1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
地方自治法案(政府提出)(第二四號)
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 大塚甚之助君 理事 青木泰助君
理事 永江一夫君
細田忠治郎君 三浦寅之助君
村上勇君 稻本早苗君
佃良一君 宮澤才吉君
大矢省三君 細田綱吉君
川越博君 久保猛夫君
出席國務大臣
内務大臣 植原悦二郎君
出席政府委員
内務事務官 林敬三君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
地方自治法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=0
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001・中島守利
○中島委員長 これより會議に入ります。討論を繼續します。一昨日各派の共同提案にかかる修正事項を私が代つてこれを陳述いたしましたが、そのほかになお修正事項の追加があります。それをここに發表いたします。
地方公共團體の境界の裁定または決定は裁判所がこれを行うものとすること。
内務大臣が都道府縣知事を解職するときは法律の定める手續により法律の定める彈劾裁判所に訴追しその判決によりこれをするものとし、都道府縣知事が市町村長を解職する場合もまた同樣とすること。
議會の議決が違法または越權の場合においては普通地方公共團體の長は裁判所に出訴することができるものとすること。
議會の議決が公益を害する場合における原案執行の制度はこれを廢止すること。
議會の議決が收入または支出に關し執行することができないものがあると認めるときは普通地方公共團體の長は再議に付することができるに止まるものとすること。
議會が法令により負擔する經費等を削除減額したため再議に付してもなお同一の議決をしたときは普通地方公共團體の長はその經費及びこれに伴う收入を豫算に計上しこれを支出することができるものとすること。
非常の災害による應急または復舊の施設のために必要な經費及び傳染病豫防のため必要な經費を削除減額したため再議に付してもなお同一の議決をしたときは、普通地方公共團體の長はこれを不信任決議とみなすことができるものとすること。
暫定豫算の制度を認めること。
地方公共團體に對する内務大臣の一般監督權の規定を削除すること。
市町村に關する事件で數都道府縣にわたるものは關係のある都道府縣知事の協議により行わしめ代人の權限に屬せしめないこと。
ただいま述べましたのが修正の追加であります。なお研究を要する事項がありますので、委員會はこの程度にいたしておきまして、午後一時より再開して討論を終結して採決したいと思います。これで午後一時まで休憩することにいたします。
午前十時五十五分休憩
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午後一時二十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=1
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002・中島守利
○中島委員長 休憩前に引續きまして會議を開きます。各派共同提案にかかる修正條項についてなお二つほど追加があります。第百五十六條「普通地方公共團体の長は、前條第一項に定めるものを除く外、法律又は政令の」と書いてあるこの「又は政令」の四字を削除することであります。次に附則第七係に「道府縣」とありますのを都道府縣と都を挿入することであります。
修正案は各派共同の提案にかかるものですから、討論は省略いたしたいと思うのであります。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=2
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003・中島守利
○中島委員長 それでは一昨日及び本日午前中、ただいま御説明申し上げました各派共同提案の修正條項について決をとります。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=3
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004・中島守利
○中島委員長 御異議がなければこの修正條項は決定いたしました。
次にただいまの修正部分を除いた原案について決をとります。その他の部分は原案に御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=4
