1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月八日(土曜日)
午後三時二十一分開議
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議事日程 第十三號
昭和二十二年三月八日
午後一時開議
第一 勞働基準法案(政府提出) 第一讀會(前會の續)
第二 罹災救助基金法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 船員法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 統計法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 恩赦法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 參議院議員選擧法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 都道府縣及び市區町村の議會の議員及び長の選擧の期日等に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔朗讀を省略した報告〕
政府から提出された議案は次の通りである。
船員法を改正する法律案
(以上三月六日提出)
一、去る六日貴族院から受領した政府提出案は次の通りである。
統計法案
一、昨七日貴族院から受領した政府提出案は次の通りである。
恩赦法案
一、昨七日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
所得税法の一部を改正する法律案
一、議員から提出された議案は次の通りである。
人丸驛、川尻港間省營自動車開通促進に關する建議案
提出者 疋田敏男君
北海道開發に關する建議案
提出者
苫米地英俊君 小川原政信君
伊藤郷一君 武田信之助君
鐵道添田線全線開通促進に關する建議案
提出者
長尾達生君 村上勇君
八坂善一郎君 金光義邦君
岡部得三君 平野八郎君
森山ヨネ君 原尻束君
塩月學君 松原一彦君
(以上三月六日提出)
地方競馬法の一部を改正する法律案
提出者
小川原政信君 深津玉一郎君
佐伯忠義君 鈴木周次郎君
永井勝次郎君 太田鐡太郎君
賠償工場撤去緩和の懇請に關する決議案
提出者 石崎千松君
國領川ダム築造に關する建議案
提出者
林田哲雄君 馬越晃君
關谷勝利君 稻本早苗君
櫻井漁港建設に關する建議案
提出者
林田哲雄君 馬越晃君
關谷勝利君 稻本早苗君
燧灘沿岸干拓事業に關する建議案
提出者
林田哲雄君 馬越晃君
關谷勝利君 稻本早苗君
新居濱工業專門學校の大學昇格に關する建議案
提出者
林田哲雄君 馬越晃君
關谷勝利君 稻本早苗君
(以上三月七日提出)
一、去る六日吉田内閣總理大臣から次の通り政府委員を仰せつけられた旨の通牒を受領した。
大藏事務官 岡村峻
第九十二囘帝國議會大藏省所管事務政府委員
厚生事務官 石丸敬次
同 宮崎太一
第九十二囘帝國議會厚生省所管事務政府委員
一、去る六日議長において次の通り常任委員辭任の許可があつた。
第三部選出豫算委員 北れい吉君
第四部選出豫算委員 北村徳太郎君
第一部選出請願委員 荒木武行君
第八部選出請願委員 本名武君
第三部選出懲罰委員 川崎秀二君
第八部選出懲罰委員 原健三郎君
第八部選出懲罰委員 本間俊一君
第九部選出懲罰委員 吉田安君
第五部選出建議委員 橘直治君
第六部選出建議委員 津島文治君
一、去る六日常任委員補闕選擧の結果次の通り當選した。
第五部選出豫算委員 加藤一雄君(坂田道太郎君補闕)
一、昨七日衆議院規則第十五條但書に依り議長において議席を次の通り變更した。
一 尾崎行雄君
二 原尻束君
三 安藤はつ君
四 田中たつ君
一三 伊藤恭一君
六二 楢橋渡君
一八七 高橋英吉君
二〇二 小峯柳多君
一三九 小澤佐重喜君
三〇四 花月純誠君
一、昨七日議長において次の通り常任委員辭任の許可があつた。
第五部選出豫算委員 駒井藤平君
第六部選出豫算委員 鈴木茂三郎君
第七部選出豫算委員 林興一郎君
第八部選出豫算委員 舟崎由之君
第八部選出豫算委員 寺田榮吉君
第六部選出決算委員 竹山祐太郎君
第二部選出請願委員 小笠原八十美君
第四部選出請願委員 杉本勝次君
一、昨七日常任委員補闕選擧の結果次の通り當選した。
第三部選出豫算委員 武田信之助君(北れい吉君補闕)
第四部選出豫算委員 荒木武行君(北村徳太郎君補闕)
第一部選出請願委員 菅原エン君(荒木武行君補闕)
第八部選出請願委員 大久保傳藏君(本名武君補闕)
第三部選出懲罰委員 小川半次君(川崎秀二君補闕)
第八部選出懲罰委員 堀川恭平君(原健三郎君補闕)
第八部選出懲罰委員 山崎岩男君(本間俊一君補闕)
第九部選出懲罰委員 原捨思君(吉田安君補闕)
第五部選出建議委員 佐藤久雄君(橘直治君補闕)
第六部選出建議委員 村井八郎君(津島文治君補闕)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) これより會議を開きます。おはかりいたします。議員長井源君より辭表が提出されております。まずその辭表を朗讀いたさせます。
〔書記官朗讀〕
辭職願
衆議院議員 長井源
私儀
一身上の都合により衆議院議員を辭職致したく御許可御願申上ます
昭和二十二年三月八日
右 長井 源
衆議院議長 山崎 猛殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=1
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002・山崎猛
○議長(山崎猛君) 採決いたします。長井源君の辭職を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=2
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003・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=3
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004・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、井上良次君提出、綱紀肅正に關する緊急質問を許可せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=4
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005・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=5
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006・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。政府はこの議事日程變更に同意せられました。よつて日程は變更せられました。
綱紀肅正に關する緊急質問を許可いたします。提出者井上良次君。
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綱紀肅正に關する緊急質問
(井上良次君提出)
〔井上良次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=6
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007・井上良次
○井上良次君 私はこの機會に、この議場において、綱紀肅正竝びに官紀刷新に關して、政府に對し緊急質問をするに至りましたことを非常に遺憾に存じます。
敗戰以來、國民の師表として立たねばなりませんところの政府役人の中で、また國家の行政機關であるところの官廳を中心にいたしまして、いまわしい不正事件が續出いたしまして、綱紀の頽廢、官紀の紊亂その極に達し、政府不信の聲は巷に滿ちており、國家の現状を憂うるの聲は、國民の中に日日に高まりつつあります。最近司法省刑事局が、管下檢事局を動員して、官公吏の犯罪の實態を調査しましたるところ、終戰以來一箇年間の犯罪件數は、實に四千七百五十八件に上り、さらに昨年九月から十二月に至る四箇月間に、ずつと件數は殖えてまいりまして、わずか四箇月に二千三百五十件、一箇月平均五百六十餘件、一年間の推定七千件を突破するではないかと思われます。しかもこれらの犯罪件數中、最も多い官廳は、鐵道關係の二千八百五十六件、市町村公吏の九百八十八件、内務警察關係の四百五十二件、遞信省所管の六百四十一件、これを初め、農林、商工、都道府縣、裁判所等の各官廳の領域に廣まりつつあります、これら不正不詳事件の事實に對して、政府は何と一體考えられるか。所管大臣は單にその犯罪を起したところの役人だけを處罰して、大臣としての責任が逃れたと考えられておるかしれませんけれども、それで責任は逃れられません。
總理を初め各省所管大臣は、議會を通し、機會のあるごとに、綱紀の肅正を唱え、官紀の刷新を唱えてまいつたのであります。國民に對し、議會に對し、綱紀は肅正する、官紀は刷新すると、口を極めて約束しておるにかかわらず、少しもその實績は上つてない。反對に逆現象を來しておる、この事實を政府は何とする。その政治的責任をどうする。かくも綱紀が頽廢し、官紀が紊亂しておるその原因について、政府は靜かに考えたことがあるか。何ゆえにこんなに事件があとからあとへと續出するかということについて、考えたことが一體あるか。
前に述べました、これら官公廳を中心とする犯罪の大部分は、今日の世相を反映いたしまして、ことごとくが經濟事犯であります。全國二百五十萬の官公廳從業員の大多數は、吉田内閣の政治のよろしきを得ないために、荒れ狂うインフレの嵐の中にその生活は極度は脅かされて、心身ともに疲れ切つておるのであります。
