1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)(第六七號)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)(第七〇號)
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昭和二十二年三月三十一日(月曜日)
午後二時六分開議
出席委員
委員長 天野久君
理事 森本義夫君
小川原政信君 加藤一雄君
松川昌藏君 藥師神岩太郎君
石原登君 星一君
村島喜代君 石川金次郎君
原國君
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 井手成三君
法制局事務官 宮内乾君
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本日の會議に付した議案
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=0
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001・天野久
○天野委員長 これより會議を開きます。質疑に入ります。石川金次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=1
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002・石川金次郎
○石川委員 本法の三十條の規定につきましてお伺いしておきたいと思います。この三十條の規定は、會計檢査院の檢査報告に關して、國會における説明權とでも申しましようか、説明することができる權能の規定でありますが、この趣旨が憲法六十三條の國務大臣あるいは總理大臣は議案につきましては、いつでも出席いたしまして、發言することができる。この權能と同一の權能と解釋すべきでありますか。そうでなくして國會法が定めるところによつて、その手續によつて會計檢査院に發生してくるところの權能と思わなければならないか、お伺いしたいのであります。それは國會法の七十二條におきましては既に規定をもつておりまして、「委員會は、議長を經由して會計檢査院の長及び檢査官の出席説明を求めることができる。」と規定してあります。委員側におきましては、會計檢査院の報告を求めますときには、一つの手續が規定されてあるのであります。ところが本法によりますと、會計檢査院みずからが國會に出席するの權能を有するものと規定してあるのでありますから、この點三十條と國會法七十二條との關係、國務大臣の議院出席發言權との權能の性質についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=2
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003・金森徳次郎
○金森國務大臣 お尋ねの出席して説明し得る檢査官の權能と、國務大臣が議會に出席して發言し得る權能というものは違いがあるかどうかという點につきましては、違いがある點ももとよりございまするし、違いのない點もあるのであります。違いのある點と申しまするのは、國務大臣の出席權は、これは憲法が規定しておりまするがゆえに、他の法律等をもつて限定することのできない權利であることはもとよりであります。會計檢査院の方の權能はこれは法律に初めて根柢をもつてくるものでありまするから、いつでも法律をもつて適當に調節し得る權利であることは言うまでもないことと存じております。しかし他の一面から申しまして、出席せしめ、あるいは出席してものを述べ得るというこの事柄の範圍におきましては、一應同じことになると思うのであります。ところが實質において同じとは申しましたが、しかし憲法の方は、兩議院に出席することができるというふうに國務大臣の權能が書いてあります。言いかえますと、議會の中の議院、すなわちはつきりした議院に出席し得るということになつておりまして、これはよほど權利の内容が確定しております。ところが檢査院の方の權能は、國會に出席してというのでありまして、議院とか、委員會とか限定は一つもしておりません。ただおおまかに國會に出席し得るということでありまして、國會のどこへ出られるのかというようなことは一つも限定しておりません。從つてこれだけでは内容が確定しない權利であると言わなければならぬ。この點において、實質が違つております。それから次に國會法のおきめになつておりますところの七十二條の、委員會の側から要求し得る權利と、この會計檢査院法の三十條におきまして、檢査院側から出席させ得る權利との關係はどうなるのかという點におきましては、これはまつたく立場の違う權利でありまして、事實は似たようなものでありまするが、法律的な考え方から言えば、別のことを規定しておるのであります。國會法の方は、議會の方の委員會の要求によつて出席するのでありますが、委員會の意思にのみかかつているものでありまして、つまり積極的な發動は議會自身にあるわけであります。ところが會計檢査院の方は、積極的なる發動は會計檢査院の方がするのでありまして、いわば議會はその受身になるということでありまするから、權利そのものは別の權利に屬するものと思われるのであります。しかし働きはいずれにいたしましても、同じようなことを議會に述べることになりますから、多分實質的には同樣のものと御説明を申し上げてよかろうかと思つております。さらに一歩進めまして、國會法におきましては檢査官の出席説明の條件がきまつております。また場所がきまつております。すなわち議長を經由して求めるということ、それから委員會においてその説明を受けるということ、この二點がはつきりきまつております。ところが會計檢査院法の關係におきましては、全然さようなこまかい規定がないので、漠然國會に出席して説明することができる。かようなふうに考えております。なぜかような區別ができたかと申しますると、國會法の方では、國會の内部の議事の進行のしかたという點に重點が置かれておりまするがゆえに、その考え方からこまかく具體的に規定せられておるのでございます。