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005・中島守利
○中島委員長 御異議なしと認めます。よつて修正以外の部分は原案の通り決しました。
なおこの際先ほど議決いたしました修正條項の形式整理については、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=5
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006・中島守利
○中島委員長 さように決定いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=6
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007・会議録情報2
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〔參照〕各派の共同提案に係る修正案
地方自治法案の一部を次のように修正する。
第九條 市町村の境界に關し爭論があるときは、關係市町村は、裁判所にその確定の訴を提起することができる。
市町村の境界が判明でない場合において、その境界に關し爭論がないときは、都道府縣知事は、裁判所に境界の決定を求めることができる。
前項の場合においては、政令で特別の定をするものを除く外、非訟事件手續法の例による。
第十二條第一項中「又は規則」を削り、「制定」の下に「又は改廢」を加える。
第十九條に次の一項を加える。
前三項の年齡は、選擧の期日によりこれを算定する。
第三十條第一項に次の但書を加える。
但し、同一人を屆け出ることを防げない。
第三十二條第二項の次に次の一項を加える。
身體の故障に因り自ら候補者の氏各を記載することができない者の投票については、第三十七條、第四十一條及び前二項の規定にかかわらず、政令で特別の規定を設けることができる。
第三十四條中「第四十一條」を削る。
第五十六條第一項中「若しく」を「又」に改め、「又は第六十八條第一項若しくは第二項」を削り、同條第三項中「及び」を「乃至」に、「第六號」を「第七號」に、「第六十條第二項」を「第六十條第一項」に改める。
第六十條第一項中「當選人は、」の下に「當選を辭しようとするときは、」を加え、「ときは、その當選を承諾するかどうか」を「日から十日以内にその旨」に改め、同樣第二項中「當選の告知を受けた日から十日以内」を「前項の期間内」に、「承諾」を「辭」に改め、「その」を削り、「辭」を「承諾」に改め、同條第二項の次に次の一項を加える。
當選人で、第九十二條若しくは第百四十一條に掲げる職に仕る者又は當該普通地方公共團體に對し第百四十二條に規定する關係を有する者は、第一項の委員會に對し、第九十二條若しくは第百四十一條に掲げる職を辭し又は第百四十二條に規定する關係を有しなくなつた旨の屆出をしなければならない。第一項の期間内にその屆出をしないときは、當選を辭したものとみなす。
同條第三項に次のように加える。
第一項の期間内に所屬長官の許可を受けた旨の屆出をしないときは、當選を辭したものとみなす。
第六十一條第一項中「當選人」を「前條第一項の期間を經過したとき又は當選人」に改める。
第六十二條第一項第四號中「若しくは第四項」を「又は第四項」に改め、「又は第六十八條第一項若しくは第二項」を削り、第五號を第六號、第六號を第七號とし、第四號の次に次のように加える。
五 第六十八條第一項の規定による訴訟の結果、當選人の當選が無効となつたとき
第六十三條第二項中「第六十條第二項の期限前」を「第六十條第一項の期限前」に、「第六十條第二項の期限經過後」を「その期限經過後」に改める。
第六十五條第一項中「第一號又は第二號」を「第一號若しくは第二號又は第四項」に改める。
第七十四條第一項中「制定」の下に「又は改廢」を加える。
第九十一條第三項但書中「減」を「加」に改める。
第九十四條 町村は、條例で、第八十九條の規定にかかわらず、議會を置かず、擧擧權を有する者の總會を設けることができる。
第九十五條第一項を削り、同條第二項中「町村總会」を「前條の規定による町村總会」に改める。
第百十八條第五項を削り、同條第六項中「前項」を「第一項」に、「裁決」を「決定」に、「高等」を「議会を被告として」に改める。
第百二十條中「選挙人の」下に「個人的の」を加える。
第百二十二條第一項中「何時でも付議された事件について発言するため議場に出席することができる。又、答弁又は」を削り、「説明のため」の下に議長から」を、「ときは、」の下に「議場に」を加え、同條第二項を次のやうに改める。
