1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月十一日(火曜日)
午後三時五十二分開議
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議事日程 第十五號
昭和二十二年三月十一日
午後一時開議
第一 船員法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 罹災救助基金法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
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〔朗讀を省略した報告〕
一、去る六日吉田内閣總理大臣から次の通り政府委員を仰せつけられた旨の通牒を受領した。
内務事務官 小林與三次
第九十二囘帝國議會内務省所管事務政府委員
一、昨十日衆議院規則第十五條但書に依り議長において議席を次の通り變更した。
二 中村嘉壽君
三 福岡縣第一區選出議員
四 滋賀縣選出議員
五 飯田義茂君
六 秋田大助君
七 野本品吉君
一〇 丹野實君
一一 米倉龍也君
一二 大島多藏君
一四 二階堂進君
一五 木下榮君
一六 酒井俊雄君
一七 平野八郎君
一八 丸山修一郎君
二〇 藤本虎喜君
二一 松本六太郎君
二二 林平馬君
二三 林興一郎君
二四 疋田敏男君
二五 川野芳滿君
二七 藤井正男君
二八 平川篤雄君
二九 松原一彦君
三一 田中伊三次君
三二 坪井亀藏君
三三 竹山祐太郎君
三四 鈴木彌五郎君
三五 今井耕君
三六 小川一平君
三七 東隆君
三八 井上徳命君
三九 井出一太郎君
四〇 森由己雄君
四一 田中たつ君
四二 安藤はつ君
四三 鹿島透君
四四 菊池豐君
四五 河野金昇君
四六 駒井藤平君
四七 稻田健治君
四九 越原はる君
五〇 大橋喜美君
五三 川越博君
五四 久保猛夫君
五八 太田鐡太郎君
五九 大原博夫君
六二 赤澤正道君
六三 松本瀧藏君
六四 麻生正藏君
六八 仲子隆君
六九 宇田國榮君
七三 鈴木憲一君
七四 豊澤豊雄君
七五 中山榮一君
七六 橋本二郎君
八一 原國君
八二 的場金右衞門君
八三 吉田セイ君
八四 香川兼吉君
八九 大宮伍三郎君
九〇 大津桂一君
九一 伊藤幸太郎君
九二 笹森順造君
九七 三木武夫君
九八 早川崇君
九九 船田亨二君
一〇〇 岡田勢一君
一〇一 伊東岩男君
一二六 菅原エン君
一三一 齋藤てい君
一四二 武藤常介君
一四三 本名武君
一四八 太田秋之助君
一四九早稻田柳右ェ門君
一五〇 江川爲信君
一五一 小池新太郎君
一五六 青木泰助君
一五七 生方大吉君
一五八 鈴木明良君
一五九 青木清左ヱ門君
一六四 山田悟六君
一六五 九鬼紋十郎君
一六六 金光義邦君
一六七 寺島隆太郎君
一七三 荒木武行君
一七四 大久保傳藏君
一七五 石黒武重君
一七六 西山冨佐太君
一七七 小坂善太郎君
一八四 楢橋渡君
一八五 山崎岩男君
一八六 林田正治君
一八七 圖司安正君
一八八 武藤嘉一君
二九四 佐藤乕次郎君
二九五 小池政恩君
三〇〇 瀧清麻吉君
三〇一 横田清藏君
三〇二 森曉君
三〇三 有田二郎君
三〇八 片岡伊三郎君
三〇九 廣川弘禪君
三一〇 神田博君
三一一 松川昌藏君
三一六 安部俊吾君
三一七 田中源三郎君
三一八 小川原政信君
三一九 齋藤行藏君
三二五 服部岩吉君
三二六 細田忠治郎君
三二七 上林山榮吉君
三二八 栗山長次郎君
三二九 加藤シヅエ君
三三六 高橋泰雄君
三三七 樋貝詮三君
三三八 藥師神岩太郎君
三三九 高橋英吉君
三四四 鈴木平一郎君
三四五小見山七十五郎君
三四六 大谷瑩潤君
三四七 夏堀源三郎君
三五八 澤田ひさ君
三六三 戸叶里子君
三六九 榊原千代君
四二五 中野四郎君
四二六 原尻束君
四二七 北政清君
四三〇 北勝太郎君
四三一 伊藤實雄君
四三二 和崎ハル君
四三三 紅露みつ君
四三四 大石ヨシエ君
四三五 小西寅松君
四三六 中島茂喜君
四三七 山木武夫君
四三八 田中久雄君
四三九 笠井重治君
四四〇 東井三代次君
四四一 海野三朗君
四四二 長谷川保君
四四三 石原登君
四四四 柏原義則君
四四五 細迫兼光君
四四六 福田繁芳君
四四七 武藤運十郎君
四四八 堂森芳夫君
四四九 高瀬傳君
四五〇 松澤一君
四五一 前田榮之助君
四五二 中崎敏君
四五三 島田晋作君
四五四 平野市太郎君
四五五 田中松月君
四五六 今村等君
四五七 永井勝次郎君
四五八 菊地養之輔君
四五九 杉本勝次君
四六〇 松永義雄君
四六一 清澤俊英君
四六二 稻村順三君
四六三 竹谷源太郎君
四六四 鈴木義男君
四六五 矢尾喜三郎君
四六六 町田三郎君
一、昨十日議長において次の通り常任委員の辭任の許可があつた。
第二部選出豫算委員 今村等君
第三部選出豫算委員 岡部得三君
第六部選出決算委員 中崎敏君
一、昨十日常任委員補闕選擧の結果次の通り當選した。
第三部選出
豫算委員 石崎千松君(少川一平君補闕)
一、昨十日議長において次の委員を選定した。
勞働基準法案(政府提出)委員
岩本信行君 江崎眞澄君
小島徹三君 矢野庄太郎君
山口好一君 綿貫佐民君
小川半次君 佐藤久雄君
椎熊三郎君 關谷勝利君
山田悟六君 荒畑勝三君
伊藤卯四郎君 土井直作君
中原健次君 石田一松君
野本品吉君 野村ミス君
統計法案(政府提出、貴族院送付)委員
今井はつ君 小澤佐重喜君
小島徹三君 庄司一郎君
花村四郎君 松永佛骨君
青木泰助君 井上東治郎君
長野長廣君 堀川恭平君
森山ヨネ君 氏原一郎君
松谷天光光君 前田榮之助君
安平鹿一君 安藤はつ君
井出一太郎君 越原はる君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) これより會議を開きます。日程第一、船員法を改正する法律案の第一讀會を開きます。運輸大臣増田甲子七君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=1
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002・会議録情報2
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第一 船員法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
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船員法を改正する法律案
船員法目次
第一章 総則
第二章 船長の職務及び権限
第三章 紀律
第四章 雇入契約
第五章 給料その他の報酬
第六章 労働時間、休日及び定員
第七章 有給休暇
第八章 食料及び衞生
第九章 年少船員及び女子船員
第十章 災害補償
第十一章 就業規則
第十二章 監督
第十三章 雜則
第十四章 罰則
船員法
第一章 総則
(船員)
第一條 この法律で船員とは、日本船舶又は日本船舶以外の命令の定める船舶に乘り組む船長及び海員並びに予備員をいう。
前項に規定する船舶には、左の船舶を含まない。
一 総トン数五トン未満の船舶
二 湖、川又は港のみを航行する船舶
三 総トン数三十トン未満の漁船
第二條 この法律で海員とは、船内で使用される船長以外の乘組員で労働の対償として給料その他の報酬を支拂われる者をいう。
この法律で予備員とは、前條第一項に規定する船舶に乘り組むため雇ようされている者で船内で使用されていないものをいう。
第三條 この法律で、職員とは、航海士、機関長、機関士、船舶通信士及び命令の定めるその他の海員をいい、属員とは、職員以外の海員をいう。
(給料及び労働時間)
第四條 この法律で、給料とは、船舶所有者が船員に対し一定の金額により定期に支拂う報酬のうち基本となるべき固定給をいい、労働時間とは、上長の職務上の命令に基き航海当直その他の作業に從事する時間をいう。
(船舶所有者に関する規定の適用)
第五條 この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には、船舶管理人に、船舶貸借の場合には、船舶借入人に、船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人以外の者が船員を使用する場合には、その者にこれを適用する。
(労働基準法の適用)
第六條 労働基準法第一條乃至第十一條、第百十七條乃至第百十九條及び第百二十一條の規定は、船員の労働関係についても適用があるものとする。
第二章 船長の職務及び権限
(指揮命令権)
第七條 船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。
(発航前の檢査)
第八條 船長は、発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整つているかいないかを檢査しなければならない。
(航海の成就)
第九條 船長は、航海の準備が終つたときは、遅滯なく発航し、且つ、必要がある場合を除いて、予定の航路を変更しないで到達港まで航行しなければならない。
(甲板上の指揮)
第十條 船長は、船舶が港を出入するとき、船舶が狹い水路を通過するときその他船舶に危險の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない。
(在船義務)
第十一條 船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積及び旅客の乘込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない。
(船舶に危險がある場合における処置)
第十二條 船長は、船舶に急迫した危險があるときは、人命、船舶及び積荷の救助に必要な手段を盡し、且つ旅客、海員その他船内にある者を去らせた後でなければ、自己の指揮する船舶を去つてはならない。
(船舶が衝突した場合における処置)
第十三條 船長は、船舶が衝突したときは、互に人命及び船舶の救助に必要な手段を盡し、且つ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危險があるときは、この限りでない。
(遭難船舶の救助)
第十四條 船長は、他の船舶の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を盡さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危險がある場合及び命令の定める場合は、この限りでない。
(水葬)
第十五條 船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、命令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。
(遺留品の処置)
第十六條 船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたときは、法令に特別の定がある場合を除いて、船内にある遺留品について、命令の定めるところにより、保管その他の必要な処置をしなければならない。
(在外國民の送還)
第十七條 船長は、外國に駐在する日本の領事官が、法令の定めるところにより、日本國民の送還を命じたときは、正当の事由がなければ、これを拒むことができない。
送還費用の償還に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
(書類の備置)
第十八條 船長は、命令の定める場合を除いて、左の書類を船内に備え置かなければならない。
一 船舶國籍証書又は命令の定める証書
二 海員名簿
三 航海日誌
四 旅客名簿
五 積荷に関する書類
海員名簿、航海日誌及び旅客名簿に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
(航行に関する報告)
第十九條 船長は、左の各号の一に該当する場合には、命令の定めるところにより、行政官廳にその旨を報告しなければならない。
一 船舶の衝突、乘揚、沈沒、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。
二 人命又は船舶の救助に從事したとき。
三 無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。
四 船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。
五 予定の航路を変更したとき。
六 船舶が抑留され、又は捕獲されたときその他船舶に関し著しい事故があつたとき。
(船長の職務の代行)