去る二月一日、ゼネストを契機として、やつと平均給、税込み千三百圓の收入が保證されたというけれども、彼らの生活必需物資は、六割も七割もが、やみによらなければ入手できない經濟的環境におかれておりますので、この安い給料と、粗末な生活と、わくの中に閉じこめられておるこの事實を取卷いておる、新圓によるところの札つぴらの誘惑、酒と女のわな、これが意思の弱いところの下級官吏を誘惑する原因であります。彼らも良心のあるところの人の子であります。妻子のある夫であります。惡いということを知りつつ誘惑される、意思の弱い下級官吏のみじめな行動であります。われわれはその罪を責める前に、誘惑に陷ろうとするその經濟的環境をまず直さなければ、いかに縛つてみたところで、あとからあとへと續出するこの事實を見逃してはならぬと考えるのでありますが、われわれは單に政府の監督不行屆きを責めるのみならず、彼らの生活と身分をいかにして保障するか、これを保障せずして、確立せずして、いたずらに罪を犯した者だけを縛つたつて問題にならぬのであります。この點に對する政府の所信をまず私は伺つておきたいと思う。
それからいま一つ伺いたいのは、今日官紀の刷新、行政の改革のやかましいときに、全官公廳の職員、從業員は、現に吉田内閣の打倒を叫んでおる。政府はいかにしてその行政事務を圓滑敏速に處理できると考えるか。これを私は伺いたいと思うのであります。(「事件の内容を具體的に説明せよ」と呼ぶものあり)。
そこでさらに進んで、問題の遞信大臣に對して責任を伺いたいのであります。それは私は昨年豫算委員會において、一松遞信大臣に、電信電話の復舊、郵便の確實なる配達を要請いたしましたに對し、大臣は、万難を排し、必ず國民の期待に副うように復興するから、私を信頼して、しばらく時を待つてくれとのことであつた。その後遞信事業は、大臣のこの聲明にこたえるがごとく、全從業員の努力のもと、次第に囘復の徴を現わしまして、いま一息というときになつた昨今、また電報、速達等々が遲配不通の状況にはいつてきたのであります。
どういうわけで停頓を生じてきたか、その原因をわれわれはいろいろ調べてみました。その原因については、いろいろ論議する人がございます。あるいは資材が足らぬ、あるいはまた大臣のやり方がおもしろくない、特に大臣の下僚に對する態度は、親心をもつての態度ではない、もう少し大臣が子供を愛するがごとき親心をもつて接してくれるならば、もつと仕事の能率が上るのに、そうではなしに、高壓的な態度でもつて、常に疑いとあら探しをする、その態度を改めない限りには、能率は上るものではないというようなことさえ言う人がいるのであります。(「抽象論はやめろ」「緊急質問の値打がないよ」「靜かに聽け」と呼ぶ者あり)
特に問題の根底は、こういう事實からいたしまして、さらに問題の本質がここにあると私はにらんで、そこで新聞に出ておりますところの、新宿のダンスホールの政府取上げの問題であります。この問題は、私の調べたところによりますと、昨年八月、遞信省所有に屬するこの建物を、民間のある者に貸し與えた。ところが、借り受けた民間人は、これをダンスホールに使用した。そのことが疑惑を生みまして、次にダンスホールにあれを貸すようならば、戰災後家屋その他で非常に困つておる今日であるから、もつとほかに有效に利用できるではないか。さすればあの裏に何か暗い、いまわしい事實が潛在しておりはしないかと、こういううわさが飛んだのに端を發して、大臣はこの處置に對して、直ちに省内の監察課に命令をいたしまして、ことの眞相の調査の依頼をいたしておるのであります。
〔「當然だよ」、「あたりまえだよ」「謹聽々々」と呼び、その他發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=7
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008・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=8
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009・井上良次
○井上良次君(續) そこで大臣は、事實を調べた結果、何ら收賄、贈賄、その他いまわしい不正事實なしとして、この問題は水に流すということで、ひとまず問題は解決をいたしておりました。ところがその後、この問題はさらに警視廳の活動するところとなつて、これに關係するところの者が數名警視廳に召喚され、ことの眞相に對して具體的な調査を受けるに至つたのであります。そうしますと、この警視廳の搜査も、また何ら犯罪事實をつかむことなしに、それぞれ釋放されているのであります。
ところが最近に至りまして、再びこの事件は檢事局の活動するところとなつた。この檢事局の活動するところとなりますや、これは大臣が祕密裡に檢事局に依頼して——この事件の裏には何かいまわしいことがあるのではないかとして、檢事局の活動を要請したのではないかという疑いが、非常に從業員の中に擴まりつつありますが、このことは、大臣の信頼を左右する重大な問題になりますので、特にこの點に對する大臣の動き方についての御所見を、あとで伺いたいのであります。
さらにいま一つの問題は、囘線統制本部の豫算消費事件という問題がございます。この豫算消費事件の問題の内容について、具體的に何ら詳細なことが發表されておりません。さらにいま一つ申し上げておきたい點は、特殊物件拂下げに絡みまして、いわゆる通信器材の拂下げ問題がございます。これは軍がもつておりました通信機器を、民間の必要とする部分に遞信省から拂い下げたことに關連をして、何かそこに不正なことがありはしないかということから、大臣はその關係官を集めまして、お前たちがもしこれに關連して不正なことがあるというようなことになると、事面倒だから、もしそういう事實があるならば、今のうちに明確にしたがよかろうというようなことで、まるきり自分の部下を罪人扱いするがごとき態度で臨んだといううわさも飛んでおります。
これらはまつたく從業員と大臣との、ものの考へ方が食い違いを生じておる點に横たわつておるのであります。私はここで明確にしておきたい點は、斷じて綱紀の頽廢をしておる事實を隱匿せいとか、隱蔽せいとか言うのぢやない。その事實があるならば、これは白日のもと、公正な審判をすべき必要は當然であります。しかしながら、何ら罪科もない自分の使つておるところの者を犯罪人扱いにして、天降り的に、高壓的に從業員を取締るがごとき態度は‥‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=9
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010・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=10
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011・井上良次
○井上良次君(續) 斷じて通信事業を圓滑に運營するやり方ではないのであります。
私は明確に申し上げる。遞信事業は一行政官廳とは違います。現場をもつております。しかも通信事業は、進駐軍の占領目的を果すために、軍事行動を援助しなければなりません。しかも國家の神經系統を握つておるのであります。何ゆえに政府は、警視廳の取調べに信頼もできず、みずからの下僚を信頼もできずに、二名の課長を免職するがごとき行動をとるに至つたか。もし免職するがごとき行動の事實がないとすれば、即時免職を取消されたい。この免職問題を中心にして、遞信省には重大な問題が紛爭してまいりましよう。この問題を解決することができなければ、再び全遞信從業員は、この問題を契機にして奮起しましよう。私は申し上げます。
〔發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=12
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013・井上良次
○井上良次君(續) 私ははつきり申し上げます。現實に不正な問題を、不正に葬れと言うのではない。ただ明確にすべきものは明確にせい。しかしながらはつきり申し上げたい點は‥‥‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=14
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015・井上良次
○井上良次君(續) いたずらに下僚を罪人扱いして、それで遞信事業が遂行できると思うならば、大きな間違いであります。
さらにいま一つ申し上げておきたい點は、新宿の建物は、ともかくも速やかに一定の期間を切つて、明渡しを命じ、省議を開いて、省が最も有効適切な用途にこれを使用する方向に使うことを私は要請いたします。かくのごとき明確な態度をとらずに、荏苒日を送つて、半年以上もこの問題をもみ上げるところに、いろいろな問題が伏在してくるのでありますから、速やかに明確果敢な態度をとつて、世間の疑惑を一掃される處置を講ぜられんことを望んで、私の質問を終ります。(拍手)
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=15
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016・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 井上君の、非常に御親切であり、國家を思うその熱烈な御質問に對しまして、私は事實の全貌を明らかにして、井上君の御質問に答えると同時に、國民諸君の御批判にまちたいと考えます。(拍手)
わが國敗戰直前直後において、官紀綱紀の頽廢いたしておりますことは、井上君御主張の通りでありまして、政府當局として、この點に對しては最も關心をもつて、この頽廢を極力是正し、振肅して、國民の期待に副い、官公吏諸君の、國民より一層の信頼を愛くべく努力することをもつて信條といたしておることを、ここに明らかにいたします。(拍手)