普通地方公共團體の長は、議會に、豫算に關する説明書その他當該普通地方公共團體の事務に關する説明書を提出することができる。
第百二十七條第四項中「乃至第七項」を「及び第六項」に改める。
第百三十一條中「又は第百二十二條第一項の規定による出席者」を削る。
第百四十三條第二項中「乃至第七項」を「及び第六項」に改め、同條第三項を削る。
第百四十六條第一項中「政令」を「法律」に、「公聽会を開いて、これを解職」を「法律で定める彈劾裁判所にその罷免の訴追を」に改め、同條第二項中「前項の例」を「法律の定めるところ」に、「これを解職」を「前項の彈劾裁判所にその罷免の訴追を」に改める。
第百四十九條第七號を第八號とし、第六號の次に次のように加える。
七 前各號に定めるものを除く外、當該普通地方公共團體の事務を執行すること。
第百五十條中「長の權限に屬する國の事務の処理」を「長が國の機關として處理する行政事務」に改める。
第百五十一條中「公益を害し、」を削る。
第百五十六條第一項中「又は政令」を削り、同條第三項中「法律又は政令の定めるところにより、」を「部内の行政事務に關係のある事項につき、」に、「その他の國の」を「その他の」に改める。
第百五十七條第一項乃至第三項中「團体等」を「公共的團体等」に改める。
第百五十八條第一項中「設けなければならない。」を「設けるものとする。」に、「社會事業その他國民生活の保護指導」を「社会福祉」に改める。
第百六十條第一項中「その損失」を「時價によりその損失の全額」に改め、同條第二項中「市町村長、」を「市町村長又は」に改め、「又は所轄廳」を削る。
第百七十六條第二項中「都道府縣にあつては内務大臣、市町村にあつては都道府縣知事の指揮を請わなければならない。」を「議会を被告として裁判所に出訴することができる。」に改め、同條第三項及び第四項を削る。
第百七十七條 普通地方公共團體の議決が、收入又は支出に關し執行することができないものがあると認めるときは、當該普通地方公共團體の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
議會において左に掲げる經費を削除し又は減額する議決をしたときは、その經費及びこれに伴う收入についても、また、前項と同樣とする。
一 法令により負擔する經費、法律の規定に基き當該行政廳の職權により命ずる經費その他の普通地方公共團體の義務に屬する經費
二 非常の災害に因る應急若しくは復舊の施設のため必要な經費又は傳染病豫防のために必要な經費
前項第一號の場合において、議會の議決がなお同號に掲げる經費を削除し又は減額したときは、當該普通地方公共團體の長は、その經費及びこれに伴う收入を豫算に計上してその經費を支出することができる。
第二項第二號の場合において、議會の議決がなお同號に掲げる經費を削除し又は減額したときは、當該普通地方公共團體の長は、その議決を不信任の議決とみなすことができる。
第百七十九條第一項中「都道府縣にあつては内務大臣、市町村にあつては都道府縣知事の指揮を請い、」を削る。
第百八十條中「よる委任に」を削る。
第百八十二條に次の二項を加える。
同一の政黨その他の團體に屬する者は、都道府縣の委員會にあつては三人、市町村の委員會にあつては二人以上同一の委員會の委員又は補充員となることができない。
第一項又は第二項の規定による選擧において、同一の政黨その他の團體に屬する者が前項の制限を超えて選擧された場合及び第三項の規定により委員の補欠を行えば同一の政黨その他の團體に屬する委員の數が前項の制限を超える場合に關し必要な事項は、政令でこれを定める。
第百八十四條第二項中「乃至第七項」を「及び第六項」に改め、同條第三項を削る。
第二百十八條第一項中「普通地方公共團體は、」の下に「非常災害の復舊のため必要があるとき、その他特別の必要があるときは、」を加え、同條第二項中「直接市町村税を準率とし、直接町村税を賦課しない町村においては直接國税」を「市町村民税」に改める。
第二百三十五條に次の二項を加える。
普通地方公共團體の長は、必要に應じて、一會計年度の中の一定期間内にかかる暫定豫算を調製し、これを議會に提出することができる。
前項の暫定豫算は、當該會計年度の豫算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定豫算に基く支出又は債務の負擔があるときは、その支出又は債務の負擔は、これを當該會計年度の豫算に基く支出又は債務の負擔とみなす。
第二百四十六條 所轄行政聽は、必要があるときは、普通地方公共團體につき事務の報告をさせ、書類帳簿を徴し又は實地について事務を視察し若しくは出納を檢閲することができる。
第二百四十七條 市町村長、助役、收入役又は副收入役に故障があるときは、都道府縣知事は、臨時代理者を選任し、その職務を行わせることができる。