第二十條 船長が死亡したとき、船舶を去つたとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に從事する海員は、その職掌の順位に從つて船長の職務を行う。
第三章 紀律
(船内秩序)
第二十一條 海員は、左の事項を守らなければならない。
一 上長の職務上の命令に從うこと。
二 職務を怠り、又は他の乘組員の職務を妨げないこと。
三 船長の指定する時までに船舶に乘り込むこと。
四 船長の許可なく船舶を去らないこと。
五 船長の許可なく端艇その他の重要な属具を使用しないこと。
六 船内の食料又は淡水を濫費しないこと。
七 船長の許可なく電氣若しくは火氣を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。
八 船長の許可なく日用品以外の物品を船内に持ち込み、又は船内から持ち出さないこと。
九 船内において爭鬪、乱醉その他粗暴の行爲をしないこと。
十 その他船内の秩序をみだすようなことをしないこと。
(懲戒)
第二十二條 船長は、海員が前條の事項を守らないときは、これを懲戒することができる。
第二十三條 懲戒は、上陸禁止及び戒告の二種とし、上陸禁止の期間は、初日を含めて十日以内とし、その期間には、停泊日数のみを算入する。
第二十四條 船長は、海員を懲戒しようとするときは、三人以上の海員を立ち会わせて本人及び関係人を取り調べた上、立会人の意見を聽かなければならない。
(危險に対する処置)
第二十五條 船長は、海員が凶器、爆発又は発火しやすい物、劇藥その他の危險物を所持するときは、その物につき保管、放棄その他の処置をすることができる。
第二十六條 船長は、船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行爲をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる。
第二十七條 船長は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、前二條に規定する処置をすることができる。
(強制下船)
第二十八條 船長は、海員が雇入契約の終了の公認があつた後船舶を去らないときは、その海員を強制して船舶から去らせることができる。
(行政廳に対する援助の請求)
第二十九條 船長は、海員その他船内にある者の行爲が人命又は船舶に危害を及ぼしその他船内の秩序を著しくみだす場合において、必要があると認めるときは、行政廳に援助を請求することができる。
(爭議行爲の制限)
第三十條 労働関係に関する爭議行爲は、船舶が外國の港にあるとき、又はその爭議行爲に因り人命若しくは船舶に危險が及ぶようなときは、これをしてはならない。
第四章 雇入契約
(この法律に違反する契約)
第三十一條 この法律で定める基準に達しない労働條件を定める雇入契約は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、この法律で定める基準に達する労働條件を定めたものとみなす。
(労働條件の明示)
第三十二條 船舶所有者は、雇入契約の締結に際し、船員に対して給料、労働時間その他の労働條件を明示しなければならない。雇入契約の変更に際しても同樣とする。
(賠償予定の禁止)
第三十三條 船舶所有者は、雇入契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
(強制貯金の禁止)
第三十四條 船舶所有者は、雇入契約に附随して、貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金を管理しようとするときは、保管及び返還の方法を定めて、行政官廳の認可を受けなければならない。
(相殺の制限)
第三十五條 船舶所有者は、船員に対する債権と給料の支拂の債務とを相殺してはならない。但し、相殺の額が給料の額の三分の一を超えないとき及び船員の犯罪行爲に因る損害賠償の請求権を以てするときは、この限りでない。
(労働條件の記載及び提示)
第三十六條 船長は、雇入契約が成立したときは、雇入契約により定められた労働條件を海員名簿に記載して、これを海員に示さなければならない。雇入契約の変更があつたときも同樣とする。
(雇入契約の公認)
第三十七條 船長は、雇入契約の成立、終了、更新又は変更があつたときは、命令の定めるところにより、遅滯なく、海員名簿を提示して、行政官廳に雇入契約の公認を申請しなければならない。
前項の場合において船長が公認を申請することができないときは、船舶所有者は、船長に代わつて公認を申請しなければならない。
第三十八條 行政官廳は、雇入契約の公認の申請があつたときは、その雇入契約が航海の安全又は船員の労働関係に関する法令の規定に違反するようなことがないかどうか、又、当事者の合意が充分であつたかどうかを審査するものとする。
(沈沒等に因る雇入契約の終了)
第三十九條 船舶が左の各号の一に該当する場合には、雇入契約は、終了する。
一 沈沒又は滅失したとき。
二 全く運航に堪えなくなつたとき。
船舶の存否が一箇月間分らないときは、船舶は、滅失したものと推定する。
第一項の規定により雇入契約が終了したときでも、船員は、人命、船舶又は積荷の應急救助のために必要な作業に從事しなければならない。この場合には、雇入契約は、なお存続するものとみなす。
(雇入契約の解除)
第四十條 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一 船員が著しく職務に不適任であるとき。
二 船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき。
三 海員が船長の指定する時までに船舶に乘り込まないとき。
四 海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。
五 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
六 前各号の場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。
第四十一條 船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一 船舶が雇入契約の成立の時における國籍を失つたとき。
二 雇入契約により定められた労働條件と事実とが著しく相違するとき。
三 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
四 船員が命令の定めるところにより教育を受けようとするとき。
船舶が外國の港からの航海を終了した場合において、その船舶に乘り組む船員が、二十四時間以上の期間を定めて書面で雇入契約の解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に、その者の雇入契約は、終了する。
海員は船長の適当と認める自己の後任者を提供したときは、雇入契約を解除することができる。
第四十二條 期間の定のない雇入契約は、船舶所有者又は船員が二十四時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に終了する。
(船舶所有者の変更に因る雇入契約の終了)
第四十三條 相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があつたときは、雇入契約は、終了する。
前項の場合には、雇入契約の終了の時から、船員と新所有者との間に從前と同一條件の雇入契約が存するものとみなす。この場合には、船員は、前條の規定に準じて雇入契約を解除することができる。
(雇入契約の延長)
第四十四條 雇入契約が終了した時に船舶が航行中の場合には、次の港に入港してその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約が終了した時に船舶が停泊中の場合には、その港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、その雇入契約は、存続するものとみなす。
船舶所有者は、雇入契約が適当な船員を補充することのできない港において終了する場合には、適当な船員を補充することのできる港に到着して荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約を存続させることができる。但し、第四十一條第一項第一号乃至第三号の場合は、この限りでない。
(失業手当)
第四十五條 船舶所有者は、第三十九條の規定により雇入契約が終了したときは、二箇月の範囲内において、船員の失業期間中毎月一回その失業日数に應じ給料の額と同額の失業手当を支拂わなければならない。
(雇止手当)
第四十六條 船舶所有者(第四号の場合には旧所有者)は、左の各号の一に該当する場合には、遅滯なく、船員に一箇月分の給料の額と同額の雇止手当を支拂わなければならない。
一 第四十條第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
二 第四十一條第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
三 第四十二條の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
四 第四十三條第一項の規定により雇入契約が終了したとき。
五 船員が第八十一條の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。
(送還)
第四十七條 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、遅滯なくその費用で雇入港又は船員の希望する地まで船員を送還しなければならない。但し、送還に代えてその費用を支拂うことができる。
一 第三十九條の規定により雇入契約が終了したとき。
二 第四十條第一号又は第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
三 第四十條第五号又は第四十一條第一項第三号の規定により船舶所有者又は船員が雇入契約を解除したとき。但し、船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときはこの限りでない。
四 第四十一條第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
五 第四十二條の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
六 第四十三條第二項の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
七 雇入契約が期間の満了に因り船員の本國以外の地で終了したとき。
八 船員が第八十一條の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。
(送還の費用)
第四十八條 船舶所有者の負担すべき船員の送還の費用は、送還中の運送賃、宿泊費及び食費並びに雇入契約の終了の時から遅滯なく出発する時までの宿泊費及び食費とする。
(送還手当)
第四十九條 船舶所有者は、船員の送還に要する日数に應じ給料の額と同額の送還手当を支拂わなければならない。送還に代えてその費用を支拂うときも同樣とする。
前項の送還手当は、船舶所有者が送還するときは、毎月一回、送還に代えてその費用を支拂うときは、その際これを支拂わなければならない。
(船員手帳)
第五十條 船員は、船員手帳を受有しなければならない。
船長は、海員の乘船中その船員手帳を保管しなければならない。
船員手帳の交付、訂正、書換及び返還に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
(勤務成績証明書)
第五十一條 海員は、船長に対し勤務の成績に関する証明書の交付を請求することができる。
第五章 給料その他の報酬
(給料その他の報酬の定め方)
第五十二條 船員の給料その他の報酬は、船員労働の特殊性に基き、且つ船員の経驗、能力及び職務の内容に應じて、これを定めなければならない。
(給料その他の報酬の支拂方法)
第五十三條 給料その他の報酬は、法令又は労働協約に特別の定のある場合を除いて、その全額を通貨で直接船員に支拂わなければならない。
命令の定める報酬を除いて、給料その他の報酬は、これを毎月一回以上一定の期日に支拂わなければならない。
第五十四條 船舶所有者は、左の場合には、支拂期日前でも遅滯なく、船員が職務に從事した日数に應じ、前條第二項に規定する給料その他の報酬を支拂わなければならない。
一 船員が解雇され、又は退職したとき。
二 船員、その同居の親族又は船員の收入によつて生計を維持する者が結婚、葬祭、出産、療養又は不慮の災害の復旧に要する費用に充てようとする場合において、船員から請求のあつたとき。