御發表にありました全國の犯罪檢擧數は、有效適切なる資料に基いての御發表でありましようし、遞信省の六百四十餘件の犯罪のあつたということも、ただいま正確なる數字はもつておりませんけれども、多數の犯罪のあつたことは私は認めます。それは、昨年七月一日に遞信大臣の大命を拜しました當時から、本院竝びに貴族院における本會議竝びに特別委員會等において、遞信省官吏のいろいろの犯罪事實に對しまして糺彈を受けました。それは小包の拔き取りだとか、書留の拔き取りだとか、その他電報の遲配だとか、電信電話工事の不正だとか、あるいは窓口の不親切とか、いろいろな點がありまして、私は寢食を忘れて、これらを是正すべく努めてまいりました。(拍手)
その結果、井上君よりお賞めに預かりましたように、だんだん從業員諸君のこれらの態度は改まり——以前には、とても從業員は丁寧親切に職務に熱心いたしておる者が多數であつたのでありますが、そのうち少數の不心得者のありましたために、國民に多大の御迷惑をかけたことは、遞信大臣としてまことに相濟まぬと思つておるのであります。私はそれらの點に對しましては、機會あるたびごとに、從業員諸君に私の信念を發表いたしまして、それら正しき立派な從業員諸君とともに手を握つて今日に至つたことは、決して私は恥といたしません。よいことをしておると考えておりました。
が、不心得な者は、四十萬の從業員のうちには多少やはりある。何とかしてそれらの點の一人もなく、昔遞信省の從業員が非常に國民の信頼を受け、尊敬を拂われておつた往時に歸るように、これら立派な從業員諸君とともに盡力をしてまいつたのでありまするが、ときたまたま、今御質問の三福問題、囘線統制問題及び軍需物資の放出物件に對するいろいろな疑惑問題等が起りまして、私は非常に心痛をいたして今日に至つております。お前は從業員に對して親心がないために、從業員がお前を信任しないのではないかというこの御質問に對しましては、私不徳のいたすところでありまして、それらの點はまことに相濟まぬと考えておりますが、これは私自身のほんとうの心、俗言で言いますならば、親心を知らないところの子供が、親の考えておることを付度することなく、形に現われた事實をとらえて、その親に反抗し、その親を恨むような者が、この多數の從業員中に少々あつたことを、私は遺憾に思うのであります。
今これらの問題の事實を明らかにせよと質問せられました以上は、もちろん明らかにしなければなりませんが、私がこれを今まで明らかにしなかつた理由は、決して、自分の子のごとく、兄弟のごとく愛しておりまする從業員の、少數の者の不正の事實を發いて快しとし、もしくは世間に對して、これによつて綱紀肅正なれりとするがごとき考えをもつておりません。願わくば、これらのことをなるたけ僅少の範圍に食い止め、なるたけ世間に明らかにしなくても、自分の力で隱密の間に綱紀官紀の肅正ができ、これら不心得な少數の人々が、心を改めてくれるならばという親心のために、隱密裡にそれらの取調べを進めてまいつたことが、かえつて私がこれらの人々を罪人扱いにしたというがごとき疑いをもつて、私に對して辭職を勸告するというような態度に至つたことは、私は非常に悲しんでおるのであります。
ゆえにこれらの事實については、でき得べき限り世間に發表せずして——いずれ發表する時期が來れば發表するが、それまではなるたけこれをひそかにして、自分の手で處理できるものは處理しようということであつたが、これら少數の從業員諸君の態度が、遂に今日かくのごとき事實を世間に暴露して、そうして世間を騷がすに至りましたことは、私の最も遺憾とするところであります。
今三福問題についてのお話しをいたしまするならば、これは井上君御指摘のごとく、三福という新宿における五階建の鐵筋コンクリートの料理屋であつたのであります。これを一昨年終戰の直前に、遞信省が郵便事務に使うというために、二百數十萬圓の金をもつて買收いたしたのでありましたが、戰災のために使用が少しく困難になつておつたのを、放置しておつたのであります。但し時期を見てこれを改修して、適當に使用するはずであつたのでありますが、それに先だちまして、大屋何がしという人が、ぜひこれを貸してくれろいうことを申出たのであります。ところがこれは營繕部の方から、そういうことに貸すことはできないと言うて、一應斷つたけれども、いろいろな運動方法を講じましたために、遂に遞信省の工務局の一官吏が、局長の名前を使い、もしくは局長の印を使つて、そうして出入の許可をしたという事實があります。このことがはたして工務局長の承知しておつたことであるかどうかということに對しましては、十分なる審理を盡さなければ斷言はできません。
しかるに出入だけではいけないということが遂に問題になり、東京遞信局の方にこの借入方を要求したそうでありますが、これもいろいろの問題のために、容易に許可せられなかつた。ところが東京遞信局長が本省の總務局長に榮轉し、そのあとに名古屋の遞信局長が轉任してまいりまして、まだ事務の引繼ぎを受けない間に、遞信局長の氏名、印章を使つて、使用の許可が許されたということが明らかになつたのであります。
そればかりではございません。どうもそういうようなことがはなはだ不可解である。これは何とか遞信大臣において善處しなければ、後日重大なる問題が起りましようと、ある人が私に告知してくれましたので、私はとりあえず調べてみたところが、ただいまのような事實が明らかになりました。そこで大屋某を呼んで調べてみると、私の方は遞信省から完全に借りたものと思うのであるが、これを大臣がもし使用を取消すというがごときことがあるならば、御省竝びに遞信局その他において、なわつきがでます、それがよければ、あなたは勝手にお取消しなさい、かような、むしろ逆襲を受けたのであります。
私はなわつきがでるというに至つては、これは聞捨てならぬ、そうかといつて、これをあからさまに私の方が摘發するというような態度に出てはおもしろくないから、隱密裡に取調べをひとつ進めてもろうて、事實を事實として明らかにした上で、一面この家屋の明渡しの資料となし、一面には綱紀官紀の肅正のために最小限度の處分をしよう、そうしてこの問題を片づけようと考えまして、時の内務大臣の大村君に話をして、警視廳にこれを調べてもらつたのであります。ところが警視廳の方で調べた結果、これは確かにある一人の者が金品を受取つておる事實はあるけれども、どうも職務に關係があるということが不十分であるがために、はたして涜職罪を構成するかどうか、まだ明らかでない、但し局長の氏名を詐稱し、官印を盜用したということが、官文書僞造行使になるかもしれぬが、その點もひとつ調べてみなければいけない、こういうことであつたのであります。
私はまあそういう點について、事實さえ明らかになれば、これを處罰するとかせぬとかいうことについては、いろいろ事情もあらうから、まずそれまでには、一應私にひとつ話をしていただきたいということをお願いをしておいて、そのままになつておりました。最近、今から約二週間前くらいであると思いますが、この事に關して檢事局を訪問しまして、あの事實はどうなりましたかと聽いたところが、今大村大臣が私に話してくれたような事實があります。その上にまだ取調べが十分でない、今官公文書の僞造行使とかいう問題について徹底的に調べておりません。しかしこれらの點については、今一應調べなければいかぬ、のみならず金品受理の問題が涜職罪になるか、ならぬかということは別として、はたして警視廳の調べがその通り正しいかどうかを調べるためには、檢事の手において一應十分調べてみなければならぬ、こういうことでありましたので、私は諒として歸つたのであります。それを今井上君の質問で、私が檢事局を訪問して、嚴重に取調べをせよという態度に出たというがごときは、これはまつたく事實無根でありまして、ただいまの通りが事實であります。
ここに一つ皆樣に申し上げておかなければならぬことは、かくのごとき犯罪事實がありましたときには、警察で調べて、調べた書類をそのままにすることは、これは刑事訴訟法が許しません。調べた書類は必ず檢事局に送致して、起訴不起訴の處分は、檢事の手においてなすべきものでありますから、警視廳が調べたその書類を、檢事局に送つたことは當然である。從つて起訴不起訴を決するは檢事の仕事でありまするから、警視廳が調べたものを、問題が解決したんだと稱して、そのままに警視廳の手でこれを握りつぶすということのできないことは、御諒承を賜わりたいのであります。そういう立場で檢事局に送つたので、檢事局でも今申し上げたような方法でこれを調べよう、私も警察署の調べた記録が直ちに信をおくに足るか足らぬかということは、後日これをいかように私が處分をしようとも、確かな明らかな事實によらなければ、輕々に行動すべきものでないということを考えておりまするために、檢事の調べの終るのを靜かに待つておるのが今日の状態なることを御諒承を賜わりたいのであります。
こういうような事實でありまして、この點に對しましては、確かにある一人の者が金品を受取つている事實があります。しかしながらこれはそれらの人の辯解するところを聽いてみますると、なるほど受取つたけれども、これは惡かつたと思つて返したとか、あるいはこれは、ある品物の代金を拂うべきを、依頼者の大屋が拂つてなかつたから、そのために自分が拂つたのであるとか、あるいは大屋から數囘御馳走になつたけれども、それには相當の品物を送り返したとかいうような主張をいたしておりまするから、そういうような事實が明らかになりますれば、かりにこれが犯罪が成立するとかせぬとかいうことになりましても、また行政處分に付すにいたしましても、これは情状酌量すべき點でありますから、これらの調べの終るのを私は待つておるということが今日の實情であることを御諒承賜わりたいのであります。(拍手)
それからその次は囘線統制本部の問題であります。この囘線統制本部というのは、電信及び市外電話の、いわゆる囘線を囘復整備するという仕事のために、昨年の十二月に遞信省の工務局にこの本部を置きまして、そうして豫算を二千百餘萬圓貰いまして、この範圍内において、ちようど今月までにその仕事を完了するということにきめまして、工務の關係諸君にこの仕事に當つてもらつたのであります。工務員の諸君が、晝夜兼行、寢食を忘れてこの仕事に一路邁進をいたしましたために、ほぼその目的を達成いたしまして、近いうちにこれが解散式をやろうということになつておるのが今日の實情であります。