第二百四十八條 普通地方公共團體の選擧管理委員會が成立しない場合において、當該普通地方公共團體の議會もまた成立していないときは、所轄行政廳は、臨時選擧管理委員を選任し、選擧管理委員の職務を行わせることができる。
第二百四十九條 第二百四十七條の臨時代理者又は前條の臨時選擧管理委員に對する給與は、所轄行政廳が當該普通地方公共團體の議會の同意を得てこれを定める。
第二百五十條第二項を削る。
第二百五十一條 前條の規定による内務大臣の許可については、内務大臣は、政令の定めるところにより、大藏大臣に協議するものとする。
第二百五十二條 普通地方公共團體は、第三條第三項、第九十一條第二項、第百五十五條第一項及び第二項、第百五十八條第一項竝びに第二百二十三條第一項乃至第三項の條例を設け又は改廢しようとするときは、所轄行政廳の許可を受けなければならない。
前項に掲げるものを除く外、普通地方公共團體は、條例を設け又は改廢したときは、政令の定めるところにより、所轄行政廳にこれを報告しなければならない。
第二百五十三條中「内務大臣は、」を削り、「申請」を「協議」に、「指定しなければならない」。を「定めることができる。」に改める。
第二百五十四條中「政令の定めるところ」を「官報で公示された最近の人口」に改める。
第二百五十五條 この法律における所轄行政廳は、政令で特別の定をするものを除く外、都道府縣に關する事項については内務大臣、市町村に關する事項について都道府縣知事とする。
第二百五十八條中「島」を「東京都八丈支廳管内小島及び鳥島」に、「政令」を「法律」に改め、「ことができる」を削り、同條に次の一項を加える。
前項の法律が制定されるまでの間は、同項に掲げる島における行政については、なお、從前の例による。
第二百六十六條中「特別市」を「第九條の規定は、特別市」に、「關する裁定又は決定は、第九條の例により、内務大臣がこれを行う。」を「關し爭論がある場合又はその境界が判明でない場合において爭論がない場合にこれを準用する。」に改める。
第二百七十條第一項中「ため」、の下「に内務大臣の許可を受け、」を加える。
第二百八十二條中「都は、」の下に「内務大臣の許可を受け、」を加える。
第二百八十八條中の「許可を受け」を「に屆出をし」に改める。
附則第一條但書中「政令」を「法律」に改める。
附則第七條第一項中「道府縣」を「都道府縣」に改める。
附則第十條第三項乃至第六項を次のように改める。
第一項の事務は、都にあつては民生局、道府縣にあつては民生部、特別市にあつては市長の定める局部においてこれを掌る。
附則第十九條中「第二百五十八條の規定による特例の適用を受ける島」を「第二百五十八條第一項に掲げる島」に改める。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=7
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008・中島守利
○中島委員長 なお各派共同で提出されておる附帶決議があるのであります。
この際委員長より附帶決議を朗讀いたします。
一 都道府縣の區域を適當に整備統合すること。
二 中央行政官廳の出先機關は原則として都道府縣知事の下に移管すること。
三 警察法を速かに立案して議會に提出すること。
四 五大都市を特別市として規定する法律を次の議會に提出すること
五 公務員法を速かに立案して次の議會に提出すること。
各派共同提案にかかる附帶決議について決をとります。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=8
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009・中島守利
○中島委員長 御異議ないと認めます。よつて本附帶決議は決定いたしました。
開會の折に自分の所見を申し上げましたごとく、まことに重要な法案であります。諸君の非常な御協力によりまして、本案もある事項の修正で決定いたしたわけであります。修正事項は大體におえいて地方自治の擴張に副うものであります。その間私ははなはだ不行屆きでありました。まことに申譯ないと考える次第であります。ここに謹んで委員會の閉會に際しまして諸君の御勤勞に對して感謝の意を表するとともに、私の不敏でありましたことをお詫び申上げます。本日はこれで委員會を散會いたします。
午後一時三十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212391X00419470322&spkNum=9
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