ところが會計檢査院法の建前は、そういう國會の中の事務の内容にはいるのではなくて、會計檢査院はよその國家機關と關係ができる。すなわち檢査官を國會に出して説明をさせることができるという權能の面から書いているのでありますから、その權能をいかにして行使するかということには、全然觸れていないのであります。從つて國會法の定める規定のつくり方とは相當違つておることは、自然の結果であろうと思います。かようなふうでありますがゆえに、三十條の出席説明の權能は會計檢査院が國會との關係においてかような權能をもつておるというだけのことでありまして、この權能を行使する上におきましては、どういう手續をもつてし、またいかなる場所においてたとえて申しますれば、本會議に出られるものであるか、あるいは委員會に出られるものであるか、あるいは本會議にも委員會にも出ないで、國會の方の定めに從いまして、國會の方のある選ばれたる若干の代表者というものに説明をするかというようなことにつきましては、全然限定はいたしておりません。それらの問題は他の法律關係によつて解決せられるものと考えております。そういたしますと、他の法律關係というものは、何できまるのであるかということが起りますが、現在の制度から申しますれば、憲法五十八條の規定によりまして、國會がみずから定められる議院規則というものによるかそれとも國會法の規則によるか、こういう二つの途が考えられてくると思うのであります。本來から申しますと、かような規定は、國會法の中にしかるべき受入れ規定があることがよかつたかと思いますけれども、しかし事實法律の案をつくりまする手續が違いましたために、そこに周到な連絡の途が設けられておりません。その點は事柄の道行きからやむを得ずそうなつております。そこでこれに對する方法は國會法の中にぴつたりとは受入れられてはいないように考えます。そうなりますと、憲法五十八條の第二項によりますと、兩議院は内部の規律に關する規則を定めとあります。この規則によつて適當に處理せられるものと考えております。その結果ここに出席の權限は認めてありまするけれども、國會で定められまする内部規律の結果として、いろいろの制限を置きまして、檢査院の方で望むような時期、場所等において説明のできないということがありましても、これは法律上は支障のないところと考えております。もう一つ考えまして、なぜそれを會計檢査院法の中にもう少し具體的なことを書かないか、こういうふうな疑問も起り得まするけれども、會計檢査院法は、その檢査院の中のことを書くには適しておりますけれども、よそへ行きまして、よその受入れの形までもこれに規定するということは、はなはだ不穩當でありまして、法律の系統の上から申しますと、ここに書くことは不合理と思つておるのであります。こういうふうな考え方は會計檢査法院の他の條文にもありまして、たとえば第二十八條の「檢査上の必要により、官廳、公共團體その他の者に對し、資料の提出、鑑定等を依頼することができる、」こうありましても、いかなる方法で提出するか、鑑定するかということは、會計檢査院は知らないのであります。その部局がみずから定められるところに從うという前提をとつております。今の場合幾分片方は依頼とかいう言葉がありまするし、片方は出席し説明するということがありますが、考え方の根本は同じでありまして、これは權能の實體を書いただけであつて、權能行使の形式につきましては、全然議會のみずから定めらるるところに委すべきものであるという建前をとつている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=3
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004・石川金次郎
○石川委員 それでは國會と會計檢査院との結びつきとでも申しますか、關係の現われております條文が、三十條と三十六條にまたこの規定が見受けられるのであります。會計檢査院は法令及び制度の改善の必要がありと認めましたときには、主務官廳その他の責任者にと、こう言つているのでありまして、立法權が國會にあるのでありますから、會計檢査院が法律の改善の必要ありと認めますならば、議會に對して法律を制定、もしくは改廢ということの要求をなし得るものであるということが、三十六條の規定の趣旨でありますか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=4
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005・金森徳次郎
○金森國務大臣 三十六條の規定は、少し私の考えておりますところと、今お尋ねの中にこもつている氣持と違うのではないかと存じております。會計檢査院は他の官廳との關係におきましては、いわば對等の關係に立つておりまするがゆえに、指揮命令をする、こういうところまではいかないのでありまして、主務官廳その他の責任者に意見を表示する。これは表示するだけのことでありまして、その表示したところの意見をいかにするかということは主務官廳その他の責任者のいわば勝手になるものと考えております。改善の處置を要求するということになりますと、かようなことをしてもらいたいという意思を表明して、その發動を促すというところまでいきますけれども、しかしそれではその言つてきたところの處置に應じなければならないかということになりますれば、これはかような規定の一般の考え方といたしまして要求をするということだけであつて、その言われた内容に從つてその通りにするという義務はないものと思つております。これだけの權能がありますから、いわれなくこれを承認しないということは不都合でございますけれどもつまりこの程度においてこの權利の働きは止まりまして、それから先のことは他の一般の官廳の秩序に任せる、こういうことになつていると思います。なおこの三十六條の主務官廳その他の責任者とあります中に、國會が含まれているかということになりますと、國會そのものはこれには含まれないと私は考えておりまして、國會の内部にある會計の責任者等にはこれはいきましようけれども、國會に要求するとか——大體言えば行政官府を豫想しておりまして、國會の中でも金の出し入れをする所は、名前は別として、一種の行政官府であります。そういう所への意思の表示ということはございますが立法機關そのものには、これは觸れておらないものと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=5