私はこれらの從業員諸君が、非常に萬難を排しまして、この仕事に努力してこの目的を達成し、國民諸君の御期待に副うことのできることを、非常に期待しておつた矢先、今から約一箇月ほど前に、遞信省の工務局一技官よりという名前で、但し手紙の上には新宿某という人の名前で、私あての親展状が參りました。開けてみますといわゆる囘線統制本部の二千百萬圓の豫算のうち、百數十萬圓というものが不正に引出されている。あるいはその金をもつて酒食の饗應の費用に使つておる、あるいはその金を從業員に分配しておる、あるいはその金によつて物資を買い取つて、その買い取つた物資はただで配給しなければならないのに、その配給を受けた者から相當の價格を徴收して、それを不正に使つたとか、あるいは機械の買入れに對して、わずか二、三萬圓の品物を六萬圓で八臺も買つた、その差額を不正に處分したということも、こまかく具體的に、しかもそれらの關係者の名前まで出して、これを私の方に密告してまいつたのであります。
驚いたのは私です。こういうようなことがもしあるとすれば、大變だ。これも併わせて警視廳に調べをお願いしようかと思うけれども、そうなると一層これらのことが外部に漏れて、私の考えている、いわゆるでき得べき限り範圍を狹くして、そうして一面には綱紀肅正の實が十分あがるようにという考え方が、水泡に歸してはならないから、一應これを私の官房内におります監察課長に内偵をしてみよということを命じました。その内偵をさせました結果、いろいろ事實が具體的にあがつてまいつたのであります。
こういうようなことで、どうしたならばよかろうかと心を痛めておりました。なぜならば、それらの從業員諸君が晝夜兼行でこの重大任務を完遂した、その盡力というものは一方ならないものであります。これらの者が——今井上君の御指摘に相なりましたように、經濟危機に追われて生活に困つておる者が、晝夜兼行、一身を賭して仕事をやつたのに、多少の慰勞金を與えたとか、あるいは物の足りないものを買つて與えたとか、あるいは勞を慰めるために一杯の酒を飮んだとかいうようなことは、なるほど官紀綱紀の振肅からすれば、これは大いに考えなければならぬことであるが、直ちにこれらの人の名前をあげてその名譽を害するというがごときことは、親としては、はなはだおもしろからぬことであるから、急速にこれを何とかするということでなく、徐々にその眞相さえ明らかになればよろしいということを監察課長に命じて、ちようど今搜査中であります。
いま一つは海軍の放出物資、終戰直後海軍の保有しておりましたラジオ、電話、電信等に關しまする資材、ほとんど數億圓に近いものが遞信省に拂い下げられております。これらの物資につきまして、ある人が私に、あなたの方にはこういう物資があります、この物資は全部帳簿に載せておらずして、そのまま放置されておるものがある、またそういうものが若干外部に出ておるような状況がある、あるいは人に賣つた品物の代金というものをきめずして、ただ品を人に引渡して、後にいい加減な値段をつけて、これが勘定を濟ましたものがある、また半年前に引渡して、品物の代金の囘收ができないものがある、これではどうもあなたとしては考えなければならぬじやないかという忠告をしてくれました、このことを資材局長を呼んで聽きましたところが、そういう不正なことはないけれども、帳簿の整理ができないために、そういうようなことがあつたと思う、また公定價格が明らかでないがために、品は渡したけれども、後に品物をよく調べて、その代金を定めて受け取つたこともあるが、不正なことはありません。そうか、それは結構だ、ついては一應見たいからというので、現場を私は見に行きまして、納得した點もありますが、少し納得しないような點もありました。
これはただ東京遞信局管内だけではありません。全國の遞信局管内には無數にこれがあるのでありますから、今のような非難を受けては、まことに皆樣に對して濟まぬし、また將來不心得な一部の遞信從業員があつてはならぬから、あらかじめそれらのことのないようにするためには、關係官を東京に集めて、それらのことを訓示して、將來さようなことのないように、國民の疑惑を一掃するようにという、これも私親心からこれらの人を集めまして、それらの事實を訓示して、三日間にわたつて審議した結果、私の主張をよく諒として、それぞれ任地に歸りまして、それら不備の品物等の整備に著手しておる。私はその時に、もしこういうことのために犯罪があるということになれば、一つには諸君の名譽を囘復するゆえんではない、諸君が正しくやつておつても、國民は疑惑の眼をもつて見ることになるとおもしろくないから、どうぞ頼むから、今僕のような方針でやつて下さい。よくわかりましたといつて皆喜んで歸つた。(拍手)
そういうようなときに、ちようど今囘線統制本部の問題について監察課長が調べておるとき、三福問題について東京檢事局の調べておるとき、突如として、本月五日午後五時半、關係官の人人が私に面會を求めた、私が喜んで會つたところが、今まで大臣については信頼しておつたが、今日ただいま信頼感を缺如した、ゆえに大臣の輩下において仕事をすることは絶對にいたしません、これを聲明して、大臣よろしく善處すべし、この言を殘して、室外に出て行つたのであります。何のことかわからないから、よく話を聽こうじやないか、聽けばわかる、聽かなくても、大臣、その胸に手を當ててみればわかるだろう、そんなことはあなたが一番よく知つておるのだということを言い殘して、出たのであります。
私は實に遺憾に思いました。私がここまで從業員諸君のために親心をもつて處理していこうという態度が彼らに映らなかつたがために、私の外部の形だけを見て、なに一松遞信大臣はわれらを罪人扱いするのだ、檢事局に行つて嚴重に處分せよと要求したのだ、われらを何でもかんでも泥棒扱いにするのだ、こういう人のためにわれわれは働くことはできない、かような意味であつたらしいので、私ははなはだ遺憾に思つておるのでありまするが、そういう行動に出た人も、だんだんこの興奮がさめるに從いまして、今日では私の意中をだんだん諒とせられまして、これは自分らの認識不足であつたということを考えて、改悛の情顯著である立派なこれらの從業員諸君のあることを私は喜んでおるということを、皆樣に御報告申し上げたいのであります。(拍手)
しかしながら一面、私をそういうようにして威嚇し、もしくは脅迫するような態度に出て、そうして全國のそれらの實情を知らない從業員諸君に辭職屆を要求して、これを數百通既に取集めたとかいうようなことが、うそかまことか知りません。新聞には出ておりまするが、私は、そういうことをすると、ほんとうに事實を世の中に明らかにしなければならぬ、そこでこれは墓穴を掘ることになるから、どうぞそういう態度に出なければよいがと念願をいたしておるのであります。この點に對しまして、私が罪人扱をするとか、罪もない者を罪にするような態度に出るというがごときことは絶對にないということだけを、ひとつ御諒承を賜わりたいのであります。(拍手)
これらのことが、だんだん話すことによりまして、諸君の方にもわかりまして、そうして今では、あれはあなたに辭職を要求したのではありません、われわれの親として、子として、かわいがつてくれるように一つ善處していただきたいという趣旨でありますということを申し出てまいりまして、私も實は心に泣いております。そういうような實情でありまするから、私は今井上君の御追究にありましたように、罪人扱いにして、そうして彼らを云々しようという考えはもつておりません。これらの點につきましては、どうぞ御考慮を願いたいのでありまして、親心をもつて、親切に、なるたけ極祕裡に、彼らの名譽を尊重し、そして擴大しないように、官紀の振肅は一面にできるように、そして官吏の信用を囘復するようにということが私の信念であることを御諒承賜わりたい。(拍手)
これに關連いたしまして、去年われわれが質問したときには、惡かつた、遞信大臣も善處すると言うた、その後大いに改善されたことを喜んでおるやさきに、またもや電報や手紙等が遲配遲達ということになつておるが、この原因はどうか、お前が從業員を罪人扱いするためではないかというようなこともありましたが、それは私はそうは考えておりません。大いに改善せられました。しかしながら私の見るところによりましては、よほど徐々に改善されつつあるけれども、かのゼネストという行動も、多少これに影響をもつておるのではないかということを心配しておることが一つ。いま一つは、あなたの指摘せられましたように、經濟關係がまだ十分に囘復いたしおりません。これらの點について、從業員諸君が待遇改善を叫んで、われわれにいろいろな要求をもち出しておるということは、これはもつともなことである。ただ政府の財政が許さないがために、彼らの要求する程度に應ずることができないということは、遺憾に思つておりまするが、漸次これらを改善いたしまして、生活に安んじて仕事に從事することのできるようにいたしますれば、彼らの能率は十分に増進することを私は確信しております。また從業員諸君も、そういう意味において、自分らがゼネストというような問題について騷いだということについて、今大いに改悛の實をあげて仕事をしておるというときに、このことが問題になりまして、私も迷惑し、また善良なる多數の從業員諸君も困つておるということが、今日の實情であるということを私は聲明をいたします。
そこで三百通以上の辭職が出たとかいうようなことは、ある一部の人の煽動というのか、あるいは勸誘というのかしりませんが、もしそういうことがあるとするならば、事情を知らない人人は、同情的に、あるいは新聞等に書いてあるような事柄を誤解して、ほんとうに一松はそういう男であると思つて、それならばというような意味で、あるいは出したのかもわかりませんが、これらは徐々に、私の態度なり、私の親心なりがわかりますれば、これは大いに收まることであると、私はその時期の來るのを待つております。
こういうようなことでありまして、工事は今日まで少しも怠つておりませんで、相變らずやつておりますし、この點につきましては、私は必ずしも悲觀はいたしておりませんが、ただこの問題につきまして、そういうような態度に出た、あるいは指揮とか、あるいは煽動とかいうような態度に出たとかいうような者がもしあるとするならば、それらは官紀振肅の上からこの際何とかしなければならぬと考えておるのでありまして、これらの點に對しましては、いずれ近いうちに事實が明らかになろうと思いますから、それはどうか御諒承を賜わりたい。