第五十五條 船長は、海員の給料その他の報酬が船内において支拂われるときは、直接海員にこれを手渡さなければならない。但し、やむを得ない事由のあるときは、他の職員に手渡させることができる。
第五十六條 船舶所有者は、船員から請求があつたときは、船員に支拂わるべき給料その他の報酬をその同居の親族又は船員の收入によつて生計を維持する者に渡さなければならない。
(傷病中の給料請求権)
第五十七條 船員は、負傷又は疾病のため職務に從事しない期間についても、雇入契約存続中給料及び命令の定める手当を請求することができる。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
(歩合による報酬)
第五十八條 船員の報酬が歩合によつて支拂われる場合においては、その歩合による毎月の額が船舶所有者の定める一定額に達しないときでも、その報酬の額は、その一定額を下つてはならない。
第三十五條及び前條の規定の適用については、前項に規定する一定額の報酬は、これを給料とみなす。
船員の報酬が歩合によつて支拂われるときは、第四十五條、第四十六條、第四十九條及び第七十八條の規定の適用については、船舶所有者の別に定める額を以て一箇月分の給料の額とみなす。
前項の額は、第一項の一定額以下であつてはならない。
(最低報酬)
第五十九條 行政官廳は、必要があると認めるときは、命令の定めるところにより、労働組合法による労働委員会(以下船員労働委員会という。)の議を経て、給料その他の報酬の最低額を定めることができる。
船舶所有者は、前項の規定により最低額が定められたときは、命令の定める場合を除いて、その額に達しない額の給料その他の報酬で、船員を使用してはならない。
第六章 労働時間、休日及び定員
(航海当直をする者の労働時間)
第六十條 左の者で航海当直をすべき職務を有するものが航海当直をする場合における労働時間は、一日について八時間以内、一週間について五十六時間以内とする。
一 総トン数二千トン以上の船舶に乘り組む甲板部及び無線部の属員
二 総トン数七百トン以上の船舶に乘り組む機関部の職員及び属員
船長は、前項の規定にかかわらず、左の時間労働時間を延長することができる。
一 甲板部又は無線部の職員が航海当直をする場合における労働時間については、一日について一時間以内
二 船長が特別の必要に因り甲板部又は無線部の職員の航海当直の員数を増加する場合における増加された者の労働時間については、一日について四時間以内
三 機関部の属員が航海当直に從事する場合における労働時間については、航海当直の通常の交代及び石炭がらの投棄のために必要な時間
(停泊中の航海当直)
第六十一條 航海当直は、停泊中これをさせてはならない。但し、入港後十二時間以内又は出港予定時刻前十二時間以内であるとき及び船長が船舶の安全を図るため必要があると認めるときは、この限りでない。
(航海当直をしない者の労働時間)
第六十二條 総トン数七百トン以上の船舶に乘り組む甲板部及び機関部の職員及び属員で航海当直をすべき職務を有しない者の航行中又は入出港日における労働時間は、一日について八時間以内、一週間について四十八時間以内とする。
(停泊中の労働時間及び休日)
第六十三條 甲板部、機関部及び無線部の職員並びに甲板部及び機関部の属員の停泊中(入出港日を除く。以下同じ。)における労働時間は、第六十一條但書の規定により航海当直をする場合を除いて、一日について八時間以内、一週間について四十八時間以内とする。
船舶所有者は、停泊中前項に規定する海員に一週間について少くとも一日の休日を與えなければならない。
船長は、やむを得ない事由のあるときは、前項の規定にかかわらず、休日においても第一項に規定する海員を必要な作業に從事させることができる。但し、そのために一週間について四十八時間以内の労働時間の制限を超えてはならない。
(事務部の属員の労働時間)
第六十四條 十二人を超える旅客定員を有する船舶に乘り組む事務部の属員は、航行中一日について少くとも十二時間これを休息させるものとする。
前項の規定による休息時間には、八時間の連続した休息時間を含むことを要する。
第六十五條 前條第一項の船舶以外の船舶に乘り組む事務部の属員の航行中及び入出港日における労働時間は、一日について八時間以内とする。但し、船長は、必要があると認めるときは、一日について二時間以内これを延長することができる。
第六十六條 事務部の属員の停泊中における労働時間は、労働協約で特別の定をした場合を除いて、一日について八時間以内とする。
(時間外労働及び時間外手当)
第六十七條 船長は、臨時の必要があるときは、第六十條、第六十二條、第六十三條第一項第三項但書、第六十五條及び前條に規定する労働時間の制限を超えて海員作業に從事させ、若しくは第六十四條第一項の規定による休息時間を短縮することができ、又、同條第二項の規定にかかわらず、休息時間を八時間連続させないことができる。
船舶所有者は、前項の規定により労働時間が延長され、若しくは休息時間が短縮されたとき、又は休息時間が八時間連続されなかつたときは、命令の定める時間外手当を支拂わなければならない。
船長は、命令の定めるところにより、船内に帳簿を備え置いて、前項の時間外手当に関する事項を記載しなければならない。
(例外規定)
第六十八條 第六十條及び第六十二條乃至前條の規定は、海員が船長の命令により左の作業に從事する場合には、これを適用しない。
一 人命、船舶若しくは積荷の安全を図るため又は人命若しくは他の船舶を救助するため緊急を要する作業
二 防火操練、端艇操練その他これらに類似する作業
三 作業に從事すべき人員が負傷、疾病、死亡その他の予想し難い事故に因り減少したのに伴つて増加された作業
四 通関手続又は檢疫その他の衞生手続のために必要な作業
五 船舶の正午位置測定のために必要な作業
(定員)
第六十九條 船舶所有者は、命令の定める場合を除いて、第六十條乃至第六十六條の規定を遵守するために必要な海員の定員を定めて、その員数の海員を乘り組ませなければならない。
船舶所有者は、航海中海員に欠員を生じたときは、遅滯なくその欠員を補充しなければならない。
第七十條 総トン数七百トン以上の船舶に乘り組む甲板部の属員で航海当直をすべき職務を有する者の定員は、九人以上とし、同時に航海当直をする者の属員は、三人以上としなければならない。但し、総トン数二千トン未満の船舶にあつては、その定員は、六名で足りる。
前項の定員は、労働協約に特別の定のある場合を除いて、甲板部の勤務一年未満の者を以て、これに充ててはならない。
第一項の定員の過半数は、年齢十八年以上の者で三年以上甲板部の勤務に從事したもの又は年齢十八年以上の者で行政官廳が命令の定めるところによりこれと同等の能力のあることを証明したものを以て、これに充てなければならない。
(適用範囲)
第七十一條 第六十條乃至前條の規定は、左の船舶については、これを適用しない。
一 沿海区域又は平水区域を航行区域とする総トン数千トン未満の船舶で國内各港間のみを航海するもの(行政官廳が船員労働委員会の議を経て指定する船舶を除く。)
二 帆船
三 漁船
第七十二條 第六十條乃至第七十條の規定は、左の者には、これを適用しない。
一 甲板部、機関部又は無線部の最上位にある職員で航海当直をしない者
二 医師及び專ら調剤又は看護に從事する者
第七十三條 主務大臣は、必要があると認めるときは、船員労働委員会の決議により、第六十條乃至第七十條の規定の適用を受けない船員の労働時間、休日及び定員に関し必要な命令を発することができる。
第七章 有給休暇
(有給休暇の付與)
第七十四條 船舶所有者は、船員が同一の船舶において一年間連続して勤務(船舶のぎ裝又は修繕中の勤務を含む。以下同じ。)に從事したときは、その一年の経過後一年以内にその船員に有給休暇を與えなければならない。但し、船舶が航海の途中にあるときは、当該航海に必要な期間有給休暇を與えることを延期することができる。
船員が同一の事業に属する他の船舶へ轉船したときは、その轉船の前後の勤務は、同一の船舶において從事されたものとみなす。
船舶における勤務が中断した場合において、その中断の事由が船員の故意又は過失に因るものでなく、且つその中断の期間の合計が六週間を超えないときは、その中断の前後の勤務は、連続して從事されたものとみなす。
(有給休暇の日数)
第七十五條 有給休暇の日数は、連続した勤務一年について二十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。
沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で國内各港間のみを航海するものに乘り組む船員の有給休暇の日数は、前項の規定にかかわらず、連続した勤務一年について十二日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに二日を加える。
第七十六條 船舶所有者が船員に週休日、祝祭日の休日、慣習による休日又はこれらに代わるべき休日を與えているときは、その休日の日数は、これを前條の有給休暇の日数に算入しないものとする。負傷又は疾病に因り勤務に從事しない日数も同樣とする。
(有給休暇の與え方)
第七十七條 有給休暇を與うべき時期及び港については、船舶所有者と船員との協議による。
有給休暇は、労働協約の定めるところにより、期間を分けて、これを與えることができる。
(有給休暇中の報酬)
第七十八條 船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに命令の定める手当及び食費を支拂わなければならない。
船舶所有者は、有給休暇を請求することができる船員が有給休暇を與えられる前に解雇され、又は退職したときは、その者に與うべき有給休暇の日数に應じ前項の給料、手当及び食費を支拂わなければならない。
(適用範囲)
第七十九條 この章の規定は、左の船舶については、これを適用しない。
一 漁船
二 船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶
第八章 食料及び衞生
(食料の支給)
第八十條 船舶所有者は、船員の乘船中命令の定めるところにより、これに食料を支給しなければならない。
遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶で総トン数七百トン以上のもの又は命令の定める漁船に乘り組む船員に支給する食料は、主務大臣の定める食料表によらなければならない。
(健康証明書)
第八十一條 船舶所有者は、行政官廳の指定する医師が船内労働に適することを証明した健康証明書を持たない者を船舶に乘り組ませてはならない。但し、やむを得ない事由のあるときは、この限りでない。
前項但書の場合には、船舶所有者は、遅滯なく、その後に到着する港で健康証明書を受けさせる手続をしなければならない。この場合において健康証明書を受けることのできない者は、これを引き続き使用してはならない。
健康証明書に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
(医師の乘組)
第八十二條 船舶所有者は、遠洋区域を航行区域とする総トン数五千トン以上の船舶又は遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする最大とう載人員百人以上の船舶に、医師を乘り組ませなければならない。但し、やむを得ない事由のある場合において行政官廳の許可を受けたときは、期間を限つてこれを乘り組ませなくてもよい。
(衞生用品及び医療書)
第八十三條 船舶所有者は、遠洋区域、近海区域若しくは沿海区域を航行区域とする船舶又は命令の定める漁船に、主務大臣の定める医藥その他の衞生用品及び医療書を備え置かなければならない。
第九章 年少船員及び女子船員
(未成年者の能力)
第八十四條 未成年者が船員となるには、法定代理人の許可を受けなければならない。
前項の許可を受けた者は、雇入契約に関しては、成年者と同一の能力を有する。
(最低年齢)
第八十五條 船舶所有者は、年齢十五年未満の者を船員として使用してはならない。但し、同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、この限りでない。
船舶所有者は、年齢十八年未満の者を石炭を運び又はたく作業に從事する海員として使用してはならない。
船舶所有者は年齢十八年未満の者を船員として使用しようとするときは、その者の船員手帳に行政官廳の認証を受けなければならない。
前項の認証に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
(産前産後)
第八十六條 船舶所有者は、六週間以内に出産する予定の女子の請求があつたときは、船内でその者を作業に從事させてはならない。