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006・石川金次郎
○石川委員 檢査の結果、法令の改善ということになりますと、法令の改善つまり立法の權利が國會にあるのでありますから、自然國會に對して一つの改善の處置を請求する。いわゆる會計檢査院の請求權が出てきはしないかと思われるので、その點をお聽きしておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=6
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007・金森徳次郎
○金森國務大臣 言葉だけで申しますとさようなふうにお考えになり得る餘地はあるかとも存じますけれども、ここに主務官廳その他という言葉を使つておりますが、國會は官廳とは考えておりません。そこへいく氣持はないと存じております。なお第二十九條等におきまして、國會に提出せられていくところの檢査報告書等におきましてはそこの中にいろいろかような改善の處置を要求いたしましたこと、及びその結果を書けということがありますが、これらのことからも、最後の審査官廳が國會でありまして、それ以外のことは考えていないのであります。言葉を追つてお尋ねになると、ちよつととまどいするのでありますが、行政の普通の規定、慣習といたしましては、そういうところに及んでいないことは、たれが思つてもそう答えるだろうと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=7
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008・石川金次郎
○石川委員 私の質問はこれで終ります。
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009・天野久
○天野委員長 質疑はこれで終了いたしました。これより會計檢査院法を改正する法律案、皇室經濟法の施行に關する法律案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。藥師神岩太郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=9
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010・藥師神岩太郎
○藥師神委員 私は自由黨を代表しまして原案をそれぞれ妥當なものとして賛意を表することにいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=10
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011・天野久
○天野委員長 星一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=11
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012・星一
○星委員 私は進歩黨を代表して原案賛成の意を表します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=12
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013・天野久
○天野委員長 森本義夫君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=13
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014・森本義夫
○森本委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、今議題になつている兩案に賛成するものであります。兩案のうち、皇室經濟法の施行に關する法律案というのは、いわば暫定的なものでありまして、多く審議することもないかもしれませんが、會計檢査院法を改正する法律案、この方はいわば恒久的なものでありまして、相當愼重に審議すべきものと考えるわけであります。昨日來の質疑應答を伺いましても、不十分の點、不備の點も多々あるやに考えるのでありまするが、現在諸種の事情を考慮いたしまして、やむを得ないものと思うのであります。ただできるならばなるたけ近い將來におきまして十分に完備せられんことを希望して賛意を表するわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=14
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015・天野久
○天野委員長 討論は終局いたしました。これより採決をいたします。兩案とも原案に賛成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=15
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016・天野久
○天野委員長 起立總員。よつて兩案はいずれも原案通り可決いたしました。
この際委員長として御挨拶を申し上げます。今囘、行政官廳法案その他多數の法案が本委員會に付託せられまして、委員諸君には熱心に連日御討議を願いまして、ここに無事各案とも終了採決、確定いたしましたことをまことにありがたくお禮を申し上げます。本日はこれにて散會いたします。
午後二時二十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00619470331&spkNum=16
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