三福問題に對しましては、井上君は、早くこれを解除して、適當なる公益方法として使用するようにせよということでありますが、これはあなたのお話までもありません。私はこの事實を知ると同時に、直ちに、本年三月三十一日をもつて期間滿了であるがゆえに明け渡せという内容説明を出してある。と同時に、他にこれを轉貸することを禁じております。要するにこれはただいま、新聞にもありましたように、もとの三福の主人から返還の請求訴訟を受けておりますが、これは今ここに明らかにする必要はありせんけれども、われわれはその當時海軍省から脅迫をされて、その脅迫に基いて意思表示をして賣つたのだから、脅迫を理由として、この賣買契約は無效であるから返せという訴訟でありますが、これは裁判を待たなければわかりませんが、私は今申し上げるように、萬事のことについて細心の注意を拂つて處理をしておるということをこの際明らかにして、皆樣の御諒解を得たいのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=16
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017・山崎猛
○議長(山崎猛君) 議事日程第一の第一讀會を開き質疑を繼續いたします。秋田大助君。
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第一 勞働基準法案(政府提出) 第一讀會(前會の續)
〔秋田大助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=17
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018・秋田大助
○秋田大助君 私は協同民主黨を代表いたしまして、ここに上程されておりまする勞働基準法案に關しまして、河合厚生大臣に質疑を試みんとするものであります。
さきにわが黨は、勞働基準法なくして勞調法だけを單純に施行するのは、反動的であり、片手落ちであるとして、これに反對をしてまいつたのでありまするが、政府は昨年十月電産ストに直面いたしまするや、勞調法は勞働基準法の制定施行を待つて同時に施行すべしという衆議院の附帶決議の趣旨を無視いたしまして、勞調法を單獨に施行せられたのであります。政府が附帶決議の趣旨に反しました以上、これが法律的責任論は別といたしまして、道徳的責任は免れないと思うのでありまするが、政府のこの點に關するお考えはいかがでございましようか。政府はこの措置は事情やむを得ないものであると言譯をせられるでありましようけれども、本基準法案がかくも提案の遲れたというわけは、どうしても政府は怠慢の責を免れないのでありまして、
〔議長退席、副議長著席〕
政府に勞働問題解決の誠意がなく、勞働者諸君に對する理解と同情の缺けている證據でありまして、かかる政府の態度が、現内閣に對する全勤勞階級の支持と協力を失わしめ、勞働攻勢を激化せしめておる有力なる原因の一つをなしておることを考えまするときに、社會を今日の不安と動搖に陷れましたる責任の一半は、現内閣が負うべきものと考えるのでありまするが、この點政府は深く自己を反省せられておられますや否や、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
本案は、これまで雇傭條件に隨伴いたしました封建的制度を拂拭して、勞働條件を國際的水準にまで高めようとするものでありまして、數箇の進歩的にして近代的なる諸原則を、その第一章に掲げられておるのであります。しかしわれわれは決して抽象的な法文の進歩性に眩惑されるものではありません。要は法の運用にあり、この基準法が眞の効用を發揮するためには、國民一般の間に、勞働に對する民主的な正しい觀念が堅持されておることが前提條件でありますが、何と申しましても、直接この法律の適用の衝に當る政府が、勞働と勞働者の人格尊重の眞意義に徹せられておるや否やが問題でありまするから、私はまず政府の勞働問題に關する基本觀念についてお伺いをいたしてみたいと思うのであります。
本案の第一條の第二項には、この法律で定めるところの勞働基準は最低のものであるから、これを理由としてこれを低下させてはならない、進んでこれが向上をはからなければならない旨を規定いたしておりますけれども、一片の法律の規定をもつて、勞働條件の向上はおろか、その低下を防ぐということは不可能であろうと思うのであります。元來使用者に——もちろん例外はございましようけれども、積極的な勞働條件の改善を期待することは無理でありまして、勞働者の待遇向上は、どうしてもこれを勞働者自身、すなわち勞働組合自身の待遇改善要求にまたなければならないものであります。從つて基準法第一條の規定を實際上に生かすものは、勞働組合の實力であることを、われわれは承認しなければならないと思うのであります。(拍手)
ここに勞働組合は今後いかがあるべきか、時代に即した勞働組合のあり方が問題となるのであります。資本主義が勃興期にありまして、企業利潤は豐富であり、企業の前途にさしあたりの不安がないのにもかかわらず、勞働條件が不當に低い場合には、勞働者は企業や國民經濟の將來の運命などは考慮することなく、一路自己の待遇改善のために鬪爭することを許されるでありましよう。ここに過去の勞働組合の性格と使命とがあつたのであります。しかしながら現實の日本を顧みまするときに、日本の資本主義、否國民經濟そのものが破滅の一歩手前にあるのでありまして、かかる状態において、勞働者諸君が、勞働組合が、自己の階級利益の主張に急なるのあまりに、鬪爭のための鬪爭に走り、ゼネスト等の手段に訴えるということがありまするならば、日本の國民經濟は容易に再び囘復し能わざる混亂と破滅の底に陷るであろうことは、火を見るよりも明らかであります。
そこで勞働組合の性格使命も、時代の推移とともに變化せざるを得ません。勞働組合にとつての新しい課題は、何よりも現今放置されておりまする生産再開の機能を、自分の手の中に取上げて、生産増強に主役を務めることでなければならぬと思うのであります。すなわち勞働組合は、あくまでも分配政策上の使命を忘れることはできませんけれども、より以上生産政策上の立場を考慮しつつ、自己自身を生産協同體にまで止揚すべき時期に當面しておるのであります、この時代的使命を果すためには、勞働組合は、もはや過去のごとく、街頭に立つて、華やかではあるが、無責任なデマや、あるいはいたずらな鬪爭のための鬪爭手段に訴え、憂身をやつすことは許されないのでありまして、精神的勞働者であるところの職員をも、喜んで勞働組合の一メンバーとしてこれを迎え、その知識と能力とを活用しつつ、地味に經營の内部に入りこんで、經營者的な立場に立つて、自己の合理的な勞働條件を考え、進んで企業自體の生産能率向上に自主的に貢献しなければならない責任をもつておると存ずるのであります。かかる經營者的立場から批判し檢討し要求し獲得したるところの勞働條件でなければ、いかに一見華やかなる勝利をもつて獲得しました待遇改善も、浮草のごとく勞働者諸君の身にはつくものではないと思われるのであります。
そこで勞働組合の健全なる發達を願うものは、勞働組合が生産再開の主體的役割を自覺されることを切望するとともに、勞働組合がその能力に應じて、經營部面にまで、經理部面にまで立ち至つて經營に參加を許されなければならないと主張するのであります。しかしてその經營參加を、私はさしあたり經營協議會を通じて果さしめようというのであります。もちろん勞働組合をして、經營協議會においてかかる役割を果さしめるためには、勞働者諸君の教育の問題が重要になるのでありますし、實際上は勞働組合の能力に應じまして、經營協議會において經營に參加し得る領域につきましては、廣い狹いの差異は生じてまいりませうが、方向はまさにかくのごとくあるべきものであると信ぜられるのであります。かくて經營協議會を通じて經營に參加をすることを許されることによりまして、勞働組合は單なる鬪爭體の性格を止揚して、勞働生産協同體の實をあげ、資本家も精神的な勤勞者として全從業員と一體化し、生産増強に協力し得るのでありまして、かかる意味における勞働者の經營參加權が認められなければ、結局勞働問題は根本的に解決を見ない。從つて勞働基準法に掲げておりまするこの進歩的なる諸原則も、實際上は實現されることができないと確信いたすのであります。
政府はさきに第九十囘議會におきまして、いわゆる勞働者の生産管理を否認された際に、經營權と勞働權とを峻別されて、この兩者は互いに相侵すべからざるものであると説明をされたのでありまするが、今もこの理論によつて、平時の際の勞働者の經營參加を認めないおつもりでありましようか。政府のこの邊に關する御所見を伺つておきたいと思うのであります。もし勞働者の經營參加を認めないとならば、ここに提案の基準法の進歩性も、これは勤勞者を瞞着せんとするための、一片の口頭禪に過ぎないと考えざるを得ないのであります(拍手)、これが、政府は眞底からこの進歩的なる基準法を提案して、これの通過を念願されておるかどうかを測定するバロメーターとなると思いまするから、この點を質問いたした次第であります。
私に與えられておる時間は、はなはだ僅少でありますので、基準法の内容に關しまして一、二點質問をいたして止めたいと思いまするが、最低勞働賃金制がこの基準法案に採用されましたることは、まことに結構でありまするが、この制度を發案する發議權を、單に行政官廳のみに任したということの不合理性と非民主的なることを指摘することにおいて、私も一昨日の山花君と同じ立場にあるものであります。政府はこれに對して、漸進的にいたしたいがゆえに、行政官廳のみに發議權を認めたとおつしやいましたが、漸進的にいたすにいたしましても、行政官廳のみに發議權を認めたということは、どうしても非民主的なるそしりを免れないと思うのであります。そこで私は、これが對策といたしまして、賃金委員會、勞働基準委員會ないしは勞働組合にもこの制度を採用する、發議權を認めるようにしたらばどうかと思うのでありますが、厚生大臣の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