船舶所有者は、出産後六週間を経過しない女子を船内で使用してはならない。
船舶所有者は、妊娠中の女子の請求があつたときは、その者を他の軽易な作業に從事させなければならない。
前三項の規定は、同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。
(生理休暇)
第八十七條 船舶所有者は、生理日における就業が著しく困難な女子の請求があつたときは、その者を生理日において船内で作業に從事させてはならない。
(夜間労働の禁止)
第八十八條 船舶所有者は、年齢十八年未満の船員又は女子の船員を午後八時から翌日の午前五時までの間において作業に從事させてはならない。但し、命令の定める場合においてこれと異なる時刻の間において午前零時前後にわたり連続して九時間休息させるときは、この限りでない。
前項の規定は、第六十八條第一号及び第三号の作業に從事させる場合には、これを適用しない。
第一項の規定は、漁船及び船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。
第十章 災害補償
(療養補償)
第八十九條 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、その負傷又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。
船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
第九十條 前條の療養は、左の各号のものとする。
一 診察
二 藥剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 病院、診療所その他治療に必要な自宅以外の場所への收容(食料の支給を含む。)
五 看護
六 移送
(傷病手当及び予後手当)
第九十一條 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、四箇月の範囲内においてその負傷又は疾病がなおるまで毎月一回、命令の定める報酬(以下標準報酬という。)の月額に相当する額の傷病手当を支拂い、その四箇月が経過してもその負傷又は疾病がなおらないときは、そのなおるまで毎月一回、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の傷病手当を支拂わなければならない。
船舶所有者は、前項の負傷又は疾病がなおつた後遅滯なく、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の予後手当を支拂わなければならない。
前二項の規定は、負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、これを適用しない。
(障害手当)
第九十二條 船員の職務上の負傷又は疾病がなおつた場合において、なおその船員の身体に障害が存するときは、船舶所有者は、なおつた後遅滯なく、標準報酬の月額に障害の程度に應じ別表に定める月数を乘じて得た額の障害手当を支拂わなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りではない。
(遺族手当)
第九十三條 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滯なく、命令の定める遺族に標準報酬の月額の三十六箇月分に相当する額の遺族手当を支拂わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同樣とする。
(葬祭料)
第九十四條 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滯なく、命令の定める遺族で葬祭を行う者に標準報酬の月額の二箇月分に相当する額の葬祭料を支拂わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同樣とする。
(他の給付との関係)
第九十五條 第八十九條乃至前條の規定により療養又は費用、手当若しくは葬祭料の支拂(以下災害補償と総称する。)を受くべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由に因り船員保險法による保險給付又は命令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。
(審査及び仲裁)
第九十六條 職務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、災害補償の金額の決定その他災害補償の実施に関して異議のある者は、行政官廳に対して審査又は事件の仲裁を請求することができる。
行政官廳は、必要があると認めるときは、職権で審査又は事件の仲裁をすることができる。
行政官廳は、審査又は事件の仲裁に際し船長その他の関係人の意見を聽かなければならない。
行政官廳は、審査又は事件の仲裁のため必要があると認めるときは、医師に診断又は檢案をさせることができる。
第一項の規定による審査又は事件の仲裁及び第二項の規定による審査又は事件の仲裁の開始は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。
第十一章 就業規則
(就業規則の作成及び届出)
第九十七條 常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、命令の定めるところにより、左の事項について就業規則を作成し、これを行政官廳に届け出なければならない。これを変更したときも同樣とする。
一 給料その他の報酬
二 労働時間
三 休日及び休暇
前項の船舶所有者は、左の事項について就業規則を作成したときは、これを行政官廳に届け出なければならない。これを変更したときも同樣とする。
一 定員
二 食料及び衞生
三 被服及び日用品
四 陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設
五 災害補償
六 失業手当、雇止手当及び退職手当
七 送還
八 教育
九 賞罰
十 その他の労働條件
船舶所有者を構成員とする團体で法人たるものは、その構成員たる第一項の船舶所有者について適用される就業規則を作成して、これを届け出ることができる。その変更についても同樣とする。
前項の規定による届出があつたときは、同項に規定する船舶所有者は、当該就業規則の作成及びその作成又は変更の届出をしなくてもよい。
第一項乃至第三項の規定による届出には、第九十八條の規定により聽いた意見を記載した書面を添附しなければならない。
(就業規則の作成の手續)
第九十八條 船舶所有者又は前條第三項に規定する團体は、就業規則を作成し、又は変更するには、その就業規則の適用される船舶所有者の使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは、船員の過半数を代表する者の意見を聽かなければならない。
(就業規則の監督)
第九十九條 行政官廳は、法令又は労働協約に違反する就業規則の変更を命ずることができる。
行政官廳は、就業規則が不当であると認めるときは、船員労働委員会の議を経て、その変更を命ずることができる。
(就業規則の効力)
第百條 就業規則で定める基準に達しない労働條件を定める雇入契約は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、就業規則で定める基準に達する労働條件を定めたものとみなす。
第十二章 監督
(行政官廳)
第百一條 行政官廳は、この法律、労働基準法(船員の労働関係について適用される部分に限る。以下同じ。)又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、必要な処分をすることができる。
第百二條 行政官廳は、船舶所有者及び船員の間に生じた労働関係に関する紛爭(労働関係調整法第六條の労働爭議を除く。)の解決について、あつせんすることができる。
(外國における行政官廳の事務)
第百三條 この法律によつて行政官廳の行うべき事務は、外國にあつては、命令の定めるところにより、日本の領事官がこれを行う。
(行政官廳の事務を行う市町村長)
第百四條 主務大臣は、この法律によつて行政官廳の行うべき事務を市町村長に行わせることができる。
(船員労務官)
第百五條 主務大臣は、所部の職員の中から船員労務官を命じ、この法律及び労働基準法の施行に関する事項を掌らせる。
第百六條 船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、この法律、労働基準法及びこの法律に基いて発する命令の遵守に関し注意を喚起し、又は勧告をすることができる。
第百七條 船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶その他の事業場に臨檢し、船舶所有者若しくは船員に出頭を命じ、帳簿書類を提出させ、報告をさせ、又は質問をすることができる。
船員労務官は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に質問をすることができる。
前二項の場合には、船員労務官は、その身分を証明する証票を携帶しなければならない。
第百八條 船員労務官は、この法律、労働基準法及びこの法律に基いて発する命令の違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
第百九條 船員労務官は、職務上知り得た祕密を漏してはならない。船員労務官を退職した後においても同樣とする。
(船員労働委員会の権限)
第百十條 船員労働委員会は、労働組合法に定める権限を行う外、行政官廳の諮問に應じ、この法律及び労働基準法の施行又は改正に関する調査を審議する。
船員労働委員会は、船員の労働條件に関して、行政官廳に建議することができる。
(報告事項)
第百十一條 船舶所有者は、命令の定めるところにより、左の事項について、行政官廳に報告をしなければならない。
一 使用船員の数
二 給料その他の報酬の支拂状況
三 災害補償の実施状況
四 その他命令の定める事項
(船員の申告)
第百十二條 この法律、労働基準法又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実があるときは、船員は、命令の定めるところにより、行政官廳、船員労務官又は船員労働委員会にその事実を申告することができる。
船舶所有者は、前項の申告をしたことを理由として、船員を解雇しその船員に対して不利益な取扱を與えてはならない。
第十三章 雜則
(就業規則等の公示)
第百十三條 船舶所有者は、この法律、労働基準法、この法律に基いて発する命令、労働協約及び就業規則を記載した書類を船内の見やすい場所に掲示し、又は備え置かなければならない。
(報酬、補償及び手当の調整)
第百十四條 船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手当、送還手当又は傷病手当のうち、その二以上をともに支拂うべき期間については、いずれか一の多額のものを支拂うを以て足りる。
船舶所有者は、給料その他の報酬を支拂うべき場合において雇止手当又は予後手当を支拂うべきときは、給料その他の報酬を支拂うべき限度において、雇止手当又は予後手当の支拂の義務を免れる。
(讓渡又は差押の禁止)
第百十五條 失業手当、雇止手当、送還の費用又は災害補償を受ける権利は、これを讓り渡し、又は差し押えることができない。給料その他の報酬及び傷病手当をともに支拂うべき期間についての給料その他の報酬を受ける権利(傷病手当の額に相当する部分に関するものに限る。)についても同樣とする。
(附加金の支拂)
第百十六條 船舶所有者は、第四十五條乃至第四十七條、第四十九條、第五十九條第二項、第六十七條第二項又は第七十八條の規定に違反したときは、これらの規定により船舶所有者が支拂うべき金額(第四十七條の場合には送還の費用)についての第二項の規定による請求の時における未拂金額(第五十九條第二項の場合には同條の規定による報酬の最低額と契約で定められた報酬の額との差額)に相当する額の附加金を船員に支拂わなければならない。
船員は、裁判所に対する訴によつてのみ前項の附加金の支拂を請求することができる。但し、その訴は、同項に規定する違反のあつた時から二年以内にこれをしなければならない。
(時効の特則)
第百十七條 船員の船舶所有者に対する債権は二年間これを行はないときは、時効によつて消滅する。船舶所有者に対する遺族手当及び
葬祭料の債権も同樣とする。
(準用規定)
第百十八條 第三十一條乃至第三十四條、第八十四條第二項及び第百條の規定は、予備員の雇よう契約にこれを準用する。
(戸籍証明)
