1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
船員法を改正する法律案(政府提出)(第一二號)
船舶公團法案(政府提出)(第四〇號)
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午後三時十二分開議
出席委員
委員長 中川重春君
理事 馬越晃君 理事 米窪滿亮君
栗原大島太郎君 近藤鶴代君
廣川弘禪君 三浦寅之助君
佃良一君 奧村又十郎君
金井芳次君 二階堂進君
布利秋君 岡田勢一君
三月二十日委員石崎千松君辭任につき、その補闕として二階堂進君を議長において選定した。
出席國務大臣
運輸大臣 増田甲子七君
出席政府委員
運輸事務官 有田喜一君
運輸事務官 大久保武雄君
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本日の會議に付した議案
船員法を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=0
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001・中川重春
○中川委員長 これより會議を開きます。討論にはいります前に、第三十條の爭議行爲の制限に關し、解釋上の字義を、明らかにしておきたいと思います。船舶の航行中爭議行爲をなし得るや否やの點はきわめて重要でありまするから、この點に關し運輸大臣の明確なる御答辯をお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=1
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002・有田喜一
○有田政府委員 運輸大臣はただいま豫算總會にまかり出ておりますので、私より代りまして御答辯いたします。船舶が運航中のときの爭議行爲については、この法案では明文を設けてはおりませんが、法案第三十條の規定は、爭議行爲により人名または船舶に危險が及ぶようなときは當然に禁止されるのでありまして、航行中の爭議行爲はいわばこれに該當する事態を惹起するおそれあるものということができると考えられますので、あえて航行中なる字句を挿入しなかつた次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=2
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003・中川重春
○中川委員長 續いて各黨より左の附帶決議が共同にて提出せられておりますので、委員長より朗讀することにいたします。
附帶決議
一、海難に對する海事審判は、懲戒主義よりも事故防止主義に則るべきものであるが故にこれが裁判は、船舶運航の特性を考慮し事實審理を特に重視する必要あるに鑑み、地方及び高等の海員審判所において審理せられたる事件の上告は最高裁判所の管轄とせられん事を要望す。
二、現行船員保險法の内容及び業務の運營は、海運及び船員の實情に即せざる憾み少からざるに鑑み、政府は、失業年金乃至手當金を含む改正案を速やかに提案するとともに、船員保險事務については、船員行政機關の管轄に移し、圓滑なる遂行を期するよう考慮すべきことを要望す。
三、船員法改正の實施に當りては、新憲法の精神に則り海上勞働保護を圖ると共に航海の安全及び規律維持の確立を期し勞資協力して海運の再建に盡くすことを要望す。
四、船舶の航行中における爭議行爲は人命又は船舶に危險を及ぼす虞れ大なるに鑑み、航海の安全保持については特に遺憾なきを期することを要望す。
五、航海安全保持のため船長の命令權はあくまでこれを確保する必要あるに鑑み船長の懲戒權は獨立不羇のものたることを要望す。
六、勞働時間制の適用に關しては政府は海運の現状に鑑み、特に深甚の考慮を拂う如く措置することを要望す。
以上であります。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=3
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004・中川重春
○中川委員長 これより船員法を改正する法律案を議題として討論に付します。討論はこれを許します。三浦寅之助君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=4
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005・三浦寅之助
○三浦委員 本法案は、申し上げるまでもなく憲法附屬の法案といたしまして、憲法の改正に伴いまして當然提案すべき法案であり、まことに重要なる法案でありまして、この點に關しましては深甚の敬意を表します。殊に本案はいわゆる勞働基準法と同樣に、船員の經濟上その他あらゆる點においての保護を規定しており、また航海の安全保障を期するという建前におきまして、船長の職務及び權限を明確に、殊に船長の指揮、あるいは發航前の檢査であるとか、あるいは船長の義務を規定し、また遭難に對する適當なる處置を講ずる等萬般の點に十分なる注意を拂つておるのであります。また船員の特殊地位から殊に紀律の點を明確にしまして、船内の秩序維持の點に對しましても詳細に規定し、殊にただいま當局から御説明もありました、爭議行爲というような點に對しましても、十分なる注意を拂つておるような點に對しまして、海運の非常なる發展を期するというような建前におきまして、本案はまことに適切なるものと信ずるのでありまして、私はここに日本自由黨を代表いたしまして贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=5
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006・中川重春
○中川委員長 馬越晃君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=6
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007・馬越晃