なほ賃金につきましては、物價の變動に應じて賃金をスライドせしむるように、スライデイングのシステムをこの基準法に採用する途を講じたらどうか、これこそまさに全勤勞者の時代的要求であると思いますが、政府はその時代的要求を聽かんとする御意思ありや否やをお伺いいたしておきます。(拍手)
最後にもう一點お伺いいたしますが、勞働組合法、勞調法、勞働基準法——勞働法の完成を前にいたしまして、世間には早くより勞働省新設の要求が熾烈であります。當然の要求であろうと思います。政府にもまたその勞働省新設の御意思ありと傳えられておるのでありまするが、しかるに今日までその實現を見ないのは、いかなる理由に基くのでありましようか。世間ではその理由を種々揣摩臆測いたしまして、現内閣とその與黨のうちには、勞働大臣たるに値する人がないためであるとか、あるいは勞働問題の專門主務省ができました際には、ますます勞働問題がやかましくなりますから、これが新設を見合わせておるのではなかろうかというような、現内閣にとつて芳しからぬうわさが飛んでいるのでありますが、勞働者の生活に理解を有するとみずから稱せられておりますところの現内閣とその與黨のもとにおいて、またかかる進歩的な基準法を提案されました内閣のもとにおいて、勞働者の未だ新設を見ないことは、まことに不思議と言わなければならないと思うのであります。(拍手)政府ははたして勞働省新設の意思ありや否や。願わくばこれが遲延の理由につきまして、われわれを、否、勤勞階級を納得せしむるに足るところの理由を御説明を願いたいと思います。これは首相にお願いいたしたいと思いまするが、おいでがございませんから、厚生大臣からも責任ある御答辯を要求する次第であります。時間の都合上、私の質問はこれにて打切ります。(拍手)
〔國務大臣河合良成君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=18
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019・河合良成
○國務大臣(河合良成君) ただいまの秋田君の御質問にお答えいたします。第九十議會の衆議院の勞調法の決議に關聯しまして、勞働基準法を一緒に出せというような意味の附帶決議がついておつたというお話しでございましたけれども、あのときはできるだけ早く出せという附帶決議だと承知しております。それで當時も勞調法と同時にこの基準法を出せなかつた理田は、懇々この議場においても説明いたしたのでありますが、なかなかこれは——私も三十年ほど前に工場法を實施した體驗をもつておりますが、あの現行の工場法ができますのに約十年間かかりました。それでこの法律は、御承知の通り非常に大きな法律でありますし、民間の意見は廣く聽かなければならず、いろいろ手續上に手間をとつたことは御承知の通りであります。それでできるだけ早く出そうとして、この議會に出したわけでありますから、この點だけはどうか御諒承願いたいと思います。
それから第二段の問題でありますが、勞働組合の性格に對するいろいろの御議論につきましては、大體において御同感でございます。
それから第九十議會において、生産管理の問題について、經營權と勞働權とは區別をしなければならぬと私が言つた問題に關連して御質問がありまして、勞働基準法もできて、だんだん經營協議會を設け、經營參加ということをやらなければならぬのに、なぜ經營權と勞働權とをわけるかという御質問のように承りましたが、これは契約の自由でございまして、經營者側と勞働者側においていろいろ協議をして、經營の參加にはいることはもちろん結構でございます。その意味を決して否定しているものではない。經營者側のこれをやらせたくないという意思に反して、力をもつてやることはよくないという意味のことでありますから、決して政府はこの經營協議會によつて勞働者が經營に參加することを否定しているものでもなければ、むしろある意味において非常に歡迎しているという趣旨であることを御説明いたします。
それから次の問題は、最低賃金の問題でありましたが、これはこの前に説明しました通り、ただいまの状態におきまして、まず第一歩として、行政官廳にこの最低賃金をきめることの發議權をもたせた方がよいという政府の信念のもとにやつた次第でございます。
第四のスライデイング・スケールの賃金制度につきましては、これはごもつともでありまして、殊に最近のごとくに物價の高騰が急激に來ますときには、賃金を定めてもなかなか物價に追いつけぬというような現状は、確かに事實でありますから、これは給與審議會その他において、こういう問題を適當に取扱うべきものだろうと考えております。
第五に勞働省建設の問題でありましたが、これは勞働大臣がないとかいうような意味ではありません。それから勞働問題がやかましくなつて政府が困るだろう、そうだから勞働省をつくらぬとか、そういうさもしい考えは毛頭もつておりません。これは手續きが遲れているのであります。今日はなかなか手續きが遲れることは御承知だと思います。手續きが遲れているのだから、決して政府が怠慢ではない。近いうちにできるだけ早くやります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=19
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020・井上知治
○副議長(井上知治君) 石田一松君。
〔石田一松君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=20
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021・石田一松
○石田一松君 時間を大變制限されましたので、自分が質問しようとしておりました數項の點のうち、第一點と第三點とを省略し、重要な部分について、國民黨を代表する最後の質問者として、主として厚生大臣に、また關係閣僚に對して、ただいま議題になつております勞働基準法案に關する質問を試みたいと思うものであります。
質問の第一は、本案の第一條には勞働條件の原則が明記してございますが、何がゆえに他の立法と同樣に、本案の第一條に勞働基準法の大目的というものを掲げなかつたかという點であります。すなわち本案の第一條の「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たす」ことそのものが、この勞働者の生活を向上するということが敗戰國日本の産業の興隆の根本的な、しかも必然的な要請であり、これは道義的なる要素であると同時に、そのこと自體が産業發展に不可缺の前提條件であるということを、第一條に明白にして、經營者に對しても、かかる觀點に立つて經營の全體を、産業の全體を見るように、そのことによつて生産も増強するのであるという點を極力強調いたしまして、經營者みずからが自覺して本案の目的に協力をすることができるように、大目的を第一條に掲げてこそ、本勞働基準法案も生き、しかも立法技術としても必要なことではないかと信ずるものでございます。(拍手)
現在のわが國の産業の現状では、この基準法案が制定をされたのでは、とても成り立たない。またあるいは現在の敗戰後のこの生産の現状で、われわれにかかる負擔を負わされたのでは、戰後の産業の再建はとうてい望み得ないというような、使用者からの相當強力なる反對意見が述べられておるようであります。おそらく今後とも使用者側から、これらを理由とした反對の聲が高まることと思いますが、もしそうした場合にでも、ただいま申し上げました本案の第一條の條文のみでは、これらの使用者の反對に對する根據として、實に乏しいと私は考えております。この勞働基準法案の經濟的效果を、使用者側にも勞働者の側にも十分納得をさせて、破局に瀕する日本産業を平和的に民主化する唯一の方法は、ヒユーマニズムの實踐を根柢とする人道主義的世界觀に立脚した、相愛扶助の精神による以外にあり得ないと私は信ずるものであります。(拍手)この點について厚生大臣の所見を承りたいと思います。
第二點は、本案と新憲法第二十五條との關係いかんという問題であります。すなわち新憲法第二十五條には、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。國はすべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衞生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定してあるのであります。しかうして同じく新憲法の第二十七條第二項に、「賃金、就業時間、休息その他の勤勞條件に關する基準は、法律でこれを定める。」と規定してあります。すなわち新憲法第二十五條の第一項で、國家は國民に最低生活を保障する義務を負ひ、しかも國民は健康で文化的なる最低生活を營む權利を有しているわけであると私は解します。もし私の解釋にして間違いがないとするならば、この勞働基準法案において、使用者側に課せられているところの義務は、本來は國家が國民全部に對して負うべきはずの義務の中の一部分、換言すれば、本來國家が履行すべき義務を、新憲法第三十七條の二項の規定によつて、使用者側に轉嫁をするという意味があるのかどうかということであります。もしかりにそうだとするならば、國家は使用者の負擔に對しては、相當程度の財政的分擔をすべき義務があると思うのであります。この點に關しては、特に厚生大臣の明快なるお答辯をお願いいたします。
第三點は、同じく新憲法の二十五條によつて、國民のすべての生活部面について、社會福祉、社會保障の義務を負う國家は、少くともこの勞働基準法と時を同じくして、失業保險法ともいうべき、勞働者が失業した後の生活を保障する立法がなされなければ、國家は新憲法第二十五條の生活保障の義務を履行しないということになるのみか、勞働者は失業と同時に、この勞働基準法の第一條に定めたる、人たるに値する生活を營むことができない結果になるのであります。この點に關して厚生大臣の所見を伺いたい。
