1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
地方自治法案(政府提出)(第二四號)
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午後一時二十七分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 青木泰助君 理事 永江一夫君
細田忠治郎君 三浦寅之助君
村上勇君 稻本早苗君
宮澤才吉君 大矢省三君
細田綱吉君 久保猛夫君
仲子隆君
出席政府委員
内務事務官 林敬三君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
地方自治法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00319470320&spkNum=0
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001・中島守利
○中島委員長 これより委員會を開きます。この法案に對して各黨から修正の意思がありますが、まだ成案を得ておらないということであります。午後三時まで休憩いたします。
午後一時二十八分休憩
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午後三時五十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00319470320&spkNum=1
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002・中島守利
○中島委員長 これより會議を開きます。質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。各黨共同の提案になつておりまする修正案をここに委員長より提議いたしまして皆さんの御意思の表示を願いたいと思います。修正案の數は約三十七項目にわたつております。第一は自治法案の十九條であります。被選權の年齡は、選擧の日で計算するということであります。選擧の日までに定年に達すればよいというふうにこれまでも習慣ではなつておるのでありますが、ここに法制としてかつきり表わす必要があるということであります。
その次は三十條であります。立會人は共同立會人を認めるということであります。政黨を同じくするものが一人の立會人を選定し得るという關係になるわけであります。そうしますと抽籖を用いないで立會人の選定ができるということになるわけでありますから、なるべく各政黨で一人ずつ立會人を出すという方法をとることがよいのではないかと思いまして、さように修正いたしたいと思うのであります。
次は三十二條であります。投票は自書しなければできないということになつております。盲人がわずかに點字を許されておるだけでありますが、現在の日本の國情から申しても、兩手のない人もあります。かような人に法制上何とか投票權を與えるようにしたいという條項をさし入れたいのであります。たとえて申せば手のない人は他人にその名前を言つて書かせることができるようにし、選擧權を放棄しないようにさせるということであります。
その次は六十條であります。過日も委員より御質疑がありましたが、當選承諾書のことであります。これは當選承諾書の必要のないようにしたいと思います。
その次は七十四條であります。本條に條例の制定という文字がありますが、條例の制定の請求ができるが、廢止の請求ができないことになりますので、これを改廢という字句に改めまして、改正もできれば廢止もできるという請求權にいたしたいということであります。
その次は九十一條及び九十四條に關係することであります。これは任期中に議員の數を減少させることができる法制になつておるのでありますが、絶對に當選しました議員は法制の上で減少できないという規定にしたいのであります。その次の選擧においては當然減少した數において選擧するのでありますが、とにかく當選した議員を中途で減少する法制は止めようというのであります。
次は九十五條であります。これは特別の事情のある町村では、選擧權を有する者の總會を設けることができるという規定になつておるのでありますが、それを町村にどんな事情があつても總會でやることができないという規定にしまして、總會を開く場合には特例を設けることにしたい。町村制としては總會のごときものを規定しておきませんで、もし必要のある場合には總會でやられるという規定を特別につくつておこう。日本國中のわずか一、二の町村のことでありますから、かようなものに對してこれを表面に法制上おく必要はないということであります。
次は百十八條であります。異議の決定が法制できまつておるのでありますが、大臣に訴願の規定を止めまして、直ちに高等裁判所に出訴することにしたいと思うのであります。訴願の規定の全部を廢するわけであります。
その次は百二十條であります。普通地方公共團體の議會の議員は、選擧人の指示または委囑を受けてはならないというのを議會の議員は選擧人とかつきりしませんで、個人的に指示または委囑を受けてはならないと改正しようというわけであります。
その次は百二十二條であります。これまで議會の開會中は大體知事もしくはこれに補助機關が全部出席しておつたのでありますが、これを止めまして、議會の請求がなければ出席しなくてもよろしいことにして、大體調書によりましてその意思を傳える方法をとるということであります。一面から申せば非常に事務的になりまして、當局は事務の執行をしておりまして、議會は開けておるわけであります。必要があれば議會に請求があつて初めて出席するということにこの百二十二條を改正いたしたいというわけであります。
次は百四十九條であります。この百四十九條の末項に公共團體に關する事項を處理すること、これをかつきり入れることが適當であらうということであります。「その他法令によりその權限に屬する事項」という間にこれを入れたいというわけであります。
次は百五十條であります、これに行政官廳法第七條の規定と照應しまして、そうして主務大臣の指揮監督を規定する、指揮監督權をかつきりしたいと思うのであります。
次は第百五十一條であります。これは市町村長の處分が公益を害する場合に、知事がこれを取消すという規定が百五十一條でありますが、これを廢止することであります。知事は町村長のした處分に對しては取消すことができないということにいたすわけであります。
次は百五十七條であります。これは大體地方公共團體の長がその區域内の團體の活動の調整をはかるという規定であります。これを區域内の團體等の活動の綜合調整をはかるためとこういたしますと、團體という意味が畫然といたしませんので、ここに公共的團體と入れるということにいたしたい。團體と漠としておつたのでは範圍がわからないというので、公共的團體といたしますれば、たとえて言いますれば、かりに團體と申しますと會社のようなものでも團體のうちでありますので、ここに公共的團體という字句に直しておきたいと思うのであります。