○馬越委員 本法案は憲法の改正に伴いまして、船員の勞働條件に關する基準を定め、また人權尊重の精神に基きまして、海員の福祉をはかるべく、よりよく改正せられたものでありまして、殊に本案起草にあたりましては臨時船員法令審議會を設けて、その委員會を開くこと十七囘、その總會を開くこと三囘に及び、かつ全國各地において十囘の公聽會を開き、愼重審議せられて、立案せられたものでありまして、その内容を檢討いたしまするに、概ね完全なるものと存じますので、原案に贊成いたします。なお先刻各派協議の結果、委員長より御提案になられました附帶決議につきましても、贊成をいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=7
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008・中川重春
○中川委員長 米窪滿亮君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=8
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009・米窪滿亮
○米窪委員 同僚の各位から既に御意見のあつた通りに、本法は陸上の勞働者に對する勞働基準法と相竝んで、海上に働く勞働者のための、勞働憲章といつてもよい重要なる法案であります。但し勞働基準法と違う點は、本法は單に勞働者の保護に止まるのみでなく、船内における船長その他の公法員としての立場から見たところの紀律及び職務等について、相當の條文が含まれておりまして、その點日本社會黨といたしましては、船長が一方において勞働者であると同時に、一方においては船主に代つて商法に定められたるところの行爲を代行するという、公法人的な二重性格がある點において、少くとも船長は、勞働者としての社會的人格がやや不鮮明であるという憾みはありますが、これは船舶という特殊な職場に働いておる者として、やむを得ないものと考えまして、この點は次の最近の機會において、何らかはつきりとされることを要望するのであります。その他の勞務條件につきましても、たとえば六十四條の事務部に對する勞働時間の問題のごときは、最長十二時間まで許されておるというような點においては、これに關係しておる船員から、相當の不平不滿があるようでございまするが、今日の窮迫した日本の海運界の實情からみまして、この點もやむを得ないものとわれわれは認めるものであります。これまた船長の公法人の資格問題と同樣に、近い將來において御當局によつて、この點は改善されることを確信いたしまして、すべて原案に對して修正を加えることなしに、贊成したいと思うのであります。また先ほど同僚各位から言われた通り、委員長より御説明になつた六つの附帶決議に對しては、日本社會黨もこれに對して贊意を表するのであります。私は以上をもつて討論を終りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=9
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010・中川重春
○中川委員長 岡田勢一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=10
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011・岡田勢一
○岡田(勢)委員 本法案は崩壊に瀕しておりまする日本の經濟再建のために、まことに重要なる法案であり、また新憲法の實施にあたりましては、必然に重大なる關連性をもつ法でありますことは、同僚諸君の先ほどから述べられた通りであります。私といたしましては、本法のこれを制定し、また將來實施してまいります上における基本精神の問題と、本法の實施せらるべき目的の問題、爭議行爲に關する問題、次に船長の權限と船内の秩序維持に關する問題、勞働時間制の適用の問題などに關しまして、若干の疑義をもつておりましたものでありますが、先日來の各委員會における私の質問に對する政府の御答辯によりまして、大體において明瞭に相なりましたことと、竝びに先ほど委員長から御發表になりました第一項から第六項にわたる附帶決議を附せられるということによりまして、將來本法がその運營さへよろしくいたしますならば、遺憾なく海運の發展のために活用せらるべきものであるということを認めるものであります。それゆえに、今後政府におかれましては、これらの附帶決議に盛り込まれましたところの意味と特質を十分に御諒承あられまして、本法の運用に遺憾なきを期せられることを要望いたす次第であります。ゆえに私は國民共同黨を代表いたしまして、附帶條件を付したる本法に贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=11
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012・中川重春
○中川委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決をいたします。原案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=12
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013・中川重春
○中川委員長 起立總員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。
次に各黨共同提案による附帶決議案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=13
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014・中川重春
○中川委員長 起立總員、よつてこの附帶決議は決定いたしました。
本日はこの程度にいたしまして、次會は明後二十二日午前十一時より開會いたし、船舶公團法案に對する質疑を行いたいと思います。本日はこれにて散會いたします。
午後三時二十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212067X00619470320&spkNum=14
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