私は勞働基準法と失業保險法とは、あたかも車の兩輪のごときものであつて、失業保險法を伴わない勞働基準法は、ほとんど意味のないものになるのではないかと恐れております。何となれば幾百萬の失業者は、現在吉田内閣のインフレ樂觀政策の犧牲となりまして、その日その日の命の糧を求めるために、吸々として右往左往しておる現状であります。中には心ならずもやみ商人となり下つて、細々と餘命をつないでおる現状であります。これらの失業者はやがてやみも不可能になり、實際において生活に困窮する結果は、何とかしていずれにか就職をしたいとあせつて來るのであります。職を求めるに急なあまり、この勞働基準法において定められたる勞働條件より以下の、實に低劣なる條件まで忍んで、使用者と契約を結ぶことになる結果を恐れます。すなはちこの勞働基準法の運營あるいは實行は、ほとんどこのことによつて期待がもてなくなるのではないかと心配をしております。ゆえに私はこの基準法の脱法的行爲を防ぐためにも、本基準法と併行して、失業保險制度は絶對に必要であると信じるものでありますが、重ねて厚生大臣の所見を承りたいと思います。
第四は部分的な問題でありますから、時間の關係上省略いたしまして、重要な一、二の點についてお尋ねをいたしますから、簡單に答えてもらえば結構であります。すなはち本案の第四條の「使用者は、勞働者が女子であることを理由として」云々のこの文字である。使用者は勞働者が女子であることを理由として云々という字句は、同一價値勞働同一賃金の原則であるかどうかという點と、これに關連して本案のごとき國際的水準に近い、いかに立派な勞働基準法が制定をされましても、使用者の側において雇入制度、あるいはその機構が、この勞働基準法と相伴わなければ、この基準法は完全に實行されない憾みがあります。すなわち學閥であるとか、門閥であるとか、芋づる式にこれらの者が優先的に就業し、竝びにこれらの者が他の者より高賃金を得るというような現在の封建的な制度を拂拭して、官廳がみずから率先してこれを是正し、現にアメリカにおいて實施されつつある、職階制度による同一責任同一賃金の制度を採用なさる御意思はあるかないか、承りたいのであります。
もう一點は、第二十六條には、使用者の責に歸すべき事由による休業の場合の規定がございますが、使用者の責に歸すべき事由による休業でなくて、事業の中止の場合は、いかなる方法をおとりになるのかということでございます。
さて質問の大きな第二點といたしまして文部大臣にお尋ねをいたします。すなわちわが國青年の八〇%を占めます勤勞大衆青年に對する教育の機會均等の問題であります。わが國過去の教育は、一部特權階級に對する封建的教育制度でありまして、一般大衆の教育はほとんど顧みられなかつたと言つても過言でないのであります。その結果が、終戰後特にこの教育の不足を隨時隨所に暴露いたしております現状であります。民主的な文化國家を建設しようとする第一歩を踏み出したわが國にとつては、まことにこれは憂慮すべき重大問題であると私は考えます。これらの點に關しまして、機會あるごとに、教育優先、教育の機會均等の原則を主張いたしまして、もつと平和日本の建設の礎をつくらんと、微力ながら今日までわれわれは努力し來つたのであります。
今囘政府の提案になるこの勞働基準法においても、いわゆる勤勞青年たる滿十八歳未滿の有爲な青少年が、向學の志に燃えながら、單なる家庭の經濟的事情という理由によつて、進學の機會を阻まれるおそれがあるのであります。これこそわれわれが叫び續けました教育の機會の優先の原則には縁遠いものであります。文部大臣は、これらの就勞青年に對していかなる方法をお考えになつておるか。すなわち滿十八歳未滿の青年が、國家の定める教育を受けようとする場合には、これらの青年に教育を受ける機會を與える義務を使用者に課する用意があるかどうかということを、文部大臣に一言承つておきます。
さて質問の第三點でありますが、これは特に大藏大臣にお願いしたいと思います。もしいらつしやらなければ、政府委員でもかまいません。すなわち‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=21
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022・井上知治
○副議長(井上知治君) 各派交渉會の申合せ時間が來ましたから‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=22
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023・石田一松
○石田一松君(續) まだ十五分經つておりません。質問の第三點は、大藏大臣に對して申し上げます。官公職員の給與に關して、わが黨の早川君が、去る九十一臨時議會のこの本會議において質問いたしましたことに對して、大藏大臣はこう答えております。「なお教員ばかりではありませんが、政府職員の給與の問題につきましては、今年の夏大藏省に給與局ができますと同時に、人別について年齡、職歴その他いろいろの條件とその給與とを結びつけたカードを集めております。これがただいま集まりつつありますので、明年の二月にはでこぼこを調整し、同時に全體の給與の高さをも根本的に決定する」、こういうことを言つております。昨年の十一月に、來年の二月と言つたのでありまして、既に今日は三月の八日であります。おそらくカードも全部集まつて、大藏大臣の言明のように、官公職員の給與の凹凸も調整され、どの程度にするかということがはつきりきまつておるはずであります。もし決定しておるならば、それをこの際われわれは、全官公職員竝びに日本全國四十萬人の教職員が今日か明日かと吉報を待つておるその心を代表して、この際お尋ねしておきたいのであります。
質問の第四は、時間も來たようでありますから省略をいたします。
最後に私は内務大臣に一言お尋ねを申したいのであります。すなわち本法案の第八條の各號にあります事業は、この事業に從事する勞働者は、過去において他の勞働者より以上、實に封建的な搾取の對象であつたのであります。この過去においてもほとんど護られなかつたこれらの勞働者が、このたびの勞働基準法案の制定に際しても、勞働時間及び休息の特例によりまして、本案の原則的勞働時間及び休息の規定から除外されようとしておるのであります。しかもこれは別に定むる命令に期待することになつておるのでありますが、これこそ一日も速やかにこの別の命令を出されて、第二項に言うがごとく、でき得るだけこの基準法に近いものを制定していただきたいと思うのであります。
さて内務大臣の隷下にあります警察下級官吏、消防吏のあの生活の現状を、内務大臣は一度でもごらんになつたことがあるかということであります。まるで疊の表の全部をはがれたわらの上に寢ながら、彼らは國内の治安を維持し、保安に努めておるのであります。これらの下級官吏にこそ、まず眞先に本案の第一條の人たるに値する生活を營ましめることが、現下日本の治安を維持する上からも絶對に必要であると私は考えます。(拍手)その先決問題としては、結局その劇務、過勞の原因が人員不足にあるということになるのであります。關係筋のという理由で人員が増加されないこともよくわかりますが、この際、特に民情に厚い内務大臣は、極力この實状を關係當局に訴えて、人員の増加を懇請し、できる限り早く彼らに休養の時間を與えられること、これこそ國内治安を守る重大なる要素となるのではないかと私は考えますが、内務大臣の所見を伺いたいと思います。では時間がまいりましたから割愛をいたします。(拍手)
〔國務大臣河合良成君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=23
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024・河合良成
○國務大臣(河合良成君) ただいまの石田君の御質問に對してお答えいたします。第一條に、經營者が自覺して勞働基準法の目的を達するようにやらなければならぬという意味の規定があつた方がいいじやないか、というような意味のお尋ねでありました。これはごもつともなことと思いまするが、大體この法律は、經營者と勞働者の關係における勞働條件を規定したものでありまするけれども、大體の立て方は、國が勞働者に對してこれだけの保護をしなければならぬという建前でやつておりまするので、國家として、經營者に對してこれだけの義務を守れ、また勞働者に對してもいくらかの義務もあります、そういう建前になつておりますので、その意味から言いますると、經營者自身の自覺をこれにうたわなくてもいいだらうという政府の考えで、その面は取扱つていない次第であります。
第二番目の御質問は、憲法第二十五條とこの勞働基準法との關係でございましたが、これはごもつともでございまして、憲法第二十五條におけるところの、健康にして文化的な最低生活の保障、その一つの現われとしまして、勞働者に對する生活の保障という問題が出てくるのであります。もちろん勞働基準法は、憲法のほかの條章からおもな根源を發しております。けれどもこの二十五條とも非常に重大な關係のあることはもとよりであると考えております。
私に對する第三の問題は、失業保險と勞働基準法との關係でありまして、これも勞働基準法の適用を受けておる場合ばかりでなく、工場なりあるいは事業から脱退します場合に、どういうふうにして救濟していくかということは、もちろん重大な問題でありまして、やはり失業保險法も要れば、あるいは生活保護法の擴大も要るというようなふうに、いろいろここになお補足的の問題が起きることは當然のことでありますが、失業保險法というのは、ただいま御指摘のような勞働者以外に失業者がある、これをどう救うかの問題ではなくして、就業しておる人がこれからやめた場合における普通の保險になりまするので、ただいまの御指摘のような失業者が多いという問題は、これは失業對策の公共事業その他各種の方法をもつて對處していくという考えでおります。なお就業者が失業した場合における問題は、これもきわめて重大な問題でありまするが、これは社會保險研究調査會の答申も出ておりまして、できるだけ近い機會において提出したいという考えでおります。しかしこれには非常に財政上の大きな問題も伴うのでありまして、今日なかなかこの財政のバランスをとるのに汲々たる状態の下においては、今の議會には間に合わなかつたという状態であることを申し上げておきます。