その次は百五十八條であります。百五十八條の民生局のうち「社会事業その他國民生活の保護指導に關する事項」というのがあります。これは保護指導という字句が非常におもしろくないことに見られるので、國民生活の福祉という字に直したいというわけであります。保護とか指導とかいうのでなくて福祉についての仕事をするというように名を改めたいというわけであります。
その次は百六十條であります。ここで百六十條によりまして、非常災害の場合には土石、竹木の使用あるいは收用をされるわけでありますが、「その損失を補償しなければならない」ということを「時價により全額」ということにいたしたいと思うのであります。つまり時價でその全額を賠償しなければいけないというような規定に改めたい。それと伴つて所轄行政廳の住民に對する強制從事命令の權限がここにありますが、これは認めないことにしよう。強制從事命令というものは市町村長と警察官にありますのですから、所轄廳は要らぬということであります。所轄廳の字句だけを拔きまして、市町村長と警察官吏がその權限をもつというだけにしておきたい。所轄廳がもし權限があるということになりますと、市町村内にある各種の出張所のようなものもあるいはその權限ができるということになつて非常に複雜になると思うので、そういうことに修正したいというのであります。
その次は百七十九條であります。議會不成立の場合の先決處分でありますが、これは内務大臣の指揮を請うということになつておるのであります。これを市町村だけに限つて、市町村だけが内務大臣の指揮を受けるということにするわけであります。府縣知事は内務大臣の指揮を請わないことにするわけであります。これは自己で決定するわけであります。
その次は百八十一條であります。選擧管理委員は府縣は二人、市町村は一人を超えて同じ政黨から選出してはいけないという規定をつくるわけであります。選擧管理委員が一つの政黨から出ておると、かえつて誤解を招かれるようになるので、そこで府縣は六人でありまして、そのうち二人以上同じ政黨から出てはいけない。市町村は一人以上同じ政黨からは出てはいけないという規定を設けたい。
次は二百十八條であります。夫役、現品の制度を大體廢止しまして、非常災害に限つて夫役、現品の制度を殘しておこうというわけであります。
次は二百四十六條、地方團體に對する内務大臣の一般監督權の規定を削除する。監督權は他の方において當然殘るでしよう、この規定には削除しよう。要するに市町村に關する事項は道都府縣知事が監督するということに規定をきめておく。
その次は二百四十七條であります。地方公共團體に對しこれを通知しまたはその採用を勸告することができるという規定があるのですが、この採用の勸告する制度を全部廢止するということであります。
次は二百四十八條、これは調整豫算及び代執行の制度でありますが、これを削除することであります。
次は二百四十九條、これは臨時代理者または臨時選擧管理委員選任の制を改めるのであります。これは所轄行政廳が當該普通地方公共團體の議會の同意を得てこれを定めるというのでありますが、これを他の方法によつて處置をするということに改めることであります。
次は二百五十一條であります。これは條例の許可制度でありますが、これを議會の定員であるとか、あるいは部局の改廢とか、あるいは夫役現品の徴收であるとかいうような、そういうものの條例にかぎつて許可制度を存置しまして、その他のものは許可制度を廢止しようということであります。
その次は二百五十二條であります。これは更正許可、不要許可でありますが、これは全部廢止したいというものであります。
その次は二百五十三條、これは數府縣にまたがるものは内務大臣は關係都道府縣知事の申請によりその事件を管理すべき都道府縣知事を指定しなければならないという規定でありますが、この規定を數府縣にまたがるものは兩知事の協議により行わしめる、こういうことに兩知事の協議でこれはやるのであるということにしまして、大臣の權限を削除するのであります。
次は二百五十四條でありますが、これは人口は政令の定めるところによると規定してありますのを、これを官報公示の人口によるということに改めたいというのであります。
その次は二百五十五條であります。夫役現品賦課の直接税の種類は法律で規定するとしてあるのでありますが、夫役現品を課す場合には市町村住民税を基準として賦課するのである、こういうふうに改めたいと思う。
その次は二百五十八條であります。島に對する行政の特例に關し必要なる事項は政令でこれを定めることができるとありますのを、こういう特例を廢止することであります。島もやはり市町村と同じように扱つて行こうということであります。これは實際においては廢止して困るところがあるですから、その部分は別の簡單な規定をつくりましてこれを處理するということにいたしたいと思うのであります。
次は二百六十六條。特別市と市町村との境界裁定は、これは内務大臣がこれを行うという規定になつておるのを、これを裁判所に行わしめる、市町村との境界の論爭のあつた場合の裁定は裁判所がこれを行うということに改正する。
次は二百八十八條、二百八十九條であります。組合の解散及びその財産の處分等は内務大臣の權限になつておるのでありますが、これを内務大臣の承認を受ける程度でよろしいということに變更したいと思うのであります。
その次は附則の第十條に世話部というものが別にあるのです。特別市の市長、都道府縣知事は世話部を置くべきものとすというこれを府縣の部局の部の民政部に併せてしまう、特にこういう規定を設けないで世話部は府縣の民政部にこれを入れてしまう、こういう規定にしたい。
なお百八十條に普通地方公共團體の議會の權限に屬する事項の一部はその議決による委任によりとしてあるのを、その議決によりと、委任という字句を拔くわけであります。
以上は大體において各派共同の提案でありますが、このほかに市町村の配置分合、境界變更に關する内務大臣の權限を削除して、そうして内務大臣の權限を裁判所に行わしめるという一つの案があります。
もう一つは主務大臣は公聽會を開いて知事を解職できるという制度があります。これを廢止するかいなやという重要な問題があります。
その次はいわゆる原案執行の問題があります。
この三つの問題は各派提案のうちなお研究を要するものなりとして殘されておるものであります。意見は附されておりますが、これが殘されておる問題であります。そういうわけでありますから、なお未決定の分がありますので、この分と併せて採決いたしたいと思いますので、本日はこの程度で散會しまして、明後二十二日の午前十時より本修正案に對する採擇並びに本案に對する決定をいたしたいと思います。それで御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00319470320&spkNum=2
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003・中島守利
○中島委員長 御異議なければ本日はこれで散會いたします。
午後四時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00319470320&spkNum=3
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