第百十九條 船員、船員になろうとする者、船舶所有者又は船長は、船員又は船員になろうとする者の戸籍について、戸籍事務を管掌する者又はその代理者に対し無償で証明を請求することができる。
(國及び公共團体に対する適用)
第百二十條 この法律、労働基準法及びこの法律に基いて発する命令は、國、都道府縣、市町村その他これに準ずるものについても適用があるものとする。
(命令の制定)
第百二十一條 この法律に基いて発する命令は、その草案について公聽会を開いて、船員及び船舶所有者のそれぞれを代表する者並びに公益を代表する者の意見を聽いて、これを制定するものとする。
第十四章 罰 則
第百二十二條 船長がその職権を濫用して、船内にある者に対し義務のない事を行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、二年以下の懲役に処する。
第百二十三條 船長が第十二條の規定に違反したときは、五年以下の懲役に処する。
第百二十四條 船長が第十三條の規定に違反して人命及び船舶の救助に必要な手段を盡さなかつたときは、三年以下の懲役又は三千円以下の罰金に処する。
第百二十五條 船長が左の各号の一に該当する場合には、二年以下の懲役又は二千円以下の罰金に処する。
一 第十四條の規定に違反したとき。
二 船舶を遺棄したとき。
三 外國において海員を遺棄したとき。
第百二十六條 船長が左の各号の一に該当する場合には、三千円以下の罰金に処する。
一 第八條、第十條、第十一條、第十六條、第十七條第一項、第三十六條、第五十條第二項又は第五十五條の規定に違反したとき。
二 第九條の規定に違反して予定の航路を変更したとき。
三 第十三條の規定に違反して告げなかつたとき。
四 第十五條の規定に基いて発する命令に違反して水葬に付したとき。
五 第十八條の規定による書類を備え置かず、又は同條第一項第二号乃至第四号の書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚僞の記載をしたとき。
六 第十九條の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をしたとき。
七 第六十七條第三項の規定による帳簿を備え置かず、又は帳簿に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚僞の記載をしたとき。
第百二十七條 海員が上長に対し暴行又は脅迫をしたときは、三年以下の懲役又は三千円以下の罰金に処する。
第百二十八條 海員が左の各号の一に該当する場合には、一年以下の懲役に処する。
一 船舶に急迫した危險のある場合において、船長の許可なく船舶を去つたとき。
二 第十二條乃至第十四條に規定する場合において、船長が人命、船舶又は積荷の救助に必要な手段をとるのに当り、上長の命令に服從しなかつたとき。
三 第三十九條第三項に規定する場合において、人命、船舶又は積荷の應急救助のために必要な作業に從事しなかつたとき。
四 外國において脱船したとき。
第百二十九條 船舶所有者が第八十五條第一項又は第二項の規定に違反したときは、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第百三十條 船舶所有者が第三十三條、第三十四條第一項、第三十五條、第四十五條乃至第四十七條、第四十九條、第五十九條第二項、第六十三條第二項、第六十七條第二項、第六十九條、第七十條、第七十四條、第七十八條、第八十條、第八十二條、第八十三條、第八十六條、第八十八條、第八十九條、第九十一條乃至第九十四條若しくは第百十二條第二項の規定に違反し、又は第七十三條の規定に基いて発する命令に違反したときは、六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第百三十一條 船舶所有者が左の各号の一に該当する場合には、五千円以下の罰金に処する。
一 第三十二條、第三十四條第二項、第五十三條、第五十四條、第五十六條、第五十八條第一項、第八十一條第一項第二項、第八十五條第三項、第八十七條又は第百十三條の規定に違反したとき。
二 第三十四條第二項の規定により認可を受けた保管又は返還の方法に違反したとき。
三 第百十一條の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をしたとき。
第百三十二條 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第九十七條の規定による就業規則の作成若しくは届出をせず、又は虚僞の届出をした者
二 第九十八條の規定に違反した者
三 第九十九條の規定による命令に違反した者
四 第百一條の規定による処分に違反した者
五 第百七條の規定による船員労務官の臨檢を拒み、妨げ若しくは忌避し、出頭の命令に應ぜず、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚僞の陳述をした者
六 第百七條の規定による帳簿書類を提出せず、若しくは虚僞の記載をした帳簿書類を提出し、又は報告をせず、若しくは虚僞の報告をした者
七 第百九條の規定に違反した者
八 第百十二條第一項に定める場合において、虚僞の申告をした者
第百三十三條 左の各号の一に該当する者は、これを三千円以下の罰金に処する。
一 第三十七條の規定に違反して雇入契約の公認を申請しなかつた者
二 詐僞その他の不正行爲を以て雇入契約の公認を受けた者
三 自己の船員手帳を棄損した者
四 第五十條第三項の規定に基いて発する命令に違反した者
五 詐僞その他の不正行爲を以て船員手帳の交付、訂正又は書換を受けた者
六 他人の船員手帳を行使した者
第百三十四條 この章のうち船長に適用すべき規定は、船長に代わつてその職務を行う者にこれを適用する。
第百三十五條 船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の從業者が船舶所有者の業務に関し第百二十九條乃至第百三十一條、第百三十二條第一号乃至第三号第六号又は第百三十三條第一号第二号の違反行爲をしたときは、その行爲者を罰する外、その船舶所有者に対して、各本條の罰金刑を科する。但し、船舶所有者(船舶所有者が法人の場合には、その代表者、船舶所有者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者の場合には、その法定代理人。以下この條において同じ。)が違反の防止に必要な措置をしたときは、この限りでない。
船舶所有者が前項に定める違反行爲の計画を知つてその防止に必要な措置をしなかつたとき、違反行爲を知つてその是正に必要な措置をしなかつたとき、又は違反行爲を教唆したときは、船舶所有者も行爲者として処罰する。
第九十七條第三項に規定する團体の代表者、代理人、使用人その他の從業者がその團体の業務に関し第百三十二條第一号乃至第三号の違反行爲をしたときは、前二項の規定を準用する。
附 則
第百三十六條 この法律は、第十章の規定を除いて、公布の日からこれを施行する。
第十章の規定施行の期日は、命
令でこれを定める。
第百三十七條 小形船舶乘組員手帳法は、これを廃止する。
第百三十八條 從前の船員法第六十八條第三項但書の規定は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
第百三十九條 この法律施行前に生じた事項については、なお從前の例による。
第百四十條 第十八條の規定は、総トン数二十トン未満の船舶又は平水区域を航行区域とする船舶については、この法律施行の日から六箇月間、これを適用しない。
第百四十一條 第三十七條の規定の適用については、前條に規定する船舶に乘り組む者の雇入契約でこの法律施行の際現に存するものは、これをこの法律施行の際成立したものとみなす。
第百四十二條 第六十條乃至第七十條の規定は、戰時標準型船舶で、行政官廳においてその居住設備が第六十九條の規定による定員数の海員を乘り組ませることが困難なものと認めて、船員労働委員会の議を経て指定したものについては、これを適用しない。
第百四十三條 第八十三條の規定は、沿海区域を航行区域とする船舶については、この法律施行の日から六箇月間、これを適用しない。
第百四十四條 この法律施行前から引き続き年齢十五年未満の者を船員として、又は年齢十八年未満の者を石炭を運び若しくはたく作業に從事する海員として使用するときは、第八十五條の規定は、これらの者については、この法律施行の日から六箇月間、これを適用しない。
第百四十五條 第六十七條第三項、第九十七條及び第百十三條の規定は、この法律施行の日から六箇月間、これを適用しない。
第百四十六條 商法の一部を次のように改正する。
第七百八條 削除
第七百九條 船長ハ屬具目録及ヒ運送契約ニ關スル書類ヲ船中ニ備ヘ置クコトヲ要ス
前項ノ屬具目録ハ外國ニ航行セサル船舶ニ限リ命令ヲ以テ之ヲ備フルコトヲ要セサルモノト定ムルコトヲ得
第七百十條 削除
第七百十一條 削除
他の法令の規定の適用上商法第七百八條乃至第七百十一條の規定によらなければならないときは、從前のこれらの規定によるものとする。
第百四十七條 商法施行法の一部を次のように改正する。
第百二十二條中「遞信大臣」を「運輸大臣に」改める。
第百三十條 屬具目録ノ書式ハ運輸大臣之ヲ定ム
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〔國務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=2
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003・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) ただいま上程されました船員法を改正する法律案の提出理由を御説明申し上げます。
現行船員法は、昭和十二年に改正せられて今日に及んでおるのでありますが、終戰後の新事態に副わない點が多多ありますとともに、新憲法第二十七條は、賃金、就業時間、休息その他の勤勞條件に關する基準を、法律をもつて定めるべき旨規定しておりますので、なるべく速やかにこれを改正する必要を認め、昨年八月運輸省に、船主及び船員の團體の代表者を初めとし、關係各方面の學識經驗者からなる、臨時船員法令審議會を設けまして、これに改正船員法案の立案に關し諮問いたしました。同審議會は、その後約半歳にわたつて愼重審議を續けるとともに、その間東京、神戸を初め、全國主要港で開かれました公聽會の意見を聽き、成案を得て、一月十六日政府に答申いたしましたので、政府はこの答申を骨子として、船員法を改正する法律案を立案し、本議會に提案する運びに至つたのでございます。
新法案の要旨を申しますと、前述のごとき改正憲法の要請に基き、新たに船員の給料、勞働時間及び休息に關して基準を設けますとともに、同じく新憲法の人權尊重の精神を體し、現行法中の海員に對する強制乘船及び船内における懲戒としての監禁に關する規定を廢止いたしました。また今後におけるわが國の國際的地位に鑑みまして、新たに、一九三六年國際勞働總會において採擇されました四箇の條約案、すなわち船員のための年次有給休暇に關する條約案、船内勞働時間及び定員に關する條約案、船員の疾病傷痍または死亡の場合における船舶所有者の責任に關する條約案、及び海上に使用し得る兒童の最低年齡を定める條約案の改正條約案の趣旨を取入れるとともに、時代の要請に應じ、勞働基準法案と歩調を合わせて、諸般の勞働保護規定を設けるほか、現行商法中の船長の公法的義務に關する規定を、船員法中に取入れたのでございます。
このように、今囘の改正案によりますと、海上勞働者である船員は、陸上勞働者が勞働基準法によつて保護を受けますことになりますと同樣に、相當手厚い保護を受け、その生活の安定が期せられることと相なりまするが、このことは、ひいてはわが海運再建のための第一歩となるものであると信ずるものであります。何とぞ御審議の上、御協贊あらんことを希望いたします。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=3
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004・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑の通告があります。これを許します。岡田勢一君。
〔岡田勢一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=4
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005・岡田勢一
○岡田勢一君 私は國民協同黨を代表して、新船員法案に關し若干の質疑を試みんとするものであります。
