居るのでありまするので、從ひまして此の貨物輸送月間九百萬トンの輸送を完遂することは現在最も必要なことであると考へて居るのでありまして、此の點に付きましては鋭意努力致して居ります、最近に於きまして、日々二十七八萬トン、九十五パーセント位の實績を擧げつつあるやうな状態であります、從ひまして此の百萬トンの輸送を完遂致しました曉に於きましては、旅客方面の輸送力に付きましても更に強化致しまして、何とかして旅客輸送の圓滑を期して參りたい、斯う念願致し、關係筋とも折衝をし、實情を説明して居るやうな次第でございます、只今の處ではまだはつきりした旅客輸送力の増強と云ふ點に付きましては申上げる時機に至つて居りませぬですが、色々實施致すべく努力致して居るやうな實情でございます、尚只今仰せのございました客車内に荷物を持込むことでございますが、此の點に付きましては仰せの通り非常に大きな荷物を持込む、非常に重量のある物を持込む、又主要食糧其の他を持込むやうなことがございまして、輸送力を非常に狹めて居るやうな實情でございますので、旅客の手廻品に付きましては、箇數竝大きさ等を極度に制限を致しまして、之を實施させるやうに現場に督勵を致して居るやうな事情でございます、唯全部手廻品なしに旅客列車に乘ると云ふことは、現在の食糧事情であるとか、或は其の外の色々の事情から致しまして、或は却て旅客、公衆の方方に御迷惑を掛けることになりはしないかと考へられますし、又現在の實情から致しましては、是はちよつとなかなかむづかしい問題もあるぢやないかと思つて居ります、現在の荷物全部を手小荷物等にして托送すると云ふことになりますと、持つて居られる荷物其のものがなかなか貴重な物が多いやうな實情でございまして、旅客の方々も直に受諾されると云ふやうなことはなかなかむづかしいではないか、斯う思ふのであります、現状に於きましては、箇數竝に大きさの制限を強化致しまして、現場に徹底さして取締つて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=117
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118・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 只今伺ひます所に依りますと、旅客よりも貨物の方に重點を置かれて居ると云ふことは了承致しました、それにも拘らず貨車を旅客用に其の儘流用されて居る事例が澤山あるやうでございますか、さうすると矢張り人の方が鐵道の方の收支の面から言ひまして非常に有利であるかのやうにも見られるのでありますが如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=118
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119・牛島辰彌
○政府委員(牛島辰彌君) 私手持の資料を持つて居りませぬでございますが、私が最近迄實際に鐵道局に居りました實情から申しますと、收支の關係から貨車に乘客を御乘せ申上げて居る譯ではないのでございまして、實際問題と致しまして、相當多數の車が戰災を受けましたし、鋭意是の復舊を致しましたものの、客車が不足致して居るやうな状態でございまして、從ひまして而も乘客は非常に多いと云ふやうな關係から致しまして、主として、支線でありますとか、或は乘客の割合に少い面に於きましては貨車を若干使用して居るのが實情なんでございます、勿論私共と致しましても、一刻も早く客車を復舊し、修理致しまして、少しでも戰前に近い車で旅客輸送を實施致したいと念願して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=119
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120・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 當局の御苦心御尤もと謹んで拜承を致しました、偖、問題を別に致しまして、今度の賠償問題でありますが、それの對象として鐵道の施設を充てられるやに聞いて居りますが、若し御差支があれば速記を止めてでも其の全貌を伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=120
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121・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=121
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122・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=122
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123・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=123
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124・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 他に御發言ございませぬか、他に御發言もございませぬやうでございますから、兩案に付きまして、即ち通信事業特別會計法を改正する法律案及び鐵道會計法を改正する法律案、兩案に付て討論に入りたいと思ひます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=124
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125・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 御異議ないと認めます、是より討論に入ります、御發言もなければ直ちに採決に入ります、通信事業特別會計法を改正する法律案及び帝國鐵道會計法を改正する法律案、此の兩案を原案通り可決致すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=125
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126・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 御異議ないと認めます、仍て兩案は原案通り全會一致可決致しました、是で散會致します
午後三時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=126
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127・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 八代五郎造君
委員
公爵 桂廣太郎君
侯爵 池田宣政君
伯爵 大木喜福君
子爵 六角英通君
子爵 伊集院兼高君
永井松三君
長谷川赳夫君
男爵 平山洋三郎君
伊藤傳七君
村上巧兒君
國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
政府委員
大藏事務官 野田卯一君
同 河野一之君
運輸事務官 郷野基秀君
同 天坊裕彦君
同 田中不破三君
同 牛島辰彌君
遞信事務官 大野勝三君
同 小笠原光壽君
同 渡邊音二郎君
同 岡井彌三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203530X00219470324&spkNum=127
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