その次の私に對する御質問は、第四條の同一價値同一賃金の問題に關連しまして、日本の勞働者、勤勞者の雇入制度というものを、米國の職階制のごとく、きわめてフエアな、フランクなものにしたらよからうという御質問でありまして、至極御同感でありますが、だんだんこの日本の現状はそういう方向に向いつつあると私も考えております。學校の關係その他ということもだんだん公平になりまして、やはり價値を土臺として、それで賃金をきめていくという制度に、漸次向いつつあるというふうに考えております。
その次の御質問は、事業中止の場合に對する賃金の支拂の規定はあるが、休業の場合はどうかという御質問のように拜承しました。事業中止の場合には賃金を拂いますけれども、事業を廢止した場合には、これは事業の廢止でありますから、勞働關係が解消するものだと思います、そこで中止と廢業ということは、はつきり區別がつきますけれども、休業がどちらに屬するかということは、やはり個々の場合において決定すべきことであつて、休業が暫定のものであれば中止にはいりますし、これが長い問題のようならば廢止にはいるのではないか。一々の場合について決定すべきものだろう。そういうふうに考えております。(拍手)
〔國務大臣高橋誠一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=24
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025・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) お答えいたします。新學制がいよいよ全面的に實施せられます時には、いわゆる上級中學校に相當いたします高等學校では、夜間に授業を行いますところの課程と定時制、すなわちパート・タイムをおくことができるようにいたしまして、職業につきながら勉強する門戸が開いてあるのであります。現在の豫定では、二十三年度に高等學校制度を實施いたします時には、今の青年學校の本科二箇年以上を、定時制の高等學校に轉換させまして、普通の高等學校の教育内容に準じまして、教育を行うことにいたしておるのであります。勤勞青年のために興味あり魅力あるところの立派な學校に、これを仕上げていきたいと考えている次第でございます。(拍手)
〔政府委員北村徳太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=25
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026・北村徳太郎
○政府委員(北村徳太郎君) 石田君の御質問のうち、大藏省に關する部分につきまして、お答え申し上げたいと思うのであります。それは給與カードのことでございますが、給與のでこぼこを是正いたしまして、給與の公正性、妥當性を科學的に基礎づけるためには、まずもつてどうしても給與實體を把握しなければならない。これには確かな統計の根據をもたなければなりませんので、お話の中にございましたように、かなり複雜なる、第一表から第六表にわたりました生活實態調査のカードをつくりまして、先ほどお話が出ましたように、鋭意そのカードの整理に從事いたしております。何分紙が非常に不足しておりますし、印刷能力がきわめて弱體化いたしております今日、カードの數が、一枚のカードを六つの要項に利用するようにいたしまして、なおかつ百八十萬枚を要するのであります。これは昨年の十一月中にカードを全部蒐集することになつておりましたけれども、殘念ながら集まり方があまりはかばかしくありませんので、その後數囘嚴重に督促をいたしまして、遂に、本年の一月十日を最後の期限として、それぞれ關係官廳にカードの提出方を要求いたしたのであります。本年の一月十日現在で、百八十萬枚中、約百二十萬枚集まりました。どうも給與の實體を急いで把握しなければなりません今日、これ以上待つことはできぬというので、全體の約七五%の百二十萬枚のカードについて、急いで整理をいたしました。第一表から第六表のうち、第五表までが、本月中には大體完了の見込みでございます。お約束の時間から約一箇月遲れたことは申譯ないのでありまするが、約二百六十人の統計局員が、實は休日を廢してこのために努力いたしております。この點を御諒承願いたいと思うのであります。(拍手)
〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=26
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027・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 石田君の御質問にお答えいたします。きわめてじみな、華やかでない、下積みのような職業に從事いたしまして、晝夜のわかちなく、治安の維持その他に從事しておりまするところの警察官や消防官に對して、この法律が定められるにつきまして、まことに同情ある點を御指摘くださいましたことに對しては、感謝をいたします。
お尋ねの、この法案の第八條の規定が警察官や消防官に適用されるかいかがかという點、これが一點であります。そしてそれが適用されるとするならば、勤務時間についても現在の二部制では思うようにいくまいが、三部制に對していかなる見解をもつておるかという二點にかかわる御質問と諒承いたします。もちろんこの法案の第八條の規定は、警察官、消防官に適用されるのであります。從つて第四十條の規定によりまして、勤務時間の制限もこれによりまして命令で定められることになつておるのであります。よつて警察官、消防官に對しても、政府は、この四十八時間の原則をできるだけ事實において適用いたしたいと考えておるのであります。御承知通り勤務の性質上、これが時間を、ある場合においては制限的にすることのできない、連續的にいたさなければならないような場合もあります。また夜間勤務もありますので、その通りに嚴格に適用はできないのでありますが、もしやむを得ない場合に、超過勤務をいたすような場合にあつては、これに對する適當なる報償をいたすようにしてそれをねぎらい、これに報いたいように計畫いたしておるのであります。また現在の定員からいたしますれば、何と申しても不足いたしておるのでありまして、この四十八時間の勤務制を嚴格にいたしまするには、相當人員を増加いたさなければならないのであります。いろいろの方法をもちまして、この人員の増加のことも考えておりますけれども、これも現在においては、わが政府の一存のみにおいて實行できない状態にあることは、御諒察を願いたいのであります。御説に從いまして、これらの人に對しては、でき得るだけの手當をいたしたいと思いまして、政府といたしては最善を盡して、できれば速やかに三部制をも採用したいように考えております。これに對する困難なる事情等は、よろしく御諒承を願いたいと思うのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=27
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028・石田一松
○石田一松君 この席上より發言をお許し願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=28
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029・井上知治
○副議長(井上知治君) よろしゆうございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=29
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030・石田一松
○石田一松君 大略政府當局の答辯に對しては滿足でありますが、ただ一つ大藏當局の御答辯で、私が承ろうとしたことは、カードの枚數のことではないのであります。カードの枚數が多かつたからどうだということで、いやしくも一國の大藏大臣がこの壇上において言明した事實が實行されなかつたということを私は再確認いたしまして、この質問は委員會に讓ることにいたします。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=30
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031・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 本案に對する殘餘の質疑は他の日程とともに延期し、明後十日定刻より特に本會議を開き、これを繼續することとし、本日はこれにて散會せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=31
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032・井上知治
○副議長(井上知治君) 山口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=32
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033・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。議事日程は公報を以て通知いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後五時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01419470308&spkNum=33
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