この船員法は、海上の勞働法でありまして、勞働基準法と併せてきわめて重要なる法律であり、かつはまた自給自足が不可能でありますわが國の經濟の再建には、外國との海運、貿易の發展ということが最も重大なる要素となるものであり、さらにまた船員勞働法令が海運の盛衰の基盤となる點に鑑みまして、海運企業經營の見地、機構その他あらゆる角度から、愼重に十二分の檢討が加えられなければならぬと思うのであります。
まず最初に、増田運輸大臣竝びに河合厚生大臣に伺いたいのであります。この新船員法案の法文の全體を通じて感ぜられることは、勞資間の利害の特質ということのみにあまりにもこだわり過ぎまして、かえつて勞資間に對立抗爭の意識を強調しはせぬかと思われる點であります。この法律によつていかなることをわれわれは希求し、また何をなさんとするのであるかという根本精神が明示されなければならぬと思うのであります。今日のごとく爭議が頻發して、經營の支配權の爭奪と利益の配分が問題となつているような時代には、なおさらと思うのである。またわれわれ日本人は、アメリカ、歐洲の人たちに比べて、その國民性と感情と長年の習慣が著しく相違している點等に鑑みまして、外國の勞働法規の直譯のようなものを當てはめようといたしましても、それは決して勞資の協力と生存を效果的に向上するゆえんではないと思うのであります。日本人には、特有の國民性と、現在における勤勞義務觀念の水準に合致する立法をするということが肝要である。少くとも現在の危殆に瀕している日本民族の自活の力を囘復するために、勞資雙方の耐乏と犧牲と協力と奮鬪を、實際に現場の仕事の面において強く要請せられなければならないと思う。これがためには、利害の對立抗爭を超越した、ヒユーマニズムに立脚した勞資の協調を根本理念として、この滅亡に瀕せる日本海運の復興に獻身するのであるという、基本精神に關する一條項をこの法案の冒頭に明示して、全條文にその精神を躍動せしむるということが、この法律を活かすゆえんであると思うのでありますが、政府のこれに對するお考え方はいかがであるか、御所見を伺いたい。
第二に、船長の指揮、命令、監督權であります。昔から船頭多くして船が山に登るという俗語があります。御承知の通り、船舶の運用というものは、陸上の工場あるいは事務所などの指揮運營と異なりまして、甲板部、機關部、事務所、あるいは司厨、氣象、通信等、各部を擔當する者一人々々が完全に職務を果すことによつて、正常なる運用ができるのであつて、これらのうち、もしその一末端にでも故障が起つたならば、たちまち危險にさらされるのであります。過去の實績に徴しても、わずかの怠慢、過失から、重大なる事故が發生しているという事例がたくさんにある。いわんや暴風雨、濃霧等荒天の場合、あるいはまた狹隘なる急流の水路、または港灣の出入等の場合には、特に嚴密なる注意を要するのである。われわれ日本人の職務に對する義務觀念は、ただいまのところ殘念ながら、なおいまだ一部に不十分な點があるのであつて、私は今ここでこまかく逐條的批判は避けるのでありますけれども、全體として船長の指揮、命令及び監督權が、いま少し強化さるべきではなかろうか。
船舶は船主の所有物ではあるが、國家の公器である。また國富の一部であります。船舶を常時良好なる状態に維持せしめて、優良なる運航能率を發揮せしむるということは、一面國家國民に對して船員の負うべき任務である。民主主義理念はまことに結構であるが、船内の規律、秩序、服務等につき、個人同士の粉爭感情等から、特に船長及び上司の職務上の嚴正なる執行を阻害しないよう、いわゆる民主主義の行過ぎ、履違え等を惹起せざるような考え方が、十分に織りこまれなければならないと思うのであります。この點當局はどう考えられるのでありまするか、御説明を願いたい。
次に第三點として、本法案には、新たに一、勞働時間、二、定員、三、最低給料、四、有給休暇等を規定し、船員の全面的保護が確立し、また、五、就業規則、六、船員勞務官制等を設けて、官廳の監督を強化し、さらに、七、年少海員竝びに婦女子海員の保護、八、傷害補償、九、時間外手當等を規定したることは、陸上勤務者に比べて、精神的に、また肉體的に、あるいは家庭的にも惠まれない海上勞務者にとつて、まことに結構なことでありまして、私は三十數年の實際體驗によりまして、船員の氣の毒な境涯に對して同情するもので、多くの日本人は、船員がいかなる危險を冒し、また心身の勞苦がいかに多いかという實情を、十分理解しておらないということを私は遺憾とするのでございますが、その見地から、これらにはまつたく贊意を表するものでございます。
しかしながら一面から考えますと、海運もやはり一つの經濟的企業であります。船主の利害というよりは、今日におきましては國家の經濟を考えなければならない。殊に外國の船舶と比較して低能率であつて、しかも高コストであるということになると、日本の經濟が成り立たない。現在の日本の經濟の實情と、船員の生活費負擔とをにらみ合わせまして、經濟的行過ぎの點、あるいはまた國際海上勞働法規の線を凌駕する點などにつきましては、若干の修正を加えなければならないと思うのであります。たとえば勞働時間及び定員に關する第七十一條の適用の除外項目の點、及び有給休暇の期間に關する第七十五條についても、今日の状態から考察して、運航費を大幅に加重せしめないために、負擔を軽減するよう――負擔とは、これは今日におきましては運營會の負擔であります。負擔を輕減するよう修正すべきであると考えるのでありますが、政府のこれに對する御見解はいかがであるか、お伺いしたい。
第四點としまして、船舶運營會の改組または縮小の問題についてであります。戰爭によつて徹底的な打撃をこうむつたわが國の海運の再建は、民主的營業形態、すなわち船主の自營により、輸送の能率増進と經營の合理化によつて、經費の節減をはからねばならぬのであります。近來世上一部におきまして、各種重要産業の官營または國家管理が提唱せられておるのであるが、海運に關する限りは、全然事情を異にしておるのであります。
船舶運營會が、軍閥内閣時代に戰爭遂行の必要上からつくられ、今日まで繼續されておるのでありまするが、莫大なる國費を要して、しかも能率が上らぬことは、今日までの實績が雄辯に物語つておるところでありまして、このままでは日本の海運は、國際貿易が始まつたならば、外國の海運にはとても追隨することはできないのである。從つて一日も早く業者の自營に復歸せしめるべきであるということは、業者、關係者のみならず、一般においても既に常識化しておるのであります。
來年度豫算において、運營會關係で十三億餘圓の支出が計上せられております。なお物價の尻上りいかんによつては、追加豫算の計上が豫想せられるのでありますが、船主の自營に還元するならば、合理化の結果、實質的に相當大幅の國費の負擔が輕減されますことは明らかであると思う。また船舶の囘轉率と貨物の輸送量におきましては、これまた數割増加されますことは、確信のできるところであります。昨年第九十議會において、六月二十八日竝びに八月一日兩日の豫算總會において、前運輸大臣平塚氏は、私の質問に答えていわく、あなたの御意見は同感であつて、海運の復興のためには運營會をなるべく早い機會に解消したいと言い、また運營會は戰時機構であるから、一日も早くこれを解いて、業者の自營に還元し、海運を本來の姿に復するよう、關係方面の諒解に努力中であると言明せられた。
海運業者は、戰爭で沈沒した船舶の保險金が、軍需補償關係の打切りによりまして莫大な損害をこうむり、今や破産に瀕しておるのでありますが、なおかつそれでも日本のこの海運の再建ということに對する執著、熱情は、火のようなものがあるのでありまして、何とかしてこの海運を復興したいと、殘存の船舶の自營還元を待望しておるのであります。以來今日に至るも、一部の沿海航路の貨客船を除きましては、依然として徴用が解かれておらない。はたして政府は海運の復興に對して誠意と熱情をもつておられるのであるかどうか。今日までの間における關係方面との交渉は、一體どの程度までに進んでおるのでありますか。
われわれは必ずしも運營會の全的解消と配船統制の全面的解放を望むものではないのであつて、必要とあらば、計畫輸送のために配船の統制事務を管掌するため、運營會の縮小存續もまたやむを得ないと思うのでありますが、船主の自營還元は、一日も速やかなるを要すると信ずるのであります。この點に關しまして運輸大臣、竝びに石橋安定本部長官がおられなかつたならば、代理の方でもよろしいが、はつきりした御方針を承りたいのであります。
次に第五項としまして、船員の失業對策、完全就業の關係からも、貿易と外地航路再開の問題について伺いたいのであります。この問題は、一に連合國の許可にまたなければならぬのでありますが、アメリカにおいても、速やかに日本に貿易の再開を許すべきであるという輿論も、一部に起りつつある模樣であり、また先般調査視察のために來られましたアメリカの民間のある有力なる使節の某氏は、日本には速やかに海運の復舊をはからしめて、經濟の自主的囘復を促進せしむべきであるということを言明せられておるようであります。連合國としては、日本の海運を國内航路のみに封鎖してしまうというような考え方は、一切もつてをらないということを承つておるところであります。今日におきましては、國内生産の再開のためにも、連合國にこれが懇請をしても、一向に氣がねしなくてもいい、差支えはないと思うのでありますが、政府はいかなる態度を持しておられましようや。
われわれはまず近接せる朝鮮、中國、臺灣、南洋などから、重要資材、燃料などを輸入いたし、及びこれが見返物資等の輸送、あるいはまた連合國、第三國等の求めに應じまして、何からでもかまわない、對外貿易の再開を切望してやまないものでありますが、政府が弱腰で引込思案であるというのであるか、あるいはまた日本人流の謙讓の美徳の行過ぎというのでありましようか。關係方面に對しましては、積極的な懇請をなし得ないのではなかろうかということを、國民の多數が心配をしておると思うのでありますけれども、實情ははたしていかがでありますか。はつきりした當局の御説明と、今後のこれに對する見透しとを承りたいのであります。
最後に、私は、先般わが黨の疋田代議士がお尋ねした問題でもあるのでありますが、生産の再開のために、食糧、重要資材等を輸入する引當として、對外借款あるいはクレヂツトの設定に對しまして、熱誠を披瀝して、これまた關係方面に懇請せらるべきではないかと思うのであります。先般の疋田君の質問に對しましては、大藏大臣は見當違いの答辯をされたのでありますが、きようは政府委員の御答辯でもよろしいが、このアメリカに對する借款、あるいはクレヂツトの設定等に關しまして、いかなる交渉を續けておられましようか。これまたその内容と經過を承りたいのであります。これによつてわれわれは日本の貿易の再開と對外海運の復興に對しまして、能う限りの全力を傾注いたし、檢討いたしまして、そうして日本の經濟再建のために、危機突破のために獻身したいという熱情を披瀝せなければならぬと信ずるものであります。
以上各項にわたりまして、當局のはつきりした御答辯を伺いたいのであります。これをもつて終ります。(拍手)
〔國務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=5
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006・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 御答辯申し上げます。船員法の規定は、勞働者、資本家相互の利害得失にのみ注意をとられておるように見える、すなわち對立抗爭のあとが條文の間に見えるというお言葉でございまするが、決してそうではございません。船員法は、むしろ岡田君のおつしやるヒユーマニズムの精神を具現したものであるというふうに、私は確信いたしております。ただこの精神を條文の上にうたつたらどうだというような御質問でございますが、私は、全條文を通じてよくごらんになつたならば、その間脈々として、岡田さんのおつしやるような人道主義の精神が現われておることを看取することができる、こう確信いたしております。
それから船長及び業主の權限が少きに失しておるように見られるがどうかという御質問でございます。おつしやる通り、船舶は一つの危險協同體、あるいは運命協同體のシンボルでございます。船長がこの協同體を立派に有機的に動かしていくためには、相當の權限をもつことが必要であるという點については、全然同感でございます。ただしかしながら新憲法の精神から見ますと、いたずらに無用の、人權を拘束する、蹂躙するきらいがあることをしてはならないということに相なつておるのであります。新憲法の精神に照らしてみまして、強制乘船の規定とか、あるいは懲戒としての監禁とか、この二つの規定は、これを削除いたした次第でございます。しかしながらこれを削除いたしましても、いわゆる運命協同體として立派に有機的に動かし得るという確信があるのでございます。すなわち強制乘船のごときは、たとえいたしたところで、船に乘つてから後、ろくに働かなかつたならば何にもなりません。奴隷的状態において人を使うということによつて、決して能率は上るものではございません。
それからなお監禁でございますが、監禁というようなことはいたさなくても、本人がどうもおもしろくないというようなことがあるならば、下船せしむることができるのでございます。なお下船の前に、相當長航海であるならば、船に乘つておりますから、その際は、もし危險な行爲を犯すおそれがあるならば、危險防止の權限を船長はもつております。あるいは業務を執行せしめないということも、これはまた船長の當然の職權職務に屬することでありますから、そういう權限職責を果したならば、船全體が立派な協同體としての規律を保持し得るという信念を私はもつておるものでございます。
それから今囘の船員法によりますと、勞働時間あるいは有給休暇その他の關係から照らしまして、運航原價、コストが非常に高くなる。これではなかなか海運業を立派に運營することができない。負擔輕減のために、何らかの處置をとつたならばどうかという御質問でございますが、この點はお説のごとく、この法案を改正するために審議をいたしております際も、資本家、勞働者雙方、非常な論戰を鬪わした點でございまして、ごもつともの點がなきにしもあらず、こう考えるのでございますが、勞働時間は、普通の勞働基準法に照らしてみましても、相當長時間にわたつている點は御諒解願いたいと存じます。また有給休暇の點は、なるほど一般陸上勞働者よりも相當多いのでございますが、これは海上勞働の特殊性に鑑みまして、たとえば遠洋航海等でございましたならば、私から申し上げるまでもなく、家庭なり、故郷なり、あるいは日本なりから相當離れて、長期間洋上で生活せんならぬ、こういう者に對しまして、一年間繼續勤務者に對しまして、繼續二十五日というような有給休暇を與えることは、けだし當然であるというふうに私は考えます。かくいたしまして、日本の海運業が世界の水準に伍し、あるいは世界に覇を稱えた時代に、一つの非難を受けておつた點があるのでございます。それはいわゆる日本の海上勞働は――これは陸上勞働についてもそうでございますが、チープ・レーバーである、ソーシヤル・ダンピングをしておる。こういうような非難を受けておりました。今囘の勞働基準法なり船員法の制定、あるいは改正によりまして、世界の水準に達する立派な勞働條件のもとに、堂々として世界の海運業に伍して進みたい、こう私は存じております。一面勞働者にも、かかる立派な勞働基準を確保することによりまして、大いに働いていただいて、再び海運業を昔の姿に復元いたしたいというのが、私の念願でございます。
次に船舶運營會の問題でございますが、これはこのごろも本議會において言明いたした次第でございますが、お説の點はすべてごもつともであります。私も、海運業は民營にいたし、船舶は自營體制にもどすということが當然の姿であり、原則としてそうなくてはならぬと、こう存じておる次第であります。從つて前運輸大臣のときにおきましても、また不肖私職を承け繼ぎましても、引續いてそれぞれの方面に、自營體制という原則に返していただくように交渉中でございます。交渉の經過についての具體的説明をせよというお言葉でございますが、これは申し上げかねるのを遺憾とする次第であります。
最後に貿易再開のことは、これはむしろ商工大臣からお答えいたした方がよろしいと思いますが、政府は一生懸命、貿易再開に向つて誠意と熱意とをもつて努力を繼續いたしております。必ずや近い將來において、全然無條件とはいかなくとも、ある條件下において、少くも東洋の近接諸國との貿易は再開され得るとの確信のもとに、努力いたしておるということを御諒承願いたいのでございます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=6
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007・山崎猛
○議長(山崎猛君) 大蔵大臣竝びに商工大臣は、ただいま豫算委員會に出席中でありますので、他の機會に答辯されるとのことであります。御諒承を願ひます。
〔政府委員北村徳太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=7
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008・北村徳太郎
○政府委員(北村徳太郎君) 岡田議員の御質問中、大藏省に關する部分につきまして、お答え申し上げたいと思うのであります。クレヂツトの設定を大いに急いでやつてはどうか、こういう御趣旨であると存ずるのであります。このことは、國民の熱望するところでございまして、私どももまたしかあらんことを願つておるのでありますが、これには諸般の事情がございまして、今急速にこれを實現させるという段階には至つておりません。但しそういう方向に向つて今後も努力をするということにおいては、一層熱意をもつてそのことにあたりたい、かように考えておるのでございまするが、これには、たとえばブレトン・ウツヅの資金協定にはいるとか、あるいははいるために國内の體制を整えるとか、いろいろの事情がございますので、ただいまはつきりと、そのことについて明確なる御答辯ができにくいことは、はなはだ殘念でありまするけれども、この程度でお許しを願いたいと思うのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=8
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009・岡田勢一
○岡田勢一君 ただいまの政府の御答辯に對しましては、なお私は一部に不滿なものをもつておるのでありますが、これは後日委員會の席に讓りまして、本日はこれをもつて質問を打切ります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=9
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010・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて質疑は終了いたしました。本案の審査を付託すべき委員の選擧についてお諮りいたします。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=10
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011・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 本案は議長指名十八名の委員に付託せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=12
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013・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=13
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014・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際大野伴睦君外六名提出、選擧運動の文書圖畫等の特例に關する法律案を議題となし、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=14
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015・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異讓なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=15
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016・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。政府はこの議事日程變更に同意せられました。よつて日程は變更せられました。
選擧運動の文書圖畫等の特例に關する法律案の第一讀會を開きます。趣旨辯明を許します。山口喜久一郎君。
選擧運動の文書圖畫等の特例に關する法律案(大野伴睦君外六名提出) 第一讀會(確定議)
選挙運動の文書図画等の特例に関する法律案
第一條 この法律は、現下の用紙その他の資材の不足等極めて窮迫した経済事情の下に行われる選挙を、最も適正且つ公平ならしめることを目的として、昭和二十二年中に施行される衆議院議員、参議院議員、地方議会の議員及び地方公共團体の長の選挙において、選挙運動のために使用する文書図画等の頒布又は掲示について、これを適用する。
第二條 主として、選挙運動のために使用する文書図画は左の各号に定める無料葉書の外は、これを頒布することができない。
一 衆議院議員又は参議院地方選出議員の候補者一人について二万枚
二 参議院全國選出議員の候補者一人について三万枚
三 都道府縣の長の候補者一人について一万枚
第三條 選挙運動のために、使用する回覽板その他の文書図画又は看板(プラカードを含む)の類を多数の者に回覽させることは、これを前條の頒布とみなす。
第四條 選挙運動のために使用する文書図画は、左の各号の一に該当するものの外は、これを掲示することができない。
一 選挙のために使用する張札
二 演説会場において使用する張札、立札、ちようちん及び看板の類
三 選挙事務所を表示するために、その場所において使用する張札、立札、ちようちん及び看板の類
前項第一号の張札は、町村その他これに準ずるものの議会の議員及びその町村長の選挙の場合には、これを掲示することができない。
第五條 選挙のために使用する張札は、左の各号に定める数を超えてはならない。
一 衆議院議員、参議院議員並びに都道府縣及び市制第六條及び第八十二條第一項の市の長の選挙においては、候補者一人について一千枚
二 都道府縣及び市(東京都の区を含む)の議会の議員並びに市制第六條及び第八十二條第一項の市以外の市(東京都の区を含む)の長の選挙においては候補者一人について三百枚
參議院全國選出議員候補者は一人について一万枚とし、一の都道府縣においては一千枚を超えてはならない。
前二項の張札には、当該選挙を管理する選挙管理委員会(参議院全國選出議員候補者については全國選出議員選挙管理委員会又は本人の申請によつて承認した都道府縣選挙管理委員会)の檢印を受けなければならない。
候補者以外の者が選挙のために使用する張札は、第一項各号に定める張札の枚数に通算する。
第六條 選挙のために使用する張札は、タブロイド型(長さ四十一センチメートル、幅二十八センチメートル)を超えてはならない。
第七條 選挙のために使用する張札を掲示しようとする者は、その張札の表面に、その住所及び氏名を記載しなければならない。
第八條 何人も、選挙のために使用する張札を掲示する場合には、左の各号の制限に從わなければならない。
一 同一工作物には、候補者一人について一枚を超えて掲示してはならない
二 國若しくは地方公共團体が所有し又は管理するものには、張札を掲示してはならない
三 選挙の当日、投票所内に張札を掲示してはならない
四 すべて、所有者若しくは管理者の承諾を得ないで、他人の工作物に張札を掲示してはならない
五 張札の印刷は二色を超えてはならない
第九條 選挙運動の期間中は、著述演藝等の廣告その他何等の名義を以てするを問わず、第二條及び第四條の禁止を免れる行爲として、主として候補者又はこれを推薦する政事結社若しくはその他の團体の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
選挙運動の期間前に掲示した文書図画で前項に該当するものと、都道府縣選挙管理委員会が認めたものは、選挙運動の期間中、これを撤去し又は撤去させることができる。
第十條 候補者又は政事結社の代表者は、各都道府縣選挙管理委員会の定める同一寸法で、いずれかの一つの新聞に、一回を限り、選挙に関して、廣告することができる。
前項の廣告を掲載した新聞紙は、第二條の規定にかかわらず、新聞販賣を業とする者が、通常の方法でこれを頒布することができる。
第十一條 参議院全國選出議員候補者は、全國選出議員選挙管理委員会の定めるところにより無料で三回を限り選挙に関する放送をすることができる。
前項の費用は國費でこれを支弁する。
第十二條 選挙に関する公報並びにこの法律の定める張札、無料葉書及び新聞廣告には候補者が立候補に関しその希望する事項を記載することができる。
第十三條 選挙運動に使用するために、内務省又は都道府縣のあつせんにより用紙の配給を受けた者が、候補者の届出又はその推薦の届出をしなかつた場合及び届出又は推薦届出があつた候補者が候補者たることを辞した場合には、議員候補者の届出又は推薦届出の期限経過後直ちに、その全部を内務省又は当該都道府縣に返還しなければならない。
第十四條 第二條、第四條乃至第六條及び第九條の規定に違反して、文書図画を頒布し又は掲示した者は、これを五千円以下の罰金に処する。
当選人で前項に掲げる規定に違反した者は、これを五万円以下の罰金に処する。
第十五條 第七條及び第八條の規定に違反して、文書図画を掲示した者は、これを三千円以下の罰金に処する。
当選人で前項に掲げる規定に違反した者は、これを三万円以下の罰金に處する。
第十六條 第十四條及び第十五條の罪の時効は、六箇月を経過することによつて、完成する。
但し、犯人が逃亡したときは、その期間を一年とする。
附則
この法律は、公布の日からこれを施行する。
衆議院議員選挙運動等取締規則、参議院議員選挙運動取締規則及び地方議会議員選挙運動等取締規則の中この法律に適合しない部分はこの法律施行の日から、昭和二十二年十二月三十一日まで、その効力を停止する。
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〔山口喜久一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=16
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017・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 ただいま上程に相なりました選擧運動の文書圖畫等の特例に關する法律案について、各派を代表いたしまして、提案の理由を御説明申し上げます。
新しい憲法の實施とともに、國會が國權の最高機關として、かつまた國の唯一の立法機關として發足する日も、いよいよあと數旬に迫つたのであります。かかるわが國未曾有の歴史的民主日本發足の日を前にして、來月はまた衆議院、參議院の國會議員を初めとして、地方議會議員及び地方公共團體の長の選擧が行われますことは、その意義まことに重大であります。つきましては、再建日本の基礎となるこのたびの選擧こそは、最も自由かつ公正に行われなければならないことは、いまさら申すまでもないことであります。しかしながら自由は放任ではありません。のみならず、ややともしますれば、放任は反動を伴い、過去の選擧に關する惡習慣を助長するおそれも絶無とは申されないのであります。新聞紙の紙面を縮小しなければ、學童の教科書の作成にさえことを缺くような現況においては、選擧運動を放任することは、國民生活によい影響を與えないのみか、かえつて惡影響さえあるのではないかと考えられるのであります。(拍手)
かかる觀點から、衆議院では、先般來各派の間において種々協議研究が進められておつたのでありましたが、去る二月二十五日に、正式に各派から二十名の委員をあげまして、選擧に關する委員會を設け、翌二十六日から九囘にわたつて、あらゆる角度から、各委員の深い經驗と良識に基く熱心な討究が行われまして、選擧の肅正は議員みずからの手でなすべきが最も民主的でもあり、かつまた新憲法の精神にも合致するものとして、ただいま上程になりました法案が、全會一致をもつてでき上つたような次第であります。以下いささかその内容について簡單に御説明を加えておきたいと思うのであります。
まず最初に、この法律は、新しい國會を構成する衆議院及び參議院の兩院議員の選擧にひとしく適用さるるのみならず、ほとんどこれと相接して行われまする地方議會議員及び地方公共團體の長の選擧等、すべての選擧にこれを適用するものといたしたのであります。
次に、主として選擧運動のために使用する文書圖畫の頒布についてでありますが、これは選擧の建前から申すならば、自由が理想であらねばならぬのでありまするが、現下の情勢から、用紙その他の物資の不足及び各般の事情を併せ考慮いたしまして、選擧運動のために頒布できる文書圖畫を、無料郵便葉書に限つたのであります。しかして今囘の選擧に限つて、第三者の推薦状は、この無料郵便葉書を使用する場合を除いては、これをまつたく認めないことにした次第であります。しかし前述のごとく、無料葉書の枚數は、衆議院議員及び參議院の地方選出議員の候補者には二萬枚、參議院の全國選出議員の候補者には三萬枚、都道府縣の長の候補者には一萬枚でありまするから、これによつて十分活用の餘裕があることと信ずるのであります。
なお選擧運動のために使用する囘覽板、看板、プラカード等の類を囘覽させることは、これを頒布とみなしまして、嚴に禁ずることといたした次第であります。ということは、前囘の選擧の實情によつても見られる通り、プラカードを押し立てて街頭をねり歩き、あるいは自動車にポスターをはりつけて走りまわるがごときは、現在の諸般の情勢から見て、決して好ましい現象とは申しがたいのであります。かつまた適正妥當な選擧運動でもないと考えたからであります。
次に選擧運動のための文書圖畫の經費は、從來の場合と異なりまして、選擧に關するポスターについては、さきに申し述べました種々の資材の關係から、これを全廢して、メガホンによることを大體原則としたのでありまするが、完全なる公營の行われていない現状では、こういうことになりますると、新たに立候補されたる諸君に、かりにも不利益を與えるようなことがあつては、民主的選擧の要請にこたえるゆえんではないと考えまして、きわめて制限されたる枚數を認めることといたした次第であります。なお特に町村會議員及び町村長の選擧について、これを禁止したおもなる理由は、第一に町村ではその地域が狹い關係、また町村長についても、町村會議員についても、特に選擧に際して、ポスターを掲示して政見を表示したり、演説會を告知する必要の少いことは、特殊なる町村を除いては、その切實な必要を認められないからであります。むしろポスターよりも、メガホンによることが經濟的であり、かつ自然ではなかろうかという考えから起きた次第であります。
次に選擧に關する告知のはり札の枚數は、衆議院、參議院、これら兩院議員、知事及び五大市長については、一千枚といたしました。都道府縣の議員、市長には、三百枚をそれぞれ認め、しこうしてその大きさをタブロイド型と改めた次第であります。かりにもし現在の計畫のように、一候補者が三連の紙を使用すると見ましたならば、これに昨年のごとき六倍の候補者がある場合を考えますと、衆議院、參議院の兩院議員及び知事だけで、約一萬四千連を必要とするのでありまして、さらに地方議會の議員をも加えますならば、實に厖大なる紙を消盡するようになるのであります。また昨年の總選擧だけで要した、いわゆる電信柱や、壁や、軒下で食つた小麥粉が、二十萬俵に達するといわれておるのであります。本年の各種の選擧についてこれを放任するならば、その量は推して知るべしであります。われわれがみずからの不便を忍んで、最小限度にこれを制限いたしましたことは、現下の國家經濟の窮状を知悉するわれわれといたしましては、當然のことと思つた次第であります。枚數の制限ある場合におきまして、その制限に違反しないために、このポスターに檢印を押すことは、從來警察で行はれておつたのでありまするが、このたびは、いずれも選擧管理委員會にこれを移管することといたしまして、選擧事務の民主化と公明化に努めた次第であります。
次に選擧に關するはり札を掲示する場合の制限といたしましては、第一に、一つの工作物には、候補者一人について一枚とし、昨年のように、目につきやすい場所を獨占するとか、また同じ名前を何十枚も一箇所にはりつけるというような、不必要かつ不體裁きわまることを防止した次第であります。
第二に、國または地方公共團體の所有しまたは管理するものには掲示し得ないこととし、あるものには承諾を與え、あるものにはこれを與えないというがごとき不公平を、いやしくも國または公共團體がなすようなことの起らないことを期した次第であります。しかして從來と異なりまして、最も特色のあるところと考えますことは、上述の理由によつてその枚數を制限する以上は、この制限せられた範圍内では最大限の活用を許すべきものであるという見地から、從來の記載上の諸種の制限を全部撤囘いたしまして、許可されたる枚數の範圍内では、候補者の希望するいかなる事項をも記載することを妨げないこととした次第であります。
これに伴いまして、單にこのはり札だけではなく、無料葉書、及び本法によつて認められました新聞廣告、または選擧法に認められておりまするところの選擧に關する一切の公報等は、すべてその定められた大きさなり、寸法の範圍内では、ともに候補者の立候補について希望する事項を記載できるものといたしたのであります。政見綱領を發表するものであつても、あるいは演説會を告知するものであつても、まつたく記載については無制限自由といたしましたことは、制限した紙を、各候補者の創意と工夫によつて十分活用ができるように考えた次第であります。
次に、前囘の選擧において特に顯著であつた、はり札の制限等を免れる行爲といたしまして、自分の著書の廣告等に名をかつて、選擧運動のための文書圖畫と同性質のポスターを、しかもきわめて大量に利用することによつて、せつかくの制限を無にすることのないように、特に第九條において、かかるものを選擧期間中禁止することといたしました。また期間前に掲示したものについては、選擧管理委員會の認定によつてこれを撤去し、または撤去せしむることといたした次第であります。
次に、參議院の全國選出議員候補者に限つては、その選擧區の廣範圍なることに鑑みまして、無料で、三囘を限つて選擧に關するラヂオの放送ができることといたした次第であります。
最後に、本法案におきまして、現行の法令よりもその罰則を重く改めました理由は、前に申し上げました通り、日本再建の基礎であり、かつまた再建の門出であるこの選擧において、いささかも違反者のないことを期し、この選擧をして眞に嚴正かつ品位あらしめんとの見地から、嚴罰主義をもつて臨むこととしたのであります。なお本法の適用期間を四月中としないで、本年中といたしましたことは、四月に行われる選擧の中で、その決戰投票が五月に持越されるのもありますことを、數多い選擧のことでありまするために考え、しかしてまた再選擧、補缺選擧等のことも併せ考慮に入れらてある次第であります。
以上、本案について大體の御説明を申し上げましたが、御承知のごとく、本案の實施はきわめて急を要するものでありまするがゆえに、何とぞ速やかに、しかも各派共同提案になるものでありまするがゆえに、滿場一致をもつて御贊成あらんことをお願いいたす次第であります。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=17
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018・椎熊三郎
○椎熊三郎君 本案第二、第三讀會の順序を省略して議決せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=18
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019・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=19
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020・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案は第二、第三讀會の順序を省略するに決しました。採決いたします。本案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=20
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021・山崎猛
○議長(山崎猛君) 起立總員。よつて本案は全會一致可決されました。(拍手)
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022・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 殘餘の日程を延期し、本日はこれにて散會せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=22
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023・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。次會の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後四時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X01619470311&spkNum=24
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